2019年07月

 ミュージカル『エリザベート』という作品は、宝塚歌劇をたしなむ淑女なら知らない人はいないだろうし、日本のミュージカルファンなら誰でも知っている作品だろうと思う。日本での初演は1996年の宝塚歌劇団雪組公演で、3年前、初演から20周年となり、今でも数年ごとに再演が繰り返されている大人気作品だ。
 事実、去年も月組によって公演が行われ、わたしも宝塚と東京、両方観に行ったほど好きな作品だが、宝塚歌劇ではない、普通に男も出演する「東宝・帝劇版」もあって、こちらも数年ごとに再演が繰り返されているのである。
 わたしはこの「東宝・帝劇版」は2015年に上演された時に観に行ったことがあるが、まあとにかくチケットを入手することが難しく、この度、3年ぶりに上演されることとなった帝劇版も、観に行きてえなあと思っても、そのチケット獲得の道のりは極めて困難なものであった。何が言いたいかというと、とにかく超人気作品なわけです。
 で。今年上演される2019年版は、その人気をさらに過熱させる要因が一つあった。それは、タイトルロールであるオーストリア皇后、エリザベート(通称「シシィ」)を、去年の宝塚歌劇月組版で同じ役を演じ、それをもって宝塚歌劇団を卒業された愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)が、帝劇版でも演じることが決まったからであります。宝塚生活の最後を、エリザベートで、しかも超迫真の演技と歌をもって飾ったちゃぴちゃん。またあのちゃぴシシィを見られるなんて!! と、わたしのように興奮し、コイツは観てえぜ! と思った淑女の皆さんは、恐らく日本全国で100万人ぐらいいたはずだ。
 なお、メインキャストはWキャストになっていて、もちろんシシィと言えば花さま(=花總まりさん。宝塚版初演のシシィを演じた美しいお方)に決まってるでしょ! と仰る淑女も数多いだろう。花さまはこの帝劇版には2015年以来登板を続けており、たしかに、その花さま独特のノーブル感、透明感、そして無邪気な少女から決然と自分の道を征く姿までを完璧に演じるお姿は、控えめに言っても最高であり、至高であることは論を待たないのだが、やはり、今年観るならちゃぴシシィであろうとわたしは思った。そして、冥界の王トート閣下は、今回も2015年版から演じ続けているプリンス芳雄氏(井上芳雄氏)が登板、その声楽で鍛えた歌と若干平たい民族系のクールさは絶妙であるものの、もう一人のトート閣下として、今回初登板となった古川雄大くんがどんなトート様を演じるのかについても、きわめて興味深く、結論としてわたしは、ちゃぴ&古川くんVerが一番観てみたい、と思うに至った。古川くんは、このBlogで何度も書いている通り、その歌声は男ミュージカル役者の中でわたしが一番好きなアクターである。2015年に観たルドルフはわたしの中で最高のルドルフで、あの古川くんが満を持してトート閣下に挑む、というのは、もう超期待なわけであります。
 しかし、とにかくそのチケット争奪戦は熾烈を極め、実はわたしは6月に、1枚、ちゃぴ&古川くんのチケットが取れていたのだが、どうしても都合のつかない急用で行けず、泣く泣く可愛い後輩女子に譲った経緯があった。そのことをわたしの美しきヅカ師匠に話したら、師匠があっさり昨日のチケットを譲ってくれたので、やっと、超楽しみにしていたちゃぴ&古川くんを観に行けたのであります。師匠、ホントいつもありがとうございます!
 というわけで、前置きが長くなったが、昨日のどんよりした小雨の中、わたしはウキウキ気分で帝国劇場、略して帝劇へ向かったのであった。
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 で。いきなり結論を言うと、「マジでちゃぴシシィは最高だったぜ、つうかもう、震えたね!! そして古川くんトート閣下もなんか新しくていいじゃねえか! 要するにもう、最高だよ!!」というのがわたしの感想であります。なので、以下、たぶん同じことばかり言うと思うので、飽きた方はこの辺で退場していただいて結構です。つうか、映像でも最高なのは伝わると思うので貼っておこう。

