はーーー。なんつうか、毎日毎日、生きるってなんなんだよ……と10代の悩めるクソガキだった頃以来、そんなことをぼんやり考えるわたしである。何にも悪いことなんてしてないし、善人として生きたいと日々真面目に過ごしていても、残念ながらいいことなんて、あんまりねえなあ……というのが、この頃のわたしの実感だ。人生100年時代とか言われてもなあ……オレ、それまでもちそうにないよ。こころ的に。
 ま、そんなネガティブ方面に思考が回るのを食い止めるべく、今日は晴天、朝から冷蔵庫の中身を盛大に捨ててゴミ出しをし、3日分の洗濯をして、もうついでにあれもこれも洗っちまえ!と2回洗濯機を回してさっぱりしたところで、よし、出かけるか!と地元のシネコンまでチャリをぶっ飛ばして、映画を観ることにした。
 今日わたしが観た映画は、DCコミックス原作の『SHAZAM!』であります。もう何度もこのBlogで書いている通り、わたしはMCU、マーベル作品は大好きすぎて堪らないほどなのだが、DCヒーロー作品には、若干その勘違いした方向性に首をかしげていた。しかし、DC前作の『AQUA-MAN』が、どうせクソ映画なんでしょと高をくくって観に行ったら、これがまた超面白かったわけで、今回の『SHAZAM!』に関しても、うーーん、これはいくら何でもアウトだろうな……と相当警戒して観に行った結果、結論から申し上げると、これまた超楽しくて面白かった!のであります。なんだよ、おもしれえじゃん! てのが、わたしの素直な感想だ。
 というわけで、以下、一つ絶対知らないで観る方が面白い、重大なネタバレにも触れる可能性大なので、まだ観ていない方は以下は読まず、今すぐ劇場へ観に行ってください。マジでこの映画、アリ!です。

 つうかですね……この予告を見て、やべえ、こりゃ面白そうだ、とは全く思えないよね。少なくともわたしは、この予告を見てこの映画を観たくなることは全くなかった。まず、わたしはズバリ言えば、ガキが嫌いである。自分自身のガキ臭さを棚に上げて言っている自覚はあるが、とにかく、仕事上の付き合いでも、電車の中でも、20代以下のガキの行動を観ていると、本当にイライラすることが多い。実際、憎んでいると言ってもいいぐらいだ。
 なんでそんなにガキに対して憎悪を抱くかというと、一言で言えば「思慮が足りない」からである。ちょっと考えればわかることが分からない。もちろん自分もそうだったわけだが、初老の今、そんな当時の自分を棚に上げて、頭に来てしまうのである。まさしく老害。まあ、そういったわたしのどす黒い感情は表に出すことはないけれど、この予告で描かれるような、まさしく「悪ノリ」全開のクソガキには、キッツイお仕置きが必要だぜ? とか思ってしまうのである。
 しかし本作の本編では、確かに主人公のガキにはイラつくものの、それよりも、主人公の少年の周りに、とてもイイ人が何人もいるし、一応反省らしき態度はとるので、何となく許せてしまうんだな。あまつさえ、どんどんと物語にはまり込んで、結果、大興奮してしまうわけで、これは、物語のテンポがいいのと、キャラクター設定のおかげだと思う。
 物語は、冒頭1974年だったかな、今から45年前から始まる。その場面では、一人の少年が魔術師シャザムにある意味強制的に召喚され、その資質を試されるのだが、あっさり失格判定され、そのせいでその少年の人生は歪んでしまう。
 そして場面は現代に移り、別の少年の描写が始まる。その少年は、幼少期に母とはぐれて迷子になり、何人もの里親のもとを転々としている不良少年だ。その少年はずっと母を探しているために、警官にいたずらをかまして警察のデータベースを勝手に閲覧したりとやりたい放題だったのだが、全然母は見つからない。そして新しい里親に引き取られることになる。その新しい家庭(グループホーム)は、少年のような身寄りのない子供が5人いて、結構仲良く暮らしている。そんな家庭に引き取られた少年は、学校でいじめられていた同居少年を助けて、地下鉄に逃げ込むのだが、そこで魔術師シャザムに召喚され、資質を試されることなく強引に、「シャザム」の力を押し付けられてしまいーーーてなお話である。
 この後、スーパーパワーを得た少年と、冒頭で失格となった少年(現代ではもうハゲのおっさん)のバトルとなる、てな展開である。おまけにそのバトルも、DCコミックお約束のどかーん、ばきーん、の殴り合いばかりで、決着の付きようがないものだ。いつも通りテキトーにはしょりましたが、どうすか? 面白くなさそうでしょ?
