2018年01月

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データ、なんですが、先週2017年の日本の映画興行データが映連から発表されましたので、どちらかというと、そちらをメインにメモをまとめます。
 まずは、この週末の状況を興行通信社の大本営発表からまとめておきます。
 1位:『祈りの幕が下りる時』が公開土日で2.65億だそうです。前作『麒麟の~』からほんのチョイ落ちぐらいでしょうか。
 2位:『ジオストーム』が2週目も1.69億稼いで2位だそうです。9日間合計だと6~7億行ってるのかな? どうでしょう?
 3位:『嘘を愛する女』も2週目で1.05億稼いだそうで3位です。9日間合計で5~6億ぐらいだろうか? いや、もっとか?※追記:正解は4億チョイだった模様。盛りすぎた……。
 4位:『パディントン2』が2週目は0.9億ほど稼いで4位、9日間だと3~4億ぐらいでしょうか。※追記:こちらは3億ギリ届かず、だった模様です。
 5位:『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が前夜祭含めて46日間で70億突破ですって。ふーん。
 6位:『キングマン:ゴールデン・サークル』が24日間で13~14憶ぐらいと見積もりますがもっと行ってるかも? ※追記:正解は14億をチョイ超えしてたようです。
 7位:『8年越しの花嫁 奇蹟の実話』が44日間で25億突破だそうです。
 8位:『DESTINY 鎌倉ものがたり』が44日間で30億目前だそうです。
 9位:『宇宙戦艦ヤマト2202/第4章』が9位ですが数字未詳です。まあいつもの調子なら0.5億ほどでしょうか。
  10位:『ダーク・タワー』が10位ですが数字未詳です。まあ0.5億届かないぐらいでしょうか。わたしも観てきましたが、そもそもわたしはStephen King大先生が大好きで、当然原作を読んでいるので楽しめましたが、読んでいない人が楽しめるのか……ちょっと分からんです。
 とまあこんな週末だったそうです。

 で、2017年の映連発表データですが……まあ、毎週こうして興行状況をチェックしているので分かってはいましたが、邦画が結構大きく落ち込み(▲231.2億)、洋画が結構がんばった(+161.8憶)年だったようですな。主要な指標をまとめると以下の通り。
2017年 全体 邦画 洋画
興行収入 228,572 125,483 103,089 ※単位百万円
前年比 97.1% 84.4% 118.6%
前年差 -6,936 -23,125 +16,189 ※単位百万円
占有 100.0% 54.9% 45.1%
 ↑上記は、興行収入の全体像。邦画が落ちた、けど洋画が頑張った、けど、全体を補う普度まで届かず。ま、去年は『君の名』があったので、その分まるまる落ちた感じ、に見える。全く結果論の偶然ですが。そして洋画が1,000億を超えたのは2010年以来。2010年というと、2009年12月公開の『アバター』の数字が含まれた年、ですな。何気に、やっとマーベル/DCヒーロー作品がちゃんと10億以上稼ぐようになったのも大きいだろうし、ディズニー系がきっちり稼ぎつつ、ミニオンやSINGなども稼いだ、てな感じですな。
 ↓ 次は公開本数と、全体興収÷本数で割った1本当たり興収。
2017年 全体 邦画 洋画
公開本数 1,187本 594本 593本
前年差 +38本 -16本 +54本
1本当たり興収 192.6 211.3 173.8 ※単位百万円
1本当たり興収の前年差 -12.4 -32.4 +12.6 ※単位百万円
 ↑ここで分かるのは、邦画は、公開本数が▲16本減って、1本当たりの興収も▲3,240万減少し、反対に洋画は+54本も公開本数が増えて、1本当たりの興収も+1,260万増えた、ってことなんですが、やっぱり前年は『君の名』の特異値があるから、あんまり参考にはならんすね。
 ↓最後に、「興収10億以上稼いだ作品」について。
2017年 全体 邦画 洋画
興収10億以上作品の数 62本 38本 24本
前年差 +0本 -5本 +5本
興収10億以上作品の興収合計 161,840 77,710 84,130 ※単位百万円
前年比 91.0% 66.6% 137.5%
前年差 -16,050 -38,990 +22,940
興収10億以上作品の興行シェア 70.8% 61.9% 81.6%
前年差 -4.7Pt -16.6Pt +11.2Pt
 ここで分かるのは、全体の7割の興収は、いわゆる「ヒット作」が稼いだもので、ヒット作依存な状態にあるということなのですが、ある意味当たり前でもあるし、前年に比較するとその依存率は4.7ポイントほど減少しているよ、ってことです。これも『君の名』の影響もあるかな。なお、洋画は逆に依存率は11.2ポイントも上昇しているのが特徴的、かも。なお、本数自体で見ると邦画のヒット作は▲5本減っているわけで、これはこれでよろしくはないすな。
 最後に、邦画洋画のTOP10を貼って終わりにします。TOP10以下は映連のWebサイトでチェックしてください。
 まず邦画。
順位 公開月 作品名(邦画) 興収(億円) 配給会社
1 4月 名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター) 68.9 東宝 アニメ
2 3月 映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 44.3 東宝 アニメ
3 7月 銀魂 38.4 WB コミック原作
4 7月 劇場版ポケットモンスター キミにきめた! 35.5 東宝 アニメ
5 7月 君の膵臓をたべたい 35.2 東宝 小説原作
6 7月 メアリと魔女の花 32.9 東宝 アニメ
7 16/12月 映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラと~ 32.6 東宝 アニメ
8 2月 劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル~ 25.2 アニプレックス アニメ
9 7月 忍びの国 25.1 東宝 小説原作
10 6月 22年目の告白 ―私が殺人犯です― 24.1 WB 韓流リメイク
 うーん、この中でわたしが観たのは『ソードアート』だけか……。わたし的には、ここ数年落ちる一方だった夏の『ポケモン』が前年+10億以上と頑張ったのが、へえ~、ですな。
 次は洋画。
順位 公開月 作品名(洋画) 興収(億円) 配給会社
1 4月 美女と野獣 124.0 WDS
2 16/11月 ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 73.4 WB
3 7月 怪盗グルーのミニオン大脱走 73.1 東宝東和
4 7月 パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 67.1 WDS
5 3月 モアナと伝説の海 51.6 WDS
6 3月 SING/シング 51.1 東宝東和
7 16/12月 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 46.3 WDS
8 2月 ラ・ラ・ランド 44.2 GAGA
9 16/12月 バイオハザード:ザ・ファイナル 42.7 SPE
10 4月 ワイルド・スピード ICE BREAK 40.5 東宝東和
 洋画の方は、わたしが観てないのがミニオン・パイレーツ・SING・バイオ・ワイスピの5本か。以外と観てなかったなあ。わたし的には、『ローグ・ワン』が50億も届かなかったのが激しく残念す。そして『ラ・ラ・ランド』が44.2億も稼いで嬉しいす。
 本当は観客プロフィール(男女比と年齢層)が分かるともっと興味深いのだが、映連にはそんなデータはないかな……。各シネコンは会員制度をやっているわけで、それなりにデータは持ってるだろうけど、会員登録しないで見る人も結構いるのかなあ……その辺は謎っすね。

 というわけで、結論。
 いや、あまり結論はないのですが、2011年~2013年に2000億を割り込んだ日本の映画興行市場も、2017年も無事に2000億を超える興行となったわけで、日本の映画市場は毎年あまり劇的な変化はないすね。作品次第で上下するとは言え、結果があまり変わらんというのも面白いと言えば面白いけど、なんか、だから何だという結論は出せないす。以上。

 全米第9位の大都市DETROITChicagoのほぼ真東に400km弱ほどの距離にあり、カナダとの国境に面したこの街は、これまで数々の映画の舞台となっている。わたしがDETROITと聞いて真っ先に思い出すのは、自動車の街であり、あるいは『ROBOCOP』の舞台の街といった印象である。しかし近年では『ROBOCOP』でも描かれたように犯罪都市としての汚名も有名で、まあ、実際のところ治安のヤバい街としてもおなじみになってしまっている。
 わたしが今日観てきた映画『DETROIT』は、まさしく都市DETROITが、いかにして犯罪都市になってしまったのか、のある意味きっかけとなった事件をドキュメンタリータッチで描いた作品で、わたしは観終わって、恐ろしく後味の悪い、なんというか……もうこりゃダメだ、というような軽い絶望さえ感じるような作品で、もう、なんか深い悲しみにとらわれてしまったのである。この映画は……キツイぞ……。
 というわけで、以下ネタバレを気にせず書くと思うので、気にする人は退場してください。

 本作が描くのは、1967年7月にDETROITで起きた暴動と、そのさなかで起きた「アルジェ・モーテル事件」の模様だ。なお、最初に書いておくが、本作は事件関係者の証言をもとに描かれた創作であるので、事件の本当の姿が描かれているかどうかは保証の限りではなく、その点はある程度割り引いて考える必要がある。しかし……それにしてもひでえ。ひどすぎる。
 本作は、まず冒頭で、変なアニメーション?でDETROITという街の背景が描かれる。それによると、南北戦争の終結後(日本的に言うとだいたい明治維新の頃、と同時代)、職を求めて多くの黒人が南部から北部へ向かい、19世紀末から20世紀初頭に興った自動車産業の街として、DETROITにも数多くの黒人が定住した。しかし、第2次大戦が終わり、世が安定すると、白人たちはある程度の財を成し、郊外の一軒家に次々に引っ越していった。その結果、都市部には低所得者層の黒人たちだけが残り、黒人コミュニティが発達拡張していったのだという。そして60年代後半のベトナム戦争期はさらに黒人退役軍人たちも集まっていったようで、大勢の黒人VS一握りの白人という構造が、差別という憎しみを下敷きとしてどんどんと緊張関係を醸成していったらしい。その緊張がとうとう爆発したのが、1967年7月のDETROIT暴動というものだそうだ。ちなみに、その後70年代に入ると今度はわが日本車の進出でDETROITという街はさらに失業者であふれることになる。
 なるほど、要するに19世紀の帝国主義、そもそものアメリカという国の建国からして「移住してきた白人」と「白人に使役される黒人奴隷」がアメリカという国を作ったわけで、そこからしてもう、将来的な火種は抱えていたわけだ。こう考えると、100年後のヨーロッパも極めてヤバいような気がしますな。現代ではそりゃあもちろん「奴隷」は存在していないかもしれないけど、奴隷的に仕事に就く貧困層の黒人は世界のそこら中にいるわけで、不均衡・差別がなくなったとは到底思えないのだから。おまけに現代は、奴隷的立場にいるのは黒人だけじゃないしね。
 で。本作のメインは「アルジェ・モーテル事件」の方である。街が暴動で荒らされ、商店は略奪の傷跡も生々しく、無秩序状態だった数日間のうちに起きた事件だ。街には州兵も動員され、厳戒態勢にある中、アルジェ・モーテルから銃声が鳴り、州兵や警察は、狙撃者がいるとあわててモーテルを包囲、中にいた黒人の少年たちや白人の少女を容疑者として拘束、暴力的に尋問をしながら、3人の黒人少年を無慈悲に射殺する。本作はそのいきさつと、その後の裁判の模様を生々しく描いている。
 わたしが思ったことは、大きく分けて3つある。
 1)イカレた警官たち:もう狂ってるとしか思えない。詳しくは後述。
 2)暴動の最中だってのにバカみたいに遊び歩いている少年少女たち:なんでこんな危険な状況なのに遊びまわってるわけ? 自ら危険に近づくその神経がもうありえない。ある意味自業自得と断罪するのは酷かもしれないが、明らかに避けられた悲劇、だと思う。
 3)差別バリバリな、正気じゃない裁判と判決:もう話にならん。これがアメリカなのか?
 これらはもう、我々日本人には全く理解ができないものだろうと思う。
 そして本作は、ある種の群像劇的な構成をとっていて、明確な主人公がいない、ともいえる。描かれるのは、以下の3者だ。
 a)イカレた警官3人組:とりわけ一人はもう完全に頭がおかしく、暴動鎮圧に出動しているときに、一人の黒人少年を背中から発砲し殺害する。すぐに警察殺人課に呼び出され、お前を殺人で起訴するから大人しくしとけ、と説教を食らうも、それだけで放免。その後は普通に警邏に出る。コイツをさっさと拘束していれば、後の「アルジェ・モーテル事件」は発生していなかったかもしれない。ただ、わたしがコイツを頭がおかしいと思うのは、21世紀の平和な日本人だからかもしれず、別にラリッているわけでもないし、コイツはコイツで、間違ったことをしているという自覚は全くない。その心底にあるのは明確な差別意識で、そういう意味ではアメリカという国が産んだ化け物、と言ってもいいのかもしれない。コイツはアルジェ・モーテルでも2人を殺し、相棒のボンクラ野郎も1人殺す。本当に許せない悪党どもなのに、裁判で無罪放免を勝ち取る。50年後の現在も罪に問われていない。信じられん。
 b)歌手を目指す黒人青年とその親友:彼らは実際のところ何も悪いことはしていない。待望のデビューステージを迎え、歌う10秒前に、暴動が発生したから今日は中止、と目の前でチャンスを奪われた気の毒な若者だ。彼らはすぐに帰る気になれず、アルジェ・モーテルでリハをしようと立ち寄ってしまい、運命が変わってしまう。彼らがさっさと帰っていれば……そしてアルジェ・モーテルでバカみたいに遊びまくっているバカガキどもさえいなければ……彼らは完全に無関係な被害者なのに(モーテルにいた、黒人のとんでもないバカガキがおもちゃの拳銃を撃ったために包囲され、容疑者にされた)、不条理な暴力にさらされ、親友は殺されてしまった。理由はたった一つ。彼らが黒人であったからだ。そんなバカな……! わたしは本作を観ていて、何度も「そんなバカな……」とつぶやかざるを得なかった。ひどすぎる。
 c)昼は工場で働き夜は夜警をしている真面目な黒人青年:彼は、白人に喧嘩を売ってもどうにもならんと達観していて、ある意味ヘイヘイと従う姿勢を見せているために、白人から目を付けられることはなく、模範的?な青年ではあるのだが……アルジェ・モーテル事件のすべてを目撃するが、そのために、後に不当に、一時的に逮捕拘禁される(すぐ釈放されるけど)。そして裁判の行方を見守り、そのあまりの判決にあわてて裁判所を出て嘔吐する。判決は警官たちは無罪という文字通り吐き気を催すものだったわけで、全くもってわたしも吐き気がした。これがアメリカなんだなと、ぞっとしたね。
 とまあ、こんな感じの映画なので、どうもこの映画は何を描きたかったのか、その意図がわたしには良くわからなかった。この映画によって、再び裁判が開かれるなんてことはないし、わたしがこの映画を観て得た教訓はただ一つ、アメリカは恐ろしい国だ、というものだけだった。実に後味は悪く、ホントにもう、ひでえ、という感想しか抱き得ないのである。
 しかし、だ。ひとつ、重要な問いがわたしには残ってしまうのもまた事実である。それは、このイカレた時代のイカレた現場に、わたし自身が立ち会っていたら、果たして今、ただの観客として事件を観て思っているような、正しいと思える行動をとれただろうか??ということだ。
 まず、自信を持って言えることは、この暴動に参加することもなく、モーテルに遊びに行くこともなかったという事が一つ。これは黒人であったとしても絶対に危険には近づかなかっただろう。おそらくわたしが取りえた最も近い道は、c)の夜警の青年のように不満はあっても言動に乗せず、タダ傍観していただけ、そして判決を知って嘔吐するというものだったと思う。そういう意味では、このc)の夜警の青年は観客のアバターであるとも見なせるように思う。
 そして自信はないけど、たぶん、というレベルで言えることは、a)のイカレた警官のうちの一人だったとしても、彼らを止める側にいたはずだ、と信じたい。どう考えても常軌を逸しているし、そんな正気を失うような男じゃあない、と自分を信じたい、ように思う。何故二人の相棒は、乗っちゃったんだろう? わからねえ。どうしてもわからねえ。恐らくは、何かに強い恐怖を抱いていたのだと思う。しかし、何が怖かったんだろうか……?

