2019年03月

 数日前、このBlogのログを見ていたとき、わたしが新刊が出ると毎回せっせと感想を書いている『あきない世傳』シリーズの記事のPVがやけに上がっていることに気が付いた。そして電撃的に、これって、まさか……? と思い、すぐさま版元たる角川春樹事務所のWebサイトをチェックしてみると、まさしくその予感は当たっていることが判明して愕然としたのである。そう、2月に、新刊第(6)巻が発売になっていたのだ。

 うおお、まじかよ! 超抜かってた!! と思い、すぐさま本屋さんへ向かって確保し、帰りの電車から読みはじめ、翌朝、翌夕、そしてその次の朝、と、わたしの通勤電車2往復分で読み終わってしまった。わたしが電車に乗っているのは片道30分ほどなので、2時間ほどで読み終わったということだ。たぶんこれは、わたしがとりわけ早いわけではなく、おそらく誰でもそのぐらいで読めると思う。実にすらすらと読みやすいのが高田先生の作品の特徴だ。
 で。わたしは読み始めて、冒頭で、えっ!? と思った。そう、ズバリ言うと前巻のラストを完璧に忘れていたのである。そうでした。前巻は、非常にヤバいところで終わったのでありました。
 それを説明する前に、このシリーズのおさらいをざっとしておこう。
 本作は、現在の兵庫県西宮市あたりの村から、大坂は天満橋近くの呉服屋さん「五鈴屋」に下働きの下女として奉公に出た少女が、その持ち前の頭の良さと心の真っ直ぐさで成り上がってゆく物語で、実に現代ビジネスマンが読んでも面白いような、現代ビジネスに通じる様々な「あきない」ネタが大変痛快な物語なのであります。
 そして主人公・幸ちゃんは、まあとにかく凄い激動の人生を送っているわけですが、下女だったのに五鈴屋4代目と結婚し、「ご寮さん(=大坂商人の店主の奥方)」にクラスチェンジし、次に5代目、そして6代目とも結婚してようやく幸せになったかと思いきや……というところで、前巻(5)巻ラストで大変な悲劇に幸ちゃんは見舞われてしまったのでした。
 どうして結婚相手がころころ変わったかと言うと……
 ◆4代目:長男で放蕩野郎。店の金を使い込むクソ野郎。死亡
 ◆5代目:次男で商才はあるが人の気持ちを読まない残念系社長。取引先を激怒させ失踪。
 ◆6代目:三男。作家を夢見るだめんず野郎だけど人としては超イイ奴。
 という感じで、商才盛んな幸ちゃんが自らもう、女社長としてバリバリやればいいんだけど、それが出来ない理由があって、結婚せざるを得なかったわけです。それは、大坂には「女名前禁止」という謎ルールがあって、大坂においては「女は店主になれない」というもので、現代風に言うと男しか代表取締役の登記が出来ない、のです。だから、どうしても男の社長を立てる必要があるわけですな(一応その理由は、女に財産分与して資産隠しや税逃れをする奴がいたから禁止になったらしい)。
 時代背景としては、1731年だったかな、そのぐらいから始まって、最新刊である本書(6)巻では1751年ぐらいまで経過していて、幸ちゃんも少女から現在28歳まで成長している。これは、高田先生の『みをつくし料理帖』が最終巻の段階で1818年ぐらいだったはずだから、それよりも70年近く話で、ついでに言うと『出世花』の2巻目が1808年ぐらいの話だから、やっぱりそれより50年以上前ってことになる。ちなみに、『みをつくし』は1802年ぐらいから始まるので、主人公・澪ちゃんと『出世花』の主人公・正縁ちゃんは江戸の町ですれ違っててもおかしくないぐらいの時代設定だ。
 なんでこんなことを書いたかと言うとですね、そうなのです。ついに! 幸ちゃんが江戸に進出することになったのです!! この、江戸進出はもう既に前から野望として描かれてきたのですが、この、大坂の女名前禁止をどうしても打ち破ることが出来ないなら、江戸進出を急ごう!ってなことで、急がなくてはならない理由、それは前巻ラストでブッ倒れた6代目が逝ってしまったからなのです。
 というわけで、本作(6)巻は、いきなり6代目の初七日の模様から始まります。わたしは6代目がブッ倒れたことを完璧忘れたので、最初のページを読んで、えっ!? と思ったのでした。まあ、すぐ思い出したけど。
 で、今回の物語は、江戸店のオープンまでの様子が描かれるわけですが、今回は、現代ビジネス的な面白エピソードは1つだけかな。それは、江戸店オープン前の宣伝告知活動だ。
 幸ちゃんはバリバリ関西人で、もちろんお店の仲間たちも同じ関西人。当然、江戸の町ににも商慣習にも不案内で、だんだん理解していくことになるわけだが、「引き札(=現代で言うチラシ)」はやらず、彼女の取った方法とは――てのが今回一番面白かったすね。幸ちゃんは今までも、宣伝告知活動には色々な策をとって来て、それがいちいち現代風で面白かったけれど、今回の策も、大変良かったと思います。もちろん、その作戦は大成功で、オープン当日から江戸店にはお客さんがいっぱい来てくれて、ホント良かったね、と思いました。
 あと、今回から、幸ちゃんは本格的に「太物(ふともの=木綿製品)」も扱いを始めようとする。これは常識かも知れないけど、わたしは愚かなことに本作シリーズを読むまで知らなかったのだが、いわゆる「呉服」ってのは、「絹100%製品」のみを指す言葉なんすね。大坂の五鈴屋本店が加盟しているアパレル業界団体は、あくまで呉服屋組合であるため、木綿製品は扱うことが出来ないこともポイントで、江戸の組合にはそんな縛りはない、ってのも、江戸店出店の動機の一つもでもあるわけです。
 さらに言うと、幸ちゃんの出身地では、綿花の栽培が特産でもあって、木綿は絹よりも圧倒的に安いし、洗えるし軽いし、と使い勝手がいい、要するにコストパフォーマンスに優れているわけで、「買うての幸い、売っての幸せ」を目指す幸ちゃんは、木綿に大変思い入れがあるわけですな。
 あ、あと、今回幸ちゃんが江戸店の、商品ディスプレイに工夫する話も面白かったすね。まあ、やっぱり、こうすりゃいいんじゃね!? とひらめく瞬間はとても気持ちいけれど、普通のサラリーマンにはそれを実行するにはいろんな邪魔が入るわけで、上司に恵まれないと、毎日毎日同じ作業を繰り返すことを仕事と勘違いすることになるわけだが、ま、お店を出すことの面白みの一つでしょうな、そういうひらめきの快感は。大変今回の(6)巻も楽しめました。

 というわけで、さっさと結論。
 大変抜かっていたことに、わたしがシリーズをずっと読んできた『あきない世傳』の新刊が、なんと1カ月以上前に発売になっていたことにハタと気が付き、慌てて買ってきて読んだわけですが、まあ、今回も大変面白かったと思う。これからは江戸を舞台に、またいろんなビジネスプランが展開されるんでしょうな。そしてわたしとしては、主人公幸ちゃんに幸あれと思うわけです。ところで、今後の展開としては、確実に妹の結ちゃんも江戸にやってくることになるだろうし、おそらくは、失踪した5代目と江戸で再会することになるんじゃないすかねえ……。そもそも江戸進出は5代目の夢でもあったわけだし。5代目が現れた時、幸ちゃんはどうするんすかねえ……今さら元サヤはないよ……ね……? どうなるんだろうなあ。そのあたりは、これからもシリーズを読み続けて、楽しみにしたいと思います。つうか、ハルキ文庫も電子で出してくんねーかなあ……。そうすりゃ100%買い逃すことないのに……。以上。

↓ 五鈴屋江戸店は、浅草の近くの「田原町」にオープンです。現代の今は仏具屋さんがいっぱい並ぶあの街っすね。銀座線で浅草の隣す。


 いよいよ4月26日の公開まで1カ月チョイと迫ってきた『AVENGERS:END GAME』。
 もちろんわたしもとても楽しみにしているわけだが、まあ普通に考えて、『END GAME』の結末は誰だって想像している通り、実は愛の戦士だったTHANOSが敗北、アベンジャーズ大勝利で終わるんだろうと思っている。問題はいかなる犠牲が払われるか、にあるとわたしは考えているが、よもやわたしが最も好きなトニー・スターク=IRONMAN殉職もあり得るのかなあ、とか、まあ、妄想は尽きない状態である。今のところは。おととい公開された最終予告も、なんだかいろいろな「?」があって、きっとこの予告は本編にない、いろんなミスリードな細工をしてんだろうな……とかわたしは思っている。
 しかし、MCUにおいては、『END GAME』を観る前に、絶対に観ておかなくてはならない映画がある。それが昨日から公開になった『CAPTAIN MARVEL』だ。わたしも夕方早めに会社を出て、日比谷TOHOにてIMAX3D版をさっそく観てきた。
 結論から言うと、いろいろ突っ込みたくなる点はあるものの、大変良くできたお話で十分面白かったと思う。わたしは原作コミックの「キャプテン・マーベル」は全く読んでいないので、原作との違いとかそういった点は全く分からない。また、本作は、コミック原作や今までのMCU作品を知らなくとも、ある程度は本作単独で観ても十分面白い映画になっているとは思う。しかし、まあやっぱり、MCUは全て観ていないと、その面白さは堪能できないと思います。この映画はやっぱりコミックとは別物で、あくまでMCUを構成する一つのピースであるということは間違いなさそうだ。
 というわけで、以下、ネタバレ満載となる可能性が高いので、まだ観ていない人はここらで退場してください。こんなBlogをチェックしている暇があったら、今すぐ劇場へGO!でお願いします。

