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 いやあ~……最高だったすね! コイツは面白かった! 今年はあまり映画を観に行けていないけれど、まあ、ダントツの完成度とダントツの面白さで、今のところ暫定ナンバーワンですなあ!
 何のことかって? そんなのコイツに決まってるでしょうが!!

 というわけで、US本国よりも数日早い昨日から日本公開となった『SPIDER-MAN:FAR FROM HOME』 であります。いやー、本当に素晴らしかった! とにかく内容盛りだくさんで、これはMCU=マーベル・シネマティック・ユニバースにとって極めて重要な作品であったと言えると思う。
ポイントとなるのは……
 ◆そもそもの本筋である物語が最高に面白い
 ◆本筋に影響を及ぼしている、MCUの世界観設定が超秀逸に決まっている。
 ◆コミック原作への深いロイヤリティ(忠誠心)が観ていて感動的
 という点にあるような気がしますね。これは本当にお見事としか言いようがないすわ。まずはざっくりと、これまでのまとめと本作の物語をまとめてみよう。間違いなく言えることは、MCUのこれまでの歴史を知らないと、本作を味わうことはできないことでしょうな。まあ、そんなのは当たり前の大前提ですよ。
 で、MCUにおける『SPIDER-MAN』単独の物語は、本作で2作目であるものの、実のところ主人公スパイディ=ピーター・パーカー君がMCUに登場するのは、これでもう5本目だ。
 <初登場>:MCU最高傑作とわたしが認定している『CAP:CIVIL WAR』に緊急参戦。CAPと分かり合えない深い溝ができてしまったトニーが、なにやらNYCで悪者退治にいそしんでいる「蜘蛛男」のうわさを頼りに、ごくあっさり正体を見破り、ある日突然、ピーター君の前に現れスカウト。この時トニーは、あくまで助っ人として助力を要請するが、世界的な大富豪&天才と知られているトニーのスカウトに大興奮したピーター君はそれなりに活躍するも、それほどは深く描かれず、顔見世に終わる。
 <単独主演>:初の単独作『HOME COMING』にて、『CIVIL WAR』のその後が描かれる。トニー謹製のSPIDERスーツをもらって大はしゃぎのピーター君は、CIVIL WARののち、僕もアベンジャーズの一員になって大活躍したい、とずっとトニーからの連絡を待つ日々だったが、トニーからは連絡なし。つれない対応にしょんぼりしているが、NYCに現れた悪党ヴァルチャー(及びその手下)との戦闘で、若干ミスってしまってトニーに怒られ、スーツも取り上げられてしまってさらにしょんぼりは深まる。が、最終的にはヴァルチャー退治に成功し、トニーもピーター君の活躍を認め、ラストは記者会見で、新たなるヒーローの誕生だ、と派手に紹介しようとしたところでピーター君はそれを断り、「NYCの親愛なる隣人」でいることを選択する。この作品の一番素晴らしいところはこのピーター君の選択で、原作コミックのCIVIL WARでは記者会見でマスクを脱いで、自分がSPIDER-MANであることを明かすのだが、見事にその流れを断る点にあろうと思う。女の子にモテたい、自分がSPIDER-MANであることを明かせばモテる、という前振りが何度もあるのに、それをきっちり断って、モテることより自分のできることを頑張る、というピーター少年の決断は実にカッコ良かったすな。そしてこの作品では、若干暗くてブラックなことばかりつぶやいている謎のプチストーカー少女こそ、SPIDY世界のヒロイン「MJ」だった! というラストも実にお見事でした。
<3作目&4作目>:『INFINITY WAR』勃発。NYCのマンハッタンにやってきた宇宙船を、スパイダー・センス(=何気に重要な能力で、今回のFAR FROM HOMEではカギとなる危機察知能力)でいち早く感知したピーター君は、スクールバスから現場に急行、戦闘中のトニーを助け、拉致されたDr.Strangeを追って宇宙船にしがみつくが、成層圏を突破する辺りで意識朦朧となり、上空から落下するもトニー謹製の「アイアン・スパイダー」スーツを装着、トニーには家に帰れと言われてたのに宇宙船に潜入、結果、THANOSの手下一人をぶっ飛ばすことに貢献し、トニーにはアベンジャーズの一員として認められる。そしてTHANOSとの戦いに挑むも、THANOSの「選択」で消滅することに。しかしご存知『END GAME』で普通に復活しました。ただしその代償は―――トニーの命だったわけです。
 <5作目となる本作『FAR FROM HOME』>:INFINITY WAR~END GAME事件から8カ月後の世界。物語としては、もう予告で描かれている通り、高校生としての夏休み、サイエンスクラブの合宿旅行(?)で訪れたヨーロッパを舞台に、ピーター君としては大好きなMJに告白したい、けれど謎の怪物が世界各国に現れていて、トニー・スターク=IRONMANというスーパーヒーローを失った世界はSPIDER-MANの力を必要としていた……。
 というお話なわけだが、スーパーヒーローとしての活動は、ピーターが「NYCの親愛なる隣人」であろうとする気持ちと、さらに高校生として恋と青春をエンジョイしたいという気持ちともバッティングしてしまうわけで、ピーター君は大いに悩むわけです。おまけに、ピーターが尊敬してやまないトニーからの遺品(=トニー愛用のサングラスで、ARシステムが実装され、地球防衛装置(と言えばいいのかな?)にダイレクトにリンクした強力な一品)も、ホントに僕が持ってていいんだろうか、なんて悩みもあって、もう大変なわけです。
 しかし、後半、自分の行動が間違っていたことに気づいてからは、前を向いて自らの失敗を取り返すべく、超がんばるわけですが、それがまたなかなかけ健気なんすよ! ピーターはトニーを失っても、きっちり自分で成長を果たしたわけで、そんな、「少年の成長物語」が面白くないわけない! のです。本当に良く練られた脚本で、実にお見事でありましたなあ! マジ最高でした。
 というわけで、以下、キャラごとに演じた役者と共に思ったことをメモしておこう。
 ◆ピーター・パーカー=SPIDER-MAN:演じたのはもちろんTom Holland君23歳。演技的にも完璧に近く、悩める姿、しょんぼりな顔やはじける笑顔など、高校生そのものな感じでとにかく最高だったすね。そもそも、SPIDER-MANは、マーベルコミックの中では(一部のX-MENキャラを除いで)最年少の少年ヒーローで、これまでの映画シリーズのような、恋愛中心のキャラではなく、原作に最も忠実な描かれ方なのではないかと思う。しかし、本作のエンドクレジット後のおまけ映像では、ついに自分がSPIDER-MANであることを明かされてしまって、今後どうなるのか、超楽しみっすね! そして、とうとうMCU版にもデイリー・ピューグル編集長(どうやら時代を反映して新聞社ではなくネットニュース配信社?)も参戦、おまけに演じた役者がSam Raimi監督版3部作で同じ役を演じたJ.K.Simmons氏だったことに、もうわたしは大興奮したっすわ! あれはもう、ファンは全員、な、なんだってーーー!? なおまけ映像でしたな。最高でした。
 ◆ハッピー・ホーガン:悩めるピーター君の前に現れる大人その1。演じたのはもちろんJohn Favreau監督52歳。お馴染みトニーの運転手兼ボディガード(?)のハッピーは、今回は美人過ぎるおばさんでお馴染みのメイおばさんのケツを追っかけつつ、後半、ピーターが決断してからはいろいろとサポートしてくれた強い味方。だけど、ちょっとあんた、弱すぎだし、メイおばさんを見る目が完全にエロオヤジなんですけど大丈夫ですか!? トニーが生きてたら、なんと言われるか……まあ、今後もピーター君をサポートしてあげてくださいね。
 ◆ニック・フューリー:悩めるピーター君の前に現れる大人その2。Samuel L. Jackson叔父貴しか演じられるわけがありません。基本的にこの人は偉そう&口だけ人間に近く、ピーター君の力にはほとんどなってない。さらに、この人はTHANOSの選抜で消滅した側なので、5年のブランクがあるのでイマイチ本調子じゃないみたい……と思わせといて、なんなんすかあのおまけ映像は!? 要するに、今回出てきたニック・フューリーは全部スクラル人のタロスが変身してたってことなんすか!? マジかよ!! この設定って必要だったかなあ!? まあ、どうやら本物のニック・フューリーは銀河のどこかでお仕事中みたいすね。ま、今後のMCUがどうなるかさっぱり謎ですが、その「今後」のための伏線なんでしょうな。うおお、すげえ楽しみであります!
 ◆クエンティン・ベック=ミステリオ:悩めるピーター君の前に現れる大人その3。演じたのはわたしが結構好きな役者の一人であるJake Gyllenhaal氏38歳。やっぱカッコイイすねえ、この人。そして、SPIDER-MANにちょっと詳しければ、ミステリオのことも知ってるはずで、わたしはもうずっと、予告でやけにイイ人っぽく描かれる「ミステリオがイイ奴のわけがないんだけど……どんな話になるんだ?」とドキドキしていたわけで、本性が現れた時は「やっぱり……!」ではあった。しかし、脚本的に、コイツが悪党だってことは一切匂わせず、実にお見事な大どんでん返しであったとわたしは大絶賛したい! 素晴らしかったね。ここでこう来るんだ!? と誰もがびっくりな展開は完璧に決まったすね。こういう点も、原作へのロイヤリティの高さがにじみ出てますよ。しかも、原作ファンには、アース616とかアース833とか、「それっぽい」ミスリードを誘うようなセリフも、実に原作へのリスペクトが感じられる素晴らしい脚本でした。そしてJake氏の演技も良かったすねえ! わたしとしては大絶賛いたしたく存じます。
 ◆ネッド:MCU版ではおなじみの、ピーターの親友のデブオタ君。いやあ、今回の「ネッド、大人への階段を上るの巻」も実に素晴らしかったすねえ! ネッドに春が来るとはなあ! しかも、ネッドの素晴らしいところは、彼女ができても、彼女に付きっきりになることなく、キッチリとピーターの相棒=椅子の男として活躍してくれるんだから、ホントにコイツはイイ奴ですよ! 演じたのはもちろんこれまでネッドを演じ続けてくれているJacob Batalon君23歳。なるほど、Tom Holland君と同い年なんすね。君たちコンビはこれからもずっと頑張ってほしいすね!
 ◆MJことミシェル:前作『HOME COMING』では、むしろ彼女がピーター君大好きで、若干ストーカーめいた挙動不審な女の子だったし、おまけにピーター君も別の女の子に夢中だったのだが、今回はもう、ピーター君の方からMJ大好きに。まあ、おっさんからすれば、二人がもうお互い大好きなのは見え見えなので、YOU、さっさと告っちゃえよ! なわけですが……なかなか甘酸っぱくて良かったすね。つうか、演じたZendayaちゃんはミュージシャンとして大人気なわけだけど、この子はなんとなく日本人的顔立ちだし、観ていると話が進むにつれてどんどんかわいく見えてきますな。エンディングではSPIDER-MANに抱かれてマンハッタンの空をスィングしまくる映像も流れて、なんか微笑ましかったすな。青春しやがって! ところで、ピーター君もネッドもMJも、揃って5年間消えていた側なわけですが、本作では、トニーの逆パッチンによって、消えた人がどう復活したかもちょろっと描かれてました。わたしはその映像を見て椅子から転げ落ちそうなぐらいびっくりしたんだけど……どうやら、「消えた場所で(?)、突然、パッと復活した」らしい。うっそだろ!? そんな復活だったのかよ!? とわたしとしては超驚いたす。だって、飛行機に乗ってた人とかもいたはずで、そういう「消滅した時の場所がアレだった人」たちってどうなったんでしょうなあ?? 謎っす。
 いっけねえ! もうクソ長いからこの辺にしとこう。

