2018年06月

 すでに公開されているUS本国ではやけに評判がイマイチだとは聞いていた。その理由はどこにあるのか? 単に主演の役者のルックスがあまりにHarrison Ford氏に似てないせいなのか? そんな理由なら全然非難することなかろうに……。
 と、そんなことを考えながら、わたしは昨日の金曜日、会社帰りに、久しぶりに新宿TOHOへ赴いた。理由は勿論、昨日から公開になった『SOLO : A STAR WARS STORY』をIMAX3D版で観るためである。最初は日比谷で観ようと思ったら、どういうわけか? 日比谷TOHOのIMAXは3Dじゃないようなので、なんじゃそりゃ、と思って新宿にしたのだが、こと3Dに関していうと、非常に暗いシーンが多く、これは普通に2Dで良かったな、と思った。つまり、新宿に行く意味はほぼなかったと思う。なんか、画面がしっかりフォーカスが合ってないぼんやりした画のように感じられたのは、単にわたしの視力の問題なのか? この点は、Blu-rayが発売されたら4K ULTRAのくっきり画面で確認してみたい。【追記:どうも、初日の金曜だけ日比谷IMAXは3Dじゃなかったのかな、今は普通にIMAX3Dになってるみたいす。単にわたしの勘違いだった可能性も……】
 そして肝心の内容なのだが……やっぱり、ちょっといろいろ問題アリかもなあ……とは感じるに至った。ただし、役者には全く問題ないと思うし、初めて明らかにされるソロ船長チューバッカの出会いなど見どころはいっぱいあって、部分部分は大変楽しめたのは間違いないと思う。なので、結論としては……アリ、だと思う。いや、うーん……サーセン、何とも言えないかな……ちょっと微妙なのも間違いないので。
 というわけで、以下、ネタバレに一切考慮せずに書くと思うので、まずは劇場で、何の先入観も持たずに観てきてください。そうするべきです。

 というわけで、上記予告は何度も目にしたが、実際のところ、どんなお話なのか、わたしは全く分かっていなかった。そもそも、時代的にいつなのか? もよくわからない。常識的に考えて、ソロ船長の若き頃、なのだから、本編でのEPISODE IIIからIVの間であるのは間違いなかろう。
 しかし……うーん、わたしもSTARWARSシリーズを愛しているとはいえ、実は時間経過をよくわかっていないので、まずちょっとまとめてみようかな。一番初めの、EPISODE:Iの時間を「X」として、それぞれのEPISODEの年を一覧にしてみるか。ローマ数字だと表記しにくいので普通にアラビア数字でEP番号を示します。
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 <EP:1 The Phantom Menace
 X年の出来事。10歳児程度のアナキンがクワイ・ガンに見いだされる。
 <EP:2 Attack of the Clones
 X+10年ぐらいの出来事。アナキンは青年に成長、パドメとFalling LOVE。ラストでクローン戦争開幕。
 <EP:3 Revenge of the Sith
 X+13年ぐらいの出来事。前作ラストで始まったクローン戦争3年目。アナキンはダークサイドへ転落。ジェダイ騎士団壊滅。
 <ROGUE ONE
 EP:4直前の話。ついに完成したデス・スター設計図をめぐる名もなき戦士たちの悲劇を描く。ラストの4へつなぐシーンが超見事。
 <EP:4 A New Hope
 X+33年後ぐらいの話? つまりEP:3から20年後ぐらい、のはず。いや、どうかな、これはよくわからん。EP:3ラストで生まれたルークが20歳にはなってなかったかもしれない。18歳とかそんなもんだっけ?
 <EP:5 The Empire Strikes Back
 X+36年後ぐらいの話? 前作から3年後らしい。
 <EP:6 Return of the Jedi
 X+37年後ぐらいの話。これは前作から1年程度のはず。
 <EP:7 The Force Awakens
 X+67年後ぐらいの話。どうやら、6から30年程度は時が経過している模様。EP:8に関しては、わたしは世紀のトンデモコレジャナイムービーだと思っているので触れません。
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 まあ、こんな感じだと思うのだが、今回の『SOLO』が、EP:3と4の間の20年ぐらいのどこかに位置する物語であることは間違いないけれど、今回、何と驚愕のサプライズ登場したキャラクターが一人いて、わたしは、えっ!? どういうことなんすか?? と混乱しているのである。誰のことを言っているか、観た人なら分かりますよね? そうです。EP:1においてクワイ・ガンを殺し、オビ=ワンに殺されたダース・モールが登場したのです。これは……まあ、ダース・モールという存在がある意味役職的なもので、別人にその役割が引き継がれた、と思えばいいのかもしれないが、正確なところは実際良くわからない。そしてズバリ言うが、全く登場する必要はなかったとわたしは断言したい。混乱を招くだけで、何の意味もなかったと思う。4以降に登場してこないのもおかしいし。この点については後でまた述べますので、ここではこれ以上は触れない。【追記:わたしは全然知らなかったですが、『クローン・ウォーズ』ではモールは死んでない設定だったんすね。そうなんだ……コメントでの情報あざます!】とにかく、今回の『SOLO』が時間的にどこに位置されるのかは重要だと思うが、最後まで何とも判然としなかったのは残念に思った。強いていうなら、EP:4の時のHarrison氏が当時35歳ぐらい、そして今回のAlden君が28歳、てことは、EP:4の7年前ぐらい、なイメージと勝手に思うことにします。
 で。おそらく、ファンが望む本作で「描かれるべき出来事」は、(1)いかにしてチューバッカと出会うのか、(2)いかにしてファルコン号を手に入れたのか、(3)いかにしてソロ船長はジャバ・ザ・ハットに借金を抱えてしまったのか、この3点に尽きるはずだ。そして本作ではきちんと(1)(2)に関しては美しく、そして結構見事に描いてくれたと思う。しかし(3)が、たぶん時間軸的にうまく描けなかったのだと思う。おそらく(3)はもうちょっと後のことで、それ故、(3)に関してはほのめかす程度で終わってしまっている。その点は若干残念だが、まあ、仕方がなかったのだろう。しかしそれでも、もうチョイうまくやれたと思うのだが……
 結局のところ、本作についてわたしが一番問題視するのは、キャラクターであろうと思う。キャラクターの存在感が薄いというか、なんかきちんと描かれておらず、結構謎が多いままだったし、かなりあっさり死んじゃうし。どうも、若干の底の浅さがわたしには実に気になったのである。もっとちゃんと考えてほしかったような……。
 というわけで、各キャラごとに見ていこう。
 ◆ハン・ソロ:彼については、とりわけ問題点はなく、演じたAlden Ehrenreich君28歳の熱演も悪くなかったと思う。でも、やっぱりしぐさやしゃべり方は、もうチョイ研究の余地があったはずだと思うな……。そしてわたしがソロ船長について、初めて知って、へえ~そうなんだ、と思ったポイントは以下3つです。
 ・ソロ船長はなんと帝国軍の軍学校出身だった! これは故郷の星「コレリア」から脱出するため、そして操縦技術を身に着けるため、に軍に入隊したという事情があってのことで、別に帝国軍に心酔していたとかそういうことでは全然なく、それなりの説得力はある。しかし、そういう過去があるのなら、これまでのシリーズで帝国軍知識が生かされたと思うのだが……。そういう意味では、アリのような、ナシのような、微妙さを感じた。これは……どうでしょう、もっと幼少時代から描いて、師匠たる強盗団で鍛えられた、みたいな方が良かったような……。そしてたとえば 、「I have a bad feeling about this」は実は師匠の口癖だった、的なのがあれば良かったのにね。
 ・名前の「ソロ」の意味は、「ひとり者」という意味だった! これは、前述の帝国軍へ入隊する際に、名前を聞かれ、名字がなく、帝国軍の入隊事務官が、そうか、親兄弟もいない一人ぼっちか、じゃあ、「ソロ」でいいな、とテキトーに名づけられるシーンで明らかになる。これはなかなか良かったすね。アリですこれは。ちなみに、お父さんは元々なんとかって宇宙船メーカーの技師?で、宇宙船製造ドックに勤務してたそうです。
 ・なんと! ソロ船長は「ウーキー語」がしゃべれた! これは最高でしたね! EP:3で登場したキャッシーク星人であるチューイだが、ソロ船長は何でチューイの言うことが理解できるんだろう? とずっと謎だったが、そういうことだったんだ、とわたしは大興奮したっすね。出会いもなかなか良くて、実にアリ、だと思った。
 ◆チューバッカ:ご存知ウーキー180歳。EP:3でのクローン戦争でヨーダを支援した後、ウーキー族は気の毒なことに奴隷的に扱われていたことが今回判明。帝国軍の牢屋?でソロ船長と出会い、ともに脱出して熱い友情を結ぶ。この展開は実にアリでわたしは大変うれしくなったすな。若干、EP6冒頭のジャバの屋敷のアレのオマージュっぽかったし。チューイに関しては、本作は何の問題もないと思う。けど、もうチョイ活躍してほしかったかも……。
 ◆ベケット:若きハン・ソロの師匠ともいうべきベテラン&凄腕の窃盗団リーダー。演じたWoody Hrrelson氏はおっそろしくカッコよく、存在感もたっぷりでとても良かったのだが……なんか、ハンとの絆というか、精神的なつながりが薄く、それにしては窃盗団の仲間には優しく、若干ちぐはぐな印象を持った。「誰も信用するな」という教えはアリだし、ラストの裏切りもアリだと思う。けれど、あの最後はやっぱりおざなりですよ。悪党として死なせるのは非常にもったいなかったし、あっけなさすぎる。やっぱり、ラストは実はハンを守るための裏切りだった的な展開が欲しかったように思う。ハンとの疑似的な父と子的な絆が欲しかったすねえ……。そのためにも、もっと子供のハンと出会うべきだったような気がしました。彼の窃盗団の仲間の二人が結構イイキャラだったのに、前半であっさり逝ってしまうのももったいなさ過ぎたと思う。彼らも、ハンの育ての兄・姉として、もっと見せ場を作れたはずなのに……。
 ◆キーラ:ハンの恋人、のち、マフィアのナンバーツー。多分わたし的には彼女の役割が一番気に入らなかったんじゃないかと思う。そして彼女がダース・モールとつながりがある必要はゼロだったと思う。むしろ、ジャバと明確につながっていれば良かったのにね。そして、明確に彼女は死ぬべきだった。生き残っちゃったし、ハンと敵対したままだったし。なので、彼女の立ち位置がまったくエモーショナルでなく、非常に残念に感じた。もっと、やむにやまれる感が必要だったし、ハンを助けて死ぬ、というのが王道だと思う。なんだか、本作で描かれた彼女は、かなりクールかつ積極的に悪の道に進んだ印象があるし、何より問題なのは、ハンよりも自分の命優先な態度は、かなり残念だと思う。若干中途半端すぎるとわたしは思った。ただし、演じたEmilia Clarke嬢31歳は大変可愛くて素晴らしかったのは間違いない。なんか、顔つきがカトパンでお馴染みの加藤綾子嬢に似てましたね。Elilia嬢に関しては、わたしは『TERMINATOR:GENISYS』でのサラ・コナー役しか見たことがなかったけど、あれっ!? こんなに可愛かったっけ? と驚いたす。結構ちびっ子ですな。実に可愛かったと思う。
 ◆ドライデン:キーラの仕えるマフィアのボス。強いんだか弱いんだかわからない人。どうやら本作の世界では、マフィア団がいろいろあって(ジャバの組織はハット・カルテルだったっけ? 一瞬名前は出ました)、その中のデカい組織のボスが彼なのだが、どうも、帝国軍やシス卿といった勢力とはつながりはなかったように見えた。なので、ラストでキーラがダース・モールに連絡するのも非常に唐突かつとってつけた感があったのだが、どうせならこのドライデンの組織は、明確にジャバと敵対・競合する組織であり、エンフィス・ネスト(というのが本作では競合組織のボス)はまるでいらなかったように思える。なお、このドライデンを演じたのは、わたしはもう、声で一発で誰だかわかった。そう、わたしの大好きなMCUにおいて、JERVIS/VISIONさんでお馴染みのPaul Bettany氏でした。この人はとにかくでかい! たぶん190cm以上あると思う。
 ◆ランド・カルリジアン:ご存知宇宙に名をはせるギャンブラー。ファルコン号の持ち主。演じたのはこのところチョイチョイ見かけるDonald Glover君34歳。彼と言えば、『The Martian』でNASA長官に重力ターンの航路を「ギュイーーンと来てガーーッと行くんすよ!」とプレゼンする若者だったり、『SPIDER-MAN:Home Comming』でちょっとした悪者アーロンを演じたことが記憶に新しいですが、今回は雰囲気あって大変良い演技でした。ランドの若き頃の姿としては大変似合っていたように思う。だだし……本作では若干活躍の場がなく、やや中途半端だったようにも思う。ファルコン号Getというポイントは、物語の中で重要な出来事なのに、若干軽かったすね。そして、ソロ船長の伝説の一つである「ケッセルランを12パーセクで飛んだ」というエピソードは本作できっちり描かれました。しかしなんつうか、彼よりも、ランドの相棒のドロイド、L3のキャラが素晴らしかったすな! そんなL3もかなりあっさり破壊されてしまうのは残念であったけれど、L3に蓄えられていた銀河の航路データは、ファルコン号に吸収されたわけで、つまり今でもL3はファルコン号とともに生きてるのさ……と考えると、まあアリ、であろうと思う。しかし、やっぱりアレすね、ランドは新三部作に出てくるべきですよ、絶対に。あのクソ駄作「8」はホント許しがたいわ……。

 とまあ、キャラについてはだいたい以上かな。要するに、わたしとしては、ハンはもっと少年時代にベケットに拾われ、窃盗団の中で成長し、腕も磨き、育ての父・兄・姉を帝国軍から助けるために宇宙一速い船=ファルコン号が必要となって、ギャンブル勝負で勝ち、ついでに、ベケットとは犬猿の仲だったジャバをやむなく頼ってしまったことで、借りが出来てしまい、密輸屋になった、的な流れだったらなあ、と思ったわけです、はい。まあ、それで面白くなったかはわからんですが。なんか……山場が盛り上がらないというか……若干物語の流れが平坦だったように感じたっすね。

 というわけで、最後に監督について書いて終わりにしよう。本作を撮ったのは、大ベテランRon Howard監督64歳だ。ただし、さんざん報道された通り、本作は途中で監督がチェンジしてしまうなどの製作トラブルがあっての就任で、ま、そのゴタゴタも、そしてあの「8」のトンデモぶりも、すべてルーカスフィルム社長のKathleen Kennedy女史の責任と断言できる。ま、それはともかく、そんなゴタゴタの結果、もう出来上がってしまった脚本、もう撮影されてしまった部分などがある中で、Ron Howard監督は全力を尽くしてくれたと思う。冒頭に書いた通り、画が妙にパキッとしない作りだったのが気になるが、そうだなあ、撮影というか映像的にわたしが一番すごいと思ったのは、冒頭のスピーダー・チェイスのシーンかなあ……。あのシーンのスピーダーは、本当にもう飛んでいる(宙に浮かんでいる)としか見えなかった凄い出来だったし、金属や街の質感も雰囲気抜群でしたな。

 というわけで、もう書きたいことがなくなったので結論。
 全世界のSTARWARSファンが待ち望んだスピンオフ『SOLO : A STAR WARS STORY』をさっそくIMAX3D版で観てきたのだが、わたしが思うに、まず第一に、3Dで観る必要はなかったのが一つ。そして物語としては、心にグッとくるようなエモーショナルな点がなく、かなり冷徹かつさらっとしているという印象を受けた。なんつうか、いらないキャラも多いように感じたし、正直、もっと面白くできるのになあ、と、いつもの言うだけ詐欺な感想を抱くに至ったのである。ただ、まあ、チューバッカとの出会いは実によかったすね。そして、全世界からのプレッシャーの中、頑張ったAlden Ehrenreich君は、確かにHarrison Ford氏には似てないす。でも、見かけは似てなくても、あの特徴的なニヤリやしゃべり方は、もうチョイ研究の余地があったかもしれないすね。そうすればここまで酷評されずに済んだのではなかろうか。結局のところ、本作の問題は、要するにキャラ造形、すなわち脚本でしょうな。まあ、「8」よりずっとマシですが。「8」を面白いと思う人とは永遠に分かり合えないと思います。わたし、心が狭いんで。以上。

↓ しかしそれにしてもEmilia Clarke嬢は可愛かったすなあ……久しぶりにまた視てみるか……。
ターミネーター:新起動/ジェニシス (字幕版)
アーノルド・シュワルツェネッガー
2015-10-21

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、先日発表になった7月場所(名古屋場所)の番付はご覧になりましたか!? とうとう! ついに! わが愛しの松鳳山裕也君が小結復帰ですよ!!! ひゃっほう! やったーーーー!!! いやあ、なんつうかですねえ、超嬉しいんですけど、どうしたらいいのでしょうか! これはアレっすかねえ、二所ノ関部屋の後援会に入れってことなんすかねえ!? 年会費がいくらとか、どういう特典があるのかとか、そういう詳細がWebサイトに載ってないんすよね……高っけえのかなあ……。とりあえずこれは問合せしてみるしかないすな。いやー、しかし嬉しいす! 何とか名古屋でも勝ち越してほしいす!!
 そして、佐藤タカヒロ先生のツイートを2つ載せておきます。なんと、先週の第173話に誤植があったという件(コメントで情報をいただきました!あざます!)と、現在発売中の単行本最新(18)巻に、連載時は泣く泣く削った2ページが収録されているというお知らせです。


 ということだそうで、わたし、単行本(18)巻を買ってすぐ読んだ時は全然気が付かなかったものの、先生のツイートを見て、お? と思ってチェックしてみたらすぐに、これか、と気が付けました。【王虎】さんを一気に寄るところなんすけど、これはぜひ、お手元の単行本でご確認下さい!
 それでは、もう冒頭から長いので、今週の週刊少年チャンピオン概況は今週は飛ばします。いや、一つだけ。『ドカベン』完結、水島先生お疲れさまでした! 電子には載っていないので、紙雑誌版も買いました。久し振りの紙雑誌は、やっぱり読みやすいすね!