 というわけで、上記予告を観ても、一体どんなお話なのか、正直全く分からないだろう。わたしも全然分からず、まあきっと、明らかに地球人っぽい女性がいかにして「キャプテン・マーベル」となったか、てなお話だろうぐらいしか考えられなかった。
 わたしがこの予告を観て思ったポイントは、1)なんで舞台は1995年と中途半端な「過去」なのか? 2)なんで彼女は「過去」の記憶を喪失しているのか? の2つだ。そしてこの謎は、劇中では、なるほど、そういうことか、と見事に回答が与えられていて、わたしはそこに、「これは面白い」と感じるに至ったのである。というわけで、以下解説? というか思ったことをメモしてみよう。
 1)なんで舞台は1995年なのか?
 ズバリ言うと、これはもう、MCUを観てきた人でないと理解できないと思う。はっきり言って、本作は、単独作品であったなら1995年を舞台とする必要は皆無と言っていいはずだ。2019年の現代であろうと、例えば1960年代であろうと、別に何の問題もなかったはずだ。
 だが、MCUのワンピースであることを前提とすると、本作は1995年である必要があるのだ。そのカギを握っているのが、MCUのキーキャラクター、ニック・フューリーである。
 ニック・フューリーは、明らかに2008年のIRONMAN誕生以前から、地球圏外からの外敵の襲来を知っていた。そしてそういった外敵に備えて、せっせと武器を作り、「特殊な能力を持つ超人」を集めてチームを作る計画(=アベンジャーズ計画)を練っていた。さらに言えば、『INFINITY WAR』において「もしもの事態が起きた時に呼ぶ、最強の助っ人=キャプテン・マーベル」がいることが明確に示されていた。
 これらのことから、ニック・フューリーは、少なくとも2008年よりも前に、キャプテン・マーベルと知り合っていた必要がある。かといって前すぎると、ニック・フューリーも行動力のない子供になってしまう。近すぎては計画を練る時間も取れない。そこで、「ちょうどいいぐらいの過去」として、90年代に本作の舞台は設定されたのだろうと思う。全てはMCUというプロジェクトのためであると言って差し支えないだろう。ついでに、あの「ポケベル」に関しても、そもそも我々が知っているポケベルというものは、受信オンリーの一方通行デバイスだったわけだが、本作のアレは発信も可能な双方向だ。これは……一瞬日本でも発信可能なものがあったような気がするけど……いずれにせよ日本では1995年ぐらいからPHSが登場してポケベルは衰退していくので、まあ、やっぱり時代設定として1995年というのは、まさしく「ちょうどいいぐらいの過去」だったのではなかろうか。
 なお、1995年と言えば、はっきり言っておっさんのわたしには「ついこの前」に感じられるのだが、あの年、世界を変えたと言ってもいいぐらいの大きな発明があった。それは、「Windows95」の発売だ。この発明によって、インターネッツの世界が我々に開かれたと言っても言い過ぎではなかろう。わたしが初めてインターネッツを体験したのはWindows3.1の時代だが、まあとにかくプロバイダも少なく、モデムの設定も厄介で苦労したものだが、Windows95の登場で劇的にインターネッツは進歩し、わたしも自分のPCを初めて買ったのは1996年の初めであったことを覚えている。本作でも、まだ原始的なWebサイトや、ダイヤルアップが切れちゃうとか、当時を知っている我々おっさんには、超あるあるなエピソードが盛り込まれていて、大変愉快だったすね。もちろん、当時のファッションや街の様子や音楽など、そういう点では今現在40代後半以上の人間が、本作を一番楽しめるかもしれないす。
 2)なんで記憶を失っているのか?
 この点が本作で一番のポイントであろう。なので以下はホントにネタバレなんですが……。本作は冒頭、キャプテン・マーベルが「クリー人」であり、「ヴァース」と呼ばれていて、クリー帝国?の母星ハラで暮らしている様子が描写される。そして彼女はヨン・ロッグという「スター・フォース」司令官のもとで戦闘訓練を受けているのだが、なにやら6年前、クリーに来る前のことは忘れているらしい。そしてクリーにおいてはSupreme Intelligenceと呼ばれる超AIが全てを統治しているらしいことが描かれ、そのAIと対話する時には、AIは、対話者が最も尊敬する人物のヴィジョンとして現れるのだが、彼女の場合は、全く記憶にない女性の像となって、AIは彼女に指令やアドバイスを送っている。そしてその謎の女性はヴァースの夢にも現れていて、一体誰なんだ、そして私は……と記憶をめぐるサスペンスが本作のベースとなっている。そしてスター・フォースの一員として、クリーと現在戦争状態にあるスクラル人との戦闘に参加するヴァースだったが、どうやらスクラル人たちもヴァースの記憶を狙っていて……てな展開である。
 ここでポイントとなるのは、クリー人ってなんだ? ということと、スクラル人が欲する「ライトスピード・エンジン」なるものだ。
 まず、クリー人、と聞いてMCUを観てきたわたしが真っ先に思い出すのが『GUARDIANS OF THE GALAXY』だ。あの物語の中での悪役がまさしくクリー人で、なんと、そのものズバリ、『GUARDIANS』の悪役であったロナン・ジ・アキューサーは出てくるし、その部下であるコラスはなんどヴァースの同僚のスター・フォースの副官としてMCUに再登場である。なのでわたしは、あれっ!? クリー人って悪い奴らじゃないの? とか思いながら観ていたのだが、ヴァースはスクラル人との戦闘の後、大破した宇宙船から投げ出され―――地球に墜落、そこから舞台は1995年の地球となるわけだが、結論から言うとわたしの「あれっ!?」は、最終的に「ああ、やっぱりね」という結末に至るわけで、この点でも、MCUを観ていない人には全然通じなかっただろうと思う。
 そしてスクラル人たちが欲している「ライトスピード・エンジン」なる謎テクノロジーだが、思うに、「エンジン」というものは、その機械的な構造はもちろん重要としても、それよりもっと「何をエネルギー源とするか」のほうが重要だろうと思う。わたしも観ていて、ライトスピード……まあきっと光速航行を可能にするテクノロジーなんだろうけど(ついでに言えば、光速航行と来れば当然、相対性理論でいうウラシマ効果、すなわち「時間」が大きな問題となるわけで、わたしは、こりゃあ『END GAME』はやっぱりタイムトラベルが描かれるのか? とか、もう妄想が先走るわけです)、それを可能にするエネルギーって何なんだろうな、とぼんやり考えていた。そしてわたしが「そうきたか!」と恐れ入ったのがまさにそこにあって、なんと、その謎エネルギー源こそが「四次元キューブ」で、まさしくインフィニティ・ストーンの一つである「スペース・ストーン」だったのである。こう繋げたか! とわたしはとても興奮したっすね! つまり本作も、実は「インフィニティ・ストーン」をめぐる戦いだったのだ。
 ただ、わたしは即座に記憶をさかのぼってみたのだが、なんかどうもしっくりこなかったようにも感じたのは事実である。わたしが知っているMCUの歴史によると……
 ◆1940年代:第2次大戦のさなか、秘密結社(?)ハイドラによって、ヨーロッパに秘匿されていた「四次元キューブ」が奪取され(誰が隠していたのか不明)、その謎パワーで謎兵器が量産される。それに対抗すべく、US-ARMYによる「SUPER-SOLDIER」計画が進行、謎血清が開発され、その被験者第一号にスティーブ・ロジャースが選ばれ、かくしてスティーブは「CAPTAIN AMERICA」となってハイドラと戦い、「四次元キューブ」を奪還するも北極の氷に消える。その後、トニー・スタークの父、ハワードが「四次元キューブ」を北極海だかどっかの海底で発見する。そして後にハワードはS.H.I.L.D.設立に尽力する。
 (◆1960年代:冷戦期、S.H.I.L.D.はあくまでUS国益のための組織として活動していた。そしてこの頃、ハワードと同じくS.H.I.L.D.の科学者だったハンク・ピム博士は初代ANT-MANとして活躍)
 (◆1988年:ピーター・クィル少年が宇宙人に誘拐される)
 (◆1991年:ウィンターソルジャーによるハワード暗殺事件勃発)
 (◆2008年:トニー、IRONMANとしてヒーロー活動開始)
 (◆2008年:SUPER-SOLDIER計画を現代によみがえらせようとした実験中にブルース・バナー博士はガンマ線の大量照射を浴びてしまい、HULK誕生)
 (◆2011年:THOR、初めて地球にやってくる)
 (◆2011年:北極で氷漬けになっていたスティーブ=CAPが発見され、蘇生)
 ◆2012年:地球にLOKIが襲来、「四次元キューブ」を奪って大暴れ。ニック・フューリーによって招集された超人たちがAVENGERSを結成し、「四次元キューブ」奪還に成功。その後、「四次元キューブ」はTHOR様がアスガルドに持ち帰り、「オーディンの武器庫」に保管した。
 ◆2017年:アスガルド崩壊の「RAGNAROK事件」勃発。崩壊のさなか、ロキが再び「四次元キューブ」をちゃっかり横領。
 ◆2018年:サノスによる「INFINITY WAR」勃発。LOKIは謎の兄弟愛を発揮してTHOR様を助けるために、「四次元キューブ」をTHANOSに差し出す。以降、「四次元キューブ」はその中に秘めていた「スペース・ストーン」として(スペースは宇宙じゃなくて空間の意味で、物理的空間を制御しどこにでも行ける能力を持っていた)、THANOSの左手に装着されたガントレットに固定されている。
 とまあ、()内は「四次元キューブ」に関係ないことだけど、まあ、だいたいこんな歴史だったはずで、わたしは「四次元キューブ」は、第2次大戦後はずっとS.H.I.L.D.が保管していたのかと思っていた。なので、若干しっくりこなかったのだが、まあ、S.H.I.L.D.は実はハイドラの支配も受けていたわけだし、まさか1980年代から1995年にかけてこんなことが起きていたとは、というのは、興奮に値する物語だったわけですよ。まさしく「そう来たか!」である。この点も、MCUを観てきていないと分からない、けど極めて重要なポイントだったとわたしは感じた。
 というわけで、以下に各キャラと演じた役者をメモして終わりにしちゃいます。
 ◆キャロル・ダンヴァース=ヴァース=キャプテン・マーベル:元々幼少期から、女にゃ無理だ、なんてことを言われ続けてきて、その度に「何クソ!」といろんな無茶をしてきたけれど、鼻血を出してブッ倒れても、何度でも立ち上がる、その「不屈の闘志」がこの人の最大の武器なんでしょうな。その、何度も繰り返し描かれる「立ち上がる」姿がとてもカッコイイ。成人後はUS-AIR FORCE所属の軍人だったが、とある実験に参加したことで運命が変わってしまう。何故クリー人たちに「ヴァース」と呼ばれていたか、そしてなぜ、ニック・フューリーは計画を「アヴェンジャーズ計画」と名付けたか、その理由も脚本的に大変お見事だったすね。つうかですね、この人、もはや無敵なんですけど! この強さはMCU的にはもうTHOR様レベルです。人間じゃなくなっちゃったすね。
 演じたのは栄光のオスカー女優Brie Larsonさん29歳。意外と若いですな。しかし今回、コスチュームに身を包んだ姿は大変カッコ良かった。相当がっちりした体はとても鍛えられていて、美しかったすね。そして、あの宇宙空間用?のマスク・オン!の姿も実に最高でした。あのモヒカン的なマスク着用、からのマスク・オフで髪がはらり、となる姿もとても印象的っすね。『END GAME』での活躍も楽しみであります! もちろん今回のおまけ映像(1)では、ニック・フューリーの遺したあのポケベルの呼びかけに応じて、24年ぶりに地球に帰ってきたキャロルがCAPたちの前に現れるシーンを観ることができます。来たァ!とうれしくなったすね。最高でした。
 あとそうだ、ひとつ、おおっ!? と思ったことがあった。キャロルの少女時代がチラホラと描かれるわけですが、その子供キャロルを演じたのが、わたしが2年前大感動した『gifted』で天才児を見事に演じたMckenna Graceちゃんですよ! ちょっとだけ大人になりつつあって、しかも可愛く成長していてうれしいっす!
 ◆ニック・フューリー:ご存知S.H.I.L.D.の元長官。そして本作の時代ではまだ若手工作員。左目も健在。だけど、左目が潰れてしまう理由が、これはもう笑うべき、だよね? そんな理由だったとは、と笑えるものでした。演じたのは当然Samuel L. Jackson御大70歳なわけですが、本作では全編デジタル若返り処理がされていて、実際凄い技術だと思います。ただ、やっぱり、髪からおでこ、目元、鼻筋は、よーーく見つめると作り物感はあったと思う。つうか、おれも1995年当時と今とでは相当老けてんだろうな……と全くどうでもいいことを感じてしょんぼりっす。ついこの前なんだけどなあ……。。。
 ◆ヨン・ロッグ:クリー人にして「スター・フォース」の指揮官。ヴァースの先生的な存在だが、まあ、観ていればこの人が本当にイイ奴かは、うっすらわかると思います。ただ、残念ながらこのキャラはまるで弱かったす。演じたのはJude Law氏で、やっぱりイケメンですなあ、この人は。コスチューム姿も実にカッコイイすね。
 ◆ロナン・ジ・アキューサー&コラス:『GUARDIANS』での悪役コンビ。『GUARDIANS』では、クリー人テロリスト?みたいな感じだったけれど、本作の時代では、ロナンはクリー軍の攻撃隊長的な役割(?)で、あのお馴染みの宇宙船での爆撃が主任務。そしてコラスは「スター・フォース」の副官として、強いて言うなら正義の味方側、に所属。そもそもわたしは「クリー帝国」というんだから、皇帝がいるんだろうと勝手に思っていたけれど、まさか超AIが支配していたとは驚きです。つうか、AIなんぞが人間を支配しているのか、と思った時点で、クリー帝国にはうさん臭さしか感じなかったすね。それぞれ『GUARDIANS』で演じたLee Pace氏、Djimon Hounsou氏が再登板でありました。
 ◆ウェンディ・ローソン博士=マー・ヴェル:キャロルのUS-AIR FORCE時代の上官で科学者。その発明は、銀河から狙われることになるわけだが、問題は、本当に狙っていたのは誰か、そして、博士は何のためにその発明を成したのか、という理由がポイントとなる。まあこれも、観ていれば途中で気付けると思う。ほぼ冒頭から、キャロルの夢などでちらほら出てくるけれど、わたしは一目で、おおっと、これはAnnete Beningさんじゃないか、久しぶりだなあ! とか思いました。わたしが劇場のスクリーンでAnnetteさんを観るのは、たぶん『AMERICAN BEAUTY』以来じゃなかろうか。18年ぶり?っすね。
 ◆フィル・コールソン:ご存知S.H.I.L.D.諜報員。2012年の『AVENGERS』で殉職(したはずだけどTVでは生きてる設定)したコールソンも、この1995年当時は新人。ワンシーンだけ、後の登用に繋がる判断を見せる。当然、Clark Greggさんがデジタル若返り処理で演じてます。
 ◆タロス:今回の悪役か? と思わせて実は……なスクラル人。変身能力アリ。演じたのは、映画オタにはいろいろな作品で悪いヤツを演じていることでお馴染みのBen Mendelsohn氏49歳。意外と若いんだよな……この人。今回は、S.H.I.L.D.のフューリーの上司ケラーも演じています(正確に言うとケラーに変身したタロス)。
 ◆マリア・ランボー:キャロルの元相棒的女性パイロット。コールサインは「フォトン」。コミック原作的には彼女や彼女の娘には大きな役割があるらしいけど、本作ではとりわけ大きな役割ナシ。ただ、初見の宇宙船(に改造された輸送機)を操縦しちゃうなど、勇気と度胸は一流ですね。演じたのはLashana Lynchさんという全然知らないお方でした。
 ◆グース:基地で飼われていた猫ちゃん。茶トラのカワイイ猫。おそらくは、相当なシーンがフルCGまたはマペットだと思う。まあ、グース、そして戦闘機とくれば当然映画オタとして『TOP GUN』を思い出すわけですが、まさかあのカワイイ猫が……という、この映画一番の驚きと笑いをもたらしてくれたキャラでありましょう。実際コワイっす。つうか、四次元キューブを君は……というおまけ映像(2)は必見でありますね。しかし、猫と暮らしている人なら分かると思うけど、なんで猫って、いきなり、そして結構な頻度で「吐く」んすかね……。うちの猫様も突然吐くからビビるっすわ。しかし、グースちゃんは2019年現在はもう生きていないのでしょうか……『END GAME』にぜひ登場してもらいたいっす!
 とまあ、こんなところかな。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。
 MCU最新作にして『END GAME』に直接関係のある重要作品、『CAPTAIN MARVEL』がやっと日本でも公開されたので、その初日にIMAX3D版を観てきたのだが、一言でいうなら、かなり面白かった。そして詳しく言うと、実にMCUな物語で、確かに本作単独で観ても十分面白いだろうけれど、やっぱり、MCU全作をきちんと押さえている方が、より一層面白いと思います。そして、やっぱりCAPTAIN MARVELのスーツもカッコイイですなあ! わたしとしては、マスク・オンの時のモヒカン姿も最高にカッコいいと思うし、マスク・オフの時、髪がはらりと落ちるのも実に良かった。演じたBrieさんもキッチリ体を鍛えていて、実によくお似合いだったすな。つうかですね、何より強いっすよ。宇宙空間でも単独行動できるし、ほぼ無敵な姿は、アフリカのどっかの王国で、世襲で王座を手に入れた弱っちいアイツとは大違いですな。しかしこれで、『END GAME』を見るための準備はすべて完了したわけで、あと1カ月チョイ、心から楽しみにいたしたいと思います! そして、グースよ、まだ生きていてくれ! 消息が超気になるっす! 以上。

