2019年01月

 このBlogでもう30回ぐらいは書いていると思うが、今回も言おう!
 わたしが世界で最も好きな小説家は、Stephen King大先生である!
 そして日本語で読める最新刊が1/30(水)発売と、文春から発表されたときの喜びは極めて大きく、昨日本屋に寄ったら思いっきり売っていたので、さっそく買ってきたのであります! やったーー! 超嬉しい!!
 US原題は『REVIVAL』。わたしは今回、まったくどういう内容の作品か、あらすじすら読まずに買って、読み始めているのだが……相変わらずヤバイすねえ! この、日本語タイトルをご覧ください!
revival
 なんと文春から発売された日本語版は、『心霊電流』という、超そそる謎のタイトルになっております!! 心霊……電流……な、なんのこっちゃ?? US原題の『REVIVAL』と併せて考えると……復活的な? 電気でビリビリ的な……? と全く謎の妄想がわきますが、現在<上巻>の90ページほどを読んでいる段階で、とある人物が電気にやけに詳しいというか、電気に並々ならぬ興味をもっていて、そしてはやくも超悲劇が勃発しており、こ、こいつはページをめくる手が止まらねえ! 状態になりつつあります。
 というわけで、今日は、都内のデカい本屋さんならもう売ってるよ!の第一報まで。そして、ヤッバイほど面白そうな展開で興奮が止まらん! 状態であることのご報告でありました。

 というわけで、さっさと結論。
 わたしが最も愛する小説家Stephen King大先生の日本語で読める新刊『REVIVAL(日本語タイトル「心霊電流」)』が発売になっていたので、さっそく買って読み始めたわたしであります。実は、発売を知ったのは、わたしが愛用する電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」から、新刊出ますよメールが先週届いたためなのだが(ありがとうBW!)、当然、King大先生の作品は紙で、単行本で、出たらすぐ!買うことにしております。なぜって!? そりゃあもう、早く読みたくて我慢できないからですよ! 文庫化まで待ってられんのです!! 特急料金として高くてもいいんだよもう。それではお先に堪能させていただきまーす! 以上。

↓ もちろん電子版は発売日がきっちり守られており、配信は明日1/30からです。そして電子版の方が200円以上安いみたいです。でもわたしは本棚に並べて悦に浸りたいので、King大先生作品だけは「紙」っす!
心霊電流 上 (文春e-book)
スティーヴン・キング
文藝春秋
2019-01-30

心霊電流 下 (文春e-book)
スティーヴン・キング
文藝春秋
2019-01-30

 はあ……マジ最高だった……もうなんつうか、ため息が尽きないす……
 と、何の話か分かるわけがないので、説明しよう。わたしは昨日の木曜日、ド平日の真昼間に、あらゆる職権を濫用し、午後は仕事をさぼって、新宿歌舞伎町のTOHOシネマズにいたのであった。それは、コイツを観るためであります。
anna
 ↑ は公演プログラムをスキャニングしたものだが、これは、昨日まで、宝塚市の宝塚バウホールにて上演されていた宝塚歌劇団月組公演『Anna Karenina(アンナ・カレーニナ)』という作品であります。それが何で新宿の映画館で上映していたかというと、理由は二つあって、まず昨日が千穐楽であったことが一つ。そしてもう一つは、1)わずか2週間の公演しかなく、2)おまけにバウホールという小さな劇場でキャパが小さい、ということから、超チケット入手が困難で、日本全国で観たい!けどチケットが買えない!という淑女の方々がいっぱいいたため、宝塚歌劇団が気を遣って(?)全国の映画館に中継された、というわけであります。
 わたしとしても、当然チケットを買って現地で、生で、観たかったのだが、まあ余裕で落選続きでダメであり、映画館でのライブビューイング(=LV)が決定した時も、くっそう、ド平日の昼かよ!?とか思ったものの、これは……オレのヅカ愛が試されているッ! 上等だぜ! 行ったろうじゃんか!!と決心したのであった。
 幸いというか、ド平日の昼間ということで、LV自体のチケットは比較的楽に買えたのだが、まあ、全く人のことは言えないけど、昨日の新宿TOHOはド平日の真昼間だというのに大勢の淑女の皆さんが集い(しかも大き目のスクリーン2つをLVに開放)、大変な盛況であったように見えた。ズバリ、わたしもその群衆の中の一人だったのだが、男客は何人か見かけたものの、スーツを着たソロのおっさんは、わたし以外には見かけなかったすな。ま、当たり前か。
 で。
 わたしがこの公演を、どうしても観たかった理由はズバリ、キャストにある。それは、わたしが宝塚歌劇団のすべての娘役の中で一番応援している海乃美月ちゃん(以下:うみちゃん)がヒロインのアンナ・カレーニナを演じるから、である。そして、相手役には、これまたわたしがせっせと応援している美弥るりかさん(以下:みやちゃん)と月城かなとさん(以下:れいこ)の二人という、月組きっての美形二人が演じるというのだから、これはもう、絶対に観たい、つうか、なんならド平日だろうとなんだろうと、チケット獲れるなら新幹線ぶっ飛ばして観に行くぜ? ぐらいの、超注目の演目だったのであります。
 そして結果的にライブビューイングで何とか観ることができたのだが、ホント、これは生で観たかったよ……大げさでなく、わたしがこれまで10年間に観た宝塚歌劇の演目の中で、トップクラスに美しく、素晴らしかったと思う。どうやらBlu-rayが発売されるらしいので、これはもう、買うしかないでしょうな。はーーーマジでもう一回、もう10回ぐらい観たいわ……。。。
 つうか、どれだけ美しく、素晴らしかったかを言葉では説明できないですよ。ちょっと、この毎日新聞大阪芸能班のツイートを貼っておきますので、こちらで舞台写真を見ていただきたい。

 ↑この、深い赤/黒/金の軍服が最強にカッコよく、美しいのです。冒頭の、二人がモスクワの駅で出会うシーンは気絶しそうになるぐらいの美しさで、ライブビューイング(の若干粗い映像)ですらそう感じたのだから、これをバウホールで生でご覧になった淑女の方々が大勢失神したとしても、わたしは何ら不思議に思わないすね。いやあ、マジで早くBlu-ray発売になんねーかなあ!
 イカン! なんかずっと同じことを書いているので、まずは物語をまとめておこう。つうか、本作は全世界的にお馴染みの名作、トルストイ作の小説なわけで、今さら物語を紹介してもしょうがないか。わたしも原作はもう20年以上前に読んでいるのだが、はっきり言って細部は相当忘れている。が、それでも今回の宝塚版は、かなりのダイジェスト、だったように感じた。ま、すごく長い物語なのでそれは全く仕方ないことだろう。だが、ダイジェストとはいっても、本作だけできちんと筋は追えるし、別に原作を読んでいなくても大丈夫だったと思う。
 というわけで、まず、パワポでテキトーに人物図を作ってみた。
アンナ
 この図の通り、超ざっくり物語をまとめると、超イケメンで有能な軍人ヴィロンスキーという男がいて、とにかくロシアの社交界では有名なモテモテ伯爵で、多くの女子たちがお近づきになりたいと思っている男であったと。で、ある日、ヴィロンスキーの母がモスクワに出てくるというので駅で待っていたところ、知り合いのステパンという男の妹、アンナなる女子が母と一緒に駅に降り立つのを見つける。そして、アンナの超絶な美しさにヴィロンスキーは、アンナこそオレが求めていた女だ!と電撃的にひとめぼれ。しかしアンナは――人妻であった。そしてアンナも、ヴィロンスキーへの想いが溢れてーーーてな物語である。サーセン。いつも通り超はしょりました。
 要するに、現代風に言えば完全なる不倫で、「失楽園」……は古いか、ええと、つまり「昼顔」的物語である。なので、わたしとしては実は結構不思議で、なんでまた、現代の世の中的には「不倫」は徹底的にたたかれ、許されない風潮であるのに、昼顔とか、今回のような話が受け入れられるんだろう? というのがよく分からないのである。恐らく想像するに、超イケメン&美女、という空気感からして、完全なるファンタジーとして世の淑女の皆さんは、ある意味「他人事」として、あるいは「妄想」として、楽しいんでいるのではないかと想像する。
 まあ、それはともかくとして、わたしは男なので、実は物語的には、妻を奪われる立場のカリーニンの気持ちが一番興味深かった。カリーニンは、妻の不貞が明らかになった時、怒り狂う。そして自ら家を出ちゃうのである。そりゃそうだよね。誰だって怒ると思う。
 しかし、だ。結論から言うと、カリーニンは、「許す」のです! それは、アンナが不貞の子を産んだ後の産褥で死にそうになってしまうのだが、そんな姿を見て、もう何もかもどうでもいい、でも死んじゃあダメだ! と手を差し伸べるのです!! ここは、淑女の皆さんはどう思ったのだろうか? 未練たらたらな男だなあ、とか女性なら思うのだろうか? しかしわたしは男として、カリーニンの気持ちが痛いほど理解できる。そして理解できるだけに、観てて超つらかったすね……。
 まあ、カリーニンは、妻のアンナのことを、いわゆるトロフィー・ワイフ的に扱っていたかもしれない。でもきっと、カリーニンもアンナを愛していたのは間違いないわけで、不倫は許せないけど、それでも愛するアンナが死んでしまうことはもっと耐えられないことだったのだと思う。生きてくれさえすれば……てのは、男特有の、ウジウジした気持ちなのだろうか? 女性からしたら、どうせワンチャンあるかも? とか思ってんでしょ、なんて思われてしまうんだろうか? あのですね、そんなことは全く思ってないんすよ! もう、自分のことはどうでもよくて、愛した女には幸せに生きていてほしいんすよ! そして自分より先に死ぬなんて、絶対嫌なんすよ、男って奴は! なんつうかもう、わたしとしてはカリーニンに一番感情移入して観てたっす。ホントにグッときて、いろいろな意味でのため息が尽きない作品でありました……。はあ……つらいす……。。。

 おおっと、もうさっさとキャストのまとめに入らないと長くなるだけなので、4人だけ、メモしておきます。
 ◆ヴィロンスキー伯爵:演じたのは月組の正2番手スター、美弥るりかさん。2008年の星組版ではカリーニンを演じたんすね。しっかし……マジでさ……みやちゃんがもしTOPになれなかったら、ホントにもう、ヅカファン辞めたくなるすね。圧倒的「美」のオーラは現役最強クラスだと思う。なんと立ち姿の美しく、カッコイイことか! 歌も良かったすねえ! ホント、星組に帰ってきて、短い期間でもいいからTOPスターとしてセンターに立ってほしいですなあ……。最高でした。超最高でしたよ!
 【2019/01/29追記:な、なんてこった!!! みやちゃんが退団なんて……。。。あーあ……マジかよもう……マジなのかよ……心の底から残念だよ……!!!】
 ◆アンナ:演じたのは月組が誇る美女、海乃美月さん。うみちゃんの美しさも際立ってましたねえ! でもやっぱり、うみちゃんの大人っぽい美しさは、現代の宝塚歌劇団においてはTOP娘には据えにくいんすかねえ……。ロリ系が出世するもんな……。うみちゃんはロリ感ゼロの大人の女だけど、芝居も歌もとても素晴らしいのになあ……。男役の引き立て役、にはオーラが強すぎるんすかねえ……。でも、わたしとしてはうみちゃんが報われる未来を信じ続けて応援したいと思います。つうか、みやちゃんとうみちゃんの二人をTOPとして、いっそ新しく組作っちゃえばいいのに! 極めて美しい二人の並びは、完全にTOPクラスのオーラが漂っていたと思います。最高でした。うみちゃん! 今後も応援しますよ!
 ◆カリーニン:演じたのは月組3番手格の美形、月城かなとさん。れいこも見事だったですなあ……。れいこも、やっぱり将来のTOPの器ですよ。報われてほしいすね……。もともとは芝居上手、なのかな。でも、『エリザベート』を経て、歌もグイグイ巧くなってますなあ。最高でした。ホント生で観たかった!
 ◆キティ:天真爛漫(?)なキティを演じたのは、きよら羽龍ちゃん(以下:おはね)。実はわたしは今まで彼女に注目することはなかったのだが、そりゃそうだよ、なんと104期、2018年に入団したばっかりの最下級生じゃんか! でも、わたしはキティがもの凄く歌がうまくて、こ、この人誰!!? と超驚いたすね。そして調べて104期と知ってさらに驚いたす。まだメイクが若干アレかもしれないけど、この歌ウマぶりは今後要チェックすね。素晴らしかったす。おはねちゃんを知ることができたのも、本作を観た収穫っすね。
 というわけで、他のキャストの方々を書く余裕がなくなってしまったのでこの辺にしておきますが、全キャスト、素晴らしいパフォーマンスだったとわたしとしては絶賛いたしたく存じます。新組長、光月るうさんもお気楽なスティーバを見事に演じてらっしゃいましたなあ。今回の公演は少人数だったけど、ホント全員最高でした。はあ……これは大劇場公演として、もっと豪華で大きなセットで観てみたいですなあ……。本作は、2001年に雪組で、2008年に星組で上演され、今回が3回目の再再演だそうだが、全部バウ公演だったんですな。内容的に、大劇場向けじゃないのかなあ……。
 
