このBlogで何度か書いている通り、わたしは学生時代に19世紀ドイツ演劇を専攻していたのだが、当然のことながらShakespeareやフランス喜劇、ロシア戯曲なども、日本語で読めるものはかなり片っ端から読んでいる。実のところ、わたしが真面目に勉強していたドイツ演劇よりも、面白い作品はよそにあって、やっぱりShakespeareは確実に別格であろうと思う。わたしは中でも『Henry IV』が一番好きなのだが、Shakespeareは喜劇も面白く、中でも『As you like it』、日本語タイトル「お気に召すまま」も、とても面白かった記憶がある。
記憶がある、と若干逃げた表現をしたのは、実は正直に自白すると、もう細かいことは憶えていないからだ。何度も読んでいるわけではなく、この「お気に召すまま」は1回しか読んでいないので、主人公のおてんばな女子が男装して大活躍する、ぐらいは憶えているけれど、細かいことはすっかり忘れている。今、わたしの本棚を漁ってみたところ、わたしが持っている岩波文庫版の『お気に召すまま』は1989年11月発行の49刷であった。うーん、もう27年チョイ前か……なんてこった、そりゃあオレも鼻毛に白髪も混じるわけだよ……やれやれ。
というわけで、今日は日比谷のシアタークリエで上演中の『お気に召すまま』を観てきた。何故かといえば、作品が好きだからでは決してなく、単に、主演がわたしが愛してやまない元・宝塚歌劇団星組のTOPスター、LEGENDこと柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)であるからだ。ちえちゃんがミュージカルではなく、普通の、しかもShakespeare劇に出る。そりゃあ、わたしとしては観に行くに決まっているのである。当然というか、もはや義務であろう。そして、観終って思うのは、やっぱちえちゃんは可愛いなあ~、という完全に単なるおっさんファンとしての当たり前な感想であった。かなり女子も板についてきた(?)ちえちゃん。最高でした。
たぶん、世の中的に、ちえちゃんと言えばまずはダンス、そして歌、というわけで、芝居はその次、なイメージというか評価ではなかろうか? いや、どうだろう、わたしだけかもしれないな、そう思っているのは。いずれにせよ、実はわたしは今日観に行く直前まで、今回は『お気に召すまま』をミュージカル仕立てにしてあるのかな? と盛大な勘違いをしていたのだが、全くそれはわたしの勘違いで、実際、全く普通のストレートプレイであった。故に、ちえちゃんがダンスも歌ナシで芝居だけでShakespeareに挑戦すると知ったときは、かなり驚いた。でも、この挑戦は結果的に非常に素晴らしかったとわたしはうれしく思う。また、今日ちょっと驚いたのは、シアタークリエという中規模劇場で、セリフは生声であった。でも、これはちょっと自信がない。時に双眼鏡も使って観ていたのだが、全員(?)マイクを装着していたのは間違いない、が、明らかに声は舞台から聞こえてきていて、生声のように感じられた。ちえちゃんは、元々声が低く、正直、演劇の通る発声ではない。それでも、後半男装の麗人、という女子を元気にかわいらしくカッコよく、演じ切っていたと思う。
前半の青いワンピースは可愛かったすね。まあ、華奢には見えなかったけれど、十分以上に女子ですよ。あのウルトラカッコイイ男役としての柚希礼音ではなく、明らかに女子のちえちゃんは、男のわたしから見ると実に可愛いと思う。ラストの純白ウエディングドレスも良かったすね。そしてカーテンコール(というべきかアレ?)で一曲歌ってくれたのは、まあサービスなんでしょうな。久しぶりのちえちゃんの生歌、堪能させていただきました。ちえちゃんは、今後もすでに次のミュージカル出演も決まっているし、ホント順調にキャリアを重ねてますね。今回の芝居だけ、という作品の経験は、そしてShakespeare作品ということですげえ多いセリフ量の芝居を演じ切った経験は、きっと今後につながる貴重な経験になったと思うな。ずっと応援していきたい所存であります。
で。ちえちゃん以外のキャストでわたしが素晴らしいと思ったのは、やはりロザリンドの親友シーリアを演じたマイコさんだろう。妻夫木くんと結婚したことでも最近おなじみだが、わたしはこの人で一番強烈に印象に残っているのは、チョーヤの梅酒「さ~らりとした~梅~酒」のCMだ。まあ、すっげえ美人ですな。あと、草彅剛くんの映画『山のあなた~徳市の恋』も印象的でしたね。今回のシーリアは、わたしのマイコさんのイメージ(=物静かな和美人)とは違う積極的でよくしゃべる役で、その点もとても新鮮に見えたし、実際、ホントセリフ量も多くてお見事でした。
