2019年10月

 わたしはこのBlogで何度も、世界で最も好きな作家はダントツでStephen King大先生であると表明しているが、日本人作家に限定すると、恐らくは上遠野浩平先生、田中芳樹先生、そして、小野不由美先生が、TOP3だと思っている。このお三方に順序は付けられない。このお三方が、わたしにとって日本人作家で最も好きな作家である。
 わけても、小野不由美先生による『十二国記』シリーズは、日本の作品でわたしにとっては完全なる別格であり、大好きな作品なのだが、いかんせん、現在物語は、すっごいヤバイところで終わっていて、先が気になる作品ナンバーワンなのである。先が読めるなら500万出しても一向に構わん! とさえ常々いろんなところで発言してきたぐらいだ。
 というわけで、もう前置きはやめた。何が言いたいかというと、その『十二国記』の最新刊が、18年の沈黙を破ってとうとう発売されたのであります!!
 ※ちなみに短編集はその間に1冊、間違えた、2冊になるのか、出ていたので、本編の長編としては18年ぶり、だそうです。もうそんなに経つんだなあ……そりゃオレも年取るわ……。

 しかし、だ。
 『十二国記』シリーズは、その源流たる『魔性の子』は置いとくとして、そもそもは講談社のホワイトハートX文庫から出ていたものが、どういう経緯か知らないけれど、わたしが一番嫌いな新潮社から出し直され、今回も当然のように新潮社からの刊行となったわけだが……わたしとしてはもう本当に、新潮社はさっさと崩壊してほしいと思っている。その理由は2つあって、一つは、今どき電子書籍に全く無関心であること、もう一つが、営業販売施策が非常に不愉快だからだ。
 まず電子書籍に関していうと、今回、発売日と大々的に打ち出した日は、あろうことか10/12(土)、すなわち台風19号が日本を荒らしまくった日である。もちろん台風に新潮社は何の責任もないが、わたしは大雨の中、朝から近所の10km圏内の本屋さんを車で駆け回っても、すべて「臨時休業」。ほんと、電子書籍版を出してくれていたら、今頃読み始めていたのに……と憤死寸前であった。結局わたしは発売日に買うことができず、翌日の昼過ぎにやっと開店してくれた本屋さんで入手した。ありがとう、ときわ書房様! 以上はまあ、言いがかりです。はい。
 そしてわたしが気に入らない営業施策とは、新潮社はいつも、バカみたいに分冊するのである。分冊はまあ許してやってもいい。けど、我々読者目線からすれば、分冊にして、月をずらして刊行する意味は、100%ゼロ、だ。なんで一気に全部出さねえんだよ!! といつも頭にくる。恐らく理由はあるんだろう。だけどそんなこと知ったことか!!! 分冊になって喜ぶ読者なんているとは思えないわけで、そういう点がわたしが新潮社を嫌う理由である。
 まあ、これだけ本が売れない世の中で、電子もやらないで、今後会社として存続できるわけがないとわたしはにらんでいるので、早晩、どこかにM&Aで買われてしまうだろうと予想している。想像するに、所詮売上規模200億もない中小企業で、しかも未来がなければ、必衰間違いなしだろうと思う。いわば、新潮社はもう完全に失道している。おそらく現経営陣に立て直しはもう不可能だろう。

 はーーー。とにかく言いたいことは言った。
 では、さっそく味わい、大興奮した『十二国記』シリーズ最新刊『白銀の墟 玄の月』(1)(2)巻について語ろう……と思うのだが、現状、まだ物語はどのような結末をたどるのか、全く分からない。いろんな妄想がわいてたまらないのだが、今回は、自分用覚書として、(1)(2)巻に登場した人物リストをまとめるだけにしようと思う。けど多いからなあ……たぶん、膨大な分量になると思う。
 それからいくつか、地図と、ちょっとした豆知識もまとめておこう。大前提となる、十二国って何?とか、戴って? 驍宗さまって? とかそんなことはもう書きません。つうか、知らない人がこの本を読むわけねえし、このBlogに興味を持つわけもなかろうから。
 最初は地図から行ってみるか。少しネタバレも含んでいるけど全くクリティカルなものではないので、構わないだろう。今回、(1)巻(2)巻ともに、冒頭に舞台となる「戴」国の地図が掲載されているのだが、ズバリわかりにくく、センスゼロなので、頭にきたからパワポで簡単に作り直してみた。↓タッチまたはクリックすると拡大します。
戴
 こんな感じかな。若干、東の方がスペースがなくて位置がずれちゃったかも。だけど、この地図を理解しないと、今回のお話は分かりにくいし、逆に理解していると、こういうルートを取ったんだな、と、途端に分かりやすくなります。
 で。次に、問題の『驍宗さま失踪までのタイムライン』を本作の中で語られた内容でまとめると、どうやらこういうことだったようだ。
---------驍宗さまの軍の進軍と失踪までの流れ----------
<弘始元年暮れに、土匪が「古伯」を占拠した>
◆年明け、第1陣として英章/項梁たちの派兵が決定
 (※この直前に、泰麒と阿選は漣から帰国したばかりだった)
◆英章たちは首都・鴻基から出撃、半月の行軍で琳宇に到着、陣を張る。そしてその後すぐ古伯を包囲、まずは掃討完了。
◆しかし、完了のチョイ前に、近隣三か所で暴動発生、その後、次々に暴動がおこり、鴻基から援軍として霜元が派遣されることになり、さらに驍宗さま自らも出陣へ(縁の深い轍囲に火が回りそうなため)
◆三月初め、霜元&驍宗さま、英章たちに合流
 ※その時驍宗さまは阿選の軍勢5千を率いていた。
 ※阿選自身は連から帰って来たばかりということで、鴻基に留まる。
◆軍勢は豊沢(地図にないが轍囲の南らしい)へ進軍することに。その際、英章軍(先頭は俐珪)、驍宗軍、霜元軍の順番で出撃。
◆進軍3日目、驍宗さまがいないことが判明。
◆驍宗さまは、後から来る霜元と合流すると言って25騎の選卒(せいえい)を従え消えた。
◆4日目、驍宗さまの騎獣「計都」が陣に戻る。どうやら戻ってきたというより、驍宗さまを探してとりあえず陣に戻ったが、驍宗さまがいないのでイラついてる様子。
◆その後すぐ、鴻基から「白圭宮で蝕が起きた」知らせが入る
◆霜元はすぐに騎獣で鴻基へ飛んで帰る
◆驍宗さまについていた阿選軍は品堅に率いられて鴻基へ戻る
◆代わりに鴻基から土匪討伐のため臥信が派遣される
◆5月、文州の乱は一応平定。だがすぐに承州辺境に乱アリとの報が入り、李斎が派遣される。またその支援のため、霜元が手勢の半分を率いて承州へ(その指示は阿選によるもの)
◆半月後、臥信へ、手勢を半分残して帰還命令が下る
◆6月、李斎から「阿選、謀反」の報が各将に届く
 そして阿選と反阿選の戦いが各地で勃発、阿選側が圧倒して終わる。
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 とまあ、こういう流れだったらしい。その後、6年がたった世界が、本作の舞台だ。
 この間のことは、本作でいろいろな人物から語られるが、問題は、一体全体、驍宗さまに何が起こったのか、そして6年経過した今現在、どうしているのか、であろう。
 まだ死んでいないことは、我々読者は知っている。泰麒もとうとう帰還した。さあこれから反撃のターンだぜ!? という期待に胸膨らませて、我々は本作のページをめくったはずだが……その結果が分かるのは来月である。ホント、新潮社が嫌いになるでしょ、誰だって。
 というわけで、以下、本作に出てくる人物表である。出てくる順にしようかと思ったけど、それだと関係のある人物が離れ離れになっちゃうので、いくつか、グループ分けしてまとめてみよう。なお、実際に登場しないけど、回想で言及されるだけの人もいっぱいいます。一応、(1)(2)巻で出てくる名前は全部書き出してみた。
 なお、もちろんネタバレも少し混じっていますが、これは来月(3)(4)巻を読む際のわたしの覚書なので、いいよね、別に。つうか、ここまでこのBlogを読んで、本編を読んでいない人もいないだろうし。