↓ くそう、これ、ちょっとほしいかも……。

 というわけで、今週の『もういっぽん!』であります。
 このところサボっていましたが、もちろんわたしは毎週楽しみに読んでおります。このところの著作権法の動きからして、わたしのBlogは完全アウトじゃねえか、という気がしていたので、なんだかキーボードをたたく手が止まってしまうような、若干アレな世間的風潮でありますが、今週は書かざるを得ない、素晴らしい展開でありました。
 今週号の週刊少年チャンピオン2019年第15号では、すでにインターハイ予選も終わり、柔道部の3人組は高校1年1学期の中間テストの時期であります。そして、先週号では、テストに向かって勉強に励む? 主人公、未知の様子からスタートしました。
 親友の早苗ちゃんは入試トップ合格、そして永遠ちゃんも成績優秀、さらに、わたしがイチオシの剣道部の南雲ちゃんも中学時代は元生徒会長で学年ヒトケタランカーです。そんな中、未知は青葉西高校補欠合格ということで……まあ要するに未知だけがバイヤーのズイマーなわけで。そんな様子が冒頭描かれましたが、先週の本命は、ようやく「南雲ちゃん(主人公)回」で、南雲ちゃんの切なげな表情の理由?に迫ろうかという?回でありました。
 わたしとしては、とにかく南雲ちゃんの、未知を見つめる眩しそうな、そして切なそうな表情が最強にグッとくるわけで、先週号では南雲ちゃんに関するいろいろなことが明かされたのです。
 まず、南雲ちゃんの家庭は、どうやらお父さんが南雲ちゃんを溺愛していて(そりゃこんなかわいい娘なら誰だってそうなるよ)、父も剣道をやっていたとか。そして父の果たせなかったインターハイ(=全国)出場に大喜びのお父さんが描かれました。
 さらに、南雲ちゃんはきちんとお家で勉強する賢い子である様子も、描かれました。この、夜、真面目な顔で机に向かって勉強している表情も良かったすねえ!
 そして、きっと遅くまで勉強頑張ったんでしょうな、あくびをしながら、まだ誰も来ていないような時間に登校すると、体育館からバンバァンという男が聞こえてくるじゃあないですか。?と思う南雲ちゃんがのぞくと、そこには、未知が一人で受け身?の練習中。どうやら未知は、勉強に煮詰まったのか、体を動かしてリフレッシュ中だった模様です。
 ここでの、未知を見つめる南雲ちゃんの表情も超最高ですよ! くそう、画像を載せたい!
 そして未知は南雲ちゃんに、インターハイ予選で大活躍した南雲ちゃんのことを、もう直球で誉めまくりです。超すごかった、カッコ良かったなあ~、と。未知は南雲ちゃんに言います。
 「初めて会った頃からず~~っと頑張ってんもんな~」
 そんなことを言われた南雲ちゃんは、ちょっと恥ずかしそう。そして柔道部の次の目標が福岡で開催される「金鷲旗」であることを聞かされた南雲ちゃんは、未知に言います。
 「もし…もし私が…剣道部やめるって言ったら…どう思う?」
 とまあ、こんな、な、なんだってーー!? な台詞で先週は終わりました。これを受けての今週の第20話「めちゃめちゃ」であります。はーー前置きが長すぎた……。
 さて、南雲ちゃんの衝撃的な台詞は、実は体育館の外でのぞいていた早苗ちゃんと永遠ちゃんの耳にも聞こえたようです。そして未知も、いやいや、なにいってんの、と突っ込みますが……南雲ちゃんの表情はどうも冗談ではない、真剣な表情。ここの表情もイイんすよ! そしてページをめくると……また「なっとらん!!」のあのゴツイ先生の登場です。うおぃ! 邪魔すんな! 
 慌てて逃げる未知と南雲ちゃんですが、ちょうど夏目先生も登校したようで、その横を走って通り抜ける二人。未知は「夏目先生おはざーす!!」とお気楽ですが、南雲ちゃんは夏目先生を見て、以前夏目先生が言った言葉を思い浮かべていました。
 「たった3年間の貴重な時間 棒に振るようなことになったら辛いからね」
  まあ、高校生にとって3年間はながーーく感じるだろうけど、おっさんになるとあっという間なんだよなあ……。。。でも、そのあっという間かもしれない3年間は、後の人生で宝物になる可能性が高いわけで、おっさん読者としては後悔はしてほしくないわけですよ……南雲ちゃん、君は一体……とか考えながらページをめくると、どうやらお昼休み、購買のカツサンドが売り切れでしょんぼりする南雲ちゃんですが、おばちゃん曰く、あの子が買った2つがラストだったとか。そのあの子とは、永遠ちゃんでありました。永遠ちゃん、アンタ何で柔道着着てるんすか!? ハッ!? 「勇気を出して」何かしようということですか!?
 というわけで、永遠ちゃんに1つ譲ってもらって二人してカツサンドを屋上でぱくつくの図であります。南雲ちゃんのスマホには、お父さんから、おじさんもインターハイ応援に来るぞ、とのメッセージが。どうやら南雲家は南雲ちゃんのインターハイ出場に盛り上がっている模様です。
 そしてオドオドな永遠ちゃんが声をかけようとしたところで、南雲ちゃんがかぶせ気味に声をかけます。あんた、変わってるよ、全国行けるぐらいの実力があるのに、あんな弱い奴と部活やるために同じ学校に来るなんて、と。
 この時、実は二人は仲良く肩を並べてカツサンドを喰っていたわけではありません。永遠ちゃんは入り口付近に座り、南雲ちゃんは屋上のへりから、下を見ていたようです。その視線の先には、未知が竹刀で男子のケツにカンチョーしてる様子が。未知、お前何やってんの!w 
 すると永遠ちゃんもヘリにやってきて、言います。それは、今までオドオド過ぎて、いろんな後悔をしてきた、けど、「もう…後悔したくなかったから…」青葉西に来たという言葉。そして続けて言います。
 「私…南雲さんが羨ましい あの時も…いや…いつも…いつも自分の気持ちに正直で…堂々と行動してて…カッコいいから…」
 ま、そんなこと言われちゃ照れますわな。南雲ちゃんは、やっぱあんた変わってるわ、と言ってクールに去ります。南雲ちゃん、あんたホントに素晴らしい女子高生だよ! 
 そして場面は夜、お風呂に入っている南雲ちゃんの図です。風呂の中でもスマホをいじる南雲ちゃん。そこには、未知と南雲ちゃんの、いままでのいろんなツーショット写真が。と、そこにまさに未知から着信です。風呂に入ってんだけど、と言う南雲ちゃんに、お構いなしでしゃべり始める未知。しかし内容は、今朝の南雲ちゃんの「剣道部やめるって言うとしたら……」発言に対する回答でした。
 未知は言います。南雲がマジならいいんじゃん? めちゃめちゃ頑張ってめちゃ強くなったわけじゃん? そんくらい、あんた剣道めちゃ好きなわけじゃん なのに、そのあんたがもしマジでやめるって言うとしたら たぶん、いや絶対、ほかにめっっっちゃ好きなもんでもできたってことじゃん? だったら しゃあなくね?
 未知よ、お前は天然でそういうことが言えるんだな……そういうところが、お前のすごいところなんだよ! そしてそんな言葉を聞かされた南雲ちゃんの表情は、もう最高、極上、この上なしにかわいいじゃあないですか! まあ、未知はその「好きなもん」を、彼氏でもできたのか、とこれまた天然のボケをかますわけですが、最高っすね、この二人は。
 そして庭で竹刀を振るお父さんに、決意の表情で南雲ちゃんは言います。
 「パパ 大事な話がある」
 と、今週はここで幕切れでありました。
 なんつうか、最初からずっとわたしが気に入っていた南雲ちゃんの主人公回は、わたしにとっては、控えめに言って最高の神回であります。来週いかなる決断をお父さんに告げるのか、超楽しみですなあ!! こんなに次号が楽しみなのはマジで『鮫島』以来っす!

