2018年05月

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、平成30年大相撲5月場所の千秋楽はご覧になりましたか!? 世の中的には栃ノ心関の大関昇進や横綱・鶴竜関の二場所連続優勝に沸いていたわけですが、もちろん! わたしが一番大興奮して、いよっしゃああーーー! とこぶしを握ったのは、わたしが一番応援している松鳳山裕也君の取組ですよ! 千秋楽で7勝7敗、勝てば勝ち越し、そしてさらに鶴竜関が優勝すれば、唯一鶴竜関に土をつけた男としての殊勲賞も、という超ドキドキな取組前だったわけですが、見事に勝利、そして殊勲賞もGET!!
 いやー、なんつうか、とても嬉しいす!! これで来場所、本当に小結復帰できちゃったらもう、実際ヤバいす! 三賞インタビューもイカしてましたねえ! それにこの表彰前に、三賞力士たちが花道で揃って待ってる画が撮られていたのですが、同期である栃ノ心関(敢闘賞&技能賞W受賞)や、敢闘賞を受賞した千代の国憲輝君も一場所違いの同期なわけで、同期のみんなと何やら笑顔で話をしている松鳳山関の図に、どういうわけかわたしはもう激萌えですよ! 最高っすわ! マジで後援会に入るしかないかもな……現在、松鳳山関の所属する二所ノ関部屋は、去年倒れた師匠、元大関・若島津さんも順調に回復しつつあり、さらに、幕下の「一山本」君もあとちょっとで十両昇進が見えつつあって、わたしとしては大変応援したい気持ちMAXであります。ちょっと問合せしてみようかしら。はーーーしかしホントに嬉しいす!
 さて、暑苦しい興奮じみた妄言はこの辺にして、まずは今週の週刊少年チャンピオン2018年27号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版はひらがな「けやき坂」の小坂菜緒嬢かな。
 ■弱虫ペダル:奪われた200mの巻。ゴールまで5.5km。多分セミ・ファイナル・バトルなんすかね、VSキモー筋との戦いは。VS箱学がきっとファイナルなのでは。
 ■BEASTERS:その手 乱気流 巻いての巻。さあ、ヒグマのリズとのバトル開始っす!
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:ちんは国家なりの巻。こういうギャグマンガ、ホント好きっす……
 ■開田さんの怪談:NO MORE怪談の巻。最終回。最初から短期集中の予定だったのかな?
 ■昆虫武将チョウソカベ!:殿が友と呼ぶ者の巻。ケンシン様のライバルと言えば! シンゲン公がとうとう登場す!
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年27号でありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週はいよいよハッキヨイ、VS【猛虎】先生との闘いが始まりました。そしてファーストアタックは当然鯉太郎のブチカマシで、常松はその無駄のない完璧な出足に、思わず「勝った」なんてつぶやいてしまったものの……「打ち勝ったのは猛虎!!」ということで、脳内で混乱する鯉太郎に【猛虎】先生の素早い次の手が迫る!! という超イイところで幕でありました。
 というわけで、今週は「何っ!?」という混乱した鯉太郎を別アングルから描写した絵から始まります。すでに【猛虎】先生は鯉太郎の右側に体をスイッチ、ハイスピードで左まわしを取りに行く【猛虎】先生! 鯉太郎も「速い…」と驚きながらも、「左…取らせるか…」と対応しようとします……が! 【猛虎】先生の、「ピタッ…」という一瞬の溜めが、戦いの流れというかリズムを崩します!! 鯉太郎も「!!」と反応するも、その一瞬のリズムの狂いに乗じて「ユラッ…」と出された【猛虎】先生の左手は、鯉太郎の右前まわし(猛虎先生から見ると左前まわし)を「パシッ…」と、いともたやすくキャッチ、鯉太郎が「えっ…!?」と思う間もなく! 【猛虎】先生の出し投げが炸裂だ―――ッッ!!
 はあはあ……展開が速いので文字での説明が難しいす! どうやら【猛虎】先生の奥義は、一瞬の溜めによって相手のリズムを崩すこと? なのでしょうか……? まあ、はじめの一歩的に言うと、来るぞ来るぞ、このパンチをしのげ!という覚悟をもって喰らうのと、まったく不意にパンチを喰らうのとではそのダメージが違うわけで、ある意味でのカウンター、に近いのかもしれない、と思いました。いやいや、カウンター、ではないか。なんて言うのでしょう?
 そして「なっ…」と驚きつつもダンッと右足を返して耐える鯉太郎! すぐさま体を90度反転し、【猛虎】先生を正面に掴まえようとします! しかし! なんてこった! その振り向く回転に合わせて、【猛虎】先生の右手が鯉太郎の顎にクリーンヒット! これは純粋な意味でのカウンター張り手だ! イカン! 虎城理事長も真面目な表情で「キマる…」と見ています! しかしこのカウンターも鯉太郎はすかさず左手で【猛虎】先生の右ひじを下から突き上げ、何とか回避! 【猛虎】先生、ニヤリの図です! まるで「そうだ、それでこそ鮫島だ」的な不敵なニヤリです! これには虎城理事長も驚きの表情です! (※サーセン! 左と右が間違ってたので直しました)
 「アレを咄嗟に…鮫島の勝負勘も極限まで研ぎ澄まされているのか…」
 そしてページをめくると、鯉太郎は得意の型、左下手を狙って動きます。その動きに今度は常松&大吉の弟コンビが「左下手…速い…」と驚愕の図です! しかし、【猛虎】先生が左手でがっちりつかんでいるまわしはまだ切れていない! フッという神速の動きで、掟破りの連続出し投げ炸裂だ―――!! これには常も「!!?」と驚き、鯉太郎も「何なんだ…このスピードは…」と驚愕不可避です! そして鯉太郎はこの連続攻撃にも耐え、なんとか【猛虎】先生の左を切ることに成功します。「鮫島さんが 翻弄されている…」と常は顔面蒼白、鯉太郎も「スピードは 猛虎の方が上だってのか…!?」と考えながら体勢を整えようとしたその時! ああ! ページをめくった先は! 一瞬の隙に【猛虎】先生の強烈なブチカマシが鯉太郎の胸のど真ん中にヒーーーット! やばい! 鯉太郎の体が崩れた! そしてマズイ! 【猛虎】先生の右手が引かれ、強烈な張りが発射体制準備完了している!! コイツを喰らってはまずいぞ鯉太郎!
 しかし!! ページをめくった先では、「くっ…」と浮いた体をすぐさま前傾させ、0.5秒後にやって来る張りに対する防御姿勢をとりますが……張りが来ない! 「……アレ…?」と思う鯉太郎。しかし、その「アレ?」の一瞬の溜めこそが【猛虎】先生の奥義なのか、一瞬ゆるんだその時を狙って張りがキターーー! 「ボゴ」とすさまじいインパクトで描かれております!
 さあ、ここから【猛虎】先生の奥義に関する説明タイムの始まりです。
 まず、【猛虎】先生は、普通の常識として、「肉を太らせ 強靭な力を手にするのが力士…相撲は剛 強さは力とどこか信じていた…」そうで、いわゆる筋トレ、ビルドアップに励んでいたようです。「しかしどれだけ必死に力を求めても それを上回るものがいるという事実(※ここでは、仁王さんや天鳳、天雷といった代表的なパワー型力士が背景に描かれております) 肉の強さは…力の強さもまた先天的なモノが存在し…しかもそれだけが絶対ではないことを…体感する…(※ここでは泡影が背景に描かれています)」
 なるほど? HUNTER×HUNTERで言うところのオーラのタイプ別の戦闘スタイルの違いのような感じでしょうか? そして描写は三役昇進前の稽古の模様です。【王虎】さんに稽古でやられ、【王虎】さんからも「何だその様は どうしたテメーらしくもねぇ…」と激を飛ばされていた模様です。「三役を前に 己の相撲への迷い…違和感が体に絡まり始める 俺は…俺の体を…本当に使えているのだろうか…理解しているのだろうか…ここが俺の限界なのではと…」なるほど。
 そしてまた描写は土俵に戻ります。NHKアナも絶叫中です。「猛虎勝負に出たか 強烈に前に出る!!」土俵上では鯉太郎が【猛虎】先生の張りを何発も喰らいながら堪えている模様で、常もいつも通り「マズイ…流れを断ち切れ鯉太郎さん」と絶叫です。鯉太郎は張りを下からあてがって回避している状況。これは長くは続かないぞ……ヤバし!
 そして描写は再び回想へ。すっかり自分の相撲を見失い始めてしまった【猛虎】先生。とうとう負け越しも経験し、周りからも「あんな精彩を欠く猛虎さん初めて見たな…」なんてことまで言われる始末。真面目な【猛虎】先生は、虎城親方に謝罪します。
 猛虎「申し訳ありません…こんな大事なところで足ぶみをしてしまって…」
 虎城「どうした…? 最近相撲がよくなってきてるな…」
 !? 良くなってるって言ったこの人? 的ポカーンフェイスの【猛虎】先生。わたしもポカーンです。そしてここから、独特の虎城親方語による解説の始まりですよ。
 「お前の悪いトコはピンとひとつしか使ってなかったトコだ…腕なら腕…足なら足とそこだけギュッとなっていたが ソコを効果的に使うために他の箇所に ビビッと耳を傾けはじめとる…」
 一コマだけ、土俵上に描写は移ります。そこでは鯉太郎が渾身のブチカマシを発射ーーー!!
 そして虎城親方語の解説が続きます。「何よりフッと抜きが出来るようになってきとる…大事なのはユルッとした間…力だけで制するのは限界があるのよ…相手も…己もな…問題ない…その相撲を探求していけ…」
 どうですか、わたしにはまだその意味が咀嚼しきれていませんが、「凡人」として、努力をし続け、天才型の親方の言葉を翻訳し続けてきた【猛虎】先生には伝わったようで、涙を流す当時の【猛虎】先生。そして今週ラストの大ゴマは、鯉太郎の渾身のブチカマシを「パスッ…」と受け止める【猛虎】先生の図であり、そのコマには、虎城親方の言葉が重なっています。
 「昇ってみせろ…俺のいた場所まで…」
 というわけで今週はここで幕、でありました。編集部謹製のエンディングキャッチは「完成された猛虎にやはり攻撃は通じず」とあります。マズいすね……まあ、北斗の拳で言うところの、トキの柔の拳とでも言いましょうか、相手の攻撃の衝撃を受け止め、自らの攻撃のタイミングを一瞬ずらし、確実に相手を削っていく【猛虎】先生の戦闘スタイルは、かなり危険ですなあ……こういう相手に有効なのは、無想の一撃、無意識のうちに出る攻撃しかないのでは……と北斗の拳が大好きなわたしは思いましたが、果たして鯉太郎は勝利を掴めるのか、今後の展開が大変気になります……! ああ、来週号が今すぐ読みたいす……!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週はファーストアタック以降のハイスピードバトルが展開され、【猛虎】先生の先手先手の攻撃が繰り広げられ、来る! と思った瞬間からわずかにズレてやってくる【猛虎】先生の猛攻に、鯉太郎は実際ピンチであります。そして、【猛虎】先生の奥義のようなものも、難解な虎城親方語で一応は説明されました。要するにパワー一辺倒では上には上がいて、通用しない壁にぶち当たってしまうからダメ、ユルッとした間が重要なんだ、ということ……でいいのかな? サーセン、まだわたしも咀嚼できておりません……。いやあ、今週はホントに文字で説明するのが難しく、内容的にも、なんでもジャンプ的に考えてしまうわたしにはちょっと難解でありました。いずれにせよ、「完成された猛虎」先生との戦いは、間違いなく鯉太郎にも何らかの変化をもたらしていくんでしょうな。鯉太郎よ、【猛虎】先生という壁を乗り越えるんだ! というわけで、結論としては若干消化不良ですが、毎週書いている通り、いやー、『鮫島』は最高っすね! ということでよろしくお願いします。以上。

↓ おっと、どうやら次の新刊(18)巻はもう来週発売ですって! 超イイ表紙!! 初めてのツーショットすね!!

 昨日は昼から映画を観てきたのだが、わたしはいつも、映画を観る時はほぼ常に開場時間のちょっと前には劇場について、開場となればさっさと入場することにしている。それは、まあ、特に理由はないけれど、映画を観る前にほっと一息つくというか、とにかく時間的ゆとりが心のゆとりという信条を持つわたしとしては、まあ当然のことなのである。
 しかし、昨日はあえて、劇場が暗くなって本予告が始まるチョイ前、を狙って入場してみた。その理由は、ズバリ、客層を見てみたかったからだ。あらかたお客さんが入ってから、どんな客層なんじゃろか、と席についている人々を観察するために、そういう行動をとってみたのである。
 結果、わたしが昨日観た映画は、地元シネコンの2番目の大きい箱での上映で、そのキャパ315人。そしてパッと見た感じでは全然半分も入っていないぐらいで、まあ100~120人程度であったと思う。そして客層はというと……ズバリ、わたしと同じ40代以下と思われる人は、わたし以外いなかった。要するに、99%以上が明らかに「シニア」層であったのである。すごかったなあ、あの絵面は。
 そんな、シニア率99%超の作品を観てきたのだが、そのタイトルは『妻よ薔薇のように』といい、実は『家族はつらいよ』シリーズの第3弾である。思いっきりサブタイトルに(家族はつらいよIII)と書いてあるので、実は、というほどじゃないんですけど。まあ、『家族はつらいよ』『家族はつらいよ2』と観てきたわたしとしては、この3作目もやっぱ観とくか、という気になったのである。結論から言うと、わたしは大変楽しめた。前作『2』よりずっと面白かったと思う。

 わたしが「やっぱ観とくか」と偉そうに思ったのは、実はわたしは『2』で、もうあまりのお父さんのダメ親父ぶりにうんざりしていたためである。わざわざ映画を観に行って、ダメ親父にイライラしたくねえ、とか思っていたのだ。
 わたしがいう「ダメ親父」とは、この映画には二人いて、平田家の元祖お父さんである平田周造(演じているのは橋爪功氏)と、その長男であり2代目お父さんの平田幸之助(演じているのは西村まさ彦氏)の二人である。この二人は、引退してゴルフ三昧&居酒屋通いでべろんべろんに酔っぱらう周造と、サラリーマンとして会社では優秀なのかもしれないが、男としてはかなり問題のある幸之助の親子で、2世帯同居しているのだが、まあ、基本的に仲は悪い。
 わたしを含め、世のお父さんたちには大変残念なことに、そもそも、息子というものは、基本的に父親を嫌うものだと思う。同じ男として、やけにダメな点やイヤな点ばっかりに目が行ってしまうからだと思うけれど、とにかく、親父のようにはなりたくねえ、と思う息子が普通というか多いと思う。しかし、さらに残念なことに、息子というものは、40代ぐらいになると、あれほど親父が嫌いだった自分が、いろいろな点において、容貌や言動など、まさしく親父に似ていることを発見してしまうのである。そして絶望的な気分になりながら、この時になって初めて、徐々に親父のことを許せてきてしまうのだ。例えば、サラリーマンの悲哀が分かって来る40代になると、その年齢の頃の親父(つまり自分がガキだった頃の大嫌いだった親父)の気持ちがわかってきちゃうんだな。恐らくこれは、全ての息子が感じるものだと思う。
 というわけで、この『家族はつらいよ』というシリーズには、まあとにかく厄介でダメな親父が二人も出てくるため、わたしはちょっともう、胸焼けするというか、イライラすること甚だしかったわけだが、このシリーズで恐らく一番の常識人であり、一番まともな人が、幸之助の奥さんの史枝さん(演じているのは夏川結衣さん)だ。
 厄介な舅、厄介な旦那、イイ人だけど何も家事をしない姑の富子お母さん(演じたのは吉行和子さん)、そして育ちざかりの二人の息子。彼らの面倒を一手に引き受けるお嫁さんでありお母さんな彼女。とにかく彼女は、常に手を止めることなく動かし続け、毎日一生懸命「主婦業」をこなすわけだが、誰一人省みることなく、ある意味当然と思われている。また、平田家から既に独立している長女一家や、次男&そのお嫁さんといった「家族」全体からさえも、「やって当たり前」と思われているかもしれない。
 そんな常識人の史枝お母さん。これはもう、いつか爆発するぞ……とわたしは思っていたところで、本作の登場だ。本作は、まさしくお母さん爆発の巻で、その爆発をメインに据えた物語ということを知って、わたしは「やっぱ観とくか」と思ったのである。そして観終わった今、わたしとしてはもう、全国の「お父さん」どもに観ていただきたい傑作であったように思う。
 物語は、前作『2』からちょっと時間が経っているようで、平田家の車はプリウスに代わっているし、周造お父さんも『2』でもめた結果、無事に免許を返納したようだ。なので、周造は大好きなゴルフには友達の軽自動車で行っている。そして史枝お母さんは、毎朝、会社に出勤する幸之助お父さんと学校へ登校する子供たち、そしてゴルフに出かける周造お父さんやカルチャースクールに出かける富子お母さんを見送った後、一人で掃除洗濯とせっせに働きまくる毎日だが、ある日、掃除が終わってヤレヤレ、と一息ついた時、ついうとうとと居眠りをしてしまう。そんな時を見計らって平田家には泥棒がやってきて、まんまと史枝お母さんがぜっぜと溜めたへそくりを盗まれてしまうのだ。そのことでしょんぼりな史枝お母さんに、ひどい暴言を吐く幸之助お父さん。ついに史枝お母さんは悲しみと怒りで、家出してしまうのだった……てな展開となる。
 こんなお話なので、まあ見どころとしては幸之助お父さんがどう謝るか、にかかっているわけだが、その顛末はなかなかグッとくるものがあって、幸之助の弟たる庄太が幸之助を説得するのである。庄太は、このシリーズでは基本的に心優しい末っ子的な描かれ方をしているのだが、彼は嫂たる史枝お母さんには特別な想いがあって、高校生の時やってきた兄のお嫁さんに、こう思ったそうだ。
「匂い立つような美しさだった。僕は、この人には幸せになってほしい。心からそう思ったんだ」
 だからそんな史枝さんを泣かせるようなことはしないでくれ、と兄に話すのである。なんかこの言葉だけ抜き出すと、大きなお世話だと兄は余計怒るようなセリフだし、実際幸之助も怒って帰っちゃうんだけど、ここでは庄太を演じた妻夫木くんの芝居が非常に素晴らしいのです。そんなわけで、最終的には幸之助は史枝さんを迎えに行って、ちゃんと謝り、めでたしめでたしとなって物語は終わる。幸之助の謝罪シーンも大変良かったすね。西村まさ彦氏の芝居ぶりも大変良かったと思う。
 というわけで、最後に平田家の皆さんを一覧にまとめて終わりにしよう。
 ◆平田周造(演/橋爪功氏):平田家のお父さん。基本どうしようもないダメ親父。相当性格は悪い。今回はその毒はこれまでより薄め。ゴルフ大好き。駅前?の居酒屋のおかみさん、かよ(演/風吹ジュンさん)が大好きで、スケベな昭和じじいぶりを発揮。また、シリーズには必ず周造の親友として登場するキャラがいて、いつも小林稔侍氏が演じている。けど同一キャラではなく、今回はお医者さんキャラでした。
 ◆平田富子(演/吉行和子さん):平田家のお母さん。亡き兄(だったっけ?)が作家で、その著作権継承者として印税がいまだ毎月振り込まれてくるため金に困っていない。小説執筆のカルチャースクール通いののんきな母さん。家事はお嫁さん任せでほとんどしていない模様。今回、お嫁さんの家出に、わたしが家事をするわ!と張り切るが腰をやっちまって何もできない状況に。
 ◆平田幸之助(演/西村まさ彦氏):平田家長男。サラリーマン。営業部長。それなりに有能?なのか、今回は香港への出張から帰ってきたところで泥棒騒ぎの顛末を聞き、ひどい言葉を吐いてしまう。二人の息子からはそれなりに慕われている模様。
 ◆平田史枝(演/夏川結衣さん):幸之助の妻。しっかり者で常識人で働き者。今は空き家になっている実家へ家出してしまう。家に残した子供たちがどうしているかと考えると、悲しくて泣いちゃうよね、そりゃ。幸之助とは、独身時代の通勤の中央線で出会って、さわやか笑顔に惚れちゃったんだそうな。学生時代はダンス部でフラメンコダンサーだったらしく、輝いていたあの日を思うと今の主婦の自分にしょんぼりな日々を送っている。
 ◆金井成子(しげこ:演/中嶋朋子さん):平田家長女。税理士として自らの会計事務所経営。基本的にキツイ性格。夫に対してもかなりキツイお方。
 ◆金井泰蔵(演/林家正蔵氏):成子の夫。基本的にすっとぼけ野郎。成子の会計事務所の事務員。空気を読まない余計な一言が多い。
 ◆平田庄太(演/妻夫木聡くん):平田家次男。ピアノ調律師。成子の娘や幸之助の息子たちからも慕われている、やさしい叔父さんとしてお馴染み。一家の中では常識人だが、若干頼りないような……。幸之助と史枝さんが結婚したのは庄太が高校生の時だそうで、大学生のころは史枝さんに大変お世話になったのだとか(想像するに親父や兄貴と衝突した際に間に入ってくれたのでしょう、きっと)。
 ◆平田憲子(演/蒼井優さん):庄太の恋人で『2』からは奥さんに。看護師。常識人。今回はあまり見せ場ナシだが、本作ラストで庄太&憲子さんにうれしいサプライズが!
 そして監督はもちろん山田洋次氏。まあ、お見事ですよ。今回主人公を平田家のお嫁さんである史枝さんとしたのも、できそうでできない発想の転換だったのではなかろうか。それにしても、場内の99%超のシニアの皆さんは、もう遠慮なく爆笑の渦だったすね。わたしも笑わせていただきました。先週観た『のみとり侍』も、シニア率90%以上だったけれど、場内の笑い声は圧倒的に本作の方が多かったすね。あと、本作上映前に『終わった人』の予告が流れていたのだが、その予告でも場内大爆笑で、わたしとしてはかなりびっくりしたっす。

