わたしがこの世で最も好きな小説家は、Stephen King大先生であるッッッ!
 と、いうことは、もう既にこのBlogにおいて30回ぐらい書いていると思いますが、来ましたよ! 新刊が!! 今回日本語化されて出版されたのは、なんと共著として息子のOwen氏の名前がクレジットされている『SLEEPING BEAUTIES』であります。とっくに電子書籍野郎に変身したわたしですが、いつも通り、KING作品に限ってはまず紙の本を買いました。もちろん、「本棚に並べて悦にいるため」だけの行為であり、電子版もそのうち買うつもりです。
King_sleepingbeauty
眠れる美女たち 上 (文春e-book)
オーウェン・キング
文藝春秋
2020-10-29

眠れる美女たち 下 (文春e-book)
オーウェン・キング
文藝春秋
2020-10-29

 Beauties、美女たち、と複数形なのがミソ、なんですが、まあそれはともかく。本作はWikiによれば2017年刊行だそうで、実はわたしとしては、今すぐ読みたいと思っていたのは、この作品の後にもうとっくに刊行されている2作品の方でありまして、2018年の『The Outsider』と、2019年の『The Institute』の方だったので、なあんだ、Beautiesか、とほんのちょっとだけがっかりしました。まあ、文春はちゃんと、1年後ぐらいには日本語訳を発売してくれるだろうから、待つしかないですな。。。。だってさあ、『The Outsider』はなんとあのホリー(ホッジス三部作のあのホリー!)が主人公の話なんだぜ!? もう今すぐ読みたいに決まってるよね。おまけに『The Institute』はバリバリSci-Fiらしいじゃないですか。もう超楽しみにしてたんすよ……。。。
 まあ、そんなに読みたきゃ英語の原本を読めってことすよね……わたしの元部下の英語ペラペラガールのA嬢は、もうとっくに両作を英語で読んでいて、感想として超ヤバイ! とおっしゃっていました。はあ、くそう、早く読みたいのう……。
 とまあ、そんなこともともかくとして、だ。『SLEEPING BEAUTIES』であります。
 本作のあらすじは、もう帯にもおもいっきり書いてあるけれど、ある日、女性だけが罹患する謎の「眠り病」(=Disneyの眠り姫でお馴染みオーロラ姫にちなんで「オーロラ病」と呼ばれる)が蔓延した世界を描くものだ。その「オーロラ病」にかかり、一度眠ってしまうと、体内から何やら未知のたんぱく質で構成された糸状組織が発生し、「繭」のように全身が包まれて、眠り続けてしまう。そしてその「繭」を破って起こそうとすると、全く別人格のような凶暴な性格となって繭を破った人間(および周囲にいる人間)に襲い掛かり、しばらくすると再び繭を形成して眠りにつく、という恐ろしい奇病だ。
 こんな物語なので、わたしはKing大先生の長男Joe Hill先生(※姉がいるので第二子。本作の共著者Owen氏の5歳年上の兄貴)が書いた『THE FIREMAN』に似てるな、という予断を持って読み始めたのだが……まあ、似て非なるものすね。つうか全く別物すね。そして、ズバリ言うと、完璧にSupernaturalな存在が登場し、むしろ『THE STAND』に似た趣(?)でありました。
 で。どうしようかな、まだ上巻を読み終わった段階で何かを書くのは、ちょっとアレなんだけれど、とにかく今回も登場人物が多いので、ちょっとだけ、キャラをまとめておこうかと思います。下巻を読み始める自分のために。図で示してみるとこんな感じでしょうか。まあ、各キャラの詳細な紹介は全部読み終わってからにした方がいいかな。現状では下記の図で十分でしょう。なお、全員ではないし、上巻の段階ですでに死亡したキャラも含まれてます。
sleepingbeauties
 本作は、ある意味では現在の我々が直面しているCOVID-19パンデミックとも共通する面はあるものの、もっと深刻かつ謎が多すぎていて、科学で立ち向かえないのが恐ろしいところだろう。さらに言うと、全世界で「オーロラ病」は蔓延しているものの、描かれるのは舞台となるアメリカ東部、アラパチア山脈にほど近い田舎町(Washington D.C.まで車で数時間)での出来事がメインなので、よりパーソナルというか、人類VSオーロラ病というスケールではなく、あくまで登場人物たちそれぞれの個人的な動きが描かれている。
 結果として、極めて生々しいというかですね、まあ、ホント、アメリカって国はマジで終わってんなあ、という感想を抱かざるを得ないですな。ドラッグや銃が普通に生活の中にあって、科学的な話を誰もせず、勝手な思い込みでみな行動するわけで、本作ではもう、どうしようもなく邪悪、どうしようもなく自分勝手、どうしようもなく愚かな人物が数多く登場します。とにかく、他人はどうなろうと自分さえよければいい、ってのが根本にあるのが、とにかくまあ、恐ろしいというか、不愉快ですなあ。おりしも現在US大統領選が始まり、4年前、US大統領の椅子は金で買えることを証明した国家なので、読んでいてホントに暗い気持ちになる物語ですよ。これが後半、どう終息、あるいはどう破滅していくのか、もうホントに超ドキドキワクワクで下巻を読み始めようと思います。

 というわけで、さっさと結論。

 わたしがこの世で最も好きな小説家はStephen King大先生である! そして日本語で読める最新刊『SLEEPING BEAUTIES』は、想像してたのとは全然違う、Supernaturalなお話、のようです。上巻読了時点においては。いよいよもって主人公は、King大先生の作品ではお約束の通り、もうどうしたらいいかわからないほど「のっぴきならない事態」に陥りつつあり、これから後半、どう物語が展開していくのか、ホントにわくわくが止まらないですな! 結論から言うと、最高であります! まだ上巻ですが! 以上。

↓ ホントはこっちが読みたいんだよオレは。。。早く日本語版でねーかなあ。。。

The Institute: A Novel (English Edition)
King, Stephen
Scribner
2019-09-10