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 ミュージカル『エリザベート』という作品は、宝塚歌劇をたしなむ淑女なら知らない人はいないだろうし、日本のミュージカルファンなら誰でも知っている作品だろうと思う。日本での初演は1996年の宝塚歌劇団雪組公演で、3年前、初演から20周年となり、今でも数年ごとに再演が繰り返されている大人気作品だ。
 事実、去年も月組によって公演が行われ、わたしも宝塚と東京、両方観に行ったほど好きな作品だが、宝塚歌劇ではない、普通に男も出演する「東宝・帝劇版」もあって、こちらも数年ごとに再演が繰り返されているのである。
 わたしはこの「東宝・帝劇版」は2015年に上演された時に観に行ったことがあるが、まあとにかくチケットを入手することが難しく、この度、3年ぶりに上演されることとなった帝劇版も、観に行きてえなあと思っても、そのチケット獲得の道のりは極めて困難なものであった。何が言いたいかというと、とにかく超人気作品なわけです。
 で。今年上演される2019年版は、その人気をさらに過熱させる要因が一つあった。それは、タイトルロールであるオーストリア皇后、エリザベート(通称「シシィ」)を、去年の宝塚歌劇月組版で同じ役を演じ、それをもって宝塚歌劇団を卒業された愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)が、帝劇版でも演じることが決まったからであります。宝塚生活の最後を、エリザベートで、しかも超迫真の演技と歌をもって飾ったちゃぴちゃん。またあのちゃぴシシィを見られるなんて!! と、わたしのように興奮し、コイツは観てえぜ! と思った淑女の皆さんは、恐らく日本全国で100万人ぐらいいたはずだ。
 なお、メインキャストはWキャストになっていて、もちろんシシィと言えば花さま(=花總まりさん。宝塚版初演のシシィを演じた美しいお方)に決まってるでしょ! と仰る淑女も数多いだろう。花さまはこの帝劇版には2015年以来登板を続けており、たしかに、その花さま独特のノーブル感、透明感、そして無邪気な少女から決然と自分の道を征く姿までを完璧に演じるお姿は、控えめに言っても最高であり、至高であることは論を待たないのだが、やはり、今年観るならちゃぴシシィであろうとわたしは思った。そして、冥界の王トート閣下は、今回も2015年版から演じ続けているプリンス芳雄氏(井上芳雄氏)が登板、その声楽で鍛えた歌と若干平たい民族系のクールさは絶妙であるものの、もう一人のトート閣下として、今回初登板となった古川雄大くんがどんなトート様を演じるのかについても、きわめて興味深く、結論としてわたしは、ちゃぴ&古川くんVerが一番観てみたい、と思うに至った。古川くんは、このBlogで何度も書いている通り、その歌声は男ミュージカル役者の中でわたしが一番好きなアクターである。2015年に観たルドルフはわたしの中で最高のルドルフで、あの古川くんが満を持してトート閣下に挑む、というのは、もう超期待なわけであります。
 しかし、とにかくそのチケット争奪戦は熾烈を極め、実はわたしは6月に、1枚、ちゃぴ&古川くんのチケットが取れていたのだが、どうしても都合のつかない急用で行けず、泣く泣く可愛い後輩女子に譲った経緯があった。そのことをわたしの美しきヅカ師匠に話したら、師匠があっさり昨日のチケットを譲ってくれたので、やっと、超楽しみにしていたちゃぴ&古川くんを観に行けたのであります。師匠、ホントいつもありがとうございます!
 というわけで、前置きが長くなったが、昨日のどんよりした小雨の中、わたしはウキウキ気分で帝国劇場、略して帝劇へ向かったのであった。
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 で。いきなり結論を言うと、「マジでちゃぴシシィは最高だったぜ、つうかもう、震えたね!! そして古川くんトート閣下もなんか新しくていいじゃねえか! 要するにもう、最高だよ!!」というのがわたしの感想であります。なので、以下、たぶん同じことばかり言うと思うので、飽きた方はこの辺で退場していただいて結構です。つうか、映像でも最高なのは伝わると思うので貼っておこう。

 というわけで、以下、キャスト別に思ったことを書き連ねてゆこう。わたしが『エリザベート』という作品を観るのは、宝塚版・帝劇版・ガラコンなど含め、恐らく9回目か10回目なので、もちろん主役の二人やフランツ・ルキーニ・ルドルフと言ったメインキャストは勿論だけど、今回は結構アンサンブルキャストの皆さんのすばらしさに目覚めたような気がします。皆さんホント、いいっすね、やっぱり!
 ◆愛希れいかさん as エリザベート皇后:まあ控えめに言ってちゃぴシシィは最高でしたね。明らかに宝塚版からさらに1段上に登ってるとお見受けいたしました。演技、歌、そして少ないけどダンス。すべてが最高レベルに到達していると思います。ちゃぴと言えば、わたしはダンサーとしての技量を最も素晴らしいと思っているけれど、演技もまた最上級のクオリティであり、歌も当然素晴らしかったすな。とりわけ今回は演技、でしょうな。男のわたしには、どうして皇后は息子ルドルフが大ピンチの時に「無理よ」の一言で手を差し伸べるのを拒否したのか、全然理解できないのだが、あのシーンでのちゃぴの、もう完全に心を閉ざした表情は、ヤバかったすね。今回はかなり前の方だったし、双眼鏡でその表情が良く見えました。しかもその時って、ベールをかけてるんだけど、あの冷たい・全く心動かされていない・完全無関心な表情は、ホント双眼鏡越しに観ても心が凍り付いたすね。母親にあの眼で観られたら、ああ、こりゃあもう何を言ってもダメだ、もうオレ、死ぬしかねえ……とルドルフが絶望したのも理解できますよ。しかも、我々観客は、冒頭の超無邪気な可愛いガール時代のシシィを観ているわけで、その変貌は演技として極上だったと思います。ホント、ちゃぴは可愛いし、最高ですなあ。ルイ・シャルルを演じた頃から観ていたわたしは、もう完全に親戚のおじさん目線で、あのちゃぴが立派になりおって……と感無量でありましたね。最高です。
 ◆古川雄大くん as トート閣下:まあ控えめに言って古川くんトートは最高でしたね。トート様は、まあいわゆる「死」を擬人化した、人間にあらざる超常的存在で、この役は演じる方によって相当違いがあって、その違いもまた見どころの一つなわけですが、なんつうか、古川トートは、今まで観たことがないような、無邪気さのようなものを感じたっすね。冒頭の、木から落っこちて死にかけたシシィを発見し、「な、なにぃ! 何だこの可愛い子は!?」的な驚きの表情だったり、後半、夫の浮気についうっかり「命を絶ちます!」とシシィが言った時に、超嬉しそうに、やった、ついに来た!とワクワク顔で「待っていた!!!」というところの笑顔は、とても無邪気で、なんというか、わたしはDEATH NOTEの死神リュークを思い出したっすね。なんか、「人間っておもしれー」的な。古川トート様は、あまり苦悩しなかったように観えました。でも、それもまたアリだと存じます。最高です。
 ◆山崎育三郎氏 as ルイジ・ルキーニ:まあ控えめに言って育三郎ルキーニはやっぱり最高でしたね。2015年版でもわたしは育三郎氏のルキーニを観たけれど、ノリノリ感はもう貫禄すらあって、素晴らしかったと存じます。でも、若干、調子の乗ってる感は抑えめだったような気もする。少し重厚になったというか、ビジュアル的にも顔が重量感増したか? もっとシャープでとがっている印象だったけれど、少しおっさん感があったような……。でも、カッコイイのは間違いなく、その歌声も相変わらず、ありゃセクシーと言っていいんだろうな、淑女の皆さんが聞いたら痺れるであろう、カッコ良さは満点でありました。最高です。
 ◆田代万里生氏 as フランツ・ヨーゼフ1世:まあ控えめに言って最高でした。万里生氏も2015年版で観たけれど、安定のフランツは流石です。つうか、アレなんすよね、宝塚版と帝劇版でわたしが一番違うと思うのは、ラスト直前のフランツで、宝塚版だと「最終答弁」としてルキーニが召喚した幽霊ヤング・フランツが、俺こそシシィを愛した男だ、お前はシシィに振られるのが怖いんだろうが!! と、どちらかというとトート様を攻撃する一方で、帝劇版だと、生きているオールド・フランツが見る「悪夢」という設定になっていて、「お前がハプスブルグを滅亡に追いやったんだ! シシィは俺を愛してるんだ!」とトート様に責められる中で、もっと「やめろ! 俺がシシィ大好きナンバーワンだ! お前は引っ込んでろ!」と髪を振り乱す勢いの激しさを見せるんすよね。ここでの万里生氏の怒り爆発はとても素晴らしかったす。他にも宝塚版と帝劇版は細かい違いがあるんだけど、わたしはこのラスト直前の「最終答弁」と「悪夢」の違いが一番興味深いっす。最高です。
 ◆木村達成氏 as 皇太子ルドルフ:わたしは木村氏を見るのは初めてのようだが、なるほど、イケメンであるのは間違いないすね。歌も大変良いと思います。が、うーん、やっぱりわたしのBESTルドルフは2015年の古川くんかなあ……ルドルフの甘さというか若さ? は、古川くんの声が似合うんすよ……わたしとしては今回の2019年版では、ぜひとも三浦涼介くんVerも観たかったのだが……くそう、マジでBlu-ray出してくれないかなあ……。いずれにせよ、木村氏も大変カッコ良く切なく、今後の活躍を祈りたいすね。
 ◆アンサンブルキャスト:今回一番わたしの目を引いたアンサンブルの方として、美麗さんという方を記録にとどめておかなくてはなるまい。とにかく、顔が小さくスタイル抜群の美人。プログラムを見て初めて知ったけど、なんと宝塚歌劇団月組出身、しかも2009年入団! てことはですよ、わたしイチオシの95期で月組ってことで、それすなわち、ちゃぴと同期でずっと一緒だったってことですよ! マジかよ、全然気が付かなかった。在団当時は麗奈ゆうという名前だったみたいすね、すごく背も高くて、やっぱり男役だったみたい。でも今や、超美人でとにかくセクシー! 娼婦マデレーネはもうヤバかったすね。目立ってましたなあ! ありゃあもう、フランツじゃなくとも男なら100%イチコロっすね。この2ショットが最高です!
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今日は一回公演だったので✨ れいかちゃんとご飯に行きました🍝🥰🍝 パスタ盛り盛り食べました🍝🍝🍝🍝🍝🍝❤️❤️❤️❤️❤️❤️ その後は久々のタピオカ🤣❤️❤️ Chatime行ったよ〜❤️❤️❤️ 沢山食べてお話して今はお風呂でのんびりしてます♨️♨️♨️♨️ この写真、美麗お姉さんぽくて、 れいかちゃん妹っぽい🤣🤣 れいかちゃんきゅるるんてしてて可愛いっ🥰🥰❤️❤️❤️ そういえば、音楽学校時代にれいかちゃんのことをお姉ちゃんって呼んでて笑 組配属になったばかりの時にお稽古場でお姉ちゃんって呼んだら上級生に姉妹なの?って聞かれて笑 れいかちゃんが咄嗟に違いますっっ!!!て言ってたのを思い出した🤣🤣 昔からしっかり者のれいかちゃん✨ 美麗もしっかりしなきゃ🥺✨👍👍👍👍👍 明日も公演頑張ろうっ☺️☺️☺️✨✨✨✨✨ #エリザベート#エリザ#愛希れいか#ちゃぴ#れいかちゃん#美麗#95期#タピオカ#チャタイム

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 うお、ちゃぴも可愛いですなあ……。ほかにも、アンサンブルキャストの皆さんの中には宝塚歌劇団OGの方も多くいて、『エリザベート』きってのかわいそうキャラ、姉のヘレネ(や娼婦などたくさん)を演じた彩花まりさんも95期宙組出身だし、ヴィンディッシュ嬢を演じた真瀬はるかさんも、92期宙組出身とのことで、歌も、そして冒頭の幽霊としてのバレエ的な舞も、実にクオリティが高く、素晴らしかったすね。もちろん、OGと言えば、ゾフィー様を演じた元月組TOPスター剣幸さまも、超おっかないゾフィー様で大変満足です。

 というわけで、もう長いのでぶった切りで結論。

 帝劇では3年ぶりとなるミュージカル『エリザベート』を観てきたのだが、観たかったキャスト、愛希れいかさん&古川雄大くんVerは、期待を上回る素晴らしさでありました。とりわけ、やっぱりちゃぴはすごいね。あの芝居力は本当にすごいす。ぞくぞくしたっすなあ……! そして古川くんトートも、妙に無邪気のような、面白がっているようなトート様はとても新鮮で、大満足であります。もちろん育三郎ルキーニは安定のルキーニであり、万里生フランツも、何一つ文句のつけようはありません。最高でした。そして、アンサンブルキャストの皆さんも本当にブラボーっすねえ! 上には書かなかったけれど、黒天使軍団はやっぱり凄いダンスと肉体で、ありゃあ淑女の皆さんだったら目がハートになるのもやむを得ないでしょうな。そして女性陣も、とても美しくセクシーで言う事ナシであります。最高でした。しっかし、東宝よ、なんで今時DVDなんだ!! Blu-rayで出してくれたら、おれ、全Ver買ったっていいんだぜ!? つうかNHKが8K中継してくれねえかなあ……そしたら今すぐ8K環境を揃えるのに! とにかくチケットが獲れない人気公演だけに、映像化を強く望みます。可能な限りの高画質で!! そこんとこよろしくお願い存じます! 以上。

↓ まずは入門としてこちらをお勧めします。みりおトート&みちこフランツのバトルが良い!