 というわけで、もうぶった切りで結論!
 超楽しみにしていたMCU最新作にしてPHASE-4の最終作となった『SPIDER-MAN:FAR FROM HOME』を観てきたのだが、一言で言えば最高でした。控えめに言っても、最高だと思います。真面目な少年が、悩みや悲しみを乗り越えて成長するという物語は、もう鉄板でしょうな。実に面白かったすね。悔しいぐらいに。MCUとしても極めて重要な作品であったと思う。しかしなあ、ホントにパラレル・ワールドの「マルチ・ヴァース」の設定を使わなかったのは大正解だと思いますね。アレはもう、収拾がつかなくなるし、これまで、を無視しちゃう禁じ手だと思うな。まあ、それを使って台無しになったのがFOX版『X-MEN』なわけで、MCUがその道にまっしぐらにならず、ホント良かったと思います。つうかですね、ニック・フューリーは一体何をしてるのでしょうか? そして正体がバレたピーター君の今後の運命やいかに!? というわけで、今後もますます楽しみなMCUは、本当に最高だと思います。完璧だったっすね、マジで。以上。

↓ まずはコイツを読もう! 話はそれからだ!
スパイダーマン (1) (MF文庫)
池上 遼一
メディアファクトリー
2002-05

 いよいよ4月26日の公開まで1カ月チョイと迫ってきた『AVENGERS:END GAME』。
 もちろんわたしもとても楽しみにしているわけだが、まあ普通に考えて、『END GAME』の結末は誰だって想像している通り、実は愛の戦士だったTHANOSが敗北、アベンジャーズ大勝利で終わるんだろうと思っている。問題はいかなる犠牲が払われるか、にあるとわたしは考えているが、よもやわたしが最も好きなトニー・スターク=IRONMAN殉職もあり得るのかなあ、とか、まあ、妄想は尽きない状態である。今のところは。おととい公開された最終予告も、なんだかいろいろな「?」があって、きっとこの予告は本編にない、いろんなミスリードな細工をしてんだろうな……とかわたしは思っている。
 しかし、MCUにおいては、『END GAME』を観る前に、絶対に観ておかなくてはならない映画がある。それが昨日から公開になった『CAPTAIN MARVEL』だ。わたしも夕方早めに会社を出て、日比谷TOHOにてIMAX3D版をさっそく観てきた。
 結論から言うと、いろいろ突っ込みたくなる点はあるものの、大変良くできたお話で十分面白かったと思う。わたしは原作コミックの「キャプテン・マーベル」は全く読んでいないので、原作との違いとかそういった点は全く分からない。また、本作は、コミック原作や今までのMCU作品を知らなくとも、ある程度は本作単独で観ても十分面白い映画になっているとは思う。しかし、まあやっぱり、MCUは全て観ていないと、その面白さは堪能できないと思います。この映画はやっぱりコミックとは別物で、あくまでMCUを構成する一つのピースであるということは間違いなさそうだ。
 というわけで、以下、ネタバレ満載となる可能性が高いので、まだ観ていない人はここらで退場してください。こんなBlogをチェックしている暇があったら、今すぐ劇場へGO!でお願いします。

