2016年04月

 昨日観て、大興奮した『CAPTAIN AMERICA: CIVIL WAR』。
 もう最高すぎて、この映画を観たいと思わない人や、観ても面白いと思わない人とは永遠に友達になれないことは確実であろう。まあ、原作が存在する『CIVIL WAR』だが、何度も言うけれどMCU(=Mervel Cinematic Universe)は原作のエッセンスを取り入れ活かしつつ、最新技術で映画にした、まったくの別物であるので、もう原作について語る必要はあるまい。なので、原作はまったく知らなくて構わない。が、MCUのシリーズは観ていないと、この映画は楽しめないと断言できる。ので、一応、自分の整理のためと、説明の際にこれまでの映画をフルタイトルで書くのが面倒だし、おまけに知人からリクエストもあったので、おさらいをかねて、今後、このBlogで用いる略称を決めておくとしよう。全部観てない人は、今すぐ観てください。今回の『CIVIL WAR』から「Phase3」と呼ばれる第三段階に入りました。以下、ネタバレ全開かつ、わたし的主観満載です。
 <Phase 1>
 ■IRONMAN:2008年公開。今後『IRON1』と略。
 US興収318M$と大ヒット。日本では10億にも届かずわたしは絶望を禁じえなかった。IRONMAN誕生秘話を描く。とにかく主人公トニー・スタークを演じるRobert Downey Jr.氏が素晴らしい。本作で、トニーは自分の発明が兵器として人を殺し、おまけにテロ組織に横流しされていて、自身も殺されそうになったことで、猛反省。拉致された洞窟の中でせっせとIRONMAN-Mark1を作って脱出。帰還後、兵器産業からの撤退を決意。そしてけじめをつけるためにMark3まで進化させたIRONMANスーツを着用してテロ掃討活動開始。横流ししていた身内の重役をぶっ飛ばしてめでたしめでたし。本作ラストで自身がIRONMANであることを公表した。
 ■The Incredible Hulk:同じく2008年公開。今後『Hulk』と略。
 何故か日本では『IRON1』よりも先に公開になった。HULK誕生を描く。最高です。この作品に出てくる「ロス将軍」が、今回の『CIVIL WAR』に出てくる「ロス国務長官」。出世したなあ。なお、本作では主人公HULKことブルース・バナー博士を演じたのはEdward Norton氏。わたしはやっぱりずっと彼が演じてほしかった。物語は、ロス将軍の下で第2次大戦下に行われていたSuper Soldier計画(→その産物がCAPTAIN AMERICA)を現代に復活させようとしていたバナー博士が、誤って大量のガンマ線照射を受けてしまい、HULKになってしまったとさ、という話。
 ■IRONMAN2:2010年公開。今後『IRON2』と略。
 この映画で初めてWar Machine登場。IRONMANのUS-Air Force版で、トニーの親友ローディが着用。なので純然たるUSAF所属の軍人。なお、ローディーの役者も、『IRON1』から代わってしまって、本作以降はずっとDon Cheadle氏が演じている。お話的には、あまり重要ではないが、この作品で、初めて明確にS.H.I.E.L.D.という超法規的正義団が前面に出てきて(正確には『IRON1』にも出てくるし『Hulk』のおまけ映像にも出てくる)、Black Widowことナターシャもこの時初登場。この時IRONMAN-スーツはMark6(7だっけ?)まで進化。
 ■Thor:2011年公開。今後『Thor1』と記す。
 アスガルドという北欧神話ベースの「ここではない世界」の王子様の話。父である王様、オーディンから、地球に追放されたThorが、「高潔な精神の持ち主」しか持ち上げることが出来ない「ムジョルニア」という魔法のトンカチを再び手にし、邪悪な弟ロキを相手に地球で大暴れの巻。この作品で初めてHawkeyeことバートンがちらっと出てくる。あと、この作品でThor様は地球の女子ジェーンにぞっこんLOVEとなるも、オレはアスガルドの王になる!と地球からクールに去る。
 ■CAPTAIN AMERICA: The First Avenger:2011年公開。今後『CAP:FA』と略。
 第2次大戦中のUS-Armyで行われたSuper-Soldier計画(後々Hulkを生み出してしまうアレ)の顛末を描く、CAP誕生秘話。なので、舞台はずっと1940年代。ラスト、北極(?)にCAPを乗せた飛行機が墜落、70年後の現代に氷漬けとなった姿で発見され、蘇生。だから実は相当なおじいちゃんだし、現代文化に疎いというのはこの設定のため。「ヒドラ」というナチス(を操っていた?)的な集団が敵で、後々現代でも悪いことをしでかす。このとき、ヒドラが使う超兵器の動力源(?)となっていた「コズミック・キューブ」がキーアイテム。
 ■Avengers:2012年公開。今後『Avengers』と記す。
 2012年公開。『Thor』で死んだと思われてた弟ロキが、銀河の悪の親玉「サノス」の援助を受けて地球侵攻。サノスは、実は地球にある「コズミック・キューブ」がほしいのです。そしてロキの使う杖に埋め込まれた宝石がキーアイテムなのだが、その話は後々語られる。で、この地球のピンチにIRONMAN、HULK、Thor、CAPが集合して地球を守る、のだが、その影響でNYCはボロボロに。この作品から、HULK役がMark Ruffaloに代わっちゃった。年取りすぎだと思うんだよな……。なお、コズミック・キューブは、ラストでThorがアスガルドに持って帰り、お父さんのオーディンの兵器庫に厳重保管した。

 <Phase2>
 ■IRONMAN3:2013年公開。今後『IRON3』と略。
 『Avengers』事件で危うく死にかけたトニーがPTSDに。夜もロクに眠れず、ひたすらIRONMAスーツをせっせと作っていたら、『Avengers』の段階では確かMark7ぐらいだったのが、Mark42ぐらいまで増えてしまう。で、『IRON1』より前の時代に、とても冷たく対応したイケてない科学者がスーパーリア充のトニーに逆恨みして「この恨み晴らさでおくべきか」と復讐に来る話。ラストは、ずっと胸に埋め込んでいたアークリアクターを除去し、IRONMAN引退、となったはずだが、以降も全然引退してません。
 ■Thor: The Dark World:2013年公開。今後『Thor DW』と略。
 『Thor1』にて、惚れてしまったジェーンが忘れられないThor様。『Avengers』事件で地球に来ても会わないでいたのに、何故かそのジェーンが「エーテル」という謎物質に感染してしまってさあ大変。超特急で再び地球に降臨し、彼女をアスガルドに連れて行き治療を受けさせます。一方その頃、『Avengers』事件で地球に多大なる迷惑をかけた愚弟ロキは牢に入れられていたが、「エーテル」を狙う勢力に大好きなお母さんを殺されて大激怒、嫌いなThor兄貴とタッグを組んで大暴れ、というお話。ラストは、やっぱりオレ、地球で暮らすわ、とジェーンの元に再降臨して終了。そしてキーアイテムのエーテルは、銀河の収集者「コレクター」という男に預けた。
 ■CAPTAIN AMERICA: The Winter Soldier:2014年公開。今後『CAP:WS』と略。
 『Avebgers』事件ですっかり世間的に有名となったCAP。しかし中身はおじいちゃんなので、現代文化になじめません。退役軍人のサム(後のFalcon)とも友達になりつつ、ある日とある事件で謎の暗殺者Winter Soldierの存在を知る。既にS.H.I.E.L.D.からはマークされていた暗殺者だけど、正体不明であった男が、実は親友であり、『CAP:FA』でCAPを助けようと列車から転落死したと思われていたバッキーだったことが戦いの最中に判明。そして、どうやらS.H.I.E.L.D.という組織もバンバン兵器開発していて、極めて危ない組織であったことを知る。そして突き詰めた先には、70年前に壊滅させたはずのヒドラの影が……みたいな話。この話で、S.H.I.E.L.D.は事実上壊滅。おまけに本部のあったワシントンDCも壊滅。大丈夫かアメリカは!?
 ■The Guardians of the Galaxy:2014年公開。今後『GoG』と略。
 現状、Avengersには関係ないので飛ばしますが、キーとなる「インフィニティ・ストーン」をめぐるお話なので、次のAvengersには関係してくる可能性アリ。『Thor DW』で、エーテルを預けたコレクターが、ここでも出てくる。
 ■Avengers:Age of Ultron:2015年公開。今後『Ultron』と略。
 ヒドラの残党狩りに忙しいAvengersの皆さん。そんな忙しい中、トニーは自律AI搭載ロボを作って各地に配備して警備させればいいじゃね? とせっせとロボコップ開発に余念がない(通称ウルトロン計画)。しかし、さすがの天才トニーでも出来なかった、スーパーAIであるUltronがどういうわけか完成してしまい、つーかお前らAvengersこそが地球を壊す悪だー!! と反逆。またしても地球規模の大喧嘩が勃発。そして同時に、トニーの忠実な僕であったAIのJARVISも、Ultronが欲しがった「ヴィヴラニウム」という鉱石から生成した金属(=CAPの盾もこの金属で出来ている。トニーの父親が作った)ボディを乗っ取り実体化に成功し、以降Visionと名乗る。この時、鍵となったのが、ロキが『Avengers』事件で地球に忘れていった魔法の杖で、その宝石が重要なアイテムとなる。なお、この作品でScarlett WitchとQuic Silverという姉弟が出てくる。この二人は原作的には『X-MEN』のキャラクターだが、ご存知の通り『X-MEN』は20th Century FOXに権利を売ってしまっているので、MCUにおける彼らは人為的に作られた超能力者的存在という設定に。おまけにQuic Silverはまさかの殉職で終了。なお、この作品で、HULKは行方不明、Thorはインフィニティ・ストーンの謎解明のため再びアスガルドに帰還した。
 ■ANT-MAN:2015年公開。以下『ANT』と略。
 最高。非常に好き。これまでのMCU作品とはあまりかかわりがない(時系列的には、『Ultron』事件の最中っぽい)。関わるのは、初代ANT-MANのピム博士が、トニーの父と仲が悪かったことと、2代目ANT-MANを襲名したスコットが、Falconと遭遇してしまってちょっとだけバトルがあるぐらい。今後のMCUに、ピム博士が出てくるかどうか分からないが、演じたMichael Douglas氏が恐ろしく渋くてカッコイイ。なお、相棒のWASPは、きっと今後参戦してくることでしょう。今回の『CIVIL WAR』では、とうとう巨大化したGIANT-MANの勇姿も見せてくれた。最高です。

 はーーーー疲れた。以上が、本作『CIVIL WAR』以前のMCUの流れです。
 
 それでは、次にキー・キャラクターについて、ちょっとまとめておこう。
 ■CAPTAIN AMERICA
 本名スティーブ・ロジャース。通称キャップ(CAP)。NYC BROOKLYN出身。元々超華奢なガリガリ君だったが、第2次大戦時のUS-ARMYによる「Super Soldier計画」の実験台に志願して、謎血清を注射されて誕生したドーピング戦士。詳しくは映画『CAP1』の通り。元々軍人で、行動も生真面目な規律を重んじる男だが、命令されるのは嫌という矛盾した男。前作『CAP:WS』でばったり親友と出会ってしまい、心中複雑。信じるのは個人の力であり、それは傲慢だよ、とローディーに言われてしまうが、今回、永遠の恋人ペギーの言葉「嫌なものは嫌だ!!」の通り、信念を貫こうとする。
 ■IRONMAN
 トニー・スタークが自身で作ったアーマー・スーツを着用した姿。トニーはスーパーリッチなイケメンプレイボーイで超天才。最強のリア充。元々、自分の作ったものが人殺し兵器であったことから、自分の行動を常に疑い、客観的な視点を忘れないようにしている大人の男。また、『Ultron』事件の遺族になじられ、しかもUltronは自分が良かれと思って計画したものだったので、自信喪失中(?)。そのため、やはりAvengersの行動を国際的な監視下に置くべきだという意見に賛成する。しかしそれでは責任を監視機関に擦り付けることになるじゃんかとFalconになじられてしまう。CAPの気持ちも分かるが、まずは信用回復をすべきだと主張。なお、現在はどうも愛する秘書ペッパーと喧嘩別居中らしい。
 ■THOR
 現在、アスガルドに帰省中(?)のため、今回は登場せず。今、Thorが探っている「インフィニティ・ストーン」と、それを欲しがっている銀河の悪党サノスがMCU最大の謎となっている。原作上は、CAP、IRONMAN、THORの三人を称して、BIG3と呼ぶ。
 ■HULK
 ブルース・バナー博士の仮の姿。怒りや心拍上昇でHULKに変身してしまうが、バナー博士としては、理性を失い暴れ狂うHULKを嫌っている(のが基本設定)。現在、『Ultorn』事件のごたごたに乗じて失踪中。MCUにおいては、Black WidowことナターシャがHULK(というよりバナー博士)に惚れている的関係性で、どうも、ナターシャはバナー博士の居場所を知ってるっぽい。
 ■VISION
 元・トニーの忠実な電脳執事のJARVISが実体化した存在。超自然存在のVISIONは、Thorしか持ち上げられないムジョルニアをひょいっと持ち上げられたことからも分かる通り、高潔で公平な存在。皆から、VISIONさん、どう思います? と意見を求められると、やはり強大な力が何らかの抑止力を持つのは悪いことではなく、無視できない選択肢であるとトニーサイドの意見を支持。ちなみにVISIONさんは通常は普通に服を着てたのは驚いた。そして落ち込むScarlett Witchをなぐさめようといろいろ頑張る姿は大変いじらしい。元Jarvisだけに、面倒みのいいキャラですな。ちなみに演じるのは、『IRON1』の時からJARVISの声だけで出演していたPaul Bettany氏がそのまま登板。身長191cmのデカイ人。なお、現在トニーの電脳執事は、JARVISがVISIONになって独立してしまったので、FRIDAYという女性の声を持つプログラムが務めている。
 ■Black Widow
 ナターシャ・ロマノフのコードネーム。原作的な設定は非常に深いが、MCUでは(元)S.H.I.E.L.D.のエージェント。その前はロシアが育成教育していた組織の暗殺者。『Ultron』事件の際、Scarlett Witchの攻撃を食らってその当時の黒歴史をフラッシュバックで観るシーンアリ。バナー博士が好きみたいです。くそう。
 ■Hawkeye
 クリント・バートンのコードネーム。原作的な設定は非常に深いが、MCUでは(元)S.H.I.E.L.D.のエージェント。地上最強のアーチャー(弓使い)。『Ultron』事件の際、家族がいることが判明。事件後引退した。のだが、今回『CIVIL WAR』でCAPのピンチに馳せ参じる。お前引退したんだろ、ゴルフに飽きたのかよ? という問いに「いやあ、スコア18しか出せないんだよね……外せねえんだよなあ」(=つまり全ホールでホールインワン)と寝ぼけたことを抜かす。はっきり言って、今回出演しなくてよかったと思う。見せ場もあまりなし。
 ■Falcon
 サム・ウィルソンのコードネーム。MCUでは退役軍人で『CAP:WS』でCAPと知り合い友達に。また、『ANT』ではAvengers施設をパトロール中にANT-MANと遭遇し、ちょっとしたバトルを演じる。装備しているウィング・パックはMCUにおいては米軍の開発したものという設定で、トニーが作ったものではないみたい。なので、国家資産です。勝手に使っていいのかお前。なお、今回の『CIVIL WAR』では、翼に防弾機能と、偵察攻撃援護用の小型ドローンが装備された。
 ■Scarlett Witch
 ワンダ・マキシモフのコードネーム。上にも書いた通り、元々『X-MEN』のキャラだが、MCUにおいては人造超能力者という設定で、『Ultron』から登場。サイキックで、実は最強クラスなのではという実力を持つが、精神的にちょっと不安定。演じるElizabeth Olsen嬢がやけに可愛い。
 ■ANT-MAN
 MCUにおいては、2代目のスコット・ラングを指す。元々頭のいいインテリだけれど、身体能力はそれなりに高く、また、義憤に駆られて犯罪行為をしてしまって、長らくムショ暮らしを経験。前科者として何をやってもうまくいかないところに、初代ANT-MANであったピム博士が、お前が実はいい奴なのは知ってるよ、つか、2代目ANT-MANやらない? とスカウト。無職のスコットは、娘にカッコイイパパであることを示すため、その役割を引き受けた。
 ■WAR MACHINE
 MCUにおいては、トニーの親友であるUS-AF所属のローズ大佐(中佐?)がトニー謹製のIRONスーツを着用した姿を言う。完全にUSAFの資産であり、生粋の軍人。IRONMANよりも重火器の装備が豊富(?)だけど、微妙にいつもやられキャラ……。通称ローディー。今回、『CIVIL WAR』では大変な重傷を負ってしまってトニーが大激怒!!
 ■Winter Soldier
 本名James Buchanan Barnes、通称バッキー。CAPの親友。『CAP1』にて非業の死を遂げたと思っていたら、実はロシアに洗脳・改造された暗殺者として暗躍していて、『CAP:WS』でばったり再会し、ラスト、微妙に記憶を取り戻す。左手のメカニカルアームが主要武器。今回の『CIVIL WAR』では、ゆとりヒーローSPIDER-MANが、うぉ、かっけえっすねこの腕!! と大興奮する。実は暗殺者時代の1991年に、トニーの両親を暗殺していたことが今回明らかになる。
 ■Black Panther
 MCUにおいては『CIVIL WAR』で初登場。架空の国、WAKANDAの王子様→王様。本名ティ・チャラ。知的で思慮深いキャラ設定だが、父を殺された怒りで若干暴走中。あっさりマスクを脱ぐシーンがあるとは思わなかった。WAKANDAという国は、ビヴラニウムの産出国で、Black Pantherのスーツもビヴラニウム製だそうです。演じたのはChadwick Boseman氏。なかなかカッコ良かったですね。『CIVIL WAR』終了時点ではCAPたちに理解を示し、自国に匿う。
 ■SPIDER-MAN
 MCUにおいては『CIVIL WAR』で初登場。唯一の高校生で10代の少年ヒーロー。本名ピーター・パーカー。NYC Queens出身。SPIDER-WEBは自分で開発したものらしい。スーツがもう完全にパジャマみたいなダサいものだったので、トニーが最新技術のスーツをプレゼントした。非常にゆとりKIDSな言動が大変良かったと思う。演じたTom Holland君も非常に良かった。昨日も書いた通り、「メイおばさん」が劇的に若返ってびっくり。最高ですね。

 とまあ、こんな感じかな。

 というわけで、結論。
 今までのMCU作品で、見逃している作品がある場合は、ぜひ、全部観てから『CIVIL WAR』を観て欲しい。最高ですよ。そして、次の作品の『Dr.Strange』も相当出来が良さそうですね。タイトルロールを演じるのは、Benedict Cumberbatch氏。ちょっと検索すれば、Dr.に扮した姿の画像が出てきますので、ぜひチェックしてください。あーーー!! 一つ忘れてた。Cumberbatch氏といえば、当然『SHERLOCK』ですが、その相棒ジョン・ワトソン君を演じたMartin Freeman氏が今回の『CIVIL WAR』に出てました。それを言うの忘れてた。彼の演じたEverett Rossというキャラクターは、実はわたしは良く知らないんだよな……なんでも、Black Pantherのサポートキャラらしいですね。今後のMCUに出てくるのかなあ……でもチョイ役にMartin Freeman氏を起用するわけないよな……サーセン、勉強しておきます。以上。

↓ 非常に面白いです。劇場版は観てませんが。

 先日観た『BATMAN v SUPERMAN』については、まあ、いろいろな変なところや良くわからないことがあってアレだけど、とにかくBATMANがカッコイイし、Wonder Womanが素晴らしいからいいか、という評価をしていたわたしだが、そのわたしが今年一番観たい映画である『CAPTAIN AMERICA: CIVIL WAR』は、もう完璧すぎてわたしの期待を大きく上回り、最高であったのであります。結果、今年の暫定1位はこの『CIVIL WAR』となりました。以上。
 と、終わらせるのももったいないので、いろいろ思ったことをまた無駄に長く書いてみようと思います。一つ最初に言っておくと、これまでのMCUを全作観ていないと、本作はその本質を味わえませんので、全作観てから本作を観ることを強くお勧めします、つーか、義務ですよそんなことは。
 ※リクエストがあったので、すげえ長文ですが今までの基礎知識を別記事でまとめました

 さてと。おそらく検索でこのBlogにたどり着いた人が知りたいであろうこと先にまとめておくか。
 ■恒例の、エンディング後のおまけ
 今回は2回ある。1回目は割りとすぐ。CAPのその後をちら見せするシーン。2回目は完全に一番最後で(だから結構な時間待つ必要アリ)、NYCに帰ってきたSPIDER-MANことピーターのちら見せシーンがあります。今回不参加のThorかHULKについて見せるか、次の作品で現在絶賛撮影中の『Dr.Strange』をチラ見せするのかなと思っていたけれど、そうではなかったっす。
 ■CIVIL WARには関係ないけれど……
 噂の『ROGUE ONE:STAR WARS STORY』の予告が冒頭に付いていました。けど、既に公開済みの奴だったので、ちょっと残念だけど、大画面で見られたのはうれしかったっすね。
 ■今回、満を持しての登場SPIDER-MAN
 まあ、実際のところスポット参戦で、物語には大きく関わらないけれど、結構活躍してくれる。出てくるのは75分ごろだったと思う。非常に良いです。いかにもな、ゆとりKIDSで大変良かった。
 ■今回のVIllan(=悪党)は誰なのか?
 以前から、「クロスボーンズ」や「バロン・ジーモ」といった、Marvelコミックお馴染みの悪党が今回の敵、のような噂が出ていたが、結論から言うとまったく違ってました。クロスボーンズは出てくるけれどオープニングアクションだけの出演。爆発四散。また、バロン・ジーモは、ここは逆に彼を知っている原作オタクたちを極めて上手にだます物語となっていて、非常に巧かったと思う。わたしもだまされました。
 この、「一体誰が悪い奴なのか」という点が、今回の作品の最大の鍵になっていると思う。素晴らしい脚本だったとわたしとしては賞賛したい。
 というわけで、以下、本作の見所というか、わたしが素晴らしいと思ったポイントをいくつか挙げておこうと思います。正直、想像とは全然違うストーリー展開で、上映時間148分はまったく長いと感じませんでした。あ、もちろん、ネタバレ全開で書きます。
 ■一体全体、喧嘩の原因は何なのか。
 公開前から既に情報公開されている通り、本作『CIVIL WAR』ではCAPとIRONMANがガチで殴り合う大喧嘩となる。その原因は一体何なのか。IRONMANは、Avengersの活動を国連監視下に置き、出動は承認を受けて行うとする協定書に賛成するが、CAPはあくまで個人の力を信じ、「嫌なものは嫌だ!!」と反対する。この大枠については公開前からいろいろ公表されていたので、わたしはどう考えてもIRONMANの主張の方に理があるだろうな、と思っていた。なにしろ、今までにもう、散々街をぶっ壊してきた連中である。もちろん地球を救うためとはいえ、あまりにも被害が大きすぎたのは事実であるのだから。
 しかし、映画は、きちんと双方が何故そう主張するかを丁寧に描いていて、どちらが正しいかとはもういえない状況を見せてくれている。そして二人も、お互いの言うことは十分に分かっているのだ。トニーも、CAPの主張はよく分かる。だけど今は、信用回復が先だ、だからサインしてくれ、と歩み寄る。しかしそれを拒否するCAP。そう、この映画は、実質「Avengers3」に匹敵する規模なのだが、あくまで、CAPが主役の映画なのである。「Avengers:CIVIL WAR」ではなく、「CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR」なのだ。
 そして、事件はWinter SoldierことCAPの親友バッキーの扱いが焦点となるのだが、この容疑が、あくまで結果論だけれど、決定的にCAPの判断が正しいことを証明してしまう。CAPがバッキーを信じるのは、何の根拠もなく、親友だから、である。しかし、トニーをはじめ、世界中はそれを信用しない。けど、事実はバッキーははめられただけだった。結果はCAPが正しかったのである。この事実を知ったとき、トニーは、素直に自分が間違っていたことを悟る。やはり、国連とはいえ、自分の目で観て調べなければ判断できないことがあるのだと。だから、トニーはきちんと、大人らしく謝罪する。オレが間違ってた、と。
 しかし、それでも最終バトルが勃発してしまった。
 ここに、今回の最大のポイントがある。それは、トニーの両親を25年前に殺したのが、バッキーこと洗脳状態にあったWinter Soldierだったことがラストで判明してしまうからだ。しかも、CAPはそれを知っていた。トニーはCAPには恨みはないが、黙っていたことは許せない。そして、洗脳状態だったとはいえ、愛する母を殺した本人であるバッキーを許せない。そうして大喧嘩が始まってしまうのである。
 今回、IRONMANサイドを「THE MIND(知性)」、CAPサイドを「THE HEART(感情)」としてプロモーションが行われていたが、この最終バトルは、まったく逆なのである。トニーこそが感情を爆発させて怒り、CAPは知性を働かせて、事実を黙っていたのだ。
 わたしはこの展開はまったく知らなかったし予想していなかったので、心底驚いたし、直前までまったく気が付かなかった。思い返すと、巧妙に伏線が張り巡らされていて、本当に見事な脚本だったと思う。素晴らしい!!! 最高ですね。
 ■オレたちのANT-MAN大暴れ!! やったー!!
 ANT-MANは、ご存知の通り、ちっこくなれるヒーローだが、よく考えると、小さくなったあと、元に戻る(=大きくなる)んだから……ひょっとして? と思った方は鋭いですね。原作上、逆にでっかい「GIANT-MAN」にもなれる、何気に強いヒーローです。そして、今回、まったく予想してなかったGIANT-MAN登場ですよ。いやー、良かった。ちゃんとANT-MANにも見せ場があってわたしは本当に嬉しかったです。最高ですね。
 ■ゆとりKIDSことSPIDER-MANの活躍
 上のほうでも書いた通り、今回のSPIDER-MANは大変良かった。巨大化したGIANT-MANの攻略として、「超古いんだけど、帝国の逆襲って映画知ってるかい!? あの映画で、こういうデカイ奴を倒すには、こうやったのさ!!」と、AT-ATに見立ててGIANT-MANの足にSPIDER-WEBを絡ませて倒すところは、もう最高でしたね。さすが、MarvelもSTAR WARSも共にDisney傘下だけありますな。最高ですね。そうそう、そういえば、メイおばさんが驚愕の若返りをはかり、トニーに「美人過ぎるおばさん」と言われてましたね。演じたのはオスカー女優のMarisa Tomeiさん。今後のシリーズが楽しみですな。最高ですね。
 ■初登場!! BLACK PANTHER見参!!
 今回は、登場キャラが多すぎて、初登場のBLACK PANTHERの説明なんてしてる時間ないのでは? と心配していたけれど、ここも見事だったですなあ。事前知識がなくても大丈夫だったと思う。ただ一つだけ、CAPの盾(映画『CAP1』で、トニーの父が作ってあげたもの)の素材であるビヴラニウムの産出国の王様であることだけはもうちょっと説明があっても良かったかもしれない。『Ultorn』事件をきっちり覚えてれば、今回の冒頭の事件の舞台としてピンと来たはずだけど、ここだけ、もう少し説明があっても良かったかも。しかし、ラストで、そのCAPの象徴であるあの「盾」を、「返せ。それは父が作ったものだ。お前に持つ資格はない!!」と言ったトニーの悲しさが溢れていて、本当に見事な脚本&演技でした。最高ですね。
 ■VISIONとScarlett Witchのやさしい関係
 VISIONさんが普通に服を着ているのは驚いたけど、しょんぼりしているScarlett Witchをなんとか慰めようとするVISIONさんはとても良かった。何かおいしいものでも作ってあげようと、「わたしは食事をしたことがないから分からないのだが、味はどうだろうか?」なんて優しいことをぎこちなく言うVISIONさん、カッコ良かったっす。そして、Scarlett Witchを演じたELIZABETH OLSEN嬢はやっぱり可愛いですね。またその衣装が最高ですよ。なぜかニーハイ&ミニスカ、そしてやけに胸元が開いているのがかなりいいです。最高ですね。
 
 はーーーーもう完璧すぎて、何もいう事がないです。
 実はこの記事の前に、今までのMCUを振り返る各作品まとめを書いていたのだが、もう超超長くなるのでカットしました。ズバリ、今までの作品を観ていないと、今回の『CIVIL WAR』は楽しめませんので、まだ観ていない作品があるなら、絶対に観ておいたほうがいいと思います。もう、ほんと最高ですね!!!

