2016年08月

 昨日の朝、わたしが愛用しているAndroid TABLETである「Nexus9」の電源を入れたところ、こんなメッセージが来ていた。
android7
 おっと!? システムアップデート、しかも、「Android 7.0」だとう!? というわけで、わたしの脳裏によぎったのは、当然、去年の「6.0」へアップデートした時の悪夢である。
 その時の顛末は、このBlogで「Nexus9をAndroid6.0にアップデートしようとしたら文鎮化してしまい、修理に出した件」という記事に書いて、かなりのPVとなったのだが、まあ結論から言うと、記事のタイトルの通り、「6.0」にアップデートしようとしたら文鎮化した、のである。
 なので、今回も、おおっと、マジか、大丈夫か!? という心配が真っ先に浮かんだわけで、コイツは……うっかり手を出すのは危険だぜ……? と約2分悩んだものの、ま、とりあえず会社行ってから考えよう、と、メッセージを見なかったことにして電源OFF、すぐ家を出て出勤した。
 わたしは電車内でほぼ100%何か本を読んでいるのだが、昨日は電子書籍を読んでいるところで、当然「Nexus9」の電源ONである。そしてまた現れるメッセージを、とりあえず無視し、電子書籍アプリを立ち上げて読書にいそしんだ。電車に乗っている時間は25分ぐらいなので、本を読んでいると、結構あっという間に会社最寄り駅につく。そして会社について、再び「Nexus9」を起動し、今度は約30秒ほど、どうすっか……と考え、まあ、ダメだったら、今度こそ買い替える自分的言い訳にもなるしな、とひらめてしまい、「ええい、ままよ!」とアップデートを開始することにした。
 そうなんです。わたし、何度かこのBlogに書いている通り、もはや購入した電子書籍が1000冊近くあり、とっくに「Nexus9」には保存しきれず、かと言ってこのタブレットには外部SDカードなどのスロットもなく、そして何気に重量も重くて、買い替えようかなあ……と思っていたのです。
 なのでわたしとしては、「……ふん……まあいい……貴様には実験台になってもらうッッ!!」という気分でもあったので、早速アップデートを始めた。
 実は、前回の「6.0」の時は、空き容量が0.9GBぐらいしかないような状況で、アップデートを開始したことが文鎮化の原因ではないかと密かに思っているのだが、今回はかろうじて3.0GBぐらいの空き容量もあるので、更新ファイルが756.9MBとデカいサイズでもまあ大丈夫じゃね? と深く考えずに実行した。
 結果的に、アップデートはたぶん1時間かからないぐらいで終了し、エラーも起きず、無事にわたしの「Nexus9」は、「Android 7.0」へアップデートを果たしたのである。

 で。
 「7.0」の新機能としては、いろいろあるみたいだけど、まあ詳しくはIT-Mediaの記事でも見てもらうとして、わたし的に、お、コイツは使えるかも、と思ったのは、やはり今回のアップデート最大の売りであろうと思われる「画面を二分割してのマルチタスク」機能の実装だ。これ、使いどころによっては便利かも。
NEXUS9_02
 ↑これは、上段にWebブラウザ(=わたしの場合Chrome)、下段に電子書籍アプリを起動している状態をカメラ撮影したものです。上下の大きさは、真ん中の境界線を上下にドラッグすることで変えられます。
 ただし、分割表示できるアプリと、出来ないアプリがあるようで、わたし的に、上段にGmailアプリ、下段に添付ファイルを開いたExcelなりWordなりが開けたら便利じゃね? と思って実験してみたところ、MS-Officeアプリは現状では分割非対応でダメでした。それから、画面を横にしてみると、上下ではなく左右に分割されました。
 まあ、今後対応していくんだろうな、ということで、とりあえずは良しとしたい。
 実際、今までって、二つのアプリを同時に1画面表示させることは、出来るようで出来なかったことなので、実際使う場面が頻繁にあるかどうかわからないけど、使ってみたら意外と便利かも、と思った。
 
 というわけで、結論。
 さっそくやってきたドロイド7であるが、「6.0」の悪夢は再発せず、ごくあっさり、無事にアップデートが完了したのであった。ああ、よかった。そして、画面分割は、使う時が来るか分からないけれど、あればあったで便利のような気がしておりますので、もしお使いの端末に、Google神から「7.0」降臨のお告げが来たら、謹んでお受けして大丈夫っぽいですよ。以上。

↓ 何度も取り上げていますが、コイツにLTEが付いていたら迷うことなく買うのだが……。はっきり言って「Nexus9」は重いっす。
 

 現在、世界最強映画監督選手権大会が開催されたとしたら、恐らくはかなり多くの人が優勝候補として名を挙げるであろう監督、だと、わたしが信じているのが、イギリス人のChristopher Nolan監督である(母がアメリカ人なので、厳密にはUSAとの二重国籍らしい)。
 彼は、このBlogで以前書いたことがあるが、UCL(University College London)のイギリス文学科の出身である。何が言いたいかと言うと、日本で例えるなら、そうだなあ、偏差値的にいうと上智の国文科、ってところだろうか、まあ、レベルは国際基準ではもっと高いと思うけど、重要なのは「国文科」ということで、これすなわち、真面目で地味な青年だった、ということだ。わたしも文学部出身なので、空気感はだいたいイメージできるのだが、どこの大学の文学部においても、国文科の地味さはおそらくTOPクラスであろうと思う。男も極端に少なく、わたしも、男で取ってるのはわたしだけ、という授業がいくつもあって、人にはうらやましがられるが、これがまた非常にキッツイ日々を送ったものだ。ま、海外の大学の文学部がどうかは知りませんが。
 そんなクソ真面目な文学青年であるNolan監督の撮る作品は、どうやら常に、キャラクターの心理を描くことに主眼が置かれ、どことなく文学的な香りがするような気がするとわたしは思っている。Nolan監督の手にかかれば、あのBATMANでさえ、深い心理描写で人間そのものを描くような重厚なドラマになるわけだ。まあ、そこには大抵、一つのガジェットが組み込まれていて、それが物語をより一層、普通じゃない面白さをもたらすことに成功しているんじゃないかと思う。
 『Memento』の「記憶が保てない」状況、『Insomnia』の「不眠症」、『Prestage』の「奇術」、『Darknight』トリロジーの「バットマン」という存在、あるいは『Inception』の「人の夢の中に入り込む/記憶を植え付ける」技術。極端に言うと、これらの「たったひとつのスパイス」によって、Nolan作品は実に味わい深い作品に仕上がっているのだと思う。

 というわけで、わたしはおとといの日曜日の夜、何も読む本がなく、テレビも面白くないので何か映画でも見るか、とHDDを捜索したところ、まったく理由はなく直感的に、そうだ、久しぶりにこれを見よう、と再生を始めた映画があった。それこそ、Nolan監督が2014年に発表した傑作、『INTERSTELLAR』である。
 わたしは本作を当然公開時に劇場で観たし、Blu-rayも買って持っているが、どういうわけかWOWOWで放送した時も録画してあり、今回はその録画版で観てみた。たぶん、観るのはこれで4回目、だと思うのだが、やはり、何度見ても非常に難解というか、いろいろ考えるけれど結論の出ない、歯ごたえのある作品であった。極めて上質の、とても面白い作品だと思う。

 本作の物語をごく簡単にまとめると、近未来、地球環境が徐々に荒廃して行き、もはや植物も育たなくなりつつある中で、人類の種の保存のため、土星付近に観測された謎の「ワームホール」を通って、地球外へ、太陽系の外へと移住できる惑星を求めて旅立つ、的なお話である。
 だが、物語の中では、なぜ地球が荒廃しつつあるのか、その原因は何なのか、一切語られていない。作中で知ることができる、背景となっている状況をまとめると、次のようなことぐらいしかない。
 ◆すでに世界には「軍」が存在しない(?)。少なくともUS-AFは10年前になくなったらしい。
 ◆ただし、政府機能、というか行政機能は健在のようで、学校も普通にやっている。
 ◆NASAは、「政府(軍)による、成層圏外からの攻撃要請」を拒否したことで解体された(が、密かに存続)
 ◆小麦は全滅(?)。残るはトウモロコシぐらい、らしい。なので、人類は餓死するより前に、酸素欠乏による窒息で絶滅すると科学者は予想している。ただ、現状の食糧事情は良くわからない。
 ◆US中西部でも、気候変動による砂嵐が激しい。ゆるやかに、滅亡へ近づいている雰囲気。
 ◆そんな状況なのに、いわゆるヒャッハー的ディストピアではなく、意外と平和。食糧不足で略奪が起きている、なんて状況でもない。あきらめに近い空気感。
 本作は、こんな世界に住む父と娘のお話である。父は、元NASAのテストパイロットだが、現在は農夫であり、娘は10歳の利発なとても可愛い娘。学校では、NASAのアポロ計画はねつ造だという教育に変わってしまっていて、そのことに大変怒っている。パパのいたNASAは嘘つきじゃない、と。おかげで問題児扱いされる始末だが、そんな可愛い娘の部屋で、とある現象が起きる。お兄ちゃんはバカにするが、父はその謎現象を「観察し、記録し、考察するんだ」と導く。そしてまた、ある日、家族そろって近所の球場に野球を観に行くと(どうやらもうプロは消滅しているらしい)、ひどい砂嵐に襲われる。ほうほうの体で帰って来ると、父もまた娘の部屋で別の謎現象に遭遇する。父は、どうもそれは、バイナリコード(二進法)らしいことを見つけ、さらにそれがとある地点の座標を示しているのではないかと推測する。そして、一人その地点へ行ってみる父。あんなについてきちゃダメだと言い聞かせた娘も車に忍び込んでいて、仕方なく連れて行くことに。そしてその座標が示す地には、既に解体されたはずのNASAの研究施設があり、隠密裏に、人類の将来を賭けた有人探査飛行が10年前から行われていたことが判明する。そして、その恒星間(=Inetrstellar)航行を実現したのが、「何者か」が土星付近に設置したワームホールだった……

 とまあ、そういう展開で物語は進む。そして主人公はおそらく最後となるであろう探査飛行のクルーとなり、4人の科学者とともに遠い銀河の旅に出るわけだが、ここから先が非常に難しい話になる。ついでに言うと、相対性理論のほんの基礎部分でも知っていないと、ますますもってわからないと思う。ただし、雰囲気的に、ラストの4次元(5次元?)空間の表現はとても映画的で素晴らしく、ワームホールを設置した「何者か」の謎が解けるくだりは非常に明確で、細かいことは分からなくても本筋は理解できるように作られている、とは思う。
 というわけで、ここから先は、もう物語を追わないで、わたしがどうしてもわからない問題について備忘録として書いておこう。どうですか、今のところ付いて来てますか? マジでこの映画は超面白いすよ。ただし、以下の記述は、この映画を見ていない人にはさっぱりわからないと思います。

 さてと。わたしがどうしてもわからないポイントは、二つ。Dr.マンとDr。ブラントについてだ。
 Dr.マンは、物語の後半でのキーパーソン、Dr.ブラントは、主人公と一緒に恒星間航行の旅に出るアメリアという女性科学者の父、である。どうもこの二人がよくわからない。まとめてみると以下のようなことである。
 ◆Dr.マンは、「そもそもPLAN-A(=人類の移住)は不可能だと分かっていた」人間である。
 ということは、PLAN-B(=受精卵を運んで、新たな星で命を誕生させ、種の保存を図る)の信奉者だったはず。ならば、彼はどうして宇宙船を奪って「地球へ帰ろうとした」のか? 主人公たちが運んでいた受精卵を奪って、宇宙船を奪って、どうして「次の惑星(=アメリアの恋人の到達したと思われる惑星)」へ行こうとしなかったのか? そもそも、Dr.マンが乗ってきた宇宙船はどうなっちゃったんだろう?
 これがわたしにはさっぱりわからない。劇中では「孤独に負けた」としか説明されていない。たしかに、そういわれてしまうと、そりゃあまあ、そうだろうな、とは思う。主人公たちに先立つこと10年前に宇宙へ旅立ち、氷の惑星に到達したわけで、そこでの孤独が彼を変えた、というのは、一見、筋は通っている。でもさ……お前、地球に帰っても孤独だろうし、そもそも地球はもうダメなんだろ? 帰りたいだけなら、主人公たちに素直に泣きついて、一緒に帰らせて下さい、お願いします、って土下座でもすればよかったんじゃないのかな? 主人公だって帰りたくてたまらなかったんだし。
 あの、Dr.マン登場以降の展開は、物語的には非常にハラハラドキドキだったし、ドッキングハッチのアレも、映像的には素晴らしかったけれど、ハタと気が付くと、どうもよくわからんのです……。Dr.マンの発信した信号は地球で観測出来て、どうして主人公たちの信号は地球に送れなかったのか、その点もよくわからないけど、これは、なんか説明があったような……とにかくよくわからん。

 ◆PLAN-Aが不可能であることは、Dr.ブラントも見抜いていた。
 なぜPLAN-Aが不可能かというと、人類には「重力制御」技術の取得は不可能だったからで(巨大なスペースコロニーや移住船の打ち上げにはどうしても重力制御技術が必要)、なぜそれが不可能かというと、重力制御技術には、ブラックホール内の量子観測データが不可欠で、どうしてもそれができないから。このことをDr.ブラントは何年も前に分かっていたのだが、ならばなぜ、PLAN-A信奉者のようにふるまって、娘をだましてまで、宇宙に旅立たせたのか? この点がよくわからないのだが、まあ、今のわたしは、だからこそ、娘だけでも希望の星に行って欲しかった、という親心なんだろう、と一応納得はしている。しかし、それで正しいのか、全く自信はない。
 そもそも、Dr.ブラントが何度も引用するDylan Thomasの詩の意味は、なんだったのだろう?
 Do not go gentle into that good night 穏やかな夜に身を任せるな
 Rage, rage against the dying of the light 怒れ 怒れ 消えゆく光に
 「穏やかな夜」というのが、今地球に起こっている「緩やかな絶滅への道」を意味しているのであろうとは思う。だから、その運命を受け入れるのではなく、その理不尽に対して、心から怒り、抵抗しろ、てなことではないかとわたしは解釈しているのだが、これをDr.ブラントは何度も引用するのだが、主人公をスカウトする際に言うのはわかる。けど、死の間際に、実はPLAN-A(=重力制御)は無理なんだ、と懺悔しながらこの詩を読むのはいったいどうしてなんだろう? それでも抗え、という激励なのか? だとしたらちょっとそりゃあ無責任じゃね? という気がしてならない。
 
 というわけで、この二人のキャラだけ、どうもわからんのだが、実際のところ、そういう矛盾(?)した思いと行動こそ人間の本質であり、ここにこそ、人間心理を追及するNolan節がさく裂しているのかもしれない。ま、それはちょっとNolan監督の肩を持ちすぎかな。
 いずれにせよ、この『INTERSTELLAR』という映画が大傑作であることは間違いないと思う。役者陣の演技ぶりも完璧だし、映像も、いつもの、CGを極力使わない本物主義のNolan監督ならではの素晴らしい画になっていると思う。主役を演じたMathew McConaugheyも、オスカーを獲って以来、完全に人が変わったように素晴らしい演技派になったような気がしますね。ただ、この映画の中で最も素晴らしい演技を見せてくれた役者は、わたしとしてはダントツで、主人公の娘の少女時代を演じたMakenzie Foyちゃんだと思う。本当に素晴らしい芝居で、この父娘の関係性が美しいから、この映画は壮大な家族愛を描けたのだとわたしは信じている。つーか、彼女が大人に成長した姿を演じたのがJessica Chastainさんだが、そっくりだよね。このそっくり加減でFoyちゃんを選んだんじゃね? というぐらいそっくりで、それはつまり、Foyちゃんも10年後には超絶美人になるってことですな。ちなみに、Foyちゃんは2000年11月生まれだそうで、今現在は15歳、もうすぐ16歳ですな。将来、大人になったFoyちゃんを観て、えーと、この娘どっかで見たことがある……あーーっ!! 『INTERSTELLAR』のあの女の子だ!! とびっくりする日が来るのは確実だと思うので、それまで、おっさんとしては楽しみに待ちたいと思います。

 というわけで、いつものようにまったくまとまりがないけど結論。
 Christopher Nolan監督は、現代最強の映画監督の一人であることは、誰も反論しないと思う。とにかく画の質感が素晴らしく、物語も非常に深い。そして『INTERSTELLAR』という作品が大傑作であることも、否定する人は少ないんじゃないかと思う。わたしは相当好きですね。絶対に、日本では撮れないい映画だと思う。技術的なことはもちろん、この脚本を書ける才能は、日本にはいない。と思う。今のところは。以上。

↓ 現在、Nolan監督が撮影中(もうポスプロ中かな?)なのがこれ。タイトルは『DUNKIRK』。第2次大戦のダンケルクの戦いにおける「ダイナモ作戦」を描くものだそうですよ。超観たい!!! Nolan組常連がいっぱい出てますな。

↓予習にはこいつかな……当然のように絶版ですが。

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 今週はわたしは映画は観に行ってません。WOWOWで録画したはいいけど観てない作品や古い作品を久しぶりに見るなどしてました。どうも、この週末は夏休み最後の土日という事で、ずいぶん映画の興行は盛り上がったみたいですな。さっさと本題に入りますか。

 では、 さっそくいつもの興行通信社の大本営発表です。

 1位:『君の名は。』が金曜公開になり、この週末で9.3億も稼いだそうですよ。そして金曜からの3日間だと12億を超えているそうです。すっげえ!! ここまで稼ぐとは全く思っていなかったので、驚きました。これって、誰もがそのぐらいのヒットを予想してたものなんですか? 新海氏の作品は『ほしのこえ』しか観てないや……。とにかくスゲエ数字です。普通に考えて、50億は行ってしまう予感です。
 2位:『ペット』が18日間合計で、おそらく30億はクリアしたと思います。こちらも、本当に素晴らしい興行成績ですな。夏休みが終わってどうなるか、が問題ですが、まだ当面稼ぎそうですね。
 3位:『シン・ゴジラ』は32日合計で、余裕で50億を超えていると思います。52~53億ぐらいでしょうか。どこまで伸びるか……70億……超えてしまうような気がします。おそらくは9月の連休でも稼ぎ続けるでしょうな。東宝直製作だし、下手するとロングで冬まで引っ張るかもしれないですね。まったく根拠はありませんが。
 4位:『後妻業の女』が公開土日で2.15億稼いで4位にランクイン。この映画、ホントに何度も予告を観た印象がありますな。しかし、2億スタートは非常に立派な数字だと思います。まあ、シニア向けが他にないですからね。これから9月の連休まで引っ張れれば、10億は堅い、かもですね。
 5位:『青空エール』が9日間で、どうでしょう、5億突破は確実、6億~7億弱あたりと予想します。まあ、とにかく青春ですな。
 6位:『ファインディング・ドリー』が44日間合計で、こちらも60億突破は確実のはず。62~64億ぐらいと予想します。うーん、70億……は余裕で届くのだと思いますが、最終的な数字はいつまで公開しているか、次第かもしれません。100億はもう届かない、でしょう。たぶん。
 7位:『ゴーストバスターズ』は先行分があるから何日目と言えばいいのか良くわからないけど、正式公開日の8/19から数えて10日間合計でまだ10億には届いていないはず。8~9億程度と見積もる。最終20億はちょっと難しい……かな?
 8位:『ジャングル・ブック』18日間合計で、こちらも20億には届いていないだろうと予測。16~17億ぐらい? と予想。こちらは、20億に届くかな、夏休みが終わってどうなるか、若干微妙ラインかも。
 9位:『ONE PIECE FILM GOLD』が37日間合計で47.78億まで稼いでいるそうです。これは50億まであと一息ですな。来週からは、尾田先生の描き下ろしイラストカードの配布があるそうで、もうひと稼ぎしそうですね。
  10位: 『ニンジャ・タートルズ:影』が公開土日で1.26億稼いだそうです。これも金曜公開だったので、トータルでは1.5~1.7億ぐらいでしょうか。前作は観てないんですよね……どうも観る気になれず……。WOWOWで放送したのを録画したような気もするので、探してみるか……。

 とまあ、 こんな週末だったようです。

 というわけで、結論。
 『君の名は。』が大変な勢いで稼いでおり、この勢いが来週どうなるか、ちょっと予想ができません。50億確実コースに乗るのかどうか、状況を見守りたいと思います。そして『シン・ゴジ』もどこまで伸びるか、楽しみですな。以上。

 わたしが愛する宝塚歌劇は、まったく知らない人は当然知らないと思うが、月・花・雪・星・宙の5組あり、その組ごとに公演を行っている。中でもわたしは、2010年に初めて宝塚歌劇を観に行ったのが星組で、その時のTOPスター柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)にぞっこんLOVEとなり、以来、ずっと星組をイチオシとして応援しながら、ほかの組の公演もたまに観る、という感じで宝塚歌劇を楽しんでいる。ま、ここ数年はほとんどの組の「大劇場公演」を日比谷に観に行っているわけだ。
 で。これから書こうと思っていることを理解するために、まず以下の2点を知ってもらいたいのだが、これまたヅカファンなら常識だけど、そうでない人は全く知らないと思う点がいくつかある。
 まず1つ目は、宝塚歌劇に属する役者(=ジェンヌ)には、実は5つの組に属していない、いわばフリーのジェンヌも数は多くないが存在している点だ。彼女たちは、「専科」所属と呼ばれ、明確な基準があるのかわたしは良くわかっていないが、キャリアを積んで、TOPを経験して、専科へ移ることもあるし、各組所属の中でもベテランになって、「(先に後輩がTOPに就任したので、この先)TOPにはもうなれないかも」という人材が専科に移る、という場合が多いような気がする。ただし、専科のジェンヌは、確実に芸達者で、歌・芝居・ダンスが素晴らしい皆さんが多く、劇団がこのまま卒業させてしまうには惜しいと思うようなジェンヌが専科となるように思う。彼女たちは、専科に移ると、各組の公演に言わば助っ人として出演して、作品を引き締める重要な役割を演じている場合が多い。
 そしてもう一つは、いわゆる「大劇場公演(宝塚と日比谷の専用劇場での公演)」以外にも、全国を回るツアー公演や、東京と大阪(や名古屋・福岡)だけの、一般劇場での公演もあって、都内や近郊で言うと、赤坂ACTシアターや横浜のKAAT、あるいは文京シビックホールなどが最近の定番劇場となっている。なお、かつては神宮の日本青年館も定番劇場の一つだったのだが、2020年の東京オリンピックへ向けた準備のため、2015年4月に閉館してしまった(その代替え劇場として文京シビックホールなんかが最近の定番)。わたし的には、日本青年館は、いろんなコンサートや『テニスの王子様ミュージカル』を散々観た劇場として思い入れがあるのだが、もう解体されちゃった。淋しいのう……。

 というわけで、いつも通り無駄な前置きが長くなったが、昨日、わたしは夜、WOWOWで録画しておいた宝塚歌劇の作品を観たのだが、これがまた非常に良くて、大興奮したわけである。
 タイトルは、『風の次郎吉―大江戸夜飛翔―』。2015年の1月に、大阪のシアタードラマシティと東京の日本青年館にて行われた作品であり、「花組特別公演」とは銘打たれているが、主演は、花組スターではなく、当時専科に在籍し、この時すでに、わたしの愛する星組の次期TOPスターに就任することが発表されていた北翔海莉さんであった。そして、わたしはますます北翔海莉さん、通称みっちゃんのことが好きになったのである。これはホント、生で観たかったわ……。
jirokiti
 探したけど動画はないみたいなので、ポスター画像を貼ってみた。
 この作品は、もうポスターから一目瞭然の通り、いわゆる「和モノ」であり、題材も、日本人なら誰でも知っている「ねずみ小僧・次郎吉」のお話である。わたしが観た、WOWOWで放送されたものは、2015年1月26日の日本青年館の公演で、千秋楽、であったようだ。

 で。みっちゃんである。わたしは、今回『風の次郎吉』を観て、改めて、みっちゃんの技量にほれぼれとし、また、みっちゃんの人柄の良さにもとても魅かれたわけで、現在宝塚大劇場にて公演中の作品で退団することとなってしまったことを、心の底から淋しく思う限りである。ああ、せめてもう1~2公演、みっちゃんの雄姿に見とれ、歌声を堪能したかったものだ……ああ……出会うのが遅すぎたのが残念だ……。

 以前、このBlogで、みっちゃんが星組のTOPスターに就任した最初の大劇場公演『GUYS&DOLLS』について書いた時にも記したが、その当時、実はわたしは、恥ずかしながらみっちゃんのことをよく知らなかったのである。どうもすれ違っていて、専科に移る前の月組や宙組に在籍していた当時のみっちゃんを観たことがなく、専科移動後に、星組の『ナポレオン』や花組の『エリザベート』に出演した時しか観たことがなく、名前と顔が一致していなかった。そのため、星組のTOPに就任することになって、わたしのヅカ師匠に、ええと、誰でしたっけ? なんて失礼なことを言ってしまい、「何を言ってるの!!! あなた、この前のみりおちゃんの『エリザ』は観たでしょ!? あの時のフランツよ!!! 現役ジェンヌの中でも歌・ダンス・お芝居、三拍子そろった素晴らしい実力派よ!!!」と激しく叱られ、土下座する勢いで謝ったことがある。
 そして、我が星組のTOPとして、ちえちゃん去りし星組を見事にまとめ上げている姿を観て、そしてその歌声や芝居ぶりにすっかりみっちゃんのファンとなったわたしだが、わたしの主観では、みっちゃんは現在のTOPスターの中で、歌・ダンス・芝居の技量はナンバーワンだと思っている。たぶんその実力のほどは、ほかの組のファンの方であろうと、認めるものなのではなかろうかと思うので、わたしが、みっちゃんas NO.1を主張しても、それほど怒られないと思う。「何言ってるの!! うちのまぁさまの方が上に決まってるでしょ!! でも、北翔さんが上手なのは認めるわ」みたいな。
 とにかく、歌が上手い。本作『次郎吉』では、三味線まで弾いてくれる。前作『こうもり』の時のショーではピアノも弾いてくれた。つまり、とにかく芸達者なのである。この点は、マジで現役TOP最強だと思うな。芝居ぶりもお見事で、みっちゃんは、コミカルタッチも、シリアスなところもきっちりと演じてくれる稀有なジェンヌだと思う。この点も、わたし主観では、現役TOP最強だと思う。
 わたしのヅカ師匠は、みっちゃんについて、とにかく巧い、強いて難を挙げるとしたら、お化粧が良ければ、と言っていたことがあった。これは、正直男のわたしにはわからんことなのだが、曰く、若干、昭和感があって、キラキラ感が足りない、のだそうだ。そういうもの? なんすかね? この辺は良くわからないけれど、TOP就任後は、グッと良くなった、とヅカ歴数十年の師匠も言っていたので、現在はその点ももはや瑕疵にはなるまいとわたしは思っている。
 思うに、みっちゃんはおそらく退団後、何でもできる素晴らしい女優になるのではなかろうか。まだ退団後どうする、と言う話は聞かれないし、もちろんまだそんな話をする段階ではないが、わたしはみっちゃんの素顔もとても美人だと思うし、髪を伸ばしたり、衣装も変わると、想像以上の美人女優になりそうな気がする。でも、みっちゃんはとにかく、歌っていてほしいので、女優といってもミュージカル方面や、歌手として活躍してほしいと心から願っている。

 そして人柄の良さ、なのだが、今回わたしが観たWOWOW放送は、千秋楽だったからなのかもしれないが、宝塚の公演としては珍しくカーテンコールを4回ぐらいやってくれた(普段の公演は、幕が下りるとそこで終わりで何度も幕が上がるようなことはない)。
 その中で、みっちゃんは何度も、スタッフや花組のみんなに感謝を伝えながら、話をしてくれたわけだが、その中で、ひとつとても印象深い話があった。みっちゃんは、こんなことわざを、常に忘れないようにしているんですと。
 ≪尺蠖(しゃっかく)の屈(かが)めるは伸びんがため≫
 これは、しゃくとり虫がグググッと縮むのは、その後でぐいいーーと伸びるため、という意味で、つまり「将来の成功のために一時の不遇に耐えることのたとえ」だそうだ。
 これを聞いたら、だれでもみっちゃんのこれまでの軌跡を思い浮かべるよね。この『次郎吉』を最後に、星組へ移ってTOPに就任したみっちゃん。そして現在、キラキラと輝いているみっちゃん。はあ……もっとずっと観たかったよ……。なんだか寂しくて、わたしは昨日、一人部屋で観ながら、「……たぶんオレ……次の、最後のみっちゃんの星組公演観たら……泣くな。間違いなく……」とつぶやくに至ったのである。
 
