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 というわけで、今週の『もういっぽん!』であります。
 先週はサボりましたが、今週はやります。今週のタイトルは「どっきどき」。まあズバリ言うと、いよいよインターハイ予選当日の朝の、それぞれの「どっきどき」な模様であります。
 冒頭、いつもおとなしい永遠ちゃんが、一人電車内で何やらスマホを見てにんまりしているご様子。そうでした。永遠ちゃんだけ、遠くに住んでるのでした。思うのは、家でお母さんとのやりとりです。お風呂上り、スマホ片手にニヤつく永遠ちゃんですが、お母さんの話によると、私立の推薦を蹴ってまで埼玉県立青葉西高校へ進学したのだとか。それが心配だったお母さんですが、ニヤける娘、永遠ちゃんを見て、良かったみたいねと一安心。好きな男でもできたかとお母さんはツッこむものの、永遠ちゃんがニヤけていたのは、仲間の柔道部員、未知と早苗ちゃんとのグループラインであります。
 まあ、友達ができてうれしいんでしょうなあ。それはつまり、今まではそういうことがなかったってことなのでしょう。大変結構なことであります。
 と、そんなことを思い出して一人電車に乗る永遠ちゃんの前に、来ました! 南雲ちゃんの登場です! 上半身はジャージ&ジップを上までしっかり締めたりりしい姿の南雲ちゃん。下は制服のスカートですが、南雲ちゃんはストイック系&強気系剣道部員。
 「な~~んだ アンタか…って顔 すんなっつーの」
 とよく分かっていらっしゃるご様子。若干気まずげな永遠ちゃん。南雲ちゃん曰く、剣道部も同じ場所でインターハイ予選で、期待のルーキーである自分が5年ぶりに女子剣道部をインターハイに連れて行く、と強気なお言葉です。そして、若干優しげな表情で言います。
 「柔道部は! あんたが連れてってやりな」
 そのタイミングで電車に乗って来る未知&早苗ちゃん。
 「あの2人とじゃきついだろうけど」
 と若干ヤレヤレな南雲ちゃんに、永遠ちゃんは言います。
 「そうかな…とっても心強いよ」
 二人を見つけて満面の笑みで寄って来る未知。まあ、この笑顔にはパワーがあるわけですよ! ちなみに未知のいでたちは、ジャージ&Tシャツ&下は制服スカート、とテキトーな感じ、そして早苗ちゃんは眼鏡っ子真面目女子なので、きっちり制服を上下着こなしております。そして永遠ちゃんは、ジャケットの代わりにカーディガンですが、きちんとブラウス&リボンタイと制服着用です。この違いも、性格が出てますなあ!
 そして会場に到着。そこにはすでに夏目先生がスタンバイ。おおっと、夏目先生は白シャツ&黒のパンツスーツという「SP」の真木よう子さん的なファッションで大変颯爽としています。そして当然会場にはいろんな学校の柔道部員がいて、未知は勝手な品評会をしています。ドキドキが高まってまいりました! おおっと、どうやら早苗ちゃんは緊張でみんな強そうとネガティブ方向へ。でも、未知を高校でも柔道に誘ったのは早苗ちゃんなわけで、
 「しっかりしなきゃ…わたしが言い出しっぺなんだから…うう…ケガするイメージが次から次に沸いてくるよ…」とドキドキは加速です。中学時代は試合で骨折した経験のある早苗ちゃんですが、イカン、トイレに直行だ!w なんか『ぺダル』の鏑木くんみたいすねw
 と、そんな3人ですが、前からやってきたのは! あれは永遠ちゃんの中学時代の! 来ました、霞ヶ丘高校の3人組です! 永遠ちゃんはまたも困ったフェイス。怒れるツインテールでお馴染み、天音さんが「約束通り中堅で出てくるよね?」と詰め寄ります。永遠ちゃんの困ったフェイスは一層曇りますが、未知は永遠ちゃんのバックから柔道着を取り出し、むりやり上だけ永遠ちゃんに着せました。
 そうです。いつもオドオドぎみの永遠ちゃんは、柔道着を着ると「ちょっとだけ 勇気が出る」のであります。それを覚えていてくれた未知の想いに応えるように、キリッとした表情で永遠ちゃんは、おっかないツインテール天音さんに宣言します!
 「青西の中堅は私…氷浦永遠です」
 とまあ、そんな感じでいよいよインターハイ予選開幕!で今週はおしまいでした。
 なるほど……何かやっぱり各キャラの表情が豊かでいいですなあ……しかし、物語はこののち、どう進むんすかねえ……スポコン的シリアス展開なのか、日常系のほっこり系なのか、想像がつきませんが、わたしとしてはこの可愛い娘っ子たちの青春をしばらく追いかけようと存じます。

 というわけで、結論。
 今週の『もういっぽん!』は、いよいよインターハイ予選開幕直前の、各キャラクター達の「どっきどき」な心情が描かれ、また、永遠ちゃんの決意的な、キリッとした表情が描かれました。まあ、完全にお父さん目線で読んでいるわたしとしては、怪我しないよう、魂燃やしてらっしゃい! と見守りたく存じます。しかし、やっぱり絵がとてもイイすね。大変魅力的なキャラクター達の、それぞれの表情が大変良いと思います。そして南雲ちゃんがやっぱりイチオシっすね! 以上。

 というわけで、今週の『もういっぽん!』でありますが、今朝、こんなニュースを見て、これはわたしのBlogも、やっぱり法に抵触しているのだろうか……という気もしております。
漫画あらすじ無断投稿 投稿者情報の開示命じる 東京地裁
 なので、かつての『鮫島ニュース』では、もう本当に興奮してしまったがゆえに、作中の台詞も大量に引用していましたが、今後は控えめにしようと存じます。それでもアウトなら……書くのをやめるしかないのかなあ……。これでも応援しているつもりなんですけどね……

 さて。
 今週の『もういっぽん!』は、巻中カラー扉です! いい絵ですなあ……。そしてまずは、未知&早苗&永遠の三人の、トレーニングに挑む苦しげな表情の3分割アップから開幕です。なにやら三人とも、ぬぎぎ…・・と力が入っている様子。ど、どした!?
 そしてページをめくると、そこは見開きです。なるほど、みんなで古タイヤを引っ張って走る、下半身強化中のご様子。柔道部らしいと言えばらしいけど、いまでもそういうトレーニングってやってるんですな? 顧問の夏目先生の監督の元、頑張る三人ですが、やっぱり永遠ちゃんがダントツの身体能力! この娘はやる子ですよ。早苗ちゃんはもうダメ~的に倒れていますが、永遠ちゃんは「もう一本!」と再びダッシュ。ははあ、なるほど、タイトルにはこの意味もあったんですな。
 というわけで、体力有り余る永遠ちゃんを眺めながら、主人公たる未知ちゃんは、まーた愚痴をこぼしております。高校に入ったらもう柔道はやらない、彼氏を作って楽しむぞ的な妄想をしてたんすけど、お下げ&眼鏡でお馴染みの早苗ちゃんは、そもそも休みにトレーニングしようと言ったのは未知でしょ、と真面目なツッコミ。それに対して未知ちゃんは、えー早苗でしょ、と責任転嫁のテキトーク。どうやら現在はゴールデンウィークの連休のようです。そう、先週描かれた通り、連休明けにはインターハイ予選が始まるものの、二人とも、自分の階級の体重を若干オーバーしているので、調整しないといけないのです。確か、早苗ちゃんは52kg級に出たいのに、先週時点では55.8kg。コイツはヤバいぜ!?
 しかし一方の永遠ちゃんは、先週時点で52kgぴったり、減量の必要なしのはずですが、一番張り切ってトレーニングを続けています。そんな永遠ちゃんを見つめる未知&早苗。二人は、最近よく笑顔を見せるようになった永遠ちゃんに、ちょっと嬉しそうですが……腹の虫がぐぅ…と鳴り、腹ペコなご様子。まあ、そりゃあ15歳でしょ? そらもう育ちざかりですよ。これはもうしょうがないすわ。
 というわけで、再びトレーニング再開、ラスト一本勝負だ!と未知&早苗は元気を出しますが、永遠ちゃんはさらにもう一本、と底なしのパワーです。そんな永遠ちゃんに、夏目先生はそのへんにしときなさい、インターハイ予選前に故障でもしたら元も子もないでしょと、きちんと指導。切りがついたところで、未知ちゃんは、じゃあ帰りにみんなでご飯行こうよ、と声をかけます。
 おいおい、君は体重大丈夫なのか? と心配になりますが、どうやら平日は、永遠ちゃんは遠くに住んでいるため、飯を食って帰ることが出来ないようで、誘われた永遠ちゃんは、静かに熱く喜んでいる模様です。なんか……いいすねえ……! 
 そしてタイヤをしまって帰り支度をしようとしたところで……わたしが注目する剣道部の南雲ちゃん登場です! 今週の南雲ちゃんは真面目モードです! 未知たちがしまおうとしたタイヤを、使うから一個置いといてくれと登場した南雲ちゃん。未知は終わるまで待っとこうか? 一緒にご飯…と誘いますが、南雲ちゃんは「今日はいい どんくらいやるかわからないし」とクールにお断りです。いつもよりだいぶ真剣モードの南雲ちゃんは剣道部期待の新人なのです。インターハイ予選のレギュラーにも選ばれているそうですが、そんな南雲ちゃんを、「……」と見つめる永遠ちゃん。いろいろ思うことがあるご様子です。そして何気に南雲ちゃんの腹の虫も「ぐるるうん」と鳴っていて、腹ペコなのは同じのようですが、今週の南雲ちゃんは真剣ですよ。しかし、余り無茶して、夏目先生が言ったようなことにならないといいのですが……
 そして場面はファミレスにやってきた柔道トリオ、未知&早苗&永遠の図であります。オイィ!? 「山盛りポテト」はマズいんじゃないか!? まあ、40過ぎるとホント謎に思いますが、どうして10代の頃って、たらふく喰っても翌日には元に戻ってるんすかねえ? 謎だよな……。おっと!永遠ちゃんも、超小声で、ライスのお替り行ったーーー! そして大盛りのオーダーだ! しかも恥ずかしそうな表情が大変イイすねえ! まあ、永遠ちゃんは体重制限大丈夫そうだからいいとして、未知はホントに大丈夫なのか? 真面目な眼鏡ちゃん、早苗ちゃんもあんまり食べたらまた体重増えちゃうよ、と若干心配そうですが、天然自由人の未知は、その時はその時、と軽く忠告をスルー。いいコンビですなあ。そして、未知ちゃんからは、「それに…団体戦は無差別級! 少しでも重い方が有利かもしんないしね」という情報が開示されました。なーるほど。そして「団体戦」には早苗ちゃんも思い入れがあります。中学時代は二人しかいない柔道部で、先鋒は不戦敗がいつも確定していたわけで、三人で出る「団体戦」が楽しみな未知&早苗。
 しかし、永遠ちゃんは「私も出て…いいんだよね」と謎の発言です。いやいや、今さら何を?と思ってページをめくると、そこには食い気味で当たり前じゃん!と永遠ちゃんに詰め寄る未知の図であります。このリアクションは、読者としてはそりゃそうだ、なんですが……どうやらなにかあるようで、ここで今週のタイトル「再会」が効くことになります。
 ちょっと離れた席にいた三人組。黒いジャージで、学校名は不明ですが、JYUDOと書いてあります。そしてツカツカと三人のテーブルにやってきたツインテール娘。彼女は「やっぱり氷浦じゃん」と永遠ちゃんを知っている模様。しかもなにやら、怒りの表情。こわごわと「お… お久しぶりです」なんて台詞しか出ない永遠ちゃん。この怒れるツインテール娘は一体……!? というところで今週は幕、でありました。
 なんつうか、日常系かスポーツ系かあいまいというコメントを先週いただきましたが、確かにわたしもそう感じていましたけど……それでもやっぱり来週が気になりますね。そして南雲ちゃんの今後の展開も大変気になります。
 おおっと、いっけねえ!
 まーた無駄に長文になってしまった……ので、ここらでおしまいにします。
 
 というわけで、結論。
 今週は、インターハイ予選に向けたトレーニングに励む三人の様子と、一人頑張る南雲ちゃん、そして、タイトルの通り謎の怒れるツインテール娘と「再会」した永遠ちゃんの模様が描かれました。アレっすかねえ、永遠ちゃんの以前のチームメイトで、ホントはみんなで同じ高校に、とかいう予定だったのに、永遠ちゃんだけ未知の高校に言っちゃっておかんむり。とかそういうことなのかしら。まあ、来週その謎は解かれると思って、来週を楽しみにしようと存じます。以上。

↓ とりあえず買いました。まあ、『もういっぽん!』に似たシチュエーション、ですな。面白いというか、かわいいすね。
やわらか
村岡ユウ
日本文芸社
2015-05-18

 先日の土日に、わたしの愛用する電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」において、かなり還元率の高いコインバックフェアを実施していたため、ほほう、ならばごっそり買ってやろうじゃないか、と面白そうな本を求めて渉猟していたわたしであるが、結果的に20冊近く買った作品のうち、おっと、これって、確か秋からテレビドラマ化されるアレじゃね? と思って買って読んでみた漫画がある。
 それは、日本人女優の中でわたしが現在TOPクラスに好きな、高畑充希ちゃん主演でドラマ化されるという作品である。あれっ? なんだ、既にスペシャルドラマで放送されていて、秋からは連ドラになるってことか? な~んだ、全然知らんかったわ。

 というわけで、わたしが買って楽しんだ漫画、それは阿部 潤先生による『忘却のサチコ』という作品であります。上に貼った動画を見て、そしてこちらのコミックス(1)巻のカバーをご覧ください。なかなかイイ感じに再現されているみたいですな。

 現在、最新巻は第(10)巻まで刊行されているようで、スピリッツに絶賛連載中らしいが(読んでないから知らん)、とりあえずわたしは(1)巻だけ買って読んでみたところ、大変面白かったので、すぐに(5)巻まで一気に買って読んでみた。これはですね、相当イイすねえ! 主人公・幸子さんがかなり可愛いす。
 物語は、わたしの嫌いな小学館から各巻の1話分が試し読みで提供されているので、そちらを読んでいただいた方が早いだろう。URLをメモっておこう。https://shogakukan.tameshiyo.me/9784091866707
 簡単にお話をまとめると、結婚式当日、というか式の最中に、花婿に逃げられてしまった佐々木幸子さんが、傷心を抱きつつ入った店で食べた飯がウマすぎて、何もかも忘却の境地に至り、以降の毎話、つい、なにかにつけてふと思い出してしまう元彼氏のことを忘れるために、おいしい物をモリモリ喰う、というのが基本のストーリーである。
 幸子さんは、元彼氏のことだけじゃなくて、仕事のイライラを忘れるためだったり、まあ、いろんな理由からとにかく毎回食べまくるのだが、そんな幸子さんの心の葛藤もなにもかもすべて、「おいしい」というご飯への感動とともに忘却の彼方にーーーとなるわけです。そしてそんな、無我の境地に至った幸子さんの表情で物語は締めくくられるのがお約束となっている。↓こんな表情。
sachiko02
 まあ、以上の説明だけだと面白さが全く伝わらないと思うので補足すると、要するに佐々木幸子さんが非常に魅力的な、カワイイ女子なのです。というわけで、主人公・幸子さんについてわたしが知り得たことをいくつか挙げてみよう。
 ◆超ド真面目な幸子さん。
 幸子さんは、中学館という出版社のデキる編集部員(小説誌)なのだが、とにかく何かにつけ大げさなほど丁寧でド真面目であり、まあ、一言で言えばかなり常識からぶっ飛んでいる女子である。その結果、いろいろ不器用なのだが、何事にも過剰に全力投球&ド直球であるため、無法天に通ず、的に、担当している作家先生も、編集部のみんなも、幸子さんのことが大好きなのである。もちろん読者たるわたしも幸子さんの魅力にハマったわけだが、空気を読み過ぎて、一周回って読んでない、みたいな、斜め上の行動を取る、ある意味すっとぼけな幸子さんは大変可愛いと思う。よく会社の椅子に正座して仕事をしていて、作家のためならコスプレも辞さない全力プレーが身上。
 ◆お堅い表情ととろける笑顔のギャップがGOOD
 幸子さんは、基本的に常に全力、であるため、その表情も常にキッ!としていて、常にある種の「怒り顔」ではある。しかし、おいしい物をいただいている時の幸子さんのとろけた表情が大変良いのです。まったく本人に自覚はないと思いますが、間違いなく男なら誰しも、そのギャップにグッとくると思う。もはや変態でサーセン。ちなみに幸子さんの上司たる編集長や、担当しているとある作家も、何かにつけ大好きな幸子さんを狙ってる下心満載の変態だが、まあ、男ならやむないでしょうな。可愛すぎる幸子さんは罪な女ですよ……。
 ◆幸子さんのスタイル&ファッション
 常にタイトミニのスーツに準じる服を着ていて(クローゼットに1週間のローテーションがキッチリセッティングされている)、何気にかなり胸はデカい(一緒に温泉に行った先輩女子編集部員曰く「すっごい美乳」らしい)。まあ、こんな人、小説の編集者にいるわけねーよ、という若干のファンタジー的存在である。髪型は肩にかかるぐらいのボブで、前髪は眉ぐらいでパッツン(に近い)。もちろん黒髪。もう最強に理想的じゃねーか、と思う男は世にゴマンといると思います。もちろんわたしもその一人ですが、残念ながら現実には存在しないことも理解しております。
 ◆幸子さんの好み
 幸子さんは高倉健さんが大好き。とりわけ、『幸せの黄色いハンカチ』が大好きらしい。不器用なんで……。
 ◆幸子さんの家族
 どうも実家暮らしなのかな? お母さんは全く普通な常識人のため、幸子さんのぶっ飛んだド真面目さがやや心配のご様子。母は幸子さんのことを「コッちゃん」と呼んでいて、結婚式の事件以来、大丈夫かこのコは、と幸子さんのことを心配している。まあ、大丈夫じゃないんですけどね。

 まだまだ他にも幸子さんの魅力的なところはいっぱいあるのだが、これ以上書くとどんどん変態度が増すのでこの辺にしておこう。この幸子さんを高畑充希ちゃんが演じるなんて、相当ぴったりというか、かなり期待できるような気がしますね。連ドラ版の放送が大変楽しみにであります。ただ、高畑充希ちゃんが可愛いのは間違いないし、幸子さんにも雰囲気は似てるので最高なんですが、幸子さんの何気にセクシーなBODYは、ちょっと再現するのは難しいかもしれないすな……。

 しかし思うに、最近、こういった「ド真面目すぎてズレている」主人公の漫画や小説をよく見かけるような気がしますね。ま、最近じゃなくて昔からあるパターンというべきかな……。また、本作はある種のグルメ漫画でもあり、いわば『孤独のグルメ』的でもあって、そういう意味では、売れる要素をきっちりと掴んでいる作品なんでしょうな。絵も非常に丁寧できれいだし、取材もキッチリされていて、毎回登場する料理の描写もとてもいいし、非常に漫画力の高い作品だと思う。わたしの大好きな有楽町のロメスパの名店、「ジャポネ」も、たしか「ジャンボ」と名を変えて登場してたすね。「ジャポネ」の大盛りを軽く平らげる幸子さん……これは「ジャポネ」を知ってる人なら、すげえ、と思うと思います。小食のわたしには到底食えない量ですよ、あれは。あと、幸子さんは極めて頻繁に出張で地方へ出かけるのだが、まあ、小説の編集者でここまで出張が多い人はまずいないだろうな……しかしそこを否定すると物語は成り立たないので、ファンタジーとしてまったくアリ、だと思います。
 というわけで、もう(10)巻まで発売されている作品ので、超今さらすぎるけど、わたしはこの『忘却のサチコ』という作品が大変気に入りました。まだ(5)巻までしか買って読んでいないので、この後、果たして幸子さんを振った元婚約者が登場してくるのか、そして(4)巻から登場してきた新入社員のゆとり小僧は、少しはましなガキになっていくのか(今のところ典型的ゆとり小僧のクソガキ)、そのあたりも大変楽しみにしたいと思う。

 というわけで、結論。
 ふとしたきっかけで買ってみた漫画『忘却のサチコ』という作品は、映像化されるだけあって確かな面白さを備え、漫画としての出来も非常にクオリティの高い作品である、と思う。大変面白かったので、続刊も買って読みたいと存じます。そして、幸子さんを演じる高畑充希さんの芝居ぶりも、楽しみにしたいと思う。これは期待が高まりますな。大変結構なお点前でした。あと、最後にこんなことを言うのは超今さらなんですが、本作は、ある意味、男目線からの、こんな女子がいたら最高なんだけどなあ、的な男のためのファンタジー漫画なのかもしれず、女性が読んで面白いのか、正直分かりません。根拠はありませんが、女性が読んだら、若干イラッとする可能性があるかも……どうだろうな……分からないので、女性にはお勧めしないでおきます。以上。

↓ ちょっとこれは、すでに放送されたスペシャルドラマを見ておかないとマズいすかね……超気になるっす。

 連載開始は2003年の3月だそうだから、もう15年も前のことだ。当時わたしは営業部にいて、この作品に関しても、結構な思い入れがあるのだが、先月の末に2年半ぶり? の新刊が出たので、買わないと、と思っていたものの、近年のわたしはすっかり電子書籍野郎になっているため、すっかり買うのを忘れており、昨日、ふと、ヤバイ、そういや買ってねえじゃん、ということに気が付いてさっそく本屋さんでとあるコミック単行本を購入してきた。
 それが『よつばと!』の最新第(14)巻であります。
よつばと!(14) (電撃コミックス)
あずま きよひこ
KADOKAWA
2018-04-28

 この作品に関しては、まあいろいろと言いたいことがあるのだが、それを端的にまとめると以下の2点に集約される。まず第一に、わたしは本作を制作しているよつばスタジオが好きではない。ま、理由はいっぱいあるのだが、電子書籍を出さないことやもろもろの理由はこの際どうでもいい。とにかく好きではない。しかし第二に、制作者がアレである一方で、作品そのものは――実に悔しいことにーー、超・面白いのである。この作品はおそらく誰もが楽しめると思うし、ある意味癒される内容だと思う。なので、いつも、ちっくしょう、おもしれえ……と思いながら読み、いつの間にか頬が緩み、あまつさえ、声に出して笑ったりしている自分を発見して、再び、くそう、とか思ってしまうのである。ええ、分かってます。自分が偏屈で狭量で歪んでいることぐらいは。そんな、ひねくれた心の優しくない冷血人間のわたしでも、このマンガをつまらないとか否定することは決してできないのだ。そうです。この漫画は、認めたくないけど、やっぱり最高に面白いのです。
 帯によると、既にシリーズ累計部数は、国内1,370万部+海外300万部だそうだ。まあすごい数字であるのは間違いないけれど、それでも日本国民全員が知っている国民的漫画であるとは全く思わない。知らない人の方が全然多いのは間違いなかろう。しかしまた、少なくともマンガを読む習慣がある人なら大抵はご存知の作品だろうと思う。なので、もういちいちキャラクターなどは詳しく説明しない。結構Wikiに詳しく書いてあるので、詳細はそちらへどうぞ。どういう物語かを端的にまとめると、5歳児の「小岩井よつば」なるチビっ子の日常を追うだけのもので、そこには劇的な何かがあるわけでもなく、そこら中にある「日常」が描かれているだけのものだ。
 じゃあ、なんでそんな物語がそこまで面白い、とわたしが絶賛するかというと、やっぱりキャラクター造詣がお見事だからというほかなかろうと思う。完全なる自由なふるまいのよつばはもちろんのこと、そのよつばの自由を守る大人たち(子供もいるからよつばより年上の人々というべきか)が、本当にそこらにいそうな普通の人なのに、素晴らしく共感できてしまうのだ。
 まず、よつばは5歳児である。まあ、一般的に5歳児なら幼稚園に通うものかもしれないが、よつばは幼稚園には通っていない。現代社会ではかなり稀なのではないかと思うが、実際のところ幼稚園に行く義務なんぞはなく、在宅で仕事をしている「とーちゃん」こと小岩井葉介が毎日そばにいるので、行く理由も実際のところほぼなかろう。日々、起きて、とーちゃんの仕事を邪魔しながら過ごし、昼飯を一緒に喰って、午後も一緒、そして夕飯を食って寝る。それだけだが、よつばの言動は実に5歳児らしく生き生きしている。
 そして一緒にいるとーちゃんだけでなく、お隣の綾瀬家の人々、とーちゃんの友達のジャンボややんだ、そして綾瀬家の友達の人々や街の人々も、皆よつばを可愛がる。そりゃそうだ。だって、可愛いもの。わたしはいつも、人んちのガキなんぞ可愛かねえ、と思っているが、無責任に数時間だけならば、よつばを可愛いと思えるのは間違いないと思う。そう、恐らくわたしが本作を読んで面白いと思うのは、きっと所詮は人んちの可愛いガキ、という目線で単純に愛でているだけだからなのではないかと思う。ある意味、孫を愛でるおじいちゃん目線なのではなかろうか?という気もするが、まあ要するに、よつばに対して何の責任も負っていない他人だからなのではないかとわたしは感じている。
 冷静に考えれば、やっぱりよつばは幼稚園にやった方がいいんじゃないか、とか、5歳児にしてはもうチョイしっかりしてほしいとか、いろいろなんだか心配になって来るほどよつばは自由気ままな毎日を過ごしているのだが、それを一切感じさせないのは、よつばが可愛いから、と同時に、よつばに対して別に何の責任もない他人だから、のような気がする。
 まあ、実際のところそんなわたしの思いはどうでもよく、ただ読んで、楽しめればそれでいいわけで、今回の最新(14)巻も大変楽しませていただいたのは間違いなく、今回もまた、ちくしょう、おもしれえ、というのがわたしの感想である。
 というわけで、今回の(14)巻に収録された各お話をエピソードガイドとして短くまとめておくか。確実にどんなお話だったか忘れるのは間違いないので。なお、そもそも本書のタイトル『よつばと!』というのは、「よつばちゃんと〇〇」という意味で、各お話のタイトルもそうなっている。
 なお、以下は完全ネタバレですが……別に構わないすよね? いや、構うか。ネタバレが困る人は以下は読まないでください。
 ◆第91話:よつばと「しごと」
 冒頭、ジャンボととーちゃんが何やら荷物を搬入している。それは丸テーブルで、組み立てセッティングする二人。とーちゃん曰く、(よつばと)一緒に座れるし、おしゃれかと思い購入したらしい。そしてここでバリバリ仕事をする、出来る男、を演出したいらしい。それを聞いたよつばもさっそく椅子を持って来て、自分も仕事をするという。よつばの仕事は何だ? と問うジャンボが、よし、じゃあこれをやるといい、と手土産に持ってきたものは、ビーズのセット。それを使って三人はアクセサリーを作り始めるのだった―――的なお話。まあ、とにかくジャンボはイイ奴で、よつばもジャンボは大好き。色とりどりのビーズに心ときめかせたり、とーちゃんにビーズを嫌々?あげる様子など、とてもよつばらしい行動はやっぱり頬が緩みますなあ……。
 ◆第92話:よつばと「ヨガ」
 いつも通り部屋で、新調した丸テーブルで仕事をするとーちゃん。そしていつものように、とーちゃんに絡みついて来るよつば。そんなよつばが突然、ヨガに行ってきていい? ととーちゃんに問う。聞くと、どうやらお隣の女子高生、綾瀬風香ちゃんとその友達のしまうーが無料体験のチケットをゲットしたため、よつばを誘ったのだという。そんなわけで、ヨガ教室へ向かう風香・しまうー・よつばの楽しいヨガが始まるーーー的なお話。子供なので体の柔らかいよつばが、ヨガのポーズを自在にできるのに対し、体の硬い風香としまうーの苦戦ぶり、そしてテキトーぶりが読んでいて楽しい!
 ◆第93話:よつばと「おひめさま」
 童話を読んでいるよつば。なにやらよつばも女の子として、「お姫様」がブームになった模様。髪にビニールひもをながーーく垂らし、どうやらラプンツェルにインスパイアされてるらしい。それを理解できないとーちゃんにおかんむりのよつばは、隣の綾瀬家へ。そしてソファーでまったりしていた綾瀬家の長女で女子大生のあさぎは、よつばを一目見るなり、長い髪してどうしたの、とよつばの意図を理解して、よつばはご満悦。そんなよつばに、あさぎはゴミ袋を使ったドレスを仕立ててあげるのだったーーー的なお話。あさぎは本作に出てくる大人の女性の中で、一番のよつばの理解者だし、よつばも一番尊敬?しているような気がしますね。もちろん一番の美人。
 ◆第94話:よつばと「まえのひ」
 何の「前の日」かというと、次以降のお話でよつばは「とうきょう」へ「こはるこにくるまをもらいにいく」のです。そのため、よつばはいろんな人に「東京に行くならどこへ行くべきか?」を取材しているのです。綾瀬家のお母さんは銀座、あさぎ姉ちゃんは新宿と渋谷、綾瀬家三女で小学生の恵那ちゃんは東京タワー、そして風香は原宿、あさぎ姉ちゃんを迎えに来た虎子は代官山、と様々。そしてとーちゃんがスマホを買ったと知って家にやってきたジャンボは、人がいっぱいいるから迷子になるなと注意し、やんだは東京で一番気を付けるのは自動改札だ、なんて言う。そんな、翌日東京へ行くわくわくのよつばであったーーー的なお話。
 ◆第95話:よつばと「はらじゅく」
 というわけで、とーちゃんと東京へやってきたよつば。やんだに注意されていた自動改札で、ちょっと失敗して落ち込むも、すぐに元気を取り戻し、約束までに時間があるからどっかぶらつこう、というとーちゃんの提案に、ちょうど山手線は原宿に着き、原宿をぶらつくことに。とーちゃんとクレープを食べたり原宿を楽しむよつばであった―――的なお話。よつばのしょんぼりフェイスや怯え顔もイイすねえ。つうか、小岩井家はどうやら西武池袋線?の沿線の埼玉県ようですな。小手指あたりな感じ、みたいすね。
 ◆第96話:よつばと「よよぎこうえん」
 東京に来た目的である「こはるこ」と代々木公園で合流する話。合流するまでのよつばの行動もいちいち可愛い。そして「こはるこ」=小春子で、前巻(13)巻でばーちゃんの口から出ていた人物だが、なんととーちゃんの妹、であった。そして黒髪&眼鏡の大変な美人! そして、小春子が兄に、もう乗らないから、と譲った車はなんとMINIコンバーチブル! マジかよ、なんてシャレオツな車なんだ! まあ、こういう車の選択も、わたしがよつばスタジオを好きでない理由だけど、よかったね、よつば! これでどこにでも行けるぞ!
 ◆第97話:よつばと「ランチ」
 普段よつばが行ったことのないようなところ、として小春子が連れて行ってくれたのは、東京駅近くの高級ホテルのランチビュッフェ(ただしとーちゃんのおごり)。あまりに多くの料理に戸惑い怖がりつつもランチを楽しむよつばであった―――的なお話。そして正月にばーちゃんちでの再会を約し、電車で帰る小春子と別れ、帰りはMINIの屋根を開け、高速を使って帰る二人。これでいっぱいいろんなところへいける、と楽しみだなーと言うよつばで幕でありました。

 というわけで、結論。
 久しぶりの新刊となった『よつばと!』第(14)巻を発売から2週間ほどしてからやっと買ったわたしである。なので結構今さらなのだが、読んでみるとやっぱり面白く、ホント、たまに読みたくなるんすよね、この漫画は。全巻常に本棚に揃えておくべき作品とわたしは思うのだが、マジで電子書籍がないのが残念だ。電子書籍で発売されていたら、常に持ち歩いて、まだ『よつばと!』を知らない人にもすぐに読ませてあげられるのにな。そしてふとした時に、いつでもよつばに会えるのに。その点は残念ですが、まあ、とにかく読んでもらいたいすね。まず間違いなく、誰しも読んで頬が緩むこと請け合いだと思います。つうか、次はいつ発売になるんだろうなあ……まーた2年とか先なんだろうなあ……完結の日が来るのか知らないけど、それまでわたしは生きてないような気がしますな。よつばが小学生になる日は来るのだろうか。ま、生きている限り、孫の成長を愛でるおじいちゃん目線で、よつばの成長を見守りたいと存じます。以上。

↓ 全巻必携でしょうな、間違いなく。あ、こんなセットが売ってら。

 



 先日、わたしが愛用している電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERにて、還元率の高いフェアが開催されていて、なんか面白そうな作品はねえかしら、とあてもなく渉猟している時に、ふと、とあるコミック作品が目に留まり、ちょっと気になった。ので、さっそく試し読みをチェックし、さらに版元の講談社のサイトで3話ぐらいまで読めたので、読んでみたところ、コイツはちょっと先が気になるというか、大変面白そうだ、という判定が下り、すぐさままずは(1)巻を買った。そしてさらにまだ先が気になるんじゃい!というわけで、現状出ている最新巻の(2)巻までを買ってみた。
 その作品は、講談社のイブニングに連載中?らしい、『五佰年BOX』という作品である。ちなみに読み方は、「いほとせボックス」だ。


 まあ、物語は講談社の公式サイトで試し読みを読んでもらった方が早かろうと思うので、URLをメモしておく。こちらです→http://evening.moae.jp/lineup/766
 というわけで、わたしは(1)(2)巻を一気読みしてみたのだが、まだ作品としては序盤であって、いろいろな謎が謎のままであり、わたしとしては大変先が気になる作品だ。
 物語は、主人公の叶多(かなた)という大学生が、隣の家の蔵の地面の下に埋められていた、謎の「箱」を掘り出すことから始まる。そしてその「箱」がもたらす謎現象に翻弄?されてゆく模様を描いた、バタフライエフェクトめいたタイムパラドックスSFなのだが、その謎の「箱」の設定が、いままで観たことがないという意味で極めてユニークなもので、わたしとしては大変興味深く読ませてもらったのである。
 どうやらその「箱」は、まるで水中を見る箱眼鏡のように、500年ほど前の、その場所が、ミニチュアのジオラマめいた光景として、空中から俯瞰してみることができるらしい。しかも、こちらから手を出したりもできるようで、一人の少女が斬られようとするのを、思わず助けてしまったりもできるようだ。ただし、ポイントは二つあって、まず、第1に、箱の中を観ている叶多くんの姿や、思わず手を出してしまった時の叶多くんの手、などは、箱の中の世界の人々からは見えない、らしい。ただし、実験の結果、水や木のような自然物は、そのまま箱の中の世界にも置けるようだ。例えば、火事になっている家に対して箱の外から水をかけてやると、箱の世界では超大雨が降って消火される、みたいな。なので叶多くんに助けられた少女は、何が起こったのかわからない。しかし、どうやら、なにか神様的な力が働いていることを感じ、あまつさえ叶多くんの視線をどこか感じているようで、自らを守る神様的存在がいる、ということを信じるようになる。
 またもう一つの、本作で最も重要なポイントは、「箱の中の世界(=500年前の過去)に干渉するとその影響が現代に及ぶ」という点だ。まだ謎なのだが、叶多くんは少女を守ろうとして野武士めいた男を軽くはたいてしまったために、その野武士を殺してしまうのだが、そのことが巡り巡ったためなのか、叶多くんの隣の家の幼馴染のお姉さんが存在しないことになってしまい、その代りまったく見知らぬ男が幼馴染であったことになってしまう。さらに、そのお姉さんが存在していた「元の現実」の記憶もどんどん薄らいでしまうという事態に陥る。
 というわけで、ちょっとした過去への干渉で現在が変わってしまうバタフライエフェクトが本作の鍵なわけだが、タイムスリップものではよくあるパターンのこの設定も、本作では主人公は一切タイムスリップせず、普通に現在に存在したままの状態である。あくまでその謎の「箱」を使っての過去への干渉であるため、非常にその雰囲気は独特だ。はたして叶多くんは、お姉さんの存在した元の歴史を取り戻すことができるのか? 読んでいて、わたしは大変ドキドキして、これは一体どうなるんだ? と先が非常に気になるのである。どうすか、面白そうでしょ?
 普通、タイムパラドクス的な話だと、過去に干渉しても結局起こる事件は起こるわけで、変えられないパターンが多いと思う。例えば、死んでしまう運命の誰かを助けようとしても、何度やっても結局助けられない、みたいな感じに。この作品がどう進むか全く想像がつかないけれど、この作品では、歴史が変わったという理解ではなく、多次元世界、いわゆるパラレルワールドの方向に話は進む予感だ。箱は、複数の可能性の世界を渡る鍵、のようなとらえ方を現状ではしているみたい。そういう展開は、なんか、荒木飛呂彦大先生の『STEEL BALL RUN』におけるヴァレンタイン大統領のスタンド「D4C(Dirty Deeds Done Dirt Cheap=いともたやすく行われるえげつない行為)」の能力みたいすね。
 また、わたしとしては、わたしが世界で最も大好きな小説家Stephen King大先生の近年でナンバーワンに好きな作品『11/22/63』も思い起こしますな。『11/22/63』は完全にタイムスリップものだけど、あの作品でわたしが一番のカギだと思っているポイントは「過去は変えられることを拒む」という設定で、歴史が変わるようなことをしようとすると、いろいろな謎の妨害が働くという点が非常に面白いすよね。例えば、急に腹が下って大ピンチになるとか、何か決定的な歴史の改変につながる行動をしようとすると、とんでもない事態に陥るのが、『11/22/63』では独特だと思います。
 話はそれたけれど、とりあえず、本作は「買い」でお願いしたいと存じます。これは今後の展開が大変気になりますよ。

