2017年10月

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 この週末は、待ちに待った『ブレードランナー2049』を観てきました。初めて新宿TOHOのIMAXへ行ってみたところ、まあ、客席数はやや少ないですが、なかなかのスクリーンサイズでやっぱりイイですな。ただ、街として好きではないので、今後もあまり行かないと思いますが、わたしは土曜の昼から用事があったので、なるべくスタートが早い回で観たくて(上映時間が163分と長い!)、新宿TOHOのIMAXしか選択肢がなかったす。映画.comの記事によると、IMAX-3Dでの稼働率がやけに高いそうで、19.3%を占めたそうです。へえ~~。映画の内容は、わたしはとても満足しています。実に上質、ハイクオリティでありました。お話的には若干モノ申したいけど……アリだと思います。前作のファンが観て満足できる内容だと思うけど、どうでしょうか。
 では、さっさと興行通信社の大本営発表をメモっておきます。

 1位:『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!思い出のミルフィーユ!』が公開土日で1.93億稼いで1位。ただし、動員順ランクなので、金額順だと2位です。ちびっ子映画なのでそりゃあ単価は安いでしょうな。秋キュアが初週1位を獲るのは2012年ぶり、だそうで、年によって人気が違うのが面白いすね。仮面ライダー的な感じすな。
 2位:『ブレードランナー2049』が公開土日で2.26億稼いだので、金額順だと1位。わたしはとても面白かったと思います。こういう映画は、日本ではアニメでないと製作できないなあ……。金曜日公開なので、3日間だと3.05億稼いだそうです。洋画としては上々なスタート、なんすかね。
 3位:『ミックス。』が9日間合計で6億突破だそうです。
 4位:『斉木楠雄のΨ難』が9日間合計で、こちらは4億程度だそうです。50億届かなかったか。
 5位:『先生!、、、好きになってもいいですか』が公開土日で1.12億稼いだそうですが、相当いろいろなテレビ番組でキャストを動員してプロモーションしていた印象ですが、数字は若干控えめな感じでしょうか。
 6位:『バリー・シール』が9日間で4~5億ぐらいと見積もる。
 7位:『劇場版Fate / stay night [Heaven's Feel]』が16日間で10億突破あたりと見積もる。
 8位:『特別版Free!―Take your Marks―』が公開土日で0.5憶弱なのでしょうか。数字未詳です。ま、期間限定&劇場数限定のアニメの初動は強いですなあ。ビジネスとしては物販も含め、儲かるんでしょうなあ……。
 9位:『アウトレイジ 最終章』が23日間で13~14憶ほどと見積もる。もっと売れてほしい。
  10位:『ナラタージュ』が23日間で9~10億ぐらいと見積もる。どうだろう、10憶に届いたかどうかぐらいではなかろうか……。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 2週連続台風ってもうマジ勘弁してほしいですなあ……次の週末は三連休、いい天気だといいすねえ……。そして次の三連休は、わたしの大好物が2つ公開されるので超楽しみにしております。
 ひとつは、大好きなMCU、Marvel Cinematic Univers最新作の『THOR:Ragnarok』です。おまけに今のわたしが最も好きなハリウッド美女、Cate Blanshett様がとうとうMCUに降臨するわけで、もう今から大興奮ですよ!
 そしてもうひとつは、このBlogで散々公言している通り、わたしが世界で最も好きな小説家はStephen King大先生なのですが、King大先生の名作『It』の映画化作品であります。もう何回読んだかなあ……いや、サーセン、それほどでもないか、たぶん3回ぐらいしか読んでないか。US興行でもまさかの(?)ウルトラヒットを記録した『It』ですが(※製作予算35M$と低予算ながらUS国内興行で323M$、US以外の全世界で342M$、合わせて666M$! 日本円にして753億円! すげえ!)、とにかく原作は面白いです。どうでもいいトリビアですが、主人公のビルお兄ちゃんは、King先生の『11/22/63』にも、超チラッと出てきます。アレは不意打ちだったので、『11/22/63』を読んでいる時は非常に驚きつつ嬉しかったすねえ! わたし、おそらく『It』について喋れと言われたら軽く5時間ぐらい喋れますよ。それぐらいの大ファンなので、超楽しみっす!

 というわけで、今週の結論。
 この週末は台風の影響もあったかもしれませんが、1位は秋の『プリキュア』が獲得。2位に入った、わたしが楽しみにしていた『ブレードランナー2049』は2.26億スタート。まあまあよりもちょっといいかも、ぐらいのスタートでしょうか。そして、散々テレビ露出していたようにわたしには見えた『先生!』は5位スタート。ざっと数えて300スクリーンを超える規模でこの数字は、ちょっとキビシイと言わざるを得ないかな……以上。

 今を去ること35年前。わたしは中学生ですでに順調に映画オタクの道を歩んでいたわけだが、35年前の夏、わたしは臨海学校で、早く帰りてえなあ……と思いながら、それでいて海を楽しんでいた。そして海から帰ってきた翌日、わたしは一路20㎞程離れた東銀座までチャリをぶっ飛ばし、とても観たかった映画を観に行ったのである。それがまさか、後にカルト的人気作となって、「いや、オレ、中学んときに劇場で観たぜ、ほれ、これが当時のパンフレットと前売券」なんて言って見せびらかすと、若い映画オタクを名乗る小僧どもにはことごとく、うお、まじっすか!と驚かれる作品になるとは全く想像もしていなかった。その映画こそ、Sir Ridley Scott監督作品『BLADE RUNNER』である。
 ↓これが当時のパンフの表紙と、わたしは当時、表紙の内側に前売券の半券を貼りつけてた。
BLADERUNNER01
 当時、わたしは単に、Harrison Ford氏が大好きで、おまけに『Chariots of Fire』でアカデミー作曲賞を受賞して注目されつつあったVangelis氏が音楽を担当しているというので観たかったのだが(※映画『炎のランナー』は、日本では『BLADE RUNNER』と同じ年の夏公開)、35年前に初めて観た時は、『BLADE RUNNER』の描く未来のLAに大興奮し、そのやや難解な物語も何となくわかったふりをしつつ、コイツはすげえ映画だぜ、と夏休み明けに周りの友人たちに宣伝しまくった覚えがある。
 そして時は流れ―――なんとあの『BLADE RUNNER』が描いた未来、2019年はもうすぐそこに来ており、そりゃあIT技術の進歩はもの凄いけれど、実際の街並みなんかは、なんとなく何にも変わってねえなというつまらん未来を迎えようとしているわけである。日本もすっかり国際的プレゼンスを失っちまったし。
 しかし! 何を血迷ったか、元々『BLADE RUNNER』という作品はワーナー作品だが、わたしの嫌いなSONYピクチャーズが権利を買い(?)、その正当なる続編『BLADE RUNNER 2049』という作品を世に送り出した。前作から30年後を描く、本当にまったくの続編である。当然、もはやアラフィフのおっさんたるわたしは狂喜乱舞、であり、まさしく俺得ではあるものの、マーケティング的に考えれば、とうていこの作品が大歓喜をもって世に受け入れられるとは思えない。結果、US本国などでは興行数値的には若干厳しく、失敗作だとかそういう判定をしている批評を見かけるが、そんなの当たり前じゃん、というのがわたしの意見だ。だって、そりゃ無理だろ。今さらスラムダンクの続編を出したって……いや、スラムダンクなら大ヒットするか、えーと、そうだなあ、うーん、マニアックに言うと……今さら楳図かずお先生の大傑作『漂流教室』の続編を出したって、そりゃあ売れんでしょうよ。わたしは超嬉しいけど。
 しかし、そんな世の中の評価なんぞはわたしにとってはどうでもいい。
『BLADE RUNNER 2049』という映画は、わたしとしては絶対に観なくてはならない作品であるわけで、さっそく昨日の土曜日にIMAX-3D版で観てきたわけだが、間違いなく超ハイクオリティであり、実はお話としてはややツッコミたいところはあるものの、演出・撮影・音楽、すべてが満点であり、わたしとしては大満足であった。コイツはすごい。懐古厨のおっさんどもの中には、観てもいないうちから否定している人もいるようだが、紛れもなく本物の続編であるとわたしは断言したい。そしてこの映画を撮り上げたDenis Villeneuve監督は、現時点では、もはや天才Christopher Nolan監督を上回ったんじゃねえかと言うぐらいの実力があるとわたしは強く感じた。

 相変わらずSONYの予告編は字幕がいい加減だが、よーく元の英語を聞いてほしい。チラホラ、ミスリードの翻訳になっていることは一応突っ込んでおこう。だが、映像のすごい出来はこの予告編だけでも感じられると思う。スピナーの超自然な浮遊感なんかは時の流れと技術の進化が物凄く感じられますなあ!
 では、物語を軽くまとめてみよう。以下、完全にネタバレ全開になるはずなので、気になる人は絶対に読まないでください。確実に、何も知らないで観に行く方がいいと思います。
 まずは前作から説明しないとダメなので、前作から。時は2019年。地球は深刻な環境汚染によって、人類は外宇宙への移民を開始、その宇宙での過酷な環境でテラフォーミングするための労働力を確保するために、「レプリカント」という人造人間を製造し、任務にあたらせていたのだが、レプリカントの反乱がおき、数人の武闘派レプリカントが地球に潜入、その専門捜査官「ブレードランナー」がレプリカントを追う、というお話である。ええと、汚染の原因が何だったか忘れました。核戦争とかじゃなくて産業の発達によるものだったような……。
 そしてこの35年、ずっとオタクどもの議論の的になったのが、主人公デッカードもまたレプリカントなんじゃねえか説である。実は、この議論の結論はどうもオフィシャルに出ているようだが、わたしはあくまで35年前に観た「劇場版」を正典だと思っているので、納得はしていないし、その結論もここに書かない。実際どちらでもいいと思っている。
 いずれにせよ、前作『BLADE RUNNER』は、主人公デッカードが、レプリカントであるレイチェルを伴って酸性雨の降りしきるロスから脱出し、緑あふれる地へ逃走するところで終わる。このエンディングでは大変印象的なヴァンゲリス氏のシンセサイザーミュージックが流れて、実に味わい深く仕上がっているわけである。
 そして今回の『2049』は、そのタイトル通り前作から30年後の2049年が舞台だ。この30年間で何が起きたか。このことに関しては、スピンオフ的な短編が公式サイトやYouTubeで公開されているので、できれば観ておいた方がいい。一応作中でも語られるけれど、かなりざっくりとしか説明されないので。その短編は3本あるのだが、まずはこれ。2022年5月に起きた「大停電」のお話。15分もあるアニメです。タイトルは「BLADE RUNNER BLACK OUT 2022」。この「大停電」事件は本作『2049』でも重要なカギになっている。

 次がこれ。2036年に、天才科学者ウォレスが新たなレプリカントを製造した「夜明け」の話。タイトルは「BLADE RUNNER NEXUS DAWN 2036」。撮ったのはSir Ridley Scott監督の息子。

 最後がこれ。特にこれは観ておいた方がいいかも。今回の『2049』の直前のお話で、冒頭のシーンに出てくるレプリカントが何故見つかってしまったのか、が良く分かる重要なお話。地道にまじめに生きようとしても「どこにも逃げ場はない」哀しさが伝わるもので、本編に入っていてもおかしくない。タイトルは「BLADE RUNNER NOWHERE TO RUN 2048」。

 というわけで、2049年までにこういう事件が起きているのだが、もう一つ、「レプリカント」に関しても簡単にまとめておこう。
 2019年(前作):NEXUS-6型アンドロイド。寿命が短い。タイレル社製
 2022年(大停電=BLACK OUT):同じくタイレル社製のNEXUS-8型に進化していて、寿命は長く(不老不死?)なったが、相次ぐレプリカントの反乱に、「大停電」もレプリカントの犯行とされ、この事件ののちレプリカント製造は禁止になった。そのためタイレル社は破綻。
 2036年(夜明け=DAWN):食糧難を解決する発明で財を成し、破綻したタイレル社のすべての資産を2028年に買収していた天才科学者ウォレスは、反逆しない人間に完全服従の次世代レプリカント製造にとうとう成功する。
 ということになっている。はーーー長かった。以上は前振りです。以上を踏まえて、本作『2049』は始まる。依然として世は不穏な空気をはらみ、上流階級はすでに宇宙へ移住し、地球はある意味底辺であって、環境汚染されたまま、食料もウォレスの会社が作る合成たんぱくしかない状況。
 そんな世にあって、NEXUS-6はもうすでに皆、寿命が尽きて絶滅したけれど、長い寿命を持つNEXUS-8は人間に紛れて生活しており、それらの「8」に仕事は終わったよ、と「解任」を言い渡す役割を果たしている者たちがいた。人は彼らを「ブレードランナー」と呼び、主人公のKD9-3.7というコードを持つ男もまた、ウォレス・カンパニー(?)の製造したレプリカントである。彼は、人間に忠実なわけで、冒頭は命令に従って、とある違法な「8」に解任=殺処分を言い渡しに行くところから物語は始まる。そして無事に任務は完了するが、その「8」は謎の「骨」を埋葬していて、いったいこの骨は何なんだ? という物語の流れになる。検査の結果、どうやらこの骨は、古い世代のレプリカントの物らしい。そして、どうやら「妊娠・出産」しているらしい痕跡が発見される。折しも、天才ウォレスをもってしても、現在の従順な次世代レプリカントの製造には時間も金もかかり、需要に供給が追い付かない状態であり、いっそレプリカントも「生殖による繁殖」が可能だったら、と研究しているところだった。というわけで、一体この骨の正体は、そして生まれた子供は今どうしているのか、そして、主人公はいったい何者なのか―――こんなお話である。
 正直に言うと、わたしは最後まで、主人公KD6-3.7(ケーディーシックス ダッシュ スリー ドット セブン。K-9と言えば警察犬。そんな意味も込められてるのかなあ……※わたし勘違いしてKD9だと思い込んでたので、KD6に修正しました)が何者であり、なぜ命令に背いて行動できたのか、良く分からなかった。中盤までのミスリードはお見事で、ははあ、てことは……と思わせておいて、実は違ってた、という展開は美しかったけれど、じゃあ何者? という点に関しては、1度見ただけでは分からなかったです。その点だけ、わたしとしては若干モヤッとしている。また、天才ウォレスの本当の狙い? なるものがあるのかどうかも良く分からなかった。彼って、意外と普通な実業家だっただけなのでは……という気もしているのだが、これもわたしが理解できなかっただけかもしれない。
 しかし、それ以外の点はほぼ完ぺきだったとわたしは絶賛したい。役者陣の演技、演出・撮影・音楽、すべてがきわめてハイレベルで極上であった。
 役者陣は最後に回して、まず監督であるDenis Villeneuve氏の手腕を称賛することから始めよう。わたしは映画オタクとして、映像を観ただけで、これって●●監督の作品じゃね? と見分けられる監督が何人かいる。例えばDavid Fincher監督とか、Christopher Nolan監督とか、Sir Ridley Scott監督とか、画そのものに特徴がある監督たちの場合だ。わたしは本作をもって、Denis Villeneuve監督もその一人に入れられるようになったと思う。
 この監督の目印は、上手く表現できないけれど……ロングショットで画面に入るオブジェクトの巨大感が圧倒的なのと、超自然なCG、それから、「ほの暗いライティング+スポットライト」にあるような気がしている。本作では、かなり多くのシーンが薄暗く、そのほの暗さが超絶妙だ。そう言う意味では、IMAXのきれいな画面で観たのは正解だったように思う。もちろんそういった「画」そのものは、撮影およびライティングの技術の高いスタッフに支えられたものだが、今回も街の壮大さ、建造物の巨大感、そしてもはや本物にしか見えない数々のオブジェクトは完璧だったと思う。35年前のスピナー(※主人公の乗るパトカー)の動きと比較すると、もう完全に本当に飛んでいるようにしか見えないもの。さらに演出面では、そのほの暗い中からキャラクターがだんだん出てくる、と言えばいいのかな……キャラの顔の陰影が凄く印象的で、段々見えてくるような演出が多い? ように感じるが、そのため、役者の表情が非常に物語を表しているというか……苦悩、疲労感、あるいは怒り? が画から伝わるのだ。非常にわたしは素晴らしいと思う。実に上質だ。
 そして、Denis監督で、わたしが一番特徴があると思っているのは、実は音楽だ。いや、音楽というより効果音? というべきかもしれない。とにかく、常に、ビリビリビリ……ズズズズ……といった重低音が響いていて、わたしは以前、Denis監督の『SICARIO』を観た時、この音は要するにJOJOで言うところの「ドドドドド」に近い、というか、そのものだ、と思ったが、今回ももう、漫画にしたら確実に「ドドドドド」と文字化されるであろう背景音のように感じられた。そしてその背景音は、不穏な空気をもたらし、緊張感を高めることに大いに貢献していると思う。とにかくドキドキする! こういう演出は、今のところDenis監督とChristopher Nolan監督作品以外には感じたことがないような気さえする。わたしは本作が、来年2月のアカデミー賞で音響効果賞を獲るような気がしてならないね。【2018/3/6追記:くそー! 録音賞と音響編集賞はダンケルクに持っていかれた! でも、撮影賞と視覚効果賞はGET! おめでとうございます!】
  そして、役者たちの演技ぶりも、わたしは素晴らしかったと称賛したい。わたしが誉めたい順に、紹介していこう。
 わたしが本作『2049』で一番素晴らしかったと称賛したい筆頭は、Dave Batista氏である! 素晴らしかった! MCU『Guardians of the Galaxy』のドラックス役でお馴染みだし、元プロレスラーとしてもおなじみだが、今回はもう、実に疲れ、そしてそれでも心折れないレプリカント、サッパーを超熱演していたと思う。サッパーは、冒頭で主人公が「解任」を言い渡しに行くレプリカントだが(上に貼った短編の3つ目に出てくる大男)、実に、前作でのレプリカント「ロイ」と対照的でわたしは大興奮した。前作でロイは、前作の主人公デッカードに対して、過酷な宇宙での体験を「オレは地獄を見た!」と言い放ち、故にある意味サタンとなって復讐に来たわけだが、今回のサッパーは、「オレは奇蹟を見た」と宣言する。故にエンジェルとして秘密を守り、真面目に暮らしていたわけで、レイとは正反対と言っていいだろう。地獄を見たロイと奇蹟を見たサッパー。この対比はホント素晴らしかったすねえ。あ、どうでもいいけれど、サッパーが養殖している虫の幼虫を、字幕でなぜ「プロティン」としたのか……あそこは「タンパク質」とすべきだと思うんだけどなあ……。イメージが違っちゃうよ。ねえ?
 次。2番目にわたしが褒め称えたいのが、孤独に暮らす主人公の心のよりどころである(?)、3Dホログラムのジョイを演じたAnna de Armasちゃんだ。とんでもなくかわいいし、実に健気だし、最高でしたね。こういうの、早く現実に普及しないかなあ……ジョイちゃんがいれば、もう完全に一人で生きて行けますよ。最高です。Annaちゃんと言えば、わたしは『Knock Knock』しか見ていないのだが、あの映画でのAnnaちゃんは超最悪なクソビッチだったので、印象が悪かったのだけれど、本作で完全にそのイメージは払拭されました。何度も言いますが最高です。
 そして3番目が、主人公たるKD9-3.7を演じたRyan Gosling氏であろう。彼はやっぱり、無口で常に悩んでいるような役が一番しっくりきますねえ。実にシブくてカッコ良かった。KD9-3.7は、「奇蹟を見た」という言葉に、一体奇蹟って何なんだ? そして俺の記憶は……? とずっと悩んでいたわけで、その悩みが、人間の命令をも上書きしたってことなんすかねえ……その辺が良くわからないけれど、彼もまた、ラストシーンは、前作のロイと同じようでいて対照的な、実に素晴らしいエンディングショットでありました。前作でのロイは、デッカードを助け、まあいいさ、的な表情で機能停止するラストだったけれど、今回は、すべてに納得をして、実に晴れやかな、やれやれ、終わった、ぜ……的な表情でしたね。Ryan氏の若干ニヒルな、けど実は大変優し気な、実に素晴らしい表情でありました。前作は雨の中だったけれど、今回の雪の中、というのも幻想的で良かったすねえ!
 4番目はソロ船長ことHarrison Ford氏であろうか。まあ、やっぱりカッコイイですよ。もう75歳とは思えない、けれど、やっぱりおじいちゃんなわけで、実にシブいすね。デッカードは、この30年をどう過ごしてきたのか、若干謎ではあるけれど、実際に35年経っているわけで、その顔にはやっぱりいろいろなものが刻まれてますなあ……。ラストシーンの、お前なのか……? という驚きと感激の混ざった複雑な表情が忘れられないす。素晴らしかったですよ。
 最後に挙げるのは、まあ、物語上良くわからない点が多いのでアレな天才科学者ウィレスを演じたJared Leto氏である。勿論この人の演技は毎回最高レベルで素晴らしいと思うけれど、どうも、わたしには若干雰囲気イケメンのように思えて、その独特のたたずまいで相当得をしているようにも思える。どうしても、物語的に良くわからないんすよね……もう少し、物語に直接自分で介入してほしかったかな……。でもまあ、確かに非常に存在感溢れる名演であったのは間違いないと思います。