 たしかに。確かに面白そうだけど……これを笑えるのはシニアだけでしょうな。みんな、もう通り過ぎた話で、経験した後だから笑えるんだろうと思う。なんつうか、今の日本の映画産業は、ホントにシニアの皆さんが支えてるんじゃなかろうかと思います。

 というわけで、もう無駄に長いので結論。
 山田洋次監督によるシリーズ第三弾、『妻よ薔薇のように/家族はつらいよIII』を観てきたのだが、まずその客層は99%以上がシニアであり、監督の年齢を考えると、シニアのシニアによるシニアのための作品であったことは間違いないだろう。しかし、まだシニア予備軍のわたしが観てもちょっとグッとくるようなところもあって、十分楽しめるお話であった。主婦はそりゃあ大変ですよ。この映画は、全お父さん必見だと思います。面白かった。以上。

↓ まあ、やっぱりシリーズ全部観て予習しておいた方がいいと思います。そういや幸之助夫婦の息子二人はかなり成長して、役者が変わったような? 人んちのガキはあっという間にデカくなりますなあ。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、昨日で11日目までを終えた大相撲5月場所、通称「夏場所」ですが、なんつうかもう栃ノ心関の強さは本物ですなあ! 強い。昨日、琴奨菊関をもう力づくでぶん投げるの図には痺れたっすねえ! 間違いなく大関は手中にするでしょうし、一気に横綱まで行っちゃいそうな勢いすね。わたしとしては、栃ノ心関の強力なパワーは、なんだか「怪力・天雷」を思い出さずにはいられないのですが、強引に吊りに行ったりぶん投げたりする栃ノ心関は大変カッコ良いと存じます。そして、わたしの一番応援している松鳳山関は、その栃ノ心関と同期であり、幕内力士の中では明らかに小兵なわけですが、さすがに鯉太郎のようには行かず、現在5勝6敗と後がなくなりつつある戦いを繰り広げております。しかし昨日は活躍著しい阿炎関をぶっ飛ばしたので、その勢いのまま、勝ち越してほしいす。
 それにしても今日の結びの一番、栃ノ心関VS白鵬関の戦いも相当血圧が上がる激闘となる予感すね。今日は、職権を濫用して17時半からは会社のTVをつけようと存じます!
 さて、それではまずは今週の週刊少年チャンピオン2018年26号概況です。
 ■巻頭グラビア:小倉優香嬢。Wikiによると「リアル峰不二子」だそうで、極上す。
 ■弱虫ペダル:捕食の巻。とうとうキモー筋先頭へ!やっぱりこの人一番強いよ……。
 ■BEASTERS:ただの抱擁は布団にでも託しますの巻。タイトルがw
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:オータムより新たなる刺客の巻。タイトル通りw 一番笑いました。
 ■開田さんの怪談:グリーンフィーバーの巻。絵はとても好きなんすけどね……。
 ■昆虫武将チョウソカベ!:きりんさんの心と殿の巻。イイお話なんですが、本筋はどうなったんだ……
 どうも、ここ1年ぐらいのチャンピオンの新しい作品がイマイチわたし的に盛り上がらないす……。ううむ……ジャンプはまた面白い漫画が増えてきているのですが……。。。
 
 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は土俵入りからハッキョイ1秒前までの様子が主にNHKアナと虎城理事長の掛け合いで描写され、鯉太郎から噴出される熱は国技館を興奮のるつぼとし、対する【猛虎】先生も静かに熱く燃え上がっているという対照的な様子が描かれたわけですが、さあ! いよいよ! 今週から闘いが始まりますよ!
 というわけで、扉はもう臨戦態勢の二人です。【猛虎】先生は既に両手をついておりますので、鯉太郎の左腕が土俵に着いた瞬間、戦闘開始となります。そんなバトル1秒前の状況で、橋くんは、国技館全体の熱にあてられた鯉太郎を前にして「少しも揺るがない」【猛虎】先生に驚愕しています。NHKアナも実況を続けています。
 「猛虎の構えはダラリと両手をおろす 力の抜けた独特な…異様ともいえる仕切りですね…」確かに、見たことのないその仕切りの型は特殊なフォームです。それを虎城理事長は以下のように解説します。
 「だが隙がない…開始の主導権は鮫島のふり下ろす手にあるが 呼吸は既にあっていると言っていいでしょう…たとえどんな嵐に襲われようとも…心ひとつ乱れることのない 精神力 愚直に積み上げ確立した 断固とした己の相撲への自信 そこからくる揺るぎない 強固な我 超一流ですよ 猛虎という力士は…」
 なるほど。「どんな嵐に襲われても心ひとつ乱れない」。いい言葉ですなあ。まあ、サラリーマンも20年もやってると、どんなピンチな状況に直面しても、大抵は、既に経験している、知っているピンチに思えて、まあ何とかなるだろという気になるような気がしますが、アスリートは何万何十万という練習(稽古)によって、そういう経験を積んでいくわけで、それが自信につながるんでしょうな。
 そして、そんな【猛虎】先生を前に、鯉太郎はもう、なにやらワクワクな表情?であります。思わず「スゲェ…」と声を漏らす鯉太郎。鯉太郎の脳裏には、【猛虎】先生と初めて出会った『バチバチ』第1巻第1話のあのシーンが蘇っております。
 「あの時とはすべて違う……ここで…また巡り会えてよかった…」
 さあ、【猛虎】先生から発せられるプレシャーがまた一段と増したようです! 凄い迫力の絵だ! コイツはヤバげです!
 鯉「真っ直ぐ…俺だけに当たる 俺だけに見える強烈な重さ…」
 猛「こい…」
 鯉「最高だ…」
 そしてページをめくると、おおっと! そこには見開きで! 「俺の全部をくれてやる…」とうとう鯉太郎の左手が土俵に着いた――!! ハッキヨイ!! バトルスタートの瞬間です!!! 行け―――!
 さらに次のページも見開きです! おおっと! 鯉太郎の出足が速いぞ! あーーーっと! 常松こと【松明】関の口からは「勝っ…た…」の一言が漏れている! オイィ! 常! ホントかそれ!? ナレーションにはこう書いてあります!
 「無意識に松明の口から その言葉が漏れた…それほどまでに無駄のない完璧な それでキマるほどの鮫島のブチカマシだった」
 マジかよ! キマるのか!? そしてページをめくると、「しかし…すぐに気付く…違和感…」というナレーションとともに、両者「ゴン」とぶつかるの図です! こ、これは!?
 あああーーーっと!!! 次のページに進むと、ああ、なんてこった! ジーザス! 
 「打ち勝ったのは猛虎!!!
 の図が見開きで描かれております! イった―――ッ! コイツは強烈だ!! この図は、もう絶対にチャンピオンで確認する必要がありますよ! ヤバイ! 鯉太郎! 大丈夫じゃないぞこれは!!!
 そしてページをめくると、鯉太郎のあのひたいの傷から血が噴き出ております! これは! まさしく『バチバチ』第1巻第1話の再現か!? この様に、場内「えっ…!!?」と一瞬静まり、田上さんこと【稲虎】関は「よしっ…」とこぶしを握り、常はまーた青ざめて「なっ…」と驚愕しております! 常の「何で…!!?」という思わず出ちゃった一言ですが、鯉太郎も思いは同様なのか、何が起きたか理解が追いついておりません。
 「タイミングは 完璧だった…が…そこにはいなかった… スカされた…? いや、そこにはいた…何で…何でだ…」
 『バチバチ』第1巻第1話では、若き幕下【猛虎】も相打ちで意識が吹っ飛んだはずです。しかし今回は、まったく違う状況。今週は、一瞬混乱している鯉太郎の右に、【猛虎】先生がすかさず回ってもう次のモーションに入る、その瞬間で幕、でありました。
 ラストのコマの鯉太郎の表情は、疑問が頭に渦巻いてしまっていて、ある意味意識が飛んでいるのかもしれません。完全に【猛虎】先生の動きを見失っています。さらに加えて【猛虎】先生の動きが速い! 鯉太郎からすると、消えた!? ぐらいなイメージなのかもです。はーーーこれはヤバいすなあ……! 右側に回られたので、鯉太郎の得意の左下手は無理か?  逆に【猛虎】先生は左上手をがっちり取れそうな位置取り。果たしてまわしを取りに行くのか、それとも右で張りに行くのか? さっぱりこの後の展開が分かりませんが、今のわたしの気持ちを一言で言うと、「未来のオレ、今すぐ来週号を持って来い!」であります。一言じゃないけど。いやーーーマズいなあ……ヤバイなあ……今後の展開がホント楽しみですね! なお、おそらく単行本(19)巻も、今週のここまでの収録となるはずなので、単行本派の方も、ぐぬぬ、(20)巻早よ!とギリギリすることでしょう。 はーーーホント『鮫島』は最高っすね!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週はとうとうハッキヨイ、鯉太郎VS【猛虎】先生のバトルスタートから、ファーストブチカマシが見事吹っ飛ばされ、混乱の鯉太郎に【猛虎】先生の次の手が迫る!! という超ヤバイ状況までが描かれました。しかし、ここで『バチバチ』第1巻第1話のリベンジという展開は、本当にお見事ですなあ! いや、そりゃあですね、鯉太郎が楽勝で勝つわけはないと分かってますし、そういう意味では予想通りではありますよ? でもですね、ここまで興奮させてくれる『鮫島』という漫画は本当に素晴らしいとわたしは思うわけです。とりわけ今週の【猛虎】先生の絵は、まさしく渾身のもので、佐藤タカヒロ先生を大絶賛いたしたく存じます。カッコイイすねえ【猛虎】先生は! ホント、『鮫島』は最高っすわ! 以上。

↓ そういえば昨日のNHK解説は元大関・琴欧洲でお馴染みの鳴門親方でした。栃ノ心関はヤマ行って険しい道のりを経てきましたが、今の栃ノ心関は、なんか全盛期の琴欧洲関を思い出しますなあ……

 先日、チケットぴあから、チケットまだ残ってます的なメールがピローンと来て、ふーん、まだ買えるだ、ということを知ったため、それじゃ、まあ、今からじゃ誰も一緒に行ってくれないだろうから、一人で行ってみっか、と衝動買いしたチケットがある。
 それは、2年前にわたしが一番応援している宝塚歌劇団星組を卒業された、元TOPスター北翔海莉さん(以下:みっちゃん)の出演する松竹喜劇、『蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳』という作品で、どうやらみっちゃんは男装の麗人を演じるらしく、おまけに歌もあると聞いて、わたしとしてはこれは観たいと思っていたのだが、最初のチケット申し込みを忘れて諦めていたのであります。しかし観られるなら観たいということで、すぐさまチケットを購入し、観てきたわけだが、結論から言うとやっぱりみっちゃんはホントに芸達者で、明らかに出演者の中では抜群に演技や殺陣にキレがあり、発声も素晴らしく聞きやすく、要するに、みっちゃんはやっぱ最高だぜ! という訳で大満足だったのであります。いやあ、ホント最高でした。

 というわけで、昨日は偶然千秋楽だったらしいが、一番最後の夕方の回ではなく、前楽と言った方がいいのかな、12時開幕の回にはせ参じてきた。場所は新橋演舞場。わたしは初めての劇場なのだが、まあ、とにかくシニア率の高い客層に驚きつつ、さらに劇場に併設されている喫茶室や売店などが、ことごとく昭和感あふれるもので、なんだか若干の異世界感のある劇場であった。やっぱり松竹の経営する劇場って、歌舞伎座めいた雰囲気ですな。
 で。物語は、19世紀前半頃、すなわち江戸後期に活躍した蘭学者&医師の緒方洪庵の若き頃を描いたものである。緒方洪庵と言えば、わたし的には大坂に「適塾」を開いた男として、福沢諭吉の師としてお馴染みだが、本作はまだ青年期、緒方章と名乗っていた頃の、当時御禁制のオランダ語→中国語に翻訳された書物(天然痘の種痘法について書かれた本)をめぐるお話で、舞台は大坂である。なお、思いっきり喜劇ですよ。しかもかなりコテコテな関西系ギャグ満載で、まあ大変笑わせていただきました。しかしそれでも、わたしとしてはやっぱりみっちゃんのピシッとしたメリハリの付いた折り目正しい演技と歌に、一番酔いしれたすね。くどいですが、やっぱりみっちゃんは最高です!
 もう面倒なので、主な登場人物と、演じた役者を以下にまとめてみようと思います。
 ◆緒方章(後の緒方洪庵):主人公。大坂の中天游が開いた私塾「思々斎塾」に入門して勉強中の青年(※Wikiによるとこの頃は緒方三平と名乗ってたそうな。へえ~)。師匠である中天游がなけなしの3両を出して、問題の禁書を入手する手伝いをするのだが、そこには何やらいろいろと陰謀?があって……という若干シリアスな展開だが、まあ、キャラとしては大変笑えるものでありました。演じたのは藤山扇治郎氏。はっきり言って東京人のわたしは藤山氏のことを何も知らないが、松竹新喜劇が誇るスーパースター?であろう。藤原寛美氏の孫であり、藤山直美氏の甥、だそうだが、正直両人ともわたしはよく知らない。見た目、かなり小柄な青年。演技ぶりは、なんというか若さがはじける溌剌としたもので、わたしとしてはかなり好感を得た。でもいかんせん、東京ではおなじみではないと思う。もったいないと言うか残念だ。
 ◆中天游:前述の通り後の緒方洪庵の師匠。演じたのは石倉三郎氏。基本すっとぼけオヤジだが、基本イイ人。石倉氏の生演技は初めて見た。この方は今やすっかり渋い役者になったけどお笑いも得意なわけで、今回のような喜劇はお手の物であろう。実に堅実なベテランな味があったすね。大変良いと思います。
 ◆お定:中天游の奥さんでこの人も女医。演じたのは久本雅美女史。初めて生で見たマチャミさんだが、このお方は小柄なんすねえ!? 凄いちびっ子で、凄い可愛らしくてびっくりした。そしてギャグもやっぱり一番場内爆笑だったんじゃないかなあ。いやあ、さすがであります。出番はそれほど多くはないけれど、大変素晴らしかったすね。わたしも大変笑わせていただきました。
 ◆東儀左近:宮廷の雅楽を担う「在天楽所」(四天王寺楽所)に属する楽人。そして大阪の町を守り千年の歴史をもつという「在天別流」の総領。女人禁制なので男装の麗人。演じたのは勿論我らが北翔海莉さんakaみっちゃん。最初に登場する時の、大坂案内の超長口上がウルトラグレイト! 凄い人だよみっちゃんは! 1幕ラストの歌もウルトラカッコイイ! そして殺陣もウルトラキレてる。それから滑舌も、一番しっかり決まってる。本作は、どうも歌以外の普通の台詞はマイクナシ、だったようだが、みっちゃんの声は、かなり後ろの席だったわたしにもしっかり聞こえました。要するにですね、本作におけるみっちゃんはもう、完璧、ですよ。演技的には、女子としての姿も実に女子だし(当たり前だけど当たり前じゃない。ずっと男役だったんだから!)、男装の麗人としてはもう、かつての男役でのみっちゃんだし、まあ、ファンにはたまらないでしょうな。当然、みっちゃんファンクラブは宝塚歌劇の公演のように机を出してチケット出しされてたし、みっちゃんだけ、ブロマイドも売ってました。さすがっすね。いやあ、ほんとみっちゃんは芸達者で、ほかの宝塚歌劇出身役者とは、ちょっとレベルが違うすね。そしてみっちゃんは、わたしが知る限り、必ず、幕が下りるカーテンコールの時に「ありがとうございました」と言うお方なのだが(他のTOPスターはあまり言わない)、今回ももちろんみっちゃんは「ありがとうございました」と言っていたし、千秋楽ということで簡単な挨拶もあって、袖に引っ込むとき、いつもの「まったねーー! バイバーイ!」もあって、わたしとしては大変うれしく思いました。みっちゃんはマジ最高ですな!
 ◆若狭:左近と同じく「在天」のメンバー。忍び風な装束でアクションもあるし、本編中の狂言回し的な役割もあるし、マイクパフォーマンスもお見事でした。演じたのは、わたし的には「ゲキレンジャー」のリオ様であり、ミュージカルテニスの王子様でのデータテニスの男、乾で大変お馴染みな荒木宏文君だ。彼もあれからもう10年以上経って、本当にずっと精進してきたことが分かるような見事なパフォーマンスで、本当に今の活躍がうれしいすね。2.5次元系ミュージカルでの活躍が多いけれど、ぜひ帝劇系の大作にも出てもらいたいですな。声も良く通るし、ホント、たゆまぬ努力を続けてきたんだなあと思うと大変うれしいす。
 えーと、他のキャストの皆さんは正直知らない方なのだが、中天游の息子を演じたのは上田堪大氏と言う方で、とても背が高く、どうやら彼も2.5次元系で経験を積まれている方みたいすな。それから、謎の瓦版屋でありその正体は公儀隠密という役を演じられたのが、佐藤永典氏と言う方で、彼もまた、ミュージカルテニスの王子様で経験を積まれた方だそうだ。あれっ!? あ、財前を演った彼なんだ!? へええ、それなら10年前にわたしは彼を観てるんだな。全然気が付かなかったよ。本作は、歌がみっちゃんの歌しかなくて、どうせならもっと皆さんの歌を聞いてみたかったようにも思うすね。

 というわけで、もう書くことがなくなったのでさっさと結論。
 観たいと思いつつチケットを買いそびれ、その後ぴあからのメールでチケットを買うことが出来た『蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳』という松竹新喜劇を観てきたのだが、まず、初めての新橋演舞場は非常に昭和感あふれる劇場で、お客さんもシニア層中心で非常に印象深かったのと、なんといっても元星組TOPスター北翔海莉さんことみっちゃんが、退団後もとても精力的に活動されている姿を見ることが出来て大満足でありました。ホント、みっちゃんはすごい人ですよ。まさしく「芸能」人ですな。そこらの芸のない自称タレントとは、まったく次元の違う存在だと思う。とにかく素晴らしかったす。そして生で初めて見た久本雅美さんが超ちびっ子で可愛らしくて驚いたす。お話は松竹新喜劇ということで完全に関西系コテコテ喜劇で、かなり笑えました。くどいぐらいにw それにしても、ホントしつこいですが、みっちゃんは最高です! の一言に尽きますな。以上。

↓ こちらが原作すね。これはちょっと読んでみたいと思います。

 わたしは月に3本以上映画館で映画を観ているので、かなりの予告編を目にする機会がある。さらに言うとわたしが通うシネコンは、その9割方が家の近所か会社の近所のTOHOシネマズであるため、東宝が制作・配給する邦画の予告もかなり多い。ハリウッド洋画が大好物なわたしでも、そんな邦画の中には、もちろん、お、これは面白そうかも、という作品があるわけで、去年ぐらいか、今年に入ってからか、もはや全然覚えていないが、やけに何度も目にした邦画作品がこれだ。

 最高ですよね、この「予告」は。これはもう、観るしかあるまい、阿部ちゃんは相変わらずキてんなあ! と誰しもが思う、相当傑作な「予告」だ。なので、わたしも公開初日の昨日の金曜日、会社帰りに日本橋TOHOへ向かったわけである。タイトルは「のみとり侍」。女性相手の売春を行う「のみとり屋」稼業に身をやつした真面目な男を描いた喜劇である。わたしは、観る前は、こりゃあ相当の傑作に違いない! とか思って期待していたのだ。
 そして、実際に観てみたわけだが、結論から言うと、物語はおおむね予告通りで、大変笑えるシーンも多いし、熟練の役者陣の演技合戦はとても素晴らしい、のだが……ズバリ言うと、映画の出来としてはいろいろ文句をつけたくなる作品で、ちょっと、いや、かなりもったいないような、若干残念ムービーであったと結論付けざるを得ないように感じた。
 その点を以下、いろいろと覚書として記しておきたいのだが、おそらくネタバレに触れる可能性が高いので、まだ観ていない方はここらで退場していただいた方がよいと思います。まずは映画館へ行って、観てきてください。

