2017年09月

 はーやれやれ。9月はなんかやけに忙しく、今日、やっと宝塚歌劇を観に行くことができた。もう何度も何度も書いているとおり、わたしはもはやアラフィフのおっさんだが、2010年に初めて宝塚歌劇を観劇し、見事にハマって早7年、一番応援しているのは星組であるけれど、今やほぼ全組の公演を観に行って楽しんでいる若干キモイおっさんなわけだが、現在、日比谷の東京宝塚劇場で公演中なのは月組で、その公演も来週いっぱいで終了してしまうというぎりぎりセーフのタイミングで、今日観に行くことができた。今日は宝塚友の会優先公演だったので、終演後に挨拶もありました。えっ!? 友の会の公演によく行けたなって? そんなの当り前じゃないですか! わたしは友の会会員であります!
 で、演目は、Alexandre Dumas氏の小説でおなじみの「三銃士」をモチーフとした『ALL for ONE ~ダルタニアンと太陽王』である。
allforone
 ちょっとここで、お話についてと宝塚歌劇の仕組み的な点のそれぞれちょっとだけ解説しておくと、知らない人は知らないだろうし知ってる人なら常識な通り、「ダルタニアン」というキャラクターは、「三銃士」のメンバーではない。三銃士は、アラミス・アトス・ボルトスの三人組で、主人公ダルタニアンがある意味あこがれる先輩である。つまり、月組TOPスターは当然主役なので、演じるのは当然ダルタニアンの役であり、三銃士はそれぞれ別の生徒が演じるわけである(※宝塚歌劇では、劇団所属女優を生徒と呼ぶ。ファンはジェンヌとも呼ぶ)。
 そしてもう一つ、宝塚の仕組みとして解説しておきたいのは、宝塚歌劇の各生徒は、花・月・雪・星・宙のどれかに属する人と、どこにも属さない「専科」と呼ばれる、いわばフリーランスのベテランもいるという点である。また、各組に属していても、普通の会社のように人事異動があって、ファンからするとある日突然、例えば雪組に所属していたスターが月組に異動になることもある。そういう人事異動を、宝塚歌劇では「組替え」と呼ぶのだが、まあ、そういうこともあるのである。
 なんでこんなことを最初に書いたかというと、今日、一緒に行った後輩女子が初宝塚観劇でそういうことをまったく知らなくて、まあそりゃ知らんわな、と、せっせと解説してあげたからなのだが、今回の公演では、主役の月組TOPスター珠城りょうさん(通称たまきちくん)が抜群にかっこよかったのはもちろんのこと、三銃士を演じた美弥るりかさん(通称みやちゃん)・宇月楓さん(通称としさん)・暁千星(通称ありちゃん)の三人組も揃ってカッコよく、また、先日雪組から組替えで月組にやってきたばかりの月城かなとさん(通称れいこさん)のイケメンぶりは輝いており、さらに専科の沙央くらまさん(通称こまちゃん)も久々の女子役は極めて妖艶で、おまけに太陽王ルイ14世を演じた、月組が誇るTOP娘役の愛希れいかさん(通称:ちゃぴちゃん)も大変素晴らしかったわけで、それらを伝えたいので、わざわざ後で解説するのがめんどくさかったので先に説明してみたわけです、はい。
 で、結論から言うと、わたしとしては本作を大変楽しめました。いやあ、ビジュアル的にもカッコよくて大満足でした。とりわけ衣装が非常にかっこよかったすねえ! 銃士隊の制服(?)は、↓の映像ではわからないかもしれないけど、あの青い服やマント、ありゃデニムですよ。欲しい! 着たい!

 まず簡単にお話をまとめると、ルイ14世の治下で銃士隊として活躍するダルタニアンと三銃士の面々は、ある日、ルイ14世から剣術指南の役を命じられ、ダルタニアンは城へ向かう。そして対面したルイ14世は、剣術はあまり得意ではなく、それよりもバレエの方が好きというお方で、稽古中についダルタニアンは王をぶっ飛ばしてしまう。その結果、銃士隊は解散じゃ! という目に遭ってしまい、困っていると、どうもその背後には宰相マザランの陰謀と、なんと、ルイ14世はか弱い少女だった! という驚愕の秘密が隠されていたのだった―――てなお話であった。サーセン。超はしょりました。
 まあ、要するに結構突飛なトンデモ物語なのだが、実際のところ本作は明確にコメディであり、かっこいいところではバシッと決まりつつ、随所に笑える場面もあって大変楽しめたのは間違いないと思う。
 ところで、わたしが一番おっ! と反応したのは、「ガスコン」という言葉だ。これは、フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈にほど近いガスコーニュ地方出身の男という意味だが、わたしがガスコンと聞いて真っ先に思い出すのは、フランス戯曲でおそらくは最も有名な作品の一つ『Cyrano de Bergerac』である。この作品の中でガスコンというのは重要な意味があって、主人公シラノもガスコンで、何と言えばいいかな、権力とか、自分より強いものに果敢に立ち向かい、信念を曲げない強固な意志を持つ男、という意味で、何度か俺はガスコンだ!というようなシーンがあるのです。で、実はダルタニアンもまさしくガスコンで、本作でも反骨の男としてとてもカッコよかったと思う。ちなみに、日本の小説で『二人のガスコン』という作品があって、これはまさにシラノとダルタニアンが夢の共演! という小説で非常に面白かった覚えがあります。読んだのはもう10年以上前なので詳しいことは忘れました。

 そして、本作において、実はわたしは結構冒頭から、ずっと、おかしい……と思うことがあった。それは、月組でわたしが一番大好きな海乃美月ちゃん(通称うみちゃん)の姿がない、おかしい、オレがうみちゃんを見分けられないわけがないのに! どうして? なんでだ!? とずっと思っていたのである。ま、キャスト表を予習しておけばわかることだったのだが、わたしはまったく予習せずに観に行ったので、何の役で出てくるか知らなかったのである。すると、1幕のかなり終わりの方で、ルイ14世のお嫁さん候補として、スペインからマリー・テレーズがお見合い(?)にやってくる流れになり、最初に、肖像画が出てくるのだが……わたしはその肖像画を双眼鏡で観て、おおっと!キタ!うみちゃんだ!とすぐに分かった。ほどなくして、本人が登場してきて、紛れもなくうみちゃんご本人でわたしのテンションは一気に上昇、いやあ、相変わらず素晴らしく可愛いうみちゃんでありました。あの、特徴ある口元が大好きなんすよね……おっと、これ以上書くとますますキモイおっさんの図となり果てるのでこの辺でやめておきます。
 そしてメインキャスト関しては最初に書いた通り、みな素晴らしかったのはもう言うまでもなかろう。たまきちくんは、なんというか、毎回思うけれど、なんとなく上品というか、おぼっちゃまっぽさを感じますな。それは決して悪いことではなく、たまきちくんの個性だと思う。こういうTPOスターというのもアリでしょうな。何しろ若いし。その点では、2年前?の『カルメン』では非常に激しくて、いつもとちょっと違う貴重なたまきちくんだったかもしれないすね。お相手のちゃぴちゃんも、元男役ということで低い声でルイ14世を演じながら、実は女で、本当はドレスも着たいしお化粧もしたい、という悩みの中で葛藤?する姿は大変かわいらしかった。現在の娘役TOPの中で最古参となったちゃぴちゃん。ちゃぴはホントに笑顔の可愛い娘さんですよ。どうかもう少し辞めないでいておくれ……。
 そして月組初主演となったれいこさんも、悪役ではあったけれど大変美しかった。今日一緒に行った宝塚初体験の女子は、れいこさんが一番カッコよかったと言ってました。また、こまちゃんも、もともと男役の人だぜ、と教えてあげたらびっくりしてました。まあ、わたしも今回のセクシー美女を演じたこまちゃんの女子姿には驚いたよ。おとといだったか、こまちゃんも退団のお知らせが発表されたね。わたしがこまちゃんで一番覚えているのは、2011年の雪組版『ロミオとジュリエット』での乳母の役なのだが、あの公演は震災の翌日に観に行ったことでも忘れられないす。
 最後に、これも宝塚初体験女子に説明したヅカ豆知識を書いて終わりにしよう。宝塚歌劇の演目には、「一幕もの」と「二幕もの」という大きな区分があって、一幕ものは、約1時間半チョイで終了する短い作品で、30分の幕間の後に、1時間弱の歌と踊りのレビューショーが付く。要するに演目2本立てだ。で、もう一方の「二幕もの」は、一つの長いお話を幕間を挟んで通しで行うものである。わたしとしては、初宝塚は一幕もの+ショーの方がいいかなとは思っていたのだが、今回の作品は二幕ものである。でも、わたしは観る前から今回は二幕ものと知っていたけれど、どんどんお話は展開していって、あれっ!? これって、もう終わるの? つか、一幕ものだっけ? というぐらい、クライマックス直前まで話は進み、幕間となった。なお二幕ものの、一幕目のラストはたいていキャラ総出演での超盛り上がる歌で締めくくられることが多く、今回も幕間直前のシーンはとてもカッコよかったすね。まあ、連れて行った後輩女子も楽しんでくれたようで、二幕ものでも初宝塚は大丈夫だったようです。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「俺は生き方を曲げない!…ガスコンだ!!
 今回は、やっぱりダルタニアンのガスコンの誇りある言葉で締めたいと思います。あーでも、これも良かったなあ。
 「それなら臆せず、彼の胸に飛び込み、挑んでみることですなあ! 予行演習が必要なら、仰ってください、マダム
 これは、三銃士一の色男、アラミスが銃士隊が解散となって故郷に戻り、元々の聖職者として恋の悩みを懺悔で聞いた時に、返す言葉だ。コメディタッチでいて、大変カッコイイ、スカしたイケ台詞だったと思います。演じた美弥ちゃんはやっぱり色気のあるイケメンですなあ。

 というわけで、なんかうまくまとまらないのでもう結論。
 現在東京宝塚劇場で絶賛公演中の月組公演『ALL for ONE ~ダルタニアンと太陽王』を、終了一週間前のタイミングでやっと観に行くことができた。お話は、意外にもコメディーで、結構笑えるところもありつつも、決めるところはバシっと決まっており、大変楽しめました。そして月組にやってきたばかりのれいこさんは雪組時代と変わらず美しく、久しぶりに女性を演じたこまちゃんも大変セクシーであった。もちろん、月組メンバーはたまきちくん、ちゃぴちゃんの二人のTOPコンビは当然ながら、みやちゃん、としさん、ありちゃん、みな大変生き生きとして楽しげに演じていたのが印象的であった。そして、わたしとしては今回は特に衣装が気に入った。あのデニムの制服はカッコイイですなあ! ホント欲しいわ。着てみたい! 以上。

↓ わたしはこの映画を3回映画館に観に行って(東京では渋谷のBunkamuraでしか上映してなかった)、2回泣いたっす。いまだに、わたしの好きな映画TOP10に入る名作です。とにかくカッコイイ!

 おととい、わたしが世界で最も好きな作家であるStephen King大先生の日本語で読める最新刊『FINDERS, KEEPERS』がもう店頭に並んでねえかなあ(正式発売日は今日の9/29)、と神保町の一番デカい本屋さん(と言えばきっとわかりますよね)に行ったところ、1階の新刊書・話題書のコーナーには見当たらず、ちょっと早すぎたか、とガッカリしたのだが、いつ入荷するんだろうな、と思って店内検索機で探してみて、ひょっとしたら入荷情報とか載ってるかも、と期待を込めて検索したところ、ごくあっさり、「店内在庫アリ」と出てきた。な、なんだってー!? と興奮し、良く見ると2階の文芸の棚にあるという表示なので、マジかよと慌てて2階に行ってみたところ、検索機の表示する番号の棚にきちんと置かれていた。というわけで、すぐさまGetしたのだが、その時同時に、げえーーーっ!? いつの間にか新刊が発売になってる! 超抜かってた! と慌てて買った作品、それが今回感想をこれから書こうとしている『空也十番勝負 青春篇 恨み残さじ』という作品である。
 わたしとしては、正直King大先生の新刊の方が読みたくてたまらないものの、100%間違いなく本作『空也十番勝負』の方が早く読み終わることは確実なので、先にこちらを読むことにした。その結果、3~4時間ぐらいだったかな、実にあっさり読み終えてしまった。結論から言うと、今回も大変楽しめたので、シリーズファンが読まない理由はないと存じます。というわけで、以下ネタバレ全開になると思うので、ネタバレが困る人は読まないでください。

 もう既に発売から2週間経ってたのか……くそう、抜かってたというか、ホントにわたしもダメな奴になっちまったもんだ……。
 ま、そんなことはさておき、本作は、かの佐伯泰英先生による一大人気シリーズ『居眠り磐音 江戸双紙』の直接の続編にあたる。主人公が前シリーズの坂崎磐音から、その息子の空也くんに代替わりしている作品で、今回はその第2巻にあたる。
 ちょっとまず振り返っておくと、前作、この『空也十番勝負 青春篇』の1巻目である『声なき蝉』は、『居眠り磐音』シリーズ最終第51巻のラストで、九州の関前藩(※架空の藩で、磐音の故郷)から武者修行の旅に出た空也くん16歳が、最初の修行の場として選んだ薩摩藩での様々な出来事が描かれており、確か2年(3年だっけ?)ぐらいの時間経過が描かれていたはずだ。
 薩摩藩は完全に異国であり、国境警備も厳しく、なにより、空也くんが一番の目的として考えていた、島津家御家流の「東郷示現流」も、門外不出で、とても道場に弟子入りすることはできない。まあ、結局空也くんは示現流を学ぶことはできなかったのだが、代わりに、運命的な2人の人間と出会うことになる。
 一人は、薬丸新蔵という男で、空也くんとは剣を通じて知り合い、新蔵の遣う「野太刀流」は空也くんに大きな影響を及ぼす。示現流ではない、けれど、源流は同じというか、まあ詳しいことは省くけれど、空也くんは新蔵と知り合って、示現流の基礎である技の修練法を身に着けていく。そして新蔵はとある事件があって薩摩を出奔し、江戸へ旅立ち、空也くんとは別れることに。
 もう一人は、おそらく将来的に空也くんの嫁となるであろう、お姫様だ。名を渋谷眉月といい、江戸の薩摩屋敷の生まれ&江戸育ちの美少女である。彼女は、おじいちゃんが島津家八代目の重豪(=天璋院篤姫のひい爺さんかな?)の側用人であったのだが、藩主代替わりで薩摩へ戻ったおじいちゃんに付いて来て、初めて薩摩暮らしとなったのだが、そんな彼女は、とある事件に巻き込まれて意識不明の半死半生となって川に流れついた空也くんを救い、献身的に看護したため、空也くんにとっては命の恩人でもある。まあ、若いお二人さんはもう完全にお互いぞっこんLOVEなのは言うまでもなかろう。
 で、1巻ラストでは、空也くんは姫にも別れを告げ、薩摩を去るわけだが、今回はまさしくその続きで、隣国の人吉藩~熊本藩が今回の舞台となっていた。もちろん、時折江戸にいる父の磐音や、母のおこんさん、また妹の睦月ちゃんといった、シリーズのファンなら絶対にご存知のメンバーもちらほら出てきて、ファン大満足の物語であろうと思う。わたしとしても、大変うれしい限りだ。さらに、江戸にたどり着いた新蔵のその後も語られており、後半ではとうとう新蔵は尚武館道場に現れ、磐音と対面もしたりして、大変わくわくする展開でもあった。どうやら新蔵は今後もちらほら江戸の場面では登場するようですね。
 しかし、問題は空也くんである。
 わたしとしては、やっぱりそうなるか……とある意味予想通りではあるのだが、空也くんは前作ラストで、示現流の達人と果し合いをして勝利、相手を死に至らしめたため、またしても「恨みは晴らさでおべきか!」と怒りに燃えた示現流の刺客に追われる身となってしまったのである。なんというか、完全なる尋常な勝負であり、死んでしまった達人も遺書に遺恨残すなかれ、と書いていたし(?)、現藩主たる九代目藩主の斉宣も復讐禁止を命じているのに、どうしても示現流の皆さん及び親族は許せない。その気持ちは痛いほど理解できるけれど……やっぱりちょっと悲しいすね。
 どうも、今後の展開としては、やっぱり空也は追われる身で、ゆく先々で死闘が待っているようだ。なんか……ますます『密命』シリーズの金杉清之助くん的な物語になっていきそうで、ちょっと心配だ。わたしは『密命』も好きだけれど、もう後半の清之助は強すぎというかスーパーマンになっちゃったからなあ……なお、空也くんは今回のお話で、下段から斬りあげる(?)必殺技を身に着けようとし始めており、ますます「寒月霞斬り」を思わせるような気もした。
 ところで、わたしが今回、んん? と思ったのは、中盤での空也くんの「山賊退治」のエピソードだ。空也くんは、人吉藩のタイ捨流丸目道場での修行を許されて、その長屋を仮の住まいとするのだが、何度か、その長屋から出て山籠もりの修行をしに行く。まあ、元々空也くんは高野山の奥の山の中で生まれ育った青年なので、どうも丸目道場が物足りないらしい。そんな彼が山奥で出会った人々の住む集落で、用心棒的な働きをするエピソードが出てくる。村人曰く、非常に貧しい村だけれど、年に一度、村の木材(?)を売ったお金が支払われるそうで、その金目当ての山賊がいるらしい。しかもどうやらその山賊には、その村の出身者がいるというのだ。そこで空也くんは山賊撃退チームを編成して待ち受け、返り討ちにしてやるわけだが、それがですね、妙にエピソードとして浮いているんだな。確かに、お話し的には『七人の侍』的で面白い、のだが、示現流とも何も関係がなく、ズバリ言うと本筋には全く関係ない。後々関係してくる……とも思えない。どうして佐伯先生はこのエピソードを入れたのか分からないけれど、正直あってもなくてもいいものだったと思う。特に得たものもないのだが、強いて言えば、こういう暮らしをしている人もいるんだ、というような、空也くんの見識が広がった、ぐらいな意味合いしかないような気がする。なんかオチも特になかったし。
 で。やっぱり薩摩とモメている空也くんとしては、人吉藩に迷惑をかけるわけにはいかず、本作ラストでは人吉を発って、熊本の八代へ向かうことになる。そこから、どこへ行くか聞かされていない船に乗って旅立つという計画を丸目道場に立ててもらい、それに乗っかったという形だが、一足違いで、人吉へやってきた眉月ちゃんと会えない。わたしは、ああ、こりゃあきっと、「吉川英治版・宮本武蔵」の、武蔵とおつうさんのように、これから先はずっとすれ違いの二人で、江戸の尚武館で、何年後かにやっと再開できる展開なのかな、と思っていた。
 しかし! 眉月ちゃんはわたしが想像していたような、か弱い女子じゃあなかった! 超積極ガールで、空也くんを追って船で先に八代入りし、空也くんの到着を待ち受けるという攻めの女子だった! そして今回もまた示現流との死闘を終えた空也くんが八代に到着、結果的に結構あっさり二人は再会、という展開であった。これも、わたし的にはちょっと驚いた。というか、あれっ!? と肩透かし? 的な気持ちになった。なんだよ……空也くん、君は武者修行のわりに、すげえリア充じゃん! やるじゃないの!
 というわけで、愛しい女子との再会も無事果たし、いつの日か江戸で、と約束も交わし、再び行先も知らぬ船で旅立つのであった、というエンディングであった。なお、その後、本書の一番終わりは、新蔵のその後が描かれ、なんと小梅村に逗留するようで、新蔵のことも含め、大変今後も楽しみな終わり方であったと思う。

 というわけで、なんかまとまらないのでもう結論。
 大人気シリーズ『居眠り磐音 江戸双紙』の直接の続編である『空也十番勝負 青春篇』の第2巻『恨み残さじ』が、いつの間にか発売になっており、抜かっていたわたしは発売から2週間たってやっと買い、そして結構あっという間に読み終えた。感想としては、もちろん今回も面白かった。しかし、タイトルにある通り「十番勝負」なわけで、残りはあと八番。いったいどんな強敵と戦うことになるのか。そして戦いの末に、空也くんはどんな男になるのか。現在空也くんは19歳ぐらいまで成長しているはずだが、もうすでに相当強く、父・磐音を超える男になれるのか。その成長を楽しみに見守りたいと思うわたしであった。八代からどこに向かうんだろうなあ……まずは長崎あたりなのかなあ……もっと進んで出雲の方まで行っちゃうのかな……それとも南下して九州をぐるっと回って、四国~紀伊方面なのかな……瀬戸内に回り込むのは遠回りすぎるし……尾張まで行っちゃうとかもありうるかもな……ともあれ、大変楽しみであります! 以上。

↓ こういう本もあるんですなあ……。東郷示現流といえば、やっぱり「チェストーー!」が頭に響きますな。




 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、先週わたしは両国国技館にて大相撲観戦に行ってきたわけですが、その様子は別記事を読んでいただくということで、省略します。わたしの応援している松鳳山関が目の前で勝ち越しを決めてくれて、まあ、大興奮でありました。やっぱり生はいいですなあ! そして、ホントに力士はデカいすねえ!
 ところで、このインターネッツという銀河の片隅でわたしが毎週せっせと書いている『鮫島』ニュースですが、その読者の方で、Stephen  King大先生のファンの方はどれくらいいるのでしょうか。さっぱり見当がつきませんが、わたしは世界の小説家の中で、Stephen King 大先生が最も好きなのですが、King先生の日本語で読める最新作『FINDERS, KEEPERS (邦題もそのままファインダーズ・キーパーズ)』が、いよいよ発売になりました!
finderskeepers
 文藝春秋社から発表されている正式な発売日はあすの金曜日なんですが、書籍というものはその流通上、お店に着いたら売っていいという慣習があって(雑誌は絶対ダメ)、都内では昨日、既に売っておりました。なので即Getし、昨日の帰りの電車内からさっそく読み始めております。今回もヤバいすねえ……超面白いす。
ファインダーズ・キーパーズ 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

