2016年05月

 いわゆる良くある話のネタとして、「ネコ派? イヌ派?」的な話題がある。わたしは生まれてもう40年以上人間として生きているのだが、その間、我が家に犬か猫が「いなかった」ことがなく、もう多くのわんこ、にゃんことともに暮らし、その死を看取ってきた。他人がなんと言おうと、彼・彼女たちはわたしの可愛い家族であり、その死は常につらく悲しいものだが、最後にわんこが亡くなったのがもう15年前で、それまでわんこ歴20年以上であったのだが、現在我が家に暮らすのは、一人のにゃんこである。
 現在共に暮らすにゃんこを溺愛しているわたしだが、元々は野良猫で、ある日ウチの庭先にお母さん猫とともに現れ、そのまま娘の彼女だけ、居ついたわけで、金で買った命ではない。まあ、別に金で買っても構わないけれど、40数年、我が家のわんこ・にゃんこたちは全て縁あってもらって来たり、居ついてしまったというパターンだ。
 で、冒頭の「ネコ派? イヌ派?」という話題だが、わたしは実際どちらも大好きなので、どっちでもないというのが正しいと思うが、「どっちでもねーよ」と本音を語ると、冷たい人認定されてしまうのが平成の世である。ので、わたしは問われれば、「まあ、一緒に遊ぶのはわんこの方が楽しいっすね。でも、ねこも普段はツーンとしてても、甘えてくると超可愛いので、実際どっちも好きっす」と、善人の皮をかぶって答えるようにしている。まあ、事実そうなんでお許しいただきたい。そしてその時には、現在我が家に暮らす可愛いけれどスーパー・ツンデレなうちのかわい子ちゃんの、ウルトラ可愛い姿を脳裏に描いている場合が多いので、わたしがどんなツラをして、そう喋っているか、想像もしたくない。ひょっとすると、にやけた不細工ヅラを晒している可能性があるので極めて危険だ。よって、あまりわたしに、猫の話題を振らないでいただきたいと密かに思っている。
 なお、わたしは、うちの猫は、この銀河で最も可愛い生物であると信じている。つーか、おそらく間違いない。

 というわけで、どうでもいい前振りを書いてしまったが、今朝、新聞を読んでいたら、とある広告が目に留まった。へえ、と思い、ううむ、昼辺り行ってみるか、と心を決め、昼休みの小一時間で覗いてみてきたのが、↓これである。
cat_lion
 いやあ、楽しかった。かわええ……とぼんやり見ながらにやけていたような気がするので、まあ、わたしを知っている人に見つかるとヤバいが、いつも通りのボッチ行動なので、思う存分堪能してやりました。
 まず場所だが、日本橋三越本店の7階である。わたしの会社から歩いて15分ほどなので、近いのだが、平日の昼という事で、おばさまたちがわんさか来場していた。ガラガラではなく、まあ、そうだなあ、十分余裕のあるほどよい混雑ぶりというレベルだろうと思う。公式サイトはこちらっすね。詳しくはリンク先を見て下さい。もう来週には終わっちゃうのかな。

 ところで、現在、本屋さんに行くと、びっくりするぐらい多くの「ねこ写真集」が出版されている。わたしもついうっかり、眺めてしまうわけだが、今回の展示会の写真家、岩合光昭氏は、その「ねこ写真」の第一人者(?)で非常に著名な方だ。まあ、NHK-BSで「岩合光昭の世界ネコ歩き」なんて番組をやってたぐらいだから、ご存知の方も多いだろう。岩合氏自身のWebサイトでも、数多くの写真が観られるので、興味のある方は覗いてみていただきたい。わたしは岩合氏について、全然知らないのだが、元々野生動物専門(?)の写真家で、なんと、かの「ナショナル・ジオグラフィックス」の表紙も2回起用されている凄い人だそうだ。へえ~。
 まったくの素人考えだが、おそらく動物写真というもので一番必要なのは、そのタイミングを逃さないことであり、その時が来るのをじっと耐える忍耐力と、一瞬を切り取る判断力が必要になるのだろう。それと、おそらくはほんの少しの「運」というモノも必要か。何しろ、被写体の思考は、さっぱり人間には予測不能だし、外であれば、光の芸術である写真というものには、その時の天候も大きく影響するのだろうし、とにかく、一瞬、なんでしょうな。大事なのは。
 今回の展示は、上記に貼ったチラシにも書いてある通り、「ネコは小さなライオンだ。ライオンは大きなネコだ。」というコンセプトの元、ネコとライオンの、とても似ている姿の写真を対にして、数多くの作品が展示されていて、つい、わたしのようなおっさんも、にやけてしまうようなラブリーなショットが多く、また一方では、ライオンのおっかない姿などもあって、大変に楽しめた。会場では、ネコグッズも数多く販売されていたので、全国の猫好きな方には大変おススメのイベントだったと思う。そりゃあまあ、かわええ写真満載だったっす。

 しかし、ホント、ネコやイヌが嫌い人はどういう人なんだろう。まあ、一緒に暮らしたことがないんだろうな。アレルギーって言われても……知らんがな。基本的に、ネコやイヌが嫌いと言う人とはなるべく近づかない方がいいとわたしは密かに思っている。もちろん、一緒に暮らしたことのない人も出来ればお断りしたいが、まあ家の環境もさまざまだからなあ……。また、現代の平成の世は、どうも妙な世の中で、逆に異常な溺愛というか、ちょっとどうなんだ? という人もいるので、そちらも実際お断りしたいところだ。その丁度いい塩梅というか、わたしが納得するネコやイヌとの付き合い方を言葉で表現するのは難しいのだが、要するに、嫌いと言う人とは付き合いたくないし、超溺愛している人も遠慮したい。わたし? 溺愛してるけど、結構ドライっすよ。つか、もう、完全に家族なので、居て当たり前というか、だからと言って常に抱っこしてるわけでもなく、普通に共存してます。そもそも、うちの可愛い子は、超超・スーパー・ツンデレ・キャットなので、呼んだって、こっちを向きもしないし、ほぼ常に、ツーンとしてますね。超・自由気ままに生きてますな。おまけに小食でがっつくことが皆無で、ごはんで釣ることも不可能。しかし、どういうわけか、わたしが風呂に入ろうとすると、「あら、あなたお風呂? それを早く言いなさいよ、付いていくわ」という顔をして、何故か急に甘え出し、わたしが全裸になろうとする足元にすり寄って来る不思議キャットである。そしてそれが一通り気が済むと(?)、また元のツーンとした態度で、スタスタスタ……と去っていく。何なんだ一体。まったくもって、実に可愛いネコである。うちのネコについてわたしは、おそらくは、The Most かわいい Cat in the Galaxyであろうとにらんでいるのであります。

 というわけで、結論。
 現在、日本橋三越本店で開催中の、岩合光昭写真展『ネコライオン』は、大変楽しかった。ちなみに、うちのにゃんこは、黒ベースのキジトラなので、どっちかっつーと、ライオンじゃなくて、虎っすね。歩き方も、すげえ虎っぽくて、この銀河で最も可愛い生物だと思います。以上。

↓ わたし、この写真集を持ってます。岩合氏の作品ではありませんが、超・イイっす。おすすめ。紙の本、電子書籍、両方持ってます。たまに、ぼんやり眺めるといいと思いますよ。
飛び猫
KADOKAWA/角川マガジンズ
2015-02-20




お、Kindle版だと、中がちょっとだけ観られるすね。2枚目のキジトラはうちの銀河一可愛いにゃんこに似てるっす。
飛び猫 (角川マガジンズ)
KADOKAWA / 角川マガジンズ
2015-02-20

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 この週末は、わたしの大好物のハリウッドアクション『エンド・オブ・キングダム』を観るつもりが、土曜日は宝塚歌劇を観に行き、そして日曜日は仕事が立て込んで忙しく、行けなかったっす。はーーやれやれ。というわけで、まったくネタがないので今日はランキングをさらっと流して終わりにします。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『ズートピア』が37日間合計で53億を突破したそうです。6週目の数字的には、2014年の『マレフィセント(最終65.4億)』よりちょっと上ですね。すげえなあ……。わたしの適当なネタバレレビューはこちらなんですが、わたしが今、何見たらいいかな、と聞かれたら、迷わずこの作品をおススメします。間違いないす。大変面白いす。
 2位:『オオカミ少女と黒王子』が公開土日で2.33億だそうです。これもヒットと言っていい数字ですな。ええと、原作は集英社かな、漫画原作すね。詳しくないので内容もあまり知らないす。二階堂ふみちゃんが可愛いのは間違いないす。
 3位:『スノーホワイト/氷の王国』が公開土日で1.15億だそうで、コレはちょっと微妙すね。2012年の前作『スノーホワイト』は最終的に17.1億とかなり頑張ったけれど、最初の土日で3億ぐらいは稼いでいたはずなので、今回は10億行くかどうか、というところでしょうか。もうチョイ行くのかな……わたしとしては前作は観に行ったけれど、正直イマイチわたしの趣味に合わなかったので、今回は観に行くつもりはないす。
 4位:『世界から猫が消えたなら』が16日間合計でおそらくまだ10億は届いていないはず。8億行ったかどうかぐらいだと思われる。最終18億ぐらいか、と先週予想しましたが、もうチョイ下かも?自信なし。
 5位:『殿、利息でござる!』が16日間合計でこちらもまだ10億には届いていないだろう。おそらく8億~9億届かずぐらいか? くそー、早く観に行きたいのに……ぐぬぬ……。おととしのヒット作『超高速!参勤交代(最終15.5億)』より、先週までは良かったのに、また少し下回ったのではなかろうか。15億は超えてほしい……。
 6位:『名探偵コナン―純黒の悪夢―』が44日間合計で58~59億ぐらいと予想。正確な数字が知りたい……。とにかくとんでもない大ヒットです。
 7位:『64―ロクヨン―前編』が23日間で13億ぐらいか? そこまで行ってないかも? いずれにせよ、後編が控えているので、もうひと稼ぎほしいですね。間違いなく面白そうなので、ホントは観たいのだが……。
 8位:『海よりもまだ深く』は9日間合計で3億~5億とどいてないぐらいと予想。ちょっと先週と比較すると落ちたような。
 9位:『映画クレヨンしんちゃん 』 がなんとまだランクイン。44日間合計で、おそらくは20億まであと少し、ぐらい稼いでいるはず。凄い!! しんちゃん新記録はぜひ20億の大台に乗せてほしいものだ。
  10位:『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』が31日間合計で25億ぐらいと計算したのだが、わたしの最初の予想よりも伸びていて、大変嬉しい。映画として非常に素晴らしく、わたしの現在の2016年暫定ナンバーワン。最高です。

 そしてわたしが観るつもりだった『エンド・オブ・キングダム』は、11位だったそうで、金額の発表は見当たらないけれど恐らく0.5億も行ってないんだろうな……つまりさっさと観に行かないと上映回数が減るどころか終わっちゃうって事か。そうだ、水曜日はファーストデーだから、よし、水曜の夜に観に行こう。
 くそーーーー。どうしても月末月初はバタバタする……ぐぬぬ……!! 頑張ります!!

 ところで、さきほど見た情報では、US本国ではこの週末、『X-MEN:Apocalypse』と『Alice Through the Looking Glass』が公開になったのだが、両作とも、若干イマイチなオープニング興収だったみたいすね。BOX OFFICE Mojoの記事によると、両方とも、前作からかなり落ちる数字だったっぽいですな。まあ、『X-MEN』は絶対観るけれど、たぶん『Alice』は観ないかな……。素直に「鏡の国のアリス」という邦題にすればいいのに。
 しかし……今回の『X-MEN』はどうも評価が低いんだよな……。日本公開は8月11日だそうで、当分先っすね。前作の『X-MEN:フューチャー&パスト』で時間軸めちゃめちゃに壊しちゃったからなあ……アレはないよね……。

  まあ、予告も正直、イマイチわくわくしないけど、とりあえず観にいくつもりっす。

 というわけで、結論。
 今週は、新作では『狼少女と黒王子』が強さを見せ付けてくれましたが、やはり今週も『ズートピア』圧勝です。まあ、めちゃめちゃ面白いすからね。実力がちょっと違いすぎでしょうか。70億は超えそうですね。すげえなあ……ほんとにDISNEYは。もう、賞賛せざるをえないすね。以上。

 もう何度も書いているが、わたしは宝塚歌劇を愛しており、その中でも、「星組」が一番好きである。それは、そもそものきっかけが、一番初めに観たのが星組の公演で、その時に柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)のあまりのカッコ良さに一発KOを食らったからではあるが、あの衝撃的なファーストインパクトから6年経ったけれど、どの組も観るようになった今でも、やっぱりわたしは星組が一番好きである。
 いろいろなところで、星組ジェンヌの皆さんは、「星組は体育会気質がある」的なことを仰っているような気がするけれど、それは間違いなく、LEGENDと呼ばれる柚希礼音さんことちえちゃんの影響であろうと思う。そしてちえちゃんが退団し、新たなTOPスターに就任した北翔海莉さん(通称みっちゃん)の醸し出す空気は、非常にやわらかく、若干お母さん的存在のようにわたしは観ている。強烈なカリスマとして君臨したちえちゃん退団後の星組を温かく包み込むその空気感は、わたしには若干菩薩めいているようにも感じられていて、皆がのびのびと、そしてきっちりとまとまっているわけで、ちえちゃんが去った今でも、わたしの星組推しはやっぱり変わらない。
 何が言いたいかというと、ちえちゃんとはかなりキャラクターの違うみっちゃんさんであるが、見事に星組をまとめているのは間違いなく、わたしは現在のTOPスターの中でダントツに好きだし、実力も歌・芝居・ダンスの三拍子揃ったナンバーワンではなかろうかと思っているのであります。なので、先日既に今年中の退団を発表されているのが悲しくて淋しくて……もうホント、しょんぼりなのです……つらい……。
 というわけで、昨日は愛する星組公演『こうもり』を観てきた。そして結論から言うと、これまでに観た数十本の宝塚歌劇の演目の中で、1位……ではないかもしれないけど、とにかくここ数年では一番面白かったのである。最高でした。

 というわけで、今回の演目は、かの有名な、Johann Strauss IIのウィーン・オペレッタの名作『こうもり』である。わたしは大学・大学院でドイツ演劇を勉強した男であり、当時の友人がこの作品で卒論を書いていたことがあって、その女子と一緒に研究室のビデオでドイツ語原曲Verを観たことがある。非常に懐かしいが、いわゆるドイツ語による「ウィーン・オペレッタ」の代表作であり、とても楽しい作品だ。ストーリー的には、今回の宝塚版はかなり原作とは違っていて、特に、わたしの愛する礼 真琴ちゃん(通称:ことちゃん)の演じたアルフレードの役割というか素性が全然変わってるんじゃないかな? しかし、それでもまったく問題なし。大変笑わせてもらったし、明るく陽気で楽しい物語になっていた。最高です。
 で。各キャストについて、ちょっとまとめておこう。
 ■ファルケ博士
 演じたのはTOPスターの北翔海莉さん(通称みっちゃん)。いやー、本当に歌がうまいし、ダンスもキレがあって、芝居も素晴らしい。最高です。退団してしまうのがわたしは本当に淋しい……今回、ショーの『THE ENTERTAINER』では、ピアノの弾き語りがあるわけですが、その歌詞がですね……なんかさよならショーのような内容で、わたし、もう本当に淋しくなってしまって、たまらなかったです。染みたなあ……。青いバラの花言葉はDream Come Tureですよ。
 もう、これはあれか、退団公演はまたムラ遠征しろってことかもしれないな……チッ……こうなったら一人で行くしかねえかもな……スケジュール調整をして平日行って観よう!! 決めたもう!! 行くぜ!!
 ■アイゼンシュタイン公爵
 演じたのは2番手スター紅ゆずるさん(通称:紅子)。この人ももう、大好きすぎる。特に、高田純次ばりのテキトーな面白小悪党を演じさせたら、この人は確実にナンバーワンだと思うな。大阪人としての持ち前のサービス精神あふれる紅子の演技はいつ観ても楽しい。前作『GUYS & DOLLS』も明るく楽しい作品で素晴らしかったけれど、今回も本当に笑わせていただきました。最高です。ところで、次の星組TOPは紅子がなれるんだよね? 大丈夫だよね?
 ■アルフレード(アイゼンシュタイン公爵家の執事)
 演じたのは、わたしが今イチオシの礼 真琴ちゃん(通称:ことちゃん)。この人はとにかく歌が最強レベルに巧い。そして、素で可愛いんだよな……。わたし、今回、会場でことちゃんのファンクラブの申込書をもらって来ました。タレントのファンクラブに入るのなんて初めてですが、入会させていただくッッッ!! 今回も大変素晴らしかったと思います。ショーでも大変カッコ良かった。最高です。
 しかし、ことちゃんが今後もずっと星組でいられるのか、理由はないけれど、なんか心配でならない。何もなければ、紅子の次にTOPになれるはずだが、若干身長が低いからな……月とか雪に異動になったら、オレ、泣くよ!? 頼むからずっと、星組でいて欲しいのだが……。
 ■アデーレ(アイゼンシュタイン公爵家の侍女)
 演じたのは娘役TOPの妃海 風ちゃん(通称:ふうちゃん)。今回は原曲キーのままで、大変苦労したと先週の「Cafe Break」で仰ってましたが、とても伸びやかな歌声で、まったく問題なしだったと思う。最高です。
 ふうちゃんも、みっちゃんさんと同時退団予定なので、大変残念です……次の星組娘役TOPは誰になるんすかねえ……。いっそ、月から海乃美月ちゃんでも転校してきてくれないかな……。
 ■オルロフスキー(ロシアの皇太子)
 演じたのは、去年専科に異動になった星条海斗さん(通称:マギーさん)。月組時代から何度も拝見していますが、今回はかなりコメディタッチな役を楽しく演じてくれました。そして、ショーでは女性役をやって、恐ろしく美しいおみ足を披露してくれてびっくりしたよ。まあ、とにかくお綺麗でした。最高です。
 ■フランク(刑務所長)
 演じたのは十輝いりすさん(通称:まさこさん)。彼女は今回の公演で退団を発表しており、これまた大変淋しい……。宙組から移籍してきたのがもう4年前か……以来、わたしは彼女のことを「宙から来たでっかい人」としていつも注目していました。ちえちゃんと同期の85期生なんだよね。いつもその長身で存在感たっぷりだったまさこが退団か……悲しいなあ……今回、ショーではマギーさんと共に女性役を披露してくれました。いやあ、やっぱり抜群にお綺麗ですよ。最高です。

 主なメンバーは以上な感じかな。
 とにかく、今回は、オペレッタ原作だけあって歌も多いし、雰囲気もとても楽しく、まさしくタイトル通り、「愉快な」作品でありました。そしてショーの方は、随所に「有難う」というみっちゃんの気持ちがあふれていて、派手なシーンもしっとりしたシーンも、とてもキラキラしていたと思います。みっちゃん……もうちょっと、せめてあと2本ぐらいは大劇場公演して欲しかったなあ……。まあ、とにかく、ラストとなる秋の公演は、絶対にムラ遠征して、さらに東京でも観に行って、この目に北翔海莉という偉大なるTOPスターの雄姿を目に焼き付けようと思います。はーーー。作品はめちゃめちゃ笑える明るい作品だったし、実際まだ先なのに、なんかもう、すげえ淋しいっすわ……。
 というわけで、毎度お馴染みの、今回のイケ台詞の発表です。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「さあ、愉快な復讐劇の開幕だ!!! いてて……」
 今回はコメディーなので、カッコイイという意味でのイケてる台詞は少なく、また歌率も高いので悩んだのですが、やっぱり冒頭の、復讐だけど、笑える愉快な復讐をしてやる!! というこの台詞がわたし的には一番気に入りました。「いてて……」はですね、二日酔いで頭が痛いのですw とてもこの作品を象徴していた台詞だと思います。

 というわけで、結論。
 わたしは宝塚歌劇の中で、ダントツに星組が好きである。そして現在公演中の『こうもり』という作品は最高に笑えて最高に楽しい、ここ数年ではナンバーワンに気に入った作品でありました。たぶん、宝塚初体験の方にもおススメできる、物語的に分かりやすく、また歌の巣晴らしい作品だと思います。これは……マジでBlu-rayが出たら買うべきかもな……つか、出るのかな? 前作『GUYS & DOLLS』がやっと出たので先に買おう!!
 えー、業務連絡です――Blu-ray買ったら、うちの4K-TVで上映会をしますので、ぜひお集まりください!!>このBLOGを読んでいるわたしを知っている皆様。以上。

↓ 版権の問題などいろいろあって、やっと6月に発売決定!! やったーーー!! オレは買うぜ!!

 というわけで、このところずっと読み進めていた、上橋菜穂子先生による「守り人シリーズ」。
 読み終わるたびにせっせとレビューを書いてきたわけだが、もう7作目まで読み終わり、続きが気になるぜ!! と一人で盛り上がっていたところ、なんと来年1月にNHKで放送される実写ドラマ版の、第2シーズンのキャストがとっくの昔に発表になっており、それをさっき知って、おおお、なんてこった!! チェックが甘かったぜ!! と反省しているわたしである。しかも、その登場人物から、大体のお話も想像がつくわけで、まったくもって抜かってた!! と、わたしは先ほどから、大変自分が許せないのであります。
 というわけで、今日はこれから宝塚歌劇・星組公演を観に行くのだが、その前に情報をちょっと自分用メモとしてまとめておこうと思った次第であります。要するに、手抜きです今日は。

 まず、今のところわたしが書いたレビューをまとめておこう。
 ■シリーズ1作目『精霊の守り人』
 【舞台となる国】新ヨゴ皇国
 【登場人物】バルサ、チャグム、ジグロ(故人)、トロガイ、タンダ、シュガ、ジン、帝

 ■シリーズ2作目『闇の守り人』
 【舞台となる国】カンバル王国 (新ヨゴ皇国の北にあるバルサの故国)
 【登場人物】バルサ、ジグロ(故人)、カルナ(故人・バルサの父)、ログサム王(故人)、カグロ(ジグロの兄)、ユグロ(ジグロの弟)、カーム(カグロの長男)、ラダール王(現在の王)
 
 ■シリーズ3作目『夢の守り人』
 【舞台となる国】新ヨゴ皇国
 【登場人物】バルサ、チャグム、トロガイ、タンダ、シュガ、ジン、一ノ妃、ユグノ

 ■シリーズ4作目『虚空の旅人』
 【舞台となる国】サンガル王国 (新ヨゴ皇国の南にある海洋国家)
 【登場人物】チャグム、シュガ、タルサン(新サンガル王の弟)、カリーナ(新サンガル王の姉)、サルーナ(新サンガル王の妹)、ラダール王(カンバル王)、カーム(カンバルの王の槍)、ヨーサム王(ロタ王)、ラスグ(タルシュ帝国呪術師)
 
 ■シリーズ5・6作目『神の守り人<来訪編><帰還編>』
 【舞台となる国】ロタ王国 (新ヨゴ皇国の西にある騎馬民族の国)
 【登場人物】バルサ、タンダ、ヨーサム王(ロタ王)、イーハン(ヨーサム王の弟)、スファル(王に仕える呪術師)、シハナ(スファルの娘)、マーサ(商人)、アスラ・チキサ(ロタの民の兄妹)、トリーシア(故人・兄妹の母)

 ■シリーズ7作目『蒼路の旅人』
 【舞台となる国】新ヨゴ皇国→サンガル王国→タルシュ帝国
 【登場人物】チャグム、シュガ、ジン、帝、トーサ(チャグムの母方の祖父)、サルーナ、ヒュウゴ(タルシュの密偵)、セナ(サンガルの海賊の娘)、ソドク(ラスグの弟)、ラウル王子(タルシュ皇帝の次男)、クールズ(ラウルの右腕の宰相)

 はーーーー。またしても長くなってしまった。
 で。どうやら、NHKの実写ドラマ版、第2シーズンは2017年1月放送らしいのだが、どうもストーリーは、原作とちょっと順番や情勢が変更されているらしい。まあ、詳しいことは、以前もリンクを貼っておいた通り、上橋先生が直接説明してくれているWebサイトがあるので、そちらを観てもらうとして、キャストと共に、その変更点をまとめておこう。

 ■NHK実写ドラマ第2シーズンの舞台は「ロタ王国」だ!!
 これも以前書いたが、NHK実写版の第1シーズンのラストは、原作ファンからすると、「な、何だってーーー!?」と驚きの展開が待っていた。なんと、バルサの最大の仇である、カンバル王国のログサム王が健在なのだ。原作では10年前にもう死んでいるのだが、彼が生きている設定とすることで、大きく物語は変わってくる。で、上橋先生による今後のNHKドラマ展開をまとめると、
 シーズン2では、『神の守り人』でバルサのその後を描きつつロタ王国の内部事情を伝えながら、そこに『蒼路の旅人』と『天と地の守り人』<ロタ王国編>を平行して組み合わせ、タルシュ帝国の脅威に立ち向かわざるを得なくなるチャグムの姿を描いていく。
 そして、シーズン3で、『闇の守り人』を『天と地の守り人』に織り込みながら描くことで、バルサとチャグム、それぞれのクライマックスが絡み合っていく――
 という展開になるのだそうです。つまり、次のシーズン2は第5・6・7・8作目になるらしい。というわけで、それを念頭に置きつつ、上記の登場人物を誰が演じるのか、を想像するのが愉しみだったのだが、実際のところ、とっくに発表されていたのです。というわけで、キャストをずらずら並べておこう。
 ◆バルサ:綾瀬はるかちゃん。超イイ。カッコイイし、とてもいい芝居振りでした。
 ◆チャグム:板垣瑞樹くん。シーズン1の小林颯くんからスイッチ。成長したチャグムはかなりイケメンですね!!
 ◆シハナ:真木よう子さん。いいですねえ……原作ではバルサ並みの強さを誇る女性。カッコイイだろうなあ……。
 ◆スファル:柄本明氏。なるほど、そう来たか……というキャスティングですね。
 ◆アスラ:鈴木梨央ちゃん。まあこれまた可愛い娘さんですなあ。
 ◆イーハン:ディーン・フジオカ氏。マジか……。相当イケメンですなあ。
 ◆トリーシア:壇蜜様!!! キターーーー!! オレたちのみっちゃん!! 超楽しみ!!!
 ◆チキサ:福山康平くん。知らないけど期待の新人らしいすね。
 ◆ヨーサム王:橋本さとし氏。これもキターーー!! 元・新感線の方っすね。ミュージカルでもお馴染み。声優としてもあの「餓狼伝説」のテリー役でお馴染み。美声です。
 ◆トーサ:伊武雅刀氏:これまたキターーーー!! デスラー総統バンザーイ!!
 ◆マーサ:渡辺えりさん。これまたなるほどね、なキャスティングです。
 ◆ヒュウゴ:鈴木亮平くん。いいね!! 彼の演じるヒュウゴは相当期待できますな。
 ◆セナ:織田梨沙さん。知らない方だけど、大変な美人さんすね。
 ◆クールズ:小市漫太郎氏。顔は知ってたけど、サーセン、お名前は存じ上げませんでした。そこら中で見かけるお方ですな。

 はーーーー。疲れた。
 このキャストの中で、わたしの注目はイーハンとヒュウゴを演じる、ディーン・フジオカ氏と鈴木亮平くんだ。この二人……原作を読んでいる時のわたしが抱いたイメージでは、逆に、ヒュウゴこそディーン氏で、イーハンこそ鈴木亮平くんのほうがピッタリなんだけどな。ヒュウゴはクールで冷静沈着でいながら内面に熱いハートを持つ男だし、イーハンはもう根っからの熱血漢。逆のほうが合うと思うんだけどな……。いかがでしょうか? でもまあ、二人とも芸達者な確かな役者なので、きっと、映像を見たら、全然問題ないんだろうとは思います。
 そして、早く映像で観てみたいと今からワクワクするのが、バルサVSシハナのバトルシーンですね。シハナはたぶん、今のところ原作では唯一バルサと一対一で対等に闘える強い女性なので、綾瀬はるか嬢VS真木よう子さんの迫力ある戦いは、今からもう楽しみでならないすな。
 あとは、我らおっさんの永遠の偶像(IDOL)、みっちゃんこと壇蜜様ですよ。演じるトリーシアは、原作では姿は現さず人々が語る中でしか登場しないけれど、大きな役割を演じるキーキャラクターの一人なので、恐らく出番は少ないと思うけれど、大変期待しています。はーーー。楽しみっす。

 というわけで、結論。
 2017年1月放送の、NHK実写ドラマ「守り人シリーズ」シーズン2は、今からもうとても楽しみです。キャストも、とっくに発表されており、その顔ぶれを観ると大変期待できるものであり、今からもう、わたしとしてはワクワクが高まっているのである。しかし……キャスト発表をスルーしてたのはホント抜かってたというか、お恥ずかしい限りです。サーセンっした。以上。
 
↓  これからこれを観に行ってきます。レビューは明日書きます。ヨハン・シュトラウス2世の『こうもり』の宝塚版です。超楽しみ!!
Le Cinq(ル・サンク) 2016年 04 月号 [雑誌]
宝塚クリエイティブアーツ
2016-04-08
 

 というわけで、このところずっと読んでいる、上橋菜穂子先生による「守り人シリーズ」。
 その第7作目『蒼路の旅人』を読み終わったので、その感想を書き連ねてみたい。
 結論から言うと、これまた超・面白かった。ひょっとしたら、今のところナンバーワンに好きかも。

