このBlogのタイトルにある通り、わたしは映画や本やミュージカルが大好きなおっさんなわけだが、実のところ、ミュージカルに関しては宝塚歌劇が中心で、帝劇系や劇団四季の作品に関しては、まだ入門して10年も経っていないニワカと言われても否定はできないだろう。
 とりわけ劇団四季に関しては、宝塚歌劇と双璧を成す、日本のミュージカル界の片翼なわけだが、わたしは今まで、えーと、6作品ぐらいかな、そんな程度しか観ていないのである。というのも、観たいなあ、とか思っても、チケットがまるで取れないのだ。正確に言うと、「いい席」のチケットがまるで取れないのである。席にこだわらず、ずっと先、大げさではなく半年以上先の公演のはじっこの席、とかなら買えるんだけどね。
 というわけで、去年の夏から、東京では、大井町に新たな「キャッツ・シアター」が落成し、かの有名なミュージカル『CATS』の上演が再び始まったのだが、そのチケットの発売が確か去年のGWぐらいで、わたしも観てえぜ! と思ってチケット争奪に参戦したのだが、まるでダメで、これはアカン……と思っていたところで、翌年3月の、まずまず前の方の席のチケットをやっと買うことが出来た。なので、約10カ月……は言い過ぎか、8カ月ぐらい先のチケットを去年買うことが出来たのである。やった、やっと『CATS』を観ることが出来るぜ! と大変うれしかったのがもう半年以上前の話だ。
 で。ようやくその日が昨日、やってきたわけであります!
CATSTHEATRE
 大井町の劇団四季の劇場に来るのは、もう5年以上ぶりかな、わたしにとっては『リトル・マーメイド』以来なのだが、今はご覧の通り『CATS』のための専用劇場「キャッツ・シアター」と、右奥に見えるのが「四季劇場・夏」で、現在は『ライオン・キング』を上演中だ。わたしが数年前に『ライオン・キング』を見た時は、自由劇場の横でやってたんだけど、去年だったかこっちに引っ越したんだよね。まあ、いずれにせよ、「専用劇場」を持つのは、日本では宝塚歌劇団と劇団四季だけと言っていいだろう。劇場という固定資産を持つことは普通の演劇集団ではまず不可能だろうけれど、宝塚と四季は、それぞれ違うやり方できっちり償却し、見事に経営は黒字なんだから、会社としての体力も本当にすごいものだと思う。
 で。本題に入りましょう。わたしは『CATS』という作品に関しては、一番最初の西新宿の高層ビル群の中で始まった頃のことはよく覚えているし(当時中学生)、その後、今現在は高島屋のある南新宿でやってた頃も、ほぼ毎日総武線から劇場を眺めていたのでもちろん覚えている、が、恐ろしいことにもうそれらは30年以上前のことであって、逆に言うと30年以上経った今でも、場所を変えて上演しているんだからすごいじゃすまないよね。もちろん、東京でずっとロングランしていたわけではなく、名古屋・大阪・札幌・福岡と回っていたり、一瞬途切れたりはしているんだけれど、なんと、明日の3/12(火)の回で、上演回数10,000回となるんだそうだ。
 そして今日の月曜は休演日なので、つまりわたしが観に行った昨日の回は、その直前、9.999回目、だったようだ。うおう、それもまたなんかすげえや。
 わたしとしては、そんな『CATS』を一度観ていたいと大変楽しみにしていたのだが、劇場内はさすがに専用劇場ということで、とても独特で、入場するとすぐにテンションが上がって来ますなあ! さっき、座席表をせっせと数えてみたところ、どうやら座席数は1,283席?かな、数え間違いもあると思うので、まあだいたい1,300弱、という感じだろう。半円形というか、2階席がなくて横に広く、なだらかな傾斜になっているので、これはおそらく後ろの方でも十分見やすい設計になっているような気がした。そしてですね、とにかく「猫」たちが客席通路を縦横無尽(?)歩き回るし走り回るので、後ろの列でも楽しい! のであります。わたしは通路に面した席だったので、もう間近にやってくる「猫」たちに大興奮ですよ! かわええ!! 間近で見る猫たちの美しさ、しなやかさはまさしく猫! 鼻触りてえ! と思ったす。
 そしてもちろん、四季で鍛えられたキャスト達のダンスや歌は超一流で、もう絶賛せざるを得ないだろう。やっぱり四季はすげえ! とこれまた大興奮である。
 のだが……わたしにはどうしても一つ、大問題があった。
 実のところ、物語がさっぱり分からん! のである。あれは……ストーリーがあるんだろうけど、よくわからなくて、どうも感動が薄いというか、これはもう、何度だってみたいぜ! という気にはなれなかったのが残念だ。そういう意味では、わたしはここまでロングランしているからにはすげえ大感動の物語なのだろう、と思っていたのに、若干、ぽかーん……としてしまったのであった。