ファインダーズ・キーパーズ 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

 わたしはこの『鮫島』ニュースで散々書いている通り、すっかり電子書籍野郎に変身して、チャンピオンすら電子で買っているのですが、King先生の「単行本」は、紙で買うことにしてます。なぜなら! 単に本棚に並べて悦に入りたいからです! 文庫まで待つなんてことももうやめました。だって、よく考えると文庫になると分厚い上中下とか分冊になって、合計では大して値段も違わないし。なので、1000円ぐらいの差額に関しては、もう、いち早く読める「特急料金」と納得することにし、単行本で買って読む方針にずいぶん前に変更しました。実際、読みたくて読みたくて我慢できないし! というわけで、今わたしはKing先生の新作に日夜興奮しております!
 それでは、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年44号概況です。
 ■巻頭グラビア:2週連続で都丸紗也華嬢です。極上です。
 ■弱虫ペダル:全開坂道の巻。引き続き箱学を追う総北。タイトル通り全開です。
 ■刃牙道:ビッグマッチの巻。さあ、いよいよ刃牙VS武蔵が正式決定のようですよ。
 ■BEASTERS:危険なエゴイスト2匹の巻。ジュノちゃんはレゴシ君に振られたことががショックなようです。次期BEASTERSになれるのでしょうか。
 ■囚人リク:子猿の巻。ちなみに本編では「子猿」に「カス」というルビが振ってあります。そのシーンの絵が最高です。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ;レジェンド オブ ロナリストの巻。今週も大変笑わせていただきました。とにかくボケ合戦がしつこくて最高です。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週は、立ち合いから優勢が続く(?)鯉太郎の猛攻に、【天雷】がやっとというかとうとう、覚悟を決め、「本当のすべてで行く」決意を固めて、”怪力”【天雷】の真の反撃が始まりそうなイイところで終了でした。今週はその続きです。鯉太郎による石川譲りの「非情の一撃」が炸裂し、一瞬意識が飛んだ【天雷】。しかし、その鯉太郎の右腕をがっちりホールド。さあ、反撃なるか、であります。
 しかし……最初に結論から言うと、今週は非常に文字で説明するのが難しい展開であります。次々と攻防が入れ替わる展開ですが、鯉太郎が常に先手先手と、【天雷】の攻撃を「先読みしている」という、息もつかせぬ展開であります。
 まず、今週冒頭は、がっちり腕を取られた鯉太郎が、その瞬間に「ヤバイ!」と感じるシーンから始まりました。しかし、ナレーションによると
 「しかし天雷も無意識に近い状態で腕を掴んだはいいが 鮫島渾身の一撃のダメージは明白だった そのダメージが次への移行への思考を コンマ数秒遅らせた」のであります。そして鯉太郎も、まさしく息を付かせぬ攻撃を繰り出していたため、呼吸が必要でした……が、そのまま呼吸せず間髪入れずの続行を決意。それすなわち、
 「鮫島の勝負勘が わずか後に来る天雷の攻撃の危険な臭いを嗅ぎ取った」のです!
 無呼吸、それは目いっぱいの力を出す時の人間の生理的現象(と言っていいのかな?)ですが、通常は数十秒が限界。よく、陸上競技では400mが最も過酷とか言われますよね。400m、50秒程度の無呼吸走法が限界だというわけです。自転車ロードレースでも、最後のゴールスプリント300mは無呼吸でいくわけで、とにかくMAXパワーの続く限界時間というものがあります。
 というわけで、【天雷】は鯉太郎の右腕を取った状態からとったりでぶん投げようとしますが、無呼吸で即座に対応していた鯉太郎はすぐさま回り込んで対応します。これには【天雷】も「今のタイミングではずした…? いや…違う…今のは……読まれていた?」と戦慄の表情です。
 ならば、と【天雷】は逆方向へ腕捻りで投げを打ちに行きます……が、鯉太郎はそれも堪えます。またしても【天雷】はショックな表情。
 「コレも…!? 間違いない…何が来るか…先が見えている…」
 そんな驚愕の天雷の脳裏には、【王虎】さんの言葉が蘇ります。
 「鮫島(アレ)は俺の道具だ…この先へに必要な…」
 そういうことかと理解した【天雷】は、ならば上等、とばかりに鯉太郎の頭を抑え、上から力づくで押し潰そうとします、が、やはりそれも鯉太郎は回避、先に膝を当てて切り返しで攻撃を仕掛けます。読者から見ると、もう【天雷】は焦っているように見えるのですが、大丈夫なのでしょうか!? 天雷は脳裏で鯉太郎に話しかけています。「鮫島……お前には何が見えている…お前の底はどこにある…お前はどこまで行く…あぁ…引っぱられる…見えていたと思った自分の底が…お前といると分からなくなる…俺もきっと…まだまだ先へ行ける…」
 先週描かれた通り、【天雷】は、絶対王者である横綱【泡影】との戦いで、ああ、なんてこった、自分はこんなものなのか、全然足りないじゃないか、と、自分の底が見えちゃったような気になっていたわけです。そして鯉太郎の、そんな自分の底なんて気にする余裕なんてないような、覚悟を持って闘う姿勢に、JOJOでいうところの、「そこに痺れる憧れるぅ!」と感じるに至ったわけですが、まさしく、鯉太郎と戦うと、オレもまだ先へ行ける! と思えるのでしょう。おそらくは、その点こそ、【王虎】さんが「俺の道具」と言い放った意味なのかもしれません。
 というわけで、【天雷】は首捻りで鯉太郎を再び強引に力で持って行った―――! という1ページブチ抜きショットが現れます。これには土俵を見守る石川大器くんも「速い…」と驚き、そして虎城理事長も「鮫島の思考の先を いったか天雷…」と若干のドヤ顔。
 しかし! 鯉太郎の心臓がバクン!と脈動し、潰れるな、まだ、あと少しだけ! という鯉太郎の渾身が炸裂、左腕で【天雷】の膝裏を取り、右腕は【天雷】の顔面を抑え、そしてそのまま頭をつけて倒しにかかります! 説明が難しい! その様に、虎城理事長は「さらにその先を行くか…鮫島鯉太郎」と呆然、そして観客席の椿ちゃんは「いけ!!」と絶叫、そこで鯉太郎のうおおお!的な顔アップです!
 しかし! ああ! なんと! 鯉太郎渾身の押しも、【天雷】は両腕で鯉太郎の体をホールドしてびくともしません!! その両腕は、鯉太郎の背中でがっちりと組まれています。説明が難しいですが、要するに、と、止めた――――!! の図が見開きで描かれています! 土俵上の二人の渾身が、そして佐藤先生の渾身が伝わる素晴らしい一枚絵ですので、ぜひ今週のチャンピオンを買ってご確認ください。そして今週は、その一瞬の膠着状態で、【天雷】が「ありがとう…鮫島……」と囁きながら、不完全なベアハッグめいた体勢でメキメキ・ミシミシと鯉太郎の体を締め上げる描写で幕を閉じました……。
 なお、編集部謹製のエンディングキャッチは「決着の刻迫る…!? 次号に続く。」でした。マジかよ……決着のときが迫ってるんすかねえ!? これは一体どういう結末を迎えるのかなあ……鯉太郎は勝てるのか、【天雷】のその先が描かれるのか、わくわくしますなあ! いやー、来週号が楽しみです!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、鯉太郎と【天雷】の攻防、おそらく実時間では数十秒程度、の経過が描かれました。鯉太郎は常に先を取りますが、後の先、ともいうべき【天雷】の受けも強固であり、やっぱり体格差もここで影響してきているとも見えます。強固な石垣のような【天雷】。鯉太郎はその城壁に風穴を開けることができるのか。はーーーヤバいすねえ……。常松は「がっちり組まれたら終わり」的なことを言っていましたし、それは鯉太郎も承知しているわけで、今週ラストの状態から、鯉太郎はどんな攻撃を繰り出すのか、来週が本当に楽しみであります!
 ところで、ここでミニ情報~~! 現在、週刊少年ジャンプで連載中の同じ相撲マンガ『火ノ丸相撲』ですが、数週間前から、第2章として「プロ大相撲編」に移っています。主人公の鬼丸くんは既に幕内力士として戦っていますが、なんと今週は、高校時代のチームメイトであり親友である桐仁くん(体のせいで一度相撲をあきらめた彼)が、なんと十両力士として登場、不敵な宣戦布告をカッコよくかましてくれました。こちらも燃えますなあ! 『鮫島』とはかなり違いますが、わたしは『火ノ丸』も応援しております! まあ、ジャンプのマンガなので、いちいちカッコイイあだ名や必殺技名が若干アレですが。以上。

↓ というわけで、『火ノ丸』は既に(16)巻まで出てます。次の(17)巻は11月頭発売みたいすね。

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データをまとめます。
 この週末は、わたしはずっと観たかった『スイス・アーミー・マン』がUS公開から1年以上遅れてやっと日本公開になったので、早速観てきました。――が、想像していたような物語では全然なく、お話し的には若干微妙だったかなあ……ただし、ダニエル・ラドクリフ君の渾身の「死体」の演技は超最高で、相当よかったです。
 さて、今日はちょっと時間がないので、今週も手抜きあっさりVerでさっさと始めます。それではさっそく、興行通信社の大本営発表を以下まとめておきます。

 1位:『ナミヤ雑貨店の奇跡』が公開土日で2.1億稼いで初登場1位だそうです。わたしが東野先生の原作小説を読んだのはだいぶ前、5年前かな、文庫になる前の単行本で読んで、いいお話だなあ……としんみり感動した覚えがありますが、映画の出来はどうなんでしょうか。わたしは東野先生の作品では、通常の(?)社会派ミステリーよりも、たまに書いてくれるこういうファンタジックなお話が結構好きです。いずれにせよ、非東宝作品で初登場1位は立派です。売れてほしいなあ。
 2位:『あさひなぐ』が公開土日で1.26億稼いで2位だそうです。こちらはコミック原作で乃木坂46の皆さんが主演されているわけで、一定以上のヒットはすると思いましたが、この数字をどう評価すべきか良く分からんです。もうチョイ稼ぐと思ってました。あ、金曜公開か、じゃあ3日間だともうチョイ稼いだのかな。
 3位:『ダンケルク』が16日間で12億突破だそうです。高単価&平日動員もいいみたいですな。
 4位:『三度目の殺人』が16日間で10億突破だそうです。若干スローペースというか、やや期待値より下目、と見たけどどうでしょう。
 5位:『エイリアン コヴェナント』が10日間で5~6億程度と見積もる。こちらは厳しい数字と言わざるを得ないような……。
 6位:『関ヶ原』が30日間で20億突破だそうです。
 7位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が66日間で71~72億ぐらいでしょうか? 息が長いすなあ。
 8位:『ユリゴコロ』が公開土日でいくら稼いだか不明ですが8位だそうで、まあ、この位置だと0.5~0.7億とかそんな感じなのでしょうか。原作は沼田まほかる先生の小説ですが、読んでいないので内容も知らないす。
 9位:『奥田民生になりたいボーイと~』が9日間で……この位置だと3億届いてないぐらいなのかな? 東宝配給で250スクリーン以上でこの数字は、実際ヤバいような気がしますが、大丈夫なんでしょうか。
 10位:『スクランブル』が10位で客層は7割が男で30代~50代ですって。金額は不明ですが、まあ、0.5億に行ったかどうかぐらいなのでしょうか。うーん、予告編は何度も観たし、車が大好きなおっさんのわたしですが、イマイチそそられず、見送りました。観てないので面白いのか分からんです。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 わたしは次の週末は映画の予定はなく、その次の週に、↓コイツを観に行くのを楽しみにしています。

 『1』も『2』も大変面白く、というか恐ろしく、今回で完結らしいですが、大変楽しみです。最後まで大友は生きていられるのかなあ……ともあれ、最後まで見届けたいと存じます。

 というわけで、結論。
 今週は、『ナミヤ雑貨店の奇跡』が初登場1位。非東宝作品が1位だとちょっと応援したくなりますが、果たしてどこまで伸びるか、その進捗を注目したいと思います。以上。

 もう1年以上前に、US版予告を観て、うおお、コイツは超面白そうだぜ!と思っていた映画がある。しかし、日本では一向に公開される気配がなく、こりゃあお蔵入りで、そのうちWOWOWで放送されないかなあ、と待っていたところ、US公開から1年3か月経ったおとといの金曜日からようやく日本公開の運びとなった。ので、今日、さっそく観てきた。
 その作品のタイトルは、『SWISS ARMY MAN』。とんでもなく奇想天外な物語で、わたしは観ながら結構笑ってしまったのだが、結論から言うとラストは若干微妙で、ちょっとまだわたしはこの映画を消化しきれていないというか、若干胃もたれしているところである。
 ところで、タイトルの意味を理解するには、コイツのことを知っていないと困るのだが、まあ、男なら絶対に知っていると思う、↓これである。

 そう、いわゆる「スイス・アーミー・ナイフ」、通称「十徳ナイフ」といういろんな機能が搭載された、アウトドア野郎なら必ず1本は持っているアレである。なんとこの映画は、「死体」をこの十徳ナイフのように便利に使っちゃう、漂流サバイバル映画であった。というわけで、以下、確実にネタバレ全開で書くことになると思うので、気になる人は絶対に読まない方がいいと思います。これは何も知らないで観に行った方が面白いと思うので。観てから、読んでください。

 というわけで、まずは上記予告を観てもらいたい。もう大変なことになっている。わたしはUS版の予告を観て、な、なんだこれ!? と超興味を抱いたのだが、この予告からわたしは、前述のように「漂流サバイバル映画」だと思ったものの、いきなりで恐縮だけど、まずは前言撤回である。そう、実は全然「漂流サバイバル映画」ではなかったのだ。無人島&海、は、実は冒頭の5分ぐらいしか出てこない。冒頭はもう予告にある通りで、船が難破し(?)、小さな無人島で絶望とともに首を吊ろうとしていた男がふと見ると、波打ち際に人影が。慌てて駆け寄ってみると、すでに完全に死んでいる。が―――その死体は、豪快な音を立ててオナラをしており、何だよこれ……と見ていると、どんどん波にさらわれて死体が海の方に流れていく。しかも、ケツからは、ブビビビビ……とガスが放出されていて、おい、ちょっと待って、もしかして……と死体に飛び乗ると、死体はまるでジェットスキーのように、ガスパワーで海を豪快に駆けていくではないか! ひゃっほう! これで助かったぜ! というのが予告にある通りだが、あっさり男はバランスを崩して海に投げ出され……気が付くと陸地に打ち上げられていた。けれど、一体全体ここはどこ? というわけで、男は助けを求めて、陸地に分け入って行く。死体を背負いながら……てなお話であった。ちなみにここまで、開始10分ほどである。
 なので、冒頭だけが海&小島で、物語の本筋は、ほぼ森の中である。とにかく死体が便利すぎて、そのあたりの描写は、もう笑うしかない奇想天外なシュールな映像となっていくのだが、とある怪現象が起きてからは、かなりその趣は変わってくる。そうなのです。完全なる死体なのに……どういうわけかしゃべりだす、のだ。死体なのに!
 この、死体がしゃべるメカニズムは、ズバリ言うとラストまで一切説明はない。わたしは、実はこれは夢オチ的なエンディングで、死体がしゃべっていると思っているのは主人公の男だけで、なにか幻想のようなものを見ているだけなんじゃないのかしら、と思っていたのだが、どうもそうではない、らしい。そしてしゃべる死体との会話も、どんどんシュールになっていく。生前の記憶のない死体に、いろいろ教えていく主人公。そして主人公のこれまでの人生も語られていく。そして極めて残念ながら、その人生が全く共感できないものなんだな……なので、中盤からは、死体を使った笑えるシーンにはゲラゲラ笑ってしまうものの(これって不謹慎?)、主人公がバスで出会った美女に対する想いが観客に提示されていくにつれて、はっきり言ってわたしはドン引きになっていくという残念な状況となった。
 どうも、主人公が海で遭難した理由、もっと言えばなんで船で海に出でたのか、も、はっきりとはわからない。どうやら主人公は、とにかくコミュ障で、人と関わるのが苦手であったようだ。そして舞台はどうやら西海岸で、冒頭の無人島&海は太平洋の孤島らしい。よって、場面が変わってからの森は、西海岸のロスだかシスコのあたりのようなのだが、ともかく、主人公は全く見知らぬ美女に一方的に惚れ、そして美女に娘も旦那もいることは知っていたようなので、軽いストーカー野郎といってもよさそうだ。そんな見知らぬ美女をスマホの壁紙にしているのだから、まあ、ちょっと問題アリな男と言わざるを得ないだろう。
 あれっ!? なんだか書いていてドンドンつまらない映画のような気がしてきた。
 しかし、間違いなく笑えて面白かったのだが、冷静に考えると、結局のところ、この映画でわたしが面白かったのは、死体を便利な道具として使うという1点に集約されるわけで、そういう意味で完全なる一発ネタムービーだったのかもしれない。やたらと、さわやかな青春ムービー的なキャッチコピーで宣伝されているような気がするが、わたしには全くさわやかには感じられず、とりわけ感動もなかったのは事実だ。
 恐らく、わたしがこの映画で一番感動(?)したのは、「死体」を演じたDaniel Radcliffeくんのスーパー熱演であろうと思う。とにかくすごい! 完璧な「死体」であり、この渾身の「死体」の演技だけでも、この映画は観る価値があると思う。しかも、ケツ毛もじゃもじゃのケツもさらして、Harry Potterのイメージはもう完全にぶっ壊しており、わたしとしてはもう、順調なおっさん化を遂げたRadcliffeくんの姿には実に感動した。下品と言わないでいただきたい。だって人間だもの!
 そして主人公たる男を演じたPaul Danoくんもなかなかの熱演だった。彼は、かなりの出演作をわたしは観ているはずだけれど、正直あまり覚えにないかなあ……冒頭ではヒゲもじゃな彼が、中盤以降はすっきりした顔で出てくるのだが、そのスッキリした顔を観ても、ちょっとピンとこなかった。なお、どうやってひげをそったのかは、ぜひ本編を観て確認いただきたい。もちろん使ったのは、超便利な「死体」だが、どの部位を使ったかは書かないでおこう。若干……じゃあ済まないか。かなりドン引きな髭剃りなので。ちなみに、主人公が故郷への方向を知る道しるべになるモノも、死体の一部の謎反応によるものなのだが、それがナニかも書きません、つーか下品すぎて書けません。
 あと、主人公が一方的に(?)好きになった女性、を演じたのがMary Elizabeth Winslead嬢だが、この人、なんか老けたか? この人で思い出すのは『Die Hard 4.0』のマクレーン刑事の娘役とか、『The Thing(邦題:遊星からの物体X:ファーストコンタクト)』や、去年みて失望した『10 Clover Field Lane』など、結構わたし的にはおなじみの女優だが、本作では、顔を観ても一瞬誰だか分からなかったぐらい、何となく印象が違って見えました。なんでだろうな……自分でも良く分からんです。
 最後は監督についてメモして、もう終わりにしよう。この奇想天外な物語の監督・脚本を担当したのは、クレジット上ではDanielsと表示されていたけれど、Daniel Sceinert氏とDaniel Kwanという二人のダニエルさんのコンビだそうだ。正直知らない方々です。まあ、長編初作品らしく、そのアイディアは凄い、と思うけれど、どうして死体にしゃべらせたのか……その点だけ、わたしには良く分からないし、実際必要なかったのではないかという気も非常にする。あくまで、主人公の一人語りで十分だったのではなかろうか……どうなんだろう……ちょっとマジでわたしには良く分からんです。

 というわけで、もう全然まとまらないので結論。
 最初にUS版予告を観た時から超期待していた『SWISS ARMY MAN』が、US公開から1年3か月経ってやっと日本でも公開されたので、早速観てきたわたしだが、映画としては、全然想像していたものとは違っていたのは間違いない。全然漂流サバイバルじゃないし。そして、物語は実に微妙なお話であったことも事実だ。しかしそれでも、わたしはこの映画を観に行ったことを1mmも後悔していない。なぜなら、「死体」を演じたDaniel Radcliffeくんの演技が凄まじく素晴らしいからだ。その1点だけは保証できる。死体を使った数々の面白描写にも、相当笑わせてもらったし。だが、この映画が万人にお勧めかというと、これは無理だろうと思う。まず、相当な下ネタが多いし、そもそも死体をこんな風に扱うなんて、と真面目な人なら眉を顰めるかもしれないし。なので、まあ、とにかく予告を観て気になるなら観に行った方がいいし、予告の段階で、何じゃこりゃ、と嫌悪感を感じたならやめておいた方が無難だと思う。あ、それは当たり前か。サーセン。なんだかまだ、わたしはこの映画に対して消化不良で、全然うまくまとめられませんでした。以上。

↓ わたしは実は「漂流サバイバル映画」はジャンルとして結構好きで、今のところそのジャンルで最高峰は、この映画だと思います。とにかく壮絶。そしてカッコよく、悲しい……。