 わたしは1989年から3年ほど、陶芸にハマっていたことがある。もう30年も近く前の話か……それは友人のお父さんが経営する陶器の店でバイトしていた時のことで、そのお店は陶芸教室もやっていて、まったくお客さんの来ないヒマな店だったのだが、ヒマなときは、店頭で自由に作ってていいよ、と言われ、基礎だけキッチリ教えてもらって、その後わたしは週に2~3日、ずっと土をいじり、ろくろを回していたのである。そのお父さん曰く、君が店頭で一心不乱に作陶している姿は客寄せにもなるから、ぜひ、どんどんおやんなさい、というわけで、まあ、なんつうか、そば打ち職人的に、わたしはせっせと作陶に励んでいたのであった。実際、結構多くの方が足を止めて見てくれたし、肝心の陶器は全然売れなかったものの(5~10万円程度の花器や食器がメインだったので、マジで全然売れなかった)、陶芸教室の方はそれなりに人が集まっていたので、ま、ちょっとは貢献できたのではないかと思う。
 で。その当時、すっかり陶芸野郎だったわたしは、とある映画を観て、猛烈に興奮し、感動してしまったのである。その作品の名は『GHOST』(邦題:ゴースト/ニューヨークの幻)である。ここまで書けばなぜわたしが大興奮したかお分かりですね? そう、ヒロインであるモリーが陶芸家で、夜、ろくろを回すモリーの背後から主人公サムが手を回し、イチャイチャするシーンがあるのだ。あのシーンを観てわたしは、うおお、おれもモリーとろくろ回してイチャつきてえぜ! と思ったのである。サーセン、当時大学生の小僧だったので、許してください。
 というわけで、わたしは『GHOST』という映画は勿論公開時に劇場で観て、その後何度もビデオやWOWOW放送なんかで観ている作品で、それなりに思い入れのある作品なわけだが、この夏、日本においてその『GHOST』がミュージカルとなって上演されるということが決まり、わたしはもう、そんなの絶対に観に行くしかねえじゃねえか! と思ったのである。しかも幽霊となるサムを、日本のミュージカル界で人気の高い浦井健治氏、そしてヒロインのモリーには、元宝塚歌劇団雪組TOP娘役だった咲妃みゆちゃん(以下:ゆうみちゃん)と元AKBの秋元才加嬢のダブルキャスト、さらにキーキャラクターであるオダ・メイにはベテランのモリクミさんこと森公美子さんというキャスト陣だ。わたしは宝塚歌劇を愛する男として、これは当然ゆうみちゃんVerで観ないとイカンと判断し、ようやく取れたチケットを手に、昨日の夜、一人で会社帰りに日比谷のシアター・クリエに参上した次第である。
 結論から言うと、ゆうみちゃんの歌も芝居も超絶グレイトで、モリクミさんも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて大満足だったのだが、一方では、むむむ……なところもあって、なんつうか、若干微妙な気持ち、である。これは……なんなんだろうな……ひょっとすると、わたしの男としての嫉妬かも知れないし、あるいは、既に完全にお父さん目線でゆうみちゃんを見つめるわたしの、うちの娘に何してくれちゃってんだこの野郎!という、かなり間違った方向の怒り?なのかもしれない。
 というわけで、以下、ネガティブ感想になるかもしれないので、そんな感想が許せない方はここらで退場してください。ネタバレも含みます。まあ、ネタバレと言っても、もはやストーリーは映画の通りなので、今更だけど。

 というわけで。物語は、もうホント映画のまんまである。なのでもはや説明の必要もなかろう。ラブラブカップルのモリーとサム。新居での新生活をはじめようとしたばかりのところで、サムは強盗に撃たれて死亡、残されたモリーは悲しみに暮れるも、サムは幽霊=GHOSTとなってすぐそばにおり、触れられないもどかしさに、サムもモリーも絶望したのだが、実はサム襲撃には裏があって、サムの親友カールの陰謀があり、モリーの身にも危険が迫っていた―――というお話である。
 で……どうしようかな……それでは、わたしが素晴らしいと思った点と、うーむ……と思ってしまった点をまとめてみよう。
 【素晴らしいと思ったポイント】
 ◆ゆうみちゃんモリーは完璧で最高だった。
 そもそも、ゆうみちゃんは宝塚時代は歌も演技もダンスも全てにおいて、ちょっと周りとは1つも2つもレベルが違うぐらい、凄い才能のあるTOP娘役であったことはもう誰しも認めるところであったと思う。とりわけ歌は意外とパワフルでカッコ良さもあり、そして芝居も、いわゆる憑依型的な、その役になり切る凄い役者であった。普段のゆうみちゃんのトークは、非常に丁寧に言葉を選び、なんつうか「美しい日本語」を一生懸命喋ろうとするところが抜群に可愛いわけだが、役に入り込むと、ホント別人のようになるのである。わたしはゆうみちゃんの声が大好きなんすよね……! 歌声も、芝居の時の声も、そして普段の笑い声も、まあとにかく可愛いのです。
 で、今回も、当然、歌はもう全キャストの中で圧倒的にレベルが高く、素晴らしかったのは言うまでもないでしょうな。芝居も本当にお見事で、わたしは今回9列目の下手側はじっこと近いような遠いような微妙席だったが、明らかに本当に涙を流しているのが見えたし、鼻まで赤くなって、モリーの哀しみを全身で表現していたと思う。本当にゆうみちゃんは素晴らしかったすね。どうでもいいけど、ゆうみちゃんの衣装はフツーのTシャツ&パーカー&デニムだったのだが、そういう「普段着」のゆうみちゃんはヅカファンとしてはやけに新鮮で、そんな点も大変可愛かったと思う。つうか、細っそいですなあ……超華奢で、足なんかスキニーだったのでその極細さが際立ち、ありゃもう、小鹿のようだったすね。そんな華奢な娘さんが悲しみに暮れていたら、もう男なら誰しも、支えたくなっちゃいますな。映画版のモリーは結構たくましいBODYの持ち主であるDemi Mooreさんで、もちろん当時の若き頃のDemi Mooreさんも超可愛かったですが(当時はショートカットが最強に世界一似合ってたと思う)、今回のゆうみちゃんも、マジ最高だったすね。なんか同じことばっかり書いてますが、とにかくゆうみちゃんモリーは最高、でした。
 ◆モリクミさんasオダ・メイも最高でした。
 まあ、やっぱり大ベテランすねえ! わたしはモリクミさんVerの『レミゼ』でのテナルディエ夫人しか生で観たことがなかったけれど、まあとにかく歌はパワフル、そして芝居ぶりは余裕たっぷりで、ホントにこの方は、まさしく日本のWhoopie Goldbergさんと言っていいと思うすね。完璧でした。超お見事っす。カッコイイと思うすね、こんなに芸達者であるということは。

 【むむむ……と思ってしまったポイント】
 ◆これはマイクセッティングの問題か? 言葉が聞き取れねえ!
 なんつうかですね、とにかく、ゆうみちゃんとモリクミさんの二人は滑舌も良く、声量もデカくて全く問題なかったけれど、それ以外のキャストの、台詞と歌ってる歌の歌詞、が、わたしにはおっそろしく聞き取りづらく、何言ってんだがよくわからない部分も多かったのが、とってもとっても残念であった。これって、オレの耳が変? だったのか? 若干音響としても割れ気味だったし、とりわけ男たちの台詞や歌声が、アカンかったす。特にカールだよ! 台詞は何度か噛んでたし、歌詞も聞き取りにくいし、演じた平間壮一氏の問題なのか、マイク等の音響の問題なのか、わたしには良くわからない。けど、役柄的に悪い人だけに、なんか評価としては辛口になってしまうのが申し訳ないのだが、正直、カールはイマイチだったすね。あと、サムの浦井氏も、若干今まで観てきたカッコイイ浦井氏のパフォーマンスからはちょっと今一つだったような気がしてならない。せっかくの歌が……どうも聞き取りにくかったのが本当に残念す。
 ◆これは演出の問題なんだろうな……
 わたしは今回のミュージカル版を観るにあたって、一体、物に触れられない、壁を通り抜けてしまう、といった幽霊の特徴的な状態を、どう表現するのだろう? と興味津々だったのだが……正直かなり、なーんだ、な演出だったように思う。なんというか、誰でもそういう演出をするだろうな、という想定内の演出であったし、何の驚きも感動?もなかったと思う。その結果、物語に入り込まないと、少し変、にしか見えないし、なんか……普通だったのが残念だ。かと言って、こうすればよかったのにという代案も浮かばないので、文句は言えないけれど、なんというか、こう来たか、的な驚きが欲しかったす。それと、あの名曲『アンチェインド・メロディ』の使われ方も雑というか……もっと効果的に使えたと思うんだけどなあ……映画版のファンとしてはそれも残念す。つうか、映画版を観ていない人は、幽霊のすり抜けてしまう体質を理解できたんだろうか。おまけに、キーワードである「Ditto」を「ディト」と本作では敢えて発音していたけれど、これ、映画を観てなければ「同じく」って意味だと分からないと思うんだよな……なんで「同じく」って言わせなかったんだろうか……。
 そして、これも演出の問題だとわたしとしては断言したいのだが、あのですね、はっきり言いますが、キス多すぎ!です!! これはもう、なんか、無理矢理感がどうしてもぬぐえなかったし、おまけにオレの娘に何してんだこの野郎! 的イライラも募り、なんつうか……ゆうみちゃんが気の毒に見えてしまったんすよね……。あれだけのキス、ホントに必要だったのだろうか……? もはやわたしはゆうみちゃんのお父さんレベルの男なわけだが、そのわたしが想像するに、きっとゆうみちゃんは、相当な、それこそ決死の覚悟をもってこの舞台に臨んだのだろうと思うわけです。今まで舞台上で男とのキスシーンなんてやったことがないし、まあ、プライベートではどうか知らんけど、恐らくはもう、恐怖心すら抱いていたかもしれない。それを、持ち前の役者魂でモリーになり切って、舞台に立っているわけですよ。それなのに……なんつうか、乱暴だなあ……とすらわたしには思えた。もっと大切に演出して欲しかったすわ……。
 とまあ、こんな感じに、わたしはゆうみちゃんとモリクミさんのパフォーマンスに、すげえ!と感動しつつ、なんだかどうもイライラもしてしまい、かなり微妙な気持ちで家路についたわけである。これはWキャストの秋元才加さんVerも観て観たかったかもな……それで同じことを思っただろうか? 才加さんなら何にも感じず文句なく楽しめたとするなら、今回のわたしのイライラは、単にゆうみちゃんに対するわたしの思いが強すぎて、男としての嫉妬、あるいはお父さん世代としてのイライラ、だっただけかもしれない。でも、音響はマジで聞き取りにくくて、改善の余地ありだと思います。アレは直した方がいいよ、ホントに。
 そして、その他で思ったことは……アンサンブルキャストの皆さんは、とてもレベルが高くて、ダンスのキレも極めて上質でしたな。とりわけ、わたしの目に留まったのは、松原凛子さんと島田彩さんすね。松原さんはオダ・メイの助手ガールの小さい方、彩さんはいろいろなシーンでいろいろな役でちらほら出ていたけど、ダンスのキレがすごい目を引いたすね。二人とも歌が超絶に上手いお方だけど、今回はわたし的にはダンスの方でグッと来たす。いや、だって歌声があまり聞こえなかったんすよ……。

