2019年06月

 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を生で体験し、うおお、コイツはすげえ、なるほど、これは世の淑女たちが夢中になるのも納得だ、と理解したわけだが、わたしにとっての最初の生・宝塚が、当時のTOPスター柚希礼音さん率いる星組公演であったため、以来、わたしは星組をイチオシとして応援している。
 タイミング的には、わたしが初めて観た作品は、柚希礼音さんがTOPに就任した2作目の『ハプスブルクの宝剣』という作品だったのだが、何が言いたいかというと、タイミング的に非常に幸運であったということで、おかげで柚希礼音さんのTOP時代の作品はほぼすべて、劇場で観ることができたということだ。つまり――わたしは今、日比谷の東京宝塚劇場で絶賛公演中の『オーシャンズ11』の、星組版初演(2011年)もちゃんと生で観たわけであります。
 というわけで、現在東京で公演中なのは宙組であります。そして現在の宙組TOPスター、真風涼帆さん(以下:ゆりか)は、まさしく柚希さん時代に星組に在籍していて、『オーシャンズ』の初演にも出演していたし、新人公演では主役のダニー・オーシャンも演じたわけで、完全におじいちゃん目線で舞台を見つめるわたしには、あのゆりかが、オーシャンズでダニーとして真ん中に立つ日が来たんだのう……と感無量なわけです。さらに言えば、現在の宙組2番手スター芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)も初演時には星組生で、今回演じたラスティ―という役を新人公演で演じており、まさしく2011年の星組版新人公演コンビが揃って今再び、TOP&2番手として同じ役で舞台に立ったわけで、まあ、控えめに言って胸が熱くなるわけです。
 なんつうかもう、ビジュアル的にも本当にカッコいいですなあ! この映像を見てくださいよ。まあ、すべての世の淑女の目がハートになっても、これはもう無理ないでしょうな。男としては大変悔しいですが、これはどうやっても勝てっこないす。

 というわけで、宙組版『オーシャンズ11』であります。本作は、曲がとてもカッコ良くて、大変面白い作品としてわたしの記憶に残っているのだが、ま、お話的には映画版をベースにはしているけど、別物と思っていいかな。
 そしてメインの二人、ゆりかとキキちゃんについてはもう期待しかなく、ポスタービジュアルが発表されたときからそのカッコ良さは間違いないもので、何の心配もしていなかったのだが、わたしとしては以下の点について、若干、どうなるだろう、大丈夫かな、とか余計なお世話の心配もしていたのであります。
 ◆ヒロインのテスについて
 演じるのは当然、現・宙組娘TOPの星風まどかちゃん(以下:まどかちゃん)なわけだが、わたしの印象では、まどかちゃんは若干ロリ感のある、可愛い系女子である。一方、物語のヒロイン、テスという役は、どちらかと言えば大人女子であって、そこにまどかちゃんとの親和性を感じられなかったのだ。だが、観終わった今、結論を言うと、超大丈夫、であった。つうかですね、まどかちゃんはこういう役も全然平気だったんすね。これはわたし的にはちょっとした発見で、へえ~と感じられた。なんか、芝居の時の声もいつもと違って少し抑え目の声だったような気がするし、なんか、芝居の時も歌の時も、声が星組版テスを演じた夢咲ねねちゃんに似てたような気がしますね。ビジュアルは全然違うけれど、声だけ、すごい似てたように思った。そしてなんといっても、サーセン、セクハラで大変恐縮なんですが、まどかちゃんのケツラインが超キレイで美しく、超セクシー!!であった。男目線からすると、あのプリケツは超・極上す。今回はタイト目のスカートが多くて、実に眼福でありました。素晴らしいす。
 ◆敵役ベネディクトについて
 この役は、初演時は現星組TOPスター紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)が演じ、さらに2013年の花組版再演では現雪組TOPスター望海風斗さん(以下:のぞ様)が演じた重要な役だ。ベネディクトが、カッコ良くて嫌な奴でないと物語は面白くなくなっちゃうわけで、紅子先輩は何気に「嫌な奴」を演じるのが得意だし、のぞ様の「ぐぬぬ!」と怒り悔しがる様は超秀逸で、それぞれ最高だったわけです。なので、宙組で『オーシャンズ』を再再演するということを聞いた時、おお、そいつはゆりか&キキでやれば、最高に決まってんじゃねえか!と思ったものの、はて、ベネディクトをやれる人材が今の宙組にいたっけ? とか思ってしまったのである。ちょっと前ならば、先日宙組から専科に異動になってしまった愛月ひかるさんが、きっとベネディクトを演じたのは間違いないと思う、けど、今はいない。じゃあ誰が……? と思っていたところで発表されたのが、桜木みなとさん(以下:ずんちゃん)である。この発表には、えっ、お、おう……? という感想を持ったわたしだが、観てきた結論としては、まあ、十分レベルの高いパフォーマンスを見せてくれたとは思う。ずんちゃんのこれまでのキャリアからすれば、新境地なんでしょう。唯一アレなのは、やっぱり背の低さですかね……。でもまあ、期待には十分こたえてくれたと思います。
 ◆ソラ・カズキの活躍に期待!
 わたしのヅカ友の女子が、和希そらさん(以下:そらくん)の贔屓であるため、わたしも宙組を観る時はそらくんに注目するのだが、今回の『オーシャンズ』ではどの役を演じるんだろう?と楽しみにしていたら、発表されたのは、映画版ではMatt Damon氏が演じたライナスの役であった。ライナスと言えば、星組版初演でゆりかが演じ、花組版再演ではキキちゃんが演じた、若手にとっては大きい役なわけで、わたしとしては、これまで、実力は極めて高いけれどイマイチ役に恵まれなかったそらくんにもとうとう大きい役が来た! と大変うれしくなったのであります。そしてそらくんはきっちりとその期待に応えてくれましたな。そらくんは、まず第一にダンスのキレが素晴らしく、そのビジュアルも、実は女子として大変な美人なのだが、大変カッコ良かったすね。そらくんも、唯一の弱点はやっぱり身長が少し低めなんだよな……そこだけですよ。歌もかなりうまいし、わたしとしては、もうそらくんには是非、我が星組に来てほしいと思う人材ですね。秋に星組TOPスターになることが確定した愛しのこっちん(礼真琴さん)と共に、歌って踊れる人材として、マジで星組に欲しいすわ。今後も、宙組を観る時はそらくんに注目したいと思います。
 あとは……わたしが観ながら、おお、この人はイイですなあ! と思ったのは、元星組の100期生、天彩峰里ちゃん(以下:じゅりちゃん)かな。演じたエメラルドは、舞台上にかなり頻繁に登場する3人の美人シンガーの一人なのだが、これまで妃海風ちゃんが新人公演で演じたり、仙名彩世さんが花組版で演じた役で、要するに歌ウマじゃないとダメな役なわけですが、じゅりちゃんも大変良かったすね。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 ダニー「テス、本能に従うんだ……」
 テス「これが本能よ!」(ピシャッとビンタを喰らわす)
 ダニー「……快感だぜ……」(と、ニヤリとしておもむろに無理やりキス!)
 今回は、ダニーのこの若干変態めいたこのシーンを選びました。つうかですね、男のわたしには、テスがダニーに惚れ直す理由が良くわからんというか、あんだけ嫌いと言っといて、元サヤに戻る展開は正直謎なんすけど……やっぱり、女子としてはこういう強引さも欲しいんすかねえ? え、全然違う!? まあ、それが分からんからわたしモテないわけです。なるほど、納得。いや、納得してる場合じゃねえし!! くそう!

