2017年06月

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、来週からいよいよLe Tour de France が始まるわけで、毎日深夜まで興奮が続くわけですが、大変気になっていた日本人ライダー新城幸也君が無事に7回目の出場が決まって安心しました。まあ勿論彼が総合優勝することはあり得ず、あくまでアシストに徹するわけですが、ステージ優勝の可能性はゼロではないわけで、今年も応援したいと存じます。でも今年も、TEAM SKYのFroome選手の優勝は堅いんだろうな……と言う気はしますが、まあ、Sagan選手の6年連続のマイヨ・ヴェール獲得成るか、とか、Cavendish選手の個人ステージ優勝回数最多達成成るか(あと4勝でEddy Merkx氏に並ぶ)、とか、色々見どころは多いので大変楽しみです。Quintana選手はTTが遅いからな……そしてContador選手にも頑張っていただきたいです。
 そして7月になると、大相撲名古屋場所も開幕しますね。先日発表された番付では、わたしイチオシの【松鳳山】関は、西前頭十枚目でのエントリーです。イカンなあ……だいぶ下がってきたぞ……ここらで久しぶりに勝ち越して、また枚数をあげてほしいすね! 応援してますよ、裕也くん!
 とまあどうでもいいことはさておき、さっさと今週の週刊少年チャンピオン2017年31号概況をさらっと流しておきます。
 ■巻頭グラビア:久松郁実嬢。大変極上だと存じます。素晴らしい。
 ■弱虫ペダル:残り3㎞の激突!!の巻。いよいよ最後の山へ向かう総北&箱学。ところで京伏はもうとっくに先に行ってるのかな? どうなってるんでしたっけ?
 ■刃牙道:鉄の義の巻。まーた武蔵の無敵無双が始まっちゃうのかな……飽きたっす。
 ■BEASTERS:胸いっぱいより肺いっぱいの巻。ちょっと引っ張りすぎかな……。
 ■囚人リク:交代の巻。生き延びるん……だ。監獄学園の理事長風っすね。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:スタンド・バイ・ユーの巻。今週も最高に笑えました。ラストの落ちも大変よろしいかと存じます。とにかく文字の多いこれでもかというボケ合戦は最高です。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。まあ通常運転すね。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 が! 今週はほぼ書くことがありません。先週、とうとう”怪力”【天雷】の10日目の取組がVTRでプレイバックされるところで、こりゃあ11日目は鯉太郎VS【天雷】来るか!? とドキドキワクワクしたわけですが、その10日目の【天雷】の相手である、新キャラ【白鯨力】の、時間いっぱいでの謎パフォーマンスで先週は終わりました。今週は、その【白鯨力】のキャラ紹介だけで終わっちゃいます。
 なので書くことはほとんどありません。
 今週の冒頭は、先週の終わりの部分の繰り返しからです。場内のお客さんは「来るぞ…」と待ちかねている様子。そして時間いっぱいの【白鯨力】は、腕を十字に組んで気合を貯めている模様。その右手首には、先週お伝えした通り、謎エンブレムが。そして誰だかわからないちびっ子の「変身!」という叫びとともに、「ビクトリースターーー」とポーズを決める【白鯨力】。そしてページをめくると、そこには見開きで、ピキャャャと全身の筋肉が盛り上がり、NHKアナの絶叫が入ります。
 「出た―――――!!! 白鯨力の大変身―――!!」
 そして編集のアオリには「完全変態!!?」と入っています。ええ、こりゃあ正しい意味でもアレな意味でも「変態」そのものですな! さらにNHKアナの実況&虎城親方の解説が続きます。
 「場内がビクトリースターコールで一体になった!今や名物と言っていい大人気なパフォーマンスになっております!」
 「本当にふざけた…いや不思議な力士ですよ…ひと頃あのパフォーマンスに批判が出て禁止にしましたが…そのとたん番付を落としていきましたからな…稽古場では幕下以下にボロボロにされるほどなのに 本場所では強い…この変身とやらで本当に別人のようになりますからな…この力士は…」
 だそうです。そして初登場の、【白鯨力】が所属する尾多留部屋親方は若干のドヤ顔で言います。
 「別人のようではありませんよ…別人なのです…」
 というわけで、この後は【白鯨力】の弟子入りの経緯が15Pほど描かれます。
 要するに…
 ◆入門の経緯は、ほぼ【大吉】と同じ。後援会の縁者から「手に負えない」小僧を何とかしてくれと部屋に押し付けられた。
 ◆「手に負えない」というのは、鯉太郎や石川のようなヤンキー系ではなく、まさしく【大吉】的なデブオタ引きこもり系な方向での意味。
 ◆親方の子供(推定10歳以下)と、入門時に「ビクトリースター」好きで意気投合。仲良くなる。
 ◆稽古初日、ガッチガチでビビる当時の池川成行くん(後の白鯨力)は、空流部屋とは全く違う、優し気な兄弟子ばかりの中で、とりあえず土俵で初稽古。頭がコツン、と合っただけでバタンと倒れる。親方も、ダメだこりゃ、とあきれるが……
 ◆突如ヌッと立ち上がり(眼はイッちゃってる)、兄弟子の頭を鷲掴み。フシューフシューと暴走モード発動。ン…マッ!!! ン~~~マッ!! と謎のスタンド的というか初号機的な叫びをあげて自動暴走モードで兄弟子たちをバッタバッタと倒す。
 ◆親方の「やめんか!!」にも反応せず自動暴走は続く。それを見た親方は「何なんだ…この生物は…」と戦慄の表情。
 ◆そこに「やめろよ! 何がビクトリースター好きだよ!お前はただの怪人じゃないか!!」と親方の子供が何故か乱入、ビクトリースターのフィギュアを顔に投げつけられ、バーサーカーモードはオフになり、ハタと我に返ると、一体何があったのか、と本人は全く覚えてない様子。
 ◆親方曰く「冗談じゃありませんよ…こんなの飼ってたら部屋が崩壊してしまう…がっ…しかし…これほどの力を見せられて引き下がる訳にもいきませんね! これはとんでもない拾い物かもしれませんよ…」
 で、今週は終了でした。
 えーっと……これは……サーセン、なにも突っ込めないっす……。
 えーーーー……まさか【天雷】はこんな面白キャラに負けるのか……? それは勘弁してほしいなあ……。どうなるんだろうなあ……素直に鯉太郎VS【天雷】が見たいのだが……たぶんファンが待ち望む二人の取組を、佐藤先生は許してくれないのでしょうか……だとしたらちょっとテンション下がりますなあ……。もう「その後」も今週で11話目なわけで、この【白鯨力】VS【天雷】の戦いが単行本1冊分かかったらちょっとアレすねえ……【天雷】よ、頼むから勝って、「万全」の状態で鯉太郎との取組に臨んでくれよ……! もうそれを願うことしかできないす……。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 9日目現在8勝1敗
 【田上】番付不明※王虎の付け人をやってる模様。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週は、先週に引き続き、10日目の【天雷】VS【白鯨力】のVTRから、まさかの【白鯨力】回想編へ突入しました。そこで描かれた【白鯨力】は、要するに【大吉】的なキャラで、なんらかのスイッチが入ると自動暴走モードとなり、フシューフシュー、ン…マッ!とまるでスタンドのようなバーサーカーとなる、というなんとも微妙キャラであることが判明しました。えーと、なんか突っ込みようがないす。それより【天雷】が大丈夫なのか、大変気になります。佐藤先生……おれ……鯉太郎と【天雷】が戦う姿が見たいです……。ホントマジでどうか! よろしくお願いいたします!!! 以上。

↓ そして7月は新刊、(13)巻の発売です! 第107~115話が収録されると思います。当然買いでお願いします!

 もうだいぶ前の話で、たぶん去年の暮れの頃だったと思うが、本屋さんの店頭で、とある漫画のお試し版を読んで、へえ、これは面白いかも、と思った作品がある。書店店頭では、プロモーション動画を小さい液晶パネルで流していて、それを見て、へえ~?と思った作品なのだが、さっきちょっと探してみたら思いっきりその動画がYou Tubeにアップされていたので、まずはその動画を貼っておこう。

 そうです。かの有名なSF界のレジェンド、Isaac Asimov先生による『FOUNDATION』の完全漫画化、であるらしいことを知って、わたしは結構驚いた。どうやら(3)巻の発売が去年の12月だったんだな。なるほど。まあ、とにかく、それじゃあ買って読んでみるか、と思ったものの、すっかり電子書籍野郎に変身しているわたしは、とりあえずその場ですぐ買うことはせず、まずは電子書籍で買えるのかしら? ということを調べてみた。のだが、結論から言うと電子化されていないようだったので、ま、電子化されたら買うか……という忘却の彼方に消えてしまっていたのである。そもそも、版元はよくわからん小さな出版社のようで、連載媒体は持っていないみたいなので、まあ描き下ろし単行本ということなんだろう。出版社というより編プロ的なのかな。よくわからん。
 というわけで、わたしは全くこの作品のことを忘れていたのだが、つい先日、わたしの愛用する電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERにて、還元率の高いフェアがあった時になんかおもしろそうなのはねえかな~、と、大好きな早川書房の作品をあさっている時に、原作小説であるAsimov先生の『FOUNDATION』が売っているのを見かけ、よし、じゃあまず、原作小説を読もう!と買ってみたのである。ええ、実はわたし、原作未読なもので……。てなわけで、さっそく読みはじめた。

 結論から言うと、やっぱり面白い! のは間違いないのだが、キャラクターは多いし時間軸としても非常に長い期間のお話なので、こりゃあちょっと、最初からちゃんとキャラとか物語をメモっとかないと、後で訳が分からなくなるかもな……と思ったのである。
 というわけで、もはやわたしのBlog恒例のキャラ紹介というか、ざっと筋をまとめておこうと思います。まず、わたしが買ったのは最初の三部作、のようで、今日取り上げるのは一番最初の(1)巻である。そしてその(1)巻は、全5章で構成されていて、それぞれ前の章の30年後、とか、かなり時間が経過して登場キャラクターも入れ替わっていく、けど、肝心のキーキャラはそれぞれの時代で伝説的に語られる、みたいなつながりがあって、まさしく年代記的なお話でありました。なので、各章ごとにちょっとまとめてみるか。
 【本編の説明の前に、時代背景について】
 本作で語られる物語は、どうやら遠い未来のお話のようで、銀河は巨大な帝国が統べている。膨大な数の人類が銀河の隅々まで広がって生きているらしい。そして、もはや「人類の起源」がどの惑星であったか、すらもう忘れ去られていて、中にはウチが人類の起源たる聖なる惑星じゃ、と言い張っている星もあるみたい。ちなみに、銀河帝国は1万2千年続いているらしく、総人口はゼロが18個、だそうで、1京、ってことかな? 1万兆かな? もう良くわからんぐらい多いってことですな。
 【第1部:心理歴史学者】
 この第1部で語られるのは、本作の最大の(?)ポイントである「心理歴史学」についてである。それは、人間集団の行動を、一定の社会的・経済的刺激に対してどう反応するか、について心理学的(?)に究明することで、未来を予測する(=計算する)ことを可能にした統計科学の学問で、まあちょっと説明が難しいのだが、特徴的なのは、「個々人の動き」や未来は予測不可能なんだけれど、その総体である「人類」の進む(であろう)道は計算できる、という点がポイントだ。
 で、この第1部では、「心理歴史学」の開祖である【ハリ・セルダン】というおじいちゃんが銀河帝国の首都星である【トランター】という星にいて、その助手として就職が決まった【ガール・ドーニック】という若者がトランターにやってくるところから始まる。しかし、セルダン博士は、その心理的歴史学によって、銀河帝国の滅亡を予言していて、公安委員会ににらまれており、セルダン博士も、そしてドーニック君も到着して数日後には逮捕されてしまう。ちなみに逮捕されることも全てセルダン博士の計算通りで、実はセルダン博士は、とあるプロジェクトを18年かけて計画し、とうとう実行の時が来た、という話になる。そして尋問に掛けられるのだが、そこでのセルダン博士の話が非常に面白い。曰く、人々の心理歴史学的な流れは、極めて強力な慣性をもっているそうで、それを止めるのは膨大なエネルギーが必要になる(=要するに止められない)、銀河帝国の衰退と滅亡は確実、だが、その後の無政府状態に陥る期間は、3万年続くはずで、その3万年ののちに「第2銀河帝国」が勃興するであろう。しかし、自分のプロジェクトを実行するならば、その3万年の闇を1000年まで短縮することが可能になる。突進してくる巨大な出来事の塊を、ほんのわずか逸らす。それがプロジェクトの目的だ、ということだそうだ。そしてそのためにやることは、「人類の知恵を救う」ことで、社会の崩壊とともに科学知識も断片に分裂・消滅してしまうので、それを防ぐために「あらゆる知識の集大成=銀河百科事典」を作る、それがプロジェクトの内容だとセルダン博士は語るのであります。これは面白い考えですなあ!
 かくして、帝国の官吏たちはこのおっさん何言ってんだ? と思いつつも、じゃあ銀河の片隅で事典編纂でもやってな、と、世間を騒がせた罪でセルダン博士を【ターミナス】という辺境の惑星に追放することを決定する。しかし―――実はセルダン博士はそれすらも予測していて、ターミナスへの追放も博士が仕組んでいたのであった―――という感じで第1部は終わる。
 【第2部:百科事典編纂者】
 ターミナスへ移住させられた、第2世代(?)の【百科事典第1財団=第1ファウンデーション】の物語。移住開始から50年が経過しており、当然セルダン博士はとっくに死んでいる。そしてターミナスという惑星には金属鉱物が一切ない星として描かれており、要するに自給自足できない星であるというのが一つポイントになっている。そして、現在【アナクレオン】王国と緊張関係にあるらしい。なお、銀河帝国はまだ存在していて、緩やかに滅亡への道を進んでいるが、だれ一人気づいておらず、またターミナスも銀河の「辺境」にある=帝国からすっげえ遠い、こともポイント。【アナクレオン】【スミルノ】【コノム】【ダリバ】の4つ辺境星系を「4王国」と呼ぶらしい。
 この第2部での主人公は【サルヴァー・ハーディン】という男で、年齢ははっきりわからないけどまだ青年で、ターミナス市長に就任している頭のいい男である。ターミナスの運営は、基本的に「百科事典委員会の理事会」が権限を持っているのだが、アナクレオンとの緊張関係に、【ルイズ・ピレンヌ】というおっさんを理事長とする理事会は全く対応できず、アナクレオンの全権大使【アンセルム・オー・ロドリック】がターミナスを訪れ、軍事基地設置を要求してきた時も、ほぼ無力。理事会は、あくまで「皇帝直轄地」でありファウンデーションは国家公認の科学機関として要求をつっぱねようとするが、まあそんな主張は通りませんわな。この交渉でハーディンは、既にアナクレオンが【原子力経済】を持っていないことを確信する。そうなんです。なぜか、この物語では「原子力」が重要なキーになっているのです。どうやらこの世界ではあらゆる動力として原子力が使われていて(超小型の原子炉なんかもある)、原子力を持っているかどうか、が文明や軍事力において大きなアドバンテージになっているらしい。持っていても、原理的にきちんと理解している人間は少なく、ロストテクノロジーというか、オーパーツ的な扱いになっているのが非常に興味深い。もちろん、ターミナスの科学者たちはきちんと技術継承しているので、その点がターミナスの優位点にもなっている。
 で、この「アナクレオン危機」と呼ばれるターミナスのピンチも、実はセルダン博士によって予見されていて、ターミナス50周年イベントに、セルダン博士はホログラムで登場し、ついにファウンデーションの真相を告げるに至る。まず第一に、「百科事典財団=ファウンデーション」とは皇帝から勅許状を引き出し、必要な人員10万人を集めるための欺瞞であり、全て計算通りに進んでいる、そして、今後も危機に遭遇するが、必然的に一つのコースをたどることになる、と。
 第2部は、この秘密の暴露で終了する。事態がどのように展開したのかが語られずまま、このセルダン博士のホログラムによって理事会のおっさんたちが、くそっ!ハーディンの言うとおりだったのか……としぶしぶ認めて終わりだ。そして第3部でどうなったのかが分かるようになっている。
 【第3部:市長】
 いきなり第2部の終わりから30年が経過している。ハーディンはその30年間市長として、ある意味独裁してきた模様。そして、前回の「アナクレオン危機=第1セルダン危機」がどのようにクリアされ、そして今また危機に陥っている状況が描かれる。あ、冒頭にこの時のハーディンの年齢が62歳って書いてあった。てことは第2部では32歳だったってことか。なるほど。
 この第3部では、ハーディンと次の世代の【セフ・サーマック】という青年とのやり取りがメインのお話になる。そしてその話の中で、ハーディンがどのようにこの30年をかじ取りしてきたが分かる仕掛けになっている。サーマック青年は、ハーディンの30年間を否定し、辞任を要求するのだが、要するに彼の主張は、ハーディンが30年行ってきた、アナクレオンへの原子力技術の供与を止めろ、そんなのは相手を強大にするだけだ、今こそターミナスは自身を武装し、先制攻撃をもって戦いに臨むべきだ、というものだ。
 つまりハーディンは、どうやらアナクレオンとの危機を、ターミナスから歩み寄ることで回避し、それを軟弱な宥和政策だとサーマック青年は怒っているわけである。しかし! 実はハーディンの30年間には隠された意図があったのだ――!! という展開で、実に面白い!
 結論から言うと、ハーディンは、技術供与はしていたけれど、「銀河霊」というものを設定して、原子力技術を宗教にまで昇華させているのだ。特殊な技能は「聖職者」だけが扱えるものとし(ちなみに聖職者も、経験的に扱えるだけで、全然技術者ではない)、神聖なものという仮面もかぶせており、実は全然技術供与はしておらず(その結果としての武器などは与えていても)、技術自体はターミナスで独占されていることが判明する。そして、ターミナスに害成すものは「銀河霊」の怒りに触れる、的な迷信をアナクレオン人たちの間に敷衍させることによって、戦争一歩手前まで関係悪化した際に、アナクレオン人の平民兵士たち自身に反乱を起こさせ、ターミナスを守り、おまけにアナクレオン王国を乗っ取ることにまで成功してしまうのである。要するに、宗教家による洗脳、ですな。ハーディンの座右の銘「暴力は無能力者の最期の避難所である」が明確になる最後の大逆転が超爽快です。さっすがハーディンさん!カッコイイ!
 この第3部では、アナクレオン王の【レオポルド王】という若者と、その叔父であるキレ者の【ウェニス】という男がハーディンの前に立ちふさがる脅威として登場するが、レオポルドは既に洗脳にかかっているので、「しかし……心配だなあ……何か冒涜的な感じがするのだ……ファウンデーションを攻撃するなんて……」という調子なので、まあ要するに、全て計算通り!ということになってしまう。
 こうして、「第2アナクレオン危機=第2セルダン危機」も回避されるが、第3部のラストは再び30年ぶりに起動したハリ・セルダン博士のホログラムで終わる。そしてまたもやすべて、セルダン博士が80年前に計算した通りであることが判明するが、セルダン博士のホログラムは、消える前に2つ、重要なことを語る。ひとつは、これでやっとファウンデーションに対する攻撃をそらすことはできた、けれど、「こちらから攻撃」するには全く十分でないこと。そしてもう一つが、「銀河系の反対側に、もうひとつのファウンデーションが同じ80年前に設立されていること」を忘れるな……というメッセージだ。ホログラムは、ああしろ、こうしろという策は一切与えてくれない。いわば答え合わせ的な存在にすぎず、ハーディンも、まあ、生きてる間はもう現れないだろうな、やれやれ、といったところで第3部は終わる。
 【第4部:貿易商人】
 この第4部は【リマー・ポエニッツ】という宇宙貿易船の船長の元に、ファウンデーションから一通の指令が届くところから始まる。曰く、惑星【アスコーン】に収監された仲間の【エスケル・ゴロヴ】の身柄を確保せよ、という指令だった。実は二人とも、商人という表の身分に隠れて、ファウンデーションのエージェントでもあって、なにやらファウンデーションの秘密の活動があるらしいことがほのめかされる。
 どうも時間的にどのくらいたったお話なのか良くわからないが、どうやらすでにファウンデーションは「4王国」はもう支配下に置いているらしいが、この【アスコーン】はまだそうではなく、原子力を売りつけることで「銀河霊」の宗教的コントロールに置こうとしているらしい。で、アスコーンが欲しいのは、金、GOLDのAuだ。それをポエニッツは良くわからない錬金術原子力マシーンであっさり量産できるようにしてあげるのだが、アスコーンの太守は、邪教のまがい物として受け付けない。そこで、ポエニッツは、太守の後継を狙う若い【ファール】に目を付け、まんまと罠にかけてマシーンを売りつけることに成功し、アスコーンの原子力化=ファウンデーションの技術なしにはいられない状態にすることに成功するのだった―――てな感じで幕を閉じる。
 【第5部:豪商】
 この第5部の主人公は、【スミルノ】出身の【ホバー・マロウ】という男だ。そしてマロウが、現市長の秘書【ジョレイン・サット】から一つの極秘任務を受けるところから話は始まる。曰く、ファウンデーションの船が3隻、【コレル共和国】星域で消息を絶った。原子力で武装している船が姿を消す、それはコレルも原子力テクノロジーを保有しているのではないか。その調査に当たれ、というもので、マロウはスミルノ出身であるため、どうも生粋のファウンデーション人として信用されていないような雰囲気である(※どうやらすでに4王国は「ファウンデーション協定」を調印し、既に実態はなくなっている模様。よって4王国のひとつであるスミルノも、とっくにファウンデーション化されているため、そういった旧4王国出身者はかなりいるらしい)。あ、時間経過が書いてあった。どうやら、第3部の「第2セルダン危機」から75年経過しているのかな。つまりファウンデーション設立から155年、ってことか。なるほど。で、サットは、このファウンデーション以外に原子力科学を持つ敵が現れたのではないか、ということに対して、これは「第3のセルダン危機」なのではないかと心配するが、一方のマロウも、その危機を感じ取っていた。そしてコレルへ向かったマロウは、サットに仕組まれた罠をかいくぐり(罠であったことはだいぶ後で判明)、コレルの主席(コムドー)【アスパー・アーゴ】と「自由貿易」を行う提案をする。ここで、これまでファウンデーションが「宗教」を武器に勢力を増してきた方針から、「経済」によって影響力を強めようという方針に変わる転換期を迎える。第4部で語られたアスコーンを引き合いに出しながら、今や完全にファウンデーションの組織の一員に成り下がったようなことは、まっぴらごめんだ!と主張するアスパーに対して、マロウはあっさり、わたしは主任貿易商であり、金がわたしの宗教だと言ってのけるのである。「宗教はわたしの利益を削るものだと、はっきり申し上げておきます」と言い切ることでマロウはアスパーの信頼を得る。しかし、同時にマロウは、アスパーの護衛が持っている銃に気が付く。そこには、「宇宙船に太陽」の紋章が!それはまさしく「銀河帝国」の紋章であり、コレル共和国にも「原子力科学」が残っていることを知るが、調べてみるとそれはもう時代遅れなもので、技術継承もされておらず、ただ在るだけで別に脅威にならないことを確認し、マロウはファウンデーションへ帰還する。そしてマロウは裁判にかけられるがサットの陰謀を暴いて失脚させ、見事大逆転し、まんまと市長の座を手に入れる。が、その後、コレルと戦争が始まってしまう。それは、コレルが得たファウンデーションの製品を、買うのではなくてもう星ごと奪っちゃえばいいじゃん、という考えから始められたもので、失脚していたサットは、それみたことか、とマロウに告げる。だから言っただろ、貿易じゃダメなんだよ、宗教じゃないと。そうサットはマロウに政策変換を迫るが、マロウは聞き入れない。「いいかい、これはセルダン危機だ。我々はそれに直面しているのだ。この危機は、その時どきに入手可能になった力で解決されるはずなんだ。今の場合は、貿易だ! まあ見てろよ、コレルは我々が供給した機器に依存しまくっている。戦争でその供給が止まったら……戦争はやむさ」みたいなことを言って、結局その通りになるわけで、大変痛快でありますね。
 最後に、マロウはこんなことを言う。ファウンデーションの本拠星であるターミナスは、金属資源がない。だから、原子炉も親指サイズまで小さくなくてはならなかった。そのための新技術を開発しなくてはならなかった。それは帝国が追従できない技術だ。なぜなら、帝国はもはや真に生命力のある化学的進歩をすることができる段階を超え、退化してしまっているからだ。だから、彼らは艦艇を丸ごと守るのに十分な原子力フィールドを作れたけれど、一人の人間を守るフィールドはついに作れなかった。おまけにもはや自分の巨大技術すら理解できなくなっている。このマロウの演説に関しては、訳者あとがきで、まるで戦後日本の復活劇のようだ、と評されている。本書が書かれたのは、1942年から49年にかけて、つまり第2次大戦の真っただ中の期間であり、訳者Asimov先生の先見の明を大層ほめたたえているわけだが、まあ、なんというか、人類は1万2千年経ってもあまり変わらないようですな。私は本書を読んで、そんなことを深く感じました。

 はーーーー長くなっちまった……これでも大分はしょったのだが……まあ、とりあえず大変面白かったので、続巻が実に楽しみであります。サブタイトルからすると、いよいよVS帝国との闘いかしら、と非常にワクワクしますな。最後に、本作の一番最後のマロウのセリフを引用して終わりにしよう。
「未来など、おれの知ったことか? セルダンが予見して準備してあるに違いない。今、宗教の力が死んだように、将来、金の力がなくなった時にまた別の危機が発生するだろう。今日のおれがそのひとつを解決したように、それらの新しい問題は、おれの後継者に解決させるがいい」
 このセリフは、無責任では全くないと思う。頭脳を駆使して戦った男の本音として、わたしは非常に気に入りました。
※2017/06/29追記;昨日この記事を書いた翌日の今日、驚きのニュースを見た。なんとこの『FOUNDATION』が映像化されるんですって! おおっと! まさかこれも、心理歴史学的に計算通りなのか!? とビビったっすw →http://tv.eiga.com/news/20170629/1/


 というわけで、もういい加減にして結論。
 ふとしたきっかけで購入し、読み始めたIsaac Asimov先生による伝説的名作『FOUNDATION』を読んでみたところ、これは非常に面白かった。確かに、『STAR WARS』や『銀河英雄伝説』の元祖といわれるだけある凄いスケールで、続巻を読むのが大変楽しみです。そして、今後きっと出てくるであろう「銀河の反対側にあるもう一つのファウンデーション」の動向も大変気になりますな! ただ一つだけ、翻訳がやっぱりちょっと古いんすよね……なので若干読みにくいかもしれないけど、めげずに読み進めたいと存じます。以上。

↓ よーし、次は(2)巻に突入だ!

