わたしは宝塚ファン歴まだ6年ほどのビギナーだが、一番最初に観たのが2010年1月の星組公演であり、以来、完全に当時のTOPスター柚希礼音さん、通称ちえちゃんにぞっこんLOVEとなったわけで、既に宝塚歌劇を卒業し、女性に戻ったちえちゃんであるが、わたしは今も大いに応援し、卒業後のコンサートにもせっせと通っているわけである。
 そのちえちゃんが、今度は初めて女性役として、ミュージカルに主演すると聞いて、わたしが観に行かないわけがない。当然わたしは、チケットの先行予約から参戦し、無事にチケットをGetして、今日、観てきたわけである。
 作品のタイトルは、ミュージカル『バイオハザード―ヴォイス・オブ・ガイア―』。そう、CAPCOM謹製の大ヒットゲームでおなじみの、そしてハリウッド映画でもおなじみの、あの『バイオ』である。 

 わたしは『バイオハザード』のゲームは、「1」「2」「3」「コード・ベロニカ」の4作をプレイして結構やりこんだことがあるので、一応それなりに世界観は知ってるつもりである。特に「1」「2」「3」はノーコンティニューでのタイムアタックまでやりこんだので、思い入れもそれなりにある。20世紀の話なので、改めてもうそんな昔か……と感慨も深い。
 そのわたしが、次のちえちゃんの作品は『バイオハザード』だということを知って、驚かないわけがなかろう。はっきり言って、すげえびっくりした。「バイオ!? ミュージカル!? ちえちゃんが!? ナンデ? バイオ、ナンデ!?」と思わず反応したのも我ながら無理はないと思う。
 ハリウッド映画版でもおなじみのとおり、普通に考えて『バイオハザード』という作品とミュージカルは、まず結びつかない。なにしろ、ゾンビを相手に戦いながら、アイテムを獲りつつ、謎を解いていくゲームだ。どうやってミュージカルにするんだ!? とわたしもさっぱり予想がつかなかった。
 というわけで、わたしは今日、実のところ結構な不安を胸に赤坂ACTシアターに赴いたわけである。同行してくれた美人ヅカ友のMちゃんも、当然ちえちゃんのことはよく知っているわけだが、「あたし、ゲームは全くやったことないんですけど、お話分かるのかしら?」と若干心配気味である。わたしも、そう聞かれても、「どうだろう、分かんねえけど、分からんことがあったら、終了後、解説してあげる」としか言いようがない。そんな、そこはかとない不安感を抱えながら、幕は上がったのである。
 結論から言うと、ゲームの設定は100%関係ない。全くもってゲームは関係してない。ので、ゲームを知らなくても、ハリウッド版の映画を見ていなくても、大丈夫、であった。その点は心配している方がいれば、問題なし、と断言できる。ちゃんと観ていれば、ストーリーはきっちり分かるので問題なしである。
 そしてこれまた結論から言うと、ちゃんとミュージカルであった。ちゃんと、というと大変失礼だが、ちえちゃんの歌も予想してたよりずっと多いし、一回、ちえちゃんのバレリーナとしての美しい舞もあるので、ちえちゃんファンも心配なし、である。男性キャストも、きっちり実力のある方ばかりなので、歌もお見事である。つまり、だ。要するにわたしは結構楽しめたし、満足であったのだ。
 大まかなストリーを説明すると、まず冒頭、アラスカで氷漬けとなっていた生物から謎のウィルスが発見され、それが全世界に広まると。ゲームや映画の「バイオ」では、人が造ったウイルスであり、人間の悪意がそこに存在しているわけで、今回は自然発生(?)ウィルスなので、その点が大きく違っていた。そして世界がゾンビに満ちて久しい世となり、舞台はクロアチアに移る。そこで暮らす人々はゾンビに怯えながらも何とか生きていて、その村(?)には、記憶を失ったリサ・マーチンという女性がいると。で、どうやらゾンビに襲われてもゾンビ化しなかった少女がシシリアの南にあるなんとかって島にいるという情報がもたらされ、村の医師であるダンが、その少女がワクチンを作るカギだ、ということで、イタリア北部(?)のUS-AIR FORCEの基地に行けば飛行機でそのなんとか島に行ける、自分はUS国籍だからなんとかなるだろ、というわけで、有志を募って遠征に出る。で、残されたリサも、とある事件が起こってそれを追う、そして徐々に自分の過去を取り戻す――的な感じの流れである。