 というわけで、結論。
 8年前(!)に観た、宝塚歌劇による『オーシャンズ11』が令和の世となって大復活、再再演となったわけだが、TOP&2番手コンビのカッコ良さは、男としてはもう完全にお手上げですよ。最強のカッコ良さは男が観ても痺れるっすな。それにしても、真風涼帆さんは、どこかクラシカルな、堂々としたTOPスターだし、芹香斗亜さんも、今すぐにTOPスターになっても何ら問題のないキラキラオーラがあふれ出していて、最高でした。そしてわたしとしては、和希そらさんの今後を見守りつつ、星組に来てくれねえかなあ、という夢を見続けたいと存じます。今の星組に必要な人材だよ……そらくんは。しっかし、どうでもいいけど、ホントにチケットが取れないのがつらいす……今のところ、次の雪組公演はチケット全滅で観られそうにないし、その次の、わたしイチオシの星組公演もチケット獲れなかったらどうしよう……と大変心配す……。ファンクラブの取次もお断りを喰らうことが多くて悲しい……。。。ちなみに昨日わたしが観たのは、宝塚友の会優先公演でフツーに買えました。アドリブでは「友の会」推しでしつこいぐらいに笑わせてくれましたとさ。以上。

↓ 特に映画を予習する必要はないです。が、可能なら初演の星組版・再演の花組版は見といた方がいいと思うな。柚希礼音さんのダニーは、ウルトラカッコええす。
オーシャンズ11 (字幕版)
ジョージ・クルーニー
2013-11-26





 いやあ~……最高だったすね! コイツは面白かった! 今年はあまり映画を観に行けていないけれど、まあ、ダントツの完成度とダントツの面白さで、今のところ暫定ナンバーワンですなあ!
 何のことかって? そんなのコイツに決まってるでしょうが!!

