2018年12月

 というわけで、2018年も残りわずかであります。
 わたしは映画が大好きで、劇場で映画を観た後はせっせと感想をこのBlogに綴っているわけだが、おそらくはもう今年は劇場へ行くことはないと思うので、例年通り、2018年に劇場で観た映画の一覧メモをまとめようと思います。今年、2018年はどうやら38本の映画を劇場に観に行ったみたいですが、これはここ数年では久しぶりに40本割れと少ない本数で、どうも、コイツは観に行かないと! と思える作品が少なかったような印象があります。それともオレがサボっただけか……?
 そんな気もするので、さっそく一覧としてタイトルを挙げていきたいのだが、数えてみたら、38本のうち邦画は7本であった。わたしは基本的にハリウッド大作万歳な昭和な男なので、この邦画が7本というのは、実は結構意外に多くて、あれっ? 意外と邦画も観てんだな、と思ったす。
 そして毎年恒例のオレベストですが、今年はやっぱり難しいなあ……上位は堅いのだけれど、6位から10位は、ほぼ同格ぐらいかなあ、という気がします。
 なお、基本的にタイトル部分に観た時の記事をリンクしてあるので、詳細を知りたい人がいるとは思えないけど、詳しくはタイトル部分をクリック or タッチしてみてください。
 それでは、行ってみよう! 長いぞ~……。

