週刊少年ジャンプを30年以上買い続けているわたしだが、ここ数年のジャンプは、ズバリ言ってイマイチ面白くない。完全に惰性で買い続けていると言っても差し支えないのだが、そのわたしが今、一番面白いと思っている漫画が『Dr.STONE』という作品だ。まだ始まったばかりで単行本すら発売になっていないけれど、単行本化したら買いだな、と思っている。そしてその作画を担当されているのが韓国のBoichi先生(※原作は『アイシールド21』でお馴染みの稲垣理一郎先生)で、今まで結構多くの作品を描かれているが、わたしの知る限り少年漫画は初めてじゃなかろうか? 大変絵柄もストーリーもジャンプにふさわしい面白さで、実にそそるぜこの漫画は! とわたしは毎週楽しみにしている。一応、集英社の公式Webサイトに第1話の試し読みがあるので、URLをメモっとこう。https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028820742
 で。そのBouichi先生の他の作品を読んでみたいな、という気になったので、先日、まだ単行本2冊しか発売になっていないこの作品を電子書籍で買ってみた。


 タイトルを『ORIGIN』というこの作品、こちらも講談社に第1話の試し読みがあるから、そのURLも書いておくか。http://yanmaga.jp/contents/origin
 こうして試し読みを読んでみると、『Dr.STONE』と同じ人が描いたことは確かに感じられる絵だが、その内容はやっぱり青年漫画であり、タッチも完全にジャンプ的ではない。ずい分描き分けてらっしゃるんですな、と妙に感心?というか、すげえ、と思ってしまう。というわけで、わたしは『ORIGIN』の(1)巻(2)巻を一気に読んでみた。
 お話は、「オリジン」と呼ばれるロボットが人間に擬態して生きており、「オリジン」から派生して製造された8体のロボット(もちろん人間に擬態している)を倒すお話だ。ただし、倒すと言ってもそれは8体のロボットが人間に害を与えるからであり、無害であるなら別に戦う理由はない。というのも、主人公の「オリジン」は、その製作者の父たる博士から「ちゃんと生きろ」という遺言を託され、「ちゃんと生きるって、どういうことなんだろう?」と思いながら生活しているためだ。なので、悪い奴を倒すことも彼にとっては「ちゃんと生きる」ことの一環であり、まったく本人は積極的に8体のロボットと戦いたいとは思っていない。
 ちなみに、「オリジン」君は、父たる博士の遺言をどう理解すればいいのか、ずっと悩んでおり、(2)巻でとある女性を助けた後で、こんな風に考えるシーンがある。
 「この女性を守るために相当な危険を冒した これが「ちゃんと生きていくこと」なんだろうか 俺はまだちゃんと生きていくとは何なのか 結論を下せずにいる 何だろうな もともと俺は生きている存在でもないじゃないか 父さん あなたの最期の命令は 完全に無茶苦茶です 会って一日の女性を守ることが ちゃんと生きることだとは思えないけど ただ そうせずにはいられなかった 俺の中の父さんは 男はそうやって生きていくべきだと思っているから」
 こんな風に考えるロボットである。主人公の「オリジン」君は。そして、その戦いで体はボロボロになってしまったのだけれど、彼は金を稼ぐために会社員になっているので、当然、翌日も出勤しないといけないわけです。なので、ボロボロの体でなんとか家に帰りつき(その帰途の様子が涙ぐましい!)、夜を徹して体を修復し、朝を迎える。そしてこんな風に思う。
 「もう出社の時間だ 今日はもっとたくさんの展開が待ち構えているだろう 間違いなく昨日より大変な一日になるだろう 仕方ない 行ってみよう 父さん 俺は人間たちに中で暮らし始めたばかりです 正体を隠すことも 金を稼ぐことも 兄弟ロボットたちに抗うことも 全て難しいです でも見守ってください やり遂げます ちゃんと生きていきます」
 そして「ガラガラガラッ」とボロい日本家屋の引き戸を開けて、出勤するのである。
 文章だけで、この面白さが伝わるかな……伝わらないか。とにかく、この物語のキモは、その主人公「オリジン」の思考であり、それがちょっと変わっていて実に面白いのだ。彼は非常に頻繁に、「困る……」と生真面目に悩むシーンが多く、その生真面目さがいい塩梅にギャグになっていて、ちょっと笑える物語にもなっている。例えば「オリジン」は、とにかく目立つ行動はしたくないわけなのだが、その有能さとルックスのイケメン具合?から、逆に美女たちの目を引き、やけに目立ってしまうというギャップなんかも笑いどころになっている。
 大変面白い作品だと思う。わたしは非常に気に入った。
 
 というわけで、短いけれどもう結論。
 現在ジャンプで『Dr.STONE』という大変面白い漫画を連載中のBoichi先生の他の作品を読んでみようと思って、買ってみた作品『ORIGIN』は、これまた非常に面白かった。どうやらヤンマガに連載中のようだが、最近はヤンマガを全然買っていないので、果たして現在、毎週ちゃんと掲載されているのか良くわからない(最新号のヤンマガの告知には載ってないみたい)。まあ、そりゃあジャンプとヤンマガの掛け持ち連載は超人でも難しいだろうな……大丈夫なんだろうか……と心配であるが、『Dr.STONE』と『ORIGIN』の両作ともわたしは大変気に入った。単行本は買いであります。以上。

↓ おっと!『Dr.STONE』は7月発売か。でも集英社の電子書籍は1カ月遅れだからな……。Verdammt!

↓ そしてBoichi先生の作品で一番有名なのはこれかな……巻数が多くて手が出せなかった……。