 というわけで、US本国よりも数日早い昨日から日本公開となった『SPIDER-MAN:FAR FROM HOME』 であります。いやー、本当に素晴らしかった! とにかく内容盛りだくさんで、これはMCU=マーベル・シネマティック・ユニバースにとって極めて重要な作品であったと言えると思う。
ポイントとなるのは……
 ◆そもそもの本筋である物語が最高に面白い
 ◆本筋に影響を及ぼしている、MCUの世界観設定が超秀逸に決まっている。
 ◆コミック原作への深いロイヤリティ(忠誠心)が観ていて感動的
 という点にあるような気がしますね。これは本当にお見事としか言いようがないすわ。まずはざっくりと、これまでのまとめと本作の物語をまとめてみよう。間違いなく言えることは、MCUのこれまでの歴史を知らないと、本作を味わうことはできないことでしょうな。まあ、そんなのは当たり前の大前提ですよ。
 で、MCUにおける『SPIDER-MAN』単独の物語は、本作で2作目であるものの、実のところ主人公スパイディ=ピーター・パーカー君がMCUに登場するのは、これでもう5本目だ。
 <初登場>:MCU最高傑作とわたしが認定している『CAP:CIVIL WAR』に緊急参戦。CAPと分かり合えない深い溝ができてしまったトニーが、なにやらNYCで悪者退治にいそしんでいる「蜘蛛男」のうわさを頼りに、ごくあっさり正体を見破り、ある日突然、ピーター君の前に現れスカウト。この時トニーは、あくまで助っ人として助力を要請するが、世界的な大富豪&天才と知られているトニーのスカウトに大興奮したピーター君はそれなりに活躍するも、それほどは深く描かれず、顔見世に終わる。
 <単独主演>:初の単独作『HOME COMING』にて、『CIVIL WAR』のその後が描かれる。トニー謹製のSPIDERスーツをもらって大はしゃぎのピーター君は、CIVIL WARののち、僕もアベンジャーズの一員になって大活躍したい、とずっとトニーからの連絡を待つ日々だったが、トニーからは連絡なし。つれない対応にしょんぼりしているが、NYCに現れた悪党ヴァルチャー(及びその手下)との戦闘で、若干ミスってしまってトニーに怒られ、スーツも取り上げられてしまってさらにしょんぼりは深まる。が、最終的にはヴァルチャー退治に成功し、トニーもピーター君の活躍を認め、ラストは記者会見で、新たなるヒーローの誕生だ、と派手に紹介しようとしたところでピーター君はそれを断り、「NYCの親愛なる隣人」でいることを選択する。この作品の一番素晴らしいところはこのピーター君の選択で、原作コミックのCIVIL WARでは記者会見でマスクを脱いで、自分がSPIDER-MANであることを明かすのだが、見事にその流れを断る点にあろうと思う。女の子にモテたい、自分がSPIDER-MANであることを明かせばモテる、という前振りが何度もあるのに、それをきっちり断って、モテることより自分のできることを頑張る、というピーター少年の決断は実にカッコ良かったすな。そしてこの作品では、若干暗くてブラックなことばかりつぶやいている謎のプチストーカー少女こそ、SPIDY世界のヒロイン「MJ」だった! というラストも実にお見事でした。
<3作目&4作目>:『INFINITY WAR』勃発。NYCのマンハッタンにやってきた宇宙船を、スパイダー・センス(=何気に重要な能力で、今回のFAR FROM HOMEではカギとなる危機察知能力)でいち早く感知したピーター君は、スクールバスから現場に急行、戦闘中のトニーを助け、拉致されたDr.Strangeを追って宇宙船にしがみつくが、成層圏を突破する辺りで意識朦朧となり、上空から落下するもトニー謹製の「アイアン・スパイダー」スーツを装着、トニーには家に帰れと言われてたのに宇宙船に潜入、結果、THANOSの手下一人をぶっ飛ばすことに貢献し、トニーにはアベンジャーズの一員として認められる。そしてTHANOSとの戦いに挑むも、THANOSの「選択」で消滅することに。しかしご存知『END GAME』で普通に復活しました。ただしその代償は―――トニーの命だったわけです。
 <5作目となる本作『FAR FROM HOME』>:INFINITY WAR~END GAME事件から8カ月後の世界。物語としては、もう予告で描かれている通り、高校生としての夏休み、サイエンスクラブの合宿旅行(?)で訪れたヨーロッパを舞台に、ピーター君としては大好きなMJに告白したい、けれど謎の怪物が世界各国に現れていて、トニー・スターク=IRONMANというスーパーヒーローを失った世界はSPIDER-MANの力を必要としていた……。
 というお話なわけだが、スーパーヒーローとしての活動は、ピーターが「NYCの親愛なる隣人」であろうとする気持ちと、さらに高校生として恋と青春をエンジョイしたいという気持ちともバッティングしてしまうわけで、ピーター君は大いに悩むわけです。おまけに、ピーターが尊敬してやまないトニーからの遺品(=トニー愛用のサングラスで、ARシステムが実装され、地球防衛装置(と言えばいいのかな?)にダイレクトにリンクした強力な一品)も、ホントに僕が持ってていいんだろうか、なんて悩みもあって、もう大変なわけです。
 しかし、後半、自分の行動が間違っていたことに気づいてからは、前を向いて自らの失敗を取り返すべく、超がんばるわけですが、それがまたなかなかけ健気なんすよ! ピーターはトニーを失っても、きっちり自分で成長を果たしたわけで、そんな、「少年の成長物語」が面白くないわけない! のです。本当に良く練られた脚本で、実にお見事でありましたなあ! マジ最高でした。
 というわけで、以下、キャラごとに演じた役者と共に思ったことをメモしておこう。
 ◆ピーター・パーカー=SPIDER-MAN:演じたのはもちろんTom Holland君23歳。演技的にも完璧に近く、悩める姿、しょんぼりな顔やはじける笑顔など、高校生そのものな感じでとにかく最高だったすね。そもそも、SPIDER-MANは、マーベルコミックの中では(一部のX-MENキャラを除いで)最年少の少年ヒーローで、これまでの映画シリーズのような、恋愛中心のキャラではなく、原作に最も忠実な描かれ方なのではないかと思う。しかし、本作のエンドクレジット後のおまけ映像では、ついに自分がSPIDER-MANであることを明かされてしまって、今後どうなるのか、超楽しみっすね! そして、とうとうMCU版にもデイリー・ピューグル編集長(どうやら時代を反映して新聞社ではなくネットニュース配信社?)も参戦、おまけに演じた役者がSam Raimi監督版3部作で同じ役を演じたJ.K.Simmons氏だったことに、もうわたしは大興奮したっすわ! あれはもう、ファンは全員、な、なんだってーーー!? なおまけ映像でしたな。最高でした。
 ◆ハッピー・ホーガン:悩めるピーター君の前に現れる大人その1。演じたのはもちろんJohn Favreau監督52歳。お馴染みトニーの運転手兼ボディガード(?)のハッピーは、今回は美人過ぎるおばさんでお馴染みのメイおばさんのケツを追っかけつつ、後半、ピーターが決断してからはいろいろとサポートしてくれた強い味方。だけど、ちょっとあんた、弱すぎだし、メイおばさんを見る目が完全にエロオヤジなんですけど大丈夫ですか!? トニーが生きてたら、なんと言われるか……まあ、今後もピーター君をサポートしてあげてくださいね。
 ◆ニック・フューリー:悩めるピーター君の前に現れる大人その2。Samuel L. Jackson叔父貴しか演じられるわけがありません。基本的にこの人は偉そう&口だけ人間に近く、ピーター君の力にはほとんどなってない。さらに、この人はTHANOSの選抜で消滅した側なので、5年のブランクがあるのでイマイチ本調子じゃないみたい……と思わせといて、なんなんすかあのおまけ映像は!? 要するに、今回出てきたニック・フューリーは全部スクラル人のタロスが変身してたってことなんすか!? マジかよ!! この設定って必要だったかなあ!? まあ、どうやら本物のニック・フューリーは銀河のどこかでお仕事中みたいすね。ま、今後のMCUがどうなるかさっぱり謎ですが、その「今後」のための伏線なんでしょうな。うおお、すげえ楽しみであります!
 ◆クエンティン・ベック=ミステリオ:悩めるピーター君の前に現れる大人その3。演じたのはわたしが結構好きな役者の一人であるJake Gyllenhaal氏38歳。やっぱカッコイイすねえ、この人。そして、SPIDER-MANにちょっと詳しければ、ミステリオのことも知ってるはずで、わたしはもうずっと、予告でやけにイイ人っぽく描かれる「ミステリオがイイ奴のわけがないんだけど……どんな話になるんだ?」とドキドキしていたわけで、本性が現れた時は「やっぱり……!」ではあった。しかし、脚本的に、コイツが悪党だってことは一切匂わせず、実にお見事な大どんでん返しであったとわたしは大絶賛したい! 素晴らしかったね。ここでこう来るんだ!? と誰もがびっくりな展開は完璧に決まったすね。こういう点も、原作へのロイヤリティの高さがにじみ出てますよ。しかも、原作ファンには、アース616とかアース833とか、「それっぽい」ミスリードを誘うようなセリフも、実に原作へのリスペクトが感じられる素晴らしい脚本でした。そしてJake氏の演技も良かったすねえ! わたしとしては大絶賛いたしたく存じます。
 ◆ネッド:MCU版ではおなじみの、ピーターの親友のデブオタ君。いやあ、今回の「ネッド、大人への階段を上るの巻」も実に素晴らしかったすねえ! ネッドに春が来るとはなあ! しかも、ネッドの素晴らしいところは、彼女ができても、彼女に付きっきりになることなく、キッチリとピーターの相棒=椅子の男として活躍してくれるんだから、ホントにコイツはイイ奴ですよ! 演じたのはもちろんこれまでネッドを演じ続けてくれているJacob Batalon君23歳。なるほど、Tom Holland君と同い年なんすね。君たちコンビはこれからもずっと頑張ってほしいすね!
 ◆MJことミシェル:前作『HOME COMING』では、むしろ彼女がピーター君大好きで、若干ストーカーめいた挙動不審な女の子だったし、おまけにピーター君も別の女の子に夢中だったのだが、今回はもう、ピーター君の方からMJ大好きに。まあ、おっさんからすれば、二人がもうお互い大好きなのは見え見えなので、YOU、さっさと告っちゃえよ! なわけですが……なかなか甘酸っぱくて良かったすね。つうか、演じたZendayaちゃんはミュージシャンとして大人気なわけだけど、この子はなんとなく日本人的顔立ちだし、観ていると話が進むにつれてどんどんかわいく見えてきますな。エンディングではSPIDER-MANに抱かれてマンハッタンの空をスィングしまくる映像も流れて、なんか微笑ましかったすな。青春しやがって! ところで、ピーター君もネッドもMJも、揃って5年間消えていた側なわけですが、本作では、トニーの逆パッチンによって、消えた人がどう復活したかもちょろっと描かれてました。わたしはその映像を見て椅子から転げ落ちそうなぐらいびっくりしたんだけど……どうやら、「消えた場所で(?)、突然、パッと復活した」らしい。うっそだろ!? そんな復活だったのかよ!? とわたしとしては超驚いたす。だって、飛行機に乗ってた人とかもいたはずで、そういう「消滅した時の場所がアレだった人」たちってどうなったんでしょうなあ?? 謎っす。
 いっけねえ! もうクソ長いからこの辺にしとこう。