 が……ダ、ダメだ! Windowsの機種依存文字を使う名前が多すぎて文字化けしちまう!! ことに気づいたので、ちくしょう、こうなったら画像にするしかねえな……それぞれタッチ/クリックで拡大しますので。
【1.泰麒と李斎の旅の仲間と、協力してくれる人々/話を聞いた人々】
人物表01
 ※追記:そうだった。泰麒の使令は、穢れを払うために王母様預かりなんだった。CK先輩ご指摘あざっす!
で。次が、【2.驍宗さま失踪前の軍人たち】。ほぼみんな、実際には登場してこない。
人物表02
そして【3.驍宗さま失踪前の官僚たち】がこちら。これまたすでに故人多し。
人物表03
 ※追記:そうか、(2)巻P204で琅燦が「選ばれない理由がある」と言ったのは「同じ姓は連続で王になれないルール」があるからダメ、のことかもしれないすね(※驍宗さまや阿選の本姓はどちらも朴)。CK先輩あざっす!
で、【4.現在の白圭宮にいる人】
※2.3.で触れた人の中には現在も白圭宮にいる人もいるけど、それらは除外します。
人物表04
最後は【5.謎の人物】と【6.謎現象】について。
人物表05
 さてと。あとは、本編で李斎がたどる捜査ルートと聞き込みの内容を手元にまとめてあるのだが……これはもう、相当膨大なので、このBlogに載せるのはやめておきます。この捜査ルートも、地図がないと本当に理解しにくいので、上の方に貼り付けたわたしが作った地図がとても役立ちました。ただ、本当は山がいっぱいあって、それらも入れたかったのだが……ごちゃごちゃになりすぎてやめときました。

 はあ……マジで早く続きが読みたいですなあ……!!
 驍宗さま……マジなのかよ……わたし的には「耶利」がいったい何者なのかが一番知りたいすねえ! 来月が楽しみだなあ! 常々、わたしはこの世に未練はない、いつ逝っても構わん、とか言ってるけど、少なくともあと1カ月は生きていたいと思います!

 というわけで、もう結論。
 わたしの大好きな『十二国記』の最新刊がいよいよ発売となり、もう、むさぼるように読んだわけですが、言いたいことは2つ。まず、小野不由美先生、『十二国記』を書き続けてくださって本当にありがとうございます! マジ最高です!!! まだ途中ですが、超最高です!! ホント、読めてうれしいっす!!! そしてもう一つは、新潮社はホントにどうしようもない出版社で、早晩M&Aでもかまされていただければと思う。さっさと銀行に見放されればいいんだけどな。遠くない将来そうなるでしょう。ま、そんなことはどうでもいいとして、とにかく! 早く! 続きが読みたい!! に尽きますな。まだラストでは景王、延王、その他オールスターにならないかなあ! 楽しみだなあ!! もうこれ以上言うことがないので、以上。

↓ アニメ版も面白かったすね。アニメオリジナルキャラも結構出てきて、原作ファン的には、コイツ誰?的な部分もありますが、わたし的にはアリ、す。

 わたしは本が大好きで週に数回は本屋さんをのぞいて、なんか面白そうな本はねえかなあ、とかぼんやり渉猟するのだが、実のところ、もう6年前ぐらいから完全に電子書籍にトランスフォームしている。その理由は、電子書籍だと保管場所に困らないとか、読みたいときにいつでも買えるとか、電子書籍ならではのメリットを享受したいため、では決してない。
 わたしが電子書籍野郎に変身した最大の理由は、以前も書いた通り、「本屋が全くダメになりつつある」からだ。つまり、どこかでとある本が発売になっていることを知って、勇んで本屋へ行ったとしても、その本が店頭にないことが多く、嘘だろ売ってねえ!という悲しい事態に遭遇することが、ここ数年超頻繁に起きるからで、いわば、やむなく電子書籍を選択しているのである。
 というわけで、先日、わたしが愛用している電子書籍ストアBOOK☆WALKERから、「あなたがお気に入りに登録している作家さんの新作が出ましたよ!」的なメッセージが届き、うおお、マジかよ全然知らんかった!! と、まずは本屋さんへ行ってみたものの、残念ながら紙の書籍を見かけることができず、ぐぬぬ、という思いで電子書籍を買ったのである。ちなみに、わたしの家から一番近い大きめの本屋さんは、もう数年前からどんどん「本」の売り場面積が減っており、今や半分以上が文房具や雑貨になっちゃった……。
 と、前置きが長くなりました。
 わたしが新刊発売と聞いて、電子書籍版を買い、、超わくわくで読み始めた作品は、Joe Hill先生の『STRANGE WEATHER』という作品であります。
strangeweather
怪奇日和 (ハーパーBOOKS)
ジョー ヒル
ハーパーコリンズ・ ジャパン
2019-09-17

 もう、このBlogで何度も紹介している通り、Joe Hill先生は、わたしが世界で最も好きな作家Stephen King大先生の長男であります(お姉さんと弟がいる真ん中)。そしてHill先生の作品は、父King大先生の血統を完璧に証明するかの如く超最高に面白く、日本でまだ知名度が低いのではないかと思われるけど、ほんと、もっともっと知られてしかるべきだし、売れてしかるべきだとわたしは信じている。
 いやー、しかし、今回の『STRANGE WEATHER』も最高に面白かったすねえ!!
 これまでの、Hill先生の日本語で読める作品は、当然すべて読んでいますが、これはホント、歴代Hill先生作品の中でもTOPクラスに気に入ったすね。なにしろKing先生的空気感が濃厚で、おそらく、作者名を知らずに読み始めたら、あれっ!? これってKing大先生の作品じゃね!? と勘違いする可能性も高いような気がしますな。ちなみに、これまでのHill先生の作品は、わたしの大嫌いな小学館から発売されていたのだが、今回はなぜか、「ハーレクイン」で有名な「ハーパーコリンズ・ジャパン」からの発売となっている。なんでだろ? と思ったら、どうやらあとがきによると、US本国ではまさにHarperCollins社から出版されていたようで、まあ直ルートとでも言えばいいのかな、そういうことだったようだ。これ以降も、小学館なんぞじゃなく、ハーパーコリンズ・ジャパンから発売してほしいすね。

