2016年03月

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 昨日の記事で書いた通り、今年の大相撲春場所は横綱【白鳳】関の4場所ぶり(去年の7月名古屋場所以来)の優勝で幕を閉じました。まあ、初日の黒星で、マジで【白鳳】はどうしちまったんだ、と全国の相撲ファンをドキドキさせた横綱ですが、終わってみればきっちり優勝で、来場所からは再び東の正横綱として、「誰が見ても圧倒的に強い」横綱復活となることを祈ります。また、来場所は関脇・小結クラスにも注目ですね。今場所ではやけに調子の悪かった関脇・小結の力士たちは平幕に落ちてしまうと思いますが、再び稽古を積んで、盛り上げてくれることを願います。
 というわけで、まずは今週の週刊少年チャンピオン概況です。今週もおとなしめの展開でした。
 ■『弱虫ペダル』:箱学に追いついたチーム総北ですが、エースは既に先行している! 追う今泉くんと坂道くん。真波くんとの勝負は出来ないけど、追うしかない!! というところまで。一人奮闘しているはずの鳴子くんが心配ですね。
 ■『牙刃道』:武蔵VSピクル、はまだ始まらず。
 ■『囚人リク』:レノマVS沢田は、レノマの周到な準備で沢田のワイヤー攻撃効かず。そしてレノマのキッツイ上段左回し蹴りが沢田にクリーンヒット!! 沢田「痛い・・・」の巻。
 ■『少年ラケット』:イチローくん、カーブドライブ習得により、攻撃の幅が広がり、ビリーさんピンチの巻。卓球は超高速スポーツですが、1球ごとに恐ろしいまでの駆け引きがあるんですな。面白いです。
 ■『ニコべん!』:合宿終了、最終日は海で遊ぼう! の巻。水着回。本来の物語からちょっとずれてますが大丈夫か!? いや、ずれてないのかな? 函津米くん、周りをよく見るんだ!!
 ■『AIの遺電子』:ヒューマノイドの寿命の話。地味ですがいいですねえ……ヒューマノイド版Black Jackと言ったら誉めすぎでしょうか。
 ■『錻力のアーチスト』:2回の裏終了、3回表の港南学園の攻撃は4番の弐織兄に打順が回って2B0Sまで。
 ところで、今週の週刊少年チャンピオンの巻頭グラビアは、まゆゆでお馴染みの渡辺麻友ちゃんでした。わたしはあまり興味はないのですが、やっぱり抜群に可愛ええですな。4月からWOWOWで放送されるミュージカルコメディ「トライベッカ」に出演するそうですが、ミュージカル方面に仕事を求めるのは大変アリだと思います。井上芳雄氏&浦井健治氏&山崎育三郎氏と、日本の若手実力派ミュージカル俳優に囲まれて、きっと得るものも多いでしょう。期待してます。

 さて。では、今週の『鮫島』ニュースです。
 先週はバチバチのぶつかり合いから激しい「動」の闘いを経て、お互いまわしを取って、一瞬の「静」から【蒼希狼】が先に上手投げを繰り出したところまででした。しかし、鯉太郎の強力な握力は有名です。鯉太郎も左前まわしを話さず下から押し上げて回転を許しません。ならば、と【蒼希狼】は鯉太郎の左手を極めて前に出ます。思わず関脇【天雷】も「巧い・・・アレなら・・・」とつぶやきます。鯉太郎も左前まわしを切るしかありません。それを待っていた【蒼希狼】、すかさず再度上手投げを放つ!! しかしその投げを左足を出してこらえる鯉太郎。そしてすかさず右足を大きく後ろに振って、ガッと【蒼希狼】の左ふくらはぎへたたきつける。切り返しの炸裂だ。バランスを崩し、後方へ倒れる【蒼希狼】。だが、体を戻して振り向いた瞬間、全力の右張り手を鯉太郎にぶち込む!! しかし、半ば意識が飛んだ鯉太郎は、きっちり得意の左前差しを取っている。そこからは鯉太郎の本能が、自動的に下手投げに行く体制だ。思わず【天雷】も「下手投げ・・・入った・・・」と思ってしまうほどの動きだが、復活した【蒼希狼】の闘志はまだ燃え尽きていない。3度目の上手投げで逆転を狙う!! が。ここで鯉太郎はほぼ意識が飛んでいるにもかかわらず、体に染みついたあの動きが!! そうです、残った左足の回転を使った、鯉太郎スペシャルと呼んでも過言でない、今は亡き空流前親方から基本を教わった幻の技「仏壇返し」が炸裂――――!! そして勝負は決まったーーーッ!! というところまで、今週号は進みました。はーーー読んでて力入るわ……。
 つーかですね、今週号でここまで来た、という事は、単行本(8)巻収録は第62話から第70話までだと思うので、えーと、あと4話分あるわけで、VS【蒼希狼】戦があと2話か3話で落ち着くとして、そうか、いよいよ中日の八日目の前に、何かあるわけですな。怪我かな? それとも上位陣の様子かな? わたしとしては、白水さんや常松こと松明の状況も読みたいんですけど……佐藤先生、そこんところ、ちょっとよろしくお願いしたい感じですので、ご検討のほど、お願いいたします!!
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
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 【天雷】東関脇 
 【田上】番付不明 
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 というわけで、結論。 
 いよいよ決した鯉太郎と【蒼希狼】の対決。わたし的興味は、もう上位陣や兄弟力士の動向にあります。マジで、中日前に一度、今場所の星取表を作っていただきたいのだが……大関以上にいるはずの【猛虎】さんや【王虎】がどうなっているのか、そしておろらくラスボスとなる大横綱は一体どんな力士なのか、早く知りたいっす。以上。

↓ 4月のチャンピオンコミックスはこの2点を買う予定。


  

 というわけで、先日の日曜日に今年の大相撲春場所は千秋楽を迎えた。
 先場所、10年ぶりの日本出身力士優勝に沸いた大相撲。今場所も、先場所優勝した大関【琴奨菊】関に続いて、二人の大関【稀勢の里】関と【豪栄道】関が2敗を維持し、千秋楽での取組でぶつかることになった。ただし、である。この二人の勝者が2敗で残るとはいえ、1敗の横綱【白鳳】関が千秋楽で勝利し、1敗を維持してしまえばそのまま優勝である。あくまで【白鳳】関が負けて、優勝決定戦にもつれ込むという展開にならないと二人の大関の勝者が優勝する可能性はゼロである。
 結果、千秋楽の結びの一番にて対戦した二人の横綱【白鳳】関と【日馬富士】関の勝負は、ごくあっさりと【白鳳】関の勝利に終わり、優勝が決定、そして千秋楽で勝利した【稀勢の里】関の優勝の可能性は儚く消え去ったのである。この、結びの一番での横綱同士の戦いは、【白鳳】関のまさかの変化で決まってしまい、ヤジの嵐となってしまったのだが、これはもう、【白鳳】関を責めてもどうしようもないというか、そりゃあもちろん、ファンとしてはバチバチの手に汗握る熱戦を期待したけれど、ま、思わず変化しちゃったんでしょうな。分からんけど。
 何しろ、現在、というより歴史上、最強を誇る【白鳳】関は、ここ数場所明らかに変だった。もちろん3場所前にヤマに行って(※ヤマに行く=相撲用語で「怪我をする」の意味)本場所途中で休場してしまって以降、どうもキレがない。今場所でも、初日に小結【宝富士】関にあっさり負けてしまい、その負けのダメ相撲ぶりから、全国の大相撲ファンの胸中には、「マジか……まさか白鳳が……もう……」と思わせるほどの取組であった。
 が、以降は勝ちを重ねるも、どうも相撲ぶりが以前とは明らかに違う。そもそも、わたし的には【白鳳】関が東の正横綱でなく、西にいることだけでも妙な違和感があるのに(TV中継で言うと、ほぼ常に【白鳳】関は画面の左側、すなわち「東」であるのが普通で、画面の右側、「西」にいるのが妙な違和感がある)、相撲ぶりもどうもキレがない。また、横綱らしからぬ「ラフファイト」や「ダメ押し」も批判の対象となった。とりわけ、わたしが観ていて、こりゃあ気の毒に……と思ったのが、 八日目の東関脇【嘉風】関との取組だ。立ち合いで【白鳳】関の右ひじが【嘉風】関の鼻にクリーンヒットしてしまい、【嘉風】関は盛大に鼻血を出して一発OKとなった取組である。立ち合いで、己の肩を相手の顎に下から上にブチかますのを、いわゆる「カチ上げ」と呼ぶが、ありゃあ、カチ上げなんかじゃなく、完全にエルボーアタックで、あんなの鼻っ面に喰らったら、誰だってぶっ倒れるわ、というすさまじいブチかましだった。まあ反則ではないものの、ラフプレーであることは間違いなかろう。あの【白鴎】関が、とファンとしては驚くに十分である。ただ、十日目以降はわりといつもの強さが戻ったような気がするが、まあ、やっぱりそれでも、千秋楽の横綱同士の戦いは、熱戦を観たかったですな。

 で。肝心の、というか、わたしが愛してやまない「黒ブタ」こと【松鳳山】関はどうなったかというと……おいおいおい……なんだよもう……とため息の毎日をわたしに送らせてしまったわけである。
 結果は4勝11敗。はあ……こりゃあ、来場所は十枚目以下に落ちちゃうなあ……。まあ、まだ十両にまで落ちることはないはずだが(たぶん)、次もこんな勝ち星では、再度の十両落ちもあり得るだろうし、今一度、奮起していただきたいものである。先場所は、「前頭筆頭」だったので、全横綱・大関・関脇・小結と戦わないといけない番付故に、10敗はまあ止む無し、とわたしは先場所終了時にここで擁護する記事を書いたが、ちょっと甘やかしてました。今場所の【琴勇輝】関をご覧なさいよ。今場所、東の前頭筆頭【琴勇輝】関は12勝3敗だぜ!? 横綱一人、大関二人に勝ち、関脇・小結との闘いは全部勝ちだぜ!? もう来場所の関脇は確実だよね。くそう、こういうい奴がやっぱり出世するんだよな……と、先場所の【松鳳山】関の闘いとくらべると、ため息しか出ない。
 とにかく、今場所の【松鳳山】関は、前に前に、という姿勢はいつも通り大変好ましいのだが、とにかく足が追いつかず、どたーんと前のめりに倒れる傾向があったように思う。とにかく、足腰ですよ。わたしなんぞに言われなくても、本人も、親方も良く分かっているでしょう。基本からしっかり、稽古に励んでください。
 
 というわけで、結論。
 今年の大相撲春場所は、とにかく【松鳳山】関を応援するわたし的にはしょんぼりな場所となってしまった。また、どうもやはり、横綱【白鳳】関が心配というか、気になる。また、「ああ、コイツにはどうやっても勝てねえ」と思わせるような横綱相撲を期待します。
 3月の「春場所」は、大阪開催。そして5月場所はまた両国国技館です。今度こそ、チケット獲れますように!! 以上。

↓ 横綱……土俵で泣かないでください……。

 先日読んだ、『みをつくし料理帖』が大変面白かったので、とりあえず2巻目を買ってきた。で、これまた非常に気に入ったので、もう、オラァッ!! と全10巻買って読み始めています。
 毎回読み終わるたびに、ここに書いていくと10回にもなるので、今後は数巻ずつまとめて感想を書こうと思います。今日は2巻だけですが。
花散らしの雨 みをつくし料理帖
高田 郁
角川春樹事務所
2009-10-15

 ええと、……どうすべか。ま、エピソードガイドにしておこうか。
 まずは復習。『みをつくし料理帖』はこんなお話です。
 主人公、「澪」ちゃんは18歳。舞台は1802年の江戸。半年前に大坂から出てきたばかり。澪ちゃんは当時珍しいはずの女性料理人として大坂のとある有名料亭「天満一兆庵」に勤務していたのだが、火災に遭って焼け出されてしまう。やむなく、その江戸店に移ってきたところ、江戸店を任せていた経営者夫婦の息子が、なんと吉原通いに熱を上げてしまっていて、店もすでになく行方知れずになっていたのです。散々行方を探すも見つからず、経営者の旦那さんは亡くなってしまい、奥様(=「ご寮さん」と呼ばれている。本名は「芳」さん)も心労でぶっ倒れてしまったため、困っていたところ、とある縁で、神田明神下で「つる屋」という蕎麦屋を経営する「種市」おじいちゃんと知り合い、その「つる屋」で料理人として雇用されるに至ると。物語は、既に大坂からやって来てから半年後(?)の、つる屋で毎日元気に働く澪ちゃんの姿から始まる。
 で、問題は澪ちゃんの味覚なわけだが、料理は上手でも、完全に大坂テイストが身に付いていて、時には江戸っ子のお客さんたちから、なんじゃこりゃ、と言われてしまうこともあり、江戸の味を覚えるのに必死なのが最初のころ。で、何かと親切にしてくれる医者の「源斉」先生や、謎の浪人風のお侍「小松原さま」と知り合って、いろいろ味を進化させていくという展開。
 1巻は、江戸の高級料亭「登龍楼」というライバルの嫌がらせにより、つる屋に大変なことが起きて、それでも何とか頑張っていくところまでが描かれた。なお、これは有名な話だが、当時、江戸のレストランランキング的な「料理番付」というものが実在していて、この1巻では登龍楼は大関にランクされていて、つる屋は澪ちゃん考案のメニューによって小結にランクされるなど注目を浴びる(その結果、嫌がらせを受けちゃったけど)。
 そして、これは前回も書いた通り、この物語にはもう一つの軸がある。澪ちゃんは幼少期に淀川の氾濫によって両親を亡くしているのだが、同時に一番の親友だった幼馴染の消息も失ってしまっている。そして、かつて、少女の頃に占ってもらったところによると、澪ちゃんは、「雲外蒼天」の運命にあり、またその消息が分からなくなってしまった親友の「野江」ちゃんは、「旭日天女」の運命にあると言われたことがある。
 澪ちゃんの「雲外蒼天」というのは、辛いことや艱難辛苦がいっぱいあるけれど、その雲を抜ければ、誰も観たことがないような蒼天を観ることができる、つまり超・大器晩成ですよ、ということで、一方の野江ちゃんの「旭日天女」というのは、天に昇る朝日のような勢いで天下を取れる器ですよ、というものだが、1巻では、子どものころに被災した水害で行方が分からなかった野江ちゃんが、どうも現在は吉原のTOP大夫の「あさひ大夫」その人なんじゃないか、ということが明らかになる。それは1巻の最後に、大変な目に遭った澪ちゃんに届けられた現金に添えられていた手紙で「ま、まさか!!」となるわけだが、まあ、読者的にはもうまさかじゃなくて、あさひ大夫=野絵ちゃんと言うことは確定してます。
 はーーー。まーた長く書いちゃった……。とまあ、こんな感じの1巻であったのだが、2巻は以下のようなお話でした。大変面白かったです。前回も書いたように、基本的に短編連作の形で、どうやら毎巻4話収録っぽいですな。
 ■俎橋から~ほろにが蕗ご飯
 前巻ラストで大変な目にあった「つる屋」は、神田明神下から俎橋へ引っ越し、リニューアルオープンを果たすところから始まる。「俎橋」は今でも交差点で名前が残ってますね。九段下のチョイ秋葉原寄りの、ちょうど首都高が靖国通りの上を通るところですな。
 このお話で、「ふき」ちゃんという新キャラ登場です。彼女の行動は微妙に怪しくて……またも大変な事態が発生するのだが、それでもふきちゃんを信じる澪ちゃん。そして登龍楼に乗り込んでタンカを切る澪ちゃん、頑張ったね。キミは本当にいい娘さんですよ……。そしてもう一人、戯作者(=今で言う作家)の「清右衛門」先生もここから登場。この人は、とにかく毎回、澪ちゃんの料理に難癖をつける嫌なおっさんなのだが、言う事はまともで実際のところ、つる屋が気に入って何気に応援もしてくれている人で、この後レギュラー出演します。
 ■花散らしの雨~こぼれ梅
 季節はひな祭りの時分。新キャラとして、流山から「白味醂」を売りに来た留吉くんが登場。そしてなにやら吉原で事件があったようで、あさひ大夫に何かが起こったらしく、あさひ大夫専属料理人兼ボディガードの又次さんがやって来る。この又次さんは1巻にも出てきた人で、相当おっかない筋のヤバい人なのだが、澪ちゃんにはつっけんどんながらも何かと良くしてくれるいい人で、今回も澪ちゃんに、とある料理をお願いするのだが……みたいなお話。章タイトルの「こぼれ梅」は、大坂時代によく澪ちゃんと野絵ちゃんが好きで食べていた味醂の搾り粕のこと。
 ■一粒符~なめらか葛まんじゅう
 このお話では、澪ちゃんとご寮さんが暮らす長屋のお向さんである、「おりょうさん」一家が麻疹にかかってしまうお話。医者の源斉先生も大活躍。小松原さまもちらっと俎橋に引っ越してから初めて登場するも、澪ちゃんはすれ違いで会えず。また、つる屋で接客を手伝ってくれていたおりょうさんが倒れてしまったので、ピンチヒッターとして70過ぎの「りう」おばあちゃんという新キャラも登場。超有能で、なくてはならない存在に。
 ■銀菊~忍び瓜
 季節は皐月のころ。かなり暑くなってきた江戸市中。涼やかな蛸と胡瓜の酢の物をメニューに入れた澪ちゃんだったが、蛸は冬の食い物だぜ、という江戸っ子のお客さんたち。まあ、一口食って、みなさん、うんまーーい!! となるので一件落着かと思いきや、日に日にお侍のお客さんが減ってしまい、ついにお客さんは町人だけになってしまった。困った澪ちゃんだが理由がさっぱりわからない。そんな折、澪ちゃんが実はもう好きで好きでたまらない小松原さまが久しぶりのご来店だ!! 素直に喜べず、ちょっと怒ったりなんかもして、まったく澪ちゃんは可愛ええですのう。で、小松原さまの話によって、武士が胡瓜を食わない理由も判明し、澪ちゃんの工夫が始まる――みたいなお話。今回も、新キャラの「美緒」さんというお金持ちの両替商の別嬪さんが登場。この人も、この後ちょくちょく出てきますね。源斉先生に惚れている娘さんです。

 とまあ、こんな感じで2巻は構成されていて、今回も大変楽しめた。
 しかし、どうも最初のあたりでは、小松原さまは中年のくたびれた浪人風な男をイメージしていたのだが、どんどんとカッコ良くなってきたような気がする。そして澪ちゃんも、いろいろな艱難辛苦に苛まれる気の毒な女子だ。しかし、それでも健気に、そして真面目に生きていくことで、周りの人も明るくして、様々な縁を引き寄せるんだから、ホント、頑張って生きるのが一番だな、と改めて教えてくれますね。オレも真面目に生きよっと。そんなことを思いましたとさ。

 というわけで、結論。
 『花散らしの雨 みをつくし料理帖~2巻』もまた大変楽しめました。
 真面目に生きているわたしにも、こういう縁がいろいろ訪れてくれるといいのだが……まだまだ精進が足りないっすな。頑張ります。以上。

↓これはレシピ集みたいっすね。はあ……料理の上手な健気な女子と出会いたい……。

 というわけで、月曜日恒例の週末映画興行データです。
 わたしは昨日おとといの記事を観ていただければわかる通り、『バットマンVSスーパーマン』に大興奮だったわけですが、金曜の夕方、劇場に入る時、ちょうど『暗殺教室』の上映終了時間だったらしく、かなり多くのお子さんたちが観に来ている様子を目撃していたので、ああ、こりゃあ強い、と思っていたのだが、やはり数字的にも大変立派なスタートを切った模様です。すげえなあ。『BvS』は結構ガラガラだったのに。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から見てみよう。
 1位:『暗殺教室―卒業編―』が公開土日で6.39億。絶好調と言って良さそう。去年の前作が4.1億スタートで最終27.7億だったので、初動が対前作150%以上てことは、40億超はもう確定か、というぐらいの勢いですね。おお、今調べた結果、今年公開された作品で最高の初動じゃないか(2位は僅差でドラちゃんの6.37億、3位も僅差で信長協奏曲の6.15憶)。なお、金曜から公開されているので3日間だと8億超えてるのかな。わたしは毎週ジャンプを買って読んでますので、当然原作は良く知ってますが、わたし的には「ネウロ」の方が好きなので、映画もあまり興味なしです。
 2位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は23日間合計で25億ぐらいでしょうか、ほぼ去年並みになってきました。今年こそは40億を超えたいがどうでしょうか……。
 3位:『バットマンVSスーパーマン』が公開土日で3.7億ほど。金曜公開なので3日間で5億強だそうです。金額順では2位じゃないかな。前作と言っていい2013年公開の『マン・オブ・スティール』は2.6億スタートで最終10億にも届かず。TVスポットもバンバン打ってましたので、前作よりはいい数字になりそうで安心しました。似たような初動の洋画を探すと、ちょうど「ダークナイト・ライジング」(最終19.7億)とほぼ同じぐらいですね。なので、20億は厳しいかな、15~17億と予測しておきます。わたしの感想に興味のある人がいるとは思えませんが、2回にわたって書いた、無駄に超・長文のレビューはこちら→レビュー(1)レビュー(2)。ただわたしが興奮しているだけの駄文なので、読んでも何の足しにもならないと思います。なお、US本国でも本作の公開が始まっており、US本国で1.7憶ドル、全世界で4億ドルを超える巨額の興収を稼いだ模様、なんですが、どうも評価はかなり悪いようです(Rotten TomatoesMetacritic)。くわしくはリンクを張った記事をどうぞ。あれっ!? 朝見たときよりさらに評価下がってる!! マジか……!!
 4位:『仮面ライダー1号』が公開土日で1.5億ぐらい。このところ数字があまり良くないライダーですが、今回もここ数年の春ライダーでは一番厳しいか。ちょっと「ゴースト」がなあ……。1号を出してもちびっ子はなんのこっちゃだろうし……。
 5位:『僕だけがいない街』が9日間合計で6億以上7億以下ぐらい。15億~18億と先週予想しましたが、変えないでおきます。ちょっとイマイチ観客層の想像がつかない……。情報不足……。
 6位:『アーロと少年』が16日間累計で10億届かずか? うーん……PIXER作品としては厳しめか。
 7位:『ちはやふる―上の句―』が9日間合計で6億届いてないかも? 先週に引き続きちょっと厳しい。10億は超えると思うけれど、15億も厳しい可能性アリ。
 8位:『映画プリキュアオールスターズ』が9日間合計で3億チョイか。去年の春キュアよりも若干弱く、去年の秋キュアぐらい、の模様。
 9位:『家族はつらいよ』が16日間合計で9億以上10億以下ぐらいと見る。「東京家族」よりちょっと低めで推移か。となると、15億ぐらいが天井か? もっと売れてほしいのだが……。
  10位:『エヴェレスト 神々の山嶺』が16日間で7.5億ぐらいは行ってると思う。なので最終的に15億は届くと信じたい。どうだろう? チョイ厳しいか?

 以下、ランク外では『黒崎くんの言いなりになんてならない』が30日間で10億を超えたのではないだろうか? 確認データ収集中。159スクリーンでこの成績は立派です。ほか、『リリーのすべて』はまだ1億チョイと苦戦、そして『マネー・ショート』はどうも5億を超えたのではないかと思われる。本当なら、この洋画が厳しい日本市場でこの題材、と考えるとかなり頑張ったた数字と言えると思う。

 以上、昨日おととい書きすぎたので、短いですが結論。
 殺せんせーは、Batman やSupermanよりも日本では大人気であった。なんというか、まあ、いい悪いの話ではなくて、それが今の日本の姿ということで。以上。

↓先週のジャンプで完結した「殺せんせー」、最終巻は21巻で7月発売って書いてありました。この18巻は今月の新刊で、4月には19巻がもう出るるらしいです。

 だいぶ興奮から醒めてきた。もちろん、『BATMAN v SUPERMAN DAWN OF JUSTICE』(邦題:「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」、以下『BAT v SUP』と略す)を観ての興奮のことである。今日は、落ち着いてもう一度、この映画のことを書こうと思う。昨日は、興奮のあまり適当にポイントに絞って書いただけだが、今日は、物語の中であまり触れられていない、Batmanって何者なんだ? という点と、これはいらなかったんじゃね? と思う点をまとめてみようと思う。
 
 映画ファンなら別に説明は必要がないと思うが、そうでない人々、特に世の女性たちは、まあ普通はBatmanという存在について誤解していると思う。今までの映画を観てないから。現実的にわたしの周りの女子たちも、わたしがBatmanやAvengersの話をしても、(映画公開時に話題となるので)興味はあるようだが、大抵の女子たちは映画館まで足を運んでいない。なので、わたしがBlu-rayを貸してあげてやっと観て、その面白さにはまる人、あるいはピンと来ない人と別れてしまう場合が多いのだが、とにかく、映画ファンとしてはびっくりするほど、日本におけるアメコミヒーローの認知度は低いと思う。それは興行収入を見ても明らかで、あの大傑作と映画ファンなら誰しもが認める『The Dark Knight』ですら、日本では16.1億しか稼いでいない。まったくもって残念至極だ。
 いわゆる「男の子視線」で見ると、Batmanはヒーローである。しかし実際のところ、Batmanは明らかにOUT LAW、法の外にいる存在で、簡単に言えば犯罪者である。ゆえにBatmanは「The Dark Knight=暗黒の騎士」なのだ。それは法では裁けない悪を退治するには悪をもって征すしかないという信念から来ていて、恐怖には更なる恐怖をもたらすべきだと考えているために、そのシンボルとして蝙蝠の姿をとっているわけだ。その点ではもう完全にテロリストと言わざるをえない。だたそれは、法が機能し、平和に暮らすことが出来ている(いや、あんまり出来てないか?)我々だからこそ言える事であって、法が(ほとんど)機能していない街=悪の栄える町=Gotham Cityでは、もはやBatman的な存在に頼るしかない、というのが基本的な設定である。まあ、漫画なのでちょっと苦しい理由だけど、そういうことです。なので、映画『The Dark Knight』においては、Gothamの闇を光で照らそうとする、正しい法の番人が登場したことで、ブルース・ウェインはもう、Batmanは必要なかろうと引退を決意するわけだ。これが、Batmanの基礎知識その(1)です。
 で。そんなBatmanを支えているのが、金と頭脳と肉体と、そしてアルフレッドという有能な執事の存在だ。まず金。これは、最初から大金持ちであるし、世界的大企業ウェイン・エンタープライズのCEOとして、ビジネスマンとしても優秀である(※注:原作ではたしか筆頭株主という立場で、CEOではないような気がするが、今回の映画では明確に社長と呼ばれていた。ただし字幕での表現なので、正確な英語表現はまたBlu-rayが出たときに確認します)。もちろん頭もいいし、強靭な意志を持つ男であり、肉体的な鍛錬も重ねていて、めっぽう強い。そして世を欺く姿としてプレイボーイとして遊びまくって慈善事業も手広くやっていて、世間的には遊び人のアホな金持ちと認識されている。つまり世間はブルース・ウェイン=Batmanであることを知らない(Ironamnことトニー・スタークと似た境遇であるが、性格はまったく違うし、人々は皆、Ironman=トニー・スタークであることを知っている)。なので、Batスーツも自分でせっせと秘密裏に開発しているし、Bat-MobileやBat-Wingという機動兵器も自家所有である。IT系ソフトウェアも揃っていて、ハッキングもお手の物だ。そして、その開発やハッキングも全部一人で出来るわけもなく、その手伝いをしているのが、これまたスーパー有能な執事、アルフレッドだ。ブルースが生まれる前からウェイン家に仕える忠実なおじちゃんで、ブルースよりもしっかりとした常識を持ち、時にはきっちり、それは間違っているとブルースに忠告したりする、頼れる執事である。今回の映画『BAT v SUP』では、オスカー俳優Jeremy Irons氏がとてもカッコいいアルフレッドを演じてくれた。この人は、わたし的にはかなり久しぶりに、ひょっとしたら『DIE HARD3』以来かも? ぐらい久々にスクリーンで会いましたが、実に渋くてカッコ良かったですね。
 とまあ、この通り、あくまでも人間であり、金持ちで超人的な努力をしている男であり、またアルフレッドという頼もしい味方がいる、というのがBatmanの基礎知識(2)である。
 なお、今回の『BAT v SUP』では、ブルース・ウェインが言う通り、「悪は雑草と同じだ。抜いても抜いてもあとから生えてくる」のであって、Batmanはなかなか引退できていない。もう20年ほど、活躍していてすっかりおっさんになってるわけですな。今回の映画では、両親が殺されたのが1981年という設定だったが、その時10歳と仮定すると、現在45歳ぐらいという設定になっていました。今回のBatmanを演じたのはBen Affleck氏。監督としてオスカー・ウィナーとなったBen Affleck氏だが、非常にカッコ良かった。この冒頭の、幼い女の子を抱きしめながら、空に浮かぶ宇宙人(=Superman)に対して、「許さない!!!」という決意の表情を浮かべるブルース・ウェインは痺れるカッコ良さだった。わたしは密かに、Nolan-Batmanを演じたChristian Bale氏よりもカッコイイとさえ感じた。歴代Batman史上、最高に良かったのではなかろうか。
 で。
 この基礎知識(1)(2)を踏まえて、ある日、Metropolice上空に宇宙人が舞い降りてきて、壮絶な大喧嘩を始め、その余波で自分の会社の社員たちが大勢死んでしまったらどうなる? そりゃあもう、怒り心頭だよね。あの化け物は、法が通じない相手。ならばオレが、必ずぶっ飛ばす!! そう思うのは、Batmanとしては当然だ。Batmanにとっては、もう完全にSupermanも粛清対象になるわけだ。ちなみにMetropoliceの街並みはNYCそのものだが、あくまで架空の都市で、Batmanの活躍するGotham Cityではない。わたしは正直詳しくないのだが、Gotham CityとMetropoliceは、湾あるいは湖(?)をはさんだ対岸の位置関係らしい。普段はGothamの悪を相手にしているBatmanも、ウェイン・カンパニーMetropolice支社(?)全壊の事態に当たっては黙っているわけがない。
 以上が、今回の『BAT v SUP』ではほとんど語られていない、前提、である。これが分かっていないと、今回の映画は良くわからないと思う。ちゃんと描いてくれないと不親切だ? いやいや、これ、常識っす。