【1月は5本観に行った】
 ◆『Kingsman: The Golden Circle』 キングスマン:ゴールデン・サークル
 前作からしてあまり気に入った作品ではなかったのだが、なんつうか、前作の思わぬヒットで急ごしらえで続編を作りました、的な空気を感じたというか……生きてたんだ!? という前作キャラの大復活でビビったす。まあ、前作が好きな方には最高でしたろうて……。わたしはもういいや。
『嘘を愛する女』
 予告は超イイ出来だったのに、もうちょっと、美術や設定をちゃんとしてほしいと思った。あんなきれいな空き家があるか? とか、震災の日の寒さを憶えてねえのかなあ? 的な、どうでもいいけど、どうでもよくない製作面でのアラが目についてしまって、なんだか楽しめなかった。とにかく嘘くせえというか……。ただし、わたしとしては長澤まさみ嬢のラストの長回し芝居は大変良かったと思います。あそこだけかな……。
『GEOSTORM』 ジオストーム
 わたしの大好物、ディザスター・ムービーかと思ったら大間違い。単なる人災であった点が残念無念。CGを含め、映像的にはすっごいクオリティだけれど、いかんせん脚本的にアレだったすね。そしてこの映画でも日本は完全に空気で出番ナシ(ただし東京は破壊されるシーンあり)。実に残念かつ興ざめですなあ。
『THE DARK TOWER』 ダーク・タワー
 わたしが世界で最も好きな小説家、Stephen King大先生のライフワーク、『ダークタワー』を映画にしよう、と思ったその気合と根性を買って、オレ的2018年ベスト第8位に推したい。はっきり言って、本作は長大な原作をすべて読んでいないと、全くもって、1mmも面白くないと思う。けど、読んでいるわたしには、そこかしこに漂うダークタワー・エッセンスが極めて好ましく、実に悪くないす。ラストの薔薇がお見事でした。黒人ローランドはアリです!
『DETROIT』 デトロイト
 この映画を観ると、本当にUSAという国家はイカレた国だなあ、という思いが深まると思う。そりゃ日本だって、差別はあったし殺し合いもあったとは思う(そして今だって実のところ解消されてないのかもしれない)。でも、この映画で描かれる事件は1967年、つい50年前だぜ? おまけに黒人青年をぶっ殺した警官はいまだ無罪だってんだから、恐ろしいというかなんというか……ただし、この映画はあくまで監督の色のついた脚色であるため、事実は自分でちゃんと勉強しないとダメなんだと思う。なんつうか、ある意味投げっぱなしで終わってしまい、なんか、釈然としないものが残るなかなかビターな作品であった。結論としては、デトロイトにはROBOCOPが必要ってことでよろしいでしょうか。
【2月は3本観に行った】
『THREE BILLBOARDS OUTSIDE Edding, MISSOURI』 スリー・ビルボード
 もう文句なしでオレ的2018年ナンバーワン、第1位の作品でしょうな。脚本・演出・撮影、そして役者陣の演技、すべてがパーフェクト! 映画として完璧です。わたしとしては、主演の怒れるお母さんを演じたFrances McDormand女史のオスカー主演女優賞受賞と、クソ野郎のち超改心する警官を演じたSam Rockwell氏の助演男優賞受賞は当然に思えたっすな。でも、作品賞・監督賞・そして脚本賞を獲れなかったことはとても残念かつ信じられない思いす。McDormand女史のオスカー受賞のスピーチもカッコ良かったすねえ!
『THE GREATEST SHOWMAN』 グレイテスト・ショーマン
 音楽面及びダンスなど、ミュージカルとしては超最高です。が、うーん……物語的にちょっとアレなんすよね……。そして、わたしが後で知って、うそだろ!? と思ったのは、わたしがいっちばん感動した「NEVER ENOUGH」という歌が、歌ってるのが演者じゃなくて吹替えだったことなんすよ……そんな……知りたくなかった……調べてしまったオレのバカ……。
『妖猫傳  Legend of the Damon Cat』空海 ―美しき王妃の謎―
 映画としては、意外とまともな捜査ミステリー仕立てで、実は結構ちゃんと面白かった。のだが、一つ大問題があって……なぜ、日本語吹替え版しか公開されなかったんだ!? ちゃんと中国語&日本語字幕で観たかったよ……主役の空海こと弘法大師様を演じた染谷将太くんは、中国語を特訓したらしいのに……染谷くん自身の吹替えは5万歩譲ってアリだとしても、他の中国キャストに付された日本語吹替えが全然わたしには響かず、まったくアウト。ホントに超残念です。
【3月は6本観に行った】
『BLACK PANTHER』ブラックパンサー
 なんつうか……US本国ではウルトラ大ヒットなわけですが……はっきり言えば、初の黒人ヒーローとか、ポリコレ的要因(?)が大きく作用しているわけで、そんなのまったくどうでもいい日本人としては、この映画が本当に面白かったとは全然言えないと思う。というのも、ズバリ、MCUとしてはフツーの出来で、むしろわたしとしては、主人公ティ・チャラ=ブラック・パンサーは、所詮は世襲で王座を引き継いだ極めて凡庸な王にしか見えず、そもそも全然弱いし、まったく頭も冴えてないし、超ガッカリ。完璧負けたのに、ライバル部族の長と母と妹と元カノに助けてもらって、まだ決着はついてないって、そりゃナシだと思うな……。CIVIL WARではカッコ良かったのにね……。キルモンガ―に対してもっと王たる懐の広い裁きをしてほしかった。コイツは王の器にあらず、だと思います。
『The 15:17 to Paris』15時17分、パリ行き
 わたしが現役映画監督で最も好きなEastwoodおじいちゃん最新作。なんと、実際の事件を、実際に体験した人々(=役者じゃなくド素人)を起用して映画をつくる、そして結果、意外とちゃんとしてた、という映画史上まれにみる実験作というか、ウルトラ豪華な再現フィルムという不思議な作品。わたしとしては、そのEastwoodおじいちゃんのあくなき映画創造力に敬意を表して、オレ的2018年ベスト第9位に推したいと思います。
『DOWNSIZING』ダウンサイズ
 人間をミニチュア化してしまえば資源問題も解決!という一発ネタは素晴らしいと思う。が……ちょっと考えればいろんな「?」が頭に浮かび、おまけに本作はやけにテーマが真面目で重く、結論としては全く笑えない、相当イマイチな作品だと思った。80年代~90年代のエディ・マーフィー映画的な根っからの笑えるコメディだったらよかったのにね……。
『THE SHAPE OF WATER』シェイプ・オブ・ウォーター
 今年度アカデミー賞作品賞&監督賞受賞作。デル・トロおじさん会心の「モンスター映画」。しかし、どうもわたしの趣味には合わないというか……そこかしこに漂う妙に生々しい性的な描写があまり好きにはなれなかったかも。この映画よりも、わたしとしては『スリー・ビルボード』の方が断然上っす。
『RED SPARROW』レッド・スパロー ※映画版
 長い原作小説を、それなりに上手に映画にしたな、とは思う。思うけど、一つだけどうしてもアレなのは……男主人公のネイトがおっさんすぎて、イメージが違い過ぎてガッカリ。原作小説では若々しいゆとり小僧なのにね。とはいえ、主役のJennifer Lawrenceちゃんの気合の入った演技は実に見事で、原作小説を読んだ時、バレリーナの役は若干むっちり目のJenniferちゃんには無理じゃね……とか思ったオレのバカ! 冒頭のバレエシーンは大変お見事でした。
『The Post』 ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
 わたしは面白かったと思うのだが、どこが面白かったって、結局きれいごとを言ってる記者たちは、所詮は自社媒体のスクープ(=自分の名声=極言すれば金)だけが目当てで、彼らには別に正義とかそういうものはどうでもいいんだろうな、と感じられた点にある。そして一番立派だったのは、『THE POST』(=ワシントン・ポスト)の女社長で、経営者として、きっちり現場の責任を取る覚悟を見せたのが実にカッコ良かった。どっかの自動車メーカーのTOPとは大違いですな。そして、この映画のわたし的一番の見どころはラストシーンにあって、なんと、かの「ウォーターゲート事件」の発端が描かれて終わるのである。わたしとしては、同じキャストでそっちを描いてほしいっす。
【4月は2本観に行った】
『READY PLAYER ONE』レディ・プレイヤー・ワン
 完全にオタク向け映画だとわたしには感じられたけれど、わたしはオタクなので大満足。とりわけ、第2のカギをめぐるクエストで、わたしの大好きなStephen King大先生ネタを持ってきたところが大感激! あの『THE SHINING』のオーバー・ルック・ホテルを見事に再現したあのシーンは、もう大興奮! しかし一方では、悪党がパスワードを紙に書いて張っておくというアホすぎる野郎だったことや、結構謎解きが、なんで今まで誰も分からなかったの? レベルの大したことのないものだったのが極めて残念。HUNTER×HUNTERのグリードアイランド篇のような、イベント発生条件がもっと、そういうことか! と思わせてくれるものでないと。ぜんぜん物足りないす。逆走なんて、レースゲームなら誰かが必ず試してただろうに。ゲーマーなら多分1日もかからず第1のカギはクリアされてると思うな。まあ、とにかく映像やそこかしこに現れる有名キャラ達には興奮したっすね。
『AVENGERS | INFINITY WAR』 アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー
 うーーーん……いや、面白かったんすよ。それは間違いないのです。でもなあ……ラストは、誰だって、そりゃそうなるよね、と思うもので、ありゃあ別に「衝撃」というよりも、この先どうすんの?という「困惑」というべきものではなかろうか。要するにこの作品は、誰が何と言おうと、いわゆる「前編」であって、完結してないと思うべきだと思う。完全にサノスは、北斗の拳で言うところのラオウ様であり、まあ、次作で、愛によって倒され、敗北することは確実なわけで、ディズニー及び監督の、無駄にもったいぶった秘密主義はほぼ何の意味もないと思う。次作のタイトル「エンドゲーム」も、別に、ふーん、としか思えないよね。隠してた意味全くないのに。つうか、「北斗の拳」を読んでほしいすな、ルッソ兄弟には。あなた方の描こうとしてることは、日本じゃもう30年前に漫画で描かれてるんですけど。。。なーんて、来年の「エンドゲーム」を観て、超最高です! オレがバカでした! と土下座したくなるようなすごい物語を期待します。
【5月は5本観に行った】
『12 STRONG』 ホース・ソルジャー
 実話ベースの現代戦を描いた作品は、わたしはかなり好物なのだが……残念ながらソー様無双のドッカンドッカンハリウッドムービーな仕上がりで、なんつうか、残念であった。もうチョイ、ミリタリー描写は正確・精密であってほしいのだが、クレジットをよーく見たらプロデューサーがJerry Bruckheimer氏だったので、お、おう……な感じです。嫌いじゃないんだけど……まったくのフィクションならよかったのかなあ……いずれにせよ、このアフガン戦争最初の作戦は相当奇跡的な成功をおさめたわけで、戦った軍人たちのガッツは称賛したいと存じます。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星』
 いよいよ来てしまった「THE ORIGIN」最終作。その最後まで貫かれたハイクオリティな作画・音響など、スタッフの執念に近い作品作りに敬意を表して、オレ的2018年ベスト第5位としたいと思います。最高でした。願わくば、このクオリティで1年戦争の最後まで描かれることを祈っております。
『のみとり侍』
 写楽の浮世絵めいたポスターや予告は超秀逸で、コイツは傑作のにおいがするぜ……? と思ったのに、まるで80年代東映時代劇のような古臭さが鼻についてしまい、わたし的にはアカンかったす。阿部寛氏演じる主人公は最高だったのになあ……ド真面目侍が巻き起こす笑いと涙の名作、になり得たのに、興行も全くパッとせず終わってしまい、本当にもったいない。これなら、近年で言えば『殿、利息でござる』の方が面白かったし、80年代でも『ジャズ大名』の方がポップで、名作だと思うな。あ、『ジャズ』は東映じゃなくて大映作品だっけか。
『妻よ薔薇のように/家族はつらいよIII』
 シリーズ第三弾は、シリーズ内で一番の常識人であるお嫁さんが主人公。そりゃまあ、あのトンデモ一家に嫁いだお嫁さんとしては、ブチ切れますよ。大変面白かった。ダメオヤジがきちんと謝るシーンも良かったすね。今回はシリーズの主人公であるおじいちゃんはほぼストーリー的には出番なし。あんたはもう、おとなしく隠居してなさい。前作で問題となった、免許を返納したことは評価してあげましょう。完全に中高年向け作品ですが、わたしは立派な中年なので楽しめました。ほんと、家族はつらいっすわ。
『DEADPOOL2』 デッドプール2
 今回のデッドプール氏はやけにイイ奴で、若干のキャラ変か? フツーに面白く、フツーに後に何も残らなかったす。映画ネタのギャグは前作比やや控えめだったような。いずれにせよ、ディズニーによるFOX買収もケリが尽きそうな見込みで、いつの日か、デッドプール氏がMCUに登場することを願っております。
【6月は1本観に行った】
『SOLO : A STAR WARS STORY』 ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
 悪くない、けど、やっぱり物足りないような……。雰囲気やクオリティはとてもいいのだが、お話自体が若干盛り上がらないというか……。若きソロ船長を演じたAlden Ehrenreich君は、もうビジュアルはどうしようもないとしても、話し方や、ソロ船長独特の、唇の片方を吊り上げる「ニヤリ」の表情など、似せる努力があっても良かったのではなかろうか。監督が途中降板してしまったのも、やっぱり痛かったんすかねえ……。なんでソロ船長はチューイの言葉が分かるのか、長年の謎が解けたのは嬉しかったす。
【7月は1本観に行った】
『Jurassic World:Fallen Kingdom』ジュラシック・ワールド 炎の王国
 「ジュラシック・パーク」という物語は、いつも結局は金目当ての人間による「人災」なわけで、今回ほど恐竜たちがかわいそう……と思った作品はなかったような気がする。これもやっぱり、メリケン人どもの拝金主義なのかなあ……。。。映画としてはいつも通り迫力満点で大変見応えがあり、面白かったけれど、とにかく、人為的に生み出された恐竜たちの末期がとても気の毒で、なんか悲しくなっちゃったす……。
【8月は5本観に行った】
『WIND RIVER』 ウィンド・リバー
 この映画も、USAという国の暗い一面が良くわかる作品でした。お話としては、真っ直ぐな捜査ミステリーで、真相の暴露もそれほど捻りはなく、なーんだレベルではあったものの、とにかく被害女性のお父さんと主人公のやり取りがやけに胸にグッと来て、わたしとしてはとても面白かったと結論付けたい。オレ的2018年第7位に推したいと思います。
『OCEAN'S 8』 オーシャンズ8
 かの「MET GALA」を再現したゴージャスな映像はとても見応えアリです。が、肝心の計画があまりにトントン拍子で、ピンチらしいピンチもなく完遂してしまうのは、映画として若干問題アリのような……。まあ、そういうツッコミは無粋なんすかね。Cate Blanchett様は相変わらず女神級の美しさでその点は大満足であります。あーあ、またメトロポリタン美術館に行きてえなあ……。
『Tully』 タリ―と私の秘密の時間
 この映画の予告を見た時、Charlize Theron様のあまりに疲れ果てた中年女性なお姿にびっくりし、観に行くことにしたのだが、脚本的に、えっ、マジかよ!? というトリックがラストに仕組まれていて、大変お見事に仕上がっていたように思う。ちなみにTheron様はこの映画のために16キロ増量し、元に戻すのに1年半かかったそうです。さすがっすね。
『MAMMA MIA! Here We Go Again』 マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー
 前作から10年を経ての続編。ただし作中時間では数年後の設定。なので、キャスト陣の、とりわけ主役たるAmanda Syfriedちゃんの額の皺といった、どうにもできない経年劣化みたいな若干アレな部分はあったものの、若き日のお母さんを演じたLily Jamesちゃんは大変可愛くて魅力的でありました。そして物語的にも、よく考えると相当なビッチじゃね? とか思う部分はあるけれど、とにかく、ラストに登場するMeryl Streepお母さんの歌に大感動。つうか、やっぱりミュージカルはイイですなあ! というわけで、ミュージカル好きとしてはこの映画はオレ的2018年ベストの第10位としたいと思います。
『ANT-MAN AND THE WASP』 アントマン&ワスプ
 最高です! わたしはMCUヒーローでIRONMAN=トニー・スタークが一番好きですが、やっぱり2番目に好きなのはこのANT-MANすね。IRONMANと同じメカニカルヒーローで、何気に強いと思うんだ。キャップ・ハルク・ソーといった脳筋チームとは違って、頭を使って戦うわけで、闘いようによっては最強なんじゃないかとすら思うすね。だって、対IRONMANだって、小さくなってIRONMANスーツに潜り込んで配線とかズタズタにすれば勝てるでしょ(CIVIL WARではバレて強制排出されたけど)? 脳筋チームに対してだって、耳とか口に入って、その後巨大化すりゃ勝てるんじゃないかな? ホント、INFINITY WARにANT-MANが参戦してなかったのが痛いすねえ! こっそりサノスのガントレットに憑りついて、石をかっぱらってくれば勝てたのに! いや、そりゃ無理かw そして本作でとうとう出陣したTHE WASPのスーツ・デザインも秀逸でしたなあ! とにかく、次の「エンドゲーム」で我らが蟻男がどんな活躍をしてくれるか、わたしはそれが一番楽しみっす! オレ的2018年ベスト、第4位であります!
【9月は1本観に行った】
『A QUIET PLACE』 クワイエット・プレイス
 2018年ガッカリムービー・ナンバーワン。WOWOWで放送されるのを待って観れば十分だったす。とにかく設定にアラが多すぎるし、キャラクターが間抜け過ぎたような気がしてならない。音を立てたらアウト、という基本設定だけはとても良かったのにね……。
【10月は3本観に行った】
『THE EQUALIZER 2』 イコライザー2
 ハリウッドナンバーワン黒人スターDenzel Washington氏による必殺仕事人シリーズ第2弾。キャラ自体はとてもいいし、シリーズ化も大歓迎だけど……今回は、事件そのものがイマイチであったような気がする。そもそも、元上司を殺せと指令した黒幕がいるはずなのに、そっちはノータッチで、その指令を受けた実行犯だけを退治しても意味ないと思うのだが……。
『A STAR IS BORN』 アリー/スター誕生_一個巨星的誕生@台湾
 最高です。10月に台湾で観て、つい先週、日本でももう一度観ました。やっぱりわたしの英語力は相当レベルが低く、日本語字幕付きで観て初めてちゃんとわかった部分もあったのが情けなし。ともあれ、映画としての完成度は極めて高く、初監督となった主演のBradley Cooper氏は実に見事な監督ぶりだったと思う。そしてもちろん演技も素晴らしいし、本作では何と言っても歌ですよ。このイケメンが歌すらカッコイイなんて、天は何物与えれば気が済むのでしょうか……。そしてもちろん、主人公を演じたLADY GAGA様も、歌は当然として、演技も実に見事でした。文句なく、オレ的2018年ベスト第2位であります。サントラ買ったっす。
『The House with a Clock in Its Walls』 ルイスと不思議の時計
 児童文学が原作ということで、本作は日本語吹替えの上映ばかりで、字幕版がとても限られていたのが妙に印象深いす。まあ、つまらなかったとは思わないけど、超最高でもなかったす。そして、なんと言っても愛しの女神、Cate Blanchett様の神々しい美しさと、ちょっとしたコメディ的演技が大変わたしには素晴らしく見えました。Cate様は、まあズバリ言えば若干おっかない顔ですが、このお方の笑顔は結構可愛いんすよ。
【11月は4本観に行った】
『VENOM』 ヴェノム
 SPIDER-MANの宿敵VENOM単独主役映画。そのせいか、やけにVENOM氏がイイ奴で、その点でもこの映画はとても『DEAD POOL』に似ているように思う。残念ながら主人公エディはなかなか頭の悪いだめんず野郎でありましたが、そんなエディをあっさり振った彼女を演じたMichell Williamsさんは妙に可愛かったすね。謎のなんちゃって女子高生風なタータンチェックのミニスカが大変良くお似合いでした。ともあれ、VENOM氏もいつかMCUに登場していただきたいものです。
『BOHEMIAN RHAPSODY』 ボヘミアン・ラプソディ
 最高です。痺れたっすねえ! わたしは別にQUEENのファンであったことはないけれど、80年代に青春を送った人間としては、劇中で流れる曲はほとんどすべて聞いたことのあるお馴染みのもので、やっぱりラストのLIVE AIDのシーンには心震えたっすね。もちろん、事実はもっといろいろあったんだろうけど、映画的な美しさに満ちてましたな。そして、よーく見ると全く別人なのに、そのパフォーマンスはまさしくFreddieそのものという熱演を見せたRami Malek氏は本当にお見事でした。本物のQUEENのファンの方が観たら違うのかもしれないけれど、QUEENファンとは全然言えないわたしから見ると、あの歩き方、腕のつき出し方など、もう完全にFreddieだったすね。オレ的2018年ベスト、第3位であります!
『SICARIO : DAY OF THE SOLDADO』 ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ
 前作が強力な傑作だったわけですが、第2弾となる本作は若干趣が違うとはいえ、やっぱり面白かったと思う。その趣の変化というのは、主役である二人、フリーの暗殺者(=SICARIO)であるアレハンドロと、CIAのマットが前作では一切情に流されない冷徹な男だったのに、今回は、人間らしいところを見せる点にあるわけだが、この変化は、積極的にアリとは思わないけど、ナシでもないと思う。そしてハリウッド・コワモテオヤジ選手権で優勝を争いそうなJosh Brolin氏とBenicio del Toro氏の尋常じゃない迫力は、全編通じて緊張感に満ちていて、とてもお見事だったですな。オレ的2018年ベスト第6位であります。
『Fantastic Beast:The Crimes of Grindelwald』 ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
 なんつうか、とりわけHarry Potterのファンでもないわたしが観ても、ちょっと分からない点が多すぎるというか、この映画はHarry道黒帯じゃないと楽しめないような気がします。次はもう、劇場に観に行くことはないかな……。ただし、映画としては特に美術面でのクオリティが群を抜いて素晴らしく、キャラクター達の着る衣装なんかもとてもカッコ良かったす。ああいうコートが欲しい!
【12月は2本観に行った ※A STAR IS BORNを日本でもう一回見たけどノーカン】
『機動戦士ガンダムNT<ナラティブ>』
 うーーーん……わたしとしては圧倒的に『THE ORIGIN』の方がクオリティが高く素晴らしいと思うのだが、興行面ではこちらのNTの方が圧倒的に売れているわけで、なんというか……残念す。このNTは、わたし的にはナシ、でした。もはやSFじゃなくてファンタジーなんだもの……。
『来る』
 うーーーん……予告の出来は素晴らしかったのだが……満点パパは実はクソ野郎でした、そしてママも何気に不倫ブッかましてました、という暴露合戦には興味ないというか、底が浅すぎというか……肝心の「アレ」にはほぼ何も触れられず、全く怖くないのが致命的。ただし、役者陣の熱演は大変素晴らしく、その点だけはもろ手を挙げて称賛したいと存じます。昭和顔と言われる黒木華ちゃんを初めてエロイと感じたっす。大変結構なお点前でしたね。