 というわけで、さっさと結論。
 ふとしたきっかけで買ってみたコミック『五佰年BOX』という作品は、非常に独特な世界観を持つ、大変先が気になる漫画であった。タイムスリップもののようで若干違うし、改変された歴史を修正しようというよりも、どうもパラレルワールド的な展開になりそうな予感です。そして、きっと今後、「箱」の中に住む少女との交流も描かれそうな気がしますな。いや、まったく当てずっぽなので、全然違う展開になるかもしれないけど、とにかく先が読めないドキドキ感は大変上質だと存じます。結論としては、この作品は面白い、です。「買い」でお願いします。以上。

↓ ホント、ここ数年のKING大先生の作品の中でダントツに好きっす。超面白い。ダンスは人生ですよ!
合本 11/22/63【文春e-Books】
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-10-07

 「倫理」と聞いて、人は何を連想するのだろうか? わたしはそれなりに哲学も学んできた男ではあるが、「倫理」と聞いて真っ先に連想するのは、「人はどう生きるべきか?」的な難問で、要するに正しく良く生きる、道徳的な、何とも言葉に表現しにくいものを思い浮かべる。
 わたしの生きる上でのモットーは、真面目に生きること、そしてまっとうであること、である。これはどうやらもはや周りの人々にもお馴染みになっているようで、わたしは周辺の人々から真面目な男であるという世間体を獲得している、ように思われる。なんというか、わたしは、「それは違うんじゃねえかなあ」と思うようなことや、「それはいけないことだ」というようなことに直面すると、実に気分が悪くなるというか、非常にストレスを感じ、居心地が大変よろしくなくなるのである。なので、やましいことのない、お天道様に顔向けできないようなことはしない(≒なるべくしたくない)、ということを信条として日々を生きている。つもり、である。
 まあ、それが出来たら苦労はないわけだが、思っていても、自分で納得のゆく道を行くのはなかなか難しく、もはやアラフィフのおっさんとなった今でさえ、日々、くよくよするわけであるけれど、わたしが考えるに、そういった信条を抱かないよりも、抱いて、なおかつ、どうあるべきかと常に心に問いただす方がよっぽどましだと思うので、まあ、一応わたしはわたしなりの納得の元に生きているつもりである。
 わたしが残念に思うのは、周りの人々がわたしのことを「真面目だねえ」「すごいねえ」「流石っす」とか評する時、わたしは心ひそかに「じゃああんたもそうすればいいじゃない」と思ってしまう自分にまず嫌気がさすのが一つ。そして、もっと残念に思うのは、わたしをそう評する人々は、わたしを好意的に評してくれても、自分は全く変わらないことである。つまり、わたしが真面目に生き、その様を周囲にさらけ出していても、残念ながらそれが他者の生きざまに影響を及ぼすことが、ほぼない、のだ。
 わたしは既に25年以上サラリーマン生活を送り、その20年以上は部下を持つ身であったけれど、どうもそういった連中ばかりで、わたしはわたしの仕事ぶりを見せつけることで教育してきたつもりだが、まったく力及ばず、であったと反省とともに嘆くほかなく、実に空虚な人生を送っているようにさえ思える。大げさに言うと、これがまさしく「絶望」という奴じゃあないのか、とすら思える。ま、そりゃちょっと被害者意識というか自己否定にすぎるかもしれないし、あるいはひょっとしたら自意識過剰過ぎなのかもしれないな。
 まあいいや。
 というわけで、そんな悩めるおっさんであるわたしが最近買って読んだ漫画にとてもグッと来てしまったので、ちょっと紹介しようと思った次第である。その作品とは『ここは今から倫理です』という作品である。

 主人公は、高校の「倫理」の先生である。その先生が、様々に問題を抱える生徒たちに、ちょっとした道?を示すお話で、大変興味深くわたしはこの作品を味わった。集英社の公式サイトに、第1話の試し読みがあるので、まずはそっちを読んでもらった方が話は早いな。こちらです→http://www.s-manga.net/book/978-4-08-890791-8.html
 今のところ、単行本(1)巻が出ているだけで、宣伝ネームによればTwitterで話題沸騰中、だそうだ。著者は雨瀬シオリ先生という方で、どうやら講談社で連載中のラグビー漫画『ALL OUT!!』という作品はアニメ化もされたそうだ。わたしはまったく存じ上げない先生だが、本作『倫理』は大変面白かったとわたしとしてはかなりのおススメである。
 とりあえず、大プッシュ&宣伝ということで、ちょっとだけ中身をスクショで紹介することをお許しいただきたい。多分違法だけど、無料公開されている第1話からだからいいよね? ダメならすぐに以下の画像は削除します。
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 とまあ、こんな調子で始まる本作だが、高柳先生の趣旨は、非常にわたしの心情に近くて、とても好ましく思えた。曰く、倫理は学ばなくても将来困ることはほぼない。この知識が役立つ場面があるとすれば、死が近づいた時とか、ひとりぼっちの時とか。そういう時、人は宗教に救いを求めたくなるけれど、宗教とは何か。よりよい生き方を考えたり、幸せとは何か、とか、そういったことは、別に知らなくていいけれど、知っておいた方がいい気はしませんか。
 まあ、高校生にそう言っても、確実に通じないだろうし、実際、本作に登場する高校生たちも、最初はピンと来ない。けれど、高柳先生の欠点はあっても揺るがない? ような姿に、だんだんと興味を持ち始め、先生の言葉や先生が引用する哲学者の言葉に、心が動いて行き、行動へ結びついていく。こういう話を読むと、単純なわたしはあっさり、いいなあ、とか思ってしまうのだが、果たしてそううまく行くものなのだろうか。今まで、わたしもかなり努力してきたつもりなんだが……ま、まさか、これはアレか、高柳先生がイケメンだからか!?
 現状の(1)巻を読んだだけでは、主人公の高柳先生が一体何歳ぐらいなのか、そしてどんな過去があるのか、についてはまったく分からない。恐らくは、今は心に傷を負った高校生をいやす存在の高柳先生は、かつて自分もまた心に傷を負い、それを「倫理」によって救われた過去があるのだろう。そして今もなお、「考え続ける」ことで、その傷を克服しようとしているのだろう、と思う。その辺りの過去のお話もきっと描かれるものと期待しながら、(2)巻の発売を待ち続けたい。これは大変いい漫画ですよ。非常に気に入りました。

 というわけで、さっさと結論。
 ちょっとしたきっかけで、試し読みを読み、先が気になったので思わず買った漫画『ここは今から倫理です』という作品は、やけにわたしの心に刺さったのである。それは、おそらく自分の言動が今までまるで他者へ影響を及ぼさなかったんじゃあないかという軽い絶望を感じるわたしが。こうありたかった、と感じたからなのかもしれない。倫理の先生である高柳先生の、とても静かで、そして熱い言葉は、確実に生徒の心に届き、やがて行動に影響を与えるわけで、なんというか、うらやましい? のかな、わたしは。まあ、もはや人生のPoint of No Returnを過ぎてしまったわたしには、大変こころよく、大変グッときました。というわけで、おススメです。はい。

↓ こちらがアニメ化された雨瀬シオリ先生の代表作、だそうです。ちょっと興味が沸いてきたぞ。(13)巻が最新刊のようです。

 以前、とある若者にお勧めしてもらって読んでみたところ、大変面白くて気に入った漫画『僕と君の大切な時間』。

 昨日その3巻が出たので(電子で。紙で同時なのか知らない)、さっそく買って読み、うん、やっぱ面白い、と再確認したわたしであるが、夕方、わたしが電子書籍を買っているBOOK☆WALKERより、一通のメールがポロリンと届いた。曰く、ゲリラコインバックフェアを今日の夜開催するぜ、とのこと。通称「ゲリラコイン」とは、まったくランダムに、(お知らせメール登録者以外には)事前告知なく急に始まるフェアのことで、通常は買い物の度に数%のコインバックがあるのだが、ゲリラ開催時は最大で45%とか、その還元率がグンと上がるわけである。
 えーと、要するにですね、400円のコミックを買うと、180円のコインを返還してくれるわけで、実質220円で買えます、ということだ。ただ、注意しないといけないのは、220円で買えるわけではなく、あくまで400円支払わないといけないわけで、後で使える180円分のクーポンがもらえる、みたいな感じである。ヨドバシのゴールドポイント的な感じですな。おまけにゲリラの場合は。たいてい直近1カ月以内に配信開始したものは除く、という縛りもある。
 しかしわたしは毎月1万円以上BOOK☆WALKERで買い物しているので、この「コインバック」されたコインがばかにならず、統計的に毎月4000円近くもらえており、前月にもらったそれを使うことで、結果的にわたしは毎月6000円ぐらいしか実際に支払っていないのが現状である。
 というわけで、「ゲリラ」のお知らせメールが届くと、よーし、なんか買ったるぜ!的な気分になり、昨日の夜も、なんか面白そうなのねえかなー、とサイトを渉猟することとなった。そして、まったく偶然? の結果、以下の漫画が、わたしの中に潜む何らかの面白センサーに反応したため、まずは(1)(2)巻を買って読んで見たところ、これが大変面白かったので、現状出ている最新刊の(6)巻までを一気買いして読んでみることとなったのである。そのタイトルは『町田くんの世界』という作品である。

 集英社の別冊マーガレットに連載中らしいこの漫画は、いわゆる少女漫画で、わたしの普段の生活においてはまったく縁がないはずだが、こうして電子の世界での出会いもあるわけで、全く不思議な世の中だと改めて思う。
 物語は、おっそろしく不器用な町田 一(まちだはじめ)くんの日常を追ったもので、とりわけ劇的な何かが起こるわけでもない。町田くんは、勉強もスポーツもまるでダメ男だが、とにかく、「ウルトラいい奴」なのである。わたしは、この漫画で、ここまでストレートに描かれる町田くんの行動に、なるほど、世に言う「優しい」ってのはこういうことか、と改めて知らされたような気がしてならない。
 おっと、どうやら今、集英社のWebサイトで、1巻目がまるまる無料で読めるようなので、一応そのリンクを貼っておこう。どうも期間限定だから、すぐにリンク切れになっちゃいそうだけど、まずは読んでもらった方が話は早かろう。→こちらへ

 わたしはおそらくは、世間的に冷たい男としてお馴染みであろう、と思っている。実際、表面的には落ち着いた男としての体裁を保っているつもりだが、心の中ではよく人に対して罵倒しているし、結構な頻度で人を嫌いになる。そして嫌いになった人はわたしにとってはもう視界に入らず、完全にどうでもいい存在になるわけで、そいつが大出世しようが、あるいは死んでしまおうが、「へえ~」の一言で、心には一切のさざ波もたたず、5秒後にはそのことは記憶から失われるほどなのだが、町田くんはまったくわたしと正反対だ。わたしは、「優しい」ってどういうことなのか、実のところこんなおっさんになった今ですら良くわからないでいる情けない中年オヤジなのだが、どうやら、町田くんの思考と行動は、まさしく「優しい」とはこういうことなんだろう、とわたしに思わせてくれるものなのである。こりゃあなかなか凄い漫画ですよ。
 わたしは今まで、世に言う「優しい」ってのは、それって要するに甘やかしてるだけじゃね?とか思ってきたわけで、全然関係ないけど、料理や食べ物に対して「優しい味~」とか言う評を聞くと、「アホか、味に優しいもクソもあるかこのボケ!」とか内心思ってきたヒドイ男である。
 だが、どうやら、この『町田くんの世界』という漫画によれば、どうも「優しい」というものは、「人に対する愛」であり、大げさに言うと「人類愛」的なものであるらしいということが分かった。もちろん、わたしもそれなりに人類愛のようなものは、内心に抱いているつもりだが、それを、ド直球で言葉にし、ド直球の行動に移すこと、がさらに重要なことなのではないかとわたしはこの漫画を読んで感じた。
 ちょっとだけ、ページをキャプった画像を載せておこう。
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 これは(1)巻で描かれる、猪原さんとのシーンだ。町田くんは、とにかく勉強もスポーツもダメだけど、その「優しさ」で周囲に愛されているのだが、町田くんとしてはまったくその意識がない。そして同じクラスの猪原さんという少女と、段々仲が良くなって行く。猪原さんは、元々私立の女子中出身であったが、とあることがあって、高校は町田くんと同じ、ランク的には下の公立高校に通い、現在町田くんと同じクラスである。しかし彼女は、人嫌いで、人を寄せ付けないオーラを振りまいていたのだが……(6)巻現在ではもう、完全に町田くんが大好きでメロメロである。そんな猪原さんが、町田くんを決定的に好きになる、いいシーンであります。
 まあ、このページだけでは全く伝わらないと思うけど、こんなことを言われたら、もう完全に恋に落ちますよ。そりゃあもう間違いないっすわ。
 こんな感じで、町田くんは次々に多くの人の心を撃ち抜いてゆく。そして本人にはその自覚ゼロ(であり、猪原さんとしてはどんどんライバルが増えてヤキモキすることになる)。タチが悪いと言えばまさしくそうだと思うが、まったくの天然であり、町田くんに心射抜かれてしまった人々は、町田くんだからしょうがないし、そうでなければ町田くんじゃない、とさえ思ってしまうわけで、これはもう、本物であろうと思う。

 しかし思うのは、人は、たとえわたしのような冷たい男であっても、人を思いやる心は一応備わっているのに、それを行動に、言葉に表せないのは一体なぜなんだろうか? なんなんだろう……アレかな、いろいろ「先を計算」してしまうからなのかな? 打算……じゃあないな、なんだろう、その自分の言動が及ぼす影響について、その結果を無意識に、瞬時に、脳内で検討しているため、なんだろうか? 実はわたしは、最初のうちは、町田くんのキャラ設定について、そんなに人のことが思えるなら、十分賢いだろうし、勉強だってできるだろうに、なんでこんなキャラ付けにしたんだろう? とか思いながら読んでいた。でも、そうか、「先を考えない」から、ド直球な言動が取れるのかも? という気がしてきたのである。おまけに後悔のようなものも一切なく、見返りも求めることもなく、迷いなし、だ。
 故にわたしが抱いた結論は、ひょっとすると、これが人類愛ってやつか、というものである。これはもはや仏教だろうとキリスト教だろうと、なんでも構わないけれど、ある意味宗教的な根源? に近いモノなんじゃなかろうか、とさえ思えたのである。
 現在の最新刊(6)巻では、とうとう、猪原さんに対して、町田くんは「心がドキドキする気持ち」を理解しつつあり、これが恋なのだろうか? と気づき始めており、今後の展開が大変楽しみである。そして町田くんは現在17歳。果たして彼はどんな大人になるのだろうか? 悪意に満ちたこの世においては、正直若干心配だが、まあ、町田くんはきっと大丈夫であろう。別に何も求めていないのに、誰にでも愛される町田くん。まったくこれはすごいことで、わたしは大変気に入りました。

 というわけで、結論。
 ふとしたきっかけで、買って読んでみた少女漫画『町田くんの世界』という作品は、まるで不意打ちのように、わたしの心に刺さってしまった大変面白い作品である。優しいって、きっとこういうことなんでしょうな。しかしそれが分かっていても、町田くんのような言動を取るのは、おそらく容易ではなく、心がけよう、なんて意識すればそれはもう、違うものになってしまうような気もする。難しいですなあ。生まれ持ってのものなのか、育った環境なのか……性善説・性悪説なんて考えているようじゃあ、町田くんのようにはなれないんだろうな……まあ、わたしも少しは町田くんのように生きてみたいと思います。もう中年だけど、遅くないよね、きっと。大変面白い漫画でありました。以上。

↓ 作者の安藤ゆき先生のことが大変気になったので、こちらも勢いで買いました。大変面白かったです。

 世はお盆休み真っ只中であるが、わたしは全くカレンダー通り出勤しているので、実のところいつからいつがいわゆる「お盆休み」なのか良くわかっていないのだが、今日はまだ電車がガラガラだったので、きっとまだ休みなんだろう。その、お盆休み期間特別セールとして、先日わたしが愛用している電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」にて、還元率の高いフェアを実施していたので、なんか面白いものはないか知らん? とインターネッツなる電脳銀河を渉猟していたわたしであるが、ふと、もう15年ぐらい前にわたしの周りで大層流行っていた漫画を見つけ、おお、懐かしいと思わず目が留まった。紙の単行本では持っているものの、かなりお得に買えてしまうので、ええい、ままよ! とばかりに全13巻を買ってしまった作品がある。
 それが、『コミックマスターJ』という作品だ。

 この作品は、今現在わたしが買い続けて愛読している『ニンジャスレイヤー』のコミック版を描いている田畑由秋先生と余湖裕輝先生の黄金コンビによる結構初期の作品で、後に週刊少年チャンピオンで『アクメツ』という作品を連載されたりしており(『アクメツ』も最高に面白い)、現在連載中の『ニンジャスレイヤー』が面白いと思う人ならば、100%確実に、この『コミックマスターJ』も気に入ってもらえるものと思う。とにかく熱く、漫画好きならば絶対に見逃してはならない作品だとわたしは思う。
 わたしにとって田畑先生と余湖先生の黄金コンビは、完全に翼くんと岬くん並の切り離すことのできないコンビであり、そうだなあ、例えていうならば……いや、サーセン、面白い例えが浮かばないや。ビールに枝豆とか言おうと思って自分で却下しました。とにかくもう、この二人はセットで語るべきであろうことは、お二人の作品を味わい楽しんだことのある方なら同意してもらえるだろう。
 二人が紡ぎ出す作品の特徴は、まず脚本担当の田畑先生による、いちいちグッとくる熱いセリフ、そして作画担当の余湖先生による、ハイクオリティ画力で描かれる絵と大胆なコマ割りで表現される演出力、この3つが極めて高いレベルにあるという点で、それらが高純度に結晶化した作品が、『コミックマスターJ』であり、『アクメツ』であり、そして現在の『ニンジャスレイヤー』に至るまで貫かれているのである。まあ要するに、最高なんです。ええ。
 で。この『コミックマスターJ』という作品がどんな物語か、簡単に紹介すると、主人公「J」は、どんなタッチも再現する最強のコミック・アシスタントで、締め切りに間に合わない作家や出版社の依頼を受けて、助っ人に来るという男で、その依頼料は500万円、依頼するには渋谷駅の掲示板(!そうなんです、この漫画は200年代初頭なので、色々な点で古いのです)に、「コミックマスターJの作品が読めるのは●●●だけ!」と書き残すことで、その●●●の編集部に彼はやってくるという形式になっている。まあ、『Cat's Eye』方式ですな。間違えた、『CITY HUNTER』方式でした。
 そしてJは、「面白い漫画」=「魂のある漫画」でないと依頼は受けてくれず、そこにさまざまなドラマが生まれるわけで、Jが受けてくれた結果、あまりのJのクオリティに自信を無くす作家もいたり、Jに負けじと奮起する作家、あるいは、そもそもJが引き受けてくれなかったことにショックを受けたり、かえっていつかJに認められる作品を描く、と燃える作家もいたりと様々で、まあ、とにかく熱くて最高なのである。J以外のキャラクターも実に魅力的で、基本は1話完結なのだが、以前Jに助けられた作家やJをライバルと認めた作家たちが結構何度も出てきて、そのユニバースは非常に魅力的なものとなっている。
 ちょっと、以下にページの一部を紹介しよう。わたしが何を描いても言葉では全く伝わらないと思うので画像を貼るが、ちょっと引用の域を超えて違法性が高いかもしれない。本作の魅力を伝えるためにお許しいただきたいが、ダメならすぐ削除します。
 例えば、↓ 以下は15年ぐらい前に、わたしの部署の壁にコピーを貼っていたもので、これをよく打ち合わせの時に使ってました。
CJ_moe
 いやあ、最高です! ↑ これは、同人作家が軽い気持ちで商業に転向しようとして失敗し、それまで毎回のコミケでJが買ってくれていたのに、今回は買わない、なぜなら……とその理由を無駄にカッコ良く発表するシーンだ。
 あと、↓ こちらは、とあるダメな雑誌の依頼を断るシーン。カッコ良すぎる! でも公衆電話! 古いww ちなみに、作中世界の三大コミック誌は”合優社”の「週刊少年ダッシュ」、”公蘭社”の「週刊少年マシンガン」、”学書簡”の「少年ストライカー」という名称になっていて、勿論少女漫画誌もいっぱいあります。
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 そして↓ こちらは、Jと唯一酒を酌み交わせることができる、業界一の熱い編集者、”泣きの山下”氏の暑苦しい叫び。
CJ_tamashiida
 こちらは、↓ Jが認める作家が、根を挙げそうになった時、Jが作家を鼓舞するキメポーズ。そう、要するにJは、ブラックジャック的なキャラでもあって、美形で真っ白なコートを着ていて、そのコートの内側には漫画作画道具がぎっしり詰め込まれているという設定になっている。ちなみに、ブラックジャックに対してドクター・キリコがいるように、Jにも「終わらないでずるずる引き延ばしている漫画を終わらせる」男、「ジ・エンド」というライバルキャラも登場します。ホントにもう最高です!
CJ_iwanaidekure
 こちらは、↓ どういうわけか漫画を描くことで世界が破滅しそうになった時(?)、それでも描くのか、何故描くのか、世界を破滅に導いてでも!? みたいな展開になって、それでも描く! というJの熱い宣言。
CJ_dakaradoushidta
 ↓ ラストに引用するのは、物語の前半の大きなお話で、実はJも、アシスタントとしてではなく、自身の漫画を描くという強い野望(?)があって、その漫画が発表されるとすべての文化がクズになる、という作品だけど、描かずにはいられないというJの魂の叫び。もう意味わからないでしょ?
CJ_kakitai
 とまあ、こういう作品です。今の20代の若者はその存在すら知らない漫画かもしれないけれど、30代~40代なら知ってるかもしれない。わたしは「ヤングキング・アワーズ」に連載されていた頃(1996年~2005年)にリアルタイムで読んでいたので、まあ、毎月大興奮して周りのみんなと読んでました。
 そして連載終了から12年経った2017年に今再び、電子版で全巻まとめ買いして一気に読んでみたのだが、やっぱりその熱さとスタイリッシュな作風は色あせることなく、まさしく現在も連載している『ニンジャスレイヤー』の源流はここにあるな、ということが感じられる大傑作であった。久し振りに堪能出来て本当に楽しめました。名言ばっかりで最高です。

 というわけで、なんかもう書くことがないので結論。
 15年ぶりぐらいに全巻一気読みした『コミックマスターJ』はやっぱり名作だった。その面白さは読んでもらわないと全く通じないと思う。しかし、もしわたしが上記に引用したコマを読んで、「なんだこの漫画は!?」とハートに来るものを感じた方は、ぜひ、とりあえず1巻だけでも読んでみていただきたい。最後はまあすごい展開になってびっくりすると思うが、毎回毎回心に響く名言があるので、ぜひ楽しんでもらいたいと思う。以上。

↓ 今連載しているこちらも、大変面白いです。凄いクオリティですよ。

 このBlogで何度も書いているような気がするが、わたしはもう40代後半のれっきとしたおっさんである。わたしの世代は、80年代に中高生だったわけで、要するに、わたしの世代は、ジャンプ黄金時代にジャストミートであり、実際わたしは『北斗の拳』が一番好きな漫画である。以来、30年以上ずっと週刊少年ジャンプを買い続けているわけだが、残念ながら今のジャンプは、あまり面白くない。実際、もはや惰性で買っていると言って差し支えないくらいである。
 そんなわたしが、今、ジャンプで真っ先に読む漫画としてイチ押しなのが、以前も書いた通り『Dr. STONE』という作品だ。今週のジャンプ(2017年第31号)に掲載されているのが第17話なので、まだ連載が始まって3カ月チョイってとこか? 今日、とうとうその単行本(1)巻が発売になったので、早速購入したのである。

 わたしはもはやコミックスは完全に電子書籍野郎にトランスフォームしているので、電子書籍で購入した。ちょっと前までは(?)集英社のコミックスは電子書籍は紙の単行本の発売の1か月後、がお約束だったような気がするが、どうやらすでにもう、同時発売になっているらしい。勘違いかな? ジャンプ作品は最初から同時発売だったのかも。まあ、いずれにせよ、わたしが愛用している電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERでは、発売前に予約しておくと、発売日の0時に配信が始まり、自動的にダウンロードも完了しているため、わたしが朝起きたら既に購入は完了していたので大変ありがたし、である。あれっ!? ちょっと前までジャンプの公式サイトで試し読みが出来たのに、もうできなくなってるみたいだな……アレか、単行本が発売になったからやめたのかな? 集英社もわかってねえなあ……単行本が出たからこそ、ちょっとだけでも読んでもらって、興味を持ってもらえばいいのに。ま、ジャンプというブランドは素晴らしく価値があるけれど、もはやそのブランドを築き上げた人々はいないわけで、今はなあ……。ま、どうでもいいか。
 ※追記:ごめん嘘!ちゃんと試し読みのページあった! ので、URLをメモっときます。サーセンした! http://jumpbookstore.com/client_info/SHUEISHA/html/player/viewer.html?tw=2&lin=1&cid=SHSA_ST01C88118400101_57
 ともあれ。
 とにかく『Dr.STONE』は非常に面白い。原作は『アイシールド21』でお馴染みの稲垣理一郎先生、そして作画は韓国のBoichi先生、というわけで、物語も絵も、きわめてハイレベル、実にハイクオリティだ。わたしとしては少年漫画の王道的な傑作の予感がしている。
 物語は、第1話で、人間(や一部の動物)が突如「石化」してしまうところから始まる。二人の主人公は、それぞれ、石化しても「意識を持ち続ける」とこで自我の消失を防ぎ、3700年後の世界で目覚める。そこは当然文明は失われた「石の世界=STONE WORLD」であり、二人はそこから、文明をゼロから取り戻す努力を始めるが―――というのが物語の大枠だ。あーイカン、全然面白さが伝わらないな……まずはメインキャラを軽く紹介しておこう。
 ◆千空:「知力」担当。幼少期から科学大好きなマッドサイエンティスト的キャラ。言動はちょっと危ない系だが、実に仲間想いの、頼れる頭脳の男。石化中の3700年を、ずっと「数を数えて=時間を計って」過ごし、石化が解けてからは、持てるすべての知識をフル活用してサバイバルに挑む。石化の原理は未だ謎。この千空というキャラは、いちいちカッコイイことを言うのだが、ホントにすごい奴で、かなり胸にグッときます。口癖は「そそるぜこれは!」。そういえば、千空の様々な試行錯誤の様子は、非常に『The Martian』のマーク・ワトニー博士に似ている。
 ◆大樹:「体力」担当。天空の親友で体はデカく、無尽蔵の体力の持ち主。そのため千空からは「デカブツ」と呼ばれている。千空は大樹より半年前に石化から復活していたのだが、大樹の復活は天空による仮説で成し遂げられた。大樹は、石化直前に、大好きな杠(ゆずりは)という女子に告白するところだったのだが、その想いを告げる前に石化してしまったため、3700年間ずっと「おれは絶対、杠に告白するんだ!」と考え続けて石化を耐え抜いた。千空と大樹のきずなは絶対で、お互い完全な信頼を寄せ合っている。
 千空「ずっと待ってたんだよ 大樹 テメーを 100億%生きてるってわかってたからな! 杠に言うって決めた男が 志半ばで たかだか数千年ぽっちふんばれねえような んなタマじゃねえだろ テメーはよ!」
 大樹「ああ もちろんだ!」
 第1話のこのセリフはおっそろしくカッコイイす! そして第2話で、石化を解く薬品の調合に成功し(成功まで1年かかる)、二人の人間が石化から復活する。
 ◆杠(ゆずりは):大樹が大好きな少女。そしてたぶん、杠も大樹が好き。手芸部で手先が器用。もちろん大変可愛い。千空のような科学知識は持っていないが、いろいろと、ちゃんと察することができる頭の回転の速い、賢い女子。
 ◆獅子王 司:杠の石化を解こうとした時に、野生化しているライオン(!)に襲われ、超絶ピンチとなったため、ある意味止む無く杠のための石化解除薬を使って復活させた男。「霊長類最強の高校生」として世間的な有名人で、実際ライオンと素手で闘えるほど。ただし強すぎる司の「武力」は、現状では抑止力がなく危険な存在に―――!?
 第2話での千空のカッコイイセリフは、やっぱり石化解除薬の実験が1年がかりで成功した時のこれでしょうな。
 千空「教えてやるよデカブツ 『科学では分からないこともある』じゃねえ わからねえことにルールを探す そのクッソ地道な努力を 科学って呼んでるだけだ……!! 実験始めて1年――第100何十回目か? 意外と早かったな ククク 地道なもんだ ファンタジーに 科学で勝ってやんぞ そそるぜこれは…!」
 そして司が目覚めた時の、第3話のセリフも、この時は非常にカッコイイ。
 司「詳しい説明は うん ゆっくり聞くよ ただ一つ約束する! 君らにはもう二度と危険って奴は訪れない これからは この俺が戦うからだ!!」

 と、まあ、これ以上はもうネタバレも甚だしいので引用はやめておこう。とにかく熱くてそそりまくる物語であることは間違いなく、絶対のおすすめです。今すぐ読んでいただきたいと存じます。
 ジャンプの連載漫画は、基本的に19ページで、単行本1冊当たり9話収録が基本なのだが、本作は、最初の第1話が50ページ、第2話も25ページかな、ちょっと長めになっているので、今日発売になった第(1)巻は7話収録です。どうやら(2)巻は2か月後の9月発売だそうで、先週号の第16話ぐらいまで収録されるんじゃないかな? 確かに、16話はいい区切りだったかもしれないすね。是非、まずはこの第(1)巻を楽しんでいただきたく存じます。

 というわけで、さっさと結論。
 ここ数年、とみに面白い漫画が減った週刊少年ジャンプだが、今年から始まった『Dr.STONE』という漫画は大変面白い! 物語も絵も、実にハイクオリティで、少年漫画の王道的な傑作の予感がしております。今後の展開もとても気になる作品で、わたしは毎週、真っ先に読む作品であり、超おススメです。SFとしても、非常に出来がいいと思いますよ。心配があるとしたら……物語的にあまり長く続けられる作品ではないと思うので、単行本10巻ぐらいで終わるのがいい、ような気がするけど、どうなるか、そんなことぐらいですな。とにかくこれからの展開が気になります! 以上。


↓ やっぱり、人類の知恵を武器に、過酷な状況と戦うってのは、大変面白いですな。主人公が頭がいいと大変読んでいて気持ちいいす。というわけで、コイツになんだか似ていると思います。最高に面白い映画です。
オデッセイ(字幕版)
マット・デイモン
2016-04-22


 

 週刊少年ジャンプを30年以上買い続けているわたしだが、ここ数年のジャンプは、ズバリ言ってイマイチ面白くない。完全に惰性で買い続けていると言っても差し支えないのだが、そのわたしが今、一番面白いと思っている漫画が『Dr.STONE』という作品だ。まだ始まったばかりで単行本すら発売になっていないけれど、単行本化したら買いだな、と思っている。そしてその作画を担当されているのが韓国のBoichi先生(※原作は『アイシールド21』でお馴染みの稲垣理一郎先生)で、今まで結構多くの作品を描かれているが、わたしの知る限り少年漫画は初めてじゃなかろうか? 大変絵柄もストーリーもジャンプにふさわしい面白さで、実にそそるぜこの漫画は! とわたしは毎週楽しみにしている。一応、集英社の公式Webサイトに第1話の試し読みがあるので、URLをメモっとこう。https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028820742
 で。そのBouichi先生の他の作品を読んでみたいな、という気になったので、先日、まだ単行本2冊しか発売になっていないこの作品を電子書籍で買ってみた。


 タイトルを『ORIGIN』というこの作品、こちらも講談社に第1話の試し読みがあるから、そのURLも書いておくか。http://yanmaga.jp/contents/origin
 こうして試し読みを読んでみると、『Dr.STONE』と同じ人が描いたことは確かに感じられる絵だが、その内容はやっぱり青年漫画であり、タッチも完全にジャンプ的ではない。ずい分描き分けてらっしゃるんですな、と妙に感心?というか、すげえ、と思ってしまう。というわけで、わたしは『ORIGIN』の(1)巻(2)巻を一気に読んでみた。
 お話は、「オリジン」と呼ばれるロボットが人間に擬態して生きており、「オリジン」から派生して製造された8体のロボット(もちろん人間に擬態している)を倒すお話だ。ただし、倒すと言ってもそれは8体のロボットが人間に害を与えるからであり、無害であるなら別に戦う理由はない。というのも、主人公の「オリジン」は、その製作者の父たる博士から「ちゃんと生きろ」という遺言を託され、「ちゃんと生きるって、どういうことなんだろう?」と思いながら生活しているためだ。なので、悪い奴を倒すことも彼にとっては「ちゃんと生きる」ことの一環であり、まったく本人は積極的に8体のロボットと戦いたいとは思っていない。
 ちなみに、「オリジン」君は、父たる博士の遺言をどう理解すればいいのか、ずっと悩んでおり、(2)巻でとある女性を助けた後で、こんな風に考えるシーンがある。
 「この女性を守るために相当な危険を冒した これが「ちゃんと生きていくこと」なんだろうか 俺はまだちゃんと生きていくとは何なのか 結論を下せずにいる 何だろうな もともと俺は生きている存在でもないじゃないか 父さん あなたの最期の命令は 完全に無茶苦茶です 会って一日の女性を守ることが ちゃんと生きることだとは思えないけど ただ そうせずにはいられなかった 俺の中の父さんは 男はそうやって生きていくべきだと思っているから」
 こんな風に考えるロボットである。主人公の「オリジン」君は。そして、その戦いで体はボロボロになってしまったのだけれど、彼は金を稼ぐために会社員になっているので、当然、翌日も出勤しないといけないわけです。なので、ボロボロの体でなんとか家に帰りつき(その帰途の様子が涙ぐましい!)、夜を徹して体を修復し、朝を迎える。そしてこんな風に思う。
 「もう出社の時間だ 今日はもっとたくさんの展開が待ち構えているだろう 間違いなく昨日より大変な一日になるだろう 仕方ない 行ってみよう 父さん 俺は人間たちに中で暮らし始めたばかりです 正体を隠すことも 金を稼ぐことも 兄弟ロボットたちに抗うことも 全て難しいです でも見守ってください やり遂げます ちゃんと生きていきます」
 そして「ガラガラガラッ」とボロい日本家屋の引き戸を開けて、出勤するのである。
 文章だけで、この面白さが伝わるかな……伝わらないか。とにかく、この物語のキモは、その主人公「オリジン」の思考であり、それがちょっと変わっていて実に面白いのだ。彼は非常に頻繁に、「困る……」と生真面目に悩むシーンが多く、その生真面目さがいい塩梅にギャグになっていて、ちょっと笑える物語にもなっている。例えば「オリジン」は、とにかく目立つ行動はしたくないわけなのだが、その有能さとルックスのイケメン具合?から、逆に美女たちの目を引き、やけに目立ってしまうというギャップなんかも笑いどころになっている。
 大変面白い作品だと思う。わたしは非常に気に入った。
 
 というわけで、短いけれどもう結論。
 現在ジャンプで『Dr.STONE』という大変面白い漫画を連載中のBoichi先生の他の作品を読んでみようと思って、買ってみた作品『ORIGIN』は、これまた非常に面白かった。どうやらヤンマガに連載中のようだが、最近はヤンマガを全然買っていないので、果たして現在、毎週ちゃんと掲載されているのか良くわからない(最新号のヤンマガの告知には載ってないみたい)。まあ、そりゃあジャンプとヤンマガの掛け持ち連載は超人でも難しいだろうな……大丈夫なんだろうか……と心配であるが、『Dr.STONE』と『ORIGIN』の両作ともわたしは大変気に入った。単行本は買いであります。以上。

↓ おっと!『Dr.STONE』は7月発売か。でも集英社の電子書籍は1カ月遅れだからな……。Verdammt!

