というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 つーかですね、今日の朝、ジャンプを買って電車で読んでいたら、巻頭カラーにとうとう「実写JOJO」の告知が1P入っていて、「仗助」のビジュアルが載っていてビビりました。これ、だ、大丈夫なんすかねえ……まあ、大丈夫なんだろうな……わたしは「JOJO」の第1話からずっとジャンプで読んでいるし、紙の単行本も全巻持っているし、あまつさえ、電子書籍も全部買って、すべてTabletにダウンロードしていつでも読めるようにしているほど好きな作品なわけですが……観た方がいいんすかねえ……たぶん、夏の公開までに今後続々とビジュアルが公開されるんでしょうな。そして、どうでもいいけど、本当にもう、電車内でジャンプを読んでいる人は全く見かけなくなりましたなあ……。
 ま、いいや。あと、今日は先週公表された映連の2016年興行データをチラッと取り上げたいと思います。 
 まずはいつも通り、興行通信社の大本営発表からメモっておこう。

 1位:『ドクター・ストレンジ』が公開土日で3.9億稼いで1位!やった! 金曜公開だから、3日間では5.1億だったそうで、これは15億以上は確実、20億も夢じゃないかも。わたしももう一度観て来ました。まあ、3カ月前にわざわざ台湾まで観に行ったのですが、細かいところがわたしの英語力ではわからないところがあったのでスッキリです。
 2位:『キセキ―あの日のソビト―』が公開土日で2.3億稼いだそうです。いい出だしじゃないですか。これは10億超確実、ロングで引っ張れるなら15億もありうるかも。皆さんご存知「GReeeeN」誕生秘話すね。わたし、これだけ映画を観まくっているのに、劇場で一度も予告を観なかったす。TOHOシネマズ愛用者&おっさん向け映画しか見てないから、だろうなあ……ちなみに配給は東映です。東映でここまでのヒットスタートは結構久々ですね。
 3位:『君の名は。』が23週目にしてまた2~3億ぐらい積んでいるんでしょう、きっと。てことは238~239億ぐらいでしょうか。
 4位:『恋妻家宮本』が公開土日で1.05億ほどだそうです。一応原作は重松清先生の小説『ファミレス』(角川文庫)だそうで、どのぐらい原作に忠実なのかちょっと気になります。しかし、タイトルの「恋妻家」ってのは大変イイ言葉すね。この予告はもう、うんざりするほど劇場で観ました。
 5位:『破門―ふたりのヤクビョーガミ』が公開土日で1.08億ほどだそうです。こちらも原作は小説で、黒川博行先生の直木賞受賞作ですな。おまけにこちらも角川文庫です。ま、東宝の『恋妻家』とこちら『破門』は松竹配給なわけで、ともに角川映画配給じゃないのは察してください、ってことと理解しよう。この週末近辺は佐々木蔵之介氏と横山君はそこら中のテレビに出ていた印象がありますね。
 6位:『新宿スワンII』が9日間で4~5億ぐらいと見積もる。前作と比較するとやや厳し目か。
 7位:『本能寺ホテル』が16日間で6~7億ぐらいと見積もる。ちょっと厳しくなってきたか? 10億は超えるだろうけど(たぶん)、15億は厳しい感じです。
 8位:『沈黙―サイレンス―』が9日間で3~4億ほどと見積もる。わたしとしては今年の暫定1位です。まだ4本しか見てませんが。
 9位:『この世界の片隅に』が79日間で17億ほどと見積もる。いやー、ロングで売れ続けて大変うれしいですなあ。こちらは去年わたしが観た映画の中で、オレ的4位であります。
  10位:『マグニフィセント・セブン』が公開土日で、どうだろうな、この位置だと0.5~0.6億ぐらいだろうか?(修正)金曜公開なので3日間で0.8億ほどだそうです。つまりさっさと観に行かないと上映回数が激減するかもしれないので、今週中には観るつもりですが、わたしは黒澤明原理主義者なので、ダメなリメイクだったら許したくないすな。楽しみです。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 
 で。映連発表の2016年興行のお話です。
 くわしいことは、直接映連のWebサイトを見て下さい。10億円以上稼いだ作品の一覧が載っています。なので、ホントはコミック原作が異常に増えている傾向や洋画が全くダメな現状、そして、邦画のTOP10のうち8本が東宝作品という恐ろしさついて書きたいけれど、ま、作品のことは一覧表に任せるとして、今日は、映画館の数と観客動員数と映画興行市場規模をちょっとまとめておこうと思います。