 しかし自分で言っておいてナンですが、あくまでこの作品を一番面白いと思うのは、今までのシリーズを読んで来て、皇子チャグムのこれまでの人生を知っているから、そう思えるのであって、まあ、なんというか、シリーズ全体として物語を理解しないと意味がないので、シリーズの中で一番面白いのはどれか、と問うのも実に野暮な話のような気もする。
 いずれにせよ、今回は「守り人」ではなく「旅人」ということで、第4作の『虚空の旅人』同様に、今回はチャグムの冒険のお話であった。現在この作品世界では、『虚空の旅人』で示された通り、南の強大な「タルシュ帝国」が北の大陸への侵攻を意図していて、一番南に突き出している半島と島々からなる海洋国家「サンガル王国」が、「タルシュ帝国」と戦火を交えつつある状況にあり、本作では、既に「サンガル王国」が、「タルシュ帝国」に屈したところから物語は始まる。
 一方そのころ、「新ヨゴ皇国」の皇子、我らがチャグム君は、父である帝から疎まれている状況にある。その理由はいくつかあって、まず、チャグムを一度殺そうとした帝としては、チャグムのことは実際のところ嫌いだし、近年ますます、帝の血族に対する嫌悪を隠さないチャグムを憎んでいること、そして、第三の妃に男児が生まれ、チャグムが死んでも代わりが出来たこと、そして、まだ幼いその子を帝位に付けたがっている勢力があること、といった事情が絡み合っているためである。
 チャグムとしては帝位に何の興味もなく、譲れるものなら皇太子の地位なんて譲りたいのだが、死去した場合以外は帝位継承権を譲ることができない掟があるため、チャグムも日々、フラストレーションがたまっている状態にある。
 そんな中、「タルシュ帝国」による北の大陸侵攻作戦が始まり、南で国境を接する「サンガル王国」より、「新ヨゴ皇国」に援軍要請が来る。「新ヨゴ皇国」は、帝=神という設定の国であり、おまけに帝も祈ってれば大丈夫と本気で思っている愚かなかつのんきな国なので、もう完全に罠だとわかっているのに、チャグムは少ない艦艇で出陣する。そして予想通り捕らえられて、チャグムは「タルシュ帝国」の帝都へ連行されることに。そこで侵攻軍総帥であるタルシュ帝国の皇帝の次男・ラウル王子に謁見するのだが――というのが話の大筋。ええ、今回も相当はしょりました。

 今回、鍵になる人物はやはり2人かな。
 ■ヒュウゴ
 わたしの頭の中のイメージは、超イケメン。言動がなんとなくシャアっぽくて、とにかくカッコイイ。南の大陸にある、ヨゴ王国出身。ヨゴ王国は、チャグムの「新ヨゴ皇国」の祖先の国だが、現在はタルシュ帝国に征服・併合されているため、「ヨゴ枝国」と呼ばれる属州扱い。で、ヒュウゴはヨゴ出身だけれど、極めて有能で、タルシュ帝国でも出世していて、密偵として活動している。彼は、祖国の悲劇を「新ヨゴ」で繰り返させたくないと考えており、捕らえたチャグムを帝都に連行する旅の中で、チャグムに対して「いさぎよく、賢くて……心がやさしい。平時であれば名君と呼ばれるような、すばらしい為政者になっただろうに」と好意を抱く。今のところ、まだ帝国内での地位がそれほど高くないので、出来ることは少ないけれど、何かと助けてくれたりする人物。今後のキーキャラになる可能性大。※追記:おっと!! TV版では、このヒュウゴを鈴木亮平君が演じるらしいですな。楽しみだ!!
 ■ラウル王子
 タルシュ帝国の王子。帝国の「北翼」を治める。「南翼」を治める兄王子とはライバル関係にあり、 手柄を争う仲。北の大陸への侵攻軍総司令官。性格は傲慢で冷酷、のように今のところ描写されているが、今後どういうキャラになるか分からない。現状ではチャグムを子ども扱いし、さっさと降伏しろと迫る。タルシュに下れば、チャグムも民も命は保障すると言っている。ただし、現在の帝には死んでもらうと明言。チャグムと対面した時、ラウルはチャグムに世界地図を見せる。このときの二人の会話は非常に対照的だ。
 ラウル「このような地図を、見たことがあったか」
 チャグム「ありません――はじめて見ました」
 ラウル「これを見て、なにを思った」
 チャグム「世界は広いと思いました。――すべての国を、見てみたい」
 ラウル「十歳で、はじめてこの地図を見たとき。おれは、それとは逆のことを思った。世界は狭すぎる。――これからおれが手に入れられる国は、もうわずかしか残っていないと思った。そのとき胸に宿ったあせりにも似た気持ちは、いまもおれの中にある」
 そして、新ヨゴ皇国やロタ王国のある北の大陸を指して言う。
 ラウル「あそこは、おれに残されている獲物だ。」
 こんな男なので、もう話し合いの余地はない。戦いは不可避だ。

 そして、本作でチャグムは、タルシュ帝国の強大さを身を持って実感し、また、タルシュに下り、「枝国」となったらどうなるのかをその目で見る。この国にはかなわない、という絶望に近い思いを抱きつつも、チャグムはラストで、二つの大きな決断をする。その内容はもはや書かないほうがいいだろう。これはぜひ読んで確かめて欲しい。そしてわたしは、これまでの物語を思いながら、チャグムの成長に本当に胸が熱くなった。たいした男に成長したよ。どうやら本作は、第1作目から4年程が経過している時間設定になっているが、チャグムの決断は実に立派で、物語の主人公にふさわしい、魅力的なキャラクターに成長したものだと思う。実にいい。本作は、ラスト、チャグムが決断を下し、大きな一歩を踏み出すところで終わるのだが、わたしとしてはもう、先が気になって仕方ない展開だ。
 この先は、3部作の『天と地の守人』で、物語は完結を迎えるが、早く読みたい!!! と思っているものの、残念ながらまだ、電子書籍版が発売になっていないため、わたしとしては大変困っている。早く出してくれないかなー。どうやら、次の巻では、まずは「ロタ王国」が舞台となるようだが、チャグムの決断をバルサはどう受け止めるか。そもそも二人は再び出会えるのか。とにかくもう、期待でいっぱいである。そうだなあ、もし6月中に電子版が出なかったら、もうリアル本を買ってでも読みたいぐらいだ。というわけで、偕成社の電子化作業を心待ちにしていようと思います。

 というわけで、結論。
 「守り人シリーズ」第7作、『蒼路の旅人』は大変面白かった。今回は非常に現代的? というかファンタジー色は薄く、とうとうこの物語世界にも本格的な戦争が舞台となるが、実に読みごたえがあり、シリーズを読んできた人なら、皇子チャグムの成長に胸が熱くなること請け合いであろう。次巻は再びバルサが登場するはずで、最終エピソードに入るわけで、バルサとチャグムの活躍を心待ちにしたい。以上。

↓ こっちを買わずに、電子が出るのを我慢できるか自信なし……。もう、紙も電子も両方買っちゃえばいいしじゃん!!>オレ!! あ、でも買うなら偕成社版だぜ!!

 



 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 まずは今週の週刊少年チャンピオン2016年26号の概況です。まあ、今週もおとなしめでしょうか。
 ■『弱虫ペダル』:山岳ラインまであと少しのところでの攻防。まあ、御堂筋くんの作戦は、意外とセオリー通りだと思います。ただ、ちょっともう、距離がないかな。そして、葦木場くんが飛び出すという展開も、普通にあり得る展開です。問題は、山岳ラインクリアからゴールまでの距離がどのくらいあるのか、次第ですな。
 ■『刃牙道』:本部のおっさん、再登場。そしてガイアが緊急参戦!! の巻
 ■『囚人リク』:はやくも脱出作戦ピンチか!? の巻
 ■『少年ラケット』:試合後のお話。ヒロ先輩の電話の相手は誰なんだ!! 
 ■『錻力のアーチスト』:うぉおいーーッ!! 来週最終回かよ……マジか……悲しい……。
 ■『Gメン』:ソフト部の美少女編完結。勝太のいい奴ぶりは大変良いですな。次回巻頭カラー。
 ■『AIの遺電子』:外傷を負った老人ヒューマノイドの治療を渋る家族。その背景には……というお話で面白かった。
 という感じで、まあ、とりわけ驚きの展開はなく、通常運行でありました。
  
 さて。では今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週は、あの、ファンにとっては「あの」と言わざるを得ない大関【王虎】のいい人ぶりにわたしは大変うれしく思ったわけですが、今週から【丈影】と横綱【泡影】の過去編突入です。
 まず、今回初めて明らかになったのは、なんと【丈影】は沖縄出身の日米ハーフで本名を「比嘉ライアン」ということが明かされました。そして高校チャンピオンとなっての期待の新弟子だったようです。しかし入門時からその青い瞳を見た兄弟子たちから、やいのやいの言われるわけですが、自分は日本人であり目の色は関係ないと言い切ります。そして、今までの人生において、そのような差別的境遇にいた彼は、常にイライラしていました。なのでこう思っていたわけです。
 「(そういった差別的実情に対して) くだらない… 俺がこの国の国技と言われる相撲を選択したのは この国で育った半分他国の血が流れるわたしという人間を問答無用に認めさせるため…アイデンティティーを確立させるためだ…」
 しかし、後の【丈影】こと比嘉ライアン君は、同時に入門した一人の男と出会います。なんでも、定年間近の禅定親方が独断でモンゴルから連れてきたという男。同じように青い瞳。思わず、「モンゴル人なのになんで目が青いんだ…?」と聞いてしまう比嘉ライアン君。男は静かに答えます。
 「おい…過ぎた時に 意味があるの?」
 は? なんだって? 意味が分からない比嘉君は「お前…日本語喋れるのか…」と聞きます。男は再び静かに答えます。
 「………母が日本人だから…」
 比嘉君は思います。
 「自分と同じ境遇にありながらその涼やかな目は…無性に俺を苛立たせた…」
 この「涼やかな目」をした男こそ、後の横綱【泡影】です。
 そして稽古に励む二人。四股の踏み方を教わる後の【泡影】。しかし指導する兄弟子も、なかなか様にならない【泡影】にイラッとしています。しかし。それは教え方が悪かった。普段、若い部屋付き親方や弟子たちに、「置物」と揶揄されている定年間近の禅定親方ですが、禅定親方は、そんな【泡影】の才能を見抜いていました。普段まったく動かない親方が、スッと腰を上げ、【泡影】に近づきます。そして「大地の邪気を踏み鎮め また大地を起こし豊穣をもたらす儀礼」、それが四股だと教え、実際の型を示します。そしてその教えを元に、再び四股を踏んでみる【泡影】。その様を見ていた比嘉ライアン君こと後の【丈影】は、思います。
 「私は忘れないだろう…ただ振り上げただけ…その瞬間 そこにいた 誰もが…感じた違和感…ただの四股に…有りふれた四股に感じた 異物感… そう…一瞬で…この男のその未完成の四股に…魅了されていた…」
 ラスト、うっすらと唇に笑みを浮かべた【泡影】は、つぶやきます。
 「難解だな…」

 とまあ、今週はここまで。たぶん、上記のわたしの説明を読んでも、ちょっとピンと来ないでしょう。要するに、後に完璧な横綱となる【泡影】が誕生するシーンが今週は描かれたわけですが、うーーーん……こりゃあ、長引きそうな予感がするのだが、大丈夫でしょうか……しかし、虎城理事長が2週間前に言っていた「丈影にしたら鮫島のスタイルはもっとも認められないものでしょうからな…」というのは一体どういうことなんだろうか? 今週、【丈影】が相撲を取る理由=自分という人間を他者に肯定させること=アイデンティティーの確立であることが判明しましたが、それはある意味、鯉太郎も同じです。しかし、鯉太郎の場合は、「他者に肯定させる」というよりあくまで「オレがオレであるため」であり、他者からどう見られようと、おそらく鯉太郎は問題にしていないのかもしれない。そこが大きな違いなんでしょうか。そして、後の横綱となる【泡影】が、どのように【丈影】に影響を与えていくか、ここが今後の注目点だと思われます。いやー、ホントにもう、目が離せないっすな。
 というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
  --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は表にまとめた記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。モンゴル人。

 というわけで、結論。
 『鮫島』は中日を迎えて、勝ち越しがかかる大一番なわけで、早いとこ取組に入っていただきたいのだが……この回想は長そうなわけで……佐藤先生、そこんとこよろしくお願いしたいっす。以上。

↓  まったくどうでもいいですが、「大相撲カード」なるものがあるんすね……くっ……買い……か?

 というわけで、今日も昨日に引き続き、上橋菜穂子先生による「守り人シリーズ」です。第5作目・6作目となる『神の守り人<来訪編>』と『神の守り人<帰還編>』を読み終わったので、その感想を書き連ねてみたい。
 昨日、シリーズ4作目の『虚空の旅人』について結構詳しく書いてしまったので、今日はあまり書くことがないのだが、 昨日書いた通り、本作『神の守り人』は、バルサとタンダが大活躍のお話であった。


 昨日書いた通り、本作は、時系列的には、ほぼ、前作『虚空の旅人』と同時期で、『虚空の旅人』でサンガル王国に赴いたチャグムが活躍している頃、バルサとタンダは本作において、ロタ王国で別の事件に巻き込まれていた、という事になっているのだと思う。
 おおよその話の筋は、次のような感じである。
 タンダとともに、薬草の大きな市へ出かけたバルサは、幼い兄チキサとその妹アスラが人買いに連れられているのを見て、つい助けてしまう。何やら追われている二人だが、妹のアスラは、実は身に謎の存在を宿していて、バルサは妹アスラを助け、タンダは兄チキサを助けながら逃走を手助けする。しかし、アスラの身に宿る力を求めるロタ王国の勢力が迫り――てなお話である。サーセン。超はしょりました。
 ポイントとなるのは、ロタ王国国内の複雑な情勢だ。登場人物も多く、それぞれの思惑が微妙に違っているので、読んでいて混乱するレベルではないけれど、改めてまとめてみようとすると結構難しい。よし、ちょっとやってみるか。
 ■ロタ王国・国王ヨーサム
 国民の信頼の厚い善人。本作ではすぐに「サンガル王国」の「新王即位ノ儀」に出かけてしまうため(→それが4作目の『虚空の旅人』で描かれた話)、不在。体が弱い。弟を信頼しているが、弟は伝統を無視するところがあるため、万一自分のあとを弟が継ぐことになったら大丈夫か心配している。
 ■ロタ王国・王弟イーハン
 兄を敬愛する善き弟。ただし、かつて「タルの民」というロタ王国では虐げられ差別されている民族の女性に惚れてしまい、以来、なにかと伝統を無視するような言動を取っており、南部の裕福な豪族からは嫌われている。なお、イーハンが惚れてしまった女性は、自らの存在がイーハンに迷惑をかけることを憂い、自ら姿を消した。※追記:マジか!! TV版では、このイーハンをディーン・フジオカ君が演じるらしいですな。
 ■スファル
 カシャル<猟犬>という、王の密偵的な役割を果たす呪術師のリーダー的存在。王に忠誠を誓っていて、歴史も重んじる男。王(というより王国)にとって危険な存在であるアスラを狙う。
 ■シハナ
 スファルの娘でカシャル随一の使い手。バルサともいい勝負をするほどの腕前。歴史的な伝統よりも、イーハンの思想を支持しており、父さえも欺こうとする。アスラを手中にして、その身に宿る力を利用しようとする。※追記:うおー!! こっちもマジか!! TV版では、このシハナを真木よう子様が演じるらしい。コイツは超アリっすね!!
 ■南部の豪族たち
 ロタ王国の南部は肥沃な土地で、経済的に豊か。既得権益を守るため、イーハンの改革が気に入らない人々。ただし、とりわけ特別な行動を取ろうとはしていない。生粋のロタ人のため、タルの民を忌み嫌っている。
 ■北部の氏族たち
 一方でロタ王国の北部山岳地帯は、非常に厳しい気候風土で作物も生らず、経済的に貧しい。そのため、イーハンの改革を歓迎しているが、若干考えが甘く、彼らもまたロタ人のため、タルの民に対する同情はとくにない。
 ■タルの民
 何故「タルの民」が差別を受けているかというと、それは建国の歴史までさかのぼる話になるのだが、要するに、かつて、「ノユーク」(=新ヨゴ皇国で言うところの「ナユグ」)の神的存在を武器として用いて残虐なことをしたためで、以来、「タルの民」は、終生影の存在として生きることをロタ建国の祖に誓っているわけで、要するに、自ら謹慎してるようなものだと言える。だが、一部の人々はもはやそんな昔のことで今でも差別を受けるのはいやだと思っており、アスラの身に宿った力=ノユークの神の力を欲している。
 ■アスラ
 幼い少女。本作の鍵を握る存在。タルの民。母の処刑の場に立ち会った際に、ノユークの神の力を身に宿す。母から聞かされたタルの民の歴史とその雪辱のために、その力を行使することに喜びを見出してしまうが、バルサはその危険性を憂いている。特に、バルサは人を殺すことに対して身を持って知り尽くしているため、なんとかアスラに人殺しはさせたくないと思っている。※追記:な、なんだってーーー!? TV版では、母のトリーシアをみっちゃんこと壇蜜様が演じる!!。やっばい!!
 ■チキサ
 アスラの変容を心から心配しているが、なかなか再会できないかわいそうなお兄ちゃん。アスラに妙な信仰を植え付けた母に、内心腹を立てている。とてもけなげないい子です。

 というような人物関係で、少し複雑(?)なのだが、端的に言うと、抗いがたい波に飲み込まれようとしている幼い少女にかつての自分を見て、自分と同じような凄惨な人生を送らせてはならないということだけがバルサのモチベーションで、ロタ王国がどうなろうと、タルの民がどうなろうと関係ない。だから、まったく迷いはない。そして、今回も何度かひどい重傷を負ってしまう。そんなバルサと、そっと寄り添い癒そうとするタンダの姿に、我々読者はやっぱりグッと来てしまうし、もちろんそれは、きちんとアスラの胸にも届き、事件は何とか終結に至るというわけだが、今回のエンディングは、今までよりも若干、完全なハッピーエンドには至っていないので、まあ、続きがあるんでしょうな、とわたしとしては先の物語が大変楽しみであった。とはいえ、この先、アスラやシハナがまた登場してくるかどうかは微妙かな……わからん。
 とにかく、やっぱりバルサという女用心棒は大変共感できるというか、素晴らしいキャラクターだと思う。このお話が映像化されるのかわからないけれど、綾瀬はるか嬢が演じたら相当イイだろうな……という予感はする。タンダもなあ……とてもいい奴なんだが、バルサよ、タンダの想いも受け止めて、あんた自身が幸せになっておくれ……とおっさん読者としては思うのでありました。
 いずれにせよ、まだまだバルサの旅は続きそうだし、一方では今回一切登場しなかったチャグムも、どうやら次のお話では主人公として活躍するようだし、もう残ったお話は少ないけれど、楽しみに先を読み続けようと思います。

 というわけで、結論。
 今回のお話は、「ロタ王国」が舞台となって、幼い兄妹を助けるバルサとタンダの冒険であった。また、持たざる者、虐げられていた者が、思わぬ力を手にしたとき、その力を行使して、自分がやられていたことを相手に返そうとするお話なわけで、なんとなくテーマ的には、先日の『ズートピア』に繋がる話だと思いました。要するにですね、「論語」的に言えば「己の欲せざる所は人に施す勿れ 」ってことですよ。それはずっと心に刻んで生きていきたいですな。以上。

↓ 今回のお話読み終わって、ふと、改めて読んでみたくなってきたっす。

 というわけで、このところずっと読んでいる上橋菜穂子先生による「守り人シリーズ」第4巻、『虚空の旅人』について、読み終わったのはちょっと前だけど書こうと思います。

 最初に告白しておくと、愚かなわたしは4作目を勘違いして、先にシリーズ5作目の『神の守り人<来訪編>』を読んでしまったのであります。バカだよなあ……わたし、電子書籍で購入して読んでいるわけですが、 電子書籍だとですね、表紙が小っちゃくて、タイトルがもはや見えないわけですよ。で、買った時に電子の本棚に並べる際に、順番間違っちゃってたんだなあ、これが。何の疑いもなく『神の守り人<来訪編>』を読んで、よーし、次は『神の守り人<帰還編>』だ、と表紙をタップしたら『虚空の旅人』が立ちあがり、アレッ!? 並べ間違えてら、と気づき、さらには作品の順番も間違っていたことに気付いたわけです。アホでした。
 というわけで、5作目の『神の守り人<来訪編>』は読んでしまったものの、とりあえず前に戻って4作目の『虚空の旅人』を改めて読んだわけですが、どうやら実は、このわたしのうっかりミスは、結果的に一つだけ役立つことになったのであります。というのも、どうも時系列的には、『神の守り人<来訪編>』の冒頭部分というのは『虚空の旅人』よりちょっと前っぽいのです。なので、4作目『虚空の旅人』で舞台となる、「サンガル王国」の王の即位式には、5作目『神の守り人<来訪編>』で舞台となる「ロタ王国」の王も出席していて、しかも先に5作目を読んでしまっているわたしには、4作目を『虚空の旅人』を読み始めてすぐに、ああ、これがロタ王が(5作目で)言っていた即位式か、と分かったわけです。
 むむ……説明が難しいな。ま、とにかく、時系列的に偶然正しかったという事が言いたかっただけです、はい。まあ、正確に言うと、4作目と5・6作目は、ほぼ同時に起こっている出来事、という事かな。4作目では、「サンガル王国」における事件に巻き込まれたチャグムを描き、一方同じころ「ロタ王国」ではバルサとタンダがとある事件に巻き込まれていた、みたいな感じだと思う。でも、読む順番はやっぱり、先に『虚空の旅人』を読んでおいて間違いないと思います。 

 さて。というわけで、今回の4作目『虚空の旅人』である。
 今回の主人公は1作目で「精霊の守り人」にされた「新ヨゴ皇国」の皇太子、チャグム君と言っていいような気がします。今回、バルサやタンダは一切登場しません(=しつこいですが同時期にロタ王国で起こった事件に巻き込まれているバルサたちの活躍は5巻6巻で描かれる)。ともあれ、1巻目の事件から4年(3年?)経過していて、チャグム君もかなり立派にすくすく育っており、おっさんファンはもう胸が熱くなります。
 物語としては、チャグムの住む国「新ヨゴ皇国」と南で国境を接しているお隣の「サンガル王国」のお話で、サンガルでの新王即位式と、そこに出席するためにやってきたチャグムが、サンガル内部の陰謀とその背後に隠された、海を隔てた南の大国「タルシュ帝国」の陰謀に巻き込まれるお話でありました。
 わたし的に、一番興味深いと思ったのは、第1作目でチャグムが憑依(とは違うか?)された、「ナユグ」という異世界が、この物語のそれぞれの国で、同じように伝承されていることである。
 ちょっと、各国の情報を、今後のためにまとめておこうか。
 ■新ヨゴ皇国
 →チャグムの国。この国は、もともと南の海の先にあった「ヨゴ国」の人々が戦争から逃げて海を渡って渡来し、先住民族の「ヤクー」を制圧し建国した国。まだ250年程度の歴史しかないが、現在はもう、かなり混血化も進んでいる。で、建国の祖の直系の子孫が「帝」であり、高貴なる神のような存在として君臨している国。先住民ヤクーの間では、現世と同時に存在している「ナユグ」という異世界があることが認識されている(が、もうそれを伝承する人はかなり減ってしまっている)。なお、もともと南の大陸にあった「ヨゴ国」は、現在では新興国家「タルシュ帝国」に侵略・併合されて国としては消滅している(が、「枝国」と呼ばれる属州としては存在していて、チャグムの先祖たるヨゴ人たちはその帝国内で現在も生き延びている)。
 ■カンバル王国
 →バルサの故国。第2作目『闇の守り人』の舞台。王族と氏族がいて支配。新ヨゴ皇国の北の青霧山脈を超えた先にあり、峻厳な高山地帯であるため、基本的に貧しい国。この国には「ナユグ」に相当する異世界はどうも伝承されていないようだが、この国には独特の「山の王」という信仰(?)対象があって、ほかにも「ティティ・ラン(=オコジョを駆る狩人)」という小人がいたり、カンバル人を密かに監視する「牧童」と呼ばれる先住民もいる。なお、王を守る軍事組織の「王の槍」と呼ばれる男たちがいて、相当強い。バルサを鍛えたジグロは「王の槍」のいわば隊長だった最強の槍の使い手で、第2作目終了時はカームという男が最強の座に。ちなみにカームは第4作目にチラッとだけ登場する。
 ■サンガル王国
 →新ヨゴ皇国と南で国境を接していて、海に突き出た半島と島々からなる海洋国家。第4作目『虚空の旅人』の舞台。ここも王族がいるが、元々は海賊の出で、一番強いものが王となった経緯があり、有力氏族たちは単に、王についていれば利益があるという思いから従っているため、結束力は微妙。なお、王の長男に二人目の男児が誕生すると、王はその長男に王位を移譲するしきたりがあって、その際「新王即位ノ儀」が行われ、隣国の王族も招かれる。4巻の『虚空の旅人』は、まさにそれが舞台になっている。で、この海洋国家「サンガル王国」では、「ナユグ」に相当する「ナユーグル」という異世界があることが認識されている。サンガルでは、王族の女子たちが大きな力を持っていて、有力氏族へ嫁ぐことで王家の監視役にもなっている。また、海上生活を営む自由な民もいて、かなり緩やかな統治(それゆえ、海を隔てた大国・タルシュ帝国の陰謀に巻き込まれる)。土地は豊かで海産物もあり、富める国。
 ■ロタ王国
 →新ヨゴ皇国の西で国境を接している国。第5・6作目『神の守り人<来訪編><帰還編>』の舞台。ここも王族がいる。この国は、南部の肥沃な地に住む豪族と、北部山岳地方の痩せた地に住む氏族の対立があり、さらに人種間でも、多数を占めるロタ人の他に、「タルの民」という少数民族がいて、「タルの民」は虐げられた民族として不満を抱えている。また王家に代々仕える「カシャル(=猟犬)」と呼ばれる密偵的な「川の民」と呼ばれる民族もいる。この国では、「ナユグ」に相当する「ノユーク」という異世界が認識されていて、神々の世界と崇められている。王と王弟がいて、王はサンガルの「新王即位ノ儀」に出席するため、冒頭で旅立ってしまうので、5・6作目の事件の際には不在。
  
 はー、長くなってしまった。
 話を今回の4作目『虚空の旅人』に戻そう。
 お話的には、サンガル王国の「新王即位ノ儀」を舞台に、南の大陸にある強大な「タルシュ帝国」の陰謀が進められるわけだが、そのカギとして、現在はそのタルシュ帝国に侵略・併合された「ヨゴ」出身の術者が暗躍していて、その呪術に、 いち早く気づくのが「新ヨゴ皇国」の代表として訪問していたチャグムとシュガの二人で、何とかサンガル王国を助けるために奮闘するのだが――てなお話。
 しかしまあ、チャグムは本当にしっかりとした、利発な青年に成長しつつあって、外交にもきちんと頭が回るし、もちろん自分の立場もしっかり弁えているし、何気に、かつてバルサに特訓してもらった格闘術も使えて、大変素晴らしい若者として描かれている。もう、おっさんファンとしてはそのまっすぐな成長ぶりがまぶしくて、嬉しくてたまらないですな。今回、とにかくチャグムがカッコ良くてですね、わたしは次のセリフに大変グッときました。
 「シュガ。ひとつだけ、約束してほしいことがある。これからも、おまえがなにかの陰謀に気づいたとき、わたしを守るためにその真相を隠すようなことは、決してせぬと約束してくれ。……陰謀の存在を知りながら、だれかを見殺しにするようなことを、けっして、わたしにさせるな」
 このセリフを聞いては、思わずシュガも、「……誓います、殿下」と約束せざるを得ない。シュガは、今までは散々そういった謀略を目にしてきたけれど、チャグムは「自らの、かがやく玉のような清いものを汚して、何を守るって言うんだ!!」と、本気で言っていることに気づくわけで、甘い考えであろうと、その清らかなハートは守るべき尊いものだと思うわけです。この二人の主従関係は読んでいて非常に心地いいですな。

 結局のところ、この一連の「守り人シリーズ」という作品群の素晴らしさは、そういう、「人としての正しさ」というような、「まっとうさ」が事件を解決させるカギになるわけで、読んでいてわたしは大変気持ちがいい。真面目に生きることを旨とするわたしとしては、上橋先生の作品は万人にお勧めできる極めて質の高い物語だと思います。今回も大変楽しめました。

 というわけで、結論。
 チャグム君、本当に君は、いろいろつらい目に遭ったけれど、バルサと出会えて大きく成長したね。読者としては大変うれしい思いであります。そして、次の『神の守り人』も読み終わったので、明日レビューを書きます。以上。

↓ コミックもチェックしといた方がいいんすかね……どうしようかな。



 

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 この週末は、わたしははるばるMOVIXさいたまへ、『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III 暁の蜂起』を観に行ってきました。まあ、ガンダム大好きな友人M田くんが舞台あいさつ付きに行きたいというので、さいたままで行ってきたわけですが、あの辺もすっかり様子が変わっていて驚きでした。イトーヨーカドーのあったあそこはYODOBASHIに変わってるし。まあ、車も置けるので、ウチからは1時間半弱ぐらいかかるけれど、ま、ちょっとしたドライブってことで。
 というわけで、『ガンダム』は限定上映なので興収的には小さいと思いますが、ほかにネタはないので今週もランキングをサクッとさらってお終いにします。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『ズートピア』が30日間合計で45億を突破したそうです。これはすっごいことです。何が凄いかというと、今週>先週>その前の週、というように週末興収が週を追うごとに伸びている点で、下がっていくのが普通なのに、上がっていくことは、まずもってめったにないことです。あれ、日本語が変だな、意味分かるかしら? まあ内容もいいし、じわじわ口コミ系なんすかね。素晴らしい!! わたしの適当なネタバレレビューはこちら
 2位:『殿、利息でござる!』が9日間合計でおそらく6億~7億届かずぐらいか? いずれにせよ絶対シニアしか見そうもないのに、2位キープは非常に立派。松竹的には、してやったりだと勝手に想像します。わたしも早く観に行きたい。おととしのヒット作『超高速!参勤交代(最終15.5憶)』より、少し上回っているか、同じくらいだと思うので、15億を超えることは確定かも。
 3位:『世界から猫が消えたなら』が9日間合計でおそらく『利息でござる』よりチョイ下の5億~6億ぐらいと予想。これは先週も書きましたが東宝的にはやや期待を下回るのでは。最終15億は超えると思うけれど、18億には届かないぐらいと予想します。
 4位:『名探偵コナン―純黒の悪夢―』が37日間合計で57~58億ぐらいと予想。そこまで行ってないかも。この週末、ちょうど『コナン』君の上映開始時間に居合わせましたが、まだまだお客さんは入ってるようでした。大きいお姉さん主体でしたが。
 5位:『海よりもまだ深く』は公開土日で1.08億だったそうです。これは、是枝監督作品で比べると、去年の『海街diary(最終16.8億)』や2013年の『そして父になる(最終32.0億)』と比較すると、かなり数字的には落ちると思う。頑張って盛り返して欲しいけれど、まずは10億超えるかどうかが最初の関門か? 
 6位:『64―ロクヨン―前編』が16日間で、どうだろう、10億乗ったかどうか、ぐらいだと思う。地道に積み上げ中。後編は6/11公開なので、もうひと稼ぎして欲しい。
 7位:『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』が24日間合計で23億ぐらいと計算したのだが、かなり自信なし。先週、最終25億に届かないぐらいと書きましたが、すみません。大幅に読み間違えました。25億は超えそうですね。でも30億は無理かな……つまりUS興行の初日1日分も行かないってことです。悲しい……内容的には超・最高です。わたしの今年暫定ナンバーワン
 8位:『映画クレヨンしんちゃん 』 が37日間合計で、17億~18億と思われる。すごい。地道に積み上げてます。まさかと思うけど、20億に届くのか? 我ながらちょっと計算が信じられない。
 9位:『ガールズ&パンツァー』が、再び157スクリーンでの上映が始まり、まさかの再ランクイン!! すげえ!! もう、公開何日目なのか、累計興収がどのくらいなのか、計算するのも面倒。えーと、2015年11月21日公開だから……184日間ってことかな? で、累計興収は、3月ぐらいだったかに4DXで盛り上がっているころに最後に計算したとき既18億ぐらい行っていたので、まさか20億とか行っているのか? さっぱりわからんです。※2016/05/24追記:公式Tweetで、20億突破が公表されてました。すげえ……!!
  10位:『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III 暁の蜂起』がわずか15スクリーンでの限定公開で0.5億と10位にランクイン。やった!! 最高に面白いです。かつてガンダムに夢中になったおっさんが観ると相当面白いと思う。しかし……次の『IV』では、とうとうシャアとララアの出会いが描かれるわけで、ララアの声を誰がやるのか、わたし的には大変楽しみです。

 とまあ、今週のランキングは以上です。
 なお、ちょっと古い情報ですが、という断り書き付きで、今年の邦画のいくつかのデータをTwitterで見かけたのでメモっておこう。
 『エヴェレスト神々の山嶺』:58日間興収で12.2億
 『暗殺教室卒業編』:45日間興収で34.3億→マジか…余裕で35億超えてると思ってた……。
 だそうです。想像よりもちょっと下だったかも。ふーん。いや、サーセン。特にコメントはないす。

 というわけで、結論。
 『ズートピア』強し!! まあ、内容的に大変面白く、もし今、なんか映画でも観ようかなと悩んでいる人がいたら、わたしは迷わず『ズートピア』をおススメします。理由は以前書いたわたしのテキトーレビュー(ネタバレあり)をどうぞ。しかし……『コナン』くんが一体全体いくら稼ぐのか、もはやまったく読めません。どうも60億も越す勢いです。毎週書いてますが、本当にすげえ。関係者一同、来年どうしようと青くなっているのではなかろうか? ああ、邪推っすね。失礼いたしました。以上。

↓ わたしは来週はコイツを観る予定です。闘う大統領再び!! 今度はロンドンが舞台だ!!