 というわけで、結論。
 今週の『もういっぽん!』は、先週から続いての「南雲ちゃん回_Part 2」でありました。そしてどうやら、南雲ちゃんの決断が来週描かれるようで、大変楽しみであります。まあ、誰がどう見たって、南雲ちゃんは未知が大好きなわけで、ある意味、百合的な展開とも言えそうですが、わたしとしては素直に、女子高生同士の友情物語を楽しみたいすね。まさかの柔道部入りはあるのか? どうなんでしょうなあ……チャンピオンのコミックスは基本9話収録なので、先週の19話から第3巻収録なんでしょうな。コイツは……単行本は紙と電子、両方で買わないといけないようだな……(1)巻の電子しか買ってないので、紙も買ってこよう、と思うわたくしであります。くそう、来週号が今すぐ読みたい!!! 以上。

↓ というわけで(1)巻は絶賛発売中であります。 おっと! Amazonでは(2)巻の予約も受付中っすね。これは買いです!





 このBlogのタイトルにある通り、わたしは映画や本やミュージカルが大好きなおっさんなわけだが、実のところ、ミュージカルに関しては宝塚歌劇が中心で、帝劇系や劇団四季の作品に関しては、まだ入門して10年も経っていないニワカと言われても否定はできないだろう。
 とりわけ劇団四季に関しては、宝塚歌劇と双璧を成す、日本のミュージカル界の片翼なわけだが、わたしは今まで、えーと、6作品ぐらいかな、そんな程度しか観ていないのである。というのも、観たいなあ、とか思っても、チケットがまるで取れないのだ。正確に言うと、「いい席」のチケットがまるで取れないのである。席にこだわらず、ずっと先、大げさではなく半年以上先の公演のはじっこの席、とかなら買えるんだけどね。
 というわけで、去年の夏から、東京では、大井町に新たな「キャッツ・シアター」が落成し、かの有名なミュージカル『CATS』の上演が再び始まったのだが、そのチケットの発売が確か去年のGWぐらいで、わたしも観てえぜ! と思ってチケット争奪に参戦したのだが、まるでダメで、これはアカン……と思っていたところで、翌年3月の、まずまず前の方の席のチケットをやっと買うことが出来た。なので、約10カ月……は言い過ぎか、8カ月ぐらい先のチケットを去年買うことが出来たのである。やった、やっと『CATS』を観ることが出来るぜ! と大変うれしかったのがもう半年以上前の話だ。
 で。ようやくその日が昨日、やってきたわけであります!
CATSTHEATRE
 大井町の劇団四季の劇場に来るのは、もう5年以上ぶりかな、わたしにとっては『リトル・マーメイド』以来なのだが、今はご覧の通り『CATS』のための専用劇場「キャッツ・シアター」と、右奥に見えるのが「四季劇場・夏」で、現在は『ライオン・キング』を上演中だ。わたしが数年前に『ライオン・キング』を見た時は、自由劇場の横でやってたんだけど、去年だったかこっちに引っ越したんだよね。まあ、いずれにせよ、「専用劇場」を持つのは、日本では宝塚歌劇団と劇団四季だけと言っていいだろう。劇場という固定資産を持つことは普通の演劇集団ではまず不可能だろうけれど、宝塚と四季は、それぞれ違うやり方できっちり償却し、見事に経営は黒字なんだから、会社としての体力も本当にすごいものだと思う。
 で。本題に入りましょう。わたしは『CATS』という作品に関しては、一番最初の西新宿の高層ビル群の中で始まった頃のことはよく覚えているし(当時中学生)、その後、今現在は高島屋のある南新宿でやってた頃も、ほぼ毎日総武線から劇場を眺めていたのでもちろん覚えている、が、恐ろしいことにもうそれらは30年以上前のことであって、逆に言うと30年以上経った今でも、場所を変えて上演しているんだからすごいじゃすまないよね。もちろん、東京でずっとロングランしていたわけではなく、名古屋・大阪・札幌・福岡と回っていたり、一瞬途切れたりはしているんだけれど、なんと、明日の3/12(火)の回で、上演回数10,000回となるんだそうだ。
 そして今日の月曜は休演日なので、つまりわたしが観に行った昨日の回は、その直前、9.999回目、だったようだ。うおう、それもまたなんかすげえや。
 わたしとしては、そんな『CATS』を一度観ていたいと大変楽しみにしていたのだが、劇場内はさすがに専用劇場ということで、とても独特で、入場するとすぐにテンションが上がって来ますなあ! さっき、座席表をせっせと数えてみたところ、どうやら座席数は1,283席?かな、数え間違いもあると思うので、まあだいたい1,300弱、という感じだろう。半円形というか、2階席がなくて横に広く、なだらかな傾斜になっているので、これはおそらく後ろの方でも十分見やすい設計になっているような気がした。そしてですね、とにかく「猫」たちが客席通路を縦横無尽(?)歩き回るし走り回るので、後ろの列でも楽しい! のであります。わたしは通路に面した席だったので、もう間近にやってくる「猫」たちに大興奮ですよ! かわええ!! 間近で見る猫たちの美しさ、しなやかさはまさしく猫! 鼻触りてえ! と思ったす。
 そしてもちろん、四季で鍛えられたキャスト達のダンスや歌は超一流で、もう絶賛せざるを得ないだろう。やっぱり四季はすげえ! とこれまた大興奮である。
 のだが……わたしにはどうしても一つ、大問題があった。
 実のところ、物語がさっぱり分からん! のである。あれは……ストーリーがあるんだろうけど、よくわからなくて、どうも感動が薄いというか、これはもう、何度だってみたいぜ! という気にはなれなかったのが残念だ。そういう意味では、わたしはここまでロングランしているからにはすげえ大感動の物語なのだろう、と思っていたのに、若干、ぽかーん……としてしまったのであった。
 物語としては、「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる誇り高き野良猫たちの中から、年に1回の舞踏会で長老から「もっとも純粋なジェリクル」が選出されて、天に召されるんだけど再生が約束されている、みたいな、いわゆるCat has nine Lives、みたいなお話で、数々の猫たちの紹介というかプレゼン? が次々行われるという構成になっている、ようにわたしは理解した。だけど……どう考えても、「もっとも純粋なジェリクル」候補としては、、そうだなあ、わたしには年老いた娼婦猫か、かつて大活躍したけどすっかりお爺ちゃんになった役者猫の二人しかいないように思えたし、若手キャットたちが選ばれるとは、そりゃ思えないよね。さらに言えば、かの名曲「メモリー」を感動的に歌い上げるのは(これはもう、本当に感動的で超素晴らしくて、泣けそうになった!)娼婦猫なわけで、もう選ばれるのは彼女以外いないだろ、と思えてしまったのである。
 なんつうか、そういうツッコミは野暮なんすかね。確かにすっごいハイクオリティのパフォーマンスはお見事で、雌猫たちは可愛いし、あれはあれでアリ、と思うべきなのかもしれないな……。
 というわけで、最後に自分用メモとして、演じたキャストと猫たちをメモして終わりにしよう。気に入った順に書きます。
 ◆ディミータ:演じたのは原田千弘さん。実は役名がまったく自信ないんだけど、わたしは茶・黒・白の三毛猫で、かなり多くの場面でセンターにいて、妙に可愛い彼女が一番気に入ったす。役柄的には見せ場は少ないんだけど、1回だけセンターで歌う曲があったかな。この子は開幕してすぐわたしのすぐ横に来て、そのお顔の美し可愛さにぞっこんとなりました。ほぼ唯一、真っ赤な口紅が超Cute!で口の形がとてもイイ! 間違いなく、素顔も可愛いと思うね。実にしなやかで見事なパフォーマンスでした。
 ◆マンカストラップ:黒キジ猫の青年。兄貴的存在。演じたのは加藤迪氏。超歌がうまいしダンスが超キレてる! お見事でした!
 ◆グリザベラ:年老いた娼婦猫。演じたのは江畑晶慧さん。ははあ、韓国の方なんすね。四季は韓国の方がいっぱいいるから驚かないけど、本当に「メモリー」の独唱はしびれたっすね。
 ◆オールドデュトロノミー:長老猫。演じたのは橋元聖地氏。超美声。歌の圧が凄い!
 ◆スキンブルシャンクス:列車猫。演じたのはカイサー・タティク氏。あ、わたしは西洋人かな? とか思ってたけど、中国の方なんすね。そうなんだ。へえ~。これまた超美声でお見事だったす。
 ◆ラム・タム・タガー:イケメンプレイボーイ猫。パンフには「つっぱり猫」って書いてあって笑っちゃった。つっぱり……ヤンキー猫ってことすね。演じたのは大森瑞樹氏。ああ、なんてこった、彼も中国の方なんすね。へえ~。観客をあおる、つっぱりぶりは大変結構だったと思います。
 ◆ジェニエドッツ:おばさん猫でひがな寝ているけど、夜は鼠やゴキブリの調教で大活躍。演じたのは安宅小百合さん。ラスト近くでわたしの横に来て、握手してくれました。かわいい。
 ◆タントミール:短毛種の茶色のシュッとした猫。あ、設定的にはシャムネコなんだ。なるほど。演じたのは高倉恵美さん。ダンスが超超しなやかで美しく、実に猫でした。この子もすぐ横に来てくれたっす。
 とまあ、キリがないからこの辺にしておこう。劇団四季というシステムは、スターに頼らない、「役」本位制の集団なので、とにかくみなさんハイクオリティですよ。そこには絶え間ない訓練と、厳しい競争があるんだろうな……そう思うと、やっぱりすげえと思うすね。いやあ、やっぱり観に行けてよかったす。

 というわけで、結論。
 明日、日本上演10,000回の記念公演となる劇団四季の『CATS』。わたしはその直前、9,999回目の公演を観ることが出来たわけだが、ずっと観たかった演目で超楽しみにしていたものの……確かに、その素晴らしいパフォーマンスは圧倒的で、劇場そのものやセットなどの世界観の作り込みも、日本最高レベルのものだったと思う、のだが、お話的に……残念ながらわたしにはイマイチよくわからず、超感動したぜ! というような感想は抱き得なかった。そこだけ残念です。でも、やっぱり「メモリー」はしびれますねえ! やっぱり、絶対にこれは生で体験しないといけないでしょうな。映像だとダメだと思うね。はあ……劇団四季もやっぱり最高ですな。宝塚歌劇もホントチケット獲れないけど、下手すると宝塚より四季の方が取りにくいんじゃなかろうか。両方ともコアなファンがいて、いい席はほぼ取れないもんね……。でもまあ、やっぱり劇場で観ないとアカンですよ。観に行けてホント良かったと思います。以上。