 はーーーー書きすぎた。長くなり過ぎたのでもう結論。
 35年ぶりの続編である『BLADE RUNNER 2019』をIMAX 3D版でさっそく観てきたわたしであるが、一つ断言できるのは、まったく正統な完全なる続編であることであろう。これは本物ですよ。懐古厨のおっさんも、まずは観てから文句を言ってほしい。そして前作をDVD等でしか見ていない若者も、少なくとも前作を面白いと感じるなら、本作も十分楽しめると思う。そしてその内容は、物語的には若干良くわからなかった部分があるのは素直に認めるが、それを補って余りある、極めて上質な、とにかくハイクオリティな一品であった。監督のDenis Villeneuve氏は、わたしとしては現代最強監督の一人であると思います。そしてわたしの中では、かの天才Christopher Nolan監督を上回ったんじゃねえかとすら思えてきて、今後が大変楽しみであります。ただ、興行成績的にはどうも芳しくないようで、そのことがDenis監督の今後に影響しないといいのだが……その点だけ心配です。そして最後に、ホログラムAIプログラムのジョイが一日も早く販売されることを心から願います。頼むからオレが生きているうちに実用化されてくれ……車は空を飛ばなくていいから……以上。

↓ うおっと、高いもんだなあ。80年代の映画のパンフ、ごっそりあるんだけど……売るつもりはないす。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、台風やら雨やら、スッキリしない毎日ですが、今日の東京は久しぶりにいい天気になるようですな。そして今日は朝から仕事が立て込んでいるので、さっさと始めようと思います。
 では、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年48号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版は今週も欅坂の誰かですが、未確認です。欅坂は電子はダメなんですな。来週も欅坂の誰かのようなので、来週も電子版はナシだと思われます。
 ■弱虫ペダル:先頭の2人!!の巻。手嶋先輩VS葦木場君の戦いは、まだ足慣らし段階です。
 ■刃牙道:感服の巻。ちょっともう良くわかりません……刃牙VS武蔵が始まる直前です。
 ■BEASTERS:救世主の誘惑の巻。今週はルイ先輩のお話。なかなかの展開です。
 ■囚人リク:別格の巻。変態剣崎の過去話でした。ずい分見た目も変わったな……。
 ■六道の悪女たち:訣別の時の巻。乱奈さん!そっちへ行っちゃダメだ!
 ■Gメン:アニキたちの卒業の巻。八神さんたちが晴れて卒業。まさか最終回近しか?
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週は、鯉太郎VS【天雷】の激闘後の模様が描かれ、鯉太郎の体はもはや限界と石川くんが椿ちゃんに訴える様子とともに、次の取組である【王虎】さんVS【百雲】関の直前までが描かれました。そして【王虎】さんは、またもぶっ倒れて救護室行きになってしまった鯉太郎に、たいそう御立腹で、対峙する【百雲】関に向かって、つまらねー相撲取るんじゃねーぞ……俺は今機嫌が悪いんだ……なんて、まるで仮面ライダー王蛇的な悪役感あふれる表情で先週は終わりました。
 そんな【王虎】さんが、静かに土俵に手をおろすシーンから今週は始まります。
 静まり返る場内。緊張感が漂います。が、【王虎】さんは、何かを感じたようで、「!?」と【百雲】関へ目を向けると……完全に目がイッちゃってる【百雲】関が、もうすさまじい表情。しかしです! 【百雲】関の眼は、相対している【王虎】さんを見ていません。その眼は、土俵下で静かに待つ、横綱【泡影】を見ているじゃあないですか! その脳裏には、あの「勝っちゃった」一番が。そしてますます【百雲】関の殺気は高まります。これには【王虎】さんもやれやれ的な思いです。
 「おいおい…どこ見てんだよ…」ただし、いつものような「ニヤリ」はありません。その表情はいたって真剣。そして、場内の緊張が高まる中、とうとうハッキョイ!! バトルスタートです!
 しかし、ページをめくると、見開きブチ抜きで【王虎】さん得意の右ショルダーアタック! 別名「カチ上げ」が【百雲】関に炸裂!!コイツはキッツイ一撃だ! 場内のお客さんは茫然、記者の橋くんも思わず「しょ…勝負あった…」なんて思ってしまう勢い! 実際、【百雲】関はクラっと崩れ落ちるかに見えます……が! 歯を食いしばって踏みとどまった【百雲】関は左の張りを放って反撃! しかしそれをなんなくかわす【王虎】さん! いともたやすく行われるえげつない行為とはこのことか!
 「アレを耐えて攻撃に転じた…! だがソレを王虎も難なくかわす…」と橋くんの解説が入りますが、小さなコマで入る【王虎】さんの表情は、実に冷静というか、完全に動きを見切っている余裕があるようです。しかし一方の【百雲】関は、もう完全にイッちゃってます。必死というより、必殺な殺意溢れる表情が対照的だ! そして【百雲】関は続いて左ひじを【王虎】さんの顔面へ! 一気に突き押しの体勢です! NHKアナも「出だしに喰らったカチ上げの影響を微塵も感じさせません!」と興奮実況です。しかし橋くんは【百雲】に対して思います。
 「あのカチ上げが効いていない…? いや…違う…百雲もまた…鮫島と同じ…土俵にすべてを賭すことで 力を発揮するタイプか…」
 この【百雲】関の猛攻に、【王虎】さんもやられっぱなしではありません。2発目のショルダーアタックが【百雲】関の顔面にクリーンヒット! どうだ…? 決まったか!? しかし【百雲】関の眼はいまだ死んでません! 耐えた! コレも耐えるのかよ、と橋くんはゾッとしています。そして両者正面からぶつかりに行き―――
 「あ――――――当たり勝ったのは…百雲――――!!」というNHKアナの絶叫で今週は終わりでした。ふーーー興奮したわ……しかし、やっぱり【百雲】関の「全てを土俵に」という覚悟と、鯉太郎のものは、同じのようには思えないわけですが、かと言ってどこが違うのかを説明するのも難しいですな……どちらも、「相撲(そのものである泡影)を振り向かせる」という目的は一緒なのかなあ……でも、【百雲】関が(自分以外の)全てを捨てて土俵に臨む一方で、鯉太郎は自分(の未来)を捨てているという、そのやり方が違う、ということなのでしょうか……。なんだか、北斗の拳的に言うと、ラオウ様や聖帝サウザー様のような「愛などいらぬ」やり方を【百雲】は選び、トキやファルコのように刹活孔を突いて「生は一瞬」と最後の力を振り絞るやり方を鯉太郎は選んでいるように見えますが……どちらも最後は死んでしまうからなあ……。この構造からすると、ケンシロウ的存在は横綱【泡影】になってしまうので、どうなるんだろうなあ……。果たしてそういった全てを捨てた背水の相手に【王虎】さんがどんな戦いを見せるのか、大変楽しみであります!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。   
 今週はいよいよ【王虎】さんVS【百雲】関の一番がハッキョイ、【王虎】さんの必殺カチ上げを2発喰らっても沈まない【百雲】がやや優勢か? という序盤の戦いが描かれました。実際、【王虎】さんを見ずに横綱【泡影】しか目に入っていない【百雲】関。その戦いは悲痛でもあり、はたして【王虎】さんの逆襲はいかに――!? というイイところで今週は幕です。そしてこの勝負の行方ももちろん楽しみですが、果たして鯉太郎は翌12日目の土俵に立てるのだろうか……親方の「どうすんだ?」が発令されてしまうのか……実に心配です。あと4番、鯉太郎の戦いから目が離せませんね……。以上。

↓ おっと、次の最新(15)巻は来月発売ですよ! 絶対に買いでお願いします!

 
 

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 この週末は選挙&台風でしたが、わたしは土曜に映画を観てきました。わたしが観たのは『アトミック・ブロンド』。主役のシャーリーズ・セロン様のカッコ良さはピカイチでしたが、意外と物語は正統派スパイアクションだったと言えるような気がします。が、わたしとしてはもうチョイ単純一直線な『John Wick』的な物語の方が好みかなあ……。もうチョイ、せっかく壁崩壊前夜のベルリンという、スパイモノには最高の舞台なので、その時代と場所を活かした物語なら最高だったのですが……。わたし的には若干期待よりは下でした。
 では、さっさと興行通信社の大本営発表をメモっておきます。

 1位:『ミックス。』が公開土日で2.35億稼いで1位。さすが、ガッキーはマジ天使ですな! 一度だけ生ガッキーのお姿を拝見したことがありますが、遠目でも圧倒的オーラで失神モノの可愛さでした。原作ナシのオリジナル脚本で売れるというのは実に素晴らしいことだと存じます。
 2位:『斉木楠雄のΨ難』が公開土日で1.94憶稼いで2位。今、わたしの中では、ジャンプの中で3番目に好きな漫画です。映画も面白いのは間違いないと思うけれど、観に行く予定はないかな……サーセン。
 3位:『バリー・シール』が公開土日で1.76憶稼いで3位。トム様作品としては……そうか、『ザ・マミー』は3億チョイスタートでしたっけ。てことは若干数字的には若干アレなのでしょうか。
 4位:『劇場版Fate / stay night [Heaven's Feel]』が9日間合計で7~8億ぐらいと見積もる。最初だけかと思いきや、2週目でもちゃんと稼いでさすがです。
 5位:『アウトレイジ 最終章』が16日間で12億突破だそうです。もっと稼いでほしいす。とても面白かったです。
 6位:『猿の惑星 聖戦記』が10日間で5~6億と見積もる。やはり洋画は厳しいなあ……。
 7位:『ナラタージュ』が16日間で8~9億ぐらいと見積もる。若干数字伸びないすね。
 8位:『亜人』が23日間合計で12億を突破したそうです。うーん……。
 9位:『コード・ギアス 反撃のルルーシュI』が公開土日で、どうだろう、0.6~0.7憶稼いだのでしょうか。数字未詳です。この作品は、いちばん最初のテレビシリーズの再編集&全セリフ再アフレコな作品だそうですね。テレビシリーズはわたしも観てました。実際面白かったすね。もう10年、いや11年前か……はあ……年取ったなあ……。。。
  10位:『アトミック・ブロンド』が公開土日で0.5~0.6億とかなのでしょうか。金曜公開だから3日間で1億届かずぐらいでしょうか。劇場規模からするとちょっと厳しい数字でしょうか……土曜は結構お客さん入っているように見えましたが……。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 そしていよいよ今週の金曜日からは、待ちに待った『BLADE RUNNER2049』が始まりますねえ! US興行の数字が良くない、失敗作だ、とかいうニュースもちらほら見ましたが、30年以上前の作品の続編なんだし、そもそも前作だって別にヒットした映画ではないわけで、そんな大ヒットになるわけがないと思うのです。完全に40代以上のおっさんホイホイなんだから。そりゃあ確かに『MAD MAX』は大ヒットしましたが、今回は完全なる続編のようなので(MAXは別に背景を知らなくても楽しめる作品だった)、そりゃあ、観る人を選んでしまうでしょうなあ……。故に、前作を東銀座の今は亡き松竹セントラルへ自転車で観に行った完全なるおっさんのわたしは超楽しみです! 既に予告編からして傑作のにおいがプンプンしてるんすよね……。監督は、今わたしが一番注目しているDenis Villeneuve監督なので、絶対外れナシだと思います。そして完全に一見さんお断りムービーだと思います。たぶん!

 というわけで、今週の結論。
 今週は『ミックス。』が初登場1位。ガッキーマジ天使す。以上。

 最近、ガンアクションの派手な映画がちょっと流行りなのだろうか。いや、そんなのはずっと昔からあるのだから、別に最近の流行りじゃあないか。強いて言うなら、最近流行っているのは、容赦ない血まみれアクション映画、というべきかもしれない。
 いわゆる「レーティング」というものが映画やTV放送には存在していて、それは法律ではまったくなく、単なる業界内の自主規制ルールなわけだが、要するに、やれ暴力だの、やれ猥褻だの、といった文句を言う人々に対して、いやいやいや、我々はちゃんとそういうのをチェックしてますよ、だからこの映画は15歳以上は観ちゃダメよと警告してまっせ、という言い訳、あるいは自己防衛をするもので、とにかく、予防線を張っているという腰抜け的な意味で、なんか興ざめなものである。はっきり言ってそんな規制の外にいる我々おっさんにはどうでもいいものだが、そういった規制によって、どうも一時期、映画やTVからは血が吹き出たり、あるいは女性のヌードをほとんど目にすることがなくなっていったような気がするけれど、ここ最近は、むしろCGの発達によって、手足がもげたり、銃で撃たれた時の血しぶきエフェクトも派手で、なんだかどんどん過激になっているような気さえする。
 というわけで、今日わたしが観てきた映画『ATOMIC BLONDE』という作品は、US公開時のレーティングはR15+である。だが、ここ日本においては特に指定なし、で公開されており、きっと中学生当時のわたしが観たら大興奮な、血まみれ&ヌードシーンアリの、スパイアクション映画であった。ただし、物語に関しては、正直わたしが勝手に想像していた物語とは全くの別物で、その点に若干驚きつつも、結論としては少々キレが悪いというか、どうも冗長?で、スッキリしない微妙作であった。うーん……たぶん、脚本的にやや凝りすぎ? のキャラ造形で、さらに現代時制と、数日前の事件の回想という枠構造そのものが若干ストーリーのテンポを悪くしているような気もした。結果、どうもわたしには「キレが悪い」ように感じたのである。
 以下、ネタバレに触れる可能性が高いので、気になる人は今すぐ立ち去ってください。