↓ そしてBoichi先生の作品で一番有名なのはこれかな……巻数が多くて手が出せなかった……。

 昨日、25歳の若者と話をしていて、最近の君のおすすめコミックといえば何を挙げるかね? と質問したところ、この作品が今僕が一番好きな漫画です、と教えてもらった漫画があり、ほほう、そうか、ならば! とさっそく電子書籍版を買って読んだのがこの作品である。


 講談社の「デザート」という少女漫画誌に連載中の、『僕と君の大切な話』という作品である。まあ、いつも通り講談社は第1話を無料公開しているので、公式Webサイトでまずは読んでもらった方がいいだろう。1話と2話が読めるようです。こちら→http://go-dessert.jp/kc/bokukimi/index.html
 お、プロモーション動画も公開されているようだから貼っとくか。

 というわけで、第1話・2話を読み、さらに上記動画を観れば、もはやわたしが何も言わなくともどんな作品なのかはお分かりいただけるものと思う。読書好きでクールな東くん(ただしショックなことに成績は悪いことが(2)巻で判明。おまけに眼鏡も実は伊達らしい)。そしてそんな東くんが大好きでたまらない相沢さん。この二人が、帰りの駅でおしゃべりするだけの漫画(正確に言うと学校の出来事なんかもあるので、駅で話しているだけだけではない)、なので、ドラマチックな展開のようなものは、現状ではまだないようだけれど、その会話の内容が大層面白い、というわけである。
 このような作品だと、よくあるパターンとしては、男子か女子のどちらかが、学内カーストで上位に位置するようなモテモテ人間で、他方がカースト底辺のぱっとしないタイプであり、そのギャップがドラマを生むようなお話が多いような気がする。しかし、本作では、東くんもそれなりにイケメンで友達も普通にいるし、相沢さんも、大好きな東くんに対してはかなりのストーカー体質ではあるものの、実際可愛くて問題があるわけでもない。要するにはた目から見ると、実に美男美女カップルで何の問題もないというか、劇的な何かが起こるような気配はないように思う。
 だが……まあ、読んでもらえばわかる通り、何も問題ないはずなのに、どうも二人の想いは交差しそうで、しない。いや、読んでいる読者とすれば、もう完全に二人はイチャイチャしているというか、お互いが大好きであることは確定的に明らかなのだが、二人はお互い、まだ恥ずかしさが勝ってしまって、仲が進展しない。そりゃあそうだ。彼らはまだ高校2年生で真面目で、まったくの子供だし。そんな、初々しいカップルの会話が物語の中心になるわけだが、これがまたものの見事にかみ合わない。そんなギャップというかすれ違いが笑える、という作品である。
 基本的に男の考えと女子の考え方が違うのは当たり前だが、東くんの生真面目な正論が、普通の女子高生の相沢さんに通じるはずもなく、読んでいて実に微笑ましい。相沢さんは、東くんの話を「へんてこ理論」と思っているのだが、わたしは男なので、東くんの発言はいちいちごもっともというか、理解はできてしまう。おそらく、それを相沢さんが飲み込めるようになるには、あと5年か10年は年を取らないと無理だろう。いや、年齢の問題じゃあないか。女子は永遠に理解不能かもしれないな。これは、東くんも同様で、東くんにも相沢さんの主張する女子の気持ちがさっぱりわからない。ゆえに、東くんは、ぼそっとこんな一言を漏らす。これは上記試し読みの第2話からの引用だ。
 「はあ…常々思っていたことだけど やっぱり僕と君ら女性とは同じ星の人間とは思えない」
 普通はこんなことを好きな男子から言われたら、がっくりするだろうし、あるいはカチンとくるのではなかろうか。しかし、相沢さんの素敵なところは、こんなバッサリ扉を閉じられてしまっても、実に乙女らしいリアクションをしてくれるのである。
 「…でも ならどうして拒まないの? 助けてくれたり こうして話してくれたり なんだか期待してしまうわ」
 相沢さん!!! それはね、東くんが君のことが好きだからですよ!! わたしも、多分に東くん的な部分があるような気がするので、東くんに代わって全て解説して教えてあげたくなりますね。当然、東くんだって、相沢さんにそんなにしょんぼりと言われたら、閉じた扉も開きますよ。ここでの東くんの言葉は、非常にカッコイイというか、わたしでもこんなセリフは言えないぞという大人っぽいものだ。
 「…いや そりゃあまあ普通無視はしないだろう(人として) ただ…誰であれ何の話であれ 自分から会話を閉ざすようなことはしたくないんだ 例えば僕と君が違う星の人間だとして それをつなぐのは言葉だろう だったら こちらから閉ざしてしまうのは余りにもったいない それに 相沢さんとの会話は あまりに自分と違ってなんだか面白い」
 まあ、こんな返事をしてもらえたら、相沢さんもそりゃあ嬉しいでしょうよ。そしてこの第2話のラストがとてもイイですな。せっかくいい雰囲気だったのに、あちゃー……! みたいな、とても笑えるナイスなオチでした。こんな感じで毎話大変楽しめます。
 この作品は現在単行本では(2)巻まで発売されているが、この後、二人の会話は学校内でのお昼休みのお弁当タイムに移り、結構キャラクターも増えてくる。そこで描かれる学校内での東くんの様子や、相沢さんのめげない気持ちなど、実に読んでいて楽しい漫画であることは間違いないと思う。特に、2巻で語られる、どうして相沢さんは東くんを好きになったのか、という話はとても良かった。わたしは大変気に入りました。教えてくれたK君、ありがとう!
 最後に、著者ろびこ先生に関して軽くメモしておくか。ろびこ先生は、アニメ化もされた『となりの怪物くん』で世間的には大変おなじみの方らしいけれど、わたしはアニメも観てなかったし原作コミックも読んでいないので、今回初めてろびこ先生の作品を体験したわけだが、実に絵柄も良く、見開きで描かれる二人の空気感も非情に素晴らしいと感じた。漫画力の大変高い、実力派とお見受けしました。お、『となりの怪物くん』は実写映画にもなるんすね。来年公開予定か。大活躍ですな。

 というわけで、さっさと結論。
 わたしより20歳以上若い青年に教えてもらった『僕と君の大切な話』という作品は、ある意味イマドキであり、ある意味古典的な、大変面白い少女漫画であった。こういう漫画を読むとわたしはいつも、あ―おれも共学に通ってたらなーと思う。まあ、男子校には男子校でしか味わえない青春もあるので、別にどっちがいいなんて全く言えないけれど、そうじゃなかった自分の人生、って奴は、わたしのようなおっさんであっても、つい考えてしまいますな。まあ、ノスタルジーってやつですよ。ともあれ、この『僕と君の大切な時間』という作品は大変面白く、今後も単行本を買い続けようと存じます。実に面白い! 以上。

↓ 全14巻か……今から追うのはちょっとハードル高いか……面白そうなので読みたい……。

 先日、このBlogでとても面白かったと記事を書いた『空挺ドラゴンズ』というコミック作品がある。わたしとしては大変面白いと思うし今後の続刊の発売が待ち遠しい作品の一つなわけだが、その著者である桑原太矩先生の他の作品も読んでみたくなり、探したら『とっかぶ 特別課外活動部』という作品があったので、とりあえず、有無を言わさず全4巻をまとめて買ってみた。そして読んでみたところ、これまた大変好ましい漫画だったわけである。

 おおっと!? 今上記に貼りつけるために検索して初めて知ったが、どうも現在はKindle版の(1)巻が無料配布中みたいだぞ!? なんてこった、期間限定なのかな、ちょっと良くわからないが、とりあえずはその(1)巻を読んでみてほしい。
 なお、講談社のコミックは、第1話が無料公開されている場合が多く、本作も公式Webサイトでは読めるようなので、そちらでもいいかも。第1話だけでも、雰囲気や絵のタッチなどは分かってもらえると思う。こちらです→http://afternoon.moae.jp/lineup/222
 で。どうやらこの作品は「アフタヌーン」で連載されていたのかな? 詳しくは良くわからないけれど、全(4)巻で既に完結済みである。お話の方はというと、『空挺ドラゴンズ』が完全にファンタジー世界であるのに対して、こちらの『とっかぶ』は完全に現代高校生を主人公とするもので、まったくファンタジックな要素はない。物語の大枠は、とある高校で問題児を「社会奉仕」させるために臨時で設立される部活、「特別課外活動部」を舞台に、学校やその周辺で起こる事件を解決したり巻き込まれたりするお話で、なんか今までにもそういう漫画があったような、なかったような、そんな物語である。
 こういう作品だと、最近では部室トーク中心のただ面白いことをしゃべるだけの日常系の漫画が多いような気がするが、本作はきちんと事件が起きて、キャラクターたちが生き生きと?活躍するので、退屈なお喋るに終始するものではない。わたしの印象では、小説の「ハルチカ」シリーズに近い印象だ。まあ、あちらは日常系ミステリー風味が強く、本作はあまりミステリー的ではないけれど、とにかく雰囲気は非常に近しいように思う。
 というわけで、キャラ紹介をざっとやって、完全に記憶が失われたときの備忘録としておこう。各キャラ、とりわけ女子たちが大変魅力的でかわいいし、絵柄も非常に好ましく、実に漫画力の高い作品であろうと思う。
 ◆丹ノ宮 沢(ニノミヤ サワ)。とっかぶの部長。1年1組。通称サワ。好物はイチゴ大福、好きな色は赤!と仁王立ちで自己紹介。ヒーローにあこがれ、本物のヒーローになるためにとっかぶに。別に彼女は何か問題児としてとっかぶに入部させられたわけではない。まさしく戦隊ものの「レッド」が似合うリーダー。「丹」とは、もともと硫化水銀であり、その色は赤色であります。とにかく熱い、熱血女子。実際可愛い。
 ◆倉下清大(クラシタ キヨハル)。1年2組。通称くらげ。スパイになるという幼少の頃からの夢があって、もちろんそれは子供の夢と分かっているけれど、いろいろなハイテク装置や頭脳を駆使して、職員室から試験問題を入手し、それを生徒に売っていた。それが見つかって、とっかぶに強制入部させられた。熱い性格ではなく若干斜に構えている様子はまさしく戦隊ものの「ブルー」。ただし巻を重ねるに従ってどんどんイイ奴成分が濃くなっていきます。
 ◆千歳悠緑(チトセ ユウリ)。1年3組。通称ユーリ。金髪・ピアス・反抗的態度など、退学寸前でとっかぶに入部させられた女子。ただし、実はとてもやさしくイイ子なのはお約束通り。この子も、巻を重ねるにしたがって、どんどんイイ子であることが分かります。戦隊ものの「グリーン」は、基本的には(というかゴレンジャー的には)最年少の活きのいい奴、だけど、ユーリはどちらかというとブルー的なクール系な部分が多いような。でも、とにかく優しくイイ子。実は野球が超上手だったり、バレー部の先輩の幼馴染みとの恋心なんかも(2)巻以降で描かれます。
 こんな三人が活躍するお話で、ほかにも生徒会や先生、それからとっかぶで面倒を見ることになったわんこなども絡んでくる。
 ◆サカヤキ:(1)巻で登場してくるわんこ。その模様が、まるで侍の月代(サカヤキ)のようなので、そう命名された。何気に活躍する。
 ◆日野朝里(ヒノ アサリ)。生徒会書記。サワの幼馴染で保育園からずっと一緒。常識人。眼鏡&ショートカットの可愛い女子。子供のころから委員長体質で、しっかり真面目にしなきゃという癖がついているが、小学校の頃のサワの行動を未だに尊敬している。
 ◆丘町珠緒(マチオカ タマオ)。生徒会副会長で校内一のクールビューティーとして名高い。きちっとしている完璧女子でいつもとっかぶにキーッ!! と怒ってはいる、が、やっぱりこの方も大変イイ人。ツンデレ担当。
 ◆篠田路世(シノダ ミチヨ)。先生。通称みっちゃん。まだ20代なのかな、若くて何気に可愛く、面倒見がいい、ので、生徒には人気があるようだけれど、男運ナシ、らしい。チョイチョイ出てくる。(2)巻かな、みっちゃんのアパートに出没するストーカー退治の話が結構面白い。
 とまあ、上記以外にも、当然男キャラもいっぱい出てくる。例えば生徒会長の栄村さんとか、科学部部長の北野さん(通称ホクノー)とか、ちょっと変わり者も多い。
 そして、とにかく絵が上手で大変可愛らしいんすよね。わたしの趣味的には非常に好ましく、カット割りという演出もいいし、実に漫画力は高い。お話は、(4)巻で、強制入部させられていたくらげ君とユーリが、刑期満了(?)ということでとっかぶから解放され、もうとっかぶでいなくてもいいぞ、という展開になって、一人サワが取り残される流れなのだが、最終的な結末は読んでいて非常に爽やかだし、実に青春であって、おっさんのわたしにも大いに楽しめた。大変気持ちのいいエンディングだったと思う。

 というわけで、さっさと結論。
 『空挺ドラゴンズ』が気に入った方には、同じ桑原先生による『とっかぶ 特別課外活動部』という漫画もお勧めであります。ただ、ここまで絶賛しておいてアレですが、感動するとか、超大好き、とか熱烈なおススメではないかも。とにかく爽やかで気持ちのいい漫画であることだけは保証します。たぶん。以上。

↓ なんか、空気感が似ているような気がします。



 昨日、ずっと待っていた(2)巻が、ようやく発売になったコミックを読んで、はー面白かったわ……と満足したわたしだが、基本的にこのBlogでは、一度取り上げたコミック作品は、次の新刊が出ても記事を書かないでいる。のだが、あれっ? ちょっと待てよ? と調べてみたところ、(1)巻を読んだときの記事を書いていないことに気が付いた。
 というわけで、今日は(1)巻(2)巻をまとめてレビューを書こうと思った次第である。実に面白く、絵もいいし、漫画力が大変高い作品である。タイトルを『空挺ドラゴンズ』といい、「龍」の棲む世界で「龍捕り(おろちとり)」を生業とする飛行船乗りたちのお話だ。非常にファンタジックでありながら、細かい設定がきっちりと決まっているようで、世界観が極めてしっかり、ある意味リアルに存在している。そのため、キャラクターたちも、とても溌剌としていて、まさしくその世界に生きており、どことなくジブリ的な空気感がとても様になっているというか、ともかく実にイイ!のである。
 本作は講談社のgoodアフタヌーン誌に連載中だそうで、公式Webサイトで第1話が読めるので、まずはそちらを読んでもらった方が早いな。上のリンクをクリックして読んでみてください。


 さてと。基本的な世界観は前述の通りだが、第1話を読んでいただいたならもう感じてもらえたと思う。そう、この世界で描かれる「龍」及び「捕龍船」は、要するに我々の世界で言うと、鯨や捕鯨船に近いイメージだ。空を飛ぶ「龍」を、「捕龍船」で追い、銛を打ち込み捕らえた龍を解体し、その肉や油を売って生活するわけである。そんな「龍捕り」の面々を描いた物語は、龍の食べ方の料理描写もやけに細かく、ある意味『ダンジョン飯』めいた風味あるし、あるいは空中海賊(空賊?)も出てきたりして、そんな面はとても「ラピュタ」っぽくもある。不思議な漫画だ。(1)巻では基本的にずっと空が舞台であり、昨日発売になった(2)巻では、立ち寄った港町が舞台となる陸(おか)の物語になっているので、この期に(1)巻(2)巻をまとめ買いして是非読んでいただきたいと思う。
 そして登場キャラクターも、まだまだその出自というか、なぜ「龍捕り」となったか、というような過去の話は一切出てこないけれど、それぞれが非常にキャラが立っていて、とても生き生きしている。というわけで、お約束のキャラ紹介をやっておこう。
 ◆ミカ:捕龍船「クィン・ザザ」号のエース龍捕り(おろちとり)ともいうべき、主人公的キャラ。ロン毛無精ひげ。勇敢というより無謀。とにかく、捕らえた龍を「美味しくいただくこと」が最大のモチベーション、のように現状では描かれている。(2)巻では「千剖士」という古くから龍を解体・加工して暮らしてきた一族の人々が出てくるが、その一族の出ではないけれど、その一族と仲がいいことが判明。捕らえる時の勇猛さだけでなく、解体の腕も確か。彼の過去にどんなことがあったのかは、今後語られていくんすかねえ。
 ◆タキタ:見習い龍捕りの女子。明るく元気な娘さん。クルーのみんなからも可愛がられている(?)雑用係。経緯は分からないが支度金として船に借金がある模様。
 ◆ジロー:まだ若い龍捕りの青年(少年?)。背も低い。目がいいので見張り台に立つことも。父が龍捕りだったらしく、父に習った天測も正確。生真面目。何かと突っかかるが、やっぱり彼もクルーのみんなに可愛がられていると思う。つーかですね、クルーのおっさんたちも、いろいろあるけどみんな善人ばかりなんすよね。それがこの作品を大変心地よくしていると思うな。(2)巻では町に住むカーチャという少女と仲良くなるエピソードも大変良い。
 ◆ヴァニー(ヴァナベル):捕龍の腕は船内一の腕利き美女。クールビューティー。曰く、地上に居場所がなかったから、空の飛び方を覚えただけ、だそうです。彼女を「ヴァナベル」と呼ぶのはミカだけで、何らかの二人だけの過去があるのかもしれないすな。超・酒豪で、一切酔わない模様。カッコイイ女性。クールであっても、船内で浮いているとかそういうことはなく、男女問わずみんなから尊敬されているような感じ。
 ◆ギブス:龍捕りのリーダー。のっぽの髭もじゃのおじさん。
 ◆クロッコ:船長代理。そういや船長がいないな。クィン・ザザ号を愛してるっぽい。
 ◆リー:管理長?的な、船内の金庫番。
 ◆カペラ:操舵手の眼鏡女子。背が高い
 ◆ヨシさん:料理長(?)
 ◆ニコ:龍捕りの男の一人。背が高く頭に黒バンダナ(ニット帽?)着用で目が隠れている顎鬚の人。次元大介っぽい風貌。
 ◆オーケン:龍捕りの男の一人。黒髪おかっぱみたいな髪型の糸目の人。
 ◆フェイ:龍捕りの男の一人。金髪。若干チャラい系?
 ◆ソラヤ:龍捕りの男の一人。黒髪。カイさん的な皮肉屋めいた、喧嘩騒ぎにも参加しない系
 ◆ダグ:機関長?のおじちゃん。
 ◆メイン:機関士の女子。黒髪黒目。
 ◆ウラ爺:「千剖士」の長。ミカとは馴染みの仲。盲目。
 ◆ナナミ:「千剖士」の一族の女性。黒髪ロング&三つ編み&太眉。
 えーと、他にもまだクルーはいるようだが(1)巻(2)巻で名前が出てきたのは以上かな。まあとにかく、非常に独特な、物語的にも、絵柄的にも味のある、大変面白い漫画であるとわたしとしては万人にお勧めであります。あ、あと、出てくる「龍」のデザインが、毎回それぞれ独特で、それもひとつの見どころというか、これまでの「龍」の常識とは違う非常にオリジナリティがあって、わたしとしては大変素晴らしいと思った。
 なお、著者である桑原太矩先生については、あまり情報がないのだが……どうやらアフタヌーンで『とっかぶ 特別課外授業』という作品を連載していたようで、こちらはまた全然まったくの現代物で、まるで雰囲気は違うんですな。ちょっと気になるので、次のフェアのときにでも買ってみようかしら。おっと、以下↓これは(1)巻が出た時の桑原先生のTweetだが、やっぱりすぐ重版されたりと結構売れてるんですかね。もっともっと売れてほしいですな!

 というわけで、結論。
 去年、ふとしたきっかけで買って読み、大変気に入っていた漫画『空挺ドラゴンズ』の(2)巻が昨日発売になり、すぐさま買って読んだところ(電子書籍なので、昨日、新刊出ましたよーと勝手にお知らせが来たので、朝のコーヒーを飲みながらすぐさま買った。なんて便利な世の中!)、今回も大変満足の内容で、面白かった。今のところ、キャラクター達の背景はほぼ描かれていないが、そういうのはとりあえず現状ではナシでも十分楽しめると思うし、あまりそういった面にこだわらなくてもいいかなというような気がする。とにかく世界観がしっかりしているし、キャラクターも大変好ましい。今、わたしが非常に続刊を望む漫画の一つであることは間違いなかろう。大変気に入っておりますので、ぜひ! 以上。

↓ 桑原先生のデビュー作はこれか。要チェックかもな……。

 きのう、わたしが愛用している電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」にて、還元率の高いフェア(=買った金額のXX%のコインを還元してくれるフェアで、現在50%BACK実施中につき、買った金額の半額のコインをくれる。来週月曜3/6の朝まで)をやっていて、よーし、この機会にごっそり買ってやるぜ、と鼻息荒く何か面白そうなのはないかしら、と渉猟していたわたしだが、まずは、まだ電子版で買っていなかった、わたしが大好きなStephen King氏の作品をまとめ買いしつつ、おっと、そういやこれは発売当時話題になってたっけな、というコミック作品を見つけたので、とりあえず現状の最新刊まで、まとめて買ってみた。
 タイトルは、『山と食欲と私』 といい、現在は(3)巻までが発売になっている。お、なんだ、次の(4)巻は来週3/9発売らしいですな。


 ご覧の通り、「バンチコミックス」というレーベルで、わたしの嫌いな出版社上位に入る新潮社からの発売だ。まあ、新潮社は漫画の経験はなきに等しいので、単にパブリッシングと販売を担当しているだけなんだと思うが、それにしてもまだ「バンチ」って生きてたんだ、と知ってちょっと驚いた。漫画雑誌がバタバタと休刊になる現代日本においては、とっくになくなった雑誌だと思ってたのである。ただ、どうやらこの作品は、Web媒体にて連載されていたようなので、紙には関係なかったこともさっき初めて知った。
 ともかく。わたしは、タイトルから、どうせまた女子が山でアウトドアクッキングで、最後は「んまーい!」って漫画でしょ? と大変失礼な高をくくっていたのだが、試し読みを読んでみると、どうやら単独行の女子の話らしく、若干孤独のグルメとか、ズボラ飯とか幸腹グラフィティも交じってるのかな? という盛大な誤解を抱きつつ、ま、とりあえず全巻読んでみるか、と買うことにした。なぜなら、わたしも山は常に一人で登る、ぼっち野郎、もとい、単独行の男だからである。
 で、一気に(1)巻から(3)巻まで読んでみた。
 結論から言うと、わたしの趣味にはあまり合わなかったかな、という感想であろうか。
 物語は、基本的に主人公が山に登り(つーかハイキングだな)、山で飯を食うというお話で、その途中での出来事や出会った人、あるいは、登るまでの下界の出来事などが語られていくのだが、ほぼわたしには心惹かれるところはなかった。おそらくこれは、主人公たる日々野鮎美さんにあまり共感するものがなかったためだろう。そしてなぜそうなってしまったのかを考えてみると、それは、鮎美さんの山へ行く動機があまり語られず、なんでまたそんなわざわざ山に登って飯を食うのかが良くわからなかったせいだろうと思う。
 わたしの場合、軽量化は登山において絶対的な正義であると、もはや宗教的な敬虔さをもって信じている。なので、なるべく持ち物は少なくしようとするし、水の2L~1.5Lはもうどうしようもないとして、食料(及び食器)に関してはホントにもう、カロリーメイトやゼリー、あるいは袋のインスタントらーめんぐらいしか持って行かない。わざわざ重いモノをわざわざ山頂へ運ぼうとは、一瞬も考えない。なによりわたしは、とりわけ料理や食べ物にときめかないので、読んでいてもそれほどうまそうに感じない。恐らくは本作の一番のキモであるその点に、わたしは全く感じるものがなかったわけで、なんというか……自分が残念である。
 ただし、それはあくまでわたしが世間一般からズレているだけのことなので、たぶん普通の人が読めば、山にあこがれを抱いたり、鮎美さんの食う飯をうまそうに感じるのだろうと思う。絵も非常にいいし、漫画としては大変良い作品だと思う。
 ただ、あれかな、一話が短いかな……故に単行本も非常にページ数が少なく、普通のコミック系出版社ならこのページ数では単行本にしないのではなかろうか。1冊128Pしかない。恐らく紙の現物の判型はB6判だと思うが、普通ならあと64P足した192Pが標準ではなかろうか。ま、とにかく短くてあっという間に読めてしまうのもちょっと物足りなさを感じてしまうし、少しイラッとしたことに、(3)巻のラストはエピソードが終わってなくて切れ目が悪く、どうやら(4)巻に続くらしい。まあ、こういうところがコミックに慣れていない新潮社ゆえなんだろうな、と感じた。128Pの方か紙採りがいいのかな? B6判だと192Pがベストと以前印刷所に聞いたんだが……。ま、いいや。
 わたしが、この漫画で、唯一、これは分かる、オレもそうだ、と思ったのは、下山したら街で美味いものを喰う、という妄想を抱いて辛い山道を頑張る姿で、わたしも、大抵「山を下りたら肉だ、肉をオレは喰う!! そしてコーラを飲んで盛大にげっぷをする!!」と思いながら下山することが多い。とりわけコーラは、なんか文明社会に帰ってきたぞ的な気持ちが強まりますな。わたしは山には基本的に「水」しか持って行かない。スポーツドリンクやジュース類は重いだけだ。「水」はラーメンも作れるし万一のけがの洗浄にも使えるし、頭からかぶってもいい。山は基本「水」一択である。なので、人工的に甘い飲み物、特にわたしが大好きなコカ・コーラを飲むと、すげえ帰ってきたぜ、という気持ちになるすね。ま、富士登山の時だけ、いつもコーラを持って行きますけど。富士山は数時間なので、山頂で味わうコカ・コーラの感動的な美味さのために、300ml?の小さいペットボトルはいつも持っていくのがオレ・ルールだ。うん、我ながら軽量化命とか言っといて、矛盾してるな。
 
 おっと、ちょっと探してみたら、こんな動画がありました。

 これは…………まったく漫画の世界観と違うというか……なんで鮎美さんがハーフなんだ……。まったく鮎美さんに似てないっつーか、似てなくてもいいんだけど、空気感がまったく違うのは問題だろうな。妙なシャレオツ感が逆にダサいというか……明らかに軽そうなザックがバカにしているというか……17分もあるけど、これは見なくていいや、つーか貼る意味なかったわ……。
 
 というわけで、もうどうでもよくなってきたので結論。
 電子書籍のフェアで買ってみた漫画『山と食欲と私』は、読んでみたところどうもわたしの趣味には合わず、たぶん続刊を買うことはない……かな。いや、3巻がちゃんと終わってないので、4巻が出たら買っちゃうかな……というのがわたしの感想です。ただこの漫画、発売時はかなり話題になって、重版を重ねたらしいので、世間的には高く評価されているようだ。実際、漫画力は高い作品だとわたしも思う。出来れば、もうチョイ1話を長くしてじっくり描いていただければ、と勝手に思った。えーと、ほかには……特にないので終わり。以上。

↓ これが作中に出てくる「メスティン」の飯盒すね。アルミ製かな? 軽量化命のわたしはチタン製しか使いません。

ちなみに、ラージもあります。しかしわざわざ米を炊く気持ちはわからんなあ……

 この、わたしによるまったくどうでもいい駄文を連ねたBlogには、一応Amazonのアフィリエイトがついているのだが、実際何にもしていないので、勿論のことながら、ほぼ収入なんぞはありはしない。別にアフィ目的のBlogでは全くないので、どうでもいいのだが、それでもどういうわけか、月に2~3件の買い物をした人がいるようで、30円~150円ぐらいのお恵みがやって来る。別に要らないのに。ただ、面白いのは、その誰かが買った商品が何か、は知ることができる。どこの誰だか知らない人(勿論個人を特定することはできない)が、「何か」をこのBlogを経由してAmazonで買い物をした、その記録が分かるのだ。 
 というわけで、たま~にしかチェックしないわたしが、先日、Amazonアフィのログを観てみたところ、どこかの誰かが、とあるコミックのKindle版を買ったらしいことが判明した。まったくわたしが取り上げた覚えのない作品だし、そもそもタイトルも知らん作品である。なぜその作品にアフィがつくのか、どういう仕組みになっているのかさえ、実はわたしは良くわかっていない。というわけで、その謎のコミックについて調べてみたところ、おや、コイツは面白そうじゃないですか、と気になったので、さっそくわたしも(アフィには全く関係ないBOOK☆WALKERという電子書籍サイトで)買って読んでみた次第である。 なんというか、お勧めしといてお勧めされた的な、妙な逆転現象のようで、わたしは不思議な世の中だな~、と思ったわけだが、それで買って読んでみたのが↓この作品である。

 お、なんかプロモーション動画もあるから貼っておこう。

 というわけで、去年アニメ映画化されて大ヒットとなった『聲の形』でお馴染みの大今良時先生による、『不滅のあなたへ』という作品である。どうやら週刊少年マガジンに連載中らしいが、とりあえず講談社の公式サイトでは、第1話の試し読みがあるので、そちらを見てもらった方が早いかな。物語のあらすじも、めんどくさいので講談社のWebサイトから引用すると、以下のようなお話です。
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 何者かによって“球”が、この地上に投げ入れられた。情報を収集するために機能し、姿をあらゆるものに変化させられるその球体は、死さえも超越する。ある日、少年と出会い、そして別れる。光、匂い、音、暖かさ、痛み、喜び、哀しみ……。刺激に満ちたこの世界を彷徨う、永遠の旅が始まった。これは自分を獲得していく物語。
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 うーーーん……このあらすじで、物語の想像が出来たらすげえと思う。全く普通はピンと来ないと思うので、やはり第1話の試し読みを読んでいただくことを強くお勧めします。なにしろ第1話と言っても80ページはあるので、超読みごたえがあります。
 ただ、一応言っておくと、まだ第(1)巻であり、お話的に始まったばかりで、当たり前だけれど数多くの謎が謎のままであるため、この第(1)巻だけを読んで、とやかく言っても始まらないような気はする。しかしそれでも、この導入は読者をワクワクさせ、物語世界に引き込む力は大変強く、今後がとても楽しみな作品であるとわたしとしては申し上げておきたい。
 というわけで、現時点での、ポイントとなる謎と、そして絵について以下、備忘録としてまとめておこう。
 ◆物語最大の謎
 ――「球」は何なのか、そして「球」を「この地」に投げ入れた「私」とは何者か?
 まあ、正直見当もつかない。そもそも「この地」がどこなのかも全くわからない。銀河のどこかの惑星のいつかのお話なのだろう。要するに、A long time ago in a Galaxy far, far away......なんでしょうな。「私」についても、神様なのか、高度な文明を持つ異星人なのか、さっぱりわからない。つか、分かりようがない。なのでその目的も、気まぐれなのか何らかの実験なのか、これまた分かりようがない。
 ひょっとしたら、この点については最後まで謎のままで終わる可能性だってあるけれど、まあ、とりあえずは脇に置いておいても良かろうと思う。問題は、その「球」がたどる運命(?)であり、そこにドラマが存在するわけである。
 「球」が、「私」によって、「この地」に、投げ入れられたことから物語は始まるのだが、その性質は「ありとあらゆるものの姿を写しとり 変化することができる」もので、まず最初に触れた、「石」に形状j変化する。そしてその後、その石から苔を写しとり、さらにオオカミへと変わっていく。無機物→植物→生物とうつる中で、オオカミとなって、初めて「意識」を獲得し、痛みや冷たさや匂いを知り、人間――飼い主の少年――に出会うことで物語が広がっていく。その様子がうまく説明できないがとても劇的で面白い。おそらく、それを支えるのは、高い漫画力、すなわち絵とコマ割りだろうと思う。
 ◆物語を支える高い漫画力
 試し読みを読んでいただければわかる通り、大今先生を知らない人であっても、これはきれいな絵だ、と誰しもが思うことだろう。ペンのタッチも非常にイイ。試し読みの第1話はかなり白い絵が多いが、それは雪原を舞台としているので、まあある意味当たり前だ。第2話以降は森が舞台となるし、人間も多く出てくるので、もっともっと描き込みが増える。また、動きも激しくなるので、効果線やカキ文字も増える。そしてコマ割りも、オーソドックスながらしっかり計算されている。やはり、漫画力はとても高いというべきだろう。
 ただ、第2話から始まる「球」と人間との出会いは、今後が全く想像できないし、そもそも人間たちの生活に関しても、どうもアイヌっぽい雰囲気だとかは感じられるものの、現代日本人からすればかなりの異世界感はある。その辺は、第1話で描かれた少年の文化とはまるで違うもので、第1話の少年が白人コーカソイド系だとしたら、第2話で数多く出てくる人々は、明らかに(?)モンゴロイド系だ。そしてどうやら第2話以降の人々は原始的な宗教も持っているようで、そこに、「異物」である「球」がどうかかわって来るか、先が読めないだけに大変楽しみである。
 ◆大今先生のキーとなるポイント――コミュニケーション
 大今先生は、前作『聲の形』でも明らかなように、どうやら「コミュニケーション」を作品の鍵に据えている方らしい。つか、わたしも大今先生の作品は『聲の形』しか読んでいない超・にわかなので、さっきWikiで読んで知っただけなのだが、本作でもやっぱり、「コミュニケーション」は大きな鍵となりそうだ。
 第1話で狼の形を写しとった「球」。当然、少年とコミュニケーションをとることはできず、少年もまた、自分に話しかけているだけだったことを嘆く。ここのシーンはとてもイイすね。そして2話以降で人間の形を写しとった「球」は、勿論のことながら現状では言葉は喋れない。が、ラストで再び狼の姿にフォームチェンジして発する言葉が、非常に重要というか、今後の鍵となることが想像できる。まだ明確に意味を理解しているのかどうかわからないが、一応、自発的に発した言葉。なんというか、こりゃあ傑作の予感がひしひしと感じられますな。大変楽しみです。この作品を読んで、AIの自立発達を想像する人はいないかもしれないが、わたしは何となく、まっさらなAIがどんどんと外の情報を吸収し高度に発達していく様を連想した。チューリングテストのキモもコミュニケーションにあるわけで、コミュニケーションが成り立ったとき、AIは人間を超えていくことになるんだろうな、と思うと、今後の「球」の自意識の発達が大変楽しみであり、若干怖いかも、という気がしました。

 というわけで、短いけれど結論。
 妙なきっかけで買って読んでみた『不滅のあなたへ』という漫画は、まだ第(1)巻が出たばかりだが、非常に今後の展開が楽しみな作品であった。どうも講談社もかなり推しているようで、昨日有楽町線に乗ったらドア上に本作の広告ステッカーが貼ってありました。プロモーション動画まで作ってるし。そういえば、印象的なタイトルロゴは、切り絵だそうですよ。大変美しいと存じます。以上。

↓ タイトルの切り絵を制作したのはこの方だそうです。切り絵って、その技術よりもデザインセンスが凄いすね。
美しい切り絵手帖 2017〈切り絵作家 大橋忍〉
大橋 忍
エムディエヌコーポレーション
2016-10-18
 
 



 

 先日の夜、布団に入ってとある小説を読んでいたところ、元部下のYくんから、ぽろり~ん、とSKYPEメッセージが来た。とあるURLとともに曰く、「パン屋の漫画です。結構面白い」とのことであった。
 なんでそんなメッセージをくれたかと言うと、元々Y君はわたしよりも数倍漫画を読んでいる男であり、かつ、面白い作品があるとせっせとわたしに教えてくれているのだが、本作に限って言うと、わたしがいつも、「あーあ……パン屋になりてぇなあ……」とよくぼやくからである。
 わたしは結構マジメというか本気でベーカリー・カフェの経営を考えており、いつか実現して見せるぜ、と思ってはいるのものの、いかんせんパン知識がまったく乏しい男である。わたしは単純に、焼きたてのパンの香りと淹れたてのコーヒーの香りは、幸せの香りだと本気で思っているので、店をやりたいと思ってはいるのだが、肝心のパンについてはまるでド素人である。 まあ、本気だったらさっさと学校にでも通って勉強&技能を身に付けろ、ではあるのだが、そこに至らないということは、わたしはまだ本気ではないということなのかもしれない。情けなし。
 というわけで、Y君からのメッセージを受信して3分後には電子書籍版を購入完了し、読んだ漫画がこちらである。スクエニのWebサイトでは、第1話の立ち読みも出来るみたいですな。
聖樹のパン(1) (ヤングガンガンコミックス)
山花 典之
スクウェア・エニックス
2016-04-25