 さてと。映画そのものの出来に関しては、残念ながらイマイチ肯定的な感想が書けそうにないので、まず先に本作で描かれる、日本の性文化について、思ったことをまとめておこう。
 わたしは数年前、永青文庫にて開催された『春画展』にも行ってみたのだが、「春画」を観て、そして本作を観て、つくづく思うのは、どうも江戸時代は、性に対してもっとオープンというか、人間なんだからセックスは当たり前だし、誰だって好きっしょ? 的な雰囲気だったのではないかと想像する。これはどうしても根拠が見つからなかったので、単なるわたしの想像だが、現代人たる我々が抱く、セックスに関する抑圧された?というかタブー的な思想は、ひょっとすると西洋キリスト教文化の影響なのではなかろうか。汝誨淫を禁ず、的な。純潔思想も、もちろん日本でも嫁入り前の女子が処女でないことは大いに問題があっただろうし、神道的なというか儀式的?な面でも重要視されたと思うけれど、純潔、あるいは貞操観念なるものは、どうも西洋っぽく、日本では近代以降の思想、常識のような印象を受ける。正しいかどうかはわからんけれど。
 しかし事実として、江戸時代の日本においては、春画というエロ本が多くの人々に受容され、楽しまれていたようだし、売春もある意味普通に行われていたし、男目線からすれば、武家が「家」を永続させるという名目のもとに「側室」をそばにおいてヤリまくっていたのだし、また現代的に言えば最高級コールガールである花魁、その最高峰である「太夫」という存在は、人々のあこがれでもあったわけだし、さらには、本作でも描かれるように、江戸時代は女性が男を買う、なんてこともあったわけで、まあ、セックス大国JAPANはいわば日本の伝統でもあったように思う。夜這いなんてのもあったしね。
 何が言いたいかというと、だから現代はダメなんだということではなく、江戸時代というのは本当に平和で、本当に自由だったんじゃないかしら、ということだ。もちろん厳格な身分制度があって、いわゆる民主的な自由はそこにはないだろう。また、飢饉や意味不明な法令もあって、一般庶民には厳しい時代だっただろうし、貧農から人身売買で売られてきた女性たちの悲劇など、人権的に見ればもうどうしようもなくひどい時代だったことは間違いない。ので、「普通の(?)江戸市民」に限定した方がいいのかもしれないけれど、1600年から1868年という時代は、西洋諸外国においては、そりゃあもう戦争して殺し合いをしまくっていた時期に当たるわけだし、アジア各国は侵略されまくって植民地化されていた時代なわけで、少なくとも、おそらく当時世界最大の都市である江戸に住まう人々は、現代人が思うほど不便でなく、毎日を生き生きと、自由闊達に暮らしていたのではないかしらという気がする。
 本作は、「のみとり屋」なる女性相手の売春宿を中心としたお話だが、まあ、なんつうか、そりゃあ女子だって性欲旺盛ですわな、しかも全然こっそりじゃねえし! という点はとても新鮮で面白かったし、もちろん、日本伝統の男色のための男 for 男の売春夫もいたりなんかして、わたしとしては非常に興味深く物語を堪能することができた。つうか、「のみとり屋」ってフィクションですか? ホントにあった商売なのか? パンフによると本当にあった職業らしいが、なんかホント、江戸という大都会は世界一だったんだなあ、なんてことを非常に強く感じた。
 というわけで、本作『のみとり侍』は、実際笑えるし、ネタとしても大変面白かったのだが、どちらかというと面白いというより興味深い方向にわたしは観ていた。が、残念ながら、映画としては……冒頭に記した通り、残念な部分が多く、いささか期待を下回る感想を持つに至ったのである。
 わたしが感じた残念ポイントは、脚本・演出・音楽の映画三大要素とわたしが感じている根幹の部分で、この芯の部分が若干アレだったのがとても残念である。
 まず、脚本だが、物語として、阿部寛氏(以下:阿部ちゃん)演じる主人公・寛之進が「のみとり侍」に身をやつした理由の裏には、バカ殿の不興を買ったためではなく、実はある種の陰謀があったと分かる後半は、ちょっと問題アリのように思う。物語の背景には時の老中・田沼意次と綱紀粛正を目指す白川藩主・松平定信の権力争いがあって、どうやら主人公の仕えるバカ殿=越後長岡藩主である牧野忠精は田沼への贈賄をしていて、真面目で融通の利かない寛之進がうっとおしかったため、理由をこじつけて藩から追い出した、というれっきとした動機があったのだが、わたしはその理由がナシ、ではないと思うし、むしろアリだけど、その秘密の暴露が、描かれ方的に何の伏線もなくとても突然で、なーんだとしか思えず、非常に残念に感じたのである。また、脚本的に田沼に肩入れしすぎた部分が正直意味不明で、一方の松平定信はほぼなにも描かれず、善悪の対比も明確でなく、結果としてエンディングはなんだか強引に物語が終わってしまうのもいただけない。ついでに言うと、寛之進が「女の悦ばせ方」を指南してもらう江戸No.1プレイボーイ清兵衛の後半の扱いは相当雑で、もはや意味が分からず、非常にガッカリした点であったと思う。
 あと、脚本的にわたしがちょっとなあ、と一番強く感じたのは、寛之進のセリフだ。彼は、どうやら藩邸内や藩の仲間に対して(?)はお国言葉を、江戸市中においては江戸弁を、というしゃべり方の違いを意図しているように感じたけれど、本編内で頻繁に使われる寛之進の心の独白的ナレーションが、お国言葉だったり江戸弁だったりするのはやっぱり変だと思う。おそらく寛之進は江戸詰めが長いのだろうから、全て江戸弁で、もっと武士っぽい言葉遣いにするのもアリだろうし、映画的に面白くさせるためなら、もっと言葉に派手な方言を織り込んで田舎者感を強めた方がよかったと思う。とりわけ、阿部ちゃんの朴訥で真面目なナレーションが一番(?)笑いを誘うんだから、ここはもっとポリシーをもってデフォルメしてほしかった。
 そして演出面では、やっぱり若干古臭さが漂っていたのは誰しも感じるところではないだろうか。もちろん、ここ数年のコミック原作映画のように、コミック的誇張表現をそのまま映像化するような安っぽさやガキ臭さは必要ないと思う。けど、なんつうかなあ……具体的に指摘できないんだけど、せっかくこんなポップで明るい話なのに、昭和っぽいんすよね……。編集もなんだかテンポが悪く、冒頭なんておっそろしくポンポンと話は進むのに、中盤~後半はやけにじっくりだったり、物語の流れの緩急が、妙にリズムが悪く感じられた。これは音楽にも言えることで、なんでもっと明るくポップで派手な音楽にしなかったんだろうか。そして音楽やSEも、ここだ! というタイミングからちょっとズレているとは観れば誰しも感じるのではなかろうか。音楽を担当したのは41歳と若い羽岡佳氏で、アニメや戦隊ものの音楽を担当するなどポップで明るい曲も書ける人のはずなのだが……観終わった後で、全く曲が頭に残らないし……なんだかとても残念です。いっそ、スカパラ的な音楽が似合うと思うんだけどな。
 まあ、御年78歳?の鶴橋康夫監督では、やっぱり古臭いと感じられてしまうのやむないことだろう。昨日わたしが観た回の観客は7割方シニア客だったので、客層には合っているのかもしれないし、若い監督が何か勘違いして漫画のようにしてしまうよりずっとマシだったかもしれないけど、実際問題として、78歳のおじいちゃんがキャッチーなコメディを獲るのはちょっとキビかったように思う。これじゃあ、若い客は観に来てくれないだろうな……。こんなに笑える物語なのに、ホント残念す。
 最後に、そんな脚本演出をものともせず、見事な演技を披露してくれたキャスト陣をざっと紹介して終わりにしよう。
 ◆寛之進:主人公。越後長岡藩士。ド真面目。ド不器用。演じた阿部ちゃんはもうホントに最高でした。この映画も『テルマエ』同様、阿部ちゃんでないと成立しない作品だったと断言できる。「下手くそ……」とショックを受ける寛之進はもう最高すぎて大爆笑必至ですよ。
 ◆清兵衛:もと旗本の次男坊(要するに武士)だが、商人の家に入り婿した色男。寛之進のセックス師匠。演じたのは豊川悦司氏。この人は年を取って太ってしまったのが残念すね……20年前はホントにカッコいい男だったけど、あの頃の体形に戻してほしい。演技ぶりはまあいつもの豊川氏だが、何気にこの人もコメディはいける口なので、本作でも豊川氏のの魅力は大いに発揮されていたと思います。
 ◆甚兵衛:のみとり屋の主人。江戸っ子的なせっかちなオヤジというか、どんどん勘違いして一人納得する様は観ていて笑える。演じたのは風間杜夫氏。ええっ!? なんてこった、風間氏は現在69歳だって。うっそだろ、もうそんな年齢なんだ……演技ぶりは一番素晴らしかったとわたしとしては称賛したい。
 ◆おみね:寛之進の最初のお客の女性で、寛之進の亡くなった奥さんに瓜二つの女性。田沼意次の妾? 最初はド下手くそな寛之進に激怒するも、清兵衛の薫陶を受けてテクを身に着けた(?)寛之進の若干勘違い気味の激しいセックスにもうメロメロに。好きですのう! 演じたのは寺島しのぶさん。わたしはこのお方を今まで気にしたことはなかったけれど、なかなか色気もあって大変良かったと存じます。
 ◆おちえ:清兵衛を婿に取った商家の女主。もともと純情な娘だったのに、清兵衛に性開発されてしまってすっかりハードなドS女に変身。清兵衛さんに浮気防止のためそのイチモツにうどん粉を塗るなど、強烈なキャラに。清兵衛さん……あんた……完全に自業自得だぜ……w 演じたのは前田敦子ちゃん。激しいドSぶりも大変可愛らしいと存じます。
 ◆越後長岡藩主・牧野忠精:寛之進の仕える殿様。演じたのは松重豊氏。バカ殿の演技ぶりはもう最高に良かった! けど、脚本的になあ……ラストの心変わり?も唐突だし、もっと物語に関与できたはず……ホントもったいないと思った。
 ◆田沼意次:様々な時代劇や歴史小説で悪役としてお馴染みだが、本作ではどうも若干イイ人的描写もあって、なんか軸がブレているようにも感じた。演じた桂三枝あらため6代目桂文枝氏も、はっきり言って演技としてはかなり微妙。この人を使う意味はほぼなかったと思う。
 あーーーもうキリがないからこの辺にしておくか。

 というわけで、まとまりなくだらだら書いてしまったのでぶった切りで結論。
 予告を観て、これは相当キてるぞ!? と期待して観に行った映画『のみとり侍』だが、確かに、役者陣の熱演は素晴らしく、とりわけ阿部ちゃんこと阿部寛氏のキャラは最高に笑わせてもらったのだが、映画としての出来は、正直いまいちだったような気がする。本作は阿部ちゃんでなくては絶対に成立しない作品だったとわたしは断言してもいいぐらいだが、ホント、もっともっと笑えて泣ける話に出来たはずなのだが、エンディングはかなり唐突かつぶった切りで、もう少し脚本的になんとかできたはずだと思うととても残念である。ま、変に漫画のようになってしまうよりマシか。でも、音楽も演出も、もっともっとポップでキャッチーな作品できたはずで、興行成績的にも『テルマエ』クラスに大ヒットしたかもしれないのにな。きっとこの映画、10億は超えるとしても、20億30億は厳しいと思うので、来週からの興行成績を注目したいと思う。以上。
【2018/06/11追記:興行的には4週目でもうTOP15ランク圏外=10億は到底無理だったようです。ホントにもったいない……】

↓ ちゃんと原作小説があります。どうやら短編集らしいすね。読んでみるかな……。



 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、現在両国国技館で開催されている大相撲平成30年5月場所なんですが、わたしの応援している東前頭2枚目の松鳳山裕也君は、初日から栃ノ心関、豪栄道関、白鵬関と格上相手に3連敗し、おまけに相撲内容も若干元気がなく、わたしとしてはかなりしょんぼりしていたのですが……見ましたか! 昨日の松鳳山裕也君の戦いを!! 横綱・鶴竜関を前に前にと攻め続けての勝利、いやあ、ホントに昨日は興奮したっすわ! しかし一方で、昨日は十両に下がっている照ノ富士関の休場も発表となり、このままだと、幕下へ落ちる気配濃厚ということで……なんか淋しいすなあ……ホント、あっという間に大関まで駆け上がり、こりゃああっという間に横綱になるんじゃね? と思うほど強かったのになあ……ヤマ行っちまって、極めて残念であります……。
 さて、それではまずは今週の週刊少年チャンピオン2018年25号概況です。
 ■巻頭グラビア:大原優乃嬢。大変結構なお点前ですな。控え目に言って最高す。
 ■弱虫ペダル:攻防!ダウンヒル!! の巻。さあ、最終局面、キモー筋も来たっす!
 ■疵面:今週はナシ。代わりに、夢枕獏先生による刃牙小説「ゆうえんち」掲載開始す。
 ■BEASTERS:アクロス ザ ユニバースの巻。ちょっと今週は若干意味不明?す。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:仕事しろ吸血鬼対策課の巻。もうタイトル通りす。笑いましたw
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年25号でありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は、主にNHKアナと虎城理事長の会話をベースに、いよいよ鯉太郎と【猛虎】先生の土俵入り直前まで進展しました。なお、NHKアナからは、なんと角界の怪鳥でお馴染み【天鳳】関が未だ負けなし全勝キープであるという情報ももたらされました。そして虎城理事長からは、自らの相撲を最も忠実に体現しているのが【猛虎】である、的なお話もなされました。
 というわけで、今週は国技館内に響き渡る呼び出しさんのコールから始まります。そしてページをめくると、お互い蹲踞して柏手を打つ鯉太郎&【猛虎】先生の図です。【猛虎】先生の表情が相当気合が入っているというか集中してますな。そして国技館へ到着し客席に着く椿ちゃん&鯉太郎母の二人。母は椿ちゃんに、やはり私は…と若干遠慮、あるいは鯉太郎と対面する心の準備が出来てない様子ですが、そこに、場内からは「鮫島!!」コールが。場内はもう、大変な盛り上がり。NHKアナも絶叫です。
 「場内 大鮫島コールです!! ここまで快進撃の鮫島の背をファンが後押しする!」
 この場内を満たす鮫島コールに、常や大吉は嬉しそう。【白水】さんはもう涙ぐんでますよ! わたしもなんだかうれしくて泣きそうです! そして椿ちゃんは「さぁ…始まりますよ…」と真剣な表情。そこには一瞬たりとも目をそらさない的な覚悟のようなものすら感じられます。NHKアナの実況は続きます。
 「この声援は力になりますね…きっと鮫島にも届いていることでしょう…!」
 まあ、そりゃ聞こえてるに決まってんだろ、とかわたしは思ったのですが、ページをめくるとそこには、「抑えろ…まだ…漏らすな…まだ…抑えろ…」という戦い直前の鯉太郎の独白とともに、虎城理事長のこんなイイ台詞が重なります。
 「いや…逆でしょう…鮫島の力が客の方に届いてるんですよ…」
 どういうことかと言うと……ページの先には理事長の台詞の続きがあります。
 「見てください…客の楽しそうな顔を…鮫島にあてられているんですよ…完全に…相撲をまだとれるという 歓喜を…」
 これは、数々の舞台やミュージカルを生で観に行っているわたしには、なんだかとても良くわかる話です。応援が舞台に届くというより、舞台の熱がこちらに伝わるんすよね……モロに。ダイレクトに。鯉太郎の全身からは、湯気のような、北斗の拳で言うところの「闘気(オーラ)」めいたものが発散されております。こいつが伝わっているのでしょうな、国技館全体に。わたしがこの場に居合わせたら、おそらくはもう相当血圧が上がって「鮫島――――!!」と絶叫していることは間違いないかと存じます。
 この鯉太郎の様を見て、【猛虎】先生は冷静に分析します。
 「これが…力士鮫島か…当たり前だがあの頃とは撒き散らすモノが まったく違うな…王虎ほどの奴が何故あれほど執着したのか 対峙するとよく分かる…喜びと厳しさが混同した鮫島の雰囲気は 俺の魂を滾らせ背筋を凍らせる…いい力士だ
 なんつうか、【猛虎】先生のこの分析もやたらカッコイイすねえ。気に入ったので思わず太字にしておきました。そして審判席の仁王兄貴こと現・空流親方の右手がスッと上がって、いよいよ時間いっぱいのサインが出ました! ドアアアアアアと一層盛り上がる国技館! ヤバイす! わたしも盛り上がってきました! そしてページをまくると、おおっと! 見開きで鯉太郎の強力なオーラはリミッター解除、全開で噴出しております! そして鯉太郎から噴出される熱が観客席を覆いつくしています! ナレーション曰く、
 「瞬間 鮫島から 全部が解き放たれる ソレが暴風雨のように 場内を激しく巻き込み 収縮し」
 そしてまたページをめくるとそこも見開きだ! 
 「一個の巨大な塊と化す」
 この一連の描写は是非チャンピオンを買ってご堪能下さい! これはもうこの場にいたら失神あるいはしめやかに失禁してもおかしくないオーラに大興奮ですよ! 常松も「何だ…アレ…」と驚愕、橋くんも「ス…スゲェ…」と絶句です! そして虎城理事長も驚愕しながら、またしてもイイことを言います。
 「まさか…これほど…これほどまで繋がるか…ここまでの激闘…死闘が想像以上に 見る者の心に蓄積していたということか…まるで自分の人生の一部であるかのように…もう…並では…ない」
 そう、そういうことだとわたしも思います。人は、まるで自分自身の人生を投影するものに、共感し、感動し、興奮し、応援したくなるのではないでしょうか。そしてこの熱は土俵下で見守る【王虎】さんにもビリビリと伝わっているようですが、一方の横綱【泡影】には、伝わっているのか良くわかりません。いつもの無表情です。【王虎】さんはちょっと嬉しそうに言います。
 「さぁ…どうする猛虎……」 そしてページをめくると……
 おおっと! 今度は【猛虎】先生のおっそろしく気合の入った立ち合いの図が見開きで描かれております!! この絵は超カッコイイ!! そして【猛虎】先生は先に両手を土俵に着いた! 完全に臨戦態勢、鯉太郎が真っ赤に燃える炎なら、【猛虎】先生は青く冷ややかに燃える炎か? 実に対称的であります!! というわけで今週はハッキョイ1秒前、以下のナレーションで幕、であります。
 「鮫島の巻き起こす熱風に……揺るがず…静かに…押し返す…」
 はーーーー……サーセン……今週も無駄に興奮してお伝えしてしまいました……。あと連載がどのくらい続くのかわかりませんが、もうホントに、わたしは『鮫島』が終わってしまった後でも生きていけるのでしょうか……燃え尽きてしまいそうな気がしてなりません……。いやあ、ほんと『鮫島』は最高っすね!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週は呼び出しさんのコールから始まって、ハッキョイ1秒前までの場内の様子が描かれたわけですが、なんつうかもう、ヤバいすね。この興奮は。まだ立ち合い前なのに。つうか、やっぱり、スポーツでもミュージカルでも、やっぱり生の現場のリアルな熱は、体験するともう他では代替しえない記憶として深く胸に残るすね。それを漫画で表現・再現しちゃう『鮫島』という作品は、ホントにすごいと思います。いやあ、ホントに『鮫島』は最高っすね。もう同じことしか言えないす。来週からはおそらくいよいよハッキヨイとなるであろうと思われますが、この戦い、脳に刻み付けたく存じます。はーーー興奮した。以上。

↓ どうでもいいですが、わたしはミュージカル等の際はコイツを愛用しております。やっぱり演者の表情を見たくなるので。意外とそんなに高くなく、イイものはレンズが明るく超見やすいことを知りました。

 約1年ぶりに新刊が発売となりました。何のことかって? そんなの、わたしが大好きな「ジャック・ライアン」シリーズの新刊のことに決まってるでしょうが! と半ばキレ気味に始めたいのだが、なぜわたしが若干キレ気味かと言うと、版元の新潮社に対して軽くイラッとしているからだ。
 というのも、本書『TOM CLANCY'S COMMANDER IN CHIEF』(邦題は「欧州開戦」となかなかセンスのないダサいものになっている)がUS本国で発売になったのはもうかなり前で、ようやくの日本語版発売だし(つまり遅せえ)、おまけにいまだに新潮社は、相変わらず電子書籍では全然発売する気がないようで、今回も紙の書籍(文庫本)でしか発売されなかったためである。そしてもう一つついでに言うと、初期「ライアン」シリーズのように文春から出版されていたならば、きっと本書は上下巻の2冊(あるいは上中下の3分冊)で出されたであろう分量なのに(そして電子版も同時に出していただろう)、F〇〇K'n 新潮社はまたしてもうっすい文庫4分冊、しかも(1)(2)を出した1か月後に(3)(4)を出すという、読者のことを全く考えない営業戦略をとっているのも実に腹立たしいと思っている。以上のことに対して、わたしはイラッとしているわけだが、もちろんのことながらこれは、一言で言うと完全なるいちゃもんであり、言いがかりも甚だしいので、普通の人は何も感じないだろう。ホントになあ……新潮社はおっくれってるー、だぜ。やれやれ、はーーー書いたらスッキリした。
 さて。というわけで、本当は(3)(4)が発売されて読み終わってからまとめて感想をしたためようと思っていたのだが、恐らく、年々記憶力が低下しているわたしとしては、少しメモをしておかないと完璧忘れてしまうのが目に見えているため、こうしてキーボードをたたいているのである。なお、今回の(1)(2)巻は4月末に発売され、GW中にとっくに読み終わっておりました。くっそう、続きが早く読みてえ!
欧州開戦1 (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2018-04-27

欧州開戦2 (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2018-04-27

 というわけで、「ジャック・ライアン」シリーズの日本語で読める最新刊、である。本書は、もうUS版発売時から、次は「眠れる熊」としてシリーズではおなじみの、ロシア大統領ヴォローディン氏がまたやらかすお話として、わたしは早く読みたいなあ、と願っていた物語である。端的に言うと、「ライアン」世界では、ロシアは4作前の「米露開戦(原題:Command Authority。日本語訳されてないJrの単独スピンオフと日本語訳されてるドム単独スピンオフ含めて4作前)」でコテンパン(?)にやられており、ヴォローディン大統領はロシア国内を支配する「シロヴィキ」層からかなり厳しい態度をとられていて、経済政策の失敗(と言っていいのかな?)も重なり、いよいよヤバい状態にあり、ならば殺られる前にせっせと溜めた個人資産80億USドルを安全なオフショア経由で「洗浄」して、クリーンな金として分散させよう、という意図をもって悪だくみをする、てなお話である。サーセン。かなりはしょりましたし、(3)(4)巻でどう展開するか分からないままテキトーなことを言いました。わたし的には、その「洗浄」の手段としてビットコインを利用する展開にはかなり興味深く物語を見守っている段階であります。
 なお、「シロヴィキ」とは、「ライアン」世界の言葉で言うと、要するにソヴィエト崩壊時にちゃっかり多くの利権と権力を握って現在もロシアを裏から支配する「情報・治安機関か国防機関」出身の人々のことで、つまりは元KGBと元軍人を主体とする悪い奴らだ。ソヴィエト崩壊からもう30年、当時若かった彼らももう60代70代に入りつつあり、ほぼあらゆる国営企業の株をごっそり持っていて、いまだロシアを裏で支配しているという設定になっている。
 そしてもう一つ、設定として、対するGOOD GUYチームである「ザ・キャンパス」の状況をメモしておくと(※もうザ・キャンパスなる組織が何者かの説明はしません)、日本語訳での前々作『米朝開戦(原題:Full Force and Effect )』で、ベテランのサムが殉職し、皆かなりしょんぼりな状況である。
 というわけで、さっそく読んで、あっさり読み終わった(1)(2)巻だが、初めて知って、へえ~?と思った点と、現代の現実世界との関わり、それから、各キャラについて思うことをメモしていこうと思う。
 ◆ロシアの飛び地「カリーニングラード州」
 わたしはまったく無知で知らなかったのだが、↓この地図で、ポーランドの北とリトアニアの間に、バルト海に面した国境に囲われてる部分があるでしょ?