 ところで、今回Batmanは何故怒っているかというと、もちろん前述の通り、愛する社員たちを殺された個人的怒りもあるのだが、それよりも、BatmanはSupermanの「危うさ」に、非常に腹を立てているのだ。昨日も書いた通り、Supermanことクラーク・ケントは、所詮は田舎者で都会を知らず、世間も知らない。もちろん、善良な普通のアメリカ人としての常識や正義感は持っているわけだが、残念ながらその精神は幼稚である。物語は、Metropolice空中大決戦から18ヵ月後に移る。世界各地で、人々を助けるSuperman。その活動はすっかり世間ではヒーローとして、あるいはもはや「神」として認知されるも、当然一方ではMetropoliceをぶっ壊した恐ろしい「Illegal Alien」とも思われていて、世論は微妙に分かれている状況にある。そりゃそうだ。で、とある議員がSupermanの行動を極めて恣意的でテキトーな行為だとして糾弾するに至る。まあ、それはそうかも、ですわな。ここが難しいところだが、とあるTVレポーターは、その議員に問いかける。「じゃあ、Supermanなら助けられる状況でも、彼の助けを求めるべきではないのか?」。しかし、どういうわけかこの映画はその点にはほとんど回答を示さず、流してしまったように思える。
 が、わたしは逆に「アリ」だと感じた。そんな質問は「サンデル教授の白熱教室」に任せておけばいい。問題は、Superman自身がどう思っているのか、という方が重要だろうと思う。で、Supermanはどう考えているかというと、実際のところなーーーんにも考えていない。Metropoliceを破壊した反省もしていない。目に入る範囲の人々と、自分の愛するロイスのピンチを救うだけで、それよりも、Gotham Cityでなにやら蝙蝠の格好をして「違法な正義」を振りかざしているBatmanをけしからんと思って、上司の命令も聞かずに独自取材をしている始末だ。会社員としても、新聞記者としても0点である。なので、レックス・ルーサーの悪事にもまったく気が付かず、結果、ロイスや地球での母を人質に取られてしまえば、あっさりと悪の元に跪く。実にもろいハートの持ち主だ。そして、それは非常に危険なことである。
 今回の『BAT v SUP』では、忠実な執事アルフレッドが、「Supermanは敵じゃない」とブルース・ウェインを説得する。しかし、「たとえ1%でも、危険な点があるなら、それは敵だ!!」と断罪する。もう、このガキは1回ぶっ飛ばしてやらないといけないわけで、対決が不可避なのは、昨日書いたとおりである。
 
 しかし、本作『BAT v SUP』は、またも実に余計なことをいろいろ描いていて、上映時間152分は明らかに長い。ここはいらないね、とわたしが感じたシーンはいくつかあるのだが、ちょっとそれをまとめておこう。残念ながらそういう無駄シーンのおかげで、全体的にゴチャゴチャしているように思う。
 ■一番要らないシーン筆頭。ブルース・ウェインの夢のシーン。
 Batmanは、いろいろな自分ルールを持っているのだが、その中でも有名なのが「銃は使わない・人殺しはしない」というものだと思う。それは少年時代に両親を銃で亡くしているからなのだが、この映画では、なんとBatmanが銃を乱射してかなり多くの人を殺すシーンが出てくる。わたしはBatmanが絶対にやらないことだと知っているので、ま、これはどうせ夢かなんかでしょ、と思ったら本当に夢だった。あの夢のシーン、必要かな? まったくいらないと思うんだけどな。ほぼ無意味だったし。鍵はロイスだ、という謎のお告げも間違ってたし(鍵はロイスじゃなくてお母さんだった)。
 ■SupermanとDoom's Dayを核攻撃するアメリカ合衆国。
 これも、せっかく本作で唯一、Supermanが正しい選択をしたのに(Doom'sDayを宇宙空間に追放しようとした)、邪魔するUSAって何なんだ。もちろん、現実的シミュレーションをすると、実にあり得る選択だとは思うが、あれはいらなかったね。何の意味もないし、たぶん、核の直撃を食らって瀕死(?)のSupermanが何故復活できたのかも、詳しくない人には伝わらなかったと思う。一応、Supermanのエネルギーは太陽の光だという設定があるので、それで復活できたということだと思うが、そんなこと知らない普通の人には全然意味不明だったと思うな。
 ■レックスの行動の謎
 昨日も書いたとおり、レックス・ルーサーの背景がほとんど描かれないので、よくわからないのだが、議会爆破って意味があったのかな? たぶん、アンチSuperman世論を炊きつけるための作戦だったんだと思うけど(?違うかな?)、あの作戦のせいで、優秀な秘書マーシー・グレイブスも死んでしまうし(?死んだよな?生きてるのか?)、おまけに自分の研究所を留守にしてた間に、まんまとブルース・ウェインにクリプトナイトを奪われてしまうというアホな失態をやらかすし、まったく無意味で必要なかったとしか思えない。
 ついでに言うと、冒頭のテロリストを取材に行くロイスと、そのピンチを救うSupermanの行動も、結果的にはまったく無意味で必要なかったのではないかとさえ思う。あれは要するにレックスの陰謀だったわけだが、残念ながら物語にはほとんど影響を与えていない。ロイスの取材でやっとレックス=悪党だと言うことが分かってもまったくもって後の祭りで、全然必要なかったと思う。そしてこれは完全な蛇足だが、Wonder Womanを演じたGal Gadot様があまりに美しく可愛い過ぎて、ロイスがまったく可愛く見えず、おまけにまた存在感も薄く、今回もまた、ほとんどロイスは不要キャラになってしまっているようにも観えた。必要だったのはお母さんだけだったね。ロイスとSupermanの関係性が浅すぎるのは、この映画にとってなんとも残念かつ欠点のひとつだろうと思う。
 ■Superman特攻!!!
 Doom's Dayとのバトルで、なんでまたSuperman自身が、自分の一番苦手なクリプトナイト製の槍を持って飛んでいかなきゃならなかったんだ!? という点も、わたしは良くわからなかった。ロイスを助けて、槍を確保するまでは確かにSupermanしか出来ないことだったと思うけど、槍を回収したところで、Batmanが「たまには役に立つな(ニヤリ)。後は任せろ!!」ぐらいの余裕で、Wonder Womanと協力してDoom's Dayを倒せばよかったのに。そもそも、槍をうりゃあッ!! と投げつけてやりゃ良かったんじゃね!? 彼の特攻はまったく意味不明です。あまつさえ、原作通りとはいえ、死んでしまうとは……。(←ここはさすがに白黒反転させておきます)
 ■いろいろ散りばめられたトリビア的小物&台詞
 わたしのようなオタクには、げええーーっ!? と驚き喜ぶことでも、普通の人には全然通じないことが結構散りばめられていましたね。端的なのは、Bat-Cave(=Batmanの秘密基地)に飾られていた「Robin」のコスチュームでしょう。知っている人には常識だが、RobinはBatmanの子分ですな。どうも、既にJokerによって殉職あるいは引退させられてしまっているような設定になってる風でしたね。ブルース・ウェインの台詞にも、「ピエロ野郎(=Jokerのことだよな?)には手を焼いた」的な言葉があったし。そういうのは、別にいらなかったのでは? これをやるなら、もうちょっとだけでもWonder Womanの描写に力を入れてほしかったとわたしは思った。

 はーーーー。ヤッバイ。今日も書き過ぎた。これ、もう読んでる人なんていないだろうな……。

 というわけで、なんともぶった切りですが結論。
 わたしとしては、昨日も書いた通り『BAT v SUP』は十分以上楽しめましたし、以降のDCヒーロー作品が非常に楽しみです。ただ、まあ、この映画は120分でもっとすっきりまとめられたと思います。それに、Batmanを知らない人には、実際良くわからなかったのでは? と思うと、ちょっとだけ残念です。以上。

↓ SupermanとDoom'sDayの戦いを描いたのはこれかな。このコミックと今回の映画はまったく別物ですが、Doom's DayはSupermanを殺したVillanとして有名です。大丈夫、ちゃんと復活しますよ。映画ではどう描かれるのか、楽しみっすね!

 

 いやー。もう大興奮ですよ。
 とうとう、US本国とほぼ同時に公開された『BATMAN v SUPERMAN DAWN OF JUSTICE』 (邦題:バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生)を、初日金曜日18:20にTOHOシネマズ日本橋にて観てきた。タイトルが長いので、以下『BAT v SUP』と略します。
 なお、わたしが日本橋を選んだのは、まあ会社から歩いて15分ほどと近いこともあるのだが、字幕であり、3Dであり、そしてDOLBY-ATOMSであるためだ。以前、『GRAVITY』をATOMS版(@TOHOシネマズららぽ船橋)とIMAX版(@HUMAX成田IMAXシアター)を見比べて、映像は確かにIMAXの方がいいような気がしたが、音響はわたしの主観ではATOMSの圧勝だったので、以来、わたしはIMAXよりもATOMS派である。ま、IMAXは高いしムビチケが使えないところが多いから、という理由もあるけれど、とにかく、劇場で最も重要なのは音響だとわたしは感じている。
  さて。何から書こうか。言いたいことがいっぱいありすぎて、まだ頭の中でまとまっていない。なので、今回はわたしがうおーーーー!! と興奮した点と、マジか!? と驚いた点などを箇条書きであげつらうことにしよう。もちろん、ネタバレ全開です。もう、ストーリーを追う必要はないよね? 基本、予告どおりの映画ですので。まずは、予告を貼っておこうか。

 昨日の記事で散々書いたとおり、本作『BAT v SUP』は、2013年公開の『MAN OF STEEL』の明確な続編である。なので、昨日は、『BAT v SUP』を観る前に『MAN OF STEEL』を観ないとダメですよと書いたわけだが、ズバリ前言撤回させていただきたい。『BAT v SUP』は、正直『MAN OF STEEL』を観てなくても大丈夫だと思う。もちろん、基本的なSuprmanの知識というか、まったくSupermanやBatmanを知らない人は厳しいと思うけれど、わたしが散々コレジャナイと憤っている『MAN OF STEEL』事件は、観てなくてもたぶん大丈夫、だと思う。なぜなら、冒頭でゾット将軍との超絶バトルがブルース・ウェイン視点で描かれるからだ。なので、『MAN OF STEEL』で描かれたリアルなSupermanの葛藤なんてもう完全にどうでもいいのである。しかも、前作ではロイスとのロマンスなんてほとんどなかったのに、『BAT v SUP』では、猛烈に驚いたことに、完全にラブラブカップルで同棲(?)してる設定になっている。ええっ!? とわたしは驚愕を禁じえなかったが、これは実際アリである(なお、前作でロイスはクラーク・ケント=Supermanであることは既に知っている)。なので、前作は観なくてよろしい作りになっていて、これはこれで、非常に感心した。また、本作『BAT v SUP』は、Zack Snyder監督の本来の持ち味である漫画的な画作りが随所で見られ、スローモーションや過剰なライテイングなどが復活していて、きっちり「漫画」になっている。物語も、リアル成分を残しつつ、ちゃんとファンタジックな「漫画」要素もふんだんに含まれていて、非常に面白かった。なので、わたしの結論は、『BAT v SUP』はアリ、である。
 あと、ひとつだけ書いておきますが、本作『BAT v SUP』は152分と長い映画なのだが、MCUのような、エンディング後のチョイ見せ映像はないです。なので、エンドクレジットが始まったらもう席を立って大丈夫です。良く映画オタクは、エンドクレジットが終わるまで席を立つなという人がいるけど、わたしはエンドクレジットも観たいから最後まで観ているだけなので(わたしは最近、どのくらい日本人の名前があるかを探すのが趣味)、そうでない人は別に、最後まで付き合う必要は全然ないと思う。さっさと帰っていただいて構いません。
 ついでにもうひとつだけ。この映画、まったく意味のない夢のシーンなど、たぶん20分以上短縮して凝縮できると思う。ちょっと、ストーリー展開がごちゃついている感はあったことは記録に残しておこう。
 では、もうストーリー順ではなく、わたしが興奮したポイント、驚いたポイントなどをあげつらってみよう。まず、わたしが最も興奮したポイントから行こう。

 ■Batmanの怒り大爆発!!! Supermanを殴って蹴ってぶっ飛ばせ!!!
 いやーーーー。さすがBatman。今回の『BAT v SUP』ではとにかくBen Affleck氏演じるブルース・ウェイン=Batmanが猛烈にカッコイイ。芝居振りも完璧に近い。レックス・ルーサーの悪事にいち早く気づいたBatmanは、新型BAT-MOBILE(←暗くてよく見えない。けどカッコイイ!!)で追跡するも、頭の悪いSupermanに邪魔され、あまつさえ、「今日は見逃してやる」なんて偉そうな、傲慢な捨て台詞まで叩きつけられて、ギリギリ怒りを全身にたぎらせる。このシーンが昨日貼った予告で出ていた「You Will !!」の宣戦布告だ。そしてクライマックスの二人の対決シーンはもう最高である。身体能力で叶わない相手と闘うにはどうすればいいか。もちろん、必要なのは作戦である。わたしは、ジャンプの漫画『HUNTER ×HUNTER』を思い出した。ベテランハンターであるモラウは圧倒的な身体能力を誇るキメラアントと闘うにあたって、勝つために必要なものは何かを弟子に言う。「知恵と経験かね」。あのシーンとそっくり同じですよ。あるいは、吉岡一門との「一乗寺下り松の決闘」に挑む、宮本武蔵と言ってもよかろう。ブルース・ウェインは、本作では20年、Batmanとして悪と闘ってきたという設定になっていたが、そんなベテランヒーローに、Supermanが勝てるわけがないのだ。きっちりと計画し、体を鍛え直し、化け物と戦う準備を進めるブルース・ウェインは本当にカッコ良かった。獣を狩るには罠が必要ってことですな。そして始まった戦いでは、もうBatmanはSupermanをボッコボコである。もっともっともっと!!! 殴って殴ってその傲慢な小僧をぶっ飛ばせ!!! とわたしも観ていて歯を食いしばってしまった。まったくもって、ざまあ、である。
 そして、わたしはよーく分かった。要するに、Supermanは前作『MAN OF STEEL』で描かれたように、所詮はカンザスの田舎者のガキなのだ(記憶が怪しいが確か前作では32歳と言ってたような?)。しかも宇宙人だし。だから、まったく経験や知識が足りていない。思考そのものが幼稚だし、わたしから見れば、単なるゆとり小僧である。そんなガキが、20年間世界の最先端でビジネスをこなし、人と交流し、悪と戦ってきた男に勝てっこないことをこの映画は見せ付けてくれた。だから、この映画は、自分の能力にうぬぼれたゆとり小僧を、経験をつんだベテランオヤジがぶっ飛ばすという構造もあって、わたしのようなおっさん大歓喜ムービーなのである。マジでわたしは心から気持ちよかったです。はーーホントすっきりした。

 ■WonerWomanが超カッコイイ!!! つーかガル様最高!!!
 本作、『BAT v SUP』は、そのサブタイトル「DAWN OF JUSTICE」が示すとおり、今後のDCコミックヒーロー同盟「ジャスティス・リーグ」への序章という側面もあり、公開前から既に、Gal Gadot様演じるWonder Womanのビジュアルも公開されていた。先に書いてしまうが、本作には噂どおり、Aqua-Manもほんのチラッとだけ出てくる。おまけに、これもわたしは大興奮したが、なんとThe FlashもCyborgも出てくるのだ。ほんのチラッとだけだけど。めんどくさいのでAqua-ManThe Flash、Cyborgが何者かは書かないけど、とうとう映画に出演した彼らの姿には非常に興奮しましたが、何よりもう、Wonder Womanを演じたGal Gadot様の美しさには、全身全霊で大興奮ですよ。とにかく、綺麗、美しい、そしてセクシーであり、笑顔が最高に可愛い。今調べてみたところによると、この地球上には73億1735万人の人間が生きているらしいが、わたしは断言したい。Gal様はその頂点に立つ美しさである、と。いやあ、本当にGal様は綺麗でかわいくてセクシーだった。全人類の男が理想とする女性像と言ってもいいすぎ、かもしれないけど、わたしの究極理想は、この女だ。と思った。
 なお、すでに、Wonder Woman単独の映画は撮影に入っていて、インターネッツなる銀河にはその撮影フォトがリークされているので、気になる方は検索してみてください。そしてDCコミックでは、そういったスーパーパワーを持った存在を「メタ・ヒューマン」と呼んでいて、本作では、ブルース・ウェインがコイツらちょっと集合させないとイカンな、というところで物語は終わる。まあ、DCコミックにおける「メタ・ヒューマン」は、ある意味Marvelで言うところの「ミュータント」に近い感じですかね。本作『BAT v SUP』においては、Wonder Womanは顔見世的な扱いではあるけれど、Gal様の美しさは非常に目立ち、最終バトルに参戦するお姿は極めて凛々しくカッコ良くて大興奮でありました。とにかく、すさまじくいい女、である。最高。たぶん、本人に会ったら失神して自然と神を称えるように跪いてしまうと思う。会うことはないと思いますが。

 ■やっぱりよくわからんレックス・ルーサーの野望。お前、何がしたかったんだ!?
 これは物語上の、脚本上の問題点だが、正直に告白すると、わたしにはレックス・ルーサーが一体何をしたかったのか、良く分からなかった。Supermanが嫌いだってことは良くわかった。そしてSupermanを陥れようとしていることも良くわかった。でも、一体全体、お前の野望は何だったんだ!? という点は、今のわたしには良くわからない。もう一度観てみないとダメかも。分からなかったのはわたしだけ、かな!? わたしの理解力が劣っているせいかもしれないけれど、とにかく、わたしは興奮していて、レックスの目的が良くわからなかったのは残念。おまけにかなり抜けているというか、意外とうっかり野郎で、あっさりブルース・ウェインにデータやクリプトナイトを奪われるのは、若干興ざめではあった。ただし、演じたJesse Eisenbergの演技は素晴らしく、これは非常に見ごたえがある。彼は相当上手ですね。いかにもIT系バブリーな生意気な小僧を実に憎憎しく演じていて、本来のレックスとは若干違うキャラ付けだと思うけれど、本作での芝居振りは大変良かったと思う。そして非常にそれっぽい雰囲気を漂わせている秘書(マーシー・グレイブスという、DCコミックでは有名なレックスの片腕)も意外と無能で、ほとんど物語には関与しないお飾りキャラだったのが残念。せっかく我々日本人代表として参加した岡本多緒(a.k.a. TAO)嬢だが、今回は役割的に軽いのがもったいなかったと思う。こちらにインタビューがあるので、ご興味のある方はどうぞ。結構興味深い。

 ■で、BatmanはSupermanを許せたのか? 何が二人を分かり合えさせたか。
 この点は、わたしは結構驚いた。怒り爆発で散々ボコってやったのは気持ちよかったとして、物語的には二人は協力関係を結ばないといけないわけで、一体どうするんだ? と思っていたら、ここは脚本的に、上手い! やられた! と思う展開となった。実は本作は、冒頭に少年時代のブルース・ウェインが両親を殺されるシーンが入る。有名なシーンだよね。何ゆえ、ブルース・ウェインが悪を憎むかという原点だ。なので、わたしは、まーたこれやるんだ、と思いつつも、父親役をわたしが歴史に残る大傑作として大好きなZack Snyder作品『WATCHMEN』で、「コメディアン」という悪辣ヒーローを演じた役者Jefferey Dean Morgan氏だったことに大興奮していたため、きちんと母親の名前を記憶に残していなかったという失態を演じてしまった。しかもこのシーンは『WATCHMEN』で魅せたZack Snyder本来のスローモーションを多用した独特の画作りが明確に復活していたのでそっちに気が取られてしまっていた。このシーンで一番重要なのはブルース・ウェインの「母親の名前」だったのに、全然記憶に残していなかった!!
 なんと、ブルース・ウェインの母も、Supermanをクラーク・ケントとして育てた地球の母も、二人とも同じ「マーサ」だったのである。マーサ・ウェインとマーサ・ケント。偶然の一致がなんとBatmanとSupermanに和解をもたらす鍵となるとは、わたしはかなり驚いた。してやられた気持ちである。もちろん、冷静に考えれば、え、たったそれだけのこと? と思わなくはないが、わたしはこの展開が非常に気に入った。マーサ・ケントを助けたいSuperman。そして、マーサ・ウェインを救えなかった幼き頃のブルース・ウェイン。「チッ! マーサのためなら仕方ねえか」と拳を引くBatmanは、わたしには非常に説得力があるように思えたので、ここは拍手をもって称えたいと思います。

 あーだめだ、もっと書いておきたいことがあるのだが、もう長さ的に限界だ。

 というわけで、今日の結論。
 散々昨日は、『MAN OF STEEL』について、オレが観たかったのはコレジャナイ!! ということを書いたが、本作『BAT v SUP』は非常に爽快で、ゆとりヒーローSupermanがボッコボコにされるさまは最高に気持ちよかった。そして、なによりGal Gadot様が美しすぎて、超わたしの好みにジャストミートすぎて、本当に惚れました。Most Beautiful Woman in the Worldだと思います。
 で、明日も引き続き、『BAT v SUP』について、書き残した他のポイントを書こうと思います。以上。 

↓ シリーズ4作目、かな。実は観てないんすよ……抜かったなあ……チェックが甘すぎた……Gal様ハリウッドデビュー作。先日、WOWOWでシリーズ一挙放送があったので録画済です。さっさと観てみよう。
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2012-04-13

 2013年に公開された、新たなSupermanの物語を描いた映画『MAN OF STEEL』。今日の夜にテレビ放送があるようだが、わたしは2013年8月31日の公開翌日に、これはIMAXで見ないとイカンだろうと思って、まだ当時少なかったIMAXシアターの中から、行ったことがないところとして、わざわざ「109シネマズ菖蒲」まで車をかっ飛ばして観に行った。少年時代にChristopher Reeve版のSupermanに大興奮していたわたしとしては、超・期待していたのだが、しかし、極めて残念ながら、観終わって深い失望を味わう結果となったのである。わたしが観たかったのはコレジャナイ。と。
 このことについては、実はこのBlogを描き始めた去年の8月に、5回の長~~い連載記事で書いたので、正直今更なのだが、あれを読んでもらうのは苦行に等しいと思われるので、『BATMAN v SUPERMAN』を今日の夜観る前に、もう一度、簡潔にまとめておこうと思った次第である(※2016/03/26;というわけで観てきた感想はこちら)。一応、8月に書いた記事のリンクだけ貼っておこう。
 さてと。
 結論から言えば、『MAN OF STEEL』は、その物語の進行には一切矛盾がなく、極めて正しい道筋をたどっている。まったくもって納得のいく物語進行である。その意味では、脚本には一切問題がなく、完璧と言ったら言いすぎかもしれないが、お見事、ではある。しかし、その「完璧さ」ゆえに、まったくもって「面白くない」のである。どういうことか、分かりやすく説明してみよう。出来るかわからんけれど。恐らく、問題点を端的にあらわすキーワードは「リアル」という言葉であろうと思っている。なお、以下ネタバレ全開です。

 さて問題です。
 アメコミヒーロー「Batman」と「Superman」の最大の違いは何でしょうか?
 映画ファンなら間髪いれずに答えられると思いますが、そうでない人にはわからんかも。
 答えは簡単。「Batman」はあくまで人間であり、お金と頭脳を駆使して数々のアイテムを作っているただのおっさんなのです。もちろん、その精神は超人的で、肉体的鍛錬も重ねているので、非常に強いヒーローには違いない。が、あくまでも彼は「人間」なのだ。そして、「Superman」は、端的に言えば「宇宙人」である。ここが大きく違う。まずは、この点をちょっと覚えておいてください。

 で。Batmanと言えば、近年で言えば天才Christopher Nolan監督による3部作、『Batman Begins』『The Dark Knight』『The Dark Knight Rises』が非常なる傑作として世に知られているわけだが、映画オタクたちは、最終作、「Rises」には厳しい批評を向けている人が多いような気がする(たぶん)。かく言うわたしも、もちろん、2作目の『The Dark Knight』は凄まじいまでの傑作であると思っているが、「Rises」だけは、手放しで賞賛できない。あれはちょっと変というか、問題アリだ。
 以前も書いた通り、Nolan監督はバリバリのイギリス人である。アメコミには何の興味もない男だ。なので、彼はBatmanの監督を託された時に、すべての基礎となるひとつの理念をしっかりと定める必要があった。彼が決めたのは、「もし本当にBatmanが存在していたら?」という理念である。この理念に基づいて脚本を描き、映像を撮って、編集した作品がNolan-Batman3部作である。なので、恐ろしくリアルである。とりわけ、Batmanことブルース・ウェインと、敵対するジョーカーというキャラクターの造形は完璧で、もちろん演じた役者の素晴らしい演技あってこそだが、本当に生きた人間として、リアルに描くことにNolan監督は成功していると思う。
 しかし、その完璧な作品であるはずの中で、なぜわたしが3作目の「Rises」だけダメ判定しているかというと、Nolan監督が「リアル」さを手に入れたのとトレードオフで、失ってしまったものがあるからだ。それは、原作では極めて重要な舞台装置である「Gotham City」の描き方に端的に現れている。なんとNolan監督は、Gotham Cityを、単なる実在のシカゴそのものとして描いてしまったのだ。なので、街としては非常にリアルではある、が、漫画的な「悪の栄える街」というビジュアル的表現が不可能になってしまったのである。
 この結果、「Rises」におけるVillan(悪役)、ベインというキャラクターが完全に浮いてしまっている。彼は「Gothamの申し子」として、ある意味、Gothamという街が生み出した怪物、のはずなのだが、残念ながら完全に滑ってしまった。Gothamが普通の街にしか見えないため、彼の言葉も行動もまったく意味不明なのである。ちなみにBatmanも、ある意味父の作り上げた街であるGothamを浄化するために、悪の栄える街となってしまったGothamで悪党退治にいそしんでいるローカルヒーローが本来の姿なのだが、リアルすぎる描写によって、Nolan-Batmanは(Gothamにこだわらない)普遍的ヒーローのようになってしまった。「Rises」はこの点だけが極めて残念で、他の点は完璧だっただけに、大変がっかりである。
 とはいえ、わたしがダメ判定している「Rises」も興行的にはスーパー大ヒットとなった。WarnerがここまでうまくいったDCコミックヒーロー映画をやめるわけがない。折りしもライバルたるMarvel Studioは、憎っくきDISNEYの傘下となり、そのヒーロー映画をことごとく成功させ、あまつさえ、ヒーロー大集合映画『Avengers』は当時の歴代最高記録を更新するほどのウルトラ大ヒットとなったばかりだ。そもそも、ヒーロー大集合と言えば、DCコミックの「JUSTICE LEAGUE」の方が歴史は古い。Warnerが、Nolan-Batmanの大成功によって、じゃあウチも、「JUSTICE LEAGUE」作るか!! と考えるのは当然だろう。そんな情勢の中、『MAN OF STEEL』の企画は始まったはずだ。
 しかし、Warnerは、ちょっと落ち着いて考えてみるべきだった。
 Nolanの核にある「リアル」路線でSupermanを描いたらどうなってしまうか、を。
 Batmanはあくまで人間である。だから、リアルな人間として描くことで、物語の深みを増すことが出来たと言える。人間だから、悩み、苦しむ。だって人間だもの、がNolan-Batmanの根本である。しかしそれでも、「Rises」では限界が露呈してしまった。やはりコミックヒーローを描くには、リアルにも限度があったのだ。
 そのことにWarnerは気づくべきだったのだが、Nolan-Batmanの成功に浮かれすぎて、誰も指摘しなかったのだろう。『MAN OF STEEL』は、まさしくNolan流の「リアル」路線で、ズバリ言えば「Supermanが本当に存在していたら?」という視点で作られてしまっているのである。
 