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りします。
 先週は強烈なのど輪攻めで土俵際に詰められた鯉太郎が、「スッ…」と抜けてくるりとターン、【猛虎】先生の左腕を抱えて!? という超イイところまでが描かれました。【猛虎】先生をしても、何が起きたのか理解不能な鯉太郎の動きに、大逆転は起こるのか。もうこの1週間がわたしにはひどく長く感じられたすわ……。
 というわけで、今週は勿論そこから再開です。そして冒頭1ページ目から、【猛虎】先生は何が起きたのかを見抜いたようです。
 「こ…こいつ今…抜きを使った…!?」
 そして虎城理事長も理解しています。「何と…力押しを見せていたのも まばたきほどのあの隙を つくるためか…」
 なるほど!? つまり、押し込まれたのど輪に対して、ぐぐぐ、と上半身を起こそうと力で対抗してたのも、フッ……という一瞬の「抜き」のための伏線だった、ということでしょうか? そういうこと?
 「あのわずかな隙をのがさない あの抜きは 偶然か… それとも…」
 しかし【猛虎】先生はすぐさま対応、90度左へ回ってすぐさま鯉太郎へぶちかます! ドゴッと強烈なヘッドバットが鯉太郎の胸に直撃! しかもまだ鯉太郎は若干半身の体勢なので、これは体が崩れるぞ! そして喰らった鯉太郎は血反吐を吐きながらも「クソ…ダメだ…笑っちまう…」と戦いを楽しんでいる様子です! あーーっと! その若干の笑顔に【猛虎】先生の強烈な右張りが炸裂! 容赦なしだ! NHKアナも「猛虎 鮫島を逃さないーーー!!」と絶叫、張り手ラッシュが鯉太郎を襲う! しかし鯉太郎はそれでも嬉しくてたまらないようです!
 「こんなスゲー男が これまでの相撲にかけてきた時間を すべてオレにぶつけて来てくれる… こんな最高なことがあるか…? こんな嬉しいことがあるか…? こんな幸せな場所があるか…?」
 あーーっと! フック気味の右が鯉太郎の耳に直撃! こいつは鼓膜がイッたか!? そして意識も飛んだか!? 椿ちゃんの青ざめる表情がヤバい! それでも鯉太郎の思考は止まらない!
 「楽しくて… ただただ楽しくて… でも……ダメなんだ…心身をここまで練磨した猛虎の域で戦うには…この沸き上がる気持ちさえ邪念…」
 な、なるほど? 邪念……邪念!? ページをめくった先は、鯉太郎の動きがビタッと止まっています。そして半ば飛んでる表情で思うことは……
 「我を消せ…もっと純粋に…体に委ねろ…肉を…骨を…血を…細胞を…意識支配から切り離せ…」
 そしてさらにページをめくると! そこには1ページブチ抜きで「委ねろ…」という思いとともに、鯉太郎が【猛虎】先生の胸にブチカマシを「ドン」と炸裂させるの図であります! こ、これは……無意識の一撃、いわゆる無想転生的な!? とうとうケンシロウレベルに来たのか?
 吹っ飛ぶ【猛虎】先生は、ゲハァッ!的な形相、そして喰らわせた鯉太郎の表情はもはや無表情に近いものです。
 そして「委ねろ…」にはまだ続きがあります。
 「そう……己がいない 気持ち悪さを感じるほどの…」
 ここでページをめくるとそこには!
 「あの四股(とき)のように ただ…透明に…」
 そうです、ここでは【王虎】さんとの闘いの朝にみせた、仁王兄貴こと親方が「どうすん……」の先を言えなくなったあの「四股」が1コマ、フラッシュバックで描かれております。
 そして【猛虎】先生はそれでも気後れなどせず、前に出ます! 勇気と決断だ! 右張りを繰り出そうとするモーションに入っている! コイツは鯉太郎の顔面に決まるか!? そしてページをめくると! なんと!! 見開きブチ抜きで、鯉太郎、【猛虎】先生の左前まわしをがっちりキャッチするの図です!!! 素晴らしい絵です!!!
 「ただ…相撲(それ)になる…」
 場内は一瞬時が止まったかのようです。ナレーション曰く…
 「左下手を取る…幾度となくそれをやり 幾度となく目にしたその様が 別物と断言できるほどの 美しさに あれほど充満していた 熱気が… 熱風が…斬られる」
 そして次のページでは「バ、バカな…」的表情の【猛虎】先生を置いてけぼりにして、鯉太郎の体が左に傾く! これは投げのモーションだ!!
 「見る者の思考すら止める 魅了という止まった空間の中で… まるでスローモーションのように 静かに…」
 そして隣のページには、土俵を見つめる横綱【泡影】だ! 目が開いております! そして、なんてこった! 【泡影】がしゃべった!!
 「また… コイツ…」
 このセリフ、横綱のつぶやきでいいんですよね? 相撲を体現すると言われる横綱【泡影】ですが、鯉太郎の相撲が横綱のお目にかなったってことでしょうか。どんな殺気を浴びせかけても、完全ガン無視だった横綱ですが、数多くの強敵(とも)との戦いを経て、強敵たちの全てを取り込み、強敵たちという「点」を結んできた鯉太郎の行く「線」が、とうとう横綱に到達したということでしょうか!?
 そして今週ラストページは、1ページブチ抜きで「下手投げを 放った…」の図で幕、であります……。このラストページ、【猛虎】先生はいまだ鯉太郎の動きが見えておりません。まだ時が止まっているかのように一瞬の硬直状態のように見えます。こ……これは……来週、決まっちゃうのでしょうか!? いよいよクライマックスのVS【猛虎】戦は、とうとう決着がつくかもしれない予感です。来週はどうなっちゃうんすかねえ……? 【猛虎】先生が最後にガッと踏みとどまれるのか、いや、わたしとしては踏みとどまってほしいす! そしてそこに仏壇返してほしいすねえ……! いやー……ホント来週号が今すぐ読みたいす! はーーー今週も超イイところで終わりで、このおあずけ感にまた168時間ほどモンモンとするのはつらいす……。来週がホント楽しみです!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週は、ついに鯉太郎の無想転生的な動きが炸裂?し、一瞬時を止めたかの如く、【猛虎】先生の左前まわしをがっちりキャッチ、すぐさま下手投げへ! というところまでが描かれました。そして、土俵下で見守る横綱【泡影】が、とうとう鯉太郎を明確に意識するという事態、それすなわち、まさしく【王虎】さんが言っていた「時機」が来ちゃったんじゃね!? というところまでが描かれたわけであります。コイツはもう、期待がいやがおうにも高まりますなあ! つうかですね、ここまでくると、果たして14日目は誰なんだ問題がまたしてもわたしの中で高まるわけですが、ここまで全勝らしい角界の怪鳥こと【天鳳】なのか、それとも、14日目で横綱と当たることも十分あり得るはずですが、一体どうなるんすかねえ……まあ、でもやっぱり今は、VS【猛虎】先生との戦いを見届けるのが先でありましょう。はーーー来週号が楽しみですなあ……! つうかですね、いや、ホントに『鮫島』は最高っすね! 以上。

↓ 松鳳山裕也くんの小結昇進がどのようにメディアに取り上げられているのか、ちょっと買ってこようと思います!

 は―――疲れた。
 というわけで、今年も敢行してきた富士登山の巻であります。わたしは、たぶん2004年から毎年1回、富士山に登っており、それはわたしの周りの人々にもお馴染みなのだが……今年は全然ダメだ、もうホント衰えたとしか言いようがない、だらしないタイムだったのであります。
 今年のタイムは、記録を見る限り過去15年でワースト。もうホントガッカリ。一応言い訳もあって、天気が過去最低にひどかったのがまず一つ。朝、午前3時前に家を出て、一路首都高と中央道をぶっ飛ばし、順調に河口湖インターに到着、そしてスバルラインを登っていくと、4合目あたりからパラパラ雨が降り出し、マジかよ、とついた5合目は土砂降り。5時ぐらいには着いて、こりゃあどうすっか……と予報を見るとしばらく待ては晴れるとのことだったので、駐車場でしばらく様子を見ていたら、確かに雨は上がり、あまつさえ日も差してきたので、よっしゃ、行くか、と出陣した。もう6時前ぐらいで、出陣した時間は05:51。いつもより遅めのスタートだったので、さっさと帰ってこないと、5合目の駐車場が中国人どもで埋め尽くされるのは明らかだったので、急ごうと思ったものの……全然気合と体がついてこない。そして7合目あたりからはもう完璧雨。参ったす。道中ずぶぬれ&超強風&視界15mぐらいとコンディションは過去最悪だったと思う。
 おまけに、9合目ぐらいで、岩場が完全に雪に埋もれていて、これはどうすればいいんだ? という事態にもぶつかり、一番端っこを慎重に登るしかなく、ホント参った。そして到着した頂上は、誰もいなかったのだが、これがまた風が恐ろしく強く、おまけに山小屋も当然開いておらず、雨をよけるひさしすらなく、クリームパンを5秒でがっつき、びしょびしょの手袋を乾いた軍手にチェンジして、いつもなら「富士山頂なう」的なメールを送ろうとするも手が面白いぐらいガタガタ震えてとてもそんな余裕はなく、即、撤退を決意。下山道はまだ全く整地されておらず、かなりてこずりながら、結局1時間28分もかかってしまった。やれやれだ。
 というわけで、登りのラップタイムを、ここ3年と自己ベストを比較して一覧にしてみた。あーあ……ホントに今年はひでえタイムだなあ……。
自己ベスト
2011/7/9
2016/6/26 2017/7/1 2018/6/24
5合目駐車場出発 5:25 4:58 4:41 5:51
6合目指導センター前 0:17:52 0:18:58 0:17:04 0:19:43
7合目花小屋前通過 0:41:11 0:45:02 0:43:15 0:47:02
7合目日の出屋 0:42:44 0:46:53 0:45:05 0:48:53
7合目トモエ館 0:45:00 0:49:32 0:47:43 0:51:39
7合目鎌岩館 0:48:49 0:54:00 0:51:30 0:56:20
7合目富士一館前通過 0:50:36 0:56:52 0:53:49 0:59:00
7合目鳥居荘 0:55:09 1:01:36 0:58:53 1:04:14
7合目東洋館前通過 0:58:27 1:04:59 1:02:50 1:08:10
7合目太子館前通過 1:09:56 1:16:40 1:15:38 1:21:29
8合目蓬莱館前通過 1:13:47 1:20:43 1:19:47 1:25:55
8合目白雲荘前通過 1:25:43 1:33:09 1:32:45 1:39:36
8合目元祖室前通過 1:30:31 1:37:40 1:37:40 1:44:51
8合目富士山ホテル 1:40:39 1:48:03 1:49:21 1:57:33
8合目トモエ館通過 1:42:37 1:50:09 1:50:42 1:59:54
8合5勺御来光館 1:50:37 1:58:15 2:00:04 2:08:36
1本目の鳥居   2:11:04 2:12:11 2:22:20
頂上到着! 2:16:43 2:28:36 2:27:44 2:39:29
 まあ、ズバリトレーニング不足であるのは間違いない。つうか、ろくにトレーニングしてなかったのが如実に出た結果となった。実に情けない。来年はちゃんときっちりトレーニングを積んで、リベンジしたいと思う。

 ところで、なんで毎年登ってんの? とよく聞かれることがある。まあ、実のところほぼ理由はなく、なんとなく、としか言いようがない。なんとなく、その年に登らないで、何か嫌なことや不幸が起きたら、「ああ、今年富士山に登ってねえからだ……」とか思うような気がするんすよね。強いて理由を探すと、そのぐらいしかないす。要するにルーティンってやつかもしれない。
 去年も天気悪かったし、来年は天気がいいといいな……天気が悪いと、ほんと面白くないし、単なる苦行以外の何物でもないんだよな……じゃあ登らなきゃいいじゃんって思うよね? 実は自分でもそう思う。けど、やっぱり、なんとなく、行っとくか、と思ってしまうのであります。
 というわけで、最後に写真を。今回は全く撮ってないけど、2枚だけ乗せときます。
20180624-01
 これは5合目を出発してすぐの、山中湖方面を撮ったもの。山中湖というより、富士演習場だな、これは。下界は晴れてたのになあ……。
 そして下の写真は、本来なら真正面に富士山がズドーンとあるはずの、山中湖インターに入ってすぐのポイント。いつも下山後は、山中湖温泉?に入りに行くのだが、帰りに撮影してみた。
20180624-02
 見事に雲がかかってますな……あの雲の中を歩いてきたわけで、そりゃ濡れるわな……。
 ほぼ同じポイントで2009年に撮った写真と比べるとわかるかな。
sample
 ホントはこんな感じに、真正面に富士山がいるはずなんだが……。。。
 というわけで、今日は6時前に登りだし、8時半ぐらいに登頂し、10時半ぐらいには下山して、11時すぎに温泉入って、家には13時半に帰ってきた。何やってんだろうな……オレ。

 というわけで、さっさと結論。
 毎年登っている富士山に、今年も今日登ってきた。ま、これで今年のノルマ?も果たしたわけで、気持ち的にはすっきりなんだけど……でも、ホント今年はだらしないタイムで情けないという思いがぬぐえず、ホント衰えたなあ……ぐぬぬ……な気分であります。これじゃあダメだ。天気のせいにするのも情けない……。くそう! ちゃんとトレーニングしないとダメだ!来年はもっと頑張ります! 以上。