 というわけで、書いておきたいことがなくなったので結論。
 わたしの大好きな映画の一つである『GHOST』がミュージカルとなって上演されているので、わたしも超楽しみに劇場へ駆けつけたわけであるが、確かに、ヒロインのモリーを演じる咲妃みゆちゃんは素晴らしく、歌も芝居も完璧だったと絶賛したい。まったく何もなくて家にいる時のゆうみちゃんもあんな感じの普段着なんすかねえ……大変可愛く、その点では超満足である。しかし、舞台としての出来としては、まず音響なのかな? とにかく男の台詞と歌詞が聞き取りにくくて、その点は非常に残念に感じたし、演出的にも、なんつうか……驚きや感動はなくて、フツーであった。そしてなにより、無駄なキスはやめて! と嫉妬に燃えるわたしとしては申し上げておきたい。ゆうみちゃんは相当の覚悟をもって、舞台上で「戦って」いたんじゃないかなあ……。演出も共演陣も、そのゆうみちゃんの覚悟と同じレベルにあったのだろうかと考えると、実に疑問です。なので、結論としては、わたしはこの作品を微妙だと判定せざるを得ないす。これはやっぱり秋元才加さんVerも観て比較すべきかもな……もはや手遅れでチケットは買えませんが。はーー……ホントは超絶賛の感想を書きたかったす……。以上。

↓ おそらく、原典を観ておいた方がいいような気がします。隣のご婦人2名が、幕間で「話が映画と違くない?」的なおしゃべりをしてましたが、いいえ、ぜんぜん映画通りでしたよ。

 昨日は早めの昼食をとってから、一路有楽町へ馳せ参じ、ミュージカルの聖地でお馴染みの帝国劇場、略して帝劇へ行ってきた。理由はもちろん、現在帝劇で絶賛上演中のコイツを観るためである。
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 ジャニーズきってのミュージカル俳優として名高いKinki Kidsの堂本光一氏と、ミュージカル界のプリンスでお馴染みの井上芳雄氏のダブル主演作、『Knights Tale―騎士物語―』であります。まあ、結論から言うと、古臭いというとネガティブだが、ある意味様式美ともいえる非常にShakespeare的セリフ回しで、このBlogでも何度か書いたことがあるけど、わたしは日本語で読めるShakespeare作品をほぼすべて読んでいるので、なんか懐かしさも感じ、大変楽しめたのであった。そして、もちろん、光一氏&芳雄氏の歌は素晴らしいし、さらに言うと、二人のヒロインがもの凄く良かった! のである。いやあ、参ったすね。わたしは初めて上白石萌音ちゃんの歌を聞いたけど、この方は相当イイ! 全然知らなかったので、非常に驚いたっす。

 さてと。まずは物語からまとめると、二人の仲良しの騎士がいて(二人はいとこ同士)、同じ女性を好きになり、その取り合いで絆が壊れてしまうけれど、全く別の女子が片方の騎士を好きになって、まあ、結果めでたしめでたしになるというお話である。サーセン。超はしょりました。詳しくは公式サイトをチェックしてください。
 この物語は、Shakesperare作品を大抵読んでいるわたしであっても、実は全然知らなくて、こんな作品があることすら、情けないことに知らなかった。というのも、もともとGeoffery Chaucerの『The Canterbury Tale』(読んだことあるけど全然覚えてないす)の中の『The Knight's Tale』が原典だそうだが、どうやらこの作品の原作である『二人の貴公子』という戯曲は、ShakespreareとJohn Fletcher氏の合作だそうで、英文科の人なら常識かもしれないけど、そうでないわたしは恥ずかしながら全く知識がなかったのである。どうも、わたしがShakespeareを読みふけっていた1990年当時は全然日本で紹介されておらず、日本語訳も出版されていなかったみたいですな。しかし、わたしは今回舞台を観ながら、なんかこの話知ってるような気がする……という思いが離れず、さっき調べてみたらその理由があっさり判明した。そう、わたしの愛する宝塚歌劇で、一度上演されていたのだ。それは2009年のバウ公演、当時の月組の若手であった龍真咲さんと明日海りおさんの、世に言う「まさみり」時代に上演された『二人の貴公子』で、わたし、WOWOWで思いっきり観ていたのである。なので、さっき、そうか、アレか! と超謎が解けてスッキリしたのであった。あまりに懐かしいので、後ほどBlu-rayに保存してあるまさみり版も観てみようと思います。【2018/08/16追記:さっそく、まさみり版『二人の貴公子』を観てみたところ、大筋は同じでもエンディングはまったく違っていて、悲劇的エンディングだったので驚いた。原作に忠実なのはどっちなんだろうか? まあとにかく、まさおもみりおちゃんも若くて、大変結構なお点前でした。みりおちゃんが研7、この後すぐ『エリザベート』の新公でトート様をやる直前だったようです】
 というわけで、各登場キャラクターと演じた役者陣をまとめておこう。
 ◆アーサイト:二人の騎士A。テーベの騎士。敵国アテネに捕虜として連行され、牢獄の窓の外に見たエミーリアにひとめぼれ。後に彼は賠償金が払われて釈放されるも、森で出会ったダンサーたちに潜入し、アテネにとどまり、エミーリアの従者に。しかし残された親友との再会が悲劇を―――的な展開。演じたのはジャニーズの誇るミュージカルスター堂本光一氏。わたしは初めて生の光一氏のパフォーマンスを観た。一言で言えば、さすが、すね。歌もダンスもやっぱり一流ですよ。本作はShakespeare作品ではある意味お馴染みのギャグというか喜劇なわけで、意外なほど客席からは笑いが起こってました。光一氏はそんな辺りも余裕でこなしてましたね。お見事っす。ちなみに宝塚版で演じたのはみりおちゃんす。
 ◆パラモン:二人の騎士B。テーベの騎士。アーサイトと同じくエミーリアにひとめぼれ。ただし彼はずっと虜囚のままであり、ちくしょうおのれ、と思っていたところ、門番の娘がパラモンにぞっこんLOVEとなり、その手引きで脱獄に成功。そして親友アーサナイトとの決闘へ――的な展開。演じたのはプリンス井上芳雄氏。芳雄氏のパフォーマンスはもちろんいつも通り見事。喜劇もお手の物ですな。しかし、芳雄氏の歌い方は明らかに藝大で鍛えた声楽系で、光一氏の歌とのハーモニーは……どうだろう、合ってたのかな……その辺は観た人それぞれの評価にお任せします。わたしとしては……若干芳雄氏の声ばかり耳に入ってきたような気がする。宝塚版ではまさおが演じた役ですな。
 ◆エミーリア:アテネの大公の妹。二人の騎士に惚れられちゃう女子。演じたのは、元雪組TOPスター音月桂さん。わたしは宝塚時代の音月さんを何度も観ているが、まあ、やっぱり美しく、可愛いですよ。歌も素晴らしく、すっかり美しい女子に戻りましたな。とにかく、明らかに鍛えている体が素晴らしくキレイ。とりわけ、程よく筋肉の付いたほっそりした二の腕がウルトラビューティフル! 最高でした。あと、一つだけ、ショックなのは……エミーリアの台詞で「まあダメ男だけど顔はイイし」的な発言があって、ほぼ女性客9割の場内は笑いの渦でしたが、残念ながらイケメンに生まれなかったわたしは、ちぇっ、なんだよ! イケメンなら許されんのかよ! としょんぼりしたっす。まあ、しょうがないよね、それは。
 ◆牢番の娘:パラモンに惚れてしまい、脱獄の手引きをするが、パラモンはエミーリアLOVEであっさり振られてしまい、そのショックで一時気が狂ってしまうが、エミーリアの看護で正気に戻り、二人の騎士の決闘に割って入り――的な展開。演じたのは上白石萌音ちゃん20歳。わたしは彼女について、『君の名は』のヒロインの声の人でしょ、ぐらいしか知らなかったのだが、もうホントおみそれしました。超イイじゃあないですか! すっごいちびっ子(身長が座ってる芳雄氏と同じぐらいしかない!)のに、歌は猛烈にパワフルで、ダンスもすっごいエネルギッシュ! こういうある種のギャップは最強の萌えですよ! 足はサリーちゃんだし、腰のくびれもない、完全幼児体型だけど、この才能はホンモノすね。あまりにちびっ子なので、役が限定されちゃうかもしれないけど、今後、大人になって幼児体型も解消されていくことでしょう。彼女の今後には、マジでチェックが必要ですな。またその素晴らしいパフォーマンスを観たいものです。なお、宝塚版では蘭乃はなちゃんが演じたようです。後でチェックしてみよう。【2018/08/16追記:チェックした結果、蘭はなちゃんが月組時代、たぶん研4ぐらいか? 大変可愛かったす】
 ◆ヒポリタ:元々アマゾン族(?)の女性だが、ある意味虜囚としてアテネの大公の嫁に。物語上のキーキャラの一人。演じたのは、子役時代のロビンちゃんでお馴染み島田歌穂さん。歌穂さんは何歳なんだろうな……全く謎だけど、まあ綺麗ですよ。顔が小さく、非常なる美人です。そして歌ももう圧倒的存在感で、ソロで歌い出すともう場を支配しますな。お見事でした。
 ◆シーシアス:アテネの大公。演じたのは、Cube三銃士Non-STARSのメンバーでお馴染み岸祐二氏。この人は元々「激走戦隊カーレンジャー」(1996年だからもう20年以上前か!)のレッドでデビューしたお方で、声優としても様々な仕事をされているお方だし、ミュージカルアクターとしても有名人だが、わたしは今回初めて生のパフォーマンスを観た。ゴツイ体と迫力のイケボイスはさすがすね。大変カッコ良かったと存じます。
 とまあ、こんなところかな。あ、あと一つ。冒頭の「三人の王妃」が歌うハーモニーがすごく綺麗で、この三人は相当デキル方々だぞ……と思って、帰って来てパンフをチェックしたところ、TVのカラオケバトルでお馴染みの七瀬りりこさん、レミゼなどのミュージカルでお馴染みの青山郁代さん、折井理子さんのお三方だったようで、なるほど、さもありなん、と納得の実力者であった。お三方は多くの場面でコーラス的に歌っておられて、非常にお見事なハーモニーであったと思う。
 ところでわたしは今回、東宝のナビサーブでチケットを普通に申し込んで普通に買えたのだが、どうやらチケットはかなり獲るのが難しかったようで、先日わたしのヅカ師匠の美しきお姉さまに、おれ、今度帝劇で『ナイツテイル』観てくるっす、と軽~く報告したところ、「な、なんですって! わたしはナビサーブは落ちたし、光一君のファンクラブ経由でも獲れなかったのよ!」とすごい勢いで話し始めたので、あ、じゃあ、一緒に行きましょうよ、まだ誰も誘ってないすから、師匠なら大歓迎っす、というわけで、いつも宝塚歌劇のチケットを獲ってもらっている恩返しができて、その点でも良かったす。