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 アンナ「わたしたち、地獄に堕ちるわ……!」
 ヴィロンスキー「大丈夫……その十字架も僕が背負う。この愛、神さえも裁けない!
 今回は、二人のこの会話を選びます。いやあ、イケ台詞がもっといっぱいあったけど、このセリフが一番グッと来たっすねえ! ヴィロンスキーは結果的に背負いきれなかったわけですが……ほんとにもう、ラストはつらかったすね……正直わたしは泣いてはいませんが、なんつうか、物語にどっぷりと浸った後の虚脱感というか、とにかく、ため息が尽きないす……アンナ……ごめんよ……幸せにできなくて……はあ……つらいす……。。。

 というわけで、もうクソ長いのでさっさと結論。
 宝塚歌劇団の月組によるバウホール公演『Anna Karenina(アンナ・カレーニナ)』。これは超観たいぜ! と思っていたものの、チケットは全く取れず、千秋楽公演のライブビューイングにて観る機会を得た。一言で言うと、最高でした。ヅカ歴11年になろうとしているわたしの中では、これまでに見た作品の中でTOPクラスに素晴らしかったと思う。まず美しい! そしてキャストたちの素晴らしい演技がもう絶品! そして歌も最高! とマイナス点は何一つありません。うみちゃん、みやちゃん、れいこ、三人がいつか、センターで輝く日を信じてます。そして、研1のきよら羽龍さんの歌のうまさにもびっくりしたっす。 くそう、はやくBlu-ray発売にならねえかなあ! これはもう、何度でも見て、そのたびにため息をつきたく存じます。最高でした!!! 以上。

↓ そういえば、この映画はWOWOWで放送されたのを録画してあるはず……週末探してみてみよっと!
アンナ・カレーニナ (字幕版)
キーラ・ナイトレイ
2013-12-07

 まったく根拠はないけれど、おそらく世間一般的に、『オペラ座の怪人』と聞けば、Andrew Lloyd Webber男爵の作曲したあの曲「The Phantom of the Opera」を思い浮かべる人の方が圧倒的に多いのではなかろうかと思う。ええと、たぶん曲を聞けば誰でも知ってるアレです。
 わたしも、2004年版の映画は観たし、その後2010年だったかな、劇団四季の公演も観に行ったので、それなりに知ってるつもりだが、実は原作小説をちゃんと読んだことはない。そう、あの有名な『オペラ座の怪人』という物語は、ちゃんと原作小説が存在していて、Webber男爵の作曲したミュージカルは、いろいろある翻案Verの一つに過ぎないわけですな。
 一方で、宝塚歌劇を愛するわたしとしては、『ファントム』というタイトルでまったく違うVerの「オペラ座の怪人」を原作としたミュージカルが存在しており、しかもかなり人気が高い、ということは知っていたけれど、2010年にヅカ道に入門したわたしは、2011年に上演された花組Verを観に行かなかったので(当時はまだ星組作品だけしか観に行っていなかった)、まあ、いつか見たいもんだぜ、ぐらいにしか思っていなかった。
 わたしのヅカ道の師匠によれば、とにかく歌が素晴らしく、まさしくThis is Musicalな素晴らしい作品だそうで、このたび、現在の宝塚歌劇団で最強の歌ウマTOPコンビを擁する雪組での公演が決まった時は、おおっと、コイツは絶対観に行かねえとダメじゃん! と思ったものの、さすがに人気の演目であり、最強歌ウマコンビということで、まったく、本当にもう、まったくもって、チケットが獲れず、こりゃあライブビューイングしかねえなあ……と完全に諦めていたのが年末ごろの話である。しかし、わたしのヅカ師匠の美しきお姉さまが「あなた、だいもんのファントムを観ないなんて絶対ダメよ!」とチケットを1枚譲ってくれたので、昨日の17時にわたしは仕事を定時で切り上げ、じゃ、オレ日比谷行ってくらあ!と会社の若者たちにシュタッ!と手を振って、東京宝塚劇場へ向かったのであった。

 えーと。まず、感想としては、演じた雪組のパフォーマンスについて、そして歌についてと物語について、と3つに分かれるので、それぞれ綴っていこうと思う。順番は逆に書いた方がいいかな。まずは物語についてから行ってみるか。
 ◆同じだけど全く違う「オペラ座の怪人」
 わたしは観終わって、というか、1幕が終わった時に、激しく驚いていた。というのも、物語がわたしの知っている「オペラ座の怪人」と大筋は同じ、だけどまるで違う!のである。ラウルはどこ行った!?とか、わたしの知ってるWebber男爵版とは全然違う物語にわたしはとても驚いたのであった。まったくもって、へえ~!? である。
 物語としては、顔が先天性の奇形で醜い有様となっている男エリックが、パリのオペラ座(=ガルニエ宮)の地下洞窟(?)に住んでいて、上演演目に口出ししていたりと、オペラ座には幽霊(=Phantom)が住んでいる的な噂がある中、クリスティーヌという歌ウマ女子がエリックの指導によって歌唱力を増していく中、ほぼ狂えるエリックは破滅に向かってまっしぐらに……というものだ。サーセン。超はしょりました。
 この大筋は、Webber版も共通しているけれど、いろいろと、ことごとく、今回の「ファントム」は違っていて、恐らく大きく違うのは、エリックの父でありオペラ座の支配人でもある、キャリエールの存在ではないかと思う。今回のお話は、冒頭でキャリエールが支配人の職を解雇され、新たに別の支配人とその妻がオペラ座に着任するところから始まるのだが、この新支配人アラン・ショレが妻でプリマドンナのカルロッタの尻に敷かれていて(?)、おまけにそのカルロッタもなかなか香ばしいクソ女で、「そんな歌声でオレのオペラ座で歌うつもりかキサーマ!!」と、エリックの怒り爆発、となる展開である。
 まあ、はっきり言って、相当ツッコミどころは多い。また、エリックも余裕で人殺しをする完全なる狂人、にも見える。そしてわたしが本作で、一番、ええっ! そんな、嘘だろ!? とビックリしたのが、ヒロインであるクリスティーヌが、「どうかあなたの顔を見せて。大丈夫、愛があるから、平気よ」的な歌を歌ってから、エリックが、それなら……と恐る恐る仮面を取って素顔をさらすと……「ぎゃああああ!!!」と絶叫してクリスティーヌは逃げて行ってしまうのだ。一応、クリスティーヌはそのあとで、ごめんごめん、ちょっとびっくりしちゃった的に謝る(?)んだけど、まあ時すでに遅し、でしょうなあ……そのクリスティーヌ絶叫ダッシュで超ショックなエリックの暴走が止まらなくなるわけで、イケてない男のわたしとしては、なんだよ、結局「※ただしイケメンに限る」のかよ……ととても悲しく思った。エリック……お前が狂ってるのが悪いけど、あの全力ダッシュはヒドイよな……そりゃショックだったでしょうよ……つらかったろうて……。
 ◆歌に関してはまったくの別物
 これはもう、当たり前だけれど完全に別物で、わたしは初見なので全然知らない曲ばかりであった。わたしとしては、Webber版の方はCDを買って車で聞きまくっていたので聞きなれているせいもあるけど、Webber版の方がキャッチーというか、映像にも合いそうな気がして好きっすね。今回の『ファントム』の方は、もっと荘厳というか、重厚感のある感じがします。ライブの舞台に合うというか、これは生で聞かないとダメでしょうな。まあ、どちらもとてもドラマチックで、盛り上がりは素晴らしく、ヅカ師匠のおっしゃっていた「歌が素晴らしい」という評は間違いなかったと思う。そしてなにより、やっぱり現在の雪組TOPコンビがとにかく素晴らしすぎて鳥肌モンですよ!
 というわけで、以下はキャラごとにキャストについてもメモって行きます。
 ◆エリック:狂える「怪人」。演じたのは当然雪組TOPスター望海風斗さん(以下:のぞ様)。まあ、間違いなくのぞ様は現在の宝塚歌劇団最強のナンバーワン歌ウマでしょうな。すごいよ。とにかく、すげえ!としか言葉が出てこない。圧倒的なパフォーマンスは、他の誰にもできないでしょうな。わたしが一番応援している星組の礼真琴さん(以下:こっちん)も強力な歌ウマだけれど、のぞ様に半歩届いていないと認めざるを得ないと思う。たぶんそれは、テクニック的なものではなくて、やっぱり、発せられるオーラ的なものの差ではなかろうか。それを身に付けるには、もうチョイ、熟成が必要なんだろうな……と今回ののぞ様を見て思いました。ほんと、圧倒的。ウルトラグレイトでした。もちろんのぞ様は歌だけでなく、芝居もとても素晴らしくて、今回のエリックは自分の一人称を「僕」というのだが、その「僕」のニュアンスが、とてもさまざまで、子供のような弱弱しさを伴った「僕」にわたしはとてもグッと来たっすね。のぞ様は、女子としてもとても整ったお美しい方なので、最強の歌唱力と美貌と演技力で、きっと将来退団してもいろんな活躍が期待できると思うすね。ホント最高でした。
 ◆クリスティーヌ:街で歌っているところをお金持ちの伯爵にスカウトされオペラ座入りするも、意地悪なカルロッタに衣装係にされてしまう……が、その歌声を聞いたエリックにひとめぼれ(ひと声ぼれ)されて大特訓し、大抜擢されるに至るがカルロッタの嫉妬によって大変な目にあう気の毒な女子。そしてエリックの素顔を見て絶叫ダッシュで逃走という、男のわたしからすると若干、そりゃないよ、なお方。演じたのはもちろん雪組TOP娘役の真彩希帆ちゃん(以下:まあやきぃ)。まあやきぃも現在の娘役では最強の歌ウマで、のぞ様とのハーモニーは大変素晴らしかったですな。普段は若干調子に乗った明るさのある、完全陽キャラのまあやきぃですが、今回のあまり笑わないクリスティーヌもとても良く似合っていました。そして演技もとても上手で、言うことなしです。顔は可愛く歌は超上手、さらに芝居もハイクオリティと、極めて高いレベルのTOP娘役ですね。星組にずっといて、こっちんと一緒にTOPになってほしかったよ……。。。
 ◆キャリエール:オペラ座の前支配人でエリックの父。しかしわたしとしては、その過去が結構衝撃的でびっくりしたすね。結婚してたのに、エリック母と浮気して妊娠させて、バックレてたんですな、この人。語られるところによると、全く自分の意に反した結婚をしていたそうで、エリック母に惚れちゃったそうだが……ううーーむ……不倫&バックレはいただけないですなあ……まあ、エリックをきちんと面倒見てたからお咎めナシなんすかね……でも地下にある意味幽閉してたのは現代で言う虐待でもあって、悲劇を生み出した張本人と言ってもいいだろうと思う。演じたのは雪組の正2番手スター彩風咲奈さん(以下:さきちゃん)。うん、芝居も歌も大変良かったと思います。いわゆる若干の老け役なわけですが、とても良かったし、歌も相当レベルは上がってますなあ。さすがですね。キャラ的にはアレだけど、さきちゃんはお見事でした。
 ◆アラン・ショレ:キャリエールに代わって新たにオペラ座支配人に就任した男。物語的にはほぼ重要ではない。今回は役替わりがあったのだが、昨日ショレ演じたのは、美貌のあーさでお馴染み朝美絢さん(以下:あーさ)。わたしはショレという役がどんなものか知らなかったので、あーさがどの役でもいいやと思ってたんだけど、ショレは、芝居的にはおいしい、けど歌がない!ので、若干あーさ推しのわたしとしては、あーさがシャンドン伯爵を演じるVerの方を観たかったかも、とは思った。しかしまあ、昨日観たあーさショレは、なんか今までにないようなあーさの演技で、若干笑わせるような、なんつうか……すごく「小者」感溢れるダメ男でしたな。でも、ひげあーさは相変わらずのイケメンで大変良かったと思います。髭面のあーさは初めて見たかも? すね。
 ◆カルロッタ:ショレの妻でゴリ押しによってプリマに就任する今回の悪役。とにかく、細かいギャグめいた言動と、いやーーな性格で、わたしとしてはぶっ殺されても同情は沸かず、むしろざまあとしか思えないお方でした。演じたのは、ベテランの舞咲りんさんで、この方は……おっと、そうなんだ、85期なんだ? へえ、ちえちゃん(柚希礼音さん)と同期じゃん。さすがに大ベテランとして、歌も芝居もとてもクセがすごかったすね。お見事っす。
 ◆シャンドン伯爵:お金持ちでオペラ座のパトロン。クリスティーヌをスカウトしたイケメン。前述の通り、ショレとこの伯爵の2つの役を、あーさと彩凪翔さんが役替わりで演じているのだが、昨日のシャンドン伯爵は彩凪さんであった。出番はショレより少ない、けどソロ曲がある分おいしい、感じだろうか。彩凪さんの番手は若干不明確だけど、今後も頑張ってほしいですな。カッコ良かったです。
 まあ、メインキャストは以上な感じだが、ひとり、この人のダンスは超キレてる!!とわたしの目をくぎ付けにした方がいたのでメモしておこう。それは92期、彩凪さんと同期の笙乃茅桜(しょうの ちお)さんだ。今回は、エリックの従者(?)という謎のファントム・ダンサーズの一人で、たぶん一番ちびっ子で、髪がソバージュの黒ずくめの人、だったのだが、とにかく! すっごいダンスがキレてる!! 素晴らしかったすねえ!! いやあ、わたしはもうヅカ歴今年で10年なのに、初めて知ったかも。こんなダンスのすごいお方のことを知らなかったのが恥ずかしいす。若手なのかな、とか思っていたけど、パレードで降りてくるのがかなり後で、あれっ!? じゃあ結構なベテランか? と帰って来てからプログラムをチェックして初めて認識したっす。あのダンス力はホント素晴らしかった! 笙乃さんのダンスは今後もちゃんとチェックしようと思います。
 あと、今回は師匠手配のチケットでかなりいい席だったので、双眼鏡を持って行かなかったんだけど、やっぱり双眼鏡がないと、わたしレベルでは下級生の顔は分からんすな……わたしがひそかに応援している雪組の将来のヒロイン候補、潤花ちゃんを見つけられずしょんぼりっす。そして雪組の将来のTOP候補で、新公でエリックを演じる綾凰華くんはちゃんと見分けられました。あーあ……星組に今でもいてくれたら……将来楽しみだったのになあ。まあ、歌をもっともっと鍛えて、雪組の将来を背負えるスターになってほしいすね。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「撃ってくれ! 早く……! 父さん……!!!」
 今回は、ラストのエリックの悲痛な叫びをイケ台詞に選びます。この、「父さん……!!!」というエリックの悲しみが胸に刺さったすねえ……エリックが狂っていたのはもう間違いないけれど、なにもあんな悲劇を味わうこともないだろうに……世の中イケメンが正義なんすかねえ……イケメンに生まれなかったわたしとしては、大変残念に思います。。。つらいすわ……。

