このBLOGで恐らく何度も書いていると思うが、2012年に公開された『Chronicle』という映画をわたしはいろいろなところで激賞している。低予算インディペンデント系のPOVムービーだが、非常に良い。役者陣の芝居もいいし、映像もいい、そして脚本も素晴らしいとわたしは思っているわけだが、この映画でわたしはDane DeHaan君という若い役者を初めて認識した。以来、Dane君の作品はなるべくチェックしている、というかほぼすべて観ているのだが、2014年公開のとある映画を見逃しており、非常に気になっていた。これまで、比較的Dane君はシリアスな映画ばかりだったと思うが、どうやらその映画はコメディらしい。Dane君がコメディ? ほほう、そいつは要チェックだぜ!? と思ったものの、日本ではごく小規模の公開であっという間に終わってしまっていた。なので、WOWOWでの放送があると知って勇んで録画予約し、さっそく観てみた次第である。 その映画のタイトルは、『LIFE After Beth』。非常に笑えて、意外と悲しい、なかなかの秀作であった。

 まあ、お話は上記の予告でほぼ語りつくされている。タイトル通り、『べス亡き後の人生』のお話である。愛する彼女(べス)が死んじゃった、もう生きる気力もわかない、どうしたらいいんだオレ、としょんぼりな主人公の元に、なぜか蘇って来た彼女。最初は大歓迎で、奇跡だと喜ぶものの、どんどん彼女は様子がおかしくなって行き、遂にはまごうことなきゾンビになり果てて……というお話である。ああ、そうか、今さら気が付いた。タイトルの意味は、「べスの後の人生」、つまり、「べスじゃなくなった後のゾンビとしての人生」という意味で、べスを亡くした男の子の視点での「べス亡き後どう生きよう」という意味ではなくて、むしろべス本人視点での意味か。なるほど、英語は難しいのう。まあ、脚本的には、彼女がゾンビになっちゃった! という一発ネタなので、ゾンビの彼女をどう描くかで話の方向性が決まると思うが、最初にそのネタをドカンと持ってくると、あとは萎むだけというような、単調でつまらない話になってしまう危険性があると思うが、この作品では、「だんだんゾンビになっていく」という過程を描くことで、主人公の男の子の心理もだんだん変化していくことになり、一本調子にならず、きちんと起承転結の付いた物語を描き切ってくれたと思う。わたしはこの作品、気に入った。似たような(?)作品の『Warm Bodies』よりこちらの方が好きかもしれない。
 おそらく、わたしにそう思わせた要因としては、役者陣がこちらの作品の方が好みであったからではなかろうか。まずは主人公のDane DeHaan君だが、いつもの彼は、なにか悩んでいたり、苦しんでいるような姿がおなじみのような気がするが、今回は、その妙な真面目ぶりが笑いをもたらしており 、いわゆるギャップで笑わせる演技を見せてくれる。たぶん、この作品はジャンル的には明確にコメディであろう。先日、山田洋次監督のトークショーで、「喜劇、お客さんを笑わせる作品が一番難しい」ということをおっしゃっているのを聞いたが、Dane君は意外とコメディにも似合うことが良くわかった。やっぱり彼は、演技派ですな。今後、シリアス系の演技で10年以内に必ずアカデミー賞候補になると信じてます。もっと早いかもな。あれっ!! もう今年で30歳になるのか……もっと若いと思ってました。まあ、今後のキャリアを楽しみに応援したいところです。
 そして、問題のゾンビ彼女を演じたのがAubrey Plazaさん。この人は元々コメディエンヌだそうで、今回の役も、とても笑わせていただきました。今年で32歳か。この人ももっと若いかと思ってた。一応主人公も彼女も、大学生(の卒業間近)という設定ではなかったかな? しかしこの方はなかなかいい演技で、わたしは非常に気に入った。かなり可愛いと思う。
 それから、ほとんどチョイ役ではあるが、何気に重要な役でAnna Kendrick嬢も出演している。わたしが愛してやまないハリウッド三大美女と言えば、Jennifer Lawrence嬢、Scarlett Johansson嬢、Amanda Seyfried嬢の3人だが、Anna Kendrick嬢も、まあ何番目か分からないけれど、うーん、7番目ぐらいかな……とにかくわたしにとってシングル・ランカーである。彼女がBroad Wayミュージカル出身であることは良く知られていると思うが、歌声も非常に良い。さらにわたし的にはちびっ子(160cmないはず)なのもいい。

  ↑これ有名なやつ。かわええ……。結構特徴のある顔立ちなので、名前を知らなくても見たことのある人も多かろうと思う。わたしは常々、Anna Kendrick嬢はTom Cruise氏に似ていると思っているのだが、どうでしょうか?

 というわけで、結論。
 本作『LIFE AFTER BETH』は、わたしとしてはかなり気に入った。が、まあ、万人向けではないと思う。ゾンビ映画だし。なので、Dane DeHaan君が最近気になって仕方ないという方に限定すると、この作品はおススメです。 しかし彼の髪は、ちょっと心配なレベルにデコが広いっすな。全く人の心配をしている場合でないわたしが言うのもアレだが、大丈夫か、Dane君!! 以上。

↓ Dane君鑑賞には、やっぱりまずはこの映画からお願いします。
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2014-06-18