実際のところ、わたしはDCコミックのキャラクターにあまり詳しくない。勿論、BATMANやSUPERMAN、WONDER WOMAN、それからAQUA-MANやGREEN LANTERN辺りは分かっているつもりだが、そのVillain(悪役)を全部知ってるわけではなく、正直に告白すると、全然にわか野郎である。
 それでも、映画オタクとしてはDC-Extended Univers(DCEU)は当然楽しみにしていたわけで、今日から公開された『JUSTICE LEAGUE』を初日にさっそく観てきたわけである。わたしは本作を観るにあたって、ポイントとなるのは2つ、Villainが誰か、そして、前作『BATMAN v SUPERMAN』で見事殉職したSUPERMANがいかにして復活を遂げるか、にあると思っていた。しかし一方では、実はわたしが最も楽しみにしていたのは、実際のところもはやストーリーではなく、美しき闘う女神、Gal Gadot様が演じるWONDER WOMANのワンダーな美しさを堪能することのみにあったと言っても過言ではない。
 で、結論から言うと、Villainは訳が分からんし、SUPERMAN復活もあまり劇的でなく、ただただ、Gal様の美しさと可愛さとセクシーさがワンダーな作品であったと言えるような気がしている。というわけで、以下、ネタバレ満載になる可能性大なので、知りたくない人は今すぐ立ち去ってください。では、中身を観ていこう。

 というわけで、事前に公開されていた予告では、一切SUPERMANは出てこない。けど、出てくるのは100%間違いないのは誰しもが分かっていることで、それがどう、感動的な復活となるか、が本作の本来の一番の鍵であったはずだ。が……どうなんでしょうなあ……アレは……。
 物語は、どうやら『BvS』の数か月後、らしい(よって『SUICIDE SQUAD』と時間軸的に被るのかも? よくわからん)。『BvS』で殉職したSUPERMAN不在の地球には、何やら謎の、羽の生えた昆虫めいた気持ち悪い化け物が現れていた。その化け物は、どうやら人間の感じる「恐怖」が大好物?らしく、20年間、Gotham Cityを守ってきたBATMAN曰く、こいつらは偵察隊だ、とのこと。一体何の偵察なのか? それは「侵略」であった。WONDER WOMANの話によると、この地球に3つある「箱」は、かつてアマゾン族とアトランティス族、そして人間が力を合わせて守ったもので、ウルトラパワーを秘めていて、それが一つになると超ヤバい事態になるらしい。そんな時、WONDER WOMANの故郷セミスキラで保管されていた「箱」が化け物の親玉に奪われる事態になってさあ大変。ブルース・ウェインは仲間を増やすためにFLASHとAQUA-MANを、そしてダイアナことWONDER WOMANはCYBORGをスカウトするために出かける。
 FLASHはごくあっさり仲間入りするも、AQUA-MANにはごくあっさり断られるブルース。そしてダイアナの方はというと、CYBORGは、どうやらその「箱」のパワーで誕生したらしいが、最初は警戒心バリバリで誰も信じようとしなかったものの、結局はWONDER WOMANの真摯な説得と美しさにノックアウトされて仲間入りを果たす。そんなころ、海中のアトランティスに現れた化け物の親玉=Steppen Wolfに、AQUA-MANもまるで歯が立たず余裕で「箱」を奪取され、最初は誘いを歯牙にもかけず断ったくせに、事ここに至って仲間入りする。かくして、「正義同盟」が成立、最後の箱を守るためにSteppen Wolfと戦う、のだが、これがまた恐ろしく強く、ならば、と天才的頭脳を持つブルースと超頭脳を授かったCYBORGが考えた結論は、死んだSUPERMANを「箱」パワーで蘇らせよう、というものだった―――てなお話でありました。
 どうですか? あんまり面白そうじゃないでしょ?
