8/23付けの記事で書いたとおり、2010年1月の初観劇以来、わたしはすっかり宝塚歌劇にはまっている。そして、その初宝塚のときに観た、当時のTOPスターである柚希礼音さん(愛称:ちえちゃん)に完璧Fall in Love、以降、ほぼ全公演を観に行ったし、お茶会という名のファンミーティングも行ったし、武道館コンサートも行ったりした。そして今年2月の退団公演は、念願のムラ観劇(※宝塚市の宝塚大劇場へ観に行くこと)も果たし、東京公演も当然観に行った。あまつさえ、あろうことか劇場でマジ泣きしてしまうという醜い姿もさらしてしまったキモ男である。なんかさ……ほんとうにちえちゃん退団なんだ……もう会えないんだ……と思ったら、急に猛烈にさみしくなって、泣けてしまったんだよね……。なんなのオレ。まったくもって、われながら気持ち悪い。ほんとサーセン。

 そんなわたしの愛するちえちゃんは宝塚を卒業してしまったのだが、現状既にLEGENDと呼ばれており、TOP of the TOPであったちえちゃんが、再び我々の前に帰ってきてくれるというニュースが発表されたのは、確か5月か6月あたりだっただろうか? なんと、ブロードウェーミュージカルに挑戦することが発表されたのである。
 もともと、ちえちゃんは、宝塚スターとしてはちょっと珍しい経歴の持ち主である。普通のスターは、元々宝塚のファンで、好きだから自分も挑戦したい、という動機で宝塚音楽学校の入試に挑む場合が多いと思う。が、ちえちゃんは、その宝塚ファン時代がないのだ。どういうことかというと、元々バレエをずっとやっていた彼女は、高校生になって身長が170cmを超えるぐらいに成長してしまい、バレエダンサーとして日本ではちょっと難しい体になってしまったのだ。 わたしはバレエに関してまったく無知なので良く分からないが、確かに女子のバレエダンサーは華奢で、そう背が高いというイメージはない。そういうものなのかどうなのか、実際のところわたしは分かっていないが、とにかく、高校生当時のちえちゃんは悩んだそうだ。どうすべか、と。その時のちえちゃんは、アメリカにバレエ留学したい!! と考えていたらしい。が、知り合いに、こういうのがあるよ、と提示されたのが宝塚だったそうで、じゃあ、挑戦してみようと試験に挑み、無事に第85期生として入学するに至ったのだそうだ。
 なので、 ちえちゃんは宝塚というものを入学してから勉強・稽古・訓練によって学んで行き、TOPに就任してからもずっと自信がなく、それでも不断の努力によって、宝塚の歴史に残る伝説のTOPスターとなったわけである。ちえちゃんは、明らかに努力の人であり、ホント、尊敬できる人間だとわたしは思っている。
 そんなわたしの愛するちえちゃんが、ブロードウェーに挑戦すると聞いて、わたしが冷静でいられるわけがない。高校生のときにあこがれた、夢の舞台。そこに、ちえちゃんが立つ。なんというか、その真っ直ぐな思いと、おそらくはそこに至るまでにこれから始まる努力を思うと、いかん、また泣けてくるわ。当然わたしはチケットのプレオーダーから参戦し、無事に初日2日目のチケットを入手することができた。

 というわけで、今日、わたしが渋谷で観てきた『Prince fo Broadway』は、そんなちえちゃんの、宝塚退団後の初舞台であり、ちえちゃんの舞台人としての第2章開幕の作品である。その場にいられるだけでわたしは嬉しい。

 さて、ここから先はネタバレなので、これから観に行くから知りたくない! という方はここから先は自己責任でお願いしたい。

 ズバリ言うと、既に事前の情報でも分かっていたことだが、ちえちゃんの出番は結構少ない。出ずっぱり、では全然ない。また、この作品を真に楽しむには、かなりの数のミュージカル知識が必要だ。わたしのような、にわか野郎には、この作品の真髄までは理解できていない。詳しくは、公式Webサイトを見ていただいたほうが良いだろう。この作品は、ブロードウェイミュージカル界で最も偉大な功績を成し遂げた男、ハロルド・プリンスの手がけた作品を振り返るものと言えばいいのだろうか? 彼の作品の名シーンが次から次へと現れるもので、実際のところ、明確なストーリーはない、というか薄い。しかし演じる俳優たちが、「本物の」ブロードウェー役者であるので、当たり前だが歌はすさまじく上手く、それを聞くだけでも十分に価値があると思う。しかもスーパー・オールスター集合である。残念ながら、にわかのわたしが明確に知っている曲は『ウエストサイド物語』『キャバレー』『オペラ座の怪人』『エヴィータ』ぐらいなのだが、それでも、知っている曲を生で、しかも本物の歌声で聞ける機会はめったにないので、ちょっと感動ものであった。特に、『オペラ座の怪人』の曲を歌ってくれた二人は、本物のファントムとクリスティーヌ経験者である。知ってる曲だけに、鳥肌ものの素晴らしさだった。

 一方のちえちゃんは、明確なソロで歌ってくれるのは4曲かな? 記憶が間違ってたらサーセン。1幕冒頭近くの『くたばれヤンキース』で1曲ソロで歌うのだが、この時の衣装は超注目だ。以前の記事で書いている通り、わたしはちえちゃんを、あくまでずっと女子として愛しており、この時の衣装は、そんなわたしには失神しそうなぐらいセクシーであった。そして第2幕では3曲歌ってくれるが、そのうちの1曲は日本語の曲で、きっちりファンサービスもしてくれる。当然、バレエダンサーとしての、女性らしいしなやかで美しいダンスも披露してくれて、わたしはとても嬉しかった。とにかく、背中がこんなに華奢だったんだね、というか、肩甲骨周りの、明らかに鍛えられた美しい筋肉に、わたしはもう双眼鏡をずっと手放せず、完全に変態といわれても否定できないほどガン見してしまった。

 そんな作品なので、正直、ちえちゃんファン以外が観て面白かったのかどうか分からない。また、ちえちゃんファンであっても、出番が少ないとか、きっといろいろモノ申したい方も多いのではないかと思う。
 だが、少なくともわたしは、新たな道を歩むちえちゃん、今日のために、おそらくは相当な訓練と不断の努力を続けてきたであろう、美しき「女子」であるちえちゃんを今日、この目で観ることができて、これ以上の喜びはない。大満足です。

 なお、カーテンコールの際に、撮影していいですよという場内表示が出る。なので、皆いっせいにスマホを舞台に向けていた。わたしももちろん、撮ってみた。が、まったくろくな写真が撮れなかったのだが、前から2列目というすごい席が取れた、元同僚のMお姉さまから先ほどメールでこんな写真が送られてきた。
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 近っけぇーーー!! くそー!! いいなーこんな席で見られたなんて!! ちなみに今日は、前から3列目に蘭寿とむさんと、とよこさんこと紫央 涼さんも来場していたようだ。ようだ、というのは、わたしは後ろ姿しか見られず、お顔を拝見することができなかったのだが(場内がざわついて「蘭寿とむさんよ!!」という声が聞こえたので、マジか!? とそっちを見たときにはもう席に着こうとされていた)、元同僚のMお姉さまはばっちり目撃したとのことです。くっそう!!

 というわけで、結論。
 わたしは大満足です。しかし、もっと勉強していくべきだった。そうすればもっと楽しめたのだが……。まあ、今後もちえちゃんを応援していきたい所存です。

↓ ちえちゃんファンとしては、コイツは読まざるを得ないな……。