2020年12月

 現状でわたしが最も美しいと思うハリウッド美女と言えば、Cate Blanchett様とGal Gadot様のお二人なわけだが、実のところお二人とも、メリケン人ではない。Cate様はオーストラリア人だし、Gal様はイスラエル人だ。まあ、そんな出自は全くどうでもいいんだけど、Gal様は軍務経験を持つ、実にワンダーな美女であります。さっき調べて初めて知ったけど、イスラエルって全国民に兵役義務があるってわけじゃないんすね。キリスト教徒などは義務じゃないそうな。そうだったんだ。へえ~。
 で、今般、Gal様の最大の当たり役として名高い(?)『WONDER WOMAN』の続編『WONDER WOMAN1984』が公開されるに至ったので、わたしもさっそく観てまいりました。とにかくあのコスチュームが超・似合っており、あのダイアナに再びスクリーンで再会できることは非常なる喜びで、わたしも初日の金曜日、会社帰りに観てきたわけですが……まあ、結論から言うと、面白かった部分もある、けど、なんか微妙というか……次回作はもうどうでもよくなっちゃったような気がしてならない。なんつうか……全体的にお優しすぎるというか、テキトーすぎるというか……うーん……キレがないっつうか……。。。まあ、ちょっといろいろ思ったことを書いてみるとします。
 というわけで、以下、重大な?ネタバレも書くかもしれないし、ネガティブ感想になる気配なので、まずは劇場へ観に行ってからにしてください。まだ見てない方、あるいは、この映画を最高だぜ! と思った方はこの辺で退場してください。その興奮を台無しにするのは本意ではありませんので。さようなら。

 はい。じゃあよろしいでしょうか。
 本作、『1984』の予告を初めて見た時、わたしが、ええっと、これって……? と謎に思ったことが二つある。恐らく誰しもが疑問を抱いたことだろう。
 【1.スティーブ・トレバー復活の謎】
 そもそも、前作『WONDER WOMAN』は1918年の第1次世界大戦終結あたりの時代を描いたものだ。で、主人公のWONDER WOMANことダイアナ・プリンスは、それまで謎バリアで覆われていた島ですくすく育っていたけれど、ある日撃墜された軍用機がその島近くに墜落し、搭乗していたパイロット、スティーブを救い、世界に広がる邪悪な意思をとめるために島を出奔し、第1次世界大戦を終わらせる働きをする、という物語だ。そしてその戦いと旅の道中で、完璧にスティーブと恋に落ちていたダイアナは、スティーブを亡くしたことで完全に心閉ざし、21世紀の現代まで老いることなく暮らしている、てな設定があったわけです。
 な・の・に! スティーブが生きてるってどういうことよ!? と誰しも思うはずだろう。答えから言うと、今回の謎アイテムの力によって一時的に生き返っただけなのだが、この復活したスティーブとダイアナのイチャつきぶりや、その後のつらい別れは、大変エモーショナルであったので、わたしとしては十分アリ、面白かった、と言っても良いと思う。そう、この点は非常にイイのです。でもなあ……。。。
 【2.なんで1984年?】
 例えば、Marvel Cinematic Universにおける『CAPTAIN MARVEL』は舞台が1995年だったわけだけど、その年代設定にはきっちり理由があって、1995年でないとダメ、である意味があった。が……まあ、ズバリ言えば本作は「1984年」を舞台にする意味はほぼなかったと思う。アレかな、冷戦構造が舞台装置として絶対必要だったのかな? いやいや、現代でも全く問題ないと思うんだけどね……。ひょっとしてアレかな、ダイアナが現代では人類に失望している、という設定上、現代より前にしなきゃいけなかったのかな? でも、1984年である必要性はゼロだっただろうな……いっそキューバ危機の60年代にした方がより一層分かりやすかったのでは? あ、まさか!? George Orwell氏の名作『1984年』にからめてるのかな?? でも監視社会とか、そんなフリは特になかったよな……ラストのトンデモ「電波ジャック装置」がそれなのか?? そういうこと? わからないけど、これは結局、単に監督が80年代を舞台にしたい、と「思いついただけ」なんじゃなかろうか。その思い付きが効果的だったかどうかは、極めて疑問だね。まあ、なんつうか、この点がすっきりしないのも、なんかキレがなかったす。