 はーーー興奮したわ……。わたしは今日、初めての大相撲観戦に行ってきた。わたしは、もう30年以上、ほぼ毎日総武線に載って通学/通勤しており、要するに毎日両国駅を通過しているのだが、国技館に入って、相撲観戦するのは初めてである。
 2か月ぐらい前に、まあどうせ取れないんでしょうよ、と申し込みしてみたチケットが運良く取れ、席は西15列目の特別2人マスC席、というもので、要するに、桝席の一番後ろで、通常4人に割り当てられる桝席を2人で観ていいよ、という席であった。一緒に連れてってやろうと思ったのは、年老いた母で、母がTVの相撲中継を観ながら、一度国技館で観てみたいわねえ的なことをつぶやくので、じゃあ、チケットを取ってみようじゃないかと思ったのである。
 で。今日はまず、国技館へどうやって行こうか? ということからちょっとした悩みがあった。というのも、我が老いたる母は、数年前にチャリで転倒し、見事に股関節骨折をぶちかまし、人工関節に置換するというちょっとゾッとする手術を受けたため、足が悪く、おまけに腰も悪い。この人、電車に乗れるんだろうか? という点からして心配であったため、国技館近くの駐車場まで車で行って、もし近くになければ、車を置ける地点からタクシーで行くしかねえかもな……と思っていた。
 また、時間は一体何時に出ればいいんだろう? という点も、初めて故に良く分からず、まあ、少なくとも幕内の土俵入りに間に合えばよかろう、という時間に家を出て、3時前ぐらいに国技館近くまで車で行ってみた。すると、非常に近いところは、やっぱり駐車料金が高い! ので、どうしようかなあ?と思っていたら、上限2400円の駐車場が開いていたので、そこに止めることにした。その場所は、国技館から300mほどなので、まあ、なんとか母でも歩けるだろう、というわけで、ま、実際全然母は大丈夫であった。
 そして国技館前まで着くと、もうすごい人の列。マジかよ!? と思っていると、その人々は力士の入り待ちをしている人々で、ははあ、なるほど、と思っていたら、正代関や御嶽海関、栃ノ心関などがちょうど続々と国技館入りしていて、うおお! すげえ! デカい! とのっけから大興奮。興奮しすぎてまともな写真が撮れませんでした。そして現在幕下17枚目まで落ちてしまっている豊ノ島さんにも、帰るところに遭遇。すでに関取ではない豊ノ島さんだったが、人々は大歓声、人気のほどはまだまだ関取クラスであった。今場所は4勝3敗とギリで勝ち越しなので、少しだけ番付は上がると思うが、まだ関取(=十両以上)までは少し時間がかかりそうだ。
 そしてそんな入り待ちの人々の間を通って国技館に向かうと、おおっと!! あった! まず見つけたかったのはこれですよ!
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 わたしが一番応援している松鳳山関の力士幟であります! カッコイイ! なお、写真は、本当は風の影響で裏面からしか取れず、文字が鏡文字の状態でしか撮影できなかったため、上記の写真は左右反転してあります。
 で、国技館へ入場し、十両の戦いが始まる直前だったので、まずは席はどんな所か見てみよう、チケットに記された西の15列目、特別2人マスC席ってのはどんなところなんだ、と席を探してみた。すると、ごくあっさりその場所は見つかり、まさしく桝席最後列で、西といっても真西ではなく、向こう正面(南側)の近い当たりだったので、角度的には西の力士のケツしか観れねえじゃん、という席では全然なく、意外と見やすく、そして一番意外なことに、結構土俵も近く見えた。おお、ここなら十分許容範囲じゃね? おまけに最後列なので、後ろを気にしなくていいし、通路にすぐ出られるし、おまけに出口も近くていい場所じゃねえか! とますますわたしのテンションは上がる一方である。
 というわけで、まずは公式グッズの売店へ向かい、ところでわが愛しの松鳳山裕也君のグッズはあるんだろうか? と探してみることにした。すると……一番欲しかった「松鳳山関応援タオル」なんぞはなく、なんだよ、全然売ってねえや……くそう……としょんぼりしていると、一応、ちょっとした松鳳山関グッズは見つけられたので、見つけたものはすべて買ってやったぜ! ちなみにもう、ここでもわたしは大興奮であります。というわけで、わたしが発見した松鳳山関グッズは、こんな感じです。
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 ちょっと無理やり1枚の画像に合成してみた。左の縦長のものが、ミニ幟。全長30cmぐらいと、意外とデカい。ちゃんと松鳳山関のものが売ってて大興奮ですよ! 月曜から、わたしの会社の机に翻ることになるのは確実であろうと思います。そして右側のものが、帰ってきてから部屋のフローリングに並べて撮影してみたもので、ストラップが2種類とマグネットが1種類×2個買ってみた。母曰く、幟の下に描かれている松鳳山関はちょっとイケメンすぎだし、色も黒くない、と見事なダメだしを食らってしまったが、いいの! 気に入ったんだから! そう、我が家では、松鳳山関は、「とにかくやたらと色黒」であることでおなじみなのである。しかしなあ、大相撲協会の方に申し上げたいのだが、やっぱり幕内力士はすべてちゃんと同じグッズを揃えて欲しいものだ。でもまあ、人気商売ってことで、シビアなんすかねえ……。くそう。でも、とりあえずこれでわたしはもう、相当満足というか大変テンションは上がっており、いよいよ腰を落ち着けての観戦である。
 しかし、マス席ってのは、意外と狭いものですなあ!? これで4人だと、相当ミチミチで、荷物を置く場所にも困るぐらいで驚いた。しかし、わたしの席は、そのマス席を2人でどうぞ、な席なので、足も延ばせるし超余裕。これなら足の悪い母でもなんとかなるだろう、と一安心であった。のだが……十両の取組も進み、いよいよ幕内土俵入りとなってくると、非常にイライラし始めた。というのも、前のマス席との段差が少なく、おまけに前のおっさんはとにかく落ち着きなくウロウロするし、前のおばさまはお行儀よく正座しているので超座高が高くなってしまい、はっきり言ってすげえ邪魔!! なのであった。おまけに、土俵を観ずに酒を飲み、ケータイをいじり、そして席を立ってウロウロする。何なんだこのクソジジイども! と、どんどんわたしの怒りメーターは上昇。何しに来てんだろうこの人たちは、と全くわたしには理解できなかった。ちなみに、わたしの前の落ち着きのないウロウロオヤジは、結びの一番の時には席にいなかったし。ま、おかげで邪魔されず見えたのでそれはそれでわたしにとってはいいのだが、一体全体、何だったんだ……と今もって謎である。
 ま、ともあれ。生で観る本物の相撲の迫力はやっぱり興奮するわけで、その点では大満足である。アレなんすね、行事のハッキョイとか、呼び出しさんの声なんてものは、現場では全く聞こえないもんなんすね。TVではきっちり聞こえているわけで、要するにマイクをつけているんだろうな。それならそれをちゃんと場内でも流せばいいのに、ねえ? どうやらマイクをつけているのではなく、NHK側で音を頑張って拾ってるらしい。そういう声が全く聞こえないので、土俵に集中して観ていないと、いつの間にか始まって終わってしまうので、そういう意味でも前の邪魔なオヤジが実にうっとおしく、ホント暴力衝動が沸き上がってたまらなかったすね。
 そして、わたし的に一番興奮した取り組みは―――もちろん、わが愛する松鳳山裕也くんですよ。昨日の十三日目時点で、わが松鳳山関は7勝6敗。勝ち越しまであと1勝、まで来ていたので、わたしの興奮もお分かりいただけるだろう。今日勝てば晴れて勝ち越し。絶対勝ってくれよ! と久しぶりにわたしは大声で「しょうほうざあああーーーーん!」とMAXテンションで応援したわけです。
 その結果! やったぜ! 見事勝利をおさめ、松鳳山関は十四日目にして8勝6敗と勝ち越しました!! やったーーー! その瞬間、わたしは右手で動画を撮ろうと構えていたのだが、さっきどんなのが撮れたか観てみたところ、もうブレブレだし前のオヤジのハゲ頭も入ってるし、わたしの絶叫しか記録されていなかったので、ここに公開することは自粛します。いやーーーホントに興奮しました。
 結局、今日は大関・豪栄道関も勝ち、1敗差であとを追う横綱・日馬富士関も勝利したため、優勝は明日の直接対決に持ち越されました。でもまあ、3敗と4敗という優勝争いなので、盛り上がりには欠けますなあ。やっぱり白鵬関や稀勢の里関、高安関たちの元気な姿を観たかった……。
 あと、今日、立ち合いが呼吸が合わない取り組みがいくつかあったが、双眼鏡で見守ったわたしの目には、いずれも「手つき不十分」で、荒鷲関、貴景勝は大いに反省してもらいたい。アレじゃ駄目だよ。特に荒鷲関は、相手の嘉風関がきっちり両手をついて戦闘態勢に入っているのに、なんだよもう! ちょっと嫌いになったすね。あと、松鳳山関以外で今日、なかなかやるな、と思ったのは、成長著しい阿武咲関かなあ。あの左のおっつけは素晴らしかった! 阿武咲関はこれからももっと強くなりそうな予感がしますね!

 というわけで、もうさっさと結論。
 初めて生で観る大相撲は大変興奮しました。そして今日は、わたしが一番応援している松鳳山関の勝ち越しのかかる一番であり、これで負けたらすげえ哀しいから、絶対勝ってくれ! というわたしの願いは見事に通じ、下手投げで千代丸関を投げ飛ばし、見事勝利! あんなに大声出したのはもう数十年ぶりだわ……というぐらい興奮しました。しかし桝席は、前にどんな人が座るかでかなり環境が変わるんすね。じっくり見るには、いす席の前の方がいいのかもしれないなあ……とも感じた、わたしの初・国技館体験でありました。以上。

↓ 結局これの松鳳山Ver.は売ってなかった……しょんぼり。木札ストラップはGetしたぜ!わーい!


 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、あさっての土曜日にわたしは両国国技館へ大相撲9月場所を観に行く予定なのですが、なんというか……盛り上がりに若干欠ける展開なのは皆様ご存知の通りで、大変しょんぼりしております。昨日の11日目現状、カド番脱出が確定した大関・豪栄道関が10勝1敗で単独首位を守っており、まあ、わたしも豪栄道関には頑張ってほしいと思っているのでその成績には納得なのですが……順当に勝ち星を重ねると、明日の金曜日には、優勝が決まってしまうかもしれず、そうなったらわたしが観戦予定のあさっては、もうとりわけ何かがかかっているような取組がなくなってしまい、さらにわたし的気分は盛り下がってしまうような気がしております。はあ……せっかくチケット獲れて浮かれてたのになあ……まあ、今日は、わたしが最も応援している前頭四枚目の松鳳山裕也君がその豪栄道関と戦う一番が予定されておりますので、豪栄道関のファンの方々には大変恐縮ですが、松鳳山関には是非とも勝利し、混戦を演出していただきたいものです。しかし中日八日目の、松鳳山関と嘉風関の一番は興奮しましたねえ! 翌日のNHKの解説によると、血まみれになった嘉風関は「松鳳山関が全力で来てくれたから最高の一番が取れた」と言ってくれ、そして我が愛する松鳳山裕也君も「嘉関との戦いはいつも最高です」的なことを言っていたそうで、二人とも小兵と言っていい力士だけに、その『鮫島』的コメントに、わたしは大変胸が熱くなりました。
 それでは、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年43号概況です。
 ■巻頭グラビア:都丸紗也華嬢。大変極上です。いろいろ夢が溢れてますなあ!
 ■弱虫ペダル:距離の巻。前号でラストの牽きを見せた泉田君のおかげで700mの距離を稼いだ箱学。総北は追いつけるか。まあ、そりゃ追いつくんでしょうな。”山王”坂道くんの出番がとうとう来たようですよ!
 ■刃牙道:気の強靭さの巻:さあ、再び主人公・刃牙の出番が来たようですよ!
 ■BEASTERS:生命の味は重い鉛の巻。ルイ先輩の変化の謎のお話です。凄い展開!
 ■囚人リク:侮蔑の巻。今週はもう相当な数の”顔芸”炸裂で大変楽しめました。ヤバいす。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:帰ってきたメチャクチャマンの巻。今週もしつこいギャグが最高す。
 てな感じの週刊手年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週は、【天雷】の”怪力”が一瞬炸裂するものの、すぐにまわしを切った鯉太郎のアッパー気味もろ手突きが【天雷】にクリーンヒットするというシーンで終わりましたが、今週はその続きです。どうも、先週の描写によると【天雷】は、鯉太郎と戦えることがうれしすぎて、若干気が緩んでいた的な心理状態だったようですが、まあ、このまま【天雷】がやられっぱなしで終わるはずもなく、今週はラストの大ゴマで描かれる、【天雷】の決意に満ちた表情が超カッコ良く、大興奮であります。
 まず、今週の開幕ページは、NHKアナの絶叫中継から始まります。
 「鮫島 下から諸手で突いた――!! 意表を突かれたか天雷! モロに入った! すかさず鮫島 追撃に入る! しかし 下がらない天雷!!」
 というわけで、2発目のもろ手突きも【天雷】にヒットしますが、動じない【天雷】の図です! 鯉太郎の腕はビリッビリッと痺れています。そして【天雷】の下半身はがっちり体勢を維持。そんな【天雷】に鯉太郎は嬉しそう!
 「ハハッ…詰まってんな…」そう思う鯉太郎の脳裏には、ギッチリと積み重ねられた石垣のイメージが浮かんでいます。コイツは頑丈というか難攻不落だぜ!? そんな土俵を見守るどんぐり渡部くんは言います。
「やはり鮫島君の体格で天雷君を相手に正面から行くってのは無理があるんだ…」
 ちょっと、どんぐり君、お前黙ってろ! もちろん、そんな我々読者の心情を代弁してくれるのは、親友、石川大器くんです!
 「バーーーーーカ… それでもいくさ……鮫島(アイツ)は…」
 さあ、土俵上では両者体勢を整え、鯉太郎はダン、としっかり腰を下ろし……おおっと! 張りの速射砲発射だ! パパパンと【天雷】に高速張り手が炸裂! しかし、その張りは【天雷】には軽いようです! やっぱり体格差はどうにも埋まらないのか? 鯉太郎は脳裏でこう考えています。
 「くっ…違う…もっと速く突く…そして速く引く……上体は起こして体重はしっかり下半身に乗せる……回せ…もっと速く…もっと…もっと…まだいける…まだ……まだ出せる…」
 そうです、これぞまさしく! 大器くんの必殺技ですよ! 
 「石川(アイツ)のように…もっと…もっと! 己を乗せろ」
 そんな鯉太郎の姿に、「俺の…相撲…」と大器くんはもう泣きそうです。わたしも泣きそうです! これはアレですね、北斗の拳的に言うと、ラオウと戦うケンシロウが、トキやレイの技を繰り出すあのシーン(JC14巻)が目に浮かびますなあ! この石川スペシャルが【天雷】に次々ヒットする様が、見開きで描かれ、NHKアナの絶叫中継が興奮を盛り上げます。
 「鮫島まさに息もつかせぬ猛攻!! 何も出来ない天雷 防戦一方!!」
 しかしそれでも【天雷】の上体が上がらず、鯉太郎の張りでは通用しないのか、とNHK中継は続きますが、大器くんとしては、そんな体格差で通じないなんて断固認めません。
 「ふざけんな…その突きは…その張りは…足りねー体で…幕内で…渡りあってきた……一級品だ…いけ…いけ!」そしてついに、【天雷】の上体が浮いてきましたよ! もちろん【天雷】は、くっ…と体を下げます。が、その瞬間こそ! 石川スペシャルのフィニッシュ技である「非情の一撃」を放つ時です! 土俵を見守る大器くんの「はなて!」とともに、鯉太郎渾身の「非情の一撃 feat.飛天翔SPECIAL」が大ゴマで炸裂だ―――!!! コイツか効いたか!? 絵的には、さすがの【天雷】も”飛んだ”表情です。
 恐らくはこの瞬間、【天雷】の脳は時間が引き延ばされ、スローモーションのように感じているのでしょう。飛びそうな意識の中で、天雷は思います。
 「痛感する…自分の浅はかさを…本当に鮫島(コイツ)は”今”しか見えていない…”今”しかない…」
 【天雷】は、もう今場所はこの取組以外はどうでもいいとか言っていました。でも、鯉太郎は”今”の一瞬一瞬だけしかないわけです。そして【天雷】は、次の大関は決まりだな、とか、次の横綱候補とか言われていたわけです。しかし、関脇として横綱【泡影】と対戦してきた【天雷】は感じていました。
 「評価とは裏腹に感じていた 絶対的な者の前で 圧倒的に足りない何か…泡影に触れどこか見えていた自らの底…俺は鮫島のように戦えていたのだろうか…鮫島のように底など気にする余裕もない覚悟で戦えていたのだろうか…俺は恵まれた体にあぐらをかいていたんじゃないのか…鮫島……やっぱりお前は……」
 ときて、デカい文字で続きます。
 「俺の憧れだ…
 この1ページブチ抜きの大コマで、ガシッと鯉太郎の右腕を両手でホールドする【天雷】が描かれます。もうなんというか、本当に胸に来ましたよ。男にあこがれを感じさせる鯉太郎のこれまでの激闘を思うと、本当に泣けてきますし、そしてそれを素直に吐露する【天雷】も泣かせますねえ! さあ、いよいよ、本当の意味で【天雷】の逆襲が始まりそうな気配です!
 「だから鮫島…俺もお前のように…本当の全てでいく…
 という【天雷】の、これまでで最高にカッコイイ決意の表情で今週は終了でありました。いやーーーこれはもう、来週から大変なことになりますよ、きっと。今週はこのラストの【天雷】の表情を、ぜひともチャンピオンを買って、その目で確認していただきたいと思います。鯉太郎的には超マズイ展開ですが、物語的にはとうとう【天雷】の真の意味での本気が見られるわけで、毎回書いているような気がしますが、もう今すぐ来週号が読みたい気分であります! ヤバいすねえ! はーーー興奮した……。というわけで、来週からの【天雷】の逆襲が超楽しみです!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 鯉太郎VS【天雷】はハッキョイから3週目でとうとう【天雷】の本気が発動しそうな超いいところまでが今週は描かれました。そして今週は、鯉太郎による飛天翔SPECIALも炸裂し、それを見て泣きそうになる大器くんの姿にわたしも泣きそうでした。来週からは【天雷】の逆襲が始まるはずですが、果たしてこの一番はどのような結末に至るのか、ちょっと想像がつきません。とにかく、勝負の行方よりも、鯉太郎の体の方が心配ですなあ……。もう既にまったく大丈夫じゃないもんなあ……。とにかく、情熱が残酷を超えるその時、わたしはきっと泣くのではないかということだけは確かなようです。しかし今週の大器くんの表情には、もうホントに胸に刺さるものがあったすね……。もういろいろヤバいす。以上。

↓ とりあえず土曜日、国技館でいろいろグッズを漁ってくる所存であります。こういうので、松鳳山関Verが欲しいのだが……売っているのだろうか……。 

 というわけで、祝日明けの火曜日ですが、映画興行データをまとめておきます。
 この3連休は、わたしは『エイリアン コヴェナント』1本だけ見ました。シリーズをずっと観ているおっさんとしては、若干アレだったかなあ……もちろん映像は超ハイクオリティだし、設定そのものは全く文句ないけれど……どうしてまた、未知の惑星に降り立つのに、宇宙服も何も着ないでフツーに上陸しちゃったんだろうか……いくら大気組成が地球に近いからって……と、観た人なら誰しも思ったのではなかろうか? でもまあ、シリーズのファンなら観ないわけにはいかないと思います。わたしも、観て全く後悔はしておりません。
 というわけで、『エイリアン』の数字も気になるので、さっそく興行通信社の大本営発表をまとめておきます。

 1位:『エイリアン コヴェナント』が公開土日で1.94億稼いで1位! なのはいいんですが、数字的には若干物足りないような……。初日金曜日と、祝日月曜日を加えた4日間だとどのぐらいだったんだろうなあ……5億届いたのかどうかが知りたい……。
 2位:『ダンケルク』が9日間で8~9億ぐらいだろうか? この土日は2.05憶稼いだそうで、金額順だと1位だそうです。やっぱり単価が高いですな。4DX上映もやってるんすね。でも、やっぱり大画面IMAXで観た方がいいような気がします。
 3位:『三度目の殺人』が9日間で6~7億ぐらいだろうか? もうチョイ上かな?
 4位:『関ヶ原』が23日間で19億突破だそうです。
 5位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が59日間で70億突破だそうです。
 6位:『奥田民生になりたいボーイと~』が公開土日で0.75億ほどだそうです。サーセン、タイトル長いので省略しました。ああ、「SPA!」連載の漫画原作なんすね。全然知らなかったわ。
 7位:『君の膵臓をたべたい』が52日間で31~32億ぐらいでしょうか? 粘ってますね。すごいじゃないですか。
 8位:『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』が公開土日で0.63億だそうです。テレビ放送からもう12年? 長生きコンテンツで素晴らしいですね。
 9位:『ワンダーウーマン』が24日間で11~12億ぐらいでしょうか? 先週末でやっと10億超えたところだったので……。シルバーウィークで急に爆発的に売れたとはあまり思えない。。。はーーーもっと稼いでほしかった……大変大変残念す……。
  10位:『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が31日間で14~15億ぐらいでしょうか。ランクには長くとどまったけど、数字的にはちょっとアレかなあ……。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 そして、次の週末は、わたしは↓これを絶対観に行きます!

 もう去年からずっと観たかったこの作品『スイス・アーミー・マン』が、やっと日本公開で嬉しい! 超楽しみっす! うおっと! この公式Webサイト、すげえ音がうるさく鳴り響くので、予告を観たらSOUND OFFにした方がいいですよ! しかしヤバいすよね……詳しくは公式サイトを観ていただきたいですが、どうしてこんな面白設定を思いつくのだろうか……。わたしはもうムビチケも購入して準備万端す! でも、これがまた上映スクリーン数が少ないんだよなあ……日比谷シャンテは混むから嫌なんだよなあ……いっそ初日、金曜の帰りに日比谷に行くしかないかな……。ま、なにはともあれ、超楽しみです!