 ちなみに、上演時間は、第1幕がちょうど1時間、休憩が20分、第2幕が1時間20分ほど、であった。12時開演の回だったが、15時前には終わったので、まあ、普通かな、いやちょっと短いか。
 まあ、わたしとしては十分楽しめたわけで、見どころ・聴きどころはやっぱりちえちゃんの歌とダンスであろう。そういう意味では、ちえちゃんファンじゃない人が観て楽しめるのかどうかは、実際よくわからない。まあ、わたしの見る限り、今日来場していたお客さんは、わたしを含め10割方はちえちゃんファンだと思うので、その点では興行として問題なしだろうと思う。
 ただ、作品クオリティとしては、厳しく言うと、並、であろうと思う。別に感動するわけではないし、超面白い!! というお話でもない。歌自体も、ちえちゃんの声は素晴らしいけれど、曲も詩も、それほどグッとくるものはなかったというのが正直な感想だ。音響も、ACTシアターでの観劇はわたしはかなり久しぶりだが、若干音が割れ気味のような気もしたので、あまり素晴らしいとは言えなかった。ちなみに、音楽は生オケでした。背後にバンドがちゃんといて演奏してくれていました。
 なので、極論すれば、ちえちゃんの、ちえちゃんによる、ちえちゃんファンのための公演であろうか。ま、わたしはまさしくそのちえちゃんファンなので、特に文句はありません。つーかむしろ、きっちりとちえちゃんの歌を聞かせてくれてありがとう、である。今回は明確に女性の役だったので、発声も変わってくるのかと想像していたが、いつもの野太い(?)声ではないけど明らかにちえちゃんヴォイスで、なんかナチュラルなちえちゃんの声、のように感じました。なので、わたしとしては大変満足です。
 本音を言うと、ちえちゃんには名作といわれるようなミュージカルに、主演じゃなくていいのできっちり出演し、その実力を見せつけてほしいと思う。たとえば、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌとかね。ちえちゃんが「On my Own」を歌ったら超シビレると思うんだけど、もはやちえちゃんクラスは主演じゃないとダメなんだろうな……。キャラも合わないかなあ……イケると思うんだけどな……。まあ、宝塚OGのみなさんは様々なミュージカルに出演して活躍しているので、ちえちゃんの今後についても全く心配していないけれど、いっそ劇団 新感線の『五右衛門ロック』とか『薔薇とサムライ』みたいなのにも出てほしいですな。 天海祐希先輩のように、大いに活躍していただきたいと心から願っております。

 というわけで、結論。
 ミュージカル『バイオハザード―ヴォイス・オブ・ガイア―』は、実は若干不安だったのだが、観てみたら十分楽しめるものであった。事前「バイオ」知識不要である。だが、まあ、ちえちゃんファンにとっては歌もダンスも見どころ・聴きどころいっぱいであるのは間違いないけれど、そうでない人が観て面白いかどうかは、わたしには分からない。なので、ちえちゃんファンなら迷わずGO!だし、そうでない人は、ま、最初から行こうとは思わないだろうからどうでもいいか。ちえちゃんファンとして、注文を付けるとしたら、今後は名曲・名作と言われるような作品に出てほしいと思います。 歌でグッとくるような、なんかいい作品ないすかね……。新感線にも出てほしいなあ……ま、今後もずっと応援し続けるのは間違いないと思います。そして今後の活躍を心から楽しみにしております。以上。

↓ 最新作はもう「7」すね。PS4買うってのもアリだな……なんか久々にやってみたい気分す。