 なので、冒頭に書いたとおり、『MAN OF STEEL』は、恐ろしくリアルで、ことごとく、しかるべき道筋をたどる極めて真面目なストーリーだ。ある意味、「もしスーパーパワーを持つ宇宙人が地球に飛来したら?」という仮定を正確にシミュレーションしたものとなっている。
 宇宙から赤ん坊がやってきて、おまけにものすごいパワーを秘めていたら(この点はもうリアルとかそういうことは度外視しないと話は始まらない)、そりゃあ育ての親は、「その力を見せてはならん」と言いますよ。そりゃ当たり前だ。わたしでも、絶対に隠しておけ、と言って育てると思う。しかし、その親の教育方針は完全にSupermanにとっては呪いとなって心と肉体を蝕み、あろうことか、目の前で父が今まさに死のうとしているのに、そして自分には余裕で助けることができる力があるのに、「力を見せるな」という呪いが発動して一歩も動けず、あっさり父は死んでしまう。まさしく「呪縛」だ。親を見殺しにするSupermanの姿なんて、誰が観たいのよ!? とわたしは劇場で椅子から転げ落ちそうになるほど驚いた。そして「父を助けることも出来なかった、オレの力って何なんだ、つーかオレって何者なんだ!?」とアイデンティティクライシスに陥り、世界を放浪するSuperman。まったくもって矛盾はなく極めてリアルな展開だが、マジかよ……何やってんだお前……と、わたしはもう、あっけにとられた。
 その後、地球での母の言葉と、亡き実父・ジョー=エルのデータ化されたビジョン的存在によってSupermanはトラウマを克服し、地球に侵攻してきたゾット将軍一行との戦いに挑むわけだが、ここも、何というか人間味はなく、正直、観ていてあまり感動はない。しかし人間味がないのは当然だ。だって宇宙人だもの。なので、リアルではあるけれど、ここは、全世界なんてどうでもいい、ただ、惚れたロイスを助けるためにオレは戦うんだ!! という地球育ちの宇宙人という設定を生かした展開であって欲しかった(なお、『MAN OF STEEL』ではまったくロイスとのLOVE展開はナシ。その意味では、本作においてロイスは何の役割もないとも言える。ロイスの役割は、例えば母でも十分代用可能だった)。
 おまけに、戦いに赴く前に、じゃあまずは軍に投降して地球人の誤解を解いておくか、という展開になるのだが、それは非常にリアルで、確かにそうなるかも、と理解はできるものの、わたしは断言するけれど、あのくだりは必要性ゼロだと思う。手錠をかけられたSupermanに何の意味があるって言うんだ? まったく物語には必要ないと思う。Supermanは単純に、地球を、ロイスを助けたいから闘えばいいだけなのに。ちなみに、今回のゾット将軍は、かつての『SUPERMAN II』で描かれたような漫画的な悪党ではなく、明確にSupermanことカル=エルを狙う理由が説明されており、その侵攻の手順も極めて軍人の流儀に叶っていて、彼には彼の正義があることがはっきりと描かれる。その点も非常にリアルでかつ矛盾や突飛な飛躍はない。
 そして始まる、宇宙人同士の超絶バトル。この戦いの様相は、まさしく地球人の目にはとても捉えることの出来ないもので、速すぎて何をしているのかよくわからない。せっかくスローモーションで漫画的な画を見せるのが世界一上手なZack Snyder監督なのに、全く生かされていない。ここもリアルすぎるのだ。また、彼らには、いわゆる必殺技、これが決まれば勝てると言うものはなく、単なる殴り合いで、観ていて全然面白くない。だって、別に殴ったって、銃で撃ったって、痛くもなんともないんだぜ? 殴り合いには何の意味もないよね。その格闘戦で体力を削って、フラフラになった時にライダーキック、あるいはスペシウム光線をかます、というような漫画的表現は皆無である。ただただ、殴り合っている(たまにヒートビジョンをかますも効果なし)。結果、街はその余波でぼろぼろである。建物はぶっ壊れる、車は爆発する、戦闘機は撃墜される。そりゃそうだ。そうなるよね、と、とにかくリアルな惨状が延々と見せつけられる。これ、観てて面白いか? そして対決の結末は、わたしはもう、劇場で「えええっ!!?」と声が出てしまったほどだ。なんと、決め技はスリーパーホールドからの絞め技で首の骨をボキン!! である。もう、なんて地味な決着なんだというのがひとつ、そしてSupermanが人殺しをしたという驚愕の事実に、わたしはもう席を立ちたくなった。なんじゃいこりゃあ、である。
 以上が、わたしが観たかったのは、コレジャナイ。と思う理由である。

 Batmanは人間だからこそ、リアルに描くことで、その苦しみや怒りに共感できた。犬にかみつかれれば血を流すし、常に満身創痍で治療を受けるBatmanは、あり得ないけどあり得るかもしれない一人の人間として、描く価値があったのだ。
 しかし、Supermanが本当にいたら? と超真面目にリアルに描いてしまったら、もう『MAN OF STEEL』で描かれたお話にならざるを得ない。この映画を観た我々は、Superman=恐ろしい存在としか感じられないのだ。まったくもって迷惑な存在でしかなく、いわば地球にとっては害悪以上の何物でもない。そんなSupermanの物語が面白いわけがない。お前のせいで何人死んだと思ってんだ!! と思うのが普通の反応だ。
 が、まさしくそこに、今日から公開される『BATMAN v SUPERMAN』のポイントがあるようだ。
 一番最初に公開された予告で示された通り、今回のお話は、まさしく『MAN OF STEEL』事件の余波で殺された人々の怒りをBatmanが代弁するお話、という一面があるようだ。
 
 BatmanはSupermanに問う。「Tell me, do you bleed?(お前、血を流すのか?)」
 答えないSupermanに、Batmanは宣言する。「You will !! (流すことになるぜ。つか、オレがお前に血を流させてやる!!)」。もう、Batmanは完全に激怒してますよ。そりゃそうだ。いや、もちろん最高にカッコ良くて大興奮のシーンなのだが……大丈夫なのかそれで。
 ※2016/03/26追記:上記のシーン、劇場版字幕では「お前の血は赤いのか?」「真っ赤に染めてやる!!」となってました。その日本語訳もカッコイイですな。
 Batmanの怒りは良くわかるし、対宇宙人用アーマースーツを纏ったBatmanはとてもカッコイイ。人間が宇宙人と戦うには、人類の知恵と経験を総動員した準備が必要だろう。非常にリアルである。けど、どうやって二人は折り合いをつけるのだろう? BatmanはSupermanを許せるのか? Supermanは『MAN OF STEEL』事件の落とし前をどうつけるつもりなんだろう? これから正義の味方として人類に奉仕するので許して下さい、と土下座でもする気か? 別の予告では、アメリカ議会に出席しようとするSupermanの画もあったが、もう、『MAN OF STEEL』で描かれたリアル路線を覆すことができないので、どんどん変な方向に話が進んでしまっているような気がしてならない。しかも、今回は、とうとう参戦するWonderwomanや、噂ではAqua-Manまで登場するらしい。リアル路線を追求したら、もう収拾つかないぞ。

 というわけで、ぶった切りですが結論。
 要するに、コミックヒーローを描くには、ある程度のファンタジックな部分はどうしても捨てられないはずなのだが、クソ真面目に、超リアルに描いてしまったために『MAN OF STEEL』はわたしに失望しかもたらさなかったわけです。全然うまく説明できずにごめんなさい。
 そして、わたしとしては『BATMAN v SUPERMAN』が心配でならないわけだが、あと12時間後ぐらいには観終わっているはずなので、わたしの心配が果たして杞憂に終わるのか、やっぱりな……となってしまうのか、答えはもうすぐに出る。その結論は、今日の夜書いて、明日の朝にはUPしようと思います。以上。

↓ 何故か評価の低い『RETURNS』。でも、わたしはかなり傑作だと思っています。『MAN OF STEEL』よりもずっとずっと面白いと思う。ただし、この映画はChritopher Reeve版の「1」と「2」を観てないとダメです。つーか明確に続編です。あの、お馴染みのメインテーマ曲をきっちり使っていることも非常に良いです。
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ブランドン・ラウス
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2016-02-24

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、先週も書きましたが、現在、大相撲春場所の真っ最中でありまして、わたしの愛する黒ブタ野郎こと松鳳山関(西前頭五枚目)が昨日の11日目現在2勝9敗と非常に厳しい闘いになっておりまして、わたしとしては大変毎日ちくしょー!! なわけです。はあ……常に前に向かっていく姿勢は鯉太郎や石川のようで大変好ましいのですが、足がおっついてないんすよね……頑張れ松鳳山!! それでも応援してるからな!!
 というわけで、 まずは今週の週刊少年チャンピオン概況です。
 ■『弱虫ペダル』:チーム総北、先頭集団に合流!! 驚く箱学、坂道くんも山岳くんに再会、勝負だ!! となるも、残念ながらそこは「先頭集団じゃなかった」 。既に新開弟・葦木場・キモー筋ら有力選手はさらに先行していた!! どうする総北!? まで。ま、先週も書いた通り、実際のレースではよくある光景ですな。総北は一瞬も休まずそのまま先頭集団を追うべきでしょう。これは常識的展開です。総北には登れるアシストがいないのがマズいっすな。
 ■『牙刃道』:武蔵先制攻撃!! ピクルには効かず!! ピクル、白亜紀時代をぼんやり思い出す、の巻。
 ■『囚人リク』:沢田リングイン。対レノマ戦スタート!! ラストの大ゴマが相変わらず凄いw 漫画力高し。
 ■『ビーストコンプレックス』:今回はカンガルーのホテル経営者と訳アリ客のクロヒョウの少女の話。いいっすねえ。非常に毎回クオリティ高し。短期集中連載は今回で終了。もったいない!!
 ■『Gメン』:勝太参戦まで。
 ■『ニコべん!』:函津米くん、梅宮さんを笑わせることができて浮かれるの巻。一方、やたらと場の空気を読む達人の鳥田くんは、多部ちゃんの函津米くん大好きオーラに気付いてしまい――!?
 ■『少年ラケット』:イチローくん、カーブドライブを試合中に練習す、の巻。試合中にコイツ……と思いつつも、練習試合だからこれでいいんだとビリーさんも気づく。そしてとうとうビリーさんを左右に振ってポイントゲットのイチロー君。ビリーさん楽しくなってきた!!
 ■『錻力のアーチスト』:4番弐織先輩2ベース!! 安保先輩ブフゥッと送りバント、そして眼力王頭木先輩犠牲フライで1点返したぞ!! まで。
 というわけで、いやー、やっぱり今のチャンピオンはジャンプより面白いと思うのですが、そう思うのは私だけでしょうか。なお、先週から始まった、『放課後ウィザード倶楽部』は、わたしの憎悪するエブリスタの小説原作だそうで、ありがちな、なろう系小説的展開です。漫画の方はなんとなくマガジン系な絵柄のような気がします。まあ、好きな人は好きなんでしょうな。

 さて。では今週の『鮫島』ニュースです。
 先週は立ち合いからファーストアタックの獲り合いが描かれ、見事鯉太郎のブチかましが炸裂し、張り手を【蒼希狼】の顔面に何発か決めたところで、【蒼希狼】が雄たけびとともに鯉太郎へ向かう所まででしたが、今週は前に出た【蒼希狼】の頭が鯉太郎の顔面にブチかまされるところから再開です。【蒼希狼】のブチかましがクリーンヒット、たまらずよろける鯉太郎。間髪入れずに猛烈な追撃が続きます。鯉太郎は思わずニヤリとします。「また土俵で強ええお前と、怖ええお前と出会えて・・・」嬉しいのです。【蒼希狼】の追撃に、フッと下がる鯉太郎。NHKの実況も「あっ・・・!!? 鮫島が・・・!? あの鮫島が引いたーーー!!」と興奮の絶叫です。しかし花道通路で見守る関脇・天雷は分かっています。「いや・・・アレは・・・・・・」そうです。鯉太郎が繰り出すのは、親友・石川の必殺技、強力な右ストレート!! もとい、つっぱりです!! 「もらうぞ・・・石川」そう鯉太郎はつぶやきます。そして新寺部屋では、石川はテレビを見ていません。付け人に、テレビ見ないんスか? と聞かれる石川は答えます。「バーーーカ・・・俺はもう復帰したくても出来ねーんだぞ・・・んなモン見て火ィ点いちまったらどーすんだよ」そう、石川はこの場所の初日に鯉太郎と戦い、鯉太郎にすべてを託して引退したばかり。とてもテレビは見られないのです。いいっすねーこの石川の表情は!! NHKの実況もまたも大興奮です。「強烈―――!! 引いたと思ったら一閃 全体重を乗せた一撃――――!!」しかし、かなり心配な事態が発生しました。鯉太郎の右手首から嫌な音が!! これはまさか、ヤマ行ったか!? しかし構わず「ここで決める!!」と前に出る鯉太郎に、今度は【蒼希狼】の素っ首落としが炸裂!! 鯉太郎の突進を止めます。そして接近戦でのまわしの奪い合いは両者左上手の、お互い得意の組手で決着。NHKの実況は「先ほどの解放されたスピード勝負とは一転!! 凝縮された力の空間が生まれる!!」と相当な興奮状態です。そして、「先に動いたのは蒼希狼―――!!」というところで今週は終了です。
 はーーーわたしもホント興奮したわ……。いやーーーホントに『鮫島』は最高っす!! しかし、鯉太郎の右手首の状態はヤバそうですね……もう……心配すぎて堪らないんですけど、佐藤先生どうしたらいいんですか!! 読み終わったそばから、もう来週号が読みたくて堪んねえっす!!
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
  --------
 【天雷】東関脇 
 【田上】番付不明 
  --------
 というわけで、結論。 
 【蒼希狼】と鯉太郎の戦いは、わたしの希望としては単行本1冊にまとめていただきたいです。という事はつまり、あと5週分ということかな。まあ、勝負はあと4回で終わらせて、最後の1回は勝負後のお話という事になると想像しますが、とにかく鯉太郎の右手首の状態が気になりますね……そしてその次の八日目の戦い、おそらくは勝ち越しをかけた戦いだと思うけど、一体誰と戦うのか。佐藤タカヒロ先生、超楽しみにしてます!!
 そして松鳳山関よ、今日入れて残り4日、全部勝つつもりで頑張っておくれ!! 以上。

↓ やっぱりこういうのを買って勉強すべきかなあ……今場所は稀勢の里関が熱いんすけど、昨日の横綱・白鳳戦は残念だったなあ……。 

 2014年に、児童文学のノーベル賞と言われる「国際アンデルセン賞」を受賞したことで一躍注目され、またさらに2015年の「本屋大賞」を受賞したことで、日本文芸界における地位を不動のものとした作家、それが上橋菜穂子先生である。
 まあ、分かりやすく賞のことを取り上げたけれど、 実際のところ上橋先生は上記の二つの賞を受賞する前からとっくに素晴らしい作品を生み出す偉大な作家としてお馴染みだったのは間違いない。わたしは恥ずかしながら、『獣の奏者』と『鹿の王』しか読んだことがなく、まあ言わば単なるにわかファンなのだが、両作ともに非常に面白くて夢中になって読んだ覚えがある。『獣の奏者』ではその主人公エリンに惚れ、『鹿の王』ではその主人公ヴァンの揺るぎない男のカッコ良さに深く感銘を受けた。両作ともに、絶対の自信を持ってお勧めできる小説である。


 ところで、上橋先生は文化人類学において博士号を取得した研究者としても知られ、しかもフィールドワーク中心の現場主義者ということでわたしも上橋先生に非常に興味を持ち、上橋先生のノンフィクション作品『隣のアポリジニ』を読んでみたことがある。

 これは、上橋先生が研究者としてオーストラリアの片田舎でインターンシップの日本語教師(?)として赴任していたころのお話で、たしか研究がメインで先生はボランティアだったと思うが、現地の人々(白人&アポリジニ系混血がメイン)との交流の模様が大変面白かった。
 なんでまたこんなことをわざわざ紹介するかと言うと、上橋先生の描く作品は基本異世界ファンタジーであり、異文化(異種族)コミュニケーションが大きな柱となる作品が多く、それらはやはり上橋先生の文化人類学者としての研究が下敷きになっているのだろう、と思うからである。
 で。恐らくは上橋先生の最も有名な代表作と思われる作品が『精霊の守り人』、通称「守り人シリーズ」と呼ばれる一連の作品群である。既にアニメ化やコミック化されている作品だが、わたしは恥ずかしながら全く読んでいない。のだが、この度、NHKにおいて実写ドラマ化されるというニュースが発表され、放送前からわたしは大変期待していたわけで、先日の放送を録画しておいて、昨日の夜、やっと見てみたわけである。
 基本情報はNHKの公式Webサイトへどうぞ。ちなみにアニメもNHKで放送されました。

 NHKからは、結構多くの予告動画がYouTube上にUPされているので、ちょっと探すといっぱい出てきます。今回のドラマは、なんと3年にわたって全22回放送されるらしい。まあ要するにNHKは相当本気と言う事だ。恐らくは民放では出来ないことだろうし、衣装やロケ、美術のクオリティから察するに、予算規模も到底民放では出せないものだろうと思う。
 お話は、(わたしはまだ全貌がまったく良く分かってないが)主人公の女用心棒バルサが、とある国の王子と出会い、その父たる王(正確には「帝」)から命を狙われている王子を守って逃げるというお話で、逃げる理由は今回の第1話でも描かれるが、当てのない逃亡生活なのか、どこかを目指しているのかはまだ良くわからない。恐らく今後の展開としては、追っ手の刺客との戦いを繰り返しながら、何らかの協力者と出会い、逃げるだけの状況から反撃をする、そしてその王子に秘められた謎が解き明かされる、という感じでお話は進むのだろうと思われる。わからんけど。
 秘密を持つ少年(or少女)と、彼(or彼女)を守る存在という組み合わせは、わたしが読んだ『獣の奏者』でも『鹿の王』でも共通する設定と言えると思うが、今回は、幼い少年と、30歳の女用心棒である。基本的に守る存在は強くて優しくてカッコ良し、というのがお約束だと思うが、どうやら今回も、ぶっきらぼうで、守ることは仕事だと割り切った様子を見せるものの、女用心棒バルサというキャラクターは我々の期待を裏切らない正しくカッコイイ存在であるようだ。大変期待できる。面白そうですよ、やはり。
 で。今回、その強くてカッコイイ女用心棒を演じるのが、わたしも大好きな綾瀬はるか嬢である。このお方は、どうも天然面白キャラといった部分が最近の売りになりつつあるような気がするが、この美しい女性が最も輝くのは、めったに笑わない、ちょっと幸薄い系のキャラクターを演じる時であるとわたしは信じている。去年の『海街diary』における幸薄いしっかり者の長女のお姉さん役は大変素晴らしかったし、古くは映画『ICHI』なんかでも、(まああの映画は映画としてはかなり微妙だが)綾瀬はるか嬢の美しさはこの上なかった。
 そして今回は、なにしろ「女用心棒」である。そりゃあカッコいいでしょうなとわたしの期待は高まる一方でだったが、実際の映像のはるか嬢は、汚れたメイクに汚れた衣装で、実に凛々しく、大変カッコ良かったのである。このお方はやっぱり、どんな格好でも美しいですな。これはまったくどうでもいいことだし若干セクハラだが、ちょっとインターネッツの銀河に検索の手を放てば、デビュー当時のはるか嬢の水着グラビアがいっぱい出てくるので、男性諸君はその美しさを堪能しておいていただきたい。素晴らしいBODYですよ、このお方は。
 今回の作品は、おそらくキャラクターも今後数多く登場してくるのだと思う。今回の第1話では、帝を藤原竜也氏が貫禄たっぷりに演じていたのが印象的であった。またもう一人、はるか嬢演じるバルサの、幼少時の回想シーンに出てくる師匠的存在(バルサの父の親友?)を演じた吉川晃司氏がいつも通りキレあるアクションで非常にカッコ良かった。この人は銀髪になってから役者としての活躍も多くなって、大変カッコイイですな。何しろガタイがデカイし、「シンバルキック」でおなじみの長い足を振り回す立ち回りもキマってますね。広島の名門・修道高校水球部で鍛えた体は伊達じゃないっすな。他にも、平幹二郎氏もいつも通り怪しい謎の「聖導師」を芝居の手本のようなきっちりした滑舌と表情で魅せてくれるし、林遣都くん演じる「星読み博士」も、まだ物語においてどのような役割を果たすのか良くわからない青年として、相変わらずのイケメンぶりを発揮してくれています。
 最後に、映像のクオリティについてちょっとだけ触れておくが、やはりわたしのような映画オタクの場合、ハイビジョン撮影された、おっそろしく綺麗な画の質感は慣れないというか、なんか違和感がちょっとだけありますな。しかもわたしは生意気に4Kテレビで視聴しているので、まあなんというか、不自然にきれいです。そしてそのために、CGがCGにしか見えず、その点では少し画の質感は、金がかかっていることは明白だけれど、わたしの好みではないです。劇場映画っぽく、敢えて少しノイジーな方がこういう物語にはふさわしいのではないかという気はしました。衣装や美術は相当お金がかかってますね。相当これは本気の制作だと思います。
 
 というわけで、結論。
 第1回はまだ物語の序章に過ぎず、今後の展開が楽しみです。十分以上に、わたしの期待には応えてくれている作品です。たぶん、我慢できなくなって上橋先生の原作を読んでしまうと思うな……電子書籍版も発売されているようなので、たぶん、買っちゃいますわ。以上。

↓ この作品における綾瀬はるか嬢は素晴らしいと思います。この作品では、次女を演じた長澤まさみ嬢も素晴らしいし、三女を演じた夏帆ちゃんも可愛い、そして、そこの三姉妹の元へやって来る広瀬すずちゃんも、ウルトラ可愛いっす。
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ポニーキャニオン
2015-12-16

↓そして今回の原作がこちら。もう読むしかねえなあ……。

 というわけで、昨日は祝日だったので一日遅れですが恒例の週末映画興行データです。
 この週末は、邦画の注目作2本が公開されました、が、わたしは特に興味がなかったので観に行っていません。それよりも、3日後の3/25(金)からいよいよ始まる『BATMAN v SUPERMAN』が楽しみでならないわけですが、一方では、きっとコレジャナイとため息をつきそうな予感がしてならないため、かなりドキドキです。わたしのような映画オタをぎゃふんと言わせる素晴らしい作品であることを祈っています。当然、金曜日の夜、初日に観に行く予定です。というわけで、あまりネタがないのでランクをさらっと流して終わりにします。

 では、さっそくいつもの興行通信社の大本営発表から。
 1位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』はV3達成。昨日の祝日で既に20億突破したとのこと。これは去年よりハイペースか。本当に今年は40億を超えるかも。好調維持。
 2位:『僕だけがいない街』が公開土日で2.2億スタート。期待通りのヒットと言ってよさそう。18億~15億は堅い勢い。20億までは、今のところ厳しめか。今後の状況要チェック。原作コミック、アニメも大ヒット。
 3位:『アーロと少年』が9日間累計で6億チョイか? やはりPIXER作品としてはややおとなしい興行となっている模様。
 4位:『ちはやふる―上の句―』が公開土日で1.7億スタートと、ほんの少し厳しい。原作の人気からすれば、もっと稼ぐと思っていたが、『僕街』の後塵を拝した。恐らくは、『僕街』は、アニメがまだ放送中であるし(今月で終了かな?)、原作漫画も先日完結を迎えて、書店店頭での目立ち具合はきっと『ちはやふる』より上だったのではないかと思う。いや、でも『ちはやふる』の単行本最新刊が3/11発売で出たばかりだから、そんなことないか。これはひょっとすると、いわゆる「2部作連続上映モノ」がお客さんに飽きられてきたor敬遠されている、という事かもしれない。それと、原作の読者層の濃さの違いも影響しているような気もする。一般少女漫画の『ちはやふる』よりも『僕街』のほうが、ファンの熱量は高そうなので。いずれにせよ、広瀬すずちゃんはウルトラ可愛いと思います。
 5位:『エヴェレスト 神々の山嶺』が9日間で6億ほどだろうか。この分で稼いでいけば、15億は行きそうですね。10億に届かないなんてことにはならないと思う。
 6位:『映画プリキュアオールスターズ』が公開土日で1.3億。 これは去年の春のプリキュアと同等の数字。ここ数年ちょっと厳しい状況で10億には届いていない。今回20本目の映画だそうです。
 7位:『家族はつらいよ』が9日間合計で、これも6億ほどかな。わたしも観ましたが、最高でした。やはり平日興行がいいみたいですな。シニア客中心なので、動員数が伸びても単価が安い模様。恐らくは当初予測通り15~16億は稼いでくれると思われます。
 8位:『黒崎くんの言いなりになんてならない』が23日間で8億台に乗ったのではないかと思う。何度も同じことを書きますが、このスクリーン規模なら大健闘だと思います。
 9位:『天使にアイム・ファイン』がランクイン。映画オタクを名乗るわたしが知らない映画があるんだ、と思って調べたら、なるほど、そういうことかと判明。知りたい方は、タイトルに貼ったリンクをどうぞ。
 10位:『オデッセイ』:46日間累計で34億に乗ったかと思われる。35億まで届くか微妙かと先週書いたけど、これは最終的にはなんとか届きそう……かも。頑張れワトニー!

 以下、『信長協奏曲』は最終的に45億まで行く可能性大ですね。まだ行っていないと思うけれど。それから、いよいよ上映終了間近の『スターウォーズ/フォースの覚醒』は115億着地ぐらいで決着になりそうですな。あと、アカデミー助演女優勝を受賞した『リリーのすべて』は13位だそうで、0.5億も届いていないのではないかと思う。スクリーン数も少ないのでやむなしだが、ちょっと興行的には厳しい。わたしの愛する『Carol』もそうだったけれど、もっと公開スクリーンが多くてもいいのになあ。もったいない……。そして『ガルパン』はとうとう動員100万人を超えたそうですね。公式ブログに載っていました。それに、今「4DX」の興行がかなり貢献しているようで、単価が非常に高いことも影響しているようですな。いやあ、本当にすごいことですね。

 というわけで、結論。
 相変わらず毎年恒例の春の『ドラえもん』の強さの前に、今週 公開の『僕だけがいない街』『ちはやふる』は届かず。わたしとしては、『家族はつらいよ』がじわじわと売れ続けてほしいですが、いよいよ来週の『BATMAN v SUPERMAN』は果たして最初の週末でいくら稼ぐでしょうか。ちなみに、前作の『マン・オブ・スティール』が2.6億スタートで最終10億にも届かず。まあ、今回は10億は超えると思うけれど、どうなることか、楽しみっすな。以上。

↓観てない人は、全然話についていけないと思います。今回の『BATMAN v SUPERMAN』は完全に続きのお話だし、前作『マン・オブ・スティール』は非常に特殊な話で、今までのスーパーマンとはまったく違うので。予習は大丈夫ですか!? 
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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-06-17
 

 先日、わたしが大変お世話になっている美人のお姉さまに、「あなた、そういえばこれをお読みなさいな」と勧められた小説がある。へえ、面白いんすか? と聞いてみると、既にシリーズは全10巻で完結しており、また以前TVドラマにもなっていて、ヒロインをDAIGO氏と結婚したことでおなじみの北川景子嬢が演じたそうで、その美人お姉さま曰く、「面白いわよ。でも、わたしは、TV版の北川景子さんではちょっと小説でのイメージよりも美人過ぎるというか、彼女よりも、あなたが最近イイってうるさく言ってる、黒木華さんなんががイメージに合うような気がするわ」とのことであった。
 ええと、それはオレの華ちゃんが美人じゃあないとでもおっしゃるんですか? と思いつつも、「まじすか、じゃ、読んでみるっす」と興味津々の体で、すぐさま、その場で調べてみるも、どうも電子書籍版はないようなので、その後すぐに本屋さんへ行き、まずはシリーズ第1巻を買ってみた。それが、高田郁先生による『八朔の雪 みをつくし料理帖』という作品である。

