2017年03月

 今、本屋さんの文庫売り場に行くと、表紙カバーにコミック調のイラストを起用した作品がやけに多く目立つ状態にあるのは、もうお馴染みの光景だろう。わたしは、その先鞭をつけたのは、「メディアワークス文庫」というレーベルであると思っているのだが、その、「メディアワークス文庫」の書店店頭における存在感を一躍押し上げたのは、間違いなく『ビブリア古書堂の事件手帖』という作品だと思う。思うというか、間違いない。この作品のミリオンを超える大ヒットによって、似たような、ヒドイ言い方をすればパクリ企画が横行したのは、たぶん出版関係者なら、口では認めなくても心の中では認めるはずだ。わたしも、この『ビブリア古書堂の事件手帖』は、一番最初の(1)巻が発売されたときから読んでおり、大変面白く、楽しませてもらっている作品である。
 その物語は、ごくざっくり説明すると、北鎌倉の駅のそばにある「ビブリア古書堂」という古書店を舞台に、超美人の店長、栞子さんが、古書や文学史・出版史にまつわるトリビアを交えつつ、店を訪れる人々の問題を解決するというもので、実に面白い作品である。膨大な知識に基づいた、ある種の安楽椅子探偵じみた推理は読んでいて実に爽快だし、またキャラクターも大変よろしい。まあ、残念ながらこの現世には、モテない読書好きの男が夢に描く理想を体現したかのような「栞子さん」は存在しないと思うが、とにかく、少なくともわたしの好みには、物語も栞子さんも超ど真ん中のジャストミートである。
 というわけで、一応の(?)完結編となる第(7)巻が発売になり、わたしもさっそく読んだ。以下、ネタバレも混ざっているので、気にする人は以下は読まないでください。

 ちなみに、どうでもいいことなのだが、実は紙の文庫版では2月にとっくに発売になっていて、電子書籍では1か月遅れでやっと発売になり、ようやくわたしも読むことができた。しかし電子での発売日に買って読み始めて1.5日で読み終わってしまったので、読み終わったのはもう数日前になる。なんだか、この記事を書くのに妙に時間がかかってしまった。一応ですね、わたしもそれなりにちゃんと働いておりますので、ヒマではないのです。
 そしてもうひとつちなみに、本書は、明確に続きモノで、いきなりこの(7)巻を読んでも全くわからないと思う。まあ、いきなり(7)巻だけ読んでみようという人はいないと思うが、実のところ2年2カ月ぶりの新刊になるのかな、わたしはもうすっかり、前巻がどう終わったのか忘れていたので、(7)巻の電子版発売前に、復習として少し前の巻をパラパラ読み直しておいた。あ、わたしが持っているシリーズは電子書籍だから、パラパラ、じゃないか。1巻から4巻まで紙で読んでいたけれど、5巻が出た頃に、電子で全部買い直しました。
 で。何から書くか……。続きモノなので、説明すると膨大になるんすよね……この(7)巻の物語における前提がいっぱいあるからな…… ひとつだけ、大きな前提となるポイントとして挙げておかなくてはならないことは、栞子さんの母親についてであろうか。
 栞子さんは、北鎌倉に妹の文香ちゃんと二人で暮らしている。栞子さんはもう大学を卒業していて、文香ちゃんはまだ女子高生、(7)巻時点で、栞子さんが26歳(?)で文香ちゃんが3年生かな。 この姉妹のお父さんはすでに亡くなっているのだが、母親は、「10年前に失踪」してしまっている。一応、物語の中でチョイチョイ姿を現すものの、家には帰ってこない。そもそも栞子さんは母親の身勝手さを許していないし、母親も、破天荒というかまったく娘たちを放置していてるひどい状況にある。栞子さんは母親が嫌いだし、母親は栞子さんの書籍知識をまだまだだと思っている。そんな、世間一般的でない関係の二人なのだが、母がなぜ「失踪」したかというと、どうもなにやら幻の本を追って世界中を巡っているらしいことしか分からない。そしてまさしく今回の(7)巻で、その因縁の「本」にまつわる物語は一応の決着がつくという形になっている。それゆえ、冒頭で「一応の完結編」と書いたのだが、三上先生のあとがきによれば、キャラごとのスピンオフ的なものはまだ書く気がある、とのことなので、今後もまだ、『ビブリア』キャラたちに会えることもあるみたいですね。
 さてと。肝心の(7)巻だが、読んでわたしが何を感じたかというと、完結と言っても、なんかすっきりしたような、しないような、若干微妙な感じを真っ先に受けた。唯一すっきりしたのは、栞子さんと五浦くんの関係ぐらいだろうか。
 この巻で問題となる本は、Shakespeareの「ファースト・フォリオ」というものである。去年、また1冊発見されそうで、2016年4月時点で234冊現存するそうだが、要するに、世界で最初に出版された、Shakespeare最初の全集本で、没後7年経った1623年に出版されたもの、なんだそうだ。栞子さんのお母さんが探し求めていたものがまさにこの本で、作中の記述によればその価値は億円単位らしい。この、世界にその存在が認めらていない幻の本(推定1億円以上)を巡って、栞子さんのおじいさん世代の因縁がからんでの謎解き合戦となる。
 今回登場する悪役的なキャラは、かつておじいさんの番頭的なポジションだった男で、当然年寄りなのだが、非常に『ヴェニスの商人』のシャイロック的な言動で(勿論わざとであって、自らそういうキャラを演じているのだが、素でそういう男なのかも。よく分からん)、栞子さんと、栞子さんのお母さんに挑戦してくる。それは、おじいさんが持っていたとされるファースト・フォリオがこの4冊のコピーのうちの一つにまざっている。それを見分けられるかな? 的なもので、古書店協会の競売に出品して、お母さんと栞子さんがそれをめぐってオークションバトルをするというのが本編のクライマックスだ。
 だけど、その競りも結構あっけないというか、所詮は持ち金の多寡で決まってしまうわけで、売れば億単位のものなんだからもっと必死で競ればいいのに、と、わたしは無責任に思った。結局はいくら資金を用意できるかの問題であって、栞子さんが相当な覚悟で金を用意してきたのに、お母さんはそんなもんなんだ、というのがわたしが感じたあっさり感の源であろう 。まあ、わたしなら五浦くんの10倍、はきついけど5倍ぐらいは用意しただろうな。そう、なんかその本を手にしたいという迫力というか執念のようなものがまるでないんすよね。結局、本を手に入れる目的が金のため、だからなのだろうか? 心の底からその本が欲しい、とは到底感じられなかったのが、どうもわたしの感じるあっさり感の根底にあるような気がする。読んでいて納得できるような執着心がなく、じゃあアナタはなんで欲しかったの? というのが良くわからなかった。
  加えて言うと、まあ結局のところ、栞子さんは無事にGetでき、借金もしないで済んだし、文香ちゃんの大学進学資金もできたし、おまけに五浦くんからきちんとプロポーズされて、OK出したし、めでたしめでたし、なわけだが、お母さんとの関係は、正直あまり変わっておらず、お母さんはまたさっさとどっかへ行ってしまうエンディングには、なんというか、どうも全てすっきり終わったとは感じられなかった。
 うまく言えないのだが……やっぱりこれで完結、という気がどうにもしない。その点がわたしとしては若干残念に感じたポイントだろう。栞子さんも、ズバリ、あまり初登場時から成長していないし。唯一、五浦くんとラブラブになって、ちょっと積極的になったぐらいだろうか。ラブコメならこれでいいけれど、なんというか、栞子さんの成長がきちんと描かれてほしかったように思う。
 ちなみに、本シリーズは、基本的には五浦くんの一人称語りであるため、正確に言うと主人公はこの語り手である五浦くんであるというべきだろう。ただ、まあ、五浦くんは大変イイ奴だし、栞子さんをモノにする(我ながらなんてゲスな表現!)のは実にうらやまけしからんけれど、彼も成長したのだか、初めからあまり変わっていないのだか、実に微妙な気がする。読んでいる時は面白いからいいけれど、うーん、まあ、栞子さんと五浦くんの将来に幸あれ、と読者としてはクールに去るのが礼儀だろうか。ま、ホント、お幸せにな、お二人さん! あばよ!
 あと最後に、今回の最終巻に合わせて、アニメ化と実写映画化が発表されるというトピックスもあった。わたしはアニメは観ないと思うけれど、映画は、「誰が栞子さんを演じるか」には大変興味がある。数年前のTVドラマ版はなあ……あの女優は別に嫌いじゃないし、実際可愛いと思うけれど、栞子さんと言えば「黒髪ロング&巨乳」なのに、なぜショートカット&つるペタだったんだろうか……わたしは彼女には全く罪がないと思う。むしろ絶対いろいろな批判が出る役なのに、ホント頑張ったと讃えたいぐらいで、そもそも批判されるべきなのはキャスティングしたプロデューサー以外いない。だって、いわば、ケンシロウの役にアンガールズの山根くんをキャスティングするようなものじゃあないか……。ま、いずれにせよ、映画に関してはキャストの続報を楽しみに待っていたいと思う。
  
 というわけで、まとまらないけれどもう結論。
 メディアワークス文庫『ビブリア古書堂の事件手帖』の本編完結となる(7)巻が発売になり、さっそく読んでみたところ、まあ、安定の面白さ、であることは間違いないのだが、結末的にどうも完結のすっきり感が乏しく、また、一番の謎だった母親の求めていた本への執着もあまりなくて、ちょっと……なんというか、だいぶあっさり感を感じた。でもまあ、間違いなく言えることは……栞子さんは最高です。以上。

↓ うおっと!すっげえプレミア価格になってる……。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、先日の日曜日に熱戦の幕を閉じた大相撲3月場所(春場所@大阪)ですが、まあ、ホントに新横綱【稀勢の里】関の奇跡の逆転優勝には熱くなったすねえ……! 13日目のVS【日馬富士】関との取組で負傷し、14日目のVS【鶴竜】関との取組でまったく力が入らない状態を見て、誰しもが、ああ、こりゃあアカン、と思ったと思います。しかし、15日目千秋楽で、本割で【照ノ冨士】関に勝利して相星となり、優勝決定戦でもねじ伏せる展開には、わたしもテレビを見ながら超興奮しました。そしてわたしの一番応援している【松鳳山】関は、最終的には5勝10敗と厳しい星取りとなりましたが、相撲自体は全然悪くないというかいいんすよねえ……勝ち星に繋がらなかったのは残念ですが、今後も応援したいと存じます。来場所は6~7枚目とかその辺りかなあ……もっと下がっちゃうかもなあ……でも、いつか再びの三役返り咲きを期待してるぜ!
 というわけで、まずは今週の週刊少年チャンピオン2017年18号の概況です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。紙の雑誌版は乃木坂の秋元真夏嬢だそうです。
 ■ 『弱虫ペダル』:焦る広島の巻。うーん、なんか広島はどうでもいいというか……。
 ■『刃牙道』:恐慌の巻。うーん、なんか武蔵はどうでもいいというか……。
 ■『囚人リク』:1分の巻。天野頑張った!天野のキメ顔がいいすね!
 ■『Gメン』:ななみのアルバイトの巻。妹奈々未ちゃん久々登場。平和回です。
 ■『BEASTERS』:その感情、極彩色の巻。今週も大変イイですね。単行本2巻は来週発売です。当然買いますよ、ええ。
 ■『吸血鬼すぐ死ぬ』ナイスショット&タマちゃんの巻。今週も大変笑えました。チャンピオンギャグマンガで一番面白いす。
 ■『少年ラケット』炎のように揺らめいての巻。なるほど、イチロー君はサウスポーだったんすね!超覚醒で来週からはイチロー君のターンだ!
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。今週は、ほとんどNHKアナの実況と、常松こと【松明】の心中の叫びで展開されるため、あまり書くことがないので短くまとめます。
 先週は、トンパチな【毘沙門】野郎が、鯉太郎の放つ圧倒的な殺気と技のキレで、とうとう「天才」としての能力に覚醒してしまい、鯉太郎が土俵際に追いやられてしまうところまでが描かれましたが、今週はその続きです。
 一気に前に出る【毘沙門】に、鯉太郎もすぐさま反応して前に出ます、が、【毘沙門】はその出足を蹴返しで叩き、鯉太郎の勢いを止めます。そして勢いの止まった鯉太郎のまわしをがっちり両手でホールド、二本差しの体勢です。鯉太郎も即座に巻き返しますが、【毘沙門】はそれを許しません。鯉太郎の得意の型、左下手が封じられました! そして内掛けで攻める【毘沙門】、鯉太郎は間一髪でそれを凌ぎますが、もはや土俵際、万事休すか!
 と、この状態で、常の心の語りが始まりますよ! もうですね、全文を記録しておきたいほどの想いがこもっていて、結構泣けるんすよね……!
 「クソ…クソ…知ってるさ…痛いほど…幕内(ここ)は 信じられないほどの化け物たちが巣食う世界 どんなに努力しようが…どんなに重い物を背負っていようが…どんなに負けられない理由があろうが…たとえ誰よりも相撲が好きだという情熱があろうが…より強い才能がそれを凌駕する……残酷な現実…」
 「けど…だけど…鯉太郎さんならそのクソッタレな現実(リアル)を 捩じ伏せてくれると思えるんです 俺は…知ってるから…ボロボロになりながら何度倒されても立ち上がってきた鯉太郎さんの背中を 必死に抗ってきた姿を…だから…だから…俺は見たいんです…情熱が残酷を超える姿を…」
 「頼む…頼む…情熱よ…残酷を…超えろ…!!」
 この、常の心の声が届いたかのように、鯉太郎は【毘沙門】をブン投げるわけですが、この常の心の声の背景に描かれる土俵の上での攻防、そして常や鯉太郎の表情は、もう文字では説明できません。ぜひ、ぜひともこれは、チャンピオンを買って読んでいただきたい! この『鮫島、最後の十五日』という漫画の、メインキャッチが「情熱よ、残酷を超えろ――」というコピーで、単行本1巻の帯にも採用されていましたが、つまりこういうことですよ。ホント、常のナレーションは倉本聡的で泣かせますねえ……。わたしも見たいんです……情熱が残酷を超えるところを!!!
 やっぱり、部下を育てるには、自分自身が熱い戦いをして、それを見せつけてある種のあこがれを抱かせるのが一番だと思います。男ならそういう、部下の目標になる男でありたいすねえ!
 というわけで、今週のラストは【毘沙門】を変形(?)の仏壇返しこと呼び戻しでブン投げる鯉太郎の姿が描かれました。どうやら無事に勝利したようです。はーーー良かった良かった。しかしこの後、鯉太郎の次の相手は誰なのか、そして、ダークサイドへ転落した【百雲】さんと常の戦いは描かれるのか、マジでもう読み終わったそばから来週が楽しみでたまりませんなあ! ホントに『鮫島』は最高です!!!
  それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。63連勝中。モンゴル人。

 というわけで、結論。
 今週は、ズバリVS【毘沙門】戦の決着まで進みました。そして常の倉本聡ばりのナレーションがマジで泣けました。最高です。ホント最高ですよ。大相撲の【稀勢の里】関の逆転優勝を見て、弟弟子である【高安】関は、号泣したそうですが、そりゃあ泣けたでしょうね。【高安】関も、最高の兄貴をもって幸せですな。来場所の大関取り、ぜひ頑張ってほしいと思います。いやあ、ほんとこういうのに弱いすわ。『鮫島、最後の十五日』は最高です! 以上。

↓ わたしとしては買わざるを得ないような気がします。明日発売かな? 忘れないようにしなくては。
 

 というわけで、月曜日は恒例の週末映画興行データをまとめます。
 つーかですね、今週末は『パッセンジャー』と『キングコング:髑髏島の巨神』の二本を観て来ました。詳しい事は昨日おとといの記事を読んでもらうとして、『パッセンジャー』は意外と予想外の展開、『コング』はベタな中華映画、でした。しかし、ともに映像はすごいです。とりわけ『パッセンジャー』の宇宙船や『コング』の謎クリーチャーたちの描写はすさまじいですよ。そして、映画オタクとしては両方ともちゃんと3Dで観たかったのですが……ほんと、3D・字幕版ってのは上映してないすねえ……。わたしのまわりには3Dはむしろイヤという人が多いですが、3Dを踏まえた演出がなされている以上、わたしとしてはやっぱり3Dで観たいのです。が……IMAX-3Dは高すぎだし混んでるんだよなあ……。もう、テレビもほとんど3D機能付きは売ってないみたいですね。わたしは結構、Blu-ray-3Dをちゃんと買って、家では3Dで観ることも多いですが、そんなオタクはもう絶滅種なんだろうなあ……。 やれやれ。あれっ!? イオンシネマは結構3D字幕も多いんだ!? へええ! 知らなかった! でも近くにないんだよな……ぐぬぬ……!
  ま、そんなことはどうでもいいので、さっさと興行通信社の大本営発表をまとめておこう。

 ※さきほど、いろいろ数字を見かけたので結構追記を加えました。初出時のわたしの見積もりは、とくに今週新規ランクインの作品に関して、結構ズレてました。サーセン。

 1位:『SING/シング』が10日間合計で18.9億ほどだそうです。3/23時点で13.3億だったそうで、そこからの土日含めた3日間で5~6億稼いだということになりますね。観たら絶対面白いんだろうなあ……やっぱり。
 2位:『モアナと伝説の海』が16日間合計で25~26億ぐらいと見積もる。先週末時点で16.5億+今週末3.7億、そして祝日と平日稼働が絶好調だったと仮定して5億ぐらい、という見積もりですが、ちょっと盛りすぎかな? わたしとしては、今、何か映画でも見るか、と思ったならこの作品をお勧めします。大変良質です。※追記:おっと、26憶をチョイ超えてるようですね! 失礼いたしました!
 3位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が23日間で26.4億だそうです。わたしが想像していた見積もりよりも2億ぐらい上だったので驚いた。てことは『モアナ』はもうチョイ上なのかな??
 4位:『キングコング:髑髏島の巨神』が公開土日で3.96億ですって。しかし、まあ、そりゃあ映像はすごいですよ。でも、なんというか……わたしの好みには合わなかったすね……ちなみに、エンドクレジット後のおまけ映像があるので、最後まで席を立たずにじっと我慢しましょう。このエンドクレジットで映されるものだけは、日本人向けだと思うな。
 5位:『ひるなかの流星』が数字は出ていないけれど、この位置だと公開土日で2億チョイ程度は稼いだということでしょうか。もし2億後半~3億超まで稼いだとすると、かなりイイですね。ええと、こちらは「マーガレット」に連載していた少女漫画が原作で、生徒×先生×同級生モノ、すね。しかし、タイーホにならんのでしょうか。サーセン……原作を読んでないのでわかりません……。座組としては、フジTV×東宝×集英社ですな。※追記:おおっと!? どうやら金額順だとライダー>PJK>ひるなか、の順だそうで、この3作品はみな1.7億チョイでほぼ変わらない金額だったそうですよ。2億~3億は全然見当はずれでした。「ひるなか」はライダー並に単価が安いすね。へえ~。
 6位:『仮面ライダー×スーパー戦隊』がこちらも数字はないけれど、例年のパターンで言えば公開土日で1.7~2.2億ぐらいだろうか。春ライダーとしてはおなじみ(?)の、「戦隊」とのコラボ作品で登場。しかし……なぜ仮面ライダーゾルダが……まったくストーリーは知りませんが、ゾルダだけは気になってしょうがないす……。
 7位:『PとJK』が公開土日で1.5~2億ぐらいだろうか? ああ、ひょっとしたら「ライダー」は単価が安くて動員では6位だけど、金額順だとこちらの「PJK」の方が上ってこともありうるのか。難しい……。こちらは「別フレ」でまだ連載中だそうで、警官×女子高生、ですな。これもタイーホ案件のような気がしますが、まあ野暮なことは言いっこなしでお願いします。こちらの座組は日テレ×松竹×講談社、ですな。『ひるなか』とまったくのガチ対決ですが、勝敗を分けたのは東宝と松竹の差でしょう。
 8位:『ラ・ラ・ランド』が31日間で33~34億ぐらいと見積もる。祝日明けで30億は突破していたそうですが、かなりスクリーン数も上映回数も減ってしまったので、35億チョイ届かずの辺りではないかと見積もりました。もっと売れてほしかった、というより、もっと上映期間が長ければ……ぐぬぬ……。いずれにせよ、アカデミー賞を取って30億超えるのは、『LOTR王の帰還』は別格として、その前年の2003年(US公開は2002年)の『シカゴ』以来かな。あっ! いかんいかん、『ラ・ラ・ランド』は作品賞受賞してないんだった。素で間違えました。ま、いいや。
 9位:『パッセンジャー』が公開土日で1億に届かずなのでしょうか。正確な数字が分かったら追記しますが……もっと売れていいと思うのだが……でも、US本国でも1億ドルに届かずで、予算規模からすると若干期待外れな興行だったようです。※追記:ちゃんと1億超えていた模様。1.2億チョイのようです。それでも少ないなあ……。
  10位:『映画プリキュア ドリームスターズ』が9日間合計で3~4億届かずぐらい、と見積もる。先週月曜日の祝日がちょっと多めにカウントしての計算なのですが、どうかな、あまり自信ナシです。
 
 とまあ、こんな週末だったようです。
 しかし今週は新作は5本ランクインしたわけで、それはそれでいいのだけれど、その余波で、先週公開になったばかりの作品が早くもTOP10陥落と大変厳しい興行状況となってますな。 
 とりわけ、東宝的には『3月のライオン』は大誤算でしょうな……やっぱりもう、前後編物はキツイんすかねえ。エスミック・エースとの共同配給だから、東宝的には痛くないのだろうか……そんなことないよな……4月には【後編】の公開もあるし、今でもTOHOシネマズでは予告がバンバンかかっているし、挽回しないといけないけど、難しいだろうな……まったく根拠はありませんが、原作ファンは若干年齢層高めのような気がしますね……。
 あと、アニメの『ひるね姫』も興行的には厳しい状況と言えるだろう。こちらはワーナー配給ですが、今は実写よりアニメの方が手間も時間も金もかかりそうだし、 ちょっと厳しい戦いでしょうな……。それから、『チア☆ダン』も、ギリ10億届くか届かないかぐらいかな……。どれも、きっとそれなりな数字を期待されていたと思うけれど、思うようにはいかないすねえ……。
 
 というわけで、結論。
 今週は新作5本がTOP10入りとなったが、やはり『SING』『モアナ』は強い。そして『ドラえもん』『ラ・ラ・ランド』も健闘中、だけど、ちょっと上映回数が減ってきたのが心配。そして、わたしとしてはちょっと立て続けに映画を見すぎた(?)ので、たぶん2週ぐらい何も観に行かないような気がします。ああ、でも『ゴースト・イン・ザ・シェル』は観ておいた方がいいかな……ま、都合がつけば観に行こっと。つーかですね、3月は今週で終わりだってのに、今日の東京は寒かったすね。桜はまだかなあ。以上。

 やれやれ。それが今のわたしの感想である。
 何の話かって? さきほど、地元シネコンにて『KONG:SKULL ISLAND』(邦題:キングコング:髑髏島の巨神)を観てきたのだが、その、なんとも言い難い嘆息を「やれやれ」の一言で表現してみた次第である。
 わたしはこの映画を観ながら、随所で実に中国っぽいな、と感じたのだが、どうしてそう思ったのかを考えてみるに、おそらくそれは、随所にみられる演出上の「わざとらしさ」がわたしにそう思わせたのだと思う。なんというか……はい、ここ笑うところですよー、と言わんばかりの妙な間があふれており、また、CGもCGとしてのクオリティは非常に高いのに、使い方がかなり、無茶があるというかありえない映像と言えばいいのかな、ホント、中国製の作品にありがちな映像で、観ているわたしは白けるばかりであった。あの……なんて言えばいいのかな……よくある例としては、弓矢とか弾丸が発射されて、その矢の視線(?)にギューーーンと寄って、ぐおーーーっと対象に向かっていくような、アレのことなんですが。ホント中華映画はアレが好きだよな……。せっかくB級感あふれるトンデモストーリーをハリウッドスター満載&ハリウッドクオリティの高品位CGで描く大作なのに、とにかく演出が悪い。実にチープである。
 しかし、そう思うのはわたしの偏見であろうことは十分承知している。すでにLEGENDARY PICTURESが中国資本に買収され、中華スタジオになった事実が、わたしにそういった偏見を植え付けたのであろうことは否定できないが、恐らく、この映画は、100%間違いなく中国向けの作品で、そのほかの地域での公開はどうでもいいと思っているに違いない、とわたしは感じた。とはいえ、それもまたわたしの偏見に違いなく、実のところ、既に公開中の中国以外の国でもそれなりにヒットしており(中国ではどうやら日本と同じ3/24公開らしい)、US国内でも1億ドル以上の立派な大ヒットだ。ま、こういうアトラクション・ムービーはやはり一定の需要があるんでしょうな。
 あともう一つ。のっけからわたしはヒドイことばかり書いているが、実は1点だけ、ほほう、ついに来るか、と観てよかったかも、と思う点があった。これは、エンドクレジットが全部終わった後の、おまけ映像である。この作品、最後の最後に、日本人的には観ておくべき映像が流れるので、明るくなるまで席を立ってはいけません。詳しくは後程書きます。
 というわけで、以下、ネタバレがかなりあると思います。