 で。それでは内容をメモしていきたいのだが、近年病的に記憶力の低下しているわたしは、数年後には内容を完璧に忘れる可能性が高いため、各話のエピソードガイド的にまとめてみようと思う。
 そうなんです。今回は、4つの中編からなるアンソロジー的作品なのであります! しかも4つとも、超おもろい!! これはKing大先生の作品が好きなら絶対読んでほしいし、そうでなくても誰しも楽しめる逸品であると断言したいすな。※なお、4つの物語に関連性はなく、完全にそれぞれ独立しています。
 ◆(第1話)『SNAPSHOT』
 この第1話の翻訳は、King大先生の作品の訳者でもおなじみの白石朗氏によるものだ。大変読みやすく、King大先生的なスーパーナチュラル要素アリ、そしてほろりとさせるものアリ、で、わたしはもうのっけから大興奮であった。
 お話は1988年の夏、カリフォルニアに住んでいた主人公が10代前半(小学生か中学生頃)に遭遇した謎の事件と、その後大人になって成功者となって暮らすまでが、短いながらも凝縮されて描かれている。
 謎の事件――それは、主人公が子供のころ子守してもらってお世話になっていた夫人が、痴ほう症めいた状態で道をふらふらしているのを、少年時代の主人公が見つける場面から始まる。主人公はデブで科学オタクで若干イジられ系の少年だったが、その夫人には大変な恩があるので、放っておけなかった。何をしてるのか聞いてみると、どうやらもはや痴ほうらしく、話が若干通じない。なので、主人公は優しく夫人を家まで送り届けるのだが、夫人は「ポラロイド・マン」から隠れているの、と謎の言葉を残す。なんのこっちゃ? と思う主人公だったが、数日後、主人公は車のダッシュボードにポラロイドカメラを置いている、「フェニキア語のタトゥーを入れた男」と出会い、偶然そのポラロイドカメラで撮影してしまう。すると、謎の現象が起きて―――!! てなお話だ。空気感と、「アヤシイ男と謎アイテム」という点で、わたしはKing大先生の『Needful Things』に似てるな……と思いながら読んでいたけど、結論としては全く似てませんでした。
 わたしがちょっと特徴的だと思ったのは、この事件後、主人公がどう成長していったか、が結構長めに続くんだな。その点が、短編集などではバッサリエンドになるKing大先生と違うような気がしましたね。しかもその長めの「その後」が、ちょっと泣けるいいお話なんすよ。実に面白かったっす。
 ところで、わたしがKing大先生の作品に現れる特徴で一番好きなのが、King先生独特の「下品なDirty Word」のセンスなんですが、これはもう、完璧にHill先生にも遺伝されてますね。お話の中で、痴ほうになってしまった夫人の旦那さんが出てきて、この人はフィットネスクラブを経営しているボディビルダー的な人(だけど、超優しいイイ人)なんですが、そういう人にありがちな、ピツピツのビキニパンツを履いてるわけですよ。そのビキニパンツを、Hill先生はこう描写してます。
 「金玉専用ハンモックといえそうなタイトな黒い下着一枚でストレッチにはげんでいた」
 もう最高っすねw
 ◆(第2話)『LOADED』日本語タイトル「こめられた銃弾」
 第2話は、うって変わってスーパーナチュラル要素はナシ。そして主人公(?)が3人いる。一人は、1993年にあこがれの男子(黒人)を警官(白人)に誤射されて殺された黒人女性。現在時制では、新聞記者になっている。もう一人は、宝石屋のオーナーのおっさんと不倫をしていて、Hと銃が大好きな、若干頭弱い系女子(宝石屋の店員さん)。そして3人目が、かつてイラクだかアフガンだか、どっかに出征した退役軍人で、ほんとは退役後は警官になりたかったのに、軍人時代ちょっと問題を起こしてしまったために警官にはなれず、とあるショッピングモールの警備員をしている。彼は、現在DV(本人的には全くそんな気はない)によって、妻(というより妻の姉)から離婚協議を起こされていて、愛する息子にも会えないでいる。
 ある日、宝石屋のおっさんが頭の上がらない奥さんから「あの娘をクビにするザンス!」とキレられ、おっさんはまるでごみを捨てるかの如く頭弱い系女子に別れを切り出すのだが、ふざけんなとブチギレた女子は銃を持ってショッピングモール内の宝石屋に乱入し、とんでもない事態に―――てなお話でありました。
 そしてこのお話も、「事件後」が結構長いです。つうかむしろ、事件後の方が本題とも言えると思う。けど、衝撃のラストを、ざまあと思うのか、なんてこった……と思うのかは、読者によって違うと思います。わたしはかなり退役軍人が気の毒に思えたので、少しすっきりしましたが、間違いなくこの作品は、現代US社会の病巣の一部を描いているわけで、かなり社会派でもあると思う。実に面白かったす!
 ◆(第3話)『ALOFT」日本語タイトル「雲島」
 そして第3話は、かなりファンタジーっぽさのある作品だ。主人公は20代のヘタレ野郎のミュージシャン。トリオで組んでいるバンドの女子Aが大好きなのだが、もう一人の女子Bががんで亡くなり、そのB子の追悼のために、仲間で彼女がやりたかったことリストの「スカイダイビング」に行くことに。そしてヘタレ野郎は、いろんな言い訳をしながらスカイダイビングなんてしたくないと駄々をこねるも、タンデムでつながってるインストラクターはそんなことにはお構いなしに空へ!! しかし、数秒後、彼は謎の「雲」の上に着地して置き去りにされてしまう(インストラクターは慌ててすぐ離脱)。しかもどうやらこの「雲」はなにやら生き物のように自意識を持っているようで―――てなお話であります。
 この話も、意外と長くて、果たして「雲」はいったい何なのか? そしてヘタレ野郎は無事地上へ戻れるのか!? という緊張感あふれる物語になっていて、極限状態からの脱出という意味で、すごく強いて言うならば、King大先生の超名作『Gerald's Game』に似てなくもないと思いました。やっぱりこの作品も、最高に面白かったす。
 ◆(第4話)『RAIN』日本語タイトル「棘の雨」
 最後の第4話は、ある日突然、「棘の雨」が降り、人々が大勢死んでしまったデンヴァーを舞台に、生き残ったレズビアンの女子のサバイバル(?)を描いた作品であります。いや、サバイバルは言いすぎかな? ある種のディストピア的な世界観で、わたしはこの作品はKing大先生の日本語仮タイトル「携帯ゾンビ」でおなじみの『CELL』に似ているように感じたっすね。
 ただしこのお話は、スーパーナチュラル要素はなく、一応、事件の真相は明かされるので、その点ではすっきりしている。そして謎のカルト集団なんかも出てきて、極限状態での人間心理という点では、すごく強いて言うなら『The Mist』っぽくもあるように感じたす。ちゃんと調べてないけど、この第4話が一番短いかな?

 とまあ、こんな感じの4つの中編なのだが、Hill先生自身によるあとがきに、執筆の動機とかいろいろ書いてあって、こちらも大変興味深い内容になっていました。このあとがきの内容にはあえて触れないでおきます。
 あと、もう一つ、とても素晴らしいと思ったのが、話の冒頭とラストに、非常にいいイラストがついているんすよ。それぞれ4人の別々のイラストレーターが担当しているのだが、これも、読み終わった後で改めてみると、とても味があるというか、アレの絵なんだ、と、非常にセンスを感じるイラストが添えられていることもメモしておきたい。とても素晴らしいイラストです。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。

 わたしの大好きなJoe Hill先生の日本語で読める新刊『STRANGE WEATHER』という作品が発売になったので、マジかよ!と慌てて本屋さんに行ってみたものの、店頭に置いてなくて、やむなく電子書籍版を買って、すぐさま読みだしたのだが、ズバリ、超面白かった!! です。4編の中編からなるこの作品集は、実に父であるStephen King大先生の空気感に似ていて、King大先生のファンならば絶対読むべき作品であると断言したい。また、King大先生の作品を読んだことがない人でも、もちろん最高に楽しめると思う。まあ、内容的に「楽しめる」というのは若干アレかな。決してホラーではないと思うよ。ただし、きわめて、Strangeな状況であって、それぞれ、微妙に「天気」に関係があって、『STRANGE WEATHER』というタイトルも、実にセンスあるタイトルだと思った。また、添えられているイラストも実にセンスがあって、要するに、Joe Hill先生はまごうことなく父King大先生の才能を受け継ぐ、すごい作家であるとわたしとしては称賛したいと思う。ま、本人はお父さんがどうのとか言われたくないだろうけど、そりゃもう、読者としては比べちゃうのはしょうがないよ。そして、全く引けを取らない筆力は、ファンとしては「次の作品マダー!?」と期待させるに十分すぎると思います。以上。

↓ Joe Hill先生による原作小説も最高ですが、実はこっちの映画版もかなりキてます! 最高っす!