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 今週末は、土曜日は宝塚歌劇を観に行き、日曜日は富士登山に行って来ようと思ってAM2時に一度起きたものの、雨なので即座に中止にして再び眠り、昼過ぎに近所のシネコンへ『ハクソー・リッジ』を観て来ました。しかし毎年登っている富士山も今年で15回目か? 7月に入るともの凄い人出になってしまうのでいつ行くか大変困るというか悩みます……。いっそ、平日の午前中に登って、午後出社というエクストリーム出勤でもしようかと本気で考えております。そして昨日観た『ハクソー・リッジ』は、いろいろ分からないというか……ちょっとすっきりとはしませんでしたが、戦場の描写は確かにすごい迫力だし、後半の衛生兵として大奮闘する主人公の姿は確かに美しく、まあ賛否別れるのかな? という我ながらぼんやりした感想を抱きました。
 さてと。それではさっそく、興行通信社の大本営発表をメモしておきます。

 1位:『22年目の告白~私が殺人犯です』がV3獲得。16日間で13.5~14.5億ぐらいと見積もる。土日だけで2.31億稼いだそうです。なかなか順調ですな。数字的には非常にいい感じです。ただ来週からは『パイレーツ』『忍びの国』といった作品が始まるので、ちょっと勢いは落ちるのかもしれないすね。
 2位:美女と野獣』が65日間で118.1憶だそうです。依然として好調維持、です。
 3位:『昼顔』が16日間で14.87億だそうです。土日だけで1.52億稼いだそうですが、平日の夜に観に行った方に聞いた話では、非常に混んでいたそうで、どうやら平日稼働がとてもイイみたいですな。累計では『22年目~』を超えてる感じです。どうでもいいけど上戸彩さんのしょんぼりとした顔はホント絶品ですな。
 4位:『ハクソー・リッジ』が公開土日で1.06億ほど稼いだそうです。同じキノフィルムズ配給としては『パトリオット・デイ』は0.4億チョイ(金曜含めて3日間で0.5憶チョイ)のスタートだったので、スクリーン数の違いはある(パトリオット:209、ハクソー254かな?)けどだいぶイイみたいすね。これまたどうでもいい話ですが、冒頭のキノフィルムズのロゴの音が超でかくて、あれはきっと音声レベル上げすぎだと思うな。いつもビクッとするのはわたしだけだろうか……?
 5位:『こどもつかい』が9日間で3~4億ほどと見積もる。いや、ちょっと自信ないな……3億チョイってとこだろうか。2W目のこのぐらいの順位が一番数字が読みにくい……派手に間違ってたら修正します……。
 6位:劇場版 魔法科高校の劣等生―星を呼ぶ少女』が9日間で3億チョイぐらいと見積もる。お兄様、頑張って!
 7位:『いつかまた君と 何日君再来』が公開土日で1億届かずのようですね。0.4~0.5億程度だろうか。向井理氏のおばあさまのお話だそうで、なんか売れてほしいと思っちゃいますが、若干数字的には寂しいすね……。
 8位:『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち/第二章』が公開土日で前作並の0.4~0.5億ほどだろうか? 数字不明です。単価が高そうなので、もうチョイ上なのかな。現在、劇場2週間公開&配信&Blu-ray発売という、『ガンダムユニコーン商法』で進んでいる物語ですが、先日TVCMで見かけた限りでは、かつての「ヤマト2」の物語なんですね。アンドロメダは出てくるし、敵も白色彗星(懐かしい!)みたいすな。なんかちょっと観たいかも……。あっ!今予告編をチラッと観たところ、シリーズ構成は福井晴敏先生じゃないか! なるほど、そういうことなんすね。いわゆるおっさんホイホイですな……。
 9位:『キング・アーサー』が9日間で3億届かずぐらいと見積もる。スクリーン数はそれなりに多いようですが、ちょっと厳しい戦いでしょうか。5億は届かないか……。
  10位:『花戦さ』が23日間合計で6~7億ぐらいと見積もる。こちらも結構製作費がかかっているような気がしてなりませんが、数字的には若干厳しいです。東映ならこの数字でも合格なんでしょうか?

 とまあ、こんな週末興行だったようです。しかし先日、『美女と野獣』のTV-CMを見て、「アナ雪を超えた!」的なキャッチだったのは、これはちょっとどうでしょう……と思ったら、下に小さい字で、あくまで公開初動での比較ですよ的な但し書きがあって、こりゃまた微妙なCMだなあ……と感じましたが、アレはアリなんすかねえ……。別に『アナ雪』と比べなくたっていいじゃない、実際凄い数字なんだから。と、思うんですけどね。

 というわけで、結論。
 今週も週末興行値では『22年目の告白』が1位でV3獲得。しかし、累計だと同日公開の『昼顔』の方がちょっと上、と珍しい展開になってます。平日強いってすごいですな。主に女性なんでしょうな。大変素晴らしいと思います。そして『美女と野獣』は依然好調で、これまたすごいですな。まったく結論になってませんが、以上。

 Mel Gibson氏と言えば、80年代に青春を送った我々40代後半のおっさんにとっては、初代マックス、あるいはリッグス刑事としてお馴染みのヒーローの一人であるし、監督としてはアカデミー監督賞も受賞した映画界の大御所の一人、であるはずなのだが、どういうわけか2000年代後半からはDVや飲酒運転でお騒がせオヤジと化し、一時期完全にハリウッドから背を向けられてしまった残念なオーストラリア人である。
 まあ、そんな怒れるオージーとしてハリウッドから半ば追放されたわけだが、これまたどういうわけか、みそぎが済んだのか良く分からないけれど、2010年代に入ってからはまたぽつぽつと映画に出演し始め、いよいよ久しぶりの監督作品を世に送り出した。タイトルは『HACKSAW RIDGE』。対日沖縄戦を描いたものらしい、と最初に情報を得たとき、わたしは、へえ? と思って調べてみたところ、タイトルの「HACKSAW RIDGE」とは「弓鋸の崖」という意味であり(※Saw=のこぎり、Ridge=崖)、沖縄の現在の「浦添城址」の南側の「高田高地」と呼ばれた崖のことであることを知った(※浦添市の公式サイトにすっげえ詳しい解説があります→http://www.city.urasoe.lg.jp/docs/2017052900033/)。なるほど、てことは、沖縄戦の激烈な戦いを舞台とした『PLATOON』とか『Heartbreak Ridge』的な、ああいう映画かな、と、まずはわたしは盛大な勘違いをしていた。Mel Gibson監督なら、大規模戦闘の描写は文句なく激しく迫力満点であろう、なんてことも頭にあったのは間違いない。しかし、US版の予告が公開されて、観てみると、どうも、わたしの完全なる予断は8割方は合っているように思える、が、どうやら主人公は衛生兵(Medic)で、しかも銃を手にしないという点にドラマの主軸があるということを知って、ますます興味がわいたのである。
 というわけで、今日、早速観てきたのだが、確かに物語は米軍側から観ればかなり美しものの……結論から言うと……なんというか、日本人的にはやっぱり複雑だし、やはり、日本人としてはいろいろと理解が難しい物語であるように思えた。わたしはキリスト教徒じゃないし……そもそもの殺し合いは否定しないんだ、というのはちょっと不思議に思えたのである。これは賛否両論だろうな……まあ普通の人なら、主人公の戦場での献身に心打たれてしまうのかな……要するにわたしが冷たい男である、ってことの証左なのかもしれないなあ……。

 基本的には、上記予告のとおりである。一人も敵を殺さない兵士。いかに衛生兵(Medic)とはいえ、まあ、ズバリ言えばそれは矛盾しているというかあり得ないわけで、わたしとしては本作のポイントは、主人公デズモント・ドス君が、「人殺しはしない」ことと「軍人であること」をいかにして矛盾せずに成立させるのだろうか、という点にあるのだろうと思っていた。おそらく、決して先制攻撃をしない専守防衛を任務とする日本の自衛官であってさえ、有事となれば人を殺し、そして自らも殺される可能性があることを明確に想定し、覚悟しているはずだ(たぶん)。
 もちろん誰だって、人殺しはしたくないのは当たり前だけど、なら軍人にならなきゃいいじゃん、と、普通は考えると思う。戦中の日本では考えられないことだが、US国内においては「良心的兵役拒否」というものがあるわけで、軍人にならずとも国家に貢献できる道は制度としてきちんと存在したのだから、あえて軍人になる必要は、実際のところないといっていいはずだ。この点を理解するのは、はっきり言ってちょっと難しいと思う。
 劇中では、なぜ人殺しをしたくないか、銃に触れたくないか、という点が前半語られている。
 幼少期に起きた出来事として冒頭に描かれるのは、兄との楽しい毎日だ。しかし、ある日、庭で喧嘩をしていて、思わず手にしてしまったレンガで兄をぶっ叩いて、危うく殺しかけてしまう事件が起きる。兄は幸い無事で命に別状はなかったが、危うく殺しかけたのは事実で、そのことで、幼いデズモントの心には、十戒でいうところの第6番目「汝、殺すなかれ」を破ってしまいそうになった自分におののき、ますます信心を深める、ということになる。正直に言えば、キリスト教徒ではないわたしには、なんだそれ、である。いや、兄弟げんかにレンガはナシでしょ、宗教は関係なしに。
 そしてもう一つのカギとなるのは、父との関係だ。父は、第1次大戦に従軍した退役軍人である。1次大戦で多くの友を失い、心に傷を負った父。そして退役後は信心を深めるも、心をの傷をいやすためか、飲んだくれてしまい、よく母とけんかをしていた父だったが、ある日、母に向かって銃を向けてしまい、両親のけんかに耐えられなくなったデズモント君(推定10代後半にまで成長)は、父から銃を奪い、思わず父に銃を向けてしまう。しかし父は、むしろもう死にたくなっていた。引き金を引け!と涙を流しながら乞う父。こんな出来事があって以降、デズモント君は銃には二度と手を触れない、と誓うのであった……って、これまたなんじゃそりゃ、である。なんか……当たり前っつーか……。
 とまあ、以上の二つの出来事によって、デズモント君は、殺しはしない・銃は手に取らない、ということを信条にした青年であることが、わたしには全然理解できないけれど、説明されている。けど、軍に入隊するきっかけは、正直わたしには良く分からなかった。一応、劇中で語られているのは、自分だけ安全なところでのんきにしていられない、的な言葉はあったけれど、まあ実際それだけである。
 で、入隊した訓練キャンプでは、当然、問題になる。銃をとれ。できません。これはお願いじゃない、命令だ。銃をとれ。できません。上官の命令に聞けないなら、それは重大な軍規違反であり、軍法会議にかけられるがいいんだな。はい。―――とまあそんな展開である。しかも上官は、お前には無理だから、もう除隊なさいよ、とかなりデズモンド君を思いやっているのだ。それでも引かないデズモンド君。そして嫌がらせを受けても、決して誰のせいにもしない態度で、周りの仲間たちの信頼も芽生えてくる。それでも信念を曲げず、貫こうとする姿に、わたしは今年の初めに観た『Silence』を思い出した。主人公デズモントを演じたのは、まさしく『Silence』で宣教師ロドリゴを演じたAndrew Garfield君である。誰もが、本心では信仰を捨てないでいていいから、ほんの形でもいいから踏み絵を踏んでくれ、と願ったあの状況と、実によく似ている。ライフルに触るだけでいい。もう撃たなくていいから、と言っているのに突っ張り、軍法会議に立たされることになったデズモンド君。もちろん、江戸時代の宣教師ロドリゴとデズモンド君では、その危機的状況は較べようもないほど違うものだ。ロドリゴは、拒めば自分ではなく大勢の信者が殺される。デズモンド君の場合は、有罪となれば終戦までずっと監獄で過ごすことになるが、別に命はかかっていない。そもそも、どうも信仰の問題、ではなく、あくまで自分の生き方の問題、すなわち信条、信念の問題という違いがあるような気がする(もちろんその信条の基本にあるのは信仰だろうけど)。なのでわたしはこの軍法会議の行方は一体どういう決着がつくんだろう? と思って見守っていたのだが、なんとこの場を収めたのは、父の愛であった。父が、1次大戦を共に戦った元上官が、現在かなり高位に出世していたため、その高官に直訴してなんとかなったのである。わたしはこの、ある意味スーパー他力本願な結末に、結構、がっかりしたというか……なーんだ、と思った。
 わたしは、こういった前半での物語に、結構冷めた目で見ていたため、なんつうか、良く分からねえ、とかそんな思いでスクリーンを眺めていた。
 そして物語は後半、沖縄での戦場に移る。だがこの戦場シーンも、きっと史実に即した正しい描写なんだろうけど、どうもわたしには良く分からないところがあった。それはUS陸軍の作戦で、戦略拠点の制圧を目的に侵攻しているのだが、洋上の戦艦からの艦砲射撃で徹底的にたたく→歩兵を投入して残存兵力掃討→制圧、というある意味鉄壁な作戦なのだが、すさまじい艦砲射撃(多分当時の最大火力ではなかろうか)で日本軍はボロボロ、と思いきや、US陸軍の歩兵が掃討戦を始めると、日本兵が異様にもうわらわらと湧いて出てくるのである。そしてUS側には航空支援は一切なし。あれは……どういうことなんだろうか?? US側はもう制空権をがっちり握っていると思うのだが……そして一応、日本兵は硫黄島並みの地下通路を張り巡らせていた的な描写はあったけれど、戦艦の艦砲射撃にも耐えうるものだったのだろうか?? これはわたしが無知なだけかもしれないけれど、まあ、日本軍はおっそろしく強い相手として描写されていましたね。結果、US陸軍の歩兵たちにも甚大な被害が出る。そして、いよいよ衛生兵Medicデズモンド君の大活躍が始まる、という展開である。
 とまあ、こういう物語なわけで、なんだか突っ込みを入れてしまいたくなるお話なのだが、そういえば、デズモンド君の個人的信条は、一応、だれにも迷惑をかけていないのかも、ということに、わたしは観終わってふと気が付いた。軍法会議を開催するにあたっての事務方の負担ぐらいじゃないかな、デズモンド君がかけた迷惑は。衛生兵としては間違いなく英雄的な活躍をしたのは確かだし、結局デズモンド君を衛生兵として従軍すること許したUS陸軍も、日本人的にはあり得なくても、欧米的価値観、というよりキリスト教的価値観?においては、まあ美しいんでしょうな、と理解することとした。この余裕が、戦勝国なんですかねえ……。

 というわけで、わたしとしてはこの物語を理解するのが結構難しかったわけだが、役者陣の熱演は大変素晴らしく、その点は手放しで称賛したい。まず、主人公デズモンド君を演じたAndrew君は、前作『Silence』に続いて受難な役柄を見事に演じ切っていたと思う。ただ、わたしはキャラとしては好きになれないかなあ……何というか……いつもへらへらと薄ら笑いを浮かべてるのが気に入らないんすよね……ニヤつくのはやめろ!とわたしが上官だったら言うと思う。あのニヤついたツラは演出なんだろな……きっと。わたしにはちょっとアレっすね……。
 あと二人、わたしの印象に残った役者を紹介しておこう。まず、デズモンドの父を演じたHugo Weaving氏である。『The Matrix』シリーズのエージェント・スミスや『The Lord of the Rings』シリーズのエルロンド様でもお馴染みのHugo氏だが、今回も非常にシブくてカッコ良かった。とりわけ、1次大戦での体験から、もう決して軍とはかかわりを持たないと決めていたのに、息子のためにかつての軍服を着用して行動するシーンは、それまで飲んだくれのダメオヤジなのかと思わせておきながら実に男らしかったすね。大変良かったと思います。
 もう一人は、『Avatar』の主人公ジェイクでお馴染みのSam Worthington氏だ。デズモンドの上官として、最初は、お前いい加減にしろよ、という態度だったのだが、だんだん、こ、こいつ本物のバカだ……だがそんなバカが一人ぐらいいてもいいか……みたいな感じで理解を示し、戦場ではデズモンドを信頼するに至るという流れはとても良かったし、その心境の変化が表情にも表れていたと思う。何気に名演でしたよ。カッコ良かったす。

 というわけで、どうもまとまらないし長いので、ぶった切りで結論。
 Mel Gibson氏の10年ぶり?となる監督作品『HACKSAW RIDGE』を早速観てきたのだが、そりゃあまあ、美しいと思いますよ、主人公の献身的な活躍は。でも、どうしてもわたしには、「納得」はできない、ような気がする。大体の理解はできるけれど、なんというか……他力本願というか自分勝手というか……うまく言えないけれど、あくまで自分の考えを押し通しただけで、別に戦争自体は否定していないし……でもその意志力がすげえ、ってことなんでしょうな。少なくとも、こうして偉そうに平和な日本でだらけた毎日を送るわたしにはできないことなので、それは素直に凄いというか、感動的であると思います。まあ、周りに恵まれていたってことなんだろうな。あ、最後に付け加えておくと、戦場シーンの迫力はすさまじいです。アカデミー録音賞と編集賞受賞は伊達じゃないす。以上。

↓ ちゃんと読んで勉強したくなりました。これを読めば、わたしの抱く謎(航空戦力のこととか)は答えが得られるのかもしれないすね。よし、買ってみるか。

 木曜の夜、日比谷の東京宝塚劇場へ雪組公演『幕末太陽傳』を観てきたばかりのわたしだが、今日、土曜日は、文京シビックホールにて開催されている宙組TOPスター朝夏まなとさん(通称:まぁ様)単独のライブ『A Motion』を観に行ってきた。次の公演で退団を発表されているまぁ様。たいていのTOPスターは、退団間近にこういったコンサート形式のライブを行うのは結構お約束なわけで、まぁ様のはじけるダンスと歌を目に焼き付けるため、JR水道橋から元気に歩いて文京シビックホールへ向かったわたしである。
AMotion
 カッコイイですなあ! まぁ様は、もともと花組であったのだが、2012年に宙組に異動になったお方で、わたしが一番好きな星組の紅ゆずるさん(通称:紅子)さんと同期の88期生である。実は、わたしは2010年から宝塚歌劇を見るようになったので、まぁ様の花組時代は生で観たことがなく、わたしが初めてまぁ様を観たのは2012年の『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のことであった。当時、星組から宙組に異動になって宙組のTOPに就任した凰稀かなめさん(※このお方も元々は雪組から星組に移り、その後宙組に異動になった方で、現在は退団してすっかり美人シンガーに変身した)目当てでわたしは観に行ったのだが、わたしはオタクとして当然『銀河英雄伝説』は何度も読んでおり、ラインハルトをかなめちゃんが演じるのは当たり前として、果たして、ラインハルトの親友であり、彼が生きていれば銀河の歴史は変わったかもしれないのに、と言われるほどラインハルトにとって大きな存在である、赤毛のジークこと、ジークフリート・キルヒアイスは誰が演じるのだろう、という点に大変興味があった。そして、まさしくそのジークを演じたまぁ様に、わたしはかなり好感を持ったのである。おお、この朝夏まなとさんという方はかっこいいしかわいいし、かなりいいじゃないか、と。
 以来、わたしは星組イチオシながらも、実はずっと、まぁ様も追いかけていて、多分ほぼすべての大劇場公演は観ていると思うし、NHK-BSだったかな、まぁ様がスカーレット・オハラ(=つまり女子の役。宝塚の男役スターでも、たまーに女子役を演じることがある)を演じた『風と共に去りぬ』も観た。宙組に来た当時は、それほどオラオラ感あふれたオレ様キャラではなかったけれど、どういうわけか、いつのまにか「まぁ様」と呼ばれるほどに成長したわけで(以前は「まぁくん」とわたしは呼んでいた)、なんというか、わたし的には感慨もひとしおである。そのまぁ様が、とうとう退団してしまうというニュースは、実際寂しく残念に思うものの、わたしとしては最後の公演まで応援し、拍手で送ってあげたいと思っている。
 というわけで、『A Motion』である。単独ライブとはいっても、宙組の若い衆を引き連れてのショーであり、コンサート形式ではあるものの幕間のある2部構成となっていて、まあ結論から言えば大変楽しめた。
 第1部では、まぁ様が歌劇団に入団した2002年の当時のヒット曲メドレーなんかもあって、まあノリノリである。わたしのヅカ友の若い女子は、現在、和希そらくんイチオシで、すでにこの『A Motion』も梅田へ遠征して観てきたそうで、「ソラ・カズキのINVOKEを堪能してきてください!」と熱いメッセージをもらっていたので、今日は一応、まぁ様とそらくん中心に双眼鏡でずっと観ておりました。なるほど、なかなかカッコイイ若者ですな、そらくんは。ほかにも、我が市川市民自慢の愛月ひかるさん(通称:ちゃんさん)も、その長身がやけに目立ってかっこいいし、同じぐらい背が高くて、前作『王妃の館』ではニューハーフ(?)のクレヨンちゃんを演じた蒼羽りくさん(通称:りくちゃん)もとても元気にはじけまくっていたと思う。
 そして第2部では、まぁ様がこれまでに出演していない、けど、宝塚ではおなじみの歌を歌ってくれる場面があって、とりわけわたし的にグッと来たのは『ロミオとジュリエット』の「僕は怖い」、そして『スカーレット・ピンパーネル』からは「ひとかけらの勇気」を、とてもカッコよく、そして情感いっぱいに歌いあげてくれた。いやー、なんかもう、紅子先輩よりパーシーが似合うんじゃねえか、と一瞬思いましたよ。とてもよかったですね。「僕は怖い」の前には、宙組の若者たちによる「世界の王」のダンサブル&ノリノリな場面もあって、そこでもソラ・カズキくんは大変良かったと思います。
 ちなみに、第2部では、サイン入りTシャツの抽選会があって、「1階●列目……」と発表された時、正しくわたしの座っていた席の列だったので、瞬時に、「やっべえ!当たったら野太い声でウェーイとか立ち上がってガッツポーズしよう!!!」という思いが脳内を駆け巡ったのですが、残念ながら外れました。あーーーほんと、列が同じってだけで、超ドキドキしたっす。アホですわ。
 ところでわたしは文京シビックホールは初めてだったのだが、なかなかいい劇場ですな。まあ、夏には日本青年館が取り壊しから再び新しくよみがえるので、今後はあまり宝塚では使われないかもしれないすね。でも、結構劇場として気に入りました。とても観やすい設計の劇場だし、大きさもちょうどいいし、立地もいいすね。

