わたしは80年代から90年代に小学校~中学・高校~大学~サラリーマン初期を過ごした中年のおっさんとして、ハリウッドナンバーワンのコメディ役者と言えば、即、そんなのEddie Murphy氏に決まってんだろ! と言いたくなるわけだが、まあ、同年代のおっさんフレンズたちと、一番笑えた最高のEddieムービーはどれだ? 的な会話をすると、だいたい確実に『Coming to America』(※邦題「星の王子、ニューヨークへ行く」)という作品になる。わたしも大好きな映画で、もちろん劇場で観たし、のちにテレビの放送でも何度も見ていて、日本語吹替でも最高に楽しい映画だ(※もちろん吹替担当は下條アトム氏一択です)。この映画で笑えないやつとは永遠に分かり合えないと思うな。ちなみにひとしきりEddieムービーの話をした後は、たいてい「じゃあ、Jackieナンバーワンムービーはどれだ?」という話になって、だいたいいつも、そりゃやっぱり『Project A』だろ、という結論になって、誰かがインチキ中国語であの歌を歌い出すという展開になります。
 で。
 問題は、Eddie爆笑ムービーの、2位は何か、という点になると、これはかなり人によって意見が違うことになる。その時、わたしがいつも強く主張するのが、1998年に公開された『Dr. DOLITTLE』だ。この作品は、原作の児童文学『ドリトル先生』から「動物と話ができる医師」という設定をもらっただけで、完全に現代アメリカが舞台となっているのだが、まあとにかく、最高に笑える、大好きな映画であります。とにかく動物たちのセリフが下品で最高だし、Eddie氏の演技ぶりもわたし的には『星の王子』に次ぐ、最高レベルの作品だと今でも信じている。
 というわけで、わたしとしてはそれなりに想いのある『DOLITTLE』が、今再び映画化される、しかも主演はわたしが大好きなトニー・スタークでお馴染みのRobert Downey Jr.氏というのだから、もう期待せずにはいられないわけで、すぐにムビチケを買って、公開を楽しみにしていたのだが……COVID-19の蔓延により公開は延期されてしまったのであった……のだが、早くも(?)先週から公開されることになったので、わたしも日曜日にさっそく観てまいりました。どうでもいいけど、発音的には「ドリトル」ではなく、「ドゥーリトル」、Doとlittleの合体なので、ちゃんと発音する方がいいと思うな。

 というわけで予告は、4月に惜しくも亡くなられてしまった藤原啓治氏に敬意を表して、日本語吹き替え版を貼っておこう。ほんとに藤原さんのトニーはピッタリで、もう藤原ボイスが聴けないなんて極めて残念す……。
 で、物語はもう、この予告でほぼ全部語られていると言っていいだろう。お話はきちんと原作通りヴィクトリア朝時代なのだが、内容的にはオリジナル、なのかな、わたし、原作シリーズを読んだことがないのでよくわかりませんが。
 そして注目なのは、動物たちの動きだ。完全にフルCGと思われる動物たち。これは、Eddie版とはかなり違う点で、Eddie版は結構本物の動物だった……ような気がするのだが、ちょっと自信がないな……少なくともラッキー(ドゥーリトルの相棒的な下品なセリフバリバリのわんこ)は本物の犬だったと思うけど、今回の最新Downey版では、おそらくわんこもほぼCG、であったと思う。そして、CGであるがゆえに、動きや顔の表情が妙に人間臭かったりするわけだが(結果、漫画っぽい)、その辺はこの映画が完全に子供向けということなのだと思う。そしてさらに言えば、内容的にも子供向けの物語展開で、Eddie版は大人が見ても大爆笑なデキであったのに対し、今回は大人が見て笑えるかというと……まあ、残念ながらそれほどではなかったな、という感想であります。
 Eddie版は、ギャグも下ネタ全開だし、物語も現代的で、そもそもの対象年齢が違うから、今回のDowney版と比べる方が間違ってるんだろうな、とは思う。そして残念ながら、わたしとしてはEddie版の方がずっと面白かった、と結論付けざるを得ないすね……。おっさんなので。
 今回、わたしが一番「うーん……」と思ってしまったのは、主人公ドゥーリトル先生が、ほぼ何も努力しないというか、すべて動物たち任せというか、他力本願と言えばいいのかな、ウルトラピンチも他人の好意によって救われるような、自分で何とかしようとするような行動を起こさない点であろうと思う。だから、どうにも好きになれなかったんすよね……。動物たちは超頑張ってけなげなんだけど……肝心の先生がなあ……そして助手の少年とのきずなも浅いし、悪役も頭が悪すぎるというか、計画がずさんすぎるし、ズバリ、大人の鑑賞にはちょっとキビシかったすね。
 というわけで、各キャラクターと演じた役者をまとめて終わりにしようと思います。
 ◆ドゥーリトル先生:演じたのはもう散々書いている通りRobert Downey Jr.氏。ビジュアルは最高だし、軽妙なキャラはピッタリだけど、まあ、脚本に難アリだったと思うことにします。元々超天才医師で動物と話せる特殊能力持ち。ヴィクトリア女王から下賜された大邸宅に動物たちと住まう、が、奥さんを亡くし、引きこもりに。そんな時、予告にある通り女王が病に倒れ、女王が崩御すると下賜された邸宅も没収されちゃうと聞いて、動物たちにそれは困る!! と猛抗議されてようやく引きこもりから社会復帰する。のだが……この基本プロットも、なんかアレっすね……。ま、いずれにせよ、Downey氏の演技はいつも通り大変結構かと存じます。ひとつ、本作で、へえ~?と思ったのは、ドゥーリトル先生は、なんかテレパシー的な手段で動物と話すのかと勝手に勘違いしていたけど、実際は、ちゃんと動物の鳴き声(?)によって会話する点で、犬となら「わんわんきゅうーん」的に、ゴリラとなら「うほうほうほっほ」的に話す点が、すごく新鮮だったすね。
 ◆トミー・スタビンズ少年:猟師のおじさんと暮らす少年。おじさんは猟師なので、動物を狩って生活するわけだが、少年はどうしても動物を撃つことが出来ず、でたらめに撃った流れ弾でうっかりリスを傷つけてしまい、ドゥーリトル先生に治療を頼みに邸宅に忍び込み、押しかけ助手となる。そしてどんどんと「動物語」もマスターしていく次世代ドゥーリトル。わたしは原作を知らないので、これが原作通りなのかよくわかりません。残念ながら本編では、ほぼ活躍せず、と言わざるを得ないだろうな……先生との心の交流的なものも、実に薄かったのが残念。演じたのはHarry Collet君16歳。おっと、『DANKIRK』に出てたらしいな。どの役だろう?
 ◆レディ・ローズ:女王が病に倒れたことを知らせに来る、推定10~13歳ぐらいのちびっ子レディ。かわいい!! 歴史的な人物なのかちょっとわからんな……一応、ふんわりと次期王位継承者っぽく?描写されていたので、長女のVictoria Adelaide Mary Louise様なのかも? 後のドイツ皇后ですな。そして演じたCarmel Laniadoちゃん14歳がおっそろしく美人&かわいかったすね。↓この娘さんです。