 で。この映画を撮ったのは、名作『The Hurt Locker』でアカデミー作品賞と史上初の女性で監督賞を受賞したKathryn Bigelow監督だ。わたしは手持ちカメラのブレブレ画像は嫌いなのだが。今回もそれを多用した(多用、はしてないかな?)、緊迫感のある映像で仕上げている。ただ、『The Hurt Locker』は本当に素晴らしい出来だったとわたしも称賛したいし、前作の『Zero Dark Thirty』も大変観ごたえはあったけれど、今回の『DETROIT』はどうだろうな……本作は「DETROIT暴動」を描いて黒人差別の怒りを描くというよりも、アルジェ・モーテル事件の方に焦点が置かれ、それも結局はイカレた警官3人組に重きが置かれているように見えるので、ある意味、この3バカ個人の罪に集約されてしまう恐れもあるような気がする。だけど、明確に3バカ3人衆を産んだのはアメリカという国そのものであり、個人の罪を追求するのはどうも本質的でないような気がしてならない。なんかもやもやするんだよなあ……。うーん……。
 さて、最後に、本作に出演していた役者を何人か紹介して終わりにしよう。本作では、わたしが明確に知っている役者は2人しかいなくて、基本的にそれほどなの売れていない方々ばかりであった。知ってる二人とは、新たな『スター・ウォーズ』の脱走兵でおなじみのJohn Boyega君と、MCUでのファルコンでおなじみのAnthony Mackie氏の二人だ。Boyega君が演じたのはC)に夜警の青年で、まあ、演技ぶりは絶賛レベルではないけれどまずまず。なんか、どうしたらいいんだと若干当惑しているような態度は、演技なら素晴らしいけど、なんか素で困ってるようにも見えたのが不思議。そしてAnthony氏が演じたのは、その時偶然モーテルにいたベトナム復員兵の役で、残念ながらあまり見せ場はなく、ひどい暴行を受けるだけの気の毒な役であった。
 そしておそらく、本作を観た人の印象に一番強く残るのは、クソ警官の一番イカレた男クラウスを演じたWill Poulter氏だろう。あっ!?なんてこった、まだ24歳だって!? 若い! どうやら彼は『The Maze Runner』や『The Revenant』に出ていたようだが、どんな役を演じていたか全然覚えてないなあ……ただ、非常に特徴のある顔なので、わたしはきっとどこかで観たことがある、と思っていたのだが、まあ、確かにわたしはいくつかの作品で彼に出会っているようですな。記憶にありませんが。しかしとにかく、何というか……ホント自らの行動が何をもたらすのか何も考えてないというか、思考力ゼロのとんでもない警官で、実際恐ろしく感じたっすね。そういう意味ではスーパー熱演だったと思う。

 というわけで、もう書くことがなくなったし、まとまらないので結論。
 『The Hurt Locker』で史上初の女性アカデミー監督賞ウィナーとなったKathryn Bigelow監督の最新作『DETROIT』を観てきたのだが、描かれていたのは恐ろしく後味の悪い、アメリカの狂気の一端であった。しかし後味が悪いと言っても、決して目を背けるわけにはいかない問題であることも間違いなかろうと思う。この映画で描かれた事件から既に50年が経過している今も、人種差別がなくなったとは間違っても言えないわけで、アメリカという国の抱える病巣は非常に根深く、恐らくはあと100年ぐらい経たないと、克服できないのではなかろうか、とわたしは感じた。でも、ひょっとしたらその100年のうちに、本当にDETROITという街にはROBOCOPが配備されてしまって、憎しみは絶えるどころか新たな憎しみを生みだしてしまうかもしれないな……はあ。人間、長生きして何かいいことあるんすかねえ? ホント疑問だわ……と暗ーい結論で、おしまい。以上。

↓ こちらはホントにもう素晴らしい出来です!
ハート・ロッカー(字幕版)
ジェレミー・レナー
2017-06-23

 わたしが世界で最も好きな小説家は、ダントツにStephen King大先生である。
 このことはおそらくこのBlogでもう10回以上書いているような気がするけれど、King先生の作品はとにかく面白くてわたしは大好きである。そして、King大先生の『ダーク・タワー』と言えば、書き始めから20年の時を経てようやく完結した長大な物語(最新の角川文庫版では外伝込みで全14冊、しかもそれぞれ分厚い)としても有名なわけだが、誰が何を思ったのか知らないけれど、今般、映画となって公開される日がやってきたのである。しかも、上映時間は95分と短く、一体全体、どんな映画になり果てたんじゃろうか? とわたしは全く想像がつかないまま、今日は劇場へ足を運んだわけである。実のところ、US本国の評判はかなりよろしくなく興行成績もイマイチであったことは既に報じられていたので、わたしもかなり猜疑心に溢れ、またどうしようもないクソ映画なんじゃあないのか……という嫌な予感をひしひしと抱いていたのは事実だ。
 そして実際に観てきた今、結論を先に言うと、まあ、ズバリ言えば「別物」であった、と思う。そもそもあの長大な物語を95分で描けるわけないし。しかし、だ。様々に描かれる、『ダーク・タワー』テイストは観ていて大変好ましく、おまけにKing大先生のファンならばニヤリとできるような、ちょっとした描写も数多くあって、本作は、相当な玄人Kingファン向けの、ファンムービーだったかもな、という気もした。つまり、King大先生のファンで、オレはそこらの素人じゃあなく黒帯ファンですよ、という自覚がある人なら非常に楽しめる、けれど、そうでない人にとっては、普通?なデキ、な映画であったように思う。
 というわけで、以下、そもそもの「ダーク・タワー用語」を解説なしで書いてしまうと思うので、「ダーク・タワー」を読んだことのない人は完全に意味不明だと思います。

 まずは最初に、主人公であるローランドについて書いておこう。わたしは10年以上前に、『THE DARK TOWER』のグラフィックノベルを買って読んだことがある。↓これ。
 このグラフィックノベルは、とにかくやけにかっこよく、大満足の一品だった。そして、主人公ローランドの風貌に関しては、わたしとしてはこのグラフィックノベルで描かれるローランドよりも、やっぱりKing先生がイメージしたという、Clint Eastwood氏的な面差しをずっと脳裏に描いていたのだが(とりわけ名作『Pale Rider』でのEastwood氏をわたしは妄想していた)、上記に貼りつけた予告の通り、今回の映画版のローランドを演じるのは、MCUでの門番ヘイムダルでお馴染みのIdris Elba氏だ。ズバリ言うと黒人、である。その点について、一部では文句を言う人もいるらしいが、まあそんな人とは友達にならない方がいいでしょうな。はっきり言って、わたしはもう最初に登場したシーンから、ローランド=Idris氏のイメージが出来ちゃったほど、画面のIdris氏はローランドそのものにしか見えなかった。いやあ、本当にかっこよくて、わたしとしてはこのキャスティングは、超アリ、である。
 で、次に本作、映画版の物語を簡単にまとめておこう。
 舞台は現代NYC。一人の少年ジェイク・チェンバース君は、何やらこのところ、妙な悪夢を見るようになった。それはどうも消防士だった父が亡くなって以降のことらしいが、その悪夢の内容は、「ここではないどこか」の世界で、何やら少年少女が謎の装置に拘束されて、その謎装置から発射されるビームによって「天まで届く暗黒の塔」が破壊されようとしている様子だった。折しも、その夢で「塔」が攻撃されて衝撃が走ると、現世のNYCにも地震が起こり、おまけにどうやら東海岸西海岸とも、そして世界各地、東京などでも地震が相次いでいるらしい。しかし、大好きなお母さんはジェイクの夢を信じてくれないし、クソ野郎の継父は、邪魔なジェイクを追い出そうと施設に入れようと画策している。
 そんなしょんぼりなジェイクの元に、施設の職員を名乗る男女がやって来る。しかしその職員は、ジェイクで夢で見た「人の皮をかぶって偽装している化け物」であるしるしが! 逃げるジェイク。そして夢で見た家がブルックリンに存在していることを知り、その家に行ってみると、謎の装置があった。ジェイクは恐る恐る、その謎装置に夢で見た座標「19-19」を入力。すると起動した装置によって「中間世界」へのゲートが開き、ジェイクは「中間世界」へ。砂漠を彷徨ううちに、これまた夢でみたガンスリンガー、ローランドと出会うのであった……てな展開です。
 そしてローランドが倒そうとする「黒衣の男」ウォルターは、力を持つ少年少女を狙っており、なんとジェイクにはKingファンならおなじみの、強力な「輝き=Shine」能力が備わっており、ウォルターの第1目標となって追われることに……というわけで今、「ガンスリンガー」ローランドと「黒衣の男」ウォルターの熾烈な戦いが中間世界と現世を行き来しながら繰り広げられる! 的なお話です。いかん、ぜんぜんうまくまとめられないわ。
 というわけで、本作、映画版は、小説原作と全く違うと言っていい物語だ。ただ、最初に言った通り、雰囲気は非常によく、たぶん、原作ファンならそれなりに楽しめると思う。
 小道具というかちょっとしたことなのだが、例えば、ジェイクが中間世界へ行く「ポータル」という謎装置なのだが、やけにハイテク装置で驚きだったけれど、わたしが一番うれしくなってしまったのは、座標入力の液晶画面に、「NCP」という会社のロゴが映っているわけですよ。これはもう、ファンなら一発で分かるもので、「ノース・セントラル・ポジトロニクス社」のことだ!とか、わたしはもう、そういうちょっとしたことにいちいち興奮してしまった。
 そして、一番わたしがわくわくしたのは、やっぱり、数々の「知ってる」台詞が登場することだろう。「サンキー・サイ」とか「Long days, Pleasant Nights(=長き昼と快適な夜を) 」といった有名なフレーズを生きたキャラが言うシーンを観られただけでも、わたしとしてはもう大満足である。まあ、エディやスザンナ、オイなどの原作での「カ・テット」が出てこないのはもうしょうがないよね。一応、ちゃんと「ダーク・タワー」だったのは間違いないと思う。なお、パンフレットには、本作の中でチョイチョイ出てくる、King先生ワールドの小ネタが結構詳しく載っているので、ファンは買った方がいいかもしれない。わたしは1/3ぐらいは気が付かなかったので。クリスティーンとか14-08は気づけたけど、まさかリタ・ヘイワースのポスターまで映ってたとは気が付かなかったわ。これで意味が通じない人は、もうこの映画観てもあまり意味がないと思います。そういう人は、ラストで再びジェイクとローランドが入っていった建物のシャッターに描かれた「薔薇の絵」にも、全く何も感じないだろうな。わたしは結構、ここで薔薇が来た!とうれしくなったすね。
 では最後に、各キャラと演じた役者を紹介して終わろう。
 ◆ローランド・デスチェイン:最後のガンスリンガーと呼ばれる物語の主人公。演じたのは前述の通りIdris Elba氏。いやあ、かっこよかったすね。わたしは、さんざん偉そうに書いている割に、実はもう原作の詳細は覚えていないのだが、確か原作でも、ローランドが現世の薬を飲んで、コイツは良く効くな、的なことを言う場面はあったような気もする。今回はばっちりありました。そして、本作では毒?に侵されたローランドがふらふらになって右手が使えなくなるシーンがあるけど、あれは原作2巻の殺人毒毒ロブスターのシーンのオマージュかな? 原作では2巻でもうローランドは殺人毒毒ロブスターとの戦いで指を失っちゃうけど、今回の映画版では、指を失わずに済んでよかったね。それにしても雰囲気はバッチリで、わたしとしてはIdrisローランドはアリ、です。
 ◆ジェイク・チェンバーズ:ローランドと出会って後に「カ・テット」の一員として旅を共にするNYCの少年。演じたのはTom Taylor君16歳。おっと、なんか今はずいぶん成長しちゃってるっぽいな。ジェイクは、原作では一度ローランドに見捨てられるという悲しい出来事があるけれど、映画版ではその辺りはバッサリとカットでした。なので、ジェイクというとわたしはとても悲しい顔をしているイメージがあったけれど、今回は結構アクティブな元気な少年でしたな。なお、ジェイクは原作でも、「タッチ」という人の思考に触れる能力を持っているけれど、今回の映画版では、King用語では有名な「輝き(Shine)」と変更されていた。これはまあアリなんじゃなかろうか。何のことかわからない? 要するに「シャイニング」のことです。King世界では有名な超能力の一種ですな。
 ◆黒衣の男=ウォルター:「塔」を破壊しようとする「クリムゾン・キング」の手下として有名な男で、King世界では様々な形で登場する。原作的には、ローランドが最も許せない不倶戴天の敵。今回の映画版で演じたのはMatthew McConaughey氏で、非常に雰囲気のあるウォルターぶりだったように思う。ただちょっとあっけなかったかな……。今回、恐らく原作と一番違うのが、この闇の勢力の描かれ方で、中間世界と現世を結ぶポータルの謎装置の描写は、わたしは結構気に入った。あんなに自由に行き来するとは、大変興味深いすね。
 と、もう一人わたしの知っている役者が出演していたのでメモしておくか。なんと、ウォルターの手下でNYCのポータルの管理人?をJackey Earle Haley氏が演じていた。彼は、わたしのオールタイムベストに入る大好きな映画『WATCHMEN』の主人公ロールシャッハを演じたお方ですな。
 
 というわけで、なんかもう取り留めないのでさっさと結論。
 わたしが世界一大好きな小説家Stephen King大先生の長大な叙事詩『THE DARK TOWER』が映画化された。それだけでもうわたしには大ニュースなのだが、残念ながらUS本国では散々な評判と興行になってしまい、わたしも、こりゃあ地雷かもな……という危惧を抱いて、劇場へ足を運んでみたところ……確かに、確かにこれは全くの別物だと言わざるを得ない、とは思った。何しろあの長大な作品を95分にまとめられるわけないし。しかし、随所に漂う雰囲気や、そこかしこにちりばめられたKing世界の小道具にはいちいち興奮してしまったのは確かだし、キャラクターたちが話す「知っている台詞」の数々には、もう大興奮であった。要するに、結論としては、わたしはかなり楽しめたのである。ただし、それはわたしがKing大先生の大ファンであるからであって、そうでない人がこの映画を見て楽しめるのか、それは全くわからない。たぶんダメなんじゃないかな……。そういう意味では、本作は完全にKing先生ファン黒帯以上を対象とした、ファンムービーだったように思う。しかし、やっぱりあれだな、もう一度、最初から全巻読み直さないとダメだな。すでに電子書籍では全巻買い直してあるので、よし、今夜から読み始めよっと! 以上。

↓ King先生の作品を映画化したもので、一番好きなのは? というのはKingファンなら一度は議論したことがあると思いますが……わたしは、やっぱりこれかなあ……そういえば、黒衣の男・ウォルターは、小説を読んでいるときのわたしの脳裏にあったのは、この映画の頃の若きChristopher Walken氏でした。この映画はもうホント大好きっす。結末が超悲しい!

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 なんだかもう、いろいろな事件?が起きる日本相撲協会ですが、まあ、わたしとしては土俵上の出来事以外にはコメントは差し控えたいと存じます。そして、現在絶賛開催中の初場所ですが、わたしが一番応援している松鳳山関は、昨日の11日目現在7勝4敗。ぐぬぬ……勝ち越しまであとひとつ、どうか頑張って勝ち越しておくれ……!
 ところで、わたしは今、今場所初入幕の東前頭14枚目、阿炎(あび)政虎関に大注目しております。何故かというとですね、去年、国技館へ観戦に行ったとき(当時は十両)に発見したのですが、この関取は、四股が超・美しいのです! 一度ぜひチェックしていただきたいのですが、阿炎関の四股は、足がまっすぐ伸びて、まさしく「シャキーーーンッ!」という効果音をつけたいような四股なのです。平成6年生まれだそうで、今年の誕生日でやっと24歳。体が柔らかいのでしょうな。あとは取り口がもっとガッツあふれる相撲になると、もっと応援したくなるのですが、どうも、若干あっさりしてるような……まあ、公式サイトの情報によると、身長187.0cmと長身な割に体重はまだ140.0kgと、たぶん幕内力士の中では軽い方だと思いますので、これからまだ体が幕内力士の体になる成長途上なんでしょうな。また立ち合いもやや腰が高いので、低重心でグッと踏ん張ってバーーッと行けば勝ち星も増えるような気がします。あと、ちょっと気に入らないのは、顔の表情が……もっと、殺気溢れる表情だといいのだが……とおっさんファンとしては思うすね。わたしの大好きな松鳳山関は、そのおっかない顔でもお馴染みです。
 イカン、余計なことを長々と……それでは、まずは今週の週刊チャンピオン2018年第9号概況です。
 ■巻頭グラビア:今週は浅川梨奈嬢。このグラビアは最高すぎます。
 ■弱虫ペダル:先週告知のあった通り、今週はお休みです。今まで全く休みのなかった渡辺先生。ゆっくりお休みください。
 ■刃牙道:修行観の巻。刃牙の反撃開始か? 先が全く読めないす。
 ■囚人リク:何故の巻。最終回間近……。今週も鬼道院の顔芸炸裂です。
 ■BEASTERS:電流通う牙の列の巻。レゴシ君の捜査が続きます……。
 ■昆虫武将チョウソカベ!:殿とおイチの夫たちの巻。鬼柴田まで出てくるとは……!
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週はいよいよ鯉太郎VS【王虎】さんの宿命の戦いの幕が切って降ろされました。ハッキヨイからのファーストアタックは両者互角、二人ともに嬉しそうな表情を浮かべている様が描かれて先週は終わりましたが、今週は当然その続きです。
 というわけで、今週のオープニングはすぐさま追撃の2撃目です。立ち合いの時と同様、鯉太郎は頭から、【王虎】さんは右肩でドンとぶつかります。そしてまたも互角か!? いや!? 鯉太郎の顎が上がって吹っ飛ぶその時、【王虎】さんは渾身の右で張りに行ったーーー!! そしてボゴ!っと王虎さんの右ストレートが鯉太郎の顎にヒーーーッット! これはイッたか!?
 しかし鯉太郎は左足に力を込めて耐えきり、すかさず鯉太郎も渾身の右を返す! またもやボゴッと鯉太郎の右ストレートが【王虎】さんの顔の左側に炸裂! いいのが入ったぞ! これには石川君も虎城理事長も息をのんだ表情だ! そして両者、すこし距離が空いたのか、鯉太郎はグッと踏ん張り、ぶちかましの発射体制を整え、【王虎】さんはそれを右手で迎撃態勢をとり……両者発射だーーッ!
 おおっと!! しかし鯉太郎のぶちかましは右に変化、【王虎】さんの張りは空を切った! この変化には、【大山道】兄貴も、あれはオレの!的な表情! そして常松も「よしっ…横をとった…!!」と解説してくれます! しかし常松の解説はあてにならないことでおなじみです! 
 ああーーーっと! なんと横へ飛んだ鯉太郎の顔面を、【王虎】さんの左手ががっちりキャッチ! まるで、どこ行くんだコラァ!的なことを物語っているかような、血管の浮き上がる【王虎】さんの左手です! この【王虎】さんの動きに、バーキも「読んでやがった…」とゾッとした表情! 鯉太郎の顔面をつかんだ左手を、【王虎】さんはいともたやすくぶん投げます! 鯉太郎吹っ飛ぶ!
 しかし吹っ飛んだ鯉太郎はすぐさま体制を整え、ふたたびのぶちかましを発射! そして【王虎】さんも、上等だこの野郎!的表情です! するとめくったその先のページでは、来たあ! 鯉太郎のぶちかましを【王虎】さんは頭で受けたーーー!! ゴンとすごい音がしています! 頭には頭、これは天才【毘沙門】の対応と同じです! ハイリスク・ハイリターンな迎撃! お互い吹っ飛ぶ! そしてお互い、最高にうれしそうな笑みだ!
 鯉「そう……」
 虎「コレだ……」
 ここから先は、お互いが同じことを持っているのでしょう。二人の思いがつづられます。
 「心臓が破裂するまで 体が砕けるまで…脳が沸騰するまで…細胞が蒸発するまで…」
 そして再び頭と頭がゴンと音を立ててぶつかります!
 「己の…存在を…生き様を ぶちあてろ!!!」
 ここは見開きで素晴らしい二人の表情が描かれております!
 というわけで今週ラストは、頭をぶつけたままの体勢で、お互い「おおおおお」と雄たけびを上げるの図で終了でした。はーーーー……興奮したっすわ……これは時間にして10~20秒ぐらいでしょうか? 今のところは互角と言ってよさそうですが、果たしてどんな決着になるのか、もうドキドキが止まらないすねえ! やっぱり、鯉太郎は左前まわしを取り、そして【王虎】さんは小手に取り、投げの打ち合いになるんすかねえ……。はーーくそう、来週号が早く読みたい! つうかもう、最終回のクライマックスが近いようなテンションで、ホントにこのあと3番取れるのか心配です。どうなるんすかねえ……もう毎週ドキドキしながら鯉太郎の戦いを見守りたいと存じます。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 --------
 【王虎】東大関。11日目現在11勝0敗
 【猛虎】東大関。10日目現在10勝0敗。11日目の結果不明
 【天雷】東関脇 12日目現在9勝3敗に←New
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。66連勝中(11日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、互角のファーストアタックからの展開が描かれ、張り合いから変化を交えた頭と頭のぶつかり合いという両者一歩も引かない状況でありました。まだお互いにまわしは取っておらず、組み合ってはいません。というわけで、序盤はまったくの互角。ここからどういう展開になるのか、超楽しみですなあ! 今すぐ来週号が読みたい!!! いやあ、ホントに鮫島は最高です! 以上。 

↓ ジャンプのこちらは最新刊で高校編完結、大相撲プロ編へ! TVアニメ化がうらやましい!