 というわけで、本日、今年の大相撲5月場所は千秋楽を迎えた。
 先場所、久しぶりの横綱【白鵬】関が、結構あっさりと優勝を決め、まあ、今場所もやはり【白鵬】関が中心となるんでしょうな、という空気の中、5月場所は始まった。しかし、先場所で惜しいところまで行った【稀勢の里】関も調子がいいようだし、もちろん他の横綱・大関も黙ってはいまい、という見所いっぱいの状況だったわけだが、おそらくは、大方の相撲ファンの注目は、果たして【稀勢の里】関の日本人優勝はあるのだろうか、そして本当に横綱【白鵬】関は復活したのか、という点に焦点は集まっていたように思う。
 で、おそらくは、一番盛り上がったのは、13日目の5/20(金)の結びの一番、大関【稀勢の里】VS横綱【白鵬】関の割であろうと思う。二人とも、12勝0敗。この勝負に勝った者が、今場所を支配するのではないかという注目の一番であった。結果は、【稀勢の里】関の善戦むなしく、【白鵬】関の勝利。そして結局、翌土曜日にも【白鵬】関は横綱【日馬富士】関にも勝利し、千秋楽を待たずして、これまたあっさり優勝を決めてしまい、本日の千秋楽も横綱【鶴竜】関を下して全勝優勝を決めたわけである。
 戦前は、わたしは西の新関脇【】関の強さに大変期待していたのだが、9日目の対【白鵬】戦で、またも【白鵬】関の強烈なエルボーを鼻っ面にくらい、一発KOとなり、結局今場所は4勝11敗と大きく負け越してしまった。また、ここ数年では一番の出世頭と言っていい大関【照ノ富士】関も、どうも二場所前ぐらいの怪我から立ち直れずにいて、大関としては歴代ワーストの13連敗を喫してしまい、2勝13敗。来場所はカド番となってしまった。【照ノ富士】関は、本当に強さが目立っていて、もうあっという間に横綱まで行ってしまうのではないかという勢いがあったのに、今場所、先場所では、その強さは観る影もなくなってしまったのが残念だ。
 そして問題の大関【稀勢の里】である。この人は、どうも強いんだか弱いんだか分からない力士で、格上の力士と闘うときは非常に強いのだが、格下と闘う時はなぜかぽろっと負けることが多く、しかもそれが序盤で起こることが多いため、まだ優勝経験がないのだが、明らかに、2場所前にライバルの大関【琴奨菊】関が日本人出身力士10年ぶりの優勝をしてからは、その相撲振りが変わってきて、先場所の活躍は一皮向けたか? と期待させるものだっただけに、今場所への意気込みも違っていたし、事実、いい相撲を見せてくれていたのだが、結局二人の横綱には後一歩及ばずの13勝2敗で終わった。もっとも、今日の千秋楽では横綱【日馬富士】関に勝利し、二所ケ関審判長の談話によると、「来場所の優勝」を条件に、綱取りにまだかろうじて手がかかっている状態である。来場所、とにかく頑張って欲しいですな。

 さて。そういう上位陣の戦いももちろん楽しませていただいたわけだがそれよりもですね、わたしは一番応援している【松鳳山】関が先場所4勝11敗と大きく負け越してしまい、今場所は西前頭十一枚目という番付で戦いに挑んだわけで、もし今場所も大きく負け越してしまったら、下手すりゃまたも十両落ちもあり得ると、大変ドキドキしながら毎日見守っていたわけである。
 だがしかし!! やってくれたぜ、オレたちの【松鳳山】関は!! なんと驚きの11勝4敗である!!
 この成績だと、また番付を上げ、恐らくは5枚目ぐらいまではいけると思う。
 てとことは、ですよ。来場所、また二桁以上勝てれば、再度の小結昇進もあり得る位置ですよ。まあ、他の力士の星次第ではあるけれど、大変期待が持てますな。5枚目ぐらいであれば、あまり上位との戦いも組まれないだろうから(しつこいがそれも他の力士の星次第)、超・チャンスだと思うんだよな……。応援してますので、どうか頑張ってください【松鳳山】関!!

 しかし……横綱【白鵬】関の強さは、やはりちょっと以前とは変わってきたように思えてならない。今日の解説の二人は非常に対照的で面白かった。
 まず、舞の海秀平氏の見立ては、「白鵬、衰えたり」であり、その相撲振りの変化に疑問を呈している。わたしも実は毎の海氏の意見に同意していて、実際、以前の圧倒的な強さは鳴りを潜めてしまっているように観ている。どうも、4場所ぐらい前からの【白鵬】関の相撲は明らかに変わってきていて、それを「衰え」と見るのは自然な意見だと思う。
 一方の、往年の第52代横綱・北の富士勝昭氏は「相撲が変化してくるのは当たり前。これは衰えではなく進化だ」という意見だ。北の富士氏にこういわれてしまうと、まあ、そりゃあそうだ、とは思うものの、この北の富士氏の解説は、たまーーにテキトーなことを言うので(だから凄く笑えて面白い)、【白鵬】関に関する今日のコメントは真面目に言っていたけれど、どうも、額面通りに受け取れないような気もする。
 いずれにせよ、来場所も、【白鵬】関と【稀勢の里】の二人が主役となるような気がするが、わたしとしては愛する【松鳳山】関の動向に、15日間やきもきすることとしたい。いやー、相撲は結構面白いっすな。

 というわけで、結論。
 いけいけ僕らの【松鳳山】!! 今場所はお疲れっした!! 11勝、お見事だったすね。来場所も応援しているので、頑張ってください!! まずは、小結復活目指して、GO!! 松鳳山!! GO!! 以上。

 我々おっさんにとって、やはり『機動戦士ガンダム』というコンテンツは、大変思い入れのある作品だ。小学生のときにわたしの周りで「ガンプラ」を作っていない奴はいなかったし(たぶん)、もちろん、劇場三部作は映画館へ行って観たけれども、もはやそれは30年以上前の話で、普通のおっさんはとっくにガンダムとは縁のない生活をしているだろうと思う。
 しかし、そんな中でも、未だに「ガノタ(=GUNOTA=ガンオタ=ガンダムオタク)」を名乗るおっさんは数多くいる。わたしはそこまでではないけれど、仕事上必要があって「ガンダム」についてはそれなりに詳しいつもりだ。わたしの場合、実はリアルタイムで観ていた作品は少なく、もちろん一番最初の「機動戦士ガンダム」はTVで観ていたものの、実際のところわたしが観たのはブームがやってきてからの再放送であり、その後の「Z」や「ZZ」などは、社会人になってから、仕事上どうしても必要なために会社のガノタの連中からVHSビデオを借りてみたクチだ。ガンダム用語で言うところの、「強化人間」である。
 わたしの記憶が正しければ、「Z」や「ZZ」は、わたしの家がまだビデオデッキ(しかもβです。うちのデッキは)を買ったばかりで、おまけにまだテープが高くて、放送のあった土曜日の夕方(だったっけ?)は、わたしは塾に通っていて観れなかったのだ。
 そして、わたしが会社の連中から借りたのがVHSビデオということで分かるかもしれないが、わたしが「Z」「ZZ」「逆シャア」「0080」「F91」「0083」「V」「G」「W」「08小隊」を立て続けに観たのは、1995年から1997年にかけての話である。おお、マジか。自分で書いてびっくりした。もう20年前の話じゃん。あの頃が一番楽しかったなあ……。その後の「ターンエー」「SEED」「00」は、リアルタイムで観た。そう、ガノタの方ならもうピンと来ているかもしれないけれど、実はわたし、「X」だけ観てないんす。そして仕事内容も変わった2008年ぐらいかな、その辺からは再びTVも見なくなって、「AGE」「レコンギスタ」「鉄血」も観てない。
 一方で、『機動戦士ガンダムユニコーン』は原作も読んだし、劇場へも観に行って、Blu-rayもすべて持っている。何が言いたいかというと、おっさんファンとしては、やっぱり俗に言う「UCモノ(=宇宙世紀モノ)」は、やっぱり面白いし気になってしまうわけであります。
 そして、今、世のおっさんガンダムファンのハートを鷲掴みにしているのが、安彦良和先生による一番初めの「機動戦士ガンダム」を完全漫画化した作品、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』という作品だ。 わたしはこの漫画を連載開始からずっと読み続け、大変興奮し、もうとっくに連載も終わって完結している作品だが、去年からアニメ化されて2週間の劇場公開の後、Blu-rayが発売になるという、「ユニコーン」と同じ展開を取っている。そしてそのアニメ化された映像は、恐ろしくクオリティが高くて非常に素晴らしい出来となっているのだが、アニメでは、30年以上前のかつての「機動戦士ガンダム」では語られなかった、「1年戦争開戦前」の過去の回想部分に焦点を当てて描かれているのである。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のコミック単行本でいうと、9巻~14巻かな。
 今日から公開されたのは、既にシリーズの第3弾となった『暁の蜂起』というもので、キャスバルがとうとう「シャア」と名乗り、ジオン士官学校に入学してザビ家の4男・ガルマと出会うエピソードである。単行本では10巻のラストから11巻の最後のちょっと前まで、であった。はっきり言って、超・傑作で、凄まじく面白かったのである。

 んん? なんだかよくわからんけど、公式予告は海外向けしかないな……まあいいや。世のガンダム好きならば、上記予告を観て興奮しない人はいないと言っても過言ではないと思う。
 もう、『THE ORIGIN』の連載は完結しているし、コミックスが出たのもずいぶん前なので、いまさらネタバレもないからズバリ書くけれど、キャスバルがシャアと名乗る、身代わり事件は、今回はもう最初の10分で描かれてしまう。なので、今回のメインは、後に「1年戦争」と呼ばれるジオンの独立から連邦との開戦に至る、一番最初のきっかけとなったジオン士官学校の学生による蜂起事件の方である。また、モビルスーツ開発秘話も今回も大きく前進して、とうとう「悪魔の博士」Dr.ミノフスキーも登場するわけで、ガンダムファンならもう、大興奮である。もちろん、わたしはコミックを読んでいるので話は知っているが、それでもとにかく興奮したね。非常にクオリティが高い。すべて30年以上前に描かれたお話をベースとしているのに、完璧につじつまが合って破綻がない。凄いよとにかく。前作『II 哀しみのアルティシア』をここで紹介したときも書いたけれど、この『THE ORIGIN』は30代後半~40代のおっさん世代にぜひ観てもらいたい。かつてガンダムに興奮した人間ならば、絶対に面白いと思うはずだ。
 さて。おそらく、検索でこのBLOGにたどり着いた人が知りたいことを軽く書いておこう。
 ■今回どこまで描かれたか
 前述のように、単行本11巻のラストまでは行かなかった。そのちょっと前の、「暁の蜂起事件」が終息してドズルが戦車でやってきてガルマを抱きしめるところまで、である。ラスト、赤い朝焼けを眺めながらシャアは、「赤いな……実にいい色だ」とつぶやいて今回は終了である。非常にカッコイイ。なので、シャアが士官学校を退学になって、地球に下りるところまでは今回描かれない。
 ■おまけ映像:エンドクレジット後に、3種の映像が入っていた。
 1)テム・レイ&アムロ親子、サイド7に赴任するの巻
 エンドクレジットが終わると、建築中のサイド7にテム・レイが赴任するところが少しだけ描かれている。もちろん、アムロ少年も一緒だ。これは12巻のラスト近くで描かれているシーンだと思う。アムロが「ここが・・・サイド7・・・」とつぶやくあのシーンである。
 2)次の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 』の予告
 見た限り、次は11巻のラストから12巻にかけてのようだ。そうです。とうとうシャアとララアが地球で出会う話と、月面での人類史上初のモビルスーツ戦ですよ。サブタイトルは『運命の前夜』だそうで、今年の秋公開予定だそうです。予告では「赤い旧ザク」がカッコイイ!!
 3)5作目以降の「ルウム戦役編」の製作決定の巻
 まあ、ファンには嬉しいお知らせですな。このアニメ版の『THE ORIGIN』はどこまで描かれるのか分からなかったけど、これで、ちょっとすっきりしました(ただし、これはBlu-rayに収録されてない!! なんだよもう!!)。
 ■原作との違い(2箇所)
 これまでの『I 青い瞳のキャスバル』『II 哀しみのアルテイシア』が、原作コミックをそのまま、まさに台詞もコマも完全に原作通りだったのに比べて、今回の『III 暁の蜂起』は、初めて(?)原作から変わっているところがあった。しかもかなり重要な改変である。わたしは今日、安彦先生や池田秀一さんたちの舞台挨拶を見たのだが、そこで安彦先生もその点に触れていて、安彦先生としてはこの改変によってもっと分かりやすくなったと思うと仰っていた。わたしも、今回の改変はアリ、だと思った。ポイントとしては2箇所の改変があって、1つ目が、士官学校の生徒に、本物のシャアを知っている奴がいて、そいつが、キャスバルとの入れ替わりを見抜くという流れ。2つ目は、蜂起のきっかけとなったコロニーでの事故の原因が、原作では隕石の衝突だったところ、今回のアニメ版では連邦の戦艦の管制無視による事故、となっていた。その方が一層、連邦憎しの気運が高まるので、より自然になったと思う。

 というわけで、結論。
 本当にこの作品のクオリティは凄いというか、もう凄まじいレベルだと思う。とにかく面白かった。つーかですね、わたしは今、これを書きながら、買ってきたBlu-rayを観てるのですが、これは本当に、傑作ですよ。最高です。次の『IV』でとうとう登場するララアの声は誰がやるんだろうな……まさかの母娘競演(※)かな!? いやー、まだララアは子供だし……超・気になります!! 以上。

 ※かつてのララアを演じたのは藩恵子さん。そして今、セイラさんを演じているのは、実の娘の藩めぐみちゃん。今日も舞台挨拶でお見かけしたが、まあ、かわいい娘さんですな。

↓ まあ、正直わたしはこの通常版で十分なのだが……早く欲しいので劇場で【限定版】を買いました。でも10,000円……たっけえ。。。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN III [Blu-ray]
池田秀一
バンダイビジュアル
2016-06-10





 

 わたしは友達が少ないことでお馴染みだが、そんなわたしにも、一応友と呼べる男は少ないながらもおり、K氏はわたしが最も信頼する男の一人である。
 彼は、晴れやかなイケメン野郎で、アメリカ映画で例えると、わたしはギーグでモテないブサイク野郎であるのに対し、K氏はもう完全にアメフト部のキャプテンと言ってよかろう。ねたみ・そねみを自らに抱えるクソ野郎のわたしからすれば、実にけしからん男だが、どういうわけか気の合うナイスガイである。あまつさえ、超美人のCAの妻を持ち、息子もまたイケメン君でしかも賢く、この春から有名私立中学に通う、絵にかいたような幸せ満点家族である。もちろん、友とはいえ、その内情は知る由もなく、幸せの中にもそりゃあいろんな苦労があることは想像に難くはないが、外面的には非の打ちどころのない、スーパーリア充野郎である。
 そんなK氏とわたしは、いつも、仕事に全く関係ない、どうでもいいことを楽しく語り合い、完全に男子高校生の日常的な会話ばかりするのだが、毎週、週刊少年チャンピオンやヤングマガジンの巻頭グラビアを見分し、グラビア品評会が開催されるのも日常の一コマである。ほう、この娘はいいですな、うむ、この寄せて作り上げた谷間には夢があふれておりますな、ははあ、これは相当なPhotoShop職人の努力の跡が見るのう、おお、このポージングはなかなか分かっておるわ、というような、縁側で日向ぼっこをしているおじいちゃんめいた口調で、男子高校生のような内容をアホみたいに話すのが我々のグラビア品評会の光景である。
 そして、そんな我々にとって、ちょっと特別な位置に属している女性がいる。
 その名を「壇蜜」と言い、年齢は既に30半ばの女子である。しかし、我々にとって30半ばなんてものは十分にうら若き女子であり、まったくもってストライクゾーンど真ん中である。 なので、どうも本人はいつも「わたしなんて……」と年齢を気にしている風な発言をされているようにお見受けするが、我々的には壇蜜さん、通称みっちゃんは、アリ、であって、そのシュッとしたたたずまいと、素晴らしいBODYに我々二人のおっさんはメロメロなのである。また、わたしは多分に「声フェチ」でもあり、みっちゃんの声が大好きだ。なんか、特徴ある声っすよね。最高です。
 そんな特別な存在のみっちゃんこと壇蜜さんだが、実は数年前、わたしとK氏は偶然生身のみっちゃんを目撃したことがあった。わたしとK氏が打ち合わせに向かって歩いていた時、前方からみっちゃんが歩いてくる場に遭遇したのだ。わたしは常に360度センサーをオンにして哨戒状態にあるし、視力もいいので、わたしは約20メートル前から気が付いた。あれ? 何あの女子。超可愛いじゃん。つか、オイちょっと待って!!? あれってまさか、まさか!?  げええええーーーー!! み、みっちゃんだ!! 本物だ!!! とわたしは大興奮し、隣を歩くK氏に、(ねえ、あれ!!  あれ!! みっちゃんじゃね!?) と超・合図したのだがK氏が気づいたのはすれ違う直前で、わたしはもうとっくに気づいてみっちゃんをガン見しながら、漂ってくる超・いい香りに脳が侵され、ある意味イッちゃっていたのだが、すれ違いざま、思わずK氏と顔を見合わせ、二人で超・ナイス笑顔で、(みっちゃんだ!!!)と囁き合い、以降、長らくみっちゃんこと壇蜜さんは我々おっさんの心の偶像(IDOL)なのである。いやー、すげえいい香りで、ちょっとちびっ子で、超華奢で、すさまじく可愛かったことを今でも覚えている。みっちゃん……最高です。
 さて。なんでまたこんなどうでもいい話をしたかというと、先日、とある書籍を買って読み、非常に感銘を受けたからである。わたしが買って読んでみた書籍とは、これです。
どうしよう
壇 蜜
マガジンハウス
2016-02-18

 お、発売時のサイン会?の動画があったから貼っとくか。

 この本を買ったきっかけは、まったくの偶然で、先日本屋さんで偶然見かけ、へえ? と思って手に取り、ちょっとだけ立ち読みしてみたところ面白そうだったので、気になり、その場では買わなかったものの、気になって調べたら電子書籍版も販売していて、ううむ……えいっ!! とポチってみたわけである。よく考えると、タレントのエッセイを買うのは初めてかもしれない。しかし、内容は大変面白く、また、みっちゃんは文章がかなり上手で大変感銘を受けるに至ったのである。ははあ、やはりみっちゃんは、言葉を大切にしている人なんだな、というのが非常に感じられる文章であった。
 また、50本のショートエッセイから成る本書は、各エピソードがことごとく同じ分量なので、これはきっとどこかの雑誌連載コラムを一冊にまとめたものなんだろうな、と勝手に想像していたが、なんとこれはすべて書き下ろしだそうである。この事実にわたしはかなり驚いた。ここまで各エピソードを決まった分量で書くことは、かなり技術的にも難しいことだと思う。素直に、すげえ、これは明らかに努力の人なんだなあ、とますますみっちゃんが好きになった。
 で、肝心の内容である。すべて、彼女が常々思っていることや、遭遇した出来事についての飾らない心情を書き綴ったもので、意外とテーマは幅広い。様々な場面における「どうしよう」といった出来事について書かれているわけだが、そこにはみっちゃんのこれまでの生き方(その由来含む)や、これからの生き方が明確に映し出されていて、彼女の性格が非常に良く表れているように思う。もちろん、話したことのない、永遠の偶像(IDOL)なので、これも当然わたしの妄想に過ぎないのだが、壇蜜こと斎藤支静加という一人の女性は、どうやら、いたって真面目な人間であるらしいことは良くわかった。以下に、わたしが本書を読んで、へえ~と思ったり、そうなんだ、と知ったことをいくつかまとめてみよう。
 ■壇蜜≒斎藤支静加ということ。
 まあ、当たり前かもしれないが、我々が知るタレントの壇蜜さんと、現世に生きる人間である斎藤支静加さんは、似て非なる別人格なんだな、ということが随所で感じられる。もちろんベースは共通しているのは当たり前だが、タレントとしての「壇蜜」という存在は、かなり人工的な存在であるらしい。それは要するに「壇蜜」に求められるものを体現する努力をしているという意味なのだが、それは極めて冷静な視点から作り上げられた姿らしい。ただ、現在はどうやらかなりそれが重なって来て、人工的なイメージに合わせた「壇蜜」という存在と、素の斎藤支静加という人間の同化が静かに進行中であるようだ。どうやら、もはや「壇蜜」としての過去のイメージを消すことはできないと自覚しているものの、もっと楽に、自然に在る「壇蜜」でいる方向性を選んでいるように感じられた。だから、両者の同化は、「壇蜜」の否定ではなく、一方的に壇蜜を消して元の斉藤支静加に取り込まれるものではない。0:10ではなくて、5:5なのかわからないけど、とにかくちょうどいい塩梅に融合して行っているという感じなのではないかとわたしは感じた。
 ■モノを持たないということ。
 どうも、この本の中で何度か出てくる話なのだが、みっちゃんは、とにかくモノを持たない、捨てる女なんだそうだ。一人っ子であり、女子高育ちの彼女は、基本的な人格形成において、かなり厳格な環境にあったそうだが、それまでは彼女は何でもとっておく傾向のほうが強かったものの、30代になって初めて一人暮らしを経験してからは、捨てることを生活方針と定め、それはもはや宗教的な敬虔さを持って、意識的に、バンバン捨てる、そしてシンプルな、整然と片付けられた部屋に暮らすことを旨としているそうである。へえ~、である。そして、どうも、そういった彼女の生活スタイルは、物質としてのモノだけでなく、精神的な「思い」すらも捨てて生きようとしているようにわたしには思えた。つまり、執着しない、ということなのだが、年齢を経ていろいろなことに対して柔軟に、そして、それでいて、ブレない芯を持った生き方を真摯に追求しているわけで、みっちゃんの凛とした姿はそういう内面の表れなんだろうな、と思うに至った。やっぱり、ちょうどいい感じにやわらかく、きちんと芯を持っているのがいい女なんでしょうな。
 ■だって、にんげんだもの。
 みっちゃんは、本書でいろいろなことを告白し、自分の生き方をさらけ出している。だが、全部それを実践できているかというと、そりゃあそんなこともないわけで、結構頻繁に、自分でツッコミを入れている。「とはいえ、●●なんですけどね」と、こうありたいという姿と、現実のギャップを、若干の恥じらいと自虐をこめて結ぶ話が多い。そりゃあ、だって、にんげんだもの。しょうがないというか、そうなっちゃいますわな、と、読んでいてやや安心するというか、そういった柔らかさもまた読んでいて心地いい。

 とまあ、書き出すときりがないのでこの辺にしておくけれど、みっちゃんはその過激な露出グラビアや、一面だけを切り取って報道される言動からは、だいぶかけ離れた一人の、おとなしい、真面目な女子であることが、この本を読むと良く分かる。もちろん、みっちゃんのすべてを肯定するわけではないし、それはどうなんだろう、と思うようなことももちろんある。けれど、みっちゃんの素直な心根は、大変好ましいというか、きっとわたしは、ええーーーと思うことがあっても、まあいっか、と許してしまうような気がする。
 ただ、本書で残念なことが一つだけある。それは、常にクールなみっちゃんは、一体何に、何をしている時に、一番テンションが上がるのだろう? みっちゃんが、浮かれて、ふわーーい!! と喜んでいる様が観てみたい。それがどんな時なのかが書かれていないような気がするのが、わたし的にちょっと残念である。女子はですね、やっぱり、笑顔が一番っすよ。みっちゃんはどんな時に、どんなものに一番喜びを爆発させるのか、それが知りたいわたしであった。

 というわけで、結論。
 壇蜜さんのことをわたしは勝手にみっちゃんと呼んでいるが、何らかの宇宙的な奇跡が顕現し、みっちゃんと話す機会があったなら、わたしは迷わず、大ファンです、と告げるだろう。まあ、そんな奇跡は起きないから奇跡と呼ばれるわけだが。はーーー……。とりあえず、わたしとしては、この本を読んで、ますますみっちゃんが好きになりました。以上。

↓ K氏には友情の証として、この写真集を差し上げました。まだ持ってるかな?

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週はもう、興奮しすぎて取り乱してサーセンっした。
 今週もかなりイイ展開の『鮫島』ですが、サクッと他の連載漫画をいつも通り軽く触れておきます。
 今週は、週刊少年チャンピオン2016年25号です。
 ■『弱虫ペダル』:巻頭カラー。連載400回記念。TVアニメ3期は20017年1月に決定、そして番外編の『SPARE BIKE 』もアニメ化だそうです。そして今週は頂上まであと500mのところでとうとう坂道&今泉くんが追いつきました。そして山頂に待っていたのは、巻島センパイ!! こりゃあ、またしても坂道のやる気は爆発してしまいそうですね。
 ■『刃牙道』:武蔵。愛刀を手にVSピクルに向けて準備するの巻
 ■『囚人リク』:いよいよ脱獄作戦開始の巻
 ■『少年ラケット』:ビリーさんとの闘いはついに決着!! の巻
 ■『錻力のアーチスト』:清作はフェンス直撃1点どまり。あとは弐織先輩頼んます!!!
 ■『Gメン』:ソフト部の美少女に、DT少年の勝太、浮かれまくりの巻
 ■『AIの遺電子』:ラーメン屋の大将(ヒューマノイド)の舌を直したら、味が変わってしまい……という話。面白かった。
 という感じで、まあ通常運行でしょうか。とにかくチャンピオンの『ペダル』推しはすごいですな。実際『ペダル』は面白いからアリですが。巻頭カラーと三つ折りピンナップ付きです(純太&一のコンビ。描き下ろしなのかよく分からない)。
  
 さて。では今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週から八日目、いわゆる中日に入り、とうとう主な幕内力士達の番付が判明しました。わたしはあまりに興奮してしまい、思わず表まで作ってしまいましたが、今週は東西の支度部屋の様子が描写されました。
 ただ、冒頭2Pは、【丈影】の回想シーンです。今年の初場所5日目で黒星となってしまった横綱【泡影】。それ以降、連勝を続けている横綱の、連勝が始まる前の最後の敗北。何が起きたのかわかりませんが、どうやら何かがあったようです。相手が誰だったのか、すげえ気になりますね!!
 で、現在の支度部屋に戻ります。まず西の支度部屋では、【白水】さんが結びの一番で横綱【泡影】との割が組まれており、超緊張してコチンコチンです。曰く「緊張で意識が黄泉の国へ引っ張られちまう」そうですw  川さんの謎の印で正気に戻る【白水】兄貴。横綱の恐ろしさを【松明】や鯉太郎に語りますが、鯉太郎にはイマイチ通じません。鯉太郎は常に体を壊しかねない相撲を取るので、土俵に上がるのは怖くないと言いますが、【松明】は心の中で思います。それが兄貴分の鯉太郎の強さであり、同時に危うさなんだと。しかし、ホントに常松こと【松明】もイイ奴になりました。『Burst』では本当にムカツク、クソヤローでしたので、その心の成長がファンにはたまらなく嬉しいですな。
 そして一方の東の支度部屋です。静まり返っている室内。そこに負けて荒れて入ってくる力士。ちくしょー!! とわめく力士に対し、【丈影】は偉そうに言います。「静かにしろ… 横綱の前だぞ」この一言で再び室内はシーーーン。そこに、とうとうあの男が!! 我々の知っているあの男が、言ってくれました!!!
 「フン… 仕方ないだろ… 命懸けでやってんだ 感情が爆発もする…」
 わたしはまた、この発言者は【天雷】あたりか、と思ったのですが、ページをめくって現れたのは!!! なんとあの、【王虎】が1ページブチ抜きで登場じゃないですか!!! マジか!! あの【王虎】が、「命懸けでやってんだ」なんて言葉を発するとは!!! これはもう、シリーズを読んできた我々ファンとしては感無量ですよ。これまでのシリーズでずっと悪党だった【王虎】もまた、『Burst』での鯉太郎との戦いで成長していたことが明らかになったわけです!!! やった―――!! 偉いぞ【王虎】!! しかも、そのセリフがカッコイイ!! 
 「心配しなくても 今場所で 俺が食ってやるさ」
 おいおい、お前、いつからそんなにカッコ良くなったんだよ……わたしはもう嬉しいっす!!
 しかし、横綱の手下たる【丈影】がまた生意気なことを抜かします。
 「フッ… 大関…アナタの実力は認めるが…さすがに横綱とは貫目が違う…何度挑もうが 結果は変わらない…」
 何だとこのガキャア!? と読者たる我々に喧嘩を売ってるとしか思えない【丈影】。おまけに、先週初登場の【白雲】【白鯨力】、そして【天雷】たちもいる支度部屋で、なんとこんなことまで言います。
 「勝てませんよ…誰もね…横綱・泡影を倒せるとしたら 私だけですから…」。
 そして対する【王虎】がまたカッコいいこと言ってくれました。
 「(クスッ…) 同部屋じゃ土俵で証明できねぇ…だが勝てたら…その大ボラも耳に入れてやるよ…」
 「…? アナタにですか?」
 「今日の相手にだよ…」 もちろん、【丈影】の「今日の相手」は鮫島鯉太郎です!!
 かーーーっ!! 【王虎】よ、よくぞ言ってくれたぜ!! いやー、今週の【王虎】は非常にカッコイイですな。でけえ口を叩く前に、まずは今日の相手、鮫島に勝って見せろ。話はそれからだ。なんだよもう、【王虎】が超イイ奴じゃん!!!
 という感じでしたので、今週もまた、わたしは朝の電車で超ニヤケていたと思います。もうあれっすね、毎日乗る電車の車両を変えないと、変質者で事案発生なのでヤバイっすね。いやー、ほんと、最高です!!
 というわけで、最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。本場所は7連勝中
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭六枚目
 8日目:【丈影】東前頭四枚目。横綱の弟弟子
  --------
 【王虎】&【猛虎】共に東大関
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明※王虎の付け人をやってることが判明!!
 【闘海丸】西小結 他の力士は先週の記事を見て下さい。
 【泡影】東横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。

 というわけで、結論。
 『鮫島』は本当に最高ですね。 先週、各力士の番付が判明したのはいいんだけど、星取りの状況も知りたかった……果たして上位陣の星はどんな感じなのか。実際のところ、14枚目の鯉太郎が横綱と戦える可能性が出るのは、上位陣の星次第なんだよなあ……気になるところっす。以上。


↓ 現在開催中の大相撲5月場所では、わたしイチオシの【松鳳山】関が昨日の段階で7勝4敗、勝ち越しまで あと星一つ!! 頑張れ!!