↓ なるほど、ブロードウェイ版か? 映像があるんすね。でも絶対生の体験に勝るものはないと思うす。
キャッツ (字幕版)
ジョン・ミルズ
2013-11-26

 去年劇場公開された映画『孤狼の血』を、まんまと劇場で観逃してしまい、先日やっとWOWOWで観て、こりゃあ面白い、劇場に観に行かなかったワシはホントダメじゃのう……と思ったわけだが、そのことを会社の若者に話したときの会話は以下の通りである。
 わたし「いやー、『孤狼の血』やっと観たんだけど、すっげえ最高だったね。マジで劇場に行くべき作品だったよ。超抜かってたわ……!」
 若者「お、観たっすか。おれ、劇場で観たっすよ。いやあ、マジ最高だったすね。続編が楽しみっすねえ!」
 わたし「えっ!? 続編!? やるの!? マジで!?」
 若者「いや、わかんねーすけど」
 わたし「なんじゃい! でもアレだろ、原作小説があんだから、そっちの続編が先に出ないと……」
 若者「いや、だからその小説の続きが出たんすよ。アレじゃないかな、去年映画が公開されるちょっと前じゃなかったかな、単行本で出たはずっす」
 わたし「うぉい! マジか、全然知らんかった! 超抜かってた!!」
 というわけで、わたしと若者はその場ですぐ調べて、あ、これっすね……と見つけたのが柚月裕子先生による『孤狼の血』の正統なる続編『凶犬の眼』という作品である。
凶犬の眼
柚月裕子
KADOKAWA
2018-03-30

 わたしはこの本のことを知って、約60秒後にはすぐさまその場で電子書籍版を買ったのだが、実は、ポチっと購入する15秒前には、ちょっと待て、原作の『孤狼』を先に読んだ方がいいんじゃね? という逡巡があった。だが……ええい、いいんだよもう! 今すぐ読みたいの! という欲がまさって購入に至り、読み始めたのである。
 結論から言うと、この判断は、ナシではなかったとは思うけれど、やっぱり本来的には小説原作の『孤狼』は読んでおいた方がいい、と思った。というのも、どうやら映画『孤狼』と、原作小説『孤狼』とでは、若干設定や物語が違うらしい、と思えるような点が、『凶犬の眼』を読んでいるといくつか見受けられたからである。
 例えば映画『孤狼』で江口洋介氏がカッコ良く演じた、おっかない若頭「一之瀬」というキャラは、ラストで物語の主人公である日岡くん(以下:広大=広島大学出身のため「ひろだい」と呼ばれている)に裏切られることになるが、どうやら原作小説ではその展開はなかったらしく、『凶犬』では広大と信頼関係が続いていることになっていた。また、映画では真木よう子さんが演じた恐ろしくエロいクラブのママは、『凶犬』では登場せず、全然別の小料理屋のおかみさんが出てきて、どうやら真木ようこさんの演じたあのキャラは映画オリジナルで、小説では『凶犬』のおかみさんがその役に相当する、みたいな、微妙な違いがチラホラ出てくるのである。
 なので、やっぱり小説の『孤狼』を読んでから『凶犬』を読む方が正しい行為だとは思うのだが、映画を観た後すぐに『凶犬』を読んだわたしでも、『凶犬』という小説はとても面白く、大変楽しめた作品であったのは間違いないのである。
 というわけで、物語をざっとまとめてみよう。
 物語は『孤狼』の事件の2年後が舞台だ。それはつまり、世は平成となっており、主人公の広大こと日岡秀一巡査は1年前から広島の山奥の駐在所勤務である。要するにあの事件の後始末が終わったところで、いろいろ「知りすぎた男」の広大は警察にとっても都合の悪い存在で、へき地勤務に飛ばされたのだ。そんな、ある意味鬱屈していた毎日を平和に送っていた広大くんは、ある日、私用で広島市内にやってきていて、ちょっと寄り道となじみの小料理屋で飯を食う。するとこそには、あの一之瀬がなにやら客と話し込んでいて、その客は、全国指名手配中の男だった。一之瀬は、マズいとこ見られちゃったな、と思いつつも、やむなく、広大のことを警官だけど信頼できる男だし、あの「ガミさん」の一番弟子だ、と客に紹介する。すると客は、「まだやり残したことがある。それが終わったら、必ずあんたにワッパをかけてもらうよ」と約束。広大は、その男の眼を見て、その約束を信じるがーーーてな展開である。
 どうですか。少なくとも映画『孤狼』を面白いと思った人なら、読みたくなるでしょ。わたしとしては本作でのポイントは2つあって、まず一つは、とにかく広大くんがきっちり「ガミさん」の教えを守って大きく成長している点だ。肚が坐ってるんすよ。非常に。とてもカッコいいし、非常に共感しやすいと思う。そしてもう一つは、本作の最大のポイントなのだが、その客の男がやけに「仁義」の男で、これまた大変カッコイイんだな。凶悪な人殺しの極道で、純然たるBAD GUYなのに、完璧に筋が通っていて、広大くんならずとも、男なら誰しも、心魅かれてしまうような人間なのです。頭もイイしね。こういう、二人の筋の通った仁義の男の行動ってのは、もう鉄板というか、読んでいて実に気持ちのいいものだ。
 
 というわけで、以下は完璧ネタバレなので、知りたくない人はここらで退場してください。絶対知らないまま読む方が面白いと思いますので。



 はい、じゃあイイですか?
 最終的に、広大と極道の男は、「兄弟」分として強く結ばれるわけだが、その過程がとても共感できる流れだったと思う。その盃を交わした瞬間、冒頭で描かれる旭川刑務所で話し合う二人が何者かがわかる仕掛けになっていて、それが分かった時は、そういうことか、と思わず最初を読み直してしまうほどだったすね。実にお見事でした。
 最後に、キャラ紹介を短くまとめて終わりにしよう。
 ◆日岡秀一:主人公。『孤狼』で「広大」と呼ばれていた彼も、もはやそう呼んでくれるガミさんは亡くなっているので、本作では広大と呼ばれるシーンはありません。田舎の駐在所に飛ばされて、ちくしょうと思っていて、指名手配犯を逮捕して県警本部に戻る野望を胸に秘めている。基本的に今でも善人ではあるけれど、ガミさんに叩き込まれた、毒には毒を、の気持ちも習得しているし、世の中は清濁併せ呑むことで成立していることを骨身にしみて理解している。そんな彼が、極道と盃を交わす決断の瞬間も、ガミさんならどうしたか、を考え、行動に移すわけで、実に男らしかったと思う。わたしは映画版を観終わった時、きっと現在の広大は、50代半ばを過ぎて、警察機構の中で出世してるんだろうな……と妄想していたけれど、本作の事件を経て、さらに広大は大きく成長しただろうな、と思います。
 ◆国光寛郎:読んでいるとかなりおっさんな印象を受けるけれど、まだ30代半ばだったはず。高校時代からやんちゃだったが神戸商船大学に進学するなど頭はイイ。が、あっさり辞めて極道入り。極道に入ったのも、とある親分に人間として惚れたためで、金を稼ぐのが上手いインテリヤクザとして活躍していたが、仁義を絶対に守る男として、親分のために人殺し&服役も経験。現在日本最大規模の抗争の首謀者として逃走中。彼がやりたいのは、親を守ることとケジメをつけることで、それが叶えば満足。自分がどうなろうとも……な男。まあ、読んでいれば誰だって、広大のようにコイツを外道とは思えなくなってしまうでしょうな。極めて筋が通っていてカッコイイ。手下にも大変優しいのもポイント高し。そして手下たちも、国光に惚れているため、まったく道に外れたことはしようとしない、極道だけどイイ奴らです。
 ◆晶子:ガミさん行きつけの「小料理や志乃」のおかみさん。今では広大の行きつけに。どうやらこのキャラが、映画版で真木よう子さんが演じた里佳子さん、なのかも。元々一之瀬(?)の奥さんだったのかな? 元極道の妻で、とても面倒見のいいおかみさん。美人に間違いないでしょうな。映画版にも出てきた、ガミさん作成の警察内部の不正をまとめたノートは、広大が晶子さんに預かってもらっている模様。広大はいざとなればその極秘資料があるので、今頃は警察で成り上がっててほしいすな。なんかこの設定は、『新宿鮫』に似てますな。
 ◆一之瀬守孝:現在は尾谷組の組長になっている。映画版では広大に見事はめられて裏切られたけれど、ありゃどうも映画オリジナルなのかもしれない。本作では、広大を信頼しているし、広大も一之瀬を信頼している、っぽい。まあ、信頼と言っても、お互いを利用しているだけなんだけど、本作では何かと情報源としてチラホラ登場します。ちなみに、映画版でピエール瀧氏が演じたギンちゃんこと瀧井銀次も冒頭に登場します。元気そうで何よりです。
 ◆畑中祥子:広大の勤務する駐在所近辺の豪農の娘で女子高生。頭がイイ。父親は広大と祥子を結婚させてがっていて、祥子の家庭教師を広大にやらせている。そして祥子も、広大が大好きなのでまんざらでもなし。しかし、彼女の「女」としての本能は、広大に会いに来た晶子の姿を観てめらめらと嫉妬の炎を燃やしてしまい……な感じ。わたしはまた、彼女が人質とか、ひどい目にあわされるんじゃないかと心配でならなかったのだが、全くそんなことにはならず、むしろ彼女の攻撃?の方が事件を大きく動かす結果をもたらしてしまったことに大変驚いた、というか、祥子も立派な女だったな、と腑に落ちたっすね。恐らく超絶カワイイ女子だと思います。
 他にも登場人物は多いけど、上記を押さえておけば大丈夫だろう。
 
 というわけで、結論。
 映画『孤狼の血』を劇場で観逃して、やっとWOWOWで観て、くっそう、コイツは最高に面白いじゃねえか、劇場に行かなかったおれのバカ! とか思っていたわたしだが、会社の若者にその続編小説『凶犬の眼』という作品があると聞いてさっそく読んでみたところ、まず第一に、とても面白かったと思うし、こりゃあ最初の小説版『孤狼の血』も読まないとダメなんじゃね? と現在思っている。仁義を通す、ということは、何も極道の世界だけでなく、平和にのんきに暮らす我々にも求められてしかるべきだと思うけれど、まあ、なんと世には「仁義」を守らない奴の多いことか。実に嘆かわしいというか、そういうクソ野郎には本当に頭に来ますな。本作で描かれた二人のように、「仁義」なるものを通すには、相当の代償が必要となるわけで、まあ実際難しいことも多いのだが……それでもやっぱり、だからと言って「仁義」を守らないクソ野郎にはなりたくないっすね。たとえどんな艱難辛苦があろうと、仁義を最優先で生きていきたいものです。というわけで、本作はわたしは大変楽しめました。実にカッコイイす。以上。

↓ そのうちちゃんと読もっと。ガミさんが小説ではどんな感じなのか、楽しみっす。
孤狼の血 (角川文庫)
柚月裕子
KADOKAWA
2017-08-25

 わたしは年間40本ぐらいは映画館で映画を観ているわけだが、そんなわたしが一番好きな映画監督は、現役では間違いなくClint Eastwoodおじいちゃんである。1930年5月生まれだからあと2カ月で89歳だよ? そんなおじいちゃんが、今もなお旺盛に映画を撮っていて、ほぼ毎年、多い年は年2本とか作品を生み出してるんだから、もうマジで信じられないよね。あっ!? ちょっと待って!? うおお、今まで全然気にしてなかったことを発見しちまった!! 1930年って、昭和5年じゃん? てことは、20年以上前に亡くなったわたしの親父より1つ年上じゃん! つうかほぼ同じかよ。すげえ、つうか、親父が生きてたら今年88歳か。そんな歳になってたんだなあ……。そうなんだ……。
 というわけで、わたしは今日、会社帰りにEastwoodおじいちゃんの最新作、『THE MULE』を観てきたのです。Muleってのは、騾馬のことですな。Wikiによると、騾馬ってのは雄のロバと雌の馬の交雑種で、、メキシコに多く生息しているそうだが、まあ、荷物運搬によく使われていたわけで、そこから転じて、メキシコから密輸されたドラッグの「運び屋」って意味で使われているわけだ。本作は、90歳になろうかという老人が、メキシカン・カルテルの末端として「運び屋」となった事件(?)に着想を得て作られたフィクション、のようだ。
 結論から言うと、わたしとしてはもう超最高に面白かったと思う。なお、Eastwoodおじいちゃんが自分で監督して自分で主演を務めるのは2008年公開の『GRAN TRINO』以来だそうだ。マジかよ、もう10年前の映画かよ……はあ……オレも年取ったなあ……。
 というわけで、以下、決定的なネタバレに触れるかもしれないので、まだ観ていない人はここらで退場してください。つうか、今すぐ映画館へGO!でお願いします。コイツは超おススメであります!

