2017年08月

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、今日は8月31日ということで、なんというかもう明日から9月かよ、という得も言われぬ虚脱感を感じつつも、今日のような月末日はやたらと仕事が多くて、申し訳ないんですが今週はさらっと終わらせるつもりでいます。――今のところは。
 では、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年40号概況です。
 ■巻頭グラビア:渡邉幸愛嬢。大変結構なお点前ですなあ。良いと存じます。
 ■弱虫ペダル:小さな約束の巻。手嶋さん!そりゃあそうなるでしょ?な展開です。
 ■刃牙道:その漢、花山の巻&嘘つきの巻。2本立てです。花山君がカッコ良すぎます!
 ■BEASTERS:残暑 各々に散らばりての巻。夏休みの終わるレゴシ君たちのそれぞれの夏の総括でありました。しかしルイ先輩はもう戻ってこないのでしょうか……心配す。
 ■囚人リク:蘇生の巻。リクは無事生還。あー良かった。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:仁義なきオータムデンジャラの巻。今週も一番笑いました。最高す。
 ■少年ラケット:輝きのその先への巻。うぉおい!来週最終回か……淋しいす。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それでは今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週は、いよいよ迫るVS【天雷】戦を前に、どうも鯉太郎の体?精神?になにやらいつもと違う違和感らしきものが現れたというお話と、【王虎】さんの、「相撲に選ばれた者」だけが横綱【泡影】との戦いに挑めるんだ的な深い解説で終わりました。今週は、すでに国技館の支度部屋に入っている鯉太郎が、四股を踏んでいる情景から始まります。
 朝稽古のときから、やたらと四股を踏む鯉太郎に、常がずっと四股ばかり踏んでどうかしましたか?と鯉太郎に声をかけます。鯉太郎は、自分でもわからないけど……的な表情で、常にこう答えました。
「今朝稽古場で四股踏んだ時 スゲー違和感があってな…感覚的に…何つーか……気持ち悪いって言うか…」 この「気持ち悪い」を太文字にしたのは、わたしが強調したかったからで、本文では普通に書かれています。しかし、四股を踏んで気持ち悪い? だと? と我々読者も思うでしょうし、その後ろにいた、一人の力士もその言葉に、な、なんだって!? という顔で反応します。そう、それは比嘉ライアン君こと【丈影】関です。
 【丈影】関と言えば、横綱【泡影】関の同門・同期で常に横綱を一番そばで見てきた男です。彼の脳裏には、その横綱【泡影】との会話が蘇ります。
 丈「どうしたんですか…最近稽古場で四股しか踏んでないですよね…」
 泡「あの気持ち悪さが…薄く…なってきている…」
 丈「………?」
 てなことが過去にあったようです。これがどのぐらいの過去か良くわかりませんが、自分には意味不明だった「気持ち悪さ」を鯉太郎も感じているのだとしたら――!? 常と鯉太郎のやり取りを聞いてハッとした【丈影】関ですが、鯉太郎が常に、今日はやっぱり寝すぎたんだろ、今はいつも通りしっくり来てる、という話をしているのを聞いて、「まさか……な……」と、とりあえず気のせいだろうと片づけたようです。まあ、気のせいじゃないんですけどね、たぶん!
 そして場面は一方の【天雷】のいる東の支度部屋へ移ります。どうやら今日は鯉太郎は西の支度部屋のようですね。で、【天雷】は当然気合十分で、お付きの若い衆も、さすがに今日はピリついてんな、いつもはニコニコ談笑してるのに、それだけ鮫島線は特別ってことだろ、と分かりやすい解説を入れてくれます。そんな、集中して近寄るなオーラを発散している【天雷】関の元に、でかい声で「オイ! コラ! 天雷!」と話しかける男が! 我らが石川大器くん aka【飛天翔】関です!ここでの二人の会話は、なんというか、とてもイイので引用しましょう。
「らしくねーな…まさかビビッてんじゃねーだろーな」
「……ナーバスにもなるさ…ずっと待ってたからな…鮫島との取組を…だから今…気が急いて空回りしそうになるのを必死で抑えてる…悔しかったよ…お前ら2人の取組を見てて…今場所の覚えてるか…? お前が初日 鮫島との取組終わりに叫んだ言葉…」
 (出来るか オメーらに!! 出来るか ここまで 勝てるか 俺らに!! のあのシーン)
「きっと今日はお前が 悔しがる…」
「へっ! 心配ねーみてーだな」
「心配してたのか?」
「同期だからな…当たり前だろ…」
「ハハッ お前はいい奴だな山本…」
「石川だ」
 まったく、大器はイイ奴ですなあ!! 分かってるくせに名前を間違えられると、分かっていてもカチンときますね。とまあ、こんなお約束で締めた二人の会話が終わり、いよいよ出番、二人とも土俵に向かいます、が、なんとここで! 土俵に向かおうとする鯉太郎に、あのお方から声がかかりましたよ! あのお方って誰? なんて聞かないでください! 【王虎】さんに決まってるじゃあないですか!
「オイ…くだらない仲良しこよしを 見せるんじゃねーぞ」
 うお!カッコイイすねえ! そして鯉の答えももちろんこう来ます。その表情は悪タレフェイスですよ!
「俺がそんなもん土俵に持ち込むと思うか…? 王虎(テメー)は黙って見てろ…」
 いいすねえ! そして鯉&【天雷】の入場です! NHKアナの解説もかなり血圧が上がっている様子です。相当テンションが上がってますなあ!
「未だ負けなし10連勝! 小兵と言っていいその体で真っ向から強敵を打ち破ってきた その魂の相撲は見る者の心を掴みます! 前頭14枚目 鮫島!!」
「しかし今日の相手は一筋縄ではいきません! ここまでまだ1敗と優勝圏内! 角界一の怪力で間違いなく次の大関はこの力士でしょう! 関脇 天雷!!」
「この大きな山を越えられるか鮫島!! 鮫島の勢いを止めるか天雷!!」
 というわけで、入場コールされた二人の顔アップで今週は終了でありました。これはもう、この場の興奮が伝わってきたかの如く、読んでいるわたしも大興奮です! ヤバいすねえ! つか、意外とさっさとハッキョイまで来ちゃいそうな展開ですね。もっと体の状態のこととか、椿ちゃんの想いとかが描かれると思ってましたが、やはり【天雷】戦には、そういう余計?な要素は必要なし、ただただぶつかるのみ、ってことなんでしょうか。実際アリだと思います。いやー、しかしどうなるんだろうなあ……ホント楽しみですなあ! どうやら、覚醒しつつある鯉太郎、そして万感の思いを込めて全力で当たる天雷。こいつはもう、感動なのか、嬉しくてなのか良くわかりませんが、場合によってはわたしは泣く可能性すらありますね。【天雷】との一番が終わってもまだ残り4番あるわけで、まだ泣くところじゃあないと思いますが、マジでヤバいす!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけど11日目から休場
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、意外と早い展開で、もう鯉太郎と【天雷】が土俵に上がるところまで一気に描かれました。しかし、【天雷】の元にやってきた石川くんといい、鯉太郎に余計な一言をかける【王虎】さんといい、大変素晴らしいですな。そして【丈影】関の感じた、鯉太郎と横綱の奇妙な一致点。これは、とうとう鯉太郎が相撲を振り向かせ、相撲に選ばれし者に進化しつつあるという前兆なのでしょうか。はーーーホント今週も無駄に興奮してサーセンした! 以上。

↓ 9月場所の番付が発表されました! 我が愛しの【松鳳山】裕也くんは東の4枚目だそうです。結構枚数があがったね! やったぜ!

 去年2016年の暮れに公開され、30数スクリーンからのスタートというごく小規模公開だったにもかかわらず(最終的には50スクリーンぐらい拡大された)、それなりに売れて、評判も上々だった映画がある。わたしも気になっていたものの、タイミングとシネコン場所が合わず、結局見逃してしまった作品なのだが、先日、もうWOWOWでの放送があったので、やった、と喜んで録画し、さっそく観てみた。
 その作品のタイトルは『DON'T BREATHE』。そのタイトルの意味は「息をするな」というもので、ごく簡単に言うと、盲目の元軍人の家に泥棒に入ったガキが、痛い目に合う物語である。相手は盲目ということで、息を殺してこっそり、ってことだろうとわたしは思っていたし、まあ実際そういうお話だったのだが、結論から言うと、ガキどもにも、そして元軍人にもまったく共感できず、正直不快な思いのする作品であった。どうしてそんなに評判が良かったんだろう? と素朴に疑問である。というわけで、公開されてもう9か月弱経っているので、超今さらなのだが、以下、ネタバレ全開になる可能性が高いので、気になる方は読まないで立ち去ってください。

 わたしが初めて見た予告は、US版の字幕なしでもうチョイ尺があったと思うが、その予告を見た時は、まず第一に、盲目の元軍人を演じているのが、『Avatar』で超強力な大佐を演じて強烈な印象を残したあのStephen Lang氏だったので、あれまあ、ずいぶん年取ったというか、そういう年齢のお方なんだろうか? と若干どうでもいいことを感じた。今調べたらまだ65歳だって。うーん、まあ、年相応、なのかな。で、肝心の物語としては、きっとクソガキが痛い目に遭って、大佐が大勝利して終わるんだろう、とかなり平和?なストーリーを想像していた。そもそも、US版予告を見た時は、盲目のおじいちゃんとはわかっても、元軍人とは全く気が付いてなかったし。
 なので、問題となるのは、その泥棒に入るガキどもはどんな奴らなのか、そして目的は現金らしいけれど、なんでまたそんな現金が家にあったんだろう? という点にあるのではないかとわたしは想像していたのである。
 しかし、実際に観てみたところ―――そんな予想をまったく覆す凄い展開が待っていたのであった。以下、各キャラ紹介をしながら、物語の顛末をまとめてみよう。なお、役名はちゃんとあるけれど、ほとんど記憶に残らないので、役名は割愛します。ある意味どうでもいいので。
 ◆ガキA_真面目風少年:そもそも、泥棒に押し入ったガキどもが高校生なんだか大学生なんだかわたしにはちょっと良くわからなかったが、学校に行っている描写はあったので、まあ学生さんなんだろう。そしてこのガキAは、父親がセキュリティ会社を経営(?)しているらしく、金に困ってる様子はない。が、父親の会社のシステムを導入している家に、父親の部屋からかっぱらってきた鍵で侵入し、悪さを働いている。この時点でわたしとしては、ガキAへの同情は1mmもなく、さっさと痛い目にあうがいい、と思っていた。なお、このガキAは、若干の道徳心はある、けど、次に紹介するガキB_綺麗目女子の関心を得たいがために、悪さに付き合ってるという設定のようだった。アホなガキだ……。なお、演じたのはDylan Minnette君20歳。どうやら『Let Me In』に出ていたらしい(主役のあの少年ではない)が、顔に覚えはないなあ……。
 ◆ガキB_綺麗目女子:大変顔立ちは綺麗でかなりのちびっ子女子。演じたのはJane Levy嬢27歳。あれっ!? 一番年上じゃん。まあいいや。この女子は、残念ながらいわゆるPoor Whiteな典型的家庭崩壊の中にいて、母親はどうもクソビッチであり、娘に金をせびったり、金がないなら体を売ってこい的な言動までするクズである。おまけに母親が現在付き合っているチンピラからは色目で見られている(?)、ような、実際気の毒な境遇にある。それゆえ、幼い妹とともにこの状況から逃げ出したいと思っている。なお、舞台はDetroitで、残念ながらDetroitは全米ナンバーワン犯罪都市としてお馴染みであり(ナンバーワンは言い過ぎか?)、彼女としては西海岸へ妹とともに移住することを夢見ている。故に、金が欲しい、という設定だ。しかし、わたしとしてはそういう気の毒な身の上には同情するけれど、どんどんとエスカレートする犯罪者ぶりにはまったく共感できなかった。ズバリ悪党であると断罪せざるを得ない。どうやら、やっぱりDetroitにはROBOCOPが必要ですな。
 ◆ガキC_チンピラ小僧:いかにもな、ラティーノなチンピラ小僧で、コイツが盗品を故買屋に持って行って換金するが、今の時代、盗品なんてすぐに足がつくわけで、故買屋からは買いたたかれ、もう現金をかっぱらうしかねえな、と思っていた。彼は単に金が欲しいだけのクズ。そして綺麗目女子をオレの女だ、と思っている。わたしとしては、確実にコイツはあの世に行くな、と登場時から確信していたような、ホント、典型的なクズのチンピラで同情の余地なし。銃を持っている。そして予告にあるように、最初に元軍人にごくあっさり銃を奪われ死亡。演じたのはDaniel Zovatto君26歳。Zovatto君自身はコスタリカ出身だそうです。あっ!この顔、どっかで観たことあると思ったら『It Follows』のグレッグじゃないか! しかも『It Follows』を見た時に書いたこのBlogの記事で、この役者は『DON'T BREATHE』にも出てるみたいですな、とか書いてるし! アホだ、すっかり忘れてたわ。
 とまあ、わたしのアホさ加減はどうでもいいとして、こんな3人のガキが、元軍人の家に泥棒に入るわけだが、その理由は、
 1)元軍人は、娘を交通事故で失い、その加害者が金持ちだったので慰謝料(示談金?)で30万ドルは貰ったらしいぞ。
 2)元軍人は盲目らしいので、こっそり忍び寄って、薬をかがせて眠らせれば楽勝じゃん。
 というものらしい。なんで現金を家に持っているとガキどもは思ったのか、何か理由があったように思うけど、サーセン、忘れました。
 で。ここまでは、おおむね予想通りというか、想像の枠を超えないものであろう。
 が、問題は元軍人のおじいちゃんであった。
 ◆盲目の元軍人:演じたのは、前述の通りStephen Lang氏。眼をやられたのはイラクで手榴弾?の破片にやられたため。体は屈強。実際コワイ! 娘を事故で亡くした。
 とまあ、ここまでは、それほど特異でもないし、そんなおっかない元軍人さんが、その持てる軍事スキルをフル動員して、泥棒のガキどもをぶっ飛ばすのかとわたしは考えていた。しかし、よく考えれば気が付くことだが、それだけじゃあ、2時間の映画にならんすわな。実際のところ、本作は88分と非常に上映時間は短い作品なのだが、それでも、ガキどもが忍び込むまでに30分かけたとしても、その後、元軍人に遭遇して、バトルだけでは、20~30分あたりが限界だろう。あと30分、尺が余ってしまう。ここで、元軍人が地下室でとんでもないことをしていたという秘密の暴露が行われるのだが―――それはもう書かないでおく。正直相当キモイというか、わたしはもう、な、なんだってーーー!? と相当驚いた。そしてその内容が極めてキモチ悪いために、わたしの元軍人のおじいちゃんへの共感は吹っ飛び(それまでは、ガキをぶっ殺す姿に応援さえしていたわたしなのに)、こりゃあもう、全員死亡エンドしかねえ! とさえ思うに至った。
 しかし、結果を言うと、まずガキCのチンピラは、最初にごく簡単に殺られるし、これは当然の報いなので心は痛まない。そして次にガキAが、まあ正直ちょっとかわいそうだけど、さっさとトンズラしたのに帰ってきた勇気は実らず、逝っちまいます。若干気の毒。そしてラストはガキBの女子VS元軍人という展開になるのだが……両者ともにまったく共感できず、わたしとしては相打ちエンドを望んだのだが……この結末も書くのはやめとこう。正直わたしとしては、なーんだ、という終わり方であまりスッキリはしなかった。
 
 というわけで、わたしとしては、キャラクターに共感できない物語は評価が低くなってしまうし、実際、それほど面白かったとは思っていないのは間違いないのだが、その演出テクは実に上等で、これはなかなかのワザマエであると認めるにやぶさかではない。無駄な部分はほとんどなく、88分間テンションを維持する画面作りは才能を感じさせるものがあったと思う。なので、先ほど、いったい監督は何者なんだ? と調べて、これまた一つ驚きの発見をした。監督・脚本はFede Álvarezというウルグアイ人の39歳のお方なのだが、わたしが驚いたのは、本作の次に現在彼が製作中(?)の作品は、なんとなんと、2年前発売になってわたしが大興奮した、あの! 「ミレニアム」シリーズ第4作目『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』(The Girl in the Spioder's Web)じゃあないですか! すげえ、大抜擢ですなあ! まあ、本作もSONY作品で「ミレニアム」もSONY作品だから、きっと本作のクオリティがSONY幹部をして、コ、コイツはなかなかやる男だぞ……と認めせしめたのだろう。へえ~そりゃあ凄いや。まだ正式にキャストなどが発表になっていない、プリプロ中のようだけど、これは楽しみですなあ! つーか、あれっ? そういえばシリーズ第5弾は今年の発売じゃなかったっけ? おっと、USでは9月発売か。つか来週じゃんか。

 これは楽しみだ! Take an Eye for an Eye、目には目を、か。どんな日本語タイトルになるのだろうか。早川書房様、どうか年内の日本語版の発売をよろしくお願いいたします!!! 俺たちの早川さんならやってくれると信じてます!

 というわけで、見事に脱線したのでもう結論。
 去年暮れに公開になり、ちょっとした話題となった映画『DON'T BREATE』がWOWOWで放送になったので、超今さら視てみたのだが、正直、キャラクターがことごとくクズで、わたしはとても共感できず、実際不快なお話であった。が、その演出はなかなかキレがあってお見事で、そういう点では高評価なのはうなづけるけれど、どうも、世間一般のこの映画に対する高評価は、わたしには実際なぞというか良く分からんです。面白い話ではないような……というわけで、あまりお勧めはしないでおきます。怖いというより……わたしはキモチ悪い、と思う感情の方が大きかったす。以上。

↓ わたしは素直に、こういう映画かと思ってました。
暗くなるまで待って [DVD]
オードリー・ヘップバーン
ワーナー・ホーム・ビデオ
2011-12-21

 というわけで、毎週月曜日は映画週末興行データです。
 この週末は、わたしは待ちに待った『ワンダーウーマン』を観て、さらに『関ヶ原』も観てまいりました。『ワンダーウーマン』は主演のGal Gadot様が大変お美しく大満足ですが、やはりDC Extended Universの文脈としては若干アレな点があるように思える……けど、気にするのはわたしのようなオタク野郎だけでしょうから、普通の方は実際問題なくとても楽しめると思います。とにかくGal様がかわいい! そして『関ヶ原』は……キャストの熱演はもう素晴らしいの一言ですが、やっぱりキャラが多すぎ&出来事がはしょられすぎ、と言わざるを得ないように思いました。歴史好きには通じても、そうでない人には分からないことが多すぎたのではなかろうか……。ともあれ、とにかく岡田准一氏や役所広司氏をはじめとした役者陣の渾身の演技合戦は大変素晴らしかったすね。特に有村架純嬢の熱演は予想以上にお見事でした。実際素晴らしかったと存じます。
 さて。それではさっそく、興行通信社の大本営発表をメモしておきます。

 1位:『関ヶ原』が公開土日で3.95億稼いだそうです。出だしとしてはどうなんでしょう、まずまずレベルなんでしょうか。それとも期待値に届かずなんでしょうか? わたしが観た回は、個人的には意外なほど子ども連れの家族が多く、ちょっと驚きました。ただし、わたしの隣に座っていた推定小学5~6年生の少年は、後半90分はぐっすり寝てましたね。まあ、各人物の説明がほぼないので、知識がないと難しかっただろうなあ……。これはきっと大人でも、歴史知識黒帯向けのような気がします。
 2位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が38日間で62億突破だそうです。すげえなあ。
 3位:『ワンダーウーマン』が土日で2.66億、金曜からの3日間3.7億ほど稼いだそうです。金額順だと2位かな。まあ、こんな感じなんでしょうなあ……。わたしが観た回は、シニア夫婦、若いカップル、中高生グループなど、比較的客層は幅広かったです。もっと売れてほしかったなあ。。。
 4位:『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が10日間で9億チョイぐらいと見積もる。予算規模が不明なのでアレですが、目標値というか1次スクリーンでの採算分岐はどのへんなんだろうなあ。
 5位:『君の膵臓をたべたい』が31日間で25億は突破、26億弱ぐらいと見積もる。この数字が東宝的にどうなのか知りませんが、26億なんてホント、うらやましい……。と、東映も松竹も、国内の映画会社が思ってるのは間違いないでしょうな。
 6位:『HiGH & LOW THE MOVIE2/END OF SKY』が9日間で7~8億ぐらいと見積もる。1作目は2週目で10億届いていましたが、それに比べると若干落ちる感じす。
 7位:『スパイダーマン:ホームカミング』が17日間で22億ほどだそうです。30億は軽く超えてほしいのだが……今後の動向はどうでしょうか……。まだだ、まだ終わらんよ!
 8位:『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』が37日間で31億ほどだそうです。30億を超えるのは2013年ぶりか。良かったすねえ!
 9位:『メアリと魔法の花』が51日間で30億突破したそうです。結構息長く頑張ってますね。素直に観に行けばよかったと超今さら後悔中です。
  10位:『銀魂』が45日間で36億を突破しているそうです。これも目標値がどの辺だったか知りませんが、十分な大ヒットと言っていいと思います。実際凄いと思う。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 あっという間に8月も終わろうとしており、次の週末はもう9月ですよ。そしてわたしは、『GUNDAM THE ORIGIN』を観に行く予定です。ガンダムが大好きな後輩から呼び出しがかかっており、そいつの家の近所のシネコンに行く予定なので、結構遠いけど、もうあの大混雑な新宿ピカデリーはうんざりなので、仕方ないかなと思っております、はい。『THE ORIGIN』は、かつてガンプラを作ったことのある30代後半以上のおっさんが観たら、絶対面白いので、超おすすめです。とうとう始まる本格的なモビルスーツ戦闘を、最新CG技術で描くとこうなる、という凄い映像は一見の価値があると思いますよ!

 というわけで、結論。
 この週末は、新作は2本、『関ケ原』と『ワンダーウーマン』がランクイン。ともに、劇場はかなりお客さんは入っていた印象でしたが、数字的にはウルトラ大ヒット、というほどではありませんでした。若干しょんぼりっす……。以上。

 わたしは映画や小説が大好きである。それはもう、このBlogを読んでもらえれば理解していただける通りであろう。実際、わたしがクソオタク野郎であることは、わたしの周りの人々にも認知されている事実だ。映画や小説、あるいは漫画、そういったものの他にも、好きなものはいっぱいあって、宝塚歌劇も大好きだし、登山やマラソンなどの持久系スポーツも得意だ。そんなわたしだが、歴史も日本史・世界史問わず好きで、中でも、信長の台頭から関ケ原に至る流れは、結構詳しいつもりでいる。
 なのでわたしは、司馬遼太郎先生の『関ケ原』が映画化されると聞いた時は、そりゃあ観に行かないとダメだな、と断定し、キャストも、石田三成をジャニーズ最強演技王の岡田准一氏が演じるとなれば、こいつは傑作の匂がするぜ……? とさえ思いこんでいた。
 というわけで、昨日から公開された映画『関ケ原』を早速観てきたのだが、のっけからもう、わたしはこの映画に対して、若干イマイチだったという旨を表明せざるを得ないだろう。確かに、確かに役者陣の熱演は素晴らしく、実に見ごたえはあった。三成の岡田氏、家康の役所広司氏など、本当に素晴らしい、渾身の演技だったことは間違いない。だが、はっきり言って、期待したほどは面白くなかった。それは一体なぜか? 以下、考察してみたい。いや、考察というか、答えはもうごく簡単で、一言で言えば、まとまりがない、ように思えたのである。おそらくそれは、本作を観た人ならばほぼ確実に感じることなのではないかとわたしは思う。

 とまあ、予告の出来は素晴らしくイイ! この予告を観たわたしのような歴史オタは、こ、これは期待できる! とゴクリと唾をのんだはずだ。だけど、観終わったわたしが真っ先に思ったのは、何とも言いようのない、もやもやした思いである。何がそうさせたのか。すでに前述のように、まとまりがない、とわたしは評したが、それは次のような点からそう思ったのである。
 ◆とにかく説明がなくて分からん
 1)登場人物が多すぎて誰だかわからない。
 まあ関ケ原の戦いを描くとなれば、そりゃあキャラクターが多いのはやむなしであろうとは思う。しかし、それにしても多すぎる。誰かが名を呼ばないとわからないようなキャラも多く、例えば大谷刑部井伊直政の鎧のような、ビジュアル的特徴がある場合は、わたしのような歴史オタならすぐに分かっても、残念ながらそうでない観客もいっぱいいるはずだ。わたしが観た回は、けっこう子供連れの親子も多く、ちびっこには100%理解不能だったのだろうと断言できる。なぜ断言できるかって? だって、わたしの隣に座ってた小学生ぐらいのちびっこ、通路を挟んだ隣の中学生ぐらいのガキ、二人とも、ぐっすり寝てましたよ。そりゃあ無理だったんだろうな。わたしですら、エンドクレジットを観て、あ、上杉景勝は登場してたんだ、そうか、五大老がそろうシーンがあったんだから、そりゃあいただろうな、でも、どれだったんだ? とか、もうさっぱりである。
 2)視点が定まらず、群像劇として軸がブレている。
 この、膨大ともいえるキャラクターたちの中で、本作の物語の軸となる主人公は、三成ようでいて、家康のようで、あるいは初芽や金吾だったりと、いわゆる群像劇のようになっているのだが、ほぼ、キャラクターの背景などの説明はないため、どうしてそのキャラがその行動をとるかという説得力に欠ける。この点も、歴史オタには通じても、そうでない観客には通じないだろう。群像劇は、それぞれをしっかり追う必要があるものだと思うけれど、かなり描かれる情報量に濃淡があって、どうも1本筋の通った軸が感じられず、あれもこれも、と手を出した結果、ブレブレにしか感じられなかった。俯瞰的な、神様視点で関ケ原の戦いを描きたかったのだろうか? だとしたら、失敗していると言わざるを得ないだろう。戦場の様子も正直良く分からず、どうして今の状況で、金吾がどう動くかで戦いの趨勢が決まるのか、まったく伝わっていない。おそらく関ケ原の戦いについて知識のない人が見たら、まったく理解できなかっただろうとわたしには思えた。
 3)端折りすぎて事件の経過も分からない。
 さらに理解を妨げるのは、場面がかなり時間的にも空間的にも飛びまくる点だろう。省かれてしまった出来事が多すぎて、なぜそうなったのか、キャラ説明もないだけに、明らかに説明不足だ。わたしが致命的に感じたのは、例えば、直江兼続と三成が挟み撃ちにするという作戦を立てるシーンを入れたのに、なぜ上杉軍は動かなかったのか、一切説明はなく省かれている点だ。また、三成が襲撃を察知して家康のところに転がり込んだ後の奉行解任・佐和山蟄居の流れも一切カット。さらに、珍しく薩摩島津家も登場させた本作だが(しかも『DRIFTERS』でおなじみの豊久までちゃんと出演させたのは大興奮!だけどまったく出番なし!)、島津家の思惑もまったくふわっとしか描かれず、何のために出てきたのか全く謎のままであった。アレじゃあ分からんだろうなあ……と思う。