 というわけで、結論。
 現在の星組TOPスター北翔海莉さんが、専科時代に主演した『風の次郎吉』という作品を昨日観て、あらためて、北翔海莉は現役最高TOPスターである、という認識を深めたわたしである。なお、本作は花組公演であり、 瀬戸かずやさん演じる「遠山金四郎」もカッコ良かったし、ちょっと出番は少ないけど、現在の花組3番手(?)のイケメンでお馴染みの柚香光ちゃんも、相変わらずやけにカッコイイ悪い奴として出演しており、大変楽しめる作品であった。次にわたしがみっちゃんに会いに行くのは、10月の頭だが、最後の公演、今からもう淋しくてなりません……千秋楽は出待ちしたいぐらいの勢いで、最後まで応援したいと思います。以上。

↓ どうでもいいけど、DVDじゃなくてBlu-rayで発売してほしいのだが……。わたしがSKY-STAGEに加入していない理由はただ一つ。いまどきHD放送じゃないなんて……HD化されたら、即・加入すると思うな。
OH! Edo Night Show 『風の次郎吉―大江戸夜飛翔―』 [DVD]
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2015-04-15
 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、オリンピックも終わり、陽も短くなってきてまだ明るかった帰りがだいぶ暗くなりつつあって夏の終わりを感じさせる今日この頃ですが、自転車ロードレースの世界は、現在スペインでの「La Vuelta a Espana」が開幕しており、シーズンラストの大勝負が毎夜繰り広げられております。ツールの覇者、Christopher Froome選手がここでも勝っちゃいそうな予感がします。強すぎる……。
 さて、まずは、いつも通り今週の週刊少年チャンピオン2016年39号の概況です。
 ■『弱虫ペダル』:悠人、覚醒!! 今泉くん追撃、さらにキモー筋がキモイ!! の巻。
 ■『刃牙道』:ピクル、まさかの食事拒否!! の巻。もうマジで武蔵はいいや……。
 ■『囚人リク』:鬼道院、ついに挙兵!! の巻。レノマは一体何をしようとするのか、楽しみすね。
 ■『少年ラケット』:ヨルゲン君勝利の巻。ビリー先輩も登場で盛り上がってまいりました!!
 ■『Gメン』:勝太、間に合わず!! の巻。たぶん来週はかなり泣けると思うな……。
 ■『永遠の一手』:究極のヒートアップの巻。超・熱い戦いで最高!! なんですが、来週最終回だそうで、大変残念です。
 ■『AIの遺電子』:インプラントの話。いやあ、毎週書いてますが地味だけど、ホント面白いす。
 ■ 『六道の悪女たち』:幼女にも六道くんの魅力が効いちゃったーーッ!? の巻。大変良いですね。

 とまあ、こんな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて。では、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。 
 先週は、ついに【丈影】との対戦に勝利した鯉太郎ですが、またもや満身創痍で、弟弟子の常松こと【松明】関や兄弟子の【白水】さんは心配している様子が描かれました。そして今週は、同じ八日目中日の結びの一番、【白水】兄貴と横綱【泡影】の取組が描かれます。
 が、今週描かれたのは、現在62連勝中の最強横綱【泡影】が、最後に敗れた、4場所前のあの、「涙の敗北」の模様でした。なんと、【泡影】に最後に土をつけた力士も判明です。それは 第71話で物語に初めて登場した、現在関脇の【百雲】関でした。当時の番付は不明ですが、「金星」だったようなので、平幕の可能性大、と思われます。
 しかし、その金星を挙げた【百雲】関は、勝利インタビューの様子が変です。真っ青な顔をしてインタビューに答えます。
 「何なんだ・・・アレは・・・気持ち悪い・・・・・・・・・分かってただろ・・・一体・・・何なんだ・・・・・・怖い・・・・・・」
 もうさっぱり意味が分かりません。わけのわからないことを言う【百雲】関の方がよほど気持ち悪いですが、そのインタビューを唖然として聞いていた虎城理事長は、キレイに髪を整えて帰る横綱【泡影】に声をかけます。横綱というものがどれだけ厳しいものか、どれほどの覚悟で土俵に立っているのか。同じ綱を張った自分には良くわかる。たった一つの黒星に涙を流して悔やむことはない、横綱だって完璧じゃない、こんな日もある・・・と。
 しかし、横綱【泡影】は、本気で、虎城理事長の言葉が分かりません。
 「悔い・・・? 何を言っているのかわからない・・・」
 そう、【泡影】の涙の理由は、まったく別のところにあったのです。それはむしろ、感動による涙だったのです。
 第73話で描かれた通り、【泡影】が入門した時、禅定親方に、一番最初に教えてもらったのは「四股」の踏み方とその意味でした。かつて親方が言った、「大地の邪気を踏み鎮め また大地を起こし豊穣をもたらす儀礼」という四股の意味に、当時の【泡影】は、うっすらと笑みを浮かべて「難解だな・・・」とつぶやきました。その意味が、とうとう実感できたというわけです。【泡影】は虎城理事長に言います。
 「四股が・・・分からなかった・・・ずっと・・・だが・・・今日は・・・・・・違っていた・・・”私”が・・・広がっていくのがわかった・・・人に・・・空気に・・・土俵に・・・そして全てと繋がった・・・」
 そしてその結果、相手の力士が何をしようとしているか、まるで相手が自らの一部のように理解できたというのです。そして実際その通りに相手が動くのを見て、「取組中にもかかわらず 立ち尽くしてしまうほど・・・」感動したんだそうです。もう完全に奥義伝承後のケンシロウ並ですね!!
 大横綱といわれた虎城理事長も達することができなかった領域にいる【泡影】。今週最後のページのアオリは、「まさに神の依り代・・・」と締めくくられています。いやー、もうこれは誰も勝てないじゃないですか。まあ、【白水】さんは軽くやられるとして、はたして鯉太郎の「全身全霊」は、神様【泡影】に通じるのか!? 大変面白くなってきましたね。神との対決の前に、鯉太郎の前には強敵がまだ何人も立ちふさがるはずですが、最後まで応援したいと思います!!
 というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
  --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。モンゴル人。

 というわけで、結論。
 もはや神様レベルの横綱【泡影】の、最後の敗戦の謎は解かれました。さあ、果たして鯉太郎の次の相手は誰なのか、大変気になりますね。読んだそばから来週号が読みたくてたまりません。ところで、7連勝中の【松明】は中日はどうだったのか、こちらも大変気になります!! そこんところ、佐藤先生、よろしくお願いします!! 以上。

↓ もう来週は9月か……早いなあ……予習しとくか……。
  

 はあ……もうページをめくる手が止まらなくて……読み終わってしまった……次がもう楽しみすぎてつらい……。何の話かって? そんなの『Mr. Mercedes』の話に決まってますよ。木曜日の夜から、ちょっとずつちょっとずつ、と思いながら読んでいたのに、昨日の火曜日の夜、読み終わってしまった……。以下、ネタバレがかなりあると思うので、ネタバレが絶対に困る人は、今すぐ立ち去ってください。サーセン。いや、だってネタバレせずに書けっこないすよ。
ミスター・メルセデス 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

ミスター・メルセデス 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

 というわけで、わたしが最も好きな作家であるStephen King氏による、日本語で読める最新刊、『ミスター・メルセデス』の下巻も読み終わってしまった。結論から言うと、もちろん面白くて最高だったものの、正直に告白するが、『11/22/63』的なラストの感動(?)のようなものだったり、『Under the DOME』的なラストの超すっきり感(?)のようなものは若干薄くはあった。
 まあ、それもある意味当然の話で、今回の作品は今までよりもスピーディーな展開だし(時間経過も短い)、敵キャラも意外と弱く、主人公は孤独ではなく味方がいるので、いつものような、一人で戦う主人公が、これでもかという超絶ピンチにズタボロになるわけではなかった。いつものKing作品の主人公は、もう本当に読んでいてつらいほど、心身ともにズタボロになり、もうやめたげてーー!! と言いたくなるくらいにひどい目に遭うので、その点では、Kingファンには不足を感じても、普通のミステリー愛好家には標準的だったのかもしれない。良くわからないけど。まあ、その分、サブキャラも魅力たっぷりで、わたしとしては大変楽しめました。

 さて、何から書くか……。キャラ説明や簡単なストーリー概況は昨日の記事を見て下さい
 そうだ、まず、昨日書いた、事件に使われたメルセデス・ベンツの話からにしよう。
 ◆ベンツ「SL500」の謎。
 わたしは昨日、「SL500」についての違和感を書いたのだが、そのあとですぐに、Amazon Kindle版の試し読みで少し原文を読んでみたところ、明確に「SL500」と書いてあり、「セダン」であることも明記されていたので、間違いないようだ。しかし……「SL」の「セダン」はあり得ないんだけどな……メルセデスのセダンは、TOPグレードが「S」シリーズという奴で、昨日も書いた通り「S500L」ならあり得る。ただし、「SL」と「S」は明確にキャラクターが違う車で、「S」シリーズというものは、基本的には「運転手に運転させて自分はリアシートにどかっと座る」車だ。そして「SL」は、リッチなアメリカ人が自分で運転する車としては最高レベルの車で、おしゃれでもあり、確かに、本作で描かれたオーナーが自分で運転していても全く違和感はない。だから、「SL500」で間違いないはずだ。でも、セダンじゃないんだよな……。しかし作中で3人で乗るシーンがいくつかあるので、セダンでないと困るわけで、「SL」のような2シーターはあり得ないのだが……ま、これはマジで、US仕様の、2004年モデルにはわたしが知らない車種があったと思うしかなかろう。わたしがこだわっているのは、「SL」と「S」では車のキャラクターがまるで違うし、車重も結構違うはずなので、事件の被害規模も変わっちゃうんじゃないかな、と思ったからなのだが、ま、細かいことはどうでもいいか。
 いずれにせよ、メルセデスをはじめ、今現在はもう多くの車でもそうだが、暗号化されたチップを搭載した正規のキーがないと、エンジンがかからないのが現代の車だ。なので、不正規にドアを開けようとしただけで、警報が鳴り響くし(わたしの車も、ちょっと飛び上がるぐらいけたたましいホーンが鳴り響くのでビビる。おまけにすぐさま、携帯に「なにかありましたか!?」と電話がかかって来る)、エンジンも、アメリカ映画で良く見るスターター直結なんてことは、基本的に不可能なわけで、犯人は一体どうやってこの車を盗めたか、という点も一つのポイントとなる。ただ、この点は、ごくあっさり解かれるというか、ちょっとしたガジェットを使ったというだけで、特にトリックはないので、大きな驚きはないのだが、それよりも、盗まれたオーナーの主張を、誰も信じなかったという事実がわたしはかなりゾッとした。日本で、盗まれた車が多くの人をひき殺す犯罪に使われたら、その車のオーナーはこんなに叩かれるものだろうか? どうだろう、わたしは不謹慎ながら、秋葉原のあの痛ましい事件を思い出してしまったが、あれはたしかレンタカーだったよな……その時、なんであいつに車を貸したんだ!! というような、レンタカー会社を叩くような世論は出たんだっけ? 本作では、そういったオーナー叩きの世論を醸成するのに警察が手を貸してしまった的な流れで、それもあって、主人公ホッジスは贖罪の意味も込めて犯人探しに取り組むわけで、この流れは、非常に恐ろしい話だけど、説得力と言うか納得性は高かったように思う。
 ◆下巻で大活躍のホリー・ギブニー!!
 昨日は上巻について書いたので、登場しなかったのだが、下巻から登場するホリー(43歳だったっけ?)のキャラクターがとてもイイ。本格的に活躍し始めるのは下巻の後半以降だけれど、最初の登場時からは全く想像していなかった活躍ぶりでした。とあるキャラクターのまさかの退場で、代わって頑張るホリーは大変良かったです。彼女は、今後もシリーズに登場するみたいですな。今後の活躍を楽しみにしたいと思います。完全に『ミレニアム』シリーズのリスベット的な、社会不適合なパソコンに強い女性なので、わたしが読みながら脳内に想像したビジュアルイメージは、完全にNoomi Rapaceさんでした。ちょっと若すぎるか?
 ◆毒餌……まさかの展開!!
 上巻の最後の章は「毒餌」という章タイトルがついていて、下巻とまたぐ形になっている。そのタイトル通り、≪メルセデス・キラー≫が主人公ホッジスを苦しめるために、ホッジスの友達のジェロームの家が飼っているわんこに、毒入りハンバーグを喰わせて、苦しみながら死ぬ姿を見て、お前も苦しむがいい!! とひじょーに回りくどい邪悪な攻撃を仕掛けてくるのだが、これがなんとも意外な、えええっ!? という展開になってびっくりした。お前……何やってんだよ……ほんと、愚かな男ですな、犯人は。いやー、わんこが無事でよかったw
 ◆データ天国へ昇天……w
 わたしが今回、大変気に入ったフレーズがこれです。PC上のデータが完全に削除されている様子を表現したフレーズなのですが、わたしはやけにウケました。わたしは、こういうKing作品独特の表現が大好きなので、その点では、本作はもう完全にれっきとしたKing作品だといえると思う。他にも笑える表現がいろいろありました。これは、原文をあたって、英語表現を確認したいすね。わたしが今までのKing作品で一番好きなフレーズは、『ドリームキャッチャー』での「SSDD」とか(Same Shit Different Days=違う時代でもクソはクソ)とか、これも同じ『ドリームキャッチャー』だと思うけど、確か新潮文庫の日本語訳では、「参った参った、参ったバナナは目に染みる!」みたいな変な訳になっていて、原文を読んでみたら、「Jesus Bananas!」と実に簡単なフレーズだった。そしてこの言葉、珍映画として有名な映画版では、「そんなバナナ!」という字幕がついていて、なんて素晴らしい字幕なんだと思ったことがあります。わたしはこういう下品なフレーズがすごく好きで、日常会話でも「Jesus Bananas!」は超頻繁に使ってますw 本作冒頭部分の、ホッジスがテレビを観ながら思う下ネタバリバリの下品な表現は最高ですね。冒頭部分だけでも英語で読んで、わたしの全く役に立たないボキャブラリーを増やそうと思います。「射出速度は弾丸にも負けない」……笑える……英語でなんて言うんだろうか……w
 ◆上巻にあったネタ
 そう言えば昨日書き忘れてましたが、上巻に、2回、Kingの他の作品をネタに使った会話がありました。まず、上巻のP104にある「下水道にひそんでいるピエロの話のテレビ映画」は、もちろんKingファンなら誰でも知っている『It』のことだし、 もうひとつは、場所が思い出せないのだが、確か、『Christine』をネタにした部分があったと思う。まあ、だから何だと言われると何でもないのですが、最近、King作品は自作をネタにする場面をたまに見かけるような気がしますね。

 というわけで、まったく取り留めなく無駄な文章を書き連ねてしまったが、結論。
 わたしがこの世で最も愛する作家は、ダントツでStephen King氏である。そして日本語で読める最新作『ミスター・メルセデス』はやっぱり相当面白かった!!! と、昨日と全く同じ結論です。もしKingファンでまだ読んでいない方は、今すぐ読んで楽しむべきです。文庫まで待つ? それ……あんまり意味がないと思いますよ。たぶん、文庫まで待っても、文庫1000円として、上中下の3冊になれば3000円でしょ? 本書は2冊買って4000円弱。その差額1000円は、文庫化までの3年間(?)をすっ飛ばす特急料金ってことで、十分払う価値ありだと思います。置き場に困る? じゃあ、今週末配信開始の電子書籍でいいじゃないですか。文庫より場所は取りませんよ!! そして主人公ホッジスのビジュアルイメージですが、そういえば、意外とMichael Keaton氏なんかアリじゃね? と電撃的にひらめきました。年齢はちょうどいいし、太鼓腹になりつつあるし、どうでしょう、ちょっと顔が怖すぎるか……? 誰かこの役者がピッタリ、と思う方がいれば教えて下さい。以上。

↓ 今日も貼っておこう。実は、もう観たくて観たくてたまらない……。
 
そしてこちらの文庫は単行本が出てから3年経っての発売です。3分冊みたいすよ。最強面白いす。
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-10-07

スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-10-07

スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-10-07

 というわけで、わたしが超・楽しみにしていたStephen King氏による(日本語で読める)最新作、『Mr.Mercedes』を鋭意読んでいるわたしであるが、まあ、とにかくイイですな。これは面白い。
 現在、まだ下巻の半分辺りで、いよいよ物語はクライマックスへ突入しそうな予感がしているけれど、とにかく面白くて、1回の記事にしてしまうのはちょっともったいないので、先に、上巻についての備忘録を書いて、2回の連載記事にしようと思い、さっさと書き始めることにした。なるべくネタバレにしないようにするつもりだけど、ネタばれてたらサーセン。絶対ネタバレは嫌な方は、どうぞ立ち去ってください。
 しかしこの作品は、かなり今までのKing氏の作品と違うような気がするし、King初心者の方でも全く問題なく楽しめると思うな。今のところ、ですが。超・面白いっす。※ちなみに電子書籍はこの週末から配信開始だそうです。それまで待てず、わたしは紙の本を買いました。
ミスター・メルセデス 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

ミスター・メルセデス 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

 ちょっと、上に貼った画像ではわかりにくいから、先週このBlogに貼った、わたしが撮影した書影をもう一度、貼っておこう。
MrMerzedes
 というわけで、本作は、King氏初めての「3部作」であることは、もうとっくに明らかにされていて、おまけに、実際のところUS本国では既に第3部まで、刊行されて完結している。読んでいないから、「完結」してるのかは知らないけれど、まあそういうことです。
 そして、本作が、King氏初めての「捜査ミステリー」であることも、もう散々取り上げられているので、Kingファンにはお馴染みだろう。下巻の帯にも、上記写真に思いっきり書いてあるよね。
 ≪退職刑事VS卑劣な殺人鬼≫
 実際、物語はその通りだし、わたしも、読む前からその知識はあったので、わたしはその主人公たる≪退職刑事≫がメインで、捜査を行い、徐々に犯人を追い詰めるお話かと思っていた。それはそれで間違いないのだが、ちょっと違っていたのは、冒頭といってもいい70ページ目で、もう犯人が出てきて、どういう人間か分かって来ると言う点だ。まあ、ちょっと違うけれど、言ってみれば「刑事コロンボ」的というか、「古畑任三郎」的というか、要するに、我々読者は犯人を知りつつ、主人公と犯人の心理バトル(?)を味わうことができる構成になっている。ただし、「コロンボ」や「古畑」のように、直接お互い面と向かって話すことはなく、主人公はずっと犯人が何者か知らないまま、一方犯人は主人公を認識している、というハンデバトルになっているので、その意味ではちっとも「コロンボ」的でないし、「古畑」的でもない。また、古典的なハードボイルド小説のお約束である「一人称」でもなく、ある意味、「普通」のミステリーと言っていいような気がする。いかにもKing的なSupernatural要素もないし。ただ、ひとつ気付いた点としては、動詞の時制がほとんど現在形で、過去形での語りではないのは、これは……ミステリー小説の流儀なのかな? そこまでわたしは詳しくないのでわからんですが、ちょっと特徴ある文章のように思った。
 なので、Kingファン以外の方が読むと、実に普通に面白い小説、という評価で終わってしまいそうな気がするが、我々Kingファンには大変おなじみというか、わたしだけかもしれないがとにかく、キャラクターの会話に現れるDirty Wordsが最高なのです。そして、やはりキャラクターも最高だし、段々と主人公サイド・犯人サイドの話が積み重なって、とうとうそれが交わり、一気にクライマックスへ!! という流れは、やはりいつものKing節のような気がします。とにかく今は、まだ全部読み終わっていないので、「~ような気がする」としか書けないのだが、わたしとしては現状、超面白くてたまらない状態です。
 では、自分用備忘録として、物語の簡単な流れとキャラクターを4人だけ、紹介しておこう。あー、サーセン、ここから先はもうホントにネタバレなしで書く自信がありません。
 本作の冒頭に描かれるのは、就職フェアの開場を待つ失業者たちの列に、メルセデス・ベンツが突っ込み、多くの死傷者が出た事件の詳細だ。ここは非常にKing作品っぽいキャラクター造詣で、とてもイイ。いや、描かれている内容は気の毒な話なので、良くないんですけど。なお、本作は舞台となる街の明確な地名描写はなく(あったっけ?)、中西部としかわからない。いや、どうもシンシナティ、みたい(自信なし)。時は、これは冒頭に明記してあったが、2009年4月に起きた事件だそうだ。
 それから、これはまったくどうでもいいのだが、犯行に使われたメルセデスは、『SL500』の2004年モデル(事件の5年前に購入とあるのでたぶん2004年モデル)と書かれており、おまけに「セダン」という描写もある。これは、車の大好きなわたしにはかなり違和感があって、メルセデスの「SL」というのは車好きなら誰もが知っている、2シーターオープンカーなので、「セダン」という点で、わたしは「ん!?」と思った。メルセデスのセダンなら、「S」シリーズの恐らくはLongボディタイプの、「S500L」が正しいと思う。また、「V12気筒エンジン」という描写もあったが、SL500(あるいはS500L)はV8エンジンだと思うので、そこもちょっと「アレッ!?」と思った。V12気筒が正しいならSL600だし、セダンが正しいなら、SシリーズのLongボディのS600Lが正しいはずなんだが、まあ、まさかKingの編集チームがそんな些細なミスを残したままのわけはないと思うので、US仕様では別なのかな? と思うことにした。もちろん、白石先生の誤訳ということもまずあり得ないだろうし。なお、表紙カバーに描かれているのは、誰がどう見ても、作中に出てくる2004年モデルのSL500ではありえない。2004年モデルであれば、CクラスもEクラスもSLも、有名な「丸型ライト」の時代で、現行型とは全然ライトやフロントグリルの形が違う。強いて好意的に言えば、最新モデルの現行型のSL500には、ちょっと似てるけど、ま、文春の編集チェックはそんなもんだろうということで、別にどうでもいいや。
 そして場面は変わり(事件からどれぐらいの時間が経過したかは正確には良くわからない)、半年前に警察を退職した主人公の元に、≪メルセデス・キラー≫から手紙が届く。主人公が恐らくは最後に手掛けた重大犯罪で、未解決のまま退職したわけで、主人公にとって≪メルセデス・キラー≫は「やり残した」仕事なわけだ。そういった不完全燃焼な気持ちや、すっかり燃え尽きたような気持ちを日々抱え、退職後はもう何もやる気のなかった主人公は、自殺すら考えるほどの精神状態だったのだが、その手紙を読んで再び闘志を燃やし、ある意味生きがいを再び見出す事になってしまう。「なってしまう」、と書いたのは、その手紙で≪メルセデス・キラー≫は主人公を役立たずのゴミ人間と精神に傷をつけることで、さっさと自殺でもしちゃえよ、という意図で手紙を送りつけたわけで、つまりその意図と全く逆の効果をもたらしてしまったためだ。こんな感じに、冒頭から犯人のイカれ具合と実はたいして頭が良くない(?)点や、ホッジスのキャラクターが分かるような始まり方になっている。そしてその戦いは、基本的に頭脳バトルで、読みごたえはもうバッチリである。
 というわけで、重要キャラクターとして、その主人公と犯人、それから主人公を支える二人の人物、の合計4人を簡単に紹介しておこう。
 ◆ビル・ホッジス退職刑事:どうやらこの物語の現在時制は2010年らしいが、主人公ホッジスは62歳。太鼓腹。バツイチ。娘は30歳(元・妻も娘も一切登場しない)でサンフランシスコに住んでるらしい。極めて有能な刑事だった(らしい)。愛車はトヨタのおんぼろセダン。読んでいた時のわたしのビジュアルイメージでは、もうちょっと若くて、2014年に若くして亡くなってしまったPhillip Seymour Hoffman氏のような感じだったのだが、映像化するとしたら、誰が適役かなぁ……60代で太鼓腹でしょ……うーーん……下巻を読み終わるまでにまた考えておきます。
 ◆ブレイディ・ハーツフィールド:≪メルセデス・キラー≫として知られる異常者。ミスター・メルセデスとも呼ばれる。普段は全く普通の平凡な20代の若者で、とあるショッピングモールに勤務している。PCの出張修理だったり、アイスクリームの移動販売なんかを担当していて、街ではむしろ好青年だと思われている。が、超邪悪なイカれた精神の持ち主。わたしのビジュアルイメージは、どういうわけか最初からずっと、Nicolas Hoult君な感じ。『MADMAX』のニュート役だったり『X-MEN』のビーストだったり、現在とても人気の高い彼っすね。なんかピッタリだと思うな。イカレた男を演じるのもとても上手だし。
 ◆ジェローム・ロビンスン:ホッジスの近所に住む、唯一(?)の友人。まだ高校生。非常に性格が良く、大学もハーヴァードでもどこでも行けるほど頭が良い優等生。ホッジスのPCはいつも彼が直してくれるし、ホッジスの家の芝生が伸びてるな、と思うと、言われなくてもきっちり綺麗に刈ってくれる気が利く男で、黒人だけれど、そのことを別に気にしていない爽やかな未来ある若者。わたしのビジュアルイメージは、これまた理由は我ながらさっぱり不明だけれど、オリンピックで活躍したケンブリッジ飛鳥君なんだよな……。彼はほんと爽やかイケメンで性格も良さそうすよね。ジェロームにぴったりなイメージです。
 ◆ジャネル・パタースン:≪メルセデス・キラー≫が犯行に使ったベンツSL500の持ち主、の妹。姉であるベンツオーナーは、世間から「お前がベンツを盗まれたからあんな事件が起きたんだ!!」というバッシングにさらされてしまって、自殺してしまった。実はその自殺の裏には、犯人からの執拗な精神攻撃があり、姉の汚名を雪ぐために、ホッジスに捜査を依頼する。美人。44歳。バツイチ、子どもナシ(?)。わたしとしては、ぜひとも愛するCate Blanchettさまにこの役を演じていただきたい!! のだが、ちょっとイメージは違うかもな……。もうちょっと世慣れた、疲れた空気感があるので……20年前のKim Basingerさんあたりがピッタリなんだけどな……。

 というわけで、実はこの記事をちょこちょこ書きながらも読み進めていて、極めて大変なことが起きたり、超ヤバい展開がもうどんどん進行していて、イカン……もう今日の夜には読み終わっちゃいそうだ……頁をめくる手が止められない……もったいない……そして面白い……!!
 ※追記:というわけで今日の夜「下巻」も読み終わってしまった……「下巻」の記事はこちらへ。最高でした。

 というわけで、とりあえず現状の結論。
 わたしがこの世で最も愛する作家は、ダントツでStephen King氏である。そして日本語で読める最新作『ミスター・メルセデス』はやっぱり相当面白い!!! だけど、やっぱり、今までのKing作品とはかなり空気感が違いますな。Supernatural要素は今のところ全くなく、実にまっとうな、ド・ストレートのミステリーです。はあ……いま、クライマックス近くのどんどん作中テンポが速く加速しているところで、もう、ホントにページをめくる手が止まらないです!!! 以上。

↓ 現在、STAR-Chanelで鋭意放送中、ですが、わたしは観てません。つーか、愚かなことに第1回を録画しそこなっちゃった……ちくしょう……Blu-rayが出たら買うからいいもん!! 原作小説は、最強に面白いです。


あっ!? もう文庫出るんだ。単行本出たのはもう3年前か……もう文庫化の頃合いですな。文庫では(上)(中)(下)の3冊構成みたいすね。ふーん……。
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-10-07