 というわけで、もう物語は上記の通りである。なので、問題は2つであろう。
 1つは、なんでまた運び屋になっちゃったのか? そしてもう1つは、最終的にどうなるのか、である。まあ、誰だってそう思うよね。わたしもそう思った。
 そして映画は、まず現在時制である2017年の12年前、2005年のとある情景から始まる。ここで説明されるのは、主人公のおじいちゃんが、ユリの栽培家で、品評会的なものの常連であり、メキシコからの違法移民の労働者と、口は悪いけど楽し気に働く姿だ。そして品評会でも、同業者に口汚いジョークをかまし、女性たちにも軽口を飛ばしつつ、賞を貰ったスピーチでも小粋なことを言って場内から拍手されるような、要するに、「営業トーク」が自然と出る、トークで相手の懐に入り込むのが得意な、口の達者なおじいちゃんという姿が描かれる。しかも、おそらく「狙ってる」ワケではなく、「天然」で面白トークをしてしまうおじいなのである。この点は後々極めて重要になるのだが、わたしは観ていて全然気が付かず、観終わって、そうか、冒頭のシーンにはそういう意味があったんだ、とハタと気づいた。
 そしてこの2005年のシーンではもう一つ、重要なことが描かれる。それは、その品評会のパーティーが、なんと娘(※娘と言っても結構歳がいっていて、既に娘(つまり孫)までいる)の結婚式の日で、思いっきりダブルブッキングしているのだ。だけど、おじいちゃんは結婚式にはいかず、パーティーにとどまる。そう、主人公は完全に「家族を顧みない」男であることが示されるのである。
 そして時は2017年に移る。いきなり映されるのは、12年前主人公が丹精込めて育てていた農園が荒れ果て、家は差し押さえにあい、荷物をおんぼろトラックに積んで出ていくシーンだ。どうやらインターネッツの通販によって事業が傾いてしまったらしい。そして主人公は、そのおんぼろトラックで成長した孫の婚約パーティー(?)会場に乗りつける。孫は唯一、おじいちゃん擁護派で、大喜びするも、娘と妻(しつこいけど孫にとっては母とおばあちゃん)がいて、険悪な雰囲気に。こっぴどくののしられて、しょんぼりなおじいちゃんは、一人おんぼろトラックで帰ろうとしたとき、娘の婚約者の友達(?)から、金に困ってて車の運転が好きなら、いい仕事があるよ、と言われ……てな展開で「運び屋」まっしぐらとなるお話であった。
 というわけで、わたしが観る前に感じていたポイントの、「なんでまた運び屋に?」に関しては、冒頭10分ほどで、なーるほど、と理解できる展開になっている。そして、わたしが一番この映画で面白いと思ったことは、主人公のおじいちゃんが「トークで相手の懐に入っちゃう」その様相だ。
 まず最初に、おじいちゃんの面白トークで篭絡(?)されるのは、街の末端の連中だ。最初はおじいちゃんに、おいおいメールも打てねえのかよこのジジイ! ぶっ殺すぞ!的な悪党どもなのに、3回目ぐらいになると、おじいちゃんの車が入ってくれば、YO!元気かい!みたいにフレンドリーになってて、だからさ、ここをこうやんだよ、的にスマホの使い方を優しく教えてあげちゃったりするんだな。
 そして次はカルテルから直々に送り込まれてきた悪党だ。カルテルのボスが、ちゃんと見張っとけ、というので、おじいちゃんの車に盗聴器を仕掛けて、後ろをついてくるわけだけど、おじいちゃんが超のんきに、ラジオに合わせて歌なんか歌ってると、あのジジイ、のんきに歌ってんじゃねえよと最初はおっかない顔をしていたのに、つい、つられて歌っちゃったりするし、白人しかいないような店に寄って、おいジジイ、みんながジロジロ見るじゃねえか、なんでこんな店にしたんだよ!と凄んでみせると、おじいちゃんは、いやあ、この店のポークサンドは世界一美味いんだよ、どうだ、美味いだろ? なんて返され、まあ、美味いけどね……みたいな、悪党たちの調子が狂うというか、その篭絡ぶりが観ていてとても面白いのです。悪党だけじゃなくて、2回、ブツを運んでいる時に警官と遭遇しちゃうのだが、そのかわし方?が 上手すぎて最高だったし、1回目の時の、ど、どうしよう?という超不安な表情も演技として素晴らしかったすね。
 そして、あまりにおじいちゃんが仕事に次々と成功するので(DEA=麻薬取締局が網を張ってるのにおじいちゃんすぎてノーマークだった)、カルテルのボスが気に入っちゃって、メキシコの大邸宅に呼びつけて、二人で盛大に酒を飲んで女もあてがってもらって(!)、楽しいひと時まで過ごしちゃうんだから凄いよ。
 しかし、後半、そのカルテルのボスが暗殺されて別の人間に交代したことで、完全に空気が変わってしまう。その新ボスは、寄り道禁止、スケジュール通り運ばねえとぶっ殺す、と別の凶悪な手下を送り込んできたのでした。そして折しも元妻が病魔に侵されているという知らせも入り、そっちに行きたい、けど、おっかねえ連中が見張ってる、そこで主人公のおじいちゃんが取った行動とはーーーというクライマックス(?)になだれ込むというお話でありました。
 なので、果たして最終的な結末は―――という最初の疑問は、かなり美しく描かれますので、それはもう、映画館でご確認ください。わたしはあの結末はアリだと思います。大変面白かったすな。
 というわけで、以下、キャラ紹介とキャスト陣の紹介をして終わりにしよう。ホントは篭絡されていく悪党たちを紹介したいんだけど、知らない役者なので、有名な人だけにします。
 ◆アール:主人公のおじいちゃん。朝鮮戦争に従軍した退役軍人。そのギリギリセーフ、つうか若干アウトな毒舌トークで相手の懐に入っちゃうキャラは、Eastwood作品ではかなり珍しいような気がする。いつも、眉間にしわを寄せてる強面おじいですが、今回はちょっと違いますね。ボスの家に招かれたときのシーンも良かったすねえ。「こりゃあ凄い、あんた、この家を建てるのに何人殺したんだ?」なんて、周りの悪党どもがドキッツとしてしまうようなことを平気で口にしてしまっても、ボスも笑顔で「そりゃあもう、たくさんだよ、はっはっは!」と逆に気に入っちゃう流れは、アールのキャラをよく表してましたな。アールは、朝鮮戦争から帰ってきたことで、ある意味もはや「怖いものなんてない」わけで、「したいことをする・思ったことは口にする」男となったわけだ。だけど、一つだけ、どうしても心残りなのが、家族を蔑ろにして生きてきたことで、それが内心ではとっても悲しく、Eastwoodおじいちゃんの表情はもう、最高にそんなアールの心情を表していたと思う。ホントにお見事でしたなあ! あと、最初の仕事の成功でもらった金で、いきなりおんぼろトラックからゴッツイ最新モデルのピックアップ(ありゃクライスラーかな?)に乗り換えちゃうところなんて、わたし的にはとても微笑ましく思えました。ちょっと調子に乗りすぎたかもね……この人……。
 ◆コリン・ベイツ:DEA捜査官。NYやDCで実績を上げてシカゴ支局に異動してきた花形捜査官。「タタ(=じいさん)」と呼ばれる謎の運び屋を追う。このDEAサイドの話も並行して進むのだが、ベイツとアールがとあるカフェで出会う、けど、アールはヤバい!と気付いているのに、ベイツはまるで気付かず、のあのシーンも大変良かったですね。ベイツを演じたのは、Eastwoodおじいちゃんのウルトラスーパー大傑作『AMERICAN SNIPER』で主人公クリス・カイルを演じたBradley Cooper氏。今回は出番はそれほど多くないけれど、大変良かったです。ラスト、あんただったのか……と逮捕するシーンの表情も、実に素晴らしかったすね。そして役名を覚えてないけどベイツの相棒のDEAマンを演じたのがANT-MANのゆかいな仲間でお馴染みMichael Peña氏。彼もEastwoodおじいちゃんのウルトラスーパー大傑作『Million Dollar Baby』に出てましたな。陽気な役が多い気もするけど何気に演技派なんすよね、この人は。それから二人の上司のシカゴ支局の偉い人、をLaurence Fishburne氏が演じてました。相変わらずのすきっ歯でしたね。実に渋いす。
 ◆カルテルのボス:「タタ」と呼ばれる運び屋の仕事ぶりが気に入って、自宅に呼びつけるボス。残念ながらその若干甘い体制が身を滅ぼしたようで……残念でした。演じたのはAndy Garcia氏。すっかり渋くなりましたなあ。一時期トンと見かけなかったような気がするけれど、ここ数年、また出演作が増えてきたような気がするっすね。『The Untachable』はもう30年以上前か……あの頃はイケメンでしたなあ……。
 ◆メアリー:アールの元妻。仕事人間で家庭を顧みないアールに三下り半を突きつけ離婚したらしい。しかし最後の和解は、ちょっと泣けそうになったすね。あの時のEastwoodおじいちゃん演じるアールの表情が超見事でした。この元妻を演じたのがDianne Wiestさん70歳。わたしがこの人で一番覚えているのは、『Edward Scissorhands』のお母さん役ですな。エイボンレディーの仕事をしているちょっと抜けた?明るいお母さんという役だったすね。あれからもう約30年か……はあ……。
 ◆アイリス:アールとメアリーの娘。結婚式に来なかった父と12年口をきいていない。そりゃ怒るよ……。演じたのは、なんとEastwoodおじいちゃんの本当の娘であるAlison Eastwoodさん46歳。この方は過去何度かEastwood作品に出演しているし、自らも監督として映画を撮っている方ですが、顔はあまりお父さんに似てないすね。わたし、実は観ている時はAlisonさんだと気が付いてなかったです。ウカツ!
 ◆ジニー:アイリスの娘であり、アールとメアリーの孫。おじいちゃん擁護派だったけれど、おばあちゃんが大変なのに来てくれないなんて! と激怒してしまうことに。わたしはこの顔知ってる……けど誰だっけ? と分からなかったのだが、エンドクレジットで名前が出て思い出した。この女子はTaissa Farmigaちゃん24歳ですよ! 2013年公開の『MINDSCOPE(邦題:記憶探偵と鍵のかかった少女)』の主役の女の子ですな。あの頃はギリ10代だったのかな、すっかり大人びて美人におなりです。そしてこの方は、『The Diparted』のヒロインを演じたVera Farmigaさんの妹ですね。えーと、Wikiによると21歳年下の妹だそうです。ずいぶん離れてますな。あ、7人兄弟だって。そしてTaissaちゃんが末っ子か。なるほど。

