わたしが今、一番面白いと思って毎週夢中になって読んでいる漫画、『鮫島、最後の十五日』。物語はまさしくクライマックスへ向けて、毎週すさまじい熱量をもってわたしを興奮させてくれている大好きな漫画ですが、その著者である、佐藤タカヒロ先生が、41歳という若さで亡くなられたとの報に触れ、わたしはまだ呆然としております……。
 くそぅっ! おれより全然若いのに!!
 わたしは、自身の経験として22年前に父を亡くし、また、恩師や上司、友人、親族といった身近な、そして大切な人々を亡くし、そのたびに、どこか心が乾いていくような気がしていました。

 一体、冥福を祈るって、どうやればいいんですか!?
 わたしはもう50近いおっさんなのに、いまだに、そのやり方がよく分かりません。
 悼むって、どうすればいいんですか?
 わたしはなんだかずっと、同じようなことを考えていたような気がします。

 そして、今のわたしは、この世に遺されたわたしが先に逝ってしまった人々に対してできることは、たった一つしかないのではないかと思っています。
 それは「忘れないでいること」。
 「忘れずに、ずっとずっと、憶えていること」。このことだけ、なのではないか。そんな気がしています。わたしは、11年前の2007年に、突如思いたって、会社を一日も休まず、土日だけを使ってお遍路を回ったことがあります。まあ、歩いたわけでなく、羽田からチャリを飛行機に積んで、全5回に分けてひたすらチャリで回って88箇所完遂したのですが(サーセン、どうしても高知だけは広大でレンタカー借りました)、その時ずっと、先に逝っちまったみんなのことを考えていたように思います。下手すると声に出してたかもぐらいです。親父よぉ、次まであと何キロあるんだよ……みたいな。当時はスマホなんてなくGPSもなかったもので。
 この1000km以上にわたる旅の中で、わたしはふと、将来おれが逝っちまった時、誰かがこうしてずっと忘れないでいてくれたら、結構嬉しいかもな、と思いました。そして、そうだ、おれに出来ることは、ずっとずっと、忘れないでいること、これだけなんじゃね? と思ったのです。そしてひょっとすると、これが「悼む」ってことなのかも? とはたと気が付きました。これが正解なのかよくわかりませんが、わたしはそう思うことで、心の整理がついたような気がしています。自己満だろうし、単純かつ、超いまさらなんですけど。

 なので、わたしはこれから先、ずっと、出会った人々に、漫画の話になったら必ず、佐藤先生の作品を紹介しまくり、おもむろにタブレットを取り出してその場で読ませ(電子書籍のメリット享受)、すげえだろ! おもしれえだろ!! 泣けるだろ!!! マジ『鮫島』って漫画は最高なんだよ!!!! と言い続けようと思います。
 そして最後まで読んでくれた人は、きっと誰しも「この先は?」と聞くでしょう。その時は、この不条理に対して半ば八つ当たり気味に、ここで終わりなんだよ!!! どんだけ連載時おれが泣いたと思ってんだ!!! と『鮫島』を連載リアルタイムで読んでいたことをキレながら自慢(?)しようと思います。そしてその先の展開を熱く妄想して盛り上がり、あまりに早く逝ってしまった佐藤先生を想って泣こうと思ます。
 佐藤先生、わたしはずっと、あなたとあなたの作品を忘れないでいます。

 と、いうわけで。毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です!
 そしてこの『鮫島』ニュースは、今回と次回で終了となります(いや、最後の単行本発売の時や、その後も妄想記事は書くかもしれません)。ほんとうに無念です。しかし佐藤先生や奥様、ご親族の方々や編集部の皆さんの無念に比べたらきっと100億分の1ぐらいでしょうから、あと2回、せめてカラ元気を出してお伝えしようと思います。チャンピオン概況は省略して、さっそく行きますよ!