 なお、インターネッツという銀河を検索すれば、TV版の映像も出てくるが、どれも違法動画っぽいので、ここに貼るのはやめておきます。小説を読み終わったばかりのわたしとしては、ははあ、なるほど、お姉さまの言う通り、北川景子嬢ではちょいと感じが違うかもね、というのはうなづけた。もちろんそれは北川景子嬢が悪いと言う話ではなくて、美人過ぎる、からなのであって、北川景子嬢のファンの皆さまにはお許し願いたい。そもそもわたし、ドラマ版を観てないので、とやかく言う資格もないし。俄然見たくなってきたけれど。
 で。この作品は、主人公「澪」ちゃん18歳が、「牡蠣の土手鍋」を店で出して、客から、なんじゃいこりゃあ? と言われてしまうところから始まる。どうやら澪ちゃんは大坂出身であり、江戸っ子たちには牡蠣の土手鍋は未知の料理であると。そして、どうやら「種市」さんというおじいちゃん経営の蕎麦屋「つる屋」の料理人として雇われていて、「お寮さん」と呼ぶ奥様と一緒に、神田明神の近くに住んでいるらしいことがすぐわかる。その後、料理の話を中心に、澪ちゃんとお寮さんの関係や、江戸に来たいきさつなどが判明してくると。で、現在の蕎麦屋に雇われるきっかけとなった出来事も語られたり、何かと澪ちゃんや種市爺さんを気に掛けてくれるお医者さんの「源斉先生」や、謎の常連客の浪人風なお侍「小松原さま」と知り合って、話が進んでいく。
 基本的には、いわゆる短編連作という形式で、1話につき一つの料理を巡って話が進む。その時、必ずカギとなるのが、江戸と大坂の味覚・料理法の違いだ。大坂人の澪ちゃんにとっての常識は江戸では非常識であり、当然逆に、江戸での常識は澪ちゃんにとって、「ええっ!?」と驚くべきものなのだ。このカルチャーギャップが本作の基本で、毎回読んでいて非常に興味深い。例えば、冒頭の「牡蠣の土手鍋」は、関西以西では普通でも、江戸っ子にとって牡蠣は、焼いて食うものであって、「せっかくの深川牡蠣を」「こんな酷いことしやがって、食えたもんじゃねえ」とお客に怒られてしまう始末なのである。こういったカルチャーギャップは、現代の世の中でも話のネタとしては鉄板だ。わたしの周りにも大阪人や名古屋人などが存在していて、よくそういう食べ物系カルチャーギャップの話をする。江戸人に限らず、我々現代人の場合においても、自らのソウルテイストに固執して、違うものを拒絶する傾向が多いと思うが(かく言うわたしも関東人の味付けじゃないと嫌だし)、澪ちゃんはプロ料理人として、江戸風味を理解し、生かしながら、自らの大坂テイストとの融合を模索する。その工夫は特に後半で問題となる、「出汁」の話が非常に面白い。昆布出汁で育った澪ちゃんが、江戸の鰹出汁とどう折り合いをつけ、澪ちゃんオリジナルとして昇華させるか。おそらく読者たる我々も、なんだか作中に出てくる料理を味わいたくなるのが、この作品の最大の魅力の一つであろうと思う。なお、文庫巻末には、作中料理のレシピが付いてますので、誰かわたしに作っていただけないでしょうか。
 ところで、澪ちゃんの最大のビジュアル的特徴は、「眉」である。澪ちゃんは数多くのピンチに苛まれるわけだが、その度に、「地面にくっついちまうぜ」と小松原さまにからかわれる通り、「下がり眉」なのだ。わたしは、しょんぼりと困った顔をして眉が下がっている様の女子が大好きなので、もうのっけから澪ちゃん応援団になってしまった。「下がり眉」愛好家のわたしとしては、現在の芸能界で最強に可愛い下がり眉と言えば、元AKB48の大島優子様だが、澪ちゃんのイメージとしては、優子様ではちょっと美人過ぎるか。もうチョイあか抜けない素朴系……と考えたら、確かに、この作品をわたしに教えてくれたお姉さまの言う通り、愛する黒木華ちゃんが候補に挙がるような気がする。ただ、澪ちゃんはまだ18歳なので、もうチョイ若い方がいいのかな。ま、そんなことはどうでもいいか。
 いずれにせよ、澪ちゃんは非常な困難に何度も直面し、しょんぼりとよく泣く、気の毒な娘さんだが、彼女は一度泣いたあと、きっちりと気持ちを立て直し、常に努力を続ける。じゃあ、これはどうだろうと考えるし、周りの人々のちょっとした話からも、解決の糸口を見つけ出す。その「常に前向き」な姿勢が非常に健気で、わたしとしては彼女を嫌いになれるわけがない。とても良いし、応援したくなる。まさしく彼女は、物語の主人公たる資質をきっちりと備えているわけだ。もちろん、周りのキャラクター達も、そんな澪ちゃんを放っておけない。いわゆる江戸小説らしい人情が溢れており、とても読後感はさわやかである。これは売れますよ。人気が出るのもうなずける作品であるとわたしは受け取った。
 この作品を貫いている一つの大きな柱として、「雲外蒼天」という言葉がある。これは、澪ちゃんが子供のころに占い師に言われた言葉で、曰く、「頭上に雲が垂れ込めて真っ暗に見える。けんど、それを抜けたところには青い空が広がっている。――可哀そうやがお前はんの人生には苦労が絶えんやろ。これから先、艱難辛苦が降り注ぐ。その運命は避けられん。けんど、その苦労に耐えて精進を重ねれば、必ずや真っ青な空を望むことが出来る。他の誰も拝めんほど澄んだ綺麗な空を。ええか、よう覚えときや」という意味である。
 まさしく澪ちゃんは、「雲外蒼天」の言葉通り、艱難辛苦に遭う。そして、それでも頑張り通して、最後には笑顔になることができる。それは澪ちゃんだけでなく、周りの人々をも笑顔にするもので、当然、読者たる我々にも、笑顔を届けてくれるものだ。こういう作品を、傑作と呼ばずして何と呼ぶ? わたしはこの作品が大変に気に入りました。
 
 というわけで、結論。
 『八朔の雪 みをつくし料理帖』は大変面白かった。澪ちゃんにまた会いたいわたしとしては、もはやシリーズ全10巻を買うことは確定である。これはいい。最後どうなるのか、楽しみにしながら、せっせと読み続けようと思います。幸せになっておくれよ……澪ちゃん……。そしてこの作品をわたしに教えてくれた美しいお姉さま、有難うございました!! 以上。
 
↓漫画にもなってるんですな。ドラマ版は、探したのだけれどどうもDVD化されていないっぽいです。

 はー。参った。すげえ映画だった。
 ちょっと前に、WOWOWで放送されたこの映画、まあ観る前からかなりのドイヒーであろうことは想像ついていたが、とりあえずネタとして録画しておくかと軽いノリであったが、いざ観てみたところ、まさしくキング・オブ・ドイヒー。これは本当に頭痛がしてくるほどヒドイ映画であった。
 この映画が日本で劇場公開されたのか、そんなことも調べるのがアホらしいほどなのでどうでもいい。恐らくは(?)、いわゆるビデオストレートだと思うが、わたしが先日、夜、ぼんやりと見たのが『アナコンダVS殺人クロコダイル』というスーパーY級映画である。

 一応、わたしは世に言うB級映画ハンターでもあるので、愛のあるトンデモムービーに対してハナから否定するつもりはない。しかし限度ってモノもあるわけで、コイツは久しぶりにひどくて、思わず最後まで観てしまった。これはもう、B級じゃ済まされないですな。C級でもない。まあZ級と言わないまでも、その一歩手前のY級ぐらいであろう。 じゃ、なんでそんな、タイトルからして地雷臭ぷんぷんのネタムービーを見たわけ? という非難は当然わたしも受けるべきであろう。なので言い訳をさせていただくが、わたしがこの映画をわざわざ録画までして観た理由は、2つある。
 1つは、この作品がこれまたスーパーD級映画としてお馴染みの『Lake Placid』(邦題:『UMA レイク・プラシッド』)と、同じくスーパーE級映画『Anaconda』(邦題はそのまま『アナコンダ』)のまさかのクロスオーバー作品であり、その両方を観ているわたしとしては、ちょっと、な、なんだってー!? と思うに十分な企画であることだ。この両作は、実は何気にキャストが豪華で、ここに書くのもめんどくさいので、気になる方は上記タイトルのリンク先を観ておいてください。
 で、もう1つの理由は、おそらくはフルCGで描かれるであろうと思われる、アナコンダとクロコダイルのCGの出来をちょっと確認しておきたかったためだ。一応、腐ってもメリケン映画であり、ひょっとしたら物語はクソつまらなくても、CGは凄いかもしれない。と、根拠なく思ったからである。

 しかし。残念ながらわたしのごくわずかな期待は、完膚なきまでに打ち砕かれ、脚本(=物語)もひどい、演出もド素人レベル、役者の芝居も学芸会並、そして、一縷の希望をかけたCGの出来も、これなら日曜日の朝のスーパーヒーロータイムのほうが断然上でしょうな、というヒドイ出来であった。がっかり。
 あまりにひどくて、せめて、無駄にいっぱい出てくるメリケン女子どものお色気シーンぐらいは充実してんだろうなぁ? そこんとこ頼むぜ!? と思いながら観ても、全然たいしたことのない水着シーンのみで、ポロリもなし。しかもまったく可愛くない。その寒々しさは、目も当てられないほどである。
  とにかく、一体全体、この映画はどれだけの予算が投入されて、どれだけ回収できたのだろうということが気になったので、いろいろ調べてみたものの、全然データナシである。どうやらはやり、この作品は劇場公開は日本でもUS本国でもされておらず、完全にビデオムービーのようですな。だとすると、きっと予算規模は1億もないだろう。恐らくロケも、1週間あれば十分だろうし、ぶっ壊す車とCG代がちょっとかかる程度であろうと思われる。果たしてそれを回収できたかというと……これは根拠ナシだが、おそらく赤字ではないと思う。日本でのビデオ発売権だけでもそれなりだろうし、WOWOWだって放送権を得るのに100万ぐらいは払ったのだろうか? もっと安いのかな。いずれにせよ、それなりに海外収入もあって、何とかなったのではなかろうか。
 結果として黒字なら、こんなヒドイ出来でも、製作陣としては勝ちである。黒字であって欲しいと、わたしは心から祈りたい。でないと……関わった人々が可哀相すぎるので……。

 というわけで、短いけど結論。
 『アナコンダVS殺人クロコダイル』は、久しぶりに観るヒドイ映画であった。あまり映画愛も感じられないし、とにかく演出・演技とも素人レベル。せめてCGだけは凄いクオリティを見せて欲しかったが、これまたかなり低品位。要するに、見るべきところが皆無でありました。以上。

↓こっちはまだ、ちゃんと鑑賞に堪えるんですけどね……。両方とも、「2」「3」は本当にヒドイですがw
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2002-08-23

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2003-12-17



 

 すっかり春めいてきたな、と思わせて今日の雨はなんなんだ。
 残っている仕事があるので今日も出社しているわけだが、ズバリ、飽きてきたので、日課のBlogを書いてしまおうという気になった。今日は、昨日読み終わった電撃文庫の3月新刊、『血翼王亡命譚I ―祈刀のアルナ―』である。
血翼王亡命譚 (1) ―祈刀のアルナ― (電撃文庫)
新八角
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-03-10

  以前ここで書いた通り、電撃文庫が毎年募集している新人公募は、賞を獲った作品を毎年2月に発売しているのだが、今年は本作のように「銀賞」を獲った作品は3月の発売となったようだ。まあ、毎月のお小遣いが限られている少年少女に、賞を獲った作品を2月にまとめて刊行してしまっては、全部読んでもらえないことだろうから、発売月をズラしたのだろう。ま、それによって売上が上がるなら、作品にとってもいいことであるが、実際のところ効果があるのか、良くわからんですな。
 作品自体については、電撃文庫のWebサイトに、この作品の特集ページがあるので、まあ、そちらを見てもらった方がいいだろう。本作は異世界ファンタジーであり、独特の用語も出てくるので、予習しておいても害にはなるまい。わたしはまっさらな状態で読んだのだが、うーーん……結論から言えば、新人としては非常に面白かったと言ってよいと思う。が、どうしてもやはり、いくつかの点で問題があり、「新人としては」という枕詞がなければ、後半部分でむにゃむにゃしてしまったのが惜しいと思う作品であった。
 わたしは、タイトルの「亡命譚」という言葉から、きっと、田中芳樹先生の名作『アルスラーン戦記』のようなお話で、ヒロインたる王女は、国を追われ、別の国へ流れて、そこで再び祖国を取り戻すために仲間を増やして、祖国奪還の戦いに挑むようなお話かな、と勝手に思いながら読んでいたのだが、全く違っていた。しかも、珍しくタイトルに「I」とあるのだから、シリーズとして続いていくことを想定しているわけで、恐らく今回は、何とか逃げ切ることに成功して、今回は逃げるしかなかったけど、今に見てろよ! と祖国奪還を決意するところまでかな、と思っていたのだが、これまた全く違っていました。

 わたしが思うことを、ここで指摘するにはネタバレざるを得ないので、もう気にしないで書いてしまうが、まず、構成をチェックしておくと、本作は「序」+1~6章+結という章立てになっているが、おおよそ次のような構成だと思う。
 【起】:序+1……世界観の説明、主人公(ユウファ)とヒロイン王女(アルナ)の紹介、主人公の師匠(ヘイダス)の紹介、物語の発端である儀式、儀式を邪魔しようとする勢力の襲撃、落ちのびるユウファとアルナ、襲撃者の一人に紛れていた少女(イルナ)との出会い。
 【承】:2+3+4……ユウファ+アルナ+イルナの3人での逃避行。イルナの依頼人である地方長官の領地を目指す。道中、各キャラクター説明や世界観の補足。
 【転】:5……味方かもと思っていた長官の裏切り、黒幕の判明。事件の全容把握
 【結】:6+結……事態の収束。
 という感じなので、一見、起承転結のまとまりはあるように思えるのだが、若干やはり「承」が長いのと、【転】【結】の唐突感もあって、微妙にバランスは整っていないようにも感じた。
 特に問題は、師匠の行動がさっぱりわからないことだ。師匠の動機は、この事件全体の根幹にかかわるものなので、もう少し周到な伏線や読者が納得できる背景が事前に提示されていてほしいのだが、それがないため、かなり唐突であるようにわたしは感じた。
 結果として【結】は、えっ? えっ!? えええっ!? と、物語の流れについていくのに、やや苦労したことを記録にとどめておきたい。この物語の鍵となる概念「言血」なるものが、なかなかイメージしにくいものであるだけに、描写されている場面を脳内で描くのに脳のリソースが取られているので、師匠の行動はなかなか理解が難しい。いや、実際のところ単純な動機なのだが、じゃあなんで? という疑問も生まれてしまい、すんなりとは腑に落ちなかった。また、師匠と瓜二つの双子の兄まで出てくるので、その分かりにくさに拍車がかかってしまっているようにも思う。このキャラクターは必要だったのだろうか? ちょっとわたしには何とも言えない。

 しかし、この作品は「応募原稿」であり、デビュー作なので、物語の構造や流れを刊行・発売までに手直しすることは事実上無理だろう。だからその点は、今回は問題にすべきではなかろうと思うのでこれ以上のツッコミはしない。ただ、もしわたしが担当していたら、必ず指摘したのではないかと思われる点が一つだけある。
 それは、各キャラクターのセリフだ。特に、わたしなら間違いなく、主人公ユウファのセリフに対して著者と話し合うだろうと思う。ユウファは、幼少期から武芸の訓練を受けた護衛官(作中では「護舞官」と呼ばれる)である。その彼が使う一人称が「俺」でいいのかどうか。勿論普段はいいだろう。しかし師匠や王女に対して「俺」でいいのか。この「俺」を使うことで、非常に物語が軽くなってしまっているように感じるのだが、気のせいだろうか? はっきり言って、ユウファの言葉遣いは教養を感じさせない幼さが前面に出てしまっている(作中では、護舞官は教養ある職業とされている)。加えていうと、この物語は基本的にユウファの一人称小説である。なので、「俺」がかなり頻繁に地の文でも出てくる。うーん……やはりわたしならセリフの「俺」は問題アリと指摘しただろうし、語りの視点も三人称の方がいいのでは? と作家と話し合ったことだろうと思う。この点は、100%編集の仕事と言っていいだろう。編集と作家との間でどのようなやり取りがあったのか知る由もないが、もう少し、本作をさらに面白くすることのできる余地があるのではないかと感じずにはいられなかったことも、記録に残しておきたい。ま、余計なお世話ですかね。わたしだって著者を説得できたかどうか、相当自信がないっすな。
 ほか、文体として、序盤は非常に装飾華美に感じたのだが(やたらと日常にない表現が多い)、これはすぐに慣れたというか、中盤以降は全く気にならなくなったので、まあ世界観を彩るために必要な舞台装置の一部と見做すことで、問題なしとしておきたい。
 
 というわけで、結論。
 いろいろ口うるさいことを指摘してしまったが、本作は電撃小説大賞の銀賞の水準には明確に到達しており、十分以上にきっちり書かれた作品だと思う。わたしがうるさく言うのは、基本的には作家に対してではなく、担当編集に向けてだ。これはどうでもいいことだが、電撃文庫のはほぼ必ずあるはずの「あとがき」がないことも少し驚いた。うーん……ページの都合か? とも思ったが、巻末のADをやりくりすれば2Pは入れられたはずなんだが……もう少し、なんとかなったのでは? という点が目立つような気がしました。以上。

↓ 今、このシリーズを読み始めてます。とあるお姉さまに是非お読みなさいと勧められたので。面白いっす。

 わたしは、わたしを知る人々から、「時間に正確な男」として知られている(たぶん)。
 まず、何についても「遅れること」がほぼないのでそう思われているのだが、ある人は、「あいつは時間にきっちりしてる奴だよね」と方向性としてはポジティブに評価してくれるし、また別な人には「あの人って時間に神経質なのよね」と、逆にネガティブなコメントをされる場合もある。
 一応、わたしの言い分もある。わたしが時間に正確なのは、明確な理由があるのだ。
 というのも、わたしは時間の余裕を持つことが何よりも大事だと思っているのである。例えば、わたしは癖として、ひとつの仕事をこなすにも、大体、タイムを計っていることが多い。これはわたしが長いことランニングやトライアスロン等で身に付いてしまった習性なのだが、常に、何をするにしても大体必要な時間を思い浮かべて、自分に制限時間を課して(=すなわち自分的締め切りを設定して)、いかにそのタイム内でより速く終わらせるか、を、結構無意識に計っている。そして、よし、余裕が出来た、と、思えると、ちょっと、やったぜ!! 的に気分が良くなるのだ。
 そもそも、なぜ時間の余裕を持つことが重要なのかというと、わたしは、「時間の余裕=心の余裕」だと信じているからだ。 わたしは、ほとんど宗教的敬虔さを持ってこの信念を抱いてる。
 なので、わたしは、「時間が狂っている時計」がこの世で最も嫌いなもののひとつである。たまに、自分の時計を5分進めておいて、余裕を持つようにしてるんだー、と無邪気に話す人に出会うが、わたしにはまったく意味が分からない。だって、あんた、その時計が5分狂ってること知ってるんでしょ? 意味なくね? まったく分からん。わたしが時計に求めるのは、1秒の狂いもない正確な時間を教えてくれることである。
  こんなわたしなのだが、現在は腕時計を3本所有している。それぞれ用途によって使い分けているのだが、要するにこんな感じである。
 【腕時計A】:スイス製高級品。これはスーツを着用しているときに使う。休みの日には使ってない。きっちりしている男を自己演出するためのモノであり、完全に仕事用。高くて自分ではとても買うつもりになれないものだが、親父の形見としてもらった。
 【腕時計B】:フィンランド製中級品。これは登山時に使う。電磁コンパスや高度計、気圧計搭載のデジタルWatch。デザインが気に入っているので、休みの日はもっぱらこれ。電池が2年ぐらいであっさり切れる。安いとはいえないかもしれないがそんなに高くもない。
 【腕時計C】:日本製デジタル。完全にスポーツ用。ラップタイムをたくさん取れるので、時刻というよりストップウォッチ機能メイン。1万円程度の安物なので、金持ってるぞアピールがないし、万一の紛失リスクに備えて、旅行の際にもコイツを着用することが多い。
 で、この3点とはもうかなり長い付き合いなのだが、わたしとしては大変残念なことに、コイツら、狂うんですよね。1秒単位で正確であって欲しいわたしには、とても正確な時間を教えてくれるものとは言えないんだな。
 まず【腕時計A】の場合は、そもそも自動巻きなので、土日に使用しないと月曜の朝には止まってることが多い。なので毎週月曜にあわせても、確実に金曜日には、1分以上の誤差が発生する。また、カレンダーも、30日の次は当たり前のように31日になるので、その修正も必要になる。実にイラつく。
 【腕時計B】も、比較的時間が狂う。月に1分とは言わないけど、数10秒単位で狂う。そしてコイツの場合多機能過ぎて、時刻修正はあっちこっちのボタンを押す必要があって、非常にめんどくさい。実にイラつく。
 【腕時計C】は日本製だけあって一番ずれが少ないような気がする、けど、コイツは着用する機会が一番少なく、たまにつけると大抵微妙に時間が狂っている。なので、修正するわけだが、これもボタンがいっぱいあって、しかもたまにしか使わないからいつも、マニュアルを探して、ええと、どうするんだっけ、とやらないといけない。頭にきたので探したら、こいつにはpdf版のマニュアルが用意されていたので、わたしのPCのデスクトップに置いておくことにした。とにかく、イラつく。

 というわけで、いつもの通りクソ長いが、以上は前置きである。
 実は、今日、2016年3月18日は、わたしにとってはちょっとした忘れられない日になった。とある出来事があり、恐らくわたしは、今後の人生において2016年3月18日のことは忘れないだろう、という事件である。わたしのことをご存知の方は、何のことか知ってるよね。なので書きませんが、とにかく、わたしは今日の日付を忘れないこと、そして、今日の初心を忘れないでおきたい、と思ったのだが、それを記念して、そうだ、時計を、常に身に付ける腕時計を買おう!! と突如思い立った。腕に巻かれたコイツを見て、今日の日のことを思い出すんだ。そんな風に思ったのである。
 ま、実はそう思ったのは昨日なんですけどね。
 なので、昨日の夜、何がいいかしらん? と、ぼんやりとわたしの愛するYODOBASHIドットコムにて物色してみたところ、「こ、これこそオレの求める時計の理想型だ!!!」という物を発見し、今日の帰りにYODOBASHI-AKIBAへ寄って、ほぼ迷うことなく買ってきたのである。
 ↓コイツです。どう? カッコ良くないですか!?
Atessa
 こいつは、CITIZEN謹製のATTESA F900モデル、型番CC9015-54Eである。
 電波・ソーラー・GPS。もう、完全にわたしとしては究極ですよ。
 ■電波時計である=1秒も狂わない(たぶん)。
 ■ソーラー=電池交換不要
 ■GPS=NYへ行こうが台湾へ行こうが、ボタン一発で現地時間に。日本時間とデュアルタイム表示可能。
 まさに完璧ッ!! これだよ、オレが腕時計に求めるのはコイツだよ!! ということで、大変満足である。これなら、スーツのときでも、休日でも、服装を選ばないし、何気に、デキる男アピールもスポーツ野郎的雰囲気もあって大変気に入った。まあそれなりに高かったので、旅行に連れ出すかは微妙なところだが、せっかくのGPS機能は海外へ行くときに真価を発揮するのだろう。気に入ったぜ!!
 (※2016/11/05追記:その後、先日台湾に行ったときに試してみたところ、屋外の、開けたところでは、ボタン長押しでグルーーーリと針が回って現地時間になりました。そのギミックが観てて楽しかったです。、そして、帰って来て、羽田からモノレールの中でもやってみたところ、当たり前だけどちゃんと日本時間に戻りました。ま、台湾とは時差1時間しかないんだけど、なんかカッコいい!)
 実は昨日の夜、突如思い立った時には、対抗馬として、SEIKO謹製のASTRONシリーズもいいな、と悩んだのだが、なんとなくの好みとして、CITIZEN-ATTESAに軍配を上げた。
↓悩んだ相手はコイツ。どうだろう? やっぱりSEIKOブランドのほうがよかったかな?
astron
 まあ、別にどっちでも良かったのだが、どうせなら第一印象で気に入ったATTESAにしようということで、深く考えずに決めてしまった。実際、機能や性能はほぼ一緒だろうし。もう、いいの。気に入ったんだから!!
 ただ、ひとつだけ、わたし的にちょっとこれは……とほんの少しだけテンションが下がった点がある。それはですね、わたし、生意気に【腕時計A】をもう20年以上着用してたわけですよ。で、あのスイス製高級Watchはですね、ずっしりと重さがあって、重厚感があるんですな。いってみれば高級感? みたいな重さがあるのです。しかし、今回わたしが購入したCITIZEN-ATTESAはですね……すっげえ軽いのです。もちろんそれは、バンドもケースも「チタン製」ということで、高級素材を使ってるがゆえの軽さなので、実際のところこの時計のウリでもあるのですが、【腕時計A】のずっしり感に慣れたわたしには、その軽さが安っぽさに感じてしまうのだ。まあ、これはきっとすぐに慣れると思うので、問題なし、と思うことにします。チャリンコ野郎であり、山男であるわたしにとっては、「軽いは正義」だしね。

 というわけで、結論。
 CITIZEN-ATTESA CC9015-54Eはカッコイイ!! わーい!! と喜ぶわたしであった。
 そして今日、2016年3月18日、今のわたしの初心を、ずっと忘れないでいたいと思う。真面目に、誠実に生きて行こうと思います。以上。

↓ 文章から想像できた人はわたしと友達になれると思いますが、わたしの【腕時計B】はコイツのことです。色は全然違うけど。わたしがもう15年愛用しているこいつは、限定カラーのシャンパンゴールド。
 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 つーかですね、現在、大相撲春場所の真っ最中なわけですが、わたしが応援している松鳳山関が4連敗中で、もう心配でならないわけで、くそう……勝ち越してほしいのですがどうでしょうか……。毎日、17:15ぐらいになると気になって仕事が手につかないんですけど……。まったくもってやきもきの毎日であります。
 で、今週の週刊少年チャンピオンですが、今週もまあ、通常運転でとりわけ驚きの展開はナシでした。なので、『鮫島』以外はざっと見て流すことにさせていただきます。
 ■『弱虫ペダル』:熊本台一、合流完了、キモー筋くんニヤリ、一方総北も懸命に追い上げ、そして追いついた!! ら、先頭集団に異変が!! 熊本台一があっさりバラけている!! 振り落としが始まってるんだ!! まででした。まあ、実際のレースでは普通にあることっすな。
 ■『刃牙道』:ピクルVS武蔵はじまるよー。
 ■『囚人リク』:レノマの看守買収作戦成功か!? そして沢田との戦いが始まる!!
 ■『AIの遺電子』:とあるヒューマノイドが、うまく行かなかった人生(?)をリセットさせて小学生に戻ろうとする話。面白かった。
 ■『ビーストコンプレックス』:短期集中連載3話目。今回はらくだの新聞記者と、街で出会った美女オオカミのお話。いいね。面白いです。
 ■『Gメン』:勝太、大吾救出へ! 強さインフレが起きないか若干心配だけど面白いからアリです。 
 ■『ニコべん!』:合宿生活編続く。夜、女子部屋でトランプに興じる男二人。ますます函津米くん大好きを意識する多部ちゃん、がんばれ!
 ■『少年ラケット』:ビリーさんVSイチロー君続き。いよいよイチロー君の眠れる才能開花か!? ビリーさん強い!!
 ■『錻力のアーチスト』: 之路主将のピッチングが元来のものに戻り、無事に2回の表は終了、2回の裏はいよいよ4番、弐織(弟)パイセンの打順からだ!! というところまで。面白くなってきましたよ!!
 というわけで、今週のチャンピオンも大変楽しく読ませていただきました。

 さて。では今週の『鮫島』ニュースです。
 先週は、いよいよ【蒼希狼】との取組が始まりブチかましに行く鯉太郎を【蒼希狼】がかち上げようとしたところまででした。今週はそこから、ファーストアタックの獲り合いです。鯉太郎は前日の【大山道】兄貴との取組で、逃げではない、攻撃の「変化」を理解しました。それがさっそく生きています。ブチかましに行くと見せかけて、「変化」を見せる鯉太郎。【蒼希狼】は、そんな鯉太郎を知りませんので、「止まりやがった・・・」と驚きの表情です。そして土俵下で見守る【大山道】兄貴は、「ハハッ・・・完全にモノにしてやがる・・・」と嬉しげな表情。いいですね。敵ながらあっぱれという奴でしょう。しかし【蒼希狼】も元小結。鯉太郎の攻めの変化にも対応します。そこから鯉太郎と【蒼希狼】のまわしの獲り合いが8ページにわたって展開します。思わずNHKアナウンサーも「速い!! 幕内でもトップクラスのスピードを持つ2人!! 目まぐるしい攻防!!」と興奮の実況です。しかし、解説席の虎城親方は冷静に「リズムが同じだ・・・これは・・・」とコメント。そう、【蒼希狼】もそのリズムに気付いていました。そしてそれに合わせて「ドンピシャだろ・・・」と右上手を狙った瞬間!! すべての動きは鯉太郎の罠だった!! 虎城親方も、やりおるわ的な表情で「エサをまいたか・・・」と鯉太郎の意図を察します。そして炸裂する鯉太郎のブチかまし!! ファーストアタックは鯉太郎が獲りました!! ここは見開きの大きな絵で表現されます。見事誘われてしまった【蒼希狼】は直撃を喰らい、体勢を崩します。そこに間髪入れず鯉太郎の張り手がクリーンヒット!! しかし、【蒼希狼】は、鯉太郎の「まるで自分の存在をぶつけてくるような」攻撃こそが求めていたものであり、嬉しくてたまりません。雄たけびをあげて鯉太郎に挑む【蒼希狼】。「だから・・・だからもう一度・・・鮫島と取りたかった・・・この取組で、俺の存在もオマエに叫ぶ・・・」そんな二人の取組を見届ける【大山道】兄貴。「叫び勝て・・・蒼・・・!」というところまでが今週の展開です。
 はーー興奮した。いやあ、『鮫島』は本当に最高ですね。来週も楽しみです!!
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
  --------
 【天雷】東関脇 
 【田上】番付不明 
  --------
 というわけで、結論。
 【蒼希狼】と鯉太郎の熱戦はしばらく続きます。しつこいようですが、この戦いが始まるまでの【蒼希狼】の過去と復活については、発売中の単行本(6)巻で読んでください。なお、本来的には、第1シリーズの『バチバチ』から読まないと【蒼希狼】については理解できないと思います。えっ!? 単行本もってない!? それはよろしくないっすね……ならば、今すぐ買いましょう!!
 そして、愛する松鳳山関よ、勝ち越し目指して頑張って下さい!! 以上。

↓ わたしはamazonが嫌いなので貼りたくないのですが、(6)巻を買っていない人は今すぐ買うべきだと思います。どこでも、ご自身の好きなストアで買ってください。わたしは紙と電子両方買ってます。