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 この週末は『嘘を愛する女』と『ジオストーム』の2本を観てきましたが、ともに逸れなに理お客さんは入っていましたが、混雑というレベルではなかったす。なんだか盛り上がっているようには見えませんでしたが、ランキングはどうだったのか、いくら稼いだのか、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめて終わります。寒いので。

 1位:『ジオストーム』が公開土日で2.42億だそうです。わたしはいわゆるトンデモ系ディザスター・ムービーが大好物で、楽しみにしていたのですが……何というか……自然災害ではなく、完全に人災で、その点がやや残念だったす。CGの出来などはさすがのハリウッドクオリティでありました。
 2位:『嘘を愛する女』が公開土日で1.6億だそうです。こちらは、メインプロットはハリウッドに売れるレベルのお話だと思いますが、そこはかとなく漂うリアリティのなさが若干アレだったというか……。やや残念だったす。なお、長澤まさみさんが大変可愛いのは間違いないす。
 3位:『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が前夜祭含めて39日間で68億突破だそうです。ふーん。
 4位:『パディントン2』が公開土日で1.17億だそうです。えーと、前作は1.29億スタートで7億ぐらいフィニッシュだったのかな、結構がんばりましたが、それと比較するとほんのチョイ落ちすね。まあ、前作並みに頑張ってほしいです。
 5位:『キングマン:ゴールデン・サークル』が17日間で12億だそうで、もう前作のフィニッシュを超えてるみたいですな。なんで急に?よく分からんす。
 6位:『8年越しの花嫁 奇蹟の実話』が37日間で24億突破だそうです。
 7位:『DESTINY 鎌倉ものがたり』が44日間で28億突破だそうです。
 8位:『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド鬼王の復活』が36日間で19億突破だそうです。
 9位:『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』が9日間で2億程度と見積もる。
  10位:『未成年だけどコドモじゃない』が30日間で6~7億程度と見積もる。
 てな週末だったようです。

 次の週末は、わたしの大好きなStephen King大先生の『ダーク・タワー』が公開されるので、楽しみです。まあ、日本じゃあ売れないだろうなあ……まあ、US本国でも売れなかった微妙作のようですが。でも、わたしとしてはガンスリンガー、ローランド・デスチェインが実写化されるだけで大興奮なので、昨日もうムビチケカードを買っておきました。それから、これまたわたしが期待しているキャスリン・ビグロー監督の『デトロイト』も公開されるので、また土日に1本ずつ見ようと存じます。

 というわけで、今週の結論。
 やっと『SW:Ep-VIII』が1位から転落し、代わって1位となったのが『ジオストーム』でした。東宝作品『嘘を愛する女』が1位かなと思っていましたが、2位でした。ちょっと若者客が呼べなかったのかな……どうでしょう。わたしが観に行ったときは、両作ともおっさん・おばちゃんばっかりでしたが、興行通信社のコメントには『ジオストーム』は若者客多し、と書いてありましたな。その差が出たんすかね? よく分からんす。以上。

 わたしはもう20年とかそのぐらい前に、小説でも書いてみようかと思ったことがある。まあ、高校生から大学生あたりの頃で、典型的ダメ人間の中2病に侵されていたころなので(いや、中2じゃなかったけど)、今思うと笑っちゃうどころか完全に黒歴史なわけだが、何本もネタを考えている中で、「天候を自由にコントロールできる能力者」の話を考えたことがあった。おそらく、天候を自由にできれば、相当な軍事的・経済的優位に立てるのは間違いなく、ある意味地球を支配できるんじゃね?とかわたしはガキ臭いことを考えていたわけだが、結局その小説はちゃんと最後まで書かれず、黒歴史に埋もれることになった。その理由は、わたしがグズグズしている間に、『ジョジョの奇妙な冒険Part.6 ストーン・オーシャン』において、ウェザー・リポートというまさしく天候を操れる能力者が出てきて、それが超カッコよくて、これを上回るものは作れん、とわたしは完全に白旗を上げたためだ。
 そして月日は流れ、去年の夏ぐらいにわたしはとあるハリウッド映画の予告を観て、おおっと、こ、これは? と思う作品に出会った。それが、わたしが今日観てきた『GEOSTORM』という作品である。US公開は去年の10月かな? やっと日本公開である。

 わたしは、いわゆる「ディザスター・ムービー」が大好物である。なのでこの予告を観たら、ああこりゃあクソ映画っぽいな……と感じても、それを確かめに行かないと気が済まないタチなので、当然この予告を観て、これは観ないとダメだ、と思ったわけである。おまけにネタは「天候のコントロール」という、遠い昔にわたしが妄想していた中2病的アイディアなので、その期待は倍増である。
 ただ、ふと考えると、わたしが好きなディザスター・ムービーというものは、あくまで自然現象によるものでなくてはならず、この映画は、どう見ても人災、である。どうやら、天候を人為的にコントロールする衛星なるものが実用化される、けど、なんらかのトラブル?によって暴走、結果として東京に巨大な氷が降って来る、的なお話のようなので、これはまたクソ映画度が高そうだな、という予感を抱いて今日は劇場へ向かったわけである。
 そして結論から言うと、この映画はかなりトンデモムービーで、その香ばしいB級感は大変結構なお手前であったが、それよりも、やけに政治的なメタファーともいうべきメッセージ性が鼻に付いて、単純に楽しめず、正直に言うと、劇場で観る必要はなく、WOWOWで放送されるのを待ってりゃ十分だったな、というのがわたしの感想である。
 というわけで、物語については、大筋はもう、予告から想像できる通りのお話だ。2019年に地球は数々の自然災害で大きなダメージを受け、世界各国が一体となって、「天候をコントロールする」防衛衛星網を建造した世界である。問題は、その「天候をコントロールする」衛星なのだが、18か国が協力して、地球環境を守るために建造されたものという設定だったのだが、この時点で、もはやあり得ないだろうな、と誰しも感じるだろう。アメリカと中国主導で進んだ計画のようだが、国際情勢からして、まずそんな協力関係が築かれるとは到底思えないし、完成後、US管理下に置かれ、それが国連へ移譲される数か月前、という設定だったのだが、そんな危険な代物をUS管理に任せるわけもあるまい。また、ケープカナベラルに基地があって、そこからシャトルで衛星をコントロールするISSに行くのだが、あれだけの大規模施設をUS財政が支えられるはずもないし、恐らくはランニングコスト、運用コストも莫大なはずで、まあ、一言で言えば無理、だと思う。例えば、どうも発達する低気圧を解消するために、衛星から何やら射出して、雲を散らすような描写もあったが、その射出物を宇宙に持っていくコストも膨大だろうし。あと、SFとしての描写で、なんとISSには人工重力が効いているらしく、全然普通に登場人物はISS内で直立して暮らしていたけれど(なにやらグルグル回るものの遠心力を利用した?人工重力のようだった)、まあ、ナイすな、あれは。
 物語としては、アメリカファーストな悪党(US大統領ではなく国務大臣)が、国連に移譲なんてしててたまるか! 何なら大統領ぶっ殺してオレが大統領になって世界を支配してやるぜ!という野望の元にいろいろ悪さをたくらむという流れだったが、あんた、もしあんたが大統領になったとしても、あんたの悪事で推定数百万の人々が死んだわけで、うっかり大統領にでもなっちまったら、その責任追及でえらい目に遭うぞ……とわたしはもう、生暖かい目で見守らざるを得ず、何とも浅い脚本にがっかりであった。いやあ、びっくりしたなあ、この脚本には。おまけに、主人公を最後に助ける人間がメキシコ人で、助かったよ!と喜ぶ主人公に、そいつは誇らしげにメキシコ国旗をアピールするシーンなんかもあって、明確に現大統領で元不動産王のおっさんへの当てつけだと思ざわるを得ず、なんかもう、いろいろがっかりである。
 そして更に、わたしとしてはまたしても中国アピールな点もガッカリを増長していたようにも思う。最近のハリウッド映画は、中国資本及び中国市場での興行をあてにしないわけにはいかず、いろいろと中国アピールが垣間見えるわけだが、本作では、人工的にもたらされた異常気象で破壊されるのは香港で、本土は安泰、オープニングシーンは上海なのに、その上海は無傷、であった。もう笑うしかないよな……こういうのって。ちなみに、我らが日本は、協力した18か国には入っているようで、シャトル側面の各国国旗に日の丸は確認できたが、登場人物としては日本人は出てこない。チラッと東京の銀座が破壊される様子が映されるだけであった。あーあ。ちなみに本作は、中国でもそれほどのウルトラヒットではなかったようで、US本国でも全然売れてないし、なんというかもう、お疲れっした!としか言えないすな。
 おそらく、やっぱりディザスター・ムービーというものは、やっぱり自然災害じゃないとダメなんだと思う。わたしの大好物なディザスター・ムービーというものは、まず、地球の各地で、何やら異変が起こる。だけど誰も、その関連性に気が付かない。しかし、一人のうだつの上がらない科学者がそれに注目し、「やばい、このままでは地球が!」と気づく。そしてそれを政府首脳に伝えようとする。すると都合よく、その科学者の近親者に政府首脳の秘書とか、そういう人物がいて、話が伝わるルートがあることに気が付く。そして全世界が「な、なんだってーー!?」という事態になるも、危機的状況はもう始まっており、どんどん都市が崩壊していく―――的なお話だ。なお、パターン2としては、その危機を科学者が政府首脳に伝えたときには、すでに政府はそのことに気づいていて対応策として巨大な舟とか宇宙船を建造していた、みたいなことも良くありますな。もっと面白い話にできるネタだと思うのだが……残念す。
 まあ、さんざんなことを書いてしまったけれど、CGの出来はさすがにハリウッドクオリティで、特に、破壊される都市の図よりも、宇宙空間の描写はとても素晴らしく、画としての見ごたえは十分であった。
 というわけで、キャストをざっと紹介しておこう。もう手抜きでざっと流します。
 まず、主人公の衛星の生みの親を演じたのがGerard Butler氏。もう彼については有名人で出演作も多いので説明しません。典型的な、技術力や頭脳はすごい、けど上のいう事を聞かず煙たがれ左遷される、というよくあるパターンの人物。結果妻に逃げられ愛する娘に2週間おき?にしか会えないダメオヤジ。これまたよくあるパターンとして、フロリダの田舎に引っ込み日夜電気自動車をせっせと作っているという設定だった。
 そしてその主人公の弟で、国務省の高官として兄に代わって衛星の管理官?として働く男を演じたのがJim Sturgess氏。彼が出演した映画でわたしが一番覚えているのは『21』かな。日本語タイトルは「ラスベガスをぶっつぶせ」という凄いセンスのものだったが、映画自体は面白かった。カウンティングをしてベガスでギャンブルをする青年の話すね。今回はまあ、うーん、普通にまじめで普通に良心を持った普通のアメリカ青年でした。Jim氏自身はイギリス人ですけど。
 次。主人公の可愛らしい娘を演じたのがTalitha Batemanちゃん。ああ、今16歳なんだな、もっと子供かと思った。今回、彼女の絶対帰ってきてよと流す涙が一番美しいすね。
 次。主人公弟の彼女で、やけに職務に忠実なクール美女のシークレットサービス要員を演じたのがAbbie Cornish嬢。このお方は初めて見る顔かな……じゃねえ! な、なんだって!? リメイク版『ROBOCOP』のマーフィーの奥さんを演じた人なんだ? へええ! 全然気が付かなかった。今回は、実は悪者サイドのキャラなんじゃないかとわたしは疑いながら観ていたけど、全然そんなことはなく、善良なシークレットサービスでした。
 次。US大統領を演じたのは、Andy Garcia氏。もう61歳だって。彼と言えば『UNTACHABLE』や『BLACK RAIN』を当然思い起こすわけだが、もう30年前の作品か……そりゃ年取るわけだ。しかし、この大統領は、事件は一件落着してめでたしめでたしだけど、きっと膨大な賠償責任を負っているわけで、US財政は破綻の危機に陥るのではなかろうか。死んだほうが良かった、と思わないことを祈ります。
 そして最後に、今回の悪役である国務長官を演じたのが、世界セクシーハゲ連盟の大御所、Ed Harris氏。相変わらず渋いすなあ……最近悪役が多いすけど、ま、宇宙モノでは外せない重鎮ですな。

 というわけで、もう何も書くことがないので結論。
 いわゆる「ディザスター・ムービー」が大好物なわたしが予告を観て、これは観ないと!と感じた作品『GEOSTORM』を観てきたが、まあ、劇場で観る必要はなかったかな、というのが結論である。やっぱり、ディザスター=自然災害でないとダメっすね。この映画は完全なる人災で、明確に悪党もいて、ラストはその悪事を完全に暴いてめでたしめでたし、であった。おまけにやけに政治的なメタファーめいた空気感も鼻に付き、どうも気に入らないす。もっと面白くできたはずだと思うけれど、代案を提示する才能のないボンクラなわたしには何も言う資格はないのでこの辺にしておきます。ま、CGはすごいすね。その点は大いにすごかったと称賛できます。以上。

↓ やっぱり、ディザスター・ムービーの最高傑作はコイツじゃないでしょうか。最高です。
日本沈没
小林桂樹
2013-11-26

 わたしは映画の9割がたをTOHOシネマズで観ている。それは単に家から一番近いシネコンがTOHOだから、なのだが、当然、予告で流れる映画は東宝配給の邦画が数多く、去年、やけに予告を何度も見せられた作品があった。まあ正直、それほど観たいという強い意欲はなかったものの、現在わたしはTOHOシネマズの「シネマイル」が貯まったおかげで何でも無料で観られる無敵状態にあるため、それじゃ観てみるか、と早めの昼食を摂ってから、出かけてみた。
 その作品とは、長澤まさみちゃん主演の『嘘を愛する女』である。まあ、観終わった今、結論を言うと、なかなか悪くはなかったと偉そうな感想を持つに至っている。脚本も悪くない。キャストの芝居ぶりも悪くない。だが、称賛するほどには至らず、いろいろなアラが、わたしの様なクソ映画オタク野郎からすると若干目についてしまったのも事実であろう。わたしが一番、うーむ、と思ってしまったのは、そこはかとなく漂っているように感じられる「リアリティのなさ」なのだが、どういう点にわたしが、嘘くせえ……と感じてしまったのか、ちょっといろいろ思ったことを書き連ねてみようと思う。
 というわけで、以下、ネタバレに触れるかもしれないので、これから観ようという方は以下は読まない方がいいと思います。