 ここは、カリーニングラード州という、ロシアの領土(飛び地)なんですって。これって常識? 全然知らなかった。地図をもっと引いてみると、モスクワとの位置関係が良くわかると思う。で、リトアニアの東にあるベラルーシは、最後の独裁国家と言われている通り親ロシア国家で、ロシアとしては、ベラルーシを通って、NATOに加入した裏切り者リトアニアを進軍してカリーニングラードへの回廊を築こうとしている、というのが本書でのロシアの軍事ルートだ。そしてリトアニアは、もういつ戦争が始まってもおかしくないヤバい状況にさらされているのに、どうせNATOはグズグズして、集団的自衛権が発動されてもまるで頼りにならないため、戦争が大好きな(と思われている)ライアン大統領としては、NATO首脳会議に合わせてリトアニアへの軍派遣を承認してもらいたいと思っている。そして、シリーズではおなじみのメアリ=パットDNI(国家情報長官)は、それに先立って、どうしても要員の足りないCIAを援護してもらうため、直接「ザ・キャンパス」を訪れ、その要請を受けてシャベスとドムの二人が先遣隊として情報収集のために現地リトアニアへ飛び、CIAリトアニア局長と行動を共にしている状態、が(1)(2)巻だ。なんかもう、我々日本人的には全然お馴染みではないけれど、読んでいるともうすごいリアルというか有り得そうな展開が恐ろしいですな。
 ◆眠れる熊ことロシア大統領ヴォローディンの狙い
 もう既に上の方で書いた通り、ヴォローディン大統領は、ロシアを裏で支配しているゼーレ的な「シロヴィキ」会議において、かなり立場が危うくなっている。その原因は、経済政策の失敗によるもので、要するにゼーレの連中は、自分の金を心配しているわけだ。原油価格の下落、主に東欧圏のエネルギー(天然ガス)を支配していたのに、ロシア離れが進んでいること、等によるロシアの影響力の低下はお前のせいだ、と責められてるわけです。
 なので、ヴォローディン氏は、実際殺されるかも、ぐらい心理的に不安な状況で、彼が取る行動は2つある。まず第一に、80億USドルもの個人資産を「洗浄」して、保全しようとしている。要するに完全なる私欲ですな。そしてもう一つが、原油価格をつり上げるような、危機の演出、だ。(1)(2)巻の段階では、様々な破壊活動や軍事行動で世界を不安定にしようとしているわけだが、ついでに、裏切り者のリトアニアもブッ飛ばして領土を広げようとも思っている(ようなポーズを取っている)。さらには、ヴォローディンの天敵ともいえるライアンUS大統領に対する脅しを強化するためにも(?)、現在、最新鋭原子力潜水艦をUS東海岸直近へ派遣・潜航させており、(1)(2)巻の段階では「最新技術で姿を消した」ミサイル原潜が大西洋を南下しつつある状況だ。ヤバし。
 まあ今のところ、わたしにはヴォローディン氏の一番の目的は80億USドルもの資産を安全に隠す(そしてハッピーな引退生活を暮らす)こと、そして何より「シロヴィキ」に殺されないことにあるように思えるので、あくまで「危機を演出」出来れば十分で、実際に戦火が始まる始まらないに関係なく、戦争を本気でやろうとは思っていないのではないかという気がしている。
 しかしそうなると……最終的にはまさかのUS亡命もあり得るんじゃないかと今後の続きをとても楽しみにしております。「レッドオクトバー」や「カーディナル」のように、ヴォローディンが亡命したら面白いのにな。でもその時には、たぶん金は全部取り上げられちゃうか……? でもまあ、ロシアに残っても命の保証はなさそうだし、金より命を取る可能性はナシじゃないような気がしている。ホント続きが楽しみす。
 ◆人材不足の折、ゆとりJrは全く困った奴よ……。
 「ザ・キャンパス」の人員は減ってしまい、シャベスとドムは現場に出ている中で、一方のライアン大統領の長男(Jr.)は、まずローマにて得意の金融情報の調査のために活動しているところから物語は始まる。のだが、まーたこの小僧は仕事をしながら女とイチャつくゆとりを見せ、余裕でヘマをやらかすのはもう読んでてアホかコイツとしか思えなかった。コイツは、そもそもまだガキなので、仕方がないと認めるにやぶさかではないですが、まあ、いまだに(大統領の子息という)立場をわきまえず、現場の工作仕事をしたがるし、女も大好きだし、実際のところ、かなり足手まといなのでは? という気がしてならない。確かに頭が非常にいいし、戦闘力もまずまずだけど、Jr.でなくてはならない理由は、ほぼないと思う。さっさとヘンドリー・アソシエイツはもっと経験豊富で、強くて、頭のイイ男をリクルートした方がいいと思いますね。あるいはアダム・ヤオ君あたりをキャンパスに入れちゃえばいいのにな。いや、彼は頭と度胸は超一流だけど戦闘力は低いかもだし、そもそもメアリ=パットが離さないか。『米朝』で使い捨てられたヴェロニカが生きていればなあ……。まあいずれにせよ、ザ・キャンパスの人材不足はかなり深刻で、人員補充が急務なのは間違いないと思う。
 あ、そういえば、本作では「レインボー」時代のクラークの知り合いが一人出てきて、なかなか良いキャラでした。おばちゃんなので戦闘力はないけど、そういや「レインボー」出身者をリクルートすればいいのにね。それが出来ない理由があるんだっけか?
 ◆ところでDPRK=北朝鮮って……
 まったく本作には関係ないけれど、ライアン世界では、前々作でついにUS大統領の直接暗殺という暴挙に及んだ北朝鮮。しかし現実世界ではまさかの米朝会談開催も見えてきつつあるほど、世界はあっという間に変化してしまった。これは、Tom Clancy大先生がご存命だったら予測しえてのだろうか……Clancy先生が生きてたら、今の情勢は驚いただろうなあ……
 ◆というわけで(2)巻ラストは……
 お話としては、シャベスとドムのいるリトアニアはいよいよキナ臭くなってきており、そしてヴォローディン大統領の資金洗浄のために、手下がビットコイン取引をしようとしている英領ヴァージン諸島には、クラーク直々に、超有能なアダーラ嬢とともに乗り込んでおり、ヘマをやらかしたゆとりJr.はDCに強制送還された状況にある。そしてヴォローディン大統領はお抱え国営テレビで何やら発表しようとしており……というところまでで、要するに、早く続きが読みてえ! という感じです。今のところ。

 というわけで、もうクソ長いので結論。
 いや、もう結論は上記の通り、早く続きが読みたい! の一言に尽きます。もちろんClancy先生ではなく、わたしの大好きな「グレイマン」シリーズの著者Greaney先生による物語だけれど、今のところわたしとしては不満はないです。はい。しかし、ホントJr.はなあ……なんつうか、もっと慎重に行動していただければと思います。そしてヘンドリー・アソシエイツの人材不足はかなり深刻ですよ。サムを亡くしたことは勿論痛いけれど、あと5人ぐらいは必要でしょうなあ……まあ、とにかく、しつこいですが早く続きが読みたいです。以上。

↓ 実はもう、US本国ではかなりシリーズの先の方まで発売になっている。本編は下の1作だけか。テロ系の話みたいすね。他は単独スピンオフかな。新潮社よ、早くしてくれ! 出来ないなら版権を文春辺りに譲れ!



 宝塚歌劇を観るようになって8年が過ぎた。宝塚歌劇は、花・月・雪・星・宙の5組あるわけだが、実はわたしが記載した順番がオフィシャルの「並び順」で、わたしが最も愛している星組は、4組、4番目に出来た組、にあたる。そして並び順として一番後ろに記載される宙組は、5番目に誕生した組であり、その歴史が最も新しく、なんと今年は宙組誕生20周年のアニバーサリー・イヤーとなっている。
 わたしは、約30年前の大学院生のころ、後輩の超かわいい女子が大のヅカファンで、そのころ周りにWOWOWに加入しているのがわたしだけだったため、その女子のたっての頼みで毎月WOWOWのヅカ放送をVHSに録画してあげていたことがあるのだが、あの当時、宙組はなかった。そしてわたしも、ほぼ宝塚歌劇には興味がなかった。しかし、そんな宝塚歌劇に興味のなかったわたしでも、日比谷の東京宝塚劇場の建て替えのことはよく覚えていて(なぜならわたしは映画オタクなので、今の東京宝塚劇場の横にあった日比谷スカラ座によく行っていたから)、1998年から取り壊して建て替える間だけの限定劇場として、有楽町駅前にあったTAKARAZUKA1000days劇場のこともよく覚えている。もちろんわたしは当時はヅカファンではなかったため、中に入ったことはなかったけれど、このタイミング、1998年1月1日に誕生したのが宙組なのだ。この宙組誕生は当時結構ニュースになっていて、ヅカファンではなかったわたしですら、うっすら覚えているほどだ。しかしあれからもう20年。ホント、なんつうか、時の経つのが速すぎて、なんかもう、ヤレヤレ、ですな。
 さて。以上はいつも通りどうでもいい前振りである。
 わたしは今日、現在東京宝塚劇場で絶賛上演中の宙組公演『天は赤い河のほとり/シトラスの風』を観劇してきたのだが、結論から言うと大変面白く、実に楽しめたのであります。今回の公演は、去年新たに宙組TOPスターに就任した真風涼帆さん(以下:ゆりか)の大劇場お披露目公演であり、ずっと星組を応援してきたわたしとしても、大変感慨深いのである。えーと、これはヅカ道初段以上の方にはわたしの気持ちが通じると思うけど、まあ、あとで説明します。いやあ、ホント、物語としても面白かったし、ゆりかちゃんのTOP姿も大変結構なお手前で、わたしとしては大満足の一日であった。

 今日の演目は、ミュージカルとレビューショーのいわゆる2本立てである。まず、ミュージカルの『天は赤い河のほとり』だが、これは小学館のフラワー・コミックスかな、篠原千絵先生による少女漫画が原作で、単行本だと全28巻と結構長い物語だ。わたしは、映画や芝居など原作が存在する場合はかなり高確率で原作を予習してから観に行く男だが、今回は原作を一切予習せずに観劇することにした。ええ、まあ、長くて、全部買うのがつらかったんすけどね、単に。なので、全く事前知識ナシで今日は日比谷に推参した次第だが、のっけから言っておくと、原作未読でもキッチリ物語は理解できたし、楽しめたのは間違いないと思う。物語は、現代の女子高生(?)ユーリが、なんと古代オリエント、ヒッタイト族の支配する国へタイムスリップ、そこで出会ったイケメン王子カイルと恋に落ち、帝国建国のカギとなる様子を描いたものだ。
 わたしはそれほど古代オリエント史に詳しくはないが、ヒッタイトと言えば鉄器、ぐらいの知識しかなく、ずいぶんとマニアックな設定だな、と思いながら見ていたのだが、ズバリ言うと結構トンデモストーリーで、なんで言葉が通じるんだ? とか、普通の女子高生にしては相当様々な能力が高いな、とか、どうでもいいツッコミを入れたくなる物語であった。
 けれど、まあ、そんなのは野暮の極みなのでどうでもいい。カッコいい男たちとヒロインの歌に酔いしれれば、もうそれでいいのです。それに、物語はなかなかダイナミックでピンチの連続であり、最後まで飽きさせない作りは大変楽しめたし、わたしとしてはもう、十分以上にアリ、だと思う。
 というわけで、本作の主人公カイルを演じたのは、当然のことながら宙組TOPスターとなったゆりかちゃんである。彼女は、元々星組で育ち、その後2015年かな、宙組へ移ったお方なのです。なので、わたしは彼女が星組で活躍していたころを何度も観ており、あの当時は、3番手とかそれ以下の若手スターの一人であったわけで、そのゆりかちゃんがとうとうTOPに登極した姿を見るのは、やっぱりうれしいし、感無量なわけです。ホント、ゆりかちゃんは超イケメンだけど、かつては歌が……という弱点があったけれど(ファンの皆さんサーセン!)、やっぱりわたし的には2年前の『エリザベート』でのフランツを見事に演じきった経験が効いているような気がしますね。もう今や、グンと歌も良くなって、TOPとして堂々とした姿は眩しいほどでありました。今回は衣装もとてもカッコよかったすね。髪型もとても似合っていたし、純粋なイケメン度は、わたしの感覚では現役最強クラスだと思う。
 しかし、その主人公よりも、実はわたしが本作で一番カッコいいと思ったのは、主人公の友軍(?)であり、後に闘うことになるライバルキャラの、エジプトの将軍ラムセスだ。彼は後の古代エジプト第19王朝の初代ファラオ、ラムセス1世のことで、ちょっとした歴史知識があると、おお、とか思ってしまうキャラなのだが、演じた芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)が大変素晴らしかった!! いやあ、キキちゃん、もう宙組の一員としてすっかりなじんでいるように見えて、ホント安心したよ。キキちゃんも、実は元星組で、わたしはその頃を2回ぐらいしか見ていないけれど、その後、花組へ移り、花組の2番手として順調にキャリアを積んでいたのだが、去年、わたし的には結構前触れなく急に宙組に異動になって、ちょっと心配してたのです。しかし、全然心配いらないみたいで安心したっすわ。今年の初めの国際フォーラムでの『West Side Story』はチケットが取れなくて、キキちゃんが宙組の舞台に立つのを今日初めて見たけど、大変カッコ良く、歌も芝居もまたレベルアップしたような気がしますね。今回のキキちゃんは、花組時代よりもなんか生き生きしてたように感じたっす。そもそも、宙組は平均身長が一番高い、スラッとしたイメージがあるけど、身長面でもキキちゃんは実は宙組がお似合いだったんだね。この異動は正解だったと思いたいす。最高でした。
 そして、ある意味、キキちゃんの宙組異動の割を食ってしまったように感じたのが、ずっと宙組で頑張ってきた愛月ひかるさん(以下:あいちゃん)だ。今回は……ちょっと出番少なかったような気がするなあ……あいちゃんは、どうだろう、世間的には演技の人、かなあ? 今回の役は、最初は主人公と敵対する「黒太子」としてビジュアル的にも非常に目立つ役なのに、終盤、主人公の味方として戦力に加わるのはちょっとよく流れが分からなかったかも。おそらく原作ではもっとエピソードの多い重要人物なのではないだろうか……。あいちゃんはわたしの地元出身なので応援してきたのだが、キキちゃんと同期であり、序列として、キキちゃんの下になってしまったわけで、なんか、ちょっと複雑すね……。でもこれからも応援したいと存じます!
 そして、わたしが宙組を観る時に必ず双眼鏡でチェックするのは、若手の和希そらくんだ。わたしのヅカ友の若い女子がファンクラブに入っているので、つい目が行ってしまうのだが、今回のそらくんは、それほど目立つ役ではなかったのもちょっと残念だったかも。でも、明らかにそらくんはダンスの人で、ダンスのキレはピカイチでやっぱり目立ってたすね。そらくんも若手とはいえ96期、もう新公学年(入団7年目まで)は卒業しているわけで、中堅として組を支える貴重な戦力に育ちましたな。この公演の後には初めてのバウホール主演も控えているし、今後も応援するよ!
 あと二人。ヒロインの女子高生を演じた、宙組のTOP娘役、星風まどかちゃんにつていも一言メモしておくと、まあ、可愛いですな。そして歌もやっぱり相当イイすね。100期生、まだ入団4年目と若さあふれる娘役で、初々しさがありますな。彼女もこの公演が大劇場お披露目なわけで、まあ、余人には計り知れないプレッシャーで押しつぶされそうな気持ちだろうなと思う。でもそれを感じさせない、舞台上の堂々とした姿はとても素晴らしかったすね。アカン、もう完全にお父さん目線でしか観られないす。わたしはまどかちゃんのこれまでをほとんど注目してこなかったけれど、今後はしっかり、その成長を見守りたいと存じます。
 最後。本公演をもって退団を発表されているのが、マギーさんこと専科の星条海斗さん。見た目も声も、とても特徴あるマギーさん。舞台に登場すると一発でマギーさんだ! と分かる存在感はさすがだと思います。月組時代からずっと舞台上のマギーさんを観てますが、これで見納めかと思うと淋しいすね。マギーさんは86期か。つまり凰稀かなめさんやキタさん(緒月遠麻さん)と同期か。専科の方は退団セレモニーとかあるんすかね? 淋しいすなあ……。
 というわけで、後半は「ロマンチック・レビュー」の『シトラスの風』である。この演目は、宙組創設時の第1回目の公演演目であり、宙組を代表するレビューショーだ。実はわたしは、映像でしか見たことがなく、生で観るのは今日が初めてなので、それほど思い入れはないのだが……でもやっぱり、耳に残るイイ曲がそろってますねえ! とりわけ、ラスト前の「明日へのエナジー」は、とてもグッとくるすね。わたしの隣の席の淑女が、ずっと涙を流されて感動していたのが印象的でした。わたし的にこの曲は、LEGENDちえちゃん(柚希礼音さん)の武道館コンサートでお馴染みなのだが、生の『シトラスの風』はやっぱり大変良かったです。ここでは、やっぱりキキちゃんにわたしは注目していたし、そらくんのダンスのキレは素晴らしく、やっぱり目立ってたと思います。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 カイル「ユーリが世話になったようだな!」
 ラムセス「ああ、お前がほったらかしているようだったからな。ちょっと可愛がらせてもらったぜ!」
 カイル「じゃじゃ馬で面倒かけただろう!?」
 ラムセス「なかなか乗りこなしがいのある馬だったぜ!
 カイル「本当に乗りこなせたのか?」
 ラムセス「心配ならもう二度と離さないことだな!!
 今回は、ラストのカイルVSラムセスの闘いの幕を切って落とす二人のやり取りを選びました。ここのキキちゃんはすげえカッコ良かったすね! ラムセスも、すっかりヒロインLOVEになりつつあって、カイルへの当てつけ的なこのやり取りはしびれるカッコ良さだったす! キキちゃん、宙組でも一番応援するからな!