 今現在、たいていの本屋さんには「ライトノベル」と呼ばれる中高生向け小説の棚がきちんと設置されている。すっかり市民権を得たというか、「ライトノベル」という言葉が通じてしまう世の中になった。もちろん、おそらくは50代以上には通じないとは思う。なぜなら、そもそもは1980年代後半から1990年代にかけて生まれたジャンルであるため、それが約25年前として、その頃既に大人だった人は知りようがないわけだ。逆に言うと、25年前に15歳だった人が今、40歳なのだから、少なくとも30代以下の人にとっては、おそらくは普通に知っているものであろうと思う。
 要するに、カバーにイラストが描かれている10代向けの小説と思っていただければいいわけだが、ありがたいことに、いまだに読み続けてくれている30代~40代も非常に多く、市場として、出版業界が厳しい中、今でもそれなりの規模を誇っているのが「ライトノベル」という小説ジャンルである。
 で。
 わたしはライトノベルに相当詳しい人間の一人であるという自負があるが、そのわたしが断言してもいいと思っていることがひとつある。それは、1998年に発売されたとある作品が世に現れることがなかったならば、今のライトノベルの隆盛(もちろんここ数年は落ち込んでいる)は、決して存在しえなかっただろう、ということだ。
 その作品の登場によって、ライトノベルのナンバーワンレーベルである「電撃文庫」の今がある。その作品の大ヒットがなければ、確実に、「ライトノベル」そのものが、もちろん存在はしていたかもしれないが、今のようにどこの本屋さんでも棚が造られるほど、世に認知されることはなかった。それはもう、コーラを飲んだらげっぷが出るのと同じように確実な事実であると断言する。 
 その作品とは、上遠野浩平先生による、『ブギーポップは笑わない』という作品だ。
 1998年2月に発売された作品なので、正直、今読むとやや古い。あの当時はまだ携帯もそれほど普及していなかったし(当時わたしはポケベルから進化してPHSを使っており、携帯に移行するまさにそのあたりの時期) 、インターネットも、既に存在していたけれど、まだまだ原始的なWebサイトしかなかった。amazonだってまだ日本でのサービスは開始していないし、googleマップなんてまだない時代である。しかし、そういった時代を反映する小物類は古いかもしれないが(なにしろ主人公の女子高生はルーズソックス着用だ!)、物語としてはまったく色褪せないものがあり、実際、今読んでも非常に面白い作品である。
 『ブギーポップは笑わない』という作品が真に偉大な点は、例えば、それまで異世界ファンタジー主体だったライトノベルに、現代の現実世界を舞台として導入したことなど、実はいろいろあるのだが、わたしが最も重要というか、最大のポイントだと思っていることは、「普通の大人が読んでも非常に面白い」点にある。要するに、小説としての完成度が抜群に高いのだ。しかもデビュー作である。電撃文庫は、この才能を得たことを永遠に感謝し続けるべきだと思う。1998年からすでに18年が経過したが、いまだに『ブギーポップは笑わない』よりも小説として優れた作品はないと思う。この点は自信がないので断言しないが、たぶん、わたしと同じぐらい小説を読んでいる人ならば同意してもらえるような気がする。
 そんな『ブギーポップ』だが、もうすでにシリーズとしては20冊近く刊行されていて、おそらく今から新規読者を獲得するのは難しいかもしれない。さらに言えば、上遠野先生の作品はどのシリーズでもちょっとしたつながりや明確な関連があり、その全貌を理解するのは全作品を読まないといけない。しかし、タイトルに『ブギーポップ』とついていない作品も含めるとその数は40冊近くなる。そんな点も、新規読者には障壁となってしまうだろう。去年だったか、とうとう電子書籍での刊行も始まったので、わたしはこの期にすべて電子で揃えようかと考えている。まだ実行していませんが。
 というわけで、またいつものように長くなったが、以上前置きである。
 今月、電撃文庫より『ブギーポップ』の久しぶりの新刊『ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティブ・エゴの乱逆』という作品が刊行されたので、わたしは喜んで買ってさっそく読み、うむ、やはり上遠野先生は すごい、そして『ブギーポップ』はライトノベル最高峰の作品であろうという認識を新たにしたわけである。
ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆 (電撃文庫)
上遠野浩平
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-03-10

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))
上遠野 浩平
メディアワークス
1999-06

 というわけで、今回の新刊について少し感想を書き留めておきたいのだが、既にさんざん前置きで書いた通り、『ブギーポップ』シリーズは巻数も多く、登場人物もかなり膨大でわたしもはっきり言って「コイツ誰だっけ?」と思うぐらいだし、話もかなり忘れかけているので、詳しい説明はもうあきらめることにし、あくまで新刊の話だけに絞って書こうと思う。
 今回のお話は、「カミール」こと織機綺(おりはた あや)をめぐる、統和機構に属する二つの勢力の争奪戦である(もう、統和機構って何? とか、カミールって誰? という説明はしません。シリーズを読んできた人にはおなじみの言葉)。どうやら、カミールはこれまでは「無能力」として放置されていたのだが、実はその「無能力」こそが重要で、「合成人間を人間に戻すことができるかもしれない存在」として、二つの陣営はカミールを確保したがっているという状況である。そこに、綺の恋人たる正樹くんも巻き込まれていくという展開なのだが、今回はある意味シリーズ最強のキャラクター、綺の保護者であり、正樹くんの腹違いの姉である「炎の魔女」こと霧間凪は登場しない。この戦いの趨勢は、いつもの通り読み応え抜群で大変面白かったし、今後の綺の立ち位置も、これまでとは決定的に変わってしまうところで終了である。
 実のところ、上遠野先生の作品は、思想としてあるいは哲学として極めて興味深い記述が多く、おそらくわたしがこのシリーズを大学生当時に読んでいたなら、この思想について、本気で論述して卒論を書いたかもしれないとさえ思う。上遠野先生の人間に対する観察眼は非常に厳しく、示唆に富んだ指摘が多く、また、その指摘は極めて鋭い。その思想は小説として描かれているので、前面に出てくることはないが、おそらく現代日本においてTOPクラスの思想家ではなかろうかと思う。中沢新一先生あたりが本気で論述してくれたら面白そうなのだが、もはやわたしにとって上遠野先生の作品は、ある種の哲学書として楽しむべきものと認識している。
 今回、問題となるのは、タイトルにある「オルタナティブ・エゴ」というものだ。作中では、シリーズ随一の頭脳の持ち主としておなじみの末真和子と、前述の「炎の魔女」霧間凪の会話(を綺が思い出す回想シーン)で以下のように説明しされている(P.123)。
「とにかくオルタナティブ・エゴよ。我を張るくせに、そこには自分がなんにもないのよ。そういう例よ、それって」
「それってあれだろ、もう一人の自分とかそういう意味だろ」
「それはアルターエゴよ。心理学でいう自己の分身って方。ここでのオルタナティブ・エゴっていうのは、代案とかもう一つの選択とか傍流とか、そういった方の意味。要は、"なんか別のもの"とかいうような感じ」
「もう一つの自分、ってなんだよ」
「自分ではないのに、自分になってしまっているものよ。そういうものが人間の心の中にあるってこと」
(略)
「まあ、俺なんかはエゴの塊だからな」
「でも凪のエゴは決して利己的なものではなくて、理不尽と戦うための武器になっている。誰でもない自分という誇りがある。そういうのが正しいエゴだとすれば、オルタナティブ・エゴは誰でもいい自分、とでもいうべきもの。それは縄張り意識だけがとても強くて、内面の充実をほとんど考慮しない――そして何よりも、嘘つき」
「ああ、親父が嫌いそうな話だな」
「気にするのはいかに責任を逃れるか、破たんを避けるかということだけで、自分が何かを生み出したいとか、達成したいとかいう夢がない。そういう形でのエゴ――意志なき傲慢。無思考の厚顔無恥。それがオルタナティブ・エゴ。目的が、単なる言い訳になっている……卑怯者の自己正当化よ」
 今回の事件の中で、綺はかつて末真さんから聞いた上記の話を思い出し、まさしく自分も、そして自分を狙ってくる勢力も、オルタナティブ・エゴにとらわれているのではないかと考え、そこからの脱出を決意する。それが今回のお話の筋である。
 この「オルタナティブ・エゴ」という概念は、わたしには非常に興味深いものだ。なにしろ、リーマン生活を続けていると、出会うのはそんな奴らばかりなのだから。どうだろう、要するに思考停止の木偶の棒、ってところだろうか? 与えられ植え付けられた価値観を自分固有のものと「勘違い」して、中身のない言動をとる。中身がないだけならまだましで、その空っぽな言動で他者を攻撃し、とにかく空っぽな自らを守ろうとする。そういう奴、いっぱいいるでしょ? ただ問題は、そういう空っぽ星人どもをどうすべきかという事で、だからどうする、が明確には語られていない。作品の中で描かれるのは、そのことに気付いた綺の行動だけである。だからその「だからどうする」については、参考例として綺の決断と行動を描くので、あとは自分で考えろ、というのが上遠野先生のスタイルである。また、上遠野先生は、おそらく、だからダメなんだという価値判断も下していない、と思う。もちろん上遠野先生は、作中人物の末真さんの口を借りて、「卑怯者」とネガティブ判定しているわけだが、上遠野先生お約束のあとがきを読むと、それが人間だもの、しょうがないよ的なある種のみつお的な諦念めいたものも感じられる。これは、哲学系・思想系の本で非常に良くあるパターンだ。想像するに、ちょっとカッコイイこと書いちゃったけど、オレもそんな立派じゃねえしな、という著者の迷いのようなものなのではないかといつもわたしは感じている。なので、わたしはちょっと安心したりするわけで、そういった思想をエンタメ小説という形で発表し続ける上遠野先生は、本当にすごい作家だと思います。

 というわけで、いつにも増してまったくまとまりがないけれど、結論。
 やはり上遠野浩平先生も、作品を通じて自らの思想を表現しているという点において、手塚治虫氏先生同様の天才であると思う。本作も大変楽しめた。が、あまりに長いシリーズなので、やはり電子書籍ですべて買い直して、最初から読み始めよう、そして、今後の上遠野先生の作品は必ず読もう、と心に誓ったわたしであった。以上。

↓ 上遠野先生のJOJO好きは有名だが、コイツは本当に超・傑作。素晴らしすぎて最高です。

 去年の12月に、『母と暮らせば』を観て大いに感動し、立て続けにWOWOWで録画して観もせずに放置していた『小さいおうち』『東京家族』を観て、ああ、やはり山田洋次監督は偉大なるFILM MAKERだと今更ながら認識するに至ったわたしだが、1月に、舞台『書く女』を観に行った際に、山田監督のトークショーで直接の生の発言を聞く機会があった。曰く、「喜劇が一番難しい。そして劇場でお客さんが笑っている姿を観るのが一番うれしい」と、山田監督は仰っていた。かつて、『男はつらいよ』のシリーズで日本に笑いをもたらしていた山田監督。日本人に愛され続けた寅さんシリーズの監督がそういうんだから、「喜劇が一番難しい」というのはきっと真実なのだろう。
 以前も書いた通り、山田監督は一貫して「家族」をテーマとした作品を作り続けている。人間社会の基本単位である家族。それは、人間にとって一番のよりどころとなるものであり、また一方では一番厄介な、生まれてから死ぬまで、決して「なかったこと」にはできない繋がりであろう。だからそこには、喜びも怒りも悲しみも、すべての人間の感情が詰まっているはずだ。
 というわけで、山田監督最新作は、タイトルもズバリ『家族はつらいよ』である。これがもう、めっぽう面白かったのである。

 散々報道されていることだが、まずは客観的事実を先にいくつか書いておくと、実はこの作品、「山田監督最新作」と言っていいのかちょっと微妙である。というのも、去年の春にはとっくに完成していたそうで、制作の順番的には『母と暮らせば』の方が後であるが、公開順が入れ替わったのである。その理由は、去年2015年が戦後70年の節目の年であり、その年に『母を暮らせば』を公開したかったことが一つ。そして今年、2016年が松竹の創業120周年だそうで、本作『家族はつらいよ』はその記念作品という位置づけにされているためだ。まあ、これは別に、ああ、そうなんすか、で流してもらっていい情報で、正直どうでもいい。
 もう一つこの作品について言っておかなければならないのは、2013年に公開された『東京家族』と全く同じキャストであり、また役柄も全く同じという点だ。人名もほぼ同じで、『東京家族』が平井家、『家族はつらいよ』が平田家とちょっと違うだけで、下の名前も漢字が違ってたりするけれど、ほぼ同じである。これは非常に面白い取組である。なので、出来れば、本作を観る前に『東京家族』を観ておいた方が一層楽しめると思う。本作を観てから『東京家族』を観る、という逆もアリだと思いますが、何しろ『東京家族』はしんみり系のドシリアスなので、先に観ておいた方がいいような気がするな……どうでしょう。
 さて。で、今回の『家族はつらいよ』である。
 物語は、もう予告の通りだ。ある日、母が誕生日のお祝いに、父に欲しいものがある、と言う。父は、いいよ、何でも言ってみ? と聞く。母が差し出したのは離婚届。これに署名捺印が欲しいな、というところから物語は始まる。
 舞台となる平田家をちょっと紹介しておこう。
 【父】:演じるのは橋爪功氏。作中では70代と言ってたかな。定年後、ゴルフをしたり呑みに行ったり気ままなおとっつあん。はっきり言って、部外者のわたしから見ると、自分の親父を思い起こさせるクソ親父成分が濃厚で、あまり同情の余地なし、とわたしの目には映った。
 【母】:演じるのは吉行和子さん。お父さんにずっと耐えてきた昭和の母。亡くなった妹が著名な作家だったと言う設定で、その印税が入るのでお金にあまり困らない事情アリ。現在、カルチャースクールに通って創作の勉強中。なお、吉行和子さん本人も、故・吉行淳之介先生の妹であることはご存知の通り。もちろん、その事実を受けての役柄設定でしょうな。
 【長男】:演じるのは西村雅彦氏。サラリーマン。40代の設定(だったと思う)。上に部長がいるようなので、課長クラス。二人の子供アリ(小学生&中学生)。父が苦手なくせに、父の性格をそのまま受け継いでいそうな感じがするので、将来が心配だw うっかり者っぽい。両親と二世帯住宅に住む。今回かなりズッコケ演技を見せてくれる。
 【長男の嫁】:演じるのは夏川結衣さん。非常に常識人(?)。旦那の両親に対してきちんと気を遣い、旦那に対してもそれなりに立てている風。ただし子供にはきっちりと厳しく、しっかり者のお母さん。夏川さん本人は、若いころは美しいモデルさんだったが、すっかり演技派の素晴らしい女優ですね。
  【長女】:演じるのは中嶋朋子さん。税理士として事務所を運営。恐ろしく外面はいいが、キツイ性格。顧客に対しては超・猫なで声(ここの芝居は超笑える)。両親は兄が面倒を見るものと決めつけている。仕事バリバリ系。かつての蛍ちゃんも、すっかり歳を取りましたなあ。お綺麗だと思います。
 【長女の旦那】:演じるのは林家正蔵氏。うだつの上がらないダメ人間。嫁の事務所で助手として働く。お父さんに、「髪結いの亭主の癖に生意気言うな!!」と言われてブチ切れる。いや、お前……事実じゃんか……。持ちネタ「どーもすいません」を炸裂させたのは余計だったと思いますw
 【次男】:演じるのは妻夫木聡くん。 心優しい青年で、両親と兄夫婦家族と同居。仕事はピアノ調律師。折り合い悪い父親と兄の間に入って、家族をとりなす、本人曰く「接着剤」の役割を果たす。そのため、本当は一人暮らしをしたかったが実家住まいをしており、兄嫁は彼を非常に頼りにしている。しかし、そろそろ結婚を意識し、家を出ようとしている。今回もお見事な演技ぶりだったと思う。
 【次男の彼女】:演じるのは蒼井優ちゃん。 看護師さん。いい人。初めて連れてこられた平田家はとんでもない修羅場の最中で……という展開。相変わらず可愛い別嬪さんでした。この人が、さっそうとチャリンコを漕いでいる姿がわたしは非常に好き。
 とまあ、こんな平田家の皆さんが、お母さんの離婚届けによって大騒ぎ、というお話である。非常に分かりやすく、わたしはずっと笑って観ていた。
 しかし、である。
 残念ながら、この映画を楽しめるのは、おそらくは40代後半以上のおっさん・おばさんだろうと思う。ひょっとすると30代以下は、観ていてイライラするのではなかろうか。それは何故かと言うと、やはり、30代ではまだ、自分の親父を許せていないからだ。橋爪氏の演じるお父さんは、日本全国に生息する「お父さん」そのもので、酔っ払って帰って来て大声で喚くし、服は脱いだらほっぽり投げたままだし、しかも裏返しのままだし、靴下なんかも、ポイッとそのままで平気な、「昭和のお父さん」だ。そういう父親の姿は、息子や娘からしたら、実にウザい、最悪の存在である。お母さん可哀想……と、きっと誰でも思うことだろう。
 しかし、わたしのように、「絶対ああはなりたくない、ならない!!」と固く心に誓っている男でさえ、きわめて残念ながら、自分が嫌いでたまらなかった親父に、どんどん似てきてしまうのだ。そしてそのことを自覚した時初めて、若干の絶望とともに、父親を少し許せるようになるのだとわたしは思う。わたしの場合は、わたしが30になるチョイ前に亡くなってしまったので、少し早めに親父のことを許せるようになったが、おそらく普通の人は40代に入らないとそれが分からないと思う。もちろん、許すと言っても、否定はしたい。なので、許すというより「理解する」と言うべきかもしれない。いずれにせよ、親父の気持ちが分かってくるのは、40代後半以降であろうと思う。なので、おそらくこの作品は、30代以下には全く通じないのではないかとわたしは思うわけである。
 ところで、観に行って非常に興味深かったのは、観客の反応だ。
 わたしが観に行った時の客層は、60代以上と思われるおじさん一人客&老夫婦&おばさんのグループというように、おっそろしく年齢層は高かった。まあ、そりゃそうだとは思うが、注目すべきはその反応である。
 わたしの隣には、70代と思われる老夫婦が座っていて、時間ぎりぎりによっこらせと入ってくるし、始まってるのに服はガサゴソ脱ぐし、あまつさえ缶コーヒーをギリギリプシュウと開けるし、上映中に良くしゃべるし、正直イラッとするどころか、いい加減にしてくんねーかなーとさえ思ったのだが、お母さんは良く笑って楽しそうに観ているし、チラチラ観察したところ、お父さんも、声には出さないけれど、ずっとにニヤニヤと笑顔なのだ。もう、わたしはそのお父さんの笑顔で、全部許してもいいやと思った。
 おそらく、そのお父さんも、家族から煙たがられている存在なのではないかと勝手に想像するが、同じ様を映画で見せつけられて、あまつさえお母さんは爆笑していて、気分良くないのでは? と思ったのだが、なんだ、ちゃんと笑ってるじゃん。なるほど、きっとこのお父さんは、もうそういう段階は既に通過しているんだろうな、と想像すると、なんというか、もう、そういう人生の先輩に対しては怒りの感情は持てないというか、終わったところで「面白かったっすね」と声をかけたくなるほどだった。全く見知らぬ老夫婦は、どこから来たのか知らないし、どんな家族を持つのか想像もつかないけれど、きっと、お幸せなんでしょうな。この映画を夫婦で観て笑えるなんて、正直うらやましいよ。

 というわけで、結論。
 山田監督は、「喜劇が一番難しい」と仰っていたが、ご報告があります。わたくし、『家族はつらいよ』を拝見させていただきましたが、場内大爆笑でしたよ!! 勿論わたしも、笑わせていただきました。さすがっす。以上。

↓ あれっ!? 小説が出てたんですな。しかし、小説で読んで面白い話なのかな……。そして音楽は、名匠・久石譲先生です。
家族はつらいよ (講談社文庫)
小路 幸也
講談社
2015-12-15

「家族はつらいよ」オリジナル・サウンドトラック
久石譲
ユニバーサル ミュージック
2016-03-09

 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 この週末は、昨日の日曜日に『家族はつらいよ』を観てきました。詳しくは明日書きますが、超・最高です。なので、今日もランキングと数字だけでさらっと流します。 今週もドラちゃん強しでV2ですな。さすがです。

 ではさっそく、いつもの興行通信社の大本営発表から。
 1位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は9日間合計で12億は超えたか。V2達成。2週目で若干前作を上回りつつある動き。てことは、今年こそ40億届くのか!? これは要注目だと思います。
 2位:『アーロと少年』が公開土日で2.3億スタート。PIXERモノとしてはちょっとおとなしいスタート。3月公開は初めてじゃなかろうか? ドラちゃんとガチなので、実際厳しいのでは……?
 3位:『エヴェレスト 神々の山嶺』が公開土日で2億チョイ。うーん、このスタート数字だけではまだなんとも……。ほぼ同じ数字の過去作を見ると、12億~15億は堅い初動なのだが、たまに同じぐらいでも10億行かない作品もあったので、今後の動向次第か。現状ではちょっと最終見込みは想像つかない……。
 4位:『家族はつらいよ』は公開土日で1.7憶ほど。まったく同じキャストの『東京家族』が、公開週末で2億稼いで、最終的に18.2憶だったので、15億~16億着地という事か。くっそーーーもうちょっと売れてほしいな……超面白かったので、40代以上の方には絶対のおススメです。詳しくは明日、レビュー書きます。
 ※2016/03/15追記:というわけで、書いたのでこちらをどうぞ
 5位:『黒崎くんの言いなりになんてならない』16日間で6億以上7億以下ぐらいだと思われる。スクリーン規模が小さい割に、この数字は大健闘なのではなかろうか?
 6位:『オデッセイ』:39日間累計で32億台ぐらいかと思われる。35億まで届くか微妙? だいぶ上映回数も減ってきた。
 7位:『信長協奏曲』:51日間合計で43億台かな? 本当に大変失礼ながら、ここまで売れるとは予想外です。44億~45億まで行くと、去年の邦画ランキングに当てはめれば4位に入る数字。すごい。
 8位:『マネー・ショート』が10日間合計で3億チョイかな。やはりやや苦しい闘いです……。
 9位:『プリパラ み~んなのあこがれ♪レッツゴー☆プリパリ』は公開週末で0.4億。これはタカラ・トミーのIPですな。BANDAI以外でもこのような筐体型女児ゲームが儲かっているというのは、業界ネタ的に要チェックですね。アニメは土日じゃなくて、月曜の夕方18:30のテレ東にて放映中。これもまた珍しいというか、最近なかった時間帯ですね。珍しいというか、部外者にはわからない、想像を超える努力のたまものでしょうな。
 10位:『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』は公開週末で0.3億。わたしは仮面ライダーは好物なのですが、ウルトラマンは全然不勉強でして……テレ東にて毎週火曜日18時より放送していた「新ウルトラマン列伝」に登場していたヒーローだそうです。
 というわけで、以下、ランク外に落ちた『スターウォーズ/フォースの覚醒』がどうなったかというと、87日間合計で114億ほど。120億はもう無理、ということで、当初予想通り110億チョイでの決着になりそうです。そして『ガルパン』がずーーーっと売れ続けている模様で、15億突破したかどうか確認中。突破したとは思うけど。あとは動員が100万人に届くかどうかですね。あとチョイだと思う。
 という感じが今週の動きのようです。

 というわけで、結論。
 わたしとしては『家族はつらいよ』を激賞したいのだが……今後、30代以下の若者層が観に来てくれるとは思えないし、手堅い数字で15億届けば喜ぶべきなのか……ううむ、もっと売れてほしいものだ。40代以上のおっさんおばさんは、超必見です。明日、くわしくレビュー書きますので。以上。

 先日、京都の「伏見稲荷大社」を詣でて、全国のお稲荷様の総本山的存在であることを知ったわけだが、その時、わたしにとって一番なじみのある、成田山新勝寺の中になかばひっそり佇む「出世稲荷」のことを懐かしく思い出した。
 思えば、おそらく中学校に入るまでは、毎年親父と初詣にお参りしていた成田山。中でも、毎年親父がせっせと油揚げを奉納していた「出世稲荷」のことは非常に思い出に残っている。まあ、もう30年、いや、40年近く前になるので、言ってみればわたしの「お稲荷様」の原風景なのだが、先日の京都旅行で伏見稲荷へ行って、あの時のことを何故か鮮明に思い出した。
 というわけで、昨日の朝、そういやもう成田山は随分長いことお参りしてないなあ……とふと思い、思い立ったら即行動を旨とするわたしなので、またもや何も調べず用意せず、とりあえず車をかっ飛ばして行ってみるか、と2週連続で発作的ドライブを敢行した。
 わたしにとって成田山は、非常に遠いイメージであった。なにしろ、京成電車に揺られること小一時間だったような印象で、成田に着くまでののどかな田園風景が今でも心に焼き付いている。そして駅からも参道が延々続いて、ようやく着いた境内も広大で、果たして出世稲荷への道筋を覚えているのだろうか? と運転しながらいろいろなことをぼんやり考えていた。
 が、ごくあっさり、愛車は成田山新勝寺の総門近くの駐車場に着いた。家を出て、45分ぐらいで着いてしまった。いつも渋滞となる京葉道路もスイスイ通過し、東関東自動車道(通称:東関道)もガラガラ。うむ、やはり朝イチに限るな、と改めて思いながら、快適なドライブはごくあっさり終了して目的地に到着である。
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 着いたのは、9時前ぐらいだったと思う。なので、まだ参拝客もまばらで、屋台的な出店もまだ準備中のところが多かった。驚いたのが、幅的に車1台分ぐらいしかない駅から続く参道は、車は通行禁止であろうとわたしは思っていたのだが、一方通行ではあるものの、それなりに結構車が通る、普通の道路であった。そして、参道の様子は、ポイントポイントで、ああ、この店知ってるかも!? とか懐かしく眺めながら、ゆっくりと運転していたところ、写真の総門の前まで、余裕で車で来られた。
 上記の写真で説明すると、車は左から右への一方通行なのだが、左の方へずっと歩いていくとJRの駅に通じていて、道の両側にお土産屋さんやお食事処がずらーーーっと続いている。右側の方へ進んでいくと、わたしが止めた駐車場がすぐのところにある。駐車料金は1日800円ナリ、であった。わたしが到着した時は、まだ数台しか駐車されておらずガラガラだったが、11時ころに帰る際はもう満車状態であった。
 で。総門をくぐり、まっすぐ進んでかなり急な石段を上ると、仁王門がある。そしてそこをくぐって、池の橋を渡ると、また急な石段がある。それを登り切ると、本堂前の広い場所に出る。わたしは、総門や仁王門の印象はもうすっかり失われていたが、仁王門の次の池には明確な記憶があった。ああ、ここ知ってる。橋の両側の池には、亀の形の石があって、池には亀もいる。はいはい、知ってるっつーか思い出した、と若干のテンション上昇である。いやそれにしても懐かしい!! しかし、わたしの印象はもっと橋も長くて池も大きかったような気がするが、子どものころの記憶とはそういうものだ。ああ、意外と小さいなあ……なんて思いながら、まずは本堂へお参りした。
 なお、わたしは2007年にチャリでお遍路を完遂した時以来、寺社仏閣へ出かける時は必ず「御朱印帳」を持参するのだが、昨日も当然持参し、まずは本堂にお参りしてから、御朱印をいただいた。すると、どうやらこの成田山新勝寺は、本堂を含めて5か所でそれぞれ御朱印がいただけるらしい。ほほう。それは是非いただきましょう、ということで、境内をぶらぶらすることにした。
 しかし、やはり子どものころの印象とは違って、案外こじんまりしているような気がする。もっと広大で、とにかく毎回、親父と成田山へ行くと相当疲れるという印象だったのだが、無敵の肉体に成長した今現在のわたしからすると全然問題なしというか、ちょっと大きな立派なお寺、という趣である。そして、わたしが今回一番行きたかった「出世稲荷」も、案内図で見るとすぐ横にあった。そして、なんと「出世稲荷」でも御朱印がいただけるとのこと。ほほう……それは知らなかった、と、まずはそちらへ向かった。位置的に、本堂に向かって左の方、石段を上った先、らしい。ので、石段を軽やかに登っていくと、おお、まさしくここだ、うわあ、すっげえ懐かしい!! という光景がそこにはあった。
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 これが、成田山の境内にある、「出世稲荷」様。この横に、お供えする油揚げや蝋燭、お稲荷様のお姿などが売っている。↓これね。 セットで500円ナリであった。
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 うわあ、これは超懐かしい!!! これこそまさに、毎年親父がここで買ってお供えしていたものだ。変わってねえ!! というわけで、さっそくお参りし、御朱印もいただいた。御本尊は荼枳尼天(だきにてん)というらしい。帰って来て調べたところによると、もともと伏見稲荷でも荼枳尼天が御本尊で、憑き物落としや病気平癒、開運出世の福徳神として信仰されていたそうだが、明治の「神仏分離」政策によって、伏見稲荷では荼枳尼天を祭祀することは途絶えてしまったんだそうだ。へええ~。お稲荷様と荼枳尼天の結びつきは中世の日本で生み出された姿だそうです。なるほど。
 というわけで、その後、広い境内を散策しながら御朱印をいただき、もう一つ、親父が毎年欠かさずお守りをいただいていた「星供養」にもたぶん30年以上ぶりに行ってみて、ああ、これは懐かしい……などと郷愁に浸る時を過ごした。その後は、戻って総門から出て、懐かしい参道をしばらくぶらぶらして、有名なうなぎ割きのお店の店頭でしばし亡き親父のことを想いながら、いろいろなことを思い出しつつぼんやりとぶらぶらした。

 ホント、なんでまたオレは、中学生ごろから親父がどんどん嫌いになっていったんだろう? なんでまた、おはようの一言も言わなくなっちゃったんだろう? 親父が亡くなった今から思えば、本当にわたしは嫌なガキだったなあ……と思うが、残念ながらまったくもって後の祭りである。まあ、せめて、たまには思い出したように、成田山にはお参りに来るか、と、思った。帰りも、1時間かからないぐらいであっさり返ることができた。全然近いもんだなあ、ということが良く分かった今回のドライブである。

 というわけで、結論。
 成田山新勝寺は、初詣や節分の時は物凄い人出となって大混雑するが、普段はそんなこともないのであろうと思う。特に朝イチならば。なので、まあ、年に一度くらいはお参りして、出世稲荷に油揚げをお供えしようかな、と思います。車だとあっという間だという事も良く分かった。成田には、巨大なIMAXシアターもあるので、映画に来たついで、というのもアリかも。しかし……ホントにオレ、年取ったなあとしみじみ今日は思いました。以上。

↓ 成田のゆるキャラ「うなりくん」。あまり参道では目立った活動してませんでした。
 

 来たーー!!! 来ちゃったーーー!!!! た、大変だーーーー!!!
 何を興奮してるかって!? おいおいちょっとそこのアナタ、情報遅すぎですよ!!
 いいから、まずは↓↓コイツを見てくれ!!! 2分15秒のところで、わたしはもう、スーパー大興奮です!! とうとうあいつが、MCUに参戦だ!!! ヤッターーーー!! 