↓ ちゃんと買わないとダメだ……防水手袋は寿命2~3年なのかなあ……今日持って行ったのは10年選手なので、もうぐっしょり。手が死んだっすっわ。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、今週も特に書くネタが浮かばないのでさっさと進行したいのですが、恐ろしいことにもう今年も半分終わりつつあり、なんつうかもう、その時の流れの速さに、なにかいやおうなしに追い立てられているような気すらする毎日であります。小学生の頃に感じた、夏休みの異常な長さはなんだったんだろう……。やれやれですな。
 それではまずは、さっさと今週の週刊少年チャンピオン2018年30号概況です。
 ■巻頭グラビア:モーニング娘。’18の牧野真莉愛嬢。大変結構ですな。
 ■弱虫ペダル:全てを捨てての巻。鳴子くんが泣かせてくれますなあ! 今泉くんと坂道くんの精神注入でついにボケー筋に追いついた鳴子くん。カッコ良すぎっす!
 ■BEASTERS:新星、助演男優賞の巻。チャラ男なピナ君の本気! が描かれ、大変面白かったす。絵的にも大変力がこもってますな。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:デキる男はベッドがスゴいの巻。ドラクルの棺桶、超快適w 初っ端の「楊枝に抵抗する信玄餅」に吹いたすw 今週も最高でした。
 ■昆虫武将チョウソカベ!:殿たちの決断の巻。あ、そういう話だった、と思い出させてくれました。「時の巻き戻し」という本筋編が始まろうとしています。
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年30号でありました。つうかですね、忘れてた! わたしはもう2年近く前にチャンピオン「電子版」に乗り換えてしまい、その結果、『ドカベン』を読めなくなってしまっていたわけです(※電子版だと『ドカベン』が載っていない)。そしてその『ドカベン』が来週なのかな? ついに最終回を迎えるとか……来週は久しぶりに紙雑誌版を買うしかないかもしれないすね……。。。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は、【猛虎】先生の相撲の秘密その(2)的な、ある意味での種明かしの回でありました。その(1)で語られた「視覚的錯覚(?)」に加え、先週のその(2)では「力学的に最適化された動き(?)」と言えばいいのでしょうか? 【猛虎】先生の強さは、きちんとした科学的な根拠を「自覚している」ことにあるようにわたしは感じました。天才型は理屈不要ですが、努力型は「これだ!」と納得できる理屈(あるいは体験のようなもの)があって初めて、進むべき方向性が得られるわけで、単なるがむしゃらとは全く違う、技術を磨き抜いたのが【猛虎】先生なんだな、とわたしは思ったのであります。そして椿ちゃんは、思わずうつむきそうになる鯉太郎母と対照的に、決して目をそらすことなく土俵を見つめております。いよいよクライマックスに近づいている気配の13日目ですが、果たして今週はどこまで、どんな展開になるのでしょうか。
 というわけで、今週はNHKアナの「鮫島強引に体をもどしていく!!」という絶叫中継から開幕です。
 土俵際、【猛虎】先生は鯉太郎の左前まわしをがっちりキャッチしつつ、右手は鯉太郎ののど輪をグイグイと押し込む形、つまり鯉太郎はかなりのけ反っているわけですが、それを、「ブチッ ビギッ メ゛ギッ ベギッ」と背筋からすさまじい音をたてながら押し返しています。
 ここで描かれる鯉太郎の表情は、若干笑みを浮かべている様子です。そしてクールな【猛虎】先生は、あわてず騒がず全身の点を線で結んだ最適化された動きでそれに対抗、ああっと、再び「ぐおっ」と【猛虎】先生がのど輪で押し込む! 鯉太郎ピンチ!
 「しかし猛虎 そうはさせじと押し返す!!」とNHKアナも絶叫だ!
 鯉太郎もさすがに「くっ…」と苦しそう。そして【猛虎】先生はここでも冷静だぞ!
 「鮫島…大した男だ…その足りない体で 壊れることも覚悟で 限界を超えた力を出す… だがそれでは…その使い方… その振り切れ方では 俺には勝てん…」
 そして土俵を見つめる【王虎】さんがカットインです。
 「鮫島の覚悟に 熱に…呼応されることも引き出されることもない… 揺るぎなき己の技術への絶対的な誇り…愚直に突き進み 全うに振り切れた猛虎の相撲… どうする 鮫島… それとも… ココが終わりか?」
 鯉太郎はもうすごい表情です。ぐぐぐ、と耐えております! その表情に、橋くんはつぶやきます。
 「この窮地で まだ目から絶望がこぼれないのか…」
 そしてNHKアナも中継を続けます。「それでも強引に押し返す!! 鮫島あきらめない」 そんな耐える鯉太郎の姿に、場内は鮫島コールが自然発生だ! 「鮫島!!」「鮫島!!」「頑張れー!!」「あきらめんな!」「押せー!」「押し返せー!!」
 この、場内を満たす鮫島コールに、観客席の鯉太郎母は亡き夫、火竜の言葉を思い出します。
 「一度場所に観に来いよ スゲーもん見せてやるから」
 はっ!? と思う母は、土俵の鯉太郎に火竜を見たのです! まだ終わっちゃいねーんだと事件後嘆いていた火竜。そして俺はここにいると宣言していた幼き鯉太郎少年。あの時の言葉の通り、まさに今、火竜は鯉太郎の中にはっきりと生きていたのです!
 「また…ここに… あの子の中で… アナタはもう一度…あの頃のように…輝いて…」
 そして土俵上の鯉太郎の脳裏には、対する【猛虎】先生への想いが交錯します。
 「そうだ…ヒリヒリしてバチバチして 重くて…怖くて…俺の始まりは猛虎(ここ)からだった…そして今…その重さは 怖さは 比べられないほど強烈で…この男のここまでの道は きっと壮絶だったのだろう…肌で感じる叩きあげられた技術力の高さ…力士としての芯の硬さに 尊敬の念すら抱いちまう…でも…俺の道も軽くねーから…まだ…ここで…終われねーから…」
 ここで終われない。この思いは【王虎】さんとの約束と言ってもいいのかもしれません。「持っていけ…俺の全部をくれてやる…」男にこんなことを言われたら、終わるわけにはイカンのです!
 「もて…あともう少し…あと少し…崩れ落ちるな…」
 俵にかかっている鯉太郎の左足首もビチッギシッと悲鳴を上げております! そしてページをめくると! あ゛あ゛あ゛あ゛の雄たけび一発、ぐおっと押し返す鯉太郎の図だ! しかし【猛虎】先生はいまだ冷静! カッコ良すぎる表情!
 「まだ分からないのか…ただガムシャラな力押しでは…」
 そしてページをめくると、いよいよ【猛虎】先生、フィニッシュに行くか!?
 「残念だ…ここまでだ…」
 しかし!? ページをめくった先では、1ページブチ抜きで、「スッ…」とのど輪攻めを抜ける鯉太郎の図であります! こ、これは!? 何が起きたんだ!? 【猛虎】先生も「!?」と一瞬虚を突かれた表情です! その瞬間にはもう、鯉太郎が【猛虎】先生の左サイドに回り込もうとしている!! 鯉太郎は、自らの前まわしを握る【猛虎】先生の左手を支点として…くるりと反転!
 「ぬっ…抜けたーーーーー!!」
 とNHKアナも絶叫、わたしも同じセリフで絶叫です!! 抜けた! マジかよ鯉太郎! 今何やったんだ!?
 というわけで、今週ラストは【猛虎】先生の「な、なん…だと…!?」的な驚愕の表情と、もはや無心・無表情に近い鯉太郎の何とも言えない表情、という対照的な二人の顔アップで幕、でありました。【追記:ラストの猛虎先生の「右!?」は誤植で「!?」が正しい、と佐藤先生がツイートされてますので、直しました。コメント欄への情報ありがとうございます!】
 ラストの状況をまとめておくと、【猛虎】先生が握っていたまわしはもう切れています。そしてそのまわしを握っていた【猛虎】先生の左手というより左肘を鯉太郎は掴み、抱え込もうとしている状況です。これは小手投げ? の体勢でしょうか? そして二人は同じ方向を向いていますので、再び相対するには90度回転しないといけないポジション。しかももはや土俵際です。これは大変なことになってきましたね……ここから投げ合いに行くのか、来週の展開が大変楽しみであります。はあ……どうやらいよいよVS【猛虎】戦も大詰めですなあ……この戦いの結末をワクワクしながら見届けたいと存じます! くそー! 早く読みてえなあ!!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週は、先週ラストののど輪攻めからくるりとターンして形勢逆転か!? という超イイところまでが描かれました。投げ……投げなんすかねえ……最終的には……。しつこいですが、わたしとしてはやはり、大横綱・虎城の血を引く若虎退治には、虎城キラー春風の血を引くあの技しかないと思うんすよね……。どうだろうなあ……今のところ、鯉太郎=火竜の「親子の血縁」推しな感じですが、わたしとしては【猛虎】先生との戦いは「部屋の血」推しにして欲しいんすよ……。まあ、いずれにせよ、決着がウルトラ楽しみっすねえ……! ちなみに、今さらっとチェックしてみたところ、ナンバリングとしてはVS【宝玉光】戦が(19)まであって一番長いすね。まああれは回想編が長かったし、実際の取組は4週ぐらいしかなかったかな。今回の【猛虎】戦はすでに(9)。いよいよ決着近し、ですな。いやー、『鮫島』はホントに最高っすね! と今週も締めくくりたく存じます。以上。

↓ つうかですね、わたしは発売日に紙と電子で買ったのですが、紙版の方は、いつもの本屋に置いてなくて、3軒回って確保しました。マジかよ、売れてねえのかなあ……と大変心配になったので、しつこいですが今週もリンク付けておきます。それとも売れちゃったために置いてなかったのだろうか??


 ライトノベル、という言葉が普通に通じる世になって、もう15年近くたつのではなかろうか。たぶん21世紀はじめの頃だとテキトーに思うので、15年ぐらいとテキトーに発言したが、今、本屋さんへ行くと、文庫コーナーはまあなんつうか、カバーに漫画的イラストを用いる作品が多く、何をもってライトノベルというのか、実際良くわからない状態になっているように思える。
 そもそもは、中高生向けのファンタジー小説を起源としているのは間違いないと思うが、わたしが思うライトノベルの定義は、簡単かつ厳格だ。ズバリ言うと、わたしは「主人公が10代の少年少女であること」、この1点をもってライトノベルと見做している。この認識はおそらく世間一般とずれていることは自覚しているけれど、なぜわたしがそう思うのかについても、ごく簡単な理屈である。それは、「主人公が10代の少年少女」である時点で、現実の10代の少年少女が読んでも面白いはず、だと思うからだ。つまり、「10代の少年少女が読んで面白いもの」、それすなわちライトノベルである、という理屈である。
 そしてある意味逆説的?というべきなのか、若干怪しいけれど、そういったわたしの言うライトノベルが、10代だけが面白いと思うかというとそんなことは決してなく、わたしのような40代後半のおっさんが読んでも十分以上に面白い作品はいっぱいあるのは、厳然たる事実である。
 何が言いたいかというと、たとえカバーが漫画チックであったり、一般的にライトノベルといわれるレーベルであったりしても、面白い小説を読みたいならばそこに変なフィルターは全く必要なく、貪欲に本屋さんで渉猟すりゃいいんじゃね? ということだ。
 というわけで、今朝の電車内で読み終わった本がこちらであります。

 これは、わたしには大変思い入れのある(?)、竹宮ゆゆこ先生による『あしたはひとりにしてくれ』という作品で、何でも3年前「別冊文藝春秋」に連載されたのち、2年前に文庫として発売された作品だそうだ。なので、もはや超今さらなのだが、先日、わたしが愛用している電子書籍販売サイトで、大きめのコインバックフェアがあった時、なんかおもしれ―小説ねえかなー、と探していて見つけ、買って読んでみたのである。全然本屋さんで出会ったわけではないのが上で書いたことと矛盾してるが、ほぼ毎日本屋さんに通っていても、こうして見のがす作品もいっぱいあるわけで、世はわたしの知らない「面白いもの」が溢れているものよ、とテキトーなことを言ってお茶を濁そうと思う。
 さて。竹宮ゆゆこ先生というと、アニメ化された作品もあり、いわゆるライトノベル界でも有名だし、近年はその活動をいわゆる一般文芸の世界にも広げており、わたしが思う日本の才能ある作家TOP10に余裕で入るお気に入りの作家のお一人だ。実際この本は文春文庫というレーベルから出されているわけで、それゆえ「いわゆる」と表現してみたけれど、その1点をもってのみ、一般文芸とするのは、冒頭に記した通りわたしとしては変な感じで、わたしの感覚では、本作は紛れもなくライトノベルであった。
 わたしが思うゆゆこ先生のすごいところは、なんで先生は女性なのに、男子高校生の日常及び心の中を、これほど詳しくあからさまにご存知なんすか!? という点に尽きる。とにかく、先生の描く主人公(大抵は男子高校生、たまに大学生)がおっそろしくリアルで、そしてその周辺の友達たちとのやり取りが、もうこれ、当時のおれたちそのまんまじゃん、と思えてしまうほどナチュラルで、そして愛すべきバカばっかりなのだ。
 ゆゆこ節とも言える、主に会話文で繰り広げられるキャラクター達のやり取りは、そりゃあ万人受けるすものではないのかもしれない。とりわけ女性受けするのかどうか、わたしには良くわからない。だが、かつて男子高校生だったわたしにはもうジャストミートである。これはもう、わたしがいかに面白いかを語ってみても無駄なことで、読んでもらわないと通じないだろう。
 物語は、ざっと要約すると、とある男子高校生が謎の女性に出会い、いつしか彼女を愛するようになる顛末を描いたものだ。こりゃざっと要約しすぎだな、うん。でもまあ、物語の筋は結構複雑なため、要約するとこうとしか書けない。なのでいつも通り、キャラ紹介をまとめておこう。
 ◆月岡瑛人:主人公。通称「エイト」。高校2年生。それなりな進学校に在籍し、日々の「ルーティン」を守って「イイ子」であることを己に課している少年。なぜエイトが「イイ子」であろうとするのかは、結構序盤で分かると思う。出生の秘密は意外とすぐ明かされるし、本人も周りに秘密にしているわけではないので。
 ◆高野橋さん:月岡家に居候している「親戚のおじさん、またはお兄さん」。20代?の無職の男。エイトを溺愛し、甘やかす。この人の秘密はラスト近くで明かされるが、え!と驚くけどそれほど感動的じゃあないかな。いずれにせよ、普通にはないシチュエーションだと思う。
 ◆アイス:エイトが「拾って」きた女性。どうやら20代。華奢。土に埋められていた。アイスの本名や、一体何者かということも当然ラスト近くで明かされるが、意外と現実的というか、現実的じゃないか、なんつうか、ずっとその存在はこの世のものならぬというか、不安定?な感じを受けるけれど、実のところ普通の人間だという秘密の暴露は、なんか安心、あるいは納得できた。
 ◆お父さん&お母さん:おっそろしく心の広い夫婦。なんつうか、この二人が一番ファンタジーなのではなかろうか。
 ◆月岡歓路:エイトの妹。体育科の有名な女子高に通う。彼女はレスリング部で、それゆえ身体能力が高く、朝練のため朝も早い。頭の出来は残念な女子高生。みかんが好き。
 ◆藤代:エイトの友達A。分厚い眼鏡を着用し、肩下までのロン毛をきゅっと一つに束ねている少年。まあ要するにキモオタ風な容貌らしいが、大変面白いイイ奴。
 ◆車谷:エイトの友達B。自称「わがままボディ」のデブ少年。絵にかいたような「食いしん坊」キャラ。コイツも大変イイ奴。
 とまあ、主なキャラクターは以上の通りだ。
 本作のどこが面白いのか、もちろん端的に言えばそのキャラクター(の言動)だろう。いそうでいない、絶妙なファンタジーでもあると思うし、細部のやり取りなんかは妙にリアルだし、そのバランスがとても見事な作品だとわたしは思う。まあ要するにですね、安定のゆゆこ節はやっぱおもしれえな、ということで、わたしはとても好きであるというのが結論です。

 というわけで、結論。
 いや、結論はもう書いちゃったけど、久しぶりに読んだ竹宮ゆゆこ先生の作品はやっぱり面白かった。本作、『あしたはひとりにしてくれ』は、珍しく? 男子高校生と年上の女性の関係が描かれているけれど、その恋愛?というよりも、それ以上に、メインテーマは「家族」と言っていいんでしょうな。シチュエーションがかなり特殊なため、深く感動したとか共感したとかそういう感想は持たなかったけれど、最後まで大変面白かったっす。以上。

↓ この辺りはまだ読んでないので、そのうち買って読むか……。これは主人公が社会人のようなので、わたし的にライトノベルじゃない判定す。
応えろ生きてる星 (文春文庫)
竹宮 ゆゆこ
文藝春秋
2017-11-09


