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【追記:アカデミー作品賞・監督賞を受賞してこの記事のPVが上がってるので、最初に書いておきますが、ネタバレも含んでいるので、まだ観ていない方は読まない方がいいと思います。何も知らないで観に行った方がいいと思うな……】
【追記その2:わたしの敬愛するとある上場企業のTOPのお方から、お前の見方は薄すぎる!と長文のメールをいただき、その解説が超・腑に落ちたため、色々追記しました。その結果、かなり読みにくくなってます】

 日本時間では明日の3月5日の月曜日、第90回アカデミー賞が発表される。
 その数々のノミネート作品の中で、ひときわ注目され、受賞の下馬評も高い作品、それが、わたしが昨日観てきた映画『THE SHAPE OF WATER』である。
 監督は、日本が大好きなデブオタ野郎(ホメ言葉)でお馴染みのGuillermo del Toro氏。メキシコ人の気のいいおっさんである。わたしは正直、del Toro氏の作品はあまり好みではないのだが、その作風は非常に特徴的な、華美な雰囲気の中に怪物的キャラの登場する独特なもので、ファンも多い監督であるのは間違いない。そんな彼が今回挑んだのは、「アマゾンの半魚人」である。具体的な年の表記なかったと思うが、どうやら冷戦期、米ソ宇宙開発競争が盛んだった50年代後半~60年代あたりのアメリカを舞台に、アマゾンから捕獲されてきた半魚人と、声帯に損傷があってしゃべることのができない女性との恋模様を描いた、ラブロマンスだ。
 こういう、いわゆるFreak(=奇形・変種=転じて「化け物」)と心優しい女性との恋といえば、80年代から90年代にかけてのTim Burton監督作品を思い出すが、del Toro氏はその遺伝子を受け継いだ正統な後継者だとわたしは常々思っているので、これは面白そうだ、と思っていた。そしてその予告の醸し出す雰囲気は極めて上質で、コイツは相当キてんな、と大いに期待し、劇場へ向かったのである。
 そして観終わった今、確かに、確かに面白かったと思う。とりわけ、役者陣の芝居ぶりは極めて上等で、非常にクオリティは高い。ただ、うーーむ……超絶賛したい気持ちにはあと1歩、わたしには届かなかったような……。その原因として、わたしが思い当たるのはただ一つ、ロマンスにおいて重要だとわたしが考えているポイントが、あまりきちんと描かれていないように思えたためだ。それは、「恋に落ちる過程」であり、ズバリ言うと、「人が恋に落ちた瞬間」が、あまりはっきりしていないためではないか、と思う。この瞬間に、人は一番グッと来るのではないかと思うのだが……。なので、わたし的には、アカデミー賞候補作としては本作よりも1カ月前に観た『THREE BILLBOARDS』の方が面白かったと思う。【※2018/03/05速報&追記:アカデミー作品賞&監督賞は本作『THE SHAPE OF WATER』が受賞! 良かったね、すごいぞ del Toro監督! ぐぬぬ……!『THREE BILLBOARDS』は主演女優賞と助演男優賞にとどまりました。脚本賞も行けると思ったのになあ!】

 というわけで、物語はほぼこの予告から連想されるとおりに進行する。
 なので、ええっ!? という予想外の展開は、ほぼない。いや、一つだけあったな。それは、全く物語には関係ないけれど、ヒロインがかなり冒頭から、素っ裸のヌードシーンがあることにはちょっと驚いた。このヌードシーンがあるためだかどうか、知らないけれど、本作は日本公開に当たってはR15+のレーティングで公開されている。なんでも、US公開Verに1か所だけボカシを入れているのだそうだ。そんなことはおっさんのわたしには何の関係もないが、とにかく、女性ヌードとSEXシーン、そして、意外と血まみれシーン(とはいえ、わたしからすれば全く大したことがない)があることで、R15+のレーティングがなされる現代社会は、実にお優しい世の中ですのう、と皮肉の一つも言いたくなってしまう。アホくさい話だけど。
 【追:アホはわたしでした! いわゆる恋愛をSEX抜きで描けるはずもなく、この映画はそこまできっちり描いているわけで、そんな点も、お子様お断りはふさわしかったんだ! ということに気が付きました。そんなこともわからなかったお子様でアホな自分に恥死しそうです……】

