以前読んだ「ハルチカ」シリーズの第2弾『初恋ソムリエ』を読み終わった。
 本作も、シリーズ共通のフォーマットで描かれており、いくつかの短編連作という形で、まずまず面白かった。
初恋ソムリエ (角川文庫)
初野 晴
角川書店(角川グループパブリッシング)
2011-07-23

 まあ、安定の面白さで特に書くことがないので、エピソードガイドで今日は終わりにします。手抜きでサーセン。しかし、カバーのイラストは、主人公たる穂村千夏さんなのだろうが、そうか、こんなに可愛い女子なのね、と今さら思った。彼女は、中学時代はバレー部所属だったが、清水南高校に入学してから吹奏楽を始めた女子高生だが、そういえばビジュアルイメージをずっと意識していなかったので、さっき初めてまじまじとカバーを見てしまった。手がでかいな。ま、どうでもいいけれど。

 というわけで、本作も4つの短編で構成されている。
 第1話「スプリングラフィ」は、春太と千夏が2年生に上がる直前の春休みを舞台に、音楽室に忍び込む謎の生徒を追う話である。その生徒が何者かはすぐに判明するのだが、そしてその何者かは、どうやら音楽のプロを目指しているほどの人物で、何のために音楽室に忍び込むような真似をしているのか、春太と千夏が謎を追いかけ、意外な事実が判明するというお話。
 第2話「周波数は77.4MHz」は、変人・生徒会長から、ブラックリスト十傑の一人、地学部長を連れて来いという依頼を押し付けられた千夏が、捜査を続けるうちに、はまっているコミュニティFMのDJをやっている男の意外な正体が判明する話。この話で、また一人、吹奏楽部の仲間が増えることになる。
 第3話「アスモデウスの視線」は、春太と千夏が大好きな草壁先生が倒れてしまったことから、その原因となったライバル校の藤が咲高校吹奏楽部顧問の先生の休職の理由を探る話(「の」が多い!! サーセン!!)。複数回行われた席替えは、先生の休職とどう関係しているのか? 藤が咲高校吹奏楽部の部長や教育実習生から事情を聴くうちに、どうやら教室内でとあることが行われていたことが判明し……というお話。
 第4話「初恋ソムリエ」は、第1話で準レギュラー化するプロ音楽家志望の女子から千夏が依頼を受ける話。なんでも、3年生の朝霧という男子生徒と叔母が学校内で会っているとか。朝霧という生徒は何者なのか、そして「初恋ソムリエ」とはなんなのか、を追う話。やはり彼もどうやらブラックリスト十傑の一人で、「初恋研究会」の代表らしく、吹奏楽部部長の片桐くんとはいろいろな因縁がある人らしいのだが……というところはではすぐに判明する。この話では、「記憶と匂い」の関連性について面白い話が展開されていて、前巻の『退出ゲーム』第4話では「記憶と音」の興味深い話が書かれていたが、今回は「匂い」と「味」である。お話としては結構シビアな重い話だが、面白かった。

 というわけで、今回も春太と千夏がいろいろな謎に挑むのだが、基本的には千夏は特に謎解きには貢献していない。だが、千夏の天然の率直さというか常識人たる純粋な驚きや感動が、重くなりがちな謎解きにおいては非常に救いとなっているわけで、とてもバランスはいいと思う。
 また、各キャラクターも非常に生き生きとしていて読んでいて楽しいし、まあ、ちょっとコイツらスーパー高校生すぎるんじゃね? という部分はあるけれど、十分許容範囲内だろう。前作で仲間になったマレンや成島さんもすっかり溶け込んでいて、とても重要な役割を果たすし、今回新たに仲間になったカイユも非常にナイスキャラである。また、芹沢さんは今後仲間になってくれるのか、非常に気になる存在だ。清水南高校生徒会からマークされている「ブラックリスト十傑」も、極めてキャラが立っていて、面白い変人ばかりである。ちょっと、これまでに出て来た「十傑」メンバーを自分用備忘録としてまとめておこうかな。
 日比野秀一:生徒会長。春太と千夏の1つ先輩。
 名越俊也くん:演劇部部長。春太と千夏と同級生
 萩本 肇くん:発明部部長。春太と千夏の1つ先輩。
 萩本 卓くん:発明部部員。肇の弟。春太と千夏と同級生。
 麻生美里さん:地学研究会部長。春太と千夏と同級生。
 朝霧 亨くん:初恋研究会代表。春太と千夏の1つ先輩。
 ええと、今のところ5人まで判明しているわけか。全員出てくるんだろうか? それとも見逃してるのかな?まあ、いいや。

 というわけで、結論。
 面白い。1月からのアニメがちょっと楽しみになってきた。前回も書いたが、くれぐれも変な萌えアニメにならないことを祈りたい。

↓ これが初野先生のデビュー作。ちょっと読んでみたくなってきた。
水の時計 (角川文庫)
初野 晴
角川書店
2005-08-25