 というわけで、そろそろかな、と思っていた新刊が発売になっていたので、さっそく買って読んだ。昨日の土曜日、わたしは朝の8時ぐらいから会社で仕事をしていたのだが、駅前の本屋さんが開く10時過ぎに買い、そのまま仕事をして12時過ぎには一区切りついたため、やれやれ、かーえろ、と乗った電車内で読みはじめ、そのまま昨日はずっと読んでいたら18時くらいには読み終わってしまった。やっぱ面白いわ。というのが端的な感想である。
 で、何を読んでいたかというと、もうこのBlogではおなじみの、佐伯泰英先生による「居眠り磐音」の続編シリーズ最新刊、『空也十番勝負 青春篇 異郷のぞみし』であります。「十番勝負」というのだから、まあ、おそらくは全10巻になるんでしょうな。今回の新刊は、その「第4番勝負」の模様を描いたもので、主人公・坂崎空也くん19歳の冒険を読者は味わうことができる。

 以下はネタバレに一切考慮せずに書くので、未読の方は、ここらで退場してください。まあ、できれば今すぐ本屋さんに行って、買って読むことをお勧めします。こんなBlogを読んでる場合じゃないすよ。今回は、前回よりかなり面白かったように思いますぜ。
 さてと。これまでの空也くんの旅をざっとおさらいすると、「磐音」シリーズ最終巻での大団円ののち、磐音の息子である空也くんは、父の故郷である豊後関前藩(架空の藩・まあ大分のあたりなんでしょう)から武者修行の旅に出た。その時16歳。そして薩摩へ向かい、運命の出会いを経て、東郷示現流との「1番勝負」に勝利。そしてその後、人吉藩~熊本藩に出て、追ってくる示現流との「2番勝負」にも勝利、そこから船で今後は五島列島へ渡り、狂える神父剣士との「3番勝負」に勝利したところまでがこれまでのお話である。
 ちなみに旅に出てから既に2年半経過していて、今回の「4番勝負」は、1798年の正月、空也くんは19歳まで成長している。そして今回の場所は、五島から北上して対馬から物語は始まる。対馬は、朝鮮との貿易の窓口なわけだが、まあ、ある意味当然、外国貿易をしている裏にはなにやら「お上に知られたくない」ことがあるようで……という流れはまったく自然に読めるし、実際面白い。しかし、実のところそういった政治めいた部分は、あまり関係がない。そりゃそうだ。空也くんは武者修行であって、密偵でもないし、水戸黄門的な世直しの旅をしてるわけではないのだから。
 そもそも、空也くんが対馬へ向かった理由は、もうシリーズを読んでいる方には想像がつくだろう。そうです。空也くんがぞっこんLOVEな運命の女子、眉月さまには高麗の血が流れているわけで、愛する女子のもう一つの故国をその眼で見たかったから、でありますよ。冒頭で対馬の北の端っこの岬に立ち、「眉姫様、それがし、そなたの祖国をわずか十二里の海を挟んで見ておりますぞ」と見つめる空也くんは大変カッコイイというか、その情景が浮かびますね。
 で、当然今回は対馬での戦いになるのだろうと思ったら、そうではなかった。対馬での抜け荷をめぐる冒険で、幕府密偵?と出会い、さらには朝鮮剣士との戦いはあるものの、結構あっさり対馬を去り、壱岐島のすぐ北にある辰ノ島へ舞台は移る。そしてそこで、後々いろいろ影響が出てきそうな孤高の朝鮮剣士との無言の修行の日々があって、その後で平戸島に上陸する。そしてその地で若き平戸藩主・松浦清と出会い、充実の稽古と、今回の「4番勝負」に勝利したのち、いよいよ本土に戻り、長崎を目指すことになる。長崎と言えば、前巻で知りあった密偵女子の高木麻衣ちゃんを思い出すが、まあ、再会は次回あるものと思いたいですな。そして今回出会った幕府密偵のトラ吉も。きっと今後ちょいちょい出てくるのでしょう。つうか、平戸って島だったんですな。無知なわたしはそんなことも知らなかったす。今は橋でつながってるみたいだけど、平戸は元々は貿易港として栄えたけれど、鎖国以降の、本作の舞台となる時代ではその地位はすっかり長崎に取られてしまってたんですな。そんな歴史豆知識も今回は非常に興味深く味わえました。
 というわけで、空也くんは充実の武者修行継続中なのだが、なんつうか、やっぱり何度も書いている通り、『密命』シリーズの清之助くん的な、超人的強さがどんどん身について、スーパーマン化しつつあるのが、物語の面白さという意味において若干心配ですな。そしてもう4番勝負が終わってもまだ九州にいるわけで、これから今後当然江戸方向に向かうにしても、10番じゃすまないような気もしてきます。あれかな、どこかから船で一気に東上するのかしら。まあ、兄弟子ともいえる辰平の仕える福岡はもうすぐだし、利次郎の生地である土佐、それから自らの生地である高野山あたりも行かないとイカンのではなかろうか。
 で、本作でも当然、一方江戸では……という様子も描かれており、今回江戸での磐音周辺ではいくつかの、今後に影響する出来事があった。まず一つ目は、すっかり小梅村が気に入ってしまったことでお馴染みの薬丸新蔵くんの元に示現流一派が喧嘩を売りに来て、まあごくあっさり撃退するも、これ以上ここにいたら迷惑なのでは、と新蔵くんは出て行ってしまう。江戸での新蔵くんとの戦いが最後の十番勝負なんじゃないかという気もするけれど、彼もまた、間違いなく今後出演してくれるでしょう。
 二つ目は、現在の11代将軍・徳川家斉がなんと尚武館にお忍でやってきて、薩摩藩前藩主・島津重豪と対面するシーンがある。これは、速水様がしくんだっぽい対面なのだが、要するに、もう示現流の連中が空也くんと新蔵くんを追うのはいい加減にしとけ、という釘を刺すためのもの?とわたしは受け取ったが、この理屈がわたしには面白く感じられた。つまり、空也くんは、将軍様が直々に対面して授けた刀である「備前長船派修理亮盛光」を携えているわけで、ある意味天下御免の存在なわけだ。そして空也くんは賢いことに、薩摩入りした時はその刀を持っていかず、丸腰だったことも効いていて、「薩摩での出来事は(おれがくれてやった刀は持ってなかったから)許してやる、けど、今は、(その刀を持っている)空也になんかあったらマジ許さんぜ」と将軍は言ってるんだろうとわたしは理解した。まあ、薩摩藩としては最初から空也くんも新蔵くんも別に敵だとは思っておらず、示現流の連中の勝手な暴発なわけで、それはちゃんとお前の責任で何とかしろ、という釘を刺したということなんだろうと思う。困ったすね、薩摩藩的には。実のところ、将軍・家斉の正妻は島津重豪の娘なわけで、つまりは舅なんだけど、この対面シーンがわたし的には非常に印象に残った。
 そして薩摩で言うと、今回は江戸にいる眉月ちゃんのお父さんも尚武館を訪れ、磐音と対面するシーンもあったし、なにより眉月ちゃんも、そのお父さんから江戸に戻って来いとの文を受け、絶賛お悩み中である。眉月ちゃんは今後、空也くんの足取りを推理しながら長崎へ行くのか、それとも江戸へ直行するか分からないけど、まあ、江戸での再開は間違いないだろうし、おっさん読者としては、幸せにな、お二人さん! と見守るしかなかろうと思います。
 そして今回は、空也くんが人吉で知り合った常村又次郎くんもまた江戸にやってきて、空也くんが薩摩でもらった刀を磐音に届けるシーンもあった。ここでの、空也くんの妹である睦月ちゃんの素朴な疑問が大変良かったすね。
「兄がどうしてかくも皆様方に好意的に受け入れられるのか、妹のわたしにはわかりませぬ」
 まあ、そりゃ睦月ちゃんからしたら、兄貴は単なる朴念仁の剣術野郎だもんな。これに、又次郎くんが何と答え、睦月ちゃんは納得したのかは、ご自身で読んで味わってください。ま、要するに人柄ってことなんすかね。いずれにせよ、空也くんの武者修行の旅はまだ当分続きそうだし、出会いもこれからまだまだいっぱいあるのでしょう。江戸に帰ってきて、修行を終えた空也くんがどんな男になっているか、旅に同行しながら味わいたいですな。
 最後に、ひとつふと思ったことが。本書の舞台は冒頭に記した通り1798年であるわけで、それはつまり、明治維新の約70年前ってことで、ということは、空也くんの子供か孫世代=磐音の孫かひ孫世代は、幕末を生き抜いてるんだなあということだ。何が言いたいかというと、現代を生きる我々の5~6世代ぐらい前、なわけで、意外と近いような気がした、ということです。サーセン、それだけ。特にオチはないす。

 というわけで、結論。
 わたしが新刊が出るのを楽しみにしている、佐伯泰英先生の『空也十番勝負』の新刊が出たので、さっそく買って読んだところ、なんか今回は一番? 面白かったような気がします。いや、1番?かどうかは分からないけど、前巻よりはかなり面白かったすね。しかし、わたしは五島も対馬も壱岐も平戸も行ったことがないけれど、なんか行きたくなりますな。空也は19歳で、まあ、言わば着の身着のままのぶらり旅を敢行中なわけだが、どんな景色を見て、何を思っているんすかねえ……現代人には想像がつかない旅だけど、まあ、なんつうか、カッコいいすな。ホント、どんな男となって江戸にもどってくるか、大変楽しみであります。もうほぼ無敵だし、重大なピンチもこれから訪れるだろうけど、きっと見事に修行を終えることでありましょう。まったく、お前は大した野郎だよ。そして空也よ、江戸で眉月ちゃんを娶って、幸せになるがよい! 以上。

↓ 今回のお話で登場する、平戸藩主・松浦清はかなりやり手の頭のいい男として描かれてました。参勤の折は尚武館に弟子入りしよう、とか思うほど、剣術の腕もある男で、なんかいい殿様だったすね。というわけで、平戸に今わたしは超興味津々す。
日本の城 改訂版 69号 (平戸城) [分冊百科]
デアゴスティーニ・ジャパン
2018-05-08


 わたしは昭和の男として、いまだ新聞をちゃんと毎朝読む男なのだが、たまに、新聞の書評を見て、へえ? と思った本を買って読むことがある。そういう場合は、まあ、ほぼ100%小説なのだが、1カ月ぐらい前かな、たしか作家の宮部みゆき先生の書評を読んで、かなり好意的だったので、じゃあ、買って読んでみるかと思った作品があった。
 それはどうもドイツミステリーらしく、わたしはドイツ語で修論を書いた男なので、現代ドイツ文学(文学、というのもアレかな)を読んでみたいと思う気持ちは、おそらく普通の人よりずっと高い方だろう。なので、本屋で探してみたのだが、まるで見当たらず、本当に最近の本屋さんはアレだなあ……と思っていたら、ごくあっさり、電子書籍で発売していることを発見し、さっそく購入、読み始めた。それはこの作品であります。
乗客ナンバー23の消失 (文春e-book)
セバスチャン・フィツェック
文藝春秋
2018-03-28

 著者のSebastian Fitzek氏は一応日本語Wikiがありますな……わたしとしてはこの方の他の作品も読んでみようかと思ったものの、どうも柏書房なる版元から出ている本はことごとく品切れ重版未定みたいすね……amazonによると。あ、早川書房から出ている本は買えるっぽいな……。まあ、いずれにせよ、この著者は1971年生まれのドイツ人で、新作は映画化もされるようで、それなりに有名らしいすね。全然知らなかった。ベルリン生まれのベルリン育ち……西出身ってことでいいのかな……。
 お、ちょっと検索したら文春のツイートに宮部先生の書評のリンクがあるからこれをのっけとこう。

 で、ズバリのっけから結論を言うと、宮部先生のオススメには申し訳ないのだが、はっきり言ってかなりイマイチであったようにわたしには感じられた。最後まで読み通す自信が全然わかず、電子書籍の便利機能である読了タイム計測によると、わたしは338分かかってこの本を読み終えたらしい。紙の本だと377ページあるのかな? なので、読んだスピードはわたしの標準速度だったようにも思うが、実感としてはスゲエ時間がかかった、という気がしてならない。そして今から感想を書こうとしているのだが、実は読み終わったのもだいぶ前で、なんか……なんか書くことがあんまりないんすよね……。うーむ。
 まず、物語を簡単に説明すると、豪華クルーズ船において起きた失踪事件を、刑事が解決するものである。わたしにはかつて、元海自潜水艦乗り→陸自レンジャーという経歴の男が部下でいたため、そいつからいろんな話を聞いたことがあるのだが、そいつも言ってたことで、本書にも出てくることなのだが、外洋船から落ちたら、100%助からないんだそうだ。それはもう簡単な理屈で、100%見つからないから、らしい。なぜなら、船が止まる(静止する)のに要する距離が我々の想像を超えていて、本書に出てくる豪華客船は数km必要らしいが、落ちたその瞬間を目撃したとしても、あっという間に見失うものらしい。元部下の元自衛官曰く、マジ無理っす、だそうで、実際、フェリーから海に身を投じることは確実な自殺手段としても有名らしい。あと、船によるんだろうけど、客船の場合は海面まで高さが数10メートルある場合もあり、下手に落ちれば当然骨折もするだろうし、その点でも、もう海に落ちたら完全アウト! だそうだ。
 というわけで、本書では、以下のような、非常に多い登場人物が入り乱れる(?)お話であった。ちなみにわたしは、とにかくキャラ数が多いし、それぞれにエピソードが多くて、次々に視線が移っていくし、しかもあまり本筋と関係なく、なんかうんざりした。なんでStephen King大先生の作品ではそういうことにならないんだろうな……キャラ多いのに。ま、そこがKing先生のすごいところかもしれないすね。とにかくキャラが多いので、全員は紹介しません。
 ◆マルティン・シュバルツ:主人公。刑事。おとり捜査での潜入捜査官。オープニングの事件はすごい話でビビるが、物語本筋にはほぼ関係なし。凄腕、らしいが、凄腕……どうだろうそれは……。心理学的教養・知識がある。そして重要なポイントは、舞台となる「海のスルタンIII」という豪華客船で、5年前に妻と息子を亡くしていることで、この事件は公式に自殺として解決済みだが、その裏には……的なお話。そしてその裏を知っても、彼にはあまり同情しないし共感も出来ないすなあ。
 ◆ボンヘーファー船長:「海のスルタンIII」の船長。未だにマルティンからはお前が妻子を見殺しにしたんだと逆恨みを喰らっている気の毒なおっさん。訴訟も喰らい、そのせいで一時期停職処分となったが再び船長に復帰。結論から言うと、この人はほぼ悪事に加担してません。実際、むしろ単なる被害者ではという気がする。
 ◆ユーリア:船長の友人の女性で看護師かな。ただ、かなりひどい女で、娘の担任の先生と絶賛不倫中。頭の具合はかなり悪い。
 ◆リザ:ユーリアの娘。ゴス系パンク女子高生。なにやら援助交際疑惑があり、動画が流出し、学校に居場所ナシ、な女子。ほぼ同情の余地なし。
 ◆アヌーク:マルティンの妻子同様、消えた乗客(=船で行方不明になった乗客を、業界用語で「乗客23号」というんですって)のはずだったが、ひょっこり姿を現し、保護された女の子。何歳だったか忘れましたが幼稚園・小学生レベルのちびっ子。しゃべらない。精神的にイッちゃった模様。母親であるナオミは依然行方不明、だが実は……的な展開。
 ◆エレーナ:船医。アヌークを保護しつつ、マルティンにも一応協力的(?)。終盤、え、そういうことなの? 的な秘密の暴露はかなりいきなりだし、読んでて想像がつきっこないじゃんレベルのように感じた。
 ◆ゲルリンデ:「海のスルタンIII」の部屋を分譲で購入し、住み着いているおばあちゃん。船での行方不明ネタでミステリー小説執筆中。何気にいろいろヒントらしきものをくれる。この人が一番まともというか、常識人だったような気がします。
 まあ、もっと登場キャラは多いけれど、メインキャストとしてはこの程度で十分だろう。そして、ことごとく、キャラに共感できないのがわたしには致命的であったように思う。なので、主人公と一緒に、行動し、考えたくなるようなことにならなかったのが、わたしをして「イマイチ」と思わせた最大要因であろうと思う。メインのお話自体も、若干無理があるような……抽選であなたに豪華客船のクルーズ旅行が当たりました! なんてメールか何かで連絡が来たとして、それにやったー!と素直に応じる奴なんているのだろうか?? まあ、いるんだろうな、きっと、とは思うものの、わたしは100%そんなのには引っかからないので、重大な秘密の暴露も、え、なるほど? うっそお? とか思ってしまったのも残念でありました。
 というわけで、わたしとしてはお話に関してはそれほど面白いとは思えなかったものの、そこかしこにちりばめられたトリビア的面白知識には、いちいち、へえ~と思ったわけで、わたしが全然知らず、初めて知った面白知識を二つほど書いて終わりにしよう。
 ◆豪華客船=一つの町である。なのに、警官なんていない。当然暴力沙汰や盗難なんかも普通に発生するわけで、まあとにかく大変、なんだそうだ。へえ~。確かに言われてみりゃそうすね。なるほど。おまけに、乗務員も1,000人レベルで乗っているため、もめ事も絶えないし、なんとセックス用連れ込み部屋なんてのもあるんだそうだ。この連れ込み部屋は、乗務員だったり、客だったり、フル活用されてるんですと。なんつうか、すげえ生々しくて知りたくなかったすね……。なんか、客の知らない裏側は汚らしいというか、不潔なイメージが頭にこびりついちゃったす。なお、不潔=精神的なものじゃなくて、実際的にきったねえ、バッチイという方向の不潔です。
 ちなみに、著者本人のあとがきによると、乗客は、乗船と同時に国外に身を置くことになり、船上での犯罪は、基本的に「船籍港の属する国の機関」の管轄下に入るのだそうだ。そして、アメリカはそれを問題視していて、アメリカ人に関して何か起きた時は、沿岸警備隊とFBIが捜査権を行使できるようになってるんですと。へえ~ですな。日本人は大丈夫なのでしょうか。まあ、大丈夫じゃないでしょうな、きっと。
 ◆豪華客船=一つの町である。てことは、膨大な廃棄物が発生する。本書の豪華客船の場合、発生するゴミのたぐいは1日9トン、屎尿なんかは1日28,000リットルですって。まあ、そりゃそうだわな。そして、それをどうしてるか知りたいすか? 本書では、基本垂れ流し、が現実なんだと書いてありました。本書の客船にはゴミ焼却装置がついているのにぜんぜん使われておらず、何故ならヨーロッパ圏の港は全て分別とリサイクルに理解がなく、ごみ収集施設がまったくないか、廃棄費用が高額か、という理由から、全部海に投棄されてるんですってよ。まあ、実際それで海が汚染されるとかそういうことはきっとないんだろうけど、なんかゾッとする事実にわたしはびっくりしたっすね。まあ、飛行機も上空で屎尿をぶちまけているという話も聞いたことがあるし、今更かもしれないけれど、28,000リットルというその膨大な量には、やっぱり驚きっす。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。
 新聞の書評で知ったドイツミステリー『PASSAGIER 23』を読んでみたところ、どうもわたしの趣味には合わず、イマイチだった、としか言いようがない状態である。わたしとしては、登場キャラクターたち全員に共感を得られず、なんだかつまんない奴らというか、彼らが何をどうしようと、どうでもいいというか、関心を抱くことが出来なかったのがわたしの敗因だろうと思う。だって、なんつうか……頭の具合が悪いというか、冴えてないというか……とても友達になりたいと思うようなキャラはいなかったす。でも、まあ、いわゆる豪華客船に関する面白知識はそれなりに得られたので、その点だけは良しとしておきたい。なんかなあ……6時間チョイの読書はあまり楽しくなかったす。以上。