 で。物語についてはあまり書くことがないので、各キャラクターごとに、役者を紹介しつつ、思ったことを書き連ねてみよう。ホント、役者陣の熱演は大変素晴らしく、極めて上質であったのは声を大にして申し上げておきたい。
 ◆イライザ:主人公の女性。孤児。川辺に捨てられていたらしい。そして幼児期に虐待?を受けた後遺症で声帯に損傷があり、発話できない(※この傷はラストでポイントとなるので、実は傷ではなかったのかも……?)。なので、耳はちゃんと聞こえる。そんな彼女は音楽が大好きで、何気にタップを踊ったり、ハンディがあってもけなげに生きる女性。宇宙開発研究所の夜間清掃員として、夜中に働いている(=そのため昼間寝ているからだと思うが、寝るときはアイマスクをしている)。住んでいるのは、映画館の上階にある部屋で、絵描きのジャイルズの部屋の隣で生活している。わたしがどうしてもよくわからなかったのは、イライザとジャイルズの関係性で、この二人は……別に恋愛関係にあるわけではなく(?)、かといって疑似親子でもなく(?)、よくわからなかった。どういう関係だったんすか、この二人?
【追:おれのアホ! ジャイルズに関する、とあるシーンのことを全く忘れてました。恥ずかしい……詳しくはジャイルズの項目へ】
 また、イライザの、起きてからのルーティンにも、どういう意味があるのか、実はわたしはよくわからなかった。起きる→風呂に入る→一人Hする(だよな、アレは?)→卵をゆでる→ジャイルズへの食事と自分のお弁当を作る→出勤、というルーティンを毎日こなしているようだが……一人Hはどうでもいいとして、とりわけ、意味深に画面に描かれる「ゆで卵作り」には、どういう意味があったのか……まあ、そのゆで卵が、半魚人とのふれあいのきっかけにもなるので、重要だとは思うものの、何らかのメタファーなのか、残念ながら浅学のわたしにはわからなかったす。
【追:ここは、イライザが、ハンディがあって、しょんぼりな毎日を送っていても、ちゃんと普通に性欲のある普通の女性と何ら変わらん、という意味もあったのでは? それに、卵はメタファーではなく、いわゆるマクガフィンだろ、とご指摘いただきました。その見方にはもう、まったく異議ナシです。浅学すぎてホント嫌になるっす……自分に】
 演じたのは、Sally Hawkinsさん41歳。とりわけ超美人でもないし、本作の中では超地味っ娘。でも、その地味さがイイ! 時折見せる笑顔は大変可愛らしく、時につい踊ってしまう様子も大変イイ。演技としては極めて情感あふれるすばらしいものでありました。明日、アカデミー賞が獲れるかどうかわからないけれど、素晴らしい演技だったのは間違いないす。
 ただ、虐待を受ける半魚人に心痛め、やさしく接し、好きな音楽を通じて心触れ合わせてゆくのは十分理解できるし、じわじわとくるものがあるのは確かだなのだが……やっぱりわたしとしては、イライザが半魚人に恋に落ちる決定的なシーンと、その時のイライザの乙女な表情が観たかった! やっぱり、自分もハンディを抱え、差別されてきたわけで、それを半魚人に重ねていたってことなんすかね? お互いしゃべれない、けど、ちゃんと意思疎通はできるんだということで、わたしをちゃんと一人の人間として接してくれる初めての相手、ってことなのかなあ……。でも、ずっと一緒に暮らしていたジャイルズだっていたし、親友?のお掃除仲間のゼルダだっていたのにね……それでもやっぱり壁があったんすかねえ……。この辺の機微が、鈍感でモテない男としてはよくわからなかったす。残念す。自分が。【追:ホントに、つくづく自分が残念す……】