 というわけで、結論。
 現在帝劇にて絶賛上演中の『KNIGHTS TALE―騎士物語―』を観てきたのだが、主役の二人である堂本光一氏と井上芳雄氏のパフォーマンスは、もちろんのこと文句なく素晴らしく、ブラボーであった。そして、わたしがとにかく素晴らしいと感じたのは二人のヒロインで、元雪組TOPスターの音月桂さんはすっかり美しい女性として、歌も芝居も素晴らしく、また体つきも明らかに鍛えていてとてもBeautifulであった。そしてもう一人、弱冠20歳の上白石萌音ちゃんは、わたしは全く知らなかったがこれまで舞台経験も多く、その非常にちびっ子&幼児体形BODYからは想像の付かないようなパワフルな歌と、エネルギッシュなダンスは観ていて感動的ですらあった。あれっすね、完全にわたしは、頑張る娘を見守るお父さん的まなざしで観ていたように思う。いやあ、素晴らしい女優ですよ彼女は。そして、書き忘れたけど、本作はオーケストラに加え、和太鼓&三味線&横笛も非常に印象的な使い方をしていて、特に和太鼓のビートがすっげえカッコ良かったす。ラストの決闘シーンの二人の騎士は、鎧武者のような衣装だったし、そこはかとなく漂う「和」のテイストは、演出としてとても良かったと存じます。一言でいうと、最高でした。以上。

↓これか……読んでみたくなったすね。面白そうす。
二人の貴公子
ウィリアム・シェイクスピア
白水社
2018-03-20

 昨日の夕方、わたしは17時になると千代田区内に流れ響く「夕焼け小焼け」が耳に入った瞬間、PCをシャットダウンし、直ちに会社を出る準備を始めた。というのも、ちょっと前にわたしのヅカ友の美しいお姉さまから連絡があり、「4/16月曜日の夜の帝劇のチケットが余ってるけれど、あなた、いかがかしら?」というお誘いをいただいたためである。社交辞令でなく、恐らく出会った人は10人中10人が美人だと思うお姉さまのお誘いをわたしが断るはずもなく「押忍! あっしでよろしければ、ぜひ、お供つかまつります!」と元気に返事をし、昨日は17時定時ダッシュで有楽町へ向かい、帝国劇場、略して帝劇に赴いた次第である。
 そして現在帝劇にて上演されているのは、こちらの作品であります。
1789-01
 うお、相変わらず写真の才能ねえなあ……、それはともかく。
 そうです。かつて、2015年に宝塚歌劇団の月組によって日本で初演された『1789―バスティーユの恋人たち―』であります。この作品は、その後2016年に東宝・帝劇版として普通に男優も交えたミュージカルとして上演され、今回はその再演、な訳であります。
 わたしは当然2015年の月組公演を観ていて、そのストーリーは「一人の平民の目から見たフランス革命」という点でとても興味深く、また歌も非常にカッコ良く(本作はフレンチロック・ミュージカルで、歌が少しロックテイスト)、大変面白かった記憶はあるのだが、実は歌詞などはかなり忘れていて、わたしが覚えていることと言えば、ヒロインを演じた海乃美月ちゃんが(以下:うみちゃん)が超絶可憐で可愛かったことぐらいである。なんでも、昨日一緒に観に行った美女曰く、宝塚版と今回の東宝版とでは、歌詞は基本変わっていないそうだ。去年赤坂ACTシアターで観た『スカーレット・ピンパーネル』では、宝塚版と梅芸男優アリ版は全ての歌詞が変わっていたのと比べると、へえ、そうなんだ、である。
 で。物語をまずは簡単にまとめておこう。時は1788年、革命前夜のフランスである。既に財政破綻まっしぐらのブルボン王朝は、平民への課税をさらに重くし、地方では貧窮にあえいでいた。地方の農民、ロナン・マズリエは、父を役人に殺され、パリへ上り、そこでマクシミリアン・ロベスピエールジョルジュ・ダントンカミーユ・デムーランという3人の革命を志す若者たちと知り合い、印刷所で働くことになるが、田舎に残してきた妹もパリに来ていて、おまけに娼婦に身をやつし、ダントンの恋人となっていたのだった。
 一方フランス王宮では、夜な夜な遊びまくる王妃マリー・アントワネットとフランス王ルイ16世の夫婦仲は冷めていて、アントワネットは「ベルばら」でもお馴染みのスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンとの情事に夢中であった。フランス財政の破たんは目の前であり、ルイ16世の弟、シャルル・アルトワ伯爵(後のシャルル10世)は王妃のスキャンダルを利用してフランス国王の座を狙っているという混乱した状況にあった。そんな中、バスティーユに勤務する陸軍中尉の娘、オランプは、王太子ルイ・ジョセフの養育係としてアントワネットの信頼も厚く、フェルゼンとの逢瀬の手引きをしたりしていたため、アルトワ伯配下の秘密警察に目を付けられていた。
 ある日、ロナンはパレ・ロワイヤルで酔っ払って寝ていた時、アントワネットとフェルゼンの密会を目撃してしまい、秘密警察に逮捕拘留されてしまう。ついうっかりロナンに目を引き付けることでアントワネットたちを逃げさせたオランプは、要するに自分のせいでロナンが逮捕されてしまったことに心痛め、バスティーユに拘留されたロナンを脱走させるのだった。そして立場の違う二人には、愛が芽生えてしまいーー「この愛の行方、神さまさえ、知らない」ーーてなお話であります。サーセン、相当はしょりました。
 実は今、わたしはWOWOWで録画した宝塚版を観ながらこれを書いているのだが、やっぱ面白いすねえ! 歌も超イイ! もちろん、昨日の東宝版も非常に良かった。アレすね、やっぱり男たちがいっぱい出てると、その迫力は増加しますな。というわけで、以下、各キャラと演じた役者をメモしていこう。
 ◆ロナン・マズリエ:年齢不詳。10代なのかな? 田舎出身の元農夫。宝塚版で演じたのは当然当時の月組TOPスター龍真咲さん(以下:まさお)。まさお氏はやっぱり、ロナン的なちょっと少年ぽさの残る主人公が似合いますな。そして昨日の東宝版でロナンを演じたのは加藤和樹氏。東宝版は主要キャストがWキャストでVerが複数あるのだが、わたしが観た昨日の配役はこんな感じでした。
1789-02
 今回、ロナンを演じる小池徹平氏と加藤氏なわけだが、わたしのヅカ友の美女曰く、加藤氏の方がお好みだそうだ。わたしも、去年の『Ledy Bess』、今年初めの『マタ・ハリ』と連続で加藤氏を観ているけれど、やっぱりうまいしカッコイイですなあ。おまけに、当たり前というか今さらなんだけど、宝塚版ではキスシーンは美しさ優先で、男のわたしは実はあまりドキドキしないのだけれど、今回のように、本当に女性と男が目の前でラブラブなキスシーンを演じると、やっぱりドキドキしますね。加藤氏がうらやまけしからん思いであります。
 ◆オランプ:ヒロイン。宝塚版もWキャストで、わたしが観た時はうみちゃんが超可憐に演じていたけれど、今わたしの部屋で流れているWOWOW放送Verでは、3日前の土曜日に観た月組公演で卒業を発表している早乙女わかばさんが演じている。そして昨日わたしが観た東宝版でオランプを演じたのは、もう現役時代数多くの作品を観た元星組TOP娘役、夢咲ねねさんであった。ねねちゃんを観るのは、ねねちゃんが退団した2015年以来なのでわたしは3年ぶりだ。相変わらず細く華奢でかわいいですなあ。やっぱりとてもイイすね、ねねちゃんは。意外とアンチがいるらしいけど、わたしはねねちゃんの声と、下がり眉の困った表情が大好きです。久し振りに見るねねちゃんのしょんぼりフェイスは最高でした。Wキャストの神田沙也加ちゃんVerも気になるすね。
 ◆マリー・アントワネット:冒頭から1幕終盤までは、浪費家で恋愛脳のダメ女かと思いきや、王太子を亡くしてからは王妃の務めに目覚め、毅然とした態度で王妃らしく役目を全うしようとする。この変化が本作の見どころの一つと言っていいだろう。宝塚版で演じたのは当然月組が誇る最強プリンセス愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)。ちゃぴのアントワネットぶりはもう本当に最高でしたな。芝居も歌ももうパーフェクト。そしてわたしが昨日観たアントワネットは、なんと宝塚版で主役ロナンを演じたまさお氏である。すっかり女子になったまさお氏。やっぱり可愛いし美人で強力に輝いている女性だ。歌も、やっぱり若干の「まさお節」と呼ばれる独特さは残っているけど、まあとにかく美しいですよ。2幕の毅然としたアントワネットは、ちゃぴ版もまさお版もやっぱりグッとくるっすね。いっそWキャストである凰稀かなめさん(元雪組→元星組→元宙組TOPスター)Verも観てみたいす。
 ◆ソレーヌ・マズリエ:ロナンの妹。パリに出て娼婦となるがダントンの恋人に。しかし、「所詮アイツらはおぼっちゃまよ!」と革命の闘士たちを見ていて、実は一番世の中が見えてる女性なんじゃないかという気もする。宝塚版ではWキャストで、わたしが観たのがどちらの方かもうすっかり忘れたけど、今わたしの横で流れているWOWOW放送版では95期の晴音アキさん。歌うまいすねえ! そして昨日の東宝版で演じていたのが、ミュージカル女優として輝いているソニンちゃんだ。わたしが昨日の公演で一番素晴らしいと思ったのが彼女ですよ。もうそのダンスや歌は別格に迫力があって、そして可愛く、超大絶賛したいと思う。ソニンちゃんはかなりちびっ子なんですね。周りの男たちがデカいのでそのちびっ子さはより目立つけれど、あの小さな体で、全身を使って激しい感情を表現する様は、圧巻の一言ですな。ホントにブラボーでありました。
 ◆ロベスピエール:ご存知のちの恐怖政治家。本作の段階ではまだ理想に燃える弁護士。宝塚版で演じたのは現在の月組TOPスター、BADDYこと珠城りょうさん。そして東宝版で演じたのが、わたしにとってはセイザーX仮面ライダーオーズでアンクを演じたことでお馴染みの三浦涼介くん。とても特徴ある顔立ちのイケメンなので、一発で彼だと分かったのはいいけれど、わたしは彼が歌えることを知らなかったし、キャストも予習していかなかったので、ここで三浦くんに会えるとは、そしてこんなに歌が上手いとは!と、とても驚いた。大変カッコ良かったと思います。今後、また別のミュージカルで彼に会いたいすな。
 ◆ダントン:ロベスピエールの盟友で議員。後にロベスピエールと袂を分かち処刑される運命に。本作ではまだ若き議員として革命に燃える男。宝塚版で演じたのは、今年退団された沙央くらまさん(以下:コマちゃん)。確かこの当時は月組から専科に異動したすぐ後ぐらいだったですかね。そして東宝版で演じたのは、去年観た『スカーレット・ピンパーネル』で怒れるロベスピエール閣下を超熱演し、同時に超お気楽バカ殿めいたプリンス・オブ・ウェールズの二役を演じられていた上原理生さんですよ! 藝大声楽科出身の美声はハンパないすね。今回も暑苦しく(ホメ言葉)、最強のダントンでした。
 ◆デムーラン:革命三人衆の一人。宝塚版で演じられたのは、当時月組で現在専科のカチャ、でお馴染み凪七瑠海さん。そして東宝版で演じたのが渡辺大輔氏。わたしにとって彼は4代目手塚部長なのだが、順調にキャリアを積んで、様々なミュージカルに出演されてますな。
 ◆アルトワ伯:ルイ16世の弟であり、本作での一番の悪党。歴史上、革命期はさっさとイギリスに逃れ、後にナポレオン失脚後の王政復古でシャルル10世として即位し、反動政治を敷いて7月革命で再びイギリスに逃げて終了、な人。宝塚版ではこのアルトア伯が超ヤバイ人物で、演じた美弥るりかさん(以下:みやちゃん)の強烈なビジュアルとともに、一番?印象に残る悪い人。みやちゃんのアルトア伯はホント最高でした。しかし東宝版では、まあ、ひどい言葉で言うと単なる悪党のおっさんで、メイクもなんか歌舞伎めいたもので、わたし的には圧倒的にみやちゃん版の方が素晴らしかったと存じます。ただ、演じた吉野圭吾氏の歌は相当素晴らしく、役者としての格は断然高いお方でありました。
 ◆フェルゼン伯爵:「ベルばら」でもお馴染みのアントワネットの恋人のスウェーデン貴族。宝塚版では暁千星さん(以下:ありちゃん)が演じたんすね。ゴメン、忘れてたよ。しかし昨日の東宝版で演じた広瀬友祐さんは超カッコ良かった! あ、なんだ、このお方は去年の暮れに観た『屋根の上のバイオリン弾き』のパーチックだったんすね。ええと、次女ホーデルの恋人で革命家の彼すね。そうだったんだ、全然気が付かなかったオレのバカ! ありちゃんには申し訳ないけれど、広瀬フェルゼン様はとにかく殺陣が美しく、なんつうか、体幹のぶれない舞うような殺陣、そして翻るマント、は今回男優の中で一番カッコ良かったと思う。歌もイイし、体も凄くがっちりして数字以上にデカく見えるすね。大変素晴らしかったすな。
 ◆最後は、単なる備忘録として、宝塚版でだれが何を演じたかメモっておこう。
 ・ペイロール(ロナンの父を殺した政府役人):マギーさんでお馴染み星条海斗さん
 ・ルイ16世(錠前作りが趣味のダメ王):さやかさんでお馴染み美城れんさん
 ・ジャック(ロナンの印刷所仲間の市民):としさんでお馴染み宇月颯さん
 ・ペイロール(秘密警察の手下A):美貌のあーさでお馴染み朝美絢さん
 ま、こんなところかな。