 というわけで、以下、キャスト別に思ったことを書き連ねてゆこう。わたしが『エリザベート』という作品を観るのは、宝塚版・帝劇版・ガラコンなど含め、恐らく9回目か10回目なので、もちろん主役の二人やフランツ・ルキーニ・ルドルフと言ったメインキャストは勿論だけど、今回は結構アンサンブルキャストの皆さんのすばらしさに目覚めたような気がします。皆さんホント、いいっすね、やっぱり!
 ◆愛希れいかさん as エリザベート皇后:まあ控えめに言ってちゃぴシシィは最高でしたね。明らかに宝塚版からさらに1段上に登ってるとお見受けいたしました。演技、歌、そして少ないけどダンス。すべてが最高レベルに到達していると思います。ちゃぴと言えば、わたしはダンサーとしての技量を最も素晴らしいと思っているけれど、演技もまた最上級のクオリティであり、歌も当然素晴らしかったすな。とりわけ今回は演技、でしょうな。男のわたしには、どうして皇后は息子ルドルフが大ピンチの時に「無理よ」の一言で手を差し伸べるのを拒否したのか、全然理解できないのだが、あのシーンでのちゃぴの、もう完全に心を閉ざした表情は、ヤバかったすね。今回はかなり前の方だったし、双眼鏡でその表情が良く見えました。しかもその時って、ベールをかけてるんだけど、あの冷たい・全く心動かされていない・完全無関心な表情は、ホント双眼鏡越しに観ても心が凍り付いたすね。母親にあの眼で観られたら、ああ、こりゃあもう何を言ってもダメだ、もうオレ、死ぬしかねえ……とルドルフが絶望したのも理解できますよ。しかも、我々観客は、冒頭の超無邪気な可愛いガール時代のシシィを観ているわけで、その変貌は演技として極上だったと思います。ホント、ちゃぴは可愛いし、最高ですなあ。ルイ・シャルルを演じた頃から観ていたわたしは、もう完全に親戚のおじさん目線で、あのちゃぴが立派になりおって……と感無量でありましたね。最高です。
 ◆古川雄大くん as トート閣下:まあ控えめに言って古川くんトートは最高でしたね。トート様は、まあいわゆる「死」を擬人化した、人間にあらざる超常的存在で、この役は演じる方によって相当違いがあって、その違いもまた見どころの一つなわけですが、なんつうか、古川トートは、今まで観たことがないような、無邪気さのようなものを感じたっすね。冒頭の、木から落っこちて死にかけたシシィを発見し、「な、なにぃ! 何だこの可愛い子は!?」的な驚きの表情だったり、後半、夫の浮気についうっかり「命を絶ちます!」とシシィが言った時に、超嬉しそうに、やった、ついに来た!とワクワク顔で「待っていた!!!」というところの笑顔は、とても無邪気で、なんというか、わたしはDEATH NOTEの死神リュークを思い出したっすね。なんか、「人間っておもしれー」的な。古川トート様は、あまり苦悩しなかったように観えました。でも、それもまたアリだと存じます。最高です。
 ◆山崎育三郎氏 as ルイジ・ルキーニ:まあ控えめに言って育三郎ルキーニはやっぱり最高でしたね。2015年版でもわたしは育三郎氏のルキーニを観たけれど、ノリノリ感はもう貫禄すらあって、素晴らしかったと存じます。でも、若干、調子の乗ってる感は抑えめだったような気もする。少し重厚になったというか、ビジュアル的にも顔が重量感増したか? もっとシャープでとがっている印象だったけれど、少しおっさん感があったような……。でも、カッコイイのは間違いなく、その歌声も相変わらず、ありゃセクシーと言っていいんだろうな、淑女の皆さんが聞いたら痺れるであろう、カッコ良さは満点でありました。最高です。
 ◆田代万里生氏 as フランツ・ヨーゼフ1世:まあ控えめに言って最高でした。万里生氏も2015年版で観たけれど、安定のフランツは流石です。つうか、アレなんすよね、宝塚版と帝劇版でわたしが一番違うと思うのは、ラスト直前のフランツで、宝塚版だと「最終答弁」としてルキーニが召喚した幽霊ヤング・フランツが、俺こそシシィを愛した男だ、お前はシシィに振られるのが怖いんだろうが!! と、どちらかというとトート様を攻撃する一方で、帝劇版だと、生きているオールド・フランツが見る「悪夢」という設定になっていて、「お前がハプスブルグを滅亡に追いやったんだ! シシィは俺を愛してるんだ!」とトート様に責められる中で、もっと「やめろ! 俺がシシィ大好きナンバーワンだ! お前は引っ込んでろ!」と髪を振り乱す勢いの激しさを見せるんすよね。ここでの万里生氏の怒り爆発はとても素晴らしかったす。他にも宝塚版と帝劇版は細かい違いがあるんだけど、わたしはこのラスト直前の「最終答弁」と「悪夢」の違いが一番興味深いっす。最高です。
 ◆木村達成氏 as 皇太子ルドルフ:わたしは木村氏を見るのは初めてのようだが、なるほど、イケメンであるのは間違いないすね。歌も大変良いと思います。が、うーん、やっぱりわたしのBESTルドルフは2015年の古川くんかなあ……ルドルフの甘さというか若さ? は、古川くんの声が似合うんすよ……わたしとしては今回の2019年版では、ぜひとも三浦涼介くんVerも観たかったのだが……くそう、マジでBlu-ray出してくれないかなあ……。いずれにせよ、木村氏も大変カッコ良く切なく、今後の活躍を祈りたいすね。
 ◆アンサンブルキャスト:今回一番わたしの目を引いたアンサンブルの方として、美麗さんという方を記録にとどめておかなくてはなるまい。とにかく、顔が小さくスタイル抜群の美人。プログラムを見て初めて知ったけど、なんと宝塚歌劇団月組出身、しかも2009年入団! てことはですよ、わたしイチオシの95期で月組ってことで、それすなわち、ちゃぴと同期でずっと一緒だったってことですよ! マジかよ、全然気が付かなかった。在団当時は麗奈ゆうという名前だったみたいすね、すごく背も高くて、やっぱり男役だったみたい。でも今や、超美人でとにかくセクシー! 娼婦マデレーネはもうヤバかったすね。目立ってましたなあ! ありゃあもう、フランツじゃなくとも男なら100%イチコロっすね。この2ショットが最高です!
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今日は一回公演だったので✨ れいかちゃんとご飯に行きました🍝🥰🍝 パスタ盛り盛り食べました🍝🍝🍝🍝🍝🍝❤️❤️❤️❤️❤️❤️ その後は久々のタピオカ🤣❤️❤️ Chatime行ったよ〜❤️❤️❤️ 沢山食べてお話して今はお風呂でのんびりしてます♨️♨️♨️♨️ この写真、美麗お姉さんぽくて、 れいかちゃん妹っぽい🤣🤣 れいかちゃんきゅるるんてしてて可愛いっ🥰🥰❤️❤️❤️ そういえば、音楽学校時代にれいかちゃんのことをお姉ちゃんって呼んでて笑 組配属になったばかりの時にお稽古場でお姉ちゃんって呼んだら上級生に姉妹なの?って聞かれて笑 れいかちゃんが咄嗟に違いますっっ!!!て言ってたのを思い出した🤣🤣 昔からしっかり者のれいかちゃん✨ 美麗もしっかりしなきゃ🥺✨👍👍👍👍👍 明日も公演頑張ろうっ☺️☺️☺️✨✨✨✨✨ #エリザベート#エリザ#愛希れいか#ちゃぴ#れいかちゃん#美麗#95期#タピオカ#チャタイム