 というわけで、物語はほぼ上記予告のとおりである。ただし、映像は相当恣意的に時系列を無視してそれっぽいシーンを編集して作られており、セリフとシーンが別なものもかなりある。ちなみに、上記予告内で「Asshole(クソ野郎)」と主人公がつぶやくシーンは、本編では「Cocksucker」であった。
 ま、そんなことはともかく。本作の舞台となる時は1989年11月、場所はベルリンである。そう、かのベルリンの壁崩壊の数日前、イギリスMI6の諜報員がソヴィエトKGBに殺害される事件が起こる。東ドイツ(DDR)の秘密警察、通称シュタージにMI6やCIAの活動中のスパイの詳細が記録されたマイクロフィルムがもたらされ、それをシュタージに潜り込ませていた資産から受け取ることに成功したものの、KGBに奪われてしまったのである。しかしそのフィルムがモスクワへ運ばれては超マズイわけで、すぐさまMI6は、近接格闘にも長けた女スパイ、ロレーンをベルリンへ派遣、現地のMI6諜報員パーシヴァルと組んでそのフィルム奪還せよ、と指示するのだが、ロレーンのベルリン派遣さえもKGBには悟られており、到着したとたんにピンチに陥るのだが―――てなお話である。
 こういう流れは、わたしの大好きな海外翻訳ミステリーでは実にありがちで、実際わたしも大好物なのだが、登場する各キャラクターは、ほとんどが「実は彼・彼女は……」といった裏切りをしていて、素直に共感できるキャラクターがどうも少なかったように思う。何と言うか……しつこいぐらいにキャラの行動原理には裏があって、若干やりすぎのようにわたしには感じられた。
 わたしの好みとしては、小説であれば読者、映画であれば観客、の期待や信頼を裏切らないキャラクターが、様々なピンチを持ち前の技量と心意気で乗り切るようなお話の方が、やっぱり共感できるし、ラストもスッキリすると思うのだが、本作はどうもそういうわけにはいかず、行動も遅いし、それほど頭が切れるキャラでもないため、結構観ていてイライラする。ロレーンは、ベルリンへ出動する前に「誰も信頼するな」と言われて送り出されるわけだが、まさしく誰も信頼できない。そして、観客としては、実はロレーンさえ信頼できないのである。この、ロレーンの「実は……」が明かされるのは本当に一番最後なので、正しい観客としての態度は、「そうだったのか!」と驚き膝を叩くべきなんだろうとは思う。けれど、わたしは「なーんだ、やっぱりな」という気持ちの方が強まってしまい、若干がっかりしたことは記録に残しておきたいと思う。
 ただ、本作は、わたしとしては物語自体には上記のように文句を言わざるを得ないものがあったものの、演出や音楽、そして役者陣の熱演はかなり高品位で、映像としての見ごたえやカッコ良さ?はとてもレベルが高かったと思う。
 たとえば、主人公ロレーンを演じたCharlize Theron様がとにかくいちいちカッコイイ! のだ。これはもう間違いない。ロレーンはベルリンについて早々、迎えに来た二人の男がKGBであることを見抜いてぶっ飛ばすのだが(それが予告にある赤いハイヒールでボコボコにするカーアクション)、その背景にはDavid Bowie版の「Under Pressure」が流れていて、そういうアクションシークエンスにはほぼ必ず、当時のヒット曲が使われている。また、今回はTheron様の超絶な格闘シーンもふんだんで、しかもそのアクションシークエンスもやけに長回しな一発撮り、に見える編集がなされている。本当に一発撮りなのか、編集やCGによるマジックなのか良く分からないが、とにかく大迫力である。とりわけ、後半のスパイグラスというキャラを守っての大乱闘は凄い出来で、こういう点は大絶賛したい。
 だた、その反面で、ちょっとしつこいというか、なかなか格闘のケリがつかないのは、やや冗長にも感じられた要因なのかもしれない。まあ、女性なので攻撃が軽くて一発では効かず、とにかく相手が何度も立ち上がってくるので、リアルではあるのかもしれないな……そういう点は、普通の映画のように主人公の一発で相手がKOされるようなものの方がインチキ臭いかもしれないけれど……とにかくしつこいよ、もう! とも感じられた。
 というわけで、以下、主なキャラ紹介と役者紹介でまとめておこう。
 ◆ロレーン・ブロートン:演じたのは上記の通りCharlize Theron様。本作の主人公でイギリスMI6の腕利き諜報員。美しくカッコイイ。演技としてはもう文句なしのクールで危険な女性。どうやら、冒頭で殺害されるMI6の男とは、過去恋人だったらしい。その格闘スキルは超一流で、とにかく殴る蹴るのシーンが満載。ただし、若干頭の回転は問題アリかも……もうチョイ、すべてお見通しよ、的なキャラであってほしかった。そして本作では、Theron様は結構堂々脱いでました。おまけに、フランスの女性諜報員との百合Hシーンなんかもあります。しかしその正体はーーーラストに明かされます。
 ◆パーシヴァル:演じたのはJames McAvoy氏。ワーグナーのオペラ「Parsifal」や円卓の騎士の一人としてもお馴染みの名前ですが、実はわたし、このパーシヴァルがコードネームなのか本名なのか、良く分からなかった。そしてキャラクターとしても、彼の真の狙いは若干分かりにくかったように思う。MI6ベルリン支局の男でロレーンに協力しているように見えるが実は……な展開。そしてその実は……も、さらに実は……とミスリードを誘う複雑なキャラ。
 ◆デルフィーヌ:演じたのは、最近いろんな作品に出て売り出し中のSofia Boutella嬢。とにかく太くキリっとした眉毛が魅力的なフランス美女。あれっ!? マジかよ!? Wikiによるともう35歳だって。完全に20代だと思ってたのに! 今回彼女も脱いでおりまして、Theron様との百合Hのお相手が彼女です。フランスDGSEのベルリン支局所属(?)。大変セクシーな美女であったけれど残念な結末に。
 ◆メルケル:ロレーンを支援する現地工作員。わたしは彼もどこに所属している男なのか、若干良く分からなかった。ドイツ人であることは間違いないけど、東ドイツ人なのか西ドイツ人なのか、実はわたしには良く分かっていない。たぶん東ドイツ人で、西側のスパイをしているってことだと思うけど、どうなんだろう。演じたのは、Bill Skarsgård氏27歳。その名の通りスウェーデン人。彼は、2週間後に日本で公開となる『It』で、あのペニーワース(あの超おっかないピエロ)を演じているので、わたしとしては超注目です。
 ◆スパイグラス:東ドイツシュタージ所属、だけど西側のスパイ。演じたのはEddi Marsan氏。この人は、Robert Downey Jr.氏版の『Sherlock Holmes』でレストレード警部を演じた方すね。
 ◆エリック・グレイ:MI6幹部。ロレーンの上司。イマイチ使えない奴(?)。本作は、ある事件の当事者としてロレーンを聴取をしているのが現在時制で、その事件そのものが聴取中の回想として描かれる形式になっていて、チョイチョイ、この聴取側であるエリックが出てくる形になっているのだが、それが若干、物語のテンポを悪くしているように感じた。演じたのはToby Jones氏。まあ、特徴のある顔なので、結構いろいろな作品でお馴染みですが、そうだなあ、わたしとしては、彼はやっぱり『CAPTAIN AMERICA』に出てくるヒドラの悪い博士役が一番覚えてますな。
 ◆カーツフィールド:ロレーンの聴取に同席するCIAの男。作戦中、CIAはほぼ関係していないのだが、実は……という展開。演じたのはJohn Goodman氏。それこそそこらじゅうの作品に出ているベテランですな。

 最後に、監督についてメモして終わりにしよう。本作を撮ったのはDavid Leitch氏。もともとスタントマン→スタントコーディネーターとしてのキャリアが長い人で、数多くの作品に参加しているらしいが、監督としては、クレジットはされてないけれど、わたしの大好きな『John Wick』を共同監督した方だそうですな。単独監督作品としては本作が初めてだそうで、そのアクションはスタントマン出身だけに、大変見ごたえはあります。何と現在、『DEADPOOL2』を制作中だそうですね。

 というわけで、結論。
 実はわたしは、本作は『John Wick』女版、的な凄腕暗殺者が活躍する物語かと思いきや、意外と正統派なスパイアクションであった。しかし、キャラの行動が若干わかりづらく、ちょっと盛りすぎな脚本だったようにも感じ、観終わった後、何となくキレが悪かったな、と感じたのである。しかし、そのアクションや演出、背景に流れる音楽など、センスはかなり上質であったことも、また確かであろうと思う。でもなあ、わたしの好みではなかったかな……わたしとしては、『John Wick』のような単純一直線なお話の方が好きだし、もっと主人公には、何もかもお見通しだぜ的な頭のキレる人物像を期待したかったす。なので、結論としては、若干イマイチだったかも、というのがわたしの偽らざる感想です。以上。

↓ ジョンさんは最高です。早く「3」が観たいすなあ。


 全くどうでもいいことなのだが、わたしは実のところ、今までに病院に行ったことがない。いや、それは極端な言い方なので正確に言うと、もちろん歯医者や健康診断とか、あるいは子供の頃の風疹だとか、そういう場合には当然病院へ行っているのだが、体調不良だとか、風邪とか、そんなもので病院へ行ったことがない、ということである。病院へ行くほどの怪我もしたことないし。
 ただ、そんな頑強なわたしでも、もはやアラフィフのおっさんなわけで、ここ10年ぐらいは、年に1回か2回程度は風邪を引くようになり、場合によっては熱が出てブッ倒れることもある。そんなわたしが、どうも昨日の朝、目が覚めたところで、のどに違和感があって、くそ、コイツはやっちまったかも、と思いながら出社して仕事をするうちに、のどはそれほど痛まない代わりに、今度はどんどんと鼻タレ状態になってきた。なので、昨日はどうも午後からは、鼻をすすることが多かったわけである。
 と、以上はいつも通りのどうでもいい前振りである。
 昨日わたしは、そんな若干の体調不良ながら、冷たい雨の中、日比谷の東京宝塚劇場へ推参し、愛する宝塚歌劇団の宙組公演『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~/クラシカル・ビジュー』を観てきたわけである。今回の公演は、宙組TOPスター朝夏まなとさん(以下:まぁ様)の退団公演であり、わたしても非常に淋しく、これで見納めか……と冷たい雨&若干の体調不良&退団公演、というコンボによって猛烈にしょんぼりというか、淋しいなあ……という気分になったのであった。

 まぁ様は、以前も書いた通り、実はわたしは花組時代をほぼ見ておらず、宙組に異動になった1作目『銀河英雄伝説』(2012年)を観た時から、赤毛のジークでお馴染みのジークフリート・キルヒアイスを演じたまぁ様を気にするようになった。元々わたしはオタク野郎として長大な『銀英伝』を何度も読んだことがあたので、最初からジークに注目していたのだが、実に、まぁ様の演じるジーク振りが良かったのである。なので、観た翌日、チケットを取ってくれたわたしのヅカ師匠に、「いやあ、朝夏まなとさんという方が特に良かったすねえ!」と報告したところ、「あら、さすがお目が高いわね、まぁくんは今後確実に宙組を引っ張る人材よ。今から応援するのはとてもいいことだわ」とほめられたのをよく覚えている。以降、たぶんわたしは宙組の大劇場公演はずベて観ているはずだ。そして、当時、わたしが一番応援している星組から宙組に異動になってTOPに君臨していた凰稀かなめさん(雪→星→宙へ移動を経験したお方)よりも、実はまぁ様をずっと見つめてきたのである。
 そのまぁ様は、2015年に晴れてTOPスターに登りつめ、「宙組の太陽」として組をまとめてきたわけだが、いよいよ今回退団・卒業を決心されたわけで、わたしとしてはその最後の雄姿を見届ける義務があろう、というわけで、昨日はいろんな想いを抱きながら劇場へ向かい、舞台を見つめてきたのである。はあ……やっぱり……ホントに淋しいすね……。。。くすんくすんしていたのは、悲しかったことと鼻タレ状態だったことの両方です(以上、前振りの回収完了)。
 しかし、物語は退団公演という雰囲気はあまりなく、実にまっとうなストレートプレイとでもいった方がよさそうな作品で、歌も最小限だったし、正直に言うと、もうチョイ華やかさとか、歌と、それからまぁ様最大の持ち味とわたしが考えているダンスを見せてもらいたかったような気も、若干している。これは今年の雪組の『幕末太陽伝』でも感じたことだが、なんか……うーん、もうチョイ、サヨナラ感があってほしかったような……何しろ、わたしは去年の今頃観た、星組の当時のTOPスター北翔海莉さん(以下:みっちゃん)の退団公演『桜華に舞え』で激泣きしたわけで、あの内容は、明確に、想いを次世代へ託す、というものだったので、そこにみっちゃんの気持ちを重ね、そしてその想いを継ぐ現在の星組TOPスター紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)の、「おはんが伝えたかった”義”と”真心”、おいが預かった――ッ!」という絶叫に、ウルトラ激泣きしたわけである。
 ただ、そういうスペシャル感は薄いものの、作品としては実に面白かったし、各キャストの演技も素晴らしかったと、その点では絶賛したいと思う。なにしろ、日本では若干マイナーな、ロシアのロマノフ王朝没落のお話である。わたしも、皇帝ニコライ2世や、”怪僧”と呼ばれるラスプーチン、あるいは皇女アナスタシアとか、そういった有名な人物や、最後はロシア革命によって皇帝一家全員虐殺されるという事実は知ってはいても、ラスプーチンを暗殺した男ドミトリー大公なる人物のことは知らなかった。今回、TOPスターまぁ様が演じたのが、まさしくこのドミトリー大公である。そして、2番手スターで次期TOP就任が決まっている真風涼帆さん(以下:ゆりかちゃん)が演じたフェリックスもまた、実在の人物で、ラスプーチン暗殺チームの一員であることも、帰ってきて調べて初めて知った(なお、フェリックスは本作ではNYに亡命したとなっていたが、本当はパリみたいすね)。そう、登場人物はどうやらことごとく実在の人物のようだ。
 しかしもちろん物語はフィクションであろう。本作では、”怪僧”ラスプーチンによるある種のマインドコントロールによってロマノフ王朝は政治的堕落に至り、崩壊するという物語になっていた。そして問題はラスプーチンなのだが、演じた愛月ひかるさん(以下:あいちゃん)の演技は抜群で、圧倒的な存在感であったように思う。彼の本作での目論見は、要するに虐げられてきた農民として、貴族社会をぶっ壊してやる、その際自分も死んだってかまわない、的な破滅的なもので、実に見応えはあった。なので、芝居としては面白かったけれど、サヨナラ感がなあ……全くないんだよなあ……。宝塚髄一の美人、と呼ばれる怜美うららさん(以下:うららちゃん)も今回で退団なのだが、うららちゃんの芝居やルックスはいつも通り大変良かったけれど、もう少し、希望にあふれる役というか作品でもよかったんじゃねえかなあ……と、それだけがほんの少しだけ、残念だったような気がします。はあ……もううららちゃんにも会えないのか……つらいす……。。。
 というわけで、わたしが気になった役者陣はもう大体触れたけれど、名もなき革命派の若者を演じた桜木みなとさん(以下:ずんちゃん)も非常にカッコ良くて良かったすねえ! いつもは若干可愛い系だったり明るい面白系の役が多いような気がするけれど、今回は実にイケメンでしたよ。また、わたしのヅカ友の娘っ子がファンクラブに入って応援している和希そらくん(以下:そらくん)もいい感じでしたな。宙組も層が分厚くなったすねえ。ここに、次回からは花組から異動でやって来る芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)が加わるわけで、若干、93期の同期あいちゃんとの番手がどうなるのか気になるけれど、まぁ様去りし宙組の、今後ますますの発展を祈念したいと思う。
 で。後半はショー「クラシカル・ビジュー」である。
Bijou01
 写真の通り、「ビジュー」とはBijouと綴るらしい。なんこっちゃ? と調べると、どうやらフランス語で「宝石」のことだそうだ。そこから転じて英語でも宝石とか珠玉、なんて意味で通じるらしい。へえ~。
 というわけで、このレビューショーは、宙から降ってきた宝石が、今再び宙に帰る、的な、こちらはまぁ様の退団を明確に意識したものだったのだと思う。まさしく、まぁ様は明日へと導く太陽だったわけですよ……。こちらでは、まぁ様のダンスが存分に堪能できる構成で、やっぱり、まぁ様の長い手足がピシッと決まるメリハリは実に美しかった。TOPスターになると、本当に痩せるよね……まぁ様もここ数年でとても体も顔も細くなってしまった。けれど、まぁ様のダンスからそのダイナミックさが減じてしまったわけではなく、むしろ研ぎ澄まされてきたとわたしは思っている。重ね重ね、もうまぁ様の黒燕尾が見れないかと思うと淋しさが募りますなあ……。キラキラしてましたなあ……本当に。
 実は、わたしはショーでは、この公演後にわが星組へ異動が決まっている雪華りらちゃん(以下:りらちゃん)をずっと双眼鏡で探して見つめていた。まあかわいいですよ。大変な美人だし。そしてなぜわたしがりらちゃんをずっと観ていたかというと、わが星組で、わたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)と大変仲良しなんだな、りらちゃんは。なんとこっちんのパーソナルBOOK(要するに写真集)にもりらちゃんは登場していて、ひそかにこっちんTOP登極時の嫁候補としてわたしは注目しているのである。ただなあ……まだ、りらちゃんはソロで歌う役をもらえてないので、歌がどうなのか知らないんすよね……いや、わたしが知らないだけだと思いますが、こっちんの嫁には、歌ウマであることが絶対条件だと思うので、星へ異動になったら、ぜひソロ曲を歌う役をもらってほしいと存じます。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「寄生虫は宿主が死ねば終わりだ!! ロマノフにもしものことがあれば、お前も全て失うのがわからんのか!?
 「宿主が死ねば終わりなのは、貴族という寄生虫だろう……
 今回は、このドミトリーとラスプーチンのやり取りが一番グッと来たっすね。一番、本作の核心?と突く場面だったような気がします。はあ……まぁ様……もう会えないなんてさみしいなあ……。

 というわけで、結論。
 宝塚歌劇は、TOPスタが退団して次世代へ繋いでゆく、ということがある意味肝であるのだが、現在東京宝塚劇場で絶賛上演中の『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~/クラシカル・ビジュー』という作品は、宙組の太陽と言われた朝夏まなとさんの退団公演であり、芝居自体は大変面白かったものの、サヨナラ的なスペシャル感は特になく、実に重厚?というか重いお話であった。しかし、マイナーなロマノフ王朝の物語というわけで、わたしとしては俄然興味がわいたので、何かロマノフ者の小説とか、探して読んでみようという気になった。そして、とにかく、わたしとしてはまぁ様退団が淋しくてならない。退団後はどういう活動をするのだろうか。まぁ様は普通に女子としてもちろん美人だし、歌って踊れるミュージカル女優として活躍してくれると嬉しいのだが……まぁ様、これからも応援するよ。どうか今後も、一層の活躍を期待しております! 以上。

↓こちらでは、まぁ様は女子の役で、大変お綺麗です。わたしは劇場には行けなかったけれど、WOWOWだったかNHK-BSだったかで放送されたVerは観ました。
宙組 宝塚大劇場公演DVD 「風と共に去りぬ」
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2013-12-20