 ◆ジャイルズ:イライザの隣に住む画家。どうやら元々広告代理店勤務のイラストレーターだったようだが、何らかの事情で会社を解雇されている。現在フリーランスとして仕事をしながら、古巣の会社に戻れることを願っている。ひどい言葉で言うと、イライザ同様社会的弱者というか、負け組な人。おそらくは、イライザを愛してると思うのだが……イライザは全くその気ナシ、のように見えた。ここぞというプレゼンにはズラ着用。いい人。後半大活躍。演じたのは大ベテランRichard Jenkins氏70歳。大変渋く、若干モテない冴えないおじいちゃんを好演されてました。アカデミー助演男優賞ノミネートも納得の演技であったと思う。
【追:<↑ 全く話にならない感想で全部消したい……! ジャイルズは、マズいパイを売るあの店の男に恋してたわけで、イライザにとっては、ジャイルズは恋愛対象外の男=SEXの対象にはなり得ない、女子扱いだったと言えるのかもしれないすね。わたし、ジャイルズが男の手を触って拒否されるシーンで、え、そういうこと? とは思ったのに、この記事を書く時には完璧忘れてました……アホすぎる! ジャイルズがひどく拒否されるシーンは、時代背景としても、さもありなんだったのに……】

 ◆ゼルダ:イライザの同僚でお掃除仲間のおばちゃん。旦那が若干アホ。いつもイライザのことを気にかけてくれるいい人。演じたのは、『The Help』でアカデミー助演女優賞を受賞して以来、活躍著しいOctavia Spencerさん47歳。まあ、いつもこの方は、毒舌だけど超イイ人、な役が多いような気がするけれど、今回もまさにそんなお役でした。ジャイルズ同様、イライザの手話を理解できる心の友。彼女も、アカデミー助演女優賞にノミネートされてます。
【追:ご意見をくれたお方曰く、半魚人と肉体的に結ばれたイライザに、あんた、やったのね、と気が付くゼルダが超良かった、とのことでした】

 ◆ストリックランド:半魚人の警備責任者。(元?)軍人。軍からは、半魚人の生態が宇宙技術に活用できるのではと期待されていて、もうさっさと解剖しちゃえよ、と言われていることもあって、半魚人を殺して解剖したいと思っている。そういう意味では、冷血漢であっても単に職務に忠実だっただけとも思えるが、中盤で半魚人に小指と薬指を食いちぎられ、半魚人に対して怒りと恨みを抱えている。しかし、単に警備担当なのに、やけに権力者だったのはどういうことなんだろう? ちなみに、若干変態で、美人でグラマーなエロい奥さんはいるし、子供もいる幸せ家族のはずが、何か欲求不満的なものを抱えており、征服欲旺盛な彼としては、しゃべれない弱者のイライザを欲望の目で見つめ、なんとかモノにしたいと妄想している。顔が怖いので、その変態ぶりもより一層怖い。もっと、単純なる悪党としてシンプルに描いても良かったのでは……。演じたのは、わたしにとってはSUPERMANの敵ゾット将軍でお馴染みのMichael Shannon氏43歳。えっ!? 43歳? うっそお? 53歳の間違いでは!? そうか……おれより全然年下じゃんか……そうだったのね……。まあ、とにかくおっかない顔をしていて、なんか日本で言うところの遠藤憲一さん的な感じすね。遠憲さんは笑顔が何気に可愛い方ですが、本作でのShannon氏は一切笑顔はありません。とにかくずっとイラつている気の毒なおっさんでした。
 ◆半魚人:今回、半魚人は、CGでの補正は当然あるのだろうけれど、おそらくは、基本的に着ぐるみ&特殊メイクだったように思う。違うかな? 演じたのは、del Toro監督作品では常連のDoug Jonesさん57歳。ひょろっとしたのっぽなおじさんですな。若干顔つきがWilliam Fichtner氏に似てるような……。
 
 てな感じで、キャスト陣の熱演は大変素晴らしかったし、del Toro監督の本領発揮ともいえる、どこか古めかしく、ゴシックホラーめいた画面は雰囲気抜群で、実に上品で大いに素晴らしかったとは思う。そういえば、エンドクレジットでは、SPECIAL THANKSの筆頭にJames Cameron監督の名前が挙がってました。仲いいすかね。いろいろアドバイスとか協力があったんだろうな。そして、同じメキシコの盟友Alfonso Cuaron監督とAlejandro G. Iñárritu監督の名前(この3人はメキシコが誇る3アミーゴズ・オブ・シネマとして仲良し)や、Coen兄弟Edger Wright監督の名前も挙げられてました。まあ、del Toro監督は愛されキャラなんでしょうな。本作は非常に評価が高いため、明日のアカデミー賞ではどんな結果となるか、WOWOWの生放送を、会社で職権を濫用して、横眼で眺めていたいと思います。でも、わたし的には『THREE BILLBOARDS』イチオシです!

