2018年04月

【注意!書き終わった今、やっぱり注意喚起を冒頭につけることにします。以下はまだ『INFINITY WAR』を観ていない方は読まないでください!! ネタバレなしには感想は書けないす。決定的なネタバレも含まれていると思いますが、観ていない人には全く通じない内容になっているし、わたしは根っからのトニー派なので、CAP派の方は不愉快な記述もあると思います。つうかですね、こんなBlogを読むよりも、今すぐ劇場へGO!でお願いします】

 というわけで、さっそく会社帰りに観てきた『AVENGERS | INFINITY WAR』。
 当然、わたしはもう、相当ワクワクして日比谷TOHOへ赴き、IMAX 3D版で鑑賞してきたのだが……本作は、監督がネタバレ禁止を訴えているので、何を「書いていい」のか、困っている。
 しかし、はっきり言って、わたしの個人的な意見としてはネタバレされてても別に困らない内容だったと思うし、ほぼ物語の流れは、誰だって想像するようなもので、そこにはとりわけ驚きはなかったように感じられた。最後に公開された予告はこんな感じであった。

 メインプロットは、THANOSが6つのインフィニティ・ストーンを欲しており、それぞれをひとつづつGetしていく過程で、激しい戦闘となる、というものであることは、もう誰しもが想像する通りである。故に、わたしとしては本作の見どころは以下に整理できると考えていた。
 ◆どんな順番で「石」が揃っていくのか?
 ◆全部揃うのか、阻止できるのか?
 ◆いまだ存在が謎の6つ目の「石」ソウル・ストーンはどこに?
 ◆そもそもTHANOSは何故「石」を揃えて銀河の生命体を半減させたいのか?
 ◆トニーとCAPはどう和解?するのか、しないのか。

 結論から言うと、「石」は6つ、すべて揃う。そしてラストは大変な事態となる。その点では確かに、衝撃的な結末ではあった。しかしそこには、「すっきりした」というようなカタルシスはないし、感動的でもない。あるのはただ一つ、えっ!? これから先、どうすれば? という「困惑」だ。
 正直に言うと、キャラクター1人1人がどうなる、とかそういうのは、はっきり言ってどうでもいいことで、肝心の物語としては、まあ、そうなるよな、という予想を超えるものは全くなかったと思う。もちろんのことながら、わたしが事前に想像していたことが結構多くハズレていて、そういう点では予想通りでは全然ないんだけど……なんというか、そこには「な、なんだってーー!?」と驚き、感動するような点はほぼなかったと思う。この映画について一言で言うならば、ああ、やっぱりこの映画は「前編」だったのね、という、かなりわたしとしてはガッカリなものであった。これなら、『CIVIL WAR』の方が断然面白かったと思うな……。
 おそらく、わたしがそう感じた最大のポイントは、本作『INFINITY WAR』は、明らかにTHANOSが主役であり、THANOSの心情に寄り過ぎてしまっている点にあるのではないかと思う。しかも、比較的丁寧に描かれているTHANOSのある意味中2病的心情には、ほぼ共感できないのだ。ラストシーンのTHANOSの「やり切った感」あふれるおじいちゃん的表情に、何を思えばいいのだろう? 
 結果として、各ヒーローたちは完全に盛り立て役というか引き立て役になってしまっていて、トニーとCAPの関係は何一つ進展しないし、そもそもTHANOSがもう圧倒的に強すぎて、全く歯が立たない。もうTHANOS無双もここに極まれり、である。これじゃあ、ハラハラドキドキもしないよな……そりゃ勝てないよ、という想像のままに終わってしまい、まあ、そうなるよな、というエンディングには、なんつうか、非常に残念に感じた。こういう無敵な存在に勝つために必要なものは「知恵と経験」であり、たしかにトニーのチームはあと一歩まで行くのだが……ワカンダのバカモンどもには深く失望ですよ……。
 結局のところ、前述のように、やっぱりこの映画はあくまで「前編」であり、真の物語は「後半」で結末を迎えるのだろう。なので、現時点でこの映画単体では、正直、評価のしようがない。これがわたしの現時点での結論である。
 とはいえ、ポイントポイントは大変興奮したし楽しめたのは間違いない。以下、わたしが「うおお!」と大興奮した点と、「なんだよこれ……」と心底ガッカリした点、それから、いまだ、「どうだろうなあ……」と何とも言えない微妙な点の3つに分けて、メモしていこう。物語の順番を無視して、大きくわたしの心に残った順で書きます。

 【大興奮した素晴らしいポイント】
 ◆THOR様大復活! 「THANOSを連れて来い!」と大激怒!
 THOR様は神様であり、実際、おそらくはMCUの中で最強と言っていいようなヒーローである。しかし前作『THOR:RAGNAROK』でまさかのコメディアン転向となり、おまけに大切なムジョルニアも喪失してしまっていたので、わたしは大変心配していた……のだが、今回はコメディアン成分を若干残しながらも、ムジョルニアに代わる必殺武器(くそう!名前忘れた!)を手にきっちり大復活を果たす。わたしが本作で一番「キターーー!!!」と大興奮したのが「Bring me THANOーーーーS!」サノスを連れて来い!!と啖呵を切るあの登場シーンである。でも、これはあとで「ガッカリポイント」のところで書くけれど、ワカンダ勢の闘いはどうしようもなくひどくて、あの登場シーンだけっすね、興奮したのは……。
 ◆LOKIよ、お前ってやつは……(涙)
 LOKIも、今までさんざん悪さを働いてきただめんず愚弟であるけれど、やっぱり彼も『RAGNAROK』でコメディアンに転向し、大嫌いだったはずのTHORお兄ちゃんと謎の兄弟愛を発揮させて、この先コイツはどうなるんだと心配だった。おまけに本作の予告では、スペース・ストーン(青)をTHANOSに差し出す的シーンもあって、まーたコイツ裏切るのか?とか思わせていたLOKI。しかし、なんてこった、LOKIの改心は本物だったんすねえ……疑ってごめんよ……本作で最初の殉職シーンには相当ショックで興奮しました。つうか、この冒頭のシーンだけでも、もうTHANOSが強すぎて、こりゃあ勝ち目がないと絶望するしかないす。
 ◆トニー meets ドクター meets ガーディアンズ!
 THANOSをあと一歩、まで追い詰めたトニー&スパイディ&ドクター&ガーディアンズ混成軍。この戦いは観ていて一番燃えましたなあ! キッチリと作戦を立て、見事なコンビネーション攻撃を次々炸裂させる流れはホントに素晴らしかった! そしてその作戦が失敗する理由も実にエモーショナルで、グッと来たすねえ。本作では、意外なほどカップルが誕生していて、トニーとペッパーはとうとう結婚していたし、スター・ロードとガモーラも完全にお互い「愛してるわ」と宣言するし、ついでになんと! VISIONさんとワンダはもう2年間一緒にイチャイチャして隠棲していたという設定になっていた。で、ガモーラへの愛が作戦を壊してしまうわけで、あそこはもう、ああなるしかなかったと思える見事な展開だったと思う。
 ◆ドクター、決断す! タイム・ストーンはTHANOSの手に!
 ドクターは冷静沈着で、アガモットの眼(タイム・ストーン)を守ることがすべてであり、いざとなれば君たちを見捨てるッ! とトニーとピーター(スパイディ)に告げるわけだが、最終的にはトニーを守るために、タイム・ストーンを引き渡す決断を下す。あの決断にわたしは結構、マジか! と相当驚いた。DOCTORは、アガモットの眼を使って、未来透視をするシーンがあって、DOCTOR曰く、1400万もの可能性の未来を観てみたが、勝てる未来は1つだった、らしい。わたしはこの0.00000714%に過ぎない「たった一つの可能性」が大きなポイントで、それを知るDOCTORこそ勝利のカギになるのでは、と思っているけれど、タイム・ストーンを手放すことは、その「可能性」の必要条件だったのだと信じたいと思う。つまり今回の敗北は「後編」への勝利のためのステップだったのだと思うことにしたい。
 ◆ガーディアンズは元気いっぱい! そして一番?泣かせてくれた!
 なんつうか、わたしは今でも『RAGNAROK』の急激なキャラ変による押しつけがましい?笑いのシーンはあまり好きではないのだが、やはりガーディアンズのみんなは最初からコメディチームなので、違和感なく素直に笑えますな。わたしは何気にボケ担当のドラックスが大好きなのだが、「消える技を身に着けたぜ! セイッッッッ! …………消えてない? おかしいな……」のシーンは最高でしたな。あと、スター・ロードのぽっちゃり疑惑いじりも最高だったし(かつてChris Platt氏はぽっちゃりだった)、THANOSのあごへのツッコミも最高だったすね(「●玉袋のシワみてえな顎しやがって!」) 。ほかのキャラもギャグはいっぱいあったけど、そっちはもう正直どうでもいいす。そして、ガモーラとスター・ロードの愛の行方も、かなりグッと来てよかったすね。最高でした。
 ◆今回のおまけ映像は一番最後に1つだけ。そしてとうとう来るーーー!!
 最近のMCUは、おまけ映像が2回、というのがデフォルトとなりつつあったが、今回は一番最後に1回だけ、です。登場するのはニック・フューリー&忠実な部下エージェント・マリア・ヒル。まあ、内容的には、とうとうあのお方が!!というつながりが示され、どうやらあのお方が「後編」に登場することは100%確実なようですね。あのお方が誰かは、ご自分の眼でお確かめください! わたしはやっぱりちょっと興奮しました。
 
 【心底失望したガッカリポイント】
 ◆CAPよ、もうあんたはCAPと名乗る資格なし!
 もうわたしは、ワカンダチームの闘いには心底ガッカリだ。その筆頭であるCAPとBP(ブラックパンサー)とバナー博士の3人には失望を通り越して怒りすら感じている。まあ、わたしは元々完全にトニー派なので、いまだに『CIVIL WAR』でのCAPは許せていないし、BPも大して強くもないし頭も良くないことには失望していたのだが……あのワカンダでの大決戦は実際どうしようもなくヒドかったと思う。
 無数の敵に囲まれ、THANOS直属の強い奴が3人いる状況で、なんで、なぜ、どうして、CAPとBPまで一兵卒として突撃しなきゃならんのだ! お前ら二人は大将だろうが! あの戦闘の勝利条件は、VISIONさんを守り切ることにあるわけで、敵戦力の要点は3人のTHANOS直属なんだから、ちゃんと作戦を立てて戦えばいいのに、なんなの、あの突撃は。お前ひとりが雑魚を何匹も倒したって、ほぼ意味ないよね。そもそもCAPの最大の持ち味は「統率力」にあるはずなのに、もう0点だよ、お前。あまりにバカバカくて、観てられない思いだったす。もう、CAPと名乗る資格なしだと思う。
 さらに言うと、バナー博士、あんた何やってんすか!? もう足手まといもいいとこだよ。バナー博士がHULK化できないのは、今後の伏線として認めるにやぶさかではないけれど、あんた、HULKになれないなら、あんたが一番貢献できるのはその頭脳でしょ!? なにその役割をぽっと出のシュリに奪われてるんすか! アホか! この点も脚本的に0点と愛をもって断罪したい。
 そしてBP陛下、あんたもホント弱いすねえ……つうか、なんでワカンダご自慢のシールドを開けたのか、その点はわたしの理解力ではよくわからなかった。アレって……なんででしたっけ? 覚えてないす、もはや。まさかと思うけど、いわゆる「細道に誘い込んで大勢の敵を1対1の闘いに持ち込む」という常道の作戦だったのか? だとしたら、戦力差があり過ぎて全く効果なかったね。もうチョイ、ちゃんと作戦立てなよ……あんたはいつも行き当たりばったりだからダメなんだよ……。ほんと、目先しか見えていないあんたには王の器はないと思うよ。失望しかないす。
 要するに、トニー・チームが、きちんと各キャラの持ち味を発揮して連合チームとして戦ったのに対し、ワカンダのバカモンどもの、とにかく目の前の敵をぶっ飛ばせという特攻作戦には深く失望です。せっかくTHOR様がウルトラカッコよく救援に駆け付けたのに、もはや混戦が激しく指揮系統も崩壊していたため、焼け石に水であった。なにやってんだか……。
 ◆今回登場しないあの二人の、「登場しない理由」がダサすぎてガッカリ。
 今回の『INFINITY WAR』のプロモーションでは、ポスターなどにも一切登場しない二人がいることはもう、ご存知の通りだが……BLACK WIDOWだったかの口から語られたその理由が、信じがたいほどダサすぎて、超ガッカリだ。二人とも、「司法取引」をして自宅軟禁中?なんですってよ。アホか! いや、わたしの愛するANT-MANはイイんです、それでも。なにしろスコットはある意味事情をよく分からないまま、手伝っただけなので。でも、HAWKEYEは絶対許せない!! お前、お前がワンダを連れ出した張本人のくせに、お前だけ司法取引って何事だこの野郎! とわたしはもう、怒りが有頂天である。ああ? 家族がいるからだと? ふっざけんな! お前、CAPのピンチには馳せ参じるんじゃなかったのかよ! ま、お前がいたところで、どうせ何の役にも立たなかっただろうけど、ホント、トニー派のわたしとしては、HAWKEYEことクリント・バートンの偉そうな態度が嫌いである。ま、お前もTHANOSの「選択」で消滅したことを祈ります。はあはあ……思い出し怒りが止まらんすわ……。
 ◆結局トニーとCAPは顔を合わせず和解ナシ。
 冒頭、THANOSの野望を知ったトニーは、ギャグキャラ化した使えないバナー博士から、CAPに電話しなよ、と勧められ、どうしようかな……と悩むシーンがある。結局トニーは電話できず、その後バナー博士が、CAPからトニーに送り付けられてきた携帯を使って連絡を取り、VISIONさんとワンダのピンチに駆けつけるわけだが、本作ではトニーとCAPの対面はナシ、であった。トニーは、またしても地球がボロボロになるのを避けるためにも、宇宙での戦いに挑んだわけで、本作終了時点では、トニーはタイタン(THANOSの故郷)にとどまっている。ま、そんな点もCAPとは大違いの行動とトニー派のわたしは高く評価したいところだが……来年公開の「後編」で二人は対面することがあるのだろうか……わたしとしては、MCUにおいて『CIVIL WAR』は最大の事件なわけで、いまだ未解決という認識なので、この二人の確執という重要ポイントには、何らかの結末がどうしても必要だと思うし、本作でその和解?へのフラグがまるで立たなかった点も、正直ガッカリであった。

 【び、微妙……で何とも言えないポイント】
 ◆THANOS……あんたは……愛の戦士だったのか……?
 THANOSの目的は、一言でいえば増えすぎた生命体のバランスを整えるため、銀河の生命体を半減させる、という中2病めいたものであった。まあ、要するにシャア的な、人類半減計画だったわけで、そのためには非情に、あえて愛を捨て去ろう!というラオウ様めいた決意だったわけだが、なんつうか……陳腐というか……日本人的にはもう、様々なコミックやラノベでお馴染みのもので、基本的にそういう狂信は、愛をもって倒される運命にあるわけだ。なので、きっと来年公開される「後編」、通称『AVENGERS4』ではそうなるものと思われるが、なんか、微妙すぎでわたしは何とも言えないす。6つ目の「石」の獲得条件が「愛」という展開はとても良かったし、まさかのTHANOSの涙も、良かったとは思う。
 けど、うーーーん……ラストシーンのTHANOSのアップ、あの表情は……び……微妙……す。
 ふ―やれやれ、終わった……な……みたいな、一仕事終えたおっさんフェイスには、正直唖然というか、困惑せざるを得ないように思った。悪には悪の理論があり、悪の行動にはきちんと目的がある、と示したのは大いにアリだろう。しかし……THANOSの目的は微妙過ぎて……現時点では何とも言えないすね……。
 正直、THANOSは冷徹かつ合理的な判断で生命体半減計画を実行するけれど、「愛」を知らぬゆえに、6個目の「石」をどうしても入手できない、しかし、ガモーラを犠牲にしようとしたところで一筋の涙が流れ、「こ……これが……愛なのか?」と理解し、「ガモーラ、愛しい娘よ……だが……だが謝罪はせぬ! お前の命で「石」をもらうぞ! これがわが生涯最後の涙となろう!」という展開で最後の「石」をGetして今回はここまで、が良かったのにな……。
 いっけねえ、『北斗の拳』が好きすぎるわたしの妄想でした。
 
 というわけで、もうしつこいので現時点での結論。
 待ちに待った『AVENGERS | INFINITY WAR』をさっそくIMAX3D版で観てきたのだが、まず言いたいことは、本作はあくまで「前編」であり、物語の結末に至っていないので判断しようがない、といのが一つ。そしてTHANOSが強すぎて全く歯が立たず、THANOS無双であったため、肝心のヒーローたちが引き立て役としてボロボロ、あまつさえエンディングではとうとう「石」をそろえたTHANOSの「選抜」が実行され、数多くのヒーローが消えてしまう展開には、驚きというよりも、ま、そうなるわな、という納得しかなく、で、どうすんの?という困惑が一番大きくわたしの心に残る結果となった。もう、CAPやBPの指揮官=大将としての無能ぶりはどうでもいいす。おそらく「後編」に登場することが確定となったあのお方が、どんな指揮を執ってくれるのか、楽しみに待ちたい。要するにですね、早く来年公開の「後編」が観たい!! が結論です。以上。

↓ あのお方の活躍は予習した方がいいのだろうか……実はわたしはよく知らず、原作未読です。


 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 今現在のわたしは、とにかく明日公開の『Avengers:Infinity War』が早く観たくてたまらないのですが、昨日から座席チケットの発売になり、わたしも昨日の早朝というか深夜に、IMAX 3D版の席を確保いたしました。楽しみだなあ、ホントに。ヨーロッパやアメリカ大陸の皆さんよりちょっとだけ先に観られるのかな。時差的に。はーーワクワクが止まらんす。
 そういや来週は日本はGWまっただ中なわけで、来週は『鮫島』ニュース番外編として『バチバチ』の振り返りをしておく予定でおります。改めて『バチバチ』読んでみると、やっぱり色々忘れていることがあって、年々低下する記憶力に絶望的な気持ちになりますが、まあ、にんげんだもの、ということで、番外編としてまとめておくことにしました。いまさら全く需要のない記事だと思いますが……。
 さて、それではまずは今週の週刊少年チャンピオン2018年22・23合併号概況です。次号は2週間後の5/10発売ですよ!
 ■巻頭グラビア:今週はモーニング娘。’18の皆さんです。もう20周年か……。早いなあ。
 ■弱虫ペダル:先頭の3人!!の巻。夢のようなインハイラスステでTOPを行く総北の3人。やっぱりグッときますよ。「3人でゴール」という夢がかなうといいのですが……鳴子くんの最後が近づいている気配です……。
 ■疵面:タイトルなし。刃牙新章はいつからなのでしょうか……。
 ■BEASTERS:ほほえみの取捨選択の巻。ルイ先輩がどんどん遠くに……。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:目覚めよ羽化する蝶の如くの巻。へ、変態……w 最高です。
 ■昆虫武将チョウソカベ!:殿さまお悩み相談室の巻。殿、イイこと言いますなあw
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年22・23合併号でありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りします。
 先週は、突然現れた鯉太郎の母と、13日目の朝を迎えた鯉太郎のある種異様な心技体の充実が描かれました。わたしは器の小さい男なので、完全にマコ姉ちゃん同様、今さら何よ!な想いなわけですが、椿ちゃんが母を不忍池のほとりの「例のベンチ」に誘い、お話をしていました。そして鯉太郎は、マコ姉ちゃんの「無理しちゃダメよ」という声に見送られ、いよいよ国技館へ出発したところで終わったわけですが、今週は椿ちゃんと鯉太郎母の語らいからスタートです。つうか、結論から言うと今週は鯉太郎母による回想メインのお話でありました。
 まず最初に語られるのは、母が火竜と出会った馴初めであります。強引で荒っぽい男であった火竜に、若干引き気味であったものの、「土俵での彼は現実味がないほど圧倒的に輝いていて…眩しくて…」Fall in Loveとなり、結婚、そして鯉太郎が生まれたそうです。当時の火竜は、「お前はこの火竜太郎の息子だ! いずれ天に昇って龍になる男だ! だからお前は鯉 鯉太郎だ!!」という思いで命名したそうな。そして母から見た鯉太郎は、父に憧れ父を誇りとし、父同様に少し乱暴なところはあったけれど、やっぱり父・火竜と同じような屈託のない顔で無邪気によく笑う少年だったそうです。
 しかし、「あの事件」が起こるわけです。その結果、「あれほど眩しく輝いていた人が まるで別人のようになって…」しまったのは我々も既に承知しております。その様子は、火竜のこんなセリフとともに描かれています。
「クソが…終わっちゃいねーんだ…まだ…俺は終わっちゃいねーんだ…たのむ…たのむから…土俵で死なせてくれ…そんな目で見るな…そんな目で俺を観るんじゃねーーー…」
 母としては「もうそこには…私の知っている輝いていた火竜はいなかった…」というわけで、鯉太郎を連れて出ていこうとしますが、鯉太郎少年は「いやだ…俺はここにいる…」と決死の表情?で宣言し、「私は逃げたんです…身勝手に…笑顔を失った鯉太郎を一人残して…」という顛末だった模様です。母の述懐は続きます。
「強くいられなかった自分がすべて悪いのですが…だけど今でも思うんです…何故無理やりにでもあの子を連れて行かなかったんだって…」うーーん……難しいすね……鯉太郎を連れて行くことは無理だったでしょうなあ……。そして、それなら自分も火竜の元に残る、という選択肢はなかった……のでしょうな……。椿ちゃんは問います。
 「でも…なぜ火竜関が亡くなったとき 鯉太郎を引き取らなかったんですか…?」そりゃそうだ、椿ちゃんナイスツッコミです。何故なのでしょうか? この問いに対する母の回答はというと……。
「夫と…今の夫と出会ったんです…」ああ、なるほど、そういうことなんすね。どうやらその夫とやらは、老舗菓子司の若旦那らしく、鯉太郎を引き取りたいと懇願したものの、その旦那の両親、すなわち義理の両親から大反対されたのだそうです。
「何をバカなことを言っとるんだ! だからこんな結婚は反対だったんだ…そんなもの拾って店の名に傷をつける気か!?」なんて言われたそうです。オイオイ……まあ、この説明だけだとなかなかトンデモ一家に思えてしまいますね……うーん……これが現代では普通な一般的対応なのかなあ……。
 そして、そんな時、男気溢れる申し出をしてくれたのが、山形の斎藤正一さんですよ。今週のカッコイイセリフその(1)はこの場面でしょうなあ。
 正一「(笑顔で)心配しないでください…鯉太郎は私が引き取ります…火竜にたのまれていましたから…「俺に何かあったら鯉太郎を頼む」と…」
 母「せめて…せめて月々のお金を受け取ってください…」
 正一「いりませんよ…それは鯉太郎の尊厳をお金で冒涜することになる…あなたはただ あの子のことを一時も忘れず生きて下さい…そして幸せにならなければいけない…火竜といた頃よりずっと…それがあの二人への贖罪にもなる…」
 正ちゃん、男ですなあ……! 幸せになることが贖罪、というのは非常にうなずけますね……いや、さすがはマコ姉ちゃんの父だけあります。大変グッとくる言葉だと存じます。そして母は、約束通り? ずっと鯉太郎を見つめ続けていたそうで、角界に入ったことを知った時は本当に驚き、心配し、ずっと見てきたことを椿ちゃんに告げます。そして、角界に入ってどんどん輝き出し、おまけにどんどん父親に似ていく姿に、母はある意味ゾッとしていたようです。
「怖いんです…あの子も土俵がすべてになってしまっていないかと…あの子は見ているから…相撲を奪われた父親の姿を…何も無くなった父親の姿を…」うーーん……なんか……母としての偽らざる気持ちだというのは分かりますが……どうもわたしには、違うような気がしてならないんすよね……このお母さんの言葉は。そしてこの言葉を聞いて、椿ちゃんはズキン…という胸の痛みを感じます。それは鯉太郎が「もし土俵で終わってもそれでいい」とか言っていたことを思い出したからなのですが、ここで椿ちゃんはスクッと立ち上がって、宣言します。今週のカッコイイセリフその(2)です。長いので要約します。
「鯉太郎が空流部屋に初めて来たとき 目もつり上がってててピリピリしてて少しも笑わない奴で…ずっと何かに首を絞められてるような感じで…誰も寄せ付けないくせに でもどこか淋しそうで…でも少しずつ…ほんとに少しずつ…そこに柔らかさかついてきて…私は…それがうれしくて…鯉太郎の幸せそうな顔がすごくうれしくて…それはきっとお母さんが見ていた 子供の頃の笑顔(ソレ)で…先代の親方が…私の父が亡くなったとき…鯉太郎が私に言ってくれたんです…空流には血が繋がらなくても 絶対に揺るがない絆があるって… これからもずっと…お前は一人じゃないからって だから私もアイツを…何があっても一人にはしない…アイツが笑ってられる場所は…空流(ここ)にあるから…たとえ相撲がなくなったって…何にも無くなるなんてない!! 私がさせない…」
 どうですかこの椿ちゃんの宣言は! いけねえ、要約できずに全文を引用してしまいました。完全なる愛の告白であり、堂々たる決意表明ですよ。毅然とした椿ちゃんの表情は是非チャンピオンを買ってご確認ください。まあ、生みの親より育ての家族、なんでしょうなあ。椿ちゃんの言葉は続きます。
「マコさんがお母さんを許せないって気持ちも正直分かるけど…けど…私は…今の鯉太郎をよく知ってるから…アイツはバカみたいに やさしいから…相撲が鯉太郎から笑顔を奪ったのかもしれないけど…相撲があったから また笑えたから…なによりこうしてまだ繋がってられたから…やっぱり行きましょう…鯉太郎に会いに…」
 今週はこの言葉を笑顔で母に次げる椿ちゃんのアップで幕、でありました。この椿ちゃんの言葉の背後には、国技館に到着した鯉太郎が、サインをねだる少年にサインをしてあげて、超イイ笑顔でにっこりしている情景が描かれています。なんだか泣けてきますなあ……。なんつうか、母を鯉太郎に会わせるのは、反対はしないすけど……母には笑顔で鯉太郎の前に立ってほしいすね。笑顔で、幸せにしている姿を鯉太郎に見せるのが、唯一出来ることなんじゃないかなあ……と思いました。いやあ、ホントに『鮫島』は最高すね……!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。66連勝中(11日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週は基本的に鯉太郎母による回想がメインで、それを聞いた椿ちゃんの厳然たる覚悟と決意表明が描かれました。「私がさせない」という椿ちゃんには、鯉太郎との幸せな未来が訪れてほしいところですが、果たしてどうなるんすかねえ……。どうか希望あるエンディングを迎えてもらいたものです。そうは問屋が卸さないんすかねえ……卸してほしいすなあ……佐藤先生、マジでお願いいたしますよ! そして、来週のチャンピオンはGWで発売がありませんので、来週は『鮫島』ニュース番外編として、シリーズ第1作『バチバチ』のまとめをする予定です。なので、来週はチェックしなくて大丈夫ですよ。以上。