 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、今日の東京は大変寒い雨の朝を迎えており、わたしは暑いのが苦手なので、今ぐらいのひんやりぐらいな気候の方が好きなわけですが、気温が25度とかを超えている日々だと、わたしはですね、便座の電源をオフにしているわけですよ。急な話ですが。で、ですね、今日の朝、よっこらせ、と便座に座ったらですね、その冷たさに思わず「ひゃんッ!?」とか、もう完全に不意打ちだったので、飛び上がるぐらいビクッ!としたわけです。すかさず電源オンにして、数秒でじんわりと温まってゆく便座に、ああ、日本って素晴らしいとか思ったわけですが、まあ要するにそれだけ寒くなってきましたなあ、という時候のご挨拶と、最近やけにこの『鮫島』ニュースは海外からのアクセスをいただいているようなので、海外にお住まいの方はこの電熱便座の恩恵にあずかっているのだろうか……とぼんやり思った次第です。はい。
 というわけで、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年47号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシです。紙雑誌版は欅坂の渡邉理佐嬢だそうです。
 ■弱虫ペダル:届いた震動の巻。いよいよ終盤、手嶋先輩最後の覚悟が発動しますよ!
 ■刃牙道:ガラス玉の巻。刃牙の準備も体の方は完了しているようですが……。
 ■BEASTERS:イブは林檎を食べたからの巻。いよいよ最初の食殺事件に戻るのかな。
 ■出陣!昆虫武将チョウソカベ:殿と魔王の巻。ついに第六天魔王様登場です!
 ■囚人リク:完璧の巻。P126とP130の表情の違いが凄いすw
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週、ついに決着のついたVS【天雷】戦。結果は鯉太郎の掬い投げによる勝利で、これで鯉太郎は負けなしの11連勝となりましたが、その一方で、【天雷】は鯉太郎が「その先」へ行ってしまうことを止められず、一人で踏み込んでゆく孤独について行ってやれない自分に涙を流したわけです。そして鯉太郎も、勝利したとはいえ体はもうボロボロ、花道で肩を貸した石川くんも、その、もう終わりが近いという状態に気付いてしまった所までが描かれました。
 今週は、ある男の支度部屋の様子から始まります。
 ある男―――それは【王虎】さんです。付け人が【王虎】さんに、そろそろ、と声をかけ、鯉太郎の様子も【王虎】さんに伝えます。「ちなみに鮫島は…まだ診療所でブッ倒れてるみたいです…」
 それを聞いた【王虎】さんの表情がヤバいすよ。ほぼ1ページブチ抜きに近い大ゴマでつぶやきます。「チッ…失望させる…」
 なんすかもう! のっけからやけにカッコイイすねえ! そして場面はまさしく「ブッ倒れている」鯉太郎を常松や豆助、大吉たちが看護している様子に移ります。こりゃあ、本当にもうヤバいじゃあ済まないのでは……どうも脱水&熱まで出ている模様です。
 そして、客席では椿ちゃんが悲しそうな表情でうつむいています。脳裏に再現されるのは、セクシー女医でお馴染みの美和子先生のあの一言。「彼の体は…もう限界だと思う…よく見ててあげて…手遅れにならないように…」
 そんな、しょんぼりした椿ちゃんの元に、石川大器くんがやってきましたよ! 君は本当に、気が利く青年ですなあ! ちょっと顔貸してくれるか……? と連れ出す大器くん。
 しかし場面は土俵上に戻ります。結び前、【王虎】さんVS非情の【百雲】関の一番です。場内大歓声。NHKアナは虎城理事長に話を振ります。この一番どうですか、と。理事長は、今の【王虎】は心身ともに充実している、けれど、そういう時こそわずかな隙が生まれるかもしれない、結局は、「百雲は己を貫き王虎に侵食できるかどうか…互いの思想…イデオロギーの強さが勝敗を分けるかもしれませんな…」ということらしいです。となると……VS常松戦で見せた通り、【百雲】関はすべてを捨ててでも、非情をもって横綱を倒すという覚悟がもう既に完了しているわけですが、果たして【王虎】さんに通用するのでしょうか……。なんというか、【王虎】さんは、【天雷】のいう「孤独」に、とっくに足を踏み入れて、一人で横綱【泡影】への道=相撲そのものの道、を切り開いているような気がします……。この取組もやっぱり大注目ですなあ!
 そして描写は、国技館の外に出た椿ちゃんと大器くんに移ります。大器くんは、さっき鯉太郎に肩を貸したときに気づいたことを、椿ちゃんに伝えます。どうもあれは、あまりにも自分と同じ、すなわち「慢性外傷性脳症」かもしれねえ、と。今、Wikiで初めて知りましたが、いわゆるボクシングの「パンチドランカー」として我々が知っているこの症状は、死後の脳の病理学的検査でしか診断することができないんだそうです。ともあれ、椿ちゃんは大ショック。あんなに相撲に一途で、あんなに相撲が大好きな奴なのに、なんで、どうしたらいいの……と悲観に暮れるしかありません。大器くんは言います。アイツのことだから、きっと誰にも言わない、たとえ兄弟弟子や親方にも。そして何より、今、鯉太郎がそういう体の変調があったとしても、自分から止まることはないだろう、なぜなら、今の鯉太郎の相撲は、「一番一番良く…いや……えげつねーほど 凄くなってる…」のだから、と。この先、大器くんの長い独白が続きますが、泣けるので引用します。
 「俺には…鮫島がいた…だからここで止まることが出来た… アイツも土俵なら止まれる力士がいるかもしれねえ…でもよ…椿ちゃん…君なら土俵の外から 唯一鮫島を止められるんじゃねーかな…(略) アイツ アホだろ…もし俺と同じなら多分1人で抱えてると思うんだ…なっさけねーけど…俺には何もできねーから…もう土俵を降りちまった俺には…止めてやることも隣に立ってやることも出来ねーから…ダチなのに…だから椿ちゃん…悪ーけど…本当…なっさけねーけど 頼むわ…鮫島を…孤独に突っ走らせないでくれ…頼む…」
 まあ、つまり大器くんも【天雷】同様の気持ちなわけですが、しかし仮に椿ちゃんが止めても、鯉太郎は止まらないでしょうし、そもそも、椿ちゃんも最終的には行ってらっしゃいと送り出すような気がしますね……これは来週以降が大変楽しみ? というか、気がかりですなあ……。
 さて、土俵上では、時間いっぱい、いよいよハッキョイ直前です。場内は、【百雲】関へのひどいブーイングが響いています。しかしそんな中でも【百雲】関はいつも通り、フン…とお構いなし。そんな【百雲】関へ、【王虎】さんが声をかけて今週は終わります。
 「おい……つまらねー相撲取るんじゃねーぞ…俺は今…」
 そしてページをめくると! 1ページブチ抜きの【王虎】さんが!
 「機嫌が悪い……」
 やっばい!! 【王虎】さんが激怒してます!! そしておっそろしくカッコイイ!! さんざん悪党だった【王虎】のくせに!! 【王虎】さんが何に対して怒っているのか、それは恐らくは鯉太郎に対してでありましょう。「相撲に選ばれた」【王虎】さんにしてみれば、「天雷との取組ぐれーでへばってんじゃねえよ、アホが!」ぐらいな気持ちなのかもしれません。【王虎】さんにとっては、鯉太郎はラスボス横綱【泡影】への重要なアイテム、これを取らないと【王虎】さんの考える相撲道はエンディングを迎えられないということでしょうか。まさしく修羅道ですなあ……! この怒れる【王虎】さんに、【百雲】関の”非情”は通じるのか!? わたしとしては、久しぶりに凶悪【王虎】さんの相手の腕をへし折る勢いの小手投げが見たいすねえ! 来週がもう楽しみでならないす! 
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。   
 今週からは「その後」が始まりましたが、描かれたのは2つ、ひとつは【天雷】に勝利はしたもののブッ倒れた鯉太郎を心配する石川大器くんが、椿ちゃんに想いを託し、縋る姿です。悲痛ですなあ……。そしてもう一つは、【王虎】さんの怒り、でありました。果たして椿ちゃんは鯉太郎を止められるのか、そもそも止めようとするのか、そして怒れる【王虎】さんは、その怒りを半ば八つ当たり的に【百雲】関にぶつけ、あっさり勝つのか、それとも【百雲】関の”非情”が隙をつくのか、と大変ドキドキな展開であります。恐らくは、椿ちゃんとともに、師匠である【仁王】兄貴こと現・空流親方も、当然事態を察しているでしょうから、ひょっとしたら鯉太郎へ「どうすんだ?」が発令される事態もあり得るのかもしれません。しかし、椿ちゃんでも、親方でも、鯉太郎を止められないでしょうなあ。止められたら物語終わっちゃうし。椿ちゃんや大器くん、そして常松や白水兄貴、親方といった部屋の家族たちの想いを、鯉太郎はどう受け止め、さらに「その先」へ征こうとするのか。そこがどうやら一番のポイントになりそうですなあ。はあ……どういう形で完結を迎えるにせよ、泣くしかないすねえ……。最後まで、応援したいと存じます。以上。

↓ やっぱり、どうしても矢吹丈が重なりますなあ……全巻まとめ買いするか……映像も最高す。「好きなのよ矢吹くん!あなたが!」という葉子お嬢様の声が脳裏に響きます。。。

劇場版 あしたのジョー2 [Blu-ray]
あおい輝彦
バンダイビジュアル
2016-07-22

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 つーかですね、今日の東京は寒い! うっかり普通な(?)服装で出社してしまったため、大変寒いす。今日はもう、会社に常備してあるジャージをずっと着用してました。そしてこの週末は、『猿の惑星 聖戦記』を観てまいりました。意外と混んでいましたが、お客さんはもうホントに明らかにシニアな方が多く、若い映画好きな少年少女の姿は一切なかったのが若干しょんぼりですが、映画は大変楽しめました。もう、ホントに生きている実物にしか見えないCGのクオリティがすさまじいす。
 では、さっさと興行通信社の大本営発表をメモっておきます。

 1位:『劇場版Fate / stay night [Heaven's Feel]』が初登場1位、しかも稼いだ金額は4.13億と大変立派な数字での1位だったそうです。すごいなあ。そういや土曜にわたしが行ったシネコンは、この作品の物販アイテムはことごとく品切れになってたす。なお、さっき「Fate売れてるねえ」と周りの人間に言ったら、「そんなの、スマホゲームの特典目当てですよ、モンストと一緒で最初だけなんじゃないすか?」と冷たく言われました。真偽のほどは知りませんが、来週の数字がどうなるか、気になりますな。
 2位:『猿の惑星 聖戦記』が公開土日で2.01億稼いだそうです。金曜からを含めても3億は届いてないのかな。お話的に完全なる続編なので、前作『猿の惑星 新世紀』および前々作『猿の惑星 創世記』を観ていることが本作鑑賞の絶対条件だと思います。わたしとしては最初の『創世記』は相当な傑作だと思っております。
 3位:『アウトレイジ 最終章』が9日間で10億チョイ届かずの9億チョイ、と見積もる。なかなかいい動向のようで大変うれしく存じます。『ビヨンド』の数字は超えそうすね。
 4位:『ナラタージュ』が9日間で6億程度と見積もる。7億までは行ってないのでは。どうだろう。ややおとなし目な数字だろうか。
 5位:『亜人』が16日間合計で10億を突破したそうです。こちらも、ややおとなし目な推移か? そういや先週、やっと最新刊の(11)巻を買いました。そろそろ飽きたかも……とか思っていたけれどやっぱり大変面白かったす。
 6位:『僕のワンダフル・ライフ』が17日間合計で6~7億だろうか。でも洋画でこの数字は決して悪くないと思いますが、いかがでしょうか。わたしも非常に観たいけれど、まずは原作小説を読むことにします。
 7位:『ナミヤ雑貨店の奇跡』が23日間合計で10億手前、9億チョイぐらいと見積もる。
 8位:『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち/第三章 純愛編』が公開土日で0.5億とかそのぐらいなのでしょうか。劇場限定公開&BD発売&各配信サイト配信開始、なアニメが増えてきましたなあ。実は一番儲かる形じゃなかろうか? 物販もあるし。TV&BD&配信よりずっとしっかり稼ぐような気がしますね。
 9位:『ドリーム』が17日間合計で3億程度でしょうか? 徐々に劇場数が増えてるのかな? こちらも観たいのだが、どうしても時間が合わない……ぐぬぬ……。
  10位:『恋と嘘』が公開土日で数千万、というところだろうか。マンガボックス連載→単行本は講談社、のコミックスすね。アニメが先月終わったところかな。紙雑誌連載漫画じゃない作品もどんどん映像化される時代すねえ……。

 とまあ、こんな週末だったそうです。
 さて、わたしは来週は『ATOMIC BLONDE』を観る予定です。予告で流れている「KILLER QUEEN」が超イカしてますなあ! そして敢えて予告編ではなく、QueenのプロモPVを貼っておきます。いや、違法動画ではなく、Queenのオフィシャル動画がきちんとUPされてたので、自分用として。

 わたしはまた、『John Wick』の女性版的な物語かと思っていたのですが、どうもそうじゃなく、主人公のロレーンは、スパイ、みたいすね。殺し屋じゃなくて。しかも時代はベルリンの壁崩壊直前の1989年だっていうのも非常にそそりますな。大変楽しみであります! そしてまったく関係ありませんが、もしスタンド能力を身につけるなら何がいい? と聞かれたら、わたしは「そんなのキラー・クイーンに決まってるぜ!」と答えると思います。

 というわけで、結論。
 この週末は、最初のゲームの発売から13年もたっているのにいまだに大人気な『Fate/stay night[Heaven's Feel]』が4億稼いで堂々の1位でした。まあ、来週以降の数字がどうなるか気になります。そしてわたしが観に行った『猿の惑星』は2億稼いで2位でした。ほんと、最近全然劇場で若者を見かけないすなあ……。ま、わたしの趣味は完全におっさんだってことでしょうな。残念す。以上。

 『猿の惑星』といえば、わたしのような40代後半のおっさんとしては、当然オリジナルのCharlton Heston氏が主演した、ラストに自由の女神が現れ、なんてこった、ここは地球だったのか! で終わるあちらを思い出す人の方が多いだろう。もしくは、フランス人のPierre Boulle氏が執筆した原作小説の方かもしれない。わたしはもちろん、オリジナルの映画版シリーズを全て観ているし(もちろんテレビで。さすがに劇場に観に行った年代じゃあない)、原作小説も読んだ。原作小説は、宇宙を旅する語り手が、たまたま宇宙で拾った日記(?)を読んで、うっそだろこんなことありえないよ、なあ? と実はその語り部も猿だったというオチだったと思うが、映画も原作小説も大変面白かったと記憶している。
 その後、この『猿の惑星』というIPは、かのTim Burton監督によって一度リメイクされ、物語的にはオリジナルの映画第1作をアレンジしたものだったが、はっきり言ってあまり面白くはなかった。それが2001年のことである。そしてさらに10年の時が流れ、再び『猿の惑星』は新たな映画となって登場した。それが、2011年に公開された『RISE OF THE PLANET OF THE APES』である。
 この新たなシリーズの第1作は、しいて言うと、オリジナル映画シリーズの第3作目の『新・猿の惑星』に物語的には近くて、地球がいかにして猿の惑星となってしまったか、の(時間軸的に)一番最初のきっかけを描いたものだ。なお、オリジナル映画シリーズについて書き始めると超長くなるので、ごく簡単にメモしておくが、この『新』は、未来(の猿の惑星となった地球)からタイムスリップしてきた猿が、現代地球に現れるという話だったのに対し、『RISE~』の物語の流れは完全に独特で、『RISE~』においては、アルツハイマー病のために開発していた新薬によって、猿が知能を得てしまうという物語で、実に現代的かつあり得そう、と思わせる見事な脚本であった(いや、まあ、あり得ないけど)。わたしはこの『RISE~』という作品は大変な傑作だと思っている。
 しかし、続くシリーズ第2弾『DAWN OF THE PLANET OF THE APES』は、若干無茶? な設定で、なんと人類は「猿インフルエンザ」なる謎の病気が蔓延して大半が死に絶えてしまい、残った人類と猿たちの戦いが描かれることになった。そこでは、主人公たる知能の高い猿「シーザー」と、人間を深く憎むが故に、人間との宥和を模索するシーザーを許せない猿の「コバ」の対立なんかもあって、人間VS猿VS猿というように若干対立関係が複雑になってしまって、憎しみが憎しみを生んでいくという悲しい連鎖が結論のないままに終わってしまった印象を受けた。
 ただし、この『RISE~』も『DAWN~』も、とにかくすごいのが「猿の表情」で、フルCGなわけだが、もう本当に本物にしか見えないクオリティが凄まじく、とにかく一見の価値のある凄い映画だったわけである。
 というわけで、昨日の金曜から、シリーズ第3弾となる最新作『WAR FOR THE PLANET OF THE APES』が公開になったので、わたしも今日、さっそく観てきた。結論から言うと、やっぱり若干微妙な点はある、けれど、きっちり物語は向かうべき地点へ向かい、そしてわたしとしては一番気になっていた「憎しみの連鎖を断ち切ることが出来るのか」という点にも明確な回答が示されており、わたしとしては、やっぱり面白かった、というのが結論である。観に行ってよかったわ。これは凄い映画だと思う。なお、この作品単独では全く意味不明です。前2作を観ていることが、本作を観る絶対条件であることは断言してもいいと思う。
 以下、ネタバレ全開になると思うので気になる方は読まないでください。

 なお、新シリーズは、それぞれ妙な日本語タイトルがついている。
 第1作『RISE~』→猿の惑星 創世記(ジェネシス)。これはまあ許せる。75点。
 第2作『DAWN~』→猿の惑星 新世紀(ライジング)。微妙……。30点。
 第3作『WAR~』→猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)。これはナイな。作中で、これは聖戦だ、というセリフがあるにはあったが、グレート、は明らかに変だよ。辞書的には、Great Warは第1次大戦のことらしいすね。この日本語タイトルは0点だと思う。
 ま、そんなことはともかく、『WAR~』である。
 わたしは、前作までの流れから言うと、前作において、主人公猿シーザーは「猿は猿を殺さない」という猿の掟を破ってしまい、さらには人間に対する憎しみの連鎖もある中で、いかにして落とし前をつけるのか、に最大のポイントがあるのだろう、と思って劇場へ向かったのである。確かに、喧嘩を売ってきたのは人間だし、仲間の猿のコバだ。だから、シーザーは悪くない、という見方はあまりに浅すぎるだろう。しかし、このままでは永遠に殺し合いが続いてしまうし、リーダーとして、猿の掟を破ったことに対して何らかの落とし前をつける必要があるはずだ、と思ったのである。
 結論から言うと、本作では、この点に対し、見事に回答を用意していたと言えると思う。
 シーザーは、やむをえなかったとはいえ、前作でコバを殺してしまったことに、本作でもずっと心を痛めている。あまつさえ、後半では一番の理解者であるオランウータンのモーリスにも、あんたはコバと同じじゃないかとなじられてしまう。それは、冒頭で、せっかく生かして解放してやった人間に裏切られて、あまつさえ愛する妻と息子を「大佐」に殺されて、恨みの念にとらわれていたためでもあるのだが、それでも、シーザーは、葛藤する。これでいいのかと。
 その悩みぶりがもう完全に猿ではなく、人間そのものなわけで、そこが本作の一番の見どころなわけだが、その演技、そしてそのCGがとにかく本物にしか見えず、まったく違和感がないのがとにかく凄いのだ。そしてなんといっても、シーザーの「赦し」が心に刺さるのである! シーザーは、人間が始めた戦争を、赦しで解決しようとするのだ。
 我々現生人類がどうしてもいまだに「憎しみの連鎖を断ち切る」ことができずにいるのは、世界中で起きている戦争やテロを観れば誰も反論できないだろう。自分は大丈夫なんて思っている人っているのかな? 目の前で、自分の大切な人が殺されて、その相手を赦せるわけないよね。そりゃあ、時間をかければ、なんとか赦せる境地に至ることが出来るかもしれない。でも、どうしたって時間が必要なのは明らかだろう。しかしシーザーは、人間以上の理性?を総動員して赦すのである。わたしはこの赦しに、非常に驚いたし、結構グッと来てしまった。もう、はっきり言って感動させようとする制作側の意図はあからさまで、音楽もそれっぽくて、ひねくれもののわたしなら、ケッ!とか言ってもおかしくないはずなのに、グッと来てしまったわけですよ。それはきっと、やっぱり人間にはまだできないことだと感じたからなのだろうと思う。
 おまけに、本作では、前作から出てきた、若干狂っている「大佐」が、なぜ狂っているのか、についてもきとんと説明されていて、わたしはとても驚いた。なんと、「猿インフルエンザ」の副作用?で、人類が発話能力を失いつつあるらしく(おまけに知性も失いつつある?)、このままでは、体力的に猿に勝てない人類は、完全に家畜に成り下がってしまう、ゆえに、保菌者の人間は殺すしかないし、猿も生かしては置けない、ということだったらしい。そう、大佐には大佐の明確な正義があったのだ。何だ、そういうことだったんだ!? と激しくわたしはびっくりした。それを知っていれば、わたしは結構大佐の行動は理解できるというか許せてしまうような気すらした。シーザーは、そういった大佐の事情も考慮して、赦すのである。しつこいけれど、これは凄いことだとわたしは思う。
 ただ、まあ、映画としては、シーザーが赦しても人間サイドが赦すわけないじゃん、このまま戦争が続くのか? と思うところで、巨大な雪崩が発生し、人類軍全滅、となって終わるのだが、この結末は、まあ、若干アレだったかもしれないすね。そしてその後、猿たちが新天地に到着して物語は終わるわけだが……わたしが本作で、実はどうも良く分からないのが、今回出てくる人間の少女についてだ。たしかに、非常に可愛らしく、人間と猿の将来においては、きっと重要なカギになるのだろう、という想像はできるものの、実際のところ、本作の中では、若干お飾り的であったような気もする。そりゃあ、たしかに、ゴリラのルカが、そっと少女にお花を挿してあげるシーンなんかは、実に美しい。そしてラストで猿たちと無邪気に戯れる少女の姿は、良かったね、という安堵も感じる。けどなぁ……やっぱりこれもあざといというか、制作側のしたり顔が想像できちゃうんだよなあ……シーザーには大感動したわたしだが、この少女に関しては若干辛目の観方しかできなかったのはなぜなんだろう。いまだに謎です、はい。
 