 というわけで、結論。
 わたしがそれほどファンではないGuillermo del Toro監督最新作、『THE SHAPE OF WATER』を観てきた。本作は非常に評価が高く、日本時間で明日3/5(月)に発表されるアカデミー賞でも、作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞・衣装デザイン賞・撮影賞・録音賞・編集賞・音響編集賞・美術賞・作曲賞、と13部門でノミネートされている。もちろんわたしも、そのノミネートの価値のあるいい映画だったことに異論はない。けれど……どうしてもわたしとしては、ヒロイン・イライザが、恋に落ちる決定的な瞬間を見たかった。わたしとしては、最初怖がる>何かのきっかけで気になりだす>そしてさらに何かが起きて恋に落ちる、の段階を踏んでほしかったような気がします……。つまり、いつもしょんぼりした彼女の、乙女な表情が観たかったのである。それがあったらもう、わたしは大絶賛していたのだが……。なお、ラストはハッピーエンド、だと思います。半魚人とイライザの未来に幸あれ―――と心から願います。幸せになるんだぞ……。以上。
【追:いろいろ分かっていない点が多かったので、大いに反省しているというか、もう恥ずかしすぎて全部消したいぐらいですが、それでもやっぱり、わたしとしては『THREE BILLBOARDS』方が面白かったという結論は変えません】

↓ まあ、一応これが原典なんでしょうな。半魚人のビジュアル造形もお見事でした。
大アマゾンの半魚人 (2D/3D) [Blu-ray]
リチャード・カールソン
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2016-08-24

 昨日は昼から夜までずっと予定が入っていて、年末だってのにやれやれだぜ、と思っていたところ、夕方と夜の予定が急に年明けに延期になり、それじゃさっさと帰って家で何か映画でも見るか……と思って会社を出た5秒後に、そうだ、オレは今、マリオで言うところの無敵スター状態なんだから、映画観て帰ろう、という気になった。そうです。わたしは今、TOHOシネマズの1か月無料パスポートを所持しているので、何でもタダで観られるのでした。
 というわけで、会社から最寄り駅までの60秒間の間に、そうだよ、アレを観ようと心に決め、家への帰りのJRではなく、地下鉄に乗って有楽町へ行き、目指したのは日比谷のシャンテである。わたしが観たいなあ、と思いつつも見逃していて、身近なシネコンではもう全然上映していない映画がまだシャンテで上映中なのであった。
 わたしが昨日観た映画は、タイトルを『gifted』と言い、邦題もそのまま「ギフテッド」である。その意味は、生まれながらにさながら神様から贈られたかのような才能を持つ、天才児のことだ。ズバリ、結論から言うと、はっきり言ってよくある話だし、脚本的に突っ込みたくなる点も結構ある。けれど、とにかく、やっぱり子役には勝てないすな。もう泣けてたまらん仕上がりとなっており、その「スーパー天才児」を演じたちびっ子の涙に、おっさんとしてはもう、主人公と完全に同化して「ごめんよ、オレが悪かった……」とクスンクスンとせざるを得なかったのである。これは泣けますわ。隣に座ってた結構美人のお姉さんも盛大に涙を流されていたのが印象的であった。
 というわけで、以下、結末まで書いてしまうと思うので、気になる方は絶対読まないでください。何も知らないで観た方が、感動すると思いますよ。