↓ チャンピオンコミックスの5月刊はコイツを買う予定です。

【追記:というわけで観てきました『INFINITY WAR』(以下『IW』と略)。観てきた今、以下を読むと、結構予想がハズレまくってるので、なんか大変恥ずかしいのですが、消すのもダサいので、わたしのバカさ加減を忘れないためにもそのままにしておきます。あと、一部明らかに間違ってた点は修正を入れました】

 わたしはMarvel Cinematic Univers、略してMCUが大好きであります。もう何度もこのBlogにおいていろいろ書いているけれど、今週金曜日にとうとう公開される『AVENGERS:INFINITY WAR』を観るにあたって、主なキャラクターの「INFINITY WAR」開戦前夜の状況をまとめておこうとふと思い立ったので、以下、またクソ長い文章を書こうと存じます。くれぐれも言っておきますが、『INFINITY WAR』は,MCU第19作目であり、当然ながらそれまでの18作品を観ていないと絶対ダメです。

 本記事は、ちょうど2年ぐらい前にこのBlogで書いた記事「Marvel Cinematic Universeの基礎知識を軽くまとめておこう。」を読んでいることを前提としています。あの記事を書いた時から、どんな感じに物語は進んだのか、についての記事なので、完全に一見さんお断りな、分かり切った人物や言葉、映画タイトルにいちいち説明はしません。それと、もちろんネタバレも含んでいるだろうし、そもそもわたしは圧倒的にトニー派で、トニー派としての独断と偏見と主観に満ちていますので、CAP派の方は読まない方がいいと思います。
 さてと。最新の状況は、たぶん5つのグループにわけて説明した方がいいと思うので、各チームごとにまとめてみようと思います。あと、記憶に従って書くので間違いがあったらちょこちょこ手直しします。
--------【アイアンマンチーム】--------
 ◆トニー・スターク(IRON MAN):チャラい男のようでいて、いつもちゃんと考え、自らの過ちもきちんと認め、キッチリ謝罪ができる大人の男。『CIVIL WAR』でCAPと大喧嘩したものの、CAPからは「ピンチの時はいつでも駆けつけるからね!」なんて手紙とともに、携帯電話が送られてきているが、まだそれを使う状況にはなっていない。トニーは『CIVIL WAR』事件でのCAPたちの主張を認めるにやぶさかではなく、きっちり謝罪もしたのだが、両親を殺したバッキーをかばったことがいまだ許せていないため、たぶん今でもCAPに対してはモヤモヤしているはず。そりゃそうだ。最新状況は、『Homecoming』で描かれた通り。最初の『AVENGERS』事件で崩壊したNYを復興させるため、良かれと思ってガレキ処理を引き受けたのだが、そのことでヴァルチャーという悪人を生み出してしまい、おまけに、自らがダメ出しした少年ピーター・パーカーが頑張ってそのケジメ付けたこともあって、ピーターを正式にAVENGERSに入れてあげよう、そして最新型の「アイアン・スパイダー・スーツ」をプレゼントしよう、と思ったらあっさり振られ、若干アレな気分に。いずれにせよ、自分がNYのど真ん中に住んでいると、戦いが発生した時の余波でまた街がボロボロになるので、北部へと引っ越しをした。なお、愛するペッパーとは、『ULTRON』事件のあたりでは別居中だったが(※IRON3で引退するって言ったのに引退しなかったため?)、現在は復縁して仲良く暮らしている模様。きっと大変忙しい毎日を送っているのでしょう。
 ◆ピーター・パーカー(SPIDER-MAN):『CIVIL WAR』でトニーにスカウトされて緊急参戦し、その後ヴァルチャー事件で大活躍した高校生。トニーを尊敬している?とは思うけれど、ヴァルチャー事件で骨身にしみて、正体を明かしてモテようとか、AVENGERSの一員になって活躍しようとか、浮ついた気持ちを持たず、「親愛なる隣人」としてNYを守ろうと決断した、大変デキた少年。頭も良い。SPIDER-WEB(あの糸)はピーター自家製作。『Homecoming』のラストシーンの通り、世話になっている美人過ぎる叔母に正体はバレちゃった、はず。あのシーンは最高でした。トニー謹製のノーマルSPIDERスーツは現在も保有。友人ネッドもピーター=SPIDER-MANであることを知っている。
 ◆VISIONさん:元トニーの電脳執事JERVIS。『ULTRON』事件の際に、VISIONとなって実体化した超常的存在。その時キーとなったのが、ロキの杖についていた「インフィニティ・ストーン」の一つ「マインド・ストーン(黄色)」で、今回はそれを求めてTHANOSがやって来るので、VISIONさんは超ピンチに陥るはず。ムジョルニアをひょいと持ち上げられるほと、正しく高潔な存在。体は透過できるし、額からビームはぶっ放すし、基本的に超強い。なお、現在は何をしているか不明だが、『Homecoming』によれば、トニーの引っ越し先のアベンジャーズ基地にはちゃんと部屋があるらしいので、ワンダを想って静かにしてるのではないかしら。どうでもいいことですが、VISIONさんを演じている役者Paul Bettany氏と、ピーターの着用するSPIDER-MANスーツに搭載されたAIカレンの声を演じているJennifer Connellyさんは現実世界では夫婦です。
 ◆ナターシャ・ロマノフ(Black Widow):彼女は、元ロシアの養成したスパイだったことを『Winter Soldier』事件の終結時にカミングアウトして、きちんとけじめをつけたこともあり、同じくロシアに洗脳・育成されたバッキーを放っておくことは出来ず、きちんとバッキーを法機関に引き渡すべきとするトニー側に立って『CIVIL WAR』を戦ったが、やっぱり色々とモヤモヤしていて、結局トニーと喧嘩して、たぶん出ていっちゃったはず。何をしているかは不明だが、まあ、きっと愛するバナー博士を探したりしてるんでしょうな。バナー博士がまさか銀河の果てにいるとも知らず……。CAPに合流した可能性も十分あり得る。
 ◆ローディー(WAR MACHINE):『CIVIL WAR』事件で、逃げるCAPたちを乗せたクインジェットを狙撃しようとしたVISIONさんのビームを喰らってしまい(FALCONが避けたせい!)、高高度から墜落し、脊椎損傷の大けがを負う。長年の友人トニー謹製のメカギプスでリハビリ訓練中。
--------【キャップチーム】--------
 基本的には『CIVIL WAR』でCAPの味方をした連中は皆、海中刑務所に投獄されたが、CAPにより強奪・脱獄しているはずで、『CIVIL WAR』おまけ映像でCAPとバッキーはワカンダへ行ったことは描かれているが、その他の連中がどうなったか定かではない。CAPを含め、CAP派の連中はどうやら犯罪者(War Criminal)として指名手配されている模様。
 ◆スティーブ・ロジャーズ(CAPTAIN AMERICA):トニーはきっちり謝罪したのに、コイツ自身はトニーの怒りに対して拳で応えたという点でわたしはいまだにCAPは許せないす。CAPの理論は、バッキーは友達なんだ! というだけで、「オレも友達だったよな?」というトニーの言葉には何も答えられないひどい男、というのがわたしの評価。あんな手紙と携帯だけで許されると思うなよ! ワカンダに潜伏中か、NOMADとして世界のどこかで悪と戦っているのかも。現在どうやら髪も伸びてオールバック&髭もじゃになり、さわやかイケメンの面影なし。
 ◆サム・ウィルソン(FALCON):CAPに従う腰巾着ヒーロー。ビジュアルはかっこいいけれど、普通の人だし武装も普通の銃器なので、あまり強くない。元軍人。ウィングパックは合衆国資産のはずで(その後トニーが防弾処理とかドローンをつけたりとか改良したのかも)、勝手に使用中。まあ、コイツはCAPと一緒にいるでしょうな、きっと。ちなみに、そもそも『CIVIL WAR』においてバッキーを捕縛したCAPが、「トニーに連絡を……(If we can call Tony...)」と言ったのに、「いや、信じてくれないでしょ(No, he won't believe us)」と反対したのがファルコンなので、大喧嘩の原因を作ったともいえる。ただし、一応彼は、ローディー大ケガの責任を感じていて、トニーに情報をもたらしたので、その点は許してもいい。
 ◆ジェームズ・ブキャナン・”バッキー”・バーンズ(WINTER SOLDIER):CAPの幼馴染の親友。実のところ彼は被害者で、トニーの両親を殺したことに対しても、深く、申し訳ない気持ちを抱いているはず。なので彼は許せます。大いに反省中の彼は、自ら、オレはまた洗脳暗示で悪いことをしてしまうかもしれないから、と言って、ワカンダで冷凍睡眠に入ったことが『CIVIL WAR』で描かれたが、『BLACK PANTHER』のおまけ映像でどうやら冷凍から目覚め、ワカンダの天才科学者シュリ(BPの妹)によって洗脳も解けた、ように見えた。トニーの怒り爆発で破壊された左腕のメカアームは、現在シュリが製作中かも?
 ◆クリント・バートン(HAWKEYE):弓の達人だけれど、普通の人なので全然強くない。そのくせに、超偉そうな野郎。コイツはずっと刑務所入りでいいと思う。けど、まあ、普通に考えて一緒に脱獄したのでしょう。そもそも、精神的に弱っているワンダを『CIVIL WAR』に導いた点で、わたしとしては決して許せない。ただし、今回の『INFINITY WAR』においては事前の予告やポスターなどに一切登場しておらず、その動静は全く不明。もう出てこなくていいから、わたしとしては、反省してずっと刑務所に入ったままであることを望みます。
 ◆スコット・ラング(ANT-MAN):わたしとしては大好きなキャラなのだが、ファルコンと知り合いだったこと、そして先代ANT-MANのピム博士が、スターク父と仲が悪かったこと、などの背景があるため、(運悪く)CAP陣営に参加し、その結果として逮捕・勾留の憂き目に。事情がまだよくわかっていないような感じではあるが、まあ、彼もいっしょに脱獄したと思いたい。が、彼もまた『INFINITY WAR』の事前プロモに一切登場しておらず、現在どうしているか不明な状態。たぶん、彼の場合は、愛する娘が第一なので、指名手配犯として娘に会いに行くわけにもいかず、潜伏中なのではないでしょうか。早くピム博士と合流しててほしいすね。次回作『ANT-MAN AND THE WASP』は日本では8月31日公開だそうです。超楽しみ!
 【追記:HAWKEYEとANT--MANがINFINITY WARに出てこない理由は『IW』内で語られましたが、大変詰まらない理由でガックリ】
 ◆ワンダ・マキシモフ(SCARLETT WITCH):元々『X-MEN』のキャラだが、MCUにおいては『ULTRON』事件で初登場した人造超能力者(?)のこと。ガンダム的に言うと強化人間だが、何気に最強レベルの能力者。VISIONさんとイイ感じだと思うのだが、監禁生活に嫌気がさし、HAWKEYEの手引きで脱走、CAPチームとして『CIVIL WAR』を戦うが、結局逮捕・勾留の憂き目に。だからあれだけVISIONさんが言ったのに……。脱走してるとは思うけど、どこで何をしているか不明。まあ、ワカンダで暮らしていると思いたい。早くVISIONさんのもとに帰っておいで! そしてVISIONさんをTHANOSの魔手から守るんだ!
--------【銀河はぐれ旅チームA】--------
 ◆ソー(THOR):アスガルドの王子様。『CIVIL WAR』事件の際は地球を不在にしていた。『RAGNAROK』事件によって故郷アスガルドは崩壊。地球を目指して航行中の宇宙難民団リーダーに。すっかりお気楽なツッコミ系ギャグキャラに変化中。実力的には神様なので超強い。が、『RAGNAROK』事件で大切なムジョルニアを破壊され、真の力に目覚めたはいいけれど、その実力がどうなったか未知数。これまでは、ムジョルニアの力で空を飛んだりしていたのだが、果たして再びTHOR様は地球でも飛べるのでしょうか? 地球の恋人ジェーンとは別れたそうです。そして『RAGNAROK』事件の際、父を探してやってきた地球で、DOCTOR STRANGEと出会うも、舐められっぱなしでいいとこナシ。しかし、『RAGNAROK』のおまけ映像では、地球へ向かうTHOR様たちの乗る宇宙船に、謎の巨大宇宙船が迫り……な終わりであったので、その謎の船が何者かは『INFINITY WAR』で明かされるはず。
 ◆ブルース・バナー博士(HULK):どういう理屈か不明だが、『ULTRON』事件の際に、一人でクインジェットをかっぱらって逃亡した結果、行き着いた先は何故か銀河の辺境の星サカールで、そこで仲間のTHOR様と出会い、『RAGNAROK』事件終結を手伝う。現在はTHOR様たちとともに地球目指して航行中。博士も軽~いキャラに変化中。悩める人だったのにね……。
 ◆ロキ(LOKI):宇宙一のデキない弟としてお馴染みのLOKI様は、『RAGNAROK』事件ですっかりTHORお兄ちゃんと仲良しに。一緒に地球へ向かって航行中。「地球はわたしを受け入れてくれるだろうか……」と不安なLOKIに、THOR様は「まあ、最後には何とかなるさ!おれは地球で人気者だし!」と極めてお気楽。この謎の兄弟愛はいいけれど、DOCTORが黙っているとは思えないのだが……彼もまた地球に来た時にDOCTORと出会っており、DOCTORに散々もてあそばれる羽目に。魔法の腕前ではDOCTORの方が上っぽい。そして重要なのは、『RAGNAROK』事件でアスガルド崩壊の直前、父オーディンの武器庫に保管してあった「インフィニティ・ストーン」の一つ「スペース・ストーン(コズミック・キューブ=青)」をかっぱらって隠している模様。予告ではなにやらTHANOSに「ストーン」を差し出しているのか? 謎のシーンがあるので、その動向は要チェックだ! まーた裏切る気なのか、作戦なのか、その行動の真意がついに今週明かされる! 裏切るに1000点。
【追記:謝らせてほしい。LOKIよ、ほんとゴメンよ……お前はイイ奴だったね……】
--------【銀河はぐれ旅チームB】--------
 ガーディアンズ関連の皆さんも、「エゴ」事件終結後の現在、銀河はぐれ旅中か。とりわけ目的地はないと思うが、銀河の辺境でお仕事中だと思う。
 ◆ピーター・クィル(STAR LORD):地球人。1988年に地球から銀河の果てに誘拐されたちょっとかわいそうな男。とうとう彼も『INFINITY WAR』で地球に里帰りか!? と思うとわくわくしますね。一応常識人だとは思うが、父親が「エゴ」という宇宙生命体で、普通の人が触ると即死する「インフィニティ・ストーン」の一つである「パワーストーン(オーブ=紫)」も平気で触れた過去アリ。ゆかいな仲間たちと気ままな宇宙暮らしのはずだが……。最初にTHOR様と出会うのがガーディアンチームのようですな。チームの中では基本ツッコミ役。
 ◆ロケット(ROCKET):見かけは可愛いアライグマ、だけど凶暴な男。何気に一番活躍するメカニックとしても凄腕。グルートを溺愛している。基本ツッコミ役。
 ◆ガモーラ(GAMORA):元THANOSの娘。戦闘能力抜群の暗殺者。ピーターと現在ちょっとイイ仲。凶暴な妹、ネビュラとも和解の方向に。
 ◆ドラックス(DRAX THE DESTROYER):かつてロナンに妻子を殺された戦士。現在はチームのお父さん的存在で、何気にイイことを言う人。エゴの従者であったマンティスとちょっとイイ仲なのか? 基本ボケ役。
 ◆グルート(GROOT):木。基本ボケ役。『GOTG1』で仲間を守るため捨て身の行動に出て枝1本になっちゃったのち、『Vol.2』では可愛いベビー姿に成長。みんなのアイドル。しかし、『Vol.2』のおまけ映像ではさらに成長し、絶賛思春期で、現在反抗期まっただ中。部屋を散らかしっぱなし&ゲームに夢中でクソ生意気な中学生ぐらいな感じです。笑える。
--------【チーム無所属】--------
 ◆スティーヴン・ストレンジ(DOCTOR STRANGE):元々は傲慢で自信家の外科医だったが、現在は超偉そうな態度の最高魔術師(ソーサラー・スープリーム)。NYCのロウアーマンハッタン、BleeckerStの177番地在住。わたし、偶然NYCのBleekerSt.は歩いてぶらぶらしたことがあるので、大体の雰囲気は知ってますが、そうだなあ、昔の代官山の同潤会アパート的なおしゃれSHOPの多いとこすね。いや、もっと小汚いか。『CIVIL WAR』時点ではまだ魔術師になっていないはず(DOCTORが事故を起こす直前に受けていた電話で、ローディーが脊椎損傷で運び込まれたことを聞いている)。なのでヒーロー歴は浅いはずだが態度は超偉そう。そして実力も高そう。何より彼の能力は魔術であり、物理的な武力とは一味違うし、DOCTORは「別次元」の存在から地球を守っている団体の一員で、『RAGNAROK』で地球にやってきたTHOR様に対して、「地球に害する存在を監視している」と言っていた(ので、LOKIをさっさと地球から追い払いたかった)。頭は勿論いいし、自分よりすごい人には意外と素直。トニーとうまくやって行けるか心配だけど、まあ、大人なので大丈夫、と思いたい(原作上では結構仲間だったり対立したりするし、CIVIL WARの原作では中立派に)。一応魔術師団体の長的存在なので(たぶん)、同門の味方はそれなりにいる。
 ◆ティ・チャラ(BLACK PANTHER):『CIVIL WAR』事件で父を殺害され、怒りまくってCAPチームに戦いを挑むも、事件の真相を知って怒りを鎮め、逃亡犯となったCAPチームを自国ワカンダに迎え入れ匿う。理知的で強い男……と思っていたのだが、『BLACK PANTHER』で描かれたキルモンガ―事件で意外と単なるおぼっちゃまでそれほど強くないことが判明し、わたし的にはかなりガッカリ。トニーとどちらが金持ちか知らないが、アフリカに広大な土地と資源を持っている王様のため、どうやら『INFINITY WAR』では主戦場となる模様。分からないけど。妹のシュリが何気に重要人物で、最新BPスーツなどもシュリ謹製のアイテムで、トニーと科学者同士仲良くしてほしいのだが……。王様だけに、親衛隊的軍隊も保有。