 やはり、決定的にMarvel Cinematic Univers=MCUと違うのは、BATMANとWONDER WOMANの二人以外はかなりキャラが薄いという点だろう。そして、SUPERMANも、わたしがさんざんコレジャナイ、と憤っている『MAN OF STEEL』での設定を踏襲しているので、相変わらず頭が悪いし、能力がスーパーすぎるチートキャラだ。最後はいつもの通り、超絶バトルとなるのだが、もう、またこれか、としか感想を抱けなかった。そもそも、殴っても殴られても、全く痛くもかゆくもない超人同士がどかーんと殴って吹っ飛び、さらにずばーんと殴り返して吹っ飛び、という、あの戦闘は意味があまりないような気がしてならない。アレが始まると、いかんともしがたい退屈さを感じてしまうのだが……。どうも、Warnerの幹部は、DCEUは暗いとか描写が暴力的とか、そういう点を反省材料としていて、軌道修正を図ろうと懸命のようだが、本作でそれが払しょくされたかというと、あまりそうは思えず、確かにFALSHのキャラはギャグ担当なんだろうけど特に笑えないし、ただの友達のいないおかしなガキにしか見えなかったのも残念だ。そもそも、Warner幹部の反省点がズレていて、ダークでも真面目でも暴力的でもそれは一向に関係なく、単に、キャラクターの設定が間違っているのだとわたしは思う。とりわけSUPERMANがマズイ。あれはイカン。
 今回、蘇ったSUPERMANは、当初記憶が混乱しているようで、『BvS』でボコられたこと(だけ)を覚えているにっくきBATMANをボコり返し、あまつさえ我が女神WONDER WOMANにこぶしを振り上げ、FLASHもAQUA-MAN、CYBORGもボコられる。あのシーン、本当に必要だっただろうか? いらないと思うのだが……まったくもって。素直に、善なるSUPERMANであればいいのに……。そして再生のきっかけも、謎の箱のパワーであるのはいいとして、やっぱり鍵は恋人のロイスか、母のマーサ・ケントであるべきだったと思う。今回もロイスはまるでどうでもいい扱いだったような気がしたのは残念過ぎる。なお、今回のロイスは、暴れまくるSUPERMANを止める単なる猛獣遣い役で、復活には一切関与せず、で、わたしはもう、がっかりであった。
 そしてあろうことか、VillainたるSteppen Wolfも、復活したSUPERMANにボコられ、うっかり、コイツ、怖え……とか恐怖を抱いてビビッてしまったために、恐怖が大好物の手下の化け物たちにむしゃむしゃ齧られてしまい、チクショー、覚えてろよー! と逃げてしまうオチ。なんじゃい! 笑うところだったのか、あれは?
 というわけで、かなり、何というか、もはや何も言えないような、決してつまらなかったとは思わないけれど、なんか……これでよかったのか? と良くわからない映画であった。
 なお、本作は、DCEUでは珍しく、エンディング後のおまけ映像が二つあるので、長~いエンドクレジットが終わるまで、席を立ってはいけない。一つ目は、すぐ現れるのだが、FLASHとSUPERMANどっちが速いの?選手権大会開催というある意味ギャグ映像なので、これは全くどうでもいい。問題は二つ目、エンドクレジットが全部終わってから映される映像だ。そこでは、アーカム(?)を脱獄したレックス・ルーサーが豪華なクルーザーで、とある有名Villainと会合を開くシーンが描かれている。このVillainはDeathstrokeという奴で、DCコミック的に言うとTVの『ARROW』にも出てきた悪役だ(※ただし役者はTVとは別人)。まあ、今後こいつとルーサーのタッグでSUPERMANとBATMANを苦しめるんでしょうな。DCEUが今後も続くなら、だけど。