 つい先日、闘うパパでお馴染みのLiam Neeson氏主演映画『RUN ALL NIGHT』をWOWOWで観て、ここでもレビューを書いたが、先週もう1本、同じようなLiam Neeson映画がWOWOWで放送されていたので、彼の映画が大好きなわたしとしては当然録画し、観てみたわけである。そして結論としては、今回はパパではなかったけれど、実に渋い探偵モノのハードボイルドで、わたし的には大変楽しめたのであった。その映画のタイトルは、『A Walk Among the Tombstones』。直訳すると「墓石の間の散歩する」、ってことだが、日本での公開タイトルは『誘拐の掟』という作品である。 

 物語の大筋は、上記予告の通りである。ただし、時系列が相当ぐちゃぐちゃに編集されており、この映画の良さは一切伝わらない予告なので要注意だ。わたしはまったく予備知識なく観たわけだが、観終わって、これひょっとして……? と思い、調べてみたところ、やはり、明確に原作小説の存在するハードボイルドであった。著者はLawrence Blockという大ベテラン作家。わたしは読んだことがない作家だが、なんと80年代にわたしが観てかなり好きだった映画『800万の死にざま(Eight Million Ways to Die)』の原作者で、さらに言うと、なんと、同じ主人公の「マット・スカダー」シリーズであったのだ。これは全然知らなかった。1986年公開の『800万の死にざま』において、Jeff Bridges氏が演じたキャラクター、マシューが、今回Liam Neeson氏が演じた主人公マットその人だったわけで、わたしとしては、マジか!? と大変驚いた。というわけで、今回の原作となったのはこの作品らしい。

 ほえ~、そうだったんだ、とわたしは30年前に観た『800万の死にざま』という映画を懐かしく思い出したが、今回の『誘拐の掟』を観終わって、これってひょっとして……? と思ったのは、なんというか……妙に文学的な匂いのする映画なのだ。なので、これは原作があるんじゃねえかしら、と思ったのだが、とりわけ主人公マットの雰囲気がイイ。また、予告に一切現れない、ホームレスの少年も非常にキャラが立っていて、過去を持つ男と、彼にあこがれる少年のやり取りは大変好ましく、ハードボイルド小説の香りがぷんぷんしてくる物語であった。
 主人公、マット・スカダーは元警官。1991年にとある事件が起こり、警察をやめ、1999年の現在は、免許登録をしていないいわばもぐりの私立探偵として生きている。そんな彼が、アル中克服プログラムで出会った男から、弟に会って欲しいと依頼され、しぶしぶ会いに行くと、その弟は、妻を誘拐した犯人を捜して欲しいとマットに依頼する。そんなのはFBIの仕事だぜ、と断るマット。しかし、既に誘拐された妻は惨殺されていて、その異様な様に、やむなく手を貸すことにするのだが――という話である。
 ストーリーとしては、その異常殺人誘拐魔を追う話と、マット自身の物語の2つの流れがあって、捜査の中で知り合った少年が、二つの物語を結びつける役割をしている。わたしとしては、正直なところ重要なのはマット自身の物語の方だと思えた。過去を悔やんでいる男。どうにも取り返しの付かない過去を抱えながら、それでも何とか正しく生きて行こうとする疲れたおっさんの姿は、やっぱり我々おっさんの心には響くものがあって、Liam Neeson氏の素の状態に近い芝居振りも大変良かった。今回は別にスーパー腕利き殺し屋でもないし、ある意味普通の人なので、少年とのやり取りも、態度こそぶっきらぼうだけれど意外と優しいおっさんで観ていて安心できる。
 ただ、だいぶ褒めてしまったけれど、映画として微妙な点もあって、例えば1991年の事件から現在時制の1999年まで何をしてどんな生活だったのかはよくわからないし、意外と家や家具は整然として金はかかってそうだし(=つまり金にはあまり困ってないっぽい)、あるいはまた、別れたとだけ語られる奥さんや、子供がいたのかとか、背景はほぼ描かれない。これはきっと原作小説だともう少し補完されているんじゃなかろうかという気はする。また、なんでまた、いまさら1999年を舞台にしているのかもよくわからない。これは原作小説がそうだから、そのまま採用しているのだと思うが、あまり意味がなく、別に2015年にしても良かったようには思う。それと、肝心の、異常な誘拐殺人事件の方も、あまり背景は語られないので、犯人の異常性の説明はほぼなく、単に異常者だったとしか語られない点も、原作小説ではもっと細かい背景があるんじゃなかろうかとは感じた。
 さて、最後に役者陣と監督についてチェックしておこう。
 主人公のLiam Neeson氏はもういいよね。この主人公に、弟と話をしてみてくれと依頼に来る、ヤク中のダメ兄貴を演じたのは、Boyd Holbrook氏34歳。特徴ある顔で、フィルモグラフィーを見ると意外といろいろな映画でわたしは見かけているはずなのだが、明確な役は全然覚えていない。ただ、先日レビューした、Liam Neeson作品『RUN ALL NIGHT』で、組織のボスのバカ息子を演じていたのが彼でしたな。
 それから、彼の兄貴で、主人公に妻を誘拐した野郎を探してくれと依頼する弟を演じたのがDan Stevens氏33歳。彼は、これまた以前ここでレビューを書いた『靴職人と魔法のミシン』にも出てましたな。あの映画では、主人公の隣に住むイケメン・リア充青年の役だったかな。
 あと、主人公に懐いてくる少年ホームレスを演じたのが、Brian "ASTORO" Bradley君19歳。え、19歳!? もっとガキに見えたけどな……。映画が2014年の作品らしいので、出演時は16歳ぐらいってことか。それなら納得かも。彼は本職はラッパーだそうですな。意外と今後、活躍するような気がしますね。名前は覚えておこう。
 最後、監督はScott Frank氏56歳。この人は元々脚本家みたいで、本作の脚本も自身によるものみたいすな。監督としては本作が2本目ぐらいだけど、脚本家としてのキャリアは長いすね。わたしが観た映画もいっぱいあって驚きだ。日本ロケで話題になった『WOLVARINE:SAMURAI』の脚本も、この人がクレジットされてるみたいすね。そうなんだ。へえ~。

 というわけで、結論。
 本作『A Walk Among the Tombstones』(邦題:『誘拐の掟』)は、わたしとしては結構気に入った。しかし、映画としてはまったく売れなかったようだし、評価もかなり微妙なラインなので、せっかく原作はシリーズモノなのだが、映画の続編は期待できないだろうと思う。本作が気に入ったわたしとしては、主人公マットをもっと知りたいと思うので、大変残念だ。原作読んでみるかな……。以上。

↓ シリーズの5作目っぽいな……よくわからんけど、映画は大変面白かった。そして肝心の映画は古くてBlu-rayは発売されていない模様……。
八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ローレンス ブロック
早川書房
1988-10



 

 というわけで、現在日本で出版されている『暗殺者グレイマン』シリーズの4作目、『暗殺者の復讐』を読み終わった。
 1作目『暗殺者グレイマン』の記事はこちら
 2作目『暗殺者の正義』はこちらの記事へ。
 3作目『暗殺者の鎮魂』の記事はこちらです。
 手抜きだが、前回書いたことを、はじめにコピペしておこう。
 何度も書いている通り、亡くなったTom Clancy氏から「ジャック・ライアン」シリーズのバトンを受け取ったMark Greaney氏によるこのシリーズの最大の特徴は、主人公コート・ジェントリーこと暗殺者グレイマンのキャラクターにある。彼は、妙に正義感があって、悪党しかその手に掛けないという「自分ルール」を持っていて、変にいい人過ぎるが故にどんどんピンチに陥り、血まみれになりながらなんとか勝利するというのがどうもパターンのようだ。冷徹なんだか、いい奴なんだか、もう良くわからないのだが、読者から見れば、その「自分ルール」故に、まあとりあえず応援はしたくなるという不思議な男である。そして最終的に事件はきっちり解決し、読後感としてはいわゆるカタルシス、すっきり感があって大変面白いとわたしは思っている。
 そしてこれも何度でも書くが、外見的な描写はあまりないのだけれど、わたしは彼のビジュアルイメージとしては、勝手にJason Statham兄貴か、Mark Strong伯父貴をあてはめ、絶対マッチョのセクシーハゲだと確信している。ピッタリだと思うな、たぶん。
  で、第4作目となる『暗殺者の復讐』である。
暗殺者の復讐 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2014-05-23

 もういきなりだけど、結論から言おう。シリーズで一番面白かった。
 もう、シリーズを読み続けてきた人ならお馴染みだが、この4巻目の冒頭時点で、主人公グレイマン=コート・ジェントリーは、4つの勢力から命を狙われる身だ。
 1)アメリカ合衆国政府(というよりCIA):グレイマンの出身国であり出身団体。だが、なぜShoot on Sight(目撃次第射殺=SoS)指令が出され、お尋ね者になっているか、その謎は明かされていない。
 2)シドという名のロシアン・マフィアのボス:2作目冒頭でのグレイマンのハンドラー(調教者=雇い主)。2作目で見事にグレイマンに裏切られた。超怒っている。
 3)ローラングループ:多国籍企業。1作目の敵。1作目でグレイマンにコテンパンにされたが、ラストでグレイマンを雇っていたはず(だが、どうも2作目にはいる前に喧嘩別れしたのか、シドに売ったのかよくわからない)。怒っている理由はもうわたし、良く覚えてません。
 4)マドリガルという名のメキシカン・カルテルのボス:3作目で、グレイマンと手を組む邪悪な男。最後にグレイマンに裏切られて激怒中。You Tubeに、絶対ぶっ殺してやるかんなー!! 覚えとけよ!! という動画をUPしてるアホな人。
 とまあ、こんな感じに、そこら中から命を狙われており、今回、物語は、ロシアのマフィアのボスであるシド暗殺作戦から始まる。グレイマンとしては、もう逃亡生活に疲れちゃっており、さっさとケリをつけられる奴から片付けちまおう、と思ったらしく(?)、最初のターゲットに選ばれたシドは、ま、当然もうアウトですわな。正確に言うと、敵の敵は味方というわけで、シドを殺したがっている連中もやっぱり多く、その「敵の敵」から依頼を受けたという設定だったと思う。しかしこの冒頭も、これまた非常に派手な、映像栄えしそうなオープニングアクションで大変読み応えアリである。
 しかしこの派手なアクションを、上空から無人機で一部始終観ている存在がいた。
 今回のメインの敵はコイツらで、その正体はCIAから業務をアウトソーシングしている民間軍事企業である。CIAが出来ない汚れ仕事を請け負う彼らの目的は、あくまでCIAが払う懸賞金であって、志的には高くはないし、やり方も汚い。いわゆるcollateral damage=副次的損害=全然無関係な人々が巻き添えで死ぬこと、もまったく厭わない、純粋なバウンティハンターどもだ。
 というわけで、シドをぶっ殺した次に、そいつらがやってくる。が、グレイマンを救う謎の男が暗躍し、窮地を脱することに成功する。ただし、読者的にはその正体は別に謎ではなくて、コードネーム「デッドアイ」という、グレイマンを追うバウンティハンター企業に属する独行工作員で、その身分は最初から明かされていて、あくまでも、その「目的」が謎となっている。何故助けたのか、グレイマンに接近した目的は何なのか。
 まあ、普通の読者なら、このデッドアイがグレイマンの敵であることはさっさと分かるとは思うが、どうしてまた、味方を殺してまでグレイマンに接近してくるのかが良くわからない。この点は、実はわたしは結構イライラした。非常に回りくどく慎重で、そしてそれ故に、我らがグレイマンは結構あっさり信用しかけてしまうのだ。
 しかし……ホントに何度でも言うけれど、グレイマンはイイ奴過ぎるんすよね……。敵に決まってんだろうがと読者は分かっているのに、うっかり信用しそうになるグレイマンは、ホントあんた、今まで良く生きてこられたな……と心配なレベルである。もちろん、今回はデッドアイが実に巧妙なクソヤローだったので仕方ないとはいえ、結果的にまたしてもグレイマンは満身創痍であり、血まみれである。
 ただ、デッドアイの正体が判明してからの後半は非常に良かった。今回はイスラエルのモサドもこの騒動に介入してくるし、そのモサドの女性が非常にキャラが立っていて、大変良かった。だがしかし! ちょっと展開としては、「ジャック・ライアンシリーズ」の、Greany氏による最新作『米朝開戦』における、フランス人エージェントの彼女と同じ運命をたどってしまったのが極めて残念であった。そしてラストは、またもやグレイマンのいい人ぶりが自らを救うという、情けは人のためならず的な展開となって、クソヤローを無事にぶっ殺すことが出来たし、エンディングのエピローグではとうとう、グレイマンIn ワシントンDCで、ついに次の巻ではシリーズ最大の謎に挑むのか!? という前触れまで描いてくれて、大変楽しめる作品であったと思う。
 しかし、やっぱりグレイマンクラスの男でも、モサドだけはヤバイという認識なんですな。また、今回は民間軍事企業のハイテクチームが大活躍して、結構簡単にグレイマンは居所がバレることになる。顔認証はテクノロジーとしてもはやお馴染みだけれど、「歩容」という言葉があるんですなあ。つまり、歩き方、歩く癖、を記憶させておいて、世界各国の監視カメラ映像から、人物を特定する技術なのだが、確かにそういう技術もあるんだろうと想像は付くものの、相当膨大なデータだろうし、作中でも相当な数の「疑わしい候補」が出てきてしまうけれど、現代の世界の諜報業界(=インテリジェンス)においては実用化されてるんだろうなあ、という気はする。また、本作では「ドローン」も大活躍し、グレイマンを追い詰めたりするわけで、こういったいわゆるハイテクガジェットは、確かにTom Clancyの後継者に指名されたGreany氏の本領発揮というところなんだろうと思った。
 しかし、重ね重ね、モサドの女性の残念な運命はもったいないというか、実際悲しい結末だった。『米朝開戦』でもそうだったけれど、このGreanyという作家は結構キャラを使い捨てちゃう人なんですかね? だとしたら、ちょっとファンとしては残念だなあ、と思いました。ともあれ、物語はシリーズで一番面白かったと思います。また、まったくどうでもいい話ですが、今回の敵、デッドアイは、わたしの脳内では、何故かずっとJeremy Renner氏の顔が浮かんでいました。MCUで言うところのHawkeyeのあの人です。彼は『Mission:Impossible』シリーズのレギュラーにもなったし、「ボーン・シリーズ」番外編の『The Bourne Legacy』では主演を務めていて、なんか不敵な頭の回る凄腕工作員ということでこの人が頭に浮かんだのだろうか? それとも、単にDead EyeとHawkeyeと音的に似てただけかな? 自分でも良くわかりませんが、皆さんの頭には誰が浮かんだか、教えてください。しかし、グレイマンがハゲ・マッチョであることはわたし的には譲れないところですw

 というわけで、結論。
 「暗殺者グレイマン」シリーズ第4作『暗殺者の復讐』は、ちょっと中盤イライラするけれど、大変面白かった。シリーズを読んで来た方は、必読だと思います。そして、シリーズ最新作『BACK BLAST』は、もうUS本国では発売になってますので、早川書房さんの翻訳が発売されるのを楽しみに待ちましょう。以上。
 ★2016/06/30追記:さっすがオレたちの早川書房!!  新刊の告知がされてました!!!
マーク・グリーニー
早川書房
2016-07-22

 まだ書影はないようですが、あとチョイで日本語版が出ますね!! ホント、早川書房は分かってらっしゃる!! 今度は上下本みたいすね。楽しみ!!!



↓ くそう……我慢できないから買っちまうか……。あ、Kindle版はあさって発売だ!!
Back Blast (English Edition)
Mark Greaney
Sphere
2016-05-19

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 この週末は、わたしは『ズートピア』と『マクベス』を観て来ましたが、わたしがシネコンにいた時、売り切れや残りわずか! となっていたのは、何故か『遊戯王』と、『利息でござる!』の2作でした。『遊戯王』はまたカード配布とかがあったのだろうか? そして『利息でござる!』は、完全にシニアのお客さんばかりでしたが、相当人気は高かった模様です。もちろん、わたしの観た『ズートピア』も、かなりの混雑でした。
 というわけで、今日は特にトピックスがないので、ランキングをさらっと流して終わりにします。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『ズートピア』が23日間で37億まで伸びているそうです。先週より稼いだそうで、後伸びしていますね。口コミなんだろうか? やはりDISNEYアニメは強いですな。ただし、同じ4W目で比較すると、『ベイマックス』や『モンスターズUniv』には及ばないレベルで、50億は堅いと思うけれど、70億までは難しそう。わたしも観て大変楽しめました。わたしの適当なネタバレレビューはこちら
 2位:『殿、利息でござる!』が公開土日で1.9億ほどだそうです。やっぱり強かった!わたしも非常に見たいと思っている。東宝の『猫』に勝つなんて、おそらく松竹の皆さんは超大喜びで盛り上がっていることでしょう。良かったっすね!! おととしのヒット作『超高速!参勤交代(最終15.5憶)』には若干届かずの初動なので、15億には ちょっと届かないかなあ。。でも15億超えることを期待しています!!
 3位:『世界から猫が消えたなら』が公開土日で1.8憶だそうです。まったく根拠はありませんが、おそらく東宝的にはかなり物足りないスタートだろうと思う。このままだと最終15~16億あたりか。この小説はずっと前に、わたしが通っているヘアサロンに置いてあったので、カットの最中の45分ぐらいで半分ぐらいほど読みましたが、続きはそのまま読んでないのでどういうオチなのか知らないです。わたしはあまり興味なしですが、もっと売れると思ってました。
 4位:『名探偵コナン―純黒の悪夢―』が30日間合計で55億に届かないぐらいとみる。53~54億ぐらいか? いずれにせよ先週の時点でもう50億を越えてコナン史上最高記録達成済みだったので、う〜ん、まあ55億は行ってないだろうと思う。。観ていないのでわからないけれど、きっとファン大満足の素晴らしい出来なんでしょう。どこまで伸びるかもはや予測不能で来年のハードルは上がる一方……。
 5位:『64―ロクヨン―前編』が9日間で7億ほどと予想。もうちょい下か? 地道に稼いで頑張っていますが、シニアのお客を『利息でござる』に取られたかも。
 6位:『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』が17日間合計で20億は超えたはずだと思う。ただここからまた伸びていくのは難しいだろうから、最終25億に届かないぐらいと予想。内容的には最高です。わたしとしては今年の暫定ナンバーワン。
 7位:『劇場版 遊☆戯☆王』が23日間合計で6億ほどと予想。スクリーン数が少ない割にかなりじわじわ健闘中。素晴らしいと思う。
 8位:『映画クレヨンしんちゃん 』 が30日間合計で16~17億ほどか。こちらもシリーズ最高記録。
 9位:『ちはやふる―下の句―』が16日間合計で10億にはちょっと届かずか、ぐらいと予想。最終15億は超えてほしいけれど、大丈夫だろうか。「上の句」はおそらく15億は余裕で超えていると思う。
  10位:『アイアムアヒーロー』は23日間で12~13億ぐらいと予想。 こちらも15億あたりでの決着か。

 ランク外では、『変態仮面』が13位だったようですね。うーん、観たいけれど、近所で上映していないのが残念。WOWOW待ちです……。そしてわたしが観に行った『マクベス』はデータなし。まあそりゃ地味ですからね……なぜか吉本の配給という事で、どのくらいの数字だったのか大変気になるのだが……。

 というわけで、結論。
 わたし的には『ズートピア』がお薦めです。そしてわたしとしては『殿、利息でござる!』を早く観に行きたいと思ってます。以上。

↓これが原作らしいすね。一応実話ベースだそうで、ヤバい……どんどん見たくなってきた……。
無私の日本人 (文春文庫)
磯田 道史
文藝春秋
2015-06-10

 わたしが大学および大学院で専攻したのは、ドイツの近現代演劇である。しかし、だからと言ってドイツの作品だけ読んでいればいい訳では全然なく、当然ギリシャ悲劇やフランス喜劇も読んだし、あくまで日本語翻訳で読める範囲だが、名作と言われる世界の戯曲類は、おそらくほぼ全て一度は読んだつもりでいる。そして散々作品を読んでみて思ったのは、やっぱりSHAKESPEAREはすげえ、つか、どう考えても一番面白い、という結論であった。
 シェイクスピア作品の中で、わたしの趣味としては、一番好きな作品は『Henry IV part 1&2』か『The Marchant of Venice』なのだが、いわゆる4大悲劇の中では、『MACBETH』が一番面白いと思う。 実は、わたしにとって『MACBETH』は、とりわけ思い入れのある作品なのだ。
 あれはたしか約25年前、戯曲を読んだすぐ後の頃だと思うけれど(さっき調べたら、わたしが持っている岩波文庫の「マクベス」は1990年発行の第54刷だった)、当時、銀座のプランタンの裏手の並木通りにあった名画座で、「黒澤明の世界」と題して、全作品を1週間ずつ、二本立てで延々上映する企画をやっていて、わたしも毎週足しげく通って全作制覇したのだが、その時に観た『蜘蛛巣城』という黒澤明監督作品は、まさしく『MACBETH』を原作とした戦国時代劇だったのである。まあ、その事実は有名なので、世の中的にはお馴染みだと思うが、約25年前にわたしは初めてそれを知り、観て、猛烈に興奮したのである。コイツはすげえ、つか、もうSHAKESPEAREの原作越えてるじゃん!! 黒澤すげえ!! と、当時の仲間に興奮して話をしたことを良く覚えている。
蜘蛛巣城 [Blu-ray]
三船敏郎
東宝
2010-02-19

 この、黒澤明監督によるスーパー大傑作『蜘蛛巣城』は、『MACBETH』原作だし、他にも、『』は『KING LEAR(リア王)』を原作としたウルトラ傑作、そしてわたしがロシア文学にハマったきっかけとなった『どん底』『白痴』など、25年前のわたしをとにかく興奮させた一連の黒澤映画は、今の若造どもにも観てもらいたい、傑作中の傑作だとわたしは考えている。実際わたしは、今の世の中には、映画好きを名乗る人間はやたらと多いが、黒澤映画を観ていない奴は一切認めないことにしている。まあ、わたしはこう見えて、心が狭いのである。
 というわけで、先日、世界イケメン選手権開催時にはTOP10に入るような気がするMichael Fassbender氏が、先日のSteve Jobs氏の次に演じるのはMACBETHだと聞いて、はあそうですか、とわたしが黙っていられるわけがない。な、何だと!? ほほう、そいつは要チェックだぜ!! というわけで、最新の『MACBETH』をさっそく観に行って来た。そして結論から言うと、この映画は相当上級者向けのMACBETHで、事前知識がないと、さっぱり意味が分からない出来栄えとなっていたので、ちょっと驚いたのである。

 物語はもう有名なので説明しないが、おそらく、『MACBETH』を上演あるいは映像化するに当たって、問題というか、どう表現するかポイントとなる点が2つあると思う。
 一つは、世界の文学史上最も有名な悪女の一人である、「マクベス夫人」をどういうキャラクターとして表現するかという点だ。 主人公マクベスより場合によってはクローズアップされる、「マクベス夫人」。彼女についてはいろいろな解釈があると思うが、マクベスを操ると言ったらちょっと言い過ぎかもしれないけれど、間違いなく本作では一番カギとなる人物である。
 そしてもう一つは、有名な「三人の魔女」とその「予言」をどう表現するか、という点である。本作に限らず、SHAKESPEAREの作品には幽霊とか亡霊とか、そういうSuper Natural要素が頻繁に出てくるが、『MACBETH』という作品には「三人の魔女(Three Witches)」が出てきて、極めて重要な「予言」をする。その予言にマクベスは翻弄され破滅に至るわけで、これもまた物語のカギとなる部分であろう。
 ちなみに、上記2点のポイントを知らない人は、恐らくこの映画を観ても、さっぱり分からなかったと思う。というのも、実に……なんというか、特に説明がないし、シャレオツ臭漂う雰囲気重視の映像で、どうも物語自体が薄いのだ。簡単な方から言うと、「三人の魔女」は、この映画では、まったく何者かよくわからない存在で、ビジュアル的にも魔女には見えないし、ただの良くわからない普通のおばさんたちなのである。しかも、これはわたしの記憶が失われているだけかもしれないが、なんと今回は「三人の魔女+謎の幼女」の4人組である。黒澤監督の『蜘蛛巣城』では確か一人の謎の老女だったように、改変するのは全然構わないのだが、なんというか、今回の魔女は全然雰囲気がなくて、ふらーっと現れては消える存在で、十分超常の存在ではあるけれど、もうチョイ、マクベスやバンクォウは驚いたり怖がったりしてもいいように思った。なんか、フツーに受け入れてしまっては、観客的には、あのおばさんたち何なの? と思うばかりで、どうにも物足りないようにわたしは感じた。知らない人が観て、通じたのかどうか、わたしにはさっぱり分からない。
 で、問題の「マクベス夫人」である。ほとんど彼女のキャラクターを説明するような部分がないので、おそらく、『MACBETH』を知らない人が観たら、一体この奥さん何なの? と訳が分からなかったのではないかと思う。そして『MACBETH』を知っている人なら、ズバリ、イマイチに感じたのではなかろうか。狂気が足りないし、迫力もない。マクベスを鼓舞するようなところも乏しい。元々、マクベスが結構クヨクヨ悩むところを、しっかりしろ!! とたきつけるようなキャラなのだが、ま、はっきり言って存在感が薄すぎるとわたしは思った。おまけに泣くとは!! こりゃあ、ちょっと問題ありであろう。
 わたしは、観終わって、一体こんな演出をした監督は何者なんだ!? と思ってパンフを読んでみたところ、まあ、ズバリ、ド新人と言っていいようなJustin Kurzelという男であった。自然光を基本とした撮影やそれっぽい雰囲気重視の画作りは、まあ、確かにセンスは非常にイイものがあるとは感じられるものだったが、キャラ付けという面での演出は、ちょっと相当イマイチだったと思う。とはいえ、パンフの解説を書かれている東大の教授はかなり高い評価をしていたので、まあ、所詮はわたしの好みに合わなかっただけなのかもしれない。何と言っても、わたしにとっての『MACBETH』は、完全に黒澤監督の『蜘蛛巣城』なのである。あの映画の、三船敏郎氏や山田五十鈴さんのギラギラした凄まじい演技と比較するわたしが特殊なのかもしれないので、そういう意味で、この映画は上級者向けだと冒頭に記した次第である。例えば、原作通りの台詞がきちんと使われていたり、その台詞を発する人物が巧妙に原作と入れ替わっていたりと、そういう点ではかなり真面目に作られている作品であることは間違いないと思う。
 では、最後に役者をちょっとおさらいしておこう。
 今回、主役のマクベスを演じたのは、前述の通り、Michael Fassbender氏である。まあ、イケメンですわな。わたし的には、この人は『X-MEN』におけるヤング・マグニートーなわけだが、カッコイイだけじゃなく、なかなか演技もいいですね、この人は。なので、今回大変期待して劇場へ向かったのだが……うーーーん……やっぱり、ちょっと雰囲気重視でマクベスっぽくはなかったかなあ。なんか落ち着いていて、もっと感情を爆発させて欲しいのだが、特に王座に付いてからの狂い方が全然足りないと思う。『蜘蛛巣城』での三船は、本当に凄まじいですよ。何度観ても最高です。
 あと、マクベスの友人で、マクベスに殺されることになるバンクォウを演じたPaddy Considine氏も、わたしは初めて見る方だったが、ちょっとイマイチかなあ……『蜘蛛巣城』でのバンクォウの役を演じたのは千秋実氏だが、亡霊となって現れるあのシーンは、三船の狂いぶりも強烈だけど、千秋氏の亡霊ぶりも最高です。完全落ち武者スタイルで登場する亡霊は、超雰囲気ありますよ。
 そして最後はやはりマクベス夫人を演じたMarion Cotillard嬢である。非常に美しく、雰囲気のある彼女だが、やっぱりなあ……迫力不足は否めないだろうな……一番のキーパーソンなのに……。『蜘蛛巣城』での山田五十鈴さんはホントにハンパなくヤバイ、完璧なマクベス夫人だったと思います。