 というわけで、もう書いておきたいことが亡くなったので結論。
 わたしが現役映画監督で一番好きなClint Eastwoodおじいちゃん最新作『THE MULE』が公開になったので、初日の今日、会社帰りに観てきた。ズバリわたしは超面白かったと結論付けたい。とにかく、10年ぶりの主役を自ら演じたEastwoodおじいちゃんの演技が超秀逸です。アカデミー賞にかすりもしなかったのが大変残念ですよ。いつもと違う軽妙さはすごく新鮮だったし、時に見せる、老人らしい慌てぶりの、ど、どうしたらいいんだ?的なオロオロ感は観ててとてもグッと来たっすね。グッと来たというか、毎日、80代のばあ様になってしまった母と暮らすわたしには、こっちまで心配になってしまうような、絶望感のような表情が素晴らしかったと思います。わたしとしては、本作は大いにお勧めいたしたく存じます! 是非映画館で! 以上。

↓ 今週末は久しぶりにコイツを観ようかな。なんというか、キャラ的に今回と正反対、のような気がする。
グラン・トリノ (字幕版)
クリント・イーストウッド
2013-11-26

 というわけで、今日は宝塚歌劇を愛するわたしが最も応援している「星組」の公演を鑑賞するため、午前中から日比谷へ赴いた。日差しは暖かいけど、あの東京宝塚劇場前の細い道はビル風が強くて寒いですなあ……。わたしは35年ぐらい前の中学生・高校生の頃は、あの一体にあった日比谷映画や有楽座といった映画館へよくチャリンコをぶっ飛ばして通っていたので、その街並みの変化をずっと見てきたのだが、去年落成した日比谷Midtownの影響か、なんかすっかり様相が変わっちまったすね。
 そんなことはどうでもいいとして。
 現在東京宝塚劇場で上演されている演目は、後に東宝の専務か何かまで成り上がることになる劇作家、菊田一夫氏が1963年に書き上げた作品で、その後何度も再演されているという伝説的作品『霧深きエルベのほとり』である。初演はなんと56年前ってことか。そりゃあもう、いくらおっさんのわたしでも観ているはずもなく(つうか生まれてもいない)、最後に再演されたのが1983年だそうだから、えーと、36年前か。つまりわたしがチャリで日比谷に通っていた頃なんだな、と思ったので冒頭にどうでもいいことを書いてみた次第であります。
 あと1つどうでもいいことを書いておくと、宝塚歌劇団が5つの組で構成されていことは、何度もこのBlogで書いているけれど、公演の順番が、数年に一度、ちょっと変わることがあるのである。どういうことかというと、雪組→花組→月組→宙組→星組、の順番でローテ―ションしていた翌年に、その順番がちょっと変わることがたま~にあるのです。そしてまさしく我が星組は、去年、雪組と順番が入れ替わったんだな。その結果、去年、元の順番ならば、宝塚大劇場の年末ラストが星組公演で、年明け一発目が雪組、となるはずだったところ、雪組が先に年末に公演を行い、そして星組が今年1発目になったのだ。
 これは、去年の10月の台湾公演の影響だろうと思うが、何が言いたいかというと、そのために我が星組は、去年は大劇場公演が1本しかなかったのである。そしてつまり、東京宝塚劇場での星組公演は、去年の6月~7月以来と、結構久々なのであります。はー説明が難しい。
 というわけで、星組推しのわたしとしては、演目的にも伝説の作品だし、スケジュール的にも久しぶりだし、と大変楽しみにしていた公演なのであった。ということを言いたかっただけです。はい。おまけに、先日とうとうこの次で退団することを発表した星組TOPコンビ。さらに言えばこの公演で卒業してしまう方もいて、まあとにかく、いろんな意味で、わたしは今日を待ち望んでいたのでありました。
 
 というわけでーーー物語は上記映像の通りであります。
 ハンブルグを舞台に、船乗りカールと、とある金持ちの令嬢マルギットが出会って恋に落ちるけれど、身分違いがもたらす悲しい結末となる悲恋、であります。
 まあ、ズバリ言うとかなり昭和な雰囲気で、石原裕次郎的世界観と言えばいいのかな、相当時代がかっているのは間違いなかろう。しかし、だからと言ってつまらないわけではなく、実際わたしとしては大変楽しめる作品であった。とりわけ、男のわたしから見ると、主人公カールと、マルギットの婚約者で育ちが良く超イイ奴のフロリアンの二人の気持ちがとても良くわかってしまうのだ。どんな感じなのか、各キャラ紹介をしつつ演じたジェンヌについてもメモしてみよう。
 ◆カール:船乗り。学はないしギャンブルもたしなむ、チョイ悪系男子。港ごとに女がいる的な感じだけど、実はかなりイイ人。マルギットに刹那的に惚れてしまって結婚しよう! という勢いでラブラブになるものの、冷静になって、マルギットの実家の上流の生活や、マルギット自身のことを考えると、まあ、実際オレじゃマルギットを幸せには出来ねえ、と実感してしまう。その結果、カールがとった行動はーーー観てご確認ください。男としては大変共感できます。女性から見たら、うーん、どうだろう、アウト……かもしれないな。。。
 そして演じたのはもちろん星組TOPスター紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)。とうとう退団の発表があって、大変淋しいですね……最強コメディエンヌの紅子先輩。今回は悪ぶっててイイ人、という得意のキャラだったように思います。主題歌が染みたっすね……「か~も~め~よ~伝えてよ~ わが心……今も君を愛す……」大変結構なお点前でした。
 ◆マルギット:上流階級のお嬢様。とある理由で父との確執があって家出。カールとの運命的な出会いに恋の炎が燃え上がっちゃう……わけだが、まあ、やっぱりマルギットは問題アリと言わざるを得ないだろうな……ちょっと世間知らず過ぎたんでしょうな……でもまあ、それはマルギットの罪ではなく、そう育てられてたんだからどうしようもなかったとも思う。願わくば、カールとの恋を教訓として、幸せになってほしいすね……。
 演じたのはこれまた当然、TOP娘役の綺咲愛里さん(以下:あーちゃん)。あーちゃんも紅子先輩と同時退団を発表されており、やっぱりとても淋しいす。あーちゃんに関しては、目の肥えた歴戦のヅカ淑女たちの評価がやけに厳しいような気がするけれど、わたしは何度も書いている通り、あーちゃんはとても可愛いし、間違いなくTOPのオーラを放つ素晴らしいジェンヌだと思う。地声が落ち着いた低い声だから、高い声が若干厳しいんすよね……でもわたしはあーちゃんの意外な低音ボイスが大好きなのでおとがめなしです。もうチョイ、あーちゃんを舞台で観ていたかったすなあ……。次の、最期の退団公演、楽しみにしてるよ!
 ◆フロリアン:マルギットとは子供のころからの幼馴染で婚約者。上流階級。しかし、その身分や財力(はあるのか?)をひけらかすようなところは皆無で、実にイイ人。フロリアンは、ある意味マルギットに振られてしまった残念な男なわけだが、それでも一切マルギットを責めるようなことはせず、ただただ、マルギットの幸せを願うナイスガイ。男のわたしから見ると、カッコ良すぎですよ! まあ、要するに超イイ人、なわけだけれど、残念ながら世の真理として、女子は「イイ人」には恋してくれないんすよ……イイ人と評されることの多いわたしもつらいすわ……。女性から見たら、やっぱりイイ人すぎて恋愛対象外なんすかねえ……。。。
 演じたのはわたしが最も応援している礼真琴さま(以下:こっちん)。今回はソロ曲も泣けたっすねえ! こっちんの歌は最強レベルに巧いわけで、今回は後半のショーでも堪能させていただきました。問題は、紅子先輩の次に、星組TOPスターにこっちんがなれるかどうか、なのだが……普通に考えればもう確定だろうけど、仮に別の組から誰かが突然やってきても、わたしは受け入れますよ。こっちんにはまだ熟成期間があってもいいと思う。順当にTOPスターになれたら、それはそれで大歓迎。TOPになった時点で完成されてなくていいんだしね。いずれにせよ、こっちんの「これから」が楽しみだし、応援したいと思います。
 ◆トビアス兄貴:カールの乗ってる船の船員たちの兄貴分。渋い。カッコイイ。物語的にはあまり出番ナシ。のちに、兄に会いにハンブルグに来ていたカールの妹と結ばれ、船員を引退、陸(おか)での生活を選ぶことに。演じたのは今回で退団してしまう「ひろきのお兄様」でお馴染みの七海ひろきさん。ラストの「じゃあ行くぜ……あばよ!!」には、なんかグッと来たっすね……。宙組から来てもう4年経つんだな……あっという間だなあ……。素顔のお兄様は、実にクールな眼差しの美女なので、退団後の活躍を楽しみにしております。また舞台で会いたいすね。
 ◆シュザンヌ:マルギットの妹で、実はフロリアンが大好き。家出した姉を心配しているが、それ以上にフロリアンのことが心配。そりゃそうだ。超けなげなお嬢さん。演じたのは有紗瞳さん(以下:くらっち)。わたしはこっちんがTOPに登極する時には、その隣にはくらっちがいてほしい……と強く願っていたのだが……はあ……どうやらその夢は叶いそうもなく……もちろんまだ分からないけれど、先日、花組からこっちんの嫁候補と思われる組替え人事が発令されており、どうやらくらっちはこっちんの嫁になれる見込みがかなり薄くなってしまった……。本当に厳しいなあ……。。。わたしが全娘役で一番応援している、月組のうみちゃん(海乃美月さん)のようになってしまう可能性大なわけで、実に悲しいすわ……。そんな……ホントマジかよ……である。うみちゃんもくらっちも、本当に華のある素晴らしいジェンヌなのにね……報われてほしいなあ……。。。

 とまあ、物語上のメインキャストは以上であります。
 ホント、楽しめたのは間違いないけれど、なんだかいろいろな意味でつらいお話でありました。なんつうか、恋の炎はあっという間に燃え上がるけれど、その勢いだけで結婚というわけにはいかないんでしょうな。ま、そりゃそうだとしか言いようがなく、二人の男の決断も、男としては実に理解しやすいお話であったと思う……けど、女性がこの物語をどう思うかは、正直良くわからんです。
 で。後半はショー『ESTRELLAS~星たち~』であります。元々スペイン語の「星」=「Estrella」に、複数形のsをつけたものだそうで、要するに星組のスターたち、てなことである。ところで、ちょっとした豆知識を紹介すると、宝塚歌劇団の5つの組には、それぞれ「テーマカラー」が設定されており、「花組=赤(ピンク)」「月組=黄」「雪組=緑」「星組=青」「宙組=紫」となっているのだが、今回のショー『ESTRELLAS~星たち~』は、基本「青」の舞台でありました。まあ、前回の『Killer Rouge』は全編「赤」だったんだけど、まああれは、TOPスター紅子先輩の「紅」だったということで、今回は星組の青、であります。
 まあ、星組のショーでは、わたしは当然こっちんをずっと双眼鏡で追うわけですが、やっぱりこっちんはダンスもキレてますなあ! 最高じゃないですかもう! なのでこっちんグレイトは当たり前として、やっぱりここ数回で思うのは、せおっちこと瀬央ゆりあさんの躍進でしょうな。今回も、ちゃんとソロパートがあって、歌がすげえ上達してるような気がしますね。しかし、まあこれもアレなんだけど……こっちんがもし順当にTOPになったら、2番手はせおっち、なのだろうか? いや、今の星組を観ているとそれ以外は考えられないんだけど……同期のTOP&2番手コンビって、あるんすかねえ? わたしのヅカ歴10年ではなかったような気がするけど、普通にあることなのだろうか? わたしは全然アリだと思うし、むしろこっちんとせおっちの絆を考えれば、むしろ大歓迎なんだけど……どうなるかよくわからんす。
 それから今回のショーでは、今回で退団するひろきのお兄様や華鳥礼良さんたちに、ちゃんと見せ場があってよかったすね。特に華鳥ちゃんはエトワールも任されて、とても光ってましたな。特徴のあるお顔の美人なので、路線には乗れなかったけど、わたしはいつも、あ、華鳥ちゃんだ! と見つめていたよ。淋しいね、もう会えないのは。。。退団後、幅広く活躍してくれることを願ってます。
 