 わたしは「宝塚友の会」(以下:友会)に入会してもう5年ぐらい経っているのだが、よく、世間的に、「友会」に入ってもチケットが全然当たらない、という意見を聞くことがある。が、わたしに限って言うと、確かに確実に当選するとは言えないけれど、かなり高い頻度で当選しており、花組と雪組以外はほぼすべて、わたしは友会の抽選申込でチケットを得ている。花組と雪組は以前は買えたのに、マジでここ数回、全然当たらん!
 で、友会には「ステイタス制」ってのがあって、抽選に申し込んだり、実際にチケットを買ったりするとポイントがもらえ、その合計ポイントで「ステイタス」が決定するわけだが、高ければ高いほど抽選での当選確率が上がる、ということになっている。それがどのぐらい影響しているのかは全く不明で、そもそも本当なのかどうかすらわからないのだが、わたしとしてはそれを愚直に信じ、申込だけでもポイントゲットできるので、あまり乗り気ではない公演にもせっせと抽選申込をするのだが、先日、そのポイントゲットだけのために、まあ当たらないだろう、という日時で1枚だけ、東京ではなく本拠地である宝塚大劇場の公演を申し込んでおいたところ、見事当選、となってしまった。
 というわけで前置きが長くなったが、わたしは昨日の日曜日、約1年ぶりに、一人で、そして当然日帰りで、ムラ遠征してまいりました。ムラ遠征=我々関東在住のヅカファンが聖地たる「宝塚大劇場」へ観劇に行くこと、であります。
 ムラでは、先週ついに退団公演となったTOPスター明日海りお氏率いる花組公演が本拠地での千秋楽を終え、金曜日からは新たに月組の公演が始まっている。その月組公演『I AM FROM AUSTRIA』を観てきたのであります。

 というわけで、この公演は、「日本オーストリア友好150周年記念」と銘打たれているわけだが、原典はオーストリアで非常に人気の高い作品だそうだ。見終わった今、確かに内容的には、自らがオーストリア人であることに誇りを持とう、的な内容だったので、人気も出るわな、とは思う。一応言っておきますが、いわゆる愛国主義的な、政治的・社会的なメッセージ色はほぼないすよ。いや、あるんだろうけど、もっと純粋?というか単純?というか、明るく楽しいお話でした。
 で、物語はというと、故郷オーストリア・ウィーンを捨て(?)、アメリカに渡った女子がいて、ハリウッドで女優としての成功を手にするも、なんかどうも、いろいろと心の中はもやもやしていて、お忍びで故郷に帰ってくると。一方そのころ、その有名ハリウッド女優が宿泊予約したホテルでは、御曹司の青年が、社長である(?)母親とホテル経営をめぐってプチ対立していて、オレはもっと現代的なニーズをこのホテルに取り入れたいのに、母さんの考えは古すぎるんだよ!的な思いでいたと。そんな二人が出会って恋に落ち……てな感じである。ええ、サーセン、いつも通り超はしょりました。はしょりましたが、要するに、超ありがちなお話である、と言い切ってもよかろうと思う。
 なので、まあ基本的にはテンプレ進行でお約束通りの物語なんだけど……いやあ、実に面白かったすねえ! なんといっても、主役の二人、女優と御曹司を演じた月組TOPコンビが何ともいいじゃあないですか!! 脚本通りなのかアドリブなのかよくわかりませんが、随所にちりばめられたギャグに客席は大うけだし、歌も良かったすねえ! 
 というわけで、キャラ紹介と演じた方々を紹介していこう。
 ◆ジョージ:ホテルの御曹司。まあ実際、苦労知らずのゆとり青年といっていいだろう。しかしですよ、やっぱり月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)はいいすねえ! たまきち君は天性の育ちの良さというか、等身大のおぼっちゃま的キャラが一番似合いますな。まったくもって陽キャラだし、いつも思うけど、このお方はゴールデンレトリーバー的な大型犬のような、明るくて人懐っこいお方ですよ。今回も、非常にわんこっぽさが炸裂する前向き青年でしたね。実にお似合いでした。しかしまあ、わたしはお父さん世代なので、実際のところお母さんの言うことの方が正しいと思ったけどね。
 ところで彼は、ずっと悪役キャラから「このウィンナー野郎が!!」と侮蔑されてるわけですが、「ウィンナー」ってのはドイツ語の「Wiener」(ヴィーナー)の意味であって、つまり「ウィーンの」って意味なんですが、客席の皆さんはこの「ウィンナー野郎が!!」と呼ばれるといちいちウケてたので、意味が通じてなかったんじゃね? と若干心配です。「ウィーン野郎が!」が正しい意味ですよ。
 ◆エマ:ウィーンからアメリカに渡り、ハリウッドセレブとなって野望を遂げた女子。彼女は、実はオーストリア人でウィーン出身。しかし、いろいろと心のモヤモヤがあって、今回の帰郷は、何も言わずにおいてきちゃった母に会いたい的な気持ちもあった。
 演じたのは当然月組TOP娘役の美園さくらちゃん(以下:さくら)。今回のさくらは、とってもよかったですなあ。かわいいじゃん。特にラスト近くの「ケーキ屋さんの店員」風な衣装は抜群に可愛かったね! つうか、ほんとに細っそいなあ! そしてやっぱり99期首席は伊達じゃないですな。芝居もいいし、歌もいいよ、とても。ラストに本当の涙を流している姿には、なんかとてもグッと来たし、今回はさくらの歌は、地声で歌う部分が多くて、なんかかっこよくもあったと思うよ。ちょっと前から、このTOPコンビでUCCコーヒーのテレビCMが流れているのだが(本公演はUCCコーヒーがスポンサー)、なんか、たまきちくんに甘える、けど、ちょっと生意気な年下の彼女的ポジションがとても似合うっすね。この二人、実にお似合いじゃんか、と最近やっと理解できたっす。
 なお、役名のエマ、はハリウッドでの芸名で、本名はなんとか・ヴァルドフォーゲルというドイツ名でしたが、Wald=森、Vogel=鳥、という意味なので、「森の小鳥ちゃん」と言われたわけです。しかし、トルテを一口つまんで、「おいしい! でも、日本の宝塚ホテルのトルテの方がおいしかったわ!」的セリフは、ありゃアドリブじゃなくて脚本通りでしょうか。お客さん大ウケでした。
 ◆リチャード:エマのマネージャーで今回の悪い人。まあ、実際のところこの人は職務に忠実だっただけ、かもしれないけど、エマを利用して金儲けを企んだのがイカンかったすね。ずっとジョージを「ウインナー野郎が!」と呼ぶのはこの人です。
 演じたのは、ついに! いよいよ! 月組2番手に正式就任した月城かなとさん(以下:れいこ)。パレードの真っ赤なアレは、2番手羽でいいんですよね!? わたしとしては2番手羽を背負うれいこが見られたことが、今回最大の目玉だったようにすら感じたっす!! 胸アツですなあ!! 怪我も癒えたようで、本当に安心したし、2番手羽にはマジでグッと来たよ! よかったなあ!! うれしいっす!
 ◆ヴォルフガング:ジョージのお父さん。このお父さんがスーパーちゃらんぽらんな高田純次的テキトーおやじで笑えましたなあ! 一応、キメるところはキメてくれたし、ルックス的にも実にかっこよかったすね。演じたのは、花組から月組に戻ってきた鳳月杏さん(以下:ちなつ)。やっぱりカッコいいし上手いですなあ! 悪役を多く演じてこられたような印象がありますが、今回のような面白キャラもイケますねえ! 大変結構なお点前でしたよ。
 ◆ロミー:ジョージのお母さん。ホテル経営を取り仕切るお堅い方で、基本正論派。ジョージがふらふらしているのでまだ引退できません!!と思っている。本作では舞台がオーストリアだけに何度も『エリザベート』のキャラに言及されますが、彼女はゾフィー様と呼ばれることも。演じたのは、わたしが全娘役で一番大好きな海乃美月さん(以下:うみちゃん)。まあ何度もこのBlogで、うみちゃんがTOP娘になれなかったことを嘆いているわたしですが、そりゃあうみちゃん本人は、何リットルもの涙を流し、内心では悔しい思いをしているだろうけど、舞台上では全くそんなそぶりを1mmも見せることなく、楽しそうに、そして見事に演じてらっしゃいますので、わたしも、もういい加減にして、ちゃんとさくらを認め、月組全体を応援したいと今回強く感じたっすね。さくらはかわいかったし、うみちゃんもうみちゃんじゃないとできないお母さんでした。しかし、お堅いお母さんが一瞬はじけて、いきなりキラキラセクシー衣装で歌って踊るシーンには、完全に俺得で最高でした。うみちゃん、今後もイチオシで応援いたしたく存じます!
 ◆パブロ:ジョージが勝手にホテルに作ったフィットネスクラブのゲストに招いた、サッカーのアルゼンチン代表選手。パブロのオーストリア来訪は、実はリチャードの金儲け計画に組み込まれていた。けど、残念ながら物語的にはそれほどおいしくなく、あまり見せ場はない……のだが、演じた暁千星さん(以下:ありちゃん)は大変良かったですな。つうかやっぱり、ありちゃんって背が高いすね。そして身体能力抜群ですよ。今回は、サイドを刈り上げた新しい髪形も披露してくれたし、なんとロケットにも参加して、誰よりも足を高く上げてましたね。大変良かったと思います。
 ◆フェリックス:ホテルのフロント係でジョージと仲良しの青年。かなり性格はすっとぼけ君で、エマがお忍びでやってくるってのに、さっそくTwieetしてばらしてしまうダメ人間。エンディングはまさかのパブロとカップル誕生に驚いたっす。演じたのは、月組の若手路線街道まっしぐらの風間柚乃くん(以下:おだちん)。おだちんはコメディもイケる、貴重なキャラですね。いろいろ経験を積んで、きっと見事なTOPスターになるのは間違いないでしょうな。本作も、数年後に思い出される重要な作品になるかもしれないすね。
 ◆エルフィー:ホテルのベテランコンシェルジュのおばちゃん。今回一番アドリブ?なのか、客席の笑いをもって行った面白おばちゃん。演じたのは月組のセクシー組長でおなじみ光月るうさん。るうさんの女装は初めて見たような気もしますが、大変お達者で目立ちまくってましたね。ちなみに、やたらとアーノルド・シュワルツェネッガー氏のことを言ってましたが、つうか、シュワちゃんって古いよ……とか思ったけど、彼、シュワルツェネッガー氏も元々オーストリア人で、ハリウッドに渡って成功したお方です。シュワちゃんはドイツ語が母国語で、英語はアメリカに渡ってから身につけた人なので、やけにドイツなまりの聞き取りやすい英語をしゃべるお方なのです。
 ◆ゲルト:ホテルのフロント係の青年。真面目そうなメガネ男子。演じたのは連つかさくん(以下:れんこんくん)。今回はあまり出番がなくて、その代わりいろんなシーンに出てましたね。れんこんくんは、何気に演技派なので、どんな役でもきっちり本気で全力なのがとても好感が持てるっすね。声がいいんだよな。すごく通るというか、発声がきれいで大変良いと思います。
 ◆アンナ:ホテルのフロント係の女子。真面目なんだか、テキトーなのかよくわからないけど、フェリックスの恋のアプローチを受けたり断ったりする微妙女子。金か? 金が判断基準だったのかな? よくわからんす。演じたのは、わたしがこのところずっと応援してきたのに、本公演で退団することを発表した叶羽時ちゃん(以下:ときちゃん)。残念だなあ……ときちゃんも演技派で、すばらしいジェンヌなのだが……。まあ、まだまだ若いし、退団後の活躍を祈ってます。また会いに行くよ、必ず!
 とまあ、キャラ紹介は以上かな。今回は久々のムラ遠征だったので、いくつか写真をのっけとこう。まずはこちら↓
20191006-01
 大劇場ではこんな感じに、現在上演中作品&次回上演予定作品がズドーンと掲示されてました。わたしはいつも、AM6時東京発ののぞみ1号で遠征するので、大劇場に到着するのは9時過ぎぐらい。それだとまだ開いてないので、花の道の「ルマン」でお昼用のサンドウィッチを買います。そして9時半に劇場は開門となるのですが、その時間はまだほとんど人がおらず、こういう写真も撮り放題です。
 で、↓こちらが、開演前の舞台。
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 こんな感じに、開演5分前からカウントダウンされてました。今回は、舞台装置に外箱公演でよく見かける縦長のLEDモニターや、プロジェクションマッピングを多用してました。そのため、セットの作りこみという意味では、意外と質素だったような気もします。