 というわけで、結論。
 Marvel Cinematic Universeの新たなるPhase3の開幕となる『CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR』は最高です!!! わたしの2016年暫定1位に躍り出ました!!!! 今までのMCUを観てきた方は、今すぐ劇場へGO!!! でお願いします。最高ですね。以上。

↓ うちには昨日届きました!! そして特典映像のメイキングなど、非常に楽しめました!!! 今後3DとかいろいろなVerが発売されるので、後できっと、チッ! と思うとは思いますが、とりあえず買いです。



 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 明日からゴールデンウィークということで、今週は合併号、次号は5/12(木)の発売となります。なので来週の『鮫島』ニュースはお休みです。
 あと、次号が出るまでに、『鮫島』の単行本(7)巻が5/6(金)に発売になりますので、この記事を読んでいる方は全員、義務として単行本を買いましょう。

 では、まずは今週の週刊少年チャンピオン2016年22-23合併号の概況です。
 ■『弱虫ペダル』:冒頭、「山神」こと東堂さんが久々の登場です。二日目山岳ポイントに現れた東堂さんは、山岳争いで真波くんと坂道がやってくることを期待していましたが、どうやらゴール争いに向けた戦いが始まっており、真波君は来ないことを知ると、さっさとゴール地点へ。そして先頭集団は「総北の赤い豆粒」こと鳴子くんの奮闘が続きますが、キモー筋の汚い手で脱落寸前、「来いやスカシィ!!」と雄たけびをあげ――!! 当然そこにやって来る今泉くんと坂道。さあ、今泉くんの男が試される時がやってきましたよ!! これで負けたら、この人ホント何なんでしょう。頼むぜ今泉くん!!  しかしやっぱり鳴子くんが一番カッコイイですな。本当は彼に勝たせてあげたいものです。そういえば、総北の三人の先輩方は2日目もやっぱりゴールで待っているのでしょうか。まあ、巻島先輩の出番は、坂道が戦ってるときじゃないと意味ないか。3日目ですかね。登場を期待ましょう。
 ■『牙刃道』』:武蔵VSピクル、武蔵の提案により中断、真剣を使う勝負へ――の巻。
 ■『囚人リク』:先週登場の謎の看守の正体発覚、なんとあの人の――!? の巻
 ■『少年ラケット』:ビリーさんVSイチロー君、最終セットへ。お互いに背負っている仲間の想いは届くか!?の巻
 ■『AIの遺電子』:ヒューマノイド棋士の話。面白し。
 ■『錻力のアーチスト』:いよいよ9回の裏、2アウト、打順は俊足の児島君、走れ―――!! の巻』
 という感じです。どうも最近は驚愕の展開が少なくて、若干物足りない……ような気がしなくもないですが、「週刊少年チャンピオン」を今後も応援し続ける所存です。

 さて。では今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週、先々週と、とうとう姿を現したラスボス・最強横綱【泡影】関。先週は、親友・石川の兄弟子【飛天勇】を軽く投げ飛ばして格の違いを見せつけました。虎城理事長は、現役当時、心技体揃った「ザ・横綱」だったわけですが、実はその裏には苦悩があったことは、これまでも、前作『バチバチBurst』でも描かれてきました。しかし、その虎城親方から見ても、【泡影】関は完全に次元が違う本物であると語ります。今週はそんな虎城親方が、初めて(?)鯉太郎のことを考えた、とても大切なことを親身に語ってくれる回でした。
 「アレがお前のやろうとしている相撲だろ…相手にすべての力を出させ それを受けきり そして飲み込む…まして横綱にはそれに加えて観衆の期待… いや…幻想が重く伸し掛かる… 強大な力があって 初めて成立する相撲だ… お前に実力がないとは言っておらん… だがあの相撲を取るには足らんのだ… お前に期待をしとったと言うのも嘘ではない… その太い地力と精神力は目を見張るものがある… 心底思うよ… あと少し… 体が追いついてくれていればと…」
 なんかわたしはこの虎城理事長のセリフにはグッときました。まさか、「あしたのジョー」で言うところの白木お嬢様の役割を虎城理事長が担うとは!! ところで理事長、あなたの息子、【王虎】関は今どうしてるんすか? 息子もその横綱の器にないんすかね?
 しかし、虎城理事長にこんなことを言われた鯉太郎は、怒りに震えます。その怒りは、理事長に向けたものと言うより、悔しさでしょうか。「今さら…分かってんだよ 俺が相撲に選ばれてねーってことなんて…」虎城理事長は、実は鯉太郎が心配でならないのでしょう。その体で真っ向を貫くことは、身を亡ぼすんだぞ、と。しかし、鯉太郎は、もうとっくに覚悟していることです。鯉太郎が怖いのは、体が壊れることではありません。「何より怖えーのは… 満足しないで終わっちまうことだ… だから俺は…俺の相撲を貫く 誰にも否定はさせねー… たとえ相手が… 神でも…」ここの鯉太郎の表情はすさまじい。花道を引き上げてくる横綱【泡影】に対する殺気をぶちまけます!! が、神様【泡影】は完全スルー。その横綱のオーラに鯉太郎の殺気は打ち消され、思わず道を開ける鯉太郎。虎城理事長は言います。「アレが相撲に選ばれた者だ…」と。鯉太郎には一瞥もくれなかった横綱に、鯉太郎は奮い立ちます「おもしれー… アレが… アイツが…相撲そのものだってんなら…泡影(アレ)を 振り向かせりゃいいんだろーが…」。その鯉太郎の決意に、虎城親方が心の中で思うこと、それは、自身の弟弟子であった、鯉太郎の父、火竜のことです。(父親の血が 引くことを許さんか… 選択するは 修羅道か…)
 という感じの今週でした。いやあ、ヤバいすねえ……しかし、鯉太郎だって幕内力士で、5枚目ぐらいまで行ったことがあるんだから、横綱【泡影】と対戦したことなかったんすかね。千秋楽まで残れず途中休場が多かったってことなのかなあ。でも、確実に【白水】さんや常松こと【松明】は戦ってるはずだよなあ。仁王兄貴あらため空流親方だって戦ってたのは間違いないし。まあ、鯉太郎としては横綱と戦うためには負けられませんね。中日以降、その戦いからは目が離せませんな。
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
  --------
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明
 【飛天勇】西前頭四枚目。 石川の兄弟子
 【丈影】東前頭四枚目。次の対戦相手か!? 四股名的に、横綱の弟弟子っぽい
 【泡影】東(?)横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。
  --------
 というわけで、結論。  
 どんどんわたしの鯉太郎に対する心配が募りますが、まずは「相撲そのもの」と評される横綱【泡影】への挑戦権を得るために、8日目以降も頑張るんだ!! たぶん、まずは横綱の手下の【丈影】との取組が組まれるような気がするけど、そんな奴は3週ぐらいでぶっ飛ばして、【天雷】や【猛虎】&【王虎】との戦いを期待します!! 以上。

↓ 来週からいよいよ5月場所です。またチケット獲れませんでした……いや、あまりいい席でなければ獲れたんだけど……せっかくならいい席で観たいもんな……。はあ……。



 

 昨日の夜、WOWOWで録画しておいた映画を観て、こ、これは考えを改めねばなるまい、と深く実感した事件が出来した。一つは、その監督の評価を今まで軽んじてて本当にオレは節穴だったぜ、ということ。そしてもう一つは、どうやら「オレ的ハリウッド美女ランキング」更新の時が来たようだな……ということである。
 昨日、わたしをしてそう思わせた映画とは、『Magic in the Moonlight』(邦題:マジック・イン・ムーンライト)。日本では2015年4月(US公開は2014年)に公開された作品である。大変面白かった。
 
  物語は、もう上記予告の通りである。つーかもう全部見せてんじゃん、というレベルの親切すぎる予告と言ってよかろうと思うので、もはやストーリーは説明しません。
 まず、監督についてだが、本作はほとんど毎年1本は作品を発表し続けている超ベテランのWoody Allen監督である。70年代からとにかくコンスタントに作品を作り続け、Wikiによれば、アカデミー賞ノミネートは24回と最多記録保持者だそうだ。もう80歳なんですな。わたしは勿論映画オタクとして良く知っているし、作品もかなり観ている方だと思うが、実は、どうもそのシャレオツ風味があまり得意でなく、中学か高校のときに見た『The Purple Rose of Cairo』(邦題:カイロの紫のバラ)以外はあまり好きじゃない、と常々偉そうに言ってきたのである。
 が、昨日観た作品『Magic in the Moonlight』は、どことなく懐かしい感じの、まあ甘いと言えばそれまでだが、非常に楽しい映画であったことを認めざるをえないのである。音楽や撮影、それから役者陣の演技ぶりなど、どれもがなんとなくわたしが少年時代にTVで観ていた70年代アメリカンコメディ風な空気感が溢れていて、おそらくそこにわたしは懐かしさを感じたのだと思う。観ていて、ついニヤけてしまうようなロマンティックコメディで、お話の内容的にも、わたしのようなおっさんに勇気を与える、素敵なラブコメ(?)で大変気に入ってしまったのである。最後に、おもわず「めでたしめでたし」と言いたくなるようなストーリーは大変お見事であった。今まで、テキトーな評価しかしてなくて、ホントにサーセンっした。本当にごめんなさい。

 そして、もう一つ、この映画でわたしが声を大にして申し上げたいのは、ヒロインの可愛らしさである。ヒロインを演じるEMMA STONEちゃんが超絶に可愛くて、完全Fall in Loveと相成ったわけである。いやー、参った。非常に可愛かった。EMMAちゃんの可愛さにぞっこんLOVEとなったわたしとしては、冒頭に書いた通り、これはちょいと「オレ的ハリウッド美女ランキング」更新の時が来てしまったようだな……と認めざるを得なかったわけあります。
 これまで、わたしは何度かこのBlogに、「オレの愛するハリウッド三大美女」を表明し、その御三方が不動のオレ的美女だったわけだが、どうも今年に入ってから、御三方を上回る「神クラス」およびラブリーな「天使クラス」という新たなカテゴリーを設置する必要があろう、という事も判明し、昨夜開催された、わたしの脳内取締役会において、ランク更新の件が承認可決してしまったので、ここで発表することとした。恐らくは数年後、ああ、オレはなんでこんな記事を恥ずかしげもなく書いたんだろう、と後悔することになるのはほぼ確実だとは思うが、もう、いいの。それほど、昨日の夜観た映画が気に入ったんだから。
 というわけで、大変急で恐縮だが、ここで「オレ的ハリウッド美女TOP10+α」を発表します。
 <神様クラス>・・・その存在を神々に感謝しつつ、崇め奉りたいレベル。
  ◆GAL GADOT様・・・美しすぎて可愛い。会ったら失神あるいは失禁するのは確実。
  ◆CATE BLANCHETT様・・・このうえなく美しいひと。先週また来日されてましたね。
 
 <天使レベル>・・・新設カテゴリー。その可愛さ、もはやAngelとしか言いようなし。
 ◆EMMA STONEちゃん・・・昨日観た映画のヒロイン。超絶可愛い。
 ◆DAISY RIDLEYちゃん・・・とにかく表情豊かで可愛い。笑顔も怒り顔もイイ!
 <元祖・三大美女>・・・不動のTOP3だったのだが、上がいるんすなあ……。
 ◆JENNIFER LAWRENCE嬢・・・とりわけしょんぼりツラとガラガラ声がイイ。
 ◆SCARLETT JOHANSSON嬢・・・とりわけ声がイイ。超ハスキー&セクシー。
 ◆AMANDA SEYFRIED嬢・・・広いデコがたまらん。デコピンしたくなる。
 <そのほかのTOPランカー>・・・一日眺めていても飽きない方々
 ◆ELIZABETH OLSEN嬢・・・最近妙に気になる。笑顔が可愛い癒し系(?)
 ◆ANNA KENDRICK嬢・・・最強歌姫。ちびっ子なのもイイ。大変可愛い。
 ◆JESSICA CHASTAIN嬢・・・この人、最近どんどん好きになってきた。美しい。
 ◆MIA WASIKOWSKA嬢・・・天使クラスに入れるか悩む。可愛い。

 というわけで、以前からEMMA STONEちゃんが可愛いことは知っていたし、彼女の出演している映画はもう散々観ているわたしだが、どういうわけか、昨日観た『Magic in the Moonlight』での彼女が飛びきりキュートで参ってしまい、急遽、ランキング上位に躍り出てしまったのである。
 わたしは、基本的に、しょんぼりした、どこか放っておけない空気を纏っているとか、声に妙に特徴があるとか、若干変なところにグッと来るのだが、この映画でのEmmaちゃんは、霊能力者ということでちょっと世間ズレしていて、尚且つ実はしたたかというキャラクターを演じていて、非常に笑顔が可愛く、まあ、正統派の美女だと思う。なんか、若いころのJodie Forster女史に似てますな。歯並びがとてもきれいで、アゴのラインがわたしは大変気に入った。
 ただ、ここまで絶賛しておいてアレなのだが、この映画、ひょっとしたら女性が観たら、全然評価されないかもしれない。何しろ、物語的に、Colin Firth氏55歳が演じる中年のおっさんと、Emmaちゃん27歳女子のラブコメなので、完全に、男目線ファンタジーなのだ。なので、女性が観たら、ああ、これはないわ、とズバッと斬り捨てられてしまうような気もしてならない。実際のところ、物語も古臭さは否めないし、今の現代日本の女子は向かないような気がする。
 だが、いいの。だって、監督は80歳のおじいちゃんだし、わたしもりっぱなおっさんだもの。たまには夢見せてよ。なので、日々仕事に疲れ、精神をすり減らしている社畜乙なおっさんたちには、大変おススメです。わたしは大変気に入りました。

 というわけで、結論。
 Woody Allen監督による『Magic in the Moolight』は、ヒロインが大変可愛く、そして世のおっさんに夢を与えるとても楽しい映画でありました。結果、わたしのお気に入りハリウッド美女ランキングも最新版に更新せざるを得ないこととなったわけで、また、新たな美女を発見したらランク更新したいと思う。なお、万一、オレ的日本版ランキングを知りたい人がいたらご連絡ください。ご要望によっては発表しまので。以上。

↓ この時から、可愛いなあ……と思ってました。映画としてもなかなか笑える。この映画でちょっとしたカギになる駄菓子「Twinkie」を、元部下のA嬢に出張土産で買ってきてもらったこともありましたな……。超・油で胸焼けします。
ゾンビランド [Blu-ray]
ウディ・ハレルソン
Happinet(SB)(D)
2013-09-03



 

 わたしは現在、日曜日のNHK大河『真田丸』をせっせと観ている。ちなみにわたしはNHK-BSで18時から見ているのだが、もちろん、戦国期の群雄割拠(?)が大好物なので、ほほう、今年は真田家か、と大変期待しながら見始めたわけである。ただし、脚本がかの三谷幸喜氏であることには、若干の不安もあった。三谷幸喜氏の実力は当然分かっている。この人の映画や演劇では大変笑わせていただいるわけで、非凡なる才能の持ち主であることは間違いない。しかし、オリジナルコメディではその才能が炸裂し、毎回楽しい作品を我々に提供してくれることは確実であっても、NHK大河で、しかも真田家のお話で、大丈夫かしらん? と素朴に思ったのである。思えば、わたしは元々幕末期はあまり得意でないので、2004年の『新撰組!』は、最初の数話でDNFしてしまった前科がある。どうも、三谷幸喜氏とNHK大河というのはミスマッチなのではなかろうか、と全くもって大きなお世話の心配をしていたわけである。※DNF=Did Not Finish=途中棄権の意
 で、第1話から、やはりどうも、何か居心地が悪いというか、わたし的にのめり込めない。決定的だったのは、第13話「決戦」である。対徳川戦第1ラウンドとしてお馴染みの、第1次上田合戦を描いたものだ。

 NHKは、ご丁寧にも上記のような「5分で分かる第●話」というダイジェスト動画をYou TubeにUPしてくれている。つか、5分で分かるなら見なくていいんじゃね? という気がしなくもないが、見逃した場合などには大変ありがたし、である。ま、わたしは見逃してしていないけど。
 この第13話は、いわゆるワンクール終わりの締めくくりで、次回から舞台は大坂へ移る。なので、前半の山場に第1次上田合戦を持ってくるという構成は実に理に適っている。
 そして、役者たちも素晴らしい演技だ。文句は全くない。
 しかし、どうしてもわたし的にしっくりこない。
 それは、やはり各キャラクターの言動に問題があり、どうにもわたしには受け入れがたいというか、ううむ……と唸らざるを得ないのだ。ズバリ言えば、まずセリフは現代語すぎる。特に、わたしが気になるのは、長澤まさみちゃん演じる「きり」ちゃんのセリフの数々だ。もちろん、長澤まさみちゃんには何の罪もなかろう。問題はどう考えても脚本だ。あり得なすぎやしないかと、わたしは心配というか呆れるというか、これは全国のNHK大河のメイン視聴者であるシニア層の支持を得られるのだろうか? と不安である。おまけに、行動も、どうにも分からない。16世紀後半の女性がこんな行動をとることがあるのだろうか? という部分もそうだし、上記動画の、黒木華ちゃん演じる「うめ」ちゃんの、第13話における行動もさっぱり意味不明で、まるで無意味な犬死を遂げて退場してしまうとは。ついでに言うと、この「うめ」ちゃんが結婚に至るまでの経緯も、この女子はしたたかなんだか純朴なんだかさっぱり判断が付かない微妙なキャラ付けだったのも良くわからん。
 わたし、本当にもう、第13話を観終わった時、もう来週からは観なくていいや、と思った。
 のだが、次週からはいよいよ秀吉も出てくるし、これからどんどん面白くなっていくであろう、と期待して視聴を継続しているのが現実ではあるのだが……ちょっと辛くなってきたのである。
 なお、70歳をとうに超えたわたしの母も、もう脱落しそうである。やはり気に入らないようだ。
 思うに、NHK大河に笑いは不要、とまでは言わないけれど、ちょっとどうにも馴染まないような気がしてならない。もちろん、歴史通りにやれとか、もっときっちりしろとか言うつもりも全くないのだが……例えば、真田家の父・昌幸を演じる草刈正雄氏の、何を考えているかさっぱりわからないすっとぼけぶりは、秀吉をして「表裏比興の者」と言わしめた曲者ぶりが滲み出る素晴らしい芝居だと思うし、長男・信之を演じる大泉 洋氏の、いかにも真面目な様は、信之らしさが非常に伝わるものだと思う。もちろん主役の信繁も、現状では演じる堺 雅人氏とその時の信繁の年齢差がありすぎて、ちょっと違和感はあるが、その若い信繁をしっかり演じてくれていると思う。他にも、上杉景勝も、これまた本当はもっと全然若いと思うが、義を重んじる上杉家、だけど実際はかなり苦しい立場の悩める景勝を遠藤憲一氏がカッコ良く演じてくれている。なので、役者に文句があるわけでは全然ない。むしろ素晴らしいキャストだと思う。
 ※年齢について気になるので、景勝が上洛して秀吉に会った年=1586年の段階で誰が何歳だったか、そして演じている役者さんは現在何歳か、自分用備忘録としてまとめておこう。
 ◆豊臣秀吉:49歳(1537年生)→小日向文世氏(62歳)
 ◆徳川家康:43歳(1543年生)→内野聖陽氏(47歳)
 ◆上杉景勝:30歳(1556年生)→遠藤憲一氏(54歳)
 ◆直江兼続:26歳(1560年生)→村上新悟氏(41歳)
 ◆石田三成:26歳(1560年生)→山本耕史氏(39歳)
 ◆大谷吉継:27歳(1559年生?)→片岡愛之助氏(44歳)
 ◆真田昌幸:39歳(1547年生)→草刈正雄氏(63歳)
 ◆真田信之:20歳(1566年生)→大泉 洋氏(43歳)
 ◆真田信繁:19歳(1567年生)→堺 雅人氏(42歳)
 ◆淀殿(茶々):17歳(1569年生?)→竹内結子嬢(36歳)
 なるほど、こんなに本当は若いのか。
 でもまあ、その違いは正直どうでもいいし、別に問題ないとは思う。
 しかし、これだけそうそうたる役者陣を揃えて、別に笑いを取りに行かなくてもいいんじゃねーの? というのが、わたしの偽らざる感想だ。
 まあ、真面目にやってももう散々いろいろな物語で描かれているし、今さらなのかもしれないので、今回のような三谷節がたまに炸裂する面白脚本もアリなのかもしれないけれど、それにしても、どうにもしっくりこなくて、もう観るのやめようかどうしようか、と毎週思いながら観ている。
 そう思っているのはわたしだけなのか、実際良くわからないのだが、視聴率的には、さすがに人気の戦国モノだけあって、現在のところ平均17%チョイを維持しており、ズバリ好調、と言っていいようだ。2年前の「軍師官兵衛」よりもちょっと視聴率的にはいいみたいですな。うーーん……「官兵衛」の方が、わたし的には面白かったけどなあ……岡田くんの芝居ぶりも非常にカッコ良かったし。断然わたしとしては「官兵衛」の方が好きだけれど、どうも視聴率を見ると、世の判定はそうでないのかもしれない。
 とりあえず、わたし的な次のポイントは、「小田原攻め」であろう。
 この一代大いくさがどう描かれるかを楽しみに、まだしばらくは観続けようとは思っている。そこで前田慶次郎利益が出てこねえかなー、と、「花の慶次」ファンとしては期待しよう。慶次がカッコ良かったら、最後まで観るでしょうな、きっと。

 というわけで、結論。
 現状、イマイチ乗れていない『真田丸』だが、次の山場となるであろう(?)小田原攻めを、わたし的判断ポイントとすることで、とりあえずはそれまでは視聴継続、としたい。以上。

↓ 慶次は最高です。常に電子書籍で携帯し、いつでもどこでも何度でも、読みたいときに読んでます。敢えて言うと、慶次は最高です。全巻購入は漢の掟ですよ。
花の慶次 ―雲のかなたに― 1巻
隆慶一郎
ノース・スターズ・ピクチャーズ
2015-06-08
 

 というわけで、月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 今週末は、Disneyの『ズートピア』やコミック実写化で話題の『アイアムアヒーロー』、それからDiCaprio氏にオスカーをもたらした『The Revenant』などが公開されました。わたしが観たのは『The Revenant』ですが……どうなんだろう、わたしが細かいことに気を取られただけなのか良くわからないですが、わたしの判定は、うーーん……というものでした。ただしDiCaprio氏の渾身の演技はすさまじく、映像の質感もS級で凄いのは間違いないです。ちなみに、わたしが劇場に入ろうとして、おおすげえお客さん入ってるじゃんと思ったら、実はちょうど上映開始がほぼ同じ時刻だった隣の『遊戯王』のお客さんで、行列になっていました。入場者特典でカード配布があったのかな。連載開始から20周年だそうで、今なおこの人気はすげえ、と驚きです。
 まあとにかく、今週金曜日の祝日から始まる『CAP:CIVIL WAR』が早く観たくてたまらないわたしであります。というわけで、今日は、ランクをさらっと流して、2月決算の東宝と松竹の数字が出ていますので、それを最後にちょっと取り上げて終わりにします。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『名探偵コナン―純黒の悪夢―』が9日間合計で、もう25億を突破したそうです。去年は2週目で18億程度のはずなので、相当すごい勢い。本当に50億届いてもおかしくない。いずれにせよコナン史上歴代1位は確実。
 2位:『ズートピア』が公開土日で4.45億と、先日のPIXERアニメ『アーロ』よりもかなりいい数字での初動。2011年の『カーズ2(最終30.1億)』よりちょっと落ちるぐらい。20億は軽く超えるんでしょうな。
 3位:『映画クレヨンしんちゃん 』 が9日間で6億後半~7億程度まで積みあがったはず。もうチョイ行ったのかも。好調維持で、こちらもクレしん史上歴代1位は行きそう。すごいなあ。
 4位:『アイアムアヒーロー』は公開土日で2.25億だったそうでやや微妙かも。20億は厳しいかもしれない。今後の動向を要観察。
 5位:『レヴェナント』が公開土日で1.79億だったそうで、これはちょっと厳しそう。公開スクリーン数が300を超えているようなので、倍は欲しかったところだろう。金曜から公開になっているが、3日間でも2.5億まで行っていないのではなかろうか? この調子では、10億も心配。大丈夫かな? 今後の経過を要観察。
 6位:『劇場版 遊☆戯☆王』が公開土日で1.3億ほど。先ほどせっせと劇場数を数えたら130チョイだったので、アベレージ的にはかなりイイのだろうけど、わたしが劇場で観た行列の割には興収はちょっと控えめだ。もっと売れているのかと思ってました。
 7位:『暗殺教室―卒業編―』が31日間累計で恐らくは32~33億ほどと思われる。東宝のラインナップ的に次の新作が続々と公開になって、上映回数激減か? 初動は40億もあり得る勢いだったけれど、どうやら35~36億あたりで決着か。それもちょっと微妙な雲行きかもしれない。
 8位:『ずっと前から好きでした―告白実行委員会―』が公開土日で0.7億ほど稼いだそうです。これはいわゆるボカロ系小説のアニメ化って奴ですね。スクリーン数も少ないのに、大したものです。
 9位:『ちはやふる―上の句―』が37日間合計で先週と変わらず13~14億程度だろうか。いよいよ「下の句」の公開迫る。頑張れ!!
  10位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は51日間合計で、どうもまだ40億には乗ってない気配。急に勢いが止まったのか? 上映回数激減か? 歴代ドラ史上ナンバーワンは確実だと思っていたが、大丈夫か自信なくなってきた。まあ、GWで最後の気合が入れば40億は大丈夫……だと思いたい。

 ほか、ランク外では、『バットマンVSスーパーマン』が31日間累計でまだ17~18億ぐらいと思われる。20億は届かないかもしれないな……微妙です。いや、それにしても難しい。このところ、初動だけでは過去比較しても結構ずれることが多いような気がします。この週末からのGWでもう少し、各作品の興収が積みあがると言いのですが。以上、今週末のランキングです。

 で。東宝と松竹は、2月決算で、先日通期の決算短信が公表されたので、ちょっとだけチェックしておこう。まずは東宝。東宝は、非常に絶好調で、増収増益を達成。利益面は2年連続最高益更新、だそうですよ。すげえなあ。
TOHO_FY2015
 確かに、今回の決算である2015年3月~2016年2月は、東宝の配給作品は前年よりも良かったし、なにより子会社の東宝東和が『ジュラシック・ワールド』を大ヒットさせるなど、業績的には相当良いだろうなと思えるものだったので、この決算数値は納得であろう。もちろん、TOHOシネマズという映画館興行としては年末の『スター・ウォーズ』も当然寄与しているはずだ。
 また、アニメに本気になった東宝としては、TVアニメや劇場での展開もかなりいい作品が揃って貢献したのは間違いないところだと思う。演劇も増収増益で、利益率も大幅に向上が見られ、非常に手堅く稼いで儲けている。不動産も、新宿の新築OPENが影響したのだろうか、大きく増収増益だ。現在、日比谷の建て替えを行っていて、落成するのは来年か。もう盤石すぎてツッコミどころがないですね、ホントに。もちろん、コンテンツ産業というものは、ヒット作のアリナシに業績は左右されてしまうのが当然だけれど、東宝の場合はまず不動産はきっちりベースとなって金をもたらすし、演劇も相当下手をうたなければ手堅い、そして映画の方は、現在の邦画の独占的な立場と、今後パラマウントとユニバーサルの作品の配給権をがっちり握ったこともあって、よほど高い値段で買い付けない限り、あるいはよほど宣伝に金を使いすぎない限り、まあきっと安泰だろうと思う。完全にもう、1強時代ですな。
 で、松竹はというと、こちらは増収・微減益、です。
Syochiku_fy2015
 数字的には演劇部門の利益が若干落ち込んでいる影響か。ただ、いわゆる決算短信というものは、ほぼ適当なことしか書いていないので、そこからは原因は読み解けない。数字が落ちているのに、なんでも「好評を博しました」的なことしか書いておらず、唯一のマイナスポイントとしては、京都南座が耐震工事のために2016年2月から休館になってます、ぐらいしか書いてない。今年の2月って、今回の決算にはほとんど影響してないだろうことは誰でもわかる。ちなみに、映連が発表している2015年のランキングを見ると、松竹配給作品で一番稼いだのは、かの『ラブライブ』で28.4憶。これが松竹の好決算に寄与したのは間違いない。
 なお、東宝はきちんとアナリスト向け決算説明会をやって、パワポの決算説明資料も公開しているが、松竹はそういうものが一切なし。ま、説明するまでもなく毎年あまり変わらないってことだろうか。松竹についてもっと詳しいことを知りたければ、株を買って株主になって、総会で質問するしかない状況なので、これ以上細かいことは分からないです。
 東宝は、おそらくGW明けに公開の『世界から猫が消えたなら』がどうせ大ヒットするだろうし、夏の『シン・ゴジラ』も大ヒットは確実だろう。ともに、まったく根拠はないけれど、東宝的皮算用としては最低30億、できれば50億以上を狙っているだろうし、それが実現してしまうような気もするが、両作とも興味ナッシングです。
 松竹は、『植物物語』『秘密 The Top Secret』『超高速!参勤交代リターンズ』あたりを次期の期待作として決算短信の乗せているが、頑張っても、どれも10億~20億だろうな……。たぶん『植物図鑑』と『参勤交代』はわたしも観に行くつもりです。

 というわけで、結論。
 東宝は企業として強い。圧倒的と言っていいほど。ただし、その結果、映画興行は非常に歪な気がする。まだ稼げそうな映画もあっさり上映終了しちゃうし、洋画なんかは初日の土日に行かないとあっという間に上映回数減っちゃうし、 とにかく、なんというか次々に映画が公開になって、スケジュールが非常に枠にはまっているように見えるのが現代の映画興行の姿だ。まあ、別に文句はないけれど、それはやっぱり、東宝1強の影響なのではなかろうかと思う今日この頃です。洋画も強いのはDisney系だけだしなあ……。全く何の結論にもなってませんが、難しい世の中ですな。以上。 

 過去、アカデミー監督賞を2年連続受賞した監督というと、偉大なるJohn Ford監督とJoseph Leo Mankiewicz監督の二人しかいなかったわけだが、今年、そこにAlejandro Gonzalez Inarritu監督が加わって3人となった。そしてその作品『The Revenant』は、作品賞は逃したものの、5回のノミネートの末にとうとうLeonard DiCaprio氏にオスカーをもたらしたわけである(※ノミネートのうち1回は助演男優賞)。これはもう、観ないとイカンだろう、というわけで、公開前から大変話題となっている『The Revenant』 (邦題:レヴェナント 蘇えりし者)をさっそく観てきた。
 しかし……である。もちろん、DiCaprio氏は素晴らしく、これはもう主演男優賞の価値があるとわたしも納得であるし、その映像の迫力は凄まじいのだが、全体としてはどうもわたしの期待よりも下だったように思える。撮影が超過酷で大変だったとか、本物の内臓を食っただとか、はっきり言えば観客にはどうでもいいことが大きく取り上げられているような気がするが、物語としては、ズバリ問題アリで、若干気持ちが醒めてしまったのが残念にわたしには思えた。

 物語は実話ベースである。Hugh Glassという男が、西部開拓時代のアメリカにおいて、灰色熊(グリズリー)に襲われて重傷を負うも生還した話は伝説的に有名らしいが、日本人のわたしには知らない話である。映画は、年代や時代背景の説明が一切なく、いきなり始まる。だからどうにも、これは一体いつごろの話なんだろうとわたしは落ち着かなかったのだが、今さっき調べたところによると、Hugh Glassがグリズリーに襲われたのは1823年のことらしい。しかも実話では夏の話だそうだ。ま、映画は冬という設定になっているのだが、そういう改変はまったく問題ないし、不満はないけれど、せめて年代は教えて欲しかった。
 物語としては基本的には予告の通りではある。グリズリーに教われて瀕死の重傷を負うも、息子を殺されて、その復讐のために、息子を殺した男を追跡する話である。であるのだが、実際のところ、どうも話がつながらない。グリズリーに襲われるのは分かった。そして息子をぶっ殺されるのも分かった。でも、襲われて重傷を負うことと息子が殺されることに、どういう関連があるのかが良くわからない。ので、わたしは予告を観た段階では、一体どういう状況から息子が殺されるのだろう? という点が、今回の物語上の一番のカギだろうな、と思って劇場に向かったのである。
 そして観終わった今、そのつながりはよーくわかった。が、冒頭に書いた通り、やはりどうも、期待ほどの興奮は、わたしにはもたらされなかったのである。どうやらわたしは、物語、脚本がいまひとつ気に入らなかったのだと思う。わたしが観ていてよく分からなかった点が3つあるので、ちょっとまとめておこう。
 1つ目は、グラスの負傷の具合についてである。グリズリーに襲われたグラスは、完全に足折れてたよね? 明らかに変な方向に捻じ曲がってたよな? しかし……添え木も何もしてないのに、なんで歩けるんだ? もしかして隊長の「足を引っ張るんだ!!」「ゴキッ!!」というあの手当てで治っちゃったのか? ここがどうにもよくわからんポイントの一つで、要するに、グリズリーに襲われて負った傷の具合が良くわからんのである。どう見ても助かりそうにない重傷で、当初、一歩も動けずで、意識も混濁している。けど、どうして半ば埋められちゃっても這い出ることが出来たのだろう? わからん。どうしてなんだ? ひょっとして、それなりの時間経過があったということなのかな? それである程度回復したってこと? うっそお、そんなものか? 相当な出血だし、足折ってるし、栄養状態も悪く、衛生環境もひどくて普通は感染症で一発アウトだと思うのだが……。この、グラスの超人的な回復力と体力には、どうにもあり得なすぎて、わたしとしてはかなり、醒めてしまったのが現実だ。おそらく、時間経過、そして地理的・距離的な状況が観客にはわかりにくいのが難点なのではないかというような気がする。
 そして2つ目ののポイントは、フィッツジェラルドの行動だ。グラスはフィッツジェラルドの問いかけ「もうお前はもたない。楽にしてほしかったらまばたきで答えろ」に、明確に反応して、YESと答えたよな? 確かに、フィッツジェラルドはまったく同情できない悪党で、息子を殺した罪はどうやっても弁解できない100%有罪だけれど、グラスを捨てようとしたことについては、実際のところ常識的な判断ではなかろうか。誰がどう見ても、もうアウトだったし、ぐずぐずしていれば自分と仲間の命がヤバイことも明白で、踏ん切りがつかない若者たちに決断を下させるためにはやむなし、という判断は、もちろん冷酷ではあるかもしれないけれど、十分理解できるものだと思う。だとすれば、フィッツジェラルドも、きちんと息子に、お前の親父はもうダメで、親父自身も殺ってくれって言ってるぜ、とちゃんと説明すればよかったのに。そもそも、冒頭の襲撃を受けるシーンも、元はと言えばグラスが発砲して銃声をとどろかせてしまったから、だよね? フィッツジェラルドが、グラスに対して怒っていても、そりゃ無理ないと思う。冒頭の狩りのシーン、映像は素晴らしかったけれど、アレはいったいどういう意味があったんだろうか。
 ちなみに上記2点のわたし的よくわからんポイントについて、パンフには、「最愛の息子を失った悲しみと絶望、フィッツジェラルドに対する怒りと憎しみを原動力に死の淵から蘇った」と書いてある。そんなバカな。あんな重傷を負って、そりゃ無茶ですよ。おまけに絶望したら生きる気力なくなるのが普通だろうと思う。わたしはこのあたりがどうも納得できないというか、よくわからなくて、映画から心が離れてしまったように思う。もちろん、ここでグラスが死亡すれば物語もそこで終了なので、まあ、5万歩譲って、アリだとしよう。物語的にはそうしないと進みようがない。が、もう少し何か、グラスが生き残るための伏線や準備があっても良かったと思うし、フィッツジェラルドが息子を殺す動機も、大金を得るために邪魔だったのは分かるとして、グラスが死ぬことを承諾する部分は、正直、物語上不要だったと思う。むしろ、あそこは、グラスはあくまで死を受け入れない描写にした方が、それでも殺そうとするフィッツジェラルドとして悪党ぶりが明白になったのではなかろうか。
 そして、3つ目のよくわからんポイントは、追っ手であるアリカラ族だ。彼らは要するに、白人(今回の場合はフランス人)に拉致された娘ポワカを奪還するために旅をしていたわけで、実のところ、グラスの敵ではないわけだ。もちろん彼らにとっては白人や他部族は本来的には敵なのかもしれないけれど、彼らはきちんと、敵であっても一番の目標であるポワカ奪還のためには白人も利用する賢さがあるわけで、だとすれば、ここはやはりグラスを助ける役割をアリカラ族に付与しても物語は成立したような気がする。わたしはまた、重傷を負ったグラスを助ける存在がいて、それが追っ手であるアリカラ族なのかと想像していた。アリカラ族の使い方がイマイチすぎるのは、全体の流れの面でも、実にもったいない瑕疵であったように思えるのだが、どうだろうか。途中で、グラスを助けるなんとか族の男が出てくるけれど、彼の使い方ももったいなさ過ぎる。非常に雰囲気のあるカッコイイ男だったし、命の恩人なのに、彼の死にあまり意味がないのも実に残念だし、大変気の毒であった。
 というわけで、以上のような、脚本的な「何じゃこりゃポイント」が多かったのが、わたし的にイマイチだと思わせる原因なのではないかと思っている。これ、誰も気にならないのかな? 変に思ったのはわたしだけ? うーーん……。わたしとしては、実にもったいない残念ポイントである。

