先週の水曜日、わたしが世界で最も好きな作家であるStephen King大先生の日本語で読める最新刊『FINDERS, KEEPERS』がもう店頭に並んでねえかなあ(正式発売日は金曜日の9/29)、と神保町の一番デカい本屋さんに行ってみたところ、1階の新刊書・話題書のコーナーには見当たらず、ちょっと早すぎたか、とガッカリしたのだが、いつ入荷するんだろうな、と思って店内検索機で探してみて、ひょっとしたら入荷情報とか載ってるかも、と期待を込めて検索したところ、ごくあっさり、「店内在庫アリ」と出てきた。な、なんだってー!? と興奮し、良く見ると2階の文芸の棚にあるという表示なので、マジかよと慌てて2階に行ってみたところ、検索機の表示する番号の棚にきちんと置かれていた。というわけで、すぐさまGetしたのだが、まず、わたしが家で撮影した↓この画像を見てもらいたい。
finderskeepers
 ま、要するに、上下巻で、並べるとカバーイラストが1枚の絵になるわけだが、実に嘆かわしいというか残念なことに、その本屋さんは、思いっきり、上巻を右、下巻を左、にして平台に置いていたのである。意味わかりますか? タイトルも絵も、つながらないんすよ、それでは。わたしはこの一事をもって、やっぱりもう本屋は衰退するしかねえんだなあ、と悲しくなった。誰がどう考えたって、ちょっと気を利かせてちゃんと上記画像のように置くよね? そういう気が利かないというか、忙しすぎてそこまでの余裕がないんだろうか。それとも、そんなのどうだっていいという判断なのだろうか。しかしこれは、まったくどうでもいいことじゃあない。そういうことしてちゃ、ホント、なんだかなあという気持ちになってしまう。実にしょんぼりである。
 まあ、以上は全くの余談であるが、もう一つ余談を加えておくと、わたしはすでに電子書籍野郎に変身しており、漫画はほぼ100%電子書籍へ移行しているのだが、小説の場合は、電子で買えるなら電子で買うし、電子で発売されていなければ紙で買う、という状態になっている。そして本書は、実は電子書籍と紙の本が同日発売なので、通常のわたしであれば、本書も電子書籍で買うのだが、こと、Stephen King先生の作品に関しては、「紙」の「単行本」で買うことにしている。
 何故なら。まず、「紙」の書籍で買う理由だが、それは単に、本棚に並べて悦に入りたいからである。それだけ。しかし、さっき調べてびっくりしたのだが、なんと本作は、紙の書籍が1800円+税、電子書籍だと1481円+税と値段が違っていた。まあ、別に319円の違いぐらいどうでもいいけど、紙と電子で値段が違うのは初めてのような気がする。そういう時代なんすねえ……。ますます紙で買う理由がなくなっていくなあ……。
ファインダーズ・キーパーズ 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