 というわけで、結論。
 今週は、新作『エイリアン コヴェナント』が動員1位であったものの、金額的には2億に届かず若干数字的には物足りない? スタートの模様。本当に日本では洋画の興行が厳しいすねえ……。悲しいす。以上。

 今日の東京は台風一過、フェーン現象で相当暑いのだが、そんな連休最終日、わたしは朝イチAM0600に家を出て、チラッと会社に寄って気になっていた仕事を80分で済ませ、すぐに上野へ向かい、東京都美術館へ推参した。会社を出たのがAM0820頃で、こりゃあいくらなんでも早い、ま、公園で本でも読むか、ぐらいの気持ちで、まだ人気の少ない上野公園にAM0845頃に到着したところ、既に東京都美術館の前には11名の人が並んでいたので、ま、日陰だし、並んで本読んで待ってよっと、と決めて列に並んだ。
 本を読んでいると、本当に時間の流れを意識することがなく、わたしとしては結構あっという間に、実際のところ30分以上たっていたわけだが、正式な会場時間より早く、0920には敷地内に入れてくれて、定刻ちょっと前にいざ鑑賞と相成った。
 というわけで、今日、わたしが観てきたのは、これであります。
Boston_01
 展示のタイトルとしてはちょっと長い。『ボストン美術館の至宝展――東西の名品、珠玉のコレクション』である。ボストン美術館といえば、我々日本人的には、浮世絵を多数収蔵していることでもおなじみの美術館だが、今回のメインは、上記のチケットに印刷されている通り、Vincent van Gogh氏の『ルーラン夫妻』と、英一蝶(はなぶさ いっちょう)氏の『涅槃図』であろうと思う。
 というわけで、順にみていくと、最初は古代エジプトの遺物から始まって、中国美術なんかも来ていた。しかし、毎回思うけれど、エジプトのいわゆるヒエログリフを読めるようになったらカッコイイよなあ……ちょっと真面目に勉強したい、といつも思うのだがどうやって勉強すればいいんだろうか……。あ、すげえ、Unicodeはヒエログリフに対応してるんだ。へえ~。なんか夢がありますなあ。
 で。それらを抜けると、日本美術コーナーに移る。そして、かなりいきなり、ズドーンと現れるのが、今日のメインの一つである、英一蝶氏(1652-1724)の『涅槃図』だ。デカい! そして色鮮やか! そのサイズは縦2.9m×横1.7mだそうで、表具を含めると4.8m×2.3mになるそうだ。すげえ! とわたしも大興奮である。1713年の制作だそうだ。えーと、つまり304年前の作品ってことになる。それを、1886年にErnest Fenollosa氏が日本来日中に購入し、ボストンに持ち帰ったんですって。だけど、デカいし劣化が進んでしまって、この25年は公開できずにいたところ、今回の展示にあたって170年ぶりに本格的な解体修理が行われたんだそうだ。その模様は、今回ビデオで紹介されてました。まあ、とにかく一見の価値ありですよ。
 で、わたしが今回気に入った作品としては、この日本美術ゾーンに展示してあった、この作品を紹介しておきたい。ポストカードを買ってスキャンしてみた。
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 これは、酒井抱一氏(1761-1829)の作品である。どうも制作年代ははっきりしていないようだが、18世紀の作品であることは間違いないようだ。花魁を描いた、実に趣ある作品で、わたしは大変気に入った。この作品の隣には、喜多川歌麿氏(1753-1806)による美人画も展示されていて、そちらも実に色気のある作品なのだが、わたしとしては今回は抱一氏の作品の方にやけにグッと来た。
 わたしは以前、抱一氏について色々調べたことがあるのだが、このお方はその名の通り、徳川家最古参の譜代である酒井家の出身で、姫路酒井家の御曹司なんだよね。スーパー金持ちのお坊ちゃんだったはずで、そうだ、兄貴は姫路藩主だったかな、とにかく、名門の出なんすよ。だけど、酒井家が「雅楽頭家(うたのかみけ)」と呼ばれる通り、アートに理解のある家で、おまけに金持ちで遊郭通いとかもしてたようで、相当なヤンチャ小僧だったのではないかとわたしはにらんでいる。その後、兄の死去とともに出家したり、そして尾形光琳私淑して、「琳派ヤバい!すげえ!」と盛り上がって光琳100回忌を開催して、江戸琳派の創始者なんてWikiには記されている。要するに、抱一氏は、200年前に生きていたアート大好き野郎だったみたいなんすよ。なんかすごい面白いと思って、わたしは非常に興味を持ったのだが、今回展示されていた花魁の作品は、非常に色のセンスのいい、大変な傑作だとわたしは思った。この緑と赤、本物はもっと鮮やかというか深みもあって、とてもきれいでした。なんか、マジでほしい! いくら出せば買えるのだろうか……。
 で。後半はフランス絵画とアメリカ絵画、そして現代ポップアート、という構成になっていた。今回のメインであるGogh氏の「ルーラン夫妻」は有名ですな。特に、旦那さんの方の『郵便配達人ジョセフ・ルーラン』の方は、まったく同じ(に近い)構図で、ルーラン氏を描いた作品が6点あるのかな、わたしもたぶん何度も観たことがあるモデルのおじさんですな。彼はGogh氏の友達、といっていいんだろうね。そしてその奥さんであるルーラン夫人も、やっぱり何点もあって、4点かな、存在している。今回、この「ルーラン夫妻」がそろって同時展示されるのは日本で始めてらしいです。そして、ルーラン氏の方は6点あるうちの一番古い作品が今回来日しているみたい。まあ、相変わらずのGogh氏の強烈な色と筆遣いがすごいパワーを放ってますな。すごいオーラですよ。
 最後に、今回の展示でわたしが気に入った、アメリカ20世紀初頭の作品を紹介して終わりにしよう。こちらも、買ったポストカードをスキャンしてみた。
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 どうすか。いい表情すねえ! 母娘だそうで、母の表情はなんとなく、ハリウッド美女のElle Fanningちゃんに似てませんか? そして娘も可愛いですなあ! この作品は、John Singer Sargent氏(1856-1925)による、『フィクス・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル』という作品だ。1903年の制作だそうで、えーと、つまり明治36年かな。夏目漱石氏が『猫』でデビューしたのが明治38年だから、まあ、要するにそんな時代ですな。娘の着るちょっと強めのピンク、そしてお母さんの着る淡いピンク。これはとてもイイ! 展示の解説によると、最初、お母さんは「わたしは緑の服が好きなの」と言って緑の服を着ようとしたところを、Sargent氏が、「いやいやいや、奥さま、ここはピンクにしましょうよ!」とお願いして着替えてもらったんですって。その現場はどうんな感じだったんでしょうなあ……和やかな雰囲気だったのか、ちょっと張りつめていたのか。まあ、奥さまのこの表情を観る限り、平和に衣装チェンジしてくれたと思うことにしたい。

 というわけで、さっさと結論。
 連休最終日、上野の東京都美術館で開催されている『ボストン美術館の至宝展――東西の名品、珠玉のコレクション』を観に行ったわたしであるが、確かに、その作品はすべて「至宝」と呼ぶべき作品たちだったと思う。全部で80点かな、展示されていたのは。まあ、1時間ほどで観ることはできると思うが、わたしが帰る頃は結構行列ができてましたな。ま、やっぱり美術展は朝イチに限りますな。まったくノーストレスで気持ちよく観ることが出来た。会期はもうあと3週間で終わってしまうので、ご興味ある方はお早めに! 以上。

↓ こういうので、ちゃんと勉強した方がいいかもなあ……わたしの知識はテキトーすぎるので。

↓そしてヒエログリフも勉強してみたい!
古代エジプト文字ヒエログリフ入門
ステファヌ・ロッシーニ
河出書房新社
2015-05-21

 昨日観に行った『ALIEN COVENANT』だが、まあ正直内容的にイマイチだったのは昨日書いた通りだ。実は昨日の記事は、もっと膨大に長くて、それは今までのシリーズまとめも一緒に書いていたからなのだが、こりゃあ我ながらもう長すぎる、と思って、そのまとめ部分は全部削除しちゃったのです。
 けど、自分的になんかそのまま捨てるのはもったいないような気がしたので、そのまとめ部分だけ、別記事として残しておくことにした。なので、順番はどうでもいいけど、昨日の『ALIEN COVENANT』の記事と一緒に読むことを推奨します。
 それでは、行ってみるか。

 ◆『ALIEN』:1979年7月公開。わたしは小学生。監督はSir Ridley Scott氏。あれっ? Sir と氏はかぶってるか? まあいいや。で、物語は2122年、宇宙貨物船ノストロモ号が地球へ帰還する途中で、コンピューター(通称:マザー)が謎の怪電波をキャッチし、コールドスリープ中の7人のクルーをたたき起こすところから始まる。その怪電波の発せられている惑星へ調査に行き、一人のクルーの顔に謎生物が付着し、衛星軌道上に待機させた母船(ノストロモ号)に戻ったところで、そのクルーの胸をぶち破ってエイリアン誕生、宇宙船という閉鎖空間で、壮絶なバトルとなるお話である。次々にクルーは襲われ死亡、中には実は人間ではなくアンドロイドだったというクルーもいて、そいつは会社の命令で未知の生命体を見つけたらそれを持ち帰れ、例えほかのクルーを犠牲にしてでも、という指令を受けていた、というおまけもあって、最終的には航海士のリプリーだけが生き残る。とまあそんなお話である。
 わたしの評価としては、もちろん最高に面白い、名作と認定している。何度観ても最高です。わたしはたぶん、回数は数えてないけど通算20回以上は観ていると思う。かつて、TV放送時の日本語吹き替え版のこともよく覚えていて、ノストロモ号のコンピューター「マザー」をTV放送では「おふくろさん」と呼んでいたのが超印象深い。ラスト、ノストロモ号の自爆装置をセットし、脱出艇に向かったリプリーは、脱出艇にエイリアンが侵入したことを知って、ヤバい、自爆装置を解除しなきゃ、と慌てるのだが、ほんのちょっとのタイミングで自爆装置は解除不能になってしまう。その時の「おふくろさん!! 解除したのよ!」というリプリーの絶叫がちょっとだけ笑える。たしか初回放送時のリプリーの声を担当したのは野際陽子さんじゃないかな。まあ、とにかく最高です。

 ◆『ALIENS』:1986年公開。わたしは高校生に成長。当時は「エイリアンかよ懐かしい!」とか思っていたけど、そうか、たった7年後だったんだな。で、監督は、『TERMINATOR』の1作目の大ヒットで有名になりつつあったJames Cameron氏。お話は、前作から57年後。てことは2179年か。なんと、前作でノストロモ号を脱出したリプリーを乗せた救助艇が、地球を通り過ぎて彼方まで行っちゃっていたところを運よく発見され、リプリーは57年のコールドスリープから目が覚めるところから始まる。そのため、リプリーには実は娘がいて、その娘は既に亡くなっていたとか、ちょっと悲しい出来事も。さらに、リプリーは高価な貨物船を爆破した責任を追及されるが、誰もエイリアンの存在を信じない。なぜなら、かつて、ノストロモ号のクルーが襲われたあの星が、今やLV-426と呼ばれて開拓されており、入植者がいっぱいいて、全然平気に暮らしてるぜ、という状況だったのだ。それを知ったリプリーは「な、なんだってーーー!? あの星は危険よ!」と訴えるも誰も聞き入れず。しかし、その入植者からの連絡が途絶える事態となり、リプリーはエイリアンと遭遇した経験者として、宇宙海兵隊の屈強な男たち&女たちとともに、再びあの星へ向かうのだった、てなお話。
 実は、その背後には、リプリーの話を聞いたウェイランドカンパニーの男が、入植者たちに、ホントにそんな宇宙船とか遺跡のようなものがあるのか調査してみろ、という指令を出していて、まんまと「エイリアンの巣」で活動休止していたエイリアンたちを目覚めさせてしまったという事実があった。なので、前作は1体のエイリアンにやられたわけだが、本作では「巣」から目覚めた大量の群れで襲ってくるし、おまけに、卵を産むクイーンまで登場する。ラストはクイーンとリプリーのタイマン勝負で決着。最終的には、リプリーと、入植者の女の子(ニュート)と宇宙海兵隊のヒックス伍長の3人+同乗のアンドロイド・ビショップの上半身だけが助かり、地球目指して帰還するところで終わる。わたしの評価は、これまたもちろん最高。何度観ても面白い! これもわたしはたぶん20回以上見ていると思う。公開時のキャッチコピー「今度は戦争だ!」がぴったりな超傑作。

 ◆『ALIEN3』:1992年公開。わたしは大学院生に成長。最初にわたしの評価を言うと、実はこの『3』はやけに世間的評価は低いのだが、わたしはかなり好き。非常に映像的に印象的なシーンが多く、物語的にも非常に良いとわたしは思っている。この作品を当時29歳で撮ったDavid Fincher監督(公開時は30歳になってた)の才能に激しく嫉妬しつつも、素晴らしい出来に大いに気に入り、以来、Fincher監督作品はすべて観ている。その後、次々と大ヒットを飛ばし、名監督の仲間入りしていることはもうご存知の通り。で、お話は、正確な年代表記があったか良く分からず、前作からどのくらい時間が経っているか分からん。あっ!? 今回の『COVENANT』のパンフレットに年表が載ってるな。それによると、この『3』の物語は2270年のお話だそうで、『2』から約100年後の話だったんだ。これって……わたしが忘れているだけかもしれないけど、初めて知ったような気もする。
 で、お話は、前作ラストで地球帰還の途上にあったはずの宇宙海兵隊の船スラコ号船内で、リプリーたちがコールドスリープ中に謎の火災が起きて、リプリーたちが眠っているカプセルは自動的に脱出艇に移動させられ、船外に射出、その脱出艇がフィオリーナ161という監獄惑星に不時着するところから物語は始まる。しかし、非常に賛否両論なことに、その地表への不時着時に、なんと、前作で助かったニュートやヒックス伍長は死亡したという設定で始まるんだな。そしてリプリーだけが生き残って、その星にある刑務所に保護される。で、結論から言うと、どうもスラコ号にエイリアンが乗っていたらしく、そのために火災が起き、さらには、リプリーの体内に、すでにエイリアンの幼生が産み付けられていたことが判明する。おまけに、脱出艇にもフェイスハガーが1匹紛れ込んでいて、フィオリーナで犬に寄生し、4足歩行のエイリアンが誕生、人々を殺しまくる展開となる。ラストは、リプリーが溶鉱炉へ身投げDIVEし、体内にいたエイリアン(しかもクイーン)とともに死亡、で幕を閉じる。わたしはすごい好きなんだけどなあ……なんでそんなに評価が低いんだ……。とにかく映像が美しく、わたしは最高に面白いと今でも思っている名作。なのだが、どうも世間的評価は低い。とても残念。

 ◆『ALIEN:Resurrection 』:1998年公開。わたしはサラリーマンに成長。結論から言うと、ズバリ面白くない、とわたしは思っている。これは観なくていいよ、といつもわたしは周りに言っている作品。なんと前作で死んだリプリーがクローンで復活。おまけに何と、エイリアンが体内にいた時点でのリプリーのクローンなので、性格も全然変わっちゃったし、人間とエイリアンのハイブリッド的クローンとなって大復活する。その時点で、うわあ、面白くなさそう、とわたしは感じていたが、実際イマイチすぎたので、もう説明はしません。この作品で特徴的なのは、初めてエイリアンが水中で泳ぐシーンがあったのと、地球が初めて出てきたことぐらいかな。ラストもなかなかひどかったすね。今のところ、わたしはこの作品を面白かったという人に出会ったことはありません。ちなみに監督はフランス人のJean=Pierre Jeunet氏というお方で、この人は長編デビュー作『Dericatessen』という変な作品で注目された監督なのだが、その『Dericatessen』もわたしの趣味には全く合わず、面白いとは思っていない。この『4』はたぶん3回ぐらいしか観てないと思う。とにかくイマイチ。

 ◆『PROMETHEUS』:2012年公開。監督はSir Ridley Scott氏が再登板。超・超・問題作。予告編は、シリーズのファンなら絶対にドキドキわくわくする最高の出来であったが、いかんせん物語が微妙すぎた。なんと時は2089年、つまりリプリーとノストロモ号の物語の33年前にさかのぼる。ウェイランドというおじいちゃんの長年の夢である「人類の起源の謎解明」のために宇宙を旅するプロメテウス号の遭遇した悲劇。昨日も書いた通り、とにかく謎が多くて、正直良く分からないのが困る。
 物語は、太古の地球?と思われる惑星の描写から始まるのだが、そこで、全身まっしろ&無毛の筋肉ムキムキマンが、謎の「黒い液体」を摂取、するとムキムキマンの体はぐずぐずと崩壊し川に転落、かくして太古の地球に「命の素」となるDNAが拡散する……ような謎の描写から物語は始まる。そして2080年代? に時は移り、科学者チームは地球の各地に存在する謎の星図を見つけ、これはムキムキマン、通称「エンジニア」からのメッセージではないか? というわけで、プロメテウス号で宇宙に旅立つのだが……というお話。そしてその星図に従ってたどり着いた惑星LV-223には、あの第1作目で登場した宇宙船や通称スペースジョッキーの遺体もあって、ファンは大興奮なわけだが、そこでアンドロイドのデイビットによる、クルーを被験者とした「黒い液体」実験で次々にクルーは死亡、あまつさえ、ラストはエイリアンのオリジン的な謎生物も誕生し、主人公のエリザベス・ショウ博士とデイビットの頭だけが助かり、ショウ博士(とディビットの頭)はエンジニアの宇宙船で、エンジニアの母星へ旅立つところで幕切れとなる。昨日も書いた通り、本作に関してはWikiに詳しいストーリーが書いてあるけれど、わたしは全然その解釈に納得がいってません。Wikiの内容はホントなのかなあ?

 はー長かった。以上でシリーズのこれまでの歴史の振り返りは終了です。
 とまあ、こんな歴史があるわけで、わたしとしては今回の『COVENATN』で、前作から積み残しの謎がそれなりに説かれるのだろう、と思っていた。その結果は昨日書いた通りだが、何とも微妙というか……なんか残念である。
 ところで、昨日の記事には書かなかった、おまけ情報を記録として残しておこう。
 ■そもそも、タイトルの「COVENANT」ってどういう意味だ?
 この言葉は、たぶん全国の財務部の人、あるいは経営企画の人なら絶対に聞いたことのあるビジネス用語、いわゆる「コベナンツ」と同じ英語だ。ビジネス用語でいうところの「コベナンツ」とは、日本語にすると「財務制限条項」のことで、企業が社債を発行したり借り入れをしたりするときに、こういう事態になったら(例えば債務超過になるとか)一括で金を返してもらいますぜ、と契約書に記載される条件であり、英語本来の意味は「契約」とか「誓約」という意味である。
 わたしは『ALIEN』シリーズの新作が『COVENANT』というタイトルであることを知ったとき、それは一体どういう意味を持つのだろう? といろいろ想像していたのだが、まあ結果的には宇宙船の名前であり、それほど深い意味はなかったように思われる。もちろん、ウェイランド氏とデイヴィットの間に取り交わされた誓約であるとか、いろいろな解釈は可能だと思うけれど、ま、そんなに深読みしてもほぼ意味はなかったかな。なんか、なーんだ、であったように思う。
 ■時間軸で観ると?
 時間軸をシリーズで整理してみると、今回の『COVENANT』は、前作の15年後、そして第1作の20年前、ということになる。てことは、本作のエンディングで、大量の人体及びヒトの胚芽を手に入れたディビットが、エイリアン大量製造を始めるということになるのかな。何しろエイリアンは人体がないとダメなので、まんまと原料を入手したわけだ。なんか、そのためにあの後味の悪いエンディングとなったかと思うと、実に腹立たしいというか……。ところで、第1作及び『2』の星であるLV-426は、結局今回のエンジニアの母星ではなく、アレなのかな、本来CONENANT号が向かうはずだった惑星、ということなんだろうか? そこへ向かってデイヴィットは旅立ったのでしょうか? ここが良く分からないす。少なくとも、1作目に出てきた宇宙船とスペースジョッキーは、『PROMETHEUS』でいうLV-223にあるわけで、それが後の『2』でいうLV-426と同一なのか、それも良く分からん。
 ■で、エイリアンって、どんな生き物なの?
 実はわたしはいまだに良く分かっていない。エイリアンは人間を襲うけど、別に襲ってむしゃむしゃ食べる、つまり捕食するために人間を襲うわけでは全くなさそう。一応、『2』での描写を観ると、エイリアンは人体(『3』で描かれた通りヒトである必要はなく、犬でもOKなので、どうも哺乳類なら何でもいいのかも)をある意味保育器として利用する必要があるため、人を襲って「生かしたまま」巣に持ち帰って、寄生する繭に利用する習性をもっているらしい。
 でも、どう見ても他の作品では余裕で人を殺しているので、『2』での描写も若干シリーズで一貫していない。何なんだろう? エイリアンって、何を食ってどういう代謝組織をもって生命活動を行っているんだろう? 宇宙でも平気なので、酸素も必要なのかどうかも分からんし……とにかく謎である。わたしとしては、今回の『COVENANT』は、そういう生態についてきちんと説明される作品になってほしかった。

 というわけで、結論。
 わたしとしては、『ALIEN』シリーズは「3」までは最高、その後はイマイチ、と言わざるを得ない。そして声を大にして言いたいのは、何で「3」の評価が世間的に低いのか良く分からん。面白いんだけどなあ……そして、結局エイリアンって何を食って生きてるんすか? その点もわからんす。まあ、それでも、エイリアンのデザインは最高にCoolだし、おそらくは未来永劫、映画史に残る傑作のひとつに数えられるだろう、と思います。なので、シリーズを観ていない人は今すぐ観ましょう! 以上。

↓ 今回の『COVENANT』に出てくる奴は、白いっす。わたし的には、産まれたてのチビ状態の凶暴さが一番恐ろしかった。しかも今回は背中からバリバリバリッと出てくるし。実際コワイ!

