2017年04月

 湯灌、という言葉を現代の若者が知っているのかどうか、相当怪しいような気がする。実際わたしも、その場に居合わせるまで知らなかったし、そもそもそのようなことを知りもしなかった。
 わたしはちょうど20年前に父を亡くしているのだが、わたしはまさしくその時、初めて知った。湯灌とは、遺体を棺に納める前に、湯で洗うこと、要するに最後の風呂に浸からせることだ。今から考えると、結構珍しいことのような気がするが、わたしの父の場合は自宅で葬儀を執り行ったのだが、今はもう都市部においては、自宅での葬儀というのはほとんど見かけないすね。いつからそうなったのか……さっぱりわからないが、現在では葬儀はほとんどが●●会館のような専用施設で行うのがほぼ一般化されているといってよいだろう。そういう場合は、湯灌も専用設備があるのだと思うが、わたしの経験した父の葬儀の場合は、まさしく自宅で、葬儀社が持ってきた専用の、ちょっと特殊というか見慣れない、そうだなあ……深さ50㎝ぐらいだったかなあ? やけに浅い湯船のようなもので湯灌が執り行われたのである。その光景は、極めて厳粛なものとして、いまだに忘れられない。
 というわけで、わたしが昨日の帰りの電車内で読み終わったのが、高田郁先生による『出世花』という小説である。すでにこのBlogでも散々書いている通り、『みをつくし料理帖』や『あきない世傳』シリーズでおなじみの高田先生の小説デビュー作である。もう最初に書いちゃいますが、まあ泣けましたなあ……泣ける度合いとしては、わたしとしてはこれまでの高田先生の作品の中では随一ではなかろうかと思う。まあほんとに超いいお話でありました。

 物語は、江戸時代中~後期にかけて、江戸は内藤新宿の先の下落合の「墓寺」を舞台に、湯灌師として働くことを決めた一人の少女の目を通して語られる人情話である。いつもの高田先生の作品のように、本書は4つのエピソードからなる短編連作と言っていいだろう。今回は、キャラ紹介、エピソードガイド、そしてこの作品を読んでわたしが初めて知ったこと、をまとめてみようと思う。いつも通りネタバレ満載ですのでご注意を。
【キャラ紹介】
 ◆お艶(→お縁→正縁):主人公の女子。初登場時は9歳。下級武士の娘。母が不義密通で駆け落ちし、父とともに妻敵討ち(めがたきうち)の旅に出るも、江戸で野垂れ死に一歩手前で行き倒れているところを、下落合の墓寺「青泉寺」の住職に助けられる。父はそのまま死亡。父は死の間際、住職に、この子の名を新たに与えてほしい……と頼んで、艶から「縁」に名が変わる。その後お縁と名を変えて青泉寺で養育されるが、湯灌された父の、すべての苦悩から解き放たれた安らかな死に顔をみて、湯灌師になりたいという希望を持ち、15歳の時に「正縁」という名を得る。なお、僧籍にない、湯灌の手伝いをする人々を「毛坊主」(剃髪してない坊主もどき的な蔑称)と呼ぶのだが、上方では「三昧聖(さんまいひじり)」と呼ぶそうで、以後、正縁は、人々の間では三昧聖と呼ばれ、「三昧聖の手にかかると、病みやつれた死人は元気なころの姿を取り戻し、若い女の死人は化粧を施され美しく輝くようになる。三昧聖の湯灌を受けた者は、皆、安らかに浄土へ旅立ってゆくのだ」という評判が立つようになる。現代で言うところの納棺師というものですな。まあ、とにかくいい子ですよ。大変けなげで大変泣かせてくれます。当然美少女です。
 ◆正真:青泉寺の住職さん。いい人。年齢表記があったか覚えてないけどイメージ的に50代ぐらいか?
 ◆正念:青泉寺の若いお坊さん。超いい人。実は僧籍に入る際に深い事情があって……それは第4話で明かされます。その話がまた泣けるんすよ……。
 ◆市次:青泉寺の下働きの男の一人で最年長。正縁の先輩。これまたいい人。
 ◆仁平:青泉寺の下働きの男の一人で真面目な人。正縁の先輩。もちろんいい人。
 ◆三太:青泉寺の下働きの男の一人で最年少。正縁の先輩。まだ若干俗世間的な執着はあるけどなんだかんだ言って正縁の味方のいい人。
 ◆お香:内藤新宿の(今でいう四谷三丁目あたりか?)菓子司「桜花堂」のおかみさん。幼いお縁を養子にもらおうと思うが、お香本人も知らなかった驚愕の事実が……! 
【エピソードガイド】
 ◆第1話:出世花
 物語の始まりから、三味聖として生きる決意をするまで。成長のたびに、「お艶」→「お縁」→「正縁」と名前が変わるのを、出世魚じゃねえんだからよ、おれたちにとっちゃお縁坊はお縁坊だぜ、と市次兄さんがいうのを聞いていた正念さんが、「正縁は魚ではない。さしずめ「出世花」というところかな。仏教で言うところの「出世」とは、世を捨てて仏道に入ることだ。正縁は名を変えるたびに御仏の御心に近づいていく。まことに見事な「出世花」だ」と泣かせることを言って幕が閉じる。なぜ泣けるかは、ぜひ自分で読んで感じてください。わたしは、「出世」という言葉は、「世に出る」ことかと思ってたけれど、仏教的には「世を出る」ことだったんすねえ。逆だったのか……なるほど、てことは、現代の出世した、と言われる人々は、ほとんど出世してねえってことなんだなあ。むしろ逆に、より一層世に縛り付けられることが現代の出世なわけで、なんか感じるものがあるすね……かつて社会的に結構出世したわたしも、今は本当の意味での出世に近いのかもなあ……。いや、まだまだか。どっぷり世に浸かってるし。
 ◆第2話:落合蛍
 いつも青泉寺に棺を納品に来る龕師(=棺職人)岩吉さんの泣けるエピソード。岩吉は無口で容貌が超おっかない鬼の形相だし、おまけに棺職人なので、残念ながら人々に避けられている孤独な男なのだが、これまた超イイ奴で、その儚くも報われぬ恋の顛末を描く物語であった。残念ながら、ただしイケメンに限る、のは今も昔も変わらないようで……岩吉さんの優しさが心にしみますなあ……。そしてこの話から、若干犯罪捜査ミステリー的な面も出てくる。大変面白い。
 ◆第3話:偽り時雨
 この話は、神田明神そばの幕府非公認岡場所の遊女が、はるばる下落合の青泉寺にやってくるところから始まる。容態が悪く、死に瀕した先輩遊女が、どうしても最後は三味聖に湯灌してほしいと言っているとか。そこでお縁は、その遊女の案内で、初めて江戸を横断して神田明神界隈へ。そこで、それまで全然世間を知らなかったお縁は、江戸市井の人々の生き方を知る。そしてこの話は、検視官的犯罪ミステリーでもあって、かなり面白かった。この話で定回り同心の新藤さまと知り合う。
 ◆第4話:見返り坂暮色
 最終話。正念さんの超泣けるエピソード。ある日、立派な身なりの武家が青泉寺へやってくる。聞けば危篤の奥方がいて、どうしても正念さんに会わせたいのだとか。しかし正念さんは、もはや出家の身、それすなわち俗世との縁はすべて断ち切った身であり、行くことはできないときっぱり断るのだが、どうやらその危篤の奥方とは、正念さんのお母さんであるようで――てなお話。ここで語られる正念さん出家の理由がまあ泣けますよ。そしてやっぱりお縁の湯灌の様子も、ホント心にグッときますなあ……。
【初めて知ったへぇ~な事実】
 ◆「墓寺」ってなんぞ?
 江戸時代、寺社仏閣は、もちろん「寺社奉行」の管轄であり、町奉行の手の及ばないところというようなふわっとした知識は、まあ誰でもお持ちだろうと思う。時代劇なんかでもおなじみですな。寺社奉行の歴史は古くて一休さん(※時代的に室町時代の足利将軍時代)に出てることででおなじみの新右衛門さんも、寺社奉行のお人でしたね。
 で、墓寺というのは、どうやら寺社奉行の管轄外=幕府非公認のお寺だそうで、お葬式専門のお寺のことなんだそうだ。へえ~。そんなお寺があったんすね。それは、背景としては、江戸市中ではすでに火葬が一般的ではあったんだけど、火葬場施設を持っていない幕府公認の普通のお寺もまだ多かったし、幕府公認の公設火葬場も5か所しかなく、どうやら簡単に言うと、全然足りない状況だったらしい。ゆえに、葬儀専門寺としての「墓寺」というものの需要が高かった、ということだそうだ。へえ~。全然知らなかった。
 ◆「湯灌」の作法
 ・逆さ水:ふつうのお風呂は、沸かした熱い状態に水を入れてちょうどいい温度にしますわな。しかし、湯灌の場合は、先に水を入れて、湯を注いでちょうどいい温度にするんだそうだ。へえ~。
 ・「使用後の湯」の捨て方:これはあらかじめ定められた「日の当たらぬ場所」に捨てることが決められているらしい。まあ、湯灌師は「屍洗い」という蔑称で呼ばれていた時代(ま、現代でも湯灌を見聞したことのない人はきっと、その仕事の尊さは全く理解できないだろう。本作でも、「見ず知らずの死人を洗う、などと、考えただけでも身の毛がよだちます」なんていわれてしまう)、その湯灌に使ったお湯をそこらに無造作に捨てていたら、そりゃちょっとアレですわな。だからきちんと、ひょっとしたら仏教的な意味も明確にあると思うけれど、捨てる場所が決まっていたんだそうだ。へえ~。
 ・「湯灌」時の服装:これもきっちりルール化されていて、「縄帯に縄襷を身に着けるべし」と決まっているそうだ。なるほど。へえ~。
 ・場所について:家持でない者の自宅での湯灌は許されない。よって当時はたいてい、寺院の一角に設けられた湯灌場にて僧侶立会いの下に行われるのが常であったそうです。へえ~。わたしの家は持ち家だったから許されたのかな。あの時お坊さんは来てたっけ……ああ、確かに来てたような気がするな。でも、納棺師の方は、縄帯・縄襷ではなく普通にスーツにネクタイだったかな。
 ◆ところで……このお話って、あの映画に似てるよな……
 わたしは本書を読み始めて、真っ先に思い出したのが、第81回アカデミー外国語映画賞を受賞した『おくりびと』だ。あの映画はわたしも公開初日に観に行って深く心にグッと来た作品であったが、本作も、同じ納棺師を主役としている点で共通している。ただ、まあ好みとしては本作の方が味わいは深いかな……いや、どうだろう、比べることに意味はないか。どちらも素晴らしいと思う。わたしが興味深いと思ったのは、本作『出世花』は2008年6月刊行、そして映画『おくりびと』が2008年9月公開であったという、非常に近い時期に世に出た作品であるという共通点である。ま、どっちが先かなんてことはどうでもいいけれど、ここまで似た作品がこんなに近いタイミングなんで不思議すね。偶然?なんだろうな。他に何か理由があるのかな。あ、元々は祥伝社の小説公募で2007年に奨励賞を受賞した作品なんすね。へえ~。知らんかったわ。

 というわけで、もう長いので結論。
 高田郁先生による『出世花』という作品を読み終わった私であるが、またしてもわたしは高田先生の作品にいたく感動してしまったのである。大変グッときましたよ。素晴らしいお話でありました。実は本作『出世花』には、第2巻があって、それで完結しているらしいので、早速そちらも読み始めようと思っております。しかしなんというか、現代人が忘れちまったことを、いろいろ思い出させてくれますね。そういう作品ばっかり読んでいると、ホント、現世が嫌になってしょうがないす。あーあ……いったいいつまで生きねばならんのだろうか……いつあの世へ行けるのか、正確にわかっていれば、相当いろんな悩みから解放されるというか、きっちり計画的に生きられるんだけどなあ……まあ、明日突然でもいいように、毎日真面目に、清く正しく美しく生きたいと思います。以上。

↓ この作品も漫画化されてるんすね。ちょっと気になるわ……。全4巻みたいすね。ああそうか、各話ごとってことか。なるほど。電子化されてればすぐ買うのに……。
 

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、わたしは漫画で一番好きな作品は何か? と問われれば、間違いなく『北斗の拳』だと答える男なわけで、今週このニュースを見て、ものすごく興奮しました。

 な、なんだって――――!!? これはすごいというか、わたし的に嬉しくて泣ける!!! そしてさらにですね、横綱・稀勢の里関=ラオウ様なんですが、な、なんと!太刀持ちの関脇・高安関=ケンシロウ、そして! そして! ああマジか!! 露払いを務める我が愛しの黒豚こと松鳳山関が、トキですよ!! 松鳳山裕也がトキ……しかもどうやら絵柄としては「北斗天帰掌」の構え! なんてこった! その扱いは嬉しいけど大丈夫か!? いやーこれはもうホントに5月場所が楽しみですねえ! どうか裕也(=松鳳山)よ、その化粧まわしに負けない相撲を見せてくれよ! メロン喰ってる場合じゃないぞwww

 はーー……興奮した……。ま、わたしの興奮なんぞどうでもいいので、まずは週刊少年チャンピオン2017年22+23合併号概況です。おっと、そうか、来週はGWでお休みですな。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙雑誌版だと欅坂の皆さんだそうです。
 ■『弱虫ペダル』:闘う6人!!の巻。久々に先頭集団も描かれました。
 ■『刃牙道』:国家の為の巻。警視総監と花山君の話です。とうとう喧嘩屋が動く!
 ■『囚人リク』:指輪の巻。変態ピカソ内海の過去話。意外と泣ける!
 ■『Gメン』:放課後の体育館裏の巻。薙の過去からの彼女話。こういう展開か……。
 ■『BEASTRES』:なら電気を消しての巻。ジュノちゃんは……結構自分を可愛いと自覚してる系の女子だったんすね……これは面白い展開になってきましたよ! 単行本3巻は5/8(月)発売です。買う!買います!
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 しかし……! 今週こそ本当に書くことがありません。今週は、【百雲】関が「勝っちゃった」あの横綱【泡影】涙の黒星の取組が描かれました。そこでの【百雲】関の内面については、簡単に箇条書きでまとめることにします。
 ◆あの時何が起こっていたのか、分からねー。それは誰にも分らねえ。
 ◆脳を強制的に繋がれ浸食されていくような気持ちの悪さ(を感じた)
 ◆矛盾するかもしれないけど、その状態に「圧倒的な心地よさ」も感じた
 ◆すべて事前に考えていた通りの、「数ミリの狂いもない完璧な百雲(オレ)の相撲」ではあった。
 ◆しかし……触れた瞬間理解する圧倒的な力の差、そして俺の取り口が寸分違わず泡影(コイツ)に透けているという不思議な感覚…それを確かめるように…味わうように…ただ…泡影は取組(ソレ)を傍観していた…
 ◆決めようと思えばきっと簡単に…勝ち負けの問題じゃねえ…勝負すらしてもらえなかった…
 ◆ここまで必死に磨き上げてきた俺の相撲が…この男にはその程度のものでしかなかった…
 という状態だったようです。そして、【泡影】はぽつりとつぶやきました。
 「また一つ…知れた…  ここにある全て………そう…お前のような小さな存在も含め全てが内にある…それだ……(そして涙)」
 そのつぶやきを聞いた【百雲】の絶望フェイスがなんとも……まあ、訳が分からんでしょうなあ。わたしも正直、正確にはよく分からんです。
 そしてお客さんや部屋仲間、親方はみんな、横綱に勝った結果に大興奮で賞賛してくれるわけですが、【百雲】は違う………やめろ………やめてくれ……と闇に落ちていくのでありました。そして挙句の果てには、横綱に勝った姿は涙が出るほどうれしかったよ、と言ってくれた愛する綾子ちゃんに「黙れよ!!」とブチ切れです。そう、「この金星で俺が得たものは…圧倒的な敗北感だけだった…」というのが今週のラストシーンでありました。
 はーーー。これはなんというか、難しいすね。ちょっとここで、過去【泡影】と闘って敗れた二人の男を思い出してみましょう。
 まず、バーキこと【蒼希狼】の場合ですが、彼は、良かれと思って実行していた故郷モンゴルへの仕送りが思わぬトラブルを招き親友の死に繋がってしまったことに絶望し、俺は今まで何のために闘ってきたんだクソッタレ!と気合を込めて【泡影】にぶつかっていきました(『鮫島』6巻)。そして【泡影】の強大な光のオーラの前にあっさりはじき返され、ああ、こういう力がないとダメなんだ、俺には何かを変える力なんてなかったんだ……と闇落ちしました。はたから見るとそれは、いわゆる「やさぐれた」ってことになるのでしょうか。まあそう言うのは簡単というかバーキに失礼かもしれませんけど。
 もう一人は同部屋同期の【丈影】ですが、彼の場合は非常に分かりにくい心理です。彼は自分の方が出世が速いのに、おまけに全然不愛想なのに、やたらとみんなの中心にいる【泡影】に対する嫉妬もあったんでしょう、渾身の殺気を込めて部屋の土俵で勝負を挑みます(『鮫島』9巻)。そもそも【丈影】が相撲を取るのは自らのハーフという血のアイデンティティーを確立するためで、いろいろ拘りとか信念があったわけですが、【泡影】のすべてを見通す相撲の前に、そんな思念は邪魔なだけ、あまりにチープだということに気づき、ただただ、無心で当たっていくしかなく、一発だけ、【泡影】を微笑ませた会心の一撃を放つことができたとき、やっと存在を認められたような気がして(=アイデンティの確立)、いつかこの人を倒す、この人の目から消えないために、それだけが我が望み、と土俵に屈しました。しかし以降の【丈影】はどう理解したらいいのかな……【泡影】親衛隊長であり、取組は、いつか【泡影】を倒すためのシミュレーションの場であって勝負の結果にはこだわらなくなった、ということ、だろうか。そして、我らが鯉太郎に、その「いつか」っていつだよバカヤロー!オメーの相手は目の前にいるこの俺だ!という気迫の相撲の前に、かつての熱を取り戻したと、そういうことのようです。
 で。
 一体全体、【百雲】の闇落ちはどう理解すべきなのか、まだわたしには良くわからんです。【泡影】との取組で、何を感じたのかは今週判明しました。とにかく得体のしれない異物感。それに対する恐怖のようなもの。しかし、その後完全に悪役的オーラを漂わせる【ダース百雲】になってしまったのは、単純にバーキのようにやさぐれちまったということなのか、それとももっと、それこそ「奴に勝つためには非情にならねばならん」的な別の意図があるのか……
  まあとにかく、そんな闇落ちした【ダース百雲】とわれらが空流の常がどんな闘いを見せるのか、来週以降の展開も大変楽しみですな。おっと、今週は合併号なので次は2週間後ですのでお間違えないように!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。64連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週は、あの【泡影】の涙の黒星の様子が【百雲】視点で描かれました。【百雲】が感じた圧倒的な異物感。それはこれまでもチョイチョイ描かれてきましたが、はたして常の情熱は【百雲】の残酷な闇を祓えるのか。そして間違いなく今後描かれることになる鯉太郎VS【泡影】戦はどんな戦いになるのか。いや、ほんと『鮫島』は最高ですね! そして新刊が5/8(月)発売ですので、このBlogにたどり着いた方は全員購入は義務として履行されることを願います!以上。

↓わたしはいつも通り、電子と紙の両方を買います。何度読んでも飽きないす。
 

 昨日の朝、行きの電車内で、ひとつ海外翻訳小説を読み終わった。電子書籍なので自動的に記録される読書ログによると、129分での読了。実のところ、これはわたしの読むスピードが速いわけでは決してなく、わたしも、アレッ!? もう終わり! と思うほど、分量的に短い作品で、わたしの読んでいるフォーマットで47W×21L×139Pしかなかったことに、読み終わる直前に気が付いた。
 その作品は、いわゆる「北欧ミステリー」の 『Blod på snø』という作品で、その原語たるノルウェー語の意味は、Blod=blood=血、på=英語のon、 snø=snow=雪だろうから、Blood on snow ということで、「その雪と血を」という日本語タイトルとなって早川ポケットミステリーから発売されている作品である。しかしポケミスはホント高いなあ……この分量で1,500円超か……まあ部数はわたしが想像するよりきっと少ないだろうから、仕方ないか……でもこのページ数だと、ポケミスのフォーマットだと相当薄い本なのではなかろうか……。現物を見てないのでわからんす。
 というわけで、以下、ネタバレに触れずには何も書けないので、気になる方は読まないでください。結末までのネタバレに繋がるかもしれないので。
その雪と血を (ハヤカワ・ミステリ)
ジョー ネスボ
早川書房
2016-10-15