 さて。わたしがこの映画の予告編を見たのはずいぶん前で、US版の字幕なしのものだったが、わたし的に、これは観ないとイカン、と思ったポイントは以下の2つである。
 その1)主役がキャップでお馴染みのChris Evans氏じゃんか!
 その2)おっと、監督はMarc Webb氏じゃん!
 つまり、監督主演がわたしには大変おなじみの男たちであったから、である。キャップことChris Evans氏は、もうすっかりキャップのイメージが強くなりすぎている今、他の役を演じるのはわたし的には結構久し振りで、キャップじゃないChris氏を観るのは楽しみだし、監督のWebb氏も、『THE AMAZING SPIRED-MAN』シリーズを失敗させた男として散々評判を落としてしまったけれど(実際わたしもアレはナシ、だと思っている)、彼の出世作である『(500)Days of Summer』は大変な傑作なのは間違いなく、わたしも大好きな映画であるので、やっぱりこの人はこういう、笑いの中にもちょっと泣かせるような、ある意味地味なハートウォーミング系ヒューマンドラマの方が向いてるんじゃね? と思っていたので、今回の作品はまさしくそういう匂いが漂っていたため、大変期待していたのである。
 そして実際に観てみたわけだが、わたしの期待に応えるなかなかの佳作であり、わたしとしては満足だ。ただ、冒頭に記したように、はっきり言ってよくある話というか、なんか前にもこういう話があったような、という気のする物語であり、また、ツッコミどころもなくはない。まずは簡単に物語をまとめてみよう。
 主人公フランクは、フロリダの海沿いの(?)街で、船の修理をしながらしがない日銭を稼ぐ、若干ぱっとしない男だ。彼は、亡くなった姉の娘(つまり姪っ子)とともに暮らしているのだが、まずその姉は、数学で天才的な才能を持ち、ミレニアム問題の一つでもある「ナビエ-ストークス方程式」を解き明かすのではないかと期待されていたほどの才女だったのに、ある日フランクの元に娘を連れてやって来て、自らは命を絶ってしまったのである。というわけでその残された娘とともに暮らしているわけだが、その娘、メアリーも、弱冠7歳にして早くも天才としての才能を顕しており、小学校では「いまさら1+1=2って、マジ勘弁してよ……」的な若干の問題児であった。そんな暮らしの中でも、メアリーはフランクが大好きで、フランクもメアリーを心から愛し、そもそも賢いメアリーは、周りの小学生どもにうんざりしながらも、空気を読みながら、片目の猫フレッドとともに2人+1匹は幸せな毎日を送っていた。そんな時、フランクと姉の母であり、メアリーのおばあちゃんであるイヴリンという女性がやって来る。彼女もまた数学者で、大変頭のいい女性なわけで、イヴリンおばあちゃんはメアリーにいわゆる「ギフテッド教育」を受けさせるべきだと主張。あくまで普通の女の子として日々を送らせるべきだとするフランクと真っ向から対立し、やがて親権を巡って法廷闘争にまでもつれてしまうのだが、そこには自殺した姉の想いがあって―――てな展開である。
 どうですか。結構ありがちな話でしょ。しかしですね、これが泣けるんすよ。何故泣けるか。それは、もうメアリーを演じたちびっ子が、超かわいいからに他ならないのです。以下、各キャラを演じた役者陣をまとめておきます。
 ◆フランク:演じたのは前述の通り、キャップことChris Evans氏。大変いい演技ぶりでとても良かったと思う。フランクという男は、過去、自らも哲学の准教授としてボストン(だったかな?違うか?)で大学の教壇に立っていた男であるが、姉の自殺によってフロリダに移住した、という設定になっている。そして、母による姉への態度を長年嫌ってきたらしく、母とは全く話が合わない。まあ、完全に理系と文系、ですな。ただ、わたしが本作で一番突っ込みたいのは、なんでまたフランクは船の修理なんかで経済的に不安定な暮らしをしてたんだ? という点である。いや、姉の自殺に、おれのせいだという罪悪感を抱いているのはアリだと思うし、姉の自殺によってフロリダに引っ越した、というのも全く理解できる。けれど、法廷闘争になって、判決の一番のポイントがフランクの経済状態がよろしくない、という点になってしまったわけで、わたしは、これはきっと、フランクは一念発起してまたきちんとした職に就くのだろう、と思っていた。だって、フランクに養育能力ナシと判定されそうになったのは、ズバリ金の問題だけだったわけだし。でも、そういう展開にならず、結果としてメアリーを手放すことになってしまったわけで、わたしは観ながら、お前、ちゃんと働きなさいよ!メアリーを泣かせやがって!メアリーとの約束を破りやがってこの野郎! と若干イラっとした。でもまあ、最終的には大変美しくお話は着地するので、とりあえずはお咎めナシ、にしてあげたいと思う。
