現状でわたしが最も美しいと思うハリウッド美女と言えば、Cate Blanchett様とGal Gadot様のお二人なわけだが、実のところお二人とも、メリケン人ではない。Cate様はオーストラリア人だし、Gal様はイスラエル人だ。まあ、そんな出自は全くどうでもいいんだけど、Gal様は軍務経験を持つ、実にワンダーな美女であります。さっき調べて初めて知ったけど、イスラエルって全国民に兵役義務があるってわけじゃないんすね。キリスト教徒などは義務じゃないそうな。そうだったんだ。へえ~。
 で、今般、Gal様の最大の当たり役として名高い(?)『WONDER WOMAN』の続編『WONDER WOMAN1984』が公開されるに至ったので、わたしもさっそく観てまいりました。とにかくあのコスチュームが超・似合っており、あのダイアナに再びスクリーンで再会できることは非常なる喜びで、わたしも初日の金曜日、会社帰りに観てきたわけですが……まあ、結論から言うと、面白かった部分もある、けど、なんか微妙というか……次回作はもうどうでもよくなっちゃったような気がしてならない。なんつうか……全体的にお優しすぎるというか、テキトーすぎるというか……うーん……キレがないっつうか……。。。まあ、ちょっといろいろ思ったことを書いてみるとします。
 というわけで、以下、重大な?ネタバレも書くかもしれないし、ネガティブ感想になる気配なので、まずは劇場へ観に行ってからにしてください。まだ見てない方、あるいは、この映画を最高だぜ! と思った方はこの辺で退場してください。その興奮を台無しにするのは本意ではありませんので。さようなら。

 はい。じゃあよろしいでしょうか。
 本作、『1984』の予告を初めて見た時、わたしが、ええっと、これって……? と謎に思ったことが二つある。恐らく誰しもが疑問を抱いたことだろう。
 【1.スティーブ・トレバー復活の謎】
 そもそも、前作『WONDER WOMAN』は1918年の第1次世界大戦終結あたりの時代を描いたものだ。で、主人公のWONDER WOMANことダイアナ・プリンスは、それまで謎バリアで覆われていた島ですくすく育っていたけれど、ある日撃墜された軍用機がその島近くに墜落し、搭乗していたパイロット、スティーブを救い、世界に広がる邪悪な意思をとめるために島を出奔し、第1次世界大戦を終わらせる働きをする、という物語だ。そしてその戦いと旅の道中で、完璧にスティーブと恋に落ちていたダイアナは、スティーブを亡くしたことで完全に心閉ざし、21世紀の現代まで老いることなく暮らしている、てな設定があったわけです。
 な・の・に! スティーブが生きてるってどういうことよ!? と誰しも思うはずだろう。答えから言うと、今回の謎アイテムの力によって一時的に生き返っただけなのだが、この復活したスティーブとダイアナのイチャつきぶりや、その後のつらい別れは、大変エモーショナルであったので、わたしとしては十分アリ、面白かった、と言っても良いと思う。そう、この点は非常にイイのです。でもなあ……。。。
 【2.なんで1984年?】
 例えば、Marvel Cinematic Universにおける『CAPTAIN MARVEL』は舞台が1995年だったわけだけど、その年代設定にはきっちり理由があって、1995年でないとダメ、である意味があった。が……まあ、ズバリ言えば本作は「1984年」を舞台にする意味はほぼなかったと思う。アレかな、冷戦構造が舞台装置として絶対必要だったのかな? いやいや、現代でも全く問題ないと思うんだけどね……。ひょっとしてアレかな、ダイアナが現代では人類に失望している、という設定上、現代より前にしなきゃいけなかったのかな? でも、1984年である必要性はゼロだっただろうな……いっそキューバ危機の60年代にした方がより一層分かりやすかったのでは? あ、まさか!? George Orwell氏の名作『1984年』にからめてるのかな?? でも監視社会とか、そんなフリは特になかったよな……ラストのトンデモ「電波ジャック装置」がそれなのか?? そういうこと? わからないけど、これは結局、単に監督が80年代を舞台にしたい、と「思いついただけ」なんじゃなかろうか。その思い付きが効果的だったかどうかは、極めて疑問だね。まあ、なんつうか、この点がすっきりしないのも、なんかキレがなかったす。