 というわけで、もうぶった切りで結論!
 超楽しみにしていたMCU最新作にしてPHASE-4の最終作となった『SPIDER-MAN:FAR FROM HOME』を観てきたのだが、一言で言えば最高でした。控えめに言っても、最高だと思います。真面目な少年が、悩みや悲しみを乗り越えて成長するという物語は、もう鉄板でしょうな。実に面白かったすね。悔しいぐらいに。MCUとしても極めて重要な作品であったと思う。しかしなあ、ホントにパラレル・ワールドの「マルチ・ヴァース」の設定を使わなかったのは大正解だと思いますね。アレはもう、収拾がつかなくなるし、これまで、を無視しちゃう禁じ手だと思うな。まあ、それを使って台無しになったのがFOX版『X-MEN』なわけで、MCUがその道にまっしぐらにならず、ホント良かったと思います。つうかですね、ニック・フューリーは一体何をしてるのでしょうか? そして正体がバレたピーター君の今後の運命やいかに!? というわけで、今後もますます楽しみなMCUは、本当に最高だと思います。完璧だったっすね、マジで。以上。

↓ まずはコイツを読もう! 話はそれからだ!
スパイダーマン (1) (MF文庫)
池上 遼一
メディアファクトリー
2002-05

 いよいよ20th Century FOXがDISNEYに買収されることが本決まりとなり、かくして今後はFOXが映画化する権利を保有していたMARVEL COMIC作品も、DISNEYが展開するMCU、マーベル・シネマティック・ユニバースに参加する障壁がなくなったわけで、わたしとしては大歓喜となったわけだが、残念ながらFOX買収以前から企画開発が進行していたFOX版『X-MEN』は数作品残っていて、どうやら1本は企画がポシャった?ようだが(※『THE NEW MUTANTS』のことだけど、ホントに来年公開されるんだろうか??)、残念ながらもう1本は企画が生き残り、FOX JAPANの宣伝惹句によると「(FOXによる)最後のX-MEN」と銘打たれた映画が公開されることとなった。 
 そのタイトルは、『X-MEN DARK PHOENIX』。ま、そのタイトルを聞けば、X-MENファンならもう、すぐにピンとくる物語であるし、実のところこの物語は2006年に公開されたX-MEN:The Last Stand』(邦題=ファイナル・デシジョン)でも扱われた原作モチーフで、X-MENの中でも相当強いキャラの一人であるJean Greyが、ダークサイドに堕ちる話である。物語としてはもう、それ以上の説明は不要だろう。
 だが問題は、わたしがこのBlogで何度も批判しているように、もうFOX版X-MENは完全に破たんしているというか、おかしなことになってしまっていて、超問題作X-MEN:Days of Future Past』(邦題=X-MEN:フューチャー&パスト)で過去が書き換えられてしまい、おまけに前作X-MEN:APOCALYPSE』で決定的に、もう惰性で作っているとしか思えないような、浅~~い映画となり果ててしまったのである。なので、わたしは何度も、FOXはもうX-MEN映画を作ることを放棄して、DISNEYに権利を返してくれないかなあ、と書いてきたのだが……一方ではなんと、完全にパラレルワールド的にこれまでの歴史を無視したLOGANという映画で、超見事にWolvarineの最期を描き、完璧なる「X-MEN最終作」というべきウルトラ大傑作を世に送り出したのである。
 いやあ、アレはホントびっくりしたなあ……本当に『LOGAN』は素晴らしい映画だった(※『DEADPOOL』はわたしとしてはどうでもいいというか、まあ、面白かったけどちょっと別腹ってことで今回は触れません)。『LOGAN』がわたしにとって「FOX最後のX-MEN」であることはもう揺るがないし、そもそも「X-MEN」の物語は今後確実にDISNEYによって描かれることになるので、全くもって今回の『DARK PHOENIX』が「最後」では決してない。ちゃんと「FOX最後の」って言ってほしいもんだ。FOXのそういう点がいちいちわたしをイラつかせる理由でもある。
 そんなことはさておき。
 というわけで、FOX版「最後のX-MEN」と銘打たれた本作を、わたしは正直全く期待していなかった。なにしろわたしにとってはもう、『LOGAN』こそがFOX版「最後のX-MEN」なので、はっきり言って、今さらだし、内容的にも、今さら、であるのだから。そして実際に観てきた今思うことは、ホント今さらだったな、で終了である。じゃあなんで観に行ったかって? そりゃあアレですよ、惰性ってやつです。