 というわけで、結論。
 もし、この映画に興味がある人は、事前に原作を読んだことがある、芝居を観たことがある、なら、どうぞ行ってらっしゃいませ。いろいろ今までのマクベスと違うので、その点は面白く感じるかもしれません。が、そうでない人は、おとなしく原作を読んでからにした方がいいと思います。つーかですね、まずは『蜘蛛巣城』を観ることを強くおススメします。『蜘蛛巣城』の方が、100,000,000倍面白いですよ。以上。

↓ 本作の監督とMichael Fassbender氏とMarion Cotillard嬢が再度集まって撮影している次回作は、全世界で超売れてる有名なこのゲームを映画化するものです。

↓そしてこれがその予告編。ゲーム大好きなY君も、この予告を観て「これは期待できる!!」と相当興奮してました。

 現状、世界のエンタメ業界はDISNEYが支配していると言っても過言ではあるまい。
 Marvelコミックを手に入れ、あまつさえSTAR WARSまでも傘下に従えたDISNEY帝国は、もはやダントツの強さを誇り、映画界に限定しなくとも、その強大さはもう例えようがない。FCバルサやNYヤンキースなんてレベルじゃない。強いてスポーツに例えるとすれば、オリンピックの全種目で全勝、オール金メダルの勢いである。 なので、WarnerやFOX、SONYといったメジャースタジオは「ぐぬぬ……!! またしても!! おのれDISNEYめ!!」と、憤死者続出の事態であろう。ちなみに、日本においても、東宝の圧倒的強さは際立っており、ちょっとだけ似ている状況かもしれないが、はっきり言うとまったく規模が違う。Navy-SEALsの隊員と、日本の家庭で平和に暮らす小学生ぐらい違うので、比較にはなるまい。
 まあ、そんなDISNEYなので、性格の捻じ曲がっているわたしは、チッ!! と舌打ちをしたくなり、「どうせお子様向けだろ!? なめんなよコラァッ!!」と言いたくなるのだが、残念ながらDISNEY作品を味わうと、これがまた「うんまーーーい!! 」となってしまうのだから本当に恐ろしくなる。悔しい、というか、くっそう、うめえ!! と、素直に、いや、まったく素直じゃないか、とにかくやっぱり、作品を賞賛せざるを得ないのだ。
 というわけで、昨日観てきた『ZOOTOPIA』。明らかにお子様向けである。が、今回もまた、うんまーーい!! お代わり!! と目をキラキラさせて言いたくなるような素晴らしい映画であったわけである。ホントすげえなあ、DISNEYは。

 この物語は、大人が観ると、恐らくはいろいろな暗喩や主張のようなものを感じることだろうと思う。それに、明確にお子様向けであり、大人が観たら、チョイとご都合主義が過ぎませんか? と思うような展開であるのも事実だ。だが、ズバリ言うと、そんなことはどうでもいいのである。キャラクターは魅力的だし、実際可愛らしく、しかもCGのクオリティは最高峰で、おもわず頬ずりしたくなるような毛皮のモフモフな質感は本当にすごい。この映画を観て何を思おうと、それは観た人それぞれの自由であるので、そりゃまあ勝手にどうぞなのだが、この映画をつまらない、と言う人は、普通に考えてひねくれ者であり、善良な皆さんは、そういう人間とは距離を置き、付き合わない方が賢明であろうと思う。せっかくの楽しい気分を台無しにされかねないし。ひねくれ者のわたしが言うのもアレですが。
 さてと。今回は、物語の簡単な流れと、わたしが非常に感心というか、ああ、すげえなあ、と思った点を、自分用備忘録としていくつかまとめておこうと思う。もちろんいつも通り、ネタバレ全開です。
 まず、基本的に物語は上に貼った予告の通りである。動物が「進化」して、2足歩行で言葉をしゃべる世界。その首都(?)「ズートピア」は、肉食動物が10%、残り90%は草食動物だそうだが、この世界ではもう肉食獣が草食獣を襲うことはなく、それぞれの生態に合わせたエリア(熱帯雨林エリアとかツンドラエリアとか)に分かれて平和に暮らしている。そして主人公のウサギのジュディは、8歳(?)ころから警察官に憧れるも、「いやー、ウサギに警官は無理ッショ」と言われながら、それでも不断の努力を重ね、冒頭の子供のころから15年後に、ついに警察学校を首席で卒業するにいたり、ズートピア警察(=Zootopia Police Department=ZPD)に配属されることになる。夢を叶えたわけだ。
 しかしそこは、みな水牛やサイや虎といったゴッツイ男たちの世界であり、主席卒業でもジュディはミニパトで駐車違反でも取り締まってろ、と冷遇される。折しも、ZPDは、ズートピア住民の謎の連続失踪事件を捜査しており、ジュディもその捜査に加わりたいのだが、まったくの仲間はずれ。しょんぼりしながらも、健気に元気に駐禁取り締まりにいそしむジュディは、キツネの詐欺師・ニックと出会い、軽く騙されてまたもしょんぼり&ぷんぷん激おこになるわけだが、とあるきっかけで失踪事件の手がかりを見つけ、腹立たしいけれど頭の回るキツネのニックを無理矢理相棒として捜査を開始する。そして、事件は思わぬ事態に――てなお話である。
 というわけで、本作『ズートピア』は、わたし的にはDISNEY作品初めての、「警察ミステリー」とカテゴライズできる作品であった。そしてそのような作品の王道を行く「バディ」モノであり、実によく脚本が練られており、マジでわたしも、こりゃあ面白い、と完全に物語にのめり込んでいったのである。
 伏線も見事に効いていて、大人レベルでは、「きっとこれはアレだろうな」とか、先読み可能なレベルではあるけれれど、その観客の期待は裏切られることがなく、実に気持ちよく明かされる展開も、非常に好ましい。おそらくは、ちびっ子だって、そういうものだと思う。ちびっ子レベルでも、観ながら自分で推理し、考え、そしてそれが的中したら、ものすごく気持ちいいものだと思う。そういった、極めて上質な物語体験をちびっ子時代に味わうことは、とても大切な、貴重なことで、そういう優良コンテンツであることこそが、DISNEYのすごい点あろう。
 また、今回の主役のジュディのキャラ造形も、わたしとしてはちょっと珍しいのかも、と感じられた。冒頭、子ども時代のジュディに、両親は言う(ちなみにウサギなので、子どもが210匹いると言ってたような?)。
 「幸せだな~。なぜって? それは夢をあきらめたからさ!!」
 わたしはこの冒頭のお父さんのセリフに、えええっ!? あ、あんた、今なんつった!? と椅子から転げ落ちそうなぐらい驚いた。お父さんの理論は、夢をかなえるにはとてつもない努力が必要で、その苦労・辛さを味わうことなく、つつがなくニンジン農家として暮らしている今が幸せ、という事だったのだと思う。もう全否定じゃん!! ゆとり教育もここに極まれりかよ、とわたしは心の中で突っ込んだわけだが、我らが主人公、ジュディは、そんなお父さんを持つ身にもかかわらず、夢にまい進しようとする。そこには、ガキ大将的な存在のキツネに対する怒りもあっただろうし、なにより、弱い者をほっとけないという正義感があるのだろう。その努力の過程は、実際のところさーーっと流されるが、彼女が明確に主人公の資格を持つキャラクターであることを観客に印象付けることに成功している。こういった、DISNEY主人公が努力する様子は、わたし的にはかなり珍しいような気がする。どうだろう、そんなことないかな? 『ベイマックス』『アナ』『シュガーラッシュ』『ラプンツェル』、ここ数年のキャラクターを思い浮かべると、なんかいつも、自分に備わった能力やスーパー前向きパワーで周りの人に支えられることで、何とかしているような気がするのだが、どうだろう? まあとにかく、ジュディの努力と根性は、意外と日本の漫画的で、我々としては非常になじみがある。そりゃもう、善良な人間なら誰だって、ジュディの味方となってこの映画を観るに違いなかろう。
 しかし、そんなジュディも、やっぱり間違いを犯す。ジュディですら、無意識な差別意識を持っていたし、そのことで、せっかく芽生えた友情も失いかける。こういう展開は、ベタではあっても、やはり観客として、あちゃー、やってもうた、とハラハラだ。しかも、相手のキツネのニックが、態度こそふてぶてしくとも、実にいい奴だし。実のところ、わたしはジュディよりもニックの方が非常に気に入った。ビジュアル的にも、実に、小憎らしいというか、ニヒルな口元や目つきが、とても良くキャラクターを表している。観ながら、このニックは誰かに似てる……ああ、そうだ、これは、ガンダムのカイさんに似てるんだと気が付いた。そして、バディものでは、実直な女主人公&曲者の男の相棒というのは、もう黄金タッグであろう。ジュディの真っ直ぐさはニックがいるからこそ輝くし、ニックもまた、そんな真っ直ぐなジュディを、ああもう、しょうがねえなあ!! と放っておけないイイ奴であることが示されていて、言ってみれば相互補完の関係にあるのだ。このキャラ造形は、もう王道だしそこら中で描かれている使い古されたものかもしれないけれど、やっぱり王道とは「王の道」ですよ。誰がどう見たって、好ましいよね。さすがDISNEY。さすがっすわ。
 で、ついうっかりニックを傷つけてしまったジュディは、もうしょんぼりと、思わず実家に帰ってしまう。そして、実家で平和に、そして失意のままに、ニンジンや作物を販売するジュディは、子どものころのガキ大将だった、あのキツネに出会うのだが、大人になった彼は、今やすっかりいい奴になり、実はずっとあの頃のことを謝りたかった、とジュディに謝罪する。あのシーンは実に美しく、わたし的には極めて重要だと思った。この謝罪を受け入れ、ジュディは気づく。このガキ大将にいじめられたことで、自分は肉食獣に無意識に偏見を持っていた。それでニックを傷つけてしまった。つまり、たとえ嫌なことをされても、同じことを返してしまってはダメなんだ。これが今回の作品の大きなテーマだったんだろうとわたしは感じた。
 そして、実家の畑での出来事で、事件解決の謎が解かれ、あわててズートピアに戻るジュディ。もちろん、真っ先に向かったのはニックの元だ。きちんと謝罪し、一緒にまた捜査をしようと願うジュディ。ここでのニックは、実にカッコ良くて、きっと嬉しいくせに、「しょうがねえなあ」的な感じで仲直りする二人は、もう観客からしたらほっと一安心だ。
 そして事件は、最終的には虐げられていた側が虐げていた側への復讐であることが判明するが、そこにはほぼ、真犯人に対する同情は描かれない。真犯人もまた、かつてのジュディ同様に、やられていたことをやり返していたわけで、わたしはまた、真犯人に対しても何らかの救済や戒め的なものあるのかな、と思ったら、特にフォローなく、逮捕されて事件解決めでたしめでたしとなった。ここは、正直、アレッ!? とは思った。だけど、まあ、やっぱり悪いことをしたら罰せられるということを明確にする必要もあろうし、まあ、それほど深刻ではなく事件も解決するからいいのかな、ととりあえず納得することにした。
 しかし、やっぱり思うのは、DISNEYの物語力とキャラ造形力は、王道であり、直球であるけれど、ど真ん中ストライクを投げて、観客にカキーンとホームランをかっ飛ばしてもらい、すっきりした気持ち、いわゆるカタルシスを与えてくれるのは、本当にすげえなあ、と思った次第である。ホント、DISNEY作品を味わって、文句を言う人とは付き合わないほうがいいですよ。気分悪くなるだけですから。

 というわけで、結論。
 DISNEYアニメ第55作目となる『ズートピア』は、大変面白かった。『アナ』は若干変化球だったけれど、今回はド直球だと思います。非常に楽しめました。ただ……わたしは地元劇場で日本語吹き替えしかやっていなかったので、まあ日本語版を観たわけですが、大人はやっぱり字幕の方ががいいと思います。主人公ジュディを演じたのは上戸彩ちゃん。可愛かったけれど、まあお子様向け演技かな。あとそうだ、一つ忘れてた。日本語吹き替えだと、オープニングタイトルはもちろん、劇中の書類とかの文字まで日本語になるんすね。ここ数作のDISNEYアニメは、そんなとこまできっちり「一番のお客であるちびっ子」への対応をしていて、ローカライズは完璧だ。そんなところも、やっぱりDISNEYは王者ですな。もうホント、すげえっす。以上。

↓ 字幕版の本来のUSキャストでは、ゴッツイ水牛のZPD署長の声はIdris Elba氏だったそうです。彼と言えば、わたし的にはやっぱり『Thor』のヘイムダルですな。

↓ そして同じく、ライオンのズートピア市長を演じたのは、 かのJ.K.Simons氏。なお吹き替えでは玄田哲章氏で、カッコ良かったっす。

 というわけで、このところずっと読んでいる「暗殺者グレイマン」シリーズの3作目、『暗殺者の鎮魂』を読み終わった。
 1作目『暗殺者グレイマン』の記事はこちら
 2作目『暗殺者の正義』はこちらの記事へ。
 上記でも何度も書いている通り、このシリーズの最大の特徴は、主人公コート・ジェントリーこと暗殺者グレイマンのキャラクターにある。彼は、妙に正義感があって、悪党しかその手に掛けないという「自分ルール」を持っていて、変にいい人過ぎるが故にどんどんピンチに陥り、血まみれになりながらなんとか勝利するというのがどうもパターンのようだ。冷徹なんだか、いい奴なんだか、もう良くわからないのだが、読者から見れば、その「自分ルール」故に、まあとりあえず応援はしたくなるという不思議な男である。そして最終的に事件はきっちり解決し、読後感としてはいわゆるカタルシス、すっきり感があって大変面白いとわたしは思っている。
 そしてこれも何度でも書くが、外見的な描写はあまりないのだけれど、わたしは彼のビジュアルイメージとしては、勝手にJason Statham兄貴か、Mark Strong伯父貴をあてはめ、絶対マッチョのセクシーハゲだと確信している。ピッタリだと思うな、たぶん。
  で、第3作目となる『暗殺者の鎮魂』である。
暗殺者の鎮魂 (ハヤカワ文庫NV)
マーク・グリーニー
早川書房
2013-10-25

 今回のお話は、前作の数か月後から始まる。前作の作戦により、完全にCIAからも、そしてロシアのヤクザからも、命を狙われる身となってしまったグレイマン。南米のアマゾン川の奥地に身を隠していたが、そこも強襲され、逃走するオープニングアクションがあり、舞台はブラジルから中米を抜け、メキシコに移る。しかし、逃亡中のグレイマンはメキシコのバスターミナルで、ふと一つのニュースを見てしまう。それは、かつて自分の命を救ってくれた男が死亡し、しかも悪党として報道されていたのだ。
 普通、冷徹な暗殺者で、いろんな勢力から命を狙われている男なら、そのまま逃走を続けるだろう。が、我らがグレイマンは、勿論そんなことはしない。律儀なことに、わざわざその男の墓参りに出かけるグレイマン。そして未亡人となった女性(妊娠中)の一家に歓迎されてしまい、あまつさえ、死んだ命の恩人が常に気に掛けていた、妹に出会って若干惚れてしまう。そして、恩人を殺したカルテルのボスが、イカレた狂信者で、未亡人とお腹の胎児を狙って殺し屋を放っていた――的な展開である。こうまとめると、なんだそりゃ、と思われるような物語かもしれないが、まあそんな展開で、未亡人一家と妹を守るために、グレイマンがまたも血みどろの戦いを行うのが本書のあらすじである。正直、基本的にずっとピンチ続きで、読み終わって疲れました。
 今回、わたしが面白いと思った、読みどころポイントを、自分用備忘録としていくつかまとめておこう。
 ■(事実なのか知らんが)メキシコは恐ろしい国!!
 今回の敵は、いわゆる麻薬カルテルである。メキシコのカルテルの恐ろしさは、もうそこら中で描かれているのである意味おなじみだが、まあ、とにかく人命が安い国だという事が本書でも嫌というほど描写される。そして軍も警察も、国家ですら、癒着しており、どうにもならんというのがかの国の現状のようだ。もちろん、普通の市民は善良に暮らしていても、だれがどこでカルテルとつながっているかさっぱり分からないからタチが悪いのだが、どうやら、善良な人々は、「アメリカ人どもが麻薬を欲しがるから(=需要があるから)悪いんだ!!」と思っているらしい。まあ、確かにそれはそうかも、であろう。何しろ麻薬ビジネスは100円のコーラを400,000円で売るようなもので、ボロ儲けだし。なので、今回グレイマンの敵となるカルテルのボスは、常にイタリア製スーツを着こなす優男で、完全にビジネスマンであり、しかもまっとうなビジネスも数多く行っているため、ちょっとした自国の人気者でもある。加えて、メキシコ軍人として戦闘訓練を受けていて、US-Armyでも訓練をしっかり受けた経歴があって、まあとにかく、目を合わせちゃダメな人である。そういった男がボスを務める組織を敵に回すのだから、もちろんグレイマンは満身創痍で、おまけに今回は、超ヤバイ拷問も喰らう。あれはもう、、読んでるだけで痛そうですね。
 ■グレイマン、初(?)の非単独行動
 いつもは完全に一匹狼で単独で戦うのがこれまでのパターンだったが(正確には前巻後半は共同作戦ではある)、今回のグレイマンは未亡人一家を守りながらの団体行動である。しかも未亡人一家はすぐお祈りをしたがって、さっさと行動したいグレイマンは何度も、早くしろよ……とイライラすることになってしまう。この辺は、ハリウッドB級アクションが大好物なわたしには、よく見かける光景だけれど、どうなんだろう……ちょっと、敵もグレイマンも、無計画すぎるし、隙がありすぎのような気がしてならない。おまけに!! 今回、初めてグレイマンin LOVEですよ!! まあ、グレイマンの愛に不器用な様はかなり良かったっすね。しかも、わたしはかなり笑ってしまったのだが、物語のラスト近くで、彼女が大好きなのに、オレの生き方に彼女を巻き込むわけにはいかない、一体どうやって別れを告げたらいいんだ……と悩むグレイマン氏に、彼女は告げる。「わたし、修道女になるわ!!」 おそらく描写にはないけれど、あっさり振られたグレイマン氏がガクーーーッとズッコケたことは想像に難くない。まったく、不器用な人ですよグレイマン氏はw
 ■CIAは敵か味方か?
 前作で、完全に再びCIAを怒らせ、Shoot on Sight(目撃次第射殺せよ=SoS)指令が継続中のグレイマンだが、まだ、本作最大の謎(?)である、「そもそも何故グレイマンはCIAから狙われなければいけないのか、過去に何が起こったのか」は本作でも解明されなかった。が、今回、前作で名前だけ登場していた、グレイマンのかつての上司が登場する。この彼はかなりいいキャラクターでしたね。今後も登場するかもしれないけれど、残念ながら彼も、上層部のいきさつは知らないようで、過去に何が起こったかは知らないようでした。これ、次の4作目を読んでも解明されず、ずっと引っ張るのではなかろうか……。
 ■グレイマン、再び敵を増やすの巻
 事件は、後半で、敵カルテルと対抗するために、その敵であるライバルの組織とグレイマンが手を結ぶ展開になる。グレイマン曰く、手を組むことにしたそのライバル組織のボスは「理性的な人間の想像するもっとも邪悪な人間像を具現している男」なんだそうだが、そんな男とがっちり握手。しかも2回。まあ、手段は問わないということだけれど、実のところ、グレイマンは彼らもまた道具としてしか見ておらず、最後はまんまと騙して、結局手を結んだ組織からも命を狙われることになってしまうのがわたし的にはかなり良い展開だと思った。この、最後のシーンはかなりカッコイイです。
 (裏切られた組織のボス)「殺してやる」
 (グレイマン)「順番を待てよ、カウボーイ」
 (裏切られた組織のボス)「いずれだれかがお前を殺る。それは分かっているはずだ」
 (グレイマン)「わかっている。そのだれかになれなかったのを悔しがる人間が、おおぜいいるはずだと思うと、胸がすくんだよ」
 いいっすね、この余裕というか、強がりぶりは。これ、絶対Jason Statham兄貴に演じてもらいたいなあ……超カッコイイと思うんだけどな。
 というわけで、今回もまた血まみれであり、さらに敵を増やしたグレイマン氏。果たして次はどんな戦いになるのか、まだあらすじすらチェックしていないので全くわからないけれど、さっさと読んでしまおうと思います。

 というわけで、結論。
 「暗殺者グレイマン」シリーズ第3弾、『暗殺者の鎮魂』は、これまでと違って団体行動での逃走劇で、ちょっと調子が狂うグレイマンの様子がほほえましい部分もありますが、基本的には今まで通り血まみれで、敵がメキシカン・カルテルという事で、相当な数の死者が出ます。ので、おそらくはもう、これは普通の人には全くおススメできません。ハリウッドB級アクション好きには大変楽しめると思いますが、ちょっと普通の人には無理かな。あと、原題の『BALLISTIC』というタイトルは、日本語で言うところの「弾道(学)」という意味だと思うけれど……うーーーん、ちょっと読み終わっても内容的にピンと来ない。どこに引っ掛けてるんだろう……分からんす。以上。

↓ 今のところの日本語での最新作が、このシリーズ第4弾。この先の5巻はUS国内で2016/02/16に刊行されたばかりの模様です。
暗殺者の復讐 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2014-05-23

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 ですが……た、た、大変だ――――――――ッ!!!!!
 GW明けの2週ぶりのチャンピオン24号にて、ついに!! 『鮫島』の上位三役が揃って判明しました!!! そしてもう、大興奮なわけですが、とうとう【王虎】や【猛虎】さんの番付も判明です!! さらには新キャラや、「Burst」であの【天雷】に勝った「ブサイクジャンボエンジェル」こと【闘海丸】つよし君も元気にしており、ファンには大変うれしいお知らせの到来です!!! もう、マシ・オカばりのダブルハンズアップでわたしはもう大感激。ヤッターーーーッ!!!
 では、今日はいつもとは順番を変えて、まずは大興奮の巻頭カラー『鮫島』から行こう。今週の週刊少年チャンピオン2016年24号の他の漫画は最後にさらっと触れておきます。
 と、その前にですね、とりあえず、このBlogを読んでいる人は全員、義務として単行本を買いましょう。この7巻では、第53話~第61話が収録されています。【大山道】兄貴との取組の結末と、いよいよ魂が再点火した【蒼希狼】の戦いの始まりまでですな。最高ですね。マジで絶対に「買い」でお願いします。

 というわけで、今週は八日目の、「幕内土俵入り」の様子が描かれました。なので、物語的には進展ナシですが、とにかく、懐かしいアイツや気にあるアイツの現在の番付が判明して、もうわたしは電車の中で大興奮し、ずっとニヤけっぱなしの変質者だったに相違ありません。いやーーホント、これだけのことでわたしは今日、一日明るい気分で仕事ができそうですよ。最高ですね!!
 それでは、今回判明した番付と、これまでに判明していることをまとめてみよう。
 これでいいのかな!?
西 メモ
泡影 横綱   62連勝中の最強ラスボス。西横綱は不明。不在か?
王虎 大関 天鳳 虎城部屋の二匹の若虎はなんと二人とも大関であることが判明。天鳳もまだ大関でした。
猛虎 大関  
天雷 関脇 明王山 大関陥落の牛鬼さんは関脇で踏ん張ってる。
百雲 関脇   新キャラ。目がイッちゃってる非情な力士らしい。※2017/02/23追記:第85話で、4場所前に横綱・泡影の連勝を止めた力士として登場。そして第108話では、3年前までは「角界の良心」と言われるいい人だったことも判明。どうやら横綱を破った相撲でダークサイドに落ちたか!?
白鯨力 小結 闘海丸 闘海丸くんが小結!! しかも女子の声援が!! 新キャラの白鯨力はちょっと振分親方に似てるw
  小結 白水 八日目は白水さんと横綱泡影が結びの一番だそうです。
  前1    
  前2    
  前3

丈影 前4 飛天勇 八日目の鯉太郎の相手は、ナマイキそうな丈影で確定
毘沙門 前5   新キャラ。※2017/1/26追記。番付判明。北里部屋
松明 前6 蒼希狼 蒼は、第62話(14号)では西7と表記されていたが、単行本(7)のキャラ紹介ページで西6に修正されてます。
常松も、今場所7勝0敗だそうです!! 頑張れ!!
岩ノ藤 前7 大山道 カマーン&兄貴
  前8    
  前9 巨桜丸 ジョージ君
  前10 舞ノ島 ほぼ出番なし。気の毒w
  前11 宝玉光 クソヤローw
  前12 飛天翔 石川。今場所初日で鯉太郎と戦って引退。
  前13    
鮫島 前14    
  前15   ※太字は今週初登場
 あのですね、この番付表を見て、それで満足しては絶対にダメです。今週は、とにかく今週は絶対にチャンピオンを買うべきです!! 270円ぐらい出しましょうよ。ちょっと昼休みにコンビニに寄るだけでいいですから、是非とも今週のチャンピオンは買って、自分の眼で確かめて下さい!!!
 何がいいって、とにかく、今週は、各力士の登場に合わせて、NHKアナウンサーが各力士のキャッチフレーズ的な紹介をするのですが、それが非常に盛り上がるわけですよ。
 例えば、かつて【仁王】兄貴と鎬を削った仲の大関【天鳳】は、「角界の怪鳥」とか呼ばれてて、非常にアガりますな。【王虎】の入場でも、NHKアナは「今場所こそ【泡影】を倒し、王となれるか!? 大関 王虎!!」みたいな感じで、完全にもうリングに上がるレスラーを紹介するリングアナになっていて、読んでいるわたしもすげえ興奮したっすわ……是非、この興奮をチャンピオンを買って味わっていただきたいと思います。いやー、佐藤先生、最高です!!
 で、来週からいよいよ中日、八日目の戦いが行われるわけですが、鯉太郎は、最強横綱【泡影】の弟弟子である【丈影】との割が組まれています。虎城親方も、「ここが大きな山の1つ」という取組。こいつはもう、目が離せませんな。そして八日目の結びの一番は、小結【白水】兄貴と横綱【泡影】の取組だそうで、おそらくその戦いも描かれることでしょう。こりゃあ、一体いつ完結するのかさっぱり分かりませんが、あと8番あるわけで、1取組当たり単行本一冊分の9話かけていたら、72週は行きますな。てことは、1年半以上になるわけです。
 我々、『鮫島』が好きすぎるファンができることは、毎週チャンピオンを買い、せっせとアンケートを送って(今はWebでも送れますよ!!)、単行本を必ず買うことでしょう。とにかくわたしは、途中で半端に終わってしまう事だけが心配なのでこう書いているわけですが、インターネッツなる広大な銀河で、何故かこのBlogにたどり着いた方は、間違いなく『鮫島』を愛している方なんだと思いますので、みんなで応援しましょう!! よろしくオナシャス!!!

