2018年09月

 いやーーー最高に面白かったすねえ!!
 というわけで、時間がかかってしまったけれど、やっと読み終わりました。なんのことかって? そんなのコイツのことに決まってるでしょう!! わたしが世界で最も愛する小説家、Stephen King大先生の、日本語で読める最新作、『END OF WATCH』のことであります!! ちょっともう一度、わたしが撮影した書影を貼っとくか。これっす!
endofwatch
 もう既にこのBlogで何度も書いていることだが、本作はKing大先生初のミステリー「退職刑事ビル・ホッジス三部作」の3作目であり、堂々の完結編だ。そしてお話は、前作『FINDERS,KEEPERS』のラストで示されたというか、予感させた通り、なんと! シリーズ第1作の『Mr. MERCEDES』でブッ飛ばしてやった犯人であるあのクソ野郎が大復活し、またもや邪悪な行為を開始するというものだ。そのメインプロットはもう最初から分かっていたけれど、かなり予想を超えた展開で、もうホントにハラハラドキドキが止まらない最高の物語でした。
 つうかですね、今回のラストは泣けたっすねえ……そしてタイトルの意味が最後に明確になるところでは、わたし、ホントに眼に涙がこみ上げてきちゃったすわ……。
 さてと。
 ところで、King大先生のファンならばもうお馴染みだと思うが、わたしはKing大先生の作品を、以下のような感じに分類できると思っている。それは、2つの軸によって4つに分けられるとわたしは考えているのだが、その2つの軸とは、「黒キング or 白キング」という軸と、「SUPER NATURAL要素アリ or ナシ」という軸だ。
 図にすると、要するにこういうことである。 
SUPER NATURAL
な存在・現象・能力
アリ
SUPER NATURAL
な存在・現象・能力
ナシ
黒キング作品
どす黒い「邪悪」
との対決物語
【A象限】
UNDER THE DOME
IT、THE STAND
DR.SLEEP など多数
【B象限】
MISERY
Mr. MERCEDES
FINDERS,KEEPRESなど
白キング作品
読後感爽やかな
感動物語
【C象限】
11/22/63
GREEN MILE など
【D象限】
THE GIRL WHO LOVED TOM GORDON、
JOY LAND
など
 まあ、上記の分類には、異論を抱く方もおられるだろう。実のところわたしも、この作品はここでいいのかな、とか、若干迷いながら書いたし。『JOY LAND』なんかは実際には【C象限】に含めるべきかもね……など、明確には分類できないとも思う。しかしわたしがなぜこんな分類をしてみたのかというと、明確な理由がある。それは、この「ホッジス三部作」は、1作目の『Mr. MERCEDES』2作目の『FINDERS, KEEPERS』の作ともにSUPER NATURAL要素ナシの【B象限】に属していたのに対し、第3作である本作『END OF WATCH』では、ついに! SUPER NATURAL要素が極めて重要な要素として混入してきたのである! しかも、敵は、まさしくウッドチャックのケツの穴並みに真っ黒な、邪悪の化身であるので、これはもう、明確に「黒キング」作品なのだが、前述のように、泣けちゃったほどの感動物語で、わたしとしては「白キング」作品にも入れたい、と思えてしまうのだ。こういう、SUPER NATURAL要素アリで、邪悪との対決を描き、ラストは感動で泣ける、という作品は、わたしとしては『THE DEAD ZONE』以来のように思えてしまい、そこにわたしは大変興奮しているのであります。いやあ、ホンットに面白かったす!!
 どうしようかな、物語を簡単にまとめておこうかな……まあ、物語は、シリーズを読んできた方ならば、既に上の方に書いた「あのメルセデス・キラーが大復活! そして再び邪悪な計画が実行に移される!」というだけで十分かもしれないな……。これまた上にも書いたことだが、第2作のラストで、その予告というか予感はさせていたのは、誰しも記憶していることだろう。前作ラストで、事件が終結し、主人公ホッジスがアイツの病室を訪ねた時の描写で、どうやらあのクソ野郎に謎の超能力が発現した……のかも!? 的エンディングは衝撃であった。
 そしてその予感は、本作で現実のものとなってしまったのです。第1作でホリーに頭をブッ叩かれ、脳に深刻なダメージを負って病院送りとなったメルセデス・キラーことブレイディが、なぜそんな謎能力に目覚めたのか。それは本作では明確? には語られない。脳がシェイクされて再組成された結果かもしれないし、バカな医者のバビノーによる新薬実験の結果かもしれない。しかし、原因よりも、あの邪悪なブレイディが念動力めいたパワーを得てしまったという結果がマズいわけで、もうこれはヤバいこと請け合いである。さらに、ちょっとしたものを動かせるだけでなく、他人の脳みそに入り込んで、「人間リモコン」として自由に動かせるようになっちゃうのだから、さあ大変だ! しかも、我らが主人公ホッジスは、もうかなり冒頭でガンに蝕まれていることも判明する。もう70歳直前という年齢のお爺ちゃんだし、ガンの痛みもあって、動きもままならない。果たしてそんな状態のホッジスは、「自殺の設計者」ブレイディを阻止できるのか―――!? というハラハラドキドキのストーリーであります。サーセン、ダメだ、ネタバレなしには書けないので、気にする方はここらで退場してください。
 というわけで、以下、キャラ別に思ったことを羅列していきたい。
 ◆ビル・カーミット・ホッジス:シリーズの主人公。元刑事。1作目の『Mr. MERCEDES』の最初の事件が起きた時は2009年で(物語自体は2010年ごろ?)、2作目の『KEEPRES,FINDERS』が2014年だったかな(※2作目では登場シーンも少なくそれほど活躍しない)。そして今回の『END OF WATCH』が2016年のお話である。まあ、ホッジスは退職後、燃え尽き症候群的な精神的どん底にあったところで、メルセデス・キラーから自殺を誘惑するような手紙がきて、再び闘志を燃やして生きる道を見つけたわけだから、ある意味、第1作目の事件が起きたことに救われたともいえるような気がする。
 今回は、既に69歳、体の異変が起きていて(そもそも第1作ラストでは肝心な時に心臓発作でブッ倒れていた。以後、ペースメーカー着用)、もうかなり序盤で、今回の事件をもってホッジスは天に召されるのだろう、というのは誰しも感じたことだろう。そしてその最後の命の炎も、メルセデス・キラーの再登場によって燃え上がったわけで、その最終的な決着には、まさしくタイトル通り、「END OF WATCH=任務終了」という言葉がふさわしいと思う。ラスト、ホッジスの墓標にそのEND OF WATCHという言葉が刻まれているシーンには泣けたっすなあ……見事な、まさしく、大団円、であったと思う。おそらく、本作は明確にドス黒い邪悪との対決が描かれている「黒キング」作品なのに、それでもこれはやっぱり「白キング」作品に入れたい、とわたしが感じるのは、このホッジスを中心とした「善」の側のキャラクターたちがとても生き生きしていて、そんな彼らが多くの困難ののちに明確に勝利し、爽快な読後感をもたらしているためではないかと思う。
 ◆ホリー・ギブニー:そして、その「白キング」感を一層高めるのに貢献しているのが、ホリーの存在だ。ホリーは第1作目で、ホッジスがイイ仲になる女性の姪で、40代なのだが、精神的に不安定で問題のある女性だ。そんな、超人見知りで、常にビクビクオドオドしていたホリーが、シリーズを追うごとに成長していき、どんどん魅力的になっていくのが読んでいてとてもうれしいんすよね。
 今回もホリーはホントに成長しましたなあ……そして得意技のPCスキルでもちゃんと活躍してくれるし、ホッジス亡き後の「ファインダーズ・キーーパーズ探偵事務所」は任せたぜ。ラストのジェロームとの会話は、ホント、グッと来たっすわ……。
 ◆ジェローム・ロビンスン:第1作の時点では高校生、そして第2作目でハーヴァードに進学した頭が良くて性格もイイ、完璧イケメンの黒人青年。ホリーが成長できたのはホッジスと君のおかげだよ。今回、ジェロームはハーヴァードを休学して、NGO活動をして遠くに離れていたのだが、妹のバーバラが狙われたこと、そしてホリーからホッジスのガンのことを聞いて急遽実家へ戻ってくる。なので出番は後半から。そしてラストでは、当然ここでジェロームの出番だろ、というタイミングで登場して、ホッジスとホリーを助けてくれるナイスガイ。まあ、君はモテるだろうけど、ホリーのことも見守ってやってくれよ……。とにかく、ホッジス&ホリー&ジェロームの三人組は、King大先生の作品史上、とても心に残る「善」のチームでした。ああ、もうこれから新作が出ないなんてホント残念す……。
 ◆ブレイディ・ハーツフィールド:悪名高き「メルセデス・キラー」。第1作のラストで、コンサート会場を爆破しようとした1秒前に、ホリーにボールベアリングを詰めた靴下(ホッジス愛用の武器「ハッピースラッパー」)で思いっきり頭をぶん殴られ、あえなく逮捕、そして昏睡状態のまま病院に拘留された。恐ろしく邪悪で、ドス黒い精神がねじ曲がったクソ野郎で、その後、第2作目では目を覚ましたことが描かれるけれど、完全に脳が破壊されて自力では動けない、言葉もしゃべれない、単に目を開けているだけの廃人、だったはずだが……前作ラストで、なにやら念動力めいた謎パワーを授かっていることが描かれ、我々読者としては、な、なんだってーー!? と大興奮したわけだ。
 今回、フレイディは「他人の脳みそに侵入して自由に動かす」謎能力で、またもや多くの人を自殺に追い込み、大量殺人を実行するのだが、第1作では、たとえばジェロームの家の愛犬をぶっ殺そうと、毒入りハンバーグを準備したのに、それをブレイディが唯一愛するお母さんが夕食に食べちゃって死ぬとか、意外とバカな男だったのに、今回のコイツの計画は、かなり手が込んでいて(何しろ計画を立てる時間だけは存分にあった!)、しかも、おそらくは科学的に立証するのが非常に難しため、こりゃあ、コイツが何かミスをしないと、ホッジス達に勝ち目はないのでは? と相当ドキドキ感は高かったと思う。実際、ブレイディの犯したミスは、フレディの死を確認しなかったことだけだろうし。まあ、最終的に、やっとコイツとの決着がついて、ホントスッキリしたよ。あばよ、悪党!ですな。
 ◆フェリックス・バビノー:ブレイディの謎パワーで精神を乗っ取られ、その肉体は主犯の実行犯「ドクターZ」として操られることになる医者。元々、ブレイディを被検体として新薬実験とかをしていた医師で、まあ、あまり褒められたところのない金持ちで嫌味なおっさん。なんとなく、ハンニバル・レクター博士を利用しようとしていたドクター・チルトンに似てますね。なので、大変気の毒なことになるけど、あまり同情する気になれないす。実際、嫌な人でした。
 ◆アル・ブルックス:「図書館アル」と呼ばれ、病院内で入院患者に本を配ったり雑用をこなしていた老人。彼は何の落ち度もなかったのに、ブレイディにちょっと優しく接していた?がために、精神を乗っ取られ、実行犯の一人「Zボーイ」に変身、そして散々な目に。彼はかわいそうな方でした。その最後も実に気の毒……。
 ◆フレディ・リンクラッター:名前からはイメージしにくいけど女性です。おまけにフレディとブレイディが名前が似ていて紛らわしい! 本人曰く「レズでタチ」ですが。彼女は第1作に出てきた、ブレイディの元同僚でPCオタク。今回、精神を操られながらも金目当てにブレイディの悪事に協力してしまう。その手口が凄くて、「ザビット」という倒産した会社が作っていた携帯ゲーム機を利用して、使用者の深層心理に働きかけ、精神をのっとり、自殺を促すという極めて邪悪なやり口。それを拡散する手伝いをすることに。そして最終的にはドクターZに撃たれるのだが、辛くも命は助かり、ホッジス達に情報提供することに。まあ、この人は操られていたとはいえ、善人ではないですな。
 ◆ピート&イザベラ:ピートは刑事時代のホッジスの相棒で、まだ現役だけど退職間近。そしてイザベラはピートの現相棒の女性だが、コイツがバカなんすよね……。この女刑事が有能なら、もう少し被害は少なかったのにね……。
 とまあ、主なキャラクターは以上かな。
 しかし、それにしてもKing大先生の旺盛な執筆欲旺盛な姿勢は、本当にすごいと思う。現在御年71歳。もうホッジスの年齢を超えるおじいちゃんなわけで、これだけの年齢&大ベストセラー作家という世間的名声があるにもかかわらず、執筆ペースは全く衰える様子もない。ホント、年に1冊以上ペースだもんなあ……これは、日本の作家にはまず見られないものだ。大御所になると、もう作品じゃなくて講演やらなにやらにかかりきりで、作家であることの証明=作品を発表すること、が完全に二の次になってしまう方が多い。そんな中でも、例えば日本で言うと、佐伯泰英先生のように、年に数冊ペースで新刊を発表してくれている立派な方ももちろん存在はしているけれど、基本的にシリーズもので、ゼロからの創作ではない場合が多い。しかしKing大先生は、この「ホッジス三部作」が例外的にシリーズものなだけで、基本的には1冊完結なので、ちょっと比べられないだろう。しかもそのページ数というかボリュームもMAXレベルだし。そしてその著作は次々と映像化され続けているし。この「ホッジス三部作」も、現在『Mr. MERCEDES』はTVドラマとして製作され続けてるし。ほんと、King大先生は偉大ですよ。King大先生とその作品はマジ最高っすわ!

 というわけで、結論。
 わたしが世界で最も好きな小説家、Stephen King大先生の日本語で読める最新作『END OF WATCH』が発売になったのですぐさま買い、むさぼるように読んだ。結果、超ハラハラの展開でページをめくる手が止まらず、おまけにラストはとても感動的で、わたしはうっかり涙を流しそうになったほどだ。どす黒い「邪悪」と敢然と立ち向かい、数々の困難を経ての完全勝利には、とても爽快で気持ちのイイ読後感が得られると思う。コイツは最高に面白かったすね。見事なシリーズ大団円だったと思います。ま、要するにですね、いやあ、Stephen King大先生は最高だぜ! ってことですな。以上。

↓ わたしは観てません。どうも、役者が読んでいた時のイメージと違い過ぎるし、そもそもホリーの設定が全然違うっぽいので。
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ブレンダン・グリーソン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2018-10-03