 ちょっといろいろポイントがあるので、めんどくさいから箇条書きでまとめてみよう。
 ◆物語について~「MONARCH:モナーク」ってなんぞ?
 本作の物語は、ほぼ上記予告の通りである。謎の島に棲む怪物を調査しに行く人々の顛末を描く、いわゆる立木ボイスがお似合いのB級映画である。この、日本語公式サイトのイラストなんて実に70~80年代風のモンスター映画を思い起こさせるような、非常に良い出来のイラストだ。なんでこんな、ある意味懐かしのビジュアルか。それは物語の舞台がベトナム戦争から米軍が撤退する1973年を舞台としているからだ。本作は冒頭はどうでもいい太平洋戦争時の米兵と日本兵が、撃墜されたゼロ戦とグラマン(ムスタングだっけ?)から問題の「髑髏島」にパラシュート降下で降りたち、二人が決闘まがいの戦いを繰り広げようとしたところで、いきなり「コング」が現れるとことから始まるのだが(=よって、本作はもうのっけからコングが登場する。じわじわ見せるような演出では全くない)、メインの時制は1973年ごろである。そしてその時期は、まさしくNASAによる人工衛星LANDSATが運用され始めたころで、LANDSATが撮影した、「存在が知られていなかった」南太平洋の島があることが発覚し、とある秘密組織の学者がその調査へ乗り出す。その、秘密組織がMONARCHだ。
 MONARCHと聞いてすぐにピンとくる人は、この映画を観に行くような人でどのぐらいいるのか分からないが、それはまさしく、2014年のGareth Edward監督による『GODZILLA』で登場した、あの組織である。ケン・ワタナベ氏演じる芹沢博士がMONARCHの一員だったか、もうさっぱり覚えていないが、要するに本作は、あの『GODZILLA』と世界観を共通としているのである。
 しかしながら、ここが、物語のポイントの一つであるにもかかわらず、実際のところ本作はそんな豆知識は全く必要ない。
 調査隊が髑髏島へ向かう→ついでにベトナムから帰還する前のヘリ部隊も護衛のために同行→そしてまたも上陸してすぐ、いきなりゴング登場、ほぼ壊滅→そして帰還のための迎えに来る部隊と合流するために島の北側へ向かう→途中でいろんなモンスター登場、バタバタ人が死ぬ→ただし主要キャストは助かる→そして実はコングは人間の味方で(理由は一切説明なし)、怪物たちと戦ってくれる→何とか助かる→終了。
 とまあ、こんな流れで、確かに映像的な見ごたえはあるものの、物語としては実に予想通りの展開で驚きは特になし、であった。もう、細かい突っ込みどころはどうでもいいので指摘しません。
 ◆やけに豪華な役者陣について4人だけ挙げておく
 まず、MONARCHの学者リーダーを演じたのが、John Goodman氏。まあ色々な作品に出演している大ベテランと言っていいだろう。最近ではわたしが酷評せざるを得なかった『10 Clover Field Lane』での若干キモい芝居ぶりが印象的ですが、本作でも世間的に変人と思われている学者役で、非常に存在感ある演技でした。なんでも、かつてMassive Unidentified Terrestrial Organism(=巨大未知生物=MUTO=ムート=「GOZILLA」に出てきたアレ)に襲われたことがあるという設定で(※追記:正確に言うと、『GODZILLA』で描かれた通り、ビキニ環礁での水爆実験は、ゴジラ討伐のためだったという設定があって、その時ゴジラに襲われたことがある、という設定なので、『GODZILLA』に出てきたムートにやられたわけでない、と思う。いずれにせよ、このキャラはゴジラを始めMUTOの存在を信じている)、そんな点もちょっとした『GODZILLA』つながりがあった。ちなみに、ラスト前でとある怪物に頭からガブリとやられて見事殉職。ガブリの演出がとにかくチープ。
 次に、ヘリ部隊の大佐として、いつも通りの怪しい男を演じたのがSamuel L Jackson御大。もうこの人映画に出すぎです……。本作でも相変わらずの御大で、若干狂ってる系軍人で、もちろん彼も見事殉職。あれっ、どういう殉職だったか覚えてないな。コングに思いっ切り踏んづけられるんだったかな?
 そしてMONARCHに雇われた、元イギリス陸軍特殊空挺隊(SAS)の傭兵男を演じたのが、宇宙一のだめんずロキ様でお馴染みのTom Hiddleston氏。ま、確かにイケメンですよ。でも、本作では、ほぼ何もしていないキャラで、何のために出てきたのか全く分からない謎キャラであった。いてもいなくても、物語には全く何の影響もなかったと思う。当然生還。
  最後。紅一点のヒロインで、女性カメラマンを演じたのが、去年アカデミー主演女優賞を獲得したBrle Larson嬢27歳。このヒロインも、事実上空気で、物語上の役割は特になし。一応、歴代キングコング映画と同様に、ヒロインとしてコングと気持ちが通じる的な描写はあります。勿論生還。
 なお、正確に言うと、もう一人中国人女子が出て来るので、紅一点ではないのだが、でもその中国女子も、とてもかわいいのだけれど、これまた全くのお飾りキャラなので、物語には一切関与せず。この時代のアメリカと中国の関係を考えると、ちょうどピンポン外交で関係緩和の方向だったけれど、まだ国交もないはずで、やっぱり不自然かも。ゴリ押しキャスティングでしょうな、きっと。
 とまあ、以上のように、役者陣は大変豪華と言っていいだろう。 他には、まったくどうでもいい、冒頭の日本兵を演じたのは、MIYAVI氏という日本のミュージシャンだそうだ。有名らしいけどわたしは知らないので、紹介は割愛。ちなみに、劇中での役名は、イカリ・グンペイというのだが、これは、Evaの碇シンジ君と、ゲームの世界で有名な、元任天堂の故横井軍平さんから取ったのだそうだ。全くどうでもいいネタですな。
  ◆そして結局一番の見どころは?
 冒頭に書いた通り、わたしとしては一番、おおっ!? と盛り上がったのは、エンドクレジット後のおまけ映像である。事件終結後、イケメン傭兵と美人写真家はMONARCHの本部に移送され尋問を受けるシーンがおまけとしてついているのだが、そこで、MONARCHが追う、コング以外の、かつて地球を支配していた「古生生物」がこの世界に存在することが告げられる。そしてその、「巨大未知生物」の壁画が見せられるのだが……それがまさしく「ゴジラ」「モスラ」「キングギドラ」の図なんですな。ここで、おお!と観客に思わせて、やっと映画は本当に終わる仕掛けになっています。まあ、子供だましと言えばそれまでですが、このおまけ映像だけは、日本人向けサービスだと思っていいと思う。一応、次の作品はゴジラVSキングコングらしいですが、まあ、どうなるんでしょうなあ……。
 ◆その他
 最後に、二つだけ記しておこう。監督に関しては良く知らない人で、Jordan Vogt-Roberts氏という方であった。ま、インディペンデント系で注目された人みたいですな。日本語Wikiはまだないみたい。おおっ!? なんてこった! この人の英語Wikiによれば、この監督の次回作は「メタルギア:ソリッド」となっているじゃないか! へえ~。パンフレットによると、日本のアニメ・ゲームが大好きなクソオタク野郎みたいですね。本作は、登場クリーチャーのデザインだったり、キャラの名前などにいろんな映画やアニメのオマージュ(笑)が詰め込まれているのだが、別にどうでもいいかな。わたしは特に何も感じないすね、そんなのには。
 あともう一つ。
 実はわたしがこの映画で一番評価したいのは、邦題である。いつも私は邦題に難癖をつけるクソオタクなのだが、今回の「髑髏島の巨神」というタイトルは実に素晴らしいと思っている。なんとも70年代なセンスで素晴らしいですよ。ちゃんと原題を踏まえているしね。本作はWarnerの配給だが、近年のWarnerはちゃんと日本を考えている姿勢がたいへん好ましいとわたしは常々思っており、FOXのダメマーケティングに比べると雲泥の差であると申し上げて、本稿を終わりにしたい。

 というわけで、どうでもよくなってきたので結論。
 『KONG:SKULL ISLAND』を観てきたのだが、まあ、なんだこりゃ、である。しかしそれは、予想通りのなんだこりゃ、であって、わたしには文句を言う資格はまったくない。だって、分かってて観に行ったんだから。しかしまあ、かなり中華風でしたな。せっかくの豪華キャストも高品位CGも、あまりに中華風味でわたしの口には合いませんでした。しかし……かつて日本が世界で存在感をぐいぐい上げていた時期に、こんなにもハリウッドに対して関与できただろうか? バブル期にはSONYだけじゃなくいろいろな企業がハリウッドに出資したのに、今やSONY以外に何にも残ってない。なんというか、今の中国は恐ろしいですな、その勢いが。とにかく人口が違いすぎるからなあ……。以上。

↓ さすがにこっちは観に行く気になりません。Matt Damon氏出演のトンデモ・チャイナ・ストーリー。


  

 わたしはこのBlogで何度も表明しているが、かなりの声フェチである。とりわけ、女子の、容姿とはギャップのある、ガラガラ声というか、低めの声が好きだ。そんなわたしが愛するハリウッドスターが、Jennifer Lawrence嬢である。まあ、彼女についてもこのBlogで何度も言及しているので今更詳しくは説明しないけれど、とにかく、彼女の声は極めてわたし好みで、ついでに言うと、やけにむっちりしたBODYも大変よろしい。1990年生まれでまだ26歳。すでに栄光のオスカーウィナーの座を手にし、全世界的にも人気の高い女優である。が、どういうわけかここ日本においては、映画は妙なガラパゴス的進化を遂げており、ハリウッド作品が全然売れなくなった今、どうもJenniferちゃんの人気はいまひとつなのかもしれない。人気というか、知名度的にも相当怪しいと思う。もちろん映画好きならそんなことはないと思うけれど、街の人々にアンケートでも取ったら、知らない人の方が断然多いのではなかろうか。
 わたしがそう思う根拠は、実際のところ無きに等しいのだが、2015年にUS公開された『JOY』という作品が日本では公開されなかったのがわたしはいまだにガッカリしている。この映画は、監督はJenniferちゃんにオスカーをもたらした『Silver Linings Playbook』(邦題はなんだっけ……「世界に一つのプレイブック」か)を撮ったDavid O Russell氏だし、 共演も、Bradley Cooper氏やRobert DeNiro氏なのに。まあ、実際『JOY』はUS興行で全然売れなかったし、評価としては微妙だったようだ。同じ監督共演陣の『American Hussle』も微妙作だったので、『JOY』が日本では売れない、と判定されてしまったのだろう。こういう見る目のないところが、またしても20th Century FOXのダメさ加減だが、ほんと、FOX JAPANはマーケティングセンスがゼロだとわたしとしては断罪したい。あれっ!『JOY』はちゃんとBlu-rayは発売されてるんだ!? しかも先月発売じゃん! なんだ、全然知らなかった! しかし……今どき売れるわけないのに……さっさとWOWOWで放送されることを祈ろう。どうせ、FOXもさっさと金にしたいだろうし、おそらく早晩放送されるとみた。早く観たいものですなあ……。
ジョイ 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
ジェニファー・ローレンス
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2017-02-22

 さて。なんでこんなどうでもいいことを長々と書いたかというと、Jenniferちゃん主演の映画が去年US公開されて、これもまた日本で公開されねえのかなあ、とちょっと心配だったからである。しかし、今回はその心配は杞憂に終わり、無事、昨日から日本で公開されるに至ったのである。その映画のタイトルは、『PASSENGERS』。恒星間航行が一般化された未来、植民星へ120年の航海に出た宇宙船を舞台にした、バリバリのSF作品である。
 というわけで早速観てきたのだが、結論から先に言うと、映像と音響はとても素晴らしく、非常に気合の入った作品である、が、物語的にはちょっと意外な展開で、若干微妙かも? と思えるような作品であった。しかしそれでも、Jenniferちゃんと、その相手役Chris Pratt氏の演技ぶりは素晴らしく、わたしは結構楽しめました。ま、この映画に合わせてFOXが『JOY』のビデオ発売を決定したのは確定的に明らかで、そういう、人の褌で相撲を取る的なこすっからい点も、わたしのFOXに対する評価を下げるばかりである(ちなみに『PASSENGERS』はSONY作品、というかCOLUMBIA作品です)
 以下、どうしても決定的なネタバレを書かざるを得ないので、気になる人は即刻立ち去ってください。読む場合は自己責任でお願いします。

 物語はもう、上記予告の通りと言って差し支えないだろう。冷凍睡眠で120年の航海中の宇宙船内で、一人目覚めてしまった男。しかもまだ航海は90年続く。絶望的な孤独の中、さまざまな努力にもかかわらず、もはや再び冷凍催眠に戻れない。すなわち、船内で生涯を終えることが確定的というわけだ。しかしそんな中、もう一人、目を覚ました女性が現れ、しかもどうやら宇宙船にもなにやら異変が起きていて――てな展開を誰しもが予想するだろうし、わたしもそう予想していた。なので、問題は、なぜ目覚めてしまったのか、という点が一番のポイントなのだろう、と思っていたわけである。
 この、わたしによる完全なる予断は、およそ9割方は合っていた、のだが、わたしが全く予想外だったのは、2人目の女性の目覚めた原因である。ここから先はもう、本当に決定的なネタバレだけど、書かないと何も語れないので書いちゃいますが、なんと最初に目覚めた男が、あまりに寂しくてたまらず、眠れる美女に一目ぼれしてしまい、自ら装置をいじって目覚めさせてしまうのだ。こうして2人目の女性が、事故ではなく、男の手によって、ある意味無理やり目覚めさせられてしまったのである。この展開にはわたしは非常に驚いた。
 この行為に至るまでの、男の孤独や苦悩は、それなりに丁寧に描かれている。1年、どうやってもダメで、絶望していた男。彼が目覚めた原因は、相当後になって判明するが、まあ、要するに冒頭で描かれる通り、宇宙船が小惑星帯に入ってしまった際に宇宙船に穴が開き、そこから船体に異常が発生して男のカプセルだけ誤作動してしまった、というもののようで、何とか一人で頑張る姿は観ていて結構つらいというか、ああ、気の毒に……という同情がわくにやぶさかでない。そして彼は、偶然見かけた美女のことをいろいろ知っていくうちに、どうしても、彼女と話がしたいという思いが募っていく。彼女はどうやら有名な作家で、植民星での体験を本にするために搭乗していたらしい。しかし―――オレの手で目覚めさせてしまったら、二度と元に戻せない(冷凍ポッドのマニュアルを発見し、そのポッドは冷凍状態を維持するだけのもので、冷凍処置は船内ではできず、解除するだけなら方法があることを発見する)。彼女もまた、船内で生涯を終えるしかない。そんなことはオレにはできない! と何度も苦悩する。が、とうとう……やってしまったという展開であった。
 おそらくは、この男の行動を容認、理解できるかどうかが、本作を面白いと思えるかどうかの分水嶺だろう。そして、ほとんどの人が、理解はできても容認は出来ないだろうと思う。気持ちは分かるというか想像は出来る、けど、それをやっちゃあ、おしめえよ、であろう。わたしだったらどうするか……そうずっと考えているのだが、やっぱり、わたしだったら起こさなかったと思う。たぶん、だけど。しかし、そう考えると宇宙船のリスクマネジメントが、意外とザルってことなんだろうな。物語内では、絶対に起こらないアクシデント、として万一冷凍催眠から覚めてしまったらどうするかという対応策は一切用意されていないという鬼設定であった。
 なので、こうなると、果たして男はどんな償いをするのだろうか? という点に興味が移る。自分が目覚めさせたことを隠しながら、どんどんと二人はイイ仲になっていくが、とあることで自分の行為がバレ、女性に糾弾され、二人の仲は決裂する。しかし、宇宙船の異常はどんどんと危機的になり、とうとう二人は――という流れは、いかにも美しく、まっとうなストーリーなのだが、果たして万人が感情移入できるかとなると、若干怪しい。宇宙船の異常に関しても、ちょっとどうなんだろうという気もするし、第3の覚醒者(が出てくるのですよ!)についても、ちょっと都合が良すぎるような気もする。まあ、そのあたりは観た人の好みによるだろうと思うので、深くは突っ込まないが、わたしは決してつまらなかったとは思わないけれど、もうちょっと面白くできたんじゃないかなあ、という感想である。やっぱり、二人同時の覚醒で、二人で問題解決に当たった方が良かったんじゃなかろうか……1人目の男が目覚めて1年、そして2人目の女性を起こして1年、それから船体異常が深刻になる、という妙な時間経過がわたしは余計だったように思うのだが、どうでしょう? ああ、でもそれじゃあ、この映画の描く「孤独」が身に沁みないか。うーん。。。宇宙船の異常が出るのが遅すぎのような気がしてならないんだよなあ……。
 ま、いいか。しかし、いずれにせよ、エンディングは結構グッとくるものがあったと思う。最後の女性の決断は、一応の救いになっていて、わたしはアリだと思った。そういう決断を下したんだね、と分かるエンディングは、お見事でした。ズバリ、この映画はハッピーエンドですよ。
 しかし、120年の旅に出ることは、すなわち地球に残した人とはもう会えないわけで、事実上死んだも同然なわけだけれど、それでもやっぱり、人類は宇宙に旅立つものなんですかねえ。まあ、そんな時代が来るまで我々は生きてはいないけれど、なんか『銀河英雄伝説』の始まりで語られる人類の銀河への進出みたいですな。とにかく本作は映像がすごいです。宇宙船のデザインもカッコイイし、文句なしですな。そうだ、俳優と監督についてちょっとだけ。もう、主演の二人はいいよな? Jennifer Lawrence嬢は可愛いし、Chris Platt氏はまあイケメンですよ。そしてこの二人以外に、重要なキャストが二人いるのでメモしておこう。ひとりは、アンドロイド・バーテンダーを演じたMichael Sheen氏。どっかで見た顔だと思ったけれど、名前は知らなかった。わたしはどうやらいろいろな映画でこの人を観ているようだが、明確に名前と顔は一致してなかったすね。どうやら舞台で活躍している方みたいですな。演技ぶりは実にアンドロイドっぽくて、非常に良かったと思う。そしてもう一人が、第3の覚醒者として物語の後半に出てくる宇宙船のクルーを演じたLaurence Fishburne氏だ。『The Matrix』シリーズのモーフィアスでお馴染みですが、結構突然の登場でびっくりしたけど、渋かったすねえ。この映画に出てたことを、まさに画面に登場するまで全然知らなかったす。
 最後。監督について。本作を撮ったのはMorten Tydum氏というノルウェー出身の人。全然知らない人だなあ、と思ってパンフレットを読んで驚いた。この人、『The Imitation Game』(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)を撮った人だった。全然名前を思えてなかったよ。前作は20世紀の歴史ドラマ、今回はドSF作品と随分ふり幅が大きいすね。まあ、実に堅実かつ無難な演出だったと思います。

 というわけで、なんだかまとまらないのでもう結論。
 Jennifer Lawrence嬢とChris Platt氏という美男美女を迎えたSF作品『PASSENGERS』をさっそく観に行ったのだが、物語的には意外性もあって結構想像していたものとは違っていたものの、時間の経過を映像ではひげが伸びたりとかで表現しているのだが、やっぱり、「孤独」にかかわる重要な要素なので、若干実感としてとらえるのが難しく、微妙な点はあるとは思う。しかし、その映像と、あと音響がすごい。映像は予告でもわかると思うけれど、音がですね、相当ビリビリ響く迫力があって大変よかったと思います。そして、しつこいですが、Jennifer嬢の声は、ほんとイイすね!最高です。以上。

↓ おっと、配信も始まってるのか……くそう……観ちゃおうかな……いや、FOXに金を落としてやるのは腹立たしいのでWOWOWまで我慢だ!
ジョイ (字幕版)
ジェニファー・ローレンス
2017-02-08

 はーーー。寒い。今朝の東京は、AM0700時点で気温が8℃ぐらいだった。
 わたしは暑いよりも寒い方が耐えられるので、実際のところ8℃ほどの気温は別に構わないというか快適より若干冷えるかな、ぐらいなのだが、今朝(というかついさっき)、駅から会社に向かう途中で、春はまだ来ませんのう……とぼんやり曇天の空を見上げたところ、ふと思いついて靖国神社に寄り道してみた。わたしの会社は、去年引っ越して靖国神社から徒歩5分ほどの地にあるのです。
 寄ってみた動機は、そういやこの前、もう東京は桜の開花宣言が出たんだっけ、とふと思ったからであり、その開花宣言の基準となる「標本木」なる桜の木が靖国にあるからだ。
 というわけで、こんな感じでした。
yasuk01
 この写真じゃわからないかな。確かに、ほんの数輪咲いてました。ほんと、数輪だけ、だけど。
 以前、というか数年前まで、この「標本木」は普通にぽつんと在るだけだったけど、いつの間にか柵に囲われ、おまけにこんな看板も立ってました。
yasuk02
 いや、思い違いかな? 前からこんな看板あったっけ? 柵はなかったと思うんだけどなあ? 思い出せない。前からこうだったら、わたしの盛大な勘違いです。サーセン。
 しかし、不思議というか、今日、へええ? と思ったのは、どういうわけか、この「標本木」だけ、数輪の花が咲いていたり、蕾も、開花に向けて順調に膨らんでるような雰囲気なのだけれど、周りの他の木は、一向に咲く気配を感じさせない様子なんすよね。何故この標本木だけ、やる気満々に見えるのだろう。不思議っす。なんか、周りの桜の木々たちから、「チッ……お前ばっかり注目されやがって……ケッ! オレはゆっくり咲くからいいもん!」的な声が聞こえたような気がする。ええ、妄想ですが。

 しかし、こんな数輪の開花で、桜が咲きました! 的な開花宣言というのも、なんかちょっと変というか、気が早えなあ、と思ったわけだが、しかし、きっとあと1週間もすれば、もう、これでもか!というぐらいに、美しく着飾るんでしょうな、桜の木の皆さんは。
 まだ寒くて春を感じる陽気ではないけれど、まあ、着々と準備に入っているのは確かなようですね。花粉症には全く縁のないわたしは、やはり春はイイですな、と呑気に思う。しかしその一方で、もう人生の晩秋あたりを過ごすわたしには、なんつーか、春はまぶしいすね。遠くに過ぎ去ったいろいろなものを、思い起こさせますなあ。まったくもって、ヤレヤレ、だぜ。

 というわけで、今日はごく短く結論。
 東京はまだ寒い。手袋なしじゃチャリ乗れないぐらい。
 だけど、どうやら春は近いみたいです。以上。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、現在、大相撲3月場所(@大阪)の熱い戦いが毎日繰り広げられているわけですが、昨日の水曜日11日目終了時点で、新横綱【稀勢の里】関が11勝0敗で単独首位、そして弟弟子の【高安】関は昨日負けてしまって10勝1敗と後を追い、他にもカド番大関【照ノ冨士】関と西10枚目の【栃煌山】関が並んで1敗キープという状況です。いやあ、ホントに【稀勢の里】関は安定してますなあ。そしてわたしが応援している【松鳳山】関は、6日目に横綱【鶴竜】関を破って金星Get!なのは良かったのですが、今のところ3勝8敗とすでに負け越しが決まっており、大変厳しい場所となっております。くそーーー……毎回いい相撲なのだが……頑張れ【松鳳山】関! 応援してますよ!
  というわけで、まずは週刊少年チャンピオン2017年17号の概況です。
 ■巻頭グラビア:今週も電子版はナシ。紙の雑誌版は乃木坂の堀未央奈さんだそうです。
 ■ 『弱虫ペダル』:チーム二人加速の巻。でも青八木君の足が!的な展開かな……
 ■ 『刃牙道』:おいたが過ぎますの巻。なお、電子版では付録として、刃牙道の単行本カバーギャラリーがついています。しかし……主人公・刃牙が出てこなくても、単行本のカバーは刃牙なんすね……。
 ■『囚人リク』:無理!無茶!無謀!の巻。最後のページのリクの顔芸が最高です!
 ■『Gメン』:拓美の告白の巻。肝田君は無事振られました。笑えました。
 ■『BEASTARS』:レゴシは朴念仁ですねの巻。久々登場のジュノが可愛いすなあ!
 ■『少年ラケット』:イチロー君出陣の巻。ただし相手のオーラに恐怖を感じて……? マズいすねこれは……。
 てな感じの週刊少年チャンピオンでありました。
 
 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週はとうとう始まった鯉太郎VS【毘沙門】戦の、頭と頭が激しくぶつかる立ち合いまで描かれましたが、今週はそこからの攻防です。スピードが速いので、あまりいろいろ書けません。たぶん、現実時間で10秒も経過していないのではないでしょうか?
 まず、ブチカマシをキメた鯉太郎、すかさず下から突き上げます。常松こと【松明】もその状況を見て「飛んだだろこれは…いける!! 終わるぞ…」と喜びの表情。男塾的に言うとますます雷電化が進んでますがお前は大丈夫か!?すっかり実況キャラな常は置いといて、しかし、です。【毘沙門】は「飛んで」いるはずなのに、鯉太郎の下からの突き上げをかわして横へ飛びます。そしてまた常は「なんで…飛んでただろーが…」と一転焦りの表情。もう完全に虎丸的なリアクションです。
 【毘沙門】は、どうやらブチカマシから右の突きまでを読んでいたようで、無意識に体が動いてくれたらしく、さすがのトンパチ【毘沙門】も、あっぶねーーーと冷や汗状態です。しかし、息つく暇もなく、横へ飛んだ【毘沙門】を鯉太郎は追撃! 再びの右の突きを繰り出す鯉太郎に対し、【毘沙門】にはその動きが見えていますので、この一発を堪えろ、と覚悟を持って受け止めます。
 しかし! 鯉太郎の攻撃の本命は、左の下手でした! 左下手……それはまさしく鯉太郎にとっての一番得意な形です。実況の常も「左下手!!」と絶叫。いや、見れば分かるって。
 この動きの速い展開に【毘沙門】野郎も心の中は焦りまくっています。嘘だろ、どーなってんだ、先の先を読まれてる、前に取った時とは別人じゃねーか……超えた山だった、既に見下ろす存在だっただろーが……と思う【毘沙門】の脳裏に、【王虎】さんからの一言がよみがえります。
  「お前…相撲取ってて怖いと思ったことないだろ…?」
 【毘沙門】は鯉太郎の殺気溢れる顔を見て、これが【王虎】さんのいってた「恐怖」か、とどうやら悟ったようですね。うわあああと絶叫する【毘沙門】。しかし、それでもやっぱりこの【毘沙門】野郎は只者ではありませんでした。すかさず自分も左下手をねじ込み、鯉太郎のまわしをがっちりつかみます。実況席の虎城理事長ですら、もう遅い、そこから何が出来る…と思う一方で、なんと【毘沙門】の脅威の身体能力が発揮されました。大きくのけぞって、左下手をとらえたまま体を右回転、その勢いをつけて出し投げを繰り出します! そのアクロバティックな動きに、NHKアナも思わず「何だ今のは―――!!?」と絶叫! 堪える鯉太郎に、すぐさま小股を掬いに行く【毘沙門】。それも堪えた鯉太郎、ですが、気が付けば土俵際に追い詰められたのは鯉太郎! 形勢逆転です! やばし!
 この戦いを見つめる【毘沙門】の兄弟子であるどんぐり渡部くんは思います。
 「どうなってんだよ…これは…毘沙門(アイツ)にはムラがあった…それは天才がゆえのムラ…初めて見た………あんなに集中した毘沙門は…誰よりも才に溢れて 誰よりも稽古好きで 鮫島君にあてられた天才が…目を覚ましやがった…」
 そして目を覚ました天才【毘沙門】の反撃開始か―――!? というところで今週は終わりです。はーースピード感あふれる攻防に息止めて読んでたわ……。
 というわけで、鯉太郎的にはマズい展開ですが、覚醒した【毘沙門】野郎との闘いの行方はどうなるるのか、もう来週が待ちきれない思いでありますね。 鯉太郎は勝てるのかな……いや、そりゃ勝つんでしょうな? 勝敗は勿論、体の方も大丈夫か大変心配ですが、15日の戦いを最後まで応援したいと存じます。
 それでは最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。63連勝中。モンゴル人。

 というわけで、結論。
 今週は鯉太郎の放つ猛烈な殺気に、天才【毘沙門】が覚醒してしまいました。まあ、鯉太郎は相手も強くしてしまうエネルギーというか、ハートを持っているわけで、そこに読者としてはグッとくるわけですな。いやはや、今週も大変楽しめました。そしてホントに鯉太郎の体が心配です。あと、気になるといえば、鯉太郎の今後の対戦相手も全く読めないですな。前頭14枚目で10日目まで全勝、既に小結戦はあったものの……結局、他の力士の星取り状況にも影響されるからなあ……でも、どう考えても本割で横綱戦があるとは思えないんだけどな……。佐藤先生、ここらで今場所の各力士の星取り状況も教えて下さい! よろしくお願いしゃす! 以上。

↓ 我が愛しの黒ブタこと、【松鳳山】関。実は結構小兵の部類に入ると思いますが、その前へ前へという相撲ぶりは大変カッコイイと存じます! 頑張れ裕也!