 というわけで、もうさっさと結論。
 2015年に観た宝塚歌劇団月組公演『1789―バスティーユの恋人たち―』。その後、2016年に帝劇版として普通の男優も交えたミュージカルとして上演されたわけだが、このたび再演され、わたしも昨晩、美女に誘われて帝劇へ馳せ参じてきた次第である。本作は、歌もイイし、セットや衣装も実に豪華で大変見ごたえのある作品だと思う。物語としても、加藤氏とねねちゃん演じる主人公の二人のアツアツ振りは観ていてドキドキするほどだし、まあ要するに素晴らしい演技であったということだろうと思う。そしてアントワネットを演じたまさお氏も、すっかり女子が板につき、元々美人でかわいいまさおはきっとこれからも素晴らしいシンガーとして、そして女優として活躍するのであろうと改めて思うに至った。わたしとしては、今回のベスト女優はソニンちゃん、そしてベスト男優はフェルゼン様をやけにカッコよく演じた広瀬氏かなあ。とりわけソニンちゃんのパワフルでソウルフルなパフォーマンスは圧巻でした。結論としては、とにかく歌が熱くて、超最高でした。以上。

 付け足し:ちなみに昨日は月曜日、そして現在日比谷で公演中なのは月組、ということで、昨日の帝劇には月組生が観劇に来ていて、わたしでも、あっ!と分かるジェンヌが数名いらっしゃいました。そりゃ見に来るよね、まさお氏の回だし。明らかに、あの方はジェンヌに違いない、というオーラがありますな、やっぱり。

↓ てなわけで、やっぱりBlu-ray買わないとダメすかねえ……WOWOW版では見られない、うみちゃんVerのオランプがもう一度観たいす……。まだキャトルに普通に売ってるのかな?

 もう5年ぐらい前に、浅利慶太氏が「日生劇場は若き頃のわたしと石原慎太郎が作ったんだよ」とお話するのを直接、目の前で聞いて、え、マジすか、すげえっす、と思ったことがある。あとでWikiで調べたら、まさしくそんなことが書いてあって、浅利先生は本当にすげえお方なんだなあと思ったわけだが、恥ずかしながらわたしは日生劇場へ足を運んだことがなかった。
 しかし1カ月ぐらい前に、わたしのヅカ友の美しいお姉さまから、「今度の、みりおんが出る『ヴァイオリン』は観に行くのかしら?」と聞かれ、いや、実はスルーなんす、と答えたところ、「あら、チケットが1枚余って相手を探してるの、あなたいかが?」とお誘いを受け、ならばそれがし、喜んでお供つかまります! というわけで、今日は初めての日生劇場へ、『屋根の上のヴァイオリン弾き』を観てきた。なんと今年は初演から50周年だそうです。すげえなあ!
Violin
 全く物語を予習せずに観に行ったわたしだが、結論から言うと大変面白く、主役の市村正親氏の見事な芸達者振りから、意外なほど笑えて、実に満足な作品であったのである。いやあ、全く想像していなかった物語であった。
 ところで。
 まず最初に、わたしのヅカ友の美人お姉さまが言ったセリフの解説からしておこう。お姉さまの言う「みりおん」とは、普通の人にはなんのこっちゃ、であろう。しかし、ヅカファンなら即座に理解できる単語で、つまり、今年の春に宝塚歌劇団を退団した元・宙組のTOP娘役、実咲凛音さんのことである。みさきりおん、と読むわけで、そこから「みりおん」という愛称で呼ばれていた彼女だが、わたしの主観では、近年のTOP娘役の中ではナンバーワンクラスの美人であり、歌もうまい大変素晴らしいTOP娘役であったと思う。そのみりおんの、退団後初ミュージカル出演というわけで、積極的にチケットを獲ることはしなかったけっれど、行けるならぜひ、わたしも観てみたいと思ったわけである。
 で。
 物語をざっと説明すると、正確な時と場所の説明はなかったような気がするが、パンフレットによれば、20世紀初頭のウクライナである。その村で牛乳屋さんを営むテヴィエというおじさんが主人公で、若干おっかないけど優しい奥さんゴールデとの間に5人の娘に恵まれ、貧しくつましいながらも、ユダヤ教の教えを守って幸せに暮らしていた。その村では、「しきたり」が支配しており、結婚は仲人的なおばちゃんの紹介で親が決めるものであったが、まず長女のツァイテルは村の仕立て屋さんの青年と恋に落ちていて、かなり年の離れた肉屋と結婚させられそうになるけれどそれを蹴って、無事に仕立て屋さんと結婚、独立する。次に、次女のホーデルは、もともとインテリ好きで、村にやってきたキエフの大学を卒業した青年と恋に落ちる。そしてその青年が、キエフに戻って革命運動で逮捕され、シベリアに流刑になってしまうと、その彼を追ってシベリアに旅立つのであった。そしてさらに、三女のチャバは、よりによってロシア人(=キリスト教徒)の青年と恋に落ち、駆け落ちしてしまう。
 とまあ、そんなわけで、しょんぼりなテヴィエだったが、やがて村にはユダヤ迫害の波が迫り、最終的にはユダヤ人追放令まで発せられ、残った妻と4女5女を伴い、新天地アメリカに住む親せきを頼って、旅立つのであった……とまあ、そんなお話である。
 なので、暗いと言えば暗い。実に。だが、とにかくお父さんテヴィエを演じた市村氏の演技が素晴らしく、随所に織り交ぜられたギャグが大変笑わせてくれるもので、なんか、暗さを感じさせない不思議な作品であった。まあ、ラストでアメリカに旅立ったのは、歴史的に見れば大正解だったと言えるだろう。そのまま残っていたら、大変なことになったのは間違いないだろうし、下手すれば死んでいる可能性も高かったはずだ。なので、意外とわたしはハッピーエンドだったような気もしている。
 おまけに、何というかわたしには、主人公のお父さんテヴィエの元を一人また一人と娘が旅立っていくシーンにはいちいちぐっと来てしまったし、なんかもう、「北の国から」の黒板五郎に見えて仕方なかったすね。それでも、黒板五郎と違ってテヴィエには奥さんもいるし、4女も5女も一緒にアメリカに行ったわけで、それはそれで、非常に?希望に満ちたエンディングだったように思う。
 ただ、ミュージカルとしては、もうチョイ歌があっても良かったような気もする。もっと歌ってほしかったかな……とりわけ、1幕ラストや、2幕のエンディングで、心に刺さるようなぐっとくる歌が欲しかった。ともに、結構唐突というか、え、ここで終わりなんだ?という幕切れであったのがちょっと驚いた。
 そして、『屋根の上のヴァイオリン弾き』というタイトルだが、実はわたしは、主人公がそのヴァイオリン弾きなのかな? と盛大に勘違いしていた。しかし上記の通り主人公は牛乳屋さんで、これはいったいどういう事だろうと思っていたのだが、どうやら、冒頭のお父さんのナレーション? で説明される通り、屋根の上という実に危なっかしい場所で、落っこちて首を折らないよう気を付けながら、愉快にヴァイオリンをかき鳴らそうとしている、そんな暮らしをしている人々だ、という事らしい。そしてなんでそんな危なっかしいところにいるのか。それは故郷だから。そしてどうやってバランスをとっているのか、それはユダヤの「しきたり」がバランサーとなっている、とまあそういうことだそうだ。これは、この文字面だけではちょっと理解できないかもしれないけれど、本作を鑑賞すれば、なるほど、と理解できるものであろうと思う。
 というわけで、各キャラと演じた役者を紹介しておこう。
 ◆お父さん・テヴィエ:演じたのはもう散々申し上げている通り市村正親氏。

 わたしは今日初めて生で市村氏の演技を見た。とにかくうまい。芝居も歌も完璧ですな。現在68歳だそうだが、全く見えないすね。そしてお父さんデヴィエのキャラが大変イイ! 愚痴ばっかりだけどそれがいちいち笑えるし、娘を思っての父親としての態度は結構グッとくるものがあった。とりわけ次女との別れのシーンは良かったですなあ! さらに強引にキリスト教徒と結婚してしまった三女との別れも「達者でな! ……と伝えてくれ……」と肩を落とす姿は、もう黒板五郎そのものでありました。泣かせるシーンでしたよ。とにかく、本作はもう、市村氏の魅力爆発の、市村劇場だったすね。最高です。ツァイテルの結婚を奥さんに認めさせるために、夢におばあちゃんがでた、というあのシーンはもうホント爆笑でした。
 ◆お母さん・ゴールデ:演じたのは、わが星組の大先輩、鳳蘭さん。御年71歳。

 いやあ、歌も芝居もさすがのクオリティですなあ。実際素晴らしかったと思う。お母さんゴールデのキャラも、結構コミカルで、明るく、物語の暗さの中ではとても光っていたように思う。基本的にお父さんを尻に敷く肝っ玉系おっかさんだが、お父さんを愛していると言う場面は大変良かったすね。実にお見事でした。
 ◆長女・ツァイテル:長女らしいしっかり者を演じたのは元宙組TOP娘役のみりおんこと実咲凛音さん。

 やっぱりみりおんは本当に美人ですな。そして、手先までのピシッと揃ったダンスの所作は、宝塚の厳しい教えを受けてきただけあって、抜群の美しさであったと思う。そして、意外と背が高いすね。163cmかな、そしてとにかく華奢ですよ。抱きしめたら折れちゃうんじゃね? というぐらいのウエストの細さですな。歌もさすがです。ちょっと格が違う感もありましたね。大変良かったと思います。
 ◆次女・ホーデル:演じたのは神田沙也加ちゃん。

 やっぱり歌の存在感は抜群です。非常にうまい。そして可愛い! みりおんと並ぶと、まあかなりのちびっ子ですよ。あの体で、あんな圧倒的な歌唱力というのは本当にグッときますな。あ、もう31歳なんだ。つーことは……たぶんみりおんが推定29~30歳ぐらいなはずだから、年上? かもしれないな。沙也加ちゃんも大変華奢で、実に可愛らしいお方でした。そして生で聞く歌声は抜群に良かったと存じます。「アナ」そのものでしたね。演技の方も、お父さんとの別れの駅のシーンは素晴らしかったすねえ!
 ◆三女・チャバ:演じたのは唯月ふうかちゃん。

 元々9代目のピーターパンを演じた方で、すでにもう数々のミュージカルに出演されている実力派ですな。わたしが観たのは『デスノート The Musical』のミサミサぐらいか。この方は沙也加ちゃんよりさらにちびっ子で、まあかわいいお方でした。もちろん歌も文句なし。チャバも、お父さんとの別れのシーンは大変グッときました。大変良かったと思います。
 というわけで、三人娘が歌う動画が公式であったので貼っておこう。本番での、三人のスカーフを巻いた衣装がとてもかわいいのだが、この動画は普通の衣装です。