 というわけで、なんだかまとまりがないので、監督についてと、感動的な猿たちを演じた役者についてメモして終わろう。まず、監督はMatt Reeves氏が前作『DAWN~』に引き続き続投。この監督は、わたしの中では傑作認定されている『CLOVER FIELD』と『LET ME IN』の監督なのだが、かのJJ Abrams氏と学生時代からの友達ということでも有名ですな。本作では、演出面でとりわけここがすごい、というポイントはあまりないけれど、とにかくCGの出来、端的に言えば猿たちが物凄いクオリティであることは誰しも感じるだろう。すべて、役者に演技をさせて、モーションキャプチャーで猿に変身させているわけで、オリジナル映画シリーズのような着ぐるみ感は一切なし。完全に生きているようにしか見えないすさまじい質感はやっぱりお見事だ。
 そしてその迫真のモーションキャプチャーでの演技を披露しているのが、もうそこらじゅうのモーションキャプチャーキャラを演じまくっていることでおなじみの、Andy Serkis氏だ。Serkis氏が演じたモーションキャプチャーキャラを列挙すると、まず、その名を一躍有名にしたのが『The Lord of the Ring』のゴラムだ。あの、指輪の元の持ち主で呪いにかけられた素っ裸の小さいおっさんですな。そして同じくPeter Jackson監督の『KING KONG』でも、コングを演じているし、ハリウッド版ゴジラもこの方、そして最近では、新生『STRA WARS』の恐らくはラスボスと思われる「最高指導者スノーク」もこの方が演じているわけで、もはや素顔の方が全然お馴染みではないだろう。とにかく、その彼が主人公猿シーザーを演じているわけだが、怒り、苦悩し、葛藤するその表情は、猿なのにまったく違和感がなく、さすがのSerkisクオリティだったとわたしは絶賛したい。
 あともう一人、凄いと思ったのが、シーザーの理解者、オランウータンのモーリスを演じたKarin Konovalさんだ。さっき調べて女性であることを知って驚きです。主にTVで活躍されている女優さんのようですな。このモーリスは、シリーズ3作すべてに登場してきたけれど、物静かで知性があふれているキャラで、実にその演技ぶりは見事だと思う。やっぱり、猿とはいえ重要なのは「目」なのかな……とにかく素晴らしい演技だったと思う。
 最後。わたしがどうもわからなかった、人間の少女を演じたのがAmiah Millerちゃん13歳。2004年生まれだそうです。あ、すげえ、TwitterとかFacebookとか盛んにやってるみたいだな。綺麗な顔してるよね……。すくすくと育っておくれ……。


 というわけで、もうホントにまとまりがなくなってきたので強引に結論。
 新生『猿の惑星』シリーズ第3作『WAR FOR THE PLANET OF THE APES』を観てきたのだが、本物にしか見えない猿たちの映像的な凄さはもう間違いない。そして、わたしは今回、けじめをつけた主人公猿シーザーの、「赦し」にかなりグッと来た。人類には、いつか憎しみの連鎖を断ち切ることが出来る日が訪れるのだろうか? わたしはそんなことを考えながらこの映画を観ていました。まあ、少なくともわたしが生きているうちに、世界から戦争がなくなることはないだろうし、下手したら生きているうちに身近で戦争が起きるかもしれないし、そういう意味では人類はまだまだ、進化の途中なんですかねえ……それとも進化の停滞にあって、これ以上の進化は望めないかもしれないなあ……だとすると、いつか、新たな地球の支配者となる「種」が現れてもおかしくないかもなあ……などと想像しつつ、気分が重くなりましたとさ。以上。

↓ わたしとしては、オリジナル映画シリーズでは第4弾のこれがやけに好きです。シーザーが、自分の名前を本で(辞書?)指さすあのシーンが忘れられない。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 今週は体育の日の休日から、ずっとせっせと『弱虫ペダル』の(1)巻から最新話までを読んでいたのですが、もう何度目になるか分からないですけど、ホントに何度読んでも面白いですなあ。やっぱりインターハイの1年目、2年目ともに、3日目になってスプリンターが仕事を終えて下がっていくところは何度読んでも泣けますね。鳴子くんのセリフにある通り、「クソカッコエエッス!!」てやつです。鳴子くん自身もカッコイイですけど。そして現実の自転車ロードレースの世界は、先日ロード世界選手権が行われ、人気者のピーター(ペテル)・サガン選手が前人未到の3連覇を達成し、来年も一年間「アルカンシェル」(=世界王者のみが着用することを許される「虹色ジャージ」)を着ることになりました。5週前の『ペダル』で、泉田君の左上脚筋の名前として挙がった「ペテル」のことっすね。というわけで、現実世界のロードレースはほぼシーズンオフに突入、残りは2週間後のジャパンカップぐらいなわけですが、なんと今年のジャパンカップには、わたしがずっと応援してきて今年で引退を表明しているアルベルト・コンタドール選手が来日するそうで、マジで会場の宇都宮に行こうか超悩み中のわたしであります。
 というわけで、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年46号概況です。今年も残り僅かになってきましたなあ。
 ■巻頭グラビア:牧野真莉愛嬢。モー娘。の方だそうです。大変極上です。
 ■弱虫ペダル:総北の旗の巻。ヤバいす。手嶋先輩の最後の雄姿にまた泣きそうす。
 ■刃牙道:原始人とサムライの巻。武蔵とピクルの語らいです。言葉はないですが。
 ■BEASTERS:細い煙に耳澄ませの巻。おおっと!新キャラ登場ですよ!!しかも蛇!
 ■囚人リク:攻防の巻。今週も基本的に「イヤー」「グワー」的展開でした。
 ■東京野球少女百景:読み切りです。以前も短期集中(だっけ?)で登場された水森崇史先生の短編ですが、大変イイですな。Twitterで大人気なんですと。へえ~。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週ラストはとうとう決着のついたVS【天雷】戦。今週は、その結末に静まり返る国技館の様子から始まります。誰もが息をのみ、静まり返り客席。椿ちゃんも、大器くんも、常や【白水】さん、虎城理事長、皆があっけにとられるというか、呆然とする中、【王虎】さんは若干大きめのコマで、フン……的な表情。そしてNHKアナの絶叫をきっかけに、場内は再び割れんばかりの歓声が上がります。「勝負あり―――!! 勝ったのは鮫島―――!!」
 そしてNHKアナと、虎城理事長の解説が続きます。
 「渾身の力で合掌捻りにいった天雷! 勝負あったかに思えた刹那 これ以上ないタイミングで鮫島が掬い投げ――!」
「その体格差から天雷は確実に潰しに行きました…しかし鮫島はそれを気迫だけで押し返した…天雷の敗因は一気に勝負を決めにかかった投げ…そして鮫島の勝因は天雷にそうしむけたということでしょうな…壊れてもいいという覚悟で…」
 合掌捻り……聞いたことのある決まり手だと思って、思わずググってみると、そうでした、かのウルフマンの必殺技の一つでしたね……。しかしこの理事長の解説を聞くと、じゃあ、【天雷】はあのサバ折りめいた締めでそのまま鯉太郎に膝を付かせようとしていれば勝てたかも、そしてそうせずに、投げを打たせたのは、必死の抵抗によって、【天雷】に、分かった、もう俺が終わらせてやる、と思わせた鯉太郎の「壊れてもいいという覚悟」の上での作戦ってことなんでしょうか? でもまあ、それは結果論で、鯉太郎が意識してやったことではないでしょう。鯉太郎が意識していたのは、ただ全てをぶつけることだけ、だと思います。
 そして敗れてしまった【天雷】は、涙を流します。何故か? それはおそらく、「悲しいから」だとわたしは受け取りました。【天雷】の心の独白をちょっと聞いてみましょう。
「出来ないんだよ…頭でどんなに理解しても…鮫島…お前のようには普通…出来ないんだ…クソ…言いたくないが…思いたくないが…どうしても頭に浮かんでしまう…お前は…異常だ…そうやってお前はずっと…土俵(ここ)で1人でずっと…すまない…俺はお前の隣に立ってやれなかった…すまない…オレにお前を止めてやれる力がなくて…すまない…孤独にさせてしまって…すまない…」
 この何とも悲し気な独白の間、描かれるのは、鯉太郎が半ば意識を失いつつある表情で、ゆっくり、ゆっくり、ようやく立ち上がり、【天雷】に背を向けて、土俵の西へ戻る、という、なんというか非常に孤独を感じさせる姿です。勝ったのに、そこには何の歓喜もないような、ひどく胸に来る絵ですよ。そんな、ひとりぼっちの鯉太郎に抱く【天雷】の悲しみが、わたしの胸にも響きます! これは泣けますなあ……! ここが今週のクライマックスと言ってもいいように思えます。
 そして場面は再び歓声に沸く場内とNHKアナの実況が描写されます。「下がる天雷の目に涙が見えます それだけ天雷もこの同期戦に思い入れがあったのでしょう!」当たり前だ! でも天雷の涙はもっといろいろなもんが溢れてるっつーの! 余人にはわからないものなんすよ! そして優勝も見えてきた鮫島、という実況に、こっ…こっ…こっ…こりゃああるぞおい…もしかしたらもしかするぞ…と空流後援会の皆さんも大興奮、椿ちゃんに話を振りますが……椿ちゃんは涙をたたえてつぶやきます。
「いえ…何か…何か凄く残酷に見えて…」
 そして花道を引き揚げる鯉太郎。石川大器くんが「オウ…いい取組だったぜ…鮫島…」と声をかけますが、当の鯉太郎は意識朦朧。大器くんはとっさに、こ、これはと事態の深刻さを悟ります。多くの記者たちが鯉太郎を囲んでインタビューをはじめようとしますが、すかさず大器くんは鯉太郎に肩を貸し、わりーけど…後にしてやってくれよ…と鯉太郎を抱えて引き揚げます。そしてようやく大器くんに気が付く鯉太郎。大器くんは努めて明るく言います。
「バカヤローが…俺の張りパクりやがって…でも甘ーな…俺なら一撃で決めてたぜ…」
「うるせー…」
「ハハッ…んな口が利ければ大丈夫だな…」
「そう言う石川(オマエ)は…今日…勝ったのかよ…」
 な、なんつった鯉太郎、お前……!? わたしはそう思い、大器くんもそんな表情です。おい、鯉太郎、お前……!? 大吉も困惑の表情で、なっ何言ってんですか、飛天翔関は引退したじゃないですか、とフォロー。それにも鯉太郎は「……あぁ…そうだっけ…」と分かっているのかいないのか、ぼんやりとした返事のみ。そして大器くんは気が付きます。抱える鯉太郎の右手が、カタカタカタと震えていることに……。まさか、という表情で大器くんは「鮫……島…お前……」とつぶやいて今週は終了、でありました。
 ああ……こりゃあマズイ、こりゃあマズイっすよ……。わたし、実は今週号は今日のAM01:20頃に読んだのですが、その後寝ても、なんか『鮫島』の夢を見ちゃったぐらいす。よく覚えてませんが。本当なら、果たして鯉太郎の次の相手は誰なんすかねえ! と無邪気に盛り上がるつもりでしたが、こりゃあマズイなあ……はあ……あとまだ4番残っているのですが、果たして鯉太郎は持つのでしょうか? まだきっと確実に【猛虎】さんと【王虎】さんとの取組もあるはずだし、そして相撲そのものを体現する横綱【泡影】との闘いもきっとあるはずで、これは……ほんとヤバいすなあ……【天雷】はきっと、そんな修羅道を一人行く鯉太郎の孤独に涙したわけで、わたしももう泣けてきます。おそらく、来週からちょっと「その後」と、「王虎VS百雲」も描かれると思いますが、わたしは今日明日あさってぐらい、後先を考えずすべてをぶつけて戦う男の孤独について、思いを寄せたいと存じます。つらい……。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。 
 今週は勝利確定後の【天雷】の感じた鯉太郎の孤独とそれに寄り添えなかった自分への哀しみが涙をもって描かれ、一方では、石川くんに抱えられて花道を下がる鯉太郎の異常な事態に、石川くんが気付いてハッとするところまでが描かれました。完全に物語は破滅へ向かっているように思えますが、それは破滅なのか、それとも―――というこの作品の根源にあるテーマに直結しているわけで、如何にして佐藤タカヒロ先生がこの先を描いてくれるのか、今後も毎週楽しみに待ちたいと存じます。もはやきっと、椿ちゃんがどんなに止めても鯉太郎は止められないだろうし、椿ちゃんも止めないかもしれません。鯉太郎はその代償に何を得るのか―――もう、わたしの中ではこの『鮫島、最後の十五日』は現段階ですでに名作判定されていますが、ラストは泣くしかないでしょうな。つーかもう泣きそうです。むしろ泣いてます! 以上。

↓ 全く関係ありませんが、「アルカンシェル」とはこういうものです。


 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データですが、昨日は体育の日ということで、火曜日の今日、お届けします(誰に?)。
 この週末は、ミュージカルを観に行ったり、映画も1本観てまいりました。先週予告した通り、わたしが観たのは『アウトレイジ 最終章』。ちゃんと「1」と「2」を復習してから臨みましたが、いやあ、やっぱり面白い! わたしはかなり好きです。そして今回は最終章、完結編ということで、人によっては若干あっさり感を感じるかもしれませんが、わたしは大いに楽しめました。大変良かったです。
 では、さっさと興行通信社の大本営発表をメモっておきます。

 1位:『アウトレイジ 最終章』が公開土日で3.51億稼いで1位! わーい、やった! 2012年の前作『ビヨンド』が公開土日で2.79億稼いで最終14.5億。それと比べてもかなりいい出足じゃあないですか! 最終的にどのくらい伸びるか楽しみすねえ!
 2位:『ナラタージュ』が公開土日で2.16億稼いで2位。原作は島本理生先生のベストセラー小説ですが、サーセン、わたしは読んでません。つか、島本先生の作品自体読んだことないので、いずれ勉強しておこうと思います。
 3位:『亜人』が9日間合計で6~7億ぐらいと見積もる。最近2週目で10億に載る作品が少ないですな。
 4位:『僕のワンダフル・ライフ』が金曜公開だから10日間合計で4~5億ぐらいと見積もる。意外と劇場数は多いみたいですね。数えてみた限り310スクリーンぐらいはありますね。
 5位:『ナミヤ雑貨店の奇跡』が16日間合計で7~8億ぐらいと見積もる。
 6位:『ドリーム』がこれも金曜公開だから10日間合計で2億ぐらい行ったのかな? これはわからんです。公開劇場数が65かな? 非常に少ないので、数字の見積もりが難しいす。でもこの劇場公開規模でランクを上げるなんてなかなかすごいことですね。よほど内容がいいってことなんでしょうな。
 7位:『ダンケルク』が30日間合計で15億チョイ前だそうです。洋画は厳しいすなあ。
 8位:『三度目の殺人』が30日間合計で13億突破だそうです。
 9位:『あさひなぐ』が10日間合計で4億に届いたかどうかぐらいと見積もる。チョイ下かな?
  10位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が80日間合計で72億ほどだそうです。もう12週目、息が長いですなあ。
 とまあ、こんな週末だったようです。
 つーかですね、大変です! とうとう公開されましたよ! おまけに日本語字幕入りの公式予告! DISNEY偉いぞ!