 で。以下、続けて気になった点などを箇条書きにしてあげつらってみたい。
 【3.謎魔法石のテキトーさにしょんぼり】
 本作は、ダイアナの勤務するスミソニアン博物館(※スミソニアンは複数の博物館からなる複合体の総称です。航空宇宙博物館も含まれる)に、ある日謎の魔法石が持ち込まれるところから始まる。それは盗品で、FBIが鑑定依頼してきたものなのだが、ちょうどその日入所したばかりの鉱石学者、バーバラが見ても、よくわからない。しかし世界の言語に通じているダイアナが見ると、その基部には、ラテン語で「一つだけ望みをかなえる」方法が記してあることが判明する。望みをかなえるって? 何それ、そんなのあるわけないじゃん……と誰もが思ったものの、ついうっかりダイアナは、愛しのスティーブを生き返らせて、と願ってしまう。結果、まあ、それでスティーブは復活すると。そして、見栄えも悪くて性格も超内向的なバーバラも、ついうっかり、ダイアナみたいな女性になりたい、と願ってしまい、ワンダーな力を得てしまう。さらに、ずっとその魔法石を追っていた悪い奴が、バーバラを口説いてまんまと石を手にすると。そして悪いことをしでかす、が、当然ダイアナはそれを阻止しようとするが……てな展開だ。
 この魔法石のポイントは二つあって、一つは、「願いをかなえる代わりに、大切な何かを一つ失う」ことであり、もう一つは、「願いを取り消すことが可能」な点だ。でも、この重要なポイントがテキトーなんすよね……残念ながら。
 まず、「願いには代償が求められる」点に関しては、ダイアナはうっかりスティーブ復活を願ってしまったために、自らのワンダーなパワーを失ってしまうのだが、それはもう、非常にGOODな設定であったと思う。後に、スティーブを取るか、ワンダーな力を取り戻すことを選ぶか、という強制的な二択に陥るダイアナは素晴らしかった! けど、なんで「望み」は即叶い、「代償」はジワジワとだんだん失っていくのだろうか? なんか、ご都合よすぎて萎えたっすね……。即、スーパーパワーが失われてしまった方がよかったのではなかろうか……。さらに言うと、バーバラが失ったものは、人間性のようなものだったのかな? なんか正直分かりにくかった(バーバラはスーパーパワーを得てからも、ちゃんとダイアナの手伝いを頑張ってた)し、悪党も、ありゃ健康を失いつつあったのかな、要するに、変化の落差がはっきりしておらず、実にキレが悪かったと感じられたっすね。。。
 そして「願いは取り消せる」というポイントも、「やっぱり取り消すわ!」と怒鳴るだけで即時発効するのも、なんかあっさりしすぎてガッカリしたっす。ついでに言うと、魔法石の由来についても実に浅くて、なんか……物語的には石の背景に関してはほぼ語られなかったすね。なんとか邪神の作った石、みたいなごくテキトーな説明だけで、ガッカリす。その邪神って何者で何のために作って悪党はどうしてその存在を知ってたんだよ、とか、いろいろ疑問は沸くのだが……。
 【4.DC-EUには何の影響もなし、なのか??】