 ただし、である。冒頭にも書いたとおり、DiCaprio氏の演技ぶりはもう非常に素晴らしいもので、この点では劇場に観に行く価値アリである。凄い。わたしが瞠目したのは、やはりDiCaprio氏の狂気をはらんだ眼力であろう。オスカーにふさわしい、渾身の演技だったと思う。また、Tom Hardy氏の、なにか口の中に入ってんのか? と思うようなモゴモゴした声は正直いつも通りだが、その目に宿る狂気はDiCaprio氏に負けないほどの迫力があり、こちらも見ごたえ十分である。そして、高潔な隊長を演じたDomhnall Gleeson氏も『SW:EP VII』や『Ex Machina』での若干気弱そうな若造ではなく、毅然とした勇気ある男としてかなりカッコ良かったと思う。今回、DiCaprio氏、Tom Hardy氏ともに、顔のクローズアップがとても多く、ある意味二人の顔芸が凄まじいのが、一番のセールスポイントではなかろうか。
 しかし、これもわたしは実に気に入らないのだが、配給社のプロモーションはそういった作品そのものよりも、やたらと、Behind the Scene的な点に重点が置かれているように感じた。撮影現場が過酷な大自然の中であろうと、実は快適なスタジオで撮って背景は全部CGです、言われようと、観客としては正直どうでもいい。また、予算オーバーしただとか、スケジュールがガタガタになったとか、その様相はさながら『地獄の黙示録』のような撮影になったとか、そんなのは、プロデューサーの責任であって、観客には関係ない。映画として素晴らしく、観客の魂を引きずりこむ演技を見せてくれれば満足なのだから、そんな作り手の大変さを強調されても困る。ベジタリアンのDiCaprio氏が生肉にかぶりついた、とか言われても、そんなの知らんがな、である。もっともっと、DiCaprio氏の演技で称えるべき点があるのに、20th Century FOXのプロモーションはそんなことばかり前面に押し出していて、そんなのは、パンフのプロダクションノートに書いとけばいいだけだし、Blu-Rayの映像特典に入れて、うおお、マジか、すげえ!! と後で知ればいいだけの話だ。もっと、映画そのものの素晴らしさを宣伝してほしいものである。でも、仕方ないか……昨今の日本市場における洋画の低迷を考えれば、少しでも観客に興味を持ってもらうためには、こういうプロモーションも必要と言うことか、と納得することにしたい。

 はあ、全然まとまらない。映画としての出来は、もちろん非常に高いが、脚本上の問題点と、日本でのプロモーションの方向性がどうも気に入らなくて、散らかったレビューになってしまった。最期に、監督と音楽について触れて終わりにしよう。Inaritu監督による、自然光のみの撮影による画と、得意の長回し(のように見えるだけでCGを使っているのか、ホントに長回しなのかもう判別不明)の画は最高級に素晴らしく、見ごたえ十分である。話題のCGによるグリズリーも、超恐ろしい出来で本物にしか見えない。……けど、ほんとにナイフだけで戦えるのか、その点は若干謎だが、役者の演技と映像は見事にシンクロし、映画としての完成度は非常に高いと思う。ホントこれで脚本が完璧だったらと思うと非常に残念だ。
 で、音楽なのだが、正直ちょっと邪魔なぐらい音が大きくて、これは坂本龍一氏に責任はないと思うが、あまり印象には残らないものだった。エンドクレジットで流れる曲も、いま一つ物語と寄り添っていないような気もしたので、音楽としては先日見たばかりの『SICARIO』の方が断然上だと思う。オスカーを受賞したのは『The Hateful Eight』だが、確かに素晴らしかったけれど映画によりマッチしていたのは『SICARIO』だったとわたしは思っている。

 というわけで、結論。
 待ちに待った『The Revenant』をさっそく観に行ったものの、映画としてのスケールや完成度は抜群に高いのは間違いない、けれど、脚本上の妙なポイントがわたしを醒めさせてしまい、さらにはプロモーションの方向性も気に食わず、なんか文句ばかりになってしまったが、実際のところ、すげえ映像でわたしはとりあえずは楽しめました。でも、マジでもっと面白く創れたと思います。大変残念。と、いつもの言うだけ詐欺で締めよう。以上。

↓ Tom Hardy氏の悪党ぶりは、この名作でのバーンズ軍曹ことTom Berenger氏の芝居を参考にしたとのことです。でも、バーンズのほうがおっかないと思います。この映画の方がわたしは好き、かな。
プラトーン [Blu-ray]
トム・ベレンジャー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2014-02-05

 今、わたしはほぼ毎日せっせと『みをつくし料理帖』を読んでいて、全10巻のうち、現在9巻が終わりそうで、あとチョイで全部読み終わるところまで来ている。舞台は、このBlogで1巻2巻を紹介した時にも書いたが、1802年1812年から6年間ほどのお話で、要するに江戸後期、第11代将軍・徳川家斉の時代である。元号で言うと享和から文化から文政のころであり、時代劇で言えば田沼意次が失脚したのちの松平定信による寛政の改革の緊縮財政や風紀取締り、思想統制といった抑圧から開放され、江戸市民がやれやれ、と一息ついて元気を取り戻しているような、そんな時代であろう。
 この、19世紀初頭というのは、日本の文学や美術といった芸術史上「化政期」と呼ばれる 重要な頃合いで、今現在我々が知っている有名人が、まさに活躍していた時期である。ちょっと、1802年において、誰が何歳だったか、ちょっと調べてみた。面白いから芸術家以外の有名人も載せてみよう。
<※2016/04/25追記修正:間違えた!!! 澪ちゃんが淀川の氾濫で両親を亡くすのが1802年で、物語はその10年後だ!!! なので、澪ちゃんが江戸に来たのは1812年のようで、以下の有名人の年齢は10歳プラスしてください。どうも馬琴(=清右衛門先生)が若すぎると思った……なので、澪ちゃんは1794年生まれっすね>
 ■葛飾北斎:42歳(1760年生→1849年没)浮世絵師
 ■喜多川歌麿:49歳(1753年生→1806年没)浮世絵師
 ■歌川広重:  5歳(1797年生→1858年没)浮世絵師
 ■歌川豊国:33歳(1769年生→1825年没)浮世絵師
 ■歌川国貞:16歳(1786年生→1865年没)浮世絵師
 ■歌川国芳:  5歳(1797年生→1861年没)浮世絵師
 ■上田秋成:68歳(1734年生→1809年没)読本作家・俳人・歌人
 ■山東京伝:41歳(1761年生→1816年没)浮世絵師&戯作者(作家)
 ■十返舎一九:37歳(1765年生→1831年没)戯作者(作家)
 ■曲亭馬琴:35歳(1767年生→1848年没)戯作者(作家)
 ■為永春水:12歳(1790年生→1844年没)戯作者(作家)
 ■小林一茶:39歳(1763年生→1828年没)俳人
 ■渡辺崋山:  9歳(1793年生→1841年没)画家(文人画)
 ■酒井抱一:41歳(1761年生→1829年没)画家(琳派)
 ■杉田玄白:69歳(1733年生→1817年没)医者 
 ■前野良沢:79歳(1723年生→1803年没)医者
 ■桂川甫周:51歳(1751年生→1809年没)医者
 ■平田篤胤:26歳(1776年生→1843年没)医者・国学者
※この頃はもう亡くなっていたけど、時代的に近い有名人
 ■東洲斎写楽(1820年没らしいが、1794年~1795年の10カ月しか活動してない)
 ■平賀源内(1728年生→1780年没)何でも屋の天才
 ■中川淳庵(1739年生→1786年没)医者・玄白の後輩
 ■本居宣長(1730年生→1801年没)国学者
 ■伊藤若冲(1716年生→1800年没)画家
 ■円山応挙(1733年生→1795年没)画家

 ああ、いかん。面白くなってきて収拾つかなくなって来たので、この辺でやめとこう。
 もう、ある意味GOLDEN AGEの凄いメンバーだと思う。
 で、この中で言うと、『みをつくし料理帖』に出てくる戯作者の清右衛門先生は、明らかに馬琴のことであろうと思うわけで(りう婆ちゃんが語る清右衛門先生の作品内容は明らかに『南総里見八犬伝』)、その友達の絵師、辰政先生は、どうも北斎っぽい(同じく、初登場時にりう婆ちゃんが興奮して説明した内容は馬琴作・北斎画の『椿説弓張月』のことだろう)。そして医者の源斉先生も、まさに上記の偉人たちの活躍期ということで、蘭学が発達して近代医学が芽生え始めていたことが分かると思う。桂川甫周先生は、『居眠り磐音』シリーズでもお馴染みですな。時代的に、『磐音』の物語のちょっと後で、澪ちゃんは坂崎空也くんの5~7歳年下になるのではないかと思う。<※2016/04/25追記:そうか、10年ずれると言うことは、ラスト近くで亡くなったという源済先生の恩師って、杉田玄白のことなんだな、きっと>
 こういう時代背景なので、わたしは近頃この19世紀初頭という時代に大変興味があるわけだが、今日、わたしが朝イチに一人で観に行ったのが、渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞』という浮世絵の展覧会である。これが非常に痛快というか、実に楽しく面白い作品ぞろいで、また、まさしく『みをつくし料理帖』とほぼ同時代で当時の風俗や人々の姿を観ることができて、極めて興味深い展覧会であったのである。
kuniyosikunisada
 ↑チラシです。 ↓お、プロモーション動画もあったので貼っとくか。

 上記の動画でも分かる通り、そして、『俺たちの国芳わたしの国貞』というタイトルからも分かると思うが、この展覧会は、歌川国芳と歌川国貞の浮世絵を、当時のPOPカルチャーとして捉え、そこに現代性を観ることをコンセプトとして企画されている。非常に面白い取り組みだが、正直、シャレオツ感を盛りすぎていて(髑髏彫物伊達男=スカル&タトゥー・クールガイと読ませたりとかw)、性格のねじ曲がっているわたしとしては、若干鼻につくというか、敬遠したくなるのだが、企画意図は非常に興味深いと思う。実際、この企画通り、明らかに浮世絵は現在で言うところの小説挿絵だし、ズバリ言ってしまえば、ライトノベルのイラストそのものだ。また、美人画や役者絵は、もう現代のアイドルグラビアそのものであろう。
 そういう視点は、実際以前からもあったとは思うが、ここまでPOPカルチャーとして明確に振り切った企画展示は初めてのような気がする。これが、単に「歌川国芳・歌川国貞展」では、来場者はおっさんおばちゃんばかりになってしまうだろうが、実際のBunkamura展示会場内は非常に若者たちも多く来場していて、この企画が実に成功していることが良く分かる風景となっていた。何となく悔しい気分がしてならないが、これはもう、お見事、である。むしろ、とことんPOP色に染めているので、定番のお客さんであるおっさんおばちゃんに敬遠されてしまうのでは? と要らぬ心配もしたのだが、全然そんなこともなく、老いも若きも熱心に展示を観て、そして結構うるさく喋りまくっているような、ちょっとあまり例のない展示会だったように思う。うるさい、とは言いすぎか、みんな気を遣って超小声なんだけど、とにかくそのぶつぶついう声は明らかに普通の美術展よりも大きく聞こえてました。でも、まあ、去年の『春画展』の時も書いたけれど、観て、一緒に行った人としゃべりたくなる気持ちは十分わかる。おそらくは、春画も含めて浮世絵というものには、明確にストーリー、物語が存在しているのだ。だから、観て、そういった物語に触れると、どうしても人と語り合いたくなってしまうのではないかと思う。ま、あっしはいつも通り一人なんで、しゃべる相手はいねえってこってす。はい。やれやれ。
 
 で。今回、わたしがハッとした作品を二つだけ紹介しよう。共に国貞の作品だ。
KUNISADA_OUGIYA
 まずは↑これ。詳しくは、Museam of Fine Art BOSTONのWebサイトにあるのでそっちに任せます。なんと、藍色の単色刷りと見せて、唇だけ赤を使っているのがなんともイイ!!! 藍の濃淡も非常にBeautiful。これはシリーズもので、5人の大夫を描いたものの中の1枚です。実物はすごい綺麗です。そしてもう一枚がこちら↓
KUNISADA_OUGIYA02
 こちらの作品のBOSTONのWebサイトはこちら。これは、上の大夫をカラーで描いたもので、3枚組の中の1枚。両方とも、「江戸町壱丁目(=吉原の一等地)」にあった、「扇屋」という楼閣のTOP大夫「花扇」さんを描いたものです。なんでわたしがこの絵に深く感じるものがあったか、知りたい人は『みをつくし料理帖』を全巻読んで下さい。そして、読んだ人ならわかりますよね。これは、まちがいなく、作中に出てくる「翁屋」のことですよ。どちらも1830年頃に描かれた作品だそうで、186年前のこういった作品を観られるって、やはりわたしはとても感動してしまう。実に素晴らしい。
 国貞が1786年生まれだから、当時44歳。そしてそのころ、『みをつくし料理帖』の主人公、澪ちゃんは46歳36歳だね。あと少しで読み終わるけれど、澪ちゃんが幸せになることを祈ってやみません。そんなことを思いながら、今回の『俺たちの国芳 わたしの国貞』をわたしは堪能させてもらった。大変、楽しくて興味深い美術展でありました。ちなみに、Museam of Fine Art BOSTONのWebサイトでは、たぶんほとんどのコレクションを検索で探せて、今回日本に来ていない作品もいっぱい観ることができた。こういうサービスは、日本でももっともっと充実してほしいですな。
 最後に、きっと検索でこのBLOGにたどり着いた人が一番知りたがることを書いておこう。ズバリ、土日は混んでます。なので、朝イチに行かないとダメです。昼に行っても、人の頭しか見えないと思います。浮世絵って、とにかく線がとてもとても細かくて、サイズ的にも画自体大きくないので、朝イチに行かないと魅力の半分も味わえないと思いますよ。わたしは当然、いつも通り朝イチ&前売券購入済みで楽々入場して存分に鑑賞できました。あと、図録は2500円と、まあ標準的なお値段でしたが、かなり論文や読む部分が多くて、少なくともわたしは満足です。装丁も、やけに手触りがいいのが気に入りました。

 というわけで、結論。
 何でもそうだと思うけれど、やはり、ある程度、何事も準備して損はないと思う。突然行って何の知識もなくぼんやり見るのも、別にそれはそれでアリだけど、背景をある程度知ってからの方が、その面白さや感動はもっともっと深く、豊かになると思いますよ。『俺たちの国芳 わたしの国貞』展は、ちょうど最近私が興味のある時代と一致していて、大変楽しゅうございました。以上。

↓ あとは10巻だけ。澪ちゃん……幸せになっておくれよ……。
天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)
高田 郁
角川春樹事務所
2014-08-09

 

 現在、日本では今年のアカデミー作品賞及び脚本賞を受賞した『The Spotlight』(邦題:スポットライト 世紀のスクープ)が公開されているが、今のところイマイチわたしとしては観に行く気になっておらず、とりあえずスルーで、きっと1年後ぐらいにWOWOWで観て、ああ劇場に観に行くべきだった、と後悔することは確実のような気がしてならないが、とりあえず、明日か明後日の土日のいずれかに、監督賞と主演男優賞などを受賞した『The Revenant』の方を観に行くつもりでいる。
  ところで、『The Spotlight』の公開に合わせたのだと思うが、WOWOWで先日、『The Spotlight』の監督であるTom McCarthy氏の過去作品が放送されていて、わたしは観ていない映画だったので、とりあえず録画し、昨日の夜、ぼんやりと観てみた。結果、ははあ、なるほど、この映画は絶賛はできないが、きっと監督は真面目な人なんだろうなあ、と思った次第である。
 というわけで、昨日わたしが観た映画は『The Cobbler』。 邦題を『靴職人と魔法のミシン』という、ファンタジックコメディである。

 物語は、もう上記の予告の通りである。主人公は冴えない中年の靴の修理屋さん。ある日、ミシンがぶっ壊れてしまった。折しも、ガラの悪い黒人青年から、今日中に絶対直せよ!! と言われた靴を修理中である。困った。あの野郎がどんなことするか分からん。ヤバい。と、ここで靴屋さんは、倉庫にしまいっぱなしの、先祖伝来の足踏みミシンを思い出す。そうだ、あれだ!! ということで、さっそく足踏みミシンでせっせと靴を直したものの、あのおっかない青年はいつまで経っても引き取りに現れない。なんだよもう、すげえ頑張って急いだのに……と、ふとサイズを見ると、10.5サイズ。おっと、オレと同じサイズじゃん。と、何気なく履いてみたところ……鏡に映った自分の姿が、あの黒人青年になっており、What the hell is going on !!? ――とまあそんなお話である。そして主人公は、店内に山積みの引き取られていない靴の中から、10.5サイズの靴を片っ端から「魔法のミシン」で直して履いてみると、やはり、どうやら元の持ち主に変身できる謎能力があることを知る。そしてその能力を使って、ちょっとした悪戯を始めて、とある事件に巻き込まれていくのだが……という展開である。
 このアイディアは、なかなか面白いと思うし、結末も、それなりに美しくまとまってはいるのだが、どうにもいくつか問題点というか、若干これはどうなんだという部分があって、わたしとしては手放しでは絶賛できないかな、と思った。ちなみに、調べてみたところ、Rotten TomatoesMetacriticなどのUS格付けサイトでもかなり酷評されていて、評価は残念ながら低いようである。
 しかしながら、アイディアは非常に優れていて、わたしとしてはそんなに酷評するつもりは全然ない。恐らく脚本上の、物語上の問題点は二つあって、一つは、主人公の悪戯が犯罪にまで発展してしまったことと、もう一つは、最終的なオチの付け方だろうと思う。全体的なトーンが、もっと明るいコメディでハートウォーミング系あれば良かったのだが、空気感として若干中途半端のような気はした。それゆえ、どうも素直に笑えない部分があったのが、わたしとしては少し残念だ。また、最後の落ちも、かなりええっ!? と驚きがあって、それならなんでもっと早くに……と思えるような、やや突拍子もないものだったので、そこもやや興ざめではある。もう少し、コメディに明るい方向で振りながら、事件もコミカルに描いていれば、最後は心温まる物語に出来たんじゃないかな、というのが、いつも通りのわたしの言うだけ詐欺的結論である。魔法のミシンと、それで直された靴を履くと持ち主に変身できる、というアイディアは秀逸なだけに、実にもったいないと思う次第である。
 で。キャストと監督を最後にチラッとまとめておこう。
 まず、主人公の冴えない中年靴職人(正確には自分でオリジナルを作っているわけではないので、単なる靴修理屋さん、と自分も言ってた)を演じたのは、Adam Sandler氏。US国内では人気のコメディアン。去年観た『PIXEL』の主人公ですな。この人は、まあ、どうやら好き嫌いのわかれる方のようだけれど、意外と泣かせる落ち着いた演技も出来る器用な男であるし、もともと人気お笑い番組「SATURDAY NIGHT LIVE」の脚本家(=構成作家みたいなものか?)出身で、映画の脚本や製作までやる才能あふれるお人なのだろうと思う。本作では、NYCのロウアー・イーストサイドを舞台にしており、去年わたしもぶらついてみたので、土地の空気感や、いかにもあの辺にいそうな、イケてない、冴えない感じの中年男を好演していたと思う。ほんと、NYCに行ってがっかりしたことはいっぱいあるけど、中でも、とにかく建物が古くて汚い点と、全然おしゃれじゃなくイケてない疲れた人々ばっかりだなーというのは非常にショックだったっす。ともあれ、Sandler氏の芝居ぶりは実に悪くなかったと思います。
 そして、冒頭に紹介した監督だが、今年見事にアカデミー作品賞と脚本賞を受賞した、『The Spotlight』を監督したTom McCarthy氏である。フィルモグラフィーを見てみると、この人、意外と役者として普通に映画に出ている作品が多く、その中にはわたしが観た映画も結構多くて驚いた。でも、申し訳ないが全く記憶にない。『PIXEL』にも出演してたとは。一体どんな役だったのか、さっぱり記憶にないが、イェール大学を出てるインテリなんすね。へえ~。で、本作の脚本も手掛けているのだが、わたしが冒頭に、「この人は真面目な人なんだろうな」と書いたのは、物語の進行が、意外とリアル、いや違うな、なんと言えばいいのか、ありうべき道からは外れてないというべきかな、このキャラクターならこういう行動をとるし、その結果はこういう道筋をたどる、ということかな。要するに、「魔法のミシン」という一つの嘘を、きちんと現実で包んでいるのである。結果、ちょっと映画としては真面目な話にそれてしまって、明るいコメディ色がやや損なわれてしまったのだと思うが、妙な破綻はなく、まっとうであると思う。故に、きっと監督と自ら脚本を書いたTom McCarthy氏は真面目なんだろうなーと思った次第です。はい。ま、最後のオチは突飛ですな、あれは。ちなみに、かの『UP』(邦題:カールじいさんの空飛ぶ家)の原案も、このMcCarthy氏だそうです。知らんかったわ。

 ところで、「他人に変身出来たら何をするか?」という本作のポイントとなる問題は、いつもの自分ではできないことをする、いつもの自分では入れないところに入る、という悪戯で本作では描かれるが、良く考えると、それは「透明人間になれたら何をする?」という場合と実によく似ていると思った。そうか、自分じゃない誰かになる=自分を消し去る=透明人間になる、に近いんだなあ、と気が付いた。しかし、どんな姿になろうと、たとえ自分の姿を消しても、結局、中身は自分自身である。だから、魔法を使ってズルをしても、結局痛い目に遭うのは自分ですよ、ということをこの映画は見せつけてくれるわけで、そんな点も、わたしは、この映画は実に真面目だなあ、と思いました。

 というわけで、結論。
 『The Cobbler』(邦題:靴職人と魔法のミシン)という作品は、アカデミー作品賞を受賞したTom McCarthy監督の前作である。その興味があったので観てみたわけだが、アイディアは抜群なれど、若干手放しでは絶賛できない微妙作であった。でも、US国内での評価はもうちょっと高くてもいいと思います。わたしは嫌いじゃないです。あと、日本語タイトルの『靴職人と魔法のミシン』も、いいセンスのタイトルですね。なかなか魅力的な邦題だと思います。以上。
 
↓ 特殊な能力を身に付けて、浮かれて遊んでいるうちに深刻な事態に陥る、という点では、やはりわたしはこの映画をおススメします。
クロニクル [Blu-ray]
デイン・デハーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2014-06-18

↓ そして透明人間、と言えばこの映画に決まってます。KEVIN BACON先生はいつ見ても最高。大好き。 
インビジブル [Blu-ray]
エリザベス・シュー
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2010-04-16
 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 まずは今週の週刊チャンピオン2016年21号の概況です。
 ■『弱虫ペダル』:今週は鳴子くんの奮闘と、ピヨ泉くんこと総北高校のエース今泉くん&坂道くんが 先頭集団へ追いつこうとする展開です。タイム差がどのくらいあるのかわからないので、何とも言えませんが、まあ当然来週は追いつくことになるのでしょう。平坦では難しいと思いますが、山ならあり得る展開です。一般的に、ロードレースでは、平坦の場合は1分の差を詰めるのに10kmの距離が必要というのが、J-SPORTSの中継では良く言われています。しかし山ではそうとも限りません。あっという間に差がなくなったり、逆に差が付いたりすます。しかし……鳴子くんにここまで働かせて、ゴールを獲れなかったら、今泉くんホントにもう活躍する場面ないのでは? 気合を入れていただきたいですな。本当は鳴子くんにゴールを獲らせてあげたい……。今週ラストのコマで、またもキモー筋がやらかす的な動きをしたので、鳴子くんが心配です!!
 ■『牙刃道』:ピクルvs武蔵、武蔵強し、ピクル嬉し気の巻。
 ■『囚人リク』:巻頭カラー!! 謎の看守現るの巻。
 ■『少年ラケット』:イチロー君覚醒か!? ビリーさんピンチかも!? の巻
 ■『ニコべん!』:残念ながら最終回。笑顔の梅宮さんがやっぱり可愛いで賞。単行本は、紙では発売されず。6月に電子書籍のみで3巻~5巻が一挙発売だとか。もちろん買います。
 ■『Gメン』:天王会編無事決着。キャラが皆いいですな。大変面白し。
 ■『AIの遺電子』:独特の空気感で今回はVRと思い出の話。大変いいです。
 ■『錻力のアーチスト』:9回表、弐織兄を打ち取るところまで。果たして逆転は可能なのか、楽しみです。
 という感じでした。ああ、しかし本当に『ニコべん!』の終了が残念だ……。もっと梅宮さんの背景が知りたかった……キャラクターみんなの成長を楽しみにしていたのだが……極めて残念です。そして、紙では単行本を出さず、電子のみというのも……そこまで部数が厳しかったのだろうか……電子でもきちんと買って、。ファンとしての想いを伝いたいと思います。ホントに残念です。

 さて。では、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週、取組後の医務室で、虎城理事長からまさかの引退勧告を受けた鯉太郎。そしていよいよ物語にその姿を現した、ラスボスとなる史上最強横綱【泡影】。今週は、七日目の結びの一番、横綱【泡影】関と、鯉太郎の親友でお馴染みの【飛天翔】の兄弟子として、今までちょいちょい登場していた西四枚目【飛天勇】関の取組が描かれました。 
 NHKアナウンサーの解説によると「優勝回数29回 記録で見れば歴代4位となりますが、驚くべきは関脇のころから途切れることなく29回連続での優勝の大記録!!」だそうです。 という事は……逆算すると、現在が9月場所なので、5年前の九州場所(11月場所)が初優勝という事になります。ここで、ちょっと時間軸を整理しておこう。
 5年前(何月場所か不明):【仁王】兄貴は当時「十両」。横綱になる宣言。
 3年前(横綱になる宣言から2年後):【仁王】兄貴は関脇。大関まであと一歩のところで、先代・空流親方が事故で亡くなり、葬儀の日に髷を落として新たな空流親方を襲名。
 ということなので、【仁王】兄貴こと現・空流親方は、最強横綱【泡影】とは3年前には戦っているはず、ということになる。関脇が横綱と対戦しないわけがないので。おそらくは、前頭の上位の時から戦っているだろうから、きっと【仁王】兄貴は、【泡影】のことは良く知っているだろう、という設定になるはずだ。ま、そういった背景は、頭の片隅に置いておこう。
 で、今週の物語に戻ると、【泡影】を前にのまれそうになっている【飛天勇】に、土俵下審判席に座る【仁王】兄貴こと現・空流親方が声をかけます。「おうコラ飛天勇・・・何青白いツラしてんだ? この俺とバチバチやってたテメーが まーさかビビッてんじゃねーだろーな・・・?」「誰がビビってんだ! 引いたテメーは黙って見てろ・・・」「おう・・・見せて見ろよ・・・俺が悔しがるような取組を・・・テメーのカワイイ弟弟子が 安心してマゲを落とせる取組をよ・・・」新寺部屋では、鯉太郎と最後の勝負をもって引退届を提出した、【飛天翔】こと石川大器くんもTV観戦中です。空流親方にこんな声をかけられて、奮起しない【飛天勇】兄貴じゃありません。時間いっぱいとなって渾身の気合を入れる【飛天勇】兄貴。「見てろ大器 引退したお前に・・・これ以上ねぇデッケー餞別を 贈ってやる・・・」しかし、横綱【泡影】は、虎城理事長がいう「その器の底が知れん」男。【飛天勇】兄貴の気合をも静かに飲み込んでしまいます。そしてハッキョイ!! 速い立ち合いで【飛天勇】兄貴はぶつかります。がしかし!! 横綱【泡影】は、右ハズをとって余裕の投げを打ち、瞬殺!! 全く歯が立たず!! というところまでが今週の『鮫島』でした。
 いやーーー。これはヤバい。実にヤバい相手です。強すぎる。もう横綱【泡影】は、そのルックスもですが完全にお釈迦様的な無敵の力士ですね。どうあがいても、掌の上だった、でお馴染みの孫悟空的な扱いで軽く瞬殺です。先週も書いた通り、今場所東前頭十四枚目の鯉太郎が横綱と対戦するには、相当高いハードルがあるはずで、むしろ横綱との対戦よりもそのハードルをクリアする方が大変かもしれませんが、果たして鯉太郎の明日はどっちなんでしょうか。鯉太郎の今後の戦いから目が離せない展開となっております!!
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
  --------
 【天雷】東関脇  【田上】番付不明
 【飛天勇】西前頭四枚目。 石川の兄弟子←New!!
 【丈影】東前頭四枚目。次の対戦相手か!? 四股名的に、横綱の弟弟子っぽい
 【泡影】東(?)横綱。第72代。29場所連続優勝中。62連勝中。
  --------
 というわけで、結論。  
 単行本収録的には、おそらく来週までが(8)巻収録となるはずなので、区切りがつくのではないかと思いますが、部屋に帰った鯉太郎と椿ちゃん、そして空流親方の話になってほしいですね。それにしても、わたしとしては横綱【泡影】との対戦よりも、そこに至るまでの道のりの方が気になります!! 以上。

 ↓春のロードレース、クラシックは残り1戦。大変今年も盛り上がっています。今週末のレースはこれ。2010年の「大佐」ことヴィノクロフの優勝、そして2011年に無敵を誇ったジルベールのカッコ良さがわたし的には強く印象に残ってますね。1892年から開催されている「最古参」の伝統あるレースです。


 先日、美人秘書のT嬢から、こんなSkypeメッセージがポロリンと来た。
 「ドラマの『重版出来』は観てますか~?」
 それは、わたしが出版業界に詳しいこと、そして最近ずっと、黒木華ちゃんが可愛い、と、ことあるごとに発言していること、その両方をT嬢は知っているから、わたしにそう聞いたのだが、即座にわたしはこう返事を戻した。
 「第1話は観た。けど痛々しくて、たぶんもう観ない」
 T嬢は、わたしがそんな風に答えるとは思ってもみなかっただろうから、説明する必要が生じたのだが、要するに、妙な美化した業界内ストーリーと、明るくはきはきしている華ちゃんにはあまり興味がないのである。簡単な方から説明すると、わたしは、華ちゃんのしょんぼりした姿が好きなのであって、明るい平成ガールの華ちゃんにはあまり興味ないのである。以上。そして、美化した業界内ストーリーとは、おそらく出版社勤めの人間が見たら、いい意味でも悪い意味でもちょっとくすぐったいというか恥ずかしくなるようなことが多く描写されているからである、というのが、T嬢に説明した理由だ。
 第1話のラスト、「重版出来です!」というセリフで沸き立つ編集部が描写されたが、重版がかかってあんなに大喜びするって、そりゃ嬉しいことだけど、よっぽど売れてねえ本ばっか作ってるんだなと、わたしはため息しか出なかったのも、観ることをやめた決め手の一つなのだが、実はT嬢には説明しなかったが、わたし的にガックリきたのは、タイトルの読み方である。「出来」。これを、「しゅったい」と読むのだそうだ。「しゅったい」と読むと、「(事件)発生!」という意味合いが強いように感じるが、重版が事件なのか、という気持ちになってしまい、どうにもそれがわたしは気に入らないのである。重版は意志を持って行う「売るぞ!!」という決意表明であり、自然発生するものではない。これは、おそらく企業文化の違いというものであろうと思う。
 そもそも、これはおそらくどんな業界であろうと共通して言えるはずだが、自社でしか通用しない言葉、というものが、自分では意識していなくても、相当あるものだと思う。思うというか、これは確実だろう。A社では●●と呼ぶモノ・コトが、B社では▲▲、と呼ばれているなんてことは、もうそこらじゅうにあるはずだ。それがいわゆるその企業の文化なわけだが、出版業界も、その例に漏れず、出版界だけでしか通用しないような事象においても、出版社ごとに呼び方が違う場合が結構ある。よその出版社の人間と話していて、ああ、それってあれのことか、と、自社用語に翻訳するなんてことは、出版業界人なら、普通にあるある話であろう。しかし、今まで20年以上、「出来」を「しゅったい」と読んだ奴と出会ったことがない。残念ながら確認はできないが、おそらくは、原作コミックの版元である小学館では「しゅったい」と読むのかもしれない。が、わたしは普通に「でき」と読む。そもそも、「重版出来」という漢字四文字は、たいていの場合、営業部が本屋さんに向けて、「重版が(刷り上がって本として)出来上がりました~バンバン注文くださいね~」という営業活動の時に使うか、読者向けの広告宣伝において「この本、バリバリ売れてますぜ~」とアピールする際に使用する用語で、それより日常的に出版社の人間が使うのは、「出来日」の方だろう。「できび」と読むのだが、これは、「重版が出来上がる日」のことで、極めて重要な意味を持つ。例えば「出来日」が月末だと、その月の在庫になってしまうため、PL(=損益計算書)にも影響してしまうので、「出来日」の管理は非常に重要なのである。
 何が言いたいかというと「出来」を「しゅったい」と読むのはきっと小学館(およびそのグループの集英社や白泉社もそう読むのか?わからん)ぐらいで、普通は「でき」と読むほうが一般的だと、わたしは自らの経験から結論付けたい。もちろん、「しゅったい」と読もうが「でき」と読もうが、どちらも間違いではないと思う。恐らく重版を事件ととらえるかどうかがその違いの由来だと推察するが、「え~あれって、しゅったい、って読むんだよ~知らないの~ぷぷぷ」という態度が実に気に食わないのだ。よって、あのドラマには興味がない、ということである。ま、わたしももう現役じゃないしね。以上。