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 うお、ちゃぴも可愛いですなあ……。ほかにも、アンサンブルキャストの皆さんの中には宝塚歌劇団OGの方も多くいて、『エリザベート』きってのかわいそうキャラ、姉のヘレネ(や娼婦などたくさん)を演じた彩花まりさんも95期宙組出身だし、ヴィンディッシュ嬢を演じた真瀬はるかさんも、92期宙組出身とのことで、歌も、そして冒頭の幽霊としてのバレエ的な舞も、実にクオリティが高く、素晴らしかったすね。もちろん、OGと言えば、ゾフィー様を演じた元月組TOPスター剣幸さまも、超おっかないゾフィー様で大変満足です。

 というわけで、もう長いのでぶった切りで結論。

 帝劇では3年ぶりとなるミュージカル『エリザベート』を観てきたのだが、観たかったキャスト、愛希れいかさん&古川雄大くんVerは、期待を上回る素晴らしさでありました。とりわけ、やっぱりちゃぴはすごいね。あの芝居力は本当にすごいす。ぞくぞくしたっすなあ……! そして古川くんトートも、妙に無邪気のような、面白がっているようなトート様はとても新鮮で、大満足であります。もちろん育三郎ルキーニは安定のルキーニであり、万里生フランツも、何一つ文句のつけようはありません。最高でした。そして、アンサンブルキャストの皆さんも本当にブラボーっすねえ! 上には書かなかったけれど、黒天使軍団はやっぱり凄いダンスと肉体で、ありゃあ淑女の皆さんだったら目がハートになるのもやむを得ないでしょうな。そして女性陣も、とても美しくセクシーで言う事ナシであります。最高でした。しっかし、東宝よ、なんで今時DVDなんだ!! Blu-rayで出してくれたら、おれ、全Ver買ったっていいんだぜ!? つうかNHKが8K中継してくれねえかなあ……そしたら今すぐ8K環境を揃えるのに! とにかくチケットが獲れない人気公演だけに、映像化を強く望みます。可能な限りの高画質で!! そこんとこよろしくお願い存じます! 以上。

↓ まずは入門としてこちらをお勧めします。みりおトート&みちこフランツのバトルが良い!