 どうすか、なんて可愛い娘たちなんでしょう。この三人の素晴らしいパフォーマンスと、市村氏、鳳さんの生の歌と芝居を観る機会を与えてくださって、本当に今日はありがとうございました>美人Mお姉さま。実際最高でした! そして初めての日生劇王は大変興味深かった。天井に敷き詰められているのはアコヤ貝だそうですな。とても独特な内装で、壁の作りなんかも面白くて、そんなところも楽しめた観劇でありました。

 というわけで、結論。
 積極的に行くつもりはなかった、日生劇場での『屋根の上のヴァイオリン弾き』を、お誘いを受けて今日観に行ってきたわたしであるが、物語は全然想像していなかった展開で、おまけにこんなに笑えてグッとくるものだとは思ってもいなかったので、正直驚きである。そして結論はもう、ブラボーであります。特に、やっぱり市村正親氏の芸達者ぶりはすごいすね。細かいところでいちいち笑わせてくれるし、歌唱力も圧倒的存在感だ。お母さんの鳳蘭さん、そして三人の娘たちもとても魅力的で、わたしとしては大満足である。やっぱり、50年も公演が続くだけありますな。こういう名作と呼ばれる作品には、それだけの理由があるわけで、わたしも今後もっともっとちゃんと劇場へ足を運んで、生の舞台を楽しみたいと存じます。みりおんこと実咲凛音さん、そしてさーやでおなじみ神田沙也加ちゃん、ともに抜群の歌唱力で最高でした。以上。

↓ これはちょっと原作にも興味がわいてきますな。読んでみようかしら。でも、きっと暗~いお話だろうな……どうなんだろうか。つうか、今や岩波文庫も電子書籍って出てるんですね。知らんかったわ。
牛乳屋テヴィエ (岩波文庫)
ショレム・アレイヘム
岩波書店
2015-06-18






 16世紀中期~末期、というと、日本では1560年の桶狭間以降の織田信長の隆盛と、その後の豊臣秀吉による政権から1600年の関ヶ原へ至る、歴史が大きく動いた期間と言っていいだろうと思う。戦国オタクとしてわたしはそれなりに詳しいつもりだが、一方そのころイギリスではどんなことになっていたか。わたしとしては真っ先に思うのは、Shakespeareが生まれて活躍してた頃だな、という事で、それ以外では、イギリスの政治史、というより王室史、というべきか、とにかく、どんな政治変遷があったのか、実はあまり詳しくなかった。
 そんな、16世紀中期のイギリスの歴史を振り返るには大変興味深いミュージカル、それがわたしが今日、帝劇で観てきた『レディ・ベス』という作品である。とはいえ、まあ歴史の流れというより後にエリザベス1世として即位する女性の若き頃の恋を描いた作品なので、それほど歴史的な詳しいことは描かれないが、わたしとしては俄然、そのころのイギリスの歴史に興味がわいてきたので、ちょっといろいろ調べてみたいと思わせる作品であった。

 本作は、初演は2014年で、そのころのわたしはサラリーマン人生において最も忙しい頃で、ほとんど観劇をしていない。いや、まあ宝塚歌劇だけはちゃんと観に行っていたのだが、東宝・帝劇系の作品は観てぇなあと思っても全然行けておらず、再演されるのをひそかに待っていたのである。
 というわけで今日はe+の貸切公演で、席も6列目とまずまずのチケットを獲ることができ、大変満足であった。本作は、初演の時も、今回の再演も、メインキャストがダブルキャストである。わたしとしては、あまり迷わず、平野綾ちゃんVerを観たいと思ったので今日の観劇となった。おそらく、人気はもう一方の花總まりさんVerの方が高いと思うが、わたしは2013年に帝劇で観た『Le Miserable』でのエポニーヌがとても印象的だった平野綾ちゃんVerの方が観たかったのである。結論から言うと、平野綾ちゃん演じる主人公ベスは、とても可憐で、歌も文句なしであり、要するに最高でありました。いやあ、本当に綺麗で可愛くて、そしてわたしの大好物な、眉間にしわを寄せて眉の下がった「しょんぼりフェイス」が実に極上であった。ヤバいす。超今さらだけど、ファンになりそうなぐらい素晴らしかった!
Bess
 今日も帝劇は大変お客さんがいらっしゃっておりました。
 そして今日のキャストは↓こんな感じ。
Bess02
 まずは物語をざっとおさらいしよう。
 イギリス王ヘンリー8世は1509年に即位し、以降1547年までイングランド王として君臨したチューダー朝第2代の王である。彼はカリスマを持つ強いリーダーだったわけだが、男子に恵まれず、なんと6回結婚している。要するに離婚を5回しているわけだが、思い出してほしい。キリスト教、カトリックの教義では離婚禁止である。そのため、ヘンリー8世はイギリス国教会を作ってローマ教皇から離れ、一種のプロテスタントとしてキリスト教に帰依していたわけだ。
 その結果―――まあたくさんの女王候補の女子たちが生まれたわけで、本作は、そんな運命に翻弄された後のメアリー1世となるメアリー・チューダーと、後のエリザベス1世となる少女ベス、二人の女性の生き方を追ったものだ。この二人がどう対立するかをまとめると、こういう感じだと思う。
 ◆メアリー:母は、ヘンリー8世最初の妻であるキャサリン・オブ・アラゴン。しかし男児に恵まれず離婚され、追放されてしまったため、父であるヘンリー8世とイギリス国教会を憎み、熱心にカトリックを支持して、強烈にプロテスタント(=国教会)を弾圧。その苛烈なプロテスタント弾圧は「ブラッディ・メアリー(=血まみれメアリー)」と呼ばれるほど強烈なものに。ついでに、母を追放させた2番目の後妻であるアン・ブーリンも大っ嫌いで、結果としてその子であるエリザベスも大っ嫌い。
 ◆ベス(エリザベス):母はヘンリー8世の2番目の妻であるアン・ブーリン。元々アン・ブーリンは、メアリーの母キャサリンの侍女だったが、まあ見初められちゃったんでしょうな。で、どうやら意外とアンはしたたかな女子だったようで、あたしを妃にしないならHしないわ! と迫ってヘンリー8世はキャサリンと離婚し、アンを妻としたらしい(Wikiによれば)。しかし晴れて正式な妻となったのもつかの間、わずか3年で国王暗殺容疑及び不義密通を行ったとして処刑されてしまう。その結果、アンとの間に生まれたベスは一度庶子の立場に落とされ、おまけに国教会信者であるため、姉であるメアリーに何かと目を付けられてしまう。しかし、(少なくとも本作では)聡明で心優しいベスは、そのおっかないお姉さんに従う姿勢で、決して対立するつもりはなかったのに、完全なる言いがかりで牢に入れられてしまうのだったーーーてな展開である。
 この二人の女性に大きな影響を与えるのが、二人の男である。
 ◆ロビン・ブレイク:平民の吟遊詩人。まあ、今風に言えばストリートミュージシャン。どうやらモデルはまさしくShakespeareらしいが、ベスに出会い、ベスを愛し、ベスに愛を説くイケメン野郎。
 ◆フェリペ:スペイン王カルロス1世の息子であり後のフェリペ2世。ハプスブルク家の男でもある。メアリーと結婚するためにイングランドへやって来るが、本作ではかなりのチャラ男風でいて、なにかとベスを助けてくれる、これまたイケメン野郎。正直、彼の本当の目的は本作では良くわからない。スペインの野望としては、イングランドを再びカトリックに戻すことにあり、そのためにメアリーと結婚したわけだが、一方ではベスを何度も助けてくれるわけで、どうもそれは、人気のあったベス(→メアリーがとにかく苛烈すぎて人気がなかった)を処刑してはイングランドで内乱が起きてしまうので、それを防ぐため、というのが大義名分のようだったが、わたしには、要するにベスがかわいくて助けてやった、ぐらいにしか思えなかった。
 ともあれ、本作はこんな女子二人と男子二人を中心に描かれるラブロマンスと言っていいだろう。ベタではあるが、まあとにかく、各キャストの熱演と数々の素晴らしい歌がブラボーであった。以下、キャストをまとめてそれぞれ思ったことを書き連ねてみよう。
 ◆ベス:今日のベスは何度も書いている通り平野綾ちゃんが熱演。歌も良かったし、やっぱりどう見ても可愛いですよ、このお方は。すっごい華奢で、ちびっ子で、1幕ではずっとしょんぼりした困った顔をしていて、それなのに歌は力強くてカッコよく、ホント最高でした。衣装も抜群に似合っているし、ラストでエリザベス1世として即位するお姿は実に神々しく、わたしとしては最大級の賛辞を贈りたい。全くもってブラボーでした。もう、完全にミュージカル界になくてはならない女優の一人になったね。きっと、我々には想像の及ばない努力をしてきたんだろうと思う。どうかこれからも、いろいろな役に挑戦してください。また、会いに行くよ。本当に素晴らしかったす。
 ◆ロビン:今日のロビンは加藤和樹氏。わたしにとって加藤氏は、テニスの王子様ミュージカルの初代・跡部様であり、仮面ライダー・ドレイクの大介なわけだが、あれからもう10年以上の時が過ぎ、彼も今ではミュージカル界を背負う有力男優の一人になりましたなあ。彼もこの10年をたゆまぬ努力で精進してきたのは間違いないわけで、活躍がとてもうれしいです。ラストのベスとの別れでの表情はとてもグッときましたなあ。大変カッコよかったと思います。なお、Wキャストで山崎育三郎氏もロビンを演じているのだが、育三郎Verもカッコイイんだろうな……歌い方が二人は全然違うから、聞き比べたいですなあ。CD買おうかしら……。
 ◆メアリー:今日のメアリー様を演じたのは、元・劇団四季のベテラン、吉沢梨絵さん。本作では、メアリーは実におっかない女性だけれど、実際のところ、メアリーの立場なら、そりゃあベスが憎いでしょうなあ。それはもうしょうがないと思う。なのでわたしとしては別に悪役には思えず、自らの死期を悟った時、ベスと和解(?)するシーンにはやけにグッときましたね。素晴らしいパフォーマンスでした。
 ◆フェリペ:今日のフェリペは古川雄大くん。あ、もう古川くんも30歳なんだ……そうか、わたしが彼を初めて観たのは、これまたテニスの王子様ミュージカルでの天才・不二周助を演じているころだから、やっぱり10年以上前か。わたしは彼の声がかなり好きで、『エリザベート』での悲劇の皇太子ルドルフを演じたときの、「闇が広がる」「僕はママの鏡だから」がとても好きなんすよね。本作では歌は少なかったのが残念す。
 ◆アン・ブーリン:幻影としてベスの前に現れる母、アン・ブーリンを演じたのが和音美桜さん。元宙組の宝塚歌劇出身。わたしは現役時代を知らないのだが、非常に歌ウマな方で素晴らしかった。あ、87期なんだ? てことは、龍真咲さん(まさお)や早霧せいなさん(ちぎちゃん)と同期なんですな。ああ、でもそうか、2008年にはもう退団されてたんだな。あ! なんだよ、過去のパンフを漁ってみたところ、わたしが2013年に観たレミゼでファンテーヌを演じられていた方か! その時のエポニーヌを演じた平野綾ちゃんの印象が強くて忘れてた。アホだ……くそう、ホント失礼いたしました。いやー、和音さんの歌は本当に素晴らしかったす。
 ◆キャット・アシュリー:ベスをずっと支える侍女のキャットを演じたのは、これまた宝塚の元TOPスター涼風真世さん(かなめさん)。わたしとしては舞台でお会いするのはお久しぶりすね。相変わらずお美しく、歌ももちろん素晴らしかったす。綺麗な方ですなあ……ホントに。もう57歳だって。全く見えないすね。
 とまあ、こんな感じかな。なんだか同じことばかり書いているけど、とにかく平野綾ちゃんがかわいくて、わたしとしては大満足な作品でありました。そしてしょんぼり顔の平野綾ちゃんは、日本人最高レベルに可愛かったと思う。東京公演はもうあと2週間ぐらいで終わりなのかな。その後大阪へ会場を移して公演は続くわけだが、キャストの皆さん、どうぞ最後まで駆け抜けてください。最高です。