 というわけで、最後は毎回恒例のイケセリフで締めたいのだが、それは東京公演まで取っておきます。ので、さっさと結論。

 本拠地宝塚大劇場で始まった月組公演『I AM FROM AUSTRIA―故郷は甘き調べ―』を久しぶりに遠征してみてきたのだが、正直に告白すると、それほど期待してなかった……けれど、大変明るくハッピーなお話で、大変面白かったと思う。たまさくTOPコンビはとてもお似合いで、なんかいいすね! レトリーバーのような大型犬と、小柄で端正な柴犬がじゃれているような、ほっこりするコンビですな。そして、れいこの正式2番手がとてもうれしかったし、うみちゃんも元気いっぱいで、最高でした。ときちゃんの退団はさみしいけれど、どこかでまた会いたいですな。プリンシパルキャストに抜擢されることがあるかわからないけど、アンサンブルキャストでも、どこかに出演することになったら、必ず会いに行くよ。要するに、結論としては、遠征してよかったと思うっす! 面白かったわ。以上。

↓ 一瞬、これもネタになってました。ウィーンといえばザッハトルテ、ザッハトルテといえば、やっぱりデメル、ですな。超うまいっす。学生のころ、表参道のデメルに何度も行ったなあ。今でもあるんだろうか?

 わたしは映画オタとして、当然1989年公開のTim Burton監督版『BATMAN』を劇場で観ているし、天才Christophe Nolan監督の超傑作『DARK KIGHT』も観ているので、両作に共通するBATMANの敵、「ジョーカー」という存在について、それなりに知っているつもりである。わたしのジョーカーというキャラクターについての知識は、要するにジョーカーは「普通の人間には理解不能のナチュラル・ボーン・悪党」であって、「世界が炎に包まれ燃えあがるのを見て笑う狂気の男」であるというのが、これまでのわたしの理解だった。
 なので、今般『JOKER』なる映画において、ジョーカー誕生秘話が語られることになったという話を聞いて、わたしはまず第一に困惑した。今さら、実はジョーカーには悲惨な過去があって、それであんな奴になった、とか、ある意味、感動的な物語を観せられても困るというか、ジョーカーに対して共感できる物語なんて必要ないんじゃね? とか思っていたのだ。
 というわけで、わたしは今日、やっと日本公開となったその映画『JOKER』を観てきたのだが、結論から言うと、わたしの愚かな予断を吹っ飛ばすほど素晴らしい映画で、なるほどねえ……と非常に満足のいく内容だったと思う。ズバリ言えば、ジョーカー自身は、どんな理由があっても間違いなく悪党で、同情の余地はなく、共感する必要はないと思う。だが重要なのは、ジョーカーという存在は実に社会的な存在とでも言えばいいのだろうか? つまり、ジョーカーは「ゴッサム」という街、後に「悪徳の栄える街」と呼ばれる社会が生み出した怪物だ、ということだ。その点が非常に見事に描かれていたように思うのであります。言いたくないけれど、超・強いて言うならば、ジョーカーは社会の被害者、とすら言えるのかもしれない。しかし、くれぐれも勘違いしたくないのは、だからジョーカーは悪くない、とは絶対に思えないし、思いたくないですな。
 というわけで、まずは予告を貼っときましょう。