 わたしが本書を買って読んでみようと思った理由は、例によって例のごとく、わたしが愛用している電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERで約半額のコインバックフェアがあった時に、なんかねえかなあ……と渉猟していて、出会ったためで、そのカバーデザインのCOOLさと、あらすじが面白そうだったから、というだけである。結論を言うと、なかなか個性的なキャラで結構面白かった。が、やっぱりちょっと短いというか、短編~中編で、もう少し複雑な展開で読みごたえがあったらなあ、と言う気はした。ただし、逆に言うと、実にストレートかつスピーディーに展開するお話は、これはこれでアリかもな、と言う気もするので、要するに、結構面白かった、という結論に間違いはない。
 物語は、オーラヴという、とある殺し屋(始末屋)の男の一人称語りで、ボスに、どうも浮気をしているらしいボスの若い奥さん(後妻)を殺せ、と命じられたオーラヴが、監視をしているうちに奥さんにちょっと惚れてしまって(?)、命令を無視して浮気相手の男をぶっ殺してしまい、ボスに、奥さんじゃなくて相手をぶっ殺しました、と報告したところ、バカモーーーン!それはわしの息子じゃぞ!と激怒されてさあ大変、というなかなか面白い展開であった。え? 意味が分からない? 要するに、奥さんはボスの息子=義理の息子と浮気してたってことです。
 本書の最大のポイントは、主人公オーラヴというキャラクターで、これがまたかなり変わっているというか興味深い人物で、わたしは最後まで本書を楽しめたのである。
 オーラヴは、最初の方でなぜ現在「始末屋」稼業をしているか、自ら語るのだが、その言葉によると、オーラヴにはできないことが4つあるらしい。曰く――
 1)逃走車の運転はできない
 車の運転はできるが、どうしても、職質を受けないで済む目立たない運転の仕方が分からない、らしい。
 2)強盗ができない
 なぜなら、強盗に遭うという経験をすると人は精神に問題を抱えることになるそうで、そんな罪悪感には耐えられん、らしい。
 3)ドラッグがらみの仕事もできない
 とにかく無理、だって俺は意志薄弱で、依存してしまうもの(宗教・ボス、兄貴タイプの人間、酒にドラッグ)をつい探してしまうし、計算もできないし、そんな俺がドラッグを売ったりツケを取り立てたりしようなんて馬鹿げている、それはもう火を見るより明らか、だそうです。ここは読んでて笑っちゃった。
 4)売春――ポン引きもできない
 女がどんな方法で金を稼ごうと構わないけれど、女に惚れやすいし女に暴力をふるうことも、暴力を振るわている現場を見ることも、どちらも無理、だそうで、かつて配下の売春婦にひどいことをしていた上司たるポン引きを殴り倒したこともある。
 そんなわけで、主人公オーラヴは始末屋と呼ばれる殺し屋稼業をやっている。変な奴だな~と読み始め、最後までオーラヴは変な奴であった。彼の過去としては、母親にDVをかましていたクソ親父をスキーのストックで刺し殺したこともあり、なかなか凄惨な少年時代を過ごしていたようなのだが、ちょっとポイントになるのは、実はオーラヴは結構な読書家で、妙な豆知識に詳しかったりもする。本人は、識字障害があって、本は多少は読むが、知識はろくにない、と語っているけれど、どうしてどうして、やけに博学なのである。このギャップがオーラヴを妙に愛嬌があるというか、興味深い人物にしており、それ故に破滅へ至るわけで、物語の筋道はちょっとおかしくて、その実なかなか悲しい、読者としては少し同情してしまうような物語となっていた。殺し屋なのに。また、主人公の一人称語りという形式は、ちょっと往年のハードボイルド風でもあって、どうにも憎めない雰囲気があって、大変良かったと思う。

 で。著者やこの作品については、あとがきに結構詳しく載っていたので、情報をまとめておこう。
 まず、著者のJo Nesbø氏だが、ノルウェー国内ではなかなかのベストセラー作家らしいですな。おまけにロックバントを率いるボーカリスト兼ソングライターでもあるんですって。へえ~。どうも、もう10冊ぐらい出版されている有名な刑事ものシリーズが一つと(その中の7作目が今度ハリウッド映画化もされるみたい。しかもMichael Fassbender氏主演!)、幾つかの単発モノを書いていて、本国ノルウェーではかなり人気者らしい。日本語訳も、集英社文庫や講談社文庫辺りでぽつぽつ出ているみたい……だけど、ダメだこりゃ。今年出た作品以外はどうやらことごとく「品切れ重版未定」という名の絶版ぽいな……amazonに在庫がないだけか、ちょっと分からんな……あ! なんだ、今年発売の本のプロモーションで来日もしてたみたいだな。へえ~。でもその本、日本発売は今年の2月だけど、本国では2003年発売、14年前だぞ……集英社も良く呼べたもんだ。著者本人のWebサイトFacebookではかなりプロモーション関連は熱心に告知しているようだけれど、来日の件は全く触れられてないな……。今さら過ぎたのだろうか。
 ところで、ちょっと面白いのが、本書『その雪と血を』が生まれるきっかけだ。どうやら本書は、作家を主人公としたとある作品があって(※その作品はまだ刊行されてない)、その作品の中でその主人公が書いた作品、という設定らしいんだな。だから短いのかもしれない。なので、本書はそのキャラの名前で出版しようと思ったんだけど、どうやら弁護士にそれはダメ、と言われたそうで、結局自分名義での出版になったらしい。へえ~。面白ですな、作者自身も。

 というわけで、もう結論。
 ふとしたきっかけで買って読んでみた、ノルウェーの小説『Blod på snø』(英題「Blood on Snow」邦題「その雪と血を」)は非常に短いが展開によどみがなく一直線で結構面白かった。そのキモは主人公たるオーラヴというキャラにあり、短いながらも大変楽しめました。しかし著者のJo Nesbø氏もなかなか面白そうな方ですな。シリーズの途中の巻を読んで面白いのかわからないけれど、ちょっと興味が出てきたっす。以上。

↓ これが日本語で読める新刊、だけど、これ、本国では2003年刊行のシリーズ5作目みたい。うーん……。
悪魔の星 上 (集英社文庫)
ジョー ネスボ
集英社
2017-02-17

悪魔の星 下 (集英社文庫)
ジョー ネスボ
集英社
2017-02-17

 電撃文庫というレーベルは、間違いなく今もライトノベル界の王者でありナンバーワンレーベルであろうと思うが、いまだ、電子書籍に関しては「紙の書籍の1か月後」の発売を堅持しており、今イチそのポリシーは納得できないが、まあ、ある意味ルールとして明確ではあるし、街の本屋さんの味方ですよアピールも理解はできるので、受け入れざるを得ない。きっと電子書籍を享受している編集者が編集部にいないんだろうな、と想像する。
 しかし結果として、毎年2月に発売される「電撃小説大賞受賞作品」も、電子書籍では3月の発売で、そう遅れてしまうとわたしもなんか、次のコインバックフェアの時でいいや、という気持ちになり、安くなるのを待てばいいやリスト入りとなってしまう。 待てば必ず電子化される以上、もはや紙の本を買う気にならないので。
 というわけで、今年の2月に発売になった、今回の第23回電撃小説大賞で「大賞」を受賞した『86―エイティシックス―』という作品をつい先日やっと買って読んだわたしである。
86―エイティシックス―<86―エイティシックス―> (電撃文庫)
安里 アサト
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2017-04-09

 わたしの印象では、たとえ王者電撃文庫とはいえ、「電撃小説大賞」を受賞した作品が常に面白いかというと、実際そうでもなく、なんでこれが受賞したんだと思うこともある。しかし、少なくともグランプリである「大賞」受賞作品はさすがにレベルが高く、面白い作品がそろっているように思う。
 で。今回の「大賞」受賞作品『86―エイティシックス―』だが……結論から言うと、どうもテンプレ的な、どっかで聞いたような読んだような、という印象がぬぐい切れず、わたしとしてはそれほど賞賛すべきポイントは見当たらなかった。ただ構成としてきっちりまとまっているし、最後まで読ませる力は十分以上に備えているので、優等生的作品ではあると思う。
 物語は、ここではないどこかのお話で、帝政を敷く外国からの侵攻を受けた「共和制」の民主国家が、「民主的な意思決定」プロセスを経てとある人種を「優勢人種」であると定め、その人種以外の「劣等人種」と定めた人々を徹底的に差別迫害し、人権を剥奪して帝政勢力と戦わせる兵士として使い捨てにするお話である。
 なかなか突っ込みどころの多い基本設定だが、まあ、それをあげつらってもしかたあるまい。たぶん、政体としての共和国とその現状、エイティシックスと呼ばれる被差別民の人口動態や開戦からの時間経過(たった9年なのかもう9年なのか、人口や状況の推移などから非常に何とも言えない微妙な時間経過)など、かなりの点で設定が甘い。相当あり得ないというか、おかしい点はいっぱいある。
 しかし、わたしをして最後まで読ませたのは、やはりキャラクターであろうと思う。冒頭に書いた通り、ズバリ言えばキャラクターもどこかでみたような、テンプレ設定ではある。しかし、きちんと生きているように感じさせるのは、なんだろうな、キャラクターがぶれないのと、必死な生きざまをみせてくれること、であろうか。主人公とヒロインは、次のようなキャラクターであった。
 ◆シン
 被差別民であるエイティシックスの少年で主人公。機動兵器M1A4ジャガーノートを駆る軍人で戦隊長。ちなみにライトノベルの世界で極めて頻繁に見かけるように、本作でもやたらとドイツ語もどきの固有名詞が多く登場するが(カタカナでルビがふられていても、もう元のドイツ語が想像できない場合が多い)、なぜか主人公機は英語。しかもM1A4って……完全にM1A1エイブラムス戦車だよな……。で、シンはどうもニュータイプのような謎の異能力を備えていて、文字通り鬼神の大活躍。亡くした兄とのとある出来事から、感情を亡くした的なクールな男。まだ16歳だかそこらの若者。コールサインは「アンダーテイカー(葬儀屋)」。
 ◆レーナ
 共和国軍人で16歳にして少佐。本作のヒロイン。当然美少女。とにかく共和国内では完全に人々は享楽にふけり堕落しているという描写(とりわけ軍がひどく、それゆえ16歳でも少佐に。もちろん生まれがいいという点もあるけど)だが、きちんと産業は機能しているようで科学技術も発達している。まじめに働いている人もいっぱいいるんでしょうな。レーナも、堕落した共和国ではド真面目で例を見ないほどエイティシックスに対して同情を持っているが、所詮はお嬢様育ちの上から目線の同情であることに途中でちゃんと気が付く。

 まあ、こんな二人が上官と部下という形で出会い、戦いの中で絆を深めていくお話だが、本作で描かれる戦争は、完全に安全な塀の中である共和国から、謎技術を使った遠隔通信装置を使って、塀の外である戦場にいる兵士たちを管制して戦わせるもので、主人公とヒロインはお互いに顔を合わせることはない。なんかそんな点はどことなく『ほしのこえ』的な印象も受けた。また、敵勢力たる帝国も、無人戦闘マシーンによる侵攻で、一切人間は出てこない。ターミネーター的終末世界観も漂わせている。感覚的には『ターミネーター4』に近いすね。
 応募作品ということで、この1作できっちり完結している点は、実際見事だといえるだろう。逆に、この後、変な続編を書かれてもその方が違和感があるような気すらする。まあ、物語としては美しくまとまっており、その点はわたしは大いに評価したい。

 というわけで、もう書くことがないのでさっさと結論。
 今年の電撃小説大賞<大賞>受賞作である『86―エイティシックス―』という作品をやっと読んでみたところ、まとまりは非常に良く、読み易さも評価すべき作品であったが、内容的にはどこかテンプレに過ぎており、オリジナリティという点においてはそれほど評価すべき作品ではなかった。しかし、テンプレとはいえ、描かれたキャラクターたちの息遣いは生々しく、きちんと生きたキャラクターであって、作者オリジナルと明言してもよかろうと思う。超面白かったとは思わないが、きちんと最後まで書ききった作者の努力は並ではなく、称賛したいと思う。もしわたしが選考側だったとしたら、三次選考以上には上げたと思います。以上。

↓ やっぱりわたしとしては、電撃小説大賞の過去最高傑作はこれでしょうな。永遠にこの作品を超える応募作は出ないんじゃないかしら……。
ブギーポップは笑わない<ブギーポップ> (電撃文庫)
上遠野 浩平
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2015-01-10

 

 というわけで、月曜日は恒例の週末映画興行データをまとめます。
 ――が、先週は大きく読み間違えて、大変自分にがっかりしたので、もう1年以上続けているけど、そろそろ辞めようかな……と言う気にもなってきました。まあ、自分用記録なので、何らかの形でデータは残しておかないとイカンのだが、別にBlog記事にしなくてもいいか……と、超今さら根本的な疑問というか意義?について、かなりアレな気分です。ま、とりあえず今週も計算してみるかな……
 さて。今週末はわたしは『美女と野獣』と『Deepwater Horizon』(邦題バーニング・オーシャン)の2本を観て来ました。『野獣』は初日金曜の夜の日本橋TOHOでしたが、結構混んでいました。30代ほど?の一人女子客というお姉さんたちがやけに多かったのが印象的です。 『Deepwater Horizon』は土曜昼の船橋ららぽーとTOHOへ。こちらは50代以上のおっさんおばさんばっかりでした。
 というわけで、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめるとします。
 1位:『美女と野獣』が公開土日で10.6億、金曜公開分含めて13.7億だそうです。動員数が72.9万人だそうで、割って単価を求めると1,461円になる。これは比較的高いすね。3D稼働もいいってことなのかな。でも、頼むから3D字幕を増やしてほしい……IMAXしかないんだもんな……。わたしは全然根拠なく、『シンデレラ』や『マレフィセント』よりは上だろうな、と思っていたけれど、初動としてはそれらよりもぜんぜん上の数字になりました。『アリス』クラスの100億越えもありうるのか、さっぱり見通しはつかないす。
 2位:『名探偵コナン から紅の恋歌』が9日間で25~26億ぐらいと見積もる。そのココロは、先週末で12.8億+この週末で7.4億+平日5~6億、という計算ですが、平日はまだ1週目なのでもっと稼いだかも? 去年は2週目で25億を超えていたので今年は26億をもう超えているのかも……。
 3位:『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』が9日間で6~7億ぐらいと見積もる。先週末で3.3億+今週末2億+平日1~1.5億とかそんな計算です。でも平日はもっと載せてそうな予感。
 4位:『3月のライオン【後編】』が公開土日で1.2億だそうで、苦戦した【前編】を考えると、当然【後編】も厳しいでしょうな。残念す……。
 5位:『SING/シング』が38日間合計で45~46億ぐらいなのでしょうか? 先週末時点で42.8億だったそうなので、そのぐらいと見積もりましたが、果たして正解はどのくらいだろうか……。
 6位:『モアナと伝説の海』が44日間合計で47~48億ぐらいと見積もる。先週末時点で45.6億だったそうで、そのあたりと計算しました。50億は……届く……よね?まさか微妙なのかな!?
 7位:『バーニング・オーシャン』が公開土日で1億行ったかどうかレベルなのだろうか? 4位で1.2億だから、届いてないのかな……厳しい数字だなあ……でも上映館が少ないか? いやいや、240ちょいはあるな。こういう映画、会社員は見ておいた方がいいと思うけどなあ……。残念です。どうでもいいけど、邦題が微妙すぎるような気が……。
 8位:『ゴースト・イン・ザ・シェル』が17日間合計で8~9置くほどだろうか。10億超えてないと思うけど超えてたらホントすみません。
 9位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が51日間合計で42~43億ぐらいでしょうか。あと1週ぐらいでそろそろ終息ですな。
  10位 :「劇場版Free!」が公開土日で数千万、てとこなんでしょう。大きなお姉さんたちに大人気の京アニアニメすね。しかし一番最初のTVアニメが2013年だから、もう4年か。息の長い人気を維持できるのは流石ですなあ。
 
 とまあこんな週末TOP10でありました。
 というわけで、今週はさっさと結論。
 今週末は世界中で大ヒット中の『美女と野獣』が公開になり、金曜日からの3日間で13億超の素晴らしい数字での立ち上がりとなりました。最終的にどのぐらいまd伸びるのか楽しみですな。GW効果も十分あるでしょうし。わたしとしては、字幕と吹き替えの割合が知りたいですね。どんなものなんだろうか。半分以上は吹替なのかなあ。字幕でまずは見てもらいたいなあ……Emmaちゃんの歌は大変良かったと思います。以上。 

 わたしが宝塚歌劇を観るようになって早七年。その間、多くのTOPスターが卒業したり誕生したり、あるいは、贔屓のスターが別の組に移動になったり、と非常に人材の流動化が活発なのだが、先日、わたしが現在の娘役で一番好きな、実咲凛音さん(みさき りおん:通称みりおん)が卒業を発表された。舞台メイクでない素顔のみりおんは正統派の美人でとてもかわいい方だが、前公演の『エリザベート』ではタイトルロールを見事に演じ、TOP娘役歴4年10か月をこの4月末で終えようとしている。
 そんな、みりおんの最後の公演である『王妃の館/VIVA! FESTA!』が現在東京宝塚劇場で絶賛上演中であり、わたしも今日、日比谷に駆け付け、みりおんの最後の雄姿を目に焼き付けてきたのである。結論から言うと、ミュージカルの『王妃の館』は笑えるコメディでありつつほろりとさせる作品であり、ショーの『VIVA! FESTA!』は超ノリノリの歌って踊って大騒ぎな、キラッキラな素晴らしいショーであった。

 まず、ミュージカル『王妃の館』である。かの浅田次郎先生の小説を原作とした、めずらしく現代日本人が主人公のコメディである。みりおん扮するとある旅行会社の女社長兼添乗員の女子が、資金繰りの悪化から、フランスの「王妃の館」と呼ばれる古城ホテルツアーを、一方ではかなり料金の高めのセレブ向けツアー、もう一方は格安ツアーと二種類企画する。その企画は、実はダブルブッキングで、金持ちを夜泊まらせ、その間格安ツアー客は夜のパリを観光行させる、そして昼は格安ツアーの客を古城ホテルに滞在させ、セレブツアー客は観光させるというアクロバティックなインチキ企画で、まあ当然破たんするのだが、問題は一癖も二癖もあるツアー客で、セレブツアーには、取材旅行と称して参加している有名小説家がいて、おまけに「王妃の館」には、なんと太陽王ルイ14世の亡霊まで現れて……てなドタバタコメディーであった。
 どうやら、ちゃんと原作小説を読んだヅカ友のお姉さま曰く、だいぶ小説とは話が変わっているらしいが、小説も面白かったし、ミュージカルも面白かったと言っていたので、まあアリなんだろうと思う。わたしは小説を読んでいないが、実際大変笑えてほろりとさせる展開に、最後まで大変楽しめた。
 小説家を演じたのが、現在の宙組TOPスター朝夏まなとさん(通称まぁ様)だが、わたしはよく考えるとまぁ様がコメディを演じるのを初めて観たような気がする。しかし初めてとは思えぬコメディエンヌぶりで、大変上手かつ面白かったのはさすがと言えよう。いやはや、ホント久しぶりにかなり笑いました。せりふ回しといい、いちいち細かい手や足の面白アクションといい、わたしは大満足である。さすがまぁ様ですよ。歌もホント、うまさが作品ごとに磨きがかかってますな。
 そして、ルイ14世の亡霊(ただし普通に誰にでも見えるというか実体化?してる)を演じたのが、わたしイチオシの星組からもう2年前か、宙組へ移動になって2番手スターとして成長著しい真風涼帆さん(通称ゆりかちゃん)だ。ゆりかちゃんは抜群のルックスを持つが、かつては歌がちょっと……とわたしは思っていたけれど、前回の『エリザベート』で皇帝フランツ・ヨーゼフを堂々と演じた事も効いたんだろうな。今回も非常に歌もよかったです。やっぱりゆりかちゃんも、作品を重ねることでどんどん歌が上達していてうれしいすね。コメディの中に、ド真面目なルイ14世というギャップがまた笑えるわけですが、しんみりとさせるかつての悲恋なんかも物語の中で担当しているわけで、大変難しい役だったとも言えると思うけれど、大変すばらしかったと称賛したいと思います。
 そしてみりおんも、インチキ旅行会社のしゃかりきツアーガイド役を大変好演していたと思う。ある意味ちょっと特徴が薄い普通の日本人役って、初めてじゃなかろうか。おまけに、みりおんもコメディができたんだね。まあそりゃ当たり前か。歌もとても良かったよ。
 そのほか、まだいっぱい素晴らしい芝居を見せてくれた方々が多いけれど、あと二人だけ、メモしておこう。まずはインチキ旅行社のもう一人の社員で、格安ツアーを担当する添乗員を演じた桜木みなとさん(通称ずんちゃん)。今回はずっと困ってる役をとてもコミカルに演じていて印象的でしたね。なんかやけに背が低く見えたのはなぜなんだろう?一応プロフィールでは170㎝あるはずなんだが、妙に小さく見えたのはわたしだけだろうか? なぜなんだろ。ソロ曲はなかったかな……もうちょい歌があるとよかったんだけど、役としては大変目立ってましたな。そしてもう一人は、格安ツアー参加客の、オカマを演じた蒼羽りく(通称りくちゃん)さんだ。男役の宝塚スターが、たまに女子役を演じると、そのやけに高い身長と低い声からオカマめいているとよく言われますが、今回はホントのオカマ役で、これがキャラ的に大変笑えました。もちろん、りくちゃんは確かに身長173㎝のカッコいい男役スターだけれど、素顔のりくちゃんはかなり美人というか普通にかわいい女子なので、男のわたしから見ると、今回はオカマどころか立派な女子ですよ、やっぱり。ものすごくスタイルもいいし、断然アリすね。りくちゃんもちょっと歌が少ないのが残念だったかなあ。まあ、それでも女子姿は大変極上でありました。
 で。後半のショー、『VIVA!FESTA!』である。宙組のショーは、大劇場公演としてはあの「ホッタイ」以来かしら?
vivafesta
 タイトル通り、世界のお祭り=FESTAをモチーフとした今回のショーは、冒頭に書いた通り、もうノリノリのキラッキラなとても楽しめるショーで、客席降りも2回あるし、場内もうみんな笑顔であったと思う。
 そして、やっぱりまぁ様の歌はいいし、ダンスも大きい体を生かしたキレのあるダンスで見ごたえ十分であったと思う。ゆりかちゃんもホント歌がうまくなってうれしいすね。そして、まぁ様とみりおんのデュエットダンスは、みりおんは純白のドレスで、そりゃあもう輝いてましたよ。ホント、これでもう、みりおんに会えないのかと思うとホント淋しいす……素顔のみりおんはホント美人だと思う。わたしの好みにジャストミートな、和美人ですよ。どうか卒業後も、その歌と美貌に会えることを心から願ってます。どうだろう、芸能活動はしないのかなあ……ミュージカルを中心に、卒業後もその姿を見せてほしいなあ……。
 実は、まぁ様も、次の公演で卒業することをつい先日発表したのだが、以前書いた通り、わたしはまぁ様の会見での言葉はとても男前だと思った。一緒に退団してしまうとどうしても自分がメインになってしまうわけで、先にみりおんを全力で見送ってから、すぐに自分も卒業するわけで、おまけに自らの最後の卒業公演は、TOP娘を置かずにやるなんて……。要するに、みりおんが去ったあと、誰か別のパートナーを求めず、オレは一人で、そしてすぐに逝くよ……的な決断は大変カッコいいじゃないか!とわたしのまぁ様に対する評価は急上昇しました。
 帰ってきてからも、いまだ「ビーバビバビバフェースター~♪」が耳から離れないすね。YOSAKOIソーランも盛り上がりましたな。そーらんそーらんそーらんそらぐみ!ですよ。最高です! そういや銀橋でのロケット(=ラインダンス)って初めて観たような気がする。より近くて迫力がありますな。落っこちないか心配になったほどすね。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「いつか書けるかな……誰かに希望を与える、僕の物語」
 「ええ!わたしのように人生に迷う誰かのために」
 今回は、わがままでテキトーな男、とルイを怒らせてしまったまぁ様演じる作家が、自信を無くして、一曲歌った後にぽつりとつぶやく素直な感情と、それに応えるみりおん演じるツアーガイドのやり取りからの抜粋です。コメディなんだけど、意外と真面目な部分もある、大変楽しい作品でありました。