 なんというか、最近、小説や映画で良く見かける形式として、現在時制の出来事と、過去の出来事が交互に語られるような作品がやけに多いような気がする。いやいや、全然最近じゃないか。むしろ使い古されているといった方がいいか。まあ、とにかくわたしとしては、妙に最近よく見かける気がしたのでそう書いたのだが、要するに、現在時制が勿論メインであるものの、主人公あるいは重要人物の過去が、だんだんわかって来て、ああ、そういういことだったのか、と分かるような仕掛けの物語で、マジか!やられた!と驚きの面白さを提供してくれる場合もあれば、なーんだ、でがっかりな作品も多い。
 ある種の叙述ミステリーと言えばいいのかもしれないけれど、そういう作品でつまらない結果となると、なんだか腹立たしくなるのはわたしだけだろうか。 わたしが昨日読み終わった小説『STONE BRUISES』(邦題:出口のない農場)は、残念ながら読み終わって腹立たしくなる方の、残念話であった。

 思うに、これは完全にわたしの好みだが、わたしの場合、主人公がバカだと、まるで物語に入れず、イライラするだけで、こりゃつまらん、と判定してしまう傾向がある。バカな主人公は、とにかく行動が、「確実にオレならそうしない」方向の行動をとり、そしてやっぱり痛い目に遭い、だけど何故か最終的には何とかなる。何とかならないと、お話にならんすわな。その、何とかなる様子が、なるほど、と思わせてくれるならまだ許せるのだが、たいていは、うっそお、そりゃないだろ、コイツ超ラッキーというか、これぞまさにご都合主義か!と思いたくなるような場合が多い。まあ、そりゃ誰でもそうだと思うけれど、とにかく、主人公はバカでは勤まらない、というのがわたしの持論である。
 本作の主人公、ショーンは、実にバカなゆとり青年だ。このショーンが、どうやら何かをやらかし、ロンドンからフランスへ逃亡し、フランスの片田舎で車を乗り捨てるところから物語は始まる。金もろくにないショーンは、ヒッチハイクであてもなく逃亡を図ろうとするが、とある森にさまよい、そこで動物捕獲用の罠にまんまと足をがっちり噛みつかれて大けがを負い、その場で気を失う。そして気が付くと、なにやら農場に運ばれ介護されている状況であることを知る。そこは、美しい姉妹と、なにやらいわくありげなおっかないオヤジが住む農場であり、ショーンはそこで傷をいやしつつ、その家族と交流しつつ、家の修理などを手伝い始めるのだが、どうもこの農場も何やらいわくがあって――というのがメインで、この現在時制の農場暮らしと交互に語られるのは、ショーンがロンドンにいた頃の話である。どうやらショーンは、彼女と問題があって、彼女は麻薬にはまってしまったらしいお話がぶつ切りに明らかになっていく。
 というわけで、問題は、まずロンドンで何が起こってショーンは逃亡しているのか、という点と、怪しすぎる農場一家は、一体に何ゆえに周辺コミュニテイーから疎外されているのか、という2点に集約されると言っていいだろう。ショーンも過去に何かあった、そして農場一家も何やら秘密を抱えている、というわけで、お互い秘密を抱える身ということで、お互い警察とは距離を置きたいという奇妙な利害の一致があり、ショーンはある意味のんきに農場生活を送るわけだが、実になんというか……イライラする。日本語タイトルは「出口のない農場」だが、実際のところ出口は普通にあって、いつでも出ようと思えば出られるのに、単にショーンがグズグズして出ていかないだけの話だ。何度か、ショーンはもう出ていくんだ!と決断するのだが、そのたびに、いや、まだ足痛えし、とか、なにかと言い訳を編み出して居座るわけで、実にぶっ飛ばしたくなるゆとり青年である。
 わたしのイライラは、第一にショーンが頭が悪いことによるものだが、もう一つはやっぱり、交互に、小出しに語られるロンドンでの過去が実にしょーもないし、また、大したことない話なのにもったいぶっているというか……ぐずぐずしているというか……とにかく展開が遅いのだ。全編通じて、話のテンポは遅い。その点もわたしのイライラを募らせる原因だったように思う。
 たぶん誰もこの物語を読んでみようと思う人はいないと思うので、ズバリ、ラストのネタバレを書いてしまうが、最終的にショーンはロンドンへ帰り、実は誰もショーンがフランスへ行っていたことなんて気が付いておらず、友達も、あれ、お前最近見かけなかったけどどっか行ってたの? ぐらいのノリで、実にあっさり、ショーンは、なんだ、逃げる必要なかったじゃん、と普通の生活に戻るのだ。わたしはもう、お前いい加減にしろこのバカガキが!と、もう読むのをやめようとしたら、ちょうどそこで物語は終了したので、もう唖然というか……何だったんだ一体……というやるせなさで読了に至ったのである。
 ただ、農場での姉妹の姉、に関しては大変キャラが立っていて、その点だけは良かったと思う。というわけで、キャラ紹介をまとめてさっさと終わりにしよっと。
 ◆ショーン:主人公のイギリス人。ゆとり青年。推定20代中盤。映画が大好きだけど別に何をすることもなく定職もなく、ぶらぶらしているふざけたガキ。彼女を麻薬付けにしたヤクザを殺ってしまい逃亡中、だが、完全ノ―プランで捕まらなかったのは単にラッキーか、イギリス/フランスの警察が無能なだけ、と思っていたら、実はロンドンではまったくそんな殺人に誰も注目しておらず、単にヤクザのごろつきが一人くたばった、としか思われておらず、全然捜査も行われていなかったことがラストで判明。
 ◆アルノー:ショーンが逃げ込む農場の主。養豚がメイン事業。どうやら過去に、とある男と組んで悪事をもくろんでいたが、その男は失踪中であり、周囲からはアルノーがその男をぶっ殺して豚に喰わせたんじゃねえか、と思われている。
 ◆マティルド:アルノーの娘。美女。幼子を抱えた寡婦。その幼子の父は、アルノーが組んでいた男で、失踪の理由を知っているんじゃねえかと、これまた周囲に疑われている。実に可哀想な女子。
 ◆グレートヒェン:アルノーの娘でマティルドの妹。美人。なにかとショーンを誘惑しようとするエロ系女子。天真爛漫というよりも、若干頭が弱いとしか思えない。いつも指図ばかりする姉が嫌い。そして彼女の出生には秘密があって、実際気の毒な人。
 ◆クロエ:ショーンのロンドンでの彼女。ドラッグにはまっていた過去がある。立ち直ったからこそショーンと付き合っていたはず、なのに、ある日ショーンを捨て、勤め先のバーに現れたヤクザの元カレのもとへ走る。非常に微妙だが、クロエとしてはショーンをヤクザから守るために別れた、というのが正しいのかな? ショーンはそんなことも気が付かず、クロエに捨てられたと思っている大バカ者。そしてクロエは大変気の毒な運命に……。
 他にも多くのキャラクターが登場するけれど、実際どうでもいいというかたいした役割もないので、省略。うーん、なんかもはや書くことがない。そうだ、最後に著者のことをメモしておこう。
 著者は、Simon Beckett氏というイギリス人だそうで、「法人類学者ディヴィット・ハンター」という大ベストセラーシリースを書いている方だそうだ。ヴィレッジブックスから日本語訳が出ているらしいです。ええと、これか。
法人類学者デイヴィッド・ハンター (ヴィレッジブックス)
サイモン ・ベケット
ヴィレッジブックス
2009-02-20

 おっと、絶版か? どこも品切れだな……これじゃあ読めないな……残念。こちらの評価は非常に高いそうで、なんでも、理由は分からないけどドイツで大ヒットしたらしいです。CSI的な、スカーペッタ的なお話かなあ。そして今、本書『出口のない農場』のAmazonレビューを見て驚いた。みんな大絶賛してるんだ……うそだろ……マジか……絶賛するポイントがわたしにはさっぱり分からんす。ま、いいや。

 というわけで、結論。
 電子書籍のコインバックフェアで、あらすじを読んで面白そうだと思ったので買った本書『出口のない農場』だが、まったくわたしの好みに合わず、実にイライラしっぱなしの読書体験であった。原題の『STONE BURISES』も、ちょっと意味がピンと来ない。bruisesって「あざ」とか「傷」「傷跡」だよね? うーん……いや、やっぱり良くわからんす。わたしがあらすじを読んで、これは? と思ったのは、「ケガを負った青年がとある農場に監禁され……」的な部分は、ひょっとしたらわたしの大好きなStephen King氏による『MISERY』的なお話かしら? と期待したのだが……残念ながらその期待は完膚なきまでに粉々に打ち砕かれました。やれやれ……だぜ。以上。

↓ 良くわからないけど、「法人類学者」シリーズの2巻3巻は普通にまだ買えるみたいすね。営業がちゃんと仕事してるのか、実に怪しい。
骨の刻印 (ヴィレッジブックス F ヘ 5-2)
サイモン・ベケット
ヴィレッジブックス
2012-03-19

骨と翅 (ヴィレッジブックス)
サイモン・ベケット
ヴィレッジブックス
2014-02-20

 というわけで、月曜日は祝日だったので、火曜日ですが週末映画興行データをまとめます。
 つーかですね、今週末は、かなり期待した『ひるね姫』を観てきたものの、イマイチわたしの趣味に合わず、ちょっと残念でした。 ただ、シネコンはすごい混雑していて、新作も多かったしちびっ子連れの方々が多かったですな。数字的にも期待できそうで、さっそく興行通信社の大本営発表からメモしていこう。

 1位:『SING/シング』が金曜の公開から昨日の祝日までの4日間合計で9.93億だそうです。すごい数字ですね。なお、土日だと5.46億だそうで、てことは……おととしの「ミニオンズ(最終52.1億)」のスタート土日よりチョイ上か……てことは、まず50億はカタイ、そこからどれだけ積み上げられるかってことか。まあ、元々の英語版の声も豪華だし、日本語吹き替えも話題になってて、きっと観たら面白いんだろうな。たぶん観に行かないと思うけど。WOWOW放送を待つか……。
 2位:『モアナと伝説の海』が2W目にしてもう20億直前だそうで、驚きました。ホントかな? たぶん、昨日の祝日までの合計の話だろうな、きっと。土日のみだと4.55億だったそうで、てことは、日曜までの10日間合計が16~17億ってとこか。わたしも観て来ましたが、好みとしては去年の『ズートピア』の方がわたしは楽しめたかなあ。ただまあ、さすがのディズニークオリティはやっぱりすごいですよ。結局字幕版で観ましたが、歌もイイですな。最終的にどのくらいまで伸びるか、難しいところですが、『ズートピア(76.3億)』より断然上だけど、一方では『ドリー(最終68.3億)』よりだいぶ下なわけで……てことは、ほぼ根拠はありませんが60~65億くらいなのかなあ……。しかし最終の数字を見ると、やっぱり『ズートピア』の後伸びはすごかったんですな……。
 3位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が16日間で18~19億ぐらいと見積もる。去年は3週目終わりで18億チョイなので、まあそんなぐらいかなと。わたしがチェックした限りでは、箱割も小さくなって完売も見かけなかったので、ひょっとすると去年並みにもどっちゃったかもな……。
 4位:『ラ・ラ・ランド』が24日間で29~30億チョイ越えぐらいだろうか? 2W→3Wで8億弱積んだので、今週の4W目にも同じぐらい積んでいれば余裕で30億は超えている計算になるが、6~7億積んだという想定です。わたしが観た限りでは、やっぱり首都圏が強いようで、都内では結構完売があったようです。しかし結構賛否両論なんすね。わたしはこの作品が好きです。
 5位:『映画プリキュア ドリームスターズ』が公開土日で1.58億だったそうです。まあ、例年の春キュアの数字すね。実際、全く内容を知らないす。
 6位:『劇場版黒子のバスケ LAST GAME』が公開土日で1.90億ほどだったそうです。今週のジャンプから、藤巻先生の新連載が始まりましたな。今度はゴルフ漫画だそうで、第1話は面白かったす。そういや金額順だと『プリキュア』より上ってことすね。
 7位:『3月のライオン<前編>』がこの位置で、上位の数字を見る限り、1.5億チョイってことであろうと思う。公開土日でこの数字だと、相当厳しいスタートといわざるを得ないと思う。後編もあるので、ここで稼いでおかないと後々マズイと思うが……。かなり神木君の露出はあったと思うけれど、やっぱりTVの媒体力が想像以上に落ちてるとしか思えないすねえ……。
 8位:『チア☆ダン』が9日間合計で5~6億ほどと見積もる。この順位だと、先週からの積み上げは3億ぐらいかな、と計算したのだが、どうだろう、自信はまるでないす。
 9位:『ひるね姫~知らないワタシの物語』が公開土日で9位となると、1億チョイってところでしょうか……。ううむ……厳しいすね……。
  10位: 『ソードアート・オンライン―オーディナル・スケール―』が30日間合計で19~20億チョイ届かずぐらいと見積もる。昨日の祝日で20億超えたと信じたい。現在は来場者特典としてフィルム配布中だそうで、まだまだ粘ってほしい。ちなみにさっき見かけた情報によると、海外で現在6億ほど稼いでいるそうです。国内でも25は超えてほしいのだが、なんとか行ける、かな?

 とまあ、こんな週末だったようです。

 というわけで、さっさと結論。『君の名は』がとうとうTOP10から陥落してしまったわけですが、29W連続というのは本当に凄い記録です。まあ、今後の展開としては、『SING』『モアナ』の洋物アニメがどこまで伸びるかが楽しみすな。
 そして、わたしとしては今週末からの『パッセンジャー』が超楽しみです。以上。
 

 ミュージカルが大好きなわたしが、今、日本人女優で最も注目しているというか大好きなのは、高畑充希ちゃんである。実にかわいい。そして、実に歌が上手い。わたしの場合、女優でありながら情感あふれるドラマとしての歌を歌いこなせる女優は、それだけでもうグッとくる。全然関係ないが、この夏、現在Broadwayでも絶賛上演中の『Beautiful』というミュージカルが、帝劇でも上演されるのだが、大人気声優である水樹奈々嬢と、歌手として大活躍中の平原綾香嬢のWキャストで日本語版が上演されることになっており、わたしはもう平原綾香ちゃん主演Verでチケット確保済みだ。そちらも超楽しみである。
  というわけで、先日わたしは、↓この動画を観て、というより、この動画の『Day Dream Believer』という歌を聴いて、こりゃあ観に行かないとダメだな、と思ったのである。

 どうですか? 聴きましたか? 超良くないすか? 最高ですなあ、もう。歌声がなんともイイじゃあないですか! というわけで、三連休最終日、わたしはアニメ映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』を観るためにTOHOシネマズ日本橋へ参上した次第である。
 今日は、観終った後で午後からちょっと会社に行って仕事しようと思ったので日本橋へ観に行ったのだが、9時15分からの上映なのに、開場が9時で、今日はただでさえ他にも多くの作品を見るために集まったお客さんで場内はすざまじく大混雑であり、あともうチョイ、10分でも15分でも早く開場すればいいのに、実に腹立たしく思った。チケット販売/Web予約引き換えの列整理も全くないし、もう完全無秩序。わたしもイライラしてたら、どっかのおっさんがとうとうブチ切れたらしく、スタッフに激怒りしてたのを見かけたけど、まあ、残念ながらあの場にいた大半の人が、おっさんの怒りに同意していたと思う。わたしはTOHO日本橋でこういった状況を何度も見かけているが一向に改善されない。ホント、ダメなシネコンだと思う。新宿ピカデリーの次に行きたくないシネコンだ。
 ところで。なんでこんなどうでもいいことから書き始めたかというと、第一に大変不愉快だったこと、そして第二に、映画『ひるね姫』がわたしの趣味に合わず、残念ながらイマイチだったからだ。歌は最高なのになあ……なんか音響的に平べったくて立体感がなく、せっかくの充希ちゃんの歌も平板に聞こえて心の底から残念だ……。音量も足りないし、アレならうちのハイレゾオーディオの方が断然上じゃんか……。
 というわけで、本作『ねむり姫』に対して、わたしは結構がっかりしている。
 物語は、説明するのがちょっと厄介なのだが、実は単純で、夏休みの前日、父を警察に連行された倉敷に住む女子高生・ココネが、その謎のカギとなるタブレットを守りながら、父の連行された東京へ赴き、亡き母の残した秘密を知る、というような物語だ。
 で、なぜ厄介かというと、ココネの見る夢と現実が交互に語られる形式になっており、それぞれはちゃんと理解できるものの、どうもその関連がよく分からないのである。
 まず、現実世界の方は、正確に言うと、別に女子高生がなぞ解きをするわけではなく、ある意味勝手に謎は解ける?し、父の容疑も、警察的には証拠不十分なのか?勝手に解放される。そして、ポイントとなる、ココネが見る夢の方なのだが、その夢自体は面白いし映像的にも大変良いのだが、肝心の物語の役割としては、「?」である。寝てるはずなのに、なんで主体たる女子高生の体が移動しているのか、特にラストの宙づりになってた状況というのも、わたしはよく分からなかった。
 要するに、物語として、なんか変というか、繋がりが悪いのだ。とりわけ夢と現実の関係性が、情緒的な部分では、なるほど、そういうことかと分かるものの、実際的な、というべきか、現象的?というべきか、なぜそんな夢を見るようになったのかも分からないし、どうして一緒に東京に向かう幼馴染モリオも同じ夢を見るのかとか、そういった実際面での説明は一切ない。
 確かにスーパーナチュラルな出来事に対して、いちいちその理由がは説明されなくてもいいのかもしれないけれど、あまりに出来すぎているし、現実の出来事があまりに普通すぎて、なんだか妙に相性が悪いような気がした。なんか……なんか変というか、しっくりこないように感じてしまったのである。
 夢の中の、ロボットバトルも、正直なんのこっちゃ、である。確かに映像としての画は美しくかっこいいデザインですよ。でも、意味あったのアレ? せっかく舞台は倉敷で、父の名前もモモタローなんだし、夢の中で襲ってくる存在も鬼、と呼ばれているのだから、わたしはてっきり桃太郎的な展開、すなわち、きびだんごや猿・犬・雉が出てきて大活躍、かと思ったのに、まるで一切そういう展開はなかった。たぶん、キーキャラのぬいぐるみのジョイが、桃太郎の世界観からはみ出ているのが問題なのだと思う。父モモタローの友人に雉田さん、佐渡さんという名が出てくるだけであった。意味なくねすか? 舞台が倉敷であった意味も全くなかったと言える。東京の女子高生でよかったじゃん。どういうこと?
 確かに、倉敷の美しい風景は、また聖地巡礼の地になるような、とてもいいところだったけれど、肝心の物語がなあ……わたしは四国お遍路をした男なので、倉敷から高松まで車ですぐだってのは知っているけれど(作中で悪者が倉敷からすぐに高松空港に移動するシーンがあるのです)、まあ、大半の人は、言われれば、あ、そうかと分かるだろうけど、すぐには気付かず、不親切だろうね。とりわけゆとりKIDSたちにはさっぱり地理感もわかないのではなかろうか。
 
 というわけで、物語的にはちょっと問題ありのような気がする。音響も若干迫力が足りない。もちろん、美しい画と、表情豊かなキャラクター、そして充希ちゃんの声、そういった素晴らしい点はもちろん数多くあるけれど、お話がなあ……ちなみに声の出演としては、充希ちゃんのほかにもかなり豪華。お父さんのモモタローが江口洋介氏、そしておじいさんを、桃太郎侍でお馴染みの高橋英樹氏が演じている。ここで桃太郎を持ってこなくても……受け狙いか? と思いきや、高橋氏の声優ぶりがやけに渋くてカッコ良かった。実に堂々とした声優ぶりだったと思う。

 というわけで、もうだらだら書いてもしょうがないので結論。
 大好きな高畑充希ちゃんの歌う『Day Dream Believer』に魅かれ観に行ってきた『ひるね姫~知らないワタシの物語~』という映画であるが、キャラクターの表情などはとても良かったのだが、ズバリ、お話自体がイマイチであった。物語が夢と現実のつながりがイマイチピンとこないのが実に残念。そしてわたしが一番残念なのが音響設計で、せっかくのエンディングの『Day Dream Believer』がちょっと平板で、もっと立体感溢れる設計をしてほしかったと思う。もちろん、充希ちゃんの歌声は最高です。最高だけに、実にもったいなかったと思う。ホントは超面白かったと絶賛したかったのになあ。以上

↓ 充希ちゃんの歌う『Day Dream Believer』だけは、もうずっと永遠に聴いていたいと思います。
ひるね姫 オリジナルサウンドトラック
サントラ
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-03-15
 

 先週読んでみて、超面白かったスウェーデンの小説、『幸せなひとりぼっち』。
 その面白かった感想は先週の記事を読んでもらうとして、 その時も書いたけれど、去年映画が日本でも公開されていて、おまけにこの前発表されたアカデミー賞でも、外国語映画賞にノミネートされたほど、非常に評価が高かったらしいことを小説を読んで初めて知った。日本での公開は、もうとっくにファーストランは終わってしまっているのだが、先週読み終わって、何だよくそー、映画も観ればよかった!と抜かっていた自分に地団駄を踏んだわけだが、映画の公式サイトで上映館を調べたら、なんと3/18(土)から、新宿シネマートという小さい映画館で上映されるという情報を得た。
  おおっと、マジか。と、いうわけで、今日3/18(土)に、さっそく観に行ってきた。結論から言うと、まあ、やっぱり小説の方が濃度が濃いとは思うけれど、映画は映画で、やっぱりビジュアルの力は強いわけで、とりわけ過去の回想部分は大変良く、気持ちよく映画館を後にすることができた。いいすねえ、やっぱり。ほんと、主人公オーヴェは幸せですよ。まったくもって、なんというか……うらやましいす。わたしから見ると。