 というわけで、上記予告を観ても、一体どんなお話なのか、正直全く分からないだろう。わたしも全然分からず、まあきっと、明らかに地球人っぽい女性がいかにして「キャプテン・マーベル」となったか、てなお話だろうぐらいしか考えられなかった。
 わたしがこの予告を観て思ったポイントは、1)なんで舞台は1995年と中途半端な「過去」なのか? 2)なんで彼女は「過去」の記憶を喪失しているのか? の2つだ。そしてこの謎は、劇中では、なるほど、そういうことか、と見事に回答が与えられていて、わたしはそこに、「これは面白い」と感じるに至ったのである。というわけで、以下解説? というか思ったことをメモしてみよう。
 1)なんで舞台は1995年なのか?
 ズバリ言うと、これはもう、MCUを観てきた人でないと理解できないと思う。はっきり言って、本作は、単独作品であったなら1995年を舞台とする必要は皆無と言っていいはずだ。2019年の現代であろうと、例えば1960年代であろうと、別に何の問題もなかったはずだ。
 だが、MCUのワンピースであることを前提とすると、本作は1995年である必要があるのだ。そのカギを握っているのが、MCUのキーキャラクター、ニック・フューリーである。
 ニック・フューリーは、明らかに2008年のIRONMAN誕生以前から、地球圏外からの外敵の襲来を知っていた。そしてそういった外敵に備えて、せっせと武器を作り、「特殊な能力を持つ超人」を集めてチームを作る計画(=アベンジャーズ計画)を練っていた。さらに言えば、『INFINITY WAR』において「もしもの事態が起きた時に呼ぶ、最強の助っ人=キャプテン・マーベル」がいることが明確に示されていた。
 これらのことから、ニック・フューリーは、少なくとも2008年よりも前に、キャプテン・マーベルと知り合っていた必要がある。かといって前すぎると、ニック・フューリーも行動力のない子供になってしまう。近すぎては計画を練る時間も取れない。そこで、「ちょうどいいぐらいの過去」として、90年代に本作の舞台は設定されたのだろうと思う。全てはMCUというプロジェクトのためであると言って差し支えないだろう。ついでに、あの「ポケベル」に関しても、そもそも我々が知っているポケベルというものは、受信オンリーの一方通行デバイスだったわけだが、本作のアレは発信も可能な双方向だ。これは……一瞬日本でも発信可能なものがあったような気がするけど……いずれにせよ日本では1995年ぐらいからPHSが登場してポケベルは衰退していくので、まあ、やっぱり時代設定として1995年というのは、まさしく「ちょうどいいぐらいの過去」だったのではなかろうか。
 なお、1995年と言えば、はっきり言っておっさんのわたしには「ついこの前」に感じられるのだが、あの年、世界を変えたと言ってもいいぐらいの大きな発明があった。それは、「Windows95」の発売だ。この発明によって、インターネッツの世界が我々に開かれたと言っても言い過ぎではなかろう。わたしが初めてインターネッツを体験したのはWindows3.1の時代だが、まあとにかくプロバイダも少なく、モデムの設定も厄介で苦労したものだが、Windows95の登場で劇的にインターネッツは進歩し、わたしも自分のPCを初めて買ったのは1996年の初めであったことを覚えている。本作でも、まだ原始的なWebサイトや、ダイヤルアップが切れちゃうとか、当時を知っている我々おっさんには、超あるあるなエピソードが盛り込まれていて、大変愉快だったすね。もちろん、当時のファッションや街の様子や音楽など、そういう点では今現在40代後半以上の人間が、本作を一番楽しめるかもしれないす。
 2)なんで記憶を失っているのか?
 この点が本作で一番のポイントであろう。なので以下はホントにネタバレなんですが……。本作は冒頭、キャプテン・マーベルが「クリー人」であり、「ヴァース」と呼ばれていて、クリー帝国?の母星ハラで暮らしている様子が描写される。そして彼女はヨン・ロッグという「スター・フォース」司令官のもとで戦闘訓練を受けているのだが、なにやら6年前、クリーに来る前のことは忘れているらしい。そしてクリーにおいてはSupreme Intelligenceと呼ばれる超AIが全てを統治しているらしいことが描かれ、そのAIと対話する時には、AIは、対話者が最も尊敬する人物のヴィジョンとして現れるのだが、彼女の場合は、全く記憶にない女性の像となって、AIは彼女に指令やアドバイスを送っている。そしてその謎の女性はヴァースの夢にも現れていて、一体誰なんだ、そして私は……と記憶をめぐるサスペンスが本作のベースとなっている。そしてスター・フォースの一員として、クリーと現在戦争状態にあるスクラル人との戦闘に参加するヴァースだったが、どうやらスクラル人たちもヴァースの記憶を狙っていて……てな展開である。
 ここでポイントとなるのは、クリー人ってなんだ? ということと、スクラル人が欲する「ライトスピード・エンジン」なるものだ。
 まず、クリー人、と聞いてMCUを観てきたわたしが真っ先に思い出すのが『GUARDIANS OF THE GALAXY』だ。あの物語の中での悪役がまさしくクリー人で、なんと、そのものズバリ、『GUARDIANS』の悪役であったロナン・ジ・アキューサーは出てくるし、その部下であるコラスはなんどヴァースの同僚のスター・フォースの副官としてMCUに再登場である。なのでわたしは、あれっ!? クリー人って悪い奴らじゃないの? とか思いながら観ていたのだが、ヴァースはスクラル人との戦闘の後、大破した宇宙船から投げ出され―――地球に墜落、そこから舞台は1995年の地球となるわけだが、結論から言うとわたしの「あれっ!?」は、最終的に「ああ、やっぱりね」という結末に至るわけで、この点でも、MCUを観ていない人には全然通じなかっただろうと思う。
 そしてスクラル人たちが欲している「ライトスピード・エンジン」なる謎テクノロジーだが、思うに、「エンジン」というものは、その機械的な構造はもちろん重要としても、それよりもっと「何をエネルギー源とするか」のほうが重要だろうと思う。わたしも観ていて、ライトスピード……まあきっと光速航行を可能にするテクノロジーなんだろうけど(ついでに言えば、光速航行と来れば当然、相対性理論でいうウラシマ効果、すなわち「時間」が大きな問題となるわけで、わたしは、こりゃあ『END GAME』はやっぱりタイムトラベルが描かれるのか? とか、もう妄想が先走るわけです)、それを可能にするエネルギーって何なんだろうな、とぼんやり考えていた。そしてわたしが「そうきたか!」と恐れ入ったのがまさにそこにあって、なんと、その謎エネルギー源こそが「四次元キューブ」で、まさしくインフィニティ・ストーンの一つである「スペース・ストーン」だったのである。こう繋げたか! とわたしはとても興奮したっすね! つまり本作も、実は「インフィニティ・ストーン」をめぐる戦いだったのだ。
 ただ、わたしは即座に記憶をさかのぼってみたのだが、なんかどうもしっくりこなかったようにも感じたのは事実である。わたしが知っているMCUの歴史によると……
 ◆1940年代:第2次大戦のさなか、秘密結社(?)ハイドラによって、ヨーロッパに秘匿されていた「四次元キューブ」が奪取され(誰が隠していたのか不明)、その謎パワーで謎兵器が量産される。それに対抗すべく、US-ARMYによる「SUPER-SOLDIER」計画が進行、謎血清が開発され、その被験者第一号にスティーブ・ロジャースが選ばれ、かくしてスティーブは「CAPTAIN AMERICA」となってハイドラと戦い、「四次元キューブ」を奪還するも北極の氷に消える。その後、トニー・スタークの父、ハワードが「四次元キューブ」を北極海だかどっかの海底で発見する。そして後にハワードはS.H.I.L.D.設立に尽力する。
 (◆1960年代:冷戦期、S.H.I.L.D.はあくまでUS国益のための組織として活動していた。そしてこの頃、ハワードと同じくS.H.I.L.D.の科学者だったハンク・ピム博士は初代ANT-MANとして活躍)
 (◆1988年:ピーター・クィル少年が宇宙人に誘拐される)
 (◆1991年:ウィンターソルジャーによるハワード暗殺事件勃発)
 (◆2008年:トニー、IRONMANとしてヒーロー活動開始)
 (◆2008年:SUPER-SOLDIER計画を現代によみがえらせようとした実験中にブルース・バナー博士はガンマ線の大量照射を浴びてしまい、HULK誕生)
 (◆2011年:THOR、初めて地球にやってくる)
 (◆2011年:北極で氷漬けになっていたスティーブ=CAPが発見され、蘇生)
 ◆2012年:地球にLOKIが襲来、「四次元キューブ」を奪って大暴れ。ニック・フューリーによって招集された超人たちがAVENGERSを結成し、「四次元キューブ」奪還に成功。その後、「四次元キューブ」はTHOR様がアスガルドに持ち帰り、「オーディンの武器庫」に保管した。
 ◆2017年:アスガルド崩壊の「RAGNAROK事件」勃発。崩壊のさなか、ロキが再び「四次元キューブ」をちゃっかり横領。
 ◆2018年:サノスによる「INFINITY WAR」勃発。LOKIは謎の兄弟愛を発揮してTHOR様を助けるために、「四次元キューブ」をTHANOSに差し出す。以降、「四次元キューブ」はその中に秘めていた「スペース・ストーン」として(スペースは宇宙じゃなくて空間の意味で、物理的空間を制御しどこにでも行ける能力を持っていた)、THANOSの左手に装着されたガントレットに固定されている。
 とまあ、()内は「四次元キューブ」に関係ないことだけど、まあ、だいたいこんな歴史だったはずで、わたしは「四次元キューブ」は、第2次大戦後はずっとS.H.I.L.D.が保管していたのかと思っていた。なので、若干しっくりこなかったのだが、まあ、S.H.I.L.D.は実はハイドラの支配も受けていたわけだし、まさか1980年代から1995年にかけてこんなことが起きていたとは、というのは、興奮に値する物語だったわけですよ。まさしく「そう来たか!」である。この点も、MCUを観てきていないと分からない、けど極めて重要なポイントだったとわたしは感じた。
 というわけで、以下に各キャラと演じた役者をメモして終わりにしちゃいます。
 ◆キャロル・ダンヴァース=ヴァース=キャプテン・マーベル:元々幼少期から、女にゃ無理だ、なんてことを言われ続けてきて、その度に「何クソ!」といろんな無茶をしてきたけれど、鼻血を出してブッ倒れても、何度でも立ち上がる、その「不屈の闘志」がこの人の最大の武器なんでしょうな。その、何度も繰り返し描かれる「立ち上がる」姿がとてもカッコイイ。成人後はUS-AIR FORCE所属の軍人だったが、とある実験に参加したことで運命が変わってしまう。何故クリー人たちに「ヴァース」と呼ばれていたか、そしてなぜ、ニック・フューリーは計画を「アヴェンジャーズ計画」と名付けたか、その理由も脚本的に大変お見事だったすね。つうかですね、この人、もはや無敵なんですけど! この強さはMCU的にはもうTHOR様レベルです。人間じゃなくなっちゃったすね。
 演じたのは栄光のオスカー女優Brie Larsonさん29歳。意外と若いですな。しかし今回、コスチュームに身を包んだ姿は大変カッコ良かった。相当がっちりした体はとても鍛えられていて、美しかったすね。そして、あの宇宙空間用?のマスク・オン!の姿も実に最高でした。あのモヒカン的なマスク着用、からのマスク・オフで髪がはらり、となる姿もとても印象的っすね。『END GAME』での活躍も楽しみであります! もちろん今回のおまけ映像(1)では、ニック・フューリーの遺したあのポケベルの呼びかけに応じて、24年ぶりに地球に帰ってきたキャロルがCAPたちの前に現れるシーンを観ることができます。来たァ!とうれしくなったすね。最高でした。
 あとそうだ、ひとつ、おおっ!? と思ったことがあった。キャロルの少女時代がチラホラと描かれるわけですが、その子供キャロルを演じたのが、わたしが2年前大感動した『gifted』で天才児を見事に演じたMckenna Graceちゃんですよ! ちょっとだけ大人になりつつあって、しかも可愛く成長していてうれしいっす!
 ◆ニック・フューリー:ご存知S.H.I.L.D.の元長官。そして本作の時代ではまだ若手工作員。左目も健在。だけど、左目が潰れてしまう理由が、これはもう笑うべき、だよね? そんな理由だったとは、と笑えるものでした。演じたのは当然Samuel L. Jackson御大70歳なわけですが、本作では全編デジタル若返り処理がされていて、実際凄い技術だと思います。ただ、やっぱり、髪からおでこ、目元、鼻筋は、よーーく見つめると作り物感はあったと思う。つうか、おれも1995年当時と今とでは相当老けてんだろうな……と全くどうでもいいことを感じてしょんぼりっす。ついこの前なんだけどなあ……。。。
 ◆ヨン・ロッグ:クリー人にして「スター・フォース」の指揮官。ヴァースの先生的な存在だが、まあ、観ていればこの人が本当にイイ奴かは、うっすらわかると思います。ただ、残念ながらこのキャラはまるで弱かったす。演じたのはJude Law氏で、やっぱりイケメンですなあ、この人は。コスチューム姿も実にカッコイイすね。
 ◆ロナン・ジ・アキューサー&コラス:『GUARDIANS』での悪役コンビ。『GUARDIANS』では、クリー人テロリスト?みたいな感じだったけれど、本作の時代では、ロナンはクリー軍の攻撃隊長的な役割(?)で、あのお馴染みの宇宙船での爆撃が主任務。そしてコラスは「スター・フォース」の副官として、強いて言うなら正義の味方側、に所属。そもそもわたしは「クリー帝国」というんだから、皇帝がいるんだろうと勝手に思っていたけれど、まさか超AIが支配していたとは驚きです。つうか、AIなんぞが人間を支配しているのか、と思った時点で、クリー帝国にはうさん臭さしか感じなかったすね。それぞれ『GUARDIANS』で演じたLee Pace氏、Djimon Hounsou氏が再登板でありました。
 ◆ウェンディ・ローソン博士=マー・ヴェル:キャロルのUS-AIR FORCE時代の上官で科学者。その発明は、銀河から狙われることになるわけだが、問題は、本当に狙っていたのは誰か、そして、博士は何のためにその発明を成したのか、という理由がポイントとなる。まあこれも、観ていれば途中で気付けると思う。ほぼ冒頭から、キャロルの夢などでちらほら出てくるけれど、わたしは一目で、おおっと、これはAnnete Beningさんじゃないか、久しぶりだなあ! とか思いました。わたしが劇場のスクリーンでAnnetteさんを観るのは、たぶん『AMERICAN BEAUTY』以来じゃなかろうか。18年ぶり?っすね。
 ◆フィル・コールソン:ご存知S.H.I.L.D.諜報員。2012年の『AVENGERS』で殉職(したはずだけどTVでは生きてる設定)したコールソンも、この1995年当時は新人。ワンシーンだけ、後の登用に繋がる判断を見せる。当然、Clark Greggさんがデジタル若返り処理で演じてます。
 ◆タロス:今回の悪役か? と思わせて実は……なスクラル人。変身能力アリ。演じたのは、映画オタにはいろいろな作品で悪いヤツを演じていることでお馴染みのBen Mendelsohn氏49歳。意外と若いんだよな……この人。今回は、S.H.I.L.D.のフューリーの上司ケラーも演じています(正確に言うとケラーに変身したタロス)。
 ◆マリア・ランボー:キャロルの元相棒的女性パイロット。コールサインは「フォトン」。コミック原作的には彼女や彼女の娘には大きな役割があるらしいけど、本作ではとりわけ大きな役割ナシ。ただ、初見の宇宙船(に改造された輸送機)を操縦しちゃうなど、勇気と度胸は一流ですね。演じたのはLashana Lynchさんという全然知らないお方でした。
 ◆グース:基地で飼われていた猫ちゃん。茶トラのカワイイ猫。おそらくは、相当なシーンがフルCGまたはマペットだと思う。まあ、グース、そして戦闘機とくれば当然映画オタとして『TOP GUN』を思い出すわけですが、まさかあのカワイイ猫が……という、この映画一番の驚きと笑いをもたらしてくれたキャラでありましょう。実際コワイっす。つうか、四次元キューブを君は……というおまけ映像(2)は必見でありますね。しかし、猫と暮らしている人なら分かると思うけど、なんで猫って、いきなり、そして結構な頻度で「吐く」んすかね……。うちの猫様も突然吐くからビビるっすわ。しかし、グースちゃんは2019年現在はもう生きていないのでしょうか……『END GAME』にぜひ登場してもらいたいっす!
 とまあ、こんなところかな。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。
 MCU最新作にして『END GAME』に直接関係のある重要作品、『CAPTAIN MARVEL』がやっと日本でも公開されたので、その初日にIMAX3D版を観てきたのだが、一言でいうなら、かなり面白かった。そして詳しく言うと、実にMCUな物語で、確かに本作単独で観ても十分面白いだろうけれど、やっぱり、MCU全作をきちんと押さえている方が、より一層面白いと思います。そして、やっぱりCAPTAIN MARVELのスーツもカッコイイですなあ! わたしとしては、マスク・オンの時のモヒカン姿も最高にカッコいいと思うし、マスク・オフの時、髪がはらりと落ちるのも実に良かった。演じたBrieさんもキッチリ体を鍛えていて、実によくお似合いだったすな。つうかですね、何より強いっすよ。宇宙空間でも単独行動できるし、ほぼ無敵な姿は、アフリカのどっかの王国で、世襲で王座を手に入れた弱っちいアイツとは大違いですな。しかしこれで、『END GAME』を見るための準備はすべて完了したわけで、あと1カ月チョイ、心から楽しみにいたしたいと思います! そして、グースよ、まだ生きていてくれ! 消息が超気になるっす! 以上。