 しかしですね、ホント、観ていてストレスが少ないというか、テンポがとてもイイんだな。そして、とにかく主人公のクソガキが引き取られた家の、5人の子供たちがとってもイイ奴らなんすよ! わたしはそこがとても気に入ったすね。というわけで、以下、キャラ紹介と演じた役者をまとめてみよう。
 ◆ビリー・バットソン:主人公の少年。クソガキ。「シャザム!」と叫ぶと大変身(※面白いことに、発声しないと変身できないため、水の中では変身不可みたい)。仮面ライダー的で、日本の特撮を愛するわたしとしては大変気に入りました。しかしなぜ彼が「シャザム」の力を得る資格があると判定されたのか、に関しては、甚だ疑問が残る。どうやら魔術師シャザムの寿命が尽きてしまいそうで、おそらく、もう誰でもいいや、という状態だったようにわたしには見えた。それでいいのかよ!! とわたしはこの経緯にはもう、マジかよ……となかば呆然であった。性格は悪いし、相当ひねくれたガキだったのにね。だがしかし、引き取られた家の仲間たちと触れ合う中で、まあ、一応許せるレベルのガキへと成長します。いや、許せないかな、最後まで。なお、母親とはぐれただけで行方不明になっちゃうか?? という根本的な謎は、一応ちゃんと解答がありましたが、なんつうか……アメリカという国では普通なんですかねえ……日本じゃ考えられないと思うのだが……。ちなみに、本作はれっきとしたDCユニバースに属する作品なので、BATMAN、SUPERMAN、AQUA-MANといったヒーローが現実に存在している世界で、なんとラストはわたしの嫌いなSUPがカメオ出演します。お前じゃなくてBATMANに出てきてほしかったわ。で、シャザムに変身する主人公ビリーを演じたのはAsher Angel君16歳。まあ、順調に成長すればそれなりのイケメンになるんじゃないすかね。そしてシャザム!と叫んで変身した姿を演じたのがZachary Levi氏38歳。彼は、THOR様の親友、ウォリアーズ・スリーの一人、2代目ファンドラルすね。『THOR』1作目は別の人だったけど『DARK WORLD』から参加してますな。えーと、スリーの中で唯一の金髪イケメンの人です。
 ◆フレディ:ビリーが引き取られた家の先輩同居人の少年。ヒーローオタク。足に障害があって松葉づえをついている。しかしその性格は明るくよくしゃべり、とにかくコイツがイイ子なんすよ! この子がいなかったら、ホントにビリーはただのクソガキだっただろうな。クライマックスでフレディたちも大変身するのはまさかの展開で大興奮したっすね! アレは最高でした。フレディも、今後ヒーローになれるのか、あの一時的なものだったのかはよく分からんかったす。演じたのは、わたしは全然気が付かなかったけれど、どうやら『IT』で喘息持ちのエディを熱演してくれたJack Dylan Grazer君16歳だった模様。大変素晴らしい演技でしたな。
 ◆メアリー:先輩同居人の女子で一番年長のお姉さん。とっても可愛らしい娘さん。ありゃ美人になるぞ。大学進学目前で、合格通知が来ても、喜びよりもみんなと離れ離れになることを悲しむ心優しきみんなのお姉ちゃん。ホントいい子。彼女もクライマックスで大変身! 最高でした。演じたのはGrace Fulton嬢22歳。カワイイ。気に入ったす。
 ◆ダーラ:先輩同居人の女子で一番年少。きっと今までつらい目に遭って来たんでしょうな、誰にでも(?)すぐハグする甘えっ子。可愛らしい。彼女もとてもいい子。クライマックスでは超スピードを持つ美人女性に大変身。エンドクレジットのアニメによると、かの超音速野郎、FLASHと同等なのかも。演じたのはFaithe Hermanちゃん。2008年生まれらしいから11歳か。おっと、Twitterインスタもやってんだな。たいしたもんだ。
 ◆ユージーン:先輩同居人で東洋系のゲーマー少年。チビでオタクだが、スゴイ級ハッカー。もちろん彼もクライマックスで大変身。演じたのはIan Chen君。20006年生まれの13歳。イケメンに育つのだぞ!