 はーーーー。マジで興奮したわ……。最高です。
 では最後に、今週のチャンピオンのほかの漫画をチラッとだけさらっておこう。
 ■『弱虫ペダル』:頂上間近の3校バトル展開中。ちょっと水田君の牽きは無理があるというか、新開弟が意外とだらしないのでは。何甘っちょろいこと言ってんだお前。そして坂道スイッチオン!! で追撃中。
 ■『刃牙道』:久し振りに主人公・刃牙登場。独歩先生と語らうの巻。癒されるなァ……。
 ■『囚人リク』:久しぶりに主人公・リク登場。計画前進の巻
 ■『少年ラケット』:ビリーさんとの闘い決着直前。マッチポイント&デュース合戦の巻
 ■『錻力のアーチスト』:9回2死。打順は主人公清作へ!! イヤャオ!!
 ■『Gメン』:新展開。勝太、バッティングセンターにてソフト部の美少女と出会うの巻
 
 というわけで、結論。
 今週の『鮫島』は、中日八日目の幕内土俵入りが描かれ、物語の進展はないものの、とうとう本場所の番付が分かるという展開で大変興奮しました。【王虎】健在も明らかになって、これはもう、ますますの盛り上がりとなるのは必定ですな。超楽しみです。以上。

↓ しつこいですが、「買い」でお願いします。

 昨日に引き続き、NHKのTVドラマ版からすっかり気に入ってしまった上橋菜穂子先生による「守り人シリーズ」第3巻、『夢の守り人』について、読み終わったのはちょっと前だけど書こうと思います。本作では、舞台を再び第1作目『精霊の守り人』で描かれた「新ヨゴ皇国」に戻し、成長したチャグムや、タンダ、トロガイ、シュガといった人々が登場するお話で、第2作目『闇の守り人』が主人公バルサの過去の清算だったのに対して、今回は偉大なる呪術師トロガイの過去の清算がメインテーマとなる話であった。いや、どうだろう、それは違うか? トロガイの過去というより、第1作『精霊の守り人』の事件の後始末的な話と言うべきか? うーーん、ちょっと難しいな。まあいいや、ちょっとまとめてみよう。

 お話としては、第2巻の後、バルサが新ヨゴ皇国に戻ってからのお話である。
 タンダの姪っ子が謎の「眠り病」にかかり、昏睡してしまう事件が発生する。なんでも、王宮においても、第1皇女もまた同様に、眠りから目覚めないらしい。そして謎の病は、チャグムにも感染してしまう。そんな中、タンダは危険を承知で<魂呼ばい>の儀式を行い、姪の魂の糸をたどって追跡を開始するが――という話。
 本作では、ポイントが2つあって、まず1つは、「眠り病にかかった人々は、現世がいやで、夢の世界に逃避し、目覚めたくない」と思わされているということであろうか。タンダの姪は、勧められている結婚話が嫌でしょうがないと思っていたり、第1皇女は、第1作で息子を亡くした痛みから現実逃避し、チャグムもまた、本当は自分は皇太子になりたくなかった、バルサと旅を続けたかった、というように、各人がそれぞれ、現世でのつらい出来事から目をそらしたいという願望を、心の底で持っている。こういった思いをどう断ち切るか、が、第1のポイントであろう。
 そしてもう1つは、タンダの身に起きる出来事である。タンダは、背景としては親族からは白い目で見られているちょっとかわいそうな境遇にあると。それは、普通の農耕作業をするわけでもなく、トロガイに弟子入りして良くわからない呪術を勉強しているからであって、もちろん、一面では地域の医者的役割も果たしているため、一定の尊敬を受けてはいるものの、親族的には、あいつは変わりモンだ的な評価をされていると。そしてタンダは、ほんの少し、それを残念に思い、ちょっとだけ傷ついている状態にある。だから、自分に懐いてくれている可愛い姪っ子は、どうしても助けたいというモチベーションがあって、危険を承知で<魂呼ばい>の儀式を行い、いわば幽体離脱状態になって、霊体となって姪っ子を助けに行くと。しかし、まんまと人の魂を縛る<花>に捕まり、現世の肉体に戻れなくなってしまう。あまつさえ、現世の肉体は乗っ取られ、儀式を邪魔しようとするバルサに襲いかかり――、と、実に気の毒なことになってしまう。この状態で、タンダは夢に囚われた人々を救えるのか、そしてバルサはタンダの魂を取り戻せるのか、というように、2つの方向での戦いが繰り広げられ、さらにそこに、トロガイの若き頃のお話が関係してきて……というのが、シリーズ第3作『夢の守り人』のお話である。
 結論から言うと、実はわたしは、結局<花>と呼ばれるモノの目的というか、バルサやタンダと敵対する相手の勝利条件が良くわからなかった。これは、わたしがこの本を3時間ぐらいで読んでしまった付けであろうという気がしている。うーーむ……ちゃんと読んだはずなのだが、この部分がはっきり理解できなかったのはわたしの落ち度だろうと思う。トロガイの過去の部分も、ちょっと分かりにくく、夢の世界なのか現実なのか、その境界線が非常に付けにくいように感じた。なので、正直に告白すると、実はわたしは、キーになる<歌い手>のことが良くわからなかったのであります。ええと、あいつは別に、意図を持って人々に歌を聞かせ、人々を夢に誘い込んだわけじゃないんだよね? だとすると偶然ってこと?? 花に意識はなく、種に込められた生存・自己増殖のDNAプログラムに従ったまで、ってことだろうか? うーーむ……。サーセン。また今度、ちゃんと読み直してみようと思います。
 ただ、物語として、心地いい場所に浸っていたい、いやなことばかりの現実に戻りたくない、という本作のテーマは、誰しもが誘惑される、甘い蜜であり、その点はとても面白かった。そして真っ先に夢の世界から帰って来るチャグムの成長ぶりに、おっさんとしてはもう本当に嬉しくなりますな。1巻ラストで、強く成長したチャグム。TV版で、「逃げない」とバルサに誓ったチャグム。よく頑張ったな、とわたしはチャグムの成長が本当に嬉しく思った。
 まあ、別に、逃げたっていいんだけれど、気持ちのいいぬるま湯にずっと浸かって、逃げっぱなしじゃあダメだ。そんなことをこの物語は教えてくれたと思います。ぬるま湯は気持ちいからなあ、ずっと浸かっていたいと、誰だって思うよなあ……でもそれじゃあ、風邪ひいちまうし、体も弱っちまうし、エイヤッと気合入れて、ぬるま湯から出る必要がどうしてもあるんでしょうな。わたしもだいぶ長いことぬるま湯につかってたような気がするけど(いや、そんなことないか、むしろ熱湯風呂だったかもw)、オラァッと気合入れてぬるま湯から出たものの、まあ世の風は冷たいすな。超・孤独だし。さっさと体拭いて服を着て、冷たい風の吹く厳しい世界で頑張ろっと。上橋先生による「守り人シリーズ」第3作『夢の守り人』は、そんなことを思わせてくれる大変素晴らしいお話でした。

 というわけで、結論。
 まあ、もう結論は上記の通りですが、気持ちのいい、甘い蜜を吸いながらぬるま湯に浸かってたら、魂が死んじまうわけで、いつまでも寝ぼけてるんじゃねえ!! ってお話ですな。わたしとしては、『夢の守り人』という作品も大変楽しめたし、やっぱり心に響きました。引き続き、シリーズを読み続ける所存であります。以上。

↓ 4作目はこれか。もう買ってあるんだけれど、「暗殺者グレイマン」シリーズを先に読み終えたいので、ちょっとだけ、読み始めるのは待ちです。

 現在、わたしはNHKのTVドラマ版からすっかり気に入ってしまった上橋菜穂子先生による『守り人シリーズ』をせっせと読み続けているわけだが、第2巻の『闇の守り人』と、第3巻の『夢の守り人』を読み終わったので、まずは『闇の守り人』のレビューを書いておこうと思う。ズバリ、非常に面白かった。 
 この第2巻は、1巻目の『精霊の守り人』のちょっと後から始まる物語で、前巻で新ヨゴ皇国の皇太子となったチャグムとの旅を経て、自らの養父であるジグロの気持ちを実体験として理解した主人公バルサが、自分とジグロの故国であるカンバル王国へ赴く話である。
 その目的は、ジグロの弔いのためであり、ジグロの親族に会ってその最期を伝えたい、というものだった。 バルサは、自分とジグロに追っ手をかけたログサム王が10年前に既に亡くなっていて、もうほとぼりが冷めていると思っての里帰りだったのだが、現在のカンバル王国では、ジグロの弟が「天下の大罪人ジグロを討ち取った英雄」として、若き王の後見役に座り、実質的な実権を握っていた……という展開である。
 本作で重要なキーとなるのは、ジグロの過去と、カンバル王国の秘密である。ジグロが務めていた「王の槍」。そしてその中で最強の者が<舞い手>となり、<闇の守り人>と技を競う儀式おこなうこと。さらに、そこで勝者となって初めて、カンバル王国は貴重な鉱石である<青光石>を<山の王>から贈られること。その財をもって、カンバル王国のやせた地では収穫できない穀物を買い付けるのがこれまでのカンバル王国の在り方で、<山の王>から贈られる<青光石>がなければ民が飢えに苦しむことをはじめてバルサは知る。そして、かつてバルサやジグロを追ってきた刺客が全て<王の槍>と呼ばれる男たちであり、カンバル王国の秘密を知る人間がもうごくわずかになってしまったことや、現在実権を握っているジグロの弟が、でたらめを吹聴して、<山の王>の宝を奪おうとしている陰謀などを知って、バルサは少ない味方の人々の力を借りて、陰謀を阻止しようとする。
 非常に綱渡りな作戦で、読んでいてかなりドキドキするし、その最中で、今回もまた、バルサはジグロの想いを知ることになる。かつての友だった<王の槍>の男たちと戦わなければならなくなったこと、戦いの後に常に悲しみを背負っていたこと、そして、すべてはバルサのためだったこと。
 そのすべてに決着をつけ、バルサはジグロの遺した心をを弔い、自分もまた、解放された思いを得ることができるわけだが、ラストで、タンダの待つ新ヨゴ皇国へ帰るバルサの心はとても晴れやかだっただろうと読者としても納得のできるお話だった。
 亡くなった人に対して、出来ることとはなにか。これが本作の大きなテーマの一つだと思う。
 まあ、普通の物語では、恨みを晴らすとか、汚名を雪ぐとか、そういうことを描く場合が多いと思うけれど、そんなことじゃなくて、生き残った者が一番目指すべきこと、そして亡くなった人が、恐らくは一番喜ぶこと、それは、「自分が幸せになること」に他ならないんだということを、本作は教えてくれるものだと思う。もうね、どうでもいいんだよ、過去は。そんな過ぎ去ったことはどうでもいいから、幸せになっておくれ。それが、一番目指すべきことなんだ、ということを、わたしははっきり理解できた。そりゃそうだよ。人が死ぬとき、一番気がかりなのは、残された愛する人には幸せになって欲しいってこと以外に、ないもんね。そういう意味では、幸せを求めて生きることは、我々生者の義務なのかもしれないなあ。まあ、それが難しいわけだけれど。
 本当に面白く、グッときましたよ。非常に心に響きました。このお話を、綾瀬はるかちゃんが演じるのをぜひ見たいですな。

 というわけで、短いけれど結論。
 シリーズ第2作、『闇の守り人』も大変面白かった。前回も書いた通り、どうやらこの『闇の守り人』は、TVでは一番最後に描かれるらしいが、その意図が非常に良くわかる。このラストを迎えることで、バルサは本当に自由になるのだから、TV的に最後に回したのは実に物語を分かっている配慮なのではなかろうか。3年後だか2年後?の放送となるらしいが、心から楽しみに待っていたい。以上。

↓ 次はこちら、『夢の守り人』です。

 

 

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 GW最後の週末という事で、数字がかなり積みあがっていることを願いたいですが、果たして「コナン」君がどこまで伸びたか、そしてDisneyの『ズートピア』も相当伸びてるのではないかと根拠なく思います。あとはわたしが大絶賛している『シビル・ウォー』がどれだけ伸びたかが気になるところですが、US本国でもやっと公開になったので、今日はランキングをさらっと流した後で、ちょっとだけ、US興行について触れて終わりにします。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『ズートピア』が16日間で30億直前まで伸びたそうです。凄い勢いだ!! 先週の段階で15億程度だと思っていたので、このGWでがっぽり稼いだ。くそー、やっぱり観るべきだった。今週、夜、どこかで観に行ってこよう。内容の評価は非常に高いです。
 2位:『名探偵コナン―純黒の悪夢―』が23日間合計で驚きの50億突破!! まったく信じられない勢い!! これは本当に凄いことだと思う。この勢いは、『アリエッティ(最終92.5億)』よりチョイ下、『モンスターズUniv(最終89.6億)』よりチョイ上と、とんでもない勢い。まあ、例年の『コナン』君は、9Wか10Wで終わるのだが、去年の例で言うと、GWを過ぎると緩やかに落ちて行き、4Wからの積み上げは6~7億程度。しかし今回57億とかで終わるとは到底思えないのだが、一体どこまで伸びるのか、もはや過去データは参考にならん勢い。ホントに凄い。しかしここまで凄いと、関係者一同にかかる来年のプレッシャーは凄いでしょうな。今年だけ例外って訳には行かないだろうし。ま、余計なお世話です、はい。
 3位:『64―ロクヨン―前編』が公開土日で2.57億スタート。長いこと何度も予告を見せられたけど、まあ面白そうだし、原作も大ベストセラーだし、東宝的には手堅く稼ぐのでしょう。ただ、最近どうも元気のない<前後編モノ>だけに、ちょっと心配していたのだが、まあ、20億届くかどうかが第一関門でしょうか。「後編」は6/11(土)公開らしいですが、それまで長めに引っ張るんでしょうな、きっと。
 4位:『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』が10日間合計で16億~18億程度と予想。去年の『Ultron』よりもいいんじゃないかな、これは。30億も夢じゃなくなってきた。嬉しい!! 内容的にはもう最高です。
 5位:『映画クレヨンしんちゃん 』 が23日間で15億~16億ぐらいだと思う。GWでもうチョイ行ったか? いずれにせよ「クレしん」史上最高ペース維持。サーセン、全然勉強不足で要因がさっぱり分からん。
 6位:『ROAD TO HIGH & LOW』が公開土日で1.2億ほどだったそうです。強いですなあ。
 7位: 『ちはやふる―下の句―』が9日間合計で8億~9億ぐらいか? 10億には届いていないと予想。上の句よりも今のところいいペース。続編も決まってるそうなので、まだまだ頑張って欲しい。
 8位:『アイアムアヒーロー』は16日間で10億は超えている模様。12億弱か? うーん、もっと行くと思っていたが、ライバルが強すぎたか? 想像よりも幾分静かな興行になっているような気がする。
 9位:『劇場版 遊☆戯☆王』が16日間で5億弱? 頑張って粘っている。GW効果もあるか。
  10位:『テラフォーマーズ』 が9日間で5億チョイか? もうちょっと行ったか? いずれにせよ、2週目でこの位置はかなり厳しいと見るべきか。
 ランク外では、『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が5/5の段階で40億を突破したそうです。これまたシリーズ最高記録達成。おめでとうございます!! 『のび太の恐竜』が公開されたのが1980年。……小学生で毎月コロコロコミックを買ってましたよ。凄いなあ、本当に。

 以上、日本のGWは上記のような興行だったそうです。
 で。いよいよUS本国でも公開された、『CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR』ですが、公開3日間で181M$(=1$を108JPYとすると196億円)の興収をたたき出したとのこと。詳しい記事はこちらを読んでもらうとして、これは、比較すると次のようなものらしいです。
 <US国内の公開3日間興収比較>
 『CAP:CIVIL WAR』・・・181M$
 『SW:EPVII』・・・・・・・・・247M$→最終的にUS国内936M$
 『Avengers:Ultron』・・・191M$→最終的にUS国内459M$
 『BAT v SUP』・・・・・・・・166M$→現在US国内327M$
 『DEAD POOL』・・・・・・132M$→現在US国内362M$
 『IRONMAN3』・・・・・・・174M$→最終的にUS国内409M$
 ※分かってると思いますが、M=Million→100M=1億です。
 という数字だそうで、どうやらUS国内では4億ドル近くは確定っぽい。凄い!!
 それにしても、日本でももっと売れてほしいのだが……まあ、30億円程度とすると……US$換算だと28M$、初日1日分より少ないじゃん……これが現実か……。ハリウッドよ、これが日本映画興行、ですな……。恐らく、このハリウッド映画の日本における低迷は、30代後半~40代前半ぐらいの、中学生~小学校低学年の子供を持つ親たちが、まったく子供を連れて観に行かないことに原因があると思う。自らを思い返せば、わたしは『STAR WARS』を小学校低学年のときに親父に連れられて観に行ったし、『ALIEN』とか『SUPERMAN』なんかも親父と観に行ったわけで、そういう行動が今は全然なくて、アニメに根こそぎ持っていかれてしまっているんだろうな、と思う。親子連れはほとんど見かけないもんなあ。現代のそういった30代後半~40代前半のおっさんたちがあと15年もすれば50代とかになるわけで、そうなったら、『64』や、山田洋二監督作品のような邦画も完全に終了するのではないかという気がする。これは出版界と同じ現象で、もはや映画産業は斜陽産業なんでしょうな。イチ映画オタクとしては残念だけど、もうどうにもならないと思う。まあ、その頃にはわたしは相当ヒマになってるだろうから、毎日せっせと映画館に通って、シニア料金でハリウッド映画を楽しむことにしよう。
 
 というわけで、結論。
 『ズートピア』がGWでググッと数字を積み上げて来ました。そして『コナン』君が4週目にしてまさかの50億OVERと凄まじい記録を達成。果たして来年はどうなるのか、早すぎる期待をもって今日はおしまい。以上。

↓ 今の最新刊は89巻みたいすね。はーーー30巻ぐらいまでは読んだのだが……下手すると今世紀になって一度もサンデーを読んでないような気がする……。

 というわけで、何週間か前に読み、ここでも紹介した『暗殺者グレイマン』。
 読んだきっかけは、著者のMark Greaney氏が、亡くなった巨匠Tom Clancy氏の後を継いで「ジャック・ライアン」シリーズを書き、その最新作『米朝開戦』が結構面白かったわけで、ならばGreaney氏のデビューシリーズを読んでみるか、と思ったからである。まあ、そのシリーズ1作目の『暗殺者グレイマン』は、期待は裏切らない面白さであった、というのが結論である。
 で。正直なところ、相当派手なドンパチもので、ちょっと荒唐無稽が過ぎるような気もしなくはないが、主人公たる「グレイマン」のキャラクターは大変好ましく、凄腕の殺し屋の癖に、妙な良心を持ち合わせていて、悪党しか殺さないというちょっとハリウッドタッチなキャラクターであることを知った。これはちょっと、先を読む必要があるな、と思い、シリーズ4冊のうち残りの3冊をすかさず買い、読み始めたわけである。昨日の夜、2作目である『暗殺者の正義』を読み終わったのだが、これまた、なんというか……普通とちょっと違う、妙にいい人な暗殺者が、そのいい人であるが故にピンチに陥る場面が多く、良くこれまで生きてこられたな、と心配になるレベルで、結果的に、またしても満身創痍で激しく血まみれになる小説であった。
暗殺者の復讐 (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2014-05-23

 この作品は、前作のラストで、グレイマンの新たな調教者(ハンドラー)となった男から、一つのミッションを押し付けられ、遂行するところから始まる。 そしてそのミッションも、ごくあっさりクリアするのだが、またいい人ぶりを発揮して付け入られ手痛く負傷するグレイマン。まったく本当にあんた、凄腕なんですか? と若干心配になるが、ともかくグレイマンは、現在のハンドラーが嘘をついていたことを知って非常に不愉快になると。で、お前とはもうこれまでだ、と退職願いに会いに行くと。しかし、そこで次のミッションを提示される。それは、スーダン大統領の暗殺。これは現ハンドラーのロシア人が、ロシア政府から請け負ったもので、アフリカで虐殺を行っているこの大統領を暗殺する指令は、ロシアにとって石油利権が絡んでおり、極めて重要なものらしい。そしてグレイマンから見ても、その大統領は悪党であり、殺すべき人間であると。で、準備を始めるグレイマンだが、現ハンドラーはまったく信用できないので、独自に安全なところに身を隠そうとする……のだが、今度はあっさりCIAの準軍事チームに拉致される。グレイマンは、過去に何かがあったようで、CIAを解雇され、「目撃次第射殺(Shoot on Sight)」指令が出ている。拉致したのはグレイマンのかつてのチームリーダーだった。いよいよ年貢の納め時か、と思うグレイマンに、元リーダーが一つのオファーを出す。スーダン大統領を生け捕りにせよ。殺すな、という指令はグレイマンを混乱させる。殺してはスーダンの混乱は悪化してしまう。生け捕りにして、国際刑事裁判所(ICC)に差し出すことをアメリカ合衆国は望んでいて、成功の暁には、SoS指令も解除し、CIAに復帰させる、と破格の条件を出してくる。昔の仲間に恨みはなく、むしろ会えて嬉しいグレイマン。ロシアのミッションをこなすフリをして、CIAが介入して大統領の身柄を押さえられた、そして伝説の殺し屋グレイマンも、ずっとその命を狙っていたCIAに消された、という筋書きにすればいいと提案される。業界的にグレイマンをCIAが狙っていることはだれでも知ってるので、それでうまくいくさ、というシナリオである。
 というわけで、グレイマンはロシアの作戦を遂行するフリをしてCIAの作戦を遂行しようとするわけだが、まったく計画が計画通りに進まず、これまたひどい回り道をしながらいよいよ大統領拉致に向かうわけだが、CIAの作戦もまったく機能せず、どんどんと思わぬ方向に進んで行き、果たしてミッションは無事クリアできるのか、というお話である。
 問題は、作戦が思うとおりに行かない原因が、ほとんどすべてグレイマンのお人好しのせい、という点にある。まず、前半のICCの女性とのエピソードは、グレイマンのいい人ぶりを理解するにはアリだけれど、ズバリ、最終的に物語としてはまったく不要のもので、そのせいで大勢の無辜の人が死んでしまったことを思えば、相当無駄なアクションだったとしかいえないような気がする。そして後半のメインミッションは、主にCIAの現地アセットが無能だったことに起因しているとはいえ、ちょっと無理ゲーが過ぎると思うし、グレイマンの正義がどうもカラ回りしているような気がする。なんともナイーヴというか、青臭いというか……ホント、良くこれまで生きてこられたな、とさえ思えるわけで、こういった、「グレイマン」という冷徹な暗殺者が見せる人間性のようなものは、この物語の長所でもあり短所でもあるのだろう。そのバランス調整が、前巻のときも書いたが一番難しいところだろうと思う。
 結論から言えば、今回は若干バランスがいい人方向に振れていて、ちょっと問題アリのような気がしなくもない。また、Tom Clancy作品のように、現代の政治状況とかいろいろな知識を得られるような部分も少なく、はっきり言えば、若干ファンタジーめいているとさえ言えると思う。ただ、グレイマンが発揮するいい人ぶりは、「情けは人のためならず」というわけで、最終的にはグレイマンを救うことにもなり、この点は日本人的に観ると、やっぱりグレイマンを嫌いにはなれないというか、まあとりあえず、生き延びることが出来て良かった良かっただし、まあ、うーーん……今回も、グレイマンがCIAを解雇された理由は判明しなかったけれど、これはまた次の巻も読めってことと思うことにしたい。
 しかし、これも前巻のときに書いたけれど、グレイマンのビジュアルイメージは完全にJason Statham兄貴か、Mark Strong伯父貴なんだよな……絶対マッチョのセクシーハゲだと思うのはわたしだけだろうか。いずれにせよ、正直ちょっとアレな部分も多い本作だが、とりあえず残り2冊、シリーズは全部読もうと思います。まだ物語の核心たる、何故グレイマンはCIAを解雇されたのか、が判明していないし、本作で結局CIAのSoSは解除されず、むしろ全力で追われる立場に陥ってしまったので、果たしてグレイマンに安息の日がやってくるのか、その活躍を今後も楽しみにしようと思う次第である。

 というわけで、結論。
 「グレイマン」シリーズ第2巻の『ON TARGET』(邦題:暗殺者の正義)は、かなり荒唐無稽な部分と、作中でも言われる通りまるで『Black Hawk Down』のようにどんどんと状況が悪化する市街戦が混ざり合った、血まみれなアクション小説であった。この小説を楽しむには、たぶん、アクション映画が大好きか、翻訳ものの海外アクションものを読むのが好きとか、そういった素養が必要な気がする。普通の人がいきなり読んで面白いと思えるか良くわかりません。が、わたしはもちろん大好物なので、十分楽しめました。今後のシリーズも読もうと思います。以上。

↓3作目がこれらしい。今度はどうやらメキシコ麻薬戦争がからむようで……楽しみですな。
暗殺者の鎮魂 (ハヤカワ文庫NV)
マーク・グリーニー
早川書房
2013-10-25

 ここ数年、闘う無敵のパパ、という妙なジャンルを開拓したことでお馴染みのLiam Neeson氏。現在63歳。アイルランド出身で身長193cmとデカくてゴツイおっさんだが、わたしが彼を初めて知ったのは、たぶんSam Raimi監督の『DARKMAN』という作品だと思う。わたしはこの映画が大好きで、ある意味ヒーローもの的な映画で大変興奮するB級映画だが、ここでLiam Neeson氏を知って、おお、コイツなかなかいいな、と思っていたら、その数年後にかのオスカー作品賞受賞作『Schindler's List』では主役のOskar Schindlerを堂々と演じ、その後ハリウッドきっての役者となって、数々の役を演じるに至った。『STAR WARS Episode I』でのマスター・クワイ・ガンや、『BATMAN Begins』でのラーズ・アル・グールなど、デカイ体と特徴あるしゃがれ声で、若い主人公を鍛えたり、その前に立ちふさがる役が多いような気がする。まあとにかく、たいていが強くておっかないおっさん役である。確か、Liam Neeson氏が出演した数々の映画の中で、合計何人ぶっ殺したかを数えるKILL COUNT動画がYou Tubeにあったような気がするが、とにかくまあ、いろいろな映画でやたら人を殺しまくっている恐ろしいオヤジだ。
  昨日の夜、例によってWOWOWで録画しておいたのを観た映画『RUN ALL NIGHT』は、16時間という一夜の中で、我らがLiam Neesonパパが相当な数の人間をぶっ殺す、ノンストップアクションムービーであった。まったくもって恐ろしい男である。

 はっきり言うと、上記予告ではどんな映画かさっぱり分からないと思う。ので、ちょっとストーリーをまとめてみよう。主人公ジミーは、元(?)伝説の殺し屋である、のだが、今はすっかり老け、組織の若造からも舐められるような若干アル中気味の嫌われ者のおっさんである。そしてその組織を貫禄たっぷりにまとめているのがショーンというハゲオヤジで、今はまともな商売をやっているが、過去には親友であるジミーと共に殺しも散々やってきた悪党であると。で、ある日、ダニーというショーンのバカ息子が、もう絶対に手を出さないとショーンが決めているドラッグ商売を持ちかけてきて、ショーンは絶対ダメだ、と言っているのに、アルバニア・マフィアと揉めてしまって、あまつさえアルバニア人をぶっ殺してしまう。そして、真面目に堅気で働いていた、ジミーの息子のマイクが、その殺しの現場を目撃してしまうと。で、マイクを殺しにきたダニーを、ジミーはぶっ殺してしまう。そこから先は、予告の通りである。
 親友ショーンの息子をぶっ殺してしまったジミーは、ショーンの放つ殺し屋どもの攻撃を撃退しながら、息子マイクと共に逃亡を続けるわけで、NYCの警官もショーンに買収されている奴が多くて味方ゼロの状況で、NYC中を逃げまくり撃ちまくりの映画である。まあ、結論から言うと、まずまず、な程度で、大興奮とまでは行かなかったのが正直な感想である。物語的にわたしが良くわからなかったのが、「この夜を乗り越えれば何とかなる」という設定で、なんでこの夜だけ何とか逃れれば大丈夫なのか、この点はさっぱり分からなかった。あれは……うーーん……わからん。どうしてなんだろう。こういう、脚本上の謎ポイントが他にもいくつかあって、バカ息子がぶっ殺したアルバニアマフィアは全然この逃走劇に関与してこないし、ライバル腕利き暗殺者も、背景が良くわからなかったりと、物語的には若干の微妙作であった。
 しかし、役者はやけに豪華である。
 もう、主役のLiam Neeson氏は散々書いたからいいよね。本作では、相当くたびれて自堕落な生活を送る元暗殺者ジミーの孤独ぶりを物悲しく演じてくれていました。
 で、その息子で、堅気に生きる元ボクサーのマイクを演じたのが、Joel Kinnaman氏36歳。コイツの顔、絶対どっかで見た、つーかコイツひょっとして……と思って調べたら、まさしくこの役者は、新・ロボこと、2014年にリメイクされた『ROBOCOP』の主役・マーフィーを演じた彼であった。元々スウェーデンで生まれ育ったそうですな。そういや『CHILD 44』のあの嫌~な元部下もこの人だったね。おっと、今年公開の『Suicide Squad』で、DCコミックでは有名なRick Flagを演じるんだ。マジか。へえ~。そいつは楽しみだ。結構なイケメンだと思います。若干、強面系だけど。
 次。主人公の親友で、バカ息子を殺される組織のボス・ショーンを、おっかなく貫禄たっぷりに演じたのは、ハリウッドのセクシーハゲ界の大御所、Ed Harris氏65歳である。もうこの人が出ている映画はどれぐらい観たのだろうか、と思うほどのベテランで、わたし的に好きなのは、やはり『The RIGHT STUFF』のジョン・グレン役と、『THE ROCK』での国に裏切られたエリート軍人役だろうか。とにかくいろいろな作品に出ていて、ある意味、彼が出てくるとなんとなく、ああ、この映画は大丈夫だ、と安心するような、安定感ある名優と言っていいのではなかろうか。まだオスカーは獲ってないんですな。ノミネートが数回あるだけか。いつか、オスカーを手にしてもらいたいものですね。
 そして、長年主人公ジミーを逮捕しようとしている、唯一まともな警官を演じたのが、Vincent D'Onofrio氏56歳である。彼と言えば、もう、名作『FULL METAL JACKET』前半の主人公と言っても過言ではない、かの「ほほえみデブ」ことゴーパー・パイル2等兵ですね。もう28年前の映画か……わたしは地元映画館で観たのだが、あの映画の凄さは今でもはっきり覚えている。今でも、年に1回ぐらいは観たくなるんだよな……。いずれにせよ、「ほほえみデブ」ことVincent氏はその後かなり多くの映画に出演していて、以前このBlogでも取り上げた『The JUDGE』でも味わい深い演技を見えてくれており、いつの間にか渋い演技派としてお馴染みになっている。
 最後、この映画には、出演時間3分ほどしかないジミーの兄貴というチョイ役で、Nick Nolte氏が出てきて驚いた。しかも調べたら、もう75歳なんだと言うことを知って2度びっくりである。作中でも相当老けていて驚いたが、そうか、そんな歳なんだ……と感慨深い。この人と言えば、だれもが『48HRS』を思い出すだろうと思う。うおお、もう33年前の映画か。これは中学生の頃に見たなあ。そしてテレビ放送でも何度も観たよ。若きEddie Murphyの映画デビュー作として、わたしは日本語吹き替えのイメージのほうが強いかも。最高だったなあ、あの作品は。まあ、とにかく、Nick Nolte氏は比較的コンスタントに毎年何らかの映画に出ていて、わたしもちらほらスクリーンでお見かけしているが、とにかく想像以上に老けている姿が印象的であった。しかし、たった3分に起用するにはもったいないような気がしてならない……。
 そうだ、あと監督ですな。正直全然知らない人でJaume Collet-Serraというスペイン人らしい。ああ、なるほど、Liamパパの『Unkown』と『Non-Stop(邦題はフライト・ゲーム)』を撮った監督なんですって。あれか……両方とも相当微妙作だったなあ。しかし、本作では、妙な、トリッキーなカメラアクションを多用していて、ミュージックビデオっぽいと感じる部分がある。どうなんだろう、センスがあると褒めるべきか……ううむ……これまた微妙だなあ……どうなんだろう……まあ、いずれにしてもLiamパパとは仲がいいんでしょうな。てことは、それなりに腕を見込まれてるんでしょうな。ちょっと、今後名前を覚えておくことにしたい。

 というわけで、結論。
 闘うパパでお馴染みのLiam Neeson主演作『RUN ALL NIGHT』は、わたし的にはどうにも微妙作であった。さきほどUS格付けサイトRotten Tomatoesをチェックしたら、これまた微妙な判定で、大傑作ではないけどクソでもない、ということのようだ。そして興行も、まったく売れなかったみたいです。なので、万人にはおススメできないが、役者は豪華であるし、Liam Neeson作品に無条件で反応してしまうわたしのようなオタク野郎や、元祖セクシーハゲの大御所Ed Harris氏を観たい方にはおススメです。以上。

↓ おっと!? 何故かいまさら、まさかのBlu-ray発売中だ。一体何を考えてこれをまた売ろうと思ったのだろう。そそして売れると思ったのだろうか……まったく意図不明だ。ま、わたしは非常に嬉しいですが。
ダークマン [Blu-ray]
リーアム・ニーソン
KADOKAWA / 角川書店
2016-06-24