 というわけで、短いけどもう結論。
 今日は文京シビックホールへ「朝夏まなとアメイジングステージ『A Motion』」を観てきた。2012年からずっとその活躍を見守ってきた朝夏まなとさんが、とうとう今年の秋に退団してしまうわけで、とてもとても淋しいけれど、そのダイナミックなダンスと歌は、ずっと忘れないと思う。今日もとてもカッコ良かったよ。最後の公演まで、応援しますので、最後まで全力で駆け抜けてください。また秋に、会いに行くよ。以上。

↓ 結構名作だと思うな。ラインハルトは、この世のものとは思えない超絶美形という設定なので、男が演じるより宝塚が合うような気がします。ちなみに、別の宝塚ではない舞台版では、松坂桃李くんがかつてラインハルトを演じたこともあったすね。あれはあれでカッコ良かったす。
『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』 [DVD]
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2012-11-10

 何度もこのBlogで書いていることだが、わたしは宝塚歌劇を愛してやまない、珍しい男の一人である。まあ、いまさらその魅力について書くことはしないが、中でも、わたしは星組が一番好きである。なので、星組の公演は、何度だって行けるものなら行きたいし、実際、2回3回と観に行くこともまれではない。が、知らない人は知らないだろうが、知っている人は知っている通り、宝塚歌劇には5つの組があり、他の組、星組以外の公演はどうなのよ、と言われると、勿論ほかの組の公演もわたしは可能な限り観に行くが、まあ、大抵は1回しか行かないのが現実だ。そもそもチケットの入手からして困難だし。正確に言うなら、1回しか行けない、のが実情である。
 というわけで、わたしは全組公演を観るつもりは満々ではあるのだが、そんなわたしが一番縁がない組が雪組、である。そもそも、雪組は現在4公演連続かな?確か全回満席を達成しており、その人気はとても高く、実はわたしも、観たくてもチケットが取れないことがあるのだ。大変残念なことに。
 全回満席、これがどれだけすごいことか、分かりやすく数を計算してみようか。
 まず、公式Webサイトによると、本拠地宝塚市の「宝塚大劇場」の座席数は2,550席。そして日比谷の「東京宝塚劇場」の座席数は2,065席だそうだ。で、公演回数は、演目によって違うのだが、貸し切り公演や新人公演を含め、だいたい45公演としておこうか。てことは、宝塚で2,550×45=114,750、そして日比谷で2,065×45=92,925、合計で207,675人の動員、ということになる。それが本当に一瞬で完売となるのだから、ホントすげえと思う。ただ、熱心なファンの淑女の皆さんは、ホントにもう何度も観に行くのが当たり前なので、ちょっと興味があって観に行きたいな、と思うような「初心者」ではとうていチケットが取れない状況にあり、その結果ファン層拡大の妨げになっている部分も否めず、かといって、そういう何度見来てくれる「強力なコアファン」を捨てることも出来ず、劇団としては、まあ、嬉しい悩みだろう。会社経営の観点からすると、「ロイヤルカスタマー」を最も大切にするのがブランド管理面では当然王道だが、かと言って門戸を狭めてしまえばブランドの永続性は低くなってしまうわけで、どちらをとるか、極めて悩ましく、だからこぞ、「TAKARAZUKA SKY STAGE」という専門放送局を持って、広く手軽に楽しめるメディアを運営する意義もあるわけだ。ちなみに、わたしは「SKY STAGE」には加入してません。だって! いまどきSD画像で観れるかっつーの! HD放送になったら問答無用で加入するけれど、まあ、そうなったら今度はBlu-ray等のDiskが売れなくなると思っているのだろう。でも、わたしが経営に参加していたら、SKY STAGEの料金をちょっと値上げしてでも、HD放送に踏み切るね。なぜなら、Diskメディアに将来があるとは思えないし、ファンはSKY STAGEの放送やBlu-rayでの視聴よりも、生で、ライブで、劇場で公演を観ることの興奮ときらめきの方が、比べ物にならないほど格段に上だということは、誰しもが感じ、理解しているからだ。いくらハイビジョン画質で公演を放送しようとも、劇場の動員が減ることはないはずだ。それよりむしろアーカイブとしての需要の方が多いことは間違いないだろう。
 と、まあ、どうでもいいことを書き連ねてみたのだが、昨日の夜、わたしは日比谷に推参し、現在東京宝塚劇場で絶賛上演中の雪組公演『幕末太陽傳 / Dramatic "S"!』を観てきた。雪組TOPスターとして2年9カ月(?)の日々を過ごした早霧せいなさん(通称:ちぎちゃん)と、同時に娘役TOPに就任し、苦楽を共にしてきた咲妃みゆさん(通称:ゆうみちゃん)の二人そろっての退団公演である。こういう、男役と娘役のTOP二人が同時に退団することを、俗に「添い遂げ退団」と呼ぶのだが、色々なところで観られる二人の熱い関係は、同時退団という形で幕を引くのが一番なんでしょうな、やっぱり。先に結論から言うと、正直、ミュージカル『幕末太陽傳』は、面白くなかったとは言わないけれど、ちょっと退団公演としてはどうなんだろう、という気がしたものの、やっぱりショー『Dramatic "S"!』には、もうこの二人には劇場で会えないんだなあ……という淋しさが募ってしまい、わたしは帰り道、やけに淋しくてなんかつらく感じたのである。はあ……ちぎちゃんにゆうみちゃん、どうか千秋楽まで、全力で駆け抜けておくれ……と親戚のおじさん風に、とてもしみじみ思うわたしであった。

 さてと。何から書くか……冒頭に記したように、わたしは雪組が一番縁がなく、「ちぎ・みゆ」コンビを観るのは、去年の『るろうに剣心』以来なので、1年以上ぶりである。いや、だって取れないんだもの、チケットが。去年後半の『ケイレブ』も取れなかったし、まあ、人気絶大のTOPコンビである。WOWOWの「宝塚プルミエール」やMXの「TAKARAZUKA Cafe Break」などでお見かけする二人のアツアツ振り(つかむしろゆうみちゃんの一方通行気味なちぎ愛)は、ヅカファンならば誰しも知る仲であろうと思う。そんな二人が添い遂げ退団するのは、ある意味自然な流れなのだが、この時期である理由は、わたしには正直良くわからない。もうちょっとと言う気もするし、ここが引き際、といわれれば、なるほど、と思うしかない。その点は、二人の心のうちにしか正解はないだろう。劇団としても、毎公演完売させる二人には、まだもうちょっと続けてほしい、と思うのが自然だろうと思う。
 しかし、だ。わたしが良くわからんのが、どうして本公演『幕末太陽傳』をとても大切な「退団公演」に選んだのか、という点だ。もちろん、冒頭に記した通り、面白くなかったわけでは決してない。けどですね……はっきり言って超地味ですよ。歌も少ない、立ち回りが派手にあるわけでもない、無音の部分すらもある。ズバリ、二人の芝居にすべてかかっているわけで、確かにちぎ・みゆコンビは抜群の演技力を誇るTOPコンビだが、もうチョイ、送り出す感があっても良かったんじゃねえかなー、と漠然と思ったのである。
 お話は、フランキー堺氏や石原裕次郎氏の名演で知られるあの映画(わたしが観たのは30年以上前なのでもう完璧内容を忘れている)の舞台化なわけだが、どうやら元は落語の演目だそうだ。まったく知らなかったが、実はわたしは昨日、久し振りのSS席ドセンターで、非常に素晴らしい席で観る幸運に恵まれたのだが、わたしのすぐ前には、とある有名落語家が、おそらくはご夫婦で観劇されていて、まあ、そういうことなんでしょうな、と思った。
 いずれにせよ、内容としてはコメディで、主人公・居残り佐平治を演じたちぎちゃんは、ひょうひょうとした男を大変見事に演じていたし、気の強い女郎おそめを演じたゆうみちゃんはとってもかわいかった。映画で石原裕次郎氏演じた高杉晋作を、次期TOP就任が決定している望海風斗さん(通称:だいもん)がカッコ良く演じてくれたのももちろん素晴らしかった。また、大変な目に合う(笑)貸本屋の金ちゃんを演じる、この公演で退団を発表されている鳳翔大さんも、正直出番は少ないけれど一番笑わせてくれたし、この『幕末太陽傳』という作品自体を、わたしはとても楽しめたのは間違いない。なんだけど……退団公演なんだから、もうチョイ派手に、そしてもっと泣かせるお話にしてあげたかったなあ……なんて部外者のわたしが偉そうに思うのが、正直な感想である。でも、まあ、ある意味通常運転、なところに意味があるんすかねえ……。
 一方、ショーの『Dramatic"S"!』である。こちらはさすがにラストということで、歌詞も結構グッと来るものがありましたねえ……愛する人のイニシャルはSですよ……。とりわけ素晴らしいのは、ロケットの後の、「Snow Troupe絆」と、ラストのデュエットダンスでしょうなあ……。本当に泣けてきましたねえ、あそこでは。どうでもいいけれど、わたしと一緒に行ったズカ友のおばちゃん&女子たちは、一人はわたしよりヅカ愛の深い可愛い女子なのだが、他のおばちゃん&女子は、まるでヅカ道素人で(わたし以上に観に行っているはずなのに!)、「Snow Troupe絆」の「緑色」の衣装の意味が分かっておらず、終演後に「あのですねえ、雪組は緑なんすよ!各組にはテーマカラーがあるの!わたしの愛する星組は青なんすよ!」と軽くキレたら、ええー知らなかった―とか抜かしやがって、もうちょっとちゃんと勉強してほしいものだ、つかもうこの人たちと観に行くのヤダ、と軽い絶望を感じました。
 そしてラストのデュエットダンス、ショパンの別れの曲に歌詞を乗せて、しかもカゲソロで、現役最強クラスの歌ウマなだいもんを起用するとは、なんて豪華で美しく、そして悲しく切ないんでしょう……とわたしはとても胸にジーンときました。えーと、一応言っときますが、わたしはもうアラフィフといわざるを得ない40代後半のおっさんですけど、まあ、とにかくもう、なんというか淋しいす。とても……。

 というわけで、わたしはもうちぎ・みゆの見納めをしてしまったわけだが、二人はきっと、役者として芝居が大変素晴らしいお方なので、退団後も、まあ一息ついてからでいいので、活躍していただきたいすね。わたし、ゆうみちゃんの芝居というか声が大好きなので、退団後、舞台に出るならば必ず観に行くよ。まずは東京公演、最後まで悔いなく駆け抜けておくれ。そして、またいつの日か、素晴らしいお芝居を見せてくれることを願ってやみません。ちぎ・みゆコンビに幸あれ。わたしは深くそう思いました。
 おっと、忘れるところだった! というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「地獄も極楽もあるもんか! おいらはまだまだ生きるんでぃ!!
 今回は、やっぱり一番ラストのこのセリフでしょうな。退団したからといっても、これからもずっと、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることを、心から願います。応援してるよ!

 というわけで、結論。
 稀代のTOPコンビ、雪組の早霧せいなさんと咲妃みゆさんの退団公演となる『幕末太陽傳 / Dramatic "S"!』を東京宝塚劇場にて見届けてきたが、正直、『幕末太陽傳』はアリではあるけれど、退団公演としてもう一本、何かスペシャルなものを用意してほしかったと思うのが正直な感想だ。でもまあ、そのスペシャル感はショーの『Dramatic"S"!』に滲み出ていたので、これでいいのかもしれないすね。そして、そういえばこの『Dramatic"S"!』は、だいもんのプレお披露目の全国ツアーで『"D"ramatic S!』として再演されるわけで、くっそう、やっぱりチケット申し込みすりゃあよかった、と超今さら後悔しております。しかし、はーーーーホント、淋しいすねえ……ちぎ・みゆにもう会えないなんて……退団まで、そして退団してからも、二人に幸あらんことを、心から祈ります。これからも応援しますよ! 以上。

↓ うーん、やっぱり予習しといたほうが良かったのかもなあ……。今は配信でいつでも観られるんだから、観とけばよかったかも……。


 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、た、た、大変だ――――ッ!!! 今週の『鮫島』は全く取組は描かれませんし、鯉太郎の次の相手も明確にはなりませんでしたが、どうやら! とうとう! 我らが”怪力”【天雷】回が来そうな気配です!! ヤッタ――ッ!! というわけで、今週はもう戯言トーク無しですぐに始めたいと思います。わたしは電子書籍でチャンピオンを読んでおり、今日のAM0:00に配信がされて、もういきなり眠気ぶっ飛びで大興奮ですよ!!
 まずは、週刊少年チャンピオン2017年30号概況をさらっと流しておきます。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版だと宮脇咲良さんのようです。
 ■弱虫ペダル:託した想いの巻。青八木くん、ありがとう、そしてお疲れっした……!
 ■刃牙道:拳骨の巻。行けっ!殴れ!武蔵をぶっ飛ばすんだ!花山君!!
 ■BEASTERS:君を捕まえたいの巻。行け!殴れ!ライオンをぶっ飛ばすんだレゴシ君!!
 ■囚人リク:二人の巻。いや、そりゃまあ、そうなりますわな……。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:釣って釣られてバンパイアの巻。今週もすごいボケ合戦で爆笑です。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。
 
 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週までで、単行本(14)巻収録分が終わった区切りだと思いますが、まあ、本割での常松こと【松明】VS【百雲】戦では常に黒星がついてしまったものの、常松主役回は美しく幕を閉じたわけで、いよいよ今週から新展開、と期待に胸膨らませて、今週の『鮫島』を読み始めようとしたわたしであります。
 今週は、まず扉ページはいきなり、”牛鬼”さんこと関脇【明王山】関が横綱【泡影】関に寄り切られる大ゴマから始まりました。NHKアナも興奮した口調で、これでまたまた連勝を65と伸ばした―――!!と絶叫の模様です。そしてアナは、「歴代1位の69連勝が見えてきました!」と虎城理事長へ話を振ります。理事長も、まあ…問題なくいけるでしょうな…そのくらい今の横綱は強い…と太鼓判です。そして、まぁ普通ではないですからな…この横綱は…もしかしたら連勝記録など泡影にとってはさほど重要なことではないかもしれませんな…と理事長は言葉を続けます。
 そしてNHKアナは、現在の9月場所の状況を説明してくれました! とうとう各力士の星取り状況が一部判明します!!!
「そしてその泡影の首を狙う虎城部屋の二大関も今場所は好調ですよね 親方の虎城さん…」
「えぇ…場所前の稽古の質も量もキッチリ本場所に合わせて来ましたからな…」
「その2匹の虎 王虎と猛虎 この2人もここまで負けなしの10連勝!」
 おっと!! やはり、【王虎】さんも【猛虎】さんも10連勝ですよ!! さすがっす! 一応、絵的には二人が誰かを倒している絵がVTRで流れていますが、誰だかわからないす。まあ、間違いなくこの2匹の虎も、鯉太郎と戦うことになるでしょうなあ!! 楽しみすぎますなあ!!!
「そして10連勝と言えば 意外な力士がもう一人…空流部屋前頭十四枚目 鮫島!!」
 と、NHKアナによる鯉太郎評が続きます。テーピングだらけで満身創痍、途中休場も多い鯉太郎は大丈夫か、と。そして虎城理事長も、確かに「いつものようにボロボロ」だけど、今場所は1番1番成長しているかのように動きが良くなっている、このまま最後まで行けたら、台風の目に成り得るかもしれない、と答えます。
「しかしその鮫島!! 明日も厳しい相手が組まれました!!」
 おおっと!! で、明日は誰なんすか!!! と思ったところで、VTRです! おいィ!そりゃねえべ!! 相手は誰なんすか!! というのは、今週は判明しませんでした。ただし、そのVTRは、今日10日目の、とある力士二人の取組の模様でありました。そしてその二人とは―――!! 我らが”怪力”【天雷】関と、新キャラ【白鯨力】関がとうとう登場です! そしてそのVTRによると、9日目時点での二人の星は、【天雷】が8勝1敗、【白鯨力】が7勝2敗、だそうです。
 東関脇【天雷】は土俵入りも相変わらずの爽やかイケメン、そして西小結【白鯨力】は、「嫌だな~~~~~怖いな~~~~」とつぶやいている模様。ジュンジ・イナガワ氏を思い起こさせるつぶやきですね。NHKの実況によれば「今場所の結果次第では来場所の大関取りも見えてくる天雷 同期でライバルの王虎に早く並びたいところ…」と言われていますが、土俵に上がった【天雷】は、その大関取りに関してインタビューを受けた時の模様が頭に浮かんでいる様子。そのインタビューでは、王虎とは毎回バチバチの熱い取り組みになるけどやっぱり同期ライバルとしては意識するところはあるんでしょうか? なんて質問をされました。アホか! そんなの当たり前だっつーの。【天雷】は、意識しないと言ったら嘘になりますね、と爽やかスマイルで回答しますが、「アイツだけには負けたくない…皆そう思ってると思いますよ…」と決意のこもった表情で付け加えます。そして【天雷】の言う「アイツ」とは、当然のことながら、鯉太郎のことです。つまり、鮫島だけには負けたくない、【王虎】も【蒼希狼】もそう思ってるはずだ、と【天雷】言っているわけです。しかし記者たちはそんなことにまるで気が付いていないトンパチどもばかり。そんな中で、日刊トップの橋くんだけは、「アイツ=鯉太郎」であることを理解しています。
「今のは…鮫島…のこと ですか…? 序の口で一度だけ鮫島と取ってますよね…そこからインタビューでは度々鮫島との再戦を口にしていた…しかし幕内になってある時期から それをまったく口にしなくなってますよね…」さすがは橋くん、よく分かっているじゃないですか。【天雷】は橋くんの言葉に、ちょっと回想を始めます。これまでにも鯉太郎と戦うチャンスはあったものの、そしてそれをとても楽しみにしていた二人であったものの、鯉太郎の途中休場で、実現してこなかったのです……。そしていつの話だか分かりませんが、鯉太郎は右足大腿直筋肉離れで途中休場となり、VS【天雷】戦を不戦敗になってしまった日、松葉杖を突いた姿で【天雷】の前に現れます。そして頭を下げる鯉太郎。ここからのやり取りが泣けるというか、今週一番のグッとくるポイントです。
「すまなかった…天雷…」
「お前…それを言いにわざわざ…」
 鯉太郎の表情は、ホントに申し訳ない、という悔しさいっぱいですよ。そして【天雷】の方は、まったく、お前って奴は……といった表情です。いいすねえ!
「全力で土俵に上がった結果なんだろ…謝るなよ…お前のその全力の相撲で俺は目が醒めたんだ…お前の相撲がなかったら 今の俺はいないよ…仕方ねーさ…俺が戦いたいのはそんな相撲を取るお前なんだから…今回はまだ時期じゃなかったってことだろ…待つさ…その時が来るまで…いつでも万全の状態で…今の俺は強いぞ 鮫島!」
 ラストの【天雷】の晴れやかな笑顔は、まあ控えめに言っても最高ですね! そして鯉太郎も、そんな言葉をかけてくれる【天雷】には「あぁ…」としか言えません。ちょっと嬉しげな表情もいいですなあ! 
 (それから俺は 鮫島の名を口に出さなくなった…漏れた言葉で願いが遠ざからないように…溜めた想いが あの続きを引き出せるように…)
 これはもう、腐女子の皆さんが薄い本を作るのが捗るかもしれない心境ですよ。なんというか、大変健気というか、まるで幕ノ内一歩が宮田くんとの戦いを待ち望むような心境に近いような気がしますねえ! 思い出しますなあ……死んだような眼をしていた当時の村神凛太郎くんが、鯉太郎の情熱に目が醒め、爽やかイケメンとして兄の【天雷】という四股名を名乗るようになった頃のことを……。
 しかし、です。わたしとしては、【天雷】のこういった、ある意味一途な想いが、若干の心配材料でもあります。というのも、なんとなく、「Burst」で描かれた幕下優勝決定戦の時の【闘海丸】くんとの戦いを思い出してしまったわけです。あの時【天雷】は、【王虎】さんや鯉太郎のことしか見ておらず、ある意味、【闘海丸】くんを無意識のうちに舐めていたと言えると思います。しかし、結果は、腕を痛めていたとはいえ、【闘海丸】くんに敗れてしまいました。まさか現在の関脇まで昇進している【天雷】があの時のようなことにはならないと思いますが、【天雷】としてはきっと、鯉太郎の10連勝に喜び、これはとうとう戦える日が来るか!? とそりゃあもう、ドキドキワクワクしているはずです。でも、今日の相手は小結【白鯨力】。まずは目の前の相手に集中だぞ!!
 しかし、時間いっぱいとなって最後の塩をとる【白鯨力】に、場内の観客は「来た…」「来た!」とどわっと盛り上がりを見せます。「?」と思う【天雷】。ふと相手を見ると……なんと【白鯨力】の恐らくはおなじみであろう、キメポーズが炸裂して今週は終了です!
 「変身…ビクトリーーーースターーーー!!!」
 !? な、なんなんすか!? 見れば右手首のテーピングにはなにやらエンブレム的なものが。これは……なんかの特撮ヒーローなんすか!? シュッピーーーン! じゃねえっつーの! これは確実に指導モノだと思いますが、どうやら【白鯨力】はこういうキャラのようです。時間いっぱいまではオドオド君、そして変身ポーズを決めて気合一発立ち合いに臨む、的な。まあ、ビジュアル的にも、若干、振分親方でお馴染みの元【高見盛】関にも似ているわけで、まさしく現役当時の【高見盛】関っぽいですね。いや、振分親方というよりむしろ【琴奨菊】関っぽいのかな……「琴バウアー」的な……。【天雷】よ、まさかここで負けるなんてこと……ないよね? なんかちょっと心配ですが、いずれにせよ、鯉太郎の明日11日目の相手は、【天雷】か【白鯨力】か、どちらかで確定です。たのむ……どうか【天雷】であってくれ……一歩のように永遠に宮田くんと戦えない展開だけは勘弁してほしいのですが……果たしてどうなるか、もうほんと毎週楽しみすぎてつらいっす! 最後に、編集がつけたラストのアオリをメモして終わりにします。
 ◆なんだコイツ…次号につづく。
 いや、こっちが知りたいわ! それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関。共に10日目現在10勝0敗。
 【天雷】東関脇 9日目現在8勝1敗
 【田上】番付不明※王虎の付け人をやってる模様。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。65連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週は、次の鯉太郎の相手が判明すると思いきや、明確にはなりませんでした。ただし、【天雷】か【白鯨力】か、どちらかであることはどうやら確定です。わたしとしては【天雷】であってほしいのですが……どうかなあ……大変心配です。あと5番しかないわけで、鯉太郎の今後の戦いからは目が離せませんね! その中に【天雷】が含まれないなんてことあり得るのかなあ……そりゃあるかもしれないけど……でも【天雷】の「万全の状態で」という言葉も気になるんすよね……まさかVS【白鯨力】でヤマ行っちまうとか? そんな……鯉太郎とは「万全の状態」で戦わせてあげてほしいっす……! 佐藤先生、どうかそこんところ、よろしくお願いいたします! 以上。