↓ つうわけで、こちらが愛する早川書房から出ている作品です。どうもまだ電子化されていないっぽいので、電子化されたら買うかも、ぐらいな感じかな……。ドイツ語原題は『Der Augenjäger』すね。
アイ・コレクター (ハヤカワ・ミステリ 1858)
セバスチャン・フィツェック
早川書房
2012-04-06

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、今、何も書くことが思いつかないんですが、そういや3末決算の上場企業は株主総会の季節ですなあ。わたしも、かつては年明けから本格化する次年度予算策定~4月末の決算確定&IR決算説明会~6月の総会準備&実施と途切れることなく忙しく、ちょうど今頃は、もうあと総会を乗り切ればオレはほんの一瞬息が抜ける! 的に最後の気合を入れていたものですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて。それではさっさと今週の週刊チャンピオン2018年29号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版はNGT48の中井りか嬢のようです。
 ■弱虫ペダル:最後の糸の巻。マズイ……鳴子くん!! 泣けそうす!
 ■BEASTERS:この深淵に箒星の巻。ゴウヒン先生と食殺したキツネの少女のお話す。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:響け貧弱恨み節の巻。ほんとネーム多い漫画ですなあ。だがそれがイイ! ギャグ漫画はやっぱりマシンガンネームじゃないとね!
 ■昆虫武将チョウソカベ!:虎と龍と殿の巻。シンゲン公との戦い終了す。
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年29号でありました。

 さてと。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は、虎城理事長や【王虎】さんの言葉から、【猛虎】先生の相撲の秘密らしき内容が語られました。要するに、体さばきで錯覚を生じさせ、隙を生み出し、そしてその隙を確実にモノにする体さばきで相手にあたる、と言えばいいのでしょうか? 相手にとって嫌な=自分にとって有利な体さばき、をまったく自然に行えているのが【猛虎】先生なわけで、ラストでは、鯉太郎は【猛虎】先生へ渾身の張りを喰らわせるも、どうやら効いてなーい、な状況で幕となりました。【王虎】さんの「全て」を「受け取った」鯉太郎。そんな鯉太郎に、お前の中の王虎を見せてみろ、大横綱・虎城の存在を感じさせてくれ! と望む【猛虎】先生。大変な展開になってきました!
 というわけで、当たり前ですが今週はその続きです。
 が、今週開幕は【猛虎】先生の稽古場での様子、すなわち回想から始まります。のっけから【猛虎】先生の長い独白で始まりますが、【猛虎】先生はそれまで稽古をしながらこんなことを考えていたそうです。
 「倒れてはいけない 土俵の外に出てはいけない 相撲という競技… 指一本でも地につけば…外に出ればその戦いの死を意味する特殊さ… わずかな崩れが文字通り命取りとなるうえで 足二本で立つという不安定さ…」
 な、なるほど? はい。今のところ分かります。
 「何より力を入れる初動の箇所が 親指というから始まる違和感…… 点という不安定さから最大の力が出るという のどを通らない理屈……」
 なるほど。確かに足の親指に最大パワーがかかるのは理解できます。しかしそこに違和感を感じたことは……あるかなあ? ま、ともかくそんな【猛虎】先生ですが……
 「くり返す自問自答は 親方の一言で光明を得る…」という出来事があったそうで、虎城理事長曰く、
 「何? 立つことに違和感がある?」「それはブワーっと広がらないということか? 足からブワーっと染み出し スーーー…っと吸い上げる感覚がないということか…? ならどうやって力を出しとるんだ? それがなきゃフワッフワのグラッグラだろ…」とのことで、【猛虎】先生には、
 「ウソのように…その言葉が脳に溶けていった…」そうです。
 なるほど? そして描写は土俵に戻り、先週ラストの鯉太郎による強烈な張りが炸裂したシーンに移ります。そしてやっぱり、【猛虎】先生には効いてなーーい模様ですが、その秘密とは、
 「使うべきは点ではなく 面…外側から染み出し 力が下から上へと伝わる 外旋
 ここは半見開きで、仁王立ちする【猛虎】先生の図で表現されています。実にカッコイイですなあ! そして「外旋」という言葉は、恥ずかしながら無知なわたしには理解できなかったので、すぐさまGoogle神にお伺いを立ててみたところ、どうやら解剖学における用語のようです。すなわち「回旋の動きのひとつ。回旋とは、上肢や下肢などの運動の種類のひとつで、位置を変えずにその場で回す動き」のことだそうで、「外旋で回す向きは右上肢・右下肢では右まわり、左側では左まわり。逆回転は内旋」だそうです。ええと、つまり「外旋」は外向きの回転運動ってことかな? これは実際に腕を回してみると分かると思います。なるほど。そしてちょっと待ってくださいよ……? 回転がキーだとすると、わたしの脳裏には虎城キラーであった先代・空流親方が鯉太郎に伝授してくれた、あの技をやっぱり思い出すっすね……。あの技も、足の回転がキーでしたな……。でもありゃ解剖学的な回旋とは違うか。まあそれはともかく、【猛虎】先生の解説めいた独白的思考は続きます。
 「足裏の安定は体の安定につながり 体の安定は攻守での体の使い方に変化をもたらした…点ではなく足裏からの線の連動・繋がり・動員で 肉…骨を動かす」
 そして描写は再び土俵へ。見守る橋くんは「あのハリがきかないってのか…」とゾッとしていますが、NHKアナの絶叫が状況を説明します。
 「猛虎 鮫島のハリを意に介さず前に出たー!!」
 吹っ飛ぶ鯉太郎! イカン! あーーっ! 【猛虎】先生が左前まわしを「ガシッ」と掴んだ! マズイ!! そしてページをめくるとさらに【猛虎】先生の右手がガシッと鯉太郎の顎を掴んだの図です! ぐんと押された鯉太郎は完全にのけぞり状態! コイツはのど輪を決められた格好だ!! ヤバイぞ!!
 「才能ひしめく大相撲というこの世界で 終わりの見えない階段を踏み外さず ただただ一心不乱に上り続けた 天賦の才がなかったからこそ… 必死に足掻いたからこそ たどりつけた己の力を…体を 最大限に発揮させる技術」
 持っていない才を、努力と理論で裏打ちされた技術で埋めてきた【猛虎】先生、というわけですが、そこには、こんな思いがあるわけです。
 (TVインタビューに答える大横綱・虎城)「ただひとつ わたしに飛び抜けた才能があったとするなら 誰にも負けないくらい 相撲が好きだったということでしょう…」
 (猛虎)「そう…それは……それだけは誰にも……アナタにだって…負けはしないから…」
 そういうことなんですな、つまりは。【王虎】さんのいう「振り切れてる」というのは、この相撲に対する想いが、圧倒的に振り切れているということでもあるのではないでしょうか。ここが【猛虎】先生の根幹であり、ドンとして砕けないものでもあるように思えます。
 というわけで、土俵上では鯉太郎大ピンチの図であります。NHKアナの絶叫中継が続きます。
 「猛虎がもっていった――!! 一気に土俵際!! 鮫島の快進撃もついにここまでか―――!!」こりゃあ、TVを見てたらもう相当血圧が上がって、おそらくわたしも絶叫していることでありましょう。場内の空気も「あ…」「あぁ…」ともはや絶望間際。常と大吉の空流ブラザーズも「腰を落として!」「堪えて鯉太郎さん!!」とこぶしを握ります。そして対する虎城ブラザース【稲虎】さんは「よし… よーし…!!」と勝利の予感に歓喜のこぶしを握ります。そして、鯉太郎の体から、もはやお馴染みの「ブチッ」「ビキッ」という筋繊維の断裂する音、的な書き文字が過剰なほどに描写されております。これはもう鯉太郎の全身の筋肉総動員令が発動されています!
 そしてページをめくった先には、大ゴマで笑みを浮かべる鯉太郎の不敵な表情だ! 鯉太郎はまったくもって楽し気です! そして「ギギッ」「メ゛ギッ」「ビキビキッ」もさらに増加! ページをめくると、NHKアナ絶叫です!
 「えっ・・ええっ!? 鮫島の体が沈み始めてる…」
 がっちり【猛虎】先生の右手がのど輪にきまってのけ反っていた状態の鯉太郎ですが、なんと体勢を戻しつつあります! これには【猛虎】先生もマジかよこの野郎的苦笑? です!
 「鮫島(コイツ)もまた そこはゆずれない 領分か…」
 そこ=相撲大好き、というポイントだと思いますが、どうやら勝負を分けるのもの点なのでしょうか? そして今週ラストは、この白熱の土俵を見守る二人の女性のやり取りで幕となります。
 鯉太郎母は、思わず目を閉じうつむきそうになりますが、ふと隣の椿ちゃんを見ると、椿ちゃんは決して目を離さず、土俵を食い入るように見つめています。その手はスカートをぐぐっ…と握りしめながら。鯉太郎母はそんな椿ちゃんを見て、幸せだったあの頃を思い出します。夫であり炎のファイターだった火竜は言いました。
 火竜「何で場所見に来ねーんだ? たまには生で見に来いよ…」
 母「(幼き鯉太郎を抱きながら)無理よ… どうせいっても 怖くて目を開けてられないもの…」
 そんな思い出のある鯉太郎母は、ギュッと椿ちゃんの手を握ります。ハッとする椿ちゃんに鯉太郎母は「ありがとね…椿ちゃん…」と一言漏らし、今週は幕でありました……。
 この様子は、編集部謹製のエンディングキャッチですべて語られていますので引用しましょう。
 「かつて自分が出来なかった 椿に尊敬と感謝を込めて―――」
 はーー……なるほど。今週は現実時間ではおそらく数秒しか経過していないと思いますが、濃かったすねえ……。決着までにまだ何週間かかかるんでしょうか? これはもう大変な大相撲になってきました。どういう結末を迎えるのか、大変楽しみであります! くそう、もう今すぐ来週号を読みたいですなあ!!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
 --------
 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週は、さらに【猛虎】先生の相撲の秘密が明らかになってきました。点ではなく、面。これは大変分かりやすいと思います。しかし新たに今週登場した「外旋」という概念は、これは読んでいてなるほど、と分かるような気がするものの、実感としてつかみにくいようにも思えます。しかし、なんだかもう、最強と思えるような【猛虎】先生でさえ、まだ横綱【泡影】には届かないわけで、【泡影】はいったいどんなバケモノなのでしょうか……はーーーホントに毎週読み終わったそばから次週が読みたくなりますなあ。こういうのを傑作というのでしょうな。要するにですね、いやあー『鮫島』はホントに最高っすね! といつもの結論で終わりたいと存じます。以上。

↓ つうかですね、しつこいですが最新(18)巻は先週発売になってますよ! 是非ともお近くの本屋さんでお買い求め下さい!