↓ くそう、これ、ちょっとほしいかも……。

 やれやれ。それが今のわたしの感想である。
 何の話かって? さきほど、地元シネコンにて『KONG:SKULL ISLAND』(邦題:キングコング:髑髏島の巨神)を観てきたのだが、その、なんとも言い難い嘆息を「やれやれ」の一言で表現してみた次第である。
 わたしはこの映画を観ながら、随所で実に中国っぽいな、と感じたのだが、どうしてそう思ったのかを考えてみるに、おそらくそれは、随所にみられる演出上の「わざとらしさ」がわたしにそう思わせたのだと思う。なんというか……はい、ここ笑うところですよー、と言わんばかりの妙な間があふれており、また、CGもCGとしてのクオリティは非常に高いのに、使い方がかなり、無茶があるというかありえない映像と言えばいいのかな、ホント、中国製の作品にありがちな映像で、観ているわたしは白けるばかりであった。あの……なんて言えばいいのかな……よくある例としては、弓矢とか弾丸が発射されて、その矢の視線(?)にギューーーンと寄って、ぐおーーーっと対象に向かっていくような、アレのことなんですが。ホント中華映画はアレが好きだよな……。せっかくB級感あふれるトンデモストーリーをハリウッドスター満載&ハリウッドクオリティの高品位CGで描く大作なのに、とにかく演出が悪い。実にチープである。
 しかし、そう思うのはわたしの偏見であろうことは十分承知している。すでにLEGENDARY PICTURESが中国資本に買収され、中華スタジオになった事実が、わたしにそういった偏見を植え付けたのであろうことは否定できないが、恐らく、この映画は、100%間違いなく中国向けの作品で、そのほかの地域での公開はどうでもいいと思っているに違いない、とわたしは感じた。とはいえ、それもまたわたしの偏見に違いなく、実のところ、既に公開中の中国以外の国でもそれなりにヒットしており(中国ではどうやら日本と同じ3/24公開らしい)、US国内でも1億ドル以上の立派な大ヒットだ。ま、こういうアトラクション・ムービーはやはり一定の需要があるんでしょうな。
 あともう一つ。のっけからわたしはヒドイことばかり書いているが、実は1点だけ、ほほう、ついに来るか、と観てよかったかも、と思う点があった。これは、エンドクレジットが全部終わった後の、おまけ映像である。この作品、最後の最後に、日本人的には観ておくべき映像が流れるので、明るくなるまで席を立ってはいけません。詳しくは後程書きます。
 というわけで、以下、ネタバレがかなりあると思います。