 で。以下、続けて気になった点などを箇条書きにしてあげつらってみたい。
 【3.謎魔法石のテキトーさにしょんぼり】
 本作は、ダイアナの勤務するスミソニアン博物館(※スミソニアンは複数の博物館からなる複合体の総称です。航空宇宙博物館も含まれる)に、ある日謎の魔法石が持ち込まれるところから始まる。それは盗品で、FBIが鑑定依頼してきたものなのだが、ちょうどその日入所したばかりの鉱石学者、バーバラが見ても、よくわからない。しかし世界の言語に通じているダイアナが見ると、その基部には、ラテン語で「一つだけ望みをかなえる」方法が記してあることが判明する。望みをかなえるって? 何それ、そんなのあるわけないじゃん……と誰もが思ったものの、ついうっかりダイアナは、愛しのスティーブを生き返らせて、と願ってしまう。結果、まあ、それでスティーブは復活すると。そして、見栄えも悪くて性格も超内向的なバーバラも、ついうっかり、ダイアナみたいな女性になりたい、と願ってしまい、ワンダーな力を得てしまう。さらに、ずっとその魔法石を追っていた悪い奴が、バーバラを口説いてまんまと石を手にすると。そして悪いことをしでかす、が、当然ダイアナはそれを阻止しようとするが……てな展開だ。
 この魔法石のポイントは二つあって、一つは、「願いをかなえる代わりに、大切な何かを一つ失う」ことであり、もう一つは、「願いを取り消すことが可能」な点だ。でも、この重要なポイントがテキトーなんすよね……残念ながら。
 まず、「願いには代償が求められる」点に関しては、ダイアナはうっかりスティーブ復活を願ってしまったために、自らのワンダーなパワーを失ってしまうのだが、それはもう、非常にGOODな設定であったと思う。後に、スティーブを取るか、ワンダーな力を取り戻すことを選ぶか、という強制的な二択に陥るダイアナは素晴らしかった! けど、なんで「望み」は即叶い、「代償」はジワジワとだんだん失っていくのだろうか? なんか、ご都合よすぎて萎えたっすね……。即、スーパーパワーが失われてしまった方がよかったのではなかろうか……。さらに言うと、バーバラが失ったものは、人間性のようなものだったのかな? なんか正直分かりにくかった(バーバラはスーパーパワーを得てからも、ちゃんとダイアナの手伝いを頑張ってた)し、悪党も、ありゃ健康を失いつつあったのかな、要するに、変化の落差がはっきりしておらず、実にキレが悪かったと感じられたっすね。。。
 そして「願いは取り消せる」というポイントも、「やっぱり取り消すわ!」と怒鳴るだけで即時発効するのも、なんかあっさりしすぎてガッカリしたっす。ついでに言うと、魔法石の由来についても実に浅くて、なんか……物語的には石の背景に関してはほぼ語られなかったすね。なんとか邪神の作った石、みたいなごくテキトーな説明だけで、ガッカリす。その邪神って何者で何のために作って悪党はどうしてその存在を知ってたんだよ、とか、いろいろ疑問は沸くのだが……。
 【4.DC-EUには何の影響もなし、なのか??】