 わたしが今年、一番観たい映画ナンバーワンは、明らかにこの映画である。『CIVIL WAR:CAPTAIN AMERICA』の最終予告が昨日発表され、ずっと噂されていたSPIDER-MANがついにMCUに参戦である。これに興奮しないわけがあるまい。もうすでに、このBlogを読んでいる人で、「MCUって何ぞ?」という人はいないと思うが一応解説しておくと、MCU=Marvel Cinematic Universのことで、要するにIronmanやCaptain Americaをはじめとするとする一連のマーベルヒーロー映画のことである。Marvel作品は、ひとつの特徴として数々のヒーロー漫画のキャラクターたちが同じ世界に住んでいるという設定がある。少年ジャンプで例えると、ワンピースの世界にナルトも、殺せんせーも、悟空もケンシロウも住んでいるという事だ。普段はそれぞれのヒーローは自分の作品で悪党(=Villanという)と戦っているわけだが、強大な敵に立ち向かう際には協力し合うことがあり、その例がまさに『Avengers』の物語であるわけだ。
 もちろん今回の『CIVIL WAR』も、そういった、いわゆる「クロス・オーバー」モノのひとつであり、大変有名な原作である。非常に複雑な人間(以外もいるか)関係で、今回はヒーロー同士の戦い=内乱=CIVIL WARという意味でもある。詳しいことは、第1弾予告が公開されたときに、今回と同じように興奮して書いた記事があるのでそちらをどうぞ。
 で。日本でもお馴染みのSPIDER-MANだが、彼もMarvelヒーローの一人である。そしてそのSPIDER-MANがとうとうMCUに参戦する。もうこれは、わたしとしては最大級に興奮して、思わず友人たちにSKYPEで、「キターーー!! とにかくこれをWATCH THIS RIGHT NOW!!!!」とメッセージを送りまくってしまうほどの事態なのである。何故かというと、映画ファン以外には分からないと思うので解説するけれど、SPIDER-MANの映画化権利は、SPE(Sony Pictuers Entertainment)が保持しているのである。要するに、IronmanやCaptain America、Avengersを次々と映画化してMCUを展開してきたDisney=Marvelは、SPIDER-MANの映画を作りたくても作れなかったのだ。映画ファンじゃない人は、「えっ!? 今まで散々スパイダーマンの映画があったじゃん?」と思うだろう。あれはあくまでSonyの映画であり、Marvelがかつて会社として傾いてヤバかった頃に、権利を売ってしまっていた訳だ。なので、今現在はもう飛ぶ鳥を落とす勢いのMarvelでも、SPIDER-MANの映画は作れないのだ。同様に、X-MENもまた、20th Cnetury FOXに権利を売ってしまっていたため、X-MENもまた、MCUには登場させることは事実上できないでいる。Fantastic4も同じ状況だ。原作ではかなり頻繁に共同作戦をするのだが、いわゆる「大人の事情」って奴が邪魔をしていたのである。
 それが今回、奇跡のSPIDER-MAN参戦である。これは興奮するね。最高に。
 ちなみに、今回の奇跡の背景には、Sonyがその作品『Amazing SPIDER-MAN』を失敗してしまったという経緯がある。Sam Raimi版の『SPIDER-MAN』三部作は非常なる大成功をSonyにもたらしたが、監督や役者を一新してリブートした『Amazing SPIDER-MAN』は、興行収入的には大ヒットとなったものの、残念ながら内容的にクソつまらないもので批判を受けまくり、続編企画が立ち消えになってしまった。そんな中で、MCUへの参加打診が水面下で行われ、今回の登場となったのである。ちなみにそのニュースは全世界のわたしのようなクソオタクどもを大興奮させ、「歴史的和解」とさえ言われて熱烈な歓迎を受けることになったのだ。

 はーーーー。まあとにかく、興奮したわ……。
 ちなみに、SPIDER-MANというヒーローは、ひとつ大きな特徴がある。Marvelヒーローの中で、唯一の「少年ヒーロー」である点だ。実は、Marvelヒーローは、基本的におっさん揃いである。なので、その若さが非常に目立つ存在なのだ。まあ、逆にガキなので、Marvelヒーローの中ではかなり立場的に低いというか、パシリ扱いでもある。そして本作『CIVIL WAR』においては、非常に重要な役割を演じるキーキャラクターでもある。いや、それは言いすぎかな。とにかく彼が戦いの趨勢に波紋を投げかけるのだが、たぶん今回の映画では、だいぶ原作とは異なる展開になるとわたしは予想している。
 おそらく、本作においてSPIDER-MANがどのタイミングで登場するかが一番問題になるだろう。今回公開された予告では、かなり物語のクライマックスに、満を持しての登場となるようなシーンとなっているが、もし序盤からの登場だと、原作通りの展開もあり得る。ただし、今回は新キャラのBlack Pantherなど、描かないといけないことがかなり多いはずなので、SPIDER-MANは顔見世興行的な出演に留まる可能性もある。とにかく、その謎はあと1ヵ月半で我々は観ることができるので、その勇姿をスクリーンで観られる日を楽しみに待っていよう。

 というわけで、結論。
 最高ですね。そして最高です!! 2週間後には、DCコミックヒーローの『BATMAN V SUPERMAN』の公開が迫っているが、わたしはそっちはまったく期待していない。それよりもとにかく『CIVIL WAR』ですよ。ウルトラスーパー楽しみです!!! 以上。

※今日はちょっと出かけるので暫定UPします。帰ってきたらまたいろいろ手直しします

 このBlogを書き始めたのが2015年8月18日。
 以来、本日2016年3月11日現在で207日が経過した。
 記事の数は、211本。必ず毎日ひとつ書いている。
 書くのにかかる時間は、ひとつだいたい2時間ぐらいはかかる。
 冒頭の目次にも書いた通り、「オレの、オレによる、オレのための」ものなので、まあ、思ったことや記録にとどめておきたいことを適当に書いているため、毎回くっそ長くて、ほんのわずかな、わたしのことを知っている人でこのBlogの存在も知っている人にも、「長すぎて読むのつらいっす」なんて言われる始末である。
 じゃあ、別に自分のローカルHDDに保存しとけばいいじゃん、と思われる方もいるだろう。わたしも最初はそうしようと思ったのだが、やはり、どこからでも読めて消失リスクも少ない、インターネッツなる銀河の片隅に保存しておく方が何かと便利であろう、という判断で、Blogという形式を選んだ。
 わたしとしては、『The Force Awakens』におけるルークのように、ひっそりしていたいのだが、このインターネッツなる銀河には、「検索ロボット」という得体のしれない存在がいて、広大な銀河を隈なく捜索しているので、その手を借りるとあっさりわたしの隠棲するBlogという惑星を発見されてしまう。まったくもって不可思議な銀河である。ちなみに、わたしの脳内イメージでは、GoogleやYahooの「検索ロボット」は、『The Empire Strikes Back(帝国の逆襲)』の冒頭に出てくる、氷の惑星・ホスを捜索して反乱軍基地を発見するあの探査ドロイドがいつも頭に浮かぶ。↓コイツね。
droid
 というわけで、今日はネタも特にないことだし、この銀河の片隅に生息するわたしが、常々謎に思っていることをちょっとまとめておこうと思う。ホント、わっかんねえんだよなあ……。

 ■謎その1):当Blogの月間PV/UUの謎
 まったく何もプロモーション活動なんぞしていないのに、何故かわたしの住む銀河の片隅の惑星(=オレBlog)には、毎日300~500の観光客(PV)が来る。まあ、PVなので延べ数だが、いわゆる個数(UU=Unique User)は、だいたいその半分だ。つまり、2.0PV/UUってことです。
 結果として、月間PVは、12,000~15,000ぐらいとなる。まあ、個人ブログとしてその数をどう評価したものか、ちょっと良くわからないが、別に「すげえだろ~」と誇れるほどにはケタが2つぐらい足りないだろうし、一方で、悲しいほど少ない、ってわけでもないと思うので、まあ半端な数なんだろう。しかし全く心当たりがない。なんでまた、そんな数のVisitorが来るんだ? SEO対策なんてまったく何もしていないのに。
 アクセスログを見ると、だいたい半分ぐらいはその経路が判明するのだが、やはり多いのはGoogle検索やYahoo検索で、わたし的にちょっと残念なのが、Google検索の場合は、どういう検索ワードでたどり着いたのかが分からない仕様になっている。Yahooだと分かるのに。
 ちなみに、わたしがこのBlogを始めて、アクセスログを眺めて一番ほほえましく思うことは、平日の日中に、co.jpドメインからのアクセスが多いことだ。まあ要するに、日中、仕事サボってインターネッツ探検をしているダメリーマンどもが多いのだろう。ま、わたしもこの点については全く他人のことは言えないし。非常にお堅い会社や有名な会社のドメインから、わたしのBlogのようなどうでもいい銀河の片隅にやって来る人がいるというのがちょっと面白い。また、何故か、県庁系のドメインや、大学系のac.jpもかなり多い。まったくもって良くわからんですな。

 ■謎その2):やけにPV数の多い記事の謎 
 検索ワードや、記事のPVで、これまた謎に思っていることがある。新しい記事や、まだ話題がHOTなネタが上位に来るのは理解できる。たとえば、ここ1カ月ぐらいでPV数の多い記事は、やっぱり映画ネタで、一部書籍のネタも上位に来る。今月のPVランキングで言うと、1位が『ミレニアム4』の記事で、3位は『CAROL』の記事だ。また、毎週のレギュラー記事である興行収入ネタも鉄板である。
 しかし、へえ~と思うことが二つあって、まず一つは、検索ワードに「ネタバレ」が含まれている場合が非常に多いことだ。どうも世の中的にはネタバレ自粛的空気があるのに、ニーズがあるのはネタバレの方なんじゃね? というのがこのBlogを開始して判明した事実だ。なんというか、まあ人は言う事と行動が一致しない矛盾に満ちた生命体なので、別にいいのだけれど、なんつーか、不思議ですな。
 ちなみにわたしは、ネタバレは全然OK派というか、事前に知っていた方が重要なポイントを見逃さずに済むと思っている男なので、最近では、記事を書く時はほとんど意識しないようになってきた。だって、ネタバレなしじゃ感想なんて書けないんだもの。とはいえもちろん、なるべく興味をそがないように、当Blogを見てしまったために、肝心の作品を観たくなくなる/読みたくなくなる、というようなことにならないよう、気を使っているつもりなのだが、それはそれで「オレの、オレによる、オレのための」趣旨から外れるので、塩梅がめんどくせえ、と密かに思っている。以前、元部下のA嬢から、わたしのBlogを読んでしまうと、印象が固まってしまうので映画が観れなくなる、と苦情を受けたので、内心では「じゃあ見なきゃいいじゃん」と思いつつ、世間的に善人で通るわたしとしては「アッハイ、サーセン」としか言えないのである。
 で、もう一つは、もうだいぶ古い記事なのに、妙にPVをずっと保っている記事の存在だ。それは、
 Nexus9をAndroid6.0にアップデートしようとしたら文鎮化してしまい、修理に出した件
 『母と暮らせば』
 の二つである。Nexus9文鎮化の記事は、ずっと毎月TOP10に入っているのが良くわからん。そんなにみんな文鎮化しちゃったのか? と心配なレベルだ。しかも、もう去年の9月の話だぜ? 今更なんで? と素朴に謎に思っている。もう一つの『母と暮らせば』に関しては、この映画のレビューの記事もPVが高いのだが、実は、「母と暮らせば 興行収入」とセットで検索される場合が(わたしの主観からすると)「異常に」多くて、結果として興収の記事も、やけに古い記事のPV数が多いという謎の現象が起きている。なんでまた、みなさんそんなに「母と暮らせば」の興行収入が知りたいわけ!? まったく分からん。一体どういうことなんだろう? そもそも、ちょっと調べれば、なにもわたしのBlogを見なくても、いくらでもインターネッツなる銀河には情報が存在しているだろうに。
 ホント、Nexus9 と母と暮らせばの記事のPVが多いことについては、良くわからんです。
 そして、わたし的に、よし、今回はうまく書けたぞ、という記事がまったく読まれない時は、やっぱり若干しょんぼりですな。

 ■謎その3):コミュニケーションの謎
 このBlogには、ある意味勝手についている機能として、読んだ人がコメントを投稿したり、わたし宛にダイレクトメッセージを送ることができる(※メッセージはPCのみでスマホでは送れない)仕様になっている……のだが、残念ながら今までコメントを書いてくれた方は1回だけ、メッセージはゼロである。別に全くそれで構わないのだが、わたしは自分がいかに適当な人間か思い知ったのが、そのコメントをもらった時のことだ。
 なんとわたし、非常に嬉しかったのだ。ああ、なんだ、全く知らない人からコメントもらうって、嬉しいもんだな、と思った。ははあ、これが噂に聞くインタラクティブ・コミュニケーションって奴か、と初めて理解した。いや、別にコメント下さいってことでは決してないです。荒れて炎上したら多分凹んで、すぐこのBlogも辞めちゃうだろうし。
 それから、何回か、ははあ、なるほど、と思ったことがある。
 それは、一日のPVが急に2,000ぐらいになった時のことだ。あれっ!? ナンデ!? このPVナンデ!? と全く心当たりがなく、一体全体なんでまたこんなにPVが増えたんだろう? とアクセスログを見てみたら、一発でその謎は解けた。どうやら、全く見知らぬ誰かが、当BlogをTweetしていたのだ。その事実を発見した時、わたしは、なんだよ!! 勝手にTweetするの勘弁してくれよ……!! と半ば憤りに近いものを感じたのだが、実際のTweetを見ると、ちょっと好意的なことが書いてあって、あっさり、なにしてくれちゃってんだよもう……好き。と軽いツンデレに近い感情を抱いてしまったことは言うに及ばずであろう。オレ……立派なおっさんなんですけど……我ながら気持ち悪いわ!!
 というわけで、別にTweetしてもいいけど、一言ぐらい何かメッセージでも送ってくれればいいのになーと思ったのだが、まあ、こういうコミュニケーションというのは、お互い知らぬが仏であって、実に不可思議な、謎に包まれたもんだなあ、と思う。実はコメント機能などはオフに出来るようだが、ま、とりあえず放置することにした。また、Tweet機能は、どうやっても消せなかったので、これもまた放置でいいや、と適当に割り切ることにした。何らかの宇宙的な奇跡が顕現し、『レインツリーの国』的な恋が生まれる可能性もゼロではないだろうし。あ、サーセン。ゼロっすね。

 ■謎その4):今更なんですけど、このBlogは面白いの??
 正直まったく良くわからない。そもそも、第三者が読んでくれることを想定していないので、別に他人の評価はどうでもいいのだが、わたしを知る人から言わせると、面白いと言ってくれる人もいるし、長くてうぜえと言う人もいるし、また、これはまったく自分では無意識で人に言われて改めてそうなんだ……と思い知ったのだが、どうも常に上から目線で偉そう、に読めるらしい。うーーーん……そう言われてもなあ……まあ、反省はします、が、たぶんこのまま、あまり変わることなく今後も続くと思います。
 だってこれ、「オレの、オレによる、オレのための」Blogなんだから。

 というわけで、結論。
 このインターネッツなる銀河はかなり謎に満ちている。が、まあ、とりあえず、飽きるか、または、人間の悪意にうんざりするか、どっちかまでは続けようと思います。以上。

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 今週の週刊少年チャンピオンは、、まあ、通常運転号でしょうか。とりわけ腰を抜かす様な驚きの展開はナシです。それより皆さん、ちゃんと『鮫島』の単行本(6)巻は買いましたか!? 今週発売になってますので、やっべえまだ買ってない!! という方は、今すぐ書店へ行くか、どこでもいいのでポチッて下さい。単行本を買うことが最大の応援ですよ!! わたしは電子と紙の両方買いました。

 まずは、今週の『鮫島』の前に、ほかの連載作品をいつも通りざっと見ておきましょう。
 ■『弱虫ペダル』;先頭グループの攻防編です。京都伏見のアタックを軽く潰す箱根学園のクライマー二人(真波くんと新開弟)。それでも京都伏見はキモー筋くんの指示で連続アタックです。そんな中、背後から歓声が!? おっと、早くも総北が来たのか!? と思わせて、まさかの熊本台一が先頭集団に合流、その混乱を乗じてキモー筋くんが!? というところまででした。いい展開ですね。来週の展開が楽しみです。
 ■『牙刃道』:ピクル捕獲完了、武蔵、眠るピクルにビンタ一発炸裂。編集部のキャプションがいちいち笑えるw
 ■『囚人リク』:レノマ、行動するの巻。大場、相変わらずキモチワルイの巻w
 ■『AIの遺電子』:まあ、ありがちのバレンタイン話だけど、とても良かった。地味だけど毎回イイね!! なんというか、優しいブラック・ジャックですな。大変良いと思います。単行本買うかも。
 ■『ビーストコンプレックス』:先週から始まった新連載。今回は虎とビーバーの友情話。これもいいですね!! ネタ切れにならないか、どうでもいいことが心配です。
 ■『Gメン』 :大吾、ピンチの巻。勝太、動くか!? まで。ありがち展開だけど、嫌いじゃないです。イイ。
 ■『スメラギドレッサーズ』:最終回。終わってしまった……単行本買って応援していたのに残念。次回作を期待して待っています!!
 ■『ニコべん!』:うーん……このラブ展開はどうなんだろう……しかも確実に結ばれないだろうし。メインストーリーがブレないことを祈りたい。 
 ■『少年ラケット』:ビリーさん敵なのに超いい人!! 主人公イチロー君、目覚める!! の巻。イイです!!
 ■『錻力のアーチスト』:主人公クソ天然こと清作くん、三振!! やはり甲子園常連校は伊達じゃないの巻。
 こうしてみると、一言触れておきたくなる漫画が増えて、やはりチャンピオンは最高ですね!!

  さて。では今週の『鮫島』ニュースです。
 いよいよ始まる【蒼希狼】VS鯉太郎。土俵上の二人はもうバチバチの眼の飛ばし合いでテンションマックス!! そんな二人を見て、すっかりいい人になった虎城親方も、HNKの解説席で「ふん、みっともない」と取り敢えずおかんむりですが、【蒼希狼】に対しては、「今日は見ての通り、暴れ回っていた頃の覇気がある」とちょっと嬉し気です。そして土俵を見つめる椿ちゃんの心配そうな表情。切ないですな……しかしどんどん高まる土俵上の緊張感。そして、「時間前 まさかの仕切り1発目」で二人の激突が!! 【天雷】や田上さん、【大山道】兄貴も、始まった!! と笑顔です。なぜ「まさかの」なのかというと、虎城親方が「バカタレどもが・・・もう少し放送時間のことも考えんか・・・」と内心で思った通り、現状の大相撲では、「時間前」に立ち会うことはほぼありません。制限時間いっぱいで立ち会うのが今は普通なのです。しかし二人にはもう待てない。【大山道】兄貴が「ずっと・・・何年も・・・待っていたんだもんな・・・」 と言う通り、教習所で出会った二人の、幕内での初めての対戦なのですから、「これ以上・・・待てねーよ・・・」なのです。まずは二人の頭と頭のブチかまし。この当たりの激しさは、二人の骨格がぶつかり合う絵で描写されますが、果たして鯉太郎は大丈夫なのでしょうか。椿ちゃんでなくとも我々読者も心配でなりません。そして低い体勢で再び【蒼希狼】に突っ込む鯉太郎。それを右腕でカチ上げようとする【蒼希狼】。しかし鯉太郎は、前日の【大山道】兄貴との対戦で目覚めた、「変化」を繰り出し――!? というところまででした。
 はーーー読んでいる我々の方にも力が入る、渾身の立ち合いでしたね。鯉太郎必殺の左下手を取れるのかどうか。対して【蒼希狼】は得意の四つの体勢に持ち込めるのか。もう来週が楽しみで仕方ありません。
 ところで、今場所の番付なのですが、単行本(6)巻で確認したところ、やはり【大山道】兄貴は西前頭七枚目でした。てことは……先週号で判明した【蒼希狼】の枚数が間違いなのでしょうか? 今場所の番付と星取表を中日にでも示していただきたいのですが、佐藤先生、ご検討のほど、よろしくお願いいたします!!
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←?? 同枚数ってあり得るのか?
  --------
 【天雷】東関脇 
 【田上】番付不明 
  --------
 というわけで、結論。
 とうとう始まった【蒼希狼】との闘い。勝敗はともかくとして、鯉太郎が怪我をしないか心配でなりません。そして中日以降の戦いも目が離せません。なのでみなさん、単行本を買って応援しよう!! 以上。

↓ 本屋さんに行けないほど忙しい人は、電子書籍もアリですよ。置き場に困らないって、素晴らしい!! それに、タブレットだと見開きがとてもきれいに見られる点もお得かも、です。amazonが嫌いな人は、自分の好きな電子書籍ストアで買ってください。わたしも、BOOK☆WALKERで買いました
 

 というわけでネタがない時の漫画ネタでお茶を濁すの巻。
 今日は、先日来せっせと買っている、「手塚治虫全集」から、『MW(ムウ)』という作品にした。
 本当は、やっぱり一番好きな『ブラック・ジャック』について書きたいところだが、長いので、比較的短めの『MW』こした。本作は、1976年9月から1978年1月まで、約1年半にわたって小学館の「ビックコミック」に連載されていたんだそうだ。「ビックコミック」と言えば、かの『ゴルゴ13』の連載誌であり、要するに読者は完璧におっさん層である。よって、本作『MW』も、まったくもって子供の読む物語ではなく、当然SEXあり(しかも男&男もある)、殺人ありの相当ドロドロのお話であった。何年か前に映画にもなったけれど、わたしは観てないので、どんな映画になっていたか知らないです。
 物語は、1970年代後半の世を舞台に、ベトナム戦争時に米軍が開発した「MWガス」と呼ばれる生物化学兵器が沖縄の離島に保管されていて、その漏出によって人生を狂わされた男の復讐劇である。
 主人公は2人いて、一人は歌舞伎役者の息子として生まれながら、現在は銀行員として働く男、「結城」。この男は恐ろしい犯罪者で、誘拐・殺人を繰り返し、その美貌で女を騙すことも全く平気で行う悪魔的なひどい奴。
 もう一人は「賀来」という男で、現在は神父として教会に仕える身ではあるが、10代の頃には安保闘争やベトナム反戦で派手に活動していた連中とつるんでいて、ある日沖縄の離島に赴くが、問題の生物化学兵器の漏出からは運良く逃れることができた生き残り。「結城」とはその島で出会い、当時まだ子供だった結城に男色を覚えさせたという過去もある。この人も相当ひどい。
 まあ、こんな二人だが、「結城」は生物化学兵器に侵され、重傷となるが辛くも命は助かるけれど、文中の説明を引用すると、
 <MWのために大脳がおかされたのか、知能は進んでもその心には……一片の良心やモラルのかけらもなくなってしまった>らしい。それ故、次々と最悪な犯罪行為を行っていくのだが、それは米軍への、人類への復習であるというのが「結城」の行動の動機である。
 また、「賀来」の方も、さっさと結城を警察に突き出してやればいいものを、結城は罪を犯すと賀来神父に「懺悔」に来て、罪の告白をして、賀来を嘲笑して帰るのだが、神父は<何度彼に法の裁きをと思ったかしれませんが……しかしそれでは彼の魂を救うことにはなりません……>と寝ぼけたことを言って、結論だけみれば結城の犯罪を助長すらして、その後悩む、という事を繰り返す。全くもって救われない人物である。恐らくこの神父のせいで死んだ人は、全編通じて5人ぐらいはいる。まったくもっていい加減にしろとわたしは感じた。
 ただし、である。
 手塚先生は、何もこの二人を肯定しているわけでは全くない。むしろ完全に否定していると言っていいだろう。ではなぜ、この作品はこういった二人の人でなしを主人公としたのか。それはもう明白で、要するにこのバケモノを生んだのは戦争だ、ということである。ここでも、手塚先生は明らかに反戦の意を表しているのだと思う。また、同時にこの作品では、在日米軍批判と、政府批判も含まれている。かなり政治色が強い作品とも読める。以前、『アドルフに告ぐ』のレビューを書いた時にも触れたが、どうやら手塚先生の作品は、全編通じで戦争反対、差別反対というメッセージが明確に含まれている。そしてその根底にあるのは、完全なる人間愛であり、生きることの素晴らしさをたたえる精神だ。
 なので、大人になった今、手塚作品を読むと、正直鼻につくと感じる場合もあるだろう。それに、わたしだって全作品を手放しで賞賛するつもりもない。わたしとしては、手塚作品ナンバーワンに挙げたいのは『ブラック・ジャック』だが、まだ全部を読んだわけではないので、現状では断言できないが、『ブラック・ジャック』もまた、明確に反戦作品であり、生命賛歌の作品であると言える。この背景にある手塚先生のプロフィール(子供時代に戦争を経験し、医師でもあったという事実)は、正直どうでもいい。わたしが手塚先生はやっぱりすげえと思う点は、自らの想いをきっちりと作品に込め、さらにはエンターテインメントとして極めて上等であるという点だ。
 何が言いたいかというとですね、今の世の中、いわゆる芸術家やらアーティストやらという人々が、デモに参加したり、Web上において、自らの主張を表明しているのをよく見かけるが、それが無駄なこととは言わないけれど、それならもっとやり方があるでしょうに、といつも思う。あなたたちは、言いたいことがあるなら作品に込めて欲しい。そしてその作品で人を動かしてほしいのだ。それが出来る選ばれし人間なんだから。まあ、そんな事が言いたかっただけです、はい。デモに参加したり、せっせとWeb更新してる時間があるなら、作品を作ってほしい。そして、自分のフィールドで、自分しかできないことをやっていただきたい。漫画や小説といった視覚言語作品だけではなく、音楽だろうとなんだろうと、自分の作品をもっと信じた方がいいのではないだろうか。

 というわけで、結論。
 手塚治虫先生は天才である。これは以前も書いたっけ。
 しかし、天才というのは便利な言葉で、ある意味天から授かった無敵パワーで本人の努力はそこに介在していないようなニュアンスがあるけれど、要するに、「貫く意志」を持つ人間が、いわゆる「天才」なのではないかと思います。そして、その結果で人を動かせる人。そんな人が、「天才」なんでしょうな。以上。

↓ 次はこのあたりかなあ……。遠い昔に読んだっきりだなあ……。

 2013年10月、一人の才能あふれる大ベストセラー作家が亡くなった。
 映画ファンにも大変おなじみの、Tom Clancy氏のことである。 1984年に出版された『The Hunt for Red October』(邦題:レッドオクトーバーを追え)でデビューし、以降、「ジャック・ライアンシリーズ」をはじめとする数々の作品を発表してきた氏が、亡くなってしまった。折しも、日本ではその訃報の直後に最新作が出版され、一体シリーズはどうなってしまうのか、もう、「ライアンシリーズ」は読めないのかと誰しもがその訃報に対して残念に思ったことだろう。
 しかし、実はすでに、Tom Clancy氏は、だいぶ前からその精力的な活動を小説だけでなく、ゲームにも広げていて、 多くのスタッフを従える社長として活動しており、著作も「共著」という形での発表が増えてきていて、Clancy氏亡き後も、「ライアンシリーズ」は継続されることが発表されていた。2013年の年末に日本で発売された作品のあとがきにもそう明記されていたので、氏が亡くなったことは大変残念で悲しいことだが、「ジャック・ライアン」はまだ続くことが分かって少し安心した読者の方々も多かったことと思う。
 といわけで、シリーズ最新作『FULL FORCE and EFFECT』がこのたび新潮文庫より発売されたので、すぐさま購入し、昨日の夜、読み終わった。日本語タイトルは『米朝開戦』。ついに、ジャック・ライアンアメリカ合衆国大統領は 、われわれ日本人にとっても大変因縁のあるDPRK(Democratic People's Republic Korea=朝鮮民主主義人民共和国=北朝鮮)との戦いに挑むわけで、もうそのタイトルからして大興奮である。
米朝開戦(1) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2016-02-27