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 (HOLY SHIT!!! 昨日の23時半ごろUPした記事が消えちゃってる!!
  くそーーーなんかミスったか!? とうわけで、火曜の朝、せっせと書き直し中・・・)

 今週は、わたしは『ゴーストバスターズ』を久し振りに有楽町マリオンへ観に行きました。シネコンサイズの劇場にすっかり慣れた今では、日劇はとにかくドでかい劇場、という印象がいつまでも強い劇場なのですが、なんか、スクリーンサイズが「こんなもんだっけ?」という気がしました。IMAXとかTCXに慣れちゃったというか、シネコンの場合だと、座席規模に対してスクリーンがデカく感じるんすかね。なんか、久しぶりの日劇1は、ちょっと妙な感じがしました。何なんだろう。

 ま、そんなことはどうでもいいとして、さっさと本題に入ります。

 では、 さっそくいつもの興行通信社の大本営発表です。

 1位:『ペット』が11日間合計で23.1億まで稼いだそうです。すげえなあ。数字的に見ると、『ONE PIECE GOLD』よりちょっと少ないぐらいでしょうか。この作品も40億は軽く超えちゃう勢いですな。素晴らしい。
 2位:『シン・ゴジラ』は、いただいたコメントによると先週の段階で33.8億だったそうで、どうやら25日間合計で40億突破は確実、45億ぐらいまで積んでいる可能性大、だと思う。現在45億だとして、4週目の『ドリー』よりも上なんじゃないかな。つーことは、もう50億を超えることは確実として、65億~70億ぐらいまで行ってもおかしくないという勢いです。
 3位:『青空エール』は公開土日で1.97億だったそうです。これだけ大作やちびっ子映画が数多く公開されている中で、この数字は悪くないという評価をすべきなのか、ちょっと良くわからない。どうなんだろうか。
 4位:『ゴーストバスターズ』は、先行公開分が結構あるのだが、土日2日間で2.37億稼いだそうで、つまり金額順で言うと3位だったという事になる。もう、大本営も金額順にして、ちゃんと累計値も発表してくれないかな……おそらく、先行分を含めた累計値は倍の4億~5億程度と見積もる。
 5位:『ファインディング・ドリー』が先週の段階で52億まで行ってたそうなので、37日間で60億に届いたかどうかぐらいは積み上げただろうと予測します。春の『ズートピア』より若干上のペースですが、どうも勢い的に弱まってきた印象。最終的には70億チョイで決着か? 確実に100億超えると思ってたのに……。
 6位:『ジャングル・ブック』11日間合計で15億までは行ってないと思う13~14億ぐらいか。ちょっと順位を下げていて、こちらも勢いがあまりよろしくない気配。
 7位:『ONE PIECE FILM GOLD』が30日間合計で45億まで行かないぐらいか。43~45億ぐらいと予想。5週目比較では、『Z』は59億ぐらい稼いでいたはずなので、『Z』比74%ぐらいか。最終50億は超えそうですな。
 8位:『傷物語(II 熱血篇)』は金曜公開なので3日間となるが、数字は出ていないけど2億チョイ届かずぐらいではなかろうか。つか、こういうアニメにしては、公開スクリーン数がやけに多いですな。数えてみたところ、117かな? 100スクリーンを超えてますね。結局、スクリーン数を増やしても、薄まるだけで合計値はあまり増えないってことか。
 9位:『ルドルフとイッパイアッテナ』が16日間で10億超えていてほしい。どうだろう、微妙なラインか?
  10位:『仮面ライダーゴースト/動物戦隊ジュウオウジャー』が16日間合計でこちらは7億~8億と去年のライダー並、と見積もる。去年の『ドライブ』は3週目で7.4億ぐらいだった。ちょい下かな……。

 とまあ、こんな感じだと思われます。
 それにしても、『X-MEN:アポカリプス』が早くもTOP10から消えたのがつらい……こういう興行になってしまうのが、アメコミ・ヒーローモノの日本での人気の現状なんでしょうなあ……はあ……。
 わたしが今一番観たい映画はですね、年末の『ROGUE ONE』ではなくて、『Dr.Strange』なわけですが、この映画はですね、US本国や全世界では、今年の11月4日公開なわけですよ。しかし、しかしですね、日本での公開は、超・残念なことに、来年1月27日なんですな。はあ……こうなっちゃうんですよ……人気がないと。もう本当に残念です。なので、わたしは本気で、台湾に公開初日に観に行こうと思ってます。2012年の『Avengers』も、わたしはGWに台湾に行って観てきたわけですが、西門のIMAXシアターがデカくて最高なんですよね。なあに、2泊したって7万ぐらい、『Dr.Strange』を観るためなら安いもんですよ!! と自分に言い聞かせようと思います。はあ……。悲しい。

 というわけで、結論。
 どうやら『シン・ゴジラ』は、50億はもう楽勝、70億ぐらい行ってもおかしくない勢いで進撃中です。以上。

 ↓ カッコええ……Cumberbatch氏を初めてカッコイイと思いました。最高ですね。
 

 時は1984年12月。当時中学生で、すでに順調に映画オタクへの道を歩んでいたわたしは、友人とともに朝イチでチャリにまたがり、有楽町へ向かった。目的は映画鑑賞。当時、金のない中坊のわたしは、毎回ではないけれど、有楽町までチャリで映画を見に行くことは普通だった。何しろ、往復の電車代でパンフレットが買える(当時のパンフレットは300円~400円が普通)のだから、家から有楽町まで片道23㎞ぐらいで、今のわたしなら1時間あれば余裕で行けるけるし、当時は1時間半ぐらいはかかったと思うが、まあ実際全く苦にはならなかった。むしろ、頭の悪い中坊としては、なかば「銀座はオレの地元ですけど?」みたいなアホな優越感で銀座をチャリで爆走したものである。全然地元じゃないのに。
 そして、その年の9月に完成したばかりの新築の有楽町マリオンの裏手にチャリを置き、向かうは11階の「日本劇場」、通称日劇である。その年の12月公開のいわゆる「お正月映画」は、3作品の「G」の対決だったことを明確に覚えている。一つは、丸の内ピカデリー1で公開される『Gremllin』 (グレムリン)。当時のわたしたちエロ中学生のアイドルだったPhoebe Catesちゃんも出ていたアレである。そして二つ目が、日劇東宝で公開された『ゴジラ』である。当時も相当久しぶりの『ゴジラ』で、昭和最後の、16作目の作品だ。そして最後の三つ目の「G」が、日本劇場で公開された『GHOSTBUSTERS』である。

 というわけで、その『GHOSTBUSTERS』が32年ぶりの大復活である。ま、実際は1989年に『2』があったので、ええと、そこから数えれば27年ぶりか。まあとにかく、新たなゴーストバスターズが、しかも主人公チームは女性にチェンジして復活するというニュースを知ったとき、そりゃあ有楽町マリオンに観に行かないとダメだろ、とわたしは反射的に思ったわけで、昨日、宝塚歌劇を見に行った後で、同行のヅカ仲間の娘っ子どもと別れた後、一人、マリオンへ向かったわけである。なお、娘どもは鼻息荒く、日比谷公園へポケモン狩りに向かいました。お前ら……ホント流行りモンが好きだなあ……。
 で。結論から言うと、実はそれほど内容的に期待していなかったのだが、実に面白く、大変楽しめたのであった。この映画はですね、3Dで観た方がいいと思いますよ。かなり、ゴーストやゴースト捕獲ビーム(?)が画面から飛び出して、その点もとても楽しめました。

 もう、物語は上記予告の通りだし、実際、ほぼ想像の範囲内である。ただ、わたしが一番、あれっ!? そうなの!? と思った点は、かつての32年前のバスターズたちのお話の続編、というわけではなく、完全に新たな物語で、32年前の設定を引き継いでいるわけではなく、「ゴーストバスターズ」という存在がすでに世に知られた世界ではない、という点だ。完全に新規ストーリーである点は、まあ、十分アリ、ではあると思うが、一方では、また同じ展開になる危険性もあって、そういう意味ではまたかよ、的な感想もありうる。
 まあ、だからこの作品は「続編」ではなく、いわゆる「リブート」なわけだが、その、観客の「またかよ」を回避するために考えたのが、「主人公たちを、女性にしちゃえばいいんじゃね?」というアイディアだろう。それは時代の反映かもしれないし、まあ、いろいろ理由はあるんだろう。結果的に、わたしは楽しめたので、この試みは成功したとわたしは思う。しかし残念ながら、興行成績的には、正直なところ期待ほどのヒットではないようなので、今後、続編が作られるのかどうかよくわからない。(※現状、US国内で123M$(=123億円)。この数字だけ見ると大ヒットだが、製作費が144M$だったようだ。また、US以外ではまだ71M$しか稼いでいない。こりゃちょっと厳しいか……)
 というわけで、わたしとしてはかなり誉めているわけだが、細かく見れば、脚本的な粗は結構ある、とりわけ、ゴースト捕獲・格闘用の各種謎アイテムは、はっきり言って全く何なのかよくわからないし、敵キャラの動機も浅く背景もほぼ描かれないので、お前はいったい何なんだ? と思わなくもない。
 でも、それでも楽しめたのは、全体のトーンが明るく笑わせてくれるもので、やはりキャラクターが生き生きしているのが一番効いているんだろうと思う。正直、わたしレベルの映画オタクでも、知っている役者は電話番としてやってくるアホな青年を演じた雷神THORことChris Hemsworth氏ぐらいだったのだが、4人の女性バスターズたちはとてもよかったと思う。もちろん、すっとぼけたTHORも大変笑わせてもらいました。
 主人公エリンを演じたのが、Kristen Wiigさん42歳。本作では、終身在職権間近の物理学(?)教授ということで、野暮ったい服と髪型といういで立ちだったが、まあ、実際の彼女はお綺麗なんじゃないすかね。意外とキャリア豊富な女優で、わたしが観た映画も結構あるようだが、どうも全然思い出せない。「サタデー・ナイト・ライブ」出身のバリバリのコメディエンヌですな。言ってみればまあ、いわゆる女芸人なんでしょうな。
 そしてエリンのハイスクールからの友達で、同じく学者だけど、超常現象の方をずっと研究し続けていたアビーを演じたのが、Melissa McCarthyさん45歳。この方も「サタデー・ナイト・ライブ」出身らしいすな。『BridesMaids』でアカデミー助演女優賞にノミネートされてるんですと。へえ~。
 で、ほかの二人のバスターズも「サタデー・ナイト・ライブ」出身のようで、それも当たり前か、と思う。なにしろ、オリジナルの32年前のバスターズたちも、まさしく「サタデー・ナイト・ライブ」出身者だったのだから。ちなみに本作では、3人のオリジナルバスターズたちがちょろっと顔を見せてくれて、そんな点はわたしのような回顧厨にも配慮がばっちりだ。Bill Murray氏は結構ちゃんとした役で出てくるし、Dan Aykroyd氏はタクシー運転手でちらっと出演する。4人目のバスターズとしてすっとぼけた黒人のあんちゃんだったErnie Hudson氏も御年70歳でしっかり顔を見せて売れたのもうれしかったし、オリジナルのヒロイン、映画史上最強ヒロイン・リプリーでおなじみのSigourney Weaverさんも、ラスト、未だお綺麗なお姿で、意外なキャラとして出てきてくれるのも、おっさん大歓喜でしょうな。唯一、オリジナルバスターズでもう亡くなってしまったHarold Ramis氏(丸メガネのメカ担当の彼)に対しては、きちんとエンドクレジットで「ハロルド・ライミスに捧ぐ」と出てくるのも、きちんと礼儀にかなっていると思う。そういう、オリジナルへのリスペクトはきっちり守られているのも、全体の空気感に影響しているんだと思う。やっぱりですね、こういう、いわゆる「リブート」では、誰もが知っているあの曲をきっちり使うのが一番ですな。あの曲が流れるだけで、気分も上がるもんね。というわけで、わたしはたいへん楽しめました。以上。

 というわけで、結論。
 もう、結論も何もないというか書いちゃったけれど、そうだなあ、32年前に、オリジナルを観て楽しんだ方なら、何の問題もなく、本作も楽しめると思う。ただ……オリジナルを知らない世代はどうなんだろうな……その辺はよくわからんです。ひょっとしたら、若者には通じない可能性もあるのかな。あとですね、会話の中に、かなり多くの映画ネタがちりばめられていて、その辺は映画道・黒帯所有者でないと通じなかったかもしれない。まあ、わたしが観た現在のマリオン11階にある日劇1は、結構女性一人客も多かったです、が、やっぱり年齢層チョイ高めだったすね。以上。

↓ なんか……もう「2」の内容を全然覚えてないんですけど……どんな話だったっけ?
ゴーストバスターズ 1&2パック [Blu-ray]
ビル・マーレー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2014-12-03

 

 わたしが宝塚歌劇を愛していることは何度もこのBlogに書いているし、その始まりが、2010年1月に星組公演を見たことから始まったことも、何度か書いているのだが、2回目の宝塚観劇は、2010年6月に観た月組による『スカーレット・ピンパーネル』であった。その時の経緯も、今年の春に全国ツアー作品『激情』を観たときに書いたので、繰り返しになるが、初めてのヅカ体験(星組)で大興奮したわたしはチケットを取ってくれたお姉さまに、その時のTOPスター、柚希礼音さん、通称ちえちゃんが超カッコ良かったっす!! と報告したところ、じゃあ、これをご覧なさい、と渡されたのが、星組による2008年の『スカーレット・ピンパーネル』のDVDであった。そして観て、これまた大興奮し、翌日すぐに、最高でした!! と報告に行ったところ、じゃあ、次の月組公演が『スカ・ピン』だから、チケット獲ってあげるわ、と、いうわけで、わたしの2回目のヅカ観劇は、2010年6月の月組『スカ・ピン』と相成ったわけである。
 で、その時、わたしはポスターやプログラムで、後にTOPスターとなる二人のジェンヌをはじめて知ったのである。一人は、わたしが観た公演でショーヴランというカッコいい悪役を演じた明日海りおさん(通称:みりお)であり、もう一人が、みりおと役替わりで同じくショーヴランを演じ、わたしが観た公演ではアルマンを演じた龍 真咲さん(通称:まさお)である。二人とも、明らかにほかのキャストよりも強い輝きを放っており、誰が観ても、確実にこの二人は別格だと感じたのではなかろうか。当然わたしも非常に強い印象が残り、チケットを取ってくれたお姉さまに、観た翌日、興奮して報告に行ったのである。
 「押忍!! 昨日、最高だったっす!! あざっした!!」
 「あら、良かったわね。」
 「押忍!! 特に、明日海りおさんと龍真咲さんは相当イイっす!! つか、二人とも、素でかわいいつーか、美人だと思います!! 押忍!!」 
 「あら、さすが、よくわかったわね。二人とも、これから必ずTOPになる人材よ。今から応援するのはとてもいいことだわ」
 「押忍!! ごっつあんです!!」
 「いいわ、じゃあ、今後、毎公演、チケット仲間に入れてあげるから、行きたいときは返事なさい。」
 「押忍!! あざっす!! ごっつあんです!! 今後ともよろしくおなしゃす!!」
 というわけで、わたしは以来、大体の大劇場公演に声をかけてもらえることとなり、現在に至っているわけである。 そして、月日は流れ、まさおちゃんは2012年にめでたく月組TOPスターに昇進し、以来4年間、月組を引っ張ってきたわけで、2014年の宝塚歌劇100周年の時のオープニングTOPスターメンバーの中で、現在まで残っている最後の一人であり、わたしもその軌跡を6年間見守ってきた大変思い入れのあるスターだ。
 だが、そんなまさおちゃんも、とうとう退団の時が来てしまった。わたしとしては大変淋しい限りだが、今日、わたしが観てきた月組公演は、まさおちゃんの最後の舞台となる『NOBUNAGA』である。わたしも、気合を入れて、まさおちゃんの最後の雄姿を目に焼き付けるべく、双眼鏡持参で観劇に臨んだ次第である。

 わたしは、戦国武将オタでもあるので、おそらく普通の人以上に信長の台頭から関ケ原に至る流れと、その間に活躍した武将には詳しいつもりなのだが、実はまさおちゃんの退団公演が「信長」であることを知って、それはまた一体、どんなお話になるんだろう? と若干心配していた。
 なにしろ、織田信長は家臣の謀反で夢半ばで死亡することが確定している。それって……退団公演にしちゃあ、内容的にヤバくないか? と思ったのだ。「謀反」そして「夢半ば」。こんなキーワードは、宝塚を去っていくTOPスターには、むしろ絶対に禁句のような気がしたわけである。なので、どんな話なんだ? とドキドキしていたのだが、結論から言えば、歴史をうまく改変して、なかなかグッとくる、まさおちゃんの旅立ちにふさわしいお話になっていたように思う。
 ただ、相当駆け足で歴史をなぞるので、武将知識がないと、若干難しいようにも思う。わたしですら、あーこれ誰だっけ、ああ、前田利家の弟だ、とすぐに分からないような佐脇良之だったり、逆によく知っているけど名乗らないので誰だかわからない佐々成政とか、髭で、ああ、君は勝家だな、と一発で分かったりと、かなりキャラクターが多いので、はっきり言うと、お話し的にはちょっとだけ、理解するのが難しいと思う。
 だが、実際のところ、そんな細かいことはどうでもいいのかもしれない。
 歴史における織田信長は、確かに明智光秀の謀反により横死した。しかし、宝塚のまさおちゃんは、きっちりと次のステージへ旅立つのであり、その思いを残ったみんなが継ぐわけで、本作のエンディングも、「さあ、参ろうか!!」と、新天地へ向け旅立つ信長(?)であり、その点は非常にまとまって美しい結末だったと思う。思うに、まさきちゃんは本当に信長的な、厳しいTOPだったのだと思う。この国で、この舞台でやりたいことはすべてやったというのは信長もまさきちゃんも共通していて、宝塚を去り、新たなステージへ向かうまさきちゃんには、信長というイメージはとても合っていたんだろうな、とわたしは思った。最後まで、本当にカッコ良かったよ。

 というわけで、今回は完全に、まさおちゃんの、まさおちゃんによる、まさおちゃんのための公演だったわけで、わたしは確かに満足である。ショーの方も、非常に可愛くて、きらびやかで、カッコよく、とてもよかったと思う。歌の内容も、結構グッときましたね。月を愛した龍は種をまき、水を与えたわけですよ。
 わたしは、まさおちゃんは実際歌が大変うまいと思っているし、芝居の方の、「まさお節」と呼ばれる(?)独特のセリフ回しも、もうすっかり慣れているので全然問題ないというか、今日はもうその「まさお節」がさく裂しまくっていて、逆に、ああ、もうこの「まさお節」は聞けないんだ……という淋しさの方がわたしには大きかった。本当に淋しいよ。まさおが退団の日がやってきたなんてなあ……。でも、たぶんまさおちゃんなら、女優としても輝けるのは間違いないと思うよ。なにしろ、素でかわいいもんな。あの「まさお節」は、普通の芝居ではちょっと問題アリかもしれないけど(笑)、きっと大丈夫。全然根拠はないけど、まさおなら必ず活躍できると信じてます。
 で。
 残された月組のみんなを、まさおちゃんに代わって率いるのは、次期TOPに指名されている珠城りょうさん(通称:たまきち)だ。94期と若く、5つの組の中で最年少TOPとなる。どうもその大抜擢に、非常に風当たりが強いようで、精神的なプレッシャーも大きいことだろうと思う。人気もまさおに比べたらまだまだだ。だけど、たまきちには本当に頑張ってほしい。前回の全国ツアーでの主役ぶりも良かったし、今回も、歌なんてかなり頑張っていたと思う。まだまだ伸びしろのある若いTOPとして、大きな花を咲かせてほしい。わたしも、どうも実際人気がイマイチなのかな(今日、2階で『アーサー王』の文京シビックホール公演のチケットを売ってました。まだ売れ残ってたってことなのか)? 詳しいことはわからないけど、今後は星組の次に、月組を応援したいと思う。
 ちなみにわたしは、今日のショーの方では、月組でわたしが一番応援している海乃美月ちゃんをずっと双眼鏡で観ていました。いやあ、歌もいいし、とにかくかわいいですな。星組に来てくれねえかなあ……と実に勝手な思いがこみ上げましたが、とにかく、わたし的に今、娘役ではTOP5人以外で一番好きです。もちろん、現在の月組娘役TOPの愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴちゃん)ももちろんかわいいし上手だと思います。なんか、気の強い女子を演じさせたらピカイチすな。今回の帰蝶も大変良かったです。
 それから、今回、秀吉を演じた元・星組の美弥るりかさん(通称:みやちゃん)は、当然星組イチオシのわたしはよく知っている方だが、今回ショーでは久しぶりの(?)女性の姿を見せてくれたし、同じく、今度専科に異動になることが発表されている凪七瑠海さん(通称:カチャ)も、本編では明智光秀を演じ、そしてショーでは女性の姿を見せてくれ、まあとにかく手足が細くてびっくりしたよ。二人とも、確か89期だよな。もう、今後は90期以降が主体になるんだなあ、と感慨も深いですな。専科といえば、まさおちゃんと同期の沙央くらまさん(通称:こまちゃん)ももう専科に移って1年半以上経つんだなあ、とこちらも感慨深い。わたし的には2011年の雪組『ロミオとジュリエット』での乳母役を演じたのが一番印象深いが、今回は本編でもショーでも、きっちり歌を聞かせてくれましたな。同期として、いろいろな思いがあったでしょう。素晴らしかったです。
 最後、現在の月組で、若手のイケメンといえば、わたし的には朝美 絢さん(通称:あーさ)がイチオシだ。以前、関西へ旅した時に、公演を見る時間はなかったのだが、とりあえず大劇場に行って、「ルマン」のたまごサンド食って帰るか、と用もなく大劇場に行ってみたら、偶然、バウ公演が終わって帰るところの出待ちに遭遇し、お、誰が出てくるんだろう? と思ってわたしもぼんやり突っ立っていたら、すぐにあーさが出てきてビビったことがある。超・近くで見るあーさは素顔も超・美人で、激烈に可愛かったすね。まあ、月組の将来は、たまきちやあーさや、美月ちゃんがしっかりまさおスピリッツを継いで、盛り立ててくれると思う。応援してますぜ!!
 というわけで、毎度お馴染みの、今回のイケ台詞の発表です。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「さあ……参ろうか!!」(そして刀を振るうと、龍のマークの帆が翻る)
 やっぱり、一番ラストのここを今回は選びました。ラストの表情、ホントにグッと来たね。まさおちゃん、あなたは本当に、見事なTOPスターだったよ。たぶん、ずっと忘れないと思います。 

 というわけで、結論。
 わたしにとって思い入れ深い龍 真咲さんが、宝塚を卒業する時が近づいている。その最後の公演『NOBUNAGA<信長>―下天の夢―/Forever LOVE!!』を今日、観てきたわけだが、なんだか本当にこれで最後かと思うと、とても淋しい限りである。信長のように、TOPを極め、宝塚生活を駆け抜けたまさおちゃん。次のステージでも、活躍を期待しているし、活躍することは何の疑いもなかろうと思う。しばしのお別れだけど、次に会える時を、楽しみに待ってるからな。以上。

↓ 結局のところ、まさきちゃんの代表作というと、どれに当たるんだろうか? やっぱりこれか!?




 ↓ こっちの、まさお節の炸裂するロミオもわたしは結構好きです。でも、TOPなのに役替わりって、ホントなんというか……ひどい仕打ちだったと思うんだけどな……。
 

 というわけで、昨日の帰りに、予想通り既に販売開始していた、わたしが最も愛する作家Stephen King氏の日本語で読める最新作『Mr. Mercedes』(ミスター・メルセデス)を店頭で発見・確保・購入したわたしである。
 出版界の常識として、書籍はいわゆる「搬入発売」、すなわち一部の発売協定品を除いて「店頭に到着したらすぐに売っていい」という慣習があるため、版元の発売予告が月曜日であるなら、おそらく、都内ならば前週の金曜日には店頭に並ぶ、うまく行けば木曜日の午後にも並ぶ可能性があるな、と予想していたので、帰りに大きな本屋さんに寄ってみたら、ごくあっさり展示・販売されるのを見つけた次第である。地方の方には申し訳ないが、さっそく昨日の夜から、もう大興奮のうちに読み進めている。冒頭からもう、最高です。コイツは期待通り面白い!!
MrMerzedes
 ところで、わたしは前日の夜か当日の早朝に、このBlogを毎日せっせと書いているのだが、昨日の夜は、この『ミスター・メルセデス』を興奮しながら読みつつ、当然読み終わらないとBlogネタにならないので、ヤバい、明日のネタがなんにもねえ、と思い、ふとこのBlogの一番最初の記事を見て、椅子から転げ落ちそうになるほど驚いた。
 なんと、ちょうど1年前の2015/08/18にこのBlogを書き始めたのだった。
 しかも、第1回目の記事の内容は、まさしくStephen King氏による『Dr.Sleep』である。
 おおう、マジかよ!? 超・奇遇!! まさしくこれは<>に導かれたって奴か!? と、この1年を思い返してびっくりしたわけで、まったく光陰矢の如しとはこのことよ……とひとり感慨にふけったわけである。
 ※<カ>とは、Kingの作品を読んでいる人なら誰でも知ってるキーワードです。
 ちなみにその時のわたしの家の室温は30.2℃。暑くて雨上がりでベトベトして不愉快極まりなく、また、愛する猫がたまに部屋にやって来て、本棚の奥に入ろうとゴソゴソやるのを、
 「埃だらけになるからやめて。ね?」「ニャーン」
 「だから、やめて。いい子だから、ね?」「ニャーン」
 「だからやめろってば……」「ニャッ!?」
 「頼むから……もうやめて……いい子でしょう?」「ニャーン」
 「だからしつこいんだよこの野郎!!!」「ニャッ!!」 →最初に戻る。
 という感じに何度も繰り返し、最終的に激怒したばかりで、血圧も若干上昇気味であった。 はーー……やれやれ。まあ、可愛いから許すけど、しつこいっつーの。

 で、なんでこのBlogを書き始めたか、そのいきさつも思い出した。
 このBlogを書き始めたきっかけは、何人かのとある偉い人たちから、まったく同じことを言われたからだ。曰く、「君が興奮しながら話す、映画とか本とか、芝居や美術展の話は、なかなか面白いから、なんかの形で残したらいいと思うよ」とのことであった。わたしは日頃、無口で冷たい男だと認識されているが、一度話し出すと、へえ、コイツこういう奴だったんだ、と思われることが多いようで、それはそれでわたしとしては大変心外で、オレは最初からこういう男ですよと言いたいところだが、確かに、会社というか仕事上では必要ないことは何もしゃべらないし、他人にもほぼ無関心なので、まあ、そう思われても仕方ないのは間違いない。ただ、わたしは営業経験が長かったので、必要とあればまったくどうでもいいTalkで話し続け、相手の関心を得る営業スキルを会得しており、その中でも映画や本の話は鉄板ネタだっただけであるのが事実である。
 なので、実はその偉い人たちから「君の話は面白い」と言われたことは、若干嬉しく思い、ちょっと図に乗ってこのBlogを始めたことは否定できない。が、実際のところ、一番大きな動機は、「とにかく最近病的に忘れっぽい」という何とも情けないというものであった。しかも、どういうわけか、昔のことはやけにはっきり覚えているのに、最近のことがまるで忘れてしまうのである。
 あれって、いつのことだっけ?
 あいつ、名前なんだっけ?
 このキャラって、何したんだっけ?
 こんな、ちっくしょー、思い出せねえ、という事のために、この備忘録を始めたのである。
 わたしの忘れっぽさは、本当に深刻で、仕事上でも、あ、あれやんなきゃ、と思って手を動かし、こんなもんかな、と思ってファイルを保存しようとすると、「既に同じ事をもうやってあった」ということを発見する、なんてことが頻繁に起こる。大抵は、さて、どうやるか……? と考えながら、エクスプローラーで材料となるデータや素材のあるフォルダを探している段階で、「このファイルは何だっけ? あれっ!? なんだ、やってあった!!」と発見することの方が多いので、さんざん手を動かしてから見つけることは少ないのだが、それにしても、自分でやった仕事を忘れて、後でそれを見つけて、「スゲエ、さすがオレ、既にやってあったわ」と半ばあきれ、半ば感心するのがわたしのいつものパターンである。これは、わたしの周りの人々には、超・お馴染みの風景であろう。わたしが、「あれっ、なんだ、それ、もうやってあるわ」と言うと、元・部下たちは「出たよ、またっすか!? つか、さすがっす」と言ってくれる優しい人々なので救われているが、おそらく彼らは「このオヤジ、もうホントヤバいんじゃね?」と内心思っているのは間違いなかろうと思う。
 ちなみに、さっき読んだ『ミスター・メルセデス』の中で、最高に気に入ったフレーズがありました。主人公の退職刑事ホッジスが、レストランで考え事をしていて、店のオーナーの女性に肩を叩かれるまでぼんやりしていたシーンでの、ホッジスの内的独白です。もう店には誰も客がいなくなっていて、ウエイターたちが皆、心配そうにホッジスを見つめていることに気づいた彼は、こう心の中で思います。
 ≪あの連中には、わたしが特急アルツハイマー号に乗って、まっしぐらにボケ老人ランドへむかっているように見えたのではあるまいか≫
 わたしはこういうKingの文章表現が大好きなのです。しかし……オレもマジで若年性の特別快速アルツハイマー号に乗車しちゃってるんじゃなかろうか。実に心配だ。
 こんな病的な症状は、やはり、40歳を超えたあたりから顕著のような気がする。実はわたしは、20代前半のサラリーマンになりたての頃から、毎月の給与明細の内容をExcelファイルにまとめていて、過去20年以上の毎月の給与の内容・控除の内容を完璧に表にしているのだが、同じファイルには、別Sheetで、「オレ年表」を作って、どこか旅行へ行ったとか、車を買ったとか、宝塚歌劇を観に行ったとか、そういった日常のイベント(出来事)も、表に記入している。
 それを作ろうと思ったのも、その病的な物忘れの激しさからだったので、もう20代の頃から危険な兆候だったのかもしれない。また、これはわたしが昭和の人間だからなのかもしれないが、とにかく、年号が分からない。西暦で言ってもらわないとホントにパッと思い浮かばない。平成何年、と言われても、本当に、計算しないといつのことか分からないのだ。これは、とりわけ役所に提出する書類とか、決算書を見る時にいつもイラッとする。
 たとえば、平成23年? それっていつだよ? ええと、今年が平成……何年だっけ、28だっけ、てことは、5年前だから、ああ、2011年のことか、何だ、大震災の年じゃねーか、最初から2011年って言ってくれよ……みたいな。これって、わたしだけなのかな? オレが異常なんでしょうか?
 