 というわけで、結論。
 現在東京にて上演中の宙組公演『王妃の館/VIVA!FESTA!』を観てきた。娘役TOPのみりおんの卒業公演となる本作は、宙組としては珍しく(?)笑えるコメディと、お祭りをモチーフとした超ノリノリのショーの2本立てで、わたしは大変楽しめた。つーか、とにかくわたしはみりおんが卒業してしまうことが本当に淋しい……どうか卒業後も、活躍してほしいと心から願うばかりだ。そして、一方のまぁ様も、次で卒業してしまうわけで、これまた大変淋しい限りだ。素顔のまぁ様は、きっと髪を伸ばしたり女子化が進むと、かなりの美人になるような気がする。まぁ様も、卒業までまだ時間があるけれど、最後まで応援しますよ! コンサートも行くからね。楽しみにしてます。以上。

↓ こちらが原作小説ですな。下の画像は映画版のカバーですな。現在本屋さんでは、今回の宝塚版のカバーになってます。

 ↓その映画がこちら。わたしは観てません。主役は水谷豊氏です。なんかピッタリかもね。
王妃の館 [DVD]
水谷豊
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
2015-10-07
 

 2010年に起きた「メキシコ湾原油流出事故」は、油まみれの海鳥の写真とともに全世界に報道され、いまだにわれわれ日本人の記憶にも残る大事故であろうと思う。われわれ日本人は、その後、東日本大震災に続く福島第1原発の壮絶な事故をテレビ画面を通して目撃してしまったわけだが、人間はとにかく地球をぶっ壊すことに余念のない生物である、と、将来どこかの宇宙人が言い出したら、残念ながら反論はできないのではなかろうか。
 というわけで、今日わたしが映画館で観てきた映画『Deepwater Horizon』(邦題:バーニング・オーシャン)という作品は、その2010年メキシコ湾原油流出事故の発生にいたる経緯を描いた実話ベースの物語であった。11名の人命が喪われた壮絶な事故であり、大変緊張感の高い作品であった。

 このような「Based on True Event」の映画の時はいつも書いているような気がするが、当然映画であって、描かれていることを100%鵜呑みにすることはできない、と承知してはいるものの、司法の手による捜査もほぼ終わっており(?)、結論としてはこの事故は、完全なる「人災」であることは間違いないようだ。しかし、はっきり言うと、犯人探しをしても、もはやどうしようもない。明確に「人災」である以上、この事故に対する責任を負うべき人物は存在しているわけだが、そいつを牢屋にぶち込もうと、失われたものは決して取り返すことはできない。ゆえに、我々としては、このような映画を観てできることは、「同じ過ちは繰り返すまい」と心に刻むことだけだろうと思う。
 もう、さんざんこの事件について報道されているように、この事故の責任は原油採掘基地「Deepwater Horizon」の保有者(?)であり運営者である(※追記:どうやらDeepwater Horizon自体はトランスオーシャン社(=主人公の所属する会社)のものらしい)、油田開発を実施・管理するイギリス企業、BP社にあろう。British Petroleum=イギリス石油、という社名を持つスーパー大企業でありモータースポーツが好きな人ならそのロゴマークは誰でも知っている、あのBPである。わたしはこの映画を観て、初めて知ったというか、そりゃ言われてみればそりゃそうか、と思ったのは、「Deepwater Horizon」で働く現場の皆さんは、みんな下請けの人間で、BPの人間はほとんどいないんすね。確かに。それは超ありうる。たいていの大規模開発の建築現場でも、仕切りはゼネコンでも、現場にゼネコン社員なんてほとんどいないだろうし、それと同じだよな、と改めて気が付いた。
 なので、この映画で描かれるヒーロー的活躍をする主人公や現場主任は、BPの人間ではなく、遅れている作業に業を煮やした(?)BP幹部が、現場の意見を無視して(一応、しぶしぶではあるけれど「同意」は明確にしたので、正確には無視してない)作業を指示したことで起きた大事故、と描かれていて、それはきっと事実なんだろうけれど、そんな、現場にやってきたBP幹部を悪人的に描いてもしょうがないというか、そりゃフェアじゃないんじゃないかしら、という気はした。そんな木っ端端末なんぞよりも、悪党はもっと奥にいるはずだ。現場になんて出てこないで、事業戦略を練るような中枢の、たっけえ給料をもらってる連中が決めた事業方針が、この事故を起こしたといって過言ではないのだろうと思う。
 ただし、それももはや結果論であって、おそらくは「大企業」と呼ばれる会社なら、事の大小はあっても、確実に起こりうるものだと思う。とりわけ上場企業の場合は、どんなきれいごとを並べても、究極的には利益の追求こそが至上命題というか義務であり、コスト削減は当然なのだから、本作で描かれたような、巨額の投資による事業が、なかなか進展しなければ、当然イライラもする。そして現場に派遣された幹部は、その問題解決が義務になる。何が問題で遅れているのか。その調査にまた時間(=金)がかかるわけで、残念ながらドツボにはまるわけだが、最終的な判断を人間がする以上、まず間違いなく、「まさかこんなことになるなんて」というミスが起こることは、もはや防ぎようがない。
 よって、責めるとしたら、そのリスク回避のバックアッププラン、事故発生時の対処法がなかった点にあるとわたしには思えた。いわゆる「想定外」ってやつだ。そして、その「想定」は、残念ながらどんどんと膨らんでいくばかりであり、企業としてはある一定の、ここまでは想定した、という線引きをせざるを得ない。たぶん、福島第1と決定的に違う点があるとしたら、この線引きのラインがやけに低かったこと、そして、人間による判断の甘さが事故の直接原因であろうということだ。
 本作で直接の原因として描かれるのは、パイプ内の圧力計の数値の解釈がマズかったという点で、その背景にあるのは、遅れている工期を何とかしたい=コスト削減、である。しかし、その判断がマズかったとしても、一気に大事故へつながる前のセーフティーネットはもっと何重にもあるべきだったんだろう。はっきり言って判断ミスなんて、絶対に起こりうるんだから。ま、それでも、人間は信用できん、とか言って、いろいろシステム化して、また無駄に金がかかったり、そのシステムもまた信用できない、みたいな無限ループになるんだろうけど、とにかく、「動いているものを完全に止める」手段は、何重にも用意しとかないとだめってことなんでしょうな。
 なんか書いてることも無限ループになってきたからこの辺にしておこう。
 ところで、わたしがこの映画で、へええ!? そうなんだ? と思ったことがもう2つあったのでメモしておこう。
 ◆実は「船」。
 石油採掘基地Deepwater Horizonは、わたしはてっきり、しっかり海底に固定された「建造物」なのかと思っていたが、実は「船」であった。ちゃんとスクリューとかある(=エンジンがついている)し、航行できる「船」なんすね。しかし考えてみれば当たり前で、あくまで「油田を発見するため」のものであり、空振りならば、はい次~と移動しなきゃいかんわけで、「船」といわれて、ああ、そうなんだ、つーか、そりゃそうだ、と納得である。
 ◆原油は汲み出すものじゃない=ポンプはいらない。
 これは冒頭で、主人公が自分の子供に説明する形で描写されるのだが、原油って、「汲み出す」ものじゃないんですね。つまりポンプなんていらないらしい。これも考えてみれば、ああ、そりゃそうだ、なのだが、要するに地下にある原油は、常に「超高圧」にさらされているので、穴をあけると噴き出すものらしい。なるほどである。そりゃそうだ。自分の上に、海や地面という超重量物が乗っかってるんだから、そりゃ圧力かかってるよ。これって常識なんだろうか? わたしは言われなければ全然気が付かなかったす。温泉なんかも同じなんだろうか??
 
 はー。もう長くなってきたので、最後にキャストと監督について触れて終わりにしよう。まず、主人公の下請け技術者(=油田探索のプロ)を演じたのが、サル顔でおなじみのMark Wahlberg氏。正直この人の見せ場は、事故発生後の避難の際の英雄的行動だけです。なお、本作はエンドクレジットで、実際の事件の裁判(?)シーンで、役の元となった本人が何人か出てきます。本物の彼は、事故後退職してテキサス住まいだそうです。あ、あと彼の奥さん役をKate Hudson嬢が演じてました。なんかいつもよりかわいく見えたのはなぜなんだ。大変お綺麗な美人ですな。
 次は、良心ある下請けの現場主任を演じたのが大ベテランKurt Russell氏。来月公開の『Gurdians of the Galaxy Vol.2』ではスターロードのお父さん役で登場するらしいすね。大変楽しみですが、本作でもやけに渋くカッコよかったす。彼に元になった人は、現在もなお同じ仕事をしているそうです。
 次。上に貼った予告でも登場する、ドリルオペレーター?の若者(最初にやっべえ!と気づく若者)を演じたのが、『THE MAZE RUNNER』シリーズの主役でおなじみのDylan O'Brien君25歳。このさわやかイケメンは顔に特徴があるのですぐわかりますな。助かってよかったよ。
 次。BPから派遣されてきた今回の悪役的ポジションとなった男を演じたのが、こちらも大ベテランのJohn Malkovich氏。まああの判断はまずかったな、どう考えても。ちなみにもとになった人は、故殺罪で起訴されたそうですが、のちに起訴取り下げとなったそうですよ。どういういきさつかはわからないけど。
 最後。監督は、Wahlberg氏とは前作『LONE SURVIVER』からの付き合いとなるPeter Berg氏。この人の作品は、結構私は好きかもしれない。独特のキレというか、いつも音響もいいし、非常に緊張感の高い作品をとる人だと思う。まあ、世間的には珍作扱いされてしまった『Battle Ship』も、わたしは嫌いではありません。この人は役者としても結構出てるんだよな。なかなかの才能あふれたお人ですな。

 というわけで、結論。
 2010年メキシコ湾重油流出事故を描いた『Deepwater Horizon』を観てきたわけだが、まあ非常に凄惨な事故が、ほんのちょっとしたこと、ともいえるようなミスが原因だったということはよくわかった。冒頭に書いた通り、もう犯人捜しは無益なので、こういう作品を観て、やっぱり「2度とこういうことを起こさない」ための教訓とするほかないと思う。これって、こんな大事故だけでなく、生活のあらゆるところでも当てはまることでしょうな。慎重になりすぎてもしょうがないけれど、常に安全第一で、万一のセーフティーは、生きる上でいくつあっても用意しすぎってことはない、とまあ、そういうことですな。しかし、どうでもいいけど「バーニング・オーシャン」って邦題は……必要だったのかなあ……ディープウォーター・ホライゾンじゃなぜ駄目だったんだろうか……。以上。

↓Mark Wahlberg氏&Peter Berg監督タッグの次回作はこの作品ですな。6月9日(金)公開。間違いなく観に行くと思います。

予告編はこちら。わたしの大好きなKevin Bacon氏が超シブイす。
 

 アニメ版が日本で公開されたのは1992年9月とWikiに書いてあるが、そうか、もう25年も前なのか……と、なんというか唖然としたわたしである。あの頃わたしは二十歳そこそこ。この映画、映画館で観て、ビデオで見て、ともう何回見ただろう。そんなわたしなので、あの思い出の『美女と野獣』が最新CG技術を駆使した実写版として帰ってくる! おまけに主人公ベルを、ハーマイオニーでおなじみのEmma Watsonちゃんが演じる! というニュースを聞いて、おおっとマジか!と、やおら興奮していたわけで、今日初日を迎えた『BEAUTY AND THE BEAST』を、わたしは会社帰りに早速観てきた。一人で。
 まず結論から言うと、ほぼアニメ版通りである。一部細かい違いはあるが(とりわけお父さんとガストンがだいぶ違う印象)、歌はそのままと思ってよさそうだ。逆に、アニメ版は90分ぐらいと短いのだが、今回は129分ともっと長くなっていて、その分いろいろな部分がアップグレードされていて、歌も増えているような気がするし、役者陣の熱演もとても素晴らしかった。なんか結構の歌占有率が高まってたような気がしますね。要するに、わたしはすっかり魅了されてきたわけである。大変大変楽しめました。

 まあ、もう物語の説明はいらないだろう。自業自得とはいえ、呪いによって野獣の姿に変えられてしまった王子様が、ベルという女子との出会いによって、真実の愛に目覚め、人間の姿を取り戻すお話である。はっきり言って、現代に生きる我々が、超客観的にこの物語を見聞すると、かなり突っ込みどころは多い。また、そりゃねえべ、と言いたくなるような展開であることも、認めざるを得ないだろう。
 だけどですね、いいんですよ、そんなことは。
 いつもどうでもいい文句ばっかり言っているわたしが、そんなことをいうのも非常にアレですが、そんな現実的な突っ込みをして、ドヤ顔してる野郎がもし身近にいたら、そんな時は「あはは、そうだね~」とでもテキトーな相槌を打って、二度とそいつに近づかない方がいいと思う。そういう手合いは、ほぼ間違いなく、つまらん男だと思います。
 この映画は、美女と野獣の二人を眺め、その歌にうっとりし、作品世界に浸るのが正しい姿だとわたしは思う。とにかく各キャラクターがとてもいいんだな。というわけで、今回はキャラまとめをしておこうと思う。なお、わたしは初回としては当然字幕版で観た。だって、Emmaちゃんの歌声を聞かなきゃ、意味ないっショ。しかしながら、近年のディズニー作品は、日本語吹き替えにも力が入っており、今回も野獣をミュージカル界のプリンスの一人、山崎育三郎氏が担当する気合の入れようなので、わたしはこのBlogで何度も書いている通り、ミュージカルが大好きな男としては、日本語版も観たいと思っている。さてと。それじゃまとめてみるか。
 ◆ベル
 主人公の女子。読書が大好きで、村では「変わり者」だと思われている。村でお父さんと二人暮らし。アニメ版ではそのあたりの説明はほぼないが、今回はお母さんを幼少期に無くしていて、当時パリに住んでいたことも明かされた。パリに行ってみたいとずっと思っている。もちろん美人。今回ベルを演じたのは前述のとおりEmma Watsonちゃん。うおっと!マジか!もう27歳だって。なんてこった……あのハーマイオニーがアラサー女子か……。今回は歌が多いのだが、はっきり言って、超うまい、というレベルではない、けれど、超頑張っているというか、全く問題なしの歌唱力であった。実際素晴らしかったと思う。今回、ベルが野獣の城に囚われる理由も明確だったのが新鮮。アニメ版とちょっと違ってました。おまけに脱走しようとしたり、意外とアクティブ。そういうシーンってアニメ版にあったっけ? まあとにかく、はじける笑顔が最高ですよ。
  ◆野獣
 元々は、贅沢三昧のお坊ちゃんだったが、城にやってきた老婆を冷たくあしらったことで、その老婆=魔女の怒りを買ってしまい、呪いにかけられる(※ここで無粋なツッコミは禁止です)。アニメ版では四足歩行するシーンもあったような気がするけど、今回はずっと立ってましたな。とにかく、野獣の毛の質感が凄く、非常にモフモフ感があって素晴らしい出来栄えです。そう、野獣をはじめとして、お城なんかもどこまでがセットでどこまでCGなんだかもうさっぱり区別がつかないさすがのDISNEYクオリティが半端ない。野獣もあれはほぼCGだよな? 実物なのかな?? さっぱりわからんけれど、顔の毛の質感はすごいし、あと、わたしは猫の鼻が大好きで、毎日我が家の宇宙一可愛いお猫様の冷たくしっとりした鼻をぐりぐりと頬擦りする変態なんですが、今回の野獣の鼻も、超触りたくなるような、実にネコ科系の鼻でした。そして、演じたのはDan Stevens氏。正直わたしはよく知らない人で、どうやらわたしが観たことのある作品は、偶然両方ともこのBlogでレビューを書いた『誘拐の掟』『靴職人と魔法のミシン』の2本だけでした。この人も、歌はそれほど超うまい、というわけではないけれど、それでもやっぱり大変よかったと思う。人間化した時のイケメンぶりはなかなかでした。
 ◆ガストン
 村のイケメン。アニメ版ではなんか狩人的な乱暴者のような感じだったけれど、今回は従軍経験ありのもうちょいスマートなイケメンでした。演じたのがLuke Evans氏なのですが、まあカッコいいすね。アニメ版では最初からかなり悪党感があったけれど、今回は登場時はさわやかイケメンでそれほど悪党ではなかったのに、なんか途中から急にブチ切れたり、ちょっと変わってましたね。なお、Luke氏は、わたし的には今回歌が一番うまかったような気がします。なかなかの美声で、非常にカッコよかったす。歌は。ちなみにLuke氏はLGBTの方で、カミングアウト済みなのは有名だと思うのだが、今回は、手下のル・フウというキャラがやけにガストン大好き的な空気を出していて、はっきり言ってちょっとアレだと思った。その設定は別に必要なかったのでは……。ま、メリケン国は差別してませんアピールが必要な国だからな……。ちなみに、そのル・フウを演じたのは、Josh Gad氏で、彼は『アナ雪』のオラフの声でおなじみですな。
 ◆モーリス
 ベルのお父さん。アニメ版では村の発明家で変わり者、的なキャラだったと思うが、今回は、ありゃなんだろう……美術工芸職人かな、オルゴールを製作(修理)したり、絵も描いたり、みたいな人になってました。さらに今回は、その品を納品するために旅に出たときに野獣の城に迷い込み、帰りに薔薇をベルのために買ってくる約束をしてたことを思い出して、城の庭に咲く薔薇を摘んでしまい、野獣に泥棒野郎め!と囚われることに。演じたのはベテランのKevin Kline氏。この人の作品はいっぱい観てるなあ……そうそう、さっきWikiで初めて知ったけれど、この人、我々40台のおっさんの青春のアイドル、Phoebe Catesさんの旦那ですって。年の差16歳ですと。 
 ◆ルミエール
 3本のろうそくの灯る燭台に変身させられてしまった元・お城の使用人。主人思いでありベルにも優しく接するナイスキャラ。なんと演じたのは、マスター・オビ=ワンでおなじみのEwan McGregor氏ですよ。わたし的にはこの人が歌えるとは大変驚いた。しかも全然問題なしの歌唱力! いいじゃないすか! と大変わたしは称賛したいと思います。ラスト、呪いが解けて人間化しても、メイクがすごいので、Ewan氏に見えないのがちょっと笑っちゃった。誰だよ!みたいな。
 ◆コグスワース
 同じく、時計に変身させられてしまった元・執事のおじいちゃん。執事だけあって御主人派で、何かと細かい。けど、ルミエールとのナイスコンビネーションは実にイイ。演じたのは、ガンダルフあるいはマグニートでおなじみのSir Ian McKellen氏77歳。このお方もLGBTで有名ですが、まあ関係ないすね。Ianおじいちゃんも歌えて驚きです。ラストで人間化した時、これまたすごいメイクなんだけど、この人はすくにIan氏だと見分けられます。
 ◆ポット夫人
 同じく、ティーポットに変身させられてしまった元・お城のメイド長。息子のチップも同じくティーカップに。アニメ同様、チップはちょっと飲み口が欠けてます。で、ポット夫人を演じたのはイギリスが誇る名女優Emma Thompson女史。今回、あの有名なベルと野獣の二人きりの舞踏会で名曲「Beauty and the Beast」を歌ってくれたのはポット婦人でした。これって……アニメもそうだったっけ?