それから、わたしは今日初めて知った方だけど、オーランド―を演じたジュリアン君もかなりいいですな。パンフレットによると、彼のお父さんがアメリカ人だそうで、10代まで日本で育ってアメリカに渡り、オフ・ブロードウェーでも活躍した方だそうだ。てことは、彼も歌えるんだろうな。ぜひ一度、彼のミュージカルを観てみたいなあ。かなりカッコいい。そしてかなり鍛えているようで、いい筋肉も見せてくれました。ちょっと名前と顔を憶えておきたいすね。
キャストに関しては、1人わたしがよく知っている方が出演していた。それは伊礼彼方氏。彼をわたしが見るのは、たぶん10年ぶりぐらい。彼は、わたしが初めて見た『テニスの王子様ミュージカル』で六角中の佐伯虎次郎というキャラ役で出ていたので、わたしは知っていたわけです。あれからもう10年。きっと、不断の努力を続けていたんだろうなと思う。今では結構いろいろなミュージカルに出演しているので、名前はちょこちょこ見かけていたけれど、実際に観劇したのは「テニミュ」以来、今回が初めてだ。『エリザベート』でもルドルフを演じたこともあるんですな。今回は歌がないけれど、わたし、佐伯虎次郎の「ひとつやり残したこと」って歌が好きだったんすよね……。上手いかどうかはともかくw
あと、そうだもう一人。Shakespeareの作品では、多くの場合「道化」という存在が登場して、意外と重要な役割を演じる場合が多い。そして「道化」は、実は作中人物の中で一番頭が切れて物事の本質を、主要キャラに代わってしゃべる場合が多いのだが、今回の『お気に召すまま』にも道化は出てくる。そして今回その道化役であるタッチストーンというキャラを演じたのが、芋洗坂係長だ。驚いたと言ったら失礼だけれど、滑舌もよく、芝居ぶりも楽しく、非常に良かったと思う。さすがというか、きっちり訓練された演技者として、技ありというか大変素晴らしい芝居ぶりだったと思った。この人、元々ダンサーなんすよね。お見事です。
というわけで、もうなんか書くことがないので結論。
今日観に行った『お気に召すまま』は、わたしとしてはちえちゃんを観に行ったわけで、その点では大変満足である。ますます女子化が進行しているちえちゃん。アリです。実にアリですよ。ただ、芝居として、時代設定を1960年代終わり(?)に変換したのは、我々日本人には全く通じないと思う。その点では、正直何だったんだという気がしてならない。我々日本人には全くピンとこないというか、ほぼ意味がなかったように思う。いっそ原作ママのコスチュームプレイでもよかったのかもしれないすね。まあ、変に現代化するよりいいのかな。結論としては、ちえちゃんは大変かわいい。それがわたしの一番言いたいことであります。以上。
↓ わたしが持っているのは岩波文庫版。定価310円でした。今は税込み540円だそうです。
記憶がある、と若干逃げた表現をしたのは、実は正直に自白すると、もう細かいことは憶えていないからだ。何度も読んでいるわけではなく、この「お気に召すまま」は1回しか読んでいないので、主人公のおてんばな女子が男装して大活躍する、ぐらいは憶えているけれど、細かいことはすっかり忘れている。今、わたしの本棚を漁ってみたところ、わたしが持っている岩波文庫版の『お気に召すまま』は1989年11月発行の49刷であった。うーん、もう27年チョイ前か……なんてこった、そりゃあオレも鼻毛に白髪も混じるわけだよ……やれやれ。
というわけで、今日は日比谷のシアタークリエで上演中の『お気に召すまま』を観てきた。何故かといえば、作品が好きだからでは決してなく、単に、主演がわたしが愛してやまない元・宝塚歌劇団星組のTOPスター、LEGENDこと柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)であるからだ。ちえちゃんがミュージカルではなく、普通の、しかもShakespeare劇に出る。そりゃあ、わたしとしては観に行くに決まっているのである。当然というか、もはや義務であろう。そして、観終って思うのは、やっぱちえちゃんは可愛いなあ~、という完全に単なるおっさんファンとしての当たり前な感想であった。かなり女子も板についてきた(?)ちえちゃん。最高でした。
たぶん、世の中的に、ちえちゃんと言えばまずはダンス、そして歌、というわけで、芝居はその次、なイメージというか評価ではなかろうか? いや、どうだろう、わたしだけかもしれないな、そう思っているのは。いずれにせよ、実はわたしは今日観に行く直前まで、今回は『お気に召すまま』をミュージカル仕立てにしてあるのかな? と盛大な勘違いをしていたのだが、全くそれはわたしの勘違いで、実際、全く普通のストレートプレイであった。故に、ちえちゃんがダンスも歌ナシで芝居だけでShakespeareに挑戦すると知ったときは、かなり驚いた。でも、この挑戦は結果的に非常に素晴らしかったとわたしはうれしく思う。また、今日ちょっと驚いたのは、シアタークリエという中規模劇場で、セリフは生声であった。でも、これはちょっと自信がない。時に双眼鏡も使って観ていたのだが、全員(?)マイクを装着していたのは間違いない、が、明らかに声は舞台から聞こえてきていて、生声のように感じられた。ちえちゃんは、元々声が低く、正直、演劇の通る発声ではない。それでも、後半男装の麗人、という女子を元気にかわいらしくカッコよく、演じ切っていたと思う。