 ◆バッジリー卿&マッドフライ:悪者コンビ。この二人が悪い奴で、女王は病気ではなくこのコンビによって毒殺されかかってることは、もう冒頭15分ぐらいで判明。ここで物語終了じゃん! とは思ったものの、今回はその解毒剤探しがメインの冒険でした。演じたのはいかにもイギリス人な風貌のJim Broadbent氏(有名なのはハリー・ポッターのスラグホーン先生役かな)と、Michael Sheen氏。特に書くことないす。
 ◆ラソーリ:海賊島の王。亡くなった奥さんの父で、娘を救えなかったドゥーリトル先生を憎んでいる。が、結構あっさり許してやり、あまつさえ船も貸してやるなど優しいお父さんになっちゃった。この変化もちょっと底の浅い脚本だったと思うのだが……。。。演じたのはAntonio Banderas氏で、うかつなことにわたし、最初Banderas氏だと全然気が付かなかったす。
 で、動物は4人だけ紹介しておこう。
 ◆オウムのポリー:動物たちの中のリーダー格(?)。先生の奥さんが亡くなる時、指輪を託された古参の一人。その声はイギリスの誇る大女優Emma Thompsonさん。非常にぴったりな役でした。
 ◆わんこのジップ:眼鏡をかけた賢いわんこ。Eddie版のラッキーとは大違い(笑。ただし今回は冒険に参加せず、女王のもとに番犬としてお留守番なので、あまり活躍シーンはない。演じたのはトニーの弟子でありNYCの親愛なる隣人SPIDER-MANでおなじみTom Holland君。彼の声はすぐわかるっすね。
 ◆ゴリラのチーチー:超奥手な弱腰ゴリラ。冒頭のアニメを見る限り、どうやらかつて密猟者につかまっていたところを先生に救われたっぽい。なので怖がりなのかな。これが原作通りか知りませんが。演じたのは、オスカーウィナーとなったRami Malek氏なんだけど、サーセン、声ではわからなかったす。
 ◆ホッキョクグマのヨシ:白くまなのに寒がりのため、ドゥーリトル先生にもらったニットキャップを着用。演じたのはWWEレスラーでお馴染みJohn Cena氏。通称「ワル学博士」「俺様ラッパー」。最高です。もう、この人の試合の中継はJ-SPORTSで何度も観ましたが、最高におもろいす(今、無観客試合を中継してるんだけど、とにかく日本語字幕が笑えておもろい!)。この人は結構映画界にも進出していて、最近では『BUMBLE BEE』にもでてましたな。
 とまあ、こんなところかな。ほかにも動物の声で多くのスターが出てるので、くわしくはWikiでも観といてください。

 というわけで、もう飽きてきたのでさっさと結論。

 COVID-19によって公開延期となってしまっていたけど、想像よりずっと早く公開となってくれたので、さっそく観てきた『DOLITTLE』。わたし的に、いわゆる「ドリトル先生」というと、真っ先にEddie Murphy氏の爆笑映画を思い出すのだが、今回のRobert Downey Jr.氏による本作は、実に子供向けで、正直かなり物足りなかったというのが最初の感想であろうと思う。ちょっとなあ……いただけないすねえ……脚本的に。どこまで原作小説のエピソードを盛り込んでいるのか知らないけれど、ちょっと……人間のキャラクターたちのつながりが非常に薄かったように思う。まあ、実際本作は、ドゥーリトル先生と動物が主人公だから、それでいいのかな……いっそ、Eddie版のように現代にお話を変えても良かったような気もします。ヴィクトリア時代である必要はほぼなかったのではなかろうか。ともあれ、こんなに早く劇場が再開してくれるとは思ってなかったので、そのあたりの英断?には敬意を表し、わたしも感染対策を万全にして、これからも映画館へ足を運ぼうと存じます。なんか、もう書くことがないので、以上。

↓ こっちの方が圧倒的に面白いと思います。あえての日本語吹き替えで観ていただきたい! 「2」は、若干イマイチかも。。。そして「3」以降は完全別モノです。