 昨今では、DCコミックスのいわゆる「EXTENDED UNIVERS」は崩壊してしまっているのかもしれないが、どうやら本作は、DC-EUには何のかかわりもなさそうなのが実に残念であり、ガッカリしたポイントだ。何でも、来年Warner配下のHBOの配信で『JUSTICE LEAGUE』のスナイダーカットが公開されるらしいし、『JUSTICE LEAGUE』に出演したキャストや本作の監督らは、劇場公開された『JUSTICE LEAGUE』に関して完全否定するような意見を表明しているが、わたしはそのことが実に不愉快だし無責任だと思っている。アレはナシ、となかったことにしたいなら、観た観客全員に返金してからにしてほしいし、キャストもギャラを返してから批判してほしいものだ。ナシにできるわけないじゃない。観ちゃったんだから。
 何が言いたいかというと、わたしにとっては、ワンダーウーマンというキャラは、21世紀まで人類に失望して表舞台に出てこないキャラであってほしいのです! そうじゃないと、地球が崩壊寸前までいったMan of Steel事件の時にダイアナが介入してこなかった理由がなくなる! ついでに第1次大戦には介入したダイアナが第2次世界大戦に介入しなかった理由もなくなる! のです! でも、本作で描かれた事件は、1984年に起きた事件としては超・大事すぎるように思えて仕方ないのであります。
 だって、今回の事件は、もう完璧に人類史に残る相当な大事件だぜ? 詳しい年代は忘れたけど、DC-EUにおけるブルース・ウェインは1980年代生まれだったと思うので、本作の事件の際には生まれてたとしても幼児だったはずだけど、ブルース・ウェインが成長後に1984年の事件を調べないはずがないし、ブルース・ウェインが、今回の事件の背景にワンダーウーマンがいたことを突き止めないわけないと思うんだけど……。こういう点がホントにWarner=DC映画のダメなところなんだよな……。MARVELなら、絶対に何かキッチリと整合性をつけようとするのになあ。もう、いろいろテキトーすぎるよ!! と感じました。ただし、本作を観る人の9割がたはそんなことは全く気にしないと思うので、完全なるイチャモンであることは自覚しています。まあ、クソオタクとしては、どうしようもないす。
 というわけで、最後に各キャラと監督に関するメモを少し書いて終わりにします。
 ◆ダイアナ・プリンス=ワンダーウーマン:1918年に故郷を出奔し、愛する男との別れを経て、1984年までの66年間をどう過ごしていたのかは全く不明。そしてこのあと2016年のバットマンとスーパーマンの大げんかに割って入ってくるまで、32年間どうしていたのかも全く不明。今回、わたしが一番最高だぜ!と歓喜したのは、ついにダイアナが空を飛べるようになった!ことでしょうか。元々の原作コミックでも、ワンダーウーマンは飛行能力持ちなので、うれしかったすね。でもさ、それならどうしてDC-EUでは今まで飛べてなかったんだよ、と当然ツッコミたくなりますな。そして演じたGal様はもちろん最高なんすけど、なんか今回、パワーを失いつつある描写の時の表情がまるで別人のように美しくなく、一瞬、パワーを失うと美貌も失われるのか? とマジで思うぐらい可愛くなかったす。しかし、せっかくのあのウルトラカッコイイ「ゴールデンアーマー」も、実にテキトーだったすねえ! どこで発掘してきたんだよ。。。せめて、魔法石を封じる/対抗するためのキーアイテムとかであってほしかった! そしてそのアーマーをゲットするために、もう一度故郷に戻るとかいう展開だったらよかったのになあ。。。冒頭の故郷での幼少期のシーンも、ほぼ意味なかったすな。なお、ゴールデン・アーマーの本来の持ち主である「アステリア」というキャラにほんの少し言及されますが、なんとエンディング中盤のおまけシーンでLynda Carterさん(もちろん70年代のTVシリーズ版ワンダーウーマンのお方)が演じるお姿でチラッと登場します! これ必要だったのかなあ!? ま、メリケン人大歓喜なんでしょうな。