 というわけで、結論。
 現在日比谷の東京宝塚劇場では、雪組による『ファントム』が絶賛上演中であります。まあ、わたしの知っているWebber男爵による『オペラ座の怪人』とは、まったくの別物、と結論付けてもいいような気がします。そして現在の雪組TOPスターコンビは最強の歌ウマコンビであり、演目としても『ファントム』はThis is Musical な素晴らしい作品で、その歌声はもう、生で観ないとダメというか、生でこその迫力はすさまじく、まさしく鳥肌モンでありました。まったくもってブラボー、それに尽きると存じます。のぞ様は間違いなく、現役最強の一人でしょうな。まあやきぃもまた同様に素晴らしい歌唱力は強力な武器っすね。星組推しのわたしでも、恐らく、現在の星組ではまず無理な演目だったと思うし、今現在で言うなら、花組のみりおちゃんとゆきちゃんなら出来たかも、ぐらい高度な歌唱力の要求される作品でありました。まあ、今後こっちんがその強力な歌唱力で素晴らしいTOPスターになる日を楽しみにしたいと存じます。別に急がなくていいんだよ……まだ熟成が必要だと思うので、なんならこっちんの前に、みやちゃんが短い期間でも良いので、星組TOPになってほしいす。と、感想が脱線したので、以上。

↓ これを買うべきか? と悩んだんすけど……。今回の雪組Verは、Blu-ray買ってもいいすね。後に伝説となり得る素晴らしいパフォーマンスでした。

 世界的大ベストセラーとなったスウェーデンの小説『ミレニアム』シリーズ。作者のStieg Larsson氏は、その刊行目前で急逝されてしまい、後に自らの作品がウルトラ大ヒットとなることを知らずに逝ってしまわれたわけだが、亡くなった後で第3作目までが刊行されたのち、第4作目から別の著者を立ててシリーズは復活を遂げ、今のところ第6作まで発売されることが確定している。現在は第5作目まで発売されていて、第6作目は一応今年2019年の終わりごろには日本語版も発売されるはずだ(※毎回本国では9月ごろの発売の後、日本では早川書房様が頑張って年内に発売してくれている)。
 ま、この経緯は、今まで第4作目第5作目が発売になった時にこのBlogでも感想を書いているので、そちらを参照願いたいが、この度、第4作目の『THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB』がハリウッドで映画化され、先週から日本でも公開が始まったので、昨日、わたしもさっそく観てきた。
 感想をズバリ言うと、あれっ!? 第4作目ってこんな話だったっけ? と若干戸惑ったのだが、うーーーん……これは……どうかなあ……まあまあだったかな、ぐらいだろうか。残念ながら超絶賛! ではない。けど、つまらなかった、とも思わない。フツーに楽しめました、ぐらいの出来であったように思う。ひとつ、映像として、うおお!と大興奮したのは、リスベットがドカティで氷の張った湖(海?)を渡っていくシーンと、後半でランボルギーニ・アヴェンタドールをかっ飛ばすところすね。アレはとてもカッコ良かったです。
 というわけで、以下、ネタバレると思うので、まだ観ていない人は、ここらで読むのをやめて、劇場へGO!でお願いします。

 しかしなんつうか……このBlogは近年病的に記憶力の衰えた自分のための備忘録として書いているのだが……実はわたしは昨日、本作を観終わって、あまりに「こんな話だったっけ?」と自信がなかったので、小説版第4作目を読んだ時の自分の文章を読み直したのだが、ホント自分が嫌になるというかアホというか……ネタバレを避けるために、肝心のストーリーに関してはほとんど触れていない文章しか書いておらず、確かめられなかった。ならば原点に返ってチェックしよう、と思って本棚を漁って第4作目を探したのだが見つからず、あ、そうだ、4作目は友達に読めってあげちゃったんだ、ということを思い出した。まったくもって自分の愚かさが嫌になるわ……。
 ともあれ。
 わたしのうすらぼんやりした記憶では、映画版の本作『THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB』は、原作小説とかなり違っているのは間違いないと思う。でも、それゆえ面白くない、とは言わない。わたしがこの映画版を観て、ううーむ? と思ってしまったのは、我らが主人公リスベットが、3回大ピンチに陥ってしまうのが、なんかリスベットらしくないぞ、とか思ってしまったことにあるような気がするのである。あれって原作通りだったかな……思い出せん。。。
 それらのことに触れる前に、映画版の物語をごく簡単にまとめておこう。
 本作は冒頭、どうやら必殺仕事人めいた、「女の敵」である男をぶっ飛ばすリスベットの活躍が描かれる。これが原作にあったか覚えてないが、まあとてもカッコ良く、原作未読の一見さんを世界に招き入れるには大変イイ活劇だと思う。このスークエンスは、ほぼ本筋に関係のないものだが、とてもクールで、リスベットがどんな人間か、よくわかるような、いわゆるアバン的役割を果たしていると思う。
 で、本編はというと、とある天才(?)プログラマー(スウェーデン人)が作った、世界各国のミサイル防衛システムをハッキング出来てしまうプログラムがアメリカNSA(National Security Agency=国家安全保障局)のサーバーにインストールしてあって、それを、作ったプログラマー本人から、強奪してほしいとリスベットに依頼されるというのがメインの筋である。そのソフトはCOPY不可、MOVEのみ可能という仕様で、ま、リスベットは描写的には超余裕でハッキングしてあっさり強奪に成功する。しかし、そのプログラムの起動には、謎のパスワードがかかっていて、いかな天才リスベットにも解除できない。へえ~と思った(?)リスベットは、起動を試さず、素直に依頼主たるプログラム開発者に渡そうとするが、その夜、謎の集団がリスベット邸を襲撃、リスベットは辛くも助かるが、まんまとプログラムをノートPCごと強奪されてしまうのだったーーーてな展開で、そのPCの争奪戦が描かれるのだが、その背後には、リスベットの妹の影があり、さらにプログラム起動には、プログラマーの息子の超頭脳が必要なため、その息子も連れ去られてしまい、その救出ミッションも加わって来る、という物語でありました。
 どうですか。小説を読んだ方。これって、原作小説通りだっけ? なんか全然違うような……? でもまあ、原作通りであろうとそうでなかろうと、別にそれは大きな問題じゃあないと思う。映画として面白くて興奮するものなら、それでいいんだし。しかし、どうもわたしは、前述のように、ううーむ? と思ってしまったのだ。それは以下の点においてである。
 ◆後手後手に回るリスベット
 まあ、たしかに原作小説のリスベットも、後手に回って大ピンチになることは今までもあったとは思うけど、今回はちょっと、なんつうか、リスベットを知らない一見さんが本作を観たら、リスベットの凄さが若干損なわれてしまうのではなかろうか……というぐらい、後手に回ってしまって苦戦する。ま、苦戦しても勝つけど。たとえば……
 ・自宅破壊:これはリスベットがうっかり風呂でうとうとしてしまったのが原因だよな……リスベットらしくないような……まあ、きっちり避難して脱出して、全てを録画していたため犯人の手がかりもちゃんと得ていたから、アリ、なんすかね……。
 ・プログラマーを守れず息子まで連れ去れさられる:これも、うっかり監視映像から目を離したことがそもそも原因だったような……これもリスベットらしくないような……そして肝心のプログラマーを守れず息子を連れ去られてしまうのは原作通りだったかも。でもここは、映画的にはとてもカッコ良くて、薬物を注射されて意識朦朧になっても、気合でアンフェタミンを砕いて自分で摂取してなんとか追いかける、という一連の流れはとても良かったす。原作にあったかどうか、記憶なし。
 ・アジトへの潜入失敗、妹にあと一歩のところで殺されかける:ここも、罠にまんまとかかって大ピンチ、どころかあと一歩で殺されそうになって、リスベットらしくないような気もしたけど、これも原作通りだったのかも。ただ、この場面では、リスベットの信頼するハッカー仲間プレイグが大活躍して、謎のモーションセンサー?か何かを使った、空間認識システムで建物内の人の動きを察知する流れになるのだが、これは、実際のところ無理があるように思えるけれど、映画的(映像的)にはとても見応えがあって、NSAの青年がアンチ・マテリアル・ライフルをドッカンドッカン撃ちまくって援護するシーンはとても良かったと思います。あれはカッコ良かったですね。ただ、そのスナイプ中に敵に近寄られて反撃されたのは、ちょっといただけないですな。アレは苦笑せざるを得ないす。このプレイグ&NSAマンの大活躍が原作にあったか、記憶になし。あったっけ? プレイグが拉致されたリスベット(あるいは息子だっけ?)をGPSで追うのは原作にあったと思う。
 ◆ほぼ活躍しないミカエル
 なんというか、もし原作を全く読んでいない人が本作を観たら、シリーズのそもそもの主人公(?)、ミカエル・ブルムクヴィストのことを理解できたのだろうか? 今回の映画版ではほぼ活躍せずで、非常に影が薄いのが残念であった。やっぱり、ミカエルも活躍してくれないと『ミレニアム』っぽさが薄まっちゃいますな。これはとても残念だったと思う。ただ、この『ミレニアム』シリーズの映画は今回で3回目なのだが、ミカエルを演じた役者はこれまでで一番原作のイメージに近かったような気もします。それは良かった点ですな。最初のスウェーデン本国での映画化は、最初の原作3部作全てをかなり見事に映像化してくれた作品だけど、ミカエルを演じたのはその映画の後にハリウッドでも活躍して、おととし急逝してしまったMichael Nyqvist氏で(→わたし的には『John Wick』のマフィアのボスでお馴染み)、ミカエルにしてはちょっと年を取り過ぎじゃねと思ったし、かといって2回目のハリウッドによる映画化では、ミカエルを天下のイケメン007でお馴染みDaniel Draig氏が演じて、これはこれでカッコ良すぎるというか、強そうに見え過ぎていたけど、今回ミカエルを演じたSverrir Gudnason氏は、ちょうどいい塩梅だったように思ったす。あ、この人、スウェーデン人なんですな。ならちょうどいいすね。
 ◆原作から明確にカットされた、アレの件:ま、これはカットされて当然だろうな、と思った。原作では、リスベットは「WASP」というハンドルネームを使ってハッカー活動をしていて、この4作目の敵は「THANOS」を名乗っていたけれけど、今回の映画ではそのネタは一切カットでした。ま、WASPもTHANOSも、マーベルコミックのキャラなので、SONYの作品である本作ではちょっと扱えなかったのでしょう。ま、だからどうってことはないけれど、『ミレニアム』シリーズではハッカーのハンドルネームは重要なので、ちょっと残念でした。