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、明日6/8(金)は、コミックス単行本の最新第(18)巻が発売になりますので、是非とも購入のほど、よろしくお願いいたします。毎回書いてますが、わたしは電子と紙の両方買って応援いたしたく存じます。

 表紙にキャラ単独でないのは、『鮫島』シリーズ初であります。内容は、第152話から第160話までとなるはずですので、【王虎】さんとの闘いが終わってVS【猛虎】先生がドーンと発表されるところまでだと思われます。わたしとしては、おそらく何度も何度も読むことになるでありましょう。今後復習するためにも必携の書ですので、どうか皆さん、買って応援していただければと存じます。
 さて、それではまずは今週の週刊少年チャンピオン2018年28号概況です。
 ■巻頭グラビア:久松郁実嬢。大変結構なお点前であります。イイすねえ……。
 ■弱虫ペダル:鳴子特急!! の巻。ホント、いつも鳴子くんには泣かされますよ……。クソカッコエエすねえ……今回はきっちりボケー筋に勝ってほしいす!
 ■BEASTERS:僕らの血は下水でも分離しているだろうかの巻。えっ、この世界では異種婚で子供もできるんですか!? ははあ、なるほど、レゴシ君はコモドオオトカゲの血が1/4入ってるクオーターだったんすね。へええ!?
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:無限修正のオートグラフの巻。や~~い半田~~~ドジっ子ピッピ 鼻毛がボーン にわたしはもう電車内で肩を震わせるしかなかったす。オチも最高す。
 ■昆虫武将チョウソカベ!:殿はなにしにかわなかしまへ?の巻。ケンシン公VSシンゲン公の戦いに殿は……! という展開は意外と真面目で漫画らしく、面白かったす。
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年28号でありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 ついに始まったVS【猛虎】先生との取組ですが、先週は立ち合いで後れを取った鯉太郎に【猛虎】先生のハイスピードな攻めが次々に繰り出され、鯉太郎も応戦するも後手に回るというか、起死回生のブチカマシさえ「パスッ…」と受け止められてしまうところまでが描かれました。また、同時に、虎城理事長による【猛虎】先生への教えも回想で描かれ、かつての大横綱・虎城の相撲を最も忠実?に体現しているのがまさしく今の【猛虎】先生である的なことも描かれました。
 というわけで、今週はその「パスッ…」からの続きです。入ったはずのブチカマシが入っていない。すぐさま【猛虎】先生の右手が鯉太郎に迫りますが、ゾクッと危機を察した鯉太郎はバッと離れ、距離を置きました。
 そして、NHKの実況が入りますが、この内容が結構驚きのものであります。
 「!? どうした鮫島 ブチカマシを軽く当てたと思ったら急に距離を取った!!」
 そうなんです。どうやら、第三者目線で土俵を見ている者には、「鯉太郎が軽く当てた」ように見えるのでありました。これは興味深い現象です。そして虎城理事長の解説が入ります。
 「脳をつかまれましたな…鮫島は… そうなることを予測するのではなく、そうなるように仕向ける技術…」
 な、なるほど? 言葉では理解できます。ブチカマシが来る!と予測していたのではなく、ブチカマシを来させるよう、【猛虎】先生が仕向けていたというわけですが、NHKアナも「??」と理解できていませんし、土俵を見つめる常松も、「何で途中でブチカマシを辞めちまうんだ…」といつもの顔面蒼白フェイスでつぶやきます。そして田上さんこと【稲虎】関は、「スゴイ……猛虎さんの言ったとおりだ……鮫島の相撲が届かない」と汗だくでやったぜフェイス。空流部屋と虎城部屋で明暗が分かれました。
 これは一体……という表情の鯉太郎。そこに【王虎】さんの独白がかぶります。
 「魔法か何かにかかったみてーだろ…鮫島……」
 そしてページをめくった先は、再び鯉太郎のブチカマシが発射されます! そして再び【王虎】さんの解説です。
 「人間は視覚から得られる情報から 己がどう動くのかを脳が定める…」
 描写としては、【猛虎】先生が「ぐんっ」と前に出、鯉太郎は「よし…」と思っている模様ですが、【王虎】さん曰く「まずは前に出ることを見せることにより 鮫島にブチカマシの最大威力で当たれる距離を予測させる…」
 そして鯉太郎は「!」と何かを見つけたか!? 【王虎】さんの解説は続きます。「その上で半身をさげ インパクトの距離をズラす… そのわずかなタイミングの時間のズレが 最大の威力を逃がし…消す…」 な、なるほど!? だんだんわかってきましたね……【猛虎】先生の秘密が。あっと、再びのブチカマシも、またも「パスッ」とナイスキャッチされた模様です!
 そしてページをめくった先では虎城理事長が、若干のドヤ顔で一言発します。
 「ピンと空間を把握し ピッと距離を掌握する」
 なるほど、これは分かります。なんというか、高度な物理演算を瞬時に行っている感じでしょうか。【王虎】さんの解説も続きます。
 「立ち合いの当たり負けも マワシを簡単にとられたのも 鮫島は視覚からの距離時間の予想を意図的にハズされたからだ…そして視覚から入る情報からのズレは 脳がパニックを起こし 思考が一瞬空白という隙をつくる ストループ効果…そして猛虎にはそのわずかの隙を逃さないスピードをうむ ヒザの抜きがある…」
 なるほど……なるほどっすね……ストループ効果という言葉、ご存知でしょうか? いや、恥ずかしながらわたしは無知で知りませんでしたが、詳しくはWikiへのリンクを張っておいたので、そちらをご覧ください。二つの情報が干渉しあうために起こる脳の情報処理がワンテンポ遅れる現象なんすな。なるほど。そしてその「一瞬生まれた隙」を【猛虎】先生は逃さないと。なるほど……! 大体わかって来ました。というわけで、再びの「パスッ」に対して、【猛虎】先生が攻撃に入ります!! そして理事長ふたたびの解説です!
 「ふみ込む力が重要なのではなく 大切なのはどう動きたいのか 体に任せる抜き…」
 【猛虎】先生のハズに構えたもろ手突き? が鯉太郎の胸にヒット!!! 鯉太郎の上体が崩れる! コイツはマズい!
 「闇雲に力を入れたところで それが間違っとれば何の意味もない…力ではないのです…これを理解できたのは 数いる弟子の中で猛虎だけです…」
 そして【猛虎】先生は体勢の崩れた鯉太郎に対し、右の張りを発射する準備を完了しているぞ! イカン!! これはキツイのが来る! 【王虎】さんの言葉が入ります!
 「相撲にすべてを捧げ…狂いぬき…妥協なき探求から猛虎が辿り着いた境地だ…」
 あーーっと! めっくったページの先は、1ページブチ抜きで【猛虎】先生渾身の右ストレートが鯉太郎の顔面にヒ―――ッット! マズイ! 鯉太郎いきいきごんぼ!(※半死半生のさまを指す言葉。サーセン、使ってみたかっただけっす)
 そして【猛虎】先生は戦いのさなかに思います。「どうした 鮫島… さぁ見せてみろ…お前の中にある王虎を…感じさせてくれ お前の中にある 大横綱虎城の 存在を…」
 この言葉に呼応するかのように、鯉太郎は反り返った体で無理矢理耐えます。思わずゾッとする【猛虎】先生。そして心臓が「ボッ」と音を立てたぞ! そしてめくったページの先は、見開きで鯉太郎が「ハッ…ハハッ」と笑い声をあげ、お返しの右ストレートの構えだ! この見開きは素晴らしいすね! 【猛虎】先生も「そうだ! それを期待してるんだ!」的な嬉しさと、「まだ来るか!」的な驚きの入り混じったニヤリです! そしてさらにページをめくった先も見開きです! そこには、鯉太郎の全体重が乗せられたような渾身の右の張りが「ゴボォン」という迫力の書き文字とともに、【猛虎】先生の顔面をとらえるの図であります!
 しかし! ああ、なんてこった!! 今週最後のページは3コマで表現されています。
 1コマ目:どうだ! 的鯉太郎のしてやったりフェイス
 2コマ目:【猛虎】先生の表情は描かれず、ふしゅう……と霧が晴れていく様子
 3コマ目:鯉太郎の、「な、なにい!?」的驚愕フェイス
 こ、これは……! 鯉太郎渾身の張りにも、【猛虎】無傷!! なのでしょうか? 今週はこれにて幕でありましたが、これは大変な戦いになってまいりました。ただこのままだと、決まり手がないというか、現在両者は離れて戦っていますが、勝負の行方はまわしを取っての投げに行くのか、それともがっぷり組んでの寄りになるのか、ちょっと想像がつかないす。鯉太郎的には、是非とも左下手が欲しいすね……。フィニッシュホールドとしては、やっぱり「虎城キラー」であった先代空流親方直伝の必殺技、そう、「アレ」が炸裂したら、わたし的に最強に興奮するんすけど……敢えて、火竜と虎城の時を超えた対決だけではなく、虎城キラー小結(?)【春風】のDNAも取り込んだ鯉太郎、がわたし的に一番熱くなるような気がします。わたしの希望としては、その時カットインで、吽形さんの「ヨシッ!」的な表情が観たいんすねえ……! はーーーホント、今週も興奮してサーセンした!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週はVS【猛虎】先生との闘いも中盤という感じでしょうか。そして、虎城理事長や、とりわけ【王虎】さんのお言葉で、だいぶ【猛虎】先生の相撲の秘密? が分かってきたように思います。まあ、ジャンプ的バトル漫画だと、確実に「ならば目を捨てる!」的に目を閉じたりして戦っちゃうような気がしますが、果たして鯉太郎は大横綱虎城の相撲を色濃く受け継ぐ【猛虎】先生に、どのように勝利を得るのか、実に今後の展開が楽しみであります。打撃系はもはや通用しないみたいですし、組技しかないように思いますが、まあ、きっとそんなわたしの浅はかな考えの上を行く展開となろうことは間違いないでしょう。しかし、「虎退治」には「アレ」しかないと思うのですが、果たしてどうなるか、鯉太郎の今後を熱く応援いたしたく存じます。いやあ、ほんと『鮫島』はマジ最高っすね! 以上。

↓ しつこいですが、とにかくもう何も考えず自動的に「買い」でお願いします。



 先日、と言ってももう何か月か前だが、後輩女子のK嬢が、熱くそして激しく『ごちゃごちゃ言わないで絶対観ろ!』とわたしに強く勧める映画があった。わたしとしても、観ることには全くやぶさかでなかったのだが、いかんせん近所で上映しているところがなく、K嬢の熱意に対して「お、おう……?」とビビりながらも、さてどうすっか、と若干困っていたところ、さすがわたしの愛するWOWOWである。その映画の放送が先日あったので、さっそく予約し、そして実際に観る機会を得たのであった。
 その映画とは、インド映画で国内最高興収を上げたという『BAAHUBALI:The Beginning』という作品で、そのタイトル通り前編というか、いわゆる「1」である。既に後編である『BAAHUBALI:The Conclusion』もとっくに公開され、一部でやけに盛り上がっていると評判の作品であった。
 そしてとりあえずWOWOWにて観てみた『The Beginning』は、なるほど、確かに熱いし面白いことはよーくわかった。が、そこまで世の中的に盛り上がるのはよくわからん、と言うのが素直な感想である。しかしまあ、世の熱狂はさておき、映画オタクのわたしとしては十分面白かったし、こりゃあ続編『The Conclusion』も観たいぜと思うに十分な映画であったのは間違いないのだが、わたしが一番ビビったのは、インド映画界のCG力がすさまじく高品位で、圧倒的に日本映画よりハイクオリティな点である。こりゃあもう、日本の映画界はホントに世界で置いてけぼりを喰らっちまったなあという軽い絶望感を味わってしまうほどのCG力は、さすがにIT大国インドだという見当はずれな感想まで抱いてしまうほどだ。まあとにかく、これはすごい。先日、同じくWOWOWで『銀魂』を観たけれど、残念ながら比べ物にならんなあ……。本作のすげえCGクオリティにはもう完全脱帽である。
 そして、ボリウッド映画らしく本作は歌がかなり豊富に流れていて、ミュージカル好きなわたしとしては、役者が実際に歌っているのかわからないけど、大変良いと思った。映像自体はともかくとしても、なんとなく、歌にダンス、そして恋にバトルに、という大河ロマンな構成は、わたしの愛する宝塚歌劇的でもあったように思う。要するに、ええ、しつこいですがわたしは大変楽しめたっすね。
 というわけで、日本で公開されたのは去年のようだし(映画の製作自体は2015年らしいが)、そこらじゅうで取り上げられているだろうから、もうネタバレには一切考慮せず、書きたいことを書くつもりなので、ネタバレが困る方はさっさと退場してください。

 物語は、説明らしい説明はほぼなく、かなりいきなり開幕する。インド人なら常識なのかもしれないが、わたしにはさっぱり知識のない時代のお話で、そもそも西暦で言うとどのあたりの話なのか、場所はどこなのか、などわたしにはわからない。つうか、これは神話的な物語で、そういった年代とかはそもそも無意味なのかもしれない。ファンタジーなのか? そんなことすらわたしにはさっぱり分からん。ついでに言うと、本編内で使用されている言語が何語なのかもわたしには全く分からなかった。Wikiによれば、テルグ語およびタミル語に加え、映画内独自の架空の言語もあるそうだ。つうか、ヒンディー語・ウルドゥー語でない時点でボリウッドとは言わないのかな? 定義が良くわからん。
 で。物語は現代パートと後半の過去の回想パートに別れているのだが、わたしのような低能には、とにかく言語的に耳になじまず、その結果頭に入ってこないため、キャラの名前も、国などの名前もなかなかすんなり記憶に残らず、対立構造もどうも分かりにくい。何とかまとめてみようと思うが、まあ、こんなお話である。
 冒頭は、何やら女性が一人、赤ん坊を守りながら逃げている描写から始まる。その女性は刺客をあっさり撃退するものの、傷つき、もはや体力も限界というところで、川に流されそうになるが、気合で(?)赤ん坊を水面の上に持ち上げつつ、絶命寸前に、川辺の民が発見し、赤ん坊を救助する。そしてその女性は最期に、巨大な滝の上を指しながらは水中へ没し消えていく。
 時は流れ、「シヴドゥ」と名付けられ、育てられた赤ん坊はかなりあっという間に青年に。そしてシヴドゥは、自分では何故かわからないけど、巨大な滝の上にいつか行くんだ! 的な心の衝動を抱えて成長して、何度も滝を登ろうとして失敗に終わっていたのだが、ある日、滝から仮面が落ちてきて、その仮面に魅入られていると、なにやら天女めいた幻想にとらわれ、その天女を追う形で、なんと滝登りに成功、「滝の上」の世界に足を踏み入れることに。そして仮面の持ち主の女子戦士と出会い、ぞっこんLOVEとなり、なにやら女子の属する一族の悲願である、囚われの妃を助けるミッションにシヴドゥは参加するも、そこには運命の出会いが待っていたのであった―――てなお話です。適当なまとめでサーセン。で、無事に妃を救出したのちの後半は、シヴドゥの先祖の話になっていくのだが、とりあえず、キャラ紹介しながら説明してみるか。
 ◆シヴドゥ:主人公。冒頭の赤んぼが成長し、滝の下の世界でのんきに暮らしていた青年。演じたのはPrabhas氏というお方。まったく知らんす。ズバリ、イケメンとは思えないが……顔が若干ふっくらしていて、そこはかとなく大関・高安関めいた風貌の持ち主だが、超ウルトラ強く、眼力も凄い。結構あっさり「滝の上」の女子戦士とぞっこんLOVE each otherとなる。後に、「バーフバリ」の息子であることが判明。最初から誰だって分かってると思うけど。
 で、「バーフバリ」とは何かというと、「滝の上」に栄える王国を建国した男がいて、その王は若くして亡くなると。そして同時に遺された王妃も、出産後間もなく死亡、ということで、赤ん坊(=バーフバリ)だけ残されるが、そのバーフバリ坊やを育てたのが、その王の兄貴の嫁さんシヴァガミで、王の兄貴自身はダメ人間なんだけど、このシヴァガミさんが超有能な人で、その赤ん坊バーフバリと、自らの子供パラーラデーヴァ、この二人を同時に、そして平等に育て、優秀な方が次の王になるのじゃ! (ついでに次の王が即位するまでは自分が政治を担うけど文句ないわね!?)という宣言をすることになる。
 で、まあ、誰しも想像する通り、バーフバリ(シヴドゥを演じる役者の一人二役)はとても強くて優しく頭もイイ、そして一方のパラーラデーヴァは、それなりになかなか強いけれど、残念ながらずる賢く残忍、な性格で、表面的には仲良し風であっても、パダーラデーヴァの方が一方的にバーフバリぶっ殺す、と思っている。そして、王国に蛮族が攻めてくる展開となり、二人の王子のいずれかのうち、相手の蛮族の長をぶっ殺した方が王になるのじゃ、という話になる。
 で、まあ、結局蛮族の長をぶっ殺すのはパラーラデーヴァなんだけど、誰がどう見ても横から手柄をかっさらっただけだし、それ以前に民を見殺しにするような行動をとっていたり、超おっかない「草刈り機型殺戮兵器」を搭載した馬戦車を乗り回してヒャッハーと暴れまわっていたので、当然ながらパラーラデーヴァが王と指名されることはなく、バーフバリを称えるシヴァガミ(=つまり自分の実の母)に対して、ぐぬぬ、今に見てろよクソが! という恨みを抱くところまで、が本作前編で描かれた。
 で、まあ、要するに本作の主人公シヴドゥは、そのバーフバリの息子なわけだが、その後、どういうことが起きたのかは後編にて、でありました。
 ◆アヴァンティカ:シヴドゥが惚れる「滝の上」の住人。女戦士。演じたのはTamannaah嬢28歳。大変な美人。ボリウッド映画界では超スター女優のようですな。知らんけど。で、このアヴァンティカが属する一族が何者かは、この前編では正直良くわからなかった。「王国」民ではない模様。そして囚われの妃、に忠誠を誓っているところを見ると、どうやら彼女たちの一族も王国とはかなりの因縁がある模様。
 ◆テーヴァセーナ:「王国」に囚われ監禁されている「妃」。シヴドゥの実母であり、それすなわちバーフバリ王の妃。けど、実際バーフバリ王に何が起こって、なぜ彼女が監禁されているのかは、この前編ではよくわからん。とにかく、いつか息子が凱旋し、現王パラーラデーヴァに対して、今に見ておれ、生きたまま焼き殺してくれるわ! というイカレた信念だけを生きる糧としている。
 ◆パラーラデーヴァ王&パドラ王子:現在の「王国」の王とその息子の悪役コンビ。過去篇でのパラーラデーヴァは上に書いた通りの性格悪い青年。そして現在のパドラ王子も、かなり残忍な悪い奴、だけどコイツはシヴドゥに見事ぶっ殺されるのでご安心を。ただ、なにゆえパラーラデーヴァがバーフバリを差し置いて王位についたのか、に関しては前編では触れられず。
 ◆カッタッパ:「王国」に仕える老剣士。身分的には奴隷だが、王国の武器工房の長として尊敬を集めているおじいちゃん。超強い。わたし的には、このキャラが一番気に入ったすね。まるでユパ様的な。そういやユパ様も帽子をとるとハゲだったすな。いやいや、嘘です、ユパ様は超カリアゲ? なだけで、てっぺんには髪がふさふさに生えてたっけ。サーセン間違えました。このカッタッパおじいは、あくまで「王国」に忠節を誓っており、王個人でないところがカッコイイ。もちろん、現王は嫌いだろうし、囚われのテーヴァセーナ妃を、おいたわしや……と思っている。
 カッタッパおじいの語るところによれば、バーフバリは裏切りにあって命を落としたのだとか……。そして、本作のラストのこのシーンが超最高なのです。
 カッタッパ「戦場での刀傷よりも、痛ましいのは家臣の裏切り……!」
 シヴドゥ「家臣の裏切り!? いったい誰が!?」
 カッタッパ「(キリッとした表情で)裏切り者は、わたしだ!!!(ドーーーン!)」
 と、この衝撃? というかある意味想像通りの告白でブツッと本作は終了し、続きは後編で! ということになる。こりゃあ、もう後編が観たい! と誰もが気になるエンディングでありましょうな。ま、要するに漫画ですよ。どっちかというとジャンプ的な。