 はーーー疲れた。まあ、以上がわたしが今年2018年に劇場へ観に行った映画であります。ところで、わたしの周りの人は、わたしが映画好きであることを知っているので、何人かの人から、「え、アレを観てないんすか!? 絶対観た方がいいですよ! すっげえ面白かったっす!」と言われた映画がある。そう、超低予算で作られて、公開後異例の増スクリーン&興収30億超(?)の大ヒットとなった、アレです。ま、ズバリ言うと、わたしはひねくれものなので、そういう口コミには全く心動かないし、観たら絶対、ちっきしょー、おもしれえ! と悔しくてたまらなくなるのは間違いないと思うため、どうも今さら観る気にならんのです……。まあ、新たな才能が日本映画界に生まれたってことで、大変良いお知らせだとは思いますので、次回作があるなら、そちらも頑張ってほしいですな。

 というわけで、結論。
 2018年、38本の映画を劇場へ観に行ったわたしだが、わたしが面白いと思ったオレ的2018年ベストテンは以下の通りであります。
 1位:『THREE BILLBOARDS OUTSIDE Edding, MISSOURI』 スリー・ビルボード
 2位:『A STAR IS BORN』 アリー/スター誕生
 3位:『BOHEMIAN RHAPSODY』ボヘミアン・ラプソディ
 4位:『ANT-MAN AND THE WASP』アントマン&ワスプ
 5位:『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星』
 6位:『SICARIO : DAY OF THE SOLDADO』ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ
 7位:『WIND RIVER』 ウィンド・リバー
 8位:『THE DARK TOWER』 ダーク・タワー
 9位:『The 15:17 to Paris』15時17分、パリ行き
  10位:『MAMMA MIA! Here We Go Again』 マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー
 なんつうか、我ながらこんな順位になるとは予想外っつうか、全く同じベストを選ぶ人はきっとこの世には存在しないだろうな……。そして、わたしの大好きなMCU作品、BPとINFINITY WARは選外です。BPはアカンし、IWはまだ完結してないので。来年2019年は、まずは『CAPTAIN MARVEL』『AVENGERS:END GAME』が超楽しみだし、年末の『STAR WARS:Episode-IX』もホント楽しみですなあ……! ちょっくら予告を貼っとこう。
 

 いやーーー楽しみだなあ! 早く観たいっすねえ!!
 というわけで、いやあ、映画って、本当にいいものですね!! と締めて終わりにします。以上。

↓ 観ていない人はぜひ! オレ的2018年ベスト、圧倒的ナンバーワンです。

 以前も書いた通り、わたしが愛する宝塚歌劇団は、花・月・雪・星・宙の5組がそれぞれ公演を行っているわけだが、年に1回、毎年年末に各組TOPスターが梅田芸術劇場メインホールに集合して、合同の公演を行う機会がある。この公演は現在では『タカラヅカスペシャル』と呼ばれていて、昼と夜の2回公演を2日間、合計4回の舞台が繰り広げられるのである。
 ただし、そのタイミングで東京公演を行っている組は参加できないので、その東京公演組以外の4組+専科のスターたちから構成されているのである。ちなみに今年は宙組が東京公演中につき欠席、ということになっている。
 で。毎年、この『タカラヅカスペシャル』にはテーマがあるのだが、今年はどんなテーマかというと、公式Webサイトの文章を無断でパクッて説明すると――
「年に一度、専科、花、月、雪、星組で活躍中のスター達が集う夢の競演を、梅田芸術劇場より華やかに開催いたします。今年は、平成も最終年を迎えるにあたり、宝塚においても多くの変化のあった平成の30年間をフィーチャーしつつ、2018年の公演を振り返るコーナー等も含めた、バラエティ豊かな構成でお送りいたします。」
 ということだそうだ。えーと、ま、ズバリ言ってよくわからんと思うので、簡単まとめると、この平成最後の『タカスペ』は、この30年の歴史を振り返ります、てなことだと思う。実際、最初の方で説明があったのだが、今年はいろいろなメモリアルが重なったのだそうだ。
 ◆10年:現在の形で『タカラヅカスペシャル』となって10年目、だそうです。それ以前は「TCAスペシャル」という公演名で、場所も梅田じゃなかったりしたそうだが、その時代はわたしはよく知らないす。ちなみにTCA=タカラヅカ・クリエィティブ・アーツの略で、宝塚の映像音楽ソフトの管理販売をしてる子会社のことですな。
 ◆20年:今年は「宙組」が誕生して20年目なのです。それはつまり有楽町に暫定的に設置されたTAKARAZUKA1000days劇場から現在の日比谷の東京宝塚劇場のリニューアルが完成して、東京公演を通年公演を開始して20年、なんだそうだ。つうか、その宙組がタカスペ欠席ってどうなのよ……。
 ◆30年:あ、やべえ、なんだったか忘れた。なんか30年もあったはずだけど、サーセン、なんだっけ? 単に平成30年、ってことだっけ?
 ◆40年:宝塚大劇場の横にある、「宝塚バウホール」が出来て今年で40年なんですって。全然知らなかったわ。
 というわけで、以前は基本的に、「今年を振り返る」的な構成で、各組のその年の公演をパロディ化したドタバタ寸劇なんかもあったのだが、ここ数年は寸劇ナシの、歌を中心としたコンサートに近い構成になっていて、今年もそういう歌中心の真面目な?ショーであった。一応、今年のポスター画像を貼っておこう。
Screenshot
 で。
 この『タカスペ』で、おそらくファンが一番うれしいことは、普段観ることができない、組が違うスター同士が一緒に歌うシーンを観られることに尽きると思う。例えば月組のTOPスターと花組のTOP娘のデュエットとか、組が違う同期スターたちが共演するとかですな。なので、『タカスペ』をたしなむには、舞台に登場するスターの知識とか(誰だ?とか言っていてはダメなのです)、歌う歌の知識(この歌なんだっけ? とかも基本アウト)も持ち合わせていないとダメで、高度な宝塚知識が必要になる。つまり、ズカ道黒帯でないと、「おおっ、キター!」とか、いちいちキャッキャできないのである。わたしは2010年にヅカ道に入門して早9年。期で言うと96期生と同期。まだまだ精進が必要だが、一応、自称黒帯である。
 というわけで、わたしが今年の『タカスペ2018』で、一番「おおっ!」と燃えた(萌えた)のは、やっぱりですね、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)と、花組TOP娘役の仙名彩世さん(以下:ゆきちゃん)のデュエットであろうと思う。
 なぜグッと来たかというと、まず第一に二人は同期であり、そしてゆきちゃんは来年退団することが決まっているからであり、さらに言うと、二人の歩んでみた道が結構対照的だからだ。そんな二人が、最期のタカスペでデュエットを歌う。ここにグッとくるわけですよ。
 わたしは星組を一番応援しており、星組の2番手スター礼真琴さん(以下:こっちん)が一番好きで応援しているのだが、そんなわたしなのに、月組のたまきちくんが現役TOPスターの中では一番好きである。たまきちくんは94期生、こっちんが95期生なので、1期上、である。1期上、ということは、宝塚においては、同じ時期に音楽学校に在籍したということであり、つながりが大きい間柄だ。そしてゆきちゃんも94期生であり、おまけにゆきちゃんは94期生首席卒業である。こっちんも95期生首席なのだが、こっちんたち95期生からすると、1期上の首席、という存在はもう超憧れの先輩という感じだろうと思う。
 しかし、ゆきちゃんは首席とはいえ、実は華々しい経歴を誇っているわけではない。極めて高い技量を持った娘役であるのは間違いなく、とりわけその美声はわたしはとても好きだが、TOP娘に登極するまでは決して順調な道のりではなかった。新人公演ヒロインも経験できなかったゆきちゃん。そして一方では、同期たまきちくんは早くから抜擢が続き、入団9年目で月組TOPスターに登極。この9年目というのは、異例の速さだ。こんな、若干対照的な同期のTOPスター二人が、組の違いを超えて、退団前の最後のタカスペでデュエットする。そこに、とてもグッとくるというわけであります。さらに言えば、男役と娘役は、TOPになる時期が違っていて、男役が10年目とか遅いのに反して、娘役は普通は5年目とか、もっと早いわけですよ。なので、同期の男役と娘役が、同じ時にTOPでいる、という状況も、普通は結構まれなわけです。なので、たまきちくんとゆきちゃんの同期デュエットは、そういう意味でも、同じ時にTOPでいられた奇跡に乾杯! なわけですよ! いやあ、ほんとに、この1曲のためだけでも、ライビューに行って良かったと思ったす。
 まあ、わたしとしてはその他にもいろいろ見どころはあって、2時間はあっという間に終わってしまったような気がする。わたしが思ったことは、もう箇条書きでメモって終わりにしよう。
 ◆理事の歌声は……若干厳しいというか……むむむ……。。。
 ◆こっちんはさすがにカッコいい! その歌のパワーはやっぱり際立ってますなあ。
 ◆最強歌ウマTOPコンビ、望海風斗さん&真彩希帆ちゃんはさすがの歌力すねえ。
 ◆誰が何言おうと、わたしは星組推しとしてあーちゃんを応援します。かわゆい。
 ◆ゆずかれーは、確かにそのビジュアルは超強力だけど、歌は……むむむ……。
 ◆たまきちくんは最年少TOPだけあって、いじられますねw しかしこの人、ホントに女子としてかわいいと思うな。そしてわたしの大好きな歌、「蒼穹の彼方」は大変結構なお点前でした。ちえちゃんの熱唱を思い出すっすね。
 ◆せおっちはなんかホントに、この1年で成長しましたなあ。特に歌が。
 ◆こっちんと同期のせおっち(星)・れいこ(月)・あーさ(雪)・マイティー(花)といった各組3番手付近の活躍は大変喜ばしいすねえ。
 ◆わたしが娘役で一番応援している海乃美月ちゃんがちらちらと出演するとわたしのテンションは上がるわけですが、くっそう、ライビューだと見切れてる場面が多すぎて、ぐぬぬ……!
 以上であります!