 ◆スティーブ・トレバー:ダイアナの永遠の恋人。うっかり願ったばかりに、現世に復活。でも、実は魂だけの復活で、全く見ず知らずの男に憑依したって設定も、テキトーでしたなあ……憑依された男の人生については何の言及もなく、ある意味、数日間人生を奪われたわけで、ひどい話だと思います。演じたのはもちろん前作同様Chris Pine氏。なんか、40歳になってイケメン度が下がってきたような……。
 ◆バーバラ:若干コミュ障の鉱物学者。真面目でやさしい。が、うっかりダイアナのような溌剌とした女になりたい! と願ってしまい、さらに手にしたパワーを失くない気持ちが勝り、ヴィラン化してしまうかわいそうな女子。そのままで十分魅力的だったのになあ。演じたのは、サタデー・ナイト・ライブ出身のコメディエンヌでお馴染みKristen Wiigさん。47歳だって? おおう、もっと若いかと思ってた。演技ぶりは大変結構だったと思います。
 ◆マックス・ロード:今回の悪い奴。魔法石の存在を最初から知ってて「俺自身を魔法石にしてくれ」という裏ワザ的な願いを叶える男。そのため、自分の願いはもう消費済みなので、周りの人間に自分の望みを願わせるというやり方で、世界を混乱に陥れる。どうでもいいけど移民で苦労人という設定。でもありゃ、まあ、単なる出資詐欺師ですな。そして結局、自分の子供ために、願いを取り消すという、お優しい結末に。全く感動しなかったね。演じたのは最近では「THE MANDALORIAN」でお馴染みPedoro Pascal氏。チリ出身で、1973年のクーデターでデンマークに両親亡命後、メリケン人になったそうですな。
 で、監督は前作同様Patty Jenkins女史なわけですが、世間的にこの方の評価が非常に高く、今後STAR WARSにも参加するそうですが……はっきり言ってわたしは全く好みじゃあないですな。監督としての手腕は、もちろんハイレベルではあると思うけれど、脚本はやらない方がいいんじゃないかしら。なにかと政治的メタファーめいた設定だったり、お優しいキャラ設定だったりは、全く好きではありません。それに、どう考えても本作の上映時間151分は長すぎるよ。120分で十分だったのではなかろうか。冒頭のシーン要らないし。冒頭のアマゾンレースは、ズルしちゃあかんぜ、ということを示すために意味があると、5万歩譲って認めるとしても、ショートカットしたことがルール違反とか言う前に、そもそも流鏑馬的な奴を一つ失敗してるんだから、その時点で失格じゃんか。怒るポイントがズレてんじゃね? つうか、そもそも1984年に時代設定した意味もほぼないしさ、エジプト(?)のあんな砂漠のど真ん中で、偶然ガキがチョロチョロ道に出てくるか?? ああいうとってつけたような描写は違和感しか感じなかったす。

 というわけで、結論。

 とても楽しみにしていた『WONDER WOMAN1984』をさっそく観に行ってきたのだが、面白かった部分ももちろんあるけれど、残念ながら判定としては微妙作、と結論付けたいと思う。なにしろ、いろいろテキトーすぎるのではなかろうか。時代設定の意味もほぼなかったし、最大のキーアイテムである「魔法石」のテキトーさが、なんだか見ていて釈然としなかったす。さらに言えば、アクションシーンは、そりゃもう迫力満点で素晴らしいけれど、これは演出なのか脚本なのか、両方なのか……とにかく、なんかキレが感じられなかったすね。あと、せっかくの素晴らしいワンダーウーマンというキャラクターも、例えば、自分だってさんざん悩んだのに、ヴィランに対しては「じゃあ仕方ない」とあっさりぶちのめす、みたいな行動は、どうも違和感があるというか……モヤモヤしたっすね。要するに、詰め込み過ぎたのではなかろうか。そういう微妙な点が多くて、結論としてはイマイチ判定せざるを得ないす。この監督の作品は、今後は積極的に観に行こうとは思わないかもしれないな。Gal様の美しさは満点なので、Gal様映画は今後も観に行くと思いますが。以上。