聖樹のパン (2) (ヤングガンガンコミックス)
山花 典之
スクウェア・エニックス
2016-10-25

 本誌を買って読んだことがないので知らないが、どうやらヤング・ガンガンに連載しているらしい作品で、そのタイトルを『聖樹のパン』という。結論から言うと、わたしとしては非常に面白かった。とにかく、パンに関する知識を相当わたしに教えてくれる内容になっており、これは大変イイじゃないか、と感じた次第である。
 どんなお話か、ごく簡単にまとめると……
 舞台は北海道の小樽。ベーカリー・ペンションを家族で経営する姉妹が、父が倒れたことで肝心のベーカリー部門が営業できず、パン職人を募集するところから物語は始まる。そして、父の旧知のパン職人(故人)の息子が東京からやって来て、姉妹と仲良くやりつつも 、亡くした父の焼いていたパンの味を求めて切磋琢磨する――的なお話である。
 で、各キャラクターは、以下のような感じです。
 ◆ほしの聖樹(まさき):22歳。東京からやってきた。幼少期に亡くした父はある意味伝説的パン職人。聖樹自身も東京でパン学校に通って、一時パン職人として仕事もしていたが、どうにも亡き父の名前が大きく、大人には「あのほしの君の息子か!」と注目され、同級生・同僚には、「ちっ!親の七光りが!」といじめられ、ということがあって、すっかり人間不信で引きこもっていた若干気弱な青年。母の勧めや、北海道に住む父の古い友人(=姉妹の父)からの誘いもあり、とりあえず小樽にやってきた。そして小樽で出会った善良な人たちに囲まれ、パン道精進のために一生懸命努力中。「人に生きる力を与えるパン」を作るのが目標。そして、結果的に、異常にモテる。出てくる女子キャラすべて(小学生から老女まで)に好意を持たれている。特にイケメンではないが、そのパン道への情熱と優しさゆえ、みたい。
  ◆雪森羽咲(うさぎ):28歳。美人&ナイスBODY。ファンの常連客の男がいっぱいいる。ペンション雪の森の支配人。聖樹のパン職人としての腕を信頼して雇うことに。聖樹のことを可愛い男の子と思っていて、やたらとモテる聖樹目当てにやって来る女性たちにちょっとした嫉妬を感じてしまう。
 ◆雪森桔音(きつね):?歳。羽咲の妹。ペンション森の雪のシェフ。料理学校出身の料理人。若干男らしいサバサバ系クール美人。聖樹のパン職人としての腕を認めている。姉の羽咲を「エロカワ」女子と表現し、時折聖樹が羽咲の無意識のお色気にどぎまぎするのを見て楽しんでいる。
 ◆雪森徳三:?歳。姉妹の父。2カ月前に過労?で倒れて入院。ただし、(1)巻の後半では退院するも、せっかく若い力でペンションを何とかしようと頑張っているため、家には戻らず独自になにやら新しいことを始めようとしている。パン職人としての腕は確か。聖樹の父とは古い付き合いがあったらしい。 
 とまあ、こういう聖樹と姉妹というレギュラーキャラを中心に、毎話ゲストキャラが難問?を持ち掛け、それに聖樹がパンで応える、という展開である。ちなみに、聖樹のパンを食べると、作中のキャラクターは「美味しい……まるでお母さんに抱かれているみたい……」のような幸せな妄想に浸るのがちょっとお約束なのだが、これはジャンプ連載中の『食戟のソーマ』のお約束の「おはだけ」に似てますね。まあ、『ソーマ』の場合は全裸でチョイエロ妄想シーンだけど、こちらの『聖樹のパン』は、服は破れませんw
 そしてこの漫画のもう一つの特徴は、毎話、聖樹のパン知識の説明がすごく、ある意味専門的で文字量も多い点であろうだ。これを読んでいると、聖樹の作るパンは一体どんな味なんだろうと妄想が沸くし、ホント、食ってみてえ!と思わざるを得ない。一部ではこの漫画は夜読んではダメ、まさしく飯テロ、とさえ言われているようだが、ま、わたしは夜読んでも全然平気でした。そもそも、味オンチで子供舌でジャンクフード好きなわたしは、果たしてうまいパンを作れるのだろうかと、そっちの方が実に心配である。
 わたしは、この漫画を読んでいて、北海道でパン屋さん……という連想から、この映画を思い出した。

 これは、わたしが日本人の芸能人で最も愛する原田知世様主演の、『しあわせのパン』という作品だ。詳しくは説明しないけれど、まあ、はっきり言ってちょっと狙いすぎというか現実離れしたおとぎ話めいた空気感が若干鼻につくけれど、知世様は最高だし、悔しいというかうらやましいというか、大泉洋氏の演技もとても良く、実に温かい映画である。
 漫画『聖樹のパン』という作品は、この映画とは全然違っていて、もっと現実的であり、商売としてのパン作りの方がメインであるため、もっとシビアな部分が多い。しかし、北海道でパン屋というのは、わたしにとってすさまじく憧れるもので、両作共にとてもわたしは気に入っている。
 しかし、やっぱり焼きたてのパンの香りと、淹れたてのコーヒーの香りって……これ以上に幸せをもたらすものは、そうそうないんじゃないかという気がしますね。わたしはパンは焼けないけれど、会社で毎朝、コーヒーを淹れるのが日課なのだが、コーヒー道もなかなか奥が深いというか、一筋縄ではいかないですな。もう何年もコーヒーを淹れ続けているけれど、こ、これだ―――!! という納得できる美味いコーヒーを淹れるにはまだまだ精進が必要のようです。パン作りはもっと難しいんだろうなあ……オレ……いつか、パン屋になるんだ……と寝言をほざいているうちは、ダメでしょうな。JOJO風に言うと、「オレはパン屋になるッ!!」なんて決意表明は口にする必要がなく、「オレはパン屋だッ!!」と自信をもって言うのが男ってことですな。まずは決意を固め、そしてとっとと研究に入るべきかもな、もうそろそろ……。

 というわけで、短いけどさっさと結論。
 教えてもらって読んでみた漫画、『聖樹のパン』という作品は、パン屋になりてえなあ、と日頃ぼやくわたしにはかなり楽しめた作品であった。そしてこの漫画は、意外にかなり高度なパン知識もわたしに授けてくれ、その点も大変良かったと思う。でも、普通の人にはどうだろう、ちょっと長いし専門的すぎと思う人もいるかも……。しかし、ホント、焼きたてのパンの香りはなんであんなに、幸せのイメージをもたらすんだろうか。そして、職人としては、自分が作ったパンをうまそうに食ってくれたら、そりゃあもう最高でしょうな。ちきしょう……さっさとそっちに進む決断しろ!オレ!! 以上。

↓ 知世様は永遠にわたしの女神です。誰がなんと言おうと、断じて変わらないす。
 

 わたしのこのテキトーなことしか書いていないBlogでは、基本的に一度取り上げた漫画の次の新刊が出ても、特に記事にすることはないのだが、ここ数週間で買った漫画をちょっとまとめておこう。
 わたしはすっかり電子書籍野郎に変身したので、紙の単行本を買うこともめっきり減ったのだが、それでも紙しか買えないものもあり、そして結構わたしは頻繁に本屋さんに行っているのに、まるでスルーしてしまって、あ! 新刊が出てる!! と、1か月遅れぐらいで気付くこともあって、このところそんな、発売日に気が付かずに慌てて買った新刊もいくつかあった。

 まず、2週間前だったかな、本屋さんで見つけて、おっとマジか、新刊が出てる!! と慌てて買ったのが、柿崎正澄先生による『闘獣士ベスティアリウス』の(4)巻。

 これは(4)巻だけど、以前この漫画の(1)~(3)巻の記事を書いたとき、小学館のサイトでは「完結」となったので、面白いのに打ち切られてしまったのかなあ……と思っていたら、新刊が発売になっていて驚いた。あ、今、小学館のサイトを見てみたのだが、未だに「完結」になってやがるな……こういうテキトーぶりが、小学館は嫌いだよ。
 今回は、また新たなキャラクターが主人公、なんだけど、(2)(3)巻の主人公の彼(&彼女)が出てきて、大変な悲劇が……(3)巻で何とか幸せをつかめたと思ったのに……そして(1)巻の主人公の彼や、翼竜族のデュランダル様もきちんと登場し盛り上げてくれる。お話し的には、次巻へ続く形になっていて、続きが大変気になります。相変わらず美しい画と、泣ける物語で大変満足です。非常に面白かった。なんでも、連載は「サンデーS」で継続中だそうで、まあ、もやは連載誌を買うことはないのだが、単行本化を心待ちにしていたいと思う。
 ちなみに、一応電子書籍でも売っているみたいだけれど、わたしの愛用している電子書籍販売サイトでは、小学館の作品は取り扱っていないので、紙での購入でした。ほんと、小学館は新しいビルを建てて金を遣ってしまって大丈夫なのかな。相当業績は苦しいはずなんだが……。ま、かつての大手も、もはや老いさらばえており、NO Futureであろうと思う。どうでもいいことですが。

 次は、『はじめの一歩』の(115)巻。

 『一歩』も、前巻(114)巻の時にここで記事を書いたけれど、今回は……なんというか……お話し的な進展はほぼなし、でした。でも、本当に森川先生の漫画力は高くて、おそらくは日本最強レベルなのだが……『こち亀』もまさかの完結を迎えた今、『一歩』も最終エピソードにきちんと向かってほしいものだと思う。もういいんじゃないかしら……まあ、今回、とうとう、というかやっと、「デンプシーロールの縦回転(正確には斜め回転)」を身に着けた一歩。鴨川会長もようやく世界挑戦を視野に入れるに至ったわけで、もう、やるしかないでしょう!! わたしとしては完全に惰性で買っていますが、完結まで見届けたい所存です。なお、森川先生は電子書籍に思う所があるようで、それはそれで全然アリな判断だと思います。なので、こちらも紙で買いました。発売をすっかりスルーしてて、店頭で見つけて慌てて買った次第です。

 次。『亜人』の(9)巻。

 正直飽きてきたので、もういいかな……と思っていたのだが、今回はちょっと面白い展開になってきたので、わたしとしては継続購入決定。こちらは電子書籍で発売日に買った。電子書籍は発売になれば必ずお知らせが来るので、やっぱりそんな点も便利だと思う。紙の単行本は(6)巻まで持っているのだが、そろそろ処分するか……。

 次。『スモーキング』の(3)巻。

 こちらも電子にて購入。紙だったら確実に買い忘れているだろうな、という気がしてならないが、きちんとお知らせが来たので有り難し。今回も面白かった。以前ここで記事に書いた通り、独特の絵でお話も殺し屋の話なので、万人受けするのかわからないけれど、わたしは結構面白いと思って買い続けている。

 ラスト。『地底旅行』の(2)巻。
地底旅行 2<地底旅行> (ビームコミックス)
倉薗 紀彦
KADOKAWA / エンターブレイン
2016-09-26

 いやー、いいっすね。大変高品質な漫画です。以前ここで記事に書いた通り、なんでまた「地底旅行」なのか、どうしてネモ船長の方じゃないのか、よくわからないというか、そのチョイスが渋くて素晴らしいのだが、原作のJules Verneの小説のエッセンスを極めて上手に漫画化していて、作者の倉薗先生の力量は実に素晴らしいと思う。この漫画、もっと売れてほしいなあ……。とにかく素晴らしいというか、今現在のわたしのイチオシかもしれないな。面白いです!!

 番外編として、わたしが今読んでいる小説は、こちら。
プランD
ジーモン・ウルバン
早川書房
2016-06-09

 この『プランD』という小説は、「東西ドイツがもし統合されていなかったら?」というIF世界を舞台とした警察捜査ミステリーで、主人公は東ドイツの警察官。現状での結論から言うと、とにかく読みにくくて、なかなか進まず、面白いのかつまらないのかすっげえ微妙。詳しくは読み終わった後で記事にします。非常に文章も読みにくく、固有名詞も多くて、とにかく読むのに時間がかかる。わたしは結構読むのが早い方だと思うけれど、この作品はもうすでに10日間読んでいて、まだ76%ほどしか読み終わっておらず、どうにも集中できないというか……物語に入り込めないでいる。たぶんあと2・3日で読み終わる予定。

 というわけで、結論。
 最近、Blogの更新スピードが落ちていますが、ちゃんと本も読んでますよアピールをしたかっただけです、はい。ホントにサーセン。この三連休はどうもまだ体調が本調子でなく、昨日おとといはずっと寝てました。そして今日は、ちょっと会社に行ったり、このBlogを書いたりして、生きてますのでご安心を>周りの人々。今日は朝イチで、会社に荷物を車で運んだりしてたのですが、どういうわけか都内は警官が多くて、やけにスピード取り締まりをしているのを見かけました。でもまあ、道は空いてて快適でしたよ。しかし、キリッと晴れてくれないと、洗濯物が乾かなくて困りますな……以上。

↓ どうも今は観たい映画がないので、午後は『バチバチ』『バチバチBurst』『鮫島、最後の十五日』を全巻読もうと思います。

 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、いよいよもってわたしが愛用しているAndroid Tabletがですね、どうにも容量がいっぱいで、わたしは電子書籍専用端末として使っているわけですが、もう買った電子書籍が900冊ぐらいになっててですね、全部は到底入らないわけです。なので、読んだら削除しないといけないわけですが、そうじゃねえんだよ、いつ読みたくなるか分からないし、いつでもどこでも読めるから電子書籍の意味があるんだろうが!! とか思っちゃうわけでですね、せっかく買った作品も、読むときにまたダウンロードするのがめんどいわけで、困ったなあ、とここ半年ぐらい悩んでいるわけです。もちろん、『鮫島』や『バチバチ』は、削除しないでそのままにしてあるわけですが、『JOJO』全巻とか、どうやっても入らないのです。はあ……やはり、外部ストレージでMICRO-SDの使えるコイツを買うしかねえかな……と約半年悩み中です。半年前から1万円ぐらい安くなってるし。

 はい。わたしの悩みはどうでもいいとして、今週の週刊少年チャンピオン2016年35号の概況です。
 ■『弱虫ペダル』:ゴールまであと100m、キモー筋くん更なる進化!!! の巻。キモイw
 ■『刃牙道』:ピクル敗北なのかーーッッッ!? の巻。武蔵が強すぎて飽きてきた。
 ■『囚人リク』:一方レノマは脱出に向けてこんなことしてましたの巻。
 ■『少年ロケット』:紫王館ランク戦開始、ヨルゲン君ピンチ!?の巻。
 ■『Gメン』:コンビニ少女が健気で泣けるの巻。勝太、男見せろよ!!
 ■『永遠の一手』:名人VS元名人始まるの巻。
 ■『AIの遺電子』:産業用AIの生涯の巻。ちょっと泣かせますね……面白い。
 ■ 『六道の悪女たち』:六道くん、飯沼くんと友達になる!? の巻。大変よろしい展開です。
 ■『あしたもたぶん会いに行く』。なるほど、1話完結アンソロなんですな。今回も大変いいです。

  とまあ、また面白い漫画が増えてきた週刊少年チャンピオンでありました。
 
 さて。では、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。 
 先週は、とうとう火が点いた【丈影】と鯉太郎のバチバチのぶつかり合いで、土俵上はもう炎に包まれたかの如く熱量が上がったところまででした。今週はその続きです。NHKの解説はこう表現しています。
 「丈影が前に出れば鮫島も押し返す!! 互に譲らないまさに真っ向勝負!!」
 常に冷静な丈影が笑っている姿を見て、土俵を見守る橋くんは「これが本当にあの冷静な丈影か・・・」と驚きの表情です。先輩の山崎さんは言います。
 「アレが鮫島の相撲だ・・・引っぱられているのさ・・・丈影は・・・ここにすべてを燃やし尽くすかのような熱に・・・そしてその引っぱり出した丈影の熱に乗り、鮫島もまた能力以上の力を引き出されていく・・・熱で熱を喰う・・・それが鮫島の相撲・・・」
 そんな山崎さんの言葉に、橋くんは、哀しいと言います。なぜなら、足りない体で懸命に勝利をつかもうとすればするほど体はボロボロになり、休場も余儀なくされるからです。しかし、山崎さんは、「鮫島にはそんな感情・・・微塵もねーんだろーな・・・」と漏らします。
 事実、戦っている鯉太郎は、もう嬉しくてたまらないような表情です。ここのカットはとてもいいですね。これはぜひ、チャンピオンを買って、観ていただきたい絵ですよ。鯉太郎は、その表情で、「まだ・・・まだ・・・もっと・・・もっとだ・・・」と心の中で思っています。そして【丈影】との攻防で、「コイツ・・・やっぱスゲェ」とさえ思っています。一方の【丈影】も、心の中で思います。
 「鮫島(コイツ)の・・・鮫島の相撲だけは認める訳にはいかなかった・・・それは私が見切りをつけた・・・稚拙で愚かな相撲(スタイル)・・・それは形だけ泡影の真似をし、ただただ己の感情をぶつけた相撲(スタイル)・・・だが違った・・・鮫島の相撲は相手を受け止め そして引き上げる度量がある そう・・・それはまるで・・・」
 ここで、【丈影】は、鯉太郎の相撲に一瞬【泡影】の姿を見てしまいます。瞬時に「それは言い過ぎか・・・」と思う【丈影】。否定はしても、とうとう【丈影】が鯉太郎を認めた瞬間ですよ。そして【丈影】は、ついに思います。
 「あぁ・・・楽しいなー 鮫島(コイツ)との相撲は・・・」
 とうとう、相撲の楽しささえも取り戻した【丈影】。その想いを込めた、右肩からの当たりが、鯉太郎の顔面左側にクリーンヒット!! 吹っ飛ぶ鯉太郎!! というところまでが今週の『鮫島』でした。
 最後の【丈影】のショルダーアタックは、かつて一度だけ【泡影】を笑顔にさせた、「あのあたり」なわけですが、それよりも鯉太郎は、大丈夫なのでしょうか? まさか負ける!? いや、負けることも十分あり得ますが、こりゃあちょっと分からないですね。来週がもう待ちきれません!! 果たして来週、どんな結末が待っているか、楽しみに待ちたいと思います。
  というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱【泡影】と同期入門
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってる。
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。モンゴル人。
 
 というわけで、結論。
 今週は、とうとう【丈影】が鯉太郎のことを認めたわけで、かつての相撲の楽しさを思い出した一撃が鯉太郎に炸裂してしまいました。これは……この勝負は来週決着がつきそうな流れですね。もう1週かかるかな……どうだろう。そして勝負の行方も分からなくなりました。はたして中日、鯉太郎は勝ちこせるのか、楽しみすね。以上。

↓ ペダルの新刊は9月みたいですね。映画の『SPARE BIKE』も9/9(金)公開か。

 

 「先月勤め先がなくなった 再就職先など気遣ってくれる口もないではなかったが まあ色々思う所あって 一年間何もせずにいようと決めた」
 こんな出だしから始まる漫画、それが『34歳無職さん』という漫画であり、わたしは(1)巻が出た時から読んでいて、今日(?)発売になった(8)巻でめでたく完結した。
34歳無職さん 8<34歳無職さん> (コミックフラッパー)
いけだたかし
KADOKAWA / メディアファクトリー
2016-07-23

 主人公は女性である。34歳。無職。何もしない毎日をただ追うだけの漫画である。
 だから正直、ヤマ場がない。毎回のオチも実に弱い。おまけに、主人公も、毎日ダラダラしていて、毎日を規則正しく生きているわけでもない。要するに、クソ真面目と周りから言われるわたしが、魅かれる要因はほとんどない、はずなのだが、どういうわけかわたしは、彼女の生き方から目が離せなくなっていたのである。
 それはなぜか、と考えると、やはり、彼女が「真面目だから」であろうと思う。 
 実は最終話まで、結局主人公の名前すら明らかにされなかったのだが、巻を追うにつれて、彼女の謎がいろいろ明かされてくる。どうやらバツイチで、おまけに娘までいるらしいことが明かされたときは非常に驚いた。「勤め先がなくなった」としか説明されていないので、おそらくは会社が倒産した・清算した、ということであり、自分の意思で会社を退職したわけではないようだが、一体なぜ、「何もしないことに決めた」のか。別に、精神を病んだということもなく、心身ともに健康である。離婚がその原因の一つであろうことは間違いないと思うけれど、それ以外は最後まで、一切説明されなかった。ほぼ、投げっぱなしで終わり、である。
  なので、好意的な読者であれば、その余韻を味わいながら、さまざまに感じるものがあるんだろうと思うけれど、わたしはいろいろ不満というか、若干、唖然としてしまった。一体彼女は、何者だったんだろう、と、よくわからないでいる。
 たとえば、わたしがぼんやり考えるのは、「もし彼女の会社がそのまま存続していたら、彼女はどう生きていたのだろう?」ということだ。たぶん、そのまま、なにもなく、つつがなくOLを続けていただろう。そう思うのは、最終(8)巻のラストで、再就職を果たし、「無職さん」でなくなるからだ。
 では、彼女にとって、約1年の無職生活は何だったのだろう。描かれている範囲でいえば、何もない。別に何かをしようともしないし、後に残る具体的なものもない。ちなみに、もちろんというか、男っ気も皆無である。ただただ、毎日を「生きる」姿が描かれるだけだ。
 こうして書けば書くほど、わたしとは対極にある、全く興味を抱かない人物のように思えてくるが、わたしが魅かれたのは、おそらく「何もしないことを決めた」意志の強さだろうと思う。その、意地とも言えそうな「何もしない」ことの徹底さ、そこだけが、実に真面目なのだ。だからわたしは、主人公をそう決意させたものは何なのか、それだけが知りたくて、彼女の毎日に付き合ってきたのだが、結論から言うと、そこは明確には示されない。それは読者自身がいろいろ考えてくれという余地が残るまま、物語は終了した。
 というわけで、正直、わたしはがっかりである。結果論として言えば、その無職生活は彼女に何の変化ももたらさず、何も得るものもないまま、ある意味惰性で再び働きだした、としか言えない。元夫のもとで暮らす娘との関係性も、何も変わらず、ズバリ厳しく言えば、この無職生活の約1年は、完全な無駄だったとさえ言えそうである。
 もちろん、世の「優しい」人々からすれば、それは無駄じゃないのよ、そういう無駄こそが彼女には必要だったのよ、と言うのが現代の優しい世間体だろう。だが、残念ながら私はそういう人間ではないので、そうであるならば、もうすこし、ドラマを描いて欲しかったと思っている。わたしはそういった、優しい風潮には何も思うことがないし、世の中が厳しいことは身にしみてわかっているので、やはりもう少し、2,3の大きな出来事が起きてほしかったのだが、結局は娘との誕生日イベントぐらいしかなかったのは、最終巻まで買って応援していた読者としては、本作のエンディングは、正直、残念だなあとしか思えない。なので、もうこれ以上書くことがない。

 というわけで、もう結論。
 『34歳無職さん』が完結した。ラスト、結局無事に再就職に至る主人公。彼女はこの1年にわたる無職暮らしで得たものは何だったのか。わたしも約8か月の無職生活を経験したことがあるが、まあ、ちょっと甘いだろうな、と思う。現実の世の中は、本当に「無職」には厳しいですよ。ホント、想像してなかったような、世の中の厳しさを味わうことになるんだなあ、というのが、わたしの無職生活で得た教訓であります。わたしのように、全く金に困らなくても、とにかく、世の中は「無職」に冷たいもんですよ。それは、わたしは本当に身に染みました。きっとそのことは、主人公も痛感したことだと思います。以上。

↓ いけだ先生のほかの作品もちょっと読んでみたい、とは思ってる。これはアニメ化されたらしいすね。
ささめきこと 1<ささめきこと> (コミックアライブ)
いけだ たかし
KADOKAWA / メディアファクトリー
2012-12-01

 

 おとといの夜、そう言えば、わたしの愛する電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」から、40倍コインバックフェア開催中!! という内容の告知メールが来ていたっけ、と思い、今月はもう結構買っちゃったからなあ、どうしようかしらん? と、サイトを眺めていたところ、元部下のYくんから、SKYPEメッセージがポロリ~ンと来た。
 Yくん:「ビームコミックスの地底旅行が懐かしいやら、よくかけているやらで」
 わたし:「ジュール・ベルヌですか?」
 Yくん:「YES」
 わたし:「おっと!」
 Yくん:「http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB01000017010000_68/
 わたし:「いつぐらいだったかなぁ・・・だいぶ読んだね。」
 わたし:「おお、これはいい絵ですね」
 わたし:「でも、あえて「海底」じゃなくて「地底」なのが渋いすなw」
 Yくん:「ですよね!」
 わたし:「ふつうはネモ船長だろうに・・・w」
 Yくん:「「80日」でも「海底」でもないという・・・」

 というわけで、よっしゃ、購入しましょう、とその場で買った漫画が本日のネタである。
地底旅行 1 (ビームコミックス)
倉薗 紀彦
KADOKAWA/エンターブレイン
2016-03-25

 タイトルからわかる通り、かのJules Verneの小説、『地底旅行』のコミカライズ作品である。
 ホント、なぜ今、Verneなのか、さっぱりわからないし、なんでまた、『海底2万里』ではなく『地底旅行』を漫画化しようと思ったのか、まったくその意図は理解できないが、驚くほどクオリティの高い漫画で、これは大変、これから先が期待できそうだ。まあ、まずは試し読みを読んでもらった方がいいかな。上記の、わたしとYくんの会話で出てくるURLに、サイトをリンクしておいたので、そちらをクリックすれば、第1話54ページが読めるので、気になった方はぜひ、まずはその第1話を読んでみていただきたい。

 今、本棚を漁ったのだが、探してみても確かに持っていたはずのVerneの作品群が見当たらないので、原作小説との比較はしていないけれど、冒頭の謎の「ルーン文字」のくだりは、確かに原作小説もこんなだったなあ、と懐かしく読んだ。 漫画としての力量も大変高く、まだ(1)巻なのであまり物語は進まないといってもいいと思うけれど、非常に読み応えのある作品に仕上がっている。
 物語はもう、今更説明する必要はないだろう。時は1863年。19世紀半ばのドイツから物語は始まる。リーデンブロック教授が入手した古文書に挟まれていた、16世紀の錬金術師サクヌッセンムのメモ。その暗号を甥のアクセルとともに解読し、「アイスランドの火山から地球の中心へ降りていくことができる」ことを知ったリーデンブロック教授と甥のアクセルの冒険のお話である。ま、Disneyの「センター・オブ・ジ・アース」の原作と言ったほうが、わかる人は多いのかな。何回か映画にもなってるしね。
 というわけで、大変おなじみの物語を、とても「今っぽい」絵柄で描くこの作品は、売れているのかわからないけど、その題材選択としい、非常に応援したくなる漫画であった。なにより、面白いし、絵も非常に好感が持てる。「今っぽい」といっても、ありがちな、萌え系とは全く違う、極めて高い実力のもとに描かれた、王道の漫画だ。
 作者の倉薗紀彦先生は、正直その名を見ても、知らない作家だなあ、と思っていたのだが、調べたら、わたしとしては久しぶりの再会で、以前、「コミック電撃大王」において『三島凛は信じない』という作品を連載していた方だった。なんだ、『三島』を描いた方だったのか、と知って、倉薗先生の名前を忘れていたのはたいへん恥ずかしいというか、ホント申し訳ありませんでした。ちなみに、『三島』も大変面白かったです。

 しかし、つくづく思うのは、現代日本の漫画事情である。
 普通、漫画は、どこかの「コミック雑誌」に連載されて、のちに単行本となって発売、というのが、ひとつのビジネスモデルとなっている。「週刊少年ジャンプ」のように、数百万部発行している雑誌なら事情は違うかもしれないけれど、ほぼ全ての「コミック雑誌」は、それ単体で見れば赤字だし、単行本の稼ぎでその赤字を帳消しにするのが、まあ普通だと思う。
 で、本作、『地底旅行』の場合は、連載誌(? 実際に連載されているのを見ていないので良く知らない)である「月刊コミックビーム」は、おそらくまったく売れていない状態なので、まあ普通の本屋さんでももはや見かけることが少ないのが現実だ。確実に、雑誌単体では赤字であろう。なので、『地底旅行』をはじめとする連載漫画の単行本が売れないと困ってしまうのだが、果たして大丈夫なのか、余計なお世話の心配が募る。
 なぜそんな心配をするかと言えば、売れてくれないと「続きが読めない」からだ。
 で。
 今作のような質の高い漫画が世に知られる機会は、もはや非常に少ないと思うが、今は出版している版元が運営するWebコミックのサイトでも公開しているので、一応はそちらでも読める。
 たいていのWebコミックサイトは、紙の本が出版された後は、その部分の公開をやめてしまうのが常だが、この作品も、現在はWebで読めるのは第1話だけになっている。それはまったく構わないけれど、もうコミック雑誌は完全にビジネスとして成り立つものでないのは前述の通りなので、それならいっそ、電子でもう少し公開幅を広げて、Web上のプロモーションを本気でやればいいのになー、と他人事ながら思ってしまうわけである。
 ええと、何が言いたいかと言うとですね、本作は大変クオリティが高く、面白い(まだ序盤なので「面白くなりそう」と言っておいた方がいいかも)のに、全然世に知られてなくて、売れてなかったら残念だなあ、ということです。電子でやればいいじゃん、という事を書いたけど、もちろんそれもそう簡単なことではなく、広大なインターネッツという銀河において知らしめる方が、より難しいのかもしれない。もちろん、積極的に面白い漫画を欲して探している人の目には止まるだろう、そして、そんな人々にとっては、そりゃあ全く売れていない紙の雑誌での連載よりも、Webで公開している方が目に留まりやすいとは思う。しかし、それでもインターネッツなる銀河は広大なわけで……妙案はないんすかねえ。

 というわけで、もう結論。
 倉薗紀彦氏による『地底旅行』は大変クオリティが高く、おススメです。が、まだ物語が序盤の序盤なので、今のところは、あくまでJules Verneの小説、『地底旅行』を読んだことのある人、向けかも。最後まで描き切ってほしいですな。これからずっと応援したいと思います。しかし、こういった、世界の名著的な小説をコミカライズするって、絶対アリですよ。わたしとしては、たとえば日本で大変人気のある(あった、というべき?)、Hermann Hesseの作品なんて、女子向けに本気のクオリティでコミカライズしたらウケると思うんですが、いかがでしょう? 以上。

↓ そうか、まだパブリックドメインになってないからダメか。これなんて絶対少女漫画向けだと思うのだが……。
デミアン (岩波文庫 赤435-5)
ヘルマン・ヘッセ
岩波書店
1959-04-05
 

 連載開始が平成10年(1998年)第14号の週刊少年ジャンプなので、なんともう18年前の話だ。
 冨樫義博先生による、 『HUNTER×HUNTER』のことである。
 わたしは連載の初めから、毎週ジャンプで読んでおり、大好きな漫画の一つだが、長期の休載もあって、 現在のジャンプでもたしか10週ぐらい前から2年ぶり? ぐらいの連載が始まり、それに合わせて単行本の最新刊も発売になるという、ちょっとした事件と言ってもいいぐらい、今、わたし的に久しぶりの『HUNTER』熱が高まっている。ただし、今週号の2016年第31号をもってまたも休載にはいるようなので、次に読めるのはまた当分先、になる。まあ、次の単行本(34)巻分の話はたまったと思うので、次の(34)巻の発売は、次に再び連載が開始される頃、になるのだろう。今年中に再開してほしいところだけど、どうかなあ……。

 ↑これが最新巻の(33)巻。
 そして、すっかり電子書籍野郎に変身した今現在のわたしは、果たして最新刊(33)巻を電子で買うか、それとも、従来通り、全巻ずらりと並べるために、最新刊も紙で買うか、実は3日ほど悩んだ。
 出した結論は、「もう、電子書籍で1巻から全部買い直して、最新刊(33)巻も電子で買っちゃえばいいじゃない!!」 というものだったので、カッとなって全巻電子で買い直し、久しぶりにまとめて全巻読んで、大変満足している。いやあ、やっぱり抜群に面白い。
 というわけで、もはや『HUNTER×HUNTER』の面白さを語るのは超今さらだし、もうアニメ化だって、いつだろう、1999年2011年か、2回も実現しているので、あまり意味もなかろうと思う。なので、今日は自分用備忘録として、各巻の連載年代と内容をちょっとまとめて、あとで、アレは何巻だっけ、と振り返る際に役立つメモとしておこうと思う。何度も言いますが、やっぱりまとめて一気に読むと、ホント、この巻で今日は寝よう、と思っても、ついもう一冊、みたいに止まらないね。最高です。 
 さてと。じゃ、行ってみるか。たぶん、いろいろネタバレです。
 ※22/23とか4/5とかスラッシュは合併号で、一部適当(想像)。
 ※抜けているのは、当然いわゆる休載っす。

 <ハンター試験編>
 【1巻】:1998年(H.10)14,15,16,17,18,19,20,21号掲載分。
    1次試験最中。ヒソカが霧に紛れて殺しを始めるまで。
 【2巻】:1998年(H.10)22/23,24,25,26,28,29,30,31,32号掲載分。
    3次試験最中。トリックタワー攻略中。
 【3巻】:1998年(H.10)33,34,35,36,37,38,39,40,42,43号掲載分。
    4次試験最中。イルミがヒソカの前に現れるところまで。
 【4巻】:1998年(H.10)44,45,46,47,48,49,50,52、1999年(H.11)4/5号掲載分。
    最終試験最中。イルミがキルアに正体現すまで。
 【5巻】:1999年(H.11)6,7,8,12,13,15,18号掲載分。
    ハンター試験終了~ゾディアック家訪問~天空闘技場まで
 <天空闘技場編>
 【6巻】:1999年(H.11)19,20,21,22,23,24,25,26,30,32,37/38号掲載分。
    天空闘技場にて、ヒソカVSカストロ戦の決着まで。
 【7巻】:1999年(H.11)39,40,42,43,44,45,46,47,48号掲載分。
    天空闘技場終了まで。
 <ヨークシン・オークション編>
 【8巻】:1999年(H.11)49,50,51,52、2000年(H.12)1,2,3/4,5/6,78号掲載分。
    ゴン&キルアがまずゴンの家に行き、ミトさんから、ジンの残した
    「G.I」の指輪とセーブデータをもらい、「G.I」のために、ヨークシン・
    オークションへ。そしてそこで幻影旅団がノストラード一家の
    用心棒を虐殺するところまで。
 【9巻】:2000年(H.12)10,11,12,13,14,15,16,17,18,19掲載分。
    クラピカがウヴォーを拘束し、クラピカの念能力が明らかになるところまで。
 【10巻】:2000年(H.12)20,21,22,23,24,26,33,34,35,36,37,38号掲載分。
    幻影旅団に捕まったゴン&キルアがノブナガの前から逃げ出すところまで。
 【11巻】:2000年(H.12)39,40,41,42,43,45,47,52、2001年(H.13)2号掲載分。
    クラピカが鎖の「制約と誓約」を語るところまで。
 【12巻】:2001年(H.13)3/4,5/6,8,9,11,12,13,16,17,18,19,20号掲載分。
    クロロを助けるか、幻影旅団内部で意見がぶつかり合ってまとまらないところまで。
 【13巻】:2001年(H.13)21/22,23,24,25,28,29,30,31,32,34,35,38号掲載分。
     無事G.Iの世界へ。ゴンが先にG.I.のスタート地点へ、まで。
 <グリード・アイランド編>
 【14巻】:2001年(H.13)44,45,46,47,48,51,52、2002年(H.14)3,4/5,6/7,8,9号掲載分。
    殺人鬼ビノートルを相手とした修行完了まで。
 【15巻】:2002年(H.14)11,12,14,15,16,18,22/23,24,25,32,33,34号掲載分。
    順調にカード集めも進んで、 ボマーが動き出す直前まで。
 【16巻】:2002年(H.14)36,37,38,39,41,42,43,44,46,48,49,50,51号掲載分。
    いよいよレイザーとの戦い。ゴレイヌがレイザーに一発かますところまで。
 【17巻】:2002年(H.14)52号~2003年(H.15)1,2・3,4/5,6/7,8,9,10,12,13,14号掲載分。
    ゴンVSボマー開戦まで。
 【18巻】:2003年(H.15)15,17,18,20,21,22,23,24,26,27,28,30,31号掲載分。
    G.I.クリア、ジンの元へ、と思ったらカイトのもとへ行ってしまい、
    キメラ・アント編開幕まで
 <キメラ・アント編>
 【19巻】:2003年(H.15)32,34,35,37/38,39,40,42,43,44,45,47,48号掲載分。
    ピトーがカイトの切断された頭部を抱いているところまで。 
 【20巻】:2003年(H.15)49,51,52、2004年(H.16)1,3,4/5,6/7,9,10,11,13,14号掲載分。
    キルアVSシュートの戦いが始まるところまで。
 【21巻】:2004年(H.16)15,17,18,22/23,30,32,34,35,37/38,40,46,47号掲載分。
    ゴン・キルア・ナックル・シュート・モラウ・ノヴが集合。
    各自作戦に出動する直前まで。
 【22巻】:2004年(H.16)51,52、2005年(H.17)1,3/4,5/6,8,9,10,12,14号掲載分。
     一人戦うキルア、フラッタの監視を振り切れずイラつくところまで。
 【23巻】:2005年(H.17)17,19,20,21/22,24,25,26,28,29,30,32,33号掲載分。
    ヂートゥの念空間にとらわれたモラウ、楽勝決着直前まで。
 【24巻】:2005年(H.17)34,36/37,38,39,41,42,46,50、2006年(H.18)8,9,10,11号掲載分。
    宮殿突入まであと10分! まで。
 【25巻】:2007年(H.19)45,46,47,48,49,50,51,52、2008年(H.20)1,2号掲載分。
    ネテロ会長とゼノ突入、王と共に宮殿を離れる直前まで。
 【26巻】:2008年(H.20)14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24号掲載分。
    キルアのナルカミが炸裂して、シュートがユピーに一発かますところまで。 
 【27巻】:2008年(H.20)45,46,47,48,49,50,51,52、2009年(H.21)1,2号掲載分。
    ネテロ会長が王に、「ワシに勝ったら名前を教えてやらんでもないぞ」、まで。 
 【28巻】:2010年(H.22)5/6,7,8,9,10,11,12,13,14,15号掲載分。
    ネテロ会長死亡、王、辛くも復活、ゴン、ピトーを連れてカイトの元へ、まで。
 【29巻】:2010年(H.22)16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26号掲載分。
    ユピー死亡、王、記憶を取り戻しそうなところまで。
 【30巻】:2011年(H.23)35/36,37,38,39,40,41,42,43,44,45号掲載分。
     キメラ・アント編の結末から会長選挙編開始まで。
 <会長選挙&ゾディアック家インナーミッション編>
 【31巻】:2011年(H.23)46,47,48,49,50,51,52、2012年(H.24)1,2,3/4,5/6号掲載分。
    選挙は上位4人に絞られた。キルアはイルミに立ち向かうところまで。
 【32巻】:2012年(H.24)7,8,9,10,11,12,13,14,15,16号掲載分。
    ゴン復活、選挙終了、そしてビヨンド登場まで。
 <暗黒大陸編>
 【33巻】:何年何号掲載分か、書いてない!! 今回の連載再開1話目まで(33)巻には収録
    お話は、暗黒大陸へ向けてのさまざまな動き。
    ジンがビヨンドチームに加入、そしてレオリオとクラピカが
    「十二支ん」に加入、クラピカは第14王子の護衛として潜入!!
    まで。 