 なので、わたしは書く。書いて残す。
 でもまあ、この1年間、毎日休みなくきっちり書き続けたので、今後はちょっと無理せず――この1年は無理して無理矢理書いてたので――、ホントにネタのない日は何も書かないことを自分に許そうと思います。なので、毎日このどうでもいいBlogを閲覧している人はいないと思いますが、「あれっ!? 今日更新ないじゃん!? アイツ、死んだか?」と心配しないでください。

 というわけで、結論。
 わたし以外の人間にとっては完全に無意味なこのBlogを書き始めて1年。実は個人的にはかなり大きな人生の岐路的な出来事もあったが、それに関してはさすがに書かなかった。それは書かなくても忘れようがないことなので。まあ今後も、映画を観たり、本を読んだり、ミュージカルを観たりしたときには、せっせと備忘録として書き続けたいと思います。そして今は、『ミスター・メルセデス』が面白すぎて最高に楽しいのであります。あ、明日は愛する宝塚歌劇の月組公演を観て来ますので、そのネタになると思います。以上。

↓ とにかく、今すぐ本屋さんへ急行してください!! もう、都内なら売ってると思いますよ。文庫になるまで待つ人も多いと思いますが、たぶん、文庫だと、800円ぐらい×4冊=3200円ぐらいでしょ? 今買っても1850円×2=3700円+税だぜ? 500円のために、2年ぐらい待つのは意味ないと思うな。買える時間は買えばいいのでは? お、電子でも8/26配信開始らしいすね。わたしは我慢できずに紙で買いました。
ミスター・メルセデス 上
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22

ミスター・メルセデス 下
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-08-22


   

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、先週はお休みだったので、2週間ぶりの『鮫島』ニュースをお届けいたします。
 まずは、いつも通り今週の週刊少年チャンピオン2016年38号の概況です。
 ■『弱虫ペダル』:悠人、ついに目覚めるの巻。コイツの過去話はちょっとイイすね。
 ■『刃牙道』:ピクル最終形態でも武蔵ニヤリの巻。武蔵はもう、飽きたかな……。
 ■『囚人リク』:見開きの「ゲルニカ」めいた絵がすごい!! の巻。今回はちょっと瀬川先生のセンスに脱帽ですw
 ■『少年ラケット』:ヨルゲン君勝利まであと少しの巻。卓球は熱いすね。オリンピックも大変盛り上がりましたな。
 ■『Gメン』:勝太、まさかこの日に喧嘩なのか!? の巻。泣かせる……。
 ■『永遠の一手』:最善の一手、決まる!? の巻。非常に熱い戦いで最高です。
 ■『AIの遺電子』:マシンボディより生体ボディの話。地味だけど、ホント面白いす。
 ■ 『六道の悪女たち』:幼女には六道くんの魅力が効かない!? の巻。大変良い展開で最高です。
 ■『WILDロア』:『名探偵マーニー』でお馴染みの木々津先生による読み切り。面白かったです。

 とまあ、こんな感じの週刊少年チャンピオンでありました。

 さて。では、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。 
 先週は、ついに【丈影】との対戦に終止符!! まで行ったように見えましたが、今週冒頭は静まり返る国技館から始まります。勝負はやはり、鯉太郎の勝利。決まり手は「押し倒し」でした。鯉太郎はまたしてももうボロボロです。そんな鯉太郎を見て、【丈影】は思います。
 (いつ振りだ・・・ここまで力を出し切ったのは・・・私はきっと見たくなかったんだ・・・自分の力の底を・・・限界を・・・泡影との差を・・・その距離を感じることを恐れていたんだ・・・私も・・・もっと早く鮫島のように・・・)
 しかし、鯉太郎は、そんな【丈影】の心中にお構いなく、「まだ行けた、もう一歩先に行けた」と悔しがります。そんな鯉太郎のつぶやきに、【丈影】は、ある意味勇気をもらったようです。「あぁ・・・そうだな・・・うん・・・まだ行ける」そう言う【丈影】は、泣いているような、嬉しいような、悔しいような、実にイイ顔をしてますよ。
 (私もここから・・・今からだ・・・きっと・・・お前のような・・・お前のような今を乗り越えていける人間が・・・泡影(あのひと)を満足させられるのかもしれないな・・・)
 土俵を見守る橋くんも、ようやく鯉太郎という力士を理解したようです。そして山崎さんは、鯉太郎に、父・火竜の姿を重ねます。そして支度部屋の大関【王虎】も、うっすらニヤリな顔です。【田上】さんの「嬉しそーだな・・・大関・・・」という声にも「フン・・・鮫島のアホにはもっと太ってもらわねーといけねーからな・・・俺が泡影(アレ)を超えるために・・・」と不敵な表情です。【王虎】も、ホントにすっかり立派な力士になったみたいですなあ。『バチバチ』や『Burst』の悪党ぶりが懐かしいすね。 
 そしてラストは、空流部屋の兄と弟です。弟弟子である常松こと【松明】は兄弟子である小結【白水】さんに言います。今場所はいつにもまして、神がかっていて、いつも以上に心配だと。「あとどのくらい・・・あの人と相撲を取っていられるのかって・・・」しかし、さすが兄貴。【白水】さんはそんな【松明】に言い聞かせます。
 「しっかりしねーか常! いつだって鯉太郎の存在はオレたちに力をくれているんだ 力になろーぜ・・・俺らも鯉太郎の・・・鯉太郎が潰れてられねーほどの 最高の相撲を見せてやってよ・・・」
 そこに、鯉太郎が大吉に肩を借りて支度部屋に戻ってきました。【白水】さんは続けます。
 「なぁ鯉太郎・・・次は俺の番だ・・・俺が横綱に土付けるとこ・・・しっかり見ぺろょよ・・・」
 あーーーっと!! 【白水】さん、せっかくカッコイイこと言ったのに、最後、噛んじゃったーーーっwww でも、それで一同、笑って、空気も良くなって、さすが兄貴っすね!! 大変カッコ良かったすよ。
 というわけで、来週から【松明】や【白水】さんの取組も描かれると大変うれしいのですが、佐藤先生、そこんところよろしくお願いいたします!!

  というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱【泡影】と同期入門
  --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってる。
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。モンゴル人。
 
 というわけで、結論。
 今週は、【丈影】に勝利した鯉太郎と、全身全霊の相撲を続ける鯉太郎の姿に動かされた、【丈影】や橋くん、【松明】に【白水】兄貴のそれぞれの想いが描かれました。しかしホント、鯉太郎はもう大丈夫じゃないすね……横綱との割が組まれるのは、鯉太郎の番付からすると結構もうそろそろなはずなんじゃなかろうか……? 千秋楽は絶対あり得ないはずだし。今後の戦いも厳しそうですが、最後まで応援し続けたいと思います。そして、【白水】さんVS横綱【泡影】も描いてほしいですな。ある意味、『はじめの一歩』的な、先輩・後輩力士の戦いもきちんと描いてもらうと嬉しいすね。期待してます!! 以上。

↓ 来月は『ペダル』新刊×2でお願いします。映画合わせすね。石垣さんがカッコイイじゃないすか!!

 

 ライトノベル、というと主に中高生を対象としたファンタジックなイラストの付いた小説、というイメージがあるが、実際のところ読者層は幅広く、30代40代でも読んでいる人は多いし、小説としての完成度も、大人が読んでも十分以上に面白い作品はそれなりに多い。もちろん、そうじゃない、どうしようもない作品の方もまた多いと思うが、とにかく、ライトノベル、というレッテルで作品を評価してしまっては、その本当の価値に気づけないと思う。
  2009年に創刊された「MW文庫」というレーベルは、ライトノベルナンバーワンの電撃文庫というレーベルから、「ライトノベルを卒業した大人」に向けて企画開発された小説文庫で、特徴として「書き下ろし」で「カバーイラスト」を用いるという、まさしくライトノベルの手法を用いているが、そこから多くのヒット作が生まれ、『ビブリア古書堂の事件帖』がミリオンセラーに至った後、各出版社もこぞって、書き下ろしで、イラストカバーの付いた小説文庫を出版するようになった。ま、要するにパクリ、と断言してよかろう。
 というわけで、今、本屋さんの文庫売り場に行くと、 とにかくカバーがカラフルで、イラストを用いている作品がとても多い。これは、MW文庫創刊以前には見られなかったことで、それだけ見ても、MW文庫の先見性は証明可能だと思う。
 そして3日前、本屋さんの店頭で、なんか面白そうな作品はねえかなー、とずらりと並んでいる文庫をぼんやり眺めていたところ、とある文庫のカバーイラストに描かれた少女と目が合ってしまった。ん?と手に取ってみると、著者は、電撃文庫で大変おなじみの竹宮ゆゆこ先生であり、タイトルも、ちょっと気になるものだったので、へえ?と思って良く見たら、わたしが嫌いな出版社の筆頭クラスである新潮社の本だったので、マジか、新潮社の本かよ……とそっと元に戻して立ち去ろうとしたのだが、どうにも、カバーに描かれた少女の目が気になって気になって仕方なく、「買わないのね……そう……残念だわ……」という幻聴すら聞こえたような気がするので、ええい!分かったよ!! 買います、読ませてください!! と、レジに並んだ次第である。その本が、これ、です。

 いいイラストですな。本屋さんで目が合ってしまったら、手に取らざるを得ないというか……わたしには、このイラストの表情は、なんというか悲し気な、「いいわ、仕方ないもの……」といったセリフが聞こえるような気さえした。このイラストを描いたのは、浅野いにお先生で、大変人気のある漫画家である。わたしは『ソラニン』の1巻しか読んだことがないので、ファンでも何でもないのだが、このカバーイラストは非常に素晴らしいと思った。
 で、著者の竹宮ゆゆこ先生は、電撃文庫では数多くの作品を発表していて、アニメ化された『とらドラ』を始め、大変人気のある作家だ。わたしも竹宮先生の作品はたぶんほぼすべて読んでいるが、わたしが竹宮先生の作品で凄いと思うのは、女性なのに、どうして男子高校生の日常や心理をここまでリアルに分かっているんだろう? という点で、とにかくキャラクターの造詣が毎回素晴らしく、わたしは特に、女子キャラよりも男子キャラの心理描写が非常に上手だといつも思う。なので、竹宮先生の作品なら、外れナシだろう、と、全く何の予備知識もなく、あらすじすらチェックすることなく、購入し、読み始めた。
 で、読み終えた。
 結論から言うと、大変面白かった。わたしは本屋さんでカバーを付けてもらっていて、読みながら一度も外さなかったので、ついさっき初めて帯をしげしげと見たのだが、帯の惹句はこんな感じである。
 ≪最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは絶対、涙する≫
 ま、結論からするとわたしは涙しなかったので、この帯の惹句には、ふーん、としか思わないが、確かに、構成的に最後になって初めてわかるトリッキーな部分があった。わたしももちろん、ラストで、あ、そういうことなんだ!? と驚いたし、帯の表4(裏側)にある、伊坂幸太郎氏の推薦文にもこう書いてある。
 ≪高校生活の日常やキャラクターの掛け合いがメインとなるこういった小説を苦手な方もいるのではないでしょうか。実は僕もそうなのです。けれど、この作品を読み終えた時、その野心的な構造に興奮しました。この作家は、キャラクター小説を小説の持つ悦びの深いところまで繋げようとしています。≫
 とまあ、良く読むと若干上から目線なことが書かれているが、はっきり言って、そんな構造上のトリックというか試みなんかは、二の次でいいと思う。わたしが一番この作品でグッと来たのは、伊坂氏が苦手というキャラクターの掛け合いに他ならない。それはもはや「ゆゆこ節」とも言うべき、竹宮先生の真骨頂であり、そこを楽しめないでこの作品が楽しめるわけがないとわたしは思うわけで、伊坂氏の推薦文には妙な違和感しかわたしは抱かなかった。じゃあアナタは、ずっと面白くねえなあと思いながら、最後に、あ、そういうことか、こりゃあ面白い、とでも思ったのだろうか? 良くわからんけれど、わたしはもう、最初からずっと、それぞれのキャラクター達に魅了され、とても本作を楽しめたのである。むしろ、最後に明かされるものは、意外すぎて、あれっ!? アレッ!? ちょっと待って、そういうこと!? と逆に戸惑ったぐらいだ。

 とにかく、本作はその部分のネタバレは、別にそれほど大きな意味を持たず、事前に知っていても、特段問題ないような気がするが、それよりも、とにかくストレートに作品世界に没入するのが正しいと思う。そして、各キャラクターに共感し、一緒になって笑い・怒り・悲しむべきではなかろうか。
 実は意外と重い、本作の物語の流れを書くつもりはないが、わたしはとにかく、主人公濱田清澄のキャラクターにとても共感したし、ヒロイン(?)蔵本玻璃の可愛さにも非常に萌えた。また、脇を固める清澄の親友やクラスメイトの女子もとてもイイ。わたしは男なので、やはり一番清澄が気に入ったのだが、その勇気は素直に称賛したいと思う。たぶん、わたしには出来ないことだろうと思うから。たぶん、清澄の言葉で一番彼を表すのが、次の文章だ。
 ≪俺は誰かが友達になってくれることが当たり前ではないと知っている。誰かが俺を大事に思ってくれることも、全然当たり前のことなんかではないことを知っている。「在る」のが「難しい」から「ありがたい」のだと知っている。それを知ることができたのは、あの孤独があったからだ。あの孤独の中で、自分の無価値さと向き合うしかない静かな闇を、一人で味わって生き延びたからだ。そこに差し伸べられた手が、俺なんかに向けられた友情が、どれほど嬉しかったことか。(略)今の俺にとって、孤独だった頃は、正直あまり思い出したくない手痛い過去ではある。でも同時に大切な宝物で、財産でもある。捨て去ることなど決してできない。(略)孤独は一人で抱えていればやがて宝にもなるものだが、いじめはそうじゃない。いじめは、痛みと傷しか残さない。叩き潰されれば未来を失う。それに耐える意味などない≫
 清澄は普通のバカな男子高校生だけど、まったく立派ですよ。そういう点では、わたしは大いに感動したといってもいいと思う。
 そして、こういう作品を読むと、男子校で6年間過ごしたオレって、ホント人生損したのかな……と若干ほろ苦い気持ちも浮かび上がって来る。もちろん、男子校には男子校にしかない素晴らしいくて楽しい点はいっぱいあるし、わたしは男子校に通ったことを常日頃後悔はしていないのだが、それでもやはり、あの、素晴らしき青春時代に女子がいたら、どうなっていたのだろうか、と、こういう作品を読むととても心に響く。まあ、もう完全なおっさんなので、ノスタルジーってやつですな。結局、明確に言えることは、過ぎ去った過去であり、どうにもならんことは承知しつつも、そういった憧れめいた思いに胸を焦がせさせるような作品は、大変素晴らしいってことでしょうな。そして、恐らくは現役で青春真っ盛りな若者も、たぶんこの作品を読んで思うところはいっぱいあるはずだ。なので、わたしとしては全年齢に向けてお勧めしたいと思うのであります。

 というわけで、もう長いし纏まらないので結論。
 わたしがいいたいこと、それは、竹宮ゆゆこ先生による『砕け散るところを見せてあげる』は、大変面白かった、ということです。日本の文芸界は、狭く閉鎖的でいまだに「書き下ろし文庫」に対して、一段下のものという認識がなされている部分があるが、決してそんなことはなく、レーベルや形態に妙な先入観を持たずなく、本屋で出会った作品を片っ端から手に取って読むのが一番楽しいと思います。出版社によって好き嫌いの激しいわたしが言うのも大変アレですが。以上。

↓ これは新潮文庫Nexの創刊ラインナップじゃなかったっけ? だいぶ前に読んだけど、今回の作品『砕け散る~』の方がわたし好みでした。

 John Favreau氏と言えば、わたしとしては一番馴染みがあるのは『IRONMAN』の監督というよりも、トニー・スタークの忠実な運転手兼ボディガードの「ハッピー」を演じた役者としての顔の方で、まあ、太った気のいいおっさん的な男であるが、監督としても多くの作品を撮っている才能あふれた男である。
 その彼が作り上げた最新作、『The JUNGLE BOOK』は、主演の少年以外全部CGというすさまじい作品で、おとといわたしも劇場で観てきたが、まあとにかく凄かったのである。お話的には、実際のところ別に感動して泣けるというほどではなく(?)、普通に面白かった、というものであるが、とにかく映像が凄い。これをわたしは2D字幕版で見てしまったのだが、これはやはり3Dで観るべきであった、と深く後悔している。くそー。3D字幕版での上映が全然ないんだよな……IMAX3D字幕に行くべきだった……。たぶん、3Dだと、さらにすさまじいんだろうな、と思った。ちなみに、すでに全世界で947M$(=約975億円)稼いでいて、製作費も175M$と高いけれど、十分に黒字なんでしょうな、すげえわ。

 物語は、原作を読んだことがないので未確認ですが、たぶんノーベル文学賞受賞作家、Rudyard Kipling氏の原作の通り、おおむね有名なお話そのままと言っていいと思う。ジャングルで父を亡くした人間の赤ん坊モーグリ。彼は黒ヒョウのバギーラに助けられるが、子育ての出来ないバギーラは、狼の群れにモーグリを託す。そしてすくすくと育ち成長するが、人間に恨みを持つ虎のシア・カーンは、モーグリが気に入らない。もはやシア・カーンの脅威からモーグリを守ることはジャングルの仲間の動物たちには荷が重く、やむなくモーグリを人間の村へ送り届けようとするが、シア・カーンの追跡はしつこく、戦いは不可避に――とまあそんなお話である。
 ちなみに、Kipling氏はイギリス人であり、当時のイギリス領インドで生まれ育ったわけで、この物語で描かれる、いわゆるジャングルは、南米的なジャングルではなく、植生や動物たちからしても明らかにアジアのジャングルなのだと思われる。虎もいるし。決して、ターザン的なアフリカではない。けど、象はアフリカゾウのような気もするのだが、どうなんだろう……あ、なるほど、耳の形とかいろいろ違うわけか。あーこれ、ちゃんと予習して観に行けばはっきりわかったのにな。アフリカゾウは耳が三角、アジアゾウは耳が四角、なんですと。どっちだったかなあ……。そう言われると、ちゃんとアジアゾウだったような気もしますな。その点は抜かりない、か。
 ちなみに、この物語では動物たちも普通にしゃべる。そして、その動物たちはみな、CGによって描かれているわけだが、とにかくまったくもって生きた本物にしか見えないし、なによりも、しゃべるその表情が恐ろしく人間臭いのに動物そのもの、という、どうにも言葉では説明できない素晴らしいもので、その豊かな表情と毛皮の本物感がとにかく仰天モノなのだ。主な動物たちとその声を担当した役者を紹介すると、こんな感じである。
 ◆黒ヒョウの「バギーラ」:声を担当したのはSir Ben Kingsley。 超シブイくてカッコイイ。モーグリをいつも見守る優しい男。毛皮の光沢感や歩き方、鼻の具合など、もう本物そのもの。虎には勝てないので若干弱いけど、男ですよ、この黒ヒョウは。とにかく、シブイ。
 ◆母オオカミの「ラクシャ」:声を担当したのは『SW』のマズ・カナタでお馴染みのLupita Nyongoさん。最近ホントに活躍している女優ですな。わたしはあまり興味なし。ただ、このモーグリの育ての母であるオオカミの表情がもの凄く良くて、びっくりした。怒っている顔、優しい顔、など表情豊か。比較的良く喋る。別れに際して、素晴らしい名言が彼女にはあった。
 No matter where you go or what they may call you, you will always be my son.
 「どこへ行こうと、なんという名になろうと、いつだってお前は、わたしの息子よ」
 この時の表情が、もうオオカミとは思えない慈愛に満ちていてグッと来ます!! 
 ◆クマの「バルー」:声を担当したのはBill Murray氏。このクマさんは……穏やかな性格ではちみつが大好きで、これまた非常に表情豊かで、まさしくクマのPoohさんなわけだが、種類が良くわからない。ヒグマ、かな? 毛色的に。良くわからないけれど、濡れた毛皮なんかも、とにかくこれまた本物の質感そのもの。
 ◆オランウータン(?)の「キング・ルイ」:声を担当したのは、わたしも大好きなChristopher Walken氏。モーグリたちの森からはちょっと離れたところの古代文明(?)の遺跡をねぐらとする親分。あまり物語進行には関係ないけれど、存在感のある怖~いボス。わたしはかなりの声フェチで、Walken氏の声は良く知ってるつもりだが、正直すぐには分からなかった。この人、映画版『Jersey Boys』のエンディングで歌って踊るところを見せてくれたけれど、歌える人なんすね。今回も一曲、歌ってくれます。
 ◆トラの「シア・カーン」:声を担当したのは、Idris Elba氏。『THOR』の門番ヘイムダル役でお馴染みですね。彼は、『ZOOTPIA』でもバッファローの警察署長も演じていて、動物役2連発ですな。あ、そうなんだ、この人、『Finding Dory』でもアシカのフルークというキャラを演じてるんすね。動物役3連発だ。このシア・カーンというトラはかつて人間(=モーグリの父)の使う「火」で痛い目に遭っていて、人間嫌いというわけで、それにしても彼には家族はいなかったんでしょうか……ちょっと気の毒な気はします。とにかく、しつこいですが、このトラも表情が凄いです。非常におっかない。
 ◆大蛇(ニシキヘビ?)の「カー」:声を担当したのは、ハスキーボイスがセクシーなことでお馴染みのScarlett Johansson嬢。相変わらず素晴らしくいい声で、たまらんですな。今回、出番はほんのちょっとしかないのですが……驚いたことにですね、ラストのエンドクレジットで、4曲ぐらいかかる曲の中の一つ「Trust in Me」を歌ってました。わたしは声で、一発で「アレッ!? この声、スカージョじゃね!?」 と大興奮。歌のクレジットはほぼラストにやっと出てくるのだが、ちゃんとPerformed by Scarlett Johanssonと表示されるのを確認しました。そういやこの人、歌手デビューもしてるんだっけと、改めて、歌える人なんだ、と認識しました。超セクシーな美声で最高です。あっ!? ちゃんとDISNEY公式でその歌声がYouTubeにUPされてら。貼っとこう。上手いどうかは微妙……かも。それでもいいの!!