 まあ、大体の物語は上記予告の通りである。ずっとそばにいた愛する人が、偽名で正体不明の男だった。いったい何者なんだ? そんなお話である。
 わたしが上記予告から想像していたのは、男のいわくありげな過去が、かなりヤバいもので、驚愕の真実がここに! 的な物語なのだが、ズバリ言うとそんなわたしの想像とは全く違い、意外とまとも、というか、ひどい言葉でいえばスケールは小さく、結構わたしはなーんだ、と思うものであった。
 まず二人の出会いだが、予告にある通り、駅で気分の悪くなった主人公にやさしく男が声をかけるところから始まる。わたしはきっと、何か会社で忙しくしている女子が通勤の際に気分でも悪くなったのかと思っていたが、そこからして全く違っていた。気分が悪くなったのは、まあわたしの想像通り会社の激務?での体調不良のようだったが、これは2011年3月11日の日中のことで、つまり、大震災の日のことだったのである。つまり震災が起きて電車が止まってしまい、東京では多くの人が駅にあふれた、あの時のことであった。
 あの日のことは誰しも忘れられないだろう。わたしも当然覚えている。わたしはあの日、会社の近所に住む当時の部下のYくんのチャリを借りて、全く動かない車の列や黙々と歩く大勢の人々の間を、全く苦労なく20km離れた家に帰ることができたが、あの日の東京は結構寒かった事を覚えている。しかし―――画面に映るイケメン野郎、高橋一生氏のなんと薄着なことよ。わたしはこういう点にいちいち反応してしまうのだが、まずこの出会いのシーンで、嘘くせえ、と思ってしまった。
 しかし、こういった震災がきっかけで男女の仲が深まった事実は、わたしの身近にも結構あって、えーと、わたしが知ってる女性で4人かな、震災をきっかけに結婚したわけで、まあ、ともかく本作の主人公と謎の男は付き合い出し、それから5年(?)、すっかりいちゃつくカップルとして日々暮らしていたのだが、主人公のお母さんが上京して食事をするので、あなたも来てよ、という展開になる。
 しかし、男は現れなかった。主人公はもう怒り心頭である。ほぼ激怒して家に帰ると、男はいない。なんなのよもう!とカッカしているところに、ピンポーン、とインターホンが鳴り、なんで来なかったのよ!!と激怒で玄関を開けると、そこにいたのは警官で、なんと男は近所の公園でくも膜下出血によりブッ倒れて病院に運ばれたのだという。そして、持っていた免許証は偽造されたもので、全く名前もでたらめだったことが判明、主人公による正体探しの旅が始まるーーーてな展開である。
 その正体探しの旅は、男がPCに日々書き連ねていた、謎の小説を手掛かりになされるのだが、正直その部分はどうでもいいとして、わたしが本作を観ながらずっと感じていたのは、主人公が男で、謎の人物が女性だったらどうだっただろう? という思いだ。
 本作では、主人公の女性がバリバリのキャリアウーマンで、ひどい言い方をすれば男を囲っていたという状況である。これって……男女の立場が逆だったら物語は成立しただろうか……? 男は、研究医でバイト程度の収入しかない、という設定だった。故に、一緒に住もうよ、と女性から言われても、いや、おれには家賃出せないよ、と実に弱気な、まるで拾われてきた子犬のような表情でぼそっと言う。すると女性は、じゃ、じゃあさ、その代り家事とかお願いできないか、わたし、料理も掃除もダメなんで、と必死?に説得する。そして、困ったなあ、的な表情でうつむく男、そしてそんな男にそっとキスする女性。まあ、どう考えても、男女が逆だったら、アウト!でしょうな。
 わたしが言いたいのは、くそう、うらやましい! とかそういうつまらないことではなくて(いや、正直に告白するとちょっとある)、どうも、こんなことあるかなあ? と嘘くせえと感じてしまったのがまず一つ。そしてもう一つは、本作の主人公は、どうもやけに男っぽいというか、かなり……なんというべきかな……かなり問題アリな女子なんだな。
 まず、かなり短気で、よく怒る。そして、かなり何度も酔っ払って帰ってきてはひどいことを言う。そしてすぐそんな自分に凹む。さらには結構八つ当たりめいた言動もする。また、これは最後の最後で告白される事実でわたしは非常に驚いたのだが、なんと男を囲っている期間中に、浮気してたことも判明する。これ、男だったら絶対許されないぜ? という思いがずっと頭から離れなかった。まあ、長澤まさみちゃんならすべて許してもいいけど、ズバリ言うと主人公のキャラクターにわたしはほぼ共感できなかった。
 ついでに言うと、わたしは全ての謎が解けた後で、今度は高橋一生氏演じる男にも、なんかその心理が良く理解できなくなった。偽名を使っていた理由はクリティカルすぎるので書きませんが、だからってなぜ、偽名で暮らそうと思ったのかはよくわからない。何しろ、そういった偽りの生活を送るには相当コストがかかるはずで、そう簡単ではなかっただろうことは、東京でまっとうに暮らす人間ならすぐに想像できるであろうからだ。主人公は携帯も銀行口座も持ってないような設定だったようだが(実は良くわからん)、それで生きられるほど甘くないすよ、東京は。バイト程度、と言っても収入はあったのだとしたら、相当いろいろな局面で偽IDは困ったはずだ。また、実は収入は全て過去の貯金の切り崩しだったとしても、口座にアクセスした時点で居場所はバレるのは間違いないだろう。要するに、そういった面でもわたしは、嘘くせえ、と感じでしまったのである。
 つまり、いろいろと甘い、ような気がしてならなかったのだが、わたしが一番、ええ~?と思った制作上の甘い点は、主人公女子が、男の過去を突き止めて、かつて男が棲んでいた家に行ってみたときのシーンである。家、というものは、人が住んで生活していないとあっという間にボロボロになることは、結構よく知られていると思う。だけどなんだあの保存状態のいい家は。もう7年ぐらい経過しているはずなのに、ほこりもかぶってないし、あれはナイと思うなあ……庭だって、7年放置したらもうとんでもないことになるぜ、普通に考えたら。あれは、ご近所のおじさんが手入れしてくれてたってことなのかしら。
 というわけで、そういう細かい作業がおざなりに感じられてしまったわけで、はっきり言ってそれらは全て監督の責任だろうと思う。監督が一言、これじゃダメ、と言えばいいだけだし、それほど金がかかることだとも思えない。そういう点が邦画を観て、世界に通用しないと感じてしまう点なのだが、キャラについての練り込みをもう少しだけでも深くできたら、この脚本はハリウッドに売れる出来と思う。基本プロットは悪くないですよ。実にアリ、な脚本だったのに、大変もったいないように感じた。そしてキャスト陣も、激賞はできないけれど、悪くないと思う。メインキャストを紹介して終わりにしよう。
 ◆主人公:実は役名が全く印象に残らなかったので、以下役名は省略します。主人公のバリバリキャリアウーマンを演じたのは長澤まさみちゃん。実に可愛いのは間違いないし、そのむっちりボディは極上なのも言うまでもなかろう。芝居ぶりとしては、え、ど、どういうこと?と戸惑う表情は大変良かった。キャラとして喜怒哀楽が激しく、それぞれの表情も悪くないす。ただなあ……この女子とはちょっと付き合えないかなあ……ちょっと遠慮したいタイプでした。なお、ラストの5分ぐらいはあるんじゃないかという超長回しのロングカットでの演技はお見事でした。何テイクぐらい撮影したのかなあ。
 ◆謎の男:演じたのは高橋一生氏。男からすると、そんなにイケメンか?と思ってしまうけれど、それはまあひがみなんでしょうな。この人の一番の魅力は「声」のような気がしますね。あとは笑い皺なのかな。演技ぶりは、現在時制では意識不明で寝ているだけだけれど、回想としてチョイチョイ出てくるイチャイチャシーンは大変絵になりますな。どうでもいいけどこのお方、歯並び悪いすね。それも魅力なのかな……。
 ◆探偵:ある意味主人公女子に振り回される気の毒なおっさん探偵。演じたのは吉田鋼太郎氏。キャラとして有能なんだかよくわからない探偵。加えて彼の家庭の話が必要だったのか、若干微妙のような……。あれはなくても物語にはあまり影響ないような……彼は、自分の妻の秘密(=嘘)を知ってしまって、「知らなければよかった」と思っているわけで、主人公女子にも「秘密を知ってもロクなことがないぜ」と言い聞かせるわけだが……じゃあなんで秘密を飯のネタにする探偵をやってるんだか、その点がやや消化不良のような気がする。その意味で言うと、「嘘を愛する女」というタイトルは非常にいいタイトルだと思うけれど、どうも内容に合っていたのか、若干微妙な気がする。
 ◆探偵の助手:いわゆる「椅子の男」として探偵をサポートする若者。演じたのはDAIGO氏で、彼は非常に良かった。キャラとしても一番有能で、使える男だったすな。しかし今回、ロン毛の怪しい風貌で、ぱっと見ではDAIGO氏には全くみえず、だけどしゃべると明らかにDAIGO氏で、彼のある意味いつも通りなひょうひょうとしたしゃべり方は、演技としてとてもナチュラルで、わたしとしては本作で一番素晴らしかったと称賛したい。彼は役者としてイケるんじゃないかしら?
 ◆謎のゴス女子:謎の男と交流があって、半ば謎の男のストーカーと化していた変態女子。演じたのは元AKBの川栄李奈嬢。大変可愛い。けど、ズバリこの役は物語に不要だったと思う。ただし、演技ぶりは悪くなく、今後役者として成長する可能性大だと感じた。アイドル的な作品よりも、シリアス系で十分イケるような気がしますね。笑顔よりも、ちょっとキツめの表情がかなりいいと思った。
 そして本作を撮った監督は中江和仁氏なる人物だそうだが、全く知らないす。ワンカットワンカットはとても丁寧でいいと思うけれど、もうチョイ、細部のリアルにこだわってほしいと感じたのは散々書いた通りです。

 というわけで、さっさと結論。
 去年、かなりの回数劇場で予告を観た東宝作品『嘘を愛する女』を観てきたのだが、メインプロッとは大変優れていて、うまくやればハリウッドに売れる脚本だと思うが、いろいろ制作上の詰めの甘さが目立って、その結果、何となく全体的に嘘くせえ、とわたしには感じられてしまった。その点は非常に残念だと思う。せっかく面白くなりそうな脚本だったのに、もうちょっとだけキャラを練り込んで、そして細部までこだわった画作りに徹してほしかった。しかしこの物語、男女が逆だったら完全アウトだろうな。男だったら到底許されそうにないというか……まあ、そこは長澤まさみちゃんだから許されるんすかね。実際、許します、わたしとしては。なので、結論としては、悪くないす。以上。

↓ よく分からんのだが、ノベライズ?というべきなのかな? 一応小説版もあるようです。
嘘を愛する女 (徳間文庫)
岡部えつ
徳間書店
2017-12-01



 わたしは暖房が嫌いである。と、いうことは、以前もこのBlogに書いたような気がする。何故嫌いかというと、そもそもわたしは暑がりであり、また、残念ながらすっかりおっさんとなった今、超乾燥肌で、暖房(エアコン)をつけると、さらになんだか顔が引きつるような気がするほど空気が乾燥するので、それがどうも嫌なのだ。
 それなら加湿器付ければいいじゃん、と思うかもしれないが、今のところ、おお、確かになんか空気が潤ってきたな、と実感できる加湿器に出会ったことがない。よって、わたしは大抵、寒さは気合で何とかする、というまったくもって昭和乙、な対応をしてしまうのである。ま、もっと服を着るなり、毛布かぶるなりすれば、実際何とかなるし。
 しかし、そうはいっても、手の、具体的に言うと指先の寒さはどうにもならんので(どういうわけか足先は、むしろ汗かくほど全然平気)、わたしはかなり高い頻度で、コーヒー・紅茶・緑茶・ココアなどの温かい飲み物を飲んでいる。恐らく、わたしを知っている人なら、わたしが常になんか飲んでいる姿はきっとお馴染みだろうと思う。ああ、そういやこれはもう夏でもそうだな。常になんか飲んでいるのは。

 というわけで、わたしは今日、後輩女子からとあるモノをもらい、それをどう摂取するか?? という件に関して、3分ほど悩んでみた。その、もらったモノとはこれなのです。

 巷で噂なのか知らないが、いわゆる「マヌカハニー」なるものだ。
 あっ! 意外と高い! ごめんよ! つうか、ありがとう!!
 まあ、マヌカハニーなるものが何かを知らない方は、ぜひGoogle先生にでも尋ねてほしいのだが、何やら大層体にイイらしい。ちなみにわたしは、とある元宝塚娘TOPだった女子のインスタグラムでマヌカハニーなる存在を知ったのだが、どうも摂取するのに作法というか、正しい方法、があるようで、一番いい方法は、ダイレクトにペロンペロンするのが良いのだそうだ。しかも、金属のスプーンはダメ、とか、いちいちやけに細かい作法があるそうで、最もわたしが、うーむ? と思ったのは、どうも、「加熱」してはイカンらしい。
 マジかよ、オレ的には紅茶とか牛乳に溶かして飲もうと思ったのにな、と若干ガッカリである。なので、貰ってから、ちょびっとずつペロンペロンしていた。
 しかし、いろいろ調べてみると、加熱と言っても火にかけるのはアウトかも知れないが(実は良くわからん)、まあ、人肌程度、あったかいレベル、なら問題ないんじゃね? とごく勝手に決めつけ、よし、ならば、牛乳をあっためて、そこにINして飲んでみよう、という気になった。
 まずは準備だ。
manuk_01
 愛用のマグ。これは、『IRONMAN3』が公開された時に劇場で売ってたグッズで、トニー・スターク氏愛用の「STARK INDUSTRIES」社のロゴ入りマグ。超気に入っていて、もう5年ぐらい?愛用中。容量が結構大きくて、たぶん400CC弱ぐらいは余裕。今回は、6分目ぐらい(250CCぐらいか?)牛乳を入れた。ちなみに、今、わたしはファミマの「バナナブレッド」が超気に入っていて、毎日1個喰ってるような気がします。今回のお供として共演。
manuka_02
 いつも、ココアを作る時などは、牛乳をレンジで2分~2分30秒ぐらい加熱するが(すると表面に膜ができる寸前ぐらいの、結構な熱さになる)、今回は1分30秒としてみた。
manuka_03
 そして、マヌカINであります。小さじに大盛りというかたっぷり入れて、かき混ぜると、ほんのうっすら牛乳に色がつくぐらいで、すぐに溶けてなくなった。温かさもちょうどいい塩梅だ。
 ――そして飲んだ。

 結論。

 超うまい!!!
 
 以上、自分用備忘録でありました。今回はオチはとくにナシっす。おしまい。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 どういうわけか、わたしのこの『鮫島』ニュースは、わたしが興奮して適当なことをほざいているだけなのに、海外からのアクセスがやけに多いことは以前も書きましたが、ここのところさらに海外アクセスが増え、何気にアクセスログをチェックするのが興味深い状況となっております。以前からフランスやスイスからのアクセスは確認できていましたが、このところ、毎週かかざず南米チリからのアクセスがあったり、ハンガリーやオーストリア、メキシコなどからもアクセスがあって、へえ~と毎週驚いております。
 ところで、日本では大相撲初場所が絶賛開催中で、わたしが一番応援している東前頭9枚目の松鳳山関は昨日の4日目現在で3勝1敗とまずまずのスタートを切っていて大変うれしいのですが……まあ、いろんなことがありますなあ……土俵外も、土俵内も大変なことが起きていて……その辺りのことに関してはコメントは差し控えたいと思います。でも一言だけ! 稀勢の里関よ……どうか頑張っておくれ……!!
 それでは、まずは今週の週刊少年チャンピオン2018年第8号概況です。
 ■巻頭グラビア:大原優乃嬢。Fカップ女子高生だそうです。極上す。
 ■弱虫ペダル:2人の壁の巻。山岳賞まであと40m。手嶋さんがらみは泣けますなあ!
 ■刃牙道:到達の巻。武蔵無双が続いています。刃牙は勝てるのかしら!?
 ■囚人リク:宣言の巻。いよいよクライマックス直前ですな。今週も絵力が最高です。
 ■BEASTERS:荒星の弔いの巻。レゴシ君はもはや悟りの境地に至ってますな。
 ■昆虫武将チョウソカベ:殿は夜空にホタルを放ちの巻。なんかどんどん面白くなってきましたよ! 今週は信長配下の浅井家の登場です!
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は結構サクサクと話は進み、鯉太郎と【王虎】さんの運命の土俵入りまでが描かれました。そして結論から言うと、今週はハッキョイ!から最初のファーストアタックの様子まで、です。二人とも、セリフはありません。いやあ……それだけなのになんでわたしはこんなに興奮しているんだろうなあ……やっぱり、土俵上の二人の熱がわたしにも伝っているってことなんだろうなあ……。
 というわけで、今週はカラー扉から始まり、物語は呼び出しさんのコールから幕開けです。それを見つめる椿ちゃん、空流の兄弟たち、バーキ、寺井さん、大器くん、田上さん改め【稲虎】関&どんぐり渡部くん。おっと! 小さく【宝玉光】のクソ野郎もちゃんと観てますね! 誰が観るか!とか言ってたくせに! イイすねえ、こういう演出は。
 そして土俵上で相対する鯉太郎&【王虎】さん。国技館は大変な興奮に包まれているようです。わたしももう既に血圧上がってます。そして、描写はチラッと 「ハッキヨイ!せきとりくん」もどきのあの着ぐるみに移りました。そうです、この謎?の着ぐるみも、二人のこれまでをずっと見守ってきた重鎮の一人です。
 「責務なのだ…わたしにとってこの一番を見ることは…」だそうですが、中の人って、明確に描かれたことありましたっけ……? 一応『Burst』(12)巻の最後の戦いの後、頭部分を脱いでいる描写はあったと思いますが、顔は見えなかったような……月刊「力士」記者の畑さん、通称「教えのハブさん」じゃあないですよね、確か……。すみません、また完全にわたしが忘れている or 間違ているだけかもしれません。★追記:さっそくご指摘いただきました。中の人は、現虎城理事長と、鯉太郎の父である火竜、二人の師匠だった天城元親方で(あろう、と思われる状況で)したね! ご指摘ありがとうございます! しかしそう考えれば、この場の立会人としては、その資格十分というかこれ以上ないお方すね。
 そして次に描かれるのは、久々登場の日刊トップの山崎さんです。橋くんにはもう現場は任せてくれと言われているようですが、「うるせえ、今日はプライベートだ…しっかり見ねーとよ…アイツにぶっ飛ばされちまう…」だそうです。アイツ、それはもちろん鯉太郎の亡き父、大関【火竜】でしょう。鯉太郎と【王虎】さんの因縁を、そしてその二人の父の因縁を一番よく知る男ですから、当然この一番は見届けないとイカンわけです。
 そしてここからは再び、土俵の模様に移ります。NHKアナの実況に対して、虎城理事長も想いのこもった返答です。
 「さぁ! 注目の一番!! 場内が期待からくる歓声で埋め尽くされています! しかし意外といってはなんですが 歓声とは裏腹に両力士とも静かに見えますが…」
 「必死に押さえているんでしょうな…期待と喜びがパンパンにつまった風船の口を…手を離せばもう押さえは利かない…2人とも…いい顔をしている…」
 理事長、あなたも大変いい顔しますよ! そして行事がチラッと目をやると、土俵下の審判席で仁王兄貴こと空流親方がすっと右手を挙げています。それすなわち、「時間いっぱい」のサインです! NHKアナも興奮気味に「さぁ! 時間いっぱい!!」のコールを告げました! 一段と沸き上がる観客席の声援に、赤ん坊はびっくりして大号泣開始です。そして塩を取り、撒き、行司の「手をついて!」のコールがかかり、その一瞬の静寂に満ちた神々しさ?のようなものに、号泣していた赤ん坊も思わず沈黙。そしてページをめくると、見開きで鯉太郎&【王虎】さんがそれぞれ右手を握りしめて、土俵に付けるの図が大迫力で描かれております!
 なんかもう、ついに! 来ちゃった! とわたしは大興奮ですよ! この見開きの素晴らしい絵は、電子書籍で一枚絵としてみると大変な迫力です! もう言葉ではうまく説明できないので、サーセン、どうか今週のチャンピオンを買ってご確認ください! そしてさらに次以降も8ページ、4枚の見開きです。橋くんや椿ちゃんは、土俵を包むオーラ? 熱量? のような高度に圧縮されたエネルギー? に圧倒されています。
 「うわっ…意識が…想いが…ハジかれる…土俵(ここ)は今……あの2人しかいない…」 
 そして鯉太郎&【王虎】さんの嬉しそうな顔!
 「さぁ」「いこうか」 OK、いっちゃってくれ!
 そしてとうとう立ち合い成立、ぶつかる二人! もはやハッキョイの声も聞こえません! 体勢としては、鯉太郎はいつも通り頭から、そして【王虎】さんはカチ上げ気味の右肩! 鯉太郎の頭が【王虎】さんの右肩にヒット!!!
 そして次の見開きは、お互いにはじかれる二人! 互角!! こんなに互角なのは、二人の戦いで初めてのような気がします!
 そして今週ラストは、二人の不敵な、そして心から楽しそうな喜びに満ちた笑み、で終了でした。一応、編集部謹製の締めのキャッチを引用しておきます。
 「ぶつかる喜びが炸裂…!!」
 はあはあ……興奮した……。いやあ、しかし、とうとう始まった大一番、この勝負の行方はさっぱり想像できませんが、なんか鯉太郎の体の状態はもう全然大丈夫なような感じです。それは最期の灯、なんすかねえ……なんというか、もう、わたしも、今のこのVS【王虎】戦に集中して楽しみたいと思いました。終わった後のことは終わった後で心配すればいいや……。はあ……はやく来週号が読みたいなあ……今、今週号を読み終わったばかりなのに。こういう、次が待ち遠しくてたまらないという漫画が、やっぱり傑作と呼ばれるものなんでしょうな。佐藤先生、来週もよろしくお願いいたします!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 --------
 【王虎】東大関。11日目現在11勝0敗
 【猛虎】東大関。10日目現在10勝0敗。11日目の結果不明
 【天雷】東関脇 12日目現在9勝3敗に←New
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。66連勝中(11日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、とうとうハッキョイ、二人の渾身の立ち合いまでが描かれ、ラストの二人の心から喜んでいる表情がとても印象的なお話でありました。なんかもう、わたしの頭には、この言葉しか浮かびません。『鮫島』は最高だぜ……!!! しかしホントに、まだこの後もあるのに、大丈夫なんでしょうか……ま、それはこの大一番が終わった後にしましょうか。まずはこの大一番、毎週ドキドキしながら見届けたく存じます。以上。

↓ 最新刊発売中ですので、よろしくお願いします!