 去年、2016年は、興行収入は過去最高の2,355億、そして観客動員数は1974年以来の1.8億人突破だったそうです。ちなみに、そのうち『君の名』が235億、1,800万人ぐらいの貢献をしているわけで、その分を差し引くと、2015年より下ということになる。まあ、差引くことには全く意味がないので無意味な仮定だけど、あたらめて、『君の名』はすげえなあ、ということになりますな。
 で。スクリーン数と観客動員数と年間興行収入合計値をまとめるとこうなります。
スクリーン数 (うちシネコン) シネコン率 入場者数(千人) 興行収入(百万円)
2000 2,524 1,123 44.5% 135,390 170,862
2001 2,585 1,259 48.7% 163,280 200,154
2002 2,635 1,396 53.0% 160,767 196,780
2003 2,681 1,533 57.2% 162,347 203,259
2004 2,825 1,766 62.5% 170,092 210,914
2005 2,926 1,954 66.8% 160,453 198,160
2006 3,062 2,230 72.8% 164,585 202,934
2007 3,221 2,454 76.2% 163,193 198,443
2008 3,359 2,659 79.2% 160,491 194,836
2009 3,396 2,723 80.2% 169,297 206,035
2010 3,412 2,774 81.3% 174,358 220,737
2011 3,339 2,774 83.1% 144,726 181,197
2012 3,290 2,765 84.0% 155,159 195,190
2013 3,318 2,831 85.3% 155,888 194,237
2014 3,364 2,911 86.5% 161,116 207,034
2015 3,437 2,996 87.2% 166,630 217,119
2016 3,472 3,045 87.7% 180,189 235,508
 わたしが、へえ~、と思うのは、上記の黄色の部分であります。
 1)スクリーン数
 近年のシネコン建設ラッシュがバンバン続いている、という認識は、間違いではないけれど、2011年や2012年のスクリーン数を観れば分かる通り、一時、停滞したことがある。これは、シネコンが減ったというよりも、普通の従来の古い映画館がバタバタなくなったことが大きいし、また、震災も影響もゼロではないだろうし、シネコン建設もこの時期は小康状態にあったためだ。なんでこの時期、古い映画館がバタバタなくなったか、憶えてますか? ズバリ、デジタル映写機への置換の時期ですよ。もう、フィルムでの配給がどんどんデジタルに置き換わっちゃった頃なわけだ(そして同時に3D対応も急速に行われた時期でもある)。そしてその設備投資にとても耐えられなかったため、古い映画館はなくなったんだと思う。おまけにこの時期は大作が少なく、震災もあってモロに経営悪化が進んでしまったのも痛かった。そしてシネコンも、ほぼ全国にいきわたっちゃった(かのように見えた)ために、新規出店が少なくなった頃合いだと思われます。
 しかし一方ではここ4年ほどはまたも増加しつつあるわけで、これは都内のTOHOや109あたりの積極的な新館オープンを見ると理解できると思う。まあ、地方から進んだシネコン化も、そういや都心はまだ余地があるんじゃね?と気が付いたんでしょうな。あとは、地方で言うと、イオンシネマ。イオンモールが続々と出店して、ついでにイオンシネマも建築されていったわけです。しかし、もういい加減、上限なんじゃねえかと言う気もしますな。いや、地方はまだまだ開発の余地があるんすかねえ。どうでもいいけど松竹や東映の「直営館」経営がイマイチ広がらないのは、やっぱり経営体力的に難しいのだろうと想像します。しかし、自社で映画館を(それほどいっぱい)持たないという経営戦略は、近年の松竹・東映配給作品の苦戦に直接響いていると思う。でも、ちゃんと投資家向けのIRプレゼン資料を公開しているのは東宝だけである事実からしても、松竹・東映の経営に対する危機感はまるで感じられないですな。古いおじいちゃん会社だろうし、株主もおじいちゃんばっかりなんだろうな、きっと。
 2)シネコン率について