 というわけで、声の出演は素晴らしいオールスターキャストで、言う事なし、である。そして、唯一の生身の役者として主演した少年モーグリ役のNeel Sethi君は2003年NYC生まれだそうで、非常に達者な芝居ぶりだったと思う。メイキングをいくつか見たけれど、監督のFavreau氏はまさしくクマのPoohさん的にニコニコしながら演出してましたな。しかし、全てグリーンバックでここまでの芝居をするというのは、難易度も高かっただろうに、ホント、モーグリをお見事に演じ切っていたと思う。素晴らしい才能なんでしょうな。

 というわけで、結論。
 この『The JUNGLE BOOK』はDISNEY謹製のちびっ子向け映画ではあるけれど、そのテクノロジーというか映像技術は素晴らしく、実際のところ大人でも十分に楽しめる良作だと思う。だけど、くれぐれも、字幕で、そして出来れば3Dで見た方がいいのではなかろうか。もちろん、日本語版の声を担当した役者たちも一流ぞろいなので、吹替えでもいいけれど、たぶん、動物たちの口の動きのシンクロ具合を考えると、やはり元の英語版の方がいいんじゃないかと思う。機会があれば、わたしももう一度、IMAX3D字幕版に行こうかしら、と思うぐらい、わたし的には大変気に入りました。以上。

↓ 原作はいろんな出版社から出ている名作です。とりあえず、これを貼っとこう。どうせ読むなら、挿絵もあった方がいいと思うな。

  

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 世間はお盆休み真っ只中?のようですが、わたしは先週後半からこの週末で、『X-MEN』と『ジャングル・ブック』を観に映画館へ出かけ、家ではずっとWOWOWで録画した映画やミュージカルをクソ暑い部屋で観てました。ええ、要するに、どこにも旅に出たりしなかったというわけです。だって、どこも混むんだもん……。
 ま、そんなことはどうでもいいとして、さっさと本題に入ります。

 では、 さっそくいつもの興行通信社の大本営発表です。

 1位:『ペット』が8/11(木・祝)公開で、初日だけで2.95億稼いだそうです。そしてこの土日の終わりまでの4日間で、9.82億だそうで、大変素晴らしい成績ですな。US興行も大変良かったようだし、わたしも愛する猫と暮らす身としては、日ごろどんな毎日を彼女が送っているのか大変気になりますな。なお本作はDISNEY作品ではありません。ユニバーサルスタジオ謹製の3Dアニメーションです。
 2位:『シン・ゴジラ』が17日間合計で33~35億ぐらいだろうか。おそらくは、おととしのハリウッド版の32億はもうクリアしたものと思われる(まだだとしてももう時間の問題ぐらいのはず)。あとはどこまで伸びるか、ですな。※追記:17日間合計で33.8億だそうです
 3位:『ファインディング・ドリー』が30日間で50億は超えていると思う。こちらもどこまで伸びるか、だけど、最近のDISNEYは3か月でバッサリ公開終了させてしまうので、あと2か月で100億まで行くかどうかは、ちょっとわからない。同じ期間で、春の『ズートピア』よりもいいペースだけど、『ズートピア』はもっと毎週の落ち率が少なかったので、この『ドリー』は85億ぐらいで終了だろうか……? ちょっとまだよくわからない。
 4位:『ONE PIECE FILM GOLD』が23日間合計で40億までは届いてないだろうと思う。なので、おそらく春の『コナン』ほどは伸びないか。『コナン』は4週目で50億まで届いていたはずなので。※コナンは3~4週目でGWブースターが効いたはずだし、『ONE PIECE』もお盆ブースターが効いたはずなので、意外と条件は近しいような気がする。まあ、今年はGWの休みが多かったから『コナン』の方がカレンダー的には有利か。
 5位:『ジャングル・ブック』も8/11(木・祝)公開で、この土日だけで3億チョイだったそうで、おそらく4日間合計では6億ほどは稼いでいると思う。こちらは昨日観て来ましたので、明日レビューを書きます。まあ興行的にはいい数字ですな。わたしとしては大変楽しめましたが、とにかく極端に3D字幕を上映しているところが少なくて、2D字幕で観ざるを得なかったのが残念。いっそ、木場のIMAXに行くべきだった……。ああ、そうか、品川にできたばかりのIMAXに行くのもアリだったな……くそう。
 6位:『X-MEN:アポカリプス』も8/11(木・祝)から上映しているので4日間合計となるが、どうやら合計で3.2億ほどだったらしい。まだ数字の発表がないので裏は取れてませんが。わたしも初日に観て来ました。興行数値的には、まあ、日本での人気を考えればまずまずなんでしょうか。ちなみに前作の『フューチャー&パスト』(最終10.3億)は、公開金土日の3日間で3.5億ぐらいだったんじゃないかな? それと比べると、また若干減、なので、10億行くかどうかってところなんだろうか。はあ……『DEADPOOL』があんなに売れたのに……こっちが本編なのに……しょんぼり。
 7位:『ルドルフとイッパイアッテナ』が9日間で5~7億ぐらいか? 先週も書きましたが、実は観たくてたまらない……できれば3Dで……。
 8位:『仮面ライダーゴースト/動物戦隊ジュウオウジャー』が9日間合計でこちらも5~6億ぐらいか? いよいよ次のライダーも発表になりましたな。この、10月からの新ライダー「エクゼイド」は、どうやらこの劇場版でもチラ見せしてるらしいすね。しかし……新ライダーはどうしていつも、第一印象最悪なのに、動いているのを見るとしっくりくるのはなぜなんだ……。でも、わたしはどうもゴーストは最後までイマイチす……。
 9位:『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ポルケニオンと機巧のマギアナ』が30日間で15~16億ぐらいだろうか? もうチョイ行ったかも。
  10位:『秘密 THE TOP SECRET』が9日間で5億まで行ってないだろうと思う。3~4億ぐらいと見るが、相当厳しい戦いに。東宝配給ならもう少し行っただろうし、そもそもこの強力タイトルがあふれる時期の公開はなかったのではなかろうか。根拠はありませんが。

 てな感じである。まあ、『シン・ゴジラ』と『ドリー』がどのくらいまで興収を伸ばすのか、そこんところが大変興味深いですな。
 で、今日は、やっと先週東映の2016年度第1四半期決算が発表になったので、ちょっとメモとしてまとめておこう。なお、いつも言うけれど東映や松竹は決算短信を出すだけで、アナリスト向け説明会を行ってないようだし(?)、決算説明資料を特別に用意しやしないので、まったく実情は分からない。数字が落ちているくせに、いくつかの作品タイトルを挙げて、●●が好調でした、みたいな寝言しか書いていないので。
 というわけで、今日は数字だけ。分析は四半期ごとにやってもあまり意味がないす。なお、単位は百万円です。
 ◆東宝……2月決算なので、2016/03~206/05まで。()は前年同期比
  ■映画事業:売上37,682(99.5%)/SEG利益7,691(101.7%)
  ■演劇事業:売上3,196(102.5%)/SEG利益696(106.4%)
  ■不動産事業:売上16,731(104.2%)/SEG利益5,230(140.0%)
  以上に加え、細かいその他や全社費用のマイナスが入って、
  ■全社合計:57,797(101.0%)/営業利益12,821(115.0%)→営業利益率22.2%(+2.7pt)
 →つまり、東宝は増収増益と順調です。とりわけ、利益率の改善が進んでいて、非常に立派な決算値といえる。ただし、通期の業績見込みは、前年割れの減収減益と発表している。まあ、どうせ保守的なカタイ見込みだろうと思う。秋以降自信がないのかわからないが。
 ◆松竹……同じく2月決算なので2016/03~206/05まで。
  ■映像関連事業:売上13,207(106.0%)/SEG利益1,384(250.3%)
  ■演劇事業:売上5,802(87.9%)/SEG利益332(76.5%)
  ■不動産事業:売上2,555(101.6%)/SEG利益1,122(110.5%)
  以上に加え、細かいその他や全社費用のマイナスが入って、
  ■全社合計:23,529(102.6%)/営業利益2,186(149.8%)→営業利益率9.3%(+2.9pt)
 →つまり、松竹も増収増益で、やはり営業利益率が大きく改善されている。別に全社費用が減ったとかいうこともないので、純粋に映画がヒットしたことが大きいのではないかと思う。今年前半の松竹は、結構いい作品が揃ったすね。映像関連事業の利益が倍以上だもんな。あと、シネコンの稼働が良かったことも効いてるかも?その点は東宝も東映も同じみたいすね。
 ◆東映……一般的な会社のように3月決算。なので2016/04~2016/06まで。
  ■映像関連事業:売上17,868(95.4%)/SEG利益2,374(77.4%)
  ■興行関連事業:売上4,667(107.3%)/SEG利益381(116.2%)
  ■催事持関連事業:売上2,257(86.6%)/SEG利益(68.1%)
  ■観光不動産事業:売上1,504(101.9%)/SEG利益626(102.6%)
  ここに、東映の場合は「建築内装事業」というのが入って、全社費用がマイナスされて
  ■全社合計:売上28,386(93.6%)/営業利益3,251(77.4%)→営業利益率11.5%(▲2.4%)
 →東映だけ、減収減益。東映はちょっと東宝と松竹とは企業体としてのセグメントの立て方が違うんですな。演劇もないし。ただし東宝・松竹にない、東映アニメというライセンス商売で儲けるドル箱があるのだが、このところそういったキャラビジネスは東宝が本気を出しているので、若干押され気味な印象すね。「ドラゴンボール」は東映だけど「ワンピース」は東宝に獲られちゃったし。まあ、いずれにせよ、映画のヒットが少ないのが痛い、という事なんでしょう。良くわからないけど。
 ま、だから何だという事は、今日の段階では何も触れないでおきます。

 というわけで、結論。
 『シン・ゴジラ』は50億超えるのがまずは当面の目標、そしてそれは叶いそうな予感。そして『ドリー』はどうも100億は厳しそうな予感。そんな夏興行す。以上。

 確か2年前、2014年のCOMI-CONで予告が公開されて結構話題となった『THE MAZE RUNNER』という映画がある。わたしもその原作小説が、いわゆるYA小説としてUS国内で大変人気があり、今度映画になると知っていたので、その予告を見て、おお、面白そうじゃん、と思ってたのだが、その映画は日本では2015年の5月に公開になった。わたしはそれよりちょっと前に発売になった原作小説の日本語訳を読んで、十分に予習してから、劇場へ観に行ったのだが、残念ながら小説のエッセンスを巧みに凝縮してはいるものの、若干薄味で随分とカットされているように感じてしまい、同じ年の10月に日本公開された第2作目は、劇場へ観に行くことはなかった。正直、WOWOWで十分だろう、と思ってしまったわけだが、このたび、WOWOWでその第2作目『THE SCORCH TRIALES』(邦題:メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮)が放送されたので、さっそく観てみることにした。
 結論から言うと、まあ、WOWOWで十分かなという予感はわたし的には的中したものの、ラストのヒロインのまさかの行動に、またしても「ここで終わり!?」という内容であったため、実は続きが気になってしまっている。原作小説も、1作目しか読んでいないので、どんなオチとなるか、大変楽しみというか、興味はある。


 とりあえず、上の映像が1作目の予告で、下の映像が、わたしが今回WOWOWで観た2作目の予告です。あれっ!? 2作目の予告は、後半にキャストインタビューが入ってるのはいいんだけど、結構ネタバレな内容になってるんじゃねえかこれ。いいのかな……まあ、いいか。
 まあ、内容は基本的に予告に描かれている通りである。気が付くと、謎のエレベーターに乗っている主人公。全く記憶を奪われ、自分が何者かすらわからない。そしてエレベーターの行き着く先では、同じような少年たちがいっぱいいて、壁に囲われた謎空間に隔離されている、という状況であった。そして壁は毎朝開き、毎夜閉じる。開いた壁の先には、謎の迷路が広がっていて――というのが1作目、2作目は、無事に迷路をクリアした少数の少年たちが、今度は謎の組織に救助され、謎の施設に監禁される。そこでとある事実を知り、施設の外の砂漠へ脱走する――というのが2作目のお話だ。
 なので、ポイントとなるのは、一体全体、迷路は何だったのか、組織は何者なのか、なぜ主人公は、組織から追われているのか、ということになる。
 で、実際、それらの謎は、ほぼすべて、きちんと説明され、解明される。のだが、正直なところ、非常に実感しにくいというか……なんでまたそんな回りくどいことを? という気もするし、なにより、ズバリ言ってあまり面白くない。まあ、まぎれもなくこの原作小説はライトノベルなので、10代の若者向けなのだが、日本のライトノベルの方がよっぽど面白いとわたしは思ってしまった。
 なので、物語自体は全くわたしには響かないというか面白く感じられないのだが、やはりその映像クオリティは、ハリウッドが本気で作っているだけあって圧倒的に素晴らしい。役者陣も非常にいいし、とにかく、こりゃあ日本では無理だ、という立派なハリウッド映画に仕立てられており、お見事である。
 今、調べてみたところによると、
 ◆1作目:予算34M$(=約35億円)、US興収102M$(=約107億円)、全世界興収348M$(=約365億円)
 ◆2作目:予算61M$(=約64億円)、US興収81M$(=約85億円)、全世界興収312M$(=327億円)
 と、ハリウッド基準でいえば低予算ながら、実に立派な興収をたたき出しており、当然この成績なら、当初予定通り3作目も製作間違いなしである。ただ、主演の青年がけがをしてしまって、現在撮影中断中というニュースを見かけたので、早く元気に回復してくれることを、おそらく大勢の関係者が待ち望んでいるはず、だと思う。
 わたしは観ながら、壁に囲まれた環境に置かれた少年たち、ということで、日本で大人気のとある漫画とその映画化作品を思い出しながら観ていたのだが、物語自体はどちらも全く面白くないが、映画として、映像としてのクオリティはダントツにハリウッドの勝ちであることは、もう誰の目にも明らかだろうと思う。
 その違いはいったいどこにあるんだろう、と思いながら観ていたわけだが、やはり、わたしが何度かこのBlogでも指摘している、「質感」がすべてなんだろうな、という結論に至った。
 これは条件が違うので、直接的には比較できないけれど、例えば端的に違うのが、キャラクターたちの着ている服や汚れた顔のメイクだ。本当にいつも不思議に思うのだが、なんで日本映画の、汚れた顔って、完全に作り物というかウソっぽいんだろう? もう、メイクにしか見えない、わざとらしい汚れ具合。全く風呂に入っていない環境で、顔や体が汚れていくのは当たり前なわけで、それをメイクで表現するわけだが、本作のキャラクターたちの汚れ方は、もう、本当に風呂にずっと入っていないような、自然な汚れ方だ。服もしかり、である。しかし一方で、日本の大人気漫画を映画化したあの作品の、役者たちの顔のわざとらしく嘘くさい汚れ方や、服の不自然なありえなさ感は、なんなんだろう? これは、わたしは声を大にして言いたいのだが、メイクや服飾技術の差では決してないと思う。今やハリウッドには日本人メイクアップアーティストや衣装デザイナーがいっぱいいるわけで、技術の差じゃあない。たぶん、監督のセンスの問題だ。監督が、汚れメイクをしたキャストの顔を見て、「あーダメ、やり直し」と一言いえば済む問題なのに。服も、とにかく嘘くさい。日本の時代劇なんかは非常に細かな素晴らしい仕事をするスタッフがいっぱいいるのに、実になんというか、もったいないというか、その行き届いていない半端なクオリティが、ハリウッドとの大きな違いのように感じる。
 そりゃあもちろん、予算の差もあるだろう。金で解決できる問題も多く存在していると思う。だから、そう言い訳されたら、そりゃあ残念ですな、としか言いようがない。だけど、それで許すのか? それでいいのか? とも思うわけで、そこはクリエイターが、絶対に譲ってはいけないラインだと思うのだが……。夢はあきらめたらそこで終了ですよ。
 とまあ、物語に入り込めない分、映像のクオリティばかりをチェックしてしまったわたしだが、この映画は、日本のライトノベル業界の人々はぜひ観に行って、夢を膨らせてもらいたいと思う。日本でできないなら、できるところ、ハリウッドで映画化してもらえばいいじゃない。物語力は絶対に日本のライトノベルの方が上だとわたしは信じている。もう、国内だけじゃなくて、世界に市場を広げるためにも、ハリウッド映画化は絶対に目指すべき目標でしょ。まあ、今の国内出版社の人間で、そんな目標を掲げている編集者はいないのかな……だとしたら非常に残念だよ……。というわけで、わたしとしては先日発表になった、『ソード・アート・オンライン』のUS国内TVシリーズによる実写映像を、心から楽しみにしています。頑張ってほしいな、本当に。

 というわけで、結論。
 『THE MAZE RUNNER』という、ヤングアダルト小説の映画シリーズ第2弾『THE SCORCH TRIALES』をWOWOWで観た。物語は全く大したことはない。のだが、その映像クオリティは実に素晴らしく、さすがのハリウッドクオリティである。日本の映像関係者やライトノベル編集者は、この作品を観て、「けっ!! たいして面白くねーじゃん」で終わらせないで、自分たちもこのレベルの映画を作ることを本気で想像していただきたいと思う。夢や目標がないと、それは仕事じゃなくて、ただの作業ですよ。それじゃあ、楽しくないよね。目指せ1億ドル、でお願いしたいものです。以上。

↓ 原作の3作目は、まだ日本語訳が出てないんだよな……まあ、映画の公開に合わせるんでしょうな。それはそれで、販売戦略的にアリ、です。






 
 

 だいぶ前に、わたしがいつもチェックしている、映画の予告編を集めたサイト「Trailer Addict」で予告を見て、へえ、こんな映画が公開されるんだ、と思ったものの、全く日本公開される気配がなく、記憶の彼方に失われた映画があったのだが、それが先日、WOWOWの「ジャパン・プレミア」という放送枠で放送されたので、さっそく録画して観てみた。日本の青木ヶ原樹海を舞台としたホラー作品、『The Forest』である。

 しかし、観終った今、改めて上記予告を見てみると、シャワーシーンはなかったような気がするし、ほかにも見覚えのないショットがあるので、一部はカットされたものが放送されたのかもしれない。ま、そんなことはどうでもいいのだが、物語的には、基本的に上記予告のとおりである。
 双子のアメリカ人姉妹がいる。日本の高校で英語教師として働いていたはずの妹が、行方不明になった。しかもどうやら、自殺の名所(名所って言い方も非常に不謹慎か。なんて言えばいいんだろう?)として、我々日本人ならずとも、インターネッツの発達した現代では世界的に有名な「青木ヶ原樹海」で消息を絶ったらしい、という電話が姉のもとにかかってくる。日頃から精神的に不安定な妹。だが、双子の姉は、妹が生きていることを不可思議な双子パワーで確信しており、日本へとるものも取らず駆けつける。そして、青木ヶ原へ向かうのだが、そこで見たものは……とまあ、そんなお話である。

 どうやら、日本での撮影は新宿・六本木(?)あたりの街の情景だけで、どうも森自体はスロヴァキアで撮影したっぽいように思う。なお、青木ヶ原へ向かう主人公が乗るローカル鉄道は、エンドクレジットの撮影協力から察するに、どうもわたらせ渓谷鉄道を使ったようだ(つまり群馬~栃木、かな?)。まあ、そんなこともどうでもいいか。
 とにかく、物語としては日本が舞台だけに、日本人キャストがいっぱい出てくるのだが、キャストについては後で書くとして、まず、物語について感想を記録しておくと、結論から言えばちょっとイマイチ、であった。前半の雰囲気や空気感は非常に良いのだが、特に物語が核心に迫っていく後半は、若干微妙である。とりわけ、最終的な謎解きともいえる、ラスト間際での妹の突然の登場が、もう全く訳が分からない。この、オチに相当する部分がピシャッと決まれば良かったのだが、肝心のオチが、え、あんた結局、なんで姿くらまして樹海にいたの? って部分が弱い。もちろん、いろいろな解釈は可能だとは思うけれど、残念ながら明確な説明のできない、ぼんやりとしたオチになってしまったのが大変残念だ。あれっ!? これはネタバレか? サーセン。これは日本のいわゆる「Jホラー」に共通して言えることだと思うけれど、単に急に恐ろしい絵を見せて驚かせたり、後ろ後ろ――!! と観客をどきどきさせたり、そういった、映像的な「これがやりたかった」的なショットの連続で、肝心の物語がさっぱりイマイチ、という残念な映画の流れを踏襲してしまっていて、そりゃあ誰だって、急にそんなの見せられたらビビるわ、という、いわば小手先のテクに走ってしまっているように思える。それじゃあ、観終った後まで恐怖は持続しないよな……。
 
 というわけで、こき下ろしてしまったけれど、メインキャストの3人は、大変いい芝居ぶりを見せつけてくれたと思う。まずは、主人公を演じたNatalie Dormaer嬢34歳である。キッとした表情が印象的な彼女は、今回双子を一人二役で演じ切っていたが、わたしは彼女の顔に非常に見覚えがあって、観ながら、これ誰だっけ……くっそう、思い出せん!! というわけで、先ほどインターネッツの力を借りて調べたところ、あ、そうか!! と思いだした。彼女は、『The HUNGER GAMES』の最後の2本に出ていた、クレシダ役の彼女ですな。髪型が全然違うので、思い出せなかったのが悔しい。今現在は、大人気TVドラマの『Game of Thrones』のキャストとしての方が有名かもしれないすね。今回の芝居ぶりは、大変良かったとわたしは思う。やっぱり、お綺麗ですな。全くどうでもいいんだけど、この人、わたしがドイツ語を習った先生にびっくりするぐらい超そっくりだと今気が付いた。
 で、もう一人が、若干出番は少ないのだが、我らが日本人代表として本作に出演した小澤征悦氏である。ご存じのとおり、彼は世界的マエストロ、小澤征爾氏の長男だが、なかなか英語のセリフは流暢で、カッコ良かったすね。アメリカ生まれらしいけど、小学校から大学まで成城なので、英語は大人になってから会得したのか、この映画だけのセリフを猛特訓したのか知らないけれど、今回のレベルできっちり芝居できれば、世界でも活躍できると思うのだが、どうなんでしょうな。あ、サンスポの記事によると、やっぱりここ数年、英語を特訓しているみたいですね。今後の活躍を心から期待したいと思う。
 で、最後が、主人公が日本で出会う、若干怪しい、けど最終的に何だったのかよくわからない、雑誌記者を演じたTaylor Kinney氏だ。彼は、なんでもLady GAGAちゃんの婚約者だそうですね。彼もちょっと特徴ある顔立ちで、『ZERO DARK THIRTY』でラストのビンラディン邸突入チームの隊員として出演していたのが思い出されますな。わたしとしては、この男性キャスト二人の物語への関与具合が大変もったいないというか、もうちょっと面白くできたんじゃねえかなあ、と、いつもの言うだけ詐欺理論で感じたのだが、結局彼は、幻覚に捕らわれた主人公に散々な目に遭った可哀想な人、ってことでいいのかな? と、正直今でもわたしにはよくわからない、残念なお話になってしまっている。なお、監督・脚本家とも、よく知らない方でしたので、その辺はもう割愛します。あと、謎のセーラー服の女子高生や、妙におっかないおばさんたちなど、日本人がいっぱい出演していますが、正直、知らない方ばかりなので、その辺も割愛します。調べてみると、どうも海外で仕事をされている方々ばかりみたいですな。

 というわけで、結論。
 どうやら日本では劇場公開されなかった『The Forest』だが、WOWOWで放送されたのは喜ばしいと思うものの、肝心のお話がちょっと今一つ、ではあった。しかし、おそらく欧米人とかが見ると、すっげえおっかないのではなかろうか。雰囲気はかなり怖いし、画としてはかなり上質でセンスあふれているようにも思える。キャストの熱演も大変良い。しかし……せめて妹がなぜ樹海に向かったのか、なぜ普通に隠れていただけ(?)なのか、そこんところはきちんと筋の通った脚本であって欲しかった。そこだけ、残念に思う。以上。

↓ そういえば、同じく樹海を舞台としたこの映画は、観たかったけど見逃してしまった……WOWOW放送を待ってます。あ、まだBlu-ray出てないんだ。10月発売だそうです。
追憶の森 [Blu-ray]
マシュー・マコノヒー
Happinet
2016-10-04

 おととい、結構楽しみにしていたライトノベルが発売になって、やったー、と早速買い、今回は424ページとかなり分厚かったのだが、昨日のうちに読み終わってしまった。恐らくは現在のライトノベル業界で最も初版部数の大きい作品であろう(※根拠なし。一番じゃなくてもTOP5には入ると思う)作品、『ソード・アート・オンライン(以下『SAO』と略)』シリーズの最新(18)巻である。

 まあ、長かった「アリシゼーション編」堂々の完結、である。
 もうこれは、この作品を知っている人なら常識なのだが、川原先生による『SAO』は、元々は川原先生個人のWebサイトで連載して大人気になった作品で、それを電撃文庫として書籍化したものだが、相当な加筆修正がなされているそうで、Web版を読んだことのある方でも楽しめる作りになっているそうだ。要するに、元から原・原稿が存在していたわけだが、この(18)巻で、その元々あったお話は完結したそうである。つまり、次の(19)巻以降は全く新しい、まだ誰も知らない書き下ろしの作品になるようですね。
 なので、この(18)巻はある意味、集大成としての意味合いもアリ、本の作りもちょっとだけ豪華になっていて、なんと驚いたことに、巻末にもカラーページが奢られたたいへん贅沢な作りになっている。そしてさらに、モノクロページだけれど、最後には≪Kirito will return≫と堂々と宣言してあり、我々はまだまだ、あらたな物語を楽しめることになるんだそうだ。ホント、楽しみですなあ。まあ、恐らくはその前に、『SAO』の別シリーズである「プログレッシブ」が1作ぐらい刊行されるんだろうな、と思う。今までの刊行順からすると。それに、川原先生のデビューシリーズである『アクセル・ワールド』の新刊もあるだろうし(川原先生のTweetによれば12月発売らしいすね)、新シリーズの『アイソレータ―』もあるだろうから(これはどうかわからんけど)、川原先生のファンの皆様も、新刊欠乏症で手が震えることもなかろう。だぶん、だけど。まったく、すごい先生ですなあ。その作品を生み出すエネルギーは、とてつもないですな。
 ええと、今のところのわたしの文章は、ネタバレコードには引っかからないよね? そこら中でレビューとかあるだろうし。まだ内容について何も書いてないし。

 今回、何を書こうかと思って、ノープランでキーボードをたたいているわたしだが、まあやっぱり、この作品を楽しみにしている人がおそらく20~30万人は存在しているだろうから、ネタバレはやめておきたいかな、と思った。つか、ネタバレなしでは何も書けないのがつらいです。まあ、シリーズを読んできた方で、この(18)巻を読まない理由は何一つないですわな。なので、まだ読んでいない人は、今すぐ本屋さんへ行き、購入してくるのが間違いないと思います。

 ひとつだけ、書いておくとすれば、これは誰しも想像しているだろうし、その想像通りなので許されることだと思うから書きますが、物語は、大変綺麗に、決着はつく。
 わたしは個人的に、川原先生の作品はたまーに、もうやめてーー!! と言いたくなるぐらい、主人公たちは厳しい状況に陥るのが、ホントに苦しく感じる。例えばわたし的には、『アクセル』のダスク・テイカーの話では、とても精神的にイヤーな気持ちになり、さっさとブッ倒されろよこの野郎、とか思ったのに、決着が次の巻に持ち越しになった時なんかは、おいマジかここで終わりかよ……と思ったものだし、今回の『SAO』も、前巻(17)巻でアスナたちが満身創痍になってボロボロになる姿にとても心が痛んだわけで、絶対大丈夫、と分かっていても、とても読んでいて苦しいものがあった。だからこそ、今回の(18)巻でスッキリ決着したのは大変気持ちがいいわけだし、早く次が読みたい、と思うわけで、ホントに、めでたしめでたしで良かった良かった、と思える内容になっていたと思う。
 まあ、ひとによって受け取り方は違うので、誰しもそう感じるかは知らないけれど、まあとにかく、安心して、早く最新刊を読んでほしいな、と思うばかりだ。そして、ユージオの存在の大きさを感じるのもいいし、キリトとアスナのラブラブぶりに、ぐぬぬと歯を食いしばるのもいい。とにかく、物語に登場するみんなに幸あれ、とわたしは思った。まあ、まだ先がありますけどね。ホント、続きが大変楽しみですな!