 とまあ、メインどころはこんな感じでしょうか。
 実は……今回はもう書くことがないんすよね……冒頭に書いた通り、物語の感想を書こうにも、つまらんことしか書けないんすよね……いちいち、あれって変じゃね? みたいに突っ込んでも無粋なだけなので 、やめときました。

 なので、もうさっさと結論。 
 25年前にアニメ版にほれ込み、何度も観た『BEAUTY AND THE BEAST』。最新CGを駆使した実写版がやっと日本でも公開されたので、早速初日の今日、観てきたわけだが、まず、期待通りの大変素晴らしい出来てあったことは間違いない。わたしのアニメ版記憶よりも歌が増えているような印象だが、正確なところは調べてないのでわかりません。そしてキャストたちの歌も大変上等。映像ももちろん、世界最高峰のDISNEYクオリティであり、まあ、観ない理由はないすね。わたしは大満足です。大変すばらしかった。あんなのお子様向けだ、なんて思っている大人でも、十分楽しめるとわたしは思うのだが、もし観に行って、つまんねえ、なんて言っている男が身近にいたら、なるべくそいつとは距離を置いた方がいいと思いますよ。 いや、そりゃあ、物語的にはアレなのは認めますよ、ええ。でもね、いいんだよそれで。だって、おとぎ話なんだから! 以上。

↓ 一応、WOWOW録画して保存してあります。明日また、久々に観るかな……。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、3日前の月曜日に、わたしの会社から徒歩3分の靖国神社において、平成29年奉納大相撲が開催されたのですが、わたし、朝7時くらいに様子を観に行ったら、まだあまり人がいなくて、こりゃあ余裕だな、と思って一度会社に引き上げて、1時間ぐらいしたらまた見に行ってみよ、と思って仕事を始め、気が付いたらもう10時過ぎで、やっべえ!やっちまった!と慌てて靖国に行ったらですね……もう数千人がずらーーーーりと並んでいて、こりゃアカン、とすごすご帰ってきたわけです。はーーーくそう。せっかく我が愛しの黒ブタこと【松鳳山】関が息子二人を抱えて土俵入りしたってのに……くそう。見たかったっすわ……。やれやれ。
 ま、そんなことはどうでもいいので、まずは週刊少年チャンピオン2017年21号の概況をさらっとまとめます。
 ■巻頭グラビア:今週は久松郁実嬢。大変素晴らしいお体ですな。
 ■『弱虫ペダル』:待宮と浦久保の巻。正直興味なし。だからなんなんだ。
 ■『刃牙道』:英断の巻。とうとう花山君の登場だ―――ッッ!アガる!
 ■『囚人リク』:詰問の巻。もう最終ページのピカソ内海の図に爆笑です。最高すぎる!
 ■『Gメン』:昔の女の巻。今回はとうとう薙の回ですな。イイと思います。
 ■『BEASTERS』:野望はショッキングピンクの巻。おおっと!なんとジュノの野望が明らかに。ジュノがやけにかわいいですね。
 ■『少年ラケット』:NEXTの巻。無事にイチロー君勝利。そして次の相手校は!
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 しかし……! 今週はほぼ書くことがありません。なぜなら、【百雲】のこれまでの過去が語られるだけだからです。困った……ストーリー的にどうにも説明のしようがないというか……。
 先週語られたように、【百雲】は学生横綱(?)になった後に、期待されて新発田部屋に入門し、その相撲にかける情熱と人柄の良さでたちまち部屋を引っ張る存在になったわけですが、今週は入門したての頃の回想から始まりました。公園で彼女と語らう【百雲】。プロの世界はやっぱりすごい、信じられないほど強い奴らがごろごろしている、と語る【百雲】ですが、彼女の「綾子」ちゃんは、それにしちゃあ嬉しそうだね、と突っ込みます。そして、これほどやりがいのある世界はない、いつか必ず俺の相撲で横綱を倒す姿を君に見せる、なんて完全に死亡フラグめいたことを言いました。もちろん綾子ちゃんも、待ってるよ、と期待のまなざしです。おっと!? どうやら【百雲】と綾子ちゃんは高校の時から付き合って6年、だそうです。てことは、学生横綱は大学生の時のようですね。
 そして新発田部屋では、綾子ちゃんもすっかり馴染みになっていて、兄弟子たちとも仲がいいし、親方も、早く一人前になって綾子ちゃんを安心させてやらねーとな~~なんて言ってます。この当時のことを、【百雲】はこう述懐します。
 「温かく尊敬できる親方 熱のある後援会の方々 普段はくだけていても稽古場では厳しく切磋琢磨し合える意識の高い兄弟弟子たち…そして俺を一番近くで理解してくれる最愛の人…俺は…怖いほど恵まれている…これで強くなれなかったら…それは俺の責任だ…早く上へ行かないと…」
 そして晴れて新入幕。後援会からは化粧まわしを贈られ、みんなの期待を背負い、今まで以上に気を引き締めていかないと、と気合と不安が入り混じった【百雲】ですが、一番大切な綾子ちゃんの「大丈夫だよ…道明さんなら…」というその言葉に、勇気をもらいます。「俺は土俵(ここ)にいろいろな人たちの力で立てている…心からそう思えていた…」わけですな。
 そして連合稽古(地方巡業か?)では角界の怪鳥でお馴染みの大関【天鳳】をも寄り切るほどの力をつけ、実力だけでなく人柄からも人望が集まる【百雲】。ここで、誰だかわからないどっかの親方が言います。どうやら横綱【泡影】は、稽古に顔を出しても一人四股を踏んでいるだけで、下の者に胸を貸すようなことは滅多にないそうで、【百雲】のように地方でも場所を盛り上げてくれるのは大変ありがたい存在だと。新発田部屋親方も、そういう点と比較すると、【百雲】の人柄は【泡影】を超える逸材だと確信している、とのことでした。そして新発田部屋親方は【百雲】を呼び出して話をします。どうだ、ここらで嫁さんをもらってみたら…あの娘もそれを待ってるんじゃないのか……? と。しかし、【百雲】はここまで一人で強くなれたわけじゃない、綾子だけでなく親方や後援会の皆さんにもらった恩をまだ返せていない、そんな半端な自分が結婚なんて、まだ早い、ときっぱり告げます。これはまるで新横綱【稀勢の里】関のようなカッコ良さ、ではありますが、あかん……こりゃますますフラグ色が強まってしまいましたねえ……。親方はその言葉を聞いて、【百雲】に告げます。そう言うと思ったよ、でもお前は強くなった。俺はお前が泡影にだって引けは取らんと思ってる。来場所はうまくいけば初めて横綱戦が組まれるだろう、そこで今のお前の力を実感してこい!そしたら胸を張って、あの娘を迎えに行ってやれ…。
 そして迎えた場所では、【百雲】は初日から4連勝、とうとう5日目に横綱戦を迎えました。その前日、【百雲】は綾子ちゃんと夜の公園で語らいます。
 百「ついに明日だよ…」
 綾「うん…楽しみ…?」
 百「……不安と半々ってとこかな…」
 綾「夢だったもんね…道明さんの相撲で横綱を倒すのが…」
 百「倒せるかは分からないよ…けど…胸を張れる相撲をしようと思ってる…そしたら…そしたら… いや……終わってから必ず言うよ…」
 綾「うん! 大丈夫だよ!」
 あかーーーん!! そういう展開はベタだけどグッときちゃうじゃないすか……! 完全に死亡フラグが成立してしまったわけで、まあ、結果は我々の知る通り【ダース百雲】が誕生してしまうわけですが、この気持ちの流れはどう理解すべきなんだろうな……北斗の拳的に言うと、ケンシロウの無想転生を破るためにユリアをその手にかけたラオウ様的心情なのでしょうか?
 「今 ユリアとケンシロウ ふたつを望むことはできぬ!! このラオウの生き方はひとつ!! (クワッ) 許せユリア!! わが内に悲しみとなって生きよ!!」
 というあの超名シーンの再現なんでしょうか!? 相撲と綾子、二つを望むことはできぬ!的な? それとも、単に【泡影】の不気味な、すべてを読まれている相撲に絶望して、やさぐれちゃっただけなんでしょうか? いずれにせよ、こういう闇に迷える力士に対しては、我らが空流の光の戦士の出番ですよ。常よ、【ダース百雲】の良くわからない方向性を正す情熱パワーで闇を祓ってくれ! そして、クソ親父にも再び光を与える相撲を見せてやるのだ!! 頼んだぜ!!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。64連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週は完全に【百雲】回でした。そして完全に死亡フラグは確定していしまいました。しかしアレですね、きっと間違いなく、この十日目の国技館には、綾子ちゃんも見に来てるんでしょうな。わたしの望むベタな展開としては、常に負けた百雲が正気を取り戻し、花道を下がる時に綾子ちゃんが登場して、「お帰り……道明さん…」的な感じすね。まあ、正直わたしとしては、【百雲】はほぼどうでもいいので、鯉太郎の十一日目の相手が気になります。まったく根拠なく、次はもう、【天雷】の出番のような気がしますが、先に【白鯨力】かもなあ……正気に戻った【百雲】もあり得るのかなあ……まあとにかく、毎週楽しみすぎて木曜日の朝が一番ドキドキしますよ。ホント『鮫島』は最高ですね。以上。

↓「うぬら下衆にはわからぬ!! 心惹かれた女の情けは男にとって最大の屈辱!!」から山のフドウとの戦いを経て、ユリアを手にかけ、ケンシロウとの最終決戦に挑むラオウ様。シリーズ屈指の泣ける&盛り上がる展開はジャンプコミックスでは(15)巻収録です。


 はーーーー。やっと読み終わった。
 わたしの小説を読むスピードはそれなりに速い方だと思うが、上下巻のとある翻訳小説を読むのに通算22日間かかってしまった。なんでそんなに正確に分かるかというと、電子書籍で読んだわけだが、わたしが愛用している電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERには、「読書ノート」という機能があって。勝手に記録してくれるからなのです。まあなんて便利な世の中なんでしょう!
 ちょっと面白いから、細かい記録もここに記しておこう。その「読書ノート」によると
 3/21(火)21ページ/11分・3/22(水)54ページ/59分・3/23(木)30ページ/26分・3/28(火)23ページ/12分・3/29(水)18ページ/22分・3/30(木)39ページ/30分・4/5(水)39ページ/34分・4/6(木)3ページ/3分・4/7(金)22ページ/21分・4/9(日)22ページ/28分・4/11(火)47ページ/25分【これで上巻読了】14ページ/3分【下巻へ】・4/12(水)61ページ/58分・4/13(木)16ページ/8分・4/14(金)68ページ/61分・4/15(土)25ページ/13分・4/16(日)10ページ/6分・4/17(月)28ページ/25分・4/18(火)103ページ/75分【下巻読了】※日付の穴は読まなかった日です。
 なんでこんなに時間がかかってしまったのか、そしてなんでまたこんなデータを書いておこうと思ったか。それは、非常に最初はとっつきにくくて、なかなか進まず、おまけにほかの作品を読みだしたりととにかく時間がかかった。しかし、下巻の真ん中あたりでとある事実が判明してからはスピードが上がり、ラスト付近はもう、やっべえ!すげえ展開になってきた! と興奮しながらわーっと読んでしまったのがデータ的に明らかかな、と思ったからである。トータルだと何ページで何分だろう? えーと足し算すると……上巻が318ページ272分=1.17ページ/分、下巻が315ページ/243分=1.29ページ/分という速度になるんだな。ちなみに、『ビブリア古書堂』の最新7巻は、同じデータで調べてみると352ページを220分でフィニッシュしているので、1.6ページ/分だったわけで、やっぱり今回は結構遅かったというか時間がかかったのは間違いないな。つーか1日にかける時間も短いし、なんか集中できなかったんだろうな。
 というわけで、合計515分かけてわたしが読み終わった作品は、この小説であります。


 かつて、わたしが大変はまっていた作家、Stephen Hunter先生による、「切り裂きジャック」の物語である。タイトルもイイすね。『I, RIPPER』。アシモフの『I, ROBOT』のパクリというか、『I, なんとか』みたいなタイトルを映画のタイトルでもたまに見かけますな。
 まずは初めに、作者であるStephen Hunter氏について書いておこう。恐らく、海外翻訳小説が好きな人なら、誰もが知っている作家であろうと思う。一番有名なのは間違いなく『極大射程』だろう。元の原題を「Point of Impact」というこの作品は2000年(?)の「このミス」海外部門で1位になって一躍有名になったとわたしは認識しているが、勿論わたしは「このミス」なんてものは大嫌いなので無視しており、わたしが「極大射程」を読んだのは、映画オタの作法に則って映画化されるというニュースが聞こえてきた頃である。だから、ええと、映画版は日本では2007年公開だから、たぶんわたしが読んだのは2006年とかその辺りだと思う。随分後ですな。しかし、読んでみて、こりゃあ面白い、とハマり、映画も実にうまく原作の時代やキャラ設定を変えて面白く仕上がっていたし、同じ主人公のシリーズ作品があるなら読んでみよう、と、いうわけで、「ボブ・リー・スワガー」シリーズとして有名な作品群を読み、別のスワガーの父が主人公のシリーズとか単発モノとか、とにかく片っ端から読んだのである。
 しかし……。それぞれの作品は確かに面白かった。けれど、そもそも主人公のボブ・リー・スワガーはベトナムで活躍した伝説のスナイパーであり、映画ではうまく設定を現代化していたけれど、実際のところ、今やすっかりおじいちゃんレベルなんだな。それでもスーパー大活躍する凄腕なのだが、ちょっとですねえ……スーパーマンすぎるというか……日本に来てチャンバラまでしちゃう展開にもなって(『47人目の男』という作品で、スワガーの父が硫黄島から持ち帰った日本刀を巡るお話で、スワガーが日本にやって来るのです!)、はっきり言って飽きちゃったのです。たぶんわたしが最後に読んだのは、2010年の『デッドゼロ』だと思う。その『デットゼロ』でも、なんとスワガーの息子に当たる新キャラが結構いきなり登場したりして、なんというか……とんでも話めいた感想を持ってしまったんだなあ……。
 というわけで、Hunter先生は非常に精力的に、結構早いペースで作品を発表しているにもかかわらず。ここ数年、つか7年、新刊を本屋さんで見かけるたびに、ま、今度でいいやと見送っているうちにHunter先生の作品とはすっかり疎遠になってしまっていたのである。
 そんなわたしであるが、先日、BOOK☆WALKERにて還元率の高いフェア開催中に、何か面白そうなのはねえかしら……と探していた時に見かけたのが、本書『我が名は切り裂きジャック』である。最初、これもまた「スワガー・シリーズ」の新刊か?と思い、あらすじをチェックしたところ、なんとあの、本物の「切り裂きジャック」を扱う19世紀末ロンドンを舞台とした物語であった。ので、これは読んでみたいかも……と思って買ってみた次第である。
 本書は、その構成の特徴として、切り裂きジャック本人の日記?と、ジャックを追うジャーナリストの回想録が交互に語られる形式になっている。ジャックが犯行を犯す記録、そしてその場に駆け付けたジャーナリストが取材する話、という繰り返しで、わたしは最初、どうも物語に入り込めなかった。時代のせいや、文体のせい、ではないと思う。本作は、文体(というか、使われる形容詞とか文章そのもの)が非常に凝った、19世紀末の人間が書きそうな文章になっていて、これは翻訳でも非常に感じられる特徴だ。しかしそういうのは、古典小説を散々読んでいるわたしには別に苦ではない。
 問題は、ジャックは自らの犯行を克明に記しており、その生々しさは伝わるのだけれど、いったいなぜ、ジャックは娼婦を切り刻むのか、その動機がなかなか実感としてわかりにくいのだ。まあ、異常者の動機が分かるわけない、かもしれないけれど、核心に迫らないというか、ある意味淡々と語られるし、一方のジャーナリストの回想録も、なかなか進展を見せない。まあ、いまだ未解決事件なのでそりゃ進展しないわけだが、どうも若干ノンフィクションめいていて、そういった点もなかなか物語として入りにくいような気はした。
 「切り裂きジャック」の犯行は現代でもマニアックに調べ続けている人もいるほど、有名な事件だが、まだ現代のような科学捜査手法も確立していない時代なので、現代人の我々からすると相当多くの証拠を犯行現場に残していることが読んでいると良くわかる。恐らく、現代であればDNA検査で一発アウトで即解決、だと思う。本作では、そういう科学的物証を追う展開は勿論ないのだが、非常に面白いことに、事件の起こった1888年のロンドンは、まさしくSir Arther Conan Doyle先生による『A Study in Scarlet』(=緋色の研究=シャーロック・ホームズ第1作)が出版された直後なんですな、時代的にいうと。なので、登場するジャーナリストは当然「緋色の研究」を読んでいるわけで、「推理」をもって事件に迫ろうとするのだが、自分にはその才能がない、とがっかりしているところで、とある音声学の教授と出会い、まさしくこの教授こそ、探していたホームズだ!というわけで、教授と一緒になって「犯人像を推理する手法(=まさしく現代の我々が知る「プロファイリング」ってやつ)」で、容疑者を絞り、ジャックに迫っていく。この教授が出てきてからが非常に面白く、はっきり言ってわたしはすぐに、結末にピンときた。ネタバレ過ぎるので書かないけれど、本書では、ジャックの正体が判明します。もちろんHunter先生による創作なので、事実かどうかは分かりませんが。
 しかし、わたしが本作で一番興奮したのは、ジャックに迫る過程ではないのです。もう、これは完全にネタバレだけど、書かずにはいられないので書きますが、なんとなんと、このジャーナリストがですね、我々が知る大変有名な作家の若き頃、であることが下巻の中盤で判明するのです。誰かは書きません。ヒントは、ノーベル文学賞を受賞した人で、主に戯曲を多く書き、ブロードウェーミュージカル化された後にハリウッド映画化もされた(その映画は誰でも知ってる有名作)、19世紀末から20世紀半ばまで活躍したアイルランド人の超有名人です。本作では、「ジェブ」というペンネームを名乗っているのですが、その「ジェブ」の由来が明らかになって、彼が何者か分かるくだりに、な、なんだってーーーー!!!? と一番興奮しました。しかも、その有名作品を書く動機となったのがこのジャックの事件だった、というラストはかなりもうゾクゾクと痺れましたね。
 
 というわけで、もうまとまらないので結論。
 「ボブ・リー・スワガー」シリーズでお馴染みのStephen Hunter先生による切り裂きジャックの物語『I, RIPPER』を読んでみたところ、最初はどうにもノンフィクションめいた世界に入り込めず、とにかく読了に時間がかかってしまったが、下巻の後半はかなり興奮して読み進め、ラストの意外(というか予想通り)の展開に大興奮したわたしであった。ズバリ言うと、あまり万人にお勧めの作品ではないような気がするけれど、わたしは最終的には大変楽しめた。雰囲気はまさしくビクトリア期のロンドンで、非常にホームズ的世界観を感じることができると思うので、ホームズファンにはおススメできるかも。大変な力作だと存じます。以上。

↓ 「スカーペッタ」シリーズでお馴染みの、コーンウェルおばさんも、なんと7億円もの費用をかけて、現存する「ジャック」関連の遺留物を徹底的に現代科学で検証しています。こちらは小説じゃなくてノンフィクションですな。わたし、コーンウェルおばさんの「スカーペッタ」シリーズも、大好きだったんだけど、どうやら読んだのは14作目までかな……はっきり言って飽きました。ベントンが実は生きてた――という展開辺りから、ちょっとついてけないす。あと、ルーシーの組織もなあ……。
切り裂きジャックを追いかけて (Kindle Single)
パトリシア・コーンウェル
AmazonCrossing
2015-06-23



 

 

 というわけで、月曜日は恒例の週末映画興行データをまとめます。
 つーかですね、今週末も映画を観に行かず、家でWOWOW録画したものをぼんやり見て過ごしたりしておりました。しかし録画しても観てない作品がごっそりなんすよね……皆さんどうしてるんでしょうか……本体のHDDが1TB、外付けのUSB-HDDが3TB、両方ともそろそろヤバいんすけど、これでもせっせと2層Blu-rayに焼きまくってんだけどなあ……やれやれ。
 ま、そんなことはどうでもいいので、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめます。新作が4本ランクインしてますな。
 1位:『名探偵コナン から紅の恋歌』が公開土日で12.8億とシリーズ歴代最強スタートとなったようです。ホント、毎年思うけどすげえなあ。現在の最新刊は92巻か。わたしは30巻ぐらいまではちゃんと読んでたのだが……もう完全にご無沙汰で、わたしの周りには詳しい人が全くいないので、客層が正直良くわからんす。意外とアレですか、大きいお姉さんたちも多いのでしょうか? 一応、過去の初動をメモしておこう。毎年公開時期は共通すね。でもまあ、ライバル映画は毎年違うか。
 2016年:12.09億スタート→最終63.3
 2015年:8.74億スタート→最終44.8
 2014年:7.89億スタート→最終41.1
 2013年暮れの「VSルパン」:6.49億スタート→最終42.6
 2013年:6.71億スタート→最終36.3
 2012年:6.29億スタート→最終32.9
 2011年:5.50億スタート→最終31.5 とまあこんな感じ。こうしてみると、ホント去年は特別にすごかったんすねえ。
 2位:『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』が公開土日で3.3億スタート。おっと、この数字は2016年の4.0億や2015年の3.8億より低く、2014年とほぼ同じですね。2014年は最終18.3億でした。今年もそのあたりなんでしょうか。
 3位:『SING/シング』が31日間合計で45億は超えたのかな、45~46億ぐらいだと見積もるが、もうちょい載せてる可能性はある。先週末で40.4+平日5日間で2.5億+週末2.5億、というテキトー見積もりです。ガーーン!正解はまだ42.8億だそうです。先週末から2.4億しか積めなかったんですね……情報ありがとうございました!
 4位:『モアナと伝説の海』が37日間合計で50億に届いたかどうか、というところだろか? 49~50億と見積もるが、そこまで行ってない可能性もあるかも。いずれにせよ、この分ならなんとか50億は届くのかな。素晴らしい数字ですよ。こちらも正解は45.6億だそうで、先週末から1.5億ぐらいの積み上げか……おうぅマジか……。てことは5位以下ももっと少ない数字かもしれない……。
 5位:『ゴースト・イン・ザ・シェル』が10日間合計で7~8億ぐらいと見積もる。こちらは全然見当がつかない。先週末で3.5億+平日5日間で2億+週末1.3億=6.8億と計算してから、まだ2週目だからもうちょい載せとくか、という我ながらテキトーな計算です。
 6位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が44日間合計で41.4億でシリーズ最高興収更新だそうです。ドラちゃんも安定してますなあ。東映のちびっこ向けとはやっぱりクオリティが違いますな。毎年ほんとすごいと思う。
 7位:『キングコング:髑髏島の巨神』が23日間で17~18億ぐらいと見積もる。ギリ20億には届きそうですな。大ヒットと言っていいんでしょうな、今の洋画事情からすると。
 8位:『ReLIFE リライフ』が公開土日で、どうでしょう、1億チョイなのでしょうか。comico連載の人気漫画ですな。紙の単行本はええと、そう、アーススターコミックスだ。CCCの連結子会社だそうで。TVアニメは去年の夏だったですかね。以上、自分用備忘録メモなり。
 9位:『グレートウォール』が公開土日でやっぱり1億チョイとかそんなぐらいなんでしょうな。1億超えたかどうかわからんす。まったく興味なし。ちなみにChina本国では1.7億ドル稼いでます。
  10位:『ひるなかの流星』が23日間で12~13億ぐらいでしょうか。地味に頑張ってますね。まずまず悪い数字ではないですよこれは。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 そして週末といえば―――! 先週金曜日の夜だったかに、突如公開されたコイツを一応張っときますので、万一まだ観ていない人は今すぐチェックをして、興奮しましょう! 12月が待ち遠しいですなあ!