 こうしてみると、特に長い休載になったのは、【24巻】と【25巻】の間と、【27巻】と【28巻】の間、【29巻】と【30巻の間】、そして今回の【32巻】と【33巻】の間、ってことになるのかな。意外と、重要な部分は連続で連載されて一気に片を付けてる印象もあるんだなあ。わたしは特に、<グリード・アイランド編>が好きっすね。あれは本当に素晴らしい傑作だと思う。あと、連載時は(とにかく文字が多いので)結構読み流した、<会長選挙&インナーミッション編>も、改めて単行本で読むとかなり興奮しますね。実に面白い。
 まあ、毎週読んでいる身としては、間が空くと、まーた休載か……としょんぼりだけれど、単行本でまとめて読むとホント、散々待たされたことなんてすっかり忘れて楽しめちゃうもんだな、と改めて実感した。
 それは、結局のところ、面白いから、ですべて片付くことであり、まあ、実際わたしとしては、長い休載があっても、ちゃんと待ち望む、善良な読者でいるつもりです。
 しかしなあ、わたしの周りには、「キメラ・アント編」で終わらせればよかったのに説を唱える人もいるけれど、それだとゴンが、アノ状態のままになっちゃうし、わたしは全然、まだ続く「暗黒大陸編」も大歓迎です。ただ、わたしは「キメラ・アント編」を読んでいる時、ゴンを治すためにふたたびキルアが「G.I.」に行って、「大天使の息吹」を獲得してそれを使うのかと思ってました。そして今のわたしの目下の心配は、冨樫先生の『幽遊白書』のラストのように、「暗黒大陸編」がごくあっさり、終わっちゃうんじゃないだろうな……という点だけです。アレはアレで、別にアリですが。

 というわけで、いい加減長いしまとまらないので結論。
 冨樫義博先生による『HUNTER×HUNTER』は大変面白い漫画です。連載開始時に生まれた人がこの夏もう選挙権取得ですよ。恐ろしいというか、まさしく光陰矢の如しですなあ。まあ、次の連載再開を楽しみに待っていたいと思う。今年中の再開は……まあ、ないんだろうなあ……。やれやれ、です。以上。

↓ こちらも大変面白い。全2冊なので、つい電子書籍で同時購入してしまった……。

 もう単行本で100巻を超えている漫画は、日本に何作品ぐらいあるのだろう?
 ジャンプの『こち亀』、あるいは『ゴルゴ13』。他にどんなのがあるのか、どうやって調べたらいいかもちょっとすぐには思いつかないな……。 あれっ!? すげえ、さすがインターネッツという銀河には何でも情報が転がってるものだなあ。今、Google検索で、「漫画 100巻」というワードで検索してみたら、ごくあっさり、「100巻以上刊行している漫画作品」というWikipediaの記事を見つけた。この情報が正しいのかどうか、確かめるすべはないけれど、これよると、どうやら13作品あるみたいですな。そのうち現在も連載している作品が7作品だそうです。詳しくは、リンク先を見てみてください。 
  というわけで、今週わたしが買った漫画は、週刊少年マガジンに連載中の森川ジョージ先生による『はじめの一歩』第114巻であります。いや、実は114巻と一緒に、前巻の113巻も買いました。もうわたしはマガジンを毎週買っていないので、単行本が出たのをすっかり忘れておりました。森川先生、ほんとダメなファンですみません。


 Wikiによれば、この『はじめの一歩』という漫画は、単行本刊巻数ランク5位、みたいですな。 連載開始が1989年、すなわち平成2年であり、もう27年が経とうとしているわけだが、わたしは非常に『一歩』が好きで、地道にずっと買ってたらこんな巻数になっちゃった、みたいな感じなので、あまりそんなに昔のことのようには思えないっつーか、ま、要するにわたしもすっかり歳を取ったおっさんになっちまったな、というわけである。
 しかも、これは『一歩』を知っている人ならほぼ常識だと思うが、なんと、作中の時間はまだ20世紀、199X年である。これは当たり前と言えば当たり前で、一試合が始まって終わるまでに単行本1冊で収まらないことも普通にあり、スポーツ系の漫画ではよくあることだと思う。熱心なファンの方は、連載開始からの時間軸をまとめている人もいると思うが、面倒だからわたしはもうあきらめてるというか、やってません。そして、今さらこの漫画のこれまでの流れをまとめるつもりもないです。つか、そりゃもう、無理ッショ。

 さて。 この漫画の物語を、講談社の公式サイトの説明からパクって引用&少し付け足しすると、こんなお話である。
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 いじめられっ子だった幕之内一歩はひょんなことからプロボクサーの鷹村さんに出会い、ボクシングに熱中していく。一歩は『強いってどういうことだろう?』という素朴な疑問を抱えながら、持ち前の頑張りで過酷な練習に耐え抜き、強くなっていく。数多の強敵との死闘を勝ち抜き、国内屈指のハードパンチを持つ日本王者となった一歩。その次なる目標は遥かなる世界王者への道! 限りなく熱く純粋な一歩のさらなる挑戦が始まった!!
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 とにかく、今のところ、一歩はもうプロとして25試合経験してるのかな? 13戦目の千堂くんとの戦いで全日本フェザー級王者となって、それまでは1敗だけだったのに、前回の試合、109巻(だったかな?)でとうとう2回目の敗北を喫してしまったわけで、世界戦への挑戦権獲得ならずとなり、現在は復帰戦へのトレーニング中である。ええと、何が言いたいかというと、今回わたしが買った第113巻と114巻では、主人公はリングを見ているだけで、戦っているのは別の人、ってことです。

 まず、113巻では、主人公・幕之内一歩にボクシングの道を教えた鷹村さんの、世界ミドル級タイトルマッチが決着する。すでにJミドルで世界王者になり、さらにミドル級でも世界を獲って2階級制覇している鷹村さんの、WBC・WBA統一戦が描かれていたのだが、112巻ラストで超ピンチで、113巻前半でもこりゃあマズイ、という戦いだったが、最終的には勝利、と相成った。
 そして続く114巻では、鷹村さんの試合後、千堂くんが一つの決断を下し、宮田くんにも決断を迫ると。そして鴨川ジムのみんなも、青木さん、木村さんも次の試合が決まり、気合が高まる中、一歩はやっと前回の敗戦以降イマイチやる気がなかったのが、デンプシーの縦回転に目覚めつつあって、やる気をかなり取り戻す、てなところまでであった。ま、こう書いても、『一歩』を読んだことのない人にはさっぱり分からんと思うけど、分かる人にはわかるだろうからいいの。
 問題は、『一歩』を知っている人でも、もう最近は全然読んでないんだよなー、という人が、わたしの周りにも結構多いことだ。

 それは、二つの要因があって、一つは大変に長い物語であり、自然に脱落してしまった人たち。これはもう、単行本114巻までせっせと買っているわたしの方が珍しかもしれないというレベルの、長大な物語であるわけで、ここまで長いと、どんな作品だって、脱落者は出る。確実に。ま、これは正直どうしようもない。
 しかし、もう一つの要因は深刻である。「最近面白くないんだよなー」「やっぱり一歩はVS千堂戦が頂点でその後はなあ」「オレは宮田くんの試合が流れたところからもう読んでません」みたいに、結構多くの人が途中で「自主退場」してしまっているのだ。要するに物語的な要因である。
 まあ、実際のところこの二つが合わさって、途中で読まなくなる人々がわたしの周りには多いのだが、正直に言うと、わたしもここ数年、惰性で買っていると言えなくもない。わたしが一番、「ええ~……」としょんぼりしてしまうのは、主人公・一歩くんのあまりにグズグズした性格と、各キャラのファイトシーンにおける超人ぶりだ。
 後者については漫画だからまあいいか、実際盛り上がるし、と、納得できれば全然気にならないし、かつてはまったく気にしていなかったが、例えば今回の鷹村さんの世界戦も、超名作と誰もが認める(と思う)、VSブライアン・ホーク戦やVSデビット・イーグル戦とはかなり変わってしまった。今回の相手のリチャード・バイソンは久しぶりにまともに強い・カッコイイ敵キャラだっただけに、最終的な大逆転は、ちょっと正直引っ張りすぎたような気がする。足を怪我するエピソードはいらなかったような気がするし、左フックをまともに喰らってしまう謎も、正直解答は出ていないと思う(今まで、鷹村さんは目に異常があるんじゃないか、というほのめかしが何度もあったが未だ答えは出てない、よね?)。まあ、鷹村さんがカッコ良かったから、わたし的には満足、ではあるけれど。
 なので、わたしとしては、一歩のグズグズぶりが非常に問題だと思う。おそらく、もう10年以上、この漫画のファンは、一歩に対して、次のようなことを思っているんじゃないかと思う。
 ■さっさと宮田くんとケリをつけろ。
 ■さっさと世界戦(勿論相手はリカルド・マルチネス)をやれ。
 ■さっさとクミちゃんとヤれ。
 しかし、一歩は、というか、森川先生は、そこまで描いてくれない。何らかのことが起きて、どれも実現しない。もちろん、幕之内一歩というキャラクターはこういう奴なんです、と言われてしまうとそれまでだが、こういった、読者的なイライラは、もう10年以上溜まっているんじゃなかろうか。

 こういう状況でも、わたしはせっせと単行本を買うことをやめていないわけだが、今回も前巻を買うのを忘れていたように、そんなわたしですら、ややモチベーションが下がり気味なのだ。『はじめの一歩』という作品が、もはやこういった状況にあることを、編集部が気づいていないわけがないと思うのだが、まあ、森川先生に物申せる編集者はもういないんだろうな。実に残念というか、なんだかなあ、という気がしてならない。
 ただ、散々文句めいたことを書いてしまったけれど、確実に言えることは、森川先生の漫画力は、日本最強レベルを現在も維持しているのは間違いないという事だ。絵のクオリティも本当に素晴らしいし、コマ割りというコミック演出テクニックも、日本最高レベルだと思う。漫画としてこれほどレベルの高い作品は、たぶん他に類を見ないとわたしは思っている。また、その最高のクオリティで「週刊連載」してると言う点では、他の追随を許さない日本最強の漫画家の一人だと思う。超人、と言ってもいいのではなかろうか。なので、ずっと応援したいと思ってます。

 というわけで、結論。
 『はじめの一歩』というボクシング漫画の単行本114巻を買った私だが、一体何巻まで続くんだろう……わたしとしては、長いのは別に全然構わないので、やっぱり、もうちょっとメインストーリーの進展があってほしいな、と思うばかりだ。まあ、ひょっとしたら、「げえええ―――ッ!! 80巻のあの話は130巻のための伏線だったのか―――ッ!?」と驚きの展開も当然あり得るので、やっぱりまだまだ、買い続けようと思います。以上。

↓ 漫画力で言えば、この方も日本最強だと思うけど、この人は描いてくれないからなあ……早く続きが出ないかなあ……。


 


 

 というわけで、先日電子書籍で全巻まとめ買いした漫画『野田ともうします』。
 わたしとしては実に面白く、何度も笑わせてもらった愉快な漫画であり、大変気に入ったわけで、ならばその著者、柘植 文先生の他の作品も読んでみようと思い、タイトル的にこれは面白そう、と直感的に思って買ったのが、本書『中年女子画報』である。

 わたしもすっかりおっさんで、柘植先生よりちょっと年上のようなのだが、女性が40歳を過ぎるとこういう感じなんだろうな、つか、男のオレも実に思い当たることがあるわ、というようなエピソード満載で、本作も実に楽しく読ませてもらった。柘植先生は、1973年生まれという事で、今年の誕生日で43歳になるようだが、先生が40歳を迎えた時にこの漫画は始まったらしい。第1話の、冒頭の先生の言葉を引用すると、
 <というわけで今年40歳になって、「あれ? 私ってもう中高年!? 昔でいったら初老!?」とビックリしてあたふたしちゃってるので 正しい中高年になっていこうというマンガです>
 とのことだ。
 いわゆる、「コミックエッセイ」というジャンルに分類されるこの漫画は、柘植先生が「正しい中高年」って、こういうことかしら、こうあるべきかしら、と、いろいろなところへ行ったり、さまざまなことに挑戦したりする様子をレポートしてたもので、実に楽しい漫画であった。なので、基本的には、
 【世の中的に一般的な40代女性のイメージ像】
 【世の中的に一般的な40代女性に求められる常識】
 【世の中的に一般的な40代女性の行動】
 と、柘植先生自らのあり方とのギャップに笑いがあるわけで、ある意味自虐ネタになるのだが、それが行きすぎたり、あるいは批判的だったり、逆に何も知らなくてすみません的に卑屈な印象を与えてしまうと、残念ながら痛々しくなってしまう危険性があると思う。しかし、この柘植先生による漫画は、そういう痛々しさは全くなく、実に朗らか? と言えばいいのかわからないけれど、明るく楽しいのだ。
 おそらく、いわゆるエッセイというものを読んで面白いと感じる場合に、なくてはならない必須のポイントとして、書いている作者自身の人格の良さがあげられると思う。つまり、その人自身が面白くて魅力あふれる人でない限り、エッセイは読んでいて面白いモノにはなりえない。それはコミックエッセイでも同じで、自慢気だったり、批判的だったり、卑屈だったり、それでは読んでいる読者としてはまるで共感できないものになるのがオチであろうと思う。わたしはこの作品を読んで、ああ、柘植先生はきっと、楽しくて魅力的な40代女性なんだろうととても好感を抱いた。たぶん、女性が読むと、より身近になるというか、思い当たる話が満載なのではないかと思われる。しかし、なんでまたこの漫画が竹書房の「まんがライフオリジナル」で連載されてたのか、良くわからんというか……確実に読者はおっさんだと思うのだが、いいのだろうか……? ま、実際のところ、男が読んでも面白く、むしろ男に向けて、「40歳になっても女子は女子なのよ」的なメッセージもあるのかもしれない。いや、そりゃ無理矢理かな? どうでしょうか。とにかく、女性であろうと男であろうと、楽しめることは間違いないと思う。

 本作は24本の連載時エピソード+1本の単行本描き下ろしから構成されているのだが、どれも面白くて……どれを紹介したものか……そうだ、いっそ全エピソードのタイトルだけ紹介してみようかな。
 ◆正しい中年を目指します……中高年向け雑誌を片っ端から買ってみる話。
 ◆不惑を目指して自分を知る……1話で買った雑誌を切り抜いて「ビジョンマップ」を作ってみる話。
 ◆大人の夏の過ごし方……都内ホテルのプールに行ってみる話。
 ◆そうだ、高尾山に行こう……タイトル通りです。とても笑える。
 ◆大人ファッションの必須アイテム……ストッキングの話。
 ◆芸術はおばさんを招く……美術館に行ってみる話。
 ◆アイドルは綾野ならぬ綾小路……きみまろライブに行ってみる話。
 ◆惑ったら神様の言うとおりっ?……大阪・瓢箪山の稲荷神社の辻占に行ってみる話。
 ◆大阪で生まれた女に大接近……「オバチャーン」のCD発売イベントへ通天閣に行ってみる話。
 ◆踊る!大中高年!……六本木マハラジャに行ってみる話。
 ◆背中に哀愁の脂肪が……ダイエットの話。
 ◆ババアにババアと言って何が悪い?……毒蝮三太夫のラジオ公録に行ってみる話。
 ◆正しいお正月の過ごし方……皇居へ新年一般参賀に行ってみる話。
 ◆愛でます、愛でるんです、蘭の世界……世界らん展に行ってみる話。
 ◆伝統芸能鑑賞は大人のたしなみ……国立能楽堂へ能・狂言を観に行く話。
 ◆女ひとり旅、日本海~♪……日本海を一人で見に行く話。糸魚川~親不知へ。しかも日帰り。
 ◆話は尽きぬ!中年女子座談会……同世代でワイワイやる話。
 ◆相田みつをで絵手紙修行!……みつを美術館へ行き、自分で描いてみる話。
 ◆中年下着問題考察……オーダーブラを作ってみる話。
 ◆ひとり海水浴に行ってみたら……鎌倉でシュノーケリング体験会に参加してみる話。
 ◆中高年は筋肉が命!……近所の公園のラジオ体操サークルに参加してみる話。
 ◆再び!聖地大坂へ!……大阪の中年スポッめぐりの話。船場センタービルとか。
 ◆髪のおしゃれウィッグ検証……レディスアデランス銀座へ行ってみる話。
 ◆ときめき求めて恋活だ!……街コンに行ってみる話。
 ◆けじめの中年式(描き下ろし)……成人式ならぬ中年式を執り行ってみる話。写真を撮ったり、東京大神宮で御祈祷を受けたり。これ、大変面白い。わたしもやろうかとひそかに思ってますw
 
 てな感じです。どうでしょう、ちょっと読みたくなるのでは? どれも、1エピソード当たり10ページもないぐらいなので、気楽に読めます。上に書いた通り、どのエピソードも、柘植先生の人柄が伝わる楽しい話になっていて、ヤバいな……もう柘植先生が好きになってきた。しかし、わたしも実際そうだけれど、40を過ぎると、周りはみんな子供や家族が中心で、ちょっと遊ぶとか旅に出るとか、もう全然誘えなくて、必然的にぼっち行動をとらざるを得なくなるわけで、たぶん、わたしが思うに、中高年になっても元気でいる最大のコツは、とにかく出かけることだと思う。一人ででも。その行動力が活力になって、心身ともに、とりあえず自分的には若くいられるコツなのではなかろうか。ま、他人から見ると全然若くないんでしょうが、少なくとも自分自身では、オレはまだ若い、という気持ちでいられると思う。とにかくですね、家に引きこもっていてはダメですよ。そして、思ったことは即実行。それがわたし的なオレがオレでいるためのスタイルっすな。

 というわけで、結論。
 わたしも完全なおっさんですが、女性もやはり、明るく元気で活動的であれば、まあ何とか生きていけますよ。そしてそのためには、行動あるのみ、ですな。大変面白いコミックエッセイでありました。若い人が読んで面白いか分からんけれど。以上。

↓ わたしは既に「ぼっちレベル」99まで達していますが、レベル100になる最後の関門は、「一人ディズニー」を実行することなんだが……さすがにまだ、オレにはどうしても出来ねえ……くそう……!


 

 先日、愛用している電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」から、コインバックフェアやりま~す的なメールがポロリンと来たので、おっと、ナイスタイミングだぜ!! と全巻まとめ買いした漫画がある。実はその2日前に、偶然、そのサイトで無料配布している漫画が何点かあって、それを眺めていて見つけて1巻を無料でもらい、コ、コイツは妙な中毒性があるぞ!? と大変に気に入り、よーし、次のフェアでまとめ買いしてくれるわ!! と心に決めていた作品であったのだ。なので、そう思って2日後にフェアが来るとは、わたしにとってBOOK☆WALKERはなかなか分かってるストアであり、大層気に入っている。もう購入冊数835冊まで来たぞ。
 というわけで、わたしが全7巻を一気に買って揃えた漫画とは、↓これです。

 タイトルは、『野田ともうします』。講談社の公式サイトで試し読みが出来るので、読んでもらったほうが早いかな。こちらの公式Webサイトの、「お試し読み」をクリックしてみてください。
 埼玉にあるのに「東京平成大学」という名のFランク大学の、文学部ロシア文学科に通う、地味な女子大生の物語である。これがまた、いちいちわたしのつぼにはまる、実に楽しく面白い漫画で、実はわたしはまったく知らなかったのだが、もうこの漫画は完結済みであり、既にラジオドラマやなんとNHKにおいて実写ドラマ化されていたのであった。こういう面白い漫画をまったく知らなかったとは、実にもったいないことをしたというか、まだまだわたしのアンテナも大した事ねえな、と若干しょんぼりである。はーーーー。もっと早く出会いたかったよ……野田さん……。あー……だめだ、動画を貼りつけておきたかったが、違法動画しかないな……ま、ちょっと検索すれば、NHKの実写版(1話5分と短い、が、漫画も1話4Pぐらいなので完全漫画通りに実写化されている)が出てくるので、観たい人は自己責任でご自由に。
 で。
 この漫画を読んで面白いと思うかどうかは、ひとえに主人公の「野田さん」を気に入るかどうかがすべてであろう。というわけで、以下に、「野田さん」がどんな面白ガールなのかを箇条書きであげつらってみることにしたい。
 ◆1巻開始時は、大学1年生、18歳、群馬県出身(群馬のどこかは不明)。群馬愛が激しく、海なし県であることに若干のコンプレックスあり(?)。何かと、ものの例えが群馬オリジナル。
 ◆現在通っている大学は所沢らしき埼玉にある「東京平成大学」。本来、野田さんは地元の国立大学(=群馬大学?)を受験するはずだったが、受験の数日前に交通事故にあって、退院したとき受験できる大学がそこしかなかったため、底辺Fラン大学に入学することになった。
 ◆趣味は読書。ただ、実は子供の頃に、ちょっと本を読んでいたら両親が「まあこの子は本が好きなのね!」と勘違いして、無理やり本ばかりプレゼントされて、仕方なく本好きになった。
 ◆外見はまったくもって地味。だけど、本人は恐ろしく好奇心旺盛でアクティブで、どこにでも行くし、まったく人怖じすることがない、ウルトラ・マイペース・ガール。
 ◆ファミレス「ジョリーズ」にでバイトをしている。まったく制服は似合っていない。
 ◆住んでいるアパートは、野田さん以外全員一人暮らしのおばあちゃん。
 ◆17歳年上のお兄さんがいる。野田さんにそっくりな超真面目人間。
 ◆兄からは、群馬が誇る文豪田山花袋の『蒲団』は読んではならぬ、と禁じられている。

 ……アレッ!? なんか……一生懸命説明しようとあげつらっても、全然面白そうに思えないな……こりゃあイカン。この辺でもうやめて、何がわたしのハートを捉えたのかを説明する方向に変更しよう。
 わたしは、とにかく主人公の「野田さん」にもうぞっこんだ。とにかくおかしい。生真面目でいて、普通の人が持つさまざまな感情も持ち合わせており、笑ったり、密かに怒ったり、しょんぼりもすれば嫉妬もする。ファッションに興味がないわけでもない。実際のところ、ごく普通の女子大生と言ったっていいはずだ。
 それなのに妙におかしいのは、おそらく膨大な知識から来るひらめき力が常人とは違っていて、突拍子もない結び付けをするために、人と話が合わないのである。 しかし、彼女にはまったく悪意がなく、人を貶めようとするようなところは皆無であるため、常に全力で一生懸命であり、彼女の魅力に気づいた周りの人々は、どんどん彼女が好きになっていき、彼女のいない日常には、物足りなさをすら感じてしまうに至るのである。
 以下、その「野田さん」の魅力に引き込まれた主な友人たちを紹介しよう。この周りの人たちも大変面白い人が満載である。
 ◆ 部長:野田さんが入るサークル「手影絵サークル」の部長。3浪している4年生の先輩。常にお団子ヘアの女性。野田さんが大好きな、この人もちょっとおかしい人。NHK実写版では安藤サクラさんが演じた。すげえピッタリで笑える。埼玉生まれの埼玉育ち。海なし県の仲間。
 ◆副部長:同サークルの副部長。眼鏡&ヒゲの自称おしゃれ青年。実家暮らしでお母さんが面白い。一応常識担当だけれど、かなりおかしないい人。NHK実写版では越村友一氏が演じた。これまたぴったり。
 ◆重松さん:常にうつむいている、謎の女子。わたしはこの人が大好き。野田さんと同級生。一言もしゃべらないが、心の中は超・饒舌&毒舌。そして超・大金持ち。何でもお金で解決しようとする。実家は横浜で、大学近くの高級タワーマンション最上階に暮らす。何気におしゃれで可愛いが、とにかく常にうつむいており、心の中で突っ込みまくっている。そしてちびっ子なのに超・大食い。この点も非常におかしく、だいたい何かバリバリ食べてる。野田さんを観察するのが趣味。NHK実写版では小林涼子ちゃんが演じた。一切台詞がないのに、ものすごくピッタリ。この人は本当に最高です。
 ◆山本くん:チャラ男だが、野田さんのすがすがしさに心癒されている。頭は悪いが善人。酔うとすく全裸になる。漫画ではありがちなチャラ男だが、NHK版ではかなりイケメンに。演じたのは相馬圭祐くん。非常にいい奴で、周りの頭の悪い女子たちが野田さんの悪口を言うと、読者に成り代わって怒ってくれたりもする。
 ◆亀田さん:野田さんがバイトする「ジョリーズ」のバイトの仲間のおばさん。夫を亡くしている。一応常識担当だが、野田さんが大好きな仲間。実写版では池谷のぶえさんが演じた。漫画とはかなりビジュアルは違うけれど、テイストはまさしく亀田さんで大変いい。
 ◆富沢さん:同じくバイト仲間の元ギャル。だめんずの彼氏「つとむん」がいるが、常にお金を貢いでいて、一時期、二人は別れたりする。演じたのは元AKBの増田有華ちゃん。漫画よりもかなり可愛くなっている。

 まあ、レギュラーメンがーはこんな感じで、これらの人々に囲まれた大学生活を送るだけのお話で、別に山場もないし、ずっとしゃべっているだけの、いわゆる「部室話」系の漫画だ。
 おそらく、わたしが「野田さん」に惹かれたのは、こういった周りの人々とはちょっと違う点だと思う。
 野田さんは、その膨大な無駄知識を駆使して、あらゆる事象を自分なりの言葉で解釈して話すわけだが、わたしはそういう、自分の世界を持っていて、自分の言葉で一生懸命、どうでもいいことを熱く語る女子にはぐっと来てしまう。要するに、わたしは野田さんに惚れてしまったのである。ちなみに、野田さんを実写で演じたのは江口のりこさんという女優なのだが……髪型が!! 髪形が違うんだよ!! 野田さんは、耳を出しているのに!!! と、ちょっとだけ気に入らない点はあるのだが、おおむね野田さんっぽくて面白い。これは放送のときにチェックしたかったわ……。

 というわけで、結論。
 『野田ともうします』という漫画は、まったくもって今更なのだが、ホントにもう何度も爆笑させてもらった実に面白い漫画でありました。いやー、しかし本当に、いまさらこんな面白い漫画を見つけるとは、実に抜かってました。もうチョイ、漫画道にも精進しないとだめだな……と、改めて反省したいと思います。以上。

↓ 作者の柘植 文先生については正直まったく知らないのだが、これも超面白そうで、買うしかないかなと思ってます……。あーダメ、我慢できない。このBlogをUPしたら即買います。電子で。

 

 昨日に引き続き、今日も漫画です。
 この平本アキラ先生による『監獄学園 プリズンスクール』という漫画は、スーパー下品で下ネタ満載なので、決して女性にはお勧めできないのだが、かつて、男子高校生として青春を送った人間ならば、この漫画を読んで笑わない奴はいないのではないかという、まあ男限定のオススメ漫画であります。わたしは大変この漫画が好きで、新刊も比較的順調に定期的に発売されており、この度、その最新刊(21)巻が発売になったので早速買い、うっかり電車内で堂々と読んでいたところ(※この漫画を電車内で読むのはちょっとした変態行為かも。ひとかけらの勇気が必要)、ものの見事にブホッと笑って吹き出してしまい、あわや事案発生→通報→お縄頂戴→人生終了、となる危険な事態となってしまったのである。ふー、あっぶねえ。

 わたしがこの漫画を読み始めたのはもう、何年前だろう、単行本の3巻あたりまで発売になっていたので、2012年頃のことだと思う。当時、イケメンでお馴染みのわたしの友、K氏が毎週ヤンマガを買って来ていて、それを読ませてもらっているうちに、最初から読みたくなって、単行本を買うようになったわけであるが、もう15巻ぐらいからは電子書籍にチェンジし、電子でも最初から買い直したほど面白い漫画である。
 この漫画の最大のポイントは、世に「画力の無駄遣い」と称賛されているように、まったくのエロ・ギャグマンガなのだが、絵柄がリアル系の、実に綺麗で、いわゆる「上手い」絵なのだ。ド・シリアスな劇画タッチ、なんだけど、内容はアホな男子高校生のエッチな物語で、お話的にも全くのギャグなのに、キャラクター達は超真面目(それは違うか)なのである。いわゆる一つの、「ギャップがもたらす笑い」が炸裂しているわけで、しかもその絵はどんどん上手くなっていて、1巻の当時よりも現在の方がどんどん劇画化が進行している。そして下品さはますます増して、本当に今回の21巻は腹筋崩壊ですよ。ホント参った。
 この作品の人気のほどは、既にアニメ化もされ、あまつさえ実写ドラマ化されたことからも察せられるだろう。わたしは実は両方とも全然見なかったのだが、アニメ化の際は非常に話題になったし、実写ドラマ化もニュースになったほどだ。

 ↑こっちがアニメの映像。 ↓こちらは実写ドラマの映像。

 というわけで、どんなお話か、ざっと紹介してみよう。
 首都圏では有数の進学実績と厳格な規律で知られる全寮制高校「八光学園」。共学、ではあるが圧倒的に女子の方が多く、2011年4月、新入学生のうち、男子はたったの5人であった。そして全寮制学校なので、5人の男子高校生は、まあお約束展開として、女子寮のお風呂を覗きに行くと。で、捕まると。そして、学内にある「懲罰棟」、通称「プリズン」における1カ月の懲役が命じられる。命じたのは、「裏・生徒会」と呼ばれる学内の治安を守る存在(?)で、このプリズンでの1か月間の生活の間に、まあいろいろな出来事が起きて、脱走劇があったり、刑期が延長になったり、男たちの友情とその崩壊だったり、とにかくアホでエッチな出来事がドタバタと発生する、とまあ、そんなお話である。とにかく、内容的にはバカ話だけれど、とにかくシリアスに展開されるその様相は、もう最高に笑える。
 現在は、男子5人はプリズンから解放されているが、「裏・生徒会」と「表・生徒会」の女子の抗争に巻き込まれて大変なことになっている。大変と言っても……まあ大変笑えるんですけどね。女子はみんな可愛いしスタイル抜群だし、実際高校生には全く見えないのだが、かつて自分たちを拘留した裏・生徒会の味方として、現在男子4名は体育祭で騎馬戦の馬となって活躍中です(1名だけ、表の味方になっている)。
 しかし……この漫画、本当に毎回爆笑の渦なので全然構わないのだが、21巻現在、まだ1話の入学式から約3カ月ぐらいしか時間が進んでおらず、21巻の物語の中の時間はまだ6月30日である。連載はもう5年半ぐらい続いているので、まあ、とにかく物語進行がゆっくりだ。ただ、濃密に、ある意味リアルタイムに描写されているゆえの進行なので、それはもうどうしようもないことだろう。時間の進行が遅いことはまったく欠点ではないので、わたしとしては問題ナシである。ちなみに、現在進行中の体育祭は、17巻の後半からずっと続いているのだが、まったく飽きないというか、全然気にならないのが逆にすごい。毎回常に張り詰めた緊張感があって(ギャグなのに!!)、平本先生の演出はもう、本当に素晴らしいと思う。あと、何気に毎回の各話のタイトルが、1巻からずっと映画の作品名をパロッたタイトルになっていて、しかも物語内容にがっちり符合しており、平本先生は相当な映画好きなのではなかろうか。
 また、キャラクター達も、男子5人組も関わる女子たちも、そして妙な話の間を取る理事長も、とてもキャラが立っていて非常に楽しい。絵も素晴らしいクオリティだし、ホント、この漫画は男限定だけど、自信を持ってお勧めできます。(7)巻ラストで理事長が男子たちに投げかける、「尻と胸・・どちらが好きか・・ね?」問答は、完全にもう、禅問答めいた哲学論争で最高でした。実に面白い漫画だと思う。

 というわけで、結論。
 『監獄学園 プリズンスクール』の最新刊が発売になっていますので、シリーズを読んできた方は当然買いです。今回の21巻の、騎馬戦でのキヨシ君は、わたし的には今までで最高の笑いをもたらしてくれました。超・下品ですが、最高です。今巻のラストで大変な事態が起こり、「憤死」するキヨシ君。一体この後どうなるん……だ!? わたしは電車内だというのに、笑いをこらえられませんでした。以上。

↓ こんなのまで売ってら……。

 いやー、毎回本当に面白い。大興奮である。
 連載が始まったのが2009年だから、もうずいぶんと前になるけれど、連載ペースはゆっくりなため、単行本が出るのは1年に1冊出るかどうかというペースだったのだが、この度、最新刊の(5)巻が1年8か月ぶり(7カ月?)に発売になったので、早速買って読んだ。そして、大変面白く、確かな満足であった。
 タイトルは『ドリフターズ』。意味としては「漂流者たち」という事だが、実に独特の物語設定と、平野先生のいつもの熱い展開で、大勢の読者を熱狂させている漫画だ。

 実はこの作品、今年の10月からTVアニメ化されるそうで、既に公式サイトもあるし、ちょっとした予告映像もある。以下に貼っておくのは、今回の(5)巻の特装版に同梱される映像を元にしたCMだそうで、これがまたクオリティが高く、30秒しかないけれど超ワクワクなのであります。TVが楽しみだなー。