 ちょっと先週とは違う動画を貼りつけておこうかな。もう、物語は先週の小説版の記事で散々書いたので説明しません。詳しくはそちらを読んでください。59歳の偏屈オヤジが周りの人々と交流を持つことで、幸せなひとりぼっちを生き抜くお話である。
 まあ、映画になって、小説とここが違う、あのエピソードがない、とか、そういうことをあげつらっても仕方ないけれど、たぶん、この映画単体だけ、よりも、小説も読んでおくとより一層楽しめるのではないかと思います。ズバリ、小説からは結構カットされている部分が多いので。
 まず、主人公の偏屈オヤジ、オーヴェだが、映画になってビジュアルを得たことで、オーヴェの偏屈オヤジぶりはより具体的というか、形になっていて、面白さは増している、とは思うのだが、若干、小説の方が偏屈ぶりは強烈であったように感じる。映画版のオーヴェは、意外といい人でした。演じたのは、Rolf Lassgardさんというおっさんで、まあ、見るからにおっかなそうなおっさんである。この人、わたしが一番苦手だった教授にそっくりで笑える。いや、笑えるのはわたしだけですけど。しかし、原作にある細かい点、たとえば、かならずドアは鍵がかかってるか3回引っ張るとか、蹴って確かめるとか、当たり前だけどきっちり再現されてて、原作読んどいてよかったと思った。
 しかし、映画になってより一層魅力的に、映画ならではの良さが一番感じられるのは、亡き妻・ソーニャだろうと思う。非常に可愛い、イメージ通りのソーニャで素晴らしかったすね。演じたのはIda Engvollさん。笑顔がとにかくかわいい!85年生まれだそうなので、今年32歳になるのかな。いやあ、最近北欧出身のハリウッドスターが非常に多いので、彼女の今後もとても楽しみですね。主に地元スウェーデンのTVで活躍されてるみたいです。笑顔がですね、新生STAR WARSのレイでお馴染みのDaisy Ridleyちゃんに似てる感じなんすよね。やっぱり、女子は笑顔に限りますな。とても良かったと思います。
 あと、若き頃のオーヴェを演じたFilip Berg君も、イランからの移民の妊婦パルヴァネを演じたBahar Parsさんも、ともに大変良かったですね。読んでいるときはもっと若いイメージ、そう、日本でお馴染みのサヘル・ローズさん的な美人を想像していたのだけれど、結構もっと迫力があって、十分アリでした。映画を観た今となっては、もうパルヴァネはBaharさんしかありえないすね。大変素晴らしかったと思う。
 そして、映画で相当凄い演技を披露してくれたのは、名前を付けてもらえない猫ちゃんですよ。まあ、なんて美猫なんでしょう。かわええ……毛長種なんですな。この猫様の演技が素晴らしいんすよ。ちゃんと、小説通りのふてぶてしさもあるし、健気にオーヴェに付き従う姿が最高だったすね。

 つーかですね、もう小説の方で散々書いてしまったから書くことがあまりないんすよね……。
 というわけで、短いけどもう結論。
 映画版『幸せなひとりぼっち』を、今日、まさしく一人ぼっちで観てきた私だが、言いたいことは以下の通りである。
 ◆面白かった!映画は映画で魅力あふれるキャラクターが生き生きとして素晴らしい。
 ◆とりわけ、若きソーニャが超イイ!
 ◆そして猫も大変よろしい。すげえ演技ぶりで驚き!
 ◆ただし、内容的にはやっぱり小説の方が濃いと思う。
 ◆なので、もし映画だけの人は、ぜひ小説も読んでほしい。超オススメ!
 でな感じです。手抜きでサーセン。以上。

↓ ぜひ読んでいただきたい!
幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)
フレドリック バックマン
早川書房
2016-10-21

 



  

 ベンガジ、と聞いて、正確な位置や国を即座に答えられる人間が、現代日本においてどのぐらいいるだろうか? まったく根拠はないが、おそらくはほとんどいないだろうと思う。かく言うわたしも、国は知っていたが、すぐに世界地図でここ、と指摘できるほどには知らなかった。
 2012年9月11日に起きた、アメリカ在外公館襲撃事件の舞台の一つが、ベンガジである。
 この事件は、アメリカ大使が殺害された第2の911としても大きく報道されたので、記憶に残っている方もいるだろう。わたしは偶然その原因というか遠因というか、ともかく背景の一部と言って間違いなさそうな事件を当時調べていたので、よく覚えている。わたしが当時、興味があって調べていたのは、いわゆる「アラブの春」と呼ばれる一連の民衆蜂起・革命である。そして、その背景として大きな役割を果たしたといわれるSNSがもたらす人類の変化に、わたしは非常に興味があったのだ。まあ、トランプ大統領当選をはじめとする世界各国での「Populism」の台頭にしても、ひょっとしたら韓国の大統領弾劾にしても、SNSの果たす役割は、現在の人類においてわたしの感覚ではどんどんと「イヤな」方向に進んでおり、実に恐ろしいというか、不気味な未来が待っているような気がしてならないわけだが、実際のところわたしが抱くそんな不安は、何の価値もなかろうし、もし仮にわたしの不安が的中しようとも、その頃にはわたしはきっとさっさとこの世からおさらばしているので、まったくどうでもいいと思っている。
 ともあれ。SNSを発端にして、と語られることの多い「アラブの春」という一連の現象だが、あれから数年を経た今現在では、そのことごとくが失敗に終わったことが既に証明されている。そして、中でもリビアという国家は、当時40年以上独裁してきたカダフィ大佐を処刑することで革命は成し遂げられたかと思われたものの、その後は完全な失敗国家としてなかば無政府状態に陥り、とんでもない内乱を引き起こし、現在外務省の発表する渡航情報は「レベル4:退避勧告」が発令されているような、ウルトラ危険地帯で、ISIS団の跳梁跋扈するヒャッハー地帯である。こういったことは、先日観に行った宝塚歌劇の『スカーレット・ピンパーネル』でも描かれた通り、王を倒してフランス革命万歳とか言っても、その後に来たのは恐怖政治で、ギロチンでバンバン首をはねてたんだから、人類はあまり進歩してないのかもしれないな。ちなみに日本は、2014年7月から現在にいたるまで在リビア大使館を閉鎖中で、隣の在エジプトの大使館で業務継続中だそうだ。とにかくヤバい、というわけである。
 そんなヤバい国の第二の都市、それがベンガジ、である。地理的には、地中海を挟んで、ギリシャの一番先っちょから真っ直ぐ南に550㎞ぐらいかな。東京大阪間が512㎞だそうなので、そうだなあ、東京から新神戸ぐらい、なのかな、イメージとしては。あと、イタリアのシシリー島からも、750㎞ぐらいすね。つまり何が言いたいかというと、アメリカ政府が本気を出せば、飛行機なら数時間で駆け付けられる位置にある、ということである。
 というわけで、以上は前振りだ。
 わたしが昨日、家で観た映画、『13 HOURS』(邦題:13時間 ベンガジの秘密の兵士)という作品は、まさしくこのベンガジで起きたアメリカ在外公館襲撃事件を描いたもので、非常に凄惨で痛ましい顛末を追ったものであった。しかも監督は、『Transformers』でお馴染みの爆発野郎ことMichael Bay氏である。まあその迫力たるや、わたしはもう非常に恐ろしかった。そうか、そういえばこの映画、先日発表されたアカデミー賞で、録音賞にノミネートされてたっけ。たしかに、音響はすごい迫力でしたな。そして、わたしは内容的に、かの名作『Black Hawk Down』や『Lone Survivor』のような感じかしら、と思っていたのだが、あの事件とはちょっと質の違う恐ろしさで、もうずっと緊張しっぱなしの映画であった。

 この映画は、実は日本では劇場公開されず、ビデオスルーだったそうで、字幕付き予告はないだろうな、と思ったのだが、DVD販売用の吹替え版予告があったのでとりあえず貼っときます。しかし、こういう作品をちゃんと放送してくれるWOWOWは偉いと思う。と、わたしのWOWOW愛は深まるばかりだ。
 さて。アメリカ在外公館襲撃事件については、リンク先のWikiに任せることにするので、事件の背景などはもう書かない。本作が、どんな映画であったかをごく簡単に説明しよう。
 本作は、事件の数日前に、ベンガジにやってきた、一人のGRS隊員の目を通した事件の顛末を追うものである。GRSってなんぞ? と思う人も多いだろうと思うので(勿論わたしも知らなかった)説明すると、Gloval Responce Staffの略だそうで、要するに、CIAの職員やスパイたちを警護する屈強な男たち、のことだそうだ。わたしは本作を見ながら、いわゆる民間軍事会社に所属する男たちなのかな、と思っていたが、どうやら、雇い主はちゃんとCIAで、臨時職員的な扱いらしい。ただし、あくまでも警護が任務であり、積極的な交戦は許されないし、その存在は公のものではないそうだ。専守防衛はJSDFと同じで、要するに「軍人」とは扱われないようだ。探してみたところ、このThe Washington Postの記事が分かりやすいかな。Google翻訳でもそれなりに読めるのでどうぞ。
 とまあ、そんなGRS要員としてやってきた男は、さっそくすでに働いているGRSのメンバーと合流する。彼らはSEALs出身だったり、Ranger出身で、普通の海兵隊出身者もいるがそれだと若干見下されるような、超屈強な戦士たちだ。ただし、驚いたことに圧倒的に数が少ない。当時すでにもう超危険地帯だったベンガジの、CIAが借り上げた広大な屋敷を警護するのに、たった6人のチームである。ポイントとなるのは、大使館や領事館といった、US政府の施設警護は当然軍人が当たるわけだけれど、CIAの借り上げ屋敷はその存在が秘されていて、いわば政府は関与しない的な拠点ということだろう。ただし実際はもう現地民にはバレバレである。なぜなら、US政府が支援している民兵組織が余裕で裏切ったりペラペラ喋ったりしているし、屋敷も物々しい威容で西洋人がひっきりなしに出入りしているからだ。そんな、ある意味全く防衛力のない拠点を守る、という絶望的な状況にある。
 だから、6人のGRSチームは心配でならない。大丈夫かこれ、と。しかし、CIAの現地責任者の通称チーフは、全く耳を貸さない。曰く、予算がなくて人員確保できないのだという。世界で最もヤバいところになりつつあるのに、そんな馬鹿なである。あまつさえ、ここは高学歴の人間が働く場であって、お前らのような脳筋バカどもはなにもするな、でしゃばるな、と一方的に告げたりもする。とにかく、自称高学歴の頭のよろしいCIA職員たちは、隙だらけで、情報の受け渡しに街へ出る時も全く無防備で、GRSチームは緊張が絶えない。そして、とうとうベンガジへ大使がやってくることになる。しかも、一人の護衛もなし、まったくの丸腰での来訪だ。大使は領事館に入るので、GRSチームの担当外ではあるが、GRSチームの滞在するCIAのアジトから、数キロ離れた領事館へ行ってみて驚いたことに、こちらも駐留武官の数はごくわずかで、実力も低そうだし、実に警備状況としては穴だらけだ。こりゃあヤバイ。6人の男たちは不安を抱えていると、TVでは、どっかのバカが作った映画がイスラムを侮辱する内容だ、というデモがエジプトで始まり、どうやらここリビアにも飛び火する可能性が高い。折しも、日付は9月11日。US政府からも、911の日は特に気を付けろなんて警報も出ている。無事に済めばいいが……と願う気持ちもむなしく、突然、領事館は多数の武装集団に襲撃され、大使はパニックルームへ避難したものの、建物に火を放たれたれ万事休す一歩手前。このままでは、確実に大使は死ぬ。しかし、CIAの現地責任者のチーフは出動はまかりならんと言う。なぜならCIAが軍事力を持って存在していることは公式には認められないからだ。そしてどんどんと状況は悪化し、ついにGRSチームは独断で出動することを決意する。SEALsやDeltaと言った特殊部隊の隊員が絶対に守ろうとすること、それは「仲間を絶対に助ける」ことだからだ。そして領事館に出動した彼らは、そこからの13時間を、悪夢の、そして地獄の13時間として過ごすことになるのだった――的なお話です。
 はーー。全然短くまとめられなかったわ。
 まあ、そりゃあこの映画が、あくまで映画であって、演出や誇張は当然あるのは分かってる。けれど、この6人の男たちの戦う理由は、わたしにはちょっと『七人の侍』のようにも感じられた。家庭があるのに、可愛い子供たちもいるのに、なぜ彼らはわざわざベンガジで危険な仕事につくのか。とあるキャラクターはぽつりと言う。
 「家に帰るたび、もう最後だと思う。”家にいる”と。でもなぜか戻ってくる。なぜだろう なぜ帰れない? 家にいたいのに」
 「……辞め方を習ってないからな」
 「……妻が妊娠したんだ……絶対死ねない……」
 軍に身を置き、戦闘に体の髄までどっぷりつかった男が、平和な日常を送れなくなるというのは、例えばウルトラ大傑作『American Sniper』などの色々な映画でも過去に何度も描かれてきたことだけれど、わたしにはどこか、『七人の侍』的な、生きる場所を失い、死に場所を求めている男たちのように思える。なんかとても悲しいですなあ。そしてこういう感想を持つことも、美化していると批判されるのかもしれないな……。
  ところで、一番の問題が、アホなCIAの現地責任者たるチーフの判断ミスではなく、US政府がまったく動かなかった点にあるのは明らかだろう。作中で、領事館を捨て、CIAの拠点に戻ってから、そちらが今度は攻撃されることになって、チーフは慌てて本国政府に救援を求めるのだが、イタリアからはすぐに行けるはずなのに、一切来ない。しかも、ペンタゴンは一部始終を上空からのドローン映像で観ているのだ。一発、Hell Fireミサイルを発射するだけで状況は一変しただろうに……そして制服組は出動を何度も願うのに、スーツ組はただ傍観するだけである。ラスト近くで、CIAの女性職員が、空爆しなくてもいい。ただ超低空飛行で威嚇するだけでもいいからF-16を出動させてくれ!とイタリアの基地に連絡するが、結局動かず。唯一動いてくれたチームも、空港からの道が分からなくて(現地の案内人どもがクズだった)、空港に何時間もただ待機させられるなど、どんどん時間は無駄に経過してしまう。結局、大使、領事館のIT系担当職員、そして勇敢に戦ったGRSマン2名、の合計4名のアメリカ人が死んでしまったわけで、悲劇としか言いようがない。もちろん、現地の過激な武装勢力の男たちもたぶん100人近く死んでいるので、わたしにはもうどちらが善でどちらが悪なのかわからないし、そもそもこの戦いに善悪は存在するのかどうかすらまるで見当がつかない。ただ、確かなこととして言えそうなことは、この戦いは避けられたのではないかということだ。この戦いの責任は、そして4人の命の責任は、たぶん間違いなく政治家にあるとわたしは思う。
 ちなみに。この作品はそういう意味で政府批判でもあるし、まあ観る人が観れば、軍人美化的な印象を持ってけしからんと批判することになるのだろう。そして、ポイントとして挙げておかなくてはならないのは、この事件が起きた時の国務長官が、まさしくHillary Clinton氏だったらしいんだな。そしてこの作品はまさしく選挙期間中の去年の1月にUS公開されており、Hilary陣営からすれば、もうとっくに知られている事実とは言え、よりによってこの時期にこの映画が公開されるのは、とても不都合だったことは容易に想像できる。だから日本で公開されなかったのか? とは思えないけれど、まあ、日本で去年公開されていればそれなりに話題になったかもしれないすね。わたしとしては、本作は是非とも、劇場の大スクリーン&大音響で観て観たかった。劇場公開されず大変残念です……。あ、あと、そういえば、本作の状況は、「ジャック・ライアン」シリーズの、確か『米露開戦』でのウクライナ(セヴァストポリ)での戦闘に凄く良く似ているような気がしますね。つーか、あの描写はこの事件をベースにして書かれたのかな……どうだろう。また読み直してみようかな、という気になりました。

 というわけで、全然まとまらないけれど結論。
 日本未公開の『13HOURS』(邦題:13時間 ベンガジの秘密の兵士)という作品がWOWOWで放送されたので、昨日録画を観て観たところ、その内容は極めて凄惨で痛ましく、実に悲しい物語であった。いつも書いているキャストについては、もう長いから書かない。タイトルのリンク先をチェックしてください。みな素晴らしい熱演だったと思う。しかし、こういう映画を見て、あ―日本は平和だなー、で終わらせちゃあダメなんでしょうな。でも、わたしにできることって一体……。ま、たぶん、自分自身の生き方に反映させるしかないだろうし、人類一人一人が真面目に変わっていくしかないのではなかろうか。なお、どうやら本作は興行的にはUS本国でも全然売れず、評価も、かなり賛否両論だったようです。この数字では日本で劇場公開されなかったのもやむなしか。うーん、もったいない。わたしはこの作品を劇場で観たかったっす。以上。

↓ 一応、ノンフィクションの書籍が原作だそうです。日本語訳は発売されてないのかな。


 

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、気付けばもう3月半ば。あと2週間もすれば桜も咲きますなあ。まだ寒いけど、春はもうそこまで来ているんでしょうな。そして、現在熱戦が繰り広げられている大相撲春場所(@大阪)ですが、なんというか、17年ぶりの4横綱がそろった場所となったわけですけど……新横綱の【稀勢の里】関は昨日現在4連勝と順調なのでいいとして、なんと【白鵬】関と【日馬富士】関が2勝2敗、【鶴竜】関も3勝1敗と序盤から大変荒れております。そしてわたしが応援している【松鳳山】関も未だ星があがらず0勝4敗……おまけに今日は【日馬富士】関との割が組まれており、あああ……だ、大丈夫か……と大変心配です。今場所は【照ノ冨士】関が元気ですな。かつての輝きをもう一度取り戻して、カド番脱出は間違いなさそうですね。
 というわけで、まずは 週刊少年チャンピオン2017年第16号の概要です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシ。くそう!紙の雑誌版は乃木坂の斎藤飛鳥嬢のようです。
 ■『弱虫ペダル』:エアチョップドシャークの巻。なんかの料理みてえ……。
 ■『牙刃道』:内閣総理大臣官邸の巻。さあ、今後は戦争だ……!
 ■『囚人リク』:男気の巻。今週もリクやピカソ内海の顔芸が炸裂しまくりですw
 ■『Gメン』:キモ田童貞卒業→調子に乗るの巻。いいすねえ!来週からは拓海回か?大丈夫か…なんかおかしなことになってきたぞ…
 ■『少年ラケット』ジョー先輩勝利の巻。イイ! 大変面白い! 漫画力高し!
 ■『ファインプレー!』先週今週来週の3週短期掲載ですが、非常に画力が高く、面白いすね。かなりレベルが高いす。
 ■『BEASTARS』:ルイ先輩とハルと、そしてレゴシの巻。バッタリ遭遇してしまったレゴシ、どうなるのか来週以降の展開が超楽しみですなあ!
 とまあ、こんな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。今週は短いです。たぶん現実時間も2秒ぐらいしか進んでないのではないかしら。
 先週はいよいよ時間いっぱい、鯉太郎VS【毘沙門】が始まる直前、NHKアナウンサーの「あっ!?」という絶叫までが描かれましたが、今週はまさにそこからの続きです。そしてその絶叫の意味は見開きの絵で判明しました。なんと、【毘沙門】の野郎は、鯉太郎のぶちかまし対策として、土俵の一番後ろで仕切ったのでありました。場内の観客も、なんだアレ…マジかよ…と騒然とします。解説席の虎城理事長も、明らかなブチカマシ対策でしょうな、と見ていますし、NHKアナも、考えましたね、確かにこれなら強烈な出足を無効にします、なんてのんきなコメントです。そして常松こと【松明】も、「くっ」っと、あの野郎なんてこと考えやがる、的な表情です。お前は雷電か! あわてんなよ常! 鯉太郎の表情を見れば、鯉太郎が上等だぜ、と思ってる事が分かるだろ!
 そうです。鯉太郎はそんな奇策にも動じません。むしろ「いいんじゃねーの…」と闘志がメラメラ燃えてますよ! カッコイイすねえ! そして【毘沙門】の野郎は、そんな動じないどころかむしろ強力な殺気を放つ鯉太郎にイラつきを感じます。
 「仕切ったところでこの距離だぜ…何が出来るってんだよ…調子乗るなよな…弱ーくせによ~~~…この取組は すでに俺がコントロールしてんだよ…」
 はあ……まったく思い上がった傲慢なガキですなあ……ちょっと考えれば、その立ち位置は「もう後がない」俵を背負った背水だってことが分かるだろうに……1歩で土俵割っちゃうぞお前……おまけに、【毘沙門】はもう、両手を土俵に付けています。それは、つまり戦闘開始のタイミングを鯉太郎が握っているという意味です。鯉太郎の意思で、タイミングで、戦いが始まるというわけですから、主導権は鯉太郎にあり、【毘沙門】は受けに回らずを得ません。もう後がないのに。
 そしていよいよ、ハッキョイ! 戦闘開始です!
 「それはまるで獲物を狙う獣のように…静かで…しなやかで…美しい…ブチカマシだった…」と語られる鯉太郎のブチカマシは、距離があっても、もう一歩踏み込むだけで、あっさり【毘沙門】に届きます。その、プラスワンの踏み込みでさらに加速した鯉太郎のブチカマシは、【毘沙門】の想定を超え、奴も過ちを悟ったようです。もはや、いなしもはたきも間に合わない。胸で受けても、その運動エネルギーを堪えるための、空間的余裕がない。エネルギーを吸収できず1歩でも下がれば負け!
 ならば―――!! と【毘沙門】瞬時に選択したのは、衝撃をまともに受けることを覚悟し、自分も同じ角度で頭からブチカマシを迎撃するという方法でした。
 大相撲を見ていると、あまり回数は多くありませんが、まともに頭と頭がぶつかるすげえ立ち合いがありますよね。テレビだというのに、ゴッ!!! とすっげえ音が響くアレです。 あれは生で観戦したらすごいのでしょうなあ……。そして鯉太郎のキツイ一発を覚悟を持って頭で受けた【毘沙門】。「一瞬目から光が零れた…」というところで今週はお終いでした。
 しかし……こんな戦いを続けていたら、慢性外傷性脳症にもなりますよ、そりゃ……。『鮫島』(1)巻で、石川こと【飛天翔】関もそれで引退したわけで、心配というか……心配してももはや手遅れなんだろうけど、鯉太郎の未来に明日はあるのか、あってほしいと信じたいですなあ……。
 というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。63連勝中。モンゴル人。

 というわけで、結論。
 今週は立ち合いに小癪な策を使った【毘沙門】が、立った瞬間その過ちに気づいて鯉太郎の強力なブチカマシを頭で受け、その瞬間目から光が飛ぶところまでが描かれました。ただムカつくガキですが【毘沙門】も、そう簡単な相手ではないでしょうから、来週以降の展開が大変楽しみです。そして常VS【百雲】も読めると嬉しいのですが……そこんところ、佐藤先生、よろしくお願いいたします! 以上。

↓ 欲しい……売っているのをまったく見かけないけど、ネット専売じゃないよな……? 