 以上の3点は、重なり合っていて、上手く分類できなかったが、結局のところ「キャラが多すぎ、それぞれの背景も分からず、それぞれの思惑が分からない」ということに尽きると思う。これはたぶん誰が観てもそう感じることだと思う。わたしとしては、「軸のブレ」が非常に気になったことで、とにかく、本作のような群像劇は完璧な計算が必要なはずなのだが、どうも配分というか、共感度合いというか、ポイントが絞れておらず、結論としてわたしは「まとまりがない」と思うのである。逸話としての有名なエピソードをあれもこれも、と取り入れいるうちに、逆に重要な情報がそがれていき、軸が失われてしまったような印象だ。本当に残念である。

 しかし。以上の点は役者陣には一切責任はなく、各キャストの熱演は本物であり、パーツパーツでは大変見ごたえはあったことも間違いないと思う。というわけで、素晴らしい熱演で魅せてくれた役者陣に最大級の敬意を表して、各キャラ紹介をしておこう。
 ◆岡田准一氏 as 石田三成:素晴らしいの一言。NHK大河で演じた黒田官兵衛もすさまじい気迫あふれる渾身の演技だったが、今回も素晴らしかった。本作での三成は、秀吉の治世を「利害による治世」であると否定し、「義による政体」を樹立すべきであるとする男として描かれている。それはそれで美しいけれど、まあ、現代も利害によって国が成り立ち世界が成り立っているのは間違いないわけで、やっぱり「大一大万大吉」の世は夢と消えるのはどうしようもないでしょうな。いずれにせよ、とにかくカッコよく素晴らしい演技であった。
 ◆役所広司氏 as 徳川家康:まあ、本作は三成視点の方に重点が置かれているので、悪役としての登場だけれど、役所氏の演技は相変わらず素晴らしく、歴代家康史上でも最高峰の家康ぶりであったように思う。今回の描かれ方は、確かに憎々しい悪役テイストではあったけれど、客観的に見れば現代ビジネスの世界ではごく当たり前の気配りによる調略で、なんというか、ここが家康の凄いところだ的なものは感じられなかったように思う。まあ、そりゃあ三成は、こんな家康の配慮の前には孤立しますわな。
 ◆有村架純嬢 as 初芽:歴史上の人物ではなく創作キャラ、だと思う。わたしは正直、まーた架純ちゃんを登用して変なLOVE展開でも付け加えるんだろうな、と大変失礼な高をくくっていたのだが、実に、実に素晴らしい演技で、大絶賛したいと思う。本作では、関ケ原の戦いが情報戦であったことも描こうとしていて、その情報戦の主役たるスパイ=忍の者、にも結構大きな役割が加えられている。各陣営に雇われている伊賀者が、陣営の壁を越えて夜集まる「忍び市」なる情報交換会が行われていたという描写があって、それは非常に興味深かった。しかし、やっぱりいろいろと説明不足であったし、これは忍びの者としての演出なので架純ちゃんには全く非がないことだが、非常に早口で、セリフが聞き取りづらかったのも少し気になった。ただ、架純ちゃんの演技はとにかく素晴らしかったと絶賛したい。
 ◆平 岳大氏 as 島左近:わたしにとって左近といえば、原哲夫先生の漫画や、その原作である隆慶一郎先生の小説『影武者徳川家康』で超お馴染みの武将だが、演じた平氏はそのビジュアルといい、演技ぶりといい、もう完璧であったと思う。とにかくカッコイイ。これまた歴代左近史上最高だと思った。
 ◆東出昌大氏 as小早川秀秋 a.k.a."金吾":さまざまな関ケ原に関する物語で、「裏切り者」と言われる金吾だが、本作では、本当は三成に協力したかったけれど家康によって配備されていた柳生宗章に無理やり徳川につかされたという描写になっていた。そして、戦いの後に捕縛された三成からはやさしい言葉をかけられるなど、裏切り者としてよりもかわいそうな人、という扱いであった。演じた東出氏は、まずまずであったと思う。ちなみに、剣聖・柳生石舟斎もチラッと出てきてわたしとしては大興奮であった。
 ◆福島正則加藤清正黒田長政の「三成ぶっ殺し隊」トリオ:正直存じ上げない方が演じていたので割愛。描写としては、これまでもよく見た「過激な若者たち」で、特に思うところはない。ただ、一つメモしておくと、有名な長政の兜(水牛の角のアレ)と正則の兜(以後、長政の兜としておなじみの一の谷型のアレ)を交換して和解するシーンがあるのだが、2年前、福岡で開催された「大関ケ原展」での解説によれば、一の谷型の兜は、当時はゴールドの金箔が張られていた可能性があるらしいのに、本作では現在残っているもののようなシルバーであった。まあ、その後の調査でも、うーん、金だったのか銀だったのか、良く分からんというのが現在の結論のようなので、文句は言わないけれど、ゴールドの一の谷兜も観てみたかったすね。わたしは実物を福岡で観ましたが、意外と長政は小柄なお方だったようですな。
 ◆松山ケンイチ氏 as直江兼続:もう完全にワンシーンのみ。マツケン氏の芝居は全く文句はないけれど、三成最大の同盟者たる上杉家についてはほぼ何も描かれずだったのは残念です。まあ、本作においては本筋ではないという判断なのだろうけれど、三成の「義」を強調した物語なのだから、「義の上杉家」をカットするのはちょっともったいないと思った。
 あーイカン、キリがないので、あと大物を二人だけ。
 ◆西岡徳馬氏 as 前田利家:いやーカッコ良かった。大納言様がカッコイイとやっぱり締まりますな。三成ぶっ殺し隊の若者たちを一喝するシーンはとてもカッコ良く、西岡氏の貫禄が非常に大納言・利家にマッチしていたと思う。
 ◆滝藤賢一氏 as 豊臣秀吉:いやー、やっぱり滝藤氏は演技派なんすねえ。実にいい芝居であったと思う。ただし、本作においては若干チョイ役で、秀吉の執念じみたものにはあまり重点は置かれていなかったように感じた。

 思うに―――といっても完全な素人映画オタクの浅はかな考えだけれど、やっぱり取捨選択を一本筋の通ったものにする必要があったのだろうと思う。例えば、完全にもう”情報戦”というコンセプトに絞って、いかに三成と家康は自らの陣営を整えていき、三成の切り札は上杉家と金吾の動きであり、家康の切り札は金吾の寝返りに尽きる、というような、そこが崩れれば負けてしまう、という、両陣営ともに実にあぶなっかっしい、ギリギリの戦いだった、ということに絞ればよかったように思う。そうすればもっと登場キャラクターを整理して絞ることが出来たろうし、画面に登場させなくても忍びの報告で状況は説明できたのではなかろうか。そして最大のポイントである「義」と「利」の対立も、もっと明確に描けたのではなかろうかと思うのである。期待した大作だけに、とても残念だ。

 というわけで、結論。
 かなり期待して観に行った『関ケ原』であるが、どうも、何もかも説明不足で、「一見さんお断りムービー」に仕上がってしまっていたように思われる。しかし、キャスト陣の熱演は素晴らしく、とりわけ三成を演じた岡田准一氏は素晴らしい! また、有村架純嬢も、期待よりもずっとずっと見事な演技であった。もう少し、コンセプトを絞って、徹底的な緊張感のある凄い映画にしてほしかった……ちなみに、パンフレットは非常に分厚く、物語に描かれなかった情報満載で大変読みごたえがあります。が、パンフで補完されてもね……なんというか、実に残念です……。以上。

↓ 今わたしが一番見たい映画。関ケ原の戦いという題材は日本人なら誰でも知っているお馴染みのもので、イギリス人ならだれでも知っているらしいダンケルクの戦いに近いような気がするんすよね。果たして天才Nolan監督は、そんなダンケルクの戦いをどう描くのかが楽しみです。

 以前も書いた通り、わたしの愛するハリウッド女優は何人もいるが、その中でも最高レベルに、もはや女神とさえわたしには思える二人のスーパー美女、その双璧がCate Blanchett様と、Gal Gadot様のお二人である。これはほぼ確信に近いのだが、おそらくわたしは生のお二人をその目にしたら、その美しさと神々しさの前では、自然と跪き、失神もしくは失禁することは間違いなかろうと思う。とにかく美しく、かわいくて、セクシー極まりない、人類の中で最も女神に近いお方だとわたしは感じている。
 しかし、わたしとしてはどうも不思議なのだが、わたしは映画オタクとして何度もお二人をスクリーンでお見掛けしているのにもかかわらず、それまでは普通に綺麗な人だな、程度の想いしかなかったのに、とある映画を観た時から急にその神々しい美に魅了され、大ファンとなったのである。まあ、要するにわたしの目は節穴だったということに過ぎないのだが。Cate様の場合は、どういうわけか2015年公開の『Monuments Men』(邦題:ミケランジェロ・プロジェクト)という作品を観て急に好きになったし(それまでさんざんCate様出演作を観てるのに!)、Gal様を好きになったのは、去年の『Batman v Superman』を観てから、である。
 Cate様について語るのは、11月公開予定の『THOR: RAGNAROK』の時に譲るとして、今日はとにかく、Gal様について書くつもりでいる。なぜかって? そんなの、今日、待ちに待った『WONDER WOMAN』を観て大興奮してきたからに決まってるでしょうが!
 というわけで、『BvS』で初登場した女性ヒーロー(こういう場合ってヒロインと呼ぶのか?)、WONDER WOMAN単独主演作品がとうとう日本でも公開になり、さっそく観てきたわたしである。ズバリ、結論から言うと、非常に面白かった。が、本作を単独映画として観た場合はもうパーフェクト! と大絶賛したいけれど、一方で、本作がDC Extended Universの一つのピースであるという観点に立つと、若干、ほんの若干だが、問題は残るように思えた。
 というわけで、以下はネタバレが含まれる可能性が高いので、気になる方は読まないでください。まずはいつも通り予告を貼っておこう。

 ダメだ、日本語字幕版はひどいセンスのナレーションが入ってたり、どうしようもないキャッチが極めて下品かつ不愉快なので、US版を貼っておくことにする。
 わたしは、本作『WONDER WOMAN』を観る前から、今回はどんな映画になるのだろうかと『BvS』が終わったそばから大変期待していたのだが、『BvS』のエンディングシーンからわたしが想像していたのは、おそらくWonder Womanことダイアナは、100年前の出来事によって人類に失望し、隠棲を決意するに至った何か悲劇的な出来事が起こったのだろう、と想像していた。ちょっと、『BvS』のラストでの、葬列を見送るダイアナとブルース・ウェインの会話を以下に記しておこう。わたしのリスニング能力は全くあてにならないので、一部間違ってるかもしれないことはお許しいただきたい。
 ダイアナ:A hundred years ago I walked away from mankind; from a century of horrors... Men made a world where standing together is impossible.
 ブルース:Men are still good. We fight, we kill, we betray one another, but we can rebuild. We can do better. We will. We have to.
 わたしは『BvS』におけるこのセリフで、もう完全にダイアナことWonder Womanは人類にうんざりしちゃっているんだろうなと感じた。
「100年前、わたしは人類から逃げたの。あの恐怖の世紀から。人類は世界を共に立つことができないようなところに変えてしまったわ……」直訳するとこんな意味である。それに対するBATMANのセリフがかっこいいすよね。
「人はまだ善を忘れちゃいないさ。俺たち人間は、お互いに争い、殺し、裏切る。でも、それでも俺たちはやり直せるし、もっと善くなれる。善くありたいし、善くあらなきゃいけないんだ」
 こんなBATMANの言葉に、ダイアナは再び立ち上がり、秋公開の『JUSTICE LEAGUE』へつながっていくわけだが、肝心の「100年前」に何が起こったのか、そしてなぜダイアナは人類に背を向けてしまったのか。これがきっと、本作での一番のポイントだろう、とわたしは想像して劇場へ向かったのである。
 というわけで、本作は、『BvS』事件ののち、現代のパリのルーブル美術館で働くダイアナの元に、ブルース・ウェインから100年前のダイアナが写っている銀塩写真のネガのガラス板が届くところから始まる。ブルースの手書きメモには、原版を見つけた、これは君のものだ。なんて書いてある。もう、大富豪はやることが粋でカッコイイじゃねえか、とのっけからわたしは大興奮である。ここから、ダイアナの想いは100年前の写真に記録されている「あの頃」へ移り、幼少期から過去が語られていく展開となる。先にエンディングを言ってしまうと、回想を終えたダイアナは、うっすらと微笑みながら、ブルースに「ありがとう。大切な人にまた会わせてくれて」とお礼のメールを送って物語は幕を閉じるのだが、その物悲しくもうれしそうなダイアナを演じるGal様の表情は超最高であった。※ちなみに、エンディング後のおまけ映像はありません。てっきり、『JUSTICE LEAGUE』の何らかの映像が入るかと思ってたのに。
 しかし、だ。肝心の「100年前に起きた悲劇」に関しては、かなり予想と違っていてわたしは驚いたのである。100年前といえば、真っ先に思い浮かぶのは第1次世界大戦だ。2次ではなく、1次のほうである。世の中的に、2次大戦の方は様々な映画や物語で描かれているように思うが、ふと考えると1次大戦の方を描いた作品は意外と少ないように思う。すぐ思いつくのは、名作『西部戦線異状なし』ぐらいだが、とりわけヨーロッパにおいては、1次大戦の方がより苛烈な印象を残しているんじゃないかとわたしは思っている。なぜそう思うかというと、1次大戦に従軍した芸術家がいっぱいいて、画家や作家が多くの作品を残しているからだ。従軍した結果、精神を病んでしまった芸術家もいっぱいいることは、あまり知られていないかもしれないけれど、『西部戦線異状なし』の著者Erich Remark氏も従軍した一人で、その凄惨な戦場の模様は有名であろう。そんな、人類初の大規模・多国籍間紛争である第1次世界大戦に、ダイアナは参加しているのである。そこで目の当たりにした人類の醜い争いが、ダイアナをして人類に失望させたのだろう、というざっくりとした予想は、結論から言うとおおよそ合っていた。しかし、細部に目を転じると、そこには、ダイアナに「人の善」を説く男の存在と、邪悪を体現する「軍神アレス」という存在があったのだ。これは全然想像していなかった点である。
 まず、アレスの方から見てみると、そもそも、ダイアナは汚れを知らない箱庭世界ともいうべき「セミスキラ」という島で生まれ育った非・人類である。ちなみにいうと、粘土で作られた人形に命が吹き込まれた存在、だそうだ。彼女および彼女の属する「アマゾン」族は、世に戦いをもたらす「軍神アレス」への対抗手段としてゼウスが作った一族(?)で、「GOD KILLER」という神を殺せる剣を持っている。つまりダイアナは、アレスがこの世に現れたら、わたしが倒す、と子供のころから考えていて、母は世は平和なのよ、アレスはもういないのよ、と言い聞かせていたものの、平和な箱庭たるセミスキラに、一人の男が流れ着き、彼を追ってきたドイツ兵たちとの戦闘によって、どうやらアレスが現れているに違いない、わたしはアレスを倒すために外の世界へ行くわ! と、半ば強引に我々の世界へ旅立つという展開になる。しかし、セミスキラで膨大な書物によって世界の勉強をしてきたダイアナであっても(なんと超多数の言語もペラペラ!)、実際に目にする「世界」はまさしく別世界で、初めて食べたアイスクリームの美味さにうっとりと目を細め(ここのGal様も超かわいい!)、あなたはこの味を誇るべきよ、なんて売り子に真面目に言ったりする、ちょっとズレた面も持った美女である。
 しかし、彼女の目的は、アレス討伐であって、アレスさえ倒せば、世は善で満ち、戦いはなくなると固く信じる幼い少女でもある。そんな彼女を見守り、保護する男がスティーブ・トレバーという男だ。スティーブは言う。一人を倒したって、世界は変わらない。段取りを踏んで、協議によって戦いを止める方法があるんだ、とスティーブが言っても、ダイアナには若干ぴんと来ない。そこに葛藤が生まれるわけで、ここにドラマがあるわけだが、残念なことに、本作の脚本としては、結果論ではあるかもしれないけれど、結局はダイアナの言うことの方が正しく、単に、ダイアナもスティーブも、アレスの本体を見誤っていただけのことになってしまう。
 最終バトルで、アレスだと思っていた悪党をぶっ殺したダイアナ。それでも全然戦争は終わらない。そこにけっこう唐突に(脚本的には確かにこいつはきっと悪党なんだろうなとは思わせてはいた)別の男が実はアレスでした、と正体を現してからは、完全に神VS神、いうなれば『Man of Steel』で描かれたSUPERMAN vs ゾット将軍のような超絶バトルが始まってしまうのだ。わたしは正直、まーたこの展開かよ、DCコミックってやつは……と若干あーあ、と思ったのは事実なのだが、一方で、人を護るために殉じたスティーブの姿には、やけに感動してしまったし、そのスティーブの哀しい最期を見て、真の力を開放し、自らこそがGOD KILLERだった、として戦うダイアナの勇姿にも、もちろん大興奮であった。ダイアナは哀しみによって真の力を得たわけであり、そしてその哀しみは、スティーブの説く愛、によって生じたわけである。なるほど、まさしくわたしの大好きな『北斗の拳』的で、お見事である。しかも、わたしが注目に値すると思ったのは、スティーブはダイアナに対して、わたしが上の方で引用した『BvS』におけるブルース・ウェインとほぼ同じセリフで、ダイアナに人間の善を説くのである! この流れは確かに大変見事な脚本だとわたしは感じた。
 なので、わたしは本作が、完全に独立した一つの作品であるならば、この大感動とともに劇場を後にすることが出来たはずだと思う。しかし、である。ふと頭によぎるのは、じゃあダイアナは、2次大戦の、ナチスドイツに対しては何もしなかったのか? ということだ。絶望はしたけれど、愛の尊さは知ったダイアナ、という展開は確かに美しかったけれど、ひょっとしてアレなの、愛するスティーブがもうこの世にはいないことに絶望しちゃってたの? という思いが頭から離れないのである。『BvS』でのダイアナを見る限り、そして本作の回想部分のラスト、スティーブの写真にそっと触れた時のダイアナの哀しみをたたえた美しい表情を見る限り、まあ、きっとそういうことなんだろうと思う。でもそれって……ちょっと……どうなんでしょうなあ……原爆投下も、わたしには関係ないわ、と、どこかに隠れて見ていたのだろうか……。
 こういう点が、DC Extended Universの微妙な点で、おそらくは、本作に問題があるのではなく、『BvS』での描き方が悪かったのではないかとわたしは思う。つまり、やっぱり最初からきちんとした大きな絵が描けておらず、Wonder Womanの背景をきちんと美しく描いた本作の構想を先に練っておいてから、公開の順番は本作の方が後でもいいので、きちんと『BvS』に反映すべきだったんじゃないかという気がしてならない。
 ダイアナは、スティーブを失った哀しみで、2次大戦は完全にスルーしていた、ということにしよう。それはそれで、本作を見れば理解できなくもない。でもそれならなぜ、『BvS』のドゥームズデイとの戦いに参戦してきたのか。そもそも、SUPERMAN VSゾット将軍の超絶バトルにはどうして絡んでこなかったのか。そういう、何か理由があるだろうこと、をDC-EUはきちんと答えてくれないのだ。わたしとしては、『BvS』で、ブルースがダイアナに画像データを送った時、「これは君か?」の一言だけじゃあなく、「I need your help. PLEASE」君の助けが必要だ。頼む。という一文があればよかったのだと思う。そして『BvS』のラストで、ダイアナは、「これきりよ」と言いながら、あの「わたしは100年前に人類に背を向けたの……」のセリフにつなげ、そしてブルースのセリフがあればよかったのだ。そして、「昔……同じことを言った男がいたわ……死んでしまったけれど……わたしの大切な人……」みたいなことをダイアナにはつぶやいてほしかった! そうすれば完璧につながったし、ダイアナがもう一度、人類のために戦う決意を示せたのに!!!
 まあ、そんな風に思うわたしの方が圧倒的少数であろうから、別にもういいけれど、何となくもったいないような気はする。しかしそれでも、やっぱり本作のヒロイン、ダイアナを演じたGal様の美しさと可愛らしさは一切損なわれておらず、実に楽しめたのは間違いない。
 Gal様は、もうご存知の通りイスラエル国民であり、たまーにInstagramにヘブライ語で投稿する絶世の美女だ。そしてイスラエルは女性にも兵役義務があり、Gal様も軍務経験があるお人である。先日、と言っても結構前か、出産したばかりとは思えないスリムなプロポーションで、今回のWonder Womanの衣装が超似あってましたね。ブーツもカッコ良かったなあ。なんというか、聖闘士星矢の「聖衣」っぽい、なんか金属のような質感でしたな。インスタにこんなのがありますね。

Wonder Woman boot making 💪 #flashback #wonderwoman

Gal Gadotさん(@gal_gadot)がシェアした投稿 -


 Gal様、足の型をとるの図。これはブーツ製作のためでしょうな。おお、なんて可愛らしいんでしょう! 身長177㎝だそうで、まあ、スーパーモデル体型ですなあ……お美しい……とにかくわたしがグッとくるのは、その目と唇ですね。何ともセクシーかつキュート、もはやこの世にGal様に対抗できるのはCate様しかいねえ、というのがわたしの見解であります。とにかくGal様にとってWonder Womanというキャラクターはハマり役であり、今後もまだその活躍が観られるのは大変うれしい限りだ。まずは秋の『JUSTICE LEAGUE』、正直、物語的に面白いかどうか非常に心配だが、Gal様目当てに観に行くことは確実であります。
 さて、これ以上Gal様への想いを書いても変態的になるだけなので、もう男性キャストには触れないで、最後に監督についてだけ、備忘録として記して終わりにしよう。本作の監督はPatty Jenkins氏という46歳の女性だが、長編監督デビュー作『MONSTER』においてCharlize Theron様に栄光のアカデミー主演女優賞をもたらした才媛である。ただ、その2003年以降はどうやらTVの方で活躍していたそうで、劇場作品は本作が2本目の監督作品だそうだ。へえ~。しかし、本作はUS本国で4億ドルを超え、世界中で大ヒット中であるし、その評価もとても高く、どうも来年2月のアカデミー賞監督賞候補、なんて声もあるようだ。でも監督賞……うーん……そこまで優れた演出があったかとなると、どうだろうなあ……むしろキャラの見せ方や画自体の質感はDC Extended Universの生みの親(?)たるZack Snyder氏に近いものがあったように見受けられたが、うーん……わたしには若干わからないす。

 というわけで、結論。
 『BATMAN v SUPERMAN』でその勇姿の一端をさらしたWonder Woman。とうとう待ちに待った単独主演映画『WONDER WOMAN』が公開されたので、超ワクワクしながら観に行ったわたしであるが、完全に独立した一本の作品として観るなら、Gal様の美しさにあふれた最高の作品である、と断言してもいい。が、一方で、DC Extended Universの中の一つと考えると、どうも若干引っかかる点もあるようにわたしには思えた。ま、そこが、わたしの愛するMCUとの違いで、DCのダメなところだが、もはや完全にオタク野郎としてのわたしのいちゃもんに過ぎないので、普通の人がこの作品を観たら、存分に楽しめるのは間違いないと思います。そして、何度でも言うけれど、Gal様は最高です! 以上。

↓ Gal様のハリウッドデビュー作がこれ。4作目かな。大変かわいくて小悪魔的な「ジゼル」を演じていらっしゃいます。Gal様の魅力に気づいていない、そんな時期がオレにもありました……。


 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、わたくし、とうとうチケットが取れました! 何をって? 大相撲9月場所に決まってるじゃあないですか! 2人升席とやらで、かなり土俵から遠いのではないかと思いますが、生の大相撲の空気に触れて興奮してくる所存です。でも、正面(北)でも向こう正面(南)でもなく、西?のようなので、どうだろうなあ……まあ、今からもう大変楽しみであります!
 そして自転車ロードレースの世界は、現在、いわゆる三大グラン・ツールのラスト、スペインを舞台にしたVuelta a Españaが熱戦を繰り広げておりますが、ここでもツールを勝ったChristopher Froome選手が強く、どうもダブル・ツール達成はかなり濃厚なのでは……という展開になっています。とにかく、Froome選手の強さも凄いけれど、Team Skyがやっぱり凄いんすよね……わたしの応援するContador選手は出だしで体調不良により失速してしまいましたが、昨日の山岳では復活の兆しがあり、なんとか喰らいついて行ってほしいと祈念しております。
 それでは、まずは今週の週刊手年チャンピオン2017年39号概況です。
 ■巻頭グラビア:浅川梨奈嬢。最高です。すべてが!
 ■弱虫ペダル:静かなる侵撃の巻。御堂筋くんが完全に巨人です。キモイです。
 ■刃牙道:今週はお休み。そして来週は2話掲載だそうです。
 ■BEASTERS:潮風だけが知っているの巻。とうとう本気告白したレゴシ君。来週から新展開のようですが、今週は板垣先生のデビュー読み切り短編『BEAST COMPLEX』も掲載で相当編集部としては板垣先生を推しているようです。単行本も売れているのかな。めでたいすね。
 ■囚人リク:逆手の巻。リク、一時死亡! 大変な荒業ですが蘇生できるのでしょうか。
 ■AIの遺電子:旅のはじまりの巻。なんと最終回!別冊に移籍だそうです。マジかよ…。
 少年ラケット:運命の二人の巻。イチロー君、とうとう記憶回復です。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。浅川梨奈嬢が最高です。