 というわけで、まったくまとまらないので、もう結論。
 2014年以来となる東宝ミュージカル『Lady Bess――レディ・ベス』を帝劇にて観てきたのだが、今日のベスを演じた平野綾ちゃんの可憐さはもう最高レベルに素晴らしく、そして歌も実に見事で、わたしとしては大満足であった。そしてこの時代のイギリスについてもっといろいろ調べたくなったわたしである。ところで、なんで「Beth」じゃなくて「Bess」なんだろう? これって英語的には当然のことなのかな?? そして、現在、非常に混雑しているという噂の、「怖い絵展」も俄然興味が出てきたすねえ。メアリーの前に女王として即位し、すぐに処刑されてしまったジェーン・グレイの処刑を描いたあの絵を観に行く必要があるような気がしますな。来週あたり行ってくるとするか。しかし……やばいす。どんどん平野綾ちゃんが好きになってきた……超今さらなんですが、これって……恋なんでしょうか? 以上。

↓ これっすね。本物の絵の迫力はホントヤバそうす。金曜は夜20時までやってんだな……いや、やっぱり朝イチに行くべきだな。よし、これは行こう!
怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)
中野 京子
角川書店(角川グループパブリッシング)
2011-07-23




 たぶん、わたしの記憶によれば、わたしが平原綾香ちゃん(以下、あーやと略)をかわいい、と初めて思ったのは、2008年にCXで放送されたドラマ『風のガーデン』であったと思う。あーやちゃんは、ご存知の通り2003年に「Jupiter」でデビューして、その頃はすでにもう知名度は上がっていたはずだが、わたしはあーやちゃんに対してほぼノーチェックで、2008年の『風のガーデン』というドラマにチラッと出演しつつ、その主題歌を歌っている姿を観て、初めてわたしは、おっと、ちょっと可愛いんじゃね? と思ったのである。
 そのドラマは、中井貴一氏が主役で、東京の医者の役だったのだが、末期がんであることが判明して、倉本聰氏による脚本ということで舞台は東京から故郷(?)の富良野に移り住む。そして最終的には富良野で静かに亡くなる、というかなり泣ける物語であったが、あーやちゃんは主人公の東京での恋人(?愛人というべきか?)で無名の歌手、という設定で、最終回に、主人公を偲んで主題歌の「カンパニュラの恋」を切々と歌うシーンが素晴らしくて、わたしはもうやけに感動してしまったのである。歌声が素晴らしいのは世に知られている通りだが、とにかく、一筋流す涙に、わたしは完全ノックアウトされたのだった。
 以降、わたしはあーやちゃんをずっと気にしていて、コンサートに行ったことはないけれど、車ではCDをよく聞いていたのだが、まあ、実際それっきりであった。しかし、わたしは2015年に、再びあーやちゃんに大注目することになったのである。それは、わたしの大好きな作品『The Sound of Music』の制作50周年記念として発売されたBlu-rayにおいて、マリア先生の日本語音声版をあーやちゃんが演じたのである。これがもう、超魅力的で、歌はもちろん、演技ぶりも実に素晴らしく、これはすごい、やっぱりあーやちゃんは大変な才能ある人だ、という認識を深めたのであった。
 そして。ミュージカル好きのわたしとしては、その見事なマリア先生ぶりから、いっそ、あーやちゃんはミュージカルに進出すればいいのに、と思っていたのだが、実はすでに2014年の段階で『Love Never Die』に出演されており、まったく気が付かなかったわたしは当然観ておらず、うおお、マジかよ、抜かってた!と自らのボンクラぶりに失望していたのである。
 しかし。そんなわたしの願いをかなえてくれる、あーやちゃん主演のミュージカルが7月から帝劇で始まっており、わたしはもう3月ぐらいだったかな、チケットも早々に入手し、今日、ミュージカルの聖地たる帝劇へ推参した次第である。そのタイトルは『Beautiful~The Carole King Musical』。本場Broadwayでは2014年から今もなお上演されている、アメリカ音楽界のレジェンドともいうべきCarole King女史の伝記的ミュージカルである。
 そしてもう結論を言うが、あーやちゃんの圧倒的な歌唱力と、可愛らしい演技でわたしはもう大感動&大興奮&大満足となったのである。マジ最高でした!
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 ↑帝劇では絶賛上演中だが、来週でもう終わってしまいます。
 ↓そして、上の写真、下の写真でもわかる通り、主役のキャロルは、あーやちゃんと、声優として、そしてシンガーとして大人気の水樹奈々嬢のダブルキャストである。
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 わたしはあーやちゃんが観たくて観に行ったので、水樹奈々嬢Ver.は観ていないわけだが、動画が公開されている二人のパフォーマンスを観ると、相当の違いがあって、歌い方や声など、ある意味全然違う個性があって、水樹奈々嬢Ver.も観に行けばよかったと超今さら深く後悔している。実際のところ、ラスト1週間もまだ平日の昼の回とかならチケット買えるようだが……ちょっと無理だなあ……残念ながら。しかし、あーやちゃんには申し訳ないのだが、チケットの売れ行きはどうやら水樹嬢の回の方が売れているような印象を受けた。まあ、大人気声優だし、さもありなん、とは思うし、そもそもお二人を比べるつもりもないけれど、わたしとしては今日観たあーやちゃんVerは大満足であった。

 ↑こんな感じに、結構違いがあって、ホント両Ver.観に行けばよかったよ……まあ、もはや超今さらなのでどうしようもない。
 で。物語は、Carole King女史のサクセスを追ったものとわたしは思っていたのだが、実際にはそう単純なものではなく、夫となる男との出会いや、出産、大ヒットを飛ばすサクセスの後に訪れる別れ、そして良きライバルとしてしのぎを削った人々との交流などが丁寧に描かれ、大変見応えがあった。もちろん、全編Carole女史の名曲のオンパレードである。
 パンフレットによると、特定のアーティストが手掛けた楽曲でミュージカル・ナンバーを構成する作品を「ジュークボックス・ミュージカル」というのだそうだ。例えば『マンマ・ミーア!』はご存知ABBAの曲だけだし、『ジャージー・ボーイズ』はフランキー・ヴァリの曲で構成されていることは、映画版しか見ていないわたしでも知っての通りで、ああ、なるほど、ジュークボックスか、と納得である。で、こういったジュークボックス・ミュージカルは2系統あるそうで、『マンマ・ミーア!』タイプは「物語型」で、オリジナルの物語に上手く既成曲をあてはめているものを指し、もう一つは「伝記型」で、『ジャージー・ボーイズ』や本作『Beautiful』のように、主人公はそのアーティスト本人で、その人の人生を楽曲で綴るという形になっている。
 正直に告白すると、わたしはCarole King女史といえば、いわゆるシンガー・ソングライターの草分け的なお方だと思っていたのだが、本作を観てそれが全然間違いであることを初めて知った。彼女は、もともとソングライター(作曲担当)であって、自分では歌わない人だったんですね。そして詩は旦那が書いていたんですな。つまり、顔出しはしない、言ってみれば普通の主婦、だったんですな。さらに言うとその夫婦でソングライターをしていた時代の作品が、さまざまな有名な曲として大ヒットしていたんですな。しかし、その後、旦那との悲しいすれ違いの末に離婚を経験し、住み慣れたNYCブルックリンを離れて西海岸LAに引っ越し、そこから初めて、自分で歌うようになったんですね。そうだったんだなあ。全然知らなかったす。
 わたしが今日観て、非常に素晴らしいと感じたのは、あーやちゃんによる演技は、「普通の主婦」という人物像が見事に反映されている点で、確かにその才能は全く普通の人ではないけれど、子を育て、服もメイクも全く普通の女性である、という点にとても興味を持った。
 失礼ながら、あーやちゃんの、健康的な(わたし好みの若干むっちり目な)体つきも、その「普通」な人を表現するのに一役買っているような気がする。たぶん、素のあーやちゃんにもし街で出会ったら、その纏う「普通じゃない」オーラに圧倒されることになるのだろうと想像するが、本作ではそのオーラを封印し、実に「普通」で、実に見事だとわたしは感じた。この点は、かわいくてほっそりして、オーラがバリバリな水樹嬢がどう演じたのか非常に興味があるところだ。キャロルという人物は、ある意味天才タイプだと思うけれど、天才アーティストにありがちな、エキセントリックな行動もないし、まったくの常識人だし、その才能が稼ぎ出したであろう財産も別に浪費することもなく、ひけらかすこともなく、いたって「普通の人」なのだ。なので、正直物語が生まれようがないというか、ヤマ場が作りにくいようにも思う。だけど、そんな普通の女性が、夫との別れを経て、複数の曲を物語として、「アルバム」を出したい!と思うに至る流れは非常に感情移入できるもので、実際とても引き込まれたし、ラスト、とうとうカーネギーホールでのコンサートに至るラストは、観ていて、ホントに良かったね、と心から応援したくなるような爽快感があった。そして何より、あーやちゃんのソウルフルな力強い歌声がもう、ハートに突き刺さりますね。いやあ、本当に素晴らしかったよ。まさしくブラボー! でありました。
 そんなあーやちゃんを支える、5人のキャストを紹介しておこう。
 まず、旦那であるジェリーを演じたのが、伊礼彼方氏。わたしにとって彼は『ミュージカル・テニスの王子様』における六角中の佐伯さんですよ。彼の「一つやり残したことがあってね~」という歌がわたしはかなり好きでしたなあ。もう10年ぐらい前の、わたしが初めて生で観た比嘉中戦でしたな。今やすっかり日本ミュージカル界において様々な役を演じる実力派だけれど、あれから、伊礼氏もずっと鍛錬を重ねていたんだなあと非常に感慨深いです。今回の役は、精神を病んでしまう非常に難しい役だと思うけれど、大変カッコ良かったすね。もっと歌ってもらいたかったなあ。
 そしてCarole女史のライバルとして登場するバリーとシンシアのペアを演じたのが、中川晃教氏とソニンちゃんだ。二人とも、日本ミュージカル界ではおなじみの実力者ですな。中川氏の特徴であるファルセットは炸裂しまくるし、ソニンちゃんも本当に上手い。この二人は、Carole女史のライバルソングライターチームなのだが、決して足を引っ張りあうようなことはなく、常に切磋琢磨し、時に悩みの相談をお互いするような、美しい関係で、とても善良な二人であった。笑わせてくれるようなコメディ・リリーフの役割もあって、大変笑わせてもらいました。二人の歌・演技ともに素晴らしかったと絶賛したい。
 全然関係ないことだが、わたしは、常々、楽器が弾けたらカッコいいだろうなあ……とモテない男として妄想していたけれど、ミュージカルを観るようになってからは、ひょっとしたら楽器が弾けるよりも、歌がうまい方がカッコイイのではないだろうか? と思うようになった。どうすればあんなにカッコ良く歌えるようになるんだろう……訓練あるのみ、だろうけど、一体全体、何をどう訓練すればいいんだろうか……。どっかに教わりに行くしかないすかねえ。
 話がそれた。あと二人。Carole女史の才能を買い、何かと面倒を見てくれるレコード会社の社長ドニーを武田真治氏が、そしてCarole女史のお母さんを元宝塚TOPスター剣幸さんがそれぞれ演じていた。二人ともほぼ歌わないのだが、ドニーのキャラは大変良かったですなあ。こういうお話にありがちな、強欲な社長では全然なく、これがまた超善人だし。そしてお母さんは元々Carole女史を教職につけたくて、音楽の道に進むことを反対していたのに、ラストのカーネギーでのコンサート前には、あたしが歌を教えたのよ、この子ったら教師になるなんて言ってたのに、と調子のいいことをさらっと言っていて、まあそこは大変笑わせてもらいました。
 しかし、カーテンコールでぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを全身で表すあーやちゃんは本当に可愛い女子だなあ、とわたしのあーや株はもう急上昇である。いや、この娘はかわいい! と思いを深めるわたしであった。本当に素晴らしかったよ。