 というわけで、肝心なことはまったく何も書いてないけど結論。
 川原礫先生の『ソード・アート・オンライン』は、やっぱり現在のライトノベルの頂点に君臨する作品であるのは間違いないし、シリーズを読んできた人は一刻も早く読んでいただきたい。たぶん、期待は満たされることだと思います。以上。

↓ わたしはこの作品が大好きなんですけど、テクノロジー的には全く別物だけど、結構近いものがあるっすよね。『SAO』ファンにはぜひお薦めしたいものです。
シフト〈1〉世界はクリアを待っている (電撃文庫)
うえお 久光
アスキーメディアワークス
2008-06-10

 MARVELヒーロー映画は、現在DISNEY=MARVEL STUDIO謹製の、「MCU」と呼ばれる一連のシリーズと、主に20th Century FOX配給の「それ以外」に分類されるが、SPIDER-MANがSONY PicturesからめでたくMCUに組み込まれた現在、その、「それ以外」で最も重要なキャラクターが、「X-MEN」 である。
 「MCU」ことMarvel Cinematic Universに関しては以前、詳しく書いたのでもう説明しないが、 FOX配給によるX-MENの映画の歴史はもうかなり長く、1作目が公開されたのが2000年のことなので、もう16年前ということになる。公開された順番に、各作品をまとめるとこういう感じである。
 ◆2000年公開:『X-MEN』。まさかのWolvarineを主役に据え、WolvarineがProfessor Xと出会ってX-MENに加入するまでの話。なんでわたしが「まさかの」と言うのか、理由は後で。US興収157M$と大ヒット。
 ◆2003年:『X2:X-MEN United』。 純粋な続編。X-MENと宿敵ストライカーの戦いを描く。US興収214M$とこれまた大ヒット。Cyclopsの愛車の青いマツダRX-8がカッコイイ!! (けどWolvarineに勝手に使われて大破しちゃうんじゃなかったっけ? 忘れた)。おまけにラストではCyclopsが大変なことに……。
  ◆2006年:『X-MEN:The Last Stand』(邦題=ファイナル・デシジョン)。ミュータントを人間化するCUREという薬をめぐる戦い。ラストはダークサイドに堕ちたJean GreyとWolvarineの悲しいバトル勃発。実は評価がいまいち低い、のだが、US興収234M$と一番ヒットした作品。わたしは嫌いじゃない。なお、『X1』『X2』を撮ったBryan Singer監督は、この時、この作品を撮ることを蹴って『SUPERMAN RETURNS』を監督したことでも有名。
  ◆2009年:『X-MEN Origins:Wolvarline』(邦題=ウルヴァリン:X-MEN ZERO)。初のWolvarine単独主役のスピンオフ。評価は一番低い、かな。US興収も179M$と大ヒットと言っていいけれど、シリーズの中では低め。Wolvarineの悲しい過去と、彼のアダマンチウムの爪の由来もきちんと描かれていて、わたしは結構好き。悪くないと思うんだが……。そういえばこの作品で、少年時代のCyclopsと出会ってるはずなんだけどな……。
  ◆2011年:『X-MEN:First Class』(邦題=X-MEN:ファースト・ジェネレーション)。わたし的にシリーズ最高傑作。素晴らしかった。1960年代の、「第一世代」ミュータントの戦いを描く。若き日のProfessor XとMagnetoの悲しい決別が実にグッとくる。ここで、後のProfessor Xがなぜ車いすなのかも描かれる。評価はかなり高かったものの、US興収はシリーズ最下位?の146M$だった。冒頭のシーンが『X1』のあるシーンを完全再現していて超大興奮した。悪役として出てくる、わたしの大好きなKevin Bacon氏が超素晴らしい!!! また、わたしがJennifer Lawrence嬢をはじめて認識したのがこの映画。
 ◆2013年;『The Wolvarine』(邦題=ウルヴァリン:SAMURAI)。日本ロケバリバリの異色作。Wolvarine単独主演スピンオフ第2弾。あ、US興収最下位はこっちだ。132M$だったそうです。評価は悪くないけど良くもない微妙作。わたしとしても、ちょっと微妙。
 ◆2014年:『X-MEN:Days of Future Past』(邦題=X-MEN:フューチャー&パスト)。超・問題作。わたしは、正直今イチだと思っている。『First Class』の若き日の第1世代と、『X1』~『X3』の現代キャスト夢の競演!! ということでわたしも超・期待したが、かなり穴があるというか物語的に問題があって、なんと歴史が塗り替えられてしまい、『X1』~『X3』は「なかった過去」にされてしまった。わたしはもう、マジかよ……と、ただボーゼン。ただしUS興収は233M$と大ヒット、Rotten Tomatoesの評価もシリーズ最高スコア

 とまあ、以上がこれまでの『X-MEN』映画の歴史である。なんでこんなに冒頭に無駄なことを書いたかって? そりゃあ、今日、シリーズ最新作、『X-MEN:APOCALYPSE』を観てきたからである。そして、ズバリ、あまり書くことがないからである。

 相変わらず、20th Century FOXは予告が……なんというか、ズバリ、上記予告は時系列がめちゃくちゃである。まあ別にいいのかな……。おまけに、ちょっと、びっくりしたというか呆れたことに、入場時に、『First Class』を無料で視聴できるデジタルクーポンを配布していた。はああ? 『First Class』観ないで、本作を観る奴いるのか? いや、いるんだろうけど、いまさら無駄ッショ? なんでこれを、『DEAD POOL』上映時にやらなかったのか、全く理解できない。本作『APOCALYPSE』を観てもらいたい人にこそ、タダでいいから予習として『First Class』を観ておくとより一層面白いですよ、と配布すべきで、その対象者として最もふさわしいのは、まさしく『DEAD POOL』でせっかく開拓した若者客だろうに。もうチケットを買って、これから『APOCALYPSE』を観ようとする人に今更配ってどうすんだ? どういう意味なのか、ホントわたしにはさっぱり不明である。何なんだ一体……。
 ま、そんなことはどうでもいいや。本作の話に移ろう。
 本作は、前作『Days of Future Past』の続編である。前作のラストのおまけ映像で描かれた、古代エジプトに君臨していた謎のミュータントが、1983年に蘇ってさあ大変!! というお話である。以上。これ以上もう書くことがない。

 ちなみに、これは本筋に関係ないのでズバリ書くが、今回も、エンドクレジット後に、おまけ映像がある。が、もう、本当にもう……ぽかーんとしてしまうおまけ映像なので、これはもう、観なくていいんじゃないかな。今回も144分と長い映画なので、トイレが我慢できない人は、さっさと退場していいと思う。「MCU」のおまけ映像は、明確に次作へ繋がる、いわば最速「予告編」として重要なわけだが、今回は、上に貼り付けた予告動画で誰もが想像できる通り、ちらっと出てくるWolvarineの血液が、謎の男たち(原作的には、おお、あいつか!? 的なつながりがある)に持ち運ばれた……的なおまけ映像があるだけである。まあ要するに、その血液から、後にDeadpoolが生み出されたり、いろいろ利用されるわけだが、なんでも、Wolvarine単独スピンオフ第3弾にして最終作が企画開発中だそうで、そこにつながるのかどうか……若干怪しいと思う。
 実は、わたしが一番言いたいことは、この点にある。
 MCUのおまけ映像が、どうしていつも、わくわくさせる素晴らしいおまけになっているかという点が極めて重要で、それは、明確に、「複数作品で大きな視点からきちんとシリーズが考えられていて、各作品に役割が与えられ、事前にきっちりと設計されている」からであり、それ故に、次はアレか!? と観客をわくわくさせてくれるのだ。だが、このFOXによるX-MENシリーズには、残念ながらそれがない。もっと言うと、WarnerによるDCヒーロー映画にも、それがない。ないというか、あるんだけど成功していない。この違いは、おそらくは、MARVEL STUDIOが、自分自身がIPホルダーであり、「全てをわかっている」いわば原作者であるのに対し、FOXやWarnerは、そうではない、という点に由来するものなんだろうとわたしは考えている。
 だから、本作に関して言うと、わたしは十分面白かったし、結構興奮したのは間違いない。決して嫌いじゃあない、のだが、この物語を描いてしまったら。この後どうすんの? というのがさっぱり見えない物語なのだ。Professor XとMagnetoがまた仲直りして、え、じゃあもう、敵対しないの? というのは、ちょっと受け入れられないような気がするし、MagnetoとMystiqueは別の道を歩むのかよ? というのも、それはないッショ、と言いたくなる。その点では、『First Class』のエンディングは本当に完璧だったのになあ……。
 というわけで、わたしとしては、出てくるミュータントたちはとてもよかったし、『First Class』に出てきたHavok(Cyclopsの兄貴)のまさかの復活にはとても興奮したのは間違いない。けど、はっきり言ってCGによるディザスター・ムービー的な都市崩壊の図はもう見飽きているし、そもそも、今回のApocalypseは、強いんだか弱いんだか、かなり微妙な敵になってしまったのは、極めて残念だ。これは、脚本に問題アリ、なのではなかろうか。そしてそれは、長期的な視点の欠如、が最大の欠陥であろうと思う。だってもう、この先のX-MENを描けないもんね。そもそも、前作『Days of Future Past』のラストは、本作『APOCALYPSE』事件の後だし、描いても、まーたこの展開かよ、になっちゃうし。なので、わたしとしては大変残念に思う。そして、さっさとFOXは、X-MENの権利をMARVEL STUDIOに返還した方がいいと思う。もう、FOXでは無理ですよ、きっと。ついでに、Fantastic 4の権利も一緒に返還してください。それがファンが一番喜ぶことだと思うな。

 というわけで、結論。
 超・期待して観に行った『X-MEN:APOCALYPSE』だが、登場キャラクターたちは素晴らしくて大変良かったけれど、長期的視点に立つと、極めて問題アリな物語であろうと思う。それはすでに前作『Days of Future Past』で露呈していた問題だが、本作でもう、取り返しがつかなくなってしまったようにわたしには思える。なので、さっさとMCUに参加してほしいな、というのが、クソオタクとしての意見である。なお、冒頭で、『X1』の主人公が「まさかのWolvarine」と書いたのは、わたしはX-MENのリーダーはCyclopsだと思っていたためで、それは何故かというと、わたしがX-MENを知ったのは、カプコンの格闘ゲームが最初だからです。意味わからない? ああ、分からないなら、それでいいです。どうでもいいことなので。以上。

↓ タダで視聴できるといわれても……おれ、Blu-ray持ってるんですけど……。FOXのマーケティングチームの意図がホントわからねえ……。もちろん、映画として『First Class』は超最高に面白いです。
X-MEN:ファースト・ジェネレーション [Blu-ray]
ジェームズ・マカヴォイ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2014-05-16

 

 というわけで、昨日書いた高田郁先生による『あきない世傳』シリーズの(2)巻を帰りに買い、電車の中で読み始め、ちょっと切りが悪かったので駅ナカのカフェで小一時間読み、家に帰って34.0℃のクソ暑い部屋でじっとり汗をかきながら読んでいたらあっという間に残り50ページぐらいになってしまい、やっべえ、もう寝よっと、と寝苦しい夜をグースカ眠り、今朝、通勤電車の中で読み終わってしまった。

 結論から言うと、今回、主人公「幸」の運命はかなり大きな変転を迎え、この(2)巻ラストでも、な、なんだってーーー!? という事態が勃発し、もう、高田先生、次の3巻はまだっすか!! と大変続きが気になる終わり方で終了した。そして、やっぱり次男の惣次が意外とイイ奴であることも判明し、しかしこのラストは……ええい!! 続きが気になるわ!! という感じでありました。以上。

 と、終わらせてしまうとアレなので、いくつか、へえ~と思ったことを書き連ねようと思います。
 物語の内容に触れることは今回は避けようと思いますが、物語の背景にある時代性? に関連することでいくつかあげつらっておこう。
 ◆1730年代の女性の地位について
 まず、時代として18世紀初頭、江戸中期という事で、元禄を経て質素倹約の時代である。そんな時代の女性はどう生きていたのかについて、いくつかの視点がある。それは、場所的な違いと身分的な違いによってかなり差があると想像できるが、まず第一に、(1)巻で描かれた主人公・幸の故郷での、母親のセリフを引用すると――
 「女子に学は要らん。お尻が重うなるだけやわ。先生(=夫)も何で、女子にまで読み書きを教えはるようになったんか。ほんに余計なことやわ」
 「母さんを見なはれ。読み書きは出来んけど、よう働いて先生を支え、あんたらを産んで丈夫に育て、きちんと家を守ってますやろ。女はそれで十分やわ」
 ――とまあ、こんな感じ。恐らくこういう価値観は、下手をすれば戦前・戦後の都会ではない地方ではずっと変わりなく存在していたかもしれない。つまり、この幸の時代の後の200年間、ずっと変わってなかったという事だ。しかし、先生(=幸の父)が、賢く知識欲の強い幸に対して、「お前が男だったら」と嘆くのも、現代人の我々からすれば、なんとも嘆く方向性が違うような気もする。まあ、仕方ないけれど、そんな時代だ。そして、奉公に出た先の、ある種の都会であり、商人の家である「五鈴屋」では、女中というか「女衆」の先輩のお姉さんたちは幸に対してこう告げる――
 「あのなあ。丁稚は半人前でも『ひと』なんや。しっかり仕事を覚えて、手代から番頭へと、店を背負って立つ大事な『ひと』なんだす」
 「(女衆は)ひとのはずないやろ。出世も暖簾分けも関係あらへん。ずーっと鍋の底みがいて、土間掃いて、ご飯炊いて、洗い物して……ここから嫁に行くか、お松どんみたいに年取って辞めるか、どっちかやわ」
 ――というわけである。一応、女衆は月給制のようだが、幸のような幼い場合は、最初の5年間は無給で、そのかわり、住む場所と食事や衣服、つまり衣食住は保証されるという事で、父が亡くなったとこで収入の途絶えた幸の母としては、幸を奉公にやるしかなかったわけだ。厳しい時代だけど、これもきっと、戦前・戦後辺りまでは普通だったのかもしれない。
 ◆幸と商(あきない)と、知恵。
 こういう女性に対する価値観が時代背景としてある中で、女性はどう生きるかとなると、一つは、従来通りの価値観に身をゆだねて、『ひと』でない生き方をするという方法もあるが、もう一つは、テキトーな言い方だが「手に職をつける」という事だろうと思う。まあ、それは男女関係ないし、現代でも変わりないか。例えば、高田先生の『みをつくし料理帖』で言えば、主人公の澪ちゃんは、女性の料理人なんていなかった時代に、料理人として生きる道を選んだ。これは、時代的に本作より80~90年後の世であり、江戸という大都会であり、経済的な安定もあった時代だからできたことかもしれないが(たぶん、そもそも幸の時代には料理屋はまだほとんどなかったと思う)、何か「モノ」を作って売る、なんらかの「価値」を創って提供する、という経済活動がどうしても必要になる。
 どうやら、幸の父は、「モノ」を作って売る方を「職人」と呼び、「価値」を創造して提供する方を「商人」と呼んで、モノを右から左に渡すだけで手の綺麗な人々=商人を蔑んでいたように感じるが、今のところ、技能のない(=職人にはなれない)幸は、「商(あきない)」に非常に関心を持っている。
 というのも、幸が欲しいものは「知恵」である。それは、大好きだった亡き兄が「知恵は、生きる力になる」と教えてくれたこともあるが、七夕の短冊に知恵が欲しいと書くぐらい、知識欲旺盛な娘だ。そんな幸は、様々な素朴な疑問をぶつけて、その回答を得ると、へえ~、なるほど、と納得して、父が蔑んだ「商=あきない」に興味津々なわけだが、その過程が読んでいてとても楽しめる部分だ。
 例えば、(1)巻で、幸は優しい三男の智蔵にズバリ聞いてみる。どうして、反物は問屋から五鈴屋、五鈴屋からお客さん、の順に移っていくのか、どうして問屋はじかにお客さんに売らないのか、と。それを智蔵や大番頭の治兵衛さんから、直接的な回答でなく幸が考えてゴールに行けるように優しく誘導されて答えに至るわけで、周りの人に恵まれていたことも大きいし、幸の向学心も、大変読んでいて心地よい作品だと思う。
 また、この(2)巻では、(1)巻の段階では商才はあるけど意地悪というか嫌な奴だった次男の惣次も、営業周りに幸を同行させることで幸の魅力に気付き、少しずつ、商売の面白さを伝えたり、惣次自身の、店内では決して見せない、お客さん向けの営業フェイスを見せることで、幸に影響を与えていくわけで、この次男とのエピソードも、実に現代的な営業センスが問われる話で大変面白かった。
 全然物語には関係ないけれど、この惣次が売り出したいと思っている「石畳の柄」の反物がなかなか売れなかったのに、江戸で、歌舞伎役者の佐野川市松が同じ柄の反物で衣装を作って「市松模様」として江戸で大流行になった、という話を聞いて悔しがるというエピソードは、ちょっと、へえ~と思った。つまり惣次は、美的センスというか目利きとしての嗅覚も非常に優れた商人というわけですな。
 ◆「商売往来」
 幸が奉公に来たばかりの時に、番頭の治兵衛さんが丁稚たち相手に読み書きを教えるために使っていた教材が「商売往来」という本で、内容的にも商売の心得的なものが書かれた書物だそうで、これは実在する本なんだそうだ。(2)巻の巻末の企画ページによれば、1694年に刊行され、明治期まで増補改訂がなされたものだそうで、大変な人気のある本だったそうですよ。内容がとてもいいんすよね。曰く、
 「挨拶、應答(あしらい)、饗應(もてなし)、柔和たるべし。大いに高利を貪り、ひとの目を掠め、天の罪を蒙らば、重ねて問い来るひと稀なるべし。天道の動きを恐る輩は、終に富貴、繁昌、子孫栄花の瑞相なり。倍々利潤、疑い無し。よって件の如し」
 もう、これは現代サラリーマンにも心に刻んでおいてほしい言葉ですな。映画の『殿、利息でござる!』に出てきた「冥加訓」にも似てますね。「善を行えば天道にかなって冥加(=神仏の助け・加護)があり、悪を行えば天に見放されて罰が与えられる」。まったくですよ。そういう世の中であってほしいものです。今も昔も、いやな野郎ばっかりですからね、少なくとも自分は、まともでありたいですな。この(2)巻では、とにかくどうしようもないクソ野郎の長男。徳兵衛に重大なことが起こるが、まあ、天に見做されたという事なんでしょうな。おっと、これ以上はネタバレだから書かないぜ!!

 というわけで、結論。
 いや、もう結論は上の方に書いてしまいましたが、とにかく、(1)巻を読んで、まあ、面白いんじゃね? と思った方は今すぐこの(2)巻を買いに、本屋さんへ直行していただきたいと思います。正直、この(2)巻でもまだ序盤、という感じかも。どうも、大きく物語が展開されるのは次以降なのかもしれないです。つーかですね、早く次の(3)巻が読みたいのですが、また半年後かな……楽しみにしておりますので、高田先生、よろしくお願いいたします!! 以上。

↓ コイツもやっぱり、宝塚歌劇を愛する身としては読んておくか……。

 今年の春ごろ、わたしがせっせと読んでいた『みをつくし料理帖』という時代小説がある。とある美人お姉さまに、面白いから読んでみたら? とオススメされて読み始めたわけだが、わたしとしては、その主人公「澪」ちゃんのけなげさが非常に気に入り、全10巻を読破し、このBlogにもせっせと感想を綴ったわけで、とても面白かった作品である。
 著者は、高田郁先生という方で、元々は漫画の原作を書かれていた方らしいが、件の『みをつくし料理帖』はドラマ化もされたし漫画化もされ、ほかの作品、『銀二貫』という作品は、わたしの愛する宝塚歌劇で舞台化もされているという、大変人気のある先生である。ちなみに、さっき初めて知ったが、先生は兵庫県宝塚市のご出身だそうで、自らの作品が宝塚歌劇で演じられたことは、ものすごく嬉しかっただろうな、と思う。
 そんな高田先生の、新シリーズが今年の初めに発売されていたわけだが、わたしはなんとなく手に取る機会がなくて、読んでいなかったのだが、そのシリーズの2巻目が発売になっていて、少し大きめの展開がなされていたので、それじゃ読んでみるか、と、まずは1巻を買って今日の朝読み終わった。それが、『あきない正傳 金と銀 源流編』と言う作品である。

 結論から言うと、本作はシリーズ第1巻という事で、まずはキャラクター紹介的な面が大きいのかもしれない。やや、本筋の物語の始まる前段階、いわばBigins的な位置づけだとわたしは勝手に解釈した。主人公「幸(さち)」の生い立ちとバックグラウンドとなる幼少期から大阪へ奉公に出て、様々な人々と出会うまで、であった。
 なので、面白かったかと言われると、正直まあこれからっすね、というのが偽らざる感想だが、やはり、高田先生の描く主人公は、健気でかわいいし頭もいい、ということで、わたしとしてはとりあえず続きは読みたいと思っているので、今日の帰りにでも、新刊の第2巻を買って帰ろうと思う。
 というわけで、今回は各キャラクター紹介を短くまとめて終わりにしたい。いや、短くなるか分かんねえな、わたしのことなので、また無駄に長くなることは確定的に明らかなような気がしますな。そしてやっぱりどうしても、ある程度のネタバレに触れざるを得ないと思うので、お許しください。さて、行ってみようか。

 ◆舞台:時代としては、享保16年(1731年)から始まる。要するに、我々に分かりやすく言うと、江戸では大岡越前が活躍していた時代であり、経済政策の真っただ中で、将軍様はもちろん、暴れん坊でお馴染みの徳川吉宗である。ただし、この作品の舞台は大坂であり、主人公の「幸」は、今で言うまさしく兵庫県宝塚市あたりの、武庫川の西側の「津門」出身だ。いや、海にもほど近いようだから、もっと南の西宮か。まあ、そんなあたりの生まれである。時代背景としては、作中の言葉によると「元禄時代の華やかなりしバブル崩壊後の倹約が旨とされる時代」である。つまり、商売人には厳しい時代、というわけである。
 ◆幸:さち、と読む。本作の主人公。この冒頭の段階で幸は7歳。なので、1723~1724年生まれぐらい(※どうも11月~12月生まれっぽいので、たぶん1723年生まれかな?)。父は学者で村の私塾の先生。読書や勉強が大好きで、母からは女が学問をしても意味がないと言われ続けながらも、10歳年上の賢く心優しい兄、雅由に見守られながらすくすくと育つ。七夕の短冊に書いた欲しいものは「知恵」。知恵が欲しいって、凄いよな。しかし、大好きだった兄を病で亡くし、翌年に父を喪いという事件が起こり、父を支援していた村の豪農と付き合いのあった、大坂の呉服屋「五鈴屋」へ、奥向き女中として奉公に出される。母と妹「結(ゆい)」を郷里に残し、一人旅立つ幸はその時9歳(1733年の夏)。そして1巻の終わりでは1737年11月、幸は13(~14?)歳までが描かれる。
 ◆富久:通称「お家さん(おえさん)」。幸の奉公先である大坂の呉服商「五鈴屋」2代目の妻。すなわち3代目の母であり、4代目の祖母。1巻ラストの段階(1737年)で58歳。基本的にとてもいい人。
 ◆治兵衛:「五鈴屋」の要の大番頭。初代2代目の頃から勤務している。20歳年下の奥さんとまだ2歳の息子がいる。かなりいい人。どうやら40代っぽい。
 ◆徳兵衛:4代目の現店主。3代目の長男。1733年時点で20歳。両親とも(=3代目夫婦)に15年前に死去。色里通いのダメ人間。弟が嫌い。嫁をもらうが、毎夜、超・激しいらしくて(笑)、お嫁さんはくたくた。基本的にどうしようもないクソ野郎。
 ◆惣次:3代目の次男。1733年時点で19歳。商才のある男でいつもカリカリしている。兄が大嫌い。コイツも基本的にクソ野郎(今のところ)。ひょっとしたら、後にイイ奴に……ならないだろうな……。※追記:2巻読書中。イイ奴になりそうな予感!!
 ◆智蔵:3代目の三男。1733年時点で16歳。商売に興味なし。いつも本を読んでいるやさしい文学青年。幸の向学心に感心していて、いろいろ目をかけてくれる。いがみ合う二人の兄の間を取り持つ的な存在でもあったのだが、幸の奉公3年目に起こる、とある出来事が智蔵の運命を(ある意味、いい方向に)変えてしまう。
 ◆お梅どん:20年来のベテラン女中。良く喋り良く笑う人。笑うとえくぼができる。悪い人ではない。
 ◆お竹どん:同じくベテラン。いつもイライラ。40代。チーフ女中的な人。赤ん坊のころから世話をしてきた智蔵の優しい人柄を見守っている。悪い人ではない。最初はおっかないけど。
 ◆チーム「手代」の5人:鉄七、伝七、佐七、留七、末七。名前に「七」をつけるものらしい。へえ~。
 ◆チーム「丁稚」の3人:広吉、安吉、辰吉。名前に「吉」をつけるらしい。へえ~。
 ◆菊栄:徳兵衛の嫁として、幸の奉公2年目(1735年の夏)に嫁いで来る。この時17歳(なので旦那の5つ年下、幸の6歳年上)。明るく元気なお嬢さん。幸を気に入り、いろいろと優しくしてくれる。浄瑠璃好きで、智蔵とも仲良し。「五鈴屋」の奉公人たちからも好かれていたのだが、肝心の夫の徳兵衛がいかんせんクソ野郎で……。

 とまあ、こんなキャラクター達の間で展開される、大坂商人の日常的な物語である。上記のリストに入れなかったけれど、幸の父は、あまり出てこない。冒頭の故郷での生活の際に出てくるけれど、どうやら元・士分だったようで、妙にプライド高いのか、商人=汗水たらして働かないインチキ野郎、と決めつけていて、わたしから見れば、お前も世間を何も知らない学者野郎じゃん、という気もする。なので、父は幸に、「手の綺麗な(畑仕事で手があれていない)人間は信用するな」と言い聞かせ、「商(あきない)とは、即ち詐(いつわり)なのだ」という自説を幸やお兄ちゃんに押し付けていた。しかし、お兄ちゃんは父よりももっと聡明で、世の中のことを洞察していて、商を貶めて良いものではない、ときちんと分かっていた。そんな環境で育った幸なわけで、非常に賢く、奉公に上がってからも、何度もお家さんや智蔵、治兵衛に鋭い質問を投げかけることで、おっと、この娘は只者じゃない、かも、と認められていくわけだが、いかんせん、最初に書いた通り、この1巻の段階ではまだまだ、幸が中心の話ではないので、この作品世界のメインストーリーではないのだろうと思う。

 というわけで、もう結論。
 高田郁先生の『あきない正傳 金と銀 源流編』は、どうも物語の始まりのための、バックグラウンドを描くお話で、本格的に物語が動くのは、次巻以降なんだろうと思う。わたしとしては、今回だけではまだ物足りないというか先が気になるので、まあ、とにかく今後、幸がどんな人生を歩んでいくのか、大変楽しみにしながら、シリーズを追っかけて行こうかな、と思います。以上。

↓ というわけで、2巻が出たばかりっすね。帰りに買うの忘れんなよ……!!