 というわけで、土曜日は愛する宝塚歌劇を観劇した後、日比谷から千代田線に乗って乃木坂へ赴き、ちょっくら美術鑑賞もしてきた。なんでも、その展覧会には、かのエリザベート皇后陛下の肖像画が来ているらしく、おまけにフランツ・ヨーゼフ1世皇帝陛下の肖像と対になっているそうで、コイツはヅカオタとしては、皇帝夫妻(の肖像)が日本に来ているなら、ご挨拶申し上げねばなるまい、と思ったのである。その展覧会が、こちら、『ウィーン・モダン クリムト。シーレ 世紀末への道』であります。
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 まあ、19世紀末のウィーンというテーマで、Gustav Klimt氏やEgon Schiele氏の作品をメインに据えてみましたという展覧会なわけだが、ミュージカル『エリザベート』が好きな方なら是非、行ってみていただきたいと思う内容になっていて、実に興味深い展覧会だとわたしは感じた。
 というのも、絵画だけではなく、当時の食器やいすなどの調度品や服、それから建築など、当時のウィーンの生活や風景が感じられるような展示物が多く、なんとなく想像力を掻き立てるのです。そこが大変面白いと感じました。
 わたしはドイツ文学を専攻した男なので、それなりにウィーンという街の歴史や建物のことは知っているつもりだし、ドイツ語も普通の人よりずっと読んで話せるため、いちいち、作品に記してあるドイツ語を読んでみたり、知識としては知ってる、けど実物としては知らなかったBurgtheater(=ブルク劇場)やRinkstraßeのことなどが結構出てきて、ドイツ語文化を学んだ人も、おお、これが、的にいちいち面白いと思う。ひとつ、笑ったというか、へええ?と思ったのは、なにやら螺鈿細工で装飾された椅子が1脚展示してあって、ドイツ語でなんか書いてあるわけですよ。これを読んでみると、こう書いてあったんだな。
 「DEM BÜRGERMEISTER HERRN KARL LUEGER ZU SEINEM 60. GEBURTSTAGE」
 これは簡単なドイツ語なので初心者でも意味が分かると思う。英語にすると
 「To the Mayer Mr.Karl Lueger, to his 60th.Birthday」みたいな感じで、要するにウィーンの市長、カール・ルエーガーさんへ60歳の誕生日に送られたもので、そのメッセージが、思いっきり螺鈿で記されているのです。現物がこんな奴なんだけど……
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 この椅子は、なんかルイ・ヴィトンのモノグラムみたいでちょっとカッコイイし、おしゃれ、つうか、ゴージャスなんだけど、メッセージはいらねえっつうか、むしろ台無しじゃね……みたいな。なんでまたそんなメッセージを入れた?と作った方に聞いてみたくなったりします。ちなみに1904年の品だそうで、つまり日本で言うと……明治37年、日露戦争中ってことか。
 そう、展示物が19世紀後半から20世紀初頭のものが多くて、わたしはいちいち、日本で言うところの明治直前か、とか、大正●年ぐらいか、とか考えてしまい、それほど遠くない過去だという妙な実感がして、なんか面白かったすね。その、それほど遠くない過去、ということもあって、展示されていた銀食器などはもう新品のような輝きだし、服もそれほど傷んでなくて、大変興味深かったす。
 あまり関係ないけれど、20世紀初頭の建築物の模型とか写真もいっぱいあって、それを見ていたら、そういや東京駅っていつ建築されたんだっけ?ということが気になって調べてみたところ、東京駅が出来たのは1914年なんですってね。つまり大正3年、だそうで、今回展示してあった様々な建築作品と結構同時代で、観ながら東京駅を連想したのも、なるほど、であった。ちなみに東京駅を設計したのはドイツ人のFranz Baltzerさんという方だそうで、ウィーンの都市建築にはほぼ関与してないようだけど、ベルリンで活躍してた人みたいですな。へえ~。
 いけねえ、本題からズレまくってしまった。まあ、わたしは作品を観ながら、こういった余計な横道にハマりがちなんですが、やっぱり、わたしが一番見たかった皇帝夫妻の肖像は、意外とデカくて、趣ありましたなあ……!