 北翔海莉という人は、明らかに努力の人である。
 おそらく、世間的にはそれほど知名度のあるお方だとは思わないが、こと宝塚歌劇を愛する人ならば、その名を知らない人はいるまい。1996年に宝塚音楽学校へ入学して、第84期生として1998年に宝塚歌劇団へ入団後、常に前へ前へと努力を重ね、入団した時配属された月組から2006年には宙組へ異動、そして2012年には専科所属となって、からの、2015年には星組TOPスターに就任し、わずか3公演、1年半という短い期間のTOP生活を2016年に終えた、ある意味で伝説クラスのお方だ。
 わたしは2010年から宝塚歌劇を観に行くようになったのだが、恥ずかしながら宙組時代の北翔さん(以下:みちこ/みっちゃん)を生で観ておらず、わたしがみっちゃんの技量を初めて生で体験したのは2014年、宝塚100周年の時の星組公演『ナポレオン』(専科所属として出演)であった。わたしは星組を一番応援しているので、2015年当時、「それほどよく知らない」みっちゃんが、星組のTOPに就任することになった時には、ええっ!? なんで紅子先輩(紅ゆずるさん)じゃねえんだよ!とかヒドイことを思ったものである。しかし、当時、わたしのヅカ師匠に「あなたは分かってないわね! みっちゃんは、歌・芝居・ダンスの三拍子全てがそろった、とてもレベルの高い素晴らしいお方よ! 大体あなた、去年のフランツが凄い良かったって、自分で言ってたでしょう!? あのお方よ!」と激しい調子で怒られ、あ、なんてこった、あのお方か!? と我ながら恥ずかしい思いをしたものだ。
 以来、わたしはみっちゃんのすばらしさに目覚め、その芸の見事さに深く感動し、そしてまるで菩薩めいた懐深い慈愛をもって星組を見事にまとめている姿を観て、コロッと、「みっちゃんは最高だぜ!」と大ファンになったのである。とにかく、何もかもが、巧い。歌は最高レベル、芝居も素晴らしく、ダンスのキレもピカイチで、まさしく完全無敵、ただしい意味での「芸能人」であり、まさしく「芸能」の人であることをわたしは深く認識したのであった。
 というわけで、今年2018年は、みっちゃんが宝塚歌劇団へ入団して20年、すなわち芸能生活20周年のアニバーサリーイヤーである。それを記念して、みっちゃんワンマンショーが開催されることとなった。タイトルは『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』。今なお自らを「挑戦者」と呼ぶみっちゃん。もうその考え方自体が尊敬に値すると思いませんか。しかも会場は故郷である宝塚のバウホールに凱旋!! である。これはもう、わたしとしては絶対に観に行って、みっちゃんを応援したいぜ! と思うに十分すぎるほどの公演だ。しかし、チケットはまるで取れず、こりゃダメか……と思っていたところ、みっちゃんファンクラブに入っているわたしのヅカ友の美しいお姉さまが、ファンクラブ手配でチケットを何とかしてくれるというので、わたしはそのみっちゃんのチケットに合わせて、現在大劇場で公演中の『エリザベート』も一緒に見に行けたら、こりゃあもう最高の一日になるじゃねえかということにハタと気づき、チケット争奪戦も辛くも勝ち抜き、11時から大劇場で『エリザ』を、そして16時からバウで『北翔テイメント』を観る、という奇跡的幸運に恵まれたのである。
 結論から言うと、まあ控えめに言って最高でしたね。みっちゃんは相変わらず最高のエンターティナーであり、その技量はマジで感動クラスであった。でも一つだけ言うなら、やっぱり日帰りするこたあなかったな。はっきり言って疲れたっすわ……素直に1泊してくりゃ良かった……。アホっすわ。
hokusyo
 ちなみに、わたしは朝イチの6時00分東京発のぞみ1号で駆け付けたので、大劇場には9時チョイすぎには到着し、9時半チョイ前の開門と同時に中に入ったのだが、キャトルで買い物して、現地集合のヅカ友のお姉さまを待つために正門へ戻ったところ、なにやら入り待ちの人々が、きれいな隊列を組んでおられた。あれっ? こんな時間に? と思い隊列を眺めていると、その手に、なにやら「北翔」の文字が見えるじゃないですか。おおっと? これはまさか!? とわたしも遠巻きに待っていると、そこにみっちゃんが降臨され、わたしの興奮は一気にクライマックスである。みちこ! みちこキタ!とやおら興奮しながら、写真を撮ったのだが、そういう入りの姿を公開していいのか分からないので、ここには載せません。入りのみっちゃんは、まあなんつうか、やっぱデカイ! そしてすげえ細い! そして、なんとスカート着用で、実にかわいらしい!女子、であった。みっちゃんも退団して2年、すっかり女子、であり、それはそれで大変結構なお手前であった。みっちゃんは芸歴20年と言っても、50近いおっさんのわたしから見れば、まだ37歳の全然可愛い女子そのものである。いきなりみちこに会えるなんて、コイツは朝から縁起がいいぜ、とわたしのテンションは高まる一方での『エリザベート』観劇であった。ちなみにみっちゃんは中卒での音楽学校入学なので、85期と1つ後輩のレジェンド柚希礼音さんより2つも年下ですよ。みっちゃん、実は若いのです!
 で、『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』である。
 公演は、予定よりもかなり伸びて、休憩含めて16時開始の18時半過ぎ終わりと2時間半ほどであったのだが、その中身はもう濃密で、お腹一杯である。正直、『エリザベート』のことはわたしの中ではもう吹っ飛んじゃったぐらいす。
 1部は、これまでのみっちゃんの宝塚での思い出の曲、そして休憩後の2部は、みっちゃんが今歌いたい歌、という構成になっていて、わたしはみっちゃんファン歴が全然浅いので、もちろん古い歌はあまり知らないんだけど、TOP就任の大劇場お披露目となった『ガイズ&ドールズ』の歌から始まり、退団公演になったロマンチック・レビュー『ロマンス』に至るメドレーはやっぱりみちこすげえ!と酔いしれる内容だったし(※しかもロマンチック・レビューの生みの親、岡田先生も最後列で立見で観に来ておられ、ギャグコーナーではネタにしていた! みっちゃんじゃないと許されないネタだったね!)、2部で、歌いたい曲として美空ひばりさんの「歌こそわが命」を歌った時には、みっちゃんの生きる道のような、確固たる覚悟を感じたっすね。カッコいい刀での演舞アリ、サックスの演奏アリ、ギャグコーナーあり(※すげえ気になってた『雨に唄えば』のリナを、あのかん高い声でやってくれた! 超最高!)、と、盛りだくさんで、そこはかとなく漂う昭和感も実にイイすね。実にみっちゃんらしい公演だったと思う。超COOLなタンゴの舞も、しびれるカッコ良さでしたなあ! アンコールでは、わたしがみっちゃんが歌うからこそ深い意味がある、と思っている名曲、「CLIMB EVERY MOUNTAIN」も歌ってくれたし、大満足であった。
 この歌は、かの『SOUND OF MUSIC』で、恋に悩む主人公マリア先生へ、修道院の院長先生が、逃げちゃあダメ、あなたはすべての山を登るのよ! 全ての虹を追いかけて、夢をつかむまで! と励ます歌なのだが、みっちゃんはこの歌を、自身のさよならショーでも歌ってくれたし、ホント、北翔海莉のテーマソングとわたしは勝手に思っている。この選曲ができちゃうみっちゃんがわたしは大好きっすわ。
 ところで、この『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』には、頼もしい友たちが援軍として出演してくれているのだが、その筆頭は、月組時代の仲間、マギーさんでお馴染み星条海斗さんだ(みっちゃんの2期後輩)。現在は本名の「りつこ」という名義で各方面で活躍しておられるマギーさん。まだ退団して3カ月?なのかな、「まだ髪が伸び出ないんですよ~」「あなた、加美乃素を使ってないからよ! ダメじゃないの!」というマギーさんとみっちゃんの、ヅカファンにしか通じないギャグなど、大変笑わせていただきました。他には、澪乃せいらは宙組、貴千碧さんは月組、妃白ゆあさんは星組、そして隼海惺さんは月組でみっちゃんと短い時間だけど一緒に過ごした可愛い後輩たちで、みな久しぶりのバウホールで、とても生き生きしていたと思う。ホント、楽しかったすわ!

 しかし、思うに、みっちゃんは個人事務所の会社を自ら設置し、活動されているわけだが、その大変さはおそらく余人には図りしれないものと想像する。間違いなく言えることは、みっちゃんクラスであっても、「仕事は勝手にやってこない」わけで、みっちゃんの活動はみっちゃん自身が、相当の営業努力で獲得しているものだと思う。どっかの芸能事務所に所属して、勝手に仕事がやってくるような立場とは、全く違う厳しさがあるはずで、退団後のジェンヌが活躍できるかどうかは、もう所属事務所で決まると言っても過言ではないはずだ。例えば、去年退団した元宙組TOPスター、朝夏まなとさんは、日本のミュージカル界では最大の東宝芸能に所属し、もう絶えることなく主演ミュージカルの出演が決まりまくっているし、ちえちゃんことレジェント柚希礼音さんも、アミューズ所属で、相当恵まれた退団後の活動を続けているが、要するにそういうことである。はっきり言えば、すべてコネがないとどうにもならない芸能社会で、みっちゃんが今後、どのように活躍していくか、わたしとしてはずっと応援していきたいと思うし、具体的に会社運営とかマネジメントとか、なんかお手伝いしてあげたいすね、ホントに。みっちゃん、あなた、本当に最高です!

 というわけで、結論。
 わたしの大好きな北翔海莉さん、芸能生活20周年を飾る『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』を、宝塚バウホールまで見に行ってきたのだが、その濃密な内容に、なんつうかもう、ノックアウトされたわたしである。素晴らしい歌とキレのあるダンスはますます磨きがかかり、本当にたのしい公演であった。わたし、ヅカ歴8年目にして初めてバウホールに入ったす。聞いていた通り、こじんまりしているものの、後ろの方の席でも観やすいし、劇場の一体感のようなものがとても濃密な、いい劇場ですな。キャパも500程度なのかな、舞台と近いのもとてもうれしいですね。どうかみっちゃん、これからも芸の道を究めるべく、すべての山を登ってください。ずっと応援いたしたく存じます! いやあ、ホントに北翔海莉は最高っすね! みっちゃんはマジ最高っす! 以上。

↓ みっちゃんフランツはわたし的には歴代最高です。

 宝塚歌劇団の公式Webサイトの言葉をそのまま引用すると――
 「1996年の初演以来、独創的なストーリーと、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーで多くの人々を魅了してきた『エリザベート』。上演回数は1000回を超え、観客動員数240万人を記録するなど、名実ともに宝塚歌劇を代表する人気ミュージカルとなりました」とのことで、ヅカ歴8年目となったわたしも、すでにこの『エリザベート』という作品は、2014年の花組Ver.と2016年の宙組Ver.の2公演を観に行っている。また、この作品は東宝・帝劇ミュージカルとして男性キャストも交えた「普通の」ミュージカルVer.もたびたび上演されており、わたしも2015年のVer.を帝劇で観ている。
 わたしが言いたいことは2つあって、一つは、つまり『エリザベート』という作品はとても人気が高いということ。そしてその結果、おっそろしくチケットを入手するのが難しいのである。そしてもう一つは、これまで何度も上演されているものの、基本的な歌やセリフはずっと変わっておらず、演じるキャストによってかなり印象が違ったり、歌い方がさまざまで、何度観ても飽きないし、毎回、新しい発見のようなものがあって、過去の上演と比較するのもまた楽しい。それが、『エリザベート』という作品である。
 というわけで、今年もまた『エリザベート』が宝塚歌劇団によって上演されることとなったわけだが……今回は、現在の月組で6年の長きにわたってTOP娘役に君臨してきた愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)の退団公演でもあって、まあとにかくチケットが取れない。わたしは東京は全滅で、結局わたしをヅカ道へ導いてくれた師匠に11月のチケットを1枚譲ってもらったので、とりあえずは何とかなったのだが、わたしとしては、ちゃぴの最後の雄姿を目に焼き付けるべく、宝塚大劇場、すなわち兵庫県宝塚市に存在する本家総本山へも観に行きたいとの希望を持ち、こちらは自力で何とか1枚、購入することができ、昨日は朝から新幹線のぞみ号をぶっ飛ばして、一路大劇場へ遠征してきたのである。日帰りで。
 もはやムラ遠征(=東京に住まう我々が宝塚市の大劇場に遠征すること。由来は実は知らないんだけど、ファンは大劇場のことを「ムラ」と呼ぶのです)は、既にヅカ道黒帯を取得しているわたしからすると、もはや普通のことである。そして、もはや観光するような気もなく、日帰りでさっさと帰るのも、ある意味もう全然普通のことだ。しかし昨日はちょっとキツかった……なぜなら、わたしは昨日、大劇場で『エリザベート』を観た後、続けてバウホールにて絶賛上演中の『CHALLENGER:ザッツ北翔テイメント』も観てきたからだ。この、「北翔テイメント」に関しては明日別記事にするので、ここでは書きません。一言でいうと最高すぎて、内容が濃すぎて、はっきり言って『エリザベート』の印象は吹っ飛んじゃうぐらい最高だったんすけどね。
 ともあれ、『エリザベート』である。