 コイツはやばいすねえ! スノークまで出てきて、これは興奮しますなあ! そして宇宙一の親不孝者でおなじみのアイツは、またしてもやらかすのか!? という超ヤバい雰囲気です! 公開まであと2か月チョイ、これはもうドキドキしながら待つしかないすね! 今日はこの予告を観て大興奮なので、結論ナシで終わりたいと存じます。

 わたしは映画オタクとして、年間に40本ぐらいは映画館へ行って観ているのだが、そりゃあやっぱり好みというものがあり、一番の大好物は、ハリウッドアクションものである。が、別に邦画に偏見を持っているわけではなく、観たいな、と思えば邦画でも普通に観に行く男であることは、このBlogの過去記事をあさってもらえばご理解いただけるであろうと思う。問題は、観たいな、と思う作品が少ないということだ。
 ところで。ビートたけしこと北野武氏の作る映画は、たぶん全部ではないけど、ほぼ観ているつもりである。面白い! と思う作品もあれば、こりゃあ微妙すぎると思う作品も当然あるわけで、北野武監督作品だからと言って全作肯定派では全然ない。わたしの中では、北野作品でナンバーワンだと思っている作品は『あの夏、いちばん静かな海』なのだが、監督デビュー作の『その男、凶暴につき』(なんと28年前かよ! 当時わたしは大学生でした)からはじまった北野氏の、一連のヴァイオレンス系も結構好きで、近年の代表作といっていい『アウトレイジ』シリーズは、北野作品の中では2番目に好きだ。とにかく緊張感あふれる物語の流れ、そして突然始まる暴力、そういった、静と動の対比が実に上品で、いやもちろん画面に写される行為自体はとても上品じゃあないけれど、わたしにとっては非常に面白く思えるのである。
 というわけで、今日は待ちに待ったシリーズ第3弾にして完結編の『アウトレイジ 最終章』を観てきた。結論から言うと非常に面白く、これは今年のベスト10に入る出来栄えだとわたしとしては大満足であった。今のところ2位か3位かな……しかしあれすね、なんというか、シリーズの中で一番わかりやすく、そしてヴァイオレンス成分はいままでよりは抑えめで、そして、とても心に刺さるものがある作品だったと思う。以下、キャラの最終的な生死についても書いてしまうかもしれず、それは決定的なネタバレかもしれないので、知りたくない人は決して読まないでください。

 まあ、今までの流れを説明しだすとまた長大になってしまうので、今回の『最終章』だけ、ちょっと軽く物語をまとめてみよう。前作はラストで、警察のクソ野郎をぶっ殺した主人公大友は、その足で韓国へバックレて幕切れとなったわけだが、今回はその続きである。なお、本作はシリーズの「1」「2」両方とも観ていないと全く話になりませんよ。完全なる続編ですので。で、今回は、済州島で静かな日々を送っている大友の様子から始まるのだが、大友の世話になっている韓国ヤクザの管理する娼婦を日本から来たヤクザがギタギタにするという事件から物語は動き出す。当然大友としてはそんな奴は許せないわけで、乗り込んでいくと、そいつは何と、前作で出てきた関西の巨大組織、花菱会の幹部であることが判明する。とはいえ、ここは済州島、花菱だからなんだってんだ、というわけで、そのクソヤクザも強く出るわけにもいかず、金で解決することで話はまとまる……のだが、自分はさっさと日本に帰ったものの、手下が大友の世話になっている組織の若造をぶっ殺してしまい、コイツはケジメをつけてもらわねえといけねえ話だぜ……と大友は数年ぶりに日本へやってくるのだがーーーてなお話である。その先はもう観てもらった方がいいだろう。
 わたしがこのシリーズを通して強く感じるのは、「義理」と「責任」という問題だ。本作では、たいていの場合、「義理」を欠いた奴はその命で「責任」を取ることになる。これはまあ、我々普通の一般人からすれば、相当恐ろしいというか極端な話だけれど、わたしは、そういった「義理」を欠き、「責任」を取らずに平気な顔をしてるクズのような人間を、今までのサラリーマン人生で数多く目撃してきたので、そういった連中が命で償う場面には心底ざまあと思うし、正直非常にスッキリする思いである。多分、ここが、わたしがこのシリーズが大好きな一番の理由であろうと思うし、おそらくは、わたしと同じように感じる人もいっぱいいるのではないかと想像する。
 そして本作は、前述のようにシリーズの中では一番わかりやすく話が進むので、とても爽快?でもあった。たぶん、冒頭での済州島で偉そうにしていたヤクザが、さっさと謝っていれば(そしてそもそも変態SM趣味がなければ)話はここまで大きくならなかったはずだ。この点では、実はこのお話は結構、わたしの大好きな『John Wick』とか、そういったハリウッド作品にも通じるものがある。しかし、謝り方を間違えてしまったわけで、ビジネスの世界にも非常に通じるものがあるというか、ホント、サラリーマン諸氏にも深く共感できる物語なのではないかと思う。
 わたしは、サラリーマンとしてすでに20年以上働いているわけだが、仕事上の鉄則として、よく部下にも指導していることがある。それは、「相手がどんなクソ野郎であっても、絶対に相手を怒らせないこと。怒らせたらそれは自分が悪いと思え」という、わたしの仕事上の掟である。そして、万一やっちまったら、「即座に全身全霊でごめんなさいと謝ってこい。ひとりで行けないなら俺も行く。お前の言い分は後だ。まずはごめんなさいに行くぞ!」と言っている。
 わたしが思うに、仕事上でも何でもいいけれど、人を怒らせていいことはひとつもない。怒らせていいのは、相手を完全にぶっ殺す(仕事で言えばもう取引停止する)場合しかない。生かしておけば、確実に遺恨を残してしまう。なので、全身全霊で謝っても、それが通じないなら、殺す(しつこいけど仕事の場合はもう取引しない)しかないとわたしは思っている。
 だが、それが非常に難しい場合がある。それは、相手が「身内」の場合だ。社外の取引先なら、別に縁を切って、他の取引相手を探せば済むけれど、社内の人間だと、どうしたって顔を合わせる場面も生じてしまうわけで、しかもそれが、能力もないくせに役職だけは高い者の場合だと、はっきり言って最悪だ。そういう場合は、そいつと同等かさらに役職が上の「兄貴」や「叔父貴」に出馬願うしかない。
 本作の中では、そういった身内の抗争も出てきて、解決策としては殺す、命を奪うという行為に至るわけだが、それができないサラリーマン社会は、意外とヤクザ社会よりもよっぽどつらいのかもしれないな、なんて平和な感想をわたしは抱いた。まあ、だからこそサラリーマン社会はストレス社会であり、様々な人間の精神に変調をきたす出来事が起こるのだが、そういう人は、わたしを含め、この映画を観て、とてもすっきりするのだと思う。これはどうかなあ、女性もそうなのかなあ? 男だけ、であるとは思えないけど、男のように単純に女性がこの映画を楽しめるのか、ちょっとわたしには良く分からんです。
 そして本作は、明確にシリーズ完結編であることも、結構重要だ。はたして大友は、自ら信じる「義理」を通し、どのような責任の取り方をするのか。わたしは本作のエンディングは、実に北野作品らしい、正々堂々とした、見事なラストだったと思う。これ以外ないと思うし、これ以外は観たくなかったとさえ思う。このエンディングで、わたしとしてはこのシリーズが完全に傑作に登りつめたと絶賛したいと思います。素晴らしかったすね、本当に。

 さてと、一応キャストもざっとメモしておこうかな……と思ったけれど、主要人物が多すぎて、わたしが気に入った3人だけを紹介しておこう。もちろん、主人公大友を演じた北野氏は、もう書かなくていいすよね?
 まずは、シリーズ初参戦となった大森南朋氏だ。済州島で大友の世話係?として一緒に過ごしている男で、大友とともに日本へやってくる、今回唯一の味方だ。役名は市川かな。今までのシリーズからすると、まず間違いなく市川はクライマックス前に死亡するはずだ、とわたしは思っていたので、まあ、きっとそういう運命だろうな……と思っていたのだが、生き残れてよかったね! なんか、うまく自分の気持ちが整理できていないけれど、市川が生きて、済州島に帰ることが出来て、わたしはとてもうれしかったです。良かったねえ、という安堵感というか……ホント、市川だけでも助かってよかったよ。まあ、大森氏はイケメン?のわりに体つきが恐ろしく中年で、今まであまりかっこいいと思ったことはないけれど、今回の芝居ぶりは、どこかひょうひょうとしていて憎めない野郎でしたな。大変良かったと思います。
 次は、前作『ビヨンド』で超ヤバいというかおっかねえヤクザオヤジを演じた塩見三省氏だ。役名は中田、かな。前作であれだけヤバかった中田だが、今回はどうも中間管理職的に、出来に悪い部下を持ったために、上から散々叱られるような立ち位置にあって、その変わりぶりも、やっぱりわたしはサラリーマン社会を連想せざるを得なかったすね。しかし、どうも演じた塩見氏が脳出血で倒れて、リハビリ明けということで体調も良い状態ではなかったようですな。それもあってか、今回の塩見氏の演じる中田はほとんど怒鳴り散らすシーンはなく、ぐぬぬ……と耐えているような静かな演技が多かったすね。でも、その迫真のぐぬぬ……が大変素晴らしく、物語においても間違いなくキーパーソンの一人であり、塩見氏の演技は非常に良かったとわたしは称賛したいと思う。
 最後。これも前作『ビヨンド』から登場した、韓国裏社会のフィクサー的存在の張(チャン)というキャラクターを演じたのが金田時男氏という方だ。この方は、実は全く役者ではなく、普通に実業家の方だそうで、この方の息子が北野監督と仲良しで、その縁で出演に至ったのだという。よって前作ではほとんどセリフはないものの、ただものではない恐ろしいオーラを纏っているお方だが、今回は結構セリフがあり、しかも、一度スーパー激怒するシーンもあって、やっぱりこの方が一番怖い、ということがよーーく分かります。いやあ、ホントヤバいす。そして最高でした。

 というわけで、さっさと結論。
 公開を待ち遠しく思っていた、北野武監督作品『アウトレイジ 最終章』を今日観てきたわたしだが、わたしの期待にかなう、大変な傑作であったと思う。仕事においても、まあちょっと大げさかもしれないが人生においても、「この人は絶対に怒らせたらヤバい」という人に、誰でも出会うと思う。けれど、まあ、とにかく相手がだれであれ、人を怒らせて得るものなんて、何もないとわたしは思います。そして、万一やっちまったら、もう謝るしかないよね。全身全霊で。それすらできないクズも多いし、そもそも責任を取ろうとしないクズも、嫌になるほどいっぱいいますわな。そういうストレスと戦っている人には、この映画は超おすすめです! ただし! シリーズ「1」「2」の両方とも観てないとダメですよ! ぜひ、まずは1作目2作目を観て、その勢いで映画館へ足を運んでください。わたし的には、最高だと思います。以上。

↓ 今は配信で、今すぐにでも見られますが、どうやらAmazon Videoにはないようです。HuluとdTVであればラインナップに入ってるみたいですよ。
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 わたしの愛する宝塚歌劇は、花・月・雪・星・宙の5組あり、その中で、わたしは星組を一番応援しているのだが、その星組は、去年TOPスターコンビの退団によって、新世代に生まれ変わり、今現在、宝塚市の大劇場で元気に公演を続けている。東京にやってくるのは11月の末なので、今から大変楽しみだ。
 そして、去年退団した男役TOPスター、北翔海莉さん(以下:みっちゃん)は、退団後すぐに自らの会社を立ち上げ、コンサートやディナーショーなど積極的に活動を続けており、退団した今でもわたしはみっちゃんの大ファンである。とにかくみっちゃんは、努力の人であり、常に本気で道を究めようとする尊敬すべきお方だとわたしは常々応援しているのだが、そのみっちゃんが、とうとう、宝塚卒業後、初めてのミュージカルに出演することになった。発表されたのはもう今年の初めごろだったと思うけど、わたしは当然、即チケットを獲り、その公演を観るのを非常に楽しみにしていたのである。なにしろ、あの、芝居・ダンス・歌ともにナンバーワンレベルに三拍子そろった、輝けるTOPスターであり、さらに言えば、あの、ウルトラカッコ良かった「男役」のみっちゃんが、なんと女子、それはもう当たり前だが敢えてもう一度言うが、「女子」、の役なのである。いまだみっちゃんは私服でスカートを履けないと最近までおっしゃっていたような気がするが(何しろみっちゃんは中学卒業後20年間男役だったのだから当たり前)、そのみっちゃんが、「女子」、なのである。もう、今日のその公演を観て、わたしは大興奮してきたのでおもわず3回言ってしまったが、みっちゃんが女子役、であり、これがまたウルトラ可愛く、しかも恋しとるがな! と、もうわたしとしては超胸が熱くなったのである。あ、4回言っちゃった。
 その公演とは、新装オープンした日本青年館にて現在公演中の『ミュージカル・コメディ パジャマゲーム』である。

 新しい日本青年館へ観劇に行くのは、7月末のこけら落とし公演『ATERUI』でわたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)の勇姿を観に行って以来だが、席の列表示がアルファベットで、今日は1C列、ということで、まさかの3列目かよ、やったぜ! と思っていた。しかし、何と現場についてみると、奇跡の2列目で(※どうやらA列は設定されていない?ようで、この公演だけなのかはわからないが、とにかく2列目だった)、超見やすく、おまけに客席降りも多い演出で、わたしの席は上手の舞台から客席に降りる階段脇の通路側だったので、何度もすぐわきをキャストが走り抜けたりして、そりゃあもう大興奮であった。一度だけみっちゃんがわたしのすぐ横を通り過ぎて、一緒に連れて行った後輩K嬢によると、超いい香りがしたらしい。まあ、とにかく非常にいい席で大変興奮しました。
 で。お話は1954年だったかな、アメリカの片田舎にあるパジャマ縫製工場を舞台に、経営者と労働組合の賃上げ闘争を背景に、労組の苦情処理係の女性ベイブと、経営者側である工場長シドの恋模様を歌と踊りで織りなす物語であった。
 なお、原作小説があるそうだが、元々はTONY賞を受賞したブロードウェー・ミュージカルで、なんでも女性主人公ベイブのオリジナルキャスト(?)は、2年前、ケン・ワタナベ氏が出演した『KING and I』でTONY賞を受賞したKelli O'Haraさんだったそうだ。へえ~である。
 というわけで、みっちゃんが演じた女性主人公ベイブはどうだったかというと、まあ、もうさんざん最初に書いた通り、実に素晴らしく、ブラボーであった。やっぱりですね、みっちゃんの歌は、初めて聞く女性の声、であっても、大変お見事だし、それに、まったく違和感がない。男役としての歌声しか知らないわたしだが、今日のみっちゃんは、誰が聴いてもみっちゃんそのものだし(当たり前)、高い女性独特の声でも、あきらかに、上手い!と拍手を送りたくなる魅力あふれた歌声だった。そしてダンスも良かったですなあ! これももう、他のキャストの方々には大変失礼な物言いだが、明らかに美しさが何ランクも上だったと思う。わたしはいつも、ダンスの美しさとは緩急、すなわち、激しい動きをピタッ! と止めるメリハリにあると思っているし、また同じぐらい重要なのが、気がピンと満ちた手先・足先のピシッとそろった様にあると思っているのだが、もうみっちゃんは完璧な美しさである。これははっきり言って年季が違うね、と誰しもが感じるのではなかろうか。完璧に、場を支配する美しさだったとわたしは絶賛したい。ついでにいうと、滑舌も一人別次元に完ぺきで、もうホントお見事でした。
 しっかし、ホントに、しつこいけれどあのみっちゃんが恋する女子を演じる日が来るとはなあ……おまけにキスシーンもあるし! さらに今回は、結構露出多めの服も実にセクシーだったし、なんといっても、みっちゃんのウエストの細さですよ。なんて女性らしい魅力にあふれた体なんだ、と、わたしはもう大興奮&大感激であった。あったりまえだけど、みっちゃん、あなたは本当に、美しい「女性」だったんだね……と改めて感動した。大変変態的なことを申し上げるようで恐縮だが、わたしは女性の体のウエストからヒップラインの曲線が一番美しいと思っているのだが、実に極上、でありました。
 そして、今回のお芝居で、わたしが見どころの一つと感じたのは、その美しい女子たちを彩る衣装のかわいらしさである。みっちゃんの演じるベイブをはじめ、女子キャストの着ている服がいちいち可愛いのである。白いブラウスに真っ赤なベルトで細いウエストをキリっと締め、少しフレア気味にふわっと広がった青いスカート姿のみっちゃんは、もう去年の今頃の中村半次郎からは想像できないというか、対極にあるといっていいほどの可愛らしさであった。
 というわけで、わたしはもうみっちゃんのかわいらしさに目を奪われぱったなしだったのだが(しかも双眼鏡の全く必要のない2列目で最高!)、他にも、わたしとしては大変気に入ったキャストがいらっしゃったので、備忘録として紹介しておこう。
 まずは、声が意外なアニメ声風でちょっと驚いた、物語では社長秘書のグラディスを演じた大塚千弘さんである。みっちゃんは、男役だったので身長は170cmぐらいあるのは当然として、そのみっちゃんと並ぶとまあちびっ子ですよ、この大塚さんは。あ、Wikiによると162cmだって。そんなにちびっ子じゃなかった! まあそれはともかく、大塚さんの演じた秘書子さんは大変可愛らしく、そしてなんといっても実にセクシーであった。胸元空いてる系の服も多くて、実に男目線としてはそこに目が行ってしまって、大変サーセンした。これは男にプログラミングされた習性なのでお許しくださいませ。↓このお方です。とにかく抜群に可愛い!

 そしてその次にわたしが気に入ったのは、ちょっと役名が分からないのだが……ヴァージニア、かな、そばかすメイクの縫製工場の女子ーズの一人を演じた天野朋子さんだ。あの、エンディングで一人、上下セパレートのパジャマで鍛えられた美しい腹筋をさらしていたあの方です。何がいいって、とにかく笑顔が可愛い! 実にわたし好みで、大変失礼ながら存じ上げない方だったけれど、とても魅力的でした。最高です。また、我が星組OGの音花ゆりちゃん(相武紗季さんのお姉さんとしてもお馴染みの、歌うま系ジェンヌだった)も縫製工場女子ーズの一員として出演されていて、わたしとしては退団後初めてかな、お久しぶりにお姿を拝見した。ホントならもっとゆりちゃんの歌をソロで聴きたかったすねえ。それから、女性キャストの中では、ベテランのおばちゃんを演じた阿知波悟美さんも、笑わせてくれましたねえ! 非常に芸達者&歌もお上手で大変素晴らしかったと思います。
 あと、男性キャストでは、もちろん主役のシドを演じた新納慎也氏の歌はとてもうまかったし演技もまったく素晴らしかったのは当然として、わたしが一番イイと思ったのは、広瀬友祐くんかなあ。労働者の中で一番理解のある好青年でしたな。そしてこの人は背が高く、ダンスもダイナミックで、どうもわたしはおととしの帝国劇場での『エリザベート』で彼に出会っているようですな。元々2.5次元系の出身のようだが、今では数多くのミュージカルで活躍しているようで、今後は応援したい所存であります。カッコ良かったよ、とても。

 この作品は、東京公演は来週いっぱいで終わってしまうけれど、その後は大阪、梅田芸術劇場へ場所を変えて続演されるわけで、現在宝塚で公演中の、星組現役メンバーも観に行くんだろうな。でも、みっちゃん的にはちょっと気恥しいだろうね、きっと。わたしの愛するこっちんにもぜひ見てもらいたいなあ。そして、こっちんや紅子先輩にからかわれて照れるみっちゃんの図を想像すると、ちょっとニヤニヤしてしまいますな。変態的妄想でサーセン! ああ、そういや、みっちゃんと”添い遂げ退団”したお相手の娘役TOPだった風ちゃんも先日観劇したらしいすな。やっぱり、ちょっと気恥しかっただろうし、一方でみっちゃんが大好きな風ちゃんもいろいろジェラシーを感じつつ大興奮だったようですね。まあ、そりゃそうだろうなあ。

お疲れさまです✨☺️💓 今日は、パジャマゲーム観劇! そして、アフタートークショーに参加させて頂きました!! みちこさん演じるベイブさんは、 とんでもなくかっこよかったり、 とんでもなく可愛かったり、 色々な感情が、色々ときめきが、 短時間に一気に押し寄せてきて、 大変でございました、大興奮でした!! 出演者の皆さまも、 とにっかくずっと、フルパワーで歌って踊ってらして!!✨✨ とってもhappyにさせて頂けました☺️❤️ 星組時代にたっっっくさんお世話になった、 大好きなコロさん(音花ゆりさん)とも久々に再会して、きゃーきゃー抱き合ってしまいました😍 コロさん。。可愛かった、相変わらずお人形さんみたいでした☺️💕 #パジャマゲーム #北翔海莉 さん #みちこさん #音花ゆりさん #大興奮 #大好き #大はしゃぎ

