とりあえず、手抜きとして経緯を昨日の記事をパクって貼っておこう。
 おとといの2月25日の日曜日、わたしは宝塚歌劇の公演を2本ハシゴして観てきた。というのも、本命の花組による大劇場公演『ポーの一族』のチケットが全然取れず、久しぶりに、こりゃあ観られないか、と半ば諦めていたのだが、ある日、宝塚歌劇の公式Webサイトに、とあるチケットの販売に関する告知が出ていて、どうせ当たりっこないんでしょうよ……と思って申し込んだ「W観劇チケット」なるものが当選したから、であります。
 そのチケットは、わたしが見逃すかもと危惧した花組公演『ポーの一族』@東京宝塚劇場のチケットと、赤坂ACTシアターにて開催される星組公演『ドクトル・ジバゴ』のチケットがセットになったもので、11時からの『ジバゴ』@赤坂、15時半からの『ポー』@日比谷の二本立て、というわけである。
 まあ、ズバリ言えば、『ジバゴ』のチケットの売れ行きが渋かったための、いわゆる一つの抱き合わせ商法であることは否めないだろう。わたしも、星組を一番応援している身とは言え、実はあまり見たいとは思ってはいなかったので、まあ、いいか、ぐらいのテンションであったのだが、結論から言うと、わたしとしては『ポー』よりも、『ジバゴ』の方がずっと面白く、楽しめたのである。
 というわけで、今回は『ポーの一族』についてしたためたいと思う。思いっきりもう書いてしまった通り、わたしとしては『ポー』より『ジバゴ』の方が面白かったかな……その理由についてをメインに書こうと思っています。今のところは。