 というわけで、もう取り留めないので結論。
 現在、日比谷の東京宝塚劇場で上演中なのは、コミック原作のミュージカル『天は赤い河のほとり』と、宙組設立20周年記念?のロマンチック・レビュー『シトラスの風―Sunrise―』の2本立てである。わたしはコミック原作を予習しないで観に行ったのだが、結論としては全然大丈夫であった。そしてなんといってもビジュアルが非常にカッコいいし、新TOPのゆりかちゃんのイケメンぶりは最強レベルであろうと思う。そして宙組へ異動になったキキちゃんもカッコ良かった! ただ、その分あいちゃんが割を食ってしまっているようにも思え、その点はとても複雑な思いである。とはいえ、いずれにせよ宙組の新体制は盤石だと思うし、これからも応援したいと思うお披露目公演でありました。そしてマギーさんの最後の雄姿をずっと忘れずにいたいと存じます。千秋楽まで、すべてを出し切って駆け抜けてください! お疲れ様でした! 以上。

↓ こちらが原作コミックですな。実はすごい読みたい。誰か持ってないかなあ……。自分で買うしかないか……。

 先日の夜、まったくやることがなく、また同時に何もかもやる気にならず、この先の人生が後どれだけあるか知らないが、果たしてオレはこんな夜をあと何回迎えればいいのだろうかという人生の虚無について思いを馳せていたところ、急にHDDレコーダーが動き出し、ビクッとして、主たるオレが何もヤル気がないのに、君は勤勉だなあ、一体何を録画しようとしてるんだい? と、録画の予約をしたのはわたし自身なのに、まったく覚えになく、TVの電源を入れて確認してみると、何やらWOWOWで洋画を録画し始めたことを知り、ほほう、どんな映画か知らないが観てみっか、という気になった。
 わたしはこの映画の内容をまったく知らず、ただ単にタイトルが気になったので録画予約をセットしたものと思われるが、その作品のタイトルは『THE AUTOPSY OF JANE DOE』(邦題はそのものズバリ「ジェーン・ドゥの解剖」)というもので、観終わった今、感想を一言で言うと、結構面白かった、のである。一応言っておくと、あくまで「結構」であって、すげえ面白かったとか、ぜひ観ろ、おすすめですよ、というつもりは全くない。
 というわけで、以下ネタバレに触れる可能性が高いので、知りたくない方はここらで退場してください。

 まず物語は、上記予告の通りである。ところで、John Doeという英語は説明した方がいいだろうか? いわゆる「身元不明死体」のことで、日本語で言うところの名無しの権平とか土座衛門とか、まあそんな意味だが、要するにJane Doeとはその女性版、身元不明の女性死体のことである。物語は、冒頭、凄惨な殺人事件現場を検証している警察の様子から始まる。なにやら家から外へ出ようとしていたらしい血まみれ死体が数体。一体何が起きたのか? 分からないまま検証を続けると、地下室に、半ば埋められている全裸の美女の死体が。ぱっと見外傷も一切なく、死因不明で身元不明、死亡推定時刻すら不明の謎の美女死体。そんな死体が、片田舎の個人経営の検死施設兼火葬場に持ち込まれ、その検死所を経営する検視官とその息子が、謎の死体の死因を追求するのがメインのお話の筋だ。しかし、嵐の夜に持ち込まれたその死体の解剖が進むにつれて、謎が謎を呼び、さらには超常的な現象が次々と起きて―――てな物語である。
 わたしは物語をまったく知らず、まさかスーパーナチュラルな方向に物語が展開していくとは思っていなかったので、徐々に怪しい現象が起きていく様には、素直にドキドキし、コ、コイツはヤバいぜ……と楽しめたのだが、それはおそらく、後のスーパーナチュラル展開と対照的に、冒頭から解剖され所見が加えられていく過程がリアルで現実的な描写であったことが良かったのだろう、という気がしている。
 その模様は上記に貼りつけた予告通りで、きちんと段階を踏んでいて、まずは見た目、外見的所見から始まる。死体には外傷なし、つまり全く傷ひとつなく綺麗であるのが特徴なのだが、触診していくと、死後硬直も死斑も全くないものの、どうやら両手首と両足首が骨折していることが分かる。これは……長時間手足を縛られ拘束されていたのだろうと推測されるも、外傷がまったくない理由は不明である。そして身体的特徴として、ウエストがやけに細いことも、先天的なのかさっぱりわからない。また、科学的な証拠物としては、手足の爪や髪には、なにやら黒い土? のようなものが付着している。これは……? と調べると、どうやらそれは泥炭であるらしい。
 わたしは泥炭ときれいな死体、ということで、ずっと前に読んだ小説に出てきた「湿地遺体」のことを思い出したが、舞台はヴァージニア州の片田舎であり、泥炭はもっと北部の州でないとあり得ず、これは北部から運ばれてきた死体なのか?という推察しかできない。また、口を開かせてみると、なんと舌が、まるでむしり取られたかのように欠損していることも判明し、鼻からは謎の繊維が、そして膣内は無残な裂傷が多数付けられており、これは誘拐され、監禁され、性奴隷として扱われた女性なのか? という推測に至る。
 そして検死第2段階として、いよいよ解剖、まずは胸のY字切開を行う検死官親子。すると、通常有り得ないことに、死体からは血が流れ出す。そんなバカな? と思う息子に、死後数時間なら十分あり得ることだ、と言い聞かせる父も動揺はしている。そして肋骨を切除し、内臓の所見に移る。問題となるのは肺と心臓だ。肺は真っ黒、一日タバコを3箱、20年間吸わないとこうはならないというレベルの状態。そして心臓や内臓には、傷跡めいたものが無数に見える。外傷なく内蔵に傷をつけることが可能なのか? さっぱりわからない二人は、胃の内容物を調べる。と、そこには、なにやら呪術めいた図案が書き込まれた布に入れられた歯が。おまけにその文様を解読すると、どうも17世紀末を示すローマ数字が。そうか、異様に細いウエストはコルセットで縛り上げられた状態が普通だったためのものか? そしてこの死体は、何らかの宗教儀式によるいけにえ的なものなのか? という推測は、17世紀末、そして北部、宗教儀式、という連想から、まさかこれは「セイラム魔女裁判」の犠牲者なのか? という驚愕の推測へつながってゆくのであった―――てな展開でありました。
 わたしは偶然、泥炭の中から見つかる「湿地遺体」も知っていたし、「セイラム魔女裁判」のことも以前本で読んで少し詳しく知っていたので、この、徐々に謎が解き明かされていく流れは非常にドキドキし、楽しめたと言える。しかし問題は後半のスーパーナチュラル展開だ。まあズバリ言うと、中の上、あるいは上の下、ぐらいだと根拠なくわたしは感じたが、残念ながらよくあるパターンというかどっかで見たことのある展開であった。結末まで、とりわけ怖いとは感じなかったし、そう来ますよね、はい、な安定の定番展開であろうと思う。実際、じゃあこうすればもっと面白くなったんじゃね? というアイディアも浮かばないしな……。ただし、だからと言ってつまらなかったわけでは決してなく、最後までわたしは楽しめたので、わたしとしてはアリ、としておきたい。
 本作で、ここが見事、とわたしが褒め称えたいのは、上記に書いた通り前半のリアルで現実的な描写及び物語れの流れと、もうひとつは美術、というか撮影・演出面だ。まず、何よりも先に挙げたいのは、問題の「死体」の美しさである。これは美女であるという点ももちろん効果を上げているけれど、妙に「死体」にひきつけられるんだな。死体が美しいというのもかなり変な表現だけど、妙に引力のある遺体で、どうやらメイキング映像によると、女優と人形を巧みに使い分けて撮影しているらしく、CGが使われているかどうかはよくわからないけど、とにかく本物感が強い。しつこいけど、とにかく引き付けられるのである。見せ方もかなり巧みだったと思う。監督はノルウェー人のAndré Øvredalと言う人で、全然知らんわ、新人か? だとしたらなかなかのワザマエじゃんか、と思って調べたら、なんと『TROLL HUNTER』を撮った監督であった。まあ、あの映画は、いわゆるフェイク・ドキュメンタリー(モキュメンタリー)モノとしては普通の出来栄えで、わたしはそれほど評価はしないけれど、どうやら着実に腕前は磨いてらっしゃるようですな。次回作以降も期待したい監督として、名前を覚えておくこととしたい。
 最後。役者陣について短くまとめて終わりにしよう。まず、検死官父を演じたのがベテランのBraian Coxx氏71歳。大変渋く、演技ぶりは何一つ問題ナシだと思う。そしてその息子検死官助手を演じたのがEmile Hirsh氏33歳。この顔は観たことがある、けど誰だっけ?と分からなかったのでGoogle神にお伺いを立てたら5秒で判明した。この方は結構いろいろな作品に出演しているけど、わたしが一番印象に残っているのは『LONE SURVIVOR』のダニーだ。一番若くて(?)、一番酷い殺され方(? 半死半生の状態で敵に捕まって、せせら笑うタリバンどもに額に一発撃たれて殺される)をした彼すね。なんか本作ではもっと若い役柄のような印象だが、まさしく彼でした。そして肝心の死体、Jane Doeを演じきったのが、Olwen Kellyさんというアイルランドの女優らしい。ぜんぜん知らない方すね。生きた表情の写真がないか探したら、インスタをやってるようなのでリンクだけ貼っておきます。なかなかの美女、なんだけど、妙に前歯がすきっ歯なのが気になってしょうがないす。 

 というわけで、結論。
 まったく気まぐれに、WOWOWで放送した『THE AUTOPSY OF JANE DOE』という作品を観てみたところ、前半の妙にリアルな展開はかなりドキドキしたものの、後半のスーパーナチュラル展開は、よくあるような流れで、ちょっとだけ物足りないような気がした。ただし、その前半部分の雰囲気と、Jane Doe(身元不明女性死体)そのものが持つ妙な引力はなかなかであり、結論としては結構面白かった、と言えると感じた。なので、アリ、です。わたしとしては。上映時間も86分と短く、最後まで高い緊張感が保てていて、監督はなかなかのワザマエだと思います。以上。

↓ わたしは最初、この映画を思い出し、死体の生前をたどる展開なのかと勝手に想像してました。結果的には全く違う物語でありました。そしてこちらの映画は……後半の犯人たちのグダグダな展開がちょっとアレです。前半はすげえ良かったんだけどなあ……。
アリス・クリードの失踪 [DVD]
ジェマ・アータートン
東宝
2012-01-27

 連載開始は2003年の3月だそうだから、もう15年も前のことだ。当時わたしは営業部にいて、この作品に関しても、結構な思い入れがあるのだが、先月の末に2年半ぶり? の新刊が出たので、買わないと、と思っていたものの、近年のわたしはすっかり電子書籍野郎になっているため、すっかり買うのを忘れており、昨日、ふと、ヤバイ、そういや買ってねえじゃん、ということに気が付いてさっそく本屋さんでとあるコミック単行本を購入してきた。
 それが『よつばと!』の最新第(14)巻であります。
よつばと!(14) (電撃コミックス)
あずま きよひこ
KADOKAWA
2018-04-28

 この作品に関しては、まあいろいろと言いたいことがあるのだが、それを端的にまとめると以下の2点に集約される。まず第一に、わたしは本作を制作しているよつばスタジオが好きではない。ま、理由はいっぱいあるのだが、電子書籍を出さないことやもろもろの理由はこの際どうでもいい。とにかく好きではない。しかし第二に、制作者がアレである一方で、作品そのものは――実に悔しいことにーー、超・面白いのである。この作品はおそらく誰もが楽しめると思うし、ある意味癒される内容だと思う。なので、いつも、ちっくしょう、おもしれえ……と思いながら読み、いつの間にか頬が緩み、あまつさえ、声に出して笑ったりしている自分を発見して、再び、くそう、とか思ってしまうのである。ええ、分かってます。自分が偏屈で狭量で歪んでいることぐらいは。そんな、ひねくれた心の優しくない冷血人間のわたしでも、このマンガをつまらないとか否定することは決してできないのだ。そうです。この漫画は、認めたくないけど、やっぱり最高に面白いのです。
 帯によると、既にシリーズ累計部数は、国内1,370万部+海外300万部だそうだ。まあすごい数字であるのは間違いないけれど、それでも日本国民全員が知っている国民的漫画であるとは全く思わない。知らない人の方が全然多いのは間違いなかろう。しかしまた、少なくともマンガを読む習慣がある人なら大抵はご存知の作品だろうと思う。なので、もういちいちキャラクターなどは詳しく説明しない。結構Wikiに詳しく書いてあるので、詳細はそちらへどうぞ。どういう物語かを端的にまとめると、5歳児の「小岩井よつば」なるチビっ子の日常を追うだけのもので、そこには劇的な何かがあるわけでもなく、そこら中にある「日常」が描かれているだけのものだ。
 じゃあ、なんでそんな物語がそこまで面白い、とわたしが絶賛するかというと、やっぱりキャラクター造詣がお見事だからというほかなかろうと思う。完全なる自由なふるまいのよつばはもちろんのこと、そのよつばの自由を守る大人たち(子供もいるからよつばより年上の人々というべきか)が、本当にそこらにいそうな普通の人なのに、素晴らしく共感できてしまうのだ。
 まず、よつばは5歳児である。まあ、一般的に5歳児なら幼稚園に通うものかもしれないが、よつばは幼稚園には通っていない。現代社会ではかなり稀なのではないかと思うが、実際のところ幼稚園に行く義務なんぞはなく、在宅で仕事をしている「とーちゃん」こと小岩井葉介が毎日そばにいるので、行く理由も実際のところほぼなかろう。日々、起きて、とーちゃんの仕事を邪魔しながら過ごし、昼飯を一緒に喰って、午後も一緒、そして夕飯を食って寝る。それだけだが、よつばの言動は実に5歳児らしく生き生きしている。
 そして一緒にいるとーちゃんだけでなく、お隣の綾瀬家の人々、とーちゃんの友達のジャンボややんだ、そして綾瀬家の友達の人々や街の人々も、皆よつばを可愛がる。そりゃそうだ。だって、可愛いもの。わたしはいつも、人んちのガキなんぞ可愛かねえ、と思っているが、無責任に数時間だけならば、よつばを可愛いと思えるのは間違いないと思う。そう、恐らくわたしが本作を読んで面白いと思うのは、きっと所詮は人んちの可愛いガキ、という目線で単純に愛でているだけだからなのではないかと思う。ある意味、孫を愛でるおじいちゃん目線なのではなかろうか?という気もするが、まあ要するに、よつばに対して何の責任も負っていない他人だからなのではないかとわたしは感じている。
 冷静に考えれば、やっぱりよつばは幼稚園にやった方がいいんじゃないか、とか、5歳児にしてはもうチョイしっかりしてほしいとか、いろいろなんだか心配になって来るほどよつばは自由気ままな毎日を過ごしているのだが、それを一切感じさせないのは、よつばが可愛いから、と同時に、よつばに対して別に何の責任もない他人だから、のような気がする。
 まあ、実際のところそんなわたしの思いはどうでもよく、ただ読んで、楽しめればそれでいいわけで、今回の最新(14)巻も大変楽しませていただいたのは間違いなく、今回もまた、ちくしょう、おもしれえ、というのがわたしの感想である。
 というわけで、今回の(14)巻に収録された各お話をエピソードガイドとして短くまとめておくか。確実にどんなお話だったか忘れるのは間違いないので。なお、そもそも本書のタイトル『よつばと!』というのは、「よつばちゃんと〇〇」という意味で、各お話のタイトルもそうなっている。
 なお、以下は完全ネタバレですが……別に構わないすよね? いや、構うか。ネタバレが困る人は以下は読まないでください。
 ◆第91話:よつばと「しごと」
 冒頭、ジャンボととーちゃんが何やら荷物を搬入している。それは丸テーブルで、組み立てセッティングする二人。とーちゃん曰く、(よつばと)一緒に座れるし、おしゃれかと思い購入したらしい。そしてここでバリバリ仕事をする、出来る男、を演出したいらしい。それを聞いたよつばもさっそく椅子を持って来て、自分も仕事をするという。よつばの仕事は何だ? と問うジャンボが、よし、じゃあこれをやるといい、と手土産に持ってきたものは、ビーズのセット。それを使って三人はアクセサリーを作り始めるのだった―――的なお話。まあ、とにかくジャンボはイイ奴で、よつばもジャンボは大好き。色とりどりのビーズに心ときめかせたり、とーちゃんにビーズを嫌々?あげる様子など、とてもよつばらしい行動はやっぱり頬が緩みますなあ……。
 ◆第92話:よつばと「ヨガ」
 いつも通り部屋で、新調した丸テーブルで仕事をするとーちゃん。そしていつものように、とーちゃんに絡みついて来るよつば。そんなよつばが突然、ヨガに行ってきていい? ととーちゃんに問う。聞くと、どうやらお隣の女子高生、綾瀬風香ちゃんとその友達のしまうーが無料体験のチケットをゲットしたため、よつばを誘ったのだという。そんなわけで、ヨガ教室へ向かう風香・しまうー・よつばの楽しいヨガが始まるーーー的なお話。子供なので体の柔らかいよつばが、ヨガのポーズを自在にできるのに対し、体の硬い風香としまうーの苦戦ぶり、そしてテキトーぶりが読んでいて楽しい!
 ◆第93話:よつばと「おひめさま」
 童話を読んでいるよつば。なにやらよつばも女の子として、「お姫様」がブームになった模様。髪にビニールひもをながーーく垂らし、どうやらラプンツェルにインスパイアされてるらしい。それを理解できないとーちゃんにおかんむりのよつばは、隣の綾瀬家へ。そしてソファーでまったりしていた綾瀬家の長女で女子大生のあさぎは、よつばを一目見るなり、長い髪してどうしたの、とよつばの意図を理解して、よつばはご満悦。そんなよつばに、あさぎはゴミ袋を使ったドレスを仕立ててあげるのだったーーー的なお話。あさぎは本作に出てくる大人の女性の中で、一番のよつばの理解者だし、よつばも一番尊敬?しているような気がしますね。もちろん一番の美人。
 ◆第94話:よつばと「まえのひ」
 何の「前の日」かというと、次以降のお話でよつばは「とうきょう」へ「こはるこにくるまをもらいにいく」のです。そのため、よつばはいろんな人に「東京に行くならどこへ行くべきか?」を取材しているのです。綾瀬家のお母さんは銀座、あさぎ姉ちゃんは新宿と渋谷、綾瀬家三女で小学生の恵那ちゃんは東京タワー、そして風香は原宿、あさぎ姉ちゃんを迎えに来た虎子は代官山、と様々。そしてとーちゃんがスマホを買ったと知って家にやってきたジャンボは、人がいっぱいいるから迷子になるなと注意し、やんだは東京で一番気を付けるのは自動改札だ、なんて言う。そんな、翌日東京へ行くわくわくのよつばであったーーー的なお話。
 ◆第95話:よつばと「はらじゅく」
 というわけで、とーちゃんと東京へやってきたよつば。やんだに注意されていた自動改札で、ちょっと失敗して落ち込むも、すぐに元気を取り戻し、約束までに時間があるからどっかぶらつこう、というとーちゃんの提案に、ちょうど山手線は原宿に着き、原宿をぶらつくことに。とーちゃんとクレープを食べたり原宿を楽しむよつばであった―――的なお話。よつばのしょんぼりフェイスや怯え顔もイイすねえ。つうか、小岩井家はどうやら西武池袋線?の沿線の埼玉県ようですな。小手指あたりな感じ、みたいすね。
 ◆第96話:よつばと「よよぎこうえん」
 東京に来た目的である「こはるこ」と代々木公園で合流する話。合流するまでのよつばの行動もいちいち可愛い。そして「こはるこ」=小春子で、前巻(13)巻でばーちゃんの口から出ていた人物だが、なんととーちゃんの妹、であった。そして黒髪&眼鏡の大変な美人! そして、小春子が兄に、もう乗らないから、と譲った車はなんとMINIコンバーチブル! マジかよ、なんてシャレオツな車なんだ! まあ、こういう車の選択も、わたしがよつばスタジオを好きでない理由だけど、よかったね、よつば! これでどこにでも行けるぞ!
 ◆第97話:よつばと「ランチ」
 普段よつばが行ったことのないようなところ、として小春子が連れて行ってくれたのは、東京駅近くの高級ホテルのランチビュッフェ(ただしとーちゃんのおごり)。あまりに多くの料理に戸惑い怖がりつつもランチを楽しむよつばであった―――的なお話。そして正月にばーちゃんちでの再会を約し、電車で帰る小春子と別れ、帰りはMINIの屋根を開け、高速を使って帰る二人。これでいっぱいいろんなところへいける、と楽しみだなーと言うよつばで幕でありました。

 というわけで、結論。
 久しぶりの新刊となった『よつばと!』第(14)巻を発売から2週間ほどしてからやっと買ったわたしである。なので結構今さらなのだが、読んでみるとやっぱり面白く、ホント、たまに読みたくなるんすよね、この漫画は。全巻常に本棚に揃えておくべき作品とわたしは思うのだが、マジで電子書籍がないのが残念だ。電子書籍で発売されていたら、常に持ち歩いて、まだ『よつばと!』を知らない人にもすぐに読ませてあげられるのにな。そしてふとした時に、いつでもよつばに会えるのに。その点は残念ですが、まあ、とにかく読んでもらいたいすね。まず間違いなく、誰しも読んで頬が緩むこと請け合いだと思います。つうか、次はいつ発売になるんだろうなあ……まーた2年とか先なんだろうなあ……完結の日が来るのか知らないけど、それまでわたしは生きてないような気がしますな。よつばが小学生になる日は来るのだろうか。ま、生きている限り、孫の成長を愛でるおじいちゃん目線で、よつばの成長を見守りたいと存じます。以上。

↓ 全巻必携でしょうな、間違いなく。あ、こんなセットが売ってら。

 