 物語としては、「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる誇り高き野良猫たちの中から、年に1回の舞踏会で長老から「もっとも純粋なジェリクル」が選出されて、天に召されるんだけど再生が約束されている、みたいな、いわゆるCat has nine Lives、みたいなお話で、数々の猫たちの紹介というかプレゼン? が次々行われるという構成になっている、ようにわたしは理解した。だけど……どう考えても、「もっとも純粋なジェリクル」候補としては、、そうだなあ、わたしには年老いた娼婦猫か、かつて大活躍したけどすっかりお爺ちゃんになった役者猫の二人しかいないように思えたし、若手キャットたちが選ばれるとは、そりゃ思えないよね。さらに言えば、かの名曲「メモリー」を感動的に歌い上げるのは(これはもう、本当に感動的で超素晴らしくて、泣けそうになった!)娼婦猫なわけで、もう選ばれるのは彼女以外いないだろ、と思えてしまったのである。
 なんつうか、そういうツッコミは野暮なんすかね。確かにすっごいハイクオリティのパフォーマンスはお見事で、雌猫たちは可愛いし、あれはあれでアリ、と思うべきなのかもしれないな……。
 というわけで、最後に自分用メモとして、演じたキャストと猫たちをメモして終わりにしよう。気に入った順に書きます。
 ◆ディミータ:演じたのは原田千弘さん。実は役名がまったく自信ないんだけど、わたしは茶・黒・白の三毛猫で、かなり多くの場面でセンターにいて、妙に可愛い彼女が一番気に入ったす。役柄的には見せ場は少ないんだけど、1回だけセンターで歌う曲があったかな。この子は開幕してすぐわたしのすぐ横に来て、そのお顔の美し可愛さにぞっこんとなりました。ほぼ唯一、真っ赤な口紅が超Cute!で口の形がとてもイイ! 間違いなく、素顔も可愛いと思うね。実にしなやかで見事なパフォーマンスでした。
 ◆マンカストラップ:黒キジ猫の青年。兄貴的存在。演じたのは加藤迪氏。超歌がうまいしダンスが超キレてる! お見事でした!
 ◆グリザベラ:年老いた娼婦猫。演じたのは江畑晶慧さん。ははあ、韓国の方なんすね。四季は韓国の方がいっぱいいるから驚かないけど、本当に「メモリー」の独唱はしびれたっすね。
 ◆オールドデュトロノミー:長老猫。演じたのは橋元聖地氏。超美声。歌の圧が凄い!
 ◆スキンブルシャンクス:列車猫。演じたのはカイサー・タティク氏。あ、わたしは西洋人かな? とか思ってたけど、中国の方なんすね。そうなんだ。へえ~。これまた超美声でお見事だったす。
 ◆ラム・タム・タガー:イケメンプレイボーイ猫。パンフには「つっぱり猫」って書いてあって笑っちゃった。つっぱり……ヤンキー猫ってことすね。演じたのは大森瑞樹氏。ああ、なんてこった、彼も中国の方なんすね。へえ~。観客をあおる、つっぱりぶりは大変結構だったと思います。
 ◆ジェニエドッツ:おばさん猫でひがな寝ているけど、夜は鼠やゴキブリの調教で大活躍。演じたのは安宅小百合さん。ラスト近くでわたしの横に来て、握手してくれました。かわいい。
 ◆タントミール:短毛種の茶色のシュッとした猫。あ、設定的にはシャムネコなんだ。なるほど。演じたのは高倉恵美さん。ダンスが超超しなやかで美しく、実に猫でした。この子もすぐ横に来てくれたっす。
 とまあ、キリがないからこの辺にしておこう。劇団四季というシステムは、スターに頼らない、「役」本位制の集団なので、とにかくみなさんハイクオリティですよ。そこには絶え間ない訓練と、厳しい競争があるんだろうな……そう思うと、やっぱりすげえと思うすね。いやあ、やっぱり観に行けてよかったす。

 というわけで、結論。
 明日、日本上演10,000回の記念公演となる劇団四季の『CATS』。わたしはその直前、9,999回目の公演を観ることが出来たわけだが、ずっと観たかった演目で超楽しみにしていたものの……確かに、その素晴らしいパフォーマンスは圧倒的で、劇場そのものやセットなどの世界観の作り込みも、日本最高レベルのものだったと思う、のだが、お話的に……残念ながらわたしにはイマイチよくわからず、超感動したぜ! というような感想は抱き得なかった。そこだけ残念です。でも、やっぱり「メモリー」はしびれますねえ! やっぱり、絶対にこれは生で体験しないといけないでしょうな。映像だとダメだと思うね。はあ……劇団四季もやっぱり最高ですな。宝塚歌劇もホントチケット獲れないけど、下手すると宝塚より四季の方が取りにくいんじゃなかろうか。両方ともコアなファンがいて、いい席はほぼ取れないもんね……。でもまあ、やっぱり劇場で観ないとアカンですよ。観に行けてホント良かったと思います。以上。

↓ なるほど、ブロードウェイ版か? 映像があるんすね。でも絶対生の体験に勝るものはないと思うす。
キャッツ (字幕版)
ジョン・ミルズ
2013-11-26