 というわけで、原作ファンとしては(といいつつ物語をちゃんと覚えてないオレのバカ!)なんとなく全体的に薄味になってしまったように感じたのだが、映像のキレや、役者陣は大変良かったと思います。最後に各キャラと演じた役者、それから監督を紹介して終わりにしよう。
 ◆リスベット・サランデル:ゴスパンクなファッションに身を包み、映像記憶能力を持つ超キレる超危険な女子。「女の敵」を心から憎む。バイで女子も男もイケるお方。ガリガリのやせぎす。今回3代目リスベットを演じたのはClaire Foyさん34歳。わたしとしては歴代リスベットの中で一番、身体的特徴はリスベットっぽかったと思う。ちびっ子でガリガリ、という意味で。ただ、メイクが普通なのとピアスが少ないのが残念だったかな……。それと、リスベットにしてはやけに表情が豊かというか、無表情&つっけんどんじゃないのも、若干リスベットぽくはなかったような……。初代リスベットのNoomi Rapaceさんはもう雰囲気抜群のキレてるリスベットだったけど若干可愛くないのが玉に瑕、かもだし、そして2代目リスベットのRooney Maraさんは、髪型とかピアスだらけとか、そういう点では一番だったし、一番美人だったと思う、けど、ガリガリじゃあなかったすね。いずれにせよ、三者三様のリスベットは、実際のところ全員アリ、だとわたしは思います。
 ◆ミカエル・ブルムクヴィスト:既に書いたので省略! 原作ではある意味ではリスベット=ホームズ、ミカエル=ワトソン、的に、主人公として読者に代わってリスベットの行動を折ってくれる重要キャラなのだが、本作では、いかんせん存在感が希薄な役回りで残念す……。
 ◆カミラ:リスベットの双子の妹で不倶戴天の敵。今回演じたのはSylvia Hoeksさん35歳。オランダ人だそうですが、まあお綺麗な方ですよ! このお方は、超名作『BLADERUNNER2049』で、超おっかないレプリカントLUVを演じたお方ですな。今回、リスベット=黒、カミラ=白(というより赤)と対比を意識して演出されているようだったが、原作を読んでいる人ならカミラの姿に、おお!と興奮したと思うけど、正直この映画版だけだと、どうしても若干意味不明なキャラに思えたのではなかろうか。まあ、やっぱり背景や行動の目的などが説明不足だと思うし、かなり唐突感もあって、若干浮いてたようにも感じた。ただし、原作と違うラストは、本作の中ではちゃんとしかるべき流れになっているように思えたので、違和感はなかったす。
 ◆フランス・バルデル:問題のプログラムを作った天才プログラマー。彼の設定はかなり原作と違うと思う。そして彼を演じたのはStephen Merchant氏というお方なのだが、この顔は絶対どっかで見た、けど誰だっけ……と思い出せなかったのだが、インターネッツ神にお伺いを立てたところ5秒で判明した。この人は、『LOGAN』でチャールズおじいちゃんを看護してくれてた日光に当たるとダメなキャリバン、を演じた方っすね。でもあの役、ほぼミイラのような感じだったけど、顔って出てたっけ……
 ◆エド・ニーダム:NSAの男で、まんまとリスベットにプログラムを奪われ、その奪還のためにスウェーデンへやってくるが、自分も元伝説のハッカーで、のちに(やむなく)リスベットの援護に。スウェーデン当局に拘束された彼をリスベットが救うシーンは原作通りだったような気がする。けど、伝説のハッカーって設定だったか覚えてない……。演じたのはLaleith Stanfield氏。何気に凄くイケメンだと思う。出番は少ないけど、なかなか活躍してくれました。あ、なんてこった! この人、Netflix版『デスノート』でLを演じた方なんすね。確かに頭が良さそうな感じですな。へえ~。
 そして監督は、数年前妙に話題になった『DON'T BREATHE』を撮ったFede Álvarez氏。ウルグアイの方ですな。まあ、本作は映像的にはとてもキレがあって、かなりクオリティは高かったとは思う。脚本的にも、まったく原作未読でもわかるような流れはきちんと整っていたとは思う。けど……散々書いた通り、薄味というか、厚みがないというか、いろいろとうーーんな点があって、つまらなかったとは全然思わないけど、超最高だったぜ、とも思わない、フツーな出来であったと思う。残念ながらUS本国でも全世界でも、興行的には全然売れておらず、予算43M$で全世界興収34M$のようで、これでは続編は作れそうにないだろうな……。ああ、Rotten Tomatoesでも評価は低いすね……これは厳しいな……最後に言うとしたら、原作小説は面白いっすよ。作者は別人だけど、わたしはもう十分楽しめたっす。なので、ぜひ、原作小説を読むことをオススメします。

 というわけで、結論。
 世界的大ベストセラー『THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB』が映画化されたので、原作ファンとしては楽しみにしていたのだが、そもそも、わたしの低下した記憶力では原作がどんなお話だったのか、詳細は覚えていないという状態であるけれど、どうも、かなり原作と違っていた、ような気がする。そして、別に原作と違っていても、映画として面白ければいいのだが、全くダメとは言わないけれど、どうもキャラクター的にこの映画だけでは味わいきれないというか、かなり薄味の物語であったように感じた。なんかもったいないというか、残念です。原作のリスベットは、本当に魅力的でグイグイ物語に引き込まれるのですが……ううーーむ……であります。やっぱり大ベストセラー作品の映画化というのは難しいですな。わたしのように原作をちゃんと覚えてないくせに、偉そうに文句を言われちゃうんだから。つうか、そんな文句は言いたくなくて、本当は、ここが良かった! とほめる文章を書こうと思ったのに、ダメだったす。サーセンした。少なくとも、映像のキレは感じたし、スタイリッシュではあったと思います。今年、第6作が発売になるはずなので、それまでにもう一回4巻目も電子で買って読もうと思います。以上。

↓ 紙版は友人にあげちゃったので、もう一回、電子版を買う所存であります。
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 上 (早川書房)
ダヴィド ラーゲルクランツ
早川書房
2015-12-18

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 下 (早川書房)
ダヴィド ラーゲルクランツ
早川書房
2015-12-18

 以前、まったく同じこと書いたので繰り返しだが、すっかり立派な中年オヤジとなってしまったわたしにとって、青春時代とは、小学校~中学校~高校~大学入学までを過ごした80年代であったと確信している。そして映画オタクとして小学校低学年からせっせと映画館に通っていたわたしにとっては、『STRA WARS』という作品や、『ROCKY』『RAMBO』などで当時の世界のヒーローだったSilvester Stallone氏は、今のわたしを作り上げた重要な要素の一つだと思う。
 なので、約3年前の2015年12月、世は『STAR WARS』の10年ぶりの新作『Episode-VII』の公開に沸き返る中、わたしも当然かなり興奮していたものの、実は、同時期に公開されたもう一つの映画の方に、より一層大興奮していたのである。
 その映画のタイトルは『CREED』。このタイトルだけでわたしはもう大興奮だ。CREEDとは、それすなわち伝説のチャンプであり、後にロッキーの親友となる、アポロ・クリード氏のことだと0.1秒で分かるからである。そして、最初に公開された予告編を見たわたしは、もう泣きそうになったぐらい嬉しくなった。なんと、アポロJr.と思われる青年が、あの「星条旗パンツ」で戦っているじゃあないか! しかも老いたロッキーがセコンドに!! こ、コイツは傑作のにおいがするぜ……!? と思ったのである。
 そして『STAR WARS Ep-VII』の興奮も冷めやらぬうちに公開された『CREED』は、確かに非常に面白かった。とりわけ、老ロッキーのStallone氏はキャリア最高の演技だったと思うし(アカデミー助演男優賞はノミネートだけで受賞に至らず超残念!)、監督のRyan Coogler氏の手腕も極めてハイクオリティで、恐らくはほぼすべての人類が知っているあの「ロッキーのテーマ」を、ここしかない!というタイミングで使ってみせたり、なにより「アポロの息子をロッキーが育てる」という天才的なアイディアがとにかく素晴らしい作品であった。きっとCoogler監督はこの後すげえ作品を撮るぞ、と思っていたら、その2年後にはマーベルヒーロー作品でナンバーワンヒットとなった『BLACK PANTHER』を作り上げたのだから、その才能は本当に本物、であった。
 しかし――である。ここまで絶賛しておいてアレなんですが、『CREED』という映画には、わたしとしてはひとつ、重大な問題点があったとも感じている。それは……ズバリ言うと、主人公たるアポロJrの青年アドニス君が「何故戦うのか」という点に説得力を見いだせなかったのである。なにしろアドニス君はなかなかのリア充野郎であり、まったくもってハングリーじゃあない。そんな男が、ボクシングという世界で成功できるのか、つうかお前、ボクシングをする理由がほぼないじゃん、と思えたのである。『ROCKY』を思い出してほしい。ハングリーじゃないとダメなんすよ……ボクサーって奴は……。
 というわけで、以上はどうでもいい前振りである。昨日からとうとう日本で公開された『CREED II』を観てきたのだが、まずはやっぱり大感動したことははっきり言っておきたい。のだが、正直に言うと大絶賛というほどではないかな……という気もする。その辺りを、この文章を書きながら考えてみようと思います。
 もちろん以下はズバリネタバレてしまうはずなので、まだ観に行っていない方はここらで退場してください。今すぐ劇場へ観に行った方がいいと思います。