 けっこう前に、とある小説の映画化のニュースを見て、へえ? と思い買った本がある。それはもう撮影風景の写真入りのニュースで、ふーん、じゃあ、原作小説を読んでみるか、という気になったのだが、出だしを読み始めて、どうも世界に入って行けず、そのままほったらかしていたのだが、確か12月ごろにいよいよ予告も公開され、それを観て、やばい、さっさと読まないと、という気になった。その作品とは ↓これのことです。

 ご覧の通り、主役と思われる女性を演じているのは、クイーン・アミダラでお馴染みのNatallie Portman女史で、おう、もう36歳か……相変わらずお美しいのはいいとして、どうやらその旦那?と思われる男を、猪突猛進なダメパイロット、ポー・ダメロンでお馴染みのOscar Isaac氏が演じているようだが、わたしとしては、最初のニュースで主演がNatallie女史であることを知っていたものの、この予告を観て、これはまた一体どういうお話なんじゃろか? ということが真っ先に気になり、なのでまあ、さっさと原作を読んでみるか、という気になったわけである。
全滅領域 (サザーン・リーチ1)
ジェフ・ヴァンダミア
早川書房
2014-10-24

 この本を買うときに調べてみたところ、我が愛する早川書房から2014年にとっくに原作小説は発売になっていて、おまけに調べればすぐわかる通り、「サザン・リーチ」というシリーズ3部作、である。作者のJeff VanderMeer氏のことは全く知らなかったし、この3部作のことも全く知らなかったが、とりあえずあらすじも読まずに3冊をカートにぶち込み、すぐに電子書籍で買ってみた。
 そしてすぐに読み始めたのだが……これがまた恐ろしく読みにくく、いや、というより恐ろしく分かりづらく、最初の30ページぐらいで一度放置してしまったのは冒頭に記したとおりである。で、年始にまた読み始め、およそ4日ぐらいかかってやっと読み終わった。最初の1巻目、だけですが。
 一応自分用記録としてメモしておくと、電子書籍に備わる便利な機能、「読書ノート」に記録されたログによれば、330ページの作品を、わたしは281分で読み終わったんだそうだ。へえ? もっと時間がかかったような気がするけど、そんなもんか。つうか、集中して一気読みしたのではなく、ホント少しづつ読んでたんだなあ。なるほど。
 で。読み終わった感想をズバリ言うと、かなりイマイチ、であった。1巻目を読み終えて、すぐに2巻目に入っているのだけれど、冒頭から、えっ!? じゃあ1巻目の主人公は……ああ、そういうことか? という展開で、まだ24ページしか読んでおらず、またもや、1巻目の最初と同様に、なんだか先に進めずにいる。何故そんな感想になってしまったかを、少しまとめておこう。
 まず、物語である。
 なお、ネタバレを気にせず書くので、気になる方はここらで退場してください。
 恐らく、この小説を読んだ人が、冒頭に貼りつけた映画の予告映像を観ると、ほほう、結構雰囲気出てるじゃん、と感じると思う。つまり大体は、冒頭の予告映像から想像できるような物語だ。ごく簡単にまとめると、なにやら、謎の「エリアX」なる謎空間が地球上に発生、その境界線を超えて、謎空間を探索に行くお話である。どうやらその謎空間探索は、これまでも何度も行われているものの、消息不明になったり、ある日突然自宅に帰ってきたり(その帰還経路の記憶ナシ)、と、どうもロクな成果はないらしい。そして第11次?探索隊から帰ってきた夫が、まるで別人のようになってしまったため、その妻たる主人公が、第12次探索隊に出動する、てなお話である。
 なので、わたしとしては、きっとその謎空間に秘められた秘密が一番のポイントだろうし、その謎空間で主人公の出会う驚愕の出来事がいろいろてんこ盛りなんだろう、と適当な予想をしていた。
 おそらく、古い映画オタクであれば、すぐにАндрей Тарковский(=Andrei Tarkovsky)監督の『Сталкер』(英語タイトル:Stalker、日本語タイトル:ストーカー)を思い出すだろう。わたしも勿論観ている作品なので、思い出しはしたのだが、あの映画のような、キャラクターたちの議論は本作にはほぼない。いや、あるにはあるのだが、なんというか……雰囲気が違うんすよね……何といえばいいのかな……哲学的な雰囲気はなく、もっと現実的で、事件もきちんと明確に起こるのだが……なんかふわっとしているんだよな……。なので、そういう意味では、基本設定は似ていてもまるで別もの、だと思う。そして、実はわたしが真っ先に思い起こしたのは、なぜかジャンプの『HUNTER×HUNTER』なのだが、本作は明確な敵や能力、あるいは頭脳バトルなんかも描かれず、全くわたしの想像していた『HUNTER』の「暗黒大陸編」的なものとも違っていて、実に独特? な展開であった。
 わたしが思うに、まず、本作の一番の特徴は、「一人称」の物語であることだ。本作には、主なキャラクターは4人しかいない。そして1人はすぐ殉職するので実質3人だし、残りの二人もほぼ活躍しないし、実のところ、本作は主人公の一人語りが延々とつづられていて、おまけに言うと、情景の説明よりも主人公の内面や過去の説明がメインである。故に実に分かりにくく、おまけに残念ながら、いろいろ語られる主人公のキャラクターにはまったく共感できない。
 なお、一人称語りである点には、一応の理由があって、どうやらその謎空間には、電子機器のようなものは持ち込めず、記録をとにかくノートに書くしかない、ということになっているためだ(でもなぜか銃器は持ち込みOK。理由はわかりません)。要するに読者は主人公の綴ったノートを読んでいる、ということになっている。正確に言うと主人公がノートに綴っているという場面は少ないので、違うけど、まあとにかく独白あるいは心情の吐露をずっと聞かされることになる。
 わたしはこの主人公を最初から最後まで信用できなかったので、実は読み終わった後でも、果たしてこの物語は事実が描かれていたのか、よくわからない。妄想、とまではいわないけれど、相当な主人公フィルターを通じての世界描写なので、なんだかもう、よくわからんのだ。
 わたしが主人公を信頼できない、共感できない、と感じたのは、とにかく主人公の方こそ、誰も信用していないからだ。ズバリ言えば夫でさえ、信頼していないともいえると思う。どうも、孤独を愛し、自らの世界に浸って妄想するのが好きなボッチ・ガールであって、心の扉を閉ざしているらしい。その理由は、実にふわっとしていて、散々過去が語られる割には、ああ、だからなのか、という納得できる情報もない。なんなんだ……としか言いようがないんすよね……。
 というわけで、4人のキャラだけ紹介しておこう。 
 ◆生物学者:そうなんです。本作は、各キャラは名前が明示されないのです。役割というか、肩書だけなのも、ナシではないだろうけど、どうにも物語に入り込めない要因の一つであろうとは思う。何故名前で呼ばないか、については、結構冒頭の部分で語られます。が、わたしとしてはその理由に、なるほどとはあまり思えなかった。一応主人公がこの「生物学者」で、前述の通り夫が第11次探索隊に参加している。かなりクセのある女子だが、いろいろと、なぜ彼女がそういう行動をするのか、なぜ彼女だけが「塔」だと思ったのか、など、さっぱり不明。強いて言うなら、主人公だからでしょう、としか言いようがない点が多く、どうにも共感できない。わたしは初め、こりゃあ最近流行のWeb小説から書籍化されたパターン=いうなればド素人の著者の作品かと思ったが、どうもそうでもなさそう。とにかく、好きにはなれないタイプだし、彼女もまた誰も好きにならないので、普通に考えればあまり主人公向きのキャラではない、と思う。要するに、世界に居場所がないと思っていた彼女は、この謎空間こそ我が家、と思ったのかな……。なお、キーとなる「塔」の謎は2作目以降でちゃんと解明される模様。
 ◆心理学者:第12次探索隊のリーダー女史。そして、第2巻の冒頭で明かされるが、この探索隊を派遣する組織「サザン・リーチ」の責任者、らしい。設定として、隊員は異世界である謎空間に侵入するにあたっては、恐怖心を抱かないためとかいろいろな理由から、この心理学者による催眠・暗示を事前に受けていて、実は心理学者には反抗できないような心理的ロックがかけられている。が、なぜか主人公はそのロックが解除されている。何故か、と言っても確かちゃんと理由が書いてあったような……もともと催眠術にかかりにくい体質だったんだっけ? 余りに都合よすぎて、ちゃんとした理由は忘れました。この心理学者というキャラは、とにかく謎が多すぎて、彼女の行動もさっぱり理解不能です。
 ◆測量技師:元軍人の女子。銃器の扱いはナンバーワン。心理学者の催眠暗示下にあるものの、状況判断は一番常識的、だとわたしには思えたが、残念ながらラストまで生き延びられず、主人公の生物学者に射殺される運命に。その展開がかなり意味不明。測量技師の死にざまはわたしには全く納得できなかった。主人公ひどすぎです。
 ◆人類学者:結構序盤であっさり行方不明に。そしてあっさり変わり果てた遺体で発見される。元々かなりのオドオド女子で、弱気な感じであったが、どんな人か分かる前に退場。残念す。

 とまあ、こんなキャラクターしか出て来ない。生物学者と夫の過去が結構な分量で語られるけれど、そこも、どうもピンと来ない。何でこんなに合わない二人が結婚したんだ? もうさっぱり分からん。
 というわけで、物語は、謎空間での、謎事件が、謎心象風景を交えて描かれ、ラスト近くには謎生物も登場し、とある出来事が起こるのだが、それら数多くの「謎」は一切説明なし。そもそも、謎空間の説明もほぼなし。結論としては、なんなんだ……と若干ぽかーん、である。
 まあ、どうやら3巻目まで読み切れば、すべての謎は解けるらしいので、結論としてはさっさと先を読め、ってことかもしれない。でもなあ……なんか先を読みたい気持ちにならないんだよな……ま、3巻まで既に買ってあるので、ぼちぼち読み進める努力はしてみます。
 
 というわけで、もう、一番わからねえのはお前だよ! と怒られそうなので結論。
 映画化と聞いて興味を持ち、買ってみた小説『ANNIHILATION』(日本語タイトル:全滅領域)を読み終わったのだが、非常にすっきりしない物語であった。まあ、実際のところ三部作となっていて、最終的には3巻目の最後まで読まないと分からないという仕掛けはアリと言えばアリだが、とにかく延々と語られる主人公「生物学者」の過去話や考え方には全然共感できず、最初から最後まで腑に落ちない残念な281分であった。今のところ、映画もあまり見たいとは思っていないけれど、監督・脚本は、あの『Ex Machina』を撮ったAlex Garland氏なので、ちょっと期待できそう、ではあります。Garland氏は、三部作であることを知らないで(2作目3作目の発売前に)脚本を書き始めたらしいので、どうやら映画は1作でちゃんと完結しているみたいすな。てことは、もっときちんとスッキリするお話に生まれ変わってるかもしれないす。うーん、てことはやっぱり観に行けってことかな……つうか、ちゃんと日本で公開されるのか、今のところよくわからんす。パラマウント作品か……? てことは日本では東宝東和の配給かな……。ま、そのうち続報が出るのを待ちますか。まったく切れが悪いけど、以上。

↓ 2作目3作目もとっくに発売されてます。買ったはいいけれど……進まない……
監視機構 サザーン・リーチ
ジェフ ヴァンダミア
早川書房
2014-12-29

世界受容 サザーン・リーチ
ジェフ ヴァンダミア
早川書房
2015-02-27

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 この週末はほぼずっと家にいたため、映画は観に行ってません。過去にWOWOWで録画した映画をぼんやりと観ていました。何度観ても大好きな『アントマン』とか、久しぶりに観る『マイ・インターン』とか、あとなに観たっけな……まあ、他の作品は途中で寝ちゃったす。
 では、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめておきます。

 1位:『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が前夜祭含めて32日間で65億超まで伸びているようです。ふーん……一応、前作『VII』対比で7割チョイみたいです。もう、わたしとしては「ぼくのかんがえたさいきょうにおもしろいSW:EP-VIII」を日夜妄想する以外ありません……。もう小説書こうかな……。
 2位:『キングマン:ゴールデン・サークル』が10日間で10億チョイ届かずぐらいのようです。こちらは前作から大きく伸びましたな。大変結構かと存じます。
 3位:『8年越しの花嫁 奇蹟の実話』が30日間で22~23億ほどと見積もる。松竹配給。相当頑張ってますね!
 4位:『DESTINY 鎌倉ものがたり』が37日間で27億チョイ届かずぐらいみたいですな。こちらも順調すね。
 5位:『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド鬼王の復活』が29日間で18~19億ぐらいと見積もる。まあ、これまでと比べるとかなりアレですが、数字としては20億近いわけで、そうとうPAに突っ込まない限り、普通に考えれば余裕で黒字だとは思うのですが……もしこれでも赤字だとしたらびっくりす。どうなんでしょうなあ。
 6位:『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』が公開土日で0.87億だそうです。一体どんなお話なのか、ちょっと気になる……。
 7位:『ネイビーシールズ ナチスの金塊を強奪せよ』が公開土日で0.5億も行ってないのかな。金曜からの3日間で0.5億ぐらいでしょうか。意外と上映スクリーン数は多くないんすね。155、かな?
 8位:『未成年だけどコドモじゃない』が23日間で5~6億ほどだろうか。東宝配給にしては元気ないすね。
 9位:『映画 中二病でも恋がしたい!』が9日間で2億届かずぐらいと見積もる。
  10位:『オリエント急行殺人事件』が38日間で15億突破だそうです。これは洋画としては十分以上の健闘と言えそうです。良かったすね。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 
 というわけで、なんか書くことがないのでさっさと結論。
 今週も『SW:EP-VIII』が1位を堅持。US興行でもやっぱり同期間比較では前作比69.4%ぐらいみたいすね。つうかもう、次の外伝『ハン・ソロ』を楽しみに待ちたいと存じます。そして、さいきょうにおもしろいVIIIを妄想して暮らそうと思います。つうか、『キングスマン』が頑張ってますな。大変イイことだと思います。以上。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 寒い……東京の寒さぐらいで寒いとか言っていたら怒られるかもしれませんが、寒いす。そして先週は『鮫島』の最新(16)巻が発売になっていますので、お忘れなきよう購入のほど、よろしくお願いします。わたしはいつも通り電子と紙の両方買いました。

 今回は大興奮の天雷戦の決着直前まで収録です!
 間違えました! (16)巻は大興奮の天雷戦の決着から王虎さんVS百雲戦の途中まで、でした!「十一日目_その後(2)」までですね。ご指摘ありがとうございました!
  それでは、まずは今週の週刊少年チャンピオン2018年第7号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版は欅坂の長濱ねる嬢だそうです。
 ■弱虫ペダル:あの冬の出来事の巻。山岳賞まであとチョイ、でまさかの回想編です。
 ■刃牙道:引き出しの巻。武蔵無双が始まってます! これ、刃牙は勝てるのか?
 ■囚人リク:解放の巻。なんと瀬口先生の巻末コメントによるとあと5回で最終回だとか。マジかよ……今週もすさまじい顔芸がヤバいす。
 ■BEASTERS:仮想遺伝子の値打ちの巻。ルイ先輩のお話です。野菜ジュースが美味い!
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:シンヨコ・バトル・ロYヤルの巻。新横がY談空間に!最高ですw
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週はとうとう十二日目の朝を迎え、それぞれの朝稽古の模様と国技館入りまでが描かれました。結論から言うと、今週は鯉太郎と【王虎】さん、二人の運命の土俵入りまでです。冒頭は、興奮するNHKアナの絶叫中継から始まります。
 「本日は何と言っても 優勝に絡むであろう2人の全勝力士の直接対決 黄金世代といわれる 王虎 鮫島!! この大一番に注目が集まっております!」なお、どうやら横綱【泡影】は連勝記録を伸ばしているようですので、当然11日目終わりの状況で11勝、66連勝のようです。まあ当たり前か。
 さあ、いよいよ土俵入りですが、その前に、これまで登場してきた男たちが久しぶりにチラッと出てきます。それぞれの態度が、これまで物語を追いかけてきた我々読者には、なんともイイですね。
 まず登場するのは、あのとんでもないクソヤローでお馴染みの【宝玉光】関です。まーた【寺井】くんに怒鳴ってますよ?
 「何やってんだ寺井!! もたもたすんな! さっさと帰るぞ!!」
 「スミマセン関取…今日は先に帰ってもらえますか…」
 「あぁん?」
 「いや…このあとどうしても見たい取組があって…」
 「チッ…どうせ鮫島王虎だろ…」
 「ハイ…アイツら俺なんて眼中にないッスけど やっぱ同期なんで…正確には1期下…」
 というわけで、【寺井】くんは【宝玉光】関も一緒にどうすか、なんて誘いますが、ふざけんなバカヤローとプンスカ帰っちゃう【宝玉光】関であります。
 そして次は、あの天才?【毘沙門】の兄弟子に当たる、どんぐり君でお馴染みの渡部仁くんです。弟弟子の前で若干のドヤ顔な仁くん。どうやら、「俺は一度鮫島君に勝ってるっての!」と自慢話をしている模様です。しかし弟弟子たちには「ハイハイ」「嘘つくならもっとリアリティある話作ってくださいよ~」なんて言われ、仁くんはしょんぼりしてますが、それは紛れもない事実だということは、我々は良く知ってますよ! アレは見事な取り口だったと言えると思います。そんなしょんぼりな仁くんの背中を叩く男が! おおっと! 田上あらため【稲虎】関じゃあないすか! 「一緒に見ないか 渡部…」なんて、もう、ホント田上さんは良い人だなあ! 仁くんは言います「いつまでたっても僕だけ幕下だし…弟弟子に自慢できることなんてこれくらいしかなくて…」こんなしょんぼりでありながら、鯉太郎に勝ったことを誇りの思っているような表情の仁くん。そんなどんぐり君の肩にそっと手を置き、田上さんあらため【稲虎】関は言います。
 「アイツら二人は 俺も自慢だよ」
 このシーンは何かグッときましたねえ! 大変良いと思います。
 そして次に描かれるのは、かつては同期出世頭だったあの男、そうです、バーキこと【蒼希狼】関です! どうやら今日の取組が終わって、髪を床山さんに直してもらっているようですが、おっと、泣かせる兄貴でお馴染みの【大山道】兄貴が声をかけましたよ。
 「そういや蒼! 王虎と鮫島は同期だったよな どっちが勝つと思う?」
 この兄貴の問いかけに、考えること数秒……。蒼の答えは……
 「俺の方が強い!!」 の一言です。さすがバーキ、そうこなくっちゃな。【大山道】兄貴も嬉しそうに笑ってますね。
 そしていよいよ、【王虎】さん、鯉太郎、ともにそろそろ出番が来ました。描写は土俵上に移りますが、ああ、なんと、そこでは【天雷】関が3敗目を喫している場面でした。うーん、これは相手が誰だかわからないな……どっかに書いてあったっけな……忘れましたが、ともかく【天雷】関は十二日目に痛い黒星、NHKアナの実況も「昨日も鮫島線は激闘でしたからね…」とか言っています。
 そして花道を若干うなだれて引き上げる【天雷】関の前に、【王虎】さんが現れました。【天雷】関は悔しそうな顔で言います。
 「俺は鮫島の 隣に立っていることはできなかった…躊躇なく振り切ってくるアイツに ついていけなかった…引いてしまったんだ…鮫島の覚悟に…俺は鮫島を土俵で1人に…孤独にさせてしまった…だから…」
 そんな痛恨の言葉に、【王虎】さんはほんの少し、口角を上げ、言葉を返します。
 「テメーより鮫島の器が上で あのバカにお前が喰われちまった…それだけだろ…喰ってやるさ…鮫島(アイツ)の全部を…それが許されるのは…俺だけだ…」
 このシーンはですねえ、ぜひ、チャンピオンを買って味わってください。両者の表情はもうわたしには表現できないす。いや、ホント最高ですよ!
 そして一方の鯉太郎が行く通路の先には、石川大器くんこと【飛天翔】関が腕組みして、あぁん? という大器くんにお馴染みの表情で待っています。(たぶん)鯉太郎の脳裏には、昨日の夜の椿ちゃんの「石川君が言ってたの……」という言葉が蘇ります。しかし鯉太郎は、超晴れやかな表情で大器くんに言います。
 「いかねーとよ 王虎が待ってっから…」
 こんな表情でそんなことを言われたら…大器くんはもう、「クソ、このバカが!」とでも言いたげな表情です。「ガキみてーな目しやがって…バカヤローが」としか言えません。そして気合一発、最高の激励を飛ばします!
 「勝てよ! 鮫島!!」
 「ありがとな…石川…」
 このやり取りは、おたがいすれ違った後で、要するに両者ともに背を向けているわけですが、なんかもう、泣けそうですよ……つうかもうこれ、最終回直前ですか!? ここでの鯉太郎と大器くんの表情も、ぜひチャンピオンでご確認ください。相当最高です。
 というわけで、今週は鯉太郎と【王虎】さんが花道を入場する図が描かれたのち、「いよいよ運命の一番です!!」というNHKアナの絶叫で終了でありました。次号はセンターカラーだそうで、もう来週はハッキョイまで行っちゃいそうですね……。はーーーヤバいすなあ……今週もホント興奮しましたが、来週以降も興奮は続きそうで、もう最終回直前のような盛り上がりですが、大丈夫なんでしょうか。まさか、この【王虎】戦がスラムダンク的にいうところの山王戦になりはしないかと本気で心配です。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 --------
 【王虎】東大関。11日目現在11勝0敗
 【猛虎】東大関。10日目現在10勝0敗。11日目の結果不明
 【天雷】東関脇 12日目現在9勝3敗に←New
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。66連勝中(11日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は鯉太郎と【王虎】さんそれぞれの花道入場までが描かれ、この取組に向けてかつて戦った男たちの心境もちょっぴり描かれるという、我々読者には大変おいしいお話でありました。いっそジョージ君や【毘沙門】、それから【闘海丸】タンの表情も観たかったと欲張りな想いも致しますが、きっと土俵に注目していることでしょうな。いやあ、しかし年末年始に『バチバチ』『Burst』『鮫島』をまとめて一気読みしてみましたが、ホントに『鮫島』は最高っすねえ! いよいよ始まるVS【王虎】戦、毎週固唾をのんで見守りたいと存じます。以上。