↓ Gal様の出演するコイツが早く観たい。。。公開延期が残念す。

 もう30年前なのか……と、ちょっと調べてみて驚いたのだが、30年前、わたしは大学生から大学院生になるころで、すでに完全なる映画オタで、さらに言うと、わたしはドイツ文学科で戯曲を研究してたのだが、当時、わたしの専門外の「フランス戯曲」やShakespeare作品、さらにはロシア文学についても日本語で読めるものは結構かたっぱしから読んでいた時代があった。
 フランス戯曲と言えば、モリエールとかの喜劇が一番有名(かな?根拠ナシ)かもしれないが、わたしが読んで一番「コイツは面白い!」と思った作品が『CYRANO DE BERGERAC』という作品である。
 実はこの作品を読んでみたのは、大学生になったばかりの頃に観たハリウッド映画『ROXANNE(邦題:愛しのロクサーヌ)』が超面白くてグッとくるお話で、その原作に『CYRANO』という戯曲があることを知ったためだ。
 とにかく、主人公がカッコイイ。強いて言えばラオウ様的な? 強くて優しく、どんな困難の前でも決して自分の信念を曲げない主人公の生きざまに、まだクソガキだったわたしはもう、ぞっこん心酔(?)したのであります。
 で。わたしは『CYRANO』という作品は80年代終わりごろには知っていたのだが、その『CYRANO』が完璧に映画化された作品が今度公開される、というのをフランス語が堪能な哲学科の友達に教えてもらい、うおお、まじかよ、そりゃ観ないと! という勢いで当時渋谷のBunkamura単独で公開された映画を観に行ったのでありました。それが1991年のことだったらしい。そしてその時の前売り券の半券がこちらです。
CYRANO
 一応説明しておくと、わたしは映画オタなので、余人には全く理解されないような、ごみ同然のモノでも何でも収集しておく癖がある。ので、いまだ手元に30年前の映画の前売券の半券が残っているのだが、ご覧の通り、なんと3枚も持っていた。さっき思い出したけど、確かにわたし、渋谷に3回観に行ったすね。1回目は一人で。2回目はその哲学科の友人と。そして3回目は当時わたしが一番好きだった女子と、それぞれ観に行って、1回目はうっかり泣いてしまったぐらい好きな作品だ。ちなみにサントラCDも持っているぐらい、音楽も最高で、いまだに車で聴いたりしているし、とにかくこの映画は、わたしの生涯ベストに確実に入る作品であろうと思う。わたし、この映画を観て、「くっそう、オレは何でドイツ語を選んだんだ……フランス語にすりゃあ良かった……!!」と思ったことも思い出しました。とにかくセリフが流麗で、原語で読んでないから原作通りなのかわからないけど、要するに韻文で、発声すると美しい歌、のようにセリフが華麗なんですよ。現代的に言えば、ラップ的な? もう完璧な映画化で、完全フランス語な作品なのに、Wikiによればその年のアカデミー賞に5部門ノミネートされて、受賞したのは衣装デザイン賞だけかな、とにかく美しい!作品なのであります。もちろんフランス本国でのセザール賞は10部門受賞と、その当時大変話題になったりもしていて、わたしも映画版を観た後に興奮して指導教授に熱く感想を語ったところ、日本でもさんざん上演されてる戯曲だし、ひょっとしたら、世界で最も上演回数の多い作品かもしれないよ、なんてことを教えてもらったりした、思い出の多い作品なのであります。
 はい。以上は前振りであります。
 その、わたしの大好きな作品『シラノ・ド・ベルジュラック』が、わたしの愛する宝塚歌劇で上演される日が来たのであります!! やっほう! コイツは絶対観ないと!! と鼻息荒く、チケットもすぐに師匠に譲ってもらって入手したのだが……実はそもそもは東京では6月に赤坂ACTシアターだったかな、で上演される予定だったのに、COVID-19感染拡大によって上演はすべて中止となってしまったのでありました。超しょんぼりしたっす。。。しかし、その後の状況の変化によって、東京での上演は行われないものの、梅田芸術劇場シアタードラマシティにて、たった14公演だけ、上演されることとなったのでありました。