↓ 鯉太郎と、当時の村神凛太郎くん(現在の【天雷】)の熱い戦いは『バチバチ』(7)巻収録です。【天雷】と四股名を変えて登場するのは(11)巻かな。




 わたしは海外翻訳小説をかなり読む男だと思うが、基本的にはわたしは映画オタクであり、非常に高い頻度で、「映画化のニュースを見て、じゃあその原作を読んでおくか」という経緯で本を買って読むことがある。要するにわたしはネタバレを全く苦にしないのだが、先に小説を読んでおこうと思うのは、わたしとしてはごく普通の行動で、その元の小説がどんな風に映像化されるのか(されたのか)について、わたしは結構楽しみにするのである。そして、映画化のニュースを知って読み始める場合は、たいてい、そのキャストも同時に発表になっている場合も多いので、まあ、脳内妄想もしやすいかもしれない。
 というわけで、ちょっと前に、わたしの大好きなJennifer Lawrence嬢主演でとある小説が映画化されることを知り、へえ? と思って買った作品がある。タイトルは『RED SPARROW』といい、現代を舞台としたスパイ小説で、なんと著者のJason Matthews氏は、30年以上CIAに勤務し、海外支局長まで務めた本物の元エージェントだそうだ。まあ、そんな本物に小説を書くことが許されること自体がなんだか驚きだが、まあそういうことらしい。というわけで、さっそく読み始めた。
レッド・スパロー(上)
ジェイソン・マシューズ
早川書房
2013-10-29

レッド・スパロー(下)
ジェイソン・マシューズ
早川書房
2013-10-29

 ちょっと探したら、著者のMatthews氏の動画があったので貼っとこうMatthews氏はこんな風貌の男のようだ。結構おっさんですな。

 さてと。本作は上下本で、記録によるとわたしは、上巻:517ページ/359分、下巻:465ページ/366分で読み終えたらしい。これはわたしとしては結構意外で、体感的には後半の展開が早くて下巻の方が早く読み終わったかと思っていたのに、全然そんなことはなかったようだ。へえ~。なんか不思議。
 で。まずお話を簡単にまとめると、CIAの若手エージェントであるネイトは、とあるロシア高官をCIAのスパイとして管理運用しているのだが、それが誰なのかを見破りたいロシアが、SVR(=ロシア対外情報庁)の女性エージェントであるドミニカをネイト攻略のために送り込む。が、お互いの立場を超えて恋に落ちてしまうお話が基本ラインだ。
 それだけだと、確かにハリウッド的で、なんかつまらなそうなお話になってしまいそうだけれど、ドミニカの背景が非常に詳しく書いてあって、キャラとしてとても共感できるし、CIAサイドの、情報提供者を絶対に守るという、ある意味嘘くさいけれど美しい心意気も、読んでいて大変好ましい。正直、男主人公であるネイトは若干ダメな若造なのだが、とにかくネイトの二人の上官と、ネイトが運用するスパイのロシア高官のおじいちゃん、そしてなんといってもドミニカが大変すばらしく、結論から言うとても面白い小説であった。まあ、ちょっとCIA側の描き方が美しすぎるのと、ロシア側の描き方が相当ひどい人たちばかりなので、若干鼻につくとは思う。でもこれは映画向きだね、確かに。と思うような物語であった。あ、あと、FBIが超無能な奴らが多い的な描写もあって、きっとMatthews氏はFBIには苦労させられたんだろうな、というどうでもいいことも感じた。
 文章としては、わたしが編集者だったら一つだけ注文を付けるかも、という点があった。それは、地の文における登場人物の呼び名が結構コロコロ変わることで、名前だったり、苗字だったり、あだ名だったり、といちいち変えるのは読んでいて一瞬誰だっけと思うような、阻害要因になっているような気がした。ま、下巻に行く頃には慣れるけれど、統一してもらいたかったような気はした。この作品はMatthews氏の処女作だそうで、各章の終わりに必ずその章に登場した料理やお菓子のレシピが載るなど、なんか妙なこだわりは感じられた。
 というわけで、わたしのBlogで恒例のキャラ紹介をしながらいろいろまとめてみよう。
 ◆ドミニカ・エゴロワ:大学教授を務めた父、元バイオリニストの母を持つ超絶美女。子供のころから、「人の感情が色で視える」という特殊能力がある。また映像記憶的な記憶力の持ち主。バレエダンサーを目指していたが、あまりに完璧すぎるために嫉妬を買い、練習中にわざと足を踏まれ、足に大怪我を負わされてしまいバレエの道を断念。その後、彼女の美貌は叔父でありSVRの第1副長官を務めるワーニャ・エゴロフの目に留まってしまい、SVRのハニートラップ要員として、フランス外交官を誘う役に抜擢され、目の前でその男が殺される現場に立ち会う。結果、その事件の情報秘匿の意味も含め、SVRに強制入隊。「スパロー・スクール(※スパロー=スズメ、ですな)」と呼ばれるSVRの女工作員養成学校へ放り込まれ、女性の尊厳を踏みにじるようなSEX教育を受けさせられる。その地獄を気合で乗り切ったドミニカは、祖国への愛国心はあるものの、SVRのクズたちへの復讐心を心に抱きながら、SVRエージェントに。実は両親も腐敗した体制には反骨の心を持っていて、「生きてこそ」「信じられるのは自分だけ」をドミニカに伝え、そののことが後にCIAへの協力を決意するきっかけにもなる。で、運命の男、ネイトと出会い―――的な感じ。映画版で演じるのはJennifer Lawrenceちゃん。
 ◆ナサニエル・ナッシュ:通称「ネイト」。弁護士一家のおぼっちゃん。堅苦しく自由のない親の決めたレールに乗った人生に嫌気がさし、敢えてロースクールに行かず、大学ではロシア文学を専攻。そのロシア語力で、CIAを就職先として選び無事に入省。モスクワ勤務となる。モスクワでは<マーブル>というコードネームの老スパイを運用する役を与えられ、<マーブル>との信頼関係も築いていたが、ある日<マーブル>との密会をSVRに察知され、何とか逃げ切るもモスクワ勤務の任を解かれ、ヘルシンキへ左遷される。がっかりするネイトだったが、ヘルシンキでは支局長のフォーサイスと、副支局長のゲーブルという凄腕の師匠ともいうべき男たちに迎えられ、<ネーブル>担当も継続することができて一安心。そして<ネーブル>との活動を続けるが、SVR側には<ネーブル>(=SVR側では「もぐら」と呼ばれている)をネイトが運用していることはバレていて、もぐら探しのためにネイトに付け入るんだ!という任務を帯びて現れたドミニカと出会う。もちろんネイトもドミニカがSVRの放ったハニートラップ要員だとわかっていて、緊張の中にも二人の間にはきずなが生まれてしまうのであったーーー的な感じ。まあ、基本的にこのネイトという小僧は、キャリアのことばかり考えるゆとり小僧で、無能ではないし誠実な善人だけど、結構、無力ですな。映画版で演じるのは、どうやらJoel Edgerton氏。わたし的には、『STAR WARS:EPIII』のラストで、赤ん坊のルークを預かった若き日のオーウェン・ラーズを演じた彼ですな。EPIIにもアナキンの義兄弟としても出てきたね。
 ◆ウラジミール・コルチノイ:SVR第一部部長。結構なお爺ちゃん。上巻ではチラッとしか出てこないが、ドミニカにちょっとした情報を渡して援助するなど、冒頭からイイ人なキャラで、あ、この人が<ネーブル=もぐら>なんだな、というのはきっと誰でもわかると思う。下巻でそれは明確に明らかになるのだが、ネイトにも、ドミニカにもとてもやさしく、きわめて善人。彼がCIAのスパイになった動機は、海外赴任中に妻が重病を患っているときに、その国の医療を受けさせれば治ったのにロシア政府がそれを許してくれなかったために亡くしてしまい、体制への忠誠も同時に無くしたため。下巻での彼の決意と行動が結構泣かせる!そしてラストが超悲しい……! 映画版で演じる予定なのは、オスカー俳優Jeremy Irons氏。これはきっとかっこいいぞ!でもロシア人に見えねえ……。
 ◆トム・フォーサイス&マーティン・ゲーブル:ネイトが左遷されたヘルシンキ支局長と副支局長のコンビ。ベテランの現場主義で本部(ラングレー)の官僚嫌い。ネイトを導くメンター。実は、ネイトがなかなか優秀な若者であることを知り、ヘルシンキへ異動するよう手をまわした人たち。ゲーブルはネイトに、エージェントは自分のアセット(資産=スパイ)を絶対に守ることが一番重要だと教える。後にドミニカがCIAのアセットとなった後は、ネイトよりもゲーブルをドミニカは信頼するほどに。ドミニカはゲーブルを親しみを込めて「お兄さん」と呼ぶ。映画版のキャストには、フォーサイスしかないな……ゲーブルは出てこないのかな……どうやらフォーサイスは映画においては女性に変更されている模様。Sakina Jaffreyさんという方らしいが、わたしは知らない人だなあ……。
 ◆イワン(ワーニャ)・エゴロフ:ドミニカのおじに当たるSVR第一副長官。SVRのTOPになることをずっと目標に、SVR内のもぐら探しに躍起になる。悪役だが、まあ、冷静に考えると職務に忠実なだけの男と言えるかも。演じるのはMatthias Schoenaerts氏。知らないなあ……そしてずい分若いな……おじさん設定はないのかもしれない。
 ◆サイモン・ベンフォード:CIA本部の防諜部部長。ちょっと変わり者のおじさん。下巻で活躍。下巻では、US国内勤務に戻されたネイトの上司に。<ネーブル>との厚い絆で、なんとか<ネーブル>を守ろうとするが……。CIAは国内での捜査・逮捕権がないのがポイント(なので、役立たずのFBIを使うしかない状況に)。映画版キャストにないので、カットか? うっそぉ……。
 ◆ステファニー・バウチャー:カルフォルニア州選出のUS上院議員で、ロシアへ無邪気に情報漏洩を続けるイカレた女。SVRワシントン支局長直々にバウチャー上院議員をスパイとして運用するが、SDRはまったくやらないし、とにかくいうことを聞かない強欲な女。映画版で演じるのは、Mary-Louise Parkerさんらしい。
 ◆セルゲイ・マトーリン:SVRの暗殺者。怖い。ラストは意外と弱かった……。

 とまあこんなキャラクター達なのだが、わたしは事前に、ドミニカをJenniferちゃんが演じることは知っていたけれど、読みながらJenniferちゃんを意識することはほぼなかった。だって! Jenniferちゃんとドミニカが結びつかないんだもの! ドミニカはバレエダンサーだぜ? 絶対スリムでクールな超美人に決まってるよね? でもJenniferちゃんと言えば、そのむっちりボディが魅力なわけで、どう見てもバレエダンサーには見えんわなあ……。身長も180以上あるし(2018/01/23追記:いつのまにかWikiの記載が修正されてた。171cmだそうです。それならバレリーナに普通にいらっしゃるかも。とはいえ、Jenniferちゃんがバレリーナに見えない説は取下げません!先日劇場で見た予告では、またエッロイ水着着てましたなあ)……どうなんでしょうか……ついでに言うと、ナッシュを演じるEdgerton氏も、まったくイメージに合わない。つーか年取りすぎだし、小僧感がないし。まあ、上下巻の比較的長いお話だし、各キャラの過去とかの掘り下げもあるので、映画は結構大幅に原作をバッサリ斬ってしまうのかな……FOX製作だし、日本で公開されるのかどうかもちょっと怪しいかもしれないすね。ちなみに、映画版の監督はFrancis Lawrence氏だそうで、Jenniferちゃん主演の『THE HUNGER GAMES』で「2」以降の3本を撮った方なので、Jenniferちゃんの信頼も厚いんでしょうな。
【2018/04/03追記:つうわけで、映画版が公開 になったので観てきたところ……Jenniferちゃんごめんよ! 冒頭のバレエシーンは超良かったです! 相当特訓したそうで、実にお見事でした! けど……かなり原作から縮小圧縮された物語になってて、ちょっとアレかなあ……ネイトがおっさんでガッカリす……】

 というわけで、結論。
 映画化される、と聞いて、それじゃあ原作小説を読んでみようと思って買った小説『RED SPARROW』は、まずまず面白かった。若干美しすぎるような気もするけど、小説として、そしてデビュー作としては十分以上に楽しめた。が……映画化は、どうなんだろうなあ、と言う気がしてならない。第一主演のJenniferちゃんと小説のヒロインであるドミニカがどうも結びつかないのだが……まあ、映画を観て、Jenniferちゃんごめんなさい、オレが間違ってました!という事態になってくれた方が嬉しいす。そして、さっき初めて知ったところによると、この小説は続編があるようで、第2巻はとっくに発売中、そして完結編(?)となる3作目は、来年発売、らしい。そうなんだ、続きがあったのね。でもまだ日本語訳は発売されていないようで、愛する早川書房が出版してくれる日を待ちたい。一応、続編は読みたいと存じます。あ、そうだ、ひとつ忘れてた。この小説には、なんとプーチン大統領閣下が実名で登場します。超おっかないキャラで、スーパーヤバい人物として描かれています。その辺も、我々の知らない真の姿?かもしれなくて、かなりドキドキますよ。おそろしあ! 以上。

↓ こちらが2作目。早く読みたい……早川書房様、よろしくお願いいたします!

Palace of Treason
Jason Matthews
Penguin
2016-01-28

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 今週末は、金曜日に『魔法科高校の劣等生』のチケットをわたしのクライアント様から頂き、それじゃ観に行こうということで昨日の日曜日にさっそく観て来ました。原作小説は最新巻までちゃんと読んでいるものの、2014年に放送されていたTVアニメは観ていなかったので、初めてしゃべるキャラクター達を観、また、初めて映像で「魔法」が行使されるシーンも観ることができて興奮しました。なるほど、こういう感じなのか、と、超今さらなことを思いました。TVアニメも観ておけばよかった……いずれにせよ、お客さんの入りもまずまずで、わたしは大変楽しめました。

 さてと。それではさっそく、興行通信社の大本営発表をメモしておきます。

 1位:『22年目の告白~私が殺人犯です』がV2獲得。9日間で8.5~9.5億ほどと見積もる(※あ、正解は9.2億だそうです)。なかなか評価は高いみたいですな。抜群の安定感を誇る藤原竜也さん、さすがです。
 2位:『美女と野獣』が58日間で113.5~114.5憶ぐらいだろうか? あ、114億は越えてるようですね。ホント、まだまだ勢いがありますなあ!
 3位:『昼顔』が9日間で8.5~9.5億ほどと見積もる。3位なので、もうチョイ下かもしれないけど、どうも平日がかなりイイみたいで、累計では『22年目~』同等か超えてる位の勢いみたいですね(※正解は9.86億だそうで、これはかなり平日の動員がすごいですね。結構驚きです)。
 4位:『こどもつかい』が公開土日で1.5億ほどだったそうです。松竹配給。良くもなく悪くもなく、でしょうか。そういや先週だったかな、清水監督の『7500』がWOWOWで放送になってましたな。まだ観てないけど、Jホラーinハリウッドの出来を確認しておこうと存じます。
 5位:『劇場版 魔法科高校の劣等生―星を呼ぶ少女』が公開土日で1.63億ほどだそうです。スクリーン数は60ないのかな、アベレージは非常に高いということになりますね。さすがです、お兄様。ちなみにお話は、2096年3月のお話で、主人公たちが魔法科高校2年生に進級する直前の春休み、のお話でした。なので原作小説的には、結構前のお話ですね。現在の最新巻ではもう3年生に進級しているので。まずは最終5億、はクリア出来そうな気がします。
 6位:『キング・アーサー』が公開土日で1億届かないぐらいか? ガイ・リッチー監督作品は結構これまでも観て来ましたが、今回はあまり見たいという気持ちになれず。あの津田健次郎さんによる妙に気合の入ったナレーション入りの予告は、ちょっと……アレっすね……。そういやいつの間にか「聖剣無双」のサブタイトルもなくなっちゃいましたな。
 7位:『花戦さ』が16日間合計で5~6億ぐらいと見積もる。全然関係ないのですが、本作で信長さまを演じたのは中井貴一さんだそうで、カッコ良さそうですな。そして昨日のNHK大河「直虎」で、いきなり市川海老蔵氏演ずる信長さまが出てきてびっくりしたっす(それが言いたかっただけっす)。
 8位:『ちょっと今から仕事やめてくる』が23日間で7~8億ぐらいと見積もる。この位置だともうチョイ下かしら? いずれにせよ、いい数字とは言えなそう……。でもギリ10億は超えてほしいけれど、どうだろうか……。
 9位:『LOGAN/ローガン』が18日間合計で6~7億位と見積もる。もっと売れていいはずなのだが……まあ、ちょっと一見さんお断り感は強いかな……Hugh様、17年間、お疲れ様でした……。最高のウルヴァリン、ホントにカッコ良かったっす。
  10位:『名探偵コナン から紅の恋歌』が65日間で67~68億ぐらいでしょうか? え―と10週目か……70億目前だけど、ギリ届くか届かないか……まだ今週も、1回でも上映が続いてる所も多い(?)のかな。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 今週は、東映配給の水谷豊さん監督主演の『TAP』も公開されたのですが、どうだったかな(※0.2憶ほどだったそうです。マジすか……)……あ、スクリーン数が少ないのか……なるほど。数えた限りでは100ないわけか。89、か? うーん、厳しいなあ……。ところで、今週末から公開になる作品で、全く日本で話題になっていないような気がする洋画が一つあります。タイトルは『フィフティ・シェイズ・ダーカー』。わたしはこの前作『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』をWOWOWで観て、なかなかのエロぐあいとなかなかのトンデモ設定にびっくりしたわけで、この続編を観に行くべきか、猛烈に悩んでおります。……どうしよう。前作ではほぼ何も語られなかった、ド変態&ドS男の過去、を知る女性が出てくるそうで、US興行では1億ドル以上のヒットになっております。き、気になる……けど、WOWOW放送待ちかな……。はっ!? そうだ、今週末は『ハクソ―・リッジ』も公開だ。まあ、おとなしくそっちにしておきますか。

 というわけで、今週の結論。
 一応、と言ったら失礼だけど『22年目の告白~』が2週連続週末動員1位。そして『美女と野獣』も落ちてきたとはいえまだまだ稼いでおります。あーあ、『SW EPVII』の数字(116.3)は今週中に抜かれちゃうか。いつまで公開なのか知りませんんが、まだ毎週数億ずつ積める力をお持ちだと思います。そして、順位的には3位ですが『昼顔』もかなり平日動員がいいようですね。女性中心、なんでしょうな、きっと。以上。

 何度もこのBlogで書いている通り、わたしは「ライトノベル」と呼ばれる、(本来)中高生向けの、アニメチックなイラスト付きの小説群に対して、何の偏見もないというか、面白ければそれでいいので、40歳を過ぎた立派なおっさんとなってしまった現在においても余裕で電車の中で読める男である。まあ、もはや電子書籍野郎に転身したわたしであるので、紙の文庫本で読むことはもうほぼないが、電撃文庫の『魔法科高校の劣等生』という作品も、わたしが「新刊が出れば必ず買って読む」シリーズのうちの一つだ。
 もはやアニメ化・コミック化・ゲーム化と幅広く世に知られている作品なので、今更シリーズについて説明はしないが、昨日から劇場版アニメ映画が公開になったので、わたしもさっそく映画館に観に行ってきた。たまたまクライアントから前売券をもらっていたのだが、しかし紙の前売券というのも久しぶりだ。これだけ、ほぼ毎週のように映画を観るわたしだが、前売券もほぼ「ムビチケカード」なるものに時代は変わっており、インターネッツで座席予約できる便利な世の中に代わっているのだが、当然「紙の前売券」はそうはいかない。朝、家を出る前に、まだ席は空いてるな、とチェックしてから、劇場で座席指定してもらうわけで、ああ、紙の前売券ってこんなに不便なんだっけ、と実に久しぶりの体験であった。
 まあ、そんなことはともかく、作品としては大変楽しめたのは間違いない。以下、ネタバレも含むと思うので、気になる方は読まないでいただければと思う。

 わたしはTVアニメを観ていないので、上記予告を観ても、若干どんなお話かよく分からなかった。まあ、今回は著者である佐島先生書き下ろしのオリジナルストーリーらしいことは知っていたが、一番の不明な点は時間軸で、冒頭にある通り、2096年の3月と言われて、すぐにはピンと来ず、わたしはすでに原作の最新刊(22)巻まで読んでいるので、ええと、つまりこれは……結構前の話なんだな、ぐらいのぼんやりとしたことしかわからなかった。ので、改めて調べたところ、どうやらこの2096年3月というのは、主人公の達也君が、1年生が終わり、翌4月から2年生に進級する、そんな時間であろうということが分かった。てことは、原作小説で言うところの(11)巻と(12)巻の間ぐらいのお話ということになるのだと思う。一応自分用メモとしてまとめておくと。
 2095年4月~2096年3月:1年生。2095年秋に「横浜事変→灼熱のハロウィン」勃発。
 2096年4月~2097年3月:2年生。2097年1月に「婚約」発表。
 2097年4月~2098年3月:3年生。(22)巻では3年生になったばかりの4月のお話。
 わたしはこれを知って、そうなんだ、とやや納得した。なぜそう思ったかというと、現在の最新刊までの状況をすでに知っているわたしとしては、映画で描かれる達也君は、若干キャラが違うというか……わたしの知っている最新刊の状況の達也君なら、この映画で描かれるような事態に果たして関心を示したか、ズバリ言えば、「九亜」なる調整体(=人造魔法師、的な存在)のことを助けるためにここまで派手な行動をしただろうか? という点がやけに引っかかる思いを抱いたからだ。
 他にも、エリカやレオの前であそこまで戦闘中の(真の)姿を見せるようなことはあったんだっけ? とか、深雪のことを幹比古君に任せるようなことも、水波登場以前はあったんだっけ? とか、もう(11)巻のころの話は正確には覚えておらず、印象に強い最新刊での状況の方が頭にあったので、なんか……いろいろと映画で描かれる我らがお兄様、達也君の行動は、意外、であった。現在の(22)巻での達也君は、さらに人間性が薄まって(?)、明確な利害なしには積極的な行動はとらない(正確に言うと、出来ない)ようになっているので。
 ついでに言うと、声に関しても、TVアニメを観ていなかったので、初めてしゃべるキャラクター達をわたしは観たわけなのだが、ほぼイメージ通り、ではあるものの、レオの声が想像よりずっと野太くて驚いた。もうちょっとチャラい系というかひょうひょうとした感じかと思ってたよ。
 しかしまあ、映画としては、物語の流れはかなり駆け足展開のようには感じるものの、逆に言えば見どころいっぱいで十分以上に楽しめるものになっていると思う。わたしとしては、映像で「魔法」が発動するところを初めて観たので、おお、かっこいいじゃん、とか、いちいち興奮してしまった。ちゃんとTVも観ればよかったと、超今さらな後悔である。
 わたしがとりわけ興奮したのは2つあって、一つ目は、達也君が装着する「ムーバルスーツ」のデザインだ。何とも悪役感漂う、ダースベイダー的なムーバルスーツは非常にカッコ良かった。マント付きなんだっけ? とか、もうすっかり忘れてました。そしてもう一つは、最新(22)巻でもラストにカッコよく登場した、十文字先輩の「ファランクス」という障壁魔法だ。あれ、映像で初めて観たけどかっこいいすねえ! なんか『アクセル・ワールド』の「グリーン・グランデ」を思い出させますな。つか、十文字先輩もあんな戦闘武装を着用するんだっけ? まあアニメならでは、なのだろうか、よくわからないけれど、最強の盾、というのはやっぱりカッコイイですな。
 しかし……お話し的に、この作品内でも日本の軍事基地に向けて「戦略級魔法」が使用されてしまうわけで(しかもリーナの「ヘヴィ・メタル・バースト」が炸裂する)、はっきり言って本編の原作小説の物語の流れにはそぐわないような気もする。そんなことになったら、各方面とんでもないことになるような気がしてならないが……まあ、派手なバトルは劇場版のサービスということで了解しておこう。