 はーーー長くなった。まあ、こんな感じだと思います。
 そして、『INFINITY WAR』を観る際に一番(?)の鍵となるであろう「インフィニティ・ストーン」について短くまとめておきます。今回の敵THANOSは、6つあるとされている「インフィニティ・ストーン」が欲しいのです。
 ◆青:スペース・ストーン。別名コズミックキューブ。前述の通り、本来アスガルドで保管されていたはずだが、アスガルド崩壊の際にLOKIがパクって持ち出した模様。
 ◆赤:リアリティ・ストーン。別名エーテル。『THOR:DW』でジェーンに憑りついたアレ。その後、銀河の収集者コレクターに預けられたはずだが、『ガーディアンズ1』でコレクターの家が派手に破壊されたので、どうなったか不明。コレクターがちゃんと保管していると思いたい。
 ◆黄:マインド・ストーン。元はLOKIの杖についていたが(アレって、THANOSから借りたんだっけ?)、現在はVISIONさんの額で輝いている。VISIONさんヤバし。
 ◆紫:パワー・ストーン。別名オーブ。『ガーディアンズ1』の事件後、現在はノバ帝国ザンダー帝国に保管されているはず。たぶん。
 ◆緑:タイム・ストーン。別名アガモットの眼。代々?ソーサラースープリームが保有。現在はカトマンズのカマー・タージに保管してあると思うが、DOCTORが勝手に使っている状態。
 ◆橙:ソウル・ストーン。現状MCUにはまだ現れていない謎の石。Web上ではいろんな説が流れているが、まあ、実際わたしも全く想像はつかないです。たぶん、『AVENGERS』の3作目4作目はそもそも前編・後編で構想されていた作品なので、元々前編だった『INFINITY WAR』では、出てこず、後編にあたるタイトル未定の『AVENGERS4』で出てくるんじゃないかしら。根拠はありませんが。『INFINITY WAR』ののち、『ANT-MAN AND THE WASP』が今年公開され、来年早々?だっけ? 『CAPTAIN MARVEL』が公開されて、その後で『AVENGERS4』の公開となるので、ひょっとしたら新ヒーロー『CAPTAIN MARVEL』がカギになるかもしれないすな。わからんけど。
 はーーしかし楽しみですなあ! 早く金曜にならねえかなあ! あと3日後か、ヤバイすねえ、超楽しみっす。

 というわけで、結論。
 早く『INFINITY WAR』が観たいす! 以上。

↓ わたし的MCU最高傑作は『CIVIL WAR』ですが、内容的にコイツの完成度はさらに上かも。わたしの生涯ベストに間違いなく入れるべき作品す。所属としては、一応DCコミック原作す。
ウォッチメン (字幕版)
ローラ・メンネル
2013-11-26


 いわゆる「COOL JAPAN」コンテンツというと、基本的には漫画・アニメ・ゲームの世界の作品が取り上げられ、その魅力をもっと海外に発信しよう的な活動が、ここ15年ぐらい、官民挙げて盛んなわけだが、一つ、大いなる勘違いじゃねえかとわたしが感じているのは、それらは主に「オタク」コンテンツであり、日本国内でさえ、一部のコアなオタク以外には訴求力が鈍く、いわんや海外ではもっとごく一部のオタクどもを熱狂させているだけで、実のところ、フツーの人々にはなんのこっちゃ? という性格のものであろうという点だ。
 実際のところ、例えば日本人なら大勢の人が「ガンダム」を知っているとは思う。けど、「おれ、やっぱり一番カッコイイと思うのはゼータなんすよね!」と熱く語っても、フツーの人は「ゼータ」ってなんぞ? と思うだろうし、海外では、フツーの人が「ガンダム」を(知ってはいるかもしれないが)愛しているとは思えない。
 しかし、「オタクコンテンツ」の最大の特徴は、その「忠誠心」にあり、好きな人は猛烈に好きで、消費行動も旺盛であり、経済的観点から見ると、母数は少ないが経済的価値はそれなりに高い、という点が、まさしく「オタク」的であると一般的に定義されるわけだ。
 ゆえに、「オタク」コンテンツの経済的価値がそれなりに高いのは間違いなくとも、イマイチその支持層は狭く、限定的であるため、経済規模としては、ある一定の視えざる上限のようなものがあって、それ以上成長しにくいという性質を持っているように思う。現実を見ても、もう10年以上、「COOL JAPAN」とか言いつつ、世界戦略としてはあまり大きな成果をあげていないのがその証左であろう。まあ、そりゃそうですよ。それをやろうとしているお役人どもが、そもそも「オタク」ではなく、何もわかっちゃいないのだから。
 というわけで、以上は全くどうでもいい前振りである。
 今日、わたしは、Steven Spielberg監督最新作の『READY PLAYER ONE』を観てきたのだが、確かに面白かった。しかし、この面白さは、あくまでわたしがクソオタク野郎だから通じる面白さであって、この映画は普通の人が見てもそんなに面白くないんじゃなかろうか、と強く感じたので、その原因のようなものを冒頭に記してみたのである。だって、画面にチラッチラッと現れるキャラクターたちに関して、非オタクのフツーの人に通じるとは到底思えないもの。この映画の面白さは、VRとかそういう未来描写じゃないと思う。まず、物語自体が「3つの鍵を探してその先にあるお宝をGetする」というゲームそのものであり、その点でRPG的な素養がなければ楽しめないだろうし、あっ! 今、春麗がいた! とか興奮出来ない人はダメなのではなかろうか。そういう意味では、本作は結構筋金入りのオタク向け作品であったと断言してもいいぐらいだ。
 また、わたしは原作小説を読まずに観に行ったので全く予想外で驚いたことがあった。わたしはこのBlogで、もう何度もStephen King大先生の大ファンであることを表明してきたが、Kingファンならば間違いなく大歓喜のエピソードもあって、まさしく俺得、要するに、わたしは超大興奮で楽しめたのである。
 けどこれは……フツーの人にはどうだろうか……。なので、上記のわたしの文章の意味が分からない人は、観に行ってもあまり楽しめないような気がしてならない。春麗の読み方が分からないって? ああ、そりゃもう、やめた方がいいっすわ。というわけで、以下、ネタバレに触れる可能性が高いので、まだ観ていない方は、今すぐ退場してください。

 というわけで、物語はほぼ上記予告で語りつくされている。舞台は2045年アメリカ合衆国のオハイオ州コロンバス。今現在から27年後という、恐らくこの映画を観る人が大抵生き残っているであろう、絶妙?な未来だが、まあ、現代ではまずまずな田舎の地方都市だ。

 この地に住む17歳の少年ウェイド・ワッツ君は、いわゆる負け組であり、リアルの世界ではつまらない毎日を送っているが、その唯一の心のよりどころは「オアシス」というVR空間であった。この「オアシス」は2025年(だったっけ?)にサービス開始されて以来、圧倒的なユーザー数を抱える娯楽空間で、人々はもう誰しもがVRゴーグルを着用して暮らしているような、そんな時代である。
 ちょっと笑えるというかリアルなのは、そういった負け組連中ほど、このオアシスにどっぷりハマって課金しまくっていて(中でのアイテム購入のため)、それが払えなくなって破産状態になると、IOI(アイ・オ-・アイ)なる企業に連行されでVR空間内での強制労働を強いられるという設定になっていた。生身の体は狭いボックスに監禁され、ゴーグルやVRグローブなどの装備が外されないように固定されて、VR奴隷となるのである。おっかねえ……つうか、日本のスマホゲー課金廃人たちを思い出しますな(なお、どういう法的根拠からそれが認められているのか、説明は一切なかった)。
 で、5年前、このオアシスの創始者が亡くなり、予告にある通り、創始者がオアシスの中に隠したイースターエッグ(=いわゆる隠しアイテム)を見つけたものに全財産を譲渡しよう、という動画が流れ、以来、オアシスの中にはエッグハンターたちが大挙して押し寄せているものの、いまだにエッグに繋がる鍵の1つも見つかっていないという状況で、現在、どうやら「レースゲーム」でゴールに辿り着いた者が第1のカギを得られるという情報は発見されていて、毎日、大勢の人々がそのレースに参加している、というところから本作は始まる。まあ、主人公のウェイド君がその鍵を次々に発見しーーーという展開は誰しも想像する通りである。
 ちなみに、上記予告に流れているVan Halenの「JUMP」に血圧が上がらない人も、この映画は楽しめないでしょうな。つまり、この映画はもう、38歳未満(1980年生まれ未満)お断りのおっさん・おばちゃんムービーであると断言してもいいぐらいだ。むしろR-38指定した方がいいとわたしは思います。
 これは、そもそも、オアシスの創設者が1972年生まれ(※原作小説の作者Arnest Cline氏も1972年生まれ)という設定に源があって、つまり80年代に10代で青春を燃やした人間なわけで、そりゃあ、そうなるわな、とわたしにはとても腑に落ちるものだ。そう、何を隠そう実はわたしもほぼ同世代なのです。なので実にストライクなわけです。また、全く物語には関係なく、オアシス空間を歩いているキャラがいちいち、あっ! 今のは!? とか反応してしまう有名キャラてんこ盛りとなっており、ちょっと待って!? 今ロボコップが歩いてたぞ!? あ! スポーンだ! みたいな興奮が続くのである。こういった点に関しては、わたしはもう、本当に楽しめる映画であった。

 しかし、肝心の「鍵」探しの展開は、まあ正直に言うと底が薄いような気もする。今まで5年間謎で誰も解けなかったのに、何故そんなに次々とウェイド君は解明できちゃったんだという点は、おそらく誰しも感じてしまうのではなかろうか。その辺りは、残念ながらご都合主義的であったようにも思う。『HUNTER×HUNTER』のように、ソロプレイではダメで、「仲間」とパーティーを組んでそこに行かないとクリアできない、みたいな条件があればよかったのにね……。ラスト、すべての資産を受け継ぐことになった主人公の決断も、ありきたりと言えばありきたりかもしれない。
 基本的に謎は、ヒントとなるメッセージがあって、それを、創始者の過去の言動から割り出して(※すごいことに、創始者の過去の行動が監視カメラなどの映像によって、全て映像アーカイブ化されていて、いつどこで何をしていたかを誰でも自由に閲覧可能)、あ、ひょっとして、こうすればいいんじゃね? とひらめいたウェイド君が行動に移し、まず第1のカギをGet、そして次の鍵へのヒントを入手して、次の謎に挑む(=次のクエストが発生してそれに挑む)という形になっている。Stephen Kingのファンならば、第2の鍵のクエストは最高でしたな! わたしは一発で、そりゃ『The SHINING』のことだ! と分かって大興奮、そしてあの「オーバー・ルック・ホテル」と「双子の姉妹」が出てきた時にはもう、相当血圧が上がったすねえ! でも、絨毯の模様が違うんだよ! 日本橋TOHOの絨毯の柄なんだよ! とか、もうホントにわたしとしては盛り上がりました。え? 意味わからない? ああ、それは……残念す。
 で、当然主人公の前には悪人が立ちふさがるわけで、本作の悪党は前述のIOI(アイ・オー・アイ)の社長(?)である。面白いのは、彼は純粋に金が欲しくて(オアシスの運営権を握るために)エッグを探しているのだが、彼自身は、全くオタクじゃないしセンスもない人種なんすよね。彼は、オアシス誕生以前に創始者のもとでインターンをしていた経験があるけれど、まったく素養がなくてそっぽを向かれていた「使えない」人物で、そのため、彼には自分では謎に挑む知識が全くないのだ。それ故、大量の社員を動員し、また賞金稼ぎ的なキャラも雇ってエッグ探しに奔走しているのだが、その様は、なんだかわたしには、何も知らないくせにCOOL JAPANとかほざいているお偉方のようにも見えて、その結末には、もう心の底から、ざまあ、とスッキリしました。もうチョイ、勉強してから出直しな! みたいな。それぞれのクエストは、というよりオアシス全体が、まさしく「ゲーム」なわけで、創始者はゲームデザイナーとして、「遊んで楽しんでほしい」というのが一番の願望であり、後継者に望んだ「資格」だったのだろうと思う。なので、彼にはその資格は最初からなかったということですな。ラストで、「私のゲームを楽しんでくれてありがとう」と言う創始者のアバターには、たぶんゲーム業界の人間はみなグッと来たと思う。

 というわけで、もうクソ長くなってしまったので、各キャラと演じた俳優をメモして終わりにしよう。無駄に長い文章、略して駄文でサーセン。
 ◆ウェイド/アバター名「パーシヴァル」:主人公の17歳の少年。アバターのパーシヴァルはかなりのイケメンだが、現実世界のウェイド君は眼鏡の冴えない野郎。もちろんパーシヴァルと言えば円卓の騎士の一人の有名人。ドイツ文学を修めたわたしとしては「パルツィファル」でお馴染みですな。相当なオタク野郎で、そのオタク知識で謎を解明するが、キーとなるのは、彼が創始者に関してナンバーワン・オタクであったことなんだろうと思う。しかし、リアル割れはマズいすよ。その後の展開も当然予想通りの展開で、これでもし惚れちゃった女子が現実世界で可愛くなかったらどうしてたんだろうか。可愛い女子で良かったね。そして演じたのはTy Sheridan君21歳。彼は『X-MEN:Apocalypse』で若きスコット=サイクロップスを演じた彼ですな。そのぱっとしない少年ぶりはなかなかでありました。
 ◆サマンサ/アバター名「アルテミス」:主人公が惚れちゃう女子。アバターも可愛らしく、本人もギリギリ可愛い。アルテミスはもちろん狩りの女神。オアシス内では『AKIRA』の金田バイクをかっ飛ばすイカした女子。しかし、パーシヴァルもアルテミスも、そんなアバターネームが残ってて良かったね。メジャーすぎてすぐ誰かが使いそうなのに。それだけ、初期からオアシスにログインしてたってことなのかな。いやいや、この二人が生まれた時にはもうオアシスは存在してたはずだから、それはないな。偶然? ま、そんなことはともあれ、彼女の一言が謎解明に繋がったわけで、ご都合主義とは言え、物語としてはまあアリとしておきたい。演じたのはOlivia Cooke嬢。知らない女優だなあ、と思って調べたら、なんてこった! もう2年前にこのBlogで記事を書いた『THE SIGNAL』に出てたあの娘じゃないか! 全然忘れてた。そうだったのか……。まあ、ホント、ギリ可愛い女優さんです。わたしとしてはむしろ、パーシヴァルの親友「エイチ」こそ、アバターはいかついメカボディの大男、だけど、現実では超かわいい女子、であってほしかったす。ラノベのお約束的な。
 ◆ハリデー/アバター名「アノラック」:オアシスの創始者。5年前に死亡しているが、オアシス内では鍵を渡すアバター・アノラック(姿は『The Lord of the Ring』でお馴染みガンダルフ!)として存在。果たして完全なNPCなのか、それとも……という点がラストでポイントとなる。なお、アノラックというと、いわゆるパーカー的なフード付き防寒着、だけど、どうやらイギリスのスラングで「オタク野郎(米語でいうギーク)」という意味があるそうですね。それは、イギリス人の鉄オタにはアノラックを着用している奴が多いことに由来するのだそうです。へえ~。演じたのは、ここ数年Spielberg監督の大のお気に入りであるMark Rylance氏58歳。しゃべり方が非常に特徴あるイギリス人のおじさんですな。いかにもコミュ障的な気弱な天才オタク野郎でありました。
 ◆ソレント:IOIの社長(?)。アバター名は不明?だけど、一応オアシス内で行動するアバターはあって、いかついスーツ姿のおっさん。さらにはメカゴジラのアバターを使って主人公たちを追い詰める悪い人だけど、オアシスへのログインパスワードを紙に書いて張っておくような、ド素人というか、IT企業のTOPとは思えないうっかりオヤジで、まあ、ありゃイカンすな。演じたのはBen Mendelsohn氏49歳。49歳!? うっそお! もっと上かと思ってた。わたしとほぼ変わらないじゃん! Ben氏と言えば、やっぱり『ROGUE ONE』の悪役のデススター・開発司令官クレニックを思い出しますな。そうか……ほぼ同じ年だったんだ……ショック……。
 これ以外のキャラは、まあ正直あまり重要ではないので割愛します。日本人トシロウ(アバター名ダイトウ)を演じた森崎ウィン君に関しては全く知らないので、書くことないす。ダイトウというアバターは、鎧武者で顔が三船敏郎氏なのだが、クライマックスではなんとRX-78-2ガンダムに大変身するという荒業で活躍してくれました。でも、ガンダムがビームサーベルを逆手で持ったことはないと思うな……たぶん。アレはアメリカンニンジャ的な刀の持ち方イメージなんすかね?
  あと、そうだ、最後に一つだけ、わたしがこの映画でガッカリしたポイントがあった。それは物語のラストに登場する現実世界のパトカーなのだが……物語世界は2045年なのに……思いっきり、日産リーフなんすよね……しかも現行の最新モデルではなく、初代の旧型。アレはちょっとどうかなあ……Spielberg作品らしくない、手抜きを感じてしまったのが残念す。2045年モデルの車であってほしかったなあ……。オタク向け作品だけに。

 というわけで、無駄に長いしまとまらないので、もうぶった切りで結論。
 日本キャラがいっぱい登場することで話題となっている映画『READY PLAYER ONE』をさっそく観てきたのだが、話自体はもうゲームそのもので、クソオタク野郎のわたしは非常に楽しめた。ついでに言うと、Stephen King先生の大ファンであるわたしとしては、Kingファンは絶対観るべき! とオススメしたい。が、ゲームやアニメに関するオタク的知識がなく、King作品も読んだことのない人は、この映画を観ても、何故わたしがこんなにも興奮したのか、全く理解できないように思う。もちろん、わたしもこの映画を大絶賛するつもりはない。実際、物語自体はそれほど深くはないし別に感動的でもないし。でも、わたしとしては別にそれでもいいのです。様々なキャラクターが登場し、ハリウッド映画で我らがCOOL JAPANコンテンツが活躍してくれたのは大変うれしくなっちゃうことなので。その意味が、オタク以外には通じないだろうな。しかしSpielberg監督はもう71歳だってのに凄いですな。その創作意欲は全く衰えておらず、さすがっす。でも、日産リーフだけはアカンと思います。以上。

↓ 原作小説ではウルトラマンに主人公が変身するとか、すごい展開らしいですな。版権の都合で映画には登場しませんでしたが。
ゲームウォーズ(上) (SB文庫)
アーネスト・クライン
SBクリエイティブ
2014-05-17