 わたしとしては、大好きな『シラノ』を観ないわけにはゆかぬ!! と思い、宝塚友の会でのチケット申し込みを行い、奇跡の3列目! という良席チケットをゲットしたので、やったーー! わーい! とか喜んでいたものの、折しも感染拡大は続き、果たして、わたしは大阪へ行って良いのだろうか……と正直悩みました。が、結論としては、完全防備体制で昨日、のぞみをぶっ飛ばして行ってきた次第であります。まあ、新幹線はほぼガラガラだったし、一人なので誰ともしゃべらず、マスクを外すこともなく、事あるごとに持参の消毒スプレーで手を殺菌していたので、出来ることはすべてやった、と思いたいものです。※自分用メモ:8:30ぐらいののぞみで大阪へ。11時過ぎころ到着。梅芸へ直行、14時半過ぎぐらいに終わり、すぐ大阪駅から新大阪を経て15時07分ののぞみで東京へ、と、思い返すと昼飯も食わなかったし、マジで誰とも一言もしゃべらなかったような気がするな。。。
 ともあれ。わたしは梅芸メインホールに1回だけ行ったことがありますが、ドラマシティは初めてでした。
ドラマシティ
 なんか、劇場の大きさとしては、東京で言うと青年館ぐらいなんすかね? ステージの幅がやっぱり少し小さいかな、こじんまりした感じだったと思います。そして、こちらがプログラムであります。なお、こちらも土曜日に日比谷のキャトルで先に買ったので、梅田では買ってません。遠征の際は、どうしてもプログラムが邪魔になるので、そういう時は先にキャトルで買っておくものよ、とヅカ友の超美人の淑女に教えていただいていたので、きちんとその教えを守ったっす。そうだよ、おれ、昨日、まったく財布触ってないわ。新幹線での飲み物はSuicaで買ったしな。
シラノ
 さてと。本公演は、「星組公演」となっていますが、ご覧の通り、主人公のシラノを演じるのは、宝塚歌劇団が誇るレジェンド、専科の轟悠さんであります。常々、轟さんは「理事」と呼ばれておりましたが、その理事職も先日お辞めになり、現在は「特別顧問」という職についてらっしゃいますので、わたしも今後は「顧問」と呼ばせていただこうと存じます。
 で、その顧問演じるシラノですが、シラノはそもそも、鼻がデカくてブサメンであることがコンプレックスになってるわけで、重要なファクターなんすけど……もう、どこからどう見てもカッコイイ、超イケメンなんですけど、どうしたらいいんすかもう! やっぱり顧問はカッコいいすねえ! 立ち姿からして、超・キマッており、また今回は衣装も実に美麗で、非の打ちどころがなかったすね。顧問に関しては、結構厳しい意見をお持ちのヅカ淑女が多いですが、わたしはやっぱりすごい人だと思うし、カッコ良さは別格だと思います。確かに、歌のパワーは落ちているのかもしれない、けど、はっきり言って存在感は完全に別次元ですよ。現在の5人のTOPスターすら凌ぐと思うすね。そして、そんな顧問にはシラノという役は超ピッタリでした。
 ただですね、今回の上演は、お話的に正直かなりはしょられていて、若干駆け足展開だったのが残念です。普通の宝塚歌劇の大劇場作品は、2幕モノだと90分∔60分、あるいは80分∔70分、みたいに2時間半がデフォルトなんすけど、今回は75分∔50分=2時間5分とちょっと短めでした。ホントはもっともっと、カッコいいんすよ。なお、ラストの「心意気だ!」で終わるのは原作通りなので、元々の原作や映画を知らない人は、あそこで終わるのはちょっとびっくりしたかもしれないすね。そういう意味でも、本公演を観る淑女の皆さんは、きちんと原典を予習していただきたいと思ったす。