 さてと。それではさっそく今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 先週のラストは、現在時制に戻って11日目の朝、いつもなら誰より早く稽古を始める鯉太郎が珍しく寝坊(というほどでもないけど)して遅れて稽古場にやって来て、四股を踏むところで、「鯉太郎にある異変が起こるのである」という何とも意味深なナレーションが入って終了でした。今週はそこからの続きです。
 静かに四股を踏む鯉太郎ですが、本人もピクン、と何かを感じ、同時に常と【白水】兄貴も「……!?」と何かピリッとしたものを感じます。親方も鯉太郎の方に振り向き、その四股を見つめます。振り上げた右足を、タンッ…と静かにおろす鯉太郎。そして鯉太郎本人も、常も白水兄貴も親方も、4人揃って、こ、これは……的な表情です。そこですかさずデータ力士の常による、みんなの気持ちを代弁する独白が入ります。
 「(何だ……今の感じ…いつも見ているただの四股なのに……何か………)どうかしましたか 鯉太郎さん……」
 鯉太郎は常の声掛けにも気が付かない様子で、口を覆い、「……?」と謎の表情です。こりゃあ、かつて新弟子時代の【泡影】に、「難解だな…」と言わしめた「四股」の極意? に鯉太郎も目覚めたのでしょうか? それとも、やっぱり体調的な違和感か? いずれにせよ、何かが違う四股に、鯉太郎も、空流の男たちもまだ理解が追いついていない様子です。
 ところで、四股って、実は相当難しいというか、よかた(素人)の我々が四股を踏んでも全く様にならないのは誰しも経験があると思いますが、グッと踏ん張って、片足だけ、綺麗に膝を曲げずに伸ばすことは相当の柔軟性と鍛えられた足腰がないと出来ないことだと思います。これはもう、誰しも、やってみれば分かることですが、わたしは全然膝が伸びない、ダッサい不細工な四股しか踏めません。わたし的には、全盛期の横綱【貴乃花】関の四股は、膝が伸びた美しい四股だった記憶がありますが、現役だと【遠藤】関の四股もなかなか美しいと思っています。そういえば全然関係ないのですが【遠藤】関は先場所足を痛めて途中休場し、7月下旬に手術を受けたそうで、9月場所に間に合うか大変心配ですが、どうか間に合うようにと祈っております。生で【遠藤】関の四股が観たいす!
 で。そんな謎の空気に包まれた空流部屋から、描写はなんと虎城部屋の朝稽古の様子に移ります。我々『バチバチ』からのファンにとって、かつての虎城部屋はかなりダメ部屋で、【猛虎】さん一人が良心を持った男として描かれていましたが、あれからもう数年経っており、とりわけ、『Burst』で描かれた鯉太郎VS【王虎】の激闘をみんなが目に焼き付けてきたわけで、どうやら現在の虎城部屋は、かつてのような無気力な雰囲気は払拭されており、完全に「ガチ部屋」に生まれ変わったようです。まあ、親方の虎城親方自身、理事長となって相当イイ人に変わりましたからね。
 というわけで、虎城部屋の朝稽古はすごい迫力です。みんな体が砂まみれ。黒まわしの若い衆の中で、一人、白まわし(=関取=十両以上)の男が気合の入ったぶつかり稽古をしています。そしてその男は―――! なんと! 田上改め【稲虎】関です! おいィ! 田上さん! あなた関取だったのかよ! やったじゃん、良かったね! わたしはまた、【王虎】さんの付け人なのかと勘違いしてたよ。ホント失礼いたしました。十両だったんですなあ! しかも「虎」の一文字をもらえるほど頑張ってきたのかと思うと、これはホントに嬉しいお知らせですね。 そして、そんなガチ稽古中の【稲虎】関には、若手がガンガンと、次は俺でお願いします、と「シャス」コールが殺到。虎城部屋もいい空気ですねえ! するとそこに、「オイ…」と一人の男がやってきました! 若手も全員サッと整列して道を開けます!
 その男はもちろん! 【王虎】さんの入場です! やけにカッコイイ【王虎】さんの登場にわたしは大興奮ですよ! そして田上改め【稲虎】関と稽古を始める【王虎】さん。ここから、取材に来ていた日刊トップの橋くんの解説が加わります。橋くんの解説をまとめると、
 ◆ここまで緊張感が張り詰めた感じは、他の部屋にはないものだ。
 ◆注目すべきは弟子たちの目である。彼らの目は、恐怖で統制されたものではなく、憧れと尊敬の眼差しである。
 というわけで、完全に虎城部屋はガチ部屋に生まれ変わったようです。そして弟子たちの熱視線の先にあるのは、【王虎】さんと【猛虎】さんであります! 【猛虎】さんの気合の入った四股と眼光鋭い眼差しが超カッコイイ! これはぜひ、今週のチャンピオンを買ってご確認ください! 橋くんは言います。「この二大関が…この虎城部屋に…”真剣”を充満させている」わけです。いいですねえ!
 そして稽古を終えた【王虎】さんに記者たちが今日の【百雲】戦へのコメントを求めて群がりますが、【王虎】さんは場所中にコメントを出さないお方だそうで、完全無視。しかしそこで、橋くんが、今日の鯉太郎VS【天雷】戦について一言いただけますかと声をかけました。それに反応する【王虎】さんのコメントが今週の山場かも知れません。
 橋くんは聞きます。二人とは同期で鯉太郎とは浅からぬ縁がある。【王虎】さんも幕下でのVS鯉太郎戦を機に相撲が変わったという人もいる。そんな鯉VS天に一言、というわけですが、【王虎】さんは、面白いこと言うな…日刊トップか…と実に大人というか冷静な口ぶり。そして橋くんは【王虎】さんが相撲番になったばかりの自分をちゃんと認識していることに驚きを隠せません。【王虎】さんは、うっすら笑みを浮かべて(!)、「時機ってのがある……」と答えはじめました。
 曰く、「まるでそうなることが定められたかのような流れ」「運命にすら思える流れに点在する点」「あの鮫島(アホ)なのか、天雷なのか、あるいは両者なのか、今場所の重要な流れの中の点となることは間違いないだろう」そして点は線に繋がれるか、その線の先には……と橋くんが話を受けると、「ただ一つだ……史上最強と呼ばれる横綱…その最強がまさに今 全盛期と言っていい力を見せる 最高の時機 線の辿り着く先は間違いなく泡影… そしてそこに辿り着ける者は…相撲に選ばれた者だけだ…」
 というわけで、今週ラストは笑みを浮かべる【王虎】さんの顔アップで終了でした。この【王虎】さんのご意見は理解が難しいすねえ……! 【王虎】さんの言う「時機」と「点」、これは……つまり運命の分かれ道、岐路、そんな意味なのかな……その、「今がその時」ということを理解し、全力を尽くさないと、先に進む「線」が伸びないということでしょうか……。そして正しい、というか、ありうべき? 「線」の先に待つ横綱【泡影】の前に立てるのは「相撲に選ばれし者」だけってことになるのでしょうか。しかし、我らが鯉太郎は、今までずっと「相撲に選ばれていない」ことに対して全力で抗い、力づくで「相撲」を振り向かせてやると戦ってきた反逆の男です。それがとうとう、THE CHOSEN ONEとして覚醒しつつあり、それが四股に現れつつあるという感じでなのしょうか。
 第69話で、VS【蒼希狼】戦後に花道ですれ違った【泡影】は、まったく鯉太郎を見もしませんでした。あの時、虎城親方は「アレが相撲に選ばれた者だ」と告げ、鯉太郎は上等だぜ、とさらに闘志を燃やしたわけですが、あれはまだ4日前ですよ。いずれにせよ、どうやら【王虎】さんも注目する鯉太郎VS【天雷】戦も、いよいよ始りの時が近づいております。恐らくは単行本の切れ目としては今週の第133話までが(15)巻収録となると思います。はーーーヤバい。来週からの展開が今からもう楽しみです!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【稲虎】田上改め。十両力士に成長してた!←NEW!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 
 
 というわけで、結論。
 今週は、四股に何かを感じる鯉太郎たち、そして鯉VS天に運命的なもの感じる【王虎】さんの様子が描かれました。そして田上がなんと十両で【稲虎】という四股名にチェンジしていたことも判明しました。しかし【王虎】さんの発言は難しいというか……「相撲に選ばれし者」……鯉太郎はとうとうその域に達したのか? それは努力でどうにかなるものなのか? 全力で抗った鯉太郎に相撲の神さま? 的な何かが味方したのか? そういう運命的な展開というものは、きっと訪れるであろう「残酷」をより際立たせるのかもしれないすねえ……まあとにかく、今週も大変興奮し、まったく短くまとめられませんでした。ホントさーせん! 以上。

↓ 観劇を趣味とするわたしが必ず持参するのがこれですが、9月場所観戦の際も当然持参したい所存です。いいものはやっぱりレンズが明るくて見やすいです。意外と安かった。


 というわけで、毎週月曜日は映画週末興行データです。
 この週末は、わたしは2度目の『スパイディ』と、新作の『ベイビー・ドライバー』を観て参りました。しかしこれがまた40スクリーンと公開規模が少なく、わたしがいつも通うTOHOシネマズでの上映がなく、久しぶりに松竹系のMOVIXへ出かけてみました。しかし事前に電子ムビチケ(1400円)を買っておいたのですが、観に行った昨日の20日は、なんと「MOVIXデイ」なる割引日で、誰でも1100円で観られたそうで、そのことに全く気が付かず、アホなことをしました……。マジかよ、ムビチケを買った意味がなかった……くそう。まあ、『ベイビー・ドライバー』は大変楽しめましたし、2回目のスパイディは安く観られたので、良しとしたいと存じます。
 さて。それではさっそく、興行通信社の大本営発表をメモしておきます。

 1位:『HiGH & LOW THE MOVIE2/END OF SKY』が公開土日で3.51億稼いで1位。先行上映があったそうで、それを含めた累計だと4.12億だとか。正直驚きですが、数字的には去年7月公開の1作目の初動より若干落ちる感じなので、世間的にはちっとも驚きじゃないのでしょう。わたしの通うTOHOシネマズでは一度も予告を観なかったけれど、松竹配給だからなのか、それとも、わたしが観るのが洋画ばかりだからなのか、どっちなんだろうか? 何にせよ、大変立派な数字で松竹は喜んでいることでしょう。実際素晴らしい出足で凄いと思います。ナンバリングとしては、本作が「2」になるんですな。
 2位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』が31日間で55.6億だそうです。こちらも人気継続で凄いもんですな。
 3位:『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が公開土日で2.95億稼いだそうで、金曜公開なので3日間だと4.6憶超だそうです。岩井俊二氏のTVドラマをベースにしたアニメすね。売れてますなあ。
 4位:『スパイダーマン:ホームカミング』が10日間で18.41億だそうです。『Ultorn』よりいい数字だけど『Avengers』よりは劣るという感じですが、まあ、十分大ヒット、と思いたい。なんとか30億は超えて『アメイジング』の2本は超えてほしいものです。
 5位:『君の膵臓をたべたい』が24日間で20億は超え、21~22億ぐらいと見積もる。あ、正解書いてあった。21.98億だそうです。こちらも大変立派な数字ですな。
 6位:『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』が30日間で29.79憶だそうです。去年は6週目で18億チョイだったので、見事な再起動は素晴らしいす。今こう書いていて、わたしの脳裏には「まだだ、まだ終わらんよ!」というクワトロ・バジーナの声が蘇っておりました。
 7位:『トランスフォーマー/最後の騎士王』が17日間で14.57億だそうです。こちらは前作が3週目で23億ぐらいだったので、結構落ちましたね。わたしも今回は観に行っておらず、脱落っす。
 8位:『銀魂』が38日間で34.80億だそうです。どのくらいの製作費か知りませんが、かなりの黒字でしょう。うらやましい……。
 9位:『メアリと魔法の花』が44日間で28.53億だそうです。とても頑張ってると思うけれど、『マーニー』は最終35.3億なわけで、どのくらいを目標にしてたのかが気になるところす。プロモーションはかなり鼻息荒く感じましたが、目標は達成したのだろうか?
 10位:『劇場版 仮面ライダーエグゼイド/宇宙戦隊キュウレンジャー』が16日間で7~8億ぐらいでしょうか。はっ!? そうだ、昨日は朝から出かけてたので、昨日のエクゼイドを観てないや。あとで観るのを忘れずに>自分!

 とまあこんな週末だったようです。そしてわたしが昨日観に行った『ベイビー・ドライバー』は、40スクリーンながら0.4億チョイは稼いだようで、アベレージはかなり高いんじゃないかな? 8時55分からという早い回だったので、お客さんはわたしのようなおっさんばかりで、5割程度の入りだったかな。きっと都内は非常に混んだのだと想像します。ソニーピクチャーズの営業力は良くわからんです。もうチョイ箱を押さればもっと売れたかもしれないのに……。夏興行真っ盛り、厳しかったのだろうとは思うけれど、それなら公開時期をズラせばよかったのにね。

 というわけで、結論。
 今週は、わたしにとっては予想外、世間的には順当(?)なことに、『HiGH&LOW 2』が見事1位を獲得。そして『打ち上げ花火』もまずまずのスタートなのではないでしょうか。なんか何も書くことがないす。以上。

 ちょっと前に、予告編をWeb上で観て、おっと、こいつは面白そうだ、と楽しみにしていた映画がある。しかし、どういうわけか公開スクリーン数がやけに少なく、さっき公式サイトで数えたところ、日本全国で50もないようだ。こういう映画は、都内だと確実に混雑するので、そういう時は郊外のシネコンの朝イチの回に限る、というわたしの鉄則が働き、まずは配給のSONY PICTURESに対して軽くチッと舌打ちしてから、今日は朝8時に家を出て、家から15㎞程離れた郊外のシネコンまで車をぶっ飛ばして観てきた。
 その映画のタイトルは『BABY DRIVER』。ビートに乗せたクライムアクションと言っていいだろう。はっきり言ってそこはかとなく漂うシャレオツ感が鼻につくが、物語というよりもキャラクターがとても魅力的で、大変楽しめる映画であった。

 まあ、物語としてはだいたい上記予告のとおりだ。主人公ベイビーは凄腕の「逃がし屋」である。常に音楽を聴く彼は、仕事中もガンガンに音楽をかけまくって車の運転をするのだが、10年前のまだガキの頃、麻薬が積んであった組織のボスの車を、それと知らずに盗んで逃げ回り、車ごと麻薬をお釈迦にしたことがあって、ボスは怒るというより感心し、許してやるも麻薬の代金は返せ、というわけで借金を背負っている。その借金返済のために、ボスが手配する強盗の運転手を務めている(というような過去が、いかにも説明文的なセリフで語られた)というわけだ。そして彼は、上記予告にある通り、幼少期に事故に遭い、両親は死亡、以来耳鳴りがするために常に音楽を聴いている、という設定になっている。彼は現在、里親のおじいちゃん(しゃべれないため手話で会話する)と暮らしており、さっさと逃がし屋稼業もやめたいと思っているのだが、最後の仕事を終え、借金完済、自由の身になったと思いきや、超絶ドライビングテクニックを持つ彼をボスは手放すわけもなく―――てな展開のお話である。
 凄腕の逃がし屋というと、真っ先に思い出すのはRyan Gosling氏主演の「DRIVE」だが、主人公が寡黙でほとんどしゃべらない凄腕運転手、という共通点以外は全然別物であった。なによりも、主人公を含めてキャラクターが本作の方がもっとわかりやすく、役者陣も豪華で、シリアスで暗い雰囲気のお話だった『DRIVE』よりもずっと明るい(?)空気感はあると思う。ラストも、アレは明確なハッピーエンドと言っていいだろうし。
 本作は、その物語というよりもキャラクターがすべてなので、軽くキャラ紹介をしつつ役者のこともまとめておこう。以下、結末に至る完全なネタバレを含むと思うので、気になる人は読まないでください。
 ◆ベイビー:演じたのはAnsel Elgort君23歳。彼の映画デビュー作はリメイク版『Carrie』なんですな。わたしは『Divergent』も観たし『The Fault in our Stars(邦題:きっと星のせいじゃない。US版セカチュー的な難病ものラノベ)』も観たので、良く知った顔であるが、彼はイケメンと言っていいのか実に微妙な感じであろう。Ansel君は、とにかく肌がつるっとしていて、若いというか、まさしくBABYな感じがあふれていて、本作のキャラにぴったりだったと思う。もちろん本作の”ベイビー”という名はあだ名(?)で、本名は一番ラストにチラッと出て来るけど忘れました。作中で何歳という設定であったのか、不明。オープニングアクションの、赤いSUBARU WRXをかっ飛ばすシーンはすごい迫力であった(ま、Ansel君自身が運転しているわけじゃないですが)。本作では、まだまだガキ、ということで、犯罪にはもちろん積極的にかかわりたくないし、殺人なんて、と思ってはいるものの、一目ぼれした女子のためなら犯罪者まっしぐらな道を決断も下すあたりは実にお子様なキャラであろうと思う。いつも人の話を録音していて、その音源からオリジナルの歌を作るのが趣味、というのが変というか面白い。しかし、本作はほぼ全編アトランタで撮影しているようなのだが、アトランタって、一応US国内では大都市だろうに、あんなに簡単に大金強奪の強盗が発生するもんなのかなあ? そのあたりの感覚は正直良く分からんす。つーか、やっぱり銃は規制されるべきでしょうな。まずはそこからUS市民は考えてほしいものだ。
 ◆ドク:組織のボス。演じたのはオスカー俳優Kevin Spacey氏58歳。いつも通りの貫禄たっぷりなボスで、警察すらも子飼いにしているような影響力を持っているらしい。だったら強盗なんてちゃちな犯罪を指揮しなくてもいいのでは……という気もする。いずれにせよ、ベイビーとの約束をあっさり反故にするような冷徹なBADGUYであると同時に、どうもベイビーをホントに可愛がっているかのようなGOODGUY的雰囲気もあって、Kevin氏の持つ、イイ人っぽくて悪い人、あるいは悪い人っぽくていい人、という雰囲気にぴったりであったと思う。
 ◆バッツ:演じたのはこれまたオスカー俳優Jamie Foxx氏49歳。やっぱりこの人の演技は上手いんだよなあ……完全に役者としての格が上というか、まあ貫禄と余裕たっぷりな演技ぶりで、殺人を平気で犯すような、キレててイカレた男として、ベイビー君を威圧しまくっていたと思う。まさかあんな最期を迎えるとは……というある種あっけない退場となる。ラストは彼が最後までベイビー君を追い詰めるような展開かと思ってたら全然違ってました。
 ◆バディ:演じたのはJon Hamm氏46歳。ベイビー君とは何度か仕事をしたことがあるらしく、最初からベイビー君の腕を信頼している男。インテリ風で、結構ベイビー君をかばうような言動もあって、イイ奴かと思ってたら……この恨み晴らさでおくべきかと最期までベイビー君を追う執念を見せる。Hamm氏に関しては、わたしが過去に観た中では、結構多くの作品でちらほら出ていたみたいだけど、ほぼ覚えにない。どうもTVの方の活躍の方が有名みたいすね。おっさんだけどなかなかのイケメンでしょうな。若干、Jean Reno氏風なチョイ悪オヤジ的な風貌です。
 ◆ダーリン:演じたのはEiza González嬢27歳。大変お綺麗なメキシコ美女。歌手活動もされている方のようだが、わたしは全然知らない方であった。本作のダーリンというキャラは、バディの彼女で、常にバディといちゃついている設定で、やっぱりベイビー君の腕を信頼して、時にはベイビー君をちょっとからかうような、セクシーなお姉さん、という感じだったので、この女子もイイ人かと思いきや、いざとなれば警官に向かってバンバン銃を撃つおっかないお姉さんでした。
 ◆グリフ:演じたのはJohn Bernthal氏40歳。この人は、TVの『WALKING DEAD』が一番有名かな。あとNetflixでのマーベルヒーロー『THE PUNISHER』のお方ですな。映画では、結構な数の作品にちらほら出てますね。本作では、ベイビー君が気に入らなくて何かといちゃもんをつけてくる男として出演。あまり大した役ではないです。
 ◆デボラ:演じたのはLily James嬢28歳。ダイナーの制服がウルトラ似合っていて可愛い! ベイビー君との運命的な出会い(?)で事件に巻き込まれていく女子を好演。2015年の『Cinderella』でも大変可愛かったですが、本作のデボラ役も大変良かったと思います。
 とまあ、メインキャストとメインキャラは以上かな。最期に監督のことを書いて終わりにしよう。本作の監督は、何かと話題(?)のEdger Wright氏43歳。わたしは、恥ずかしながらこの監督の作品を一度も観たことがなく、話題となったデビュー作『Shaun of the Dead』も見損なったったままである。わたしにとって彼の名前は、わたしの大好きなMCU作品『ANT-MAN』の監督を途中で降板した男としての方がお馴染みだ。前々から、この監督が撮った作品を観たいと思っていたので、今回ようやくそれが叶ったわけだが……確かに、オープニングアクションが終わったのちの、ベイビー君が軽やかに街をふらふらしながらコーヒーを買って帰る、という5分近い(?)長回し一発撮りは凄かったと思う。わたしはそのシーンを観て、なるほど、Edger Wrightとはこういう腕の立つ監督なんだな、と初めて認識した。ずっと前から、わたしはこの監督がわたしの愛するAnna Kendrickちゃんの元カレだということだけで、大嫌いだったのだが、本作を観て、なるほど、監督としては……認めたくはないが腕は確かなようだな、と思った。本作は、どうも上手く説明できないのだが、ガンガンに響くロックサウンドがキャッチ―なのかな、とにかく、どことなくシャレオツ感があって、本来のわたしなら好きになれないような空気感が若干漂っているのだが、意外とまっとうなエンディングはハッピーエンドと言えるだろうし、なにより、ベイビー君のある意味まっすぐな正義感というか、まっとうな行動に敬意を表して、面白かったと絶賛することとしたい。

 というわけで、結論。
 昨日から公開となった『BABY DRIVER』を観たいと思ったら意外と公開規模が小さく、仕方ないので車をぶっ飛ばして郊外のシネコンへ観に行ってきたのだが、わたしとにとって初めてのEdger Wright監督作品は、積極的に認めたくないけれど、大変面白かった。最初は、きっと『DRIVE』を音楽に合わせて軽くした映画でしょ、とか思っていたのだが、なかなかどうして、キャラクターは大変良く描けているし、ちょいちょい現れる長回しもなかなかお見事で、完成度はかなり高いと思う。というわけで、この映画は大変おススメです。近所で上映していないところも多いと思うけれど、これは劇場で観る価値のある映画だったと思う。以上。

↓ こちらは、とにかく主人公が超寡黙でセリフが超少なく、超COOLです。そして後半かなりのヴァイオレンス展開もあって、初めて観たときは北野武作品に似ていると感じました。こちらも大変面白いです。

 たぶん、わたしの記憶によれば、わたしが平原綾香ちゃん(以下、あーやと略)をかわいい、と初めて思ったのは、2008年にCXで放送されたドラマ『風のガーデン』であったと思う。あーやちゃんは、ご存知の通り2003年に「Jupiter」でデビューして、その頃はすでにもう知名度は上がっていたはずだが、わたしはあーやちゃんに対してほぼノーチェックで、2008年の『風のガーデン』というドラマにチラッと出演しつつ、その主題歌を歌っている姿を観て、初めてわたしは、おっと、ちょっと可愛いんじゃね? と思ったのである。
 そのドラマは、中井貴一氏が主役で、東京の医者の役だったのだが、末期がんであることが判明して、倉本聰氏による脚本ということで舞台は東京から故郷(?)の富良野に移り住む。そして最終的には富良野で静かに亡くなる、というかなり泣ける物語であったが、あーやちゃんは主人公の東京での恋人(?愛人というべきか?)で無名の歌手、という設定で、最終回に、主人公を偲んで主題歌の「カンパニュラの恋」を切々と歌うシーンが素晴らしくて、わたしはもうやけに感動してしまったのである。歌声が素晴らしいのは世に知られている通りだが、とにかく、一筋流す涙に、わたしは完全ノックアウトされたのだった。
 以降、わたしはあーやちゃんをずっと気にしていて、コンサートに行ったことはないけれど、車ではCDをよく聞いていたのだが、まあ、実際それっきりであった。しかし、わたしは2015年に、再びあーやちゃんに大注目することになったのである。それは、わたしの大好きな作品『The Sound of Music』の制作50周年記念として発売されたBlu-rayにおいて、マリア先生の日本語音声版をあーやちゃんが演じたのである。これがもう、超魅力的で、歌はもちろん、演技ぶりも実に素晴らしく、これはすごい、やっぱりあーやちゃんは大変な才能ある人だ、という認識を深めたのであった。
 そして。ミュージカル好きのわたしとしては、その見事なマリア先生ぶりから、いっそ、あーやちゃんはミュージカルに進出すればいいのに、と思っていたのだが、実はすでに2014年の段階で『Love Never Die』に出演されており、まったく気が付かなかったわたしは当然観ておらず、うおお、マジかよ、抜かってた!と自らのボンクラぶりに失望していたのである。
 しかし。そんなわたしの願いをかなえてくれる、あーやちゃん主演のミュージカルが7月から帝劇で始まっており、わたしはもう3月ぐらいだったかな、チケットも早々に入手し、今日、ミュージカルの聖地たる帝劇へ推参した次第である。そのタイトルは『Beautiful~The Carole King Musical』。本場Broadwayでは2014年から今もなお上演されている、アメリカ音楽界のレジェンドともいうべきCarole King女史の伝記的ミュージカルである。
 そしてもう結論を言うが、あーやちゃんの圧倒的な歌唱力と、可愛らしい演技でわたしはもう大感動&大興奮&大満足となったのである。マジ最高でした!
Beautiful_02
 ↑帝劇では絶賛上演中だが、来週でもう終わってしまいます。
 ↓そして、上の写真、下の写真でもわかる通り、主役のキャロルは、あーやちゃんと、声優として、そしてシンガーとして大人気の水樹奈々嬢のダブルキャストである。
Beautiful_01
 わたしはあーやちゃんが観たくて観に行ったので、水樹奈々嬢Ver.は観ていないわけだが、動画が公開されている二人のパフォーマンスを観ると、相当の違いがあって、歌い方や声など、ある意味全然違う個性があって、水樹奈々嬢Ver.も観に行けばよかったと超今さら深く後悔している。実際のところ、ラスト1週間もまだ平日の昼の回とかならチケット買えるようだが……ちょっと無理だなあ……残念ながら。しかし、あーやちゃんには申し訳ないのだが、チケットの売れ行きはどうやら水樹嬢の回の方が売れているような印象を受けた。まあ、大人気声優だし、さもありなん、とは思うし、そもそもお二人を比べるつもりもないけれど、わたしとしては今日観たあーやちゃんVerは大満足であった。

