わたしによる、テキトーなことしか書いていないこのBlogの定期的な読者様は、どうも20人ぐらい存在しているようなのだが、その皆さんには、わたしがいわゆる「アメコミ・ヒーロー」モノが大好きだということはもうおなじみであろうと思う。わたしの、今年2016年の現在時点でのナンバーワン映画は、まぎれもなく『CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR』だ。完璧な脚本、完璧な撮影、完璧な役者陣。どれをとっても、100点満点パーフェクトである。あれほど多くのキャラクターが登場し、なおかつ新キャラもきっちりと描き、わたしとしてはもう、本当に素晴らしい映画だと思っている。いわゆる「MCU」、Marvel Cinamatic Universの完璧な物語作りのなせる技であろう。すべてが共通の世界観で統一され、きちんと一つ一つの作品がパーツとなって、大きな物語を構成しているというわけである。
 しかし、である。
 「アメコミ」のもう一方の雄であるDCコミックの場合は、Marvelよりも先行して、天才Christopher Nolan監督を起用してBATMANに新たな解釈をもたらし、見事に再生したものの、MCU的なほかのヒーローとのクロスオーバーは全く意識されていなかったのだが、Marvel Studioによる「Avengers計画(=MCU)」の構築が明らかになると、すぐさまDC=Warnerも同様に、ヒーロー集合を意識し始めることになった。
 その第1弾である 2013年公開の『MAN OF STEEL』について、もうこのBlogで何度も「コレジャナイ」とわたしは書いてきたので、もはや繰り返しても仕方あるまい。そして今年、その続編たる『BATMAN v SUPERMAN』が公開されたわけだが、かなり方向性として修正されたというか、実際面白くなってきたものの、肝心の物語については、相変わらずよくわからない点が多かったり、そうじゃねえんだよなあ……という点が残ってしまったのは、おそらく誰しも感じたのではなかろうか。いずれにせよ、DCコミックによる『JUSTICE LEAGUE』はもう企画進行中であり、夏のComi-Conで予告編が公開されているわけで、おそらくもはや大きな軌道修正は不可能だろう。
 しかし、その、DCユニバースともいうべき作品群に、一体今後、どういうかかわりを持ってくるのか? さっぱりわからない映画がこのたび公開となった。ヒーローたちに逮捕されたVillan(=悪役)たちを主人公とした、『SUICIDE SQUAD』である。実はわたしはこんなに偉そうに語っているけれど、実はDCコミックはあまりよく知らないので、今回登場したVillanたちも、知っていたり知らなかったりするキャラクターたちなのだが、今日、14日トーフォーの日として1,100円で映画が観られるため、帰りにちょっくら観てきたところ、はっきり言って物語も全く意味不明のなんじゃこりゃ、であった。以下ネタバレ満載です。

 わたしがこの映画で一番驚いたのは、この映画が、明確に『BvS』の続編であるという点だ。これは全く予想していなかった。本作は、明確に『BvS』の事件の後のお話で、『MAN OF STEEL』で明らかになった「宇宙人襲来」に対して無防備な地球には、頼みの綱のSUPERMANももはやこの世にいない。ならば、またどっかの宇宙人がやってきたらヤバイ。おまけに、どうやら「メタ・ヒューマン」という超人類がいるらしく、そいつらの犯罪なんかが起こったらこれまたヤバイ。じゃあ、そいつらに対抗できる連中を集めて、政府の秘密部隊を結成しとけばいいんじゃね? という流れであった。で、その中でも、「地球上に6000年以上前から存在している魔女」に憑依された女性を中心に、かつてBATMANやThe FLASHにとっ捕まって刑務所に入っている「超常的な力を持つ、あるいは特殊技能を持つ」悪党どもを集めてチームを作ろう、悪党どもならどうせ消耗品だしね、ということになる。
 もはやこの時点で、なんだそりゃ、である。
 いやいやいや、ちょっと待ってよ、今、BATMANことブルース・ウェインがメタ・ヒューマン集めしてるんでしょ? その設定はどこ行ったんだ? そもそも、既に存在が確認されているThe FLSHとかAQUA-MANを呼び出した方がいいじゃん。なんでまた悪党を? もうわたしには、のっけから物語の意味がさっぱり分からない。
 で、あっさり魔女に逃げられ、その魔女を退治するという方向に物語は進む。おい、ちょっと待てよ、あまりに杜撰すぎないか? 魔女制御装置の心臓は何だったんだよ!? と、わたしはもう、開始30分で帰りたくなった。そしてラストは魔女を退治して終了、である。もはや唖然とするしかない。
 以下、わたしが、これはナイだろ、と思った点を列挙していこう。

