いつものセリフで恐縮ですが……
 わたしがこの世で最も好きな小説家は、ダントツでStephen King大先生である!!
 というわけで、ここ数年、再びKing大先生の作品が映画化されるのがちょっとしたブーム?のような気がするけれど、その流れの一環として、かつてかなりなB級映画として製作されたことのある、あの作品が、最新Verとして再映画化される日がやってきました!
 その作品とは、King大先生の作品でも比較的初期作品である『PET SEMATARY』であります! ちなみに「Semetary」が英語として正しい綴りで、本作が「Sematary」となっているのは、子供がつづりを間違えたという設定のためで、そもそもの原作小説も「Sematary」だし、文春の日本語版も「セマタリー」と表記されてます。
 というわけで、さっそく観てきたわけですが、なんつうか、やっぱり原作小説とおおむね同じ、だけどラストはまったく違う筋書きに改変されていて、まあ、ズバリ言えば相当後味の悪いBAD-ENDになっていて驚いたす。いや、原作小説もなかなかのBAD-ENDなんだけど……主人公の行動はまるで違うもので、なんか……まあ、観てスッキリはしないエンディングだったと誰しもが思うのではなかろうか。
 ま、原作と違っている点に関しては、まったく構わないけれけど、そうだなあ、確かに、変にきっちりとしたGOOD-ENDに改変してしまうよりは、原作のテイストは込められているのかな。なので、結論としてはアリ、ではある。けど、うーん……まあ、あまりお勧めはできないな……物語的にもアレだし、ちょっといろいろと……映画としてアレでもあるんだよなあ……。。わたしとしては、1989年版の方が、B級感あふれてて好きっすね。