 ↑こんな感じに、結構違いがあって、ホント両Ver.観に行けばよかったよ……まあ、もはや超今さらなのでどうしようもない。
 で。物語は、Carole King女史のサクセスを追ったものとわたしは思っていたのだが、実際にはそう単純なものではなく、夫となる男との出会いや、出産、大ヒットを飛ばすサクセスの後に訪れる別れ、そして良きライバルとしてしのぎを削った人々との交流などが丁寧に描かれ、大変見応えがあった。もちろん、全編Carole女史の名曲のオンパレードである。
 パンフレットによると、特定のアーティストが手掛けた楽曲でミュージカル・ナンバーを構成する作品を「ジュークボックス・ミュージカル」というのだそうだ。例えば『マンマ・ミーア!』はご存知ABBAの曲だけだし、『ジャージー・ボーイズ』はフランキー・ヴァリの曲で構成されていることは、映画版しか見ていないわたしでも知っての通りで、ああ、なるほど、ジュークボックスか、と納得である。で、こういったジュークボックス・ミュージカルは2系統あるそうで、『マンマ・ミーア!』タイプは「物語型」で、オリジナルの物語に上手く既成曲をあてはめているものを指し、もう一つは「伝記型」で、『ジャージー・ボーイズ』や本作『Beautiful』のように、主人公はそのアーティスト本人で、その人の人生を楽曲で綴るという形になっている。
 正直に告白すると、わたしはCarole King女史といえば、いわゆるシンガー・ソングライターの草分け的なお方だと思っていたのだが、本作を観てそれが全然間違いであることを初めて知った。彼女は、もともとソングライター(作曲担当)であって、自分では歌わない人だったんですね。そして詩は旦那が書いていたんですな。つまり、顔出しはしない、言ってみれば普通の主婦、だったんですな。さらに言うとその夫婦でソングライターをしていた時代の作品が、さまざまな有名な曲として大ヒットしていたんですな。しかし、その後、旦那との悲しいすれ違いの末に離婚を経験し、住み慣れたNYCブルックリンを離れて西海岸LAに引っ越し、そこから初めて、自分で歌うようになったんですね。そうだったんだなあ。全然知らなかったす。
 わたしが今日観て、非常に素晴らしいと感じたのは、あーやちゃんによる演技は、「普通の主婦」という人物像が見事に反映されている点で、確かにその才能は全く普通の人ではないけれど、子を育て、服もメイクも全く普通の女性である、という点にとても興味を持った。
 失礼ながら、あーやちゃんの、健康的な(わたし好みの若干むっちり目な)体つきも、その「普通」な人を表現するのに一役買っているような気がする。たぶん、素のあーやちゃんにもし街で出会ったら、その纏う「普通じゃない」オーラに圧倒されることになるのだろうと想像するが、本作ではそのオーラを封印し、実に「普通」で、実に見事だとわたしは感じた。この点は、かわいくてほっそりして、オーラがバリバリな水樹嬢がどう演じたのか非常に興味があるところだ。キャロルという人物は、ある意味天才タイプだと思うけれど、天才アーティストにありがちな、エキセントリックな行動もないし、まったくの常識人だし、その才能が稼ぎ出したであろう財産も別に浪費することもなく、ひけらかすこともなく、いたって「普通の人」なのだ。なので、正直物語が生まれようがないというか、ヤマ場が作りにくいようにも思う。だけど、そんな普通の女性が、夫との別れを経て、複数の曲を物語として、「アルバム」を出したい!と思うに至る流れは非常に感情移入できるもので、実際とても引き込まれたし、ラスト、とうとうカーネギーホールでのコンサートに至るラストは、観ていて、ホントに良かったね、と心から応援したくなるような爽快感があった。そして何より、あーやちゃんのソウルフルな力強い歌声がもう、ハートに突き刺さりますね。いやあ、本当に素晴らしかったよ。まさしくブラボー! でありました。
 そんなあーやちゃんを支える、5人のキャストを紹介しておこう。
 まず、旦那であるジェリーを演じたのが、伊礼彼方氏。わたしにとって彼は『ミュージカル・テニスの王子様』における六角中の佐伯さんですよ。彼の「一つやり残したことがあってね~」という歌がわたしはかなり好きでしたなあ。もう10年ぐらい前の、わたしが初めて生で観た比嘉中戦でしたな。今やすっかり日本ミュージカル界において様々な役を演じる実力派だけれど、あれから、伊礼氏もずっと鍛錬を重ねていたんだなあと非常に感慨深いです。今回の役は、精神を病んでしまう非常に難しい役だと思うけれど、大変カッコ良かったすね。もっと歌ってもらいたかったなあ。
 そしてCarole女史のライバルとして登場するバリーとシンシアのペアを演じたのが、中川晃教氏とソニンちゃんだ。二人とも、日本ミュージカル界ではおなじみの実力者ですな。中川氏の特徴であるファルセットは炸裂しまくるし、ソニンちゃんも本当に上手い。この二人は、Carole女史のライバルソングライターチームなのだが、決して足を引っ張りあうようなことはなく、常に切磋琢磨し、時に悩みの相談をお互いするような、美しい関係で、とても善良な二人であった。笑わせてくれるようなコメディ・リリーフの役割もあって、大変笑わせてもらいました。二人の歌・演技ともに素晴らしかったと絶賛したい。
 全然関係ないことだが、わたしは、常々、楽器が弾けたらカッコいいだろうなあ……とモテない男として妄想していたけれど、ミュージカルを観るようになってからは、ひょっとしたら楽器が弾けるよりも、歌がうまい方がカッコイイのではないだろうか? と思うようになった。どうすればあんなにカッコ良く歌えるようになるんだろう……訓練あるのみ、だろうけど、一体全体、何をどう訓練すればいいんだろうか……。どっかに教わりに行くしかないすかねえ。
 話がそれた。あと二人。Carole女史の才能を買い、何かと面倒を見てくれるレコード会社の社長ドニーを武田真治氏が、そしてCarole女史のお母さんを元宝塚TOPスター剣幸さんがそれぞれ演じていた。二人ともほぼ歌わないのだが、ドニーのキャラは大変良かったですなあ。こういうお話にありがちな、強欲な社長では全然なく、これがまた超善人だし。そしてお母さんは元々Carole女史を教職につけたくて、音楽の道に進むことを反対していたのに、ラストのカーネギーでのコンサート前には、あたしが歌を教えたのよ、この子ったら教師になるなんて言ってたのに、と調子のいいことをさらっと言っていて、まあそこは大変笑わせてもらいました。
 しかし、カーテンコールでぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを全身で表すあーやちゃんは本当に可愛い女子だなあ、とわたしのあーや株はもう急上昇である。いや、この娘はかわいい! と思いを深めるわたしであった。本当に素晴らしかったよ。


 というわけで、もう結論。
 今日、帝劇にて絶賛上演中の『Beautiful~The Carole King Musical』を平原綾香さんVer.で観てきたのだが、まあとにかく大興奮であった。あーやちゃんの歌はホントに凄い。どうすればあんなに歌えるんだろうか? ちょっと想像がつかない。そして、あーやちゃんの演技も実にお見事で、わたしはCarole Kingという人がこんなに普通な女性であることを初めて知った。あーやちゃんは何というか……その声も可愛いし、その体つきも実に普通というか……なんか、人工的じゃないんですよね。無理にダイエットして作り上げた体じゃないというか、実に女性らしいラインで、大変魅力的だと思う。要するに、今日わたしは再び、平原綾香という女性にぞっこんとなったのである。また、ぜひともミュージカルに出演していただきたいと思う。その才能は、本物ですよ。まさしくビューティフル! とにかく、最高でした。以上。

↓ ホント、なんでオレはドレミの歌でこんなにも胸にジーンとくるんだ? というぐらい、平原綾香嬢の吹き替えは素晴らしいと思います。こちらも超必見ですよ!
サウンド・オブ・ミュージック 製作50周年記念版 ブルーレイ(3枚組) [Blu-ray]
ジュリー・アンドリュース
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2015-05-02

 このところ、WOWOWで録画した映画を全然観てねえなあ、ということに、ふと、昨日の夜気が付いた。まあ、実はここ数カ月、録画してから観たものの、イマイチな作品が多くて、このBlogに備忘録を記すまでもあるまい、と思った作品は何本か観ているのだが、特にこの1カ月ぐらいは、全然観ていない。恐らく、わたしの部屋がクソ暑くて、おまけにわたしが使っているTVが2008年に買った42インチのプラズマテレビであるためなのか、夏はどうもTVがクソ熱くなってさらに室温があがっているのでは? という疑惑があるため、暑い夏の夜に部屋でぼんやり2時間、クソ熱くなるプラズマTVを付けて、映画を観よう、という気にならんのが、現在のわたしの状況であった。どうでもいいけれど、今はもうプラズマってもう絶滅したんだろうか? とにかく、画面が熱いんすよね……。熱ッツ!というほどではないけれど、温かいと表現するより熱いと言うべきな程の発熱をするので、大変困る。
 しかし、昨日は、若干涼しかったし、こんな時間に寝ちまったらもう老人だよ……という時間だったので、そういう何もすることがない、けど寝るには早すぎる、という深い絶望と孤独と虚無に囚われたため、とりあえずHDDデッキを起動、どんなの録画して、まだ観てないんだっけ……と録画リストを眺めてみた。すると、おお、この作品は劇場で観たかったけど公開スクリーン数が少なくて見逃してたんだよなー、という、わたし好みのB級くさい作品がいくつか録画されていた。まあ、録画予約したのはわたし自身だが、そんなことは完璧忘れており、その中から昨日は、『SELF/LESS』(邦題:セルフレス/覚醒した記憶)という作品を観てみることにした。まあ、結論から言うと、アイディアは、今までもこういう作品はあったかもしれないけれど、十分面白い、けど、やっぱりちょっと微妙かなあ、という感想を持つに至ったのである。ちなみに調べてみると、US興行では全然売れず、評価もかなり低い残念ムービーと判定されているようである。

 物語はだいたい上記予告で示されている通りである。主人公はNYCの不動産王。しかしガンに蝕まれており、余命は幾ばくも無い。そんな彼の前に、別人の肉体に記憶を植え替える謎技術を持つ集団が現れる。そして新たな若い肉体を得た主人公だったが、徐々にその肉体は「元の記憶」を取り戻し始め―――てなお話である。
 こういった、姿と中身が別人、という映画は結構今までもあると思うが、わたしが真っ先に思い出したのは、ニコ様でお馴染みのNicolas Cage氏最高傑作とわたしが認定している『FACE/OFF』だ。あの作品はニコ様最高傑作であると同時に、John Woo監督最高傑作だとわたしは思うぐらい、大好きな作品だが、凶悪犯が仕掛けた爆弾のありかを探るために、凶悪犯の姿形に整形手術をして捜査するというトンデモストーリーで、まあ、何度観ても面白い娯楽活劇であることは間違いなかろう。
 というわけで、わたしは本作も、派手な娯楽アクションだろう、と勝手に思い込んで視聴を開始したのだが、その趣はだいぶ違っていて、SF……うーん、SFだろうけど、なんと言えばいいのか……まあ要するに、キャラクターに感情移入しにくい微妙なお話であったのである。どう微妙に思ったか、各キャラを紹介しながらまとめてみようと思う。以下、完全ネタバレ満載になるはずなので、気になる方は読まないでください。
 ◆主人公ダミアン:演じたのは、ガンジーでお馴染みのSir Ben Kingsley氏。演技自体は極めて上質なのは間違いない。NYCで不動産王として財を成したが、娘はそんな仕事一徹の父に反発して出て行ってしまい、しがない(としか言いようがない)NPOを主宰している。ダミアンとしては、死が迫る中、娘と和解したいのだが、娘は全く相手をしてくれず、実にしょんぼり。わたしは観ていて、この娘に対してまったく好感をもてなかった(そもそもあまり可愛くない)。そして、そんな「やり残したこと(=娘との和解)がある」といった思いを抱くダミアンは、とあるルートから聞いた「脱皮(=Shedding)」技術を用いて若き肉体を手に入れる。なのでSir Kingsleyの出番はそこまで。そこからは、若い肉体としてのダミアンをDEADPOOLでお馴染みのRyan Reynolds氏が演じる。
 問題は、まず、ダミアンはその若き肉体がどのように提供されたのか知らない点で、誰がどう考えたって、どっかの男が死んだか、(自らの意志で)金で提供したか、(自らの意志によらず)無理矢理ドナーとされてしまったか、どれかであろうことは想像がつくはずだ(とあるキャラは、クローン培養または試験管受精で培養された素体だと信じていた。そんなバカな!)。要するに、その提供された肉体には、その元の「記憶」はなくても「過去」があるのは当然で、遺族とか、その「過去」を知る人間がいるだろうことは、容易に想像がつく。
 わたしは、ダミアンはそれを承知で「脱皮」技術を受け入れたんだろう、と思っていたのだが、どうもそうではないようで、新たな肉体に宿る「過去」のフラッシュバックを見るようになってから、初めて、あ、元のこの体の持ち主にも奥さんや娘がいたのか、と知って動揺するのである。いやいやいや、そりゃそういうこともあり得るでしょうよ、今さら何言ってんの? とわたしはその時点で大分白けてしまったような気がする。そもそも、肉体を提供した男は、娘の難病治療のためにどうしても金が欲しくて、自らの命と引き換えに金を得た男である。覚悟は完了していたはずだ。そして妻は夫が死んだことしか知らず、その保険金と思って得た金で、娘はすっかり元気になって、新たな生活を始めていたんだから、いまさら夫の姿をした(中身はダミアンの)男が妻と娘の前に現れても、混乱を引き起こすだけで何の意味もないんじゃないの? と心の冷たいわたしは観ながら感じたのである。つまり、ダミアン自身に覚悟が足りなかったわけだな、というわけで、ラストのダミアンの選択は実に美しく泣かせる決断なのかもしれないけれど、わたしとしては、ううーーーむ……と素直には感動? できなかったす。
 わたしだったら、そうだなあ、例えばダミアンは、自ら隠した遺産目当ての連中(例えば実の息子でもいい)によって無理矢理に、事故かなんかで亡くなった若い男の体に転生させられてしまって、その遺産争奪バトルが勃発、一方では、事故で夫を亡くした未亡人と再会し(あるいはバカ息子の彼女でもいい)、よろしくやる、的な展開を考えるかなあ……はっ!? いかん、全然面白そうじゃない! ダメだ、わたしの才能ではどうすれば面白くなったか、対案が出せん……。とにかく、他人の体に記憶を植える、中身と体が別人、というアイディア自体は大変面白いけれど、どうもノれなかったす。
 ◆元の肉体の持ち主、の妻と娘:まず、妻を演じたのはNatalie Martinez嬢という方だが、知らないなあ……一応、わたしが大好きなJason Statham兄貴の『DEATH RACE』のヒロインを演じた人みたいだけど憶えてない……。そして今回のキャラとしては、とにかく主人公の話をまともに聞こうとしないでギャーギャーいうだけだったような……そりゃあ、混乱してそうなるだろうとは理解できるけれど、ほとんど物語に何の寄与もしない。そして主人公がこの妻に対してやけに同情的なのも、「娘を持つ親」という共通点ぐらいで、どうもスッキリしなかった。なにより、妻も娘も、ビジュアル的にあまりかわいくないというか……サーセン、これはわたしの趣味じゃないってだけの話ですので割愛。
 ◆謎組織の謎技術:まず組織の長であるオルブライトを演じたのが、Matthew Goode氏で、わたしは彼の特徴のあるシルエット(体形?)で、一発で、あ、この人、あの人だ! と分かった。そう、彼は、わたしのオールタイム・ベストに入る超傑作『WATCHMEN』のオジマンディアスを演じたお方ですよ。妙にひょろっとしていて、やけに背が高く、顔が小さいという特徴あるお方ですな。このオルブライトというキャラは、作中では一番ブレがなく、分かりやすかったと思う。実は彼こそが、この謎の「脱皮」技術の考案者の博士で、既に自身も弟子の若い研究者の体を乗っ取って(?)いたというのは、大変良い展開だと感じたけれど、一番のキモとなる、脱皮者が元の記憶を消すために服用し続けなければならない薬、のレシピが結構あっさりばれてしまうのは、ちょっと脚本的にいただけなかったのではなかろうか。あの薬は、主人公にとっていわば「人質」であったわけで、主人公としてはどうしてもオルブライトの支配から抜け出せない状態に置かれる鍵だったのだから、あの扱いは大変もったいないと感じた。あんな薬のレシピなんて、化学的に解明される必要はぜんぜんなく、そもそも「脱皮」自体が謎技術なんだから、薬だけちゃんと解明されるのは実に変だと思う。
 とまあ、どうやらわたしが本作を微妙だと感じたのは、1)女性キャストが可愛くない(→これは完全なわたしの言いがかりなのでごめんなさい) 2)主人公ダミアンの思考がイマイチ甘い 3)キモとなる薬が意外と現実的で世界観から浮いている。といった点から来ているのではないかと思われる。
 ただ、元の主人公ダミアンを演じたSir Kingsley氏や、若い肉体となったダミアンを演じたRyan Reynolds氏の演技ぶりは大変良くて、その点においてはまったく不満はなく、素晴らしかったと称賛したいと思う。脚本がなあ……イマイチだったすねえ……。なお、監督はインド人のTarsem Singh氏というお方で、『The Cell』で名声を挙げた監督のようです。この監督の作品でわたしが過去に観たのはその『The Cell』と『Immortals』ぐらいかな……本作においては、その演出に関してはとりわけここはすごいと思うところはなかったけれど、謎装置のセットや、あと衣装かな、そういった美術面のセンスは大変イイものをお持ちだとお見受けしました。画はスタイリッシュだと思います。

 というわけで、もう結論。
 劇場公開時にスクリーン数が少なくて見逃していた『SELF/LESS』という映画がWOWOWで放送されたので、録画して観てみたところ、まあ、結論としてはWOWOWで十分だったかな、という微妙作であった。他人の体に人格を移すというアイディアは大変面白いのだが、どうも……焦点はその元の体の持ち主の記憶、の方に寄っていて、しかもその記憶は別に特別なものではなく、普通の男の記憶であって、記憶自体ではなく、その記憶を見た主人公がどう行動するか、という点に重点が置かれている、と説明が難しいというか、軸がぶれているというか、とにかく微妙、であった。でもまあ、実際予告を見た時に気になっていたので、観ることができて大変良かったと存じます。主役のSir KingsleyもRyan Reynolds氏も、芝居としては大変な熱演でありました。以上。

↓ やっぱり「入れ替わりモノ」としてはコイツが最高だと思います。
フェイス/オフ [Blu-ray]
ジョン・トラボルタ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2010-12-22

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、先週は合併号でお休みなのを全く気が付かず、大変失礼いたしました。というわけで2週間ぶりの『鮫島』なのですが、今週は静かに、そして重く、ずっしり来る展開ですので、冷静に、そして手短にまとめようと存じます。
 まずは、今週の週刊少年チャンピオン2017年38号概況です。
 ■巻頭グラビア:TVドラマ「弱虫ペダル」より坂道くん役の小越勇輝氏でした。
 ■弱虫ペダル:猛攻の巻。箱学の猛攻にさらされる総北、そしてその背後には京伏が!的な展開です。まあ、そうなりますわな。常識的に考えて。
 ■刃牙道:驚嘆の巻。ついに花山君まで……鎬先生、助けてくれ―――!
 ■BEASTERS:コントラストで支配せよの巻。ジュノちゃんの猛攻すね。
 ■囚人リク:犠牲の巻。ふざけんなジジイ!てめえもだよ!の2連発が最高です!
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:九十九血鬼夜行作物語の巻。相変わらず畳みかけるギャグのキレ味が素晴らしいすね。オチも最高でしたw
 ■AIの遺電子:旅立ちの巻。リサちゃんの健気さが泣けますなあ……。
 ■少年ラケット:いよいよ試合も大詰め、イチロー君はさらなる進化を遂げそうです。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて、それではさっそく今週の『鮫島』ニュースをお伝えいたします。
 前回は、数年前(?)に【天雷】との一番を控えた当日、前日ヤマ行っちまった鯉太郎に、親方である【仁王】兄貴が、「どうすんだ?」と問い、それでも出場を強行しようとする鯉太郎に、そんな状態で【天雷】と戦っても意味がない、ということを身をもって分からせる展開でありましたが、それでも出たいという鯉太郎に、これだけ言ってもわからねえのかこのガキャア、という鬼の表情の【仁王】兄貴で終わりました。今週はその続きからです。結論から言うと、わたしはもう、この事態を収めるには吽形さんあたりに登場してもらわないとダメなんじゃなかろうか、と思いましたが、意外と鯉太郎はあっさり、強行出場の思いを断ち切りました。
 いや、あっさりじゃないか。鯉太郎が出場をあきらめたのは、【仁王】兄貴の泣かせる説得があったからです! 兄貴は部屋の土俵にどっかと胡坐をかいて、鯉太郎に、いや、弟子全員に言います。7ページにわたる長いセリフですが、カッコ良すぎるので以下ポイント部分を引用します。
 「いいか…よく聞け…テメーは柴犬だ 柴犬が土佐犬相手に戦えば たとえ気力じゃ負けなくても体はどんどん削れズタボロになる…テメーの力士寿命は 短いだろう だがよ…だからって俺はテメーに小手先の相撲は取らせたくねぇし 取れるとも思っちゃいねえ…小せえナリで魂むき出しで真っ向から土佐犬に向かって行けるのが テメーの強さでもあるからな…(略) 俺の続きは…テメーらに託したからよ…だからその体は テメーらだけのものだと思うな…これからも今まで通り土俵で暴れ回ればいい…だが無茶はさせねえ…これ以上は無理だと俺が判断したら テメーらにどんなに恨まれようが ブッ殺してでも止める 手遅れに なる前によ…テメーらには一場所でも…一番でも…長く土俵に立たせてやりてえからよ…分かったか…チンコ虫どもが…」
 もうですね、この7ページの間に描かれる兄貴の表情、そして聞いているみんなの表情は是非、チャンピオンを買ってご覧いただきたいです。最後はもう【白水】兄貴は泣いてますよ。そしてこんな風に言われたら、弟子たちはみな、声をそろえて「はい!」というしかないじゃあないですか。親方……しゃべりが上手くできねえなんて真琴姉ちゃんに相談してましたが、なんのなんの、立派じゃあないですか!
 そして描写は現在時制、【天雷】との一番を控えた11日目の朝に戻ります。現在時制では、前日のVS【百雲】戦で肩を痛めた常松が、親方に「どうすんだ?」を喰らって休場を決意したところでした。豆助は、うちのオッカネー兄弟子たちを従わせるんだから、やっぱスゲーなうちの親方は、なんて言いますが、大吉はそれは違う、従うんじゃなくて、慕ってるんだ、と訂正を入れます。
「一見ガサツで乱暴に見えるけど 誰よりも僕たちを見ていてくれるんだ…弟子たちに自信をもって土俵に立てるように…」大吉よ、お前も本当に成長したのう。あのダメ人間だった大吉が、今やこんな風に常に声をかけます。
「悔しいだろうけど 今場所は治療に専念しよう 常ちゃん…」大吉ももう、空流に欠かせない男ですよ。そして、そんなやり取りの中、鯉太郎が部屋の土俵に現れます。この時点(というか前回の時点)で、おかしい、と気が付かないといけなかったのですが、うかつなわたしは全然気が付きませんでした。何をかって? それは豆助セリフに現れています。
「珍しいっスね鯉太郎さん…いつもは一番に稽古場に出て体動かしてるのに…」
 !? そうだ、確かに、それは珍しいというかおかしいぞ!? 鯉太郎は答えます。
「ん? …あぁ……なんか深く眠っちまってな…」
 このリアクションに、親方は横目でギロリ、そして常は、激闘続きだったんだからしっかり眠れたのはいいことですよ…と反応。ちょっと待って、何か鯉太郎の体に異変が起きているのでしょうか!?
 そして今起きてきた鯉太郎は、常と親方のやり取りを知りませんので、常に聞きます。「おう常…今日出るのか?」「いえ、親方の「どうすんだ」が出ましたから…」「そうか…」
 そして常も大吉も、【白水】兄貴も、今日の鯉太郎VS【天雷】戦を応援バックアップする気満々です。そんなみんなの想いに応えて、鯉太郎は言います。
「あの時…親方が止めてくれてよかった…上手く言えねーけど 今場所は…今までになかった手応え…みてーなものがあって…日を追うごとに 取組を重ねるごとに…今まで感じたことのねえ にいってるような感覚があって…今までにない最高が…今日もまた待ってるような気がするんだ…」
 そして若竹部屋では、【天雷】が気合十分で朝げいこ中です。4人の若い衆に押させても、押し返す【天雷】。むしろ物足りないと、2人の若手を追加発注です。若竹部屋の親方も、その充実した【天雷】の状態に、過去最高のコンディションであるとゾクゾクしています。
「お前にとって鮫島は そこまでの存在なんだな…どうなる…これで鮫島を前にしたら…計り知れん…」
 というわけで、【天雷】の状態は完全に仕上がっており、すさまじい一番になることはもう火を見るより明らかでしょう。しかし今週ラストは、四股を踏む鯉太郎の絵とともに、こんな謎のナレーションで終わりました。
「そして……鯉太郎にある異変が起こるのである」
 ちょっと待って! ある異変とは一体ーーー!!? はーーー……ヤバいすねえ……わたしがとっさに思ったのは2つの方向性で、一つはまず、体の状態のこと。巨人の星的に言えば「破滅の音」が近づいているということですが、もう一つは、四股を踏む足のアップがあったので、かつて新弟子時代の【泡影】をして「難解だな…」と言わしめた「四股」を鯉太郎は極めつつあるのではないか、というものです。
 まあ、どちらだとしてもまさしく「終わりの始まり」なわけで、これはもうホントに、ドキドキが収まりませんなあ。まだ千秋楽まで【天雷】戦を含めて5番もあるのに、最後の戦いのような熱量ですね。大丈夫なのか……いや、まったく大丈夫じゃあないですなあ……これは。ああ、今週こそ短くまとめようとしたのに、やっぱダメでした。サーセン……。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【田上】番付不明※王虎の付け人をやってる模様。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週の『鮫島』は、どうやら「終わりの始まり」といった感のあるお話で、いよいよ11日目VS【天雷】戦を前にした空流部屋の朝の様子の続きが描かれました。親方がどういう想いをもって「どうすんだ?」を告げるのかはよーく分かりましたが、今のところ、まだ鯉太郎には親方の「どうすんだ?」は発令されていません。しかし、どうも普段の鯉太郎とは違う様子に、わたしとしてはいろいろな不安がよぎります。そして一方の【天雷】は心身ともに過去最高のコンディションで11日目の朝を迎えました。果たして二人の戦いは―――!! というわけで、今後も目が離せません! はーーー本当にこの先を読むのが怖いすねえ……しかしそれでも、鯉太郎の行く末を、最後まで応援したいと存じます。以上。

↓ わたしは宝塚歌劇やミュージカルが大好きなんですが、『ロミオとジュリエット』に「僕は怖い」という歌がありまして、今週号を読んでいる時、なんかずっと頭の中でその曲がかかってました。「待ち受ける何かは 明るい夜明けじゃない いつか来る終わりが 僕には見えるんだ 僕は怖い 何かの終わりが始まっている」的な歌詞で、非常にグッときます……!

