時は1984年12月。当時中学生で、すでに順調に映画オタクへの道を歩んでいたわたしは、友人とともに朝イチでチャリにまたがり、有楽町へ向かった。目的は映画鑑賞。当時、金のない中坊のわたしは、毎回ではないけれど、有楽町までチャリで映画を見に行くことは普通だった。何しろ、往復の電車代でパンフレットが買える(当時のパンフレットは300円~400円が普通)のだから、家から有楽町まで片道23㎞ぐらいで、今のわたしなら1時間あれば余裕で行けるけるし、当時は1時間半ぐらいはかかったと思うが、まあ実際全く苦にはならなかった。むしろ、頭の悪い中坊としては、なかば「銀座はオレの地元ですけど?」みたいなアホな優越感で銀座をチャリで爆走したものである。全然地元じゃないのに。
 そして、その年の9月に完成したばかりの新築の有楽町マリオンの裏手にチャリを置き、向かうは11階の「日本劇場」、通称日劇である。その年の12月公開のいわゆる「お正月映画」は、3作品の「G」の対決だったことを明確に覚えている。一つは、丸の内ピカデリー1で公開される『Gremllin』 (グレムリン)。当時のわたしたちエロ中学生のアイドルだったPhoebe Catesちゃんも出ていたアレである。そして二つ目が、日劇東宝で公開された『ゴジラ』である。当時も相当久しぶりの『ゴジラ』で、昭和最後の、16作目の作品だ。そして最後の三つ目の「G」が、日本劇場で公開された『GHOSTBUSTERS』である。

 というわけで、その『GHOSTBUSTERS』が32年ぶりの大復活である。ま、実際は1989年に『2』があったので、ええと、そこから数えれば27年ぶりか。まあとにかく、新たなゴーストバスターズが、しかも主人公チームは女性にチェンジして復活するというニュースを知ったとき、そりゃあ有楽町マリオンに観に行かないとダメだろ、とわたしは反射的に思ったわけで、昨日、宝塚歌劇を見に行った後で、同行のヅカ仲間の娘っ子どもと別れた後、一人、マリオンへ向かったわけである。なお、娘どもは鼻息荒く、日比谷公園へポケモン狩りに向かいました。お前ら……ホント流行りモンが好きだなあ……。
 で。結論から言うと、実はそれほど内容的に期待していなかったのだが、実に面白く、大変楽しめたのであった。この映画はですね、3Dで観た方がいいと思いますよ。かなり、ゴーストやゴースト捕獲ビーム(?)が画面から飛び出して、その点もとても楽しめました。