 というわけで、もう結論。
 今日、帝劇にて絶賛上演中の『Beautiful~The Carole King Musical』を平原綾香さんVer.で観てきたのだが、まあとにかく大興奮であった。あーやちゃんの歌はホントに凄い。どうすればあんなに歌えるんだろうか? ちょっと想像がつかない。そして、あーやちゃんの演技も実にお見事で、わたしはCarole Kingという人がこんなに普通な女性であることを初めて知った。あーやちゃんは何というか……その声も可愛いし、その体つきも実に普通というか……なんか、人工的じゃないんですよね。無理にダイエットして作り上げた体じゃないというか、実に女性らしいラインで、大変魅力的だと思う。要するに、今日わたしは再び、平原綾香という女性にぞっこんとなったのである。また、ぜひともミュージカルに出演していただきたいと思う。その才能は、本物ですよ。まさしくビューティフル! とにかく、最高でした。以上。

↓ ホント、なんでオレはドレミの歌でこんなにも胸にジーンとくるんだ? というぐらい、平原綾香嬢の吹き替えは素晴らしいと思います。こちらも超必見ですよ!
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2015-05-02

 わたしは正真正銘、男である。中学高校は男子校で過ごし、好きなマンガは何かと聞かれれば、そんなの『北斗の拳』に決まってんだろうが! と答える、おっさんである。
 そして、わたしはかれこれ20年以上、いわゆるエンターテインメント業界、コンテンツ業界に身を置いているわけだが、仕事としてもそうだし、個人的にも、ずっと、「女性ファンをがっちり抱える」コンテンツに非常に興味があった。何でそんなに人気があるんだ? という単純な疑問である。なので、わたしはこれまで、少女マンガを読み漁って勉強してみたり、一時はBLも読んでみたし、ハーレクイーンすら読んだことがある。実際に読んでみて、まずどんなものを知ってみるのが重要だと思うからそうするわけだが、さすがにBLなどはまったく理解の外にあるわけで、そういうときは、実際のファンの女性に話を聞いてみないと、消化できない場合がある。まあ、そういうものは、そもそも最初から、ファンの女性に「どれ読んでみればいいかな? お勧めはどの作品?」と聞いてからはじめるので、いきなり自己流で勉強をしても、埒が明かないものだ。幸い、わたしの周りには仕事柄そういう「熱心なファン」がたくさんいるので、この分野ならあの人に聞いてみるか、みたいな、わたしの脳内にはオタク生息マップが出来ているので、意見を聞く人材には事欠かない状況でもあった。
 
 で。
 わたしが2010年から調査を始めて、完全にミイラ取りがミイラになっているカテゴリーがある。それが禁断の王様(女王?)カテゴリーに属する『宝塚歌劇』である。実は、宝塚に至る前に、わたしがはまっていたカテゴリーがあった。それは、いわゆる「2.5次元ミュージカル」と呼ばれるもので、要するに、コミックを原作としたミュージカルで、中でも最大規模を誇り、一番初めの公演から既に10年以上も世の女子を熱狂させているのが『テニスの王子様ミュージカル』、通称『テニミュ』だ。なお、マンガが2次元、そして生身のミュージカルが3次元、ということで、両者が融合しているために「2.5次元ミュージカル」と称されている。
 わたしが『テニミュ』を初めて観たのが2007年。週刊少年ジャンプを30年以上読み続けているわたしは、無論のこと原作である『テニスの王子様』は知っているし、そのミュージカルなるモノがやけに人気だと言うことも知っていた。ならば一度見てみたいものだと、わたしのネットワーク内に存在する『テニミュ』に足しげく通っている女子を探し、今度一緒に連れて行ってくれ、と頼んで、それから数ヵ月後にやっと連れて行ってもらったのが始まりだ。
 結論としては、驚いた。そして面白かった。なんだよ、すげえすげえ、これは面白い、と思った。イケメン学芸会と揶揄されていた当時、実際に観てみると、確かに歌などは、冷静に聞くとこれはひどいwという場合もあるが、キャストの頑張っているさまは、やっぱり生で観ている観客にもしっかり伝わるもので、ははあ、なるほど、これは人気があるのもうなずける、と納得できるものであった。
 なお、わたしを連れて行ってくれた女子によると、「下手なことはもちろん十分に分かっている。けど、なんというか親の気分になるっていうか、頑張れって思えてくるの」という事らしい。なるほど、いわゆる母性本能をくすぐるものと理解していいのかもしれない。というわけで、わたしは『テニミュ』にその後10回ぐらいは行ったと思う(「DREAM LIVE」、通称ドリライ2回含む)。
 このような背景からわたしは、俄然「ミュージカル」というものに興味を持ち、その後いろいろなミュージカルを見るようになるのだが、そこで立ちはだかったのが、誰もがその存在を知っている『宝塚歌劇』という巨人だ。それまでわたしは、wowowでの放送で何度か『宝塚歌劇』の公演を観たことがあったが、正直、ちょっとピンとこなかった。やはり生でないとダメかもな、と思ったわたしは、なんとしても「ヅカ」を一度生で観てみたいと熱望し、これまたわたしのネットワーク内に存在する、ヅカファンのお姉さまたちにコンタクトを取ったのである。「おれ、一度生でヅカを観てみたいんすよね」、と。
 やはり、自分が大好きなものに興味を持ってくれると、誰でも嬉しいものだと思うが、わたしがお願いしたお姉さまは、ごくあっさりチケットを用意してくれ(思えばすげえいい席だった)、わたしのヅカ探求の道は2010年1月に始まったのである。最初の衝撃は今でもはっきり覚えている。わたしのヅカ初体験は、星組公演で、そのときの主役である、いわゆるTOPスター柚希礼音さんに完全にFall in LOVEしてしまったのだ。
 たぶん、わたしが柚希さん(愛称:ちえちゃん)に感じたカッコよさは、ヅカファンのお姉さまたちが感じるものとはちょっと違うんだと思う。わたしは、あくまでちえちゃんを女性として愛しており、ちえちゃんの醸し出す男オーラも、あくまで女性の魅力の一部として受け取っていた。わたしにとってちえちゃんは、あくまでも完全に女子なのだ。

 はっ!? いかん!! ちえちゃんのことを語りだすと96時間ぐらいは必要だから、この辺でとめておこう。ともかく、First Contactから5年ほどが過ぎたが、今ではわたしは、年間7~8公演ぐらい観にいくほどのヅカファンになってしまったわけである。

 で、『エリザベート』だ。


 ファンなら誰でも知っているが、そうでない人はまったく知らないと思うのでちょっとだけ解説しよう。『エリザベート』というミュージカルは、元々ウィーンで初演がなされたドイツ語ミュージカルである。それを日本語化したものなのだが、日本の初演は宝塚歌劇なのである。1996年の初演以降、今のところ8回再演され、公演回数は通算800回、観客動員200万人を突破した、『ベルサイユのバラ』に次ぐ人気タイトルと言っていいだろう。その後、2000年からは男性キャストを交えた東宝ミュージカル版も、何度も再演されており、非常に高い人気を誇るコンテンツとなっている。
  わたしは、ヅカファン暦5年の、まだまだ駆け出しの身分なので、『エリザベート』という作品が高い人気を誇っていることは知ってはいたものの、宝塚版を初めて観たのは、2014年版の花組公演だ。花組の新TOPお披露目となるその公演は、わたしはほかの公演を知らないので、すさまじくカッコよく大満足だったが、どうやらベテランのヅカファンのお姉さまたちから見ると、まあ、みりおちゃんのトート様はかわいかったわね、まあいいんじゃない? 程度の扱いらしい。そうなんだ、マジか、と歴戦のお姉さまたちの厳しい目には、ただただ敬意を表するばかりである。(注:みりおちゃん=明日海りおさんという花組TOP男役、トート様=ドイツ語のDer Tod。英語で言うとDeathの意味。エリザベートの主役たる冥界の王。恐ろしくカッコいい)

 とりあえず、『エリザベート』という作品が、非常に曲もよく、ビジュアルイメージもすばらしい作品であることは、2014年に認識した。これは面白い。
 そして2015年、今度は東宝版の再演が始まり、まったく同じ話を、男性キャストを交えたものとしてみる機会を得た。そして昨日行ってきたわけである。

 キャストを見て、わたしは、おお、マジか! と嬉しくなったことがある。
 それは、主役であるエリザベートと、もう一人の主人公、冥界の王トート閣下の二人が、わたしのよく知る役者だったからだ。まず、エリザベートの蘭乃はなさん。彼女は、まさに2014年にわたしが観た花組公演でもエリザベートを演じた女優だ。わたしが見た花組公演は、まさに彼女の退団公演だったのだ。退団後も、持ち前の可愛さとダンス力を武器に、女優として活躍中だが、わたしが非常にお世話になっているヅカファンのお姉さま曰く、まだまだね、今回の公演はWキャストでエリザベートを演じる花總まりさんのほうが断然上よ、とおっしゃっていたので、世間的にはそうなのかもしれない。が、昨日の公演での蘭乃はなさんは、宝塚版とは違う発声で、一部苦戦している部分もあったのは確かだが、宝塚版とはまた別のエリザベートを見事に演じきっていたと思う。十分にすばらしかった。
 そして、トート様である。宝塚版では当然TOP男役の「女性」が演じていたわけだが、今回トート様に扮するのは、城田優という若手俳優である。この男、世間的にはまだ認知が低いかもしれない、が、わたしにとって彼は、『テニミュ』における2代目手塚部長なのだ。わたしは彼が手塚部長を演じた公演を生で観ていないのだが、わたしが『テニミュ』道にはまる前に、指南してくれた女子から「これを観ておいてください。予習として。」と渡されたDVDが何枚もあって、その中で、おお、こいつ、抜群に歌がうまいな、つーかデカイ! そしてカッコいいじゃん! と思っていたのがまさに、城田優だったのである。わたしが観たDVDの中では、2005年の氷帝学園との試合の公演が一番クオリティが高く面白かったが、その時の手塚部長役が、城田優だ。一人だけ抜群に歌がうまく、一人だけ頭ひとつデカイ。城田優はなんと身長190cmもある。とにかく目だってカッコよかったのを鮮明に覚えている。なお、この2005年の公演は、今観てみるとすごい豪華キャストだ。現在すっかり人気俳優となった、斎藤工も出演している(カッコいいが歌は下手なのが残念)し、ライバル校の部長、跡部役は加藤和樹が演じている(彼は歌もうまい)。加藤和樹はその後、仮面ライダーに出たり、現在ではミュージカルにも結構出ている俳優で、知名度はまだ低いかもしれないが、非常に人気は高い。
 そんな、テニミュ時代から抜群に歌のうまかった城田優が、トート様を演じるとなれば、わたしとしてはもう、あれから10年……よく頑張って努力してきたのう……と、もはや孫を愛でるおじいちゃんのように思わざるを得ない。だから、昨日はもう、楽しみで楽しみで仕方なく、勇んで劇場に向かったのでした。
 そして、劇場でキャストを見てみたら、もう一人、テニミュOBを見つけた。エリザベートの息子である、ルドルフ皇太子を演じた古川雄大君。彼もまた、4代目青学メンバーとして、天才不二周助を演じた経験を持ち、わたしは彼の出た公演を生で観ている。
 このように、わたしとしては本当に久しぶりに観るキャストが、今を懸命に、おそらくは不断の努力を続けてきた姿を見ることができて、その意味でも大変感慨深く、とても楽しめたのであった。また、今回は、ルキーニを演じた山崎育三郎という才能あふれる俳優も知ることが出来た。彼もいいね、すごくいい。
 ミュージカルというものは、今の日本では一部の熱心なファンに支えられてはいるものの、メジャーコンテンツと言っていいか微妙な位置にあるエンターテインメントだが、今後、才能あふれる俳優たちがどんどん育ち、もっともっと、メジャーな王道コンテンツになることを祈ってやまない。

 というわけで、結論。
 東宝版『エリザベート』は、すっごい良かったです。
 もう公演は終わってしまうが、また再演の機会があれば、ぜひ、劇場へGO!!


↓ こちらは宝塚版。みりおちゃんは可愛い。そして可愛いは正義ッ!
『エリザベート ―愛と死の輪舞―』 [Blu-ray]
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2014-11-06

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