 つーかですね、わたくし、この「ルークが隠棲していた島」でお馴染みの、Skellig Michael島に行って来ようかと本気で検討中です。まあすげえとこですなあ。詳しくはリンク先のWikiでも見といてください。超行きたいっす……! ホントはなあ。ついでにさらに北上してアイスランドの荒涼とした大地(=Interstellarのロケ地)も行きたいんだよなあ……。行くだけで相当時間かかりそうだよね……。こういう、映画オタク向けツアーを企画すれば、結構参加者が集まると思うんだけどなあ。普通じゃ絶対行かない・行けないとこに、楽に連れてってくれるならすげえ助かるんだけどなあ。
 しかしですね、実はわたしが今、一番観たい映画は、年末の『SW:EPVIII』ではなく、むしろ↓こっちなのです。

 キターーー! 『THOR:RAGNAROK』もう大興奮ですよ、ええ。わが愛しのCate Blanchett様がカッコよすぎる! そしてムジョルニア破壊! なぜBGMが『民衆の歌』『移民の歌』なのかさっぱり不明ですが、こいつは最高ですね!そして11月公開ということは、日本ではまーた来年公開になる可能性が高いわけで、これは再びまたもや台湾に観に行くしかないわけですよ! 今度は香港にしようかなあ。いやー、それにしても最高すぎて大変です!超楽しみですなあ!(※初出時間違えました。「民衆の歌」はレミゼの曲だよ! これはZeppelinの「Immigrant Song」だ) 

 というわけで、結論。
 今週末はいよいよ毎年恒例の『コナン』君が公開になり、歴代最高のスタートを切りました。ま、最終的にどんな数字になるのか、注目ですな。そして年末の『SW』も楽しみすねえ! わたしは『THOR:RAGNAROK』の方が楽しみですが! そしてこの週末からいよいよ『美女と野獣』ですな。3D字幕の上映があることを望みます! 以上。

 昨日の夜も、WOWOWで録画したはいいけれど、そのままほったらかしで観ていない映画を観ることにした。正直に告白すると、そういう映画が50本ぐらいあって、その中から何を観るか、というのは全く基準がなく、ごくテキトーに選ぶのだが、ひとつ、去年の10月に録画した映画で、気になっていたものを見ることにした。
 日本公開時のタイトルは『パパが遺した物語』。原題を『Fathers & Daughters』というこの作品は、日本では2015年の10月の公開で、わたしとしては主演のAmanda Seyfriedちゃんが大好きなので、公開当時結構気になってはいたもののあっさりと見損なってしまい、そしてWOWOW放送があって録画したものの、すっかり後で観ようリストに入れられてしまった、なぜだか若干縁のない映画なのだが、観てみて、ああ、やっぱりさっさと観とけばよかったぜ……と、相変わらずのわたしの見る目のなさにがっかりすることになったのである。結論から言うと、絶賛というわけではないけれど、とりわけ子役の演技が素晴らしく、そしてカーペンターズの名曲『Close to You』が大変心にしみてグッとくるいいお話であった。あなたのそばにいたい(Close to you)。この歌詞がとてもぴったりな、父と娘の愛があふれた映画で、そういう意味ではおっさん向けといっていいような気がします。

 まあ、大体のところは上記予告のとおりである。ただ、時系列が若干乱れているので、ちょっとだけ物語をまとめておこう。物語は25年前の交通事故から始まる。小説家のジェイクは、娘を「オレの可愛いポテトチップ!」と呼ぶ娘大好きなパパ。そして娘のケイティも、パパが大好きでもう大変な甘えっ子なわけだが、ある日、車で移動中にパパとママはちょっとしたことから口論になってしまい、よそ見運転?で事故を起こしてしまう。その事故でママは死去、パパも脳に重大な障害を受け、命は助かったものの後遺症に悩み、うつも患ってパパは7か月入院することになってしまう。残されたケイティは、ママの姉、すなわちおばさん夫婦の超リッチな家庭で過ごすが、やっと退院してきたパパのもとにダッシュで駆けつけるほど、パパっ子な可愛い娘だった。そしてこれ以降、25年後の現代と、事故以降のパパとの当時の生活が交互に語られる形式になる。
 現代では、大人になったケイティは心理学を学ぶ学生で、ソーシャルワーカーとして、心に傷を負った子供のカウンセラーをしている。そして本人も、大好きなパパを亡くすことで心に深い傷を負い、私が愛する人はみんな死んでしまう、的な思いに囚われ、人を愛せない、けれど心の隙間を埋めるために誰とでもヤるSEX依存症的な状態にある。そして回想では、後遺症が完治せず、苦労しながらも作品を書くが売れず、リッチなおば夫婦がケイティを引き取るとか言い出して裁判になったり金に苦しむ中、ある日、父と娘のお話を書くことにするパパだったがーーてな展開である。
 この映画の見どころは、やはり役者たちの熱演だろうと思う。回想編・現代編ともに、それぞれとてもいい芝居ぶりで、とにかく過去編のパパとケイティ、そして現代編の大人になったケイティと心に傷を負った少女、この4人が大変すばらしいのである。
 まず、過去編の方だが、パパを演じたのは、オスカー俳優Russel Crowe氏である。この人はまあ結構おっかない顔をしていると思うし、実際すぐカッとなる性格のようだが、本作ではもう、娘が好きで好きでたまらないベタ甘パパを大変繊細に演じきっていたと思う。ちなみになんで娘を「ポテトチップ」と呼ぶのか、まったく謎で謂れは説明されません。まあ、愛する人を「蜂蜜(Honey)」だの「甘いの(Sweety)」だのと呼ぶのがメリケン人なので、ポテチはしょっぱいので全く謎ですが、雰囲気は大変よく伝わりました。要するにいつもそばにあってほしい、食べちゃいたいほど大好きなもの、ってことなんでしょうな。ポテトチップ……わたしは大変気に入ったっす。
 そして過去編でそのポテトチップこと愛するケイティを演じたのが、2004年テキサス生まれのKylie Rogersちゃん。この時10歳ぐらいなのかな。まあ、これがまた可愛い娘さんでしてなあ、おっさんなら誰しもがほほを緩める美少女でしたね。あと7~8年もすれば、相当な美女になると思われる逸材ですよ。大変すばらしい演技で、実にお見事でありました。結構順調にキャリアを積んでいるようで、今後も出演作があるみたいですな。名前を憶えておきたいと思う。
 そして現代編で、大人となったケイティを演じたのが、目が大きい美女としておなじみのAmanda Seyfriedちゃんである。まあ、相変わらずの可愛さですな。そして、子役のKylieちゃんが大人になるとこうなる、という面影がすげえ残ってるんすよね。ああ、Amandaちゃんももう31歳か……。しかし、この映画でわたしが唯一、これは……と思ったのは、この現代編でのケイティの設定だ。ズバリ、SEX依存症という設定は必要だったのか……いらなかったような……もうちょっと別の描き方があったような気がしてならない。でも、カウンセラーとして対峙する少女との交流の様は、とてもいい演技でしたね。まるで自分がパパから愛されていた時のようにその少女に愛情をもって接するわけで、それが過去編との対比をもって描かれていて、非常にグッとくるものがあった。自分が自転車に初めて乗れた日、パパが「That's My Girl! Go!Faster!(それでこそオレの娘だ!行け!もっと速く!)」とはしゃいでくれた思い出。その思い出のまま、今度は自分が面倒を見た少女が自転車に乗れて、全く自分も同じことを叫ぶあのシーンは、あの日のパパの気持ちがしっかり理解できた瞬間だろうと思う。あそこのAmandaちゃんのはじける笑顔は実に可愛かったすね。
 そして現代編で、大人ケイティが担当することになった少女を演じたのが、2003年生まれのQuvenzhane Wallisちゃんである。彼女はデビュー作『ハッシュパピー~バスタブの少女』で弱冠9歳にしてアカデミー主演女優賞にノミネートされて注目されたあの子です。その後ミュージカルの名作『ANNIE』でも主役を務め、大変立派なキャリアを築き上げているこれまた逸材だ。今回は、売春婦の母を亡くし、ろくでなしの父親も麻薬の過剰摂取で亡くし、と過酷な目にあって言葉を発しなくなった少女を大変見事に演じていたと思う。この子と大人ケイティの心の交流が大変グッときましたなあ。
 あともう一人だけ。過去編で、作家であるパパのエージェントを演じたのが、なんとお久しぶりのJane Fonda女史であった。わたし的には超久々にスクリーンでお目にかかりましたな。現在79歳だそうで、見た目には全くそんな年には見えず、大変若々しいお姿でした。この映画に出ていることを知らなかったし、観終わってエンドクレジットでその名を見るまで、全く気が付かなかったというか、びっくりしました。

 というわけで、わたしとしては大変気に入った作品なのだが、残念ながら世の評価は結構低いようで、RottenTomatoesMetacriticでは残念なポイントになっている。また、興行面でも、US国内でほぼ公開されなかったのかな、全然データがない。ただ、IMDbのレーティングは7.1/10なので、それほど悪くない。これはどういうことなのかよくわからないけど、ほとんどの人が観てない、けど、観た人はそれなりに気に入った、ということなのかもしれないな。まあ確かに、脚本的にちょっと過去と現在が交差する描き方は、悪くはないけれどもう少し整理が必要だったのかもしれないし、現代のケイティのSEX依存もちょっとそぐわなかったのかもしれないすね。

 というわけで、さっさと結論。
 観ようと思ってずっと放置していた『Fathers & Daughters』(邦題:パパの遺した物語)は、観てみたら結構良かった。とにかくパパと娘の愛情たっぷりな作品であり、その愛が強かったゆえに、パパを亡くして心を閉ざしかけた女子が、パパの想いを抱きながら、再び前に歩みだすという、こうして書くとありがちな物語ではあるけれど、なんといっても役者陣の演技は大変すばらしく、わたしは気に入りました。万人にお勧めかというとそれほどでもないけれど、娘を持つおっさんにはアリ、だと思います。わたしに娘はいませんが。以上。

↓ なるほど、Amazonレビューも4つ星か。まずまず、な評価なんすかね、要するに。




 もはやお約束だが、わたしの記憶力は年々低下の一途をたどり、本当にこれはもう病気なんじゃねえだろうか、と大変自分が心配でならないのが、40代後半となってしまったわたしの現状である。なので、なるべくせっせと記録を残そう、というつもりでこのBlogも存在しているわけだが、昨日の夜、これまた例によって例のごとく、何もすることがなくもう寝るしかねえな、という想いを抱いたのが20時半ごろで、この時間に寝てしまうのも老人めいているし、じゃ、映画でも見よう、とHDD内の一覧を見てみたところ、つい数日前に、『MAGGIE』(邦題はそのまま「マギー」)なる映画が録画されているのを発見した。全く記憶にないそのタイトルに、わたしは冒頭に記したように、オレはもう病気なんじゃねえかと深刻に疑ったわけだが、ま、とりあえず再生を開始してみた。
 すると、再生2分で、あ、これか、そうか、やっとWOWOWで放送されたんだ、と、この映画のことを思い出した。
 というわけで、『MAGGIE』という作品は、↓こんな映画である。

 わたしはこの映画の予告をだいぶ前にUS版で観て、これはまた、なかなかすげえというかシブイのが来たな、と思っていたのだが、そのまま忘却の彼方に埋もれ、日本で公開されたことすら気が付かなかった。どうやらUS公開が2015年の5月で、おそらくその前後にわたしはUS版予告を観たのだと思う。そして日本では2016年2月にごく小規模ながら劇場公開されていたらしい。へえ~。全然知らんかった。
 で。物語は、ほぼ上記予告から想像できる通りである。以下結末まで書くのでネタバレが困る人は読まないでください。
 THE NECROAMBULIST VIRUS(字幕では「腐歩病ウィルス」と訳されてた)なるものが蔓延し、感染者を隔離することで、かろうじて文明は保たれているが、街中には感染者として末期症状のゾンビが徘徊しており、極めて危険な状況に陥っている。そんな中、娘のマギーが感染してしまった主人公は、果たしてマギーを隔離所へ引き渡すことができるのか、あるいは、自らの手でゾンビと化したマギーを殺すことができるのか? そんなある意味究極の選択に立たされた男のお話である。
 この物語において、わたしが面白いと思ったのは、感染者が「徐々に」ゾンビ化していくという点であろう。どうやらゾンビに噛みつかれるとそこから「腐歩病ウィルス」に感染するようだが、噛まれて即座にゾンビになるわけではなく、実にゆっくりと、少しずつゾンビになっていくのだ。
 そのゆっくりぶりが、主人公にとっては非常につらいわけで、治療の可能性がなく、噛まれた時点でもうアウトなのに、まだ意思疎通もできるしまったく人間性を失っていないマギーを、放っておけるわけがない。しかし、「その時」は確実に近づいているわけでーーーてなお話である。
 どうやらこの映画、RottenTomatoesでもMetacriticでも、評価としては残念ながら低い。また興行面でもどうやらUS国内ではごく小規模上映しかなされず、まったく売れなかったようだなのだが、わたしの結論をズバリ言うと、結構面白かったと思う。そして、やっぱり見どころは、やけにくたびれたおっさんを演じたArnold Schwarzenegger氏と、ゾンビ化してしまう娘を演じたAbigail Breslin嬢の魂のこもった熱演であろう。いいじゃないの、とわたしは大層気に入ったのである。
 まず、悩めるお父さんを好演したSchwarzenegger氏は、現在もうすでに69歳という年齢になってしまったわけだけど、まあ、苦悩が顔ににじみ出ているというか、とても味がありますよ。また、娘マギーを演じたAbigail嬢も、複雑な役を見事に演じきったと思う。
 ただ、本作は、いわゆる「THE BLACK LIST」(=ハリウッドが注目するまだ製作の決まっていない脚本のランキング)の2011年版に載った脚本なのだが、わたしとしては以下の2点において、若干微妙だなあ……と思った点がある。
 1)マギーよ、お前なんで感染したんだ……
 マギーは、どうやら一時家出していたらしく、危ないと外出禁止令も出されているのに、のこのこ街へ出かけて噛まれてしまったようなのだが、その家出の理由は、明確には示されない。どうやら母は既に(ウィルス拡散以前に)亡くなっていて、継母と父との間にできた二人の幼い弟と妹がいるのだが、その関係は表面上は全く問題ないけれど、どうも、マギーの心中は、思春期の少女にありがちな複雑なもので、家出の背景にはそういう感情があるようだ。ーーてなことを感じさせるのだが、それを感じさせるのはあくまでAbigail嬢の演技が素晴らしいからであって、脚本的には非常にあいまいというか、明確ではなく、なんとも雰囲気重視で微妙であった。
 2)最終的な結末の微妙さ
 本作のエンディングをズバリ書いてしまうと、父はどうしてもマギーを殺すことはできず、自らマギーに殺されることを願う、が、わずかに残った人間の心で、マギーは父の額にそっとキスし、一人、自ら命を絶つ、という実に悲しいエンディングであった。しかし、このエンディングも、あくまでSchwarzenegger氏とAbigail嬢の演技が大変すばらしいからこそ美しいのだが、物語としてはかなり微妙なエンディングだ。お父さんよ、あんたは食べられちゃえば済む話かもしれないけど、その後凶暴なゾンビになっちゃったマギーをほっといていいのかという気がするし、一方でマギーの自殺の方法も、映像として美しいけれど、微妙に説得力がない。ゾンビなんだから、あれで死ぬとは思えないというか……うーん……とにかく、脚本がちょっとアレですよ、これは。
 おそらくはそういった微妙な点が、US国内での低評価に影響しているのだと思うが、何度も言う通り、二人の演技ぶりは大変すばらしかった。ま、Schwarzenegger氏はもういまさら説明する必要はないと思うので、Abigail嬢に関してだけ、少しメモを残しておこう。この方は、若干10歳でアカデミー助演女優賞にノミネートされた実力派である。わたしはその作品『Little Miss Sunshine』は見てないんだよなあ……ま、写真を探してみると、大変かわいいちびっこである。しかし、それからこの映画が作られるまでに9年が経過しているわけだが、現在のAbigail嬢は……ええ、ズバリ言おう、全く可愛くない。強いて言うならブサカワであろう。なので、わたしは全く彼女が何者か気が付かなかったのだが、実はAbigail嬢は、結構多くの作品に出演していて、わたしが驚いたのは、かの珍作で名高いM・Night Shyamalan監督の『SIGNS』に出てきたあのちびっこですよ。当時5歳か。そして、先日アカデミー主演女優賞を受賞したわたしの大好きなEmma Stoneちゃんと共演した『ZOMBIELAND』のあのおませなチビ、リトルロックを演じたのもAbigail嬢であった。当時11歳か? 全然気が付かなかったわ……。まあ、すっかり成長して、残念ながら美女?にはならなかったAbigail嬢だが、演技は本当にしっかりしていて、ラスト、父の額にキスするシーンはかなりグッときましたね。素晴らしい演技だったとわたしとしては称賛したいと思う。
 最後。監督について。監督は、Henry Hobson氏という男で、年齢はわからないけれどまだ若いみたいですな。ほぼ長編映画の経験はないようだが、グラフィックデザイナーとしてのキャリアの方が多いみたいですな。映画やゲームのタイトルデザイナーとしての仕事が結構多いみたい。本作の演出ぶりは、若干微妙だとわたしは判定した。妙なピンボケショットや顔や手など一部分のクローズアップが多い印象で、正直、シャレオツ系・雰囲気系な演出家とお見受けした。だからダメとは言わないが、もうちょっとシャープな方がわたしの好みであると思うけれど、ややぼんやりとした映像は、本作をなんとなくファンタジックな世界観に仕立てあげているとも言えそうな気がしますね。
 しかし……愛する人が死の運命にとらわれてしまったら……おまけに正気をなくしたゾンビになっちゃったら……まあつらいお話ですよ。わたしも引き金を引けたかどうか、相当怪しいわけで、そう共感させてくれたのも、Schwarzenegger氏とAbigail嬢の演技の素晴らしさゆえ、というわけであろうと思うことにします。

 というわけで、結論。
 WOWOWを録画してみた『MAGGIE』という作品は、確かに総合的には微妙作と言わざるを得ないけれど、主演の二人の演技は実に素晴らしく確かなもので、そこまで酷評しなくてもいいじゃん、とわたしには思える作品であった。わるくないじゃん。それがわたしの結論である。以上。

↓ この時のAbigail嬢は大変可愛かった……という記憶があるので、また見てみようかな。確かBlu-rayに焼いて保存してたはず……。
ゾンビランド (字幕版)
ウディ・ハレルソン
2013-11-26

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、『鮫島』も先週十日目が終わって、主人公・鮫島鯉太郎くんは初日から負けなしの十連勝を飾ったわけですが、番付的には東十四枚目と幕内下位力士なわけで、果たして今後、鯉太郎はどのランクの力士と戦うことになるのか? というのが非常に気になるわけですが、ちょっとここ数年の、実際の大相撲ではどんな例があるのかを調べてみました。
 それほど遡ったわけではないのですが、少なくとも平成25年から先場所までの26場所をチェックしてみると、平幕力士で初日から十連勝した力士はどうやらいないようです。 十日目終了時点で8勝2敗、は結構数多くいましたが、9勝1敗でも、以下の7例だけのようです。
 平成25年7月場所【魁聖】関・東前頭12枚目→残りの5番は全て平幕相手で2勝3敗
 平成26年5月場所【勢】関・西前頭5枚目→残りの5番は大関・関脇戦が1回ずつあって2勝3敗
 平成26年7月場所【高安】関・西前頭11枚目→残りの5番は大関戦が1回あって2勝3敗 
 平成27年5月場所【魁聖】関・東前頭11枚目→残りの5番は大関・小結戦が1回ずつあって3勝2敗
 平成27年9月場所【勢】関・東前頭12枚目→残り5番は大関・小結戦が1回ずつあって2勝3敗
 平成28年9月場所【遠藤】関・東前頭14枚目→残り5番は関脇戦が1回あって4勝1敗
 平成28年11月場所【石浦】関・東前頭15枚目→残り5番は全て平幕相手で1勝4敗
 相撲の割に関しては、わたしも全然詳しくないので良くわかっていませんが、明確な規則性がなくて、基本的に前日、星と番付を勘案して決まるわけです(開幕時だけ2日目まで決まってます)。そして鯉太郎が現在十日目まで全勝で、目立つ存在であっても、果たして本割で横綱【泡影】と戦うことはあり得るのだろうか、ということが気になって調べたのですが、まあ、大関戦はどうやら普通にあり得ると。そして現在の「鮫島」世界には1横綱3大関以上は存在が確認されていますので、横綱【泡影】は残りの5番のうち、3人の大関と戦うのはまず普通でしょうから、あと2つ、対戦相手の席が空いてるわけで、そう考えると星のいい鯉太郎が戦う可能性もどうやら確かにあり得る、というのがとりあえずの結論です。実際、今年の初場所では横綱【白鵬】関は14日目に、10勝3敗と星の目立っていた東前頭10枚目の【貴ノ岩】と戦っています(しかも負けた)。こうなると……鯉太郎VS【天雷】VS【猛虎】あたりを経て、横綱戦という展開なんでしょうかねえ……でも、千秋楽に戦うことはないだろうし……うーん、まあ、とにかく楽しみですな。前にも書いたかもしれませんが、わたしとしては、『バチバチ』の一番最初に素人だった鯉太郎と戦った【猛虎】さんとの戦いが一番観たいんすよね……。
 おっと! どうでもいい前置きが長くなりました。今週の週刊少年チャンピオン2017年20号概況は軽く流します。
 ■巻頭グラビア:今週は紙雑誌版もグラビアはナシ、のようです。
 ■『弱虫ペダル』:浦久保優策の巻。うーーん……広島の過去に興味ないす。
 ■『刃牙道』:絶対的無双の巻。うーん……もう飽きた。
 ■『囚人リク』:助走の巻。レノマ&佐々木!いいっすね!
 ■『Gメン』:兄妹の巻。ま、そうなるわな。 
 ■ 『BEASTERS』:鉄の猛獣使いの巻。ルイ先輩最高です。
 ■『少年ラケット』:追われて追っての巻。イチロー君覚醒です。
 ■『六道の悪女たち』:チーム竜宮の巻。新キャラ登場。乱奈さんの知り合いか!?
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。
 