 先日、第1シーズン全4話の放送が無事に終了した、NHK放送90周年記念の大河ファンタジー『精霊の守り人』だが、わたしも全話見て、大変楽しませてもらったわけで、ラストのチャグムとバルサの別れのシーンに、実にグッと来てしまったのだが、放送後、とりあえずすぐに読み始めた原作も、読み終わった。勢いですぐに第2巻となる『闇の守り人』、そして第3巻の『夢の守り人』まで現在み終わってしまった。
 というわけで、今回はまずは第1巻の『精霊の守り人』について書こうと思います。

 わたしが読んでいるのは上記の偕成社版の電子書籍版です。イラスト付き。新潮社版なんて読みたくないので。ま、比べていないので、偕成社版と新潮社版が同じなのか違うのかわからないけれど、少なくともオリジナル版ではあると思う。
 この、第1巻である『精霊の守り人』は、主人公である女用心棒、バルサと、水の精霊の卵を産み付けられてしまった「新ヨゴ皇国」の第2皇子チャグムのお話だ。ただ、読み終わって、だいぶTV版とお話の印象が違うなとは思った。とはいえ、大きく印象が違うのが、新ヨゴ皇国の帝と聖導師の二人なので、はっきり言って物語上はどうでも良い存在(そんなことないか)で、面白さを損ねているという事は全くなく、TV版も大変良かった。特に、バルサを演じた綾瀬はるかちゃんの熱演は素晴らしかったし、少年チャグムを演じた小林 颯くんも非常に良かったと思います。バルサの師匠・養父のジグロを演じた吉川晃司兄貴も抜群にカッコ良かった。
 TV版で、これは……? と思った改変は、第4話の一番ラストであろう。原作上、第2巻『闇の守り人』の舞台となる、バルサの故郷・カンバル王国の王様が、原作と別人なのだ。これって……大丈夫かな、と心配だが、まあ余計なお世話であろう。実際のところ、一番の悪党なので、この王様が今も生きている設定(原作ではバルサの悲劇の大元の悪党で、10年前にすでに死んでる設定)の方が、ドラマチックに描きうるとも思えるので、来年の放送を楽しみに待っていようと思う。
 おっと、NHKの公式Webサイトに、上橋先生が直接お話されている記事が載ってますな、ははあ、なるほど、TV版の第2シーズンは『神の守り人』『蒼路の旅人』『天と地の守り人』になるんだな……そうか、まだ読んでないけど、第2巻の『闇の守り人』は最後に映像化されるわけか。なるほど、これは既に第2巻を読んだわたしには何となくうなづけるところだ。第2巻でバルサは、過去の因縁ときっちり決着をつけるのだから、その話を最後に持ってくるのはアリかもしれない。そういうことですか。
 ま、いいや。原作第1巻『精霊の守り人』の話に戻ろう。
 上橋菜穂子先生は、以前書いた通り、文化人類学の博士号を持つ学者でもある。その作品群は異世界ファンタジーと分類されるもので、異民族や異種間の交流を描く場合が多く、常に、異文化に対する相互理解がテーマとして内包されているように思う。本作も、一つは舞台となる「新ヨゴ皇国」の文化、そして先住民である「ヤクーの文化」がそれぞれ存在し、謎を双方から解こうとする流れがあって、それぞれを代表する、星読博士のシュガ、呪術師のトロガイが「精霊の卵の謎」に迫る。ただ、それはあくまで物語の本流ではなく、あくまで、本作は、元・カンバ王国民であり現在は国を追われ、用心棒として生きているバルサという31歳の女性と、新ヨゴ皇国の第2皇子として生まれ、「卵」を産み付けられてしまったチャグムのお話と言っていいだろう。
 本作で、バルサの背景はあらかた語られ、これまでの生涯がおおよそ説明される。その説明を読んだ読者としては、バルサがチャグムに抱く母性は非常に分かりやすい。説得力は十分だろう。バルサは、チャグムを守り、鍛えることで、初めて、ジグロが自分に向けてくれた愛情を実感として理解するのだ。恐らくは、この点が本作で一番重要なポイントだろうと思う。最初は皇子として、高飛車な態度だったチャグムが、徐々に心を開き、バルサを頼っていく様は読んでいてとても心に響くし、強くあれとチャグムを見守るバルサも、大変カッコ良く、同時に、バルサの慈愛に満ちた母性も強く感じられた。
 これは、TV版でもそうなのだが、事件が終わり、二人が別れるシーンは非常にグッとくる。泣きはしなかったけれど、泣きそうになりましたね。
 迎えが来て、王宮に戻りたくない、バルサと一緒に旅を続けたいと言うチャグム。そんなチャグムを抱きしめ、耳元で「ひと暴れしてやろうか?」と囁くバルサ。チャグムは、バルサがここで暴れれば、逃げることはできるかもしれないけれど、その後ずっと追われる立場になってしまう事が分かっている。非常に甘く、心が望む誘いであっても、キッパリと断り、世話になったタンダやトロガイに抱きつき、それぞれへ「ありがとう」と明確な感謝を告げ、別れを告げるあのシーンだ。バルサも、チャグムと別れたくないし、「暴れてほしい」と言われること本心では期待しながらも、チャグムの決断の正しさを理解し、抱きしめてチャグムの感謝を受け入れる。ここは、TV版の役者の演技でグッと来たし、原作ではちょっとだけ違う、「いいよ。暴れなくていいよ。……暴れるのは、別の子のために取っておいてあげて」というチャグムのセリフにも、とても心に響いた。
 ホントに、このラストのチャグムの涙はTV版の映像ならではというか、ホントにもう、泣かされそうになりましたなあ。子役の小林くんは本当にお見事でした。一度迎えの輿に向かって歩いて行き、やっぱりもう一度、とバルサに駆け寄って抱きつきくあのシーンは、もう大感動ですよ。
 「ありがとう……バルサ、ありがとう……」
 「礼など必要ない……。わたしは……金で雇われただけだ」
 このバルサのセリフは、そしてそれを演じた綾瀬はるかちゃんは最高にカッコ良かった。わたしも、今後、いろんな場面でパクらせてもらうと思います。「礼はいらない……わたしは、金で雇われただけだ」。もう使いまくると思うな、きっと。この別れのシーンは、わたしにとってはここ数年でナンバーワンに完璧で、美しいものだったと思う。本当にお見事でした。今後のチャグムの成長を、心から楽しみに、シリーズを読み続けていきたいと思う。

 というわけで、結論。
 わたしは上橋菜穂子先生の作品を読むのは、『獣の奏者』『鹿の王』に続いて3作(3シリーズ)目だが、やっぱり、非常に好きです。この先の作品も順次読んでいますが、もう完全に、頭の中では、バルサ=綾瀬はるかちゃんです。やっぱりはるかちゃんは、あまり笑わない、寂しげな笑顔がとってもいいですな。小説もTVも、たいへん楽しませていただきました。これは読んでいない方には超おススメです。以上。

↓ 実はもう2作目も3作目も読み終わったので、明日レビューを書こうかな。



  

 すっげえものを観た。
 4日前に、わたしの尊敬してやまない作家の先生からメールがポロリンと来て、おや、お久しぶりっす、と内容を読んでみると、「ぽっかりスケジュールが空いたのだが、暇ならちょいと飯でもどうか?」とのことであった。半年ほどお会いしていない方だったので、「オッス、承知っす」と即レスし、昨日銀座で会ったところ、これから映画館へ行こう、とのこと。「映画? ええと、イイっすよ。何観るんすか?」と連れて行かれたのが、東銀座の東劇である。というわけで、わたしが昨日観たのは、いわゆる「ゲキ×シネ」という劇団☆新感線の公演を撮影し、映画館で上映するもので、演目は『蛮幽鬼』という作品であった。
 2009年に上演され、ゲキ×シネとしても2010年に公開されている作品なので、超いまさらなのだが、わたしは昨日、初めて観た。これが大変面白く、とにかく熱くて大興奮。わたしは、こりゃあすげえ、ともう完全脱帽せざるを得ないのであった。

 物語は、一人の男の復讐譚である。中国と思われる国に留学していた4人の男。リーダー格の男が殺され、主人公はその犯人として逮捕抑留される。残りの二人が、「アイツが犯人だ!!」と証言したゆえである。そんな主人公が、監獄から10年後に脱出し、二人への復讐のために故国へ舞い戻ってくるという話で、どうやら『モンテ・クリストフ伯』をベースにしたお話らしい。
 しかし、物語的には、観ていてちょっと主人公や周りのキャラクターが迂闊すぎるというか、えええっ!? と思えるような行動を取るので、意外と突っ込みどころは多々あるし、客席へ向けたギャグがちょっと過剰なのでは、と言うような部分もあるのだが、もう、はっきり言うと、そんなこたあどうでもいいというか、そんな点を突っ込むのはもう野暮の極みであろう。とにかく、凄まじい熱量で圧倒的なのである。
 このゲキ×シネというものはわたしは初めて観たのだが、役者の表情も良く見えて、生での熱量には恐らく及ばないだろうけれど、生で遠い席にいたら全然見えないような役者の細かな表情まで見れる点は明らかにメリットであろう。しかし、それでもやはり、わたしとしては、これはライブで観たかった。これ、生で観ていたらもう、ぐったり疲れるというか、確実に興奮はさらに倍増していただろうなと思う。なので、生で見られなかったのは実に残念に思う。わたしは特に劇団☆新感線のファンではないので、全然この作品を知らなかったのだが、セットや衣装もかなり金がかかっているし、非常にクオリティは高い。恐らくは、日本の演劇界において別格クラスの存在であろうということは想像に固くない。高い人気が、高いクオリティに支えられたものであろうことは、作品を観ればよく分かる。とにかく、何度も言うが、熱量が凄まじいのだ。この恐ろしく超ハイカロリーな作品を支えているのは、おそらくは役者陣の汗だくな熱演であろうと思う。
 しかし残念ながら、全然詳しくないわたしは、出演している役者も知らない方が多く、もうちょっと予習してから観るべきだったという気もしている。だがこの作品は、新感線の方ではない、有名な俳優も多く出演していて、わたしはとりわけ以下の4人の役者の熱演に圧倒されたのである。
 恐らくは主役から紹介すべきだとは思うが、わたしが一番驚き、すげえと思ったのは、早乙女太一氏だ。名前と顔は知っていても、わたしは彼の演技を初めて観た。そして驚愕した。この人は、おっそろしく殺陣が華麗で美しく、相当な技量を持っていることを初めて知った。これはカッコイイ。しかも、さっき調べたところによれば、早乙女氏は1991年生まれ。現在24歳だが、この作品当時の2009年は18歳と言うことになる。すげえ。とにかく美しい。恐らくはダンスも相当な使い手なのではないかと思わせる華麗な殺陣は、わたしが知る限りにおいてナンバーワンだと思った。ただ、台詞回しは舞台では完璧なものの、ちょっと映像作品向きではないような気もする。声が非常にカッコ良く、まるで声優のような台詞回しだが、自然さが求められる映像作品ではどうなのか、気になるので今後、注目して行きたいと思う。とにかく、殺陣が素晴らしい役者である。
 そして主役は、上川隆也氏である。これまたわたしは全然知らなかったのだが、元々この方はキャラメルボックス出身で、演劇人なんですな。そうだったんだ。さんざんテレビドラマや映画でお馴染みだが、彼の演技も、思い起こすと、映像よりも舞台栄えのするもののように思う。今回もうずっと汗だく。滑舌も素晴らしく非常に聞き取りやすい。基礎がきっちり訓練されていて、素晴らしい熱演だった。
 さらに、この作品には近年とみに活躍が目立つ堺雅人氏がとあるキーキャラクターを演じている。笑顔で人を殺す暗殺者ということで、これはまあ、いつもお馴染みの堺氏の演技であったが、わたしは野暮を承知で言うけれど、彼の野望や行動原理が最初からバレバレで、ちょっと主人公が迂闊すぎだろ、というか、別に驚きはなく、物語としてはとりわけ共感はできなかった。ただし、演技は凄まじく高品位なもので、物語の世界に引きずり込まれることは間違いない。すっげえです。熱が。
 最後、ヒロインを演じたのが稲森いずみ嬢である。このところあまりお見掛けしないような気もするが、物語の進展にしたがってどんどんと重要な役割となるヒロインを熱演しており、非常に素晴らしかった。美人ですなあ、はやり。線は細いけれど若干背が高いですね。まあ、華奢な体でゴツイ男たちの中で見劣りしない堂々たる演技ぶりだったと思うし、流す涙は生のライブでは到底分からなかっただろうと思うと、ゲキ×シネではアップで見られたので、この点ではゲキ×シネの大きな優位性を感じることが出来た。
 なお、脚本は、新感線の座付脚本家としてお馴染みの中島かずき氏。元・双葉社の「クレヨンしんちゃん」の担当編集としても有名だが、2010年に退職したんだそうですな。逆に言うと2010年までは社員だったわけで、よくもまあ、そこまで精力的な活動が出来たものだと驚きである。わたし的に中島氏は「仮面ライダーフォーゼ」の脚本家としてお馴染みだが、特徴(?)として、小さな役のキャラクターにもしっかり性格付け・動機が設定されており、且つ又物語が常に熱い(=これは要するに、キャラの台詞がいちいちカッコ良くてグッと来るからなんだと思う)、そんな作品を書く人だというのがわたしの認識である。本作でも、その熱さやキャラの隅々まで行き渡る性格付けは本当にお見事でした。素晴らしい作品だったと思います。

 というわけで、今日は短いけれど結論。
 何の予備知識もなく突然観ることになったゲキ×シネ『蛮幽記』は、想像をはるかに超えたスケールと熱演で、ものすごいカロリーの高いエンターテインメントであった。とにかく凄かった。マジでこれはライブで、生で観たかった。まだまだわたしも勉強が足りないですなあ。全然知らなかったことが実に悔やまれる思いであった。以上。

↓ 一応、DVDは出ています。が、これは大スクリーン&爆音で観るべきだと思うな。

 

 というわけで、全10巻読み終わった『みをつくし料理帖』。
 大変面白く楽しませてもらったわけで、昨日、あの話は何巻だっけな、と後で振り返れるように、各巻エピソードガイドを自分用記録として書いてみた、のだが、これがかなり労力の要るもので、(3)巻~(6)巻を書いたら力尽きた。ので、今日は続きです。基本ネタバレ全開ですので、ネタバレが困る人は読まないでいただければと存じます。
 それでは、行ってみよう。

<7巻『夏天の虹』>

 ◆冬の雲雀――滋味重湯
 霜月から師走(11月~12月)の話。(6)巻ラストでの澪ちゃんの決断がまだつる屋のみんなには伝わっておらず、話はそこから始まる。皆になんと言えばいいのか。既につる屋には、美緒ちゃんに代わる料理人を雇う話も進んでいて、ますます澪ちゃんの下がり眉は下がりっぱなし。そして、なにより小松原様に対して申し訳ない気持ちでいっぱいの澪ちゃんはもう食欲もなく、追い討ちをかけるように、年末恒例の料理番付からもつる屋の名前は消えてしまい、萎れていくばかり……。そんな澪ちゃんのために、御寮さんが作ってくれた重湯が澪ちゃんの心と体に染みるのだった……。
 ◆忘れ貝――牡蠣の宝船
 文化13年睦月から如月(1816年1月~2月)の話。三方よしの日に又次兄貴が助っ人にまた来てくれることになり、喜ぶふきちゃん。おまけに薮入りで健坊もやってきた。ふきちゃんが健坊に作ってあげた、紙の宝船。ふきちゃんの弟への想い乗せた紙の船をヒントに、澪ちゃんはようやく新たな料理を思いつく。心配してくれたみんな、そして澪ちゃんを思って決断してくれた小松原様、そして、つる屋へ来てくれるお客さん、皆への幸せの祈りがこもった料理を……。
 ◆一陽来復――鯛の福探し
 弥生(3月)の話。突然、澪ちゃんの嗅覚がなくなってしまってさあ大変。何を食べても味がしない。味が分からないのは料理人として致命的。澪ちゃんは料理が作れなくなってしまう。完全にストレス性のもので、源済先生に診てもらっても治す方法はなく、絶望的な気持ちの澪ちゃん。そこで、種市爺ちゃんが吉原に出向き、扇屋さんに直談判し、又次兄貴を2ヶ月間レンタル移籍してもらうことになる。そんな中、何も出来ずしょんぼりな澪ちゃんは、かつてキツイ一言をいただいてしまった一柳へ。器の見方など、鼻と舌が休んでいるときでも出来ることはあるはずだと叱咤激励される。また、おりょうさんが長らく看護していた親方のために、食べる愉しみを思い出してもらおうと、献立に工夫を始める澪ちゃんであった……。
 ◆夏天の虹――哀し柚べし
 卯月の話。シリーズ最大の哀しい出来事が起きてしまう。すっかりつる屋の主要メンバーとなった又次兄貴。ふきちゃんも又次兄貴に懐き、料理の手ほどきを受けるほどに。またお客からも覚えられ、又次兄貴は人生で最も楽しい日々を過ごすが、扇屋との約束は二月、今月末には吉原に帰らなくてはならない。あっという間にその日はやってきて、吉原に帰る又次兄貴。そして吉原では、火災が発生し――。まさかここでこんな悲劇が起こるとは、まったく予想外で驚きの展開でした。大変悲しいお話です。

<8巻『残月』>
残月 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)
高田 郁
角川春樹事務所
2013-06-15

 ◆残月――かのひとの面影膳
 皐月から水無月・文月(5月~7月)の話。(7)巻ラストでの悲劇を引きずるつる屋メンバー。澪ちゃんの鼻と舌が元に戻ったのは吉報だが、喪失感がみんなの心に居座っている。しかし、お客さんには料理を楽しんでもらいたい気持ちは皆一致していて、頑張ってお店を回すみんな。そんな時、つる屋にどこぞのお大尽らしきお客が現れる。それは、吉原・扇屋で出会った、摂津屋の主人だった。摂津屋さんから、幼馴染の野江ちゃんことあさひ太夫の消息を聞く澪ちゃん。火事があっても、又次兄貴が命を賭けて守り抜いた太夫。しかし摂津屋さんは、太夫と澪ちゃんの関係を知りたがり――みたいなお話。折りしも江戸では疫痢が流行していて、源済先生も忙しい。源済先生は、澪ちゃんに「食は、人の天なり」という言葉を教える。この言葉が、ずっと澪ちゃんを支えていくことになる。
 ◆彼岸まで――慰め海苔巻
 処暑の頃から彼岸の話だから、まあ8月~9月かな。ようやく長らくつる屋を留守にしていたおりょうさんもウェイトレスとして復帰。りう婆ちゃんもそのまま継続。干瓢を店先に干していたつる屋に、戯作者の清右衛門先生が、絵師の辰政先生を連れてくる。店先で絵を描いていた太一くんの才能に感心する辰政先生。そして久しぶりにつる屋を訪れた元・花魁菊乃ことしのぶさんから、失踪中の元・若旦那、佐兵衛の消息らしき情報が寄せられる。どうやら、現在は捨吉を名乗っているらしい。そしてある日、とうとう佐兵衛と母である御寮さんは対面するのだが……。
 ◆みくじは吉――麗し鼈甲珠
 彼岸過ぎから長月(8月~9月)の話。伊佐三さんとおりょうさん夫婦が、神田金沢町の裏店から引越しをするという話から始まる。澪ちゃんと御寮さんの、知り合いのいない江戸暮らしを支えてくれた夫婦が、引っ越してしまうことに寂しく思う澪ちゃん。そして、大嫌いな登龍楼から呼び出しがかかる。火事で焼けてしまった、登龍楼吉原店を新装開店するに当たってチーフシェフとして雇いたいという引き抜きのオファーだった。澪ちゃんはついカッとして、4000両出せば考えると吹っかける。すると店主の采女は、上等だ、ならばこれなら確かにその価値があると思える料理をもってこい、と返答、思わぬ料理バトルが始まってしまう。予想外の展開に困った澪ちゃんは、帰りにいつもの化け物稲荷をお参りし、ふとおみくじを引いてみる。そんな中、仮営業中の扇屋に招かれた澪ちゃんは、野江ちゃんことあさひ太夫と面会、又次兄貴の言葉を伝える。そして決意を新たに、新作メニューに取り掛かり……という話。ここで出来た新作「鼈甲珠」が、後々澪ちゃんの運命を変えていくことになる。
 ◆寒中の麦――心ゆるす葛湯
 神無月(10月)の話。つる屋店主の種市爺ちゃんが、戯作者の清右衛門先生から、澪ちゃんとあさひ太夫の関係や又次兄貴の思いをすべて聞かされ、澪ちゃん応援のために、つる屋を退職させ、あさひ太夫身請けのための大金を稼げる環境を無理やりにも整える決心をする。つる屋に縛り付けてはそれが出来ない、と。そんな中、以前、御寮さんが気に入ってべたべたしてきたうざい房八さんが結婚するので、その宴の料理を作って欲しいというオファーが来て、それを快諾する澪ちゃん。無事に料理は好評を得るが、その場で一柳の柳吾さんと息子の坂村堂さんが口論、柳吾さんは高血圧か? ぶっ倒れてしまい、すぐさま源済先生が呼ばれる。命に別状はないが、御寮さんに看護を依頼する坂村堂さん。そして御寮さんの看護で、柳吾さんと坂村堂さんの関係も修復でき、柳吾さんは澪ちゃんに「寒中の麦」の話を聞かせる。そして、柳吾さんは御寮さんにまさかのプロポーズを行うのだった――。

<9巻『美雪晴れ』>

 ◆神帰月――味わい焼き蒲鉾
 霜月(11月)の話。澪ちゃんを一人にして、自分だけ幸せをつかむわけには……と悩める御寮さん。つる屋では寒くなってきた季節に入麺を出しで好評を得る。昆布のご隠居にも好評だが、ご隠居曰く、蒲鉾が死ぬほど食いたいという。当時値段の高い蒲鉾。大坂人の澪ちゃんも江戸の焼き蒲鉾は馴染みがなかったが、歯ごたえといいこれは素晴らしいと思っていたので、いっちょ蒲鉾を自作してみようと思い立つ。そんな中、元・若旦那の佐兵衛が妻子を連れてつる屋を訪れる。自分の初孫と始めて対面する御寮さん。息子・佐兵衛に、柳吾さんからプロポーズされたことも打ち明け、ひと時の幸せな時間が流れる。そしてつる屋を訪れた柳吾さんに、プロポーズ受諾の返事をする御寮さん。翌年の初午(2月の最初の午の日)に結婚が決まる。御寮さんの寿退社によって、ウェイトレス班の人手が足りなくなり、柳吾さんから一柳勤務のお臼さんがつる屋に異動となってやってきた。でっかい女性でまさに臼のよう。これまた明るくいいキャラでみんな一安心。そして完成した蒲鉾は好評を得て、人を笑顔にする料理を作る、という心星は間違いないのだと確信する澪ちゃんだった……。 
 ◆美雪晴れ――立春大吉もち
 師走(12月)から文化14年睦月(1817年1月)の話。師走と言えば料理番付発表だが、種市爺ちゃんは、前話の焼き蒲鉾を番付に合わせて発売しようとしていたところ、「お前は番付のために料理屋やってんのか!!」と清右衛門先生に激怒されたこともあって、今年もまた番付入りを逃しちゃったなー、と思っていたら、まさかの関脇入り。何だと!? と見ると、番付に載ったのは(7)巻の冒頭で作った「面影膳」だった。番付発表後から、つる屋には「面影膳を食わせろー!!」とお客が殺到。困るつる屋メンバー。あれはあくまで、又次兄貴の追悼のために作ったもので、「あれは三日精進の文月13日~15日のみ」と張り紙をすることで対応。新メンバーのお臼さんは、今出せばバカ売れなのに、儲けじゃない、というその対応に深く感心する。また、柳吾さんも同様に、つる屋は素晴らしい店だと改めて感心する。そして、柳吾さんは、澪ちゃんこそ、跡取りのいない一柳の後継にふさわしいとスカウト。そして澪ちゃんは、前巻で対登龍楼用に開発した鼈甲珠を柳吾さんに味見してもらう。折りしも、登龍楼はこの鼈甲珠をパクッた商品を売り出し、料理番付で大関位を射止めていた。しかし決定的に味は澪ちゃんの鼈甲珠のほうが上で、柳吾さんも間違いないと太鼓判。しかし、澪ちゃんはこの鼈甲珠を武器に、あさひ太夫の身請けという成し遂げたい野望があり、スカウトを辞退。そして年が空け、御寮さんは一柳へ引越し、澪ちゃんも、神田金沢町の思い出の詰まった裏店から引越し、しばらくはつる屋で暮らすことに。ラスト、摂津屋さんが大坂での調査から帰ってきて、つる屋にやってきた。過去の事情を、澪ちゃんがしゃべらないために、自分で調査していた摂津屋さん。ほぼ事情がバレ、澪ちゃんもすべてを打ち明けることに。
 ◆華燭――宝尽くし
 睦月から如月(1月~2月)の話。いよいよ御寮さん&柳吾さんの結婚式。そしてつる屋を出る澪ちゃんの後釜となる料理人、政吉が登場。彼は(6)巻で一瞬出てきたあの時の料理人で、実はお臼さんの旦那だった。元々、お臼さんと共に一柳に勤務していたが、一柳のような一流店よりも、つる屋のような庶民派の店の方が好きだし、自分で店を持つ野望もなく、雇われ料理人希望の男で、さすがに一柳で鍛えられただけあって腕は確か。(6)巻に登場したときは、ちょっとやな奴だったが、お臼さんにぞっこんで、お臼さんの言うことは聞くし、実際話をしてみると意外といい奴だったため、澪ちゃんは淋しいながらも安心する。御寮さんの結婚前夜、つる屋の皆はささやかなパーティーを開催。息子の佐兵衛もやってきて、得意だった包丁細工で、大根を剥いて鶴を仕上げる。佐兵衛はもう料理はしないと言っているが、その技はまださび付いていないのだった……。
 ◆ひと筋の道――昔ながら
 桃の節句の頃の話。桜が近づき、仮営業中の扇屋が新装オープンするタイミングで、鼈甲珠を売り出すためにつる屋を離れる、と皆に宣言していた澪ちゃんだが、久しぶりにやってきた辰政先生の話では、まだオープンは先かも知れないが、毎年恒例の桜の移植と一般客開放の桜まつりは今年も開催するし、どうも思ったよりも早く新装開店するかもしれないという。いよいよその時がやってきたかと決意すると共に、淋しさが募る澪ちゃん。鼈甲珠の原料の仕入先は確保したものの、卵料理なので夏場は厳しい。だが今なら大丈夫だし、おまけにこの、桜まつりという絶好のタイミングで売り出さずしてどうする、と悩める澪ちゃん。ついにつる屋退職日を如月晦日(2月末日)と決め、吉原桜まつり期間中に一人で棒手振りで売り出す決心を固める。しかし、吉原のルールを何も知らない澪ちゃんは初日惨敗。扇屋さんに相談し、普請中の現場軒先で売ることを許してもらうが、やはり苦戦。そして、売り出すためのいろいろなアイディアを形にしてとうとう大成功となり、扇屋新装オープンの際には、扇屋さんへの卸売りの約束も得ることに成功するのだった。

<10巻『天の梯』>
天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)
高田 郁
角川春樹事務所
2014-08-09

 ◆結び草――葛尽し
 葉月(8月)の話。雨が少ない梅雨が過ぎ、日照り続きの江戸は青物の質が落ち、水不足もあって、つる屋では6月以来、三方よしの日が開催できないでいた。そんな中、扇屋の主人、伝右衛門さんがつる屋を訪れ、新生扇屋を長月九日(9月9日)、重陽に合わせて新装オープンすると知らせるとともに、その際に是非とも鼈甲珠を商いたいと申し入れに来る。まだ原料仕入れ先の都合もあるので、そちらを確認しないと返事ができない澪ちゃん。親友美緒さんが子供を抱えているところにバッタリ遭遇。日本橋で火事を出してしまった美緒さん一家は、飯田町近くに家を構え、どうやら商いを小規模ながら再開させてもらえそうだという。そんな中、無事に久しぶりに再会した三方よしの日も無事に終え、とうとう澪ちゃんがつる屋を離れて近所に一人暮らしを始める日が来る。鼈甲珠に必須の「流山の味醂の搾りかす(=こぼれ梅)」も無事ゲット。鼈甲珠の初出荷も無事に果たす。菊の花が敷かれた吉原で、新装なった扇屋へあさひ太夫が入る時、こっそり入ろうとしたのに思いっきり姿が周りに見られてしまう。その時、あさひ太夫は澪ちゃん謹製の鼈甲珠を手にし、天に翳した姿が超絶に美しく、後々錦絵となって有名になってしまうが、それは最終話の話。それを知らない澪ちゃんは、親友・美緒さんを元気づけるために、葛を使った料理で友の心を癒すのであった……。
 ◆張出大関――親父泣かせ
 長月から神無月、霜月、師走の(9月~12月)の話。すっかり有名になった鼈甲珠。伝右衛門さんはバンバン大量に売りさばきたいのだが、作っている澪ちゃんはかたくなに一日30個を守って増産してくれない。見れば、澪ちゃんは一人暮らしの自宅の軒先で、御総菜屋さんを開いている。そんなのじゃなくて、鼈甲珠を作れば儲かるだろ、と言っても聞いてくれない。澪ちゃんはクオリティ重視で質を落としたくないのだ。そんな時、つる屋さんに、とあるお侍がやって来て、江戸城勤務の同僚たちにお弁当を毎日10個作ってくれないかというオファーが来る。以前、つる屋がお弁当を販売していた時の評判を聞いてのオファーだった。澪ちゃんはそのオファーを快諾。また、つる屋では、新シェフの政吉さんから、自然薯の料理を教わり、澪ちゃんは自分がいなくなってもつる屋はもう大丈夫だと心から安心する。その自然薯料理はお客にも大好評で、「親父泣かせ」とみんなが呼ぶようになる。また、澪ちゃん謹製のお弁当も好評で、発注したお侍は江戸城内で、それどこの弁当だよ、と聞かれまくるほどに。どうやら、かつての想い人、小松原様こと小野寺様にもその評判は伝わっているらしいことを知る。そんな中、澪ちゃんの一人暮らしの自宅に、源斉先生のお母さんが来店。御典医である源斉先生のお父さん経由で、小野寺様が澪ちゃん謹製弁当を食べたいと言ってるらしい。翌日、澪ちゃんがちょっとした用で留守をふきちゃんに頼んでいる間に、お弁当を取りに来たお母さん。しかし、うっかりふきちゃんがお母さんにお弁当のおかずの酢の物を出してしまったからさあ大変。よそった器の釉薬が酢で溶け出し、食あたりが発生するという大事件が勃発してしまう。源斉先生のとりなしで何とかなったものの、大いに反省する澪ちゃんであった。そして早くも師走。師走と言えば料理番付。何と今年は、新シェフ政吉さん考案の「親父泣かせ」が張出大関に!! 喜ぶつる屋メンバーの眼には涙が……。
 ◆明日香風――心許り
 文化15年正月(1818年1月)の話。一柳へ年始の挨拶に行った澪ちゃん。なにやらお客の忘れ物があったらしく、みんなで、こりゃなんだと頭をひねる。澪ちゃんはつい、粉を舐めてみると、ほのかに甘い。ここから物語は怒涛の展開へ。どうやらそれは、幕府御禁制の「酪」らしいことが判明。なんと一柳の主人、柳吾さんが逮捕・連行されてしまう。そして、この「酪」の密造には、どうやら憎き登龍楼が関係しているらしく、おまけに佐兵衛さんが失踪した時の原因でもあったらしく――、というわけで、ここから物語はラストまでかなり激動があります。ここから先は、もう読んでもらった方がいいです。
 ◆天の梯――恋し栗おこし 
 弥生(3月)の話。「酪」の騒動も終結し、再び日常が返ってきた。が、摂津屋さんが訪れ、あさひ太夫がヤバいことになっていると知らされる。というのも、鼈甲珠を手にした大夫の錦絵が出回り、これまで伝説の存在としてその存在が隠されてきた大夫が、皆に知られてしまったのだ。こうなってはもういわゆる「年季明け(27歳になって引退すること)」まで、大夫を留めておくことはできない。身請けするにはもう結論を出さないとマズイ、と言う展開に。ここで澪ちゃんは摂津屋さんの助けを借り、一世一代の勝負に出る――!! 果たして澪ちゃんは宿願の野絵ちゃん身請け作戦を成功させられるのか、そして、澪ちゃんを常に優しく見守ってきた源斉先生と澪ちゃんはどうなるのか!! という最後のお話です。

