というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興収データです。
 今日はランキングはさらっと流し、後半では毎年1月の最終火曜日に発表される、前年の映画興行収入データをちょっとまとめておきたい。

 ではさっそく、いつもの興行通信社の大本営発表です。
 1位:『信長協奏曲』が9日間合計で17億を超えた模様。この数字は冗談じゃなく30億楽勝、50億すらもありうる数字。現実的に見て40億程度は軽く行きそうな勢いです。すげえ!!
 2位:さらば あぶない刑事』 が公開週末で3億弱。まあちょっと前なら20億は届く出足だけれど、最近の例を見ると、ちょっと届かないか、という水準。最終16~18億ぐらい? わたしは年齢的にストライクなのだが、実はTVも全く見てなかったので良く知らない……。サーセン……。
 3位:『
スターウォーズ/フォースの覚醒』:45日間累計でとうとう100億超えた!! 予想通り7週目での100億越え。どこまで伸びるか楽しみに状況を追っていきたい。
 4位:ブラック・スキャンダル』が公開週末で1億チョイ。まあ、洋画としては並の出足。
 5位:
残穢――住んではいけない部屋』が公開週末で1億チョイ。まあ10億は厳しそうか?
 6位:『
手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー』が9日間で。2億チョイ。厳しい……。
 7位:『妖怪ウォッチ』:44日間累計で52億チョイか。緩やかに終息中。55億には届かないか。
 8位:『パディントン』:17日間で5億届かずか? 悪くはないが……宣伝費が……。
 9位:『シーズンズ 2万年の地球旅行』:17日間累計で4億届かずか?
 10位:『orange』:48日間累計でとうとう30億超えた模様。良く伸びた。これはかなり賞賛されてしかるべきかと。
 金額はこちらを参照→http://www.boxofficemojo.com/intl/japan/?yr=2016&wk=5&currency=local&p=.htm
 ほか、ランク外では、なんとまた『ガルパン』の公開スクリーン数が増えているようで、とうとう10億も超えたようです。ホントにすごいね。これはもう、作り手とファンのみなさんの愛の結晶でしょうな。素晴らしい!!  公開規模の小さかった『ピンクとグレー』も頑張っていて、5億弱まで来ているようです。ほか、『ザ・ウォーク』はまだ2億弱だし、ブリッジ・オブ・スパイ』も6億チョイで、洋画は大変厳しい時代です。