 わたしが思うに、『エリザベート』の魅力はその歌である。実は、物語的にはかなり、ううーむ?という部分があって、いろいろと、ええと……? とキャラの心情が謎な部分が多いのだ。ツッコミ甲斐があるというか、とにかく、実はストーリー的に、なんか変、だとわたしは思っている。ただ、そういった部分も、もはや気にならないほど圧倒的に歌が素晴らしくて、なんだかよくわからないうちに、胸にグッと来て感動してしまうのである。
 そして、今回の月組公演にあたってのわたし的見どころは、以下に総括できるとわたしは思っていた。
 1)ちゃぴのラストを飾るシシィの完成度や如何?
 2)たまトートはどうなのよ?
 3)みやフランツは渋いんでしょうなあ、きっと?
 4)れいこルキーニは、そりゃあきっとカッコいいでしょうねえ……。
 5)新世代ヒーローおだちんルドルフはどうだろうか?
 6)愛するうみちゃんの、渾身のヴィンディッシュ嬢はきっと素晴らしいに違いない!
 どうですか。上記6点について、何の解説もなく意味が分かるようなら、ヅカ道初心者レベルはクリアしていると思うけれど、ズバリ言って、普通の人には全く意味不明だろう。というわけで、以下、解説しながら、感想を連ねてみたい……のだが、なんと、超残念というか、超心配でならないのだが……おとといから月組2番手スター美弥るりかさん(以下:みやちゃん)が体調不良のため休演となり、急遽、役の変更がなされることとなったのである。みやちゃん……どうか東京公演までに戻ってきておくれ……心配だよ……とても……。
eliza2018
 ◆ちゃぴシシィはパーフェクト。ちゃぴ渾身の退団公演は伊達じゃない!
 そもそも、宝塚歌劇の演目は、どうしても男役TOPスターが主役なのだが、本作『エリザベート』に限っては、そのタイトル通り、明確に主役は娘役TOPが演じるエリザベート(=幼名というか愛称「シシィ」)であるとわたしは考えている。幼いシシィがハプルブルグ家に嫁ぎ、超おっかないお姑さんとの嫁姑バトルを勝ち抜き、皇后としてその地位を勝ち取っていくものの、マザコン浮気野郎の旦那との確執などから愛する息子を失い、心さすらう人生の、その最期までが描かれる、明らかにエリザベートという女性を中心に据えた物語だ。
 男のわたしの視点では、シシィの行動は結構理解しがたく、とりわけ息子ルドルフを助けなかった理由がさっぱりわからんのだが、まあ、そういった謎はこの際どうでもいい。芝居としての見どころは、やっぱり、冒頭の天真爛漫だったシシィが、いかにして皇后として堂々とした姿となるか、ある意味計略家として生きていこうと決意し、そしてその後、絶望に身をやつしながらいかにして晩年を過ごすか、という激動ともいえる心と体の変化にあるとわたしは思う。そして、そういったその時々の心情は、ミュージカルなんだから当然、「歌」で語られることになるわけで、極めて高いレベルの「演技」と「歌唱力」が必要となる役柄であろう。
 結論から言うと、わたしは、今回シシィを演じたちゃぴこと愛希れいかさんは、わたしが今まで見た3人のシシィの中で、完全に1歩も2歩も上を行く完璧なシシィだったと絶賛したい。本当に素晴らしかった。わたしは、ちゃぴの魅力はなんといってもダンサーとしての魅力が一番だと思っているけれど、芝居力もダンス同様に素晴らしく、また歌も当然極めて高いレベルにある。じゃなきゃ6年もTOP娘の看板を背負えないよね。いやあ、本当に素晴らしかった。11月にまた東京で会えることを楽しみにしているよ。きっと、さらにまた高みに登っていることでしょうな。退団後の活躍も楽しみですなあ。きっとちゃぴなら、退団後も素晴らしいキャリアを築いてくれることでしょう。東宝版のシシィもぜひ演じてほしいですな。ちゃぴ、君は本当に凄いよ。最高です。
 ◆たまトートは、想像以上に素晴らしくて、同時に今までとは違うトートだった!
 トートとは、ドイツ語のDer Tod=英語のThe Death、すなわち「死」であり、要するに冥界の王なわけで、ズバリ言えば人間ではない。こういう、「死」の擬人化は、例えばミュージカル『ロミオとジュリエット』なんかにも出てくるように、まあ、西欧作品にはよくあることなのだが、本作『エリザベート』では、その「死」が、人間であるエリザベートにぞっこんLOVEっちゃうことに最大のポイントがあって、しかもそのトート様が、やけに純情チェリーボーイなのが笑っちゃうというか、ドラマチックなのである。
 で、一方、今回トート様を演じる月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきちくん)は、わたしの印象は上品で育ちのいいおぼっちゃま、であり、等身大スターであり、なんつうか、健康優良児、なんすよね。たとえて言うならゴールデンレトリーバーのような、完全なる「陽キャラ」なのがたまきちくんの魅力だとわたしは思っているのだが、その健康優良児たまきちくんが、宝塚の演目きっての「陰キャラ」であるトート様をどう演じるのだろうか、というのがわたし的見どころであったのだ。
 まず、ビジュアルだが、やっぱりたまきちくんのデカい体はとても堂々としているし、話題の「金髪」トート像も、わたし的には全く問題ナシであったと思う。むしろかなりイイじゃん! と称賛したいぐらいだ。一方で歌は、今まで聞いたことがないような感じで、若干の、んん? というポイントもあったのは事実だけど、それはまあ、ちゃんと演出の小池先生がチェックしていることだろうから、わたしが口をはさむことでもないだろう。アリ、だと思う。そして、わたしが一番グッと来たのは、その表情であったように思う。なんつうか、妙に生命力あふれていて、感情が分かりやすいのだ。そう、「死」なのに、妙に人間臭いんすよ! これはたまきちくんの持ち味である「陽キャラ」がにじみ出しているんだとわたしは理解した。なるほど、こういうトートもアリなんですなあ、と新発見したような気分になって、わたしは非常に面白いと感じましたね。その結果、「最終審理」でトート様がフランツに感じる嫉妬のようなものが妙に生々しかったし、お話も分かりやすくなったように思う。わたし、今回の、妙に人間臭くダイレクトに嫉妬するたまトート様のお姿を観て、ああ、そういうことだったんだな、と妙に腑に落ちたすね。なので、たまトートは断然アリ!です。最高でした。
 ◆みやフランツ無念の休演。そして急遽代役に立ったれいこフランツは……
 現在の月組では、若きTOPスターを支える2番手スター、みやちゃんこと美弥るりかさんの存在意義は極めて大きくて、TOPのたまきちくんもみやちゃんへ絶大な信頼感を寄せているし(※みやちゃんはたまきちくんより5学年も上の先輩)、二人の関係性は現在の月組になくてはならない要素だと思っているのだが、無念の休演となってしまったことがとても残念だ。もちろん、みやちゃん本人が一番残念に思っているだろうし、もう、身を引き裂かれんばかりにつらい思いをしていることと思う。どうかきっちり体調を整えて、また舞台に復帰してほしいと思う。東京で待ってるよ。おれはみやちゃん、あなたのフランツが観たいんすよ!
 で。今回、おそらくはほぼ稽古も積んでいないであろう、月城かなとさん(以下:れいこ)が急遽、重要な役であるフランツを演じてくれることとなり、まあ、ヅカファンとしては、れいこフランツを観られたのは、ある意味においては大変幸運だったとは言えるかもしれない。たしかに、れいこフランツは、まずのそのビジュアルからしておっそろしく美しいし、歌も超がんばっていたのは間違いないのだから。
 しかし、れいこさんの頑張りは称賛して余りある素晴らしいものであったけれど、いかんせん、準備の時間がなさ過ぎたのではなかろうか。もちろん、その時間がない中でのれいこフランツは、もう大絶賛したいのは間違いない。でもわたしはやっぱり、れいこルキーニが観たかった。それに、比較するのは失礼であるのは承知しているけど……この後に観た『北翔テイメント』でのみっちゃんフランツがやっぱり凄すぎて……やっぱりフランツはこうでなきゃ、とか思っちゃったんすよね……みっちゃんはマジ最高すわ……。
 ともあれ、11月の東京でのみやちゃん復帰を心から祈っております。どうか、くれぐれも焦らず、お大事になさってくださいませ。東京で待ってるからね!
 ◆れいこルキーニは観られず、急遽おだちんルキーニ登板!
 というわけで、当初予定されていたれいこさんのルキーニは観ることができなかった。ルキーニという役は、『エリザベート』という作品でも、極めて目立つし狂言回しとしても大変重要な役柄で、そのノリノリで観客をあおるようなキャラクターは、作品の中で一番おいしい役と言ってもいいぐらいの大切な役である。わたしとしては、2014年の望海風斗さん(以下:だいもん)が演じたルキーニが歴代最高だと思っているが(帝劇で観た山崎育三郎氏Verよりも凄かったと思う。だいもんルキーニはもう完全に男でした)、それを今回、月組随一の美形、れいこさんでやるなんて超楽しみだぜ! と期待していたのである。
 しかし今回の代役によって、新人公演でルキーニを演じている風間柚乃さん(以下:おだちん)が、本公演でもルキーニを演じることとなったのだが……ズバリ言うと、新公レベルでは全く素晴らしかったと思うけれど、やっぱり本公演としては、まだまだ、鍛錬と熟成が必要なんだろうな、と思うに至った。おだちんが、スーパー超がんばってるのは間違いない。けれど、やっぱり余裕がないのだと思う。ルキーニという役は、もう観客をあおって空気を変えていくことが求められるし、なんつうかな、ヘっ……チョロいぜ!的な、飄々とした?余裕が絶対的に必要なんすよね……まだ4年目かな、おだちんにはまだ、無理ですよ。これはいい悪いの問題ではなく、無理なものは無理なんだから。しかしそれでも、そんな状況でも頑張り抜いたおだちんは、もちろん賞賛に値するし、今後の活躍が本当に楽しみなお方だということはよくわかりました。アレっすね、意外と背が低いように感じたっすね。わたし、おだちんはもっとデカイかと思ってた。
 ま、いずれにせよ、東京ではれいこルキーニが観られることを強く願ってますし、おだちんルドルフの回は観られないけど、おだちんの今後にも注目していきたいと存じます。
 ◆というわけでおだちんルドルフは観られず、ありちゃんでした。
 わたしが『エリザベート』という作品で一番好きなのが、皇太子ルドルフとトート様の「闇が広がる」という歌で、そういう意味でもルドルフ皇太子の、悲しく切ない歌声は見どころの一つだと思っている。わたしとしては帝劇で観た古川雄大氏のルドルフが過去観た中では一番好きなのだが、今回は本来はおだちんルドルフの回だったけれど、代役によって暁千星さん(以下:ありちゃん)のルドルフを観ることとなった。もともと今回の公演では、ルドルフ役はありちゃんとおだちんのWキャストだったので、本来通りのありちゃんルドルフだったと言えるのだが、まあ、ありちゃんは月組のスーパー御曹司でもうこれまでも抜擢が続いているし、新人公演ではトート様を演じる次世代スターなわけなので、その実力は全く問題ナシ、である。なので、ええと……サーセン、特に書くことないです。
 ◆うみちゃん渾身の涙に、わたしのハートは持っていかれました……
 うみちゃん、とは、わたしがずっと応援してきた月組が誇る美貌の娘役、海乃美月さんのことである。わたしとしては、ちゃぴ去りし後のTOP娘はうみちゃんで決まり、とか思っていたのに、残念ながらそうはいかず、後輩にその座を譲ることとなってしまった。わたしはいまだにその決定を残念に思っているし、おそらくは、うみちゃんの本人の心中たるや、凄まじい葛藤があるのではないかと想像する。普通に考えて、ずっと頑張ってきて、部長に昇進する直前で後輩に抜かれたら、もう心折れて退職したっておかしくないぐらいだと思うし、サラリーマンのような平凡な道ではなく、厳しい芸の世界のことなんだから、そりゃあもう、うみちゃんが流した涙は1リットルじゃあすまないと思う。
 でも! わたしが今回いっちばん感動したのは、うみちゃんの作品に対する姿勢だ。わたしは今回、うみちゃんが舞台に出てくると、ほぼずっと双眼鏡でその姿を追っていたのだが、名もなき群衆の一人として、スポットライトの当たらない舞台の端の一人であっても、全力でうみちゃんは芝居をしていたし、2幕で、ソロ歌のあるヴィンディッシュ嬢という精神を病んだ女性を演じている時も、最高に素晴らしく、最高に美しかった! とりわけ、ちゃぴエリザベートに抱かれながら、ほほを一筋の涙が伝うシーンは、もうその涙のタイミングも完璧だったし、その時の正気を失くした女性の表情も、今回のベストアクトだったとわたしは大絶賛したいと思う。最高だったね! 双眼鏡で、うみちゃんの左目から本物の涙が一筋流れるのを見て、マジで鳥肌立ったよ。うみちゃん、どうかこれからも、がんばってください。わたしもずっと応援するよ。そして、いつかTOPに就けることを、わたしは全然諦めてないし疑ってもいないぜ! 絶対、報われる日が来る! と信じてます……!

 はーーー……こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「死は逃げ場所ではない!」
 今回は、宝塚版『エリザベート』ではもはやお約束のトート様のこのセリフを選びます。今まで、わたしはこのセリフを聞くと、おいおい、さんざんエリザベートの死を願ってたんじゃなかったのかよ、とかツッコミたくなっていたのだが、今回の、妙に人間臭いたまトートのこのセリフは、すごい気持ちが伝わりました。死にたいってお前、それじゃダメなんだよ、おれのことを愛してくれなくちゃ!! という感情が、今回のたまトートで初めてわたしに伝わったすね。ホント、トート様……あなた純情ボーイですよ……。たまトート、相当キてます! イイ!

 というわけで、結論。
 今回は結論を箇条書きにしておこうと思います。
 ◆ちゃぴシシィ:最高。オレ的歴代最高シシィ。東京大千秋楽まで駆け抜けておくれ!
 ◆たまトート:イイ! やけに人間臭いトート様、はじめていろいろ理解できた。
 ◆みやフランツ:本当に観られなくて残念。東京で待ってるからね!
 ◆れいこフランツ:急な登板を考えるとお見事でした。美しさは歴代ナンバーワンかも。
 ◆れいこルキーニ:観たかった……! 東京で待ってます。
 ◆おだルキーニ:余裕はどうしても経験から生まれるので、あと4~5年後に期待します。
 ◆ありルドルフ:超安定・超安心のルドルフでした。
 ◆うみヴィンディッシュ嬢:最高! うみちゃん! あなた最高です!!
 とまあこんな感じです。しかし、やっぱりムラはいいですなあ……テンション上がるっすよね……東京宝塚劇場よりデカイし。東京ももうチョイキャパがあれば、チケットも少しは取れやすく……ならねえか。ホント、もうチョイチケットが買いやすくなるといいのだが……つうかですね、ムラの変身スタジオ、男はお断り!なのは悲しいす。オレ……アンドレ衣装着てみたいんすよ……メイクはいらないので。以上。

↓ おお、今はPrime Videoでも配信しているんですなあ。みりおトートはそのビジュアルは最強レベルだし、だいもんルキーニはもう完璧に男、そしてみっちゃんフランツはわたしとしては歴代最強(特に歌)だと思います。

 わたしがこの世で最も好きな小説家は、ダントツでStephen King大先生であるッ!
 ということは、このBlogにおいてもう何度も書いてきたが、来ましたよ! King大先生の日本語で読める最新刊が! そしてそれは勿論! 「退職刑事ビル・ホッジス」シリーズ第3弾にして完結編の『END OF WATCH』(日本語タイトル:任務の終わり)であります! やったー!
endofwatch
 日本の出版業界の慣例として、書籍はいわゆる「公式発売日」の前日には書店店頭に並ぶことが多く(※都内ならば)、実のところ2営業日前には本屋さんに届いちゃう場合も多くて、わたしは文藝春秋社が公式にアナウンスしている9月21日発売という日付から、ひょっとしたら、今日もうおいてあるかもな、と昨日の会社帰りに本屋さんに寄ってみたところ、実はまだ棚には陳列されていなかったけれど、その近くの運搬用ワゴンにひっそり置かれているのを発見して(誰がどう見ても、もう客が手に取って買っていいような状態だった)、おおっと! あった! やった! わーい! と内心超ニヤニヤしながら、外面は超クールな顔をしてレジに向かい、購入し、さっそく帰りの電車内で読み始めたのであります。
 ズバリ言うと、ファンならもう、のっけから大興奮ですよ、これは。詳しい感想は読み終わってから記しますが、いやあ、コイツは相当面白そうすねえ! 物語には全く関係ないことですが、わたしはとにかくKing大先生のDirty Wordが大好きでありまして、今回、一番最初のp.9で、わたしとしてはもうホント最高だな! と笑っちゃったDirty Wordが二つも! あったのでメモしておこう。なお、まだ英語原文を当たっていないので、翻訳した白石先生の日本語訳です。
 「きょうの朝はウッドチャックのケツの穴並みに真っ暗で、時刻は夜明け寸前だったからだ」
 「(とある人物がマクドナルドの看板を見つけて)やったぞ! アメリカの黄金のおっぱいだ!」

 いやあ、こういう表現が大好物なんす、わたくし。夜明け前の真っ暗闇を「ウッドチャックのケツの穴並みに真っ暗」だとか、マクドナルドのM(ダブルアーチ)を「黄金のおっぱい」と表すなんて、King大先生以外にはいないすよ。ホントに最高すね! 
 そして現在上巻の120ページほどまで読み進めているわたしだが、コイツは相当ヤバいすねえ……! ホッジスは完全に大丈夫じゃなさそうですな。p.35というほぼ冒頭の描写からも、ああ、こりゃあきっと最後は……という予感がひしひしと伝わりますね。そしてタイトルの『END OF WATCH』というのがどういう意味なのかは、p.28に書いてあった。曰く、警官が退職することをEND OF WATCH(任務終了)というそうです。そしてこの言葉の本当の意味は、これからもっと深く明らかになると思うので、そうだなあ、上下巻で1週間はかかるかな、ゆっくりじっくり、味わおうと存じます。

 というわけで、さっさと結論。
 日本全国のStephen King大先生のファンが待ち望んだ『END OF WATCH』日本語版。いよいよ明日発売ですが、まあ、都内近郊なら、本屋さんに行けばもう置いてあるかもしれないすよ! そしておもむろに手にし、自動的にレジへ向かってください。そこには一切の思考は必要ありません。間違いなく今すぐ買いです。文庫になるまで待つのは、もうわたしはやめました。どうせ数百円しか違わないし、特急料金として、単行本ですぐに読む方がいいと思います。そして電子書籍は紙の書籍同様、明日から配信開始ですが、わたしはKing大先生の作品だけは、本棚にずらりと並べて悦に入りたいおっさんなので、さっさと紙書籍を買いました。ちなみに、電子書籍は紙書籍版より結構安い価格設定になってるようです。しかしなんつうか、いやー、やっぱりKing大先生は最高すね! 以上。

↓ ネット書店で買うのではなく、本屋さんへ行かれてみてはどうすか? いち早く読めますよ! たぶん! そしてアマゾンだと、紙版よりも200円以上、Kindle版の方が安いみたいです。
任務の終わり 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2018-09-21

任務の終わり 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2018-09-21






 今日、2018年9月20日(木)は、大相撲平成30年9月場所12日目であります。今日を含め、現実世界の大相撲は残り4番。奇しくも、我々が愛した『鮫島、最後の十五日』は、本当に、心の底から残念ながら、9月場所13日目を描いたところで終了してしまいました……。。。
 というわけで、先週の予告通り、本日発売の週刊少年チャンピオン2018年第43号は「追悼 佐藤タカヒロ先生」と思いっきり背にも明示された「バチバチ特大号」となっております。表紙は、佐藤先生が最後に遺された鉛筆画が用いられており、わたしは……もうその表紙だけで、なんか……泣けそうになっちゃったす……。悲しくて……悔しく?て……。商品画像ということで、著作権的な問題はお許しいただきたく、ここに今週の週刊少年チャンピオン2018年第43号の書影を載せたいと思います。
champ43-01
 これは電子版のスクショですが、紙雑誌版もわたしは当然買いました。ほんの少しだけ、デザインが上記電子版と紙雑誌版は異なっています(※電子版は現在『バチバチ』を再連載中なのです)。そしてわたしは紙雑誌版を買うのに、最寄り駅のセブンとローソンは置いておらず、会社近くのファミマでやっとGetしました。ほんと、すっかり電子に乗り換えちゃったので気が付かなかったすけど、コンビニに置かれる冊数が減ってるんですかねえ……つうか、雑誌コーナー自体がすっごく縮小されてて驚いたす。なので、見かけたら、ぜひ「買い」でお願いいたしたく存じます。
 そして内容ですが、わたしとしては週刊少年チャンピオン編集部の想いが詰まった、素晴らしいものと称賛いたしたく存じます。ここに、その前文として記された編集部の想いを、敬意を込めて全文掲載してご紹介させていただきます。
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 2018年7月3日未明、今号の表紙を飾る鉛筆画を仕事机に遺し、佐藤タカヒロ先生が急逝されました。止むを得ず、7月12日発売の小誌33号にて、誰もが望まない形で最終回を迎え、2009年より約9年間にわたり紡がれてきた、『バチバチ』『バチバチBURST』『鮫島、最後の十五日』の大相撲巨編「バチバチシリーズ」に幕が下りました。
 多くの人に愛され、多くの人を魅了したこの未完の大作に対して、そして小誌を支え続けた作家の真摯な熱筆に対して、我々に出来ることは何か? それはただ一つ、哀悼の意と熱を込めた編集作業のみと思い至り、ここに追悼号を企画しました。
 先生の遺した魂である作品は生き続け、決してなくなりません。読者の皆様のご愛顧に感謝し、また新たな応援をいただけるように、この追悼企画で少しでも未完の大作の持つ、佐藤タカヒロ先生が込め続けた熱量を感じていただけたら幸いです。
 週刊少年チャンピオン編集部
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 はーー……書いてて泣けてきた……編集部の皆さん、ありがとうございました……。。
 そしてその大特集の内容ですが、先週の告知通り、3つの企画から構成されています。
 1)カラー追悼色紙展
 皆さんの選ぶ絵柄も、それぞれで、とりわけわたしとしては、虎城理事長を描いてくれた石黒正数先生の色紙や、阿吽の兄貴を描いてくれた増田英二先生、それから、熱いメッセージをくれた板垣恵介先生の言葉がやけに胸にしみるす……。そして、ジャンプで『火ノ丸相撲』を絶賛連載中&アニメ放送開始直前(鮫島のアニメが見たかった……!)の川田先生も、色紙を描いてくださっています。泣ける……。
 2)シリーズ全カラー掲載録
 眺めていると、ホント、なつかしいというか……つうかですね、ページの随所に、これまでの「名セリフ」がちりばめられているのですが、くっそう……泣けるというか……本当に悲しいす……。
 3)巨弾52P鮫島鯉太郎全取組絵巻
 ここからはモノクロですが、これは気合の入った企画ですよ。担当編集の頑張りをたたえたいと思います。そして改めてこの52ページを読むと、どうしても、胸に迫るものがありますなあ……わたしはやっぱり、泣いちゃったすわ……。。。はあ…………。。。