 おそらく、シネコンなるものの誕生は、日本国内においては1998~1999年頃から本格的に始まったとわたしは理解しているが、2009年にシネコン率は80%を超え、今やもう87.7%のシェアとなっている。まあ、街の映画館はどんどんなくなっているのが現実で、これはもう、いい悪いの問題じゃあない。誰だって、新しくて椅子や音響設備がいい映画館で観たいのは当たり前だし。おまけに、上記のデジタル化も、痛いのは間違いない。もう、単独資本の単館経営は、実際無理だと思う。大きな資本で設備を整える必要があるし、多数のスクリーンを抱えていないと、東宝様の映画はかけられないし。そしてスクリーン数を確保しても、もはや日本の人口は減る一方だしなあ……空気に映画見せても仕方ない、というような、暗い将来しか想像できないのが現状だろうと思う。ちなみに、シネコンというものは、期間の長~~いリース契約(機材や什器類やそもそものテナント賃貸借契約)だったり、ほかの施設(例えば飲食店とか)に転用しにくいという、シネコン独特の縛りがいくつもあって、一度出店すると撤退するのがかなり難しいビジネスでもある。なので、今後もバンバン増えていくとはちょっと思えない。場合によっては、そろそろ20年モノのシネコンも出始めるので、建替えはないかもしれないけれど、施設や機材のリニューアルなんかは増えるかもしれないすね。いずれにせよ、もう今さら新規参入する企業はまずないだろうし、小規模資本の企業には手を出せない事業でしょうな。
 3)興行収入=市場規模
 表を見て明らかなように、だいたい2000億を中心に年によってかなりばらつきがある。間違ってももはや成長市場ではない。ま、誰でもわかる通り、ヒット作が出れば数字は増加し、なければ下がる、それだけの話だ。例えば、ここ数年では一番良かった2010年は、『アバター』『アリス』『トイストーリー3』と100億超のヒット3本があった、とかですね(※アバターは2009年12月公開だけど統計値としては2010年にカウント)。
 30年前までさかのぼると、どうやら1996年の1,488億円が谷で、2000年代に入ってからは2000年の1,708億円が最低値らしい。なお、2000年~2016年までの平均値は興行収入が2,019億円、観客動員数が161,645千人といったところのようだ。そしてちなみに、公開作品数は年を追うごとにバンバン増えていて、要するに作品1本当たりの興行収入はどんどん減っていて、勝ち・負けの二分化がどんどん激しくなっているという現象もある。映画の本数増加は、箱の取り合いをもたらし、日程の取り合いにも通じるわけで、まあ、負のスパイラルですな。どんな商売でも、売上減少を商品点数増加で補おうとするのは、一番の悪手、と言ってもいいと思う(まあ映画の場合は勝手に増えたというべきだろうけど)。 そして、あまり関係ないけれど、例えば、ディスニーなんかは明確にBlu-ray発売を公開後4カ月ぐらいと決め、その発売前にはどんなにヒットしていても映画館での興行は終わらせちゃう。これはディズニーの一つの特徴だろう(近年はホントにBlu-ray/DVD化がホント早い)。
 なので、ここで言いたいことは2つです。(1)『君の名』がどれだけ異例なウルトラ大ヒットか(絶対東宝以外ではありえない、と思う)、ということと、(2)どうしようもない、とはいえ、上場企業として安定的で持続的な成長を目指しているのは東宝だけ、という2点です。要するに、業績に波があっても、「いや~、今年はヒット作が多くてね、はっはっは」「いや~、今年はヒットが少なくてねえ、はっはっは」という態度では、上場企業を経営しているとは言えないし、そんなたわ言は誰でも言える。東宝は、それ(ヒット作の有無による業績の大幅な上下変動)を可能な限り少なくしようと、アニメにも本気を出してきたし、安定的な成長をきちんと考えている点が、明らかに松竹・東映とは違うと思う。まあ、腹立たしいですがやっぱり一番しっかりしてますよ、東宝は。
 
 というわけで、結論。
 まず、週末興行は『ドクター・ストレンジ』がしっかり稼いで1位獲得、ともに角川文庫原作の『恋妻家』『破門』は1億チョイの微妙スタート。もっともっと売れてほしいです。そして、映連発表数値を観て思うのは、本当にこのままでいくと日本の映画界は東宝の独占市場になりそうだなあ、という暗い気持ちであります。ま、それだけ企業としてしっかりしてるのは間違いないわけで、なんというか……東宝を怒らせたら日本映画界では生きていけないだろうな、と想像します。以上。