 昨日の夕方、出先の打ち合わせが終わり、雨も降りそうだし、さっさとかーえろ、と電車に乗った瞬間、はー……一体オレはあと何年生きるのだろうか……と突如何もかもがどうでもいいような、底なしのむなしさを感じてしまったのだが、はあ、電子書籍でも読むか、とタブレットを取り出して電源を入れたところ、ふと、今日は3月14日か、と日付に意識が向いた。そしてその時、電撃的に、14日っつったら、トーフォーの日(TOHOシネマズの1100円サービスデー)じゃねえか、ということに気が付き、すぐさま、帰り道に点在するシネコンの上映スケジュールを確認したところ、全然帰り道じゃないけど1回乗り換えして日本橋三越前に行けば、ちょうどいい感じに映画に間に合うじゃん、ということを発見した。
 というわけで、昨日の帰りに観てきたのは『MOANA』(邦題:モアナと伝説の海)である。ちなみに、TOHOシネマズに到着して、よし、安く観られてラッキーだぜ、とチケット販売機で席を選んでTOHOマイレージカードを取り出そうとした瞬間、あっ! そういえば! 『MOANA』はムビチケカード買ってあるんだった!! ということを思い出し、全然今日じゃなくてよかったじゃん、アホかオレ!!! と、またもや、何もかもイヤになったっす。もう、深刻に病気を疑った方がいいんじゃねえかしら。
 しかし、 結論から言うと、『MOANA』は大変面白かったので、すっかりいい気分で映画館を後にすることができ、結果オーライということで、ま、いいじゃん、と納得することにした。ホントにオレ、なにやってんでしょうか。

 さてと。というわけで、『MOANA』こと『モアナと伝説の海』である。
 字幕で観るか、日本語吹き替えで観るか、かなり悩んだけれど、やっぱり初回としては字幕版で観ることにした。その理由は、歌をオリジナルで聞いておきたいと思ったのと、英語版ではとある俳優が声の出演をしているからなのだが、その点は後程詳しく書きます。
 まずは、簡単にストーリーをまとめておこう。
 物語は、太平洋の小島が舞台である。その島の村長の娘、モアナは幼少期からおばあちゃんの語る伝説を聞いて育ち、この海のどこかには、伝説のデミゴット(半神半人)の「マウイ」がいて、彼の「魔法の釣り針」、そして「テ・フィティ」なる神(?)の心を宿した宝石がどこかにあるという物語に心躍らせていた。そしていつか、外海へ旅立つことを夢見ていたのだが、父たる村長からは、島を取り囲むサンゴ礁の外には行ってはイカン、と厳重注意もされていた。サンゴ礁の外は危険で、父もまた若き頃にサンゴ礁の外に出ようとして、友を失った過去があったからだ。
 しかし、モアナは、幼少期からどういうわけか「海に選ばれし」人間で、なんと海が生き物のようにモアナを守ってくれたりもしていて、おまけにテ・フィティの宝石も冒頭からあっさりモアナの身近にあり、その辺の説明は一切ない。要するにモアナは、いわゆる「The Chosen One」なわけである。そしてモアナはあっという間に美しき少女へ成長し(16歳だったかな)、村長としての業務を父から引継ぎ始める、が、村のココナッツは枯れ、近海に魚の姿は消え、と島に不吉な前兆、いわゆるオーメンが現れ始める。それは、おばあちゃんによると伝説のマウイをKOした「テ・カァ」というマグマの悪魔(?)の呪いであり、この呪いを解くためにはどこかにいるマウイを探し出して、魔法の釣り針を見つけ、再度テ・カァと戦わせて勝利し、テ・ティフィの胸に心を宿した宝石を戻さなくてはならんのじゃ!ということになる。そしておばあちゃんに連れられて島の洞窟へ行くと、そこには先祖たちが島を渡ってきた外海用カヌーがあり、モアナは島を救うため、そして先祖の自由な旅人の心を取り戻すため、決死の覚悟で外海へ旅立つのであった―――!! てな展開である。
 どうですか? この物語を聞いて面白そうだと思いますか? わたしは実際のところ、今回はそれほどお話的に面白いとは思わなかった。ちょっとご都合主義が過ぎる部分が多く、しかもクリティカルな部分でその傾向が強い。とりわけ、モアナが何ゆえ海に選ばれしものなのか、という説明がないのに、大抵のことが、モアナのその天性(=The Chosen Oneであること)で解決してしまうので、観ながら、なるほど、え、ああ、そうなんすね、と深く考えずに受け入れていくしかない展開であった。なので、観終わった後でも、それほど深い感動はないし、意外な結末、でもなく、実に想像通りのめでたしめでたし、である。このあたりは、近年の『アナ雪』のようなちょっと予想外の展開だったり、『ズートピア』のような友情・努力&根性・勝利、的な面白みもない。おまけに、マウイもある種のスーパーマンだし。今回はごくオーソドックスなディズニーアニメであると言えそうだ。
 ただし、だからと言ってそれが悪い、ということでは決してない。
 わたしのようなおっさんが観れば、いろいろ「?」な点はあるのは誰しも感じると思う。それに、ベースとなったであろう(?)ポリネシアの歴史的民族伝承に関しても、特にわたしはいちいち目を吊り上げてなんやかんやと指摘するつもりもない。そもそも何も知らないし。けれど、非常にテンポのいいストーリーテリングは流石のディズニークオリティであり、おそらくメインターゲットのちびっ子には、なんら問題はなかろうと思う。
 そして大人目線で見た場合、本作『MOANA』のすごい点は、やはりその映像そのものだろう。もう、これ実写の合成か?と思えるようなオブジェクト描画は、確実に世界一だと思う。木々や海、そして水の表現が素晴らしく、超自然で本物感がすさまじいのだ。更に人物キャラクターも、デザイン自体はUSキャラなので、ジャパニーズマンガに慣れた我々日本人からすればちょっとアレだけれど、もう、実物のフィギュアを使って撮影したんじゃね? と思えるような髪の本物感は恐ろしくクオリティが高い。とにかく水の質感が凄いすね。舞台が海だけに、水は極めて重要なオブジェクトだが、あの水の質感は、日本じゃあ無理だろうな……。そして、演出としてのライティングもまた、もう素晴らしすぎて、観ていて悔しくなるほどだ。ちなみにライティングに関しては、日本人スタッフの土井香織さんという方の手によるものらしい。つまり日本では無理だというわたしの意見は、日本人では無理、ということでは決してなく、日本の「劇場アニメを作る体制」では無理、といった方がいいのだろう。それは端的に言うと、おそらくは人海戦術=どれだけスタッフを数多く抱えることができるか=予算規模の問題なのかもしれないし、作成しているソフトウェア的な問題=技術の問題かもしれないし、また、ひょっとしたら「これでいいか」をどのレベルで許容するか、という「意識」の問題かもしれない。ディズニーがその意識レベルを世界最高峰に高く設定していることは、もはや揺るがしようのない事実だろう。ほんと、すげえやディズニーは。
 そして、凄いのは映像だけではなく、今回は歌もまた素晴らしかった。惜しくもアカデミー賞受賞は逃したが、モアナの歌う『How far I'll go』は、単にその部分を切り取った動画ではなくて、本編内で聞くとやっぱりより一層イイすねえ! 作詞作曲をした、去年のトニー賞を独占したLin-Manuel Mranda氏の楽曲は、明らかにミュージカル曲で、やっぱりドラマの一部として聞く方がよりグッときますな。そして、歌というと、わたしが字幕版を観に行った理由の一つでもあるのだが、なんと、あのTHE ROCK様でお馴染みのDwayne Johnson氏がマウイの役を演じているわけですよ。そして、彼の歌がこれまたいいじゃないですか! まさかTHE ROCK様がこんなに歌えるなんて! このBlogで以前書いた通り、THE ROCK様のUS人気はすさまじいわけですが、ゴッツイ外見のおっさんなんだけど、笑顔が実はかわいい、というギャップ萌えが人気の秘密だとわたしはにらんでいる。しかしそこに、歌まで入るとはなあ……まさかこんなにちゃんと歌えるとは……。大変失礼ながらわたしはびっくりした。そういう意味では、やっぱりまずは字幕版で観て良かったと思います。全然関係ありませんが、わたしは数あるTHE ROCK様の決め台詞の中では、これが一番好きです。カッコイイ!! 「Know your role, and shut your mouth!(=身の程を知れ!そして黙ってろ!)」わたしは観ながら、ずっとマウイがTHE ROCK様に見えて仕方がなかったすね。
 もちろん、モアナを演じたAuli'i Cravalho嬢も大変可愛かったですな。歌声も非常に良いです。うお!2000年生まれだって。若いなあ。そうか、モアナの年齢と同じってことか。英語ネイティブでないので自信はないけれど、実に自然でお見事な芝居ぶりだったと思います。

 というわけで、さっさと結論。
 ディズニーアニメ最新作『MOANA』をまずは字幕版で観てきたのだが、物語的にはかなりツッコミどころはあるように思えるが、歌も映像もホント素晴らしく、文句があるならこれを超える作品を作ってみろ、と言われたような気がします。ディズニーの圧倒的な力はこの映画でも遺憾なく発揮されていると思うし、まあ、当分ずっと王座は揺るがないでしょうな。わたしは十分以上に楽しめました。すげえやディズニーは。ただ、好みで言うと、去年の『ズートピア』の方がわたしは好きかな。以上。

↓ サントラ欲しい……まずは英語版で。吹替え版も観に行こうかなあ……はっ!そうか、昨日はせっかく安かったんだから現金で観て、その後で吹替え版をムビチケで観ればよかったんだ!!! オレのバカ!!!!

 先日、わたしの愛する電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERにて、還元率の高いフェアをやっているときに、早川書房で絞り込んで、何か面白そうな小説はねえかなあ、と渉猟していたのだが、ふとそのタイトルに魅かれて、あらすじをチェックしてみたところ、なかなか面白そうだったので買った本がある。
 日本語タイトルは『幸せなひとりぼっち』 といい、原題はスウェーデン語で『En man som heter Ove』というらしい。意味としては、あとがきによれば「オーヴェという名の男」ということらしいが、ちょっと調べてみたらなんと映画も去年公開されていたそうで、わたしは全然知らなかったけれど、原作も映画も本国スウェーデンでは大ヒットした作品だそうだ。というわけで、へえ、そうなんだ、と思いつつ、さっそく読み始めてみた。
幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)
フレドリック バックマン
早川書房
2016-10-21

 そして、のっけから結論を言うと、わたしは猛烈に感動してしまい、これはもっともっと売れてほしい!と強く思う次第である。よって今回は、大絶賛の方向で本書の内容をまとめつつ、万人にお勧めしようと思う。
 たぶん、まずは映画の予告編を見てもらった方が、どんなお話か伝わるかもしれないので、こちらをさっそく貼っておこう。

 ん……んん……ちょっとアレだなあ、自分で貼り付けておいてなんですが、ズバリ、原作の方が面白い、かもしれないなあ……原作を読んだ今、上記予告で描かれるシーンがどういうシーンか、分かるところと分からんところがあるのはちょっと驚いた。映画は原作通りじゃないのかもしれない。まいいや。ちょっと、まずは簡単に物語を紹介しよう。
 主人公・オーヴェは59歳。妻に先立たれ、会社を「早期退職」という名のリストラで放り出されたおっさんである。彼は、いわゆる「頑固おやじ」で、周囲には相当煙たがられている。それは、オーヴェには明確な「自分ルール」がいっぱいあって、それを忠実に守って生きているためで、決して妥協しない、口論上等、超けんか腰な、はたから見ると恐ろしくやっかいな、なるべく関わり合いになりたくないおっさんだ。ただ、しつこいけれど何度でも言うが、オーヴェにはオーヴェの理論があって、自分がまともであって、周りがおかしい、と本人は思っている。
 そんな彼が、妻を亡くし、仕事を失くした今、実行しようとしていることは、ズバリ自殺だ。もはや生きている理由はない。そして、愛する妻のもとへ行きたい。ならば死ぬだけ、というわけで、彼はすべての準備をきっちり、まさに一部の隙もないほど死後のことを手紙にしたため、妻の好きだったスーツを着用し、死のうとする――が、どういうわけかその度に邪魔が入り、ことごとく失敗する。例えば、さて、準備OK。さ、死ぬか、と思った矢先に、きっちり手入れした庭にへったクソな運転で車が入って来たり、よーしじゃあ、ガレージで車の中にマフラーから排ガス入れて死のう、とすると、ガンガンガンとガレージを叩く音がして誰かがやって来るし、別の日、じゃ、しょうがねえ、電車に飛び込むか、と思って駅へ行けば、後はもう轢かれるだけ、というタイミングで、ホームで卒中を起こしてぶっ倒れる奴がいて、思わず助けちゃってヒーローとして新聞記者がやってくるし、とにかくもう、ことごとく、ああもう!なんなんだよ! 死なせてくれよ! という展開が繰り広げられる。
 しかし、そんな出来事が続くうちに、煙たがっていた周りの人々は、あれ?このおっさん、実はすげえんじゃね? 何でも直せちゃうし、何でも超詳しいし、と気が付いて、どんどんオーヴェを頼りとし、オーヴェもまた、この馬鹿もんが!と怒鳴りつけながらも、どうにも放っておけない。それは、亡き妻が生きていたなら、絶対に、「あなた、助けてあげなさいな」と言ったに決まっているからで、死んでからあの世で妻に再会した時に、大好きだった笑顔を向けてくれないのではないかと思ってしまうからだ。
 とまあ、そういうわけで、本作は、超偏屈親父の生き様と、それに感化されていく周りの優しい人々を描いた物語だ。形式としては、短いエピソードが連なる短編連作(全39章からなる)と言ってもいいかもしれないが、その短いエピソードが非常に濃度が高くて、実に毎回面白い。そして作中では、時折オーヴェの生い立ちから妻との出会いも描かれ、それがなかなか美しく心に迫るものがあって、とても読後感は爽やかだ。
 実はわたしは、最初のうちは、オーヴェというおっさんが全く好きになれなかった。ただのイカレたクレーマー親父か? 老害もいい加減にしとけよな……みたいなヒドイ感想を持ってしまい、最後まで読み通せるのか心配になったほどだ。
 ところがですよ。最初の1/4ぐらいからもう、あれっ? このオヤジ……なんだよ、面白いな……と思い始め、ついにはわたしもオーヴェに好感を持ち、ラストはもう泣ける展開で、実に楽しめたのである。
 思うに、わたしはオーヴェに自分を見たのではなかろうか。59歳なんて、日本ではまだ全然おじいさんじゃないすわな。まだ普通に働いていている人の方が圧倒的多数だろうし。でも、オーヴェのように、「ひとりぼっち」でいる男は、ごまんと日本にもいると思う。そして実に残念なことに、まさしくわたし自身もそうなりそうな気配濃厚だ。そして、さらに残念極まりないことは、オーヴェをものすごく幸せでうらやましい、とさえ思ってしまったのだ。オレ……絶対こんな幸せな人生を生きられねえだろうな……と思ってしまい、自分が情けなく悲しくなってしまったのである。はあ……まったくもう、いやになるわ……何もかも。わたしも、きっと相当偏屈な親父と思われているだろうし、わたしの若者を見る目は、まさしくオーヴェ的だ。たぶん、わたしのことを知っている人がこの本を読んだら、マジでわたしのことを思い出すんじゃないかってくらい、十数年後の自分が描かれているようにさえ思った。やっばいなあ……どうしたらいいんでしょう……。
 ま、もはやわたしの人生はどうにもならんので、物語の各キャラクターを自分用備忘録としてメモしておいて、記憶が失われたときのヒントを残しておこう。
 ◆オーヴェ&ソーニャ夫妻
 オーヴェは、幼少期に母を喪い、少年期に父を喪った孤独な男。以後、黙々と働き続け、ひどい扱いを受けて過ごす。そのせいで、役所は大嫌いだし人も信用しない。作中の言葉を引用すると「人を信用しないただの偏屈屋だと一部の人から思われていることは、オーヴェもよくわかっていた。だがはっきり言ってそれは、信用すべき理由を他人から示されたことがいまだかつてなかったせいだ。」そんな彼は、一部の人からは、超真面目に仕事をきっちりやる男として評価を受けていたし、気に入られてもいたので、何とか最低限の暮らしはできていたし、いろいろな技能を教えてもらって生きていたのだが、青年期にソーニャに出会い、恋をする。この恋がまた不器用でイイんすよねえ……。ちなみに、オーヴェは頑固に「SAAB」以外の車は乗らないし認めない。同じスウェーデンのVOLVOもダメ。BMWやAUDIなんてありえない。トヨタ車なんておもちゃ同然。フランスのルノーを買おうなんて気が狂ってるし、韓国のヒュンダイはもう論中の論外という持論を持つ。このあたりの車の話は、車好きのわたしには大変笑えるポイントでした。
 そして妻のソーニャは、対照的に明るく社交的で超美人。周りからは、なんでまたあんな男と? と反対もされていたのだが、ソーニャはオーヴェの、「正義、公正、勤勉な労働、正しいものが正しくある世界、それを守ることでメダルや卒業証書や誉め言葉がもらえるわけではないが、それが物事のあるべき姿だという理由で、信念を貫く」姿に惚れ、「そうした男がもうあまりいないことを、ソーニャはちゃんと理解していた。だからこそ、この男をしっかりつかんだ」のだそうです。まったく、世の女子たちもこういう男を見る目を養っていただきたいものですよ。
 しかし、こんな幸せな二人も大変な不幸に襲われる。妊娠中に事故に遭い、子どもは流れソーニャは一生を車椅子となってしまう。幼少期からの辛い暮らしやこの事故によって、オーヴェは完全に神を憎悪する男になってしまうが、しかしそれでもソーニャは明るく楽しい女性だった。先生として数多くの生徒を育て、「ねえ、オーヴェ、神さまはわたしたちから子供を奪ったわ。でも、千人ものほかの子供を与えてくれた」と言うぐらい、いい先生として晩年まで過ごした。ほんと、ソーニャに関する記述は非常に泣けるイイ話が多い。
 ◆パトリック&パルヴァネ夫婦&七歳児&三歳児(ナサニン)の姉妹
 オーヴェのお向かいに引っ越してきた一家。まず夫のパトリックはかなり呑気な男で、極めて不器用かつスットロイ。車の運転も絶望的にヘタ(愛車はどうもトヨタ・プリウスらしい)。ちなみに名前が判明するのは結構あとの方で、ずっとオーヴェは「うすのろ」と呼んでいた。序盤で、オーヴェから梯子を借りて家の窓の修理をしようとして転落、以後、ずっと松葉杖のまさしくうすのろだが、性格は穏やかなイイ奴。そして妻のパルヴァネも、そんな夫にイラついていて、オーヴェに車を入れ直してもらったことから(一方的に)仲良くなる。イランからの移民。かなりオーヴェと気が合う。オーヴェに車の運転を習う。オーヴェが怒鳴っても負けない気合があって、オーヴェが認める、ほとんど唯一の人。妊娠中。ラスト近くで三人目の子を出産します。
 で、この夫婦の子供が二人の姉妹で、上の子が通称「七歳児」。名前が出てきたか全然覚えにない。ずっと七歳児と呼ばれている。おしゃまな子で、偏屈なオーヴェを最初のうちは嫌っているが、徐々にその心も溶けていき、最後はもう、かなり泣かせるとってもいい子。そして妹の通称「三歳児」はちゃんと「ナサニン」という名前が出てくる。この子は三歳児らしい天真爛漫なかわいい子で、最初からかなりオーヴェが大好き。この子がまたかわいいんすよ……。
 ◆猫
 名前のない猫。オーヴェの家の前で傷だらけで雪の中で半分凍えていたところを、オーヴェ&ご近所のみんなに助けられる。ちなみにオーヴェは全く猫が好きではないけれど、ソーニャが猫好きだったし、パルヴァネ達もうるさいので介抱してあげただけ、と本人は思っている。ちなみにその時、パトリックはネコアレルギーで病院行き。本当に使えないうすのろですよ。(間違えた!)猫アレルギーはイミーだ。オレの腹で温めよう!と言ってくれたはいいけど猫アレルギーで発疹ができちゃうんだった。なお、この猫は非常にオーヴェに似た、確固たる意志を持っているようで、実にその似た者同士振りが笑いを誘う重要キャラ。
 ◆ルネ&アニタ夫婦
 オーヴェ&ソーニャと40年前の同じころに新興住宅地に引っ越してきた夫婦。ルネは、昔はオーヴェの数少ない友の一人だったが、とある出来事がきっかけで仲は決裂、以後数十年、不倶戴天の敵として数々のご近所バトルを戦ってきたが、数年前からアルツハイマーを患い、戦線離脱。オーヴェはそのことが何気に淋しいと思っている。車はVOLVO派で、SAAB派のオーヴェとは何かと対立していたが、ある日BMWを買ったことで完全にその溝は埋まらないものに。日本でも、トヨタ派、日産派の、それ以外を認めようとしないおっさんっていますよね。この車の話はとても面白い。
 そしてアニタは、ずっとソーニャの一番の友人だった優しい女性だが、現在、体が弱り、ルネの介護も難しくなってきていて、在宅介護をちょっと申請してみたところ、あなたに介護能力なし、とお役所に判定されてしまって、ルネをホームに入れるよう勧告されてしまっている。このお役所バトルも本筋の一つ。しかし、福祉先進国として有名なスウェーデンも、こういうやりすぎ福祉というか、おせっかいともいえるお優しい現実があるんだなあ、と勉強になった。
 ◆アドリアン
 郵便配達員。郵便配達だけじゃ収入が心もとないので、カフェでバイトもしている。ゆとり青年。もともと、彼女の自転車を直してやろうと、自転車放置禁止の場所に自転車を置いていたことで、オーヴェに説教を喰らうが、その自転車をオーヴェが直す手伝いをしたことで急速に「オーヴェさんすげえっす!」と懐いてくる。実は、ソーニャの元教え子であり、オーヴェはそれを知って、このガキに冷たくしたらソーニャが怒るだろうな、と思って、手助けしてやっただけ。最初はルノー車を買おうとしていたけど結局トヨタ車を買った。オーヴェ的には、ルノーやヒュンダイに比べれば、まだ許せるみたい。
 ◆ミルサド
 アドリアンのバイトするカフェの店員。ゲイ。そのことを父親に言えずずっと苦しんでいる。オーヴェは、お前……あっちの人間か? という反応で、だからどうした、と特に差別意識はないようで、そのあけっぴろげな質問にミルサドはオーヴェを信頼し、後にカミングアウトするに至る。
 ◆アメル
 ミルサドの父。カフェオーナー。息子がゲイであることを知って大激怒。ミルサドを家から追い出す(そしてミルサドはしばらくオーヴェの家に居候する。オーヴェはうちはホテルじゃねえ!と激怒するもちゃんと泊めてやる)。しかし、オーヴェがカフェにやって来て、めったに飲まないウイスキーをアメルと二人で吞み、男同士の話し合いをすることでやっとアメルの心に息子を理解しようとする気持ちが芽生える。
 ◆イミー
 オーヴェのご近所に母親と一緒に住む、汗っかきのデブ。ITオタク。アプリ開発者。凍えた猫をその腹で温めてやる活躍を見せる。だけど猫アレルギーで病院行き。笑っちゃった。また、七歳児への贈り物(iPad)の買い物にも付き合ってくれたり、かなりイイ奴。後にミルサドと同性婚を挙げる。
 ◆アンデッシュ
 オーヴェのご近所さんの一人。オーヴェの家の前でいつも小便をする小さいわんこを連れた、通称「金髪の棒っきれ」というヒステリックな女と付き合っている。Audiに乗る「かっこつけ」と呼ばれていた。しかし女が「あの偏屈じじい、あたしの犬のことを「毛皮のブーツ」なんていうのよ、キ―――ッ!!!」と怒った時に、「毛皮のブーツ、最高じゃん、わっはっは!!」と大爆笑したことで破局。以来、オーヴェに好意を抱いたらしい。トレーラー会社経営で、ラスト近くでちょっとした活躍をする。
 ◆レーナ
 新聞記者。偶然オーヴェが駅で助けた男の話を聞いて、取材にやって来る。オーヴェとしてはずっと相手にしていなかったけれど、最終お役所バトルで活躍。のちにアンデッシュと結ばれる。

  とまあ、こんなキャラクター達が見せる、とても暖かいお話で、読後感はとても爽やかだ。今、ふと思ったけれど、そういえばこの物語は、なんとなく有川浩先生の『三匹のおっさん』に通じるものがあるような気がする。TVドラマも3シーズンまで作られた人気作なので、ご存知の方も多いだろう。そして、『三匹のおっさん』が人気になるこの日本においては、本作『幸せなひとりぼっち』も、大いに受け入れられる素地はあるのではなかろうか。ぜひ、ぜひ読んでいただきいたいとわたしは心から願います。最高でした。
 最後に、作家について備忘録としてまとめておくと、日本語で読める記事がインターネッツ上にほとんどないので良くわからないのだが、あとがきに結構詳しく書いてあった。なんでも、元々は雑誌などのライター出身で、ブロガーとして人気者になった人だそうだ。そのブログで人気を集めたのが、偏屈で頑固なおっさんの話をオーヴェという架空のキャラにのせて面白おかしく書いた記事だったんですって。で、その面白ブログがウケて、小説に仕立て上げたのが本作、ということらしい。2012年に発売になったらしいですな。へえ~。そして人口990万のスウェーデンにおいて80万部売れ、全世界でも注目されたんですと。そうか、スウェーデンって、日本の人口の1/10もいないんだ……てことは日本の感覚で言えば数百万部ってことか。それはすごいや。本作の後にも、年1作のペースで作品を発表しているそうで、他の作品も読んでみたいですな。宝塚に遠征した新幹線内で、いつもわたしはグースカ寝てしまうけれど、今回はずっとこの作品を読んでいました。いやー、ホント楽しかったよ。


 というわけで、結論。
 ふとしたきっかけで読んでみたスウェーデンの小説『幸せなひとりぼっち』という作品だが、最初のとっかかりは、若干イラッとするような、嫌なおっさんの図が描かれるけれど、まあとにかく読み進めてみてくださいよ。きっと、いつのまにか、この超偏屈なオーヴェというおっさんが好きになっていると思います。 つーかですね、やっぱり映画版も観ないとダメかなあ……先ほど調べたところでは、来週から新宿で上映があるみたいなんだよな……行くしかねえか……。よし、観に行こう!決めた! 以上。

↓ なるほど、英語版はタイトルがそのまんますね。邦題の『幸せなひとりぼっち』。読み終わった今思うと、なかなかいいタイトルじゃあないですか。。
A Man Called Ove: A Novel
Fredrik Backman
Washington Square Press
2015-05-05

 

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 つーかですね、今週末は、まず土曜日に宝塚歌劇を観るために兵庫県宝塚市へ日帰りしてきました。そして日曜は『アサシン クリード』を観ました。いや、本当は『モアナ』を観ようと思ったら、すげえ混んでて、ダメだこりゃ、だったっす。『モアナ』は字幕にするか吹替えでもいいか、いまだ悩んでいるのですが……どうすんべか……『アナ雪』は両方観に行ったけど、『モアナ』はどっちかでいいかなあ……。ま、今週中にどっちかを観に行こうと思います。字幕希望だけど、字幕の上映数が少ないんだよなあ……。いずれにせよ、そんな頭の悪そうなのんきなことをほざいていられる世は幸せですね。あれからもう6年。いろいろなことがありましたなあ……。
 さてと。ではいつも通り、興行通信社の大本営発表からメモしておこう。