 わたしとしては、DCEUは、SUPERMANのキャラクターを抜本的に変更しない限りダメだと思う。今回、前作『BvS』でさんざんSUPERMANをぶっ飛ばしたブルース・ウェインも、俺じゃなくてアイツの方が必要なんだ、とか、すっかりSUPERMAN擁護派になっていて、わたしとしてはなんだか興ざめだ。だって、今回だってBATMANのリーダーシップで何とか事件を解決できたようなものだし。なぜそんなにSUPERMANを持ち上げるのか良くわからない。なんというかな……正義のヒーローたちは、基本的に「愛の戦士」であるべきだとわたしは思うのだが、彼ら・彼女は、所詮身近な恋人のことばかりで、「愛の戦士」ではなく、単に「恋愛の戦士」のようにわたしには思える。それじゃあ薄っぺらくてダメだと思うなあ……。その点では、まともなヒーローはBATMANだけではなかろうか? ゆとり星人SUPERMANは、もっとちゃんとロイスやお母さんだけじゃなくて、人類への愛を持たないと、ヒーローになれないとわたしは思う。その点が、一番の問題だとわたしは思うのだが、Wanerの幹部はそんなことには気が付いてないのではなかろうか。かつての、Chjristopher Reeve版のSUPERMANは、人類のための戦士であり、そのためにはロイスでさえある意味見捨て、その結果死んでしまったロイスを復活させるために、地球の自転を逆回転させて時間を巻き戻すという荒業を使ったわけで、ああいった姿こそがSUPERMANだとわたしは思うのである。
 はーーーやれやれ。ポイントポイントは大変良かったけっれど、とにかくSteppen Wolfがザコ過ぎたのと、SUPERMAN復活のくだりが全く感動的でない、この2点においてわたしは深く失望した作品であった。
 しかし! 最後に、良かった点もちゃんと書いておこう。良かった点、それはもう、間違いなくWONDER WOMANのワンダーな美しさですよ。とにかくカッコよく、きれいで、可愛くて、セクシーで、もう満点です。冒頭の爆弾処理シーンもカッコよかったですなあ!! あの自動小銃乱射でばら撒かれた銃弾をすべてカキーーンと弾き返すGal様の美しさは失神モノでありました。本当に最高です。そして、役者陣では、やっぱりケツアゴでおなじみのBen Affleck氏演じるBATMANはカッコよかったし、アルフレッドのJeremy Irons氏も実にシブくてカッコよかった。新キャラ3人は、まあ、もちろんその見かけはカッコいいけど、キャラ的には微妙な感じすかね……一人、わたしが、おお!と思ったのは、CYBORGのお父さんの博士をJoe Morton氏が演じてましたな。『TERMINATOR2』で後にスカイネットを生みだしてしまう運命のマイルズ・ダイソン博士を熱演した彼ですね。え! うそ、今年70歳だって!? そうか、そんな歳なんですなあ。『TERMINATOR2』が公開されたのは1991年、もう26年前の映画か……やれやれだ。
 あともう一つ、わたしがこの映画で素晴らしいと褒め称えたいポイントは、音楽だ。今回音楽を担当したのは、1989年のTim Burton監督版の『BATMAN』で音楽を担当したDanny Elfman氏で、今回1989年版のオリジナルテーマもチラリと使われており、大変良かったと思う。わたしは1989年版のスコアはCDも持っているぐらい大好きで、Danny Elfman氏の音楽の大ファンなので、今回の音楽は非常に素晴らしかったと思います。

 というわけで、もうさっさと結論。
 DCコミックのヒーロー映画は、現在DC Extended Universという共通世界観で描かれているわけだが、その最新作『JUSTICE LEAGUE』は、わたしとしては2つの大問題があるように感じられた。それは、敵がショボいこと、そしてもう一つは、SUPERMAN大復活の様子が全く感動的でない点である。墓を掘り起こして死体まで見せる必要はあったのだろうか……。この2つがある意味最大のポイントだったはずなのに、見事にイマイチ感漂う仕上がりにあってしまっていて、非常に残念に感じた。ただし、今年の夏から大活躍のWONDER WOMANの美しさは際立っており、実はわたしはそれだけでもう、この映画を見に行って良かったと思えるほど大満足である。いや、本当にGal様は最高です。ホント可愛いよなあ……そして美しい……マジ最高です。Gal様は。以上。

↓ ちゃんと読まないとダメかもなあ……
ジャスティス・リーグ:誕生(THE NEW 52!) (ShoPro Books THE NEW52!)
ジェフ・ジョーンズ
小学館集英社プロダクション
2012-12-15