ゲームウォーズ(下) (SB文庫)
アーネスト・クライン
SBクリエイティブ
2014-05-17

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 何度も書いているような気がしますが、この『鮫島』ニュースは海外からのアクセスがやけに多く、きっと日本から遠く離れた地で、鯉太郎の闘いの行方が気になって仕方のない企業戦士か学生さんなのだろうと勝手に想像をしています。そしてわたしが毎週木曜の朝8時半ごろに記事をUPするようにしている理由は、かなり初期のころから、フランスから定期的にアクセスしている方が存在し、時差を調べると日本とフランスの時差は8時間(今はサマータイムなので7時間)、つまり、そのフランスの方が夜、寝る前に読めるようにしているのです。先週は、stanford.eduというドメイン(=天下の名門スタンフォード大学)からのアクセスもあったし、ホント世界各国のドメインがアクセスログにあると、なんか面白いすね。でも海外にお住いの皆さん、今は電子書籍で海外にいてもチャンピオンが買えますよ! たぶん、日本人で日本のクレジットカードなら、問題ない……と思います。実際、わたしも台湾へ旅行した際に、いつもわたしが電子書籍を買っているBOOK☆WALKERで実験してみたところ、普通に買えました。チャンピオンは、日本時間の木曜0時になると最新号が買えるようになりますので、ぜひお試しあれ! おまけに予約しておくと勝手に毎週購入&DLまでやっておいてくれますので、超便利です。
 というわけで、全くどうでもいい前振りはこのあたりにして、まずは今週の週刊少年チャンピオン2018年21号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版はAKBの入山杏奈嬢だそうです。
 ■弱虫ペダル:賭けの勝者!!の巻。意外とあっさり勝負はついたすね。さすが鳴子くん! 恐らくこれから鳴子くんの最後の仕事が待っているわけで、またしても泣けそうな気がしますな。
 ■疵面:この稼業の巻。刃牙新シリーズはまだす。来週は花山君の怒り炸裂か?
 ■BEASTARS:ランジェリーの密会の巻。今週はジュノちゃんとハルのガールズ話す。
 ■開田さんの怪談:夢で逢いましょうの巻。開田さんは可愛いすね。
 ■昆虫武将チョウソカベ!:殿は百薬の長!の巻。殿がなんか可愛いすな。
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年21号でありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りします。
 先週はいよいよ13日目の朝となり、鯉太郎の様子は不自然なほど元気溌剌、椿ちゃんとしては逆に心配なわけで、バイクで来てくれたマコ姉ちゃんに相談しようとしたところで、謎の女性が空流部屋を訪れる、というシーンで終わりました。というわけで、今週は引き続き、13日目の朝の空流部屋の前から始まります。あ、今週からとうとう「十三日目 猛虎(1)」となりました!
 で、いきなり結論から言うと、やはり謎の女性は鯉太郎の母でありました。どうやら前日の夜、山形の斎藤家へ電話をしてきたのも、この母のようです。山形の斎藤家では、奥さんが、今さら会って、鯉太郎は動揺しないかしら、と心配のご様子。しかし正一お父さんは、大丈夫、鯉太郎の器はそんなに小さくない、と鯉太郎を全面信頼している模様です。しかし奥さんは言います。
 「でも私は…やっぱりあの人のことは…きっと真琴も…」といまだ信頼しきれないご様子です。まあ、そりゃそうですよ。そもそも斎藤家は、鯉太郎とは血縁ではなく、単に正一お父さんが父・火竜の親友だったから鯉太郎を引き取って育ててきたわけですから、そりゃあ、「無責任な母」と思うのも当然でありましょう。
 というわけで、ページをめくると、えっ!? と驚きのあまり呆然とするマコ姉ちゃんの図です。そして当然椿ちゃんもびっくり。聞けば、母は鯉太郎には何も言っていないけど、斎藤家の承諾は得てきたとのこと。そう言われても、ねえ……。。。そしてページをめくると、おっと、マコ姉ちゃんの背中からは怒りのオーラが溢れ出ている気配です。「でっ…? 今さら何なんですか…?」という言葉にも棘があります。そりゃ怒るよね、こんな大切な時に、まさしく今さら、と思うのも無理はないでしょう。母は答えます。
 「ええ…今さらなのは重々承知しているのですが…でも…TVで鯉太郎の相撲を観ていて 今場所はどうしても心配になってしまって…父親がそうだったんです…相撲となると倒れようが大ケガしてようが止まれない…無理してないですか…あの子…私には分かるんです…あの子は父親によく似ているから…」
 この言葉は、まあ、母としての心配100%で悪意は全くないことはそりゃ分かります。しかしですね……じゃあ今まではほっといて平気だったのかよ……と思うのが普通でしょうなあ……。なので、ページをめくると、ワナワナとマコ姉ちゃんの怒りが炸裂してしまいます。
 「ちょっと…何なのよ…ふざけないでよ…無理してないかって…!? してたわよ子供の頃からずっと…父親の事件のせいでずっと白い目で見られて…さらされて それをたった1人で…必死に耐え続けて…鯉太郎がどれほど大変だったか…アナタに分かる!?」
 この言葉を投げつけるマコ姉ちゃんの脳裏には、幼少時代の鯉太郎とのやり取りが浮かんでいます。公園でブランコに乗る鯉太郎とマコ姉ちゃん。アンタお母さんに会いたくないの?と聞く小学生マコ姉ちゃん。小学生鯉太郎は、んーーーー……全然…なんて淋し気に応えたあの頃。顔の表情は描かれていませんが、まあ、強がった、淋しい表情だったんでしょうなあ……。マコ姉ちゃんの怒りは続きます。
 「どんなにさみしかったか…分かる…? 私はあなたを…絶対にゆるさない…遅すぎるわよ…今さら…母親だなんでよく言えるわ…」マコ姉ちゃんは涙を浮かべ、そして母も同様に涙を流しております。椿ちゃんは少し困った表情。ごめんなさい、ごめんなさい…と深く頭を下げる母に、マコ姉ちゃんは駄目押しです。
 「アナタには…鯉太郎に会う資格も心配する資格も無いわ…帰ってください…今 鯉太郎は集中しないといけない時だって分かってるでしょ…あなたの顔を見て心を乱すわけにはいかないの…」
 うーん、まあ、そうでしょうな。ちょっとタイミングが悪すぎるでしょうなあ……しかし、母としては、まさにこのタイミング、今この時の鯉太郎が心配でならないわけで、まさしく居てもたってもいられなかったのでしょう。姉としてのマコ姉ちゃんの気持ちも、母の気持ちも、分かるだけにつらいすねえ……にんげんだもの……椿ちゃんも複雑な表情です。
 そして描写は、朝稽古を一区切りつけた鯉太郎に記者が群がる様子に移ります。そして質問の先頭に立つのは、やっぱり日刊TOPの橋くんです。おっと、記者連中からは「またコイツかよ」なんて言われてますね。橋くんの質問をまとめると、疲れもピークのはずだし今場所はいつも以上のダメージが残っているはずなのに、今の鯉太郎は「独特の力強い雰囲気」を感じるんだけど? と読者の気持ちを代弁する内容です。それに対する鯉太郎の回答は以下の通りであります。
 「今は一番一番 特別で…一番一番が貴い(とうとい)… 力士である幸せが 相撲を取れる喜びが強烈にある…勝ちとか…負けとか…今のオレにはさほど重要なことじゃないのかもしれない…相撲が楽しい…それだけです…」まあ、いわゆる心技体の充実が実感できているわけでしょうな……。
 そしてこの鯉太郎の言葉の後ろで描かれているのは、椿ちゃんが去っていく母を呼び止めて、少しお話しできませんか、と声をかける情景であります。おっと、玄関にうなだれるマコ姉ちゃんを、何も知らない仁王兄貴改め親方が「どうした……?」と声をかけています。マコ姉ちゃんは「何でもない…」としか答えられません。そりゃそうでしょうなあ……。きっと、自分の対応に対して、あれで良かったのか、いやいや、無理よ、会わせるなんて、みたいな葛藤もあることでしょうよ……。
 そして場面は、空流の力士たちが悩んだりしたときのお馴染みのスポット、不忍池のほとりのベンチに移ります。ここではいろんなドラマがありましたなあ。椿ちゃんは鯉太郎母へ、怒りまくっていたマコ姉ちゃんが斎藤家のお嬢さんであり、鯉太郎の姉として一緒に過ごしてきたことや、この場所が空流の力士たちの特別なスポットであることを説明します。鯉太郎も、いつもここへ来るんですよ、と教えてあげる椿ちゃん。まったく、優しい娘さんですよ。そして母も、鯉太郎がここへ来ることを知って、自分の知らない鯉太郎の一面を知って、気持ち穏やかな様子です。お母さん、この椿ちゃんは鯉太郎が大好きなんだぜ!
 そして部屋では、いよいよ鯉太郎出陣です。大吉の「鯉太郎さん! ハイヤー到着しました!」の声に、帯をギュッと締め、「うしっ…!」と気合十分。マコ姉ちゃんも「無理しちゃダメよ!」と声をかけます。そして今週ラストは、そんなマコ姉ちゃんに向ける、何とも表現しがたい鯉太郎の顔アップでありました。この表情はぜひ、チャンピオンを買ってご確認ください。決意、そして、無理するけどね、というちょっと申し訳ないような気持ち?もあるのかもしれません。いい表情ですよ。男ですなあ、鯉太郎は! いやあ、ホントヤバいすねえ……ワクワクと心配が止まりませんなあ……毎週書いていますが、マジで今すぐ来週号が読みたいす!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。66連勝中(11日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週は、ついに(?)現れた鯉太郎の母親と、13日目の朝を迎えた鯉太郎の心技体整った決意の表情が描かれました。母の気持ちも、そりゃあ分からんでもないです。しかし、やっぱりどちらかというと、マコ姉ちゃんの心情に共感してしまいますな。ちょっとやっぱりタイミングが悪すぎたかな……母としてはむしろ今だからこそ、なんだろうけどね……もうちょっとだけ、あと3日待っていただけないでしょうかね……全てが終わった時、もう一度会いに来ていただきたいところですな……。あーでも、千秋楽語だと手遅れかもしれないか……。。。難しいですなあ……。なんつうか、ホント『鮫島』は最高っすね! 以上。

↓ 単行本の巻末のおまけ企画とかでいいので、他の力士の星取表とか載せてくれないかなあ……。しつこいですが最新(17)巻発売中す。




 

 わたしは年に映画を40本ぐらい劇場に観に行っているわけだが、そのほとんどが、いわゆる洋画である。邦画はたぶん年に5本程度しか見ていないけれど、それは別に邦画を避けているわけではなく、単に観たいと思う作品がないからだ。ともあれ、洋画を年に40本観るというのは、恐らく近年すっかりハリウッド映画の売れない日本においては、結構多い方だろうと思う。しかし、映連のデータをチェックしてみると、実のところ洋画が売れてないと言いながら、この日本では年に530~590本の洋画が公開されているのだから、わたしが数多くの洋画を観ている、などとほざいても、実はその1割にも満たないわけで、ほんのごく一部の作品しかわたしは劇場で観ていない、というのが現実である。
 何が言いたいかというと、意外と見のがしている作品が多いということなのだが、わたしはそういう作品を観るためにも、WOWOWにもう25年以上加入してるのである。いわゆる配信サービスは、観たい映画が決まっていれば便利かもしれない。しかし、WOWOWのように番組編成されて放送されるということは、ある意味でのレコメンドでもあって、わざわざ自分で積極的にこの映画を観たい、という気にならなくても、おっと、こんな映画が放送されるのか、それじゃちょっと観てみっか、という気分になるわけである。まあ、これは現代の若者には分からん感覚かも知れないが、もはやアラフィフのおっさんであるわたしには、大変ありがたいのである。ま、放送を生で見ることは半分、もう半分は録画しておくという行為を取るわけだが、「録画したはいいけど観てない」作品がどんどんたまるのも、わたしが初老のおっさんゆえなのかもしれないけど。
 というわけで、わたしが昨日の夜、何もかもやる気が起こらず、さっさと寝るか、というにも早すぎる時間に、では録画した映画を何か観よう、と思って再生を始めたのが『THE SEA OF TREES』(邦題:追憶の森)という映画だ。本作は、KEN WATANABEでお馴染みの渡辺謙氏と、オスカー俳優Matthew McConaughey氏の共演でも一瞬話題となった作品で、日本公開は2016年の4月、ちょうど2年ほど前の作品である。そしてタイトルの『THE SEA OF TREES』をそのまま日本語に訳せばわかる通り、「木々の海=樹海」すなわち、世界的にも有名となっている「青木ヶ原樹海」を舞台とした物語で、もうあらゆることに絶望しかけているわたしが観て大丈夫なのかと、我ながら若干心配になったけれど、深く考えず、そういやこの映画、劇場で観のがしたなあ、とお気楽な気分で鑑賞を始めた。
 しかし―――。のっけから結論から言うと、ちょっと微妙かなあ……この映画はファンタジーだったのか? という部分がわたしの中ではまだ消化不良を起こしている。どういうことだったのか……うーん……偶然だったのか、必然だったのか……ううむ……である。ただし、主演二人の演技は素晴らしく上質であったし、ラストは明確に希望に満ちたエンディングであったのは確かだと思います。
 というわけで、以下ネタバレに触れることは確実なので、観ていない方は読まない方がいいと思います。今すぐ退場してください。

 わたしは本作に関して、上記予告は何度か劇場で観ていたけれど、ほぼ予習せず、単にKEN WATANABE氏とMatthew氏が共演、そして舞台は青木ヶ原、ぐらいの知識しかなかったので、観る前にわたしが想像していた本作のポイントは、一体なぜ、主人公は青木ヶ原にやってきたのだろうか? という点にあった。
 本作では、その重要ポイントに関して、現在と過去を交互に描きながらだんだん?と分かる仕掛けになっていた。冒頭は、US国内のとある空港(どこか分からなかった。LAXか?)の駐車場に、主人公が車を止めるところから始まる。キーを挿しっぱなしにして、やや虚ろな表情でANA全日空のカウンターでチケットを発券する主人公。帰りのチケットもナシ、手荷物もナシ、まさしく着の身着のまま、何も持たずに飛行機に搭乗し、ぼんやりとしている男。やがて男は日本に到着し、新宿?か渋谷?と思われる街から、新幹線に乗ってどこかへ向かう。次は浜松~という車内アナウンスがあって、タクシーに乗っている情景に移る。そして降り立った地は、青木ヶ原であった。
 ここまで、ほぼセリフは最小限しかなく、挿しっぱなしのキーや帰りのチケットや手荷物などがないことからも、彼がもう帰る気がないことは明らかだ。そして青木ヶ原。そりゃもう、自殺まっしぐらなマズい状況である。日本人的には、新幹線の座席がわざわざ見知らぬ老夫婦と対面になっていたり、富士山の北側にある青木ヶ原に行くのに浜松って変じゃね? とか、これ何年前のクラウンだよ!というような古い車(何故か最大の失敗作として誉れ高い4代目クラウン。1971~1973製造)のタクシーなど、かなりツッコミどころはあるけれど、まあ、そんなのは許そう。おそらくは、本作の「樹海」は、本物の青木ヶ原では全然ない(どうやら撮影はUS国内マサチューセッツの森らしい)のも、正直残念だが、これも許そう。しかし、まだまったく、主人公がなぜ青木ヶ原に来たのかは不明なままである。
 そのまま物語は進み、一人青木ヶ原を彷徨う主人公は、何らかの薬を飲み、いよいよか?と思ったところで、同じように彷徨う謎の日本人に遭遇し、その危なっかしい歩みに思わず声をかける。男はナカムラ タクミという名で、死のうと思って青木ヶ原に来たが(既に両手首はためらい傷だらけで血まみれ)、やはり、愛する妻子の元へ帰りたい、が、完全に道に迷っていたのだという。こうして出会った二人は、ともに青木ヶ原を出るために行動を共にするのだが、完全に道に迷った二人がそう簡単に脱出できるわけもなく、静寂の森の中で、二人はぽつりぽつりと語り出し、心を通じていくのだが―――てなお話である。
 完璧ネタバレだが、主人公が青木ヶ原にやってきた理由、それは妻の死、であることが後半明かされていく。しかしそれが分かるまでは非常に長い前振りがあって、最初に描かれるのは妻と不仲であったこと、それは仕事に忙しい妻とのすれ違いであり、後半では主人公が浮気してたなんてことも語られる。こりゃ離婚待ったなしかと思いきや、妻の脳腫瘍が発覚し、手術を受けることに。これ以降は主人公も心を入れ替えて献身的に看護をするが、とある事故によって、妻は天に召されてしまった。妻は生前言っていた。死ぬのは怖くない、けれど、病院で医者に看取られて死ぬのが怖い。どうかあなたは、「死に場所」を見つけて、と。妻の好きな色や好きな季節とか、何も妻のことを俺は知らなかったと愕然とする主人公は、Googleで「The Perfect Place to die」と検索してみる。と、そこに出たのが青木ヶ原というわけで、日本にやってきたらしい、という流れが明かされる。
 ちなみにわたしもさっき上記のワードで検索してみたところ、やっぱり青木ヶ原関連のWebサイトばかりヒットしますな。それほど有名なんだ……というのは日本人的にはなんだかアレな気分になるけれど、それにしても、主人公がだから青木ヶ原へ来たという行動には、やっぱり若干無理矢理感はあるような気もする。何しろまったく何の荷物もナシに来て、その行動力は、青木ヶ原へ行くんだという妄執めいたものがないと、納得出来ないような気がするわけだが、その点は薄いような気もした。また、主人公が結構早い段階で、自殺をしない方向に心が変わっていくのも、やはりあっさり味を感じる要因だったようにも思う。これは……物語の構成に問題があるのか、そもそも情報不足なのか、正直何とも言えない。一番怪しいのは、単にわたしの理解力が不足してるだけなんじゃねえの? という気もする。また、結局主人公が出会うKEN氏が演じる日本人ナカムラ氏が何者だったのか、という点もかなりふわっとしていて、大変分かりにくい。つうか、わたしは今でもよくわからないままだ。主人公が樹海で出会った幻影なのか……それとも普通の人間だったのか……。これはどうも、観た人それぞれに答えがあるのではなかろうか。つまり、正解はない、ってやつで、わたしは実はそういう物語は余り好みではない。
 しかしだ。おそらくは、主人公が青木ヶ原へやってきた動機が薄いとか、樹海で出会った日本人がいかなるものなのか、という点は、本作においては重要なポイントではないのだろう、と思う。本作は、心に傷を負った一人のUS市民が、世界的に自殺の名所(名所は不謹慎な言い方だけど他に言いようがない)と呼ばれる地において、心癒されるという物語の形をとっているが、たぶん、重要なのは「青木ヶ原樹海」そのものなのではなかろうか。恐らくは世界的に見て稀有な、何か神聖の宿る地、そして日本人独特の生死観、そんなものを撮りたかった作品なのではないかとわたしは感じた。
 それを二人の名優の確かな演技が支えているのは、まあ、間違いないところだろう。しかし、結局のところ、前述の通り実際の撮影は別のところだし、日本人の生死観も、日本人のわたしからすれば、なんか、ちょっと微妙すぎて、どうなのと感じてしまうわけで、結論としては、役者陣の熱演はすごいけど、やっぱりちょっとね、という思いである。
 最後に、役者陣と監督についてごく軽くまとめて終わりにしよう。
 ◆アーサー:主人公のアメリカ人。演じたのは勿論前述の通りMatthew McConaughey氏。本編では相当痛そうな怪我をするシーンなんかもあり、かなりの熱演というか、演技の格が違う上質なお芝居でした。しかし思うに、実は奥さんと不仲だったとか、浮気してたって設定はいらなかったのでは? 素直に奥さん大好きな男で、もっと喪失後の心の漂泊を描いた方がグッと来ただろうし、青木ヶ原へ来る動機も明確だったのでは……まあ、それだと安っぽくなっちゃうのかな……そういう点でも、本作は彼よりも青木ヶ原樹海そのものが主人公だったような気がしてならない。
 ◆ナカムラ タクミ:渡辺謙氏演じるアーサーが樹海で出会う謎の日本人。どういうわけか英語ペラペラなのも、やっぱり不自然。なお、本作は結構多くの日本人が出てくるけれど、当然日本国内での描写では皆普通に日本語です(医者とか除く)。出会った時に、「君は英語が話せるのか?」「ああ、15年NYC勤務だったんだ」みたいなやり取りが一言でもあれば、ナカムラ氏だけ英語ペラペラなことの説明になるのになあ。まあ、これも別に重要なポイントじゃないのだろう。もっとも、渡辺氏の演技もやはり極めて上質で、観ててなんか胸が苦しくなりました。
 ◆ジョーン:アーサーの奥さん。亡くなるシーンは超驚いた。演じたのは、ハリウッド版『ザ・リング』でお馴染みのNaomi Wattsさん。あれっ!? 今初めて知ったけど、Naomiさんが1968年生まれの49歳、Matthew氏は1969年生まれの48歳なんだ。まさかMatthew氏の方が若いとは。ジョーンも、アーサーとうまく行ってない設定よりも、アーサー大好き奥さんで、あなたは生きて……的な流れの方が泣けたでしょうな……安っぽいけど。安っぽすぎてダメか。
 ◆監督:本作を撮ったのは、Gas Van Sant監督。この方の作品は、もちろんわたしもそれなり観ているが、実はこれが好き、という作品は特にない。いつも基本的には真面目で重い系の話を撮る監督というイメージだが、そう考えると、そういやまさにこの作品はGas Van Sant作品だったな、とついさっき超腑に落ちた。つうか、観る前にちゃんと察しろよ、オレ!

 というわけで、いい加減まとまらないので結論。
 日本の青木ヶ原珠海を舞台に、オスカー俳優Matthew McCnornofy氏と我らがKEN WATANABE氏が共演すると聞いて、劇場へ観に行こうと思いながら、あっさり見逃していた作品をWOWOW放送にてやっと観る機会を得た。のだが、想像以上にふわっとした物語で、基本的にエンターテインメントに徹した作品が好きな低能のわたしにはやや理解が追いつかない作品であった。まあ、要するにGas Van Sant監督のいつもの空気感であり、結論を言うと、わたしの判定としてはイマイチ、であります。Matterw氏も謙さんも、すげえカッコイイんすけどね……正直、ちょっと残念す。以上。

↓ 実はわたしは2回ほど青木ヶ原を歩いたことがあります。普通な森林散歩で。でもやっぱり、なんか……怖いというか、空気が違うところっすよ。でも、道を外れなければまず大丈夫っす。
樹海の歩き方
栗原 亨
イースト・プレス
2005-04-28