 1位:『モアナと伝説の海』が公開土日で5.89億だそうで、金曜からの3日間では7.15億だったそうです。大本営発表では「素晴らしいオープニング」と書かれているけれど、実際この数字はディズニーアニメとしては普通というかちょっと微妙じゃないかなあ……。去年の『ズートピア』はどんどんとグイグイ伸びていったけれど、あれは相当特殊だしGW効果もあったし、直接の比較は難しいよな……。勿論数字的には大きいので、今のところ、50~60億は余裕で行くんでしょ? というのは確実としても、どのくらいまで伸びるかはちょっと想像がつかない。観てないから出来栄えもわからないし……ただ、内容が良ければ、『ズートピア』的な後伸びも十分あり得るので、早いとこ観て来ます。80億、行くといいですな。
 2位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が9日間で13~14億ぐらいと見積もる。もうチョイ行ったか? いずれにせよ、40億を超えた去年よりもハイペースだと思います。余裕で40億を超えるのはもはや確定的ですな。さすがドラちゃんです。
 3位:『ラ・ラ・ランド』が17日間で23~24億、ひょっとしたら25億に届いたぐらいかも?と見積もる。この土日も首都圏では完売が結構ありましたね。やっぱり女性人気が高いと、興収もグンと上がりますな。この分だともう30億も余裕。グイグイ積み上げておりますので、40億も十分射程内、つーか、超えちゃうんでしょうか。
 4位:『チア☆ダン』が公開土日で1.94億ほどだそうです。40代50代も観てるそうで、ちょっと驚きです。内容的には全然違いますが、実話ベースの女子モノとして、参考までに『ビリギャル』(最終28.4億)の数字をメモっとくと、最初の土日で2.85億だった。ただし、『ビリギャル』は5/2公開ということで思いっきりGW中だったので、比較にならんな……
 5位:『ソードアート・オンライン―オーディナル・スケール―』が23日間合計で16~17億ぐらいと見積もる。4DX版も加わって、これからも来場者特典が続くらしいので、まだまだ粘って数字を伸ばしてほしいですな。20億はもう絶対条件、25億も超えてほしい! 応援のために、もう一度観に行くのもやぶさかではありません。
  6位:『アサシン クリード』が10日間合計でどうやら4~5億ぐらいまで積んだと見積もる。わたしが観に行ったときは意外と客入りは良かったです。年齢層も結構幅広かったのが印象的。ただ……ホント申し訳ないけど……物語がイマイチ良くわからん……ので、ゲームの方をよく知ってる人向けかもしれないす。
 7位: 『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』がこの順位だと公開土日で1億も行ってないのかな。5~6千万ぐらいと見積もる。ウルトラマンは全然わからないす。
 8位: 『相棒―劇場版IV―』が30日間で17~18億ぐらいでしょうか。20億はギリ届く……のかな。大丈夫かな。
 9位: 『一週間フレンズ。』が23日間で6~7億ほどと見積もる。ちょっと10億はきつくなってきたか?
 10位: 『君の名は。』が29週目にして246億突破だそうで、この記録は伝説となるんでしょうな。ホント凄いです。

 とまあ、こんな週末だったそうです。

 今週はもう結論も何もないので、わたしの今後のこれは絶対見るぜ!リストを自分用備忘録としてメモっておこう。
 『ひるね姫』3/18(土)公開。先週紹介した通り、高畑充希ちゃんの「Day Dream Believer」を聞きに行くべし。ホント最高です。
 『パッセンジャー』3/24(金)公開。わたしの大好きなJenifer Lawrence嬢が最高。予告にもある「You die, I die!」というセリフがやけに心に刺さります。
 『キングコング―髑髏等の巨神』3/25(土)公開。まあ、ネタとして。期待はしてませんが、邦題の「髑髏等の巨神」というサブタイトルは大変センスがイイと思う。
 『LION/ライオン~25年目のただいま』4/7(金)公開。結構気になってます。
 『美女と野獣』4/21(金)公開。これは劇場で観ておかないといかんでしょうなあ。Emma Watsonちゃんの歌声に期待!
 『バーニング・オーシャン』4/21(金)公開。これは邦題のセンスがイマイチだなあ……原題は『Deep Water Horizon』です。去年台湾で見ようと思ったのに、深夜しかやってなくて見損なった……
 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』5/12(金)公開。ムビチケ購入済み。今すぐ観たい!!! 今すぐ観られるなら10万ぐらい払ってもいい!
 『スプリット』5/12(金)公開。珍ムービー作家でお馴染みのシャマラン監督にまたしてもやられるような気がするけど……観ざるをえまい! 予告に登場する監督のドヤ顔がムカつくw
 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』5/13(土)公開。本年度アカデミー男優賞/脚本賞受賞。超期待!
 『家族はつらいよ2』5/27(土)公開。早くも続編キター―!! 絶対観に行くぜ!

 とまあ、こんな感じっす。いやあ、映画って本当にイイですね! 以上。

 わたしはもうすっかりゲームはやらなくなってしまったが、わたしの周りにはゲーム好き、というよりもはやハードなゲーマーともいうべき人々はいて、中でも元部下のYくんは、わたしの知り合いの中では一番のゲーマー野郎である。彼は、もはやゲームはPlayStationなどのいわゆる「ゲーム機」でプレイすることは少なく、それよりもハイスペックなPCでのプレイが中心であり、遊んでいるゲームも10年前なら「洋ゲー」と呼ばれていたような、ガチムチ系のアクションゲームが多い。実際のところ、日本で発展したゲーム文化はもはや日本でしか売れないガラパゴス化の方向で進化し、もちろん、任天堂やスクウェア・エニックス、あるいはバンダイナムコなど、大手ゲームは売れてはいるが、世界規模ではあまり大したことがなく、その存在感は薄れるばかりと言ってもいいだろう。日本人がJ-RPGと呼ばれる作品やスマホをいじって喜んでいるうちに、世界の屈強なゲーマーたちはさっさと先へ進んでしまったわけである。
 ま、いずれにせよ、わたしとしてはゲームの世界も仕事上詳しくある必要があったのだが、自分自身がプレイしていなくても、隣に座っていたY君に話を聞けばいいし、そもそもY君に任せておけばよかったわけで、ゲームに関しては超ニワカである。そしてそんなニワカなわたしでも、当然幾つかの超有名タイトルのことは、だいぶ前から知っていたわけで、その中でも世界的に大人気であり、Y君も新作が出るたびにプレイしていたゲームの一つが、『Assassin's Creed』というシリーズである。わたしは、Y君が『Assassin's Creed』について、こっそり忍び寄って、サクッと殺るゲームっす、と熱く語るのを聞いて、それは要するに、往年の名作『天誅』みたいなゲームってこと? と質問したことがあるが、ええと、間違ってはいない、けど、違う、かな? と微妙な回答であった。曰く、物語がしっかりしていて、ストーリー自体が面白い、のだそうだ。なので、わたしはプレイしたこともないのにいつの間にか「テンプル騎士団」だの「アサシン教団」だの、「エデンの果実」だのといったゲームの世界観について知識を得ていったのである。
 というわけで、以上は前振りである。先週から公開になった映画版『Assassin's Creed』をやっと観てきたので、そのことをこれから書こうと思っているのだが、実はあまり書くことがなくて……つい無駄なことを書いてしまった……。一応、今回の映画版の予告編は、シリーズをすべてプレイしてきたY君をして相当期待できる! というものだったので、まあ、何も知らないに等しいわたしでも、楽しめるかな、と思ったのだが……結論から言うとかなり上級者向けの物語になっていて、Y君によれば、説明がいろいろと不足しているので、自分は楽しめたけどアンタにゃわからんかったでしょうよ、という若干の侮蔑を含んだ趣旨を丁寧な言葉で申し渡されることとなったのである。くそう。ああそうだよ、おれには良くわかんなかったよガッデム!
 
 というわけで、FOXには珍しく、非常に観たくなるようないい出来の予告である。だいたいお話は上記予告の通りと言っていいだろう。ただし、なかなか複雑なお話で、正直なところ良くわからない部分も多いし、そもそものメインとなる機械「アニムス」が謎過ぎてついて行けないような気もした。
 ざっと物語を説明すると、中世十字軍にも参加したテンプル騎士団が、現代の世にもその力を保持して世界にこっそり存在していて、「エデンの果実」を探していると。その目的は、ざっくり言うと人類の洗脳で、そのキーアイテムとして「エデンの果実」が欲しいわけだが、「エデンの果実」とは、最初の人類(アダムとイブ)に、神への叛乱を起こさせたもので、無知なまま神へ従属するのではなく「自由」を人間にもたらせたものであって、それは人間の精神(をDNAレベルで?)改変させる力がある、と彼らは思っている。で、その「果実」を最後に目撃した、15世紀のスペインにいた「アサシン教団」の男がいて、そいつの末裔として現代を生きる男をとっ捕まえて、そいつの「DNAに刻まれた記憶」を紐解けば、その所在がわかるんじゃね? ということで、DNAから先祖の記憶をトレースできる「アニムス」なる謎マシーンを使って「果実」を追う――てなお話である。実はわたしはこれで正しい理解なのか、正直全然自信がない。テンプル騎士団は全員修道僧だから、「エデンの果実」は神に反抗する、あってはならないもの、だからそれを確保する、ってことなのかな? 一方の「アサシン教団」は、あくまで人間の自由を守るために、テンプル騎士団と戦ってると、まあそんな感じの対立構造かもしれない。なんというか、よく分からなかったのがわたしの頭の悪さのせいなのではないかと非常に残念である。そして、アニムスについてももうチョイ原理的な説明が欲しかった。だいたい、アニムスを開発製造できる技術があったら、もっと別のやり方で世界征服できるんじゃね?
 しかし……たぶん、実際のところ、この映画はもうそんなストーリーはどうでもいいんじゃないかとも思う。それよりも、見せ場はゲームの世界そのままの超人的なアクションにあるのだろうと思う。パルクール、あるいはフリーランと呼ばれる縦横無尽なアクションシーンこそがこの映画の最大のポイントだろう。
 だが……わたしはこのせっかくのアクションも、映画としてはかなりイマイチだと感じた。とにかく画がブレブレで、きちんと画面にとらえられていないのは大問題だ。せっかくすごいスタントなのに活かしきれていない。実に素人っぽい画でわたしは結構がっかりした。カメラのブレを臨場感と勘違いしている映画をよく見かけるが、本作もその傾向が大いにある。アレじゃあダメだと思うな……。まあ、『Assassin's Creed』の代名詞ともいうべき「イーグル・ダイブ」は凄かったすね。ゲームそのままの迫力はあった……のだが、これはやっぱり3Dで味わうべきだったんだろうなと思う。なのに、ぜんぜん字幕3D版が上映されないのはホントに意味が分からないというか……こういう点がFOXのダメなところで、極めて残念だ。本作は、イーグル=鷲が重要なモチーフになっていて、鷲が空を舞うショットも多いのだが、あれを3Dで見せないでどうすんだ……配給社の配慮のなさには失望しかない。そもそもFOXは『Avatar』で3Dの威力を世界に知らしめて世界中の映画館の設備を改めさせた張本人なのに。実に分かってないとしか言いようがない。
 というわけで、ストーリーも映像も、配給社のマーケテイング戦略も、わたしとしてはかなりイマイチに感じた。せっかくキャストは豪華なのに、実に残念であった。ただ、Y君のような、元のゲームの大ファンは大変楽しめたらしいので、結論としては一見さんお断りで、分かる人には分かるということなんだろうと思う。なんか、もういつものようにキャスト紹介する気も失せたので、ざっと流して終わりにします。
 主人公の現代の死刑囚カラム・リンチと、15世紀のアサシン教団のアギラールという2役を演じたのが、世界有数のイケメンと呼ばれるMichael Fassbender氏。そしてヒロインでアニムスを開発したソフィア博士を演じたのが、これまた世界有数の美女と呼ばれるMarion Cotillardさん。そしてその父で現代のテンプル騎士団に所属する、アニムス開発会社社長を演じたのが、オスカー男優Jeremy Irons氏。この人もカッコイイ。とまあ、そんな有名美男美女がそろっており、ビジュアル的には大変見栄えがする。とりわけFassbender氏のアギラールは、ゲームのイメージそのままで、大変カッコいい。散々イマイチだと言ったけれど、シーンのワンカットワンカットのビジュアルイメージはとてもイイので、物語や雑な撮影がきちんとしていれば、もっとだれでも楽しめる作品となったはずなのだが、まあ、なんというか、残念です。いろいろと。

 というわけで、もう飽きたのでぶった切りで結論。
 映画『Assassin's Creed』は、そのゲームのビジュアルイメージをかなり忠実に再現しているけれど、まず物語は一見さんお断りの分かりにくさがあり、せっかくのアクションシーンもブレブレの映像できちんとわからない部分があって、一言で言うと残念、であった。もちろん、役者は美男美女だし、アクションスタントもすっごいので、そういう点では見事ではある。けど、話がよく分からんという決定的な部分はどうしようもないというか……PV的ですね、ゲームの。ただ、ゲームの大好きなYくんは楽しめたというのだから、ま、そういうことです、はい。以上。

↓ 日本では一応これが最新作かな? でも、Y君曰く、PCでやるのが一番、だそうです。キーボードでよくできるなあ、と言ったら、そんなの当たり前ですよ!と鼻で笑われました。 

 というわけで、約1年ぶりのムラ遠征である。いまさらもう「ムラ遠征」ってなんぞ? なんて聞かないでいただきたい。東京に住む我々ヅカファンが、兵庫県宝塚市に存在する宝塚歌劇団の本拠地、宝塚大劇場へ公演を観に行くこと、それが「ムラ遠征」である。由来は知らないが、宝塚大劇場周辺をヅカファンは「ムラ」と呼んでいるわけだが、わたしが今回、一人でぶらっとムラ遠征したのは、わたしの愛する星組の2番手(とうとう2番手まで出世!!)スター、礼真琴さん(以下、こっちん、と略)の雄姿と歌声をこの目と耳に焼き付けるためである。5月まで待てば、東京公演が始まるのだが、それまで待てるわけねえだろうが! と半ばキレ気味に、朝6時の新幹線のぞみ号をぶっ飛ばして駆けつけたのである。ホントは昨日の初日に行きたかったけど、無理でした……。なお、もちろんいつも一緒に観劇に行くヅカ友のお姉さんたちも誘ったのだが、誰一人乗ってくれる人がいなかったので、ぼっち観劇&日帰りとなったのだが、ソロでの日帰りムラ巡礼をクリアしたわたしは、そろそろヅカ道の黒帯を取得したと言っていいのかもしれない。ま、まだまだ初段レベルですが、もはや素人じゃねえ、ぐらいすかね。朝6時ののぞみをぶっ飛ばして9時半ぐらい現遅着、そして現地15時ぐらい発で19時半には家に帰り着いた。ふーやれやれ。
 そして、今回の演目は、わたしにとっては大変思い入れのある作品『THE SCARLET PIMPERNEL~スカーレット・ピンパーネル』である。以前もこのBlogで書いた通り、わたしが宝塚歌劇を見るようになってから2本目に観た作品であり(その時は月組の公演)、また、その予習としてDVDで観た星組による初演は、わたしが宝塚歌劇にはまるきっかけとなった柚希礼音 さん(通称:ちえちゃん)が超絶にカッコイイ悪役を演じたことでもわたしにとっては忘れられない作品である。そして、そのちえちゃんが演じた悪役を、わが愛しのこっちんが演じることになり、わたしとしてはもう、まさしく居ても立っても居られないのである。ええと、今までのところで、なんか文句ありますか? ないすね? はい。じゃあ先に進めます。
 ところで。まったく今回の観劇には関係ないのだが、現在、というか主に先週、宝塚歌劇には大きなニュースが重なっていたのである。ズバリ言うと、各組のTOPスターが卒業したり新たにお披露目したりと顔ぶれが大きく変わった(変わる)のだ。
 まず、先週の月組公演を観に行った時も書いた通り、月組に続いて、愛する星組も、去年TOPスター北翔海莉さん(通称:みっちゃん)が惜しまれつつも卒業してしまい、新たなTOPスターとして、わたしも大好きな紅ゆずるさん(通称:紅子)が就任し、まさしく昨日初日を迎えた『スカーレット・ピンパーネル』で大劇場お披露目を果たした。大変めでたく、わたしも2日目の今日、観ることができて、もうとにかく超・感無量である。そしてその紅子と仲良しであったわれらがちえちゃんも、Instagramでその喜びを表明しており、星組イチオシのわたしとしては大変うれしい限りだ。

 そしてその紅子と同期の宙組TOPスター朝夏まなとさん(通称:まぁ様)が、先週わたしとしてはかなり電撃的に、次の公演での卒業を発表されたのだ。折しも先週宝塚大劇場にて、相手役の娘TOPである超美人の実咲凛音さん(通称:みりおん)の卒業を見送ったばかりのまぁ様。まさかこのタイミングで!? というのは激しくびっくりだったし、ならばみりおんもあと1公演残って、同時退団もあり得たのでは……と思った方も多いだろう。わたしもそう思ったが、まぁ様の卒業会見を見て、これで良かったんだな、と考えを改めた。同時だと、サヨナラショーはどうしても自分が主役になってしまうわけで、みりおん単独のサヨナラショーで見送ってあげたい、というまぁ様の気持ちは、尊重して余りあると思う。男前じゃあないですか! いつもは若干俺様キャラのまぁ様。はあ……淋しくなるなあ……。いずれにせよ、まぁ様の卒業はかなり多くの宝塚ファンが驚いた、大きなニュースであったに違いない。
 さらに、先週は雪組でも動きがあった。既に次の公演で卒業を発表している現在のTOPコンビだが、正式に次期TOPコンビとして、望海風斗さん(通称:だいもん)と、今年星組から異動したばかりの真彩希帆ちゃん(通称:まあやちゃん)の二人が発表されたのだ。まあ、だいもんに関しては誰がどう考えてもだいもん以外にTOPに立てる人材はいないと思ってたので驚きはないけれど、まあやちゃんに関しては、TOP娘役になれるよね、大丈夫だよね?と思っていた方が多いのではなかろうか。わたしは星組イチオシとしてまあやちゃんが雪組に異動してしまったことが残念だったけれど、でも、そうか、だいもんの相手になるのか……な? そうだよね? そうだと言ってくれ! とずっと心配だったので、正式発表されて大変うれしく思う。はーーよかったよかった。だいもんは現在の現役ジェンヌの中ではナンバーワンと言ってもいいほどの歌ウマだし、まあやちゃんも可愛くて歌ウマだし、大変お似合いのTOPコンビとなるであろうことは、おそらくヅカファンならば誰しも納得だろうと思う。
 しかし、これで来年からはすっかり様変わりするってことですなあ。。。まあ、経営面から見た場合、まさしくこのような「誰かひとりの人気」に頼ることがなく、きっちりと後進を育てて、常にファンを魅了するのが宝塚歌劇団という組織のすごいところであり、会社としての強さの秘訣、であることは間違いない。普通の会社でも、特定の「デキル」人に仕事が集中して、その人がいなくなったらガタガタになる、なんてのは大変良く見かける光景だが、それじゃあ経営としてはまったくダメなんですよ。
 以上、長~~い前振り終了。
 というわけで、新生・星組の『スカーレット・ピンパーネル』である。

 さて、何から書くかな……まず、観る前にわたしが思っていたことを書いておこう。わたしは、紅子のTOP就任はとてもうれしいし、紅子が大好きではあるのだが……ズバリ言って歌は今一つ、だと思っている。これは誰でもそう思っていると思うけれど、紅子の魅力はその軽妙なキャラと抜群のルックスでありコメディをやらせたら最強キャラではあるのだが、肝心の歌が……ちょっとアレなんすよね……なので、その点がやや心配、というのが一つ目。
 そしてもう一つは、逆に超絶に歌が上手い、愛しのこっちんは、大丈夫だろうか、という心配である。何が心配かというと、こっちんは、現在の各組の2番手スターとしては一番若く、そのプレッシャーがものすごいだろうな、という点と、もう一つは、演じる役が、こっちんが最も尊敬し憧れた先輩であるちえちゃん(礼真琴の「礼」は、柚希礼音さんから一文字もらった、というほど憧れていたそうです)がかつて2番手時代に演じて、もはや伝説と化している役だという点も、おそらくはこっちんのプレッシャーになっているだろう、という点である。
 でもわたしは、紅子にはいつも通りのびのびと楽しく美しく演じてくれればいいと思っていたし、こっちんも、この機会に殻を破って、ショーヴランという役をステップに暴れまくって、こっちんの持ち味である迫力ある歌で新たな伝説を作ってくれ! と思っていた。要するに、ひどく偉そうに心配しつつも、超期待していたのである。
 そして結論から言うと――まさしくわたしの期待は応えられた!と言っていい素晴らしい出来であったのである!!! もうほんと、胸が熱くなるわ……マジで、今日はうれしくて泣けそうになったよ。実のところ、『スカーレット・ピンパーネル』という作品は、冷静に考えると物語としては結構突っ込みどころが多くて、ラストの正体が表される場面は、えええっ!? と若干あんぐりとしてしまうようなお話である。しかし、この作品のわたしにとってのメインは数々の素晴らしい歌と、豪華な衣装に彩られたビジュアル表現にある。とにかく、歌がいい!のが『スカーレット・ピンパーネル』だ。以下、だらだら書いても仕方ないので箇条書きでまとめよう。
 ◆紅ゆずるパーシーは最高だった!
 いやーーー紅子さん! 歌がすごく良かったですよ! もうほんと、失礼な心配をして申し訳ありませんでした! あなたの歌う「ひとかけらの勇気」は素晴らしかったです。わたしは紅子が新人公演で演じた時のパーシーを観てないのだが、今回の紅子パーシーは、普段は軽薄なチャラい貴族、だけど実は熱いハートを持つ正義感、という元々のキャラ通り、実に良かったです。注文を付けるとしたらやっぱりマルグリットとの感情の表現かなあ……実はわたし、いまいちよく分かんないんすよね……パーシーはマルグリットを愛しているのかどうかが。もちろん愛しているんだろうけど、今までの初演でも再演でも、そして今回も、どうもパーシーは明らかに、「マルグリットへの愛」<「正義感」のように見えるのだが、それが正しいのかよく分からないけれど、もうチョイ、パーシーの苦しみ的なものがあってもいいのではかなろうか? なんか、かなりクールなんすよね……。そのあたりが物語全体のあっさり感につながってるような気がしてならないです。まあ、その辺は小池修一郎先生に聞かないと分からないなあ……。
 ◆こっちん! すっげえカッコ良かったぞ!!
 そして悪役たるショーヴランを演じたこっちん、本当に素晴らしい歌でした。ショーヴランはソロ曲も多いし、感情がたぎってましたなあ……ホント素晴らしかったよ。今日は2階のB席だったので表情は双眼鏡でもあまり見えなかったけれど、東京ではいい席でガン見したいすね。きっと東京に来る頃にはさらに完成度は上がってるはずなので、今からとても楽しみだ。しっかし、本当にこっちんの歌声はカッコええですなあ! エンディングの一番最初に下手のセリから登場して歌う「ひとかけらの勇気」も実に良かったです。注文を付けるとしたら、もっともっともっと! 激しく体全体で怒りの感情を爆発させてほしいすね。もう、怒鳴るぐらいで。そもそも、ショーヴランは自分の信念に従って生きている男なので、別に悪党じゃないわけで、言ってみれば非常に不条理な立場なので、そういった不条理に対して怒り狂ってほしいっす。東京で待ってるよ!
 ◆あーちゃん! あなた完全にTOP娘の貫禄出てるじゃないの!
 今回、わたしが一番感じたのは綺咲愛里さん(通称:あーちゃん)の成長かもしれない。歌もいいし、ビジュアルも抜群だし、おまけにすごく貫禄があったぞ! いやホント素晴らしかった。あーちゃんの声って、その可愛らしいアイドル系はルックスからは想像できないような、落ち着いた大人な声なんだよな。ホントに素晴らしくて、あーちゃんと紅子のエンディングでのダンスも大変美しかったと思う。いやあ、以前、幼児体型なんてこと言ってすみませんでした。あーちゃんは今回のような豪華ドレスがすっげえ似合うと思います。男目線ではよく分からないのだが、ひょっとしてメイクが巧いのかな? 抜群の存在感でした。
 ◆かいちゃんロベスピエールとルイ・シャルルせーらちゃんもイイ!
 今回、今までの公演になかったロベスピエールの曲が追加になってて、演じた七海ひろきさん(通称:かいちゃん)の抜群のカッコよさが増量されてました。わたし的には、かいちゃんは宙組時代の『銀英伝』で演じたミッターマイヤー元帥(※ヅカ版銀英伝は序盤の頃の話なのでまだ元帥ではありません)がとても印象に残ってて、星組に来てくれた時はやったー!とうれしかった方ですが、これからも星組の貴重な戦力として紅子とこっちんを支えていただきたいと思う。実に正統派なイケメンなので、今後も頼りにしてますよ!
 そしてもう一人、最後に取り上げるのは101期生とまだ全然若い星蘭ひとみちゃん(通称:せーらちゃん)だ。わたしもせーらちゃんに関しては、母校の後輩ということもあって、我が星組の将来のヒロイン候補としてずっと注目していたのだが、今回はルイ・シャルルに抜擢され、役が付いたのは初めてかな? いつもわたしショーの時にせーらちゃんを探すのがお約束だったのだが、今回は台詞も歌もあって、うれしかったす。そして、やっぱり可愛いですなあ! ビジュアル的にも声も、大変可愛らしいと存じます。いつかTOP娘になれる日を待ってるぜ。応援してます!