 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つうかですね、この週末から大相撲5月場所が始まるわけですが、わたしもチケット争奪に参加してみたものの、いい席は獲れず、生観戦は諦めました。はーーー残念す。そして注目の番付は、世の中的には3横綱や、大関取りを目指す関脇・栃ノ心関、そして久しぶりに関脇まで上がった逸ノ城関や、とうとう小結となった遠藤関、あるいは再びの入幕を果たした安美錦関など、見どころの多いものとなっておりますが、わたしとしては、最も応援している松鳳山裕也君が東前頭2枚目に付されたことに、大変喜んでおります。そして、何気に入幕後2場所連続2ケタ勝利を挙げている阿炎政虎君も、西前頭2枚目と、松鳳山関と同格で上位陣総当たりとなる位置につけており、果たして阿炎関の強さは横綱・大関陣に通用するのか、大変注目しております。
 そして、ふと松鳳山関のTwitterをチェックしたら、こんな素敵なお写真が!
 ちょっと、これヤバくないすか!? わたし的ヤバイポイントその1)松鳳山関の浴衣の柄が何気にシャレオツ。カッコイイじゃないの! その2)両者の表情が最高すぎるw 阿炎関w そして松鳳山関が黒い! なんでこんなに黒いんだろうか……w その3)松鳳山関の腕毛と胸毛と無精ひげがヤバイww 最高ですよ、松鳳山関は。マジで後援会に入ろうか検討中です!
 というわけで、わたしとしては5月場所が大変楽しみであります。
 さて、それではまずは今週の週刊少年チャンピオン2018年24号概況です。
 ■巻頭グラビア:今週は電子も紙雑誌(?未確認)もナシ、のようです。
 ■聖闘士星矢:闇からの蘇生の。久々連載復帰! 物語が思い出せない……!
 ■弱虫ペダル:のこり7kmの緊迫の巻。さあ、最終バトルPart1が始まりそうです!
 ■疵面:2つの源王会の巻。花山君の怒りはヤバそうす。
 ■BEASTERS:漆の器が2つ並んだような眼の巻。イケメンのピナ君がイイすね!
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:デート・オア・グルグルドーン!の巻。最高すw ぐるぐるどーん!
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年24号でありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 前号は、突如現れた鯉太郎の母による回想がメインで、不忍池のほとりの「例のベンチ」で話を聞いた椿ちゃんが「何があっても(鯉太郎)を一人にはしない、相撲がなくなったら何もなくなるなんて、私がさせない!」と決意を新たにし、鯉太郎母を鯉太郎に会わせるべく国技館へ向かい、一方鯉太郎は国技館に到着して少年ファンににっこりサインをしてあげるシーンで終わりました。
 そして今週はカラー扉から始まります。いい絵ですねえ! そして本編は、国技館前の様子にNHKアナの解説がかぶさって始まります。わたしも国技館前で力士たちが国技館入りするのを眺めたことがありますが、やっぱり興奮しますよあれば。ふつーーに歩いている力士は、ちょっと近寄れないオーラがありますね。そして、NHKアナの言葉にひとつ重要な情報がありました。
 なんと、横綱【泡影】がここまで全勝なのはもう分かっていることですが、驚いたことに、「角界の怪鳥」でお馴染みの大関【天鳳】も「今場所好調! ここまで負けなし」だそうです。なるほど、そうなんですね。【白水】兄貴との対戦で気分良くなっちゃったんでしょうな。こうなると、鯉太郎の「あと一人の対戦相手は誰なんだ問題」は、【天鳳】になるのでしょうか? そしてNHKアナの言葉は続きます。
 「そしてまだ負けなしの力士がもう一人 この力士が勝ち残ることを誰が予想できたでしょう!? 今日も奇跡の一番を見せるのか 幕内14枚目 鮫島!! しかしその鮫島 今日の相手も強者! 虎城部屋 猛虎!! 昨日は激戦の末 鮫島は王虎をくだしましたが この快進撃をどう見ますか虎城さん…」
 というわけで、虎城理事長がそれに応えて語ります。その背景には支度部屋で大吉にテーピングをしてもらう鯉太郎が描かれております。
 「「化ける」という言葉があるが まさにそれでしょうな… 勘違いしては困るが突然簡単に強くなったということではないですよ…長い月日 毎日を必死に鍛錬しつづけ まさに死線といっていいギリギリの勝負を越えて手に出来る 強さ…全ての者がその強さを手に出来るというものでもないが 「化けた」と感じるほどの強さを得るとは 必然的にそうなるもの… そして猛虎もまた それを繰り返し昇ってきた男… そのへんは鮫島と猛虎… この二人はよく似てるのかもしれない…」
 そして描写は【猛虎】さんサイドの支度部屋の模様に移ります。全力で当たってこい、と田上さん改め【稲虎】関に指示する【猛虎】先生です。おっと、【王虎】さんも目を閉じて腕組みして集中している様子です。
 「ただ鮫島は今日の取組 いつものようにはいかないでしょう…」
 【稲虎】関の気合の入った表情からのブチカマシ! あーーっと!? ページをめくった先では、その渾身の当たりを、【猛虎】先生はいともたやすく受けるの図です! しかも、それはガッシイイィィィーーン! 的なものではなく、「パスッ…」と全てを静かに吸収したかのような受け。こ、これは、横綱【泡影】の極意、北斗の拳で言うところの「柔」の拳か? 理事長の言葉はまだ続きます。
 「虎城部屋の中で…いや…今までの弟子の中でも 一番私の相撲を 理解している…」
 ぶつかって止められた【稲虎】関は心の中で「本当に…どういう仕組みで なんでこうなるか分からねーんだよな…」と思います。た、確かに。わたしも分からないですが、【王虎】さんに「だからお前はダメなんだ稲虎…」と言われそうなので、心の中だけにしておきましょう。そしてNHKアナも問います。
 アナ「おお…大横綱虎城の相撲…それは具体的に言いますと…」
 理事長「ピンと空間を把握し ピッと距離を掌握し 土俵を意識下で フッーーつと捕らえることですな…」
 アナ「?」
 いや、こりゃ分からんわ……しかし努力の天才【猛虎】先生は、この難解な虎城語の翻訳メモを完成させてきた男ですので、通じるのでありましょう。【猛虎】先生は【稲虎】さんとのウォーミングアップも完了、準備万端な様子です。
 「悪いな稲虎…十両のお前に相手させてしまって…」
 「いえ…俺の力なんかでよかったらいくらでも…ただ…俺ごときのブチカマシが 鮫島の代わりになるとは思えないのですが…」
 「心配ない…鮫島の相撲は 俺には届かない…」
 かー、カッコイイすねえ! 【猛虎】先生さすがっす。そして描写は鯉太郎サイドの支度部屋へ移ります。四股を踏む鯉太郎。そのパワフルな四股に、常松こと【松明】関も息をのんでおります。
 「スゴイ…どうなってるんだ…この力強さは…」
 しかし鯉太郎としては、納得のいく四股ではなかったようで、それはどうも、鯉太郎もワクワクが止まらない気持ちでいるからのようです。
 「クソ ダメだ…コレじゃねぇんだ…どうしても 相撲が取れる嬉しさが溢れちまう」
 そして大吉がそろそろ出番ですと呼びに来ました! 「オウ!」の一声で土俵へむかう鯉太郎。一方の【猛虎】先生の元にも。そろそろ…と若い衆が声をかけます。「あぁ…」とクールに浴衣を脱ぐ【猛虎】先生。その瞳は、チラリと横綱【泡影】へと向けられます。
 「証明しないといけない…俺の相撲は…横綱虎城の相撲は最強なのだと…来場所こそ泡影を倒せる それに必要な最後の力を俺はここで手に入れる…」
 というわけで、いよいよ両者花道に登場、場内大歓声の図です! どうやら歓声は鯉太郎有利の模様です。嬉しいすねえ! かつてはあんなにヒールだった鯉太郎なのに、こんなにも応援されているなんて。これも鯉太郎が勝ち取ってきたものなのでしょうなあ……胸熱すわ……。NHKアナの実況が続きます。
 アナ「完全に場内を味方につけてますねー…これは猛虎のアウェー感は拭えないですが その心中はどうか…」
 理事長「この程度のことで崩れませんよ…確固たる強烈な我がある…」
 アナ「我ですか…?」
 理事長「えぇ…この一番はその我の崩しあい…どちらがそこに引き込めるかになるでしょうな…」
 というわけで、今週はこのハッキョイ直前の花道入場にて幕、でありました。
 ふあーー……ヤバイすねえ、相当国技館の熱量は高まっているようで、いよいよ来週は開戦となりそうな気配です。こうなると……椿ちゃんに連れられてやって来る鯉太郎母は、この取組後に会うのか、それとも、花道の途中で会うのか? いや、それはもうないのかな? まあ、いずれにせよ、とうとう始まろうとしているVS【猛虎】戦に向け、爆発寸前の緊張感がひしひしと伝わりますね。いや、ほんと『鮫島』は最高です!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。67連勝中(12日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週はいよいよ鯉太郎と【猛虎】先生の土俵入り直前まで話は進みました。そして虎城理事長の言葉から、【猛虎】先生が最も「大横綱・虎城」の相撲を体現する存在ということも分かりました。つうことは、やはりこの戦いも「虎城VS火竜」の第2ラウンド、になるわけで、果たして、【王虎】さんとの第1ラウンドを制した鯉太郎は、横綱【泡影】ばりの「柔の拳」を体得しつつある【猛虎】先生相手に、再び勝利を勝ち得るのか。もうホントに相当な熱量が高まり、わたしも大興奮であります。そして、何気に大関【天鳳】がここまで全勝というのも重要なポイントになってきました。この13日目を入れてあと3番。アレですかね、【天鳳】関はまだ【猛虎】先生や【王虎】さんと戦ってないんですかね? またちょっと以前の描写をチェックしないと分からないな……。鯉太郎の明日14日目の相手も気になるところですが、まずは来週からのVS【猛虎】戦を毎週ドキドキしながら楽しみたいと存じます! 以上。

↓ はーーー観に行きたかったす……。

 というわけで、またこの季節がやってまいりました。
 そうです。年に1回か2回、大変楽しみにしている『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の最新第6弾にして最終作『VI 誕生 赤い彗星』が公開になったのであります。わたしも、いつも通りガンダムが大好きな元部下のMZ君から連絡を受け、どうしても、とMZ君が希望するので、わたしの大嫌いな新宿ピカデリーへ、安彦監督はじめ声優のみなさんによる舞台挨拶付きの回を観てきたのであります。
 わたしとしてはとにかく新宿ピカデリーの客動線の悪さと構造的に大混雑となる施設自体が大嫌いなので、MZ君から新宿にしましょうと言われたときは、やだよ、とあっさり断ったのだが、今回は『THE ORIGIN』シリーズ最終作ということで、安彦先生の生の発言を聞く価値はあるか……と説得に折れ、推参した次第である。
 そして作品としての評価は、もう毎回書いている通り、素晴らしくハイクオリティで文句なしに楽しめたのだが、今さらというか……わたしは観ていて、この『機動戦士ガンダム』で描かれる「ジオン公国の独立」というものが良くわからなくなってきてしまったのである。一体、彼らの求めるものは何なのか、どうすれば「勝利」なのか、そのゴールが、なんだか今さら分からなくなってしまったのだ。
 というわけで、以下、その辺りをつらつらと書きなぐってみたい。もうとっくに作品としては完結しているので、もう今さらネタバレもないので、ネタバレには一切考慮せず書きます。

 この『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』という作品がどのようなものかはもう今までも散々書いているので短くまとめるが、当時の角川書店(現KADOKAWA)の「ガンダム・エース」というコミック雑誌に連載されていた漫画で、安彦良和先生が直々に執筆された、「1年戦争」を新たに描いた物語だ。かつてのTV版のオリジナルに追加・修正された要素が多く、まあ、30年以上前にガンプラをせっせと作っていた30代後半~40代~50代のおっさんとしては、間違いなく興奮できる非常に優れた作品である。コミックス単行本では全23巻(+1冊後日譚の特別編)で、その「追加」されたエピソードとして特徴的なのは、ジオン・ズム・ダイクンの死から「1年戦争」開戦までの流れがとても丁寧に詳しく描かれていて、その過去の回想部分が、アニメ化され、劇場公開されているわけである。コミックス単行本で言うと、第9巻から第14巻までの6冊にあたり、それが1巻ずつ、1つのエピソードでアニメ化されているわけで、今回の『VI 誕生 赤い彗星』では、コミックス第14巻の内容が描かれているわけだ。
 これまでの具体的な内容は前回の『V 激突 ルウム会戦』の時の記事を読んでもらうとして、今回の『VI』において描かれるのは、ルウムでのジオン大勝利と、レビル拿捕→脱出→南極条約締結という政治面での展開を軸に、その時、シャアやアムロ、セイラさんたちがどこで何をしていたか、なんてことが描かれる。このアニメ版『THE ORIGIN』は、とにかくコミック原作に忠実なのだが、今回はコミックにない新たな追加シーンも比較的多かったと思うが、とりわけ「おおっ!?」というような驚くべきものはなく、内容を補完する程度のものだったので、どこがどう原作コミックと違うか、とかそういうことはもう書かない。
 で、わたしが観ていて、どうしても良くわからないのが、レビル将軍の行動だ。レビルは、ルウム会戦でまんまと黒い三連星に拿捕され、捕虜となる。そしてデギン公王と謁見し、お互い休戦の方向で意見の一致を見たかと思いきや、脱出後、徹底抗戦を唱えてデギンの怒りを買うことになる。そもそも、脱出は、おそらくデギンの指示を受けたキシリアと、キシリアと内通している連邦のエルランの手引きによって行われたものだと思うのだが、どうしてレビルは、デギンとの密約?である休戦を唱えず、徹底抗戦の演説をしたのだろうか?? これは非常に重要なポイントだと思うのだが、わたしには実は良くわからない。コミック版を何度読んでも、分からん。
 このポイントが分からないので、なんだかそもそも、対立構造である「ジオン独立」の意味も、わたしには良くわからなくなってしまっているのである。
 「独立」して、一つの国家として主権と自治権を勝ち取り、その後、ジオンはどうしたいのだろうか? そしてそもそも、その「独立」は、どうすれば勝ち取れるのだろうか? 連邦が、もう分かったから、いいよ、独立しなよ、と文書で認めればいいのかな? それではなぜ、連邦はそれを認めないのか。そして双方とも戦争継続を選んだのはなんでなのか?
 デギンは、ブリティッシュ作戦(=コロニー落とし)の惨事を見て、もう人殺しにはうんざりしている。それゆえ、もう休戦をしたい、と思うのは、おそらく普通の人間なら自然な選択だ。その選択を取らず、さらに殺し合いを続けようと思うのは、明らかに不自然であり、前作でセイラさんが涙を流していったように、もはや「けだもの」と言わざるを得ないだろう。しかし、「けだもの」に落ちてまで得ようとするものは一体何なのか。それがわたしには良くわからんのだ。
 そもそも、ジオンの国力がどのようなものかよくわからないが、「ジオン公国」が仮に「独立」を手にしたとしても、自給自足できるとは思えないし、まさか鎖国のような形で、連邦と一切の交流を断つとも思えない。そして連邦も、その「連邦」がどのようなものか知らないが、そもそも地球圏全体が統一国家となるようなことはまず考えられないし、そこには民族や思想、旧国家を源としたいくつものグループが存在し、そこに対立が存在しないとも決して思えない。一枚岩になることはまずありえず、常に紛争の火種、あるいは紛争そのものがそこにはあるはずだ。そんな中で、「ジオン」グループにある程度の自治を認め、「独立」させてやる、といいながら、経済的に連邦の一部として取り込むのは、意外と簡単にできることなのではなかろうか。
 何が言いたいかというと、人類の半数を死に至らしめるまで殺し合う理由があるとはわたしにはあまり思えないのだ。ジオンサイドから見れば、休戦し、連邦の一員になっても、逆に連邦に潜り込んで、連邦の中枢を支配する方がうまみは大きいだろうし、連邦サイドから見れば、戦争継続よりも、和平条約の中で条件闘争する方がよっぽど安上がりだし、何より人命を失わずに済むはずだと思うのだが……。
 おそらく、わたしが理解できない根本的な部分は、「アースノイド」と「スペースノイド」の心理的な、そして決して相いれない、対立構造なのだろうと思う。
 たぶん、ギレンを動かす衝動は、いわゆる選民思想に基づくもので、「なんで優秀なオレ様が下等な地球人どもに膝を屈せにゃならんのだ」というもので、一方の連邦側の高官たちによる徹底抗戦も、「なんで我々高貴なる地球人が下等な宇宙奴隷どもの言うことを聞かなきゃならんのだ」という思想によるものだろう。要するにハートの問題だ。しかし、ハートの問題と言っても、所詮は権力や金といった私欲であり、巻き込まれた一般市民はたまったものではない。
 まあ、現代の移民問題もまさしくそういったものであり、一般市民層ですらそういった感情を抱えているのは間違いないけれど、この対立を乗り越える存在として、ニュータイプというものがある、とする解決策のようなもの?を提示した『ガンダム』という作品はすげえなあ、とわたしには思える。
 よく、「人と人は分かり合えない」という。実はわたしも、結構そう思っている。そして分かり合えないが故に殺し合いを続けているともいえるが、それが、ニュータイプなる「分かり合えちゃう人類」が誕生したらどうなるか。でも、はっきり言って上記のような、お互い、オレの方が上に決まってんだろ、みたいな闘争は、ちょっと分別があれば、アホくせえことだと現生人類たるホモ・サピエンスにも十分「分かり合える」と思うんですけどね……。でも、実際わたしだってそういった感情がゼロであるとは決して言えないし、少なくともわたしが生きている間に人類は先へ進めそうにはないですな。
 話は盛大にそれてしまったが、レビルがなぜ徹底抗戦を主張したのか、正直わたしには良くわからない。しかしあの徹底抗戦演説が「1年戦争」を生んだことは恐らく間違いなく、あの時点がPoint of NO RETURNだったのだろうと思う。その意味では、本作は極めて重要な、人類の分岐点が描かれているわけで、大変面白かったです。つうか、レビルは後にデギンとともにソーラ・レイの直撃を受けて死亡するわけで、完全に選択ミスだったな、とわたしは冷ややかに思いました。連邦の政治的なTOPって誰だったんだろうか? そういや、よく考えると完全なる軍閥ですな。民主的な国家統一だったわけではなかったんですかねえ……。その辺も、詳しく知りたくなったっす。

 最後に、舞台挨拶のことを少々。
 わたしが観に行ったのは、安彦総監督と、池田秀一さん、そしてザビ家の皆さんの声を担当された声優陣勢ぞろいという豪華な舞台挨拶付きで、銀河万丈さんの「生ギレン」は超迫力がありました。お約束のジーク・ジオンも、万丈さんの生ボイスだとすごいすね。そして、安彦先生は、以前『THE ORIGIN』を全部アニメ化する的なことをおっしゃっておられたが、残念ながら今回が最終作ということで、その野望はかなえられずに終わってしまい、わたしには非常に悔しい?と思っておられるようにお見受けした。安彦総監督曰く、観た皆さんが宣伝し、声を上げていただければひょっとしたら……的な希望を述べられていたのが印象的だった。わたしも、是非最初からすべて新たに作り直した『ガンダム』を観たいので、今回で終わってしまうのはやっぱりちょっと残念です。

 というわけで、もうさっさと結論。
 わたしの大嫌いな新宿ピカデリーへ、恒例の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星』を観てきたのだが、もちろんいつも通り極めてハイ・クオリティな作品で、とても楽しめた。しかし『ガンダム』という作品は、いろいろ考えさせられるところが多く、やっぱり『傑作』でしょうな。この『THE ORIGIN』アニメシリーズ全6作は、ホント、かつてガンプラで遊んだことのある40代以上のおっさんには是非観てもらいたいと思う。絶対に興奮すると思うな。安彦先生、ホントお疲れさまでした。「次」がいつか実現することを祈ってますし、応援しております! 以上。

↓ 今回のお話は(14)巻です。つうか、全部読んだ方が絶対イイですよ。この本は全巻キッチリそろえておくのが大人のたしなみですよ。

 わたしは現代戦を描いた戦争映画は比較的よく観る方だ。わたしが好きな作品は、基本的にリアリティのある作品で、『BLACK HAWK DOWN』だとか、『LONE SURVIVOR』だとか、あの辺りの作品が好みである。そこにあるのは、なんというか、本当に「怖い」と感じるような緊張感で、絶望的な状況に陥った男たちが、任務遂行のために全力を尽くす姿に、なんだかとてもグッとくるし、大変興奮するわけである。
 というわけで、何度か劇場で予告を観て、お、これは面白そうかも? と思っていた映画が昨日から公開となったので、さっそく観てきたわたしである。しかしまあ、なんつうか、お客さんはシニアのご夫婦ばっかりだったのが妙に印象的であったが、わたしが観てきた作品のタイトルは、『12 STRONG』というもので、『ホース・ソルジャー』という邦題が付けられている。まあ、その邦題のセンスのなさは後で触れるとして、結論先に言うと、うーん、ちょっとイマイチかなあ、という気がした。というのも、若干リアリティという面では、映画的に盛り過ぎているように感じてしまったからなのだが、どうも、12人の男たちの個性が発揮されず、主役のTHOR様無双のような気もしていて、なんか……わたしにはどうもリアリティが感じられなかったのである。
 というわけで、以下ネタバレ全開になる可能性があるので、まだ観ていない人はここらで退場してください。