 そして、今週号にも、カラーで単行本告知が載っていましたので、これも広告ということで、著作権的なものはお許しいただいて、ここに載せておこうと思います。
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 この自社ADによれば、どうやら最後の単行本(20)巻は、カバーには今回のチャンピオンの表紙同様に「最後の鉛筆画」を使用するとのこと。まあ、そりゃそうするしかないすよね。まったく正しいと思います。そして、今回の追悼色紙も収録するそうです。でも、どうだろう、カラー収録はされないすよね、きっと? なので、やっぱり今週のチャンピオンは、わたしとしては永久保存版として、明確に「買い」であると、皆さんにお勧めしておきたく存じます。つうかですね、この追悼色紙の一番最後に、なんと先生の奥様の色紙があるのですが、そのメッセージは……もう泣くしかないす……。

 やっぱり、わたしとしては佐藤先生の作品を、ずっとずっと、忘れないでいたいと思います。そして今後も、周りの人々や、わたしがこれから出会う人々へ、こんなすげえ漫画があるんだぜ! とお勧めしまくろうと思います。佐藤タカヒロ先生、本当にありがとう。先生と先生の作品は、マジ最高だよ!!

 というわけで、結論。
 今週のチャンピオンは、「買い」でお願いします。
 そしてもう、どう考えても、いつも通り、これしかないす。
 いやあ、ホントに『鮫島』は最高っすね!
 そして、佐藤タカヒロ先生はマジ最高っす!
 以上。

↓ わたしがあと何年生きるか知りませんが、生きている限り、佐藤先生のコミックスがわたしの部屋の本棚に存在し続けることは確定的に明らかです。


 現在、劇場公開されている映画『検察側の罪人』。

 3週終わった時点で19億強の興行収入となっているそうで、なかなかのヒットで大変喜ばしいことだが、わたしも、上記の予告を観て、これは観たいかも、とは思っていたものの、監督がわたしの好みではない方なので、まあ、これはWOWOWで放送されるのを待つか……とあっさり見送ることにした。のだが、そうだ、じゃあ、原作小説を読んでみよう、という気になった。
 そして読み終わった今、改めて上記予告を観ると、これはちょっと、ひょっとしたら原作とはそれなりに違うところがあるのかもな……という気がする。ま、その予感が正しいのかどうかは観てみないと分からんので、1年後ぐらいにWOWOWで放送されるのを楽しみにしようと思う。
 というわけで、本稿はあくまで原作小説についての感想だ。大変申し訳ないが、核心に迫るネタバレに触れないと語れそうにないので、ネタバレが困る方はここらで退場してください。ネタバレなしでは無理っす。※追記:さっき映画を観た人と話したら、どうやら映画と小説はかなり結末部分が違うみたいすね。なので、小説のネタバレが困る方は以下は読まない方がいいと思います。
検察側の罪人 上 (文春文庫)
雫井 脩介
文藝春秋
2017-02-10

検察側の罪人 下 (文春文庫)
雫井 脩介
文藝春秋
2017-02-10

 物語としては、極めてまっすぐに進むので、妙な謎解きとか読者をだまそうとするような著者の小手先の惑わしのようなものは一切なく、サクサクと展開していく。非常に心地いい、と言ってもいいと思う。ただし、描かれている内容自体は、全くもって心地よくない。実に重く、苦しいお話だ。
 ごく簡単に物語をまとめると、蒲田で老夫婦が刺殺される事件が起こる。その背景には金の貸し借りがあって、どうやらアヤシイ容疑者は何人かいる模様だ。そして警察及び検察はアヤシイ奴らのアリバイを洗って、容疑者を絞っていくわけだが、その中に一人、23年前に根津の女子中学生殺人事件で容疑者となっていた男、松倉がいた。そしてその根津の事件は、主人公の一人である現在の東京地検検事、最上が学生時代に住んでいた学生寮のお嬢さんであり、最上自身も仲の良かった女の子が殺された事件で、すでに時効が成立していた。蒲田の事件捜査が進む中、松倉は激しい取り調べによって、確かに23年前の事件は自分がやったと自供、だが蒲田の事件は全く無関係だと主張し、否認する。そして捜査が進むと、蒲田の事件には別の真犯人がいることが判明するが、最上はその証拠を握りつぶし、真犯人を自らの手で処刑し、時効で逃れた23年前の事件を償わせるために、松倉を蒲田の事件の犯人として起訴するのだがーーーてなお話である。
 こうまとめると、かなりトンデモ系というか、相当無理やりなお話のように聞こえるかもしれないが、無責任な読者であるわたしは、読みながら最上に共感しつつ、果たして物語はどのような結末に至るのだろうか、とドキドキしながらページをめくる手が止まらない状態であった。
 もうちょっとうまくやれたんじゃね? とも思う。しかし実際無理だろ、と思ってしまうし、最上の行動が正しいのかと問われれば、そりゃあもう、純然たる「犯罪」に他ならない。じゃあ、なんかいい手はなかったのか? と思っても、はっきり言って皆目見当がつかない。もし自分が最上だったら……と考えると、おそらく登場人物の中で最もブレない、最上の行動は、わたしとしては本作の中で最も筋が通っていたように思う。人殺しには違いないのだが……。
 一方で、最上と対峙する若き検事、沖野に関しては、わたしはやっぱり共感できなかった。おそらくは、沖野が最も法に忠実で正しいのだということは認めるしかないだろう。ある意味、沖野の言動や沖野の感じる法感覚は最も「あるべき正義」であったとは思う。でもやっぱり、もはや50に近い、25年以上仕事をしている人間から見ると、ガキは引っ込んでろ! と思ってしまうのも正直な感想だ。ズバリ言ってしまえば、あらゆる経験が足りていないアラサーぐらいのガキにとやかく言われることは、我々アラフィフ世代には一番腹が立つことだ。最上がラストに言う言葉、「君には悪いことをした。君のような将来ある人間を検察から去らせてしまった。そのつもりはなかったが、結果としてそうさせてしまった。それだけが痛恨の極みだ。ほかには何も悔いることはない。俺はそれだけだ」というセリフは、沖野のような若造に対する明確な拒絶であり、「ガキは引っ込んでろ」という別れの言葉に他ならないと思う。沖野がその後、どうなるかは知らないが、絶望しただろうし、それをわたしは、ある意味でざまあ、と思いつつ、妙にすっきりした気持ちで本書を読み終えることができたように思う。
 というわけで、最上と沖野に対して感じるものは、きっともう読者の数だけ違うものがあると思うし、わたしの抱いた思いが相当ズレていて、若造どもからすれば老害と言われるかもしれないという自覚はあるものの、わたしも最上のように、分かってもらおうとは全く思わないし、自らの納得のもとに行動した最上の方に、より共感してしまう事実も否定したくないと思う。要するに、大変面白かった、というのがわたしの感想だ。
 それでは主なキャラをちょっとだけ紹介して終わりにしよう。
 ◆最上毅:主人公。東京地検の検事。40代後半か。恐らくわたしと同世代。経験豊富なベテラン検事。最上がどうして人殺しを実行しようとしてしまったのか、に関してはかなり丁寧に描写されており、わたしとしてはすっかり共感してしまった。なので、これはもうどうしようもなかったと思えてしまう。が、少し穴がありすぎだっただろうな……薬莢、ワゴン車……この二つに関して無頓着すぎたんだろうな……たぶん、ちゃんと薬莢を回収して、車も別の方法で何とかしていれば、最上の計画は完遂できたと思う。でも、まあ、無理だったかな……。なお、映画版で演じたのは木村拓哉氏。これは相当カッコイイだろうなと想像できますな。読みながらわたしの脳内ではずっと拓哉氏のイメージそのものでした。
 ◆沖野啓一郎:もう一人の主人公。30前か、30チョイ過ぎか?ぐらいの前途ある賢い若者。賢すぎたし、まっすぐすぎたんだろうな……。わたしがコイツに対して一番許せないのは、自らの事務官の女子(もちろん美人)とデキちゃうのはアウトだと思う。それはお前、やっちゃあいけねえことだぜ? 双方合意の元とはいっても、現職で検事と事務官がデキちゃうのは凄い違和感があった。この部分はいらなかったような……。また、捜査の当事者であったのに、退職したからと言って弁護側に回るのも、まあ、そりゃあマズいだろうと思う。個人情報保護的に何らかの犯罪行為なんじゃなかろうか? 大丈夫なのかな? また信頼という点においても、その後弁護士となったとしても、誰も信頼しないのではなかろうか。コイツの将来に幸があるとは思えないなあ……一生、後悔することになっちゃうんじゃないかしら……。そういう、自らの行動への筋の通った確固たる決意のようなものが感じられなかったのが、若干残念かも。映画版で演じたのはジャニーズ演技王の一人、二宮和也氏。二宮氏の演技は本当に上手なので、さぞや沖野役にぴったりだったでしょうな。
 ◆松倉:23年前、根津で中学生を強姦して殺したクソ野郎。確かにコイツは蒲田の事件はやっていなかったのだが、いっちばんラストでのこのクソ野郎の真実の姿は、沖野を絶望させるに十分であったでしょうな。時効ってのは、残酷ですよ……。しかし、最上の中に、蒲田の真犯人を普通に逮捕して死刑求刑し、一方で根津の事件を自白した松倉をぶっ殺す、という選択はなかったのだろうか? アホな一般人のわたしは、そういう手も考えてしまうけど、それだと違う、ってことなんでしょうな、検事としては。難しいですのう……。でも、このクソ野郎松倉がのうのうと生きていける世の中は、やっぱりなんか間違ってるとしか思えなかったすね。※コイツの最期は映画版と小説では全然違うようです。映画版のエンディングを聞いて、そりゃあ、ざまあ! だなと思ってしまった……。
 ◆諏訪部:闇社会の調達屋。物は売っても人は売らない、という明確なポリシーを持った、実際悪い人。ただし、本作の中では最上に次いでカッコ良かったと思う。最初と真ん中と最後に、物語を締めるように登場して、登場シーンは少ないのにやけに存在感あるキャラでした。どうやら映画版では松重豊氏が演じたようですな。これもイメージぴったりですよ。※聞いた話によると、どうやら映画ではラストにとある行動を取るみたいですが、それは小説には一切ないです。
 ◆橘沙穂:沖野付きの事務官。沖野よりちょっと年下。美人で冷静沈着で有能。諏訪部からも気に入られるほどの度胸もある完璧美女。ま、はっきり言って沖野にはもったいないすね。きっと、完璧女子からすると沖野の危なっかしさは、母性本能をくすぐっちゃったのだろう、と思うことにします。
 ◆最上の学生時代の仲間たち:丹野は、弁護士から国会議員になった男で、義父の大物代議士の身代わりになって自殺。その死への決意が、最上に影響することに……。前川は細々と自分の法律事務所を経営する弁護士でイイ人。水野はちょっと先輩で、法曹界に進まず根津の事件をずっと追いかけるジャーナリストに。そして小池は出番は少ないけど、企業法務の大手法律事務所に勤務する弁護士。まあ、彼らがきっと最上の味方として動いてくれるから、最上が娑婆に出られるのもそう先ではないんじゃないかしら。
 ◆松倉弁護団:小田島は国選弁護人として、ズバリ言えば松倉の無罪をまったく信じてなかったしがない弁護士。しかし沖野の勢いに負けて、渋々事件を捜査する。ただし決して悪い奴ではなくむしろ人のいい野郎。そして白川という弁護士が出てくるのだが、こいつがまたなかなかのクソ野郎で、人権派・冤罪無罪職人と世間的に知られる有名弁護士。コイツは、松倉が犯人だろうと無罪だろうと、本心ではどうでもよく、単純に裁判に勝てればいいと思っている。そして裁判に勝つ=死刑判決を避けることで、無期になれば勝ちだと思っている。非常にいやーな野郎。どうやら映画版では、この白川弁護士を演じたのは山崎努氏のようですが。読んでるときはもっと若いイメージだったけど、どうなんでしょう。

 とまあこんなところかな。なんつうか、イカン、マジで映画版が観たくなってきたすね! どうしようかな……うーーん……やっぱり、監督がちょっと苦手な人なので、やめとくかな……。物語もちょっと小説と違うようだし。WOWOWで放送されるのを待とうという結論は変えないでおこうと思います。そして、やっぱ劇場に行くべきだった、と1年後ぐらいにWOWOWで観て、後悔すればいいや。

 というわけで、結論。
 わたしは映画が大好きで、その映画に原作があるなら読んでおこうと思うことが多いのだが、映画は観ないけど、原作を読もうと思うことも、結構頻繁にある。そして現在公開中の『検察側の罪人』という作品についても、予告の出来がとても良くて、これは観ようかしら、と思ったものの、監督の前作『関ケ原』が予告は最高に面白そうだったのに、わたしとして相当ひどい映画だとしか思えなかった前歴があるので、今回の映画版は観ず、原作小説を読んでみることにした。結論から言うと、原作小説は実に面白かったと思う。正義とはなんなのか……? それはこの際、読者それぞれの中に答えがあると逃げてもいいと思う。この物語を読んでどう思うか。それが恐らくは読者それぞれの正義感なんだろう、と思うわけで、わたしの場合は、最上に深く共感しつつも、やっぱり最上を正義とは断じることはできないし、沖野もわたしからすれば全然正義とは思えない。じゃあ、どうすればよかったのか……そうだなあ、まず、真犯人をきっちり死刑判決まで持ち込み、そして松倉も、自分の持てる全ての力を使って、社会的に抹殺していた、とか、そんなつまらんものしか浮かばないすなあ……。いずれにせよ、正しく真面目に生きていきたい、という思いが強まる作品でありました。大変面白かったです。以上。