 はーーーーー。超疲れた。
 改めて、全巻をパラパラ読みながら書いたけれど、とにかくまあ、美しいエンディングを迎えられたことは、とても嬉しかったですなあ。本当にいろいろなことが起きて、艱難辛苦が続いたけれど、最後には蒼天を拝めることができて、心から良かったと思います。
 なんというか、冷静に考えると、結構、澪ちゃんの決断は、ええっ!? と思うようなものだったり、なかなか決断できない様には、イラッとすることもあるにはあるとは思う。とりわけ、小松原さまとの件は、やっぱり全部小松原さまに任せてしまったのは、当然仕方ないけれど、ちょっとどうかと思わなくはないし、かと言って他にどうともできなかっただろうというのが分かるだけに、小松原さまの男らしさがわたしとしてはかなり印象に残った。源斉先生も、ちょっと優しすぎで、最終的な結末へ至る部分は、若干駆け足かなあとは思う。けど、源斉先生が澪ちゃん大好きだってのは、最初から分かってたし、まあ、これでいいんでしょうな。

 というわけで、もういい加減長いのでぶった切りで結論。
 澪ちゃんは結局、納得できる自分の生き方を曲げなかったところが凄いわけで、それは現代でも難しいことだし、ましてや19世紀初頭の江戸では、想像を絶する困難だったろうと思う。やはり、澪ちゃんを支える周りの人に恵まれたってことだろうな。そして、その周りの人と言うのは、全部、澪ちゃんの作る料理に込められた想いに引き寄せられたんだろうと思う。なので、結論としては、何事も真面目に心を込めて、生きていきましょうってことでしょうな。わたしも見習いたいと思います。ホント、素晴らしかった。以上。

↓高田先生の、新シリーズ。こいつぁ……読まねぇと、いけねぇでしょうなあ……。

 

 いやー……読み終わってしまった。
 何がって、そりゃあなた、『みをつくし料理帖』ですよ。約一ヶ月かけて、全10巻読了いたしました。非常に面白く、とても楽しませていただきました。はあ……もう、最後はわたしも種市じいちゃん同様、これでお澪坊ともお別れだよぅ……的に悲しくもあり、幸せに旅立つ澪ちゃんを祝福したくもあり、もうほんと、娘を嫁に出す気分ですわ。はあ……読み終わってしまって、すげえ淋しいっす……。
 ま、実は読み終わったのはもう2週間ぐらい前なんですが、1巻と2巻のときと同様に、各巻のエピソードガイドをまとめて、記録として残しておきたいと存じます。いやー、ほんと思いは尽きないところではあるが、いいお話でした。高田先生、あざっした!!
 ところで、2週間前に行ってきた、渋谷Bunkamuraでの浮世絵展の記事なんですが、先ほど、1巻目をぱらぱらチェックしてたら、物語の舞台となる年を間違えてたことに気が付きました。1802年は、澪ちゃんの両親が水害で亡くなった年で、江戸に出てきたのはその10年後、みたいです。なので、1812年ぐらい、が正しいようですので、浮世絵の記事も修正入れました。
 なお、渋谷Bunkamuraで開催中の『俺たちの国芳わたしの国貞』は、この『みをつくし料理帖』を読んだ方なら超おススメです。ちょうど同年代の作品ばかりで、非常に興味深いですよ。
 というわけで、各巻エピソードガイド、行ってみよう。長くなるので、2回か3回に分けます。
<3巻『想い雲』>

 ◆豊年星――「う」尽くし
 3年目の水無月(6月)の話。にっくき富三の話で、せっかく種市じいちゃんが取り戻した珊瑚のかんざしを再び富三に奪われてしまう、ご寮さんが可哀相な物語。又次兄貴大激怒でカッコイイ。料理のほうは、土用ということで、うなぎではなく、卯の花、瓜、豆腐を使った「う」尽くしで。一応、富三から、若旦那・佐兵衛が釣り忍売りをしてるという情報を得る。
 ◆想い雲――ふっくら鱧の葛叩き
 立秋が過ぎた頃の話。源済先生のお母さんがうなぎを差し入れに来たり、薮入りで健坊が来たりのつる屋さん。そこに、指を怪我した又次兄貴登場。どうやら、又次兄貴勤務の吉原・翁屋で鱧をさばこうとて噛み付かれたらしい。鱧といえば上方育ちの澪ちゃんの出番となるが、何かと厳しい吉原では、女料理人なんて認めないぜ的空気で……もちろん、ラストは、主の伝右衛門さんも、う、うめえ!? で一件落着。そして、後に何度か出てくる菊乃ちゃんと知り合い、ついに野江ちゃんことあさひ太夫と再会か――!?
 ◆花一輪――ふわり菊花雪
 十五夜の頃の話。家事で焼けてしまった、神田御台所町の旧つる屋跡に、偽つる屋出現!! しかも経営者はにっくき登龍楼の板長、末松だ!! 久々の小松原様も、味で勝る本家つる屋は大丈夫、と言ってくれるのだが、めっきりお客さんが減ってしまう。おまけに、なんと偽つる屋は食中毒を起こしてしまい、本家つる屋もその風評被害で大ピンチに。ここで、今まで酒を出さないつる屋で、月に3回、3の付く日(3日、13日、23日)を「三方よしの日(三方よし=近江商人の心得、売り手よし・買い手よし・世間よし)」として営業時間を延長し、夕方からは酒を出すことを思いつく。さらに、前話で、吉原の伝右衛門さんに貸しの出来た澪ちゃんは、「三方よしの日」は又次兄貴をつる屋の助っ人に来てもらう交渉に成功する。元々、夜は物騒で帰り道が怖いから早仕舞いしていたという理由もあったのだが、又次兄貴が帰りも送ってくれるので一安心。つる屋の行き届いた料理に、お客さんたちの誤解も解けてゆくのだった……的なお話です。
 ◆初雁――こんがり焼き柿
 神無月(10月)の話。すっかり秋めいた江戸。「三方よしの日」企画は大成功で、その日だけ吉原から来てくれる又次兄貴も生き生きと仕事をしてくれている。ふきちゃんは飯田川の土手の柿が気になるようだ。そんな時、ふきちゃんの弟の健坊が、つる屋の店先に現れる。なんでも、奉公先の登龍楼から無断で出てきてしまったと。そしてもう帰りたくないと。お姉ちゃんと一緒にいたいと。何とか説得して返すことが出来たものの、翌日、健坊が行方不明になったという知らせが――という話。久しぶりのりう婆さんもつる屋の助っ人にやってきてくれて、まあ最終的にはめでたしめでたしで終わる。いい話っす。

<4巻『今朝の春』>

 ◆花嫁御寮――ははぎき飯
 神無月(10月)中旬の話。日本橋両替商のお嬢様、美緒ちゃんが嫁入り修行を始める。大好きな源済先生と結婚したい美緒ちゃんだが、源済先生は御典医の息子で士分。武家作法を学ぶために大奥奉公をするのだとか。その入試に料理があると言うので、澪ちゃんに基礎を習いにやってくる。一方、つる屋には謎のお侍や武家の奥方様がお客としてやってくる。澪ちゃんがちょっとお話した奥方様は、どうやら腎臓が悪いらしく、源済先生に相談して「ははがき(ほうき草)」の実を料理に取り入れようとする。そして、なんとその奥方様が、常連の小松原様のお母さんで、小松原様は実は御膳奉行の小野寺様であることを知る澪ちゃんであった――てなお話。このお話でお母さんはすっかり澪ちゃんを気に入ってしまい、今後の物語の大きなポイントになる。
 ◆友待つ雪――里の白雪
 霜月(11月)の話。版元の坂村堂さんと戯作者の清右衛門さんがつる屋で飯を食いながら、なにやら新刊の打ち合わせをしている。聞いてびっくり、どうも、清右衛門先生は版元の金で吉原を取材して、謎の「あさひ太夫」を主人公とした物語を書こうとしているのである。いろいろ探られては困る存在のあさひ太夫こと澪ゃんの幼馴染・野江ちゃん。しかし、清右衛門先生の取材能力は高く、野江ちゃんを吉原に売り飛ばした女衒の卯吉を発見するにいたり――という話。吉原を身請けされた元・菊乃ちゃんがしのぶさんとして再登場したり、怒り狂う又次兄貴の立ち回りがあったり、澪ちゃんもとうとう清右衛門先生に野江ちゃんとの関係をすべて告白して、ならば自分が身請けするというアイディアをもらったりと何かと動きのあるお話でした。
 ◆寒椿――ひょっとこ温寿司
 冬至の頃の話。仲の良い夫婦のおりょうさんと伊佐三だが、なんと伊佐三さんに浮気疑惑が発生。おりょうさんは日に日に元気がなくなる。年末と言うことで、去年の料理番付で関脇になったつる屋だが、小松原様の話によると、今年は番付が出ないらしい。なぜなら、評判料理を多く作りすぎて、票が割れてしまったためだと言う。一方のおりょうさんと伊佐三さん夫婦は、太一君の教育方針を巡っても若干もめている様子。しかし、伊佐三さんは、太一君のために密かにあることをやっていたのだということが判明し、めでたしめでたしとなる。
 ◆今朝の春――寒鰆の昆布締め
 年末が近づく頃の話。料理番付を発行している版元の男がつる屋を訪れる。なんでも、番付は出せなかったが、それでは年が越せない、いっそ、つる屋と登龍楼で、料理バトルを行ってくれないか、とのオファーであった。つる屋チームは、バカ言うな、そんな番付のために料理を作ってのではないと断るが、既に登龍楼はノリノリだと。しかし、清右衛門先生や坂村堂の話を聞いているうちに、有名になれば失踪した佐兵衛の耳にも届くかも、ということで、オファーを受諾、料理バトルが始まる。献立のアイディアに悩む澪ちゃん。またも助っ人のりう婆ちゃんが来てくれたり、昆布のご隠居が差し入れくれたり、何とかこれで行こうと思ったところで、「御膳奉行」切腹の噂を耳にし、動揺する澪ちゃん。結果、左手中指と人差し指をザックリやってしまい……という話。このお話のラストの澪ちゃんと小松原様のやり取りが大変良いと思います。シリーズ屈指のいいシーンかも。

<5巻『小夜しぐれ』>
小夜しぐれ (みをつくし料理帖)
高田 郁
角川春樹事務所
2011-03-15

 ◆迷い蟹――浅蜊の御神酒蒸し
 文化12年睦月(1815年1月)の話。薮入りで健坊が来たり、種市爺ちゃんの元妻が現れたりと正月早々ばたばたなつる屋メンバー。元妻のせいで愛する娘が死んでしまった種市爺ちゃんの怒りと恨みが爆発するが、それをぶつける相手(元妻の浮気相手)にもつらい現実があって……シリーズ随一の悲しいお話。タイトルの迷い蟹とは、浅蜊の中にいた小さい蟹のことで、それを見て種市爺ちゃんが、ちゃんと家に帰ってれば……と亡き娘に想いを馳せるしんみりした話です。
 ◆夢宵桜――菜の花尽くし
 如月(2月)の頃の話。普段から患者のために奔走して大忙しの源済先生がぶっ倒れた!! というところから始まる。症状は重くなく、澪ちゃんは滋養になる料理で源済先生を見舞う。一方、つる屋には吉原・扇屋の楼主、伝右衛門さんがやってきて、弥生(3月)の花見の宴の料理を澪ちゃんに依頼。幼馴染の野江ちゃんことあさひ太夫に会えなくても近くにいけるのなら、と澪ちゃんは快諾。献立に悩む中、久しぶりにやってきた小松原様に相談すると「料理でひとを喜ばせる、とはどういうことか。それを考えることだ」と言われ、さらに悩むことに。そんな澪ちゃんに、優しい源済先生は「あさひ太夫に食べてもらいたいものを作ってみては?」とアドバイスをもらい、見事菜の花を使った料理と桜酒で客からの満足を受ける。帰りしな、伝右衛門さんから「世費わらに店を出さないか」というオファーを受け、悩む澪ちゃんであった……
 ◆小夜しぐれ――寿ぎ膳
 弥生(3月)の末から卯月、皐月の初めまでの話。友達のお嬢様、美緒ちゃんが嫁入り確定!! しかし源済先生が大好きな美緒ちゃんはまったく乗り気じゃない模様。最終的には、源済先生が実は澪ちゃんがすきということに気づいた美緒ちゃんは、「あなたのことが嫌いになれればよかったのに」と涙を流す。ちなみに澪ちゃんは、この段階ではまったく、源済先生の気持ちに気づいておらず、小松原様が大好き状態です。そしてこの話で、みんなで浅草に遊びに行った際、失踪中の佐兵衛さんを見かけ、取り乱す御寮さんのエピソードも。最後は澪ちゃんによる心をこめたお祝いの膳で締めくくり。
 ◆嘉祥――ひとくち宝珠
 唯一の、澪ちゃんが出演しない話で、小松原様こと、御膳奉行・小野寺数馬のお話。水無月(6月)に行われる「嘉祥」という将軍家主催のイベントに出す菓子を何にするか悩む数馬が、澪ちゃんのことを思いながらいろいろ試行錯誤する話で、妹の早帆さんやその夫で竹馬の友の駒沢弥三郎が出演。前の話で、澪ちゃんが、好きなお菓子は「(大好きなあなたと食べた)炒り豆です」と答えたことがちょっとしたヒントになる。

<6巻『心星ひとつ』>

 シリーズの中で極めて大きな出来事が起きる、重要な(6)巻。
 ◆青葉闇――しくじり生麩
 梅雨が明けた頃の話。坂村堂さんがつる屋に房八という恰幅のいい脂ぎったご隠居を連れてくる。なんでも坂村堂さんのお父さんの親友だとか。なんと坂村堂さんは、もともと「一柳」という江戸最強料亭の息子なんだとか。房八爺さんは御寮さんに惚れてしまい、実にうざい客でみんな大迷惑。空梅雨で青物の出来が悪く、献立に困った澪ちゃんは、七夕の夜、久しぶりの大雨でびしょぬれでやってきた小松原様と話した翌日、ふと、大坂では普通にある「生麩」が江戸にないことに気づき、自分で生麩を作ってみようと奮戦するのだが……初めて澪ちゃんが料理に失敗し、おまけに「一柳」の店主・柳吾さんからもキッツイことを言われてしょんぼりする話。
 ◆天つ瑞風――賄い三方よし
 葉月(8月)の話。小松原様の妹、早帆さまと澪ちゃんが知り合う話。再び吉原・扇屋の伝右衛門さんがつる屋訪問。吉原に店を出さないかというオファーの返事を求める。悩む澪ちゃん。そして同時に、ライバルで大嫌いな登龍楼の店主からも、2号店をたたむので、格安で買わないか、とのオファーが舞い込む。柳吾さんには、ずっとつる屋にいたら、成長できないと断言されてしまったし、さらに悩む澪ちゃん。そんな折、チーフウェイトレスのおりょうさんが、世話になった方の手伝いで長期離脱することになり、代わって再びりう婆ちゃんが登板。人生経験豊富なりう婆ちゃんに相談すると、澪ちゃん、あんた人のこと考えすぎ、自分のやりたいことを見極めて自分で決断すべし、とアドバイスする。そして出した決断とは――。ラスト、澪ちゃんはとうとう野江ちゃんと話をすることが出来、更なる決意に身を引き締めるのであった……。
 ◆時ならぬ花――お手軽割籠
 重陽の節句の頃(=9月)の話。なんとご近所での火事発生の影響で、飯田町では炊事の火を使う時間が制限されてしまう。料理屋に火を使うなと言うのは死活問題。困った澪ちゃんが編み出した秘策は、「そうだ、お弁当作ろう!!」であった。この作戦が大成功し、飛ぶように売れるお弁当。そんな中、先日知り合った早帆さまが澪ちゃんに料理を習いに通ってくることに。そして火の取り扱いの制限も撤廃され、元に戻るつる屋。そして早帆さまの最終日、早帆さまが自宅に来て欲しいと依頼。そこで出会った大奥様は、なんと(4)巻で知り合った小松原様のお母様!! つまり早帆さまは、小松原様の妹君であった。そして、澪ちゃんの将来を決する重大なオファーがもたらされる――!! という話。
 ◆心星ひとつ――あたり苧環
 神無月(10月)の話。前話のオファーがつる屋の皆にも知らされて一堂驚愕。どうする澪ちゃん!? と揺れまくる澪ちゃんが見つけた、揺るがない「心星」とは。源済先生も小松原様もカッコイイ男ぶりを見せてくれる、シリーズ最大の衝撃!! というわけで、詳しくは自ら読むことをおススメします。

 はーーーーーー。これまた疲れた。残る(7)巻~(10)巻は明日以降にしよっと。

 というわけで、結論。
 『みをつくし料理帖』シリーズは大変面白いです。まずはこの(6)巻までで、澪ちゃんの大きな転機が訪れますが、この先もまた大事件が発生して、本当に澪ちゃんは艱難辛苦に苛まれます。でも、本当に真面目に生きるのが一番ですなあ。わたしとしては、非常に励まされると言うか、ホント、読んでよかったと感じております。続きはまた明日!! 以上。 

↓今はせっせと、こちらのシリーズを読んでおります。3巻目まではもう読み終わりました。うん、やっぱり非常に面白いです。

 というわけで、月曜日は恒例の週末映画興行収入データです。
 今日はGWの狭間の平日ですが、わたしはフツーに働いていました。この週末は、金曜日の祝日公開の作品が多く、かなり稼いだ映画もあるようですが、当然わたしのイチオシは『CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR』なわけで、一体いくら稼いだのか興味津々であります。今日は他に特にネタがないので、ランキングを眺めて終わりにしてしまいます。まあ、とにかくですね、『CIVIL WAR』が素晴らしすぎて、わたしは大興奮しました。現代映画界の最高技術を駆使した映像と、最高レベルに練られた脚本は本当に素晴らしいデキでした。最高です。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『名探偵コナン―純黒の悪夢―』が16日間合計で、36億を突破したそうです。強すぎる!! すっげえ勢いがまったく衰えません。まだ3週目でこの成績は『ヱヴァQ』や『踊る大捜査線FINAL』並。ともに50億を軽く突破した作品なので、こりゃあもう、マジで50億に届くのではなかろうか。
 2位:『ズートピア』が9日間で 13億~15億弱ぐらいか? かなりの勢いをキープ。内容も評価が高いですね。わたしも観たくなって来ました。勢い的には、去年の『ターミネーター:ジェネシス(最終27.4億)』ぐらい。30億には若干届かずか、このGWでグッと伸びて30億を超えるか、そんなあたりだと思われます。
  3位:『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』が金土日の3日間で7.47億だったそうです。これは去年の『アベンジャーズ/ウルトロン(最終32.1億)』よりちょっと落ちる数字。先日の『バットマンvスーパーマン』よりはだいぶいい。20億は確実、30億はちょっと微妙か? と言うような数字です。なんとまだUS本国では公開されてませんので、どんなオープニング成績を残すか楽しみですな。とにかく最高です。わたしとしては今年の暫定ナンバーワンです。
 4位:『映画クレヨンしんちゃん 』 が16日間で10億は超えたと思う。11億ぐらいか。こちらも凄い勢いです。本当にたいしたものだと思う。立派です。
 5位: 『ちはやふる―下の句―』が公開土日で2.16億スタート。これは、『上の句』の1.79億スタートの120%となる。まあ、『上の句』を観た方は当然行きますわな。それにしても、広瀬すずちゃんが可愛すぎてたまらない。すくすく育っておくれ……。そういや続編も決定したそうで、本当に良かったすね。
  6位::『アイアムアヒーロー』は9日間で6億~8億ぐらい?だと思うが自信なし。この数字だとちょっと20億は壁になりそう。超えるかどうか微妙。16億~18億ぐらいで決着と見るが……。
 7位:『テラフォーマーズ』 が公開土日で1.50億だったそうで、これは厳しい。最終15億に届くかどうか、で終わるだろう。わたしは原作の13巻か14巻ぐらいまで読んだけれど、まあ観る気にはならないですなあ。どう言う客層なんだろうか? 原作好きな人? それともキャストのファン? ちょっとその点は気になる。
 8位:『レヴェナント』が9日間で 5億~6億ぐらいだと思われる。うーーん……公開前からアレだけの話題になっていれば20億は行くと思ったけれど、これは10億超えるかどうかも怪しいかもしれない……まあ、GW効果で10億は超えて欲しいところだ。やっぱり、オスカー発表からかなり間が開いてしまってもダメなんですなあ……。
 9位:『劇場版 遊☆戯☆王』が9日間で 3億弱かなあ……まあ、初動型だし上映スクリーン数も少ないし、まずまずの健闘、だろうか。ちょっと厳し目か。
 10位:『暗殺教室―卒業編―』が38日間累計で恐らくは33億程度と見る。初動は軽く40億もありうるかと思ったけれど、ちょっとペースダウン。35億は何とか届きたいところだが……もう上映回数も激減で厳しい戦い。とはいえ、前作を大きく超える成績は大変優秀。ご立派です。

 という様な感じだと思います。GW中ということで、数字的根拠があまり見当たらず、かなりわたしの適当理論で数字を積み上げたので、誤差が結構あるかもしれません。あまり信用しないでください。

 というわけで、結論。
 とにかくですね、このGW、なんか映画観ようかな、と思った方は、『CIVIL WAR』か、『ズートピア』がわたしとしてはおススメです。なお、『CIVIL WAR』は、これまでのMarvel Cinematic Universeシリーズを観ていないとダメなので、まずはそちらをまとめて観るのも乙だと思います。『ズートピア』は、サーセン、わたしは観てないのでアレですけど、RottenTomatoesで98%Freshと評価は最高クラスに高いですよ。わたしも大変気になっています。以上。

↓ わたしはたぶん、このGW中にコイツをあと2回は観ちゃうと思います。こちらも最高です。でもさ……はっきり言ってDVDはいらないんですけど、なんで付いてるの? 車もBlu-ray再生可能なんですけど。
 

 昨日の夜、本を読んでいたところ、急にHDDレコーダーが動き出してビクッとしたわたしだが、なんだなんだ、何を録ろうってんだいお前さんは? と電源を入れて確認したところ、『MAD MAX:Fury Road』が放送されたようで、おお、そうか、じゃ録画してるけど放送でもう一度観ようかな、と思ったものの、イマイチ『MAX』を観るテンションではなかったので、電源を落とそうとしたところ、そういやHDDの空き容量がそろそろまたヤバイかも……と思い、録画一覧を見てみた。
 すると、そこに、前日録画されたばかりの『リピーテッド』なる映画があることに気が付いた。はて……? なんじゃこりゃ? というわけで、時間も95分と短いので、とりあえず見てみるか、と再生を始めたわけである。結果、思わぬ豪華キャストに感心しつつ、内容はあまり感心できない微妙作であることが判明したのである。

 物語はまあ上記予告の通りである。冒頭、一人の女性が目を覚ます。全裸。隣には男が。しかし、どうやら女性は、ここがどこだかわからないならしい。しかも、洗面所の鏡に映る自分の顔が妙に老けているような気もする。部屋に戻ると男も起きていた。そして告げる。「君の名前はクリスティーン。40歳。そして私は君の夫のベン。君は事故に遭い、朝、目が覚めると、昨日までの記憶を失ってしまうんだ」。そして結婚生活や過去の写真を見せられ、良くわからないけど大ショックなクリスティーン。「君は毎朝同じ質問をし、私も同じ答えを返しているんだ」とのこと。そしてベンは会社に行き、一人家に取り残されるクリスティーン。すると電話がかかって来る。「おはよう。私は君の主治医のナッシュ。覚えていないだろうけどね。まずはクローゼットに隠してある靴箱を探してくれ。その中にデジカメがある。撮影されている動画を見てくれ。落ち着いたころ、家に行くよ」。探してみると、そこには昨日の自分が事情を話している動画が記録されていて……みたいなお話である。まあ、こういう話だと、誰もが思い浮かべるのはChristopher Nolan監督の出世作『Memento』だと思うが、あそこまでスタイリッシュというかトリッキーではないかな。
 カギとなるのは、次々と出てくる出来事が、一体本当なのかどうか、主人公クリスティーンにはさっぱりわからないことだ。かつての友人だった女性の登場、そしてどうやら自分には子供がいたはずだという事、そして毎日を一緒に過ごしているらしいベンが、本当にベン本人なのかという謎。さらに、自分は襲われて重傷を負った影響で記憶障害がおきてしまったという事実と、一体全体、犯人は誰なのかという謎。
 この作品は、原題を『Before I Go to Sleep』というらしく、小説原作があるらしい。そして思うに、映画だとモロに映像として描かれてしまっているので、想像の余地があまりないのだが、きっとこの作品は、小説で読んだ方が面白いのではなかろうかという気がした。お、今、知ったのだが、原作小説では、デジカメの動画を毎日残すのではなくて、手書きの日記という設定みたいですな。それはそれでアリかも。でも、そうするとちょっと『GONE GIRL』っぽくなってしまうような気もするね。動画の方が、インチキできない性が高くて、説得力は高いかも。
 物語は、かなりサクサクと進み、ラストでどんでん返しもあって劇的ではあるけれど、正直想像の範囲内の物語で、わたしとしてはそれほど面白いとは思えなかった。おそらく、一番の問題点は、クリスティーンが事故に遭ったのがいつで、どのぐらいの期間、ベンが毎朝同じことを言っているのかが良くわからない点であろうと思う。10年前って言っていたような気がするけど、それはないよな? 良くわからなかったっす。
 最終的には、一応GOOD ENDとなるので、まあ、良かった良かったなのだが、正直、記憶を失う前のクリスティーンにもかなり問題があって、わたしとしてはどうも釈然としなかった。以上のようなことから、わたしは本作を微妙作と評価したい。
 ただ、役者陣は妙に豪華である。まず、主人公のクリスティーンを演じたのが、オスカー女優Nocloe Kidmanさん。まあ、大変お美しい方だが、本作では非常に疲れた表情の40代を演じていて、妙に生活感というか人生にくたびれた中年女性を演じており、その点は大変良かったと思う。しかし、だいぶ、皺が増えましたなあ……ま、しょうがないよね。人間だもの。それでもやっぱり、Nicoleさんはスーパー美人ですよ。
 で、超あやしい旦那、ベンを演じたのが、これまたオスカー男優のColin Firth氏。なんか最近この人の映画をよく見ますな。しかし今回はスーパーDV野郎のクソ野郎でした。普段いい人っぽいのに、急に狂気を宿した目でDV野郎に変身すると、ホントにおっかないすね。正直、この映画のこの役に彼を使うのは相当な無駄遣いのような気がしてならないが、彼が演じていることでこの映画の質が向上しているのは間違いなかろうと思う。
 そして、これまた若干あやしさを漂わせる医者のナッシュを演じたのが、セクシーハゲでお馴染みのMark Strong氏である。絶対悪い奴じゃね? と思っていたら、今回この人はいい人でした。疑ってごめんなさい。ホントどういうわけか、わたしはこの人の出ている映画をことごとく見ているんだよな……別に彼目当てでなく、全然意識してないのに、あれ、まーたこのハゲオヤジ出てるな、と偶然出会うのだが、その出会い率がやけに高い不思議なおっさんであります。ただ、最近はいい人率の方が高いような気がする。悪党を演じるのが少なくなってきてますね、この人。ぜひ一度、Mark Strong氏 VS Jason Statham兄貴のセクシーハゲ対決アクションが見てみたいものですね。完璧キャラかぶってるからダメかなあ……兄弟役でもいいんですけど……。

 というわけで、結論。
 昨日の夜、ふとしたきっかけで観た『Before I Go to Sleep』(邦題:リピーテッド)は、役者が豪華だけれど若干微妙な作品でありました。原作小説が大変気になるけれど、まあ、今すぐ読みたいという気も起きないので、とりあえず保留です。なお、先ほど確認してみたところ、格付けサイトRottenTomatoesでは、結構な低評価でありました。以上。

↓原作小説。世界的ベストセラーだったらしいですな。若干、『GONE GIRL』に似てます。
わたしが眠りにつく前に (ヴィレッジブックス)
SJ・ワトソン
ヴィレッジブックス
2012-07-20
 

↑このページのトップヘ