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 というわけで、いまだ興奮冷めやらぬ状態だが、もうさっさと結論。
 稀代のTOPスター北翔海莉さんが宝塚退団後、初めて出演したミュージカル『パジャマゲーム』を今日観に行ってきたわたしである。感想としては、みっちゃんはやっぱり最高だぜ!の一言に尽きますな。大変可愛らしく、そして芝居も歌もダンスも相変わらずハイレベルで、わたしとしては大満足である。そしてわたしは終演後、何度も、あのみっちゃんがなあ……かわいい女子になったなあ……とつぶやいていたようで、一緒に行った後輩女子K嬢には、「なんか親戚のおじさんみたいですよw」と小馬鹿にされたわたしであった。でもいいの! ヅカファンならそう思うのはもう不可避であり、そしてそれがうれしくてたまらないんだから! みっちゃん、あなた、当たり前だけど、ホントに可愛い女子だったのね……知ってたけど、知らなかったよ! あなた、ホント最高です! 以上。

↓ 実は映画化もされてるようです。観てませんが。あ、そうか、2006年にKelli O'Haraさんが出演したのは、リバイバルか。オリジナル版はもっと古いのか。なるほど。

 いやーーーやっぱり最高でした。とても面白かったっす。
 何の話かって? そりゃあ、わたしが世界で最も大好きな作家、Stephen King大先生の日本語で読める最新作『FINDERS, KEEPERS』のことに決まってますよ! 先週、<上巻>を大興奮のうちに読み終わり、この<下巻>はもうじっくり味わって読むぞ! と思ってたのに、実は2日で読み終わってしまっていました。でも今週は忙しかった……はあ……というわけで、やっと感想を書こうと思っているところであります。もう一度、書影を張っておこうかな。
 なお、<上巻>の感想はこちらです→Stephen King『FINDERS, KEEPERS』_<上巻> スティーヴン・キング「ファインダーズ・キーパーズ<上>」
finderskeepers

ファインダーズ・キーパーズ 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

ファインダーズ・キーパーズ 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

 すでに電子書籍でも絶賛発売中であり、おまけに本作はなぜか電子書籍の方が300円ぐらい? 紙の本よりも安いです。いつでもどこでも読めるという点では、電子書籍に分があるような気もしますが、わたしはKing大先生の作品に関しては、まずは紙で買うことにしています。その理由は<上巻>の感想を書いた時のとおり、本棚に並べて悦に入りたいからです。それだけ。文庫化まで待つのは、ほぼ意味ないと思いますよ。文庫化で安くなる分を特急料金として払ってでも、読みたいときに読むべきです。
 で。<下巻>であります。<上巻>の時も書いた通り、ある意味<上巻>は、壮大なプロローグであるとわたしは思っていましたが、今となっては、それはちょっと違ったかも、という気がしています。なんというか、重大な出来事はほぼ<上巻>で語られており、<下巻>はとにかく展開が早く、事件の終息まで一直線で、それゆえわたしは、「じっくり読もう」と思っていたにもかかわらず、ぺ、ページをめくる手が止まらねええええ!という事態となったのでありました。
 なので、物語についても、<上巻>の時に書いた以上のことはもう書けません。
 1978年、一人の有名(だけど隠棲していた)作家が強盗に殺害されるシーンから始まるこの作品ですが、その犯人の一番の目的であった、「膨大な未発表原稿」の行方がこの物語の一番中心にあります。犯人は、まずその「未発表原稿」をこっそり土中に埋める、そしてまったくの別件で逮捕されて終身刑に。その後、2010年にとある少年がそれを発見、しかし一方で犯人も35年ぶりにシャバに戻ってくる、というわけで、この犯人と少年の出会いが確定し、そこに、少年の妹のつながりで、この「ビル・ホッジス」三部作の主人公である元刑事のホッジスが登場したところまでが<上巻>で描かれました。
 なので、おそらくは<下巻>で、我らがホッジスおじさんが大活躍するのだろう、と思って読み始めたわけですが、その読みはちょっと外れていたといわざるを得ないでしょう。そうなんです。ホッジスおじさんは今回、ほとんど何もしないまま事件は終わりを迎えるのです。
 まあ、何もしない、というのは言い過ぎかもしれません。実際、ホッジスがいなければいろいろマズいことになってたでしょうし。しかし、ある意味後手後手に回り、事件の解決にはほとんど寄与していないとはいえそうです。その代わり、原稿を偶然見つけた少年ピーターくん(作中ではピートとも呼ばれている)が一人テンパりながら、妹のために頑張り、そしてホッジスの助手となっていたホリー(前作『ミスター・メルセデス』の下巻で大活躍した若干精神に問題を抱えている女性)も、機転を利かせて頑張りました。さらに、<下巻>ではジェローム君(同じく前作で大活躍したホッジスの近所に住む青年)も、今回はなんとハーヴァードに進学した大学生となってさっそうと(?)登場し、盛り上げてくれましたね。というわけで、わたしとしては大満足だったわけですが、ここで<下巻>でのポイントをいくつか挙げておこうと思います。
 ■最終的な「原稿」の行方について
 最後、どうなるかはあえて書きません。いや、えーと、ごめん、嘘です。ダメだ、書かないと説明できないな。わたしとしては、最終的な原稿の運命には、やっぱりとても残念というかもったいないと思いました。我々のような小説好きならば、自分の好きな、既に亡くなった作家の「未発表原稿」が存在し、おまけにそれが自分の大好きなシリーズの「真の完結編」であったなら、もう、どんなことをしてでも読みたいと思うだろうし、それが存在したのにもうこの世にはない、なんてことを知ったら、どれだけ悔しい思いをするだろうか。相当つらいエンディングだったと思う。
 ただ、作家を殺してでも、とはもちろん思わないし、その原稿を入手するために人殺しをしようとはもちろん思わないのが普通でしょう。しかしそれでも、やっぱり読めないなんてつらすぎますよね。そういう意味では、物語的にはめでたしめでたし的な感じではあるけれど、小説ファンとしてはもう、これは大変な悲劇的エンディングだったとわたしは思いました。人類の宝が……とわたしは結構呆然というか、本と読んでいてつらかったっす。
 ■「Finders, Keepers=見っけたもん勝ち」のアメリカ。
 まあ、最終的に、少年ピーターくんは、「僕が見つけたのが間違いだったんだ、僕が見つけなければよかったんだ、僕が最初から図書館に寄付とかしてればよかったんだ」と深く後悔し、事件を巻き起こしてきしまったことに反省をするわけですが、本作の状況で、素直に警察に届けるとか、そういう行為を我々日本人でもできたかどうか、実にあやしいだろうと思う。我々日本人は、まあ、大金だったりすごいお宝を見つけたら、それをネコババしようという気持ちには、あまりならないかもしれない。ただそれは、最初は独り占めしようと思うにしても、結局はその「秘密を抱えることの重圧」に耐えられないが故、なのではないかとわたしは考えている。道徳心というよりも、心理的プレッシャーが我々を動かすんじゃなかろうか、という気がするのだ。でもまあ、その心理的プレッシャーを我々の心に生み出すものこそ、いわゆる道徳心なんだとも言えるのかもしれない。幸いなことに、日本では落とし物は届ける、というのが身についているので、「見っけたもん勝ち」という思想は、ちょっと恥ずかしい考えと誰もが思っているようにも思う。
 でもなあ、自分の大好きな作家の、幻の原稿を見つけてしまったとしたら、金よりもそっちはもう、とりあえず読むよね。間違いなく。そしてそのあとで届ける、かな、わたしだったら。でも、わたしが思うのは、わたしだったら、絶対にそれを独り占めしたいとは思わないという気がしてならない。これは全世界に発表すべきだ、と考えちゃうような気がする。ピーターくんも葛藤したけれど、さっさと原稿だけ、世界に発表しちゃえばよかったのにね。金はネコババしていいからさ。
 ■作家を主人公とするKing作品
 って、かなり多いすよね、話はいきなり変わりますが。『MISERY』もそうだし、『DARK HALF』もそうだし、そのほかにもいっぱいありますな。まったく根拠はないけれど、King大先生は、作家を主人公とする作品を最も多く書いている人なんじゃないかとすら思う。おまけに、たいていの場合、作家と読者、の関係が重要なんすよね。作家は書きたいものを書く、けど、それが読者の望むものと一致しているかどうかは別の話なわけで、『MISERY』の場合は、作家を監禁してまで「自分の思う通りの作品」を書かせるというおっかない読者、自称「世界一のファン」の物語でした。今回の犯人であるモリスも、まあ、『MISERY』に近い、ある意味狂った読者ですわな。しかし、世間一般的には明らかに狂っているし、作家本人から見てもそりゃあ狂っているとしか思えないだろうけれど、モリスやミザリーほどでないにしても、我々のようなわがままな読者、は、相当数存在しているし、結局、作品が売れていればより一層、そういう読者も多くなるはずで、上手く表現できないけれど、いわば「作品」は作家の手を離れてしまうんだろうな、という気がする。しかし、生み出した作家本人からすれば、大変迷惑な話で、作家と作品と読者、という関係は、役者と役柄とファン、の関係と等しいようにも思えます。うーーん、上手く整理できないなあ。要するに、役者と演じた役柄は、同一のようで全く別物だろうし、作家と作品も、やっぱり同一視されても困るものなんだろうと思うわけで、King先生にもそういう区分ができない困ったファンが多くて、きっと日々様々に、なんだかなあ、と思うことが多いんだろうな、という気がします。ダメだ、何を言いたいか自分でわからなくなってきた。
 ■真の物語は―――
 わたしは、事件の結末を見届けて、なんか今回はホッジスおじさんはあまり活躍しなかったなあ、と感じ、それは上の方でも述べた通りなのですが、実は―――この「ビル・ホッジス三部作」第2巻にあたる本作の、真のエンディングは、もう大興奮のヤバい出来事が描かれていました。そうです。前作『Mr. Mercedes』の犯人、ブレイディ・ハーツフィールドの超ヤバい「その後」がチラ見せされて終わるのです。これには本当にもう、やっばい、次! 早く次を読ませてくれ! とKing先生のファンならもう誰もが興奮すること間違いなしだと思います。ちょっとどう展開するのかは想像できませんが、どうやら、ブレイディが次の3作目で、再びホッジスおじさんの前に立ちはだかるのは、もう確定的に明らかなようですね! ちなみにUS本国ではとっくに発売になっており、マジで文春が本気を出して早く刊行してくれることを祈るばかりです。でもどうせ文春だから、来年の今頃だろうなあ……。↓ これがUSペーパーバック版です。
End of Watch
Stephen King
Hodder Paperback
2017-03-28

 くっそう! 今すぐ読みたい! Kindle版で677円か……ちくしょー買っちまおうかな……どうも、これは全くのわたしの妄想ですが、ブレイディが「謎の能力」を身につけたっぽいんですよね……ここにきてとうとう、King先生の真骨頂たるSUPER-NATURAL要素が投入されるのでしょうか!? これはもう、超期待ですなあ!!
 はあ……わたしの元部下のA嬢はNYCで働いていたことのあるバリバリの英語遣いで、わたしの影響?でKing先生の作品をKindleで英語版をバリバリ読み始めた女子なのですが、もうとっくに3作目まで読んでいるようで、実に悔しい限りです。うらやましいというか実にけしからんですな!
 ■おまけというかメモ
 わたしは、King先生の作品の何が好きって、とにかく会話に現れるDirty Wordsが大好きなのですが、やっぱり今回はこれでしょうね。
 Shit don't mean Shit。文春版日本語訳では、「クソはクソの価値もない」と訳されているこのフレーズですが、これをメリケン人の前でボソッとつぶやきたい……! そういえば、このフレーズは、King大先生の『DREAM CATCHER』で何度も出てきた「SSDD」(Same Shit, Different Days)に似てますね。まあ、大変Dirtyな言葉ですが、その意味するところは深いわけで、そういう点がわたしは大好きです!

 というわけで、もういい加減にして結論。
 わたしが世界で最も好きな小説家であるStephen King大先生による、日本語で読める最新作『FINDERS, KEEPERS』を上下ともに読了した。その感想はもう、最高でした!の一言に尽きます。とてもとても面白かった。そして、シリーズを読んできた方なら、その「真のエンディング」に、な、なにーーーー!? と驚愕すること間違いなしだと思います。いやあ、本当にもう次の3作目が楽しみですなあ! 早く発売してくれないかなあ……! 文春よ、「文藝」春秋社を名乗るなら、どうでもいい週刊誌なんかで稼ぐより、こっちを早く出してくれ! 頼むよ! いやーーそれにしても、Stephen King大先生は最高ですね! 以上。

↓ わたしはこっちも読みたいのだが、わたしの大嫌いなFuck'n小学館が一向に発売してくれません。早く、どこか別の出版社が、Joe Hill先生の版権を買っていただきたい! なお、ご存知の通りJoe Hill先生は、King大先生の次男です。超天才作家。そしてこちらもA嬢はとっくに読んだというのだから腹が立つ! 英語力の低い自分に!

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 すみません! 昨日少しやり残した仕事をAM6:40からしていたら、いつの間にかこんな時間に! 更新が遅くなってしまって申し訳ありません! やっちまったー! ごめんなさい!
 というわけで、さっさと進行しましょう。まずは、今週の週刊少年チャンピオン2017年45号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙版はAKBの入山杏奈嬢だそうです。
 ■弱虫ペダル:手嶋のオーダーの巻。坂道くんをどう使うかの作戦です。
 ■刃牙道:屠り去るの巻。いよいよ刃牙がマジす。そして武蔵meetsピクルagain!
 ■BEASTERS:強鼠なので猫を噛むの巻。おっと、とうとう第1話のあの犯人登場か!?
 ■囚人リク:一番の巻。基本的に「イヤー」「グワー」的流れです。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:ウッキーライフ・タマちゃんホームの巻。今週も腹を抱えて笑いました。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先々週ラストで覚醒したと思われた【天雷】でしたが、先週は鯉太郎の「先が見えている」動き、それはまさに横綱【泡影】のように、次々と【天雷】の動きに先んじて攻撃を仕掛ける展開が描かれ、ラストではとうとう鯉太郎がうおお!と渾身の力で押すも、【天雷】の”怪力”がついに発動、がっちりと鯉太郎を不完全な体勢ながらベアハッグ、相撲で言うところのサバ折り的な体勢でとらえるシーンで終わりました。しかし、わたしは先週書きそびれていたんですが……鯉太郎は、どうも体勢的に、得意の「左下手」を取っているようにも見えていました。今週はそこからです。
 今週の冒頭は、NHKアナの、「つっ…掴まえたーーー!」という絶叫と、常松の「あぁ そんな…」という蒼白な顔、そして、虎城理事長の「鮫島の読みを力で断ち切ったか…天雷…」というゴクリ、な表情で幕を開けます。
 そしてページをめくると、【天雷】のすさまじい表情です。
 「ここがゴールだ…鮫島…最後に…俺の全てを…ありったけをお前に…」
 もちろんメキメキベキベキと嫌な音がしています。”怪力”が炸裂、そして次のページは1枚ブチ抜きの凄い絵ですよ! 【天雷】ががっちりホールドした状態で、上から圧し掛かり、鯉太郎を押しつぶそうと渾身の力を込めている迫力の一枚絵です! わたし、昨日検索して初めて知ったのですが、いわゆる「サバ折り」という決まり手は、まさしくこの【天雷】のように、両手を回して締め上げつつ、そのままのしかかって、相手の「膝」を土俵に付かせる決まり手なんですね。コイツはヤバい! そして痛そう! 鯉太郎も声なき絶叫をあげているようです! やばし!
 この熱戦を観ている石川くんも、まずいぞ的表情、そして椿ちゃんはもう土俵を見ていられず、必死に祈るような表情です。
 しかし! 来た! 左下手をホールドする鯉太郎がなんとか【天雷】を押し戻し始めた! ここはほぼ見開きで描かれています。全力で抵抗する鯉太郎に、一同マジかよ!?的表情です。【天雷】も、もう全力を出している表情ですが、脳裏ではこう考えています。
 「もういい…もう…もう削れるな…止まれ…削るな…なぜそこまで…なぜ…本当に…終わってしまうぞ…」
 そして描写は、「ぐしゃ」という音やブチブチゴキゴキッという不吉な音が表現されており、読者としてももう、鯉太郎お前死んじまう! と心配なぐらい。しかし、【天雷】は鯉太郎がこう言っていたことを思い出しました。
 「何も…何も残す気はない…」
 その鯉太郎の言葉を思い出した【天雷】は、このことか、まさに鯉太郎は本当に、マジでそう思っているんだ! と気付きハッとします。そして場内は、鯉太郎の必死の抵抗に万雷の拍手。すべてを理解した【天雷】は、ああ、なんと! なんと【天雷】は涙を流しました! わたしも泣きそうです!
 「わかった…もう…もう…俺が終わらせる…」
 そして決意の表情で、両腕をホールドしたまま鯉太郎をぶん投げる【天雷】の図! が、見開き1枚絵で描かれます。OH! MY! これはいっちまったかーーー!?
 しかしです!! 次のページは、まるで時間が静止したような静かな風景です。【天雷】はまるでスローモーションのように、鯉太郎の顔を見ます。そして鯉太郎は、とても静かに、無心の表情でつぶやきます。
 「ここ…」
 そして! なんと! 左足一本で耐えていた体を、左足一本で立て直し、もろ差し気味に【天雷】を抱え込んで……投げ返した――――ーーーーー!!!!!!! この投げ返しによって完全に【天雷】がひっくり返っているの図も、超迫力の見開き1枚絵です。やった……やりおった――――!!!
 今週ラストページは、【天雷】を土俵にたたきつける鯉太郎と、その熱戦が行われている国技館のショットで終わりました。はーーーーヤッバイす。もう途中で息を止めてたんじゃないかと言うぐらい、ラストページで、ぷはあと息をつきました。一体何が起きたのか、おそらくは来週以降語られると思いますが、全力で投げに行った【天雷】を、仏壇返しめいた投げ技で大逆転、鯉太郎の11日目の勝利は確定です! はーーー。こういう結末か……いやはや、わたしはまだ興奮で呆然としていますが、これはもう、来週以降の解説を待ちましょう。きっと虎城理事長や鯉太郎本人、そして【天雷】も語ってくれることだと思いますので、来週を楽しみに待ちたいと思います。【王虎】さんも何かコメントしてくれるかもしれないすね。はーーー興奮したわ……。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、わたしは全く予想してませんでしたが、ついにVS【天雷】の一番に決着がついてしまいました。まさかの大逆転、仏壇返しかどうかはわたしにはちょっと判定できませんが、まさしく石垣のように堅牢な【天雷】をひっくり返してしまいました! ただし、鯉太郎はその勝利と引き換えに、相当な代償を体で払っているものと思われます。まずは来週以降の、勝負の解説と、そして、鯉太郎の負った肉体的ダメージの状態をドキドキしながら待ちたいと思います。いやあ、こういう結末とは……とにかく読んでいて、わたしはホントに息を止めてたようです。それほど興奮というか、力んでいたようで、まだなんか整理がつきません。いやー、ほんとに『鮫島』は最高ですね! 以上。