 では以下、そのほかのキャストについて短くまとめて終わろうと思います。
 ◆ロクサーヌ:シラノの従妹の超美人。実際、男のわたしからすると、なんだよ、結局イケメン好き、男は顔なのかよ、と非難したくなる女子だけれど、ラストに至る流れですべて許します。男はやっぱり中身で判断してほしいす、とブサメンのわたしとしては願いたいところであります。で、今回のロクサーヌを演じたのは、99期生の小桜ほのかちゃん。歌うまとしてもお馴染みですな。今回も勿論、素晴らしい歌声を聞かせてくれました。芝居もいいですねえ! わたし、なんか今回のほのかちゃんを見ていて、元雪組TOP娘役の咲妃みゆちゃんに似てるように感じました。まあ、ゆうみちゃんレベルにはまだチョイ鍛錬が必要かもしれないけれど、十分その力はあると思うので、今後ますますの活躍を願いたいし応援したいすね。
 ◆クリスチャン:超イケメン、だけど文才がなく、シラノにラブレターの代筆をお願いすることに。でも、ただの頭の悪いイケメンではなく、シラノとロクサーヌの気持ちにも気が付ける心を持つ。馬鹿ではない。演じたのは、ますます色気と実力が高まっている瀬央ゆりあ君。せおっちは研9ぐらいからホントにグイグイ成長してきていて、今回はとりわけ歌がとっても良かったすね。見た目の華やかさも増しているし、わたしとしては、素直に星組2番手にしてあげたい気持ちす。人気実力ともに全く問題ないと思うんだけどなあ。とにかくカッコ良かった。今回は3列目(1列目は販売してないので事実上2列目)の超いい席で、生声も聞こえたし、キラキラオーラも溢れまくってるのが最高でした。
 ◆ド・ギッシュ伯爵:一応、本作では悪い人。結婚してるのにロクサーヌの美貌にぞっこんで愛人にしようとしたり、ロクサーヌがクリスチャンが大好きと知るや、クリスチャンとシラノを戦場に送ったりして、基本嫌な奴(だけど後に改心する)。演じたのは、91期首席のみっきぃでお馴染みの天寿光希さん。みっきぃさんも美しいですなあ。嫌な奴のお芝居もお手の物すね。大変結構だったと存じます。
 ◆ラグノオ:パリの街のパン屋さん(つうかパティシエ)で、詩を愛する男で、貧乏な詩人たちに店のパンやケーキをふるまったりしている男。シラノとも仲良し。映画版などでは、ラグノオは太っちょなおっさんなんだけど、なんと今回ラグノオを演じたのは、星組の期待の若手スター、極美慎くんですよ! 恐ろしくカッコいいラグノオでビビったわ。極くんも非常にキラキラしておりましたね。
 あと一人、わたしとしては、物売り娘とかいろいろな役で舞台に登場してくれた華雪りらちゃんをメモしておきたいです。りらちゃんはホント可愛いので、すぐわかるっすね。セリフも何気に多かったし、大変目立っていてうれしく感じました。
 あと、そういや本作は、エンディング後にパレード的ショーがついていて、ほのかちゃんと顧問のデュエットダンスも美しかったし、せおっちやみっきぃさん、極くんや若手たち男役勢揃いの群舞もきらびやかでありました。つうか、マジでほのかちゃんの歌はきれいですなあ。そしてせおっちの歌唱力がものすごく向上してるのを感じたっすね。2番手の実力は間違いなくあると思うんだけどなあ。。。まあ、とにかく、星組推しとしては、次の『ロミオ&ジュリエット』が楽しみでしょうがないですな。わたし、当然、税込55,000円の「ロミジュリBOX」買ったすよ! わたしが生で観たのは2011年雪組版と2013年星組版の2回なんすけど、ずっと観たかった新人公演版「珠城りょうさま×ゆうみちゃん」「礼真琴さま×しろきみちゃん」の2つをとうとう見ることが出来て、超最高でした! 来年2月からの新生星組版で、せおっちや極くんの活躍を超超期待したいすね! 