 しかし何で日本版の予告編ってのは……無駄なナレーションとか入れるのかなあ……何でも感動作にしようとするのはホントやめてほしい。ま、そんなことはどうでもいいけど、もう、本作の物語は上記予告で語りつくされていると言っていいだろう。アポロJrことアドニス君の前に「あの男」の息子が立ちはだかる!という基本プロットはもうファンにとっては大興奮の展開だ。
 その「あの男」とは、30年前に偉大なるチャンプ、アポロ・クリードをリング上でブッ飛ばし、死に至らしめた、「ソヴィエト連邦」が科学技術の粋を尽くしたトレーニングで作り上げたマシーン、あの、アイヴァン・ドラゴである! そのドラゴが、息子を引き連れてアドニス君の前に現れるというのだから、もう、ホントこのアイディアだけでわたしは白米3杯行けるのは間違いなかろう。
 ただ、わたしはふと、イヤイヤ、ちょっと待てよ!? とも思った。というのも、ドラゴによるアポロ公開処刑の件は、きっちりと、そして美しく、既にロッキーが落とし前をつけてくれているからである。
 しかし、予告では、どうやら怒りに燃えた老ドラゴが、ロッキー憎しの恨みに駆られて息子を、ロッキーの育てているアポロJrにぶつけようというお話らしい。これって……つまり「憎しみの連鎖」の話ってことか? とも思えてしまったのである。わたしとしては、アポロJr.とドラゴJr.にまでそんな重荷は背負ってほしくないし、むしろ友情が芽生えてほしいぐらいなのだが、きっとまあ、ゆとり乙なリア充アドニス君は、父の仇!とかカッとなって挑み、ボコられて負け、特訓して再挑戦して、最終的には勝って終わり、みたいな感じなんでしょ、とテキトーな予想をしてしまったのもまた事実である。これじゃあ、アドニス君がリングに上がる理由なんて、もうちゃんと描かれないんだろうな……と若干の失望を、観る前からアホなことに感じていたのだ。
 しかし! 結論から言うとわたしの予想はほぼ的中していたのだが、わたしはやっぱりアホだった!! 観ながら、これはわたしが全然間違っていたことを痛感したのである。ズバリ言うと、わたしにとってこの映画は、アドニス君の物語ではなかった。この映画は、30年前にロッキーに敗北し、全てを失った男、アイヴァン・ドラゴと、栄光を手にしながらも、同じように全てを失った老人、ロッキー・バルボアの物語であったのである。わたしはもう、ラスト近く、かつて30年前にロッキーが「出来なかったこと」を、歯を食いしばって行ったドラゴの行動に涙しそうになったすね。
 そう。かつて、ロッキーは親友となったアポロがドラゴと戦うことになった時、必死で止めた。けど、アポロはリングに上がってしまい、それならばとセコンドを買って出た。そして、絶望的な試合展開に、もう無理だと何度もアポロを止めようとした。けど、それも出来なかった。それはもちろん、アポロの戦う理由が、自らの誇りのためであり、その強い意志を尊重したため、ではある。が、その結果、アポロは逝ってしまった。そう、ロッキーはアポロを止めることが出来なかったのだ。そしてそのために自らが戦っていわゆる「復讐」を遂げることに成功したけれど、やっぱりどうしても「あの時止めていれば……」と悔やんでしまうのである。いわゆる「復讐は何も生まない」というやつが、ロッキーを今もなお、苛んでいるのだ。
 しかし! 今回、ドラゴは息子のために、未来のために! なんと「タオルを投げた」のだ!!! 何と美しいシーンだっただろう! ロッキーがあの時どうしても出来なかったことを、30年後にドラゴが、歯を食いしばってやってのけたのだ! わたしはホントに、感動したっすね! あのシーンの、ドラゴを演じるDolph Lungren氏の表情はもう、最高の、渾身の演技でしたなあ! 最高にカッコ良かったすねえ、ホントに。
 そして一方のロッキーも、アドニス君を止めようとしても止められず、「家族や未来を考えろ」と説教しても、アドニス君に「じゃああんたは考えてたのかよ!?」と反論されて、「ああ、確かに考えてなかったな……」としょんぼりしてしまう。ロッキーは愛する妻エイドリアンに先立たれ、息子のロバートともうまくやって行けず、孤独な老後を淋しく送っている。しかし、タオルを投げたドラゴを観たロッキーは、アイツに出来たならオレにも出来る!的に、意を決して、なんだか恥ずかしそうにロバートの家を訪ね、初めて孫に会いに行くのだ! あのラストシーンを観ましたか!? あの恥ずかし嬉しそうなあの笑顔を! しかもこの、ロッキーJrことロバートを演じた役者には、ちゃんと、『ROCKY BALBOA』(2006年の作品だから10年以上前!)でロバートを演じたMilo Ventimiga氏を起用していて、ファンとしてはもう、最高にうれしい配慮だったと称賛したい。こうして、ロッキーとアポロとドラゴの、30年にわたる戦いは大団円を迎え、「憎しみの連鎖」はドラゴがタオルを投げたことによってきちんと断ち切られたわけで、わたしはホントに美しい物語だと感動したっすね。最後のエンドクレジットで、脚本がStallone氏本人であることを知って、超納得である! これは、Stallone氏にしか書けなかった物語だとわたしは強く思う。

 というわけで、わたしはラストには大感動しちゃったわけだが、そこに至る道のりは、結構な頻度で、なんかなあ……と思っていたのも事実である。もうめんどくさいので、おお! と興奮した部分や、えええ……と思ってしまった部分を箇条書きでまとめよう。思いついた順に書くので物語の順番とは一致しません。
 ◆アドニス君のファイトスタイル
 やっぱり、どう考えてもドラゴJrとの初戦は無謀すぎたでしょうな。誰がどう見ても不利だったと思う。それはもう体格からして明らかで、身長は10cmぐらいは低いし(=リーチが短いし上方向にパンチを出すのは難しい)、ウェイト(=質量が違えば単純な破壊力も違う)も相当違う相手だし。ボクシングにおいてそれは致命的ともいえるハンデであって、そこまで体格差がある相手と戦うならば、スピード(=相手のこぶしを喰らわない)とインファイト(=離れたら相手の拳だけが届くので自らの間合いの接近戦を挑む。そして上にある頭ではなく目の前のボディを徹底して叩く)がカギになるはずだ。が、アドニス君はまったくスピードもないしインファイトの練習もしない。なので、わたしはなんかずっとイラついていた。それじゃアカンよ……と。そして案の定、あっさり負けた後、ロッキーがセコンドに復帰して、『ROCKY IV』ばりの大自然トレーニングで大復活という流れは、まあアリだけど、なんか、どうにもアドニス君が「強いボクサー」に見えないのが、ちょっと残念であったように思う。
 あと、今回若干不満なのが、「ロッキーのテーマ」は、この大自然トレーニング終了時に高らかに鳴り響いて、試合になだれ込む展開であってほしかったなあ……「ロッキーのテーマ」の使い方は、前作の方が圧倒的にうまかったと思います。どうせなら、お前には野獣の眼がない!とロッキーがアドニス君に言ってから大自然トレーニングが始まって、「EYE OF THE TIGER」が流れたら最高だったんだけど……。そう、実は本作は、物語的には『ROCKY III』に近いんすよ……。それにもう一つ、今回は黒ベースの「次世代星条旗パンツ」にバージョンアップされてましたが、やっぱり伝統の赤/青/白の方がカッコイイすね。今回はドラゴJr.が「ロシア国旗パンツ」で白/赤/青だったので、かぶっちゃったってことかな……残念す……。
 ◆アドニス君の闘う理由
 わたしが最も重要視していた、リア充のアドニス君が戦う理由については、結局「俺はリングで生きる男なんだ、リングにいる俺こそ俺なんだ」的な解釈であったように思う。これは前作でも同じような感じだったと思うのだが、じゃあなんでそう思うのか、については、誇り高き伝説のチャンピオン、アポロの息子だから、としか思えないのも、やや残念に思った。でもまあ、それしか描きようがないのかな……。でも今回は「父の復讐」という呪縛からはきちんと抜け出し、「自分のために戦う」と思えたことは良かったすね。ここでは、アドニス君のお母さん(=アポロの未亡人)の台詞が効いたっすねえ! あのお母さんの「戦いたいならおやんなさい。あなたは大人、自分で決めなさい。でも! わたしのためとか、お父さんのためとか、そんなこと言われるのは心外だわ! 断じてお断りよ!」的なことを言って激怒するのは実に痺れたっすね。復讐なんて誰も望んでないし頼んでもいないわけで、そこに気付けた(?)のは良かったすな。
 ◆アドニス妻(=歌手)、なんとアドニス君の入場曲を自ら歌ってリングへエスコート
 アレはいらないと思います。必要だったか?? なんか、もうチョイ、エイドリアン的なしおらしさ?というか、けなげさがあった方がわたしは好きです。つうか、普通は止めると思うのだが……。そう考えると、やっぱり『ROCKY』シリーズにおけるエイドリアンの役割は大きかったんだなあと思ったす。息抜きしたいからスタジオ行って来る、子供はお願い、と赤ん坊をアドニス君に預けてさっさと出かけちゃうのも、まあ現代の21世紀的なんでしょうな。基本的に、わたしとしてはほぼどうでもいい存在であったアドニス妻でありますが、歌はちゃんと演じたTessa Thompson嬢が歌ってたようです。でもあれ、上手い……か?
 ◆なんと驚きの人物の登場!
 わたしは、まさか、この映画にStallone氏の2番目の妻でお馴染みのBrigitte Nielsenさんが登場するとは思っておらず、スクリーンに現れた時は大興奮したっすね! しかも役柄は『ROCKY IV』の時と同じドラゴの妻であった。正確に言うと、ドラゴがロッキーに負けたことで、さっさと離婚したようなので「元」妻なのだが、ドラゴにとっては自分を捨てた女、そしてドラゴJrにとっては、自分を捨てたお母さん、という、二人にとっては愛と憎しみの入り混じった対象として、物語上結構重要な役柄であったと思う。まあ、すっかり年を取られているのに、30年経っても相変わらず冷たいまなざしのお方でした。もちろん演技上の表情ですが、実際お見事でしたね。しかし、当時の「ソヴィエト連邦」は今はなく、ドラゴはウクライナ(キエフ在住)人であることが判明しましたが、それでも元妻が「ロシア」の大使たちと出てきちゃうところがおそろしあ……と思ったす。
 ◆デュークよ、いつのまに……
 デュークというのは、かつてのアポロのトレーナーで、アポロ亡き後はロッキーをサポートしてくれたし、最終作の『ROCKY BALBOA』でも手伝ってくれた男なのだが、前作には登場しなかったことがわたしはとても残念に思っていた。しかし、今回アドニス君がロッキーにセコンドを断られて向かったのは、あの、デュークのジムでありました、が、なんとどうやらデュークは既に亡くなっていて、今回はデュークの息子がアドニス君をサポートしてくれる展開でした。これって……わたしが忘れてただけかなあ?? デュークよ、いつのまに亡くなってたんだ……。そして、デュークJrがイマイチ有能でなかったことも残念す……。

