全くどうでもいいことなのだが、わたしは実のところ、今までに病院に行ったことがない。いや、それは極端な言い方なので正確に言うと、もちろん歯医者や健康診断とか、あるいは子供の頃の風疹だとか、そういう場合には当然病院へ行っているのだが、体調不良だとか、風邪とか、そんなもので病院へ行ったことがない、ということである。病院へ行くほどの怪我もしたことないし。
 ただ、そんな頑強なわたしでも、もはやアラフィフのおっさんなわけで、ここ10年ぐらいは、年に1回か2回程度は風邪を引くようになり、場合によっては熱が出てブッ倒れることもある。そんなわたしが、どうも昨日の朝、目が覚めたところで、のどに違和感があって、くそ、コイツはやっちまったかも、と思いながら出社して仕事をするうちに、のどはそれほど痛まない代わりに、今度はどんどんと鼻タレ状態になってきた。なので、昨日はどうも午後からは、鼻をすすることが多かったわけである。
 と、以上はいつも通りのどうでもいい前振りである。
 昨日わたしは、そんな若干の体調不良ながら、冷たい雨の中、日比谷の東京宝塚劇場へ推参し、愛する宝塚歌劇団の宙組公演『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~/クラシカル・ビジュー』を観てきたわけである。今回の公演は、宙組TOPスター朝夏まなとさん(以下:まぁ様)の退団公演であり、わたしても非常に淋しく、これで見納めか……と冷たい雨&若干の体調不良&退団公演、というコンボによって猛烈にしょんぼりというか、淋しいなあ……という気分になったのであった。