↓ わたし思うに、劇場版シリーズ最高傑作。多分一番ダークで冷酷なお話かと。超カッコイイす。






 というわけで、今日は雨が降っていたので、会社まで車で行って、会社から総武線で3つ先の千駄ヶ谷まで電車に乗って、そこから神宮球場の横にある日本青年館へ行ってきた。
 理由はただ一つ、わたしが最も応援している宝塚歌劇団星組の公演を観るためであります。今回は「異次元武侠ミュージカル」と題された『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』と、「タカラヅカ・ワンダーステージ」という前サブの付いたショー『Killer Rouge 星秀☆煌紅』の二本立てである。この公演は、来月、そのまま台湾でも上演されることが決まっており、わたしも台湾子会社の役員がチケットを既に確保してくれているので、来月は2年ぶりかな、台湾へ行ってくる所存である。
 で。まずミュージカルの方だが、この作品はオタク業界では大変有名な虚淵玄氏による原案・脚本で、台湾製の「人形劇」としてテレビ放送された作品を、舞台ミュージカル化したものだ。10月から第2シーズンの放送があるのかな。そして虚淵氏は元々18禁のエロゲーのシナリオライターだが、今やすっかり売れっ子作家と言っていいだろう。そしてこの『Thunderbolt Fantasy』も、小説やコミックにもなっている有名な作品だが、まあ、ズバリ言えば、宝塚歌劇を愛する淑女の皆さんには全くお馴染みでないだろうと思う。なので、まさか宝塚でこの作品をやるとは、わたしとしてはかなり想像の斜め上を行く作品選びで、最初に聞いた時はとてもびっくりしたのである。
 しかし、よく考えると、あのビジュアルはたしかに舞台映えしそうだし、実は全然アリかも、と思い、果たしてどんな舞台となるのだろうか……とわたしは相当な期待をもって、今日は日本青年館へ参上したのだが、まあ、結論から言うと、ちゃんと面白かったすね。ただ、歌が少なく、コスプレ感もぬぐえず、若干のトンデモ系な香りは漂っていたようにも思う。でもまあ、イケメン俳優演じるいわゆる2.5次元系でやるよりも、この世のものとは思えないような美形を誇る宝塚歌劇の方がいいんだろうな、と思った。
 というわけで、劇場に着いたのは確か開演30分前ぐらいだったと思うが、もう会場は相当数の淑女の皆さんが詰めかけており、さすがの人気ぶりであった。そして今回、わたしは友会抽選に当たって普通にチケットが買えたのだが、7列目のほぼドセンターあたりという大変良い席で、おお、こりゃあ舞台が近くて最高だぜ! というのを席について確認したのち、なにやら2階ホールに、テレビで使用した本物の「人形」が展示されているというので観に行ってみた。これがまたすっげえ淑女の群れが集っていて、なかなかいい写真は撮れなかったのだが、ま、こんな感じであった(※写真撮影OKだったす)。
thunder
 それぞれの人形は、だいたい1メートルぐらいの身長があったかな、もうチョイ小さいか? そして細い! すごく華奢で顔も小さく、9頭身ぐらいはありそうな極めて繊細に、緻密に作りこまれたものであったのが印象的だ。このキャラたちを、紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)率いる我が星組メンバーがどんな感じに演じるのだろうか、そしてわたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)は、その最大の魅力である歌を聞かせまくってくれるだろうか、という期待の元、開演を待つべく席に戻った。
 で。どんなお話かは、説明するのがちょっと難しいので、公式サイトのWebページを観てほしいのだが、ズバリ言えばファンタジーなので、歴史とかそういうものは全く関係ない。かつて「魔物」と「人間」の戦いがあって、魔物に対応する武器を人間が作っていたと。で、それから長い時間が経過した世の中では、とある一族が最強の刀を護っていて、その刀の刀身自体は魔物を封じ込める封印に使われていて、その刀の「柄」と「鍔」がないとその刀身を抜く(=封印を破る)ことができず、魔の力を欲する悪党集団(?)がその柄と鍔を奪いに、守護している一族のもとにやってきて、そこに通りかかった(としか言いようがない)男たちが、力を合わせてそれを守る、てなお話である。これは、事前に予習しておいた方がそりゃいいけど、今回の舞台を観ていて、これは予習なしでもちゃんと理解できるお話になってるように感じた。なので、淑女の皆さんは予習しなくても大丈夫だと思うな。もちろん、知ってた方がより理解は深まると思うけど。
 というわけで、キャラ紹介と演じたジェンヌを書き連ねていきたいのだが、わたしが気に入った順に書こうと思います。なので、主人公じゃないこの方から行ってみよう。
 ◆殤不患(ショウフカン):演じたのは「お兄さま」でお馴染みの七海ひろきさん(以下:カイ兄貴)。今回、カイ兄貴がいっちばんカッコ良かったと思う。最高でしたね、ひろきのお兄様! 大変美味しい役柄でありました。カイ兄貴は女子としても大変な美人で、男役としては実にカッコイイお人ですよ。今回演じた役は、たまたま通りがかって、かなり嫌々助っ人となる謎の剣客なのだが、実はーーというその実力を最後に見せてくれて、もう物語的には主人公並みの大活躍と言えるのではなかろうか。カイ兄貴、ホント最高にカッコ良かったす!
 ◆丹翡(タンヒ):演じたのは、星組のヒロイン、TOP娘役の綺咲愛里ちゃん(以下:あーちゃん)。今回はもう、本当にお人形のような可愛さで、このレベルのビジュアル的可愛さは、わたしの審美眼では宝塚歌劇5組中ナンバーワンだと思う。何度もこのBlogで書いている通り、あーちゃんは確かに歌には問題があるかもしれない、けど、わたしはあーちゃんの意外な低音ボイスが大好きだし、あーちゃんは、裏声の高音が苦手なんじゃないかしら。地声の部分はすごくいいと思うんだけどな。わたしはあーちゃんの声が大好きすね。とにかく、おっそろしく可愛かったす。演じた役柄は、封印の柄と鍔を守護する一族の姫で、箱入りで世間知らず的なキャラなのだが、必殺技の発動も実にそれっぽくて良かったし、その衣装も大変あーちゃんに似合っていたと思う。つうか、あーちゃん、かつてこのBlogで幼児体形とか言ってごめんよ。なんかすっかりシャープになったというか、とても痩せたね。ウエストの細さがもう以前とは段違いだし、ちょっと痩せすぎなのが心配です。
 ◆捲殘雲(ケンサンウン):演じたのは、わたしが最も応援しているこっちんこと礼真琴さん。本作は幕開けからこっちんのパワフルな歌から始まるので、もうのっけから大興奮でした。何も言うことないね。最高です。役柄としては、護衛団の中で一番の若者ということで、ちょっとしたツッコミ役だったり、コメディ色も強かったすね。ビジュアル的にも、アニメ風というか、ファイナルファンタジー的というか、2次元的な金髪イケメンでしたな。とてもよく似合っていたと思う。問題は、こっちんは、ズバリ言うとカッコイイよりもカワイイ系なんすよね……。そこが完璧超人こっちんの唯一の弱点のように思えてならない。歌の実力は、もうヅカファンなら誰しも現役最強レベルと認める力があるので、あとはレジェンドちえちゃん(=柚希礼音さん)のような、ワイルドなギラギラ感が加われば、最強なんすけどね……。でもまあ、こっちんはやっぱり最高す!
 ◆凜雪鴉(リンセツア):物語の主人公。盗賊。自由人(笑)で。ちょっとボケ役、と言ってもいいかな。演じたのは、星組TOPスター、紅子先輩こと紅ゆずるさん。宝塚屈指のコメディエンヌとして名高い紅子先輩は、たしかにリンセツアのキャラにはピッタリだったすね。わたしの席から双眼鏡で紅子先輩を観てみたところ、紅のカラーコンタクトを着用されてるのが見えたす。原作でどうだったかまったく覚えてないけど、目が紅くてびっくりしたよ。ただ、この人はイイ人なのか悪い奴なのか、非常に微妙なところがあるので、今回のお話の中では、若干理解が難しいかも。これは原作の人形劇を観てないと、ちょっとわかりづらいかもなあ……とは思った。ただ、それでも紅子先輩の笑わせるクオリティは相変わらずお見事で、その軽妙さはやっぱり、リンセツア役は紅子先輩以外にはできないだろうと思わせるお見事な演じぶりでした。ちょっと歌が少なかったすね。ミュージカルと言えるかどうか、ギリギリぐらいの最小限の歌しかなかったのがちょっとだけ残念す。
 そして後半はショー『Killer Rouge 星秀☆煌紅』であります。このショーは、数カ月前、大劇場で上演されたものの再演なのだが、現在星組は2班に分かれているので、メンバー構成が変わって、内容もちょっとだけ、前回からは変更になっていた。例えば、明らかに台湾向けな中国語の歌が入ってたりしてたす。
 わたしが今回のショーで、一番目に留まったのは、新公主役を3回こなしている天華えま君(以下:ぴーすけ)だ。今回、ソロで歌うシーンが何回かあって、これって前回もあったっけ? と思いつつ、たぶんわたしはぴーすけ君のソロを聞くのは初めてじゃなかろうか? という気がした。そして、なんだよ、かなりイイじゃないですか。ぴーすけ君、結構美声なんすね。今、星組では売り出し中の若手カップル、極美慎くんと星蘭ひとみちゃんの二人は、別班で現在バウホール公演の稽古中なので、今回不参加なのだが、その分、やけにぴーすけ君が目立ってた印象す。
 あと、これは明確に前回なかったものだが、今回は、紅子先輩の恐らく完全アドリブな、「誘導係:紅子」コーナーがあった。しかも長い! 10分とは言わないまでも5分以上はあったすね。もうその笑わせ方はすごいよ。マジでこれも紅子先輩じゃないとできないだろうな……。これは、劇場の席の誘導係である「紅子」なるキャラに扮した紅子先輩が、後輩のあーちゃんや、こっちん演じる「礼子」をいじりまくるギャグコーナーで、客席を練り歩きながらお客さんへのダメ出しをしたり、あーちゃんを軽くパワハラしたり、相当笑えました。このコーナーって、2014年かそのあたりのタカスペのアレなんすかね? あの年のタカスペは、紅子先輩は病気休演になっちゃったんだよな……それでこっちんとあと誰だったかで、客席練り歩きながら演じてたのがあったけど、アレはバスガイドだったっけ……ちょっとBlu-ray探してみよう。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「正しくあろうとしたことを、悔やむんじゃない!」
 今回は、ほぼ物語の主役と言ってもよさそうな、カイ兄貴こと七海ひろきさん演じるショウフカンのセリフを選びました。ヒロインへ向けたこのセリフ、実にカッコ良かったすね。わたしの中でのカイ兄貴株が爆上げですよ。今までこっちんばっかり注目していたけど、やっぱりカイ兄貴も最高すね!

 というわけで、結論。
 現在、日本青年館で上演している宝塚歌劇団星組公演『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀/Killer Rouge 星秀☆煌紅』を観てきたのだが、なるほど、原作を知らなくても理解できるかな、という内容ではあった。もちろん、予習した方がイイとは思うけど、意外と大丈夫のような気がします。まあ、正直、わたしは虚淵氏の作品は数多く観たり読んだりしているけれど、いつもほぼ好みではないし、全くファンでもないので、ちょっとアレなのだが、ここまで完全な異世界ファンタジーを宝塚歌劇が上演するのも珍しいような気もする。でも、そのビジュアル再現力はやっぱりすごいですな、宝塚は。とりわけヒロイン演じるあーちゃんのコスプレ(?)は最強に可愛かったと思うし、こっちん演じる役も、すごいファイナルファンタジー的キャラビジュアルで、それがまたよく似合ってるから、これまたすごいよなあ、と大興奮でありました。そしてショーの『Killer Rouge』も大変キラキラであり、天華えま君のソロも聞けたのは収穫だったし、ギャグコーナーの紅子&礼子も最高でした。要するに、結論としては大変楽しめました。来月の台湾公演が楽しみですなあ! わたしは2泊でさっさと帰っちゃいますが、また、宝塚だけじゃなく、日本公開される前の映画を観まくってこようと存じます。以上。

↓ これ、日本は12月公開、だけど、たぶんわたしが台湾に行く頃は台湾では公開されてると思うので、観てきます! あと、たぶん日本では2月公開の『FIRST MAN』も観られる……はず! 台湾は、大抵US本国と同時公開なのさ!


 夏の間は、便座の電源をOFFにしているのですが、今朝は、便座の冷たさに思わず、ひゃんっ!? とか声を上げてしまうほどびっくりしたわたしですが、もう秋、なんすねえ……。ケツで感じるのも全く風流じゃあないすけど……。また、毎日熱戦の繰り広げられている大相撲9月場所も、稀勢の里関の取組にひやひやしながらも、わたしの愛する松鳳山裕也君は昨日4日目時点で3勝1敗と元気で大変うれしく存じます。
 そして今朝、電車内で今週の週刊少年チャンピオン2018年第42号を読んでいたところ、こ、これは!? というお知らせが掲載されていましたので、『鮫島』ニュース号外として今週もスクショをここに載せておきたいと存じます。広告なので著作権的なアレはどうかお許しください……! コイツであります!
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 なんてこった! わたしは電子版でずっと買っているのですが、来週号は永久保存版として、紙雑誌版も買うしかないすね! この来週の週刊少年チャンピオン第43号「佐藤タカヒロ追悼 特別号 バチバチシリーズ大特集!」の内容をまとめておくと、
 1)最後の描き下ろし表紙!!!
 生前、最後に書き遺された熱き鉛筆画が表紙に!!
 2)巻頭カラー! 追悼色紙展
 第69代横綱・白鵬をはじめ、角界著名人や連載芯による追悼色紙が巻頭カラーを飾る!!
 3)巻頭カラー! 『バチバチ』全カラー掲載!
 雑誌連載カラーを、ロゴや煽り文、当時のレイアウトのままに全網羅!!
 4)鮫島鯉太郎前取組絵巻
 魂を揺さぶる圧倒的超巨弾52P!! 鯉太郎の前取組の熱量を、迫力あるページ構成で再現!!
 という内容だそうです。どうすか、これはもう、マジで買うしかないっショ! こいつはとても楽しみですね!
 そして、単行本最後の(20)巻の告知も正式に出ていましたので、こちらもスクショを貼っておきます。
same_20ad
 というわけで、最後の単行本第(20)巻は、来月10月5日(金)の発売であります! 話数的に、単行本収録には2話分足りないと思いますので、来週の「大特集」の内容が収録されるような気もしますが、やっぱりカラーで、とわたしとしては思いますので、来週のチャンピオンは絶対買いです。なんなら5冊ぐらい買ってもいいぐらいですが、最近のチャンピオンは、まあきっと部数が落ちてるんでしょうな、近所のコンビニの配本冊数がめっきり落ちていますので、わたしが買い占めてはダメ、と戒め、1冊で我慢するつもりでおります。これはもう、ずっときれいに保存しておきたいなあ……。

 というわけで、結論。
 みなさん!! 来週2018年9月20日(木)発売の週刊少年チャンピオン2018年第43号は、「買い!」でお願いします!! 白鵬関からコメントをもらえるなんて、佐藤先生も嬉しいでしょうなあ……ほかにどんな方が追悼の色紙を書いてくれたのかも気になりますね! ヤバイ、久しぶりにチャンピオンが待ち遠しいっす!! 以上。

↓ 当然こちらも買いです。当然すよね!