↓ くどいようですが、新刊発売中ですので、買って応援していただければと存じます!

 というわけで、今年1発目の週末映画興行データです。
 年末年始はあまり映画に行けなかったような……まあ、あまり観たい作品もなくて……。ただ、2017年最後に観た「ギフテッド」という作品がもう泣けて……大変良かったです。なお、わたしは2017年の1年間に49本の映画を劇場に観に行ったようで、そのまとめと、オレベストなんかもまとめてみましたので、ご興味ある方は年末の過去記事を漁ってみてください。
 では、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめておきます。

 1位:『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が前夜祭含めて、昨日の祝日までの26日間で61億まで積んだようですね。この映画についてはもう何も話したくありません。
 2位:『キングマン:ゴールデン・サークル』が公開土日で3.3億だそうで、金曜から昨日までで5億チョイ超えぐらいかな既に6億越えてるそうです。恐れ入りました。わたしも観てきましたが、大変混雑しておりました。まあ、前作がお好きなら今回も楽しめること間違いなし、だと存じます。
 3位:『DESTINY 鎌倉ものがたり』が昨日の祝日までの31日間で24億突破だそうです。順調、なんでしょうね。東宝の想定がどのくらいか分かりませんが。
 4位:『8年越しの花嫁 奇蹟の実話』が昨日の祝日までの24日間で(岡山先行含めて)19億突破だそうです。こちらも順調なのではないでしょうか。松竹的には久しぶりの大ヒットと言えそうな気がします。
 5位:『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド鬼王の復活』が昨日の祝日までの23日間で17億突破だそうです。こちらは、まあ、やっぱり厳しい数字とみるべきなんでしょうね。この分だと来年以降が……。。。
 6位:『映画 中二病でも恋がしたい!』が公開土日で0.7億ほどだったようです。コア向けアニメは堅いすなあ。ビジネス的に劇場が一番儲かるような気がします。
 7位:『オリエント急行殺人事件』が昨日の祝日までの32日間で14億突破だそうです。これは洋画不振の日本においては十分以上の健闘と言えそうな数字すね。わたしも観ました。結末を知ってても楽しめると思います。是非シリーズ化して『ナイル殺人事件』もお願いしたいす。
 8位:『嘘八百』が公開土日で0.5億程度だろうか。面白そうなので少し気になってます。
 9位:『未成年だけどコドモじゃない』が16日間で4~5億程度と見積もる。
  10位:仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エクゼイドwithレジェンドライダー』が30日間で11~12億ほどと見積もる。やっぱり観るべきだったかなあ……実は昨日観に行こうと思ったら、近所では1回しか上映がなく、時間が合わずでした……。。。

 てな感じの週末だったようです。
 わたしが今のところ次に見るつもりの映画は、珍しく邦画なんですが、1月20日公開の『嘘を愛する女』す。実話ベース?の映画オリジナル脚本なのかな? 小説もあるようだけど、ノベライズ?なのでしょうか? 良くわかりませんが、映画は大変楽しみです。

 というわけで、結論。
 正月休み明けの週末は依然『SW:EP-VIII』が首位。もういくら稼ぐかとかさえ、この映画に関しては興味が失せたというか…………。とにかく2年後の『IX』だけを楽しみにしたいと存じます。以上。

 約2年前の2015年9月に日本で公開され、それなりに話題となった映画『Kingsman:The Secret Service』。わたしはこの映画を結構楽しみに観に行ったものの、意外なグロ描写満載で胸焼けするというか、なんかアレだなあ、と思い、イマイチ判定を下していたのだが、日本はともかく世界的には結構なヒットとなって、全世界興収4億ドルを超える大ヒットとなったため、さっそく続編が制作されることになり、今般、日本においてもその続編『Kingsman: The Golden Circle』が公開される運びとなった。
 わたしはこの映画を観るつもりは実は全くなかった。理由は二つあって、一つは前述の通り1作目があまりわたし好みでなかったこと、そしてもう一つは、これもどうでもいい理由なのだが、わたしの嫌いなFOX配給だからだ。これはちょっと説明しておくと、もはやハリウッド作品が全く売れない日本において、実は前作は、日本ではFOX配給ではなく、なぜかKADOKAWAの配給だった。おそらくは、FOXの日本担当が、こりゃあ日本じゃ売れねえだろうと見込み、KADOKAWAに配給を卸したのだと想像する。しかし、これまた前述の通り、日本でもそれなりに話題となって、おまけに全世界興収は大ヒットレベルまで稼いだため、やっぱ続編は自分で配給しよう、と考え直したのだろう、とわたしは邪推したのである。よって、この作品は観に行ってやらん、WOWOWで放送されるのを待てば十分じゃい、と判定したのだ。
 なのに、なぜわたしは観に行ったのか。答えは簡単。今現在わたしはTOHOシネマズのフリーパスポート有効期限内で、タダで観られるからだ。そして今、ほかに観てみたい映画が何もなかったからだ。つまり、なんか暇だし、タダならいいか、という実に消極的な理由で観に行ったというわけである。
 そして結論から言うと、やっぱり本作は明確に「コミック」=漫画であり、その描写は大げさで悪ノリが激しく、今回もグロ描写はあり、やっぱりあんまりわたし好みじゃあなかったかな、というある意味想定通りの感想しか持ち得なかったのである。つまり一言でいえば、やっぱりWOWOW放送を待てば十分だったかな、と思った。ただまあ、あくまでわたしの好みの話なので、前作が気に入った方にはある意味前作通りのノリなので、今回もまた気に入ってもらえるものと思う。

 物語は、まあ、大体上記予告の通りである。新たなる敵?が「キングスマン」を崩壊に導き、生き残った主人公のガキが「アメリカの親戚」たる「ステイツマン」の協力のもとに敵を倒す、というものである。
 というわけで、ポイントとなるのはこの敵は何者か、そして前作で明確に死んだはずの先代「ガラハッド」はなんで生きてるんだ? そして「ステイツマン」の面々のキャラはどういう奴らなんだろう、という点にあるとわたしは思っていた。
 これらを順番に説明すると、まず、今回の敵は、麻薬王、なわけだが、そのキャラクターは実に漫画チックで、ビジネスとして大成功しているわたしがなんでこんな名もなき地に隠れなきゃいけないのよ、と思っていて、アジトを50年代アメリカ風なある意味アミューズメントとパークめいたモノに仕立てていて、おまけに暇なので、Elton John氏を誘拐してきて住まわせて歌わせてもいるという、若干狂った女性であった。演じたJulianne Mooreさんが貫禄たっぷりに、そしてやたらと楽しそうに演じていたのが非常に印象的で、わたしとしては十分以上にアリ、だと思う。ただ、この麻薬王がどうしてまたKingsman組織と敵対しようとしたのかはよく分からず、単に手下として雇った若僧が、元Kingsman養成生の落ちこぼれだったために、Kingsmanという組織を知って、将来的な脅威になるから先にぶっつぶじておこう、と思ったから? なのだろうか? ほっといても良かったんじゃね? という気がしなくもない。
 で、先代「ガラハッド」がなぜ生きているか、については「ステイツマン」に実はこっそり助けられていた、というのが答えで、どうやら前回の事件がUS国内で起きた(んだっけ?)ために、実は「ステイツマン」も活動していて、ガラハッドが撃たれた直後に駆け付け、すぐさま謎テクノロジーで傷を修復していた、てなことだったらしい。なんというか、ホント漫画である。つうか、もはや『男塾』とか『聖闘士星矢』的展開と言っても良かろう。それはそれでアリ、とは思うが……わたしとしては、なんだかなあ、と思ってしまった。
 そして「ステイツマン」だが、役者陣は豪華だし、ガジェット類もいちいちオタク心をくすぐる楽しい?ものであるのはいいのだが、キャラ付けがなんというか……せっかく登場するChaning Taum氏ふんする「エージェント・テキーラ」はほとんど活躍しないし、大活躍の「エージェント・ウィスキー」はどういうわけか悪役になってしまうし、なんというか……正直イマイチであった。
 というわけで、本作を彩るキャラたちと演じた役者を紹介しておこう。
 ◆現・ガラハッドことエグジー:演じたのは前作に引き続きTaron Egarton君28歳。前作はとんでもないゆとり小僧だったけれど、Manners make the Manということで、すっかりスーツの似合うイギリス紳士になりましたな。その成長ぶりは大変良かったです。なお、Kingsmanにおいてはエージェントは円卓の騎士の名を名乗るわけですが、ランスロットの名を継いだロキシーが冒頭で殉職してしまうのは大変残念でした。もったいない……彼女も実は生きていた、と次回また登場してほしいと思います。
 ◆マーリン:まあ、魔術士マーリンというわけで、エージェントではなく指導教官兼バックアップ要員として今回も登場。そしてエージェントでないために難を逃れ、今回ガラハッドとともに活躍。演じたのは、前作同様セクシーハゲ界のイギリス代表としておなじみのMark Strong氏。今回は、酔っ払って泣き上戸だったことが判明。あのシーンは笑えました。そして今回歌も歌うわけですが、あの歌が上手なのかド下手なのか、わたしには判定できないす。残念なことに終盤で殉職。もったいないというか残念す……。
 ◆先代ガラハッドことハリー:演じたのは英国王でおなじみColin Firth氏。まあ、生きていたのは漫画的にアリとしても、実はわたしはいまだになぜハリーがウィスキーをあの場で撃ったのか良くわからんです。正直、別に本作に登場する必要はなかったような気が……。
 ◆エージェント・テキーラ:前述のように演じたのはChaning Tatum氏。ステイツマンはエージェント名がみな酒の名前になってます。今回、いかにもヤンキー的なキャラで、エグジーとぶつかり合いながら活躍するんだろう、と思っていたらほぼ出番なし。出る意味あったのだろうか……。
 ◆エージェント・ウィスキー:演じたのはPedro Pascal氏。そのルックスは非常にメキシカンっぽくて(※Pedro氏はチリ出身なので全然メキシカンではない)、彼の方が「テキーラ」なんじゃね? とわたしは思いながら観ていたが、なんというか謎の離反? で悪役扱いに。そして無残な最期を……。US大統領と通じていた、という事らしいが、かなり唐突に感じて、わたしには良くわからなかった。わたしは知らない役者さんですが、TVのGame of Thronesで有名なお方らしいすね。
 ◆ジンジャー:ステイツマンにおけるバックアップ要員の女子。演じたのはHalle Berryさん51歳。ええっ!? ご、51歳!? 見えねえ! もうそんなお歳なんですなあ! わたしには大変キュートに映り、やっぱHalle Berryさんは可愛いなあ、とか思ってたのに、わたしより全然年上だった! あーびっくりした。眼鏡と外跳ねショートヘアが大変お似合いでしたな。大変良かったと思います。
 ◆シャンパン:ステイツマンの長。演じたのはJeff Bridges御大68歳。存在感はバリバリながらもあまり出番なし。余裕な感じの貫禄十分でしたね。
 ◆ポピー:スーパー頭脳で麻薬戦争を終わらせ麻薬界に君臨する女性ボス。演じたのは前述の通りJuliannne Mooreさん57歳。とにかく楽し気に演じている姿が非常に印象的。どうでもいいけれど、ポピーが誘拐してきたElton John氏は、わたしは最初、そっくりさんかと思ったのだが、どう見ても本人で、彼もまた、思いっきり楽しそうにバカ演技を披露してくれています。なにやってんすかもう!w
 ◆US大統領:演じたのはそこらじゅうに出演しているので誰もが顔は知っている、のではないかと思われる名脇役のBruce Greenwood氏。わたし的には、このお方はJJ版『STRA TREK』のパイク艦長ですな。
 ほかにも、前作でエグジーの飼犬になったJBも出てくるし(ただし悲しい最後……)、前作でエグジーが救出したスウェーデン王女だったり、あの嫌な奴だったライバル候補性のチャーリーがポピーの手下として登場したりするので、前作が大好きな人には大変楽しめる作品だと思う。
 そして監督は、前作に引き続きMatthew Vaughn氏が担当。わたしはこの監督が撮った『X-MEN:First Class』がX-MENムービー最高傑作だと思っているほど大好きなのだが……やっぱりこのお方の本質は血まみれグロなんすかねえ……。自分で脚本も書く優れた才能の持ち主であるのは間違いないのだが……なんか、もうチョイ真面目?な、ドシリアスな作品を撮ってもらいたいと思います。

 というわけで、結論。
 全く観るつもりがなかった映画『Kingsman: The Golden Circle』をふと観に行ってみたところ、まあ、想像通りのコミックドタバタ作品であったと結論付けて良いように思える。それが悪いというつもりはなくて、それが好きな観客は多いわけで、実際本作も既に全世界興収4億ドルを超える大ヒットとなっている。なので、間違いなく言えそうなことは、前作が好きならば今回も間違いなく楽しめるであろう、ということでしょうか。わたしは前作をそれほど楽しめなかったので、WOWOW放送待ちで十分だったかな、と思った。わたしが一番残念だったのは、セクシーハゲMark Strong氏の最期で、今後シリーズに出られないとしたら大変残念す。しかし、結局Kingsmanって組織は何なんすかね? 資金源はあのTalorだけなのかな? 実は前作からずっとわたしには良くわかりません。以上。

↓ 基本的に完全なる続編なので、前作を観てないと全然意味不明だと思います。観てない方は今すぐ観てから劇場へ!
キングスマン(字幕版)
コリン・ファース
2015-11-25

 やっぱり最初に言っておいた方がいいと思うので書いておきますが、ズバリ結末までのネタバレを書いてしまうと思うので、未読の方は今すぐ見なかったことにして立ち去った方がいいと思います。知らないで読む方が絶対楽しいと思いますよ。

 さてと。前巻が出たのが去年の9月だから、4カ月ぶりか。この度、わたしの大好きな時代小説のシリーズ『居眠り磐音』シリーズの続編で、主人公を磐音の息子、坂崎空也に据えた新シリーズ『空也十番勝負』の第3巻が発売になったので、よっしゃ、待ってたぜ! と発売日に買い求め、さっそく読み始めた。ら、1.5日ほどで読み終わてしまったのでありました。

 まあ、結論から言うと、今回の三番勝負は面白かったけれど、肝心の三番勝負の相手がなかなか登場せず、登場したと思ったら結構あっさり敗れ、空也くんのスーパーマンぶりが増してきていて少し心配になってきたのである。まあ、仕方ないよな……敗北=死、だし。
 そしてズバリ今回の三番勝負の相手は何者が、を書いてしまいますが、わたしがこのシリーズの1巻目の感想をこのBlogで書いたときに、こんな相手もアリっすよねえ、と妄想したことが現実になってしまったのであります。そう、今回の相手はなんと異人! サーベル使いの狂える(?)自称プロイセン人でありました。まあ、タイトルからして「剣と十字架」なわけで、実際わたしは読む前から、もしや……と思っていたので、わたしと同じように想像した方も多いでしょう。正直に告白すると、わたしとしてはもう少しその相手のバックグラウンドや人となりが知りたかったように思う。そういう点ではキャラが薄く、若干の物足りなさを感じたのは事実である。
 ただし、その三番勝負へ至る直前に出てくる、一人の女性が大変キャラが立っていて、この新キャラ女子にはまた会いたいな、と強く感じたのも間違いない。彼女については、大体の経緯は説明されるけれど、まあ、間違いなく美人でしょうな。というわけで、ヒロイン眉月ちゃんの出番が少ない中、空也くんを中心とした恋のライバルになりえるような気もするので、今後の展開も大変楽しみであります。
 というわけで、ざっと物語をまとめておこう。今回も、空也くんの武者修行の旅と江戸での磐音ご一統様たちの様子、という二元中継な形であった。そりゃ当たり前か。
 まず空也くんだが、前巻ラストで本人もどこに行くかわからない船に乗って、東郷示現流の追手から逃れたわけだが、着いた先はなんと五島列島最大の島、福江島である。