 というわけで、結論。
 年に1回、年末恒例の『タカラヅカスペシャル』。わたしは今までWOWOWで放送されたものしか観たことがなかったけど、初めて、ライブで観てみた。ライブと言っても、劇場で生で観るわけではなく、映画館で上映されるいわゆる「ライブビューイング」だったわけだが、アレっすね、やっぱり画質も若干粗くて、静止してるといいんだけど、動いているともう顔が分からなくなるレベルで、なんつうか、もっと画質の向上をお願いしたいですな。そして今年の『タカスペ』は2時間であっさりおわってしまい。なんかあっという間だったすね。でもまあ、わたしとしてはそれなりに見どころもあって、大変楽しめましたとさ。以上。

↓ おお、今は配信もされてるんですな。2014年は宝塚100周年ということで、この年は東京公演組だった月組も中継でちゃんと参加して、結構楽しかったすね。しかしあれからもう4年経ったのか……はええなあ……。。。

 はーーー……やっぱ面白いすなあ……
 というのは、今朝読み終わった小説の感想である。そうです。わたしがずっと読み続けてきた『居眠り磐音』シリーズの続編ともいうべき『空也十番勝負』最新刊が発売になったので、すぐさま買って読み始め、もったいないからちょっとずつ……とか思ってたのに、上下巻を3日で読み終わってしまったのでありました。たまには書影を載せとくか。こちらであります。
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 というわけで、もはやこのBlogでも散々書いてきたので詳しい説明はしないが、本作『空也十番勝負 青春篇 未だ行ならず<上><下>』は、磐音の息子、坂崎空也くんの武者修行の旅を追ったもので、今回は5作目となるわけだが……上記に貼りつけた写真の帯に書かれている通り、「完結編」と銘打たれている。なので、わたしはその「完結」という文字を見た時、おいおい、十番勝負なのに、5番勝負で終わりなの? うそでしょ!? うそって言ってください佐伯先生! ぐらいわたしは大きなショックを受けた。
 この「完結」ということに関しては、ズバリ言うと<下巻>のあとがきに佐伯先生自身の言葉で理由が明確に記されているので、まあそちらを読んでいただければと思う。ただし、本編を読み終わった後に読んだ方がいいと思いますよ。そして、せっかちな方に申し上げておくと、あくまで「青春篇」の完結であって、空也の旅はまだ続くものと思われますので、ご安心いただければと思う。つうかわたしが安心しました。
 さてと。物語としては、前作の続きで、平戸から長崎へ向かい、五島で出会った長崎会所の高木麻衣ちゃん、そして対馬で出会った長崎奉行所の鵜飼寅吉くんと再会し、長崎に結構長く逗留することになるのだが、その逗留期間で空也くんが出会った人や出来事、そして当然、空也くんを狙う東郷示現流の酒匂一門との対決へ、という流れで締めくくられる。まあ、それはもう、シリーズを読んできた人なら誰でも想像がつくことですな。そしてもちろん、愛しの眉月ちゃんとの再会もあるし、一方そのころ江戸では、という部分も丹念に描かれ、薬丸新蔵くんのその後も描かれるのだが、まあとにかく、今回は上下巻ということで、様々な出来事が起こり、非常に読みごたえのある物語だったと思う。
 今回は物語の流れについて記すのはやめにして、本作を読んで、わたしの心に残った出来事について、箇条書きでまとめておこうと思う。書いていく順番は、物語の流れとは一致しません。単に思いついた順に記します。
 ◆福岡藩士・松平辰平はさすが空也の兄弟子ですよ!
 空也くんが長崎へ到着し、長崎には福岡黒田家と佐賀鍋島家が長崎警護のために詰めている、ということを知って、わたしとしては当然、かつて自らも武者修行の旅に出て、途中で磐音一統に合流した佐々木道場の弟子、松平辰平くんが登場するものかと思っていた。辰平くんは、博多のとあるお嬢さんと恋に落ちて、黒田家に仕官して福岡住まいとなったのに、『磐音』シリーズのラストで磐音たちが九州にいた時は入れ違いで江戸に赴任していたため、空也くんの旅立ちには立ち会えなかったのがわたしはとても残念に思っていたのだが……いよいよ長崎で会えるか!? と期待したわたしの考えは、まったくもって甘すぎたのであります。どういうことかというと、ズバリ、会いたい、けど会えない、けどやっぱり会いたい……という思いの詰まった「ぶ厚い」手紙だけを託して、辰平くんは空也に会いに来なかったのです。それは、空也が物見遊山で長崎にいるわけではなく、武者修行の身であり、そんな旧交を温めてる場合じゃねえ、と思うからなわけです。さすが辰平、こういう点が、空也にとっては尊敬する兄弟子なわけですよ。あれっすね、これが利次郎だったら、きっと普通に会いに来てるでしょうな。そして辰平の手紙に書かれていた「初心を忘れるな」が空也くんの胸にも響くわけです。真面目な朴念仁だった辰平らしいと、わたしはとてもグッと来たっすね。
 ◆狂剣士ラインハルトとの死闘は意外と(?)大事だった。
 前々巻で闘ったラインハルトは、長崎会所と長崎奉行所のおたずね者で、空也くんは見事勝利したわけだが、そのことは結構大きなことだったようで、空也くんは長崎の様々な場所で、あのラインハルトを倒した男か、と歓迎を受けることになる。中でも印象的だったのは、出島の阿蘭陀商館からも大歓迎を受けて、オランダ製(?)の短刀を頂くことに。この時、空也くんは麻衣ちゃんが用意した南蛮衣装を着せられていて、その情景が非常にわたしの脳裏に印象に残ったすね。ちなみにその衣装と短刀は、江戸へ向かった眉月ちゃんに託され、磐音やおこんさんのもとに届けられました。この、眉月ちゃんと磐音たちの対面も、とても良かったすね。そうなのです。今回、とうとう眉月ちゃんは江戸へ戻ることを決意し、まずは長崎へ行って空也くんと再会したのち、眉も長崎に残りとうございます、的な泣かせることを言いながら、江戸へ先に向かったのです。超積極的な眉月ちゃんと空也くんが江戸で再会できるのはいつの日でありましょうなあ……その日が楽しみですなあ……。
 ◆長崎と言えば……奈緒どのの悲劇のスタート地点でしたなあ。
 作中時間で20数年前、身売りした奈緒が最初に連れていかれた場所であり、そして、その後を追って若き磐音が、医者の中川順庵先生とともにやってきた地でもあるわけです。しかし奈緒の超絶美人ぶりに、こりゃあ長崎じゃもったいない、江戸の吉原へ、とすぐに連れていかれ、長崎には数日しかいなかった奈緒。そして入れ違いに会えなかった磐音。そして磐音は、奈緒が描いた絵と句を見て運命の残酷さを知った若き日。今回、そのかつての悲恋がちょっとだけ触れられ、そんなことは全く知らなかった空也くんは初めて父の若き日のことを知るわけです。このエピソードは、今回折に触れて語られ、わたしとしては非常に時の移ろいを感慨深く思ったし、空也の心のうちにも、非常に大きなものを残したようですな。大変結構なことかと存じます。
 ◆武左衛門、お前って奴は本当に……。
 今回、江戸パートでは、新蔵が新たに自分の道場をたてることになるけれど、江戸の人間からすると新蔵の道場は土間で稽古も裸足という点で、ちょっとアレだなあ、と全然弟子希望者が集まらないような状況に。そこで武左衛門が、かわら版屋にテキトーで盛りに盛った話をして、そのおかげで弟子殺到、みたいな展開となるのだが……ホントに武左衛門よ、お前って奴は……まあ、ある意味今回は結果オーライだけど、わたしはこの男を『居眠り』シリーズの時からどうしても好きになれないす。こういう奴って、ホント、いるんだよなあ……いつの時代も……。
 ◆憎しみの連鎖は、一体どうすれば……酒匂家の運命は……。
 空也くんと新蔵には非はないとしても、憎しみや恨みというものは理屈ではないわけで、今回も当然、酒匂一派に狙われているわけだが、本当にどうしようもないことなんだろうか……。
 酒匂家当主:空也1番勝負で敗北。尋常な勝負であるときちんと理解していた。
 長男:謎に包まれた酒匂家最強剣士。今回とうとう登場。結果は本編を読んでください。
 次男:江戸在府の剣士。今回、新蔵に挑む! 結果は本編を読んでください。
 三男:兄弟で一番体がデカイ剣士。空也2番勝負で敗北したが、空也に一太刀浴びせ重傷を負わす。
 しかしまあ、なんというか、死をもってしか決着できないというのは、現代人としてはとても悲しく、つらいすね……。剣術は、どうしても「人殺しの技術」に過ぎないんすかねえ……だとすれば、それを極めようとするってのは、非情に尽きるのかなあ……。
 今回の空也くんは、端的に言えば「武者修行」ってなんなんだ? という壁に突き当たることになる。折しも時代は銃や大砲が実用化され、武力としての「剣術」も、形骸化しつつある世の中だ。そんな時代に「剣の道」を征こうとする空也くん。おまけに言うと、空也くんは、武者修行と言いながらも、相当な超リア充でもあって、行く先々で人々の好意に助けられ、お互い愛しあう人もいて、さらに今回の長崎では、そのリア充ぶりは拍車がかかっているようにも思える。カステイラを食して喜んでる場合じゃないだろうにね。
 こんなリア充の空也くんが、いかんいかん、こんなんじゃダメだ、と思うのは、自らが命を狙われているからであって、逆に言うと、酒匂一派との因縁がなければ、果たして空也くんは厳しい「武者修行」を続けることが出来たのだろうか、という気すらしてくる。空也くんは、当然のことながら無用な戦いはしたくない、けれど、命を狙われている状況だからこそ、武者修行にも魂がこもる、とも思えるわけで、わたしは今回の空也くんの悩み?に対して、実に皮肉だなあ……と感じたのでありました。まあ、その皮肉な運命にケリをつけようと、空也くんは今回長崎へ来たとも言えるわけだが……この後どうするのか、続きがとても楽しみですなあ!
 ◆「捨ててこそ」とは?
 この言葉は、武者修行を行う空也くんが一番心に留めているものだ。「捨ててこそ」。超リア充である空也くんには、いろんな「捨てたくない」ものがあるはずで、眉月ちゃんへの愛、そして偉大なる父に感じる無意識のプレッシャーなど、背負っているものがいっぱいある青年だ。決して、失うものなど何もない、ような状況ではない。そんな空也くんが思う「捨ててこそ」とは、一体いかなるものか。これが、わたしが思う本作の最大のポイントである。本作を読んで、わたしはまだ空也くんが悩みまくっているように思えたし、そりゃ当たり前だとも思っている。だからこそ、本作はタイトルが「未だ行ならず」なわけだしね。
 空也くんは、高野山の奥で生まれたことから、大師様=空海からその名を「空也」と名付けられたわけだけど、「くうなり」とも読めるのがわたしとしては大変興味深い。仏教でいう「空(くう)」。この概念をわたしは理解しているとは言い難いし、大学時代、「空」について卒論を書いた哲学科の友達の受け売り程度の知識しかないわたしだが……別に全てを捨て去ることが「空」ではないと思うのだが……空也くんの考える「捨ててこそ」は、若干、命すら投げ捨てる方向のようにも感じられて、かなり心配である。まあ、それが正しい解釈なのかどうか分からないけど……難しいというか、まだわたしにはわからんすね……。とにかく思うのは、空也よ、お前は絶対に、生きて江戸に戻らないとダメなんだぞ! という親心のようなものです。きっとそれは、この作品を読んでいる人全員が思ってることだと思います。