 1)脚本がヤバイ
 まず、数多くのキャラクターたちの紹介が、いちいち過去の回想に入って語られるため、異常にテンポが悪い。これは誰しもが感じることだと思う。わたしがもう、思わず、ええーーーっ!? と劇場でごく小声でつぶやいてしまったのが、クライマックスへ向かう自殺部隊の面々が、戦闘放棄してバーに入って酒を飲みだすシーンだ。オイィ!? お前ら、魔女退治はいいのか? そもそも、魔女が作っている(?)謎マシーンも、結局最後までどんな代物なのか一切語られなかったし、自殺部隊の魔女退治のモチベーションもまったく低いので、もはやどうでもいいのだが、まさかあそこで物語の流れをぶった切って、バーに入って回想に入るとは思わなかった。ありゃあ、マズいだろ……常識的に考えて……。
 そしてキャラ造形も極めて薄く、実に何者なのかよくわからないままだし、とにかく自殺部隊の面々の素性がよくわからない。いや、デッドショットは娘のため、とか、ディアブロは家族を殺してしまった、とか、いろいろ語られるのだが、本来自殺部隊の彼らは、それぞれヒーローと戦って敗れたわけで、その物語こそきちんと一本の映画になるのに、もはやダイジェストに過ぎず、底が浅い。ハーレー・クインの話なんて、十分120分で描ける題材なのに、実にもったいない。今回、ダイジェストで語ってしまったので、もう、今後のDCユニバースでBATMANと絡めなくなってしまった。しかも、しかも、ですよ!? なんと、ごく短いどうでもいいキャラのセリフで「ハーレー・クインとジョーカーがロビン(BATMANの相棒)をぶっ殺した」話が軽~く流されてしまった!! 前作『BvS』において、BAT-CAVEにロビンのコスチュームが飾ってあって、ジョーカーのものらしき落書きまでされていたけれど、まさかあんなどうでもいいキャラの説明セリフで片付けられてしまうとは、わたしはもう、マジで帰りたくなった。もう、本当にこの脚本は0点だと思う。こりゃあ、ナイよ。

 2)各キャラ造形のムラがありすぎてヤバイ。
 確かに、ハーレー・クインやデッドショット、ディアブロなんかは活躍しますよ、ええ。過去もそれなりに語られましたよ、はい。でも、それ以外はもう全部空気じゃんか。キラークロック、ブーメラン、スリップノット、カタナ、彼らが何者か、絶対この映画だけじゃわからないと思う。おまけに何なんだあのカタナにぶっ殺されるやくざの下手くそな日本語は。バカにしてんのか!? カタナを演じた福原かれんちゃんは大変頑張っていたけど、なんで変な日本語しゃべるのよ……。どうせ現場じゃ誰もわからないんだから、きっちり日本語の芝居すればいいのに。もう本当にがっかりだよ。
 MCUでは、こういうことが一切ない。『Avengers』のようにキャラクターが増えても、きっちりと各キャラ見せ場もあるし、背景もきちんと描かれている。そもそも、集合する前にほかの映画できちんと描かれているわけで、そのような、最初から大きな絵を描けているのがMCUの最大の特徴であり強みだ。残念ながらDCユニバースにはそのような配慮がなく、結果としてキャラ造形に濃淡が出てしまう。それじゃあダメなんだよなあ……。あれはナイっすねえ……。0点です。

 3)行動が意味不明すぎてヤバイ
 まず、一番わけが分からんのが、今回自殺部隊を招集する政府高官の黒人女性だ。全く彼女の行動の意味が分からない。部下をあっさり銃でバンバン撃って「機密保持のためには已む無いわ」って、おいちょっと待て!! そりゃねえべ!? 全部あんたの杜撰な計画のせいだよね? なんなのもう! あと、なんであんた、ハーレー・クインを選んだんだ? 彼女は全然強くないじゃん。バット振り回すだけだぜ? 逆に、魔女に改造された可哀想なゾンビ兵が弱すぎるってことなの? あれならオレでも勝てるわ!! と、とにかく、あの政府高官の女性は人格的にも好きになれないし頭の具合もかなりよろしくないようにわたしには思えた。 おまけに! 魔女にぶっ殺されたと思ったら普通に生きてたし!! ど、どういうことなんすかあれは。0点。断じてナイね。

 というわけで、、もう何もかも0点。なのだが、唯一、わたしがこの映画で素晴らしいと思った点も挙げておこう。それは、誰しも感じると思うのだが、とにかくハーレー・クインがエロ可愛いのだ。ハーレー・クインのビジュアルだけは、100点だと思います。もうね、ホント、きちんとハーレー・クインが誕生するいきさつを、きっちり一本の映画にしてほしかった……それがあれば、もうチョイましになったかもしれなかったのに、あーあ……本当に残念だ。そうだ、あともう一つ、この映画でいいところがあった。終了後のおまけ映像は、ブルース・ウェインに政府高官の黒人女性がメタ・ヒューマンの資料を渡すシーンであった。ここでのブルースのセリフがすげえカッコいい!! ここは大変素晴らしかった。ちなみに、このおまけ映像のあとは何もないので、このシーンを観たらもう席を立って構いません。
 はーーーしかし、もう、いつものレビューのように、役者や監督について書く気力が沸かない……ので、ぶった切りですが、もう終わりにします。

 というわけで、結論
 何度も言うが、DCユニバースの問題は、「世界観を統一した大きな物語」が最初から設定されていない点にある。実に場当たりだ。この『SUICIDE SQUAD』という作品は、5本あとに作るべきだった。来年の『WONDER WOMAN』、『JUSTICE LEAGUE』をきちんと作り、その次に『BATMAN』単独作品を作り(その時のVillanはもちろんジョーカーとハーレークイン。デッドショットを絡めてもいい)、そしてその次は『The Flash』単独映画を製作して、Villanをきちんと描いて、そのあとで、作るべきだったとわたしは思う。
 なので、わたしはこの映画に対して、こう言って締めくくりたい。
 「……腐ってやがる!! 早すぎたんだ!!!」
 簡単に言うと、0点です。以上。

↓ わたしはとにかくこれが一日も早く観たいです。カッコいい!!!