 とまあこんなところかな。もう、本作は有名役者ばかりなので、役者陣のメモは書きません。えーと、ここまで書いて触れてないのは、肝心のアドニス君を演じたMichael B. Jordan君だけかな? もう説明は必要ないすね。結構イケメンだと思うし、やっぱり演技も素晴らしい若者ですよ。今後を期待したいですな。監督は……Steven Caple Jr.という方だそうだが、知らない人だなあ……どうもまだ長編2作目の新人?監督さんみたいすね。演出的には、ここがスゴイ、ここがアカン、とかは特に感じなかったです。前作のRyan Coogler監督のような長まわし(のように見える流れるようなカメラワーク)も、ちょっとだけあったかな。特に、メモしておくべきことは思いつかないす。
 
 というわけで、もうクソ長いので結論。
 わたしの大好きな映画『ROCKY』シリーズ最新作!と言ってもいい新作『CREED II』がUS公開から2カ月たってやっと日本公開となったので、さっそく観てきた。物語としては、わたしは大感動したのだが、それはあくまでロッキーやドラゴと言った、「既に終わった人」に対する深い共感であって、おそらく『ROCKY』愛に溢れていない人には、理解してもらえないものだと思う。そして肝心の主人公アドニス君に対しては、やっぱりどうしても前作同様に深い共感は抱けず、であった。とりわけ、アドニス君の妻に関しては、共感ゼロどころかマイナスですよ。なんつうか、これはもう、完全にわたしが人生を終わりつつある中年オヤジだからなんだろうな……。だってしょうがないじゃない。それが現実なんだもの……。いやあ、それにしても老いたるStallone氏はホント、渋いですなあ! わたしにとって永遠のヒーローっす。以上。

↓当然本作はコレを観ていないとお話になりません。つうか、シリーズ全作を観てないとアウトです。
ロッキー4 (字幕版)
シルベスター・スタローン
2015-10-07


 出版界において、ある出版社から刊行されていたある作品が、時を経て別の出版社から再び出し直される、ということはフツーにあることだ。ま、元の出版社からすればいろいろ思うことはあるだろうけど、別に読者にとってはほぼ関係ない。ちょっとだけ困るのは、出し直されたときにタイトル変更をされると、やった、新刊キタ!とか喜んで買って読んだら、これもう読んだやつじゃん!ということが分かった時のイラ立ち感は、経験したことのある方もおられるだろう。わたしもあります。つうか、タイトル変わってないのに、新刊かと勘違いして買ったことすらあるっすね。まあ、ちゃんと奥付近くに「本書は●年に●文庫から刊行されたものを改題したものです」とか書いてあったりするけれど、買うとき気が付かなきゃアウト、である。自己責任なんだろうけど。
 というわけで、わたしがずっとシリーズ第51巻まで読み続けた時代小説『居眠り磐音』シリーズが、元々刊行していた双葉社から、どういう経緯か知らないけど、今年の2月から文藝春秋社に移籍して出し直されることとなった。そして恐らくはそれを盛り上げるため?に、このお正月に文春文庫から『磐音』にまつわる「書き下ろし新刊」がまさかの発売となったのである。まあ、シリーズを愛してきたわたしとしては、これは買って読まない理由は皆無であり、さっそく楽しませていただいたわけである。
 そのタイトルは『奈緒と磐音』。まあ、このタイトルだけで、ファンならば「おっ!?」と思うだろう。わたしはマジかよ、と思った。主人公磐音の幼少期からの幼馴染であり、許嫁であり、悲劇によって引き裂かれてしまった奈緒。ここで奈緒と磐音の物語かよ、これは……切ない予感がするぜ? なんて思い、コイツは読みたいぜ欲がムクムクと立ち上がったのであります。

 しかし―――もう最初にズバリ言っておくと、物語はわたしの想像とまるで違っていて、本書は1754年~1770年ごろの、主人公磐音が9歳の頃から江戸勤番で佐々木道場に入門して1年半ぐらい過ぎたころまで、が描かれていて、折々の出来事が語られる5つの短編から構成されるものであった。
 なお、上記の年代は、本書のP.262に、1769年に24歳の磐音が初めて江戸に行ったことが書いてあったので、逆算したものです。なので、±1年ズレてるのかも、です(そして以下、この情報から年を逆算して記しています)。
 では、さっそく本書の感想をまとめていきたいのだが、その前に、自分用備忘録として簡単に年代と磐音の年齢を記しておこうかな。ちょっと既刊本が手元にないから確かめられないので、ホント単純逆算です。そしてネタバレにも触れてしまうかもしれないので、まだ読んでいない方はここらで退場してください。ファンならば、こんなBlogを眺めるよりも、今すぐ本屋さんへ行って買って読んだ方がいいと思います。
 ◆1772年:磐音27歳:『磐音』1巻での悲劇が起きた年。
 ◆1795年:磐音50歳:『磐音』51巻の年かつ『空也十番勝負』の開幕、だったと思う。
 ◆1798年:磐音53歳:『空也十番勝負』最新刊の時代。空也20歳でいいのかな(?)
 ええと、なんでこれを書いておいたかというと、前述の通り本書はある意味短編集なのだが、それぞれのお話の冒頭は、磐音が還暦を過ぎていて(=1805年以降ってことになる)、穏やかな毎日を過ごしつつ、若き日を回想する、という形式をとっているためであります。つまり、還暦をすぎた磐音が暮らす江戸には、まず間違いなく空也くんが武者修行を終えて帰ってきている可能性が高い、とわたしは思ったのだが、勿論本書には、空也くんは一切登場しません。そりゃまあ、ある意味当然でしょうな。登場したら十番勝負の方が台無しになっちゃうしね。ま、読者としては、無事に修行を終え、眉月ちゃんと幸せにしている思いたいですな。
 さてと。それでは本書で語られたエピソードをまとめておくか。
 【第1話:赤子の指】
 磐音9歳の頃(1754年)の話。磐音・慎之輔・琴平の三人が湾内の無人島へ、いわばキャンプに行くお話だ。幼い3人組は、どこの道場に入門するかということがもっぱらの関心事で、各々考え方が違っていて、三人それぞれの性格が良くわかるエピソードになっている。また、この段階で早くも『磐音』シリーズ序盤の大問題、関前藩の財政破綻と宍戸文六の暗躍もほのめかされていて大変興味深い。なんつうか、ズバリ言ってしまうと、磐音の生涯でずっと続くことになる苦労は、ほぼすべて藩主たる福坂実高の無能によるものだったわけで、ある意味、主を選べない侍ってのもつらいですなあ……ホントに。そして磐音は9歳にしてすでにしっかりしたお子様だったことが分かるこのお話は、大変面白かったと思います。そしてタイトルにある「赤子」とは誰なのか、は読んでお楽しみください。ここも大変良いエピソードでありました。運命って奴なんですかねえ……。
 【第2話:梅雨の花菖蒲】
 磐音13~14歳の頃(第1話の4~5年後=1758~1759年ぐらいか?)の話。ちなみに磐音の母は、妹の伊代ちゃんを妊娠中。お話としては、いよいよ三人が中戸信継先生の神伝一刀流道場に弟子入りした日に起きた出来事が描かれている。さらに、ここでは琴平の家の窮状や、奈緒(4歳!)の「磐音様のお嫁になります」宣言なんかもあって、たれこむ暗雲の気配と後の悲劇への序章的な、なんとも心苦しい部分も感じられて、ちょっとつらい気持ちになったす。
 【第3話:秋紅葉の岬】
 磐音17歳(1762年)の話。豊後15家の大名家が数年に一度、主催する大名家の城下に若侍を集めて「豊後申し合い」というトーナメントをしていて、それに磐音たち三人が関前藩福坂家代表として出場するお話である。この時すでに磐音の剣術家としての基礎というか、ベースがしっかり築かれている様子が語られるけれど、まだ磐音は、これでいいのか、と絶賛悩み中でありました。そしてこの話でも、小林家の窮状は悪化していて、ホント、読んでいて、こりゃあいろいろとマズいなあ……と後の歴史を知るだけに、気の毒な想いがしました。かと言って、磐音はこの時に出来る、おそらくは最善のことをしたわけで、後の悲劇を避けるための分岐点はとうに過ぎていたんだなあ……的なことも感じたお話であった。
 【第4話:寒梅しぐれ】
 磐音22歳(1767年)の話。関前に100年に一度ぐらいの大雪が降った日のこと。そんな雪の中、他の門弟はみんな来れない中、中戸先生の道場にやってきたのは磐音一人。磐音は中戸先生の提案で雪見酒をご相伴するが、その時中戸先生は、いよいよ江戸勤番が決まりかけた磐音に対し、とある極秘ミッションを託すのだった―――的なお話で、この雪見酒の半年後に初めて磐音は中戸先生から「そなたの構えはなにやら春先の縁側で居眠りをしている年寄り猫のようじゃな」といわれたそうです。そしてこの話のラストは、磐音初めての真剣勝負が! 大変面白かったすね。そして、この話で初めて、後の磐音と行動を共にすることが多くなる中居半蔵様が登場して、わたしは興奮しました。この頃からの付き合いだったんですなあ。
 【第5話:悲劇の予感】
 磐音24歳(1769年)で初めて江戸勤番として東上し、佐々木玲圓先生と会い、住み込み弟子となる。そしてそれから1年半後には、関前から慎之輔・琴平も江戸へやって来て合流、住み込みをやめて通い弟子となって、藩政改革の第一歩を踏み出した頃のお話。もうタイトル通り、悲劇の予感ですよ……。
 
 とまあ、こんな5話構成で、なるべく肝心なことは書かなかったつもりだが、とにかく思うのは、磐音というキャラクターは本当に子どものころからよく出来た人間で、すげえや、ということです。そして本書は、そんな磐音が、どうしてそうなったのか、ということも分かるような物語になっている。しかし、一つだけ、タイトルの『奈緒と磐音』が示すような、奈緒との大恋愛エピソードのようなものはなくて、生まれた時からの縁、のようなものだったのがやや心残り……かも。何といっても、奈緒は生まれた時から磐音が大好きで、ずっと一途に惚れぬいている。そして磐音もその想いに応えていた、というような感じで、とりわけきっかけめいたものはなかった。
 でも、だからこそ、のちの悲劇と数奇な運命が残酷に感じられるのかな……。いずれにせよ、磐音は子供のころから凄かったというのがはっきりとわかるお話であり、わたしとしては大変楽しめましたとさ。
 ところで! この『居眠り磐音』と言えば、かつてNHKでドラマ化されていたわけですが(わたしは全然観てませんでしたが)、ついに! 映画化が決定ですよ! しかも磐音を演じるのは、わたしが若手俳優で一番イケメンだと思っている松坂桃李くんです。カッコイイ……けど、どうなんだろう、磐音にあってんのかな……そして他のキャラはどうなのかも気になるし、これは観に行って確かめようと思います。予告によればシリーズ2000万部だそうで、それすなわち、印税は、640円×10%×2000万部=12億8千万円てことですな。すげえなあ! 本当にスゲエや! 