 というわけで、実はあまり書くことがないのでさっさと結論。
 わたしとしてはお話し的に何となく「?」な部分があったのは事実だが、派手な魔法バトルは見ごたえがあるし、相変わらずの「流石です、お兄様」は十分に堪能できると思う。十文字先輩のファランクスがわたしとしては一番カッコ良かったすね。なんであんな甲冑的な武装をしてたのか、良く分からなかったけど。ま、とにかく、わたしとしては早く原作小説の(23)巻が読みたいですな。物語もクライマックスへ向けて大きな動きの中にあり、秋の発売が待ち遠しいですね。まあ映画は映画で、楽しめました。以上。

↓ 先週発売になったばかりの最新刊。でも、電子書籍はまだ発売されてません。こちらも知り合いからもらって読んだので、電子版が出たらちゃんと買います。つーか、マジでもう、電子版も同時発売にしていただきたいものだ。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、毎週お届けしている『鮫島』ニュースは自分用備忘録のつもりなのですが、毎週、海外ドメインからのアクセスが多く、きっと海外に赴任して、遠く離れた地でも鯉太郎の戦いの軌跡が気になってしょうがない人が多いんだろうな……と勝手に解釈しておりますが、他にも、どういうわけか地方自治体や公官庁のドメイン(県庁とか市役所はおろか国の省庁まで幅広い)からのアクセスも多いし、大学ドメインの.ac.jpもやけに目立つ(学生だか職員だか不明)、そして日中は一般企業のco.jpドメインからのアクセスも多くて、サボリーマンの皆さんやサボり役人の方々が多いんだなあ、とぼんやり認識しております。もちろん、まったく非難するつもりはありません。わたしも似たようなものなので。まあ、アクセスログをたまに見てみると、大変興味深いす。
 さて。では、まずは週刊少年チャンピオン2017年29号概況です。
 ■巻頭グラビア:今週は浅川梨奈嬢。電子版もアリです。大変素晴らしいお体です!
 ■弱虫ペダル:涙の巻。今週はもう相当泣けます! 青八木さぁぁああん!!
 ■刃牙道:拳豪VS剣豪の巻。今週も花山君のターンです!武蔵をぶっ飛ばせ!
 ■BEASTERS:罫線に白い毛這わせての巻。パンダのゴウヒンさんがイイですなあ!
 ■囚人リク:格好の巻。今週は史郎さんのどや顔で締めですw 最高ですw
 ■Gメン:どつき合いの巻。まあ、これにて一件落着ですな。
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:パパ・一撃・さようならの巻。この漫画ホント好き……しつこいぐらいのボケの連続で何気にネームがすごく多くて毎週大変笑わせていただいております。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週はついに決着した常松こと【松明】VS【百雲】の一番。結果は、横綱【泡影】を倒すためにすべてを捨てて非情を手に入れた【百雲】の勝利。サウザー様的「愛などいらぬ!」といった決意は悲痛な叫びのようにも聞こえますね。そして常も、投げ飛ばされなかったものの、無理な体勢でこらえたため、右肩は完全イッてしまいました。そして会場は常の健闘を称える拍手の嵐&勝った【百雲】へのブーイングが鳴り響く異様な事態となってしまいました。要するに、わたしが事前にテキトーな予想として考えていたような、どうせ常が勝って、【百雲】の纏う闇が払われ、会場の片隅で見守る元カノの綾子ちゃんと和解するんでしょ、という安っぽい展開には全くなりませんでした。むしろ正反対と言える、極めてシビアな結末で常VS【百雲】戦は幕を閉じたわけです。
 今週は、空流の若手【豆助】に付き添われて花道を下がってきた常を、鯉太郎が出迎える場面から始まります。真っ先に、「大丈夫か 常!!」と声をかける鯉太郎。しかし常の顔は、どこか晴れやか。そしてデータ力士らしく、自分のけがの解説を始めます。
 「左肘は関節包橈骨輪状人体が多少伸びているかもしれません…右腕は上腕骨と肩甲骨がズレてますね…」
 おいィ!解説してる場合じゃないぞ!同期の大吉くんも「痛くないの…」と震えていますが、常は冷静に「1人だったら阿鼻叫喚だ…」と大吉くんには素直な様子。鯉太郎も、バカヤロウ、すぐ診療所行くぞ、と促します。いつもは、取組後にボロボロになる鯉太郎を常が診療所へ連れて行くわけで、常も笑って「ハハハ…いつもと逆ですね」なんて言ってます。「軽口叩いてんじゃねーよ!」なんて答える鯉太郎に、空流の兄弟のきずなを感じますな。
 そして常は診療所へ向かうわけですが、大吉に、とある人物を呼んでおいてほしい、と頼みごとをしました。ページをめくると、それが誰なのかすぐに分かります。国技館横のテラスで常を待つ男が一人。そうです。常のクソ親父です。前日の夜突如として常の前に現れ、金の無心に来た親父。そんな親父の元に、帰り支度で右腕を三角巾で吊った常が現れます。そして袂から、かなり分厚くなっている封筒を取り出し、「ほらよ…」と差し出す常。
 しかし、あのクソ親父も、今日の常の戦いを観客席から見守り、常の成長を感じ取っていたわけで、自らを恥じているわけです。親父は、常に謝罪します。悪かったな…洋一…お前がどうやって生きてきたのか…取組を見て…俺は…泣いてばかりいたあのガキが…強くなっていたよ…。
 そんな親父の言葉に、常は答えます。それは、空流であったからであり、鮫島さんと出会ったからだ。鮫島、そう、あんたと同じ部屋だった、火竜の息子だよ、と。かつてはクソ親父も力士として、火竜の闘いを見守り、火竜に【松明(たいまつ)】という四股名を付けてもらったという縁があるわけですから、その火竜の息子である鯉太郎が常を鍛えてくれていることを知って、クソ親父としてはもう涙するしかありません。
 「そうか……そうか…ありがてーなー…」
 そしてクソ親父は、常にもう金の無心にきたことも忘れ、もう会うこともねえだろう、どうしようもねえ空っぽな自分とお前は違う、と別れを切り出します。しかし、常は本当に大人ですよ。冷静に親父に言います。「構えろよ…勝負しろ…俺と……」この時、常は雪駄を蹴り脱ぎながら言うのですが、実にカッコイイですなあ! まるで侍が本気の斬り合いの前に、草履を蹴り捨てて構えようとするような感じすね。もちろん、親父は、何言ってんだこんなジジイと幕内力士で勝負になるわけないとかごちゃごちゃ言いますが、常はまた、ビシッと親父に言います。これがまたカッコいい!
 「聞こえないのか…元三段目だった松明に言ってんだよ…それとも逃げるか…今までのように…そしてこれからも…戦いもせず…逃げるのか…ならなおさら俺がここで お前を終わらせてやる…」
 常の眼はもう完全に戦闘モード、「空っぽのまま 死んで行けクズが…」全身から闘気が溢れかえってます。常よ、お前本当にカッコイイ奴だよ! こう言われたクソ親父の脳裏には、かつての火竜の言葉や、幼き頃の常の姿が蘇ります。そして気合一発!常に挑む親父!そして、見開きで描かれるのは、当然、親父をぶっ飛ばす常の迫力の立ち合いです。そりゃそうだ。かなうわけはないし。でも、ここは、親父が逃げずに現役幕内力士に勝負を挑んだこと自体が重要なんですよ!
 ぶっ倒れた親父も、やっぱスゴイな幕内の当たりは、でもいっそ本当に殺してほしかったなどと言いますが、常はまた、ここでもピシャッとキメてくれます。
 「甘えるな…あと何年あんたが生きるのか知らねーが…生きてる間は終わりじゃねーだろ…見せて見ろよ…今みたいに意地を…立ち向かってみろよ…テメーの人生に…出来るだろ…アンタは俺の親なんだからよ…」
 もう、常よ、泣かせないでくれよ……このキメセリフの時の絵も素晴らしくカッコイイ常ですね。親父は泣きながら、ああ、そうだな…としか言えません。そしてそんな泣きながらぶっ倒れている親父に、常はそっと分厚い封筒を置いて立ち去ります。親父が、ちょっと待て、これは貰え…と言いかけたところで、常は親父の言葉をさえぎって言います。
 「チッ…礼だ…あんたは俺に相撲を残してくれたからな…」
 ――そして常はクールに去るの図、で今週は終わり、でした。はーーー今週の常はカッコ良すぎですよ……あの常松が……ホント成長しましたなあ……読者としては、Burstにおいてあんなに悪役だった常が、こうして立派に成長した姿を見せてくれると、本当に嬉しいというか、そう、これは感動ですよ、まさしく。常も言うように、空流だったからこそ、であり、鯉太郎と出会ったからこそなわけで、ホントに『鮫島』は最高です!
 ところで、今週の第124話で、単行本的にはおそらく(14)巻がちょうど終わるはずで、わたしは先週、いよいよ鯉太郎の11日目の相手が判明するかもしれないと書きましたが、上記の通り今週は常と親父の話の決着だったので、鯉太郎の次の相手は一切触れられませんでした。果たして鯉太郎は一体誰と次に戦うのか。そして【王虎】さんにぶっ殺す宣言をした【百雲】の「無情」の行く先は―――と、来週以降も『鮫島』からは目が離せないすね。はーーーもう、超楽しみっす!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。64連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週は、常のエピソード最終編となる、クソ親父との決着が描かれました。そしてまあ、なんと常のカッコイイことよ……泣けたっす。そして気になるけがの状態ですが、まあ当然重症でしょう。果たして常は休場となるのか、ちょっと良くわかりませんが、いずれにせよ、11日目以降の各力士の星取り状況は、一度佐藤先生にきちんと公式発表していただきたいすね。【王虎】さんも全勝で来てるのかなあ? とか、【天雷】はどうだろう、とか、もう場所も後半優勝争いに突入しているわけで、来週あたり、その辺をどーんと教えてほしいっす。いやー『鮫島』はホント最高っす!以上。

↓ そういえば、5月場所の最中にちらっと両国に寄り、特に何も考えずコイツを買って来ました。なんか……癒されるナァ……。

 ほぼ1年前のこのBlogにおいても書いたが、わたしの愛するWOWOWは、今年も『トニー賞』授賞式を生放送してくれた。今年で第71回になるトニー賞だが、去年も書いたので今さらトニー賞ってなんぞ? とはもう説明はしません。まあ、素人的には演劇のアカデミー賞的な理解で十分だと思う。詳しくは、WOWOWのWebサイトでも見といてください。http://www.wowow.co.jp/stage/tony/
 さてと。まあ、今年もWOWOWの放送は大変頑張ってくれたわけで、4時間半ぐらいの大ボリュームで楽しませてくれたのだが、わたしは例年、PCのディスプレイの片隅にWOWOWのオンデマンド放送を写しながら、仕事中に観ていたのだが、昨日は若干忙しくて、帰ってからゆっくり録画を観た。
 えーと、どうしようかな、わたしが面白かったポイントをそれぞれ箇条書きにして、コメントを付けていくとするか。思い出した順なので、式の進行と一致しないであろうことをお断りしておく。
 ◆WOWOWの司会&ゲスト
 今年も、メイン進行は八嶋智人氏&宮本亜門氏のコンビで、八嶋氏のちょっとしたボケや亜門氏の熱いトークは毎年大変楽しめますね。亜門氏はホントに大変凄い人なので、日本人はもっと亜門氏をスゲエと思っていいと思うんだ……。そして、今年も歌って盛り上げてくれたのはご存知プリンス井上芳雄氏。もうお馴染みですな。若手ナンバーワンと呼ばれるミュージカル界の実力者。何気に背が非常に高いすねえ。で、今年はもうひとり、最後まで芳雄氏とともに一緒に盛り上げてくれたのが、ジャニーズ界のナンバーワン・ミュージカルアクターとしてもうお馴染みの、V6の坂本昌行氏。今回、冒頭で芳雄氏と坂本氏が、二人で『LA LA LAND』の「City of Stars」と「Another Day of Sun」を歌って踊ってくれました。大変カッコイイ! でも、『LA LA LAND』の曲は男二人じゃなくて、女子と絡んでほしかった……。
 ◆今年の司会は―――Kevin Spacyおじさんだ!
 わたし的にKevin氏の名を聞いて真っ先に思い出すのは、『SEVEN』のあの犯人役かな。最近のTV的には『HOUSE OF CARD』でもお馴染みだろう。ハリウッドが誇るオスカー男優である。そんな映画・映像界の大御所的存在ですが、この人は実は結構歌えるおじさんで、すでに1991年にトニー賞も受賞している実力派だ。まあ、今回の司会振りは、それほど超すごくはなかったけれど、おじさんなりに超大変頑張っているのが伝わってきて、上から目線で大変恐縮だが、なんか好感が持てましたな。

 ↑ これは冒頭の司会者パフォーマンス。Kevinおじさん大活躍で、作品賞ノミネートの各作品のメドレー。オレが司会なんてできるのかなあ?的なストーリーになっていて、歴代司会者が大丈夫だよ、とちらちらと出てくる。とにかく歌を聞いてみてくださいよ。大変イイ感じです。去年のJames Corden氏のような軽妙さ、3年前のHugh Jackman氏の強力なパフォーマンスとはちょっと違う方向の、やや落ち着きのある堅実な司会振りだったと思う。ラストのタップダンスも大変お見事でした。
 ◆そして伝説へ――大御所Bette Midlerおばさま、ブロードウェイに帰還!
 今回のトニー賞で大きな話題となっていたのが、御年71歳の大御所Bette Midlerおばさまが40年ぶりぐらい(?)にブロードウェイの舞台に立って主演した『Hello, Dolly!』だ。もう、各専門家は、Betteおばさまの受賞は当たり前すぎて授賞式要らねえんじゃね?というほどの大絶賛で、連日満員の大変素晴らしいパフォーマンスらしい。まあ、結果、ミュージカル主演女優賞を受賞され、大変うれしそうなおばさまでした。ただ、トニー賞授賞式の一番の特徴は、ミュージカル部門でノミネートされている作品は舞台上でパフォーマンスをしてくれる(=歌ってくれる)のがお約束なんだけど、Betteおばさまの歌が聞けなかったのは大変残念でした。なんでも、現在上演中の『Hello, Dolly!』は、宣材写真とか映像は、1枚のスチル以外は一切なくて、観に来れば分かる、的なプロモーションなんですと。受賞とスピーチの様子は↓こんな感じ。

 スピーチが長くて、音楽がかかって来ても、ちょっと、人がしゃべってるのに音楽流さないでくれる!? とお茶目に喋り続けてましたw
 ◆我が愛しの女神、Cate Blanchett様、ブロードウェイ初見参&トニー賞初ノミネート!
 もうホントお美しい……何度もこのBlogで書いていますが、おそらくわたしは、Cate様を目の前にしたら、全身の力が抜け、自然と額づいてしまうと思うね。しかし! あろうことか! 実に残念なことに! Cate様がブロードウエイ初主演された『The Present』という作品(※ミュージカルではなくストレートプレイ)は、もう上演が終わっているのです。たぶんそのせいだと思うのだが、Cate様は授賞式は欠席でした。はーーーー超残念。また美しいドレスを纏った女神の姿を拝謁できると思ってたのに……。
 ちなみに、トニー賞には、ノミネートも当然そうだし、プレゼンターとしても、ハリウッドスターが数多く登場し、映画オタクのわたしでも大変楽しめるのであります。今年は、例えば演劇部門の主演男優賞を受賞したのはKevin Klein氏(最近では『Beauty and the Beast』のBelleのお父さん役でお馴染み)だし、プレゼンターでは、わたしの大好きなScarlett Johansson嬢やAnna Kendrick嬢といった美女たちも登壇してくれました。そういや、JEDIの騎士ルーク・スカイウォーカーでお馴染みのMark Hamill氏も登壇されてたっすね。
 ◆ミュージカル界の新星登場!
 わたしは当然観ていないので、どんなもんじゃろう?と思っていたのが、今回ミュージカル作品賞にノミネートされ、結果として見事栄冠を手にした作品『Dear Evan Hansen』。この作品で主演し、見事ミュージカル部門主演男優賞を受賞したのがBen Platt君23歳。で、実際に歌を聞いてみたところ、これは本物だ。スゲエ。

 この動画単体ではわからないかもしれないけれど、歌、というか、演技というか、その両方が自然と一体化してるんですな。芳雄氏、坂本氏、亜門氏、八嶋氏揃って大絶賛でしたね。
 ◆おめでとう、ローリー!
 おととしわたしがブロードウェイで観て、大興奮した、Stephen King原作の舞台版『MISERY』。そこでタイトルロールのミザリーを演じたのがLaurie Metcalfさんなのだが、今回、『人形の家Part2』(なんとあのイプセンの名作のその後を描いた続編だって!)という作品で演劇部門の主演女優賞を受賞され、わたし的に大変うれしかったすね。ミザリーもすごいお芝居で、超怖かったす。ずっと前に貼った写真をもう一回貼っとくか。
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 あーあ……またNYCに行きてえなあ……なお、去年の授賞式は会場はセントラルパークの方のだいぶ北にある劇場だったのだが、今年は再びRADIO CITYに戻りました。
RADIOCITY
 でもなあ、NYCは一人で行っても淋しいだけだからなあ……特に夜は……なんか予定をきっちり詰め込んで淋しさを感じる暇がないようにしないと、わたしのようなぼっち野郎にはちょっとキツイ街っす。
 ◆WOWOW恒例ゲスト――『Beautiful』なお二人と『Billy Eliot』の少年二人のお見事なパフォーマンス!
 今回は、ラストにゲストとして、来月から日本で上演が始まる『Beautiful』から、W主演の平原綾香ちゃんと水樹奈々ちゃん、それからもう一つ、『ビリー・エリオット~リトルダンサー』からは二人のちびっ子コンビが登場し、それぞれ歌と踊りを披露してくれた。わたしは両方ともすでにチケットをGetしているので、超楽しみですな! 『Beautiful』の二人は、やっぱり当然歌い方や声が違うわけで、わたしが観に行くのは平原綾香ちゃんVerだけれど、俄然、水樹奈々ちゃんVerも観たくなったすね。そして『ビリー』のちびっ子のまあなんと達者なことよ! 凄いなあ! 1年にわたって超特訓して上演に備えているそうで、まあホントご両親からすれば可愛くてたまらない自慢の息子でしょうな。こちらも、わたしは出演する元宝塚TOPスター柚希礼音さん目当てで観に行くつもりだったけど、ちびっ子たちは相当、強力に、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれそうですよ。コイツは楽しみだぜ!
※追記:東宝が平原綾香ちゃんと水樹奈々ちゃんのWOWOWでのパフォーマンスをUPしてくれたので貼っときます。


 というわけで、もう長いので結論。
 昨日、帰ってから真っ先に観始めた第71回トニー賞授賞式だが、今年も大変大変楽しめた。まあ、はっきり言って同時通訳は例年通りのクオリティで若干アレですが、週末には字幕版も放送されるので、そちらでももう一度楽しみたいと思う。そしてWOWOWのミュージカル推しは大変ありがたく、スタジオゲストもたいへん楽しませてくれた。ホント、WOWOWは分かってますな。大変よろしいかと存じます。そして、ミュージカル好きはWOWOWに加入するのはもはや義務なんじゃねえかしらと思います。以上。

↓ 一応、事前にちゃんと予習しておく予定です。ずっと前にWOWOWで放送されたのを保存してあるはず……。

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 つーかですね、わたしは土曜日に『パトリオット・デイ』を観てきたのですが、なかなか見応えのある、キレのある作品でありました。本物の事件映像をうまくつないでいたり、事件当日の朝からの、各キャラクターを追った群像劇的な構造だったり、なんかこういう作品って、邦画にはあるようでないような気がします。実際に起こった事件をベースとした作品はいくらでもあると思いますが。まあ、映画なのですべてを鵜呑みにするわけにはいかないと分かってはいても、やっぱりラストの「BOSTON STRONG」のシーン(ボストン・レッドソークスの本拠地であるフェンウェイ・パークで行われた追悼イベント的なもの)はグッときましたね。※なぜ「ソックス」じゃなくて「ソークス」とわたしが書いたかは、本作を観れば分かります。

 とまあ、どうでもいい前置きはどうでもいいとして、さっさと興行通信社の大本営発表をメモしておきます。

 1位:『22年目の告白~私が殺人犯です』が公開土日で3.21億稼いで初登場1位だそうです。へえ~。ほぼ興味なしなので全くチェックしてませんでした。原作とかあるのかな……? ああ、なるほど、韓国映画のリメイクなんですな。へえ~。藤原竜也氏はまだ35歳だそうで、劇中キャラが何歳か知らないけど、てことは10代前半で人殺しってことなのかな。ところで、殺人に対して時効ってもう無くなったんじゃなかったでしたっけ? ああ、死刑相当の殺人・強殺だけが対象なのか。へえ~。ちゃんと調べてみよっと。
 2位:『昼顔』がこちらも公開土日で2.94億稼いで初登場2位。さすが大ヒットドラマの続編、という位置づけでいいのかな、大変イイ数字です。まあ、東宝としてはワーナー作品に上に行かれて大層不愉快かもしれませんが、それでも、10億以上は軽く行きそうなスタートで良かったすね。
 3位:『美女と野獣』がV8ならずで3位。この週末だけで2.87憶稼いだそうなので、51日間合計でもう109~110億手前ぐらいと見積もる。あ、答え書いてあった。累計109.6億ですって。凄いすねえ。
 4位:『LOGAN/ローガン』が11日間合計で5億を超えたかどうかぐらいと見積もる。『デッドプール』の半分以下か……それでも洋画としてはまずまずの数字、というのが残念す……。
 5位:『花戦さ』が9日間合計で3~4億ぐらいと見積もる。ちょっと厳し目ですね……。
 6位:『ちょっと今から仕事やめてくる』が16日間で6~7億ぐらいと見積もる。こちらも、決していい数字とは言えないですなあ……もうチョイ上目かと想像してましたが……。
 7位:『KING OF PRISM PRIDE the HERO』通称「キンプリ」が堂々7位にランクイン。金額は分からないなあ……1億は行っていないと思うけれど、7~8千万程度でしょうか。スクリーン数からすれば、アベレージは抜群の数字になってるはず、です。前作、と言うべきか、本編というべきか、1月公開の『Pretty Rhythm』はwikiによれば6月末までに約7億稼いだそうで、本当にすごいす。
 8位:『名探偵コナン から紅の恋歌』が58日間で66~67億ぐらいだろうか。稼ぎますなあ。
 9位:『家族はつらいよ2』が16日間で6~7億程度と見積もる。10億に届くかどうか、微妙なラインすね……前作は13.8億だったわけで、もう一声欲しいすねえ……。
  10位:『ピーチガール』が23日間で5~6億ほど見積もる。こちらも10億届かず終結の見込みでしょうか。松竹的には頑張ったという評価かも知れません。