 ちょっといろいろポイントがあるので、めんどくさいから箇条書きでまとめてみよう。
 ◆物語について~「MONARCH:モナーク」ってなんぞ?
 本作の物語は、ほぼ上記予告の通りである。謎の島に棲む怪物を調査しに行く人々の顛末を描く、いわゆる立木ボイスがお似合いのB級映画である。この、日本語公式サイトのイラストなんて実に70~80年代風のモンスター映画を思い起こさせるような、非常に良い出来のイラストだ。なんでこんな、ある意味懐かしのビジュアルか。それは物語の舞台がベトナム戦争から米軍が撤退する1973年を舞台としているからだ。本作は冒頭はどうでもいい太平洋戦争時の米兵と日本兵が、撃墜されたゼロ戦とグラマン(ムスタングだっけ?)から問題の「髑髏島」にパラシュート降下で降りたち、二人が決闘まがいの戦いを繰り広げようとしたところで、いきなり「コング」が現れるとことから始まるのだが(=よって、本作はもうのっけからコングが登場する。じわじわ見せるような演出では全くない)、メインの時制は1973年ごろである。そしてその時期は、まさしくNASAによる人工衛星LANDSATが運用され始めたころで、LANDSATが撮影した、「存在が知られていなかった」南太平洋の島があることが発覚し、とある秘密組織の学者がその調査へ乗り出す。その、秘密組織がMONARCHだ。
 MONARCHと聞いてすぐにピンとくる人は、この映画を観に行くような人でどのぐらいいるのか分からないが、それはまさしく、2014年のGareth Edward監督による『GODZILLA』で登場した、あの組織である。ケン・ワタナベ氏演じる芹沢博士がMONARCHの一員だったか、もうさっぱり覚えていないが、要するに本作は、あの『GODZILLA』と世界観を共通としているのである。
 しかしながら、ここが、物語のポイントの一つであるにもかかわらず、実際のところ本作はそんな豆知識は全く必要ない。
 調査隊が髑髏島へ向かう→ついでにベトナムから帰還する前のヘリ部隊も護衛のために同行→そしてまたも上陸してすぐ、いきなりゴング登場、ほぼ壊滅→そして帰還のための迎えに来る部隊と合流するために島の北側へ向かう→途中でいろんなモンスター登場、バタバタ人が死ぬ→ただし主要キャストは助かる→そして実はコングは人間の味方で(理由は一切説明なし)、怪物たちと戦ってくれる→何とか助かる→終了。
 とまあ、こんな流れで、確かに映像的な見ごたえはあるものの、物語としては実に予想通りの展開で驚きは特になし、であった。もう、細かい突っ込みどころはどうでもいいので指摘しません。
 ◆やけに豪華な役者陣について4人だけ挙げておく
 まず、MONARCHの学者リーダーを演じたのが、John Goodman氏。まあ色々な作品に出演している大ベテランと言っていいだろう。最近ではわたしが酷評せざるを得なかった『10 Clover Field Lane』での若干キモい芝居ぶりが印象的ですが、本作でも世間的に変人と思われている学者役で、非常に存在感ある演技でした。なんでも、かつてMassive Unidentified Terrestrial Organism(=巨大未知生物=MUTO=ムート=「GOZILLA」に出てきたアレ)に襲われたことがあるという設定で(※追記:正確に言うと、『GODZILLA』で描かれた通り、ビキニ環礁での水爆実験は、ゴジラ討伐のためだったという設定があって、その時ゴジラに襲われたことがある、という設定なので、『GODZILLA』に出てきたムートにやられたわけでない、と思う。いずれにせよ、このキャラはゴジラを始めMUTOの存在を信じている)、そんな点もちょっとした『GODZILLA』つながりがあった。ちなみに、ラスト前でとある怪物に頭からガブリとやられて見事殉職。ガブリの演出がとにかくチープ。
 次に、ヘリ部隊の大佐として、いつも通りの怪しい男を演じたのがSamuel L Jackson御大。もうこの人映画に出すぎです……。本作でも相変わらずの御大で、若干狂ってる系軍人で、もちろん彼も見事殉職。あれっ、どういう殉職だったか覚えてないな。コングに思いっ切り踏んづけられるんだったかな?
 そしてMONARCHに雇われた、元イギリス陸軍特殊空挺隊(SAS)の傭兵男を演じたのが、宇宙一のだめんずロキ様でお馴染みのTom Hiddleston氏。ま、確かにイケメンですよ。でも、本作では、ほぼ何もしていないキャラで、何のために出てきたのか全く分からない謎キャラであった。いてもいなくても、物語には全く何の影響もなかったと思う。当然生還。
  最後。紅一点のヒロインで、女性カメラマンを演じたのが、去年アカデミー主演女優賞を獲得したBrle Larson嬢27歳。このヒロインも、事実上空気で、物語上の役割は特になし。一応、歴代キングコング映画と同様に、ヒロインとしてコングと気持ちが通じる的な描写はあります。勿論生還。
 なお、正確に言うと、もう一人中国人女子が出て来るので、紅一点ではないのだが、でもその中国女子も、とてもかわいいのだけれど、これまた全くのお飾りキャラなので、物語には一切関与せず。この時代のアメリカと中国の関係を考えると、ちょうどピンポン外交で関係緩和の方向だったけれど、まだ国交もないはずで、やっぱり不自然かも。ゴリ押しキャスティングでしょうな、きっと。
 とまあ、以上のように、役者陣は大変豪華と言っていいだろう。 他には、まったくどうでもいい、冒頭の日本兵を演じたのは、MIYAVI氏という日本のミュージシャンだそうだ。有名らしいけどわたしは知らないので、紹介は割愛。ちなみに、劇中での役名は、イカリ・グンペイというのだが、これは、Evaの碇シンジ君と、ゲームの世界で有名な、元任天堂の故横井軍平さんから取ったのだそうだ。全くどうでもいいネタですな。
  ◆そして結局一番の見どころは?
 冒頭に書いた通り、わたしとしては一番、おおっ!? と盛り上がったのは、エンドクレジット後のおまけ映像である。事件終結後、イケメン傭兵と美人写真家はMONARCHの本部に移送され尋問を受けるシーンがおまけとしてついているのだが、そこで、MONARCHが追う、コング以外の、かつて地球を支配していた「古生生物」がこの世界に存在することが告げられる。そしてその、「巨大未知生物」の壁画が見せられるのだが……それがまさしく「ゴジラ」「モスラ」「キングギドラ」の図なんですな。ここで、おお!と観客に思わせて、やっと映画は本当に終わる仕掛けになっています。まあ、子供だましと言えばそれまでですが、このおまけ映像だけは、日本人向けサービスだと思っていいと思う。一応、次の作品はゴジラVSキングコングらしいですが、まあ、どうなるんでしょうなあ……。
 ◆その他
 最後に、二つだけ記しておこう。監督に関しては良く知らない人で、Jordan Vogt-Roberts氏という方であった。ま、インディペンデント系で注目された人みたいですな。日本語Wikiはまだないみたい。おおっ!? なんてこった! この人の英語Wikiによれば、この監督の次回作は「メタルギア:ソリッド」となっているじゃないか! へえ~。パンフレットによると、日本のアニメ・ゲームが大好きなクソオタク野郎みたいですね。本作は、登場クリーチャーのデザインだったり、キャラの名前などにいろんな映画やアニメのオマージュ(笑)が詰め込まれているのだが、別にどうでもいいかな。わたしは特に何も感じないすね、そんなのには。
 あともう一つ。
 実はわたしがこの映画で一番評価したいのは、邦題である。いつも私は邦題に難癖をつけるクソオタクなのだが、今回の「髑髏島の巨神」というタイトルは実に素晴らしいと思っている。なんとも70年代なセンスで素晴らしいですよ。ちゃんと原題を踏まえているしね。本作はWarnerの配給だが、近年のWarnerはちゃんと日本を考えている姿勢がたいへん好ましいとわたしは常々思っており、FOXのダメマーケティングに比べると雲泥の差であると申し上げて、本稿を終わりにしたい。

 というわけで、どうでもよくなってきたので結論。
 『KONG:SKULL ISLAND』を観てきたのだが、まあ、なんだこりゃ、である。しかしそれは、予想通りのなんだこりゃ、であって、わたしには文句を言う資格はまったくない。だって、分かってて観に行ったんだから。しかしまあ、かなり中華風でしたな。せっかくの豪華キャストも高品位CGも、あまりに中華風味でわたしの口には合いませんでした。しかし……かつて日本が世界で存在感をぐいぐい上げていた時期に、こんなにもハリウッドに対して関与できただろうか? バブル期にはSONYだけじゃなくいろいろな企業がハリウッドに出資したのに、今やSONY以外に何にも残ってない。なんというか、今の中国は恐ろしいですな、その勢いが。とにかく人口が違いすぎるからなあ……。以上。

↓ さすがにこっちは観に行く気になりません。Matt Damon氏出演のトンデモ・チャイナ・ストーリー。


  

 わたしが世界で最も愛する小説家は、ダントツでStephen King氏である。
 このことは、もう何度もこのBlogで書いてきたが、これも何度も書いた通り、実は大ファンとはいっても、King氏の全作品が常に面白い、とは思っていない。たまに、「こ、これは微妙だぞ……」と思うような作品も、ある。例えば、最近で言うと『Lisey's Story(邦題:リーシーの物語)』とか『Duma Key(邦題:悪霊の島)』あたりは、ちょっとイマイチかなあ……と思っているわけで、もはや全然最近ではないけれど、10年前に新潮文庫から発売が予告された「携帯ゾンビ(仮)」についても、発売前はその仮タイトルに大興奮で、「何なんだこのタイトルは……超読みたいぜ!!!」と思っていたけれど、実際発売になり、読んでみたところ、「こ、これはまた微妙だ……」と思ったことをよく覚えている。
 その作品は、発売時は結局、原題通り『CELL(セル)』というタイトルとなってしまったのだが、簡単に話をまとめると、携帯電話(=Cellphone)の謎電波によって人々が正気を失くし、狂暴化して殺し合いを始め、偶然携帯のバッテリーが切れていたために難を逃れた主人公が、自宅に待つ息子のもとへと帰ろうとするサバイバルを描いたものである。その人々の狂気ぶりがさながらゾンビめいているので、「携帯ゾンビ」という仮タイトルで新潮社は発売告知をしたのだと思うが、実際のことろ、ゾンビ、では全くない。一応生きてる。完全に正気を失っているけどね。
 そんな、わたし的には少し思い入れのある『CELL』が、この度映画となった。しかも主人公コンビを演じるのは、わたしが密かにKing原作映画の中でも屈指の名作と思っている『1408』(邦題:1408号室)でもコンビで演じたJohn Cusack氏と、Samuel L Jackson御大だ。わたしとしては、どんなに上映館が少なくとも、これは絶対に観ないといけない作品なのである。というわけで、昨日の午前中はアニメ映画『ソードアート・オンライン』を観て、午後からはこの『CELL』を観てきたわけである。日本広しといっても、この2作品を同じ日に連続で観た人間は、おそらくわたし以外にはいまい。いたら、ぜひ友達になりたいものである。