 わたしが新刊を待ちわびる小説は数多いが、その中でも、日本の小説で、ここ数年毎年8月と2月に新刊が発売さてわたしを楽しませてくれているのが、高田郁先生による時代小説である。しかし今年の8月は、一向に新刊発売のニュースが聞こえてこず、おかしいな……と思って、かなりの頻度で版元たる角川春樹事務所のWebサイトを観に行ったりしていたのだが、いよいよ、今年は9月に新刊発売! というお知らせを観た時のわたしの喜びは、結構大きかった。そして、おっと、来たぜ! とよく見ると、なんとその新刊は、現在シリーズが続く『あきない世傳』の新刊ではなく、何と驚きの『みをつくし料理帖』の新刊であったのである。この嬉しい予期しなかったお知らせに、わたしはさらに喜び、9月2日の発売日をずっと待っていたのである。
 しかし―――愚かなわたしは8月末から別の、大好きな海外翻訳小説を読んでいて、すっかりその発売を忘れており、おととい、うおお! 忘れてた!!! と焦って本屋さんに向かったのであった。角川春樹事務所は電子書籍を出してくれないので、ホント困るわ……こういう時、電子書籍なら確実に、新刊出ましたよ~のお知らせが届くのにね。
 というわけで、昨日と今日でわたしがあっさり読み終わってしまった本はこちらであります!
花だより みをつくし料理帖 特別巻
髙田郁
角川春樹事務所
2018-09-02

 そのタイトルは、『花だより』。紛れもなく、高田郁先生による「みをつくし料理帖」の正統なる続編であり、本編の「その後」が描かれた物語である。あの澪ちゃんや種市爺ちゃんたち、みんなにまた会えるとは! という喜びに、わたしはもう大感激ですよ。そして読み終わった今、ズバリ申し上げますが、超面白かったすね。間違いなく、既に完結済の『みをつくし料理帖』が好きな人なら、今回の「特別巻」も楽しく読めるはずだ。それはもう、100%間違いないす。いやあ……なんつうか……最高っすわ!
 というわけで――今回の『花だより』は、シリーズが完結した4年後の1822年から、その翌年1823年が舞台となっている。軽くシリーズのラストを復習しておくと、主人公の澪ちゃんは宿願であった、幼馴染の野江ちゃんことあさひ大夫の身請けに成功し、超お世話になった大金持ちの摂津屋さんの助力を得て、夫となった源斉先生と、自由の身となった野江ちゃんとともに大坂に旅立ったわけである。もちろんそこに至るまでの道のりが、まさしく艱難辛苦の連続で、数々の超ピンチを乗り越えての幸せGETだったわけで、読者としてはもう、本当に良かったね、幸せになるんだぞ……と種市爺ちゃんのように涙したわけです。
 あれから4年が過ぎ、はたして澪ちゃん去りし後のつる家は、繁盛しているだろうか? 澪ちゃん&源斉先生夫婦は大坂で元気にやってるだろうか? そんな、読者が知りたいことが知れる、まさしく高田先生から読者への「お便り」が本作であります。
 本作は、これまでのシリーズ同様、短編4本立てで構成されていて、それぞれがそれぞれの人々を描く形で、それぞれの「その後」を教えてくれるものだ。というわけで、まあ、ネタバレになってしまうかもしれないけれど、簡単にエピソードガイドをまとめておこう。ネタバレが困る方はここらで退場してください。つうか、こんな文章を読んでいる暇があったら、今すぐ本屋さんへ行って、買って読むことをお勧めします。絶対に期待を裏切らない内容ですので。
 ◆花だより――愛し浅蜊佃煮>1月~2月のお話
 主人公は種市爺ちゃん。もう74歳となって、体もきかねえや、てな爺ちゃんだが、とある事が起きて、もうおらぁダメだと超ヘコむ事態に。すっかり気落ちした爺ちゃんは、年に1回は必ず届いていた澪ちゃんからのお手紙も届かず、いよいよ心はふさぐばかり。しかし、そんな爺ちゃんに、恩師を喪って同じく気落ちしていた清右衛門先生が大激怒!! 「この戯け者どもが! 真実会いたいのなら、さっさと会いに行けば良いのだ! それを遠いだの店がどうだ、と見苦しい言い訳をするな!」 というわけで、清右衛門先生、坂村堂さん、種市爺ちゃん&ちゃっかり(小田原まで)同行するりう婆ちゃんの、東海道五十三次珍道中の始まり始まり~!!!  つうか、やっぱり清右衛門先生の言う通りですなあ……会いたい人には会っとくべきですし、行きたいところには行っとくべきですよ。人間、いつどうなるかわからないものね……。
 ◆涼風あり――その名は岡太夫>5月~6月ごろ(梅雨時)のお話
 主人公は、かつての想い人、小松原さま、こと小野寺数馬、の奥さんである乙緒(いつを)さん。17歳で数馬のお嫁さんとなって早6年だそうです。この乙緒さんは、侍女たちからは「能面」と呼ばれるような、超クールで感情を表に表さないお方だそうで、別に冷たい人では決してなく、まあそういう教育を受けてきたからなんだけど、きっちりと真面目にコツコツやるタイプのようで、亡くなった小松原さまのお母さん(里津さん)が、亡くなる前に「小野寺家の掟」のようなものをきっちり伝授し、里津さんからも、この娘なら大丈夫と思われていたようなお方。そんな乙緒奥さんが、夫の「かつての想い人」である「女料理人」のことを聞いてしまい、おまけに2人目の子供の妊娠が発覚し、身も心もつらい状況になってしまう。しかし、そんな時にふと思い出したのは、里津お母さんから聞いた、とあるお話だった――てなお話です。まったく、不器用な夫婦ですよ……!
 ◆秋燕――明日の唐汁>8月のお話
 主人公はかつてあさひ大夫だった野江ちゃん。野江ちゃんは、摂津屋さんの助力で大坂で商売を始めていたのだが、これは高田先生の『あきない世傳』でも何度も出てきた通り、大坂商人には、「女主人はNG」というルールが当時あったわけで、摂津屋さんが業界組合を説得して3年の猶予をもらっていたけれど、その3年が過ぎようとしているという状態。要するにその3年間で、結婚して旦那を主として据えろ、というわけだ。しかし、野江ちゃんの心には当然、野江ちゃんをその命と引き換えに火事から救った又次兄貴がいまだいるわけでですよ。というわけで、又次兄貴との出会いの回想を含んだ、野江ちゃんの心の旅路の物語であります。泣ける……!
 ◆月の船を漕ぐ――病知らず>9月ごろから翌年の初午(2月)までのお話
 お待たせいたしました。主人公は澪ちゃんです。大坂へ移って料理屋「みをつくし」(命名:清右衛門先生)をオープンさせて早4年。大坂には死亡率の極端に高い流行病(コレラ?)が蔓延していた。源斉先生をもってしても、治療法が見つからず、数多くの人々が亡くなっていたのだが、「みをつくし」がテナント入居していた長屋のオーナーお爺ちゃんも亡くなり、後を継いだ息子から、つらい思い出は捨て去りたいと、長屋を売りに出すことになり、「みをつくし」も立ち退きを要求されてしまう。さらに追い打ちをかけるように、日夜患者の元を駆け回っていた源斉先生も体力的にも限界、おまけに医者である自分の無力さにハートもズタボロ、その結果、愛しい源斉先生もブッ倒れて寝込んでしまう。こんな艱難辛苦に再び見舞われた我らがヒロイン澪ちゃん。何とか料理で源斉先生を元気にさせようと頑張るも、まったくもって空回り。下がり眉も下がりっぱなしな状況だ。そんな時、とあることがきっかけで、澪ちゃんは忘れていた大切なことを思い出すのだが―――てなお話であります。
 というわけで、まあ、なんつうか……まったく澪ちゃんの人生はこれでもかというぐらいの艱難辛苦が訪れるわけですが、それを乗り越えるガッツあふれるハートと、とにかくキャラクターたちみんなが超いい人という気持ちよさが、やっぱり本作の最大の魅力だろうと思います。やっぱり、頑張ったら報われてほしいし、そういう報われている姿を読むことは、とても気持ちのいい、読書体験ですな。わたしとしては、久しぶりに会うみんなの、「その後」を知ることが出来て大変うれしかったです。まあ、控えめに言って最高すね。高田先生、素敵な「お便り」を有難うございました!

 というわけで、さっさと結論。
 高田郁先生による人気シリーズ『みをつくし料理帖』。既に物語は美しく完結していたわけだが、この度、各キャラクターの「その後」を描いた最新作『花だより~みをつくし料理帖 特別巻』が発売になったので、さっそく読んで味わわせていただいたわたしである。読後感としては、大変好ましく、実に面白かったというのが結論であります。我々読者の心の中に、キャラクター達は生きているわけで、既に完結した物語の「その後」が読めるというのは、やっぱり本当にうれしいものですね。高田先生、ありがとうございました! そして、次の『あきない世傳』の新刊もお待ち申し上げております! 以上。

↓ ドラマは結局あまり見なかったす。澪ちゃんを演じた黒木華ちゃんは最高だったんすけど、又次兄貴と種市爺ちゃんのイメージが、あっしが妄想していたのと違い過ぎて……。。。

 現在の宝塚歌劇団、花組TOPスターは、明日海りおさん(以下:みりお)である。わたしが初めてみりお氏を知ったのは、2010年の月組による『THE SCARLET PIMPERNEL』で、当時の世に言う「まさみり」時代のみりお氏が、悪役ショーヴランを龍真咲さんと役替わりで演じている時で、わたしはたまたまみりお氏がショーヴランを演じた回を見て、すげえこの人は光ってるなあ、と思ったわけだが、あれからもう8年が過ぎた。
 みりお氏はその後、2013年に月組から花組に異動になって、2014年に見事花組TOPスターとなったわけだが、それから数えてももう4年、まさしく今、円熟の時を迎えており、ズバリ言えば、もういつ退団の発表があってもおかしくないと、おそらく宝塚ファンは誰しも感じているだろうと思う。
 そんなみりお氏だが、わたしの主観で言えば、このお方は現在の5組のTOPスターの中では最強のビジュアルを持ち、とにかくルックスの美しさは随一であろうと思う。もちろん、歌も芝居もダンスも当然最高レベルにあるのだが、わたし的にはまずそのビジュアルが最強だ。異論はあるとは思うけれど、わたしはみりお氏のビジュアル、そしてその次に、芝居が非常に良い、と思っている。花組は2番手スター柚香光さん(以下:ゆずかれー)も、そのビジュアルは最強に近く、ここ1年ぐらいでメキメキと歌も良くなってきているので、TOP就任もいよいよ近いのだろうとは思っても、やっぱりみりお氏の放つ強力なオーラにはまだ届いておらず、わたしとしてはもうチョイ、みりお氏がTOPに君臨して、ゆずかれーくんの熟成を待ちたいのだが、果たしてどうなるのか、その人事は劇団首脳に聞かないとさっぱり分からん状態である。
 というわけで、わたしは昨日、現在日比谷で絶賛上演中の花組公演『MESSIAH −異聞・天草四郎−/BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−』を観てきたのだが、なんとなくこの作品は、みりお氏の退団公演でもおかしくないような内容だったな……という気がしてならなかったのである。次の世に思いを託す天草四郎の姿に、妙にわたしは現在のみりお氏を重ねてしまったのだ。まあ、ズバリ考えすぎだと思うけど。

 というわけで、前半はミュージカル『MESSIAH −異聞・天草四郎−』である。ま、お話はもはや日本人的にはお馴染みの、天草四郎の物語だ。天草四郎と言えば、相当いろいろな作品で登場する人物だが、実際のところ結構謎の人物で、かなり伝説めいた人物としてもお馴染みだろう。そのような、空想の入り込む余地が多いために、多くのフィクション作品を生み出しているともいえるが、本作では、四郎は、倭寇、すなわち海賊の長だったという設定になっていて、彼自身はキリスト教徒ではなかったという面白い設定になっている。ではなぜ、一揆をおこし、それを率いたかというと、そこには支配層の圧政があり、また、民衆のキリスト教への妄信?とも言えそうな、ただただ、もはや神の救いに縋るしかないという絶望的な想いに、心動かされたから、と本作では描かれていた。
 わたしとしてはその物語に不満はないし、みりお氏の渾身の芝居ぶりも非常に見事だったと思う。また、本作はミュージカルと言っても歌は最小限であったのだが、最小限の歌の使い方が非常に効果的で、ソロ曲というより群衆とともに歌うようなシーンが多く、その迫力はとても素晴らしかったと思う。やっぱり、グッと来たっすね、歌のシーンは。そして、四郎に関しては、やけに衣装がカッコ良かったですな! 和服なのに、和服じゃないというか、なんなんだろう、肩パット的な逆三角形シルエットにカッコ良さを感じたのだろうか? 配色もいいし、四郎とリノの衣装は何か凄くカッコ良かったすね。男目線からすると、翻るマントは鉄板のカッコ良さす。
 そしてわたしが本作で、みりお氏以外に目についた役者を挙げるとしたら、やはりゆずかれーくんと、TOP娘役の仙名彩世さん(以下:ゆきちゃん)だろうと思う。
 まず、ゆずかれーくんが今回演じたリノ、別名山田右衛門作は、四郎とは逆に、敬虔なキリスト教信者だ。南蛮絵師として数々の宗教画を描き、ある意味民衆の信仰のよりどころとなっているマリア様の肖像(だっけ?)を描いた男で、島原の乱唯一の生存者と知られている人物だ。歴史上はWikiによると内通者だったようだが、ゆずかれーくんの芝居は、右衛門作の苦悩をとても見事に、そして美しく表現できていたように見えた。四郎から、お前は生きて、俺たちの真実を後世に伝えてくれ、と頼まれ、皆とともに死ぬことを許されなかった右衛門作。本作は、冒頭、江戸城に呼ばれた右衛門作が、島原で起きたことを時の4代将軍家綱に語り出すところから始まる(※島原の乱は、3代将軍家光の時代)。なので、四郎たちの戦いは、要するに回想シーンなわけだが、エンディングではまた江戸城の冒頭のシーンに戻り、とまあこういう次第であります、と繋がるわけで、そのラストで、家綱から優しい言葉をかけられたゆずかれーくんの、渾身の土下座にわたしはかなりグッと来たっすね。大変素晴らしかったと思う。歌もホント、毎回成長してますよ。TOPへ至る日は本当に近いのでありましょうな……きっと。なんというか、その想いを引き継ぐ的なところに、わたしはなんだかみりお氏の卒業公演っぽいと感じてしまったのだと思う。
 そしてゆきちゃんは勿論、物語のヒロインである流雨(るう)を演じたわけだが、やはりこのお方も、芝居と歌は超一級ですな。とりわけ、ゆきちゃんの声の美しさはTOP娘役の中でもわたしはナンバーワンだと思う。5人のTOP娘役の中で、94期と最年長。でもまだ大劇場2作目だし、きっとゆきちゃんはみりお氏と同時退団しちゃうんだろうと想像するけど、まだまだその美声は聞かせていただきたいですなあ……。本当に綺麗な歌声ですよ。お芝居もとても良かったと思います。
 それから、出番は少ないけれど、水美舞斗さん(以下:マイティー)も、グイグイと力をつけてますねえ。わたしが一番応援する星組で言うと、まさしく瀬央ゆりあさん(以下:せおっち)的立場だと思うけど、演じた松平信綱は、島原の民に同情を寄せながらも、徳川家第一、という筋の通った男をきっちりと、何気にカッコ良く演じていたと思うすね。マイティーもせおっち同様、次のTOPスター候補である95期の同期、ゆずかれーくんとこっちん(礼真琴さま)をしっかり支える貴重な人材として、活躍してほしいすね。
 で。後半はショー『BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−』である。
beautifulgarden
 こちらはもう、そのタイトルが表す通り、もうお花畑ですよ。何と言っても、花組、だもんな。そりゃあまあ、美しい花男、花娘の、文字通り百花繚乱ですよ。わたしは男なので、ラスト近くにある、ゆずかれーくん率いる若き花男たちのアイドル的パートには特に感じるものはないのだが、会場の淑女の皆さんはうっとりでありました。わたしとしては、やっぱりみりお氏とゆきちゃんのデュエットダンスが一番美しく感じたすね。いやあ、ホントにゆきちゃんの声は綺麗だなあ……と思います。願わくば、あと1年ぐらいはこのコンビでお願いしたいと存じます。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「バカげている! 生きている人間さえ救えぬ神が、あなた方の魂をぱらいそへ導けるとでも思っているのか!」
 今回は、踏み絵を踏んでも何も起こらないじゃないか、あんたたちの「神」はただ沈黙しているだけだ! という四郎の怒りに満ちた叫びを選びました。神の沈黙、これはキリスト教信者にしかわからない苦悩?なんでしょうな……生きてこそ、だと思うんだけどね……。ほんと、みりお氏は芝居が一番のような気がしますね。

 というわけで、結論。
 現在日比谷にて絶賛公演中の花組公演、『MESSIAH −異聞・天草四郎−/BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−』は、当然歴史通り悲劇的なお話で、会場の淑女の皆さんはくすんくすんと泣かれている方も多く、物語的にかなりグッとくるお話であった。歌は最小限だったけれど、その歌のシーンも非常に良かったすね。群衆とのハーモニーでグググッと盛り上がるのは、ハートに響きますなあ! とても良かったと存じます。本当に、明日海りおさんの芝居はもう円熟期、大変お見事でした。確かに、柚香光さんの技能はぐんぐん向上し、そりゃもう、次のTOPは決まりでしょう。でも、でも、まだまだ、みりお氏のもとで研鑽をしてほしいすね。すっごい悪党を一度演じてほしいすなあ……。あとは歌も、相当レベルは上がってきているのは間違いない、けど、さらに上を目指してほしいす。いずれにせよ、花組の今も、これからも、まあ、盤石なんでしょうな。みりお氏とゆきちゃんがあとどのくらいの任期か分からないけれど、最後まで応援いたしたく存じます。以上。