米朝開戦(2) (新潮文庫)
マーク グリーニー
新潮社
2016-02-27

 ちなみに、本作は全4巻で、先日発売になったのは(1)(2)巻で、続きの(3)(4)巻は、今月末(?)の発売なのでまだわたしは全部を読み終わったわけではなく、現状の(1)(2)だけです。なので、まだこの作品全体を評価できる状態ではないので、今回は、シリーズの基礎知識とこれまでのお話を、自分用備忘録として振り返っておき、そして、いかにTom Clancyがすごい作家か、について書きなぐろうと思います。※2016/04/05追記:最後まで読み終わっってレビュー書きました→こちらへ
 ■映画版の「ジャック・ライアン」について
 今まで、この「ジャック・ライアン」シリーズは、5回映画になっている。そして主人公「ジャック・ライアン」を演じた役者は4人だ。
 ◆Alec Baldwin氏:『The Hunt for Red October』にて。日本では1990年に公開された『レッド・オクトーバーを追え!』のことである。これは本当に素晴らしい映画であった。わたしはこの映画を観てから、原作小説を読むようになった。ただ、今読むと時代的にちょっと古いかもね。でも、映画も小説も最高に面白い。映画版はUS国内で1.2億ドルと大ヒット。監督は、当時『PREDATOR』や『DIE HARD』で順調にヒットを飛ばして注目を浴びていたJohn McTiernan監督。最近全然作品発表してないですな。
 ◆Harrison Ford氏:『Patriot Games』『Clear and Present Danger』の2作に連投。わたしのジャック・ライアンのイメージはもう完全にソロ船長ことHarrison Ford氏で、最新作を読むときのわたしの脳裏には彼が浮かんでいる。映画も非常に良い。もちろん原作小説も最高に面白い。なお、時系列的には、『Patriot Games』の方が「レッド・オクトーバー事件」よりも前の話。また、この作品のラストで誕生する息子が、直近の数作において大活躍しているジャックJr.なので、Jr.誕生の日のことを知っている我々読者は、ここ数作でのJr.の大活躍に、もう自分の息子を見る思いでハラハラドキドキ心配でならないといった状況になっている。そして『Clear and Present Danger(邦題:今そこにある危機)』で登場する二人のキャラクター、ジョン・クラークとドミンゴ・シャベスも、以降の作品でずっと登場するキーキャラクターなので、わたしはいつも映画版で二人を演じた役者をイメージして読んでいます。クラークを演じたのがWillem DaFoe氏、シャベスを演じたのがRaymond Cruz氏ですな。
 ◆Ben Affleck氏:わたしは今後のライアンシリーズ映画化の際は、もうずっとソロ船長が演じるのかと思っていたら、急に若返ってしまった。その作品『The Sum of All Fears』(小説の日本語タイトル:「恐怖の総和」、映画の日本公開タイトル『トータル・フィアーズ』)は、わたしはライアンシリーズの小説の中でも屈指の大好き作品なのだが、映画版は、正直イマイチ。これは主演のBen Affleck氏が悪いというより、まあ、脚本だろうなと思う。原作がひどく縮小・省略されてしまっているので。一応、US本国では1億ドル突破とそれなりに大ヒット。
 ◆Chris Pine氏:またも若返ったライアン。ただこの映画『Jack Ryan: Shadow Recruit』は、良くわからんのだが明確な原作小説はないと思う。邦題「エージェント・ライアン」として公開された日本では全然売れなかった。物語的には、おそらく『Patriot Games』の前後だと思う。ちょっとはっきりしない。映画としては……まあ普通に面白いけど、ジャック・ライアンファンとしては、ちょっとなあ……という感じ。US本国の興行も、50M$とパッとせず。

 ■ジャック・ライアンの活動の歴史
 うーん、これを書きだしたらもう大変な分量になるなあ……。なので素直に諦めますが、ごく簡単にまとめると、大学卒業→海軍入隊(父の影響と言っていいのかな)→アナポリス海軍士官学校主席(?)卒業→少尉に→NATO演習中にヘリの事故で重症を負い、退役→軍人時代に取得した公認会計士資格で株仲買人としてメリルリンチで活躍、ひと財産稼ぐ。キャシーと出会い、結婚→けがが悪化してメリルリンチを退職、既に資産は800万ドルに→アナポリス海軍士官学校の歴史の先生に。CIAの顧問になる→家族旅行&資料取材旅行でロンドンへ→英国皇太子暗殺事件に出くわし、皇太子を救い(Patriot Games事件の発端)、Sirの称号を得る→帰国後、アナポリスを退職、正式にCIA入省→アメリカまでライアンを追ってきたアイルランド人テロリストを撃退(Patriot Games事件)→その後、CIAで大活躍→現場アナリスト→情報担当次官と順調に出世→世界各国の元首や軍人や情報機関と関係が出来る→国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任し、日米開戦の物語を終息させ、副大統領候補になってその副大統領就任式に出席しようとしたまさにその時、大変な惨事が起き、自動的に大統領に昇格、名実ともに正式なアメリカ合衆国大統領に→1期で引退(正式には前大統領の任期を引き継いだ期間+自分の1期分なので、1.5期ぐらい)→次の大統領があまりにバカすぎて再び出馬、当選→現在その2期目が2年終わって、あと2年残っている状態。はー、まとめるのに疲れた。
 というわけで、一言で言うとジャック・ライアンという男はスーパーマンですな。彼はとにかく、データアナリストなので、大統領になった今でも、報告に来る軍人たちが困ってしまうほど、「加工されていない生情報」を出せという場面が多い。その分析力が(わたしから見ると直観力なのだが)凄い、という事になっている。現場経験も豊富で、Black Opps(=ブラック・オプス。いわゆる影の非公式作戦)も多く参加しているが、とりわけそういった肉体的な強さとか銃器の扱いのうまさはなく、基本的に彼は、頭脳の人です。
 
 ■Tom Clancyの凄いところ
 (※正直もう、細かいことは覚えていないし、作品を取り違えているかもしれないのでお許しを!! もし見逃せないほど頭に来たらコメントでぜひ教えて下さい!! すぐに直しますので)
 まあ、これは作品を読んでみれば分かることだけれど、一時「ハイテク・スリラー」とか称されていたように、最新技術や機器の描写が非常に精密であるという点が一つ。そしてもう一つは、世界情勢に対する洞察力がすごいという点だろう。『日米開戦』という作品以降(=ライアンが大統領になって以降)、ライアン大統領は戦争をしまくっているのだが、当時そこら中で取り上げられた通り、その『日米開戦』という作品では、そもそも我々日本人としては「そんな馬鹿な!!」という展開で、ラストはなんと日航JAL機がアメリカ国会議事堂にカミカゼアタックをかましてしまう。しかも日本人機長によって。この部分は、後に911が起こった際、多くのメディアで「まさにClancyの描いた悲劇が現実に!!」みたいな形で話題になった。その後の作品では、こんな大変なことが次々起こっている。
 ◆『Executive Orders』(邦題:合衆国崩壊)ではバイオテロによってライアン大統領や家族までもが直接狙われる。黒幕はイランで、最終決着はイランの指導者の直接暗殺(=それが原題の大統領令でしょうな)。しかもそれをCNNに中継させた。
 ◆『Rainbow Six』(邦題:レインボーシックス)では、世界のテロリストどもとその支援者を許せなくなったライアン大統領が、盟友クラークを長官とした国際対テロ部隊・レインボーを設立して、はっきり言えば非合法的にテロ掃討に本気になる話。ライアン大統領自身はこの作品にはほとんど出てこない。発想的に、若干中二成分が混じっていて大変面白い。ただし、このレインボーはその後結構あっさり解散してしまう。
 ◆『The Bear and the Dragon』(邦題:大戦勃発)。元の英語タイトルから想像できますか? ロシア(The Bear)と中国(The Dragon)が戦争をおっぱじめるお話で、これは非常に面白かった。ライアン大統領はロシアを助けます。発端は確かシベリアの地下資源争奪だったと思う。結果は米露連合軍の圧勝。そして相変わらず日本は蚊帳の外……。
 ◆『The Teeth of Tiger』(邦題:国際テロ)。この本では、現在のシリーズの中心となる「ザ・キャンパス」が設立され、とうとう大統領の息子のJrが「ザ・キャンパス」に入社して活躍を始める。大統領引退時に、US国内のCIAなどの情報機関(=インテリジェンス)が機能を落とすことを予見していたライアン大統領が、盟友の元上院議員と組んで(?)、民間インテリジェンス会社を設立して、政府ではできないことをこっそりやるチームが作られる。クラークやシャベスも、レインボー解体後ここに合流。キャンパスの金庫には、ライアン大統領の「白紙恩赦状」が眠っている(=たぶんこの恩赦状や、この組織そのものが、原題で言うところの「虎の牙」なのだと思う。万一、何かヤバいことがあった時はそれを使っていいという天下の御免状で、これは別にライアンが大統領を引退した後も永久に有効。最新作にいたるまで、まだ使われていない。使いそうになった大ピンチも過去にあったけど)
 ◆『Dead or Alive』(邦題:デッド オア アライブ)はライアンJr大活躍の話で、アミールと呼ばれるテロリスト掃討の話。引退したライアン父も、新大統領があまりに無能すぎて再び出馬を決意する。
 ◆『Locked On』(邦題:ライアンの代償)は、大統領選を戦うライアンに、アホどもが過去のライアンのCIA当時の秘密情報を暴露してしまって、盟友クラークが大ピンチになる話。
 ◆『Threat Vector』(邦題:米中開戦)は、大統領に再任されたライアン大統領のアメリカに、中国がサイバー攻撃(=Therat Vector)をかけてきて、おまけに中国は南洋進出を始め、東シナ海でとうとう戦闘が勃発してしまう話。中国の思考や戦略は、まさに今の情勢に符合していて、非常に興味深い。そのうち現実のものとなりそうな嫌な予感がするほど。最終的にアメリカ大勝利。その陰で、ザ・キャンパスのクラーク、シャベス、Jrといったメンバーも大活躍。ちなみに、この事件の際も日本はまったくの空気でほぼ触れられず。
 ◆『Command Authority』(邦題:米露開戦)では、眠れる熊・ロシアがクリミア半島に牙をむく話。まさしくロシアによるウクライナ侵攻そのものの物語で、これは本当に現実のものとなってしまった。凄い洞察力というか、おそロシア。勿論結末はアメリカ大勝利。
 ◆『Full Force and Effect』(邦題:米朝戦争)本作。物語は、トンチャンリのロケット実験場から1発のICBM実験発射失敗から始まる(もちろん、作中でもDPRKは衛星打ち上げと言い張っている)。これって……まさにこの前、本当に起こったばかりのことじゃないですか!! 本作が書かれたのが2014年なので、またもClancyの書いたことが現実に!!? とわたしはもう大興奮です。DPRKの描写が恐ろしくリアルでおっかない。今のところ、原題の意味は良くわかりません。
 
 とまあ、こんな感じで、高い確率で、物語が現実のものになっているのが怖いというか面白い。 もちろんのこと、わたしだって全部を信じて怖がるほどナイーブではないので、ある意味フィクションと割り切って、エンターテインメントとして楽しんでいるが、まあ、ある程度は国際情勢というか舞台となる国の内情には詳しくなれる。そういう意味では、勉強になると思います。
 なお、Clancyは亡くなってしまったけれど、『Dead or Alive』ぐらいから、弟子との共著という形での刊行となっていて、今回の『米朝開戦』の著者、Mark Greaney氏はもう3作前から共著でクレジットされている方なので、今回単独著者としてクレジットされているけれど、全く物語は今まで通り、大変面白いので安心して読んで大丈夫だと思います。

 というわけで、もう無駄に長くなって疲れたので結論。
 従来の「ジャック・ライアン・シリーズ」のファンの皆様に朗報です!! われらがTom Clancy先生は亡くなってしまったけれど、作品は不滅です!! 最新作『米朝開戦』が発売になっていますので、今すぐ書店へGO!! でお願いします。読まない理由は、何一つありません。まだ(1)(2)しか出ていませんが、かなり面白いですよ!! 以上。

↓ 映画版としては、やっぱり私はこれが一番好き。非常にキレがあって面白い。
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2012-09-14

↓こちらはクラークとシャベスが映画初登場。こちらも大変面白い。これを観たら、もう読むときは必ず役者の顔が浮かびます。
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 というわけで、毎週月曜日は恒例の週末映画興行データです。
 今日は特にネタがないので、データを並べてさらっと流します。
 今週末は、『マネー・ショート』 を観てきましたが、ズバリ、金融知識がないとちょっと難しいのでは? と思いました。詳しくはおとといのレビューをどうぞ。ネタバレ……かな……なので、自己責任でお願いします。
 
 ではさっそく、いつもの興行通信社の大本営発表から。
 1位:『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は公開土日で6.3億で1位発進。毎年3月1週目に公開される映画ドラちゃんですが、今年も盤石の1位です。去年が6.4億スタートだったので、ほぼ同等ですね。例年通り推移するなら、今年も39億ぐらいは行くのでしょう。素晴らしいですな。
 2位:『黒崎くんの言いなりになんてならない』9日間で4.5億ぐらいと思われます。
 3位:『オデッセイ』:32日間累計で30億まで届いた模様。しつこいですが、わたしの2016年暫定ナンバーワン。最終30億±2億ぐらいの当初予想よりかなり上に行きそうな気配。読みが甘かった。勢いが維持されているので、このままだと35億は行きそうです。
 4位:『マネー・ショート』が金曜公開なので3日間合計で1.5億まで行っていない状況か。まあ、数字的には良くないし、おそらくアカデミー賞も脚色賞だけだったので、今後の伸びもあまり期待できない。とにかくこの映画、金融知識が必要です。最終的に、10億はまず難しい情勢。
 5位:『信長協奏曲』:44日間合計で41億~42億ほどか。大変失礼ながら、驚きの好成績です。おみそれしました。今後の上映スケジュールをまだ調べてないので何とも言えないが、過去データを参照すると45億弱は堅そう。
 6位:『スターウォーズ/フォースの覚醒』:80日間合計で113億ぐらいか。3/25での上映終了がでっかく新聞広告で謳われてましたな。あれには驚いた。US本国では、早くもBru-layの発売が告知されたそうです。2016/04/05発売だそうで、日本はいつなんだ!?
 7位:『X-ミッション』:16日間合計で4億以上5億未満。予測よりも結構上ですね。5億届くとは思ってなかったので。大変失礼いたしました。この分だと、5億は軽く超えそうです。
 8位:『ザ・ブリザード』が9日間合計で2.5億ぐらい? これは5億に行くか微妙。だと思う。たぶん。
 9位:『さらば あぶない刑事』:37日間合計で15億まで届かずか? これはちょっと16~17億程度着地と最初の予想より低めになりそうな予感。
 10位:『Born in the EXILE 三代目J Soul Brothersの奇跡』:23日間合計で5億強かな? 凄いと思う。

 以下、ベスト10以降は相変わらず『ガルパン』が入っていて、この分だと15億も超えてくるのではないかしら。すごいなあ。また、アカデミー賞関連で言うと、タランティーノの『ヘイトフル・エイト』は上映館も少なく数字的には苦戦中の模様。わたしは観たけど……うーん……。くわしくは先週のレビューへ。

 というわけで、もう今日はネタがないので、今後のわたしが観る予定作品をちょっと自分用にまとめておこう。
 【3/12-13週末】 『家族はつらいよ』・・・山田洋次監督最新作(完成はもうずいぶん前らしいけど)。絶対観ます。そういや昨日だかおととい、地上波で『東京家族』を放送してましたな。まったく同じキャストで描く喜劇。これは必見でしょう。

 【3/19-20週末】『リリーのすべて』が3/18(金)公開。観るか微妙。どうしようかな……。
 【3/26-27週末】『バットマンVSスーパーマン』が3/25(金)公開。これは絶対観ます。たぶん、金曜日の夜、帰りに観ちゃいますね。早く観たくて我慢できないので!! でも2h32mnと長いんだよなあ……。そして、コレジャナイと失望する可能性が非常に高い予感。

 【4/2-3週末】うーむ、特になし。
 【4/9-10週末】『ルーム』が4/8(金)公開だけどたぶん観ない。それより、『SICARIO』(邦題:ボーダーライン)を絶対観に行きます。これはずっと日本公開を待ってたぜ!! 楽しみ。

 【4/16-17週末】アカデミー作品賞受賞作品『スポットライト』が4/15(金)公開。たぶん観ないかな。
 【4/23-24週末】アカデミー監督賞受賞作品『レヴェナント』が4/22(金)公開。これは絶対観る。金曜の帰りに観るのはきついかもな……2h31minと長いし、話も重いので……。体調万全で見た方がいいかも。

 【4/30-5/1週末】わたしが今年一番観たい映画かもしれない『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』が4/29(金)公開。スーパー楽しみすぎて血圧上がる!! 今すぐ観られるなら10万円ぐらい払ってもいいぜ!! と今書いてみたところ、↓キャップはこんなことを言ってます。偶然で笑った。


 というわけで、結論。
 ドラちゃん強し!! そしてこれからの映画公開もそれぞれ楽しみです!! 以上。 

 わたしはチャリも好きだが、車の運転も大好きである。
 そうだなあ、限界点としては、一日800km~1000kmぐらいだろうか。そのぐらいなら、まあ数回休憩を入れれば、ずっと運転していても大丈夫だ。なので、片道100kmぐらいなら、全然チョロイというか、ちょっとそこまで、ぐらいの感覚である。まあ、それは誰でもそうか。
 というわけで、今日は、朝起きてから、急にふと、もうすっかり春めいてきたなあ、もう梅なんかは散るころか……と漠然と思い、梅……梅といったら、偕楽園が有名だけど行ったことねえなあ……ところで水戸って遠いのか? どのくらいかかるんだ? と連想が広がり、すぐさまGoogle先生にお伺いを立ててみたところ、うちから90分ほどでいけることが判明した。
 ふーん……90分チョイ、距離も100kmチョイか……。
 よし。行ってみっか。
 と、仮面ライダーゴーストを横目で見ながら思い、とりあえず身支度をして、AM09:00に愛車のエンジンスタート。一路、全く予習せずに水戸の「偕楽園」までぶっ飛ばしてみることにしたのである。
  大抵の場合、わたしのこういった発作的ドライブの行き先は、関越道か中央道をぶっ飛ばす方向なのだが、今回はかなり久しぶりの常磐道である。関越道や中央道は、ほぼ知り尽くしているといったら大げさだけど、だいたいどこまで何分ぐらいという感覚が身についている。東北道と東名も、大体分かる。が、常磐道はほとんど知らない。インターやサービスエリアがどんなのがあってどのくらいかかるのかもよく知らない。なので、完全にナビ任せである。家を出てだいたい30分後には、三郷から常磐道に乗ったのだが、まあガラガラである。わたしはそれなりにかっ飛ばす男だが、そのわたしでも驚くほど、ぶっ飛ばしている車が多い。なるほど、これが常磐道か、と、なるべく追い越し車線の先頭にならないように、ぶっ飛ばす車の後ろにつきながら、体内360度センサーを常時オンにして覆面パトカーの気配を警戒しながら、気持ちのいいスピードでドライブすること約60分。あっという間に水戸インターについてしまった。ほとんどタイトなコーナーもなく、感覚的には一直線に運転していたような気がする。
 で、水戸インターを降りて、ナビに導かれるまま一般道を走ると、すぐに目的地である「偕楽園」に到着した、のだが、予想通り出遅れてしまった。すでに駐車場はいっぱいで、駐車場に入るまでの200mぐらいを30分ぐらいかかってしまい、車を止めて、ふいー……と一息ついたのは11:00ぐらいだった。そして、噂通り偕楽園は、梅がずらりとあって壮観であった。
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 駐車場から園内に入ると、もういきなり、香りが漂っている。うおーーー!! こいつはすげえすげえ!! 園内は梅の香りが漂う、非常にBeautifulで気持ちのいいところだった。しかしこんな近いとは知らなかったな。かなり桜も多いようなので、また桜の季節に来ても非常に良いと思う。が、あと1時間半、早く来るべきだったな、と反省した。やはりひと出が多く、おまけになにやらB級グルメ的な屋台が駐車場サイドには展開されていて、肉を焼く煙&匂いで台無しな一角もあった。
 というわけで、例によってテンションUPでろくな写真をとっていない。詳しくは、偕楽園の公式FACEBOOKあたりを観ていただいたほうがいいと思います。意外と広くて、結構はじからはじまで回ろうとすると、時間が必要かもしれない。わたしはいつものように、つかつかと歩き、あまりの人の多さにさっさと駐車場に戻ったので、たぶん1時間ほどしかいなかったと思う。まあ、あれっすね、一人で行っても、テンション上がって楽しい気分でいるのは30分ぐらいっすね。
 というわけで、まあ今回は偵察ということで、ぼっち野郎のわたしはさっさと撤収した。
 帰りは、行きとまったく同じ道を気持ちのいいスピードで走り、常磐道の一番東京寄り(?)の守谷SAでトイレ休憩しながらアメリカンドッグを食して、さっさと帰ってきた。帰りもまあ休憩含めて2時間かからなかったかな。あっという間に家に帰り着いた。
 とまあ、こんな風に、わたしはたまに、発作的に車をぶっ飛ばしてドライブというか、ちょっと遠出したくなる。それがまた、非常に気持ちよく、精神的にも良いとわたしは思っている。また、車にとっても、たまにエンジンをぶん回してやることは非常に良いことだしね。全然乗らないとバッテリーもあがっちゃうし。
 なんというか、この前正月だと思ったらもう3月。そしてあっという間に4月になり、気づいたら夏になってしまうのだろう。本当に、人生あっという間だなあ……。まったくもってやれやれだ。

 というわけで、オチも何もないけど、結論。
 「偕楽園」は意外と近くて、かなり美しいとことであることを確認した。また、桜の頃に、もっと早い時間に家を出て、再び訪れてみようと思った。そしてやっぱり、たまには車をぶっ飛ばすのも悪くないと思います。以上。

↓ そういえば守谷SAでは、「ガルパン」の展示? みたいなのをやってました。今や茨城の看板ですな。

 

 2008年9月に起こった世界的金融危機のことは、今でもはっきり覚えている。わたしは当時、とある企業で会社全体の財務諸表を分析しIR資料を作成する立場にあったが、その年度末の決算は、売上や営業利益的にはまずまずだったものの、巨大な特別損失を計上しなくてはならないことになった。翌年の株主総会は大変だぞ、と暗い気持ちになったものだ。
 原因は、いわずと知れた、「リーマンショック」による、保有株式の暴落による評価損と、とある金融商品のデフォルト、すなわち債務不履行によって、それなりな金額の金融資産が紙くずとなったためである。この事実は既に7年前に開示されていることなので今ここに書いても問題ないだろう。これはわたしのいた企業だけの話ではなく、多くの日本企業も影響を受け、事業自体は全然順調なのに、税引後の当期純利益は下方修正を余儀なくされた会社がとても多かった。ちなみに、保有株式はその後あっさり値を戻し、逆に翌年以降には株式評価益を計上して、決算数値がよくなる要因にもなった。アホくせえ。
 ただし、デフォルトとなった資産は永遠に紙くずのままである。「金融工学」と呼ばれる現代の錬金術によって生み出された「商品」、それが今回の映画のキモとなる「CDO」である。ズバリ言うが、この映画を観て話についていくには、「CDO」と「CDS」についての知識は必須である。たまたまわたしは、当時まさにコイツにやられた経験があったため、嫌というほどよく知っていたが、その知識がないと、この映画を観てもなにがなにやら、全く理解できないと思う。劇中ではちょっとふざけた解説がたまに入るが、あれだけでは理解できないのではなかろうか。
 まあ、いわゆる投資家、という連中は、わたしが知る限り、自分では何もしない、何も生み出さない、ゴミクズ同然の連中が多く(もちろん、た~まにまともな人もいる)、本業に影響しない部分での損失なんて一時的なものなのに、当時は実に愚かに慌てふためいた人々が大勢いた。いつも偉そうな金融業界のクズどもも、文字通り顔面蒼白となっておろおろとする有様だったので、わたしは内心、ざまあ、と思っていた。
 しかしあれから7年半が過ぎ、はっきり言ってもう完全に過去のものとなり、あの事件から金融業界は何か学んだのかというと、全くなにも変わっておらず、大半の人は、あの時はマジで参ったよ、運が悪かったね、程度しか思っていない。すっかり元に戻り、金融業界の、高っけえ給料をもらっている偉そうな若造を見ると心底怒りが湧き出してくる。
 というわけで、わたしが今日観た映画『THE BIG SHORT』(邦題:マネー・ショート 華麗なる大逆転)は、あの時何が起こったのかを見せてくれる、金融業界人にとってはちょっとした恐怖映画と言っていいだろう。しかも全部事実起こったことだし。まあ、わたしはちっとも恐怖を感じず、あきれるほかなかったけれど。

 わたしは、この映画のことを知って、おそらくサブプライムローンの破綻から世界的金融危機に至る道筋と、それを事前に察知して、警告を発していた人々の絶望的な努力を描きながら、なにか教訓めいたものを人々に与えてくれる映画であろう、と勝手に決めつけて劇場に入ったわけである。
 が、観終わった今、その予測とはだいぶ違っていたように思っている。
 確かに、金融危機の経過はよくわかった。そしてそれが、とんでもない無責任の連鎖が生み出したものということも良く理解できた。しかし、この映画の主人公たちの行動は、結局何だったのか、ということを考えると、わたしはどうにもモヤモヤした思いを捨てきれず、全くもってすっきりしない。事実、主人公たちも、オレたちの戦いは何だったんだ、とむなしさをたたえて映画は終わる。
 どういうことかというと、この金融騒動は、言ってみれば「ゼロサムゲーム」なのだ。
 つまり、自分の利益は誰かの損、なのである。主人公たちは、いち早く金融危機を察知し、最終的な経済的利益を得ることができるのだが、それは誰かが大損したためである。そしてその誰かとは、突き詰めると普通の一般市民たちで、けっして、金融業界で高い給料をもらって豪勢な暮らしをしてきた奴らじゃあないのだ。もちろん、破綻したリーマン・ブラザーズの社員や数多くの金融業界人たちは大変な目に遭った。けど、今現在奴らは平気な顔して、会社は変わったかもしれないけれど、依然、金持ち暮らしを続けているのが現実である。
 なので、心ある主人公たちは、予測が当たっても全く喜べない。利益を得ても、嬉しくないのだ。よって、すっきり感といういわゆる「カタルシス」は、この映画にはないと言っていいと思う。おそらく映画として組み立てるなら、善悪を強調することで、最終的に経済的勝利を得る主人公たちが、「Yeah!! オレたちの勝ちだぜ!!」という方が分かりやすいし共感も得やすいだろう。が、そんなことできっこない。当たり前だ。この映画を観るのは、この金融ゲームの犠牲者である一般の人々なんだから。
 こんな構造なので、わたしはなんとなく、『七人の侍』を思い出した。
 『七人の侍』は、略奪に苦しむ農民が、七人の侍の「善意を利用」して、野武士退治を依頼する話である。物語のラスト、生き残った善意の侍は、野武士撃退に成功して浮かれる農民たちを見てつぶやく。
 「勝ったのは、わしらじゃあない。百姓どもだ」。
 おそらく、この映画『THE BIG SHORT』の主人公たちも、『七人の侍』の侍たちに似たむなしさしか感じられなかったと思う。とにかく、この事件のキーワードは「無責任」だ。その無責任が無責任を呼び、大きな悲劇を生み出してしまったのだが、残念ながら、その責任を取る者は存在していない。
 以前、ここでもレビューを書いた『ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか』という本によれば、人類がその発生以来、最も憎んできたのは、「フリーライダー」という存在だそうだ。つまり「タダ乗りする奴ら」のことで、自分は何もしていないのに、ちゃっかりコミュニティの共同利益に乗っかる者、という意味で、要するにズルをする奴のことだ。人類はその歴史において、そういう奴を常に嫌い、罰してきたそうだ。
 まあ、そりゃ、死ね!! とは言わないよ。でも、やっぱり責任を取るべき奴がのうのうと生きる、そういう、悪い奴ほど良く眠る現代社会は、まあ、心ある人間には生きにくいですな。それでも、生きていくしかないのだけれど、全くもってやれやれ、であります。

 最後に、役者陣にちょっとだけ触れておこう。実は主人公たちは、大きく分けて3つのグループで、それらは一切、交わらない。わたしはまた、予告に出てくる人たちがひとつのチームになるのかと思っていたけど、一切顔も合わせず、別々の行動をとって話は進むので、この点でもわたしの事前の予想と全然違っていた。
 まず、元医者の天才ファンドマネージャーを演じたのが、我々にとってはThe Darkknightでお馴染みのChristian Bale氏。演技自体は素晴らしく、大変よかったのだが、たぶん、観ている観客としては、この人の背景や性格が良く分からず、結局なんだったんだろう? と思ってしまうと思う。正直、わたしも良く分からない。また彼の取った行動も、CDS、CDOの仕組みを理解していないと、さっぱり意味不明だと思う。この人は、全くの一匹狼で、他のキャラクターと一切かかわりません(ただし発端は彼の分析が広まって他の主人公グループが動き出すので、そういう点ではかかわりはある)。
 そして、予告で「怒れるトレーダー」と紹介されるファンドマネージャーを演じたのがSteve Carell氏。この人はかなりいろいろな作品に出ていて、元々コメディアンだと思うが、2014年の『FOX CATCHER』での狂った(?)大富豪役を実に見事に演じて、去年のアカデミー主演男優賞にもノミネートされた役者だ。『FOX CATHCER』は非常に暗くて救いのない、つらい物語だけれど、非常にいい作品ですので、観ていない人は今すぐチェックしてください。
 その彼とチームを組む、ドイツ銀行の切れ者を演じたのが、Ryan Gosling氏。いつものイケメン振りとはちょっと違う、若干ダサ目な、変はパーマヘアが目に付くというか、似合ってないのでわたしはちょっと笑った。いつものカッコイイRyanしか知らないと、ちょっと別人に見えるので、これ本当にRyanですか? といいたくなるほど、髪型が似合ってなかったですw
 あと、Brad Pitt氏が若者二人のグループが頼る、後見人的な存在として出てくる。今回は長髪髭もじゃで隠棲暮らしをしている伝説的トレーダー役で、それほど出番は多くないけれど存在感たっぷりであった。相変わらず、やっぱりこの人はカッコ良かったです。 
  今度こそ最後。原作者にちょっとだけ触れておかねばなるまい。原作を書いたのは、Michael Lewis氏。この人は、Brad Pitt氏の主演した映画『Moneyball』の原作者で金融ジャーナリストですな。『Moneyball』も非常に面白い作品でした。あの作品にあやかって、今回の『THE BIG SHORT』の日本語タイトルも「マネー・ショート」になったのだろうと思し、それはそれでアリですが、サブタイトルの「華麗なる大逆転」は完全にミスリードというか、まったく映画の内容にそぐわないと思います。華麗じゃねーし。なお、金融用語でShortは「売り」の意味ですので(逆に「買い」はLong)、原作本の日本語タイトル「世紀の空売り」の方がニュアンスは正しいと思います。