 昨今では、DCコミックスのいわゆる「EXTENDED UNIVERS」は崩壊してしまっているのかもしれないが、どうやら本作は、DC-EUには何のかかわりもなさそうなのが実に残念であり、ガッカリしたポイントだ。何でも、来年Warner配下のHBOの配信で『JUSTICE LEAGUE』のスナイダーカットが公開されるらしいし、『JUSTICE LEAGUE』に出演したキャストや本作の監督らは、劇場公開された『JUSTICE LEAGUE』に関して完全否定するような意見を表明しているが、わたしはそのことが実に不愉快だし無責任だと思っている。アレはナシ、となかったことにしたいなら、観た観客全員に返金してからにしてほしいし、キャストもギャラを返してから批判してほしいものだ。ナシにできるわけないじゃない。観ちゃったんだから。
 何が言いたいかというと、わたしにとっては、ワンダーウーマンというキャラは、21世紀まで人類に失望して表舞台に出てこないキャラであってほしいのです! そうじゃないと、地球が崩壊寸前までいったMan of Steel事件の時にダイアナが介入してこなかった理由がなくなる! ついでに第1次大戦には介入したダイアナが第2次世界大戦に介入しなかった理由もなくなる! のです! でも、本作で描かれた事件は、1984年に起きた事件としては超・大事すぎるように思えて仕方ないのであります。
 だって、今回の事件は、もう完璧に人類史に残る相当な大事件だぜ? 詳しい年代は忘れたけど、DC-EUにおけるブルース・ウェインは1980年代生まれだったと思うので、本作の事件の際には生まれてたとしても幼児だったはずだけど、ブルース・ウェインが成長後に1984年の事件を調べないはずがないし、ブルース・ウェインが、今回の事件の背景にワンダーウーマンがいたことを突き止めないわけないと思うんだけど……。こういう点がホントにWarner=DC映画のダメなところなんだよな……。MARVELなら、絶対に何かキッチリと整合性をつけようとするのになあ。もう、いろいろテキトーすぎるよ!! と感じました。ただし、本作を観る人の9割がたはそんなことは全く気にしないと思うので、完全なるイチャモンであることは自覚しています。まあ、クソオタクとしては、どうしようもないす。
 というわけで、最後に各キャラと監督に関するメモを少し書いて終わりにします。
 ◆ダイアナ・プリンス=ワンダーウーマン:1918年に故郷を出奔し、愛する男との別れを経て、1984年までの66年間をどう過ごしていたのかは全く不明。そしてこのあと2016年のバットマンとスーパーマンの大げんかに割って入ってくるまで、32年間どうしていたのかも全く不明。今回、わたしが一番最高だぜ!と歓喜したのは、ついにダイアナが空を飛べるようになった!ことでしょうか。元々の原作コミックでも、ワンダーウーマンは飛行能力持ちなので、うれしかったすね。でもさ、それならどうしてDC-EUでは今まで飛べてなかったんだよ、と当然ツッコミたくなりますな。そして演じたGal様はもちろん最高なんすけど、なんか今回、パワーを失いつつある描写の時の表情がまるで別人のように美しくなく、一瞬、パワーを失うと美貌も失われるのか? とマジで思うぐらい可愛くなかったす。しかし、せっかくのあのウルトラカッコイイ「ゴールデンアーマー」も、実にテキトーだったすねえ! どこで発掘してきたんだよ。。。せめて、魔法石を封じる/対抗するためのキーアイテムとかであってほしかった! そしてそのアーマーをゲットするために、もう一度故郷に戻るとかいう展開だったらよかったのになあ。。。冒頭の故郷での幼少期のシーンも、ほぼ意味なかったすな。なお、ゴールデン・アーマーの本来の持ち主である「アステリア」というキャラにほんの少し言及されますが、なんとエンディング中盤のおまけシーンでLynda Carterさん(もちろん70年代のTVシリーズ版ワンダーウーマンのお方)が演じるお姿でチラッと登場します! これ必要だったのかなあ!? ま、メリケン人大歓喜なんでしょうな。