 もはや誰もが知っている「エイリアン」という言葉は、おそらく映画『ALIEN』によって我々日本人にも通じる言葉となったと思うが、わたしはおっさんとして、シリーズ全てを映画館で観ている。今わたしの部屋には1000冊以上の映画のパンフレットがあるのだが、兄貴からもらったものを除いて、たぶん、わたしが自分で買ったパンフレットの中で、恐らくは最も古いものが『ALIEN』のパンフだと思う。もちろん、『STAR WARS』とかも一番最初の劇場公開時のものを持っているけれど、それらは正確には兄貴が買って、わたしが貰っちゃったもののはずで、明確に自分のお小遣いで買った最古のものは『ALIEN』であろうと思う。公開された1979年当時、わたしは小学生。確か、日本ではほぼ同時期に『SUPERMAN』も公開になっていて、親父に『SUPERMAN』と『ALIEN』どっちがいい? と言われ、ホントは『SUPERMAN』を観たかったけれど、既に兄貴が『SUPERMAN』を観ていて、なにかと自慢していたので、ちくしょうと思っていたわたしは「ALIENがいい!」と主張したのである。場所は日比谷の有楽座。今現在、日比谷シャンテの鎮座するあそこに存在した、日本有数のデカい映画館である。当時は、公開土日にデカい劇場でパンフを買うと、ちゃんと表1に映画館の名前が印刷してあったのだが、今わたしの手元にある、結構ボロボロになった『ALIEN』のパンフにもちゃんと「有楽座」と印刷してあるので間違いない。ホント、今でも『ALIEN』を親父に連れられて観に行った日のことを超覚えてるなあ……。なお、もちろん『SUPERMAN』も、その後近所の映画館に来たときに観に行きましたけどね。
 そしてその後順調に映画オタクの道を邁進してきたわたしは、『ALIENS』(エイリアン2)は高校生の時にマリオンの日本劇場(来年だっけ、閉館が決定済み)に観に行ったし、『3』も同じく日本劇場へ、そして『4』はもう社会人になってた頃であったはずだ。さらに、『PROMETHEUS』はつい最近というか5年前か、これは近所のシネコンで観たっすね。
 何が言いたいかというと、こんなわたしなので、『ALIEN』シリーズには深い思い入れがあり、その新作が公開となれば、100%間違いなくわたしは観に行くということである。そして当然のことながら、昨日の金曜日から公開になったシリーズ最新作『ALIEN COVENANT』も、今日の朝イチで近所のシネコンへ観に行ってきた。そして結論から言うと……うーーーん……やっぱり微妙と言わざるを得ないだろうな……正直、イマイチUSでの評判は良くないと聞いていたので、あまり期待していなかったのだが、その期待よりはずっと良かった、けれど、やっぱり……いろいろと突っ込みたくなっちゃう物語で、大変残念である……。というわけで、以下、『ALIEN』シリーズ全般にわたってネタバレ全開になる予定なので、気になる人は読まないでいただきたいと思います。

 ズバリ言えば、本作『COVENANT』の物語はほぼ想像の範囲内であったのだが、本作は、明確に前作『PROMETHEUS』の続編であった。なので、前作を観ていない人には、まったく意味不明な部分が多く、あくまで前作を観ていること、もっと言えばシリーズ全作を観ていることが、本作を鑑賞する必要条件となっていると思う。
 しかし、である。前作『PROMETHEUS』は、あまりに微妙かつ謎すぎて、正直良く分からん物語であった。ここで、わたしが思う、前作での謎ポイントを2つ挙げておこう。
 1)一体全体、デイヴィットというアンドロイドの目的は何なのか?
 2)エンジニアと呼ばれる謎種族の目的は何なのか? 結局「黒い液体」は何だったのか?
 まず、1)については、本作『COVENANT』冒頭でかなり明確に描かれていた。本作は、まず『PROMETHEUS』の恐らく10年とか20年ぐらい前のシーンから始まる。前作ではヨボヨボのおじいちゃんだったウェイランド氏がまだちょっとだけマシな老人(なお、演じたのは前作同様Guy Pearce氏)として登場し、ディビットとの哲学問答めいた会話が描かれる。そこで、ウェイランド氏は、生命の誕生が分子科学的な偶然によるものだなんて信じたくない、なにか「偶然ではないこと」、すなわち「創造主」がいたはずだという信念が語られる。これは、デイヴィットの、「わたしを創造したのはあなたですが、あなたを創造したのは誰なんですか?」という問いに答えたもので、「人間の種の起源の謎を解明すること」が、ウェイランドとデイヴィットの解くべき至上命題であったことが描かれる。つまり、前作の謎1)デイヴィットの目的=人類の起源の解明=命をもたらしたのは誰なんだ? というものらしい。そういう意味で、人間に火を与えたプローメテウスを宇宙船の名にしたウェイランド氏の意図ともつながるわけだが、しかし、前作や本作を観ている限り、デイヴィットの目的は、人類の起源の解明から、「新種の生命の創造=自らが創造主となること」に方向が変わってしまっていて、本作ではもう完全にMADサイエンティストのような悪役扱いであった。なお、この冒頭のシーンで、デイヴィットはウェイランド氏に名を尋ねられ、「わたしは……ディヴィットです」と「ダヴィデ像」を見て、自らを命名するシーンがある。ここはディヴィットに搭載されているAIが超高位のAIで、自意識すら獲得している=目的を自ら変えられることを表すものとして重要だと思った。
 そして2)の方は、結論から言うと本作を観てもさっぱり不明、であった。そもそもの「黒い液体」も良く分からない。Wikiの『PROMETHEUS』のページにはかなり詳しいストーリーが記述してあるが、それによると「黒い液体=兵器」なんだそうだ。そして、本作『COVENANT』では、デイヴィットが謎の「黒い液体」をエンジニアの母星(=今回の舞台となる惑星)でばらまき、エンジニア種族を全滅させるシーンがチラッとあるが、どうやらそれは、自らの創造主であるウェイランド氏を前作でエンジニアに殺されたデイヴィットの復讐、であるようだ。でも、わたしにはその説は受け入れられないなあ……じゃあ『PROMETHEUS』冒頭の太古の地球と思われるシーンは何だったのよ? とまるでわたしには良く分からんままである。

 まあ、ともかく、本作『COVENANT』に話を戻そう。宇宙船COVENANT号は、人類の外宇宙への移民船で、15名のクルーのほかに2000名の移民者(真空パックみたいなのに入れられて熟睡中。本編では彼らは目覚めない)や、1140体の受精胚を載せていて、テラフォーミング機材も満載しており、とある星に向けて航行中である(つまりウェイランド氏の目的=人類の起源の探索には全く関係ない。ただしウェイランド社の船ではある)。起きているのはアンドロイドのウォルターと制御プログラムのマザーだけで、クルーたちはコールドスリープ中であったが、あと目的の星まで7年チョイの距離で、宇宙嵐的な障害で船体を損傷し、コールドスリープ中のクルーは全員強制起床させられ、対処にあたる。その際、船長はカプセルの不調で死亡。なお、船長を演じたのは面白イケメン野郎でおなじみのJames Franco氏で、本作ではほぼ出番なしであるが、事前に公開されていた「LAST SUPPER」は観ておいた方がいいだろう。こちらにはきちんと船長が出てくるし、クルーたちの関係性を知るうえで結構重要だ。どうもクルーたちはことごとくカップルというか夫婦で、そういう意味でも移民船という目的にかなっているのだろうと思う。

 で、クルーたちは船長を失って重い空気になるが、まあ航海を続けないといけないので、船外活動もして船を直していると、シリーズでおなじみの展開、謎の通信電波を受信、なんとその通信電波は、明らかに人類と思われる存在が、John Denverの「Country Roads」を歌っていることを発見するにいたる。カントリロ~ド、テイクミーホ~ム、のあの歌である。マザーが発信源を追跡した結果、その謎電波の発信地は現在位置から3週間ほどの近い位置にあるらしい。おまけに、どうもその星は人間が呼吸可能な大気組成で、水もあり、テラフォーミングには極めて適しているようだということが判明する。
 クルーたちは、またしても宇宙嵐に遭遇するかもしれず、また7年間もコールドスリープに入るのは嫌だという声が多数を占め、新たに船長になった男も、じゃあ、行ってみるか、と決定する。ひとり、ダニエルズという、亡くなった船長の嫁である航海士だけが、そんなバカな、今までの調査で一切引っかかってこなかった星があるなんて信じられないし、危険だし、私は反対!と声を上げるが、結局COVENANT号はその謎の星へ向かうことにする。しかしその星こそエンジニア種族の母星であり、前作で生き残ったアンドロイド・デイヴィットが待ち受ける、罠だったのだーーーてなお話である。
 なお、なぜCOVENANT号が旅立つ前にその星は調査に引っかからなかったか、という謎は、おそらく前作の物語のラストでエンジニアの母星に旅立ったデイヴィットが到着する以前に、COVENATN号は地球を出発していたから、なのだと思う。つまり入れ違いというか、COVENANT号が地球を出発して、ぐっすりクルーたちがコールドスリープに入っている間に、デイヴィットはエンジニアの母星にたどり着き、テラフォーミングして罠を張った、てなことだと思う。たぶん。
 わたしは、ここまでの展開は、非常に面白い作品になるのではないかという予感にゾクゾクしていたし、もちろん映像は、Sir Ridley Scott氏による超美しい映像で、ぐいぐい物語に引き込まれていたのは間違いない。とにかく映像が綺麗でおっそろしくハイクオリティである。しかし、この後の展開が……もう正直、あーあ……であった。

 おそらく、本作を観た人なら誰しもが、以下の2点に全力で突っ込みを入れたい気持ちだろうと思う。少なくともわたしは、以下の2点さえきちんと改良されていたら、本作は相当素晴らしいものになったはずだと考えている。
 1)あの……みなさん、無防備すぎじゃあないですか?
 なんと、その謎の星に向かったクルーたちは、宇宙服もヘルメットもなく、フツーに上陸しちゃうんだな。いやいやいや、それはあり得んだろ……常識的に考えて。大気が呼吸可能だとしても、どんな未知の脅威、具体的に言えば細菌類やウィルスの類が存在しているかわからないんだから、完全防備で上陸するのが当然だと思うのだが……おまけに、思いっきり植物の繁栄している状態なんだから、どんな毒物があるかも分からないし、完全防備が当たり前だと思うけれど、作中キャラたちは普通に上陸し、結果的には、まんまとあの「黒い液体」から派生したと思われる「黒い微粒物」を吸い込んだり耳から侵入されたりして、体内で謎生物を宿すに至り、死亡する。そりゃあそうなりますわな。あれがきちんと完全防備だったら、本作の悲劇は相当軽減されていたと思うんだけど……この点は、もう、観た人なら必ず突っ込みを入れるはずだろうと思う。
 2)ダニエルズさん! 気づけよ!!
 ズバリ言うと、本作のエンディングは、実に後味が悪い。作中に登場するアンドロイド、デイヴィットとウォルターはともにウェイランド社謹製の同シリーズであるため、要するにまったく同じ顔をしており、Michael Fassbender氏の渾身の一人二役で演じ分けられている。そして、前作から引き続き登場するデイヴィットが、前述の通り悪党、そして今回初登場のウォルターがクルーの味方となってバトルとなるのだが……はっきり言って、観客全員、勝ち残ったのはウォルターではなくてデイヴィットだと見抜いていたのではなかろうか? 少なくともわたしは、こいつ、ウォルターです、みたいな澄ました顔してるけど、どうせデイヴィットなんでしょ? そしてダニエルズはそれを見破ってぶっ殺すんでしょ? と思っていた。が、なんとダニエルズは全く気づいておらず、物語は最悪の後味の悪さを残して終わるのである。ありゃあナイなあ……この脚本はナシだ、とわたしは極めて不満である。きちんとダニエルズはデイヴィットを始末して、気持ちよく眠りにつくべきだったと思う。せっかく、ダニエルズと新種エイリアンの最終バトルはかなりの迫力で映像的にも素晴らしかったし、なにより、かつてのリプリーVSクイーンを思い起こさせるような見事な展開だったのに! 正直台無しだよ、とわたしは極めて残念に思った。
 
 というわけで、わたしとしては本作『COVENANT』に関しては、結構微妙というか、はっきり言ってしまえばガッカリである。やっぱり、シリーズは『3』で終わらせるべきだったんじゃあないかなあ、とさえ思う。やるなら、きちんと最初から3部作ぐらいの構想を決めてからにしてほしかった。なんというか、場当たり的ですよ、実に。これじゃあダメだと思う。せっかくの超ハイクオリティな映像も、この物語じゃあどうしようもないとすら言いたい。
 キャストに関しては、もう今回の主人公、”うっかり”ダニエルズさん一人だけ取り上げて終わりにしよう。演じたのはKatherine Waterston嬢37歳。『Fantastic Beast』のヒロインを演じた彼女だが、ズバリわたしの趣味じゃあない。でもさっきいろいろ検索してみたところ、このお方は髪が長いときは結構美人すね。つまりショートカットが似合わないのではなかろうか。わたしとしては残念だが、なんだ、ロングだとかわいいじゃん、ということをさっき発見して驚いたっす。で、本作においては実に熱演で、演技自体はかなり素晴らしかったと称賛したい。
 また、わたしのようなおっさんファンにとっては、冒頭のタイトルの出方? が、第1作と同じで、その辺はもう、わたしは非常に興奮していました。これは期待できる、と最初は思ってたんすけどね……なんか、もったいないというか残念す。上記でわたしが挙げた2点が改善されていれば、相当面白かったなあ、という気持ちで劇場を後にすることが出来たのだが……ホント残念でした。

 というわけで、もうクソ長いので結論。
 わたしの大好きな『ALIEN』シリーズ最新作、『ALIEN COVENANT』が公開され、超ワクワクしながら劇場へ向かったわたしであるが、残念ながらあーあ……という気持ちで劇場を後にせざるを得ない内容であった。微妙というか、イマイチだったすねえ……。たった二つのポイントだけなんだけどなあ……映像は本当に素晴らしく、見ごたえバッチリだっただけに、本当に残念だ。どうしてあんなエンディングにしようと思ったんだろう? 続編を作るため? もうそういうの、ホント勘弁してもらえませんか? 続編を作る気があるなら、最初っから、全体の構想をきっちり設計してからにしてほしい。場当たり的な続編製作は、シリーズIPとしての価値を下げるだけですよ。ホントもったいないし、残念す。以上。

↓ 久しぶりに、エイリアン祭りを家で開催しようと思います。でも対象はこの3本だけっす。





 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、何週間か前に、ここでわたしは「9月場所のチケットが取れたぜ! わーい!」とか無邪気にはしゃいでいたわけですが、皆様ご存知の通り、現在熱戦が繰り広げられている大相撲平成29年9月場所はですね……まあ大変な数の休場者なわけです。白鵬関・鶴竜関・稀勢の里関の3人の横綱が休場、そして大関・高安関、元気な宇良関までもが休場と相成り、せっかく生で観られるぜ! と盛り上がっていたわたしとしては、実に残念です。なんか、怒りは別にわかないのですが……とにかく残念というか、マジでしょんぼりっす……。おまけに出場している横綱・日馬富士関も昨日4日目の段階で早くも2敗、カド番大関・照ノ冨士関も既に3敗、期待の関脇・御嶽海関も3敗、嘉風関は4敗と上位陣がかなり厳しい状況で、これまた何というか……しょんぼりです……せめてわたしが一番応援している前頭4枚目の松鳳山裕也君には、逆に優勝目指してチャンスを掴め!と日夜応援しているのですが、現状2勝2敗。どうか二けた勝利目指して戦っていただきたいと念じております……はあ……なんかなあ……せっかくチケット獲れたのになあ……かえすがえすも残念す……。
 それでは、テンション低めですが、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年42号概況です……。
 ■巻頭グラビア:今週は久松郁実嬢。ええ、素晴らしくお綺麗ですよ……。最高す……。
 ■弱虫ペダル:FINAL ROADの巻。泉田アブ一郎くんの仕事完遂……お疲れっす……。
 ■刃牙道:消えたねの巻。いよいよ刃牙が再挑戦みたいす……遅くね……? そして花山君は鎬紅葉先生の手術で一命はとりとめたようです。あー良かった……。
 ■BEASTERS:炎のオセロの巻。ルイ先輩が帰ってきたっす……極道として……。
 ■囚人リク:無駄の巻。ラストのコマは……変態剣崎最高す……。
 ■ヒマワリ:「クローバー」でお馴染みの平川先生による新連載。期待したいす……。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました……。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。今週はセンターカラーで大増23Pなので、是非ともチャンピオンを買っていただければと思います。カラー扉がとてもカッコイイですよ!
 先週は、とうとうハッキョイでバトルスタートとなった鯉太郎VS【天雷】戦ですが、序盤の立ち合いは鯉太郎のブチカマシが3連コンボでクリーンヒット、【天雷】が吹っ飛ぶ絵で終わりましたが、今週はつづいて4発目が炸裂しそうなところから開始です。NHKアナは興奮の実況ですが、【飛天翔】こと石川大樹君のカットインで「ボーーーーッとしてんじゃねえぞ天雷!!」という激が飛びます。
 えっ!? なんだよ【天雷】、お前、ボーッとしてたのかよ!? とわたしは若干びっくりしましたが、ともあれ、鯉太郎の4発目が炸裂します。が、【天雷】は「ガッ」と右腕一本で鯉太郎の頭を押さえ、止めにかかりました。しかしHNKアナの絶叫の通り「がっ 止まらないーーー!!」という状況で再び押しやられる【天雷】です! なにしてんの! 弾幕薄いよ! とブライトさんなら叫んだことでしょう!
 【天雷】は若干の驚きの表情(?)で、思います。
「あぁ…そうだな… また土俵でお前と会えた歓喜…いつの間にかそれに浸り気付かずゆるんでいた… 少しでもゆるさを見せれば一瞬で首を切られる…土俵はそういう場所だよな…お前はそういう奴だよな…なぁ…鮫島…」
 さあ、反省タイムはこれまでだぜ? 【天雷】の逆襲が始まるぞ! というわけで、めくった先は、見開き一枚絵で、右手一本で鯉太郎を振り払う【天雷】の図であります! カッコイイ! 首をひねりながら吹っ飛ぶ鯉太郎に、常も【白水】さんも大器君も、マジかよ的な表情です! そして吹っ飛ぶ鯉太郎に【天雷】が迫る! 大器君も思わず「くるぞ鮫島!!」と絶叫、鯉太郎もすかさず体制を戻して左手一本の強烈な張りをお見舞いだ!!!
 しかし! 止まらない! 鯉太郎の強烈な張りを受けたまま【天雷】前進だ――!! NHKアナも「あーーー!! 打った鮫島が逆に下がってる!! ここで体重差が露呈したか―――!!」と絶叫です! そして見守る常も、「ふざけろよ…280㎏の巨桜丸でさえぐらつかせる張りだぞ…それをまるで虫でもあたったかのように いくらなんでもそれは…」と唖然の表情です! まさしく、いともたやすく行われるえげつない行為!!
 そして今度はすかさず【天雷】が詰め、右のまわしを取りに行きます! 常も思わず「ダメだ…」と絶叫! 鯉太郎もそれはヤバいことは十分承知ですので、体を開いて組まれることを阻止します。「危ねえ…天雷にマワシを取らせちまったら終わりだ…」と常松も読者たるわたしの心境を代弁してくれていますが、ああ! なんと! 【天雷】の左の小指一本が、一枚まわしに引っかかっている! やばいやばいやばい! めくったその先のページは、一枚まわし&小指1本で、うりゃあああ! と鯉太郎をぶんなげる”怪力”【天雷】の図です!! こちらも見開き一枚絵で描かれた迫力の絵です! NHKアナも「天雷が強引に持って行った――!!」と叫びます!
 しかし! 鯉太郎はその強引な投げを、間一髪でまわしを切って耐えました! アッブねえ! 常は「た、助かった…指1本で…」と顔面蒼白、大器君は「なんつー馬鹿力だよ…」と冷や汗、虎城理事長は冷静な表情で見守り、そして、【王虎】さんは「引っぱられたか…天雷…」と好勝負に冷静な分析をします。そしてページをめくった先では、【天雷】は何かを感じ「ゾクッ」とします。そう、ここは【王虎】さんの解説を引用すると、「いや…引っぱり合いか…」というわけです。【天雷】だけじゃあなく、鯉太郎も、この勝負にニヤリとするほど、ギンギンに来てるわけです。
 NHKアナは再び絶叫です!「あ――――――――!! 鮫島またブチカマシの体勢に入る!!」
 そうです、鯉太郎は再び腰を低くし、ブチカマシの発射体制に入りました! それに対して【天雷】は「もう…効きはしない…」という判断。あかん! 【天雷】! お前、油断しちゃあだめに決まってんだろうが!!! そして今週最終ページは、そんな【天雷】にむけて、鯉太郎の低い位置から上へ撃ちだす形での、両手を突き上げるもろ手突き(?)がクリーンヒット、【天雷】の首から上が強烈なアッパーカットを喰らったかの如くゴッと上を向いてしまうの図で終了です。
 はーーーー……今週も興奮したわ……。つーかですね、ええっ!? 【天雷】って油断してたんすか!? そんな馬鹿な!? 油断というか、嬉しくてたまらなくて「ゆるんで」いたんすかね? まあ、【天雷】がこのまま、ある意味一方的にやられるはずはないし、単行本収録を考えると、先週の134話から、次の次の新刊(16)巻に収録されると思うので、まだ7話分はVS【天雷】戦が描けるはずなので、来週からの展開も楽しみにしたいと存じます。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は【天雷】の”怪力”が炸裂する展開になるかと思いきや、いまのところ鯉太郎優勢で進んでおり、鯉太郎の強力なアッパーが炸裂して【天雷】吹っ飛ぶの図で終わりました。しかしアレかな、来週の冒頭は、「あーーーっと! 天雷無傷! 効いてナーーーイ!!」で始まるのでしょうか!? はーーーヤバいすなあ……。何度も書いていますが、この【天雷】戦のあともまだ4番残っているわけで、鯉太郎の体も心配ですが、わたしの脳の血管も心配です……。大丈夫かな……まあ、とにかく鯉太郎最後の15日をその終わりまで、見届けたいと存じます。それではまた来週! 以上。

↓ しつこいですが載せておきます。リンクを踏む必要は全くないので、どうかどこかで買って、この作品を応援していただけないでしょうか! 最新(14)巻は泣ける常松回です!