 というわけで、結論。 
 『THE BIG SHORT』(邦題:マネー・ショート)を理解するには、「CDO」と「CDS」の知識は絶対必要なので、少なくともリンクを貼っておいたWikiは読んでおいてください。とにかく、無責任が無責任を呼び、恐ろしい事態が起きるのは、なにも金融だけのことではなくて、実際、どんな会社の中にもあることだと思う。なので、こういう映画を観て、やっぱりオレ、真面目に生きるのが一番だな、と、心に誓う人が一人でも増えればいいのにな、と思いました。以上。

↓ まあ、原作を読んでいくのが一番いいのではないかしら。わたしは読んでないけど、興味あるっす。
 

 昨日は久しぶりに早く帰ったので、またWOWOWで録画しておいた映画を観た。
 いつも、WOWOWで録画しても後にHDDを見て、一体なぜその映画を録画しようとしたのか、全く思い出せないわたしであるが、今回はちゃんと、なぜ録画しておこうと思ったのか記憶にあった。タイトルを見て、お、これ、ずいぶん前に原作小説読んだな、と思ったのが一つ、そしてもう一つは、主役がSPIDER-MANでおなじみのイケメンJames Franco氏であったためだ。 なので、さっそく昨日の夜、HDD録画リストを見て、上映時間も90分弱と短いし、よっしゃ、、じゃ、これを観てみるかと再生ボタンを押したのだが、正直、大したことのない作品であった。タイトルは『パーフェクト・プラン』。US公開が2014年9月、日本公開が2015年2月の作品である。

 まあ、物語はほぼ上記の予告で描かれている通りである。ヤバイお金を偶然手にしてしまった若い夫婦が、その金をネコババしようとして、本来の持ち主(?)と壮絶な殺し合いになってしまう、というものだ。
 ただ、再生1分で、わたしは「アレッ!?」と思った。どうも、原題は『GOOD PEOPLE』というらしい。Perfect Planじゃないんだ、ふーん。なんで? という疑問がまず浮かび上がった。そして再生20分を過ぎた頃であろうか、どうにも原作小説に関するわたしの記憶と、この映画で描かれている物語が、似ているようで決定的に違うことに気が付いた。これはあれか、原作を大胆に改変してるってことか? と思ったものの、どうもしっくりこない。おかしい。なので、一度再生を止め、すぐにこの映画のことを調べてみた。すると、原作小説がきちんと存在しているし、その小説のタイトルも、『GOOD PEOPLE』で間違いないらしい。むむむ!? なんかオレ、勘違いしてる?? と妙に気になりだしたので、本棚を漁って、わたしが読んだ原作小説を30分ほどかかって発掘してみたところ、なんとも愚かなことに、もはや若年性健忘症なんじゃないかと心配になるレベルのスーパー勘違いが発覚した。わたしが読んだ小説は、Scott Smithという作家の書いた『A Simple Plan』という作品だったのだ。HOLY SHIT!! 何だよ、「パーフェクトプラン」じゃなくて、「シンプルプラン」だった!! 似てるけど全然違うじゃん!! と、自分のバカさ加減に呆れてしまった。そして、ちょっと調べたら、その小説をなんでわたしは読んだのかも思い出した。この『A Simple Plan』は、わたしの愛するStephen Kingが激賞していたからだ。Kingは、毎年、「今年読んだ小説、今年観た映画の俺ベスト」を発表しているのだが、ずっと昔、Kingがこの作品を取り上げてて、それで読んだんだ。はースッキリ。思い出した。
 というわけで、『パーフェクト・プラン』という映画を観ながら感じていた、妙な違和感の正体は、単なるわたしの愚かな勘違いであることが判明した。そして観終わって、なぜ元々『GOOD PEOPLE』という原題の映画に、日本の配給社が『パーフェクト・プラン』という邦題を付けたのかも、想像がついた。何しろこの映画、基本プロットが、わたしが勘違いした小説『A Simple Plan』によく似ているのだ。予期せぬ金を手にした人々が、警察に届けずネコババしようとする流れは全く同じである。だからこの映画、このタイトルになったんだな、とわたしは勝手に納得することにした。違ってたらサーセン。なお、『A Simple Plan』の方は、わたしは未見だが、かのSam Raimi監督の手によって1998年に映画化もされています。↓こんなやつ。古くて日本語字幕付きは違法動画しか見当たらん……。

 で。映画『GOOD PEOPLE』(邦題:パーフェクト・プラン)の話に戻ると、残念ながら、主人公夫婦の計画は、全くパーフェクトではなく、ボロがありすぎて、実のところ最初の警察の尋問で、聴取した警部補にはバレバレである。もうホントにがっかり。やっぱりですね、主人公には冴えた頭の良さを期待したいですなあ。バカだとホント、あーあ、としか言えないので、観ていてイライラする。
 ただ、本作は、悪党が結構良かったかもしれない。構造としては、ネコババ夫婦、悪党A、悪党B、警部補という四つ巴の利害関係になっていて、悪党Bを使って悪党Aを倒し、なおかつ警部補を使って悪党Bも始末するという流れはなかなか良かった。けど……もうちょっと頭を使えばいいのに……まったくもってやれやれである。
 なお、役者について備忘録的に描いておくと、もう主役のJames Franco氏については超有名なのでいいとして、ほかにも、意外と知っている役者が結構出演していた。
 まず奥さんを演じたのがKate Hudson嬢。ちょっとしたゴシップ女王としても名が通ってしまったが、この人はどんどん、お母さんのGoldie Hawnに似てきましたね。なかなかの別嬪さんですな。そして警部補を演じたのがTom Wilkinson氏。いろいろな映画に出ているけど、どうだろう、一番有名なのは『The Full monty』のあの元上司のおっさんかな? 最近では『The Ground Budapest Hotel』の作家の先生役でも出てましたな。あともう一人。悪党Bを演じたのが、Omar Sy氏。彼は『Intouchable』(邦題:最強のふたり)のあの黒人青年役で大絶賛され、その後『X-MEN: Days of Future Past』や『Jurassic World』といったハリウッド大作にも出るようになりましたね。なかなか存在感ある悪党で良かったと思います。

 というわけで、結論。
 わたしのスーパー勘違いで観ることになった本作『GOOD PEOPLE』(邦題:パーフェクト・プラン)は、ちっともGood Peopleは出てこないで悪党ばかりだし(警部補はいい人だった)、計画もまったくもってパーフェクトじゃない、杜撰なものであった。役者はいいのでそれなりに見所はなくはないけれど、まあ、基本スルーで大丈夫だと思います。以上。

↓ こちらは、Stephen King大絶賛の方。わたしが過去に読んでいて、本作と勘違いしたのがこれ。
シンプル・プラン (扶桑社ミステリー)
スコット・B. スミス
扶桑社
1994-02





 で、その映画版が↓これ。我ながらあきれるほどのスーパー勘違い。
シンプル・プラン [レンタル落ち]
ビル・パクストン
2004-04-09
 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 今週の週刊少年チャンピオンから、いよいよ『鮫島』は【蒼希狼】との本割となります。 その前に、ほかの連載作品をざっと見ておきましょう。
 ■ 『弱虫ペダル』:どうやら2日目のコースは榛名山を通るようですね。つまりこの山で、山岳くんと坂道くんの戦いがある展開ですが、まだ総北は追いついていません。そしていよいよ京都伏見が動き出す!! というところまででした。登れてスプリントも出来る、という点で、実はキモー筋くんが最強なんだよな……。わたしは密かに、2年目は京伏が優勝して、3年目にリベンジをかけた戦いになるとにらんでます。どうなるか楽しみですな。
 ■『牙刃道』:武蔵、ピクルに会いたがるの巻。ピクル、ワニをモニュっと食うの巻。
 ■『囚人リク』:鬼道院、現るの巻。レノマ、何かひらめくの巻(?)
 ■『Gメン』:勝太、わんこをダシにデートするの巻。大吾、悪党との対決迫るの巻き。まあきっと勝太が助けに行く展開でしょうな。アリです。
 ■『スメラギドレッサーズ』:次回最終回の巻!! うわーーん!! 悲しい……。
 てな感じですが、今週は新連載が1本ありました。『ビーストコンプレックス』という作品で、絵のタッチはなんとなく『HUNTER×HUNTER』でおなじみの富樫義博先生に似ているような気がします。動物擬人化学園物語? とでも言えばいいのでしょうか。どうやら毎回主人公が違うようですが、初回の今週は、出来る少年ライオンが、登校拒否のコウモリと心を通わせるお話でした。こう書くとなんかほのぼのタッチのように思えるかもしれませんが、全然そんなことはなく、意外とリアルというか現代性にあふれたシニカルなところがあります。ちょっと今後注目していきたいですね。

 さて。では今週の『鮫島』ニュースです。
 今週は、【蒼希狼】との本割に向かう朝から、土俵上でバチバチににらみ合うところまでで、ハッキョイまで行きませんでした。冒頭、白水さんのちょっとしたギャグパートがあり、部屋を出て国技館へ向かおうとする鯉太郎に、椿ちゃんは一言かけます。「あんまり無茶しないでよ・・・」鯉太郎は笑って答えます。「ハハハ・・・無茶言うなよ・・・」無茶しないのが無茶なことである鯉太郎。後姿なのでどんな顔で言ったのかわかりませんが、鯉太郎の心中を想像しただけで泣けますね。
 国技館の控室では、【蒼希狼】が気合の入ったウォーミングアップの最中です。そこに現れたのは、我らが関脇【天雷】さんと、同期の【田上】さんですよ!! 関脇【天雷】は言います。「鮫島との取組だもん・・・気合も入るよな・・・同期の俺らにとっても 注目の一番だよ・・・」【田上】さんも言いました「うちの王虎も なんだかんだ言って気になるみたいだったよ・・・」やはり、【王虎】は健在のようですね。番付が気になるなあ……!! 【天雷】が関脇だから、【王虎】は確実に大関か横綱でしょうな。てことは、きっと【王虎】の兄弟子である【猛虎】さんも、確実に大関か横綱だと思うのだが……対戦が今から楽しみすぎますね。このまま鯉太郎が白星を重ねれば、10日目以降に確実に割が組まれると思うので、どうかそれまで、鯉太郎の体がもちますように……。心配すぎて堪らないですな。というわけで、来週いよいよ【蒼希狼】とのハッキョイで、七日目の戦いが始まりますよ!! やっぱり、鮫島最高です!!
 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 7日目:【蒼希狼】西前頭七枚目←NEW!! 今週枚数判明。
  --------
 【天雷】東関脇 
  --------
 ※今週、【蒼希狼】の枚数が判明したけれど、間違いでは!? 七枚目は【大山道】兄貴であることは、2015年47号に明記されているのだが……。東の六枚目は、鯉の弟である常松こと【松明】だから、西の六枚目の間違いでは!? 佐藤先生!! どっちが正しいのか教えて下さい!! ひょっとすると、来週発売の単行本で、【大山道】兄貴の枚数の方が修正になっているかもしれないので、チェックしておきます!! 
 (なお、佐藤タカヒロ先生のTwitterにも特に枚数について言及なしでした)
 (でも、これは最高w→ https://twitter.com/satoootaka/status/700228513635311616

 というわけで、結論。
 いよいよ始まる【蒼希狼】との闘い、まあ、あまり長くならないと思いますが、熱い戦いを期待しています!! でも、嫌な予感がしてならないが、とにかくくれぐれも怪我しないでおくれ、鯉太郎!! 【天雷】も、きっと【王虎】も、鯉太郎との戦いを待っているはずなんだから。以上。

↓三週連続の紹介でくどいですが、単行本(6)はいよいよ来週3/8(火)発売です!! みなさん、絶対買いましょう!!! わたしは電子と紙の両方買って応援します!!!

 泣けた。いやあ、本当に心に沁みた。コイツは超名作です。
 先日、わたしが最も仕事上でお世話になり、最も尊敬している大恩あるお方から、ぽろりーんとメールが来た。曰く、
「先日、早川書房から出ている『ありふれた祈り』という小説を読んだけど、すごく良かった。君の大好きなStephen Kingの「スタンド・バイ・ミー」的なテイストでね。」
 とのことだったので、ほほう、それは読むしかないですな、と思い、即座に検索し、メールをもらって約50秒後には、電子書籍版を購入完了した。そして読んだ。結果、久しぶりに小説で泣いた。確かにこれは素晴らしい!! わたしは、この小説を読んで、初めて、キリスト教の、いや、宗教というものの本質的なものに触れたように感じたのであった。
ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ウィリアム ケント クルーガー
早川書房
2014-12-10

 読書好きなら常識だが、そうでない人には全くなじみがないと思うが、早川書房という出版社がある。散々わたしはこのBLOGにおいて、嫌いな出版社のことを挙げてきたが、逆に好きな出版社ももちろんあって、わたしの中では、早川書房は好きな出版社の相当上位に位置している。ここ数年ぜんぜん買っていなかったが、早川書房が出しているシリーズに、「早川ポケットミステリー(通称:ポケミス)」というレーベルがあって、判型がちょっと特殊な、新書とも文庫とも言い難い、独特の、縦長サイズのレーベルなのだが、本書、『ありふれた祈り』は、ポケミスから2014年に刊行された作品である。なので、ちょっと古いのだが、全然ノーチェックだったことが悔やまれる。本書を読め、とわたしに教えて下さったお方は、とある1部上場企業の代表取締役なのだが、超忙しいのにわたしよりも本を読んでいて、おそらくは日経の書評か、いろいろなところがやっている海外小説ランキングに入っていたことから本書のことを知ったのだと思うが(文春の2015ベストで海外部門3位、「このミス」海外編でも3位だったそうだ)、こういう情報を教えてくれる先輩がいてくれることをわたしは嬉しく思うし、まあ、ちょっとした誇りに思っている。こういうのを、幸せというのだろうと思う。実に有り難いことです。
 で。本書は、ジャンルとしてはミステリーなのかもしれないが、これは、とある家族を襲った悲劇と癒しの物語であり、成長の物語だ。物語を詳しく説明することは避けるが、まずはその家族について簡単にまとめておこう。
 ■お父さん:名前はネイサン。大学で法律を勉強し、弁護士を目指していたが、第2次世界大戦の勃発により出征、戦地での深い心の傷によって、戦後は神学校に通い、現在は牧師として地域の信頼を集めている。
 ■お母さん:名前はルース。明るく社交的で、お父さんや子供たちを深く愛している。音楽が大好きでピアノの名手。現在は聖歌隊を指導しながら教会運営を支えている。料理が下手なのが玉に瑕。
 ■お姉ちゃん:名前はアリエル。18歳。家族の太陽として皆に愛される少女。音楽の才能に恵まれ、ジュリアード音楽院への進学が決まっている。彼氏アリ。
 ■お兄ちゃん:名前はフランク。13歳。平和な田舎町に住む、普通に明るく元気で活発な少年。両親やお姉ちゃん、弟を心から愛している。本作の語り部。
 ■弟:名前はジェイク。10歳(?)。吃音があるため、人前ではめったに喋らない、おとなしい少年。周りをじっくり観察し、洞察力に優れた心優しい少年。いつもお兄ちゃんの後にくっついて行動する。家族みんなを愛している。
 物語は、大人になったフランクが、人生を変えた「あの夏」の出来事を回想する形で描かれている。1961年、ミネソタ州の片田舎で穏やかに暮らす家族に悲劇が起きるのだが、実のところ、本作はその悲劇の謎を解こうとするミステリーでは決してない。犯人候補の怪しい人物が何人か出てくるのだが、この物語の本質は、語り手であるフランクと家族が、如何にしてその悲劇を乗り越えていくかという心の旅路にあり、そこに深い感動があるのだ。
 あらすじを追いかけてもあまり意味はないので、わたしの心に沁みた場面を紹介しよう。とにかく、本書には、ずっと大切にしたいような、感動的な名シーンがたくさん詰まっている。ああ、たくさんありすぎて選ぶのも難しいな……。よし、じゃあ、ベストシーンではないかもしれないけれど、とにかくわたしが感動したシーンを一つだけ紹介しよう。
 家族に起きた悲劇にによって、弟とちょっと気まずくなってしまったお兄ちゃん(主人公)。そんな中、お父さんが牧師として信徒に説教をする姿を見たお兄ちゃんは、心を改めて、弟に話しかける。そのシーンにわたしはとてもグッと来た。
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 わたしは自分のベッドにすわって言った。「おまえに言ってないことがあるんだ。重要なことだ」
 「へえ?」どうでもよさそうにジェイクは言った。
 「おまえはぼくの一番の友達だ、ジェイク。世界一の友達だ。ずっとそうだったし、これからもそうだろう」
 表で信徒たちが別れの挨拶を交わしあい、ドアがあちこちでしまる音、車が教会の駐車場の砂利を踏んで走り去る音がした。ジェイクは両手を頭のうしろで組んで天井をじっと見あげていた。ピクリとも動かなかった。ようやく通りの向こうのざわめきがすっかり消えて、ジェイクとわたしと静寂だけが残った。
 <略>
 「全部が正しくない気がするんだ、フランク」
 「全部?」
 「昼も。夜も。食べてるときも。ここに寝転がって考えごとをしているときも。正しいことがひとつもない。<略>」
 「わかるよ」
 「ぼくたち、どうしたらいいのかな、フランク」
 「進みつづけるんだ。いつもしていることをしつづけるんだ。そうすればいつかまた正しいと感じられるようになる」
 「そうなの? 本当に?」
 「うん、そう思う」
 ジェイクはうなずいてから、言った。「今日はなにする?」
 「ひとつ考えがあるんだ。でも、おまえはいやがるかもしれないな」
--------
 こうして兄弟は、毎週日曜日に必ず行っていた、おじいちゃんの家の庭仕事をしに出かける。そして、いつもは口うるさくてがめつい爺さんだと思っていたおじいちゃんの、意外な優しさに触れて、お兄ちゃんは少し気分が軽くなる。しかし、帰り道、車で送るというおじいちゃんの誘いを断って、二人歩いて帰る兄弟。その帰りのシーン。
--------
 ジェイクがいきなり足をとめ、急に空気が体から抜けてしまったかのように、しょんぼりとたたずんだ。
 <略。どうしてもジェイクは悲しくてならないという>
 「そのうち楽になるよ」
 「いつだよ、フランク?」
 <略>
 わたしは弟の肩に腕をまわした。「わからない。でも、きっと楽になる」
--------
 なんて美しいんだとわたしはもう、感動に打ち震えたね。
 ああ、うちの兄貴たちもこうだったらなあ、と心底うらやましく感じました。
 おそらく、誰もが経験したことがあるだろうし、またこれから必ず経験することになると思うが、人間は、どんなに悲しいことがあっても、腹は減るし眠くもなる。そしてそのことに腹立たしく思ったり、さらに悲しみが深まったりする。だけど、それを乗り越えなくてはならない。毎日をこれまで通り過ごす。それがどんなに尊いものか。ここは本当に素晴らしい場面で、わたしは弟ジェイクのように泣いたね。
 とにかく、こういった心に残るシーンが多くて、感動の嵐である。そして、タイトルの『ありふれた祈り』の意味が分かるのが、35章である。ここで、弟ジェイクにちょっとした奇跡が起こる。ほんの「ありふれた祈り」をささげたジェイク。その祈りで母は救われ、父も魅入られたような、幸せな表情を浮かべる。そんな弟を見たお兄ちゃんも、畏敬の念に近いものをもって弟を見、心の中で思う。「神よ、感謝します」と。わたしもこのシーンでは、この家族に幸あれ、と心から祈りたくなった。

 最後に、著者についてちょっとだけ備忘録。著者のWilliam Kent Krueger氏は、その名の通りドイツ系移民でしょうな。1950年生まれの現在65歳か。本作で、エドガー賞を受賞しているとのこと。ミネソタ州在住だそうで、毎日05:30に起床して近くのカフェで執筆しているそうだ。他の作品も読んでいたいものです。
  
 というわけで、いつものようにまったくまとまりはないが、結論。
 『Ordinary Grace』、『ありふれた祈り』という作品は超名作である。もう全人類に読んでもらいたいほどだ。わたしの今年の暫定ナンバーワン、どころか、これまでに読んだ小説の歴代ベストに入れてもいいような気さえする。超おススメです。そして、この本を教えてくれたお方にも、心から感謝の念を捧げたい。わたしにこの本を紹介してくれて、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。以上。

↓この著者の作品は、他にどんなのがあるんだろう? と調べたら、日本語で読めるのはこのシリーズだけっぽいですな。あーーでも、くそう、これも在庫切れ……電子で読むしかないね。
凍りつく心臓 (講談社文庫)
ウィリアム・K.クルーガー
講談社
2001-09-14

 

 昨日は第88回アカデミー賞授賞式が執り行われたわけだが、今日は3月1日という事で日本ではいわゆる「ファースト・デー」として、映画が1,100円で観られるお得な日である。わたしも、そりゃあ安く観られるに越したことはないわけで、さて今日はなんか観て帰るかと昼頃仕事をサボってTOHOシネマズのWebサイトをチェックしていたところ、ちょっと時間が合うか微妙だし、上映時間も168分と長いので、どうしようかしら……と30秒ほど悩んで、まあやっぱりコイツにしようと決めた。
 というわけで、今日わたしが観てきた映画は、『The Hateful Eight』である。

 監督は映画好きにはお馴染みの、Quentin Tarantino氏である。何気にまだ監督作品が今回で8本目(※KILL BILLは1本でカウント)と、多いか少ないかで言えば、まあ少ないと言っていいと思うが、日本大好きの映画オタク野郎がそのままおっさんになった感じの愉快なメリケン人映画監督である。ただし、その作風はかなり独特であり、基本血まみれ、そして若干複雑な、過去と現在が入れ子構造になったような物語や群像劇が得意技(?)で、キャラクターが延々無駄話をしゃべり倒す特徴がある(全作ではないけど)。なので、映画オタクでも、大ファンを公言する人もいれば、ちょっとね……と敬遠する方もいるだろう。ま、それはどんな監督でも同じか。わたしが言いたいのは、一部熱狂的ファンを抱えている監督だという事なのだが、実のところ、わたしは作品によってかなり評価はバラバラである。
 まだ8作品しか監督していないので、ちょっと一覧にしてみよう。
 1992年『Reservoir Dogs』:劇場で観たとき、こりゃあ凄い才能だぞ、と興奮した。面白い。
 1994年『Pulp Fiction』:この映画はコメディーでいいんだよね? 笑えるという方向で面白い。
 1997年『Jackie Brown』:わたし的には、うーん……。飽きてきた。
 2003年『KILL BILL Vol.1』:かなり飽きてきた。なんというか、笑えなくなってきた。
 2004年『KILL BILL Vol.2』:惰性で観に行った。完全に飽きた。
 2007年『Death Proof』:とうとう劇場に行かなくなった。WOWOWで鑑賞。うーん……。
 2009年『Inglourious Basterds』:劇場に観に行かなかったことを後悔。超イイ。面白い!!
 2012年『Django Unchained』:期待していたほど、ではなかったけど十分以上に面白い。
 というように、最初の『Resevoir Dogs』の衝撃は凄かったけれど、段々評価が下がって、『Inglourious Basterds』でわたし的評価は復活した感じである。なので、今回の『The Hateful Eight』は果たしてどんな塩梅でしょうか、と若干期待は抑えめに、恐る恐る観に行った次第である。
 物語は、吹雪の山中に出会った8人の男女の密室サスペンス、というようなプロモーションだったので、わたしは、ははあ、これはきっと白戸三平先生の名作『カムイ外伝』の「暗鬼」に似た話かな、と勝手に推測していた。
 どうせ誰も知らないだろうし、読もうとも思わないだろうからネタバレで書きますが、その『カムイ外伝』の「暗鬼」とは、こういうお話です。
 抜け忍カムイは、刺客に追われる終わりのない逃避行を続けている。ある時、大雨で増水した川を渡れず、とある小屋で数人の旅人(子供・女性・お百姓さん・武士)と水位が落ち着くまで過ごすことになるのだが、カムイは、誰かが自分を狙っている刺客だと思い、誰一人信じずにいる。そして旅人たちは事故や病気で一人また一人と死んでしまうのだが、実は結局刺客などはおらず、むしろ親切で善良な人々だった。最後にずっと無害だと思っていた犬が、実は忍犬で襲ってきて、その犬を倒した後、カムイは自らの敵は、自分自身の心に巣食う暗鬼だったのだ、ということに気付く。ラスト、「その気になれば、あの中の何人かは救えたものを、おいらは……」というカムイの哀しい独白で終わる。わたしとしてはアニメ版も素晴らしくて超名作だと思っているが、今回の『The Hateful Eight』は、結論としては、ほんのちょっとだけ、似ている物語であった。
 ただし、趣は全く違う。明確に悪党がいて、仕組まれた罠であるので、カムイ外伝とは別物というべきかもしれない。が、正直、そのネタばらしが回想として描かれて以降は、はっきり言ってキレが悪く、なんというか残尿感があるというか、なんともだらだら感があって、どうもスッキリ感が薄れてしまったのが実に残念だ。
 ズバリ、長すぎる。50分ぐらい削って、110分程にまとめて、緩急をきっちりつければ良かったのにね、というのがわたしの感想である。今回も、Tarantino監督らしい無駄話シーンがあって、残念ながらわたしはもう飽きた。やはり、どうしてもテンションが続かないというか、キレがないというか、とにかくキレが悪い。また、今回もかなりの血まみれ映画になるので、苦手な人は心して観に行っていただきたい。
 さて。俳優陣は豪華である。いっぱいいるので、今回は4人に絞って書こう。
 まずは、わたしのあまり好きではないSamuel L. Jackson御大。パンフレットによると、今回、70mmフィルムを使った理由の一つとして、クローズアップを効果的に使うため、とTarantino監督は語っているが、「特に、Samuel L. Jacksonの目をドラマチックに切り取ったよ」とのことである。実際、御大の眼力は今回非常に印象的である。わたしは、なんかに似てるんだよなーと思いながら見ていたが、すぐに、あれだ!! と思い至った。あれですよ、ウルトラセブンの忠実な僕(?)、カプセル怪獣の「ミクラス」ですよ。↓これね。
mikurasu
 どうですか、Samuel御大に似ていないですか? 御大はまあTarantino作品の常連と言っていいと思うが、今回も存在感バリバリの堂々とした演技でありました。とにかく、今回の注目点は御大の眼力ですね。
 次。一人、わたし的に、ああ久し振りにこの人を観たな、と思ったのがMichael Madsen氏である。この人は、わたしにとっては『Resevoir Dogs』のMr.ブロンドでお馴染みですね。あの、警官を拷問するおっかない人です。その後もTarantino作品にはちらほら出ているけど、なんとなく久しぶりに観たような気がします。だいぶ歳を取りましたなあ……。
 それから、John Carpenter作品で80年代に大活躍したKurt Russel氏も、やっぱり久しぶりにスクリーンで観たような気がする。吹雪の中、離れた便所にロープを張って移動する姿は『The Thing(邦題:遊星からの物体X)』の南極基地を思い出させますね。すっかり恰幅良く、でっぷりしてしまったけれど、80年代の彼は本当にカッコ良かった。今回の貫禄ある賞金稼ぎの役は、作中では実は一番いい人なんじゃないかという気がしたけど、ネタバレかな、これは。ま、いいや。
 最後は女優です。この映画には、これまた、しつこいけど久しぶりに観る女優が出演していた。その名もJennifer Jason Leighさん54歳。彼女と言えば、わたしにとってはもう、80年代に当時の映画少年がもれなく興奮した映画『The First Times at Ridgemont High(邦題:初体験リッジモントハイ)』でのヒロインを演じたことでお馴染みで、その後演技派として90年代も様々映画に出て活躍されていたが、今回の演技でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、きっちりとその存在感を示してくれました。受賞はできなかったけど、素晴らしい演技だったと思う。
 あと一人、実は一番の悪党を演じた男がいるのだが、どうも彼のことはネタバレになるようなので、触れないでおきます。パンフレットでも、ほぼカレについて触れられていない。わたしは冒頭のクレジットでその役者(←知りたい人はクリックして)の名前があったのに、全然出て来ないので、んん? と思いながら観ていたのだが、突然の登場でちょっと驚いた。伏線がまったくなく(ジェリービーンズ以外にあったかな?)、わたしとしてはかなり唐突だったと思う。なので、その点も非常にもったいないというか、もうチョイ、何らかのヒントがあった方が面白かったのにね、というのが今回の結論です。誰のことをわたしが言っているのか、たぶん観れば一発で分かると思います。

 というわけで、結論。
 ええと、どうなんだろう、この映画、万人受けはきっとしないと思う、けれど、Tarantinoファンなら必見なのだろうか? わたしは……まあ、観て損はないし、せっかく70mmフィルムで撮影された映像は劇場でないと堪能できないと思うが……うーん、評価が難しい。まあ、気になる方は、ぜひ劇場でTarantinoワールドを堪能してください。わたしならこの映画、110分にまとめると思います。と、いつもの言うだけ詐欺で終わりにしておこう。あと、さすがに本作でオスカーを受賞したEnnio Morricone氏による音楽は、非常に素晴らしかったです。懐かしい感じの、40代以上の映画ファンなら絶対にグッとくる音楽でした。以上。

↓ ヤバイ。超読みたくなってきた。在庫なしか……うーーー読みたい!! 親父の愛読書だったなあ。

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