 というわけで、長々とわたしの人間としての心の狭さを露呈する愚かな告白を行ってみたわけだが、なんでまたそんな、どうでもいいことを偉そうに言ってんの? と思われることは確実であろう。しかし、昨日、待ちに待っていたとある電子書籍が、「紙の書籍の1ヶ月遅れ」でやっと発売になり、それを買って、「なんでこう、紙の本と発売日をずらすんだろうなあ……」とイチ読者として、出版社の文化の違いに対して迷惑に思ったのである。
 現在、紙の書籍と電子書籍は、以下の3パターンのいずれかで発売されている。
 1)紙の書籍と電子書籍を同時で発売する
 2)紙の書籍を先に出してからある程度遅いタイミングで電子書籍を出す(極まれに逆もアリ)
 3)電子では一切出さない
 これらのパターンは、さまざまに使い分けられていて、一つの出版社内でも本によってばらばらだったりするし、レーベルごとに1)だったり2)だったりすることもある。なので、これは出版社の考えの違いもあるし、編集部のスタンスの違い、という問題もあるのだろう。このように、出版社の都合、出版社ごとの文化の違いというものを極めて実感する出来事だったので、なんとなく「重版出来」の読み方の違いを思い出したわけであります。はー長い無駄文章、略して駄文とはこのことです、はい。

 で。3)は一番分かりやすい。ズバリ、著者が電子はNGと言っている場合だ。翻訳小説なんかも、電子化権を取得していない場合もあって、結構3)の場合が多い。ちなみに、わたしの付き合いのある作家の先生たちは、誰一人、電子否定派はいない。むしろ、売れるなら、読んでくれるなら電子でも何でも構わないと肯定派の方が多い。ただ、1点だけ、彼らが心痛めているのは、電子が売れることで確実に街の本屋さんがダメージを受けるということである。これは、確かにわたしも非常に心苦しい。非常に悩ましい問題である。
 この点こそが、2)を生み出している根本原因である。他に理由あるのかな? 新刊は誰しも早く読みたい。そして一番売れるのが新刊である。なので、まずは本屋さんに足を運んでもらって、紙の本を買ってもらおう、という心理の表れである。
 
 しかし、である。それって、効果あるのか???
 わたしは、ズバリ、「ない」と断言したい。3)ならあきらめもつく。しかし、「いずれ電子で出ることが分かっている」作品を、紙で買う意義は、わたしに限って言えば、もうないと断言できる。わたしの場合は、明確に、「この作品の連載が終わってしまったら悲しいから紙も電子も応援のために両方買う!!」という作品があるが、そこまで応援している作品は、『鮫島、最後の十五日』というコミック作品ただ一つだ。ちなみに、『鮫島』を出版している秋田書店は、基本的に紙と電子は同日発売なので、大変ありがたい。昨日わたしが買ったのは、以下の4点で、すべて集英社の作品である。

ついに定助の過去が明らかに!? 超興奮しました。最高です。

ついに十三のヤニが切れ、暴走!! 初号機みたいで大興奮!!
ヤスミーン 3 (ヤングジャンプコミックス)
畑 優以
集英社
2016-03-18

あれっ!? これで完結!? マジか……。 

ゴールデンカムイ 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
野田サトル
集英社
2016-03-18

うーーん……正直飽きてきた……。 話が脱線しすぎ。

 発売日を見れば分かる通り、すでに紙の書籍ではすべて3月に発売になっていた作品である。それがやっと昨日、電子書籍での配信が始まったのだ。ついでに言うと、一番下の『ゴールデンカムイ』は、2カ月連続刊行のようで、次の7巻が紙ではもう昨日発売になっている。ムキーー!!

 出版界では、巻数もの(要するにシリーズモノ)は、「次の新刊が前の巻の部数を超えることは絶対にない」のが常識である。わたしも、ずっと昔にそう言われて、うっそ、そんなことないんじゃないっすか? 友達から借りて読み始めて、1巻から4巻までを友達から借り、急に5巻から買う奴だっているのでは? と反論したところ、自分の眼で確かめてみろと言われて、その時全タイトルの各巻ごとの部数を調べた結果、それが事実であることを知った。いわゆる「巻数落ち(=前の巻より部数が減ること)」は避けえないものとしてわたしは長年受け入れていたし、「巻数落ち」を如何に少なくするか、にいろいろな手を使って努力したこともある。要するに、シリーズの途中で買わなくなってしまう読者を如何に少なくして、最後まで部数を維持するか、ということだ。
 映画の場合は、実は、例えば「2」より「3」の方が売れた、という事はごく普通に、実に頻繁に起こる。が、本の場合は、それがほぼ絶対にない。ほぼ確実に、「途中で買わなくなる読者>巻の途中から買い始めてくれた奇特な読者」の式が成り立ち、その結果として「1巻の部数>2巻の部数」が成立するのである。
 自らを振り返ると、シリーズの途中で買わなくなってしまう作品は、確かにある。それは、内容的に飽きてしまった場合もあるが、大抵の場合は、「次の新刊が出た」ことを知らなかったか、知っていても買いに行く暇がなかった、買いに行くのを忘れた、というような理由が大きい。
 だが、電子書籍の場合、どんな電子書籍販売サイトでも、「次の新刊が出ましたよ~」というお知らせが来る。なので、「次の新刊が出た」ことを知らないでスルーすることは、ほぼ確実に防げる。そして、それを観て即その場で買えるという利点もある。勿論、内容的に、もういいかな……と思われてしまえばそれまでであるけれど、少なくとも、うっかりスルーをなくすことができるのは、出版社にとっては極めて大きな強みだ。なので、とりわけ巻数ものが普通のコミックスでは、電子書籍は出版社にとっても非常に有効であり、読者にとっても、場所を取らないという極めて優れた特徴がある。一度電子書籍でコミックスを買う習慣が付くと、あえて紙の書籍を買う理由は一切ないと断言してもいい。つまり、発売日を紙優先にして、街の本屋さんを守るという姿勢をとることは、もう完全な(うちは本屋さんの味方ですよ、と示す)ポーズであって、全く意味がないのだ。電子に移行した読者を取り戻すことは不可能である。その、ある種の、いい人アピールめいたポーズが、わたしは気に食わないのである。
 
 おそらくは、今後も紙の本が絶滅することはないだろうし(たぶん)、わたしも街の本屋さんが消えることには大変悲しい思いでいる。だからこそわたしは毎月10,000円程度は紙の本を買って読んで楽しんでいるわけだが、一方で、電子書籍の便利さも同時に享受しており、もはやなくてはならないものとなっている。写真の世界では、もう、一般的には完全にデジタルへ移行し、今やフィルムは絶滅危惧種である。かつて街のどこにでもあったDPE店は完全に姿を消した。しかし、一方でデジタル画像を紙にプリントするサービスは需要が大きいし、きっと絶滅することはなかろう。それは、人々の生活様式の変化に対応した企業努力だ。冷酷な言い方だが、街の本屋さんにも、それはどうしようもなく突き付けられている。街の本屋さんを応援したいなら、そこでお金を落とすしかない。わたしは今後もバンバン買い物をするつもりだ。しかし電子書籍の発売日を遅らせることは、残念ながら、ほぼ意味はない。卸正味を下げてあげるとか、何か付加価値を付けるとか、出版社が血を流して出来ることがあるのに、ポーズだけ取るのはホント、読者を考えてない、ただのカッコつけに過ぎないんじゃないの、と思う次第である。

 というわけで、結論。
 電子書籍の発売日を遅らせることには、とりわけ巻数もののコミックにおいては、何の意味もないと思います。ただまあ、コミック以外で、本当にわたしが大好きな作家の新刊が「紙が先行で電子は1か月後」となれば、我慢できずに先に紙で買ってしまうと思うので、効果がある場合もある、と認めるにやぶさかではありません。だけど、単なるポーズは、ホントにやめてほしいと思う。以上。
 
↓ くそう……紙ではもう発売されている……ぐぬぬ……。

 先日読み終わった「ジャック・ライアンシリーズ」の最新作『米朝開戦』は、既に巨匠Tom Clancy氏が亡くなった後に発売されたもので、その作品はClancy氏が亡くなる数作前から、共著者としてクレジットされていたMark Greaney氏の初・単独著作として刊行されたわけである。そして内容としては、まったく心配のない安定の面白さであったことは、既にこのBLOGでも紹介したのだが、ところで一体、Mark Greaney氏とは何者か? という事が気になったので調べてみたところ、既にいくつか著作があって、おまけにとっくにそれらの作品は、わたしの好きな出版社上位クラスに位置する早川書房から、日本語訳も発売されている事実を知った。
 ならば読まねばなるまい。
 というわけで、調べたらちゃんと電子書籍でも発売されていたので、全く躊躇することなく1冊買ってみた。どうも、シリーズ化されているようで、まずは1巻を読まないと話になるまい。というわけで、わたしが買って読んだ本は、『THE GRAY MAN』(邦訳:「暗殺者グレイマン」)である。
暗殺者グレイマン
マーク グリーニー
早川書房
2014-06-10

 どうやらこの作品は、US本国では2008年に上梓されたらしく(※最初にClancy氏との共著となった『ライアンの代償』が2011年発行なので、それより前ということになる)、日本語版が早川書房から出版されたのは2012年であり、ま、要するに結構前である。わたしもそれなりに本を読んでいる男のつもりだが、まあ、ホントに知らない作品もいっぱいあるものである。そりゃ当たり前か。
 というわけで、現代は電子書籍なる便利なものが発明されているので、読みたいと思った時に即買って読み始めることが可能な、ちょっとしたサイバー感あふれる時代だ。なので、わたしもすぐに読み始めた。結論から言うと、非常に派手なドンパチがあって、世界各国凄腕暗殺者バトルロイヤル的なお話で、若干わたしは、これってあり得るか……? ううむ……。と、手放しでは興奮できなかったものの、主人公のキャラクターは極めて良く、これはもうちょっとシリーズを読み続けてもいいな、と思った次第である。
 お話は、「グレイマン」と呼ばれる主人公が、イラクでアルカイダの戦闘員を片付けるところから始まる。時代的に2008年刊行だから、まだISはいないし、あのアルカイダ指導者も存命な時代である。しかし、その狙撃は、自身の請け負った依頼とは違うもので、撃墜された米軍ヘリの乗員を助けるため、の行動であり、この冒頭で、「グレイマン」なる主人公が、プロの凄腕暗殺者であるにもかかわらず、「許せない悪党を放っておけない」性格であることが明示される。主人公は、その正体を悟られない、誰でもない人間として行動できるからこそ「グレイマン」と呼ばれているにもかかわらず、仕事に関係のないことはしないで立ち去るべきだと自覚しているのに、どうやらそういった、ある種の良心を、そしてその良心に基づく正義を、自らに持つ男であるらしい。
 わたしはこの冒頭から、わたしの脳裏には主人公のビジュアルイメージとして、セクシーハゲでお馴染みのJason Statham兄貴、または、これまた同じセクシーハゲのMark Strong氏あたりを想像した。まあ、きっと、常に眉間にしわを寄せた、強面のハゲでしょうな、と根拠なく思った次第である。つか、この作品はもうとっくに、Statham兄貴の主演で映画になってんじゃね? と思えるほど映画っぽい展開なので、調べてみたところ、どうやらまだ映画にはなっていないようだ。同名の映画は存在するけれど、全く関係ない別モノっすね。おっと!! Greaney氏自身のWebサイトによると、この『THE GRAY MAN』は、コロンビアピクチャーズで映画化が進行してるっぽいですな。しかも監督・脚本は、『CAPTAIN AMERCA:CIVIL WAR』が公開間近のAnthony & Joe Russoの兄弟じゃないか!! これ、マジかな!? やっべえ。超・楽しみですな。
 さてと。物語をざっと紹介すると、主人公GRAY-MANことコート・ジェントリーは10代のうちからSWAT教官だった父の影響で銃器の取扱法や格闘術を身に付け、CIAの工作員として活躍するも、何かが起こったらしく、CIAからBurn Notice(解雇通告)を受け、あまつさえShoot on Sight(目撃次第射殺)の指定まで喰らってしまったらしい。この辺は、かのJASON BOURNEっぽい設定だけれど、一体何があったのかは今回の1巻目では一切説明がないので、シリーズを読み続ければいずれそれが分かるのかもしれないが、とにかく現状では不明である。で、その後、イギリスの民間セキュリティ会社に雇われ、以来そこで汚れ仕事を専門にやっている男という設定である。そして、前述のように、彼は極めて困難な暗殺を成し遂げたり、また一方で、彼が殺す相手は、誰がどう見ても100%悪党だけ、ということで、その世界でも非常に有名な男になるのだが、誰もその正体は知らず、ただ単に、「GRAY-MAN」という超一流暗殺者がいる、という事だけ世に広まっているという状況である。で、その民間警備会社の社長のおじいちゃんだけを信頼しているわけだが、冒頭のアクションで自分のために用意されていた逃走経路をなくしてしまい、一人でイラクからトルコへ逃げるところから物語は始まる。しかし、トルコで無事に迎えに来た仲間と合流するも、仲間がいきなり襲ってくると。実は、GRAY-MANが行った仕事によって怒り狂ったアフリカの政治家が、GRAY-MANをぶっ殺せと吠えていて、信頼するおじいちゃんも家族を拉致されて、GRAY-MANを売るしかない立場に陥ってしまっていたと。そして、GRAY-MANは信頼するおじいちゃんはもうどうでもいいし、よくもオレのこと売りやがったなと怒り心頭なのだが、そのおじいちゃんの孫娘も拉致されていると聞いて、数年前に仲の良くなった思い出のある、あの娘を死なせるわけにはいかない!! と決意して、助けに行く、とまあそんなお話である。そんな性格の主人公なので、読者の共感は得られやすいと思う。
 しかし、おそらく本作で一番難しいのは、そのバランスだろう。娘(確か8歳かそこらのちびっ子)が拉致されているのがフランスのノルマンディーで、GRAY-MANがトルコからフランスへ至る道筋には、GRAY-MANの首に掛けられた賞金目当ての各国特殊部隊の精鋭が待ち受けており――というわけで、そこら中で大バトルが勃発すると。そして毎回満身創痍になり、かつまた、偽造パスポートや武器の調達など、明確にそこへ行く理由があるにもかかわらず、ほとんど無駄足になってしまう過程は非常に新鮮。主人公も、チクショー、無駄足だった!! と反省するのだが、ちゃんと理由があってのことなので、読者的にはGRAY-MANの行動はきちんと理解できるため、ストーリー的には無駄には思えず、相当なピンチの連続も何とか乗り越えていく姿は、非常に微妙なバランス調整がなされている。強すぎたりスーパーマン過ぎたり、あるいは一方でバカすぎると、読んでて冷めてしまうし、敵も弱すぎてはダメだし、極めてこのバランス調整は難しいと思うが、主人公GRAY-MANが妙に義理堅い、良心を備えているという点が核となっているので、まあなんとか、わたしとしては最後まで楽しめた。
 しかし、やはり世界各国の殺し屋たちが、こんな行動をするとはちょっと思えないので、その点は、なんというか、ハリウッド映画的な嘘っぽさが漂っていることは否めないだろう。また、GRAY-MANがちょっと強すぎるような気がするが、ハリウッドアクション映画が大好物なわたしには、かろうじて許せる範囲内ではあっても、この小説を読んで、誰もが面白いと思うかどうかはちょっとばかり自信はない。この辺の作風は、若干、Tom Clancy氏とは違うような気はする。恐らく、Tom Clancy作品よりも、一番の悪党=敵の描写、というか敵のモチベーションがあくまで金、なので、動機が弱いのかな、という気がする。GRAY-MANの戦いは別に世界を救うためではないし、敵の邪悪さも、所詮は金目当てなので、レベルが低いのがちょっと違うという事かもしれない。
 どうでもいいことだが、GRAY-MANを追う各国特殊部隊の中で、一番強いキャラとして設定されているのが韓国の暗殺者だというのも新鮮だった。そういう暗部は、当然どこの国にもあると想像するけれど、果たして日本にも存在してるのだろうか? 陸自レンジャーかな? どうだろう? 元陸自レンジャーの古い友人がいるけれど、あいつ、わたしより体力ないからな……。マラソンやチャリンコレースであいつに負けたことないしな、と平和に思うわたしは、そういう恐ろしい世界とは無縁に暮らしていることを喜ぶべきだろう。やっぱり、そういうのは小説の中だけにしておいて、現実世界では真面目に生きましょう。それが一番ですな。
 
 というわけで、結論。
 まあ、いずれにせよ、こういった小説になれ親しんでいるわたしとしては、大絶賛はできないまでも、十分楽しめました、という感じなので、続きはまた、電子書籍のセールの時期に買って読もうかな、というのが結論です。以上。

 ↓ 続きはいずれそのうちに読もう。これが2作目、らしい。
暗殺者の正義
マーク グリーニー
早川書房
2014-06-10
 

 というわけで、月曜日恒例の週末映画興行データです。
 今週末は、熊本~大分で大変な地震が起きましたが、映画市場的には、毎年GW直前公開でお馴染みの『名探偵コナン』や『クレヨンしんちゃん』、さらにはアカデミー作品賞受賞の『スポットライト』などが公開され、なかなかの賑わいだったのではないかと思われます。わたしは先週の木曜日に『SICARIO』(邦題:ボーダーライン)を観て大興奮してきましたが、公開スクリーン数が少なくてランク外ですな……淋しい……。あと、日本未公開の『Ex Machina』という作品をUS版Blu-rayで観て、これまた大興奮しましたが、こちらはどうも6/11(土)に日本公開がやっと決まったようです。もう1年以上前の作品なんだけどな……。
 というわけで、今日はネタがまるでないので、ランキングをチェックしてさらっと終了です。
  
 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『名探偵コナン―純黒の悪夢―』が公開土日で12.09億。これはとてつもない数字です。去年は公開週末で8.74億稼いで、最終的に44.8億と大ヒットとなり、歴代コナン最大ヒットとなったわけですが、今年は初動がもうすでに去年の138%。これ、もう50億突破はぜんぜんあり得る数字ですね。このまま勢いが維持されれば、コナン史上空前の大ヒットになる。また、今年の邦画でも、最終的にTOP3に残るかもしれないですな(去年は4位だった)。すっげえ数字で驚きです。やっぱり、ちびっ子&大きいお姉さんに大人気の強力なIPですな。素晴らしい。
 2位:『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』 が公開土日で4.51億。「クレしん」も、去年は公開土日が3.89億でのスタートから22.9億と過去最大のヒットとなった。つまり今年は初動が去年の116%ということで、またも記録更新の可能性アリということですな。すごいね。
 3位:『暗殺教室―卒業編―』が24日間累計で恐らくは30億突破は間違いない、と思うけれどまだ聖騎士正式情報キャッチできず。ちなみに先週まで、およそ前作の140%ほどで推移していたので、前作が最終27.7憶だったから、37~38億は堅いはずなのだが……。
 4位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は44日間合計でまだギリ40億には乗ってないかな? いずれにせよ、去年よりハイペースでこのままだとドラちゃん新記録もあり得るか? 2000年以降の興収で発表されるようになってからの最大ヒットは2013年の39.8憶だと思うのだが、抜きそうですね。こうしてみると、東宝の春のアニメ3連発『ドラえもん』『コナン』『クレしん』はどれもが非常に良かった去年よりもさらに上回る勢いということで、ますます東宝の強さが目立ちますね。恐れ入りました。しかし、まあ、ズバリ言えばその1強体制が、日本の映画界をダメにしているのは間違いないと誰しもが考えているはずなのだが、もはや誰も、何も、恐ろしくて言えない状況でしょうな。
 5位:『バットマンVSスーパーマン』が24日間累計で16億程度だと思われる。これは……どうだろう、20億は微妙か? 超えるのか……な?  ワーナーにはホント、頑張って欲しいのだが……。
 6位:『ちはやふる―上の句―』が30日間合計で13億程度だろうか。厳しそう。何故なんだろうか……絶対に20億は楽勝だと思っていたのだが、殺せんせーと客層がかぶったのだろうか?
 7位:『スポットライト 世紀のスクープ』が公開土日で0.67億。まあ、最終5億に届くかどうか、といったところでしょうか。相変わらず洋画の厳しさは続きますね。哀しい……。
 8位:『アーロと少年』が37日間累計で17億届かないぐらいか? 厳しい……。
 9位:『僕だけがいない街』が30日間合計で12億程度かな、そのあたりだと思われる。こちらも厳しい。有村架純ちゃん的には、もうこの週末から『アイアムアヒーロー』が始まってしまう……。まあ、東宝的にはそっち推しでしょうな。『僕街』はWarnerなので。
 10位:『仮面ライダー1号』が23日間でまだ5億チョイだろうか。正直、わたしは現在放送中の「ゴースト」がイマイチ楽しめていません。なんか……ちょっとなぁ……。

 という感じです。それにしても、『コナン』くんの爆発的なヒットは凄い。やっぱり、内容なんでしょうな。映画20作目ということで、大変気合の入った作品になっているようですね。まあ、やっぱり続けるって大事ですね。本当に『コナン』の大ヒットは凄いと思います。

 というわけで、結論。
 『ドラえもん』『コナン』『クレしん』そろい踏みで過去最高もあり得る。すげえ。そしてわたしはこの週末の『レヴェナント』が非常に楽しみです。そして、もう一つおまけに、もう2週間後に迫った『CAPTAIN AMERICA: CIVIL WAR』が楽しみすぎてたまりません。以上。

 というわけで、3週連続宝塚の最終週は、現在、日比谷の「東京宝塚劇場」にて上演中の、雪組公演『浪漫活劇るろうに剣心』である。すでに、2月にムラ巡礼し、一度観ている作品だが、いよいよ東京にて上演も始まり、今日は2回目の観劇に東京宝塚劇場へと推参した次第である。なので、今日はあまり詳しく書きません。

 2週間前に、わたしの愛する柚希礼音さんのコンサート『REON JACK』に行き、先週は月組全国ツアー『激情』を観てきて、今週がこの雪組公演『るろうに剣心』である。
 前回、ムラで観たときは、ずっと2番手スター望海風斗さん(通称:だいもん)を追いかけて観ていたのだが、今日は、前回恐ろしく可愛く観えた咲妃みゆちゃん(通称:ゆうみちゃん)をずっと双眼鏡で見つめる、ちょっとしたストーカー感覚で観ていた。いやあ、ほんと可愛い。実にいいですね。わたしはどうも、ゆうみちゃんの声が気に入った。そして歌も上手いし、また、芝居振りも非常に良いと思う。ゆうみちゃんは、2010年の月組公演『The Scarlet Pimpernel』が初舞台だそうで、この公演は、わたしがヅカファンになって間もない頃に観に行った作品で、先ほどパンフを探してみたところ、おお、いた! いるいる! ゆうみちゃんがちゃんと載ってますね。
CCF20160418
 ↑公演パンフ。当時の月組TOPスターは霧矢大夢さん。今やすっかり美しい女子に変身。
 ↓ いたーー!! 6年前のゆうみちゃん。変わってない。かわええ……。
yuumi
 懐かしいなあ……思えば、わたしが初めて宝塚歌劇を体験したのが2010年の1月の星組公演『ハプスブルクの宝剣』である。この初めて観る宝塚歌劇の生公演で、わたしは主演の柚希礼音さんに一発KOを食らい、翌日、チケットを手配してくれたわたしのヅカ師匠のお姉さまの元に、朝イチで興奮して報告に行ったものだ。
 「おはざっす!! なんなんすかもう、昨日、超興奮したっす。主役の人がクッソカッコエエっす。オレ、もう完璧Fall in LOVEなんすけど!!!」 と興奮して感想を伝えたところ、
 「ちえちゃんに惚れるとは、いい趣味してるわね。いいわ、じゃあ、これを御覧なさい」とその場(※会社のその方の席に常備してあった。今思うと笑えますな)で貸してくれたDVDがあって、それが、 2008年の星組Verの『The Scarlet Pimpernel』だったのだ。師匠曰く、「この時は、まだちえちゃんは2番手よ。でも、この時のちえちゃんもすごくいいわよ。そして次の月組公演がまたスカ・ピンだから、予習には好都合よ。面白いと思ったら、次の月組のスカ・ピンのチケットも取ってあげるわ」とのことだった。
 そしてわたしは、2008年の星組版『The Scarlet Pimpernel』をDVDで観ることになる。
 そしてわたしは、完全にちえちゃんファンになったわけだ。
 そして翌日、さっそく師匠にDVDを返却に行ったのである。
 「おはざっす!! うっす!! 最高でした!! あざました!!」
 「え、もう見たの!?」
 「観たっす!!」
 「で、どうだった!?」
 「最高でした。ひとつ、すげえ気に入った台詞があったんすけど、発表していいすか!?」
 「えぇ……ど、どうぞ?」
 「(カッコつけて) 演じるんだ!! そして欺け!! 弟のために!!
 「(ぱちぱちぱち)ショーヴランの台詞ね。よく覚えたわね。ちゃんとちえちゃんが分かったのね。」
 「押忍!! あざっす!! 最高っす!!」
 「いいわ、じゃあ、次の月組のスカ・ピンのチケット、取ってあげるわ」
 「押忍!! ごっつあんです!! あざっす!!」
 というわけで、この時以来、わたしはずっと師匠にチケットのお世話になっており、必ず観たあとで、「イケ台詞」を発表することを自らの義務としてきたのである。そして、この2010年の月組版『The Scarlet Pimpernel』において、ショーヴランを演じていた明日海りおちゃん(通称:みりお)と、アルマンを演じていた龍 真咲ちゃん(通称:まさお)の二人を知ったのである。二人は当時役代わりでショーヴランとアルマン(※作中で拷問する方とされる方の2役)を交互に演じていて、事実上のダブル2番手であった。
shovran
 こんな感じ。今や二人はTOPスター。この時から明らかに光り輝いてました。
 この公演は、わたしが生で観た宝塚歌劇の2本目の公演で、わたしにとっては非常に忘れられない公演である。まさかこの公演が、今や雪組TOP娘役のゆうみちゃんのデビュー公演だったとは……。デビューってことは、あの時のロケットに、ゆうみちゃんがいたってことか。やっぱり、毎公演、ロケットの娘さんたちにも注目せざるを得ませんな。一応、毎回ちゃんとロケットの皆さんもチェックしているのだが、将来のヒロインやTOPスターを探すのも、楽しみの一つですね。
 懐かしくてつい、公演パンフをしげしげと眺めてしまったが、おお!! 次期月組TOPに指名されている、先週観た珠城りょうさん(通称:たまきち)もいるし、現・月組TOP娘役の愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴちゃん)もいるじゃないか!! 
tamakichi
tyapi
 しかも、ちゃぴちゃん、男役だし!! これはちょっとしたお宝ですね。まだ6年しか経っていないのに、ホントに懐かしいですなあ。

 っておい!! ぜんぜん『るろうに剣心』に関係ねえじゃねえか!! と我ながら自分の脱線ぶりにあきれました。サーセン。とにかく、『浪漫活劇るろうに剣心』は、当然主役のTOPスター早霧せいなさん(通称:ちぎちゃん)の殺陣は素晴らしいし、だいもんの歌もカッコ良く、ゆうみちゃんもウルトラ可愛くて、大変満足です。以前も書いたとおり、雪組はわたしは一番なじみがないというか、一番公演を観ていない組なのだが、わたしとしては、ゆうみちゃんが非常に気に入りました。
 というわけで、今日2回目を観て、毎度お馴染みの今日のイケ台詞を発表します。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「総三郎、拙者は、人が微笑んで生きる姿を見たいのだ!!」(そして歌に入る)
 今回は剣心の台詞です。ちぎちゃんの芝居はわたしは2回ぐらいしか観てないのだが、このお方は若干声のトーンが高め、なんすかね。THE 男役的な野太い声、ではないですね。これは剣心というキャラクターに合わせてそういう発声なのかな。いずれにしても、カッコ良さは抜群でした。

 というわけで、結論。
 2回目となる雪組公演『浪漫活劇るろうに剣心』は、神谷薫を演じるゆうみちゃん中心に観ていたが、ゆうみちゃんは歌も芝居も非常にレベルが高いですね。そしてその可愛さも、相当ハイレベルだと思います。可愛いは正義である!! おっと、明日のNHK-BSで、去年の雪組公演『星逢一夜』が放送されるじゃねえか!! この公演は観に行かなかったので、録画してゆうみちゃん観賞をしようと思います。以上。

↓ もう一度観たい……この中の、「鷹のように」というショーヴランの歌が超好き。
THE SCARLET PIMPERNEL 月組大劇場公演ライブCD
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2010-06-17

 

 以前、このBLOGにて、『Life after Beth』という映画を取り上げたとき、Anna Kendrickちゃんが可愛い、ということを書いた。非常に特徴ある顔立ちで、好みは分かれそうな気がするが、わたしとしてはそのちびっ子ぶりとやけにグラマラスなBODY、そして何より、歌がうまいという点で、極めてわたし好みである。彼女はそもそも13歳でBroad Wayミュージカルに出演してTony賞候補にもなった、バリバリ歌える女優であることもよく知られている。
 そういえば、顔はまったく似ていないが、現在のNHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」のヒロインで、最近とみに活躍の目立つ高畑充希ちゃんも、やけにCMでは歌っている姿を見かけるが(しかも上手い)、彼女も幼少の頃からミュージカルが大好きで、高校生になった16歳から6年間、ミュージカル『ピーターパン』で鍛えたバリバリ歌える日本ではちょっと珍しい女優である。歌手としても音楽活動を続けており、そんなところは、なんとなく、これまたわたしの大好きな松たか子ちゃんに似ているような気もする。そんなわけで、最近、高畑充希ちゃんが大好きであります。
 ま、そんなわたしの好みはどうでもいいとして、昨日の夜、わたしがWOWOWで録画したものをぼんやり観た映画『THE LAST FIVE YEARS』は、2001年初演のシカゴでの公演を経て、Off-Broadwayでも上演された Musicalを映画化した作品で、主演のAnna Kendrickちゃんが非常に可愛いヒロインを演じてくれた作品であった。