 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 今週は先週の決着を踏まえ、風呂に入って一息つく鯉太郎の図から始まりました。今日のVS【毘沙門】戦を反芻する鯉太郎の脳裏には、「何度か……不思議な感覚があった……」という思いが去来します。そうです「少しだけ…先が分かったような……相撲が見えてきたような…」という思いです。こ、これは!まさしく横綱【泡影】的な瞬間未来予知能力じゃあないですか! JOJO的に言うところの「キングクリムゾン・エピタフ」ですよ! ヤバいす! 鯉太郎、お前一体……!! しかし、鯉太郎はすでに満身創痍。「だから…まだだ…まだ……あと少しだけ」という鯉太郎の悲痛ともいえる想いが叶うといいのですが、こうなるとホントにもう、残りの5番の相手が気になりますな!!
 そして一方、気合の入った四股を踏む力士がいます。もちろん、すっかり光の戦士と変身した常松こと【松明(まつあかり)】関です。よし、と気合の一言とともに花道入場。会場からは割れんばかりの歓声が【松明】を後押しします。あの常が……こんなに人気者になって……おっさん読者としては胸熱ですよ。場内の「まつあかり~」コールに、一人、缶ビール片手にイラッとしている男がいました。元力士、四股名を【松明(たいまつ)】と名乗っていた常の親父です。自らと同じ四股名を名乗りながら読み方を変えた常に対して、親父はつぶやき、常は胸の中でつぶやきます。
 父「フン…嫌味なヤローだ…」
 常(見てるか…クズ親父…)
 対照的な親子の想いですが、常としては今日は絶対に負けられない戦いが待っています。その相手、【ダース百雲】関も、完全に殺意の波動を身に纏っての花道入場ですが、こちらはもう会場からは激しいヤジです。「何人休場させれば気が済むんだ!!」「テメーがケガして休場しろ!!」「角界の良心と言われたお前はどこいった―――!!」
 そんな【ダース百雲】の入場に、支度部屋の力士たちも「昔はあんなじゃなかったのに…」「今や怖くて付け人すら寄り付かねーもんな…」的な空気で見守ります。鯉太郎の髪をセットする床上手さんも、「やーね…大丈夫かしら常ちゃん…」と心配そう。しかし鯉太郎は断言します。
 「大丈夫ですよ アイツも空流だ…臆する相撲は取りませんよ…ましてや今日は負けられない理由がある…折れませんよ…たとえ何をされようと…決して…強いですよ…今日の松明は」
 まあ、床上手さんも(それが心配なのよね…)と心の中で思うわけですが、いよいよ両者リングインとなりました。NHKアナも好取組と呼ぶ二人の戦いが始まります。NHKアナも、虎城理事長に聞きます。いったいどうして各界の良心とよばれた【百雲】が、【ダース百雲】になってしまったのかと。虎城理事長は多くを語りませんが「それほどのことだったのでしょう あの一番は…」と、横綱【泡影】とのあの一番を指摘します。
 そしてここから、回想編スタートです。「あの一番が……あの男の存在が 俺のすべてを溶かした…全てを…」という【百雲】ですが、どうやら彼は高校時代(大学か?学ラン着用は体育会なら普通にありうる)に全日本相撲選手権大会で、団体戦(や個人戦も?)を制したようです。そして生意気にも、その時すでに彼女がいたようです。その彼女に、君がずっと応援してくれたおかげだよ、次はプロだ、早く一人前になるから、そしたら……なんて、ある意味フラグを立てていた若き日の登馬道明くん。そして新発田部屋に入門し、稽古に励んでいた日々。親方からも、「彼の周りには自然と人が集まり笑顔が増える…本当に太陽のような男ですよ…」と絶賛されていたかつての【百雲】。そんなこともあったのに、今は客席から「やられちまえ百雲!!」「そんな奴ぶっ飛ばしてくれ松明!!」という罵声を浴びる身となってしまいました。一体、どうしてこうなった!? 【泡影】との取組で、「全てが溶けてしまった」とはどういうことなんでしょう? 今週ラストは、罵声を飛ばす客席を「フン…」と睨み返す超おっかねえ【ダース百雲】の顔アップで終了でした。
 ううーーん……この回想も長くかかるかもなあ……そして【百雲】ダークサイド転落の背景には、どうも彼女関係の出来事もあるようですなあ……奴を倒すためには、愛などいらぬ!! 的な展開なのでしょうか……まあ……付き合いましょう、ええ、回想を進めて下さい。しょうがないす。わたしの予想では、この彼女も今日、国技館のどこかでひっそり見守っているような気がしてならないす。常よ、【ダース百雲】の闇を祓うような、素晴らしいナイスファイトを期待してるぜ!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。63連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週はVS【毘沙門】戦終了後の鯉太郎の様子と、いよいよ立ち会い間近の【松明】と【百雲】の両者の心のうちが描かれました。そして、どうも【百雲】の回想編も入ってきそうな気配です。まあ、普通に考えて常が勝つのは間違いないところですが、【百雲】を正気に戻す、光の戦士としての真っ向勝負で、情熱が残酷を超える戦いを見せてほしいですね。まったく、常松といい王虎といい、かつての悪党がイイ奴に転じるのはグッときますな。二人とも、Burstではとんでもないクソ野郎だったのに。よくぞここまで更生したものよ……嬉しいす、ホント『鮫島』は最高ですね。以上。
 
 ↓まさか、このBlogを読む人で『Burst』を読んでいない人はいないと思いますが、『鮫島』を読むためには必須かと存じます。 

 わたしが高田郁先生の作品と出会ったのは、去年の春である。当時大変お世話になっていた美人お姉さまのHさんに、これを読んでみろ、と教えてもらったのが『みをつくし料理帖』というシリーズで、教えてもらってすぐに本屋で1巻2巻を買い、その後読み終わってすぐに全10巻まで買いそろえて毎日せっせと読んだ。そしてさらに、高田先生の新シリーズである『あきない世傳』シリーズも読み始め、現在もなお続くシリーズの新刊をまだかなーと待ちわびている状態である。それらの感想は散々このBlogでも書いたので、再び詳しくは触れないが、まあ実に面白い。その面白さの源は、わたしとしてはキャラクターの心根のまっすぐさ、すなわち、まっとうに生きる登場人物たちが真面目にコツコツと生きる姿であり、お天道様に顔向けできないようなことは決してしない、誠実さに、とても心惹かれるのだと思う。
 わたしは生きる指針として、自分で「そりゃあ違うなあ……」と思ったことは、もうしたくないと思っている。遠回りであれ、めんどくさく、つらく厳しい道であろうとも、自らが正しいいと思う、やましさのない道を生きていこう、とおととし決意し、今に至っているわけだが、まあ、実際なかなか難しい生き方であり、損か得かで言うと、経済的にはまったく損な道ではあるが、精神的にはまったくストレスのない、どうやら人間にとって大変好ましい道なんじゃないかしら、と思いつつある。おととし決意していなかったら、まあ確実に経済的には現在の3倍以上稼げていたが、金は勿論この現代社会においてほぼ一番重要であるとわかってはいるものの、まあ、年収が1/3になっても、金じゃねえさ、と若干の強がりを抱きながら日々暮らすわたしである。 カッコつけ、と思われるかもしれないが、そう、まさしくわたしは、心のありようとして、カッコ良く生きたいと思っているのだ。真面目に、誠実に生きること。それをわたしはカッコいいと思っているのである。
 で。わたしは高田先生の作品を読み続けていて、実は読み終わった後に、わたしの年老いた母に、これ、なかなか面白かったぜ、読んでみたら? と渡していたのだが、どうやら母のハートにも大変響くものがあったようで、『みをつくし』も『あきない世傳』も母は読破し、最近よく「次の新刊はまだかしらねえ」と言うので、まあ次の新刊は夏か秋じゃねえの? と答えていたところ、「ところで高田先生のほかの作品はないのかしら?」と母がつぶやくので、ああ、そりゃあるわな、と当たり前のことに気が付き、現在発売されている高田先生の他の作品を買って来て、先に母に読ませることにした。わたしはわたしで他に読む本が待機中なので、お先にどうぞ、ということである。
 というわけで、わたしは現在電子書籍でとある翻訳小説を読んでいるのだが、これがまたひじょーに時間がかかっており、ふと、母が読み終わった高田先生の作品を読んでみよう、という気になった。そんなわたしが、真っ先に手にしたのが、『銀二貫』という作品である。ちなみに、我が母絶賛のお墨付きである。

 何故この作品にしようとしたかというと、この作品は、2015年にわたしが愛する宝塚歌劇にて上演されたことがあるからだ。残念ながらわたしはその公演を観られなかったが、大変泣けるお話だということは聞いていたので、原作小説を読んでみたいと思っていたのだ。ちなみに2014年かな、NHKドラマにもなっているし、漫画化もなされているようだ。
銀二貫 (A.L.C. DX)
黒沢明世
秋田書店
2014-02-28

 おっと、おまけにどうやら今年の6月から、大阪松竹座でお芝居としても公演があるみたいだな。すげえ、大人気じゃん。わたしはそれらの二次創作を一切味わっていないので、実は物語もよく知らない、ほぼまっさらな状態で読み始めたのである。そして、結論をズバリ言ってしまうと、またもや非常にイイお話で、真面目に生きることを信条とするわたしとしては大変楽しめたのである。これは泣けたわ……。
 
 さてと。まずは簡単に物語をまとめておこう。以下、ネタバレもかなりあると思いますので、読む読まないの判断は自己責任でお願いします。
 時代は1776年から22年にわたる長い物語で、江戸中~後期の大坂を舞台としている。主人公・鶴之輔は、とある藩士の長男だったが、その父は藩で刃傷沙汰(?)を起こして逃亡していた、が、京・伏見で仇討の追っ手と出会い、斬られる。そしてその場に居合わせた、寒天問屋を商う和助は、思わずその場に割って入り、鶴之輔をも斬ろうとした侍に、「その仇討、銀二貫で買わせてもらいます!」と、伏見の寒天製造者から取り立てたばかりの全財産を差し出すのであった。その「銀二貫」は、金に直せばざっと33両。大火が続いて焼けてしまった大阪の天満宮へ寄進するために工面した大金であったが、何とかその金で矛を収めたお侍から、生き残った鶴之輔を連れて大阪へ戻り、鶴之輔を「松吉」という名で丁稚として雇用するに至る。そしてその「銀二貫」を再び貯めるべく、松吉としての第2の人生を歩むことになった鶴之輔の、苦労の多い、そして幸福な人生を描く――という物語であった。サーセン。かなり端折りました。
 物語としては、これでもかと言うぐらい艱難辛苦が降りかかるが、やっぱりキャラクターなんすよね。グッとくるのは。辛いことばかりでも、人は生きていくしかないわけで、迷わずにまっすぐ進むのは難しいわけだけれど、この物語に出てくるキャラは、みな、真面目に頑張るわけで、この物語を読んで、味わって、つまらんという人とは、まあ友達にはなれないすなあ。というわけで、主なキャラ紹介をしておこう。
 ◆鶴之輔改め松吉
 登場時10歳。寒天問屋の丁稚として真面目に働く。結構あっという間に大人になる印象。もと士分ということでやたらと姿勢がいいが、それは商人の丁稚スタイルじゃないと怒られることも。あきないは信用第一であり、その信用とは、自分個人が他人に信頼してもらうことではなく、暖簾に対する信頼が最重要だと教わる。初恋の相手、真帆ちゃんの父(料理人)から、もうちょっと硬い寒天があれば料理に幅が出るのだが……という話を聞いて、当時存在しなかった硬めの寒天づくりに奔走し、とうとう成功、それを用いた「練り羊羹」(=我々現代人が羊羹と聞いて思い浮かべるアレ。どうやら当時は「蒸し羊羹」しか存在せず、寒天を混ぜた練り羊羹は超画期的発明、らしい)の開発に成功する。大変真面目で不器用な好青年。NHKドラマ版では林遣都くんが演じたそうです。そりゃちょっとイケメン過ぎのような気が……。
 ◆和助&善次郎
 寒天問屋「井川屋」の店主&番頭。二人ともとてもいい人。松吉を救うために和助が「銀二貫」を手放してしまい、天満宮に寄進できなくなってしまったことを善次郎はずっと根に持っている。それは善次郎がかつて火事で奉公先を焼け出されたことがあって、天満宮への信仰が篤いためで、松吉としても大変心苦しく思っている。なお、作中で2回かな、あとチョイで銀二貫が貯まる、というタイミングで悪いことが起こり、その度に二人はせっかく貯めたなけなしの金を別のことに使ってしまうことになるが、まったく気にしないというか、また貯めるしかないね、と納得して金を手放すことに。なんていい人たちなんでしょう、この主従は。もちろん奉公人も大切に扱う善人。
 ◆真帆
 初登場時は10歳、かな。その時松吉は15歳。歳の差5歳すね。彼女の父、嘉平は、もともと井川屋が寒天を卸していたとある有名料亭の料理人だったが、その料亭が井川屋から仕入れた寒天の産地偽装をしていて、井川屋としてはもう付き合えまへん、と取引中止したことがあり、嘉平はそんなインチキ料亭を退職し独立していた。真帆は独立後の忙しい父のもとに寒天を配達に来る松吉と仲良くなり、まあ、はた目から見ればお互い完璧ぞっこんじゃん、という状態だったけれど、真帆も松吉もそれを表に出さず、あくまで発注元・発注先の関係だったが、火災によって嘉平死亡、真帆も顔の半分をやけどに覆われてしまう。その後、数年生死不明であったが、ある日松吉は美しく成長した真帆らしき女性にばったり出会い、再会を果たす。のだが、顔のやけどや命の恩人である女性への思いから、なかなか二人の想いは交差せず、読者としては大変いじらしく、またじれったく、ああ、この二人に幸せが来ると良いのだが……と見守るモードで物語を追うことになる。ま、当然最後はハッピーエンドでしょ、という期待は裏切られません。まったく……不器用な二人ですよ。だがそれがいい!のであります。ははあ、NHKドラマ版では、幼少期を芦田愛菜ちゃん、大人期を松岡茉優ちゃんが演じたんだ。そりゃあ可愛かっただろうな。
 ◆梅吉
 活躍するのは後半、井川屋の商売が厳しくなって奉公人が皆いなくなったときに、松吉と梅吉だけが残るのだが、松吉の同年代の同僚として結構心の支えになってくれるナイスガイ。君も最終的にはとても幸せになれて、ホント良かったな。
 ◆お広
 真帆が目の前で父を亡くした時、その場で同じく子を亡くした女性。気がふれて(?)、真帆を我が子「おてつ」だと思い込み、以降ずっと真帆をおてつと呼んでともに暮らす。団子屋を営み、味の評判は上々。真帆はどうしても彼女を放っておけなかったわけで、それが松吉との恋の障害になるわけです。しかし、お広も、亡くなる前には真帆と松吉との幸せを願っていたわけで、そのくだりは大変泣けます。
 ◆半兵衛
 もともとは、井川屋の仕入れ先である伏見の寒天製造業者の職人であり、松吉が鶴之輔として父の死後直後に伏見の業者に一瞬預けられていた時に出会っている。その後、故郷で独立し、伏見を襲った大火で仕入れ先を失った井川屋の、第2の仕入れ先になる。そして、松吉が追い求める従来品よりも硬めの寒天を製造するのに尽力する。まあ、彼も大変善人で、義理堅い男。ほんと、世の中こういう善人ばかりだと、生きるのも悪くないと思えるんだけど……悪い奴ばっかりだからなあ……やれやれっすわ。

 とまあ、こんなお話&登場人物で、しつこいけれど、大変イイお話である。この物語を読んで、出来すぎてるよ、とか思う人とは近づきたくないなあ。出来すぎてたっていいの! 真面目に生きる人が報われるお話なんだから、読んだら、自分もやっぱ真面目に生きていきたいもんだぜ、と思ってほしいのです、わたしは。しかしまあ、高田先生の作品はこのような、艱難辛苦にめげない、清く正しく美しい人々が描かれていて、大変読後感は爽やかですな。人気があるのもうなづけますね。わたしは今回も、たいへん楽しませていただきました。

 というわけで、結論。
 母のために買った高田郁先生の『銀二貫』という小説を読んでみたところ、まあ、いつも通りの面白さで大変気持ちの良い物語であった。やっぱり、高田先生の作品の魅力の根源は、キャラクターにあるんでしょうな。そして、きっちりと綿密に取材された時代考証は、わたしとしてはいつも、へえ~と思うような知らなかったことが多く、そういう点でも読みごたえは十分だと思う。わたしの母はもう80近い婆さまだが、どうやら高田先生のお話が大好きなようだ。女性向け、って訳ではないと思うが、やっぱり読者層としては女性層がメインなのかな。それでも、おっさんのわたしでも、毎作品楽しめる安定のクオリティだと思います。以上。

↓ 次はこれを読む予定。母曰く、こちらも大変面白かったとのことです。
あい―永遠に在り (時代小説文庫)
高田 郁
角川春樹事務所
2015-02-14





 

 というわけで、月曜日は恒例の週末映画興行データをまとめます。
 つーかですね、今週末は映画は観てません。土曜は会社用のTVを車でYODOBASHI Akibaへ買いに行って、日曜はその設置やら片付けやらしてました。しかし、32インチの小さいTVを会議室用に買ったのですが、今のTVは軽いすなあ。びっくりしました。そして片手で持てる大きさの段ボールで、車で余裕で持ち帰ることができたのも驚いたす。あれは空いているなら電車でも持って帰れたな。ま、小さいし当たり前か。しかしそういうサイズだと意外と選択肢が少なく、SONYか東芝か、しか見当たらなくて、もはや死に体でTV事業を売り飛ばそうとさえしている東芝製を買ってしまったわたしは、ホントひねくれ者だなあ、と我ながら残念に思いました。
 ま、そんなことはどうでもいいので、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめます。
 1位:『SING/シング』が24日間合計で……難しいな……平日5~6億、土日で3~4億ほどと仮定して、40~41億まで積んだと見積もる。平日の状況がさっぱり読めないな……春休みは終わったと思うべきか、春休み最終週と思うべきか……。自信なし。おっと、ここまで書いて正解は40.4億という情報を見かけました。ほぼ計算通りのようで安心。
 2位:『モアナと伝説の海』が30日間合計で44~45億ほどと見積もる。まだまだ頑張っておりますね。これで50億は確定、どのくらいまで引っ張れるかはスケジュール次第でしょうか。おっと、こちらも情報あった。正解は44.1億だそうです。あぶねえ、ギリ正解か。
 3位:『ゴースト・イン・ザ・シェル』が公開土日で2.73億スタートだそうで、金曜公開だから3日間合計だと3.5億チョイ上ぐらいのようですね。母国日本では売れるといいですなあ。わたしはとりわけ思い入れもないので、まあ、1年後ぐらいにWOWOWで放送されるのを待とうかと思います。
 4位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が37日間で40~41億ぐらいと見積もる。先週末時点で35.3億+平日3億+土日で1.5億=39.8億と計算したので、端数を足してたぶんギリ40億に届いたのではなかろうか。あ、こちらも40億突破と書いてありました。よかったすね。素晴らしい数字ですよ。
 5位:『キングコング:髑髏島の巨神』が16日間で15~16億くらいと見積もる。ただコイツは単価が高めなので、もうチョイ上かも。意外と売れ続けてますな。TVスポットも結構週末に見かけたような気もする。
 6位:『ひるなかの流星』が17日間で10億届いたぐらいと見積もる。全然情報なし。
 7位:『夜は短し歩けよ乙女』が公開土日で1億超えたぐらいだろうか。情報なし。わたしは原作を文庫発売当時(2008年)に読み始めた、けれど、まったくわたしの好みに合わず、途中で放り出したことがありますな。森見先生の文章も描かれるキャラもどうも苦手す。
 8位:『ラ・ラ・ランド』が45日間でギリ40億届いていないようです。先週末時点で37.3億+平日1.3億+土日0.9億=39.5億と計算していたのですが、もう40億超えるのは確実ですね。はーよかったよかった。
 9位:『PとJK』が16日間で7~8億ぐらいと見積もる。よくわからんす。
  10位:『劇場版黒子のバスケ LAST GAME』が23日間で……ランク外からの復活なので難しいけれど7~8億ぐらいと見積もる。TOP10復活は新しい入場者特典の影響なのだろうか? ちなみにジャンプで連載の始まった藤巻先生のゴルフ漫画『ROBOT×LASERBEAM』は大変面白いです。
 