 というわけで、さっさと結論。
 双葉社から文春文庫へ移籍となる『居眠り磐根』シリーズ。物語は完結しているし、現在では磐音の息子、空也くんの新シリーズが展開されているわけだが、移籍&出し直しに合わせて、磐音の子供のころから青年期にかけての書き下ろし新作が発売となった。タイトルは『奈緒と磐音』。二人は大変な悲劇に見舞われ、結ばれることはない、という運命を知っている我々読者としては、幼少期の奈緒と磐音、そして慎之輔や琴平の、懐かしい過去を読むことができたのは大変うれしいことであり、実際大変面白かったと思う。悲劇の裏には、故郷関前藩内部の権力闘争があったわけだが、ま、ズバリ言うと藩主である福坂実高が無能だったわけで、のちに奥さんの反乱(というべき?)も出来して、ホントダメな殿様だと思うな……。しかし、かつての親友との日々を読むと、ホントに『磐音』1巻の悲劇が悲しいすね……なんか、また51冊、読み返したくなりますな。文春版を買い直す気はまったくありませんが。以上。

↓ 文春の「決定版」とやらは来月発売です。


 というわけで、昨日は会社帰りに有楽町へ赴き、東京国際フォーラム・ホールCにて絶賛公演中の宝塚歌劇月組公演を観てきた。今年一発目の宝塚歌劇観劇は、いわゆる「外箱公演」というものである。
 ところで、「外箱公演(そとばこ)ってなんぞ?」と思われる淑女の皆さんもいらっしゃると思うので、軽く説明すると……まあ、宝塚歌劇の日本国内における知名度は相当なものだと思う、つうか、知らない人の方が少ないぐらいではないかと思うけれど、実際の公演についてはファンでないと知らないことの方が多いだろう。宝塚歌劇団は、自らの公演だけを行う「専用劇場」を宝塚市と東京の日比谷に持っていて、そこでほぼ一年中公演を開催しているわけだが、その「専用劇場」以外にも、別の会場でも宝塚歌劇団は精力的に公演を行っており、ホント、ほぼ毎日、日本のどこかで公演が行われているのであります。そういった、「専用劇場」以外の公演を「外箱公演」と呼ぶわけだ。全国の市民会館的なところを回る「全国ツアー」だったり、東京大阪のちょっと大きい劇場だったりとさまざまなのだが、ここ数年、年始には有楽町駅前の「東京国際フォーラム」での公演もレギュラー化している。
 この「外箱公演」にはひとつ、ファンにとっては重要なポイントがあって、大抵の場合、何とか組の全員、じゃないんだな。昨日わたしが観に行ったのは「月組」公演なのだが、月組のフルメンバーが参加しているわけではなく、多くの場合、外箱公演の際は、ひとつの組が2手に別れて、一方は東京、他方は大坂、とか、分かれて公演するのが通例になっている。大抵、TOPスター率いるチームと、若手主体チーム(あるいはベテランチーム)みたいに別れるのが通例であろう。
 また、ここ3年連続かな、年始の東京国際フォーラム公演では、前の年の暮れに新たに誕生したTOPスターコンビのお披露目公演的な場ともなっているのも、ちょっと押さえておきたいポイントだ。
 というわけで。現在東京国際フォーラムにおいて公演中なのがこちら、新たなる月組TOPスターコンビによる『ON THE TOWN』という作品であります。
onthetown
 どうですか。わたしは↑このプログラムを買って読んで、初めて知ったのだが、本作は映画のクラッシック作品で有名な『踊る大紐育』のことでありました。これって常識? おれが知らなかっただけ? 元々は1944年に初演されたブロードウェイ・ミュージカルで、映画版の方が後、1949年公開なんすね。 
 で、内容としてはもう、歌って踊って大騒ぎ!なコメディーで、わたしも大変笑って楽しませていただいたのだが、なんつうか、もう、千鳥のノブ氏の声で読んでいただきたいのだが、とにかく登場キャラたちのクセがすごいんよ……! まあ、とにかくおっかしくて、笑わせていただきました。もう何度も、各キャラ(特に女子キャラ)たちのクセがスゴイんじゃあ! とツッコミを入れたくなるお話で、要するにですね、最高でありました!
 お話としては、舞台は1944年のNYC。ブルックリンの海軍ドックに入港した軍艦に乗船していた水兵たる主人公は、24時間の上陸許可を得て、いざマンハッタンへ。田舎者の主人公ご一向は大都会NYCに興奮し、おまけに主人公はミス地下鉄の女性にひとめぼれ。そんな彼を応援しようと2人の親友の水兵も街に繰り出し、それぞれ女子とねんごろになる、というお話である。サーセン、超はしょりました。
 この時代設定は要するに初演時と同じであり、日本人として思うのは、1944年(=昭和19年だぜ?)にこんなに明るく楽しいNYCを見せられたら、こりゃあもう、日本も勝てなかったわけだと思ざわるを得ないほど、1944年のNYCは生き生きしていて、まったく時代的な悲壮感など皆無、である。まあ、もちろん戦時中のことなので、ある意味での国威発揚的な、海軍万歳的な意図はあったのかもしれないけれど、少なくとも現代人のわたしの目にはそういった部分はほぼ感じられない、とにかく笑える楽しいお話であった。※追記:いやいや、戦時中である→若い男が周りにいない→女子の強力な肉食化、ってことなのかな? それはそれで納得っす。
 というわけで、以下、わたし的見どころと、むむむ……と思ってしまった点をあげつらってみよう。
 ◆月組新TOPスターお披露目!
 このBlogでも散々書いてきた通り、月組は去年の『エリザベート』をもって、長年TOP娘役を務めてきた愛希れいかさんが退団し、新たに美園さくらさんがTOP娘に就任した。そしてこれも何度も書いてきた通り、わたしとしては、月組でずっと応援してきた海乃美月さん(以下:うみちゃん)がTOP娘になれなかったことに対して、深い悲しみを抱いていたのである。なので、さくらちゃんには全く罪はないのに、若干、チッ……さくらめ……! とか思っていたのである。しかし! あー、くそ。やっぱりさくらは優等生、ダンスなんかとてもイイじゃないですか! おまけに、重要なポイントとして男役TOPスターとの相性というものがあるわけだけど……くそう、TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)とのコンビはかなりイイじゃないの!と思ってしまったわけです。世に「たまさく」と呼ばれるこのTOPコンビは、実に実に、大変悪くないすね。つうか、もともとたまきちくんは、ゴールデンレトリーバー的な優しく明るいワンコ系健康優良児キャラだとわたしは思っているけど、さくらもすごく健康的で、このコンビは相当アリっすね。 今回のさくらちゃんは、若干布の面積少ない系の衣装が多かったような気がするけど、ズバリ、足がいい! セクハラ視線で申し訳ないのだが、ダンスは大変結構なお点前であった。コメディ演技もなかなかのワザマエであったと思う。歌は……まあ、ええ、悪くない、すね。さくらちゃんは99期の首席ということで、やっぱり芸のレベルは高いすね。というわけで、今後はさくらちゃんもちゃんとわだかまりなく応援したい所存であります。が、うみちゃんの方が美人だし芝居もダンスも歌もうまいもんね!と心の中で思うわたしであった。
 ◆クセがスゴイんじゃ! の女子たち
 まず、わたしとして最初に称賛したいのは、自然史博物館で主人公の親友オジーが出会った人類学の学者女子、クレアを演じた蓮つかさくん(以下:れんこん)であろう。れんこんくんは普段男役で、身長も高いのだが、今回は女子の役で、しかもまあとにかくクセがスゴイ! 笑わせてくれましたなあ! おまけに、わたしは初めてれんこんくんが女子の役を演じるのを観たのだが、まず普通以上に可愛いじゃないの! そして歌も超がんばって普通に女子だ! ということにとても驚いたっすね。いや、女性なんだから当たり前なんだけど、これが当たり前じゃないわけですよ。それが宝塚ってモンなわけで、とにかくれんこんくんは、大変良かったと思います。学者なので真面目女子かと思いきや、なんかのスイッチが入ったのか(?笑)、ウブな水兵をガッツリ喰らいに行くその肉食性も大変イイと思います!
 そしてもう一人のクセがスゴイ、超肉食系女子タクシードライバー、ヒルディを演じた白雪ちさ花さんも強力でしたなあ……ちさ花さんは91期ともはやベテランで、今までそれほど目立った役は記憶にないけれど、実に楽しそうに演じられていたのが印象的でした。
 そして、わたしが何気に注目していたのが、このヒルディ―のルームメイトで引きこもり系地味系女子のルーシーを演じた叶羽時ちゃん(以下:とき)であります。ときちゃんというと、1回新公ヒロインを経験してるのかな。お顔に特徴があるのですぐわかるのだが、わたしとしては、前回の『エリザベート』で、シシィのお姉さんのヘレネを演じてたのがスゴイ印象深いんすよね。きっとヘレネは、猛烈に頑張っていたのに、ゾフィーには変な服とか髪型がアウトとかダメ出しをされ、挙句に皇帝フランツにはガン無視されるという、エリザベートきっての気の毒なキャラなわけだが、その時のときちゃんの表情というか芝居がわたしには非常に印象深かったのだが……今回は、まあクセがすごいんよ……! 余り出番もないし、セリフもほぼない役だったけど、それでも今回もとても印象に残ったす。いやあ、ときちゃんはなんか応援したくなるっすねえ! 最高でした。
 ◆若手スターは大ハッスルの巻
 今回、主人公を応援しようとハッスルする親友二人を演じた若手スターも大変良かったすね! まず、タクシードライバーのヒルディーに喰われちゃう真面目系男子、チップを演じたのが月組の御曹司こと暁千星くん(以下:ありちゃん)。ありちゃんは、まあ、今回の公演では2番手格なわけで、実に安定したパフォーマンスでした。やっぱりありちゃんはダンスの人なんでしょうか。いや、芝居の人かな? ともかく、のびのびとしたダンスはやっぱりお見事だし、真面目なんだけど、まわりのクセのすごい人々に感化されて後の、まあ、いっか、キャラへの変化も良かったと思います。
 そしてもう一人、学者のクレアに押されまくってLOVEっちゃうオジーを演じた風間柚乃くん(以下:おだちん)ももちろん良かったすね。若干お調子者的キャラはたいへんおだちんにお似合いでした。しかしやっぱりというか、おだちんは身長が若干低いんですな。クレアを演じたれんこんくんの方がデカくて、その凸凹カップル振りも大変楽しかったすね。
 ◆そして以下はネガティブ感想です。
 1)これは演出の問題……か?
 なんつうか、場面場面のつながりが妙に悪いように感じたし、場がフッと止まっちゃうような瞬間も何度かあったような気がします。なんなんだろうな……プログラムによると、版権の都合上、脚本は一切手を加えてはならん、という制約があったそうで、お話的に物語が進む場面に、キャラの脳内妄想でぱーーッと歌って踊り出すシーンが挿入される感じなんだけど、その脳内妄想シーンが浮いているというか……若干、わたしは戸惑ったす。まあ、舞台装置も最小限だったし、どうにもならんことなのかな……
 2)音響の問題なのか滑舌の問題なのか……?
 今回、わたしはたぶん、外箱公演で生オケだったのは初めてだったような気がする。そのおかげで、音楽の楽器の音はとても素晴らしかったと称賛したいのだが、残念ながら演者の台詞や歌詞は、聞き取りにくい部分があったように思う。これは……マイクのせいというより、滑舌、なのかな……分からんす。
 3)月組の「歌唱力」に関しては、課題なんすかねえ……。
 やっぱりですね、ミュージカルは歌が大変重要なわけですが……ズバリ言うと、今の月組は「歌ウマ」の組ではない、でしょうな……芝居に関してはピカイチだと思うし、ダンスもみな極めてレベルが高いと思うものの、やっぱりあとは歌が課題なんすかね……。そもそもたまきちくんの歌も、わたしは全く嫌いじゃないしアリだと思うけれど、歌ウマとは言えないですわな。そこをなんとか、さくらがより一層鍛えて支えてほしいところなんすかね……。さくらは歌ウマまで相当近づいていると思うので、もう鳥肌モンだぜ、レベルまで鍛え続けていただきたいですな。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「チーズケーキを食べに行こうぜ!」
 今回は、余りセリフを憶えてないんですが、おだちん扮するオジーが、れんこんくんをナンパしようと放ったこの台詞を選定しました。え!? なんでチーズケーキ!? と思わず吹いちゃったす。NYCの名物ってことなの? わかんねえけど、そのカッコつけ具合とセリフのギャップが最高でしたので、今回のイケ台詞に推したいと思います。