 ◆メアリー:演じたのはMckenna Graceちゃん11歳。前歯が全部なくて絶賛生え代わり中。天才児らしく、眉を寄せて考え込んでいる様子も可愛いし、勿論はじける笑顔もイイ。そしてなんと言っても、「ずっと一緒だからな」と言っていたフランクに約束を破られて、里親に引き渡される時の超大号泣には、もう人間なら誰しも彼女を抱きしめて慰めたくなるような、グッとくる演技を見せてくれました。ホントに劇場中が涙してたようにさえ思いますね。素晴らしいす。途中に出てくる、病院で子供が生まれることろを見せられて、お前もあんな風に、みんなの祝福に囲まれて生まれてきたんだよ、と教えられて、スーパーハイテンションで満面の笑みになるところや、ラスト、普通の女の子のように、ガールスカウトの服を着て、子どもらしい笑顔を見せてくれるのも非常に印象的でした。若干、わたしの大好きなAnna Kendrickちゃんに似ているような気がしますな。どうかすくすくと育って、美人になるのだぞ……。とりあえず彼女の名前は忘れないようにしたいと思います。
 ◆イヴリン:フランクの母でありメアリーのおばあちゃん。演じたのはLindsay Duncanさん67歳。この方は舞台人なんですね。そして映画だと、『Birdman』に出てきた辛口批評家のおばちゃんを演じたのがこの方らしい。なるほど。イヴリンおばあちゃんは、良かれと思って娘の才能を伸ばすためにギフテッド教育を与え、そして孫のメアリーにもそうしたい、と思っているわけで、実際悪意は全くないし、娘の自殺にもとても心を痛めている。だから冷たい人、という評価は本人には心外だろうと思う。でも、もうチョイ、耳を傾けるべきだったんでしょうな。そして、猫アレルギーで、メアリーの大切な猫、フレッドを保健所に引き取らせる暴挙を働いたのはまったくもって許しがたい! が、何度も書くけれど、ラストは大変美しい着地なので、おばあちゃんもまあ、許します。わたし的には猫のフレッドが助かってホッとしました。
 ◆ロバータ:フランクたちのお隣さんで、なにかとお世話になってるおばちゃん。演じたのはOctavia Spencerさん47歳。余り出番はないけれど、フランクとメアリーを見守る近所のおばちゃんで、超イイ人。メアリーも懐いているし、フランクも信頼している模様。もう少し、物語に関与しても良かったような……。
 ◆ボニー:メアリーが入学した「普通の」小学校の担任の先生。若干セクシー。そしてフランクとイイ仲に。一夜を共にしてしまった翌朝、メアリーに目撃されて、「やっちゃった……」とショックを受けるも、この時のメアリーの「Good Morning, Ms Stevenson!(ニヤニヤ)」には劇場内は大爆笑でした。本作をまだ観てない人には全く通じないと思いますが、観た人なら誰しも笑うところだと思います。このボニー・スティーヴンソン先生を演じたのはJenny Slateさんというお方で、わたしは観たことない女優さんだな、と思っていたのだが、どうやら声優もやられているお方だそうで、なんと、『Zootopia』の羊のベルウェザー副市長を演じられた方だそうです。へえ~。

 というわけで、もう書くことがなくなったので結論。
 昨日の夜、突発的に観に行った映画『gifted』は、ありがちなお話と言えばそうだし、若干の脚本的なツッコミどころもなくはない。だがしかし、そんなのはもうどうでもいいんです。なにしろ、天才児メアリーがとにかくかわいい! そしてそんな天才児を不器用に育てようとするキャップの姿も、なかなかいいじゃないですか。ちゃっかりセクシー先生とイイ関係になるのは若干うらやまけしからんけれど、総評としてはこの映画、わたしは大変気に入りました。アリです。Marc Webb監督は、もう巨大予算のかかった大作よりも、こういった日常的な人々を描く、等身大の作品を作っていってほしいすね。やっぱり、Webb監督はなかなか腕の立つ男だと思います。以上。

↓ 大変面白く、わたしは大好きです。ラストのオチもイイ!
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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2012-09-05

 

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