 はーーー……疲れた……もう書き忘れたことはないかな、大丈夫かな……もちろん、ピンパーネル団のみんなも良かったし、マリー(アルマンの恋人)を演じた有沙瞳ちゃん(通称:くらっち)も良かった。くらっちは雪組から異動になったばかりで星組初出演だったけれど、とても光ってたよ。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「(オレを)愛したことはないというのか?」
 「ないわ!!」
 「ふん……せいぜい幸せとやらをかみしめるがいい!!

 今回は、ちょっとうろ覚えなので正確なセリフじゃないかも……。ショーヴランとマルグリットのやり取りですが、かつて愛していたと思っていたマルグリットに、ズバリ言われてほんと気の毒…… この、あーちゃんマルグリットによる「ないわ!!!」が今回わたしは一番グッときました。ちなみに、初演時のちえちゃんショーブランの時は、
 「演じるんだ! そして欺け! 弟のために!!
 という超カッコいいセリフに、わたしはもう大興奮しました。そんなちえちゃんショーヴランに、こっちんショーヴランは引けを取らないカッコ良さだったぜ!

  というわけで、もういいかげん結論。
 1年ぶりのムラ遠征を、単独かつ日帰りで敢行したわたしは、そろそろヅカ道初段に昇格した気分である。そして、待ちに待った紅子のTOPお披露目公演『スカーレット・ピンパーネル』は、期待通り素晴らしい出来であった。紅子、こっちん、あーちゃん。新たな立場で臨んだ初舞台は、とても今の星組を現した作品と言えるだろうと思う。もうすでに東京は2回観に行くことが決まってるので、約2か月後、東京で再び会えることを楽しみに待ちたい。確実に、さらに完成度は増しているだろうと思う。こっちん、もっともっと爆発させるんだ!応援してるぜ!!! 以上。

↓ 実は原作小説があります。今日、キャトルで買おうか20秒ぐらい悩んで買わなかったのだが、やっぱり読んでおくべきかもな……と今更後悔中。ま、いつでも買えるし……って思っちゃったオレのバカ!
紅はこべ (創元推理文庫 507-1)
バロネス・オルツィ
東京創元社
1970-05
 

 昨日の夜の21時ころ、ふと、何もやることがなく、かつ、寝るには早いか、という、恐ろしく人生についての絶望を感じるような一瞬を味わってしまったわたしであるが、もういっそこのまま明日が訪れなければいいのに……という悲哀を胸に抱きながらも、まあ、なんか映画でも見るか、とWOWOWで撮り貯めたHDDを捜索してみたところ、とある映画が録画されていて、じゃ、これでも観るか……という気になった。あぶねえ。うっかり黄泉の国への誘惑に負けるところだったぜ。
  観た映画のタイトルは、『Victor Frankenstein』。かの有名な、フランケンシュタイン物で、そのタイトルを観て、わたしは電撃的に、あ、あの映画か、と思い出した。この映画での主役は、ハリー・ポッターでお馴染みのDaniel Radcliffくん。いまや順調におっさん化が進み、非常にこの先の更なるおっさん化が楽しみな逸材であり、わたしは結構彼の演技は高く評価している。そんな彼がフランケンシュタインを演じるのかな? とUS版予告を見て思い、こいつはちょっと気になるなと思っていたのだが、どういうわけか一向に日本で公開されず、今調べたところ、日本ではなんと屈辱?のビデオスルーだったそうだ。というわけで、わたしとしてはWOWOWで放送されることを知って、よーし、WOWOWよ、偉いぞ!と思い、録画をセットしたのである。ま、録画セットしたことは完璧に忘却の彼方に霧散していたけれど。

 探してみたら一応、DVD販売用のFOX公式の字幕入り予告があったので貼っとくか。
 しかし……ホント、なんというか毎回書いているような気がしますが、FOXの予告編のセンスのなさは何なんだろうな……普通の人が上記予告動画を見て、おっとこの映画は見たいぜ、って思いますか? 何が何やら? さっぱりわからないと思うんだけど……ひでえなこれは……。ちなみに下のが字幕なしのUS版公式予告だが……ま、尺が長くなっただけで、あまり変わらないか……つまりFOXジャパンではなくて、そもそものFOX本体がダメってことだな、こりゃ……。

 ま、いいや。ちなみに、US本国でもホントにこの数字?と信じられないほど全く売れず、おそらくは散々な興行で赤字は確実であろうと思われる。何しろこの映画、観た限りではかなりの予算規模であろうことが想像できるほど、相当金を使っているのは間違いないと思う。それでこの成績じゃあ……まずいなこりゃ……と全くの余計なお世話だけれど、実に心配だ。
 物語の舞台は19世紀のロンドン。日本で言うと幕末から明治の世である。もう、この時点で、セットや衣装、美術に金がかかるのは確定的に明らかであろう。そしてこの時代設定および場所設定からして明らかなことは、完全にMary Shelley女史による原作小説『Frankenstein』とは全く別物ということだ。そしてわたしはてっきり、Danielくん自身が怪物を演じるのかしらと勘違いしていたのだが、それもまた、まるで違っていたのである。これは予告をちゃんと見れば分かるので、単にわたしの思い込みであった。
 本作の物語を簡単にまとめてみよう。
 Danielくん演じるイゴールは、サーカスでピエロを担当していた身寄りのない男で、その背中のせむし男ぶりから人間扱いされないような可哀想な奴隷的立場にあった。しかし実は明晰な頭脳と、人体に関する特殊な(?)目をを持っていて、それを見抜いた医師ヴィクター・フランケンシュタイン先生(正確に言うと医学生なので、医者の卵)の手引きで、哀れなサーカスでの生活から脱出することに成功する。そしてそのフランケンシュタイン先生の手で、背中の腫瘍(というより膿疱?)を除去し、姿勢矯正ギプスのようなものを着用して、髭も剃って髪も整え、さらにはちゃんとした服を着ることで、あっさり、ぱっと見では元背むし男とはわからないような、小ざっぱりしたイケメンに変身する。そんな、大恩が出来たフランケンシュタイン先生の研究を、イゴールは助手として手伝い始めるのだが、先生の研究とは、死体を寄せ集めてつなぎ合わせることで、死を超越しようとする背徳的なものであり、ついにその研究は、イゴールの協力のもととうとう現実に―――的な展開である。1994年のKenneth Branagh監督による『Frankenstein』はかなり原作に忠実だったと思うけど、本作はまるで違うお話でした。
 まあ、要するに物語としては原作のフランケンシュタインの話に、SF的な科学的要素をチョイ足ししたような感じで、それなりにはきちんと整っているとは思う。また、美術的な部分でも前述のようにきちんと金がかかっているし、おまけに役者陣もきっちり一流どころを揃えていて、けっして手抜き感は感じられないと言ってもいいだろう。ただなあ……なんというか……B級臭がぷんぷんするのはどうしてなんだろうか……。結局はやっぱり物語なのかなあ……トンデモストーリーであるのは間違いなかろうし。あと、クリーチャーデザインかなあ……人造人間が完成する前に、犬だったか猿だったかで、プロトタイプが作成されるのだが、それが80年代後半の、『THE FLY』的なクリーチャーデザインっぽさがあるんだよなあ……それがなんというか、すげえセンスが古いんすよね……でもあれ、CGだよね? 一部はパペットだったような気もするけど、あの動きはCGだよな……。
 ま、とにかく、結論から言えば、正直イマイチでした。
 ただ、やっぱり役者陣には触れておかないとイカンだろう。実際、主役のDanielくんは大変熱演だったと思う。やっぱりとても上手だと思うな、この人は。若干背が低いかな、という点はまあ、あまり瑕疵にはならないと思う。なんか骨格が骨太で、イギリス人にしてはちょっと珍しいような、顔も体も四角いような特徴あるルックスですな。いや、そうでもないか、若干なで肩?なので、シルエットはTom Cruise氏に似てますね、そういえば。わたしは、Danielくん主演の『Swiss Army Man』がものすごく観たいのだが、これも日本では公開されないのかなあ……ずっと待ってんだけどなあ……くそう。WOWOWで放送されないかなあ……。
 そしてDanielくんを救う医者のマッドサイエンティストであるフランケンシュタイン先生を演じているのが、今やX-MENのヤング・プロフェッサーXでお馴染みのJames McAvoy氏37歳。彼もイギリス(スコットランド)人ですな。彼は今回のような、狂気を目に宿した役が得意のような気がしますね。現在US公開中で結構ヒットしている新作の『SPLIT』の日本公開が待ち遠しいですな。なんでも23人の人格を持つ、多重人格サイコキラー(?)の役だそうで、わたしとしては観るぜリストに入っています。がしかし……監督が珍ムービーを量産することで有名なM Night Shyamalan監督だからな……うかつに期待するとイタイ目に合うから気を付けないとな……。
 あと3人、わたしが知っている役者が出ていたので、取り急ぎ備忘録として手短に紹介しておこう。フランケンシュタイン先生の父親で厳格な貴族のお爺ちゃんを演じたのが、わたしが密かに名作だと思っている『ALIEN3』で、リプリーと一瞬親密になるけど中盤であっさり退場(=エイリアンにブっ殺された)してしまった医師を演じた、Charles Dance氏だ。今はもう70歳だって。『ALIEN3』ももう25年前だから仕方ないか……。目つきが変わってなくて、一発でわかった。そして、フランケンシュタイン先生の怪しげな実験を執拗に調査する警官を演じたのが、TVシリーズ『SHERLOCK』でモリアーティを超にくったらしく演じたAndrew Scott氏。この人も、特徴ある顔なので一発でわかるすね。最後。この人は、わたしは顔は観たことあるけど誰だっけ……と調べないと分からなかったのだが、Danielくん演じる哀れなイゴールと恋におちる可憐な女子を演じたのがJessica Brown-Findlay嬢27歳。だいぶ前にこのBlogで取り上げた『Winter's Tale』のヒロインですな。大変お美しい方です。
 で、さっき、監督は誰なんだ、と調べたら、これまたこのBlogでかなり前に取り上げた『PUSH』を撮ったPaul McGuigan監督だった。あっ! この監督、TVの『SHERLOCK』も監督してるんだ。そうなんだ。へえ~。知らなかった。まあ、残念ながら『PUSH』同様、本作もわたしとしては微妙判定です。サーセン。

 というわけで、結論。
 ふとしたきっかけで観てみた『Victor Frankenstein』という映画は、役者陣はなかなか豪華だし、セットや衣装もきっちり金がかかっており、面白そうじゃん、と期待したのだが、どういうわけか全編に漂うB級感がぬぐい切れず、お話そのものもなかなかのトンデモストーリーで、判定としては微妙、と言わざるを得ない。おっと? 脚本を担当したのはMax Landis氏なんだ!? へえ~! 彼は、映画監督John Landis氏の息子で、わたしが激賞している『Chronicle』もこの人の脚本なのだが……残念ながら今回はイマイチでありました。以上。

↓ くそーーー……とっくに発売になってるじゃんか……観たい……買っちゃおうかしら……。

↓ おまけに予告も付けとこう。傑作の匂いがすげえするんですけど。

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、今週の電子版の週刊少年チャンピオンは、ちゃんと巻頭グラビアがついてました。やっぱり事務所の都合なんでしょうな。しかし「ドカベン」が読めないのは残念だなあ……。そしていよいよこの週末から大相撲三月場所(大阪)が始まります。新横綱【稀勢の里】関の活躍が楽しみですが、わたしとしては応援している東前頭三枚目【松鳳山】関が星を重ねて三役復帰できるかどうか、とても注目しております。三役復帰が叶ったら、後援会に入ってもいいぞ。頑張れ【松鳳山】!!
 では、まずは週刊少年チャンピオン2017年第15号の概要です。
 ■巻頭グラビア:松永有紗嬢。大変お綺麗でよろしいかと存じます。
 ■『弱虫ペダル』:VS広島開幕の巻。さっさとぶち抜いて、先頭に合流してくれ!
 ■『牙刃道』:久々の独歩先生&牙刃の巻。守護るって誰を……。
 ■『囚人リク』:周龍やばしの巻Part2。さあ、とうとう変態内海が本領発揮だ!
 ■『Gメン』:仲良く合コンの巻。日本童貞連盟会長のキモ田がとうとう!!! マジすか!!
 ■『少年ラケット』ジョー先輩熱い!の巻。今週も気合の入った絵とカット割りで、ホント熱いすねえ! でも、掲載順が一番後ろなのが心配だ……そして勝負の行方は来週判明!
 ■『BEASTARS』:裏市の巻Part4。なんか実に味わい深いというか、ホントこの漫画面白いす。単行本2巻が4月発売だそうで、サイン会があるそうです。行くしかねえかも……!
 とまあ、こんな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。
 先週は常松が鯉太郎に「本当の強さ」をみる泣かせるお話と、一方でいつまでもバカな【毘沙門】野郎のわかってねえトンパチ振りが描かれ、実に対称的な同期二人の初入幕の頃が描かれました。
 今週は、時は現在に戻って、いよいよ十日目の朝です。「空流三人衆」が部屋から国技館へ向かう所から始まりです。 おっと、三人は同じ車に乗っての国技館入りなんですな。この車はタクシーじゃないみたいですが、ハイヤーなんすかね? たしか、空流部屋は、『バチバチ』(1)巻の説明によると、上野の不忍の池にほど近いところだったはずなので、まあ国技館まで車で10分ほどかな。しかし関取三人が普通車に乗れるもんなのかな? 相当狭そうですな、車内は。
 しかし、車に乗り込もうとする常松は、兄弟子二人に断って、ちょっと待ってくれと言います。部屋の前にたたずむ男に話があるようです。そう、この男は前夜前触れなく訪れてきた、常の父親であります。金の無心に来た親父を常は当然嫌っていますが、もう常は入門当時のギラついたガキじゃあありません。金が欲しければ、今日の場所を見に来い、と告げて、父親に背を向ける常。
 「楽に手には入らねーぞ…この金は…」
 カッコイイじゃあないですか。自分の闘っている姿を見て、その金の価値を、自身も力士の端くれだったのなら思い出せ、てなこことなんでしょうか。 戻って車に乗り込んだ常に、鯉太郎は声をかけます。「大丈夫か…?」常は答えます。「えぇ…きっと…」この、「きっと」には、傍点がついて強調されています。これはつまり、鯉太郎の「大丈夫か」という問いは、常松に向けたものではなく、親父さんに向けた問い、ってことなんでしょうな。それが分かる常も、「きっと(あのクソ野郎にも通じると思います)」という返事なのではないでしょうか。
 一方国技館では、既に【毘沙門】野郎がどんぐり渡部くんを相手に入念なウォーミングアップを開始しています。どんぐりくんはもうヘトヘトの体で、もうそろそろ出番なので体休めた方が、と進言しますが、トンパチ【毘沙門】は余裕の涼しい顔。やっと鯉太郎との再戦が叶ってうれしい様子です。どうやら、先週描かれたように、鯉太郎に勝ったものの、【王虎】 さんに言われた一言でスッキリせず、自分が未だ平幕で足踏みしているのは、あの時のモヤモヤのせいだ、なんて思っているようです。アホかお前。調子に乗ってバク宙まで披露する【毘沙門】は、【王虎】さんにドでかい声で宣言します。
 「今度こそしっかり見ててくださいよ! 大関~~~~~~!!」
 そして、チャッチャと鯉太郎をぶっ飛ばしてスッキリして、さっさと三役に上がって、アンタ倒して、番付も強さも全てで俺が上に行きますから、なんて無邪気発言をかまします。しかし、さすが【王虎】さん。完全ドシカトで余裕の笑みですよ。なんかカッコイイんですけど!【王虎】のくせに!
 そして、そんなうるせえ【毘沙門】野郎に一人の男が注意します。
 「おい…目障りだ…殺すぞ…」
 !? この発言の主は、先週までの回想では「各界の良心」とまで言われていた【百雲】関じゃないすか!! あんた……あんた一体、どうしちまったんだよ……!? 羽織っている浴衣の柄が、超おっかねえドクロ柄なんですけど、大丈夫ですか!? これはもう、第85話(単行本(10)巻収録)で描かれた、横綱【泡影】戦でまさかの金星を挙げてしまったことが関係していることは100%確実ですが、なんと!今日の常松の対戦相手はこの【百雲】であることが判明しました。空流の三人は支度部屋で話をしています。【白水】兄貴も、気を付けろよ、あいつ最近アブないだろ、と常をちょっと心配しますが、常は平気です。ここで【白水】兄貴は非常に気になる一言を言いました「今場所だって百雲(アイツ)のせいで…」おっと? 何があったんだ!? さっぱり見当もつきませんが、何かがあったようです。しかし常は気に掛けず、それよりも、と鯉太郎に【毘沙門】野郎をぶっ飛ばしてくれと言います。【毘沙門】野郎の調子に乗った言動や、鯉太郎を軽く扱う様子ははたから見ていて我慢がならん、オレも堪えるの大変なんす、と。
 「絶対に鯉太郎さんは毘沙門(アイツ)に勝たなくてはいけないんです…かつての俺のように 強さをはき違えたままの毘沙門(アイツ)に…(なぜならアナタこそ…俺にとって…”強さ”そのものなのだから…)」
 常よ…お前の成長にはホント泣けてくるぜ……そして成長させた兄弟子・鯉太郎も、カッコイイですなあ……!! ここの常松こと【松明】関の表情は、チャンピオンを買って読む価値アリです。最高ですわ……。
 というわけで、さっそく鯉太郎VS【毘沙門】の土俵入りです。今週は、時間いっぱいとなったところで、NHK解説の「あっ!!?」という絶叫でお終いでした。
 ちょっとちょっと!!! 一体何が起きたんです!? もう、今読み終わったばかりだというのに、もう来週が待ちきれないす!!! ここで終わりかよ~~~マジか―――一体何が起きたんだ!? くそー……来週からの立ち合いも超楽しみすね!! そして【百雲】VS【松明】も描かれることはもう確実でしょう。楽しみすぎてヤバいっす!! 佐藤先生、熱い戦いを期待してます!!!
 というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。63連勝中。モンゴル人。

 というわけで、結論。 
 今週はいよいよ鯉太郎VS【毘沙門】の時間いっぱいまでが描かれました。そして常の父への思いの片鱗も垣間見え、おまけに十日目の常の対戦相手が【百雲】であることも判明しました。あの【百雲】が今や完全ヒャッハー的暗黒力士になっちまった経緯も大変気になりますが、鯉太郎よ、【毘沙門】野郎をきっちりぶっ飛ばしてくれよな。またもケガで、グラッ……とかは勘弁してくれよ!応援してますぜ! 以上。

↓ いっそ鮫島も、Figma作ってくれないかな……作ってくれたら買うのに……つーか、大相撲協会で公式フィギュア作ったら、結構売れると思うな。わたしも【松鳳山】なら買います。若い客を呼びたいなら、きっちりMD戦略を推進していただきたいものだ……こうなったらフルスクラッチで作るしかないか……。
 

 というわけで、毎週月曜日は週末映画興行データです。
 つーかですね、今週末は宝塚歌劇を観に行ったりちょっと仕事したりで映画を観ていないわたしですが、今、映画を観に行くと、たぶん確実?に『ひるね姫』の予告を見かけることだろうと思います。少なくともわたしはもう何度も回数見かけましたが、わたしはこのBlogタイトル通り、ミュージカルが大好きなわけで、歌える役者はそれだけでもうグンと好印象になるわけです。そして、わたしが今、日本人女優で一番好きなのが、高畑充希ちゃんで、彼女の歌声が大好きなわけです。なので、『ひるね姫』の主題歌(?)「デイ・ドリーム・ビリーバー」がフルで聞ける予告がおとといかな、公開されたので、コイツは自分用に貼っておいて、いつでもすぐ聴けるようにしとこう、と思ったわけです。

 いいですなあ……充希ちゃんの歌声は何て素敵なんでしょう。最高です。この映画にはあまり興味はないけど、やっぱり観に行かないとダメなんじゃねえかなあ……と思えるほど、充希ちゃんの歌声にぞっこんなわたくしであります。以上、完全な自分用備忘録でした。
 さてと。ではいつも通り、興行通信社の大本営発表からメモしておこう。

 1位:『映画ドラえもん のび太のカチコチ大冒険』が公開土日で今年は6.92億だそうです。毎年3月1週目恒例のドラちゃんですが、今までの歴史では意外と毎年波があるものの、ここ数年は大ヒットが続いていて、初動6億台で安定しています。自分用備忘録としてちょっとメモっとこう。これを見ると、今年はかなりいいスタートってことですね。40億に乗る可能性もアリ、かもですな。
 2016年:日本誕生→初動6.37億→最終41.2億(多分過去最大ヒット?)
 2015年:宇宙英雄記→初動6.44億→最終39.3億
 2014年:大魔境→初動6.00億→最終35.8億
 2013年:ひみつ道具博物館→初動6.67億→最終39.8億
 2012年:奇跡の島→初動5.52億→最終36.2億
 2011年:鉄人兵団→初動4.46億→最終24.6億
 2010年:人魚大海戦→初動5.53億→最終31.6億
 こうしてみると、2011年は明らかに震災の影響でしょうな……もう6年か……。何の心配もなくドラちゃんの映画を観に行ける世の中は、やっぱり幸せですなあ。
 2位:『ラ・ラ・ランド』が金曜公開なので10日間合計で15億を超えてるらしいです。3/2時点で10億を超えたそうなので、金土日でさらに5億ぐらい積んだってことですな。土日のチケット状況をチラ見した感じでは、首都圏では売り切れ続出だったので、絶好調ですね。この勢いだと、もはや20億も楽勝ペース。30億まで行けるんでしょうな、きっと。しかし、うーん、内容的にはハマる人とそうでない人が、結構分かれそうな気がしますね。わたしはミュージカル好きとしてアリ派です。
 3位:『ソードアート・オンライン―オーディナル・スケール―』が16日間合計で13~14億ぐらいと見積もる。こちらは2/28時点で10億を超えたそうで、そこから5日間で土日含めて3~4億ぐらい積んでてもおかしくないと思う。というのも、この土日から著者の川原先生による書き下ろし短編小説を配布中だそうで、それ目当てのリピーターもあるだろうと思われますが、どうでしょうか。上映回数やスクリーン数が少ないので、自信がないす。いずれにせよ、この分だと、20億は楽勝ペースなんでしょうか。150スクリーンほどの規模でこの興収は相当すげえすね。
 4位:『アサシン クリード』が公開土日2日間で1.58億ほどだそうです。ゲーマーなら100%の知名度を誇るとはいえ、一般的には知られてないと思っていたので、もっとランクは下かと予想してました。しかし、この映画はわたしも観るつもりでいますが、3D・字幕はIMAXに行くしかないんだよな……なんで3D吹替しかないんだ……FOXめ……!! ホントわかってねえというか……あのイーグルダイブは3Dで観たいんだけどなあ……ぐぬぬ……。
 5位:『相棒―劇場版IV―』が23日間で15~16億ぐらいと見積もる。先週末の段階で13.6億まで積んでいたそうなので、この週末で15億に届いたぐらいではなかろうか、というわたしのテキトー見積です。
 6位:『一週間フレンズ。』が16日間で5~6億ほどと見積もる。原作を読んでないので良くわかりません。ので、ほぼ興味なし。
 7位:『xXx トリプル・エックス―再起動』が10日間合計で3億程度と見積もる。あまり興味なし。
 8位:『ハルチカ』が公開土日でこの順位だと1億に届いてないのかな。原作小説はわたしも3冊か4冊読みました。面白いです。が、メインの観客は原作ファンというよりアニメから入った人、かな。いやいや、それよりあれか、佐藤勝利くんのファンの方々と橋本環奈ちゃんのファンの皆さんか。そう考えると、なんか往年の角川映画が懐かしいすなあ。
 9位:『君の名は。』が28週目にして、もう累計245億を超えているそうです。28週って……もう半年以上か……ホント、もう計り知れないす。
  10位:『We are X』が公開土日で数千万、ってところなのでしょう。公式サイトで上映スクリーン数を数えてみたところ、90ほどのようですね。わたし、1992年の東京ドームライブの日に、水道橋から総武線に乗ったことがあって、すっごい気合の入ったファンの皆さんの大群を見て、すっげえなあーと思ったことをやけに覚えてます。あれからもう25年か……ヤレヤレだぜ……。

 とまあ、こんな週末だったようです。

 というわけで、さっさと結論。
 今週は、毎年恒例のドラえもんがきっちり1位獲得。『ラ・ラ・ランド』と『ソードアート・オンライン』がどのくらいまで興収を伸ばすか、大変興味深いすね。わたし的には、来週は『モアナ』を観る予定です。あ、そうだ、さっさと『アサシン』を観に行かないと、せっかく買ったムビチケカードが無駄になっちまう! いやいや、そうだ、来週は(兵庫県の)宝塚に行くんだった! 映画観る時間があるかな……。ま、何とかなるか……。以上。

 去年、わたしが愛する宝塚歌劇団は、月組と星組のTOPスターが卒業退団し、今年に入ってそれぞれ新たなるTOPスターを迎え、まずは新生・月組による大劇場公演が元日から本場宝塚にて始まった。そして昨日からいよいよ東京にやってきてくれたので、さっそく今日の午後の回を観るために、日比谷へ行ってきた。
 演目は、1993年以来24年ぶりの再演となる『グランドホテル』。 もちろん、有名なあの映画ミュージカルの宝塚版である。わたしはヅカ歴7年のまだビギナーに過ぎないので、初演はもちろん観ていないのだが、そんな、ある意味由緒正しき作品でTOPお披露目となる珠城りょうさん(通称:たまきち)の晴れ姿を、わたしとしては大変楽しみに劇場へ赴いたわけである。