↓ 今月のチャンピオンコミックス新刊はこれを買います。


 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 この週末は、わたしは映画に行きませんでしたので、特に書くことがないです。宝塚歌劇を観劇し、他はずっと本を読んでいました。わたしはStephen King大先生の作品が大好きで、日本語で読める最新作『ファインダーズ・キーパーズ』が発売になって、もう夢中で読んでおりました。ページをめくる手が止まらないっす。
 では、さっさと興行通信社の大本営発表をメモっておきます。

 1位:『亜人』が公開土日で2.72億稼いだそうで1位です。わたしは原作の1巻が出る前から連載で読んでいたので、とうとう実写映画化か、と感慨深いですが、実は単行本の最新刊をまだ買っておらず、若干飽きてきた……いやいや、ちゃんと買います、はい。まあ、原作コミックは、わたしの周りの女子たちにも貸して読んでもらいましたが、どうもあまりウケは良くなかったす。映画はキャストも人気者ぞろいだし、そんなことないんすかね。
 2位:『僕のワンダフル・ライフ』が公開土日で1.63億だそうです。この映画はベストセラー小説が原作ですが、予告だけでも、わんこ好きが観たら泣いちゃうだろうな……とわんこ好きのわたしとしてはちょっとマズイ予感がしたので、観に行くのを自粛しました。WOWOWで放送されるのを待って、一人部屋で号泣したく存じます。相当面白そうですな。つーか、まずは原作を読んでみたい気分です。一応、自分メモとして貼っておこう。あ、日本語訳が出たのは結構前なんすね。
野良犬トビーの愛すべき転生 (新潮文庫)
W.ブルース キャメロン
新潮社
2012-06-27

 3位:『ナミヤ雑貨店の奇跡』が9日間合計で5~6億ぐらいと見積もる。初登場2億チョイ+この週末1.3億だったそうなので、そのぐらいかなと。どうだろう……。
 4位:『ダンケルク』が23日間で14~15億ぐらいまでは行っただろうか? ちょっと数字が難しくて自信なし。※正解は14億チョイ手前だそうです。
 5位:『三度目の殺人』が23日間で12~13憶ぐらいと見積もる。昨日のファーストデーはこれを観に行こう、と思っていたのに、すっかり忘れてた……。
 6位:『あさひなぐ』が10日間合計で4~5億ぐらいだろうか。平日の動員が分からないので数字も自信なし。いずれにせよちょっとキビシイ展開か? もっと余裕で稼ぐかと思ってましたが……。※どうやら、上映スクリーン数が少なく、正解は3億ほどだそうです。
 7位:『ドリーム』が公開土日で0.51億だそうです。こちらも面白そうで観たいとは思ったものの、WOWOW放送待ちでいいや、にしたっす。
 8位:『エイリアン コヴェナント』が17日間で7~8億程度と見積もる。
 9位:『関ヶ原』が37日間で21~22憶ぐらいと見積もる。
  10位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が73日間で72~73億ぐらいと見積もる。※正解は72億までチョイ届いてないそうです。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 今週は初登場作品がワンツーですが、数字の規模としてはそれほど大きくなく、ちょっとおとなしめでしょうか。わたしとしては、来週は『アウトレイジ』、その次が『猿の惑星』。その次は『アトミック・ブロンド』、その次は『ブレードランナー2049』、そしてさらに次の週は『THOR:Ragnarok』と毎週映画館へ通うことになりそうです。そのあとは『ジャスティス・リーグ』と、12月の『スター・ウォーズ』が待ってるわけで、なんつうか、もう年末も間近ですなあ。時の流れが速すぎて、溺れそうです……。

 というわけで、今週の結論。
 今週は『亜人』が初登場1位を獲得。土日で2.72億稼いだそうです。わたしとしては、まずは原作コミックの最新刊を買って読まないと! そして2位の『僕のワンダフル・ライフ』は、邦題のセンスもベタだけれど悪くないすね。原作小説が読みたいす。以上。

 先週の水曜日、わたしが世界で最も好きな作家であるStephen King大先生の日本語で読める最新刊『FINDERS, KEEPERS』がもう店頭に並んでねえかなあ(正式発売日は金曜日の9/29)、と神保町の一番デカい本屋さんに行ってみたところ、1階の新刊書・話題書のコーナーには見当たらず、ちょっと早すぎたか、とガッカリしたのだが、いつ入荷するんだろうな、と思って店内検索機で探してみて、ひょっとしたら入荷情報とか載ってるかも、と期待を込めて検索したところ、ごくあっさり、「店内在庫アリ」と出てきた。な、なんだってー!? と興奮し、良く見ると2階の文芸の棚にあるという表示なので、マジかよと慌てて2階に行ってみたところ、検索機の表示する番号の棚にきちんと置かれていた。というわけで、すぐさまGetしたのだが、まず、わたしが家で撮影した↓この画像を見てもらいたい。
finderskeepers
 ま、要するに、上下巻で、並べるとカバーイラストが1枚の絵になるわけだが、実に嘆かわしいというか残念なことに、その本屋さんは、思いっきり、上巻を右、下巻を左、にして平台に置いていたのである。意味わかりますか? タイトルも絵も、つながらないんすよ、それでは。わたしはこの一事をもって、やっぱりもう本屋は衰退するしかねえんだなあ、と悲しくなった。誰がどう考えたって、ちょっと気を利かせてちゃんと上記画像のように置くよね? そういう気が利かないというか、忙しすぎてそこまでの余裕がないんだろうか。それとも、そんなのどうだっていいという判断なのだろうか。しかしこれは、まったくどうでもいいことじゃあない。そういうことしてちゃ、ホント、なんだかなあという気持ちになってしまう。実にしょんぼりである。
 まあ、以上は全くの余談であるが、もう一つ余談を加えておくと、わたしはすでに電子書籍野郎に変身しており、漫画はほぼ100%電子書籍へ移行しているのだが、小説の場合は、電子で買えるなら電子で買うし、電子で発売されていなければ紙で買う、という状態になっている。そして本書は、実は電子書籍と紙の本が同日発売なので、通常のわたしであれば、本書も電子書籍で買うのだが、こと、Stephen King先生の作品に関しては、「紙」の「単行本」で買うことにしている。
 何故なら。まず、「紙」の書籍で買う理由だが、それは単に、本棚に並べて悦に入りたいからである。それだけ。しかし、さっき調べてびっくりしたのだが、なんと本作は、紙の書籍が1800円+税、電子書籍だと1481円+税と値段が違っていた。まあ、別に319円の違いぐらいどうでもいいけど、紙と電子で値段が違うのは初めてのような気がする。そういう時代なんすねえ……。ますます紙で買う理由がなくなっていくなあ……。
ファインダーズ・キーパーズ 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

ファインダーズ・キーパーズ 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

 そしてもう一つ、「単行本」で買う理由は、もう、単純に文庫化されるまで待てないからだ。かつては、わたしも文庫化されるまで待つ派だったのだが、King先生の作品の場合は、文庫化されても上中下とか分冊されるのは確実なわけで、おまけに昨今は文庫本でも高いものは高く、結果的に文庫化されてもどうせ1000円程度しか値段が違わないことに気づいたため、その差額はいち早く読める「特急券」として納得することにし、さっさと単行本で読んだ方がいい、と判断したためである。そもそも、読みたくてたまらないし!
 というわけで、さっそく木曜日から読み始め、さきほど上巻を読了したので、まずは上巻の感想を以下にしたためていこうと思う。なお、いつもどおりネタバレ全開になる可能性が高いので、知りたくない人は今すぐ立ち去ってください。自己責任でお願いします。
 さてと。
 本作は、もうファンならご存知の通り、King大先生の初めての本格ミステリー(?)三部作「ビル・ホッジス」シリーズの第2巻であり、『Mr.Mercedes』の続編である。US本国では最終巻までもうとっくに発売になっているが、日本語ではようやく2作目が読めるというわけだ。
 しかし、読み始めて意外だったことに、なんと、上巻は313ページあるが、主人公ホッジスが登場するのは第2章、223ページからである。つまり、第1章はまるまる二人の別のキャラクターの現代にいたるまでの過去が交互に語られる形式となっており、いわば長いプロローグなのだ。しかし、その長い前振りがめっぽう面白く、ははあ、この二人が現代で出会ってしまうんだな……という予感で、わたしとしてはもう、読んでいて超ドキドキというかワクワクである。
 まず語られるのは、今回の悪党であるモリス・ベラミーというクズ野郎が1978年に犯した犯罪の記録だ。このクソ野郎はとにかくなんでもすべて自分のせいじゃないと思いたがる下衆野郎で、36年前(※現在時制は2014年みたい)に、とある超有名な老作家の家に侵入し、作家と強盗仲間をぶっ殺して現金と「未発表原稿」を奪っていく。そしてその金と原稿を川べりの木の根元に埋めたところで、不安から酒を飲んで酔っ払い、レイプ事件を起こして終身刑を喰らうという展開になる。
 そしてもう一人語られるのが、2009年、あの就職フェアに並んでいたために「メルセデス・キラー事件」に巻き込まれ、重傷を負った父親を持つ少年のお話で、こちらの少年は実に賢く、ある日偶然、モリスが30年前に埋めた「地中に眠る現金と原稿」を発見し、その金でせっせと家族を助けながら、一方では原稿にも夢中になって、すっかり文学青年成長していく過程が描かれる。
 そして第1章ラストでは、2014年、ついに現金が尽きた少年は、原稿を売れば金になるかもしれない、と思いついてしまい、「人生最大のミス」を犯してしまう少年の様子が描かれ、一方ではついに仮釈放が決定してシャバに戻ることになったクソ野郎が、とにかく早く埋めといた原稿を読みたくてたまらないぜ、と行動を起こしそうになるところ、すなわち二人の出会いが運命づけられてしまったところで終わる。
 どうすか? もう読みたくてたまらなくなりませんか? わたしはもう、この時点でページをめくる手が止まらないほど、やっべえ、こりゃあマズイことが起きるに違いないぜ? とワクワクしてました。ホント、King先生は最高ですなあ!
 で、第2章から、我らが主人公、ビル・ホッジスの登場である。冒頭から驚いたことに、何とホッジスは「メルセデス・キラー事件」の後に探偵事務所を開業していて、あの超人見知りのコンピュータ遣いのホリーが助手として事務所を切り盛りしているのだ。事務所の名前は「ファインダーズ・キーパーズ探偵事務所」。なんでも人探し専門の探偵らしい。わたしは、本書の『FINDERS, KEEPERS』というタイトルから、きっと、「見つけたもん勝ち」、すなわち、期せずして何かヤバいものをGetしてしまったキャラクターのもとに、そのヤバいものの本来の持ち主が取り返しに来る、みたいなお話で、きっとホッジスはそのGetした人物に依頼されて事件に巻き込まれるのだろう、と予想していた。なのでその予想は、今のところどうやらほぼ正解だったわけだが、まさかホッジスの探偵事務所の名前だとは思わなかったので驚いた。
 というわけで、上巻での重要人物のキャラ紹介をしてみよう。
 ◆ジョン・ロススティーン:隠棲している老作家。『ランナー』という戦後アメリカ文学を代表する名著の第3巻までを書いて引退、世捨て人と世間では思われている。しかし隠棲後もほぼ毎日手書きでノートに小説や詩などを書き溜めていて、『ランナー』シリーズの未発表原稿がどっさりあり、実は『ランナー』シリーズにはその先があった、のである。冒頭でモリスに撃たれて死亡。まあ、なんというか、こういうアメリカ作家はサリンジャーとかそういう人を思い起こさせますな。1978年の死亡時で79.5歳(半年後に誕生日)だった。
 ◆モリス・ベラミー:前述のとおりクソ野郎。要するにコイツは、大学教授の母に厳格に育てられるも、そのことで結局クズ野郎に成長したわけで、見事な教育失敗作なわけだが、10代で『ランナー』シリーズにドはまりするも、3巻目の結末に納得がいっておらず、やきもきしていた。ある日、古本屋の店員の友達に、実はその続きがあるらしいぜ、という話を聞いてロススティーンの家に強盗に入り、原稿と多額の現金を奪取。ついでに引き上げる際に一緒に強盗に入った仲間二人も撃ち殺し逃亡。早く原稿を読みたくてたまらないものの、作家殺害が全国ニュースで流れる事態となって、まずは金と原稿を埋めてほとぼりを覚まそうとしたが、どうやらこいつは酔っぱらうと記憶をなくす質のようで、本人は全く記憶にないものの、レイプ事件を起こして逮捕、終身刑で刑務所にぶち込まれる。その後、2014年に仮出所。現在、とにかく原稿が読みたくてうずうずしている、けれど、保護観察官の目があるので、とにかく慎重にやらないと、と大人しくしている状態。今のコイツは、原稿を読むことと、かつて友達だった元古本屋の友達(あいつのせいだと逆恨み中)に復讐することしか考えてない危険人物。1978年当時20歳そこそこのクソガキ。現在59歳。しかし、アメリカ人ってアル中が多すぎというか……アレなのかな、生理化学的にアルコール耐性が低いのかな? やたらとこういうアル中を映画や小説で見かけるけど、なんなんだろう。日本にもいっぱいいるけどわたしの周りにいないだけなのか?
 ◆アンディ・ハリディ(通称ドルー。アンドリューが正式名):1978年当時は20代のただの古本屋バイトだったが、2014年現在は自分の店を持つ店主。ただし、コイツもクソ野郎で、過去に盗品売買をして逮捕されそうになったことも。まあ、要するにまっとうな男じゃあない。わたしの予感では、下巻で死亡するような気がしている。それはそれでざまあではあるけど、どうなるかな。
 ◆ピーター・ソウバーズ:2010年に、埋められていた現金とロススティーンの原稿を偶然発見した少年。その時14歳(かな?)。父は2009年の「メルセデス・キラー事件」に巻き込まれ、重傷を負って障害がのこった。元々父は2008年のリーマンショックで不動産屋での職を失い(なので、あの就職フェアに並んでいた)、母も同じく不景気で、学校の先生だったがパート扱いの非常勤講師に格下げされ、家計がどん底に苦しく、夫婦げんかが絶えず、ピーターは子供ながらにこりゃあうちの両親は離婚まっしぐらだと悲しんでいた。そんなとき、大金を手にしたため、定期的に自宅へ500ドルを匿名で郵送することで、家計を助けてきた。その後景気も回復し、父は自分の会社を立て、母も安定的な収入を得られるようになったところで、埋まっていた金も使い果たす。が、かわいい妹ティナの学費や、自分の大学進学資金を出せるほどの余裕はなく……悩みぬいて、原稿を売ろうと決意、よりによってクソ野郎のアンディの店に持ち込むという「人生最大の過ち」を犯してしまう(ピーターとしては、過去に盗品売買をしていた事実を知り、コイツならこのヤバい原稿にも興味を持つだろう、と完全に藪蛇を突っついてしまった)。なお、ピーターは、埋まっていた原稿を読むことで文学に目覚め、成績も優秀で大学は英文学科に進んで文学研究をしたいと思っている。ポイントは、どうやら妹のティナにあるらしく、ティナはピーターから見ると若干頭の悪い今どきガール、のようだが、実はもっと頭のいい女子中学生なのではないかという予感。なぜなら、この妹は、最近お兄ちゃんが変なの、と気が付いており(ついでに言うと記憶力抜群で、家に500ドルを送っているのはお兄ちゃんだろうとほぼ確信している)、そして、あの「メルセデス・キラー事件」をホッジスとともに解決したジェローム君の妹の友達で、様子のおかしいお兄ちゃんの相談を受けたジェローム君の妹から、ホッジスにつながるという展開のようだ。なお、ティナも、本当ならあのメルセデス・キラーが爆破しようとしていたアイドルコンサートに誘われていて、一緒に行く予定だったが、お金がなくてあきらめた経緯があるらしい。ちなみに、このソウバーズ家が現在住む家は、40年前にモリス・ベラミーが住んでいた家であり、あのメルセデス・キラーことフレイディ・ハーツフィールドの住んでいた家のご近所らしい。
 ◆ビル・ホッジス:前作の主人公の元刑事。現在は前述のとおり私立探偵。事務所は前作の後半で大活躍したホリーが切り盛りしている模様。上巻の段階では、二人ともほとんど出番なし。なお、ジェローム君はすでに大学生となって、どこか遠いところに行っている模様。
 とまあ、上巻では上記の人々だけで十分だろう。とにかくわたしとしては、もう今すぐ下巻に突入したいのだが……焦るな……時間はたっぷりある……ぜ。こいつはじっくり味わうんだ……クックック……という我ながら意味不明の心理状態にあるため、ゆっくり読もうと思っております。
  あと最後に備忘録:P.239にある「夜郎自大の下衆男」って……誤植か? と思ったら、ちゃんとした日本語だった。クソ、わたしも大したことねえなあ、と恥ずかしくなったっす。夜郎自大=自分の力量も知らず威張っている、という意味のたとえ、だそうです。使ったことねえなあ、この言葉は。

 というわけで、もうこれだけでも長いのでさっさと結論。
 わたしが世界で最も大好きな作家、Stephen King大先生の日本語で読める最新刊『KEEPERS, FINDERS』(日本語タイトルはそのままファインダーズ・キーパーズ)が発売になったので、さっそく読み始めたのだが、上巻読了の段階で、早くもかなり面白い展開である。下巻が楽しみだなあ! そして、本書は完全なる『Mr. Mercedes』の続編なので、いきなり本書を読むのはやめた方がいいと思います。しかし……メリケン人にとっては、見つけたもの勝ち、は常識なんだろうな。やたらと、日本では落とし物や忘れ物が帰ってくる、感動した! という外国人の声を耳にしますが、我々日本人であっても、ピーターくんのような状況で、見つけたお宝を素直に警察に届けることが出来るかどうか……その辺を考えながら、下巻を読もうと存じます。以上。

↓ もし読んでいないなら、今すぐ読むべきでしょうな。大変面白いす。そして今のところ、この第2巻『ファインダーズ・キーパーズ』の方が面白い予感です。
ミスター・メルセデス 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

ミスター・メルセデス 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

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