 はー疲れた。もう物語はこの辺にして、最後に、見どころを3つ挙げて終わりにします。
 その1)とにかくすごいCG
 たぶん、一番近いイメージは、わたしの大好きな『300』だと思う。あの映画は全編背景はCGで、まあとにかくすごい世界観だけれど、本作もあの雰囲気にとても近いです。本作はきちんと野外ロケもありつつのCGなので、とても独特すね。おまけに、いったいこれはどこでロケをしたんだという大自然振りも凄いです。CG的にわたしが一番気に入ったシーンは、豪雨の中、パトラ王子を打ち取ったシヴドゥに、カッタッパおじいが「槍をもてィ!」と槍を携え走り寄って行き、襲い掛かるのか!? からの、10mスライディング土下座をかまして「バーフバリィィィィーーーッ!」と称えるシーンでしょうな。あそこはもう、カッコイイやら笑えるやらで最高でした。マジハンパなかったす。
 ただし、ここまでホメておいてアレなんですが、CG自体のクオリティはとても高いけれど、その画としての見せ方のセンスは、はっきり言って若干ダサいというか古いというか、まあ、新鮮味は特にないと思う。センスはあまり感じられず、強いて言うなら、もはや古典となった『少林サッカー』的な、いわゆる「ありえない系」の画で、そういう意味では『300』のようなスタイリッシュなカッコ良さはないし、どっかで見たことのあるような感じでもある。それに、とにかくいちいちスローモーションを使うのもやや安っぽい。本作は2時間20分以上と長いけれど、スローモーションを多用しすぎているせいだと思うな。2時間でまとめられると思う。ただまあ、かえってそういう誇張した大げさな演出が、今の若人たちにウケてるんだろうな、という気がする。わたしがホメているのは、ただただCGのクオリティ面のみで、演出面ではないです(ちなみに『少林サッカー』は基本ワイヤーでCGではないす)。
 その2)愛は歌に乗せて!
 高鳴る感情は歌に乗せるのがミュージカルの作法ですなあ……。わたしとしては、かなりツンツンガールだったアヴァンティカが、ついにデレてシヴドゥの愛を受け入れるシーンのミュージカルぶりが大変気に入ったすね。大変良いと思います。あのシーンでのアヴァンティカの服、というか羽衣? のヒラヒラ舞うCGがすごい! 色も次々変わっていくし。ただ、楽曲はまずまずなんだけど、とにかく言葉かわからんのが厳しかったすね……それに、シヴドゥがイケメンじゃないのがなあ……その点がやや残念だったかも。凄く美しい夢のようなシーンのはずなのだが、主人公が若干ブサメンなので、宝塚的なキラキラ感はあまりないす。そこがまた、ちょっとズレてるのもイイんでしょうな、きっと。
 その3)少年漫画的熱いストーリーに痺れろ!
 まあ、物語は日本の漫画世界ではお馴染みな展開ですよ。それが悪いのではなく、むしろ、だがそれがイイわけです。ただ、本来なら、ライバルキャラがいて、そいつが主人公と同じぐらいカッコ良く、そして強いのが王道だろうけど、今のところ、この前編ではそのライバルになり得たはずのパトラ王子はまるで雑魚であったのがわたしとしては残念。後編で描かれると思われる、父バーフバリとそのライバル、パラーラデーヴァの対立が、実際のところこの物語の本筋かも知れないす。わからんですが。また、まだ前編ではヒロイン・アヴァンティカの一族に関しても良くわからんし、その辺は後編のお楽しみなんすかね。サブキャラたちがもう少しキャラ立ちするともっと面白くなるような気がします。この前編においては、とにかく剣士カッタッパ氏が強力カッコイイすね。彼の葛藤も恐らく後編で描かれるだろうから、その辺りも見ものすね。

 というわけで、もうクソ長くてまとまらんので、ぶつ切りで現状の結論。
 今、なにやら一部で熱狂的に? 盛り上がっている『BAAHUBALI』の第1部である「The Beginning」をWOWOWにて観てみたところ、なるほど、これは実に漫画だし、その映像もCG的には非常にハイクオリティで撮られていて、いわゆるオタク受けしそうな作品であることはよくわかった。このCG力は、とりわけ目新しいものではないと思うけど、確実に日本映画のレベルはダントツで越えてますよ。お見事です。わたしも十分楽しんだし、この続きは是非観てみたいと思う。ただまあ、この暑苦しく仰々しい作品が一般受けするのかどうかはよくわからない。そもそも長いし。が、まあ別に、楽しめる人が楽しめばいいんじゃないすかね。わたし的には、主人公がもっとイケメンでカッコ良く、キラキラ感あふれる美しさがあったら文句なかったのだが……いや、それでは逆にこの作品の魅力は損なわれてしまうか。あくまでPrabhas氏演じる暑苦しさが必須だったのかもしれないな。まあ、いずれにせよ、続編たる『The Conclusion』も観たいと思います。しかし「The Conclusion」って、「結論」って意味だよな……。結論ってタイトルも何か凄いすね。楽しみっす。以上。
 
↓ 当然もう配信されているわけで、観るしかねえかなあ……まあ、WOWOW待ちでいいかな……。

 はーーーなんだかあっという間に読み終わってしまった。もちろん、わたしが大好きな「ジャック・ライアン」シリーズの新刊のことであります。日本語で読める最新刊『欧州開戦』の(3)(4)巻がやっと発売になり、わたしは5/27の日曜日に買ったのだが、ごくあっさり翌月曜と火曜の2日間で読み終わってしまった。
欧州開戦3 (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2018-05-27

欧州開戦4 (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2018-05-27

 今回のお話は、シリーズではおなじみのロシア大統領ヴォローディン氏がやらかす顛末なわけだが、一方でわたしとしては、いつも人の言うことを聞かないでやらかすジャック・ジュニアのその後にも大変注目していた。ジュニアは、かなり命令を聞かず、独断で行動するゆとり小僧だけれど、いつも結果オーライになるし、結果オーライどころかジュニアの独断が世界を救うことも多く、まあ、今までは特にキツイお咎めなどはなかったのだが、本作のラストでは、まあ、そうなるよな、というジュニアへの処分もあって、今後のシリーズ展開はどうなるのだろう、という期待?と不安?の残るエンディングだったように思う。なお、以下ネタバレにも触れると思うので、気になる方はここらで退場してください。

 それではまず、本作の物語をざっとまとめておこう。ロシア大統領ヴォローディン氏は、度重なる失敗で、ロシア国内での地位が脅かされている状態にあった。そのため、原油価格上昇を目論んでいて、世界各地で工作活動を行わせつつも、万一の時に備えて、自らの個人資産80億USドルを洗浄して隠ぺいしようとしており、それを我らが「ザ・キャンパス」の面々が阻止する、てなお話である。サーセン、超はしょりました。
 まあ、ズバリ言って本書(というかジャック・ライアンシリーズ)に描かれていることを素直に信じる人はいないと思うけれど、読むと実際面白いので、わたしとしては内容がメリケン万歳であっても別にどうでもいいと思っている。というわけで、本書の中で、わたしがこれは面白い、と思った点を列挙していこう。ストーリーの順番は無視して、面白かった順に書き連ねます。
 ◆NATO首脳の対応が愉快。
 本書では、ロシアが(親ロシアであるベラルーシを経由して)リトアニアへの侵攻を狙っていて、それに対してNATO(北大西洋条約機構)としては「第5条」の「集団的自衛権」を発動するかどうかが一つのカギになっている。要するに、NATO加盟国であるリトアニアへの侵略はNATO全体への侵略とみなし、それをNATO全体が全力で阻止する、というものなのだが、まあ、結論から言うと、NATOは集団的自衛権の発動には至らないで、何もしないで終わる。なので、ライアンUS大統領はUS単独でリトアニアに派兵するのだが、この、コペンハーゲンで開催されるNATO首脳会議での各国の対応がものすごく面白いんだな。これは、恐らくこうなるだろうな、という点では結構リアルなのではないかと思う。
 ■集団的自衛権発動に賛成派:イギリス・ドイツ・ポーランド・リトアニア
 ■集団的自衛権発動に反対派:フランス・オランダ・デンマーク・スペイン・イタリア
 このグルーピングは、地理的な要因も大きいように思える。つまりロシアと近いか遠いか、の話で、リトアニアが侵攻された後、でも十分だと思うかどうか、がカギになっているように見える。また「集団的自衛権」の行使には、「攻撃を受けた後」でいいのか「攻撃を受けそうでヤバイ状態」も含まれるのか、という点もポイントで、勿論、本作でのライアン大統領は、後では取り返しがつかなくなるから言ってんだよ、という立場。

 で、まずフランス大統領の主張をまとめると「ロシアが腐敗してるからと言ってそれをけしからんと言うのは内政干渉で、経済制裁がうまくいってるんだから外野の我々はそれ以上手出しすべきじゃない。それに、まだ侵攻は始まってない(=集団的自衛権発動要件に達していない)」というある種の正論ではある。しかしそれと同時に、いざ戦争となったら、フランスの負担が大きいのでヤダ、それにまだ先の話だろ、とも思っている。まあ、フランスがUS/イギリス/ドイツの意見に賛成することはないでしょうな。なお、本作執筆時の現実世界のフランス大統領はオランド氏かな。
 オランダは、本作登場する首相が「40代後半のハンサムな男」として描写されていて、その主張は「まだ何も起きていないので、派兵する義務はない」とし、そもそもオランダにそんな戦力はないっすよ、戦車なんて1台も持ってないし、と若干開き直り気味。ちなみに現実世界のオランダ王国の首相マルク・ルッテ氏は本作執筆時はまさしく40代後半で、2010年から長期政権運営中だそうですが、わたしは全然知らない人でした。
 デンマークは、本作ではヒステリックな女性首相が登場する。これは、現実世界でのヘレ・トーニング=シュミット女史のことで(首相歴2011/10~2015/06)、基本的に中道左派のお方。2015年に中道右派に負けてすでに辞職しているお方だが、まだお若いすね。現在51歳ってことは本作執筆時は40代中~後半ですな。で、本作ではとにかくライアンUS大統領が大嫌いな人として登場。彼女の主張は、ヴォローディンなんぞ古い軍隊を持っているだけの取るに足らん奴であり、ライアン大統領こそ反動的狂信者だ! と思いっきりケンカを売る。ここは読んでて笑っちゃいました。しかし、デンマークは北海/バルト海に突き出た要所でもあるわけで、そんな態度で大丈夫なのか心配ですな。
 スペインは、ドイツが「NATOが何もしないかどうかをロシアは探っていて、何もしないんだな、と分かれば即リトアニアに進軍する(ので、ライアンの言う通り行動に移すべき)」という発言の後で、「それじゃあ、やるぞ、おれたちは本気だぞ、遣ったらマジで報復するぞ、と言い続ければいいじゃない。それでロシアは引っ込みますよ。本当に軍を動かすのは挑発しすぎでしょ」とまあ、果てしなく呑気な態度で、ここもなんだか笑えました。現実世界での時の首相はマリアーノ・マホイ・ブレイ氏で、このお方は現在も首相ですな。
 そして一番最後に発言するイタリア首相がもう最高なのです。曰く「彼(ヴォローディン)が侵入してきたら、われわれは引き下がればいい。あるいは、もともと係わりにならないようにすればいい。そう……わたしとしては最初からかかわりにならないようにするという方を強く望みますね」と、もう軍事同盟であるNATOを完全否定。笑っちゃった。そして「もちろん外交的に、ひょっとしたら経済的にも、干渉はするわけです。そしていまはそんな野蛮なことをする時代ではないと言って諭し、こちらのほうが道徳的に優れていることを行動で示すのです」とまるで宗教指導者のようなことを抜かすに至る。これは、現実世界の当時の首相はマッテオ・レンツィ氏かな? ドイツのメルケル女史が大嫌いで有名な、超若いお方(1975年生まれ)すね。
 とまあ、こういった反対派の反応が、わたしとしては本書では一番面白かったかも。ちなみに、ロシアは、なんと作品世界の中においては、かつて中国と戦争した時に一時的にNATOに加盟したこともあったのですが(『大戦勃発』にて)、その後ヴォローディン氏の政権となってあっさり脱退したみたいすね。
 ◆ヴォローディン氏……やることなすこと失敗だらけで人生終了の巻
 ズバリ、ネタバレですが、最終的にロシア大統領ヴォローディン氏は、ロシア国内を牛耳る「シロヴィキ」に殺られます。残念ながら。わたしは、最悪、シロヴィキの刺客から逃れるために、まさかのUS亡命とか、そんな展開を妄想していたのだが、そんなことにはなりませんでした。しかもこれまた残念なことに、ヴォローディン氏がなぜ殺されたかというと、政策や戦争の失敗ではなく、自分だけ自分の金を洗浄して安全な口座へ避難させていたこと、がバレたことにある。それすなわち「シロヴィキ」を裏切ったということだ。本書の中では、「シロヴィキ」なる連中は、端的に言えば「国家の富を自分の財布に入れる泥棒」に過ぎず、ならず者なわけで、ヴォローディン氏亡き後にロシア大統領となった人物も、まったく同じ穴の狢で、ライアンUS大統領としてはまだまだこの国はダメだな、と思って本作は終わる。
 で、当然読者たる我々としては、ヴォローディン氏=現実世界のプーチン大帝という図式になるわけだが……まあ、プーチン氏が独裁者なのは間違いないし、想像を絶する恐ろしいお方であるのも、きっと間違いないでしょうな。しかし、今のプーチン氏を見ていると、プーチン氏を脅かす存在(=本書でヴォローディンが恐れたシロヴィキ連中)がいるのかどうかは、もうさっぱり想像もつかないですな。どうなんでしょうか、その辺は。ま、まだまだ当面はプーチン大帝の独裁はかわらないでしょうよ。世界で怒らせてはマズい人ナンバーワンレベルの恐ろしいお方であるのは間違いなさそうですな。
 ◆いけいけ僕らの USS-James Greer!
 今回、北海(いや、バルト海だっけ)において、合衆国海軍のイージス艦と、ロシア海軍の秘密兵器である原潜のバトルが勃発するのだが、この一連のシーンはとてもワクワクしたっすね! とりわけ、わたしを含めシリーズのファンとしては、そのイージス艦の名前がUSS-James Greerという点にもう大興奮というか、うれしくなっちゃいますな。もちろん、James Greerというのは、ライアン大統領の師匠であるグリーア提督のことで、初期のシリーズでは重要人物だったのだが、もうかなり前にガンで亡くなってたんすよね。その名を冠したイージス艦の大活躍は、ファンにとってはホントに「分かってる」配慮で嬉しかったです。どうやら艦長は次回作ではテロの標的として登場するみたいなので、楽しみですな。命を狙われるので、楽しみってのはマズいか。生き残れるのかしら? くそう! 早く読みたい!
 ◆ザ・キャンパスは今後どうなる問題
 (1)(2)の感想をサラッと書いた時も記したように、本シリーズの「正義の味方」である「ザ・キャンパス」は、現在深刻な人手不足の状況にある。前作でベテランのサム・ドリスコル兄貴が殉職し、さらに本作ラストではとうとうジュニアにも処罰が下り、これでもう、現場工作員としてバリバリに戦えるのはシャベスとドムの二人しかいなくなってしまった。そんな人手不足の折、本作ではすっかり年老いたクラークも現場に出張るわけだが、結構あっさり失敗して殺されかけ、その後、これまたあっさりリベンジする展開だが、まあ、ちょっとアレだったかもしれない。ご都合主義というかありえないというか……。今回も、クラークのピンチは、超有能な美女アダーラ・シャーマン嬢のバックアップで乗り切るわけだが、本作では一切描かれていないけれど、アダーラ嬢は実はドムとこっそりイイ仲に進展してるし、アダーラ嬢の現場工作活動への動員率も上昇中である。ジュニアはジュニアでゆとり恋愛脳だし……。もうちょっと大人になってほしいすなア……彼には。
 なので、わたしはそろそろザ・キャンパスに新人が入ってくるのではと期待したのだが、本作では結局それもナシ。もう、ほんと深刻にヤバい状況だと思う。なんでも、訳者によるあとがきによれば、すでにUS本国では発売されている次回作で「ザ・キャンパス」シリーズは完結になるのだとか。まあ、もう厳しいよな……本作でも人手不足が原因で起こるピンチが多く、ホントにギリギリの闘いでした。そのせいで、本作はもう(4)巻の冒頭ぐらいまで、全く事件の行方が分からず、(4)巻中盤ぐらいからあれよあれよと解決に向かって片がついていく展開になっており、正直に言うとかなりバタバタしているというか、結構あっさり悪い奴らは退治されちゃった感がありましたな。その点では、ちょっとあっさり感漂うエンディングだったと言えそうです。
 どうやら次回作はUS国内が舞台のようで、大変楽しみなのだが……極めて残念なことに、われらがCLANCY先生の後継者、Mark Greaney先生もまた、次の作品でお別れだそうです。マジかよ……でもまあ、Greaney先生には、わたしの愛してやまない「グレイマン」シリーズに集中していただきたいすね。「ジャック・ライアン」シリーズ自体は、また別の先生が引き継ぐそうなので、そちらは心配ないようです。わたしとしては、今後もシリーズが続く限り、やっぱり読んでしまうと思うし、楽しみにしたいと思います。