 今回、わたしは観終って、言いたいことが4つある。いいことと悪いことがあるのだが、まずはいいことから記してゆくことにしよう。
 1.がんばれたまきちくん! オレは応援してるぞ!!!
  まず最初に言っておきたいことは、たまきちくんは物凄く頑張っているのは間違いなく、なんというか非常に応援したくなるし、当たり前のことだけれど、もっともっと、たまきちくんは今後成長する伸びしろがある、ということだ。
 これは、つまり今回はまだまだだな、というようなネガティブな意味ではなく、最初っから完成されたTOPなんているわけないんだから、たまきちくんは堂々としていいし、もっと自信をもって、男磨きに精進してほしいという応援を込めているつもりだ。どこかまだ、自分でも不安なんだと思う。でも、そりゃあ当たり前だよ。にんげんだもの! 相手役の愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴ)という素晴らしいパートナーがいるんだから、たまきちくんはもっと俺様感を出したっていいんだよ。遠慮なんていらないし。2番手の美弥るりかさん(通称:みやちゃん。わたしが一番応援している星組出身。2番手の羽を背負ったパレードにわたしは超・胸熱!)だって全力で支えてくれるから、暴走気味でもいいから、もっともっと暴れてほしい、とわたしは今回強く感じた。なにしろ、たまきちくんの、そのがっしりした体とカッコイイルックスは、絶対に強い武器になるんだから、いい人っぽさはいらないと思うね。 たまきちくんは、しゃべりの受け答えもそうだし、見た目的にも、すごくいつもいい人っぽさがにじみ出ていて、それ故に応援したくなるのもあるのだが、舞台上ではもっともっとワイルドに、野獣系で暴れてほしいな、と、今回の『グランドホテル』を見てわたしは強く感じた。あと、わたしとしては、たまきちくんには、歌をもっともっと精進してほしい。もっと艶のある、エモーショナルな、感情を吐き出す的なカッコいい歌い方になったら、相当迫力も出ると思うのだが……。たまきちくんなら、絶対できる!!! と、わたしは信じてます。
 2.やっぱりちゃぴは可愛い!! つーか、ホント貫禄ついてきたすねえ……。
 わたしはまだヅカ歴7年のビギナーであると最初に書いたけれど、3~4年前からようやく娘役や下級生の顔と名前が分かるようになってきたわけだが、現在の各組娘役TOPはみな可愛いしうまいし最高だぜ、と思っている。そして中でも現・月組のTOP娘役であるちゃぴちゃんは、最古参の娘TOPになってしまったけれど、やっぱり歌もダンスも抜群であると今回改めて思った。とりわけ今回は、バレリーナの役で、バレエの舞は素晴らしかったし、背中が美しいですなあ、ホントに、と見ほれる美しさであった。元・男役だけあって、背も高いし、まあ顔の小ささは本当に同じホモサピエンスかと思うほどだね。とにかく今回はちゃぴが美しいですな。素顔で言うと、わたしは現・宙組TOP娘役の実咲凛音さん(通称:みりおん)が一番好きだけれど、舞台上で一番美しく、かつ、芝居も歌もダンスもいいのはやっぱりちゃぴかも。でも、みりおんのシシィも素晴らしかったし、ちゃぴ・みりおんと同期だった風ちゃんは先に退団してしまったし、そういやみりおんも次の公演で卒業しちゃうし、なので、ちゃぴもいつまで残ってくれるかわからないけど、娘役の模範として、今後も頑張ってほしいと思う。ホント、今回も素晴らしかったよ。
 3.しかし……なんでTOPお披露目に『グランドホテル』なんだ……。
 で、わたしが非常に疑問に思うのは、なんで、たまきちくんの記念すべきお披露目公演に、この『グランドホテル』という演目を選択したのか、ということだ。
 というのも、世にいわゆる「グランドホテル形式」と呼ばれる物語の起源であるこの作品は、実際のところ、明確な主人公がいないのだ。ちょっと備忘録としてWikiから引用しておこう。
------------<以下引用>--------------
  グランドホテル方式は、映画や小説、演劇における表現技法のことで、「ホテルのような一つの大きな場所に様々な人間模様を持った人々が集まって、そこから物語が展開する」という方式のことである。映画『グランド・ホテル』によって効果的に使用されたため、この名が付いている。群集劇、群像劇、アンサンブル・プレイとも呼ばれる。
 アメリカ合衆国など英語圏では、アンサンブル・キャスト(ensemble cast)と呼ばれる。主人公を1人や2人に限定せず、数人のキャラクターのストーリーラインを並行して進行させたり、エピソード毎に異なるキャラクターに焦点を当てるという手法である。
--------------------------
 というわけで、どうもせっかくのお披露目なのに、たまきちくん演じる男爵が、ちょっとあまりおいしい役じゃないんだよな……おまけに、ラスト前に退場しちゃうし!!! なんでだよ、もっとたまきちくんをばっちり主役にして盛り上げてくれよ!!! と、わたしは強く感じた。
 あと、ずばり言って演出にも問題があると思う。もっとたまきちくんの男爵のキャラ付けを、はっきりさせるべきではなかっただろうか? 男爵は、堂々としている割に実は金に困っていて、詐欺や盗みをしようとする悪党、だけど、実は愛情深い善人、というギャップが一番重要なのであって、そのギャップをより鮮明にするためには、悪い奴部分といい人部分のメリハリがきっちりしていないと、ぼやけてしまうと思う。メリハリが一番のキモなのに、どうも中途半端に感じてしまったのがとても残念だ。これは、たまきちくんの演技に問題があるのではなくて、100%演出家の責任だとわたしは断言したい。チャラい奴が実は超真面目、とか、ぶっきらぼうで冷たい奴が実は超優しいとか、そういうのが王道だと思うのだが、どうも今回の男爵は、そのメリハリに薄く、もやっとしてしまったように思えたのだが、そう思ったのはわたしだけだろうか。おまけに、主人公とも言えないし、なんか、半端ですよ。その点は非常に不満です。わたしは。そしてそれは、たまきちくんのせいでは決してない、と思う。
 4.一方ショーの方は……『カルーセル輪舞曲』最高です!
 いやーしかし。帰ってきた今も、「まーわーる、まーわーる、かるうーせるー」という曲が耳から離れないほど、ショー『カルーセル輪舞曲』は良かったですなあ!! 実のところ、このショーは、なんと正月にNHKで放送されてしまったので、わたしはそれで予習できてしまったわけで、その時の様子では(たしか1/3ぐらいの放送=宝塚大劇場で公演が始まったばっかり)、まだたまきちくんの歌いぶりも緊張が残っているように見えたのだが、今日観たところでは、かなり慣れ、というか自信がついてきたように見えた。実際大変カッコ良かったと思う。
 しかしですね……実は、わたしは、今日のショーでは、わたしが月組で一番応援している海乃美月ちゃん(通称:うみちゃん)をもうずっと双眼鏡でガン観していました。超抜かったことにですね……わたし、『グランドホテル』で役替わりがあることを全然意識しておらず、当然フラムシェンの役はうみちゃんが演じるんだろうな、と勝手に決めつけていたのです。しかし今日フラムシェンを演じたのは、元星組の早乙女わかばちゃんだったのです。もちろん、わかばちゃんも超可愛いし、実際素晴らしい演技を見せてくれたので、その点は大満足なのだが、ごめんよわかばちゃん……オレ……うみちゃんが超タイプなんだ……うみちゃんの顎ラインと口元がわたしの好みにドストライクなんす……ほんとサーセン……。というわけで、今日のショーでは、『グランドホテル』の方ではほぼ出番のなかったうみちゃんをずっと見てました。そしてその可愛さに、ますますもってやっぱかわええわ……という思いは深まったのでありました。しかし、これも超残念なことに、わたしの今日の席は、上手側のシングル席(前10列以内)だったんだよね……うみちゃん……あなた、今回は下手側ばっかりだったよね……くそう……もっと近くで観たかった……。ついてねえ……。
 
 はーー……やれやれ。勝手なことを散々書いてしまったけれど、きっと多くの人が感じたんじゃねえかな、と思うのだが、どうでしょうか。主人公のキャラが立った、堂々とした作品を今後のたまきちくんに期待したいですな。絶対たまきちくんは、もっともっと伸びる。正統派もイケるし(黒燕尾も似合ってたっすねえ!)、ワイルド系もきっとイケると思う。その成長の過程を、わたしはとても楽しみにしているぜ! たまきちくん、頑張れ!!!
 おっと、忘れるところだった! というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「あの男はブタ野郎よ!!
 今回は、いちばんわたしの心に残った名セリフは、早乙女わかばちゃん演じるフラムシェンのセリフです。ちっくしょーー!! これを愛するうみちゃんの口から言って欲しかった!! ブタ野郎!! 最高でしたw

 というわけで、結論。
 新生月組によるTOPスター珠城りょうさん主演の『グランドホテル』を観てきたわけだが、たまきちくんの頑張りは、なんだか非常に応援したくなるものがあると感じるわけで、それゆえ一層、もっと主役のキャラが立った作品だったらなあ、と感じずにはいられない作品であった。一方のショー『カルーセル輪舞曲』は曲も素晴らしく、大変華やかで、実に宝塚歌劇っぽい作品だったのではなかろうか。そして、わたしとしては愛するうみちゃんがフラムシェンを演じるVerも非常に観たくてたまりません。こりゃあ……ド平日に当日券狙いで仕事さぼるしかねえかもな……いや、さぼりじゃあない! もはや義務かもしれねえすね。以上。

↓ 映画はアカデミー作品賞受賞作品。たぶん、もはやパブリックドメインなんじゃないかな……ああ、そうみたいだね。安いDVDがいっぱい出てるみたいだな……予習しとけばよかった……。
グランド・ホテル [Blu-ray]
グレタ・ガルボ
ワーナー・ホーム・ビデオ
2013-02-06

 きのう、わたしが愛用している電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」にて、還元率の高いフェア(=買った金額のXX%のコインを還元してくれるフェアで、現在50%BACK実施中につき、買った金額の半額のコインをくれる。来週月曜3/6の朝まで)をやっていて、よーし、この機会にごっそり買ってやるぜ、と鼻息荒く何か面白そうなのはないかしら、と渉猟していたわたしだが、まずは、まだ電子版で買っていなかった、わたしが大好きなStephen King氏の作品をまとめ買いしつつ、おっと、そういやこれは発売当時話題になってたっけな、というコミック作品を見つけたので、とりあえず現状の最新刊まで、まとめて買ってみた。
 タイトルは、『山と食欲と私』 といい、現在は(3)巻までが発売になっている。お、なんだ、次の(4)巻は来週3/9発売らしいですな。


 ご覧の通り、「バンチコミックス」というレーベルで、わたしの嫌いな出版社上位に入る新潮社からの発売だ。まあ、新潮社は漫画の経験はなきに等しいので、単にパブリッシングと販売を担当しているだけなんだと思うが、それにしてもまだ「バンチ」って生きてたんだ、と知ってちょっと驚いた。漫画雑誌がバタバタと休刊になる現代日本においては、とっくになくなった雑誌だと思ってたのである。ただ、どうやらこの作品は、Web媒体にて連載されていたようなので、紙には関係なかったこともさっき初めて知った。
 ともかく。わたしは、タイトルから、どうせまた女子が山でアウトドアクッキングで、最後は「んまーい!」って漫画でしょ? と大変失礼な高をくくっていたのだが、試し読みを読んでみると、どうやら単独行の女子の話らしく、若干孤独のグルメとか、ズボラ飯とか幸腹グラフィティも交じってるのかな? という盛大な誤解を抱きつつ、ま、とりあえず全巻読んでみるか、と買うことにした。なぜなら、わたしも山は常に一人で登る、ぼっち野郎、もとい、単独行の男だからである。
 で、一気に(1)巻から(3)巻まで読んでみた。
 結論から言うと、わたしの趣味にはあまり合わなかったかな、という感想であろうか。
 物語は、基本的に主人公が山に登り(つーかハイキングだな)、山で飯を食うというお話で、その途中での出来事や出会った人、あるいは、登るまでの下界の出来事などが語られていくのだが、ほぼわたしには心惹かれるところはなかった。おそらくこれは、主人公たる日々野鮎美さんにあまり共感するものがなかったためだろう。そしてなぜそうなってしまったのかを考えてみると、それは、鮎美さんの山へ行く動機があまり語られず、なんでまたそんなわざわざ山に登って飯を食うのかが良くわからなかったせいだろうと思う。
 わたしの場合、軽量化は登山において絶対的な正義であると、もはや宗教的な敬虔さをもって信じている。なので、なるべく持ち物は少なくしようとするし、水の2L~1.5Lはもうどうしようもないとして、食料(及び食器)に関してはホントにもう、カロリーメイトやゼリー、あるいは袋のインスタントらーめんぐらいしか持って行かない。わざわざ重いモノをわざわざ山頂へ運ぼうとは、一瞬も考えない。なによりわたしは、とりわけ料理や食べ物にときめかないので、読んでいてもそれほどうまそうに感じない。恐らくは本作の一番のキモであるその点に、わたしは全く感じるものがなかったわけで、なんというか……自分が残念である。
 ただし、それはあくまでわたしが世間一般からズレているだけのことなので、たぶん普通の人が読めば、山にあこがれを抱いたり、鮎美さんの食う飯をうまそうに感じるのだろうと思う。絵も非常にいいし、漫画としては大変良い作品だと思う。
 ただ、あれかな、一話が短いかな……故に単行本も非常にページ数が少なく、普通のコミック系出版社ならこのページ数では単行本にしないのではなかろうか。1冊128Pしかない。恐らく紙の現物の判型はB6判だと思うが、普通ならあと64P足した192Pが標準ではなかろうか。ま、とにかく短くてあっという間に読めてしまうのもちょっと物足りなさを感じてしまうし、少しイラッとしたことに、(3)巻のラストはエピソードが終わってなくて切れ目が悪く、どうやら(4)巻に続くらしい。まあ、こういうところがコミックに慣れていない新潮社ゆえなんだろうな、と感じた。128Pの方か紙採りがいいのかな? B6判だと192Pがベストと以前印刷所に聞いたんだが……。ま、いいや。
 わたしが、この漫画で、唯一、これは分かる、オレもそうだ、と思ったのは、下山したら街で美味いものを喰う、という妄想を抱いて辛い山道を頑張る姿で、わたしも、大抵「山を下りたら肉だ、肉をオレは喰う!! そしてコーラを飲んで盛大にげっぷをする!!」と思いながら下山することが多い。とりわけコーラは、なんか文明社会に帰ってきたぞ的な気持ちが強まりますな。わたしは山には基本的に「水」しか持って行かない。スポーツドリンクやジュース類は重いだけだ。「水」はラーメンも作れるし万一のけがの洗浄にも使えるし、頭からかぶってもいい。山は基本「水」一択である。なので、人工的に甘い飲み物、特にわたしが大好きなコカ・コーラを飲むと、すげえ帰ってきたぜ、という気持ちになるすね。ま、富士登山の時だけ、いつもコーラを持って行きますけど。富士山は数時間なので、山頂で味わうコカ・コーラの感動的な美味さのために、300ml?の小さいペットボトルはいつも持っていくのがオレ・ルールだ。うん、我ながら軽量化命とか言っといて、矛盾してるな。
 
 おっと、ちょっと探してみたら、こんな動画がありました。

 これは…………まったく漫画の世界観と違うというか……なんで鮎美さんがハーフなんだ……。まったく鮎美さんに似てないっつーか、似てなくてもいいんだけど、空気感がまったく違うのは問題だろうな。妙なシャレオツ感が逆にダサいというか……明らかに軽そうなザックがバカにしているというか……17分もあるけど、これは見なくていいや、つーか貼る意味なかったわ……。
 
 というわけで、もうどうでもよくなってきたので結論。
 電子書籍のフェアで買ってみた漫画『山と食欲と私』は、読んでみたところどうもわたしの趣味には合わず、たぶん続刊を買うことはない……かな。いや、3巻がちゃんと終わってないので、4巻が出たら買っちゃうかな……というのがわたしの感想です。ただこの漫画、発売時はかなり話題になって、重版を重ねたらしいので、世間的には高く評価されているようだ。実際、漫画力は高い作品だとわたしも思う。出来れば、もうチョイ1話を長くしてじっくり描いていただければ、と勝手に思った。えーと、ほかには……特にないので終わり。以上。

↓ これが作中に出てくる「メスティン」の飯盒すね。アルミ製かな? 軽量化命のわたしはチタン製しか使いません。

ちなみに、ラージもあります。しかしわざわざ米を炊く気持ちはわからんなあ……

 というわけで、毎週木曜日は『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、やっぱ電子版の週刊少年チャンピオンだと、巻頭グラビアがないし、「ドカベン」も読めないし、若干問題あるな……以前は巻頭グラビアも電子版に載ってたんだけどな……タレントによって電子アリ・ナシがあるんだろうな……事務所的に。
  ま、いいや。まずは週刊少年チャンピオン2017年第14号の概要です。
 ■巻頭グラビア:電子版はナシですが、紙の雑誌だと欅坂の3人でポスター付きだそうです。
 ■『弱虫ペダル』:チーム二人順調の巻。とりあえず広島には追い付いた、と。
 ■『牙刃道』:別れいッッ!!!の巻。どうすんのこれから……。
 ■『囚人リク』:周龍やばしの巻。今月発売のコミックス告知が最高すぎるwwww
 ■『Gメン』:おうちに帰ろうの巻。勝太の出した結末はいいすねえ!
 ■『少年ラケット』:最終セットへの巻。イヤほんと漫画力高いす。力のこもったペンのタッチが素晴らしいと思うす。試合も盛り上がっております!
 ■『BEASTARS』:裏市のPart3巻。強面ジャイアントパンダがイイすねえ!
 とまあ、こんな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 それでは、今週の『鮫島』ニュースをお送りいたします。最近、ちょっと気合入れて長く書きすぎて時間がかかってしまうので、今週はあっさり目でお届けします。
 先週は、常松こと新生【松明】の新入幕場所の模様が描かれ、4連敗スタートとなった【松明】が5日目の朝げいこで、つい気合が入りすぎて鯉太郎が左膝を痛めてしまうシーンまで描かれました。今週は、その続きです。
  うずくまる鯉太郎に、すみません…すみません! と謝る常ですが、鯉太郎は笑顔で、謝るな常…大丈夫だ、問題ねえと言ってやります。ホッとする常に、鯉太郎は、落ち着けよ、焦んな、一つ一つ丁寧にやればお前は大丈夫だからよ、と大人な対応です。さすが鯉太郎、お前もホント成長したよな。新・空流親方こと【仁王】兄貴も、場所中に猛げいこしたって大した意味はねーからもう上がれとヤレヤレな顔です。
 そして始まった5日目。常は土俵上で気合を入れつつも深呼吸して気を落ち着かせ、鯉太郎の言ってくれた、「一つ一つ、丁寧に」を思い出します。そして勝負は寄り切りか押し出しか、分かりませんがともかく勝利!支度部屋のモニターで見つめる鯉太郎も、笑顔です。常は思います。
 「この幕内初勝利を…この1勝を俺はずっと忘れないだろう…」
 支度部屋へ戻って鯉太郎に礼を言う常。こんな常松の姿に、おっさんファンとしてはもう胸が熱くなりますな。あのクソ生意気だった常がよくぞここまで……。そして常は、鯉太郎に言います。次は鯉太郎さんの番ですよ、毘沙門(アイツ)は調子乗りすぎなんで黙らせてくれ、と。鯉太郎も、まかせとけ的な表情です。
 そして土俵に上がる鯉太郎と【毘沙門】。鯉太郎は全く冷静な表情ですが、バカ野郎な【毘沙門】は、いろいろと小癪なことを考えています。コイツ出世が遅すぎなんだよ、とか、王虎さんにはっきり見せてやるぜ、いずれアンタもコイツと同じになるってことをな、 とか、そんな生意気なことを考えている【毘沙門】野郎ですが、「ハッキョイ!!」の瞬間、鯉太郎の殺気というかオーラが爆発的に増大し、思わず「えっ…」と飲まれかけます。
 しかし! 朝、やっちまった鯉太郎の左膝が、よりによってこの時、ガクッと来てしまい、体勢を崩す鯉太郎。そしてそのブチカマシのエネルギーに、反射的に「わっ…!!」と引いてしまった【毘沙門】。そのまま引きおとして(はたき込みか?)勝負あり。なんてこった!という顔の常松、フン……という顔の【王虎】、そして当の【毘沙門】も、な、なんだ今のは……という表情を一瞬するも、勝負としては勝ったわけで余裕の笑み。ちきしょー!ムカつきますなあ、このガキァア!! しかし常は、すぐに気づきます。あれは今朝の膝のせいだ、と。そしてムカつくことに【毘沙門】野郎は、土俵上で鯉太郎に声をかけます。
 「だから言ったじゃん 鮫島(オマエ)のブチカマシなんて通用しないってさー」
 てめえ!!! お前わかってねえのかこの野郎!!! 腹立つわ……!! わたしは猛烈に頭に来たわけですが、大人な鯉太郎はそんな挑発には乗らず、さっさと退場です。【毘沙門】野郎はそんな鯉太郎に、さらに、チッ…無視かよ~~~~本当響かねぇな~~~とふざけたことを言います。 
 そして花道を引き上げてきた鯉太郎を常松が待っていました。常としては、完全にもう俺のせいだと罪悪感で思わず謝ろうとします、が、今週のハイライトはここですよ。鯉太郎はなんと言ったか分かりますか?
 「謝んな常!! 土俵は結果が全て…俺が弱えーから負けた…それだけだ……」 
 もう、鯉太郎よ、お前、人間出来過ぎだぞ!! この時の鯉太郎は推定20~22歳ぐらいです。 こんなカッコイイ20歳ぐらいの若者がいますか。プロであり、男っすねえ!!
 そして常は黙って鯉太郎に肩を貸し、鯉太郎を担ぎながら思います。ここはもう全文を備忘録として記録しておきたいすね。
 「たった1勝…そのために力士はどれほどの血と汗を流すのだろうか…そして1勝が重いのなら 1敗もまた同等に…いや…それ以上に重い…俺の不注意からこの人のその重い勝ちを奪ってしまった…普通なら恨み言の一つも言いたくなってしかるべき所を この人は自分のせいと笑った…サポーターを付けていなかった左膝は 星の挙がらなかった俺への気遣いだったのだろう…それはまた1勝の重さを この人は知っているからだ………俺はこの人の言い訳も泣き言も聞いたことがない…たとえ…誰かに軽く見られようと…土俵(ここ)では結果が全てと言い切る覚悟と潔さ…それはこの人の強さなのだと思えた…ここで謝ってしまうことは…この人の強さに対して失礼だと言葉を飲んだ…そして俺もその強さを…鯉太郎さんと同じ強さが欲しいと思ったんだ…」
 ヤバイ、今キーボードを打ちながら泣けてきたわ……。 もう完全に倉本総ばりな、北の国から的な泣かせる場面すよ……今週は絶対チャンピオンを買って、この場面を読むべきです。常の表情も最高ですよ。
 そして一方、頭の悪い【毘沙門】野郎は、支度部屋の【王虎】さんのもとへ、見ましたか、これでどっちが上かわかったでしょ、と浮かれて報告に行きます。しかしです。どーってことないですよ鮫島なんて、とはしゃぐバカに、【王虎】さんは、フッ…めでてー奴だな…とばっさり斬り捨てます。いいぞ【王虎】さん!もっと言え!! そして何もわかっちゃいない【毘沙門】野郎にきっちり言ってくれました。
 【王】「お前…相撲取ってて怖いと思ったことないだろ…? だから怖さがないんだよ…テメーの相撲には」
 【毘】「そんなもん思っちまったら 廃業だろ アホか…」
 【王】「ガキが…」
 うおーーー!! 【王虎】さんかっこいい!! マジで【王虎】さんもすげえ成長したんすねえ……!! まあ、『Burst』でのファイナルバトルで鯉太郎と死闘を演じましたからな……。【王虎】さん、さすがですなあ! とにかく落ち着いてるんすよね、鯉太郎も【王虎】さんも。その、落ち着きってやつが、大人なんでしょうな。まあ、二人とも直接会うと一触即発のガルルルル状態になってしまうのは先週描かれましたが、そんなとこも、とてもいいですねえ。ともかく、キャラクターの成長を味わう事がやっぱり物語の一番の醍醐味というか、読者の胸に刺さるポイントでしょうな。素晴らしいと思います。
 いやあ、まーた興奮して長く書いてしまった……わたしもちょっと落ち着かないと。鯉太郎の倍以上の年齢なのに、まったく情けなし、と、急にしょんぼりしてきたので今週はこれまで。
  というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
 9日目:【闘海丸】西小結
 10日目:【毘沙門】東前頭五枚目
 --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。63連勝中。モンゴル人。

 というわけで、結論。 
 今週は常松が鯉太郎に本当の「強さ」を見る、とても重要なお話が描かれました。本当に泣けますね、『鮫島』は。しかしそろそろ時を現在に戻して、クソ生意気な【毘沙門】野郎をぶっ飛ばしてほしいですな。でもただ勝つだけじゃあ、【毘沙門】野郎には響かないだろうし、どんな展開となるか楽しみにして待っていたいと思います。以上。

↓さあ、3/12からいよいよ春場所開幕ですよ! しかしやっぱり全然いい席は取れないですなあ……。。。わたしが愛する【松鳳山】関は前頭三枚目に踏みとどまりました。頑張れ~!!!

↑このページのトップヘ