 お、アニメ化発表の時の長い映像もあったから貼っとくか。

 さてと。ざっくりと物語を紹介すると、1巻の冒頭は、かの「関ヶ原の戦い」における、島津家の有名な撤退戦、で「捨て奸」戦法が炸裂した、「烏頭坂(うとうざか)」の戦いである。西軍の島津家・島津義弘(当主・義久の弟)の脱出にあたり、井伊直正の屈強な「赤備え(→ひこにゃんが被ってるアレ)」の軍と戦い、そのしんがりを務めた島津豊久の奮闘が描かれる。
 我々が知っている歴史では、豊久はそこで壮絶な死を遂げるわけだが、この漫画は違う。全身に深手を負い、半死半生の豊久は、森をさまよううちに、いつの間にか、整然と扉の連なる奇妙な廊下にたどり着く。そこには、謎の人物が受付のような机に座っていて、名前を記されると扉に飲み込まれてしまう豊久。気が付いた時には、良くわからない異世界へ「漂流」していた――。とまあ、そういうお話である。
 その漂流した先の世界は、一番わかりやすく例えると、『The Lord of the Rings』的なファンタジックな世界だ。エルフやドワーフ、ゴブリンや竜がいて、人もいる。そしてその文明レベルはまさしく『LoR』的な感じで、ある。
 ポイントとなるのが、その世界には豊久以外の「漂流者たち=ドリフターズ」がいるという点だ。しかもそれらは皆、我々が良く知っている歴史上の有名人たちだ。どうやら、その「ドリフターズ」たちの共通点(??)といえそうなのは、「死にあたって、やり遂げた、悔いはない」と思っている(??)人々で、かつ、「その死体が未確認」な人たち、っぽい。一方で、「ドリフターズ」と対極をなす存在もいる。彼らは、この異世界に「廃棄された」人たち、ということで「廃棄物=エンズ」と呼ばれている。彼らに共通するのは、逆に「死にあたって、やり残したことや恨みが満ちている」人たちで、かつ「処刑されて明確に死が確認されている」人たち、という感じである。いや、どうかな、ちょっとテキトーかもしれません。
 いずれにせよ、そういった「漂流者たち」と「廃棄物たち」の戦いになっていくわけですが、これがですね、とにかく有名人たちのスーパー・オールスターバトルで凄いんだな。ちょっと、メインどころのキャラクターを紹介しておこう。
 【漂流者サイド】
 ・島津豊久……薩摩人。バトルマシーン。
 ・那須与一……豊久が最初に出会うドリフ。史実(?)通り、弓の達人。
 ・織田信長……与一が豊久を連れていく廃城に居を構えていた。日本人なら知らない人はいないすね。
 ・安倍清明……豊久たちよりだいぶ前にこの世界に流れ着いていたらしく、「十月機関」という組織を結成して「エンズ」たちを監視(?)していた。
 ・ハンニバルスキピオ……ローマ時代のアノ人たち。老人。お互いライバルの天才戦術家。
 ・菅野直……史実では大日本帝国海軍のエースパイロット。愛機の「紫電改」とともに流れ着く。
 ・山口多聞……史実ではミッドウェーで戦死した大日本帝国海軍少将
 ・アドルフ・ヒトラー……すでに異世界でも故人。数十年前に流れ着いたらしく、異世界において「オルテ」という国家を作った国父として知られている。
 【廃棄物サイド】
 ・黒王……謎の存在。どうやらこの人は、我々世界のアノお方っぽいのだが、それは読んで皆さん想像してください。これ……欧米人はどうリアクションするのだろう……。
 ・ジャンヌ・ダルク……火刑に処せられて非業の死を遂げた聖女。恨み骨髄。
 ・土方歳三……函館で戦死。当然、島津家が大嫌い。なので、豊久に出会って怒り爆発。
 ・ジルドレ……史実ではジャンヌを救おうとしたりした百年戦争期のフランス軍人。火刑に処せられた。
 ・アナスタシア・ロマノヴァ……20世紀初頭のロシア大公女。17歳で銃殺刑に。
 ・ラスプーチン……怪僧としてお馴染みのアノ人。史実では暗殺されました。

 とまあ、こんな感じに、歴史上の有名人たちが、生きた国や時代に関係なく、この世界に集い、戦いを繰り広げる。その戦いの原因は、黒王を中心とする「廃棄物」たちが、すべてを破壊し、すべての人間を皆殺しにして、その世界を「やり直させる」ことを意図している一方で、「漂流者たち」はそれを食い止めようとする、とまあそんな対立構造である。超ざっくりですけど。
 おまけに、「廃棄物たち」には、「漂流者たち」にない特徴があってですね、彼らは妙な、スタンド能力的な力を持っているんだな。『LoR』的に言うと「魔法」に当たるような、謎の能力をもっていて、例えばジャンヌ・ダルクは、炎を操れたりするわけで、その点では「漂流者たち」はちょっと不利なんすよね。で、一方の「漂流者たち」は、信長をはじめとする頭脳派が多い(?)ので、直接戦力としてはバトルマシーンの豊久ぐらいしか戦闘力の高い人はいないため、その世界にもともと住んでいたエルフやドワーフや人間を指揮して戦うと、まあそんな感じになっています。

 とにかく、面白い。わたしの下手な説明よりも、とりあえず(1)巻を読んでもらった方が5万倍は面白く感じ、続きを読みたくなること請け合いです。平野先生による素晴らしい画とコマ割り、擬音など、もう全編にヒラコー節が炸裂しまくっていて、少なくとも男の読者なら誰もが夢中になって読むのではなかろうか。
 で、最新刊(5)巻だが、とうとう前巻で「廃棄物サイド」に登場した、信長に対する恨み骨髄の明智光秀も軍師として活躍し始めたり、「漂流者サイド」でも、山口多聞提督と菅野がとうとう直接対面したり、ようやく皆、お互いの存在を知って、信長と豊久が中心となっている「オルテ」に集結し始めていて、実にワクワクな展開でありました。また、どちらに属するのか不明で、ジョーカー的存在であった、源義経も、どうも今は(?)あっちサイドらしく、動き始めたし、前巻で豊久と派手に戦った土方も、どうもエンズのやり方が気にくわない的な部分も見えてきて、非常に緊張感もある。
 わたしのどうでもいい心配としては、この最高に面白い漫画の完結まで、果たしてオレは生きてるだろうか……というのが、マジで心配である。でもまあ、別にゆっくりで構わないので、最高のクオリティで平野先生の思う世界を書き続けて下されば、もうそれでわたしは最高に楽しめます。ま、年に1冊ぐらいは出してほしいけど……。

 というわけで、結論。
 1年8か月(7か月かな?)ぶりに新刊が発売になった『ドリフターズ(5)』だが、今回も最高に面白かった。わたし的には今、発売されたら一番うれしい漫画である。TVアニメのクオリティも相当高そうで、期待大ですな。とりあえず、まだ買って読んでいない人は、今すぐ本屋さんへGO!!! でお願いします。以上。

↓ 豊久はですね、薩摩島津家なわけで、示現流の源流であるタイ捨流の遣い手なわけです。しかし……あの剣の持ち方は……どう見ても剣が振れないと思うのだが……タイ捨流の持ち方なんすかね……? 気になる……。

 というわけでネタがない時の漫画ネタでお茶を濁すの巻。
 今日は、先日来せっせと買っている、「手塚治虫全集」から、『MW(ムウ)』という作品にした。
 本当は、やっぱり一番好きな『ブラック・ジャック』について書きたいところだが、長いので、比較的短めの『MW』こした。本作は、1976年9月から1978年1月まで、約1年半にわたって小学館の「ビックコミック」に連載されていたんだそうだ。「ビックコミック」と言えば、かの『ゴルゴ13』の連載誌であり、要するに読者は完璧におっさん層である。よって、本作『MW』も、まったくもって子供の読む物語ではなく、当然SEXあり(しかも男&男もある)、殺人ありの相当ドロドロのお話であった。何年か前に映画にもなったけれど、わたしは観てないので、どんな映画になっていたか知らないです。
 物語は、1970年代後半の世を舞台に、ベトナム戦争時に米軍が開発した「MWガス」と呼ばれる生物化学兵器が沖縄の離島に保管されていて、その漏出によって人生を狂わされた男の復讐劇である。
 主人公は2人いて、一人は歌舞伎役者の息子として生まれながら、現在は銀行員として働く男、「結城」。この男は恐ろしい犯罪者で、誘拐・殺人を繰り返し、その美貌で女を騙すことも全く平気で行う悪魔的なひどい奴。
 もう一人は「賀来」という男で、現在は神父として教会に仕える身ではあるが、10代の頃には安保闘争やベトナム反戦で派手に活動していた連中とつるんでいて、ある日沖縄の離島に赴くが、問題の生物化学兵器の漏出からは運良く逃れることができた生き残り。「結城」とはその島で出会い、当時まだ子供だった結城に男色を覚えさせたという過去もある。この人も相当ひどい。
 まあ、こんな二人だが、「結城」は生物化学兵器に侵され、重傷となるが辛くも命は助かるけれど、文中の説明を引用すると、
 <MWのために大脳がおかされたのか、知能は進んでもその心には……一片の良心やモラルのかけらもなくなってしまった>らしい。それ故、次々と最悪な犯罪行為を行っていくのだが、それは米軍への、人類への復習であるというのが「結城」の行動の動機である。
 また、「賀来」の方も、さっさと結城を警察に突き出してやればいいものを、結城は罪を犯すと賀来神父に「懺悔」に来て、罪の告白をして、賀来を嘲笑して帰るのだが、神父は<何度彼に法の裁きをと思ったかしれませんが……しかしそれでは彼の魂を救うことにはなりません……>と寝ぼけたことを言って、結論だけみれば結城の犯罪を助長すらして、その後悩む、という事を繰り返す。全くもって救われない人物である。恐らくこの神父のせいで死んだ人は、全編通じて5人ぐらいはいる。まったくもっていい加減にしろとわたしは感じた。
 ただし、である。
 手塚先生は、何もこの二人を肯定しているわけでは全くない。むしろ完全に否定していると言っていいだろう。ではなぜ、この作品はこういった二人の人でなしを主人公としたのか。それはもう明白で、要するにこのバケモノを生んだのは戦争だ、ということである。ここでも、手塚先生は明らかに反戦の意を表しているのだと思う。また、同時にこの作品では、在日米軍批判と、政府批判も含まれている。かなり政治色が強い作品とも読める。以前、『アドルフに告ぐ』のレビューを書いた時にも触れたが、どうやら手塚先生の作品は、全編通じで戦争反対、差別反対というメッセージが明確に含まれている。そしてその根底にあるのは、完全なる人間愛であり、生きることの素晴らしさをたたえる精神だ。
 なので、大人になった今、手塚作品を読むと、正直鼻につくと感じる場合もあるだろう。それに、わたしだって全作品を手放しで賞賛するつもりもない。わたしとしては、手塚作品ナンバーワンに挙げたいのは『ブラック・ジャック』だが、まだ全部を読んだわけではないので、現状では断言できないが、『ブラック・ジャック』もまた、明確に反戦作品であり、生命賛歌の作品であると言える。この背景にある手塚先生のプロフィール(子供時代に戦争を経験し、医師でもあったという事実)は、正直どうでもいい。わたしが手塚先生はやっぱりすげえと思う点は、自らの想いをきっちりと作品に込め、さらにはエンターテインメントとして極めて上等であるという点だ。
 何が言いたいかというとですね、今の世の中、いわゆる芸術家やらアーティストやらという人々が、デモに参加したり、Web上において、自らの主張を表明しているのをよく見かけるが、それが無駄なこととは言わないけれど、それならもっとやり方があるでしょうに、といつも思う。あなたたちは、言いたいことがあるなら作品に込めて欲しい。そしてその作品で人を動かしてほしいのだ。それが出来る選ばれし人間なんだから。まあ、そんな事が言いたかっただけです、はい。デモに参加したり、せっせとWeb更新してる時間があるなら、作品を作ってほしい。そして、自分のフィールドで、自分しかできないことをやっていただきたい。漫画や小説といった視覚言語作品だけではなく、音楽だろうとなんだろうと、自分の作品をもっと信じた方がいいのではないだろうか。

 というわけで、結論。
 手塚治虫先生は天才である。これは以前も書いたっけ。
 しかし、天才というのは便利な言葉で、ある意味天から授かった無敵パワーで本人の努力はそこに介在していないようなニュアンスがあるけれど、要するに、「貫く意志」を持つ人間が、いわゆる「天才」なのではないかと思います。そして、その結果で人を動かせる人。そんな人が、「天才」なんでしょうな。以上。

↓ 次はこのあたりかなあ……。遠い昔に読んだっきりだなあ……。

 くっそう。なんか妙に忙しくなりつつあり、ネタ補給が追いつかなくなってきた。
 というわけで、今日もネタがない時の頼みの綱、マンガネタで2日連続お茶濁しの巻。
 今日紹介するのは、「ヤングマガジン」に月イチ連載されている『スモーキング』という作品です。 この作品もまた、電子書籍販売サイトで試し読みを読んで、とりあえず買ってみたもので、正直に告白すると著者の岩城先生のこともよく知らなかったし、「ヤンマガ」もここ1年ぐらいは読んでいなかったので、へー、こんな作品があったか、というレベルでの購入であった。

 まあ、いつも通り、出版社の公式Webサイトに試し読みがあるので、そちらを観ていただいた方が早かろう。ヤンマガ伝統の、ヤンキー系・アウトロー系マンガの血を引く物語である。4人の殺し屋集団が、悪党をかなり残忍にぶっ殺すお話なので、まあ女性にはちょいとお勧めできないし、結局のところ人殺しなので、共感できるかというと難しいのだが、基本的にはいわゆる「必殺仕事人」的な話であるので、我々読者としては、まあ深く考えることなく、悪党が鉄槌をくらわされる様を見て喜んでいればよいのだろう。それにしてもかなり凄惨なお話ではある。退治する悪党がもの凄く悪党なので、読者的にはスッキリとカタルシスが味わっておけばいいのかな。カタイことは言いっこなしにしておくか。
 実際のところ、こういった作品は世にあふれていて、ありがちといえばありがちだが、やはり本作のキモは、主人公の4人組のキャラクターだろう。元外科医で元ヤクザの老人、元地下格闘リングチャンピオン、元ヤクザで銃器の達人、そこに化学知識&メカ担当の元ホームレスの青年という4人組で、かれらは普段はホームレスとして公園で平和に暮らしているのだが、悪党殺しの依頼を受けると、その持てる技術を駆使して確実に相手を始末するわけだが、「煙みたいで素性をつかめない」ことから、彼らは「スモーキング」とか「煙屋」として裏社会で呼ばれている。そして彼らはお互いを「家族」として大切に思っており、絶対の信頼関係が成り立っている。そんな、世間から外れたOUT LAW、法の外にいる連中の生きざまは、その行為が人殺しで決して容認されないものではあっても、やはりどこか現代人の中には共感出来てしまうものがあるんじゃなかろうか。わたしは大変気に入った。

 この作品を買って、読んで、どうも何か見たことがあるというか、読んだ後でいろいろ調べてみたところ、著者の岩城先生についてはほとんど情報がなかったのだが、作品についてはやはり、過去作を読んだことがある作家であった。しかもその作品、わたしはヤンマガに連載されている当時読んだのだが、今回の『スモーキング』にちょっと似ていて、やはり裏稼業モノの『D.B.S ダーティ・ビジネス・シークレット』というタイトルの作品であった。ああ、これ読んだことがある、と、試し読みを読んでみて初めて気が付いた、というか思い出した。絵柄も、まあ、写実的という意味では全くないものだが、漫画としては十分アリな、独特のタッチで、記憶の隅っこに残っていたため思い出しやすかった。
 最初に書いた通り、さいきんすっかり「ヤンマガ」は読んでいないが、やはり、講談社の漫画力は日本の出版社の中では最強だろうと思う。認めたくないし悔しいが、面白い漫画を見つけると、講談社の作品であることが多いのが、わたしとしては大変残念である。なるべくここで、講談社の作品を紹介したくないのだが……。えっ!? 何故かって? そりゃあ、講談社が嫌いだからに決まってますよ。はい。

 というわけで、結論。
 ふとしたきっかけで買ってみた『スモーキング』という漫画は、まあ要するに「必殺仕事人」的なお話ですので、悪党が震えて死ぬのを読んで、自らの脳内の嫌いな奴を思い浮かべて、死ね! と思うことでカタルシスを得るのが正しい鑑賞法だと思います。以上。

↓ というわけでまた読みたくなったけど、まあ、次のコインバックフェアの時にでも買うか……。

 今日もさっぱり書くネタがないので、ちょっと前に買ったマンガネタでお茶を濁すの巻。
 今回取り上げるのは、「ミラクルジャンプ」に連載中の『ヤスミーン』と言う作品。
 まったく著者の畑優以先生のことも知らないし、正直「ミラクルジャンプ」も買ったことがないのだが、つらつらと、なんか面白そうなマンガねえかなー、と、電子書籍ストアをチェックしていて、見つけた作品。カバーのインパクトが、わたしをして何じゃこりゃ? と思わせたのだが、とりあえず試し読みを読んでみて、依然さっぱり良くわからないので、 とりあえず買ってみた。まずは、こちらの集英社の公式Webサイトで試し読みを読んでみていただきたい。


 ↑ちょっと小さいか? 1巻は、悪そうなライオンのドアップ。2巻はガゼルですな。
 というわけで、読んでみると、どうやら舞台はアフリカ。そして、どうも動物が二本足で闊歩し、言葉もしゃべるらしい。ははあ、なるほど、擬人化とは違う、動物ものですな? というわけで、わたしの脳裏には名作『銀牙―流れ星 銀―』が浮かんだわけだが、読み進めると全く違う展開であった。
 その王国は、「ライオン」という「王族」が支配しており、主人公の「ガゼル」は「奴隷」であると。で、いろいろな動物が出てくるのだが、例えば「ハイエナ」はライオンに仕える雑用係(?)であり、「シマウマ」なんかは食料であると。なので、同じ草食動物でも、「ガゼル」は奴隷として軽蔑されていて、一番地位が低いと。なぜ「ガゼル」が食料にならないかというと、ここがこの漫画ではキーになるのだが、「肉がマズイ」らしい。王族たるライオンたちに言わせると、食えたもんじゃあない、そうだ。まあ、本当にガゼルの肉がマズいのかどうかは知らないが、それ故に生きることは許されているわけだけど、奴隷ですよ、ということになっている。ちなみに、シマウマはまずまず美味いらしい。ホントかそれ。
 で。奴隷が主人公ということは、当然のことながら、脱出&革命という物語の展開が王道だろうと誰もが予想が付くと思うが、実際、この漫画も、そういう展開になる。弟を食われ、あまつさえ、マズイ!! と吐き出された主人公は、王族たるライオンを許せない。まずは狩りでとらえられたシマウマたちの中から、子どものシマウマを逃がそうとする主人公ガゼル。そこに現れた、謎のチーター。どうやらライオンに恨みを持っているらしい「白い悪魔」と呼ばれるチーターの乱入で、とりあえず救われた主人公ガゼルは、ライオンの支配する王国を脱出し、ライオンと対等に戦えるチーター族を探す旅に出るのであった――!! みたいなお話です。
 なお、ちなみにずっと普通に言葉をしゃべってるし、二足歩行なのだが、チーターだけ四足歩行なのが良くわからないけれど、とにかくやたらと熱いんだな。
 子どもシマウマを連れて旅に出た主人公ガゼルは、まずはシマウマ族と合流するのだが、道中で小狡いジャッカル族が出てきたり、おっそろしくムッキムキマッチョの、戦士シマウマと出会ったり(しかもめっぽう強てカッコイイ!!)、ライオン王族の中でも権力争い的なものがあったり、非常に読んでいて飽きない。また、本作はすでに2巻まで出ているのだが、そこでは道具を使うチンパンジー族が王族(=ライオン)と紛争状態にあったりして、主人公はピンチの連続だけれど、少しずつ、仲間を増やしていく。他に出てくるのは、ヒョウ族(→木登り上手の肉食獣なので、なぜか忍者装束を着用)とか、あと、ボノボ族あたりかな。
 わたしは「ボノボ」なる動物を知らなかったので、この漫画を読んだときいろいろ調べてみたのだが、ご存知ですか? まあ要するにチンパンジーの亜種でコンゴの固有種らしいのだが、すごい特徴があってですね、性行動がヒトに近いことで有名らしい。ちょっとHな話で恐縮ですが、いわゆる正常位で交尾することもあるんですって。そんな特徴があるので、この漫画での「ボノボ」族は、人間に近い風体で平和主義種族として描かれている。ただし、ライオン族に脅されてあっさりチンパンジー族を売るなど、そういう自己中心的なところも、ある意味人間らしい描写となっている。

 というわけで、短いけれど結論。
 この『ヤスミーン』という作品は、非常に熱い展開で、先が非常に気になる漫画である。もし、試し読みを読んで、なんじゃあこりゃあ!? と思ったらならば、まずは買って読んでみていただきたい。まだ2巻までなので、1000円もしません。意外と読み応え、アリです。わたしも、当面読み続けていこうと思います。以上。

↓ おっと! 3巻は3月発売みたいですな。でも、集英社のいつものパターンだと、紙の本が出てから1か月後に電子書籍が発売になるので、わたしが3巻を読むのは4月かなあ……続きが気になる!!
※まだ書影がないみたいっすな。
 

 おとといの水曜日、わたしが愛用している電子書籍販売サイト『BOOK☆WALKER』からぽろりーんと「今から時限セールやります、50%コインバックです!!」というメールが来た。要するに、買った金額の半額分のコインをくれるというわけで、よーし、ごっそり買ってやる!! と鼻息荒く、ストアを渉猟してみたところ、イマイチこれだというものがなく、どうしようかと思ってたところで、突如、「そうだ、手塚治虫先生の作品をまとめ買いしよう」と思い立った。偶然『ブラック・ジャック』の書影を見かけて思ったことなので、特に理由はない。強いて言えば、読みたくなったから、に尽きる。
 で、とりあえず、『ブラック・ジャック』全巻をカートにぶち込み、さて決済するか、というところで、これもまた理由なく、ほかの作品はどうする? この機会に買っとく? と思い、つらつらと作品リストを見ていて、あ、この作品は全5巻と手ごろだし、猛烈に面白かった覚えはあるものの、細かいストーリーは忘れてるな、よし、コイツも行こう、と買った作品がある。それが、かの有名な『アドルフに告ぐ』である。いやー、やっぱり素晴らしく面白かった。

 なお、わたしが買ったのは、上記のKindle版と同じ、「手塚プロダクション自社パブリッシング版」である。この作品は、ちょっと探すと文春文庫版や講談社版も存在しているようだが、当然、手塚プロに直接金の入るこの版にした。1冊300円と安いしね。
 そして今回、おそらく30年ぶりぐらいに読んでみた。そして唸った。すごい。これはすごい物語だ。おそらく何度も読んだはずなのに、なんでこんなに面白く読めちゃうんだ!? ということに、非常に驚いた。
 物語は、1936年(昭和11年)開催のベルリンオリンピックから始まる。かつて大学で長距離をやっていた男、峠草平。大学卒業後、通信社に入社した彼は、陸上の経験からベルリンに取材にやってきていた。現地では、弟が留学しており、会う約束をしていたのだが、弟はある秘密文書を巡る陰謀から殺されてしまう。また、日本では、神戸でパン屋を開くドイツ人夫婦の間に生まれたアドルフ・カミルという少年と、ドイツ人外交官と日本人の間に生まれたアドルフ・カウフマンという少年が出会い、友情を育む。が、カミルはユダヤ人であり、カウフマンは父がナチ党員であり、その友情は引き裂かれてしまう。
 本作は、この3人が、とある秘密文書によって波乱の運命をたどることとなる物語である。これがもう、読み出したら途中で止められず、最後まで一気に読みたくなること請け合いである。最高。やっぱりこれは凄い漫画だ。

 この漫画のテーマは、明らかに反戦であり、反差別であり、明確に、人間の尊厳、表現の自由や思想の自由がいかに大切で尊重されるべきものかが描かれている。当然、ゲシュタポや日本の特高は悪であり、非人道的な行動が生々しく描かれているので、非常にハードだ。しかし、目を背けることは出来ない。なにしろ、誰しもがそうなってしまう危険性に満ちているのが人間だからだ。
 わたしだって、偉そうにこれを書いているが、果たして昭和10年代に20歳ぐらいだったとして、大日本帝国を批判できただろうかと考えると、相当怪しい。21世紀にぼんやり暮らしているからこそ、言えることではあるが、それも、そのような悲惨な過去があったということをを学ぶことが出来たからだ。そういう意味では、はやりどんなにドス黒い過去であっても、目に焼き付ける義務が我々にはあるんだろう。そして、それを繰り返さないことが、我々の義務ということなのだろうと思う。本作は、そんな最高の教科書のひとつといえるのではなかろうか。
 しかし、エンディングは恐ろしく非情で、極めてつらい。ネタバレと怒られても敢えて書いてしまうが、どう読んでもこれは、ハッピーエンドじゃあない。むしろ、憎しみの連鎖は、現代でも全く途切れていない。この作品が書かれたのは、1983年~1985年と、手塚作品としては後期に当たるもので、なんとセンテンススプリングでお馴染みの「週刊文春」に連載されていたんだそうだ。文春……すげえなやっぱり。
 連載終了からもう30年が過ぎているのに、本作で描かれた憎しみの連鎖は、全く解決されていない。なんというか……本当に、人間は業が深い生き物だ……というのがわたしの感想です。どうして繰り返してしまうのか、どうして憎しみの連鎖は、断ち切ることが出来ないのか。どうしてって考えても、それが人間だものってことなんですかね。やっぱり、本作のような素晴らしい作品を読んで、少なくとも自分はこうはなりたくない、と思う人が増えることを心から願います。

 というわけで、結論。
 知ってたけれど、敢えて言おう。手塚治虫先生は天才である、と。
 そしてわたしは、もっと手塚作品が読みたくなったので、もういっそ、手塚治虫全集はコンプリートしようと思いました。一気買いはちょっと厳しいので、徐々に買い足していこうと思います。以上。

↓ ほんとに超久しぶりにBJを読んでます。やっぱ最高っす。そして電子書籍は便利っす。置き場に困らないって素晴らしい!! 講談社版は高いです。手塚プロ版なら1冊300円っす。



 今日もネタがないので、困った時のマンガネタです。
 今日紹介するのは、『高台家の人々』 というマンガで、集英社の月刊YOUという女性コミック誌に連載中の作品です。確か2014年に、面白い漫画ねえかなー、とぶらぶらと探しているときに、試し読みを読んで、おお、こりゃいいね、と思って単行本の1巻と2巻を買ってみて、コイツは当たりだな、と思った作品である。現在は4巻まで出ている。

 お話は、例によって1話目が読める試し読みが公開されているので、そちらを読んでもらった方が早かろう。と思うので、こちらをどうぞ→http://you.shueisha.co.jp/lineup/koudaike.html
 ごく簡単に物語をまとめると、主人公・平野木絵はごく平凡な30歳OL。とりわけ秀でたものはなくむしろ地味系のアラサー女子だが、彼女はなんでもかんでも、すぐにぽわわわ~ん、と妄想にふける妙な性格である。そんな彼女が、社内一のスーパーイケメン・高台光正くんに見初められる。全く心当たりがない木絵ちゃんだが、じつはそのイケメンは人の心が読めるテレパスで、今までは人の醜い部分ばかりが見えてしまって、若干の人嫌いであったのだが、木絵ちゃんの、何にでも反応する心の中の「面白妄想」が読めてしまう光正くんはすっかり気に入ってしまい、「なんなんだこの娘……超面白い人!!」となるわけです。
 なので、この漫画の面白さは、第1に、ヒロイン木絵ちゃんの妄想の突拍子のなさにある。これがですね、本当に思わずくすっと笑ってしまうような、すっとぼけた妄想なんだな。上記の試し読みでも炸裂していますが、毎回大変に楽しく、笑えて面白い。
 で、話が進んでいくと、どうやらその光正くんには妹と弟がいて、その「高台家の人々」はみな同じ能力を持っていることが判明したり、その大元たるイギリス人のおばあちゃんが出てきたり、まあ、みなテレパス能力でそれなりに苦労しているんだけど、それぞれの恋模様が描かれたり、平凡な木絵ちゃんを認めようとしない、超厳しいお母さま(この人は能力なし)が出てきたりと、非常に読んでいて楽しい時間を過ごせる優良漫画だと思う。
 おそらくは、男が読んでも面白いし、女性は勿論、言わずもがな、であろう。ただし、とある女子に読ませてみたところ、木絵ちゃんはある意味何の努力もせずにイケメンGetなわけで、その点はちょっとなあ、と言っていたので、万人が揃って面白いと思うかというと、そうでもないかもしれない。とりあえず、わたしは大変気に入った。できればその面白妄想を、言葉で熱く語りだすような変な女子だったら、わたしも完璧Fall in Loveであろう。

 で。著者の森本先生だが、女子漫画界ではもうおなじみであろう。すでに、『研修医なな子』『ごくせん』『デカワンコ』といった作品はTVドラマ化、劇場映画化、アニメ化されており、それぞれ大変な人気のある作品だ。
 わたしはこの『高台家の人々』を読んだ時も、ああ、これは間違いなく近いうちにTVドラマ(あるいはTVアニメ)になって、2期ぐらいやった後に劇場版という黄金パターンで展開するだろうな、と確信に近いものを感じたが、なんと、TVドラマを飛ばしていきなりの劇場映画化がすでに発表されている。公開は今年の6月だそうだ。
 これがその予告なんですが、キャストはもう、動画の通りであります。
 ヒロイン木絵ちゃんは、芸能界きっての天然ガール綾瀬はるか嬢。絵のイメージとは、やっぱり違うかな。もっと地味で若く見える印象かもしれないけれど、まあ、綾瀬はるか嬢ならきっと、可愛らしく面白く演じてくれることでありましょう。そしてイケメン光正くんを、斎藤工 氏が演じるとのことです。設定ではイギリス人クオーターで、瞳は青いはずなんだが、カラコンでも使うのか、その設定はナシにするのか、動画じゃ良くわからんな……ああ、公式Webサイトのキャラ紹介ではちゃんと青い目をしてますね。カラコン着用みたいですな。斎藤氏は、わたしにとっては『テニミュ』における、氷帝学園の忍足郁士役でお馴染みなのですが、やはり、この人の一番のイケメンポイントは「声」でしょうな。なお、テニミュの時の彼のセリフで、わたしが一番カッコイイと思うセリフは「攻めるン遅いわ!!」ですw 

 というわけで、結論。
 『高台家の人々』は、男が読んでも結構笑える楽しいラブコメです。6月からの映画公開前に、ぜひ読んで予習しておきましょう。たぶん公開前に、(5)巻が発売になるんじゃないかな。楽しみです。以上。

↓ 超名作。歌もかなりいい。城田優氏の手塚部長、加藤一樹氏の跡部部長、そして斎藤工氏の忍足など、今見ると凄いキャストが揃ってます。ただなあ……映像が超引きの固定カメラだし、DVDだから現在のHDテレビで見ると、ほぼ顔が分からないんだよね……。
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 今日はネタがないので、だいぶ前になるけれど面白かった漫画の紹介でお茶を濁します。講談社の「月刊少年シリウス」にて連載中の漫画、『はたらく細胞』です。これが非常に面白かった。


 もう既に単行本の2巻まで出ていて、取り上げるのはかなり今更なんですが、まあ、まずは試し読みのURLを載せておきます。とりあえず第1話がまるまる読めるので、ちょっと読んでみてほしい。
 試し読み→http://kc.kodansha.co.jp/product?isbn=9784063765601
 カバーイラストの白いイケメンが「白血球」で、体内に侵入した細菌やウィルスなどと戦うのが仕事、赤い女子が「赤血球」で、酸素と二酸化炭素を運ぶのがお仕事の運送屋さん、みたいに、要するに、体内の細胞が擬人化されていて、「体」という世界で日夜活躍している姿を漫画にしたもので、体内細胞が如何にして「体」という世界を守って戦っているか、が、意外と詳しくわかるお話です。上記URLにも書いてありますが、第1巻と第2巻はこんな内容です。
 第1話「肺炎球菌」
 第2話「スギ花粉アレルギー」
 第3話「インフルエンザ」
 第4話「すり傷」 ※1巻ここまで
 第5話「食中毒」 ※ここから2巻
 第6話「熱中症」
 第7話「赤芽級と骨髄球」
 第8話「がん細胞(上)」
 第9話「がん細胞(下)」
 不思議な感じでしょ? これを読むと、ははあ、体の中ではこんな闘いが起きているのか、と、幼稚園児っぽくイメージできるのだが、情報としては十分真面目というか、知らないことをいっぱい教えてくれて非常に楽しい。誰しもが、幼稚園ぐらいのとき、虫歯になると虫歯菌が歯を痛めつけている絵を書いたことがあると思うが(誰しも、はないか。でもわたしはある)、それを数100倍高度にしたようなお話で、こういう事態だとこういう細胞がこういう働きをしてくれるのか、と、新鮮な驚きと興奮をもたらしてくれる、質の高い漫画だと思う。 
 細胞ごとの性格付けも、実によく考えられていて飽きない。実に多くの細胞が登場するが、例えば第2話の「スギ花粉アレルギー」のお話は、とりわけ実際に花粉症でお悩みに方にはぜひ読んでいただきたい。メカニズムが非常に良く分かるので、面白いと思う。
 しかし、心配なのは……一体、この漫画の舞台となる「体」の持ち主は、果たしてどんな人間なのだろうか。おそらく今後も登場することはないと思うが、この人、かなり大変な目に遭ってるんだけど、大丈夫か?? 食中毒やら熱中症やら、インフルエンザやら、細胞たちの大活躍によって深刻な事態にはなっていないと思うけれど、ガンまで出てくると相当心配になる。そして、この漫画のネタもいつまで持つのか、大きなお世話の心配も募るばかりだ。
 作者の清水茜さんについては正直よく知らないのだが、まだお若い女性らしい。この作品は、第27回少年シリウス新人賞大賞した読切作品『細胞の話』を連載化したものだそうで、作者初の連載作品だそうだ。コミックナタリーにインタビュー記事があるので、興味のある方はそちらへどうぞ。
 ナタリー記事:http://natalie.mu/comic/pp/hatarakusaibou

 というわけで、短くて手抜きですが結論。
 『はたらく細胞』は、非常に面白い。今後もネタの市鯉がものすごく大変だと思いますが、楽しみにしています。単行本を買って応援しますので!!

↓ こいつでも読んで勉強するのもいいかも。
免疫―からだを護る不思議なしくみ
矢田 純一
東京化学同人
2015-01-10

 だいぶ前に、(1)巻を買ってみて、おお、これは面白いと思っていた漫画が、いつのまにか単行本の(3)巻まで出ていたので、まとめて買ってきた。ので、(1)~(3)巻をまとめて紹介しよう。タイトルは『闘獣士』。週刊少年サンデーに不定期掲載される作品で、いつのまにか掲載されたりコミックス単行本が出たりするので、わたしとしてはちょっと困るのだが、そもそも、この(3)巻で完結したのかも良くわからない。どうなんだろう?? お話的にはきれいに区切りが良いところで終わっているが、続きもあり得る感じであるし、ここで終わりと言われても、そうですか、という気もする。 ああ、今、小学館のサイトを見たら、【完結】となっているからこれで終わりっぽいですな。※追記:終わってませんでした。もう(4)巻も発売になっており、ちゃんと話は続いてました。これまた泣ける!小学館の嘘つき!