 しかし、お話は、結構シリアス(?)と言うべきか、二人の男女の出会いと、5年間に渡る関係が終わるまで、を描いたもので、冒頭は上記予告にある通り、別れを悲しむヒロインの歌から始まる。ちなみにこの映画、ほぼ台詞部分はなく、全編、歌、である。
 物語としては、小説家の彼氏(後の夫)Jamieと、舞台女優を目指す彼女(後の妻)Cathyの付き合いはじめから結婚、そして破局までをたどるもので、複雑な話ではない。ただ、構成として、Cathyは破局からだんだん過去にさかのぼって思い出をたどるのに対し、Jamieは付き合いはじめから破局までをたどっていくという、若干分かりにくい面があって、はっきり言えば、この映画では時系列が非常に分かりづらくなってしまっていて、ズバリ、失敗している思う。
 だが、その構成にこそ意味があって、男と女ではものの考え方や想いの捕らえ方が違うことを意図した構成であるので、ストレートに過去から順に追ってしまっては、実にありきたりな退屈なものになってしまうのは目に見えている。だからこそ、CathyとJamieの思考の違いを表す物語の構成がきわめて重要なのだが、残念ながら機能不全であるとわたしは観た。実にもったいない。
 なので、わたしから見るとこの物語は、結果的には、要するにゆとりカップルのすれ違いね、の一言で終了である。Jamieは作家としてデビューし、どんどん売れっ子になって、パーティーなどにも呼ばれ、世間でも名声を得ていくのに反し、Cathyはいつまで経ってもうだつの上がらない生活を送り、その「格差婚」が二人の愛を壊してしまうというものであるので、男のわたしとしては、若干、Cathyのイラつきが理解できない。途中で出てくるように、Cathyは、とにかく自分の主張が強く、Jamieの話を聞かない場面があって、Jamieが、5分でいいからオレの話を聞け!! とキレるシーンがあるが、男からすれば、そりゃそうだとうなづけてしまう。どう観ても、成功したオレに嫉妬してんのか? としか思えない。
 しかし、である。おそらくは、女性から見ると、なに逆ギレしてんのよ!! と、火に油を注ぐことになることはまず間違いなかろう。その心理は、残念ながら男のわたしには理解不能だが、そう受け取るのが女性である、という事実は、世の真理として既に了解しているので、わたしのようなベテランのおっさんなら、分かった分かったごめんなさい、よしよし、オレが悪かった、Cathyは可愛いね、よしよしごめんよ、と抱きしめて、まったく意に沿わない慰めを余裕で口にすることが可能なので、おそらくは、破局までは至らずに済むんじゃねえかな、と無責任に思った。
 ま、若いってそういうもんですな、というのがおっさんとしての感想である。
 わたしは、正直音楽にはあまり興味がなく、それは周りの人にもよく知られている事実で、No Music, 全然OK Life と発言したこともあって、それはわたしの言動録でもちょっと有名なのだが、それはあくまで、いわゆる歌手の歌う歌単体での話であって、物語るMusicalはまったく別物だと思っている。いや、もちろん、まったく別物でなく、わたしの認識がゆがんだ間違ったものであることは承知している。けれど、なぜかわたしには自然と成立している事実なのだ。だから、歌手が歌う歌にはほとんと心動かされることはないが、Musicalで物語の一部として歌われる歌には、非常にグッと来てしまう。要するに、3分とか5分の歌単体だけでは物足りないのだ。その背景まできちんと語られないと、わたしにはピンと来ない、ということのようだ。歌にもわたしは物語を要求したいのである。まあ、わたしのようなおっさんが、10代や20代の恋だの愛だのを聞かされても、鼻で笑うしかなく、どうにもならないわけで、それを、きちんと物語として、歌ってもらわないと感情移入は到底出来ないわけであります。あれ!? なにが言いたいか分からなくなってきたな。ええと、つまり、だからわたしはMusicalが好きだということと、本作の物語はMusicalとしてきちんと背景を語ってくれたけれど、わたしのようなおっさんには、ゆとりカップル乙、としか思えなかった、が、やっぱりAnna Kendrickちゃんは激かわええ、ってことでいいのかな。はい、そういうことです。
 最後に、主役二人と監督をちょっとだけまとめておこう。
 まずCathyを演じたAnna Kendrickちゃんについては、もう散々書いたからいいか。1985年生まれの現在30歳。今年の誕生日で31歳か。メリケン女優にしては、凄いちびっ子なんだよな……だがそれがいい。Geroge Clooney主演の『Up in the Air』(邦題:マイレージ・マイライフ)でアカデミー助演女優賞にノミネートされた時はまだ22歳かそこらか。非常に印象に残るいい芝居でした。あの映画は非常におススメです。かなりグッと来ます。
 そして相手のJamieを演じたのがJeremy Jordan君31歳。彼もMusicalが主体で、映画にはほとんど出ていない人ですな。芝居振りは普通でしたが、歌は抜群にうまかったです。Tony賞にもノミネートされたことがあるそうで、このところはTVドラマでの活躍が多いようですね。どうなんだろう、まあ、イケメン……でしょうな。
 で、監督は、Richard LaGravenese氏という男で、これまでにわたしが観た映画で言うと『P.S. I LOVE YOU』を撮った監督だそうだ。へえ。元々脚本家なんすね。本作でも脚本も書いたようだが……うーーん……全編歌だし、もともとのMusicalがある作品だから、彼の脚本家としての役割がどんなものだったのか、ちょっと想像できないが……ちょっと分かりにくかったなあ……もう少し何とかなったような気もするのだが……若干残念です。

 というわけで、結論。
 本作の物語やその構成には、わたしはあまり感じ入るものはなかったのだが、とにかく二人の歌は素晴らしい。特に、Anna Kendrickちゃんの歌声は極めて上物である。素晴らしいね、この人の歌は。そしてやっぱり、大変に可愛い。わたしなら、絶対にCathyを怒らせるようなことはしなかっただろうし、愛が壊れることもなかっただろうな、と、いつもの言うだけ詐欺をもって結論としたいと思います。以上。

↓ Anna Kendrickちゃんを見るならやっぱりこれか。恥ずかしながらわたし、まだ観てないんす。先日WOWOWで放送があったのを録画したので、近々に観てみます。
ピッチ・パーフェクト [Blu-ray]
アナ・ケンドリック
Happinet(SB)(D)
2015-10-07

↓ 「2」もありますぜ。
ピッチ・パーフェクト2 ブルーレイ&DVDセット(ボーナスDVD付) [Blu-ray]
アナ・ケンドリック
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2016-03-24

 善良な市民生活をここ日本で送る我々には、ほぼ関係ないのだが、残念ながらこの世は悪意に満ちており、ほんのちょっと裏へ行けば恐ろしいことが山積みである。と、いう事は、口には出さなくても、おそらく誰もが知っていることだろうと思う。そしてインターネッツなる銀河には、決して検索してはならない言葉があることも、大抵のは人は承知しているもではなかろうか。わたしは実に愚かな馬鹿者なので、かつて、好奇心からとあるワードを検索して、そこに現れた大量の凄惨な写真を観て絶句し、深く後悔したことがあるが、まあ、マジでやめておいた方がいいことが、この世には意外と多くあると思う。
 昨日わたしが観た映画は、その検索してはならない言葉として有名な、メキシコのとある街で行われている麻薬戦争を題材にしたもので、非常に完成度が高く、実に面白かった。面白い、と言ったら変というか不謹慎か。なんて言えばいいのだろう、映画として極めてハイクオリティで、作品として素晴らしいものだった、とでも言えばいいのだろうか。同じように、メキシコ麻薬戦争を題材とした映画と言えば、Steven Soderbergh監督の『Traffic』(アカデミー監督賞や助演男優賞、脚本賞など受賞した傑作)や、Sir Ridley Scott監督の『The Counselor』(えーと……邦題を思い出せない……「悪の法則」か。邦題もひどいが、映画としても、非常に恐ろしいものの、あまり面白くない。とにかく怖い)などが思い出されるが、それらに比しても全く引けを取らない、素晴らしいクオリティであった。これはわたしとしては今年の暫定3位としたいと思う。ちなみに現時点でのオレベスト2016の暫定1位は『The Martian』、2位は『CAROL』です。なお、調べてみたところ、やはりRotten TomatoesMetacriticといった格付けサイトでも非常に高評価になっている。ただし、あまり売れなかったようだが……。
 というわけで、昨日は14日(トーフォーの日)ということで、TOHOシネマズではお安く映画が観られるため、今日はこれを観ようと前から決めていた作品、『SICARIO』(邦題:ボーダーライン)を観てきた。しかしこれまた非常に公開スクリーン数が少なく、わたしの嫌いな六本木まで観に行くしかなかったのだが、まあ、会社から電車で15分ほどなので、十分許容範囲内であろう。

 さてと。理由は書かないが、今回はUS版の予告を貼っておくことにした。日本語字幕付きの公式予告もあるのだが、そっちは却下。ま、物語は上記予告の通り、ではある。 48秒頃に画面に出るように、In Mexico, SICARIO means hitman =メキシコでは、SICARIOとは暗殺者を意味する。
 これは、本編の冒頭にも出てくる言葉である。本作のタイトル『SICARIO』とはそんな意味だ。なので、わたしはいつも通り、「ボーダーライン……センスねえ邦題だなあ……」と思って劇場に向かったのだが、観終わって、意味を考えると、確かに「ボーダーライン」という邦題は、その舞台となるアメリカとメキシコの国境であり、また同時に、心の境界線、そのラインを跨ぐことができるかどうか、という主人公の葛藤をも表したタイトルだったわけか、と理解はできた。なるほど、である。しかし、うーん……でもやっぱり、考え過ぎじゃないかなあ……「シカリオ」じゃダメなんすかね。どうだろう? ま、いいや。
 物語は、予告にある通り、FBIの誘拐即応班(←字幕ではそうなっていたが、有名なFBI-HRT、 Hostage Rescue Teamのことなので、「人質救出部隊」というべきか)の指揮官の女性がUS国内で囚われているとされる人質救出のため、とある家を強襲して、その壁に数十体の遺体が隠されていることを発見するところから始まる。しかし、いくらそういった摘発をしても、根源たる大元の悪党は遥か彼方にいて、とても逮捕できないし、こういった犯罪はなくなることがない。そんなジレンマの中、現場での的確な指揮を買われて、麻薬戦争を戦うチームに主人公の女性はスカウトされる。とはいえ、元々FBIの人間なので、参加するには本人の意思表示が必要で、まあ当然主人公も志願して、参加することになるのだが、そこで彼女の見たものは、想像を超える凄惨な現実だった――的なお話である。
 なので、残念ながらわたしは、いちいち主人公がチームの行動の違法性を指摘したりするのが、ちょっとイラついた。勿論、主人公は非常に真面目でFBI=連邦捜査局=司法省の管轄下にあるので、その反応は当然だし、キャラクターの性格も理解できるのだが、嫌ならもう帰りなさいよ、とずっと思いながら観ていた。何しろ、この麻薬戦争は、完全なるBLACK-OPPsである。もちろん主人公も、作戦の指揮官がCIAだと分かっている。作戦を共にする屈強な男たちは、今回はNavy-SEALsではなく、US-Army所属のDELTAチームだったが、もう、完全に戦争なのだ。だから、作戦指揮官のCIAマンも、CIAが顧問として雇っている恐ろしく存在感のある男も、主人公に何度か言う。「嫌なら帰れ」と。でも帰らない。そして、やめろと言われていることを平気でやって、後で痛い目に遭う。アンタ何してんすか、というツッコミを何度か観ながら言いたくなった。極めてゆとり臭ただようお嬢さんである。
 まあ、わたしは常日頃、ジャックライアンシリーズなどの小説を読んでいるため、こういったBLACK OPPsに慣れているというかマヒしているのでそう思うわけだが、この様相は、おそらく普通の人には、どちらが悪党なんだかわからないものに映るのかもしれない。その、善と悪との境界線が非常にあいまいであり、主人公は、自身の心にある境界線と、現実の境界線の食い違いに葛藤するというのが、本作の一番の見どころと言っていいのだろうと思う。そう考えると、邦題の「ボーダーライン」は、正直わたし的にはイマイチだとは思うけれど、内容的には、なかなかいいタイトルだったのかもしれない。文句ばっかり言ってサーセン。
 で。役者3人と監督のことについてまとめておこう。
 まず、この映画で一番最初に紹介すべきは、 アレハンドロというコロンビア人(?)を演じたBenicio del Toro氏だろう。アレハンドロは、かつて検察官として法の執行者であったが、麻薬戦争によって妻は斬首され、娘は酸の浴槽に浸けられて虐殺されたという凄惨な過去を持つ男であり、その後、どうやらフリーのSICARIO=暗殺者として、政府やいろいろな組織に雇われているという設定の男である。彼の目的は、妻と娘を殺した男を殺害することであり、完全にOUT LAW、である。彼をBAD GUYと観るかどうかは、かなり人によって受け取り方が違うだろう。わたしは、ラストでの彼の非情すぎる行為に、実はまったく心が痛まなかった。悪は滅びるべし、であって、些細な禍根も立つべきだという彼の思考は十分わたしには理解できた。そんな冷酷なSICARIOを演じられるのは、ハリウッド映画でスペイン語を話す殺し屋的キャラと言えば、やはりdel Toro氏が最高峰であろう。前述の『Traffic』でアカデミー助演男優賞を受賞した、演技には定評のある男である。アレッ!? 嘘、マジで!? 今、Wikiで初めて知ったが、このおっさん、まだ40代なんだ!? もう50代後半ぐらいかと勝手に思ってた。なんだ、わたしよりちょっと上なだけじゃん。マジか……全然知らなかった。ま、そんなことはどうでもいいけれど、今回も恐ろしくクールで、素晴らしい芝居だったと思います。この人、なんでMarvel作品を引き受けたんだろう……『Gurdians of the Galaxy』での「コレクター」役は、いつもと違って若干コミカルでしたね。本人は超真面目に演じてましたが。
 次もおっさんです。今回、主人公をスカウトするCIAのベテラン現場管理官を演じているのがJosh Brolin氏だ。あれーーっ!! マジか、これも驚いた。この人もまだ40代、つーかdel Toro氏と同じ歳なんだ。知らなかったなー。この人完全に50代でしょ、と信じて疑わなかったのに。ハリウッド強面オヤジ選手権が開かれたら、確実に上位ランカーに挙げられるのではないかと思うが、今回は表面的にはいつもにやにやしているものの、主人公のゆとりめいた行動には、ああ? なに甘いこと言ってんのお前? みたいな感じで相手にせず、軽く扱うさまは非常にキャラクターとしてブレがなく、冷徹で凄惨な現実をよく表していたと思う。そして、CIAとFBIの関係は、アメリカ人的には常識だろうから、ほとんど説明はなかったけれど、要するにCIAはあくまで対外諜報組織なので、国内での活動は(あくまで基本的には)できず、国内の活動はFBIが担当なわけです。だからこそ、FBIたる主人公をチームに入れたわけで、主人公が参加していることで、かろうじてこれはFBI主導の作戦で合法なんですよ、と言い張るためのお飾りであったわけだ。この辺の事情は、知らない人には良く分からなかったかもしれないっすな。
 で、主人公たるFBI-HRT隊長の女性を演じたのがEmily Blunt嬢33歳である。彼女は非常に特徴ある顔立ちだけれど、やはり美人ですな。今回は男たちの中の紅一点なのだが、そういう色気は一切なく、殺伐とした空気の中で正義を信じようとする法執行官を健気に演じていました。まあ、キャラクターとしては、常識ある第三者目線での語り部、という意味があるのだろう。その役割はきっちり果たしてくれていると思う。
 そして最後に監督なのだが、Denis Vileneuveというカナダ人の男である。ケベック出身なので、デニス、ではなく、フランス語読みで、ドゥニ・ヴィルヌーヴと発音する必要がある。この監督の作品と言えば、わたしは『Prisoners』と『Enemy』(邦題:複製された男)の2本しか観ていないのだが、この2本も、そして今回の『SICARIO』でも、共通した特徴としてあげられるのは、作品に常に漂う緊張感だろうと思う。『Prisoners』でのHugh Jackmanも、『Enemy』でのJake Gyllenhaalも、大変に素晴らしい演技で、とにかく緊張感あふれる秀作だとわたしは思っているが、本作でもその緊張感は120分維持され、常に張り詰めた緊張感あふれる空気感は、どうやらこの監督の持ち味のようだ。そして、その緊張感は、JOJOの奇妙な冒険を知っている人なら分かってもらえると思うが、要するに、ずっと、「ドドドドド」「ゴゴゴゴゴ」という、JOJOでお馴染みのアレが、画面から伝わるのである。そうだ、書いてみて良く分かった。この緊張感は、荒木飛呂彦作品に似てるんだ!! そういうことか。そして、もう一つ、今日はっきり分かったのは、それがまさしく、音楽で表現されているんだ、ということである。流れる音楽は、極めて低い重低音で、非常に観客の不安を掻き立て、思わずゴクリとつばを飲み込むような、緊張感を表現することに成功していると思う。なるほど、これか、とわたしは唸った。この映画は、作曲賞と音響効果賞と撮影賞でアカデミー賞にノミネートされたが(惜しくも受賞ならず)、この音楽の使い方は確かに非常に素晴らしいものであった。また、撮影も非常に巧みで、暮れなずむ、とても美しい夕焼けを背景に、逆光で真っ黒な影で表現された軍人たちが、ザッザッザと進軍していく様も、緊張感をあおることに貢献していると言えるだろう。ラストの暗視ゴーグル視点の映像は、恐らくPC上でネガポジ反転して加工されたものだと思うが、従来の暗視ゴーグル映像とはちょっと違うもので、わたしは思わず、こりゃあ凄い画だと、正直感動すら覚えた。もう脱帽である。そして音響効果も、とりわけ銃声の処理がかなり迫力があって良い。とにかく、この音楽と撮影と音声効果は、極めてクオリティが高いと断言できる。そういう点でも、素晴らしい作品ですよこれは。音楽に関して、『Prisoners』と『Enemy』がどうだったのか、もう全然忘れているので、もう一度音楽に気をつけて観てみるとしよう。
 なお、この監督は、なんとかの名作『BLADE RUNNER』の30数年ぶりの続編の監督にも指名されており、今後の活躍はもう約束されたも同然であろう。Denis Vileneuveという名前は、ぜひ覚えておいていただきたい。この男、かなりやる男ですよ。

 というわけで、もういい加減長いので強引に結論。
 『SICARIO』は、極めて緊張感の高い、非常にハイクオリティの映画であった。物語的な流れもまったく破綻なく、とても冷徹で非情な結末を迎えるが、役者陣もいいし、音楽も撮影も極めて上物である。これは劇場で観た方がいいだろう。大きなスクリーンと迫力ある音響設備で観るべき映画だと思います。この映画、わたしは大変気に入りました。今年暫定3位です。以上。

↓ あのハリウッドきってのいい人キャラでおなじみのHugh Jackman氏が超おっかないです。すっごく重~~い映画で、観終わってぐったりしますが、観てない人は超必見です。
プリズナーズ [Blu-ray]
ヒュー・ジャックマン
ポニーキャニオン
2014-10-02

↓そしてこちらは、ノーベル文学賞受賞作家Jose Saramago氏の小説「The Double」を映画化したもので、これまた超重~~い映画です。
複製された男 (日本語、吹替用字幕付き) [Blu-ray]
ジェイク・ギレンホール
バップ
2014-12-24




 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 まずは今週の週刊少年チャンピオン2016年20号の概況です。今週は『鮫島』に新たな動きがありましたよ!!
 ■『弱虫ペダル』:今週は我らが総北の「赤い豆粒」こと、鳴子くんがカッコイイ回です。先頭グループの中で主導権を握るキモー筋くん。アシストを一人使い切って切り捨てます。でも、この場面でキモー筋くんが言うことは、非情に聞こえるかもしれませんが、実のところ全くの正論で、チャリンコレーサーならある意味常識的なことなので、わたしは特にキモー筋くんが 好きではないというかむしろ嫌いですが、まあ、当然かなと思います。そして京伏のアタックを封じるために先頭に立つ鳴子くん。ここは、レースの常識からすれば、単に京伏に前を曳かせて、後ろからついていくだけでいいので、実際はちょっと無謀な動きだと思います。しかし、レースにおいて、1つだけ、こういう状況ならば鳴子くんの動きが正しい、と思えるシチュエーションがあります。それは、後方の自チームのエースが迫ってきていて、追いつく見込みがある時です。先頭に立ち、敵チームの動きを邪魔するのも、これまたレースでは常識なのです。そうです。いよいよ、チーム総北のエース今泉くんと、エースクライマー坂道が迫っているわけですよ!! というところまででした。興奮しますね!!
 ■『牙刃道』:ピクルvs武蔵、がっちり組んだの巻。
 ■『囚人リク』:変態大場、とうとうセリフがおネエ言葉になるの巻w 笑ったw
 ■『少年ラケット』:本気のビリーさん、第3セット奪取。イチローくん、前陣勝負に出て、失われた記憶の「本来の姿」を取り戻したのか? の巻。いや、面白い。大変熱いっす。
 ■『ニコべん!』:なんとなんと、次週最終回!! マジかよ……!! 超・残念だ……。悲しい……。
 ■『Gメン』:主人公の勝太は登場せず。なんと頼れる先輩たちが後始末してくれる話。いいですね!! やっぱり伊達先輩カッコイイです。あざっす!!
 ■『AIの遺電子』:信仰上の理由で手術を拒むヒューマノイドの話。面白かった。
 ■『錻力のアーチスト』:7回の裏もあっさり終了の巻。
 という感じです。どうも、新連載漫画が今一つわたしの趣味に合わないため、『ニコべん!』が終わってしまうのは大変残念です。角先生のTwitterによれば、単行本3巻も未定だとか……秋田書店は一体作家をそんなに不安にさせてどうするんだ。もちろん、3巻以降もわたしは楽しみに待っています。絶対買いますので。
 
 さて。では、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週、同期【蒼希狼】との激戦を、掬い投げで勝利した鯉太郎。しかし土俵上で倒れてしまうほどの熱戦に、体は限界なのでは? というところまで描かれましたが、今週は花道を控え部屋に下がるところから始まります。おお、そういえば今週は、巻中カラーの扉付きです。鯉太郎が塩をまきながら土俵入りする姿ですね。カッコイイ。しかし本編の鯉太郎はもう満身創痍です。 大吉の呼びかけにも答えられないほどで、決まり手も記憶にない状態。すぐに診療所へ直行です。一方控え部屋では、関脇【天雷】が「気合をもらったな アイツらに・・・」と静かに気を高めています。が、そこに、突然の新キャラがひどいセリフを投げつけました。「限界ですね・・・どーせいつもの休場でしょう・・・そもそも彼に幕内は場違いです・・・失礼なんですよ・・・彼が取っている土俵を汚すような相撲は・・・」こんなことを言う奴は誰なんだこの野郎!? と思うと、新キャラの【丈影(たけかげ)】という東前頭四枚目の力士です。まあコイツが何者か分かりませんが、ページをめくると、診療所で横になっている鯉太郎の元に、なんと虎城理事長が!! そして衝撃の一言を発します!! 「起きてるか・・・鮫島鯉太郎・・・もう・・・引退せい」な、なんだって―――!? 虎城理事長の言葉に、もちろん鯉太郎も「んだと・・・コラ・・・・・・」と反発しますが、ここからの虎城理事長の語りが、超重い。自らも「大横綱」とよばれた虎城理事長ですが、「もしかしたら 俺の見えなかったモノを見れるのではないかとな・・・」と鯉太郎に期待していたことを明かします。「大横綱」虎城理事長も、「俺は横綱を演じてたにすぎんのだ・・・」と衝撃の告白です。横綱とはまさに「己に神を宿す存在」と定義する虎城理事長が鯉太郎に伝えます。「横綱を・・・神を必死に演じた私だからわかる・・・あの男こそ横綱・・・・・・・いや、相撲そのもの」その男こそが、とうとう本編に登場する「第72代横綱 泡影(ほうえい)」。
 キタ―――!! 横綱キターーー!! これはアレですね、「あしたのジョー」的に言えば、ホセ・メンドーサ、「はじめの一歩」的に言えば、リカルド・マルチネス。最強のラスボスがとうとう本編に登場です!! ビジュアルも結構イケメンですね。こりゃあ強そうだ。今週、この最強横綱【泡影】が、2回も見開きドアップで描かれます。マズイね……こりゃあマズイ。鯉太郎が勝てるとは到底思えない。番付的にも、常識的に考えると、鯉太郎が横綱と戦う展開になるとしたら、無敗か1敗ぐらいで優勝戦線に残ること、そしてほかの横綱や三役よりも星数で優っていることが本割で横綱と戦う必須条件なので、下手をすると全勝で千秋楽を迎えても、(他の力士の星次第では)本割では取組が組まれず、相星での優勝決定戦ぐらいじゃないと闘う機会がないんじゃなかろうかと思う。一体この先の展開はどうなるのか、もう心配でならないわたしであります。
 いやーーーとうとう姿を現したラスボス、かなりイイですね。そして、【王虎】や【猛虎】さんはどうなっているのでしょうか!? 来週あたり、出てきそうな予感がしますが、これはもう、毎週楽しみで仕方ない展開ですよ!! 佐藤タカヒロ先生、期待してます!!
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
  --------
 【天雷】東関脇 
 【田上】番付不明
 【丈影】東前頭四枚目。次の対戦相手か!? 四股名的に、横綱の弟弟子っぽい←New!!
 【泡影】東(?)横綱。第72代。最強ラスボス←New!! 
  --------
 というわけで、結論。 
 とうとう姿を現したラスボス横綱に大興奮です!! もう完全に「あしたのジョー」的展開になってきました。きっと来週か再来週、部屋に戻った鯉太郎と椿ちゃんの場面が来るでしょうな。その時の椿ちゃんは、きっと矢吹丈を必死で止めようとした白木葉子お嬢様と同じように、鯉太郎に気持ちをぶつけるでしょうな……。葉子お嬢様のセリフが耳に蘇りますね。
 「すきなのよ矢吹くん、あながた!!」、「すきだったのよ...最近まで気がつかなかったけど。おねがい...わたしのために、わたしのためにリングへあがらないで!!」
 もう、マジで鯉太郎の、明日はどっちなんだ!! 最後まで応援し続けたいと思います。以上。

↓ マズいな……全話また観たくなってきた……。この「2」は力石戦後から始まりますが、超名作だと思います。そして超泣ける。観たことない方は、必見ですよ。
あしたのジョー2 Blu-ray Disc BOX1
あおい輝彦
バンダイビジュアル
2008-10-24

あしたのジョー2 Blu-ray Disc BOX2 [Blu-ray]
あおい輝彦
バンダイビジュアル
2008-11-21

 以前から何度かここでも書いた覚えがあるが、2015年の4月にUS国内で公開された映画の予告がもの凄くそそるもので、コイツは早く観たいぜ!! と思っていたものの、全く日本では公開される気配がなく、もう1年が経とうとしている映画がある。どうやらUS国内では全然ヒットしなかったようだが、元々イギリス映画だそうで、UK本国では2015年の1月に公開されていたらしいのだが、Rotten TomatoesMetacriticなどの格付けサイトでも、妙に評価が高く、わたしとしては見られないことを非常に残念に思っていた。折しも、主演女優のAlicia Vikander嬢はこの映画のあとに出演した『The Danish Girl』でアカデミー助演女優賞を受賞するなど、大変な活躍である。何で公開しねえんだよちくしょー、と思っていたら、わたしが心から憎むamazonでは、スペイン版のBlu-rayには、日本語字幕も入っているという口コミもある。くっそう、買うしかねえか、と思っていたところ、友人のMくんがシアトルに出張だと言っていたので、街中でBlu-ray売ってる店見かけて買い物する時間があったら買ってきてくんない? とごく軽く頼んでみたところ、行ったその日に「あったっす~。買っとくっす~」とSkypeで連絡があった。よーし、でかしたぞMくん!! ありがとう!! というわけで、さっそく観てみたわけであります。
 その映画のタイトルは『Ex Machina』。その意味は「機械仕掛けの神」と訳される「デウス・エクス・マキナ」から来ていることは明らかで、デウスが付いていないので要するに「機械仕掛けの」という事になるのだろう。この物語は、ズバリ、AI(=Artificial intelligence 人工知能)の話であります。ああ、調べてみたら、どうも今年の6月11日に日本公開されるみたいですね。日本語公式サイトも出来てるけど何にもコンテンツがないな……なんなんだこの手抜きは。そして、日本語Wikipediaにはやけに詳しく情報が載ってますな。奇特な方がせっせと書いてくれたのだと思うが、とりあえず、予告はこちらです。※20016/05/09追記:さっき、日本語公式サイトを見たら、日本語字幕入りの予告やら、かなりコンテンツが増えてました。

 Mくんが買ってきてくれたのはUS国内の北米版だったので、残念ながら日本語字幕は収録されていない。なので、わたしもきちんと物語を理解したのかかなり怪しいのだが、非常に興味深い物語であった。基本的には、上記予告の通りの進行だし、その後の展開も、たぶん誰もが予想する通りだと思う。ので、びっくりするような意外な展開はないのだが、それでもかなり面白かった。
 この物語には、登場人物が4人しかいない(勿論モブキャラは他にもいます)。
 ■Caleb(ケイレブ):主人公。BLUE BOOKという検索ポータルの会社に勤めるプログラマー。演じたのは、『SW :EP VII』にて、何かとカイロ・レンと手柄を張り合う小者のハックス将軍を演じたDomhnall Gleeson君32歳。今回は非常に繊細でいい演技をしていたと思います。
 ■Nathan(ネイサン):BLUE BOOK創始者。要するに、これはGoogleのことだと思っていいと思います。今回の事件の元凶たるAIを作ったスーパー・リッチな超天才。アラスカの山奥にある恐ろしく豪華でカッコイイLABOに暮らし、研究を続けている。演じたのは、これまた『SW :EP VII』にてカッコイイX-WING戦闘部隊の隊長、ボー・ダメロンを演じたOscar Isaac。今回は坊主頭&メガネ&髭もじゃ、という風体なので、とてもダメロン隊長には見えない怪演が凄い。
 ■Ava(エイヴァ):アンドロイド。ただし劇中ではRobotと呼ばれていたと思う。AI搭載の自立型自意識搭載マシン。演じたのは、『The Danish Girl』でオスカーを手にしたAlicia Vikander嬢。おっそろしく可愛い。 そしてCGが凄まじく、もう本物にしか見えない。彼女のロボットぶりは見ものです。
 ■Kyoko(キョウコ)。謎の日本女子。Nathanの身の回りの世話をする超美人。英語がわからないという設定で、そのため、彼女がその場にいても企業秘密をペラペラしゃべっても大丈夫、というよくわからない設定。彼女の正体については、まあ、想像通りの展開と言えるだろう。演じたのはソノヤ・ミズノさんという東京生まれのイギリス育ちという初めて見る方だったが、有名なのかな? 元々バレエ・ダンサーでモデルさんだそうで、しっかりと鍛えられた女性らしい肉体がすっごくきれい。美しい。フルヌードシーンあり。

 物語は、主人公がある日、社長のLABOに招かれることになる(社内の抽選に当たったという設定)ところから始まる。やったーと喜んで訪れた先は、ヘリでしか行けないアラスカの山奥。こんなところで社長は毎日パーティーとかやってんだろうなー、と、若干のんきにやってきた彼は、社長と会い、そこで社長が一人で行っている実験に協力することになる。その実験とは――自意識をも持つAI搭載ロボットの実験で、既に完成しており、社長はそのロボットと話をしてみてくれ、そして感じたことを教えてくれと頼む。好奇心満々で対面したロボットは、想像を絶する意識を持っており――というお話であるので、そう複雑な話ではない。
 ただ、この物語を面白いと思うには、ちょっといくつかの知識が必要かもしれない。
 一つは、『Turing Test』というものだ。その名の通り、かのAlan Turing博士が考案した、ある機械が知的かどうか(人工知能であるかどうか)を判定するためのテストである。まあ、くわしくはリンク先のWikiでも読んでおいてください。なお、Alan Turing博士といえば、去年公開された『The Imitation Game』の主人公です。あの映画ではBenedict Cumberbatch氏が演じてましたね。ま、それは置いとくとして、ともかく『Turing Test』がどんなものか知らないと、この映画は楽しくないと思う。
 もう一つ、知っておいた方がいい知識としては、AI開発の現状と問題点についての知識だろう。中でも、「AIボックス実験」というシリコンバレーで行われた実験のことと、AIにおける「Singularity(=技術的特異点)」に関して知っていると、この映画はものすごく面白い思う。たぶん、一番手軽なのは、わたしがこれまたここで何度も紹介している本を読むことではなかろうかと思う。つーか、わたしはこの本を読んで「AIボックス実験」のことや「Singularity」のことを知った。
人工知能 人類最悪にして最後の発明
ジェイムズ・バラット
ダイヤモンド社
2015-06-19