↓ 天草四郎と言えば、わたしが真っ先に思い出すのはやっぱりこれっす。沢田研二氏が最高す。






 はーーー……面白かった……。
 なんのことかって? それは、わたしの年に1度(?)のお楽しみである、『暗殺者グレイマン』シリーズの新刊が発売になったので、わーい!とさっそく買って読み、味わった読後感であります。わたしの愛する早川書房様は、紙の文庫本で出した1週間から10日後に電子書籍版をリリースするので、紙の文庫が8月21日に発売になって、わたしも本屋さん店頭にて現物を手に取って、くっそう早く読みてえ! けど、あとチョイ我慢だ! と歯を食いしばって耐え、その後8月31日になって電子版が配信開始されたので、すぐさまポチってむさぼるように?読んだのである。しかし早川書房様はホント素晴らしいですな。US発売が2月で、6カ月後にはもう日本語版を出してくれちゃうのだから、マジで他の版元も見習ってほしいものだ。内容的に時事問題が絡んでいるので、どっかの版元のように2年とか時間をかけていては話にならないのである。新潮社、アンタのことだよ!
 というわけで、わたしが待ちに待っていた新刊の日本語でのタイトルは、『暗殺者の潜入』。英語タイトルは『AGENT IN PLACE』という、Mark Greaney先生による「暗殺者グレイマン」シリーズ第7作目である。いやあ、結論から言うと今回も、コートの野郎は相当ヤバい目に遭うものの、ラストへの展開は気持ちよかったすねえ! エピローグは、若干今後への引きのような、ちょっとモヤッとしたエンディングだったけれど、大変面白かったです。おっとヤバイ! これだけでもうネタバレか? 今回はとにかくキッツイ状況で、本当に大丈夫かしらと心配しながら読んでいたのだが、まあ、そりゃあ、大丈夫っすわな。今回も非常に楽しめました。
暗殺者の潜入 上 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2018-08-31

暗殺者の潜入 下 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2018-08-31

 ところで今、わたしは思いっきり「面白かった」と能天気な言葉を書いてみたのだが、描かれている物語はまったくもって「面白い」じゃあすまされない、極めて凄惨で血まみれな状況である。なにしろ、今回の舞台は、現在世界で最もヤバイ国、シリア、である。この時点でもう、ヤバすぎることは想像に難くない。しかし、読み始めておそらく小1時間で、今回主人公のグレイマンことコートランド・ジェントリーが、何故シリアと関わるのか、何故単身シリアへ潜入するのか、が判明すると、我々読者としてはもう、正直、「コート、お前って奴は……」と若干呆れつつも、こりゃあヤバイことになってきたな……(ニヤリ)、と妙に心躍ってしまうのではなかろうか。
 そうなのです。もう、さんざんこのBlogで過去作の感想を書いている通り、本シリーズ「暗殺者グレイマン」という作品群は、その主人公に最も特徴があって、まあ、いわゆるハリウッド的な、超凄腕暗殺者であるグレイマン氏は、完全なる人殺しなのでBAD GUYであるはずなのに、おっそろしく人が良く(?)、妙な正義感、あるいは良心、のような「自分ルール」を持つ男で、しかもその自分ルールゆえにどんどんピンチに陥って、どんどん傷も負い、血まみれになっていく男なのである。
 なので、今回の作戦(というか依頼)も、常識的な判断からすれば、シリアに潜入するなんて選択はあり得ないだろうに、グレイマン氏は、何かと文句を言いながら、どちらかというと全く行きたくない、けど、もう、しょうがねえなあ! 的な心境を抱きつつ、死地へと赴くわけです。
 まあ、本作からいきなり読む人はいないと思うけれど、既にシリーズを読んでいる我々としては、グレイマン氏のそんなところに、痺れ、憧れちゃうわけだが、それがどんな読者でも感じるかというと、それはかなりアヤシイことだと思う。ふと冷静に考えるとかなり荒唐無稽だし。でも、こういう、グレイマン氏のような「自らの納得の元に行動する男」のカッコ良さ?は鉄板ですよ、やっぱり。
 あとこれは全くどうでもいいことだが、わたしは第1作目を読んだ時から、どういうわけか、グレイマン氏のビジュアルイメージとして、完全にセクシー・ハゲでお馴染みのJason Statham兄貴に固定されてしまっており、前作で、グレイマンはハゲじゃなかった!というわたしにとっては超残念な描写があったけれど、今回読むときもやっぱり、わたしの脳裏ではコート=Statham兄貴の公式は崩れませんでした。映像化するなら絶対、つうか、この世でコートランド・ジェントリーを演じられるのはStatham兄貴しかいないと思います。
 とまあ、わたしのジェントリー愛はこの辺にして、今回のお話を簡単にまとめておこう。
 物語は冒頭、かの悪名高きISIS団に捕らえられたグレイマン氏が、いよいよ射殺される1秒前の状況が描かれる。そして、どうしてこうなった? と、その1週間前にさかのぼると、舞台はヨーロッパ、フランスのパリのど真ん中?である。フランスのファッションショーに出演するスペイン人のモデル。なんと彼女は、シリアの大統領の愛人であり、おまけに男児を出産しているという恐らくはあり得ない設定だ。そして彼女を拉致し、彼女の持つ情報を利用しようとする亡命シリア人反政府組織の医者夫婦。この夫婦はまったくのド素人だが、夫婦を支援しているフランスの元情報機関の男が、とあるハンドラー経由でグレイマン氏を紹介し、グレイマン氏は、金のため、というのも勿論あるけど、ほとんど反シリアのボランティアめいた動機から、拉致の依頼を受諾し、あっという間にその依頼を果たす。しかし、シリアの情報機関に雇われているスイス人クソ野郎の魔の手は伸び、一方でスペイン人モデルは情報提供に協力してもいいけど、そうなったらシリアのダマスカスに残してきた赤ん坊がヤバいので、現地へ潜入し、無事に連れてきてくれたら協力する、という無茶難題を吹っ掛ける。そしてその無茶に、我らがグレイマン氏が、しょうがねえなあ、くそッ!と行動を開始するのだがーーーてなお話である。サーセン。超はしょりました。
 わたしが今回、一番マジかよ、と驚いたのは、グレイマン氏の心情だ。な、なんと! グレイマン氏は、前作でぞっこんLOVEってしまったロシア美女、ゾーヤのことが忘れられず、悶々としていたのであります!! なんてこった! コート、お前も男だったんだな……!!
 「これは2カ月ぶりの仕事だった。それまでずっと身を隠していた。(略) 精神面で一歩踏み外しているという不安があったからだ。精神を鈍らせていたのは、PTSDや振盪症や若年性痴ほう症ではなく……もっと心を衰弱させることだった。それは女だった。(略) だが彼女への思いは残っていて、彼女と会う前とは自分が変わってしまったのではないかという気がした。(略)ジェントリーはそれをくよくよ考えていた。」
 どうですか、このグレイマン氏の心情は! 最高じゃないですか! そんなことザック(元上官)に知られたら、「シックス、お前の純情に乾杯! でも、だからと言ってシリアに行くのはイカレてるぞ、きょうだい」って絶対言われるぞ!
 要するにグレイマン氏は仕事に没頭することで愛するゾーヤのことを忘れたい、そしてさらに言うと、グレイマン氏は「シリア政府に対抗する戦いを支援するために何かやりたいと、ジェントリーはずっと前から考えていた」ため、今回の物語となったわけです。ホントこの人、いい人すぎるわ……。
 で。問題はシリアの状況だ。今回の物語は、あとがきによれば本当に現在のシリアの泥沼をかなりリアルに描いているようで、数多くの勢力が入り乱れる、極めて複雑なSituationである。現実世界の、いわゆる「シリア騒乱」に関してはWikiを読んでもらう方がいいだろう。わたしもここで説明するのはもうあきらめた。一応簡単にまとめると、(本作では)一番の悪党がシリア大統領で、政府軍(SAA)を持っているし、さらにイランとロシアが支援していると。で、さらに数多くの私兵団(=いわばギャング組織)や、雇われている民間軍事企業が政府側にいて、一方の反政府組織は、自由シリア軍(FSA)やアルカイダ系の連中や、かのISIS団もいて、さらにISIS団をつぶそうとするクルド人たちもいて、アメリカやイスラエル、トルコ、フランス、イギリスなどが反政府側を支援しつつ、クルド人たちにはアメリカもロシアも支援している、ような状況である。ダメだ、説明しきれない。
 恥ずかしながらわたしが全く知らなくて、へえ、そうなんだ!? と驚いたのは、そもそものシリアという国に関してだ。シリアって、宗教的にはかなり寛容、つまり大統領はキッチリスーツを着て、ひげもスッキリ剃って、街行く人も普通にジーンズだったり、女性もヒジャーブを着用してない場合も普通に多いんすね。そして首都ダマスカスのビジネス街は近代的なビルが立ち並んでるんですな。まあ、だからこそイスラム原理主義からは攻撃対象になるわけだけど、考えてみれば当たり前、かもしれないけど、全然イメージと違っていたことはちょっと驚きであった。これはわたしがまるで無知でお恥ずかしい限りであります。そうなんすね……なるほど。
 というわけで、恒例のキャラまとめをしておこうかな。
 ◆コートランド・ジェントリー:主人公で我らがグレイマン氏。通称コート、別名ヴァイオレーター、あるいはシックス。今回、普通なら2回は間違いなく死んでます。今回のグレイマン氏のシリア潜入方法がすごかったすな。なんとドイツ人の民間軍事企業経営者に接触して、シリア政府側の傭兵(=契約武装社員=コントラクター、あるいは武装警備員=オペレーター)となってシリアに入国するわけですが、当然、ドイツ人経営者は、えっと、グレイマンさん、ウチの仕事は、あなた様向きじゃないっすよ……? あなたの「倫理の掟」は知ってるっすよ? どういういきさつで悪役に代わったんすか? と思わずグレイマン氏に質問しちゃうシーンがあったのがちょっと笑えました。なので、表向きは政府側なんだけど、それを出し抜いて赤ん坊誘拐も同時にやってのけてしまうグレイマン氏の大活躍は、大変お見事でありました。そして仲間となる傭兵どものイカレ具合も、グレイマン氏からすると容認できるものではなく、いつぶっ殺し合いになるんだろう……という緊張感も良かったすね。しかしなあ、次は是非とも再びゾーヤに登場してもらいたいですなあ……!
 ◆シリア大統領&正妻シャキーラ&愛人ビアンカ:大統領と正妻シャキーラの間にはもう愛情は薄いものの、大統領にとってシャキーラはスンニ派であるため、政治的重要性が高く、またシャキーラは、ロンドン生まれでヨーロッパで青春を送った女性で、社交性が高く、「砂漠のバラ」と呼ばれるほどの美貌で、そういう意味でも、大統領にとっては「使える駒」でもある。一方でシャキーラにとっては、大統領夫人としての社会的ステータスと経済的な富のためにも、大統領は欠かせないという関係性にある。のだが、男児に恵まれず、将来的な心配をしていたところに、愛人が男児出産という事態になって、このままでは自分の地位が……と焦っており、愛人ビアンカを殺したいと思っているわけだ。そしてビアンカは、元々シリア生まれだけどスペイン育ちでモデルとして活躍してるところをシャキーラの仲介で大統領と出会い、子をもうけてしまう。そしてシリアの内情には全く疎かったため、現状の泥沼を知って情報を渡してもいいというところまで行くけれど、その条件として赤ん坊の脱出を突き付ける、とまあそういう感じです。なんつうか、アレっすね、この3人の関係は、豊臣秀吉&北政所ねね様&淀君の関係に似ているような気がしますね。
 ◆セバスティアン・ドレクスラ:スイス人で世界各国で悪いことばっかりしていた悪党。現在はスイスのプライベートバンクに雇われていて、莫大な金をその銀行に預けているシャキーラを守るために、銀行がシリアに派遣した諜報員。よく考えると、このドレクスラも悪党だけど、一番最悪なのはこのプライベートバンクであるのは間違いなさそう。ドレクスラはシャキーラにビアンカを殺すことを命じられるが、一方で大統領からはビアンカを保護して無事にシリアに連れて帰れとも指令を受け、何とかして自分が生き残る道を模索するある意味苦労人の悪党。結構、計画は杜撰というか行き当たりばったりかも。ま、事態が流動的すぎてしょうがないか。しかし、ドレクスラの最期は……どうなんすかねえ……まあ、後の作品で復讐の鬼となってグレイマン氏の前に現れるのは確実のような気がしますなあ……。
 ◆ヴァンサン・ヴォラン:フランス人で元フランス情報機関の男。69歳だっけ?かなり年はいってる。亡命シリア人夫婦にグレイマン氏を紹介した男。ただし、見通しは甘いし、情報精度も低く、ドジを踏みまくって、グレイマン氏をカンカンに怒らせてしまう。悪気は全くなかったのにね……。よって、グレイマン氏としてはヴォランに対しても、殺意を持っているが、グレイマン氏の恐ろしさをよーく知っているヴォランは、サーセンした! と後半かなり頑張って、一応殺されずに済む。ラスト、グレイマン氏がヴォランに言うセリフがカッコ良すぎなんすよ……。もう二度と会うことはない。会うとしたら、おれが送り込まれたときだ、的な。
 ◆傭兵軍団:シリアでグレイマン氏の同僚となるコントラクターたち。一般人でも虐殺上等な、イッちゃってる人々。当然グレイマン氏から見ると外道。気の毒な運命に……。
 ◆マット・ハンリー:グレイマン氏が唯一信頼(?)している男。前作からCIA国家秘密本部本部長。下巻の超絶ピンチに、マットと連絡がついた時はもう、これからグレイマン氏の反撃のターンだぜ! とわたし的には大変盛り上がりました。
 ◆スーザン・ブルーア:CIA局員で現在のグレイマン氏の管理官(ハンドラー)。基本的にグレイマン氏のことが大嫌い。そしてグレイマン氏はもっとスーザンが嫌い。わたしも、スーザンは嫌いっす。なんか出世欲旺盛な嫌な女に見えるので……。今回は数行だけ、一番ラストで登場する。次回作はまたCIAの作戦なんすかね……。

 とまあ、こんなところかな。おおっと、もうクソ長いし、書きたいこともない……と思うので終わりにします。

 というわけで、結論。
 わたしの大好きなMark Greaney先生による「暗殺者グレイマン」シリーズ最新作、『AGENT IN PLACE』(邦題:暗殺者の潜入)が発売になったので、さっそく買い求め、上下巻やっと読み終わったす。電子書籍の記録によると、上巻423分、下巻319分だったらしい。結論としては、大変楽しめました。いやあ、グレイマン氏のゾーヤへの思いが、意外というか最高ですね! そしてシリアに関しては、本書を読んだことをきっかけにいろいろ調べてみたけれど、なんつうか……本当に人類は殺し合うしかないんだなあと思うと、暗澹たる気持ちになりますな。グレイマン氏を必要としない世界はやって来るんすかねえ……。まあ、現実世界にはグレイマン氏はいないけれど、いないことを喜ぶべきか、嘆くべきか、良くわからんすな。とりあえず、グレイマン氏にまた1年後、会えることを楽しみに待ちたいと存じます。もう、次が来年2月にUS発売されることは決まってるらしいすよ。早川書房様ならまた、来年の今頃、日本語版を出してくれるはず! よろしくお願いします! 以上。

↓ 状況が理解できるようななんかいい本ないすかねえ……池上さん、お願いしますよ!