 というわけで、上記動画の通り、その美しさ、極上である。萩尾望都先生による原作コミック『ポーの一族』は、もはや説明のいらない名作であろうと思う。男のわたしですら、もう数十年前に読んだことのある作品だ。永遠の時を生きる、不老不死の存在「バンパネラ」の少年エドガーの数奇な運命を描いた短編連作的なお話で、一つ一つのお話は続き物ではなく、かなり時代が飛ぶし、長編で一つの物語を追うものではなく、その時どきのエドガーを描いた傑作コミックだ。
 なので、わたしは一体、どのようなミュージカルになるのであろうか? と興味津々でおり、観る前にわたしが抱いていた注目点は、以下の2点にあった。
 1)一体どのエピソードを?
 わたしは、今回は原作コミックのどこかのエピソードに絞っているのではないかと想像していた。どうやら登場人物としてアランも出てくるようなので、まあきっと、アランがバンパネラとなるエピソードではないかしら、と勝手に想像していたのだが、まあ結論からすると半分あっていたというか、全然違っていました。本作は、エドガーがバンパネラになる時の冒頭のエピソードと、アランの話と、それからメリーベルの話、ポーツネル男爵消滅の話、と意外なほど盛りだくさんでわたしは少し驚いた。というのも、観終わった今、わたしは果たして「原作未読の人」が理解できたのだろうか? とかなり懐疑的だからである。ホント、観に行く前に電子書籍で全巻揃えて予習しといてよかったわ……と思う。これは……原作知らないと、特に1幕は相当分からんのではなかろうか。
 2)メリーベルの天使具合や如何に?
 メリーベルというのは、エドガーの妹で、基本的にメリーベルが超可愛い天使でないと、話はおかしくなってしまうはずだ、とわたしは考えていた。なにしろ、エドガーは可愛くてたまらない妹を守るためにバンパネラとして生きることを受け入れるのだし、アランだってメリーベルの可愛らしさにぞっこんとなるわけで、実際のところ、一番の重要キャラだとわたしは思っていたので、果たして本作でのメリーベルは、どれだけ天使クラスに可愛いだろうか、と期待していたのである。この点に関しては、まずビジュアル面では全く問題ナシ、というか、まあとにかくかわいいのは間違いなかろう。ただ、重要人物なのに今一つ、メリーベルの心情が心に響かず、歌もそれほど多くなくて、その点では若干残念に思った。
 そうなのです。ズバリ言うと、わたしとしては本作、ミュージカル版『ポー』は、ちょっとイマイチだったのです。その理由は、おそらく歌にあって、どうも歌がグッと来なかったのだ。これは、キャストの問題ではなく、歌の歌詞とメロディーそのものに対する感想で、その結果、どうも心に響かなかったんすよね……。
 確かに、キャストは超絶に美しく、衣装も華やかで、歌声もとってもとってもイイ! のは間違いないと思う。その点では、もう何の文句もなく、パーフェクトだと言ってもいいぐらいだ。でも、歌なんすよ……問題は。物語が複雑、というよりはしょりすぎなのか、説明不足なのか、若干判定に悩むけれど、とにかく、一見さんお断りな物語展開だったように思えたのだが、それを、歌でカバーしてほしかったんすよね……わたしとしては。わたしはいつも、初めて宝塚歌劇を観る人でもこの作品は楽しめただろうか、という点を重要視しているのだが、ちょっと『ポー』に関しては、宝塚未体験の人を連れて行く気にはなれなかったような気がします。
 というわけで、文句はもうこの辺にして、演じたキャスト陣絶賛コーナーに移ろう。
 ◆エドガー:14歳でバンパネラとなる美少年。演じたのは、もちろん花組TOPスター明日海りおさん(以下:みりおちゃん)。まあ、みりおちゃんの美しさはこの世のものとは思えない美しさで、人ならざる存在としてのエドガーは超ピッタリですな。みりおちゃんはあとどのくらい、TOPでいてくれるだろうか……もう就任3年半か。あと1年半ぐらいは卒業しないでほしいすね。わたし的には、エンディングのミニ・ショー(2幕モノの終わった後のアレってなんと言うんでしょう?正式名称あるんすか? パレードとは違うもんな)でのみりおちゃんの、青系の燕尾?がすげえカッコ良かったと思う。ああ、ひょっとしたら、わたしが宝塚男役に魅かれるのは、大人なカッコ良さであって、エドガー的な子供、エドガー的な美しさじゃないのかもな……それでイマイチに思ってしまったのかもしれないな……ま、いずれにせよ、みりおちゃんの美しさはもう別格で、その点では最強でした。
 ◆アラン:絶望の淵に出会ったエドガーに魅かれ、バンパネラとなることを受け入れる、これまた美少年。演じたのは、もちろん花組の誇る美形、柚香光さん(以下:かれー)。かれー君の美しさも、もはや完璧で、今回は悩めるエドガーの苦悩も非常に上手に表現できていたと思う。かれー君の課題である歌も、回を重ねることにどんどん良くなっていることも認めよう。次期花組TOPはもう完璧にかれー君で決まりであろう。わたしが一番好きな星組の礼真琴さん(以下:こっちん)と同期の95期生なわけだが、なんか……こっちんより先にかれー君がTOPになる可能性も十分あるような気がしてきましたな……まったく根拠はありませんが。そうなったら、こっちんファンとしては実に遺憾だが、まあ、受け入れざるをえまい。いいもん、こっちんの方が断然歌が上手いもん! と子供のような拗ね方をしておきたく存じます。ともあれ、今回のかれー君は、事実上初めての2番手扱いということで、実に美しく、芝居も確かで大変良かったと存じます。
 ◆シーラ・ポーツネル男爵夫人:エドガーの名目上の母親(勿論全く血縁ではない)。元々、人間の時に、バンパネラだったポーツネル男爵に恋をして、自ら志願して男爵にバンパネラにしてもらった女性。大変気の毒な最期を……。わたしは、『ポー』が宝塚で上演されることを知って、一番最初に思ったのは、はたして花組TOP娘役の仙名彩世さん(以下:ゆきちゃん)が演じるのはどのキャラクターだろう? という疑問だったのだが、まあ、順当?にシーラでした。そして今回歌では一番ゆきちゃんの美声が目立っていたような気がしますね。やっぱりゆきちゃんは歌もうまいし芝居もイイですなあ! さすがの実力者だと思います。素晴らしかったす。
 ◆ポーツネル男爵:エドガーを養子とするバンパネラ。原作では意外とよくエドガーと口論になる。演じたのは瀬戸かずやさん(以下:あきら)。わたしは、あきらさんがダメとは決して思わないが、どうしても、もし半年前に宙組へ異動になってしまった芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)が今もなお花組であったなら、この男爵の役はキキちゃんが演じていただろうな、と想像してしまうし、そしてキキちゃん演じる男爵は超絶にカッコ良かっただろうな……と思わずにはいられないす。花組で一番応援していたキキちゃん……宙組は次の次か。また早く会いたいす……。
 ◆メリーベル:エドガーの妹。超絶に可愛い。演じたのは華優希ちゃん(以下:はなちゃん)。100期生ということで、まあいわゆる抜擢と言えるのだろう。そのビジュアルは大変可憐でありました。しかしまあ、ホントに可愛いすね。「おとめ」によれば読書が趣味で肉とチョコが好きなんですと。いくらでも食わせてやるっつーの。ちょっと今後の成長を注目したいすな。
 とまあ、こんな感じでしょうか。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「僕はもうおしまいだ……誰か助けて! メリーベル、メリーベルに会いたい……!」
 今回は、ラスト間近の、アランの悲痛な叫びを選びました。この絶望感が非常にグッと来たすね。かれー君、お見事でした!

 というわけで、結論。
 名作コミックの宝塚化、ということで注目されている花組公演『ポーの一族』を観てきたのだが、その美しさは格別で、大変素晴らしい舞台だったことは間違いないのだが、どうもわたしは今回、歌にあまりグッと来なかったような気がしてならない。結果、若干イマイチだったかも? という気にすらなってしまっており、ひょっとすると、根本的な原因は、わたしがそれほど原作の『ポーの一族』に思い入れがないせいなのかもしれない。しかし原作未読で物語は理解できたのだろうか? なんとなく、一見さんお断りな気もする。どうなんでしょう、そこんところは。ま、いずれにせよ、みりおちゃんの美しさはますます持って磨きがかかっており、TOPとしてまだまだ、そのお姿を拝見したいものだと思う。そして事実上2番手となったかれー君の、2番手羽を背負った姿も早く見たいすね。でも、かれー君よ、くれぐれもこっちんより先にTOPにならないでくれよな。そこは譲りたくないんすよ……サーセン。そして、やっぱりキキちゃんの存在は花組で非常に大きかったんじゃないかなあ、てなことを思ったのでありました。以上。

↓ 全5巻かな? 結構すぐ読めます。観る前に絶対予習しといた方がいいすよ。