 というわけで、結論。
 2019年1発目のわたしの宝塚初めは、外箱公演『ON THE TOWN』でありました。月組選抜メンバーによる公演で新TOPコンビのお披露目となったわけだが、結論としては大変笑えて、明るく楽しいミュージカルで大満足であります。しつこいけどもう一度言わせてください。とにかく、クセがすごいんよ! 笑えたっすねえ、ホントに。まあ、昭和19年という時代にこんなに楽しい毎日を送っていたメリケン人どもには、勝てないっすな。歌って踊って大騒ぎ、とはこういう作品を言うんでしょうな。大変楽しめました。そして、新TOP娘の美園さくらさんを、今後は屈託なく応援できるような気がしました。たまさくコンビはアリ! すね。大変良いと思います。そして、何気に初めて見たれんこんくんの女子姿は、大変可愛かったです。これもアリ、と判定いたします。実にアリです! 以上。

↓ 実は観たことないのです。原典として、勉強しておくともっと楽しめたのかもな……。
踊る大紐育 [Blu-ray]
ジーン・ケリー
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-06-03








 というわけで、あっという間に月日は流れてゆき、2019年となった。ホント早いもんだなあ……おまけに正月休みもあっという間に過ぎ去り、今日、1月4日はいわゆる「仕事始め」である。ただし、まあ、一般的な企業の仕事始めは連休明けの1月7日のところの方が多いんじゃないかな。わたしの場合は、まったくもって自分で勝手に決められるため、ずっと家にいてばあ様(※80歳となった母のことです)の世話をするのも飽きたので、今日は朝から出かけ、その後出社してちょっくら仕事でもするか、という気になった。
 というのも。
 おとといの夜、電撃的に、そろそろ行かねえとなあ、と思っていた絵画展のチケットを買い、今日は朝の7時半前ぐらいに家を出て、まずは会社の前に上野へはせ参じたのである。そうです。コイツを鑑賞するためであります。
ferume-ru
 ご存知、というか、日本で大人気のJohannes Vermeer氏の作品9点を集めた、『フェルメール展』であります。まあ、わたしも絵画好きとしてはいかねばなるまいと思っていたものの、大混雑は必至であり、それを緩和するために「日時指定チケット」が発売されているわけだが、実際のところ、仕事をしている身としては、急に、明日行こう!とか思い立つわけで、なかなか事前に「日時指定」することが出来なかったので、思い立ったおとといの夜、チケットを購入してみた次第だ。
 ただし、である。やっぱりちゃんと前もって計画しないとアカンものですなあ……わたしとしては若干ガッカリしたポイントがあった。
 それは、本展覧会は、現存すると言われるVermeer氏の35点の絵画のうち、9点が観られるのだが、わたしが今日、観ることが出来たのは実は7点である。というのも、1点は去年中に展示終了となってしまっており、そしてもう1点は来週からかな、後の展示だそうで、今日は7点だったのです。おおう、マジかよ! でもまあ、もはや仕方ないしどうにもならんので、見損なった作品は今後、現地へ観に行くなどして、いつかお目にかかりたいもんだと楽しみにしておこうと思う。
 実は、わたしはそのことを知ったのは現地についてからなのだが、初めはとても、なんだよガッデム! と頭に来ていた。ま、八つ当たりも甚だしいのだが、とにかく、くそう! と思っていた。しかし、全てを観終わった今思うのは、なかなか気の利いた展示会だったな、という主催者への賛辞であります。上から目線でサーセン。
 気が利いてるポイント1):みんな大好き「音声ガイド」が無料!
 ま、わたしはめったに利用しないのでどうでもいいし、入場料も2,500円とクソ高いので、最初からガイド貸し出し料コミなんじゃね、と思わなくもないが、無料にしたことは大いに偉いと思う。ヒドイ言い方をすると、高いと文句があるなら観に来なきゃいいので、わたしとしては別に料金に文句をつけるつもりもないし、1段ハードルを設けて、普通なら超混雑する「フェルメール」をちょっとでも見やすくることにも貢献してんじゃねえかとも感じた。その代り、普通なら1500円ぐらい取られる(そんなしないか? 1000円とかだっけ? 利用しないからわからん)音声ガイドが無料ですよ、というのは、結構頭のいいやり方だと思った。ちなみに、音声ガイドの声を担当したのは石原さとみちゃんだそうです。
 気が利いているポイント2):作品一覧が小冊子になっとる!
 わたしは入り口でこの「小冊子」をもらって、中を見ずに入場したのだが、普通は各作品に付けられている「解説」の類が一切会場内に見当たらないことに、一瞬戸惑った。が、手元の小冊子を見て納得である。そう、作品解説も全てこの小冊子に収録されているのである。↓こんなの
フェルメール小冊子1
 うお、画像がデカイな……実物は天地147mm×左右105mm、要するに(ほぼ)文庫本サイズである。で、中身はもう味気なく文字だけで、こんな感じ↓
フェルメール小冊子2
 でもまあ、これって、アリですよ。普通の絵画展は、ぺら1枚の作品リストが入り口に置いてあるけど、こういう小冊子形式は実にアリっすね。ま、ここに作品の画像が入ってたら文句なしだけど、そしたら図録が売れなくなっちゃうから、無理でしょうな。そもそも、絵画展では作品横の解説を読むのも大変な時があるわけで、なかなか冴えたやり方だと感心したっすね。
 気が利いてるポイント3):やっぱり日時指定の効果はある……かも?
 近年ではビックネームの絵画展は、ホントにびっくりするぐらいの来場者なのはもうお馴染みの光景だが、わたしはぼんやりと鑑賞している時に人が前にいるとイライラするたちなので、イライラしないためにも、わたしはもう絵画展は「朝イチ」が絶対ルールだ。1時間とは言わないまでも、そうだなあ、たいてい、開場時間の45分前には会場についているのがオレルールである。そもそも土日しか行けないしね。で、普通、フェルメールともなれば超激混みは必至なわけだが、この日時指定チケットがあるから、どうだろうか、やっぱみんな早く来てるんだろうか、と思いながら、わたしが今日会場に着いたのが8時15分ぐらい。結果、待ち人数ゼロ、であった。時間指定なんだからそりゃそうかとは思うものの、実際びっくりしたっす。で、まあ、一人突っ立ってるのもアホくさいので、ちょっとタバコを吸ったり公園をぶらぶらして8時25分ぐらいに会場を遠めから見たら、5人ぐらい並び始めていたので、わたしも8時半ぐらいに並ぶことにした。わたしの前は20人弱ほど。このちょっと前に、わたしははじめて、今日は「7点のみの展示」であることを知ってガッデムと思っていたのだが、この人数なら快適に観られるぞ、と少し気分が良くなった。そして開場時は、控えめに言って200人ぐらいは並んでいたので、ああ、時間指定でもやっぱり早起きは得か、と思いながら入場した。ズバリ、時間ギリに来てもやっぱダメだと思うな。そして、時間指定チケットの人を入れた後に入場できる、フリーの当日券も売ってるんすね。そちらも、20~30人ぐらいは並んでたっすな。

 というわけで。入場すると、まず迎えてくれたのはオランダ絵画の人物画でありました。笑っちゃうのが、入場者のほぼ全員が「フェルメール作品」以外はスルーして、どんどん先に行っちゃったことすね。すげえというか、その潔さというか、なんか得体のしれないフェルメール欲旺盛な方々ばかりでびっくりしたす。わたしは一応、すべてじっくり見ました。この冒頭の人物画群は、17世紀前半の作品なんだけど、いわゆるRembrandt的な、黒バックに中央にズドーンと人物がいる的な作品が多いのだが、ホント、不思議というか当たり前というか、謎なんだけど、部屋のはじから見ても真ん前から見ても、描かれている人物とずーーっと「目が合う」んす。こちらが観ているというより、こちらを観られているというか……これは、NYCのメトロポリタン美術館で観た「Rembrandt-ROOM」もそうだったけど、なんつうか落ち着かないんすよね。じっと観られている感じがして。こわ楽しいす。
 で、ぐんぐん先に行くと、あっさり(実のところ総点数50点もないので、結構あっさり終わる)皆さんお待ちかねのフェルメール・ルームなんですが、まあ、とにかく来場者の方々は熱心で驚きでありました。もう、詳しいことは公式サイトを見てもらった方がいいので、一つ一つ感想は書きません。
 わたしが観た7点のうち、4点は既に日本で観たことがある作品で(そのうち1点はNYCでも観た)、既に日本に来たことある、けどわたしは観たことがなかった作品が2点、初来日でわたしが初めて観た作品は1点、であった。この、初来日&わたしも初見、な作品、「ワイングラス」が今回わたし的ナンバーワンだったような気がします。こんなの↓
wineglass
 構図としては、お馴染みの「左側に窓」&「中央やや右に人物」&「背景の壁に何やら絵画」&「超!目に鮮やかなカラフルな服」の、誰が観てもVermeer作品だと分かるものだと思う。これは買ってきたポストカードのスキャンだが、とにかく本物の色はもう、全然こんなものじゃあない! 女性の着ている服のオレンジ色が超鮮やかで、凄いです。そして謎のイケメンも超カッコイイ! さらに、よーく観るとワイングラスの透明感というか透けてる先に描かれる女性の口元が超すげえ! そしてもちろん、窓のステンドグラスがですね、これがまた超ヤバいんすよ! これは絶対実物を見るべきでしょうなあ! 実に最高でしたね。

 というわけで、わたしとしては大興奮でスゲースゲーとか思いながら会場を後にしたのだが、今回は図録は買わなかった。一番大きい理由はデカくて重いから、なのだが、実のところ、コイツが非常にいい出来立ったのでこっちを買ったから、であります。

 これはAERAムックだから朝日新聞出版かな、たぶんフツーの本屋でも買えるはずだけど、売店に売ってて、パラ観してみたところ、まさしくわたしの知りたいことが載ってたので買って、今、鋭意読んでいるところです。ズバリ、わたしが知りたかったことは、
 ◆一体全体、その「Vermeerの現存ずる35点」は世界のどこに展示されているのか?
 ◆で、その中で、日本に来た作品はどれなんだ?
 ◆さらに言うと、どの作品がいつ日本に来たのか知りたいんですけど?
 これらはすべて、上記の「フェルメール展公式ガイドブック」に解答が書いてありました。もちろん作品解説もキッチリしてます。ので、これはおススメっすね! 朝日のくせに、なかなかいい本だと思います。

 はあ、なんつうか、アレっすね、きっとわたしと同じ思いの方も大勢いらっしゃると思いますが、こうなったらその「35点」全てを制覇したいものですなあ! どうやらわたしが買った朝日謹製の「公式ガイドブック」によると、1点は個人蔵、1点は盗難されて行方不明、だそうなので、33点しか無理だろうけど、よーし、マジで全制覇の旅に出ようかしら! という気になった展覧会でありました。おしまい。

 というわけで、結論。
 日本人の大好きなJohannes Vermeer氏の作品を集めた「フェルメール展」にやっと行ってきたのだが、やっぱり作品の持つパワーは凄いすね。もう、うおお、とか、すげーとか、そんな言葉しか出ないっす。そして、今回の展覧会は、なかなか工夫された冴えたやり方がわたしにはとても好ましく感じられました。大変結構かと存じます。どうやらこの展覧会はまだ2月まで開催され(そして日本初来日作品が来週1点追加される!)、おまけに2/16~5/12の大阪展ではさらに1点追加されるらしいので、これは大阪も行かねえとダメかもな……つうか、ホント、Vermeer全制覇を目標とした旅に出るのもアリかもしれないすね。なんか、まったく生きる目標のないわたしとしては、ちょっと、いっちょ挑戦するか? という意味で生きる希望が湧いたようにさえ感じたっす。そして、朝日謹製の「公式ガイドブック」は大変面白いので、買いでお願いしたいと思います。いやあ、大変結構なお点前でありました。以上。

↓ なんかいつもVermeer氏のことを書く時に挙げてますが、この映画はおススメです。Vermeer氏本人役をColin Firth氏、そして「真珠の耳飾りの少女」を10代だったScarlett Johansson嬢が演じてます。ズバリ映画としてはイマイチですが、当時の人々の生活風俗など、大変興味深いっす。 
真珠の耳飾りの少女 (字幕版)
スカーレット・ヨハンソン
2013-11-26

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