 昨日の夕方、わたしは17時になると千代田区内に流れ響く「夕焼け小焼け」が耳に入った瞬間、PCをシャットダウンし、直ちに会社を出る準備を始めた。というのも、ちょっと前にわたしのヅカ友の美しいお姉さまから連絡があり、「4/16月曜日の夜の帝劇のチケットが余ってるけれど、あなた、いかがかしら?」というお誘いをいただいたためである。社交辞令でなく、恐らく出会った人は10人中10人が美人だと思うお姉さまのお誘いをわたしが断るはずもなく「押忍! あっしでよろしければ、ぜひ、お供つかまつります!」と元気に返事をし、昨日は17時定時ダッシュで有楽町へ向かい、帝国劇場、略して帝劇に赴いた次第である。
 そして現在帝劇にて上演されているのは、こちらの作品であります。
1789-01
 うお、相変わらず写真の才能ねえなあ……、それはともかく。
 そうです。かつて、2015年に宝塚歌劇団の月組によって日本で初演された『1789―バスティーユの恋人たち―』であります。この作品は、その後2016年に東宝・帝劇版として普通に男優も交えたミュージカルとして上演され、今回はその再演、な訳であります。
 わたしは当然2015年の月組公演を観ていて、そのストーリーは「一人の平民の目から見たフランス革命」という点でとても興味深く、また歌も非常にカッコ良く(本作はフレンチロック・ミュージカルで、歌が少しロックテイスト)、大変面白かった記憶はあるのだが、実は歌詞などはかなり忘れていて、わたしが覚えていることと言えば、ヒロインを演じた海乃美月ちゃんが(以下:うみちゃん)が超絶可憐で可愛かったことぐらいである。なんでも、昨日一緒に観に行った美女曰く、宝塚版と今回の東宝版とでは、歌詞は基本変わっていないそうだ。去年赤坂ACTシアターで観た『スカーレット・ピンパーネル』では、宝塚版と梅芸男優アリ版は全ての歌詞が変わっていたのと比べると、へえ、そうなんだ、である。
 で。物語をまずは簡単にまとめておこう。時は1788年、革命前夜のフランスである。既に財政破綻まっしぐらのブルボン王朝は、平民への課税をさらに重くし、地方では貧窮にあえいでいた。地方の農民、ロナン・マズリエは、父を役人に殺され、パリへ上り、そこでマクシミリアン・ロベスピエールジョルジュ・ダントンカミーユ・デムーランという3人の革命を志す若者たちと知り合い、印刷所で働くことになるが、田舎に残してきた妹もパリに来ていて、おまけに娼婦に身をやつし、ダントンの恋人となっていたのだった。
 一方フランス王宮では、夜な夜な遊びまくる王妃マリー・アントワネットとフランス王ルイ16世の夫婦仲は冷めていて、アントワネットは「ベルばら」でもお馴染みのスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンとの情事に夢中であった。フランス財政の破たんは目の前であり、ルイ16世の弟、シャルル・アルトワ伯爵(後のシャルル10世)は王妃のスキャンダルを利用してフランス国王の座を狙っているという混乱した状況にあった。そんな中、バスティーユに勤務する陸軍中尉の娘、オランプは、王太子ルイ・ジョセフの養育係としてアントワネットの信頼も厚く、フェルゼンとの逢瀬の手引きをしたりしていたため、アルトワ伯配下の秘密警察に目を付けられていた。
 ある日、ロナンはパレ・ロワイヤルで酔っ払って寝ていた時、アントワネットとフェルゼンの密会を目撃してしまい、秘密警察に逮捕拘留されてしまう。ついうっかりロナンに目を引き付けることでアントワネットたちを逃げさせたオランプは、要するに自分のせいでロナンが逮捕されてしまったことに心痛め、バスティーユに拘留されたロナンを脱走させるのだった。そして立場の違う二人には、愛が芽生えてしまいーー「この愛の行方、神さまさえ、知らない」ーーてなお話であります。サーセン、相当はしょりました。
 実は今、わたしはWOWOWで録画した宝塚版を観ながらこれを書いているのだが、やっぱ面白いすねえ! 歌も超イイ! もちろん、昨日の東宝版も非常に良かった。アレすね、やっぱり男たちがいっぱい出てると、その迫力は増加しますな。というわけで、以下、各キャラと演じた役者をメモしていこう。
 ◆ロナン・マズリエ:年齢不詳。10代なのかな? 田舎出身の元農夫。宝塚版で演じたのは当然当時の月組TOPスター龍真咲さん(以下:まさお)。まさお氏はやっぱり、ロナン的なちょっと少年ぽさの残る主人公が似合いますな。そして昨日の東宝版でロナンを演じたのは加藤和樹氏。東宝版は主要キャストがWキャストでVerが複数あるのだが、わたしが観た昨日の配役はこんな感じでした。
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 今回、ロナンを演じる小池徹平氏と加藤氏なわけだが、わたしのヅカ友の美女曰く、加藤氏の方がお好みだそうだ。わたしも、去年の『Ledy Bess』、今年初めの『マタ・ハリ』と連続で加藤氏を観ているけれど、やっぱりうまいしカッコイイですなあ。おまけに、当たり前というか今さらなんだけど、宝塚版ではキスシーンは美しさ優先で、男のわたしは実はあまりドキドキしないのだけれど、今回のように、本当に女性と男が目の前でラブラブなキスシーンを演じると、やっぱりドキドキしますね。加藤氏がうらやまけしからん思いであります。
 ◆オランプ:ヒロイン。宝塚版もWキャストで、わたしが観た時はうみちゃんが超可憐に演じていたけれど、今わたしの部屋で流れているWOWOW放送Verでは、3日前の土曜日に観た月組公演で卒業を発表している早乙女わかばさんが演じている。そして昨日わたしが観た東宝版でオランプを演じたのは、もう現役時代数多くの作品を観た元星組TOP娘役、夢咲ねねさんであった。ねねちゃんを観るのは、ねねちゃんが退団した2015年以来なのでわたしは3年ぶりだ。相変わらず細く華奢でかわいいですなあ。やっぱりとてもイイすね、ねねちゃんは。意外とアンチがいるらしいけど、わたしはねねちゃんの声と、下がり眉の困った表情が大好きです。久し振りに見るねねちゃんのしょんぼりフェイスは最高でした。Wキャストの神田沙也加ちゃんVerも気になるすね。
 ◆マリー・アントワネット:冒頭から1幕終盤までは、浪費家で恋愛脳のダメ女かと思いきや、王太子を亡くしてからは王妃の務めに目覚め、毅然とした態度で王妃らしく役目を全うしようとする。この変化が本作の見どころの一つと言っていいだろう。宝塚版で演じたのは当然月組が誇る最強プリンセス愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)。ちゃぴのアントワネットぶりはもう本当に最高でしたな。芝居も歌ももうパーフェクト。そしてわたしが昨日観たアントワネットは、なんと宝塚版で主役ロナンを演じたまさお氏である。すっかり女子になったまさお氏。やっぱり可愛いし美人で強力に輝いている女性だ。歌も、やっぱり若干の「まさお節」と呼ばれる独特さは残っているけど、まあとにかく美しいですよ。2幕の毅然としたアントワネットは、ちゃぴ版もまさお版もやっぱりグッとくるっすね。いっそWキャストである凰稀かなめさん(元雪組→元星組→元宙組TOPスター)Verも観てみたいす。
 ◆ソレーヌ・マズリエ:ロナンの妹。パリに出て娼婦となるがダントンの恋人に。しかし、「所詮アイツらはおぼっちゃまよ!」と革命の闘士たちを見ていて、実は一番世の中が見えてる女性なんじゃないかという気もする。宝塚版ではWキャストで、わたしが観たのがどちらの方かもうすっかり忘れたけど、今わたしの横で流れているWOWOW放送版では95期の晴音アキさん。歌うまいすねえ! そして昨日の東宝版で演じていたのが、ミュージカル女優として輝いているソニンちゃんだ。わたしが昨日の公演で一番素晴らしいと思ったのが彼女ですよ。もうそのダンスや歌は別格に迫力があって、そして可愛く、超大絶賛したいと思う。ソニンちゃんはかなりちびっ子なんですね。周りの男たちがデカいのでそのちびっ子さはより目立つけれど、あの小さな体で、全身を使って激しい感情を表現する様は、圧巻の一言ですな。ホントにブラボーでありました。
 ◆ロベスピエール:ご存知のちの恐怖政治家。本作の段階ではまだ理想に燃える弁護士。宝塚版で演じたのは現在の月組TOPスター、BADDYこと珠城りょうさん。そして東宝版で演じたのが、わたしにとってはセイザーX仮面ライダーオーズでアンクを演じたことでお馴染みの三浦涼介くん。とても特徴ある顔立ちのイケメンなので、一発で彼だと分かったのはいいけれど、わたしは彼が歌えることを知らなかったし、キャストも予習していかなかったので、ここで三浦くんに会えるとは、そしてこんなに歌が上手いとは!と、とても驚いた。大変カッコ良かったと思います。今後、また別のミュージカルで彼に会いたいすな。
 ◆ダントン:ロベスピエールの盟友で議員。後にロベスピエールと袂を分かち処刑される運命に。本作ではまだ若き議員として革命に燃える男。宝塚版で演じたのは、今年退団された沙央くらまさん(以下:コマちゃん)。確かこの当時は月組から専科に異動したすぐ後ぐらいだったですかね。そして東宝版で演じたのは、去年観た『スカーレット・ピンパーネル』で怒れるロベスピエール閣下を超熱演し、同時に超お気楽バカ殿めいたプリンス・オブ・ウェールズの二役を演じられていた上原理生さんですよ! 藝大声楽科出身の美声はハンパないすね。今回も暑苦しく(ホメ言葉)、最強のダントンでした。
 ◆デムーラン:革命三人衆の一人。宝塚版で演じられたのは、当時月組で現在専科のカチャ、でお馴染み凪七瑠海さん。そして東宝版で演じたのが渡辺大輔氏。わたしにとって彼は4代目手塚部長なのだが、順調にキャリアを積んで、様々なミュージカルに出演されてますな。
 ◆アルトワ伯:ルイ16世の弟であり、本作での一番の悪党。歴史上、革命期はさっさとイギリスに逃れ、後にナポレオン失脚後の王政復古でシャルル10世として即位し、反動政治を敷いて7月革命で再びイギリスに逃げて終了、な人。宝塚版ではこのアルトア伯が超ヤバイ人物で、演じた美弥るりかさん(以下:みやちゃん)の強烈なビジュアルとともに、一番?印象に残る悪い人。みやちゃんのアルトア伯はホント最高でした。しかし東宝版では、まあ、ひどい言葉で言うと単なる悪党のおっさんで、メイクもなんか歌舞伎めいたもので、わたし的には圧倒的にみやちゃん版の方が素晴らしかったと存じます。ただ、演じた吉野圭吾氏の歌は相当素晴らしく、役者としての格は断然高いお方でありました。
 ◆フェルゼン伯爵:「ベルばら」でもお馴染みのアントワネットの恋人のスウェーデン貴族。宝塚版では暁千星さん(以下:ありちゃん)が演じたんすね。ゴメン、忘れてたよ。しかし昨日の東宝版で演じた広瀬友祐さんは超カッコ良かった! あ、なんだ、このお方は去年の暮れに観た『屋根の上のバイオリン弾き』のパーチックだったんすね。ええと、次女ホーデルの恋人で革命家の彼すね。そうだったんだ、全然気が付かなかったオレのバカ! ありちゃんには申し訳ないけれど、広瀬フェルゼン様はとにかく殺陣が美しく、なんつうか、体幹のぶれない舞うような殺陣、そして翻るマント、は今回男優の中で一番カッコ良かったと思う。歌もイイし、体も凄くがっちりして数字以上にデカく見えるすね。大変素晴らしかったすな。
 ◆最後は、単なる備忘録として、宝塚版でだれが何を演じたかメモっておこう。
 ・ペイロール(ロナンの父を殺した政府役人):マギーさんでお馴染み星条海斗さん
 ・ルイ16世(錠前作りが趣味のダメ王):さやかさんでお馴染み美城れんさん
 ・ジャック(ロナンの印刷所仲間の市民):としさんでお馴染み宇月颯さん
 ・ペイロール(秘密警察の手下A):美貌のあーさでお馴染み朝美絢さん
 ま、こんなところかな。

 というわけで、もうさっさと結論。
 2015年に観た宝塚歌劇団月組公演『1789―バスティーユの恋人たち―』。その後、2016年に帝劇版として普通の男優も交えたミュージカルとして上演されたわけだが、このたび再演され、わたしも昨晩、美女に誘われて帝劇へ馳せ参じてきた次第である。本作は、歌もイイし、セットや衣装も実に豪華で大変見ごたえのある作品だと思う。物語としても、加藤氏とねねちゃん演じる主人公の二人のアツアツ振りは観ていてドキドキするほどだし、まあ要するに素晴らしい演技であったということだろうと思う。そしてアントワネットを演じたまさお氏も、すっかり女子が板につき、元々美人でかわいいまさおはきっとこれからも素晴らしいシンガーとして、そして女優として活躍するのであろうと改めて思うに至った。わたしとしては、今回のベスト女優はソニンちゃん、そしてベスト男優はフェルゼン様をやけにカッコよく演じた広瀬氏かなあ。とりわけソニンちゃんのパワフルでソウルフルなパフォーマンスは圧巻でした。結論としては、とにかく歌が熱くて、超最高でした。以上。

 付け足し:ちなみに昨日は月曜日、そして現在日比谷で公演中なのは月組、ということで、昨日の帝劇には月組生が観劇に来ていて、わたしでも、あっ!と分かるジェンヌが数名いらっしゃいました。そりゃ見に来るよね、まさお氏の回だし。明らかに、あの方はジェンヌに違いない、というオーラがありますな、やっぱり。

↓ てなわけで、やっぱりBlu-ray買わないとダメすかねえ……WOWOW版では見られない、うみちゃんVerのオランプがもう一度観たいす……。まだキャトルに普通に売ってるのかな?

 宝塚歌劇、と聞くと、おそらくフツーの人は、ベルばら的な華やかな衣装と絢爛なステージを思い浮かべることと思う。しかし、宝塚歌劇の演目には、当然「和モノ」と呼ばれる純日本な時代劇作品も数多いのだが、実は、全く現代日本を舞台とした作品すらあることは、あまり知られていないのではなかろうか。まあ、そう思うわたしも、別に根拠があるわけではなく、単に宝塚歌劇を観るようになる前は勝手にそう思い込んでいただけなので、実際はよくわからない。
 今日、わたしが東京宝塚劇場で観てきた作品、『カンパニー』は、フツーの現代日本のサラリーマンが主人公という点でも珍しいと思うし、さらにショー(?)『BADDY』は、そのビジュアルからしてかなり異色作で、わたしは観る前から相当期待して今日は日比谷へ推参した次第である。
 結論から言うと、もう最高過ぎて、これは久しぶりにBlu-rayを買うしかねえじゃねえか! と大興奮であったのである。いやー、それにしても月組はイイすねえ! わたしがイチオシで応援しているのは星組なのだが、今の月組は非常に充実してますなあ! ホント最高でした。コイツはもう、Blu-ray購入決定す。

 というわけで、上記動画はご覧いただけましたか? 6分もある長い動画だけど、この映像を観たら超そそられることは確定的に明らかだろう。特に、後半の『BADDY』のビジュアルが超ヤバイす。わたしはこれを観て、もう完全に松方弘樹じゃねえか! と笑っていいのかよくわからないけど、大興奮しました。
 さてと。まずはミュージカル・プレイ『カンパニー』である。この作品は、伊吹有喜先生による小説が原作なのだが、わたしは原作を読んでいないので、内容的に同じなのかどうか知らないし、小説が面白いのかも存じ上げない。だが、間違いなく宝塚版『カンパニー』は超面白かった。
 物語は、とある製薬会社の総務部総務課長、青柳という男が主人公だ。彼は妻を2年前に亡くし、いまだ妻を忘れられず(そりゃそうだ)、しょんぼりな毎日を送っているが、それでも仕事には一生懸命で、イイ奴としておなじみらしい。そんな彼が務める製薬会社は、M&Aにより会社が合併、社名も変わってリストラやら早期退職やらの合理化が進むのだが、青柳はとある事件(?)で、自分の周りにはイエスマンしか重用しない専務に盾突いてしまったことで、会社が支援するバレエ団への出向を命じられてしまう。折しもそのバレエ団は、プリマである社長の娘の引退公演のために世界的に有名バレエダンサーを招聘して「白鳥の湖」を上演するところで、文化事業としてもその公演を成功させることを会社から求められる。そんな中、全くのド素人である青柳は、一癖も二癖もあるダンサーたちに対して、持ち前の誠実さで困難に立ち向かい、成功を目指すのだが―――てなお話である。
 わたしは経営企画としての経験が長いし、出向も経験があるので、こういった会社の合併や合理化は超身近な話だし、いきなり全く未知の世界へ出向として放り込まれる状況も、よーく知っている。ついでに言うと、イエスマンしか周りに置かない無能なくせに役職の高い人間が多いことも嫌になるほど見てきている。まあ、わたしの場合は親会社への出向を命じられ、そのまま親会社に転籍になったので、はたから見ると栄転だったのだが、誰にも理解されないつらさも数多く経験したわけで、今回の物語の主人公、青柳くんには実に共感できた。
 ずーっと同じ部署で同じ仕事しかしてないボンクラには全く理解できないだろうけど、前の部署でエースとして活躍していた自分が、新しい部署ではまったくの一兵卒となってやり直しになるので、部署異動や出向というのはかなりのエネルギーと、自分で言うのもアレだが、かなりの努力が必要になることを実際の経験としてよく知っている。そんなわたしであるので、今回の主人公、青柳くんには、その真面目さにはとても好感が持てたし、がんばれ!と応援したくなった。
 おまけに、青柳くんを演じた月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)がとてもイイわけですよ。たまきちくんは、ほかの組のTOPスターと若干雰囲気が違っていて、なんとも育ちのいい、品のある王子様キャラだとわたしはいつも思っているのだが、もうひとつ、わたしが思うたまきちくんの特徴?は、等身大、なんすよね。うまく説明できないけれど、この世のものとは思えない的な美しさだとか、夢の世界の住人的な雰囲気よりも、本当にいそうな「等身大スター」といえばいいのかな……そんな点が、男のわたしから見ると、とても共感しやすいんすよね。これは女性にはわからないかもしれない……どうだろうな……。いずれにしても、本作『カンパニー』は、今の月組、今のたまきちくん以外の他の組のTOPスターには絶対できなかった物語ではなかろうか。わたし的には、今回の『カンパニー』は相当な傑作であったと思う。ヤバいすね……星組イチオシのわたしなのに、これを今の星組で上演できただろうか、と考えると、月組の充実がとてもうらやましく、ぐぬぬ、と少し悔しい気持ちになったほどであった。この、「等身大」のたまきちくんが秋にどんなトート閣下を演じるのか、もう今から超楽しみっすわ。
 そして後半はショー・テント『BADDY』だ。ショーといっても今回はセリフも明確なストーリーもあるお芝居といえる不思議な作品で、これがまた途方もなく楽しく、超盛り上がる面白い作品であった。
 物語をざっと説明すると、遠い?未来、地球上からはすべての犯罪は消え(そしてなぜか地球上は完全禁煙)、ピースフルプラネットとして繁栄していたが、月に追放されていた悪党BADDYが、地球では禁じられているたばこを咥えて舞い降りてきてさあ大変! 地球の正義を守るGOODYが出動、BADDY逮捕に向けて大捕物が始まった! てなお話です。もうこれだけで、ええーーっ!? な、なんじゃそりゃあ! と笑えてしまいますな!
 そして当然、BADDYを演じたのがたまきちくんであり、正義のGOODYを演じたのが、月組TOP娘役の愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)である。たまきちくんは、前述のように、育ちが良く品のある青年がぴったりなのだが、こちらではビジュアル的にもグラサン&咥えたばこ&大悪党ということで、もう度肝を抜かれたっすね。超カッコよかったす。そして何気に楽しそうでしたなあ。
 また、ちゃぴちゃんもとっても良かった。ちゃぴちゃんは、今の宝塚歌劇団の全組で最長期間TOPに君臨している、最強プリンセスだけれど、とうとう今年の秋の『エリザベート』で退団することを発表し、卒業まであと半年、となってしまった。わたしは、ちゃぴちゃんは歌・芝居・ダンスの中ではダンスが一番すごい娘役だと思っているので(もちろん歌と芝居も素晴らしい!)、実は退団公演が『エリザベート』だと聞いて、そりゃあ、ちゃぴシシィは観たいけれど、退団公演としては、ショーのあるダンスバリバリな作品が観たかった……という気がしていたのです。しかし今回の『BADDY』はちゃぴのダンサーとしての魅力にもあふれていて、ホント最高でした。これでちゃぴの大劇場でのダンサブルなショーが見納めなんて、ほんと寂しいすねえ……。つらいす……。ちゃぴ退団まであと半年。『エリザベート』はムラ遠征もしねえといけねえんじゃね? といような気がします。いくしかねえなあ、こりゃあ……。最後まで、応援するよ! 最後のシシィという大役をやり切ってほしいすね。

  はーーーしかし今日は興奮したっすなあ……。それでは主役の二人以外も最高だったので、それぞれ短くメモしておこう。
 ◆美弥るりかさん(以下:みやちゃん):元星組で月組2番手スターのみやちゃんは、『カンパニー』では世界的バレリーナ高野を、そして『BADDY』では、男のような女性のような、不思議なキャラ、スイート・ハートを見事に演じてくださいました。とりわけスイート・ハートという役も、他の組の誰にもできないような、みやちゃんだからこその役柄だったような気がする。最近は色気あふれる系のイケメン役が多いみやちゃん。みやちゃんはTOPのたまきちくんよりも5つも学年が上なわけで、普通に考えて月組でTOPになれる可能性はもはやゼロ、だとは思う。ひょっとしたら、専科に行ってしまうような気もする。でも、わたしとしては、星組にもう一度戻ってきて、短い期間でもいいからTOPスターとして舞台に立ってほしいと願ってます。ダメかなあ……。わたしの愛する星組2番手の礼真琴さんがTOPになる前に、ワンポイントでもいいので、TOPになってほしいなあ……。なんか、ホント今の星組にいてほしいお方ですよ……。
 ◆海乃美月ちゃん(以下:うみちゃん):今回のうみちゃんは、『カンパニー』ではずっとジャージ着用のトレーナー、そして『BADDY』では、BADDY団の一員の美女、を可愛らしく演じてくださいました。わたしが月組で一番好きなのがうみちゃん。もう、次期TOP娘役としてちゃぴの後を継ぐのはうみちゃんでいいんだよね? 組替えとかありうるのかな? もう確定でいいと信じたいところだけど、わたしはうみちゃんの特徴的な口元がとにかく好きっす。とにかくかわいい。芝居ぶりも大変良かったすね。今回も最高でした。どうかうみちゃんが順当にTOP娘になれますように……。
 ◆宇月颯さん(以下:としさん)&早乙女わかばさん(以下:わかばちゃん):はーーーまさかこのお二人が退団とはなあ……この公演で退団を発表したとしさん&わかばちゃん。月組には必要な貴重な人材だけに、とても残念す。いっそ星組に来てほしかった……。わかばちゃんは元星組として、月組に組替えになった時はショックだったけど、退団と聞いて超ショックす……。やっぱり94期生、すなわちたまきちくんと同期なわけで、娘役としてはもうその時が来てしまったんだなあ……TOPになれなくて本当に残念だよ……。そしてとしさんもずっと月組の生え抜きとして貴重な戦力として活躍を続けてほしかったすねえ……専科という選択肢はなかったのかなあ……としさん自身が断ったのかなあ……。ほんと、二人をこれで見納めなんてとても淋しく、今日はその活躍を目に焼き付けてきたよ。二人とも、退団後の活躍を期待します。またどこかで会えることを楽しみにしてるよ!
 ◆月城かなとさん(以下:れいこさん)&暁千星さん(以下:ありちゃん):二人は、今回はそれほど目立つ役柄ではなかった、と言えるような気がする。いや、そんなことないか。雪組からやってきた美貌のれいこさんは、『BADDY』の方では珍しく三枚目的な役で目立っていたし、月組の御曹司ありちゃんも、『カンパニー』ではありちゃんらしい好青年で良かったすね。いずれにしても、この二人は月組の将来を背負う期待の若手なわけで、やっぱりまとうオーラはちょっと別格感はありますな。としさん去りし月組は二人の活躍がとっても重要なので、これからも期待してるぜ!

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「メッセンジャーボーイはもう卒業しろ! あんたは会社の奴隷じゃない! カンパニーだ!!」
 今回は、主人公青柳くんへ向けた世界的ダンサー高野のカッコいいセリフを選びました。つうかですね、今回はかなりイケてるカッコいいセリフが多かったので、選ぶのに悩みましたが、やっぱり、世の社畜リーマンすべてにこの言葉を選んでおきます。まったく、会社の奴隷は卒業した方がいいぜ、リーマン諸君!