 わたしが宝塚歌劇を初めて観たのが2010年2月の星組公演で、以来すっかりハマり星組を一番応援しているわけだが、2回目に観た宝塚歌劇が同年6月の月組公演『スカーレット・ピンパーネル』であったことは、このBlogでも何度も書いているので、賢明なる読者の方にはお馴染みだろう。その頃の月組は、霧矢大夢さんがTOPになったばかりであり、その下に龍真咲さん(通称:まさお)と明日海りおさん(通称:みりお)のお二人がダブル2番手として活躍されていたことはヅカファンなら周知の事実だ。世にいう「まさ・みり」時代である。このお二人は、この頃ほとんどいつも役替わりで、同格扱い?だったように思うが、学年が2つ上のまさお(87期)の方が、実力も人気も、みりおちゃん(89期)にまさっていたような気がする。まさおはその後2012年に月組TOPに就任し、去年の9月に退団して今やすっかり女子力をUPさせて可愛い美人シンガーとなっているが、わたしは、最初に観た『スカーレット・ピンパーネル』が、たまたま、みりおショーヴランの回だったこともあり、7年前から断然みりお派である。みりおちゃんはその後花組へ移動になり、2014年の宝塚100周年の年にTOPスターとなって、今なお花組を背負う現役最古参TOPスターとして活躍している。おそらく、わたしの審美眼によれば、みりおちゃんは現在の5組のそれぞれのTOPスターの中で一番の美貌の持ち主で、とにかくその小顔といい、そのビジュアルは最強であろう。実に美しいお方だ、と毎回わたしは見惚れるわけである。
 というわけで、わたしは昨日の夜、日比谷の東京宝塚劇場へ推参し、絶賛上演中の花組公演『邪馬台国の風/Santé!! ~最高級ワインをあなたに~』を観てきたのだが、結論から言うとみりおちゃんの美しさはますます磨きがかかっており、その美貌に敵なし、とうっとりすることになったのである。まあ、そりゃあもう大変なお美しさであった。

 ところで、ちょっと最初に余計な豆知識を付け加えておくと、現在の宝塚歌劇は、各TOPスターの卒業や新TOPスターのお披露目などが相次いでおり、かなり顔ぶれが変わりつつある。そこでまとめとして、各組の状況を自分用に簡単にまとめておこう。
TOPスター 娘役TOP
花組 明日海りお
(みりお:89期)
ビジュアル最強
仙名彩世
(ゆきちゃん:94期)
月組 珠城りょう
(たまきち:94期)
若きプリンス
愛希れいか
(ちゃぴ:95期)
元男役の最強プリンセス
雪組 望海風斗
(だいもん:89期)
最強歌ウマ
真彩希帆
(まあやちゃん:98期)
星組 紅ゆずる
(紅子先輩:88期)
最強コメディエンヌ
綺咲愛里
(あーちゃん:96期)
宙組 朝夏まなと
(まぁ様:88期)
→次の公演で退団
真風涼帆
(ゆりか:92期)
元・星組の御曹司
不在
→次期娘TOPとして
星風まどか
(まどかちゃん:100期!)
 なるほど、改めてまとめてみるとすっかり変わったなあ……。コンビの学年差も様々ですのう。月組のたまちゃぴの1コ違いが異例ってことか、やっぱり。なんでこんなまとめをしてみたかというと、今回の花組公演は仙名彩世さん(ゆきちゃん)の娘TOP就任1作目のお披露目であり、実はわたし、ゆきちゃんのことをあまりよく知らなかったからである。花組ファンの皆さんサーセン。ゆきちゃんというと、わたしの印象に残っているのは北翔海莉さん(みっちゃん)主演の『風の次郎吉』での「手妻の幸」かな、WOWOWの放送で観ましたが、大変可愛かったすねえ。
 で。まずは”古代ロマン”『邪馬台国の風』である。
 わたしとしては、ゆきちゃんのヒロインぶりを堪能することよりも、まあ花組を観る時はいつもそうなのだが、実はわたしの愛する星組から2012年に花組へ異動になった芹香斗亜さん(通称:キキちゃん)のことを注目することに重点を置いていた。キキちゃんは先日結構突然に宙組への異動人事が発令され、えっ!マジかよ!! と思っていたのである。わたしとしては、無事に2番手として活躍を続け、みりおの次はキキちゃんでいいんだよね? まさか柚香光さん(ゆずかれー)に抜かされるとか、ないよね? とドキドキしていたので、この人事にはホントしょんぼりしたけれど、考えてみると、次期宙組TOPが決定している真風涼帆さん(ゆりかちゃん)とは、お互い元星組で仲がいいし、確かにキキちゃんの長身は、宙組にすげえ合ってんじゃね? という気もするので、キキちゃんの花組生としての最後の大劇場公演(10月にACT公演があるのでそれが花組生ラスト)を見届けてくれるわ!という気持ちで、昨日は日比谷に推参したわけである。
 お話の方は、まあ、結構スピーディーな展開であれよあれよとお話が進むが、それでもわたしとしては十分楽しめた。古代の日本における、後に女王・卑弥呼となる少女と、一人の青年とのラブロマンスで、そりゃあもうみりおちゃんの美しさは抜群だし、やっぱりゆきちゃんも歌が上手いすね。なかなかお似合いだとお見受けした。そして肝心のキキちゃんも、2番手スターとして悪役をきっちりと、そして美しく演じ切り、ラストは若干あっけないけれど、キキちゃんの芝居・歌はさらに良くなっているじゃあないかと嬉しくなった。
 この公演でわたしがちょっと驚いたのは、全然予習していなかったから、に過ぎないのだけれど、専科から二人のベテランが参戦していて、そのお二人が登場した時は結構びっくりしてしまった。まずは先代・大巫女を演じた美穂圭子さんが完全に場を持って行くいつもの超美声で劇場を支配するシーンはすげえ、と思ったし、そしてさらにマギーさんでお馴染みの星条海斗さんが悪役サイドのボスとして登場した時は、おっと! マギーさんじゃないすか! とさらに驚いた。ちなみにこのお二人、ショーの方でも大活躍で、これほどショーで専科スターがバリバリに出てくるのは珍しいような気がした。ショーでの圭子さんの「愛の賛歌」は鳥肌モンですよ。ホントに、一人だけマイクのセッティングがおかしいんじゃね? と思うほど圧倒的な声量で、このお方の歌は毎回本当にすごいと思う。
 そして驚いたことがもう一つあって、わたしはですね、ゆずかれー君のファンの方には大変申し訳ないのだが……かれー君の方が美貌で人気も高い(たぶん)が故に、キキちゃん応援団としては、ちっ! とか思ってたわけです。確かに、かれー君の美しさは抜群だし、とにかくダンスのキレ、とりわけ指先までの美しさは悔しいけどキキちゃんより上か……でも芝居と歌はキキちゃんの方が上だもんね! とか思ってたわけです。それがあなた! なんだよ、かれー君の歌がすげえ進化してるじゃないですか! いやー、かれー君の歌が上手くなってて、それがわたしは実は一番驚いたことであった。
 そして、今回の公演のある意味本命である、ショー、”レビュー・ファンタスティーク”『Santé!! ~最高級ワインをあなたに~』で、わたしの驚きはさらに上増しされたのである!
sante
 オープニングの5人の美女! 特にキキちゃん! なんだよ、すっげえ美人じゃあないですか!!! わたしはキキちゃんの女装は(女性に女装というのもおかしな話だけど)初めて観ると思う。よく、年末のタカスペとかでなんちゃって女装をみるけれど、キキちゃんの女装は、わたしは初めてじゃないかなあ。そして、おっそろしく綺麗で美人であった。男のわたしとしては、キキちゃんは5人の中で一番きれいで可愛かったね。これは単にわたしの趣味の話かもしれないけれど、かれー君より女装は可愛い! やった! キキちゃんにかれーに勝る点がもう一個増えた! と喜ぶわたしであった。この女装の後は、通常の男装の麗人に戻ったキキちゃんですが、一人、明るい金髪で、もやはわたしの眼には、銀髪でお馴染みの吉川晃司先輩にしか見えなかったすねえ! 男がみてもカッコイイ! 
 そして、このショーではみりおちゃんまで女装を披露してくれ、たぶんみりおちゃんの女装もわたしは初めてなんじゃないかと思う。このお方は、もう既に最初から美しいので、男のわたしから見ると女装も全く違和感なく、妖艶でセクシー、かつ可愛い! ので、わたしとしては大興奮のショーで大変楽しめました。なお、わたしは東京では初めて2階席だったので、Santé!! は出来ませんでした。超残念! 初めての2階席は2列目のド・センターだったので、心配してたよりも全然観やすかったす。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「この邪馬台の国に風が吹くとき、それはどこかでわたしがあなたを想っているときだ……!!
 今回は、やっぱり一番ラストのみりおちゃんのこのセリフでしょうな。タイトルの意味がはっきり分かる、大変にカッコイイセリフでした。こう言ってみたいもんすねえ! 今後勝手にパクらせて使わせてもらいます!

 というわけで、結論。
 みりお政権第3次コンビのお披露目となる花組公演『邪馬台国の風/Santé!! ~最高級ワインをあなたに~』を東京宝塚劇場で堪能してきたが、どうもインターネッツ上ではイマイチな評判のような気もするけれど、わたしは大変楽しめた。でも、キキちゃんとみりおちゃんをずっと観ていたため、肝心のゆきちゃんの印象が……ごめんよ……次回はゆきちゃんもしっかり見つめて応援したいと存じます。そして宙への異動辞令が発令されてしまったキキちゃん……宙に行っても、応援し続けます! 女装が大変失礼ながら予想外のお美しさで最高でした。みりおちゃんは歌・ダンス・芝居、すべてが円熟期にあり、その美しさはやっぱり格別であるのはもはや言うまでもなかろう。かれーよ、花の将来は美しい君に任せたぜ! でも、わたしが最も愛する礼真琴ちゃん(こっちん・かれーと同期)より先にTOPになったらダメだぞ! 以上。

↓ この中の記事で、だいもんが「一番共演してみたいジェンヌは?」の質問に、こっちんをあげてくれたのがうれしいす!
宝塚GRAPH(グラフ) 2017年 08 月号 [雑誌]
宝塚クリエイティブアーツ
2017-07-20

 世はお盆休み真っ只中であるが、わたしは全くカレンダー通り出勤しているので、実のところいつからいつがいわゆる「お盆休み」なのか良くわかっていないのだが、今日はまだ電車がガラガラだったので、きっとまだ休みなんだろう。その、お盆休み期間特別セールとして、先日わたしが愛用している電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」にて、還元率の高いフェアを実施していたので、なんか面白いものはないか知らん? とインターネッツなる電脳銀河を渉猟していたわたしであるが、ふと、もう15年ぐらい前にわたしの周りで大層流行っていた漫画を見つけ、おお、懐かしいと思わず目が留まった。紙の単行本では持っているものの、かなりお得に買えてしまうので、ええい、ままよ! とばかりに全13巻を買ってしまった作品がある。
 それが、『コミックマスターJ』という作品だ。

 この作品は、今現在わたしが買い続けて愛読している『ニンジャスレイヤー』のコミック版を描いている田畑由秋先生と余湖裕輝先生の黄金コンビによる結構初期の作品で、後に週刊少年チャンピオンで『アクメツ』という作品を連載されたりしており(『アクメツ』も最高に面白い)、現在連載中の『ニンジャスレイヤー』が面白いと思う人ならば、100%確実に、この『コミックマスターJ』も気に入ってもらえるものと思う。とにかく熱く、漫画好きならば絶対に見逃してはならない作品だとわたしは思う。
 わたしにとって田畑先生と余湖先生の黄金コンビは、完全に翼くんと岬くん並の切り離すことのできないコンビであり、そうだなあ、例えていうならば……いや、サーセン、面白い例えが浮かばないや。ビールに枝豆とか言おうと思って自分で却下しました。とにかくもう、この二人はセットで語るべきであろうことは、お二人の作品を味わい楽しんだことのある方なら同意してもらえるだろう。
 二人が紡ぎ出す作品の特徴は、まず脚本担当の田畑先生による、いちいちグッとくる熱いセリフ、そして作画担当の余湖先生による、ハイクオリティ画力で描かれる絵と大胆なコマ割りで表現される演出力、この3つが極めて高いレベルにあるという点で、それらが高純度に結晶化した作品が、『コミックマスターJ』であり、『アクメツ』であり、そして現在の『ニンジャスレイヤー』に至るまで貫かれているのである。まあ要するに、最高なんです。ええ。
 で。この『コミックマスターJ』という作品がどんな物語か、簡単に紹介すると、主人公「J」は、どんなタッチも再現する最強のコミック・アシスタントで、締め切りに間に合わない作家や出版社の依頼を受けて、助っ人に来るという男で、その依頼料は500万円、依頼するには渋谷駅の掲示板(!そうなんです、この漫画は200年代初頭なので、色々な点で古いのです)に、「コミックマスターJの作品が読めるのは●●●だけ!」と書き残すことで、その●●●の編集部に彼はやってくるという形式になっている。まあ、『Cat's Eye』方式ですな。間違えた、『CITY HUNTER』方式でした。
 そしてJは、「面白い漫画」=「魂のある漫画」でないと依頼は受けてくれず、そこにさまざまなドラマが生まれるわけで、Jが受けてくれた結果、あまりのJのクオリティに自信を無くす作家もいたり、Jに負けじと奮起する作家、あるいは、そもそもJが引き受けてくれなかったことにショックを受けたり、かえっていつかJに認められる作品を描く、と燃える作家もいたりと様々で、まあ、とにかく熱くて最高なのである。J以外のキャラクターも実に魅力的で、基本は1話完結なのだが、以前Jに助けられた作家やJをライバルと認めた作家たちが結構何度も出てきて、そのユニバースは非常に魅力的なものとなっている。
 ちょっと、以下にページの一部を紹介しよう。わたしが何を描いても言葉では全く伝わらないと思うので画像を貼るが、ちょっと引用の域を超えて違法性が高いかもしれない。本作の魅力を伝えるためにお許しいただきたいが、ダメならすぐ削除します。
 例えば、↓ 以下は15年ぐらい前に、わたしの部署の壁にコピーを貼っていたもので、これをよく打ち合わせの時に使ってました。
CJ_moe
 いやあ、最高です! ↑ これは、同人作家が軽い気持ちで商業に転向しようとして失敗し、それまで毎回のコミケでJが買ってくれていたのに、今回は買わない、なぜなら……とその理由を無駄にカッコ良く発表するシーンだ。
 あと、↓ こちらは、とあるダメな雑誌の依頼を断るシーン。カッコ良すぎる! でも公衆電話! 古いww ちなみに、作中世界の三大コミック誌は”合優社”の「週刊少年ダッシュ」、”公蘭社”の「週刊少年マシンガン」、”学書簡”の「少年ストライカー」という名称になっていて、勿論少女漫画誌もいっぱいあります。
CJ_koredakeda01
CJ_koredakeda02
 そして↓ こちらは、Jと唯一酒を酌み交わせることができる、業界一の熱い編集者、”泣きの山下”氏の暑苦しい叫び。
CJ_tamashiida
 こちらは、↓ Jが認める作家が、根を挙げそうになった時、Jが作家を鼓舞するキメポーズ。そう、要するにJは、ブラックジャック的なキャラでもあって、美形で真っ白なコートを着ていて、そのコートの内側には漫画作画道具がぎっしり詰め込まれているという設定になっている。ちなみに、ブラックジャックに対してドクター・キリコがいるように、Jにも「終わらないでずるずる引き延ばしている漫画を終わらせる」男、「ジ・エンド」というライバルキャラも登場します。ホントにもう最高です!
CJ_iwanaidekure
 こちらは、↓ どういうわけか漫画を描くことで世界が破滅しそうになった時(?)、それでも描くのか、何故描くのか、世界を破滅に導いてでも!? みたいな展開になって、それでも描く! というJの熱い宣言。
CJ_dakaradoushidta
 ↓ ラストに引用するのは、物語の前半の大きなお話で、実はJも、アシスタントとしてではなく、自身の漫画を描くという強い野望(?)があって、その漫画が発表されるとすべての文化がクズになる、という作品だけど、描かずにはいられないというJの魂の叫び。もう意味わからないでしょ?
CJ_kakitai
 とまあ、こういう作品です。今の20代の若者はその存在すら知らない漫画かもしれないけれど、30代~40代なら知ってるかもしれない。わたしは「ヤングキング・アワーズ」に連載されていた頃(1996年~2005年)にリアルタイムで読んでいたので、まあ、毎月大興奮して周りのみんなと読んでました。
 そして連載終了から12年経った2017年に今再び、電子版で全巻まとめ買いして一気に読んでみたのだが、やっぱりその熱さとスタイリッシュな作風は色あせることなく、まさしく現在も連載している『ニンジャスレイヤー』の源流はここにあるな、ということが感じられる大傑作であった。久し振りに堪能出来て本当に楽しめました。名言ばっかりで最高です。

 というわけで、なんかもう書くことがないので結論。
 15年ぶりぐらいに全巻一気読みした『コミックマスターJ』はやっぱり名作だった。その面白さは読んでもらわないと全く通じないと思う。しかし、もしわたしが上記に引用したコマを読んで、「なんだこの漫画は!?」とハートに来るものを感じた方は、ぜひ、とりあえず1巻だけでも読んでみていただきたい。最後はまあすごい展開になってびっくりすると思うが、毎回毎回心に響く名言があるので、ぜひ楽しんでもらいたいと思う。以上。

↓ 今連載しているこちらも、大変面白いです。凄いクオリティですよ。

 というわけで、毎週月曜日は映画週末興行データです。
 お盆まっ只中ということで、数字は出ないのかな、と思ったら出ていたので、いつも通りまとめておきます。わたしはこの週末は待ちに待った『スパイダーマン』を観て来ました。そして最高でした。ただし、Marvel Cinematic Universという大きな流れの中で見ないとその魅力は完全には味わえないのうではないかと思いますので、そういう意味ではハードルは高いかもしれません。この作品単独で観たら、普通に面白いだけ、で終わっちゃうかも。それじゃあもったいないと思いますよ。
 さて。それではさっそく、興行通信社の大本営発表をメモしておきます。

 1位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』がV4達成。24日間で42.8億突破ですって。まあ、もうどこまで売れるのかさっぱり見当がつかないす。
 2位:『スパイダーマン:ホームカミング』が公開土日で4.48億稼いで2位。あれっ? 金額順だと1位なのかな? 金曜の祝日からの3日間だと7.75憶だそうです。この数字は……MCUで言うと、土日だけだとちょうど『CIVIL WAR』(最終26.3億)と同じぐらいかな。でも、勿論もっと最終的には稼ぐだろうし、『Avengers』(最終36.1億)、『Ultorn』(最終32.1億)よりも売れてくれると嬉しいす。せめてまったく話がアレだった『アメイジング・スパイディ』(2作とも最終31億チョイ)は超えてくれないと悲しい!
 3位:『君の膵臓をたべたい』が17日間でもう15億突破だそうです。意外と順調すね。さすが夏休み&お盆効果なのかな。小栗旬氏はかなり演技派の素晴らしい役者だとわたしは思ってます。実際カッコイイすね。
 4位:『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』が30日間で25億ほどだそうです。お盆効果?でググッと順位も上げてきました。さすがです。
 5位:『トランスフォーマー/最後の騎士王』が10日間で10憶手前ぐらいかな……と見積もる。今までのシリーズ全部ちゃんと劇場で観ていますが、どうしても今回は観に行く気にならないす……飽きたというか……長くて疲れるんすよね……。
 6位:『銀魂』が31日間で30億は超えたかな。あ、31億ほどだそうです。銀さんも強いですね。こちらも小栗旬氏ですが、芸達者ですなあ。
 7位:『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』が44日間で61億ほどだそうです。
 8位:劇場版 仮面ライダーエグゼイド/宇宙戦隊キュウレンジャー』が先週1位からずい分落ちたすね。9日間で5億を突破したあたりと見積もる。元気なのは最初だけだったか……?
 9位:『メアリと魔法の花』が37日間で25億を突破したそうです。あと少し、せめて夏休み中は引っ張ってほしい。
 10位:『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』が10日間で10億突破は確実、11~12億ぐらいと見積もる。トム氏の人気もさすがのパワーですな。観たいけどどうしても時間が合わず、もう劇場で観るのはあきらめました。WOWOWでの放送を待ちます……。

 とまあこんな週末だったようです。
 今週は新作でランクインしたのは『スパイダーマン』のみ。出だしとしてはまずまずな数字だと思いますが、個人的には淋しいすねえ……10億超えるスタートでもおかしくないはずなのになあ……日本においてはMCUの枠組みも、興行的には足枷なのかもしれないなあ……これはアレすね、TDL/TDSにもマーベルキャラのアトラクションをさっさと導入して、認知を広めてほしいすね。わたしとしては、香港ディスニーランドで絶賛開催中の「MARVEL SUPER HERO SUMMER」に超行きたいす!! そして、JOJOはまさかの2週目でTOP10落ちなんですが、いろいろ大丈夫なんでしょうか……。

 というわけで、今週の結論。
 期待の『スパイダーマン:ホームカミング』は、悪いとは言わないけどウルトラ級のヒットとは言えないスタートで、マーベルヒーローものとしては上々の出だし、という何とも言いようのないスタートでありました。まあ、想像通りとは言え、なんでアレとかコレに負けなきゃならんのだ……ぐぬぬ! もっと毎回50億突破とか売れねーかなー……。それには東京ディズニーランドでのアトラクション化が必須とテキトーなことを申し上げておきます。以上。

 いやー、最高でした。今年2017年暫定ナンバーワンです。
 今日からいよいよ公開となった、MCU最新作『SPIDER-MAN:Home Coming』を観てきたわたしが、真っ先に思った感想である。もはやMCUってなんぞ? という方はいないと思うので、説明しない。.現在MCUはPhase-3と呼ばれる第3段階に入っている。去年2016年にわたしが劇場で観た映画ナンバーワン作品である『CIVIL WAR:CAPTAIN AMERICA』から始まったこのPhase-3は、その次に公開された『DOCTOR STRANGE』、そして先般公開された『GUARDIANS OF GALAXY VOL.2』』を経て、本作が第4作目となる。先に言っておくと、次は11月3日公開の『THOR: RAGNAROK』、そして来年2月ごろUS公開予定の『BLACK PANTHER』、そして来年GWに公開予定の『AVENGERS:INFINITY WAR』に至る道がすでに公表されている。どの作品も、とにかくわたしは楽しみであり、今からもうわくわくしているわけで、まずは今日公開の『スパイディ』の素晴らしい出来の良さに、わたしはもう、MCUの成功は疑う余地はあるまい、とその確信を深めたわけである。