 まあ、物語は基本的に上記予告の通りである。2001年9月11日。アメリカ同時多発テロ事件が発生し、その事件の首謀者たるアルカイダ引き渡しに応じなかったタリバン勢力掃討=アフガニスタン戦争の、US政府による最初の作戦を描いたものである。
 戦略目標は、敵拠点の制圧・奪取にあり、戦術としては空爆、を行うのだが、その空爆をピンポイントで誘導する地上部隊が必要で、主人公たち地上部隊であるUS-ARMY(合衆国陸軍)の12人のチームが派遣されると。そして彼らは地元の軍閥と協力し、敵拠点へ徐々に近づくのだが、軍閥にも種類があってしかも敵対しているような感情もあって、なかなかうまくいかない。おまけに、あのソ連が最終的にはさじを投げたアフガンの山岳地帯であり、寒さと峻烈な地形に当然機動兵器(車とか戦車とか)は使うことができず、馬しかない、という状況である。さらに言うと、敵勢力は5万。つまり、地の利もなく戦力差も激しいわけだ。ただし、あくまで彼らは空爆の誘導役であって、実は直接的な戦闘は主任務ではないのがポイントだ(それゆえ、12人と少数精鋭)。もちろん、敵に遭遇してしまっては戦闘にならざるを得ないわけだが、あくまでそれは遭遇戦で、突発的に起きる可能性が高い、というものである。
 何が言いたいかというと、実に地味、なのだ。作戦自体も、物語も。
 わたしは観ていて、これって……無人機RQ-1 PLEDETORを飛ばしてヘルファイアミサイルをぶっこめばいいだけじゃね? と思ったのだが、どうやら調べてみると、アフガンの寒さには弱いらしく、戦果はイマイチだったらしい。まあ、2001年当時の話なので、これが10年後だったらもっと改良されてたかもしれないけど、まあ、とにかく2001年当時、しかも冬(作戦は2001年11月~12月ごろ)にかけての作戦では投入できなかったようだ。なるほど。
 で、わたしが感じたリアリティ面で盛りすぎ、と感じたのは、ズバリ言うと、全然リロードする気配もなく撃ちまくり続けるシーンが多くて、なんだか興ざめだったのと、相当銃弾が行きかうバトルフィールドなのに、主要キャラには全く弾が当たる気配がなく、馬で突進するのも、なんかアレだなあと思うし、一方では主人公たちUS-ARMYの男たちの放つ銃弾はことごとく命中する、という、ある意味ハリウッド映画万歳的な描写が多くて、正直そういった点は微妙であった。
 なんつうか、やっぱり主人公がスーパーマンすぎたように思う。主人公のネルソン大尉は、実戦経験ゼロで、地元の将軍には、「あいつ(=他の隊員)は人を殺した眼をしている。あいつも。あいつも。でも、あんたはそうじゃない」なんて言われてしまうような指揮官なのに、妙に隊員たちからの信頼も厚くて、その辺の説得力を増すような、何かの描写があってほしかったようにも思う。なんかあったっけ? ちなみにわたしが邦題についてセンスゼロだと思うのは、その地元の将軍が、「我々はSOLDIER(兵士)じゃない。WARRIOR(戦士)だ」というシーンがあって、最終的に主人公も、戦士になったな、と認められ、なんと本作に出てきた地元将軍は後にアフガンの副大統領にもなった男で、現在も本作の主人公(のモデルとなった実在の軍人)と親友なんだそうだが、ともかく、「戦士」というのが一つポイントなのに、邦題で「ソルジャー(兵士)」はどうなんだ? と思ったからです。
 ただし、である。さんざん文句を言ってしまったが、それはあくまでこの映画に対して、であって、実際にこの作戦に動員された12人の男たちが、全員生還できたのはもう、相当奇跡的なのではないかと想像する。恐らくは、本作で描かれたよりも数倍厳しい環境だっただろうというのは想像に難くなく、平和な日本の映画館でぼんやりスクリーンを眺めていたわたしには想像を絶する戦いだったのは間違いないと思う。なので、主人公のモデルとなった軍人は本当にスーパーマン的活躍をしたのだろうと思うことにしたい。ホント、全員生還できてよかった。
 しかしまあ、その後の歴史も我々は知っているわけで、ビン=ラーディン殺害までにはその後10年もかかったことを思うと、彼らの奮闘がどのような意味があったのか……本作は、数年がかりの作戦を3週間で終わらせたことへの賛辞しか示されていなかったけれど、もう少し、この作戦がどういう重要な意味があったのかについても深く教えてほしかったと思う。ま、それは自分で調べて勉強しろってことかな。
 というわけでもう言いたいことがなくなったので、最後にキャストと監督について短くまとめて終わりにしたい。
 ◆ミッチ・ネルソン大尉:チームリーダー。実戦経験ゼロながら、部隊をまとめるリーダー。演じたのはTHOR様ことChris Hemsworth氏。まあ、いつものTHOR氏で、とりわけ熱演とか、凄かったとは思わないけれど、カッコいいのは間違いないす。つうかですね、12人ということで、人数が微妙に多すぎて、各隊員の個性がほとんど描写されないというか、印象に残る隊員が少ないんすよね。活躍度合いも隊長のネルソン大尉が前面に出過ぎてて、他の隊員の印象が薄いんだよなあ……そういう意味では、THOR氏のTHOR氏によるTHOR氏のための映画になっちゃっているようにも感じた。これは脚本的な問題かもしれないし、監督の演出的な問題かも。ちなみに、本作で大尉の奥さんを演じたElsa Patakyさんは、実生活でもChirs氏の本当の奥さんです。夫婦共演って……よく出来るもんすね。いや、皮肉じゃなくて、演技的な意味で。
 ◆スペンサー准尉:実戦経験豊富なベテランの副官・サブリーダー。被弾して重傷を負うも、ギリギリ助かった模様。しかし……冒頭に、BASED ON A TRUE STORYと出るので、まあ事実だったのだろうけれど、椎間板ヘルニアで腰を痛めてほとんど動けないってどうなんだ? 足手まといでは……。そんな准尉を演じたのは、わたし的にはゾット将軍でお馴染みのMichael Shannon氏43歳。以前も『SHAPE OF WATER』の時も書いたけど、この人、完全に50代に見えるんですが、ホントに43歳なんですか?w とてもわたしより年下には見えない……。ま、そんなことはともかく、彼は印象には残る役柄だけど、物語的にはあまり活躍しませんでしたな。
 ◆サム・デイラー:チームのムードメイカー的な明るい男。演じたのは、ANT-MANの親友だったり、いつもコミカルな役の多いMichael Peña氏。彼も……クライマックスの戦闘には参加しておらず(?)、印象には残るけれど活躍度合いは薄い。なんつうか……やっぱり演出の問題なのではなかろうか。とにかく、THOR様やメジャーな役者以外はほぼ印象に残らないのはとても残念。
 ◆ドスタム将軍北部同盟のメンバーたる有力氏族の長。妻子を殺されたことからアメリカに協力している地元将軍。演じたのはNavid Negahban氏というイラン出身のお方。かなり多くの映画やTV作品に出演されているベテランの方らしいけど、わたしは知らない人でした。将軍のキャラは非常に立ってましたな。本当に味方なのか、腹に一物抱えているのか、はっきりしないような大物としてなかなか存在感がありました。前述の通り、彼はその後2014年にアフガニスタン副大統領に就任したそうです。現職かな? わからんす。
 で、本作の監督はNicolai Fuglsig氏という方だそうですが、本作が初監督先品だそうです。WikiによればナイキやソニーのCMを撮ったり報道写真家としてコソボ紛争を取材したりした人だそうです。まあ、要するにまだド新人ですな。なので彼の演出がどうとか、よりも、結局はプロデューサーのJerry Bruckheimer氏の目印たる、ドッカンドッカン爆発するシーンばかりが目立っちゃった感じなんすかねえ……そう考えると、同じBruckheimer氏プロデュース作品なのに、あれだけ大勢のキャラクターを登場させながら、きっちり各キャラの印象を残す演出をした『BLACK HAWK DOWN』のSir Ridley Scott監督がやっぱりスゲエってことなのかな。

 というわけで、さっさと結論。
 現代戦を描く戦争映画が好きなわたしとしては、結構楽しみにしていた映画『12 STRONG』(邦題:ホース・ソルジャー)をさっそく観てきたのだが、残念ながらイマイチ、というのが結論のようだ。なにしろ、映画的に嘘っぽくて、弾切れナシ・自分の弾は当たる・けど相手の弾は当たらない、というのはやっぱりちょっとアレっすね。そして、12人の勇者たちの印象が全然残らないのが一番問題だと思う。もったいないというか……残念す。それと、アフガンの自然も、ちょっと嘘くさく見えたかもな……なんかもっと、まさしく神の見捨てた地のような荒涼とした山岳なはずなんだが……意外と行軍自体はスムーズなのも、ちょっとアレだったかもすね。なので、ええ、要するに、しつこいですがイマイチでした。以上。

↓ ああ、なるほど、原作は早川書房から出てるんすね。そして原作がそもそも「12 Strong: The Declassified True Story of the Horse Soldiers」というタイトルなんすね。それならしょうがないか。失礼しました!


 というわけで、昨日に引き続き、今週の『鮫島』ニュース番外編_これまでの歴史その(2)として、『Burst』編をまとめようと思います。
 昨日の『バチバチ』編同様に、メモ的に取り留めなくまとめるので、やっぱりわたし以外の人が読んでも特に意味はないと思います。そして先週も書きましたが、完全にネタバレなので、万が一、『バチバチBurst』を読んでいない人は、今すぐ退場してください。
 それでは、『バチバチ』同様流れをまとめてみるか。勿論これまた同様に、一番最初の『バチバチ』の時制を2009年と仮定しています。なお『Burst』は、前作『バチバチ』のエンディングから半年後の2010年4月からの2カ月間が集中的に描かれていて、時間の経過はほとんどありません。なので、今日はTableタグを使わないで、巻ごとにテキストで簡単にまとめることにしよう。
----<『バチバチ』終了後、『Burst』開始前に起こったこと>----
 ・王虎さんは2009年11月場所(序ノ口)、2010年1月場所(序二段)、2010年3月場所(三段目)で3場所連続全勝優勝しており、『Burst』で描かれる5月場所では幕下となって、鯉太郎に追いつく。
 ・この3場所の鯉太郎の戦績は不明だが、鯉太郎の5月場所の番付は幕下。枚数不明。
----<『Burst』(1)巻:2010年4月>----
 ◆靖国神社での奉納相撲
  王虎さん〇-●?? ※三段目として
  鯉太郎〇-●田上さん ※幕下
  白水さん〇-●?? ※幕下
  仁王さん〇-●?? ※十両
 ※仁王さんはこの後の5月場所は新入幕。
 ※負けた田上さんに王虎さんの「だからお前はダメなんだ」発動。
 ◆大吉&常松が入門。
 ◆大吉:丸山大吉。187cm139kg(新弟子検査時)。17歳。鯉太郎と同い年。入門初日に「肉体をその場に置き去りにして心だけがスカす」離れ技炸裂w 余りにすっとぼけな言動に鯉太郎ブチ切れ。
 ◆常松:常松洋一。186cm118kg(新弟子検査時)。22歳。鯉太郎の5つ上ってことか。ついでに言うと仁王さんとも1つ上、なのかな。学生横綱タイトルを獲り、幕下付出で初土俵(2010年5月場所)。大栄大学相撲部主将だった。 
 ◆鯉太郎は二人の世話係に任命されるも、両者にイラつきMAX、つい大吉をぶっ飛ばし、マスコミネタに。しかし兄弟子として、不忍池のほとりの「例のベンチ」までチャリで迎えに。
----<『Burst』(2)巻:2010年4月~5月場所開幕>----
 ◆大吉、鯉太郎の気持ちにやっと気が付き改心。
 ◆場所前、新寺から石川や飛天勇関が空流に出稽古に来てくれる。
 ◆一方虎城部屋は、場所前の激しい(一門連合)稽古。田上さんは王虎さんにガイにされて精神崩壊。十文字から来ていたブタフグに王虎さん目を止める。
 ◆王虎さん、生意気にTV出演、鯉太郎に負けたら引退宣言。
 ◆常松、マスコミへ俺が王虎を倒します宣言。それにカッと来た鯉太郎、王虎さんに負けたら廃業、に乗っかっちゃう。
 ◆2010年5月場所開始。
  基本的に主要キャラは幕下。枚数不明。どんぐり渡部くんと川さんは三段目。
 ◆初日の星取(※?は相手の名前不明)
   王虎さん〇-●?
   鯉太郎〇-●石川くん
   常松〇-●大森海
----<『Burst』(3)巻:2010年5月場所初日~4日目>----
 (初日の常松勝利直後から続き)
 ※常松のナメた相撲に親方激怒「勘違いするなよ こわっぱが…」
  白水さん〇-●?
  仁王さん●-〇? 勇み足w
 ◆二日目
  田上さん〇-●? ダーティーファイトで精神崩壊中。
 ◆三日目
  大吉●-〇小林 不浄負け。相手の小林君がナイスキャラで笑える。
 ◆四日目(かな? 自信なし)
  鯉太郎〇-●田上さん ダーティーファイトをする田上さんに真っ向勝負。
 ※この取組後、田上さんはブタフグにごちゃごちゃ言われるも、猛虎さんへ「俺に才能があるんですか!?」と涙、猛虎さん「知らん!」の名シーン。
 ※また、この取組で鯉太郎は人差し指を怪我、投げの基本を見つめ直すきっかけに。
----<『Burst』(4)巻:2010年5月場所5日目~7日目>----
 ◆五日目
  大吉●-〇? 波動拳不発w
 ◆六日目(かな?)
  鯉太郎●-〇王虎さん 真っ向勝負でぶん投げられ、「お前は…もう死んだ」宣言。
 ※この取組前、王虎さんは部屋で田上さんを前に、「やっとアイツを頭から消し去れる」嬉しさに、かなり歪んだ涙を流す。ククク……と泣く様は異様で異常。
 ※そして鯉太郎はこの敗戦で自信喪失。しかし「例のベンチ」で椿ちゃんの「土俵のアンタをずっと見ていたいのよ…」の涙の激励により大復活! 親方に土下座謝罪、そして兄弟子たちの泣かせる激励でヤル気MAXに。
 ※しかしそんな泣けるシーンの一方、常松はマスコミ連中に王虎は俺が倒しますよ宣言をしてネタ提供。やめときゃよかったのにね……常……。そして翌朝、椿ちゃんに「あなたは 何もわかっちゃいないわ…」とガッカリされる。
 ◆七日目
  鯉太郎〇-●? 悪タレフェイス復活、ブチカマシ一発でKO。
----<『Burst』(5)巻:2010年5月場所8日目~9日目>----
 ◆八日目
  常松●-〇王虎さん
 ※ここから常松の挫折の始まり。この辺の常松のことを思うと、ホントに『鮫島』での松明関はその成長が泣けますなあ。
 ※取組前に、空流親方が大栄大学相撲部を訪れ、常松の過去を取材。
 ※常松も、立ち合い前、「教えてやるよ…血統ってのは何の意味もない ただの飾りだってことを…」と闘志満々だったのだが……
 ※立ち合い後、群がるマスコミ連中に、親方はこの辺で勘弁してくれと頭を下げ、そして「教えのハブさん(月刊力士の記者、畑文太さん)」や日刊トップの山崎さんの言葉もあって、騒動は収まる。
  天雷〇-●ブタフグ大鵠
 ※兄貴の仇であるブタフグ大鵠をぶっ飛ばしたい天雷なのに、ブタフグ大鵠は勝負せず。ホントクソ野郎。天雷はこの取組の立ち合い不成立&突っ掛けで目を負傷。
 ■大刀力関→天雷の兄弟子。イイ人。天雷の兄の弟弟子っぽい。
 ■田上さんは猛虎さんの「知らん! だが、今より弱くなることはない」の激励? で精神崩壊から正気に戻っていたが、この天雷の取組前にブタフグにボコられ、取組後には王虎さんに(ブタフグを利用して天雷の眼をやったのかと)詰め寄る。「ガッカリさせんなよ…頼むよ…」は何か泣けますね。そして(そんな指示はしていない)王虎さんは、ブタフグ大鵠を「使えねーブタだ」と切り捨てる。
 ◆九日目(?)
  鯉太郎〇-●爛摩 ※デカい外国人力士?
 ※この取組で鯉太郎は偶然「仏壇返し」を放つ
----<『Burst』(6)巻:2010年5月場所9日目~11日目>----
 ※9日目、10日目はどうも日付がはっきりせずわたしの勘違いかも?
 ※9日目の鯉太郎の取組後、王虎さんVS天雷から始まる
  王虎さん〇-●天雷 真っ向勝負のクリーン相撲。天雷完敗で左腕負傷。
  白水さん〇-●元十両の? ゴリラ張り手で一発KO。白水さんで5勝目。
 ◆十日目は取組ナシ
 ※朝稽古で親方に「仏壇返し」を教わる鯉太郎
 ※稽古中、イラつき中の常松は、白水さんや鯉太郎を呼び捨てで八つ当たり激怒。ほんと、しつこいですが、このあたりの常を思うと、『鮫島』現在の松明関が泣けるすねえ……。
 ◆十一日目
  石川くん〇-●常松 ビンタ一発でOK
 ※取組後、「強くなりてーんだろ?」「はい……」の名シーン。泣ける!
 ※鯉太郎VSブタフグ大鵠の途中で(6)巻終了。
----<『Burst』(7)巻:2010年5月場所11日目>----
 ※ブタフグ戦の続きから白VS虎の泣ける結末まで
  鯉太郎〇-●ブタフグ大鵠
 ※鯉太郎の仏壇返し炸裂、「じゃあな…クソヤロー…」。悪タレ鯉太郎にファンがつきはじめ、マコ姉ちゃん思わず「泣く」と感激。
 ※取組後、ブタフグ精神崩壊。今、どうしてるんすかね……。
  白水さん〇-●王虎さん
 ※ご存知の通り、腕は折られても、心は折れず、白水さん奇跡の勝利! 取組後、鯉太郎や親方にはカッコイイところを見せるも、仁王さんには「チョ~コエ~よ アイツチョ~~~コエ~~コエよ いて~~~よ~~ 腕チョ~いて~よ~~~」と泣きつく姿がもう最高です!
 ※この白水さんの勝利(=王虎さんの敗北)で幕下は12人が1敗で並ぶ。
----<『Burst』(8)巻:2010年5月場所11日目の夜~15日目千秋楽優勝決定戦初戦>----
 ※十一日目の夜、王虎さんは荒れて部屋の稽古場で大暴れ。とうとう猛虎さんをも跪かせる。
 ※鯉太郎は白水さんの奮戦に「応えねーと男じゃねーよ」とやる気十分。椿ちゃんにも「お前の気持ちにも俺は応えるよ」とある意味愛の告白に椿ちゃん赤面、親方憤死にw
 ◆十二日目は描写ナシ(?わたしの勘違いかも)
 ◆十三日目と十四日目
 ※ダイジェストで鯉太郎・石川くん・天雷・王虎さんが勝って1敗キープが描かれる
 ※これで幕下は6勝1敗が6人となり、千秋楽に優勝決定戦へ。
 ◆十五日目(千秋楽・幕下6人の優勝決定戦)
  第1戦:鯉太郎〇-●岩の藤 カマーンとブチカマシ合戦となり、OK!と勝利。
  第2戦:天雷VS闘海丸 のハッキョイまで
----<『Burst』(9)巻:2010年5月場所15日目千秋楽>----
 ※天雷VS闘海丸のハッキョイからスタート
  第2戦:天雷●-〇闘海丸 土俵際のうっちゃり!
 ※天雷は、親や兄貴が見守る中、決意を持って戦うが、VS王虎さん戦で左腕を痛めていたのがたたってしまう。闘海丸「次は万全の状態で勝負だ!」天雷「いや…今も万全だったよ」とすがすがしく負けを認める。イケメンですなあ!
  第3戦:石川くん●-〇王虎さん
 ※大器くんも折れないハートで立ち向かうも、惜しくも敗退。あまりにまがまがしいオーラをまとって土俵に上がる王虎さんの邪気を、柏手一発で祓う大器はカッコよかったぞ! これで優勝は3人に絞られ巴戦へ!
  巴戦1番目:鯉太郎VS闘海丸くん序盤まで
----<『Burst』(10)巻:2010年5月場所15日目千秋楽&火竜虎城の因縁>----
  巴戦1番目:鯉太郎〇-●闘海丸
 ※この取組を観て、生意気だった常松も熱くなって応援! 「おいっ! 何やってんだ!! ふざけろよ! 見せたかったのはソレかよ!」という常の激に、鯉太郎は仁王兄貴や白水さんのハート、そして吽形さんの「立ち向かう勇気」を思い出す。この展開はもう、王道ですが熱くなりますなあ!! そして仏壇返しが決まるか!? というところで、まさかの闘海丸タンの外無双が炸裂し、思わず鏡川親方も大感激! そして「もっと腰を入れろ!! 鯉!!」という仁王兄貴の大喝で、結末は渾身の押し出し! 地道なけいこのたまものですよ!
 ※取組後、現役時代火竜に勝てなかった鏡川親方が、「懐かしいモン思い出させやがって…」と満足しているところに「いい弟子を育成しとるようだな」と着ぐるみが声をかける。その声はどうやら天城親方か? 「身に余るお言葉…」と頭を下げる鏡川親方。
  巴戦2番目:鯉太郎VS王虎さん 開始!
 ■そして火竜と大横綱虎城の因縁の過去話開始
 ※火竜はもともと黒森部屋。定年で同門の天城部屋に吸収合併された。この時序二段。すでに幕内力士だった虎城に稽古を挑むもあっさり退けられる。
 ※その後すぐ虎城は大関昇進。そして新大関にして初優勝、翌場所綱取りへ。
 ※そのころ火竜も序二段、三段目を連続優勝。幕下で三場所連続優勝か、と期待の場所中。稽古では、天城親方の丁寧な説明が通じず、うるせーハゲ!! 何言ってるかわかんねーんだよ! と生意気な口をきくが、虎城の「バ~~~~となるからギュっとためろ…そうすればグッとなってメリッとガッといく…」という普通の人には理解不能な虎城語だとあっさり理解し納得する。
 ※しかし最終戦の相手にあっさり引かれて敗北、激怒して土俵上で大暴れ。1場所出場停止となった。世に言う「火竜セカンドインパクト事件」であるw
 (※ファーストインパクト事件は、黒森時代の序二段の時に同じく土俵で大暴れ→1場所出場停止という事件があった)
 ※一方虎城は、同じ日勝利するも右腕を負傷。虎城は火竜に問う。
 虎「お前にとって相撲とは何だ…?」
 火「あ? んなモン殺し合いに決まってんだろ」
 虎「だからお前の相撲は軽いんだ」「相撲の重さ…強さは…きっと己の中の生き様で決まるんだ それを土俵でぶつけ合うのが…力士だ」
 火「何言ってんだ…何だよ…生き様ってよ…」
 虎「ここにガッとあって砕けねぇ…ドンとしたものだ」
 しかしなんつうか、まさか自らの息子が、のちに同じことを言うとは……そりゃあもう、親としては泣けますよ……ホント最高ですね。
 ※そして虎城は千秋楽、全勝をかけて横綱・大宝生との闘いに挑み、電車道で寄り切って勝利、横綱昇進を確定させる……が、その後の変貌はもうご存知の通りっす。
 ※この時の優勝パレードで顔じゃないのに優勝旗を火竜がかざし、二人が並んで写る唯一の写真となったのであった……。
 ※そして5場所連続優勝を決めた夜、新十両で優勝を決めた火竜は「ソレ付けて稽古場に来い」とけんかを売って(10)巻終了。
----<『Burst』(11)巻:2010年5月場所15日目千秋楽&火竜虎城の因縁2>----
 ※火竜の挑発に乗って稽古場に現れる「大横綱」虎城。
 虎「いつからだ…火竜(アイツ)を見ているとイラ立つようになったのは…いや………わかっている…火竜は綱を撮る前の俺…楽しさだけで相撲を取れたあの頃の俺だ…覚悟が足りないんだ…まだ……横綱道を進む覚悟が…火竜をうとましく感じるのは 俺がまだ過去の己と決別が出来ていない証拠…ここで俺は 過去の俺を…殺す」
 という決意でぶつかり合う二人。日刊トップの山崎さん一人が証人として立ち会う。生き様をぶつけ合う二人。そして「戻って…こいよ虎城…」と涙を流す火竜に、左耳を引きちぎる虎城。
 虎「……もう…聞こえん…」
 火「バカヤロウが…」
 という顛末で完全決別。そしてその後虎城は大横綱として数々の記録を打ち立てて引退、一方火竜は大関となって綱取り目前。そしてあの事件が……公園のベンチでだらしなく酔う火竜に山崎さんが事件の真相を伝えるも、火竜は山崎さんに語る。
 「土俵以外でどう生きたらいいのか…分からねーんだ 俺は…死んで生きるしかなかった…だがよ アイツはそれを良しとしなかった」「鯉太郎(アレ)は…俺だ 終わっちゃいねーんだ…まだ………何も………続いてんだ…鯉太郎の中で…俺の生き様は…鯉太郎なら…きっと俺の辿り着けなかった答えまで辿り着いてくれる 見てろよ 鯉太郎は必ず俺を超える あのクソガキが…鯉太郎がいれば…俺は死なねぇ」
 この言葉は、ホントにもう、今の『鮫島』読者にはグッと来てガッとするものがありますなあ……。そしてそんな父を思い、鯉太郎は満身創痍の体を奮い起こし、最終戦へ!
 ※そして一方の虎城は、火竜の墓前に「謝らんぞ…俺は……」と言いつつ、膝をついて恐らくは涙を流す。その墓参りの帰りの車の中で、幼き剣市へ「俺のようにはなるなよ」とつぶやくのだった(ただし生意気なガキの剣市が正しく理解しているとは思えないw)。回想はここまで。
 そして巴戦2番目:鯉太郎VS王虎さん、ハッキョイから戦い終盤へ
----<『Burst』(12)巻:2010年5月場所15日目千秋楽>----
 ※鯉太郎と王虎さんの激闘の続き。勝負は鯉太郎の右からの仏壇返しで決まったか!? と思いきや、王虎さんの左の小手が入って投げの打ち合いに。結果、同体、取り直しに!
 そして最終的には鯉太郎〇-●王虎さんで決着、鯉太郎、幕下優勝を決める。
 ※戦いを見届けた虎城の眼には涙が。そして「俺たちが見ることのなかった…あの場所まで…」と将来の図を脳裏に描く。
 ※終戦後、初めて鯉太郎は髷を結い、コンパチには多くの参加者が。仁くん、岩の藤、寺井、将太君などがニヤニヤで、そして超・力を込めてコンパチする。
 ※空流(みんな)に出会えてよかったです と言う鯉太郎に、初めての髷をみんなが冷やかし、激励し、常は祝儀金を回収してきますと言い、椿ちゃんも「カッコイイ」と満面の笑み。もう付き合っちゃえよ!
 ※そんな温かいムードのところに虎城親方登場、火竜を誰よりも強かったと賞賛し、鯉太郎へ次の言葉をかけて、『Burst』終幕。
 虎「昇ってみろ 父親のいた高みまで 火竜の続きを俺に見せてみろ やってみろ…鮫島鯉太郎!」
 鯉「オウ!」
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 はーーー……読んでたら興奮してまーーーた長くなっちゃった……
 なので、さっさと結論。
 要するにですね、『バチバチ』『Burst』『鮫島』と続く鮫島鯉太郎の物語は、最高です! まだ終わってないけど! はーーー……しかし『鮫島』の今後はどうなるんすかねえ……つうか、現在のVS猛虎戦も相当ヤバいことになるでしょうな……わたしとしては、戦いののち、猛虎さんのもとに竹虎さんが登場することを祈りたいすね。今どうしてるんすかねえ……。そしてやっぱり吽形さんにもまた登場してほしいですな。ダメかなあ……まあいずれにせよ、また来週からの『鮫島』が楽しみでたまらないっす! なお、今後、お盆ぐらいの時期に合併号があるタイミングで、『Burst』と『鮫島』の間の空白期間(5年ぐらいあるのかな? 3年か?)に何が起きたのか、をまとめようと思います。以上。