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「一度散った木の葉を 再び元の枝につけて緑に輝くと 君は思うかい……」
 今回は、かなり序盤でフロリアンが言うこの台詞を選びます。ここは、シュザンヌとのやり取りなんですが、姉さんを連れ戻せばまたあなたを愛するようになるかもしれないわ、というセリフに対するフロリアンの回答、がこの台詞です。このシーンは全部カッコ良すぎたっすね……つうかフロリアンよ、君は物分かり良すぎですよ……でも、このセリフを言う気持ちも、男のわたしは痛いほど良くわかるんすよね……まったく、男はつらいよ……ですなあ……。

 というわけで、結論。
 7カ月ぶりか? ちょっとお久しぶりとなる星組大劇場公演『霧深きエルベのほとり』がやっと東京に来てくれたので、今日は楽しみにしていたわけだが、この作品は、お話の内容的にも、そして現在の星組の状況的にも、なんだかとても悲しくて、淋しい気持ちになってしまったわたしである。なかなかつらいお話だったとわたしは思うのだが、果たして、現代の女性が観てどう思うのか、結構興味があるっすね。まあ、一度散った木の葉は、もう緑に輝くことはないんすよ……このセリフはとても気に入ったので、今後日常で使わせていただこうと思います。そして、退団者の皆さんのことは、今後も応援したいし、いよいよ次の大劇場公演で退団となる星組TOPコンビにも、最期まで拍手をもって応援したいと存じます。でも、ホント問題はこっちんの「これから」なんだよな……まずは5月、主演を務める全国ツアー公演があるので、こっちんの雄姿を楽しみたいと存じます。結論としては、こっちんこと礼真琴さんは最高です。以上。

↓ あ、すげえ、今ってAmazon Primeでスカイステージの番組観られるんだ!? へえ~知らんかったわ。




 昨日は冷たい雨の中、会社が終わってから神宮球場の横にある日本青年館へ行ってきた。それはわたしの愛する宝塚歌劇団宙組公演『群盗―Die Räuber―』を観るためであります。
 こちらがポスター画像ですが、まあ、なんつうか……美しいですなあ……。。。
raeuber
 わたしはこの公演に関して、2つの点で大変興味を持っていたので、友の会の抽選に申込み、超ラッキーなことにあっさり当選となって観に行くことが出来たのだが、その2つの点とは以下の通りである。
 1)マジかよ! シラーの『群盗』キタ!
 わたしの周りの人々にはおなじみな通り、わたしはドイツ文学科出身である。そして大学院での専門は18世紀~19世紀のドイツ演劇・戯曲だ。つまり、Friedlich von Scillerと言えば、世の大半の人は知らないだろうけど、ドイツ文学を学んだ人間にとってはGoetheに次ぐ知名度(?)を誇る、ゲーテとほぼ同時代人の偉大なる劇作家なのであります。ゲーテより10歳若いSchillerの戯曲は当然わたしも何作も読んだことがあるわけで、とりわけ有名な『群盗』は超知ってる作品なのである。
 ちなみにさっき会社の若僧に質問されてびっくりしたのだが、そもそも普通の人は「戯曲」という日本語さえ知らないのかもしれない。まあ、会社のガキがアホだっただけの可能性も高いけれど、「戯曲」とは要するに台本、であり、台詞とト書きからなる文学作品だ。Shakespeare作品も戯曲ですわな。そして『群盗』こそ、Schiillerの処女作であり、世界の演劇史上においても相当の回数上演されている有名な作品なのだ。
 そんな『群盗』が、愛する宝塚で上演されるなんて話を聞いて、ドイツ文学を学んだ者としては、じっとしていられるわけがないのです! おまけに主演は、今、超キラキラしている芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)である。ここが2つ目のポイントだ。
 2)キキちゃん……ホントに宙組に移って良かったなあ……!
 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を観て以来のファンで、1番最初に観たのが当時のTOPスター柚希礼音さん率いる星組公演だ。なので、とりわけ星組には思い入れがあるわけだが、キキちゃんは当時星組で、正直わたしはそれほど注目しておらず、キキちゃんが2012年に花組に異動になった時、あ、あの子、花組行っちゃうんだ、ぐらいのことしか思わなかった。しかし、その後の花組公演を観る時はいつも、キキちゃんは元気だろうか、と妙に気になり、その後、明日海りおさん(以下:みりお)が花組TOPスターになって以降、キキちゃんも順調に大きめの役が付くようになって、花組の2番手まで出世したわけだけど……ズバリ、花組時代のキキちゃんは、超地味!だったように思う。なにかと華やかな3番手(?)の柚香光さん(以下:ゆずかれー)が目立って、どうにもキキちゃんは上級生だし番手も上のはずなのに、そして歌も芝居も(わたし主観では)全然キキちゃんの方が上なのに、いかんせん地味、みたいなことをわたしは思っていた。なので、2年前に、キキちゃんが今度は宙組へ異動になった時は、ある意味飛ばされた的に感じていたのである。
 しかし!!! わたしの愚かな感想はまったくの見当違いだった!!! ことが、宙組異動後のキキちゃんが自ら証明してくれたのであります。とにかく、宙組異動後のキキちゃんは、大変失礼ながらもう別人じゃねえかと思うぐらいキラキラしていて、超カッコイイ! じゃあないですか! わたしはさっき、日刊スポーツのこの記事を読んで、なーるほど、そういうことだったのか、と超・腑に落ちた。 ※記事自体はこちら→https://www.nikkansports.com/entertainment/column/takarazuka/news/201902280000137.html

 つまり、このインタビューによると、キキちゃんは花組に異動した時は「おとなしく、上級生らしくしなくちゃ」と思っていたそうである。そうだったんですなあ……そして花組で5年半「花男」としての経験を積み、宙組TOPに星組時代の仲間であり1期先輩の真風涼帆さんが登極されたタイミングで、宙組へ異動となって今に至るわけだ。下級生時代を共に過ごした真風さんの存在も大きいのでしょうな。とにかく、宙組異動後のキキちゃんのキラキラぶりは、とても眩しく、まるで生まれ変わったかのように輝くキキちゃんを観るのは、もはやお父さん目線のおっさんファンとしては、もう大変うれしいことなわけですよ。なんか、凰稀かなめさんが星組2番手時代は超地味だったけど、宙組TOPになったら超キラキラになった時を思い出すというか、ちょっとだけ似てるっすね、境遇的に。
 わたしはサラリーマンとして今年で25年目だが、思うに、やっぱり部署異動の経験のない奴って、もう職人的に固まっている奴(=別の言葉で言えば成長の目がなくつぶしの気かねえ使えない奴)が多いような気がしますね。わたし自身も6部署ぐらい渡り歩いてきたけれど、異動ってとにかくエネルギーを使うんすよ。前の部署でエースだったとしても、新しい部署で新しい仕事を始める時は一兵卒に戻らざるを得ないし、人間関係も気ィ使うし。
 だけど、やっぱりサラリーマンは異動をしないと成長しないと思うな。異動で潰れちゃうダメな奴もいっぱい見てきたし、自分の代わりはいないと勘違いして異動辞令に駄々をこねるようなやつもいっぱい見てきたすね。まあはっきり言って、代わりはいくらでもいるんだよ。問題は、自分がいなくなっても大丈夫なように、下の人間に「自分の背中」を見せてきたかどうか、であり、そして、新しい場所に行った時に自分が成長するチャンスだととらえられるかどうか、という点だ。この観点から見ると、キキちゃんは超立派にその役目を果たしているようにわたしには思えるのであります。

 とまあ、以上のことから、わたしは↑に張り付けたポスター画像を見た時から、これは観てえぜ! と超楽しみにしていたのであります。ヤバイ、まったく関係ない話が長くなり過ぎた……。
 ええと、ズバリ結論から言うと、キキちゃんを中心とした宙組の若手キャスト達はとても良かったと思う。とりわけ、やっぱり3度の新公経験のある瑠風輝くんは今回初めての悪役だったのかな、とても光っていたし、物語の狂言回し的役割のヴァールハイトを演じた101期首席の鷹飛千空くんも良かったすねえ! もちろん群盗メンバーのみんなも超頑張っていたし、さらにはヒロインを演じた天彩峰里ちゃんも健気で良かったすなあ。こういう外箱公演は、普段の大劇場公演では小さい役しか付かない若手の頑張りをチェックできるので、やっぱり面白いすね。
 しかし、物語としては、わたしはとても意外に思ったことがあった。若き頃に読んだ時の印象と全然違うのだ。これには一つ、心当たりがある。それはズバリ、わたしが「年を取ってしまったため」だ。以前も、例えばそうだな……わたしは大学生当時、夏目漱石にドはまりで、『彼岸過迄』『行人』あたりはもう感動して泣いたぐらいなのに、40過ぎて再読した時、まるっきり泣けない、どころか、キャラクター達のガキっぽい心情に呆れるというか……まあとにかく、感想がガラッと変わってしまったのである。
 というような同じことが、今回『群盗』を観てわたしの身に起こった。約30年前にSchillerの『群盗』を読んだ時は、そのキャラクター達の熱い想いや行動にグッと来たはずなのに、今回まったく共感できなかったのである。バカなガキども……みたいな冷ややかな想いを抱いてしまったわたしとしては、なるほど、これが世にいう「老害」か……と自分がなんだか悲しかったすね……。
 というわけで、最後は毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「ゆがんだ世を、ゆがんだ方法で正そうとしてしまった……!」
 今回は、正確なセリフは覚えられなかったけど、キキちゃん演じる主人公カールがラストに嘆くこのセリフを選びます。そうなんだよ、それじゃあダメなんだよ! どんなに周りがインチキで汚ねえ奴らばっかりでも、自分も同じことをしてちゃあダメなんだよ! どんな状況でも、自分は清く正しく美しくないと、ダメなんだよ!! このラストの台詞はとてもグッと来たっすね! ホント、美しくキラキラしているキキちゃんの、心からの慟哭が刺さったすわ……。結構原作と設定が変わっていたけれど、このセリフ、原作にもあったんだっけ……。まったく思い出せん……。

 というわけで、クソ長くなってしまったけど結論。
 ドイツ文学を学んだわたしとしては、Schillerの『群盗』が宝塚歌劇で上演されるというニュースは、もう超ドキドキワクワクだったし、おまけに主演が星組時代から知ってて、今、最も旬を迎えている(?)芹香斗亜さんともなれば、これは絶対観ないと! と期待していたわけだが、確かに、キキちゃんをはじめとする宙組の若い衆はとても熱演だったのは間違いない。その意味では期待を上回る素晴らしい作品だったと称賛したい……のだが、どうもおっさん化してしまったわたしには、約30年ぶりの『群盗』という物語は、共感できるポイントが少なく、若者たちの無軌道ともいえる行動には眉を顰めざるを得ず、その最終的な悲劇エンドには、そりゃそうなるわな、としか思えなかったのである。ただ、イケ台詞にも選んだ通り、最終的にはきちんと自らの過ちを悔いて嘆くのはとても良かった。遅すぎたな……分別ある大人の味方が必要だったんだろうな……。まあ、それがいないから「群盗」と化したわけで、実に悲しい、まさしく悲劇だったと思う。原作を持っているような気もするので、本棚あさってみるか……。以上。

↓ たぶん持ってる……はず。探してみよっと。
群盗 (岩波文庫)
シラー
岩波書店
1958-05-05

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