 とまあ、こんな週末だったようです。
 えーと、次の土日も、特に観たい作品はないか……な。次は、4/21(金)後悔の『美女と野獣』と『バーニング・オーシャン』の2本かな。あーーっ!イカン!その週末は宝塚歌劇を観に行くんだった。つーことは、どっちかは金曜の夜、会社帰りに観に行けってことだな……。時間がちょうどいいとありがたいのだが……。

 というわけで、結論。
 どうやらこの春の『ドラえもん』『ラ・ラ・ランド』『モアナ』『SING』はそろって40億を超える大ヒットとなりました。『モアナ』『SING』は50尾0区目指して好調維持。そしてUS国内ではやけに評判の悪い『ゴースト・イン・ザ・シェル』は母国日本では2.7億スタート。10億は超える、とは思いますので、まずまず、なのではないでしょうか。わたしはファンではないし観てないので何も言う資格なしです。以上。

 昨日の夜、19時くらいに家に帰って、飯食って風呂に入り、20時くらいになったところで、もはや何もすることがなく、読む本はあるけどなんとなく本を読む気になれず、一体全体、わが生命活動は何のために機能しているのだろうか、と深刻な謎にぶち当たり、こうして生きていることを含め、何もかもがどうでもよくなったわたしだが、そういう時は映画を観るに限るので、最近どんなのをWOWOWで録画したっけ……と、さっそくHDD内を捜索してみた。
 すると、まあ録画したはいいが、ホントにオレ、これらを全部観るのだろうか……?  という完全に自らの行動を否定する思いにとらわれたわけだが、またHDDの整理しねえとな……というため息とともにスクロールしていくと、一つの映画のタイトルに目が留まった。そのタイトルは、『しあわせへの回り道』というもので、どんな映画か全く記憶にない。タイトルから想像できる物語は、おそらくは中高年を主人公として、きっと生き急いだ人生を顧みて、回り道したっていいじゃない、的な人生に気づいてめでたしめでたしであろう、というものであった。もちろんそれはわたしの完全なる予断であって、実際はわからない。とりあえず、なんでこれを録画しようとしたんだっけな? という謎を解くべく、まずは再生ボタンを押して観はじめてみた。その結果、ほぼ最初の数分で謎が解けた。この作品は、映画館で予告を観て、ふーん、面白そうかも、と思った作品だったことを思い出した。
 主役?は、イギリスが誇る名優Sir Ben Kingsley氏。元々はRoyal Shakespeare Companyで活躍していたが、映画ではほぼデビュー作の『GANDHI』において、タイトルロールのマハトマ・ガンジー氏を演じていきなりアカデミー主演男優賞を受賞し、以来数々の作品に出演している大ベテランだ。その彼が、たぶん超久しぶりにインド人役を演じた作品で、彼扮するインド人タクシードライバーが、アメリカ人中年女性に運転を教える映画だ。
 ああ、これか、というわけで、わたしは本格的に視聴を始めたのである。

 まあ、上記予告でその雰囲気は分かると思うが、実際のところ、わたしの予断はおおよそのところは合っていた。そして、すげえ感動したとか、超面白かった、というわけではないし、それなりにツッコミどころはあるのは確かなのだが、結論としてはまあまあ面白かったと思う。
 まずどんな物語かざっとまとめてみると、たしか50代(正確な年齢は忘れた)の主人公、ウェンディは売れっ子の女流書評家としてそれなりに上流な生活を送っていたのだが、ある日突然、夫から離婚を切り出される。夫曰く、君は俺より本が大事なんでしょ、俺がいなくても全く平気だし、俺もさっさと(浮気相手の)若い女とヤリまくりたいから別れようぜ、というなかなかヒドイ理由であった。勿論納得のいかないウェンディは、泣き・怒り・悲しみ、と激しい反応を示すが、残念ながら夫サイドは取り付く島もなく、離婚協議へまっしぐら。そんなしょんぼりな状態のウェンディは、夫に離婚を切り出された日に乗ったタクシーに忘れ物をしてしまうが、ドライバーは律儀にそれを翌日届けてくれる。ふと見ると、そのドライバーは、日中はドライビングスクールの先生として働いているようで、名刺をもらい、はたと、そうだ、運転を習ってみようかしら、と思いつく。というのも、ウェンディはマンハッタンのアッパー・ウェスト(ええと、セントラルパークの左側、すね)に暮らしており、これまでまったく車が必要になることがなかったため、免許を持っていなかったのだ。折しも娘は大学を休学して遠く離れた農場で働いている。いままでは、夫が運転担当だったけれど、いっちょ、娘の下に、自分が運転して行ってみようかしら、てなことである。そして、律儀なインド人ドライバーに運転を習ううちに、これまでの人生を振り返りながら、新しい道に向かって前進するのだった……的な物語である。そしてサイドでは、インド人ドライバーのこれまでの過酷だった人生や今の生活ぶりが描かれ、二人の心の交流が描かれていく、とまあそんな映画である。ええと、結構テキトーなまとめです。
 こんな物語なので、ウェンディサイドのお話と、インド人サイドのお話があるわけだが、わたしはやっぱり、Sir Kingsley氏の演じるインド人の物語に非常に興味を持った。ダルワーンという名の彼は、元々インドで大学教授として教鞭をとっていたのだが、シク教徒であり、かつてインドにおいて政治的弾圧が激しかった時に両親を殺され、自身はアメリカに政治亡命してきた過去があり、現在はれっきとしたUS-Citizenである。だけど、シク教徒はターバンが戒律上の義務なのでやたらと目立ち、US国内でも差別はあまり前のように受けてきたのだが、そんなひどい状況でも、教養ある男として法を守り真面目に生きてきた、というキャラである。そんな彼が、運転が怖くてたまらないウェンディに、「止まるな。アクセルを踏むんだ。そして前へ進め」と辛抱強く教えることで、ウェンディは運転も何とかできるようになり、さらには、人生も前へ進むに至る、とまあ、非常に美しい展開となる。なので、観ていて不快なところはほぼなく、大変気持ちの良い映画、であった。
 なお、本作は、「The New Yorker」誌上に2002年に掲載されたエッセイが原作となっているそうで、原作は小説ではなく、エッセイストの体験談なんだそうだ。へえ~。
 わたしとしては、一番の見どころは、この脚本にほれ込んだというウェンディ役のPatricia Clarkson女史と、元インド人のダルワーンを演じたSir Kngsley氏、この二人の演技の素晴らしさだろうと思う。二人とも、大変素晴らしい芝居ぶりで、とても好感が持てた。まず、Patriciaさんは、現在57歳だそうだが、たいへんお綺麗で、落ち込みまくって髪ぼさぼさでも、何となく品があるし、決めるおしゃれな服装もよく似合っているし、また、免許試験合格の時のはじける笑顔も大変良い。きっと若いころはかわいい女子だったんだろうな、という面影は十分感じられる。キャリアとしてはもちろん大ベテランで、わたしははっきり言ってこの方を全然覚えていないのだが、今さっきWikiを見たら、わたしはこの方の出演している映画を10本以上観ているようで、なんともわたしの情けない記憶力に失望である。最近では、日本で全く売れなかった『The Maze Runner』シリーズにも出てたみたい。オレ……ちゃんと観てるんだけどなあ……くそう。
 そして一方のSir Kingsleyは、もう相当な数の作品でわたしも見ているが、この人はイギリス人であり、当然Queen's Englishが母国語なのに、本作では非常に訛りの強い、いわゆるヒンディッシュで、とてもそれが、日本人的には聞き取りやすいというか、特徴ある英語をしゃべっていて、やっぱ芸達者ですなあ、と変なところがわたしの印象に強く残った。キャラクター的にも、大変良かったと思います。あ、そうだ、もう一人、わたしの知っている役者が出てました。ええと、ちょっと前に観て、このBlogにも感想を書いた、Tom Hanks氏主演の『A Hologram for the King』(邦題:王様のためのホログラム)でに出てきた女医さんを演じたSarita Choudhuryさんが、今回はダルワーンと結婚するためにはるばるインドからやってくる女性として出演されてました。この方は大変特徴ある顔なので、すぐわかったっす。そして顔、で言うと、この顔は誰かに似てるんだよな……と非常に気になったのが、ウェンディの娘として登場する若い女子で、さっきなんていう女優なんだろう、と調べたら、名をGrace Gummerさんと言い、な、なんと、大御所Meryl Streepさんの娘だよ! 確かに! 確かに顔が似てるかも! 娘が役者をやってるなんて全然知らなかったわ。
 最後、監督について記して終わりにしよう。監督は、スペイン人のIsabel Coixetという女流監督で現在54歳だそうだ。わたしも観た有名な作品としては、『My Life without Me』(邦題:死ぬまでにしたい10のこと)かな。他にも有名な作品があるけれど、わたしが観たことあるのはその1本だけみたい。画面がとても明るい光にあふれてるのが特徴かも。とても明るい(雰囲気の話じゃなくて、物理的に光量が多い)映像で、そんな点も、作品全体の雰囲気には合っていたような気もします。

 というわけで、結論。
 たまたまWOWOWで放送されたのを録画して観てみた映画、『Learning to Drive』(邦題:しあわせへの回り道)は、その邦題が非常に安直というか、それっぽすぎて若干アレですが、お話としては、まあその甘い日本語タイトルから想像できるような、いいお話でありました。激烈に感動したとか超おすすめ、というつもりは全くないけれど、ま、嫌いじゃないぜ、こういうお話も。こういう作品をぼんやり観て過ごす時間も、悪くないと思います。以上。

↓ 懐かしい……中学生だったと思います。今はなき有楽座という、現在日比谷シャンテがある場所に存在したデカイ映画館で観ましたなあ……チャリをぶっ飛ばして観に行ったような気がする……。
ガンジー [Blu-ray]
ベン・キングズレー
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2010-04-16

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、 わたしの会社は去年、靖国神社から歩いて3分のところに引っ越ししたため、現在絶賛満開中の咲き乱れる桜を毎日眺めて、綺麗だなあ~とうっとりしているわけなんですが、今朝、駅で「平成29年奉納大相撲のご案内」なるデカい看板に気づきました。おお、そういやニュースかなんかで観たことあるけど、そうか、そういうのがあるんだ、と朝からテンションが上がりました。開催日は再来週の4月17日(月)だそうで、こりゃあ、朝から仕事をサボっていくべきかもしれねえぞ……とスケジュール調整を検討しようと思います。横綱・大関以下200名の力士が勢ぞろいするそうなので、コイツはマジ要チェックだぜ! という気でおります。ヤバいすね。楽しみっす。
 というわけで、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年19号概況です。
 ■巻頭グラビア:浅川梨奈嬢:電子でも掲載アリ!素晴らしいお体です!
 ■『弱虫ペダル』:削れる命の巻。うーーん……まーた回想に入りそう……。
 ■『刃牙道』:瞬斬の巻。うーん……ほぼ無意味な斬撃殺人のみ。飽きた。
 ■『囚人リク』:煙幕の巻。まーた顔芸が炸裂で最高です。とうとうレノマ合流か!
 ■『Gメン』:恋に恋しての巻。奈々美ちゃんの恋ですが、ま、そうなると思ってましたよ。 
 ■ 『BEASTERS』:地下鉄の風はみずみずしいの巻。巻頭カラーです!そして明日は単行本(2)巻の発売です!買います!そして今週も大変面白かった。
 ■『少年ラケット』:高まる鼓動~SWITCHの巻・大変失礼いたしました。わたくし、ずっと「少年ロケット」とタイプミスしておりました。全然気づかなかった……今週はイチロー君の過去を知る女子が登場で大変イイ展開です!
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。
 
 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週はとうとうVS【毘沙門】戦の決着までが描かれました。天才としての才能に覚醒した【毘沙門】でしたが、残酷な現実を情熱が超えるところが観たいという常松こと【松明】の想いは見事鯉太郎に届いたようで、鯉太郎の勝利、で先週は幕を閉じました。なお、先週の記事で、わたしは決まり手を変形の仏壇返しか?と書きましたが、今週の最終ページに、決まり手は「櫓投げ」と書いてありましたので訂正します。今週は、勝負あり―――!! 鮫島これで10連勝―――!! というNHKアナの絶叫から始まります。やった……やった…! とガッツポーズの常松。嬉しそうですね。一方の敗れた【毘沙門】野郎は茫然自失。手が震えています。花道で見守るどんぐり渡部くんも驚きの表情。そして支度部屋のモニターで観ていた、大関【王虎】さんも、ニヤリな表情です。
 「フン…鮫島(アイツ)も陰険なヤローだ…力を引き出すだけ引き出してから あえて正面から喰いやがった…あれじゃ 言い訳のカスも残らねえ…毘沙門(あのガキ)…当分使い物にならねーだろ…」
 いやあ、【王虎】さんかっけえっす! つーかですね、あの【王虎】に、自然に「さん」付けで文章を書いている自分にびっくりですよ。あんなに悪党だったのに……。そして【毘沙門】野郎はうえぇ…ヒックヒック……と人目をはばからず泣いております。この泣き様は、どうやら怖くて泣いているようです。曰く、あの人は全部…見えてたんだ…全部……怖え……だそうで、震えが止まりません。あんな怖え人にどうやって勝てばいいんだよ、もうやだよ俺…と泣く【毘沙門】。こりゃあダメですな、ホントに。
 そして再び場面は支度部屋へ戻り、ニヤリな【王虎】さんに声をかける力士がいました。
 「嬉しそうだね 大関…まぁそういう俺も 鮫島の活躍は嬉し―けどな…」
 おおっと!!! 東関脇の”怪力”【天雷】関の久々の登場です!! 相変わらずイケメンです!
 (天雷)「待っていたからね…ずっと…」
 (王虎)「フン…誰がだ…」
 (天雷)「またまた~~~~…」
 (王虎) 「鮫島(アレ)は俺の道具だ…この先へ、に必要な…俺が泡影を超えるための」
 こんな同世代トークができるようになった【王虎】さんも成長したんすねえ……内容は物騒ですが、ちゃんとその力を認め合うその姿に、いちいち感動してしまいますね。しかし、こんな同世代トークに割り込んでくる力士がいました。そう、かつては「角界の良心」と呼ばれ、現在はスカルデザインのおっかねえ浴衣を羽織った姿でお馴染みの、ダークサイド【百雲】関です!
 (百雲)「チッ…イラつかせるな…テメーらみてーなぬるいガキが泡影を超える? バカも突き抜けると笑いにもならねーな…足りねーよ…テメーらじゃ…」
 (王虎)「フン…ならアンタは足りてるのか……」
 (百雲)「だから俺は 俺を殺した…」
 もう、ほんと意味わからないですねこの【百雲】関は。要するにこれはアレですか、北斗の拳で言うところの、万人に慕われる善のフドウがラオウ様と戦うために「このフドウ汚れなき命のために鬼神となって戦おう!!」 ってあの名シーン的な展開ですか!? でも、【百雲】関は顔じゃない(※相撲用語「顔じゃない」=分不相応)っすねえ。所詮、パルパティーンに突然土下座してダークサイドに堕ちたアナキン小僧レベルでしょうなあ。今日の【百雲】関の相手は常です。そんな取組を前にした常は、花道で鯉太郎を出迎え、深々と頭を下げます。ありがとうございましたと礼を言う常に、鯉太郎はキョトン。大吉もびっくりしますが、常は鯉太郎に、力…もらいました…と改めて言います。鯉太郎も晴れやかに、そうか…と嬉しそう。イイですねえ! 常は、今日、金の無心に来た大嫌いなクソ親父を国技館に招待しています。結果が全ての土俵で、「見せてやろうと思います…あのクズに…今の 俺を………」と決意の表情。鯉太郎も右手を差し出して言います。「あぁ…ブチカマシてこい…」
 今週はこの二人の兄弟力士が軽くグータッチするシーンで終わりでした。
 いやーー。はたしてダークサイド堕ちした【ダース・百雲】がどんなものか、来週からの展開が楽しみですよ。これはもう、ちゃんと常VS【百雲】戦が描かれることは確定なのでしょうか? だといいのですが…まあ、【百雲】関は常に軽くやられてほしいものですねえ! 常よ、鯉太郎にもらった情熱の力で【百雲】をブチカマシ、クソ親父に見せつけてやるのだ! はーーー。マジで今週も最高でした。今週も、絵として非常に素晴らしい仕上がりになっておりますので、絶対にチャンピオンを買って読むべきだと思います!
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。63連勝中。モンゴル人。
  他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 
 というわけで、結論。
 今週はVS【毘沙門】戦終了後の各力士の様子が中心のお話でしたが、やっぱり【王虎】さんがやけにカッコイイのと、久々登場の【天雷】関との同世代トークが最高でした。そして来週からは、鯉太郎の戦いに力をもらった常の出番のようですよ! 常よ、勝つのだ!! いや、漫画として負ける展開はないとは思いますけど、【百雲】の邪気を祓う、善の光というか、情熱の力を見せ付けてほしいすね! いやあ、それにしてもホント『鮫島』は最高です! 以上。

↓明日4/7(金)はチャンピオンコミックス発売日です! わたしはこの2冊を買います。

 

 世界的ベストセラー作家、Tom Clancy氏が亡くなってもう3年半。突然の訃報に、われわれ「ジャック・ライアン」シリーズのファンは大変なショックを受けたわけだが、シリーズは無事に、次世代の作家に受け継がれ、すでもう数作品が、ひどい言い方をするなら「何事もなかったかのように」発表され続けていることは、このBlogでも何度か取り上げている通りである。そしてそのバトンを受け取った、Mark Greaney氏のオリジナルシリーズである「暗殺者グレイマン」の方も、全巻読んでみて、このBlogでも感想を書いたが、これがなかなか面白く、わたしとしてはClancy氏の逝去にあたっては大変残念に思うが、作品はMark Greaneyという若い才能に引き継がれたことについては大変安心した次第である。まあ、ファンが全員Greaney氏の新ジャック・ライアンを肯定しているのか知らないが、わたしは全くアリだと感じている。
 で。先週の末だったか、本屋さんの店頭で、いきなりそのジャック・ライアンシリーズの新刊が売っているのを見かけ、おおっと、マジか!と何にも確認せずにレジへ向かい、とりあえず確保し、早速その日の帰りの電車内で読み始めたのだが、やっと昨日の帰りの電車内で読み終わった。読み終わるのに、上下本で5日間かかってしまった。 
 その邦題は「機密奪還」という作品で、なんと驚きの(?)、シリーズの中のとあるキャラクター一人の活躍を描いたスピンオフ、いわゆる「外伝」であった。
機密奪還(上) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2017-03-29