 というわけで、もう長いしまとまらないので結論。
 シリーズ5作目にして最新作『空也十番勝負 青春篇 未だ行ならず<上><下>』が発売になったのでさっそく買って読んだところ、やっぱおもしれえなあ、というのが第一の感想でありました。そして主人公・坂崎空也くんの5番勝負が終わったところで、作者の佐伯泰英先生のあとがきによれば、次作の刊行はちょっと時間が空くらしいことが判明した。「青春篇」はこれにて完結だそうで、続く「再起篇」を期待したいですな。しかしなんつうか、わたしとしては長崎会所の高木麻衣さんが大変気に入っております。間違いなく美人でしょうな。空也くんはホントにリア充だなあ……。リア充で武者修行が出来るのかはともかく、ホントにマジで! 生きて江戸へ戻って来るのだぞ! そして眉月ちゃんの愛に応えるがいい! その日を楽しみにしたいと存じます! 以上。 


↓ なんと!『居眠り磐音』は文春文庫から出し直し&双葉文庫版は絶版になるらしく(?)、その新装版刊行に合わせて、こちらの描き下ろし新作も発売になるそうです。マジかよ……文春め……!

 というわけで、今週の『もういっぽん!』であります。
 先週はサボりましたが、今週はやります。今週のタイトルは「どっきどき」。まあズバリ言うと、いよいよインターハイ予選当日の朝の、それぞれの「どっきどき」な模様であります。
 冒頭、いつもおとなしい永遠ちゃんが、一人電車内で何やらスマホを見てにんまりしているご様子。そうでした。永遠ちゃんだけ、遠くに住んでるのでした。思うのは、家でお母さんとのやりとりです。お風呂上り、スマホ片手にニヤつく永遠ちゃんですが、お母さんの話によると、私立の推薦を蹴ってまで埼玉県立青葉西高校へ進学したのだとか。それが心配だったお母さんですが、ニヤける娘、永遠ちゃんを見て、良かったみたいねと一安心。好きな男でもできたかとお母さんはツッこむものの、永遠ちゃんがニヤけていたのは、仲間の柔道部員、未知と早苗ちゃんとのグループラインであります。
 まあ、友達ができてうれしいんでしょうなあ。それはつまり、今まではそういうことがなかったってことなのでしょう。大変結構なことであります。
 と、そんなことを思い出して一人電車に乗る永遠ちゃんの前に、来ました! 南雲ちゃんの登場です! 上半身はジャージ&ジップを上までしっかり締めたりりしい姿の南雲ちゃん。下は制服のスカートですが、南雲ちゃんはストイック系&強気系剣道部員。
 「な~~んだ アンタか…って顔 すんなっつーの」
 とよく分かっていらっしゃるご様子。若干気まずげな永遠ちゃん。南雲ちゃん曰く、剣道部も同じ場所でインターハイ予選で、期待のルーキーである自分が5年ぶりに女子剣道部をインターハイに連れて行く、と強気なお言葉です。そして、若干優しげな表情で言います。
 「柔道部は! あんたが連れてってやりな」
 そのタイミングで電車に乗って来る未知&早苗ちゃん。
 「あの2人とじゃきついだろうけど」
 と若干ヤレヤレな南雲ちゃんに、永遠ちゃんは言います。
 「そうかな…とっても心強いよ」
 二人を見つけて満面の笑みで寄って来る未知。まあ、この笑顔にはパワーがあるわけですよ! ちなみに未知のいでたちは、ジャージ&Tシャツ&下は制服スカート、とテキトーな感じ、そして早苗ちゃんは眼鏡っ子真面目女子なので、きっちり制服を上下着こなしております。そして永遠ちゃんは、ジャケットの代わりにカーディガンですが、きちんとブラウス&リボンタイと制服着用です。この違いも、性格が出てますなあ!
 そして会場に到着。そこにはすでに夏目先生がスタンバイ。おおっと、夏目先生は白シャツ&黒のパンツスーツという「SP」の真木よう子さん的なファッションで大変颯爽としています。そして当然会場にはいろんな学校の柔道部員がいて、未知は勝手な品評会をしています。ドキドキが高まってまいりました! おおっと、どうやら早苗ちゃんは緊張でみんな強そうとネガティブ方向へ。でも、未知を高校でも柔道に誘ったのは早苗ちゃんなわけで、
 「しっかりしなきゃ…わたしが言い出しっぺなんだから…うう…ケガするイメージが次から次に沸いてくるよ…」とドキドキは加速です。中学時代は試合で骨折した経験のある早苗ちゃんですが、イカン、トイレに直行だ!w なんか『ぺダル』の鏑木くんみたいすねw
 と、そんな3人ですが、前からやってきたのは! あれは永遠ちゃんの中学時代の! 来ました、霞ヶ丘高校の3人組です! 永遠ちゃんはまたも困ったフェイス。怒れるツインテールでお馴染み、天音さんが「約束通り中堅で出てくるよね?」と詰め寄ります。永遠ちゃんの困ったフェイスは一層曇りますが、未知は永遠ちゃんのバックから柔道着を取り出し、むりやり上だけ永遠ちゃんに着せました。
 そうです。いつもオドオドぎみの永遠ちゃんは、柔道着を着ると「ちょっとだけ 勇気が出る」のであります。それを覚えていてくれた未知の想いに応えるように、キリッとした表情で永遠ちゃんは、おっかないツインテール天音さんに宣言します!
 「青西の中堅は私…氷浦永遠です」
 とまあ、そんな感じでいよいよインターハイ予選開幕!で今週はおしまいでした。
 なるほど……何かやっぱり各キャラの表情が豊かでいいですなあ……しかし、物語はこののち、どう進むんすかねえ……スポコン的シリアス展開なのか、日常系のほっこり系なのか、想像がつきませんが、わたしとしてはこの可愛い娘っ子たちの青春をしばらく追いかけようと存じます。

 というわけで、結論。
 今週の『もういっぽん!』は、いよいよインターハイ予選開幕直前の、各キャラクター達の「どっきどき」な心情が描かれ、また、永遠ちゃんの決意的な、キリッとした表情が描かれました。まあ、完全にお父さん目線で読んでいるわたしとしては、怪我しないよう、魂燃やしてらっしゃい! と見守りたく存じます。しかし、やっぱり絵がとてもイイすね。大変魅力的なキャラクター達の、それぞれの表情が大変良いと思います。そして南雲ちゃんがやっぱりイチオシっすね! 以上。

 わたしは映画や小説、漫画などの「物語」というものを、ほぼ毎日味わっているわけだが、好みとして、やっぱり主人公の言動に共感し、ともに物語の世界を歩みたいわけで、主人公に共感できないと、どうしても面白いとは思えないし、読んでいてあるいは観ていて、実に苦痛である。
 これは別に、主人公には善人であってほしい、というわけではなく、悪党であっても、きちんと「だからこうする」という理由のようなものがあって、それが徹底されていればいいわけで、一番わたしが嫌悪するのは、考えの底が浅く、「なんでお前はそんなことを?」というのが全く理解できないような、うすらトンチキ、あるいは悪意の塊、のようなキャラである。そういうキャラは、ああ、コイツはさっさとくたばらねえかなあ、とか思いながら物語を見物することになるが、それが主人公がそういうトンチキだと、もはや結末もどうでもよくなってしまうというか、つまんねー話、という最終結論に至るのである。
 というわけで、わたしは今日、東宝作品『来る』を観てきたのだが……これは……我ながら面白いと思ったのか、つまらねえと思ったのか、まだよくわからないという不思議な作品であった。今現在、わたしが確信を持って言えそうなことは、役者陣の熱演は極めて上質で素晴らしかったことだけであろうと思う。脚本(=物語)、演出、これについては……どうなんだこれ……ズバリ言うと、全然怖くなかったすね。つうか、極論かもしれないけど、この映画って、ひょっとしてコメディだったのかな? そんな気さえしている。
 というわけで、以下はネタバレに触れる可能性が高いので、これから観ようと思ってる人、あるいは超最高だったぜ、と思っている人は読まずに退場してください。