 なんつうか……FOX作品の予告はいつもどうしようもないけれど、今回は非常にイイ感じだと思った……のだが、残念ながら本編は、いつものFOXクオリティで、はっきり言って相当問題アリだと思った。ただし、一方的にダメと切り捨てるのももったいないぐらい、超素晴らしく、良かった点もあるので、その点にもちゃんと触れようと思う。
 【ダメポイント:決定的にキャラ付けがマズイ】
 まずもって、この映画を観た人の中で、ある意味主人公のJeanや、Professor Xに共感できる人がいただろうか? そう、全く、1mmも共感できないキャラとして描かれちゃっているのは、もう根本的にマズい点だったと思う。
 まず、Jeanに関しては、幼少期からその能力の暴走が起きていて、ついうっかり、母をぶっ殺してしまい、それがトラウマとなっているのは、まあ分からんでもない。だけど、その忌まわしき記憶を封じたProfessor Xの処置を、責められるだろうか?? 「わたしをだましていたのね!!」と激怒して、怒り狂い、あまつさえMystiqueことレイブンをぶっ殺してしまうとは!! おまけに恩のあるレイブンをぶっ殺しても反省なしでバックレてどっか行っちゃうって、もう絶対ナシだよ、脚本的に。仮にこの点を100万歩譲ってアリだとしても、その後、彼女が嘆くのは、私はなんてことを……やっちまった……という後悔ではない。ただひたすら、自らの不幸についてのみ、ああなんて私はかわいそうなのかしら、という自己憐憫のみだ。なんなんだこのガキは!? とわたしはもう席を立ちたくなったぐらいである。
 というわけで、本作は強大な力を持つ子供を、大人たちがオロオロしながらなだめるお話であると言わざるを得ない。この映画には、「ガタガタ言ってんじゃねえぞこのクソガキが!」と、ぶん殴ってくれる大人がいないのだ。実はその「叱ってくれる大人」こそが、旧シリーズでのWolvarineの役割で、Wolvarineがジョーカー的に機能して事態を解決してくれていたからこそ、物語として成立していたのだが……残念ながらこの映画には登場しない。この映画では、新キャラの謎の勢力が、Jeanに取り込まれた謎のウルトラパワーを奪取しようとして、Jeanに耳障りのイイことを吹き込んで取り込もうとするのだが、残念ながらこの謎キャラ勢力が完全に滑ってしまったのも脚本的にいただけないポイントだろう。
 以下、キャラと演じた役者をメモしながら、各キャラの行動をチェックしておこう。
 ◆Professor Xことチャールズ・エグゼビア:わたしの眼には、チャールズの行動はなんら問題はなかったように思える。異端であるミュータントと人間の共存のためには、チャールズのような行動が必要だったと思うし。でもまあ、ちょっと調子に乗っちゃったということなのかな……。今回、さまざまなキャラから、「お前が悪い!!」と責めまくられるチャールズだが、じゃあどうしたら良かったんだよ!? とチャールズが思うのも無理ないと思う。演じたのはヤングProfessorでお馴染みのJames McAvoy氏40歳。
ホントお気の毒な役どころでした。
 ◆Mystiqueことレイブン:チャールズが若干調子に乗って、テレビに出てちやほやされたり、そのために仲間を危険にさらしたことを激怒している。しかし、チャールズの描く、人類との共生、ある意味でのミュータントの生存戦略もまた意味があることなので、いったんは怒りを鎮めるが……チャールズがかつてJeanの記憶を封印したことに激怒。そして、Jeanちゃん、かわいそうだったね、よしよし、大丈夫よ……と宥めようとして、あっさりJeanに殺されるというヒドイ目に遭うことに。確かに、脚本的にレイブン殉職はナシではないだろうけど……はっきり言って犬死だったのではと思えてならないすね。演じたのは当然、オスカ―女優Jennifer Lawrenceちゃん28歳。まさかこんな形で退場とは……彼女もまた大変お気の毒でした……。つうか、そもそも、この物語は『Days of Future Past』のエンディングを無視してるよね。そういう点が本当にガッカリというか、腹立たしいす。
 ◆Magnitoことエリック・レーンシャー:歴史が塗り替わったのちのこの世界では、US政府に居留地?的な安住の地を与えられていたようで、そこに、はぐれミュータントたちとともに住んでいたのだが、愛するレイブンの殉職を聞いて大激怒。あのガキはぶっ殺す!と立ち上がる! 本来ならエリックがWolvarine的な「叱ってくれる大人」の役割を演じてほしかったのだが……残念ながら本作ではJeanが強すぎて、ほとんどやられキャラとなり下がり、あまり活躍できずだったのが超残念。演じたのはMichael Fassbemder氏42歳。実にカッコ良く渋かったすねえ! ちなみに、Magnitoの息子であるQuicksilver君は、今回前半でJeanにやられて負傷、ほぼ出番ナシ、であった。
 ◆Beastことハンク・マッコイ:いつもチャールズの行き過ぎた?行動を押さえつつ、いろいろ無茶ぶりをかまされて、大忙しとなるハンクだが、今回はレイブンが大好き(だけどレイブンからはつれなくされる)キャラとして、レイブン殉職に大激怒。チャールズに反旗を翻し、恋のライバルであるエリックとともにJean討伐隊に加わることに。演じたのはNicholas Hoult君29歳。彼もホントお気の毒でした。
 ◆Cyclopsことスコット・サマーズ:兄貴のHavocことアレックスは前作『Apocalypse』で殉職してしまったので、今回は淋しく単独出演。Jeanと愛し合っていて、今回暴走するJeanを必死で止めようとするのだが……残念ながら全く聞く耳を持ってもらえず。それでもJeanを守るために、仲間であるはずのハンクたち討伐隊と戦うことに……演じたのはTye Sheridan君22歳。彼の行動は実に分かりやすく、理解できます。でも、やっぱり
ホントお気の毒でした。
 ◆Jean Grey:残念ながら本作では、どう見ても単なる問題児であり、困ったガキなのだが……恩師の言うことも聞かず、恋人の言うことも聞かず、ただただ暴走に身を任せる困ったちゃんにしか見えなかった。わたしが本作で最も驚いたのは、本作の決着が、Jeanの超上から目線からの、「わかった、許してあげるわ……」で収束するという結末である。あれって、アリなんすか? ま、その結果、お星さまとなったJeanだけど、それで贖罪がなされたと言ってもちょっと認めたくないですな……。演じたのはSophie Turnerちゃん23歳。わたしの趣味ではないので以下省略。
 ◆謎の女ことヴーク:本作での説明によると、Jeanの身に宿ったのは惑星を滅ぼすほどの謎のエネルギー(生命体?)で、ヴークたちはそれを追って地球にやってきたらしいのだが……その設定に問題はないと思うし、破たんもないのだが……ラスボスとしての存在感が希薄で、前作のApocalypse同様に、よくわからんキャラになってしまったのが超残念です。なんか、本当はスクラル人(=CAPTAIN MARVELに出てきた変身が得意な宇宙人)の設定にしたかったらしいけど、NG喰らっちゃったらしいですな。演じたのはJessica Chastainさん42歳。いつの間にか年取ったなあ? もっと若いと思ってた。Jessicaさんはとってもお綺麗でした。
 とまあ、以上がメインキャラで、残念ながらそのキャラ付けが、わたしにはかなり問題アリだったと思う。そして、一方では素晴らしいと賞賛したいポイントも当然ありました。
 【素晴らしい!! と思ったポイント(1):役者たちの演技は完璧!】
 上記の通り、ざんざんキャラに対してダメ出しをしたけれど、演じた役者たちの演技ぶりは極めて上質で素晴らしかったと思う。とりわけX-MENのみんなは、全員が深く「苦悩」しているわけです。その悩める姿は(悩める理由はともかくとしても)実にそれぞれ素晴らしかったと絶賛したい。とりわけ、わたし的には今回やられキャラになってしまったMagnitoことエリックを演じたFassbender氏、それから目をバイザーで隠されているにもかかわらず、つらい苦悩を上手に表現していたTye Shelidan君の二人がとても良かったすね。もちろんほかのメンバーもとても素晴らしい演技でした。
 【素晴らしい!! と思ったポイント(2):音楽がイイ!】
 今回は冒頭からずっと、何やら不穏な空気が感じられる音楽がとても効いているようにわたしは感じたのだが……誰が担当したんだろうとずっと謎に思っていて、エンドクレジットでその謎が解けた時、わたしは本作で一番、おお、そうだったんだ、とスッキリしたっすね。そうです。今回の音楽を担当したのは、なんとHans Zimmer氏だったのです! X-MENシリーズ初参加じゃないかなあ? 耳に残る明確なメロディはないんだけど、とにかく物語にマッチする不穏な曲、というか音、はとても巧みだったと思うすね。わたしとしては、この映画のMVPにしてもいいと思います。
 あとは、演出に関しても、シリーズに脚本やプロデュースで参加してきたSimon Kinberg氏が、初監督とは思えないいい仕事をしていたとは思います。画的にとても良かったすね。しかし、なんでUS映画の葬式シーンはいつもどしゃ降りなんですか? まあキャラの心の中はどしゃ降りな心情なんだろうけど、不自然なんすよね……。