 ◆スティーブ・トレバー:ダイアナの永遠の恋人。うっかり願ったばかりに、現世に復活。でも、実は魂だけの復活で、全く見ず知らずの男に憑依したって設定も、テキトーでしたなあ……憑依された男の人生については何の言及もなく、ある意味、数日間人生を奪われたわけで、ひどい話だと思います。演じたのはもちろん前作同様Chris Pine氏。なんか、40歳になってイケメン度が下がってきたような……。
 ◆バーバラ:若干コミュ障の鉱物学者。真面目でやさしい。が、うっかりダイアナのような溌剌とした女になりたい! と願ってしまい、さらに手にしたパワーを失くない気持ちが勝り、ヴィラン化してしまうかわいそうな女子。そのままで十分魅力的だったのになあ。演じたのは、サタデー・ナイト・ライブ出身のコメディエンヌでお馴染みKristen Wiigさん。47歳だって? おおう、もっと若いかと思ってた。演技ぶりは大変結構だったと思います。
 ◆マックス・ロード:今回の悪い奴。魔法石の存在を最初から知ってて「俺自身を魔法石にしてくれ」という裏ワザ的な願いを叶える男。そのため、自分の願いはもう消費済みなので、周りの人間に自分の望みを願わせるというやり方で、世界を混乱に陥れる。どうでもいいけど移民で苦労人という設定。でもありゃ、まあ、単なる出資詐欺師ですな。そして結局、自分の子供ために、願いを取り消すという、お優しい結末に。全く感動しなかったね。演じたのは最近では「THE MANDALORIAN」でお馴染みPedoro Pascal氏。チリ出身で、1973年のクーデターでデンマークに両親亡命後、メリケン人になったそうですな。
 で、監督は前作同様Patty Jenkins女史なわけですが、世間的にこの方の評価が非常に高く、今後STAR WARSにも参加するそうですが……はっきり言ってわたしは全く好みじゃあないですな。監督としての手腕は、もちろんハイレベルではあると思うけれど、脚本はやらない方がいいんじゃないかしら。なにかと政治的メタファーめいた設定だったり、お優しいキャラ設定だったりは、全く好きではありません。それに、どう考えても本作の上映時間151分は長すぎるよ。120分で十分だったのではなかろうか。冒頭のシーン要らないし。冒頭のアマゾンレースは、ズルしちゃあかんぜ、ということを示すために意味があると、5万歩譲って認めるとしても、ショートカットしたことがルール違反とか言う前に、そもそも流鏑馬的な奴を一つ失敗してるんだから、その時点で失格じゃんか。怒るポイントがズレてんじゃね? つうか、そもそも1984年に時代設定した意味もほぼないしさ、エジプト(?)のあんな砂漠のど真ん中で、偶然ガキがチョロチョロ道に出てくるか?? ああいうとってつけたような描写は違和感しか感じなかったす。

 というわけで、結論。

 とても楽しみにしていた『WONDER WOMAN1984』をさっそく観に行ってきたのだが、面白かった部分ももちろんあるけれど、残念ながら判定としては微妙作、と結論付けたいと思う。なにしろ、いろいろテキトーすぎるのではなかろうか。時代設定の意味もほぼなかったし、最大のキーアイテムである「魔法石」のテキトーさが、なんだか見ていて釈然としなかったす。さらに言えば、アクションシーンは、そりゃもう迫力満点で素晴らしいけれど、これは演出なのか脚本なのか、両方なのか……とにかく、なんかキレが感じられなかったすね。あと、せっかくの素晴らしいワンダーウーマンというキャラクターも、例えば、自分だってさんざん悩んだのに、ヴィランに対しては「じゃあ仕方ない」とあっさりぶちのめす、みたいな行動は、どうも違和感があるというか……モヤモヤしたっすね。要するに、詰め込み過ぎたのではなかろうか。そういう微妙な点が多くて、結論としてはイマイチ判定せざるを得ないす。この監督の作品は、今後は積極的に観に行こうとは思わないかもしれないな。Gal様の美しさは満点なので、Gal様映画は今後も観に行くと思いますが。以上。

↓ Gal様の出演するコイツが早く観たい。。。公開延期が残念す。