 というわけで、結論。
 宝塚歌劇として比較的珍しく、現代日本のサラリーマンを主人公とした月組公演『カンパニー』を観てきたのだが、なんつうか、かなり良かったすね。物語的にもグッとくるものがあったし、やっぱりたまきちくんの「等身大ヒーロー」ぶりがなんともイイ! これはホント、たまきちくんならではの作品だったような気がする。そしてショー『BADDY』は楽しくノリノリで、大変楽しめました。ちゃぴのノリノリダンスも大劇場では見納めかと思うとホント淋しいす。としさんもわかばちゃんも見納めだし、つらいすね……。。。なお、わたしはもう、ずっと、「BADDY、BADDY~! 邪魔だ! どけ!」を脳内で口ずさみながら、終演後の混雑する劇場を後にしました。いいすねえ! 口に出したらアレな人なので、脳内限定でお願いします。ホント最高でした。Blu-ray購入決定す。以上。

↓ こちらが原作小説ですが、わたしが一番嫌いな新潮社刊なので、今のところ読む気にはなってないす。どうも、あらすじを読むとちょっと青柳の設定が違うっぽいすね……。
カンパニー
伊吹 有喜
新潮社
2017-05-22

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 今、自転車ロードレースの世界では、いわゆる「春のクラシック」レースが毎週行われておりまして、わたしもほぼ毎週、J-SPORTSで観戦しております。先週は「北の地獄」と呼ばれる「パリ・ルーベ」というレースがあって、まあ大変興奮いたしました。この春のクラシックが終わり、5月になるとイタリア一周レースでお馴染み「ジロ・デ・イタリア」が始まるのですが……去年からですね、この「ジロ」は、放送権をネット配信のDAZNに奪われてしまい、J-SPORTSでは放送されなくなってしまったのです。ホント腹立つわ……まったくもってガッデムですが、まあビジネスなのでしょうがない……、けど、やっぱり去年からわたしは大変憤っております。つうか、時代なんですかねえ……。なので、わたしも、くっそう、しょうがねえからDAZNに加入するしかねえかも……とは思ったのですが、これまた大変腹立たしいことにですね、どうもこの半年ぐらい、わたしの自宅に引いている光回線、NTT-Flets光がクッソ遅いんすよ。とてもストリーミング配信に耐えられる回線速度ではなく、こうなったらNUROにチェンジするしかねえんじゃねえかしら……とここ数カ月悩んで結論が出せずにおります。どうしたもんかなあ……。
 というわけで、全くどうでもいい前振りはこの辺にして、まずは今週の週刊少年チャンピオン2018年20号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版は乃木坂の堀未央奈嬢だそうです。
 ■弱虫ペダル:鳴子!ギリギリバトルの巻。鳴子くんはホントカッコエエすね。
 ■疵面:今週から刃牙は次のシーズンへの中休みです。花山君は渋いすね。
 ■BEASTERS:無農薬の果樹園の巻。読むとタイトルがしっくりくる話。面白いす。
 ■開田さんの怪談:電子の妖精の巻。開田さんは生瀬君が好きなんすかね、きっと。
 ■タナベと先輩:新人作家の読み切りですが、まあ甘酸っぱいですなあ。悪くないす。
 ■六道の悪女たち:仁の正体の巻。ラストに乱奈さん登場で盛り上がってきました!
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年20号でありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は【猛虎】先生の過去話PART2でありました。そこで描かれたのは、【猛虎】先生の少年時代から虎城部屋の部屋頭になるまでの物語で、要するに全くの平凡人でいいところのなかった少年だったけれど、「相撲が好き」で当時の大横綱・虎城にあこがれ、地道なけいこで学生横綱まで登り、虎城親方直々のスカウトで入門したものの、『バチバチ』第1巻で描かれた通り素人高校生だった鯉太郎に敗れたことで初心を思い出し、愚直に稽古に精進してきたと、そんな過去でした。【王虎】さんに言わせると、その愚直な努力は「めどもない高みへの欲求…強烈なエゴイズム」であり、その想いが「圧倒的に振り切れている」わけで、そんな点が【王虎】さん的には、鯉太郎にそっくり、に思えるのでありました。
 というわけで、今週は虎城部屋の稽古場から再開です。【王虎】さんの言葉を聞いての、【猛虎】先生のお言葉から今週は開幕します。
 「そうだな…お前の言うとおりだ…ただ…まだ…まだまだ足りてはいない…今場所もやはり届かなかった…」ギリッとこぶしを握りながら、【猛虎】先生は言葉を続けます。足りない、そして今場所も足りなかった、というのは、ひょっとするともう【猛虎】先生は横綱【泡影】との対戦は終了し、勝てなかったということなのでしょうか?? どうなんだこれは?
 「最近は…後悔すら頭をよぎっていた……何故お前と同じ部屋を選択したのかと…所詮 稽古場と場所は別物…お前との間であと欲しいのは真剣での取りあい…」
 !? なるほど!?
 「憧れ続けた 大横綱 虎城の血…それを手にして 俺は完成する…そして初めて…アレと闘える…」 ページをめくると、アレ、それすなわち【泡影】の1ページブチ抜きショットが描かれております。なるほど。
 「鮫島がお前を喰って中にお前を宿すのなら 逃がしはしない」この【猛虎】先生の表情はなかなか<振り切れて>ますなあ! こんな告白を聞いた【王虎】さん&田上さん。【王虎】さんは「強いぞ…今場所の鮫島は…」と告げ、田上さんは驚きつつ心の中で独白します。
 (……!? お…おい…ちょっ…ちょっとまて…それじゃ…今の鮫島の中には 大関火竜と大横綱虎城 二つの血が流れてるってことかよ…それをこの人は貪欲に喰おうっていうのか…)
 まあ、そういうことですな、田上さん。しかしそれにしても、『バチバチ』『Burst』と読んできた我々読者としては、剣市くんの成長ぶりが何とも嬉しいすね……。立派に成長したよ、ホントに。そして【猛虎】先生の留まることを知らない真っ直ぐな貪欲さは、控えめに言ってヤバいすね。コイツはとんでもない取組になりそうな予感です。
 そして描写はとあるご家庭に移ります。「いよっしゃーー!! やったぜ鯉太郎!!」と家の外まで響く喜びの声。この家は……おおっと、表札には「斎藤」とありますよ? てことは……おっと、山形県にお住いの斎藤正一さんがひっさしぶりの登場です! ここはマコ姉ちゃんの実家であり、鯉太郎が推定10歳から16歳まで過ごした家ですな。そして集まって盛り上がっている皆さんは「鮫島後援会」のはっぴを着用しています。おお、これは『バチバチ』第1巻で、火竜7回忌に集まっていた、そして鯉太郎の旅立ちを見送ってくれた村田さん・佐々木さん・木村さんのトリオじゃないですか? コイツはご無沙汰っす!まあ、この方々からすれば、今の鯉太郎の活躍はそりゃあもう、最高に嬉しいでしょうよ。VS【王虎】さんの取組を何度も観て、かなり盛り上がっている様子です。
 「見たか今の見事な寄りを!」「か~~~~~! ダメだ! 涙で見えねえ!」「おい! もう1回リプレイしろ!」「何度見てもいいね~~~コンチクショウ」てな状況。まったく、わたしもこの輪に入りたいっすわ! 「しかしあの悪ガキだった鯉太郎が立派になりやがってよーー」「おうよ! ここに来たときなんてまだこーんな小さくてなーー」
 そして我々読者にはお馴染みの、鯉太郎が毎日ぶつかり稽古をしていた、庭の「斜めに曲がっちゃった木」の描写です。「見ろ!気合であんなにひん曲がっちまって…」ともうおっさんたち大歓喜の夜であります。おっさんトリオは言います。やっぱりあの火竜の息子だ、血統が違う、と。
 しかし、実際に一緒に生活した斎藤正一さんは、ちょっと違う想いのようです。
 「私は少し違ったかな…苦しかったんだと思いますよ…あの頃の鯉太郎は…死んだ父親の想いを背負うには あまりにもまだその背中は小さかった 親友の息子だからうちが引き取り 我が子だと思って育てたが…鯉太郎はずっと一人ぼっちでふんばってたんじゃないかな…私は彼に…何もしてやれなかったな…」斎藤さん、そりゃあ謙遜が過ぎますよ。鯉太郎は感謝してるはずですぜ……。いつも鯉太郎の味方だった奥様も久々に登場し、こうおっしゃいます。
 「でも今は すごくいい顔してるじゃない」
 「ああ…そうだね…空流部屋が 鯉太郎を変えてくれた 鯉太郎が自分の力で必死に手に入れた 居場所ですよ…」ここで描かれているのは、先代・空流親方を中心に、空流のみんなが集合した「家族写真」です。イイ笑顔してますなあ、鯉太郎もみんなも。この絵は是非チャンピオンを買ってその眼で見てください。あれっ……イカン……何か……わたし、泣けてきちゃったんですけど……。どうしたらいいすか……。
 正一おじさんの言葉は続きます。「ただ…やっぱり心配はしてしまう…今日だってそうだ…勝ちよりも無事を願ってしまうんです…今の幸せそうな顔を見てるとなおさら…それが長く続けばいいと…」この言葉には、そうだよなあ、的な表情で、おじさんトリオもしんみりです。鯉太郎はホントにイイ人に育てられましたなあ……。おじさんトリオの誰かが言います。「大丈夫…マコだっているんだ…無茶な時は止めてくれるさ…」
 そんな時、斎藤家の電話が鳴りました。奥様は「マコトかしら…」と取ります。おじさんトリオは、どうせまた鮫島後援会入会者だろ、だの、火竜が問題起こしたときは散々罵倒した奴らがよ! とか、現金な奴らだぜ! と若干お怒りのご様子。しかし、おっと!? 電話を受ける奥様の顔色が!? 相手は誰なんだ? そしてどんな内容なのか? ここでは明かされず、ページをめくると、描写は東京、いよいよ13日目の朝に移ります。
 部屋の前を箒で掃き掃除する椿ちゃん。その表情は、眠れなかったのでしょうか、超ぼんやりしています。そこにドルン!とバイクが一台到着。ページをめくると、おっと、バイクはマコ姉ちゃんです!
 マコ姉ちゃんの顔を見て、椿ちゃんも普段の表情に戻りました。何しろ局アナのマコ姉ちゃん、お忙しいでしょうなあ。今日は休みなんですかと問う椿ちゃんに、やっとオフで久しぶりの自由な時間だわとマコ姉ちゃん。何やら部屋の玄関には靴が大量にあり、椿ちゃんによると12連勝で注目されて取材殺到の様子。マコ姉ちゃんも、ウチの局でも今日特集を組むって言ったそうな。しかしマコ姉ちゃんは鯉太郎の身内です。
 「私なんてアイツが子供のころから一緒でしょ…なーんか実感がわかなくて…少しは褒めてやってもいいのかもね…」そうすね……いっつも鉄拳制裁&基本怒ってましたからね……。こんなマコ姉ちゃんの言葉に、椿ちゃんの表情はなんだかすぐれません。鯉太郎の様子を聞くマコ姉ちゃんに、椿ちゃんは「…それが…」と上手く伝えられない様子です。というのも……ページをめくると……そこには1ページブチ抜きで、鯉太郎の熱気?あふれる、充実した?四股を踏む姿が。
 この鯉太郎の様子に、日刊トップの記者、橋くんは驚きを禁じ得ないようです。
 「どうなってるんだよ…体はもう 限界だと思っていたのに…いや…実際テーピングからもボロボロのはずだ…なのに…これが王虎を…ライバルを制するということか…」記者たちはおろか、仁王兄貴こと現・空流親方、常松こと【松明】関も、こ、これは?的な表情です。そして椿ちゃんとマコ姉ちゃんの会話は続きます。
 「いつもと違って…気持ち悪いほど元気で…」
 「? どうした椿ちゃん…元気ないね…何かあった…?」
 「…………あのねマコさん…」
 ここで! 謎の人物かが空流部屋を訪れます!
 「あの…スミマセン…空流部屋は ここであってますか……?」
 !? こ、この人物は!? どうも女性のようです。そして、恐らくは山形の斎藤家に電話した人物でしょう。これは……鯉太郎のお母さん?でしょうか?? 角界を追放されて飲んだくれていた時期の火竜を見限り、さっさと、鯉太郎を置いて、一人出て行ってしまったお母さん。あれでしたっけ、鯉太郎は自分の意志で父・火竜の元に留まったんでしたっけ? 置いて行かれたわけじゃなかったかな。まあいいや、来週までにもう一回『バチバチ』読んで復習しときます。いずれにしても、謎の女性の登場でどういう展開となるのか、ちょっと想像がつきませんが、ヤバいすね……まさかのお母さん登場なのかな……くっそう、ホント、今すぐ来週号が読みたいですなあ!! はーーー。ちょっと、来週までに、『バチバチ』と『Burst』を読み直して、場合によっては『鮫島』ニュース番外編として、これまでの時系列や出来事をまとめたくなって来たっす!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目まで10勝、その後【泡影】に1敗した模様
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。66連勝中(11日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週描かれたのは、【猛虎】先生のVS鯉太郎戦への意気込みと、鯉太郎を支えてきてくれた山形の皆さんの様子、それから、ボロボロなはずなのに元気いっぱいな13日目朝の鯉太郎の様子、そしてラストには、謎の女性が空流部屋を訪れるの巻、と少し内容盛りだくさんな展開でありました。どうやら、我々読者的には超心配だった鯉太郎の体の具合は、まさしく燃え尽きる直前のように強く輝きだし、取組はもはや待ったなし、親方からの「どうすんだ?」が発令されることもなさそうです。しかし、もしお母さんだとすると……このタイミングで来られても……ちょっとどうなんでしょう……まさか常の親父的なダメ人間だったらどうしよう……単なる激励? それとも置いて行ってしまったことへの謝罪? 残念ながら両方とも今の鯉太郎には全く必要ないすね……もう「家族」がいるんだし。うおーー気になるっす! お母さんでも誰でもいいんだけど、いい人であってくれ……佐藤先生、そこんところよろしくお願いします! 以上。

↓ 毎週しつこいですが、最新刊(17)巻が発売中です! 絶対に買い!でお願いします!

 いやー、楽しかった!
 何のことかって? これっすよ!
poppins
 渋谷ヒカリエの上、シアター・オーブにて絶賛上演中の、ミュージカル『MARY POPPINS メリー・ポピンズ』であります。まあノリノリの歌にノリノリのダンス、コイツは盛り上がりますなあ! やっぱり、ミュージカルは生に限りますよ。実際最高でした! あの「スパカリ」を聞いてじっとしていられる奴はいねえ、と思うな。えっ!? 「スパカリ」を知らないだって!? それはアカンす! 「スーパーカリフラジスティックエクスピアリドーシャス」のことに決まってるっすよ! ええっ!? なんのこっちゃって!? 困った人だなあ、もう! これっすよ!

 は――……ホントまだ今でもこの曲聴くと興奮するわ……。
 というわけで。ちょっと落ち着いて説明から。
 といっても、まあ、もはや『MARY POPPINS』について説明する必要もなかろう。Julie Andrewsさん主演のディズニー映画版は、Wikiによればディズニー映画史上最高興行成績の記録を持ってるそうで、主役のJulieさんもアカデミー主演女優賞受賞した超有名な名作だ。(翌年の『The Sound of Music』では受賞ならず。その代り『POPPINS』では獲れなかった作品賞を受賞)。『POPPINS』の映画版では、途中でアニメが入り混じる展開で、絵の中の世界に入っちゃうとか、かなりファンタジーな作品なわけで、いわゆるひとつの、いかにも「ディズニー」な映画だが、果たして生身の舞台で、一体どんなふうに表現されるんだろうか? とわたしとしては昨日は超ワクワクして渋谷に赴いたのである。だが、結論としては、もうわたしとしては大満足。冒頭に書いた通り歌もダンスも素晴らしい! キャストの皆さんもとても良かったすねえ! ラスト、メリーが去っていくシーンは、舞台から1階席の上空を通って3階席の天井に吸い込まれていくという驚異のフライングなんかもあり、ホント大興奮でした。ちなみに、わたしは昨日、9列目のド・センターということで、まあまあいい席なんじゃね? と思って劇場に着いたら、なんと5列目までオーケストラピット(もちろん生オケだった)で、9列目は事実上4列目となっており、もうすげえいい席じゃん! と大興奮。まさしくわたしの頭上、手を伸ばせば届きそうなぐらいの低空飛行から、メリーはグググッと3階天井まで飛んでいきました。すげえす。アレは。
 なお、物語としては、映画版とちょっと変わっているポイントがいくつかあった。一番大きいのは、1幕ラストでメリーは姉弟のバカさ加減に呆れ(?)、一度空に帰ってしまうのだ。これは映画にはない点で、2幕冒頭から登場する、かつてお父さんが子供だった頃の子守りのおばあちゃんとの、ちょっとした対決シーンなんかも、映画版にはない。ただこの展開は、2幕物の舞台としてはとても効果的であったように思う。わたしは映画版しか知らなかったので、1幕ラストはどこまでだろう? とか思っていたので、1度帰っちゃうとは思っておらず、この先どうなっちゃうの? 的なヒキとしては大変良くできていたと思った。
 というわけで、キャラ紹介と演じた役者を紹介しておこう。
 ◆メリー・ポピンズ:ちょっとした魔法が使える謎の凄腕子守り(Nanny=ナニー=乳母)。宇宙人?なのか分からないけど、風に乗って空からやって来る。映画版では、ナニー募集の新聞広告を見てバンクス家の玄関に大勢の志願者が並んでいるところに、突風が吹いてみんな吹き飛ばされ(映像的に笑える)、そこに空からメリーがふわりとやって来るのだが、今回のミュージカル版では、あの印象的なシーンはなかったす。基本優しい、のだが、甘やかすようなことは一切せず、言動は超厳しい。彼女のかばんは4次元カバンになっていて、中に何でも入っており、そういえば若干ドラえもんチックでもある。とにかくいつも自信満々な風で、「何でも完璧」(The Perfect Nannyという歌さえある)。いつもキリッとしている。もちろん美人でかわいい。
 そしてそんなメリーを今回のミュージカル版で演じたのは、元劇団四季の歌姫でお馴染みの濱田めぐみさん(以下:濱めぐさん)と、わたしの大好きな平原綾香さん(以下:あーや)のWキャストだ。そしてわたしが昨日観たのは、あーやちゃん版である。恐らく、これはあーやファンの方には怒られると思うし、観てないので想像だが、たぶん濱めぐさんの方が、上手いだろうしメリーに合ってるんじゃないかと思う(※上の方に貼った動画は、濱めぐさんとあーやちゃん両方入りまざってます)。濱めぐさんは歌もダンスももう日本のミュージカル界では間違いなくTOPだし。でも、わたしはあーやちゃんのメリーが見たかったので昨日のチケットを撮った。もちろんあーやちゃんの歌の力は圧倒的な圧があって、生で聞くともの凄い迫力であることはお馴染みだが、わたしはあ―やちゃんの芝居とダンスを観たかったのだ。去年の『Beautiful』での芝居は非常に良かったし、『The Sound of Music』での吹替演技もとても素晴らしかったので、わたしとしてはあーやちゃんの演技に関しては何の心配もしていなかったのだが、今回はかなりダンスのあるミュージカルである。果たしてダンスはどうじゃろか、と思っていたわけだが……結論から言うと、かなりイイっすね。相当特訓したと思うけれど、なんか、その一生懸命さはとても引き付けられますな。恐らくは、濱めぐさんの方がピシャッと決まるキレのあるダンスではないかと想像するけど、どうしてどうして、あーやちゃん、すごいイイじゃないの! とわたしは偉そうに思うに至った。なんつうかですね、メリーは常にポーズをとっているというか、立ち姿がピシッとしているのだが、あーやちゃんメリーはそのピシッとしている姿がなんかちょっと可愛らしいんだな。何だろう、若干ちびっ子だからなのかな……あの手の組み方というか、手先の動きはきちんと指先まで行き届いていて、とても良かったすね。そしてもちろん歌はもう大変素晴らしく、さすがのワザマエでありました。お見事です! どうやらあーやちゃんが初めてミュージカルに出演した作品『LOVE NEVER DIE』も来年再演が決まったようで、わたしは初演を見逃してしまったので、絶対に今度はまた会いに行くよ!
 ◆バート:どうもメリーとは昔からの知り合いのようなのだが、すごい謎キャラ。公園で絵を描いていたり、煙突掃除屋さんだったり、の不思議青年。とてもやさしく、超イイ笑顔のナイスガイ。映画版で演じたのはDick Van Dyke氏で、映画ファン的には『Night Museum』に出てきた悪いおじいちゃんですな。映画版のバートは超歌って踊る陽気なファンキー野郎でしたが、今回のミュージカル版では、バートもWキャストで、わたしは迷わず柿澤勇人(以下:かっきー)くんVerを選んだ。かっきーもまた劇団四季出身、もうミュージカル界ではおなじみの歌の上手い俳優だ。なんつうか、バートのいい人スマイルはとてもカッキーに似合ってましたね。歌もダンスも大満足です。
 ◆ジェーン&マイケル姉弟:バンクス家の子供。映画版ではいたずらキッズで何人ものナニーに愛想をつかされた、けど、メリーにはすぐ懐いていい子になっちゃう的なキャラだが、ミュージカル版では結構最後まで言うことを聞かない生意気バカだったような気もした。ただ、演じた子役二人はとても良かったすね。ちゃんと歌えるし、ダンスも悪くなかったすね。とにかく一生懸命なさまは、お父さん目線のおっさん客としては、頬が緩みますな。この姉弟は、それぞれ4人の子役で回しているそうだが、昨日わたしが観たVerでは、ジェーンを渡邉おとはちゃん、マイケルを加藤憲史郎くんが演じていた。憲史郎くんは、清史郎くんの弟すね。10歳だって。わたしは清史郎くんが『レミゼ』でガブローシュを演じたのを観たことがあるけれど、この兄弟は歌声はちょっと似てるような気がしますね。大変良かったと思います。
 ◆ジョージ&ウィニフレッド・バンクス夫婦:バンクス家のお父さんとお母さん。お父さんは超厳格(だけど、若干ビジネスマンとしては抜けてる)な銀行マン、お母さんは、映画版ではなんか女性の権利運動に熱心で子育てはナニーにまかせっきりな女性だったけど、ミュージカル版では、ありゃ普通の主婦か? ちょっとキャラが変わっていました。昨日わたしが観たVerでは、それぞれ駒田一さんと三森千愛さんが演じておられた。二人ともわたしは存じ上げない方だったが、三森さんは意外とお若いんすね。素顔は大変可愛い方ということをさっき知ったす。この方も四季出身なんですな。
 ◆鳩の餌売りの老女/ミス・アンドリュー:老女は、映画版ではちょっとしたキーとなるキャラで、わたしはきっと2幕で出てくるんだろうな、と思っていたらミュージカル版ではもう1幕で登場。そしてミス・アンドリューが映画版には出てこない、お父さんの子供時代のナニー。これがまた超おっかないおばあちゃんで、ヤバし。この二役を一人で演じていたのが、昨日は島田歌穂さん! かつての『ロボコン』のロビンちゃんですよ! そして今や超歌ウマとしてもおなじみで、ちゃんとソロパートもあって、その歌声はさすがでありました。まあ、相変わらず華奢というか、顔が小さい!大変な美人だと思います。