 (※追記:ちなみに上記予告にある、IRONMANとスパイディが揃って飛んでいる印象的なシーンは本編になかったす。カットされたのか?と思いきや、予告専用の映像なんですって。へえ~)
 えーと、何から書こうかな……今回わたしが一番これはすごい、と思ったのは、やはり脚本だ。つまりそもそものお話が実に興味深くて面白いのだ。そして我々観客をえっ!と思われせるような見事な展開で、はっきり言って上映時間2時間13分は若干長いけれど、むしろわたしは2時間半ぐらいあったのかな、と思うぐらい内容が分厚くて、逆にちょっとびっくりしたぐらいだ。たとえば、『CIVIL WAR』は2時間27分の上映時間をまったく感じさせない素晴らしい脚本だったが、本作のように、実際より長く感じるというのは、わたしとしてはかなり珍しいことだと思う。そういう映画はえてして退屈を感じてしまったがゆえに長く感じるものだと思うが、どういうわけかそんなことはなく、最後まで本当に楽しめる作品であった。
 とにかくわたしは今、興奮しているので、思いついた順に、脚本の素晴らしさやキャストについて箇条書きで書きなぐって行こうと思う。もちろん、ネタバレ満載なので、まだ観ていない人は今すぐ読むのをやめた方がいいと思います。
 ◆完全にMCU作品である。それすなわち、この作品単品ではダメ!
 まあ、この作品だけを観ても十分楽しめるとは思うが、実際それじゃあ全然ダメ、なのは、MCUを愛する人なら同意してもらえると思う。完全に『CIVIL WAR』の続編であり、これまでのMCUの流れを知らないと本作をきちんと楽しめないと思う。
 ◆SPIDER-MANことピーター・パーカーはなぜ戦うのか?
 前知識としてのポイントは2つあって、まず一つは、『CIVIL WAR』からMCUに登場したスパイディの、戦う動機についてだ。このことを知らないで本作を観ると、かなりピーターのゆとりKIDSぶりにイラつく可能性もあると思う。確かにSam Raimi監督版とはかなり性格も違うし、非リア充だけど何とも明るく元気な少年として描かれていて、本作のピーターは、そもそもの原作の性格に最も近いと言われている。わたしもその意見に賛成だ。そう、SPIDER-MANは、そもそもはガキなのである。だからゆとりでいいのだが、本作ではピーターの戦う動機がほぼ触れられていない。おまけに言うと、過去のスパイディ映画で描かれたような、蜘蛛に噛まれて、スーパーパワーを得たという誕生秘話も完全にカットされており、本作でちょろっと、主人公ピーターが親友のデブオタに「いやー、蜘蛛に噛まれてこうなったんだよ」の一言で終了である。
 しかし、なぜスパイディは戦うのか、そしてなぜ、IRONMANことトニー・スタークは、ピーターを仲間にしようと思ったか。それは前作『CIVIL WAR』で明確にされている。ピーターは、『CIVIL WAR』の最中に突然家にやってきたトニーに言う。「自分に力があるのに、何もしないでいて、それで良くないことが起きたら、なんか自分のせいじゃないかって気がしちゃうんだ」。トニーはそう語るピーターの、少年としての真っ直ぐな正義感に感心し、このガキなら、ともに戦える、と考えるわけである。本作では、ピータを仲間に入れることをみんなに反対された、とトニーは言っていたが、いわば、IRONMANとして活動を始めた初期のころの自分を見る思いだったのではないかとわたしは感じている。これは、名作といわれるSam Raimi監督の『SPIDER-MAN』第1作で語られた「大いなる力には大いなる責任がある」というベンおじさんの名言と同じ考え方だろう。ピーターは、突然身に着けてしまったスーパーパワーを持て余している、けれど、なんとかそれを世の中の役に立てたい、とうずうずしているのだ。そして憧れのトニーに、認めてもらいたくてたまらないのである。
 わたしが本作でこの描き方は素晴らしい!と絶賛したいのは、Sam Raimi版のピーターが、非常に根暗で非モテ人種で、超リア充の親友に対して嫉妬すら抱える少年であり、ある意味一番の動機として大好きなMJへの恋愛感情が物語の軸にあったのに対し、本作ではそういった恋愛感情は脇に置かれ、あくまでメインは「世の中の役に立ちたい」という、子供らしい真面目さ、に置かれている点だ。
 デブオタの親友も、スーツに組み込まれたAIも、さあピーター、今こそ憧れの女の子に自分がSPIDER-MANであることを打ち明けるんだ! と何度か背中を押すのに、それは違うだろ、と思いとどまる。そしてなんと、ラストでトニーが用意してくれた記者会見の場を、自らの意思できっちり断るのだ! 原作の『CIVIL WAR』では、トニーとともに会見に臨み、衆人環視の中でマスクを脱ぎ、自分がSPIDER-MANであることを全世界に公表するのだが(→身元を明かした結果、メイおばさんが巻き込まれてヤバいことになり、後にピーターはトニー派を離脱し、CAP派に転向する)、まさに本作はその逆になっている。本作のピーターは、オレがSPIDER-MANだ!と世界に宣言したい、とは考えないのである。MCUの記念すべき第1作である、2008年の『IRONMAN』のラストシーンを思い出してほしい。「わたしがIRONMANだ!」と宣言したあのトニーの姿を! トニーとは正反対の決断をしたピーター。わたしはこの展開に結構感動すらしてしまったほどだ。これらのことは、やっぱりこれまでのMCUを観ていないと、ちゃんと理解できないんじゃないかな、という気がするのである。
 ◆トニー・スタークのこれまでの行動
 もう一つ、前知識として知っておかないと、本作を楽しめない重要なポイントは、トニー・スタークの心中である。トニーは、イケメン&スーパーリッチ&天才科学者、という地球上で最強のリア充野郎である。しかし、その心中は実はかなり真面目な男で、自分の作った武器が横流しされてテロに使われていることを知り、おまけに自分も殺されそうになった経験から猛反省し、まずは武器商売をやめ、それまで製造してきた武器を根絶するために、IRONMANスーツを着用して戦いを始めた男だ。そしてAvengersとして宇宙人との戦いを経験し、撃退したはいいけれどNYCは壊滅。そしてさらなる脅威に対抗しようとして、うっかりULTRONを作ってしまい、撃破したはいいけれど、またしても街はボロボロ、遺族になじられてもうしょんぼりな状態であった。そこで『CIVIL WAR』事件が起き、国連管理下に置かれることもやむなし、と思い至るが、CAPとの大げんかの末、確かに、CAPの言う通り、国連管理下でも対応できないこともあるかもしれない、けど、母親を殺されたことは話が別だ!と大激怒、CAPとは分かり合えず決別してしまう。
 わたしは完全にトニー派なので、CAPの考えは傲慢かつわがままで実にけしからんと今でも思っているし、CAPの腰ぎんちゃくに過ぎないファルコンやホークアイがトニーを生意気に批判するシーンには心底頭に来たが(ウィンターソルジャーことバッキーは一番ちゃんと反省してるので許すけど、ホークアイはワンダを巻き込んだ張本人で許せない!)、重要なのはトニーが常に自分をも疑って、客観的かつ理論的に、きちんと考えて行動する男であり、自らの行動の過ちをきちんと認められる大人の男だという点だ。
 本作は、そんなトニーの性格を知らないと、まったく話が通じない可能性があるとわたしは思う。それは、トニーのこれまでの行動が、今回の悪党であるヴァルチャーを生んでしまったからだ。そう、またしても、トニーが良かれと思ってとった行動が裏目に出てしまったのである。
 ◆ヴァルチャー誕生の説得力が素晴らしい!
 トニーが、2012年に地球にやってきた宇宙人を命がけで撃退した顛末は、『AVENGERS』第1作で描かれた通りであるが、その戦いでNYCがボロボロになったのは、MCUを見続けている我々にはもうお馴染みであろう。しかし我々日本人は、数々の災害や戦争に遭っても、時間をかけて街を再建してきたわけで、NYCもきっと立ち直れる、と直感的に理解できると思うが、問題は、あの巨大な宇宙船(宇宙生物?)とか、兵士の残骸とか、あれはいったいどうするんだ? という点についてはちょっと想像ができないでいた。が、本作では、その点がきっちり描かれている。
 まあ、普通に考えて、瓦礫と化した建物と同様に、バラして運んで、と地道に片づけていくしかないわけだが、相当な物量であることは想像に難くない。そして、そのがれき撤去だけで相当な雇用が生まれ、不謹慎な言い方かもしれないが、経済が回るのは確かなことだろう。本作の悪役であるヴァルチャーは、元々そのがれき撤去業を地元で営む真面目な家族思いの社長さんだ。えらいことになったNYCで、従業員を増やし、トラックも新たに買って、NYC復興のために頑張ろうぜ!とみんなにはっぱをかけていた矢先に、トニーが政府と合弁で設立した「ダメージコントロール局」が活動を開始し、がれき撤去の「仕事」が一切奪われてしまう展開になる。トニーは、間違いなく金のためではなく、単純に宇宙人たちのテクノロジーが散らばっているがれきを危険だと思って、そうしたわけだが(おまけに、もう街に迷惑はかけられん、とマンハッタンに建つあのAvengersビルも手放し、北部の田舎に引っ越す決断もする)、要するにまた、トニーの善意が裏目に出てしまったわけだ。「畜生、あいつ、自分で壊しといて自分で稼ぐのかよ、オイシイわけだぜ!」というような「仕事」を奪われたヴァルチャーのセリフに、わたしは実に見事な脚本だと思った。確かにその通りではある。
 こういった点が、トニーの弱点で、いかに天才で大富豪とはいえ、結局一個人の力というものが、現場の末端まで行き届かないのは残念ながら事実であろう(それが分かっているからこそ、トニーはCAPの主張する個の力に頼る考えに同意できない)。しかし一方で、組織の端末の人間は、「上に命じられたこと」しかやらないお役所仕事のボンクラばかりであり、作業現場に乗り込んできた偉そうなボンクラも、「文句があるなら責任者に言え」としか言わないお役所対応である(そしてだからこそ、CAPは組織を信頼できないというジレンマが発生する)。バルチャーは「そりゃねえよ!その責任者って誰だよちくしょう!」と悲痛な叫びをあげても答える人間はいない。結果、ヴァルチャーはトニーに対し、この恨み晴らさでおくべきか! とメラメラと怒りの炎を燃やすことになる。何という皮肉! そして何という見事な説得力! 素晴らしいとわたしは大絶賛したい。トニー派のわたしとしては、ここで、なんとかトニー本人にヴァルチャーの声が届いたなら、絶対にトニーは、じゃあ、ダメージコントロール局の仕事の外注先に御社も入れましょう、と判断したはずだと思う。結局、「誰かがやらなくてはならないこと」であるのは間違いないのだから。トニーはそのように民間に金が回ることをむしろ歓迎したはずだと思う。そういった、ヴァルチャーがなんとかトニー本人に会って話をしようとした、けどダメだった、という流れがきちんと描かれていたらもっともっと良かったのに、という気もしなくないが、まあ、そこまですると、ちょっと重すぎるというか、この作品が『IRONMAN4』になっちゃうか。この映画の主人公はあくまでスパイディだしな……。でも、そういったシーンがあっても良かったと思う。
 結局ヴァルチャーは、がれきの中の宇宙人技術をこっそりと持ち出し、せっせと武器開発にいそしみ、悪党になってしまったわけで、実にリアルで、ありうる展開だとわたしは大絶賛したい。
 ◆脚本的にお見事!と思わず観ていて「えっ!? あっ!!!」と驚いた点
 今回、わたしは観ていて、上記以外にもいくつか、主にキャラクターの正体(?)が判明するシーンで思わず声が出ちゃうぐらいびっくりした点があったので、4つほど紹介しておこう。これは本当に完全ネタバレなので、未見の方は絶対に読まない方がいいと思う。知ってたら、わたしのように「えっ!?」と驚けないよ。そしてそれは超もったいないと思います。
 1)お父さんは実は……
 劇中では、ピーターはとある女子にぞっこんで、いいなあ、あの子可愛いなあ、おっと、ずっと見てたらオレ変態だよ、あっぶねえ!とか実に男子高校生らしい日常を送っているのだが、なんとその女子のお父さんこそ……であった。これは本当に見事でしたねえ! わたしは全然予想しておらず、超びっくりでした。どうだろう、何か伏線はあったかなあ? 何もなくかなり突然だったような気がするけど、単にわたしが見逃してバカだっただけかもしれないが、とにかく実に効果的なタイミングで効果的なつながりであったと思う。ホントにお見事!とわたしは大絶賛したい。これほど、あっ! と思ったのは、かの名作『The Silence of the Lambs』(邦題:羊たちの沈黙)のクライマックスで、FBIチームが犯人の家に乗り込む、とそこはもぬけの殻、実は主人公クラリスが訪れた家の方こそ、犯人の家だった!のあの演出以来かもしれない。いや、それは褒めすぎかな。まあ、それぐらいわたしはお見事だと思いました。
 2)えっ!君がまさか……!
 今回、ピーターの身近に、何かと変なことばかり言うちょっと変わり者でひねくれもの的な、とある女子がいる。どうも、ピーターをいつも見ていて、実は君はピーターが好きなんでしょ? とわたしは思いながら見ていたのだが、なんとラスト近くで、彼女のとあるニックネームが明らかになるのだが……そのニックネームは、Sam Raimi版を観ている人なら絶対に知っている彼女の名前でした。これは驚いたすねえ! まあ、コアな原作ファンなら最初からわかってたのかな? そういうことだったのね!? とわたしは驚き、ニヤニヤするしかなかったす。ホントお見事!とわたしは大絶賛したい。
 3)トニーよ、いつの間に!?
 トニーは、『IRONMAN3』事件でIRONMAN引退宣言をしたわけですが、まあ、全然引退していないわけで、その結果、愛するペッパーと喧嘩・別居状態にある、のは、『Ultron』事件や『CIVIL WAR』でも描かれた通り、MCUファンにはお馴染みであろう。しかし! 朗報です! ペッパー is Back!ですよ!! ほんのちょいしか出てきませんが、どこで出てくるかは観てのお楽しみってことでお願いします。いやあ、トニー、良かったね! なかなか粋な脚本的はからいだとわたしはうれしく思いました。
 4)ピーターーーー!!! うしろうしろ!!
 もう完全に志村けん的コメディのお約束展開ですが、一番ラストのシーンは、家に帰ってきたピーターが、一度は取り上げられてしまったスパイダー・スーツが紙袋に入れられてベッドに置いてあるのを発見し、え、いいの?やった―――!と大喜びで再びスーツを身にまとうシーンであった。けど、ピーター、お前、ちゃんとドア閉めとかないと……つか、うしろうしろ―――www という笑わせてくれるもので、実にハッピーなエンディングだったと思う。これはお見事でしたねえ! ホントに素晴らしい脚本でありましたよ。このエンディングはぜひ劇場でお楽しみくださいw わたしとしては、まったく何の変哲もない紙袋に無造作に入れられていて、トニーから直筆で「君のものだ This suite belongs to you」的なメッセージが紙袋に直接書いてあるのが実にトニーっぽくて粋でカッコイイと思いました。
 ◆トニー謹製「新スパイダー・スーツ」に秘められた、オタク向けニヤニヤポイント。
 1)超多機能!であるのと同時に……
 今回のトニー謹製「新スパイダー・スーツ」は、『CIVIL WAR』でプレゼントしたものなのだが、実はまだ「トレーニング・モード」というEASY設定にプログラムされて機能が制限されており、おまけにGPSでスーツがどこにあるか、トニーに監視されている設定になっていた。実は原作の『CIVIL WAR』では、その監視されていることが重要なポイントで、そのことでピーターはトニーへの信頼を失うきっかけにもなってしまうわけで、本作では、デブオタの親友とスーツをいじっていて、その位置探知機能を切断し、さらにモード設定も勝手にプログラムをハックして、ロックを解除しフル機能実行可能なモードに変更してしまうシーンがある。この変化はとても観ていて面白く、また、原作オタクもニヤリとするシーンであろう。ちなみに、ラストの記者会見に臨むピーターのために、トニーはさらに新型スーツをプレゼントしようとするのだが、それがまさしく原作の『CIVIL WAR』で出てくる通称「アイアン・スパイダーマン・スーツ」のデザインで、ここも原作オタクのニヤリポイントであろうと思います。
 2)そしてスーツのプログラムAIがしゃべるように変化するのだが……
 ピーターがスーツのモードを勝手に改変し、その結果スーツがIRONMANスーツの現在のフライディのように、女性の声でしゃべるようになり、ピーターは、スーツレディ、カレン、と名付けて仲良くおしゃべりをするようになるのだが、わたしは観ながら、果たして、このスパイダー・スーツ=カレンの声は誰だろう? とちょっと気になっていた。ので、エンドクレジットを観て、わたしのようなオタクファンは、あっ! と驚き、そういうことね……とニヤリ、としたはずだ。なんと、カレンの声を担当したのはJennifer Connellyさんですよ! なぜ彼女が担当してることでニヤリとできるかというと、彼女の現実世界での旦那は、Paul Bettany氏なんだな。えっ!わからない!? うっそお! 彼は現在のVISIONさん、先代IRONMANスーツの忠実な電脳執事、ジャーヴィスの声の人ですよ。夫婦そろってトニーに仕えてたのね、というわけです、はい。

 あーーーもうすげえ長くなってしまったので、今回わたしが特に気に入った3人のキャストと監督について書いて終わりにしよう。
 ◆Tom Holland君 as 3代目ピーター・パーカーは最高だった!
 いやあ、やっぱりTom君はいいですねえ! 彼は元々、2008年に『BILLY ELIOT』のBroadway版で主人公Billy演じた男なわけで、2週間前に日本版『BILLY』を観たばかりのわたしとしては、なんかBillyが後にこんなに立派に育って活躍している姿を観るとホントうれしいすね。本人も言っている通り、『BILLY』で相当鍛えられたんだろうな。なかなかの肉体美も披露してくれるし、とにかく、元気なピーターはわたしとしては歴代最高だと思う。ちなみに、一緒に観に行った元部下のA嬢は、やっぱり初代のToby Maguire氏の方が良かったと評していた。友達もいないしイケてないし、というしょんぼり野郎がヒーローになる、という展開の方がよかったそうで、まあ、女子目線からすると今回のピーターはちょっと軽いというかチャラすぎ、と感じるのかもしれない。その辺は、いろいろな意見があってしかるべきだろうと思うが、わたしとしては最高に良かったと思う。
 ◆デブオタだっていいんだよ。だってにんげんだもの!
 今回、やけに光るのが、ピーターの親友のデブオタ君ことネッドを演じたJacob Batalon君だろう。いいすねえ、彼は! ネッドなしにピーターの活躍はあり得なかったし、ネッドがいなければピーターの高校生活もまるで暗いものになってしまったかもしれないわけで、何気に重要な役をきわめてさりげなく、巧みに演じてくれました。彼の存在が本作を明るくしてくれているといっても過言じゃあないでしょうな。もう大活躍で、今後のシリーズにもぜひ、登場してもらいたいと思います。
 ◆蝙蝠男~鳥男~そして禿鷹男への進化を遂げたMichael Keaton氏が素晴らしい
 いやあ、やっぱり本作での悪役、ヴァルチャー(禿鷹)を演じたMichael Keaton氏は良かったすねえ! まあ、キャラについてはもう前述の通りなのだが、その正体を明かしてからのピーターに対する態度がやけに恐ろしくて素晴らしかった。さすがは元BATMANであり、BIRDMANとしてオスカー候補になっただけはある、貫禄と威圧感たっぷりのおっかない大人を熱演されていました。なお、今回のおまけ映像は、刑務所に入れられた彼が、とある男に脅されるシーンで、その脅す男が次回の悪役なのだろうと思われます。サソリのタトゥーの男で、原作に詳しくないわたしは何者か実は良く分からなかったです。まあ、MCU的に今後のAvengersにつながるような大物悪役、ではないと思います。たぶん。
 ◆監督はあの『COP CAR』のJohn Watts氏!
 去年わたしはWOWOWで『COP CAR』を観て、その抜群の演出センスに相当驚いたのだが、今回も様々な驚きをわたしにもたらしてくれた演出テクは、とても上質だったと思う。脚本にもクレジットされているWatts監督なので、まだ監督作品3作目というキャリアとしては全然浅い男だけれど、今後が大変楽しみな才能だと思います。

 というわけで、まだまだ言いたいことはあるけど、もう長すぎなので結論。
 やっぱり、MCUは最高である! その最新作『SPIDER-MAN:Home Coming』は期待を裏切らない最高の出来であり、わたしとしては大満足であった。しかし、わたしのこの興奮と満足感は、あくまでMCUを全て観てきており、MCU全体を愛しているが故、であるわけで、本作も、単独ではなく、MCUの一部として観るのがやっぱり正しいように思う。よって、言いたいことはただ一つ。MCU全作を観てくれ! そしてこの『SPIDER-MAN:Home Coming』を楽しんでほしい。ホント最高でした。以上。

↓ 次はコイツですよ! 準備はいいですか!? 一応、劇場でもこの予告編が流れてました。Kate Blanchett様が超COOLで最高です!

 わたしが今、日本の小説で一番新刊を待ち望んでいる作品、それが高田郁先生による『あきない世傳』というシリーズである。そして、この度最新の(4)巻が発売になったので、やったー! とさっそく買い求め、一気に読み終わってしまった。というわけで、さっそくネタバレ満載で感想をつづってみたい。本当にネタバレまで書いてしまうと思うので、気になる方は読まない方がいいと思います。

 さてと。一応、発売日は昨日なのかな。わたしはおとといの帰りに本屋さんで売っているのを見かけて、おおっと!新刊キター!とさっそくレジに向かったのだが、おそらくは日本全国でわたし同様に喜んだ方々はきっと70,000人ぐらい存在しているのではなかろうか。何しろ売れている。高田先生の前シリーズ『みをつくし料理帖』はちょっと前にNHKドラマ化も果たしたばかりだし、その知名度も上がっていようことは想像に難くない。しかもそのドラマでの主演は、わたしが高田先生の作品を読むようお勧めしてくれた、当時わたしが大変お世話になっていた美人お姉さまが、映像化するならきっとあの女優がいいわね、と言っていた通りの黒木華ちゃんがヒロインを演じ、わたしもせっせと見ていたが、華ちゃん=澪ちゃんは極めて役柄にぴったりで、大変楽しませてもらったところである(ただしNHKドラマは、え、ここで終わるんだ、という変なところで最終回的な空気もなく結構バッサリ終わっちゃった。まあ、きっと続編が作られるんだろうと勝手に予想している)。