 というわけで、お話は、ジョーカーという怪物がいかにして誕生したか、である。以上。終わり。
 と、終わらせてはアレなので、ちょっとだけ解説しておこう。後に「JOKER」を名乗ることになるアーサーという男がいる。彼は、どうやら脳の障害によって、突然笑い出す発作を持っている。さらに、ゴッサムという街は相当な格差社会であり、貧富の差は激しく、世には仕事がなく、アーサーはド底辺でピエロの仕事をしている。彼は、「人を笑顔にしたい」という希望があって、ピエロの仕事をして街頭で店の宣伝をしたり、小児科病棟に慰問に行ったりとせっせと仕事をしてはいるが、夢はコメディアンとして舞台に立ち、憧れのTV番組に出演したいなあ、とか思っている。また、家には病身の母がいて、献身的に介護を行う、絵にかいたような優しいイイ奴だ。
 しかし。世間はまったく彼に優しくない。
 観ていてつらいほど、ひどいことばかり起きる。
 この辺はもう、わたしの現在の心境に極めて近く、こりゃあ、アーサーじゃなくたって、誰だって怒りを身のうちに育てていってしまうだろうと思う。そして、とあるきっかけから、アーサーは3人の男を撃ち殺すに至る。そして、さらに追い打ちをかけるように、母の言葉が嘘だったことが明らかになった時、完全に正気を失い、「ジョーカー」と変貌するわけだ。
 わたしは観ながらずっと、わたしとアーサーの違いはどこにあるんだろうか、と考えていた。わたしも、ズバリ言うと世の中には絶望しているし、内心では街でバカをやっている連中だったり、電車内でマナーのヒドイ高齢者や若者を見かけると、死ね! とか、ぶっ殺すぞこの野郎! とか、普通に思っている。オレとジョーカーはどこに違いがあるんだ? とずっと考えていたのである。
 日本には銃がないから? うーん、まあ、そうかも? 銃があったらオレも乱射してるか? いや、それはないな。つうか、ないと思いたい。
 オレは金に困ってないから? まあ、それは今までのオレの頑張りだけど、ジョーカーことアーサーもそれなりに頑張っていたし、どうにもならんかったかもしれないぜ?
 家族の愛? うちの母はジョーカーの母とは違う? うーん、そうかも? これが決定的な違いか?
 それともやっぱり、「報われない社会」だからか? いやいや、現代日本も十分「報われない社会」と言えるよね。残念ながら。
 とまあ、いろいろ考えても、実は今のところ結論は出ていない。一つ確かなことは、本作で描かれた境遇に自らを置いてみた時、自分がジョーカーにならない道を選べたかどうか、結構怪しいんじゃないかということだ。 
 わたしは、なにかと人のせいにしたり、社会のせいにしたりするような人間が一番嫌いだし、そういう人間こそ、真の邪悪だと思っている。そういう奴って、本当にどうしようもないクソ野郎だと思うし、さっさと死んでほしいと思う。
 しかし、ジョーカーは、実は全く「社会や他人のせい」にしたりしていない。そういう意味で、ジョーカーは「邪悪」ではないとわたしは感じた。そう、わたしの結論は、ジョーカーは完全なる「病人」であり、完全に精神が「ぶっ壊れちまった」存在なのだ。もはや人間とはいえないのかもしれない。まさしく、「怪物」。そうとしか言えないように思う。もちろん、わたしは病気だとか、心神喪失だとかで、罪を免じられるような、現代社会の法律を全く信頼していない。法律は、病人や罪人は回復/矯正可能という前提にあるとわたしは考えているが、残念ながら、回復しない病気もあるし、ズバリ言えばクソ野郎は死ぬまでクソ野郎で、死ぬまで社会と隔絶しておくしかないとさえ思っている。ジョーカーは、わたしにはそういう、一生を監獄に監禁すべき病人であり、人間であることができなくなった怪物だと思えた。その意味で、わたしにはジョーカーに同情しないし、共感もしない。ただし、まったく人ごとじゃあない、オレもそうなってたかもしれん、という思いだけは、これは否定しようがないと思う。
 いやはや、なんかまとまらないけど、とにかく言えることは、この映画はすげえ! ということでしょうな。これは、やっぱり傑作だと思う。

 というわけで、最後に役者陣を称えて終わりにしよう。と言っても、讃えるべきはただ一人、主人公アーサー=ジョーカーを演じたJoaquin Phoenix氏だ。本当に素晴らしかったと思う。もちろん、『DARK KNIGHT』でジョーカーを演じたHeath Leger氏の演技はすさまじく素晴らしかったのは言うまでもなかろう。しかし、ジョーカーとしては素晴らしくても、その前のアーサーとしては、もう今回のJoaquin氏は完璧だったと思う。Heath氏にアーサーは演じることができただろうか?? できたかも、としか言えないかな。もう亡くなってしまったのが本当に残念だが、今回のJoaquin氏は実に見事で、これはマジでアカデミー賞もあるかもしれないすな。本作は、コミック原作の皮をかぶった完全なる社会派映画と言ってもいいほどなので、作品賞すらあり得るかもとわたしは感じたっすね。なにしろ、現代社会は本作で描かれたゴッサムという街そのままだし。格差、不信、怒り、そして報われないという思いが蔓延する現代社会を見事に描いていると思う。
 この見事な社会の縮図を描いて見せたのが、監督のTod Phillips氏48歳。おっと、意外と若いな。わたしはこの監督の作品を『HANG OVER』シリーズしか見てないけど、画の質感といい、若干の長回しだったりキャラの表情を切り取る画のセンスと言い、かなりの腕前っすね。後のBATMANことブルース・ウェインとの因縁も実に上品に、さりげなく、そしてガッツリと描いてくれましたな。全くもっておみそれしました! 

 というわけで、書くことが亡くなったので結論。

 BATMANの敵でお馴染みのジョーカーという怪物がいかにして生まれたのか、を恐ろしくリアルに描いた作品『JOKER』がやっと日本公開されたので、さっそく観に行ってきたのだが、ズバリ一言で言えば、これはすごい、素晴らしかったと思います。観ながらわたしはもう、いろんなことを考えてしまったのだが、一体、ジョーカーとわたしを分ける、決定的な違いは何なんだ? という問題は、今後折に触れて考えてしまうように思う。わたしは、現代社会に生きる我々は誰しもがジョーカーになり得るのではないかと思う。生きててもいいことなんてねえんだもの。でも、それでも、ジョーカーになったらある意味負けというか、人間であることを放棄することだけはしたくないですな。ジョーカーを肯定しないし、同情もしないよ。けど、ジョーカーになってはダメだ、という思いだけは、しっかり胸に刻みたく存じます。いやあ、すげえ映画でした。これはひょっとすると、オレ的2019年ナンバーワンかもしれないす。ホント、観ててつらかったす……。でも、目をそらしてはいけないのでしょうな。キツイすねえ……生きるってのは……。以上。