 というわけで、もう物語については説明しないが、↑この予告を観て感じられるのは、とてつもないB級感である。そして観終った今、結論として言えることは、間違いなくこの映画は、相当なB級映画であったということだ。
 しかし……今更白状するのもお恥ずかしい限りなのだが、実はわたしはこう偉そうに書いているけれど、原作を読んだ事は間違いない、のだが、詳しくはもう全然覚えていない。だってもう10年前に1度読んだだけだもの。大体の筋と、読後感として微妙だったことしか覚えちゃいないのである。ラストはどうなるんだっけ、とか、そんなあいまいな記憶なので、本作が原作にどのくらい忠実か、あそこが違うとかここはそのまんまだとか、そういうチェックは詳しくは出来ない。
 なので、観ながらわたしは、そうそう、こういう話だよ、とか思いながらぼんやり観ていたのだが、わたしが覚えている限りでは、原作小説では、狂える人々のリーダー的存在が現実に登場して、それがKingファンにはお馴染みの悪を体現する存在「ランドル・フラッグ」「黒衣の男」を思い起こさせるようなキャラだったのだが、それが今回は現実の存在なのか幻影なのかよく分からない存在として描かれていた。この点はたぶん明確に違うような気がする。それから、途中で仲間になる少年が、この現象をもう少しわかりやすく説明してくれるようなシーンがあったはずなのだが、その辺はバッサリなくなっていたような気もする。校長先生の死に方も、今回の映画ではこんな死に方だったっけ? と思うようなアホなミスが原因だったけれど、これはもう原作小説でどうだったのか、全然覚えていない。そして、問題のエンディングも、今回の映画では、ぽかーんとしてしまうような終わり方で、正直全然わけのわからんエンディングだったが、ここが原作とどう違うか、まるで思い出せないけれど……確かに覚えがあるように感じた。
 あーダメだ、やっぱり全然覚えていない。もう一回読むしかないかな……誰かに貸しっぱなしで、家にあるのかどうか、発掘してみないと分からんな……。やっぱり原作との違いをチェックするのは無理だ。やめた。
 というわけで、今回の映画についての話だけにしておこう。一応最初に備忘録として書いておくと、今回の映画の脚本は、King氏本人もクレジットに入っていたので、少なくともKing氏自身のチェックが入った正統なもの(?)と言って良いようだ。なので、あまり脚本についてケチをつけたくないのだが、残念ながら脚本もダメだし、撮影、演出も安っぽい。そういう点が全体のB級感を醸成しているのだが、わたしが最も、こりゃあイカンと思ったのは、CGの質感がひどく低品位な点だ。
 まず、脚本の一番まずいと思う点は、この現象についての説明がまるでない点と、主人公のモチベーションがひどく希薄な点だ。一体全体何が起こっているのか、正直観客には最後までわからない。これではどうにも物語に入り込めないわけで、単に、携帯の謎電波で人々が狂いだす、という一発ネタに留まっているのは問題だろうと思う。そして主人公が危険を冒してでも息子に会いたいという動機の部分も、実際全く説得力がない。いや、そりゃあ父親だったら息子に会いたいと思うのは当たり前かもしれないけれど、息子がまだ正常な状態で生きている、と確信を持って行動する説得力はまるでない。息子がこの状況でも絶対に助かってオレを待っている、と確信させる何かが絶対必要だったと思うのだが……。
 それからCGについては、大量のイカれた人々の描写にCGが用いられているのだが、暗がりということもあって、かなりテキトーなCGで、ここはかなり興ざめだ。スタジアムを埋め尽くす人々や、ラストでの電波塔周辺を埋め尽くす人々のCGは、相当安っぽい。そしてそれらのイカれた人々の群れをドッカーーーーン!!! とやらかすエンディングは、もうほんと、わたしはえええーーー!? と笑ってしまった。こりゃあ、まごうことなきクソB級映画ですよ。たぶん、この映画は、King氏の小説を映画化した作品の中では、珍映画として名高い『Dreamcatcher』並のドイヒーな作品として、わたしの心に記憶されるであろう、と思うのである(※なお、原作小説の『Dreamcatcher』は最高に面白い)。
 いやはや……ごちそうさまでした。
  最後にキャストについて備忘録をまとめておこうと思ったが、主人公二人以外はほぼ知らない人ばかりだったので、もうどうでもいいかな……まず、主人公を演じたのは、John Cusack氏。 この人は、なんというかこういうピンチに陥って困る男の役が非常に似合いますな。実に頼りなげな表情がこの人の持ち味なのではないかという気がしますね。今回も、大変なピンチの連続で、ずーっと困った顔でたいへん気の毒でした。そして主人公と行動を共にする、やけに戦闘力の高い地下鉄運転手を演じたのがSamuel L Jackson御大で、演技というかもう素なんじゃね? というようないつもの御大ぶりで、特に書くことはないす。

 というわけで、ホントにもう書くことがないのでテキトーに結論。
 Stephen King氏による小説『CELL』が映画化されたので、さっそく観に行ったわけだが、予告から感じられる通りの相当なB級映画で、おそらくは、この映画だけ観ても全く面白いとは思えないだろうと思う。なので、普通の方には全くお勧めしない。わたしのようなKing氏の小説のファンであっても、まあ、観に行かなくてもいいんじゃないかなあ……ただ、わたしが実に残念だと思うのは、このように珍映画が多くなってしまうと、世間一般のStephen King評に悪影響が出るんじゃないかということで、映画の方が有名になってしまって、肝心の小説まで変な印象がついてしまいやしないか、それだけが心配だ。 頼むからKing作品の映像化に際しては、原作を超えてやるぜ!という気概を見せてほしいと思います。例えば、Frank Darabont監督の『The Mist』は、King氏をもってして、「畜生、このエンディングを執筆時に思いついていれば……!!」と悔しがらせた名作であり、そういうガッツあふれる映像化を期待します。以上。

↓ ほとんど覚えてませんが、小説の方が面白いと思います。たぶん……。
セル〈上〉 (新潮文庫)
スティーヴン キング
新潮社
2007-11-28

 「ターザン」と聞いたら、普通はやはり、ジャングルの王者的なイメージを思い浮かべるものだろうか? あるいは雑誌のタイトルを思い出す人もいるだろうし、懐かしのジャンプ漫画「ターちゃん」を思い浮かべる人もいるだろう。いずれにしても、すでにおなじみのキャラクターであろうと思う。
 だがわたしの場合、「ターザン」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、19世紀イギリス貴族だ。なぜならわたしにとっての「ターザン」 は、この映画以外にないからである。 
  この映画『GREYRSTOKE:The Legend of TARZAN, Load of Apes』は、わたしが中学生の時に見た作品で、いまだにVHSとレーザーディスクで持っている大好きな映画である(※もちろん両方とももはや再生機器をもってない)。監督は、『Chariots of Fire』(邦題:炎のランナー)でアカデミー賞を受賞したHugh Hudson氏で、古き良きイギリスを描かせたら最強の映像作家である。もうこのところ全然作品は撮っておらず、現在79歳だそうなので、もう引退しているのかもしれないが、とにかく美しい映像がこの監督の目印であろう。この映画は、それまで、ハリウッド的なアクション・アドベンチャーとしておなじみだったターザンの物語を、その出生から丁寧に描いたもので、非常に泣けるわたしの生涯ベストに入れてもいいぐらい好きな作品である。Blu-yrayが出てるなら買ってもいいな、と思って探したけど、どうやら発売されてないっぽいです。残念。ただ、配信では観られるみたいすね。
  というわけで、わたしが今日見てきた映画は、『The Legend of TARZAN』(邦題:ターザン:REBORN)である。わたしはてっきり、ハリウッド的アクション・アドベンチャーかと思っていたが、非常にうまく、わたし好きな『GREYSTOKE』的な19世紀の雰囲気も取り入れた作品で、大変面白かったのである。映像もいいし役者も抜群で、これはちょっとおススメのような気がします。

 というわけで、まず、「ターザン」について、おそらくは一般的でない、基礎知識をまとめてみよう。
 元々は、Edger Rice Burroughsというアメリカ人の書いた小説が原作である。舞台は19世紀後半(この映画は1881年と冒頭に出ていた)で、イギリスのグレイストーク卿という貴族の夫婦がイギリス領西アフリカへ赴任する際、船員の叛乱にあってアフリカ西海岸に置き去りにされて、そこで生まれた子が、後のターザンなわけだが、彼は、両親をゴリラに殺され、自らも危うく殺されそうになるが、子を亡くしたばかりのメスのゴリラに養育されて育つわけです。
 で、わたしの大好きな映画『GRYEYSTOKE』においては、青年となったターザンと、アフリカにやってきたイギリス人のおっさんが出会い、その両親の住んでいた朽ちた小屋からいろいろ証拠を見つけて、なんてこった、あんたはグレイストーク卿の坊ちゃんなのか!? というわけで、イギリスに連れて帰ると。で、大英博物館(だったっけ?)に展示される剥製用として生け捕りにされて運ばれてきたゴリラが、あろうことかターザンの育ての母であるメスのゴリラで、それを救おうと苦悩し、最後は、やっぱりオレ、アフリカに帰りますわ、と、イギリスで出会った愛するジェーンと別れて森に消える、みたいな展開でした。いや、もう20年以上見返してないから細部は怪しいです。なお、わたしは『GREYSTOKE』が公開された30数年前、ちゃんと原作小説を早川文庫で読んだのだが、その怪しい記憶によれば、原作的には、ターザンとアメリカ人のジェーンが出会うのはアフリカだったと思う。
 いずれにせよ、ターザンとは、本名ジョン・クレイトンといい、イギリス貴族の末裔であり、イギリスへ戻って貴族として暮らすわけで、ジャングル暮らしの未開人では全然なくて、物静かで、たくましく、しかもイケメンで頭もいい、というスーパーカッコいい男なわけです。それだけ覚えておいてくれれば、今日公開になった『The Legend of TARZAN』この映画は十分楽しめます。

 というわけで、わたしはこの映画は、ターザン誕生から描くものなのかな、と勝手に想像して劇場へ向かったわけだが、全然違うもので、すでに、グレイストーク卿ジョン・クレイトンとして、イギリスで貴族として生活しているところから物語は始まった。なので、上に書いた基礎知識がない人は、「?」と思うかもしれない。で。物静かに暮らす彼のもとに、ある日、女王陛下からの使者がやってきて、とある目的のためにもう一度、ベルギー領コンゴへ行ってほしいという依頼をうけて、再び、「懐かしの故郷」たるアフリカへ戻るというのがこの物語の大筋である。
 この背景にあるのは、植民地経営に行き詰ったベルギー王国(これは史実通りなのかわからない)の陰謀であり、要するにグレイストーク卿のアフリカ帰郷は仕組まれた罠だったわけで、まんまと愛するジェーンを攫われ、その奪還がメインストーリーとなる。この、攫われた愛する女を奪還しようとする「野生の白人像」となると、わたしはこの映画を思い出しながら見ていた。
ラスト・オブ・モヒカン ディレクターズカット(初回限定生産) [Blu-ray]
ダニエル・デイ=ルイス
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-12-16