希望としては、せおっち=ティボルト、極くん=マーキューシオのVerが観たいですねえ! そしてこっちんとわたしが呼ぶ礼真琴さまのお披露目公演を結局生で観られなかったわたしとしては、羽を背負ったこっちんを観て泣こうと存じます。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。あ、一つ思い出した。シラノやクリスチャンが所属する軍の部隊なんすけど、若い衆が来ていたユニフォームのような青いカッコイイ衣装、ありゃ『ALL FOR ONE』の制服の流用だろうか?? デニムっぽい青に胸に黄色の十字架の服なんですが、実はシラノもダルタニアンも、二人とも「ガスコン(=ガスコーニュ地方出身の男)」であることを誇りに思っていて、共通してるわけで、時代もほぼ同じだし、制服が同じでも実は全く問題ないというか、あり得る話なので、わたしとしてはあの服が似てた(あるいは流用だった)のは、まったくアリ、だと思いました。

 さて、では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「(迫りくる「死」に向かって)すべてを持っていくがいい。だがな! たった一つだけ、お前には奪えないものがある。それをオレは、折り目もつけず、きれいなまま、持っていくんだ。それは……オレの……心意気だ!」
 今回は、ちょっと前後が分からないと意味不明だと思いますが、有名なシラノのラストのセリフです。わたしがぼんやり憶えてるものなので、完全ではないと思いますが、要するにシラノは、権力だったり、理不尽だったり、妥協だったり、いろんな「敵」に対して、常に「ノン!」と言って生きてきたわけで、どんなにみじめな最期であろうと、「自分のハート」は誰にも渡さないで死んでいくぜ、というセリフなわけです。ああ、くそう、うまく説明できねえなあ! とにかくカッコイイの!文句は言わせません!!

 というわけで、結論。

 わたしにとって、フランスの戯曲『CYRANO de BERGERAC』という作品は、数ある世界の戯曲の中でもTOP3に入るぐらい大好きな作品だが、その「シラノ」が、ついに! 我が愛する宝塚歌劇団において上演される日が来た!! わたしはその報に接し、非常なる喜びを抱き、絶対観に行きたい!! と思っていたのだが……6月に予定されていた東京公演は中止となり、深い悲しみを味わったものの……この度、ようやく大阪は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティのみで上演されることとなった。この作品はわたしにとって極めて特別であり、いかなる困難があろうと観に行きたい作品であり、自分としては感染対策としてできることはすべてやる、という方針で観に行ってまいりました。感想としては、ええ、そりゃあもう、最高でしたとも! 轟顧問のシラノは抜群に良かったし、せおっちのクリスティアンも実にイケメンでありました。歌もすっごい良かったよ! ホントにせおっちは腕が上がりましたね! そして小桜ほのかちゃんの美声も最高でした。要するにですね、遠征してホント良かったです! 超満足! 以上。

↓ わたしはこの映画、たぶん30回ぐらい観てます。レーザーディスクも持ってたよ。今はNHK-BSで放送されたのを録画したのがわたしの宝物っす。
シラノ・ド・ベルジュラック ジェラール・ドパルデュー [Blu-ray]
リュディヴィーヌ・サニエ
IVC,Ltd.(VC)(D)
2014-10-24

↓そしてこちらはまだ買えるみたいすね。
シラノ・ド・ベルジュラック (岩波文庫)
エドモン・ロスタン
岩波書店
1951-07-05

↓そしてこちらも、とても笑えて泣ける超名作です。
愛しのロクサーヌ (字幕版)
マイケル・J・ポラード
2013-11-26

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