 まぁ様は、以前も書いた通り、実はわたしは花組時代をほぼ見ておらず、宙組に異動になった1作目『銀河英雄伝説』(2012年)を観た時から、赤毛のジークでお馴染みのジークフリート・キルヒアイスを演じたまぁ様を気にするようになった。元々わたしはオタク野郎として長大な『銀英伝』を何度も読んだことがあたので、最初からジークに注目していたのだが、実に、まぁ様の演じるジーク振りが良かったのである。なので、観た翌日、チケットを取ってくれたわたしのヅカ師匠に、「いやあ、朝夏まなとさんという方が特に良かったすねえ!」と報告したところ、「あら、さすがお目が高いわね、まぁくんは今後確実に宙組を引っ張る人材よ。今から応援するのはとてもいいことだわ」とほめられたのをよく覚えている。以降、たぶんわたしは宙組の大劇場公演はずベて観ているはずだ。そして、当時、わたしが一番応援している星組から宙組に異動になってTOPに君臨していた凰稀かなめさん(雪→星→宙へ移動を経験したお方)よりも、実はまぁ様をずっと見つめてきたのである。
 そのまぁ様は、2015年に晴れてTOPスターに登りつめ、「宙組の太陽」として組をまとめてきたわけだが、いよいよ今回退団・卒業を決心されたわけで、わたしとしてはその最後の雄姿を見届ける義務があろう、というわけで、昨日はいろんな想いを抱きながら劇場へ向かい、舞台を見つめてきたのである。はあ……やっぱり……ホントに淋しいすね……。。。くすんくすんしていたのは、悲しかったことと鼻タレ状態だったことの両方です(以上、前振りの回収完了)。
 しかし、物語は退団公演という雰囲気はあまりなく、実にまっとうなストレートプレイとでもいった方がよさそうな作品で、歌も最小限だったし、正直に言うと、もうチョイ華やかさとか、歌と、それからまぁ様最大の持ち味とわたしが考えているダンスを見せてもらいたかったような気も、若干している。これは今年の雪組の『幕末太陽伝』でも感じたことだが、なんか……うーん、もうチョイ、サヨナラ感があってほしかったような……何しろ、わたしは去年の今頃観た、星組の当時のTOPスター北翔海莉さん(以下:みっちゃん)の退団公演『桜華に舞え』で激泣きしたわけで、あの内容は、明確に、想いを次世代へ託す、というものだったので、そこにみっちゃんの気持ちを重ね、そしてその想いを継ぐ現在の星組TOPスター紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)の、「おはんが伝えたかった”義”と”真心”、おいが預かった――ッ!」という絶叫に、ウルトラ激泣きしたわけである。
 ただ、そういうスペシャル感は薄いものの、作品としては実に面白かったし、各キャストの演技も素晴らしかったと、その点では絶賛したいと思う。なにしろ、日本では若干マイナーな、ロシアのロマノフ王朝没落のお話である。わたしも、皇帝ニコライ2世や、”怪僧”と呼ばれるラスプーチン、あるいは皇女アナスタシアとか、そういった有名な人物や、最後はロシア革命によって皇帝一家全員虐殺されるという事実は知ってはいても、ラスプーチンを暗殺した男ドミトリー大公なる人物のことは知らなかった。今回、TOPスターまぁ様が演じたのが、まさしくこのドミトリー大公である。そして、2番手スターで次期TOP就任が決まっている真風涼帆さん(以下:ゆりかちゃん)が演じたフェリックスもまた、実在の人物で、ラスプーチン暗殺チームの一員であることも、帰ってきて調べて初めて知った(なお、フェリックスは本作ではNYに亡命したとなっていたが、本当はパリみたいすね)。そう、登場人物はどうやらことごとく実在の人物のようだ。
 しかしもちろん物語はフィクションであろう。本作では、”怪僧”ラスプーチンによるある種のマインドコントロールによってロマノフ王朝は政治的堕落に至り、崩壊するという物語になっていた。そして問題はラスプーチンなのだが、演じた愛月ひかるさん(以下:あいちゃん)の演技は抜群で、圧倒的な存在感であったように思う。彼の本作での目論見は、要するに虐げられてきた農民として、貴族社会をぶっ壊してやる、その際自分も死んだってかまわない、的な破滅的なもので、実に見応えはあった。なので、芝居としては面白かったけれど、サヨナラ感がなあ……全くないんだよなあ……。宝塚髄一の美人、と呼ばれる怜美うららさん(以下:うららちゃん)も今回で退団なのだが、うららちゃんの芝居やルックスはいつも通り大変良かったけれど、もう少し、希望にあふれる役というか作品でもよかったんじゃねえかなあ……と、それだけがほんの少しだけ、残念だったような気がします。はあ……もううららちゃんにも会えないのか……つらいす……。。。
 というわけで、わたしが気になった役者陣はもう大体触れたけれど、名もなき革命派の若者を演じた桜木みなとさん(以下:ずんちゃん)も非常にカッコ良くて良かったすねえ! いつもは若干可愛い系だったり明るい面白系の役が多いような気がするけれど、今回は実にイケメンでしたよ。また、わたしのヅカ友の娘っ子がファンクラブに入って応援している和希そらくん(以下:そらくん)もいい感じでしたな。宙組も層が分厚くなったすねえ。ここに、次回からは花組から異動でやって来る芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)が加わるわけで、若干、93期の同期あいちゃんとの番手がどうなるのか気になるけれど、まぁ様去りし宙組の、今後ますますの発展を祈念したいと思う。
 で。後半はショー「クラシカル・ビジュー」である。
Bijou01
 写真の通り、「ビジュー」とはBijouと綴るらしい。なんこっちゃ? と調べると、どうやらフランス語で「宝石」のことだそうだ。そこから転じて英語でも宝石とか珠玉、なんて意味で通じるらしい。へえ~。
 というわけで、このレビューショーは、宙から降ってきた宝石が、今再び宙に帰る、的な、こちらはまぁ様の退団を明確に意識したものだったのだと思う。まさしく、まぁ様は明日へと導く太陽だったわけですよ……。こちらでは、まぁ様のダンスが存分に堪能できる構成で、やっぱり、まぁ様の長い手足がピシッと決まるメリハリは実に美しかった。TOPスターになると、本当に痩せるよね……まぁ様もここ数年でとても体も顔も細くなってしまった。けれど、まぁ様のダンスからそのダイナミックさが減じてしまったわけではなく、むしろ研ぎ澄まされてきたとわたしは思っている。重ね重ね、もうまぁ様の黒燕尾が見れないかと思うと淋しさが募りますなあ……。キラキラしてましたなあ……本当に。
 実は、わたしはショーでは、この公演後にわが星組へ異動が決まっている雪華りらちゃん(以下:りらちゃん)をずっと双眼鏡で探して見つめていた。まあかわいいですよ。大変な美人だし。そしてなぜわたしがりらちゃんをずっと観ていたかというと、わが星組で、わたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)と大変仲良しなんだな、りらちゃんは。なんとこっちんのパーソナルBOOK(要するに写真集)にもりらちゃんは登場していて、ひそかにこっちんTOP登極時の嫁候補としてわたしは注目しているのである。ただなあ……まだ、りらちゃんはソロで歌う役をもらえてないので、歌がどうなのか知らないんすよね……いや、わたしが知らないだけだと思いますが、こっちんの嫁には、歌ウマであることが絶対条件だと思うので、星へ異動になったら、ぜひソロ曲を歌う役をもらってほしいと存じます。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「寄生虫は宿主が死ねば終わりだ!! ロマノフにもしものことがあれば、お前も全て失うのがわからんのか!?
 「宿主が死ねば終わりなのは、貴族という寄生虫だろう……
 今回は、このドミトリーとラスプーチンのやり取りが一番グッと来たっすね。一番、本作の核心?と突く場面だったような気がします。はあ……まぁ様……もう会えないなんてさみしいなあ……。

 というわけで、結論。
 宝塚歌劇は、TOPスタが退団して次世代へ繋いでゆく、ということがある意味肝であるのだが、現在東京宝塚劇場で絶賛上演中の『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~/クラシカル・ビジュー』という作品は、宙組の太陽と言われた朝夏まなとさんの退団公演であり、芝居自体は大変面白かったものの、サヨナラ的なスペシャル感は特になく、実に重厚?というか重いお話であった。しかし、マイナーなロマノフ王朝の物語というわけで、わたしとしては俄然興味がわいたので、何かロマノフ者の小説とか、探して読んでみようという気になった。そして、とにかく、わたしとしてはまぁ様退団が淋しくてならない。退団後はどういう活動をするのだろうか。まぁ様は普通に女子としてもちろん美人だし、歌って踊れるミュージカル女優として活躍してくれると嬉しいのだが……まぁ様、これからも応援するよ。どうか今後も、一層の活躍を期待しております! 以上。

↓こちらでは、まぁ様は女子の役で、大変お綺麗です。わたしは劇場には行けなかったけれど、WOWOWだったかNHK-BSだったかで放送されたVerは観ました。
宙組 宝塚大劇場公演DVD 「風と共に去りぬ」
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2013-12-20