 ◆ペドロ:先輩同居人でデブのコミュ障無口少年。でもいい奴なんすよ、コイツも。大変身した姿は髭のマッチョなイケメンで大変カッコ良くなってるのがちょっと笑えちゃう。演じたのはJovan Armand君19歳。大変良かったす。
 ◆サデウス:今回のVillain。冒頭の、資格ナシ判定をされた気の毒な少年の成長した姿を演じたのが、セクシー・ハゲ界のイギリス代表、Mark Strong氏55歳。このうらみはらさでおくべきか!といつまでも憎悪に身を焦がしていたわけで、だからお前はダメだったんだよ、としか言えないす。まあ、実際のところ、お父さんも兄貴もひでえ人間だったけどね……。ところで、わたしは原作コミックを全然知らないので、エンドクレジットに挿入される、収監されたサデウスのもとに現れる謎の芋虫に関しては、何のことやらわかりませんでした。アレは……まあ、邪悪な存在なんでしょうな。そして一番最後のおまけ映像は、ヒーローオタクのフレディが、シャザムに変身したビリーが金魚と喋れるのか? の実験をしているシーンでした。要するにAQUA-MANネタで、フレディは本編中でもAQUA-MANのTシャツを着用してました。
 ◆魔術師シャザム:そもそもの元凶というか……なんというか、ヨーダ的な、強いくせに抜けているというか、封印ってのはいつか破られるわけで、封をするだけじゃダメなのはわかってただろうに……。ある意味、全部丸投げの無責任なお方と言わざるを得ない。何の説明もインストラクションもなく、力だけ渡してもなあ……ダメっショ、それじゃあ。演じたのはもうそこら中で活躍中のDjimon Hounsou氏54歳。この方はMCUにもDCにも出ている数少ない中の一人ですな。
 とまあ、キャラ紹介は以上かな。
 あと、これはどうしてもメモしておきたいのだが、本作は舞台がPhiladelphiaだったのだが、つまりわたしの大好きな『ROCKY』の街なわけで、あの、美術館前の階段も出てくるし、ちょっとしたネタになっていました。かの「EYE OF THE TIGER」の曲に合わせて電撃かましまくってはしゃぐシーンには、ちょっとイラッとしたすね。しかしくそう、やっぱり一度Philadelphiaに行って、あの階段を駆け上がって、うおお、とガッツポーズしてみたいなあ……。。。
 最後に、ところでSHAZAMってネーミングからしてダサくね? と思っていたわたしが、本作を見て初めて知った(&Wikiで読んで知った)豆知識を書いておくと、
 S=Solomonの叡智。ソロモン王ですな。
 H=Herculesの剛力。日本語でヘラクレス、フランス語でエルキュールですな。
 A=Atlasの体力。えーと、巨人族で天を支えているお方ですな。
 Z=Zeusの全能。ゼウス様ですな。
 A=Achillesの勇気。勇者アキレスですな。
 M=Mercuryの神速。ローマで言うメルクリウスですな。
 の各能力を持つという意味なんですと。もう無敵じゃん。これは強いわ。そして、なんと元々のコミックは、DCコミックではなくて、後にDCが版権を獲得したんだそうだ。で、元々はなんと「キャプテン・マーベル」というシリーズだったそうで、DCが版権を取得した時に、MARVELコミックがもう登録商標していたために「SHAZAM!」と改題されたんですって。へえ~ですな。

 というわけで、書いておきたいことが亡くなったので結論。
 DCヒーロー最新作『SHAZAM!』は、その予告やプロモーションの方向性からも、クソガキの悪ノリばかりが目に付いて、クソつまらなそうだなあ……とか思いながら観に行ってみたところ、そんな予断を吹っ飛ばす、気持ちのいい楽しい映画に仕上がっておりました。ええ、実際とても面白かったすね。とにかく、主人公のガキはともかくとして、仲間の5人がとてもイイ子なんすよ! 生きてたっていいことなんてねえ、とか、マイナス思考の歪んだ心ではイカンと、彼らに教わったような気すらするっすね。前向きで生きるのが、まあ、正しいんでしょうな。はーーー……でも、報われない日々はつらいす。なんか、ちょっとしたハッピーがあるといいんすけどね……報いを求めちゃイカンのかなあ……だってにんげんだもの……。ともあれ、本作『SHAZAM!』は大変お勧めであります。完璧もう、漫画そのものですよ。だがそれがいい!のであります。ぜひ劇場へ! 以上。

↓ なんか原作も読みたくなりますな。そして胸に輝く「電撃」マークがわたしとしては最高です!
シャザム! :魔法の守護者(THE NEW 52! ) (DC)
ジェフ・ジョーンズ
小学館集英社プロダクション
2015-02-07