ファインダーズ・キーパーズ 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

 そしてもう一つ、「単行本」で買う理由は、もう、単純に文庫化されるまで待てないからだ。かつては、わたしも文庫化されるまで待つ派だったのだが、King先生の作品の場合は、文庫化されても上中下とか分冊されるのは確実なわけで、おまけに昨今は文庫本でも高いものは高く、結果的に文庫化されてもどうせ1000円程度しか値段が違わないことに気づいたため、その差額はいち早く読める「特急券」として納得することにし、さっさと単行本で読んだ方がいい、と判断したためである。そもそも、読みたくてたまらないし!
 というわけで、さっそく木曜日から読み始め、さきほど上巻を読了したので、まずは上巻の感想を以下にしたためていこうと思う。なお、いつもどおりネタバレ全開になる可能性が高いので、知りたくない人は今すぐ立ち去ってください。自己責任でお願いします。
 さてと。
 本作は、もうファンならご存知の通り、King大先生の初めての本格ミステリー(?)三部作「ビル・ホッジス」シリーズの第2巻であり、『Mr.Mercedes』の続編である。US本国では最終巻までもうとっくに発売になっているが、日本語ではようやく2作目が読めるというわけだ。
 しかし、読み始めて意外だったことに、なんと、上巻は313ページあるが、主人公ホッジスが登場するのは第2章、223ページからである。つまり、第1章はまるまる二人の別のキャラクターの現代にいたるまでの過去が交互に語られる形式となっており、いわば長いプロローグなのだ。しかし、その長い前振りがめっぽう面白く、ははあ、この二人が現代で出会ってしまうんだな……という予感で、わたしとしてはもう、読んでいて超ドキドキというかワクワクである。
 まず語られるのは、今回の悪党であるモリス・ベラミーというクズ野郎が1978年に犯した犯罪の記録だ。このクソ野郎はとにかくなんでもすべて自分のせいじゃないと思いたがる下衆野郎で、36年前(※現在時制は2014年みたい)に、とある超有名な老作家の家に侵入し、作家と強盗仲間をぶっ殺して現金と「未発表原稿」を奪っていく。そしてその金と原稿を川べりの木の根元に埋めたところで、不安から酒を飲んで酔っ払い、レイプ事件を起こして終身刑を喰らうという展開になる。
 そしてもう一人語られるのが、2009年、あの就職フェアに並んでいたために「メルセデス・キラー事件」に巻き込まれ、重傷を負った父親を持つ少年のお話で、こちらの少年は実に賢く、ある日偶然、モリスが30年前に埋めた「地中に眠る現金と原稿」を発見し、その金でせっせと家族を助けながら、一方では原稿にも夢中になって、すっかり文学青年成長していく過程が描かれる。
 そして第1章ラストでは、2014年、ついに現金が尽きた少年は、原稿を売れば金になるかもしれない、と思いついてしまい、「人生最大のミス」を犯してしまう少年の様子が描かれ、一方ではついに仮釈放が決定してシャバに戻ることになったクソ野郎が、とにかく早く埋めといた原稿を読みたくてたまらないぜ、と行動を起こしそうになるところ、すなわち二人の出会いが運命づけられてしまったところで終わる。
 どうすか? もう読みたくてたまらなくなりませんか? わたしはもう、この時点でページをめくる手が止まらないほど、やっべえ、こりゃあマズイことが起きるに違いないぜ? とワクワクしてました。ホント、King先生は最高ですなあ!
 で、第2章から、我らが主人公、ビル・ホッジスの登場である。冒頭から驚いたことに、何とホッジスは「メルセデス・キラー事件」の後に探偵事務所を開業していて、あの超人見知りのコンピュータ遣いのホリーが助手として事務所を切り盛りしているのだ。事務所の名前は「ファインダーズ・キーパーズ探偵事務所」。なんでも人探し専門の探偵らしい。わたしは、本書の『FINDERS, KEEPERS』というタイトルから、きっと、「見つけたもん勝ち」、すなわち、期せずして何かヤバいものをGetしてしまったキャラクターのもとに、そのヤバいものの本来の持ち主が取り返しに来る、みたいなお話で、きっとホッジスはそのGetした人物に依頼されて事件に巻き込まれるのだろう、と予想していた。なのでその予想は、今のところどうやらほぼ正解だったわけだが、まさかホッジスの探偵事務所の名前だとは思わなかったので驚いた。
 というわけで、上巻での重要人物のキャラ紹介をしてみよう。
 ◆ジョン・ロススティーン:隠棲している老作家。『ランナー』という戦後アメリカ文学を代表する名著の第3巻までを書いて引退、世捨て人と世間では思われている。しかし隠棲後もほぼ毎日手書きでノートに小説や詩などを書き溜めていて、『ランナー』シリーズの未発表原稿がどっさりあり、実は『ランナー』シリーズにはその先があった、のである。冒頭でモリスに撃たれて死亡。まあ、なんというか、こういうアメリカ作家はサリンジャーとかそういう人を思い起こさせますな。1978年の死亡時で79.5歳(半年後に誕生日)だった。
 ◆モリス・ベラミー:前述のとおりクソ野郎。要するにコイツは、大学教授の母に厳格に育てられるも、そのことで結局クズ野郎に成長したわけで、見事な教育失敗作なわけだが、10代で『ランナー』シリーズにドはまりするも、3巻目の結末に納得がいっておらず、やきもきしていた。ある日、古本屋の店員の友達に、実はその続きがあるらしいぜ、という話を聞いてロススティーンの家に強盗に入り、原稿と多額の現金を奪取。ついでに引き上げる際に一緒に強盗に入った仲間二人も撃ち殺し逃亡。早く原稿を読みたくてたまらないものの、作家殺害が全国ニュースで流れる事態となって、まずは金と原稿を埋めてほとぼりを覚まそうとしたが、どうやらこいつは酔っぱらうと記憶をなくす質のようで、本人は全く記憶にないものの、レイプ事件を起こして逮捕、終身刑で刑務所にぶち込まれる。その後、2014年に仮出所。現在、とにかく原稿が読みたくてうずうずしている、けれど、保護観察官の目があるので、とにかく慎重にやらないと、と大人しくしている状態。今のコイツは、原稿を読むことと、かつて友達だった元古本屋の友達(あいつのせいだと逆恨み中)に復讐することしか考えてない危険人物。1978年当時20歳そこそこのクソガキ。現在59歳。しかし、アメリカ人ってアル中が多すぎというか……アレなのかな、生理化学的にアルコール耐性が低いのかな? やたらとこういうアル中を映画や小説で見かけるけど、なんなんだろう。日本にもいっぱいいるけどわたしの周りにいないだけなのか?