 先週はついに鯉太郎が【猛虎】先生の左前まわしを取って、吽形さん直伝の「美しい」下手投げを放ったところまでが描かれました。そして相撲そのものを体現する横綱【泡影】の目が開き、鯉太郎が強敵(とも)たちと闘ってきた「点」が、とうとう横綱【泡影】へ至る「線」となった!的な、超イイところまでが描かれました。
 今週は当然その続きです。下手投げは決まるのか!? もうのっけから鼻息荒く、わたしは興奮を抑えられません。今週は、土俵を見守る虎城理事長の内的独白からスタートです。投げに行く鯉太郎を見て虎城理事長が思う事、それは愛弟子【猛虎】への想いです。
 「わずか…本当にわずかに…力んでしまった…悔やむべきはそこまで鮫島を 猛虎が引き上げてしまったということか…」
 しかし巻頭ページをめくるとこそには、まったく諦めていない【猛虎】先生の眼光鋭い眼差しです! あっと! 【猛虎】先生はザッと右ひざでつっかけて投げを回避! これには虎城理事長も「アレを 切り返すか…」と「!!!」の様子です。そして二人ともすかさず体勢を立て直し、両者四つに組んだ模様です!
 「なんという 技術の高さ…よくぞ…よくぞここまで…」こう思う虎城理事長の脳裏に浮かぶのは、かつて【猛虎】先生が言ったあの言葉です。
 「自分の虎の字は親方の虎の字です 大横綱虎城の息子は王虎(アイツ)だけじゃない」
 そう、もはや虎城理事長も「見事だ…息子よ…」と思わざるを得ないでしょう。くそっ! 泣ける!! どうしようもなく泣けますねえ!!
 しかし、それでも鯉太郎は、ズッ…と押し込んできます。これには【猛虎】先生も驚きの表情、虎城理事長も、なにぃ!?的フェイスだ! 椿ちゃんも常&大吉も、田上さんも、みんなが「どっ…どこにその力が…」と土俵にくぎ付けです! そして胸をつけ一番近くにいる【猛虎】先生は感じます。
 「生命を燃やすか…いや…このにおいは…鮫島の中にいる 王虎(おまえ)か…」
 【猛虎】先生はそれを感じて俄然表情が燃えてきました! 嬉しそうです!
 「寄こせ…鮫島…それを…それは俺が…その虎城の血は…俺が…」
 ここでの鯉太郎の表情は、もはやイっちゃってるような表情、そして【猛虎】先生が一気に! ページをめくるとそこには1ページブチ抜きで! 一気に寄る【猛虎】先生のすさまじく迫力ある絵であります!! そして台詞もカッコ良すぎる!
 「俺が持つべきものだ…!!!」
 イカン! こいつは万策尽きたか!? 鯉太郎の眼が、徐々に閉じていく!? こ、これは! 虎城理事長も、ここまでだ…的な終了のお知らせフェイスです!
 「コレですべての力を使い果たしたか…勝負ありだ…鮫島鯉太郎…」
 しかし次のページは! 「どうしたクソガキ そこまでかコラ」とあの時の父、火竜の顔が鯉太郎の脳裏によぎりました! そして次のページは! あーーーっと! 止めた! 【猛虎】先生の寄りを必死に押しとどめる鯉太郎の図であります!! この鯉太郎の様子に、鯉太郎母は、そして虎城理事長は、二人そろって同じものを見ます! それは!
 「かっ…火竜…か!?」
 しかしそれでも【猛虎】先生は冷静。最後のフィニッシュへ、これまでの全てを出すべく覚悟を決めます。
 「こい…何があろうと 誰が来ようと…揺るぎはしない!! 俺の相撲は…虎城の相撲は…」
 そしてページをめくった先は、見開きで一気に上手投げ(?)をぶち放つ【猛虎】先生の図です。 う、美しい!! 台詞もカッコイイ! なにより、【猛虎】先生の表情が最高にカッコ良すぎです!
 「最強だと…俺が証明する…」
 これで決まりか!? 鯉太郎ももはや「これで…俺は…もう…」と完全燃焼なのか? しかし、その脳裏のよぎるのは!! ああ、なんてこった! もう涙が止まらないす!! そう、鯉太郎がここで思うのは、家族である空流のみんなであり、「空流部屋の看板」です!!! そして、亡くなった先代空流親方、またの名を「虎城キラー」春風の優しい笑顔です!!!!
 そして……ページをめくると、そこには見開きで……! 行ったーーーー!!!! 呼び戻し!!! 別名「仏壇返し」炸裂だ――――!!!!
 来た! 来ちゃった!! マジかよ鯉太郎! お前って野郎は!!! 
 そして今週ラストページは、1ページブチ抜きで、【猛虎】先生を土俵にたたきつける鯉太郎の図で幕、であります……。はぁはぁ……つ……ついに……ついに! 決着……!! であります!!
 はぁ……今日はもう、わたしはこの興奮と感動で、何もかもが色あせて見えるような気がします。ありふれた日常を生きられるのが、そりゃあまあ、幸せなんでしょうよ。でも、あまりの興奮を味わうと、幸せなはずの日常が、どうしてこうもつまらなく思えちゃうのかなあ……なんかもう……抜け殻っすわ……涙が止まらないす……。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
 --------
 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週はとうとうVS【猛虎】先生との死闘に決着がつきました。ある意味予想通りであっても、予想以上の感動で、わたしはなんだか抜け殻になったような気分す。今日は一人で飲みに行っていいすか……? 3時間後には来客もあるし、やらなきゃいけないことがあるのに、なにもかも、つまらねえというか、どうでもいいというか……誰にも会いたくないというか……またおれは残されちまった……みたいな感覚を非常に強く感じます。これは、ひょっとすると椿ちゃんたちが感じていること、天雷が感じたことに近いものなのかもしれないすな……。まあ、ともあれ、来週はラスト、最後の『鮫島、最後の十五日』です。その予定外の、そして無念の最終回を、わたしは受け入れる覚悟を固めようと思います。つうかですね、いやあ、ホントに『鮫島』は最高っすね! わたしはこの思いを、ずっとずっと忘れないでいようと思います。以上。