 わたしがこの映画を観ようと思ったのは、この予告を観て次のことを思ったからだ。一つは、うおお、岡田くんカッコいいなあ! ということ、そしてもう一つは、久しぶりに松たか子様の強力な演技が観られそうだぞ!? という2点で、物語としては、幸せな夫婦の娘を狙う「アレ」なるものを祓う話だろう、とうすらぼんやりと見当をつけていた。
 が。ズバリ言うとわたしの予想は大筋では間違っていないものの、物語はかなり予告から想像していた展開ではなく、かなりの変化球であったと思う。物語の具体的な流れはもう説明しないが、おそらく原作小説は、まさしく湊かなえ先生の『告白』的な、1人称小説&章ごとに語り手が変わるタイプなんだと想像する。しかし、映画としてその構造がうまくいってるかは、かなり疑問だ。
 普通に考えて、1人称で語り手がチェンジする物語の面白さは、芥川の『藪の中』、あるいは黒澤明監督の『羅生門』的に、一つの共通した事象について、観る人が変わるとその内容も全然違ったものになる、という点にあると思う。さらに言えば、それぞれのキャラクターの言い分も実は全然事実と違ってた、という展開もよくあって、そこに、な、なんだってー!?という真実が明らかにされる(あるいはまさしく真相は藪の中で終わる)というのが王道だろうと思うのだが……。
 本作では、まず最初に夫がいかに満点パパだったかというなかなか気持ち悪い物語を観せられる。次に妻の視点から、夫は100点どころか0点でさえなく、マイナス100点のクソ野郎だったことが語られる。しかし観客としては、そんなこたあどう観ても分かってて、でしょうな、としか言いようがなく、妻もまた、(夫がクソ野郎だったからとはいえ)なかなか香ばしい人物だったことが提示される。そして、二人がこの世を去った後、第三者が必死で後始末をつける顛末が最後に描かれるわけだが、残念なことに、事件の核心たる「アレ」については、問題とされないのだ。「アレ」こそが核心であり、それを様々な視線から見た時の違いが、映画的に面白くなるはずだったと思うのだが……単に夫婦の裏の顔ともいうべき本性が暴露されるだけなので、はっきり言って底が浅く陳腐だ。結果として、そもそもの「アレ」が何故いつまでも娘を狙っているのかがさっぱり分からない。まあ、「アレ」の行動原理など分かりようはないので、それはそれでいいのかもしれないけれど、わたしにはどうも釈然とせず、結論として、なんだったんだ……としか思えないのであった。
 というわけで、各キャラクターと演じた役者をメモして行こう。
 ◆田原秀樹:夫。最初の語り手。たぶんそもそもの元凶。一言で言えばクソ野郎で、見事死亡する。わたしは心の底からざまあとしか思わなかった。が、コイツが死んでも「アレ」は収まらず。コイツはどうやら幼少時に一人の少女の失踪事件に関係があったようで、それがそもそもの元凶だったのだと思うが、その事件が何だったのかは結局なにも描かれず。単に、その失踪した少女に、「うそつきだからお前もそのうち狙われるよ」と言われていた過去だけが描かれる。そして大人になったコイツは、まさしくとんでもない「うそつき」野郎で、救いようのないゲス野郎に成長。結婚前も後も会社の女に手を出しまくっていたらしい。つうか、お前は結局何だったんだ? なんで「うそつき」な人間なのか、説明が欲しかった。あの実家のクソどもに育てられたからってことかな? こんなゲス野郎を、超見事に演じた妻夫木聡くんは本当に演技派だと思う。何が見事って、コイツのような外面だけよくて実はゲス野郎、っていう人間は、もうそこら中に普通にいそうなんですよね……。そのリアルさが超見事だと思います。しっかし……結婚式などでいかにも訳アリげだった会社の女は、物語において何の役も果たさなかったのは何だったんだ……。
 ◆田原香奈:妻。第2の語り手。この人は恐らく完全に被害者(だよね??)なので許してもいいかも……まあ、精神的に虐待されてたともいえそうだし、実の母もクソ女だし、気の毒だったと思うべきなんだろうな……。余裕で浮気してた(? しかも夫は知ってたっぽい。NTRを喜ぶ変態だったってこと?)ことは、利用されたってことで許してもいいか。でも、まあ、男を見る目がなかったってことですな。そんな薄幸の女子を演じたのが、若干幸薄そうな昭和顔でお馴染みの黒木華さん。これまた超見事な演じぶりで、控えめでおとなしそうな妻の顔、何もしない夫と言うことを聞かない娘にブチギレる母の顔、そして珍しくドぎついメイクで男に抱かれる女の顔、の3つを超見事に演じ分けてらっしゃいました。実際素晴らしかったと思う。初めて黒木華さんをエロいと思ったす。
 ◆津田大吾:どっかの大学の准教授。秀樹の高校時代の親友。ホントに親友なのかは相当アヤシイ。お互いがお互いを利用してただけというか、ま、薄っぺらい友情だったんでしょうな。そしてコイツも残念ながらクソ野郎で、どうやら秀樹が生きているうちから英樹の会社の女や、あまつさえ香奈にも手を出してた模様。しかも、コイツが「アレ」を呼び寄せるお札を仕掛けていた事件の張本人(?)なのだが、この伏線というか仕掛けをもっと物語に上手に盛り込めたはずなのに……ほぼ詳細は語られず。ま、最終的には見事死亡して、心底ざまあです。演じたのは青木崇高氏。優香嬢の旦那ということ以外、よく知らないす。まあ、あんな准教授はいないでしょうな。リアル感ゼロ。
 ◆野崎:第3の語り手。フリーライター。口は悪いけど、本作では一番の善人。とにかく演じた岡田准一氏がカッコイイ! ルックスのカッコ良さはもちろん、しゃべり方もカッコいいし、非常にそれっぽい。要するに演技的に一番素晴らしかったと思う。さすがはジャニーズ演技王ですよ。しかし、野崎についても、元カノと堕胎した子供に関するエピソードは、部外者たる野崎が「アレ」と対峙する重要な動機であるにもかかわらず、中途半端にしか描かれていないのは残念に思った。結果的に野崎はかなりお人よしにしか見えないことに……。
 ◆比嘉真琴:野崎の現・恋人なのか? 職業はキャバ嬢らしいが(キャバシーンは一切ナシ。普段何してるのかちゃんと描写してほしかった)、沖縄のシャーマン的な一家の出身で、霊感バリバリなパンク女子。真言を唱えていたので仏教系術者か? メイクはアレだけど相当可愛い。秀樹→津田→野崎と依頼されて、最初に「アレ」と対峙するが……。演じたのは小松奈菜ちゃん。今までの可愛らしい顔を封印した、気合の演技だったと思う。素晴らしい!
 ◆比嘉琴子:真琴の姉で、超絶パワーの持ち主として、裏では知られた人物らしい。警察さえも動かせる権力を持っている。姉は神道系術者か? 儀式は仏教系と神道系が両方タッグ?で行われていて、あの描写は非常に興味深かったです。きっとこのお姉さまは政治家とかのスピリチュアル顧問のようなことしてるんでしょうな。真琴では手に負えない「アレ」を祓うため、一人術者を派遣したのちに満を持して登場する。演じたのは松たか子様。いやあ、たか子様の演技は相変わらず完璧ですなあ……しかし、演出に問題があるのか、完全にもう、笑わせに来てるというか、極端すぎて漫画のようになってしまったのがとても残念。この演出によって、わたしは「怖さ」をまったく感じなくなったわけで、たか子様の演技が完璧だっただけに、陳腐な漫画的演出は全くの無用だったとわたしは感じた。笑わせたかったのなら、成功だけど。
 ◆逢坂セツ子:真琴では手に負えず、琴子お姉ちゃんが最初に派遣した霊能者。演じたのは柴田理恵さん。どう見ても柴田さんなんだけど、今までにこんな柴田さんは見たことのないような、強力に雰囲気バリバリな霊能者で、素晴らしく超熱演だったと思う。一切笑わない柴田さんは初めて見た。
 とまあ、こんな感じであった。最後に監督について短くまとめて終わりにしよう。
 本作の監督は、中島哲也氏だ。わたしは中島監督の作品をいくつか観ているが(全部は観てない)、まあ、特徴的な画を撮る監督としてもお馴染みだろうし、物語的にも、かなりイヤな人間が多く登場することでもお馴染みだろう。ただ、今までの作品は、クソ野郎であっても、きちんと観客として共感できる面を持つキャラクターが主人公だったと思う(大抵女性が主人公なので野郎ではないけど)。しかし、今回は……まあ、主人公が誰かというのはもう観た人が決めればいいことだし、複数いる場合だってあるので、別に主人公にこだわるつもりはないのだが……とにかく、観せられたのは、薄汚れた人間が謎の「アレ」に狙われ、まともな部外者が一生懸命助けようとする話で、どうにも共感しようがなかった、というのがわたしの抱いた感想だ。しかも「アレ」については一切説明ナシ、であった。妙な時間経過もどうも意味不明というか……その間なんで平気だったのか、どうして急にまた怪異が起き始めたのか、など、まったく触れられずである。
 これはひょっとすると、わたしが世界で最も好きな小説家であるStephen King大先生的な物語を狙っているのかもしれないし、実は原作小説はそれがうまくいっていて超面白いのかもしれない。けれど、この映画だけでは、それが見事に決まったかというと、全然そうは思えなかった。むしろ、これってコメディなの? としか思えず、かといって全く笑えず、怖くもなく、なんだかなあ……というのがわたしの結論である。ただし、何度でも言いますが、役者陣の熱演はとても素晴らしかったのは間違いない。その点では、観た甲斐はあったと思います。
 あ、あと、どうでもいいけど、エンドクレジットはアレでいいのかなあ(今回は2~3秒で全面書き換わっちゃうものだった)……わたしは結構、エンドクレジットで、なんていう役者だったんだろうか、とか真面目にチェックするのだが……あのエンドクレジットでは全く目が追いつかず、であった。わたしはエンドクレジットに関しては、興味のない人はさっさと席を立ってもOKだと思ってるけど、実は柴田理恵さんの演じた役は、柴田さんだろうと観ながらわかっていたものの、あまりにTVなどでお馴染みの柴田さんとはかけ離れていたので、クレジットで確かめたかったのだが……それに、野崎の元カノを演じた方や、秀樹の会社の女を演じた方など。確かめようもなかったのも残念。誰だったんだろうか。ああいう不親切なクレジットは、好意的にはなれないすなあ……。あれって中島監督作品はいつもそうなんだっけ?

