本当なら、黒部ダム周辺をいろいろ散策して、紅葉には早いが大自然を満喫しようとは思ったのだが、今日はまあ偵察という事で、人で混雑しないうちにさっさと黒部ダムは離脱した。戻ってきたら、来た時は10台ぐらいしか止まっていなかった駐車場も、結構混んできていた。ちなみに、写真の駐車場が、駅のすぐ前の有料駐車場で、料金1,000円ナリ。少し下に下がったところには、無料駐車場もあるが、そこはもう帰りには満車だった。
kurobe_parking
 で。 この時点で、時刻は11時前ぐらいだったと思う。車に戻り、ナビを「四季演劇博物館」にセット。距離は扇沢から11kmほど、20分もあれば着く。途中、「七倉ダム」「高瀬ダム」に至る分岐点があったが、今日はスルー。しかし、帰って来てから調べて知ったのだが、「高瀬ダム」は、黒部ダムに次ぐ日本第2の大きさを誇るダムで、しかも、今月初めの山口県で見たのと同じ「ロックフィル方式」で、日本最大のロックフィルダムなんだそうだ。おまけにそこには自家用車では行けず、環境保全のため(?)だと思うが特定タクシーに乗っていくしかない、かなり秘境度の高いスポットらしい。その建築の過酷な状況は、曽根綾子先生による小説「湖水誕生」に描かれているそうだ。うーん、行ってみればよかったかも……。
湖水誕生 (中公文庫)
曽野 綾子
中央公論社
1988-04

 と、そんなことも知らずに、分岐を通り過ぎ、あっという間に第2の目的地である「四季演劇資料館」に到着した。しかし……ほんとに我ながらアホすぎるのだが……テンション上がってて、全然写真を撮るのを忘れてて、はっ! いっけねえ!! と気が付いた時は既に次の目的地に向かっているところで、かろうじて、あっ! と撮影したのがこの写真。
siki_kanban
 まあ、詳しくは、劇団四季の公式Webサイトを見てもらった方がいいと思う。黒部ダムのWebサイトにも、周辺地域の紹介ページに結構詳しく載ってます。ちなみに、入館料は下の画像の通り600円ほど。熱心な劇団四季ファンにとっては、ある意味聖地的位置づけかもしれないが、わたしも興味深く見学させていただいた。
siki_ticket
 わたしは、大学院では、ドイツ近現代戯曲を専門にしており、指導教授は、もう亡くなってしまったのだが、翻訳や演出では有名な男だったので、日本の戦後黎明期の築地小劇場などの演劇については良く話を聞かされたものだ。浅利先生にも、石原慎太郎と日生劇場を作るときの話を伺ったことがある。劇団四季は1953年に結成され、もう60年ほどが経過している。もちろん、近年では輸入ミュージカルでおなじみだが、当然ストレートプレイもオリジナルも、ずっとずっとやってきた老舗だ。この「四季演劇資料館」は、その歴史について学べる、貴重な場所である。また、広大な敷地内には、巨大な倉庫がずらーーーーーっとあって、うおー、マジか、すげえなー、という景色が広がっている。倉庫内は見学できないが、その規模はただただ、すげえ。と思わざるを得ない。
 以下、もらったパンフのスキャン画像を置いときます。劇団四季ファンは、一度行ってみるといいと思うな。
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 なお、冬の間は閉館となっていて、見学できるのは4月最終土曜日から、11月の最終日曜日まで、だそうだ。まあ、要するに閉館期間は雪深く、とてもじゃないが、スタッドレスも持っていない東京もんが近づけるところではないのだろう。ということは、また行けるのは来年の春以降か。
 と、言うわけで、四季演劇資料館も、滞在時間は1時間ぐらいだったかな。すぐそばに日帰り温泉施設なんかもあり、曇り空だったのが残念だが、晴れた日にはまわりの山々の景色も非常にきれいで、開放感があって素晴らしいロケーションだと思う。また、思い立ったら行ってみよっと。

 次に向かったのは、今回の最終チェックポイントである「大王わさび農場」である。四季演劇資料館から25kmほど、まあ30分ほどで行けそうな距離である。道も、行きに来た道を戻れば大丈夫なので、のんびりとドライブ。道中は、そば畑と水田が広がり、所々で稲刈りが始まっていて、コンバインがせっせと仕事をしているような感じだった。そんなカントリーロードを『耳をすませば』ばりに鼻歌まじりで車を飛ばし、ごくあっさり「大王わさび農場」に到着。が、しかし、この時点ですでに12時半ぐらいで、農場は人であふれ、わたしとしてはかなりうんざりモードになっていた。こりゃ、あかん。もういいかな……別に……と一瞬さっさともう帰ろうかなという気持ちになったのだが、せめて、一度は訪れたかった「水車のある村」だけは見たいな……はてそれは一体どこじゃろか、と探そうと思ったら、駐車場の横の清流がまさにそれで、おお、これだこれ、まさしくここだ! と発見して一気にテンション上昇、大興奮、である。↓ こんなところ。すごくない? 超Beautiful!
Azumino
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 これがまさしく、黒澤明監督作品、『夢Dreams』の最終話に出てくる村の風景で、すげえ、こりゃきれいだ!! いやー、来てよかった。と、あっという間に気分もよくなった。Wikipediaによれば、後年、かの宮崎駿氏は、このシーンの美術をやりたかったなーと発言しているそうだ。たしかにジブリっぽさもあって、日本の原風景めいた、ぼんやりと眺めているだけで落ち着く風景だと思う。
 なお、2枚目の写真にもちらっと写っている通り、どうやらゴムボートで遊覧できるらしい。が、やはり人出が多く、今回はやめておいた。それと、この風景はもうすでにかなり狭い範囲しかなく、しかも人出が多いので、あまり長時間ぼんやりとはできない感じでした。やっぱりボートに乗るべきだったかも……。

 以上で、すべての目的地を堪能し、大王わさび農場で蕎麦(ごく普通のうまさで、特に感動はナシ)も食ったところで、さっさと帰ることにした。 農場から安曇野インターまではすぐなので、そこから長野道→中央道→首都高とほぼ渋滞もなく、帰ってきたのが16時半ぐらい。高速は混んでなかったのに、高速を降りてからうちまでが慢性的に混んでいて、一番イライラしたのが、毎度のことながら残念だ。

 というわけで、3回にもわたって無駄に長くなってしまったが結論。
 黒部ダムは、朝イチに家を出れば、日帰り余裕である。意外と近く……はないけど、超遠いと言うほどでもなかった。ただ、やっぱりちょっと、日帰りはもったいなかったかもね。もっともっといろいろ、楽しげなスポットはあるようなので、今後は毎年1回ぐらいは訪れてみたいと思う。とても魅力あふれたところだった。

 ↓ マズイな……なんだかどんどん、ダムカードが気になってきた……イケナイ道に迷い込みそうな気がしてならない……
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宮島 咲
スモール出版
2012-04

 ↓ てなわけで、コイツも気になってしょうがない……もはや買うしか……!