 この物語は、亜人類やドラゴンのいるちょっと不思議な帝政ローマ時代を舞台として、グラディエーターとして戦う奴隷の少年と、その少年を育て鍛えた「翼竜族<ワイバーン>」の異種親子の物語である。今調べてみたら、なんと(1)巻は、版元の小学館のコミックスサイトで冒頭45Pぐらいまで試し読みができるので、そちらを見てもらった方がいいかも。非常に気合の入った、強い線と描き込みの美しい力作で、実際面白いので、超オススメである。
 (1)巻では、翼竜族<ワイバーン>の【デュランダル】と、奴隷剣闘士【フィン】のお話と、その話の前日譚的な、別の<人間とミノタウロスという異種兄弟>の話から成っている。これがまた泣かせるお話で、非常にいい。
 (2)巻と(3)巻は長い続き物の話で、3人の少年が、一人の幼馴染の少女を救うお話。その3人の少年を鍛えるのが、(1)巻の主人公のフィンで、これまた泣ける、いいお話。恐ろしくカッコ良く、フィンやデュランダルの登場シーンなどはバッチリ決まって、とても爽快感もある。
 ただ、実際のところお話そのものはありがちなものであり、どこかで聞いたような話といえば否定できない。だが、柿崎先生の描くビジュアルは極めて強く美しいもので、オンリーワンの才能と言って良いだろうと思う。
 著者の柿崎正澄先生は、わたしが知ったのはたしか、週刊ヤングマガジンに連載されていた『GREEN BLOOD』という作品だったと思うが、非常に力の入った気合のこもる絵で、物語も極めて骨太で非常に好きだった作家である。おっそろしく渋く、カッコイイ。
 しかし、わたしがとにかく残念だと思うことは、これだけしっかりとした絵が描けるにも関わらず、実際のところ、それほど売れていないことだ。おそらくは、『GREEN BLOOD』も打ち切りであったのだと思う。終盤は非常に駆け足になってしまって本当に残念に思ったものだ。
 このような、良質の作品は、残念ながら世にはものすごい数埋もれていて、実にもったいないのだが、果たしてわたしが営業や編集で携わっていたらもっと売れていたか、というと、まったくもって自信はない。ただ、とにかくもったいない。こうした才能をなんとかもっともっと、売り出せないものだろうか。今のわたしは、こうしてインターネッツという銀河の片隅でつぶやくことしかできないけれど、ほんの少しでも、柿崎先生を知る人間が増えたら、それ以上の喜びはない。

 というわけで、今日は短いけど結論。
 柿崎正澄先生による、『闘獣士―ベスティアリウス』は、非常に高い画力で描かれた、大変クオリティの高い漫画である。ので、最近なんか面白い漫画がないかな~と思っている人は、とりあえず試し読みを読んでみて、気に入ったらぜひ買ってください。以上。

↓ 柿崎先生の別の作品。柿崎先生の一番有名な作品は、全22巻まで連載が続いた『RAINBOW』だと思うけれど、あえてこちらをオススメ。やたらとカッコいい。

 というわけで、今日も引き続き、BOOKWALKERのフェアで、タイトルと試し読みで適当に、これは、と思う作品を買って読んでみたのだが、実際に最期まで読んでみて、これはちょっとイマイチだったな……というものが続いてしまった中で、ひとつなかなか面白い作品にめぐり合った。
 「ドラクエ」や「ファイナルファンタジー」といったゲームでおなじみのスクウェア・エニックスという会社は、漫画やゲーム攻略本を中心に出版社としても事業活動を行っている会社だが、特にコミックスに関しては、なかなかの良作が多く、アニメ化も積極的に行っている。わたしが昨日購入して読んで、なかなかいいじゃない、と思った作品も、このスク・エニの本であった。
銀河ロケットにお葉書ください(1) (ビッグガンガンコミックス)
太田垣 康男 スタジオ・トア
スクウェア・エニックス
2015-10-24

  原作を、『MOONLIGHT MILE』でおなじみの太田垣先生が担当し、漫画を太田優姫先生が担当する分業作品である。太田垣先生は、まあもはや有名な方なので説明しないが、作画の太田先生は、そもそもはスク・エニが主催する漫画新人賞出身の方だそうで、『イブの時間』のコミカライズなどを担当されていた方である。女性作家らしい繊細な線で、ハートウォーム系のお話を盛り上げてくれる上質な作画であった。
 で。お話は、カバー裏にまとまっているので、それをそのまま引用しよう。スク・エニの電子書籍は、そういう部分もきちんと電子化してくれるのが面白い。手がかかる面倒なことだが、これはぜひとも他の出版社も見習って欲しいものだ。

 「10ヵ月後、人類滅亡は決定的となりました」
 TVのアナウンサーから唐突に告げられる、隕石の衝突、地球消滅へのカウントダウン。 
 混乱の中、日本政府は「銀河ロケット事業団」を設立。国民一人一人から最期のメッセージとなる葉書を集め、宇宙船「銀河ロケット号」に搭載。人類が生きていた証を携え、遠い銀河へと旅立つのだ。人生の「終わり」を知った、一人一人の胸に宿るものとは・・・。純粋抽出ヒューマンドラマオムニバス。

 というお話なのだが、要するに、ある日、地球に巨大隕石が衝突することが全世界に知らされる。もはやいかなる方法でも、隕石を破壊したりすることは出来ず、衝突は不可避であり、地球は10ヵ月後に確実に消滅するという世界。その中で、日本では、全国民に向けて、最期のメッセージ(画像入りOK)を葉書に書いて送ってくれれば、それをプレートに印刷・刻印して、人類が生きた証を宇宙に向けて放出する、ということを発表すると。で、各お話の主人公が地球最期の日までどう生きて行こうとするか、を描いたものだ。
 当然、あと10ヶ月で地球がなくなるなら、みんな働かなくなるわけで、あっという間に社会インフラは機能しなくなるし、治安も乱れ、物価もものすごく上昇する。立ち食いそばが300円だったのが7600円になるとか。りんご1個が30万円とか。自殺者も増加し、堕胎も極めて増加する。しかし、この漫画の中では、わたしが想像するよりもずっと世の中はまだマシに動いているし、物騒さもかなり控え目だ。こんなもんなのかなあ? 
 似たような世界観で、わたしが真っ先に思い出したのは、伊坂幸太郎先生の『終末のフール』という小説作品だ。ああ、改めて調べてみると、もうだいぶ前の作品だなあ。
終末のフール (集英社文庫)
伊坂 幸太郎
集英社
2009-06-26

 この作品も隕石が地球に衝突するまであと8年、というところから始まって、物語はその宣言の5年後、残りあと3年の世界を描いた話じゃなかったかな。そこは、非常にもっと殺伐とした世界、なんだけど、宣言から5年経って、だいぶ世界は落ち着きを取り戻していて、そんな世界に生きている人々の生き様が、ちょっとユーモラスに、そして切ない感じで描かれている。たぶん、わたしの好きな伊坂作品を挙げろといわれたら、かなり上位に上げる作品だと思う。
 で。この『銀河ロケット』は地球消滅まで10ヶ月しかないので、もっと秩序が失われてヒャッハーな世界になっていてもおかしくないような気がするが、この漫画ではそういう描写はほとんどない。まあ、短いから逆に、人々は実感がなく、そのままの生活を続けようとするのかもしれないね。
 ま、とにかく。この漫画はある種の短編連作である。
 1話目は、状況説明だけで特定のキャラクターを追うものではなく、まったくの序章。
 2話目は、産婦人科で看護師を続ける一人の女性が主人公。何事にも醒めた性格の女性は、「最期のメッセージ」なんてまったく出すつもりはない、けれど、これまでの人生を振り返って、やっぱり「メッセージ」を残そうと心が変わっていく様子が描かれる。
 3話目4話目は前後編構成で、2話目の女性の彼氏が主人公。2話目では、故郷の沖縄に戻ると告げて、看護師の彼女と分かれる男としてチラッとしか出てこない彼が、沖縄へ旅立とうとする話。もちろん、飛行機などは料金も跳ね上がっているし、便も少なくなっているし、どんどんと空港機能も停止しつつある中で、今まで本気で生きてこなかった彼が、さまざまな人に触れて、沖縄に行くところまでを描くお話である。
 この単行本(1)巻は、これで終わってしまっているので、ちょっと物語のボリュームとしては淋しい。それに、正直なところ、あまりにいい人ばかりのような気もする。そういう点では、ちょっと読んでいてまぶしいというか、若干のくすぐったさは感じる。
 しかし、人間は、いつも同じ毎日を生きていると、だんだんと何かを失っていくというか、感覚が麻痺していくわけで、大切な何かを失っていくことに気が付かないし、自らを振り返ることも、まずしない。それはまったく当たり前のことなので、仕方ないのだが、何らかの出来事によって、自分のこれまでを振り返ることを余儀なくされる状況に陥ったとき、果たして人は、かつての「こうでありたかった」自分を取り戻すことが出来るのか。それとも見なかったことにして目を瞑り、それまで通り麻痺した感覚の中で生きて行こうとするのか。ま、それは人によるし、いいとか悪いの問題じゃあない。間違いなく言えることは、自らを振り返って、自らを変えていこう、元々持っていた、大切な何かを取り戻そう、とすることは、非常に勇気の要ることであろうと思う。この漫画は、そんな勇気を持とうとする人々を描いた、なかなかグッと来るものがある漫画であった。

 というわけで、結論。
 『銀河ロケットにお葉書ください』という漫画は、死を前にした人々の生き様を描いたなかなかの傑作である。ちょっと綺麗事と言ったら失礼だが、美しいお話ばかりなので、万人受けするのかよく分からないが、(2)巻が出たら当然買って読みたいと思う作品でありました。以上。

↓ 死が目前に迫る中、どう生きるか。それをハリウッドで描くとこういう物語になる。日本でも13.5億のヒットとなった。最期は結構泣かせる。なかなか悪くない。
最高の人生の見つけ方 [Blu-ray]
ジャック・ニコルソン
ワーナー・ホーム・ビデオ
2010-04-21

 わたしは電子書籍の購入に際して、『BOOK☆WALKER』という販売サイトを利用しているが、現在、5周年だそうで、大規模なフェアを実施しており、コインバックが50%、つまり、実質半額で電子書籍が買えるので、この機に、読んだことのない作品をせっせと買い続けている。
 しかし、実際の本屋さん店頭ならば、棚をぶらぶら歩くことで未知なる書籍との出会いが生まれるわけだが、やはり電子書籍の場合は、「検索しないと出会えない」という致命的な弱点がある。要するに偶然の出会いが極めて少ないということで、こちらから何らかの能動的なアクションがない限り、未知の本とは出会えない。なので、電子書籍は基本的には新刊だったり、名作的な懐かしモノだったり、そういう、読者が最初から知っている本が売上の上位に来る。結果、売れる本は売れ、売れない本は全く売れないという不自然な2極化が進んでしまう事になる。
 もちろん、そんなことは誰だって分かっているし、本に限らずECすべてにおけるの特徴というか短所であるので、各電子書籍販売サイトは、「おすすめ」をしたり「フェア」を開催したりして、利用者へ向けて「未知なる本との出会い」を演出しようとしてくれているわけだ。とはいえ、「おすすめ」はしょせん統計データに過ぎず、あなたが購入された本を買った別のお客さんは、こんな本も買ってますよ的なおすすめだったり、同じ著者のこの本はどうですか? といったおすすめであるので、そこには人間のハートは存在しない。だから何だと言われると困るのだが、わたしとしてはそんなおすすめには用はない。だいたい、そういうのは「おすすめ」されるまでもない作品ばかりだしね。そういうハートのないおすすめが、現在の世の中には満ち溢れているが、まあ、恐らく人類はそういうおすすめに慣れていくことで、いろいろなものを失っていくんでしょうな。
 ま、そんなことはどうでもいいとして、今回わたしがまとめて全巻買ってみたのが、この作品である。全巻、と言っても4巻で完結しているので、大したことはないのだが、非常に本格的なタイムトラベルSFで、大変面白かった。

 なぜこの作品と出会ったかというと、現在BOOKWALKERで開催されているフェアにおいて、日替わりで版元ごとにさらに半額、という企画の中で、昨日この作品の版元である朝日新聞出版の作品が対象になっていたからだ。なので昨日のわたしは、朝日新聞出版……うーん、オレの欲しい本はあるのかねえ……と一覧で作品を眺めていたところで、この作品に目が留まったというわけである。
 そもそも、朝日新聞出版といえば、かの「朝日ソノラマ」が事業を清算した後にその資産を継承した版元であるので、最初はソノラマの作品を目当てに何かないかなーと探していたのだが、こういうコミックもあるとは知らなかった。決め手は、タイトルと絵柄、そして試し読みで読める冒頭の数ページを読んでみての感触である。うん、なかなか面白そうじゃん。それだけの、いわば衝動買いである。しかし、非常に幸せな偶然の出会いであったとわたしは思っている。面白かった。

 お話は、非常に複雑である。主人公、杉田果子(スギタ・カコ)は中学生。どうやら生まれつき(?)、「扉を開けると、開けた先が、時間と空間を超えた、どこかの時代のどこかに繋がる」という能力を持っているらしい。なので、やばい、遅刻だ! と慌てて自室を出たその先が、3日後だった、というようなこともある。もちろんその能力は常に発揮されるわけではなく、ランダムに発生することもあるようだが、元の時空間に戻ることを強く念じて扉を開くことで、元の時間軸に帰ることはできる。
 また、本人が複数存在する状態も許容されていて、3日後の自分と出会って、あんたさっさと帰りなさいよ、と自分二人で口論になることもあるし、記憶の伝達も可能である。試験の問題を教えるとか、そういう事も出来るのだが、それをやったことで不自然に成績が良くなってしまい、カンニングでもしたのかと不審がられて、以降、自分に対して記憶の伝達はやめるという自分ルールを作っていたりする。
 そんな果子は、ある日、「タラベラー」と名乗る一人の男と出会う。彼は、2446年からやってきたタイムトラベラーで、25世紀にはタイムトラベルはごく普通の技術として確立しているのだという。時間旅行は一般的な娯楽であり、タイムトラベラー、略して「タラベラー」はごく普通の存在で、2007年にやってきた男は、果子もそんなタラベラーだと勘違いして接近したのだが、果子が2007年に生きる「現時人(=その時に生きる人)」だという事が分かって、慌てる。タイムトラベルには、いくつかのルールがあって、現時人との必要以上の接触は禁じられており、その禁忌を犯すと、罰則はあるし、重大な時間干渉をしてしまうと、時が止まって(その状態を「ホールド」という)しまい、元の時軸に戻れなくなるのだ。
 物語は、こんな感じで出会った果子と男が、あることが原因で二人とも時に囚われてしまい、そこからの脱出を試みるというものである。絵柄は大変可愛らしいのだが、非常に設定が細かく緻密で、大変興味深い。例えば、時間はそれ自体に自己修復機能があって、何か歴史を変えるようなことをしてしまうと無理矢理その流れに沿って結果の帳尻を合わせようとしてしまう作用が働くらしい。だから、人の生死はまず動かせない。交通事故にあってしまう人を助けても、別のことが起きてやっぱりその人は死んでしまうとか、そういう事が起こる。なので、「ホールド」が発生してしまうのは非常に大きな時間への干渉をしてしまった時だけなのだが、物語は非常に複雑な道のりを経て、ちょっとした感動的なフィナーレを迎える。わたしは大変気に入った。

 この作品は、もともとは、「ネムキ」という隔月刊の少女漫画雑誌に連載されていたものだそうだが、そんな雑誌があったことすら知らなかった。まあ、出版不況、とくに雑誌の壊滅的な部数減の昨今、既に2013年に休刊になってしまっているようだ。しかし、このような、良作に出会うと、つくづく、もっと売れていればなあと思う。世には、こうした、知る人ぞ知る的な良作がなんと多いことか。そして、そのような良作に巡り合うことがなんと難しいことか。そういった幸せな出会いを作るのは、メーカーたる出版社の役割なのか? それとも小売りたる本屋さんや電子書籍販売サイトの仕事なのか? いや、それとも、ユーザーたる我々のすべきことなのか? 良くわからないけれど、まあ微力ながらわたしも、インターネッツという銀河の片隅で細々と紹介を続けることで、少しは役立ちたいものだと思っている。

 というわけで、結論。
 『時間の歩き方』は、非常に正統派の純SFで、大変楽しめた。ちょっと複雑なので、すらっと読めるものではないかもしれないが、わたしとしては非常に面白いと思った。Webを検索すると、結構レビューが出てくるので、既に、その道では有名な作品みたいですな。おすすめです。なお、BOOKWALKERのフェアは12/13(日)の09:59まで開催中ですよ! 以上。

↓ タイムトラベルもので、わたしが一番好きなのは、なんといってもわたしの愛するStephen Kingのこれですよ。『11/22/63』は、イチイチニーニーロクサン、と読んでください。1963年11月22日、という意味です。ラストは泣ける。素晴らしい作品。James Franco主演でHulu配信限定の映像化も進行中です。
11/22/63 上
スティーヴン キング
文藝春秋
2013-09-13

11/22/63 下
スティーヴン キング
文藝春秋
2013-09-13


 1巻を発売当時にすぐ買ったのはもう随分前だが、以来、新刊が出るたびに買って読んでいる漫画『亜人』の最新7巻が発売になった。
亜人(7) (アフタヌーンKC)
桜井 画門
講談社
2015-11-06

 この作品は既に発表されている通り、アニメ化が決まっている。しかも、ちょっと変則的というか、劇場版とTVの両方らしい。劇場版は3部作になっていて、その1作目が11/27より2週間限定公開で、TVシリーズは年明け1/15からだというので、TVシリーズ後に劇場版を2本公開するのか、そもそも劇場版とTVシリーズはどういう関係なのか、正直まだ良く分かってません、わたしは。というわけで、とりあえず↓こちらが、劇場版の予告映像である。

 この予告を観てもらえば、大体のストーリーは分かると思う。
 物語の始まる17年前、アフリカで発見された「亜人」という存在があって、それは、「不死身」の存在で、明らかに人間じゃない「人間の亜種」ということだ。一番気持ち悪い例で言うと、亜人は断頭されても死なない。頭が生えてくるのです。だから、銃器や刃物はまったく亜人には意味がなく、捕まえるには麻酔銃で眠らせないと捕まえられないのだが、仮に麻酔銃で撃たれても、麻酔が効く前に自分の頭を撃ち抜いて「1度死んでリセットすれば大丈夫」という気持ち悪い荒業も使えるのである。そういった、不死身の存在である亜人は、日本にも2体いると言うところから物語は始まるのだが、この「亜人」という存在は、「死なないと亜人かどうかわからない」というのがポイントで、主人公の永井圭くんは、当然自分が亜人だとは夢にも思っていなかったのだが、ある日、事故で完璧に死んだはずなのに死ななかった、ということが明らかになって、亜人であることに気づくと。
 この永井くんは恐ろしく頭のいい高校生だけれど、正直なところ性格が捻じ曲がっていて、とてもわたしとしては好きにはなれないのだが、それ以上に、普通人々の醜さも過剰に描かれていて、永井くんすらまともに見えるという皮肉な気持ち悪さがある漫画である。というのも、世間的に「亜人を捕まえると大金がもらえる」的な都市伝説めいた世の流言があって、永井くんが日本で3体目の亜人であることが分かると、誰もが血なまこで彼を捕まえようとするわけだ。まあ、そういうモブキャラたちは、あっさり永井くんに返り討ちに遭うのだが、逃走にも限界があるわけで、同じ亜人の仲間を探すと。しかし、仲間と思われた「先輩」亜人2人はまたとんでもない連中で……という感じで物語は展開する。
 上記の予告は、大体原作の3巻の途中までぐらいが描かれているように見える。ちょっとネタバレでストーリー展開を書いてしまうが、どうやら最初の映画は、3巻のラスト近くの、「佐藤」と呼ばれる日本の亜人第1号が、Webを通じて呼びかけを行い、存在を知られていなかった亜人が実はいっぱい他にもいて、わらわらと集合するところまで、だと思う。そこぐらいしか切りのいいところがないような気がするのだが、TVシリーズはその後を引き継いでいくのか、よく分からない。まあ、続けていくんでしょうな、きっと。
 
 「亜人」という存在がどう国家に扱われるか、については、2巻で永井くんが身をもって体験する様子が描写されるので、そこを読んでもらいたいのだが、まあ、完全に実験動物として、すさまじい拷問(?)というか、何しろ何をしても死なないので、まあひどいことをされるわけで、後に語られるところによれば、完全に「経済動物」として扱われる。例えば、製薬会社の新薬投与実験だとか、自動車会社の衝突安全性実験だとかに「貸し出されて」、管理する国というか厚生労働省はボロ儲け、みたいな事が描かれる。なので、そういった扱いから何とか脱出してきた永井くん以前の2人の先輩亜人は人間を憎んでいるわけだが、その攻撃が巻を追うにつれてどんどんとすさまじいものになっていく中で、永井くんがどう行動するか、というのが物語のメインと言っていいだろう。
 現状の最新7巻では、永井くんが、「佐藤」と呼ばれる国内第1号の先輩亜人のやり方には付いていけないと思っていて、何とか止めようとしているところである。ただ、その動機は、別に人間を守るためではなく、あくまで自分が周りの目を気にせず普通に暮らすためで(たぶん)、先輩亜人の「佐藤」のやり方ではダメ、と思っているから止めようとしているのだ。いわば、永井くんにとって佐藤の行動は迷惑千万で、邪魔だから何とかしよう、としているだけである。永井くんは進んで人間を殺したいとは思ってはいないと思うけれど、それは基本的に自分以外はどうでもよく、自分にとって都合が良ければそれでいい、というものである。だから平気で他人を犠牲にしたり利用したりする野郎なので、わたしにはどうにも主人公に感情移入しにくい漫画である。

 わたしは、『進撃の巨人』は9巻ぐらいで飽きて、単行本を買うのをやめてしまったが、正直この『亜人』も、若干飽きつつある。わたしがこの漫画をまだ面白いと思って買っているのは、この主人公・永井圭くんが、最終的に一体どうなるか知りたいためだ。しかし今回の7巻では、亜人第1号「佐藤」の過去が描かれ、その動機が垣間見えてきたところだが、正直、え、そういうことなの? と、この先読み続けるかどうしようか、微妙な過去話であった。なので、ちょっと付いていけなくなりつつある。落としどころが見えないというか、暗い将来しか見えないというか……。たぶん、キャラクターで唯一まともなのは、永井くんの元・親友の「海斗」と、亜人第2号の「田中」の二人ではなかろうかと思う。おそらく、海人は今後、何らかの役割を持って登場するのは間違いなかろうと思う。そして、田中は……きっと佐藤に利用されてポイ、なんじゃなかろうか。田中が人間を憎む動機は非常に良く分かるというか、きちんと説明されているけれど、それを利用されているだけなんだよな……うまくいけば、永井くんと仲間になれる展開もあると思うが、どうでしょうね……。

 というわけで、結論。
 とりあえず、こちらで第1巻の第1話を読んで、先が気になるようならば買いです。
 ただし、内容的にかなり残虐シーン満載なので、そういうのが苦手な人はやめたほうがいい。わたしは、もちろん面白いと思っているから買い続けているので、お勧めしたいところだけれど、万人向けではないだろうね。わたしも、実際ちょっと飽きてきた……まあ、映画は観に行きますよ。

↓ 不老不死、と聞いてわたしが真っ先に思い浮かべる映画はこれ。この映画の場合は「断頭されたら死」だけど、わたしはかなり好きです。カッコイイ。
ハイランダー/悪魔の戦士 [Blu-ray]
クリストファー・ランバート
ジェネオン・ユニバーサル
2012-04-13

 以前ちょっとだけ紹介した、週刊少年チャンピオン連載漫画、『スメラギ・ドレッサーズ』の単行本が発売になったので、応援のために買ってみた。電子ですが。

 あらためて第1話から読んでみると、うーん、なんというか、頑張れ!! という感じだろうか。 
 お話については、秋田書店公式Webサイトに第1話の試し読みがあるので、そちらを読んでもらった方が早かろう。主人公はとある高校の2年2組所属、風紀委員長の三ノ宮かなで。超・ド真面目でお堅い性格なので、周囲から敬遠されている、気の毒なぼっち少女である。そんな友達のいない彼女の元に、ある日、謎の生命体(?)「てらす子」が施設(?)と呼ばれるところから逃げてやってきた。その動機は、外の世界を見たい、友達が欲しい、というもので、 かなではそのてらす子と友達になる。だが、その「施設」は、悪の秘密結社「ツクヨミ」というものだった。
 ちなみに、ここまで開始から9ページ。そして、ツクヨミが、施設から脱走したてらす子を探して連れ戻すためにかなでの高校に乗り込んでくる。 校舎を破壊し、てらす子を探すツクヨミからの刺客に、かなでは勇気を振り絞って震えながら立ちはだかるが、その時、てらす子が施設からかっぱらってきたアイテムで、「スメラギ・ドレッサーズ」に変身するのであった――とまあ、そういう話である。
 この漫画の、とりあえずのポイントは、その「スメラギ・ドレッサーズ」に変身する過程であろう。
 1)まず、アイテムを手に取って「ドレスチェンジ・スタンバイ」と発声すること。
 2)次に現れる「ドレス・ルーム」で「ドレス」に「着替える」こと。
 なのだが、ここにも妙なルールがあって、
 1)「ドレス・ルーム」は、最初は曇りガラスだけどだんだん透明に透ける
 2)20秒で「ドレスルーム」は開く
 3)着替え中(ドレスルーム)はあらゆる攻撃が効かない
 4)着替え終わったら、「スメラギドレッサーかなで!! サクラドライブ!!」と名乗らないといけない。
 というもので、公衆の面前で着替えないといけない、しかも20秒以内、ということで、当然、最初は着替え中にドレスルームが開いてしまって、いや~ん!! な展開になるわけだ。それでも着替えを続けて、ちゃんとドレスを着ないといけないわけで、オーバータイムが増えるごとにドレスの持つ力も減っていく。なので、20秒以内に着替えが完了すれば、ドレスの力を100%使えるが、なかなかそうもいかず、苦戦する、みたいな展開が多い。
 わたしは、この設定は非常に面白いと思った。なぜならわたしは「仮面ライダー」が大好きだからだ。まさしく、ここ数年の平成ライダー的な始まりである。良く、なんでライダーの変身中は攻撃を受けないの、とか、変身完了時にいちいち名前を名乗る必要あるの、というツッコミを受ける「仮面ライダー」であるが、この漫画では、一応、そういうルールなの!! という説明がなされているのも興味深い、つーか、ちょっと笑える。なので、わたしは連載開始時から、これは面白いかも、という予感を抱いて、これまで応援しているのだが、どうにも、うーーん、と唸ってしまうポイントがいくつもあって、周囲の人々に、これ絶対面白いよ!! とお勧めできないでいる。もちろん同じチャンピオンの『鮫島』や『ペダル』については、相当周りに読ませてファンを増やしているのだが、これはちょっとどうなんだと、まだ微妙な躊躇が残ってしまう。

 まず第一に、絵柄である。
 以前も書いた通り、悪くないと思う。女子はとても可愛らしいし、ある意味重要な下着姿中心のお色気シーンも、結構悪くない。桂正和先生のレベルまでぜひ極めていただきたい。しかし、だ。絵柄については2つ問題点がある。まず第一に、とにかく読みにくい点である。基本的に線にメリハリがないこと、そして線が多いこと、による弊害であろうと思う。どうやら作者の松本先生は、新人漫画賞出身で、初連載漫画のようなので、まだ経験が足りないからなのかもしれないが、基本的なスキルは非常にしっかりしていると思うので、今後もっともっと上手に「漫画」の絵を描けるようになるとは思う。どうだろう、この松本先生はデジタル作画かな……手描きではないのではないのかな。カラーの着色は明らかにデータだろうけど、本編もフルデジタルかな。デジタルを否定するつもりは全くないが、やっぱり手描き原稿の熱は感じられない。もうちょっとメリハリを持って、線を整理すればいいと思うのだが……。そして絵柄のもう一つの問題点は、キャラの頭身であろう。やけに顔がデカイ・体が小さい、という絵柄は、可愛らしいけれど、どうにも一枚絵、イラストっぽく見える。ひょっとしたら松本先生はイラストレーターとしてのキャリアの方が長いのではなかろうか? 頭身に関しては場面場面で結構変わることもあって、なんというか若干落ち着かないのも気になるところではある。

 で、次に物語と、演出・漫画力的な部分である。
 まずもって、とにかくセリフが多いのは、読みにくさに拍車をかけていると思う。ある意味致命的なのだが、なんとかならないものか……。最初の数回は、いろいろな設定紹介があってやむ無しなのかもしれないけれど、もっと説明を放置して、だんだん分かってきても良さそうなのだが、これはあれか、設定を詰め込みすぎたってことか? いや、そうでもないよね……。そうなるとやはり構成力・漫画ネーム力の問題だろうなあ。言ってみれば、どうもラノベっぽいのだ。もうちょっとネーム力の向上が望まれると思うのだが、絵でもそうだけれど、もうちょっと省略というか、線も物語も、「全部描かなくていい」のではないかしら。なんとなく、あれもこれも的な感じを受ける。
  物語自体も、展開としては王道の仮面ライダー展開になって来ていて、特に文句はないけれど、まあ、ライダーファンとしては、やはり、
 a)別フォーム・強化フォームの登場と使い分け
 b)「2号ライダー」の登場までのいきさつ
 c)前半敵なんだけど後半味方になる強いキャラ
 d)敵側の組織とその目的
 が重要になると思う。現在、連載では第21話まで進んでおり、すでに、a)~c)はクリアされている、が、いまだにd)敵側組織とその目的がイマイチ良くわからない。なので、実際のことろなんでまた主人公のかなでちゃんがここまでえらい目に遭うのか、どうもピンと来ないのである。おそらくはもっと、「てらす子」が主体的に動かないといけなのではなかろうか……。いつまでもオドオドしてちゃだめだと思うな。敵の目的も、「世界征服」であることは第1話で既に語られているけどさ、あの……すみませんが、もうちょっと具体的に教えていただけないでしょうか。

 というわけで、結論。
 なんだか文句ばかりつけてしまったが、わたしはかなり期待して応援しているので、ぜひとも、もっともっと面白い作品にしていただきたい。それだけのポテンシャルは十分に秘めていると思います。2巻も買うことを約束します。

↓ ヒーロー大好き桂正和先生の、ド・シリアス・ヒーロー(?)漫画。久しぶりに読んでみるか……。

 『よつばと!』という、あずまきよひこ先生による大ヒット漫画がある。まあ有名なので説明は省くが、この『よつばと!』の連載が始まった時は、あずま先生の前作『あずまんが大王』が四コマであったため、なんとなく見開き単位でオチを付けようとする感じがあって、なんかテンポが悪いな、なんてことを思っていたのだが、そんなわたしの偏見もあっという間に気にならなくなり、非常に楽しく面白い漫画として、今や12巻累計で1,000万部を突破したスーパー大ヒットコンテンツとなった。ただ、よくわからないけれど異常に連載が止まったりして、かつては年に最低でも1冊は単行本が出ていたのだが、今月やっと発売になる最新巻13巻は、2年8か月振りだというから、相当な間隔があいてしまっている。まあ、もはや金には困らないんでしょうな、あずま先生は。
 で。世には、子供と大人の毎日のほんわか生活を描く漫画が数多くあるけれど、どうしてもいつも、『よつばと!』のパクリじゃん的な評価をされてしまうことがあって、非常に残念なのだが、わたしが新刊が出れば必ず買う漫画の一つにも、そんな子供と大人の交流の物語がある。それが、『銀のニーナ』という作品である。その最新(7)巻が発売になったので早速買い求め、楽しませていただいた。(※ちなみに「しろがねのニーナ」と読む)

 紙の単行本は9月に出ていたのだけれど、大変申し訳ないがコミックスに関しては一部を除いてなるべく電子で買うわたしなので、じっと待っていたのだが、ようやくわたしの愛用する電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」でも配信が始まったので、待ってましたとばかりに購入した。

 この漫画は第1話が双葉社から試し読み公開されているので、こちらを読んでもらったが早かろう。物語は、主人公が東京で職を失い、故郷の北軽井沢へ帰ってくるところから始まる。帰った実家には、金髪碧眼の10歳の女の子がいた。姉の娘、すなわち姪っ子だった。姉は極めてアクティブな人物で、スウェーデンで結婚・出産したが後に離婚、国際的に各地を飛び回るポジションまで出世したため、娘「ニーナ」を実家に預けた、というのだが、ちょうど実家に戻った弟たる主人公が、ニーナの面倒を見ることになり……という話である。
 この漫画の面白さは、ひとえにニーナの可愛らしさと、時に主人公がまぶしく感じるほどの真っ直ぐさにかかっている。日本文化が大好きで、みずから母の実家に行くことを選択したニーナ。でも、やっぱり漢字や文化はわからないから戸惑う事もある。それでも、ニーナは真っ直ぐ前を観てくじけない。努力もする。もちろん、基本的に10歳児なので遊びたいし、サボることもある。また、時には母が恋しくて寂しくてしょんぼりすることもある。けれど、東京での夢破れて故郷に戻った主人公には、そんなニーナの生き様が非常に心の支えになるのだ。
 設定や基本的なストーリーラインだけを見ると、なんだかラノベチックなトンデモ話を想像するかもしれないが、中身はいたって真面目である。ニーナという存在自体がファンタジーに感じるかもしれないが、そのファンタジックな存在を取り巻く環境は極めて現実的で、まさしく異国から来た美少女であるニーナが懸命に日本を理解しようとする姿は、とても健気で可愛らしい。主人公は、そんなスーパーポジティブで何でも楽しめる(正確には、何でも楽しもうとする)ニーナという存在に心癒され、当然読者も同様に、癒されるのだ。

 物語はすでに第(7)巻まで進んでいる。夏休み前から始まった物語も既に学校が始まって友達も増え、前巻ではニーナの母も日本に帰って来て(またすぐに戻ってしまったけど)、年越しを迎えたところまでだったが、今回はお正月からバレンタインデー~北軽井沢「炎のまつり」までが描かれる。お祭りというと、これまた『よつばと!』と被るネタではあるけれど、わたしは既に、『よつばと!』よりもこの『銀のニーナ』の方が好きな漫画である。『よつばと!』はもちろん面白い。よつばの無邪気さや自由奔放さに頬が緩まない大人はいないんじゃないかというぐらい、無敵の5歳児だ。しかし、あまりに無邪気すぎて、正直わたしは心配になる。大丈夫かこの娘……ちょっと知能ぶりが遅れてやしないか? と妙に現実的なことがわたしは読んでで心配になる。しかし、ニーナは完全に分別の付く立派な人間であり、きちんとした、子どもなりの考えを持っている。その点で非常に安心するんだよな……とても。
 だが、ひょっとするとこの漫画にほっこりするのは、男だけなのかもしれない。女性が読んで面白いのかは、ちょっとだけ自信がない。あくまでこの漫画は、職を失った主人公の男からみたニーナであるので、その点で女性の共感が得られるのかどうか、わからない。一応、わたしの周りの女子たちにも読ませてみたけれど、反応はイマイチで『よつばと!』の方が面白いと断言されてしまったので、まあ、男向けなのか、な。

 というわけで、結論。
 『銀のニーナ』は、わたしとしては『よつばと!』よりも面白いと思っている、新刊が楽しみな漫画である。まあ、もちろん、今月発売になる『よつばと!』13巻も買いますけどね。なんというか、『ニーナ』は真面目な漫画ですよ、とても。わたしとしては、超・おススメです。


↓ 応援のために紙でも買うべきか……?