 というわけで、もう書いておきたいことがないので結論。
 予告を観て、おっと、これは面白そうだぞ、と思って観に行った映画『来る』。確かに役者陣は素晴らしく、その演技合戦は極めてハイクオリティではあった、が、脚本と演出なのかなあ……まず第一に、全く怖くない。それは「アレ」の説明が一切ないからなのか、それとも過剰な演出が漫画的であったからなのか、各エピソードが散らかっていて中途半端だからなのか、もはやよくわからないけれど、結果として、なんかよくわからねえ、という感想を抱くに至ったのである。まあ、とにかく第1の語り手である秀樹のクソ野郎ぶりがホントに気持ち悪かったすね。そしてわたしにそう思わせた妻夫木くんの演技は、抜群だったってことでしょうな。そして初めて黒木華ちゃんをエロいと感じました。お見事だったすね。岡田くんも実にカッコ良かったし、松たか子様の余裕の演技ぶりは大変満足です。が、演出と脚本が……漫画みたい&説明不足で残念す。以上。

↓ 原作を読めってことかもな……ちょっとチェックしときますわ。

 というわけで、2回にわたって「今週の『もういっぽん!』」なる記事を書いてみましたが、今週号はわたしが気になっているキャラクター、南雲ちゃんが出てこなかったのでお休みにしよう、と思い、今日は書くことねーや、と思っていたところ、さきほど、コイツが秋田書店から届いたので、写真だけ載せておこうと思うに至りました。見て下さい! ジャジャーーン!!
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 いや、今自分で書いといて「ジャジャーン!!」はねえだろ、とか思いましたが、そんなことはどうでもいいとして、来ましたよ! 『鮫島』最終巻の帯に告知されていた、『空流Tシャツ』であります! 白と黒の両方買ったりました! サイズはSにしてみましたが、さっき試着してみたところ、まあ丁度良し、でありました。わたしは身長172cm体重55㎏なんすけど、Tシャツはやっぱチョイ小さめの方が絶対カッコイイと思うわけで、成人男としては若干ほそ目なわたしにはSで十分でありました。デカいTシャツってすげえカッコ悪いと思うんすよね。ピツピツもダサいけど。
 しかしまあ、季節は冬まっしぐらであり、今、このTシャツをゲットしても実際困っちゃうわけですが、半年後ぐらいすかね、春から夏にかけて、マジでわたしはコイツを普通に着て、街を闊歩しようと存じます。前から見たら分からんだろうし、背中の「空流」も、分かる人に分かれば十分だし、分からん人に「何だアレ?」と思われても全然どうでもいいし。コイツを着て国技館へ相撲見物に行きてえなあ!

 というわけで、結論。
 発注から2カ月で届いた『空流Tシャツ』。なんか嬉しいす。わーい! 以上。

↓ しかし今年の九州場所は……わたしの愛する松鳳山関は勝ち越しどころか10勝まで星を伸ばせたのは超嬉しかったとしても……上位がアレだと、やっぱりなんか、アレっすね……


 うーーん……。
 『機動戦士ガンダム』と言えば、既に日本のオタクカルチャーの枠を超える、もはや一大産業として大きな金の動くコンテンツなわけだが、40代後半のわたしの世代は、まさしく一番最初のテレビ放送を観て、最初の劇場版三部作を劇場で観て、そして最初のガンプラブームにドはまりしてせっせとガンプラを作っていた世代であるため、それなりに思い入れはある。とりわけ「宇宙世紀」モノとなれば、やっぱり興味はあるわけで、2010年から4年がかりで劇場公開された『機動戦士ガンダム ユニコーン』は、劇場へ観に行ったし、先立つ原作小説もきちんと読んで、これは面白い!と大興奮した作品である。
 で、その後、安彦良和監督による『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』も、当然連載時から原作漫画を読んでいたし、今年の5月に完結(?)した劇場アニメもせっせと劇場へ観に行ってきたことは、このBlogでも散々書いた通りだ。
 そして今年、『THE ORIGIN』のアニメ最終話の公開に合わせて、新作として再び『機動戦士ガンダム』の映画がつくられることが発表されたわけだが、その内容がだんだん公開されていくにつれて、わたしは「これは一体どういうこと?」と首をひねることになったのである。
 まず第一に、わたしは最初、小説版のユニコーンの外伝というかスピンオフである『不死鳥狩り』を映像化するのかな? と勘違いしたのだが、そうではなく、どうやら物語は、『ユニコーン』の後のお話らしい、という事を知って首を傾げたのである。ズバリ言うと、わたしは、えっ、だって、めでたしめでたしで終わったのに、まーた戦争おっぱじめるわけ? と素朴に思ったのである。じゃあバナージやミネバの戦いは何だったのよ? と、詳細はまだ謎であったけれど、盛大に疑問を抱いたわけだ。
 そして第二に思ったのは、ある種の「やっぱりね……」という矛盾した思いだ。確かに『ユニコーン』で事件は終結し、めでたしめでたしではあった、が、その解決方法というか、『ユニコーン』最大の謎であった「ラプラスの箱」の秘密が、正直物足りなかったのである。あの秘密が暴露されることだけで、人類が手に手を取り合って平和が訪れるとは、到底思えなかったのだ。争いの火種は消えるどころか、むしろ油を注ぐことになるんじゃね? という気すらしたし。
 というわけで、わたしとしてはいろいろ謎に思いながら、今日は公開された『機動戦士ガンダムNT<ナラティブ>』を観に行ってきたのだが、冒頭に記した「うーーん……」というのは、観終わったわたしの偽らざる感想である。以下に、「うーーん……」と思ってしまった要因をまとめてみようと思うが、まずは予告を貼っておくとしよう。そして以下、ネタバレに触れる可能性が高いので、気になる人は今すぐ退場してください。また、かなりのネガティブ感想になってしまうので、「最高だぜ!」と思った方はホントに読まないでください。そのお気持ちを害するのは本意ではないし、単なるおっさん視点の戯言ですので。

 なんつうか、この予告ではさっぱり物語の想像がつかなかったけど、すごい暴論で言ってしまうと、物語は『不死鳥狩り』の続き、というか別アレンジ? というような話だったと思う。つまり、謎のガンダムユニコーン3号機、通称「フェネクス」のお話であった。
 もう詳しく説明しないけど、まあ、そのフェネクスをめぐる話は、それはそれでいいのだが……わたしとしては、キャラクターや設定、それから作画のクオリティなど、いろいろな点で「うーーむ……」としか言いようがないのである。まずはちょっと簡単なことからメモしていきたい。
 ◆キャラクターデザインと作画のクオリティが、相当「うーーん……」
 これはもう観た人なら誰しも思うのではなかろうか? そもそも冒頭に書いた通り、わたしのようなおっさん世代からすると、安彦先生のキャラデザでない時点で、なんかなあ……である。やっぱり、様々な点で変だ。本作には、『ユニコーン』のキャラもチラホラ登場するのだが、絵が違う! と真っ先に思った。マーサなんてもう完全別人じゃん……とか思ったし、本作の主人公キャラも、非常に「ガンダム」としては見慣れない、イマドキなアニメキャラになっちゃっていて、大変残念に思った。しかし、それらキャラクターデザインの問題は、わたしが第1世代のおっさんだからであって、そうでない若者にはウケるのかもしれないから、まあ、実際ただの言いがかりであろうと思う。でも、あの作画のクオリティはマズいと思うのだが……あまりにアレな絵が多くて……悲しくなっちゃったす。これはもうキャラもモビルスーツも、わたしとしては受け入れられないレベルであった。『ユニコーン』や『THE ORIGIN』は全カット100%完璧なハイクオリティだったのにね……。絵がアレなのは、相当致命的なのではなかろうか。
 ◆キャラクター/物語/設定面でも「うーーん……」
 1)サイコフレームって……なんなんすか?
 そもそもサイコフレーム自体は、これまでに何度も登場してきているし、その詳細なテクノロジー的裏付けはかなりふわっとしていたけれど、あくまでその「ふわっと」している設定だからこそ受け入れられていたのだと思う。たとえば、サイコミュ兵器なんかも、「脳波(?)でモノを動かす」という絶妙にあり得そうなふわっと加減であるからこそ、それが本当に可能かどうかは知らないしどうでもいいけれど、「そういうもんだ」で済んでいたのではなかろうか。
 しかし……死後の魂の器とか、時間を超えるとか、そりゃもう、やりすぎではなかろうか……。これはもう「ふわっと」レベルを超えてしまっていて、それはもうSFじゃなくてファンタジーの領域だと思う。フェネクスのコクピットが実は無人だったというのは、これはないだろ、とわたしはついて行けなかった。
 これらのことは『不死鳥狩り』でも示されていたように記憶しているし、そりゃあ、きっと今までの作品を何度も何度も観て読んで研究すると、そういう結論になるのかもしれない。その点は否定できないし、あり得る解釈だとは思う。けれど、そうであるなら、今回のような短い話で説明不足のまま提示するのは若干乱暴なのではなかろうか。ゆえにわたしは、その唐突さに「うーーん……」と思ってしまったのである。
 2)後ろ向きすぎるお話とキャラクターたち
 ズバリわたしが感じたのは、とにかく過去のフラッシュバック的回想シーンが多くて、話が後ろ向きすぎるという点だ。ほとんどのキャラクターが、過去に対しての復讐あるいは清算を求めて行動しているように見えたのだが……せっかく『ユニコーン』をめぐる話が美しく終わったのに、なんで今更、またもコロニー落としがもたらした悲劇の清算を話の中心に描こうと思ったのだろうか……。おまけに「Z」や「ZZ」での強化人間の悲劇まで持ってこられても、もう、前向きな話になりようがないのに。せっかくマリーダさんが見事に美しく、過去を克服(?)してくれたのにね……。マリーダさんには本当に泣かされたんだけどなあ……。
 もちろん、それらの悲劇を終わったこととして無視すればいい、と言っているわけでは全然ない。でも、そういった悲劇を乗り越えるものとして、魂のエネルギーとか、オカルトめいたものを持ち出されても……「うーーん……」としか思えないのである。あくまで今を生きている人間が、未来に向けて解決すべき問題だとわたしは思う。
 3)ニュータイプとはなんなのか……
 ズバリ言って、「ニュータイプとはなんなのか」を真面目に(というか生物学的・生理学的に)考える必要はないのでは……と思う。「ガンダム」の世界において、「ニュータイプ」という要素は、そりゃあもう、絶対に不可欠な、大切なものだと思う。けれど、それを妙に真面目に解釈しても意味がないのではなかろうか? 作中では「たった100年で人類という種が進化するわけがない」って言ってたよね? つまり「ニュータイプ」という概念も、サイコフレーム同様に「ふわっと」していて「そういうもんだ」で十分だと思うのです。作中でも、ネオ・ジオングの機能について「ブラックボックス化していて謎」であり「原理は分からないけど動く」から使うって言ってたじゃないですか。それでいいと思うんだけどなあ……。。。そこにオカルトじみたものを持ち出されても、萎えるというかガッカリというか……とにかく「うーーん……」という感想しか持ち得なかったのであります。