↓絶対に観ておかなくてはならない作品の一つです。
ダークナイト (字幕版)
クリスチャン・ベール
2013-11-26

 待ちに待った映画が今日から公開だ! というわけで、さっそく今日の会社帰りに観てまいりました。その映画は、『JOHN WICK : CHAPTER3 PARABELLUM』。もうわたしの周りの人なら、2015年に一番最初の作品が公開されたときからわたしが大興奮であったことはよくご存じだろうし、前作『CHAPTER2』が2017年に公開された直後から、ちっくしょう、早く続きが観てえ! とずっと言っていたこともお馴染みだろう。そもそもわたしはKeanu Reeves兄貴が大好きだし、ホントに早く続きが観たかったのです!
 というわけで、さっそく『CHAPTER3』を観てきたわけですが……ううむ……結論から言うと、ちょっとなんというか、いろいろ問題があったような気がする……けれど、まあ、ラストはまた次へ続く、to be cotinued……という形で終わるので、許してもいいかなあ……。
 なんつうかですね、今回のジョン先輩は、若干行動が意味不明なんすよね……。まあ、前作もそういう面はあったけれど、結局そうなるの? という物語の流れは、はっきり言ってイマイチだったような気がするし、ま、ズバリ言って長い、つうか、しつこい! ような気もしましたなあ。。。
 ただまあ、いつものガン・フー(GUN-HU)なる銃器を交えた格闘アクションはすさまじいし、見どころバッチリなので、いいのかな……。それだけと言えばそれだけなんだが……それでいいのかなあ……という気もします。ではまずは予告を貼っておこう。

 今回の物語は、前作のラストシーン直後から始まるわけだが、ちょっと復習をしておくと、第1作目は、伝説の殺し屋、ジョン・ウィックさんはその殺し屋家業から引退し、愛する妻と静かな日々を送っていた……けれど、その奥さんは病気(?)で亡くなり、生前、奥さんが贈ってくれた子犬とともに、静かに、しんみりと、奥さんの思い出とともに生きていたのだが、ある日、ジョンさんが自慢の愛車にガソリンを入れていたら、ロシアンマフィアの小僧に因縁をつけられてしまう。
 「その車かっけえな、俺に売ってくれよ」
 「売り物じゃない(She is not for sale)」
 てなやり取りがあって、軽くあしらうジョンさんだったが、あろうことかそのガキがジョンさんの家に夜襲をかけてきて、車を盗み、あまつさえ大切なワンコを殺すという暴挙をはたらき、ジョンさんの怒り大爆発! てなお話だった。
 そして第2作目では、そのガキの親父のマフィアグループもまとめて退治して、愛車も取り戻して(ただしズタボロ)、やれやれ、と家に帰ってきたジョンさんのもとに、かつて、殺し屋連盟組織を引退する時に借りを作ってしまったイタリアンマフィアの野郎が訪れる。なんでも、組織の掟として、借りは絶対に返さないといけないらしく、そいつは自分の姉がイタリアマフィアの頭目を継ぐことになったので、自分がボスになるために、姉を殺してくれとジョンさんに依頼。ジョンさんは、そんなことはできない、ときっぱりと断るが、イタリア野郎はあろうことかジョンさんの家を総攻撃して丸焼きに。ほうほうの体でジョンさんはマンハッタンまで歩いて行き、世話になってるコンチネンタルホテルの支配人に相談。支配人曰く、ジョンさん、そりゃあアンタが掟を守らんからだよ……と同情しつつも掟は掟、と語る。仕方なくジョンさんはイタリア野郎の依頼に応じ(→だったら最初から聞いていれば……というツッコミは禁止w)、ジョンさんの知り合いでもあるイタリア野郎のお姉さんを殺し、依頼完了と思いきや、イタリア野郎はジョンさんまで殺そうとし……最終的にはそのイタリア野郎を「殺しは厳禁」という掟のあるコンチネンタルホテル内でぶっ殺し、かくして掟を破ったジョンさんは、組織を破門となり、追われる身となるのだった……てなことになる。
 で。今回の『第3章』は、まさしく「組織から追放1時間前」から始まる。ジョンさんはまず、自らの出身であるベラルーシの組織に、「ピンチの時に使えるチケット」を提示して、なんとかカサブランカへ船で脱出。そして現地モロッコ・コンチネンタルホテルの支配人に面会し、組織を支配する「主席=High Table」なる存在に贖罪を行いたいので会わせてくれと頼むのだった。
 一方組織サイドも、掟破りのジョンさんへの処罰を与えるべく、ジョンさんに1400万ドルの賞金を懸け、さらに、事態を収拾すべく、ジョンさんに協力した人々に「裁定」を下す<裁定人>をNYCに派遣。かくして、ジョンさんをめぐる戦いが始まった!! てなお話であった。サーセン。いつも通り都合よくテキトーにはしょりました。
 というわけで、問題は、この混乱はどのように収拾されるのか? という1点にかかっているように思う。ズバリ言えば、ジョンさんの望みは「静かに暮らすこと」にあるわけで、もうこうなったらHigh Tableすらぶっ殺すしかねえんじゃね? と思えるわけだが……わざわざ贖罪に出向いて許されるとは思えないし、しかも今回、ジョンさんはケジメの「指つめ」まで行うのだが、まあ、ズバリ言えば、そんなことしても全く無駄、で、わたしは観ながら、ジョンさん、あんた人が良すぎだよ……と若干呆れた気持ちにもなった。
 今回はかなりキャラクターが多いけれど、基本的には「ジョンさんを助ける側」と「ジョンさんを狩る側」に分かれており、それぞれの思惑としては比較的単純なので、説明はしやすいかな。
 <ジョンさんを助けるチーム>
 【コンチネンタルホテル・NYC】
 支配人とコンシェルジュのコンビはシリーズ全作登場。基本的にジョンさんが大好きな二人。しかし、前作で掟を破ったジョンさんを苦渋の決断で組織から追放処分にした。のだが、「追放まで1時間」の時間の猶予を与えたことが<裁定人>にツッコまれ、なんでその場で殺さなかったんだとなじられることに。結果、1週間以内に荷物をまとめて出ていけ、という処分を下されてしまう。40年間組織に忠誠をつくし、組織のために働いてきたのにそりゃねえだろ、とラストはジョンさんともども組織に反逆ののろしを上げる!! という展開は大変美しかったけれど……そこに至るまでのジョンさんの苦労を思うと、なんか、最初から闘ってればよかったのにね、と思わなくもないすな。
 演じたのはもちろんこれまで通り、支配人をIan McShane氏、デキるコンシェルジュをLance Reddick氏が演じてます。とりわけコンシェルジュのシャロンは、ジョンさんの犬を大切に預かってくれたり、今回は銃を手に大奮闘でありました。
 【正直良く分からないNYCのホームレスを偽装した情報組織】
 前作から登場。NYCのいたるところに構成員を配置し、あらゆる情報をつかんでいる存在。一応、「主席」連合の配下らしい。前作で何気にジョンさんを助けてくれたのだが、前作でジョンさんに銃と「7発の弾丸」を提供したことで、<裁定人>から7日以内に荷物をまとめて出ていけ、という処分を下されてしまう。やなこった、と断ったら、ズバッ!ズバッ!と7回刀でぶった斬られることに。はっきり言って若干とばっちりを食ったような気もするけど、怒り心頭の末にラストは……劇場でご確認ください。
 この謎の情報組織の長である、自称「王」を演じたのも、前作同様Laurence Fishburne氏。相変わらずの前歯がすきっ歯なのが、どうしても気になるっすね。そして、いよいよ次章『CHAPTER4』では、ついにネオ&モーフィアスのMATRIXチーム、アッセンブル!ですよ!! 超期待すね!
 【ベラルーシ出身の謎の集団】
 今回初めてジョンさんの出自が判明。NYCは本当にお店やTAXIドライバーなど働いてる人々が、英語が母国語じゃない人たち、がいっぱいいて、人種のるつぼなわけですが、どうやらジョンさんは元々はベラルーシの出身らしく(?)、この謎集団のマンハッタン拠点で訓練を受けたみたいです。女子はバレエダンサーとして超スパルタの訓練を受け、男子はレスリングだったりの格闘?訓練所みたいなのが今回出でてきました。しかもこの集団も、「主席」連合配下らしい。そしてジョンさんは「チケット」と呼ばれるロザリオを持っていて(隠し場所がNY公共図書館の本の中!)、それを使って協力を求めるのだが、やむなく協力したことで<裁定人>にお仕置きを受けることに。気の毒……。
 この今回初登場の謎組織の女ボスを演じたのが、Anjelica Hustonさん。わたし的には久しぶりにスクリーンでそのお姿を目にしたっすね。非常に貫禄十分で、お仕置きも実に毅然と受けておられました。痛そう……。
 【コンチネンタルホテル・カサブランカ】
 前作ではローマのコンチネンタルホテルが出てきましたが、今回はモロッコです。ジョンさんは何故ここに来たかというと、現在のコンチネンタルホテル・カサブランカの支配人、ソフィアが、かつてジョンさんが助け、「血の盟約」を結んで貸しのある女性だったからで、前作ではジョンさんがその盟約をたてに協力を強いられたわけですが、今回はジョンさんが援助を願うわけです。女支配人ソフィアとしては、その盟約を出されると拒めないわけで、仕方ないわね……的にジョンさんの望みである「主席」の一人(?)に会う段取りをつけてやるのだが、可愛がっている戦闘ワンコを寄越せと主席に要求されてブチギレてしまい、あろうことかジョンさんと一緒に主席を銃撃、必要な情報=主席of主席はどこにいるのか、を得て逃走する羽目に。何やってんすか……。ソフィアがその後どうなったかは、今回描かれません。次章で再登場してほしいすね。