 というわけで、毎週月曜日は映画週末興行データです。
 この週末は、わたしは『ダンケルク』を観て来ました。この映画は何を話してもネタバレというか、一切の先入観なく観た方がいいと思いますので、何も書きません。是非ご覧いただければと思います。とにかく、いろいろ凄いっす。
 しかしこの映画が日本で売れるのだろうか……? と思いましたが、なんのなんの、初登場1位ですよ! 良かったすねえ! というわけで、さっそくランキングを、興行通信社の大本営発表を見ながらチェックしてみます。

 1位:『ダンケルク』が公開土日で3.24億稼いで1位! やったぜ! 今後どのくらい稼ぐか、楽しみですなあ! なお、映画オタクの方はIMAXで観た方がいいかもしれませんよ、この作品は。わたしはうっかり通常フォーマットで近所で観てしまい、オタクにあるまじき行為を働いてしまったことを大いに恥じております。ので、もう一回、IMAXに観に行く所存です!
 2位:『三度目の殺人』が公開土日で2.33億稼いで2位。わたしも観るつもりではいたものの、『ダンケルク』を優先してしまいました。予告の音楽が非常に印象的ですね。
 3位:『関ヶ原』が16日間で15億ほどだそうです。
 4位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が52日間で68億ほどだそうです
 5位:『ワンダーウーマン』が17日間でやっと10億だそうで、若干心配になってきた……いまいち伸びないすねえ……面白いのになあ……。
 6位:『HiGH & LOW THE MOVIE2/END OF SKY』が23日間で11億だそうです。
 7位:『君の膵臓をたべたい』が45日間で30億突破したそうです。すごいものですなあ!
 8位:『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が24日間で13億ほどだそうです。
 9位:『スパイダーマン:ホームカミング』が31日間で26.3億ほどだそうです。あともうチョイ伸びてほしい!! せめて『アメイジング~』は超えてほしかったけど、厳しいか……ショボン……。
  10位:『散歩する侵略者』が公開土日で1億届いてないぐらいなのでしょうか? 数字未詳です。『光る眼』とか『SFボディスナッチャー』的な雰囲気は大好物なので、わたしとしては大変気になっている作品です。ぜひ観たいと思っていますが、いつ行けるか……。もともとは舞台作品でその小説化も行われてるんですな。とりあえずそっちを読んでみようかしら。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 わたしとしては『ダンケルク』が大ヒットしてくれることを祈りますが、どこまで伸びるかなあ。なお、次の週末、わたしが観に行くつもりなのは、当然(?)『エイリアン:コヴェナント』です! 若干、評価が高いのか低いのか微妙ですが、シリーズ第1作を小学生の時にオヤジに連れられて観に行って以来、全作すべてちゃんと劇場で観ているおっさんのわたしとしては、行かざるをえまい! と楽しみにしております。場合によっては金曜の夜、会社帰りに行く所存です。今年は……今のところ何本劇場に観に行ってるんだろう……えーと、28本かな? 去年よりちょっと少ないか? 同じぐらいかな? まあ、今後毎週のように観たい作品があるので、年末に何本になるかわからないけど、まあなんつーか、いやー、映画って本当にいいもんですね!

 というわけで、結論。
 今週はクリストファー・ノーラン監督最新作『ダンケルク』が公開になり、堂々の1位。3億チョイスタートがすごいイイ数字かというと、まあ実際それほどでも、なのだが、まあ、それでも決して悪くはないし、最終的にどのくらいまで稼いでくれるか、毎週チェックしたいと存じます。以上。

 今年の初めに観た映画『PASSENGER』のことをこのBlogに書いた時も触れたが、わたしはかなり声フェチである。とりわけ、その容姿にミスマッチな、ガラガラ声というかハスキーボイス? な女子は大好物で、ちょっと昨日の夜にカラオケでハッスルしすぎたのか? というようなガラガラ声、なんだけど、やけにちびっ子だったりとか、その声に似合わない可愛らしい容姿の女子は、無条件で好きになるといっても過言ではない。そしてもう一つ、これもこのBlogで散々書いてきたが、わたしは女子がしょんぼりした顔をしていると、これまた無条件で、ど、どうしたんだよ……? と無性に胸がざわめく。そのざわめきを恋と勘違いしてやけに気になる存在に昇格するのだが、とにかくわたしは、女子のしょんぼりフェイスに弱いのである。
 いや、まあそんなわたしの変態趣味をここで表明しても、ほぼ意味はないのだが、ハリウッド女優の中で、わたしのそんな若干変態的趣味にジャストミートなのが、Jennifer Lawrence嬢である。栄光のオスカーウィナーである彼女は、Wikiによれば身長171cmなので全然ちびっ子ではないというか、ほぼわたしと同じぐらいあるので日本人的には背の高い女子だが、その表情はどうも若干童顔で、それでいて声はガラガラ、そしてやけにむっちりしていてグラマラス、そして、これまでの映画ではどういうわけかしょんぼりした表情がやけに印象に残る役柄を多く演じてきた女優である。というわけで、完璧にわたしの趣味にジャストミート、なのである。変態的告白サーセン。
 おそらく、日本人で彼女を知っているのは、ある程度映画が好きな人種だけであろうと思う。普通は全く知らない人の方が多いだろう。だが、間違いなく世界的有名女優であり、前述のとおりオスカーウィナーでもあるわけで、彼女主演の映画であれば、まず間違いなく、一定の興行は見込めるはず、であろうと思う。しかし、ここ日本は、すでに世界的映画マーケットとはほぼ道を分かち、独自のガラパゴス的進化を遂げつつあることは、毎週わたしがせっせとまとめている週末映画興行データからも明らかだろう。それが悪いことだと批判するつもりは毛頭ないが、今の日本は、ハリウッド作品が全然売れない。売れるのはディズニー作品やCGアニメ作品ばかりである。もちろん例外も数多いが、少なくとも、USアカデミー賞を受賞した作品であっても、それほど興行が盛り上がることがないのが現実だ。
 というわけで、前置きが長くなったが、先日、日本では結局劇場公開されなかった、Jenniferちゃん主演の映画が、WOWOWにて放送されたため、わたしは超期待して録画し、昨日の夜、ぼんやりと観てみることにしたのである。その作品のタイトルは『JOY』。監督は、Jenniferちゃんにオスカーをもたらした作品『Silver Linings Play Book』(日本公開タイトルはなんだっけな……世界でひとつのプレイブック、かな)を撮ったDavid O. Russell氏である。このコンビは3作目であり、前2作はともにアカデミー監督賞・作品賞・主演男優&女優賞と主要賞にノミネートされており、今回も当然期待しますわな。しかし結論から言うと、本作は興行的にも厳しく評価もイマイチであったため、日本では劇場公開を見送られてしまった。そして観たわたしの結論も、正直、かなりイマイチな映画であったと言わざるを得なかったのである。

 まあ、物語はほぼ上記予告から想像できる範囲のものだ。ちなみにいうと「JOY」とは、「喜び」のJOY、でもあるのだが、そもそもは主人公であるJoy Mangano女史の名前である。日本風に言うなら、喜子さん、てな感じなんすかね。喜子さんことMangano女史は、我々日本人は全く知らない、というかわたしは知らなかったが、US国内では有名な億万長者のおばさまだそうで、現在61歳、その発明の才能で次々と生活雑貨の特許をとって財を築いた才人である。その、立身出世のきっかけとなった発明品が「Miracle Mop」というモノで、それを1990年にTVショッピングでおなじみのQVCで売り出して大ヒット、となった経緯が本作では描かれている。あ、今調べて初めて知った。1990年だったんだ。作中に年代表示ってあったかなあ? なかったような気がする。意外と最近すね。
 で。映画は単純なサクセスストーリーではなく、Mangano女史の苦労の歴史に重点が置かれている。ズバリ言うと、家族がもうとんでもなくどうしようもないクズばっかりだったのだ。簡単にまとめると、こんな感じである。
 ◆父:人間のクズ。Joyさんの母とは2度目の結婚。そして離婚し、いい歳したおっさんというか爺さんのくせに、いまだに出会い系で熟女ハントにいそしむ。どうしようもないクズ。一応、自分で経営している自動車整備工場があるが、Joyさんはせっせと経理を手伝い、支えてきた。ちなみに、Joyさんは高校を首席で卒業した才媛で、大学もシカゴだったかな、決まっていたが、離婚のごたごたで大学進学をあきらめた過去がある。大変気の毒。
 ◆母:人間のクズ。ずっとベッドでTVのクソつまらなそうなメロドラマを観ているTV依存症。家事は一切Joyさん任せ。どうしようもないクズ。
 ◆姉:人間のクズ。父の1度目の結婚での子供なので、Joyさんとは腹違い。可愛くて頭のいい妹のJoyさんにずっと嫉妬していて、常にJoyさんの足を引っ張って邪魔することしか考えない邪悪な存在。どうしようもないクズ。
 ◆元夫:真面目なJoyさんが初めて恋して、勢いで結婚してしまったベネズエラ出身の男。生活能力なしで離婚済み、だけど、いまだJoyさんちの地下室に住んでいる。こいつもクズかと思いきや、どういうわけか離婚し、歌手活動なんかを開始して自由を得てからは、結構いい奴になった不思議な自由人。事業立ち上げ後は何気にJoyさんを助けてくれる。
 ◆子供たち:Joyさんと元夫には2人の子供がいて、大変可愛らしいチビども。
 こうした、ある意味最悪な家族環境の中で、唯一おばあちゃんがJoyさんの才能を評価し、いろいろ助言してくれるのだが、いかんせん体も弱っていて、実質的には何もしてくれないというか何もできないため、Joyさんは一人奮闘するわけだが……もうとにかく痛ましくて、気の毒な事極まりなく、そして余りに家族がクズばっかりで、正直に告白すると、わたしはもうこれは最後まで見られない……と何度か再生をやめようかと思ったくらいひどい話だった。
 お話がいい方向に向かうのは、約1時間20分ごろで(それまでがとにかく観ててつらい!)、元夫がかなり無理やりな伝手を頼って、JoyさんをQVCに紹介してからである。今は日本にもQVCは進出しているけれど、US企業だったことは、恥ずかしながらわたしは初めて知った。Q=Quality(品質)、V=Value(価値)、C=Convinience(便利)の略なんですって。これって常識なのかな? 全然知らなかったわ。そして、本作では、通常のQVCのフォーマットだと専属のナビゲーターが商品説明するのが当たり前、なんだけど、初回はそれでやって惨敗、そのため、Joyさんの直訴で、Joyさん本人が商品説明することになり、その結果大ブレイクした、という経緯が描かれている。ここは大変胸のすく、気持ちのいいシーンで、Joyちゃん良かったねえ……と素直にわたしは嬉しくなった。
 しかし、成功後も、父と姉、そして父の恋人で金持ちのクソ女、このトリオがなにかとJoyさんの邪魔をして足を引っ張る展開で、もうホントいい加減にしろこのクズどもが!! とわたしの怒りはますます高まり、ホントに最後まで観るのがつらい映画であった。
 まあ、最終的には、Joyさんはきっちり成功をつかむわけで、それはそれで大変良かったね、なのだが、どうにも、人間の、とりわけ家族という厄介な存在の邪悪さしか印象に残らず、わたしとしてはこの映画を観て良かったとは思えない、というのが最終的な結論である。ホントつらかったわ……。

 ただ、それでもJoyさんのめげないハートを演じ切ったJenniferちゃんの熱演には、惜しみない拍手を送りたいとも思う。いやあ、予告にある制服姿は、冒頭でJoyちゃんが働いている航空会社の制服なんだけど、まあ可愛かったすねえ! そしてやっぱり、Jenniferちゃんのしょんぼりフェイスは最高すね。今回もJenniferちゃんは、家族を背負って苦労するヒロインという役柄であり、これは20歳で初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた『Winter's Bone』や、US大ヒット作『The Hunger Games』と似たような境遇のヒロイン像だ。女子のしょんぼりフェイス愛好家としては、この映画ではJenniferちゃんの極上のしょんぼりフェイスが十分に堪能できます。おまけに今回はワンシーンだけ、持ち前のガラガラ声で歌う場面もあって、それがまた下手くそというか上手ではなく、だけどとっても一生懸命というのが非常に伝わるとてもいいシーンもあった。結論を言うと、Jenniferちゃんはやっぱり大変可愛いと思います。
 最後にキャストをチラッと触れて終わりにしよう。まず、クソ親父を演じたのがRussell監督チームの常連Robert De Niro氏。とにかくクズ過ぎてDe Niro氏を嫌いになりそうなぐらいひどいオヤジだったすね。そして元夫の不思議な自由人を演じたのは、Édgar Ramírez氏。この人はちょいちょい見かけますね。そしてこの人はホントにベネズエラ人ですな。そしてQVCの敏腕プロデューサーを演じたのが、これも常連のBradley Cooper氏。相変わらずイケメンで、何気に演技の素晴らしい男ですな。今回も大変良かったと思う。あともう一人だけ。父の恋人の金持ち女のクズを演じたのが、なんとIsabella Rosselliniさんですよ。久しぶりにお見掛けしたような気がする。現在65歳だって? 年取ったなあ! まあ、本作ではあまりに嫌な女だったので、彼女のことも嫌いになりそうです。

 というわけで、もう結論。
 日本では劇場公開されなかった、Jennifer Lawrence嬢主演の『JOY』が、WOWOWにて放送されあので早速観てみたのだが……まあ、確かにこの映画が日本で公開されていてもまったく売れなかったことは間違いないだろう。実際のところ、Jenniferちゃんの演技はよかったし、元となったJoy Mangano女史には大変興味を持ったけれど、とにかく回りがクズばっかりで、観ていて腹立たしいことこの上なく、実に不快で最後まで観るのがつらかった作品であった。なので、わたしのような、Jenniferちゃんが大好きであり、ガラガラ声の女子、または女子のしょんぼりフェイス愛好家でない限り、この映画はおススメしません。逆に、わたしの趣味に賛同できる方には超おすすめです。以上。

↓ これっすね。US本国では有名、なんでしょうな。どうだろう、ミラクル・モップって、日本でも流行ったのかな? あ、高っけえ!

 多くの映画オタクの人々の中には、「現代最強の映画監督といえば誰?」と聞かれれば、「まあ、そりゃあやっぱりChristopher Nolan監督っすね」と答える人も多いだろう。かく言うわたしも、ナンバーワンかどうかはともかくとして、最強の一人として挙げることにやぶさかではない、というか、ズバリ、わたしもNolan監督作品の大ファンである。
 Nolan監督といえば、どうも世の中的に「実物」を使って作品を撮る男で、CGを使わない男、みたいに若干誤解されているような気もするけれど、実際のところCGもかなりバリバリに使う男である。Nolan監督がすごいのは、その実物とCGの区別が全くつかない画の質感にあるとわたしは思っているのだが、わたしとしてはやはりNolan監督の一番すごい点は、その超ハイクオリティなリアルな映像自体よりも、「物語力」にあり、端的に言えば脚本がすごい、と思っている。映像が「リアル」なのは誰がどう見てもそうだけれど、とにかく描かれるキャラクターが「リアル」であり、そして「ほんの一つまみの嘘」がスパイスとして超絶妙な味を醸し出しているのである。これは以前もこのBlogで書いたことだけれど、例えば『Memento』における「記憶を保てない状態」、『Prestige』における「奇術」、『DARK KNIGHT』3部作における「BATMANという存在」『Inception』における「夢に入り込む謎装置」、『Interstellar』における「滅びゆく地球と恒星間飛行」、そういった、たったひとつの「フィクション」の種が、「リアル」な人物像と完璧に調和して深い味わいをもたらしているのである。さらに、映像、脚本とともに音楽もまた素晴らしく、とにかくその3つが、役者陣の渾身の演技と完璧に一体化して、まさしく総合芸術たる「映画」としてすごいのだ、というのがわたしの持論である。これも以前書いたことだが、よく、世の中に「映像化不可能!」と言われる小説があるけれど、Nolan監督の作品は、まさしく「小説化不可能!」なのだとわたしは思っている。わたしは小説好きであり映画好きだけれど、ずっと、小説の方が想像力を掻き立てるのに最も適した芸術なんじゃないかと思っていたが、Nolan監督の『Inception』を観た時、ああ、小説化できない映画もあるんだ、と初めて認識し、深く感動したものだ。
 というわけで、現在全世界的に大ヒット中であり、評価的にも非常に高い作品、Nolan監督最新作『DUNKIRK』がやっと日本でも公開になったので、さっそくわたしも朝イチの回へ観に行ってきた。今回はNolan監督作品には珍しく120分を切る短い作品で、なんと上映時間106分である。そしてとにかく大絶賛の声ばかりが聞こえてくるので、当然わたしも超ワクワクしながら劇場へ向かったわけであるが、観終わって思ったことは、これはすごい映画だったし、面白かった、けど、期待したほどじゃあなかったかな……という若干の肩透かし感だ。これは、わたしが単にひねくれものだからなのか、それとも、IMAXではなく通常フォーマットで観るというオタクにあるまじき行為を働いてしまったせいなのか、原因は実は良く分からない。今思うことは、どうもわたしはキャラクターに感情移入できなかったのではないかという疑惑である。そこのところを、これを書きながら自分でも整理してみたいと思う。以下、ネタバレ全開になる可能性大なので、気にする人は読まないでいただければと思う。

 というわけで、相変わらずの「本物」感あふれる迫力は、予告編からも感じ取られるだろうと思う。わたしも予告を観て、このスピットファイアが本物だということは誰が観ても明らかだし、これはまたすげえのが来たぞ、さすがNolan監督だ、と超期待していた。
 物語についてはもはや説明の必要はないだろう。第2次大戦の序盤戦、ナチスドイツによるフランス侵攻が始まり、パリ陥落(1940年6月10日)直前の1940年5月24日から6月4日の間に起った戦闘「ダンケルクの戦い」での、イギリスへ撤退するイギリス軍視点のお話である。
 この作品でNolan監督は、今までの作品にない、いくつかの、具体的に挙げると以下の3つの挑戦をしているようにわたしには思われた。
 ◆初めてのノンフィクション
 ◆極端にセリフが少ない脚本
 ◆3つの視点に分割された構成
 これらはすべて脚本に関する問題であり、わたしがNolan監督で最も優れていると思っている「物語力」に直接関係するポイントだ。
 Nolan監督は、これも何度も書いているけど、ロンドン大学英文学科卒である。それすなわち、日本で言えば国文科なわけで、相当地味でまじめな青年だったのだろうとわたしはにらんでいる。まあそれはわたしが文学部を卒業した男だから実感として思うのだが(ちなみにわたしは国文科ではないですが、国文科の友達はみんな地味でまじめでちょっと変わった、面白い奴らだった)、ともかく、Nolan監督が小説、すなわちフィクションが大好きなのは間違いないだろう。冒頭に記した通り、Nolan監督の作品は、人間に対する深い洞察が極めてリアルで、そこに、一つだけ嘘を交え、面白い作品を創造してき男である。そのNolan監督が初めて描く「ノンフィクション」。となれば、残るのは「リアル」だけになってしまうわけで、わたしは一体全体、どんな物語になるのだろうとドキドキして観ていたのだが、どうもNolan監督は、キャラクターに「しゃべらせない」ことで、「リアル」を担保したように思えた。
 100%確実に、77年前のダンケルクの海岸でキャラクターがしゃべるセリフは「創作」にならざるを得ない。当たり前だよね。「創られたセリフ」をしゃべった時点で、嘘になってしまうし。だからもう、とにかくセリフが少なく、出来事を、冷静な視点のカメラが追う形式にならざるを得なかったのではなかろうか。それは映像としては実に効果的で、迫力の大音響とともに、観客をまさしく戦場へ放り込む効果はあっただろう。実際、わたしも観ながら上空を飛ぶ戦闘機の爆音、ドデカい爆発音などにいちいち驚き、緊張感は半端ないものがあったのは、おそらく本作を観た人ならだれでも感じたはずだ。「怖い」。まさしく戦場の恐怖である。
 しかし、である、やっぱりわたしには、セリフの少ないキャラクター描写は、リアルとトレードオフで、キャラへの共感を失ってしまったように思えたのである。確かに、勇気をもって船でダンケルクへ向かう船長や、なんとかしてドイツ機を撃墜して、船や海、海岸にいる味方を守ろうとする戦闘機パイロットの勇気ある行動には深く共感はできたけれど、最も長い時間描写される若い陸軍兵にはそれほど深い共感は得られなかった。基本的にこのダンケルクの戦いは、撤退戦であり、極端に言えば(一時的な)敗北であって、キャラクターは逃げるだけで、戦うこともほぼせず、最終的な勝利もないので、いわゆるカタルシス、スッキリ感も薄いのも、共感の度合いが浅かった原因なのかもしれない。まあ、徴兵されたと思われる若者だから、極めてリアルではあったのだと思うけれど……。
 そして、視点が3つに分かれている点に関しては、最終的に3つが一つに融合する脚本は実にお見事だった! が、これも、キャラクターへの共感という意味では、若干阻害要因だったのかもしれない。繰り返しになるが、船長と戦闘機パイロットは抜群にカッコ良かったのだが……若い陸軍兵士がなあ……演じたFion Whitehead君の演技に問題があったわけでは決してないんだけど……。なお、本作は、「The Mole(=防波堤):1Week」「The Sea:1Day」「The Air:1Hour」と3つの視点に分かれていることは、事前に散々プロモーションされていたので分かっていることだったが、実は「時間の流れが違う」ことは全然事前に触れられていなかったような気がする。わたしも知らなかった。この時間のズレも、若干わかりにくかったかもしれないな……この辺のトリッキーさは、ぼんやり見ていると全然気が付かないかもしれないが、構成としては抜群にお見事な点であったと、わたしとしてはさすがNolan監督、と絶賛したい点ではあるのだが、このことがキャラクターへの共感を、とりわけ陸軍兵士に対して減退してしまった要因の一つのような気もしている。まあ、わたしの考えすぎという説も濃厚だけどね。
 なお、勇敢な民間人船長を演じたMark Rylance氏、絶対に諦めないパイロットを演じたTom Hardy氏、そして防波堤で全員(?)を送り出した後、わたしはここに残るとシブく決めてくれた海軍中佐を演じたSir Kenneth Branagh氏、この3人は実にカッコよく素晴らしい演技で、わたしとしては大絶賛したいと思う。こういう、言葉は悪いけど映画的な勇敢さは、やっぱりわたしのような単純な男はコロッと共感してしまいますな。
 あ、こんな記事がありますね。Wikiから引用元を観てみると、
 The empathy for the characters has nothing to do with their story,” added Nolan. “I did not want to go through the dialogue, tell the story of my characters… The problem is not who they are, who they pretend to be or where they come from. The only question I was interested in was: Will they get out of it? Will they be killed by the next bomb while trying to join the mole? Or will they be crushed by a boat while crossing?”
 訳はWikからパクっとくか。
「キャラクターへの共感は彼らのストーリーとは無関係だ。私は台詞を通して自分のキャラクターのストーリーを伝えたくなかった。(中略)問題は彼らが誰であるかでも、彼らが誰になるかでも、どこから来たのかでもない。私が興味を持った疑問は、彼らが脱出するのか、彼らが突堤に行く間に次の爆弾で殺されるのか、それとも横断中にボートで潰されるのか、それだけだ」
 なるほど、つまり、キャラはどうでもいい、共感してもらわなくてもいい、ただただ、こいつは次の瞬間にどうなるんだろう、とドキドキして観てろ、ってことかな? だとするとそれは大成功しているといっていいだろう。とてつもない緊張感は106分持続しているのは間違いないと思う。うーん、でも観客としてはそれが面白いのかどうかとなると……どうなんでしょうなあ……。