 とまあ、それほど熱心な『ガンダムオタク』でないわたしにとっては、本作『ナラティブ』は相当「うーーん……」であり、なんか、ガッカリであった。アレかな、もう一度『不死鳥狩り』をよく読んでおけばよかったのだろうか? 『ユニコーン』や『THE ORIGIN』は劇場でBlu-ray買って来たけれど、今回は売ってなかったのかな。仮に売ってても、買わなかったすね。今回はいらねえす。超邪推すると、あまりに作画がアレだったので、Bru-rayは絵を直してからなんじゃねえの? みたいなひどいことも思ったす。事実は知りませんが。
 この作品で、わたしが唯一、ここは良かった! と思う点は、バナージやミネバ、そしてジンネマン艦長がきちんと健在で、ほんのちょっとだけど、何気に活躍してくれたことだけっす。でも絵がなあ……アカンすわ……。

 というわけで、もうメモしておきたいことがないので結論。
 『ガンダム』と聞くと、どうしても気になってしまう第1世代のおっさんとしては、劇場最新作『機動戦士ガンダムNT<ナラティブ>』も、当然、観に行こうかな、と思ってしまうわけで、その心の衝動に従って劇場に観に行ってきたわけだが……実に「うーーん……」としか言えない微妙な作品であった。つうか、タイトルの「ナラティブ(恐らくnarrative)」って、どういう意味で付けたのか、それすらわたしにはよくわからなかった。単に、「NT」という略称からガンダム好きが連想する「New Type」に合わせただけ? それとも、主人公機が「やせっぽち」だからNarrowにかけたのかな? わからん……。とにかく、作画のクオリティもかなりアレで、大変残念に思います。以上。

↓ 次の劇場映画となるこちらは、もう20年以上昔に読んだだけなので、ちゃんと予習していこうと思います。



 というわけで、今年2018年最後(?)の宝塚歌劇を鑑賞してきた。ひょっとしたらライブビューイングで『タカスペ』が観られるかもしれない、けどまだ当選するか不明、なので「?」なわけだが、ちなみに『タカスペ』とは、毎年12月のクリスマス前に梅田芸術劇場にて各組のTOPスターが集結して上演される「スペシャル」な舞台のことである。
 で、『タカスペ』には、当然東京で公演中の組は参加が難しいわけで、花・月・雪・星・宙の5組の中で、東京公演組だけが欠席となるわけだが、現在、日比谷の東京宝塚劇場で公演中=今年のタカスペ欠席組は宙組である。
 というわけで、日比谷で絶賛上演中の宙組公演『白鷺の城/異人たちのルネサンス ―ダ・ヴィンチが描いた記憶―』は、珍しく、和物のショーが先にあり、幕間の休憩をはさんで後半がミュージカルのお芝居ということで、非常に絢爛な舞台であった。

 さて。まずは前半の『白鷺の城』である。いわゆる「ショー」というものは、大枠としての物語はあるにしても、芝居のようなセリフは普通はなくて、歌と踊りで構成されるのだが、今回は明確なセリフもある、ある意味芝居仕立てとなっている点でもちょっと珍しいものだった。
 ただ、わたしとしては若干アレだったかな、と感じたのは、全体の尺も45分と短いこともあって、かなり展開が早く、ギュッと駆け足展開だったと言えばいいのかな……あれよあれよと進んでいって、物語は追えるものの、なんかイマイチグッとくるものがなかったように感じた。
 しかしそれでも、やっぱり舞台はとても美しく絢爛で、そういう意味での見どころは十分あったと思う。松本先生の舞も、お年がお年だけに何か観ていてドキドキするけど、やっぱり所作の美しさ、扇の使い方の滑らかさ?は別格でしたな。
 で。後半はミュージカル・プレイ『異人たちのルネサンス』である。こちらは……つまらなかったとは言わないけれど……こちらも、それほど心にグッとくる物語ではなかったようにわたしには思われた。つうか、なんでまた今、ダ・ヴィンチなんだろうか? ダ・ヴィンチを主人公としたところからして、わたしにはよくわからないのだが、現代に通じる何か、我々現代人が観て何かハッとするようなもの、も特に感じなかったのは残念、かも、である。まあ、強いて言えば、自由、そして愛、なんすかね……。
 いずれにしても、物語の筋は比較的一直線で単純なのに、ちょっとキャラが多すぎて、すこし人間関係が複雑になってしまって、物語の進行の妨げになってしまっているようにも思われた。というわけで、各キャラと演じたジェンヌをサラッと紹介しておこう。
 ◆レオナルド・ダ・ヴィンチ:ご存知ルネサンスの天才。幼馴染のカテリーナへの愛を胸に、創作を続ける芸術家であり科学者。本作は若き日の頃のお話なので、剣を取ってチャンバラしたりもする。ポイントとしては、芸術家と同時に「職人」でもあることで、それはつまり依頼があって初めて作品を創る(=金・生活のための仕事)ため、そこには依頼人=パトロンがどうしても必要になる。要するにある意味での「籠の鳥」であり、パトロンに飼われているともいえるわけだが、そこにジレンマがあり、さらには幼馴染への愛を利用され……という展開。演じたのはもちろん宙組TOPスター真風涼帆さん(以下:ゆりか)。大変なイケメンですが、さっきWikiをみて初めて知ったけど、ダ・ヴィンチ自身も「容貌に優れ美男子であった」そうですな。そうなんだ。もう完全おじいちゃん的肖像のダ・ヴィンチしか知らなかったので驚いたっす。イケメンだったとは……。まあ、そういう意味ではゆりかさんにはお似合いの役であったかもしれないけれど、わたしとしては今後、ゆりかさんにはコメディに挑戦してほしいと思うす。意外とイケるのではないかしら。
 ◆ロレンツォ・デ・メディチ:かの有名なメディチ家最盛期の当主。ルネサンス期の芸術へのパトロンとしてもおなじみ。本作では意外と政治的野心の持ち主として描かれていたが、基本イイ人(?)。なお、本作ではいわゆる「パッツィ家の陰謀」を微妙にアレンジしていて、史実では戦争に発展する大事件だけど、本作では、チャンバラにて決着、と比較的あっさり事件は片付いちゃったす。そして演じたのは、わたしがずっと応援している芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)。いやあ、なんか一番カッコ良かったですなあ! つうかキキちゃんの宙組異動はキキちゃんにとって大正解だったのでしょうな。宙組に移ってからの活躍が目覚ましく、また一段と成長したように思うすね。フィナーレでの赤×金色の燕尾がウルトラカッコ良かった! キキちゃんだけ裏地がGOLD! わたし的にはナンバーワンにカッコ良かったと存じます! キキちゃんは、ちょっとスカした、キザなカッコつけ野郎が最強に上手っすね。
 ◆カテリーナ:ダ・ヴィンチの幼馴染であり陰謀に利用される悲劇の女子。でも、うーーーん……なんかいろんなキャラに愛され、利用され、と物語的に翻弄され過ぎてしまって、肝心なダ・ヴィンチへの愛がわたし的には若干ピンと来なかったような印象す。まさか「モナ・リザ」のモデルだったとは……。演じたのはもちろん宙組TOP娘役の星風まどかちゃん。次の『オーシャンズ』でどんなヒロイン・テスを演じてくれるか楽しみですな。
 ◆フランチェスコ・デ・パッツィ:メディチ家のライバル一族で、パッツィ銀行ローマ支店長だそうです。本作での悪者。正確に言うと本作では悪者に利用される悪者、というべきかな。演じたのはゆりかさんと同期の凛城きらさん。あまり目立つ役ではないけど、やっぱり宝塚歌劇にはきらさんのようなベテランが絶対必要だし、重要ですよ……。
 ◆グイド司教:本作の悪役の大元。野心あふれる司教。史実にある人なのか創作のキャラなのかわからんな……。演じたのは、本作をもって(間違えた。次の博多座公演が宙組ラストか) 宙組を離れ専科へ異動することになった愛月ひかるさん(以下:あいちゃん)。あいちゃんは芝居の人、と言っていいのかな。悪役をやらせたらとても上手なわけですが、専科へ行っても活躍を期待します。同じ市川市民としては応援したいすね。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「そんなおびえた顔をするな……。わたしはただ、お前を傷つけたくないだけだ。」
 今回は、キキちゃん扮するロレンツォがヒロインに向かってささやく、このスカしたセリフを選びました。カッコ良かったですなあ! キキちゃん、ホント宙組に来て正解だったね。やっぱり組替えは、ファンからするとマジかよ、と思うけど、その一方で得るものも大きいような気がしますね。メイクがとてもよくなったような気がするんすけど、気のせいでしょうか?

 というわけで、結論。
 東京の今年ラストを飾る宙組公演が始まり、ま、まさに年末も近いわけですが、東京宝塚劇場のエントランスには、華やかなクリスマスツリーと、LED電飾による「天使の翼」が展示されておりました。その翼の意味は、本作『異人たちの描いたルネサンス』を観ると、よくわかると思います。それにしてもキキちゃんがグイグイよくなっててうれしいす。おっと、その「天使の羽」の写真はこれっす!(2枚目なのでスワイプしてください)
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. 楽しみにしてた宙組観劇✨✨✨ ほんと、宝塚は美しい。 素晴らしかったです☺︎☺︎☺︎ それぞれの個性が輝いてて、退団者のみんなもキラキラしてました😭 . みんなにパワーもらったから、明日からお稽古ラストスパート、頑張れる💃🕺 . 観劇の友は、#実咲凜音 さん 久々にお茶もして、近況報告しました笑. #welina をあげたら、各ページに感想言ってくれておもろかったです。笑笑. . #宙組最高!! #ゆりかのウィンク #ときめくわー💕 #そらのウィンク #おもろいわー笑 #うそうそ #みんなからの目線が嬉しすぎました🤩 #ありがとう😍

朝夏まなと officialさん(@asaka_manato_official)がシェアした投稿 -


 これは宙組の前・TOPスターコンビの朝夏まなとさん&実咲凛音さんのツーショットですな。翼の写真は2枚目にあります。こうしてOGはちゃんと公演を観に来てくれるわけで、現役生もうれしいでしょうな。そしてまぁ様はもはやすっかり女子に戻って、実に可愛いらしく、大変結構なお点前かと存じます。以上。

↓ わたしなら、絶対こっちを上演演目にしてたと思う。わたしが読んだドイツ戯曲の中でTOPレベルに面白い。物語にとても現代性があるし、ガリレオの頭脳バトルが素晴らしい! ぜひズカで2幕物として上演してほしい!!




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