 まあ、物語はこの予告通りと言っていいだろうと思う。
 都会から田舎に引っ越してきた家族。広大な森が敷地内にあって、うっそうとしているが、家からすぐのところに、ビュンビュンとトラックがかっ飛ばしてるような国道(と言えばいのか?)が通っている。ある日、家族の飼い猫がその国道でトラックにひかれて死んでしまう。父は、まだ小学生ぐらいの娘に、命についてまだ教え切れておらず、どうしたものかと思っていると、敷地の隣に住む老人が、森の奥にある、「PET SEMATARY」のさらに奥の、謎の土地に猫の遺骸を埋葬するよう指示する。すると、死んだはずの猫が家に帰ってきた! なんてこった、これは一体!? とか思っていたのだが、戻ってきた猫は邪悪な性格に変わってしまっていた。そしてとあることから次に娘を失くした父は、禁断の地に娘を埋葬するのだった……てなお話です。サーセン、テキトーにはしょりました。
 えーと。まず、ズバリ原作小説との違いは、上記のわたしがまとめたあらすじで明らかでありましょう。そう、原作小説で亡くなるのは息子、末っ子の弟で、本作映画版では娘で、お姉ちゃん方なんだな。観ながらわたし、あれっ!? お姉ちゃんが死ぬんだっけ!? と思って映画館を出た後で原作をパラ読みしたら、確かに小説では息子の方でした。
 でもまあ、上に書いた通り、別にこの改変はまったく構わないと思う。問題は……亡くした子を復活させようとする親の心理、であろう。この点に関しては、実は原作小説でもわたしはイマイチ理解できなかったのだが、本作映画版では、わたしは全く理解できなかった。
 まあ、普通に考えて、そりゃ生き返るというなら、どんな手段も取ってしまうかもしれない。本当にやるかどうかは、ま、単なる思考実験なのでどうでもいいというか結論は出ないけれど、少なくとも物語としては、主人公たる父親に共感はできなかったのが偽らざる感想だ。
 わたしは観ながら、結局これは、キリスト教的な「復活」のイメージなのか、あるいは、アメリカ人が大好きな「ゾンビ」モノの一種なのか、「死者の蘇り」がこれほどいろいろテーマになるってのはどういうことなんだろう? とそのことばっかり考えてしまった。
 実のところ、わたしの愛するKing大先生の小説作品でも、結構「蘇り」はテーマとして書かれているわけで、アメリカ人、だけじゃなく世界中の人々が大いに関心あるいは興味を持っているんだろうとは思う。でもそれは一体、なんでなの?? というのが、わたしにはよくわからないでいる。
 わたしも親をはじめ、今まで多くの大切な人(や家族たるわんこやにゃんこ)を看取ってきたので、実体験が少ないからだよ、とか、実際にその身になってみたことがないからだろ、とは言わせない。一つ思うのは、現代日本では普通である「火葬」という弔い方が影響してるのかも? という点だ。火葬にして、骨を骨壺に納めて、という弔いを何度も経験してきたわたしとしては、もう「ゾンビ」ってありえないんだよね、実際のところ。
 本作では、亡くなった猫を、主人公はきちんと娘に説明して、「死」について教育しようとするが、奥さんに「まだ早いわ、いなくなったことにしましょう」的なことを言われ、問題の禁断の地に埋める展開となってしまうが、まあ、ズバリ言えばこれが最悪の事態をもたらしたわけで、やっぱりちゃんと火葬してあげればよかったのにね、と思わざるを得なかったす。そして猫であろうときちんとお墓をたててあげてほしかった。「墓」って、やっぱり「そこにいる」という実感と「祈りの場」としての意義において、重要だと思うすね。
 まあ、そんなことを思いながらわたしはこの映画を見ていたのだが、メモとして思ったことをいくつか残しておこう。
 ◆びっくりさせる安い演出はやめてくれ……
 本作は、結構しつこいぐらいの頻度で、大きい音や急なカットインなどで、観客を「うおっと! ビビったぁ!!」とビクッとさせる演出が入る。けど、なんつうか……品がないというか……好きじゃないすなあ、ああいうのは。小手先すぎると思うんだけど……。
 ◆すれすれのところを爆走するトラックが怖い!
 King大先生のファンならお馴染みの通り、King大先生は1999年6月19日に、近所を散歩していてライトバンに跳ね飛ばされて重傷を負い、本当に死にそうになったことがある。まあ、このことを知ってる人なら、本作でやけに描かれる「すれすれのところを爆走するトラック」には恐怖を感じたでしょうな。わたしは観ながら、あっぶねえ! つうかKing大先生もこんな感じだったんだろうか、と、妙に怖かったす。なお、本作の原作小説が発表されたのは1983年なので、King大先生が遭った事故の影響で、本作の設定が生まれたわけじゃありません。
 ◆エンディング曲はあの!!
 エンドクレジットで流れる曲の歌詞、ちゃんと聞いてた方がいいすよ。「I don't wanna be buried in a Pet Semetary~」ってのがもう、耳に残りすぎて嫌!!笑! わたしは完璧に忘れていたんだけど、この曲は、なんと1989年版映画のエンディングで使われた曲で、Wikiによるとかの「ゴールデンラズベリー賞」の主題歌賞にノミネートされたらしいす。要するに、すげえ悲しいBAD-ENDに全くそぐわない曲ってことでのラジー賞ノミネートだったそうです。今回も、わたしもこの曲に関して、なんだこの歌、あわねえなあ!? と思いました。つうか、なんだこれ、と笑っちゃった。おれもペットセメタリーには埋められたくないわ! みたいな笑。
 というわけで、最後にキャラクターとキャストをメモして終わりにします。
 ◆お父さん(ルイス):医師。奥さんが何と言おうと、ちゃんと「死」を教育すべきだったね。ラストがだいぶ小説と違うと思う。今回はより一層、悲劇的だったかも。演じたのはJason Clarke氏。わたし的には4代目(?)ジョン・コナーなんすけど、比較的普通の家庭の父親、な役は初めて見たような気がします。演技ぶりは、フツーです。
 ◆お母さん(レイチェル):普通の主婦。猫ちゃんをきちんと弔ってあげていれば……。エンディングは原作と相当違います。お姉さんのエピソードは、原作小説より怖さ5倍増しになってたような気がします。超ヤバし。演じたのはAmy Seimetzさんという方だけど、正直知らないなあ……と思ったら、『ALIEN:COVENANT』で科学者(結構最初の方で爆死)の役で出てたみたいす。サーセン。完璧忘れてました。
 ◆娘(エリー):推定小学校低学年。決して悪い子じゃなかったのにね……蘇ったエリーは超邪悪です。演じたのはJeté Laurence嬢12歳。将来なかなかかわいく育つ見込み大だと思います。
 ◆息子(ゲイジ):推定幼稚園~保育園児。原作小説で亡くなって蘇るのはこの子です。小説の蘇ったゲイジは超邪悪でヤバイ! 演じたのは、全然データがないけどHugoとLucasのLavoleさんちの双子の兄弟みたいすね。二人で演じてたとは全く気が付かんかったわ。
 ◆ジャド:家族の近所に住まう老人。あんたが余計なことを教えなければ……確か原作ではその妻である、おばあさんも出てきたような……気のせいかも……。演じたのは大ベテランのJohn Lithgow氏74歳。Lithgow氏と言えば、なんかいつも「怪しい隣人」なイメージがあるのは何故なんだ。今回は、悪い人じゃないんだけど……いつもの通り怪しさ満点でしたな。
 ◆チャーチ:家族の愛猫。あれは種別としては、メインクーン、だろうか? 大変愛らしい毛長猫。もう、冒険しちゃだめって言ったのに、バカちんが……悲しい……。なお、エンドクレジットによると4匹のお猫様が演じていたようです。猫演技は完璧でしたね。


 というわけで、書いておきたいことがなくなったので結論。

 わたしの大好きなStephen King大先生の作品が映画化されるなら、確実に観に行くわけですが、なんかここ数年、再びのブームなんすかね? やけに本数が増えてるような気がします。TVシリーズ含めても多いよね、やけに。まあ、それだけ面白いお話であるのは間違いないのだが。今回はKing大先生の初期作品『PET SEMATARY』がリメイクされて登場と相成りました。結論から言うと、原作小説と違う部分はある、けど、アリ、だと思います。ただ、おっそろしく後味の悪いBAD-ENDなので、Kingファンなら見るべきだと思うけど、そうでない方には基本オススメはしません。なんつうか、やっぱりきちんと弔うこと、それが生きている我々のためでもあるわけで、ペットだろうと火葬してきちんと供養してあげたいすね。変なところに埋めちゃダメに決まってるっつうの。ホントにアメリカ人はゾンビが好きだなあ、と、見当違いな感想を抱きました。そしてあの曲が耳にこびりついて、すげえ嫌な感じっす。笑。以上。

↓ 久しぶりに1989年版を見てみるか。たしかWOWOW放送したのをBlu-rayに残してるはず。
ペット・セメタリー (字幕版)
ブラッド・グリーンクイスト
2013-11-26

↓ そしてこちらが、伝説のウルトラB級の続編。なかなかヤバイす笑。
ペット・セメタリー2 (字幕版)
エドワード・ファーロング
2014-07-01