というわけで、今週の『もういっぽん!』であります。
 前回感想を書いた第66話から3週間、今週の週刊少年チャンピオン2020年第16号掲載の『もういっぽん』は第69話まで進んでおり、とうとう、わたしが最も応援する「神童」こと南雲ちゃんVS中学女子柔道埼玉チャンピオン、雨宮凛選手の戦いの決着まで描かれました。いやあ、まさかこんな素晴らしい結末とは……!
 まあ、普通に考えて、いくら何でも出来ちゃう完ぺき超人の南雲ちゃんとは言え、柔道は完全なる初心者なわけで、埼玉チャンピオンに勝てるわけがないだろう、と思っていたし、さらに、先週終わりの段階では、残り10秒、そして技ありを取られ、さらに指導も食らっている絶体絶命のピンチだったわけです。
 さらに言うと、相手の凛選手は、コーチたる父の若干過干渉気味な指導を振り切って、ある意味初心に帰るような、精神的な成長あるいは解放、がなされ、要するに相手の気合は十分で付け入る隙なしか? とも思えたわけですが、今週はそんな凛選手の、勝つ!!という気持ちのこもった「おおおっ」という雄たけびから開幕しました。残り10秒、さあ、南雲ちゃんも「はあああ!!!」と気迫十分! 読んでいるわたしも、行け! 安奈! と完全に観客席で見守る南雲ちゃんパパ同然の気持ちであります!
 そして対峙する南雲ちゃんはすっと目を閉じ……考えます。今まで(仲間たちの戦いで)「見てきたこと」、そしてそこから「やるべきこと」を導き出し、今までの自分の剣道で培ってきたことなどから「できること」を絞り出そうと集中モードだ!!! 今週わたしが一番気に入ったのはこの見開きであります! 村岡先生、秋田書店様、ここだけ画像で紹介させてください!! 南雲ちゃん、なんてカッコイイんだ!!
nagumochan
 おそらく現実時間ではほんの一瞬のことだと思いますが、これができるからこそ、南雲ちゃんはスポーツも勉強も超優秀なスーパーガールなわけですよ!! お父さん的視点からすると、まったく、主人公たる未知も見習ってほしいものです!
 そしてページをめくると「踏み出せ」と目を見開く南雲ちゃん。神速の踏み込み、つうか、飛び込みで凛選手の懐に入り込みます! この、後ろに引いた右足の、とりわけ親指にかかるバネから生まれるダッシュ力は、明らかに剣道に打ち込んできたからこその賜物だ! 剣道選手の「間合いへの飛び込み」は伊達じゃないぞ! 
 しかし凛選手もさすがに埼玉チャンピオン、高度な柔道思考がフル回転し、すかさずあびせ倒して迎え撃つ! しかし南雲ちゃんはそれすらも織り込み済みか!? 青西エースの永遠ちゃんも驚きの表情だ! そして南雲ちゃんの頭の中には、永遠ちゃんから借りた柔道教本に書いてあったことが浮かんでいます! すなわち、「相手を引き出し 跳ね足を相手の内ももに添わせて 軸足を伸ばすと同時に」!! そうだ、南雲ちゃん、跳ね上げろ!!! 基本に忠実、南雲ちゃんまじかっけえ!
 とページをめくると、ああーーーっと! 透かされた!! ヤバイ! さすが凛選手、間髪入れずすぐさま迎撃態勢、そしてこれは体落としか!? イカン! 投げられる!
 おおっと!! 次のページでは「生み出せ 私にしか できないこと」と、凛選手の右足を飛び越える南雲ちゃんの図であります!! 柔道的な思考の上を行ったか!? そして着地するや否や! 「きいいい…ええええええい」の雄たけび一発!! 凛選手をブン投げたああああーーーー!!!
 一本!!!! 完全なるビューティフル・いっぽん!! 勝負ありいいい!!!!
 はあはあ、うおー、ヤバイ、すげえ燃えたっすねえ! 血圧上がるわ!!
 もう、このあとの南雲ちゃんの表情は、ぜひチャンピオンを買って直接ご確認ください。主人公未知は、試合前、南雲ちゃんに言いました。「ああいう強い相手ぶん投げたら 超超気持ちいいぞ」。だけど、南雲ちゃんの脳裏には「それだけじゃないじゃん」という思いが溢れます。それは、「友達(あんた)と一緒に 喜び合えるって 嬉しすぎじゃん」という強い想いでありました。
 はーーー……ヤバイ……超カッコ良かったよ……そして最後のこの「嬉しすぎじゃん」という表情が、もう超最高過ぎて、最高 of 最高です! 声にならないこの喜び! という編集部のつけたアオリも、とてもいいすね! いやー、本当に素晴らしい勝利でありました。もうきっと、観客席で見守るお父さんも「見たか!? あれがうちの娘だ!!」と喜び爆発でありましょう。いやー、ホントにもう、マジ最高でした! 南雲ちゃん、やったね!!!

 というわけで、結論。

 今週はついに南雲ちゃんVS雨宮凛選手の戦いに決着がつきました。南雲ちゃんは柔道初心者の白帯、いっぽう凛選手は中学時代の女子柔道埼玉チャンピオン。この圧倒的な経験の差は、いかんともしがたい、埋めがたいものと思って毎週ハラハラしながら読んでいましたが……やっぱりですね、南雲ちゃんはこれまでの全てをフル動員して、今まで見てきたこと、今の自分にできること、そして、今、自分がやるべきこと! と見事に整理、検討することで、活路を見出しました。それもほんの一瞬のうちに、ですよ。なんてすばらしい女子高生なんでしょうか! スポーツ万能で勉強もトップクラス、そんなパーフェクト・スーパーガールの南雲ちゃんの活躍を、毎週応援いたしたく存じます。もうなんつうか、わたし的には『もういっぽん』の主人公は完全に南雲ちゃんなんですけど、いいんでしょうか……。まあ、『もういっぽん』のキャラクターたち全員に、それぞれ素晴らしい魅力があるわけですが、わたしは完全に南雲ちゃん派であります。さーせん、これ以上書くと完全に気持ち悪いおっさんなので、この辺にしておきます。もう手遅れじゃん……。以上。

↓ 最新(7)巻は4/8発売! もちろん、わたしは電子と紙の書籍、両方買っています! まとめて読める単行本も必携かと存じます。