 とまあ、キリがないのでこの辺にしておこう。
 たぶん、映画版を知らなくてももちろん大丈夫、だとは思う。だけど、やっぱり映画版を知っていた方がいろいろ分かりやすいのではなかろうか、という気もする。わたしは、だいぶ前に録画してあったWOWOWで放送されたのを予習してから観に行ったので、お話を十分理解してから観たわけだが、若干ですね……音楽の音量が激しくて、歌詞やセリフが聞き取りにくかったような気がするんすよね……この点だけは少しだけ残念す。まあ、4列目なので、ほぼ生声やオケの生音が聞こえており、大丈夫と言えば大丈夫だったけれど、逆に4列目であの状況だと、後ろの方や2階3階席はどうだったのかしら、と少し気になった。むしろ後ろの方が計算されたマイク音量で適切だったのかもな……。そんな状況だったので、なおさら濱めぐさんだったら超明瞭に歌詞もセリフも聞こえたかも、なんてことも思ったりしたけど、これはあーやちゃんには責任がないと思いたい。つうかですね、ほんとあーやちゃんはイイすね。これからも応援したいと思います。来年の『LOVE NEVER DIE』の再演が楽しみっす!
 最後に一つだけ! パンフのカバーデザインがわたしは大変気に入ったす。↓ こんなの。映画版だと、ラストでこの傘の柄の鳥がしゃべるけど、今回は喋らなかったす。
Mary02

 というわけで、結論。
 昨日わたしは渋谷にて絶賛上演中の『MARY POPPINS メリー・ポピンズ』を観てきたわけだが、まあ、冒頭に書いた通り最高でした。ノリノリな歌とダンスは、もうじっとしていられないすね。場内も皆さん手拍子でノリノリでありました。物語は意外と映画版と変わっていて、少し驚いたけど、十分アリだったと思う。そしてラストのフライングで帰っていくメリーの演出も凄かったし、大満足でありました。つうかですね、平原綾香さんことあ―やちゃんが可愛いんすよ。キリッとツーンとしているのに可愛い、ありゃあ、あーやメリーの個性でしょうな。もちろんあーやちゃんの歌にも大満足だし、意外というと大変失礼だがダンスぶりもイイ! つうか、結構ちびっ子で、ぴょんぴょん飛び跳ねて踊るダンスもなんかかわいいじゃないすか! ヤバいすね、わたしの中のあーや熱はまたも高まってきたようです。要するにですね、最高でした! 以上。

↓ やっぱり原典は予習しといた方がいいような気がする……。観てなくても十分楽しめますが。

 先日、インターネッツなる銀河の片隅にある、わたしの愛用する電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」において、何かおもしれえ小説ねえかなあ、とあてどなく渉猟していたところ、ふと1冊の作品に目が留まった。なんでも香港の作家による「華文ミステリー」なんだとか。へえ? と思い、とりあえずあらすじをチェックして、試し読みをしてみたところ、面白そうだったのでまずは買って読み始めることにした。 
 それがこの作品、『13・67』という小説である。
13・67 (文春e-book)
陳 浩基
文藝春秋
2017-09-30

 著者の陳 浩基先生は、日本語読みなら、ちん こうき、中華読みならチェン ハオジーと発音するらしいが、どうやら世間的?にはサイモン・チェンと名乗っておられるようだ。ま、わたしの知り合いの香港人や台湾人のみんなは英語名を使っているので、そういうものなのだろう。1975年生まれの香港人。敢えて中国人ではなく香港人と言っておく。えーと、1997年の返還当時は22歳か。ゲームの企画や漫画の編集者などの経験もあるそうな。まあ、くわしいことはWikiでも見てもらうとして、今年の誕生日で43歳となるチェン先生だが、ところでこの作品は、本屋でどんな扱いを受けているのだろう? と読み終わった昨日、実際の書店を回ってみたところ、なかなか華々しいPOPがついて置かれていたりしていた。わたしは全く知らなかったけれど、書店店頭に並んでいた紙の書籍に巻かれた帯によると、本作は去年の「このミス」の海外部門2位だったそうな。おまけに文春のミステリーベストにも入っていたらしい。へえ~。わたしは「このミス」なんぞに全く興味はないが、本を売る立場としては有り難い追い風だろう。奥付をチェックすると、わたしが見た本は既に2刷と重版もかかっているようで、こういう作品が売れるのは、とても喜ばしいと思う。実際に売れているか知らないけれど。
 あ、チェン先生自身が本作についてインタビュー受けてる記事があるからURL貼っておくか。先生自身のお写真もあるのでご興味あればどうぞ。正直記事自体はあまり大した内容ではないす。
 香港ミステリーの超ヒット作『13・67』はこうして書かれた 陳浩基氏が「香港返還」をあえて淡々と描いたワケ
 さてと。何から書くか……。本作は、発売になったのが去年の9月なので、かなり今さらなのだが、既にもうそこら中であらすじやネタバレが書かれている通り、香港の警察官を主人公とした、事件解決ミステリーで、短編連作の形をとっている。一つ一つの短編は、名探偵的な頭脳明晰な男による「本格」ミステリーである。そして全体としてみると、その男の年代記であり、同時に激動の香港史、という「社会派」ミステリーにもなっているという面白い構成だ。
 陳先生自身によるあとがきに詳しく書いてあるので、そちらを読めばわかることだが、もともと「安楽椅子探偵」というお題の元、第1話を書き、そのうちにその男の生涯について書きたくなり、膨らんでいったのだそうだ。また一つ一つの短編は、それぞれ香港においては重要な年を舞台としていて、当時の香港の空気も感じられて、なんか、勉強になった。わたしの知ってる香港人はみんな英語が達者だけど、この作品を読んで、ああ、そういうことなのか、というのも良くわかった。
 なお、香港のある程度の地理が分かっていると物語はより一層イメージしやすく理解しやすいと思う。例えば「旺角」ってわかりますか? これ、香港について知っている人ならちゃんと「モンコック」と読めるだろうし、場所もあの辺、と分かるはずの有名な場所だけど、尖沙咀(チムサーチョイ)とか、中環(セントラル)とか、香港島と九龍(カオルーン)を結ぶ海底トンネルとか、ちょっとした香港知識があった方がより一層楽しめると思う。
 それでは、まずは本作の構造と登場人物についてごく簡単にまとめておこうと思う。まずは、構成についてだが、既にさんざん書いちゃったように、本作は6つの短編からなる作品で、特徴的なのは、「段々時間が遡っていく」点であろうと思う。どういうことかは、下の表を見て下さい。また、主人公がその時何歳なのか、香港でどんなことがあった年なのか、も、メモしておこう。
 なお、ネタバレには一切配慮しないので、未読の方はこのへんで退場いただいた方がいいと思います。
章タイトル キャラ年齢
第1話 黑與白之間的真實
(黒と白のあいだの真実)
2013年
クワン:67歳
ロー:44歳
雨傘運動(反中デモ)の前年
第2話 囚徒道義
(任侠のジレンマ)
2003年
クワン:56歳
ロー:34歳
SARS流行、中国との自由貿易協定締結、治安条例反対50万人デモ勃発の年
第3話 最長的一日
The Longest Day
(クワンのいちばん長い日)
1997年
クワン:50歳・定年の日
ロー:28歳・CTB異動直後
香港返還の年
第4話 泰美斯的天秤
The Balance of Themis
(テミスの天秤)
1989年
クワン:42歳
ロー:20歳
天安門事件の年
※初めてクワンとローが出会う
第5話 Borrowed Place
(借りた場所に)
1977年
クワン:30歳
※警察をはじめとする公務員汚職根絶のために「廉政公署」が発足して3年後
第6話 Borrowed Time
(借りた時間に)
1967年
クワン:20~21歳?
文革の翌年で、左派による反英暴動(六七暴動)のあった年
 ※年齢は本文にある時はそのまま、ない時は、記述から逆算。
 ※誕生日前か後かで1歳の誤差があるかも。それが累積して2歳誤差もあり得る。
 ポイントとしては、主人公のクワンは1997年の香港返還の年に定年を迎え、六七暴動のあった年に、人生の転機となる大きな事件に遭遇したという点なのだが、これは最後まで読むと、また最初に戻って読みたくなるという非常にお見事な構成になっているように思えた。もちろん、もうお気づきのことと思うが、本作のタイトル『13・67』は2013年から1967年、ってことですな。1967年の暴動は反英(その背後には左派=中国の影響)、2014年の雨傘運動は反中(=学生による民主運動)なわけで、香港は、その支配に対して、常に闘ってきたという激動の歴史の対比はとても興味深いと思う。まあ、雨傘は実質学生側の負けというべきなのかなあ、残念ながら。
 さて。次にキャラ説明をごく簡単にやっておこう。
 ◆クワン:漢字で書くと「關 振鐸」。クワン・ザンドーがフルネーム。時代時代によって階級が違う。17歳(1963~1964年ぐらい)で警官に。第6話で描かれる1967年の出来事がきっかけになって、イギリスへ留学。香港の警官としては異例?の出世コースに。ホームズ的な推理力は抜群。なんでも、香港の警察は50歳で定年なんだそうだ。その後クワンは嘱託としてある意味自由なコンサルタント的な立場となって警察機構に属することに。定年時は本庁CIB(Criminal Intelligence Bureau=捜査情報室)Bセクションの課長。上級警視。「名探偵」と呼ばれるスーパーコップ。彼の手法は、すべてが清廉潔白な捜査ではなく、時に違法?な、グレーなものでもあるけれど、それはクワンの、警官として一番重要なことは市民を守ること、という信念に基づいているため、主人公の資格を失うことなく明確に「正義」の味方として描かれているとわたしには思えた。
 ◆ロー:駱 小明。ロー・シウミン。生真面目。クワンの22歳年下の愛弟子。実際クワンの部下だった期間は半年しかないが、クワンを「教官」と呼び、子供のいないクワンは彼を子供のようにかわいがった。第2話では西九龍/油尖地区の凶悪犯罪捜査係・第二小隊隊長。第5話と第6話には登場しない(まだ全然子供だったり生まれてないので)。
 ◆阮 文彬(げん ぶんひん)&王 冠棠(おう かんしょう):第1話において阮は豊海グループ総帥であり殺害された男。そして王はその親友であり執事であり被疑者。ネタバレすぎるから、これ以上は書きません!
 ◆左 漢強(さ かんきょう)&任 徳楽(じん とくらく):二人とも第2話で出てくるマフィアのボス。もともと二人とも「洪義聯(こうぎれん)」というマフィアの幹部だったが、年下の冷徹な左が跡目を継ぎ、年上で、「極道の仁義」を守る任は「興忠禾(こうちゅうか)」という組織を作って脱退した。どんどん勢力は左が率いる「洪義聯」に食われ、あと数年もすれば「興忠禾」は消滅するといわれている。左の表の顔は芸能プロダクション社長で、一般社会的には全く極道とは関係ない人物、と思われている。
 ◆ツォウ:曹 坤(ツォウ カン)。第3話に出てくる警視部長、クワンが「ツォウ兄」と呼ぶ4歳年上の警察幹部。50歳で引退を決意したクワンに、破格の条件で「顧問」として残ることをオファーする。
 ◆石兄弟:第3話と第4話に出てくる凶悪犯罪ブラザーズ。石 本添(せき ほんてん)が兄。非道卑劣な頭脳派。石 本勝(せき ほんしょう)が弟。まばたき一つせず人を殺す冷血な武闘派。
 ◆コー:高 朗山(コー ロンサン)。第4話に出てくる警部部長。クワンの3歳年下。名探偵として既に名高く、検挙率抜群であったクワン(この時クワンは既に警視)に若干嫉妬心アリ。ネタバレだけど、彼はイイ人です。不器用な男ですが。
 ◆TT:鄧 霆(タン ティン)。そのイニシャルから「TT」と呼ばれるハッスルデカ。銃の腕は抜群だが、クワン曰く「頭も体も切れるが、あまりにも性格が粗暴すぎる」男。第4話時点でのローの上官。ちなみにこの時、ローは警官3年目で念願の刑事になったばかり。
 ◆グラハム・ヒル:第5話で登場するイギリス人。3年前に出来た「廉政公署」の捜査官。イギリスではロンドン警視庁所属の警官だった。イギリス本国ではオイルショックに続く景気低迷で借金を抱え、にっちもさっちもいかなくなっていた時に、「廉政公署」設立のための人員募集を見て応募し、香港へやってきた。これもネタバレだけど書かせて! 実は、クワンのイギリス留学時代の教官(!)。
 ◆私:第6話の主人公。これが誰だかは超ネタバレなので書きません! よーく読めば気付けたのかもしれないけど、わたしの想像とは違う人物で驚き! こう来たか!とやられた気分です。
 ◆アチャ:「私」が出会う生真面目な制服警官。識別番号4447。そのため「私」は彼を「阿七(アチャ)」と呼んでいた。彼の正体については予想通りでした。が、ラストは全く予想外でこれまた驚き。そういうことがあったんすね……なーるほど……的な。そしてそのことを知ると、第1話をもう一度読みたくなります。

 とまあこんな感じかな。そして各話のお話については……やっぱりネタバレすぎるので詳細に書くのはやめておきます。ごく簡単ににまとめると……
 第1話:とある企業グループの総帥が殺された! 身内に犯人がいるとにらんだローは一計を講じて犯人をあぶりだすのだが……的なお話で、なんか若干SFチック。
 第2話:古き「極道の仁義」を守る親分と、冷血で暴力によって勢力を増している親分の話。冷血親分の表の顔である芸能プロダクションの売り出し中の女の子が殺され、仁義親分の息子が犯人じゃないか、と思いきや、実はそこには……的な話で、全く想像外の展開で、とても面白い。
 第3話:かつてクワンが逮捕した凶悪犯が脱走し、追跡する話。実は巧妙なトリックで犯人は……! 的な展開で、ちょっとだけ偉くなったローはクワンの推理に仰天する話で、わたしも読んでて仰天した。
 第4話:第3話の凶悪犯の弟を逮捕しようとした時のお話。そこには計算された警察内部の陰謀が……的な話で、もちろんとても面白い。刑事になったばかりのローとクワンが出会うきっかけでもある。
 第5話:イギリス人捜査官の息子が誘拐された! 果たして犯人の狙いは!? 的なお話。ラストの展開は、そういうことだったのか! と膝を叩きたくなったす。
 第6話:反英暴動のさなか、狭い下宿に住まう「私」は爆弾テロの計画を聞いてしまい、顔なじみの制服警官「アチャ」にその話を伝え、「私」と「アチャ」が大追跡する話。非常に面白く、「私」と「アチャ」がいったい誰なのか、が最大のポイント。そしてラストはかなりグッときます。たぶん。

 というわけで、わたしは第1話から第2話あたりまでは、これは要するにホームズとワトソンのようなバディものなのかな? と思いながら読んでいたのだが、話が進むにつれてそうでもなく、非常に独特な物語だったように思う。最初は、なんだか日本の刑事もののテレビドラマのような気がしていたし。「相棒」的な。第6話なんかは、ジャッキー・チェン的なアクションもあるし、第4話なんかは『インファナル・アフェア』的などっしり重い空気感もあって、それぞれが独立した雰囲気があると思う。いずれにせよ、やっぱり主人公クワンのキャラがとても良く、しかもそのキャラ誕生のきっかけとなった話もきちんと第6話で描かれていて(しかもそれが非常にほろ苦い!)、最後まで非常に面白く読むことができた。ホント、面白かったす。

 というわけで、結論。
 ふとしたきっかけで読んでみた華文ミステリー『13・67』という作品は、まず第一にとても面白かった。恐らくわたしはこういった華文ミステリーを読むのは初めてだったと思う。正直、香港にこんな真面目で有能な刑事がいたんだ、なんて失礼な感想すら抱いてしまった。それぞれの話のトリックは実に巧妙で、ズバリ、わたしが読みながら想像した結末とはどれも違っていて、すべての話で、な、なんだってーー!?と驚くことになったのである。お見事、でありました。そして香港のこれまでの歴史も知ることができて、とても勉強になった作品で、そういう意味でも、読んでよかったと思う。作者の陳先生は相当なワザマエですね。なので、さっそく陳先生の日本語で読める別の作品も読んでみようと思います。こういう時、電子書籍は便利ですなあ。本屋で探したけど見つからなかったので、次も電子で読みます。たのしみっす。以上。

↓ で、こちらがその、陳先生の日本語で読める別の作品です。あらすじを読むかぎり、こちらも超面白そう! 第二回島田荘司推理小説賞受賞作だそうで、楽しみっす。
世界を売った男 (文春e-book)
陳 浩基
文藝春秋
2016-08-19

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 今週は特に書くことがないのでさっさと始めたく存じます。あ、明日は『鮫島』単行本の最新(17)巻発売ですので、応援のためにもぜひ買っていただければと思います。わたしは紙と電子両方買います!