 さて。
 業界人にはおなじみだと思うが、「映連(正式名称:一般社団法人日本映画製作者連盟)」のWebサイトでは、毎年1月の最終週に、前年の映画興行に関する数値データが公開されています。結構過去までさかのぼれるので、データ化しておくと何かと便利ですが、例年通り先週、2015年のデータが公開されました
 くわしくは、観てもらった方が早いと思うので、いちいち全データをここでは書きませんが、10億以上興収を稼いだ作品は、一覧になって公開されていますので、わたしが毎週書いているテキトー予測がどの程度合っていたか、答え合わせをしておこうと思います。なお、2015年といっても、例年12月公開作品は翌年扱いになるので、2014/12~2015/11の12カ月という事になってます(※11月末ごろ公開も翌年扱い)。なので、2015/12公開の『STAR WARS』の数字は当然入っていません。それではまず、2015年8月から始めたこのBLOGで、興収関連で一番初めに取り上げた作品から見てみよう。 
オレ予想 正解
バクマン。 17~18億
→15億チョイかな
→17億±0.5億
弱気になってコロコロ変えた自分が恥ずかしい……
17.6億
図書館戦争 THE LAST MISSION 17億ぐらい 18.0億
ギャラクシー街道 20億は無理。15億も厳しい 13.2億
俺物語!! 15億も厳しい 10億届かず。
映連ランク外
 とまあ、こんな感じであったので、全く的外れでないにしても、ドンピシャの予想はやはり難しいですな。その他、映連データを見て、ふーん、と思ったことを自分用備忘録として記録しておこう。
■興行市場サイズ
2015年 2,171億 対前年+100億、104.9%
2014年 2,070億 対前年+127億、106.6%
2013年 1,942億 対前年▲9億、99.5%
2012年 1,951億 対前年+139億、107.7%
2011年 1,811億 対前年▲395億、82.1%
 まあ、作品に大きく依存するわけで、ヒットが出れば伸びるし、何もないとダメというのが基本で、実際のところあまり変わらないのが不思議。だんだん落ちていくなら分かりやすいけれど、意外とそうでもない。増減は、その年のラインナップを見ると、ああ、これのせいか、と分かったりする。例えば去年の『アナ雪』とかね。
■邦画/洋画別のデータ
※邦画 公開本数 興収合計 1本当たり
の興収
10億以上
ヒット作
ヒット率
2015年 581本 1,203億円 2.07億円 39本 6.71%
2014年 615本 1,207億円 1.96億円 31本 5.04%
2013年 591本 1,176億円 1.99億円 35本 5.92%
2012年 554本 1,281億円 2.31億円 39本 7.04%
2011年 441本 995億円 2.25億円 32本 7.26%
※洋画 公開本数 興収合計 1本当たり
の興収
10億以上
ヒット作
ヒット率
2015年 555本 967億 1.74億 22本 3.96%
2014年 569本 863億 1.51億 18本 3.16%
2013年 526本 765億 1.45億 21本 3.99%
2012年 429本 670億 1.56億 19本 4.43%
2011年 358本 816億 2.28億 22本 6.15%
 これを見ると、前年対比では2015年は邦画も洋画もちょっと良かった感じ。ヒット率も向上し、1本あたり興行もちょっと良くなってる。邦画/洋画とも、公開本数は減ったけれど興収は増えたという事で、これはこれで、一時的なものかもしれないけれど、良い傾向と言っていいと思う。
■定番作品の明暗 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年
ドラえもん(毎年3月末公開) 39.3億 35.8億 39.8億 36.2億 24.6億
名探偵コナン(毎年4月末公開) 44.8億 41.1億 36.3億 32.9億 31.5億
クレヨンしんちゃん(毎年4月中旬) 22.9億 18.3億 13.0億 10億以下 12.0億
ポケモン(毎年夏公開) 26.1億 29.1億 31.7億 36.1億 43.3億
仮面ライダー(春)ヒーロー大戦系 10億以下 10.1億 10億以下 15.6億 ナシ
仮面ライダー(夏)戦隊と二本立て 10億以下 10億以下 12.3億 12.7億 17.6億
仮面ライダー(年末)現VS前 10億以下 10.1億 11.9億 15.1億 13.8億
プリキュア(春) 10億以下 10億以下 10.3億 10.2億 10.2億
 とまあ、観てないので正直要因は良くわからないけれど、『ドラえもん』『コナン』『クレしん』はここ数年興収が毎年上がっている一方で、 『ポケモン』『ライダー』『プリキュア』は逆にここ数年毎年下がっている。まあ、代わりに『妖怪ウォッチ』という大物が出現したので、東宝的には埋め合わせどころか上乗せ出来ているが、東映的には手当できていないのが現状。まあ、ライダーは人気とか、競合作品とかいろんな要素が絡むのでしょうな。
 ■東宝一人勝ち&東映、松竹厳しい。
 邦画の10億以上稼いだ作品の本数を配給別に、ここ5年ほどの推移を記してみると、以下のような感じ。
東宝 東映 松竹
2015 29本 ※共同配給1本含む 1本 4本※共同配給2本含む
合計723.4億 37.4億 合計62.4憶
@24.94億 ドラゴンボールFのみ @15.6億
2014 20本 4本 5本
合計598.1億 合計54億 合計73.8億
@29.90億 @13.50億 @14.76億
2013 22本 ※共同配給1本含む 6本 ※共同配給1本含む 2本
合計587.6億 合計146.5億 合計28.4億
@26.71億 @24.41億 @14.20億
2012 26本 ※共同配給3本含む 6本 2本
合計716.4億 合計82.9億 合計32.3億
@27.55億 @13.81億 @16.15憶
2011 23本 6本 2本
合計549.8億 合計98.9億 合計27.4億
@23.90億 @16.48億 @13.70億
 これを見ても明らかな通り、実際のところ東宝の一人勝ちがずっと続いている。なお、東映・松竹とも、だいたい1位に来るのはアニメです。東映の場合は『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』、松竹の場合は今回の『ラブライブ!(28.4億!! すっげえ!!)』や2012年の『けいおん』なんかが大きく稼ぐ構造で、実写は正直かなり厳しいのが実情。いやはや、東宝様を怒らせたら、今の日本国内ではもうどうしようもないんだろうなという空気を察することができる。
 ちょっと、来週は東宝/東映/松竹3社の決算情報をまとめてみようかな。東宝と松竹は2月決算だから、もうとっくに第3四半期決算が出てるはずだし、3月決算の松竹もそろそろ第3四半期決算が出るだろう。まあ、結構会社の儲けの構造が違っていて、比較すると何気に面白いので、次回まとめてみますわ。

 というわけで、結論。
 『信長協奏曲』がかなりの勢いで興収を伸ばしている。この勢いは、邦画の実写作品では久しぶりのような気がするほど。これ、最終的にどのくらいになるか、来週の数字を見て、真面目にまた予想してみようと思います。そして、『SW』も無事100億突破でめでたいですな。そして『ガルパン』は本当にすごいですよ。恐れ入りました。以上。