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 今日は全くネタがないのでさっさと本題に入ります。

 では、 さっそくいつもの興行通信社の大本営発表です。

 1位:『シン・ゴジラ』が10日間合計で21億突破したそうで、2週連続1位。内容的にも相当評価が高いようですね。皆さん納得の出来なのでしょう。今週末のお盆が明けたところで、30億は余裕で越えちゃうんじゃないすかね。先週も書いた通り、おととしのハリウッド版『GODZILLA』が32億だったので、そのラインはどうやら一気に越えちゃう勢いすね。
 2位:『ファインディング・ドリー』が23日間で40億に乗ったかどうかぐらいか? いや、もうとっくに余裕で越えているかもしれない。先週あたりから、『ズートピア』のペースを超えてきました。順調、と言ってよさそうです。
 3位:『ONE PIECE FILM GOLD』が16日間合計で30億を突破したそうです。2012年の『Z(最終68.7億)』は3週目で42億ぐらいだったはずなので、それと比較して約73%ぐらいか? てことは50億届くかどうか、ぐらいなんでしょうか。いずれにせよ、ものすごい数字ですな。
 4位:『仮面ライダーゴースト/動物戦隊ジュウオウジャー』が公開土日で2.75億ほどだったそうです。いわゆる「夏ライダー」ですが、ここ数年ライダー映画はちょっと元気がなかったけれど、ここ5年では一番いい感じ。(※2016/08/09追記どうも、ライダーは2.11億が正解のような気がしてきました。ソースはcinematodayです。てことは、やっぱり、まあここ数年と同じくらいということになるみたいです。)同じ夏ライダー比較で言うと、去年の「ドライブ/ニンニンジャー」が2.13億、おととしの「鎧武/トッキュウジャー」が1.69億、その前の「ウィザード/キョウリュウジャー」が2.51億スタート。さらにその前の「フォーゼ/ゴーバスターズ」が2.54億だった。てことは、なんだ、「ゴースト」って人気あるんすね。それともジュウオウジャーが人気なのだろうか?
 5位:『ルドルフとイッパイアッテナ』が公開土日で2.11億。(※2016/08/09追記:こちらも、1.87億が正解かも)ちびっ子向け作品がいっぱいある中でこのスタートはまずまず、いや、健闘と言ってよさそう。なんでしょうか。実はすごく観たい……泣きそうな気がする。予告を観る限り、声もとてもいいすね。
 6位:『秘密 THE TOP SECRET』が公開土日で2億~1.8億ぐらい?のスタートの模様。数字が出てないのでわからない。※2016/08/09追記:どうやら最初の土日は1.31億スタートだったとコメントいただきました。情報ありがとうございます。304スクリーンという公開規模からすると、ちょっとキビシイ数字ですね……。かなり多くのTV番組でキャストを動員したプロモーションを見かけたけれど、大友監督作品としては若干大人し目のスタートとみるべき、かも。ちょっと観たいとは思ってますが、上映時間が149分と非常に長い……。
 7位:『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ポルケニオンと機巧のマギアナ』が23日間で12~13億ぐらいだろうか? 去年は同期間で16億ぐらい行ってたと思う。厳しい。
 8位:『ターザン:REBORN』が9日間で3~4億円ほどだろうか。そこまで伸びてないかな? わたしは大変楽しめました。
 9位:『HiGH & LOW THE MOVIE』が23日間で14~15億ぐらいだと思うけど、どうだろう。※2016/08/09追記。累計で14.8億だそうです。これは意外と合ってた。
  10位:『インディペンデンス・デイ:リサージェンス』が30.5日間(金曜前夜祭コミ)で24~26億ぐらいだろうか? もうちょっと多いかもしれない。ちょっと30億は難しい気配、と予測します。

 てな感じだと思う。今週は数字のないものがあって、いつにもまして予測は自信なしです。
 今現在、オリンピックが開幕して、ちょっと映画館への出足に影響しているのかどうか、この週末のお盆興業の数字が注目だと思います。例年、お盆の週末は、前週よりも数字が伸びる傾向にあるので、今年はどうなるか、ですな。この週末からは、洋画の大作が2本公開になりますが、まあ、わたしがとても楽しみにしている『X-MEN』は日本国内では厳しい数字であろうと予想されますが、もう一方の『ジャングルブック』がどんな数字でスタートするのか、非常に予測が難しいところだと思います。あと、そうだ、『ゴーストバスターズ』もありましたね。これは……観た方がいいのか……まだ決めてませんが、なーんにも予定のない暇な私は、観に行ってしまうような気がしています。

 というわけで、結論。
 2週目の『シン・ゴジラ』が好調に推移、一方『ドリー』もいよいよエンジンがかかってきた模様。それにしても、『ポケモン』が非常に厳しいですなあ。「GO」は大ヒット中なのにね……以上。

 暑い。今、わたしの部屋の室温32.5℃。たまらん……。
 というわけで、昨日の夜、たまっているWOWOW録画の映画でも見るか、と思い、HDDレコーダーの録画リストをチェックしてみたところ、いつもの通り、この映画はなんだ? なんで録画したんだろう……? と謎の映画がいくつかあり、その中から、一番最近録画したらしい作品を観てみることにした。
 タイトルは、『アデライン、100年目の恋』。どうやら日本では去年2015年10月に公開された作品らしいが、全然知らなかった。ホント、何度も書いていることですが、いかな映画オタクのクソ野郎のわたしでも、知らない作品はほんとにいっぱいあるもんだなあ、と思う。ま、このクソ暑い中、一人汗じっとりでラブロマンス系と思われる作品を観るのもちょっとどうかと思ったが、これがかなり面白くてわたしとしては大変楽しめたのである。 

 わたしは上記予告を観ずに本編をいきなり観たわけで、全くストーリーを知らずに観始めたのだが、再生を開始して1分で、録画しようと思った理由は判明した。主役が、先日わたしが映画館で観て大変面白かった映画『The SHALLOWS』(邦題:ロスト・バケーション)の主役の、Blake Lively嬢だったのだ。ははあ、なるほど、だからか、と納得したものの、まだどんなお話かは分からない。冒頭は、現代の2014年で、主人公が偽造免許書などの別人名義の身分証明書を、偽造屋の若造のところに受け取りに行くところから始まる。美しい女性が一体なぜ、偽造した身分証明書を必要とするのか? その謎は、すぐに解明される。上記予告編で描かれている、1930年代(?)の超常的な、悲しい出来事が語られるのだ。
 主人公アデラインは1908年生まれ。San Franciscoに住む彼女は美しく成長し、Golden Gate Bridgeの建築に携わった建築家と恋に落ち、結婚し、一女をもうけ幸せな日々を送っていたが、1930年代に夫を建築現場の事故で亡くし、その後、自らも自動車を運転中に事故に遭ってしまい、死亡する――のだが、心停止の数分後に、事故に遭った自動車に雷が落ち、その膨大な電気エネルギーで奇跡的に蘇生する。そしてその電気エネルギーは、体内細胞の機能を一部変質させ、「老化現象が起きない不老の体」になってしまったのだ。(※どうやら、「不死」ではないようで、ケガとか事故に遭えば普通に死んじゃうようで、あくまで「不老」なだけ、らしい)
 以来、娘だけがどんどん年老いていくのに、「永遠の28歳」となったアデラインは、10年ごとに名前を変え、住む場所も転々と変えていく生き方をしているらしい。だから現在107歳だか108歳なのだが、ちょうどその10年目、というわけで、冒頭の偽造身分証が必要になったということらしい。そして、引っ越しを前に、大みそかのパーティーで一人の男と出会う。かなり強引なその男に、次第にひかれていくアデライン。しかし、わたしには秘密が……と悩むわけだが、すでに80代になった娘が言う。逃げちゃあだめだ、と。そしてその男の想いを受け入れ、家族に会うと、男の父親は、かつてアデラインが1960年代に出会い、最も愛した男だった……とまあ、そんなお話です。これはもう予告に描かれている通りだから、ネタバレだけど許される範囲内、だよな? わたしも観ながら想像できた展開だし。

 というわけで、なかなか切ない、いいお話であったわけで、わたしは大変楽しめたのだが、それにしてもやはりこの映画は、主人公アデラインを演じたBlake Livelyの可愛さ、美しさ、セクシーさが光るのと、かつての恋人の老いた姿をしんみりと演じた、我らがソロ船長ことHarrison Ford氏のカッコ良さがグッとくる映画であったといえよう。もちろん、その息子で現在の彼氏を演じたMichiel Huisman氏も、老いた娘を演じたEllen Burstynさんもなかなかグッとくる表情を見せてくれ、演技レベルは高く、わたしとしては大変満足である。
 前回も書いたけれど、ホント、Blake嬢はスザンヌ嬢によく似てますな。今回は、わたしの大好物な「幸薄いしょんぼり顔」のシーンが多くて、とても美しい女だなあ、と思いながら観ていました。今度、もっともっと売れていってほしいですな。まだ28歳と若いし。演技ももっともっと伸びしろはあると思います。とにかく、うつむき加減のしょんぼり顔が素晴らしい。大変な別嬪さんだと思いますが、この人の旦那は、『Deadpool』でお馴染みのRyan Reynolds氏なんだよなあ……くそう。デッドプールのくせに! 実にうらやまけしからんですな。
 そしてソロ船長ことHarrison Ford氏は、今回、息子が彼女を連れてくる、どんな娘だろう、と対面したとき、「!!??」とハッとする表情が素晴らしかった。「えっ!? えっ!? なぜ君が!?」と驚き取り乱す表情、そして、現在の妻に対して詫び、取り乱してすまなかった、けど、君が一番に決まってるだろ、と照れながら話す表情、ともに素晴らしかったと思う。
 
 というわけで、まあ、ファンタジックなところもある時空を超えたラブロマンスということで、意外とわたしはそういうたぐいの話が嫌いじゃあない、つかむしろ好きであるので、全然予備知識なく録画した自分をちょっとほめたいところだ。ただし、クソ暑い部屋でじっとり汗ばみながら見る映画じゃあなかったな、と思うので、素直にエアコンをつけて快適に観ることをおススメします。この映画、大変良いと思います。
 ただし、調べてみたところによると、一般的な評価はかなり微妙すね。絶賛するほどでないけれどクソ映画でもない、ぐらいなラインのようですな。興業的には、US国内で42M$=43億ぐらい、なので、どうだろう、製作費回収はできたのかな? キャストのギャラが高そうだから、ちょっと無理かな。それも微妙なラインすかね。あと、監督も調べてみたものの、ほとんど長編劇場作品は初めての男みたいですな。まあ、悪くないというか、実に堅実なオーソドックスな演出だったと思います。あと、若き日のソロ船長を演じたのがAnthony Ingruber君という26歳の若者だが、たぶん、すごく勉強したんだと思うな。ソロ船長の、特徴的な、唇の片方だけ吊り上げる笑み、って分かるかしら? あれを自然に再現してました。それから、声は……Anthony君の声なのかな……だとしたら特訓したんだと思う。ソロ船長の特徴的な声を上手にまねていたと思う。あれって……地声なのか、ひょっとしたら、ソロ船長本人がアフレコで入れてた可能性もあるんじゃかなかろうか。それほど、似てました。ちょっと、Anthony君の名前は憶えておきたいと思う。

 というわけで、結論。
 たまたまWOWOWで放送されたので録画して観た『The Age of ADALINE』(邦題:アデライン、100年目の恋)だが、大変良質のラブ・ロマンス・ファンタジーであった。わたしは結構こういう作品は好きです。100年目の恋……いいすなあ……。そして、Blake Lively株がわたしの中で相当急騰しつつあり、彼女もまた、わたしの好きなハリウッド女優の一人に入れたい気がしてきております。つか、スタイル抜群すね。大変良いと思います。以上。

↓ もうとっくにBru-layは発売されてますね。原作小説でもあるのかと調べてみたけど、ちょっとわからんです。小説にしても面白いと思うな。
アデライン、100年目の恋 [Blu-ray]
ブレイク・ライヴリー
松竹
2016-03-02


 わたしは山に登る男だが、何度かこのBlogで書いた通り、ランニングや登山などを趣味としていると、100%間違いなく、「何でわざわざそんな辛いことするの?」と聞かれることがある。
 その度ごとに、世間的に善人で通るわたしとしては「うるせーな、一生走ったり山に登ったりしないお前には永遠にわかるわけねーだろ」 と心の中で思いながら、さわやか営業スマイルで「まあ、気持ちいからっすね」と答えるようにしている。実際それがわたしの心を最も正確に表現しているのだが、そういう話をしていると、これまた100%確実に、「ストイックですよね、ホントに」とかいう感想を聞かされることになる。
 するとわたしは、心の中で、「お前なあ、ストイックって言葉の意味知ってるのか? 大体お前、ストア派の哲学を理解して言ってんのか? ストイックってのは、ストア哲学派っぽい、って形容詞だぞ? オレは全然欲望に満ち溢れてるっつーの!!」 と、我ながら小学生じみためちゃくちゃな理論が頭の中を渦巻き、内心かなりイラつくのだが、ま、もう慣れているので、「そんなことないっすよ、はっはっは」的にテキトーにあしらい、その人間と、お疲れっした~、と別れた直後、すぐにどこかタバコを吸える場所を探して一服し、はあ、あいつとは永遠に分かり合えねえな、という判定を煙とともに吐き出すことにしている。まあ、その人の印象やどんな顔をしてたかすら、煙とともに虚空に消え去るわけだが、ちなみに、わたしは、そうだなあ、たぶん100人近い人々から、「ストイック」だと評されたことがある。あーあ。人は分かり合えませんなあ。
  というわけで、わたしがさっき読み終わった本が、わたしの好きな作家の一人である湊かなえ先生による『山女日記』である。湊先生と仲良しのお方に聞いた話によると、湊先生も結構山に登るお方だそうで、ハードカバー単行本で出たのが2014年とちょっと前なのだが、ついうっかり文庫が出るまで待つか……リストに入れてしまったため、ようやく先日発売になった文庫を買い、読んでみたわけである。
山女日記 (幻冬舎文庫)
湊 かなえ
幻冬舎
2016-08-05

 結論から言うと、本作は、湊先生の『花の鎖』や『物語の終わり』のような、短編連作でキャラクターが次々と入れ替わりながら、それぞれ関係していて最後、美しくまとまる系のお話で、大変に面白かった。さっさと単行本で読めばよかったと思う。
 で、内容は、タイトル通り、登山を趣味とする女子たちのお話で、何人か登場するキャラクターたちが少しずつ関係があってつながっており、読みながら、ああ、この人は前の話に出てたあの人か、みたいな感じで読み進めるように書かれていて、それぞれ全く性格が違ったり、思わぬところでつながったり、とても楽しい時間を過ごせる物語であった。
 さて、じゃあ、今回は、それぞれのキャラクターをまとめておいて、読む際の人物相関図的なものをイメージできるような記事にしようかな。サーセン。ネタバレも含んでると思います。
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 第1話:「妙高山」
 ◆江藤律子:通称りっちゃん。超しっかり者。30代。婚約者との結婚を前に、若干悩み中。丸福デパートの婦人服売り場担当。「アウトドアフェア」でDannerの登山靴に一目ぼれし、山デビューを決意。第1話の語り手。由美のいい加減さが実は大嫌い。学生時代は剣道部。
 ◆芝田由美:超ルーズな今どき女子。同じデパートの同期。部長と不倫中。勢いだけで参加した。何も考えてなさそうな女子だが、意外とかなり心優しい女子(?)。
 ※ちなみに、Dannerのブーツは、山を趣味にしている人ならだれでも知ってる有名なブランドなのだが、わたしは、高いし、デザインもあまり好みでないし、とにかく重くて硬いのでわたしの登山スタイルに合わないので買ったことはない。けど、知らない人が見て、これぞ「ザ・登山靴」とあこがれる気持ちはよくわかる。
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 第2話:「火打山」
 ◆神崎秀則:40代。この第2話の段階では、まだ下の名前は不明で、「神崎さん」としか出てこない。お見合いパーティーで美津子に一目ぼれ。曰く、「クールビューティーなところ」に惚れたのだとか。
 ◆美津子:40代。この第2話の段階では苗字は不明。バブル入社で証券会社へ入社したものの、倒産。現在は老人ホームの事務員。バブル時代のキメキメスーツやメイクを同僚の若い女子にバブルと揶揄されることを腹立たしく思っている。実は大学時代は山岳部で、バリバリの元アウトドア人種。
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 第3話:「槍ヶ岳」
 ◆わたし:たぶん第1話で律子にいろいろアドバイスしてくれた牧野しのぶさんだと思う。子供のころから父と山に登っているベテラン。大学の山岳部の団体行動が耐えられず、部を辞めてもっぱら単独行。律子たちの一つ年上で、丸福デパートの贈答品売り場担当。落ち着いた雰囲気の女子
 ◆永久子さん:直接は出てこないが、「わたし」の山岳部の1つ先輩。永久子さんも部を辞めた。後に、やっぱり単独行は不安だからと山岳ショップ主催の登山で知り合った男と来年結婚するかも、という状態。郵便局勤め。
 ◆本郷さん、木村さん:「わたし」が出会う年配の登山者。実にうっとおしい。わたしなら確実に無視して一切しゃべらないと思う。
 ※わたしも常に単独行だが、不安は感じたことはない……かな。やっぱり、どうしてもペースの合わない人とは行けないし。ちなみに、わたしは山で出会った人と同行を求められたことは一度もないのだが、この話を読んでいて、その理由が分かった。わたしは、どの山でも基本的にほとんど休憩しないで歩き続けているので、話しかけられる余地が一切ないんだった。そうか、休憩しないと、話も出来んわな、と納得できた。やれやれ……。
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 第4話:「利尻山」
 ◆宮川希美:第4話の語り手。35歳。実家は玉ねぎ農家(場所はよくわからないが田舎らしい)。都内の外大を出た後、フリーの翻訳家を名乗りながら収入はわずかで、母を亡くした父とともに実家暮らしで畑を手伝っている。友人に立花柚月という帽子デザイナーがいる。しっかり者の姉に、いつも見下されているように感じていて、若干苦手。
 ◆お姉ちゃん:下の名前は不明。「お姉ちゃん」としか呼ばれない、希美の姉。しっかり者。大阪の女子大を卒業。栄養士として勤務した病院で知り合った医師と結婚。娘が一人いる。大学の時に、同じ寮の同級生、内藤美佐子に誘われて山岳サークルへ。なので、元・山ガール。長女としてのしっかり者プレッシャーからなのか、寝ているときに歯ぎしりする癖がついてしまったのがコンプレックス。何やら旦那との関係で問題発生のようで……
 ※利尻山は、たぶん登場人物と全く同じコースでわたしも登ったことがあるけれど、往復で確か5時間チョイぐらいだったので(AM4時過ぎから登って10時前には下山完了していた)、ああ、やっぱり普通の人は倍かかるんだ、とこの話を読んで初めて知った。あの時も、登りで一回休憩したぐらいだったなあ……。
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 第5話:「白馬岳」
 ◆お姉ちゃん:今回はお姉ちゃんが語り部。苗字も名前も、この話でも判明せず。読み飛ばしちゃったのかな……?
 ◆七花:お姉ちゃんの娘。小学5年生。賢く、パパ・ママが大好きないい子。
 ◆宮川希美:この話も、妹である希美も参加。
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 第6話:「金時山」
 ◆梅本舞子:丸福デパートの、律子・由美の二人と同期の同フロア。本当は妙高山にも一緒に行く予定だったが熱を出して不参加だった。元バレーボール選手だが、膝を壊して大学3年で引退。「日本一」にこだわるバリバリ体育会系女子。目標を定めて一つ一つこなすタイプ。妙高山以来、律子と由美が仲良くなったのが若干面白くない。いつも、しっかり者の律子が由美にキレて、まあまあ、と間に入るのが舞だったのに。
 ◆小野大輔:舞子のちょっと年下の優しい彼氏。劇団員の夢追い人、と思っていたら、実は意外な過去が……。
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 第7話:「トンガリロ」
 <10数年前>
 ◆立花柚月:旅行会社のニューカレドニア支社駐在員。色黒。大学では山岳サークル所属。日本にいる長距離恋愛中の彼氏、吉田くんとニュージーランドで待ち合わせ、トンガリロへ向かう。その後、ニューカレドニア支社がバブル崩壊で閉鎖され帰国、通販をやっている子会社へ出向。そしてその会社を辞め、専門学校に通って技術を身につけ、今では予約しても納品に半年かかる人気の帽子製作者。
 ◆吉田くん:柚月の彼氏。柚月曰く、デブは嫌いだが、「硬いデブならアリ」というゴツイ男。元ラガーマン。
 <現在>
 ◆立花柚月:10数年ぶりに懐かしのニュージランドトレッキングのツアーに一人で参加してみる。その理由が明らかになるラストはとてもジーンと来た。
 ◆石田真由:現地のツアー添乗員の女性。推定20代前半とまだ若い。
 ◆神崎秀則&美津子:第2話の二人。めでたく結婚している。ハネムーンとしてツアー参加。美津子さんはさすがにブランド物に詳しく、柚月の帽子の愛用者で……。
 ◆牧野しのぶ&太田永久子:第3話の「わたし」と先輩の永久子さんもこのツアーに参加。永久子さんの結婚が決まったのでその壮行トレッキングに来た。
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 最終話:「カラフェス」
 ◆宮川希美:第4話から3年が経過している。あれ以来、山の楽しさに目覚めるが、いかんせん彼女は単独行よりも仲間が欲しいと思っていて、「山女日記」というWebサイトで、「クマゴロウ」なる女子の書き込みを見て、涸沢で行われる「カラフェス」へ参加しようとやってくる。
 ◆熊田結衣:希美が出会った若い女性。希美は、彼女が「クマゴロウ」本人だったことに驚き、仲良くなる。
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 はーーー。長くなったけど以上かな。
 
 というわけで、もうこれ以上長く書いてもしょうがないので、結論。
 湊かなえ先生による『山女日記』はとても面白かった。わたしもすべて単独行で、今後もそれは変わらないが、そりゃあ、山友達がいればなあ、と思わないこともない。が、いつも、前に書いた通り、休憩しないでとにかくずっと歩いているので、知り合う機会がないわけで、今度はちょっと、休憩をとるようにしてみようかな。でも、オレ、とにかくがらーーーんとした山が好きなので、実際のところ人に会わないことの方が多いんだよな……アルプスは人が多すぎて行く気になれないし。そもそもの問題はそれか!! まったく……やれやれ、だぜ。以上。

↓ ちなみに、本作は、北村薫先生の『八月の六日間』にもとてもよく似ている。確かこの作品、映画化が発表されてたんじゃないかな。偶然、こちらは2014年に単行本で出たときに読んでいたのだが、とにかく、本作はよく似ていると思う。こちらも結構おススメです。
八月の六日間 (角川文庫)
北村 薫
KADOKAWA/角川書店
2016-06-18

 4月から5月にかけて、わたしはMark Greaney氏による「暗殺者グレイマン」シリーズを立て続けに読んでとても興奮し、楽しく(?)読ませていただいたわけだが、この度、そのシリーズ最新作が発売になり、さっそく購入し、おととい読み終わった。いやー、大変興奮する物語で、とても面白かった。
 一応、今までの経緯をおさらいしておくと、かの有名な「ジャック・ライアン」シリーズが、その生みの親であるTom Clancy氏の早すぎる逝去に伴い、巨匠からバトンを引き継いで、「ライアン」シリーズを現在書いているのがMark Greaney氏である。で、「ライアン」の最新作から、完全にGreaney氏単独クレジットで発売され、読んでみたところ大変面白かったので、この新しい著者、Greaney氏とは何者なんだろう、と調べたら、わたしの大好きな早川書房から「暗殺者グレイマン」シリーズと言う作品を発表していることを知ったので、じゃ、読んでみるか、という事になったのである。
 で、読んでみた。ら、わたしのようなハリウッド・アクションが大好きな人間は大変楽しめる、非常に面白い作品だったのである。このBlogで取り上げた記事のリンクと、いつも冒頭に書いている基礎知識を自分用に貼っておこう。手抜きでサーセン。
 1作目『暗殺者グレイマン』の記事はこちら
 2作目『暗殺者の正義』はこちらの記事へ。
 3作目『暗殺者の鎮魂』の記事はこちら
 4作目『暗殺者の復讐』の記事はここ
 上記記事内でも何度も書いている通り、このシリーズの最大の特徴は、主人公コート・ジェントリーこと暗殺者グレイマンのキャラクターにある。彼は、数々の伝説的な仕事をやってのけた凄腕殺し屋として諜報業界=Intelligence Communityでは誰もが知る有名人なのだが、スーパー影の薄い、印象に残らない男ゆえに、その正体は業界的には謎に包まれている。で、元々は、CIAの軍補助員工作員で、どういう理由か不明なまま、Shoot on Sght=「目撃次第射殺」の指令が下ってしまって、5年にわたってCIAから逃げているという設定になっている。だけど、妙な正義感があって、悪党しかその手に掛けないという「自分ルール」を持っていて、変にいい人過ぎるが故にどんどんピンチに陥り、血まみれになりながらなんとか勝利するというのがどうもパターンのようだ。冷徹なんだか、いい奴なんだか、もう良くわからないのだが、読者から見れば、その「自分ルール」故に、まあとりあえず応援はしたくなるという不思議な男である。そして最終的に事件はきっちり解決し、読後感としてはいわゆるカタルシス、すっきり感があって大変面白いとわたしは思っている。
 そしてこれも何度でも書くが、外見的な描写はあまりないのだけれど、わたしは彼のビジュアルイメージとしては、勝手にJason Statham兄貴か、Mark Strong伯父貴をあてはめ、絶対マッチョのセクシーハゲだと確信している。ピッタリだと思うな、たぶん。

 というわけで、5作目となるのが、おとといわたしが読み終わった最新作『暗殺者の反撃』である。
暗殺者の反撃〔上〕 (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・グリーニー
早川書房
2016-07-22

暗殺者の反撃〔下〕 (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・グリーニー
早川書房
2016-07-22

 さてと。本作は、前作のラストシーンからの続きで、ジェントリーがとうとう逃げることをやめ、過去と対決するためにUS本土に降り立ち(ずっと世界中を逃げていたので、帰国したのも5年ぶり。しかも今回の舞台はほぼずっと、Washington DC)、ずっとシリーズ最大の謎とされていた、何故CIAは、ジェントリーに対して「目撃次第射殺」の指令を下したのか、の答えが出る物語だった。なので、わたしとしてはもう、超興奮しながら読んだわけです。
 今回は上下本で、過去最大ボリューム。そしてジェントリーは今回、ほとんど失敗しないで比較的ストレートに話は進む。実は今までの物語は、お人良し故にピンチになったり、信じたばっかりにひどい目に遭ったり、せっかくの目的地に到着してもまるで無駄足だったり、と、読んでいて、お前何やってんだよ!! と思わず突っ込みたくなるぐらい、まあとにかくひどい目に遭ってばかりだったので、実は若干読んでいてストレスを感じていたというか、イライラすることもあったのだが、もう今回はそういう失敗はほぼなくて、非常に気持ちよかったですな。

 じゃ、今回も、主要人物をあげて、いつかすっかり内容を忘れたときのための備忘録とするか。
 ◆コート・ジェントリー:フロリダ州出身。30代。裏社会では「グレイマン」と呼ばれ恐れられているが、CIAでのコードネームは「シエラ6」。主に「シックス」と呼ばれていた。そして現在のCIAのターゲットネームは「違反者(ヴァイオレーター)」。とにかく、本人的には正義を遂行しているだけで、悪党は基本的に即ぶっ殺す、恐ろしい男。今回、深夜のコンビニ勤務の黒人女性を守るために、自らが危険になるとわかっていても悪党をあっという間に3人殺したりする。そのせいで隠れ家がばれてしまうリスクがあるのに。そんな奴ですよ、グレイマンは。実に律儀でまじめな男です。本作では、前作(第4作目)で貸しのできた、モサドの手引きで5年ぶりに合衆国の土を踏む。あと、今回初めて、父親が登場する。そしてその父が登場する場面が結構グッとくるというか、泣ける!! 
 ◆ザック・ハイタワー:次に紹介するのは誰にしようかと悩んだけど、この人にしよう。この人は、ジェントリーのCIA時代の所属部隊「Golf Sierra」、通称「Goon Squad(=特務愚連隊)」のチームリーダー。コードネームは「シエラ1」あるいは「ワン」。彼はシリーズ第2作目にも登場した男で、ジェントリーの腕も人柄も一番よく知っている、けど、ジェントリーを殺せという指令が出たならそれを遂行するまで、という態度のプロフェッショナル。勿論、ジェントリー並に強い(はず)。第2作目でジェントリーに助けられてはいるんだけど、かなりひどい目に遭っていて、その2作目の任務のめちゃくちゃぶりからCIAを解雇されてしまっていたが、腕を見込まれてCIAのヴァイオレーター狩りに召集される。彼は敵なのか味方なのか!? というのも本作のポイントの一つ。元上官だけあって、わたしは二人の会話が好きで、特にザックがジェントリーに「・・・だぜ、きょうだい」と平仮名で呼ぶのが非常に好き。わたしのザックのビジュアルイメージは、完全にStephen Lang氏ですね。あの、『Avatar』の悪党の大佐です。
 ◆マット・ハンリー:ジェントリーたちGolf Sierraを運用していたCIAの元上司。第3作目で、メキシコで危うく殺されそうになったジェントリーを単身助けた(ただし、助けたことがCIA内部で彼を窮地に陥らせてしまうので、ジェントリーはマットの腹を撃って、仲間じゃないと見えるようにした。未だに撃たれたことに怒ってる)ことがある。ジェントリーの実力も人柄もよくわかっている唯一の味方といってもいい男。元軍人だが、今は太鼓腹。そして現在ではCIA特殊活動部(SAD=Special Activities Division の略か?)の部長にまで昇進している。カーマイケルが大嫌い。なお、マットはジェントリーに対する「目撃次第射殺」の原因を、正確には知らない。わたしのマットのビジュアルイメージは、若いころのOliver Platt氏ですね。
 ◆アンディ・ショール:ワシントンポストのDC担当記者。本作で一番最初の事件を偶然取材。かわいそうな青年。
 ◆キャサリン・キング:ワシントンポストのベテラン調査報道記者。誠実?な女性。アンディがネタを持ち掛け、以後二人で取材に駆け回る。そして最終的に非常に大きな役割を担う。もし映画化されるならキャサリン役はぜひとも、我が愛しの女神ことCate Blanchettさまにお願いしたいですな。
 ◆デニー・カーマイケル:CIA国家秘密本部本部長。政治任命されるCIA長官よりも現場の実権を握るラスボス。ジェントリーに「目撃次第射殺」指令を出した張本人。彼がなぜ、ジェントリーを殺そうとしているのか、が、本作最大の謎。非常に面白かった。
 ◆ジョーダン・メイズ:カーマイケルの手下の副本部長。実際のところ、彼はジェントリー抹殺の本当の理由を知らず、使われただけの可哀想な人。
 ◆スーザン・ブルーア:ヴァイオレーター対策グループの作戦指揮官として今回初登場の女性。有能、だけどずる賢いと言っていいのでは? 好きになれそうもない。が、端々に、とにかくいい女であるような描写をされている。彼女は悪党一派だと思うんだけどなあ……彼女の最終的な立ち位置だけが、わたしとしては本作の唯一の不満点。
 ◆ムルキン・アル・カザス:サウジアラビア王国の諜報機関のアメリカ支局長。どうやらカーマイケルとは密約があるようで……ヴァイオレーター狩りにサウジの勢力も参戦。
 ◆リーランド・ハビット:第4作目で執拗にグレイマンを追った民間軍事企業の社長。前作でジェントリーにこっぴどくやられた人。基本的にとんでもない悪党だけれど、かわいそうな運命に……。

 まあ、主要なキャラクターは以上かな。
 今回は、いつものわたしの記事のようにネタバレ満載で物語を紹介すると、ちょっともったいないというか興味がそがれる恐れがあるので、やめておきます。とにかく、いきなり本書を読む人はいないだろうから、あくまでシリーズを読んできたという前提で書きますが、今回の話で、ジェントリー=グレイマン=ヴァイオレーター=シックスは、長年の謎が解けてスッキリするのは間違いない。けれど、その秘密を知る過程で、何度もくじけそうになり、あるいは不完全な情報を得て、心が折れそうになったり、おまけに今回もかなり早い段階で大けがを負うのでまたもボロボロですが、それでも、いつもの不屈の精神力で何とか切り抜けていく様子は大変楽しめます。
 とくに、ラストのミッションはもうワクワクものですよ。非常にカッコイイし、映像映えすると思う。一番最後のアレって、『The Dark Knight』で出てきたアレですよね? いや、アレじゃわからんと思うけれど、読み終わったらわたしが何を言ってるか、分かると思います。もうホント、すげえ男ですよ。大変楽しめました。

 最後に、わたしの大好きな早川書房へ感謝を述べておきたい。電子書籍版を紙の本の発売から1週間とすぐに出してくれてありがとうございました。でも、せめて自社ページで、電子版はいつ発売、って告知ぐらい打っといてください。もう、何度、本屋さんの前で、紙で買っちまおうか……と悩んだことか。いや、早川ならオレの期待に応えてくれる!! はず!! と何の根拠もなく信じてよかったす。
 それから、シリーズを読んできたファンの皆さんに、これだけはネタバレだけど言わせていただきたい。確実に、シリーズは新たな展開でまだ続く可能性大ですよ!!! 楽しみすね!!