 というわけで、もう書きたいことがなくなったので結論。

 FOX JAPANによる「最後のX-MEN」というキャッチで公開された『X-MEN DARK PHOENIX』を観てきたのだが、まず第一に、間違いなく「X-MEN」というIPは今後もDISNEYによって映画になるはずなので、「最後の」では決してない、というのが一つ。そしてようやくFOXの手を離れ、MCUへの参加ハードルが消滅し、本作をもってFOX版X-MENが最後になるのはファンとしては大変うれしい限りだ。しかし、内容的には……正直問題アリだと思った。なにしろ……Jeanにまったく共感できないし、大人たちの対処も、マズかったでしょうな……。。。こういう時は、本当ならWolvarineの一喝が必要だったのだが、それができる大人がおらず、なんだかみんながみんな、気の毒に思えた。ただし、そのキャラたちの苦悩は実に見事な演技で支えられており、クオリティはとても高かったと思う。今回は音楽もとても良かったです。ま、とにかく今後のMCUには期待しかありませんな! 楽しみだなあ! そしてFOX版が終わったのは何よりめでたいす。以上。

↓ オレ的FOX版最高傑作は『LOGAN』ですが、こちらも実に素晴らしい出来栄えでした。この映画は最高です。

 わたしはもうほぼ完全(?)に電子書籍野郎にトランスフォーム完了しているわけで、いわゆる漫画単行本(=コミックス)は勿論のこと、小説に関しても、ほぼすべて、電子書籍で買って読んでいる。
 理由は様々あって、もちろんそりゃわたしだって、紙の本の方が圧倒的に好きだし、とりわけ小説の場合は、読んでいる分量が実感としてすぐわかること(電子は数値として分かるが実感に乏しい)、そして、すぐに、これって前に書いてあったな……とぱらまら前の方を参照できること(電子はページめくりがめんどい)、など、紙の本の方にもアドバンテージがあることはよく分かってはいる。
 だがしかし、現代の世の中において、わたしが電子書籍を選択する最大の理由は、「本屋の衰退」にある。どういうことかというと、おおっと新刊キタ!とかいう情報を得て、本屋に買いに出かけても、「マジかよ置いてねえ……!」という事態が非常に頻繁に起こるのである。
 そうなのです。わたしが電子書籍を選ぶ理由は、勿論「いつでもどこでも買えて便利だから」とか「買った本を置く場所がいらないから」という電子書籍のメリットも理由の一つだけれど、それよりなにより、「本屋に売ってねえから仕方なく電子書籍で買う」という理由の方が大きいのである。わたしは何でもかんでもAmazonで買うような人間ではない(そもそもAmazonはKonozamaを喰らって以来憎悪していると言ってもいい)し、本屋に行くことは大好きだ。だが、悲しいことに、街の本屋がどんどん衰退して、欲しい本が置いてない!! ことがあまりに頻繁に起きるのである。
 こんなわたしが、紙の書籍を買うのは、現状では2つの場合だけだ。1つは、最も愛するStephen King大先生の作品である。これはもう、本棚にずらりと並べて悦に入りたいからという理由以外にない。ちなみに電子でも買い直すほどの信者なので、これはもうどうにもならん習性だ。
 そしてもう1つは、もう単純に「電子では販売されていない」作品を買う場合だ。残念ながら未だ電子書籍に抵抗を感じている作家先生は存在しており、紙でしか販売されない作品もそれなりに多いのが現実である。
 というわけで、以上は前振りである。
 先日、わたしがずっとシリーズを読み続けている大好きな作品「ジャック・ライアン」シリーズの最新刊が発売になったので、よっしゃキタ! とさっそく本屋に出向いたわたしなのだが……。。。
 まず、わたしの大嫌いな新潮社という出版社は、きわめて電子書籍への対応が遅れており、おそらく近い将来、破たんするのではないかとにらんでいるが、「ジャック・ライアン」シリーズの版権を国内独占している新潮社は、当然のように電子書籍で販売していない。これはおそらく、担当編集が電子書籍の権利を獲得する努力をしてないか、獲れなかったか、あるいは新潮社の方針で最初から取得しないか、理由は謎だが、US本国では普通にKindle版が発売されているので、作家の意向(作家が電子はダメと嫌がる)では決してなく、単に新潮社の怠慢・無能・無策ぶりによるものであると推察する。
 なので、やむなく紙の本を買いに本屋に出かけたのだが……びっくりしたことに、最初に行った近所の一番デカい本屋では、なんと売ってなかったのだ。驚いたなあ……だって、新聞に広告が出てた当日に買いに行ったんだぜ? 信じられないよ。店員さんに聞いてみたら、平台にぽっかり空席があって、「ああ、すみません、売り切れてしまったようです……」だって。よっぽど配本が少なかった(=初版が少ない)んだろうな……。ちなみにこれは(3)(4)を買いに行った時の話だ。そもそも、いつも全4巻に分冊し、発売をズラす無駄な販売施策も実に気に入らないね。上下本同時発売で十分だろうに。
 というわけで、今回もまた、全4巻に分冊されて2カ月分割で発売されたジャック・ライアンシリーズ最新作が、『TOM CLANCY'S TRUE FAITH AND ALLEGIANCE』である。日本語タイトルは『イスラム最終戦争』とされている。まあ、完全に原題とかけ離れた日本語タイトルだが、分かりやすさとしては仕方ないので批判はしない。が、読み終わった今、やっぱり考えてしまうのは「真の信念(TRUE FAITH)」と「その信念に忠実であること(ALLEGIANCE)」の意味だ。
 本作では、3種類の悪党が登場するが、それぞれの思惑は完全に別物で、お互いを利用して自らの「真の信念」に「忠実」であろうと画策する。
 【1.イスラムジハーディスト】
 彼らは基本的に、いわゆるイスラム原理主義者でテロリストだ。わたしはその「原理主義」たるものに詳しくないので、彼らの行動がその主義とやらに忠実なのか、実は良くわからないのだが、憎しみと殺意に支配されている時点で、彼らを容認するわけにはいかないと思う。あまりに原始的すぎるというか……人類としてなんらかの進化が遅れているのではなかろうか。
 【2.ソシオパスのハッカー】
 そしてジハーディストたちに、US市民のパーソナルデータを渡すハッカー的人物の目的は、ズバリ「お金」である。幼少期の体験から、金こそすべてと思い込むようになり、USAという国家に深い恨みを抱いていて(その理由は自分にあるので完全なる逆恨み)、US国家を痛めつけることが最高に楽しいイカレたガキ。自らのことしか考えない完全なる反社会性パーソナリティー障害者。同情の余地は一切ナシ。
 【3.国家の利益のために暗躍するサウジアラビア人】
 彼は、ハッカー的人物からの情報をジハーディストに渡す仲介者なのだが、その狙いは実に単純で、現在US国家は石油を自家生産できるようになってしまい、アラブの油が必要なくなっちゃったわけで、原油価格は下落しているわけだが、サウジとしてはそれは(これまでのオイルマネーに守られた贅沢三昧の生活を続けるためには)死活問題なわけで、原油価格を吊り上げる必要があるわけだ。その手段として、USにはIS討伐のための全面戦争をしてもらい、イラク~シリアに地上部隊を派兵させたがっている。また、スンニ派のサウジにとってシーア派のイランは敵なので、US派兵はイランへのけん制にもなると。こうして考えると、国家戦略としてはまっとうのようにも思えるが、まあ、アウトですわな、世界の平和のためには。
 というわけで、これらの悪党どもに共通するのは、自らの「信念」に「忠実」であるためには、他人の犠牲は厭わない、つまり自分以外はどうでもいい、という思考だ。そういった自己の利益のみを追求し、あまつさえ殺人もいとわないという姿勢こそが、「悪」と定義せざるを得ないのだろうと思う。残念ながら現代の人類社会においては、容認できないものだ。