 そしてわたしが観てきた『パトリオット・デイ』はTOP10に入らなかったす。どうだろう、5000万も行かなかったのかなあ。残念す……。
 ところで、この週末のUS興行の方は、Tom Cruise氏の『THE MUMMY』が1位だったようですが、数字的にはちょっと物足りない的な評価のようですな。内容的な評価もどうも芳しくないようで……ただ、わたしとしては、Russel Crowe氏が演じるキャラは、なんとあの「ジキル博士」だそうで、今後、その「ジキル博士(とハイド氏)」や「フランケンシュタイン(=演じるのはJavier Bardem氏)」「透明人間(=演じるのはJohnny Depp氏)」が共通世界観で登場する、ユニバーサル映画の「DARK UNIVERS」を構成するらしいので、コイツは後々のことを考えると、観ておかないとヤバいんじゃね? と言う気がしております。B級ハンターとしても、香しい香りがプンプンしますね。日本公開はまだ先の7/28(金)です。あ、もうDARK UNIVERSのWebサイトがあるな。こんなのです↓

 まあ、日本じゃあ売れないだろうなあ……きっと。わたし的には、ブチ切れるハイド氏をRussel Crowe氏が演じたら超おっかないというか、ぴったりなような気がしますので、大変楽しみです。

 というわけで、結論。
 今週はワーナー配給作品『22年目の告白』が、東宝配給作品『昼顔』を破って初登場1位。『美女と野獣』は3位でしたが、それでもスゲエ数字は維持しています。そしてわたしが観に行った『パトリオット・デイ』はTOP10に入らず、でした。大変残念す。先週わたしが大絶賛した『LOGAN』は、5億を超えたかどうかぐらい。もう一声欲しいすねえ……。以上。

 わたしは走る男として、わたしを知る人々から認識されている。が、実は、震災でわたしがエントリーしていたレースが中止になって以降、1度もレースに出ていないので、実際のところ過去形で語るべきかもしれない。まあ、いずれにせよ、わたしが皇居を走ったりレースに出ていたのは2000年代で、まだ、当時は今のようなブーム的な盛り上がりまでは来ておらず、例えば、今現在の皇居の周りは平日の昼でもなぜか走ってる連中が多く、しかもクソ遅いスピードで多くの人がちんたらしている姿を見かけるけれど、10数年前はほとんどそんな姿は見られなかった。当時、わたしはよく仕事終わりに皇居で走り、真っ暗な桜田門の誰もいない広場で、全裸で着替えをするのも全然当たり前だったものだ。今やったら、確実におロープ頂戴で即逮捕は間違いない。
 そして時が過ぎ、2013年4月15日。「PATRIOTS DAY(=愛国者の日)」という祝日に開催されたボストンマラソンにおいて爆弾テロ事件が発生したことは、我々日本人もまだ生々しい記憶として覚えている人も多いはずだ。最近のマラソンブーム的な世の中においては、結構世界のマラソン大会に出場するためのツアーなんかもあるけれど、このボストンマラソンは、そういうなんちゃって野郎はお断りで、出場条件となるレースタイムが結構シビアというか、普通の市民ランナーだとちょっと速い人でないと出られない条件となっている。わたしの持ちタイムでも、やっと出場条件を10分クリアしているぐらいである。瀬古選手が2回優勝したことでもお馴染みのレースですな。
 というわけで、わたしが今日観てきた映画『PATRIOTS DAY』という映画は、まさしくそのボストンマラソン爆弾テロ事件の顛末を追う物語で、実に痛ましく、観ていてなかなかつらい作品であったのである。以下、結末まで書くと思うので、ネタバレが困る方は読まないでください。

 まあ、物語はもう上記予告のとおりである。ボストンマラソン開催中のゴール付近で爆弾テロが起き、そのテロリストを捕まえようとする警察とFBIの捜査を追ったお話だ。直接的な爆弾による死者は3名。後の捜査中に射殺された警官1名、合計4名がこの事件で亡くなっている大変痛ましい事件だ。
 ただ、映画の展開としては、若干群像劇的で、冒頭から爆弾が炸裂するまで、およそ30分ぐらいは、のちにこの事件を中心的に捜査することになる警官、爆弾で片足を失うことになる若いカップル、のちに犯人に車を奪われることになる中国人青年、また、のちに犯人に射殺されることになる警官、そういった、事件によって人生が変わってしまった、あるいは奪われてしまった複数の人々の、「なんでもない日常」が描かれてゆく。もちろん、犯人の二人組の、決行に至るまでの様子も、だ。
 わたしがこの映画を観て感じたことは、主に二つのことであろうか。
 1)一体全体、どうして犯人はこんなことをしようと思ったのか。そして実行できたのか?
 この点は、実際のところあまり深くは描かれない。単に、イスラム過激思想に染まったゆとり小僧二人が行った、ある意味何も考えていない短絡的な犯行であるようにわたしには写った。はっきり言って子供の悪ふざけと変わらない幼稚な思考である。しかし明確な人殺しなわけで、きっちり落ちまえをつけてもらう必要がある。おまけに犯人二人は兄弟なのだが、兄の方は妻も子もいる。どういう経緯で過激思想に染まったのか知らないが、100%悪党と断言せざるを得ないだろう。意外と計画はずさんで(それゆえに100時間で事件は解決する。100時間が長いのか短いのか、もはやわたしには何とも言えない)、様々な場所の監視カメラにバッチリ写っている。この事件はいわゆる「自爆テロ」ではなく、自分はさっさと逃げて無傷だったのだから、まあ、きっと死ぬつもりはなかったんだろう。でも、あんな計画で逃げ切れるとでも思っていたなら相当知能は低い。ちなみに二人の犯人は事件後、家にこもっていたけれど、顔写真が公開されて、その時点で初めてヤバい、逃げよう、と、NYC目指して逃亡するのだが、バカかこいつら、死ねよ、と本当に腹立たしく思った。おまけに、二人は逃亡のために、わざわざ超目立つメルセデスの新車のSUVを奪って、その持ち主も乗せたまま逃亡するのだが、ごくあっさりその持ち主に逃げられ、追い詰められることになる。行動に一貫性がなく、確実に言えることは、この二人はど素人、である。
 そしてわたしがもっと腹が立ったのが弟と、その大学の友人のクソガキたち(こいつらは別にムスリムではないただのゆとり小僧たち)の方だ。この事件当時19歳だったそうで、まさしく何も考えていないとしか言いようがない。こういう凶悪なクソガキが平気な顔をして暮らすUSAってのは、ホントにおっかないですなあ。そしてその友人どもも、写真が公開された時点で、あ!これってあいつじゃん!と認識しているのに、一切警察へ通報したりしない。このガキどもがさっさと通報していたら、ひょっとしたら警官は死なずに済んだかもしれないのに。まあ、まさしく悪意そのものですよ。ちなみに、このガキどもも、事件後捜査妨害の罪で逮捕されたそうなので、心底さまあである。キッツイお仕置きをくれてやってほしいですな。そしてもうひとつちなみに、兄貴の方はきっちり死ぬのだが(しかも警官に撃たれて死ぬのではなく、弟の運転するメルセデスに牽かれて死亡)、このクソガキ弟の方は生き延び逮捕される。現在も収監中だそうで、一応死刑判決が出ているそうだが、さっさと執行してもらいたいものだ。
 あと、悪意そのものといえば、犯人の兄の妻、も相当なタマと言わざるを得ないだろう。狂った信心に心を閉ざし、捜査に一切協力しない。劇中、ラスト近くで、超おっかないおばちゃんがこの妻を尋問するシーンがあるのだが、ちょっとわたしには意味不明で、その超おっかないおばちゃんが何者なのかさっぱりわからなかった。あれって……誰なんすか? ミランダ警告(※よくUS映画で刑事が犯人を逮捕するときに「あなたには黙秘権がある……」と読み上げるアレ)なしで妻を逮捕させる権限を持つ何者か、なのだが……だめだ、キャストとしてもInterrogator(尋問者)としか載ってないな……まあとにかく、この邪悪な妻も、さっさとこの世から抹消すべきでしょうな。もちろん現在も収監中?のようです。なお、その妻を演じたのは、TVシリーズ『SUPERGIRL』でおなじみのMelissa Benoist嬢でびっくりしました。
 2)捜査規模が尋常じゃない。当たり前かもしれないけど。
 本件の捜査は、警察が始めは場を仕切る、が、US国内における防諜・対テロ案件は、当然FBIの管轄だ。なので事件後数時間でFBIチームが現場に到着する。そして爆発現場に転がっているボールベアリングなどを見て、明らかに殺傷力を高めた対人爆弾であることから、本件はテロ事件であることを宣言し、FBIが捜査権を握る。このシーンは上記の予告のとおりだ。
 そしてその後、でっかい倉庫に現場を再現し、膨大な動画の中から犯人を特定し、前述のように、犯人に車を乗っ取られた中国人青年が逃げて通報し、と犯人に迫っていく。そして車を発見し、銃撃戦となって兄が死んだところで、弟には逃げられてしまう。ここからの展開がすごいんですよ。なんと、ボストン全域(?)にわたって、「外出禁止令」を発令し、商業活動も一切すべて止めてしまうんだな。車一台通らないボストンの図は、まさしく劇中のセリフにある通り、Martial Law=戒厳令そのものだ。これは日本ではありえないだろうな……あり得るのかな? それを可能にする根拠となる法が日本には存在しないんじゃないかしら……。まあ、最終的には、隠れていた弟は見つかって御用となるわけだが、その大捕物も、そりゃ銃や爆弾を所持している可能性があるから当然かもしれないけど、過剰なほどの銃・銃・銃、での大包囲となる。
 わたしは観ていて、やっぱりこれは、要するに戦争なんだな、と思った。戦争とテロ、何が違うかといえば、常識的に答えるならば戦争はプロ同士の殺し合いであり、戦闘員以外は対象から除外されるものである一方で、テロは、非戦闘員をも殺傷対象にしている、という点にあろうと思う。しかし、やっぱりテロは「いつでも」「どこでも」「誰でも」が無差別に対象となる戦争そのものなんだな、ということをわたしは強く感じた。なんというか、人類は憎しみの連鎖を断ち切ることはできず、ずっと殺しあうんだろうなという絶望を感じざるを得なかった。
 本作は、そういったテロに対する憎しみや、失われた命に対する悲しみを克服することができる、唯一の力として「愛」を讃美しているのだが、まあ、そうあってほしいとわたしも深く同意したい、とは思う。心から。けど、無理なんじゃないかなあ……。それならとっくに克服しててもおかしくないはずなのではなかろうか……人類は、どうやら何千年たっても、肝心な部分が進化できていないのかもしれないすねえ……。ラストの、おそらくは当時の本物映像を使ったと思われる、ボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークでの「BOSTON STRONG」の演説(?)シーンは、わたしは結構グッときましたね。なんか、映画館でも鼻をすすってる人も多かったように思います。
 ※ちなみに、生粋のボストン人は「ソックス」ではなくて「ソークス」と発音するそうで、とある二人のキャラが「ソックスでしょ?」「いやいや、ソークスだよ」とやり取りするシーンは、後々ちょっとグッときます。

 というわけで、まあ、暗くもラストは希望を一応は描いてくれた映画なのだが、キャストは結構豪華で有名どころが多く出演している。もう長いので、二人だけ紹介して終わりにしよう。まず、主人公的視点のキャラとなる警官を演じたのが、サル顔でおなじみのMark Wahlberg氏。4月に観たばかりの『Deepwater Horizon』での熱演も記憶に新しい彼だが、本作は、監督も同じPeter Berg氏だ。やはり音響の迫力はばっちりだし、当時の本物の映像を巧みに使い分けながら非常にキレのある作品であったと思う。Wahlberg氏も、なんか、この人は「アメリカの良心」的な役が似合うんすかね。大変共感できる芝居ぶりであったと思います。
 そして次は、わたしが大好きなKevin Bacon氏の名をあげなくてはなるまい。今回はFBIの特別捜査官として、久しぶり?に悪党ではなく善の人でありました。いやー、シブい。実にカッコ良かったと思います。今回はそれほど活躍のシーンはないんだけど、犯人の写真を公開するか否かで警察とFBIが対立した時に、どっかのTV局がその写真を入手し、公開に踏み切るという話を聞いて、それまでは比較的冷静だったのに、いよいよブチ切れるシーンはもう、わたしの大好きなBacon節が炸裂してましたね。「……いいだろう。もう公開するしかあるまい。TVより先にな。だが! いいか! 覚えておけ! 絶対に写真をリークした警官を見つけ、必ず破滅させてやる!!!」わたしも観ながら、誰だ情報漏らしやがったのは!と腹が立っていたので、Bacon先生の大激怒で超スッキリしました。Bacon先生を怒らせるとは、恐れ知らずもいいとこだぜ……! あの大激怒を目の前でやられたら、おそらくほぼ確実に失禁せざるを得ないと思いますw 最高でした。

 というわけで、結論。
 2013年4月15日に起きた、ボストンマラソン爆弾テロ事件の顛末を描いた『PATRIOTS DAY』を観てきたのだが、とにかく思うのは、テロはもう戦争そのものだということで、まあ断じて認めるわけにはいかないということだ。ま、当たり前か、それは。しかしなぜなんだ? なんでそんなに憎しみを身に抱えられるんだ? なんで平気で人を殺せるんだ? 映画としては、本作はわたしのその疑問には答えてくれなかったけれど、代わりに、憎しみと悲しみを克服するのは「愛」しかねえ、と教えてくれます。でも……どうなんだろうな……いや、やっぱりそう信じて、行動するしかないすかねえ。なんというか、信じて損はないと思うけど、相手もそうとは限らないわけで、どうしたらいいのかなあ……以上。


↓ こういうのが売ってます。まったく関係ありませんが、わたしが世界で最も好きな小説家、Stephen King先生は、レッドソックスの大ファンとしても有名です。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、全然関係ないのですが、わたしは自転車ロードレースが大好きで、スカパー!の「J-SPORTS」だけ契約しており、毎年7月に開催される「ツール・ド・フランス」をもう10年以上楽しみに観戦しているわけなんですが、実は5月にはですね、イタリア一周のレース、「ジロ・デ・イタリア」というのが開催されているのです。こちらも実にエキサイティングなレースで面白いのですが……しかしですね! 実にガッデムなことに、今年はJ-SPORTSで放送されなかったのです!! なぜかというと、なんちゃらというネット配信屋に、日本での放送権を奪われてしまったからです。くっそーーー。実に腹立たしい……そしてまさかと思うけど「ツール」もダメなのか!? とドキドキしていたのですが、先週かな? やっとJ-SPORTSから、今年もちゃんと放送するぜ宣言が出たので、まあ一安心なのですが、わたし的には「ジロ」が観られなかったのが未だにちくしょうなわけで、毎日結果だけ観ても、くっそう、全然盛り上がらねえ!と嘆いておりました。しかし、もうTVより配信の時代になっていくんですなあ……昭和の男としては大変残念というか、しょんぼりであります。
 では、まずは週刊少年チャンピオン2017年28号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版ではまゆゆでお馴染みの渡辺麻友嬢です。ホントかわええなこの人……
 ■弱虫ペダル:追いつく!!の巻。とうとう箱学の背中をとらえた!! 来週は青八木くんがとうとう……という展開かな。かなり泣けそうな気配濃厚です!
 ■刃牙道:疵と剣の巻。いいぞ花山君!ぶん殴れ!! 武蔵の顔面にクリーンヒット!!
 ■BEASTERS:雨雲に引き連れられての巻。パンダ再登場!キタ――!
 ■囚人リク:陽動の巻。今週は顔芸ナシです。ラストの田中さんのキメ顔ぐらいかな。
 ■少年ラケット:高みへ!の巻。ロッキー先輩勝利!カッコ良かったぞ!
 ■Gメン:男の意地の巻。ベタだけど薙っちょかっこいいぞ!さあ逆襲だ!
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は、常松こと【松明】VS【百雲】の、両者の投げ合いからついに常の右肩が「ボクン」と嫌な音を響かせてしまったところで終了し、もうどうなったかドキドキしながら真っ先に今週の『鮫島』を読み始めたのですが―――結論から言います。常の右肩はイッてしまい、勝負がついてしまいました。常の負け、です。わたしは散々、常の光のパワーで、【百雲】の闇を払ってくれと書いてきましたが、残念ながらそうはなりませんでした。大変残念す……。
 では冒頭から見てみましょう。
 「ボクン」という響きに、常の父親は唖然、鯉太郎は、常!と叫びそうな顔、王虎さんは、やりやがった……的なクールな表情、そして解説席の虎城理事長は「やりおった……」と土俵を見つめます。
 一方の【百雲】は心中でこう思っています。「関係ねーさ…関係ねえ…これは俺が手にした力…余分なものを全て削ぎ落とし手に入れた力…泡影(アレ)を潰すための…俺の力だ…」
 そして、見開きで描かれる大迫力の投げのシーンが入ります! が、常も、最後の力を振り絞り、雄たけびを上げて堪えます! その結果、常の右腕はあらぬ方向を向いたまま、【百雲】のホールドからすっぽ抜け、投げられることはありませんでした。これは文字で表現するのが難しい! 要するに【百雲】の投げは、空振りです。そして客席に座る常の親父は、涙を流し「もういい…わかった…わかったから…もう立つな…もう…やめてくれ…」とつぶやきます。
 しかし土俵上では、完全に右肩を壊された常が、すごい形相で【百雲】に「ニヤリ」とします。この絵は、ぜひチャンピオンを買ってチェックしてください! まさしく、そう、まさしく鯉太郎と同じ笑みですよ!【丈影】やバーキこと【蒼希狼】たちを震わせた、あの鯉太郎的な凄みです!
 そんな常の顔を見た【百雲】は、さらにエキサイト、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛と咆哮をあげて、右手を振りかぶってフィニッシュに持ち込みます! そして、再び見開きで描かれる【百雲】の強力な突き落とし(?)が常の後頭部にクリーンヒット!!! 場内はシーン……となります。が、常はまだ【百雲】から目を離しません。しかも、数ページ後に明らかになりますが、どうやら常の意識は飛んでいる模様です。しかし、意識が飛んでいても自分を見つめるその目に、「ゾッ……」と一瞬の恐怖を感じる【百雲】。ここでの常も、まさしく鯉太郎的です。しかし、ページをめくると……すでに、常の右腕はぶらんと自由が利かず、土俵についておりました。勝負あり! 【百雲】の勝利です……。
 勝負がついても、場内は静まり返ったまま。NHKアナも、若干戸惑いながら「しょ…勝負あり 勝ったのは百雲…」と結果を伝えるしかありません。そして虎城理事長も「極められた腕が限界でしたな…しかし意地を見せましたよ…松明は…」と若干のねぎらいコメントです。
 そして、徐々に拍手が起こり、その拍手で飛んでいたと思われる常の意識も回復。
 「俺…は…あぁ…そうか…負けたのか…」
 やっと顔をあげた時には場内は割れんばかりの歓声が常に降り注ぎます。
 「クソ…」
 今週一番のグッとくるシーンは、わたし的にはここです。本人は負けてしまったことが悔しくて、出る言葉は「クソ…」なんですが、それでも常の闘いは、クソ親父だけでなく、観客全員の心を動かし、場内は満場の歓声に満たされたわけです。しかも、この常の悔しさを表現する「クソ…」の一言の際に描かれている絵は、常の背中なんです! どんな顔をしているか分からないんです!もう、それを想像するだけで泣けますよここは! 常よ……すごい戦いだった……惜しかったなあ……くそう!
 はーーー泣ける……
 そして一方の【百雲】は花道を下がっていきますが、これがまた場内から大ブーイング。ふざけんなコラ!! やめちまえバカヤロー 帰れ帰れ!! なんでそんな汚ねえ相撲しか出来ねーんだ!! とか、もうひどい有様で、缶ビールが【百雲】の頭に当たるほどです。でも、【百雲】の心中を知っている我々には、とても複雑ですね……我々読者としては、そんなひどい非難はできないすよね……どうしても。親方も、【百雲】に声をかけます。
 「もう…いいだろ…なぜ自分から首を絞めるような相撲を取る…本当のお前はそんな相撲を取るような奴じゃないだろ…」
 いやいや、親方的にはせめて理解者であってほしいような気もしますね……。そんな親方の言葉に、【百雲】はこう返答します。
「勝てただろ…それだけあればそれでいい…後ろはないんだ…俺にはもう…」
 そして! ここで! 支度部屋に戻る【百雲】に、声をかける男が! そうです!大関【王虎】さんです!
「フン…面白かったぜ…己を殺して手に入れたのは勝ちに固執する無情か…」
 さすが【王虎】さんは分かっていらっしゃる! 対する【百雲】はこう答えて、今週は終了です。
 「明日は…王虎(テメー)の番だ…」
 な、なんだって――――!? ここで翌日11日目は、【百雲】VS【王虎】さんの取組であることが判明しました!! まじかよ! 佐藤先生あざっす! 当然その戦いも描かれると思っていいんすね!? キタ―――! とうとう『鮫島』で【王虎】さんの戦いが描かれる日が! わたしはてっきり、これは翌日は鯉太郎VS【百雲】となって、リベンジマッチかな、とかテキトーに思っていたのですが、どうやらそうはならないようです。今週の最終ページの、編集部からのアオリをメモして終わりにします。
 「深き闇の底を蠢く百雲。そして十一日目、王虎と対決。」 やっばい! 超最高す!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。64連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週はとうとう常松VS【百雲】戦が終結、結果は常の負け、で終わりました。残念すねえ……。ちなみに先に客観的なことを書いておくと、単行本収録としては次の124話が(14)巻の切れ目になるんじゃないかな。つまり来週までで、いったんの区切りになるはずです。てことは、きっと来週、鯉太郎の11日目の相手も判明する予感がしますね! わたし的には、ここで【天雷】が来て欲しいのですが、どうなるでしょうか。そして何より心配なのが、常の右肩ですよ。これは脱臼なんですかねえ? 骨折、ではなさそうですが……。なんか脱臼というと千代の富士関を思い出しますなあ……常よ、確かに星は落としたが、お前の意地は、十分にクソ親父に通じたようだし、休場もやむなしだけどまずはケガの治療に専念しておくれ……大変心配です……。以上。

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 週刊少年ジャンプを30年以上買い続けているわたしだが、ここ数年のジャンプは、ズバリ言ってイマイチ面白くない。完全に惰性で買い続けていると言っても差し支えないのだが、そのわたしが今、一番面白いと思っている漫画が『Dr.STONE』という作品だ。まだ始まったばかりで単行本すら発売になっていないけれど、単行本化したら買いだな、と思っている。そしてその作画を担当されているのが韓国のBoichi先生(※原作は『アイシールド21』でお馴染みの稲垣理一郎先生)で、今まで結構多くの作品を描かれているが、わたしの知る限り少年漫画は初めてじゃなかろうか? 大変絵柄もストーリーもジャンプにふさわしい面白さで、実にそそるぜこの漫画は! とわたしは毎週楽しみにしている。一応、集英社の公式Webサイトに第1話の試し読みがあるので、URLをメモっとこう。https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028820742
 で。そのBouichi先生の他の作品を読んでみたいな、という気になったので、先日、まだ単行本2冊しか発売になっていないこの作品を電子書籍で買ってみた。