 この本については、わたしも去年、ここで取り上げてレビューを書いたのだが……サーセン。もうけちょんけちょんにけなしてしまったので、そのレビューはもう読まなくていいです。そこでも書いたのだが、この本は……致命的に構成が悪いというか、とにかく著者がずーーっと、「AIやベえ!! このままでは人類滅亡じゃ!! とにかくヤバい!!」と、ほざいているだけなので、あまり面白くないのです。しかし、事実としてのAI開発の現状と問題点を知識として得るには非常に良い本だと思うので、今となっては読んでおいてよかったと思っています。あんなひどいレビューを書いてサーセンっした。今回の『Ex Machina』という映画は、まさにこの「AIボックス実験」を映画にしたようなもので(いや、それは言いすぎかも)、非常に興味深かった。
 また、天才Nathanが作り上げたロボットも、そのビジュアルは抜群に素晴らしいし、設定となるハードウェア・ソフトウェアの部分もかなり面白い。まあ、ビジュアルイメージは、予告やパッケージにある通りなので、あまり触れないけれど、Blu-rayに収録されているメイキングで、ああ、こうやって撮ったんだというのが良く分かって、映画オタク的にはとても面白いアイディアだと思った。で、作中ではいろいろな専門用語が出て来るので、英語字幕を出していちいち一時停止して解読しながら観ていたものの、わたしの英語力ではまったく太刀打ちできない部分も多かったのだが、この仕組みを説明する部分は極めて興味深かった。
 作中の設定では、まずハードウェアについては、一つのキーデバイス(?)となる「Structured GEL」というものが出てくる。「構造化ジェル」とでも訳せばいいのかな……そんな言葉だけじゃ全然伝わらないな……要はナノ技術によって精巧につくられた「脳」にあたるものなのだが、実はこれはほとんど説明されなかった。問題はソフトウェアで、その「Structured GEL」にインストールされているというよりも、どうやら作中世界のGoogleにあたるBLUE BOOKの検索エンジンそのものが、AIの本体で、ここはちょっと分からなかったのだが、どうやら常時接続でBLUE BOOKとリンクしているらしい。いや、これが正しい理解なのか全然自信はないけれど、膨大なデータを単一のロボット素体の中に持たせることは、たぶん実際無理であろうというのは想像できるので、なんとなく、実感としては、なるほど? と納得できる設定であった。そして現実世界の、Googleの恐ろしさが妙にリアルに感じられるような気もする。
 わたしは、常日頃から、きっとGoogleが人類を滅ぼすんだろうなー、と結構強い思い込みをしている頭の悪い男だが、いずれにしても、おそらくは、スーパーAIは、間違いなく誕生してしまうと思う。それがヤバいことなのか、便利になってHAPPYなのか、諸説入り乱れているのが現時点での我々の棲む世界なわけだが、この映画が示したビジョンは、Singularityを超えたときの人類への警告を発するようなものではあまりない。もっとかなりemotionalなお話であると思う。だが、AIがそのEmotion、要するに喜怒哀楽という「感情」を持ったときどう行動するか。そう考えると、この映画で描かれた顛末は非常にあり得るような気もするし、いやいやいや、単に登場人物たちが抜かっただけっショ、とも思える、実に興味深いものであった。そういう意味で、この映画は、実に面白い。

 最後に、監督のことだけ備忘録として書いておこう。監督はAlex Garlandという人で、わたしは全然知らないのだが、どうやら元々小説家・脚本家で、本作も彼の手による脚本だそうだ。ちなみに、DiCaprio氏主演の『The Beach』の原作者だそうで、あの映画を撮ったDanny Boyle監督ときっと意気投合したんでしょうな、Boyle監督の『28Days Later』や『Sunshine』の脚本も、Alex氏によるものだそうです。 あっ!! なんてこった!! 2012年版の『JUDGE DREDD』の脚本もこの人なんだ。へー。面白いなこの人。初監督作品としては、非常に画もセンスがあって素晴らしい才能だと思うけれど、かなり淡々とした、冷めた物語進行で、それは画にも表れています。ので、派手派手しいハリウッド的な部分はほぼないと思ってください。ある意味、物語の盛り上がりも非常に淡々としていて、かなり地味です。この映画は。

 というわけで、結論。
 まだ日本未公開の『Ex Machina』を観てみたところ、確かにこの映画は非常に面白く興味深いことが良く分かった。が、これは……確かに、CGによる凄い映像はあるけれど、内容的にある種の特別な知識や好奇心が必要で、一般ウケは難しそうな気がする。単純にキャラクターの行動だけを表面的に理解しただけでは、えっ!? で終わってしまう可能性もあるので、うーーん……これは難しいっすね。日本での配給の買い手がなかなかつかなかったのも、ちょっと理解できました。たぶん、公開規模も非常に少なくあっという間に公開終了になると思いますが、わたしは、かなり気に入ったので、英語の理解度チェックのためにもう一度観に行くかもしれないっす。以上。

↓ スペイン版は日本語字幕入りらしいです。ホントかどうかは分かりませんので自己責任でどうぞ。わたしが買ってきてもらった北米版は、英語とスペイン語字幕だけでした。

 去年、2015年にわたしが劇場で観た映画の中で、非常に心に響いた『Wild』(邦題:わたしに会うまでの1600キロ)という作品がある。その邦題のセンスや、アラフォー女子が自分探しの旅に出る的なあらすじを観ると、ちょっとイタイ予感を感じさせるが、実際の作品は非常にグッとくるものがあり、わたしとしては2015年に見た映画の中でもTOP3に入るほど気に入った映画である。
 一方、その公開より1カ月ほど前に、実はちょっとだけ似ている作品が公開されていて、わたしも観たかったのだがまんまと見逃してしまい、先日WOWOWでの放送があったので、待ってたぜ!! とばかりに録画しながら放送を生で観てしまった作品がある。その作品は、『Tracks』。日本での公開タイトルは『奇跡の2000マイル』と言う作品だ。主人公の女性がオーストラリア大陸の西側の砂漠2000マイルを、3頭のラクダと、1匹のわんことともに走破するお話である。

 まあ、相変わらず微妙な日本語タイトルで、残念ながら内容にはあまり相応しくないような気がする。が、うーん、代案が浮かばないので、偉そうなことは言えないか。まあいいや。
 まず、この物語も、『Wild』同様に実話の映画化である。舞台は1977年オーストラリア。今のように、スマホもGPSもなく、簡単な地図とコンパスだけしかない時代である。そんな時代に、Robyn Davidsonという、27歳の女子が行った冒険(?)は、当時ナショナル・ジオグラフィックで取り上げられ、冒険の顛末を自ら執筆した『Tracks』という本は大ベストセラーになったのだそうだ。まあ、我々日本人には全くお馴染みではないが、そういうことらしい。物語はもう、上記予告の通りだし、とにかく、2000マイルを砂漠の中歩き通した、というだけなので(※正確には1700マイルらしい)、恐らく、一番問題となるのは、「なんでまた、そんなことをしようと思ったわけ?」という点に尽きるのではないかと思う。
 少なくともわたしは、一体全体、なんでそんなことをしようと思ったのかという点に一番興味を持ってこの映画を観たわけである……が、正直、最後まで観ても良く分からなかった。それっぽい思わせぶりな、少女時代の暮らしぶりがたまにフラッシュバックで描かれるが、明確ではない。何があったのか、何を思ったのかは、どうもはっきりしない。この点は、いいのか悪いのか、非常に微妙である。わたしは良く分からなかったので、もうチョイ説明してほしいなとは思うものの、一方でその点にフォーカスしてしまうと、どうも嘘っぽいというか軽くなってしまうような気もする。そのバランスは非常に難しいとは思うのだが、うーん、良くわからんのはちょっとわたしとしては消化不良である。なにしろ、お父さんもお姉ちゃんも、そして友人たちもが、出発前に主人公の元へ、頑張れよ! と見送りに来るのだ。普通止めるよね? それだけ主人公の決意は固いという事なのだが、どうしてもやはり、そこに至る決意のほどがもう少し理解したかったとは思う。
 しかし、そういう点よりも、この作品で描かれるのは、オーストラリア大陸の砂漠という過酷な自然の様相と、彼女の心の孤独である。どうでもいいことかもしれないが、わたしは一つ、この映画で初めて知って、非常に驚いたことがあった。これって常識なのかな? 知らなかったオレがアホなだけ!? とやや心配だが、なんと、オーストラリアには、野生のラクダが生息しているのだ。おまけに、ラクダって……超・獰猛なんですね。全然知らなかった。なので、さっそく調べてみたところ、オーストラリアに生息する野生のラクダは、開拓時代に白人が持ち込んだもので、後にそれがどんどん繁殖して住みついたものらしい。Wikiによれば、なんと現在もその数70万頭だそうで、わたしはその事実をぜーんぜん知らなかった。しかも超おっかないとは。あんな平和な顔してるくせに、ラクダって怖えんだ……というのは、物語にはあまり関係ないけれど(実は微妙に関係アリ)、ちょっとショックです。この映画では、旅に出る前に主人公はラクダを手に入れようと、ラクダ牧場で8カ月働くシーンが冒頭に出てくるけれど、まあ、とにかく、なんか怖い存在としてラクダは描かれていて驚いたっす。
 で、ラクダはともかく、旅に出た後、主人公はかなりいろいろな困難に出会う。朝起きたら、ラクダがどっか行っちゃって、探し回ったり、コンパスを落としてしまったり。しかし、一番重要な水や食料面での困難はほぼ描かれず、実際どうだったのかは良くわからないが、飢えと渇きとの戦いがなかったのは、本当に幸運だったのだろう。意外と映画はどんどん進んで、日数もあっという間に消化していくので、その困難ぶりはあまり強調されない。ただただ、荒涼たる自然を追いかけていく画作りは、ちょっと意外だった。
 彼女が出会う困難の中で、恐らく1番厄介だったのは、ときたま車を連ねてやってくる見物人どもだろう。当時「Camel Lady」として有名になってしまったらしく、無邪気に見物に来る連中の無神経さは、観ていてわたしもイラッとしたが、おそらく2番目に困ったことは、「アボリジニ」とのかかわりだろう。彼女の征くコースには、アポリジニの聖地があって、どうしても遠回りしないといけない事態に遭遇する。その時、彼女のひたむきさは最終的にはアボリジニをも味方につけ、聖地を通ってもいいと許してもらえるし、中盤まではずっと案内までしてくれる。なので、実際中盤までは彼女には案内人もいるし、唯一のパートナーたる黒いラブラドールのわんこもいて、何かと心強いのだが、後半、案内人と別れ、そして何とも残念なことに、愛するわんことも悲しい別れが訪れる。ここからの、孤独と戦う主人公の姿が、この映画の一番の見どころ、クライマックスと言ってよかろう。どんどん、顔つきが変わって来る主人公。そんな心さすらう冒険女子を演じたのは、Mia Wasikowskaちゃんである。1989年、平成元年にオーストラリアで生まれた彼女は、当時のことは知らないだろうが、オーストラリア人としては有名な話なんでしょうな。気合の入った素晴らしい演技ぶりだったと思う。いつもは非常に可愛らしい彼女が、どんどんと悟りを開いた仙人のようになっていく姿は確かに見ごたえ十分だった。大変良かったと思う。
 あと、実は、この彼女の旅を最初から取材しているナショナル・ジオグラフィックから派遣されたカメラマンの青年がいて(※これは主人公が費用捻出のためにナショ・ジオに手紙を書いて、スポンサーをお願いしたため)、数週間ごとに決めたポイントで補給物資なども持ってきてくれるのだが、最初のころは、写真のためのポーズをとれとか、その馴れ馴れしさにイラついていた主人公だが、ある日突然ムラムラしたのか良くわからないけど主人公の方からその青年を誘ってヤッてしまったりして、そしてその後そのカメラマンの恋愛感情がウザいとか、結構主人公に勝手なことを言われてしまう、可哀想なんだかうっとおしいんだか微妙な野郎が出てくる。このカメラマンを演じたのが、今や銀河一の親不孝者として世界的に有名になったカイロ・レンことAdam Driver君32歳である。わたしは彼が出演していることは全然知らなかったので、出てきた瞬間、あーー!! このイケてないツラは、カイロ・レンじゃねえかこの野郎!! と瞬時にイラッとしてしまったのだが、まあ、Adam君にはまったくもって罪はないのでアレですけど、わたしも主人公同様に、ちょろちょろとうっとおしい奴だなあ、と思いながら観ていました。もちろん彼が演じたカメラマンも、実在の人物がいます。

 というわけで、無事に旅を終えた主人公は、一体何を得たのだろうかと考えると、やっぱり良くわからない。その点、わたしが推す『Wild』は明確に、母を亡くして荒れ放題だったそれまでの自分の人生を見つめ直すことに成功し、心の成長を遂げるわけで、観ていて非常にわたしの心に響いたわけだが、本作を観終わって、やはりどうも、結局彼女がこの旅で得たものは何だったのだろうか、という点に関しては、わたしは多くの意見を持たないままである。おそらく、であるが、彼女がオーストラリアの荒涼たる大自然の中で得たものは、人間はやはり孤独な生物であり、孤独だからこそ、人々と寄り添わなければ生きていけないんだな、という事なのではないかと思う。どこに身を置いても、自分の居場所と思えない、心さすらう女子。そんな人々は現代の世の中では、ある意味ほぼ全員がそうなのかもしれない。しかし周囲100km以内に誰一人いない、本当に孤独な状況に身を置いてみても、そこだって結局は「ここじゃない」のだ。まあ、なんにせよ、困難を克服した後の彼女は、強く生きることができるだろう。その後の人生で困難に出会っても、「あん時よりマシだな」と思えるだろうから。試練や苦難は、乗り越えればそれだけ強くなれますよ。それだけでも、十分に価値ある旅だったのだと思うことにしたい。

 というわけで、結論。
 『Tracks』、邦題「奇跡の2000マイル」は、いつもは天真爛漫なかわいいMia Wasikowskaちゃんの、悟ったようなまなざしが非常に印象に残る作品であった。まあ、自分探しの旅に出たい人は、本作の主人公のような無茶はせず、とりあえず、鏡を覗いてみてください。そこにいるのが自分ですので。あと、ラクダがやけにおっかないっす。以上。

↓ 探したのですが、原作の日本語版はもう絶版みたいですな。ちょっと気になるのだが……。
↓ おっと、こちらはもうとっくにBlu-rayが出てますな。でも、もうチョイ待てばWOWOWでの放送があるに違いない!! ので、買うつもりはないのですが、わたしは非常に気に入った映画です。
わたしに会うまでの1600キロ [Blu-ray]
リーズ・ウィザースプーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2016-02-03

 というわけで、月曜日恒例の週末映画興行データです。
 先週、STAR WARS初めての公式スピン・オフの、『Rogue One: A Star Wars Story』にちょっと触れたら、すぐその予告まで公開されましたね。びっくりしましたわ。

 どうやら、EpisodeIVの前日譚となる、デス・スター設計図の入手ミッションを描いたものらしいですな、良くわからないけれど。まあ、年末まで楽しみに待っていましょう。なんとなく、わたしとしてはイマイチ盛り上がってないのは……我ながら理由が分からない。お話的に今さら感を感じてるのだろうか……? 大好きなスター・ウォーズなのに……。まあ、きっと観て、大興奮することは確実のような気もしますが。
 てゆうかですね、全然話は違うのですが、先日、劇場で、わたしが今年一番みたい映画ナンバーワンの「CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR」のムビチケカード(=前売券)を買おうと思って、売店の女子に聞いてみたところ、なんとSWに続いてまたもや、オンラインのみの発売で、ムビチケカードの販売はないのだそうです。マジかよもう……オタク的には、ムビチケカードを販売してほしいのだが、SWに続いての、このDisneyの仕打ちには実に腹立たしい思いであります。まあ、日本でそう思っているのはわたしだけかもしれないので、ぐぬぬ……と一人で怒っておこうと思います。くそう! おのれDisneyめ!!

 はーー。では、気分を落ち着けて、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『暗殺教室―卒業編―』が17日間累計で28億~29憶ほどと見る。先週、同じような数字の動きとして2014年の『るろ剣・伝説の最後(→最終43.5億)』と2012年の『テルマエ(→最終59.8億)』の1作目を挙げましたが、少しだけそれらより下かもしれない(?自信なし)。でも、これはマジで40億は行ってしまいそうな勢いです。凄い。
 2位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は37日間合計で36億~37億強、というところだろう。極めて順調。先週は、去年よりチョイ落ちで40億微妙かも? と書いたけれど、どうも勢い維持で、去年より良さげな気配。これは40億超えそうですね。これまた凄い。
 3位:『バットマンVSスーパーマン』が17日間累計で15億には届いていないと思うが、間近なあたりだろう。後追いのTVスポットも流しているので、正直なところ、もっと稼いでくれないと困るような気がする。20億は大丈夫……だと思いたい。
 4位:『ちはやふる―上の句―』が23日間合計でこちらは11~13程度と予測。ちょっと微妙だがしっかり4位キープは素晴らしい。ただ、もう「下の句」の公開が迫っており、東宝的な思惑としてはきっと3億~5億ぐらい期待より低いように思う。根拠はないですが。20億はちょっと微妙な雲行きか。
 5位:『僕だけがいない街』が23日間合計で、これもおそらく11~12億ぐらいと思われる。先週からランク的には上昇。
 6位:『アーロと少年』が30日間累計で15億は超えたと予想。PIXERで20億届かないとかなり苦戦と見るべきか。
 7位:『仮面ライダー1号』が16日間でまだ5億に届いていないのではなかろうか。
 8位:『ルーム』が公開土日の2日間で0.5億ほどか。金曜日を入れても0.6~0.7億あたりだと予想します。洋画が本当に売れないのは悲しい。スクリーン規模も、100もなくてこじんまりな公開。アカデミー主演女優賞受賞の注目作なのだが……。
 9位:『あやしい彼女』は9日間で2億チョイと見る。韓流映画のJAPANリメイク。面白そうなんですが、観てないので何とも……。
 10位:『映画プリキュアオールスターズ』が23日間合計でおそらく5億は超えたと思われます。

 というわけで、今週はランキングにあまり変化はなし。アカデミー賞関連としては、主演女優賞を獲得した『ルーム』の公開がありましたが、ちょっと寂しいスタート。でもまあ、スクリーン規模からすれば、十分以上に期待に応えていると言えるのかもしれない。わたしは今のところ観るつもりはないけれど……うーむ、やっぱり観に行くべきか……わたしの趣味としては、今週のTOHOの日(14日・トーフォーの日)は六本木へ『ボーダーライン』を観に行くつもりです。こちらは14位だったそうで、恐らく公開土日で0.2億ほどだろう。とにかくスクリーンが少なくて残念というか悲しい……。あと、わたしがたいへん楽しませていただいた、山田洋次監督の『家族はつらいよ』は30日間合計でまだ11~13億程度ではなかろうか。最終的に15億にギリ届くかどうか、微妙なラインであろうか。どうだろう、大丈夫だろうか? ホント、こういう邦画には頑張ってほしいです。

 というわけで、結論。
 本日は全然ネタがないのですが、とにかく『暗殺教室』と『ドラえもん』の順調ぶりが目立つものの、他の作品がやや元気なし、な春興行であります。以上。

 以前も書いた通り、恐らくは誰もがその存在を知っている「宝塚歌劇」というものは、そのネームバリューの割には、その詳細についてはあまり一般的には知られていない部分がたくさんあると思う。例えば、宝塚市にある「宝塚大劇場」と日比谷にある「東京宝塚劇場」だけで公演を行っているわけではなく、他の劇場でも精力的に公演を行っているのだが、ご存知だろうか? その中には「全国ツアー」と呼ばれる公演というものがあり、その名の通り、日本各地の劇場を1日とか2日の公演で回るもので、我が地元の市川文化会館も、その全国ツアーがやってくる定番劇場のひとつとなっている。
 市川は、東京から1時間かからないぐらいの程近い場所にあり、年に1回か2回は必ず「全国ツアー」がやってくるのだが、わたしも地元民として、ああ、今度来るんだ、と思ってもチケットを取るのが非常に難しく、一度も地元で観たことはなかった。 が、今回、わたしのヅカ友の美しいお姉さまから、「チケット余っちゃったんだけど、どうかしら?」というお誘いがあり、おっと、市川ならオレ、地元なんで、チャリでいけるっす。買わせていただくっす。というわけで、なんの努力もせず、チケットを入手したわけである。それが、昨日の夜観てきた月組全国ツアー公演、『激情~ホセとカルメン/Apasionado!! III』である。
gekijoh
 ↑動画を探したのだが、ないっすなあ……というわけでポスター画像はこんな感じです。
 さて。今回は、わたし的には雪組に次いであまり縁のない月組である。月組は、現在TOPスターである龍 真咲さん(通称:まさお)が次の大劇場公演をもって退団することを発表しており、そのまさおちゃんは現在、ソロコンサート公演を梅田芸術劇場で行っているので(先月まで赤坂ACTシアター)、今回の全国ツアーには参加していない。そして今回の全国ツアーの主役を演じる珠城りょうさん(通称:たまきち)が、次の月組TOPスターに就任することも、既に宝塚歌劇団から発表されている。なので、事実上のTOPお披露目公演と言っていいだろう。そういう意味では、月組ファンの皆さんとしては、まさおちゃんのコンサートも、たまきちの全国ツアーも両方行かないと!! と嬉しい悲鳴であるのではなかろうか。
 しかし、星組を愛するわたしとしては、たまきちくんは94期生と非常に若く、確か、お相手の娘役月組TOPの愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴちゃん)が95期生だから、これほど近い期のTOPコンビって珍しいのではないかなーと漠然と思う次第である。なにしろ、我が星組は、TOPスター北翔海莉さん(通称みっちゃん)が84期、娘TOPの妃海風ちゃん(通称:ふうちゃん)が95期と、歳の差カップルである。ちょっと気になったので、一覧にしてまとめてみよう。 
TOPスター 娘役TOP
星組 北翔海莉さん(84期) 妃海風ちゃん(95期)
花組 明日海りおさん(89期) 花乃まりあちゃん(96期)
宙組 朝夏まなとさん(88期) 実咲凛音ちゃん(95期)
月組 龍 真咲さん(87期)
→珠城りょうさん(94期)
愛希れいかちゃん(95期)
雪組 早霧せいなさん(87期)咲妃みゆちゃん(96期)
 とまあこんな感じなので、たまきちくんの若さはかなり目立つ存在である。わたしは月組公演に関しては、ここ数公演はずっと観ているが、毎回必ず観ているわけではないので、たまきちくんについても、あまり以前の活躍ぶりを意識していなかったので、今回のTOP指名で、へえ、それはちょっとチェックしないといけないなと思っていた。なので、今回の主役を張る全国ツアーは大変楽しみにしていたのである。
 しかし改めてまとめてみると、現在のTOPの中では、現・花組のみりおちゃんが最古参TOPスターか……はーーー時が過ぎたのう……かつて月組でまさきちゃんとともに、切磋琢磨していた二人だが、まさきちゃんが退団して、みりおちゃんが最古参TOPとは……。そして94期のたまきちくんがTOPになるということは、わたしが愛してやまない星組の礼 真琴ちゃん(95期)も、TOPになれる日が近づいているかもしれないっすな。その日が来ることを楽しみに待っていよう。
 
 で。今回の公演である。結論から言えば、かなり良かった。たまきちくん、若干ガタイが良い系の男役としては比較的王道といって良いのではないかと思う。歌もダンスも、いいじゃないですか。「カルメン」だけに、フラメンコがダンスの基本になるわけですが、かなり良いですね。これなら安心ですな、と上から目線で思うわたしは月組ファンのお姉さまたちに殺されるのは必至だが、ともかく非常に良かったと思う。しかし本当に若さあふれてますね。もう少し貫禄と、なんというか色気のあるエモーショナルな芝居? が身に付いてくればもう完璧だと思う。
 そんな風にわたしが偉そうに言うのはひとつだけ理由がありまして。
 実はこの、『激情~ホセとカルメン』という作品は、2回目の再演で、初演が1999年の宙組で、このときのTOPスターが姿月あさとさん&花總まりさん。この公演はわたしは観ていない。で、1回目の再演が、わが星組の柚希礼音さん&夢咲ねねちゃんのLEGENDコンビで、わたしはこの公演は観た。先週も書いたとおり、わたしは柚希礼音さん、通称ちえちゃんが大好きだということもあるのは間違いないのだが、この『激情』のちえちゃんがスーパー・ウルトラ・カッコイイんすよね。そしてねねちゃんの芝居も本当に素晴らしい大傑作だとわたしは思っているのだが、特に、もう怒鳴ってんじゃね? というぐらいの「ジェラシー」の熱唱シーンは失神モノである。比較するのは、たまきちくんに対して大変失礼であることは承知しているが、やっぱりちえちゃんの超絶なカッコよさが脳に鮮明に焼き付いているので、今回偉そうなことを申し上げた次第です。サーセン。でも、ほんと、たまきちくんも大変よかったと思います。ちょっと今後は月組も応援していきたい所存である。そういえば、ちえちゃんVerのときに星組生として出演していた早乙女わかばちゃんは、おととし月組に異動になって、今回も出ているので、唯一の前回との連続出演キャストかな、ひょっとして? 彼女も大変可愛いです。
 お話の方は、ビゼーのオペラや、映画にも何度もなっているProsper Merimeeの小説『カルメン』が原作である。これは、月組の前回の大劇場公演『舞音』とちょっと話が似ている。ともに、いわゆるファム・ファタールと出会ってしまった男の破滅の物語だ。なので、主役はある意味、そのファム・ファタールを演じる娘役とも言える。文学史上非常に有名なファム・ファタールとして名高いマノンとカルメンの二人をを演じたちゃぴちゃん。彼女は娘役としては非常に背が高いなーと思っていたら、どうも一度、男役をやっていたこともあるそうですね。へえ。なるほど。しかしやはり、非常にスタイルが良く、顔も小さく、非常に別嬪さんである。とてもいいですな。
 というわけで、毎度お馴染みの、今回のイケ台詞の発表です。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「あたいは……あんたに惚れたわ!!」(そしてブチューーとキス)
 今回は、初めて娘役からのイケ台詞ですが、カルメンのこの台詞が、今回わたし的に一番グッときました。あたい……いいすね、あたい……現実世界では、まだわたしは、「あたい」という一人称を使う女子に出会ったことがないが、出会ったら100%惚れると思います。オレもお前に惚れたぜ!!
 最後に、自分用備忘録。初めての全国ツアーは大変楽しめた。ショーでの手拍子なんかは、大劇場公演より盛り上がってたのでは? と思うぐらい会場ノリノリであった。そして噂で聞いてた「5段しかない大階段」も初めて観た。いいすね、アレも。チャリで行ける場所でヅカ鑑賞というのも大変有り難しである。車は置けないかなと思ってたのに、余裕で駐車場に置けるようだったので、次は車で行こっと。駅から微妙に遠いので、車で行けばお姉さまたちを駅まで送れるしな。

 というわけで、結論。
 月組全国ツアー『激情~ホセとカルメン』はわたしとしては思わずちえちゃんVerと比べてしまったのだが、お許しいただきたい。しかしそれでも、たまきちの次期TOPとしての熱演は非常によかったと思います。カッコイイのは間違いナシです。ちゃぴちゃんもわたしとしては大変気に入りました。もちろん、ねねちゃんVerも素晴らしかったですけどね。ねねちゃんVerの方がもっと悪女っぽかったかな。久しぶりにまたBlu-rayでちえちゃんVerも観てみたくなりました。お話的に分かりやすいし、ヅカ初心者にもおすすめっすね。以上。

↓映画も数多くあるけれど、基本はオペラですね。 
ジョルジュ・ビゼー:歌劇《カルメン》[Blu-ray Disc]
クリスティーネ・ライス
OPUS ARTE
2016-03-30

↓ そして原作はこちらっす。大学2年か3年の頃に読んだ。わたしも持ってる岩波文庫版は非常に読みにくい。
カルメン (岩波文庫 赤 534-3)
プロスペル・メリメ
岩波書店
1960-12-05

 Harper Collinsという出版社があるのだが、出版業界人以外にも有名だろうか?
 アメリカのいわゆる「メディア・コングロマリット」と称されるNEWS Corporation傘下で出版部門を担当する事業会社だ。ま、今はもう、NEWSも傘下にいた20th Century FOXが分社してしまったので、コングロマリットとは微妙に言えなくなってしまったかもしれないが、Harper Collins社は今でもNEWSの子会社である。
 しかし、その日本法人であるハーパーコリンズ・ジャパンが、秋葉原の片隅にあることは、おそらく業界人でもあまり知らないと思う。 もっとも、日本においては、その傘下にある「ハーレクイン」レーベルを出していた株式会社ハーレクイン(?良くわからん)が、去年名前を新たにしただけなのか、別の法人として設立したのか、正直良くわからないけれど、とにかく、かの「ハーレクイン」を出版していることでお馴染みの会社である。わたしは、以前、何かの記事で、ハーレクインを市場の勉強のために読んでみたことがあるとここで書いたような気がするが、ハーレクインは実にユニークな生態系を形成していて、興味のない方には全く知られていないような、出版活動を日夜行っている。そのファン層や営業スタイルも非常に面白く、不可思議で興味深いレーベルである。
 わたしが先日、電子書籍のコインバックフェアの際に買ってみた作品、『POISON STUDY』(日本語タイトル:『毒見師イレーナ』)は、まさしくハーパーコリンズ・ジャパン謹製の作品であり、ハーパーコリンズ・ジャパンとして立ち上げた「ハーパーBOOKS」というレーベルの創刊ラインナップの一つだそうである。もっとも、わたしが買った時は、そんなことは全く目に入らず、なんとなくあらすじをチェックしてみて、読んでみてもいいかな、と深く考えずに買ったわけだが、読み終わった今、本作について
 1)あきらかにこれは、ラノベである。アメリカ的に言うと、Young Adultノベルですな。
 2)ハーレクインらしい、女子が読んで面白いロマンス成分アリ
 3) アメリカのYAノベルのお約束、1人称小説でヒロインモテモテである。
 4)そしてこれまたYAノベルのお約束の「三部作」となっていて、本作はその1作目。
 といったことが判明した。 要するに、想像と全く違うものだった、というわけである。
毒見師イレーナ (ハーパーBOOKS)
マリア・V スナイダー
ハーパーコリンズ・ジャパン
2015-07-23

 ちなみに、読み終わった後、この本は一体、本屋さんのどこの棚に置かれているんだろう? という疑問があったので、ちょっと大きめの本屋で探してみたところ、普通に海外翻訳小説文庫の棚にいた。一応、平積みもされていたのは、2巻目が3月新刊で出たばかりだからのようだ。手に取ってみて驚いたのは、なんとこの『毒見師イレーナ』の帯には、わたしが芸能人で友達になりたい方ナンバーワンの壇蜜さまが、推薦キャッチを書いていらっしゃった。さすがお蜜ちゃん。好きです。いやいやいや、あぶねえ。そんなわたしの告白はどうでもいいとして、もう一つ、驚いたのが、その紙質である。なんというか、雑誌付録の小冊子めいた、何とも斤量の軽い紙で、ああ、こりゃあちょっと、読書好きは萎えちゃうかもなあと思いつつ、そうか、ハーレクインはこの紙がデフォルト設定なのかも、というような気もしたので、この点は別に、普通の人には全くどうでもいいことかもしれない。いずれにしても、出版業界人は本を手に取って、その重さの感覚で使っている紙の質の想像がつくという特殊技能を身に付けているので、意外な軽さはわたしにはちょっと驚きであった。そして奥付を確認したところ、2015年7月の初版であったので、売れていないのだろう、という想像もついた。この紙でこの定価(税込980円)である。恐らくは部数も少ないのであろうということも容易に想像がつく。本書のターゲットは確実に10代~20代の女子のはずだが、おそらくこの値段では手が出まい。その点では、日本では全く売れていない、『Twilight』シリーズや『The HUNGER GAMES』シリーズと同じ運命というか、ちょっともったいないような気もした。常々、もうちょっと日本でも売れる方法があるんじゃねえかなあ……と思っているが、まあ、これもまた言うだけ詐欺になるので黙っておこう。なんというか実にもったいない。

 で。物語は、まさかこれがハーレクインとは、と思うほど、あらすじを書くとかなりハードな異世界ファンタジーである。主人公イレーナは18歳。物語は、彼女が地下牢に繋がれているところから始まる。どうやら、領主の息子をぶっ殺した罪で投獄されており、死刑囚らしい。そしてその彼女が、死刑を執行されるか、「最高司令官」と呼ばれるこの国のTOPの、「毒見役」として生きるかの選択を強いられる。ま、ここで死刑を選んだら物語は終了なので、当然毒見役としての生を選択するわけですが。そしてその指導に当たる凄腕の暗殺者兼最高司令官の右腕(防衛長官)の男が、またいい男ですよと。で、訓練を重ねて、いろいろなキャラとの交流を経て、イレーナは成長していくと。そしてイレーナがなぜ投獄されていたのかといった背景や、舞台となる世界の説明があって、どうやらこの世界には「魔術」なるものまであることが分かり、どうもイレーナも、魔術の才能が有りますよと。まあこんな風にして話が展開されて行って、イレーナも暗殺者の男も、もうお互いぞっこんLOVEですよと。で、最終的にはイレーナがぶっ殺した男の父たる領主と、その領主を実は操っていた魔術使いとの対決があって、当然勝利して、おしまい、とまあこんなお話であった。超テキトーなまとめでサーセン。