 おっと、今は空港もあるんですなあ。当時は福江藩五島家の支配地であり、お城もあったけれど、本作の空也くんが訪ねた時代には、城はもう焼失していて陣屋だけしか残ってない、ようなことになっていた。そして空也くんは福江島にある道場にまた居候させてもらいながら修行をつづけ、また山に登ったりと、ほんのひと時の平和な時間を味わうけれど、八代でとある事件が発生して、ここにも示現流の手が伸びる、が、その直前に、ここまで船に乗せてくれた船頭さんが手配した船で、さっさと中通島へ移動。さらに、船頭さんとの密談で、さらに北の野崎島で落ち合う約束をする。
 しかし、野崎島へ行く前に、中通島で出会いがある。それが、わたしの言う新キャラ女子で、新キャラ女子は、どうやら長崎会所に所属する密偵?的な役職らしく、長崎で謎の通り魔殺人を犯した犯人を追跡中なのだとか。かくして出会ったふたりは、お互い信頼できないような関係ながらも、西洋剣術使い討伐のためにチームを結成、隠棲していると思われる野崎島へ上陸するのであったーーー的な展開でありました。
 一方江戸の様子はというと、小梅村が超気に入ってしまった薬丸新蔵くんのお話を中心に、武左衛門さんと新蔵くんがちょっと仲良くなったり、睦月ちゃんの恋の行方がちょっと進展?したり、あるいは真面目な常識人でおなじみの品川柳次郎くんがちょっと出世したりというエピソードを交えながら、基本的には空也くんが心配でならないおこんさん、暇そうな(?)磐音、の元に何度か熊本から手紙が届いて一喜一憂するーーー的な、いつもの展開でありました。熊本の眉月ちゃんは今回あまり出番なし、です。手紙はよく書きますが。

 というわけで、わたしとしては面白かったものの、若干の物足りなさもあって、読み終わったそばから続きが読みたくてたまらない状態であります。しかしなあ、せっかく熊本にいたのに、剣聖・武蔵がらみの話はなかったのが残念す。そして適当にわたしが妄想した、西洋人との戦いが実現して驚いたすね。本作ラストで、再び船に乗ってどこかへ向かった空也くん。今度は、どうやら空也くんの希望の地へ行くようで、どうもそれは、対馬~朝鮮半島のような気がしますね。
 というのも、実は設定として、空也くんの愛する眉月ちゃんには、高麗の血が混ざっていて、空也くんとしては、その源流の地を訪ねてみたい、と思っているようなんだな……。わたしは全く詳しくないのだが、当時の朝鮮半島事情はどうなっているのだろうか? 秀吉の侵攻以降、100年以上経過してるのかな。100年じゃすまないか。えーっと? 物語の現在時制は……1798年かな? てことはもう朝鮮攻めから200年経ってるか。てことは当時の朝鮮半島は……? わからん! Wikipedia先生教えてください! とサクッと調べてみると……高麗が滅んだ後のいわゆる李氏朝鮮の後期で、カトリックが中国経由で伝来していた頃、なんだな。ああ、でも弾圧されているっぽいな……てことは今回の西洋剣術使いの因縁もありうるのだろうか? つうか、どういう武術が盛んだったのかはわからないな……基本は中国拳法的なものだろうか? わからんわ。
 まあ、もし空也くんが高麗(正確には李氏朝鮮)を目指したとしても、そう簡単にはたどり着けないような気もするし、まだまだドラマが待っていそうですな。対馬あたりで止まっちゃうかもしれないし、おまけに示現流の追手も絶対に追跡をやめないだろうし、今後の空也くんがどんな旅をして、どんな出会いを経験するのか、大変楽しみですな。
 あと、もう一つ、今回ちょっとわたしが興味を持ったのは、もう既に、この時代、鉄砲が進化した短筒、つまり拳銃の元があったわけで、そんな「もはや剣の時代は終わった」時代に、何故剣術修行をするのか、という根本的な問いだ。
 空也くんも、今回大砲や短筒を目にして、そんな時代であることを実感するわけだが、彼は、とある人に「なんで今どき剣なのか?」と尋ねられた時にこう答えるシーンがあった。
 「剣術とは、技を磨くことだけが目的ではございますまい。万が一の大事に至った折り、肚が据わっているかどうか、そのために鍛錬するのではありませんか」
 わたしはこの言葉に、結構グッと来た。まあ、精神修行だってことだろうし、剣は手段であって目的は別にあるってことなんだろうな、と思う。要するに、相手を倒すことが目的では全くなく、強いて言えば相手は自分自身であり、自分自身をより高めるための修行、という事なんでしょうな。
 まだ空也くんは18歳(本作ラストで19歳)。とてもしっかりした男ですよ、やっぱり。さすがは磐音の息子ですな!

 というわけで、さっさと結論。
 わたしの大好きな時代小説シリーズ3作目となる『空也十番勝負 青春篇 剣と十字架』が発売になったので、さっそっく買ってきて読んだ私であるが、実際面白かったのは間違いない、けれど、ちょっとだけ物足りないかなあ、というのが偽らざる感想である。今回、主人公坂崎空也くんは、五島列島の島々で修業を行い、とある新キャラと出会って、西洋剣術使いとの死闘を演じることになり、三番勝負を終える。しかし、この時代にプロテスタントが日本いたってことには驚きでした。これって常識なんだろうか? ともあれ、残りは7番。どんな戦いが待ってるか、大変楽しみです。そしてわたしとしては、今回の新キャラ、高木麻衣ちゃんのいる長崎にもぜひ立ち寄って、再会してもらいたいと存じます。そしてもちろん、大きく成長した空也くんが江戸でヒロイン眉月ちゃんと再会する日が楽しみであります。以上。

↓ ちょっと興味がわいてきたっすね。色々調べてみたいす。


 



 今日から仕事始めの会社も多いと思うが、わたしの会社は明日からである。というのも、ホントは今日からにしようと思ったのだが、今日、1月4日は、うっかり愛する宝塚歌劇のチケットが幸運なことに宝塚友の会の抽選で当選してしまったため、今日は休みとして、2018年最初の宝塚歌劇を観劇してきたのであります。
 というわけで、現在日比谷の東京宝塚劇場で絶賛上演中なのは、雪組公演『ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~/SUPER VOYGER―希望の海へ―』というミュージカルとレビューショーの2本立てである。本公演は、新たなる雪組TOPコンビの大劇場お披露目公演であり、かつ、現役最強の歌ウマと言われる望海風斗さん(以下:だいもん)と、これまた歌ウマな真彩希帆ちゃん(以下:まあやちゃん)の二人にふさわしく、かの元・宙組TOPスター和央ようかさんの旦那としてもおなじみのフランク・ワイルドホーン氏の楽曲による作品で、わたしはもう、今日は大変に期待して日比谷に向かったのであった。
 わかりやすく言うとわたしの脳内では、最強歌ウマ(だいもん+まあやちゃん)×ワイルドホーン氏の楽曲=超最高に決まってるじゃねえか! という計算式が成立していたわけです。そして観終わった今言えることは、この事前のわたしの計算に間違いはなく、全て計算通り! な素晴らしい作品で、大いに楽しめたのでありました。いやあ、ホント、だいもんの歌ウマぶりはもう分かり切っていることであったが、まあやちゃんがこれほどまでに歌えるとは、ちょっと想像以上でわたしは大満足であります。あんなにちびっ子(※公式では164cmなのでそれほどちびっ子ではない)で超華奢なのに(ウエストの細さが普通の人の首ぐらいしかない!)、真彩ちゃんにはホントやられたというか、現在の娘役TOPとしては、もちろんナンバーワンは月組のちゃぴちゃんであることは揺るがないとは思うけれど、歌だけに限っては、まあやちゃんはちゃぴに比類する凄い娘役であるとわたしの中で認識を新たにする必要がありそうだ。それほど、素晴らしかったです。 
 その実力のほどは、↑この動画でも明らかであろうと思う。これはマジで生で観た方がいいすね! 本作は、久しぶり? に歌率の高い作品で、数多くの歌を味わえる作品であった。
 まずは、作品について触れる前に、去年後半からかなり顔ぶれの変わった各組のTOPスター及びTOP娘役など、備忘録としてまとめておこうと思う。今現在、宝塚歌劇の各組は、以下のような陣容となっている。
TOPスター TOP娘役 2番手スター、主な新公主演経験者、
わたしの注目する娘役
花組 明日海りお
(みりお・89期)
月→花
2014年5月~
最強ビジュアル
仙名彩世
(ゆきちゃん・94期)
すっと花
2017年2月~
柚香光/95期/かれー/ずっと花/新公主演3回
瀬戸かずや/90期/あきら/ずっと花/新公主演1回

月組 珠城りょう
(たまきち・94期)
ずっと月
2016年9月~
最年少プリンス
愛希れいか
(ちゃぴ・95期)
ずっと月
2012年4月~
最強プリンセス
美弥るりか/89期/みやちゃん/星→月/新公主演1回
月城かなと/95期/れいこさん/雪→月/新公主演3回
暁千星/98期/ありちゃん/ずっと月/新公主演3回
海乃美月/97期/うみちゃん/ずっと月/新公ヒロイン3回
雪組 望海風斗
(だいもん・89期)
花→雪
2017年7月~
最強歌ウマ
真彩希帆
(まあやちゃん・98期)
花→星→雪
初舞台は月、組周りで宙も経験ありで全組制覇と珍しい歌ウマ娘
2017年7月~
彩風咲奈/93期/さき/ずっと雪/新公主演5回
朝美絢/95期/あーさ/月→雪/新公主演2回
永久輝せあ/97期/ひとこ/ずっと雪/新公主演4回
綾凰華/98期/あやな/星→雪/新公主演1回
星組 紅ゆずる
(紅子先輩・88期)
ずっと星
2016年11月~
意外と泣かせる最強コメディエンヌ
綺咲愛里
(あーちゃん・96期)
ずっと星
2016年11月~
意外な低音ボイスがイイ
礼真琴/95期/こっちん/ずっと星/新公主演3回
 ※わたしが一番応援しているお方。超歌ウマ。
七海ひろき/89期/かい/宙→星/新公主演1回
天華えま/98期/ぴーすけ/ずっと星/新公主演2回
極美慎/100期/きわみしん/ずっと星/新公主演1回
 ※今の星組若手でわたしのイチ推し。
星蘭ひとみ/101期/せーらちゃん/新公ヒロイン1回
宙組 真風涼帆
(ゆりか・92期)
星→宙
2017年11月~
長身の御曹司
星風まどか
(まどちん・100期)
ずっと宙
2017年11月~
芹香斗亜/93期/キキ/ちゃん星→花→宙/新公主演4回
愛月ひかる/93期/あいちゃん/ずっと宙/新公主演4回
蒼羽りく/93期/りく/ずっと宙/新公主演3回
桜木みなと/95期/ずんちゃん/ずっと宙/新公主演2回
 とまあこんな感じだと思う。わたしは星組イチ押しなわけだが、各組ともに2番手3番手ぐらいまで充実してきましたな。そして今回わたしが大絶賛しているまあやちゃんは、2年チョイ? わが星組にも所属していたことがあって、歌ウマであることは知っていたけれど、とにかく今回のヒロインは素晴らしかったと思う。
 というわけで、本作『ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』だが、物語は宝塚の様々な作品に登場するロベスピエール閣下の栄光と挫折を描くもので、あの革命に燃えていた正義の男が、如何にして世界史史上最初のテロリスト=恐怖政治家になったのか? という物語だ。
 ロベスピエールと言えば、革命を指導する正義サイドに描かれたり、恐怖政治によって人々を処刑しまくる悪役サイドのボスとして描かれたり、作品の視点によってさまざまなわけだが、彼自身を主人公とする物語は今回が初めてではなかろうか。いずれにせよ、革命初期と後半ではかなり人物像に違いがあるのは間違いなく、その、いわば「ダークサイドに堕ちる」きっかけが本作で一番のキーになるのだろうとわたしは想像していたわけだが、本作では、その陰にタレーランをはじめとする陰謀めいた動きがあったという解釈となっている。
 タレーランと言えば、LEGEND柚希礼音さん(以下:ちえちゃん)主演の『ナポレオン』において、北翔海莉さん(以下:みっちゃん)が演じた、あの杖を突いている足の悪い外務大臣のことで、どうやら歴史上はタレーランは本作の舞台となる1793年から1794年にはイギリスに亡命して(その後アメリカに渡って)いたのでフランスにいたことはないはずだが(フランスに帰国したのは1796年)、どうやら本作では、実はタレーランの陰謀が、という物語になっている。わたし的にはもう、ちえちゃんナポレオンでのみっちゃんが超素晴らしかったので、悪役とは思いたくないのだが、今回のタレーランは悪い人でしたねえ! まあ、こういう歴史の誤用は、フィクションとしては十分アリ、だとわたしは思った。
 というわけで、またフランス革命について書きだすと超長くなるのでやめておきます。以前『スカーレット・ピンパーネル』の時に書いた長い記事はこちらですので、興味があればどうぞ。まあ、宝塚作品では様々に取り上げられる事件なので、一度整理しておくと物語がもっと面白くなると思いますよ。
 で。とにかく本作では、だいもん&まあやちゃんの歌ウマコンビによる素晴らしい曲が堪能できるわけだが、この二人以外でわたしがグッと来たジェンヌを以下列挙しておこう。
 まずは、礼儀として、本作で退団を発表されている専科の沙央くらまさん(以下:こまちゃん)を挙げねばなるまい。わたしは2010年から宝塚歌劇を嗜むようになったわけだが、こまちゃんとの最初の出会いは、2011年の雪組版『ロミオとジュリエット』だったと思う。あの作品で、ジュリエットの乳母を演じたこまちゃんがやけに目立っていて、以来ずっと顔と名前の一致するジェンヌの一人だったのだが、とうとう退団の時が来てしまった。乳母の「ロミオなんざ、パリス伯爵に比べたら雑巾ですよ!」という台詞がわたしには忘れられないす。今回のこまちゃんは、ミュージカルでもソロがあったし、ショーの方でも明確なソロパートがあって、送り出す的雰囲気もあってとても嬉しかったす。一番長く過ごした雪組で卒業を迎えられて、ホント良かったと思った。
 次は、本公演から雪組大劇場デビューとなった、月組からやってきた美貌のあーさ、こと朝美絢さんだ。やっぱりこの人は美しい、ホント美人ですな。ソロ曲もあったと思います(確か)。わたしはあーさに、1度はムラで、1度は日比谷でばったり出会ったことがあるけれど、何というか、顔の造詣が超整っているというか、何度も言いますが美人ですよ。サングラスしてても一発で、あっ!あーさだ!と分かるレベルでしたな。入れ替わりで雪から月へ移動したれいこさんこと月城かなとさんも美人ですが、わたしの好みとしては実はあーさの方が上です。今後のあーさの雪組での活躍に期待したいですな。歌もかなり良くなって、大変素晴らしいジェンヌだと思いますね。今回演じた役柄は、フランス革命では重要人物のサン=ジュスト。あ、本人も美貌だったんだ。そりゃあ―さにピッタリですな!
 次は、とうとう雪組の2番羽を背負うに至った彩風咲奈さん(以下:さきさん)だ。応援されている皆さんは、今回の2番羽を背負って大階段を下りてくるさきさんの姿に感無量でしたでしょうな。このお方は、八重歯で分かります。何気に背も高く、新公主演も5回も経験しているし、ようやく明確な2番手として、今回は歌もかなり堪能できました。いずれ確実にTOPになれると信じて応援したいすね。今回の役柄としては、これまた意外と様々な作品にも登場するジョルジュ・ダントン。泣ける最期でしたなあ。
 最後にもう一人。タレーランとともに陰謀をめぐらす? ロラン夫人を演じたのが、いつもは男役の彩凪翔さん。わたしはキャストを予習していなかったので、最初のころ、おかしい、彩凪さんがいねえぞ? とか思ってたオレのバカ! なんと今回は思いっきり夫人で最初から出てた! ことに途中で気が付いた。声からしてきっと普段は男役の方だろうと思っていたけれど、彩凪さんだったとは。見抜けなかったわたしはヅカオタ失格です……!

 というわけで、後半はショー『SUPER VOYGER―希望の海へ―』である。これがまた大変ノリノリで、おまけにTOPコンビの歌も素晴らしく、大変楽しめたのでありました。
yukigumi
 実はわたしはおとといの1月2日にNHK-BSで本レビューショーが放送されていたのをちゃんと観て予習していったので、開演前にキャトルで公演プログラムを買う時に、3分ほど迷ったんすよね……何を迷ったか、お分かりですよね? そうです。ポンポンです。買わねえとダメなんじゃねえかなあ……と、ホント悩んだんすよ? でも、でも……既にアラフィフのおっさんがポンポンを振り回してはしゃいでいる図を想像すると、ああそりゃあイカン! と自分却下となってしまったのであります。
 しかしですね……結論を言っていいですか?
 この作品を観に行く人は、絶対買っていくべきです! 絶対その方が楽しいと思いますよ! 買わなかったオレのバカ!! ↓この動画で、ちょっと練習していくことを強くお勧めします! このセンターのお方が、わたしが上でさんざん美人だと言っているあーささんこと朝美絢さんです。お綺麗でしょ?