 この『The Last of the Mohicans』という映画も、元々は19世紀初頭のアメリカ文学上の名作小説「モヒカン族の最後」を映画化したもので、やはりとても美しく、非常に心に残っている映画だ。原作小説も大変面白いのだが、映画では、ヒロインが敵の部族に捕らわれ、主人公が拘束される前で連れ去られてしまうシーンで、主人公が絶叫しながら「宣言」するセリフが最高にカッコよくて、わたしは今でもよく覚えている。
 You stay alive, no matter what occurs!!  I will find you. No matter how long it takes, no matter how far, I will find you.
 どんなことがあろうと、絶対に生きろ!! オレが必ずお前を見つける。どんなに時間がかかろうと、どんなに遠くであろうと、絶対に、お前を見つける。
 かーー、ホントにカッコいいセリフですな! 生きてさえいれば、絶対にオレが助けに行く。だからどんなに絶望的でも死ぬな。これは最高の愛の告白だと思いませんか。え、思わない? あ、そうっすか。おかしいな……。まあ、というわけで、本作では、グレイストーク卿が同行のアメリカ人博士(?)と、かつての仲間たち(現地民族の人々や動物たち)とともに、ジェーンを拉致した悪党どもを追い詰めるお話で、実にカッコ良かった。

 なにしろ、役者陣が非常に良い。
 まずは、主人公ターザンこと、グレイストーク卿ジョン・クレイトン役を演じたのが、スウェーデン出身のイケメン野郎Alexander Skarsgard氏39歳である。最近、いわゆる北欧出身の役者のハリウッド進出が目立ちますね。彼はこれまで、結構多くのハリウッド作品に出ていて、一番有名なのは、どうかなあ、『Battleship』かなあ? あの映画では、主人公の、冷静かつ真面目な兄をカッコよく演じてましたね。でも、わたしがこの役者で一番覚えているのは、WOWOWで見たTVシリーズの『Generation Kill』だ。この作品は、アメリカのケーブルテレビ局HBO制作のTVドラマなのだが、イラクに派遣された「今どき」の若い兵士たちの姿を追った作品で、実はあまり戦闘シーンがなく、兵士の日常を追ったちょっと面白い作品なのだが、この中で、小隊のリーダー、通称「アイスマン」と呼ばれる男を演じたのが、まさしくAlexander Skarsgard氏です。とても背が高く、クールなまなざしで、今回のターザンにも非常に通じる物静かな男で、とても印象的でした。まあ、イケメンですな。
 そして、愛するジェーンも大変魅力的だった。今回のジェーンは、アフリカ暮らしをしていてターザンと知り合ったという原作設定を踏襲しているので、アフリカに到着しても生き生きとしてアクティブで、大変かわいかったと思う。演じたのは、Margot Robbie嬢26歳。実はわたしは彼女のことをほとんど観たことがなくて、『The Wolf of Wall Street』ぐらいしか観ていない。けど、この人は、9/10日本公開の『Suicide Squad』で、かのハーレー・クインを演じることで、人気は爆発的に高まることでしょうな。Sexy & Cuteで狂っているキャラを見事に演じているようですね。わたしは昨日も書いたけれど、『Suicide Squad』には全く期待していませんが、ハーレー・クインだけはイイ!! と思うので、観に行って存分にその魅力にやられて来ようと思っています。
 次。グレイストーク卿と行動を共にするアメリカ人を演じたのが、Samuel L. Jackson御大。御大はいつもの御大でした。が、この人はなんかいつも髪型が違うので、いつもの御大なんだけど、妙に別人に見えますね。ホント不思議なおっさんですよ。わたしはこの人が好きなんだか嫌いなんだかよくわからんです。このBlogの『The Hateful Eight』の記事でも書いた通り、ほんとこの人、ミクラスにそっくりですな。知らない人は、リンク先をクリックしてください。で、非常にいやーーな悪党のベルギー人(?)を演じたのがChristoph Waltz氏。彼については……ええと、あまり書くことがないです。
 最後。ターザンに恨みを持つ現地部族の長を演じたのがDjimon Hounsou氏。この人は相当いろいろなところで見かける方ですな。ただ、本作をわたしはかなり誉めているものの、実は一つ、いや実際2つか、ちょっとこれは……と思う所もある。その一つが、彼を筆頭に、現地民族の人々が、到底19世紀アフリカの現地民族には見えないのだ。すげえみんなマッチョだし、歯もきれいだし。確実に文明化された現代人にしか見えない。まあ、英語をしゃべれるのは、英語教育を受けた設定になっているので、そこは5万歩譲ってアリ、だとしても、あの体つきと、とにかくきれいな歯並びはちょっとなあ、と思ってしまった。
 で、もう一つ、わたしがちょっと微妙だと思ったのは、多くの動物たちのCGである。なんというか……本物感は、当然のハリウッド・クオリティなので抜群なのだけれど、どうも……姿かたちが本物っぽくないというか……頭身がちょっと変なのかな? 頭がでかいというか……とにかくよくわからないけれど若干違和感を感じたことは記録に残しておきたい。
 はーー。もうずいぶん長くなってしまった。最後に監督に触れて終わりにしよう。
 本作の監督は、『Harry Potter』シリーズの後ろの4本「不死鳥の騎士団」「謎のプリンス」「死の秘宝1&2」を撮ったDavid Yates氏である。今年の暮れに公開の『Fantastic Beasts and Where to Find Them』 も彼が監督してるはずなので、まあ、よく本作を撮る時間があったなとちょっと驚きだ。本作では、得意のモーションカメラを多用した、ターザンがジャングルを飛び交う流れるような画作りは健在で、らしさ、は十分感じられる。まあ、CGの問題と、ジャングルが明らかにスタジオ撮影っぽくて、そのあたりは、時間と予算の問題なんじゃなかろうか。そういや、もうすぐ公開となる『Jungle Book』はすべて子役の少年以外、背景も動物も全てCGらしいので、その出来栄えも非常に興味がありますな。そちらも楽しみです。

 というわけで、結論。
 『The Legend of TARZAN』(邦題:ターザン:REBORN)を楽しむには、ちょっとした事前知識が必要なのではないかと思うけれど、愛する女性のために命を懸けるカッコいいイケメンを見たい人には大変おススメです。わたしはたまたま、『GREYSTOKE』という映画が大好きだったので、たいへん楽しめました。以上。

↓ 原作は大変面白い文学小説です。電子では「火星シリーズ」しか売ってないんだよな……こちらも久しぶりに読みたいのだが……。
類猿人ターザン (ハヤカワ文庫 SF ハ 10-1 TARZAN BOOKS)
エドガー・ライス・バロウズ
早川書房
1971-08

 

 昨日は第88回アカデミー賞授賞式が執り行われたわけだが、今日は3月1日という事で日本ではいわゆる「ファースト・デー」として、映画が1,100円で観られるお得な日である。わたしも、そりゃあ安く観られるに越したことはないわけで、さて今日はなんか観て帰るかと昼頃仕事をサボってTOHOシネマズのWebサイトをチェックしていたところ、ちょっと時間が合うか微妙だし、上映時間も168分と長いので、どうしようかしら……と30秒ほど悩んで、まあやっぱりコイツにしようと決めた。
 というわけで、今日わたしが観てきた映画は、『The Hateful Eight』である。