 まあ、ジャンルとしては異世界ファンタジーと見做して良いと思うのだが、その世界観は妙に独特なものがあり、いくつか非常に興味深い特徴がある。ちょっとそれをまとめておこう。
 ■時と場所
 特に明示はない。地球上なのかどうかも良くわからないので、異世界、と言って良いのか良くわかん。『The HUNGER GAMES』や『DIVERGENT』などに見られるような、「何らかの最終戦争後の未来のディストピア」的なイメージでもない。妙なふわふわ感がある。
 ■文明レベルと政治体制
 まず文明レベルだが、電子機器や銃火器の類は一切ない模様だが、食文化はかなり発達している模様。医療技術に関してもかなり未発達。まあ、イメージ的には18~19世紀ヨーロッパ近代あたり、だとは思う。
 が、どうも思考レベルが非常に現代的なのが、どうもミスマッチと言うか、独特である。それは、キャラクターの言動がやけに現代っぽいことから、わたしにそう思わせるのかもしれないが、最大のポイントは政治体制である。
 設定としては、かつては王国であった国が、軍事クーデターによって王族は処刑され、代わって「最高司令官」を頂点とする軍閥支配になっていると。ちなみにそのクーデターから10年チョイの時しか流れていないらしい。で、どうやら国土は8つの「軍管区」に分割されていると。そしてそれぞれを統治する「将軍」なる存在がいて、先ほどわたしは主人公が殺したのは「領主の息子」と書いたけれど、実際には「将軍の息子」であり、その地を実効支配しているので、まあ領主に近い存在だ。で、これら「軍管区」は、本書の冒頭に掲載されている地図によると、極めて幾何学的な区割りをされているのだが、これもまた『The HUNGER GAMES』や『DIVERGENT』のように、それぞれの区画には明確な役割があるわけではなく、これまたふわふわな区分けである。『The HUNGER GAMES』や『DIVERGENT』も国土が明確に区分けされていて、それぞれ、ここは工業、ここは農業、ここはなんとか、のように、明確に区分けに意味があったのだが、それはどうも本作では、(何か説明はあったような気がするけど)あまり明確な役割や意味付けはなかった。
 ■「行動規範」なる法律(?)
 そしてそんな軍人支配の国なので、暴力が支配する国なのかというと、決してそうではなく、「行動規範」なるものが存在しており、すべての国民はその「行動規範」に従う義務を負っており、いわば最高司令官は、その規範を守り、国民を裁く裁判官的な役割を負っている。そして国民には「職業」が全員に与えられており、その職業ごとに決められた「制服」を着用することが義務付けられている。
 なので、独裁政治、ではあるものの、行動規範によって統治されており、また最高司令官も悪人ではなく、今のところ、民衆の間には体制への不満はない、らしい。ただし、各軍管区間のパワーバランス的なものがあって、最高司令官は暗殺の危険があるらしく、そのため、毒見役が職業として規定されていると言う事になっているようだ。どうすか、非常に独特というか、なんか妙でしょ? まあいずれにせよ、かなりふわふわです。
 ■魔術について
 この世界には、「魔術」なるものが存在していて、「魔術師」という人々が物語の鍵を握っているのだが、正直まったく良くわからない。どうも、サイキック的存在のようだが、その魔術の源となる謎エネルギーについても、わたしは全然良く分からなかった。この設定が、妙にこの作品を不思議なふふわふわ空気に包み込んでいるような気もする。ま、謎の能力を秘めた選ばれし者、的な感じすかね。いずれにせよ、良くわからんす。

 で、キャラクターはどうなのかというと、こんな感じになってます。
 ■主人公のイリーナ・・・第5軍管区で、将軍とその息子に「実験」という名のもとに凌辱されていた可哀想な美少女(18歳?)、なのだが、その実験の実態も良く分からず、また、後半明かされてくる「魔術」との関係も今回は明確ではなく、次巻以降に持ち越し。このイレーナの1人称小説なので、非常にライトノベルっぽく、行動や思考が幼いのはやむなしか。カバーイラストは、イラストレーターのクレジットがなくて誰が描いたものかわからないのだが、どうも見たような気がする絵なんだよな……。だけど、基本的にはこのイラストは、描写に添ったイメージに割と合っているような気がするので、悪くない、と思う。
 ■イリーナを管理・訓練するヴァレク
 まあ、イケメンなんでしょうな。どうやら年齢は30歳ぐらいらしい。強いし、優雅だし、ほぼ無敵ですね。しかし、イレーナも美少女、ヴァレクもイケメン、というわけで、まあ、ラノベですな。女子的にはきっと、彼のカッコ良さに痺れるのでしょう。二人の距離が、近づいたり離れたりとじれったさもあって、女子的にはドキドキやきもきしながら楽しめるのでありましょう。いいんじゃないですかね。
 ■最高司令官アンブローズ
 クールな人物で皆から信頼されている存在だが、若干うかつな面もある。後半、すごい秘密の暴露があって、ああ、そういうことですかという展開に。
 そのほか、中盤以降、イリーナと仲良くなる二人の男性兵士が出てくるが、この二人もイリーナ大好きになりつつあって、まあきっと、アメリカYA小説お約束の、モテモテヒロイン展開も今後繰り広げられるのではないかという気配はある。US女子たちは大好きですからね、わたしのために争うのはやめて的な展開は。

 というわけで、もういい加減長いので結論。
 本作『POISON STUDY』(邦題:「毒見師イレーナ」)は、典型的なアメリカンYAノベルであった。ただその世界観は非常に独特で、あまり見かけないタイプの作品としてユニークであるように思える。3部作らしいが……まあ、次を読むかは決めてないです。続きが超・気になると言うほどではなく、少なくともまだ日本語訳が発売されていない3巻が発売になったら、先を読むか考えます。それにしてもこのカバーイラストを描いたイラストレーターは誰なんだろう? 以上。

↓ これが2巻っすね。読むかどうかは3巻出てから考えよう。
イレーナの帰還 (ハーパーBOOKS)
マリア・V スナイダー
ハーパーコリンズ・ジャパン
2016-03-17

 

 

 以前、ここで、わたしがいつもチェックしている映画予告編を集めたポータルサイト「Traileraddict」のことを紹介したことがあったような気がするが、2014年の初めのころ、このサイトで見たとある映画の予告編がちょっと気になっていたものの、一向に日本公開される気配がなく、完全に記憶から消滅していた映画があった。まあ、そんな風に、Traileraddictで観て、うお、なんか面白そうと思っても日本公開されない映画は山ほどあるのが現実である。
 しかし、その映画は、去年2015年の5月に、ぽつんと日本公開されるに至り、わたしも日本版予告編を見て、あれっ!? これ知ってるような……ああ、あれだ!! と思い出した。なので、さっそく観に行くか、と思ったのだがいかんせん公開スクリーン数が少なく、東京ではあっさり劇場公開が終わってしまって、まあしょうがない、WOWOWで放送されるのを期待しようと思っていたところ、去年の9月に鹿児島を旅した時に、夜予定が狂ってヒマになってしまい、じゃあ映画でも観るかと天文館に行ってみたのだが、そこでこの映画が上映されているのを発見して、おお、マジか!! と思ったものの……結局その夜は、これまた東京で見逃していた『CHILD 44』も上映していたので、結局そちらを観ることにして、結局、今日これからレビューを書く映画は見逃していたわけであります。
 はー……我ながら長い文章。こういうのを駄文と言いますね、おそらく。 
 で。その映画のタイトルは『THE SIGNAL』。邦題はそのまま『シグナル』である。先日やっとWOWOWでの放送があったので、おお、やっと来たか、とさっそく観てみたのだが、観終わって言えることは、お話的にはちょっとこれはアカン奴や、という程度のものであったものの、かなり映像のセンスは良い、と思える作品であった。

 まずは予告編を観ていただきたい。どうだろう、結構面白そうに観えませんか?
 物語は、まあほぼ、上記の予告編で語りつくされていると言っていい。ニックとジョナという二人の男子大学生。彼らはMITの学生らしく、かなりITスキルが高く、なかなか頭がいい。そんな彼らの通うMITのサーバーに、NOMADと名乗るハッカーがMITのサーバーに侵入してきて、何かと挑発的な言葉を残す事件が起こったらしい。二人は、ニックの彼女のヘイリーが西海岸に引っ越しをすることになったため、彼女の車を運転して引っ越しを手伝い、見送りながら、ついでにNOMADを追跡してみようと車を走らせる。そして西海岸へ向かう道中、あまり気が進まない彼女とともに、ここがIPアドレスの示す土地か? と思われるネバダ州のとある廃屋までやって来る。どう見ても完全に廃屋で、人が住んでいる気配はない。彼女を車に待たせて、廃屋の中を捜索する男子二人。その時、彼女の悲鳴が!? なんだなんだ!? と慌てて外に出る二人。しかしそこで二人の記憶は途切れる。――はっ!? と気づくと、ニックはなにやら謎の施設? 病院? で車椅子に座らされていた。ここは一体? ジョナは? ヘイリーは? そして、なんでオレ、車椅子? 全然足の感覚がないんだけど? とまどうニックの前に、全身防護スーツを着込んだ怪しいおっさんが現れる。そのおっさんから語られたのは、「キミは地球外生命体と接触し、感染している」という衝撃の事実だった。そしてニックの足は、既に――とまあこんなお話です。

 まあ、お話的にはいわゆる「アプダクション(=第4種接近遭遇)」モノとしてありがちだし、正直オチもイマイチなので、もはやその辺は触れないけれど、この映画の最大の見所は、その映像であろうと思う。ただ、演出が若干素人っぽいので、やや飽きてしまうのだが、シーンごとの「画」のセンスは非常に観るものがあると思った。CGの質感も極めて高い。上記予告でも、それっぽいシーンが結構あるでしょ? 大変良いと思います。
 公式Webサイトには、<『第9地区』『クロニクル』を凌ぐ、SFスリラーの傑作>なる惹句が誇らしげに掲載されているが、まあ、凌いではいないと思うな。ただし、同等(あるいはもうチョイで同等)、ぐらいのCG力はある。確かにわたしも、観ながらこのCGの質感は『第9地区』のCGに近いな、と思っていたので、まさか公式サイトで「凌ぐ」とまで謳っているとは思わなかった。非常に本物っぽい、レベルの高いCGだと思う。この監督は、演出はともかくとしても、画はセンスアリ、だと感じた。
 なので大変気になって、この監督は何者なんだ!? と調べてみた。
 監督はWilliam Eubankという1982年生まれの現在33歳の小僧らしい。うーん、知らん。英語版Wikiによると、どうやら撮影が専門のようで、まだ監督はそれほど経験がないようだ。なるほどね、「画」のこだわりはそういうことかと納得である。全然関係ないけど、日本のMIKASA(=知ってるかな? バレーボールの球を作ってことでお馴染みの会社。世界的に有名)のCMを18歳の時に撮ってるらしい。へえ~。まあ、いずれにせよ、やっぱり「画」には大変こだわりのある小僧なのだろう。ちょっと名前を覚えておくことにしたい。
 役者は、主人公ニックを演じたのがBrenton Thwaites君26歳、その友達で眼鏡のGeek青年ジョナをBeau Knapp君26歳、そしてニックの彼女ヘイリーをOlivia Cooke嬢22歳がそれぞれ演じている。が、残念ながらみな知らない若者たちだ。それぞれも調べてみると、そうやらまずBrenton君は、かの『Maleficent』で全く役に立たなくて空気だったフィリップ王子を演じていた彼だそうで、全然そんなこと忘れていたというか分からなかった。彼は、どうやら次の『Piretes of the Caribbean』にジャック・スパロウ船長に次ぐ主役級で出演するみたいですね。意外と期待の若者なのかもしれない。で、次にBeau君は、かのJJ.Abrams監督作品『SUPER 8』に出演していたらしいが、サーセン、もう、どの役だったのか、さっぱりわからないです。そして最後、ヒロインのOlivia嬢は、今までどこでも出会ってないようですな。それなりに出演しているようだが知らない作品ばかりだ。
 こんな若者ぞろいの中にあって、一人、異彩を放つ怪しい防護服のおっさんを演じたのが、Matrixシリーズのモーフィアス役でお馴染みのLaurence Fishburne氏である。最近ではBatman v Supermanにも、クラーク・ケントが勤務するデーリー・プラネットの編集長でもお馴染みですな。相変わらずの怪しさと雰囲気は大変貫禄がありました。正直いつも通りの芝居ぶりであったが、彼の芝居ぶりはこの映画の質をちょっとだけ高めることに貢献していると思う。悪くないですね。
 まあ、この作品は、予算400万ドルの低予算作品である。しかし、だ。日本で予算約4億円でここまでの映像を撮れる才能は存在しているのだろうか? この予算で、このCGの質感を日本で出せる人はいるのか? と考えると、この映画をそう簡単につまらんと切り捨てるわけにもいかないような気がします。まあ無理だろうな、日本では。物語がもう少ししっかりしていれば良かったのだが、まあ、物語としてのこの作品にキャッチコピーを付けるとしたら、「ぼくは戦う――きみを守るために。」みたいな、ラノベ中2的なものの方がいいと思いますね。そういう意味では、物語力は日本は決してUS作品に引けはとっていないと信じています。

 というわけで、結論。
 監督も役者も、全然知らない若者たちで作られた本作は、とにかく物語的にかなり物足りないというか、もう少し中2成分を増量して、ドラマチックに展開できたのではないかと思うものの、その芝居ぶりは決して悪くないし、映像的には非常にクオリティは高いと思う。悪くないじゃん、と言うのがわたしの感想であります。ただまあ、映画オタク向けで、普通の人が見たら、たぶん、ポカーン……となることだと思います。以上。

↓ MIKASAと言えば、これっすね。

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 まずは今週の週刊少年チャンピオン2016年19号の概況です。まあ、今週もおとなしめでしょうか。
 ■『弱虫ペダル』:インターハイ2日目のゴール地点である榛名山へと向かう寒咲さんや杉本くん御一行。2日目は、山岳頂上フィニッシュではないものの、ゴールまでには、登り切った後に、ほんの少しの下りと平坦があるだけです。つまり、クライマーたちだけが戦う山岳賞争いではなく、エースが出陣するゴール争いにもなるわけです。ええと、説明がめんどくさいのですが、要するに、2日目は事実上山頂フィニッシュと同等だという事ですな。山岳ポイントからゴールまでの距離があるならば、山岳ポイントはクライマーが獲っても、ゴールまでにはエースは追いつくことができるけれど、山頂とゴールが近いので、クライマーだけ先行してしまうとそのままゴールも取られちゃう、というわけです。まあ、これはロードレースとしては常識ですね。というわけで、先頭に追い付いた熊本台一がアホみたいにおしゃべりしてノロノロしているうちに、キモー筋くん率いる京都伏見がアタックを仕掛けたと。そしてそれに瞬時に反応した箱根学園のエース葦木場くんとアシストクライマーの新開弟、黒田くんは前日の落車の影響と、スットロイ熊本台一が邪魔で追走できず、な状況になったというところまででした。わたしとしては、キモー筋くんのアタックが当たり前すぎて、箱学が若干うかつだったとしか思えませんが、ここで一人、先頭集団にいた我らが「総北の赤い豆粒」の鳴子くんの登場ですよ!! 来週、鳴子くんのカッコ良さが炸裂することはもう確実ですね!! 楽しみです!! たぶん、鳴子くんが本当に登れる脚質に努力を重ねていたとしたら、元々ピュア・スプリンターの鳴子くんが本来的には一番有利なコースレイアウトのはずです。しかも一度も先頭を曳いていないようだし。今度こそ勝ってくれ!!
 ■『牙刃道』:ピクルvs武蔵、開戦の巻
 ■『囚人リク』:まさかの沢田の過去話。沢田、ごくあっさり敗戦の巻。
 ■『少年ラケット』:イチローくん、第2セット取り返す。ビリーさん、本気モードに、の巻。
 ■『ニコべん!』:空気を読む達人の鳥田くん、活躍す、の巻。合宿完全終了。早く料理に戻りましょう。
 ■『錻力のアーチスト』:之路キャプテン気迫の投球で弐織兄を打ち取り、投手戦へ。7回表まであっという間に進み、7回裏、桐湘の攻撃へ。雨が降ってきたのが事態を変えるか……? まで。
 という感じです。
 チャリンコ野郎としてわたしは、J-SPORTSを契約して毎年ヨーロッパのレースを楽しみに観戦しているのですが、先々週から、いよいよ今年の「春のクラシック」レースが始まっています。これがですね、また非常に盛り上がってるんすよ。すげえ熱い戦いで。
 「春のクラシック」とはなんぞや? という方は、このJ-SPORTSのWebサイトでも見ておいてください。要するに、オランダやベルギーあたりのフランスの北の方で行われる歴史あるレースのことで、「ワンデーレース」であり、「距離が長い」のが特徴といっていいかな。今、坂道くんたちは、3日間にわたる「ステージレース」を戦っていますが、ワンデーはその名の通り、1日だけ、のレースです。なので、ステージレースとは全く違う戦略が必要になり、コースレイアウトによって活躍できる選手がまったく異なります。普通は、「春のクラシック」は、あまりクライマーの出番はなく、ピュアスプリンターか、超激坂を一気に登れるパンチャータイプが勝ちます。そうなんです。「春のクラシック」は、超ウルトラスーパー激坂が登場するのですが、山岳、というような長いものではなく、街中にある数百メートルほどと短いけどすっげえ斜度の坂、なので、じわじわ登るのではなくて、オラァアアアアーーーー!!! と爆発的な登坂力が必要なのです。そういう点でも、ステージレーサーとクラシックレーサーは、若干タイプが違うんすよ。マジでチャリンコ・ロードレースは面白いっす。そしてその面白さが分かると、『弱虫ペダル』はもっと面白く読めるようになりますぜ。
 おっと! いけねえ!! また無駄話が長くなった。

 さて。では、今週の『鮫島』ニュースです。
 先週、ついに鯉太郎の同期【蒼希狼】との幕内初顔合わせとなった一番は、鯉太郎の掬い投げで決着がつきました。NHK解説席の虎城理事長も、「序盤中盤のバタバタした相撲は誉められたモノではないが 最後の投げは・・・まぁ誉めてやってもいいでしょう・・・」とご満悦です。もうこの人、すっかり鯉太郎を認めていますね。何気にツンデレキャラぶりを発揮し始めています。【蒼希狼】も、ようやく、力士として「あの頃以上に」必死で生きる覚悟を決めました。花道で戦いを見届けた【大山道】兄貴も山ノ上親方も嬉しそうです。
 しかし――!! 大変なことが!! 勝利した鯉太郎が!! 気を失って土俵に倒れる鯉太郎。ついに……ついに恐れていた事態が!! 椿ちゃんは手で顔を覆って、「嫌だ・・・」と涙します。幕内上位に巣くう圧倒的な力を持つ力士たちと戦い、一度その壁にぶつかってカラッポになってしまった【蒼希狼】は叫びます。「もう一度始まりをお前がくれた・・・そんなテメーがここでヘバってんじゃねーーーぞ バカーーーーーーー」。その叫びが届いたのか、鯉太郎はようやく立ち上がります。「誰が終わるか バカーーー・・・」。立ち上がる鯉太郎に手を差し伸べ、二人のがっしりと組み合わされた手のアップで今週は終了です。
 はーーーヤバい……とうとうあしたのジョー的展開になってきましたね……果たして鯉太郎は、千秋楽まで戦えるのでしょうか。そして千秋楽で、ホセ・メンドーサ的最強チャンピオンの横綱と戦って燃え尽きるのでしょうか。つらいっすな……鯉太郎、お前の、明日は、どっちだ!?
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
  --------
 【天雷】東関脇 
 【田上】番付不明 
  --------
 というわけで、結論。 
 鯉太郎の今後が極めて心配な事態がどんどん進行しており、大変ドキドキです。佐藤先生、もうわたし、泣きそうなんですけど!! 今後も全く目が離せない展開ですね!!
 そして、鳴子くんが今度こそ、カッコ良く決めてほしいと心から願います。でないと、鳴子くんが気の毒すぎるので。渡辺先生、そこんところ一つよろしくお願いします!! 以上。

↓ 今週末は「北の地獄」と呼ばれる「パリ・ルーベ」というレースがあります。これがまた、すげえ毎年盛り上がるのです。わたし的にはやはり、2010年の、ファビアン・カンチェラーラがクラシック4連勝した、あの圧倒的な強さの年が忘れられないですな。異常だったよ、あの年の彼の強さは。泉田くんの背筋の呼び名でもおなじみの選手です。
パリ~ルーベ 2010 [DVD]
スポーツ
東宝
2010-05-28





 

 はーーー。なんか忙しい。
 というわけで、今日は、現在読んでいる本(『毒味師イリーナ』を読んでます)が、本当は昨日には読み終わるだろう、と思っていたのにまだ60Pほど残っていて読み終わることができず、そのため全くネタがないので、最近、こ、これは……!? と思って思わず買ってしまったブツを紹介してお茶を濁すの巻です。

 近年、もう完全にパソコンのモニターやテレビという物体は、かつてのブラウン管が絶滅し、液晶パネルに入れ替わったわけだが、この液晶モニターというものの、最大の特徴は、「薄い」という点にあると言えるような気がする。勿論、省電力だったり、重量的に軽いとか、いろいろなメリットはあるわけだが、この、「ブツとしての薄さ」に関しても、何かと優位性があるんじゃなかろうかと思う。
 しかし、一方で、どんどん大画面化してきた現在において、意外と置く場所を占有する物体でもあって、薄いがゆえに、ちょっとしたプチ困るポイントというか、 「この上にモノが置けたらなー」と思う人も世には数多く存在しているのではなかろうか。
 かく言うわたしも、机の上に32インチ液晶モニターを設置して仕事をしているので、意外と横幅があって、作業効率的には大画面&高解像度(2560×1440で使用中)で大変具合が良いのだが、 いかんせん机の上がいっぱいいっぱいで、ちょっとした筆記用具やメモ類などを置くスペースがかなり減ってしまったわけです。なので、何気にわたしとしては、「液晶モニターの上になんかちょっとした置き場スペースがあるといいんだけどなー」と切望していたため、わたしがほぼ毎日チェックしている、Impress社のWeb媒体、WATCHシリーズでこの記事を見かけた時、「こ、これは……アリかも!!?」と俄然欲しくなってしまい、購入に至ったわけです。 ↓ これ。

 詳しい説明は、KINGJIMの公式Webサイトを見てもらった方が良いだろう。上記にリンクを貼った、Impress家電Watchの記事を見たのが、3月8日。価格は3500円だそうで、これなら、買った後でアチャーな事態となっても、まあ笑って許せるだろうと思い、即、買ってみようとしたところ、発売は3月24日だという。なーんだ、まだ買えないんだ、と思って、そのまま放っておいたら、近年、病的に記憶力の低下が著しいわたしであるので、忘れてしまう事はもう確実である。なので、付箋に「3/24・ボード」と書いて貼っておいたのだが、これまた余裕で意識の外に追い出され、はっ!? と気が付いたのは3/29のことだった。
 で。思ったら即行動を旨とするわたしである。まず、そもそも本当にもう売ってるのか、まずは愛するYODOBASHIドットコムにて、商品検索してみた。すると、すぐに出てきた。おお、売っとる。こいつか。なるほど。よし、じゃあ昼にでも買いに行くか、と思ったら、店頭在庫はなく、お取り寄せだという。もーーテンション下がるぜ、と思うものの、ここでまた今度にしよう、と先送りにしたら、これまた確実に忘却の彼方に流れてしまうので、ヨドバシAKIBAの店頭引き取りで、発注することにした。ま、ポイントもたまってるし、3000円出して残りはポイント使用にしちゃおうと決めた。すると、それから数日後の4月1日に、「商品届いたんで引き取りよろしく~」的なメールがYODOBASHIドットコムから来たので、さっそく取りに行き、すぐさま会社に戻って、すぐに設置してみたわけである。それが↓ こんな感じ。
DB-500f
 どういう仕組みになっているかと言うと、先ほどリンクを貼ったKINGJIMのWebサイトにある通りだが、要するにこういう仕組みである。
DB-500-KJ
 わたしとしては、このメカというか構造が大変ユニーク(?)で面白いと思った。ちなみに実験したところ、49インチの4Kテレビにも問題なく取り付けできました。
 どうでしょう、耐荷重量は1Kgということで、あまりめったやたらにモノを置くことはできないが、筆記用具やメモ、未整理の名刺とか携帯やスマホなんかは余裕である。ちょっと便利じゃね? わたしの使用中の写真で分かるかな、手前が溝になってて、ボールペンが置いてある部分があるでしょ? ここにですね、スマホを立てかけられるんだな。スマホスタンドとしても、この溝部分は使用できました。ああ、その様子を写真にとりゃ良かったっすね。気が利かなくてサーセン。
 わたしは、まあ、正直プチ高いような気がしてならないが、とりあえず使えるので気に入った。ただ、本当にくれぐれも置きすぎ禁止である。あぶねえっす。 いつか絶対、ガシャーーーン!! という悲劇が起きるような気がしてならず、わたしも、大丈夫かこれ……?  と若干ビビりながらの使用である。なので、ちょっと気になった方は、とりあえずは店頭で観て、ははあ、こういうものか、と確認してから買った方がいいと思いますよ。ま、3500円+税なので、そのぐらい気にならない方はどうぞお試しください。

 というわけで、結論。
 いつも、ちょっとした工夫で面白い商品を作ることでお馴染みの、KINGJIM謹製「ディスプレイボードDB-500」は、ちょっとしたアイディアで「薄い液晶モニターの上に物置スペース」を提供してくれる優れたアイテムである。ぜんぜん調べていないけれど、他にも同じようなものがあるのかもしれないっすな。でも、いいの。もう買っちゃったので。とりあえず気に入ってます。以上。

↓ 今、わたしは切実にシュレッダーが欲しい……ちまちました奴じゃなくて、気合の入った、ガガガゴン!! と裁断してくれる、男らしいマシンが欲しいのだが……いいのがないんだよね……。

 というわけで、あっという間に読み終わってしまった。
 かの「ジャック・ライアン」シリーズ最新作の『米朝開戦(3)(4)』である。すでに(1)(2)巻のレビューで、無駄に長い記事を書いて、シリーズのことや亡くなってしまったTom Clancy氏のことは書いたので、今日はこの作品のことだけしか書きません。以下ネタバレ全開です。
米朝開戦(3) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2016-03-27

米朝開戦(4) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2016-03-27

 結論としては、うーん、面白かった、けど、なんというか……今回は、正直、極めて残念なことに、主要キャラクターの殉職や、今後使えそうな魅力的なキャラクターもごくあっさり殺害されてしまい、かなり複雑な気持ちである。おまけに、北の将軍様の最終的なオチも、若干腑に落ちない。
 これでいいのか? という気がしてならないわけだが、まあ、とりあえず話をまとめてみよう。
 なお、あとがきによれば、既にもう、2作、シリーズは完成しているそうで、アメリカでは既に刊行済みだそうです。それを先にまとめておくか。
 ■2014年7月にUS刊行済み『Support and Defend』
 この作品は、「ザ・キャンパス」の工作員の一人、ドミニク・カルーソー単独のスピンオフだそうです。翻訳作業中だそうで、どうやら新潮文庫から次に出るのはこの作品みたいですな。ちなみにドミニクは、今回の『米朝開戦』で、専用機でいつもみんなの世話をしてくれる、超デキる後方支援要員のアダーラ嬢と、何やらいい関係っぽいことがほのめかされるので、ひょっとしたらこの次の作品で、その辺りが描かれるかもしれないですな。※2017/04/12追記:新潮社がやっと翻訳版を刊行してくれました。かなり面白かったす。感想記事はこちらへ
 ■2015年12月にUS刊行済み『Commander in Chief』
 この作品は、またも「眠れる熊」こと、ロシアのヴォローギン大統領がやらかす話だそうです。しかもヴォローギン大統領は、ロシア経済の行き詰まりによって「シロヴィキ(=シリーズの設定としては、ロシアを実質的に支配している旧体制での治安・国防派閥の連中のこと)」との対立が表面化してしまい(?)、ついにヴォローギン大統領は危険な賭けに出る!!  的なお話らしい。楽しみですな。
 
 で。今回の『米朝開戦』である。もう、タイトル通り、アメリカ合衆国とDPRK(=北朝鮮)が戦争を始める話、ではあるのだが、まあ、実際のところ戦争はしていない(もはや戦争行為と言わざるを得ないようなことはやらかすけれど)。物語は、Tom Clancy作品でおなじみのように、いくつかのお話とその事件にまつわる複数の人々のお話が、最終的に一つに交わる、群像劇的な構成になっている。エピソード的には、大きく分けると以下の二つ、かな。
 ■DPRKの核開発及びレアアース鉱山開発の話
 順番としては、権力を握って間もない「三代目北の将軍様」のICBM(弾頭=核爆弾自体はもうできている、けど、それをアメリカに向けて発射する手段がない)開発があって、まあこれは現実の通りだが、その技術を得るために金が必要であり、そのために、かつて中国と共同で開発しようとしていたレアアース鉱山を独自で操業させたいと思っている、という話。そのレアアース鉱脈が本当に存在しているのか知らないが、たぶん、本当なら中国が手放すはずはないと思うのだが……。いずれにせよ、レアアース採掘には相当な技術力が必要で、そのためにDPRK偵察総局はとある民間インテリジェンス企業と手を組んで暗躍する。これがメインストーリと言っていいだろう。なお、物語の世界情勢としては、中国は既にロシアとの闘いに敗れ、アメリカとの闘いにも敗れていて、現実世界の中国のような勢いはなくなっていて、DPRKとも、歴史上最も関係が冷めている状態、となっています。これは、現実世界ではどうなんでしょうな。三代目将軍様とうまく行ってないのでしょうか。
 ■ライアン大統領暗殺計画の話
 で、とにかくDPRKとしては、せっかくこっそり輸入しようとしたICBM用の機械や、レアアース鉱山に必要な機械などをあっさりUS-Navy SEALsの臨検で奪われたりしており、アメリカが嫌いでたまらん状態で、もうライアン大統領を直接暗殺するしかない、とまで思い詰めていると。そのために、レアアース鉱山の共同開発者として取り込んだメキシコの企業を利用しながら、ライアン大統領がメキシコ・シティを公式訪問する時を狙って暗殺を実行しようとするお話がもう一つのストーリー。この時、DPRKに雇われるイラン人の爆弾屋が一つの鍵になる。
 