 そして一方、彼ら悪党と戦うのが、われらがジャック・ライアン大統領と「ザ・キャンパス」のごく少数のキャラたちである。本作およびこのシリーズを読んで、いつも思うのは、こんなたった数人のチームに守られているUSAって、どうなのよ? というぐらい、ダメ官僚が登場するし、明らかに違法というか超法規的な活動をするわけだが、ま、フィクションだし、読んでて痛快だから深く突っ込まなくていいんすかね。それにしても今回もまあ、数多くの人々が死んでしまい、大変痛ましいのだが……なんというか、本当にUSAという国はもうダメなんじゃないかと思うすね。
 しかし、彼ら正義の側と描かれる人々も、敵に対しては容赦なく、裁判なしでぶっ殺しまくるわけで、実は悪党どもと同じなんじゃないの? 何が違うの? という問いも当然投げかけずにはいられない。悪党は問答無用で殺していいのか? 単に信じるものが違うだけ、「信念」の違いだけで悪党どもを「悪」断罪し、自らを「正義」としていいのか?
 おそらく、彼ら主人公サイドの「信念」とそれに「忠実」であろうとする姿が一番の問題なのではないかと思う。そしてそれは何かと問われれば、わたしが思うに、彼らが信じるものは、たった一つで、「合衆国憲法に従うこと」がかれらの「信念」なのではなかろうか。
 実のところ、わたしは「合衆国憲法」を読んだことなんてないので、その内容は全く知らないのでその是非は問題としないが、少なくとも国際的に認められた国家であるUSAが定め順守している憲法は否定できないわけで、それを守り従うという「信念」もまた、否定できないし、悪とは思えない。
 そもそもUSAという国家は移民で成り立つ多民族国家なわけで、何をもってアメリカ人と規定するか、これって答えられますか? わたしは以前観た『BRIDGE OF SYPIES』という映画で、Tom Hanks氏演じる主人公がこう言ったのがとても印象に残っている。
 「アメリカ人とは、合衆国憲法を尊重・遵守する人のことを指すのだ」
 まあ、要するにそういうことなんだと思う。実際の行動は相当超法規的で「法律」からは逸脱しまくっているけれど、「憲法」は尊重し遵守しているからセーフ、なんでしょうな。ま、実にギリギリセーフというか若干アウトなのは大問題だけれど、人殺しを放置していいわけがなく、無責任な読者としては、悪党が殺られれば心の底からざまあとスッキリするわけで、そう言った点において、やっぱりエンタテインメントとして本作はとても面白かったと思う。
 というわけで、主なキャラをまとめて終わりにします。つうかキャラが多すぎるので、ごく少数にまとめたいけど無理かな……。
 ◆ジャック・ライアン:現役合衆国大統領。結構すぐにブチギレるけれど、まあ、ブチギレる事態が勃発しすぎてお気の毒です。どうやら任期もあと2年なのかな? 引退生活を待つ望むおじいちゃんキャラになりつつある。同盟国に圧力かけまくりで押し通すパワーは、US市民としては頼もしいのでしょうな。イランと中国とロシアが大嫌い。
 ◆ジャック・ライアン・ジュニア:大統領の長男で「ヘンドリー・アソシエイツ」に勤務する青年。かの名作『Patriot Games』事件の時、お母さんのおなかの中にいたのがコイツですな。基本的にゆとり小僧だが、前作でやらかして、現場工作員(戦闘員)からは離れ、本職のデータアナリストになるかと思いきや……本作でももちろん、戦闘に参加します。
 ◆「ザ・キャンパス」のメンバー:「ザ・キャンパス」とは、ヘンドリー・アソシエイツ(表向きは金融業)の真の姿で、政府機関に属さない独立諜報組織で戦闘行為も得意技。働いている人数は数百人(?)いるが、現場に出て工作活動(戦闘行為)に従事するのは、本作の開始時点では、クラーク、シャベス、ドミニク、ジュニアの4人で、クラークは指揮官として現場引退しているし、ジュニアもなるべく現場に出したくないので、実質的にはシャベスとドミニクの二人だけになっちゃった。元々はドミニクの双子の兄であるブライアン、それからブライアンの補充で入ってきたUSレンジャー(だっけ?)出身のサム・ドリスコルというキャラがいたのだが、二人とも残念ながら殉職してしまったのです。なので、本作では冒頭、人員補充が急務ということで二人の候補者が出てくる。なお、その候補者を挙げる時に、ジュニアはCIAのアダム・ヤオ君(米朝開戦などで大活躍したナイスガイ)を推薦するのだが、メアリ・パットと現CIA長官のキャンフィールドに、アダムはダメ、あげない! と拒否されたのが残念でした。というわけで、新たに「ザ・キャンパス」工作員チームに入ったのが……
 ◆ミダス:『米露開戦』かな、一度登場した男で、元US-Armyデルタフォースの指揮官。38歳。退役後、CIA入りを希望していたけれどポーランド系ということでCIAの身元調査が遅れていて、その隙にシャベスが推薦、クラークが直接スカウトに。本作では新人ということで活躍は控えめでしたが、かなり強そうな頼れる男っぽいすね。次回作以降の活躍を期待します。
 ◆アダーラ・シャーマン:ご存知「ザ・キャンパス」の運輸部長兼衛生兵兼兵站担当の超絶美人女子。ついでに言うとドミニクと付き合っているが、そのこともあってドムは本当は推薦したくなかったのだが……能力はもうずば抜けていることは我々読者にはお馴染みなので、とうとうアダーラも現場出動となってしまうのは、男としてはドムの心配もわかるだけに若干心配す。アダーラも今回はそれほど活躍せずでしたかね。
 ◆ISの悪党たち:普通の日本人的には驚きなのだが、今回、US国内でのテロを行うのは、ISのイエメン人に率いられた、れっきとしたUS市民なんだな。そいつらが原理主義に傾倒して、志願し、訓練を受け、テロリストとしてUS国内に戻って悪事を働くわけだが……その心理は全く理解できないすね。それはもちろん、わたしがここ日本で平和にボケっと暮らしているからなんだろうけど、彼らは例えば親しい隣人が巻き込まれることになっても、自爆ベストのスイッチを押せるものなのだろうか。わからない……とにかく、欧米諸国にはなるべく近寄らない方がいいんだろうな、としか思えないすね。誰がイカレたテロリストか分からないもの。まあ、無事に彼らは掃討されるので、良かった良かったということになるけれど、それにしても今回は犠牲者が多すぎますよ……。。。
 ◆アレクサンドル・ダルカ:ポーランド人。問題のソシオパス・ハッカー。まあ、「邪悪」と断ずるしかないでしょうな。でも、コイツは実のところハッカーではなくて、大量の個人情報ファイルをハックしたのは中国の依頼を受けた別の会社で、その会社からデータを盗んだのがこのダルカの勤めている会社で、ダルカは、そのデータをもとに、SNSなどの公開情報を使って、その人物の「現在」を割り出す作業をしていたわけですが、一番恐ろしいのは、SNSで自分や周りの人の情報を平気でさらし続けている一般ピープルなんだろうな、と思う。ホント、個人情報を平気でインターネッツに垂れ流し続ける人々の神経が理解できないですな。まあ、このダルカも無事にキッツイ運命に放り込まれたので、心の底からざまあであります。あのお仕置きはヤバいすね……どんなことになるかは是非本作をお読みください。
 ◆サーミ・ビン・ラーシド:サウジアラビア人。すべての元凶と言っていい悪党だと思うが、一方で前に書いた通り、自国の利益を最大化することに邁進しただけ、でもあって、そういう意味では有能な人物とも言えるかも。しかし現実世界では、USAとイランは超仲が悪いわけですが、サウジともいろいろあるんでしょうな。ジャーナリストを自国の大使館に拉致してぶっ殺す恐ろしい国だしね。この国にも行きたくはないですな。
 