 おととい、わたしの身の回りのとある若造が(といっても35歳かな? アイツは)、わたしの会社の執務室でこんなことをわたしに質問した。
 「オレ、やっとマーベルシネマティックユニバースを観る決意したんすけど、どれを観なくていいですか?」
 彼がわたしにそう質問したのは、わたしが周りではMCUが大好きなおっさんとして有名であり、わたしの会社の執務室には仕事にほぼ関係なくMCUのBlu-rayが(既に発売されているものは)全て、ズラリとディスプレイされているためであり、彼もわたしのBlu-rayコレクションを眺めながらそう質問したわけなのだが、わたしはその質問に対して、ここ数年で一番の(かどうかはわからんがとにかく激しい)怒りを感じた。
 第1に、「観なくていい作品」なんてなく、全部観ないとダメだと思うからであり、第2に、その「サボる気満々」の根性が心底気に入らなかったからだ。パワハラであろうとわたしは今後の彼の評価を下げるしかあるまいと思っている。楽をしようとするその根性は、思えば彼の仕事ぶりにも如実に反映されているような気もするし。本当に彼には失望だ。【※初出時から表現を改めました。ちょっと怒りに任せてひどいこと書きすぎたので】
 というわけで。
 昨日からいよいよ公開となった『ANT-MAN AND THE WASP』。
 MCU10周年、記念すべき第20作目に、MCUヒーローの中でも2番目に大好きなANT-MANをもってくるなんて(※1番はやっぱIRONMANかな)、わたしとしてはとてもうれしいのであります。もう昨日は月末で忙しかったけれど、「今日はANT-MANを観るんだ!」というワクワク感で、早朝から超仕事がはかどり、山積みの仕事を片っ端から片づけて、「それじゃ、オレ、ANT-MAN観てくるから、じゃっ!」とシュタッと手をあげて皆に宣言して、16時には颯爽と会社を出たわたしである。
 そしてーーー結論から言うと、『ANT-MAN AND THE WASP』は期待通り、超最高に面白かった。そしてやっぱり思うのは、このわたしが感じる面白さは、MCU全作を観ているからであって、MCU前作の『INFINITY WAR』までの流れを正確に理解しているから、感じられるものではないかと思う。いやあ、本当に楽しくて面白かったすねえ! わたし的には『INFINITY WAR』よりもずっと面白かったすな。ANT-MANはマジ最高だぜ!
 というわけで、以下、思いっきりネタバレに触れると思うので、まだ観ていない人はここらで退場してください。つうか、こんな文章を読んでいる暇があるなら、今すぐ劇場へ行くべきです。あと、わたしはかなり偏見に満ちているので、もうこのBlogではお馴染みな通り、MCUヒーローの中でも完全にトニー派であり、CAPやBPは嫌いなので、CAP派の方は、読まない方がいいと思います。

 というわけで。もう予告が公開されたときからわたしを超ドキドキワクワクさせてくれた『ANT-MAN AND THE WASP』。MCUにおいて、これまでの流れとして前作『INFINITY WAR』では一切登場してこなかったANT-MANが、なんで登場しなかったのか、が語られる本作は、『INFINITY WAR』が超シリアスで、結末的にもこの先どうなるの!? と思わせる超ヤバいエンディングであったのに反して、とても明るく(?)楽しい映画に仕上がっている。
 もう最初に言っておくけれど、『INFINITY WAR』の影響は、本作ではMCU恒例のおまけ映像で明らかになる。その影響は極めて深刻で、えええ!? こ、この先どうなる!? という超ドキドキさせる最高のおまけ映像なので、その点では本作はれっきとしたMCU作品であり、あのおまけ映像は、『INFINITY WAR』を観ていないと全く理解できないだろう。そういう意味でも、MCUには「観なくていい作品」は1本もないと断言できる。当たり前ッショ。ちなみにおまけ映像は一番最後にももうひとつあって、これはギャグ映像なので正直どうでもいいけれど、その後、いっちばん最後に出るメッセージは、ちょっと意味深で、「?」の意味を来年4月公開の通称『AVENGERS4』までドキドキしながら待ちたいと思う。
 で。物語はというと、本作『ANT-MAN AND THE WASP』は、100%確実に、前作『ANT-MAN』及びMCU全作を観ていないと意味不明だ。前作で描かれたことで、本作を観る上でポイントとなるのは「量子世界」についてである。
 1)量子(Quantum)世界
 ごく簡単に言えば、小さくなれる技術の「先」にある、超超超超極小の世界、という理解で十分だろう。本来の物理学的な意味は、はっきり言って全然別なもので、詳しくはWikiでも読んでおいてほしいのだが、本作では「極小のその先」とふんわりした理解で十分だ。ただ、実のところあまりにふわっとしていて、真面目に考えると相当訳が分からないのは事実で、強いて言うと本作では唯一、ちょっとアレかなあ、という弱点であるのも確かだろう。でもいいんだよ、そんなことは。だってこれ、漫画だぜ!? ここを否定してはどうにもならんす。
 2)ジャネット・ヴァン・ダイン博士
 前作でチラリと語られた、ピム博士の妻であり、ヒロイン・ホープのお母さん。彼女は20世紀にピム博士(=初代ANT-MAN)とともに、THE WASPとして活躍していたが、冷戦期にソヴィエトの発射した核ミサイル(?)を止めるために、量子世界へ足を踏み入れて行方不明になった、という設定である。前作ラストで、2代目ANT-MANであるスコットが量子世界から無事に生還したことで、ジャネットもまた量子世界で生きているのではという希望が灯り、本作ではジャネット博士の救出ミッションが物語の本筋となる。
 3)そもそもANT-MANと「縮小化」の技術って?
 一応説明しておくと、初代ANT-MANであるハンク・ピム博士の発明した「ピム粒子」で物体を縮小できる謎技術で、小さくなるのと反対に巨大化も可能な、「IRONMANスーツよりもすごい技術」を搭載したスーツで戦うヒーロー、それがANT-MANである。ピム博士は元々S.H.I.E.L.Dの男であり、IRONMANのトニー・スタークの父や、CAPの永遠の恋人ペギーとも一緒に働いていたが、「ピム粒子」の秘密がS.H.I.E.L.Dにわたる危険を避けるために、大喧嘩してS.H.I.E.L.Dを退職。S.H.I.E.L.Dには実はヒドラの影響があったのだから、このピム博士の判断は実は大正解であったことは言うまでもないでしょう。なお、ここで言うのもアレですが、原作コミックとMCUは結構いろいろと設定が違うので、別物であると思うべきでしょうな。ちなみに原作においてピム博士はAVENGERS創設メンバーの一人で重要人物でもある。
 とまあ、こういういろいろな背景があるわけで、MCUを観てきていない人にはもうほぼ意味不明であろうと思う。だから言ったでしょ? しつこいけどもう一度言いますよ? MCUは全部観てないと意味ないんだってば!
 で、わたしがなぜ、こんなにも興奮し、ANT-MANが好きかというと、ANT-MANの闘い方が、「頭脳バトル」型だからなんだと思う。MCUヒーローは、わたしとしては頭のイイ人チームと脳筋パワーチームに分けられると思うのだが、CAPやTHORやBPが、力押しで何も考えない(のは言い過ぎか)のに反して、IRONMANやDr.やANT-MANは、明確に頭のイイ人チームで、その考え方や戦い方が、非常にカッコいいのです。とりわけ、その「小さくなれる」という能力をフルに活用したANT-MANの闘いは実にトリッキーで、ビジュアル的にも非常に見ごたえがあるのだ。まあ、ピム博士は天才科学者だし(ただしすぐキレるのはマズいすね笑)、ホープも完璧女子だし、一応スコットだって、実は電子工学の修士号を持つインテリだし、なんつうか、やっぱり物語の主人公が頭がイイと、言動に筋が通っているし、きっちり「自分にできること」を見極め、それを最大限に生かそうと行動するわけで、実に気持ちいいすよね。逆に頭が悪いと、観ていてイライラしてしまうし。BPやHAWKEYEのように、頭も悪いしたいして強くない奴が偉そうにしてると、腹立たしく感じてしまうけれど。
 そういう理由から、わたしはANT-MANが大好きなのだが、『CIVIL WAR』でCAPの味方をした時はマジかよ、何やってんだよ、と思ったものだ。しかし本作で語られたように、まだ2代目スコットは事態をよく理解しておらず、あの有名人CAPに声をかけられたことに興奮して、思わず手助けしてしまったのだという。そして逮捕・勾留され、結局FBIに24時間3年間(?)GPS監視され自宅軟禁となってしまったわけで、スコットは、自分がアホだった、とちゃんと反省しているのだ。まあ、そのために『INFINITY WAR』に登場しなかったという明確な理由も判明したし、ちゃんとピム博士やホープは、黙ってCAP軍に参戦したことを怒っているし、わたしとしてはもう、『CIVIL WAR』の件はおとがめなしである。
 というわけで、以下、各キャラと演じた役者をまとめておこう。
 ◆スコット・ラング:2代目ANT-MAN。もう何度も書いている通り、元々インテリだったが、義憤に駆られてブラック企業の悪事を暴露するために泥棒となって、あえなく逮捕、前科者に。その結果仕事を失い、妻にも去られてしょんぼりしているところを、初代ANT-MANのピム博士のスカウトで2代目ANT-MANを襲名、そして『CIVIL WAR』でうっかりCAP軍として戦ってしまったためにまたも逮捕拘留の憂き目に。本作では、自宅から外に出るとたちまちFBIがやってくるという制約下で、忙しく立ち回る庶民派(?)ヒーロー。冒頭の娘キャシーと遊んでいるシーンは大変良かったすね。キャシーがまあとんでもなく可愛いんすよ……。刑務所仲間の三人が基本ボケ役で、スコットはツッコミ役といっていいのかな。彼らの笑える楽しいやり取りは本作でも健在。今回は、スーツの調子が悪くて、巨大化から戻れなかったり、中途半端に(小学生並み)小さくなったりと、全くもってANT-MANはつらいよ的苦労が大変笑えます。演じたのはもちろんPaul Rudd氏49歳。おっと、ほぼ同級生じゃん! わたしもANT-MANスーツが欲しい! 日本にはこういうおっさんがヒーローになる物語が絶対必要ですよ。
 ◆ホープ・ヴァン・ダイン:ピム博士の娘で、今回いよいよ、満を持してTHE WASPとして大活躍! そのWASPスーツのデザインが本当にカッコ良くて最高でした。スーツの配色や女性らしいラインなど、デザインとして完璧に美しかったすな。MUC初のタイトルロール女性ヒーローとして、今後の活躍も超期待したいけど、あの衝撃のおまけ映像が……どうなるのだろうか、ホントに。演じたのは前作同様Evangeline Lillyさん39歳。前作では、ショートボブで、いかにもなクール美女でしたが、今回は髪がちょっと伸びで、なによりWASPスーツ着用&ヘルメットオフ、の状態で、ひっつめ髪のポニーテールが最強に似合ってましたね。一瞬おっかない顔だけど、やっぱりとても美人ですよ。完璧女子ホープはこのお方じゃないとダメです。
 ◆ハンク・ピム博士:初代ANT-MAN。まあ、ちょっとすぐブチギレるのはマズいとしても、MCU世界ではトニーに並ぶ天才科学者でホープのお父さん。演じたのはもちろんMichael Douglas氏73歳。今回も、前作同様若き頃のピム博士のシーンが結構あって、その驚きのCG?マジックによる若きDouglas氏は、まさしく『BLACK RAIN』や『Basic Instinct』時代の顔で、技術の進歩にはマジ驚愕です。しかし、ホープとすっかり仲良しに戻って、おまけにジャネット救出できて良かったね!
 ◆ジャネット・ヴァン・ダイン:前作でチラリと語られた、ピム博士の妻であり、ホープの母であり、初代THE WASPの元祖完璧女子。演じたのは若き頃、おっそろしく可愛かったMichelle Peifferさん60歳。Tim Burton版CATWOMANことセリーナ・カイルとしてもお馴染み。今回MichelleさんもCGによる若き頃のお顔でも登場。しかしやっぱり60歳でもお美しいですなあ……MCUへようこそ! 大歓迎であります、が、あのエンディングは……ヤバいすねえ! 早く『AVENGERS4』が観たいすな!
 ◆ビル・フォスター博士:S.H.I.E.L.D時代のピム博士の同僚で科学者なんだけど、ピム博士がカッとなってS.H.I.E.L.D退職後、研究を続けてた人で、「ピム粒子」のことも知っている人物。今回30年ぶりにピム博士と再会。原作コミック的には、GIANT-MAN、ゴリアテとなる人ですな。なので、本作でも過去に巨大化したことがあるようで、スコットと巨大化した時の話で盛り上がるシーンも。正直、今回出てくるのはいいとしても、役割的に若干微妙だったかも……という気はする。でも、ひょっとしたらこの人がおまけ映像ののちの世界でカギになるかもな、と今のところは思っておきます。演じたのは、『THE MATRIX』でのモーフィアスでお馴染みLaurence Fishburne氏57歳。わたし的には、とにかくこの人のすきっ歯が毎回気になってしょうがないす。いつもやけに渋くて存在感抜群ですな。
 ◆エイヴァ:今回のVillain(悪役)であるGHOSTとなる、大変気の毒な女子。彼女は、もともと科学者の父の実験ミス(?)で、体を構成する元素が不安定になってしまい、その結果、存在しているようなしてないような、なんでもすり抜けてしまう体質に。いわば『WATCHMEN』のドクター・マンハッタン的な。しかしさらに気の毒なことに、その特異体質を父の勤務していたS.H.I.E.L.Dに目を付けられ、暗殺者として青春を送ってきた。しかしその体にももはや限界の時が来ていて、実にかわいそうな女子であった。そして『CAP:WS』でS.H.I.E.L.Dが崩壊して以降は、父の同僚だったフォスター博士が、「ワイが治しちゃるけん、安心せえ」という言葉の元、フォスター博士とともに、ピム博士の研究ラボを奪おうと画策する。しかしあのラボが縮小してキャリーバックのように持ち運べちゃうってのも最高ですね。この気の毒なエイヴァ=GHOSTを演じたのは、Hanna John-Kamen嬢28歳。『READY PLAYER-1』に出てたらしいけど、ゴメン、覚えてない……忘れたっす。しかし、まあ、さんざん本作を絶賛しておいてアレですが、やっぱりこのGHOSTに関しては、若干イマイチだったかもしれないすね……なんか、もうちょっと物語上での行動に、やりようがあっただろうに……という気がしてならないす。
 ◆ルイス&デイブ&カートの三人組:スコットの泥棒仲間の三馬鹿トリオ。こいつらホント楽しい、ゆかいな仲間ですなあ。しかし彼らは何気に細かいところでいろいろと活躍してくれていて、このANT-MANファミリーには絶対欠かせない、愛すべきバカモンどもですよ。わたしは前作でもあった、ルイスが今までのいきさつを一人で語りまくって、画面ではその時の本人の口とルイスのトークが正確に一致しているあのシーン(意味わかりますよね)が大好きなんすけど、今回も大変良かったですなあ! アレは技術的にもかなり高度で、映画的見ごたえの一つだと思います。演じたのは、リーダー的存在のルイスだけ紹介すると、陽気なメキシカン(両親がメキシコ移民で本人は正当なアメリカ国民)でお馴染みMichael Peña氏42歳ですな。もう今や大人気でそこら中に出てますね。彼は何気に演技派でもあります。彼はTHANOSの選択を生き残れたのでしょうか……。
 ◆キャシー:スコットの愛娘。パパ大好きなかわいい娘っ子ですよ。今回、やたらと、わたしもパパの相棒になりたい、まあ、パパの相棒はホープだけど、わたしだって……! 的なやり取りがあるのは、原作コミック的にはキャシーは後にANT-GIRLとしてYoung Avengersの一員になるから、でしょうな。演じたのは2008年生まれ、現在10歳のAbby Ryder Fortsonちゃん。美人に育つのだぞ……! ところで、メリケン人どもの娘に対する感覚はホント謎だけど、スコットはキャシーのことを「ピーナッツ」と愛を込めて呼び、ジャネット博士はホープのことを「ジェリービーン」と呼びます。ピーナッツ……まあ、食べちゃいたいぐらいに可愛いオレのチビ助、ってことなんでしょうな。ピーナッツ……まあ、可愛いからアリです。

 はーーー。長くなったし、もう書いておきたいことがない……かな。

 というわけで、結論
 MCU第20作目となる記念の作品、『ANT-MAN AND THE WASP』は、わたしの期待通り最強に面白く、陽気で楽しい作品であった。今年観た映画の中で、暫定3位ぐらいすね。実に最高でありました。MCU作品は、それぞれのヒーロー映画でどうもメインテーマが頭に残らないんだけど、このANT-MANは明確に曲が頭に残るのもすごくいいと思う。ああ、音楽を担当しているChristophe Beck氏は、かの『アナ雪』の音楽も担当してるんすね、なーるほど、さもありなんですな。まあ、わたし的に本作最大の見どころは、何といってもTHE WASPのカッコ良さでしょう。美しくカッコ良く若干セクシーで、とにかくデザインが秀逸! 最高でした。そしてこの後、MCUは来年早々の『CAPTAIN MARVEL』を経て、GW辺り公開の『AVENGERS4』へとなだれ込むわけですが、本当に楽しみですなあ!! どうなるんすかねえ……まあ、CAPTAIN MARVELがカギになるんだろうな……それは間違いないだろうけど、わたしとしては、いけいけ僕らのANT-MAN!で活躍を期待したいと思います。そして、くそう、おれもANT-MANスーツが欲しい! 切実に! 以上。

↓ 予習しといた方がイイすかねえ……全然こちらは知識なしっす。つうか、さっさと『AVENGERS4』のタイトルを発表してほしいすね。散々引っ張っておいて、なーんだ、になる可能性もあると思うな……。

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