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 というわけで、↑ こちらがエリザベート皇后陛下の肖像であります。1855年の作だそうで、描かれたのが1855年の皇后陛下だとすると、御年18歳だか19歳ぐらいのハズ。嫁に来て2年目だから、『エリザベート』の劇中歌でいうところの、「2ね~んめ~におん~なのこがうま~~れた~~」の頃なんでしょうな。つまり、ゾフィー様とのバトル勃発中というか、「むすめはどこ~~」「ひきとりました~~」「かえしてください~」「おことわりよっ!!」のあたりなんだと思うけど、要するに絶賛嫁姑バトルの真っ最中のはずなんだけど、それにしては、意外と生き生きとした、イイ表情に見えますね。
 で、これと対になっているフランツ1世皇帝陛下の肖像もあるんだけど、それは是非、会場へ直接観に行ってください。とても若々しくて、まあ、イケメンと言って差し支えないと思います。皇帝陛下に関しては、一つはまずその対になっている肖像画の、額がやけに質素なもので(エリザベート皇后の方はちょっと豪華な額)、ちょっと驚いた。想像するに、きっとあの肖像はこれまで相当流転の運命にあったのか、持ち主が変わって行ったり、ぞんざいな扱いを受けたのではなかろうかと、勝手に妄想したりもしました。
 そしてもう一つ、フランツ1世皇帝陛下が自室で何かしている別の絵画も展示されているんだけど、それは1916年の作品で、もう完全にお爺ちゃんぽく年老いている陛下なんですが、その部屋にですね、まさしく上に貼ったエリザベート皇后陛下の肖像画が飾られているのが描かれているんだな。
 なんつうかもう、わたしはその作品を観た時は、頭の中でずっと「夜のボート」が鳴りやまなかったすね。若き頃の最愛の女の肖像を、自室にひっそりと飾っているわけですよ。「い~つ~か~ たが~~いの あ~や~まちを~~み~と~め~あえ~るひ~が くる~~でしょう~~」とエリザベート皇后は歌ったわけですが、フランツ皇帝陛下は皇后亡き後、一人遺された自室で、そんな自らの過ちに思いをはせていたんすかねえ……男としては泣けるっすわ……。。。
 で。
 メインのGustav Klimt氏に関しては、特に説明はいらないだろう。しかしわたしは一つの作品の前で、すげえテンション上がったす。それは、作品制作前の鉛筆かな、素描というか下書きだったのだが、それはまさに、わたしがNYCのMetropolitan美術館で観て、一番気に入った、あの作品の下書きだったのです!! その作品とはこちら!
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 ↑これは、写真撮影OKって書いてあったので、わたしがMETで撮影したものなんですが、Klimt氏の「メーダ・プリマヴェージ」という作品で、これの下書きが今回展示してあって、わたしは、こ、これは! NYCで観たアレだ! と一発で分かった。わたしはKlimt氏でこんなピンクの可愛らしい、ポップな作品があることなんて全然知らなかったので、METで観た時強く印象に残ったんだけど、うれしかったなあ、また日本で会えるとは! 

 というわけで、まとまらないのでぶった切りで結論。
 かのエリザベート皇后陛下の肖像が来ているというので、宝塚歌劇とミュージカルを愛するわたしとしては、それは是非ご挨拶に行かねばなるまい、というわけで、宙組公演を観た後ちょっくら乃木坂の国立新美術館にて絶賛公開中の『ウィーン・モダン クリムト。シーレ 世紀末への道』という展覧会へ行ってきたのだが、思いのほか、絵画以外の美術品の展示も多くて、大変楽しめたのでありました。『エリザベート』が好きなら、足を運んでみる価値はあると思います。もう、フランツ1世皇帝陛下が自室でなにか物思いにふける画が最高なんです。その部屋にはエリザベート皇后陛下の肖像が飾ってあるなんて、泣けるっすなあ……というわけで、まだ会期は8月までとだいぶ残ってるようなので、是非、行ってみてください。おススメであります。つうかアレか、本物のファンなら、やっぱり一度、ウィーンに行け!ってことか。行きてえなあ……くそう。マジで行ってみたいすわ……。以上。

↓ つうかマジで計画立てるしかないね! できればザルツブルグとかも行きたいなあ……!

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