↓ もちろん『Burst』も全巻まとめ買いするのが大人のたしなみですよ!

 

 わたしは、まあなんつうか、年々病的に記憶力が低下しているような気がしてならず、ホントに長生きしていいことなんてねえなあ、と軽い絶望を抱き日々生活しているわけだが、毎週記録している『鮫島』ニュースを書く時も、その前日譚にあたる(?)『バチバチ』および『バチバチBurst』に関して、明確な記憶も薄れており、たまに大変な勘違いもあったりして、非常に恥ずかしい思いでいる。
 というわけで、週刊少年チャンピオンがGWで合併号、1週お休み、というこの機会に、備忘録としてちょっとまとめておこうと思った次第である。もう、取り留めなく、メモ的にまとめるので、わたし以外がこの記事を読んでも特に意味はないと思います。
 そして完全にネタバレなので、万一『バチバチ』『バチバチBurst』を読んでいない人はここで退場してください!
 というわけで……さて……どうまとめるかな……時系列をまとめてみるか。Tableで書くので、PCで閲覧しないとダメかも。
 そして、とりあえず、冒頭の時制を、連載開始の2009年と仮に定めておこう。
バチバチ全16巻 (1)巻 2009年3月?~4月 鯉太郎(16歳)、地元に来た巡業でケンカを売る。猛虎さんに勝利。空流親方に出会い、空流部屋へ入門。力士人生が始まる。
(2)巻~
(5)巻前半
2009年5月 5月場所。鯉太郎、初土俵&前相撲。王虎さんにも勝って全勝。
(5)巻後半~
(6)巻前半
2009年6月 鯉太郎、教習所1期目。
(6)巻後半~
(10)巻前半
2009年7月 7月場所(名古屋)。鯉太郎は東序ノ口22枚目。どんぐり仁くんに負けて6勝1敗で優勝逃す。ブタフグ(大鵠)との因縁ここから。この時、村神は鯉太郎に負けて目が覚め、教習2期目から兄の四股名「天雷」を継ぎ、キャラも変化。
(10)巻後半~
(11)巻後半
2009年8月 鯉太郎、教習所2期目&空流夏合宿。太れないことに悩む鯉太郎は投げを練習し始める。バーキ登場はここから。この頃、王虎さん引きこもり状態で、猛虎さんの付け人に。
(11)巻後半~
(16)巻ラスト前
2009年9月 9月場所。鯉太郎は東序二段75枚目で白水さん(西序二段110枚目)の番付を超える。全勝で迎えた優勝決定戦で白水さんとの兄弟対決。そして幕下では涙の阿吽対決。アレはホントに泣けましたなあ! なお、王虎さんもここから土俵復帰。前相撲でのダーティーファイトは描かれるがほぼ出番なし。
(16)巻ラスト前 2009年10月及び11月 エピローグとして教習3期目。王虎さんようやく教習参加、大器くんやバーキをガイにするほどに。そして11月場所初日、ハッキョイ、で『バチバチ』終了。
 とまあ、まとめると上記のような感じだと思うけれど、これで終わらせるのもアレなので、以下、出来事をメモしてみたい。
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【バチバチ(1)巻】:2009年3月(?)の出来事
 ■鯉太郎、地元(山形)に巡業に来た大相撲に喧嘩を売る。その場で猛虎さんに勝利。
 ■なお、猛虎さんは学生横綱から入門して間もない頃(?)で、幕下。
 ■その3日後、父・火竜の7回忌。この時、鯉太郎は16歳。
 →火竜が亡くなったたのは6年前で、鯉太郎10歳の時か。
 ■空流部屋へ入門(→高校1年終わりの春休みっぽい)。
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【バチバチ(2)~(5)巻前半】:同年4月から5月場所の出来事。
 ■主要キャラのこの時の年齢
 (2巻末のプロフィールによる)
 ◆空流親方(奥村旭・元小結【春風】)51歳
 ◆阿形さん(高杉剛平)20歳・東京出身・183cm・115kg
 ◆吽形さん(吉田亘孝)20歳・岩手出身・180cm・107kg。
 ◆白水さん(白水英樹)18歳・東京出身・192cm・90kg
 ◆鯉太郎は16歳・178cm・75kg
 ◆川さん(川口義則)すべて謎w
 (4巻末のプロフィールによる)
 ◆虎城親方(後藤昇)55歳
 ◆王虎さん(後藤剣市)17歳・東京出身・195cm・115kg
 ◆猛虎さん(小林哮)24歳・熊本出身・182cm・123kg
 ◆床上手さん(山岡薫)自称24歳・二等床山
 ◆椿ちゃん(奥村椿)16歳
 ◆真琴姉ちゃん(斎藤真琴)18歳
 ※単行本ではマコ姉ちゃん=16歳と表記してあるけどこれは誤植で、18歳が正解らしい。実際、夏合宿に来てくれたマコ姉ちゃんは受験生だったし、Burst冒頭では晴れて東京の大学に合格し女子大生として登場(その時からバイクに乗ってる)。
 ※ちなみに、吽形さんは吉田亘孝として、佐藤タカヒロ先生の柔道漫画『いっぽん!』に名前だけ登場している。ついでに言うと現在の『鮫島』に出てくる日刊トップの記者、橋くんも『いっぽん!』のレギュラーキャラ(と同一人物だと思う)。
 ■5月場所(鯉太郎初土俵)時の番付と星取
鯉太郎 前相撲。全勝。初戦は田上さんの鼻をへし折って勝利。2戦目(4日目)で王虎さんと対戦、投げの打ち合いで勝利かと思いきや物言いで取り直し、強烈なブチカマシの末に勝利。王虎さん休場、ダークサイドへ。
阿形さん 幕下?枚目。最終戦で猛虎さんに負け、6勝1敗。
曰く、幕下のケツ、な枚数だった模様。
吽形さん 三段目?枚目。7勝0敗。全勝で三段目優勝。
白水さん 序ノ口?枚目。5勝2敗。
川さん 三段目?枚目。4勝3敗。
猛虎さん 幕下11(10?)枚目。十両に上がったら王虎さんを自分の付け人にする約束を取り付ける。結果的に7戦目で阿形さんを下し、全勝で幕下優勝、十両昇進を決める。当時の虎城部屋はホント腐ってましたなあ……。一応関取の兄弟子はいたようだが、名前などその後は不明(※Burst冒頭では兄弟子は廃業し、猛虎さんは部屋頭になっていた)。
 ■メモ:5月場所終了の打ち上げで、白水さんはやっと髷が結える髪の長さに。しかし酔っ払った吽形さんにバリカンで刈られ、それじゃあ、と阿形さんに「殿」マゲにw ちなみに、その後髪が生えないのは、夜中、こっそり川さんが剃っているためらしいw
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【バチバチ(5)巻後半~(6)巻前半】同年6月、相撲教習所第1期の出来事
 ■鯉太郎の相撲教習所第1期目スタート。
 ※ライバルたちの(5)巻末プロフィールは以下の通り
 ◆斎藤正一(マコ姉の父)42歳
 ◆村神(のちの天雷・村神凛太郎)18歳・愛媛出身・190cm・120kg
 ◆石川(のちの飛天翔・石川大器)16歳・神奈川出身・180cm・81kg
  ※大器の入門時、天鳳は既に大関だった。
 ◆渡部(渡部仁)16歳・千葉出身・175cm・79kg
 ◆田上(のちの稲虎・田上大)22歳・183cm・125kg
 ■教習所では、虎城親方からのツブせ指令を受けた竹虎さんにしごかれるも耐え、逆に竹虎さんは使えねえ奴と虎城親方にクビを宣告される。
 ■田ノ中の寺井と出会う。1場所先に前相撲を取っているので、偉そうにしていたが、鯉太郎や石川たちに押されてタジタジw
 ■鯉太郎、石川との突っ張り合いで顔を腫らす。村神、まるで周りを相手にせず。そしてこの頃から鯉太郎は、太れないことに悩む。
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【バチバチ(6)巻後半~(10)巻前半】同年7月場所(名古屋場所)の出来事。
 ■名古屋への移動の新幹線で、クソ野郎・大鵠と吽形さん阿形さんの因縁を知る。おまけにブタフグは先代天雷(村神兄)とも因縁があったことが判明。
 ■名古屋での空流の宿は清浄寺。和尚の斉尚さんはバイカーでロックなお爺ちゃん。
 ■名古屋場所の番付と星取
鯉太郎 東序ノ口22枚目。
2戦目は石川と壮絶な張り合いを制して勝利。
3戦目の村神戦はハズ押しで勝利(この敗北で村神は目が覚め、後の2代目天雷が誕生する)。
そして6戦目でどんぐり渡部くんに敗北して初黒星。激しく落ち込むも立ち直り、6勝1敗で終了。優勝を逃す。
(※序ノ口優勝は蒼希狼であることが教習2期目で判明)
吽形さん 東幕下57枚目。
6戦目でブタフグ大鵠に勝利するもまたも膝をやられる。
しかし7戦目、引退を決意した竹虎さんとの闘いを気合で勝利、全勝で幕下優勝を飾る。なお、負けた竹虎さんは、十両力士として大銀杏を結った猛虎さんに「お疲れさんでございました」と丁寧に頭を下げられ男泣きするのであった……。
阿形さん 東幕下15枚目。初戦は勇み足で負け。その後は勝って6勝1敗で終了。特に最終戦は、憎きブタフグ大鵠をぶっ飛ばして勝利。この時の阿形さんの怒りはすさまじかった!
白水さん 西序二段90枚目。3勝4敗。
川さん 東三段目23枚目。4勝3敗。
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【バチバチ(10)巻後半~(11)巻後半】同年8月。相撲教習所2期目と夏合宿の出来事。
 ■教習2期目スタート。兄弟子たちは合宿へ。教習2期目で、村神は天雷と四股名を改め、髪を上げ、キラキラなキャラにチェンジ。そしてバーキこと蒼希狼に出会う。
 ■一方の鯉太郎は、激しいけいこのし過ぎ?でどんどん体が絞られてしまい、自慢のブチカマシも、同期全員が耐えられるぐらいの威力に低下。すっかりスランプに。
 ■教習の休み期間、部屋の合宿に合流、吽形さんの「三年先の稽古をしよーぜ」にやっと心落ち着き、親方から「ブチカマシ」禁止令が発令、吽形さん直伝の投げ技への挑戦も始まる。
 ■休みが明けて再び教習へ。田上さんの髪が伸びてたり、どんぐりくんがでっぷり太っていたり、天雷が髪を上げてキラキラになったりと周りの変化がある中、鯉太郎の「オメーらだけには死んでも負けねえ」宣言で同期たちのハートにも火が付き教習は充実。
 ■一方そのころ、虎城部屋では、ガリガリに痩せて引きこもっていた王虎さんを、猛虎さんが付け人にする話でひと騒動。猛虎さんも、お前は「高みへ昇るため」の餌だと宣言。歪で殺伐とした兄弟弟子の関係が誕生。
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【バチバチ(11)巻後半~(16)巻ラスト】同年9月場所での出来事
 ■この9月場所が『バチバチ』最終話。
 ■(15)巻2/3ぐらいまでが鯉VS白の泣ける戦い
 ■以後(16)巻2/3までが阿VS吽の超泣ける戦い。
 ■残り(16)巻ラスト1/3ぐらいがエピローグ&Burstへプロローグ。
 ■9月場所の番付と星取
鯉太郎 東序二段75枚目。
初戦は教習同期の寺井。ブチカマシ1発で勝利。3戦目はすっかり太ったどんぐり仁くんを強引に投げて勝利し、先場所の雪辱を晴らす。4(5?)戦目はVSバーキ戦(13巻)。激闘の末、吽形さん直伝の投げが決まって勝利(※この対戦中に、ヤンキーカップルの男「お前黙ってろ」)。6戦目は石森という力士で、白水さんとの関係がぎくしゃくしててよそ見をしていて一瞬苦戦するも勝利。7戦目(相手の名前?)も勝って7戦全勝、白水さんとの優勝決定戦へ。
阿形さん 東幕下3枚目。
5戦目は大銀杏を結って十両・大森海戦に力づくで勝利。6戦目前日に吽形さんの膝が限界に来ていることを知り、親方と医者に吽形さんの出場続行を土下座で直訴。7戦全勝で吽形さんとの優勝決定戦に挑む。
吽形さん 東幕下4枚目。
6戦目直前に医者から出場停止を宣告されるも強行出場。6戦目、VS若大雲を電車道で寄り切り、十両昇進を手中に。しかしもはや限界が来ており、7戦全勝での阿形さんとの優勝決定戦へ挑む。泣ける!!
白水さん 西序二段110枚目。
鯉太郎に番付を抜かされ大ショック。吽形さんの励まし、阿形さんの激励?でゴリラ張り手に開眼。3戦目?の田上さんとの闘いに勝利して自信をつけるが、5戦目の相手、天雷に思わずビビッて引落で勝利。そのことに自分でもがっくり落ち込む(13巻)。が、吽形さんに「お前は空流の柱になれ!」と叱咤され、6戦目、石剛雲をゴリラ張り手で倒し復活。その後、吽形さんの膝のことを知り、鯉太郎を奮起させるためにも、もしお互いに全勝で同部屋優勝決戦となったら、殺す気で来い、じゃねーと殺すぞ! と言い放つ。そして7戦目(相手の名前不明)も勝って7戦全勝、鯉太郎との優勝決定戦へ。
川さん 東三段目10枚目
王虎さん 前相撲で復帰。ダーティーファイト炸裂。ほぼ出番なし。
石川くん 序二段・枚数不明。3戦目?の天雷戦に敗北。
天雷 序二段・枚数不明。3戦目で石川に勝つも、5戦目のVS白水戦を落とし痛い1敗。
蒼希狼 序二段・枚数不明。(12)巻後半にバーキ過去話。4戦目で鯉太郎に敗北。負けたら終わりと思って戦ってきたが、親方の「もうアナタ ワタシの息子 バカ~~~」で心が救われる。
 ■ラストのエピローグでは、王虎さんがようやく教習開始。いきなりバーキや大器くんをガイにし、鯉太郎ともバチバチの教習稽古が描かれ、ラストは11月場所初日、ハッキョイ、で幕を閉じる。

 はーーー疲れた。こんな感じすね、だいたい。最後に、各力士の年齢と身長体重なども、もう一度簡単な表にまとめておくとしよう。あくまで、『バチバチ』で描かれる2009年(仮)のものです。白水さんはこの後でも身長が伸び続けたと『Burst』で椿ちゃんが言ってたような。
四股名 本名 年齢 出身 身長 体重
猛虎 小林哮 24歳 熊本 182 123
田上(→稲虎) 田上大 22歳 北海道 183 125
阿形→仁王 高杉剛平 20歳 東京 183 115
吽形 吉田亘孝 20歳 岩手 180 107
白水 白水英樹 18歳 東京 192 90
村神→天雷 村神凛太郎 18歳 愛媛 190 120
マコ姉ちゃん 斎藤真琴 18歳 山形 --- ---
王虎 後藤剣市 17歳 東京 195 115
石川(→飛天翔) 石川大器 16歳 神奈川 180 81
渡部 渡部仁 16歳 千葉 175 79
鮫島 鮫島鯉太郎 16歳 山形 178 75
椿ちゃん 奥村椿 16歳 東京 --- ---
 こうしてみると、【王虎】さんはずば抜けてデカいすねえ! まあ、さすがの血筋ってことなんですなあ。相撲に選ばれしもの、か……。しかしふと思ったけど、この翌年、弟子入りする常松は大学卒業しての角界入りだとするなら、この時点で大学4年生だろうから、まだ20歳の仁王兄貴より1歳か2歳ぐらい年上ってことすね。そうだったんだ。なるほど、すね。鯉太郎よりも6つぐらい年上だし、それを考えると、『Burst』でのクソ野郎ぶりもちょっとだけ心境は分からんでもないような気がするっすね。よーし、じゃあ、明日は『Burst』編をまとめてみますか。

 というわけで、結論。
 あらためて『バチバチ』を読んでみたら、意外なほど基本的な設定や物語を忘れており、本当にもう、わたしは病気なんじゃねえかという気がしてなりません。ホント、生きてていいことなんて、なかなかないすなあ……でもまあ、こうして面白い漫画が読めるのは大変うれしゅうございます。以上。

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