 ◆アンディ・ハリディ(通称ドルー。アンドリューが正式名):1978年当時は20代のただの古本屋バイトだったが、2014年現在は自分の店を持つ店主。ただし、コイツもクソ野郎で、過去に盗品売買をして逮捕されそうになったことも。まあ、要するにまっとうな男じゃあない。わたしの予感では、下巻で死亡するような気がしている。それはそれでざまあではあるけど、どうなるかな。
 ◆ピーター・ソウバーズ:2010年に、埋められていた現金とロススティーンの原稿を偶然発見した少年。その時14歳(かな?)。父は2009年の「メルセデス・キラー事件」に巻き込まれ、重傷を負って障害がのこった。元々父は2008年のリーマンショックで不動産屋での職を失い(なので、あの就職フェアに並んでいた)、母も同じく不景気で、学校の先生だったがパート扱いの非常勤講師に格下げされ、家計がどん底に苦しく、夫婦げんかが絶えず、ピーターは子供ながらにこりゃあうちの両親は離婚まっしぐらだと悲しんでいた。そんなとき、大金を手にしたため、定期的に自宅へ500ドルを匿名で郵送することで、家計を助けてきた。その後景気も回復し、父は自分の会社を立て、母も安定的な収入を得られるようになったところで、埋まっていた金も使い果たす。が、かわいい妹ティナの学費や、自分の大学進学資金を出せるほどの余裕はなく……悩みぬいて、原稿を売ろうと決意、よりによってクソ野郎のアンディの店に持ち込むという「人生最大の過ち」を犯してしまう(ピーターとしては、過去に盗品売買をしていた事実を知り、コイツならこのヤバい原稿にも興味を持つだろう、と完全に藪蛇を突っついてしまった)。なお、ピーターは、埋まっていた原稿を読むことで文学に目覚め、成績も優秀で大学は英文学科に進んで文学研究をしたいと思っている。ポイントは、どうやら妹のティナにあるらしく、ティナはピーターから見ると若干頭の悪い今どきガール、のようだが、実はもっと頭のいい女子中学生なのではないかという予感。なぜなら、この妹は、最近お兄ちゃんが変なの、と気が付いており(ついでに言うと記憶力抜群で、家に500ドルを送っているのはお兄ちゃんだろうとほぼ確信している)、そして、あの「メルセデス・キラー事件」をホッジスとともに解決したジェローム君の妹の友達で、様子のおかしいお兄ちゃんの相談を受けたジェローム君の妹から、ホッジスにつながるという展開のようだ。なお、ティナも、本当ならあのメルセデス・キラーが爆破しようとしていたアイドルコンサートに誘われていて、一緒に行く予定だったが、お金がなくてあきらめた経緯があるらしい。ちなみに、このソウバーズ家が現在住む家は、40年前にモリス・ベラミーが住んでいた家であり、あのメルセデス・キラーことフレイディ・ハーツフィールドの住んでいた家のご近所らしい。
 ◆ビル・ホッジス:前作の主人公の元刑事。現在は前述のとおり私立探偵。事務所は前作の後半で大活躍したホリーが切り盛りしている模様。上巻の段階では、二人ともほとんど出番なし。なお、ジェローム君はすでに大学生となって、どこか遠いところに行っている模様。
 とまあ、上巻では上記の人々だけで十分だろう。とにかくわたしとしては、もう今すぐ下巻に突入したいのだが……焦るな……時間はたっぷりある……ぜ。こいつはじっくり味わうんだ……クックック……という我ながら意味不明の心理状態にあるため、ゆっくり読もうと思っております。
  あと最後に備忘録:P.239にある「夜郎自大の下衆男」って……誤植か? と思ったら、ちゃんとした日本語だった。クソ、わたしも大したことねえなあ、と恥ずかしくなったっす。夜郎自大=自分の力量も知らず威張っている、という意味のたとえ、だそうです。使ったことねえなあ、この言葉は。

 というわけで、もうこれだけでも長いのでさっさと結論。
 わたしが世界で最も大好きな作家、Stephen King大先生の日本語で読める最新刊『KEEPERS, FINDERS』(日本語タイトルはそのままファインダーズ・キーパーズ)が発売になったので、さっそく読み始めたのだが、上巻読了の段階で、早くもかなり面白い展開である。下巻が楽しみだなあ! そして、本書は完全なる『Mr. Mercedes』の続編なので、いきなり本書を読むのはやめた方がいいと思います。しかし……メリケン人にとっては、見つけたもの勝ち、は常識なんだろうな。やたらと、日本では落とし物や忘れ物が帰ってくる、感動した! という外国人の声を耳にしますが、我々日本人であっても、ピーターくんのような状況で、見つけたお宝を素直に警察に届けることが出来るかどうか……その辺を考えながら、下巻を読もうと存じます。以上。

↓ もし読んでいないなら、今すぐ読むべきでしょうな。大変面白いす。そして今のところ、この第2巻『ファインダーズ・キーパーズ』の方が面白い予感です。
ミスター・メルセデス 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

ミスター・メルセデス 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22