 とまあ、この辺にしておきます。
 最後に、著者のMark Greaney先生について一言書いておくと、Greaney先生と言えば、わたしの大好きな『暗殺者グレイマン』シリーズの著者で、そっちの新刊もわたしは心待ちにしているのだが、なんと本作をもって「ジャック・ライアン」シリーズからは引退されるそうです。急逝されてしまった巨匠、Tom Clancy先生の後を継ぎ、ここまでシリーズを書き続けてくださって本当にありがとうございましたと申し上げたいすね。プレッシャーもすごかっただろうし、ホントにお疲れさまでした。ま、本シリーズは今後別の先生が引き継いで書いてくれることが確定しているので、そちらも楽しみにしつつ、Greaney先生の『グレイマン』新作も楽しみに待ちたいですな。『グレイマン』シリーズはわたしの大好きな早川書房から出ており、当然電子書籍版も発売されるので大変ありがたいす。また夏かなあ、次の新刊は。とても楽しみっす!

 というわけで、書いておきたいことがなくなったので結論。
 わたしがもう20年以上読み続けている「ジャック・ライアン」シリーズ最新刊『TOM CLANCY'S TRUE FAITH AND ALLEGIANCE』の日本語訳が『イスラム最終戦争』という捻りのないタイトルで発売になったので、さっそく買って読んだのだが、まあ、結論としてはちゃんと面白かったと思う。しかしなあ、もうライアン大統領は中国はやっつけたし。北朝鮮もブッ飛ばし、ロシアも片づけたわけで、今回のIS掃討が完了した後の敵はどこになるんでしょうかねえ。おおっと!? なんだ、もう本作の後に2作発売されてるじゃん!! ホント、新潮社の仕事はおせえなあ! しかもだぜ? 次作の『POWER AND EMPIRE』の相手はまた中国、そして舞台は今月開催のG20サミット(どうやら作中では大阪じゃなくて東京開催っぽいね)じゃねえか! 新潮社!! 今出さなくてどうすんだよ!! あーあ、さっさとシリーズの版権を早川書房様が獲得しないかなあ……というどうでもいい情報で終わりにします。以上。

↓こちらが次作、みたいすね。はあ……今すぐ読みたい。原書で読むしかないか……。

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