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 先日、このBlogでとても面白かったと記事を書いた『空挺ドラゴンズ』というコミック作品がある。わたしとしては大変面白いと思うし今後の続刊の発売が待ち遠しい作品の一つなわけだが、その著者である桑原太矩先生の他の作品も読んでみたくなり、探したら『とっかぶ 特別課外活動部』という作品があったので、とりあえず、有無を言わさず全4巻をまとめて買ってみた。そして読んでみたところ、これまた大変好ましい漫画だったわけである。

 おおっと!? 今上記に貼りつけるために検索して初めて知ったが、どうも現在はKindle版の(1)巻が無料配布中みたいだぞ!? なんてこった、期間限定なのかな、ちょっと良くわからないが、とりあえずはその(1)巻を読んでみてほしい。
 なお、講談社のコミックは、第1話が無料公開されている場合が多く、本作も公式Webサイトでは読めるようなので、そちらでもいいかも。第1話だけでも、雰囲気や絵のタッチなどは分かってもらえると思う。こちらです→http://afternoon.moae.jp/lineup/222
 で。どうやらこの作品は「アフタヌーン」で連載されていたのかな? 詳しくは良くわからないけれど、全(4)巻で既に完結済みである。お話の方はというと、『空挺ドラゴンズ』が完全にファンタジー世界であるのに対して、こちらの『とっかぶ』は完全に現代高校生を主人公とするもので、まったくファンタジックな要素はない。物語の大枠は、とある高校で問題児を「社会奉仕」させるために臨時で設立される部活、「特別課外活動部」を舞台に、学校やその周辺で起こる事件を解決したり巻き込まれたりするお話で、なんか今までにもそういう漫画があったような、なかったような、そんな物語である。
 こういう作品だと、最近では部室トーク中心のただ面白いことをしゃべるだけの日常系の漫画が多いような気がするが、本作はきちんと事件が起きて、キャラクターたちが生き生きと?活躍するので、退屈なお喋るに終始するものではない。わたしの印象では、小説の「ハルチカ」シリーズに近い印象だ。まあ、あちらは日常系ミステリー風味が強く、本作はあまりミステリー的ではないけれど、とにかく雰囲気は非常に近しいように思う。
 というわけで、キャラ紹介をざっとやって、完全に記憶が失われたときの備忘録としておこう。各キャラ、とりわけ女子たちが大変魅力的でかわいいし、絵柄も非常に好ましく、実に漫画力の高い作品であろうと思う。
 ◆丹ノ宮 沢(ニノミヤ サワ)。とっかぶの部長。1年1組。通称サワ。好物はイチゴ大福、好きな色は赤!と仁王立ちで自己紹介。ヒーローにあこがれ、本物のヒーローになるためにとっかぶに。別に彼女は何か問題児としてとっかぶに入部させられたわけではない。まさしく戦隊ものの「レッド」が似合うリーダー。「丹」とは、もともと硫化水銀であり、その色は赤色であります。とにかく熱い、熱血女子。実際可愛い。
 ◆倉下清大(クラシタ キヨハル)。1年2組。通称くらげ。スパイになるという幼少の頃からの夢があって、もちろんそれは子供の夢と分かっているけれど、いろいろなハイテク装置や頭脳を駆使して、職員室から試験問題を入手し、それを生徒に売っていた。それが見つかって、とっかぶに強制入部させられた。熱い性格ではなく若干斜に構えている様子はまさしく戦隊ものの「ブルー」。ただし巻を重ねるに従ってどんどんイイ奴成分が濃くなっていきます。
 ◆千歳悠緑(チトセ ユウリ)。1年3組。通称ユーリ。金髪・ピアス・反抗的態度など、退学寸前でとっかぶに入部させられた女子。ただし、実はとてもやさしくイイ子なのはお約束通り。この子も、巻を重ねるにしたがって、どんどんイイ子であることが分かります。戦隊ものの「グリーン」は、基本的には(というかゴレンジャー的には)最年少の活きのいい奴、だけど、ユーリはどちらかというとブルー的なクール系な部分が多いような。でも、とにかく優しくイイ子。実は野球が超上手だったり、バレー部の先輩の幼馴染みとの恋心なんかも(2)巻以降で描かれます。
 こんな三人が活躍するお話で、ほかにも生徒会や先生、それからとっかぶで面倒を見ることになったわんこなども絡んでくる。
 ◆サカヤキ:(1)巻で登場してくるわんこ。その模様が、まるで侍の月代(サカヤキ)のようなので、そう命名された。何気に活躍する。
 ◆日野朝里(ヒノ アサリ)。生徒会書記。サワの幼馴染で保育園からずっと一緒。常識人。眼鏡&ショートカットの可愛い女子。子供のころから委員長体質で、しっかり真面目にしなきゃという癖がついているが、小学校の頃のサワの行動を未だに尊敬している。
 ◆丘町珠緒(マチオカ タマオ)。生徒会副会長で校内一のクールビューティーとして名高い。きちっとしている完璧女子でいつもとっかぶにキーッ!! と怒ってはいる、が、やっぱりこの方も大変イイ人。ツンデレ担当。
 ◆篠田路世(シノダ ミチヨ)。先生。通称みっちゃん。まだ20代なのかな、若くて何気に可愛く、面倒見がいい、ので、生徒には人気があるようだけれど、男運ナシ、らしい。チョイチョイ出てくる。(2)巻かな、みっちゃんのアパートに出没するストーカー退治の話が結構面白い。
 とまあ、上記以外にも、当然男キャラもいっぱい出てくる。例えば生徒会長の栄村さんとか、科学部部長の北野さん(通称ホクノー)とか、ちょっと変わり者も多い。
 そして、とにかく絵が上手で大変可愛らしいんすよね。わたしの趣味的には非常に好ましく、カット割りという演出もいいし、実に漫画力は高い。お話は、(4)巻で、強制入部させられていたくらげ君とユーリが、刑期満了(?)ということでとっかぶから解放され、もうとっかぶでいなくてもいいぞ、という展開になって、一人サワが取り残される流れなのだが、最終的な結末は読んでいて非常に爽やかだし、実に青春であって、おっさんのわたしにも大いに楽しめた。大変気持ちのいいエンディングだったと思う。