前半の青いワンピースは可愛かったすね。まあ、華奢には見えなかったけれど、十分以上に女子ですよ。あのウルトラカッコイイ男役としての柚希礼音ではなく、明らかに女子のちえちゃんは、男のわたしから見ると実に可愛いと思う。ラストの純白ウエディングドレスも良かったすね。そしてカーテンコール(というべきかアレ?)で一曲歌ってくれたのは、まあサービスなんでしょうな。久しぶりのちえちゃんの生歌、堪能させていただきました。ちえちゃんは、今後もすでに次のミュージカル出演も決まっているし、ホント順調にキャリアを重ねてますね。今回の芝居だけ、という作品の経験は、そしてShakespeare作品ということですげえ多いセリフ量の芝居を演じ切った経験は、きっと今後につながる貴重な経験になったと思うな。ずっと応援していきたい所存であります。
で。ちえちゃん以外のキャストでわたしが素晴らしいと思ったのは、やはりロザリンドの親友シーリアを演じたマイコさんだろう。妻夫木くんと結婚したことでも最近おなじみだが、わたしはこの人で一番強烈に印象に残っているのは、チョーヤの梅酒「さ~らりとした~梅~酒」のCMだ。まあ、すっげえ美人ですな。あと、草彅剛くんの映画『山のあなた~徳市の恋』も印象的でしたね。今回のシーリアは、わたしのマイコさんのイメージ(=物静かな和美人)とは違う積極的でよくしゃべる役で、その点もとても新鮮に見えたし、実際、ホントセリフ量も多くてお見事でした。
それから、わたしは今日初めて知った方だけど、オーランド―を演じたジュリアン君もかなりいいですな。パンフレットによると、彼のお父さんがアメリカ人だそうで、10代まで日本で育ってアメリカに渡り、オフ・ブロードウェーでも活躍した方だそうだ。てことは、彼も歌えるんだろうな。ぜひ一度、彼のミュージカルを観てみたいなあ。かなりカッコいい。そしてかなり鍛えているようで、いい筋肉も見せてくれました。ちょっと名前と顔を憶えておきたいすね。
キャストに関しては、1人わたしがよく知っている方が出演していた。それは伊礼彼方氏。彼をわたしが見るのは、たぶん10年ぶりぐらい。彼は、わたしが初めて見た『テニスの王子様ミュージカル』で六角中の佐伯虎次郎というキャラ役で出ていたので、わたしは知っていたわけです。あれからもう10年。きっと、不断の努力を続けていたんだろうなと思う。今では結構いろいろなミュージカルに出演しているので、名前はちょこちょこ見かけていたけれど、実際に観劇したのは「テニミュ」以来、今回が初めてだ。『エリザベート』でもルドルフを演じたこともあるんですな。今回は歌がないけれど、わたし、佐伯虎次郎の「ひとつやり残したこと」って歌が好きだったんすよね……。上手いかどうかはともかくw
あと、そうだもう一人。Shakespeareの作品では、多くの場合「道化」という存在が登場して、意外と重要な役割を演じる場合が多い。そして「道化」は、実は作中人物の中で一番頭が切れて物事の本質を、主要キャラに代わってしゃべる場合が多いのだが、今回の『お気に召すまま』にも道化は出てくる。そして今回その道化役であるタッチストーンというキャラを演じたのが、芋洗坂係長だ。驚いたと言ったら失礼だけれど、滑舌もよく、芝居ぶりも楽しく、非常に良かったと思う。さすがというか、きっちり訓練された演技者として、技ありというか大変素晴らしい芝居ぶりだったと思った。この人、元々ダンサーなんすよね。お見事です。
というわけで、もうなんか書くことがないので結論。
今日観に行った『お気に召すまま』は、わたしとしてはちえちゃんを観に行ったわけで、その点では大変満足である。ますます女子化が進行しているちえちゃん。アリです。実にアリですよ。ただ、芝居として、時代設定を1960年代終わり(?)に変換したのは、我々日本人には全く通じないと思う。その点では、正直何だったんだという気がしてならない。我々日本人には全くピンとこないというか、ほぼ意味がなかったように思う。いっそ原作ママのコスチュームプレイでもよかったのかもしれないすね。まあ、変に現代化するよりいいのかな。結論としては、ちえちゃんは大変かわいい。それがわたしの一番言いたいことであります。以上。
↓ わたしが持っているのは岩波文庫版。定価310円でした。今は税込み540円だそうです。