 とまあ、いずれにせよ、本作はNolan監督作品としてはかなり異例だとわたしは感じた。もちろん面白かったし、ドキドキしたのは間違いない。でも、どうも……やっぱり期待よりは下だったかなという思いがぬぐい切れないのである。それは上記のような理由からなのだが、うーん……これを傑作と思えないわたしはやっぱりひねくれものなのか? それともIMAXで観たら全く別物なのかもしれない。ダメだ、やっぱりもう一回、IMAXに観に行こう。どうもそれは、映画オタクとしては義務のような気がします。
 で、その映像なのだが、わたしはNolan監督がIMAXにこだわるのは、別に非難するつもりはないけれど、そのことがNolan監督に余計な枷になっているのではないかという気もしていて、実は若干心配である。わたしは最新技術肯定派なので、まったくデジタルに抵抗はない男だが、例えばNolan監督が一度でもGoProを使って何かを撮影してみたら、そのあまりの高品位な映像にびっくりするんじゃないかという気もする。Nolan監督はまじめだからなあ……今の最新テクノロジーを享受しない理由はないと思うのだが……IMAXにこだわることで、いろいろな制約があるはずで、それはかなりもったいないことなんじゃないかと思う。もう、James Cameron監督みたいに、オレが撮りたい絵を撮るためなら、機材もソフトも自分で開発したるわい! ぐらいの勢いでいいと思うんだけどな。だって、確実にもう、フィルムは絶滅するもの。それが現実なわけで、こだわりを持つのは大いにアリ、だけど、あるものでそのこだわりが体現できないと思うなら、それが実現できる機材を作っちゃえばいいのにね。それが許される、世界に数少ない男の一人だとわたしは信じてます。
 最後。音楽について触れて終わりにしよう。本作は、Nolan監督自ら「タイムサスペンス」と言っているように、「時間」がカギとなっている。とにかく、観ていて「早く早く! やばいやばいやばい!」とドキドキするわけだが、今回の音楽は、「チッ・チッ・チッ・チッ……」という秒針の音を思わせる音楽が超絶妙で、緊張感を高めるのに極めて大きな役割を果たしているといえるだろう。その音は、超極小な音量からだんだんと大きくなり、かつテンポも上がってきて、とにかく「早く早く!」とドキドキである。もちろん音楽を担当したのはHans Zimmer氏。相変わらずのNolan監督とのタッグは大変素晴らしかったと思う。

 というわけで、若干整理しきれていないけれど、現状での結論。
 現代最強映画監督の一人とわたしが認定しているChristopher Nolan監督最新作、『DUNKIRK』がやっと日本公開となったので、初日の今日、さっそく観に行ってきたわたしであるが、確かに、確かにすごかったし面白かった。それは間違いなく断言できる。だが、どうもわたしが期待していたほどではなく、現状のわたしには、超傑作の判定は下せないでいる。その理由は、「リアル」一辺倒で、Nolan監督最大のポイントである「一つまみの嘘」というスパイスが効いていないためではないか、と思うのが一つ。そしてその結果、キャラに共感できなかったということが主な要因ではないかと思われる。ただ、IMAXで観ると、そのド迫力に、さすがはNolan監督、オレが間違ってました、と完全降伏する可能性もあるので、これはやっぱり、もう一度、IMAXで観ようと思います。以上。

↓ やっぱりわたしは、『Inception』『Intersteller』のような「Nolanオリジナル作品」の方が好きみたいです。この2作は、まさしく「小説化不能!」の超傑作だと思うな。
インセプション (字幕版)
レオナルド・ディカプリオ
2013-11-26

インターステラー(字幕版)
マシュー・マコノヒー
2015-03-25

 先日、待ちに待った最新刊発売のニュースを見つけて、よーし!新刊キタ! とやおら興奮した作品がある。が、ちょっと調べたところ、紙の本が8月24日に発売になるのはいいとして、電子書籍版の発売に関しては一切何も書いていなかったので、ちょっとマジかよ……またお預けか? としょんぼりしていたところ、紙の発売の1週間後には電子書籍版も発売となり、喜んですぐさま購入した。さすがわたしの愛する早川書房さまである。
 というわけで、本Blogの読者にはお馴染みの(たぶん)、「暗殺者グレイマン」こと、コート・ジェントリー氏が約1年ぶりに帰ってきた! のであります。日本での邦題は『暗殺者の飛躍』。英語タイトルは『GUNMETAL GRAY』という、Mark Greaney氏による「暗殺者グレイマン」シリーズ第6作目にして最新刊がようやく日本で発売になったのでありました。やったー!
暗殺者の飛躍 上 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2017-08-31

暗殺者の飛躍 下 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2017-08-31

 もう、のっけから結論を申し上げると、今回も大変面白く、実に興奮いたしました。あのジェントリー氏が、作戦中に出会ったロシアSVR要員のウルトラハイスペック美女と本気LOVEですよ! マジかよコート! お前、大丈夫か!? といろいろな点で心配になったし、こりゃあこの美女には完全に死亡フラグ立ってんじゃねえかなー、とか、下衆な勘繰りをしながら読んだオレのバカ! と自分をののしりたい気分です。
 最終的には、ややほろ苦い結末ではあったけれど、実に見事なエンディングで、大変面白かった。つか、あれっ!? サーセン、いきなりいろいろなネタバレをブチかましてしまったような気がするけれど、以下もネタバレ全開になる可能性が高いので、気になる方はまず本作を読んでからにして下さい。自己責任でお願いします。
 さて。まずはこのシリーズについては、もう軽い説明でいいよね? 今までの1作目から5作目まではこのBlogに散々書いてきたので、そちらをご覧ください。一応、直近の5作目の記事のリンクだけ以下に置いておきますので。
 ◆グレイマンシリーズ第5弾『BACK BLAST』(邦題:暗殺者の反撃)はこちらへ
 お話は、元CIAの準軍事工作員だったコート・ジェントリーという男が、ある日CIAから「目撃次第射殺=Shoot on Sight」指令を下されてしまい、逃亡、その後、裏社会で「グレイマン」と呼ばれる凄腕のアサシンになって活躍するお話で、前作の第5弾で、とうとう「そもそも何故CIAはジェントリーを殺したいのか」の謎が明かされ、なんとかその窮地を脱して、非公式にはそのSoS指令は解除、晴れてお咎めなし、の身に戻ったところまでが描かれた。
 そしてこのシリーズの最大の特徴は、主人公のジェントリーというキャラクターが大変おかしな野郎だという点にある。彼は、超凄腕かつ超冷酷なんだけれど、妙な正義感というか良心を持ち、そのイイ人であるがゆえに、いろいろピンチに陥ったりするという、読者からすると純然たる人殺しなのに、妙に憎めない野郎である。そしてその「グレイマン」のあだ名の由来は、会って話をしても、後に「あいつどんな顔してたっけ?」と思い出せないような平凡かつ存在感の超薄い男であるため、「姿なき暗殺者」という意味で「グレイマン」と呼ばれているわけだ。
 で。今回のお話は、実際第5巻の続きで、晴れて自由を得たグレイマン氏が、今度は古巣であるCIAから仕事を引き受け大活躍するお話である。早川書房様のWebサイトにあるあらすじを勝手にパクって貼っておこう。要するにこんなお話だ。
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 <上巻>黒幕を倒し、CIAのグレイマン抹殺指令は解除された。彼はフリーランスとしてCIAの仕事を請け負うことになり、逃亡した中国サイバー戦部隊の天才的ハッカー、范の行方を突き止める任務を帯びて香港に赴く。囚われの身となっていた元雇い主に再会したグレイマンは、中国の目を欺くため、元雇い主を通じて中国総参謀部から范を暗殺する仕事を引き受けることになるが……
 <下巻>香港犯罪組織との乱闘の末、ベトナムのギャングが天才的ハッカー、范をかくまっていると知ったグレイマンは、ホーチミン市に入る。だがロシアのSVR(対外情報庁)の秘密精鋭部隊も范を拉致すべく、密かに行動していた! 范をめぐりグレイマンとSVRは、ベトナム、さらにタイのギャングと争奪戦を繰り広げる。そして、CIAの作戦の裏に隠された衝撃の事実が! 新たな展開でますます白熱する冒険アクション!
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 というわけで、以下、いつものようにキャラ紹介しながら、ストーリーもごく簡単にメモしておこう。全員は紹介できないので、わたしが印象に残った人々だけです。
 ◆コートランド・ジェントリー:作中ではコート・ジェントリーと名乗る場合が多い。我らが主人公グレイマン氏に関しては上記に述べた通り。今回、ジェントリーの性格を良く表している文章はこれかな。
「ジェントリーの道義心は、そばに味方がいないような状況で、フィッツロイが一人で死ぬようなことを許してはならない、と告げた。フィッツロイのために戦おう。CIAがそれに不賛成だというなら……CIAなどクソくらえだ」
 そう、今回、グレイマン氏は、フィッツロイおじいちゃんのために奮闘するのであります。フィッツロイおじいちゃんは、第1作目でのジェントリーのハンドラー(雇い主)で、とてもいい人で信頼関係も厚かったのだが、おじいちゃんの愛する孫娘を人質に取られ、ジェントリーを断腸の思いで敵に売ったことがあって、ジェントリーとしては、まあ状況的にしょうがないと思いつつも、もう仕事はできない相手、と思っていたのです。でもその後、2作目で助けてもらって、ジェントリーとしては「借りのある男」なわけですよ。今回は背景が超複雑で、作戦も込み入っていて回りくどくて、グレイマン氏は今回も大変な目に遭います。しかし、まさかグレイマンin LOVEとは驚いたなあ! グレイマン氏は、第3作目で、メキシコで出会った旧友の妹に一瞬本気LOVEとなるも、ラストではその女子に対して、俺はなんて言って別れを告げたらいいんだ……とかくよくよしてたらあっさり、「わたし、修道女になるわ!」と先制パンチを喰らい、あえなく、お、おう……と振られてしまったことがあったけれど、今回は、完全に両想いというか超お似合いの殺し屋カップルの誕生で大興奮です。なお、わたしはいつも読んでいるとき、ジェントリーのビジュアルイメージとしてセクシーハゲでおなじみのJason Statham兄貴を思い浮かべているのだが、本作では久しぶりに(?)ジェントリーの容姿に関する描写がチラッとあって、どうやらハゲではないようです。むしろ若干イケメンなのかも。えー!w
 ◆ゾーヤ・ザハロワ:ロシアSVR所属。身長170cmほどで、超美人で、身体能力も非常に高く、スナイパー訓練も受けていて、実際かなり強い女子。SVRの「ザスロン」という屈強な男たちの軍事チームの統制官だったのだが、チームの荒くれ者たちは女子の言うことなどまったく聞かず、おまけに作戦の失敗を押し付けられ、無能な男たちにうんざりしていたところで、ジェントリーに捕まり、中国や現地ヤクザを間に挟んだ敵の敵は味方、ということで、二人の愛の炎が燃え上がっちゃう展開です。しかし、グレイマンがまた非常にお優しいため、ラストではゾーヤはCIAのアセットとなることを承諾し、グレイマンとはお別れとなってしまう。非常にもったいないけど、ジェントリーも、オレと一緒にいたら不幸になるぜ的な想いが強くて、カッコつけて別れるラストは結構グッと来たすねえ! 彼女には是非とも今後のシリーズでまた会いたいですな!
 ◆氾 講(ファン・チアン):中国サイバー部隊のハッカー野郎。見た目普通のオドオド青年。今回は彼の争奪戦で、中国、CIA、ロシアSVR、そしてベトナムやタイの現地ヤクザ軍団、さらにはイタリアの「ンドランゲタ」というマフィアまで絡んできて、壮絶な氾くん争奪戦の殺し合い繰り広げられる。で、肝心の氾くんは、まあ基本ゆとり小僧なのだが、実際気の毒な青年で、彼の亡命の動機は、中国は恐ろしい国、ということを読者に刻み込んでくれるおっかないものであった。本当かどうか知らないが、「家族抵当」というものがあって、軍の機密情報を扱う人間になると、家族を上海の施設に強制移住させられるそうで、待遇としてはとてもいいので喜ぶ家族もいるんだけど、実際のところ完全な人質であり、何かあれば家族が殺される、みたいなことになっているらしい。で、范くんは、両親が死んだことで「家族抵当」を失ってしまったため(ただし両親の死はイギリスSISが仕組んだものだった)、「あいつは家族抵当がないから裏切るぞ、ならその前に殺してしまおう」と見なされることが確実になり、亡命を決意する。しかし范くん自身は、中国に敵対するような仕事はしたくない、むしろ愛国心があるぐらいで、アメリカもロシアも行きたくない、僕は台湾に行きたいんだ、という、まぁ完全に甘ちゃんな主張をするに至る。台湾に行ったって確実に中国に殺されるだけなのにね。で、我らがグレイマン氏は、この范くんの気持ちに痛く同情して、じゃあ台湾に連れてってやるよと言うぐらい仲良くなるのだが、ラストではそれが叶わず、ほろ苦いエンディングになってしまったのはこの辺の事情であります。でも、確実に氾くんは、この結末が唯一の生きる道だったと思うな。
 ◆CIAの人々:今回出てくるのは、シリーズではお馴染みのマット・ハンリーと、前作でグレイマンを狩るチームの指揮を執った、若干クソ女のスーザン・ブルーア。今回はスーザンがグレイマンのハンドラーとして作戦の指示をし、報告を聞く立場にあるのだが、前作でもわたしはこの女が嫌いだったけれど、今回もやっぱり好きになれそうにありません。望むのは自らの出世だけなんだもの。そして、グレイマン氏唯一の味方でもあった、マットは、前作のラストに大出世してしまったため、今回ジェントリーと、お前はそんな奴だったのかよ! 仕方ないだろ、この立場ではこうするしかないんだ! 的な口論も発生する。実は今回の作戦は、元をたどると、前作のラスボスたる悪党のカーマイケルがやりかけていた仕事で、マットとしてはどうしてもそのしりぬぐいというかケリを付けなきゃならない立場にあって、俺だってこんな作戦は嫌だ、と思っている。そしてCIAといえば……当然、ジェントリーの元上官でお馴染みのザック・ハイタワーも出てきますよ! どこで出てくるかは書きません。そして出てきた時はわたしは大変興奮しました。完全にグレイマン側の視点で読んでいる読者としては、ザックのいつも通りの態度が超イラつく!
 ◆中国人民解放軍の人々:今回、中国は虎の子のハッカーには逃げられるは、人民解放軍の精鋭たちは殺られるわで、実際かなり損害は大きい。そんな人民解放軍チームの司令官が戴 龍海(タイ・ロンハイ)というおっさんで、彼が無能なのか、状況が厳しすぎたのか、グレイマンにいいように騙されたのか、判定は微妙だけど、戴自身もかなり冷血な男なので、若干ざまあ、ではある。ただ、彼もこんな失敗続きでは粛清されるのは間違いなく、要するに中国人は、常に失敗したら殺される、という恐怖を抱いているわけで、それは実際気の毒ではある。ラストは華麗なる転身(?)で良かったねw
 ◆ロシアSVR強襲チーム「ザスロン」の面々:ヴァシーリーという男がリーダーで、まあ頭の堅いおっさん。ただし超強いのは間違いなく、要するにCIAのSADチームのリーダー、ザック・ハイタワーのロシア版的な人物であった。彼らももう、散々な目に合う。
 ◆現地ヤクザども:今回、ベトナムの「野生の虎」と名乗るヤクザ団体と、タイのチャムルーン・シンジケートというのが出てくる。双方ともに、結局は痛い目に合うのだが、恐ろしいのは、おそらく表の顔は普通にビジネスマンで、地方自治体や軍とも完全癒着していてやりたい放題な連中という点だろう。まあ、やっぱりわたしはベトナムもタイも行きたい国じゃあないかな……たとえ呑気な観光客としてでも、ほんの1本裏に行けば恐ろしいというのがちょっとリアルに怖いすね……。いや、でもまあそれは日本でも同じで、我々が知らないだけのことかもなあ……。

 はーーー長く書きすぎた。それだけ興奮して楽しんだということで、お許しいただきたい。しかし、なんというか、日本で平和に日々をぼんやり送っている我々読者としては、恐らくはきっと、日本国内でもこういう諜報活動が行われているんだろうな、ぐらいの想像しかわかないが、どうなんだろうなあ、日本でも実は派手なドンパチが行われていて、それを一般人はまったく知らされていないんでしょうかねえ……。いずれにせよわたしが思うのは、CIAもSVRも人民解放軍も、それぞれのキャラクターはそれぞれの自国の利益のために戦い、死んでいったわけで、実際のところ誰が悪者だとか、言えないような気がするんすよね。まあ、そりゃあ地元ヤクザ連中は純粋に金や自分自身の利益のためなので、悪党と言って良さそうだけれど、やっぱり人類は争いや戦争を克服することは未来永劫にないだろうな、と思うわたしでありました。

 というわけで、いい加減に結論。
 約1年ぶりの新刊、Mark Greaney氏による「暗殺者グレイマン」シリーズ待望の新作『GUNMETAL GRAY』(邦題:暗殺者の飛躍)が発売になったので、やったーーと喜び勇んで買い求め、さっそく読み終わったのだが、実に今回も楽しめる作品であった。前作でようやくCIAによる殺害指令が解かれた主人公グレイマン氏は、義のために戦うちょっと妙な凄腕アサシンだが、今回も大変な大活躍であった。あ、そういえば、いつもボロボロに傷だらけ&血まみれになるグレイマン氏だが、そういえば今回はそれほど深刻な怪我はなかったすね。そしてなんといっても、グレイマン in LOVEな展開は実に楽しめましたな。お相手のゾーヤも大変良いキャラで、どうか今後も登場してほしいと思う。そして、やっぱり中国は恐ろしい国! 以上。

↓ 次のGreaney氏の日本での新刊は、きっと「ジャック・ライアン」シリーズのこれかな。眠れる熊でお馴染みのロシア大統領ヴォローギン氏がやらかすお話のはずです。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、今日は単行本の『鮫島』最新(14)巻も発売ですよ! 収録されるのは、今のところわたしが一番泣けた「常松回」でお馴染みの、【松明】VS【百雲】戦の結末まで、一気に収録されております。このお話は、横綱【泡影】を理解する上でも、【百雲】の感じた、気持ち悪さと圧倒的な心地よさが同居する違和感、は重要だと思いますので、普段はチャンピオンは買っていないという方は、せめて、単行本はちゃんと買っていただけないでしょうか! お願いします! それが最大の応援だと思いますので……。わたしはさっき電子版を買い、今日の帰りにでも紙単行本版を買う所存であります。