 というわけで、さっさと結論。
 『空挺ドラゴンズ』が気に入った方には、同じ桑原先生による『とっかぶ 特別課外活動部』という漫画もお勧めであります。ただ、ここまで絶賛しておいてアレですが、感動するとか、超大好き、とか熱烈なおススメではないかも。とにかく爽やかで気持ちのいい漫画であることだけは保証します。たぶん。以上。

↓ なんか、空気感が似ているような気がします。



 昨日、ずっと待っていた(2)巻が、ようやく発売になったコミックを読んで、はー面白かったわ……と満足したわたしだが、基本的にこのBlogでは、一度取り上げたコミック作品は、次の新刊が出ても記事を書かないでいる。のだが、あれっ? ちょっと待てよ? と調べてみたところ、(1)巻を読んだときの記事を書いていないことに気が付いた。
 というわけで、今日は(1)巻(2)巻をまとめてレビューを書こうと思った次第である。実に面白く、絵もいいし、漫画力が大変高い作品である。タイトルを『空挺ドラゴンズ』といい、「龍」の棲む世界で「龍捕り(おろちとり)」を生業とする飛行船乗りたちのお話だ。非常にファンタジックでありながら、細かい設定がきっちりと決まっているようで、世界観が極めてしっかり、ある意味リアルに存在している。そのため、キャラクターたちも、とても溌剌としていて、まさしくその世界に生きており、どことなくジブリ的な空気感がとても様になっているというか、ともかく実にイイ!のである。
 本作は講談社のgoodアフタヌーン誌に連載中だそうで、公式Webサイトで第1話が読めるので、まずはそちらを読んでもらった方が早いな。上のリンクをクリックして読んでみてください。