 もう、物語は上記予告の通りだし、実際、ほぼ想像の範囲内である。ただ、わたしが一番、あれっ!? そうなの!? と思った点は、かつての32年前のバスターズたちのお話の続編、というわけではなく、完全に新たな物語で、32年前の設定を引き継いでいるわけではなく、「ゴーストバスターズ」という存在がすでに世に知られた世界ではない、という点だ。完全に新規ストーリーである点は、まあ、十分アリ、ではあると思うが、一方では、また同じ展開になる危険性もあって、そういう意味ではまたかよ、的な感想もありうる。
 まあ、だからこの作品は「続編」ではなく、いわゆる「リブート」なわけだが、その、観客の「またかよ」を回避するために考えたのが、「主人公たちを、女性にしちゃえばいいんじゃね?」というアイディアだろう。それは時代の反映かもしれないし、まあ、いろいろ理由はあるんだろう。結果的に、わたしは楽しめたので、この試みは成功したとわたしは思う。しかし残念ながら、興行成績的には、正直なところ期待ほどのヒットではないようなので、今後、続編が作られるのかどうかよくわからない。(※現状、US国内で123M$(=123億円)。この数字だけ見ると大ヒットだが、製作費が144M$だったようだ。また、US以外ではまだ71M$しか稼いでいない。こりゃちょっと厳しいか……)
 というわけで、わたしとしてはかなり誉めているわけだが、細かく見れば、脚本的な粗は結構ある、とりわけ、ゴースト捕獲・格闘用の各種謎アイテムは、はっきり言って全く何なのかよくわからないし、敵キャラの動機も浅く背景もほぼ描かれないので、お前はいったい何なんだ? と思わなくもない。
 でも、それでも楽しめたのは、全体のトーンが明るく笑わせてくれるもので、やはりキャラクターが生き生きしているのが一番効いているんだろうと思う。正直、わたしレベルの映画オタクでも、知っている役者は電話番としてやってくるアホな青年を演じた雷神THORことChris Hemsworth氏ぐらいだったのだが、4人の女性バスターズたちはとてもよかったと思う。もちろん、すっとぼけたTHORも大変笑わせてもらいました。
 主人公エリンを演じたのが、Kristen Wiigさん42歳。本作では、終身在職権間近の物理学(?)教授ということで、野暮ったい服と髪型といういで立ちだったが、まあ、実際の彼女はお綺麗なんじゃないすかね。意外とキャリア豊富な女優で、わたしが観た映画も結構あるようだが、どうも全然思い出せない。「サタデー・ナイト・ライブ」出身のバリバリのコメディエンヌですな。言ってみればまあ、いわゆる女芸人なんでしょうな。
 そしてエリンのハイスクールからの友達で、同じく学者だけど、超常現象の方をずっと研究し続けていたアビーを演じたのが、Melissa McCarthyさん45歳。この方も「サタデー・ナイト・ライブ」出身らしいすな。『BridesMaids』でアカデミー助演女優賞にノミネートされてるんですと。へえ~。
 で、ほかの二人のバスターズも「サタデー・ナイト・ライブ」出身のようで、それも当たり前か、と思う。なにしろ、オリジナルの32年前のバスターズたちも、まさしく「サタデー・ナイト・ライブ」出身者だったのだから。ちなみに本作では、3人のオリジナルバスターズたちがちょろっと顔を見せてくれて、そんな点はわたしのような回顧厨にも配慮がばっちりだ。Bill Murray氏は結構ちゃんとした役で出てくるし、Dan Aykroyd氏はタクシー運転手でちらっと出演する。4人目のバスターズとしてすっとぼけた黒人のあんちゃんだったErnie Hudson氏も御年70歳でしっかり顔を見せて売れたのもうれしかったし、オリジナルのヒロイン、映画史上最強ヒロイン・リプリーでおなじみのSigourney Weaverさんも、ラスト、未だお綺麗なお姿で、意外なキャラとして出てきてくれるのも、おっさん大歓喜でしょうな。唯一、オリジナルバスターズでもう亡くなってしまったHarold Ramis氏(丸メガネのメカ担当の彼)に対しては、きちんとエンドクレジットで「ハロルド・ライミスに捧ぐ」と出てくるのも、きちんと礼儀にかなっていると思う。そういう、オリジナルへのリスペクトはきっちり守られているのも、全体の空気感に影響しているんだと思う。やっぱりですね、こういう、いわゆる「リブート」では、誰もが知っているあの曲をきっちり使うのが一番ですな。あの曲が流れるだけで、気分も上がるもんね。というわけで、わたしはたいへん楽しめました。以上。

 というわけで、結論。
 もう、結論も何もないというか書いちゃったけれど、そうだなあ、32年前に、オリジナルを観て楽しんだ方なら、何の問題もなく、本作も楽しめると思う。ただ……オリジナルを知らない世代はどうなんだろうな……その辺はよくわからんです。ひょっとしたら、若者には通じない可能性もあるのかな。あとですね、会話の中に、かなり多くの映画ネタがちりばめられていて、その辺は映画道・黒帯所有者でないと通じなかったかもしれない。まあ、わたしが観た現在のマリオン11階にある日劇1は、結構女性一人客も多かったです、が、やっぱり年齢層チョイ高めだったすね。以上。

↓ なんか……もう「2」の内容を全然覚えてないんですけど……どんな話だったっけ?
ゴーストバスターズ 1&2パック [Blu-ray]
ビル・マーレー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2014-12-03