 で。この『あきない世傳』であるが、(1)~(3)巻までの詳しいことは、過去の記事を読んでもらうとして、ざっくり話をまとめると、ヒロインである幸(さち)ちゃんは、現在の西宮あたりの村に住む少女だったが、父を亡くし兄を亡くし、と、立て続けに一家の働き手を失ったため、母と妹を故郷に残し、大坂は天満橋の「五鈴屋」という呉服屋さんに奉公に出る。その時9歳。時代は1733年、かな。その後、幸ちゃんは持ち前の賢さから熱心に商売の勉強をし、皆に可愛がられるのだが、(2)巻で大変な事件が起こり、なんと、その五鈴屋の4代目となったバカ男(長男)の嫁になる。しかしその4代目がとんでもないクズ野郎で、幸ちゃんはどうなっちゃうのよ……とハラハラしていたらそのクズは死亡、そして(2)巻ラストで、その弟(次男)が5代目を襲名してもいいけど、幸ちゃんを嫁としてもらうぜ!宣言が起こる。この時点での幸ちゃんは17歳まで成長している。
 続く(3)巻では、5代目の次男は、冷酷で意地悪なやな奴、かと思いきや、商売には超有能で、売掛金の回収サイトの変更や在庫処分セールの実施など、様々なビジネス構造改革を断行し、いろいろな反発は食らうものの、きちんと成功はするのだが、その成功の要因として、なにかと幸ちゃんの提案する事業計画というか販促宣伝プランがうまくいったこともあって、夫として若干面白くない、と思っていたところに、先行投資として出資していた生糸の生産地の村へ貸し付けが、両替商の倒産でデフォルトとなってしまい(わかりやすく言うと、五鈴屋は生糸の生産地の村に、増産のための設備投資に必要な資金を両替商の発行する約束手形で貸し付けたが、その両替商が倒産したために、村に貸し付けた事実だけが残って、手形は紙くずになり、村は借金だけを背負うことに)、その結果ステークホルダーから、あんたのせいだ、とある意味逆ギレされてしまって5代目は大ピンチに陥ってしまう。この時点で幸ちゃんは21歳まで成長、もちろん、すっかり大変な別嬪さんである。
 で、今回の(4)巻は、その続きである。
 経営企画として長い経験があるわたしにとっては、今回の(4)巻も、ビジネスの観点から見て大変に興味深く、実に面白いという感想を得た。
 まず、メインストーリーをズバリ書いてしまうが、やらかしてしまった次男こと5代目は、この(4)巻冒頭で失踪してしまう。ただし、無責任に姿を消すのではなく、きちんと地元呉服屋協会に「隠居」届を提出し、妻たる幸ちゃんにも離縁状的なものを提出し、まあ、一応きちんと(?)辞任届を提出して筋は通すという次男のキャラらしい失踪の仕方である。しかし、これはわたしは知らなかったが、当時の大坂商人の常識として、女子は店主=代表取締役になれないらしいんだな。というわけで、五鈴屋は存亡の危機に陥るのだが、ここでも次男はちゃんと手を打っていて、弟である三男に、おまえが店を継いで6代目になるんだよバカヤロー! と一発ぶんなぐっていたのであった。
 しかしこの三男が、これまた問題のある野郎で、大変心の優しいイイ奴で、実際、幸ちゃんのことはその少女時代(自分も少年だった時代)から大好きだったのだが、これがまたとんでもなく夢追い人のだめんず野郎で、おれは作家になるんだ!と9年前に実家たる五鈴屋を出て行ったというか追い出された野郎だったわけです。イイ奴なんだけどね。で、散々説得されて、お前ももういい年なんだから、夢見てんじゃねえよ、という趣旨のことを元営業本部長(番頭さん)で現在は引退していた社外顧問的なやさしいおじさんにやんわり諭され、また2代目の女房たる祖母の健康状態も良くないこともあって、ようやく、よし、オレにはビジネスの才はないけれど、大好きな幸ちゃんと一緒になれるなら6代目を就任してもいい、そしてオレは完全にお飾りの、対外的には店主を演じるけれど、実質的には幸ちゃんを代表取締役として、人形のように幸ちゃんに操ってもらうよ! と、こう書くと果てしなく情けないダメ男だけれど、まあ、そういうわけで、なんと(4)巻冒頭で幸ちゃんは3人目の旦那と結婚することになるのであった。
 これは何というか……まあ、わたしとしては、きっと幸ちゃんは将来的にはやさしい三男と結ばれて、幸せになるんだろう、と想像していたので、驚愕はしなかったけれど、まさかこんな早いタイミングで!? というのは驚いた。幸ちゃん、3回目の結婚である。
 そして、まあ二人は仲良く、五鈴屋を大きく成長させていくわけだが、今回の(4)巻でのお話を現代ビジネス風にまとめると、以下の4つのビジネスプランが実行される。これが非常に面白い!
 1)販路の拡大
 これまで五鈴屋は、基本的に大坂内だけの、こちらから品物を持っていって買ってもらうという訪問販売と、お店に来られる常連客への販売が基本ビジネスだったが、それだと当然顧客も限られ、売上拡大にも限界があり、どうしても販路の拡大が必要なわけだ。要するに、こちらから行けない、お店にも来られない、お店を知らないような、遠く離れた人にも売りたい、ってことですな。これは、今で言えば、たとえばWeb通販のようなものと言っていいだろう。お取り寄せ、あるいは移動販売、的な感じかな。まあ、当時は当然Webなんぞあるわけもなく、幸ちゃんが採用した販路拡大作戦は、「行商人への卸売り」だ。つまり、主に東北地方を行脚している近江商人=行商人に、五鈴屋の取り扱う反物も一緒に持って行ってもらって、地方の人々に売ってきてもらう、という手である。競合と戦わない市場開拓、という意味ではブルーオーシャン戦略ですな。確かに、上物の反物は高価なので実際に購入してくれるお客さんは限られているかもしれないけれど、間違いなく日本全国で需要があり、行商人も結構あっさり取り扱いを決めてくれる。しかも委託販売でもなく、回収サイトの長い掛け売りでもなく、現金即金払いと破格の条件で買い取ってくれたのだから凄い。しかし行商人に関しても、わたしの常識? とは違って、天秤棒で担いで売るんじゃなくて、商品を前もって拠点となる宿に先に船便で送って、そこをベースに得意客を回るものなんだそうだ。へえ~~である。まあ、正直出来すぎな展開だが、結果的にこの策は当たり、行商人に卸した商品もきっちり売り切れ、追加発注までもらって五鈴屋は大儲けであった。おもしろいすねえ!
 2)フランチャイズ展開による在庫処分
 行商人がうまくいった幸ちゃんの元に、かつて五鈴屋で頑張っていた、けど、(3)巻だったかな、5代目と衝突して(いや、(2)巻で4代目のクソ野郎と衝突したんだっけ?)、五鈴屋を退職していた二人の手代が、再就職先が倒産して困っているという話が伝わる。彼らを再雇用するというのもアリだが、それよりも、彼らが独立して商売ができるような手はないかしら、と思った幸ちゃんがひらめいたのは、五鈴屋で在庫となってしまった反物を彼らに預け、行商してもらえばいいんじゃね? というアイディアだった。その際、彼らには五鈴屋のロゴ入り風呂敷に荷物を包んでもらって、運んでもらえばブランド戦略にもなるし! みたいな展開である。ここでは、売った分だけでいい、という「委託販売」の方法にを採っている。そうすれば彼らも元手はかからないし、というわけで、これは現代的に言うと、わたしには「フランチャイズ展開」に近いだろうな、と思えた。いわばロイヤリティを取るけど、商品仕入れはこちらでやるし、ブランドロゴも用意し、あとはあなたたちの努力次第、みたいな感じである。ちなみにこの時、大きな助けとなったのが、(1)巻で4代目のクソ野郎に最初に嫁いで後に離婚した菊栄さんで、彼女は現在実家に戻ってお店を弟(兄だっけ?)とやっているのだが、お鉄漿で大ヒットを飛ばし、人気店として頑張っている。そして、そのお鉄漿の生産地には、もうかっているけど田舎なので金を使う道がなくて、きっと五鈴屋の反物を求めている人がいっぱいいるわよ、と紹介状を書いてくれて、それがあって元手代たちは最初の在庫を見事売り切り、みんながハッピー、Win-Win-Winぐらいの大成功となる。まあ、これも正直出来すぎ、ではあるけれど、いいの! 読んでいて楽しいから!
 3)プロダクトプレイスメント
 そして3つ目が、これはビジネス改革というより宣伝プランなのだが、なんと幸ちゃんは、現代で言うところの「プロダクトプレイスメント」までひらめき、実行し、大成功してしまうのである。えーと、まず「プロダクトプレイスメント」ってのは何か説明すると、ごく簡単に言うと、ドラマや映画などで、主人公が何気なく使う品、を提供して、劇中で使ってもらい、さりげなく広告する手法だ。まあ、普通はスポンサーだとかの商品が不自然に置いてあるとか、やけにロゴがアップで写るとか、そういう形で行われるので、下手にやると下品極まりないけれど、幸ちゃんの実行したやり方は実に面白かった。現在の夫は、元作家志望のだめんず野郎だけあって、浄瑠璃の世界にも知り合いがいるわけですよ。その、浄瑠璃の人形に、五鈴屋の「桑の実色」の反物を無償提供するんだな。もちろん、一切、五鈴屋の宣伝をしてくれとかお願いせず、ただ、無料提供するだけである。そして、幸ちゃんが、同じ反物から作った着物を着て、その浄瑠璃を観に行くわけですよ。ここでポイントなのは、そもそも幸ちゃんが超美人で目立つ、ってことですな。お客さんは、おお、あの人形の着物はきれいな色でいいねえ! と思う→ふとみると、おっと!なんだあの別嬪さんは!人形と同じ着物着てるぞ!?まるで人形のような美しさじゃないか!!とざわつく→幸ちゃんは一切しゃべらず、にっこりするだけで去る→これを10日連続で行い、現代的に言うと、完全にBuzzるわけですな。結果、五鈴屋さんには「あの桑の実色の反物をくださいな!」とお客さん殺到。しかも周到なことに、幸ちゃんはあらかじめ「桑の実色」の反物を買い集めておいて、在庫もしっかり確保してるわけですよ。えーと、しつこいですが、やっぱり出来すぎ、ではあると思う。けど、痛快ですなあ! わたしは大変楽しめました。
 4)M&Aによる事業規模の拡大
 そして今回、最大のポイントがラストに待っていました。いままで、かなり五鈴屋の味方になってくれていた同業の桔梗屋さんが、後継ぎもいないし、もう歳だし、ということで、お店を売りに出すことになる。その時、よし、じゃあわたしが桔梗屋さんを買い取りましょう、ちゃんと従業員は継続雇用するし、お店の名前も桔梗屋さんのままでいいですよ、といいことづくめのように見えたが……まあ、実は全然いい話じゃなく、買い手はクソ野郎だった、ということで、桔梗屋さんは激怒&手付をもらっていたために大ピンチに陥る。そこで幸ちゃんが下した決断はーーー! というのが最後のお話で、これは実際に今までさんざんM&Aをやってきたわたしには、超何度も見かけたお話で、とても面白かった。わたしの経験では、M&Aはたいてい失敗しますよ。これは経験上、わたしは断言してもいいと思っている。お互いがお互いを尊敬し思いやるような、心の美しさがM&A成功のカギで、結局のところ、人、がすべてなのだが、最初に言っていたことを反故にするのなんて、もう何度も目にしてきたし、上手くいったのはほんの一握り、なのが現実だ。買収前後のゴタゴタは本当につらいことなのだが、幸ちゃんの決断は実に胸のすくもので、今回はここで終わりか! というエンディングだったので、次の(5)巻が今からもう楽しみでたまらないのであります。次はまた、年明けあたりだろうな……とてもとても、楽しみです!

 というわけで、もう長すぎなので、ここで結論。
 高田郁先生による最新刊『あきない世傳 金と銀(4)貫流編』が発売になったので、すぐさま買い、すぐさま読んだわたしだが、今回も非常に面白かった。高田先生の作品は、おそらく主に女性読者に人気なのだと思うけれど、この『あきない世傳』シリーズは、世のビジネスマンが読んでも大変面白い作品だとわたしは確信している。とりわけ今回のビジネスプランは実に面白かった。そしてとうとうM&Aまでがテーマとなり、これは全国の経営企画室の人々にぜひ読んでもらいたいと思う。そして、自らが手掛ける案件を想い、真面目に、誠実に、まっとうに、嘘をつくことなく、職務を全うしてもらいたいな、と思った。現代ビジネスの世界は、ほとんど契約に縛られているので「情」の出る幕は実はほとんどないのが現実だけど、やっぱり、「情」のない奴との仕事はつまらんというか……そういうやつとは付き合いたくないですな。幸ちゃん……あなた、生まれるのが250年早かったかもね……部下に欲しかったよ、君のような女子が……以上。

↓ お、DVDは発売されてますね。華ちゃん=澪ちゃんはいいすねえ! 華ちゃんは大阪人だから、澪ちゃんにぴったりでおますなあ! 女子のしょんぼりフェイス愛好家のわたしには、華ちゃんの「下がり眉」は最高でした。
みをつくし料理帖 DVD-BOX
黒木華
ポニーキャニオン
2017-11-15

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間……ですが、本当にすみません。
 わたしは毎週、電子書籍の「シリーズ予約機能」を使って、週刊少年チャンピオンを自動購入しているわけです。つまり朝起きると、購入が完了してタブレットにダウンロードまで完了しているのですが、今朝、起きて、コーヒーを飲みながらテレビをつけて、タブレットの電源を入れたところ、いつもなら電子書籍ストアから、「購入が完了しました」メールが来ているのに、今朝はメールが来ていません。
 あれっ!? おかしいな……
 と思い、電子書籍のリーダーアプリを起動してみたところ、確かに、購入されていない模様。
 あれれっ!? ナンデ!?
 これはあれか、予約の期限切れとかそういうものか? それとも決済用のコイン不足だったか!? と調べても、どうもそんなことはなさそう。
 あれれれっ! どういうこと!?
 というわけで、仕方ないので直接ストアで買うか……と思い直し、今度は電子書籍ストアで、えーと、週刊少年チャンピオン……発売日順……と探すと……出てきたのは先週号が「最新」である、という表示。当然それは「購入済」マークがついています。
 いや、だから、今週号が読みたいんだっつーの!

 と、この段階で初めて、まじまじと先週号の表紙を見たところ……
 げええーーーーーっ! ちっちゃく36+37号って書いてあるじゃんか! が、合併号だったのかーーーーッッッッ!! ということに、やっと気が付いたのであります。そうか、世の中はお盆って奴だった! ことにやっと気づいたわけで、壮絶にアホでした……。

 というわけで、今週はお休みです。
 誠に申し訳ありませんでした。楽しみにして下さっている皆さま、ホントにごめんなさい。来週までお待ちくださいませ。

 あーーーあ……なんかもう、今日は全く何もかもやる気がなくなったというか……やれやれっす。以上。

 わたしが世界で最も好きな作家がStephen King大先生であることは、もうこのBlogで何度も書いている。そしてこれも、何度も書いたが、確かに大好き、ではあるけれど、すべての作品が超最高だとはもちろん思ってはいない。たまーに、これはちょっとなあ……という作品もあるのは残念ながら認めざるを得ない。しかし、それでもやっぱり、わたしはStephen King大先生の小説が大好きであり、新刊が出れば、もう文庫化まで待たずに即買って読む、という方針を採っている。理由は簡単で、我慢できないから。早く読みたくて堪らないから、である。
 ところで。Kingファンの方にはもはや言わずもがな、であるが、King大先生のライフワークともいうべき超大作『THE DARK TOWER』シリーズは、第1巻がUS本国で発売されたのが1982年だそうで、日本においては1998年かな、角川文庫から発売になった。たぶん、このタイミングでの日本語版刊行は、US本国において第4巻が1997年に発売されたことに合わせて、だったのだと想像する。その後、角川文庫はその第4巻までを刊行した(わたしの記憶では第3巻だったような気がしたけどさっきWikiを見たら4巻まで刊行してたそうです。そうだっけ?)―――のはいいのだが、なんと肝心のKing大先生の筆は止まってしまい(→ご存知の通り1999年6月19日に、King大先生はすさまじい交通事故に遭ってしまい、瀕死の重傷を負って本当に死にかけた)、第5巻のUS発売は2003年まで、つまり6年後まで待たなければならないことになった。そしてなんと、角川書店は、4巻目までで刊行をやめちゃったのである。まあ、待てなかったんだろうし、実際売れなかったんだろうな、とその状況は今となっては確かに想像できる。
 しかし、である。当時の我々King大先生のファンにとっては、その角川書店及び角川文庫は、「ダーク・タワーへの旅を途中リタイヤした裏切り者」として嫌われることになったのである。ええと、サーセン。これはわたしだけかもしれないので、「我々」というのは若干嘘ですが、とにかくわたしは当時、猛烈に頭にきて、もう角川文庫なんて買ってやるもんか!ぐらい腹が立っていたのは間違いない。その後、2005年になって結構突然第1巻から新潮文庫が出し直しを敢行し、最後の第7巻(※ただし、それぞれすげえ長くて、上下巻や上中下巻と分割されているので、新潮文庫で言うと全16冊かな)までを発売してくれたので、わたしも最初から全巻買って読み、大いに感動して主人公たちの旅の最後を見届けたわけである。これも今思えば、USで最終巻までの発売を見届けてから、新潮文庫は刊行スタートしたわけで、ある意味、横取りというかかっさらった的なズルいやり口ともいえるのかもしれない。
 ともあれ。わたしは今でもよく覚えているが、新潮文庫から最終巻が発売されたのが2006年の年末で、その年末年始の休みに読み終わり、その壮大な旅のラストに大感動し、明けた2007年の4月から、わたしは会社を一日も休まず土日だけを利用してお遍路の旅に出たのだが、最後の88番目のお寺が見えた時(丁度坂になっていて、えっちらおっちら登って徐々に見えてくる)は、本当に物語の主人公、ローランド・デスチェインのような心境になって、とうとうオレはここまで来た、とやけにジーンとしたものである。まあそれはどうでもいいか。
 で。わたしにとってKing大先生の『THE DARK TOWER』シリーズは忘れられない大傑作となったのだが、なんと! 今年2017年1月から、あの「裏切り者」である角川文庫から、ふたたびシリーズ全巻が発売されることが決定したのである。恐らくこの、普通に考えて有り得ない出し直しという(いい意味での)暴挙の背景にあるのは、ハリウッドでの映画化である。

 既にUS本国では先週末からいよいよ映画版が公開になっているが、まあ、それに合わせての、まさかの角川版出し直し、ということだろうと思われる。わたしとしては、かなり今さらかよ、という思いが募るが、まるでその贖罪かのように、シリーズ完結後(新潮版もすべて完結後)にUS発売になった幻の外伝『The Wind through the Keyhole』(4巻と5巻の間のお話で、4.5巻目にあたる物語)も角川はちゃんと出すというのだから、その決意やよし、貴様の謝罪は確かに受け取った! とわたしはあっさり許すことにし、この機会に、電子書籍ですべて買い直すこととした。おまけに、すべて描き下ろしのイラスト表紙がやけにカッコイイじゃあないか! サンキー・サイ・カドカワ!

 現在、新装・角川版は第5巻『Wolves of Calla(カーラの狼)』まで発売されており、問題の幻の4.5巻はとっくに発売になっている。そしてわたしは、全巻購入完了してから、最初から順番に読み直そう……と思っていたのだが……ついうっかり、どうしても4.5巻を読みたくてたまらなくなり、ちょっとだけ、最初だけ……とか思ってたらまんまとその面白さに引きづり込まれ、昨日読み終わっちゃったのであった。だが結論から言うと、やはりもう一度、最初から読み直すべきであろうという思いは強まっている。何故なら、この第4.5巻はやっぱり抜群に面白かった! のは間違いないものの、結構忘れていることが多く、このキャラってまさか……というような点が残念ながらわたしの低レベル脳では味わいきれなかったのではなかろうか、という思いというか不安?が強いからだ。
 というわけで、恐らく今後、初めから読み直すのは間違いないので、今回読んで思ったことやひょっとして、と思ったことをまとめておき、後に、ああ、オレはバカだったなあ、という確認をするために今現在のわたしの感想をここに記すことにする。しかしなあ……この『THE DARK TOWER』シリーズは、完全にラーメン二郎の大、トッピングもマシマシにしちゃったくらいのウルトラハイカロリーなので、味わい尽くすにも準備がいるからなあ……でも、それでもオレは読む! 「カ」の導きに従って!

 さてと。本作は、散々もう書いた通り、Stephen King大先生による一大叙事詩『THE DARK TOWER』シリーズの第4巻と第5巻の間に当たるお話で、通称第4.5巻と呼ばれている。4巻までにどんな事件があったか、また、そもそもこの『THE DARK TOWER』ってなんぞ? といった説明はもう書かない。それだけでわたしは軽く5時間しゃべり続ける自信はあるが、文字に起こすと恐らく25万字ほど費やすことになることは確実なのでやめておく。今のところは。
 なので、この第4.5巻のことだけを書くことにするのだが、非常に興味深いことに、本作は3つの物語が入れ子構造になった、いわゆる枠小説の形式をとっている。カタカナ好きな小僧が使いそうな表現で言うと、いわゆるメタフィクションという奴だ。簡単にまとめると、
【本筋】
 主人公たち「カ・テット」の4人+1匹が、第4巻での「狂えるなぞなぞ列車・ブレイン」との熾烈ななぞなぞバトルを終え、次なる地へと向かって旅を続けている。もちろん、次なる地は第5巻の「カーラの狼」の舞台であるカーラ、である。そこへの道中、主人公たちは、スターク・ブラストという嵐に遭遇し、とある小屋で一夜を過ごすことに。そしてその小屋で、ローランドは若き日に父から指令を受けて「スキンマン」という謎のシェイプチェンジャー(獣とかに変身できるバケモノ)を退治しに行った時の話をみんなに聞かせる。
【若き日のローランド(15歳)の話】
 第4巻後半で語られた、若き日のローランド(14歳)の悲恋と母殺しの傷がまだ完全には癒えていない頃のお話。ガンスリンガーとして認められたローランドは、父の指令によりデバリアで起こっている謎の連続猟奇殺人事件の捜査へ、友のジェミーと二人で派遣される。犯人とされる男は、人間ではあるものの、獣に変身して人を襲うシェイプチェンジャーらしい。そして惨事から辛くも生き残った少年ビルを保護したローランドは、おびえるビルに、かつて母から読み聞かせてもらって大好きだった物語「鍵穴を吹き抜ける風」を語って聞かせるのだが――。
【鍵穴を吹き抜ける風】
 後に伝説のガンスリンガー「豪気の」ティムと呼ばれることになる少年ティムの冒険物語。ティムは父をドラゴンに殺され、母は再婚するが、この再婚相手がクソ野郎でとんでもないDV野郎だった。そして彼らの住む森に年に1度現れる徴税士、黒衣の「契約者の男」と出会い、父の死の真相を知ったティムは母をいやす魔法を得るために森の奥へ旅に出るのだが――。

 という3つの物語から成っている。【鍵穴を吹き抜ける風】も、【15歳のローランドの捜査ミステリー】も実に面白く、とりわけ15歳のローランドの話の結末は、シリーズ前作(第4巻)を読んでいる人なら確実に泣けるお話で、いや、わたしは泣きはしなかったけど、深く激しく感動した。これは第4巻の真のエンディングだとわたしは大いに興奮しました。ここで、母からローランドへの愛が語られるとは……! しかもそれが「ハイ・スピーチ語」で記述されていて(我々には全く読めない!)、ファンならもう超胸が熱くなること請け合いであろうと思う。その、母からの最後の言葉を、一番ラストで、ぼそっとスザンナだけに伝えるシーンはもう大感動ですよ。
 まあ、シリーズを読んでいない人には、わたしが何を言っているかさっぱりわからないだろう。だが、読んでいる人ならば、これだけで相当興味が魅かれるのではなかろうか。

 もういい加減に長いので、本作だけ(?)に出てくると思われるキャラについて、備忘録としてメモしておこう。もう「カ・テット」の4人+1匹については説明しませんし、「カ・テット」とは何か知らない人は、まあ、今すぐシリーズを読むか、退場してください。

 ◆ジェミー:若きローランドと同年代のガンスリンガーになりたての少年。アランとカスパート(4巻で語られる過去話に出てくるローランドの親友)の二人は今回出番なし。代わってジェミーという新キャラが今回の相棒として登場。ただ、ひょっとしたら彼も既に第4巻に登場していたのかもしれないけど、既に覚えてません……ガンスリンガーなので当然腕は立つ頼れる仲間で、ローランドの信頼も厚いが、とにかく無口で真面目な童貞ボーイ。結構カッコイイ。★2018/02/11追記:おれのバカ!! 現在、1巻目から読み直しているところですが、思いっきり1巻からジェミーは登場してました。鷹のデイヴィットを使ったコートとの対決の時、仲間の一人としてジェミーはいましたね。ごめんよ、すっかり忘れてた!
 ◆ティム:「鍵穴を吹き抜ける風」というおとぎ話(?)の主人公の少年。12歳。スーパー勇気のあるガッツあふれた少年で、この冒険譚がすさまじく面白い! そしてローランドも彼にひどく感情移入して語られており、実に興奮する物語となっている。
 ◆契約者の男:ティムの勇気を認め、とある魔法で真実を突き付けるのだが、実は単に事態を面白がっているだけ? のようで、しかもどうやらシリーズ最大の悪「クリムゾン・キング」の手下、なのかもしれない。この物語当時の「黒衣の男」=「ランドル・フラッグ」的な存在らしい。ただし、物語の中ではそれほどの悪党ではなく、むしろティムを気に入り、一応は手助けしてくれたともいえる、ちょっと理解が難しいキャラ。彼も、以前に登場していることをわたしが既に忘れちゃってるだけかも。
 ◆ダリア:ティムが旅の途中で手に入れるディスク型ポータブルナビゲーションの機械。どうやらGPS搭載でティムの旅を何気にサポートしてくれる。もちろん「ノース・セントラル・ポジトロニクス社」の製品。この社名だけで、わたしは興奮できます。シリーズを読んでいる人なら同意してもらえると思う。ダリアは「指令19」というものに縛られているようで、ティムの質問に回答できないこともあるのだが、King大先生のファンならば、「19」という数字だけで軽く3時間は議論が出来ますな。意味の分からない人はもう帰ってください。
 ◆北の森クノックに建つドガン:ティムの冒険の終着地点。どうやら<獅子のビーム>の塔らしい。元々の守護者はライオンの「アスラン」のはずだが、どうやらアスランは生きているとすれば遥か彼方にある雪の途絶えない国にいるらしい。これって……まさしく「ナルニア国物語」のアスランのことですな。他にどんなビームの塔があって、それぞれの守護者の動物がどんなだったか、もう忘れちゃったよ……第3巻冒頭の、殺人サイボーグ熊「シャーディック」との激闘が懐かしい。ビームの塔が6本あるのは確かなのだが、くそう。ちゃんと読み直さないとダメだ! ファン失格! コートならば確実に落第を言い渡すであろう!
 ◆虎:魔術師マーリンが転生させられ、ドガンに拘留されていた時の姿。いい魔術師で、ラストではティムの活躍で虎の姿から元に戻り、母の目をいやす魔法を授ける。このマーリンも、これまでの物語に出てきたか覚えてない。ただ間違いなく、いわゆる「アーサー王物語」に出てくるあの魔術師マーリンであることは確実。一応言っておきますが、エルドのガンスリンガー(=主人公ローランド)はアーサー王の末裔という設定です。

 はーーー。本当に興奮したわ……マジ最高です。  
 まあとにかく、Stephen King大先生による『THE DARK TOWER』は、その長大さに普通の人は絶対に手に取らない、相当ハードルの高い物語だとは思うけれど、少なくとも、Stephen Kingファンを名乗るならば絶対に避けて通れないイニシエーションであろうと思う。わたしは読み終わった時、本当に胸に深い感動を覚えたわけで、それを共有できる友が当時一人いたことを、当時のわたしは本当に嬉しく思ったものだ。わたしは今でも、その友とはサンキー・サイ、と言い合う仲だし、メールの文末は必ず、「長い昼と快適な夜を(Long Days and Pleasant Nights)」という言葉で結んでいる。鹿児島に住む彼とはもう2年ぐらい会ってないなあ……また会いに行くか……と思ったわたしであった。分からない人には全くわからないと思うが、シリーズを読んだ人なら、わたしの気持ちが伝わるものと信じたい。

 というわけで、結論。
 わたしがこの世で最も好きな作家は、ダントツでStephen King大先生である! それは動かしようのない厳然たる事実だ。そして、かつてわたしを裏切った角川文庫が、今年に入って突如、『THE DARK TOWER』シリーズ全巻の新装出し直しを開始し、あまつさえ、日本語未翻訳だった幻の外伝第4.5巻『鍵穴を吹き抜ける風』をも刊行してくれたので、抗いがたい誘惑に負け、ついその4.5巻だけ読んでしまったわたしであるが、その物語の面白さに興奮し、かつて共に物語を旅したお馴染みの「カ・テット」に再会することができて、実にわたしは嬉しく思う。いやー、最高ですよ。ホントに面白かったす。以上。

↓ そしていよいよ来月発売が決定! 偉いぞ文春! 『Mr.Mercedes』の続巻です! 一日も早く読みたい!!!
ファインダーズ・キーパーズ 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29

ファインダーズ・キーパーズ 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2017-09-29



 というわけで、毎週月曜日は映画週末興行データです。
 わたしはこの週末も、映画に行きませんでした。4週間映画を観に行かなかったのは、今年最長のブランクかも。おっさん的には観たい作品がないということなんですが、この週末も新作が公開されており、市場は賑わってますな。

 さて。それではさっそく、興行通信社の大本営発表をメモしておきます。20時16分現在、いつもの興行通信社のコメントテキストが更新されてないので、映画.comとかから新作の数字は拾いました。明日の朝、またチェックして何かあれば直します。更新されないのはキャシュのせいか??