 さてと。基本的な世界観は前述の通りだが、第1話を読んでいただいたならもう感じてもらえたと思う。そう、この世界で描かれる「龍」及び「捕龍船」は、要するに我々の世界で言うと、鯨や捕鯨船に近いイメージだ。空を飛ぶ「龍」を、「捕龍船」で追い、銛を打ち込み捕らえた龍を解体し、その肉や油を売って生活するわけである。そんな「龍捕り」の面々を描いた物語は、龍の食べ方の料理描写もやけに細かく、ある意味『ダンジョン飯』めいた風味あるし、あるいは空中海賊(空賊?)も出てきたりして、そんな面はとても「ラピュタ」っぽくもある。不思議な漫画だ。(1)巻では基本的にずっと空が舞台であり、昨日発売になった(2)巻では、立ち寄った港町が舞台となる陸(おか)の物語になっているので、この期に(1)巻(2)巻をまとめ買いして是非読んでいただきたいと思う。
 そして登場キャラクターも、まだまだその出自というか、なぜ「龍捕り」となったか、というような過去の話は一切出てこないけれど、それぞれが非常にキャラが立っていて、とても生き生きしている。というわけで、お約束のキャラ紹介をやっておこう。
 ◆ミカ:捕龍船「クィン・ザザ」号のエース龍捕り(おろちとり)ともいうべき、主人公的キャラ。ロン毛無精ひげ。勇敢というより無謀。とにかく、捕らえた龍を「美味しくいただくこと」が最大のモチベーション、のように現状では描かれている。(2)巻では「千剖士」という古くから龍を解体・加工して暮らしてきた一族の人々が出てくるが、その一族の出ではないけれど、その一族と仲がいいことが判明。捕らえる時の勇猛さだけでなく、解体の腕も確か。彼の過去にどんなことがあったのかは、今後語られていくんすかねえ。
 ◆タキタ:見習い龍捕りの女子。明るく元気な娘さん。クルーのみんなからも可愛がられている(?)雑用係。経緯は分からないが支度金として船に借金がある模様。
 ◆ジロー:まだ若い龍捕りの青年(少年?)。背も低い。目がいいので見張り台に立つことも。父が龍捕りだったらしく、父に習った天測も正確。生真面目。何かと突っかかるが、やっぱり彼もクルーのみんなに可愛がられていると思う。つーかですね、クルーのおっさんたちも、いろいろあるけどみんな善人ばかりなんすよね。それがこの作品を大変心地よくしていると思うな。(2)巻では町に住むカーチャという少女と仲良くなるエピソードも大変良い。
 ◆ヴァニー(ヴァナベル):捕龍の腕は船内一の腕利き美女。クールビューティー。曰く、地上に居場所がなかったから、空の飛び方を覚えただけ、だそうです。彼女を「ヴァナベル」と呼ぶのはミカだけで、何らかの二人だけの過去があるのかもしれないすな。超・酒豪で、一切酔わない模様。カッコイイ女性。クールであっても、船内で浮いているとかそういうことはなく、男女問わずみんなから尊敬されているような感じ。
 ◆ギブス:龍捕りのリーダー。のっぽの髭もじゃのおじさん。
 ◆クロッコ:船長代理。そういや船長がいないな。クィン・ザザ号を愛してるっぽい。
 ◆リー:管理長?的な、船内の金庫番。
 ◆カペラ:操舵手の眼鏡女子。背が高い
 ◆ヨシさん:料理長(?)
 ◆ニコ:龍捕りの男の一人。背が高く頭に黒バンダナ(ニット帽?)着用で目が隠れている顎鬚の人。次元大介っぽい風貌。
 ◆オーケン:龍捕りの男の一人。黒髪おかっぱみたいな髪型の糸目の人。
 ◆フェイ:龍捕りの男の一人。金髪。若干チャラい系?
 ◆ソラヤ:龍捕りの男の一人。黒髪。カイさん的な皮肉屋めいた、喧嘩騒ぎにも参加しない系
 ◆ダグ:機関長?のおじちゃん。
 ◆メイン:機関士の女子。黒髪黒目。
 ◆ウラ爺:「千剖士」の長。ミカとは馴染みの仲。盲目。
 ◆ナナミ:「千剖士」の一族の女性。黒髪ロング&三つ編み&太眉。
 えーと、他にもまだクルーはいるようだが(1)巻(2)巻で名前が出てきたのは以上かな。まあとにかく、非常に独特な、物語的にも、絵柄的にも味のある、大変面白い漫画であるとわたしとしては万人にお勧めであります。あ、あと、出てくる「龍」のデザインが、毎回それぞれ独特で、それもひとつの見どころというか、これまでの「龍」の常識とは違う非常にオリジナリティがあって、わたしとしては大変素晴らしいと思った。
 なお、著者である桑原太矩先生については、あまり情報がないのだが……どうやらアフタヌーンで『とっかぶ 特別課外授業』という作品を連載していたようで、こちらはまた全然まったくの現代物で、まるで雰囲気は違うんですな。ちょっと気になるので、次のフェアのときにでも買ってみようかしら。おっと、以下↓これは(1)巻が出た時の桑原先生のTweetだが、やっぱりすぐ重版されたりと結構売れてるんですかね。もっともっと売れてほしいですな!

 というわけで、結論。
 去年、ふとしたきっかけで買って読み、大変気に入っていた漫画『空挺ドラゴンズ』の(2)巻が昨日発売になり、すぐさま買って読んだところ(電子書籍なので、昨日、新刊出ましたよーと勝手にお知らせが来たので、朝のコーヒーを飲みながらすぐさま買った。なんて便利な世の中!)、今回も大変満足の内容で、面白かった。今のところ、キャラクター達の背景はほぼ描かれていないが、そういうのはとりあえず現状ではナシでも十分楽しめると思うし、あまりそういった面にこだわらなくてもいいかなというような気がする。とにかく世界観がしっかりしているし、キャラクターも大変好ましい。今、わたしが非常に続刊を望む漫画の一つであることは間違いなかろう。大変気に入っておりますので、ぜひ! 以上。

↓ 桑原先生のデビュー作はこれか。要チェックかもな……。

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