 というわけで、結論。
 「暗殺者グレイマン」シリーズ最新作は、とうとう最大の謎が判明する注目の作品です。シリーズを読んできた方は、今すぐ、本屋さんに行くか、どこかでポチッて下さい。読まない理由は何一つありません。最高です。
 以前も書いた通り、Greaney氏のWebサイトには
 A feature film adaptation of The Gray Man is in development by Columbia Pictures, with Joe and Anthony Russo of Captain America, Winter Soldier, to direct.
 とありますので、映画化を心から楽しみに待つのが、正しいファンの姿だと思います。監督がルッソ兄弟なんて、もう傑作になることは間違いなしですな。超楽しみですが、ジェントリー役は、絶対にJason Statham兄貴でよろしくお願いします!!! 以上。
 
↓ 一応、Kindle版のリンクも貼っときます。わたしは愛用している電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERで買って読みました。
暗殺者の反撃 上 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2016-07-31

暗殺者の反撃 下 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2016-07-31

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、今週は書くことがないので、さっさと今週の週刊少年チャンピオン2016年36+37合併号の概況です。おっと、合併号ってことは、そうか、来週はお盆なので発売はなく、次は再来週8/18(木)発売だそうですよ。まちがいなく、そんなことを忘れて、来週も買いに行く可能性大ですな。アレッ!? 来週の木曜日は、そもそも初めての祝日「山の日」だ!! はーーーこんな時期に祝日設定されても超迷惑ですなあ……。
 ■『弱虫ペダル』:キモー筋くんの過去話の巻。コイツの過去には全く興味がありません。だからどうした、都しか読めない。それより今、ゴール前100mなんだから、そんな回想してる場合じゃないっショ。
 ■『刃牙道』:ピクル最終形態へーーッッッ!? の巻。武蔵……性格悪いし、もう飽きました。
 ■『囚人リク』:鬼導院、見開きで「スーパービーイング」を名乗るの巻。爆笑しましたw
 ■『少年ラケット』:ヨルゲン君の相手はイカサマか!?の巻。それでもヨルゲン君は闘志満々です。
 ■『Gメン』:勝太、横浜で楽しいデート中の巻。ああ、でも次回、泣かせる展開だろうな……。
 ■『永遠の一手』:名人VS元名人、20年前のあの対戦の再現か!?の巻。相当面白い。
 ■『AIの遺電子』:ヒューマノイドの人格整形の話。これは次回に引っ張るのか!?
 ■ 『六道の悪女たち』:六道くんを狙うボスは、なんと美少女だった―――ッッッの巻。実に良い展開です。
 ■『あしたもたぶん会いに行く』。バカ男と思春期乙女。今回も大変いいですな。

  とまあ、こんな感じの週刊少年チャンピオンでありました。
 
 さて。では、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。 
 先週は、ついに【丈影】の「あの時の当たり」が鯉太郎に炸裂し、吹っ飛ぶところまででしたが、今週はその続きです。つか、あまり今週は書くことがないんですよね……基本的には【丈影】と鯉太郎のバチバチの攻防が続くだけなので、説明のしようがないというか……。
 吹っ飛ぶ鯉太郎、こらえる鯉太郎、あたりに来る【丈影】、こらえる鯉太郎、と、とにかく「もっとだ!」の攻防で、お互い「全部をくれてやる!!」と激しくぶつかる二人。【丈影】は思います。ついに、【泡影】の立つ土俵に行けたのか? あの時の「先へ」、と。
 しかし、そこに鯉太郎のブチかましが迫る気配を察する【丈影】。思わず、「もう・・・いいだろ・・・」とつぶやいてしまいます。これは、「もう、勘弁してくれよ」という意味のつぶやきです。これでもう、勝負は見えましたな。鯉太郎の渾身の一撃が【丈影】にクリーンヒット!! 勝負は決着へ――!! というところまで今週は描かれました。
 どうも、最後のコマでは、決着はついたっぽいですな。もう既に、【丈影】の右手が土俵についているように見えます。はーーー。長い戦いも次回で完全決着のようですね。
 というわけで、どうやら鯉太郎は、中日八日目も勝利、勝ち越し決定となりそうですが、しかしこの激戦で、相当体にダメージを負ったような気がしますね。はたして大丈夫なんでしょうか。まあ、大丈夫じゃない、けど、戦いを続けるんでしょうな。問題は、翌日の割ですよ。果たして次に戦うのは誰なのか? 新キャラの【毘沙門】あたりでしょうか……しかしここまで全勝、勝ち越し決定となると、そろそろ三役との割も組まれる可能性はありますな……誰になるのか、大変楽しみですな。そして、中日は弟弟子の常松こと【松明】も勝ち越しのかかる一番だし、兄弟子の【白水】さんは結びで横綱【泡影】と戦うわけだし、たぶん、その辺りの戦いが何週間か描かれるかもしれないすね。楽しみに待ってます!!

  というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱【泡影】と同期入門
  --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってる。
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。モンゴル人。
 
 というわけで、結論。
 今週は、とうとう【丈影】との闘いの決着直前、というか決着までが描かれました。鯉太郎はどうやら勝ち越しが決まりそうですが、ほかのキャラクター達の動向も気になりますな。そして次の対戦相手がだれかも非常に気になるところです。そこんところ、よろしくお願いします、佐藤先生!! 

↓ 全然関係ないけど、明日はこれの発売日のはず、なので、帰りにもう売ってるかチェックするの忘れんなよ、オレ!! 待望の文庫化。わーい。
山女日記 (幻冬舎文庫)
湊 かなえ
幻冬舎
2016-08-05

 

 というわけで、先日、上遠野浩平先生による「事件シリーズ」を電子書籍で一気買いし、以来、せっせと順番に読んでいるわたしであることは先日書いた通り。つか昨日も書いた通り
 で、今日は昨日に引き続き、そのシリーズ第3作目となる『海賊島事件』を自分用備忘録としてまとめておこうと思う。もうなんか同じことばかり書いているが、この3作目も大変面白かった。そして、致命的にいろいろなこと忘れていて、ホントに自分の記憶力のダメさ加減に呆れましたわ。あ、こんな話だっけ、と恐ろしく新鮮に感じたわたしは、もう、なんか脳に重大な疾患があるんじゃないかと心配でなりません。

 本作『海賊島事件』は、わたしの記憶では、第1作『殺竜事件』でED、ヒース、レーゼの三人が一度立ち寄った「海賊島」が舞台で、そこでの殺人事件を解き明かすミステリーじゃなかったけ、と思っていたのだが、まるで違っていてびっくり&あきれました。
 本作が紙の本で出版されたのが2002年12月。なので、14年ぶりの再読である。しかし、こんな風に、1作目の『殺竜』が2000年、2作目の『紫骸城』が2001年、と、1年ごとに出てたんだなあ、という事も完全に記憶から消失していました。ああ、あの頃は、たぶんわたしのサラリーマン生活で最も楽しい時分だった……と妙に郷愁というか、ノスタルジーめいたものを個人的にはを感じますね。たった15年ほど前のことなのに。随分この期間に世界は変わったもんだなあ。
 ま、そんなことはどうでもいいや。
 さて。本作『海賊島事件』は、「最も美しい死体」として発見された「夜壬琥姫」の謎を解くお話なのだが、事件の起こった「落日宮」で事件の真相解明をするEDと、一方で事件の最重要容疑者が逃げ込んだ「海賊島」に、容疑者引き渡しを迫るダイキ帝国とそれを拒む海賊島の対立が勃発し、その仲裁にやって来るリーゼとヒース、というように、二つの場所での出来事を同時進行で追う物語になっている。相変わらず各キャラクターが素晴らしくて、最高です。というわけで、今日も昨日と同じく、登場人物やキーワードをまとめておいて、数年後再び記憶が消失する際の備忘録としよう。
 ◆夜壬琥姫:聖ハローラン公国の紫月姫の従姉妹。落日宮に3年滞在し、故国に戻れない事情があり、「キリラーゼ」という男が迎えに来るのを待っている、と周囲に話していた。超絶美人で気高く頭もいい。冒頭で、「水晶の結晶の中に閉じ込められた死体」として登場。今回はその謎解き話。ちなみに、第1作の時点から時間が経過していて、この時、月紫姫は聖ハローラン公国の事実上の最高権力者になっている。ちなみにそれは第1作でヒースと出会ったことによって決断した結果で、名目上の公主たる白鷺真君はまだ幼い子供なので、役職としては摂政についている。曰く、「世界一有名で人気のある国家権力者」。本作は、冒頭で第2作に出てきたウージィが登場し、夜壬琥姫殺害の重要容疑者として世界中から捜索されている男が、「海賊島」に匿われていることを月紫姫に教える。また、EDが落日宮に到着知った際も、「月紫姫の代理人」と名乗った。
 ◆落日宮:モニー・ムリラという国にある、世界最高のリゾートホテル。
 ◆ニトラ・リトラ:落日宮の支配人(オーナー)。以前は海賊だった男で、ムガンドゥ1世と2世に仕えていたが、3世の襲名後、引退して落日宮を作った。ムガンドゥ3世のことは、子どもの頃から知っていて、姿を衆目にさらしたことのない3世の本当の姿を知る、ほとんど唯一の人間。
 ◆カシアス・モロー:元料理人で貿易商。あらゆる感覚を「味覚」で表現する。七海連合にスカウトを受け、面接の場所としてやってきた落日宮で事件に遭遇、後にやってきたEDの助手的な役を演じる本作の語り部。容貌は丸くて小太りでイケてないが、冷静で頭は切れる。
 ◆サハレーン・スクラスタス:落日宮に滞在していた芸術家。彼固有の魔法を用いた水晶彫刻で世界的な有名人。自信家で女好き。夜壬琥姫にちょっかいを掛けていたことが周囲にも知られていた。夜壬琥姫殺害の容疑で追われる身だが、海賊島で匿われている。精神が崩壊しつつある。
 ◆ムガンドゥ1世:インガ・ムガンドゥ。犯罪組織「ジェスタルス」の頭首。後に、最大最強の海賊として世界中の領海に縄張りを持ち、やがては無数の貿易会社を従えて表社会にも歴然たる影響力を持つことになる巨大組織「ソキマ・ジェスタルス」の初代支配者。
 ◆アイリラ・ムガンドゥ:ムガンドゥ1世の唯一の子供(娘)。父を毛嫌いしていたが父の財力・影響力で放蕩三昧の毎日を過ごしていた。
 ◆ムガンドゥ2世:ニーソン。元々、別の組織からインガ・ムガンドゥ暗殺のために「ジェスタルス」に入った男だったが、「夢」=「未来」を持つムガンドゥに魅かれ(?)、忠誠を誓う。そしてインガの死後、アイリラを娶うことでムガンドゥ2姓を名乗り、組織を引き継ぐ。現在の「海賊島」を建造した男。
 ◆ムガンドゥ3世:アイリラとニーソンの実子イーサー。幼少時から、2世の指示で、身分を隠して「海賊島」の最底辺の仕事をさせられていた。そんな幼少時代に、ニトラ・リトラを見込んで自らの正体を明かしている。ニーガスアンガーによる防御呪文の刺青で全身が覆われているが、普段は幻惑魔法(?)で隠している。素性が一切謎の人物として世界では知られ、その姿を見たものは海賊島のメンバーにもいない。ムガンドゥ3世の顔を知っているのは、ニトラ・リトラと第1作で面会したED、ヒース、リーゼ、この4人だけ。第1作で見せたリーゼの度胸が大変気に入っている様子で、恐ろしい男だけどリーゼにはかなり好意的。
 ◆タラント・ゲオルソン:第1作で、海賊島を訪れたEDたちとギャンブル勝負をした男。当時は賭場のイカサマチェック係だったが、リーゼとの勝負で精神的に大きく成長し、本作では「顧問役」として海賊島でもっとも頼りになる男として描かれている。今回、容疑者引き渡しを迫るダイキ帝国に、「ならば第三者に仲介と調停を要請する」ことを認めさせた。その判断に、ムガンドゥ3世から「よくやった、タラント・ゲオルソン」と直接誉められる。そしてリーゼとヒースが海賊島へやって来るというストーリー展開。
 ◆ダイキ帝国:この世界の「西の大陸の中でも最大の国土を誇る」国。今回、この国の「不動」と称せられる将軍ヒビラニ・テッチラが海賊島に艦隊でやって来て、容疑者引き渡しを迫る。しかし、その裏にある目的が、ちょっとだけ、軽いというかイマイチなのはやや残念かも、とは思った。

 てな感じかな。重大なネタバレはしてないつもりだけど、大丈夫かしら。
 ホント、毎回書いているけど、上遠野先生の作品は、もっともっと売れてしかるべきなのに、知名度的にライトノベル界にとどまっているのは本当に残念だと思う。出版社の営業の怠慢だと言いたいね。確実に、日本の小説家の中ではTOPクラスの実力だと断言できるし、わたしとしては日本人の作家ではナンバーワンに好きな作家だ。とにかく面白い。これを世間に広めるには、どうすればいいものか……。まあ、作品内容的には、ファンタジーに分類されてしまうので、その時点で読者を選ぶことになってしまうのだろうか。もったいないなあ……。 

 というわけで、結論。
 上遠野浩平先生による「事件シリーズ」第3作目『海賊島事件』も大変面白かった。何度でも言いますが、上遠野先生の才能は、日本の小説家の中で確実にTOP5に入るレベルだと思う。この才能があまり一般的に知られていないのが、心の底から残念だと思います。以上。

↓ 次の第4作はこれか。これも、今回久しぶりに読んで、まったくストーリー展開を覚えてなくてびっくりした。かなり面白いです。しかし、やっぱり電子書籍って、昔読んだ本を再読するのに向いてますな。

 


 

 というわけで、先日、上遠野浩平先生による「事件シリーズ」を電子書籍で一気買いし、以来、せっせと順番に読んでいるわたしであることは先日書いた通り
 今日は、そのシリーズ第2作目となる『紫骸城事件』を自分用備忘録としてまとめておこうと思う。いやはや、ホントに面白い作品で、たしか発売当時は、ミステリー愛好家の皆さんから、ミステリー部分が弱いとか言う批判もあったような記憶があるが、わたしはまったくそんな風には思わず、読むのはこれで2回目だが、初めて読んだときと同様、大変楽しめたのである。

 紙の本で出版されたのが2001年だそうなので、わたしにとっては15年ぶりの再読である。しかし、ホントにわたしも適当な男で、この作品は超面白かったという事は明確に覚えていたし、おおよその物語の流れも記憶通りだったけれど、細部は全然忘れているもので、ホント、読みながらまるで初めてかのようにドキドキワクワクしながら読めたわけで、これはもちろん上遠野先生の紗宇品が素晴らしいからなのは間違いないとしても、わたしの記憶力の乏しさも影響したのかもしれない。ま、そんなことはどうでもいいや。大変面白かった。
 本作は、「紫骸城」で行われる「限界魔導決定会」を舞台に起こる殺人事件の謎を追うミステリーである。今回は、EDやヒースは最後にちょっと出てくるだけだし、リーゼは出てこない。代わりに、主人公を務めるのは「決定会」の立会人として招集されたフロス・フローレイド大佐で、「キラル・ミラル」と呼ばれる双子の戦地調停士が初登場する。というわけで、また登場人物やキーワードをまとめておいて、今後のシリーズ作品を読む際のメモとしておこう。
 ◆紫骸城 :「バットログの森」の中にそびえる城。300年前、リ・カーズがオリセ・クォルトとの最終決戦のために築いた、呪詛集積装置。現在では、中に入るには特殊な転送魔法が必要。なお、リ・カーズとオリセ・クォルトの超絶魔法バトルが勃発して、紫骸城周辺が「魔法汚染」され、生態系が破棄されたためにバットログの森が生まれたわけで、バットログの森の中に紫骸城があるのではなくて、紫骸城の周辺が現在はバットログの森と呼ばれている、という方が正しい。
 ◆限界魔導決定会:魔導士ギルドが5年に1度開催する、最も優れた魔導士を決める大会。紫骸城で開催される。もう200年の歴史のある由緒正しい(?)大会。
 ◆フロス・フローレイド:本作の主人公。わたしは愚かなことに、理由は我ながらさっぱりわからないけれど、ずっと女性だと思って読んでいて、終盤で「彼」という人称代名詞で呼ばれるところで初めて、あ、男だったんだ、と認識した。なんでなんだ、オレ。フロスは、かつて「風の騎士」ヒースとともにとある事態を鎮圧したことがあり、世間的に「英雄」として有名になっている。ただし本人は、「あれをやったのはほとんど風の騎士」であるため、自分が英雄と呼ばれることに抵抗を感じている。ヒッシパル共和国の魔導大佐。
 ◆ナナレミ・ムノギタガハル:謎の「ブリキ製の子供の人形」をいつも抱えている、頭のイッちゃった風な魔導士の女性。貴族令嬢だが恋人と駆け落ちし、その恋人を殺されたという噂。今回の大会には副審として招集された。
 ◆U2R:魔導擬人機。我々的には、C3-PO的なドロイドを想像すればいいと思う。ただし3POよりもっと有能で、大会の管理をしている。もう相当古い機械らしい。
 ◆キラル・ミラル:「ひとつの戦争を終わらせるのにそれまでの戦死者に倍する犠牲者を生む」と世に悪名高い双子の「戦地調停士」。姉のミラロフィーダ・イル・フィルファスラートと、キラストラル・ゼナテス・フィルファスラートのコンビ。ともに絶世の美形で顔は瓜二つ。姉のミラルは、基本的に「良し(ディード)」と「否(ナイン)」しか言わない不思議系美女。どうやらEDのことが大好きで惚れてるらしい。弟のキラルはEDをつまらん男としか思っていないようだが、その実力は認めている模様。なお、二人の姓「フィルファスラート」というのは、リ・カーズが人間だった(?)時の姓。二人とも、超絶に頭は切れる。
  ◆ニーガスアンガー:前回優勝者。世界最強の「防御呪文」の使い手。「海賊島」のムガントゥ三世の全身に防御呪文の入れ墨を施したのもニーガスアンガーで、シリーズでちょいちょい名前が出てくる。シリーズ4作目の『禁涙境事件』では若き頃のニーガスアンガーも出てくる。そして、本作では第1の被害者として冒頭で殺害される。
 ◆ウージャイ・シャオ:中盤で出てくる、「女盗賊」。まだ10代の少女。「聖ハローラン公国」の月紫姫と友達のようで、次の3作目『海賊島事件』の冒頭にも出てくる。大変ナイスキャラ。 
 ◆死人:大会審判長のゾーン・ドーンという人物は「死人」だそうで、一度死んだが手遅れの蘇生呪文の作用で 生体活動が戻った者のことを、この世界では「死人」という。彼らには以前の意思も人格も記憶もなくなっていて、生きている時とはまるで別人になっているらしい。ただし、知識だけは残されていることが多く、言葉や道具の使い方は前と変わらないという設定になっている。ちなみに、第4作目・第5作目に出てくるネーティスも「死人兵(しびとへい)」。

 とまあ、こんな感じかな。
 本作は、一応「密室モノ」と言っていいと思うのだが、ミステリー部分はもちろん、いろいろな人物の行動が大変興味深くて、非常に面白かった。第1作目の『殺竜事件』とはだいぶ趣が違って、本当に上遠野先生はすげえなー、と思うばかりである。 この才能をもっともっと世に知らしめたいものだが……だれか、この「事件シリーズ」を超絶クオリティで2時間にまとめて劇場アニメにしてくれないかな。絶対面白いはずなんだが。映像にするには地味すぎるかもな……でも、最高の小説原作として映像に向いていると思うな。なんなら、ハリウッドで実写化してもらいたいもんだぜ。

 というわけで、結論。
 上遠野浩平先生による「事件シリーズ」第2作目、『紫骸城事件』も最高に面白かった。15年ぶりの再読だというのに、なんでこんなに新鮮に感じて面白く読めちゃうんだ。あ、それはわたしの記憶力がニワトリ並ってことか!? HOLY SHIT……否定できない……。けど、間違いなく最高に優れた小説だと思います。以上。

↓ やっと電子でも発売になったので昨日から読んでます。しかし本当に早川書房は素晴らしい出版社ですよ。紙の本の発売から1週間で電子書籍発売。大変ありがたし。
暗殺者の反撃〔上〕 (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・グリーニー
早川書房
2016-07-22

暗殺者の反撃〔下〕 (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・グリーニー
早川書房
2016-07-22

 

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 先週はわたしは『ターザン:REBORN』を観て来ました。大変面白かったです。わたしのどうでもいいレビューは土曜日の記事を見て下さい。わたしが見たのは、朝イチの早い回だったので、まだシネコンにお客さんが多く詰めかけるような状況ではなかったですが、この週末はどんな興行だったのか、さっさと本題に入りますか。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。

 1位:『シン・ゴジラ』が公開土日で6.24億円稼いで初登場1位。まずまずの出足でしょうか。本作は金曜日公開だったので、3日間合計でどのくらいか大変気になる。6.24億スタートというと、今年の春の『ドラえもん』や『暗殺教室―卒業』よりも、ちょっとだけ下回るレベルだと思う。これからどれだけ稼ぐか、ちょっとまだ何とも言えないけれど、30億は余裕で超えそうですな。お盆効果でもっと伸びる可能性も十分アリ、でしょうか。春の『ドラ』が41億、『暗殺教室・卒業』が35億なので、まあ、そのぐらいは行くのでしょう。ちなみに、おととしのハリウッド版『GODZILLA』は32億だったので、その数字は余裕で超えるんじゃないすかね。
 2位:『ファインディング・ドリー』が16日間で32.5億まで積んでいるそうです。となると、おそらく『ズートピア』のペースは超えたはずで、80億コースに乗ってきたと言えそうな気がする。ただ、100億はどうなんだろう……超えて当然と思ってたけど……
 3位:『ONE PIECE FILM GOLD』が9日間合計で23.6億まで稼いでるそうです。すげえ。ああ、でも前作の『Z』は、同じ期間でもう28億を超えてたのか。それと比べると、ちょっと落ちますな。ま、『Z』は最終68.7億まで稼いだバケモノ作品なので、現状82%ぐらいだから、ええと、68.7億×82%=56.3億、か。そこまで行くのかな……まあ、50億超えちゃう可能性が高いんだろうな……わたしは毎週ジャンプを買ってますが、どうもこの漫画は連載当初からあまり熱心に読んでないす。それでも毎週読んでますが。
 4位:『ターザン:REBORN』が公開土日で1.6億円ほど稼いだそうです。わたしの想像より若干上かも。わたしはまた、最終10億には届かないだろうなー、と根拠なく思っていたのですが、この出足なら何とか届く、こともあり得るか、という気がしてきた。ちょっと届かないかな? どうだろう。頑張れ!!
 5位:『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ポルケニオンと機巧のマギアナ』が16日間で10億に届いたのかどうか?ぐらいではなかろうか。やっぱりここ数年はかつての勢いはないすねえ……。普通の映画なら大ヒットと言えても、「ポケモン」としては厳しい戦いです。
 6位:『インディペンデンス・デイ:リサージェンス』が23.5日間(金曜前夜祭コミ)で22~24億ぐらいだろうか? 実際に観たわたしとしては、意外と健闘というか、非常に頑張っている数字だと思う。
 7位:『HiGH & LOW THE MOVIE』が16日間で12~13億ぐらいだと思うけど、どうだろう。
 8位:『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』が金曜公開だから29日間合計で、これも22~24億ぐらいか? 最終30億はちょっと厳しくなってきた気配。それでも、正直意外と稼いでいると思える成績だと思う。
 9位:『それいけ!アンパンマン おもちゃの星のナンダとルンダ』が30日間で5億には届いてないか。なかなか粘ってランクインを維持してますな。去年とほぼ同等、か、ちょっと落ちるぐらいだと思う。※2016/08/05追記:この時点で4億を突破したところだそうです。そして前作越えは確実というコメントをいただきました。そうなんすね。情報ありがとうございます!
  10位:『TOO YOUNG TOO DIE』が37日間で15億まで届かないぐらいだろうか。最終的には20億には届かないかな。それでも、最近の作品としては十分にヒットしたと言えると思う。

 てな感じでした。
 しかし、『ドリー』がわたしが根拠なく想像していた100億超える、という見込みはちょっと怪しいかもしれないすね……8月2週目のお盆興行から8月末までの夏休み中にどれだけ伸ばせるかが注目だと思います。しかし、ほんと、もっと軽々50億を超え、100億に至るものとばかり思っていたけど、大人客が少ないのでしょうか……。
 あと、いよいよ公開された『シン・ゴジラ』は相当評価も高いようですね。わたしは全く興味がないので観に行く予定はありません。ので、何も書くつもりはありませんが、大ヒットとなるのは映画界的には大変喜ばしいでしょうな。数字的には、上に書いた通り、最終35~45億ぐらいを狙えるスタートなので、夏休みいっぱいフル稼働で稼いでいただきたいすね。さっき初めて知ったのですが、IMAX上映があるというので、てっきり3Dなのかと思ったら、普通に2Dなんすね。4DX上映では、映像は3Dなのかな? 良くわからんす。
 わたしは洋画クソオタクですが、最近は、極端に、「3D字幕版」が少なくて、大変困っています。3D版があるならわたしは当然3Dで観たいのだが、六本木とかに行かないとやってないんだよな……『ズートピア』とか『ターザン』は3Dで観たかった……ただ、世の市場動向としては、どうやら3Dはさっぱり人気がないようで、実に残念なお知らせですな。今上映している作品で、3D版もしっかり上映してるのは『ONE PIECE』ぐらいじゃなかろうか? 『ドリー』は3D版を上映していても、日本語吹き替えなんだよな……別に否定はしない、けど、わたしは字幕で、本来の声で観たいっす。

 というわけで、結論。
 注目の『シン・ゴジラ』は6.24億スタートという、立派に大ヒットと言っていいスタートだけれど、ちょっと……なんというか、変な言い方だけど、「普通の大ヒット」で、別に驚きはない数字だと思います。わたしが一番知りたいのは、その数字に対して東宝がどう思うか、ということですね。東宝としてこの数字をどう評価しているのか、大変興味があります。相当金使ってるだろうからな……どのくらいのヒットを期待しているのだろうか。まあ、今後の伸長を見守りたいと思います。以上。

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