機密奪還(下) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2017-03-29

 あとがきによると、実は外伝は初めてではないそうで、確かに「クラーク」を主人公とした外伝『容赦なく』はわたしも読んだので、その点は知っていたけれど、すでに「ジャック・ライアン・Jr.」を主人公とした作品は2つ発表されていて、日本語訳されてないだけなんだそうだ。そして、今回の主人公は、なんと「ザ・キャンパス」の若きイタリア野郎でおなじみの、ドミニク・カルーソー君、通称「ドム」であった。わたしは結構、ドムは好きなキャラというかJr.よりは好きなので、ほほう、こりゃあ面白そうだ、と期待を込めて読み始めた。ええと、もうクラークとかザ・キャンパスとかJr.とか、いちいち説明しませんよ? 以下はもう、シリーズを読んできた人にしかわからないことだらけだと思います。あ、そうだ、シリーズについて、すっげえ長い記事を書いたことがあったので、わからない人はそっちを読んでください。そうだよ、ちょうど1年前の今頃書いたんだった。忘れてた。そして以下、ネタバレが多いと思うので気になる方は読まないでください。自己責任でお願いします。
 さてと。まずドムは何者か、を軽くまとめておくと、現在の「ライアン・シリーズ」本編の中心となっている、「ザ・キャンパス」の作戦要員の一人で、FBI出身である。出身、と言っても、本作で何度も語られるように、実はまだFBIに正式な籍があって、出向だか何だかよく憶えていないけれど、現在は「ザ・キャンパス」に身を寄せている設定である。そしてドムを語る上で忘れられない点が一つ。それは、ドムは双子で、元海兵隊の兄貴がいたんだな。彼もまたザ・キャンパスに参加していたのだが、もう結構前の作品で殉職してしまったのである。しかもドムの腕の中で。なので、ドムはずっと、それに苦しんでいて、あの時オレがもっとああすれば……的な想いを心の奥底に抱いているキャラだ。そしてドムは、現大統領であるジャック・ライアンの甥にあたるのかな? ともかく一応血縁であり、それすなわち、現在ほぼ主人公的扱いのライアン・Jr.の従兄弟に当たる人物で、もちろんJr.と仲良しの32歳の若者である。Jr.は、大統領の直接の長男であり(Patriot Gamesの際に妊娠中のお母さんのお腹の中にいたのが彼)、まあ、はっきり言ってお坊ちゃん育ちのゆとり小僧である一方で、ドム(と双子の兄のブライアン)はきっちりと訓練された男なわけで、大変頼りになるハンサムガイ、それがドムことドミニク・カルーソー君という男である。
 というわけで、以上を踏まえて(?)、今回の物語をざっくりまとめると、冒頭、ドムは単身インドの西海岸のとある村で、元イスラエル国防軍(IDF)大佐の男の下で6週間の訓練に来ていた。それは格闘術の習得のためで、毎日キッツイトレーニングをこなしながらも、その先生となっている元IDF大佐の家族とも仲良く、ある意味平和に過ごしていたのだが、ある朝突然、その家族に悲劇が降りかかる。そして、その悲劇は、NSC(国家安全保障会議)の小役人のクソゆとり小僧が漏洩した情報が源にあって、九死に一生を得たものの、先生家族を殺されたドムは、そのNSCのクソゆとり小僧を「復讐」のためにぶっ殺しに行く――てな物語が本筋だ。そしてサイドではそのNCSの小僧が何故情報を漏洩させたのかという物語が語られ、その裏にはイランの謀略があったり、あるいは漏洩を調査するFBIの動きがあったり、また、ITP(国際透明性計画=International Transparency Project。実在しているのか、調べきれなかった……これのことかな?)というクソジャーナリストどもの愚かで無意識の悪意があったり、と大変読み応えのある物語になっている。
 なので、わたしにとっては、問題となるのは以下の二つの点であった。
 1)ドムの動機は明確に「復讐」である――これはアリかナシか?
 2)イランに利用されるITPなるクソジャーナリストに正義はあるのか?
 というわけで、順に思ったことを書き連ねてみよう。
 まず、ドムの復讐についてである。
 ドムは、前述のように兄をその腕の中でなくすという経験をしており、いわゆる「サバイバーズ・ギルド」を抱えている。簡単に言えば、生き残ってしまった自分への罪悪感だ。オレが死ぬべきだったんじゃないのか、オレがもうちょっとうまくやれば兄貴は死なずに済んだんじゃないか、どうしてオレだけ生き残っちゃったんだ、という奴である。そんな想いをどうしても心の奥底に抱えるドムなのに、またしても、目の前で、師匠とも友人とも言える元大佐一家(奥さん&二人の幼い子供含む)を殺されてしまったら、そりゃあ、怒りと自らのふがいなさにはらわたが煮えくり返りますわな。
 まあ、結論から言うと、復讐は何ももたらさないという理屈は全く正しいと思うけれど、わたしすらも、情報漏洩したNSCのクソゆとり小僧をぶっ殺したくなった。なので、ドムの復讐をわたしは肯定したい。たぶんこの作品の読者なら、当たり前だろうと思う。おまけに、語られてゆくNSCの小僧が、ホントにクソ野郎なんすよね……実にゆとり溢れたクソガキで、わたしとしてはこのガキはキッツイお仕置きが必要だぜ、場合によっては死んでいただきたい、とすら思いながら読み続けました。
 で、次に問題となるのは、ゆとり小僧をある意味誘惑した、ITPというクソジャーナリストどもについてだ。下巻の訳者あとがきにもある通り、いわゆる「スノーデン事件」や「ウィキ・リークス」「パナマ文書」のようなもので、ITP(国際透明性計画)とは、政府情報を隠さず公表するんだ的な狂った信念を持った連中である。わたしは彼らを狂ってると思うが、これは、世間的にはきっと逆で、彼ら、スノーデンのような連中を正義だと認める人々の方が多いような気もする。しかし、わたしは会社員として、長年「会社側」の人間として仕事をしてきた方が長いので、わたしの思考は多分に「国家側」であることも影響しているのは間違いなく、会社や国家が、社員や国民に「敢えて知らせない」ことが山ほどあるのは当たり前だと思っているし、その理由も理解できる。それを隠蔽と言われても全く良心は痛まない。「腐敗」と呼びたければどうぞそう受け取ってくれたまえ、とさえ、わたしは思うこともある。だって、どう考えても「知らせる」ことの方が会社や国家の利益にならないことが多いもの。
 本作で描かれるITPの連中は、イランのスパイに利用されていることをまったく気が付かず、「その情報が人を殺す」ことにもまったく無頓着で、余裕で情報漏洩する。NSCの小僧も、まさかイランに情報が渡るとは全く思わずに、ITPへ情報漏洩し続けていたのだが、ほんと読んでいて「駄目だコイツ……早くなんとかしないと……」でお馴染みの夜神月くんの顔が頭にちらついてたまらなかったす。なので、わたしには漏洩する人間を正義だとは思えないし、最終的な結果には大変スッキリして満足である。まあ、正直ざまあ、とさえ思ったわたしこそ、人間のクズかもしれないな。

 というわけで、わたしの本書の感想としては、大変スッキリして面白かった、というものであるが、ちょっと、普通の人が読んで面白いのかどうかは、実のところ良くわからない。少なくともシリーズを読んできたファンならば、今すぐ買って読んで損はないと思う。
 そうだ、本作でドム以外に大変キャラの立っていたキャラクターを何人か紹介しておこう。ちなみに本作は、「ザ・キャンパス」の他の連中は一切出て来ません(親分のヘンドリーだけ電話の相手として出てきます)。
 ◆アダーラ・シャーマン:シリーズを読んできた方なら絶対にご存知の、ザ・キャンパス所属の後方支援担当士官の女子。原題のSupportは彼女を意味しているかもしれない。彼女は元海兵隊員で元衛生兵。アフガンでの過酷な戦場経験アリ。いつもながら超有能なクールビューティーで(ザ・キャンパスの隊員は、ヘンドリーから、彼女に手を出したらぶっ殺す、と言われているそうです)、今回大活躍。そしてどうやらドムとイイ仲に。ドムよ、ヘンドリーのおっさんにぶっ殺されるぞお前。ちなみにどうやら本作は、時系列的にはシリーズ本編の『米朝開戦』の前に当たるそうで、『米朝開戦』には本作の顛末を踏まえたドムとアダーラの関係がちらほら出てくるそうで、どの部分がそうなのか、下巻の訳者あとがきに詳しく載ってます。わたしとしては、もし映像化されるなら、彼女の役を是非とも、ワンダーウーマンでお馴染みのGal Gadot様に演じていただきたい!!! 読んでいる最中はずっとGal様のお姿をイメージしてました。
 ◆ダレン・オルブライト:FBIマンとして、「法に則って」情報漏洩したNSCの小僧を追う正義の味方。完全に法を無視するドムにイラつきながらも、味方してくれるイイ奴。このキャラは今後も登場してもおかしくないと思う。わたしが読みながら頭に浮かべていたのは、ブラックパンサーでお馴染みのChadwick Boseman氏だ。黒人という描写があったかまったく覚えていないけれど、どういうわけかわたしは、Boseman氏のイメージで読んでいた。スーツが似合って正義感ぽくて強そう、みたいな感じであろうか。
 ◆イーサン・ロス:お坊ちゃん育ち。アイヴィー・リーグ卒のインテリクソ野郎。こういう奴、日本にもいっぱいいますね。実際のところ利用されただけの哀れで愚かなガキだが、尊大で無駄なプライドばかり高く、自らを常に正しいと思うような、エリートクズ野郎。自らの行動がもたらす結果を考えることができない、想像力の欠如した典型的ゆとり小僧。無事にあの世へ送られてスッキリした。ちなみに、ITPの首領的なスイス人女性も出てくるが、とんでもなくうかつなノータリンで、彼女もあの世へ直行するのでご安心を。

 最後に、訳者あとがきからいくつか情報をメモしておこう。すでに、「本編」はUS国内で2作出版されていて、現在鋭意日本語翻訳作業中だそうだ。まずひとつが、シリーズではおなじみのロシア大統領ヴォローディン氏との戦いだそうで、まったくもって、眠れる熊は懲りないですなあ……。楽しみですね。そしてもう一つは、なんとUS国内でISによるテロが続発して、すさまじい戦いとなる物語だそうだ。両作ともに日本語で読める日が来るのが楽しみですな! しかし、アクチュアルな物語なんだから、もう少し早く翻訳出版していただきたものだが、ま、新潮社じゃあダメだろうな。あの会社はもう古すぎるというか、電子書籍で出してほしいのにまったく手つかずだもの。もう相当売上も利益も落ちてるだろうな、と、根拠なく想像しますね。

 というわけで、結論。
 「ジャック・ライアン」シリーズ外伝『機密奪還』をさっそく読んでみたところ、なんと主人公はドムことドミニク・カルーソー君であった。これはシリーズを読んできたファンは大変楽しめると思うのだが、一方で、このシリーズはアメリカ万歳であり、完全に法を犯しているわけで、真面目な人が読んだら眉を顰めることになる可能性は高い。でもいいんです、それで。だってフィクションだし、エンターテインメントだもの。いまさら真面目な指摘しても何の意味もないと思います。わたしは大変楽しめました。以上。

↓ これが現在翻訳作業中の、次の「本編」かな。ヴォローディン大統領……アナタ一体何回痛い目に遭えば気が済むんすか……。 邦題がどうなるかも気になるすね。「米露開戦」は使っちゃったし。
 

 というわけで、月曜日は恒例の週末映画興行データをまとめます。
 つーかですね、わたしは去年45本の映画を映画館に観に行ったわけですが、調べてみたところ、そのうちの42本をTOHOシネマズへ観に行ったようで、その割合は93.3%なわけです。まあ、一番近いし、マイレージを貯めたいし、という以外に理由は特にないのですが、実のところ、TOHOシネマズでは上映されない映画もいっぱいあるわけで、そういう映画は大抵、わたしの場合、WOWOWで放送されるのを待つか……となってしまうわけです。しかし、土曜日4/1に公開になった映画で、コイツはちょっと劇場で観ておきたいな、という作品があって、まあファーストデーだし、たまにはTOHO以外に行ってみるか、と観てきた作品があります。そもそもTOHOでの上映がなかったからなんですけど。
 その作品は『ハードコア』というタイトルで、なんとほぼ全編「GO Pro」というアクション・カムで撮影された一人称視点映画で、ホントにゲームのようなすげえ映像でありました。詳しくは土曜の記事を読んでいただければと思いますが、ちょっと血まみれ過ぎて……。もはや笑うしかないと思うし、すげーーーと言いながらギャグとして笑うのが正しいとは思いますけど、わたしにはちょっとキツかったっす。
 ま、そんなことはどうでもいいので、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめておこう。
 今週は新作のTOP10入りはナシ、みたいです。新作が入らないと数字が明示されないので、今週の各作品のわたしの見積もりメモは相当あやしいというか、自信はありませんのでうのみにしないでください。

 1位:『SING/シング』が17日間合計で30億を突破したそうで、31~32億ぐらいと見積もる。素晴らしい数字ですねえ。しかも週末動員数は前週よりも増えて116%だというのだから、出来がイイってことでしょう。3D字幕で観たいのだが……
 2位:『モアナと伝説の海』が23日間合計で37億~38億ぐらいと見積もる。動員が308万人を超えたそうで、単価1200円ぐらいとして、ちょいの乗せしての計算値です。こちらもどこまで伸びるか、注目ですな。
 3位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が30日間で35~36億ぐらいと見積もる。こちらは動員が311万人を超えたそうです。こちらは単価を少し抑えて1130円から150円ぐらいにしてみたのですが、もうちょい安いのかもな……。40億は超える……はず。たぶん。
 4位:『キングコング:髑髏島の巨神』が9日間で10~11億ぐらいと見積もる。当初は10億届かないぐらいかな、と思ったけれど、この週末だけで3億稼いだそうで、ちょっと乗せました。10億は超えてるのは間違いなく、ひょっとしたら11億超えてるかも。
 5位:『ひるなかの流星』が10日間で7~8億ぐらいと見積もる。軒並み上位陣の数字が良いので、少し乗せ気味に計算しました。まあ、大変順調ですな。10億超えるのは確実として、15億に届くかどうか、ぐらいでしょうか。
 6位:『PとJK』が9日間で5~6億ぐらいと見積もる。こちらも乗せ気味での計算です。こちらも、ギリ10億は届くかもしれないですな。しかし、そうなると、どうして「3月のライオン」は10億届かずぐらいなんだろうか……まあ、客層・年齢層が違うんでしょうなあ……きっと。
 7位:『ラ・ラ・ランド』が38日間で37.35億だそうです。もうちょい粘ってなんとか40億は超えてほしいです。今のところ、わたしの今年ナンバーワンなんですけど。2位は『沈黙』かな……。
 8位:『仮面ライダー×スーパー戦隊』が9日間で3~4億ぐらいと見積もる。TVCMによると、シューティングゲームの名作「ゼビウス」が攻めてくる的なお話みたいですが、なぜゾルダが出てくるのかさっぱり不明です。観た方、教えて下さい!
 9位:『パッセンジャー』が10日間で3~4億ほどと見積もる。こちらももうちょい売れてほしいなあ……せめて10億は超えてほしかったけど、ちょっと厳しそうです。
  10位:『チア☆ダン』が23日間で10億チョイ超えたぐらいと見積もる。先週TOP10落ちしてしまったので10億はギリだめか? と書きましたが、無事に超えて良かった良かった、すね。

 とまあ、こんな週末だったようです。
 
 ところで、4/21(金)から日本で公開される『美女と野獣』ですが、間違いなく日本でも最低50億、ひょっとしたら100億円を超えることすらあり得るんじゃね? と根拠なく思うわけですが、すでに公開中の世界各国では大変な大ヒットとなっています。US国内で3.95億ドル(=111円として約439億円)稼ぎ、その他の国々でも合計4.8億ドル(=約533億円)稼いでいるそうです。すげえなあ。合計で1,000億円以上はもう確実なわけですよ。そこらの上場企業の会社の年間売上にも等しいわけで、なんというか、すさまじいですな。ええ、わたしも当然観に行きますよ! でもまた3D字幕はほとんどないだろうから、IMAXに行くしかないかもしれないすね……。高いし混むから嫌なんだけど、ま、しょうがないす。そしてUSでこの週末から公開された『ゴースト・イン・ザ・シェル』はちょっと厳しい出足のようですな。くわしいUS週末興行はこちらをどうぞ

 というわけで、結論。
 『SING』強し。そして『モアナ』も頑張ってる。さらに『ラ・ラ・ランド』も粘ってます!以上。 

 FPS、と聞いてすぐ意味が分かる日本人はどのぐらいいるだろう? 恐らく分からない人の方が多いのではなかろうか、と、いつもながら根拠なくそう思う。いわゆる、First Person Shooter、「一人称視点」のシューティングゲームのことなのだが、要するにプレイしている自分の視線でゲームを進めるもので、結果として自分の顔は見えない。もちろん背後から迫ってくる敵も、振り向かなければ見えない。そんな、ある種の臨場感あふれる映像なわけだが、先日わたしは、とある映画のことを知って、大変驚いた。なんと、ほぼ全編を「GO Pro」で撮影した、主人公の視点のみで展開するFPS映画なのである。ええと、Go Proって分かりますよね? 世界でおそらくは最大のシェアを誇る「ウェアラブル・カメラ」で、いわゆるアクション・カムと呼ばれる小型ビデオカメラだ。わたしもPanasonic製の4Kアクションカムを持っていて、 登山時などに頭にセットして、「わたしの見ている視線での映像」を撮影しているけれど、まあ、とにかく小型カメラのくせに異様にきれいな映像が撮影可能で、帰って来てから再生してみると気持ち悪いぐらいの面白映像が撮れているのである。
 そんな、完全一人称視点の映画が、『HARDCORE HENRY』という作品だ。なんでもロシアのロックバンドのBITING ELBOWSというグループのIlya Naishullerという男がGo Proで撮影した動画がYou Tube にアップされて話題となり、クラウドファンディングで資金を集め、ついでにその動画を観たTimur Bekmambetov監督が気に入ってプロデュースしたんだそうだ。
 まあ、上記でわたしが何を言っているかわからない人は、この予告を観れば、ははあ、そういうことか、と分かると思うので、さっそく見てみてください。

 どうですか、ご覧になりましたか? なかなかそそるでしょ。アイディア的に。
 わたしは、実はこの予告を観て、真っ先に、な、なんだってーーー!? と反応したのは、冒頭に出てくる美女についてだ。彼女は、現在わたしがイチオシのハリウッド女優、Haley Bennettちゃん30歳である。わたしは彼女の何ともいえないエロ可愛さにこのところぞっこんであり、Haleyちゃんがタイトミニ&白衣&ポニーテール、という最強三段活用で登場する映画なら、その時点で観ることは確実なのである。この予告だけでもHaleyちゃんのエロ可愛さは確認できるので、わたしの言いたいことは伝わると信じたい。
 というわけで、今日は4/1、ファーストデーで1100円でみられるし、わたしはすぐさま上映館を調べ観に行くことにした……のだが、これがまた、上映館が少ない! わたしは年間40本以上の映画を映画館で観ているが、その約90%ほどをTOHOシネマズで観ている。なのでわたしは真っ先にTOHOシネマズのWebサイトで調べたのだが、一切上映館がない。おおう、マジかよ……と思い、次に仕方がないので本作の公式Webサイトで上映館を調べてみたところ、こういう「変な映画」ばっかり上映することでお馴染みの、ヒューマントラスト渋谷や、エレベータが激込みになるので大嫌いな新宿バルト9など、都内でもそれなりに上映館があることは分かったのだが、こういう映画は妙に混んだりすることも多いし、雨だし、どっか、ガラガラで車が置ける郊外のシネコンがいいなあ……と思って、今日はうちから車で40分ほどぶっ飛ばしたところにある、Movix三郷へ行ってみることにした。朝の9時半からの上映を狙えば、より一層ガラガラであろう、との目論見から、一路、愛車をぶっ飛ばしてきた次第である。
 結論から言うと、Movix三郷はガラガラだったので文句はないのだが。映画については……まあ、一発ネタですな。つまらん、とは言わないけれど、こりゃあ超最高だぜ、とも思わない。とにかく血なまぐさすぎてもう完全に漫画、というかゲームそのものだ。FPSを実写でやるとこうなる、というのはよく分かった。たぶんこの映画は、CALL OF DUTYとかBattle Fieldとか、そういったFPSが大好きな人が観たら、超大喜びで大興奮するのだと思う。その映像はホントに物凄くて衝撃的とさえ言っていいだろう。しかしやっぱり、バタバタと人が血まみれで死んでいく様を観て、面白いと思う感覚はわたしには備わっていないようだ。まあ、安心したわ。自分に。
 物語としては、冒頭、予告でも描かれているように主人公「ヘンリー」が目覚めるところから始まるが、このあたりはまさしく『ROBOCOP』そのもので、加えてHaleyちゃんのエロさが随所に漂っており、極めて上物である。Haleryちゃんと言えば、去年の11月に観た『The Girl on the Train』や、今年の2月に観た『THE MAGNIFICENT SEVEN』でのやたらとフェロモンをまき散らしたお姿が記憶に新しいが、今回もかなり良かった。ちなみに、主人公は当然のことながら一切顔が分からない。誰が演じたのかも、一切わからない。エンドクレジットにも載っていない。(※忘れてたので追記:実は顔が映らないのに加えて、一切しゃべらない。それは、サイボーグ化されたヘンリーが目覚め、まずは音声発話の設定をしようとしたところで敵が攻めてきて、しゃべることができないのであります。この設定は非常にうまいと思う。しゃべってしまったら、一人称視点の設定が結構台無しになった可能性が高いと思うな)そんな、視線だけの主人公ヘンリーを、次々とサポートしてくれるジミーという謎の男がいて、あれっ? さっき盛大に死んだよな!? と思っても、なぜか次々現れる謎ジミーの指示に従って主人公は行動する物語になっていて(ちなみに後半でジミーはクローン技術を確立させていて、何人もいることが判明する)、そんな点もまさにゲームそのものだ。ここへ行ってアレを奪うんだ、みたいなミッションクリア型のゲームのようにストーリーは展開する。で、追い詰める悪役は、謎の念動力的な能力を持っていて、主人公を邪魔しまくり、最終決戦で見事ブッ殺されて終わり、である。そしてHaleyちゃん演じる美女も実は……というエンディングであった。そんな物語が、面白かったかと聞かれると、答えに困るな……。上にも書いた通り、血まみれすぎてわたしにはちょっと……厳しいっす。
 で、役者的には、Haleyちゃん以外に2人ほど有名役者が出ている。一人は、主人公を助ける謎の男ジミーを演じたSharlto Copley氏で、前述のようにとにかく何人も出てくるが、もちろん一人……何役だろう、6~7役かな、何人もの役を演じている。彼はアカデミー作品賞にもノミネートされたSF映画の傑作『DISTRICT 9』でもお馴染みですな。南アフリカ人ですね。そしてもう一人、主人公の父として、回想としてちらっと現れるのが、大ベテランのTim Ross氏。なんでこの映画に出演しようと思ったのか知らないが、ほんのチョイ役でも出てきてわたしはびっくりした。あと、監督は、冒頭にも記した通りロシア人のIlya Naishuller氏。有名なのかもしれないけどわたしは全然知らないす。ロックンローラーだそうで、確かに本作も、全編ノリのいい音楽が流れていて、ビートがはじける映画でありました。

 というわけで、短いけどさっさと結論。
 ふと観た予告で気になったので、わざわざ車を40分ほどぶっ飛ばして観てきた映画『HARDCORE HENRY』という作品だが、確かに映像は物凄い。しかし、この映像をたった数万円の超小型カメラで撮影できる時代なんだなというのが、わたしとしては驚きというか……いや、驚きじゃあないな、こういうことができることは知ってたし。でも、それで本当に96分もの映画を撮ってしまおう、というその発想が驚きであろう。それもまさかロシア人がやるってんだから、世界も変わったものですよ。こういうぶっ飛んだ発想は、日本人にはないでしょうなあ。まあ、物語としてはゲームそのもので、ハマれるかどうかは好み次第ですな。ま、当たり前か。わたしはちょっと胸焼けしそうです。ひどく血まみれ映画なので。そして最後にわたしが言いたいこと、それは、Haley Bennettちゃんは超エロ可愛くて最高です。白衣姿が超良かった。あとは眼鏡をかけていたらもう完璧だったんだけどなあ。その点だけ残念す。以上。

↓ 41,569円だって。わたしがアクションカムを買ったのはもう4年前だけど、そのころは「GOPro3」だったかな……GOProにするか悩んで、結局Panasonic製にしちゃいました。



 

↑このページのトップヘ