 こんな中で、各勢力が暗躍するわけだが、各勢力をまとめるとこんな感じ。
 【CIA,NSAなどのアメリカ合衆国の情報機関】
 シリーズの中でずっと出てきて活躍しているメアリ・パット・フォーり国家情報長官(DNI)が今回も大活躍。まあ当たり前か。そして今回は、『米中開戦』で一番の手柄と言っていいほど働いた、CIA局員アダム・ヤオ君がまたも大活躍。DPRKへの潜入という生命の保障のない作戦に単独で挑む。彼のキャラクターは非常にいいですね。かなりの超人的な能力ではあるけど、まあ、スパイには当然なんでしょうな。今回も本当に頑張りました。わたしは、とある理由で彼は今後、「ザ・キャンパス」で活躍するのではないかと思ったけど、明示はされませんでした、というか、その線はないか、やっぱり。また、今回はNGA(国家地球空間情報局)所属のアネットという画像分析官が何気にいい仕事をして、事件の鍵となるサポートをしてくれる。このキャラは今回だけかな……今後出てくるかどうかわからない。 
 【SGIP:シャープス・グローバル・インテリジェンス・パートナーズ】
 NYに本社を構える民間インテリジェンス会社。社長のシャープスは元FBI。いやな野郎として今回のBAD GUYの一人。その手下、エドワード・ライリーが今回一番(?)の悪党。イギリス人で元MI-6。ボスのシャープスに内緒で、散々悪いことをしている。女好きのクソ野郎。そして、さらにその下にいるヴェロニカ・マルテルというフランス女子が今回かなり残念な扱いになってしまった。まあ、彼女も悪SIDEではあったけれど、ビジネスとして割り切る元フランス諜報員として、非常にキャラが立っていて、わたしはひょっとしたらこの女子は、「ザ・キャンパス」にリクルートされるのではないかとさえ思ったのだが、残念ながら終盤で退場。ちょっと可哀想。なお、シャープスもライリーも、最後はきっちり破滅しますので、読者的には、ざまあ、な展開です。全然関係ないですが、SGIPのNY本社はアッパー・ウエストサイドのコロンブスAve沿いの、アメリカ自然史博物館にほど近いところにあるという設定で、その辺りは去年わたしもうろついてみたので、なんとなく地理感が分かって楽しめました。
 【DPRKの人】
 DPRK偵察総局(=要するに情報機関)の局長、李というキャラクターも良く書けていると思ったが、まあ想像通り残念な最期を遂げると。彼は、前任者が、「三代目将軍様」によって「生きながら犬に食われる」という悲惨な処刑を受けたのを目の当たりにして、いつ自分もその運命となるか、ずっと恐怖と戦っているという、ある意味気の毒な人。この、DPRKの描写はこの作品ではかなり多く出てくるが、その真偽はともかくとして、とにかくおっかない。キャラクターの行動の底にある恐怖は、読者にも非常に良く伝わっていると思う。もう一人、DPRKの人間で描かれるのが、レアアース鉱山開発会社の社長をやらされることになった、黄というキャラクター。この人は、まああまり活躍(?)はしないけれど、終盤まさかの展開になって、USAとしては、DPRKの謀略の証拠を握る人として非常に重要な人間となる。
 あと、DPRKに雇われるイラン人の爆弾屋は、これまたDPRKがアメリが合衆国大統領暗殺を指示したことを直接証言できる人物として、DPRKは作戦終了後速やかに殺そうとするけれど何とか逃げて、いろんな勢力から狙われることになる。まあ、悪党なので、ざまあ、ですが。
  【ザ・キャンパス】
  今回はなあ……わたしはどうしてもこれはないだろう……と思ったのが、主要メンバーの殉職だ。なんとなく、ずっと描写として冷遇されていたような気がするサムが、今回かなりあっけなく、残念な退場となってしまったのは、わたしとしてはちょっと問題アリのような気がする。クラークを除く4人では、シャベスと同等の実戦経験豊富なベテランのサム。退場するにしても、もうちょっと花を添えてあげたかった。ここが一番残念。このことがあったので、ひょっとしたらヤオ君あるいはヴェロニカが、補充メンバーとして「ザ・キャンパス」ことヘンドリー・アソシエイツ社に入社するのかな、と期待したのだが……。ヴェロニカも本当にもったいない退場の仕方で実に残念。活躍する姿が見たかった。ヴェロニカは(3)巻ラストであっけない最期を遂げるのだが、その描写が明確ではなかったので、わたしはまた、実は偽装で最後の方で再登場するかと思っていたのに……。
 あと、今回のザ・キャンパスの面々の作戦が、意外と失敗続きで、その点もいつもと違って(?)、なんとなくイラッとしました。何やってんすかクラークさん!! みたいな。ジャックJr.もまだまだっすな。スーパー・イケメン・リア充野郎だけに、若干ゆとり成分が混じってるのが今後の活躍に影響しないといいのだが……。

 というわけで、わたしとしては、全体的には大変面白かったものの、このサムとヴェロニカの退場だけがどうも気持ちよくない。二人とも、退場するならもっと、劇的かつ情緒的なシーンにしてほしかったと思う。
 そして最初に書いた通り、無事にDPRKの陰謀はつぶされるものの、そのことによって「DPRK国内で政変が起きる」展開も、そんなことあり得るのかなあ? と釈然としない。余裕でそんなの嘘だ、でっち上げだ、と否定しまくるだけのような気がするのだが、本作の場合は、中国ももうカンカンに激怒してるので、どうなんだろう、あり得る、のだろうか?  まあ、いずれにせよ、本作でも相変わらず我が日本はほぼ何の描写もなく、完全に空気でありました。きっと、日本国内にもCIAや北朝鮮偵察総局の人間がいっぱいいて活動してるんだろうなあ。毎日どんな生活をしているのか全く想像がつかないけれど、本書の一番最後にある通り、「平和を祈る」しかないですな、我々としては。

 というわけで、結論。
 本書『米朝開戦』は、巨匠Tom Clancy亡き後、その遺志を継いだMark Greaney氏初の単独クレジットによる「ジャック・ライアンシリーズ」であるが、十分楽しめたものの、キャラクターの扱いが若干残念な作品であった。このMark Greaney氏は、「暗殺者グレイマン」シリーズというのが早川書房から出版されているんですな。ちょっと気になるので、読んでみたいと思いました。以上。
 おっと、一つ忘れてたので追記です。原題の『Full Force and Effect』の意味なんですが、法律用語では、in full force and effectというと「~は効力を持つ、有効である」とかそんな意味だそうで、本作に当てはめると……うーん、どれを指すんだろうか……DPRKへの制裁措置、のことかな? 原文で読んだらすぐわかるかもしれないけど、誰か分かる人がいたら教えて下さい。以上。


↓ これっすね。ちょっと気になる。お! 電子書籍で出てるじゃん!! 次のフェアで買うか。
暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・グリーニー
早川書房
2012-09-21

 というわけで、月曜日恒例の週末映画興行データです。
 ところで、先月、映画館での上映が終わった『スター・ウォーズ エピソードVII フォースの覚醒』ですが、もうBlu-rayの発売が告知されて予約も始まってますね。今回、3D版がラインナップになくてイラつきますが、とりあえずわたしも、愛するYODOBASHIドッココムにてポチッておきました。ま、どうせまた3D版や、サーガ終了時にセットだったりさらなる未公開シーンだったり、いろいろな特典付き商品が出るのは確実でしょうが、わたしは今、欲しいから買うのです。後で何が出ようとまた買えばいいだけですよ。
 で、どうやら最終的な日本での興行成績も出たようで、結論としては、115.3憶だったそうです。数字としては非常に立派ですが、オタク的にはもう一声欲しかったですね。ちなみに、世界ではどうなっているかと言うと、US国内で9.3億ドル(=1,037億円)、全世界では20億ドル(=2,290億円)まで行ってるそうです。※1ドル=111円で計算。
 あと、噂のSWサーガ初のスピンオフ、『Rogue One: A Star Wars Story』の公開も今年の12/16(金)に決まったみたいですね。EP:IIIとIVの間のお話らしいですな。監督は『Godzilla』でおなじみのGareth Edwards氏だそうで、大変楽しみです。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『暗殺教室―卒業編―』が10日間累計でもう動員200万人突破したらしい。つまり、20億を軽く突破したってことだ。これはすごい。2014年の『るろ剣・伝説の最後(→最終43.5億)』とか2012年の『テルマエ(→最終59.8億)』の1作目あたりとほぼ同等レベルぐらいではなかろうか? すごい。
 2位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は30日間合計で300万人目前というのだから、もう30億超えているだろう。去年と同等か、チョイ落ちぐらいだと思うので、40億は若干微妙になってきたかも? どうだろう、大丈夫だろうか?
 3位:『バットマンVSスーパーマン』が10日間累計で10億は超えたらしい。先週は20億は厳しいなんて書きましたが、サーセン。甘かったです。これは20億は行きそうですね。本作に限らず、全般的に、さすがに春休みだけあって平日の動員がぐんと伸びているようですね。業界的には大変喜ばしいことです。
 4位:『ちはやふる―上の句―』が16日間合計でこちらは10億届いていないかな。「下の句」が4/29(祝)から公開ですね。厳しい戦いで先週は7位まで落としていましたが、今週末は春休みでググッとランクアップ。
 5位:『アーロと少年』が23日間累計で13億ぐらいと予想。盛り返したが、やはりPIXER作品としてはちょっと厳しい戦いと見るべきか。
 6位:『仮面ライダー1号』が9日間で3億以上4億未満か。うーん、あまり良くはないです。
 7位:『僕だけがいない街』が16日間合計でおそらく10億に乗ったのでは?
 8位:『映画プリキュアオールスターズ』が16日間合計でおそらく5億届いていないと思う。
 9位:『あやしい彼女』は公開土日で0.6憶スタート。松竹としては、↓の『家族はつらいよ』と若干のバッティングかも?
  10位:『家族はつらいよ』が23日間合計でこちらも10億に届いたと思う。あーもっと売れてほしい。

 以下、ランク外では『エヴェレスト 神々の山嶺』も23日間で10億届いたと思いたい。最終的に15億が厳しいかも? ちょっと情報がなくて自信なしです。また、元AKBの板野友美さん主演の『のぞきめ』は13位と言うことだそうで、おそらく公開土日で0.2憶程度のスタートだったのではなかろうか。

 というわけで、結論。
 この週末は、漫画原作組がググッと盛り上がってますね。春休み、桜も咲いてお出かけしたくなる土日でしたので、盛り上がってよかったですね。わたしは今週は何も観てませんが、次は『SICARIO』を観ようと思ってます。えーと、邦題なんだっけ? ああ、『ボーダーライン』っすね。いや、やっぱり来週の14日(トーフォーの日)かな、観に行くのは。また劇場が少ないんだよなー……。以上。

↓ 予約受付中です!! また、無駄にいっぱいVerがあるのも、意味ないと思うんですけどね。わたしはごく普通のを予約しました。


 

 今日の日中は気温が20℃を超えるでしょう、という予報を聞いたので、暑がりのわたしはかなり薄着で外出したところ、若干ヒンヤリな気候で、おまけに降ってんだか降ってないんだかというような微雨模様で実に半端なお天気であったが、わたしは今日は非常に楽しみにしていたコンサートのために、東京国際フォーラムへ出かけてきたわけであります。 ↓コレです。
P_20160403_105815
 え? なんのこっちゃって!?  ちょっとちょっと、困りますね、分からないなんて。
 『REON JACK』と言えば、わたしの愛する柚希礼音さんのコンサートに決まってんだろうが!!
 と、友人に言ってみたところ、いや、そりゃ分からんわ普通。とごくあっさりスルーされたので、まあ、普通の人は知らんでしょう。わたしが2010年からすっかり宝塚歌劇にはまっており、中でも、去年退団してしまった柚希礼音さん、通称ちえちゃんにぞっこんLOVEだったことは散々ここでも書いたが、そのちえちゃんのコンサートとなれば、当然わたしも駆けつけるわけである。

 ただ、このコンサート、既に大阪では終了し、いよいよ東京に来てくれたわけだが、既に大阪10公演、東京も昨日までに9公演終わっている。さらには、今日含めて9公演あるわけで、合計で、えーと、28公演か。こりゃあ、いくらLEGENDと言われたちえちゃんでも、相当キツイはずだ。
 キツイ、というのは、もちろんちえちゃんの体力・コンディション面もある。当然だよね。普通のコンサートは、全国ツアーならまだ分かるけど、2都市でこれだけやるのは、いわゆる歌手の方ではまずないことだろうと思う。まあ、ちえちゃんは星組TOPスタートして、1演目もっと回数をこなしていたのだから、体力面は実際何とかなるだろう。
 しかし、動員面はどうなのか。まったく大きなお世話だが、ちえちゃん単独のライブで、全28公演満席にするのは相当キツイのではなかろうか。――と、そんな心配を持って今日は開場入りしたのだが、ぱっと見では、どうやらわたしの心配は杞憂だったようで、ほぼ満席だったとは思う。しかし、平日とか大丈夫だったのかなあ、などと、要らぬ心配もしたくなる。当日券も販売しているようだったので、若干心配である。ちなみに調べてみたところ、大阪会場の「梅田芸術劇場」のキャパは1905席、東京会場の「東京国際フォーラムHALL C」は1502席だそうだ。つまり・・・1905×10+1502×18=46086ということになる。ま、ドーム1回分ぐらいか。すげえなあ。
 ところで、本公演は、開演前のアナウンスによると、アミューズとTBSとWOWOWが製作だか協賛だかしているらしい。現在ちえちゃんはアミューズに所属するアーティストなので、バックアップは万全なのだろうと思うが、WOWOWが出資者に入っているということは、きっと、そのうちWOWOWで放送があるんでしょうな。そういえば、WOWOWの宝塚情報番組「宝塚プルミエール」も、今月4月の放送からちえちゃんがナレーションを担当するそうだ。そちらもわたしとしては毎月楽しみにしたい。
 
 で。公演はどうだったかというと、まあ、下の動画の通り、歌も抜群だし、ダンスも、いつも通り、というよりいつも以上に、今回は女子として男性とのデュエットダンスもあり、特に、前半のペア・タンゴは非常にカッコ良かった。

 わたしは、もうちえちゃんが大好きなので、退団後の元気なちえちゃんが見られることはとても嬉しいし、非常に満足である。満足であるのだが、どうしてもやはり、わたしとしては「若干物足りない」と苦言を呈せざるをえない。わたしが何が不満かというと、歌が少ないのだ。コンサートなのに。そしてMCタイムが凄く長い。今回は、助っ人(?)として、ちえちゃんと同時期に同じ星組から退団した音花ゆりさん、鶴美舞夕さん、そして元・宙組の娘役TOPの陽月華さん、通称うめちゃんの3人が参加してくれているのだが、ここにちえちゃんを加えた4人のトークが、恐らく全編30分以上ある。ちなみに、公演自体はトータル120分だったのだが……歌が少ないんだよなあ……その点がわたしとしては非常に残念だった。一応解説しておくと、ちえちゃんが85期で星組一筋、うめちゃんは86期で、最初に配属されたのが星組で、新人時代のちえちゃんと一緒に頑張っていて、その後宙組に異動し、TOP娘役となった方。そしてゆりちゃんは、87期で星組一筋の娘役。歌が超うまい方で、相武紗季さんの実のお姉さんとしても有名ですね。そしてまゆうちゃんも87期で星組一筋で、この人は男役ですな。こんな助っ人3人なので、ちえちゃんとは大変仲良しで、確かにトークは面白かったし、ファンとしては満足なのです、が……やっぱりもうちょっと、ちえちゃんの歌が聞きたかった、というのがわたしの本音である。あ、ちえちゃんが助っ人3人について直接話している動画があったので、貼っておきます。2分過ぎから助っ人3人について語ってます。

 なお、今回の公演は、演目が2種類あって、Aパターンが「宝塚オリジナル作品」の歌を、Bパターンが「海外ミュージカル作品」の歌を歌ってくれるという構成になっていた。今日は、Aパターンで、わたしとしてはものすごく悩んでAパターンの日のチケットを取ったわけですが、「宝塚オリジナル作品」から歌ってくれたのは、以下の3曲だけであった(と思う)。
 『大王四神記』より「蒼穹の彼方」:わたしが大好きな歌で大興奮。車でもう200回ぐらいは聞いたなあ。ちえちゃんのTOPお披露目公演で、わたしがヅカファンになる直前の公演。WOWOWで鑑賞済み。
 『LOST GLORY』より「Who Knows」:カッコイイ歌。轟理事との夢の競演として、大変良かった。主役は轟理事だったけど、悪役のちえちゃんが超カッコ良く、実においしい役でしたね。
 『オーシャンズ11』より「愛した日々に偽りはない」:これも好きな歌。公演も当然観た。この歌は車で350回は聞いている。蘭寿さんVerも良かったけど、わたしはちえちゃん派っす。 
 ああ、もっと歌って欲しかったなーーーーー……とわたしのようなヅカ歴6年の駆け出しが言うんだから、筋金入りのお姉さまたちはどう思ったのだろう? 今日の客層は、かなり年齢層高めだったっす。
 わたしが心配というか、もっと歌とダンス主体であって欲しかったと主張するのは、まったく余計なお世話だとは思うけれど、今回の構成では、宝塚TOPスターとしての柚希礼音を知らない人が観て、楽しめたのかなあ? という点が不安だからである。元々のファンにとっては、トークは楽しいし面白いからいいのだけれど、アーティストとして、歌とダンスだけで、COOLに決めてくれても良かったのではないかと思う。それが出来るのが柚希礼音というアーティストだとわたしは信じたい。全然知らない人が観ても、「なにこの人カッコイイ!!!」と思わせることが出来るはずのちえちゃん。次は、スーパークールな、誰がどう観てもカッコイイ柚希礼音さんと会えるのを楽しみにしております。ま、素のちえちゃんは、以前も書いたとおり、スーパーゆっくり・おっとりさんの天然系なので、話し方がなんだかドラえもんのようで、そのギャップも可愛いいんすけどね。
 あとですね、最後に、自慢していいっすか? わたし、今回は3階席と非常に遠かったんすけど、予想通り、ちえちゃんの客席練り歩きがあって、またもハイタッチ出来ました!! 武道館に続いて2回目のハイタッチ。今回は手袋してたけど、まあ、ほんと華奢な女子ですよ。これからも応援します!!

 というわけで、結論。
 とりあえず、ちえちゃん大好きなわたしは大満足です。が、一見さんにはきついかも、という気はした。次のちえちゃんの公演は、なんとあの『バイオハザード』のまさかのミュージカル。チッ……行くしかねえな……いや、サーセン、行かせていただきます!! 9月末から赤坂ACTシアターです。楽しみです!! 以上。

↓ バッチリ予習していったのに……わたしの車はずーーーっとこの4枚組CDが流れてます。

 昨日は4月1日。新年度の始まりである。
 わたしは昨日の朝、市ヶ谷と靖国神社の真ん中あたりにあるとある役所へ会社の手続きの用事があったので、8時半開庁に間に合うように、朝っぱらから 、靖国神社と武道館周辺の桜を愛でながら歩いていくか、と思い立った。ちなみになんでそんな朝行くの? と思う方もいるだろう。あのですね、4月1日は超激混み必死なわけですよ。ならば朝イチがわたしにとっては当然なのである。
 普通に歩けば、わたしの足なら30分かからない。なので、8時前に出れば十分なのだが、ふと、ああ、そういやきっと、わたしがこのところ楽しく読んでいる『みをつくし料理帖』の主人公、「澪ちゃん」もきっと同じような道のりを毎日歩いてたんだろうな、と気が付いた。澪ちゃんが住んでいるのが、たしか神田金沢町。神田明神に程近いところだったはずだ。そして「昌平橋」を渡って、それから半時(=1時間)ほどかけて、「俎橋」を 渡って、勤務場所「つる屋」のある元飯田町に至ると。そんな経路なので、恐らくはこんな感じだろう、と見当をつけた。
mio
 これは現代の地図だけど、分かるかな? 今でも「神田明神」「昌平橋」「俎橋」は上記のように存在している。東京の地理に明るい人なら、ああ、要するに「靖国通りを真っ直ぐ行くだけね」と分かると思う。古地図を確認したわけではないので、全然適当な予想だが、上記の地図で言うと、おそらく、昌平橋からすぐに左に曲がってショートカットすることはなかったと思う。なぜなら、昌平橋から現在の御茶ノ水駅方面へは、上り坂なのだ、「駿河台」という小高い丘になってるのです。なので、おそらくは昌平橋を渡って、そのまま駿河台を迂回する形で、現在の靖国通りあたりまで南下してから、西へ向かったはずだと思う。もちろん、靖国通りはたぶん当時はなかったと思うので、そのものズバリではないと思うが、まあ、方向は間違いなかろう。
 というわけで、30分でいける道のり+澪ちゃん通勤経路探索&桜見物30分を含めて、昨日は朝の7時半から、スーツ姿でLet's Walk と洒落込んでみた訳である。まさか澪ちゃんも、210年後の未来にこんなストーカーじみた目に遭うとは思ってもいなかっただろうな。そう考えると、わたしもまあ物好きと言うか、もはや変態である。
 いいの!! 面白いから。
 
 で。まずは、「神田明神」と澪ちゃんが毎朝渡り、夜くたびれて帰ってくる「昌平橋」からスタートだ。現在の様子はこんな感じ。
kandamyo-jin
 神田明神は今現在でも大変多くの参拝者の集う、将門公を祀る江戸の総鎮守様だ。最近ではすっかり「ラブライブ」の聖地にもなっていて、昨日のアキバはラブライバーがいっぱいいましたね。朝はガラガラで大変気持ちがいい。
syohei01
 で、これが現在の昌平橋。上を走っている緑の鉄橋が、JR総武線ですな。これは、上で貼った地図で言うと、南から北の方向で撮影している。澪ちゃん的には、帰りの景色ですね。このあたりを歩いていたら、この写真で言うところの、橋を渡って向こう側へ行き、右に曲がった反対側へ行ったところに小さな公園があって、桜が1本佇み、綺麗な花を咲かせていたのだが、そこにはこんな、案内板があった。
syohei02
 おっと、古地図があるじゃないですか。なるほど、神田旅籠町、か。いやいや、ちょっと待って、神田旅籠町って、「源斉先生」が住んでるところじゃん!? と気が付いて、若干のテンション上昇である。ほほう、やっぱこの辺か。なるほど。で、古地図の部分を拡大すると……
syohei03
 おっと!! あった!! あるじゃん、「神田金沢町」。神田明神のちょっと北(左下にある神田明神のちょっと上)。おお、しかも旧つる屋のあった「神田御台所町」や源斉先生の住んでいる「神田旅籠町」もすぐそばだ。なるほど、まさしくここだ。そして、昨日はぜんぜん気が付かず、今さっき写真を加工してて発見したのだが、この地図の右上の端っこの方に、「稲荷社」ってのがありますね。これが澪ちゃんが通う、「化け物稲荷様」かな? どうだろう? もう一度読み直して描写をチェックして見ないと分からないな。現地は今度またチェックしておきますわ。
 てな感じで、完全にもうストーカーなわたしであるが、なんだか朝から気分がアガッて来ましたぜ。こいつぁ、たまらねぇ。である。※一応解説しておきますが、種市おじいちゃんの真似です。
 というわけで、ここから澪ちゃんは歩いてんだなーと、Walking開始である。その道筋は、別に面白くないので割愛します。最初に貼った地図の通り、ツカツカと靖国通りを西へ向かうだけなので。
 で、わたしの足ではやはり、30分もかからず、ごくあっさり「俎橋」まで来た。以下が現在の俎橋であります。
manaita04
 九段下の、ちょっと手前に「俎橋」の交差点の看板アリ。で、もちろん「橋」としても残っていて、
manaita01
 ずどーんと、立派にネームプレートが設置されてます。
manaita02
 が、ご覧の通り、この日本橋川の上には首都高が通っているため、暗~い感じになってます。
manaita03
 この写真の、左岸が、新しい「つる屋」のある元飯田町ですな。今はすっかり面影なし。土手もなく、コンクリート製だし。この川辺で、澪ちゃんやふきちゃんは、何度泣いたことでしょう。200年、人類は進歩したんだか、変わってないんだか、分からんですな。
 なんてことを思いながら、わたしはまだ『みをつくし料理帖』の3巻までしか読んでいないけれど、続きを読むのがもっと楽しみになって来ました。男の、たぶん常人よりはるかに勝る脚力を持つわたしがツカツカ歩いて30分かからないほどの距離だが、女子であり、着物であり、草履であり、また道も悪い状況で……と考えると、やっぱり澪ちゃんの足では小1時間はかかるかもな、というのは納得できた。これを毎日通っていたわけで、そりゃ遠いとは思わないけど、楽ではないわな。澪ちゃん、4巻以降どんな艱難辛苦に苛まれるか、まだわたしは知らないけど、幸せになっておくれ。と願わずにはいられないわたしであった。
 以下、おまけ。
yasukuni01
 靖国神社や武道館周辺は、もう満開でした。人出も多く、昼以降はもう、歩くのも大変な混雑だと思う。ま、夜桜を観て酔っ払うのも、それはどうぞご自由に、だが、やっぱり朝、少し肌寒いくらいの澄んだ空気の中、ぼんやり過ごすほうが、粋だと思いますよ。大変綺麗で、昨日一日、とても気持ちよく過ごせましたとさ。おしまい。

 というわけで、結論。
 現在の秋葉原と御茶ノ水の間にある「昌平橋」から、現在の九段下にある「俎橋」まで、1.9Kmほどである。1802年当時の女子の足では、まあ小一時間はかかるだろうなと言うのは良くわかった。江戸中期に生きた澪ちゃんと、平成の世に生きるわたしとでは210年ほどの時の隔たりがあるが、まあ、きっと、人間としての中身はそれほど変わらんのだろうと思う。澪ちゃん、毎日の通勤も大変だろうけど、幸せになっておくれ。オレも真面目に生きてみます。以上。

↓ こういうの買って、ちょっと思いを馳せてみるのも乙ですね。つーか、もう完全にオレの趣味、老人レベルなんじゃないかと心配です。

 昨日はいわゆる年度末。
 15時ごろ、打ち合わせのために外出していたわたしだが、相手の事務所の入っているビルの前に到着し、左腕の1秒の狂いもないCITIZEN ATTESAを見ると、約束の時間の7分前。微妙に早いか、と思い、どっかタバコ吸えねえかしら? と思ってきょろきょろしたところ、本屋さんがあったので、ちょっとだけ時間をつぶさせていただこう、と入店した。
 その時、おお、そういや先日クソ長いレビューをここで書いた、「ジャック・ライアン」シリーズの続きの(3)巻(4)巻が今月末発売だったな、と思い出し、ごく小さな街の本屋さんだけど、あるかしら? と文庫棚を探してみたところ、1冊ずつ配本されたようで、ちゃんと売っていた。ので、その場で購入。さっそく昨日の帰りから読み始めている。相変わらずおもろい。
米朝開戦(3) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2016-03-27

米朝開戦(4) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2016-03-27

 しかし、この本を出版している新潮社は、残念ながらわたしの嫌いな出版社の、1位とは言わないけど筆頭クラスで、海外翻訳モノの電子書籍化が遅れていて、この作品も残念ながら(?)リアル本での購入と相成った。まあ、実際紙の方が読みやすいのは間違いないし、小さな本屋さんを応援するためにも、街の本屋さんで買ったことには大いなる意義があると信じたい。で、結論としては紙の本でも構わないのだが、ふとレジにてお金を払った時、「ちょっと今月は相当本に金遣ったかも……?」という気がした。
 そこで、昨日の夜、ちょっと3月にどれだけの本を買ったのか、調べてみることにした。結果、我ながら、こりゃあやりすぎたな……と呆れる事態が判明したのである。以下、ちょっと晒してみたい。なお、買った順ではなく思い出した順で、税込です。
 【紙の本の部】・・・合計12,653円
 『米朝開戦』(1)(2)(3)(4):合計2,591円 ※現在(3)の半分くらいまで読んだ。(1)(2)レビュー済み
 『みをつくし料理帖』全10巻:合計6,413円 ※(3)巻まで読み終わった。(1)(2)レビュー済み。
 『鮫島、最後の十五日(6)』:463円 ※電子も買うの!!
 『絶対ナル孤独者(3)』:659円 ※先月買い忘れてた。読了済み。
 『ブギーポップ・アンチテーゼ』:616円 ※読了・レビュー済み
 『血翼王亡命譚I』:637円 ※読了・レビュー済み
 『魔法科高校の劣等生(19)』:637円 ※読み始めたら、どうも記憶にない展開になっていて、160Pほどのところで、おかしい、決定的に変だという事件が起きて、前の巻にさかのぼって調べてみよう、と思ったら、なんと前の(18)巻を買っておらず、読んでいないことが判明。我ながら驚いたというか、情けなくなった。
 『魔法科高校の劣等生(18)』:637円 ※というわけで11月刊を今さら購入。未読。

 【電子書籍の部】・・・35,292円。それぞれの単価はもう省略。
 『監獄学園(20)』 ※下品でHなギャグマンガ。好き。最高に笑える。
 『弱虫ペダル(44)』 ※紙は35巻ぐらいまでかな、そこから全巻電子で買い直した。
 『鮫島、最後の十五日(6)』 ※この作品は紙と電子両方買う! 応援のために!!
 『レベルE(上)(下)』 ※久しぶりに読んだ。やっぱり面白い。
 『バビル2世 ザ・リターナー(14)』 ※ずっと買っているけど最近飽きてきたかも……横山光輝ワールド好きなら面白いと思う。絵がシャレオツだけど、見にくい。
 『精霊の守り人、闇の守り人、夢の守り人』の3冊 ※TVで始まった「精霊の守り人」原作。まだ読めてないので早く読みたいのだが……。この3冊だけじゃなく、続きは読み終わったら買う予定。
 『ブギーポップ』シリーズ19冊 ※最新作を紙で買って読んで、やっぱり全巻持っているべきである、と、ついカッとなって電子で一気買い。紙で持っていたけど、どうも歯抜けで、誰かに貸して貸しっぱなしの模様。帰って来ねえだろうな……。
 『ビートのディシプリン』全4巻 ※ブギーポップシリーズ番外編(?)。連載時に読了済み。
 『ヴァルプルギスの後悔』全4巻 ※同じくブギーポップシリーズ番外編(?)。連載時に読了済み。
 『酸素は鏡に映らない』 ※同じくブギーポップシリーズ番外編(?)。これはまだ読んでないのでお楽しみ。
 『悪魔のミカタ(1)~(13)』
 『悪魔のミカタ666(1)~(6)』
 『ジャストボイルド・オ’クロック』
 『紫色のクオリア』
 『ヴィークルエンド』 ※この、『悪魔のミカタ』以降の作品は、全部、わたしが一番愛するライトノベル作家である、うえお久光先生の作品で、どれも大好き。これらもわたしの本棚に歯抜け状態であったので、これまたつい、カッとなって一気買いしてしまった。うえお先生の他の作品『シフト』に関しては、もうだいぶ前に電子化されていたので既に持ってます。
 『毒見師イレーナ』 ※海外翻訳モノ。何となくあらすじを読んで衝動買い。まだ100ページくらいしか読んでないけれど、想像以上にこれはラノベですな。続編もあるようで、面白ければ続きを読みましょう。
毒見師イレーナ (ハーパーBOOKS)
マリア・V スナイダー
ハーパーコリンズ・ジャパン
2015-07-23

 
 というわけで、改めて足し算をすると、【紙の本:12,653円】+【電子書籍:35,292円】=47,945円にもなるわけで、こいつはちょっとやりすぎた……と我ながら思うわけであります。
 なんでこんなに買ってしまったかというと、ひとつ大いなる言い訳がありまして、年度末という事で、わたしが愛してやまない電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERにて、何度か大きなコインバックフェアがあったのです。なので、たぶん、電子書籍の購入代金のうち、15,000円分ぐらいは付与された還元コインでの買い物だったと思う。また、うかつにも大好きなうえお先生の旧作が電子化されていることを知らず、もらったコインで何買おうかなーと物色中に突如発見したので慌てて買ったという経緯もあるため、やけに今月が多いというのが実態だ。毎月毎月、こんなに買っているわけではありません。だいたい、毎月15,000円程度じゃないかなあ。まあ、それでも普通の人よりは多いんだろう、という想像はつく。
 そう思う根拠は、ちょっと前に公開された最新の「NHK生活時間調査」を見ると、現代の世の人々は、ほとんど、全くと言っていいほど本を読んでいないのが実態だからだ。そもそも、電車の中で本を読んでいる人を見かけるのも、非常に少なくなったし。特に制服を着ている学生さんでは非常に減ったし、なんか疲れた顔したOLさんやおっさんどもも、皆一様に、憑かれたかのようにスマホの画面を見てるもんなあ。まあ、その中には、電子書籍を読んでいる方も多いとは思うが、本当にここ10年、15年ぐらいで、人間の行動ってのは変わるもんですなあ。
 もちろん、悪いことじゃあない。批判するつもりはこれっぽっちもない。わたしもだいぶ電子書籍派になってきたし。おそらくは、このまま電子書籍はそのシェアを増やしていくだろうし、電子でも本を、とりわけ物語を買って読もうという人々は減っていくんだろうと思う。わたしが買う本は、そのほぼすべてが小説や漫画という物語だが、わたしは確信をもって断言するが、小説や漫画、映画や演劇など、物語体験の多寡は、確実に人格に影響すると思っている。もちろん、物語体験の少ない人は人格的にダメだというわけではないけれど、おそらくは、少ない人と、わたしは友達になれないだろうなとは思う。やっぱり、物語の中で登場人物の気持ちを考え、いろいろな出来事を疑似的に体験する、それが読書というか物語を味わう醍醐味であろう。だからその量が多ければ、やっぱりいろいろな点において、なんというか「心が豊かになる」と信じている。やっぱりわたしは、そういった人の方に魅かれますね。
 しかしなあ……こんなにわたしは本を読んだり、映画を観たりしているのに、全然モテないというか、常にぼっちなのはなんでなんだ……はっ!? そうか、分かった!! モノには限度がある=つまりオレ、やりすぎてるんすね。マジか……HOLY SHIT!! とはこのことか……。だってオタクだもの。と、みつお風に締めて今日はお終い。

 というわけで、結論。
 教訓。3月のオレ、買いすぎ。モノには限度があることを弁えましょう。以上。

↓ つーかですね、わたしが愛用しているTabletが、容量的にもう限界なので、コイツに買い替えようかと思ってます。コイツなら、128GBのSDXCをブッ刺せば、今のTablretの4倍の容量に!!

 

↑このページのトップヘ