 というわけで、だいもんこと望海風斗さんのTOPお披露目を祝う、素晴らしいショーで大満足でありました。
  では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「それがあなたの理想?」
 「いや、願いだ。願いは未来だ。理想は思い出と共にある」
 今回は、少し前半にあるこのセリフを選びました。今回は歌も多くて、他にもかなりカッコイイセリフが多かったけれど、願い、希望は未来だというセリフがわたしは今回一番グッと来たっすね。みんなのためを思って戦ってきた、けれど、最後はダークサイドに堕ち、断頭台の露と消えたロベスピエール。彼を単純な悪党とは、やっぱり思えないですな……。大変グッと来た物語でありました。

 というわけで、結論。
 現役最強の歌ウマと言われる望海風斗さん。いよいよ雪組TOPスターとしての大劇場お披露目となった『ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~/SUPER VOYGER―希望の海へ―』をさっそく日比谷にて観てきたが、期待にたがわぬ素晴らしい作品であった。そして、相手のTOP娘役、真彩希帆ちゃんの期待以上の歌のすばらしさに、もう大興奮である。いやー、ホント良かったすねえ! ショーの方も、とてもだいもんのお披露目を祝う雰囲気もアリ、一方ではきっちりとこまちゃんの卒業を見送る雰囲気もあって、大変良かったと思います。しかし、とにかく今回、わたしとしてはまあやちゃんの歌にKOされたわけで、まあやちゃん……恐ろしい娘! と思いました。以上。

↓ 大学時代、この「ダントンの死」をドイツ語で読みました。翻訳しているお方が、もう亡くなってしまったけどわたしの指導教授でした。このダントンが、本作で出てくるジョルジュです。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 2018年最初の週刊少年年チャンピオンは本日発売。朝、起きたら既にわたしのTabletに購入完了のお知らせが表示されていて、電子書籍で自動購入してなければ気が付かなかったかもしれないす。本当に便利な世の中になったもんだなあ。
 それでは、まずは今週の週刊少年チャンピオン2018年第6号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版は乃木坂の齋藤飛鳥嬢だそうです。
 ■弱虫ペダル:自分を信じる!!の巻。山岳ラインまであと100m!手嶋さーーん!
 ■刃牙道:間近の巻。依然として刃牙VS武蔵が続きます。武蔵反撃な流れです。
 ■BEASTERS:踊り子にトゥシューズはないの巻。ルイ先輩渋すぎです。面白い。
 ■囚人リク:執行の巻。何というか……絵力がすごくていつもながら強烈っす。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さてと。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 前回は、部屋に帰った鯉太郎と椿ちゃんのやり取りが描かれ、もはや椿ちゃんでも止められないことが確定し、鯉太郎の土俵への思いが改めて語られるお話が描かれました。そして今週からは、タイトルも「十二日目」に突入。まずは十二日目の朝稽古の場面から始まります。
 腕を組み、真剣な表情で鯉太郎を見つめる仁王兄貴こと現・空流親方。右腕を吊っている常松こと【松明】関も心配そうに鯉太郎を見つめます。
「今日はいつにも増して静かだ…これ以上はさすがに無理なんじゃないのか…?」
 常松がそんな心配をするのも無理はありません。前日のVS【天雷】戦の後の鯉太郎は立つのもやっとな状態でした。すると、親方が、スッ……と立ち上がる気配。ハッとする常松。これは……まさか?
「やはりさすがに出るか 親方の「どうすんだ?」が…」
 しかしです。「おい… 鯉… どうすん…」とここまで言葉が出たときに! 鯉太郎は四股を踏みます! そのまぶしい? 神々しい、まるで横綱【泡影】めいた「タンッ」という四股を観て、親方、常松、そして【白水】兄貴はゾクッとします。鯉太郎自身でさえブルッと感じるその四股。
 常松は「まただ…この感じ…昨日鯉太郎さんが気持ち悪いと言っていたあの四股…」とゴクッと息を飲み、親方も「いや…今のはアレよりももっと…」と目を見張ります。そして鯉太郎も「そうか…うん…少し…分かった…よし…」と、とうとう真の覚醒?に手ごたえを感じつつあるようです! 
 この四股を観て、親方は「チッ…」と軽く舌打ちをして、再び立ち上がりかけた腰を下ろします。まるで、「この四股を見せられちゃあ何も言えねえ」とでも言うように。そして常松も期待を込めて思います。「大丈夫だ…いらない心配だった…完全に回復している…」いやいや、回復というより、これはまさしくろうそくの火が消える前の最後の輝ってやつなんじゃあないのか……
 そして描写は虎城部屋の朝稽古の模様に移ります。
 「次!」と気合の入った様子の【王虎】さん。若い衆も、鼻と口から血を流している田上改め【稲虎】関もうれしそう。ここで、親方である虎城理事長が、ちょっと来いと【王虎】さんを呼びます。親方は聞きます。どうだ調子は、と。今日の割はついに鮫島、お前は入門してから奴とは何かと因縁がある、これは親の代、つまり自分の代から続く宿命、と話します。
「お前が 鮫島を止めてやれ」
 つまり鯉太郎は父親【火竜】と同じで器用な生き方、器用な相撲は取れないバチバカだから、このままでは破滅しかねない、というわけです。しかし、親方のそんな言葉に、【王虎】さんはこう言い切ります。ここからの【王虎】さん言葉がカッコ良すぎるので、全文引用します。ホントに剣市くんも成長しましたなあ! 今週のチャンピオンは絶対に買って読むべきですよ。すごくカッコよくていい表情の【王虎】さんですぜ!
「知らねーな…あのバカが破滅しよーが…それはアイツが選んだ生き様だ…誰にも否定できるモノじゃねえだろ…」
「生き…様…?」
「ここにガッとあって誰にも砕けねえ…ドンとしたものだ… 相撲の重さは己の中の生き様で決まる…そしてそれを土俵でぶつけ合うのが力士だ…俺と鮫島はそれだけあればいい…」
 こんな言葉を聞かされたら、そりゃあ涙も出ますよ。虎城理事長が泣いてます!
「まさか息子が…あの頃の俺と同じことを言おうとはな…」
 理事長の脳裏には当然、若き日のあの頃が蘇っております。そしていよいよ国技館入りする運命の二人。うつむく椿ちゃん、そして二人の決意の表情で今週は幕でありました……。
 もうなんだか最終回に向かっているかのような展開ですが、鯉太郎の戦いはまだこれから始まるVS【王虎】さんを含めて4番残っているわけで、いったいこの先どうなるのか全く想像できませんが、まずはこの戦いの趨勢を、毎週ドキドキしながら味わいたいと存じます。ついに「あの四股」に目覚めちゃった鯉太郎。そしてもはや心技体充実の極みにある【王虎】さん。こいつはヤバすぎますね!!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 12日目:【王虎】東大関
 --------
 【王虎】東大関。11日目現在11勝0敗
 【猛虎】東大関。10日目現在10勝0敗。11日目の結果不明
 【天雷】東関脇 11日目現在9勝2敗に
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中(10日目現在)。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週からタイトルも「十二日目」に突入したわけですが、今週描かれたのは空流部屋と虎城部屋それぞれの十二日目の朝稽古の模様でした。一方の鯉太郎は、親方の「どうすんだ?」が発動されそうになったものの、横綱【泡影】ばりの「四股」が完成に近づく姿を見て親方沈黙、そしてもう一方の【王虎】さんは、充実のけいこぶりで、あまつさえ父である大横綱【虎城】の意志を確実に受け継ぐぶっとい柱を心に打ち込んでいることが描かれました。こりゃあ、ホントにやばいすねえ! どちらにも勝たせてあげてくなりますなあ……ある意味、我々読者としては一番盛り上がる二人の戦いの幕は、あとちょっとで切って落とされますので、もう毎週ドキドキしながら味わいたい所存であります! いやあ、ホントに『鮫島』は最高っすねえ! 以上。

↓ 今月のチャンピオンコミックスは明日発売です!

↓ そして忘れてた! 最新(16)巻ももう発売です! カバーがカッコイイ!

 というわけで、ごくあっさり年は明け、2018年となった。
 年末の大みそかは、わたしは一歩も家を出ずに、せっせと掃除などしていたのだが、午後からは、ずっと放置しっぱなしだったHDDレコーダーの中身をせっせとBlu-rayに焼いて移す作業に忙殺され、12時間ぐらいかかって13枚の50GBのBD-DL-REへ、これはとっとこう、という作品を移す作業をしていた。
 だいたい、BR-DLには、作品の長さにもよるけれど、わたしがいつもWOWOWを録画する録画モードで8本から9本ぐらいの映画が保存できるのだが、焼くのに1時間半から2時間弱かかる。なので、その間は「録画したはいいけどまだ観ていない」作品をぼんやり観る時間に費やしてみたのだが、何を観よう? と思って、そうだ、これにするか、と1番に再生を始めた作品が、2016年9月に公開された『怒り』という邦画である。なお、WOWOWで放送されたのはその1年後の2017年9月だったようだ。
 そして観終わった今、結論から言うと、役者陣の熱演は素晴らしかった。これはもう間違いなく、キャスト全員の熱は十分以上に感じられた。けれど、物語的に、3つのエピソードが交錯する形式であるのはいいとして、そのうちの2つは実は全く本筋に関係ない、という点はちょっと驚きだったし、肝心の、キャラクターそれぞれが抱く「怒り」の伝わり具合が少し弱いというか……うまく言えないけれど、天衝く怒り、身を引き裂かれんばかりの怒り、我を忘れんばかりの怒り、というものを描いた作品とは少し趣が違っていて、わたしの想像とは結構違うお話であったのに驚いたのである。
 というわけで、以下ネタバレまで触れる可能性があるので、気になる人は読まないでください。まあ、もうとっくに公開された作品なので今更ネタバレもないと思うけれど。

 というわけで、本作は3つの物語からなっているのだが、わたしはその3つが最終的に美しく合流するのだろう、と勝手に勘違いしていた。けれど、ズバリ言うと全然そんなことはなく、ほぼ、3つの話は重ならない。あ、そうか、正確に言うと4つの物語、かな。
 1)八王子で起きた殺人事件の話。
 八王子の住宅街で、暑い夏の昼間に、一人の主婦が絞殺され、さらにその夫も包丁で刺し殺される。現場には、被害者の血で書いたと思われる「怒」の一文字が残されていた……という事件で、犯人は誰なんだ? というのがメインの本筋。
 2)房総のとある漁港での父娘のお話。
 一人の初老の男が歌舞伎町を行く。そして、とある風俗店で、身も心もボロボロになった少女を見つける。それは、男の娘だった。男は娘を房総の家に連れて帰り、また元の生活を送る。そしてそこには、数か月(?数週間)前に房総の漁港にふらりと現れた、素性は良くわからない、けど無口で真面目でよく働く青年がいた。娘はやがて、その青年と恋に落ちるが……てなお話で、つまりその青年が八王子の殺人事件の犯人なのか? と観客はずっと怪しみながら観ることになる。
 3)東京のとあるゲイの青年のお話。
 東京で、非常に派手で羽振りの良い青年が、なにやら男だらけのパーティーを楽しんでいる。そしてその青年はパーティーを抜け出し、一人ハッテン場のサウナ?で、一人の若い青年と半ば無理やり行為に至り、その青年を自宅の高級マンションに囲う生活を送るようになるが……というお話。ここでも、拾われた訳アリ風の青年が怪しい、と観客は思うことになる。
 4)沖縄での少女と少年と怪しい青年の話。
 どこまでも透けるような美しい海を行く小さなボート。舳先に乗る少女と、操縦する少年。二人は無人島へ行き、ひと時の休暇を楽しんでいるようだ。しかし、一人島内を散策する少女は、廃墟に住む謎の青年と遭遇する。その後何度も島に通い、心を通じさせていく少女と謎の青年。ある日、少女は少年と那覇で映画デートをしているときに、あの怪しい青年が那覇にいるのを見かけ、3人は仲良く飲むが、帰りに少女に大変な悲劇が襲い掛かる……というお話。もちろん、その謎の青年も怪しい、というわけで、観客としては、この3人の誰が犯人なんだ、というのが本作の表向きのポイントだ。

 わたしは、観ながら、これはひょっとすると時間がズレているのかな? と思いながら鑑賞していた。実はこの怪しい3人の青年は全部同一人物で、それぞれ何年前、とか、時間がズレているのかと思った。「犯人は顔を変えている」がという情報も出てくるし、そういうこと? と盛大に勘違いしながら観ていたわけだが、しかし、結局それはわたしの無駄な深読みであり、どうやら時間はすべて同時進行だったようだ。そして、犯人も明確に判明する。なので、犯人捜し、という表向きのポイントは、え、ああ、そうなんだ、で終わってしまうような気もする。
 そして、わたしはさきほど、この房総と東京と沖縄の3つの物語は交錯しない、と書いたけれど、それぞれに登場する「怪しい青年」は、それぞれの物語のキャラクターたちに、「ひょっとしてこの人はあの八王子の……?」と怪しまれてしまう事態に陥る。そういう意味では、3つの話につながりがあるのだが、各キャラたちは出会うことはなくそれぞれの物語に終始する。
 また、3つの物語のキャラクターたちは、何かに深い「怒り」を抱いているという共通点もあるにはあるわけだが……、やっぱりわたしは冷たい男なんだろうな……あっさり言ってしまうと、日頃まっとうに生きることを旨とし、そして比較的普通に家に育ち、殺人などという事件には幸いなことに縁のないわたしから観ると、キャラクターそれぞれの抱く「怒り」にはそれほど深い共感はできなかった。
 というのも、それぞれのキャラクターが抱く「怒り」は、そうなってしまった結果としての現在へ怒っているようにわたしには観えたのである。つまり、そうならないための努力をしてきたのだろうかこの人たちは? とわたしは感じてしまったのだ。
 もちろん、いかに冷たい男のわたしでも、彼らの運命を「自業自得だよ」とは思わない。東京で病に倒れた青年はもうどうしようもなかったろう。そして房総のつましく暮らす父娘も、頑張って頑張った結果なのだとは思う。そして沖縄の物語は大変痛ましいものだった。
 しかし、どうしても、避けられたのではないか、そうならない未来、も有り得たのではないかという思いが捨てきれない。とりわけ沖縄の少女に起きた事件は、回避できたはずだ。あまりに無防備すぎた。その無防備を責めることはできないし少女には何の罪もないのは間違いない。でも、やっぱりどう考えても、回避できたはずだと感じてしまうわたしがいる。しっかし、夜の那覇の街って、本当にあんなにもヒャッハーな危険地帯なのだろうか? だとしたらもう、一生沖縄には行きたくないな……。
 まあ、結局のところ、観客たるわたしが、あれは避けられたはずだと考えても、物語で起きてしまったことはもはや取り返しがつかず、本作はそういう、人間の犯してしまうちょっとした誤りが決定的に人生に影響してしまうのだ、ということを描きたかったのだとしたら、わたしは全力でこの物語を否定したいように思う。そんなの分かってるし、それならちゃんと、そういった怒りに対する癒しを描いてほしかった。そういう意味では、房総の話と東京の話はきちんと癒しが描かれていて文句はないけれど、沖縄の話は全く救いがなく、実に後味が悪いまま終わっている。ここがちょっとわたしとしては問題だと思う。

 というわけで、なんだか非常に重い空気が全編に漂う映画であったと言えよう。しかし、とにかく役者陣の熱演は本当に素晴らしかったと、その点は心からの称賛を送りたい。以下にざっと素晴らしい演技を見せてくれた役者陣を紹介しておこう。
 ◆房総のお父さん:演じたのはハリウッドスターKEN WATANABEでお馴染みの渡辺謙氏。お父さんの背景はほとんど描かれないが、実直に真面目に生きてきた漁師(正確には漁業法人の代取)として実にシブい男であった。もう少し背景が分からないと、娘への気持ちが実際良くわからないように思った。
 ◆房総の娘:演じたのは、いつもは大変可愛いけれど今回はほぼノーメイクで熱演した宮崎あおいちゃん。精神が病んでしまったのか、何とも抜け殻のような儚さのある少女。薬もやらされてた風な描写であったが、正直やっぱり背景が良くわからない。なぜ歌舞伎町で風俗嬢をやっていたのかさっぱり不明。いや、なんか説明あったかな……あったとしても忘れました。そういった背景がわたしには良くわからず、彼女は果たしてこうならないような努力をしていたのだろうか? と思ってしまった。
 ◆房総に現れた素性が謎の青年:演じたのは松山ケンイチ氏。あまりセリフはない。つまりあまりしゃべらない=そのコミュニケーションロスが更なる悲しみを生んでしまったわけで、かと言って彼の背景からすれば容易に人を信用できるわけもなく、大変気の毒な青年。
 ◆東京の羽振りのいいゲイの青年:演じたのは妻夫木聡氏。わたしとしてはナンバーワンにいい芝居ぶりだったように感じた。ただ、描写として、ゲイを隠しているのか、気にしていないのか良くわからないし、病身の母を見舞う優しい青年であることは分かっても、謎の若者を囲うに至る心情は、実はわたしには良くわからない。最初の頃は若者を信用していなかったわけだし。淋しかったってこと? それならもうチョイ、仕事ぶりとか描いて、むなしい日々を送ってる的な描写がほしかった。
 ◆囲われるゲイの青年:演じたのは綾野剛氏。セリフは少ない。ラスト近くで、彼の秘密の暴露が行われるが、正直なーんだレベル。演技は素晴らしいけれど、やっぱり物語的に薄いような気がする。それよりも、ワンシーンのみの出演となった、青年の秘密を知る少女を演じた高畑充希ちゃんの演技ぶりが素晴らしくて、大変印象に残った。
 ◆沖縄の少女:演じたのは広瀬すずちゃん。大変印象的な表情が多く、この方は何気に演技派なのではないかと思う。大変素晴らしかったと絶賛したい。あまりに無防備なのは、すずちゃんの可憐な姿からも醸し出されており、ひどい目に合わせた物語には断固モノ申したい。とにかくすずちゃんの演技は非常に良かったと思う。
 ◆沖縄の少年:演じたのは佐久本宝君19歳。映画初出演らしい。演技ぶりは勿論まだまだだが、つらい役だったね。よく頑張りましたで賞。
 ◆沖縄の小島に隠棲する謎の青年:演じたのは森山未來氏。演技ぶりは大変素晴らしく、やはり森山氏のクオリティはとても高い。けれど、やっぱり脚本がなあ……キャラクター像が薄いと感じてしまった。最後の最後で明らかになる彼の秘密の暴露も、正直唐突だと思う。もう少し緻密な伏線が張り巡らされている物語を期待したのだが、なんだか……なーんだ、と感じてしまったのが残念す。

 というわけで、もうさっさと結論。
 年末に、WOWOWで録画しておいた映画を何本か観たのだが、一番最初に観たのが本作『怒り』である。公開されてもう1年以上経過しているが、やっと観てみた。内容的には、非常に重苦しい雰囲気が全編漂い、キャラクター達が抱く「怒り」も重いお話である。しかし、うーん、これは尺が足りないということなのだろうか? それぞれのキャラクターの背景までがわたしには汲み取れず、若干浅さ、薄さを感じてしまった。その結果、彼らの「怒り」にそれほど共感できず、で終わってしまったのである。ただし、それぞれの役者陣の熱演は本物で、実に素晴らしかったことは間違いない。犯人捜しが一つの軸であるはずなのに、どうもその軸がぶれているようにも思う。故に、最終的な種明かしも、わたしは若干なーんだ、で終わってしまったように思う。大変残念というかもったいなく感じた。これはアレか、原作小説を読めってことなのかな……どうも今回は小説を読んでみようという気になってません。何故なんだろう……要するに、そんな暗い話は今さら味わいたくないと逃げているってことなのかも。我ながら良くわかりませんが。以上。

↓ 同し吉田先生ののこちらの作品は、小説を読んでから映画を観ました。
悪人(上) (朝日文庫)
吉田 修一
朝日新聞出版
2009-11-06

悪人(下) (朝日文庫)
吉田 修一
朝日新聞出版
2009-11-06

↑このページのトップヘ