 1位:『怪盗グルーのミニオン大脱走』がV3達成。17日間31億突破ですって。TripAdvisorの発表によると、USJの人気はTDLすらも超えて1位だそうで、まあホントすごいすねえ。
 2位:『劇場版 仮面ライダーエグゼイド/宇宙戦隊キュウレンジャー』が公開土日で2.56億稼いで2位。実はわたしは非常に観たいです。というのもですね、「エクゼイド」は最初の頃は全然ノれずに、こりゃアカンと思っていたのですが、3クール目あたりから俄然面白くなってきて、あと3週かな、もうすぐ最終回ですが、この劇場版の「True End」が非常に気になっております。なので2位は驚きではないです。そして9月からの新ライダー「ビルド」がそそりまくりますなあ! 一応、夏ライダー初週実績をメモっときます。2016夏ライダー(ゴースト):2.11億スタート、2015年夏ライダー(ドライブ):2.13億スタート、2014夏ライダー(鎧武):1.69億スタート、2013夏ライダー(ウィザード):2.51億スタート、2012夏ライダー(フォーゼ):2.54億スタート、2011夏ライダー(オーズ):3.49億スタート、2010夏ライダー(W):3.31億スタート、です。
 3位:『トランスフォーマー/最後の騎士王』が 公開土日で3.28億稼いで3位。金額順だと2位になるのかな。金曜公開なので3日間だと4.51億ですって。前作まではちゃんと観に行きました、が、もはや……いいかな……と観に行きませんでした。WOWOWでの放送を待ちたいと存じます。なんか……全然もう魅かれないす……。US評価もやけに低く、興行成績もこれまでに比べると低いようです(あくまでシリーズ比較として低いだけで、数字的には相変わらずデカイし、中国では2億ドル以上のメガヒット中)。過去作は日本ではこんな感じでした。2014年(ロストエイジ):4.85億(3日間6.52億)スタート→29.1億、2011年(ダークサイドムーン):5.71億(3日間8.18億)スタート→最終42.5億。
 4位:『君の膵臓をたべたい』が10日間で8~9億ぐらいと見積もる。もうチョイ上だろうか? 東宝で320Scr規模で言うと今年の『64前編』が2.57憶スタートで2週目7.08億、2015年の『バクマン』が2.51億スタートで2週目6.67億。それらよりは上だと思うのだが、どうでしょうか。★追記:正解は9.45億だそうです。やっぱり思ったよりチョイ上でした。
 5位:『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第一章』が公開土日で1.36億稼いで5位スタート。金曜公開だから3日間だと2.26億だそうです。えーと、サーセン。『JOJO』は連載第1話からずっとジャンプで読み、紙の単行本は勿論、電子書籍での買い直しもしたし、今もウルジャンを買って読んでいますが……結局本作は観に行きませんでした。WOWOWで放送されるのを待ちます……そして、うおー、やっぱ劇場に観に行くべきだったぜ、と後悔したいと存じます。同じワーナー邦画で言うと、『るろうに』や『デスノート』や『銀魂』と比べるとアレですが、同じワーナー&三池監督作品の『藁の楯』が初週1.86億スタートで最終18億。まあ、『JOJO』はどうなるんでしょうなあ。
 6位:『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』が23日間で20億を超えたぐらいと見積もる。★追記:正解は21.20億だそうです。
 7位:『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』が10日間で7~8億ぐらいと見積もる。★追記:正解は8.57億だそうです。
 8位:『銀魂』が24日間で26~27億ぐらいと見積もる。今週の6位以下は難しいす。8/1時点で24億超えてたそうなので、そこから5日間で約3億乗せてみたけど、どうだろう、自信なし。★追記:正解は27.30億だそうです。
 9位:『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』が37日間で57~58億ぐらいと見積もる。★正解は58.31億だそうです。
  10位:『メアリと魔法の花』が30日間で22~23億ぐらいと見積もる。先週末時点で19.2億。そこから約2.5億オンしてみた。けど、どうかな……これまた微妙に分からない……。★追記:正解は22.22億だそうです。

 とまあこんな週末だったようです。
 とうとう公開になった『JOJO』は、まあこんなもんなんですかねえ。なんか……「第一章」と銘打たれていますが、続きは作るのかなあ……。多分、観たら楽しめるとは思うけど、観に行く気にならないのは暑さのせい、と思うことにします。

 というわけで、暑くてわたしの部屋の室温32℃なので結論。
 今週も観たい映画がなく、しいて言えばライダーが観たいとは思っているものの、劇場へ行かなかったわたしですが、来週の『SPIDER-MAN』、再来週は観劇に行ってその次の週末には『WONDERWOMAN』と、大変楽しみな作品がやってくるので、そちらに期待しながら夏を乗り切りたいと存じます。以上。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、先週書いた通り、わたしは既に、オレの夏は終わった的抜け殻状態なので、特に書くネタがないのですが、今はどうも相撲教習所の時期なんすかね? 今朝、総武線に乗ったら、ツン、となにやらいい匂いがして、おや? と前を見たら、まだ髷を結えない力士養成員と思われる浴衣着用のやけにガタイのいい若者が一人乗っておりました。そして両国で降りて行ったので、どうも、ああ、これは教習所か? と思ったわけですが、どうなんでしょうか。わたしは老人レベルに朝型なので、7時前には会社に着いて仕事を始めるわけで、『バチバチ』(5)巻収録の第35話「相撲教習所」によると、朝の6時半集合と書いてありましたので、確かに、わたしが今日見かけた若者もその時間にちょっと余裕のある時間に両国に着いていました。しかし力士のつけてる鬢付け油は、大変かぐわしい香りですな。総武線では場所中も良く力士を見かけますが、匂いで一発で、おっ!? と分かるすね。
 さてと。それではまずは今週の週刊少年チャンピオン2017年36号概況です。
 ※追記:全然気が付かなかったけど、この号は36+37号、つまり合併号でした。よって次週はお休みです!!!
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版は乃木坂の久保史緒里嬢・大園桃子嬢・山下美月嬢のお三方だそうです。付録もついてるらしいすよ。勿論電子版には付録はないす。
 ■弱虫ペダル:駆け上がるクライマーの巻。巻頭カラーです。まあ、タイトル通りの展開ですが、今年の山は泉田君まで登っているのが意外な展開です。これは後々総北にとってまずい展開になりそうですね。
 ■刃牙道:不倒の想いの巻。久々に突然主人公刃牙登場で盛り上がってまいりました!
 ■BEASTERS:睫毛の奥のブラックホールの巻。ジュノちゃんはおっかないすねえ……。
 ■囚人リク:破壊の巻。さあ田中のおっさんに死亡フラグは立ったのでしょうか。そして善に目覚めたピカソ内海の決断は! 今週はかなり真面目に普通な展開です。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:太陽は罪な奴の巻。今週はなんかいつもより畳みかけるギャグ成分が落ち着いてました。
 ■AIの遺電子:リサの巻。リサちゃんの過去話。先週からかなり驚愕の(?)展開でドキドキです。いつも健気なリサちゃんが可哀想……
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さてと。それでは、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週は、”怪力”【天雷】が10日目を【白鯨力】に勝ち、引き上げる花道での鯉太郎との邂逅がメインに描かれ、いよいよ我々ファン待望の【天雷】VS鯉太郎が正式決定しためでたいお話だったわけですが、今週は明けて11日目の朝の、空流部屋の様子から始まります。
 まずは、大吉や豆助に、ぎっちりと右肩をテーピングされる常松こと【松明】関です。大吉たちは心配の様子ですが、常は、下半身は動くんだから、頭を使って相撲を取るさ、とやる気満々。豆助はそんな常の姿に「漢(おとこ)だぜ松明関!」と感動の様子。そこに、現親方たる【仁王】兄貴がやってきます。
 「オウ…どうすんだ? 常松…」 この、どうすんだ、には傍点が振られ強調されています。そしてこの親方の言葉に、常は、えっと、ぐぬぬ、仕方ない、と表情が移り変わり、小さな声で「分かりました…」と答えます。そして、ページをめくると「休場します…」とうなだれ気味の常松。心配していた大吉は一安心、感動していた豆助は、常の悔しい気持ちをおもんぱかって気の毒そうな表情。常もしょんぼり。大吉は言います。
 「仕方ないよ…親方の「どうすんだ」が出たんだから…」というわけで、場面は過去へ。それは、鯉太郎VS【天雷】が決まっていた、けど、鯉太郎がケガをしてしまって勝負が流れてしまったあの日の模様であります。
 あの日ーーー。鯉太郎は、相手を土俵際の大逆転、うっちゃりで勝利を得たようですが、どうやら、その無理な体勢と、土俵下へ転落したことが影響したのか(?)、「右足大腿直筋の肉離れ」を起こしたのだそうです。そしてその日は傷みがひどく一日入院したのだそうです。
 部屋では常も【白水】兄貴も、明日の取組(=VS【天雷】戦)を楽しみにしてたのにな……としょんぼりなムード。しかし翌日の朝、鯉太郎は稽古場にやってきました。もちろん右足はもう、太ももからひざ下までテーピングでぐるぐる巻きです。そんな姿に【白水】兄貴も常も、大吉も目丸手も驚きの表情。「オイオイオイ! 大丈夫なのかよ鯉太郎! 肉離れしてんだろ…!? 無理すんなって」と【白水】兄貴が叫ぶのも無理はありません。そしてそこにやってきた【仁王】兄貴こと現・空流親方。
 「オウ…どうすんだ? 鯉…」つまり現在時制の11日目の朝の状況は、どうやらこの時と全く同じというわけです。もちろん、この時の鯉太郎はこういいますよ。
「出ますよ…誰に止められようが…絶対…今日は同期の天雷と組まれてるんです…このぐらいで休めませんよ…」
 この言葉を聞いた親方の取った行動、これが今週一番の盛り上がりポイントです!
 「そうか…」眼を閉じ、ある種の決意の表情の【仁王】兄貴
 「なら…」シャツのボタンに手をかける【仁王】兄貴
 「見せて見ろ…」ぱさっと放り投げられたシャツ
 「俺を倒せれば…」今でもムッキムキの【仁王】兄貴の背中! 弟子たち顔面蒼白!
 「出させてやるよ」完全に鬼の表情の【仁王】兄貴の顔のドアップ! やっばい! こ、これは…これはまさしく仁王様!!!
 この表情を見せられては鯉太郎も、声が出ません。そんなピリピリムードを【白水】兄貴はなんとかしようと「何言ってんだよ親方…目がマジだぜ…」と声をかけますが、鯉太郎は引けません。そして稽古場の土俵で対峙する【仁王】兄貴こと現・空流親方と鯉太郎。親方は鼻くそほじりながらの超余裕モード。鯉太郎もギリっと歯を食いしばって……立ち合います! が、しかし! 当然そんな足では、鯉太郎の最大の武器である立ち合いのブチカマシが出来ようはずもないじゃあないですか! トッと親方の胸に頭をぶつけるのが精いっぱい。さあ、ここからが親方のターンです!
 「なんだそりゃ…」というつぶやきののち、右手一本で鯉太郎を土俵にたたきつけます。
 「オラ…終わりか? 現役じゃねえ俺にそのザマで よく場所に出るなんで言えたもんだなあ…」これには【白水】兄貴は思わず心の中で、あんたまだまだ現役でもトップクラスの力があんだろうが、とツッコミますが、鯉太郎はそれでも雄たけび一発、親方にぶつかっていきます。
 「そんな腑抜けた当たりしか出来ねえ奴が プロとして土俵に立つってのか? 失笑もんだな…」そう言われても、鯉太郎の脳裏には、今日の一番を楽しみにしてるぜ、と言ってくれた【天雷】の晴れやかスマイルがこびりついています。
 「待ってる奴がいるんだ…これを逃したら次はいつになるか分からねえ…天雷の気持ちを…俺は踏み躙れねえ…」
 しかし親方は、非情の右張り手を一発かまし、鯉太郎を土俵に沈めます。それでもあきらめようとしない鯉太郎。もうそんな状況を見てられない【白水】兄貴が親方にも鯉太郎にも、もうやめろ、やりすぎだ、お前もだよ鯉太郎もうやめろって! と悲痛の叫びをあげます。ようやく親方も言います。
 「チッ まだ分からねーのかテメーは…天雷はそんなお前と戦いたいのか? そんな状態のお前と戦って テメーも天雷も最高の取組だったと言えるのか…?」
 兄貴! まったくもってそれは正論ですよ! ちゃんとアナタ、言葉でもいいこと言えるじゃないすか! 親方として見事に指導してるじゃないすか!
 「テメーの性格だ…ここまでしなきゃ納得しなかっただろ…分かったら今はまだ時期じゃなかったと諦めるんだな…」
 しかし頭ではそりゃあ分かって理解できても、鯉太郎のハートはまだおさまらないわけで、それも読者的には分かっちゃうからつらいところですねえ……
 「だけど…だけどやっぱり…少しでも体が動くなら…俺は…」
 という鯉太郎の言葉を聞き、なんだとてめえまだわからねえってのかこのガキャア、的な鬼の形相の【仁王】兄貴の横顔ショットで今週は幕、でありました。はーーーおっかねえ!
 なるほど、つまり親方が「どうすんだ?」と聞いた時は、もうアウトで「アッハイ、休場します!」と答える以外の選択肢はないんすね。要するに、親方はアウトじゃなきゃ「どうすんだ?」なんて、おそらく聞かないわけで、それを自分の口から言わせて、気持ちを整理させるための「どうすんだ?」なんでしょうな。素晴らしい親方じゃないですか。いやあ、こりゃあちょっと、今後、鯉太郎にいつ親方から「どうすんだ?」が発令されるか、あるいは発令されないのか、超ドキドキすねえ……今週は短くまとめようと思いましたが、ダメでした。ホントサーセン。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 11日目:【天雷】東関脇 で確定!!! やった!!
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 10日目現在9勝1敗
 【田上】番付不明※王虎の付け人をやってる模様。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。 

 というわけで、結論。
 今週描かれたのは、11日目の朝の空流部屋の様子と、かつての【天雷】戦の当日朝の鯉太郎と【仁王】兄貴のぶつかり合いの様相でありました。結果、10日目に【百雲】戦で右肩を痛めた常松は休場を決意。そしてかつての鯉太郎は、親方にどやされても【天雷】戦をあきらめきれず、親方の更なる怒り爆発寸前、までが描かれました。まあ、でも、やっぱり親方の方に理はあるわけで、それでもあきらめきれない鯉太郎の気持ちもわかるわけで、指導者としては、何としても鯉太郎にわからせる必要があるんでしょうな。かつての吽形さんのこともありますしね……。今週も大変読みごたえのあるお話で大満足ですので、まさしく仁王様ばりの親方の鬼の形相は、ぜひチャンピオンを買ってご確認ください! 最高です。以上。
 ※追記:全然気が付かなかったけど、この号は36+37号、つまり合併号でした。よって次週はお休みです!!!

↓ 要するにこういうことです。


 わたしは、かつて仕事において「女性に絶大なる人気を誇るコンテンツ」について、かなり真面目に調査をしていたのだが、その調査の一環で、10年前に大人気だった(今でも大人気だが)『テニスの王子様ミュージカル』を10回ぐらい観に行ったことがある。確か一番最初は、取引先の女子が大好きだということを聞いて、オレも連れてってください! とお願いして連れて行ってもらい、その後、会社に生息する女子オタのみんなとも行くようになった。
 わたしが「女子向け」作品を調べていたのは、ズバリ言えばビジネスのためであり、その流れで宝塚歌劇も観に行くようになったのだが、そもそもわたしは、何か大好きなものを熱く語る女子に非常に惹かれるというか、そういうときの女子が一番かわいいと思っている。そして一緒に『テニミュ』を観に行った女子たちも、まあ、会社では見たことのないような笑顔であり、そして、わたしは今でもその光景をよく覚えているのだが、『テニミュ』が終わってカーテンコールで場内が明るくなった時、わたしは振り返って客席の淑女の皆さんがどんな顔をしてるんだろう? と観てみたことがあるのだが、あの時の、なんとも嬉しそうに輝く数百人の女子たちの超イイ笑顔を観て、ああ、こりゃあ凄い、とある意味感動したのであった。
 そのころの『テニミュ』は、ほぼたいてい、会場は神宮球場の横の「日本青年館」であった。最後の方は水道橋のJCBホール(現在のTOKYO DOME CITY HALL)に移ってたかな、まあとにかく、わたしとしては「日本青年館」=『テニミュ』なのである。しかしその日本青年館も、老朽化もあったのだろうが、改築のために取り壊され、現在、跡地は東京オリンピックへ向けた国立競技場建て替えの資材置き場(?)となってしまっているのだが、昨日の月曜日の真っ昼間、わたしは、新たに生まれ変わり(そして場所もちょっと移動した)新装オープンしたばかりの、新生・日本青年館へ推参したのである。
 その目的は―――新生・日本青年館のこけら落とし公演となる、宝塚歌劇団星組公演『ATERUI 阿弖流為』を観劇するためである! そう。わたしが一番愛する星組の、一番愛するスター、礼真琴さん(以下、こっちんと略)の東上初主演公演である! やったぜこっちん! こっちんは、現在星組の2番手スターという地位にいるが、これまで、単独主演公演を2回こなしているものの、両方とも宝塚バウホール公演であった(そのためわたしは観られなかった。くそう!)ため、東京での主演は初めてなのであります。そしてそれが、記念すべき新生・日本青年館のこけら落としなんて、こっちんを愛するわたしとしては、何があろうともその初日に駆け付けなくてはならないのである。そう、例え平日の昼間、というリーマンには到底厳しい状況であろうとも、それは絶対に行かなくてはならんのです! はっきり言って、この初日に青年館に行くこと以上に重要な仕事なんて、あるわけないよ。というわけで、わたしは自らの立場と職権を乱用し、11時からの打ち合わせを、あ、オレ、今日12時で出ちゃうから、と言い切ってぶった切り、タクシーを飛ばして青年館へ駆けつけ、こっちんのウルトラカッコイイダンスと歌に酔いしれてきたのである。いやー、まあなんつーか……一言で言うと、最高でした!!!
aterui
 あかん、映り込みがひどいな……本物のポスターは最強カッコエエのはもはやいわずもがなであろう。それでは、書き留めておきたいことがいくつもあるので、いいことも、うーん、なことも、箇条書きでまとめておこうと思う。
 ◆物語は……
 すでに当Blogでも書いたように、わたしは原作小説を読んで予習してから観に行った。原作は、高橋克彦先生による『火怨 北の耀星アテルイ』という作品で、ストーリーに関しては以前書いた記事をご覧いただきたいが、簡単にまとめると、時は奈良時代から平安時代にかけて、朝廷の手の及ばぬ北の民、蝦夷(えぞ、じゃなくて、えみし)の英雄・阿弖流為の苛烈な戦いを描いたもので、その結末は涙なくしては読めないお話である。登場人物も非常に多く、この物語をこっちん主役で描いたら、超とんでもない感動大作になるに決まってるぜ! とわたしは確信し、昨日を大変楽しみにしていた。
 が――ズバリ言うと、まあ実際のところ心配していた通り、物語は相当なダイジェストになっていて、原作小説に激しく感動してしまったわたしとしては、若干物足りなさは感じた。これはですね、ぜひ、原作小説を読んでもらいたいと思う。そして、原作小説を読んでいると、こっちんの歌う歌がもっと胸に響くというか、感動は増加するように思う。つかむしろ、原作を読まないで観て、お話が理解できるのかどうか、わたしには良くわからない。とにかく相当な駆け足&ダイジェストであるのは、残念ながら間違いないと思う。まあ、原作は23年間にわたる物語なので、実際しかたがないけど。
 ◆じゃあなに、面白くなかったとでも?
 いやいやいや、そんな事は全くなく、非常に面白くカッコ良かったと断言しよう。まあ、ポイントとしては、当たり前だけど以下の3つであろうと思う。
 1)こっちんがウルトラ超カッコイイ。
 まあ、こっちんは現役ジェンヌの中で最強レベルの歌ウマであることは誰しも認めると思うが、歌はもちろん、ダンスも超イイ。そしてお芝居というかセリフ回しもグンバツであり、わたしがこっちんファンであることを差引いても、たぶん、ヅカファンなら誰しも、こっちんの強力な歌に酔いしれ、鳥肌モンだぜ、と思うに違いなかろうと思う。間違いないす。やっぱり、ショーヴラン役を演じ切ったことが効いてますなあ。こっちんは、2番手という立場上、TOPスターが演じる主役の敵役を演じることがこれからも多くなるだろうと思う。だけど、TOPというか主役が輝くのは、敵役がカッコよくないといけないわけで、わたしとしてはこっちんには、まだまだ敵役を恐ろしくカッコよく演じ続けて、その芸を磨いてほしいと勝手に思っている。実はショーヴランはあと1年以上先に演じてほしかったとわたしは思っている。TOPになる直前の集大成として、ショーヴランを演じたら、超最強にヤバいことになったんじゃねえかなあ、という気もしている。こっちんのショーヴランは、確かに素晴らしかった。それは100%間違いない。けど、こっちんファンのわたしでも、やっぱりいまだ柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)のショーヴランの迫力と衝撃の方が、まさしく伝説ともいうべき凄まじい印象を残しているわけで、まあ、比較するのはこっちんに対して失礼かもしれないけれど、間違いなくこっちんは、将来その域に達するものと信じてます。そして、今、主役として阿弖流為をカッコ良く演じ切った経験は、必ず力になるとわたしは感じたのであります。本当に素晴らしかったよ。
 2)くらっち! よくぞ星組に来てくれたね! あなた最高ですよ!
 いやーーー。前作『スカーレット・ピンパーネル』でのマリー役でその歌ウマ&演技上手な片鱗を見せつけてくれた有沙瞳(通称:くらっち)ちゃんですが、今回も実に素晴らしかった! 雪組からやってきてまだ2作目だけれど(※宝塚のスターは「組替え」といういわば人事異動があるのです)、最高じゃないですか! 98期生ということで、こっちんの3学年下か……わたしの眼には完全に、数年後こっちん&くらっちがTOPとなっている図が浮かびますが、どうでしょうなあ……娘役はTOP適齢期が男役よりも短いので、こっちんがTOPになるまで待っていられるかどうか……もう98期同期の真彩希帆ちゃんは雪組でTOPになってしまったし……かなり微妙な気もするし、ピッタリなような気もするし、何とも難しいですなあ。いずにせよ、くらっちは現状の娘役TOP以外では、相当上位の実力ある娘役だと思う。こっちんとのデュエットも超最高でした。顔も声も、大変かわいいと存じます。身長も、こっちんとちょうどいいんじゃないかしら。
 3)せおっち田村麻呂を始め、キャスト全員イイ!
 現在、我が星組は、2班に分かれて公演を行っている。TOPスター紅ゆずるさん(以下、紅子先輩と略)率いるチームは、梅田芸術劇場にて、今年の初めに東京国際フォーラムでお披露目された『オーム・シャンティ』を再演中である。なので、こっちん率いる東京『阿弖流為』チームは30人ほどのメンバーだったそうだが、若手中心で、みんなとても生き生きと素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思う。とりわけわたしの目を引いたのは……いっぱいいるんだけど、まずは、こっちんと同期の95期生の二人、瀬尾ゆりあさん(通称:せおっち)とひろ香祐さん(通称:ひーろーくん)を挙げたい。
 まず、せおっちは、物語のもう一人の主役ともいうべき、朝廷側の坂之上田村麻呂を実にりりしく美しく演じてくれた。この『阿弖流為』という物語は、田村麻呂がカッコ良くないと感動的にならないので、せおっちには大変期待していたのだが、わたしの期待は完全にかなえられたといってよかろうと思う。大変失礼ながら、これまでで最高にせおっちをカッコイイと感じましたね。もうチョイ歌うシーンがあればなあ。そしてひーろーくんが演じたのは、原作では阿弖流為の仲間の中で一番明るく好戦的でキャラの立っている伊佐西古だ。原作小説での彼の最期は涙なしには読めないすよ。今回は最後がちょっと違っていたけど、ムードメーカー的な伊佐西古(いさしこ)を魅力たっぷりに演じてくれたと思う。二人とも素晴らしかった。
 そして、原作小説では、その最期が一番泣ける、阿弖流為の軍勢で軍師として知略をもって戦う男、母礼(もれ)を演じた綾凰華さん(通称:あやなちゃん)、そして阿弖流為の最期まで常にそばに従う蝦夷最強の男・飛良手(ひらて)を演じた天華えまさん(通称:ぴーすけくん)、この二人の98期組も素晴らしかったすねえ! 星組の次期スター候補生たちですが、あやなちゃんは秋には雪組に移動なんだよなあ……星組ファンとしては寂しいけど、雪組でも応援するよ! そしてぴーすけくんは2作続けて新人公演主役を演じ切って、ぐんと成長したような気がしますね。二人ともお見事でした。
 もうきりがないから最後。今回、わたしが結構びっくりしたのが、わが星組組長、万理柚美さん(通称:ゆず長)が、なんと桓武天皇の役を演じていたことだ。ゆず長様が男の役を演じることがあるんすねえ!? つか、もしかして桓武天皇って、女帝? とか思って思わず調べちゃったけど、そんなことはなく普通に男性のようで、いつもは大変お美しいご婦人を演じることの多いゆず長様が男を演じていてかなり驚いた。今までも男の役を演じたことがあったのかわからないけど、まあ、その意外な低音ボイスは、ゆず長さま、さすがっす!と思いました。そういえば初日なので、組長挨拶とこっちん挨拶がありました。何を話してくれたかは書きません!

 はーーー。もうこのくらいにしておくか……あ、あと、新生・日本青年館なのだが、わたしは今回、1階席の後ろから3列目ぐらい、のド・センターで観たのだが、結構客席の傾斜が大きくて、後ろの席でも超よく見えました。宝塚大劇場や東京宝塚劇場は、座席が前の列とズレていて、見やすく配慮されているけど、前の列の人がでかいと超邪魔じゃないすか。でも、新生・青年館は、席はズレてなくて真ん前に座席があるけれど、段差が結構あるので、全然平気でした。なんか噂では2階席は観にくいらしいすね。
 それともう一つ2017/08/02追記!なんで大劇場公演以外はDVDしか発売しないんだよ劇団!! いまさらDVD画質で満足できるかっつーーの!! なぜBlu-rayで発売しないのか、マジで理由が分からんわ!!! ガッデム!

 それでは、最後に恒例の今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「ともに死んでくれるか?
 「初めからそのつもりだ
 今回は、いっぱい泣かせるセリフがあったのだが、ラスト近くの阿弖流為と母礼の泣けるこれを選びました。でも、正確なセリフとはちょっと違うと思います。わたし、実は気に入ったセリフは忘れないようにすぐにメモをしてるんですが、なんと! 愚かなことに! メモ帳を座席に置来っぱなしで忘れてきちゃった……恥ずかしいっつーか、誰かが見たら、死ねる……w アホだった!

 というわけで、結論。
 日本青年館が新装オープンし、そのこけら落とし公演として、わたしの愛する宝塚歌劇の、一番好きな星組の、その中でも一番応援している礼真琴さん主演の、『ATERUI 阿弖流為』を、その初日である昨日の13時に観に行ってきたわたしであるが、結論はただ一つ。最高です。こっちんの歌は胸に迫り、その演技やダンスは非常に素晴らしかった。共演陣も、ヒロインのくらっちは美しくかわいく、同期のせおっちやひーろーくん、そして次期スター候補生のあやなちゃんやぴーすけくんももちろん素晴らしかったと断言できる。惜しむらくは公演回数が少ないことか。一応、もう1回観に行く予定なので、再びこっちんのすべてに魅了されて来ようと思います。そして今度こそメモ帳を忘れないように、セリフも覚えてきます! 以上。

↓ マジ最高に泣けます。原作小説は読んどいたほうがいいと思うな……。その方が事件の背景だとか、キャラたちの関係性がより理解できると思う。まあ、詳しくは過去の記事を読んでください。

↑このページのトップヘ