 カバーの【王虎】さんがカッコイイですな!
 というわけで、まずは今週の週刊少年チャンピオン2018年19号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版は北原里英嬢。NGT48のお方だそうです。
 ■弱虫ペダル:鳴子VS真波の巻。そのまんまです。ちょっと状況を整理しておくと、
 坂道&今泉<<<鳴子VS真波&黒田<<<キモー筋<<新開VS変態
 ってことかな? 箱学大ピンチじゃん。キモー筋もすぐ来るだろうし、ヤバいすね。
 ■刃牙道:野見宿禰の巻。グラップラー>無印>範馬>道と続いた第4シリーズ完結です。第5シリーズはどうやら相撲がメインテーマのようで、楽しみですな。なお来週から第5シリーズ開始まで花山君の「疵面」が連載だそうです。
 ■BEASTERS:ハニーハントの純情の巻。食殺犯の熊のリズのお話です。結構深いすね。
 ■開田さんの怪談:震える眉の巻。「マーニー」でお馴染み木々津先生の新連載す。
 ■昆虫武将チョウソカベ!:殿はモウリの願いをきくの巻。殿、カッコよく決めましたね!
 てな感じの週刊少年チャンピオン2018年19号でありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は【猛虎】先生の回想がメインでした。何の取り柄のない少年だった彼は、当時の大横綱・虎城へのあこがれを胸に、ただひたすら好きな相撲に愚直に精進し、気が付けば学生横綱のタイトルを取って鳴り物入りで各界入りしたわけですが、周りは天才ともてはやし、そんな一言で片づけんなよ、と心中イラついていたのです。そんな時に、『バチバチ』第1巻第1話で描かれたように、素人高校生だった鯉太郎に負けたことで「お前ごときがナメるな」と「相撲にぶん殴られた」ような思いを抱き、「自分は凡人だった」ことを思い出したわけです。以来、再び愚直に精進を続け、今や大関まで登りつめた【猛虎】先生。まあ、もはや油断は1mmもないすね。そして、今週は【猛虎】先生の回想その2です。
 今週の開幕は、黒まわしで汗だく砂まみれとなって稽古をする【猛虎】先生です。黒まわしということは、幕下時代、てことは鯉太郎に負けた直後あたりなのでしょうか? この頃の虎城部屋は、我々読者は良く知っております。そう、とんでもなくダメな、覇気のない部屋で、ついでに言うと親方の現・虎城理事長もダメな野郎でした。そんな頃ですので、一人稽古に励む【猛虎】先生に対して、部屋の先輩たちは、「おーおー毎日毎日頑張るね~」だの「お前少しは息ぬけよーつまんねー奴だな…」「堅っ苦しいんだよお前…」とか言ってます。このばかちんどもが!
 そして虎城親方の指導も、これまたご存知の通り、もはや意味不明です。
 「何度言ったら分かるんだ! ユルッとなるとバァーとなってると言っとるだろ!」
 いやいやいや、それは分かんねえなあ……残念ながら。なので、弟子たちも、分かるわけねーだろ、とか、まさに名選手名指導者にあらずってヤツだよな―…とか言ってます。しかし、まだ髷の結えない若者には通じていました! そうです。息子たる剣市くんこと、【王虎】さんです!
 「フン…右の力を意識しねーと右半身が隙だらけで開くってことだろ…アホが…」
 【猛虎】先生は、お前、分かるのか!? 的な表情。そしてメモ帳に独特の「親方語」翻訳帳を作成し始めました。真面目か! もう、ほんとにこの人は真面目ですよ!
 そして一方の虎城親方も、「どうして分からんのだ…どいつもコイツも…やめちまえもう!」とやけっぱち。心なしか悲しげな表情です。そんな親方を見て、弟子たちは生意気にチッとか舌打ちしていますが、真面目な【猛虎】先生は違います。彼は思います。
 「ダメだ…これじゃ…このままじゃ 到底足りない 近くにいればいるほど痛感する…自分には 圧倒的に才が足りない…天分はやはりある…なら俺は諦めざるを得ないのか…? どうあがいても届かないのか…?」こう考える【猛虎】先生の脳裏には、かつての大横綱・虎城の「誰にも負けないくらい相撲が好きだったということでしょう」という言葉が蘇ります。
 親方語を理解できない=自分には才が足りない。けれど、相撲が好きという気持ちは俺にもある。そして親方語を理解できる剣市はやっぱり天分があるのか……どうやら、かつて【王虎】さんを自分の付け人に、と願ったのはこういう思考の流れなのかもしれません。天分を持つ【王虎】さんと毎日激しい稽古を積むことで、足りない才を補おうとしたのかもしれません。
 その激しい稽古は、「なんなんだコイツら…毎日が殺し合いじゃねーか…」と部屋の力士たち、そして親方も息をのむほどでした。当時の【王虎】さんも、へばって「テメェ…必ず潰してやる…」と土俵にブッ倒れるほどの猛稽古。しかし! そんな猛稽古の後でも、天分を持つ【王虎】さんがブッ倒れて動けなくなっても、【猛虎】先生はムクッ…と立ち上がり、ボロボロの体で一人テッポウをうち、稽古をやめません。その姿に部屋の力士養成員のみんなはゾクッっとし、【王虎】さんですら、マジか、とその様子に目を見張ります。ボロボロで鼻血も出ているのに、【猛虎】先生の眼はまったく死んでいません。
 「大相撲は天から才能を与えられた人間の住む世界…それは番付を上がるほどにはっきりと…鮮明に…実感する…」
 ここでは、かつての【仁王】さんや【天鳳】関、それから牛鬼さんでお馴染みの【明王山】関の顔が思い出されています。かれらは「相撲に選ばれしもの」という位置づけなのでしょう。もちろん横綱【泡影】がその頂点に君臨しているわけです。
 「なら天分で劣る俺はどうすれば渡りあえるのか…簡単なことだ…奴らが1やるなら2 2やるなら4 10やるなら20 100やるなら200 稽古をこなせばいい…」
 【猛虎】先生……それが簡単だと言い切るあなたはホントにすげえ男ですよ……。普通の人間にはまず無理でしょうな……部屋の兄弟子どもも「そんなハリきんなって…もっとユルくやろーぜ…」「ついてけねーんだよマジで…」なんて言ってます。これはもう、普通の反応でしょうな。でも、ここが! 普通とその先を隔てる境界線なわけですよ!
 「ならさっさと虎城(ここ)から去れ…ここはお前たちの息をしていい世界じゃない…」 と【猛虎】先生は言い放ち、「邪魔なものはすべて排除し…必要なものは貪欲に取り組み…」と稽古する【猛虎】先生の後ろには、ついて来る虎城部屋の弟子たちが続々と! 虎城部屋が変わって行ったのはこういうことなんすね! そして、ついに! 親方語が理解できるときが来ました!
 親方「違う! だからそこはバァーッとなるところをギュッとしてドンだ!!」
 (ドンッと相手を突き出す【猛虎】先生の図)
 猛虎「こうですか…?」
 親方「そ…そうだ…」
 なんかこの流れは非常に納得というか、とてもイイですなあ。【猛虎】先生の性格が良くわかります。そして言葉の背後に描かれる絵もとてもイイです。とりわけ、【猛虎】先生の後に続々と弟子たちが並んでくる様子は、まさしく虎城部屋の今を語っていますね。【猛虎】先生の回想は続きます。
 「俺は必ず 虎城(アナタ)のいた高みへと昇って見せる…だから狂え…決して止まらず もっと強く…もっと相撲に…全てを…捧げろ…」この全てを捧げろ、の時の【猛虎】先生の表情はすさまじい迫力ですので、ぜひチャンピオンを買ってご確認ください。なんだか、非常に鯉太郎に似ていると思います。なので、【王虎】さんはこう言います。
 「ハハッ…イカレてるなお前…」ここでの【王虎】さんの嬉しそうな表情は最高ですね!
 そして描写は今、12日目のその後に戻ります。【王虎】さんは言います。
 「今の虎城部屋は…間違いなく猛虎(アンタ)が作り上げたものだ…」
 そしてちょっと調子に乗っちゃった田上さんこと【稲虎】関も、うんうん、そうだよね的に若い衆もみんな猛虎さんの努力を見てその背中を追ってきたからな…なんて話に乗っかっちゃいました。すると【王虎】さんは、はー、ヤレヤレ的に「バカが…だからテメーはダメなんだ 稲虎」とピシャッとダメ出し、【稲虎】関、ガビーンとヘコむの巻です。今週は、ここから3ページにわたって【王虎】さんの長ーいセリフが描かれて幕であります。
 「テメーら凡人が大好きな美しいもんじゃねーよ…努力ってのは…ただ楽しくて仕方ねーのさ…己が強くなることが…本物の努力ってのは好きってのからくる とめどもない高みへの欲求…強烈なエゴイズムだ…猛虎の場合 それが圧倒的に振り切れている…才能という言葉すら無意味と化すほどに…微塵も疑っちゃいねーんだ…最後に笑うのは自分だと…見せてもらうぜ…俺を喰った鮫島とどう戦うのか…2人の…点の行方を…」
 やっばいすねえ……コイツは超盛り上がってまいりましたよ!! 以前【王虎】さんが、鯉太郎と【猛虎】先生はよく似ていると評していましたが、なるほど、今週の話で良ーくわかりました。鯉太郎の次の相手は、自分の分身のような男なんですなあ。しかも自分よりも先に稽古を始め、すでに大関となった男。これはある意味、剣市くん以上の最強の相手かもしれないすね……。勝てるのかなあ!? どうなんだ!? アレかな、鯉太郎にあって【猛虎】先生にないもの、それは鯉太郎に流れる「血」以外にないような気がしますが……そこが勝負の分かれ目になるのでしょうか……。コイツはもう本当に楽しみですなあ! ホント『鮫島』は最高ですね!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 13日目:【猛虎】東大関
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 【王虎】東大関。12日目現在11勝1敗。鯉太郎に敗北!
 【猛虎】東大関。10日目現在10勝0敗。11日目の結果不明
 【天雷】東関脇。12日目現在9勝3敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。66連勝中(11日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、【猛虎】先生のこれまでを描く回想編その2でありましたが、【猛虎】さんを鯉太郎によく似ていると評した【王虎】さんの言葉が良くわかるお話でした。【猛虎】先生の努力は、「相撲が好き」という気持ちをベースとしているわけですが、まさしく相撲に「狂っている」わけで、さらにとめどもない高みへの欲求は「強烈なエゴイズム」そのもの、なんですなあ。これは、なんか非常にうなずける話ですね。なにか突き抜けている人って、ある意味狂っていて猛烈に自己中心的だったりするものだと思いますが、それはまったく悪いことではなく、頂点に至るにはどうしても必要というかそうなっちゃうんでしょうな。いやー、しかし、これは鯉太郎VS【猛虎】先生は超興奮の取組となりそうですね。やばいす、ホントに。というわけで、今週の結論もこちらで締めくくりたいと存じます。いやー、『鮫島』は本当に最高ですね! 以上。

↓ そういえば、明日はこちらも発売か。感動?の最終巻。ホント、最高に笑える漫画でした。もちろん買います!
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2018-04-06


 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データ、なんですが。
 わたくし、今週をもってこの興行データをまとめるのをやめようと思います。
 理由は簡単で、わたしの見積もりが、このところ結構許せないレベルでズレているからです。
 もう祝日が入るとてきめんにダメですね。なので、もう潮時じゃろう……と判断いたしました。もっとも、個人的興味は尽きていないので、今後もウォッチをやめるつもりはなく、データベース化はせっせと続けていきますが、このBlogで記事を書くのはやめます。あ、映画を見たら感想を書くのは続けますよ、もちろん。なお、先週の数字はホントにひどい見込み違いで、先日業界人の友人に正解を教えてもらったので、追記で直してあります、
 というわけで、おととい・昨日の土日の状況を、興行通信社の大本営発表からまとめてラストとしようと思います。2年以上毎週続けてきましたが、もうダメっすわ。

 1位:『リメンバー・ミー』が16日間で26億突破だそうです。すごいすねえ。
 2位:『ボス・ベイビー』が11日間で15~16億かもっとか、もうわからんす。この週末だけで3.53億稼いだそうです。
 3位:『映画ドラえもん のび太の宝島』が30日間で42億突破ということかな。シリーズ最高はもう目前ですな。
 4位:『ちはやふる―結び―』が16日間で11億突破ですって。
 5位:『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』が公開土日で1.28億だそうです。金曜から公開しているから3日間だと2億は超えてるのかな? わたしも土曜に観てきましたが、結構面白かったです。是非、このキャスト/スタッフで、「ウォーターゲート事件」を描いてほしいと思いました。その意味は見ればわかると思います。そして客席は、誇張ではなく本当におじいちゃんおばあちゃんばっかりだったのが印象的でした。
 6位:『グレイテスト・ショーマン』が45日間で40億円突破だそうです。
 7位:『レッド・スパロー』が公開土日で数字未詳ですが1億程度なのでしょう。こちらは、わたしは金曜の夜に新装OPENした日比谷TOHOで観てきました。とにかく建物自体が超混んでいて、映画館にたどり着くまでに、かなり時間がかかることは覚悟しておいた方がいいかもですよ。ギリ有楽町到着はかなり危険す。そして内容ですが、わたしは原作小説を読んでいるので話は知っていたわけですが、かなり縮小圧縮されてた印象です。何も知らないで観ても大丈夫だと思いますが、やっぱり小説の方が面白かったような……。
 8位:『映画プリキュアスーパースターズ!』が16日間で6~7億ぐらいまで行ってるのでしょうか。
 9位:『honey』が公開土日で数字未詳ですが1億未満なのでしょう。興味なしす。
  10位:『トレイン・ミッション』も公開土日で数字未詳ですが1億届かずなのでしょう。ホントはこの映画を見に行こうと思ってたのに、時間が合わなかった……WOWOW放送待ちにしますです。

 そういや、リュック・ベッソン監督の『ヴァレリアン』がランク外すね。まあありゃあキビシイだろうなあ……わたしは主役のデイン・デハーン君をずっと注目しているので、観たいとは思っていたのですが……全く惹かれないというか……こちらも、1年後か年内かわかりませんが、WOWOWで放送されるのを待とうと思います。

 というわけで、結論。
 今週はようやく動員数でも『リメンバー・ミー』が首位獲得。ずっと金額順では1位だったのだが、ようやく、すね。アニメとコミック原作ばかり、とか思ったら今週はなんとアニメ以外の洋画が4本ランクインしており、アニメ2本(リメンバーとボス)を加えて洋画がTOP10の過半数を占めるのは2年半ぶりの出来事だそうな。なんつうか、時代ですなあ……これ以上語ることはないす。以上。

 このBlogにおいて、わたしは何度か書いているような気がするが、わたしはいわゆる「会社側」の人間として仕事をしている期間の方が長いので、労働者の権利とか言われたら、権利を主張する前にちゃんと義務を果たせよ、とか思ってしまうし、一般社員へ会社の決定をすべて知らしめる必要なんてないと、実は考えている部分が多い。同様に、政府が国民に知らせないで、政策を進めることだってそりゃあるだろうと思うし、それはそれで別に構わないと思っている。
 こう書くと、けしからん!と言われるとは思うが、わたしがそう思うのは一つ大前提があって、あくまで会社や政府には「大義」がなくてはならず、要するに、凄いひどい言い方をすると、いちいちうるせーこと言わねえで、何も考えられないお前らに代わって、お前らの働く会社、お前らの暮らす国のことを考えてやってんだから、心配すんな、という(上から目線のものであっても)「善意」らしきもの、なんつうか、「大義」と書くとなんでも許される感がアレだから、そうだなあ……「良心」としておこうか。自らの胸に手を当ててやましいと感じられない、無私のもの。そういった「良心」が絶対に存在していること。それが大前提だ。
 しかし、その前提がなく、私欲や狂信のようなものに憑りつかれた場合は、もうアウトである。そんな私欲や狂信にかられた人間がTOPにいる会社や国は、滅んでいくのは間違いなかろうと思うし、それでもそんな悪党がのさばるならば、闘うしかない。まあ、そういう闘いは極めて困難なもので、非常に勝ち目は薄いのだが、会社の場合なんかは、取締役が結託して叛乱するしかないだろうし(一般社員にはTOPの行動に違法性がない限りまず不可能。会社の経営に異を唱えられるのは株主か取締役だけ)、国の場合は、「大勢の国民(=mass)」が「情報を分かち合い(=communication)」声を上げていくしかなかろう。その際、情報を分かち合う媒体が必要になるわけで、それすなわち、「マスメディア」というわけだ。
 まあ、現代日本では、文春砲なるものがマスコミを称しているが、あんなものは雑協のデータによると発行部数65万部に過ぎず、仮に8割売れているとしても50万ちょいの規模なので、たいしてマスではないけれど、あんな主観バリバリなものの記事で国会がオタオタするのだから、もう滑稽としか思えない状況だ。
 というわけで、以上はどうでもいい前振りである。昨日、わたしは『The Post』(邦題:ペンタゴンペーパーズ/最高機密文書)という映画を観てきたのだが、その映画を観てわたしがぼんやり思ったのは上記のようなことだ。この映画は、ニクソン政権(及びその前の数代にわたる大統領たち)の取った私欲にかかられた行為に対して、「The Post」、すなわちThe Washington Postというワシントンの地方紙が戦いを挑む姿を描いた映画である。結論から言うと、意外なほど「The Post」の闘いは、権力への監視というよりも、やっぱりマスコミとしての名誉欲の方が大きかったんだろうな、という展開で、想像していたものとはかなり違うものであったのが新鮮だった。以下、ネタバレに一切配慮せずに書きなぐると思うので、まだ見ていない人は読まない方がいいと思います。

 この映画は、上記予告からわたしが想像した話とはかなり違っていて、いや、違うというよりもっと規模がデカイというべきなのかな、とにかく、ああ、そういうことなんだ、と観ていて非常に興味深かった。簡単にまとめると、以下の4つの陣営の思惑が交錯するお話である。
 1)大統領を頂点とするUS政府
 泥沼化するベトナム戦争に対し、国内は反戦運動が勢いを増している中、おそらく本音としては、さっさとこんな戦争からは撤退したいと思っていたはず。だが、撤退する理由と方法が見つからず、まさしく泥沼化していたわけで、大統領の頭にあったのは「アメリカ建国史上初の<敗戦>大統領になりたくない」というある種の恐怖であり、決断できない状況なのだったと想像する。これは、ペンタゴン文書暴露事件(1971年)当時の大統領ニクソンに限らず、ベトナム戦争にかかわった歴代大統領全員が擁いていたはず(?)の感情で、JFKでさえそうだった、とこの映画では描かれている。ただし、ニクソンの違法性は甚だしく、本作はウォーターゲート事件発端のあの事件(ウォーターゲートビルへの不法侵入及び盗聴)の始まりが描かれて幕を閉じる。わたしとしては同じスタッフ・キャストでそちらも描いてもらいたいと思った。
 2)情報を漏らした人々
 そもそもの「ペンタゴン文書」は、JFK及びジョンソン大統領時代の国防長官ロバート・マクナマラが、「今は戦時で非常時であり冷静な判断はできない。のちの世の歴史家によって判断が下されるべき」として当時の状況を、だれが何をどう判断したのか、つぶさに記録せよ、と命じてまとめられたものと本作では説明されていた。Wikiによるとちょっと違う?ようだが、その動機や事実はどうあれ、変な官僚の忖度という改変などがない、生情報として記録されたことは大いに価値のあることだろう。
 そしてそれらが外部に漏れた経緯として、漏らした張本人ダニエル・エルズバーグの心情は、本作の冒頭に描かれている。彼は要するに、お役人、いわゆる官僚で、ベトナムの状況を調査するために最前線の兵士に同行して現地を生で体験し、その体験から、こりゃあアカン、という文書を作成、上司はその報告をもとに、軍に対しては何しとんのじゃあ!と叱責するも、国内に帰ってマスコミの前では、ええ、わが軍は快進撃中です、なんて大本営発表をかます。そんな姿を見て、これはもうダメだ、と情報漏洩を決意したように本作では描かれていた。
 問題は、この情報漏洩行為の違法性だ。おそらく、普通に考えて重大な犯罪行為だろう。しかし、この泥沼化する事態において、大統領サイドに大義がなかったとしたら? ということが大きな問題となって浮かび上がってくるのだ。つまり、納得の問題で、エルズバーグはどうしても納得ができないわけで、自分にできることは何なのかと考えた時、これは国民の判断を仰ぐべきだと考えたのだろう。もちろん違法ではあるかもしれない。しかし、納得できない以上、ここで黙っていることはどうしてもできないのだ。そういう意味で、わたしは本作の主人公は彼、エルズバーグだと思う。
 3)The Postの現場編集チーム
 そして「ペンダゴン文書」は、NY TIMESによって暴露される。そう、The Postではないのだ。実はわたしの目には、(本作の名目上の主人公である)The Postの記者たちのモチベーションは、TIMESにすっぱ抜かれたことに対する焦りと記者としてのプライドばかりが目についた。彼らは要するに、文春砲に負けた週刊新潮で、ひどい言い方をすれば二番煎じ記事なのである。折しも、TIMESには、政府から「文書」の記事公開停止の仮処分も出ており、チャンス!という状況でもあった。彼らは、政府による検閲だ、そんなの許せるか!と憤って、自らも「文書」を入手し、記事をまとめようと奮闘する。そりゃあ当たり前だし、間違っていないとは思う。けれど、どうもわたしの目には、お前らも結局「スクープをものにしたい=有名になりたい、金を稼ぎたい」っていう私欲が一番根底にあっで動いてんじゃん、義憤なんてそれを美しく言い換えただけだろ、というように見えてしまい、実のところ彼らに肩入れする気にはなれなかった。勿論それが悪いことではないと思うし、当たり前の行動だとはわかっているけれど、そういう意味でわたしとしては、なーんだ、という気にもなってしまったのである。
 4)The Postの経営陣
 わたしがこの映画で、一番立派だと思えたのが、The Postの社長であるキャサリン・グラハム女史の決断だ。彼女はFRB議長を務め、The Postをメイヤー家から買収したユージン・メイヤーの娘である(ちなみに現在のThe Postは、Amazonのジェフ・ペゾスが買収してます)。父から夫に受け継がれ、夫の自殺によって当時のThe Postの社主・発行人の立場にある彼女は、父の影響で政界にも太いつながりがあり、「文書」作成を命じたマクナマラともお友達だ。おまけに経営者としてはお嬢さん育ちの素人(のように見えた)で、The PostのIPOに向け、銀行や投資家への説明に悪戦苦闘しているところである。さらに言えば、記者としての経験もなく、記事内容に関してもド素人だ。
 そんな彼女に対して、The Postの法律顧問や取締役会は「文書」の公開に反対する。それはIPOの際の趣意書に反する行為ではないか(その結果上場廃止の可能性も)、また「文書」入手の経緯、それから「文書」公開そのものも違法なのではないか、という理由があるからだが、彼女は、たった一つの理由から、「文書」公開にGOサインを出す。
 その理由は、端的に言うと「アメリカの若者の命を救うこと」である。彼女は、Tom Hanks氏演じる編集主幹に問う。「この文書を公開することで、若者がベトナムに行かなくて済むようになるのね?」これに主幹は「100%」と答える。それに対する彼女の答えは、「ならやって」である。これももちろん、私欲とも言えるかもしれない。しかしそこには、明確な「大義」と「良心」があるとわたしには映った。そして、彼女は、本心でそう思っている。訴訟リスクは高く、経営者にとってこの判断は相当気合がないとできないものだと思う。この判断は損得ではないわけで、その点にわたしは非常に共感できてしまったのである。まあ、映画なので事実なのか知らないけれど、演じたMeryl Streepさんはさすがですな。最初はお嬢さん育ちのお飾り社長かと思わせておいて、見事に将たる器のある女性を演じきっていたと思う。こういう役柄は、Merylさんじゃあないと、ダメでしょうな。(主演/助演合わせて)21回のアカデミー賞ノミネートは本物ですよ。

 最後に、本作を撮ったSteven Spielberg監督について少しだけ。本作は非常に金がかかっていて、さすがのSpielbergクオリティで大変見ごたえがあったと思う。冒頭のベトナムの様子なんて、ほんの数分しかないのに完全に本気で全力で撮っていて、根拠はないけど邦画1本分、あるいは余裕でそれを超えるぐらいの予算を使っているんじゃないかしら。また、舞台は70年代なわけだけど、それなりにロケシーンが多いにもかかわらず、もう街は完全に70年代のにおいがするし、機械類(数千ページの「文書」をコピーするコピー機が超ドでかい70年代マシン!)だったり、ファッションだったり、いちいち金がかかっていると思う。故に本物感がすごいわけだが、本作に登場する人々の、実際の写真を先ほどいろいろWikiなどで観てみたところ、ちゃんと本人に似せてメイクもされてるんですね。ま、当たり前だけど、なんというかな……手抜きの一切ない徹底ぶりは、ほんとにSpielberg監督作品だったな、とわたしは感じた。そして音楽はもちろんJohn Williams御大で、安定のゴールデンコンビであったと思います。Spielberg監督ももう71歳だって。日本では数週間後に最新作『READY PLAYER ONE』の公開も迫っており、衰えることなく大変お盛んですな。80年代が青春だったおっさんのわたしとしては、これからも活躍を期待し、作品を楽しみたいと思う。

 というわけで、結論。
 実は特に理由もなくあまり観るつもりのなかった『The Post』(邦題:ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書)という映画を観てきたのだが、マスコミ嫌いのわたしには、The Washington Postの現場連中に対してはあまり魅かれるものは感じなかったものの、社長であるキャサリン・グラハム女史にはいたく感服したのである。それは恐らく、彼女の願いが私欲ではなく、大義に基づいているようにわたしには感じられたためで、大義に基づいた決断ができるTOPというのは、まさに将たる器がある人物だということなのではなかろうか。演じたMeryl Streepさんも、まあ見飽きた顔だけど、やっぱりお見事ですよ。もちろん映画なわけで、全部が事実だとは思えないし、かなり美化された部分もあるのは分かっているつもりだが、Merylさんの貫禄と説得力には脱帽すね。そしてわたしとしては、同じスタッフとキャストで、ぜひ「ウォーター・ゲート事件」の顛末も描いてもらいたいと強く感じた。ここで終わりかよ! とエンディングで思った方は少なくないと思います。そういう意味では、この映画は「前編」として、ぜひ続きが観たいすね。以上。

↓ 一応原作というか、キャサリンさん本人の回顧録もあります。まあ、そりゃあ美しくいいことしか書いてないんでしょうな、きっと。読んでみないとわからんす。

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