 <ジョンさんを狩るチーム>
 【裁定人】
 裁定人は、「主席」から派遣されてきた監査人で、いろいろな状況を査定し、判断を下す存在。この人自身は戦闘力がなさそうなので、さっさとぶっ殺してよかったんじゃないかなあ。いちいちキッチリしていて、人をイラつかせる天才と言えよう。そしてNYCマンハッタンでは、自らの手足として「裁定」を手伝わせるチームを雇い(?)、主に戦闘はそいつらが担当。問題はその、雇われる「忍者チーム」なんすけど……下手くそな日本語使うのはマジ勘弁してほしいと思った。ダサすぎる。どうせなら、真田広之様とか、本物の日本人を起用してほしかった。ただ、ちょっと面白いのは、この忍者チームは伝説のジョンさんの大ファンで、戦えて光栄っす、押忍!みたいな態度は大変良かったすね。
 裁定人を演じたのは意外と若いAsia Kate Dillonさん34歳。ベリーショートがお似合いのクール美女ですな。そして忍者チームの頭を演じたのはハワイ出身のKark Dacascos氏55歳。もう少し日本語がきれいだったらよかったのにね。。
 【モロッコの主席(?)】
 もう何のために出てきたのかよく分からない、ほんのチョイキャラ。弱い。演じたのはJerome Flynn氏。わたしは知らない方ですが、どうやら「Game of Thrones」でお馴染みのTV方面で活躍されてる方みたいですな。
  【主席 of 主席(?)】
 正直良く分からないけど、「主席」連合のTOP的な人。役名としては「The Elder(長老とかそんな意味)」。モロッコ?の砂漠に在住。ジョンさんはこの人に詫びを入れに行き、指までつめることに。しかも、左手薬指を思いっきりつめ、大切な妻との結婚指輪もこの人の手に渡ってしまう。まあ、十中八九、次章ではラスボスとして登場するも、ジョンさんにやられ、「指輪は返してもらう」と言われそうすね。今回、このThe Elderは、ジョンさんの指つめの詫びを受け入れ、主席に忠誠を誓うなら許してやろう、まず初めの仕事として、いつまでたっても出て行かないNYCの支配人を始末してもらおうか、という指令を出す。ジョンさんもその指令を受けてNYCに戻るわけですが、その時、ジョンさんは、なぜ(再び主席にこき使われる暗殺者となってまで)生きていたいかを告白するシーンがありました。ジョンさん曰く、妻を忘れないでいること、そして妻との思い出の中で生きること、そのために死ぬわけにはいかない、みたいなことらしい。でもさあ、ジョンさん、あなた、冷静に考えればNYCの支配人を殺せるわけないよね? だったら、この時がThe Elderを殺す絶好の機会だったんじゃね? という気がしましたよ、わたしは。
 なお、タイトルの「PARABELLUM」ですが、銃に詳しい人なら、誰しも「9mmパラベラム弾」を連想すると思います。が、今回その語源?となったラテン語がThe Elderの口から説明されました。曰く「Si Vis Pacem, Para Bellum(=平和を望むならば、戦いに備えよ)」という意味だそうです。へえ~それは知らんかったわ。ジョンさんもThe Elderも、次章ではきっちり戦いの準備をしてくるでしょうなあ。楽しみっす。

 とまあ、以上かな。今回、マンハッタンでのシーンの多くは、わたしも行ったことのある場所が多くて興奮したっすね。忍者チームと最初に出会ったのは、ありゃグランドセントラル駅だろうな。すげえ見覚えのある通路が何度も出てきました。あと、ジョンさんがこっそり「チケット」を隠していたNY公共図書館も、ロケ地としては有名すね。わたしもわざわざ行ったす。最初の方で、ジョンさんがタイムズスクエアに佇むシーンがあって、なんでまたよりによってタイムズスクエアに? と思ったけど、公共図書館はタイムズスクエアから歩いてすぐだからな。なーるほど、とか思いました。コンチネンタルホテル・NYがあるのはウォール街のそばのマンハッタンの南端、公共図書館はタイムズスクエアに近いミッドタウン、と、地理が分かるともっとこの映画は楽しめたかもしれないす。

 というわけで、もう書いておきたい事がなくなったので結論。

 待望のシリーズ「第3章」である『JOHN WICK : CHAPTER3 PARABELLUM』が公開になったので、初日の金曜の会社帰りに観てきたわけですが、そうだなあ、結論としては、若干物語的には進展が少ないし、アクションもしつこいぐらい長くて、若干胸焼け気味なんですが……早く次の「第4章」が観たい!! と思えたのでアリとしたいと存じます。今回の「第3章」は、起承転結でいうとやっぱり「転」だったんでしょうな。この「転」を受けて、どう決着するのか。ジョンさんは念願の「心安らぐ静かな毎日」を得られるのでしょうか。そこが超楽しみです。わたしとしては、実は愛する奥さんが亡くなったのは「組織」の手によるものだった、みたいな秘密の暴露があって、ジョンさんの怒りMAXに! みたいな展開を希望します。<裁定人>は、これ以上やってもお互いの被害が増えるだけ、と結構あっさり停戦(※劇中ではなんて言葉だったか思い出せない……協議じゃなくて……なんだったっけ……)を呼びかけるなんて、実に冷静で有能すね。裁定人として。彼女も、今回チョイ役のソフィアも、次章に登場してほしいですな。しっかしジョンさん……今回のラストのアレは、痛かっただろうな……無敵すぎです。以上。

↓これまでのシリーズを観ていないと、全くお話になりません。当たり前ですよ。
ジョン・ウィック(字幕版)
キアヌ・リーブス
2016-02-10


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