 今日は、昨日に引き続き、もうひとつチャンピオン連載中の漫画を取り上げる。単行本の4巻が発売になった『鮫島、最後の十五日』である。今、わたしが一番好きな漫画と言って差し支えない。熱く、泣けるのだ。わたしにとっては、現在のチャンピオンの筆頭漫画である『弱虫ペダル』より上である。もちろん、『ペダル』も非常に面白いけどね。

 この漫画は、相撲漫画である。それも、プロ、学生ではない。幕内力士である主人公・鮫島鯉太郎の、最後の場所である十五日間が描かれる、ようである。なお、この漫画は、以前このBlogでも書いたとおり、鯉太郎の入門から序二段までを描いた『バチバチ』、そして幕下での死闘が描かれた『バチバチBurst』という前のシリーズがあるので、それを読んでいないとダメだ。
 主人公、鮫島鯉太郎の父親は、元大関・火竜である。しかし火竜は、悪タレと呼ばれるほど素行が悪かったのだが、相撲に関しては常に全力で、いよいよ綱取りが見えてきたところまで相撲道を精進してきた。しかし、肝心の綱取り直前に土俵の外での一般人との喧嘩で角界を追放されてしまい、妻とも離婚し、酔った挙句に事故で亡くなる。鯉太郎は、そんな父親を否定しつつも、父親が常に言っていた「死んで生きれるか!」という言葉を胸に秘め、ヤンキー高校生ながら巡業の力士に挑戦し、失神しながらも幕下力士に勝ちを得る。その戦いが空流部屋の親方の目に留まり、入門に至るが、当然プロの力士には到底叶わないながらも、相撲教習所で同期のライバルたちに出会い、切磋琢磨していく。序の口での優勝、序二段では相星で同部屋の兄弟子との戦いとなるが、鯉太郎の所属する空流部屋の3人の兄弟子たちの模様も熱い。鯉太郎は、そんな熱い兄弟子の背中を見て成長していく。第1シリーズ『バチバチ』のラストは、十両昇進が確定した2人の兄弟子同士の幕下優勝を賭けた戦いが描かれる。阿形・吽形という四股名を持つ二人の兄の対決は、そこに至るまでのさまざまな力士との因縁も混じりあって、もう号泣モノだ。鯉太郎は、二人の兄の戦いを魂に焼付け、『バチバチ』は終わる。
 続く、第2シリーズの『バチバチBurst』では、幕下に上がった鯉太郎と、入門時から因縁のあった、天才と呼ばれる力士・王虎との戦いがメインだ。王虎の父は、大横綱・虎城で、鯉太郎の父・火竜の兄弟子でもある。この、父親世代の因縁も『Burst』では描かれ、最後は幕下優勝を賭けて鯉太郎と王虎が戦うのだが、やっぱり『Burst』でも、教習所時代の同期の活躍も丁寧に描かれ、最後の鯉太郎VS王虎の戦いも熱く描かれている。

 そのような、幕内に上がるまでが非常に丁寧に描かれているので、最終シリーズ『鮫島、最後の十五日』は、そのタイトルからして非常に緊張感がある。「最後の十五日」とは一体どういうことなのか。鯉太郎はまさか、あしたのジョー的な真っ白な最期を迎えることになってしまうのだろうか? この最終シリーズは、最初の第1話からして期待をあおるもので、 毎週全く目を離すことができない。どうやら、本当に十五日間の戦いを描くようで、1巻では初日の模様が描かれる。相手は、鯉太郎が同期の中でも同じソップ力士(痩せ型の力士を相撲用語で「ソップ」という)として、そしてその体型から、お互い「相撲に選ばれていない」力士として、最も多くの時間を共有してきたライバル兼親友の石川との戦いだ。飛天翔と四股名を改めた石川の熱い思いを真正面から受け止め、「俺の全部をくれてやる」鯉太郎。もう、この初日からもう泣ける話になっている。
 鯉太郎は言う。「俺は相撲に選ばれちゃいない。関取ってのは150kg超えの化け物そろいだ。オレがここまで必死に作り上げた体も100kgちょい・・・気を抜けは直ぐに痩せちまう。太れねえってのは・・・致命的なんだ。幕内に上がって・・・相撲が楽しくなる一方で・・・土俵に上がる前・・・いつも覚悟するんだ・・・この体がいつまでもつのか・・・これが・・・最後の土俵かもしれねえって。だからよ・・・ムカつくだろ・・・その最後の相手が全力じゃなかったら・・・許せねーだろそんなの!」
 だから、鯉太郎は、自分はもちろん全力を出すし、相手にも全力を求める。もうね、まったくもって男だぜ鯉太郎!! しびれるね、本当に。最高にカッコイイ。
 続く2巻と3巻では、2日目の取組が描かれるのだが、衝撃の、まさかの展開が待っていた。空流部屋という大切な居場所を賭けた鯉太郎の想いもまた、泣けてくる。だいたい、2日目の取組だけで単行本2冊を必要とする内容の濃さだ。この日に至るまでの5年間の因縁が丁寧に描かれる。ホントにね、毎週困るんだよね。読んだそばからもう、次の週が待ち遠しくなってしまうから。
 そして、今回の新刊である4巻では、3日目と4日目の前半が描かれる。3日目は、とある小学生の話だ。小学校でも家でも居場所を失った少年に、鯉太郎は戦う姿を見せることで、生き方を教える。その、小賢しい小学生は言う。「何でアナタはお相撲さんやってるんですか? どう見たって選択した競技間違ってません? その体でお相撲取ればどうなるか予測着くでしょ・・・」
 体の小さい鯉太郎の、毎日の稽古を見ての、素朴な感想だ。それに対して鯉太郎はこう答える。
「予測やら将来やら・・・ガキのくせにうるせー奴だな・・・好きで選んだこの道だ・・・今を必死で生きねー奴に、未来は近づいてこねーだろ」
 そして小学校で友達のいない少年は言う。
「まぁ・・・来年は中学受験だし・・・あんな低俗な奴らともさよならだ・・・将来笑うのは僕の方さ・・・」
 それに鯉太郎が返す言葉は、非常にカッコイイ。
「まぁ・・・お前が将来どーなろーがいいし、今のお前の考えを否定もしねーけどよ・・・人の人生に口出せるほど俺は偉くねーし余裕もねーしな・・・でもよ・・・必死こいてる奴を笑う奴に、大した奴はいねーんだよ」
 当然、こう言われた小学生は、なんだよバカーと帰ってしまうが、鯉太郎のことが気になる少年は、やっぱり空流部屋に顔を出す。2日目の取組が終わって帰ってきた鯉太郎は、2日目だってのにもうフラついている。心配になった少年は、その有様で十五日もつんですか、と聞く。鯉太郎は、笑顔でこう答える。
「さぁな・・・そんな先のことは知らねーよ。一番一番に己の全部をくれてやる・・・それが俺の相撲だ。じゃねーと勝てねーからな、俺は・・・。チケットやるから見に来いよ。教えてやるよ。俺が相撲を取る意味を・・・」
 そして鯉太郎が見せる、バチバチの戦いに、少年の心は動く。もうこの流れは、本当に美しくカッコイイ。何度読んでも泣けてくるんだよな。この最終シリーズ『鮫島、最後の十五日』では、随所に鯉太郎が満身創痍であり、限界が近いんじゃないかという姿が描写され、もう本当に心配でならない。4日目は、幕内にあがったばかりの最重量級外人力士が相手だ。巨漢相手であっても、ソップの鯉太郎は、当然全力でブチかますつもりでいる。しかし、相手の外人力士にはなにやら心の問題があるようで……というところまでが4巻だ。

 実のところ、わたしはチャンピオンを毎週買って読んでいるので、この戦いの結末も知ってはいる。だが、この『バチバチ』『バチバチBurst』『鮫島、最後の十五日』という一連の漫画は、勝負の結果ももちろん引き込まれる面白さがあるのだが、それと同等かあるいはそれ以上に、勝負に至るまでのバックグラウンドが非常に濃密で、その背景があるからこそ、勝負自体も面白いものになっている。相撲は、普通の立会いは60秒もない。その、わずか1分に満たない時間をここまで濃密に描ける佐藤タカヒロ先生はすごいと思う。なお、この漫画は、ためにし女子数名にも読んでもらったのだが、軒並み好評であるので、女子にもお勧めしたい。A嬢は特に気に入ったらしく、『ペダル』よりも面白いと言ってくれている。鯉太郎(のような男)と結婚したいそうです。

 というわけで、結論。
 『鮫島、最後の十五日』は、どう完結するのか全く予断を許さない展開だが、わたしの中ではもうすでに、傑作の予感がしているというか、既に傑作認定している。なので、秋田書店の方には、どうかお願いしたい。頼むから、最後まで描き切らせてほしい。打ちきりなんてことになったら、ホント怒るよオレ。電子と紙の単行本、両方を買って応援するから、きっちり最後まで描いてほしいと、切に願う。

 ↓ 佐藤タカヒロ先生のちょっと前の作品。柔道漫画。もちろん、応援のために全14巻電子でまとめ買いしました。やっぱり非常に面白かった。


 以前、「週刊少年チャンピオン」が今、非常に面白い。というネタを書いたが、その時に取り上げられた新連載漫画の単行本が発売になったので、早速購入した。タイトルは『ニコべん!』。お料理漫画と言えばいいのかな、キャラ弁つくりにいそしむ少年の物語である。

 わたしはわたしを知る人々に、ちょっとした何でも超人として知られているが、そんなわたしが全く出来ない、苦手分野が二つある。それは「料理」と「楽器」である。この二つが出るようになったら、わたしに出来ないことはほぼなくなるのだが、どうしてもこの二つはダメだ。まあ、それほど興味がないからやる気も起きず、やろうとするモチベーションがないので手を出していないわけだが、それでもやはり、料理の出来る人や楽器の出来る人は、それだけで、コイツ……出来るな……と思ってしまう。とりわけ料理については、女性であればそれだけで評価は高くなるし、男で料理の出来る奴に対しては、ぐぬぬ……となんだか悔しくなる。
 というわけで、最近少し自分でも料理をやってみるか、とレシピ本などを見ながらやってみるものの、「少々」ってどのくらいだよ、とかイライラしたり、味見しても何が足りないのか、塩? が少ないのか多かったのか、正解の味がよく分からず、どうもイマイチぱっとしないものしか作れないでいる。レシピ通りやってみれば、一応、うわ! コイツはマズイ! というような、ジャイアンの歌を聴いたときのような失敗はないものの、逆に、うお! コイツはうまい! という劇的な感動もなく、なんともやる気が出ないので困っている。決定的に、料理の経験値がないというか、もうどうすればいいのでしょう、と若干途方に暮れており、まったくもって、トホホ……である。そういう話を、料理が得意なY君に話すと、フッ……っと軽く失笑するので実にイラつくのだが、そもそもわたしは、食に対するこだわりや執着といったモノをほぼ持ち合わせておらず、ジャンクフード好きであり、好物は? と聞かれれば、まあ、チャーハン・カレー・焼きそば、それからハンバーグとか? みたいな返事しかできないバカ舌の持ち主である。これはわたしを語る上で、わたしの周りでは有名なエピソードだが、かつて、出張で地方に出かけた時、同僚のM君とこんな会話があった。
 M君「今日も疲れたっすね~。夜、なに食いましょうか」
 わたし「あそこに吉野家あるから、それでいいんじゃね?」
 M君「バカヤロー!? ここ大阪ですよ! なんで大阪で吉牛なんすか!?」
 なんてこともあったし、別の出張では、
 M君「はあ~腹減ったっすね~。やっぱ広島っつったらカキっすかねぇ~」
 わたし「あー……ごめん、オレ、カキ嫌いなんだよね」
 M君「えーーーっ! じゃあ、お好み焼きでも行きましょっか」
 わたし「でも次のアポの時間ヤバくね? もうあそこのマックでいいんじゃね?」
 M君「このバカーーーっ!? ここ広島!! なんで広島でマック!?」
 また、Y君と台湾に行ったときなども、こんな会話があった。
 Y君「つーか腹減ったっすね」
 わたし「そうね。なんか食いますか」
 Y君「やっぱとりあえず小龍包っすかね」
 わたし「オレさ、スーパー猫舌なんだよね。あ、あそこ、パスタ屋あるね。パスタでいいんじゃね?」
 Y君「……はあ(深いため息)……ホントこの人なんなの。ここ台湾!! なんで台湾でパスタ!? 東京帰れ!!」
 これは、実話である。わたしは別にその地の名産とか、ほとんど興味がないので別に何でもいいよ、というつもりで言ったのだが、部下にバカ呼ばわりである。ホントごめん。

 そんなわたしが、Y君に料理について、どうにも味の正解が分からない、美味いのかすらもよく分からん、という話をしてみたところ、ならば誰かに食ってもらって味を見てもらえばいいんじゃないですかね、という返答を得た。なるほどね。そりゃ道理だ。でもなあ、Y君に食ってもらっても、またガタガタうるせえこと言われて、それを黙っておとなしく聞く自信ねえしなあ、かと言って身近な女子に食ってもらうのも、うまければいいけど、マズかったらアレだしなあ、という全く意味のない無駄な見得もあったりして、何でも超人としておなじみのわたしとしては、それはどうなのよ? とわたしの脳内会議は完全に紛糾してしまっている。なので、結論としてはやはりABCクッキングスタジオに入門するしかねえんじゃないかな、と思っている今日この頃である。

 で。『ニコべん!』である。
 どういう話かというと、主人公は高校1年の男の子。パシリとしてヤンキー連中に使われ、また勉強のほうも全くぱっとしない。そうなってしまった理由はきちんと描かれていないが、そんな彼が唯一楽しんでいるのが、父親の昼の弁当作りである。父親は普通の会社員だし、母親もいい人だし、お姉ちゃんも可愛い。なんで主人公がパシられているのか良く分からないが、要するに気弱で押しが弱いということのようだ。で、ある日、父からもう弁当はいらん、と唯一の楽しみを否定されてしまう。父親は、息子の作った「かわいらしいキャラ弁」をさんざん部下にからかわれてしまったのだ。せっかく作ったお弁当どうしよう。そんな中、クラスで浮きまくっている広島弁バリバリの女子が、屋上で一人ぽつんとお弁当を食っているところに遭遇する。みると、白米&梅干のみ、のなんとも男らしいお弁当である。しかも、びっくりさせて梅干を落っことしてしまった。そこで主人公は勇気を出して言う。「よかったら・・・これ」と自分のデコ弁を差し出し、そそくさと立ち去る。が、しまったーーーデコ弁だったーーー恥ずかしいィィィーーー! と、あわてて屋上に戻ると、教室では誰も寄せ付けないオーラをまとっている広島弁女子が、ほっこり笑顔で「かわいいのぉ……」とほめてくれた! そして、卵焼きを食べるのに、醤油ないんか? と聞く広島女子。醤油はあるんだけど、今回のデコ弁のために前日の夜開発した、たこさんウィンナーに秘密が……。この部分は、読んでもらったほうがいいだろう。この第1話が無料で読めるので、ぜひ読んでみて欲しい。かくして、主人公は、「人に弁当を食べてもらうって、こんなに嬉しいことだったんだ」ということを知る。このあと、主人公の広島女子を笑顔にするためのお弁当作りが話のメインになるのだが、他にもいろいろなキャラクターたちが登場し、料理で人を笑顔にしようとする主人公の頑張りが続くわけで、非常にいい話じゃん、とわたしはとても気に入った。
 絵柄も、近年の萌え漫画的なドへたくそな薄っぺらなものではなく、きっちりと少年漫画の王道を行くタッチで描かれており、非常に好感が持てる。悪くない。いや、これはとてもいい漫画だとわたしは思った。
 
 この漫画で描かれているように、まあ料理であれなんであれ、自分のしたことで誰かが笑顔になる、というのは最高に嬉しいことだ。なので、わたしもちょっくら本気出してみようかな、とは思っているのだが……散々書いたとおり、どうにもわたしには、料理はひじょーーに高いハードルであり、困難なものである。ああ……でも料理ができたら、ちょっとカッコイイよな……くそう……やっぱABCクッキングスタジオに入門するかな……困った……。『ニコべん!』の主人公のようになりたいもんだのう……。

 というわけで、結論。
 『ニコべん!』はイイ! 絵も物語もとてもイイ! 万人にお勧めしたい漫画です。

↓ いくらレシピ本見ても、わたしのようなバカ舌には通じないんだよな……困った……。


 ずいぶん前、たぶん5~6年前だと思うが、Y君に借りたマンガがある。
 辛気くさいおっさんが、一人で飯を食うだけのマンガで、心の中の声だったり、実際のつぶやきやぼやきだったりを発しながら、まあとにかく、一人で飯を食う、それだけのマンガ。それが、今やすっかり人気マンガとなった『孤独のグルメ』だ。2012年にテレ東で映像化され、主人公・井之頭五郎を松重 豊が絶妙に演じたことで、一気に人気も上がり、ドラマは既に4クール放送されて、さらに今年も10月から、Season5が始まるそうである。も一つおまけに言うと、ドラマ(の大筋というかフォーマット)は中国に輸出されているそうで、中国版もあるそうな。
 まあドラマについては、公式Webサイトでも見てもらうとして、やっぱり本筋は、原作のマンガである。もともと、「SPA!」を出版していることでおなじみの扶桑社の雑誌(と言ってもとっくに休刊)、「月刊PANJA」に1994年から1996年にかけて連載されていた作品なので、もう、20年前の作品である。その、まあ普通の人なら絶対知らないようなマンガだったのが、2009年あたりから「SPA!」でたまーに新作が載るようになり、なんとこのたび、18年ぶりに単行本の第2巻が発売になった。既に、このマンガのファンとなっていた私としては、もはや買わない理由はなく、おとといの発売日に購入した。Y君は電子待ちとのことで、先にわたしが紙の本を買う事にした。
孤独のグルメ2
久住 昌之
扶桑社
2015-09-27

 この「孤独のグルメ」は、何とも説明しにくいので、まずは読んでもらった方がいいと思う。今、2巻の最初の1話が無料公開されているので、こちらをまずは読んでみてほしい
 このマンガ、女子が読んで面白いのかさっぱりわからないが、わたしのようなおっさんや、Y君のようなおっさん予備軍――特に一人飯が普通の男ならばなおさら――には、ジャストミートである。
 たいてい、ひと仕事区切りがついて、お昼に(たまに夕方)「小腹がすいたな」みたいなつぶやきから話は始まる。個人貿易商として営業に回っている主人公が街をうろつき、店を見つけ、入ってみる。そして、店に入ると、次々とオーダーして、結果的にすごい量を食べる。そして、毎回ではないが、かなり頻繁に、食いすぎてしまい、若干後悔する。読者としては、思わず「そりゃあんた食いすぎだよ!」と突っ込みたくなり、つい、クスッと笑ってしまう。それだけの話なのに、こんなに人気になるほど面白いのはなぜか?
 それはやはり、ひとえに主人公・井之頭五郎のキャラクターにあると言ってよいだろうと思う。主人公の五郎について読者が分かっていることは、
 ■個人で貿易商を営み、たまに海外に行く。店はなく事務所のみ。
 ■下戸。酒は飲まない(飲めない?)。
 ■タバコは吸う。
 ■結婚歴はない模様。ただし、昔の恋人(?)は回想でたまに出てくる。
 ■行列は嫌。2巻によれば「食べている時、後ろで誰かが待っているという状態が嫌」
 ■食べたいときに食べる。
 ■姉がいて、その息子「太」は高校球児
 ■たまに喧嘩をする。強い。
 とまあ、こんな人物なのだが、基本的に毎回腹ペコである。まあそうでないと話が始まらないので、そりゃ当たり前だが、その腹ペコ具合がハンパない。ちっとも、「小腹がすいたな……」で済むレベルじゃない。また、「食べる」ことへのエネルギーのかけ方も、またハンパない。彼は、腹が減ると、食べる、という動詞を使わず、何か腹に「入れとくか」みたいなことをつぶやく。料理を腹に「入れる」。こういう、言葉遣いが毎回面白い。しかも、食べながらずっと、考えていることが文字化されるので、その頭の中のつぶやきも毎回見逃せない。どんどん一人で盛り上がっていく様は、誰しもがあるあると思うものだろうし、何言ってんだこのおっさん、と突っ込みたくなるものもある(もちろん頭の中で考えているので「言って」はいないけど)。また、絶妙なオヤジギャグも飛び交い、完全に滑っているのに、読みながら読者たる自分もにやけてしまう時点で、完全に作品の虜である。

 今回の2巻では、またも名言がかなり多く飛び出している。てゆうか、全部の話で名言があって、全部を取り上げると大変な量になってしまうが、わたしが今回気に入ったのは、「孤独のグルメ」というタイトルを若干否定しつつも、まさしくタイトル通りの一言だ。
 主人公は、下北沢の路地裏で、やや古めかしいピザ屋を発見し、さっそく入ってみる。その独特の注文方法に戸惑いながらも、ピザを完食。コカ・コーラも2本飲む。と、カップルがピザとパスタを頼んで、半分ずつ分け合っている。満足して店を出た後、主人公はこう心の中でつぶやく。

 (こんな若者だらけの街なのに ナイスな店見つけた。でもピザ 外食独り食いにはやっぱり少々サビシイかな……)

 この最後の変な余韻が、この作品の一番のポイントだろうと思う。
 また、別の話では、主人公は鳥取に出張で来ていて、現地の人にお勧めしてもらった素ラーメンを食べに行く。そこで、素ラーメンを食べた後、さらにカレーも注文しする。そのカレーを食べながらの心中を表す一言がこれ。

 (なんだかちょっぴりさびしんぼ)

 料理には満足したし、腹も膨れた。
 しかし、こころは、若干満たされていない。
 そんな「孤独のグルメ」を表現した名言とわたしは感じだ。

 そして今回、わたしが一番笑ったのは最終話の、パリでの風景だ。
 たぶん買い付けかなんかだろうと思うが、主人公はパリに出張中。そこで、かつて行ったことのあるアルジェリア料理屋に入る。そして、またいつもの通り、次々にオーダーして、もりもり食べる。が、「クスクスって歯ごたえが乏しすぎる」ため、どうしても、最後に米が食いたい。そこでサフランライスをオーダーする。そこからのセリフと心のつぶやきが最高だ。

 「やっほーーーっ 飯だ 米だ!!」
 (うん、黄色いけど飯だライスだ とどのつまり米ですよ我々 主食に菜、そこにおかずと、汁! この三本柱があればどこでもニッポン ここ……どこだっけ パリだったよな)

 どこだっけって忘れるほど、主人公の頭には飯のことしか頭にない。このとぼけた様子がとてもおかしい。非常にいいオチだと思った。

 というわけで、結論。
 まあとにかく、わたしがいくら言葉を費やしても、このマンガのよさは伝わらないと思うので、是非読んでみていただきたい。たぶん、外食独り食いが多い人には、なにか心に残るマンガとなるのではないかと思う。わたしはこのマンガが、好きです。

 ↓ 主人公が訪れた店を「巡礼」する本まで出てるんですな。ちなみに、「ガイド1」の方は、TVのSeason1~3で取り上げたお店、「ガイド2」の方は、TVのSeason4と、今回の単行本2巻に出てきたお店、だそうですよ。
孤独のグルメ 巡礼ガイド (扶桑社ムック)
週刊SPA!『孤独のグルメ』取材班
扶桑社
2014-07-24

孤独のグルメ 巡礼ガイド2 (扶桑社ムック)
週刊SPA!『孤独のグルメ』取材班
扶桑社
2015-09-27


 

 

 ええと、タイトル通りなんですけどね。

 わたしは現在、いわゆる週刊少年漫画雑誌を2誌、毎週せっせと買っている。
 『週刊少年ジャンプ』は、もう35年ぐらいは毎週買っていると思う。が、今現在、『ジャンプ』はほぼ惰性で買っており、こいつを毎週早く読みたいんだよ! とわたしを熱くさせるマンガはほぼない。そうだなあ、現在連載中の漫画では、ソーマ、火ノ丸、ニセコイ、という順番でわたしは読んでいるような気がする。
 集英社もすっかり連載本誌ではなくて、単行本とアニメ化とグッズに頼った、オタクビジネスのうまみを知ってしまったので、いわゆる女子人気をあてにしたり、なんというかかつてのジャンプの持つ熱気はすっかり失せてしまったように思う。一読者としては。ならもう、本誌は買わなくていいかもな……と思いつつ、買うのをやめるきっかけがなんとなくなくて、なんとなく買い続けている状況である。

 一方。
 今、わたしが毎週発売日を楽しみにしているのが、『週刊少年チャンピオン』である。
 きっかけは、『弱虫ペダル』だが、意外と面白いマンガが豊富で、少なくとも私には、『ジャンプ』よりも楽しみにしているマンガの数は多い。ちょっと『ジャンプ』と『チャンピオン』の、直近号の連載漫画を数えて比較してみようかな。
 ■掲載マンガ(連載だけじゃなく読切含む)
  →ジャンプ21本/チャンピオン23本
 ■冒険・ファンタジー・SF・学園バトルもの
  →ジャンプ8本
    ONE PIECE(非地球・冒険ファンタジー)
    僕のヒーローアカデミア(学園バトルファンタジー)
    暗殺教室(学園バトルファンタジー?)
    ブラッククローバー(魔法系ファンタジー)
    トリコ (冒険ファンタジー)
    ワールドトリガ― (学園SFバトル)
    BLEACH (バトルファンタジー?)
    カガミガタリ (退魔系バトルファンタジー)
  →チャンピオン4本
    スメラギドレッサーズ(学園魔法バトルファンタジー)
    マジロマジカル (魔法バトルファンタジー)
    兄妹(学園探偵ファンタジー)
    バイオハザード(ゾンビバトルファンタジー)
 ■スポーツ・格闘もの
  →ジャンプ4本
    火ノ丸相撲(相撲・高校)
    ハイキュー!!(バレーボール・高校)
    背すじをピン!と(競技ダンス・高校)
    ベストブルー(水泳・高校)
  →チャンピオン8本
    鮫島、最後の15日間(相撲・プロ)
    弱虫ペダル(自転車ロード・高校)
    ハリガネサービス(バレーボール・高校)
    刃牙道(格闘・プロ? ※これは別カテゴリーかな?)
    少年ラケット(卓球・中学)
    錻力のアーチスト(野球・高校)
    ドカベン(野球・プロ)
    羽恋らいおん(バドミントン・高校)
 ■学園ラブコメ
  →ジャンプ、チャンピオンとも1本ずつ
    ニセコイ(ジャンプ・高校)
    実は私は(チャンピオン・高校)
 ■料理漫画
  →ジャンプ、チャンピオンとも1本ずつ
    食戟のソーマ(ジャンプ・高校?)
    ニコべん!(チャンピオン・高校)
 ■ギャグ・コメディ漫画
  →ジャンプ5本
    銀魂
    斉木楠雄のΨ難
    左門くんはサモナー(新連載・学園退魔系?)
    こち亀(※ギャグだよな……?)
    磯部磯兵衛物語
  →チャンピオン5本
    侵略!イカ娘(※ギャグだよな……?)
    毎度!浦安鉄筋家族
    マツタケART
    吸血鬼すぐ死ぬ
    木曜日のフルット(2P短編)
 ■ヤンキー漫画
  →ジャンプ0本
  →チャンピオン2本
    クローバー
    Gメン
 ■カテゴリー分け難しい
  →ジャンプ1本
    ものの歩(将棋プロを目指す少年成長型)
  →チャンピオン1本
    囚人リク(監獄脱獄型)
 ■読み切り
  →ジャンプ、チャンピオンとも1本ずつ
    バクマン。abe13(ジャンプ・映画合わせの外伝)
    こむぎけーしょん(チャンピオン・新人?)    

 こうして一覧にしてみたのは、 両誌の傾向が似ているようで微妙に違う事を自分でも整理したかったからなんだが、やっぱり、今のチャンピオンの主軸はスポーツ系であるのは明らかだ。それと、きちんと学園ラブコメや料理系も1本ずつ入れてトレンドをつかんでいるし、ジャンプ得意の冒険ファンタジーが少ない代わりに、今でもヤンキー喧嘩系が2本あったりと、チャンピオンらしさは健在だと思う。
 ちなみにわたしが推す、『弱虫ペダル』以外のチャンピオン連載漫画は、4本ある。
 1)『鮫島、最後の15日間』
 最高。この漫画は本当に面白い。実のところ、この漫画は『バチバチ』『バチバチBurst』という前作があって、その中では主人公の青年が16歳で相撲部屋に入門するところから幕下までが描かれておおり、現在の『鮫島~』でようやく幕内力士として戦っているのだが、この漫画の面白さは、その前作を読んでいることが前提となる。この最終章となる『鮫島~』は、どう終わりに持って行くのか、毎週非常に楽しみである。現状、わたしの中では名作の予感がヒシヒシと伝わってきてるが、すべての評価は完結時に判明すると思う。とにかく熱くてカッコよくて泣ける、超おすすめの相撲マンガである。わたしとしては、『弱虫ペダル』よりも先に、一番に読むマンガだ。もちろん、応援のために紙と電子の両方で単行本を買っている。きっちり最後まで描ききってほしい。
 2)『ニコべん!』
 正直なところ、非常に地味である。どうにも性格的にオドオド君で、友達少ない系の少年が、とある無口な地味ガールの笑顔を見るために、得意の料理スキル全開でキャラ弁を作ってあげる話。絵のレベルは結構高いと思う。いい意味で線が省略されていて、少年漫画として王道の絵力があると思う。演出のコマ割りも悪くない。キャラ付けも、もうちょっとメリハリが欲しいかもしれないが、わたしは嫌いじゃない。いかんせん、話が地味であるのが残念だが、これはモチーフ的にどうにもならないかもしれない。長く続いてほしいものだが、非常に心配だ。それでも、毎週わたしは楽しみに読んでおり、応援のためにも単行本を買う事にしたいのだが、電子でもいいですか……?
 3)『囚人リク』
 この漫画は、既に単行本が24巻まで出ており、たぶん、現状のチャンピオンの中では長寿作品に入ると思う。これまた地味というか、主人公の目標達成までの道のりが果てしなく遠い物語なのだが、きちんと話は少しづつだが進んでおり、決して停滞しているわけではない。が、一つのことをクリアするのにすごく時間がかかってしまうのだ。なので、毎週見逃せないマンガである。
 4)『スメラギドレッサーズ』
 この漫画は連載が始まってまだ間もないところで、まだ単行本も出ていない。はっきり言って、絵は上手なんだが、構図が悪かったり、線が多すぎたりで、非常に読みにくい。また、ネームもかなり多いのも読みにくさを増幅している。なので、非常に先行きは心配なのだが、キャラクターが非常に良いとわたしは思っている。なんとか、もうちょっと線を整理して、コマ割りももう少し大胆に大きくしてもいいような気がする。あと、ネームが多いのも何とかしてほしい。この漫画は、現状のチャンピオンで唯一、お色気シーン(?)があるので、頑張ってほしいのだが……先行きが本当に心配だ……。

 というわけで、結論。
 今のチャンピオンは非常に勢いがある。もちろんそれをけん引しているのは『弱虫ペダル』ではある。が、それ以外にも面白いマンガが、少なくとわたしには『ジャンプ』より多い。今後も応援していきたい。
 でも……今週のチャンピオンは、完全に『刃牙道』にもってかれたわw
 範馬勇次郎の顔芸だけで笑わせるのは反則ですよ、板垣先生!! (※実は今日はこれだけを言いたくて、無理やりいろいろ書いたw) 

 ↓ 『バチバチ』『バチバチBurst』最高です。


 去年の暮れに、とあるAndroid Tabletを購入して以来、わたしはすっかり電子書籍野郎になった。正直なところ、小説を読むには、やっぱりまだ紙の方の方がいいな、とは思っているが、電子で買えるものは基本的に電子書籍で買っている。が、ことコミック、漫画に関しては、もう完全に電子書籍の方がわたしには都合がいい。わたしにとっての最大のメリットは、「買ったものを置く・しまうための物理的空間を要しない」ことである。サイバーな元部下のY君は、わたしに何度もそのメリットを主張してくれていたのにもかかわらず、それがどんなに素晴らしいことか、実際に電子書籍を買い始めるまではちょっとピンと来ていなかったが、完全に昭和の男であるわたしも、今やすっかり電子書籍万歳派である。Y君としては、「だから僕は散々そう言ってきたじゃないですか」とあきれるしかなかろう。ごめん。まったく反論できない。悪かった。

 ただ、困ったことに、わたしの購入したTabletは、32GBのWifiモデルなのだが、MicroSDカード等の外部ストレージスロットがなく、拡張できない。そして、すでに電子書籍を今日現在583冊(そのうちマンガが500冊ぐらい)買っているわたしの場合、完全に32GBを超えてしまっているのだ。Y君は、「読むときにダウンロードして、もう読んだものは一回削除すりゃいいじゃないですか」と言う。いやいやいや、ちょっと待ってよ。オレは、いつでもどこでも、パッと読みたくなった時に読みたいの! と主張しても、「じゃあ、その時はテザリングでもすりゃいいじゃないですか」と全くの正論を言う。まあ、全くその通りなのだが、じゃあ、アメリカでも旅してる時にだよ、急に『JOJO』とか『北斗の拳』が読みたくなったらどうすんだよ! と軽く理不尽にキレてみても、「いや、だって絶対アメリカで使えるルーターとかSIMを用意して行くでしょ? 」としたり顔で言う。アッハイ。全くその通りなんだけどね。Y君とはこういう、全く不毛でほぼ意味のない会話をよくするのだが、大抵の場合、わたしがぐぬぬ……と負ける。実に腹立たしい。

 そして、こと面白いマンガ発掘に関してY君の目はなかなか確かで、かなりの数の作品を教えてもらっているのだが、今年の3月ぐらいに、Y君が「ちょっとこの作品、キてるような気がしてならないんすよね……」と教えてもらった作品があった。そして、お互い買ってみて、こいつは面白い! と意見が一致した作品がある。今日、その作品の2巻が電子書籍でやっと配信開始になったので、さっそく購入し、読み、抜群に面白かったので紹介したい。その作品のタイトルは『ノー・ガンズ・ライフ』という。


 集英社のコミックの場合、レーベルによってちょっとばらつきはあるみたいだが、だいたい紙の本が出てから1か月後ぐらいに電子書籍の配信を始めるようで、今日、2巻の電子版がやっと出てくれた。既に先月、本屋さんで紙の本で見かけたときは、くそーーー読みたい! すごく! ぐぬぬ……! と、いいからもう買って、後で置き場所がないことを後悔しても構わんッ! というところまでわたしの精神内部では葛藤があったのだが、深い意味もなくググッと我慢してしまい、やっと今日読むことができた。まあ、作品を応援するためには、紙でも買い、電子でも買う、というのが本来は一番正しいやり方だが、集英社を儲けさせてもアレだし、天下のウルトラジャンプの作品(※実はさっき、連載してるのはヤングジャンプじゃなくてウルジャンであることを知った)なら、そこまでわたしが応援しなくても大丈夫だろうと無責任に思う。ちなみに、「集英社のマンガ情報が全てわかるポータルサイト」というふれこみの「S-MANGA.net」では、ちょっとだけ試し読みができるので、気になる人はまずちょっと読んでみてほしい。直リンクしていいのかわからんが、URLはここだ→http://www.s-manga.net/omf/omf_978-4-08-890124-4.html 。2巻も冒頭の試し読みがあるが、1巻を全部読んでいないとほとんど意味不明だと思うので、URLはここに載せないでおく。

 で。どんな物語かと言うと、きわめて純度の高いハードボイルドSFである。「大戦」が終わり、戦時中に開発された「身体機能拡張技術」を施された「拡張者(エクステンド)」が街には存在していた。この「拡張者」とは、要するにサイボーグと思っていい。体の機能を機械と「補助脳」によって拡張した人々のことだ。そして、主人公の乾 十三(いぬい じゅうぞう)もまたその拡張者の一人であり、拡張者による問題処理屋として名の通った存在である。十三の一番の特徴は、その見かけであり、なんと頭は、「銃」の形をしている。ちょっと↑の書影が小さいので拡大してみよう。こんなの↓。
NOGUNSLIFE_01
 ちょっとカッコよくないですか? ビジュアル的に。で、この十三はつまり探偵みたいなもので、正統派ディテクティブ小説の作法通り1人称で語られるハードボイルドである。そして十三は、10年前の大戦中に軍によって施された「過剰拡張者(オーバーエクステンド)」の一人であり、処理前の記憶はなくしている元軍人だ。趣味は部屋の掃除、嫌いなものは子供と湿気(錆びちゃうから)。そんな十三は誰かから依頼を受け、基本的には誰かを守る、みたいな展開なのだが、最初は1話完結なのかと思ったが意外と話は続いていて、どうやら拡張者を生み出した大企業、ベリューレンという大きな敵に向かって話は進むようだ。
 とにかく、十三の言動がいちいちカッコよく、
 「酒と女は男を狂わせる。オレにはこいつ(=タバコ)で十分さ」
 「オレは依頼とその依頼人は必ず守る。特に報酬が未払いの場合はな」
 「てめぇの願いはオレが叶えてやる 「弾丸(ねがい)」は込められた」
 みたいな、まあカッコイイことを言うわけです。そして、十三の体は、ガンスレイブユニットというシリーズ製品(?)らしく、自分の頭の銃は自分では引き金を引けず(※上の絵ではわからないと思うが、後頭部にはグリップとトリガーがある。けど、自分の手は届かない)、「射手」、要するに相棒が必要らしいのだが、過去にどうやら相棒はいたらしいことはちょっとだけほのめかされているものの、まだ十三の過去は描かれていないので不明である。
 1巻は、最初の大きな話がひと段落したところまで、そして今回の2巻は、1巻を受けてさらに話は進み、「拡張者対策局」という警察的な組織との関係や、その局長でちょっと十三に気のある女子オリビエ、その部下で拡張者を嫌うクローネン、また先輩過剰拡張者の戦争の英雄(メガアームド斎・時定というおじいちゃん)といった新キャラも登場し、ますます物語は面白く、盛り上がってきている。そして2巻のラストも、非常に切りがよく、かつ次巻へのヒキもきっちりあって、とてもいいところで終わっている。
 この作品は、ひょっとしたら小説で読んでも面白いかもしれない。実際、なんだか海外翻訳小説のような雰囲気もあるし、わたしとしてはハリウッド実写化を切に望むが、やっぱり十三のインパクトを最大限に伝えることができるのは、日本の漫画というメディアであろうと思う。絵はまだまだ成長の余地があるとは思うが、現段階でも非常に完成度は高く、セリフのセンスも抜群にいい。また、コミックで一番重要な演出である、コマ割りも悪くない。この作品の今後を、最大級の期待をもって見守りたいと思う。

 というわけで、結論。
 『ノー・ガンズ・ライフ』という漫画は、「買い」です。
 非常に先が気になる、きわめてマンガ力の高い作品だと思う。
 
 ↓ うーん、やっぱり十三の頭の基本デザインは、S&W M36チーフススペシャル、だよね? かのフィリップ・マーロウも使ってた銃だし。

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