 タイトルを『ORIGIN』というこの作品、こちらも講談社に第1話の試し読みがあるから、そのURLも書いておくか。http://yanmaga.jp/contents/origin
 こうして試し読みを読んでみると、『Dr.STONE』と同じ人が描いたことは確かに感じられる絵だが、その内容はやっぱり青年漫画であり、タッチも完全にジャンプ的ではない。ずい分描き分けてらっしゃるんですな、と妙に感心?というか、すげえ、と思ってしまう。というわけで、わたしは『ORIGIN』の(1)巻(2)巻を一気に読んでみた。
 お話は、「オリジン」と呼ばれるロボットが人間に擬態して生きており、「オリジン」から派生して製造された8体のロボット(もちろん人間に擬態している)を倒すお話だ。ただし、倒すと言ってもそれは8体のロボットが人間に害を与えるからであり、無害であるなら別に戦う理由はない。というのも、主人公の「オリジン」は、その製作者の父たる博士から「ちゃんと生きろ」という遺言を託され、「ちゃんと生きるって、どういうことなんだろう?」と思いながら生活しているためだ。なので、悪い奴を倒すことも彼にとっては「ちゃんと生きる」ことの一環であり、まったく本人は積極的に8体のロボットと戦いたいとは思っていない。
 ちなみに、「オリジン」君は、父たる博士の遺言をどう理解すればいいのか、ずっと悩んでおり、(2)巻でとある女性を助けた後で、こんな風に考えるシーンがある。
 「この女性を守るために相当な危険を冒した これが「ちゃんと生きていくこと」なんだろうか 俺はまだちゃんと生きていくとは何なのか 結論を下せずにいる 何だろうな もともと俺は生きている存在でもないじゃないか 父さん あなたの最期の命令は 完全に無茶苦茶です 会って一日の女性を守ることが ちゃんと生きることだとは思えないけど ただ そうせずにはいられなかった 俺の中の父さんは 男はそうやって生きていくべきだと思っているから」
 こんな風に考えるロボットである。主人公の「オリジン」君は。そして、その戦いで体はボロボロになってしまったのだけれど、彼は金を稼ぐために会社員になっているので、当然、翌日も出勤しないといけないわけです。なので、ボロボロの体でなんとか家に帰りつき(その帰途の様子が涙ぐましい!)、夜を徹して体を修復し、朝を迎える。そしてこんな風に思う。
 「もう出社の時間だ 今日はもっとたくさんの展開が待ち構えているだろう 間違いなく昨日より大変な一日になるだろう 仕方ない 行ってみよう 父さん 俺は人間たちに中で暮らし始めたばかりです 正体を隠すことも 金を稼ぐことも 兄弟ロボットたちに抗うことも 全て難しいです でも見守ってください やり遂げます ちゃんと生きていきます」
 そして「ガラガラガラッ」とボロい日本家屋の引き戸を開けて、出勤するのである。
 文章だけで、この面白さが伝わるかな……伝わらないか。とにかく、この物語のキモは、その主人公「オリジン」の思考であり、それがちょっと変わっていて実に面白いのだ。彼は非常に頻繁に、「困る……」と生真面目に悩むシーンが多く、その生真面目さがいい塩梅にギャグになっていて、ちょっと笑える物語にもなっている。例えば「オリジン」は、とにかく目立つ行動はしたくないわけなのだが、その有能さとルックスのイケメン具合?から、逆に美女たちの目を引き、やけに目立ってしまうというギャップなんかも笑いどころになっている。
 大変面白い作品だと思う。わたしは非常に気に入った。
 
 というわけで、短いけれどもう結論。
 現在ジャンプで『Dr.STONE』という大変面白い漫画を連載中のBoichi先生の他の作品を読んでみようと思って、買ってみた作品『ORIGIN』は、これまた非常に面白かった。どうやらヤンマガに連載中のようだが、最近はヤンマガを全然買っていないので、果たして現在、毎週ちゃんと掲載されているのか良くわからない(最新号のヤンマガの告知には載ってないみたい)。まあ、そりゃあジャンプとヤンマガの掛け持ち連載は超人でも難しいだろうな……大丈夫なんだろうか……と心配であるが、『Dr.STONE』と『ORIGIN』の両作ともわたしは大変気に入った。単行本は買いであります。以上。

↓ おっと!『Dr.STONE』は7月発売か。でも集英社の電子書籍は1カ月遅れだからな……。Verdammt!

↓ そしてBoichi先生の作品で一番有名なのはこれかな……巻数が多くて手が出せなかった……。

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 つーかですね、わたしは土曜に『LOGAN/ローガン』を観てきたのですが、告白しないといけないことがあります。実はわたし、『DEADPOOL』の大ヒットで調子に乗ったFOXが、『LOGAN』もR指定にして首が飛んだり腕がちぎれたりと血まみれな映画にしちまったんだろうな……と完全なる予断をもって観に行ったのです。なので、USではやけに評価が高いといっても、全然期待していなかったのです。しかし!!! サーセン! わたしが間違ってました!! いやー『LOGAN』は超名作でありました。シブくてカッコ良くて、ラストは泣けて、これ以上ない「X-MEN」映画で、わたしはもう大興奮&大感動でありました。
 そしてこの週末のUS興行市場では、いよいよ公開となった『WONDER WOMAN』が特大ヒットで全米1位を獲得。金土日の3日間で1億ドル(=約110億円)突破ですって。すげえなあ!! わたしの現在のオレ的ハリウッド美女ナンバーワンはGal Gadot様なので、その雄姿を早く観たいすね。日本公開は8月25日(金)。2か月半後か……くそう、忙しくなければ台湾あたりに観に行ったのに……! 超楽しみす!

 とまあ、どうでもいい戯言は以上にして、さっさと興行通信社の大本営発表をメモしておきます。
 1位:『美女と野獣』がV6V7達成。6/1には100億を突破し、6/4現在103.75億だそうです。土日だけで3億稼いだそうで、てことは金曜日1日で7500万か。すげえなあ。まあ、どこまで数字を積み増すかは、後どのぐらい上映期間があるのか次第でしょうか。
 2位:『LOGAN/ローガン』は6/1公開なので4日間合計だと3億弱ぐらいと見積もる。土日だけだと1.6億ほどだったそうです。わたし的にX-MEN本編より面白いってどういうことなんだと言う気がしますが、『LOGAN』はマジ最高でした。ラストがもう、すげえジーンと来ますよ!
 3位:『花戦さ』が公開土日で1.26億だそうです。実は観たい気持ちは高かったのだが……特に理由なく見逃してしまった……大変気になるというか面白そう、ではあります。
 4位:『ちょっと今から仕事やめてくる』が9日間で4~5億ほどと見積もる。このペースだと若干厳しいような……。10億は届く……のかな……。
 5位:『家族はつらいよ2』が9日間でこちらも4~5億ほどと見積もる。平日はこちらの方が動員数は多いような気がしますね。シニアだけに。
 6位:『名探偵コナン から紅の恋歌』が51日間で65億を超えているそうです。もう上映回数も相当減ってるのに、本当にすごいなあ。
 7位:『ピーチガール』が16日間で6億を超えたあたりと見積もる。松竹にしては健闘していると言いたいけど、実際はどうなんでしょう。10億はちょっとキビシイか……
 8位:『帝一の國』が37日間で17億を超えたあたりと見積もる。こちらは毎週同じことを言ってますが、ここまで売れるとは思ってませんでした。大変失礼いたしました。
 9位:『君のまなざし』が16日間で4億を超えたあたりと見積もる。
  10位:『ワイルド・スピード ICE BREAK』が38日間で38~39億ぐらいと見積もる。凄いなあ。

 ところで、今週ランク落ちしてしまった作品をフォローしたいのだが……おそらく『ガーディアンズ』はまだ10億チョイ手前あたり、そして『メッセージ』はわたしのテキトー予測よりもチョイ上で4.5億ぐらいまで積んだのではないかと思われます。5億に届くかなあ……微妙な感じでしょうか……。あと、東宝の『追憶』も10億届いたあたりではなかろうか。
 とまあ、こんな週末だったようです。

 というわけで、結論。
 『美女と野獣』は無事100億突破。『コナン』君は順調に最高記録更新中。そして『LOGAN』はラストが心にしみる超名作でした。以上。

 去年の夏、日本で公開されてまったく売れなかった映画『X-MEN:APOCALYPSE』。その映画を観て書いた本Blogの記事でも記した通り、わたしは20th Century FOXによる映画「X-MEN」シリーズは、さっさと終了させて、MARVEL=DISNEY帝国によるMCUに「X-MEN」キャラたちも参加してほしいと今でも心から祈っている。とにかく、全体としてきちんとシリーズ構成が設計されておらず、場当たり的である。もちろんわたしは映画「X-MEN」シリーズに関しては、2000から始まった最初の3部作は大好きだし、ウルヴァリンのスピンオフ2本もいいし、それから、第1世代ミュータントの悲劇を描いた『X-MEN:First Class』は最高に面白かったと思っている。だが、その次の『X-MEN:Days of Furute Past』でとんでもない展開となり、そのトンデモ設定を引き継がざるを得なかった去年の『X-MEN:APOCALYPSE』でもはや手の施しようがなくなってしまった。故に、もう終わらせてほしい、とわたしは思ったのである。
 折しも、去年は「X-MEN」世界における異端児『DEAD POOL』単独スピンオフがUS国内ではシリーズ初の「R指定」ながらも、本編の倍以上を稼ぐ超える驚異の大ヒットとなってしまい、本末転倒というか、もはやどうにもならない状況となり果てていたわけで、わたしはもう、本当にFOXによる映画「X-MEN」シリーズに絶望していた。
 そんな状況下で、またもやFOXは、一番の人気キャラであるウルヴァリン単独作品『LOGAN』を世に送り出した。しかも本作もUS国内では「R指定」である。わたしは、はっきり言ってまったく期待していなかったし、どうせ『DEAD POOL』の大ヒットに乗じて、首が飛んだり手がちぎれたり、血まみれ映画になり果てたんでしょ、という完全なる予断を抱いて、わたしは昨日、劇場へ向かったのである。そして、本Blogにおいてこき下ろしてやる!とさえ思っていたのが本音だ。
 しかし―――結論から言うと、本作は紛れもなく超名作であり、これはすげえ、こいつは最高の「X-MEN」の真のファイナルじゃねえか!!! と絶賛するに至ったのである。FOXよ、頼むから調子に乗ってこの先また「X-MEN」作品を作ろうと思うなよ。本作で完結させるのが、最高なんだから! さっさと、もう莫大な金額を提示してもいいから、今すぐMARVEL=DISNEY帝国に権利を売り戻してくれ。頼むよ!
 以下、ネタバレがあると思いますので気にする人は読まないでください。

 まあ、あいかわらずFOXの予告は肝心の物語がさっぱり伝わらない内容だが、その世界観は伝わると思う。最初に言ってしまうけれど、本作は、これまでの「X-MEN」映画の歴史をまたもや完全に無視しているといっていいだろう。あれはどうなった、あのエンディングと繋がらねえじゃん。そんな世界観であるので、はっきり言ってわたしは序盤は結構いらいらしながら観ていた。まーたFOXの野郎、めちゃめちゃにしやがって……と、実際腹立たしくさえ思っていた。おまけに、そもそも不老不死であるウルヴァリンが、何故年老いているのか。そして、なぜ他のミュータントたちがみな死に絶えてしまったのか。この最大のポイントも、まったく説明はない。そういう意味では全く不親切というか、ぶった切りである。一応、これまでの映画シリーズは時系列で示すと次のようになると思う。ちょっと簡単にパワポで図を作ってみた。記憶だけで書いたので年号は自信なし。
X-MEN
 まあ、要するに超問題作『FURUTE PAST』で歴史が大きく改変されてしまったわけだが、実際、原作のコミックでもそういうことは実のところ頻繁に起こっているので、ここでけしからんとわたしが非難しても、実はほぼ意味はない。なので受け入れるしかないわけだが、本作『LOGAN』は、これまでのシリーズのどの流れなのか、明確にはわからない。完全に独立した別の歴史かもしれないし、一方ではちょろちょろと、「それっぽい」ことを示唆する小道具とかが映されるため(例えば『SAMURAI」の刀とか)、どういうことなんだよ、とこれまた観ていてイライラする。
 しかし――である。X-23として原作でおなじみのローラが出てきて、ローラと、もう完全におじちゃんで耄碌してしまったプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアとの逃避行が始まると、そこからはどんどん面白くなってくるのである。もう完全に、戦いに疲れた男と無垢な少女とのロードムービーであり、実に心にしみるのである。とにかく渋く、カッコよく、泣かせるのだ。
 展開としては、人為的に「製造」されたミュータントの少女を、コミック「X-MEN」で描かれているミュータントの住まうコロニー「エデン」に連れて行ってくれ、と製造していた会社の女性に頼まれたウルヴァリンが、その会社からの追手の追撃をかわしながら、「エデン」を目指すというものなのだが、わたしは心底驚いたことに、本作『LOGAN』の世界には、「X-MEN」のコミックが存在するのである。こ、これはまさか「第4の壁」を突破(=自分がコミック世界の人間であることを自覚している状態。DEADPOOLがその例)しているのか!? とわたしは興奮したが、劇中でのウルヴァリンの話によると、「そんな漫画は、事実に基づいてはいるけれど、面白おかしく誇張したインチキだ。エデンなんてものはありはしない」だそうで、どうやらこの世界ではX-MENたちの活躍は知られていて、それが漫画化されているだけらしい。なるほど。しかし、コミックを信じるローラは、エデンの存在を信じ、そこに向かうことだけを希望としている。ウルヴァリンとしては、何にもありゃしねえよ、そこに行っても失望するだけだぜ……と思いながら、ボロボロな体でエデンを目指すわけだ。
 その道中では、当然激しいバトルが繰り返される。あろうことか、X-24として、ウルヴァリンそのものといえるクローン・ミュータントまで出てきて(=だからHugh Jackman氏は一人二役)オールドマン・ウルヴァリンはもう満身創痍だ。そもそも、たまに勘違いしている人と出会うけれど、ウルヴァリンの爪は、あれは人為的に後付けされたただの武器で、ミュータントとしての重要な力はどんな傷もたちどころに治っちゃう「ヒーリング・ファクター」の方だ。それがあるからこそ、強い戦士だったわけで、本作では「ヒーリング・ファクター」能力が弱まっている。いくら爪があっても、例えるならただの中年オヤジが刀を振り回したって怖くないでしょ? そういう状態なので、あのウルヴァリンが、もうボッコボコである。そんなピンチを救うのが、まだ10歳程度の少女だ。その少女は、研究所の連中からは「特許物」と呼ばれ、製品の一つに過ぎない。しかも、ウルヴァリンのDNAから製造されており、いわば娘である。そういう意味では、明確に父と娘の心の旅路を描く作品となっているわけだ。まあ、鉄板ですわな、そういう展開は。はっきり言って、ラスト、少女がウルヴァリンを「パパ」と呼び、そして墓標の十字架を、一度抜いて、斜めに、「X」の形に直して据えるシーンはホントにもう、ジーンと感動したね。いや、マジで最高でした。これ以上ない、映画「X-MEN」の完結だと思う。
 というわけで、物語的には、これまでの映画「X-MEN」シリーズが大好きな私としては、結構突っ込みどころというか良く分からない点もあるものの、中盤からはもう大興奮&大感動してしまったわけで、それは確実に、役者陣の素晴らしい演技に支えられていると断言してもいいだろうと思う。
 まず、主人公ローガンことウルヴァリンを演じたのが、当然のことながらHugh Jackman氏。本作限りでウルヴァリン役からの引退を表明しているHugh氏だが、その言葉が守られることを切に願う。もうこれ以上の感動的なラストはないでしょ。それにしても、本当に疲れ、くたくたになったウルヴァリンをよくぞ演じ切ってくれました。完璧だったと思います。来年2月のアカデミー賞にノミネートされてもまったくおかしくないと思うな。とにかくカッコよく、最高です。
 次は、これまた疲れ切っていて、もう完全に要介護状態ですらある老いたプロフェッサーXを演じたのが、これも当然、Patric Stewart氏だ。本作では、能力の暴走を恐れながらも、ウルヴァリンのメンターとしての最後の教えを施すおじいちゃんとして、実に渋い演技ぶりだった。本作では、プロフェッサーXは「世界で最も危険な脳」の持ち主として、その能力の暴走はもはや災害みたいな認識がされている。そのために抹殺対象になっているわけだが、その設定はわからんでもないけど、一体全体、どうしてこうなった……他の仲間はどうしちゃったんだろうな……まあ、そちらの説明をし始めちゃうと、軸がぶれちゃうのかな……本作はあくまで、ローガンとローラのお話だからな……。
 で。X-23こと、ウルヴァリンのDNAから製造されたローラを演じたのが、Dafne Keenちゃん12歳。素晴らしい! 実に素晴らしい演技で、おっさん客はもう号泣必至であろうと思う。いや、わたしは泣いてないすけど。本作ではほぼ笑顔はなく、常に深刻な顔をしているし、本当にもうクライマックス直前までセリフすらないのだが、しぐさや表情は結構可愛らしく、実に守ってあげたくなる少女でしたな。凶暴だけど。その見事な演技については、わたしとしては、天才少女現る!と絶賛したいと思う。成長が楽しみなちびっこですよ。どうか美しい女優に育っておくれ……。

 はーーー。なんかもう書くことなくなっちゃったな……まあ、わたしはこの映画を絶賛したいわけだが、一つ注文を付けるとすると、本作は2029年と明確に年代が示されるが、ウルヴァリンが乗っている車だけは、若干の未来調で2024年モデルとか言っていたけど、ほかの車が、まったく今の2017年の車なんだよな……わたしは車好きなので、その点はちょっと甘いというかイマイチだったすね。ま、まったくどうでもいいことですが。未来感で言うと、ローラを追う勢力の男のメカニカルアーム(義手)とかは、ほんの些細な小道具だけど実にクオリティの高いCGで、大変良かったと思います。
 しかし、やっぱり年老いて、死が自らに迫ってくると、一番に考えることは自らの遺すもの、端的に言えば子供のことなんだろうな。死に瀕すれば、今までのオレの人生って何だったんだ、オレは一体何のために生きて来たんだ、と思うのは、ミュータントでも変わらないわけで、自分の生きてきた証、ってやつなんでしょうな。ほんと、心にしみる作品でした。ラストが最高です。

 というわけで、結論。
 映画『LOGAN』は、その背景はあまり語られず、これまでのシリーズとの関連性もかなりあいまいで、またしてもFOXがひどい「X-MEN」を作りやがった……と思ったら、中盤以降はもう最高で、感動すらある超名作であった。ほんと、マジでもうこの作品を完結作として、FOXは二度と「X-MEN」映画を作らないでほしい。そして、いつかMCUに「X-MEN」が参戦する日が来ることを、わたしとしては切に望みたいと思う。しかしHugh氏は本当にお疲れさまでした。あなたの演じたウルヴァリンは最高でした。以上。

↓ 一応、複数作品のエッセンスを取り込みつつ、メインのビジュアルイメージはコイツだそうです。マーク・ミラー氏の作品は、もはやコミックではなくグラフィック・ノベルですな。激シブすね。

 ちょっと前に電子書籍版を買ったものの、しばらく読む時間が取れず、記録によると5/24(水)から読み始めた本を、昨日の朝の通勤電車の車内で読み終わった。読了タイムは518ページを372分。あ、そんなにページ数あったんだ。意外とボリュームのある作品だったんだな。と今初めて気が付いた。
 邦題は「忘れゆく男」という作品で、著者Peter May氏に関しては、わたしは全く知らなかった。単純に、あらすじを見て、面白そうだな、と思って購入した次第である。
忘れゆく男 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ピーター メイ
早川書房
2015-03-20

 しかし……わたしは早川書房を愛してやまない、翻訳小説が大好物の男なわけだが、今回はホント抜かっていたことが判明した。何が抜かっていたかというと―――わたし、読み終わって、面白かったぜ、と思ったのはいいのだが、あとがきを読んだらですね……な、なんと!この作品はシリーズ物の第2作目だった!!! ことが判明したのです。オイィ!早川書房さんよぅ!そういうことはちゃんとあらすじの最後に【シリーズ第2弾!!】とか入れといてくれよなあ……。まあ100%わたしのうっかりミスだが、どうにもやりきれないというか、愛する早川書房に責任転嫁したい気分である。くっそう! 知っていればちゃんと1作目から読んだのに!もーーー!!
 というわけで、わたしはあとがきを読んで、せっかくの読後の心地よい余韻が台無しになってしまったのだが、調べてみるとその第1作目も電子書籍になっていたので、即座にカートにぶち込んだ。そして、今回はすぐさま購入せずに、若干の早川書房への当てつけの意も含め、次のコインバックのフェアでまで待ちだな、と決意した。しかしである。一応あとがきには、「本作単独でも楽しめます」的なフォローがあったので、何とか心の折り合いをつけたのだが、どうやら3部作なのに、3作目はまだ日本語訳されていないことを発見してしまい、またしても愛する早川書房にイラっとしてしまったので、ちょっと今、落ち着け……と自らに言い聞かせているところである。

 ふーーーー。よし。落ち着いた。それではさっそく、本作『THE LEWIS MAN』について書こう。まず物語であるが、あらすじは早川書房作成の文章をそのままパクッて無断で貼っておこう。こんなお話である。
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 ここはどこだ、なぜ自分は家ではなくここにいる? 重度の認知症のケアをする施設に入ったトーモッド。孤独な彼のもとを元刑事フィンが訪れる。フィンはトーモッドの娘の元恋人だった。その頃、泥炭地からは身元不明の遺体が発見されていた。被害者はトーモッドの血縁関係者だという。フィンは事件を調べ始めるが、明らかになったのは、家族も知らないトーモッドの秘密だった…忘れゆく男の記憶と想いをめぐるミステリ。
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 ちょっと補足すると、舞台はスコットランドの北西岸から船でミンチ海峡を渡って3時間かかるルイス島である(※原題のLewisはこの島のこと)。そこでは、泥炭が暖房の燃料として使われていて、冒頭は現代、その泥炭の切り出し作業中に、一人の遺体が見つかるところから始まる。わたしは知らなかったけれど、そういう泥炭地帯から、完全な形で体組織が保存されたミイラが発見されることがあるんですって。有名なのは「トローン・マン」という遺体(ミイラ)があるそうで、これはリンクをクリックしてNAVERまとめを参照してみてほしい。超そのままというか、2000年以上前に、どうやら何らかの宗教儀式?の生贄として殺された男らしい、と言われているミイラだ。
 まあとにかく、そういった完全な形で保存された遺体が冒頭で発見され、こりゃまた何千年も前の遺体か?と鑑定してみると、なんと肩にプレスリーの刺青があり、どうやらおよそ60年ほど前に「殺された」遺体であることが判明し、DNA検査の結果、今現在、完全に痴呆症となってしまったとある老人の親族であることが明らかになる。遺体は推定10代後半から20代前半の男。ならば、その犯人はまだ生きている可能性がある――てな始まりである。
 そして、上記あらすじにある「元刑事のフィン」が、シリーズ3部作の主人公だそうで、本作ではエディンバラの警察を辞め、故郷である島へ帰ってくる話が並行し、フィンが元恋人とその父である痴呆症の老人と再会し、いったい、ミイラとなって60年ぶりに発見された遺体は何者なのか、そしてなぜ殺されたのか、だれが殺したのか、そしてそもそも、痴呆症の老人は、いったい何者なのか、といった謎をフィンが解き明かしていくお話である。
 というわけで、恒例のキャラ紹介を4人だけやっておこう。
 ◆フィン:元エディンバラ市警の刑事、だが、本作冒頭で退職。どうやら交通事故で息子を亡くし、妻とも別れて帰郷を決意した模様。その経緯がきっとシリーズ第1作で描かれているのではなかろうか?
 ◆トーモッド:現在痴呆症が進み、たまに記憶が鮮明になるが、基本的には恍惚の人。フィンの島時代のご近所さん。泥炭採取現場から発見された60年前の遺体と血縁らしいが……トーモッドの過去にどんなことが起き、今に至っているのかが本作の一番のポイント。また、痴呆症の人間の心理がやけに生々しく、なんか……正直わたしは怖いというか、ゾッとした。痴呆だけにはなりたくねえなあ……でもこればっかりはどうにもならんだろうな……。長生きしていいことってホントあるんすかねえ……。
 ◆マーシャリー:トーモッドの娘であり、フィンの幼馴染で元彼女。フィンの親友アーシュターと結婚するも死別(?)。現在は息子が、大学へ行くか、妊娠出産させた彼女と子供を育てるかでフラフラしていて、大変困っている。自分自身もグラスゴーの大学に入って勉強しなおそうと考えていたのに。どうも、マーシャリーやフィンの親友アーシュターも、第1作に出てくるんじゃなかろうか……分からん。
 ◆ケイト:トーモッドが少年時代を共に過ごした初恋の相手。今どこでどうしているのか不明。実に活発な、おそらくは相当な美少女。生きていれば80歳ぐらいにはなっているはずだが……