 というわけで、まとまらないのでもう結論。
 新刊が出ると必ず買って読む「ジャック・ライアン」シリーズの、日本語で読める最新作『TOM CLANCY'S COMMANDER IN CHIEF』~トム・クランシー ジャック・ライアンシリーズ『欧州開戦(3)(4)』が発売になったので、即買って読み、楽しませてもらったのだが、まあ、面白かったけど、若干あっさりと事件は収束してしまった感はありますな。そしてついにライアンUS大統領の天敵(?)、ロシアのヴォローディン大統領はあの世に逝っちまいました。しかしそれでもロシアという国は全く変わることなく、代わりに別の悪党が出てきただけで、なんつうか、永遠に人類は殺し合うんでしょうなという無常感漂うエンディングでした。ついでに、独断専行で世界を救ってきたジュニアにもお灸が据えられ、今後のシリーズ展開に大きく影響を与えそうな気がしますね。というわけで、ますます次の作品が早く読みたいのだが、古臭い気質の新潮社はどうせ次作も電子書籍は出さないだろうし、紙で出るのもまた1年ぐらいあとなんでしょう。恐らく新潮社の決算は年々加速度的に悪化していると思うが、ま、滅びていくんでしょうな、そういう会社は。さっさと別の版元が版権を握ってほしいと思います。以上。

↓ 次回作はもう2年前にとっくに発売されてます。つうか、久しぶりに原書で読もうかしら。電子ならすぐ手に入るし!

 何度かこのBlogで書いている通り、わたしは20th Centuyr FOX(以下FOXと略)が嫌いだ。まあ、理由はいろいろあるのだが、そんなことはどうでもいいとして、わたしとしては一日も早くDISNEYに買収されてほしいと思っている。理由はただ一つ。わたしの大好きな『X-MEN』に関する映像化の権利がDISNEYへ渡ることを願うからだ。ま、ついでに言うと、『FANTASTIC 4』も一緒にDISNEYに行くことになるので、それもまた喜ばしいとわたしは思っている。
 要するに、現在FOXが権利を握っているMARVEL COMICS作品を、さっさとDISNEYへ集約していただき、真のAVENGERSを描いてほしいというのがわたしの願いなわけだが、去年の12月に、DISNEYによるFOX買収のニュースが報じられた時は、わたしとしてはもう、いいぞ! もっとやれ! と熱くなったものの、その後の進展はあまり聞こえてこず、どうも独禁法違反かも、とか、映画業界からの反対とか、いろいろな横やりが入ったり、さらには、それではウチも! とつい先日COMCASTが買収に名乗りを上げたりと、なんだかNASDAQ上場しているFOXの親会社「21st FOX」の株価が上昇するばかりで、スッキリ進んでいない状況のようだ。まあ、こういうところも、わたしがFOXを嫌う理由の一つでもある。
 さて、以上は全くどうでもいい前振りである。
 わたしは昨日の夜、そのFOX配給の『X-MEN』キャラ単独作品、『DEADPOOL2』を観てきたのだが、さすがに前作が大ヒットしただけあって、今回は何気にFOX版『X-MEN』ムービー的な香りが強めに漂う作品として仕上げられていたことに若干驚いたのである。前作は低予算でいろいろと都合がつかず、その不都合さえネタにしていたDEADPOOL氏だが、今回はもう、かなり、なんというか「公式」感があふれ、結構グレードアップしていたように感じた。そしてなによりも、DEADPOOL氏がとてもイイ奴になっていて、なんだか随分キャラ変したようにも思えたのである。だからといって、つまらなくなったかと言うと、もちろんそんなことはなく、わたしとしては大変楽しめる作品であった。わたしとしては、前作より今回の『2』の方が好きかも。とはいえ、別に感動なんかしないし、特に後に何か残るとか、そういうことはまるでナイっすけどね。超最高とも思わないし。ま、ゲラゲラ笑えるのは間違いないす。あと、本編上映前に1分ぐらいの短い注意?のようなものがついていて、そこで、DEADPOOL氏が、観たらバンバン感想をこのハッシュダグ付けてTweetしてくれ、だけどネタバレはダメだぞ! というメッセージだったのだが、サーセン、たぶん以下、ネタバレも含まれると思いますので、まだ観ていない人は今すぐ退場してください。
 どうでもいいけど、英語でネタバレって「SPOILER」っていうんすね。Spoilする奴ってことなんだなあ。知らなかったす。ネタバレはたぶんしますが、スポイルするつもりは全くないので許してDEADPOOL氏!

 というわけで、この日本語版予告の字幕のセンスなんかも、わたしがFOXを嫌う理由の一つでもあるのだが、それはさておき。今回はケーブルも登場し、相当派手なアクションとなっているのはもうこの予告通りである。そして、物語としては意外なほどまっとうで、きっちりしていて、実際とても面白かったと思う。
 簡単にまとめると、とある理由でまっとうに生きることにしたDEADPOOL氏が、これまたとある理由からとある少年を殺しに未来からやってきたケーブルと戦い、その少年を守ろうとするも、今度はケーブル側の理由を知って、殺して解決するのは良くない、とケーブルを説得し、両者の円満解決を図ろうと奮闘するお話である。
 サーセン、「とある」が多すぎてこれじゃ意味通じないか……でもまあ、ネタバレするとDEADPOOL氏が殺しに来るかもしれないのでこの辺にしておきますし、観た人ならば、これで通じるでしょう。きっと。つまりですね、ズバリ言うとまさしく『ターミネーター』なわけです。どっちかつうと『ターミネーター2』の方が近いかも。なので、DEADPOOL氏が「カイル・リース」と呼ぶギャグネタが1回だけあったような気がするけど、肝心のケーブルに対して「お前はターミネーターか!」的なシーンはなかったのが意外であった。これは……「ターミネーター」という言葉自体が商標化されているためではないかと邪推しましたが、真相は分からんです。それともFOXのドル箱であるCameron監督に対する配慮かな? いや、それはないか。
 ともあれ、今回も相当な数の映画ネタがちりばめられていて、かなり笑える作品であるのだが、意外なことに、わたしの2列前に座っていたでっかい外人客×5名の団体は全く静かに鑑賞してたのが謎である。この人たち、きっとすげえ大爆笑で楽しく鑑賞するんだろうなと思ったのに、超意外なほどおとなしく観ていたのが印象的。なお、わたし的に一番笑えたのは……なんだったかなあ……映画オタとして大抵のネタは拾えたつもりなんだけど……もはや覚えてないなあ……あ、どんな場面だったか定かではないけど、「ただの人間だから。ホークアイみたいなもんだよ。だから弱いの!」的なセリフがあって、そこは堪えられず声を出して笑ったすね。
 そしてもちろん、終了後のおまけ映像(終了直前というべきかも)で、ケーブルの持っていた時空移動装置をGETしたDEADPOOL氏が、今までの黒歴史を修正しまくるシーンも大笑いしたすね。黒歴史……それすなわち、過去の『X-Men Origins: Wolverine』で一度登場している自分を殺したり、『GREEN LANTERN』の脚本を手にして「大役来たぜ!」と喜ぶ自分を殺しに行ったり、まあ、今回のDEADPOOL氏によって歴史は書き換えられたようですなw
 あと、今回FOX版『X-MEN』ムービーの成分多めというのは、観ていただければ誰でも感じると思う。まさか「車いす」「セレブロ」まで登場させるとは! 前作大ヒットのご褒美なんすかね。そして、一瞬だけ、FOX版『X-MEN』ムービー本編のキャラが数人出てくるんだけど、わたしは油断していて、あ!? 今、ビーストとクイックシルバーいた!! けど、あと3人ぐらいいたのに誰だったか判別がつかなかった!! のがとても残念す。ウカツ!!
 というわけで、ネタバレを気にするともう何も書けないので、キャラ紹介をしてさっさとまとめに入ろうと思います。
 ◆DEADPOOL/ウェイド:今回は、まあ相当ヒドイこともするけど、その行動の動機はいたって真面目。超イイ奴、と言ってもいいと思う。まあ、そう改心?したのにはきちんと理由があるのだが、それは書かないでおきます。演じたのはもちろん前作同様Ryan Reynolds氏。この人はカナダ人であるのがポイント?ですよ! 
 ◆ヴァネッサ:ウェイドの愛する彼女。今回彼女にとんでもないことが……しかもほぼ冒頭で。演じたのは、これまた前作同様Morena Baccarinさん。大変可愛いと思います。つうかわたしが大好きだった財務部のMさんにすげえ似てる。
 ◆ヴィ―ゼル:DEADPOOLの友達の傭兵酒場経営者。コイツも基本テキトー人間。演じたのは前作同様T.J.Miller氏。つうか、この人この前逮捕されたんじゃなかったかな? なんか酔っ払って、鉄道の駅で爆弾騒ぎを起こしたとかなんとか。大丈夫なのかこの人。わたし的にこの人は、『CLOVER FIELD』でカメラを回し続け、最後はカイジューにガブリとやられるあの冴えないブサメンとしてお馴染み。いつの間にイケメン枠に入ったんだコイツ……。
 ◆COLOSSUS:前作でもお馴染み、体も硬いけど頭もカタブツな真面目X-MEN代表。ちゃらんぽらんなDEADPOOL氏を友達として、お前もX-MENに入れと勧誘しているが、とうとうDEADPOOL氏本人から入団を希望する日がくるとは! そして基本的にこのキャラはCGキャラですが、どうやらモーキャップで演じた役者と、顔と声を担当している役者は別人なんすね。知らんかったす。ラスト、なんとあのJUGGERNAUTと大バトル! そしてパンフによるとJUGGERNAUTもフルCGだそうです。全然気が付かなかった……
 ◆NEGASONIC TEENAGE WARHEAD:前作でもお馴染みクールなパンクガールX-MEN。今回はあまり出番なし。それより彼女にはカノジョが出来ていて、そのカノジョである「ユキオ」というキャラを演じたのが忽那汐里さん25歳。オーストラリア育ちだけあって英語は全く問題ナシ。あまり出番はないけど、結構いい味出してました。DEADPOOL氏と妙に(一方的に?)仲良し。もちろんX-MENメンバーのミュータント、だけど、どうやら原作にはいない映画オリジナルキャラだそうです。
 ◆CABLE:未来からやってきて、とある歴史を改変しようとするターミネーター的戦士。演じたのはTHANOS様でお馴染み、Josh Brolin氏。ハリウッドコワモテオヤジ選手権が開催されたら間違いなく上位ランカーになるであろうおっさんだが、実は意外と若くてわたしよりちょっと上だけという事実にショックです。絶対50代半ばか? と思ってたのに……。今回、THANOSネタは当然ブッ込まれてます。
 ◆DOMINO:今回、DEADPOOL氏が援軍募集!として求人を出して、それに応募してきた連中と「X-FORCE」を結成するのだが、その中の一人で、ミュータントとしての能力は「運命操作(?)」。つまり、「ラッキーマン」的な彼女は、超ヤバイ状態でも無傷!みたいな超ラッキーに恵まれるという体質のお方。演じたのはZazie Beetzさんというお方で、今年の初めに観た『GEOSTORM』に出てたらしいす。サーセン、まったく覚えてませんでした……。
 とまあこんな感じで、他のキャラはもういいかな……なお、わたしは見ていて全然気が付かなかったですが、『X-FOCE』の中で、かなり有名な俳優がいたようです。エンドクレジットを眺めていて、えっ、マジかよ!? と驚いたっす。誰だか知りたい人は、ぜひ、劇場へお出かけください。
 最後に、監督について書いておこう。おそらく、本作を観てわたしが、ずいぶん前作からグレードアップしたなあ? と感じた最大の要因は、監督がDavid Leitch氏に代わったことなのではないかという気がした。『JOHN WICK』や『ATOMIC BLONDE』で魅せてくれた通り、この監督の作品はやっぱりアクションのキレがとても素晴らしいと思う。そして音楽の付け方もやっぱカッコイイすね。オープニングのタイトルバック(と言えばいいのか?)の007パクリ映像も、大変結構なお手前だったと思います。

 というわけで、もう書いておきたいことがないので結論。
 前作から2年、全世界待望? の『DEADPOOL2』が日本公開となったので、わたしもさっそく会社帰りに観てきたのだが、なんというか、とてもまともというか、ギャグばっかりで中身ナシ、では決してなく、ストーリーがちゃんとしっかりしていて、そう、「フツーに面白かった」す。普段のわたしなら、ここまでギャグ満載だと、くどいなあ、とか感じてしまうのに、本作はそんなことも特に感じず、実際とても楽しめた。それはおそらく、脚本やキャラクターがキッチリとしているためではないかと思う。そして、前作で一部感じられたチープさや、低予算感なんかは、もうほぼないすね。これはもう、立派なメジャー大作ですよ。実際のところプロダクション・バジェットは前作が58M$で今回は110M$と倍近くなってるわけだし、なにより、監督のDavid Leitch氏の手腕のような気もしますね。いやあ、面白かった。ただ、まだ現状ではUS国内興収は前作に劣るのかな……ま、まだUSでも2W目だし、これからなんすかね。『3』があることを祈ってます。つうか、さっさとDISNEY傘下にならないかなあ……。以上。

↓ まあ、やっぱりこの二つ観といた方がいいと思うけどな……わたしは2作とも、嫌いじゃないす。

グリーン・ランタン (字幕版)
ライアン・レイノルズ
2013-11-26

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