 監督は映画好きにはお馴染みの、Quentin Tarantino氏である。何気にまだ監督作品が今回で8本目(※KILL BILLは1本でカウント)と、多いか少ないかで言えば、まあ少ないと言っていいと思うが、日本大好きの映画オタク野郎がそのままおっさんになった感じの愉快なメリケン人映画監督である。ただし、その作風はかなり独特であり、基本血まみれ、そして若干複雑な、過去と現在が入れ子構造になったような物語や群像劇が得意技(?)で、キャラクターが延々無駄話をしゃべり倒す特徴がある(全作ではないけど)。なので、映画オタクでも、大ファンを公言する人もいれば、ちょっとね……と敬遠する方もいるだろう。ま、それはどんな監督でも同じか。わたしが言いたいのは、一部熱狂的ファンを抱えている監督だという事なのだが、実のところ、わたしは作品によってかなり評価はバラバラである。
 まだ8作品しか監督していないので、ちょっと一覧にしてみよう。
 1992年『Reservoir Dogs』:劇場で観たとき、こりゃあ凄い才能だぞ、と興奮した。面白い。
 1994年『Pulp Fiction』:この映画はコメディーでいいんだよね? 笑えるという方向で面白い。
 1997年『Jackie Brown』:わたし的には、うーん……。飽きてきた。
 2003年『KILL BILL Vol.1』:かなり飽きてきた。なんというか、笑えなくなってきた。
 2004年『KILL BILL Vol.2』:惰性で観に行った。完全に飽きた。
 2007年『Death Proof』:とうとう劇場に行かなくなった。WOWOWで鑑賞。うーん……。
 2009年『Inglourious Basterds』:劇場に観に行かなかったことを後悔。超イイ。面白い!!
 2012年『Django Unchained』:期待していたほど、ではなかったけど十分以上に面白い。
 というように、最初の『Resevoir Dogs』の衝撃は凄かったけれど、段々評価が下がって、『Inglourious Basterds』でわたし的評価は復活した感じである。なので、今回の『The Hateful Eight』は果たしてどんな塩梅でしょうか、と若干期待は抑えめに、恐る恐る観に行った次第である。
 物語は、吹雪の山中に出会った8人の男女の密室サスペンス、というようなプロモーションだったので、わたしは、ははあ、これはきっと白戸三平先生の名作『カムイ外伝』の「暗鬼」に似た話かな、と勝手に推測していた。
 どうせ誰も知らないだろうし、読もうとも思わないだろうからネタバレで書きますが、その『カムイ外伝』の「暗鬼」とは、こういうお話です。
 抜け忍カムイは、刺客に追われる終わりのない逃避行を続けている。ある時、大雨で増水した川を渡れず、とある小屋で数人の旅人(子供・女性・お百姓さん・武士)と水位が落ち着くまで過ごすことになるのだが、カムイは、誰かが自分を狙っている刺客だと思い、誰一人信じずにいる。そして旅人たちは事故や病気で一人また一人と死んでしまうのだが、実は結局刺客などはおらず、むしろ親切で善良な人々だった。最後にずっと無害だと思っていた犬が、実は忍犬で襲ってきて、その犬を倒した後、カムイは自らの敵は、自分自身の心に巣食う暗鬼だったのだ、ということに気付く。ラスト、「その気になれば、あの中の何人かは救えたものを、おいらは……」というカムイの哀しい独白で終わる。わたしとしてはアニメ版も素晴らしくて超名作だと思っているが、今回の『The Hateful Eight』は、結論としては、ほんのちょっとだけ、似ている物語であった。
 ただし、趣は全く違う。明確に悪党がいて、仕組まれた罠であるので、カムイ外伝とは別物というべきかもしれない。が、正直、そのネタばらしが回想として描かれて以降は、はっきり言ってキレが悪く、なんというか残尿感があるというか、なんともだらだら感があって、どうもスッキリ感が薄れてしまったのが実に残念だ。
 ズバリ、長すぎる。50分ぐらい削って、110分程にまとめて、緩急をきっちりつければ良かったのにね、というのがわたしの感想である。今回も、Tarantino監督らしい無駄話シーンがあって、残念ながらわたしはもう飽きた。やはり、どうしてもテンションが続かないというか、キレがないというか、とにかくキレが悪い。また、今回もかなりの血まみれ映画になるので、苦手な人は心して観に行っていただきたい。
 さて。俳優陣は豪華である。いっぱいいるので、今回は4人に絞って書こう。
 まずは、わたしのあまり好きではないSamuel L. Jackson御大。パンフレットによると、今回、70mmフィルムを使った理由の一つとして、クローズアップを効果的に使うため、とTarantino監督は語っているが、「特に、Samuel L. Jacksonの目をドラマチックに切り取ったよ」とのことである。実際、御大の眼力は今回非常に印象的である。わたしは、なんかに似てるんだよなーと思いながら見ていたが、すぐに、あれだ!! と思い至った。あれですよ、ウルトラセブンの忠実な僕(?)、カプセル怪獣の「ミクラス」ですよ。↓これね。
mikurasu
 どうですか、Samuel御大に似ていないですか? 御大はまあTarantino作品の常連と言っていいと思うが、今回も存在感バリバリの堂々とした演技でありました。とにかく、今回の注目点は御大の眼力ですね。
 次。一人、わたし的に、ああ久し振りにこの人を観たな、と思ったのがMichael Madsen氏である。この人は、わたしにとっては『Resevoir Dogs』のMr.ブロンドでお馴染みですね。あの、警官を拷問するおっかない人です。その後もTarantino作品にはちらほら出ているけど、なんとなく久しぶりに観たような気がします。だいぶ歳を取りましたなあ……。
 それから、John Carpenter作品で80年代に大活躍したKurt Russel氏も、やっぱり久しぶりにスクリーンで観たような気がする。吹雪の中、離れた便所にロープを張って移動する姿は『The Thing(邦題:遊星からの物体X)』の南極基地を思い出させますね。すっかり恰幅良く、でっぷりしてしまったけれど、80年代の彼は本当にカッコ良かった。今回の貫禄ある賞金稼ぎの役は、作中では実は一番いい人なんじゃないかという気がしたけど、ネタバレかな、これは。ま、いいや。
 最後は女優です。この映画には、これまた、しつこいけど久しぶりに観る女優が出演していた。その名もJennifer Jason Leighさん54歳。彼女と言えば、わたしにとってはもう、80年代に当時の映画少年がもれなく興奮した映画『The First Times at Ridgemont High(邦題:初体験リッジモントハイ)』でのヒロインを演じたことでお馴染みで、その後演技派として90年代も様々映画に出て活躍されていたが、今回の演技でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、きっちりとその存在感を示してくれました。受賞はできなかったけど、素晴らしい演技だったと思う。
 あと一人、実は一番の悪党を演じた男がいるのだが、どうも彼のことはネタバレになるようなので、触れないでおきます。パンフレットでも、ほぼカレについて触れられていない。わたしは冒頭のクレジットでその役者(←知りたい人はクリックして)の名前があったのに、全然出て来ないので、んん? と思いながら観ていたのだが、突然の登場でちょっと驚いた。伏線がまったくなく(ジェリービーンズ以外にあったかな?)、わたしとしてはかなり唐突だったと思う。なので、その点も非常にもったいないというか、もうチョイ、何らかのヒントがあった方が面白かったのにね、というのが今回の結論です。誰のことをわたしが言っているのか、たぶん観れば一発で分かると思います。

 というわけで、結論。
 ええと、どうなんだろう、この映画、万人受けはきっとしないと思う、けれど、Tarantinoファンなら必見なのだろうか? わたしは……まあ、観て損はないし、せっかく70mmフィルムで撮影された映像は劇場でないと堪能できないと思うが……うーん、評価が難しい。まあ、気になる方は、ぜひ劇場でTarantinoワールドを堪能してください。わたしならこの映画、110分にまとめると思います。と、いつもの言うだけ詐欺で終わりにしておこう。あと、さすがに本作でオスカーを受賞したEnnio Morricone氏による音楽は、非常に素晴らしかったです。懐かしい感じの、40代以上の映画ファンなら絶対にグッとくる音楽でした。以上。

↓ ヤバイ。超読みたくなってきた。在庫なしか……うーーー読みたい!! 親父の愛読書だったなあ。

 今日は日曜だというのにそれなりに忙しく、朝から打ち合わせがあってやれやれと夕方に帰ってきた。ので、ネタがなくて困ったので、WOWOWで録りためた映画からなんか観るか、という気になった。
 で。実のところ、HDDにはまだ観てない映画がごっそりあるのだが、そんな中で、例によって全く録画した覚えがないというか、何故録画しようとしたか記憶にない映画、『ダウト・ゲーム』 を選んで観てみた。始まってすぐタイトルが出て知ったのだが、原題は『Reasonable Doubt』というらしい。一体どんな映画だ? と、自分で録画しておきながら分かっていないわたしもホントに適当な男だが、とりあえずは観てみた。

 主人公はとある有能な若手検事。ひとつの事件をいつも通り見事に有罪を勝ち取って、検事仲間としこたま飲んで、帰り道、タクシーで帰るつもりが、チンピラどもが愛車をいじっているのを見かけ、酔っ払っているけど仕方なく自分で運転して帰ることに。その判断がすべての事件を引き起こすことになってしまう。酔っ払い運転でパクられたらキャリアがパーなので、慎重に運転する主人公だったが、後ろにぴったりくっついていたパトカーを気にしていた彼は、角を曲がってみたらパトカーがついてこなくて、やれやれ、気にしすぎたぜ、と前を向いた瞬間に人を轢いてしまう。やっべえ!! やっちまった!! とあわてて救護しながら救急車を呼んだものの、いろいろなことが怖くなって、主人公はその場をばっくれてしまう。翌日、心配でならない主人公は、その後どうなったか調べてみると、なんと全く別の男が、主人公が轢いてしまった男を車で搬送中に職質にあい、その別人がひき逃げ犯として逮捕されていて、おまけに轢かれた男も死んでしまったことが判明する。良心の呵責に悩まされながらも、どうしても自主できない主人公。しかし裁判の結果、起訴された別人は無実になり、一応、濡れ衣は晴れる。しかし、その男には、実に怪しい別の疑いがあって、どうにも釈然としない主人公は独自に捜査を始め、驚くべき事実に突き当たるのだが――てなお話である。
 この映画は、上映時間が80分弱と非常に短いので観てみたのだが、まあ、結論からすると、うーん、そうっすか、という感じで、正直イマイチであった。調べてみると、MetacriticRottenTomatoesといったUS格付けサイトでの評価はめっぽう低い。まあ、観終わった今となっては、さもありなん、ではあるが、なんでまたわたしはこの映画を録画しようと思ったか、については、冒頭の5分ぐらいで分かった。単純に、役者がちょっといいのだ。
 主人公を演じたのは、『CAPTAIN AMERICA』の1作目で、若き日のハワード・スターク(=IROMANことトニー・スタークの父親)を演じた、Dominic Cooper氏。まあなかなかのイケメン野郎で、わたしの愛するAmanda Seyfiedちゃんの元カレである。まったくもってけしからん野郎だが、まずまずの好演をする男で、結構いろいろな映画に出ているのでそれなりにお馴染みであろう。今回も、脚本的にはちょっとイマイチだが、芝居としては悪くなかった。
 そして一度逮捕されて容疑が晴れるとんでもなく怪しいおっさんを演じているのが、マスター・メイス・ウィンドゥでおなじみのSamuel L. Jackson御大である。この人はいつも、なんというかノリ? というか、独特のテンションで演じていることが多く、変に大物感を出していて、実はわたしはあまり好きな役者ではないのだが、芸達者であることは間違いない。千葉真一氏の熱狂的なファンらしいので、本人は面白いおじさんかもしれないっすな。しかし……なんかなあ、いつもこの人が出てくると、どうも話が妙な方向に行くことが多いような気がするのだが、気のせいでしょうか。今回も、この人の登場から話が妙な展開を見せますよ。完全に、ダウト!! と言いたくなりました。それに、本作は2014年の作品なのだが、WikiによればこのSamuelおじさんは2014年に6本の映画に出ているそうです。もう……あんた出すぎです!!

 というわけで、短いですが結論。
 『Reasonable Doubt』、邦題『ダウト・ゲーム』は、物語としてはきちんとまとまってはいるものの、ちょっと、小さくまとまりすぎて、あまり心に残るものはなかったです。以上。

↓ 実は本作を観る前に、コイツを観始めたのだが、あまりにチープすぎてどうしようもなくて、15分で止めた。CGの質感がくっそヒドイw 今度最後まで観てみますわ。
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