 ズバリ言うと、遺体の正体は、読者には結構すぐに想像がつく。しかし謎なのは、なぜ殺されたか、誰が殺したのか、という部分である。ポイントとなるのが、重要なカギを握っている老人トーモッドが痴呆症で、いかんせん話も聞けないし、記憶も失われているという点にあり、ほんの些細な手がかりからフィンが地道に調べを進める一方で、痴呆症の老人の心の中で語られる過去がクロスして物語は進むのだが、その、誰にも語られず、あくまで老人が薄れゆく意識の中で思い返す回想部分が、実に壮絶というか、過酷なのだ。
 そういった凄惨な過去を、一切封印して生きてきた老人。それがラストは美しい再会とともに事件の解決をみる構成となっていて、読後感は大変上質であろうと思う。
 まあ、日本の我々からすると、戦後の昭和20年代後半ぐらいかな、その老人の若き頃の話は。だから、実はそれほど遠い昔ではないのだが、わたしの印象に強く残ったのが、舞台となるスコットランドの北に位置する島の荒涼とした風景で、非常に描写としても脳裏に描きやすかった。寒そうで、風が強そうで、きっと土地も痩せていて、豊かなイメージは一切沸かない。ホント、人類はどうしてまたそういう地に住み付こうと思ったんでしょうなあ。先祖が住んでいたから、とか言われても、じゃあその先祖はなぜ? という点にわたしは非常に興味がありますね。きっと、明確な理由があるはずで、それは現代人の我々には理解できないことかもしれないけれど、ぜひ知りたいものです。冒頭でミイラが出てきたからかもしれないけれど、なんかそういった、人類学的な好奇心も、わたしは本書を読んで掻き立てられたのであります。
 一方で、キャラ描写の方は、心理的な部分は全く問題なく物語に入って行けるけれど、具体的な容姿に関しては、イメージがつかめず、いったいどういう顔をした少年だったんだろうとか、映像化するとしたらフィンは誰が演じたらいいかな、といった部分ではいまだにちょっと想像がつかない。うーん、だれが演じたらハマるかなあ。そうだ、あと、キャラクターたちは、スコットランドの西側の人間としてゲール語が話せるし、ゲール語がちょっとしたキーになっているのも、わたしとしては興味深かった。ゲール語というと、わたしは決まって「モ・クシュラ」という言葉を思い出す。その言葉の意味が知りたい方は、わたしが劇場でうっかり号泣した映画『Million Doller Baby』をご覧ください。わたしの大好きなClint Eastwoodおじいちゃんの三大名作の一つですので、絶対的なおススメです。

 というわけで、さっさと結論。
 ふとあらすじを読んで面白そう、と買って読んだ『THE LEWIS MAN』(邦題:忘れゆく男)は、なかなか面白かった。スコットランドの北のLewis島か……一生行くことはないだろうな……でも、行ってみたくなりますね、こういう作品を読むと。しかし、本作がまさかシリーズ物の第2作目とは……超ぬかってたわ……くそう。おっと!まさに今日の夜、大きいコインバックフェアがあるらしいので、さっそく買って読むとするか。でも、ちょっとほかの本がたまってきたから、順番待ちだな。おそらく第1作は、主人公フィンについてもっと理解が深まるはず、です。以上。

↓ というわけでこちらが第1作。先にコイツを読んでいたら、本作はもっと面白かったのかもな……くそう!

 こりゃまたわっかんねえ映画だなあ……というのが、わたしの偽らざる感想である。
 先日、夜、もう寝るべか、と部屋の電気を消して電子書籍を読もうとベッドに横になった時、突然HDDデッキが動き出し、何かを録画し始めた。お? なんじゃ? と思ったものの、わざわざ確認することはせず、その時は放置したのだが、翌日、そういや昨日の夜は何を録画したんだろうとふとチェックしてみると、なにやら『ロブスター』なる映画が録画されているのを発見した。
 『ロブスター』……どんな映画だっけ? と考えること3秒ほど。すぐに、あ、ひょっとしてアレか? 独身者が虐げられていてカップルにならないと動物だか何だかに変身させられちゃうっていう、あのへんな話か? とすぐに記憶がよみがえった。ははあ、やっとWOWOWで放送されたのか。ならばちょっと観てみるか。というわけで、再生を開始した。結論から言うと、この物語には様々なメタファーめいた、いわば裏の意味がたぶんあるわけだけれど、ズバリ言ってわたしの好みには全く合わず、なんだか……ガッカリであった。以下、いつも通りネタバレまで書くかもしれないので、気にする方は読まないでください。

 とまあ、そういうわけで、物語は基本的に上記予告の通りである。
 が……実のところ、作品の中ではほとんど何も説明されないので、実際良くわからないことが多い。物語は、冒頭50代ぐらいの疲れた表情の女性が運転する車内の映像から始まる。そしておもむろに車を止め、銃を取り出し車外へ出る。するとそこには、草を食んでいる2頭のポニーがいて、何の脈絡もなく、そのうちの1頭に銃を向け、3発発砲、ポニーを殺す。なんのこっちゃである。そして、場面はどうにもさえない男が妻と別れ、ライトバンに乗せられてホテルへ到着し、私物をすべて取り上げられ、説明を受けるシーンに代わる。服や必要なものはすべて支給する。滞在日数は45日。その期間内にカップルにならないと動物?に変身させられてしまうのだが、あなたは何になりたい?と質問を受ける。どうやら男が連れてきたわんこは、自分の兄貴(が犬に変えられてしまった姿)らしい。「ロブスターがいい。100年生きるっていうし、海も好きだし。死ぬ直前まで生殖能力があるし」「いい選択ね」とまあこんなやり取りがあって、じゃあ、初日は拘束するから、と、左腕をベルトに拘束され、その体制ではズボンも脱げずにやっとこさ、ベッドに入る。そして翌朝から、奇妙な滞在記が始まるーーーてなお話だ。
 良くわからないのだが、どうやら「独身者」は虐げられているというか、完全に人権をはく奪されているらしく、街に住むことは許されていないようで、そういった「不法独身者」というか「野良独身者」は、森にコロニー?を築いて暮らしているらしく、ホテル滞在者は、その森に住む野良独身者たちを麻酔銃で「捕獲」すると、滞在日が1日増える、らしいことも語られる。ちなみに、森には動物に変えられちゃった元人間と思われる動物たちが結構うろうろしていて、森の中にラクダがいたり、やけにシュールな絵面であった。
 そして動物に変えられてしまう、というのも、全く説明がなく、何らかの謎テクノロジーによるもののようで、劇中1回だけ、「THE TRANSFOMATION ROOM」なる部屋は出てくるが、どんな仕掛けなんだかさっぱりだ。魔法なのか科学技術なのか、一切触れられないままである。
 かと言って、街には全く普通に現代文明が築かれており、独身でない(=結婚している)なら普通に生活しているようで、意味不明なディストピア的な世の中でもない。ただ単に、独身=アウト、という全くの不条理世界である。しかも、その街とホテル、それから野良独身者たちが住まう森、の地理的な位置関係がまったく良くわからない。後半、主人公は、ホテルから脱走し、野良独身者の群れに加わるのだが、その野良独身者たちには女性のリーダーがいて、恋愛禁止の妙に厳格なルールの元に暮らしている。しかし、そこでは完全野宿のホームレススタイルで生きているのに、たまに、その女リーダーはきちっとビジネススーツに着替えて、街にある実家に帰って、良くわからないけれど両親にちゃんとやってるところを見せたりもする。しかもテクテクと徒歩で街へ向かうわけで、どれだけ遠いのかとか、まったく良くわからない。街に行く理由は……生活物資の調達なのかな、あれは?
 というわけで、要するに、まったく理解できないルールに縛られた人々を描いている物語である。
 これを現代社会に当てはめると、「政府の意味不明な方針・法律に対してまったく疑問を持たずに、ある意味Naivに通常の生活を送っている人」、それから、「きちんと考えてその謎ルールに異を唱え、世間から逸脱している人」、という構造のような気もするし、まともに考えたが故に周りからはアウトサイダーだと見做されてしまうと、こういう扱いを受けることになる、みたいなメタファーなのかしら、ということは確かに想像できる。できるけど……浅いというか……突拍子もないというか……回りくどいというか……はっきり言って全く心に響かない。
 恐らくわたしの心に響かなかった理由は、以下の2点のような気がする。
 1)独身=悪、結婚しないと動物にしちゃうぞ法、の成立の背景が全く不明である点
 どんな悪法であれ、一応はその背景というか思惑があるはずで、反対するにはその成立理由を論破する必要があると思うのだが、その点について何の説明もないので、どうもキャラたちの動機が理解できない。嫌なら結婚すればいいじゃん。例え仮想結婚であろうと、お相手候補をあてがってくれるんだから。もし、きちんとしたこの法の成立背景が語られていればそう思うかもしれないし、めちゃめちゃな理論ならふざけんな、と世界観を理解できるかもしれないけれど、そこが語られなければ戸惑うしかない。そして、そういう背景を理解せずに、単に表層の現象だけで政府批判をすることは、どっかの野党のような愚かさの極みであり、わたしには全く共感できない。想像するに、結婚しないと動物にしちゃうぞ刑のアイディアありきで、細かいことは何も考えていなかったのではなかろうか……。確かに抜群に面白いアイディアであることは大いに認めます。コメデイにした方が良かったんじゃね……?
 2)主人公の男がクズ過ぎる。
 これは演技のせいでなく純粋に脚本的な問題だろう。この映画を観て、主人公の男の心理を理解できる人っているのかな? いや、いるだろうけど、わたしにはできなかった。だって、主人公は、とりわけ動物にしちゃうぞ法に対して異論を持っているわけではなく、かと言って独身でいたいとも思っていない。なぜならちゃんとホテルで女性を口説こうとするし。上手くいかないのは自分に魅力がないせいで、せっかく知り合った男が晴れて女性とカップルになったら露骨に妨害活動するし。何なの一体。そもそもなんで脱走したんだコイツ? いや、脱走したのは、せっかくホテルでカップル契約した非情な女性をぶっ殺したからだろうけど(そしてぶっ殺したのは、犬に変身させられてしまった兄貴を殺されたからだろうけど)、野良独身者グループに参加した意味も分からない。おまけに、そこでは恋愛禁止なのに、あっさり変な女性に恋しちゃって、今度は野良独身者グループの女リーダーをぶっ殺そうとするし。わたしには主人公の心理が全く意味不明で大変イライラした。思うに、この主人公は実に動物的なのではなかろうか。要するに、食って、寝て、SEXする。それだけが主人公の行動原理で、そこに人間的な心情はほとんどなく、自らの欲を妨害する存在を避ける・排除する、というだけだったような気がする。つーか、やけにSEXに対してだけは貪欲で、実に気持ちが悪い。ビジュアル的にも非常にキモ男で、一言で言うと、クズ野郎、ではなかろうか。なので、まったく心に響かなかった。
 
 というわけで、残念ながらこの映画はわたしには全く楽しめなかったのだが、出演キャスト陣はなかなか有名どころが揃っていた。まず、主人公のキモ男を演じたのは、ミスター・富士額でお馴染みのCollin Farrell氏である。元々アイルランドのダブリン出身のFarrell氏であるが、どうやら本作はほとんどをダブリンで撮影したらしいですな。本作では、ぱっと見ではFarrell氏には見えない、実にキモチ悪い、中年の腹の出たキモいおっさんで、おそらくは大多数の女子は、生理的に無理、と評するのではなかろうか。ただそれは、Farrell氏の役作りが完璧であるが故で、実際、演技としては素晴らしいと言えると思う。まったく共感できないけれど、まさしくそういうキャラを目指したのでしょうな。
 次。森に住まう謎の野良独身者グループの女リーダーを演じたのが、フランス美女でお馴染みのLéa Seydoux嬢。この女子はホントに独特な微妙なツラというか……『007 SPECTRE』では、微妙ツラだけど妙にエロカワイイのが大変極上であったけれど、本作では無表情で全く笑わない、リーダー然とした女子を熱演されていたと思う。なんでまた彼女はフランス語をしゃべるシーンがあったんだろう? いや、そりゃ彼女がフランス人だからだけど、なんなんだ? あれか? 実は世界観的に、既にヨーロッパ全土で「独身は動物に変えちゃうぞ法」が支配しているってことなのか? フランス語を喋らせる必然性があったのか、わたしには全くわかりません。
 次。主人公の数日前?にホテルに収容され、主人公とちょっと友達になるも、さっさとホテル内で一番かわいい女子とよろしくやって、主人公に露骨に恋路を妨害される変な男を演じたのが、若き「Q」でお馴染みのBen Whishaw君。私生活ではLGBTだそうですが、それで思い出したけど、本作における独身=悪、という風潮は、要するにきっとなんらかの人口減少にあって、生殖し人類を存続させることが最も重要とされている的な世の中なのかな、とわたしは思っていたのだが、ホテルに収容される際に、LGBTでも全然OKらしいことが語られるので、どうも生殖が最優先ではない、みたいである。その点も実にふわっとしていて、わたしは実にイライラした。なお、Ben君の、なんというか……若き「Q」で見せたような、いかにも現代の若者めいたキャラの芝居は非常に良いと思います。
 次。Ben君同様に、主人公とほぼ同時期にホテルに収容されて主人公とちょっと仲良くなるおっさんを演じたのが(ええい……!役名が一切ないから説明するのがめんどくさい!)John C. Reilly氏。もう大ベテランでかなり多くの作品で見かけるおっさんですな。最近では『KONG:Skull Island』にも出てましたね。本作での役は……主人公に利用されちゃう、と言っていいのかな、まあとにかく気の毒な、そして全くモテなそうな、キモイおっさんでしたね。
 最後。主人公が惚れてしまう、野良独身者キャンプにいた目が悪い女性を演じたのがRachel Weiszさん。この方も、元々大変な美人なのに、本作では若干薄汚れてぱっと見ではRachelさんとすぐに分からないような容貌でした。わたしがこの方で一番印象深いのは、『Enemy at the Gates(邦題:スターリングラード)』で、Jude Law氏演ずる主人公と恋に落ちる女性役ですかねえ。あの、兵舎でのHシーンはやけにエロかったすね。全然関係ありませんが、この方は最強イケメン007でお馴染みのDaniel Craig氏の奥さんす。

 というわけで、もう書くことがなくなったので結論。
 WOWOW放送されたので、ふと観てみた映画『THE LOBSTER』という作品は、まったくわたしの趣味には合わなかった。しかし、どうも世間的には、こういう雰囲気重視のシャレオツ系?映画を喜ぶ風潮があり、RottenTomatoesをはじめとしてやけに評価は高いようである。おまけになんと、アカデミー脚本賞にもノミネートされているわけで、本作を楽しめなかったわたしの理解力が劣っているんじゃねえかという気もしなくもない。そりゃあね、すべて説明しろとは思わないよ。でも、せめて主人公の行動は理解したいわけで、そこの共感なしには、わたしとしては面白いとは全く思えないのである。一言で言うと、キモイす。なのであまりオススメはできないす。以上。

↓ なんとなく主人公のビジュアル的なダサさ加減で、この映画を思い出した。こちらは最高に面白いです。
her/世界でひとつの彼女(字幕版)
ホアキン・フェニックス
2014-12-03

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、昨日、ケンシロウの化粧まわしでお馴染みの毛深い男【高安】関がとうとう大関に昇進しましたね! そして会見ではラオウ様こと横綱【稀勢の里】関とがっちり握手。わたしはもう、おお……北斗の兄弟がここに……と感無量でありました。しかし、肝心の(?)、わたしの愛する黒ブタくんことトキ【松鳳山】関は同じ一門ではあっても部屋は違うし番付も下なのでこの2ショットには参加せず。当たり前ではありますがちょっと淋しいす。結局【松鳳山】関は後半4連勝したものの千秋楽は星を落とし、6勝9敗。もう1つ勝っておきたかったすねえ……また三役目指して頑張っておくれ……!
 では、まずは週刊少年チャンピオン2017年27号概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版は今週もなし。紙雑誌版もなしなのかな?
 ■弱虫ペダル:6人の力!!の巻。巻頭カラーです。いよいよ集合、さあ、加速するんだ!
 ■刃牙道:「闇」の巻。花山君カッコ良すぎる!! 握力×体重×速度で武蔵をブッ倒せ!!
 ■BEASTERS:こぶしの縁に寄せての巻。レゴシの宣言はカッコイイですね!
 ■囚人リク:啖呵の巻。まさしく啖呵を切る田中氏のどや顔芸が素晴らしいww
 ■Gメン:条件の巻。さあ、薙のターンPart2です。早く勝太も駆けつけろ!
 ■吸血鬼すぐ死ぬ:ロマンス・ロナルド・ロードショーの巻。ボケ合戦が最高ですw
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて。それでは今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 今週はちょっと、ラストがわたし的に、ど、どういうこと……だ? という感じなのですが、まあ、いつもどおり始めましょう。
 先週は、常松こと【松明】が【百雲】の左腕をがっちりホールド、かつて王虎さんに教えたという得意の小手投げの体勢に入った―――!! というところまででした。今週はそこからです。虎城理事長も、決まったか……という実況席ですが、まあ、漫画的にそりゃああっさり決まるわけがないですよね。もちろんのこと、【百雲】はダン!! と右足を出して投げを堪えます。
 常も、「クッ…片手だけじゃダメだ…手を組んでフックさせねーと…」と思いますが、先週・先々週描かれた通り、常の左腕はひじに強烈な張りを喰らっています。「クソ…左腕がまだ利かねえ…」なわけですが、一瞬のその隙に、【百雲】が吠えます! NHKアナも絶叫! 「あーーーー!! 百雲が掬い投げで返しに行ったーーーー!!」な展開です! これには、王虎さんも「百雲(あの)クラスにはわずかな隙も命取りとなる…」と冷静に状況を支度部屋で見守っています。
 この、常の思う、小手投げの際の「手を組んでフックさせる」というのは、アレですね、『Burst』(6)巻での【王虎】VS【天雷】の一番で、【王虎】さんがみせたフィニッシュ技ですな。そして、この常の小手投げと【百雲】の掬い投げの打ち合いは、なんとなく我々としては、【白水】兄貴が腕をへし折られたかつての【王虎】戦を思い起こさせるような、若干嫌な予感がしてなりません!
 そして常と【百雲】の投げの打ち合いのさなか、常の脳裏にはクソ親父への想いが駆け巡ります。自分に期待するな、お前は俺のガキなんだからよ、といつも言っていたクソ親父。だから何だ、俺はお前とは違う!自分で自分を諦めて、だた逃げていたテメーとは…抗うぞ…俺も最後まで…あの人のように…!! と、鯉太郎の姿に希望を見ている常。健気じゃあありませんか……。
 NHKアナの興奮も続きます。「しかし松明もまだ投げを諦めていない! 両者投げの打ち合いになった――!! どちらが先に落ちるか力勝負だ!!」そして場内は松明コールが鳴り響きます!! その松明コールを聞いて、常のクソ親父もまた、昔、鯉太郎の父、【火竜】に言われた言葉を思い出します。 「生き様に火を積めて燃え上がるのよ 土俵でな…」
 まさに土俵で燃え上がる我が息子の姿に、とうとうクソ親父の頬にも涙が……!!
「何だったんだろーな……俺の人生は…やり直してーなー…あそこから…」
 あそこというのは、弟弟子である【火竜】との稽古の日々のことです。すっかりダメ力士になった自分に、【火竜】は「楽しいと楽ってのは違うだろ……」と言いました。あの日、あの時から、やり直せたら……はーーー残念ながらもう戻れないんすよ、あの日にはね……
 というわけで、土俵上は投げの打ち合い、常は気合の雄たけびを上げて、決まれ…と渾身の投げを見せます! が、【百雲】もガガッ!と堪え、逆に【百雲】が両手をぎっちりフックさせることに成功、渾身の投げを炸裂させます!!! が、ここでも常がズン!と堪え、膠着状態に。ギリギリと常の右肩を締め上げる【百雲】と、こらえる常松。その様子に新発田部屋の親方も「もう…無理するな…無理するな百雲!!」と叫びます。
 そしてーーーめくったページの先には、「ボクン」という嫌な音が!!
 今週ラストは、鯉太郎のハッとする表情、クソ親父の呆然とした表情、静まり返る観客たち、虎城理事長の無念そうな表情、王虎さんの厳しいまなざし、そして……新発田部屋親方が「バカヤローが…」と頭を抱えて嘆いている表情、これらの集合絵で終わりました。
 さあ、この「ボクン」という音ですが、これは……普通に常の右肩(もしくは右ひじ?)がイッってしまったということですよね? でも、新発田部屋親方の無理すんな、というのは……そこまでやることはない、無茶すんな、そこまで悪役(ヒール)になるな、という悲痛な叫び、ってことなのでしょうか? それともまったく別の意味があるの……か?
 まさしくかつての【王虎】VS【白水】兄貴の再現のようになってしまったこの一番、そういえば日曜日の千秋楽、【高安】関も【照ノ冨士】関に同じようにがっちり極められて負けてしまいましたが、痛そうでしたな……どうやら来週、常VS【百雲】はいよいよ決着となりそうな気配ですが、果たして勝者は!? いやーー今週も興奮してサーセン。ホント『鮫島』は最高すね!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝したけどその後は不明
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
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 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。64連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 どうやらイッちまったかと思われる常の右肩ですが、大変大変心配なラストで今週は幕です。読み終わった瞬間、もう来週が待ちきれないのですが、これは……マズイすね……。【白水】兄貴は【王虎】さんに腕を折られても立ち向かいましたが……しかしもしこのまま常が負けるとすると、鯉太郎VS【百雲】もあり得る展開かもしれませんなあ……はーーーもう、どうなるんだよ! 佐藤先生、来週が待てないっす! 以上。

↓ 6月はペダルの新刊ですな。


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