 表紙カバーがカッコイイですなあ! それでは今週こそさらっと終わらせようと存じます。
 では、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年41号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版もナシ、みたいです。
 ■聖闘士聖矢:久々連載復帰、とうとう幻の「蛇夫宮」(=蛇遣い座)が出現です!
 ■弱虫ペダル:産声の巻。とうとう泉田アブ一郎君の新筋肉が爆誕、その名も「ペテル」と「マーク」! これは日本全国のロードレースファン全員がキターと興奮したと思います。わたしもサガンとカヴェンディッシュの新旧世界王者キタ!と大興奮ですw ちなみにご存じない方に説明しておきますが、泉田君のフランク・アンディ・ファビアンの元となった選手はもう三人とも現役引退してます。そしてペテルは現世界王者のスプリンター(というよりクラッシックレーサーか?)であり、マークは、最近はあまり調子のよくない、けど本当に強かった元世界王者のスプリンターです。泉田君にふさわしいすね。
 ■刃牙道:一興の巻。もう武蔵編はそろそろ終わりでいいのでは……。
 ■BEASTERS:古代を飛び越せ子供たちの巻。レゴシ&ジャックの7歳当時のお話です。おおかみこどもと子犬のビジュアルが可愛くないわけがない!
 ■囚人リク:爆発の巻。計画は順調、ラストは変態剣崎登場でブハッと吹きました。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:聖剣の叫び声を聞けの巻。ホント最高に面白いす。
 ■少年ラケット:最終回。淋しいすねえ……ちなみに今週のチャンピオンは、他にも『サウエ』『虚ろう君』も最終回でした。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週は、国技館の支度部屋での鯉太郎と【天雷】関のそれぞれの模様が描かれました。鯉太郎は朝から、四股に何やら「気持ち悪い」ものを感じており、横綱【泡影】関めいた何かなのか、と【丈影】関もチラリと登場、そして土俵に向かう鯉太郎に【王虎】さんらしい激励、とも取れるような余計な一言が投げかけられ、一方の【天雷】関の元には、石川くんこと【飛天翔】関が激励に訪れました。その後、いよいよ土俵に向かう二人に場内が盛り上がったところまでが描かれたわけですが、今週はもう、時間いっぱいからハッキョイ、そして最初のブチカマシまでが描かれます!
 まず、冒頭はNHKアナの興奮したトーンによる二人の紹介ですが、これは先週ラストとほぼ同じなので割愛します。が、絵としては、そんきょして柏手を打って対峙する二人が、見開きでかっこよく描かれております。わたしは、タブレットで、電子書籍で読んでおりますので、ここは是非、横向きにして一枚絵として観ていただきたい! これは電子書籍の特権ですよ。大変美しくカッコイイ!
 そしてNHKアナに話を振られた虎城理事長の解説が続きます。その背景には、客席で見守る椿ちゃん、そして石川&どんぐり渡部くんの同期コンビ、さらには支度部屋で髪を直してもらっているバーキこと【蒼希狼】の姿も見えます。そしてもちろん【王虎】さんも、空流のみんなも注目しています!
 「現在(番付的には)鮫島が天雷に挑むという形になっていると思うのですが この一番 どう見ますか虎城さん」
 「確かに目で計れるもので見れば 間違いなく天雷が上でしょう しかし今場所 鮫島は計れない部分で ここまで星を伸ばしてきたのも事実… 挑戦を受ける立場だと構えていられる余裕は天雷には無いほどに 今の鮫島には怖い勢いがある まぁ…天雷が未だ鮫島をライバルだと緊張感を持っているなら 崩れる隙はないでしょう 逆を言えばそれでもなお天雷を降すことがあるとすれば 鮫島の力は勢いという言葉では収まらないものとなっているのでしょうな… 私にとっても 注目の一番です…」
 そしていよいよ時間いっぱい! 両者ともに「さぁ…いくぞ…」と土俵上の緊張感は頂点に達します! そしてとうとうハッキョイ! です!!! ファーストアタック、鯉太郎のブチカマシが【天雷】の右胸にヒット! ここも見開きの大迫力な絵です! 電子書籍では継ぎ目なく一枚絵として観られるのがうれしいすね! しかし天雷はがっちり受け、口元は笑みさえ浮かべている様子! 左足を引いて、次の第2撃を迎え撃つべく【天雷】も前に出る! あーーっと! しかし鯉太郎は一瞬かがんで溜めた! そして2撃目もブチカマし、これもヒット! 【天雷】の体が浮いた! というか、やや立ち気味になったぞ!! そして! あーーっと! 第3撃が来る!!! 来たーーー!!! この3撃目も見開きで凄い迫力で描かれております! あーーっと! NHKアナも「鮫島一気に持って行った―――!!」と絶叫です! わたしも絶叫です! 
 はーーーヤバい、興奮しすぎてもう完全にキン肉マン的実況中継になってしまった……。というわけで、今週は立ち合いから鯉太郎の怒涛のブチカマシ3連発が炸裂し、【天雷】がかなり吹っ飛ぶ描写で幕でありました。はーーーホント血圧上がるわ……。
 まあ、このまま【天雷】がやられっぱなしのはずはないわけですが、果たして鯉太郎は横綱【泡影】ばりの、「先が見える」能力で【天雷】すらも凌駕する展開となるのか、まあ、例えそうなっても、【天雷】の怪力が発揮されることになるのはおそらく確実だと思いますので、来週も大興奮の展開が待っているのも確実でありましょう。はーーーーくそう、来週号が今すぐ読みたいっす!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、立ち合いからハッキョイ、そして鯉太郎の連続3連撃コンボが【天雷】にヒットして、序盤優勢な状況までが描かれました。もちろん【天雷】がこのまま終わるはずもなく、先週、常が警告してくれたように、がっちりホールドされたらマズイ展開になるわけで、読み終わったそばからもう、来週号が読みたいという気持ちになること請け合いの第135話でありました。よし、今週は比較的さらっとまとめられたかな。それではまた来週! 以上。

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 というわけで、毎週月曜日は映画週末興行データです。
 この週末は、わたしは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の第5作目『V 激突 ルウム会戦』を観て来ました。「ガンダム」も再来年2019年には放映40周年を迎えるわけで、観客はやっぱり年齢層高めです。かくいう40代後半のおっさんであるわたしも、30代後半のガンダム大好きな元部下のMZ君と観に行ったわけで、その平均年齢UPに思いっきり貢献しているわけですが、それでも、20代ぐらいと思われる若人もチラホラいるわけで、なんというか、その強いコンテンツ力にはスゲえという感想をいただかざるを得ないす。そして内容的にも実によくできているというか面白く、間違いなく、かつてガンプラを作ったことのある男ならば、観て楽しめると思います。映像・音楽・物語、すべて実にハイクオリティで見事な出来栄えでありました。最高です。ああ、そういえば、先週ここで、本格的なモビルスーツ戦闘を最新CG技術で描くとこうなる、とか書きましたが、今回はほとんどモビルスーツ戦闘の描写はなかったす。サーセン。次作、『VI 誕生 赤い彗星』は来年5月公開ですって。
 さて。それではさっそく、興行通信社の大本営発表をメモしておきます。
 なんと1位から7位まで、先週と全く同じ順位みたいですな。

 1位:『関ヶ原』がこの週末は2.7億稼いだそうで、9日間で11~12億と見積もる。これは順調、なんです……よね? 実際のところ現在の興行をけん引するシニア層が観る映画はこれしかない……か? 先週観た時は家族連れが多くてちょっと意外でした。
 2位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が45日間で66~67億と見積もる。ホントすげえなあ。
 3位:『ワンダーウーマン』が10日間で10億届かず、8~9憶ぐらいか? もっと稼いでほしいけど、どうなるかなあ……。
 4位:『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が17日間で11.8億だそうです。こちらもひどいレビューの割に健闘中、という感じなのだろうか。そもそもの期待値がどのぐらいだったのかわからんす。
 5位:『君の膵臓をたべたい』が38日間で28億チョイだそうです。なかなかいい数字だと思うけど、東宝的思惑としてどうなんでしょうな。
 6位:『HiGH & LOW THE MOVIE2/END OF SKY』が16日間でこちらも10億手前、9~10億当たりと見積もる。武井咲ちゃん……ぐぬぬ……でも、幸せならOKです!ビシッ
 7位:『スパイダーマン:ホームカミング』が24日間で25億ほどだそうです。でも、まだだ、まだ終わらんよ!と思いたい!
 8位:『機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦』が公開土日で、いつもなら0.5億スタートぐらいだけれど、初日の様子からして、いつもより混んでいるような気がしたので、もうチョイ稼いでいるとみた。0.8~0.9億ぐらい行ってるのかも。★追記:0.92億が正解だそうです。でもこれでも『ユニコーン』の最終作は1.57億スタートだったので、半分ほどか……。毎度のことながら、公開スクリーン数は35しかないですが、アベレージはかなり高いということですね。しかし、お客さんは大勢で、実際混んでいましたが、どうも……『ユニコーン』のときと比べると、物販が余裕で買えるんだよなあ……単に商品在庫数を増やした結果なら、客としては楽に買えて有り難いけれど……『ユニコーン』のときは初日でBlu-ray完売とかあったのに、『ORIGIN』は全然余裕で買えるんすよね……値段が高いからか……? それともアレか、BANDAIのWebサイトで通販もしてるからか?
 9位:『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』が44日間で33.1億だそうです。大ヒットでホントに良かったすね。
 9位:『スキップ・トレース』が公開土日で0.5億ぐらいだろうか。金曜日から公開なので3日間でも0.7億行ったかどうかぐらいかもしれないすね。ジャッキー最新作。ジャッキーは63歳ですって。まあ、そりゃあわたしも年取るわけですなあ。ちょっと今のところ観に行く予定はナシです。ちなみに、監督はあの! レニー・ハーリン氏です。『ダイ・ハード2』とか『クリフハンガー』とか、90年代前半に大活躍だったあのお方ですよ。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 ちなみに興行通信社の大本営発表によれば、11位には、10位と僅差で『新感染 ファイナル・エクスプレス』なる作品が入っているそうです。韓国映画のゾンビモノ、みたいですな。へえ~。
 しかし、今週末からの『ダンケルク』は楽しみですなあ! やっぱりIMAXで観ないといけないんだろうなあ……でも、きっとIMAXは激込み必至なので、とりあえず普通に近所で観てしまうつもりでいます。今のことろは。そしてあまりに傑作だ! と思ったら、2回目はIMAXにしよう。そうしよう。しかし最近はすっかりIMAXも増えましたな。わたしは一番空いてそうな木場109によく行きますが、たまには違うとこ行ってみるかな……品川はまだ行ったことがないから、品川もいいかもな。

 
 というわけで、結論。
 今週は夏休みが終わったばかりの週末ですが、1位から7位まで、先週と全く同じ顔ぶれでありました。そして『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は、全国の40代のわたしのようなおっさんたち、小学生時代にガンプラを作って遊んだかつての少年たちに超おすすめです。絶対面白い、と思いますよ。まずはシリーズ4作を、どっかの配信サイトで大人らしく一気見してから、今回の『V』を観に行くことをお勧めします。とにかくハイクオリティで大興奮です。以上。

 というわけで、またこの季節がやってきました。
 何のことかわからない? ええ、まあそりゃそうでしょうな。
 本日より、わたしが毎回楽しみにしている『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の最新第5弾、『V 激突 ルウム会戦』が公開になったので、ガンダムが大好きな元部下のMZくんの住まうさいたま市のMOVIXさいたままで車をぶっ飛ばし、さっそく観てきたのである。前回はめずらしく新宿ピカデリーへ観に行ったが、あのシネコンはとにかく混むし、客の動線がめちゃくちゃでただただイラつくので、久しぶりのさいたまである。すっかり周りは新しいショッピングモールがずらりと完成していて驚いたが、まあ、大変快適に観ることが出来てよかったと思う。
 さてと。まずはちょっと動画を貼っておくか。以下の動画は、公式サイトにも貼ってあるもので、題して「3分でわかる『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』」という動画だ。まあ、これでわかるかどうかは知らないけれど、この「THE ORIGIN」のこれまでの物語の流れは大体わかると思う。あと、以下はネタバレが思いっきり含まれると思うけれど、もはや漫画としては7年ぐらい前にはもう描かれて発売になっている物語なので、今さらネタバレもないし、気にしないで書きまくると思います。なので気なる方は帰ってください。

 そもそも、この『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』とは、2001年から当時の角川書店(現在のKADOKAWA)が発行する「ガンダム・エース」という雑誌に、安彦良和先生が10年にわたって連載していた漫画である。まあそれはもうお馴染みだろうから説明はいらないか。そしてこの劇場アニメシリーズは、そのコミックス単行本で言うと全23巻+特別編24巻のうちの、第9巻から始まる「1年戦争開戦までの前日譚」をアニメ化したものだ。
 一応、流れをまとめておくと、コミックス第1巻から第8巻までは、ほぼTVアニメ版の流れに沿っていて(実は時々結構変わっている、というか、修正されている)、第8巻はジャブローにジオンが総攻撃をかけるところまでが描かれている。そして第9巻の冒頭で、ジャブローの地下水脈でキャスバル兄さん aka シャア・アズナブルにばったり出会ってしまったセイラさん(アルテイシア)がホワイトベースの自室で回想し始め、そこから宇宙世紀0068年に話は飛ぶわけである。ちなみに、いわゆる「1年戦争」は宇宙世紀0079なので、まあ11年前ということになり、セイラさんもキャスバルもまだ全然ちびっこ時代である。
 この長~~い回想が終わるのが、コミックスの第14巻で、第15巻からは再び時間は現在、0079に戻り、ジャブローを発ったホワイトベースがベルファウストに向かい、ミハルの話が描かれて、という展開になる。つまり、第9巻~14巻の6冊によって、シャア&セイラさん二人の父であるジオン・ズム・ダイクンの死から1年戦争開戦直前まで、の歴史が語られているのであります。
 もう一つちなみにいうと、この劇場アニメシリーズは今日公開の最新話が第5弾となるわけで、ほぼ毎エピソードが、ちょうど単行本1冊分、という感じになっている。なので、今回の『V 激突 ルウム会戦』は、コミックスの13巻が丸々描かれているものであった。ただし、あくまで「ほぼ」であって、アニメオリジナル要素や、若干の順番の入れ替えもほんのちょっとある。ちょっと自分用にまとめておくか。
 ◆アニメ『I 蒼い瞳のキャスバル』
 →単行本9巻まるまる分。それこそ、もう一コマもらさず完全映像化されていて大興奮。父の死から、キャスバルとアルテイシアがランバ=ラルとハモンさんの手助けで地球に逃れるまで。
 ◆アニメ『II 哀しみのアルテイシア』
 →単行本10巻の終わりのちょっとだけ前まで。地球に逃れた二人は、「マス家」の養子となって平和に暮らすかと思いきや、キシリアの暗殺の魔手が迫り、再び宇宙へ。テキサスコロニーで「アズナブル家」の人々と仲良くなりつつ成長するが、ムンゾ(サイド3→のちのジオン)に残した母が亡くなり、キャスバルが復讐の炎を胸に宿してジオンの士官学校へ向かうまで。ラストは「待って! キャスバル兄さぁぁぁ~~ん!」のあの有名なシーンで終了。
 ◆アニメ『III 暁の蜂起』
 →単行本の10巻の終わりの「シャアとキャスバル入れ替わり事件」の顛末から11巻の終わりのちょっと前、暁の蜂起事件が終了して、ドズルがガルマを抱きしめて大泣きするところまで。たぶんこの『III』で初めてじゃないかな、アニメオリジナル要素が少し入った。どこが変わっていたかは、『III』を観た時に書いた記事を参照のこと。その時も書いたけれど、安彦先生が舞台あいさつでおっしゃられたのだが、より一層、物語に説得力が増すような、イイ改変だったと思う。
 ◆アニメ『IV 運命の前夜』
 →単行本11巻の終わり部分から12巻の終わりまで。暁の蜂起事件の責任を取らされる形で、士官学校を退学になったシャアが地球に降り、ジャブロー建築の現場で働いている様子と、その時に運命的に出会ったララアとの邂逅、それからDr.ミノフスキーの亡命事件や月面での人類初のモビルスーツ戦闘が描かれる。ただし、一部、アムロの学校生活はカットされていた。それと、わたしが非常にもったいないと思ったのは、月面での戦闘ののちの連邦側の反省会(デブリーフィング)で、漫画版ではテム・レイが極めて重要な指摘をするのに、それはアニメではカットされちゃった。あの、モビルスーツ=バトルタンクであり、用兵思想が違っていた、という指摘は非常に重要なのになあ。
 やれやれ、我ながら無駄に長い前置きになっちゃった。というわけで、今回の第5弾である。
 ◆アニメ『V 激突 ルウム会戦』
 →結論から言うと、今回はコミックスの13巻の終わりまで、お話としてはブリティッシュ作戦=コロニー落とし=一週間戦争の顛末から、ルウムのミランダバンチ攻撃から、本格的な「ルウム会戦」の発端まで、であった。カットされるかもと心配していたユウキ君とファン・リーの悲しく切ない恋物語はちゃんと描かれたので良かったす! ただ、ちょっとだけコミックス通りではなかったかな。
 まず、前回『IV』でカットされた、アムロの学校生活、というか、カイさんたちに連れ出されて開発地区に潜入しようとして軍人にぼこぼこにされるエピソードは、今回の中で描かれていた。まあ、あってもなくてもという気がするけれど、アムロが父、テム・レイの進める「V作戦=ガンダム開発計画」をこの時点で知っていたというのは重要なので、まあ、今回描かれた意味もあるのでしょうな。
 あと、ちょっと違っていたのが、ジオン側・連邦側ともに、ラストのルウムでの作戦がちょっとだけ詳細になっていて、さらにエンディングは、シャアが単独で出撃し、連邦の艦隊へ攻撃を仕掛ける直前、までであった。これは漫画にはないオリジナル要素じゃないかな(ただ、漫画だと、シャアはこの時ドレンを使える奴、と思うシーンがあるのだがそれはカットされてたような気がする)。
 このラストは実にカッコよく、いわゆる「通常の3倍」のスピード感が抜群で、赤いシャアザクの背中のバーニアの光が、青から赤に変わって、まさしく「赤い彗星」のごとく連邦の艦隊の間を赤い光の尾をひらめかせながらすり抜けるシーンはもう大興奮であった。なお、今回はシャアのこんなかっこいいセリフで幕を閉じた。
 「これで歴史が変わる―――私に跪くけ……神よ!」
 もう、完全に狂ったとしか思えない、けど、痺れるカッコ良さのシャア様でありました。あ、あと、オリジナル要素として、クラブ・エデンでハモンさんが一曲歌ってくれました。これは漫画にないアニメオリジナルですな。
 とまあ、今回も大興奮したわたしであるが、とにかくもう、音楽も映像も超ハイクオリティで毎回大満足である。こういう質の高い作品を観ると、いわゆる深夜アニメとは完全に別物ですなあ。そりゃあ予算とか違うだろうけど、とにかく作り手の熱をビシビシ感じますね。わたしとしては、本物の傑作だと大絶賛したい。

 ところで、今回の物語でわたしが深く思ったのは、完全にこの戦争は狂っているという確信だ。もうどちらが正義とは到底言えない。完全に両者ともに狂っているとしか思えない。人類の半分を死滅させ、地球環境も壊滅的に破壊し、それで何を得ようというのだろうか?
 おそらく、もはやこの戦争は、その目的を完全に見失っていると思う。そもそも、ジオン独立戦争、であったわけで、侵略戦争ではないし、何か、土地や資源を争って起きたものではない。だから、こうなれば勝ち、という戦略目標が実にあいまいだ。しいて言うならば、心の摘みあいであり、どちらかが参った、というまで戦うという、子供のけんかに近いといっていいだろう。
 今回、コロニー落としを実行し、人類の半数を死滅させた後での、ジオンの御前会議で、ドズルは出席している将兵たちにこう言う。
 「お前ら! 負けたら全員戦犯、絞首刑だぞ!」
 要するにそういうことで、自分が死にたくないから相手を殺すしかない、という戦いだ。いわばテロリストめいた、実に醜く、もう絶望的な戦争だとしか思えない。当のドズルは、コロニー落としの後で、愛娘のミネバを抱き、何億ものミネバをオレは殺してしまった! と号泣し、オレはミネバを守るために戦う、奴らは弱いから自分のミネバを守れなかったんだ! と心のスイッチを切り替えるのだが、なんて愚かで自分勝手で、幼い思考なんだろうともうあきれてものが言えない気分になった。ちょっと待てよ、ドズル兄さん! いつ、誰が、アンタのミネバを殺しに来たってんだ? そりゃあ、確かに連邦の政策は全く評価できないし、実際ひどいもんだったとは思う。けど、だからって人類の半数を殺して、許されると思ってんの? そもそも、ジオンは独立して、資源や産業、経済は成り立ったのか? もう狂っているとしか言いようがない。なんというか、核を手にした3代目北の将軍様がここまで狂っていないことを祈るばかりですな。
 ランバ=ラルは、「これは戦争じゃあない。殺戮だ」と恐れ、怒り、軍を去る。そして、セイラさんは、ジオンシンパと烙印を押して、襲ってきた連邦支持派の暴漢たちに向かって、涙を流しながら、銃を構えてこう言う。
 「けだもの達! 連邦もジオンも違わない……あるのは……狂気だけ! 何が狂わせたの!? 憎しみ!? 欲!? それとも……」
 医者を目指していたセイラさんが銃をとり、人殺しをしなくてはならない狂気。わたしは今回はこのシーンが一番グッときた。そして、今でもわたしは、セイラさんが「それとも」に続けて何と言おうとしたのか、わからない。この議題で5時間は語らえる、深いテーマですなあ……。本当に、この『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は素晴らしい傑作だとわたしは断言したいと思う。

 というわけで、結論。
 前作から10か月、何となくあっという間だったような気がするが、わたしの大好きな『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』シリーズ第5作目となる『V 激突 ルウム会戦』が今日から公開になったので、早速観てきた。一つ確実に言えそうなことは、かつて、ガンプラを作ったことのある30代後半以上のおっさんは絶対に観るべきだと思う。元の1年戦争を知っている人なら、絶対に面白いと思うはずだ。そして本作もとても素晴らしかった。そしてこの『THE ORIGIN』を観ていないと、『ガンダム』は理解できていないとさえ言えるような気がする。とにかく絵も音楽も物語も、すべてがハイクオリティ。絶対見るべき傑作だと断言します。以上。

↓ 通常版は11月発売か。まあ、配信ですぐにみられるし、わたしは今日、劇場でクソ高い限定版Blu-rayを買ってきました。これは何度観ても飽きないすね。

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